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下稲葉耕吉君
大臣御答弁のように、三十五年前に
日本がコロンボ・プランに参加いたしまして、
アジア諸国に対しまして初めて技術
援助を開始した日でございまして、当初の
予算は五万ドル、千八百万円と聞いておるわけでございます。三十五年たちました今、
予算ベースで、これは事業量ベースで一兆三千六百九十八億円。昨年はドルベースで九十一億三千四百万ドルということで、
米国に次ぎまして第二位の
援助大国になったわけでございまして、ことしは
米国を抜いて一位になるのではなかろうか、こういうふうに言われているわけでございます。
経済
協力の歴史につきましては今さら申し上げるまでもございませんけれ
ども、戦時賠償的な
援助から始まりまして、
言葉は必ずしも適切でないかもしれませんけれ
ども、
援助を通じて
日本も発展する、
協力といいますか、
援助といいますか、というふうな段階を経まして、今日の世界の中の
日本、世界に貢献する
日本というふうなところまで進んでいるわけでございます。したがいまして、
援助に対する考え方も、私
どもは人道的、道義的立場と国際的相互扶助を理念とする
援助というふうなことで現在の我が国のODAは行われているというふうに思うのでございます。
そこで、参議院では去る六月の百十四国会におきまして国際
開発協力に関する決議を行っているわけでございます。これは本院として初めてのことでございまして、重みのある決議であると私は思うのでございます。この決議は、参議院独自の機関でございます外交・総合安全保障に関する
調査会で論議を重ねまして与野党間の合意を得たものが基礎にあるわけでございますけれ
ども、そういうふうな論議を重ねる過程で、合意を見ないで与野党間の対立のまま終わった内容もあるわけでございます。
そこで私は、その問題を取り上げまして若干
政府の見解をお伺いいたしたいと思うのでございますが、いろいろございますけれ
ども大きな問題の一つは、国際
開発協力計画を
政府が策定し、それを国会の承認を得て実施しなさいという問題でございました。昨日もこの問題につきまして同僚議員から
質問があり、外務
大臣は、
予算の際に、
予算の中に入っておることでございますから
予算の国会の議決でやらさせていただきたいという趣旨の発言があったように記憶するわけでございます。
私は、やはり外交というものは機動性を持ち、弾力性を持って推進されなければならない。それから、特定の国に対する
援助計画というふうなものがオープンになりますと、その国は安心するかもしれませんけれ
ども、それに伴う具体的な努力、特に自助努力、そういうふうなものをやっていただかなければならぬわけでございますけれ
ども、そういうふうな点にも影響を及ぼすんじゃないか。あるいはまた、ある特定の国への
援助というものがわかれば、その周辺国に対してもどういうふうな配慮をしなくちゃならないのかというふうなこともございますし、あるいは周辺国を含めて国際関係の大きな国にもやはり影響を及ぼすことがある。それはやはり行政の責任として
政府が責任を持っておやりになるということではなかろうかと思います。
ただ、じゃそれなら何でもいいかというと、そういうわけでないわけでございまして、やはりそういうふうな具体的な
援助の実績、これは詳細に国会に報告されるべきだと思います。そしてまた、そういうふうなものに対する評価、評価の中身はいろいろ言われておりますけれ
ども、厳格に評価をやられまして、そしてそれも国会に報告をされるべきである。そういうふうなことを踏まえて国会で議論して、長期的なあるいは将来に向けての国際
開発協力の重点なり方向なりというふうなものが決められるべきだ、こういうふうに思うわけでございますが、この点につきまして外務
大臣、御意見がございましたら。