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国務大臣(中山
太郎君) 外国人の日本における就労問題、これは経済大国となって国際社会で信頼をされる国家としては避けて通れない大きな問題であろうと思っております。
私は、土曜日に品川の国際救援センター、これはベトナムから逃れてこられた難民の
方々を訪ねてみましたし、また長崎県の大村のレセプションセンターにも行ってみました。いわゆる不法密入国、この
方々と、
政府がその国内において技術を研修するとか、あるいは職業について働くことを認める資格を持って日本に入国される
方々と、また難民として日本に来てその人生を我々の社会で過ごされる方と、三種類あると思います。
私は率直に申し上げて、不法入国者には、その不法入国である事実が明確になった場合には、日本の法律に基づいて国外退去をしていただく以外にこの秩序は守れない。相手国にお引き取りを願う、これが原則であろうと思っております。またもう一方、正当な国の決めた枠組みの中でこの国に来て研修をされる
方々、また研修をしながらその現場で働かれる
方々、今
委員御
指摘のように我々の社会に今いわゆる不法労働をしている外国人が約十万人存在しているというのも現実の問題でございます。
私は外務大臣としても外務省に命令をしておりますけれ
ども、早急に、今御
指摘のような
関係省庁と
協議をして、どのように
政府の
考え方を整えて、そしてこれを国会にお示しをし、国会を通じて国民の皆様方に御
理解をいただくかということの作業をすべきであるということを申しております。
今御
指摘のように、日本へ研修に来られるような
方々は比較的年齢の若い外国の
方々であろうと思います。もしこの
方々が来られて日本の社会で働く場合に、当然そこには保険制度、社会保障制度というものが発展途上国と比べると驚くほど整備をされているわけであります。そういう国々から来られた
方々は、
委員御案内のように、保険料というものを今まで掛けておられない。我々の社会保険というものはそれぞれ加入をしている
方々が自己で負担される保険料の問題もございます。また、今までずっと積み立ててきた厚生年金というような積立金もございます。また、国民の働いて納めていただいた税金で
政府が社会保障制度へのいろいろな補助金を出しております。
こういうふうな日本の社会保障制度の中で、入ってこられた外国の
方々が研修される場合には、当然日本に滞在をし研修する期間を決めなければならないと思います。期間が終了した場合と期間内の場合を
二つ考えておかなければならない。
期間内のいわゆる外国人研修生がどのような生活をされるか。その場合に、当然労働省も厚生省もこれに関連をしてくるわけであります。法務省ももちろん入国、出国には関与をしてまいります。そのときの問題点として考えなければならないことは、まず日本の社会保険制度にこの
人たちを受け入れるかどうかということが
一つの大きな問題になってまいりましょう。もう
一つは、日本の国内において研修中にいわゆる犯罪を起こした場合には、どういうふうなことを国家としてやらなければならないのか。有罪判決を受けた場合にどうするのか。強制退去をこの人に命じて、相手国に身柄を引き取ってもらうというのが、いわゆる刑事犯罪を起こした場合の
一つの判断の基準になろうかと思っております。
また、そういうふうな犯罪行為なしに、日本の国内で生活をされている間に日本の婦人と恋愛
関係に入られるとか、あるいはまた内縁
関係で
子供を持たれるとか、あるいは結婚をされた場合に、研修の三年間が終わって、果たして人道的見地で、あなたはこの三年間あるいは認められた研修の期間が切れたから祖国にお帰りなさい、自分の母国に帰ってもらいたい、それが国家間のいわゆる取り決めであるというふうなことが人道上考えられるだろうか。
こういうことを考えますとともに、さらに、研修中に労働災害に遭われた場合の労災補償をどうするかとか、大変な問題を実は、外国人の研修生あるいは働かれる
方々を受け入れる場合には、我々のようなそういう経験のない国家は、西ドイツのような経験を積んだ国家が受け入れた場合にどのような問題が国家に残ってきたか、それがどのように現在の西ドイツの国民の負担になっているか、こういうものも十分検討した上で国家としては
一つの方針を明確に示さなければならないと外務大臣としては考えておりまして、御
指摘のように、
関係の各省庁と早急にこの
協議体制を組んで
政府としての
考え方をまとめてまいりたい、このように考えております。