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1989-10-24 第116回国会 参議院 予算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十月二十四日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十月二十四日     辞任         補欠選任      田村 秀昭君     中曽根弘文君      細谷 昭雄君     國弘 正雄君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林田悠紀夫君     理 事                 伊江 朝雄君                 石井 一二君                 下稲葉耕吉君                 平井 卓志君                 穐山  篤君                 矢田部 理君                 安恒 良一君                 太田 淳夫君                 吉岡 吉典君     委 員                 青木 幹雄君                 井上 章平君                 遠藤  要君                 合馬  敬君                 片山虎之助君                 北  修二君                 久世 公堯君                 清水嘉与子君                 田中 正巳君                 谷川 寛三君                 中曽根弘文君                 永野 茂門君                 二木 秀夫君                 前島英三郎君                 山岡 賢次君                 稲村 稔夫君                 梶原 敬義君                 久保  亘君                 國弘 正雄君                 竹村 泰子君                 田  英夫君                 堂本 暁子君                 村沢  牧君                 本岡 昭次君                 山本 正和君                 猪熊 重二君                 白浜 一良君                 和田 教美君                 上田耕一郎君                 池田  治君                 中村 鋭一君                 足立 良平君                 井上  計君                 西川  潔君                 野末 陳平君    国務大臣        内閣総理大臣   海部 俊樹君        法 務 大 臣  後藤 正夫君        外 務 大 臣  中山 太郎君        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        文 部 大 臣  石橋 一弥君        厚 生 大 臣  戸井田三郎君        農林水産大臣   鹿野 道彦君        通商産業大臣   松永  光君        運 輸 大 臣  江藤 隆美君        郵 政 大 臣  大石 千八君        労 働 大 臣  福島 譲二君        建 設 大 臣  原田昇左右君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    渡部 恒三君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 森山 眞弓君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  水野  清君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (沖縄開発庁長        官)       阿部 文男君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  松本 十郎君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       高原須美子君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       斎藤栄三郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  志賀  節君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  石井  一君    政府委員        内閣官房内閣広        報官室内閣広報        官        兼内閣総理大臣        官房広報室長   岡村  健君        内閣法制局長官  工藤 敦夫君        内閣法制局第一        部長       大森 政輔君        公正取引委員会        事務局審査部長  植木 邦之君        警察庁長官    金澤 昭雄君        警察庁長官官房        長        浅野信二郎君        警察庁刑事局長  中門  弘君        警察庁刑事局保        安部長      森廣 英一君        総務庁長官官房        交通安全対策室        長        加美山利弘君        総務庁行政管理        局長       百崎  英君        北方対策本部審        議官       鈴木  榮君        北海道開発庁総        務監理官     松野 一博君        防衛庁参事官   小野寺龍二君        防衛庁参事官   玉木  武君        防衛庁参事官   村田 直昭君        防衛庁長官官房        長        児玉 良雄君        防衛庁防衛局長  日吉  章君        防衛庁教育訓練        局長       米山 市郎君        防衛庁経理局長  藤井 一夫君        防衛庁装備局長  植松  敏君        防衛施設庁長官  松本 宗和君        防衛施設庁総務        部長       吉住 慎吾君        防衛施設庁建設        部長       黒目 元雄君        経済企画庁調整        局審議官     安田  靖君        経済企画庁国民        生活局長     末木凰太郎君        経済企画庁物価        局長       栗林  世君        科学技術庁長官        官房長      平野 拓也君        環境庁長官官房        長        渡辺  修君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        国土庁長官官房        長        北村廣太郎君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        国土庁地方振興        局長       野沢 達夫君        国土庁防災局長  市川 一朗君        法務大臣官房長  井嶋 一友君        法務省刑事局長  根來 泰周君        外務大臣官房長  佐藤 嘉恭君        外務大臣官房領        事移住部長    久米 邦貞君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省経済局長  林  貞行君        外務省経済協力        局長       松浦晃一郎君        外務省条約局長  福田  博君        外務省国際連合        局長       遠藤  實君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君        大蔵省主計局長  小粥 正巳君        大蔵省主税局長  尾崎  護君        大蔵省理財局長  大須 敏生君        大蔵省国際金融        局長       千野 忠男君        国税庁次長    岡本 吉司君        文部大臣官房長  國分 正明君        文部大臣官房総        務審議官     佐藤 次郎君        厚生大臣官房長  黒木 武弘君        厚生大臣官房総        務審議官     加藤 栄一君        厚生大臣官房老        人保健福祉部長  岡光 序治君        厚生省健康政策        局長       仲村 英一君        厚生省年金局長  水田  努君        社会保険庁運営        部長        兼内閣審議官   土井  豊君        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省農蚕        園芸局長     松山 光治君        農林水産省畜産        局長       岩崎 充利君        農林水産省食品        流通局長     鷲野  宏君        食糧庁次長    森元 光保君        通商産業大臣官        房総務審議官   関   収君        通商産業大臣官        房商務流通審議        官        山本 貞一君        通商産業大臣官        房審議官     横田 捷宏君        通商産業省通商        政策局長     畠山  襄君        通商産業省貿易        局長       内藤 正久君        通商産業省産業        政策局長     棚橋 祐治君        通商産業省基礎        産業局長     高橋 達直君        通商産業省機械        情報産業局長   山本 幸助君        通商産業省機械        情報産業局次長  坂本 吉弘君        中小企業庁長官  見学 信敬君        運輸大臣官房長  松尾 道彦君        運輸大臣官房審        議官        兼内閣審議官   井上徹太郎君        運輸省航空局長  丹羽  晟君        郵政大臣官房長  白井  太君        郵政大臣官房経        理部長      木下 昌浩君        郵政省電気通信        局長       森本 哲夫君        労働大臣官房長  若林 之矩君        労働省労働基準        局長       野崎 和昭君        労働省婦人局長  佐藤ギン子君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君        自治大臣官房長  小林  実君        自治省行政局選        挙部長      浅野三郎君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        宮下 忠安君    参考人        税制調査会会長  小倉 武一君        日本銀行総裁   澄田  智君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○予算執行状況に関する調査参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 予算委員会を開会いたします。  予算執行状況に関する調査を議題といたします。     ─────────────
  3. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  本調査のため、本日、税制調査会会長小倉武一君及び日本銀行総裁澄田智君の両名を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) それでは、これより太田淳夫君の質疑を行います。太田君。
  6. 太田淳夫

    太田淳夫君 さきの参議院選挙によりまして参議院与野党逆転となったわけでございます。  その結果、参議院では全委員会野党委員の数が自民党委員を上回っているわけです。したがいまして、今後与野党対決法案というものが、よほどの修正がないと参議院では否決をされるという事態を迎えているわけでございます。これは国民皆様方が、消費税に対してやはり公約違反であるという判決を下された結果がこうなったと思います。予算案とかあるいは条約につきましてはこれは憲法でも救済をされるわけでございますけれども予算関連法案その他は両院協議会等を経なければなりませんし、なかなか成立が難しくなってくるのじゃないかと思うんです。  ところが総理総理を初め政府自民党の中でこの状況の厳しさということについて認識が足りないんじゃないかと思われることが再三あるわけですね。せんだっても福島労働大臣発言につきましては当委員会でも問題になっておりました。御当人の陳謝もございました。あるいは衆議院代表質問でも、三塚政調会長発言等参議院の権威に対してこれは傷つけるものではないかと私は思っております。そういう意味で、自民党総裁としての総理は、この点はやはり厳しく党内を注意すべきじゃないかと思いますが、その点いかがでございましょうか。
  7. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘いただきました参議院与野党議席数の変化の問題は、私どもこれは厳粛に受けとめております。同時に、議会制民主主義衆議院参議院二院制で成り立っておるものであるということもこれは当然のことでありまして、参議院に対していろいろ御指摘のような考え方を持たないできちっとやっていかなきゃならぬということは、みずからを含めて皆に戒めておるところであります。
  8. 太田淳夫

    太田淳夫君 今国会消費税国会と言われて消費税論議もされているわけです。見直し廃止か、これからいろいろと論議をしなければならないときでございますが、きょうの朝、私もテレビを拝見しておりましたらば、総理は東欧あるいはECを訪問されるようなことが報道されておりましたけれども、その点についてはいかがですか。  消費税についての論議はまだけじめもついておりません。そういう国会の中で、次の外交日程、これは相手もあることですからいろいろと相談していかなければならないこともございましょうけ れども、そういう日程が発表されておりました。詳しいことは決まっておるんでしょうか、どうでしょうか。
  9. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 正確に詳しい日程を発表したわけでも何でもありませんし、また詳しい日程があるわけでもございません。御指摘のように、ただいまは国会のさなかであって、私どもとしては国民皆さんに御理解と御納得をいただくために全力を挙げて政策努力をしなきゃならぬ時期でございます。  ただ、外遊のことは、外国とのいろいろな関係関連もございますし、きょう決めてあすというわけにもいかないでしょうから、だからそういった意味で、歴代、国会自然休会中と申しますか、一月の時点にはそれぞれ外交の懸案問題を片づけるために外国へ行くということは慣例のようにあるわけでございますので、もしやるとするなれば、どの方向に、どの程度のことがいいんだろうか、これは外務大臣に検討してもらうように私も申しました。それ以外固まったことはまだ何もございません。
  10. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理、この委員会でも再三問題になっておりますが、総理消費税についての御発言は、総裁就任後、総理就任後、いろんな機会を経るたびにだんだんと後退している。例えば八月八日に総裁に就任されたときには、福祉目的に全収入を使うようにする方向で検討する、こうおっしゃっておりました。その後、政府税調自民党税調作業を急いでもらい、どこでどうするか尋ねたいと後退された。八月二十三日には、福祉目的税という言葉は使えない、こういうふうにだんだん後退をされているわけですね。  また、参議院の茨城の補欠選挙では、思い切った改革をやりたいと選挙に臨まれて総理約束されてきた。私たちは、これは公約だと思っておりますが、それがだんだんと後退をしているということがございました。衆議院でも、思い切ったとか思い切ってとかいろんな論議もあったようでございますが、国民から見ますと、そういう言葉のいろんな論議ではなくて、総理自身が、本当に消費税について最初に考えてみえたのからどんどんどんどん後退してきている。相撲で申しますともう土俵際です。うっちゃるのか寄り切られるのか、そういう瀬戸際まで来ている。  総理のお言葉後退しているところをいろいろ見てみますと、国民皆さんは、この消費税廃止してもらえるのかあるいは見直しをするのかはっきりと総理に言ってもらわなきゃならない、そういう思いでいらっしゃるところでございますけれども総理の御発言がどんどんどんどん後退されていく。もう土俵際でどうにもならない。そういう言葉の遊びではなくて、そういう総理言葉後退されるところを見ますと、総理を果たして信頼していいのかどうか、本当に国民の願うような消費税改革をやってくれるのかどうか、今そういうところに来ていると思いますが、総理、いかがでございますか。
  11. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 物の見方や、あるいは立場や視点を変えていろいろの御批判があることはよく知っておりますが、私の見直しに対する考え方がどんどんどんどん後退しておるとは自分では決して思っておりません。そして、私が国民皆さんの目に触れるように対外的に申し上げました一番最初のものは、自由民主党総裁選挙候補者に決めてもらったときに候補者としての所信をきちっと述べましたが、そのときに、見直すべき点は思い切って見直します、こう書きました。それからその後、税制調査会へ行って諮問をするときも、また去る二日の所信表明演説のときも同じことを申しました。  そして、決意は変わっておりませんが、じゃ、どのようにどんなところをという具体的な問題になっていきますと、これは各界の御意見を聞きながら、また自由民主党税制調査会でも今いろいろな御議論が続いておる。それから各省庁にも、消費者皆さん立場あるいは生産者皆さん立場、異なる立場皆さんの御意見、それをよく聞いて、我々の目指すところはこれを御理解いただいて定着させていかなければならぬわけでありますから、今、御意見を聞きながら見直しはきちっとしていかなきゃならぬと思いながらその作業をしておるわけでありまして、私の考えがどんどん後退しておるということはございません。定着させるために見直しはすべきであると思っております。
  12. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほどの参議院選挙へ戻りますけれども野党の私たち消費税廃止で戦いましたね。自民党皆さん見直しということで戦ったわけですね。これは昨日の委員会でも論議になりましたけれども国民の大きな選択にかけられたわけですね。その結果、国民皆さん方自民党見直しを選ばずに野党廃止を選ばれた。それは比例区の結果に出ているわけですね。  これはもう昭和六十一年の衆参同時選挙、あそこで中曽根総理大型間接税はやりませんと国民約束されました。また今度、消費税が成立する過程におきまして、衆議院参議院でも私たちは六十三時間という論議をやっておりました。そこで強行採決されたわけです。そういう手続上の問題、あるいは参議院選挙の結果、そういうもので国民皆さん方廃止ということを選択された。これは間違いありませんね、どうでしょうか。
  13. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 消費税是か非かという一点だけに絞ったお互いの立場選挙でありましたら別であると思いますけれども、あのときは正直にお考えいただいて、消費税廃止か存続かだけがテーマではございませんでしたし、また自民党としていろいろ申し上げておかなきゃならぬことはそのときにほかのテーマもいっぱいあったということで、私たちが御理解をいただきたいと思うようなことも十分御説明できなかった、すべてのことを含んであの選挙の結果が生まれてきたと、このように受けとめております。
  14. 太田淳夫

    太田淳夫君 しかし、投票日前後の世論調査をごらんになりましたか。あの結果、有権者の皆様方が投票する際の判断といたしましては、消費税を挙げている方が三分の二以上あるわけです。これはどこの世論調査でも全部そうですね。そしてリクルート政治不信、いろんな問題を今おっしゃっておりましたけれどもリクルートの問題に絡む政治不信については三〇%台でとどまっておるわけです。この消費税を何とかしてもらいたいという方、争点と見られた方が倍以上もあるわけですね。やはりこれは紛れもない事実でございますし、今回の臨時国会で私たち野党廃止法案を出しておりますけれども、やはり国民皆さん方の審判に従って、約束を守り、この消費税廃止すべきであると私は思いますが、いかがでしょうか。
  15. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 消費税の問題は今回の税制改革の中の一部分としてお願いをし、これをやはり将来に対して重税感を取り除き公平感を持っていただく、所得と消費と資産のバランスのとれた、しかも安定的な税負担を広く国民皆さんにお願いしたいという大きな税制改革の中の一環としてお願いしておりますので、そこから消費税だけを取り出して消費税だけをなしにしろと今おっしゃられても、それに対してそういたしますとは申し上げられません。むしろ消費税というものは廃止しないで、これは皆さん方にもできるだけ御説明をして、御理解と御協力をいただきたいと思っておるテーマでございます。
  16. 太田淳夫

    太田淳夫君 しかし、国民皆さん方選択消費税なんですよね、そうでしょう。幅広い税制改革とおっしゃいますけれども、まさしく消費税争点になった。これをどうするかがこの国会の問題じゃないですか。私たちはやっぱり政党としまして消費税廃止公約したわけです。ですから、その約束を守るために、この臨時国会に、四党それぞれ立場は違いますけれども、相協力し合って廃止法案を提出いたしました。間もなく、その消費税廃止するための代替財源法案も提出することになっております。そういう努力をやってまいりました。  やはり自民党としましても、国民皆さん方約束した以上は、この臨時国会までにこの見直しについての法案皆さん方もしっかりと提出をして——衆議院のいろんな論議を見ておりますと、皆さん方見直し法案はまだ出ておりません。しかし野党の出している廃止法案についていろんな議論をされている。同じ土俵の上にやはり廃止法案見直し法案を出して、国民皆さん方の前で論議をしていくのが本筋じゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  17. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私ども政府税制調査会にその見直し作業をお願い申し上げております。また、党の税制調査会におきましても真剣なヒアリングが行われつつあります。私自身も、福祉関係皆さんやあるいは地方自治体の方々を初め御意見を承りつつありますし、また国民からお手紙によりまして、一万三千を超える方々から見直しについての御意見もちょうだいをいたしております。  そして、参議院選の折にも私どもが申し上げましたのは、ちょうどその参議院選の当時出ておりました消費税見直しについて、あるいは廃止についての御意見というものは、消費者の方々にじかに触れ合う、いわばお店屋さんのお店先の声でありました。そして、そのうちに納税が現実に始まりますと納税義務者の方々の御意見も承って、我々は見直しをいたしますというお約束選挙の際にしてきたわけであります。そして、今まさに申告、納付の作業が始まったわけでありますけれども、なお私どもは十分に御意見を承りながら、本年末に予算編成を行うその前段階において、来年度の税収を確定する時点までに見直しをきちんとしていくつもりで努力をしているところであります。
  18. 太田淳夫

    太田淳夫君 その今のお話については、また後ほどお尋ねします。  税調会長どうも御苦労さまでございます。  ちょっと御質問させていただきますが、会長はことしの四月、ある新聞のインタビューに答えられまして、消費税に帳簿方式を採用することは税制の堕落だと、今度の税制改正は木炭自動車のようなものだという批判的な立場をとっておられました。そして、特に消費税を実施して半年間が経過し、経済的弱者にとって極めて厳しい消費税の逆進性、あるいは消費者が納めた税金がすべて国庫に納入されるシステムになっていない、こういう数々の欠点が今国民から指摘をされているわけですね。そして政府みずから見直しを避けられない状況になってきているわけです。  そこで、抜本改革をまとめ上げられました税制調査会の会長の立場から、やはり消費税見直しをこれほど早く行わざるを得ないと予想されていたのかどうか、あるいは既に四月の時点で批判的なことをおっしゃっていたわけでございますから、さきの税制改革をどのように評価されているのか、率直な御意見をお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  19. 小倉武一

    参考人小倉武一君) ただいまのお尋ねでございますけれども、今回の税制改革は随分長い間かかった仕事でございますので、その途中いろいろインタビューなりあるいは御質問なりに応じてお答えしたことがございますが、今になってみますと、私が最初にそういうことを申し上げたのはもう一年半ばかり前のことです。半年前じゃなくて、一年半ぐらい前あるいは一年近く前のことでありまして、その後そういうことは余り耳にしていないんですが、言葉はやっぱり残るものでありまして、ジャーナリズではそういう言葉が時々出ているので、いかにもその出たときに私が発言したように受け取られて、ちょっとどうかと思う気がいたしますけれども。  ただ、もう消費税が実施されまして、お話しのように四月から今日まで半年余りたっているわけでありますから、その状況というものはいろんな方々からお話をお聞きしまするし、税制調査会としても特別に小委員会を設けまして、フォローアップという名前をつけておりますが、消費税とつけずにフォローアップとしましたのは税制改革全般にも及び得るというような姿勢を示すためだったと思うのでありますが、しかし、実はほとんど消費税だけでございます、今日までのところは。  いろいろ話を承ってみますというと、当初立案の途中で心配したほどのことはなくて、なかなかよく皆さん了解されておる。特に納税義務者の事業者の方は随分よく努力されまして、大変な短い間の努力でありますけれども、準備のための期間が短過ぎたようなことはあったようでありますが、とにかく納税義務者としての遺憾なき措置を大方とられておるというふうにだんだん聞いております。  しかし一方、消費者あるいは主婦のお立場からすると、これは各種の御議論がございます。また、これは事業者の立場からの御意見とは違って本当の日々の生活の上での御意見でございますから、早い話が一円玉の話から始まるわけですから、これ一円玉といってもなかなかばかにできないようなことだろうということをそのときつくづく感じ、また今日も感じておるわけでありますが、一円玉から帳簿方式まで十本の指では数え切れないくらいの討議すべき問題があるかと思います。  きょうも午後から小委員会がございまして、きょうはたしか全国の商工、農業関係の団体の方からお話をお聞きすることになっておりますのですが、もうお聞きする段階は十月いっぱいくらいでやめまして、十一月になりますと、これまで出ました諸問題について今度は税制調査会の内部で御議論をいたしまして、先ほど総理からお話がございましたような趣旨の諮問も税制調査会は受けておるわけでありますから、思い切った見直しといいますか、思い切って見直しをするという立場に立って、これから個々の問題を掘り下げていかにすべきかを討議するということになっておりまして、まだどこの点をどうするという結論は出ておりませんので、また、大変同じ問題についても意見が違うということを非常に感じました。  特に消費者サイドの方からは、同じ問題について是非の議論をしたわけではありませんから対立したとは申し上げませんけれども、違った御意見が出てきましてこれをどう処理していくかということは一つ一つなかなかこれは容易じゃないと思いますけれども、十月過ぎて十一月になりますればそういう問題を取り上げて、ひとつできるだけ見直しの効果があるようなお答えができればと、こう考えております。
  20. 太田淳夫

    太田淳夫君 会長にお尋ねいたしますけれども、この消費税の実施状況フォローアップ小委員会が再開される前に、やはりあるインタビューに答えられまして、一つは出産費や入学金などの非課税品目化には前向きの姿勢を示されたが、食料品の非課税化には否定的な見解を示された。また、簡易課税制度、免税業者の基準見直しは時期尚早、福祉目的税化についても反対のお考えを示されたと、こういう報道がされたわけでございますが、その小委員会で今審議をいろいろとされて、きょうもされているようでございますけれども、どうでしょうか、政府が諮問された見直し項目のそれぞれについてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、あるいは国民の多くの声は、食料品はせめて非課税にしてほしい、こういうことであろうと思うんですが、この点についてはどのようにお考えでございましょうか。
  21. 小倉武一

    参考人小倉武一君) お答えしますけれども、個々の問題については先ほど申し上げましたように、税制調査会としてはまだ全く論議をしておりませんのでお答えしかねるわけですが、食料品の問題に関連しましては、これはもう一般消費税、売上税という名前のときから重要問題であったわけでありますので、それらの経緯を踏まえますと、一般消費税の段階あるいは売上税の段階は食料品をたしか除くという建前になっておったわけですが、今度は原則としてむしろ課税の対象にするということになっていまして、大変化がそこに起こっているわけでありますので、これは重大な問題だと思うんです。  これは一般消費者にとっても、あるいは食料品の生産、製造業に携わる人にとっても重大な問題でありまして、また食料品非課税というのはどう いう意味なのかということについても必ずしも十分に理解されていない点もある。それが全然税金がかからぬということになるわけじゃ必ずしもない。全く消費税のかからぬようなやり方もないことはないようでありますが、そういう複雑な問題がありますので、軽々にお答えすることはできないと思います。もう少し論議を進めまして、税制調査会なりあるいは政府のお考えなりがわかって、それらも参照してどうだという結論を出すべきものかというように思います。
  22. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後にもう一問だけお尋ねいたしますけれども、竹下元総理は大蔵大臣に就任中に、よく私たちが税制に対する竹下さんの所信を求めましたところ、税制調査会に予見を与えることは避けたいと、こういう答弁をおっしゃっておみえになったわけですが、最近はその自民党主導のもとに税制改革の審議が進められているんじゃないかという疑問を感じてなりません。  それは加藤小委員長の、「党税調が政治決断をした時は、政府税調として、これは好ましくないとか、これは認めるとかを言う責任がある」、こういう旨の発言がございましたけれども、そういうところからこういう御発言もあったんじゃないかなと私たちは考えておるわけでございますが、税制調査会長としてこれについての忌憚のない御所見を賜りたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  23. 小倉武一

    参考人小倉武一君) 政府税調自民党といいますか、党の税調との関係が主な御質問だと思いますけれども、ちょっと沿革がどうもこれはあるんですね。以前はやはり何といいますか、税制に限らず政治と行政という二つの柱を立ててみれば、大体同じような立場で、立場といいますか、考え方がどちらが優位になる下位になるというようなことはなかった時代があったかと思うんです。ところが、御承知のように政党政治が確立されてみますと、どうもやはり党の政治の方が優先して行政を左右するということにだんだんなってきておるのは、これは事実でございますから、税制もその例外ではないと。だから、党の税調と政府の税調の関係もそういうことを反映しているんだろうというふうに考える以外には考えることができないのではないかと思います。  ただ、政府税調というようなものをなぜ置いておくんだろうと、これは私も多少疑問に思いますけれども、それじゃどこに意味があるかといいますと、政府税調の中には自民党員でない方、自民党には反対の方がおられるわけですよ。あるいは自民党とは全く関係のない学究の方もおられる。だから、自民党自民党の中でいろいろ相談されているだけでは反映できないものがある。それは部外の方にお聞きになればいいですけれども、部外の方にお聞きになるのは単に一参考意見としてお聞きになるだけで、これは政府税調の中では自民党と違う立場の人、そういう方の意見も何かの形で反映せざるを得ないし、また私個人としましては、できるだけそういう方の御意見も答申に反映し得るように十分に努めてまいったと思います。  加藤さんのインタビューについてのことでありますけれども、これは答申がいつ出るかということは必ずしもあらかじめはっきりしないわけですね。いろいろ政治の問題もあるし、国会日程等もありまして、あるいは予算の編成上の問題もある。そこで、どっちが先になるか後になるかということは、初めから決められないと思うんです。ただ、慣行として近年は、以前は政府税調が先だったらしいんですが、ところが、近年といいますか、もう十年も、あるいは二十年もかもしれませんが、政府税調の方が後になる。だから、後になりますとどうしても、先に出たものがどういう意見だということで参照してやるのが当然であると思いますけれども、その後先の時間が余りにも短いんです。そういう欠点があるんです。  先なら先でずっと先にやってもらえば、それはよく吟味してこれは是々非々でいけるわけですが、余り接近していますから、後先を争うことは余り意味がない。しかし、先に出れば、先に出たもののいいところとぐあいの悪いところと選別して意見を申し述べるというのがこれは当然です。だから、先に出た場合はどうするという仮定の話を小委員長の加藤さんはされたんだろう。いろんなことの中でそういうことが出たということは承知しておりますけれども、そう私どもが気にすることもないし、また気になさることもないのではないか、こう思います。
  24. 太田淳夫

    太田淳夫君 どうもありがとうございました。  それでは、高原長官にお伺いしたいんです。  この見直しとあるいは消費税の問題につきまして、消費者の方々のお声をお聞きになって何回か懇談会をされていらっしゃいますね。その懇談会を通しましてこの消費税についてどういうような御要望が多かったのか、その点ちょっとお知らせ願えませんでしょうか。
  25. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 税制の問題につきましては、何回も大蔵大臣が答弁していらっしゃいますように、今政府税調が中心になって作業を進めているわけでございますけれども、経済企画庁には国民生活局、物価局という非常に生活にかかわりの深い分野がございますので、私といたしましてはそういう生活の分野、消費者の声を聞くということを中心に懇談会をやってまいりました。八月二十八日に東京で中央消費者団体との懇談会を行ったのを皮切りに、北は札幌から西の方は福岡まで、七回にわたりまして消費者、主婦の方を中心に延べ百六人の方から御意見を伺いました。  ただ、採決をとったわけではございませんので、量的な数としては申し上げられませんけれども、大体の傾向についてそれでは御報告いたしますと、導入の手続上の問題を重視した廃止論も確かにございました。一方では、これからの高齢化社会への対応のためには消費税は必要であるという御意見も多うございましたけれども、その方たちも、具体的な仕組みには問題があるので見直しをしてほしいという意見でございました。導入の手続の問題といたしましては、消費者意見を聞くことが少なく、準備期間も短く、特に消費者に対する説明、PRが不足していたということは、これは非常に多くの消費者から上げられた声でございます。  次に、消費税の具体的な仕組みにつきまして主なものを紹介いたしますと、まず、年金生活者、低所得者等の社会的弱者にも一律に課税されるのは温かみに欠けるのではないかという意見がございました。その対応としては、生活必需品は非課税にすべきではないかというような声も上げられました。また、こうした観点からだけではなく、主婦の立場としてもやはり食料品などの必需品については非課税品目を増加してはというような声も上がりました。ただ、具体的にはどういう品物を非課税にするのかという点につきましては、さっき出ました出産費用であるとか生鮮食料品であるとか、非常にいろいろなものが挙がっておりまして、その消費者同士でいざ決めるとなるとなかなか難しいなというような声もございました。  次に、簡易課税制度、免税業者等の制度につきましては、消費者が負担した税金が本当に国庫に届くのかなという不安も言う方がおられました。  また、表示の問題につきましては、内税、外税、総額表示、いろいろございますけれども、共通して、税額がはっきりしているのが消費者としては国庫に納める道がはっきりしていて一番いいのではないかという、税額を明示してほしいという意見でした。  また、こうした消費者意見につきましては、大蔵大臣さらには総理大臣に直接お目にかかって報告いたしまして、今後総理、大蔵大臣がこうした消費者意見政府税制改革に生かしていただくということでお願いしてございます。
  26. 太田淳夫

    太田淳夫君 あといろんな御意見があったようですけれども、その中に、家庭の奥様方の出産費用についての要望はなかったでしょうか。あるいは学用品、あるいは家賃ですね、家賃にも消費税がかかってくる、そういうことについてのいろんな御意見はなかったでしょうか。
  27. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 何人ということは申し 上げられませんけれども、さっきも申し上げましたように、出産費用と言う方はおりました。あと、教育費、それから家賃という声も確かにあったことはございました。
  28. 太田淳夫

    太田淳夫君 そういう数々の要望があったわけでございます。総理、大蔵大臣は、それをお聞きになってどのようにお感じになりましたか。
  29. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 高原長官から消費者団体の方々にお会いになった結果の御報告を拝聴いたしましたけれども、今私の手元にちょうだいをいたしております投書の中にも、同様に、非常に幅広い御意見が届いておりまして、私どもは、国民見直しを求められる点につきましてはすべてが見直しの対象と、その上で、その取り入れられるものについて、また、なぜ取り入れられないという結論が出たかということについても、御説明をしていく責任があると思っております。
  30. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今いろいろな立場の方の御意見を聞いておりますが、高原長官の報告も聞かせていただきましたし、消費者の皆様の御意見というものがそういうところにあるのかなということも私は意見として聞かせていただきました。
  31. 太田淳夫

    太田淳夫君 ここに橋本大蔵大臣の、これは新聞に出ていたことでございますね。今一万二千七百四十一通の熱いお手紙があったと、これに対するお礼が書いてございます。この最初に、「消費税は、同じだけの消費をすれば同じ税金を負担するという意味で公平な税金」だとおっしゃっていますね。しかし、これは所得の多い少ない、いろんな問題があるんじゃないでしょうか。これは水平的な公平だけおっしゃっていて、垂直的な公平については何もおっしゃってないじゃないですか。収入のたくさんある方と低所得の方々が同じ消費税を払ったらばそこには不公平があるんじゃないですか、いかがですか。
  32. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は、消費税の持ついろいろな側面について、本院でも何回か御答弁を申し上げてまいりました。そして、最初に私が国民に対して聞いていただきたいとお願いをいたしましたのは、高齢化社会という立場から消費税についての御説明を申し上げたわけであります。そして、その後ちょうだいをいたしますお手紙の中に、外国はどうなっているんだというお手紙が随分ありましたので、次に外国を取り上げてお話を申し上げました。  今委員が手元にお持ちになっておりますその広報は、消費者の方々からいただきましたお手紙の中で、消費者の方、その手紙をくださった方に公表をしてよろしいかという御連絡をとり、公表することをよろしいというお返事をいただきました中の何通かをその場に載せさせていただいております。そして、その税制全体の中における消費税、こういう見方もあるんですよという意味で申し上げておることでありまして、税はそれぞれ特徴を持っており、また欠陥もございます。ですから、本院におきます御論議に際しましても、私は税制全体をどうぞ論議の俎上にのせていただきたいとお願いを申しておりますように、消費税の持つ公平性は、逆に所得税その他の税制ではカバーのできない部分でありますし、また、今委員が御指摘になりましたような所得の多寡に応じての税制という意味では所得税あるいは法人税等が機能するわけでありまして、税制それぞれが補い合い一つの体系をつくっておるということでございます。
  33. 太田淳夫

    太田淳夫君 今お話しの中で、確かにここにも書いてございますね。弱い者いじめの税金ではないかというお便りをいただいたということでございまして、そこで、今おっしゃったような税制全体、あるいは社会保障も含めた財政全体で考えていただけないでしょうかとあなたはおっしゃっていますね。ということは、こういう逆進性あるいは弱い者いじめ、こういうものが消費税だけで考えた場合には解消できない、こういうことをあなたはおっしゃっているわけですね。  先ほども高原長官のお話がありました、低所得者、年金生活者への配慮をしてもらいたいというお話がありましたね、一番です。あるいは食料品などの非課税の範囲の拡大、いろんな要望がございました。そういうものは消費税見直しだけではできないとあなたはおっしゃっているわけですね。選挙でいろんな争点になったのは消費税見直しということですよ。税制全体ということじゃないんですよ。見直し廃止ですね、そうでしょう。あなたのおっしゃっていることは、この消費税見直しだけでは解決できないということをおっしゃっているわけですね、もう。
  34. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょっと私が申し上げた中身と食い違うのかもしれません。  ただ、今お話しになりましたように、日本の税制が低所得者に冷たいという視点からの御論議でありますなら、実は課税最低限、標準世帯における三百十九万八千円と申しますものは各国に比べてはるかに高いものであります。極端な例をとりますなら、イギリスは九十二万五千円から所得税の負担が始まります。フランスがいわゆるG5の国の中では一番課税最低限の高い国の一つでありますけれども、それでも二百五十六万一千円から所得税の負担が始まるわけであります。日本は三百十九万八千円でありまして、むしろ所得の低い方々に対して所得税の体系の中で今のような状況があることも御理解をいただかなければなりません。  また、例えば最低税率にいたしましても、フランスは確かに五%であります。しかし、日本は一〇%でありますが、イギリスは二五%、ドイツは一九%、アメリカも一五%ということでありまして、こういうふうに所得税の体系において所得の低い方々に対する配慮はなされております。  また生活保護、本年度の予算編成時におきまして消費税の影響を計算に入れ、生活水準向上分も加えて生活扶助基準は改定をされておりますし、今、年金について国会に御審議をお願い申し上げておるところでありますが、再計算に際しましての年金額の改定についても、こうした影響を織り込んでおることは委員御承知のとおりでありまして、それぞれの仕組みが相補完して制度をつくり上げている、その点は、これは御理解をいただかなければなりません。
  35. 太田淳夫

    太田淳夫君 あなたは今、ここにも書いてございます、今回の税制改革で、所得税、住民税のかからない範囲を大幅に広げた結果、中所得者の減税率は相当大きなものになったとおっしゃっていますね。しかし、高額者の受けた利益ということについてはあなたは何もおっしゃってないじゃないですか。幾ら減税といったって、日本の減税は五十二年、五十九年、それまでは中堅サラリーマンの皆さん方や低所得者の皆さん方は、減税を野党は叫びましたけれども、物価調整減税すらされてなかったじゃないですか。それが中堅サラリーマンの皆さん方重税感になってきたんじゃないですか。ですから、昨年度の減税なんというのはその点の補償じゃないですか。あるいは六十二年の税制改革ですか、マル優を廃止したでしょう、あれでことしどのぐらいの税収があるんですか、大蔵省、どうですか。
  36. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 数字につきましては政府委員の方から御答弁申し上げることをお許しいただきます。  しかし、最高税率を今委員は論じられましたけれども、所得税における最高税率は今回の改定におきまして五〇%、住民税を加えて六五%であります。例えばイギリスは最高税率は四〇%であります。また、アメリカに至りましては最高税率は二八%であります。高額所得者に対してより有利な税制改正をしたという御批判は必ずしも私は当たらないと思っております。
  37. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) マル優制度の廃止によります税収増というのは、実はその預金の期限が来てそこで払い戻しが行われますときに計算されるものでございますから、各年分というのがよくわからないのでございますけれども、マル優を廃止した段階で全体として行われますと、約一兆円ぐらいの効果を持つだろうというように考えられておりました。
  38. 太田淳夫

    太田淳夫君 今の分はまさしく大衆課税です ね、これは。その上に消費税でまた消費者皆さん方の増税になっているわけですから、あなたがおっしゃっているようなことは当たらないわけですよ。  また、生活保護基準の引き上げ等のいろんなことをおっしゃいました。社会保障でやっていくんだとおっしゃいました。しかし、これは昨年税制改革のときに、年金の物価スライドにしましても、あるいは生活保護の基準の引き上げについても、臨時福祉給付金についても、私たち公明党が一生懸命弱い人の味方の立場でこのことは政府に要求したことじゃないですか。政府として何を考えてやっていらっしゃるんですか。何もないじゃないですか、いかがですか。
  39. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに、公明党の皆さんから同種の御提案がありましたことも事実であります。政府として予算編成において低所得の方々に対する対応として、生活保護費の消費税影響を含めて生活水準向上分までを織り込んだ改定を行ったこともまた事実であります。
  40. 太田淳夫

    太田淳夫君 いずれにしましても、いろんな見直し議論等もあるようでございますけれども、先ほどの食料品の非課税範囲の拡大についても、税制調査会長さんの話ではなかなか難しいんじゃないかというお話です。もしも消費者皆さん方の食料品等の非課税品目拡大ということが行われますと、これは今の消費税の根幹である帳簿制度の問題、あるいは消費者が今自分たちの納めた税金がそのまま国庫に納まらないんじゃないかという疑いを持っているいろんな制度、そういうものを変えていかなけりゃならなくなるんじゃないですか。その点どうでしょうか。
  41. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、先ほどから申し上げておりますように、政府税制調査会にお願いをして見直しの検討をいただいております。どういう内容が出てくるのか、現時点において私がそれこそ予見を持ってお話をすることは適当とは思えません。その点は御了解を願いたいと思います。
  42. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理、いかがですか、総理も一緒ですか。
  43. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 消費税というものが社会公共の費用をできるだけ多くの方に広くそして薄く負担していただきたいということであります以上、ただいま御指摘になったようないろいろな問題が出てくるということも一つの懸念として想定されたことは、いろいろな御議論の中で、きょうまでも出てきておりました。それを逆進性にならないようなところで防ぐためには、また別の財政全体で考慮していくとか、あるいはまた負担が多くならないためには減税を先行していくとか、いろいろな組み合わせの中で公平な税負担というものをお願いしておる、その一つの位置に消費税というものがあるということでございまして、消費税がなくなったら、そのかわり個別の物品税とかその他のものにおいてもいろいろ配慮がなされておるということでございますから、税制改革全体の姿の中でやはり御理解をいただくべき問題ではなかろうか、こうお願いしたいんです。
  44. 太田淳夫

    太田淳夫君 いろんな見直しをすべきですね、問題点。自民党さんは思い切ってやろうと言うから、私はやっているわけです。私たち廃止でございますから。しかし、そういう見直しのいろんな項目について私たちがこの委員会でいろいろと質問いたしましても、今のお話のように逃げているわけでございます。具体的な内容を私が質問してもなかなかお答えにならない。それでは論議が進まないわけでございますけれども自民党三塚政調会長は、免税点とかあるいは簡易課税の早期見直しは困難であるという発言をもう既にされているわけですね。自民党の中ではもう早くも、総理の考えていらっしゃるような思い切った見直しは困難だ、そういうアドバルーンが方々で上がっているわけです。  しかし、帳簿方式の問題であるとか、あるいは簡易課税の問題であるとか、あるいは生活必需品の非課税の問題であるとか、そういうものが思い切って変わらない限り、海部総理のおっしゃっているような、国民に納得していただく、そういう見直しは私はできないと思うわけですけれども、仮定の問題になりますが、もしも党の見直し大綱の内容が総理のお考えになっているようなものと違った場合には、総理のリーダーシップを発揮されて、自分の考える見直しはこうなんだということをはっきりとあなたはおっしゃることができますか。どうでしょうか。
  45. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御理解と御納得をいただくために思い切って見直すということが私の決意の基本でありますから、その必要な時期が来たら私の考えをいろいろと述べ、そのようにしてもらうようにいろいろな角度から議論をしていきたいと思っております。
  46. 太田淳夫

    太田淳夫君 それから、大蔵大臣にお伺いしますけれども、大蔵大臣はこの見直し、本年度の予算編成のため十二月に見直しをしてそれで予算を組むとよくおっしゃいますが、そういう方針でいらっしゃるわけですか。
  47. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 言葉じりをとるわけではありませんが、本年度と言われましたが、明年度の予算編成は、私は年内に必ず終わりたいと考えております。そのためには、本当に十二月の中旬と申しますのか、多少下旬にかかりますのか、そのころには正式に予算編成作業を始めなければなりません。その直前には歳入を確定するために次年度の税制改正の内容を確定するわけでありますから、その時点までに消費税見直しの項目の中で法律改正を要するものが出てくるならば、当然それを織り込んでいくということであります。
  48. 太田淳夫

    太田淳夫君 今のお話ですけれども、百歩譲って、政府のやり方を考えてみましても、平成二年度の予算、これが消費税見直し国会論議が済まないままで組まれたことになりますと、見直し法案予算関連法案として出されたとしましても、先ほど私が冒頭に申し上げましたが、参議院では与野党が逆転をしているわけですよ、参議院で通るはずがないじゃありませんか。その点をよく考えていただきたいというわけです。  ですから、皆さん方が今おっしゃっているようなことを強行されますと、かえって審議が混乱するだけじゃないでしょうか。ですから、今国会で決着をつけて、その上で平成二年度の予算を組むのが筋じゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  49. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 国会の御論議の成り行きに対して私どもがどうこう申し上げることは、それこそ非礼であろうと思います。  しかし、政府の財政責任者としての私から申しますならば、税制調査会論議を経て出てまいりました見直しの内容というものを次年度の税制改正の中に取り込んで、その上で予算編成をするというのも、これは私自身の責任として果たさなければならないことではないか、そのように思います。
  50. 太田淳夫

    太田淳夫君 再三私たちは言っております。やはりこの臨時国会の土俵の上で、私たち廃止法案皆さん方見直し法案国民皆様方の目の前ではっきり論議していかなければ決着はつかない、このことを申し上げておきます。  さて、これも主婦連の皆さん方消費税一一〇番というのがございますが、そこにこういうような電話があったそうです。総理、この方は有料の老人ホームの管理費八万八千円を払ってみえる。夫婦で食費は九万円。これだけで消費税は毎月五千三百四十円かかるとおっしゃっていました。実際はホームでコーヒー一杯飲んでも消費税はかかってきます。老人福祉のためなのに余りにもひど過ぎるじゃないかと。ホームの方でも消費税を免税にと陳情しましたが、だめでした。家を売ってここに入り、年金で諸経費を払っているのに、予算が狂ってやっていけません。解約すれば多額の損をするので、とてもできない。余りにもひどいじゃないか。一体国は何をやっているのだと。こういうお電話もあったそうでございますけれども、こういうような電話がやはりどしどしとこの消費税一一〇番には寄せられているわけです。  総理は公正あるいは公平ということをよくおっしゃいますけれども、やはり消費税は弱い立場皆さん方に大きな負担を強いている悪税である、ですからぜひとも廃止をしなければならない、このことを私は申し上げて、この質問を終わりたいと思います。
  51. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほども申し上げましたように、そういう状況にならないようにいろいろとほかの面で、財政支出全般の中で配慮をいたしておるわけでありまして、負担増にならないような計算方法や努力によっていろいろと支給金をふやすようにしたり、手当てを考えていくという政策をあわせて御理解いただきたいと思います。
  52. 太田淳夫

    太田淳夫君 次は、政治改革、政治資金規正法についてお尋ねいたします。  総理リクルート事件をどのように反省されておりますか。
  53. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) リクルート事件に端を発した、非常な政治不信を招いたということ、それは率直に反省をいたします。そして自由民主党として、我が党においては全員が厳しくこれを受けとめて対処していこうという決意をしております。
  54. 太田淳夫

    太田淳夫君 このリクルート事件は企業と政治家の癒着、それを国民皆様方の前にはっきりと示したのではないかと思うんです。やはり政治改革の根幹というのはまさにこの癒着を断ち切ることにあるんじゃないかと思いますが、総理、いかがお考えでしょうか。
  55. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私は世の中に許されることと許されないことがあると思います。企業と政治家の癒着とおっしゃいますが、やっぱりまじめに社会のために企業活動をしておる企業全部を、企業といってくくってしまうのもいかがなものかという気がいたします。  ですから、許されることと許されないこと、率直に申し上げて、リクルート事件のように、司法当局の捜査も受け、起訴も受けるというようなことになれば、これは決して許していいことではございません。同時にまた、そういったことと関連をして、疑いを持たれるようなことをしてはならないということ、それをきちっと政治家の方でけじめをつけていかなきゃならぬということで自由民主党も反省をし、政治不信を脱却していこう、こう思っておるところでございます。
  56. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうしますと、現行の政治資金規正法とかあるいは自民党さんが出されました改正案、これでそういうもののけじめなり、あるいは汚職事件の再発というものは防止できるでしょうか。いかがお考えですか。
  57. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いわゆる汚職事件を廃絶するということのためには、第一前提はどうしても政治家一人一人の倫理観の確立だと思いますし、それから職務を行うに当たっては公正に行わなければならない、それが汚職事件を廃絶していくための大前提であることは間違いないと思います。しかし、今のこういう時期の中で少しでも政治不信から脱却していきたいとすれば、政治資金と政治家の関係について世の御批判をいただいた問題、そういったことを少しでも取り入れて一歩前進二歩改革で進んでいかなければならない。自民党が先国会に提出いたしました政治資金規正法の一部改正案とか公職選挙法に基づく寄附禁止の問題なんかも、それで全部とは決して言いませんけれども、少しずつ改革していこうという入り口の第一歩の努力である。これはぜひ各党会派の御議論を賜って適切な結論がいただけることを私は期待いたしております。
  58. 太田淳夫

    太田淳夫君 政治改革の第一歩ということでございますが、やはり実効が上がらなければ第一歩になりませんね。現行の政治資金規正法では百万円以下の寄附については公開の義務はない。この点、自民党案によりますと、百万円を六十万円にしているわけですが、なぜ百万円でだめで六十万円でいいという御判断になったんでしょうか。
  59. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 党の委員会においていろいろな御議論があり、そして総合的な判断の結果、現実的な線としてまず百万円を六十万円というところに思い切って下げたというように私は担当者から聞いております。
  60. 太田淳夫

    太田淳夫君 リクルート事件の教訓、国民皆さん方が知った教訓というのは、公開基準の百万円という規定をすり抜けて、政治団体が乱造されて、それが利用されたということじゃないでしょうか。だから、百万円を六十万円に変えても、それだけ政治団体の数をふやせばこれは同じことになるんじゃないですか。その点どうでしょうか。
  61. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) そういう角度から御議論をいただくと、理屈の上ではそういうことになろうかと思いますから、そこは最初に戻って、一人一人の政治家の心構えの問題にもなってくると思いますし、また現実的には、いろいろと今御提示いただいた資料もありますが、後援会の設置というものと、それからその後援会で受け取る上限を決めるということと、いろんなことを重ね合わせて少しでも透明度を高めていくような前進をしていかなければならない、こういうことだと思います。
  62. 太田淳夫

    太田淳夫君 今、透明度を高めていくということでお話がありました。衆議院でもそのようにおっしゃっておりましたね。私たちの党は、やはりこういった政治団体の乱造というものをなくしていかなくちゃならないじゃないか。国民皆さん方の信頼を取り戻すこれが第一歩になるんじゃないか。私たちは、政治家の指定団体を一つにして、しかもそれに名前をきちんとつけて——企業献金何も悪いものでもない部分もあるかもしれません、あなたがおっしゃるように。私たちは企業献金は反対でございますけれどもね。しかしそういうものが、選挙民に、選挙をされる有権者の方にきちんと、この政治家についてはどういう企業から幾ら入っているんだということが明確にならなければいけませんね。それがやはり有権者としての投票行動の一つの判断基準になっていくんじゃないでしょうか。それが政治資金規正法をつくった一つの理念だったと思いますね。それが、抜け道で今失われてきているのが問題になるわけです。  そこで、透明度を高めると今総理がおっしゃいましたけれども、じゃ、どのようにされるつもりですか。
  63. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 自民党の方では、今までの経緯を踏まえて、今度出しました政治資金の一部改正というのは、六十万円まで党としては下げる、それからいろいろな政治団体はだれの政治団体であるかということをはっきりわかるようにする、そういったことをまず法案にまとめて先国会に党から提出をしたわけでありますから、国会において各党の皆さんの御議論によって適切な結論が出ますように私は期待をさしていただいております。
  64. 太田淳夫

    太田淳夫君 今お話を承りました。それは、今総理にお渡ししましたが、全閣僚の政治資金のいわゆる透明度を調査した資料です。収入総額、そしてほぼ出所が明らかになりました金額、それによって一応透明度とさしていただきました。これは、今国民が実際に調べようと思って調べることのできる資料によっております。  これを見ますと、海部内閣全体の政治団体の収入総額と申しますのは、自治省に報告されているだけで約二十九億五千二百五十六万円あります。そのうち一応出どころのわかったところは一億七千五百六十七万円です。透明度わずか五・九五%ということでございます。  それで総理の場合ですね、私たちもいろいろと見てみました。あなたの場合はもう既に新聞に公表されております。私たちも一生懸命調べてみました。同じような名前の政治団体がたくさんあるわけです。わかっても、その表にあるとおり、これは地方団体の場合わかりませんね。今お話のありましたように、百万円以下は公表する必要がない、あるいは自民党案でも六十万円以下は公表する義務がなくなりますと、透明度というのは国民皆さん方にとってわからない部分になってしまうんですね、散らばしてしまいますから。  この表をごらんになりまして、総理としていろ んな今御決意をされて発表されておりましたけれども、果たしてこれで国民皆さん方が納得される数字でしょうか、いかがでしょうか。
  65. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いただきました資料に基づいて申し上げますけれども、やはり今のルールといいますか、今の制度のもとでは固有名詞が出ない献金というのがあるわけです。そして、それがこのような結果になっておる。そのことについての自由民主党の中の総合的な反省や議論があって、少しでも高めていこう、一歩前進しようということで、総合的な判断の結果、法律の改正案が提出されたんだと私は受けとめております。
  66. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理総理所信表明の中で「政治家一人一人が、高い政治倫理を確立することはもとより、」——今おっしゃったことに関連ありますね、「ガラス張りで金のかからない政治活動や政策中心の選挙を実現する」と。まあこれ、いろんな思いもあるでしょうけれども、そういった「根本にさかのぼった改革を大胆に実行していかなければなりません。」、こうおっしゃっているわけですけれども、本当に大胆に改革を行おうという決意であるならば、今の答弁ではとても国民皆さん方は納得できませんね。政治を国民の信頼される政治に回復するためには、企業からの献金は禁止するような強い態度でやはりあなたは思い切った改革に進んでいかなければ、日本の今の政治の状況を変えることができないのではないでしょうか。その点どうでしょうか。
  67. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘の御意見はよくわかりますけれども、現実に政治にたくさんのお金がかかっておるということも一つございます。企業というものも、この明るい社会、そして自由主義の世の中、市場経済、こういった制度の中で一生懸命社会のために貢献もし、雇用もつくり、いろいろ国のためにも希望を持って働いていらっしゃるという人々が多い中での今日の仕組みでありますから、企業献金が今直ちにすべて悪だという考えにはどうしても私は直ちに御賛成するわけにはまいらぬわけでありますけれども、ただ、もとをただせば政治にお金がかかり過ぎるという面についても私たちはメスを入れ、改めるべきは改めていかなければならないという現実の問題もございます。  各党がいろいろ御申告なさっておる政治資金というものも随分の額に上がっておることは、年々の公表のとおりでございます。これを各党の立場でいろんな御議論をいただきながら、自民党の案を中心に御議論いただくならば、そこでどうだという適切な御議論を賜りたいと、私はこう願っておるわけでございます。
  68. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。猪熊重二君。
  69. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、今の政治資金規正法に関連して、海部総理リクルートからの献金について、政治資金規正法に基づく届け出の適法性、妥当性についてお伺いしたいと思います。  総理のお話によると、総理は昭和五十八、六十、六十一、六十二の四年間、リクルート社から寄附として五百五十万円、パーティー収入として七百九十万円、講演謝礼として百万円、合計千四百四十万円を受け取った。しかも、この金はすべて政治資金規正法に基づき届け出てあって問題はないと、こういうふうにおっしゃいます。しかし、果たしてこの政治資金規正法の届け出が適法、妥当であるかについて二、三点お伺いしたい。  まず、寄附のうち昭和五十八年十一月二十八日、金百五十万円を総理リクルート社からお受け取りになった。ところが、この百五十万円は誠友会五十万円、新政治経済研究会百万円と、こういうふうに二つに分かれている。そうすると、先ほどのお話じゃありませんが、百万円を超えませんので、寄附者であるリクルート社という名前は全然自治大臣に対する収支報告書から消えてしまっている。なぜ同じ日に同じ人が同じ人に百五十万出した金が百万と五十万の二つに分かれるのか、これを分けた理由、だれが分けたのか、これに対して総理はこの分け方にどう関係しておられるのか、お伺いしたい。
  70. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 最後の結果はすべて私が責任を負わなければならぬことでありますが、日々の私の政治活動を支えてやろうといって御好意でいただく資金を私が一々お目にかかっていただいたり、私が一々それを指示したりはしておりませんでした。そうして、二つに分けたということも、ほかにもいろいろあろうと思いますが、時にはいろいろな事情で名前が百万円を超えると出るということを御承知の方は分けて出すことを望まれることもあるし、また私の事務所の方でもそのようなことに、まあ仕組みがあったものですからその仕組みに甘えて従ったと申しますか、いろいろな処理をしてきたんだろうということは御指摘のとおりだと思います。
  71. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 次に、パーティー収入についても非常に不適切だと私は思うんです。六十一年、六十二年、それぞれ総理リクルート社から、一枚三万円各百枚、合計三百万、総計すると六百万になりますが、これだけをリクルート社に購入してもらっている。  ところで、このようなパーティー収入について、事業活動による収入にするか、それとも寄附扱いにするか、これについてはもう昭和五十年から自治省の見解が出ている。要するに、パーティー券の一枚の価格が相当であって購入者が出席を前提としているのならば事業収入でいいけれども、そうでない場合、逆に言えば、価格が不相当であり購入者の出席を前提としないパーティー券の購入は寄附だとこれはもう確定しているんです、政府自身の見解が。  このように確定していることを総理は御存じでしょうか。
  72. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 承知しております。
  73. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 だとしたら、この総理の六十一年、六十二年のパーティーについて、リクルート社の社員が百人も出席するかせぬかということについて、どのように確認されましたか。
  74. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 事務所でいろいろ手分けをしてたくさんお願いするときに、皆さん出席していただくことをやはり前提にお願いもいたしますし、また会場もやっぱり大勢の方に来てもらってにぎやかにならないといけませんし、それから、お願いして、よしわかった、券をじゃあ買ってやろうということで、お願いした方は全員いらっしゃるものと私どもは期待もし考えますから、本とかパンフレットとかいうものもその数だけきちっと用意をしてパーティーというものは行ってきて、励ましていただいてきた、私はそのように受けとめております。
  75. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 私は、この問題はもう過去の問題ですからそうあげつらうつもりはないんです。ただし、現行の政治資金規正法においても、それを法の趣旨に従って本当に運用しようとすれば、先ほどの百五十万円を二つに分けるとか、パーティー券を寄附扱いにしないで名前を隠してしまうとかいうことがなくなるんです。  総理の今後の、ことしの分、来年三月報告する、それについてはどのようにお考えですか。
  76. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) パーティーはもう自粛しておりますし、献金はできるだけ透明度を高めるように私としては努めさせたい、こう思います。
  77. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 次に、総理リクルート社から講演謝礼百万円をもらっている。この百万円を受け取ったとき、総理中曽根内閣の文部大臣。リクルート社の主催で、受講者は全国の大学、短大、専門学校の学長、理事長等だと。しかも、リクルート社が文部省の所管業務と非常に関係している。こういうところへ行って講演すること自体、私は甚だ不適切だと思う。いわんや、行って百万円ももらってくる。国務大臣の行動としてどう考えておられますか。
  78. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) あのときは、新しい入学試験制度等をめぐっていろいろと議論があったさなかで、私も多くの人に御理解いただきたいと思い、方々に出ていって、要請をされるとお話をさせていただいてまいりました。それから、講演が終わってから講演料だといって届けられた分が あることがわかりましたが、それは私どもの政治活動に対する広い意味の寄附金である、こう判断をいたしまして、それを届け出の中に入れて処置をいたしました。
  79. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 リクルート問題については、私は今総理にいろいろ細かくしつこくお伺いしましたけれども、こういうパーティー収入とか政治献金の問題は、はっきり申し上げていわゆるリクルート事件としては私は枝葉末節だと思う。要するに、未公開株を国会議員が受けた、これがリクルート事件の中核的、本質的なものだと思っております。  で、この未公開株譲渡問題に関する法務大臣のさきの報告、これはほとんど報告の体をなしていない。答案でいえば白紙答案と同じである。私は、今後この未公開株譲渡のリクルート問題に関して、総理、法務大臣、自発的にどれだけ国民に、国会に明らかにする意思があるかどうか、お伺いしたい。
  80. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) できるだけ明らかにいたしますように努力をいたします。
  81. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 これは、できるだけ明らかに——どれだけができるだけなんですか。そこをもう少し明確に言わなきゃ全然意味がない。
  82. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) お答えいたします。  今の御質問につきましては、できるだけ協力をすると言う以外にはお答えのしようがございません。お許し願います。
  83. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、この前の当委員会において法務大臣は、法令の許す範囲においてできる限り明らかにしますと、こういうふうにおっしゃっている。今でも法令の許すとおりなんですか。もしそうだとすれば、その法令とは何をあなたは考えているんですか。
  84. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) お答えいたします。  衆議院においても法令の許す範囲内でということを申し上げました。法令の許す範囲ということにつきましては、法令とは、憲法に定めております司法の独立を損なうことのないよう配慮して設けられております刑事訴訟法第四十七条等を指しているものでございます。
  85. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 刑事訴訟法四十七条の本文はどういう趣旨で、ただし書きはどういう趣旨なんですか。お答えいただきたい。
  86. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) 先ほど大臣がお答えいたしましたように、国政調査あるいは資料の公開というのは、司法権とやはり国政調査権といいますか、そういうものの接点にあるわけでございます。そういうことで、我々がいわゆる刑事訴訟法の規定に従いまして収集した資料というのは、これはもともと裁判に使うわけでございます。その中には、いろいろ人の秘密に属することもございます。あるいは、将来の検察の運営にとって公開することが非常に不都合な場合もございます。そういうことをいろいろ含めまして、検察側が相当と認めるときには例外的に公開できるという規定でございまして、そういうことを考えながら、国会から御要請があったときには十分検討すると申し上げておるわけでございます。
  87. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 刑事訴訟法四十七条の本文の趣旨については、昭和二十八年七月十八日に最高裁判決が出ております。この趣旨を言ってください。
  88. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) これは、判決要旨を読み上げますと、「刑訴第四七条本文は、訴訟に関する書類が公判開廷前に公開されることによって訴訟関係人の名誉を毀損し、公序良俗を害し、または裁判に対する不当な影響を引き起すことを防止するための規定である。」と、こういうふうに書いております。
  89. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 要するに私が申し上げたいのは、あれだけのリクルートから未公開株の譲渡を受けた人のうち、二人だけしか起訴されていない。それ以外の五十九年十二月のときの三人と六十年九月、十月のときの十一人については何ら、疑惑はあったかもしれぬけれども、ないのかもしれぬけれども、捜査したけれども何も報告になっていない。今の最高裁判決が言うように、この刑事訴訟法四十七条によって公開できないという規定の法意は、公序良俗を害する。こんな株をもらった人のことのすべてを明らかにすることは、公序良俗に反するどころか公序良俗に合致するんです。  それから裁判に対する不当な影響を防止するといったって、裁判していないんだからありはせぬ。そうすると、訴訟関係人の名誉を棄損するかどうか、これだけの問題になってくる。ところが、未公開株をもらって、そしてそれだけの、数千万、一億、二億という利益を得た、このような訴訟関係人の中で、国会議員についてはどうしてその名誉を棄損し、プライバシーを保護しなきゃならぬのか、その根拠をお伺いしたい。
  90. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) これはもう十分御理解いただいていることでございまして、検察庁は法令の規定に従いまして証拠を収集して犯罪の疑い、黒い疑いのある者については起訴をしておるわけでございます。その他の者については、先ほどの説明のように犯罪にならないというわけでございます。犯罪にならない者を私どもはなぜ国会で申し上げるのかということに相なるわけでございます。私たちは犯罪があるかどうかということを調べるのが仕事でございまして、犯罪にならない者をどうして私が国会で申し上げるのかと、こう言われると私たちは二の句を継げないわけでございます。  そこで、その国会のお仕事といたしまして、いわゆる道義的あるいは政治的責任のある者について検察庁が協力せよとおっしゃるときには、十分協力させていただきます。しかし、これは、協力せよと言われる限りには、こういう人については、要するに政治的あるいは道義的責任があるから協力せよというお示しがあれば十分検討しますということはもう従来から申し上げているところでございますので、その辺は十分御考慮いただきたいと思います。
  91. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 総理にも申し上げたい。  私は、このリクルートの未公開株の譲渡を受けた人の中で、国会議員と国会議員以外の方とは明らかに区別するべきだ。国会議員は憲法によって、憲法五十条で不逮捕特権もある。五十一条によって発言、表決の無責任もある。それ以上に、憲法前文の趣旨からいったって、憲法十五条の趣旨からいっても、国会議員は国民に奉仕する、そういう立場にある。これだけの特権をもらって、そして国民の信託にこたえるべき国会議員は、原則的に名誉だとかプライバシーだとか、一般国民と同じような基本的人権を享有する立場にないと私は思う。総理の見解をお伺いしたい。
  92. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 政治的あるいは道義的な責任のとり方というものが政治家なるがゆえに一般の民間の方とは違うんだという角度の御指摘は、私どももそのように受けとめさせていただいております。自由民主党もそれらのことに立脚をいたしまして総合的にいろいろ判断した結果、今御指摘の未公開株譲渡にかかわった人は党のけじめに従って役職を辞退するという、そういった対応方針できたわけでありますから、それなりに党内においては総合的判断をして厳しい政治的な責任をとってもらったということでございます。
  93. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 じゃ法務大臣に最終的に確認しておきますけれども、例えば参議院予算委員会においてこうこうこういう事実について明らかにせいというようなことが決まれば、きちんとリクルート事件に関するすべての問題について報告しますか。
  94. 後藤正夫

    国務大臣(後藤正夫君) お答えいたします。  衆議院では灰色高官という言葉を使っての御質問がございましたが、灰色高官がどれが灰色高官であるかということにつきましては、これは法務省が判断できる問題ではございませんので、その点につきまして国会で道義的責任の範囲を明確にして御要求がありました場合には、法令の許す範囲内でお答えをするようにいたしたい、そのように考えております。
  95. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 この未公開株譲渡に対して、観点を改めて国税当局にお伺いしたい。  この未公開株の譲渡を受けて数千万あるいは何億ともらった金、これは政治資金というわけには いかぬ、株を買ったと言っているんですから。ところが、買ったのが実際には買ったのではなくてもらったんだ。それは昭和六十三年七月十八日の最高裁決定に明らかだ。そうすると、このような未公開株譲渡を受けて利益を得た国会議員、私は国会議員だけで結構なんです、国会議員について課税の調査をしているかしていないか。早くしないと課税期間が来てしまう、五十九年の分は。いかがですか。
  96. 岡本吉司

    政府委員(岡本吉司君) 未公開株式を含みますところの資産の値上がり益につきましての課税の方式といいますか、どうなっているかをまず御説明申し上げた方がいいかと思っております。  現行の税制によりますと、これは基本的には私はキャピタルゲインの世界に入るというのが現行の法律の大原則だろうと思っております。譲渡を受けたときに課税するのではなくて、譲渡をしたときにその値上がり益について課税する、こういう原則になっているわけでございます。したがいまして、譲り受けたときにそのときの未実現利益につきましては税法上は課税はしない、こういう仕組みになっております。ただ例外的に、例えば非常に低い価格で譲り受けたというような場合には、場合によりましては、態様によりましては一時所得なり贈与という形になって課税が生ずる場合もあろうかと思っておりますが、これは極めて例外的なケースではなかろうかと思っております。  こういった法制の仕組みの中で我々といたしましては、再三申し上げておりますとおり、国会での御議論であるとかあるいはその他もろもろの情報等の収集に常に心がけまして、調査の必要があるものにつきましては、あるいは課税上問題があるものにつきましては、所要の調査を行っているころでございます。  本件につきましても、したがいましてこういった基本方針のもとで当然対処したいと思っておりすけれども、いずれにしましても、個々の課税につきましての具体的な内容あるいは調査をしているとかしていないとかということにつきましては、答弁は差し控えさせていただきたいと思っております。  なお、除斥期間のお話もございましたけれども、我々もその点も十分念頭に置きまして対処したい、こう考えております。
  97. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今後、国税当局の課税についての問題についてはまたいろいろお伺いしたいと思います。  最後に、委員長に対して要望しておきたいことが二点ございます。  第一点は、先ほど法務大臣にも申し上げましたが、リクルート事件の捜査結果の報告要求でございます。これについて後刻書面を出しますけれども、昭和五十九年十二月、昭和六十一年九月、リクルートコスモス社から未公開株の譲渡を受けた国会議員、前が三人、後ろの方が十一人、この譲り受けの当事者、金額、譲り受けの経過、リクルート社との職務関係関連性等及びこれを不起訴にした理由。それからリクルート関連会社から政治献金を受けた国会議員や政治団体、これについての献金の日時、金額、方法。詳細は書面にありますので簡単に申し上げます。四番目に、同じくパーティー券の問題。五番目に、NTTが米国クレイ社から、またリクルート社がNTTからスーパーコンピューターを購入した件に関連する問題。それから安比高原スキー場開発主体変更に関連する問題。このような問題についてリクルート事件捜査結果の報告要求ということを委員長に申し上げたい。  もう一点、衆議院議員中曽根康弘君の証人喚問要求を申し上げたい。この件に関しても、大体中曽根内閣総理大臣の当時のリクルート事件の発生であります。このような点をすべて勘案した場合に、中曽根内閣総理大臣リクルート社からの未公開株の問題、政治献金の問題、スーパーコンピューター購入問題、文部行政とのかかわり、リクルート社代表取締役江副浩正を政府関係各種委員会委員に任命したことに関する件、このような件に関して証人喚問をしたいと思います。  委員長において適切な御処置をとっていただきたいと思います。  関連質問、以上で終わります。
  98. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 後刻、理事会で協議をいたします。
  99. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、ちょっと順番を変えまして、社会福祉の問題で厚生省にちょっとお尋ねしたいと思います。  これは、ねむの木学園の宮城まり子園長さんがある対談でおっしゃっておりましたけれども、例えばスウェーデンでは年老いたら国から受けられるサービスが明確で、穏やかに過ごせるという安心感があるので高い税金を払う気がすると思う、しかし日本はどんな福祉社会になるかわからない、こうおっしゃっておりました。確かに厚生省の高齢化社会の福祉ビジョン、あれを見ましても不明確な部分が非常にあります。公的施策とおっしゃっておりますけれども、我々国民から見ますとどの程度まで公的施策で保障をしてくれるのか、ぜいたくさえしなければ生活できる年金はもらえるんだろうか、あるいは必要な医療が安心して受けられるんだろうか、また寝たきりなどになっても最低限度の介護というのは公的な施策で保障されるんだろうか等々、明らかにしてもらいたいことはたくさんあるわけでございますが、この福祉ビジョンではそれが明確になっておりません。その点どのようにお考えでしょうか。
  100. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 日本の長寿社会は、御承知のとおり人生が五十年の時代から八十年の時代になりました。いわば働いて働いて働いてそして死んでいった時代から、働いて先二十年以上が自由時間としてお年寄りに与えられてきたようなものであります。それだけに、高齢化社会におけるお年寄りの生き方、こういったものは我々非常に大事に大切に、そしてどういう計画でやっていくかということを慎重にやっていかなければならないと思います。六十歳以上だけでもそういう意味では二千万人からの人たちが、将来、人生を自由時間として楽しんで生きていくということが必要であります。そうなってくるというと、どうしてもその老後というものが元気で健やかに暮らせていくということが必要だと思います。そういう意味から私どもは福祉ビジョンというものを立てたのであります。  そして、そのビジョンの中では、御承知のとおりホームヘルパーであるとかあるいはショートステイであるとかあるいはデイサービスであるとか、こういったお年寄りに対する三本柱というものを、平成十二年までにホームヘルパーであれば約五万人とか、あるいはショートステイでも五万床、そしてデイサービスで一万、こういうような計画を立てておりましたけれども、この計画も御承知のとおり平成三年に前倒しをして実施しようということは、まさに今これから生きていく高齢化社会をゆとりのある豊かなそして健やかな生活を保障しようというために設けられたものでございます。これは公党間の約束でもありますので、きちっと実施をしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  101. 太田淳夫

    太田淳夫君 今大臣がおっしゃいましたが、そこで私たち公明党も、これからの老齢者の皆様方の福祉の充実に関しましては、地方で、地域でいろいろと充実を図っていくべきじゃないかなというような考えを持っているわけです。今大臣おっしゃいました在宅三本柱の整備計画も、緊急整備三年計画ということで前倒しでいろいろ実施されているようでございますけれども、やはり日本の家庭状況等いろいろございます。家族の皆様方がやはりいろいろ御苦労される中でも余り人に知られたくないいろいろな問題等がございますし、あるいはその他、地域でいろんなことが介護に役立つことがあってもなかなか、情報不足であるとか、そういった面があると思うんです。そういった点で厚生省でもいろいろと研究をしていくべきじゃないかと思いますが、その点はどのようにお考えでしょうか。
  102. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 御意見のとおり、昔 は家庭のお年寄りというものは家族の中で面倒を見てきたことは御承知のとおりであります。そして、このごろは家族の方々もそれぞれ、女性の方々も社会に進出をするようになり、どうしても家庭の中が手薄になります。そして、その上にさらに核家族化の現象が出てきております。そうなってくるというと、お年寄りにどうサービスするかというような情報というものも途絶えがちになる、よっぽど物を知っている人でないとそういったことが、どういうサービスがあるということがわからない。そういうことで、これはいわゆる地域社会に戻さなきゃいけないということで、市町村単位で中心になってそういったサービスの徹底を図っていこう、こういうふうに考えておるわけであります。  この点については、お説のとおり地方に移して地方で身近なサービスをしていく、町村であれば大体その町村の中でどこにどういうお年寄りがいる、どこどこへ入院しておったけれども今度は帰ってきた、そういったときに、一々家庭に帰って病院の延長線で寝ているようなことになれば寝たきりの老人になってしまう、そういうようなきめ細かいサービスをこれから展開していこうと思っております。
  103. 太田淳夫

    太田淳夫君 そこで、厚生省で在宅介護支援センターというものを創設しようという構想があるようですが、これはどういうような役割を果たすのですか。
  104. 岡光序治

    政府委員岡光序治君) 在宅介護で御苦労されている家族が身近なところで気軽に専門家に相談できる、それから市町村の窓口に行かなくても必要な保健福祉サービスが受けられるように、いわば市町村と家族との仲介の役割を果たすような、そういう意味で在宅介護の支援を行うというセンターとして要求をしたいと考えているものでございます。  体制としましては、介護についての専門家を配置して二十四時間相談できるような体制を考えたい、それから大臣が今申し上げましたが、各種のサービスをそれぞれの家族にお知らせしたい、それから本人や家族にかわって各種の保健福祉サービスの適用につきまして市町村と調整をして必要なサービスを家族に結びつけたい、それから身近なところでそういうものを整備したいということで、年次計画で体制を整えるように取り組んでいきたい、そんなことを考えております。
  105. 太田淳夫

    太田淳夫君 私たちも進めていただきたいと思います。  そこで、せんだってこれはある新聞に出ていたことでございますけれども、日本の福祉行政についてちょっと提言が書かれておりました。それは、寝たきり老人と言うが実は寝かせきり老人だ、これが日本の福祉のおくれを象徴的に表現しているんだということでございます。  例えば老人人口、六十五歳以上に占めますところの寝たきりのお年寄りの割合は、日本の施設の中では三三・八%、スウェーデンでは四・二%、米国では六・五%、欧米では寝たきり老人に当たる言葉はないということです。そのかわりに、欧米で見かけられますのは車いすに乗られたお年寄りの姿です。日本では、車いすといえば身障者専用という扱いを受けやすい。歩行器や電動自動車といえばなおさらで、少しは動けるお年寄りを欧米では動く手助けをしようとし、日本では布団の上へ寝かせつけようとする。第一、日本の家や道路は車いすには不向きにできている。階段、段差の連続は老人には手に負えない。屋内での食事、用便さえままならない。寝たきりのお年寄りには布団はぎの心理が潜む、自分の介護者を絶えず注目させておきたいという欲求からだと。外の世界に触れたい、知りたいという人間としての当然の欲求、その行動欲の手助けをするのに車いすは絶大な働きをするのに、日本の老人福祉行政の中では本格的に取り扱われようとしない。相当の資金を要しようが、体の弱いお年寄りが社会に接する最有力の道具の普及にもっと力を入れたい。「寝たきり老人ゼロ作戦」、これを厚生省が来年度からスタートさせようとしておりますけれども、寝た老人を車いすに立てさせるのが早道ではないか、こういう提言があったわけでございますが、厚生大臣、どのようにお考えでしょうか。
  106. 戸井田三郎

    国務大臣戸井田三郎君) 私もその御提言の新聞を拝見したことがあります。そして、この間デンマークのアンデルセン元福祉大臣が日本へ来られて、お会いいたしました。そこでも、やはり厚生省が今考えているような「寝たきり老人ゼロ作戦」というようなことをやって、十年間で今寝たきりのお年寄りが家にはおりませんということでありました。そのときにもやはりそういった同じような示唆を私どもは受けて、これは一生懸命にこのゼロ作戦を進めていけば日本の国でも豊かな老後、元気な老人が出てくるんだというふうに感じました。  それで、厚生省では車いすの問題も来年度の要求の中に、一つ新しく要求する中に入れております。ぜひそのことは実現をしたい。そして、そういったものには同時に家の改造というものがどうしてもつきまとってくるわけでありますから、そういった点でも御協力を願って実施していきたい、かように思っております。
  107. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理、いかがでしょうか。
  108. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 北欧で行われております高福祉高負担、私も実際に見せていただきに行ったときに、寝たきり老人という言葉はない、寝たきりでいなきゃならぬ人をなるべく起こしてあげて、みんなの力で外へ出るとか外気に触れるとか、いろいろな努力をすべきだというお話も承ってきました。  また、日本における日本型の福祉というものはどのようなものが理想的なのか、アメリカは自助努力を中心とした福祉が行われておるようでありますけれども、私は、やっぱり日本というのは日本型のものが必要である。けれども、その中で、これから人生は高齢化時代でありますから、高い年齢になった方々に対して生きがいを感じていただくとか自然との接触を感じてもらうとか、いろいろ福祉というものは考えていかなきゃならぬ問題がいっぱいあろうと思います。今委員が御指摘になった問題もその来るべき福祉社会の理想として考えられる一つの側面ではないか、このように受けとめさせていただき、厚生省にもよく検討を進めていただきます。
  109. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理は、今国会所信表明演説の中で、「平和国家に徹するとともに、世界の平和と繁栄のために汗を流していく」、こうおっしゃっていますね。具体的にどのような行動をおっしゃっておるんでしょうか。
  110. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 日本の持っております憲法のもとで、そしてまた憲法を持ち出すまでもなく、平和がいいか平和じゃないがいいかといえば、みんな人間は平和がいいと思うに違いありません。私は、日本は過去の戦争の経験を反省して、同時に日本が今日ここまで明るい社会で豊かな暮らしをお互いが行えるところまできた以上、世界から期待されておるところも大きいと思います。世界が自由と民主主義というものを求めて平和で豊かに安定していきたいという願いがあるならば、日本はできるだけそれにこたえていくという、そういう志を持った外交を展開しながら世界の平和と安定のために努力をしていくこと、これが平和に徹するという決意の具体的な表明でございます。
  111. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理もお会いになっていらっしゃるオーストリアの総理、首相ですね、あの方は平和を守るためには平和の準備が必要だということをおっしゃっておりました。今総理がおっしゃいましたけれども、英国の国際戦略研究所のミリタリー・バランス、あの発表によりますと、我が国の国防支出の伸びは先進諸国の中でも際立って高くなっているわけです。しかもその防衛費は、先進工業国の中でアメリカに次いで世界第二位になりました。しかし政府自民党は、国是とされました防衛費のGNP一%の枠という歯どめも取り払おうとしております。  それのみならず、シーレーン一千海里防衛、こういう、これはもう自衛の範囲をはるかに超えた 防衛力整備ではないかと思うんですが、そういう方向にどんどんどんどん進んでいくことは、総理の言われる平和国家に徹した、そういう姿に当たるんでしょうか。
  112. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 日本みずからのことを考えて、そして防衛というものはいかにあるべきか、やっぱり平和を守るというためにはそれなりの国民理解と同意と決意と体制が必要なわけでありまして、今節度ある防衛力の整備ということで行っておりますけれども、平和国家という、平和というのは自分の国ももちろん平和にしていきたい、他国に対して軍事大国になって脅威を与えようなんということはこれは毛頭考えておらぬわけでありますから、ただいまの状況、私がさきに申し上げましたような決意とともに、平和に徹していかなければならないということであります。
  113. 太田淳夫

    太田淳夫君 先月ですか、インドネシアのスナルディー海軍准将が防衛庁の招きで来日されました。その方の話も新聞に報道されておりました。それを拝見いたしますと、こういうことをおっしゃっております。一千海里シーレーン防衛については既に自衛の範囲を超えており、我々にとっては迷惑だ、シーレーンの安全確保はASEAN諸国の問題だと、こうおっしゃっております。  あなたは日本の国の平和と言う。私たちも日本の国の平和を守るその気持ちには変わりありません。しかし、我が国の論理だけでこういうことを考えられ過ぎているんじゃないかと思うんです。シーレーン防衛など、こういった周辺諸国へどういう影響があるのか、そういうことも、やは日本は世界の一大経済大国になったわけでございますし、防衛力でも大国になっているわけですから、十分に周辺諸国のことも考えるべきじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  114. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 先ほど総理の御答弁でミリタリー・バランスについての、また平和国家しての立場を御答弁になりましたが、少し補足て説明を申し上げます。  ミリタリー・バランスで日本は防衛費がアメリカに次いで第二位になっているという記述があることは、十分承知いたしております。しかしながら、その第二位というのは、防衛費の中に旧軍人の恩給とかあるいは運輸省所管の海上保安庁の予算が入っておるわけでございまして、それらを除きまして計算項目を防衛庁に限っていたしますと五位か六位に落ちるわけであり、同じミリタリー・バランスの後ろの方にあります順位表によりましても、日本は第六位に位置しておるわけでございます。  また、シーレーンについていろいろお話、御質問がございましたが、四面を海に囲まれた日本としましては、資源の大部分を海外に依存しておるわけでありまして、そういう意味からやはり自衛の範囲内でシーレーン防衛を行うということは当然でございます。  また、インドネシアのスナルディー准将のお話を引用されましたが、新聞報道につきましても承知いたしておりますが、これはその准将が一千海里という計算をされるときに、日本の南西の端から計算をしてそれを基点として一千海里と考えられたようでございまして、実は我々の言っておる一千海里というのは京浜地区、あるいは阪神地区から計算をするんですよと説明いたしましたならば、ああそれでわかりました、我々の方は心配はありませんと、こう言っておるわけでございまして、何としましても東南アジアの国々に対してそういう懸念を生じないように、機会を通じて我が防衛政策のあり方も説明いたしておりますので、これからもその点については十分の努力をして理解を求めたいというふうに考えております。
  115. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 太田淳夫君の残余の質疑は午後に譲ることとし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  116. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 予算委員会を再開いたします。  予算執行状況に関する調査を議題といたします。  休憩前に引き続き、太田淳夫君の質疑を行います。太田君。
  117. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、お忙しい中、日銀総裁においでいただいておりますので、何点か当面する為替、金融の問題につきましてお尋ねしたいと思います。  それは第一点は、今年半ば以降、円安ドル高が進んできているわけでございますが、米国の双子の赤字は依然として高水準でございます。円安ドル高はファンダメンタルズを反映していないという状況でございますが、先月下旬のG7はドル高是正の会議だったと思うわけですが、G7に出席されました大蔵大臣はG7体制をどのように認識されておられるのか、また、G7以降、各国がドル高是正のためとった協調介入、金利政策をもってしてもなかなかこのドル高傾向は依然として続いているような状況でございますが、G7以降のドルの動きについてどのように分析されているのか、御意見を賜りたいと思います。
  118. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 去る九月二十三日、ワシントンで開催をされました七カ国の蔵相・中央銀行総裁会議では、インフレなき世界経済の持続的成長、そのための政策協調が第一のテーマであり、そのほかに為替の安定あるいは累積債務問題など、世界経済の諸問題につきまして率直な意見交換を行ったことであります。これらの諸問題につきまして広く意見の一致を見ましたことは大きな成果であったと考えておりますし、為替につきましても、コミュニケで書きましたとおり、最近数カ月におけるドルの上昇というものは長期的視点から見た経済の基礎的条件に合致していないという認識で各国の見方は一致いたしました。  そこで、今相場についてお触れになりましたけれども、通貨当局の一員として為替相場の動向の分析を明らかにすること自体がマーケットにいろいろな影響を及ぼすおそれがありますので、この点についてはお答えは差し控えさせていただきたいと思います。  しかし、いずれにいたしましても、G7で合意をされましたように各国の協調体制というものは確固といたしておりますし、今後とも引き続いて各国の協調体制は維持され、行き過ぎた相場の動きに対しましては各国が協調して適切に対応していく所存であります。
  119. 太田淳夫

    太田淳夫君 十月十三日にニューヨーク市場での株価の大暴落が始まったわけでございますが、今回の世界的株式市場の混乱に対しましてG7間で連携をとったというお話でございますが、事実であればどのような協議をされたんでしょうか。
  120. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今申し上げましたように、各国の協調体制は非常に確固としたものになっておりまして、先般のニューヨーク市場における株式の下落時におきましても各国間で遺漏なきよう十分な連絡はとり合っております。ただ、具体的な内容は先ほども申し上げましたような事情からお許しをいただきたいと思いますけれども、いずれにいたしましても、この問題ばかりではなく、各国間常に連携をとり続けておりまして、対応しているということは御信頼をいただきたいと思います。
  121. 太田淳夫

    太田淳夫君 それでは、日銀総裁にお尋ねいたしますが、今回の米国の株式暴落に対しまして、二年前のブラックマンデーの貴重な教訓に基づく学習効果としまして、各国中央銀行間のホットラインを通じた協調システムが直ちに作動してそれほど大事に至らなかったわけでございますけれども、そのホットライン当事者の日銀総裁は、今回の米国の株式暴落に対する各国の協調システムについてどのように評価されていらっしゃるのか、またあるいはホットラインによる協議に総裁はどのように具体的に対応されたのか、お答えいただきたいと思うんです。
  122. 澄田智

    参考人澄田智君) ただいま大蔵大臣も申されましたように、各国の協調体制の具体的内容につ いていろいろと申し上げることは、やはり今後の場合などを考えましても差しさわりのあることではないかというふうに思います。  そこで、やや一般論になりますが申し上げますと、この前の、二年前のいわゆるブラックマンデーのときには各国の協調体制に若干問題がある、このときは米国と西独の間の金利の問題についてでございますが、そういうことがうわさをされ、市場がそれを一つの引き金にしたようにブラックマンデーの株価の急落があったわけでございます。今回はまさに御指摘のように、そういうことを貴重な経験といたしまして各国の中央銀行の間で極めて密接な情報連絡体制をしいたわけでございまして、そして不測の事態に備えたところでございます。幸い、今回の株価の下落は一部の企業の買収問題を理由にしたものでありまして、そしてまた当時に比べますと、各国、殊に米国の経済のファンダメンタルズは相当改善をされております。  そういうようなこともありまして、現実には不測の事態を招くまでには至らないで、市場は速やかに戻りまして落ちつきを取り戻した次第でございます。私どもといたしましては、こうした動きには各国の協調体制が寄与したものである、かように考えている次第でございます。
  123. 太田淳夫

    太田淳夫君 日銀はこれまで物価安定を第一とした政策を遂行してきたと私は理解しているわけですが、今回の公定歩合引き上げについて見ますと、日銀総裁はインフレ予防のためと表向きは言われていますけれども、本当は円安是正という面からとられたと思うんですが、その趣旨は何であったか。またその効果についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか。欧州の金融筋では、日本の利上げのタイミングが遅過ぎた、そういう評価を下しているようでございます。また、引き上げ幅も一%程度にしないと効果はない、こういう指摘もあるわけでございますが、その点どのようにお考えでしょうか。
  124. 澄田智

    参考人澄田智君) 御指摘ではございますが、私ども、常に総合判断に基づいて金融政策は行うべきものであって、為替に対してのみこの手段を割り当てると申しますか、手段を用いるということは、これは公定歩合政策としてはいささか当を得ていない、かように考えているものでございます。  今回の公定歩合の引き上げにつきまして若干申し上げますと、理由はやはり第一は国内経済でございます。  国内経済は個人消費、設備投資を中心に堅調な景気拡大が続く中で、製品の需給及び労働の需給がかなり引き締まってきております。殊に、人手不足が目立ってきている、こういう状況でございます。一方、金融面ではマネーサプライが依然高目の伸びを続けておりますし、企業金融にも引き緩みの状態というのが改まっていない、こういう状況でございます。  第二には、ほぼ一週間前海外で欧州各国が公定歩合等を引き上げました。五日から六日にかけてのことでございます。また、為替市場は不安定な地合いを続けておりました。  以上のような状態の中で、国内物価面では目下のところその上昇テンポの目立った加速ということは幸いにして回避されておりますが、しかし先ほど申しました需給の関係あるいはコストの関係から上昇圧力が強まっている、こういう状況でございます。  なお、第四に、市場金利はこれらの動きを反映いたしまして、前回公定歩合を引き上げましたのは五月末でございますが、五月末以降短期金利を中心にかなり市場金利も上昇してきている。こういうような状態を念頭に置きまして、総合判断して決定したものでございます。  我々といたしましては、今回の措置がインフレ心理の台頭を未然に防止し、今後とも物価の安定を確保しつつ内需中心の持続的経済の拡大というのを図っていくことに資するものである、こういうふうに期待をしているわけでございます。  なお、今回の措置は、欧州各国が金利の引き上げを行ってから一週間ぐらい我々の方が後から行ったわけでありますが、これは、先ほど申しましたように、欧州各国の金利引き上げという情勢も見まして、そして我が国も引き上げた方が適当であろうと、こういうふうに判断したわけでありまして、おくれというようなことではない、そういうふうに思っております。  また、引き上げ幅についても、御指摘のように、もっと幅の大きい方がいいという見方のあることはよく承知いたしておりますが、しかし私どもは、内外情勢を総合的に判断して、その変更幅は〇・五%が適当であるというふうに判断をした次第でございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、今回の措置の趣旨が各方面に十分に理解され、各界の御支援と御協力によりまして、早期に所期の目的が達成されるということを期待している次第でございます。
  125. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後になりますけれども、先ほどお話しありましたように、依然として欧州との金利差が開いているわけでございますが、その点から円安が加速される可能性もあるわけですが、再々利上げが必要となるのではないか、こういう思いもするわけですけれども、日銀が再度利上げするような場合の条件、これはどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  126. 澄田智

    参考人澄田智君) 私どもとしましては、現在、これまでと同様、引き続きまして物価の安定を基軸に据えまして慎重な政策運営を図っていく所存でございますが、目下のところは今回の公定歩合の引き上げの効果の浸透状況、それを見守っているところでありまして、現在、再引き上げを行うというようなことは全く考えておりません。  なお、金利差の御指摘がございましたが、私どもは金利差については以下のように理解をしております。  各国の金利は、それぞれ経済情勢、特に物価の上昇率いかんによって当然に異なってくるものでございます。そうした意味で我が国の金利が世界的に見て最も低位でありますのは、主として物価上昇率の相対的な低さ、これを反映しているものと言えると思います。  ただ、為替の関係等で米国との金利差ということになりますと、我が国は五月以降二回にわたって公定歩合を引き上げました。アメリカの方は若干ながら金利を下げる、こういうふうな方向でありますので、方向としては日米間の金利差は縮小する傾向をたどっているわけでございます。こういう面からも、金利の面からだけ申せば円売りドル買いが少なくなる、こういう筋合いのものであると。まあ為替相場はいろんな要素によって動きますし、また最近では先ほど御指摘のアメリカの株価の下落等にもよってまた大きく動きましたが、そういういろんな要素で動くものでございますが、金利差だけからいえば縮小の方向にあって、これはやはり少なくとも円売りをそれだけ少なくする、こういう方向に働く、こういうふうに考えている次第でございます。  以上でございます。
  127. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど私、午前中に防衛庁長官に御質問いたしましたが、ちょうど時間切れで御答弁がまだ途中であったんじゃないかと思うんです。あれだけで終わってしまいましては私も大分不満がございますので、防衛庁長官、補充のお考えがあれば一言承りたいと思います。
  128. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 我が国の防衛努力につきましては、アジアの国々が重大な関心を持っておりますことは十分承知いたしておりまして、それは委員指摘のとおりであります。我が国としましても、機会あるごとにアジアの国々に専守防衛に徹する我が国の防衛政策のあり方について説明をし理解を求めておりますが、今後もさらに努力を重ねて、万が一にも誤解の生じることのないようにやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  129. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど私、総理の東欧、ECの訪問についてお尋ねいたしましたが、外務省にいろいろと計画について任しておくというお話がござ いましたが、外務省としてはこれは検討されているんでしょうか。
  130. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 外務省といたしましては、例年、国会自然休会になります一月初旬、中旬にかけまして総理が海外へ出られて首脳外交をやられるというのは毎年例のあることでございまして、私どもはそういうふうな観点から、自然休会に入ります時点で、でき得ればサミット加盟国の首脳との懇談を総理に行っていただきたいという希望を実は持っております。  海部総理に、総理就任後、ブッシュ大統領との日米首脳会談あるいはマルルーニー・カナダ首相との首脳会談、あるいは先日来日されましたサッチャー・イギリス首相との会談をやっておられますが、サミット加盟国はまだ数カ国ございますので、ぜひひとつ機会があればサミットまでに首脳会談を行っていただきたいというふうに考えておりますし、その際に、でき得れば現在大きな政治変革を起こしておる東欧の国も訪問をしていただくことができれば好ましいと考えております。
  131. 太田淳夫

    太田淳夫君 今、世界は大きなニューデタントという流れの中にあるわけでございますが、ソ連の実質的ナンバーツーと言われるヤコブレフ政治局員兼書記が来月訪日されるということでございますが、これは九一年にゴルバチョフ書記長が来日される、あるいはその前に来年三月にはシェワルナゼ外相訪日、こういう一つの日ソ政治交渉の流れの中でこれは受けとめていかなきゃならない問題ではないかと思うんですが、このヤコブレフ政治局員というのは、ことしの一月に、北方領土についても現実的に双方の利益を正しく評価することが大事だと、こう述べている方で、従来より柔軟な考え方を持っている方ではないかと思うんですけれども、来日の際には当然その領土問題についても協議も行われると思いますけれども外務大臣としてはどのようにこれは対応されるつもりでしょうか。
  132. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) ヤコブレフ・ソ連政治局員の十一月来日につきましては、本日、駐日ソ連大使のソロビヨフ大使から衆議院議長あてに正式に御連絡がございました。御連絡によりますと、十一月十二日から十八日まで、ヤコブレフ氏を団長とする団員六名から七名の団でございまして、随員は十五名から十八名という通知があったと伺っております。  我が国といたしましても、かねて日ソ間の平和条約の締結という問題をぜひ早期に実現いたしたいということでかねてソビエト連邦との間に協議を重ねてきておりますのは御存じのとおりでありますが、このヤコブレフ氏を団長とする高度の御一行が日本を訪問されるということは、極めて大きな政治的な意味があると私どもは考えておりまして、このヤコブレフ氏を初め各団の方々と国会の方々との御懇談の機会に政府側としても意見の交換を十分いたし、今後の日ソ間の外交交渉の展開に備えてまいりたい、このように考えております。
  133. 太田淳夫

    太田淳夫君 今外務大臣からお話がありましたように、日ソ関係も新しい方向にいろんな変化をしつつあると思います。特に、ゴルバチョフ来日に向けて世界平和、軍縮という大きな観点からの政治の流れがあるわけですね。総理、そういう流れの中で私は見てみますと、防衛白書、あの中ではまだまだソ連との緊張が激化しているような記述もあるわけです。そういうところを見ましても、当然これは防衛庁は軍事担当ですからそういう情勢の判断しかできないと思いますけれども、ソ連からもいろんな軍縮についての提案等もございます。総理としては今後日ソ外交をどのようにお進めになるのでしょうか。今度、東欧方面に行かれる場合も、ソ連にはあなたは一切触れないんでしょうか、どうでしょうか。
  134. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) ソ連と日本との関係は、話し合いを通じながら北方領土問題を解決して平和条約を締結する、そして両国の関係をさらに進めていきたいと、こういう基本的な姿で臨んでおりますので、二年先のことではありますけれども、ゴルバチョフ書記長の訪日の計画がソ連から意思表示された。それは何ら前提条件なしで訪日ということが告げられたということになっておりますから、我々もそれなりの期待は持って、来年お互いに外相同士の相互訪問もいたしますし、また今外相から発表のありました最高会議幹部会の方の御来日というようなこと等も報道されてくれば、そのときどきの節目を、対話を重ねていくということに利用、利用というか活用させていきたい。  日ソ関係というものは、あくまで北方領土問題の片をつけて、平和条約を締結するということを主たる目的にやっていきたいと思うんです。  なお、私の外遊の問題は、最初委員から御質問がありましたように、まだ日時とか相手国とかどうするかというようなことは全然固めておりませんので、そういう希望を持っておるということでありますから、それに関連してソ連のことがどうこうということはちょっとまだ御答弁できませんので御勘弁をいただきたいと思います。
  135. 太田淳夫

    太田淳夫君 海部総理は日米首脳会談の席上いろいろとブッシュ大統領と懇談されましたが、そのときに、貿易不均衡が拡大すれば二国間は緊張するというブッシュ大統領の御発言があったようですね。これは一向に改善しません対日貿易赤字基調に対して厳しい態度をとられたと思うのですが、このブッシュ大統領の所信をどのように受けとめておみえになりますか。
  136. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 両国の貿易の帳じりを見ますと、日本が対米黒字を五百億ドル台でこの三年間持っておるということが、特に米国の議会筋からの強い要望があったり、そこの関係を改善した方がいいという指摘が方々からあったことは事実でありまして、首脳会談でもそれはテーマになりました。  しかし、私の方からも、日本は今内需振興、そして内需拡大をすることによって輸入を促進し、対外不均衡を少しでも減らしていこうという努力も続けております。昨年一年間でアメリカから日本への輸入は、伸びだけで百億ドルという結果を出しましたことは御承知のとおりでありますが、アメリカに売れていったものも数十億ドルありましたので、まだその五百億ドルの大台が割れないということですが、一生懸命内需拡大の努力をこちらはしておるということを言いましたし、またアメリカ側も副大統領を議長とする競争力協議会というのをホワイトハウスの中に置きまして、アメリカの物を海外に輸出するということにも政策努力を続けておる。両方の努力が相まって貿易不均衡が是正されていくように今いろいろな場で話し合いを続け、またそれに基づいて努力も続けておるという状況でございます。
  137. 太田淳夫

    太田淳夫君 アメリカでは年間五百億ドルに上る対日貿易赤字が改善されないこと、そういうことから非常ないら立ちがあって、管理貿易、すなわち結果主義的な傾向が強まっている。第一回目の日米構造協議におきましても、六項目の改善要求を挙げて、来春までに中間報告を提出するように要請されているわけですが、やはり米国が納得できるような改善策を取りまとめることができると総理はお考えになっていらっしゃいますか。
  138. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 構造改善協議は、日本側としても言い分を言い、アメリカからも言い分を言われる、そういう両方の立場努力をいろいろしておるわけでありまして、そして半年で一応中間報告、一年たちましたら取りまとめをしようということで、今鋭意話し合い、改善の努力をしておるところであります。  例えばその一環として土地に関する問題あるいは流通改善の問題、いろいろございますが、法案国会にお願いしたり、あるいは関係の省庁で努力をしたり、いろいろなことを積み重ねていって、これは必ずそのような、よし、わかったという合意点が出るような努力を続けていかなければならぬと考えて、実施しておるところであります。
  139. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理がワシントンで引き続き構造改革、内需の拡大等に積極的に努力する旨を表明せられたということは、これはアメリカに対する公約ではないかと思うんですね。いろんな意見が ありますが、来春の中間報告が実りのないものになりますと、やがてスーパー三〇一条の対日適用範囲を拡大するようなことがあって、最悪のケースとしては管理貿易に進んでいき、やがて自由貿易体制が崩壊してしまう。それが世界経済に悪影響を及ぼして、世界的な金融恐慌に陥るんじゃないかというような予測さえもされているようなことでございますし、この問題に対処することを誤りますと、やはり総理の対外的な指導力が問われてくるんじゃないかと思うんですが、その点どうでしょうか。
  140. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私は、そのことは御指摘のように申し上げましたけれども、ただ、できることとできないこともあるので、来年の春の段階で全部できると期待されるのは間違いでありますということもはっきり申し上げてまいりましたし、それから我が国のいろいろな歴史や文化や伝統について、ここがいけない、ここが違う、食い違いばかりを指摘されるようなところには、食い違いを指摘するよりも自由と民主主義の価値を一緒にしてやっていこうとしておる、そのもっと根本的な、もっと本質的な問題についての合意を見ていただかないと、木を見て森を見ないような議論をしておったんでは本当の両国関係にはならないと思うということも、私はブッシュ大統領にもしっかりと言ってまいりました。  同時にまた、日本とアメリカとの関係、この一月から九月までの結果が出ておりますけれども、数字として言えば、日本はアメリカからの輸入を一五・五%ふやしておるわけです。同時に、日本からアメリカへの輸出は八・二%ということになっておりますから、この伸び率を単純に見ていただいても、いろいろと内外不均衡是正のために努力をしておるということはこれでもお認めいただけると思いますから、約束に従って一生懸命汗をかいて努力しておる、結果も今申し上げたようにあらわれつつあると思っておりますが、完全なものとは思わずに、さらに一生懸命これが定着していくような努力皆さんの御理解と御協力をいただきながら推し進めていきたい、こう思ってやっておるところであります。
  141. 太田淳夫

    太田淳夫君 総理は、消費者立場に立った生活の質の向上等が私の内閣の重要な課題である、こういうことを所信表明でおっしゃってみえるわけです。  企画庁長官にお伺いしますが、企画庁が九月にまとめました物価レポート、これには日米間の内外価格差の実態が明らかになっておりますけれども、そのことについて企画庁長官の御所見を伺いたいと思うんです。
  142. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 企画庁では九月に物価レポートを発表いたしました。物価水準の国際比較を厳密に行うことは、生活習慣や制度が違ったり為替レートが変動したりするために難しいことなのですが、一般的に申しまして、我が国の生活関連の物価水準がここ数年の急速な円高に伴いまして国際的に見て割高になっていることは事実でございます。  経済企画庁は従来から内外価格差の実態調査に努めておりまして、特に昨年十一月にはニューヨークとハンブルクで生計費全般についての価格調査を行いました。その結果が先ごろの物価レポートで公表されたものなのですが、この調査結果によりますと、東京の物価水準を一〇〇としましてニューヨークは七二、ハンブルクは六八です。逆に言いますと、東京の物価水準はおよそこの両都市の一・四倍ということになっているというのがこの調査結果でございます。  それでは、どういうことでこの内外価格差が起こっているのかといいますと、ミクロ的な原因といたしましては、物価レポートでも指摘しておりますように、各種の公的な規制、流通段階での十分ではない競争、輸入総代理店がとっている価格政策、さらには消費者のブランド志向、それから高い地価、こういったものが挙げられると思います。  そこで、政府といたしましては、この内外価格差を縮小しますために今後とも、製品輸入の促進、規制緩和などを通じた競争の促進や合理的な流通機構の実現、それから農業におけるより一層の生産性の向上、消費者への情報提供などによりまして内外価格差をぜひ少しでも縮めていくように持っていきたいと思っております。
  143. 太田淳夫

    太田淳夫君 長官、一生懸命頑張っていただきたいと思うんですが、今一番規制を感じてみえるのは長官じゃないですか、いかがですか。
  144. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 確かに規制があることは事実でございます。私も感じております。しかも、物価レポートにははっきりと、規制のある品目は輸入価格が下がりましても並行して下がらないんですが、規制のない品目につきましては輸入価格が下がりますとそれに合わせて卸売価格が下がるということで、規制というものが大変物価に影響を及ぼしているというふうに、私もそれから物価レポートも判断しているわけです。  そこで、やはりこの規制緩和についてはぜひ進めていかなければいけないということで、昨年規制緩和推進要綱というものが閣議決定されてますし、さらに、現在臨時行政改革推進審議会におきましても公的規制の在り方に関する小委員会で御議論をいただいております。物価レポートもそこに提出いたしまして審議の参考にしていただいておりますので、今後こうした規制緩和を通じ競争を促進いたしまして、少しでも価格が安くなりまして消費者の生活が豊かになればと、私も一人の消費者として思っております。
  145. 太田淳夫

    太田淳夫君 先ほど大蔵大臣は課税最低限は日本は一番高いんだとおっしゃいましたけれども、今お話しのとおり、こういう内外価格差の問題があります。日本は世界で一番物価が高いんじゃないかと言われている状況でございますので、国民皆さん方は大蔵大臣がおっしゃるようなゆとりはないわけですね。最低限を幾ら高くしたって物価で生活が圧迫されているのが実情です。  総理大臣、今の問題でございますが、高原経済企画庁長官がおっしゃっておりましたいろんな面の制約、公的な規制、これでやはり価格が一番下がらないことになっているわけです。当然これは、物価を本当に真剣になって下げようと思えば総理大臣の指導力の問題になってくるんじゃないでしょうか。各省をまとめてきちんと国民皆さん方の期待にこたえられるような物価対策を立てられますか、どうでしょうか。あなたはもう所信表明で表明しているわけですから真剣に努力していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 所信表明を閣議で検討してもらうときにも、そういった考え方ですべての省庁のこれに対する協力を私からも強く要請をしておるところでありますし、その方針で取り組んでまいります。
  147. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後に製造物責任について尋ねたいと思うんですが、経企庁長官、たびたびで申しわけございませんが、この制度はどういうような制度でございましょうか。そして、日本ではこれが諸外国に比べましてちょっと不備な点があると思うんですけれども、それはどのような点でございましょうか。
  148. 末木凰太郎

    政府委員末木凰太郎君) 制度の御説明だけさせていただきます。  いわゆる製造物責任制度と言われておりますのは、消費者が製品の欠陥によって身体的あるいは財産的な損害を受けた場合にこれの損害の賠償を求めることになるわけですけれども、現在の民法のもとでは過失責任の原則に立っておりますので、まず損害があったこと、製品に欠陥があったこと、その間に因果関係があること、それから製造者に故意、過失があること、こういったことを被害者の方で立証しなければならないわけでございます。しかし、現実には消費者には大変これは難しいことでございますので、そういった消費者側のいろいろな立証の負担をできるだけ軽くするためにいろいろな知恵が出されておりまして、アメリカ、ヨーロッパ、必ずしもぴたり同じではございませんけれども、総称してそういう工夫をした新しい製造業者の責任を定めた制度を呼んでいるものだと思います。私どもは従来から研究を重 ねてきているところでございます。  取り組みにつきましては長官からお答えいたします。
  149. 高原須美子

    国務大臣高原須美子君) 今、制度の方につきましては担当の者が御説明申し上げまして、そういう日本ではまだはっきりした具体的な制度ということではないわけでございますけれども消費者保護に関する政策の中ではこの製造物責任は大変重要な問題でございます。  そこで、まず消費者に対して事故が起こらないように製品の安全性を確保するということが一つは重要な政策だと思います。また、その前提に立ちまして、もし万が一被害が生じたときには消費者の救済に当たるということも重要な施策の一つだと考えております。具体的には、消費者被害が出ましてその救済に当たりましては、その救済が早急に、しかも十分に行われますように、企画庁では国民生活センターなどの苦情処理体制の充実を図っております。さらに、事業者みずからも自己責任の自覚を持ちまして、苦情処理とかアフターサービスの体制を整備する、あるいは保険制度の活用を図るなど努力しておりまして、業界も真剣に取り組んできていると思います。また、昨年五月に閣議決定されました経済運営五カ年計画におきましても、この製造物責任に対する消費者救済のことについて、救済のあり方を十分に検討するということに触れております。  こうした製造物責任の制度につきましては、委員が御指摘になりましたように、これからも諸外国の動向を参考にしながら関係省庁と連絡をとってさらに充実を図っていく必要があるのではないかと思っております。
  150. 太田淳夫

    太田淳夫君 通産省でも大分この問題については研究し、海外調査をされているようですけれども、通産大臣、いかがでしょうか。
  151. 松永光

    国務大臣(松永光君) 通産省といたしましては、昭和六十一年度から特別認可法人である製品安全協会の内部に製造物責任制度調査研究委員会を設けまして、その委員会で、欧米における立法、紛争解決制度、保険制度等々の実態把握をしながら調査研究を行っているところでございます。  何にしても、民法の大原則である不法行為、故意、過失があることを前提とするという制度の例外的なことでもありますし、また保険制度等にも大きな影響を及ぼすことでありますので、多様な角度から総合的にきめ細かな検討を進めていく必要があるということでありますので、そういう方向で今調査研究をしているところでございます。
  152. 太田淳夫

    太田淳夫君 今いろいろとお話がございました。もう既にこの制度はアメリカで実施をされております。あるいはEC諸国も一九九二年の統合を目指して立法化を進めているところですね。  いろいろとお話がありましたように、アメリカやECでは消費者の利益を真に守ろうという立場から、企業側にいろんなそういう事故のあった場合の立証責任を負わせているわけです。日本の場合には、今お話しありましたように被害者が立証しなければならない。これはもう最近いろいろと技術が進歩してまいりますと、いろんなハイテクの製品等が出てまいりますと、これは素人であります被害者が立証するということは非常に困難になってくるわけですね。  日本は産業立国で、今まではどちらかと申しますと企業が中心のいろいろな行政でまいりましたし、そういう消費者保護という立場からのいろんな施策がおくれているんじゃないかと思うんです。しかし、今国際化ということを海部総理も考えてやっていらっしゃいますし、消費者を保護しようという立場でございますから、これは当然日本でも考えていかなければならない制度、確立をしていかなければならない制度ではないかと思うんです。そういった意味で、総理から今後どのように取り組んでいかれるのか、見解を賜りたいと思います。
  153. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 製造物責任の確立の問題につきましては、商品の持っておる欠陥が原因で損害をこうむった消費者の十分な救済を図ることを目的とする製造物責任制度というのでありますが、我が国の民法の基本原則の一つである不法行為制度にかかわる大きな問題でもございます。要するに、無過失損害賠償責任を認めるか認めないかという法の根本に触れる問題でありますから、諸外国の動向も踏まえながら引き続いて検討させていただいてまいります。
  154. 太田淳夫

    太田淳夫君 時間の関係で、これで終わらせていただきます。
  155. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 以上で太田淳夫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  156. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 次に、上田耕一郎君の質疑を行います。上田君。
  157. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 初めにサンフランシスコ地震の問題について、ベイブリッジの一部落下、高速道路の崩壊や多くの死者など、予想を超える被害を出しましたが、建設省、この問題での教訓をどう受けとめておられますか。
  158. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) お答えいたします。  我が国の橋梁の設計は、関東大震災の経験を生かしまして逐次改定をいたしまして耐震設計の基準を決めております。現在の耐震設計法は、地域とかあるいは地盤とか橋脚の高さ、こういうものを考えまして設計震度を決めまして、今回の地震を上回りますマグニチュード八クラスの極めてまれな大地震に対しましても橋脚の破壊等の被害が生じないように処置をしておりまして、さらに落橋防止という施設もやっております。  昭和四十六年度以降、建設省といたしましては、耐震の観点から危険な、こういう問題のあるような橋梁とかその他の構造物につきまして震災点検を行ってきております。その結果について、落石防止などのいろんな諸策を講じておるわけでございます。  そういうことでございますので、私ども日本の橋梁の設計等につきましては極めて安全なものというふうに考えておりますけれども、現在、現地でいろいろ調査をされているというふうに私ども伺っておりますので、これらの情報の収集に努めまして、必要に応じまして適切な処置も講じてまいりたい、かように考えております。  以上であります。
  159. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今の構造上の問題のほかにもう一つ埋立地の液状化、これがあるわけですね。  国土庁にお伺いします。南関東の直下型地震については、中央防災会議の専門委員会もある程度切迫性があると指摘しておりますが、南関東の直下型地震が起きた場合の液状化問題をどう見ていますか。
  160. 市川一朗

    政府委員(市川一朗君) ただいま御質問がございました液状化現象の問題でございますが、先生御案内と思いますけれども、これは砂の地盤が水で飽和された状態になっておるところへ地震が起きました場合に、あたかも液体と同じような状態になって流動化するという現象でございまして、これは非常に局所的に起こる現象ということにされておりますが、国土庁では関東大地震クラスの地震を対象とした調査結果を昨年検討いたしまして公表もいたしておりますが、そのときの調査結果によりますと、南関東地域の河川周辺部あるいは海岸埋立地等、この辺は水を含んだ砂の地盤等になっている可能性の高いところでございますが、そういったようなところで液状化現象が起こるところがあるというような考え方で判断しておる次第でございます。
  161. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 東京都の港湾局の去年の調査ですと、対象五区の東京の埋立地、液状化が発生しやすい地域は何と三六%ということになっていますね。日本で液状化現象が問題になったのは六四年の新潟地震なんです。東京の首都高の羽田線、あれは液状化対策が論議される前につくられたものなので、橋のことを言われましたが、建設省、高速道路についてこの液状化問題の検討が必要なんじゃないでしょうか。
  162. 三谷浩

    政府委員(三谷浩君) お答えいたします。  先ほどの耐震設計の考え方でございますが、この耐震設計につきましては、地震時に流動化いたします砂質土層に関します配慮、こういうものに ついても行っております。具体的には、こういうような液状化をいたしますとその土の抵抗力、こういうものが減少いたしますものですから、そういうものについて設計のときに配慮をする、こういう考え方でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、もう一つ点検を私どもやっておりまして、四十六年度以降、数といたしましては今まで一万二千七百橋、耐震の落橋防止装置等いろんなことをやっておりますが、そういうことを鋭意進めております。
  163. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 日本の場合、首都機能、情報機能がもう東京に集中していますので、もし大きな被害が起きますとサンフランシスコ以上のことになりかねない。現在、東海沖地震だけが対象になって大規模地震対策特別措置法があるんですが、これを改正して、南関東の直下型地震についても対象にするということを検討すべきだと思いますが、国土庁、いかがでしょう。
  164. 市川一朗

    政府委員(市川一朗君) お答えいたします。  現在の大規模地震対策特別措置法と申しますのは、大規模な地震の発生の切迫性が非常に高いところで、もし起きました場合に被害が甚大であるということが予想される地域につきまして、あらかじめ地震の発生が予知される場合にその地震の発生を予知いたしまして、その時点で内閣総理大臣が警戒宣言を発令しまして、それから地震が発生するまでの数日間において市民各位の御協力のもとに万全の対策を講ずるという仕組みの法律でございます。  それに対しまして、南関東地域で現在想定されております、例えば直下型地震等につきましては、地震の予知の可能性等につきましてまだ学問的に解明されてない部分等もございますので、私どもといたしましては、もう少し違った角度からの対策が可能かどうかというような角度で現在検討しておるところでございます。
  165. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私も東京選出の議員で、建設委員もやっておりますので、我々も研究しますが、国土庁、建設省もぜひしっかり対策をとっていただきたいと思います。  次に、十八歳選挙権の問題です。  首相は所信表明の末尾で、熱烈に青年に訴えをされました。そこでこの十八歳選挙権も国際的にも非常に広がっているんだけれども、改めて首相のこの問題についての見解を伺いたいと思います。
  166. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、諸外国選挙権の年齢が十八歳になっておる国も広がってまいりましたが、これらの国々はすべて民法上の成人年齢とか、あるいは刑事法その他法律体系全般との関連の中で十八歳ということを定めておるわけでございます。私は、我が国の世論の動向や法体系全般との問題を通じて、この選挙権の問題も将来にわたって検討を慎重にしていくべき問題である、こう受けとめさせていただきます。
  167. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、中曽根内閣時代にも一度取り上げたことがあるんですけれども、法制局長官、民法の結婚年齢その他法体系上の年齢問題、どうなっているか御説明ください。
  168. 工藤敦夫

    政府委員(工藤敦夫君) 公職選挙法以外の法律におきます人の権利義務の享受等に関しての最低年齢の定めでございますが、まず民法でございます。  民法は、権利能力については出生に始まり死亡に至るまでということでございますが、満二十年をもって成年とすると。成年に達しない者は未成年ということで、未成年者は行為無能力者、法律行為をするには法定代理人の同意が必要であるということでございます。もっとも、営業を許可された未成年者、これはその営業に関してのみ成年者と同一の能力を有する、こういうふうに扱われております。  それから同じく民法でございますが、婚姻につきまして男は十八歳以上、女は十六歳以上を婚姻適齢、こういうことにしてございます。なお、未成年者も婚姻によりまして成年とみなされるということでございます。  それから刑法では、十四歳末満の者を刑事未成年者といたしまして責任無能力者、こういうことにしてございます。  それから少年法は二十歳に満たない者、これを少年といたしまして、成人とは異なった扱いをすべき者ということでございます。  それからなお挙げますれば、例えば労働基準法、これは労働者として使用できる最低年齢が原則として労働基準法によりまして満十五歳ということになっておりますが、満十八歳末満の者、これは年少者として労働条件上の特別の保護を受けるため、いわゆる通常の労働者として取り扱われます最低年齢は満十八歳、こういうことになっているわけでございます。  以上でございます。
  169. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 外務省、インドも来年十八歳になるんですけれども、国際的にどういう状況ですか。
  170. 久米邦貞

    政府委員(久米邦貞君) お答えいたします。  外務省の方で把握しております数は、普通選挙権の認められた国百三十一カ国について把握してございますけれども、そのうち十八歳以上というのが九十五カ国ございます。それから二十歳以上が七カ国、二十一歳以上は二十カ国、二十五歳以上が一カ国、こういうふうになっております。
  171. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 お話しのとおりで、民法で二十歳成人と決めたのは明治二十九年なんですよ、もう九十三年たっているんですよね。だから、この間の社会の発達、それから青少年の精神的、肉体的、知的発達、非常に変わっているわけでしょう。世界でも今お話しの九十五カ国でしょう。民青同盟の調査ですと百七カ国というんですから。ニカラグアは十六歳というのがあるんですよね。もちろん、サミットでは日本だけなんです、二十というのは。  だから、もうそろそろ日本も、こんな少数の国になっているんじゃなくて、とにかく結婚して子供もいる、労働上も権利義務もあるんでしょう。それで選挙権だけないというのは非常にまずいと思うので、ぜひ海部さん、青年に訴えた情熱で、この問題に前向きに取り組んでいただきたいと思います。
  172. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほど申し上げましたように、他の法律体系全般との関連の中で慎重に検討させていただきます。
  173. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 慎重にじゃなくて、前向きにと私は注文しておるんですが。  そこでもう一つ前向き答弁をいただきたいのは、次にリクルート問題です。  海部内閣は、今のところ首相を初め七名、総額三千万円以上のリクルート汚染度で、宇野内閣の約五倍と、余り名誉じゃありませんな。こういう閣僚の任命について、リクルート問題でどういう基準であなたはされました。
  174. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 政治資金というものは、やはり政治活動を支えていただく日ごろの浄財だと思って皆が受け取っておるわけでありますから、企業が特に社会的問題を起こしたからといって、さかのぼってすべての政治資金は悪であるという考え方をとるのは私は不合理だと、こう思っております。  したがいまして、この間うち委員会でも議論がございましたけれども自由民主党も厳しくリクルート問題の反省はしております。したがって、党としてはけじめ案をつくったり、党の見解を発表したりして対応してもらっております。私は、そのことを前提に置いて、閣僚任命のときには自主的に閣僚の皆さんから申し出てもらって、そして判断をいたし、党のけじめ案に従って対処してきたところでございます。
  175. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そのけじめ案というのは、昨年夏以降は構わないということですか。
  176. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 昨年の夏にリクルートが社会的な批判を受けるようなこういう大きな問題を起こしたということで、党の政治献金に関する見解及びけじめ案というものは良識を持ってそれぞれ議員が対処するわけで、それ以降じゃなくて、それ以前の政治資金は通常の政治資金として 受け取っておって、そして、それが責められるべき問題ではないと、私はこう判断をさせていただきます。
  177. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし、藤波さん、池田さんなど、リクルートの工作は中曽根内閣時代だから、みんな昨年夏以前ですよね。だから、以前は構わないというのは、もうそれ自体がリクルート隠しのけじめなんだ。  石井国土庁長官、あなたのケースを正確に説明してください。
  178. 石井一

    国務大臣石井一君) 本年八月、大臣就任を受けましたときに、記者会見で詳しく私の心境、また事実関係を申し述べたところでございます。  お尋ねでございますので事実関係を申し上げますが、昨年の七月の終わり、あるいは八月にリクルート社から献金を受理いたしました。私は日々のその出入りのものを追っておったわけではございませんが、私がそれを発見いたしましたときに、私は時節柄不適当とみずから判断いたしまして、直ちに返却の手続をとったわけでございます。返却を完了いたしましたのが九月の末であったと思います。したがいまして、十二月末の政治資金の届けにも一切それは返却をいたしましたのでいたしておりません。我が党のけじめが決まりましたのは本年の二月でございます。  以上が事実関係であります。
  179. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 石井さんは江副氏と甲南高校の同窓生、海部さんが千四百四十万円で、あなたは二番目の千二百八十万という数字になっているんですね。しかも、あなたはリクルートの直系の子会社の人を事務所に秘書として、向こうが給料を出している。これ、九月にやめさせているという人物なんですね。あなたの言うけじめは守られていないじゃないですか、昨年夏以降も。資金ももらっているじゃないですか。どうしてこういう方を国土庁長官にされたんですか。
  180. 石井一

    国務大臣石井一君) 事実関係について申し上げますが、私が受理いたしましたものは一千数百万と言われましたが、返却したものは含めておりませんので、たしか九百数十万、そういうふうに私は理解をいたしております。届け出上もそのように相なっておるわけであります。  なお、秘書の問題に関しましては、私がフルタイムに雇っておる秘書ではございません。また、彼が任意に出入りをしておった、そういう事実関係でございまして、この点は委員指摘状況ではない、私はそういうふうに理解いたしております。
  181. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 首相、どうですか、けじめと違うじゃないですか。
  182. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 党の見解並びに党のけじめ案においては、夏以降、政治献金等が万一ある場合は、政治家個人の見識としておのずから節度を持って対処すべきものであるという通達を党は改めて議員に出しておるわけでありますけれども、そのはるか以前の夏にこれはいけないと自分で判断をして自分で自主的に返却手続をとった、こういうことでありますから、私は、申し上げたように、事態が発覚する前の献金について、そして企業が問題になったからといって、さかのぼって政治家に責任を問われるのは不合理だと思う、こう申し上げましたけれども、そのようにそのときに処置をしたということで、これは党のけじめ案に従っておるものと認めます。
  183. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 そうしますと、自民党の今年の二月一日発表のけじめ案にひっかかる人は、もらっていて言わないでいまだに返しもしない人、それしかいないということになるじゃないですか。全くけじめでも何でもありません。  さて、じゃこういうふうになるのは、あなた自身が、海部首相自身が千四百四十万円ももらって、これはリクルート汚染度がかなり高いからだと思うんですよ。だからほかの閣僚にも甘いんですよ。衆議院予算委員会なんかの審議で、七六年から七七年の三木内閣の文相時代に二回リクルートシンポジウムで講演したということで、謝礼を受け取ったんじゃないかという問題が提起されて、あなたは調べさせると言われた。調べた結果はどうなりましたか。
  184. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 三木内閣のときは官房副長官でございまして、私が文部大臣になったのはその直後のことでございましたけれども、いろいろと調査をしましたが、何しろあのころ方々へ随分たくさん講演にも行っております。調べましたら、十二年前のことで、もう私のところには帳簿も残っておりません。調べようと思っても、正直に申し上げて全く調べようがございませんでした。私は、今後はノートでもつくって、何月何日、どこへどういう話に行ったかということをきちっと控えるぐらいの注意深さが必要なんだなと思いました。どうぞ御理解をいただきたいと思います。
  185. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 海部さんは当時も政治資金報告が極めてずさんで有名だったんですよ。三木さんからあなたは三年間に約二千万円の金をもらっていて、あなたのところの誠友会は三年間寄附収入ゼロの報告をして、虚偽報告で問題になったんだから。何もないんですから、だからこれもないわけです。  あなたのところにないから我々は調べた。元リクルート社幹部が証言しているんです。大臣で最初に講演されたのは長谷川労働大臣、七四年、昭和四十九年です。この昭和四十九年、リクルートで会議をやったんですって、大臣が講演に来たとき謝礼をどうしようかと。五十万円でという案が出たら、江副氏が一本、百万と決めたというんです。百万なんですよ。江副氏はこれを非常に重視していまして、大臣が来ますと壇上でみずから紹介して、最前列で聞くんですって。その百万は、終わってから大臣室へ持っていくんですって。それで、多くの場合そこで後援会に入会するんですって。  これは元リクルート社幹部の証言です。どうです、あなた、二百万円もらわなかったという証拠はないでしょう。
  186. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) もらわなかったということを証明する証拠はなかなか難しいので、それはどれだけ調べても本当にないんです。  それから、私の講演をやったというのは、参議院選挙戦の真っ最中に名古屋でやったとこの間御指摘をあるところで受けたんですが、参議院選挙中はずっと遊説して回っておるわけでございます。それから、大臣室へ持ってきてそこで後援会に入るのが常識だと言われても、後援会には絶対入ってもらっておりません。  ですから、事実関係はどれだけ調べても私の場合わかりませんでしたし、社会的問題を起こす前の献金というものはこれは通常の政治資金として御理解をいただきたいと思っております。
  187. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 海部さんは記憶がなくても、リクルートの雑誌に正確に記録が残っておりますので、これは事実だと思うんですね。  ところで、文部省、労働省、これまでリクルートで講演に出席した大臣、それから回数、明らかにしていただきたい。これはもうリクルート社への便宜供与なんですよね。お願いします。
  188. 國分正明

    政府委員(國分正明君) 歴代文部大臣の中にリクルート社が主催いたしましたシンポジウム等で講演を行われた方もおられたことは承知いたしておりますが、いずれの場合もいわゆる政務として行ったことでございまして、文部省として具体的な事実関係を把握いたしておりません。
  189. 若林之矩

    政府委員(若林之矩君) 労働大臣をされました方が、在任中労働問題について政治家としてあちこちで講演されることはあったと思われますけれども、その具体的な事実につきましては、政務として行われた事柄でございますので私どもとしては把握をいたしておりません。
  190. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは全部リクルートの「かもめ」に載っておりますので私も一々申し上げませんが、文部省は五人で延べ八回、一番多い方は海部さんで最高三回、労働省六人、延べ十二回ということです。  そこで首相、考えてほしいんです。文部大臣を呼ぶことで、リクルートの「かもめ」七五年七月号の座談会で田中取締役がこう言っているんで す。信用創造ではリクルートシンポジウムで文部大臣の講演を実現させたいという計画があると。だから重要視しているんですね。ですから私は、先ほど問題になりましたが、大臣が管掌分野の企業から依頼されて講演をする、それで社会常識を超える謝礼をもらう。百万円というのはやっぱり非常に高いですよ、我々調べましたけれども。これはやはりパーティー券と同じような政治献金なんですね。アメリカでは、講演謝礼も厳しく政治献金として規制しています。  そこで首相に、今後閣僚の、自分の管掌する分野での企業での講演、また講演謝礼の受け取り、こういうものは自粛するという方向が必要なんじゃないかと思いますが、首相の見解をお尋ねいたします。
  191. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私の内閣におきましては、そのような観点から、今後特定企業における講演会に出席して社会的常識を著しく超える講演料を得ることは厳に慎むべきだと考えまして、八月十日の閣僚懇談会において閣僚全員で申し合わせをいたしたところでありまして、この申し合わせを私を初めきちっと守ってやっていきたいと思っております。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 先ほど誠友会という首相の政治団体の問題を取り上げました。この事務所の所在地、代表者、会計責任者、事務担当者、説明していただきたい。
  193. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 誠友会というのは、東京都港区新橋六の四の九にあります。代表者の名前は鴨田保喜といいます。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この鴨田氏とあなたの関係はどういうものですか。
  195. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 長い間の知人でございまして、そして私を絶えず激励し、私のために協力をしてもらった方であります。
  196. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 三番町マンションの隣の部屋を安く貸してくれているという方ですか。
  197. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 家賃のことにつきましては、安いか高いか御議論もあろうと思いますが、隣の部屋を借りておる方であることもそのとおりです。
  198. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 大体、首相の政治団体が企業に置かれていることも非常に異常なんですけれども、首相はこの政治団体の事務所代を鴨田さんのところに払っていますか。また、人件費はどうしていますか。
  199. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これはちょっと前の話になりますけれども最初に東京で私の後援を始めてくださったのがこの誠友会の鴨田さんで、その北海興業という会社の中で私の事務も一緒に社長がやってくださったわけです。ですから、知人として好意でもって私のためにやってくださる、その中小企業の会社の中で、片手間と言うといけないんですが、本業のほかに私の後援会の責任者もしてあげよう、浄財を出してくださる人があったら集めてあげようということで始めた団体でありますから、そのころもちろん家賃を払うとかいうようなお金はありませんし、そこに新たに机を置くとか、人を派遣するとかいうこともありませんでしたから、その御好意に甘えるような形で経過してまいりました。  ただ、活動がだんだん大きくなるものですから、いつまでも中小企業の社長さんに甘えてそこでやってもらっておってもいけませんので、私は自分の事務所を一つ借りまして、そちらの方に新しい政治団体をつくって、仕事はだんだんだんだん誠友会の仕事も実質的にはそちらに持ってきてやるようにいたしております。ただ、主たる事務所というものを今も申し上げた港区新橋に置いてございますから、そういったことは御指摘のように誤解を招くかもしれません。近く適切に対処いたします。
  200. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私の秘書が、九月二十八日、この北海興業を訪問して鴨田社長、柘植常務に会いました。ただだと、人件費も事務所代も無料奉仕だとはっきり言いました。これは首相が認めたとおりです。  ところが、ここに誠友会の収支報告書があります。これを見ますと、例えば昨年度、事務所費、人件費で約三千万円近く計上されているんですね。光熱費やそれから経常経費三千十八万。ずっと調べました。毎年三千万円から四千万円の経常経費が記載されて自治省に報告されている。柘植常務もただだと言い、御本人も今、中小企業だから好意に甘えていると言った。ところが、毎年三千万円もずっと自治省に報告している。これは虚偽報告じゃありませんか。
  201. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) その点も御質問の通告がありましたから、それから鴨田のところへお調べにおいでになったということでありまして向こうからも言ってまいりました。けれども、私がそこへ事務所費を払わなかったことはそうですけれども、手狭になってきてTBRに海部事務所というのをつくらなきゃならぬということになって、そのためのお金を、借り代を出してもらわなきゃなりませんから、事務所費は要りますし、それから毎年いろいろの仕事をしていくために人件費もございます。国会以外の秘書もあるいは長期のアルバイトの人もみんな来てもらっております。そういう政治活動のお金として誠友会の方からもらってきていろいろと政治行動をしておった、こういうことでございます。
  202. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 しかし大変ずさんなんですね。これは事務所費、人件費というのは領収書が要らないんですよ。領収書が要らないから、届け出だけこうやっておけば三千万円の金は領収書なしに使えるんですよ。  私は、前回の予算委員会で宇野首相の政治資金の還流問題を指摘しました。これもかなり広がっているということが最近問題になっていますが、やはりこういうふうに政治資金規正法を決めていても、あなたがこれをやっているころはまだ首相になるつもりが全くなかったんだから安心しておられたと思うんだけれども、いざ首相になって我々が調べると次々出てくるんですよ。こういうことで政治改革だとか政治の浄化だとか言ったって絵にかいたもちですよ。だから、あなた自身が御自身のこういうやり方を国民に謝罪をして、そしてこういう虚偽報告を防止する抜本的措置をとらないと、この問題は次から次へ起きてくる。新しい首相が生まれて我々が調べるとまた次々出てくる。それでまた予算委員会でやらなきゃならぬということになりますから、抜本的措置をぜひとっていただきたいと思います。
  203. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私の政治資金の処理の仕方に知人に対する甘えがあって、いろいろとそういったことが今ここで御指摘されたことは、私はみずからの問題として、さきに言いましたように近く適切に処置をいたします。  同時に、そういったことを踏まえて、政治改革のためにいろいろな政治資金の届け出とかあり方についても各党で十分御論議をいただき、適切な結論が出てきますことを御期待さしていただきます。
  204. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 次に、パチンコ問題に移ります。  パチンコ業界からの政治献金が非常に大きな政治問題になってきましたが、全遊連から政界に流れた献金の実態について政府は掌握していますか。
  205. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) お答えいたします。  マスコミ等についての報告はいろいろ聞いておりますけれども、その事実関係は把握いたしておりません。
  206. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 こういうこともまだ調べておられない。  判明した献金リストは実に一億五千万円、自民党が一億千六百六万円で最高です。次いで社会党、民社党、公明党と。共産党の名は挙がっておりませんで、共産党を除く世界での出来事のようでございます。しかし野党各党は、社会党、公明党、民社党ともみずから責任を持って調べられて公表されました。閣僚のは首相四十五万円、以下一応官房長官が公表されましたが、一番多い自民党は公表しておりません。自分のことは調べないで野党、特に社会党の問題だけ調べて国会で取り 上げようと。党利党略的な扱いは国民の目から見て許せないと思いますが、自民党自身も公表すべきです。いかがですか、総裁
  207. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 党の執行部において、その問題については今対処を検討しておると思います。
  208. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 きょうの新聞に出ていますが、執行部の小沢幹事長がいいかげんな返事をしているじゃありませんか。もうねらいは明白です。  外国人の献金問題もこれまで大問題になってきた。自民党は、これも朝鮮総連の社会党に対する献金だけを追及していますが、目くそ鼻くそを笑うたぐいだと私は思う。やっぱり民団側からも献金があるわけですね。自治省は県の選管に調査させると言いました。どうなりましたか。
  209. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) 先般お話がございましたので、自治大臣の所管分につきましてはすぐ調べてお答えいたしましたが、県の選管に係るものについては、これまた早速照会しましたが、現在まだ照会中の状況でございます。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 一億五千万の献金リストについても、外国からですよ、外国人あるいは外国人の団体から日本の政党がもらっているという問題についても、いまだにちゃんとした報告もとれていないという状況です。  ここに信濃毎日新聞の十月十四日号があります。大変なんですね。民団の地方本部の幹部がこう言っている。「自民党には何十年も前から、民社党には十五年くらい前からそういう型ができていて、組織運営の任務として(陣中見舞いを)やるものだと思っていた」。県議選、国政選挙があるときに二十万円程度の陣中見舞い予算を組んで自民党には何十年も前からやっていたというんです。それで、時効は三年ですけれども、何十年も前から組織的にやっていたというと、この間の参議院選挙でもやっていたかもしれませんよ。法務省、この問題も捜査すべきだと思いますが、いかがですか。
  211. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) この問題につきましては国会でもお取り上げになりましたし、また新聞その他雑誌等にも報道されておりますから、検察といたしましても、社会的、日常的な用語で申し上げるわけでございますけれども、無関心でおられる話ではないと思います。しかし、衆議院でも申しましたように、具体的にどのような重さで受けとめているか、あるいは進んで、具体的にどういう対処の仕方をするか、そういうことは申し上げられない事柄であると思います。いずれにせよ、慎重な吟味を含めまして適切に対応いたすと思います。
  212. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 全遊連、パチンコ業界の団体ですね、協同組合ですが、八四年の風俗営業取締法の大改正で非常に危惧を持って警察の立ち入り権の強化に反対運動をされたんですね。あの法案審議の山場のとき以来政界工作資金が動き出した。この法案は自公民の修正が成立したんです。社会党もまた共産党も別々に修正案を出したけれども、それは否決されて、自公民で成立した。  我々の得た資料ですと、多額の献金を受けた国会議員は、全遊協の顧問を中心にした中曽根内閣の閣僚及び警察庁OBに集中しています。天野光晴元建設大臣、彼は全遊協の最初からの顧問です、六七年以来。ここに顧問のリストがあります。二千九百九十万円です。建設大臣当時七百四十万円もらっていた。後藤田正晴、当時官房長官、八一年に全遊協の顧問をおやりになっている、五百万円。塩崎潤、その前の経企庁長官、全遊協顧問、五百八十万円。下稲葉耕吉元警視総監。海江田鶴造、警察庁のOB、この方も全遊協顧問で、二百万円。中曽根康弘元首相、百万円ということになっているんですね。  法務省、こういう政治家に対して全遊協が何を期待したのか、何を頼んだのか、その謝礼だったんじゃないかという疑惑が当然生まれますが、こういう問題も調べるべきだと思いますが、いかがでしょうか、法務省。
  213. 根來泰周

    政府委員根來泰周君) せっかくの御指摘でございますけれども、情報とか報道とかいうものは必ずしも正確でございません。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、もし検察が関心を持ってやるならば、そういう情報の吟味ということも含めて適切に対処するものと考えております。
  214. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 さらに、プリペイドカード、代金前払いカードの問題があります。  警察庁、このパチンコ業界のプリペイドカード、もう二つ会社ができているんですけれども、これは一体どういうシステムなんですか。また、警察庁はどういうかかわりを持ってきたんですか。
  215. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) お答えします。  パチンコのプリペイドカードシステムと申しますのは、現在はパチンコをやるお客様は現金を投入してパチンコの玉を借りてプレーをしておるわけでございますけれども、その現金のかわりにプリペイドカードを挿入して玉を借り出してプレーをする、そういうシステムでございます。このプリペイドシステムの導入につきまして警察庁は、民間でそういったカードを発行する会社を発案した人たちから相談を受けまして、善良の風俗を害さないように、パチンコ業につきましては特に射幸心をそそるようなことの運営がないようにいろいろ指導をいたしておるところでございます。
  216. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 昨年の七月八日、警察庁は全遊協の執行部を呼んで、全国共通のプリペイドカード、このシステムの業界導入、この説明と要請をしたんじゃありませんか。
  217. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) パチンコ業界に対しましても、警察庁からこの構想を説明いたしまして、いろいろ指導をいたしております。
  218. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 どういう指導をやったんですか。出資要請もしたんですか。
  219. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) 御説明します。  プリペイドカードにつきましてそのシステムを説明するとともに、パチンコの業界といたしましてこれに出資をするようなもし意向があれば、そういう出資もできるという説明をしたところでございます。
  220. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 昨年の十月四日、警察庁の指導で日本レジャーカードシステム株式会社が設立されましたが、この会社の概要並びに警察庁との関係を説明してください。
  221. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) お答えします。  会社名日本レジャーカードシステム株式会社、所在地は港区西新橋二丁目二十三番一号でございます。設立の日が昭和六十三年十月四日、発起人は日本電信電話株式会社あるいは三菱商事、第一勧業銀行ほか数社でございます。会社役員といたしましては、代表取締役社長谷口芳男氏、代表取締役副社長中平和水氏その他でございます。資本金は、発行する株式の総数八万株、四十億円でございます。
  222. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 中平和水氏は警察庁OBではございませんか。
  223. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) OBでございまして、元刑事局長を務めた方でございます。
  224. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 ことしの八月二十四日に生まれたもう一つの日本ゲームカード株式会社、ここの副社長にも警察OBがいるんじゃありませんか。
  225. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) OBが行っておられます。
  226. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はここに日本レジャーカードシステム株式会社の目論見書を持っています、コピーを。驚くべきことが書いてある。「株主構成の概要」というところに「警察関係(一〇%)警察庁の推薦により決定する。」となっている。たいようなんとか、これが九%持っていますね。これ、外郭団体でしょう、たいよう共済。
  227. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) たいよう共済は出資をしております。
  228. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 警察外郭団体でしょう。
  229. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) そのとおりでございます。
  230. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 「株主構成の概要」のその後に「業界関係(一五%)警察庁の指導により選出する」 と書いてあるんです。それから「役員構成のあり方」、「会長一名警察庁出身者」、まだこれは決まっていません。「社長一名民間企業」、「副社長三名警察庁・民間出身者」、そのとおりになっているじゃありませんか。この目論見書から、三菱商事が大株主のこの会社の設立全部警察庁が直接指導したんでしょう。
  231. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) 民間が発案してつくられた会社でございます。  なお、先ほどたいよう共済は外郭団体と申し上げましたけれども、訂正いたしますが、外郭団体ではございませんで、民間の株式会社でございます。
  232. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、私きのうちゃんと警察庁の方から聞いていますよ。警察のOBが役員をやっていて、保険の代理店をやっているんだとちゃんと答えているんだ、外郭団体だと。  それで大問題なんですね。これを進めている直接の責任者は警察庁刑事局平沢勝栄保安課長です。遊技新聞という新聞に、これ、月一回ですけれども、三回にわたる大インタビューをやっています。これは第一回目のインタビューです。「プリペイドカードシステム問題について」という、何と三回大インタビューをやっているんですよ。「ここでハッキリと申し上げておきたい」と。「今、平沢が前面に出ていますが、決して平沢個人がやっているのではなく、警察という組織がやっているのだ」、「この問題は、警察庁の長官をはじめ上部の明確なる指導の元で私が動いている」わけだと。  警察庁長官は来ていますか。——来ていますね。あなたの、長官を初め上部の明確な指導のもとで指導しているんですよ。
  233. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) このプリペイドカードをパチンコ業界に導入する件につきましては、これは業界の健全な発展とパチンコを利用する三千万に上る国民の愛好者の両方の利便に大きく役立っておる、こういう観点で我々警察としてはこのプリペイドカードの導入を進めてきたわけでございます。したがって、それについては今保安部長から答弁しましたように進めてまいりましたし、またそもそものところは業界の方からプリペイドカードの導入について警察の方に要請があった、その要請に基づいて警察で検討した結果こういうふうに導入を今進めておる、こういうことでございます。
  234. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 まるっきりうそです。業界の要望を八六年四月二十五日、松波理事長から、これは千円で一つの店舗だけで当日限りのそれを要請したんです。それで許可になって、その店だけ、千円ですよ、一日限り。今度は全国共通なんだから全然違うんです。それで、業界の健全な育成のためとおっしゃったけれどもとんでもない。  ここに全遊連の十一月十五日付の弘報があります。七月八日、呼ばれた経過が全部書いてある。どう言われたか。「業界に事前の下相談なし」、突如として全国共通カードシステムの導入を認める方向で検討中だと。カード会社はJR、NTT、一流銀行など大手資本の参入による管理会社を計画している。これに三%出資しろと言われた。業界も新規出店反対とか妨害など姑息な手段を弄することはやめるべきだと、「こちらも断固たる態度で臨むつもりである。」とおどかしまでやっているんですよ。それで、大体パチンコ業界は今十兆円だが、将来二十兆円産業になる、だから大手資本の業界参入を積極化することでイメージアップをやるべきだ、こういうことをいきなり去年の七月八日に言われて、それで全遊協は大変なことになって緊急理事会を開いて、そんな緊急に言われても困る、短期間で結論を出せというのならノーだと。長時間の検討期間ならこれは検討しましょうという返事を八月に警察庁に言いに行っているんですよ。  ところが、十月四日に発足ですからね。発起人はNTTの真藤さんですよ。これで二つの会社ができると、どうもスーパーコンピューターを使うらしいという話まで流れているのだから。七月一日に持ってきた人は、熊取谷さんといって真藤さんの部下でいろいろ動いた人ですよ。  とにかく極めて奇怪じゃありませんか。業界のためと言っても業界は参加していない、反対なんだから。パチンコ業界が反対なのを警察庁がみずから直接指導して長官まで、おどかしまでやって、大資本のパチンコ業界への参入のためだというんです。国家公安委員長、どうですか、いいですかこれで。
  235. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) お答えいたします。  所管する業界の健全なる発展、またそういう業種を利用する消費者の利便、そういうことのためにこれが行われるということであれば、特に御非難をちょうだいする性格のものではないと存じております。
  236. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) ただいまの御質問の細部の点、補足して御説明申し上げます。  最初に、六十一年当時に一度プリペイドカードの陳情があったときには、千円以下の汎用性のないカードであったというふうな御指摘でございますけれども、当時におきましては、いまだプリペイドカードが一般的に普及しておらない、こういうものについてのいろんな信用上の問題も十分自信がない時代でございましたから、当時相談を受けた場合にはそのような限度でやっていただくように指導したことがございます。  しかし、今度の場合は随分世の中にプリペイドカードというものが普及してまいりまして、各分野でそういうものが国民に愛されておるというふうな社会の変化がございました時点でございますので、これは大変結構なことだということで、今回の場合には共通の汎用性のあるカードとして指導した、こういう違いがございます。  それから、業界に長い間検討させなかったという御指摘でございますけれども、本来このプリペイドカードを発案した民間会社がこういった事業を開始する際には何ら法的な規制はない。我々政府といたしましては、これを会社の発足を待たせるというような強制力を行使することはできません。なるべく待っていただいて、できればパチンコ業界も本当に全員一致してこれに出資して参加するのは大変いいことだと私ども思いまして、そういうふうにあっせん的なことをやったことはありますけれども、間に合わないで会社が発足したということでございまして、決してこれはとめたりなんかするべき問題ではなくて、自由に起業できる事業でございまして、私たちのそれをとめるというのにも限度があったと、こういうことでございます。
  237. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私、この問題ばかりやっているわけにいかないし、衆議院でも集中審議があるというんですが、一言だけ。  じゃ、その会長や副社長、これに警察関係者とか、こういうふうな目論見書をつくらしたのはなぜですか。あなた方がつくらせたんでしょう。それとも三菱商事の自発的警察への考慮ですか。
  238. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) 事業を発案されました方たちから、警察からも役員に入っていただきたいという要請に応じたものでございます。
  239. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題の直接の担当者は警察庁の平沢保安課長ですが、平沢氏は官房長官の秘書官の経歴がありますけれども、だれとだれの秘書官でしたか。
  240. 森廣英一

    政府委員森廣英一君) 藤波長官と後藤田長官であるというふうに聞いております。
  241. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私はきょう問題提起をしたんですけれども、このパチンコ問題というのは、警察OBが比例候補の党員と党費の立てかえを自民党にしましたね、それでも明らかなように、警察と自民党と大資本の風営法問題やプリペイドカード問題での構造的癒着が本質ですよ。私は、この問題でも国会は党派を超えて国民の疑惑にこたえる真相解明をしなければならないと思います。  私は、リクルート問題、パチンコ問題の疑惑解明のために、とりあえず以下七名の証人喚問を求めます。リクルート問題で中曽根康弘元首相、パチンコ問題で天野光晴元建設大臣、後藤田正晴元官房長官、金澤昭雄警察庁長官、平沢勝栄警察庁保安課長、松波哲正前全遊協理事長、柳勲前全遊 協副理事長。委員長、よろしくお取り計らいをお願いいたします。
  242. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 理事会で審議いたします。
  243. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題は非常に重要で、朝日ジャーナルで室伏氏も書いておりますし、ゆうべ六チャンネル、TBSの六時半からのニュースでもやっておりましたが、全遊協がことしの九月五日、会計帳簿を持ってこいと言われて警察庁に呼ばれて二時間待ったと。コピーされたんじゃないかということ。それで、献金リストなどのさまざまな報道も警察庁からのリークもあったのではないかという疑惑さえ出ているんです。もしこんなことがあったら大変ですよ。本当に我々は国会としてこの問題が提起された以上、とことんまでリクルート問題と同じように疑惑を究明して、変な政治的策謀、党利党略がこの問題で動いていないのか、大資本がまた暴利をむさぼろうとしているのじゃないのか、警察庁は一体何をやっているのか、ぜひ明らかにしたいと思っております。  関連質問をお願いします。
  244. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。吉岡吉典君。
  245. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 総理、先ほどの論議の中で、企業献金は悪ではないと、不合理ではないと、こういう答弁がありました。  しかし、衆議院の不破議員の質問によって、故三木元首相、それから選挙制度審議会の第一次答申でも企業献金は禁止し、献金は個人に限るべきだということが明らかになりました。しかし、自民党は、結党以来三十四年間、国民政治協会等を通じて実に二千二百億円の献金を明らかになったものでも受け取っております。これはもう財界丸抱えだと言うべきです。そして戦後の疑惑、汚職、これらは、ロッキード事件もリクルート事件もすべてが政治献金に端を発しております。それでもよろしいと言うのかどうか、総理の答弁をまず求めます。
  246. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 企業と政治の間において、大変残念ながら御指摘いただいたような事件が起こったことはそれは事実でありますけれども、それは企業のすべてが悪だと見ては短絡的過ぎると私は申し上げております。企業といっても健全な社会の構成員の一人として存在しておるわけでありますし、同時にまた、明るい社会や平和な暮らしや市場経済というもののこの社会の仕組みを願いながら、その中で企業は企業なりに社会的な責任も果たし、雇用もつくり、社会の発展のために寄与しておるという面もたくさんあるわけでありますから、そういったものをいきなり悪と決めつけてかかることは私はとりません。そういったことを申し上げておるわけであります。
  247. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 私は今、企業が悪だと言ったわけではありません。問題は、企業の政治献金の問題です。  私が言いたいのは、まず、企業と個人というのは憲法上の地位が違う。確かに企業も社会的存在であることは事実です。しかし、憲法上、個人については主権が国民に存在するということを宣言し、選挙権は国民の固有の権利であると定めております。企業は社会的存在であっても、憲法上、参政権はもちろん政治献金の地位も認めておりません。法的に投票権、参政権は個人に与えている。企業に参政権がある、こういうふうにまさか総理はおっしゃらないと思いますが、その点どうですか。
  248. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 企業に参政権があるとは思っておりません。
  249. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 その点が大事な点なんです。企業には参政権がない。個人にのみ参政権はある。そして個人には、たとえ会社の重役であれ、そしてまた団体の役員であれ、政治献金、投票権、すべて認めている。しかしながら、参政権を認められていない企業には政治献金の権利、そういう地位は憲法上認められていない。学説によれば、政治献金というのは、国家の政治意思の形成に参加する行為だという点において投票権と同じだ、こういうふうに言われております。  憲法上参政権のない者、これに政治献金の自由はないというのが憲法上の地位だと思います。そして三木元総理発言されたとき、そしてまた選挙制度審議会の第一次答申、政治献金を禁止すべきだと言ったこのときにも企業は活動していました。その企業の献金を禁止したのはこういう憲法上の根拠があるからだと私は思いますが、総理はそう思いませんか。総理に質問していますから……。
  250. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 先ほど総理からも御答弁がありましたが、企業にしても個人にしても、社会的存在としてみずからが生活し、あるいはみずからが企業活動を行うこの日本の国が、平和で自由で豊かに発展することは望ましいのであって、みずからそのために信ずる政党に、あるいは尊敬する政治家に正しい政治活動をしていただくために献金するということが悪いことであるというのは大変独断であり、偏見であると存じますが、専門的な答弁は政府委員に行わせます。
  251. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) 補足させていただきます。  企業は確かに参政権はございませんが、納税義務はございます。そうして、昭和四十五年のいわゆる八幡製鉄事件、この最高裁の大法廷判決におきまして、憲法の基本的人権の条項は性質上可能な限り内国法人にも適用のあるものであるから、会社が自然人たる国民と等しく納税の義務を有するものである以上、政治的行為の自由を有し、政治資金の寄附も認められると、こういうふうに判決をしておられるわけでございます。  それからなお、第五次の選挙制度審議会の答申では、やはり将来の理想は理想として、当面企業献金の廃止というところまではいけないだろうという趣旨の答申をしております。
  252. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 総理の答弁も聞いた上で次の質問を。
  253. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほど申し上げましたように、我が国が自由主義経済で成り立っており、それを支持しよう、その活動を支援しようという企業が政治活動の資金として献金をすることは私は悪だと思いませんし、投票権のみから申し上げますならば、それでは投票権のないその他の団体とかその他の組合とかというところからの献金問題についても私もこれは是であると、こう思う立場で今物を申し上げておるのでありますから、必ずしも投票権があるかないかだけにこだわって御質問なさらないようにお願いしたいと思いますし、また私の師匠の三木先生のこともお引き出しになりました。確かにあのとき個人献金に頼るのがいいという高い理想を述べられたこともそのとおりであり、ただ、現実的に政治活動を行っていく社会のあるがままの姿の中であの政治資金規正法が生まれてきたわけでございますから、そのように私も受けとめております。
  254. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 まず八幡製鉄の問題ですが、八幡製鉄の政治献金判決をもって企業献金が積極的に認められるという論拠は、これは八幡製鉄判決のねじ曲げた理屈づけだということを申し上げておきたいと思います。  八幡製鉄の判決というのは、これはもう少数意見もあった、当時法律家も学者も多くが反対意見を述べた、そういうものであり、しかもこの判決内容は企業が積極的に特定の政党に献金することを認めるとか、企業に政治献金の権利があるというふうなことを言ったものではなく、いわば社会的なつき合い、お祭りや救援金を出すと同じ意味において非常に限定つきで認めたものです。それをもって政治献金の合理化しかできないというところに、あなた方の議論の法律的な根拠のなさがあるということを申し上げておかなくちゃなりません。  参政権のない者に企業献金、これは団体も含めてです、なぜないかといえば、これは参政権のない者、そして巨大な経済力を持った者、これに献金を与えれば、これは日本の国の政治のあり方、この問題について、国民主権、この国民主権の国の政治のあり方、そして法のもとでの平等、これが壊される、そういうところにこそ問題があるか らそういうふうになっております。憲法上も、そういう地位だから企業に与えていない。  アメリカでは八十年前に企業献金が禁止されました。そのきっかけになったパーキンス事件というのがありますが、その判決に加わったグリーンバウム判事というのは次のように述べております。政治目的のためになす法人財産の使用、つまり企業献金ですね、これを助長すれば、州の創造物、つまり法人企業等です、これが州の支配者となる、そういう結果になる、こういうふうに述べております。要するに、アメリカは法のもとの平等という立場から企業献金を禁止した。もう一つの理由は、もちろん政治腐敗です。私は、企業や組合の巨額な資金力を持つ者に献金の権利を与えるということが、このアメリカと同じように法のもとの平等を侵すということになる。そういう点、私は総理についてそう思わないかどうかということをお尋ねします。総理に尋ねますから。
  255. 渡部恒三

    国務大臣(渡部恒三君) 企業献金について是か非かということは、これは委員委員の一つのお考えがあり、また私どもには私どもの考えがあり、またこれを客観的に判断した過去の判例等もあるわけでございますけれども、ただおのずから、政治資金というものが企業にしても個人にしても、そこに正しい政治を推進していくための節度があることについてはこれは当然であって、どのような大企業といえども政治献金の一定額の制限があるわけでありまして、決して今委員指摘のような非難は当たらないものと判断をいたしております。
  256. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 アメリカの企業がやめている、企業献金を禁止している、この問題について総理の見解を求めます。
  257. 浅野大三郎

    政府委員浅野三郎君) 事実関係につきましてちょっと説明させていただきたいと思います。  アメリカは、企業の献金は禁止されておりますが、企業はPACといわれるものをつくることが別途認められております。それからヨーロッパを見ますと、イギリスにしましても、西ドイツにしましても、フランスにいたしましても、いずれも企業献金は禁止されておりません。
  258. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 総理は見解を述べられないんですか。
  259. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 何度も申し上げましたように、企業もこの明るい社会、自由経済社会を支えていこうとしておる社会的存在でありますし、また社会にいろいろ雇用をつくり出したり、世の中のためにいろいろ貢献しておる面もあるわけであります。そういう意味からいって、この政治体制を支えていきたいという意味で政治活動に資金を出すということは、私は一概に悪だとは決めつけないでおります。  そうして、お金がかかり過ぎるというなれば、そのお金のかかり過ぎるという根源にさかのぼって、どうしたらいいかということを議論していく必要もまた政治改革の上では非常に大切な側面であると考えております。
  260. 吉岡吉典

    ○吉岡吉典君 三木総理の言うこともアメリカの例も、自分に都合の悪いことは否定する、それが今の総理の答弁の特徴だと思います。ヨーロッパの例も出ましたけれども、確かにヨーロッパでは完全に企業献金を禁止していません。しかし、ヨーロッパでは、笛吹きに金を与える者が曲目を決定するということわざが広がって、企業献金を非難しているということを紹介しておきたいと思います。  私は、結論として、巨大な企業の資金、これが許されるということになれば、「主権が国民に存する」、「国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使」すると宣言した憲法の前文、そうしてまた、国民の代表を選挙する権利、これは「国民固有の権利である。」と規定した憲法十五条、さらに「すべて国民は、法の下に平等」であるとの憲法十四条の侵害になるということを指摘し、重ねて企業と団体の政治献金禁止を要求するものであります。
  261. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 今いろいろ議論がありましたけれども、日本も民主主義国家たろうとする限り、憲法の原則に基づいて、企業献金、団体献金の禁止をあくまで早く実現すべきだと思います。  次に、消費税問題に移らせていただきます。  自民党の中でも、自民党税調の中で公約違反、これが非常に問題になったということでありまして、やっぱり今度の消費税国民が怒っておるのも、まず公約違反の問題があるんですね。ところが首相は、代表質問でも予算委員会でも、衆議院の議長裁定があったからということを何度も言われます。それで、首相は一体この議長あっせんがつくられた内幕を御存じなのかどうか。  ここにおととしの五月七日付の読売新聞、社会党の田邊前書記長の長いインタビューがあります。これには、田邊さんが自民党の金丸副総裁とこの議長あっせんの大筋を一週間かけてつくったということが事細かに述べられています。首相はこの事実を御存じですか。
  262. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) そういう事実は知りません。
  263. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 だれがつくったかも知らないで、よくこの公約違反問題でこういう議長あっせんを持ち出しますね。この議長あっせんには直間比率の見直しというのが入ったんです。入った理由を田邊さんは、中曽根さんも税制改革の糸口、入り口をつけたということになれば、花道になるんじゃないですかと。中曽根さんをやめさせるためには直間比率の見直し、これは大型間接税のことですよ、間接税をふやすというのは、それで入れたという内幕まで言ってるんですから。共産党はすぐこの議長あっせんが出たとき、これがあるので、これは大型間接税へのレールが敷かれることになるというので、我々はこれに賛成しなかったんです。我々の見通しが正確だったことはその後の消費税で明らかであります。  よくもまあこういう政党間の取引の、その結果できた議長あっせんを、国民に対する公約、これをねじ曲げることによくあなたは持ち出しますね。国民に対する選挙公約というのは、もっと本当にまじめで厳しいものじゃなきゃいけないんですよ。私はこういう議長あっせん問題、もう今後持ち出さないでほしい。首相、いかがですか。
  264. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 新聞を示してお読みになったいろいろな裏話というのは、私はそれよりもむしろ公になっておる議長のあっせんの方が国民皆さんもよく見ていらっしゃる前で報道されたことでありますし、また国会で売上税をめぐっていろいろ紛糾をいたしましたときに議長さんが裁定に乗り出されて、与野党の代表者の方といろいろ話をされるということは、これは新聞に報道されておる裏の話というのとはいささか次元が違う場の話だと思うんです。  私たちはその議長のあっせんを踏まえて、売上税は結果として廃案になって、そして新しくそこから議長裁定の文言に従って各党のまた御協議でお話し合いが進むことを心から願いながら税制改革の問題が始まってきたんだ、こう受けとめておりますので御理解をいただきたいと思います。
  265. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 中曽根当時首相の大型間接税はやらないという公約で、これはうその公約だったんですね、それで三百四議席をかすめ取って、その多数の上にあぐらをかいてあなた方はこういうことをずっとやってきたんですから。しかも、今度参議院選挙の結果ノーと出たでしょう、主権者の。これはもう本当に廃止以外にないということは国民にとっては明らかです。  最近十六日には、北野弘久日大教授、清水信次税制国民会議議長、薗田純雄全日本小売商団体連盟理事長ら十八氏が消費税廃止を訴えるアピールも発表されました。  先日、自民党の前島議員は、消費税というのはもう本建築だ、これは本建築だからこれを残すと言われましたが、これは不法建築なんですから。不法建築はまず取り払わなければ国民のための建築はできません。  政府自民党は、財源を示さずに消費税廃止は無責任ということを盛んに言われる。これは、こういうとんでもない公約違反のものをやって通し て、通し方については問題があったと、首相もきのう認めましたね。そして四月一日から実施して、さあ国民がノーと言ったら、かわりの財源を示さなければ廃止するのは無責任だと。ところが、よく言われているんだけれども、強盗が入って何か物をとって捕まって、さあ返せと言われたら、次の何か別の物を出さなければ返さないと言っているのと同じだと。居直り強盗の論理だと言われているんです。  それで、そんなことはないので、これは消費税廃止法案参議院衆議院でもし成立したら、消費税廃止というその条件を国権の最高機関が決めたんだから、その条件を受け入れて、そのときの政府自民党政府が続いていたとすれば自民党になりますが、そのときの政府予算案を組めばいいんですよ。国会の決めた枠の中で仕事をするのが政府でしょう。それを、国会は枠をつくるべきでないと。国権の最高機関、憲法四十一条で決まっているのに、あたかも行政府がその上にいるかのような言い分は、これも憲法の精神を知らない。  大蔵省の元幹部で住宅金融社社長の庭山慶一郎氏は、参議院選挙後のNHKの討論会、「徹底討論・国民の審判にどうこたえるか」でこう言われた。財政は国と地方で百兆円、税金は国と地方で八十五兆円、これだけ国民は納めている、財源は幾らでも見つけられる、政府の働きは入るをはかって出るを制すだ、国民の納めた税金の範囲内で皆さんは政治をすればいいと。私は正論かつ卓見だと思いますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
  266. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 決して私は委員の揚げ足をとるわけではありませんけれども国会消費税廃止の意思が決定をされれば政府は当然それに従う、それは私はそのとおりだと思うんです。しかし同時に一方では、その国権の最高機関である一院の議長の裁定が権威のないものだと言われるのは、私はどうもちょっとお話の筋としていかがなものかという感じが率直にいたします。  私どもは議長あっせんというものに基づいて税制改革の取り組みをしてきた。その中で所得税、法人税、住民税等の減税を行い、個別物品税の廃止に踏み切り、そして消費税を導入してきたわけでありまして、本建築と申し上げるのは、消費税だけではなく、税制改革全体を申し上げておるわけであります。その中で消費税について現に見直し論議をお願いし、政府税制調査会もその論議をしていただいておるわけであります。そして私どもは、消費税を存続させ、国民に御理解を願い、定着させたいと願っております。政府は、現在施行されております税制に基づいて歳入を計算し、それに基づいて予算を編成するわけでありますから、国会の御意思がまだ決定をいたしておらない段階の現在において、現在存在する税制に基づいて次年度の予算の編成をすることが私は越権だとは考えておりません。
  267. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 議長あっせんの問題は、あれは国対政治がああいうものをつくるんですよ。国対政治については、自民党の政治改革大綱でさえこういうものは直さなきゃいかぬということを言い始めている、そういう問題なんですから。そして、あなた方が予算を今のままつくろうとするのはそうかもしれぬけれども廃止を求める野党にまで、今自民党がつくっているあの軍備大拡張のああいうとんでもない予算の枠をそのまま全部認めて、これに足りるような財源を出せなんというのはあなた方の越権なんですよ。  さて、次の問題。  消費税で一番苦しんでいるのは年金生活者、母子家庭、障害者、低所得者を初めとする社会的弱者の方々であることは言うまでもありません。最近の調査で、交通遺児を持つ母子家庭のアンケート、消費税で生活が苦しくなった、大変苦しくなった、八九・九%ですよ。九割の方々が血を吐くような訴えを述べておられるんです。  私、大変おもしろいと思ったのは、消費税づくりの中心にいたある大蔵官僚の本音が報道された。サービス業から取りたい、それから国際的にそろえたいというので消費税が誕生した。その結果は明らかに金持ちが得をする税制改革になってしまった。しかし、まさか金持ち優遇とは言えないから、来るべき高齢化社会に備えて、とした。消費税をつくった中心にいた大蔵官僚がそういう真相を明らかにしている。金持ち優遇税制になって、それは言えないから高齢化社会のためだと、こういうまことに驚くべき国民に対する欺瞞をあなた方はおやりになっている。  それで、高齢化社会高齢化社会と言うんだけれども、私はここでお年寄りの老後の生活に最も関係の深い年金問題を取り上げたいと思います。  厚生省、いろいろシステムが変わってきたんだが、国民年金の今のシステムとそれから今の月額の負担、こういうものを説明していただきたいと思います。
  268. 水田努

    政府委員(水田努君) 簡潔にお答えをさせていただきたいと思います。  加入対象者は、原則といたしまして、日本国内に住所を有する二十歳以上六十歳末満のすべての方でございます。  次に、保険料は、平成元年度月額八千円でございますが、保険料の負担能力のない方については免除という道を開いてございます。なお、サラリーマン及びその妻につきましては、その所属する被用者年金制度が一括して基礎年金勘定に拠出金を拠出いたすことに相なっております。  次に、年金給付の種類でございますが、老齢、障害、遺族各基礎年金がございます。  まず、老齢基礎年金でございますが、保険料を納付した期間と保険料の納付を免除された期間が合算して原則として二十五年以上ある方に六十五歳から支給いたすことといたしております。年金額は、二十歳から六十歳までの四十年間保険料を納付した場合、現在月額五万二千二百六十七円でございます。改正案ではこれを月額五万五千五百円にいたすことにいたしております。ただし、この四十年の加入期間は年齢によりまして二十五年から三十九年までの短縮措置がとられているところでございます。  次に、障害基礎年金でございますが、年金額は、現在一級の方が月額六万五千三百三十三円、二級の方が月額五万二千二百六十七円でございます。改正案では、一級の方が月額六万九千三百七十五円、二級の方は月額五万五千五百円でございます。  遺族基礎年金は、御案内のとおり、旧法の母子年金、遺児年金を吸収したものでございまして、子のある妻また遺児に対して支給されることになっております。例えば子供が一人いる妻の場合には、現在月額六万七千九百四十二円、改正案では七万一千五百円にいたす予定になっております。
  269. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国民年金、これは自営業者、農民、出稼ぎや零細企業の労働者が入っておりますけれども、今の御説明のとおり、今、月額八千円なんですね。御夫婦で一万六千円、年に約二十万円の保険料を払わなければなりません。免除者、滞納者、今どのぐらいに達していますか。
  270. 土井豊

    政府委員(土井豊君) 昭和六十二年度の状況を申し上げますと、まず免除者でございますけれども、一号被保険者千八百九十五万五千人に対しまして二百二十四万六千人、一一・九%という状況でございます。  それから、同じく六十二年度の滞納の状況でございますが、未納率という形で見ますと一六・三%、そのような状況になっております。
  271. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 免除者、滞納者合わせて二八・二%、約三割近い方々が今国民年金の保険料を納められない、あるいは免除されているということなんですね。こういう方々、二十五年たった場合、年金はどうなりますか。
  272. 水田努

    政府委員(水田努君) まず、免除期間のある方の場合について御説明を申し上げます。  免除期間中は国庫補助相当額の三分の一に減額をされます。しかし、先ほど御説明いたしましたように、二十歳から六十歳に至るまで四十年間、自営業の方は有為転変があるわけで、七転び八起きといいましょうか、一時的に経済的に納められ ない状況になってもその後回復されるということが当然四十年間の歴史、ヒストリーの中にはあるわけでございますので、免除を受けておられた方が低年金にならないように十年間さかのぼって保険料の追納ができる道が開かれていることと、それから六十歳で一応被保険者の資格を失うわけでございますが、六十四歳までの五年間さらに保険料を任意加入という形で追納いたしまして、できるだけ満額の年金を得ることができる道が開かれているところでございます。  次に、保険料を滞納された方の場合はどうなるかと、こういう御指摘でございますが、御案内のとおり基礎年金勘定というものは、今年度要る給付費は今年度現役の人が保険料を払うという一〇〇%世代間扶養、言葉をかえて言いますと賦課方式の財政方式をとっているわけでございまして、先輩を支えるという義務を放棄されました方は、自分が受給者になったときに、後代の現役の方に義務は履行しないで自分の権利の行使のみを主張するということはできませんので、したがいまして滞納した期間に見合う年金額はカットされる、このようになっている次第でございます。
  273. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 簡単に言いますと、免除された方は、法定免除と申請免除とあるんだけれども、免除された場合、期間は算入されるけれども、その期間の間国庫補助でその分は配慮いたしますと、滞納の人は期間にも算入されないと。そうすると三分の一、三割近い人は六十五歳になっても全くもらえない人もいるし、かなり減額される年金の方もいるということになるんです。  それで、今政府が提出している年金改悪法案、保険料の値上げが入っておりますけれども、値上げ額、どういうことになっておりますか。
  274. 水田努

    政府委員(水田努君) 平成二年度月額八千四百円、以後平成六年度まで毎年度月額四百円ずつ小幅で段階的に引き上げる、こういうようにさしていただいております。
  275. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり、二〇一〇年には今の二倍の一万六千百円になるんです。夫婦で三万二千二百円毎月払うんです。十二カ月、一年で四十万円弱になるんです。これ、経済成長を全然計算に入れてないんだから大変ですよ。そうなると、今二十万円で払えない人、免除の人、約三割近くいるんでしょう。年四十万円近く今の収入のレベルで、さあ払えということになったら、これは二八%、もっと上がるでしょう。どういう予測を立てていますか。
  276. 水田努

    政府委員(水田努君) 現在私ども全国六千世帯に無作為で調査をいたしまして、回答を得ましたものの中で、無記名回答ということになっておりますので正直に回答しておられまして、九・三%の人が滞納をしているというお答えをいただいておりますが、必要経費を除いたあとの収入、階級別に見ますと、三百万以上の収入のある方が何と三一%も納めておられないという回答を得ているわけですが、やはり私どもは、この滞納の問題については、国民によく国民年金の制度を理解してもらい、また納めやすい環境づくりをすることによって対処していかなきゃならぬと思っております。  特に滞納の問題は、都市部の人口の流入流出の大変激しいところに多いだけに、ここについての対策を講ずることによって、この制度の維持は私どもは将来とも十分できるものと考えているところでございます。
  277. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 答えになっていない。今二八%だけれども、四十万円近くに値上げされた場合、免除、滞納率はどのぐらいになると推測していますかということです。
  278. 水田努

    政府委員(水田努君) 再計算は過去のトレンドによっていたすことにしておりますので、先ほど運営部長がお答えいたしましたトレンドによって免除率あるいは滞納率というものは財政再計算上推測をいたしておりますが、それはあくまでも保険集団としてそうであって、一人の人が一生を通じて常に免除を受けたり、常に一生を通じて滞納をするということはあり得ないものと考えております。
  279. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 はっきり答えないので言いますと、昭和六十年四月二十三日、社労委員会で、共産党の安武洋子議員の質問に対し、厚生省は「二五%ぐらい」こう答えている。しかし、もう既に二八%なんですよ。それで、今二十万で二八%なんだから、四十万近くなってごらんなさい、必ず四割になりますよ。しかも、安武さんの質問に対して、当時の吉原健二年金局長は、今の次官です、こう言っている。保険料というのは払っていただかなきゃならぬ、だから「御協力がございませんと、基礎年金制度というものは、なかなか私どもが考えているようにいかない心配がある、それは確かでございます。」と。心配がある、危ないと言っているんですよ。  それで、皆さんどうなりますか。こういう高齢化社会のためというんだが、こういうふうに六十五になっても年金をもらえなかったり年金が減額される方々が、政府の、あなた方の年金改悪案だと四割近く恐らくなるんですよ。この方々も消費税を取られるんだから、どうなりますか。今、年金生活者の方々が毎日の食費を切り詰める以外にないとあれだけ訴えているじゃありませんか。年金をもらっている方々で食費を切り詰める以外にない、消費税廃止を要望しているのに、年金をもらえなかった人、その年金をもらう額も減額されるような方々からも消費税を取り上げようというんですから、何が高齢化社会のためですか、とんでもないじゃありませんか。何か言うことがありますか。
  280. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今、実は年金局長の答弁を聞いておりまして、私ももう一つよくその数字の説明がわかりにくい部分がありました。しかし、委員が御指摘になりましたように、機械的に今の制度を延ばして数字を掛けていかれた場合と、制度改正により少しでも負担を抑えていこう、そして給付を維持しようとしている努力、その双方をよく御検討いただきたいと思っております。
  281. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 上田君、時間が参りました。
  282. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 委員長、最後、もうこれで終わります。  大蔵大臣出席の広告が出ているけれども、あの政府広報を読んで、ある七十一歳の方の投書があります。「日本の老人は国にとって厄介な存在なのであろうか。」、「政府広報を見るにつけ、老人は身も心も細る思いである。」と。だから、高齢化社会のためなんかで全くなくて、高齢者まで、社会的弱者までどんどんどんどん大きな負担をかける、しかも公約違反で。しかも目的は、私ども何度も明らかにしてきましたように、日本の軍備大拡張とアメリカが要望するアメリカと仲のいい国に対する政府開発援助、それから大企業の減税ですよ。  こういうもののための消費税廃止以外にない。廃止以外にないということを私は強く主張して、質問を終わります。
  283. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 以上で上田耕一郎君の質疑は終了いたしました。(拍手)     ─────────────
  284. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 次に、中村鋭一君の質疑を行います。中村君。
  285. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 去る七月の参議院選挙で連合参議院という会派が誕生いたしました。この会派の十二名のうち十一人が新しく当選した議員であります。その十一名中の十名はいずれも一人区におきまして自民党の候補を破って当選を果たしました。その結果、与野党が逆転したことは総理も御案内のとおりであると思います。  まず、この連合参議院という新しい会派が誕生して、そうして与野党が逆転して、参議院に全く新しい流れが誕生したことについて総理の御見解をお伺いいたします。
  286. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) おっしゃるとおりに、参議院に新しい会派がおできになったこと、そして保革の数が変わったということを私は厳しく受けとめております。
  287. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 厳しくとおっしゃいますと、その厳しいという言葉意味は、自民党が完敗をした、 同時に、連合参議院という無所属の新会派が誕生したことをお喜びいただいているわけでございますか。
  288. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 物事にはすべて光の面と影の面がございますが、連合参議院おめでとうございましたというのは光の面で、自由民主党としては極めて残念であったというのが影の面でございますが、率直に事実として評価をさせていただきます。
  289. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これまで例えば参議院は第二院でありますとか衆議院のカーボンコピーでありますとか、中にはもう参議院は要らないんじゃないかとか、こういう声を出す人がありましたけれども、今回の選挙結果は、単に数だけではなくて、良識の府として、これまで言われてまいりましたけれども、チェック・アンド・バランスの機能を果たす、どちらかといえば、参議院議員というのは政党とはむしろ遠心的に存在をして国民皆さんの信託にこたえていくべきである、そのことを有権者の皆さんも御評価された結果、そのことについてこれはやはりそうでなければいけないという観点から今回参議院与野党逆転というものが果たされて、連合参議院が誕生したのだ。こう思いますけれども、この点について参議院というものの存在意義を総理がどのようにお考えになっているかお伺いをさしていただきます。
  290. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 国会二院制度をとっております。そして、アメリカの二院制度とか、特にイギリスの二院制度とは違って、日本の場合は憲法上もいろいろなことが記されてございます。ですから、参議院の存在の意義というものは私なりに十分承知をしておるつもりでございます。
  291. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 福島労働大臣は、先日、参議院を犬の遠ぼえにお例えになった。これは、どうもやっぱり参議院というものを正しく理解していらっしゃらないから、ともすれば本音が出て、軽視するような発言が出たのではないかと思います。これはお取り消しになったことでございますから、そのときのことをあげつらう気持ちはございませんけれども、しかし、以後、労働大臣は随分御勉強もされて、衆議院とは違った参議院の存在価値について今は違った御見識をお持ちであると思いますので、参議院というものの有用性、それが国民に対してどういう作用をなすべきかについて、労働大臣の御見解をお聞かせ願いたいと思います。    〔委員長退席、理事平井卓志君着席〕
  292. 福島譲二

    国務大臣福島譲二君) お答えを申し上げます。  委員指摘のような形において私は参議院を軽視するような発言をいたしたつもりはございません。ただ、私の発言があるいは不十分、あるいは不用意ということで皆様方に御批判や御不快の念を与えたことは大変申しわけない、このように申し上げたことでございます。  そして今、両院の意義についてお話がございました。もしも両院の意思というものが常に同じであるとすれば、あるいは一院であってもいいというようなことが言われるかもしれません。しかし、まさに衆議院自民党が多数、参議院野党が多数という新たなる事態を迎えました。その段階におきまして、衆議院参議院の意思の違いが出てくるということはこれから間々あることではなかろうかなと私は思っております。しかし今後は、与野党ともに相手の主張、意見に従来以上に耳を傾け、その中での合意を形成していくという姿勢が何よりも必要ではないかと思っておる次第でございます。
  293. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今、労働大臣、衆議院自民党が多数で、参議院野党が多数になった、その点に意義を認めるかのような御発言であったと理解いたしますが、私が大臣に期待をいたしましたのは、それもありますけれども、そうじゃなくて、参議院というのは、今回与野党が逆転をしたから参議院の有用性が高まったのではなくて、我が国の二院制というのは、単にその数の論理だけではなくて、参議院が常に良識と議員個人の見識というものが先行して、政党の個々の利害を超越して、将来我が日本のためにどういうことを論じどういうことを決定していくのかが問わるべきものが参議院である、そのような御見解を私は述べていただきたかった次第でございます。  総理にお尋ねいたしますが、私、実は昭和一けたでございます。総理よりも一歳年長でございます。あの終戦直後の焼け跡、やみ市の時代に青春時代を共有した者といたしまして、初めて明治、大正世代ではなく昭和一けたの仲間から総理大臣が誕生した。このことは同世代の人間として個人的にはお喜びを申し上げたいと思うんです。何なら水玉のネクタイぐらい一本差し上げたいような心境ではございますけれども、ただ、自民党総裁、そして自民党総裁である内閣総理大臣海部俊樹さんがこの参議院予算委員会に座っていらっしゃることは、やや私は場違いであるかとも思います。  何となれば、今回の選挙の結果、両院におきまして総理大臣の指名がなされました。そうして、参議院の総意におきまして国民はあなたとは違う人を内閣総理大臣に指名したのであります。したがいまして、参議院衆議院において院の意思というものは別個に示されたのでございますから、直近の七月の二十三日に投票された民意というものがあなたとは別の人を総理大臣に指名しているんですから、海部さん、もしあなたが本当に国民の意思というものを重く見られるならば、じゃ私の信任は改めて選挙をもって国民皆さんにお尋ねいたしますと、個人的にも自民党総裁としても内閣総辞職、国会を解散して民意を問うべきである、このように私は思いますが、その点についてはいかがお考えでございますか。
  294. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 前提としておっしゃいましたことはありがたくお聞きをさせていただきます。  それから、おっしゃるように衆議院で私は総理大臣の指名をいただきましたが、参議院ではいただきませんでした。けれども、日本国憲法の手続を踏んでお認めをいただいて総理大臣に就任させていただきました。これも日本の議会制民主主義というものは憲法に従っていきますとこういうことになるのでありますから、ですから、最初に申し上げたように、私はあの結果を厳しく受けとめて、参議院衆議院の現在のあり方を考えながら行政を担当していかなければならぬと、こういう決意を申し上げた次第でございます。  なお、参議院には参議院の任期があり、衆議院には衆議院の一応の任期がございます。解散ということももちろんありますけれども、しかし国民皆さんの側から見たときに、その任期期間中その人に負託をする、これが議会制民主主義のよって立つ基盤でございます。ですから、私は民意は大切に尊重しなきゃならぬならぬと思っておりますが、そうかといって、今直ちに解散をして信を問うという考えはございません。
  295. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 おっしゃいますが、参議院議員は任期六年でございます。衆議院はなるほど任期四年でございますけれども、一方で解散の大権というのは総理大臣に固有の権利でございますから、常に総理大臣というものは、民意というものがどこにあるかをいつでも謙虚に見ながら、国民の意思がどの辺にあるかというような動きを敏感に感得されるならば、私は今まさに解散して民意を問うべき時期である、その何よりもの証明が参議院における与野党逆転である、こう申し上げているわけでございます。  外務大臣にお尋ねいたしますが、きょうの新聞では、大臣は海部総理に外遊を慫慂された、このような報道がなされておりますが、これは事実でございますか。
  296. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 総理にお願いをしたと申しますよりも、外務省といたしましては、極めて激しい勢いでただいま国際社会は激動いたしておりまして、そういう中で西側陣営の責任ある経済大国としての日本としては、できるだけ日本国の総理大臣がいろんな国の指導者たちと国際情勢について意見を交換することは、日本のために極 めて大切であるという考え方の中で、この通常国会召集後、自然休会になりました時点では例年総理大臣が海外に出られて首脳外交をやっておられますので、そういう考え方に立ちまして、来るべき一月の自然休会の間にいかなる首脳外交をやることが日本のためになるかという考え方でいろいろと検討をいたしておるということでございます。    〔理事平井卓志君退席、委員長着席〕
  297. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 総理は今、解散というものがジャーナリズムの世界あるいは国民一般の間で論議されているのは承知していらっしゃると思いますが、その場合に、例えば一月に外遊をなさるということになりますと、当然ながら解散の日程というものに大きな影響を与えてまいりますが、その解散ということと、外務大臣が一度外遊をされたらいかがですかというような御意見をお持ちのことについて、連関してお考えになったことはございますか。
  298. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今は内外ともに非常に重要なときでありますし、私はただいま与えられた政策努力に全力を挙げたい、したがって解散のことは考えておりませんということを繰り返し申し上げてまいりました。  それから、外務大臣と先生とのやりとりを今聞いておりまして、また外務大臣自身考え方は、今東西の枠組みが非常に大きく変動しつつある、しかも西側陣営、自由主義諸国の一員として日本は、アメリカはもちろんのことEC諸国とも、そしてまた変わり行く世界のいろいろな国々とも相互依存関係を高めてできる限りの協力をして貢献をしていかなきゃならぬので、前例等も踏まえて、こういうときには外交努力にも時間を割いたらどうですかということでございます。  私も、それはできるなれば外交努力もきちっとしていかなければならない政策上の問題でございますから、解散のことと絡めて考えておるわけでは全くございませんが、国会にお許しがいただけるような時期が来たならば、そのときにはいろいろな首脳とも会い、自分の見聞も広め、そして努力をしていきたい、こう思っておりますので、別に絡ませておるわけではありませんが、外遊のことは頭の中にございます。
  299. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それでは、その外遊とは切り離して、今総理の頭の中に、解散して総選挙で民意を問おう、そういう気持ちはございますか。
  300. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) やるべき政策問題がたくさんございますからそれに取り組んで、今解散をしようということは全く考えておりません。
  301. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ということは、今おっしゃいましたように、衆議院議員は四年の任期を全うすべきであるから解散ということは全く念頭にない、任期を全うすべきである、そのようにお考えなわけでございますか。
  302. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 憲法上の任期でございますから、一応その任期というものを大前提に置いて誠心誠意政策努力に取り組んでいきたい、こう考えております。
  303. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 我が連合参議院は、新しい政治改革をしてほしいという、こういう国民の期待を受けて誕生したんだと思います。ですから、立候補者中一名を残して全員が当選するという、こういう御期待を集めて誕生いたしました。  私も選挙を戦ってまいりましたけれども、有権者の皆さんのお気持ちは、政治家というのは永田町だけに通用する言葉で話をし過ぎるんじゃないか、もっともっと国民にわかりやすい言葉を使ってもらいたい。これが一つあったと思いますし、それからいま一つは、政治家というのはどうしてタクティックスというんですか、術策だとか、それから言葉のもてあそびとでもいうんですか、巧みに表現を、ニュアンスを変えていきまして、初めと終わりとでは随分言い回しによって意味するところが違うじゃないか、こういうことについての不満というものを国民皆さんが持っていらっしゃる。言葉をかえれば、有権者はある意味においては政治家を信用していない、政治家をうそつきだと思っている。それから、言葉のもてあそびで意味するところを巧みに変えていこうとする、そういうことにばかりたけている人、それが政治家である、このように思います。  形容詞を選ぶ。例えば消費税、こういうものにつきましても、総理最初は言い方を変えていらっしゃいました、今日に至るまでですね。とにかく消費税というものについて国民皆さんに御理解をお願いいたします、断固やります、こう言っておられたのが、徐々にその言い方が変わってきていて表現が弱まっていっているように思うんです。その点について一、二お伺いをしたい、こう思います。  ここに新聞広告がございます。「語り合いましょう 消費税について(その2)」とございまして、橋本大蔵大臣がにこやかにほほ笑んでいらっしゃいます。この広告でございますが、これはどういう費目で何回ぐらい打たれた広告でございますか。まず、それをお伺いいたしたいと思います。
  304. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 四回広告をいたしております。  予算の費目は、総理府の経費、それから大蔵省の経費、両方ございます。
  305. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 じゃ総理府の方にお伺いいたしますが、この広告代は幾らぐらいかかったんでしょうね。
  306. 岡村健

    政府委員(岡村健君) 総理府広報予算として約三億円でございます。
  307. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 三億円を使ってこの「語り合いましょう 消費税について」と、これは広告でございますね、何回か打たれているんですが、大蔵大臣、この目的とするところは何でございますか。
  308. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 広告と申しますより、私の言葉で言わせていただくなら政府広報であります。  そして、最初に私が呼びかけましたのは、「もう一度、お話させてください。消費税について。」ということで、高齢化社会についての話をさせていただきました。二度目に、「あなたも、一緒に考えてみてください。消費税について。」ということで、国際的な税制の状況をお話しさせていただきました。そして、今委員がお持ちになります前に、もう一度御一緒に考えましょう、消費税についてという呼びかけと、そして今「語り合いましょう 消費税について」ということでお願いを申し上げております。  私が意図いたしましたことは、これによって消費税というものをもう一度本当に考え直してみていただきたい、そしてその中で御意見があるなら、その御意見を私にいただきたいという呼びかけをしたいということでありました。今一万三千通を超えるお手紙をいただいておりまして、それぞれに非常に真剣な中身のお手紙をいただいていることを私は幸せに思っております。
  309. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この内容が、どうもこれを読んでおりますと、消費税に私は反対ですというお手紙の御紹介はないようでございますね。そうして、「老人保健法により救われています。有り難いと感謝一杯です。それが今回の消費税制により僅かながらも社会に「お返し」することが出来、生きるプライドを与えられた気がいたします。この制度に感謝すら覚えました。」と、こう言っておられるわけですね。  政府の広報というのは、国民一般に、政治について、政府の政策について、正しい御理解を得るためになされるべきであると思います。消費税は、今参議院税制改革特別委員会をつくって、我々は消費税をなくするための法律案を提出して、これからこれは国民のためにならぬから消費税はやめましょうという論議をしているわけですね。で、いずれこの参議院におきまして、その問題について、いわばこれを土俵に例えれば、その土俵の上で自民党政府や我々野党が真剣に国民のために討論をしていくべきでございますが、この広告、この政府PRでは、予断をもって国民の世論を誘導する。  いわばこれを野球に例えれば、今、日本シリー ズをやっていますけれども、とにかく野球がこれから始まろうとする前に満員のお客さんに対して、皆さん巨人ファンになってくださいよ、巨人が絶対いいですよ、巨人の言っていることは理屈ですよ、こういうふうに言っていることになりはしませんか。  こういうPRというのは、やはり国民に公平に判断の材料を与えるべきであると思いますが、これで見ると、国民皆さん消費税はいいですよ、すばらしいですよ、賛成してください、いいじゃないですかと。それを、今も聞きますと多額の国民の税金を使っておやりになっている。このことは衆議院でも社会党の伊藤さんがお尋ねでございました。こういうことについて私は法律的にどうこうと言っているんじゃないんです。政治家というのはすぐれて倫理的であらねばならない、その点において本当に大蔵大臣、心中にこういうpRをされるということについてやましいことはございませんか。
  310. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員は、政府広報のその新聞に掲載された現物をお持ちであります。よくお読みをいただきたいのは、ここには三通の手紙を紹介させていただきました。それぞれ投書を下さった方に御連絡をとり、御了承をいただいて掲載をさせていただいております。  第一通に載せさせていただいておりますのは、「私の夫は、聴覚障害者の上、腎不全で週三回透析に通う身であります。毎日夫の介護で仕事にもなりません。夫妻の障害者年金でくらしています。三カ月分で合わせて三十六万円しかありません。楽な生活ではありません。」、まさに消費税に対する不満を訴えてこられたお手紙を掲載いたしております。  二通目に掲載させていただいておりますのも、「この消費税は、高齢化社会のためと言われていますが、我々年金しかもらっていない年寄りの生活を直撃しています。将来の高齢者だけでなく今の高齢者のことも考えて下さい。」、私どもとすれば、年金改正案の中に消費税の影響を盛り込んだ年金の改定額を国会で御審議をいただこうとしておるわけでありますけれども、しかし、この投書は今のような不満を訴えておられます。今あなたは特定な意見だけを取り上げたような言われ方をいたしましたが、三通ここに載せさせていただきましたうちの二通は、まさに我々に対する厳しい御意見をそのまま掲載しております。不公平な掲載の仕方をしておるものではありません。  そして同時にお考えをいただきたいことは、政府は現にある税制を、そしてその税制の中にあります消費税というものを定着させようと努力いたしております。委員廃止を主張されましたが、私ども見直し国民にお約束してまいりました。そして、国民からふだん私どもがなかなか伺えない素直な声を聞かせていただこうとしてこういう政府広報を担当者も企画いたしたと考えております。そして、いただきましたお手紙には本当に幅の広いものがございます。反対の御意見もございます。賛成の御意見もございます。見直しを要望される御意見もあります。これを私は素直に国民の声として受けとめるべきものとして、私ども消費税見直していく上でのよい参考、勉強材料にさせていただいていることも申し添えます。
  311. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 おっしゃいますが、しかしこの中には消費税はなかなかいいというようなニュアンスの表現がありまして、一方で、消費税は絶対困るからやめてくださいという表現は、巧みに選んで、そういう表現を感じさせるようなものは採用していらっしゃらないわけですね。ですから、私はそういうふうにおっしゃるなら、公平の原則で言うならば、消費税は困るという投書も真っ向からここに取り上げるべきであると思う。選び方の問題なんです。それを言っているんです。  さっきから私が言っているのは、政治家というのは巧みに表現を変化させていき、形容詞を選びながらやっている。しかも橋本大蔵大臣は、本当に油つぼから出たような美男子でございます。なかなか婦人にも人気がある。だから、政府皆さん自民党皆さんがここで大蔵大臣を頼りにして、大蔵大臣のにこっと笑っている写真を出して、そうして結論するところは要するに消費税というものについてとにかく国民理解を得たい、そのことをPRしたいという本音が出ているように私は思います。しかも、この後の「お手紙ありがとうございます。」の文章を見ましても、消費税が困る、やめてもらいたいというようなニュアンスは全くありません。そのことを私は問題にしているのであります。
  312. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますけれども、私の男ぶりを褒めていただいたのはありがとうございます。  しかし、政府広報はまさに消費税国民理解していただき、定着させようとしておるのでありますから、それはどうぞ御理解をいただきたい。消費税廃止するための政府広報ではございません。政府広報はあくまでも税制改革の中において所得税、法人税、住民税を軽減し、そして物品税を廃止いたしましたかわりに新たに創設をいたしました消費税につき、より御理解をいただきたいと努力をしておるということでありますから、それは委員が御指摘のとおり、まさに政府として御理解をいただく努力をしておるということであります。
  313. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは見解の相違ということになると思いますが、しかし私は、国民一般はこの政府広報を見て、ああ実に公平だな、消費税に反対の人もそして反対でない人も本当に客観的、公正に判断する手がかりを与えてもらったと思うよりも、大方国民は、端的に言えばこれを見て、ああ政府が橋本大蔵大臣を先頭に押しかけて何とか消費税を強行突破しようとして、高い国民の税金を使って広報を展開しているんだなと思いますよということを申し上げているのであります。  総理は、参議院選挙の敗因の一つに消費税に対するPRの不足があったと、こういう意味のことを言っていらっしゃいますが、今もその認識のことは変わりませんか。
  314. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私は、税制改革全体をとらえて御説明をすれば、いろいろな減税等もあるわけでありますし、ゆがみ、ひずみの指摘された物品税がなくなっておるという問題もあるわけですから、そういったことを全部あわせて考えていただければ、少なくとも消費税の三%でこれでもう生活が苦しくなった、だめになった、政府はひどいんだというような御意見は出てこないものと、そう思っておるんです。  ところが、この間もスーパーマーケットへ行って買い物をしてお話をしましたら、三%高くなった高くなった、それが皆損だとおっしゃいますので、そうじゃございません、安くなったものもあるじゃないですか、例えば所得税はと言ってお話をしましたら、本当というような返事が来て、私も面食らったことがございます。あるいはまた、いろいろな段階で電気税、ガス税がなくなったんですよということを言っても、そんなことがあるかと言う方もあります。結局それは、私が申し上げているように、内容全部をひっくるめて消費税は三%かかるんだということだけはよく御理解いただいても、その他いろいろ我々が聞いていただきたいと思っていることの、知っていただきたいと思っていることのいろいろな問題は十分御理解をいただけなかった。  そのことについて率直に反省をすれば、やっぱり国会審議の中の長時間をすべて消費税の論争に割くということもできませんでしたし、また我々がみずからみんなが選挙区へ行って内容を周知徹底する努力はしたんですが、それが十分ではなかったということを謙虚に反省をしておりますと、こう申し上げました。その気持ちは、私は今も持っております。聞いていただいてわかっていただきたいという気持ちが根底にあることは間違いございません。
  315. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 この新聞広告もその国民理解に対する一つの方法であると少なくとも政府自民党皆さんは思っていらっしゃるのですね。我々は、少なくとも私はそうは思いません。これはも う消費税PRのために国民の血税を使ってやったものだと。  しかし、そのように総理初め皆さんがお考えになるのはそれはお立場上当然だと思いますが、では、もし先般の参議院選挙で、十分にPRというものが行き届いていればあのような自民党の惨敗はなかったとお考えですか。
  316. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 消費税のことだけで選挙を戦ったというなれば、消費税の中身を十分御説明させていただいたならば結果は変わっておったのではなかろうかというような希望的観測をやっぱり私としては持ちたいんですけれども、正直に言ってこの間の参議院選挙は論争点はそれだけじゃなく、むしろそれよりも以前の問題としてリクルート事件に端を発した政治不信というのがあったことも我々は率直に認めなければなりませんし、それを乗り越えて政治の信頼を獲得するための政治改革をいたしますということで、いろいろ政治改革の姿も話しました。また、それぞれの地域にかかわる問題が論争点として上がったことも委員御承知のとおりだと思います。そういった中の選挙でございました。
  317. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 私がお伺いするのは、それは自民党が負けたことにはいろいろな原因があると思いますが、その原因の一つに消費税に対する国民理解が行き届かなかった、言葉をかえれば、もう一遍言いますが、この橋本さんの写真を使ったようなこういうPRをしっかりとやっていれば負けなかった、こんなには負けなかったという認識はありますかとお伺いしているんです。
  318. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私がよくお話しに行きましても、今びっくりするぐらい高齢化社会で将来の負担が大変になりますから、もう少し広く薄く社会共通の基盤で税を負担するようにしていきたい、そういう税制改革を考えておるんです。今のまま何もしないでほうっておきますと、中堅サラリーマンの方の税の負担率は二〇一〇年には二倍になっちゃって、重税感どころではありません。今からみんなでバランスよく負担しなきゃならぬ、そういう仕組みを今からつくっていきましょうというようなことを言いますと、うん、それはよくわかるとこうおっしゃってくださるんですよ。  ですから、十分説明できて、十分説得できて、そしてもう一つは一々の毎日毎日のお買い物その他のときに主婦の皆さんが皮膚で感じられた反発とか、いろいろなものがあるでしょう。そういったようなことを謙虚にもう一回我々は全部反省をしなきゃなりませんが、この税の仕組みを今のままでほうっておいていいという意見には私はどうしても賛成できません。変えていかなきゃならぬという気持ちでお願いをしていったならばおわかりいただける分が多くなるのではないだろうかと、こんな感じを持っておりますが。
  319. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 とすれば、きのうの夜テレビでもやっておりましたけれども、どうも消費税の思い切った見直しというのは無理だろう、こう思っている国民が六二%である、このように報道されておりましたね。そのことは、これだけPRをされても国民の六二%がいまだに思い切った見直しはだめだと思っているわけでありますから、これはやっぱり消費税そのものにどう見直しをしても根本的な欠陥が内在しているとしか思えないというふうには御理解はいただけませんか。
  320. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) どのようにしたら御理解がいただけるかということで見直しをしていきたいと思っていろんな御意見を聞き、作業努力をしておるわけです。そして、いろいろな世論調査の結果などを見ましても、見直しをしなさいという御要望もだんだん多くなってきていることもまたこれは事実だと思います。謙虚に受けとめて、いろいろな御意見を聞いて、そして見直しをしてまいります。
  321. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これだけ税金を使って御理解を得るためにこういう広告までしておやりになっても、六二%が政府に思い切った見直しなんかできやしない、こう言っているわけですね。そうして、自民党の中でも例えば金丸さんのように、もう消費税は不信任に遭ったんだからこれはリコールされたも一緒だとおっしゃっている方もありますね。まさに今、きのうのヒアリングを見ておりましても、自民党の中、百家争鳴ですね、凍結から小幅な見直し、大幅な見直しでしょう。  そういうような状況の中で、野党見直し案にただひたすらけちだけつけて、そうして自分の方の見直し案は出さない。党の中はまあひっくり返った騒ぎだと。こんなことでこれから本当に国民に対して十分に信託にこたえ得る見直し案というものを提示する御自信はありますか。
  322. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 自由民主党という政党はそのとおり自由な意見がいろいろ出てくるのでありますけれども意見を闘わせながら、みんな最終的にどこへどうまとめ上げていこうかということについては真剣に考えておると思っております。同時にまた、私も党の皆さんに、見直すべき点は思い切って見直してこの制度、仕組みだけはきちっと守っていきましょう、廃止をするわけにはいきませんということでお願いもし、また私ども考え方もいろいろ話しておるわけでありますから、必ず見直しはできるものと私は決意をしております。
  323. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 だから、その見直しの内容が現実にはなかなかまとまらないでしょうということを言っているんです。しかも、そういうふうな背景がありますから、海部総理の御発言も実に一進一退と言いたいですが、一進がなくて、後退に次ぐ後退ですね。八月の五日には、税制改革全体の中で思い切って見直す、こうおっしゃいました。十月二日の所信表明では、見直すべき点は思い切って見直すとおっしゃいました。それからだんだん後退をいたしまして、思い切って見直すという気持ちで私の考えをこれまで言ってきたと、何かもうわけのわからぬ、理解のできぬような言い回しに変化をしてまいりました。森山官房長官も、思い切ったと大幅なは同じ意味ではない、これは気持ちの問題だと十二日の記者会見でおっしゃっているわけですね。  私が冒頭に申し上げましたように、今国民は政治家にわかりやすい明快なうそをつかない言葉を求めているんだと、こう思うんですね。政治家が永田町にだけ通用するレトリックでいろいろと言い回しを変えていって、結果においては国民をだますことがあってはいけない、この点で私は質問をさしていただいているのであります。「思い切った」からそういう「思い切って」やるような気持ちであるというふうな変化に至った総理の心境を御説明願いたいと思います。ここずっとこの一カ月間、なぜそういうふうに発言が変わってきたんですか。
  324. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私の決意は変わっておりません。そうして、最初に私たち消費税というものは必要なんだ、中身をよく見ていただければ、ほかの政策との中での税制改革ですからこれはお認めがいただけるように、公平なものであって、減税がきちっと行き渡っておるものであるということも思っておったんですけれども、残念ながら参議院選挙であのような御批判も受けました。  私は、自由民主党総裁候補の政見のときに、見直すべき点は思い切って見直すということをきちっと書きました。それが総裁候補になるときの最初の決意でございました。税制調査会に行ったときも、そのとおり同じことを言いました。総理として一番重要に考えなければならない二日の日の所信表明でも同じことを言いました。私は、見直すべき点は思い切って見直して、それは結果として国民皆さんに御理解と納得のいただけるような見直しをしたいという気持ちの表現であり、気持ちの表現ということは私がいつも使う穏やかな言葉であって、言い直しますならば断固たる決意だと申し上げなければなりません。同じことなんです。御理解ください。
  325. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今、そのようにおっしゃいましたね。ということは、最初におっしゃったことと今改めておっしゃったことは全く変わっていないんですね。断固思い切って見直しをする、その発言後退も何もしておりませんね。  新聞の報道によれば、どんどんどんどん後退していると言っているんです。しかもその背後にあるものは、大蔵省サイドは、事務当局はそんな消費税の大幅な見直しというのは無理だと。しかも自民党の中でも百家争鳴の状況なんですから無理なんだと。しかし、政治家の皆さん方はもう間もなく選挙があるかもわかりません、衆議院の総選挙が。そのときに国民皆さんに対して説明をしなければいけませんし、何よりも議員の皆さんは再選を果たしたい、こういう気持ちがありますから、国民の気持ちに合わせるためにだんだん発言の内容が変化をしていっている。そういう背景が総理発言の微妙なトーンの変化の中にあるんじゃないですか。
  326. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) どうもお話を聞いておりますと、非常に視点を変えて、この間うちから私の発言がどんどん後退しているとか、てにをはがどうだとか、何か非常に枝葉末節のことをとらえてのお話のように聞きましたから、私は文書にして出してある最初総裁候補になったときの決意の表明の文章の中にも、そして総理として行いました所信表明の中にも、きちっと同じことが書いてあると申しました。  そうしたら、決意と気持ちが違うのは後退だといろいろおっしゃいましたので、私は言葉を使うときにやや控え目なことを言うこともありますから、気持ちと穏やかに言ったって、それは私の内に秘めたきちっとした決意なんだということを、ここで後退後退、違うとおっしゃるから申し上げておるわけで、私の言うことは初めのときから、所信表明のときから、今から見直すべき点は見直してそしてお認めをいただきたい、この制度、仕組みを残していきたい、御理解をいただきたいと、こういう同じ目標でございます。
  327. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そうであれば、やはり私は新聞やテレビが微妙に総理発言の内容が変化しているということは言わないと思いますよ、もし総理に確固たるそういう信念があるのであれば。だから、私はここでもう一遍総理にお伺いしておきたいんです。総理は本当に消費税というものが国家百年のために絶対に必要なものであるとお思いですか。それが一点です。  それからもう一点は、この消費税見直しについては、今先ほど申し上げたように自民党の党内はまさに百家争鳴の状況でありますけれども、最終的にコンセンサスを得て、本当に国民の利益に合致する方向でいわゆる見直し案なるものを早急に提示する用意がございますか。
  328. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 税制改革の柱というものは、今のままの税制で置いておいたのでは将来必ず不公平がさらに拡大をしていって、中堅サラリーマンの重税感どころではなくなるという先ほど申し上げたことや、高齢化社会には必ず負担が多くなるわけですから、それを公平に平等に社会共通の利益というものは国民全体で広く薄く負担するようにしていきたいという、そういった気持ちからいきますと、私は消費税は必要なんだと今でも思っております。  自由民主党の中にいろいろ御意見があるということも御指摘のとおりでありますが、私は、皆さん意見が今自由民主党税制調査会でも反映されております。御議論を尽くしていただいて、党の中できちっとしたおまとまりをいただきたいということを強く要請しておりますけれども見直し案は私ども努力をして、そして予算編成日程等も考慮しながらきちっとまとめていく決意でございます。
  329. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それが、国民の目から見ますと、何か野党の方はもうきっちりとまとめて、がっちりスクラムを組んで、消費税をやめましょうという法律案を税制改正特別委員会参議院でやろうじゃないかと、こう言っているわけでしょう。  それなのに自民党の方は、最前から何遍も言いますけれども、党内はまとまらないわ、百家争鳴だわ、総理発言は印象的には、思い切ったと言ってみたり何か気持ちがあると言ってみたり、そのような印象を少なくとも国民に与えているわけですね。ですから、これはやっぱり私は、国民大方の見るところは先日の参議院選挙ではっきりと意思があらわれているわけですから、消費税廃止以外に道はないんだということを御認識いただきたい、このように考えますが、その点についてはいかがでございますか。重ねて伺います。
  330. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私も重ねてお答えをさせていただきますが、この間の参議院選挙消費税廃止か存続かだけで争ったものではございませんでした。それから、野党皆さん消費税廃止とこうおっしゃいます。私たちは、それには消費税は存続とお答えをさせていただかなければなりません。  ただ、この間の参議院の結果等を厳しく受けとめたり世論調査の結果等を見ますと、我々も見直すべき点はやっぱり見直していきませんと、国民皆さん理解と納得を求めていく以上はそれはやっぱりそれぐらいの努力は思い切ってしていかなきゃならないということでありますから、そういう気持ちでやっておるわけでありますから、これは先生御理解いただきたいと思います。
  331. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ですから、その政府見直し案なるものが一向姿をあらわしてこないわけですね。そして、野党考え方のいわば揚げ足をとるようなことをおっしゃっているから、だから、それだったらやっぱり思い切って解散をなさって民意のあるところをはっきり問われるのがいいんじゃないか、こういうことでございますが、もう一遍だけ伺います。解散のお気持ちはございます
  332. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今、解散をしようという気持ちは全く持っておりません。
  333. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 竹下元総理は、一省庁一部局一機関の地方分散を目玉政策として発表なさいました。公約であります。六十三年の七月の十九日に国の行政機関等の移転に関する基本方針として閣議決定されておりますが、国民はこのことには心から喝采を送ったと思います。しかし、現実にこれを見ますと、全くまだこの公約は果たされていないと言わざるを得ません。  八月の二十四日に発表されました移転先等の取りまとめを見ますと、そのほとんどが首都圏内でありました。移転をしたほとんどすべてが研究所の移転等でお茶を濁している印象でございます。  各省大臣の今の具体的な移転計画と、それがいつ完了するのか、お伺いをさせていただきたいと思います。
  334. 石井一

    国務大臣石井一君) 前内閣に引き続きまして、海部内閣が発足いたしました直後、約束をいたしました八月内に移転機関の発表をしたわけでございます。御案内のとおり七十九機関。しかしながら、御指摘のとおりほとんどが首都圏で、北海道あるいは福岡、神戸等々へ出ましたのはほんの四機関でございました。八月、大変な苦労がございまして、やはり出ていかれる機関の立場を考えますと、政策的には正しいものであっても実際にはなかなか実施が難しいという問題もあったかと思います。  そういう中で、千葉県でありますとか埼玉県あるいは神奈川県に移ったものもたくさんございますが、重要なポイントはやはり東京の都区部から出ていったということ、これはやはり一つ評価できるところではないか。特に中央三区と申しますか、千代田区、中央区、港区から出てまいりましたものというものに対しましても、これは一点集中という批判がございますだけに、一つの評価をお与えいただけるのではないかと思います。  研究機関と申されましたが、研究機関以外にいわゆる関東ブロックの支所でございますとか、そのほか特殊法人というものが相当数がございますので、この点もひとつ御認識をいただきたいと思っております。  なお、今後の移転の時期等につきましては、今国土庁を中心に内閣官房等関係省庁が鋭意協議をいたしておりまして、その協議機関もつくっております。ただ、やはり移転先の建設用地の整備、あるいはそれに対する受け入れ態勢の完備、また そこに働いておられる皆様方のいわゆる住居の問題等々につきまして、これは鋭意努力をいたしましても数年は要する、これはやむを得ぬ一つの事情ではないかと思うわけでございます。
  335. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 具体的に、今現在どれだけのスペースが生じておりますか。
  336. 石井一

    国務大臣石井一君) スペースとして、七十九機関の対象とされました移転の跡地として三十六ヘクタールというデータが私のところにございます。特に大きい省庁といたしましては、警察庁の約五ヘクタール、大蔵省の約五ヘクタール、文部省の約十ヘクタール、さらに厚生省の約五ヘクタール、その他総合いたしまして大体それぐらいの広さでございます。ちなみに、日比谷公園が十五ヘクタールと申しますので、これの二倍強程度の跡地が東京の中心部分であく、そういう計画にあると御理解いただいていいと思います。
  337. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 その跡地利用は、どのようになさるんでしょうか。民間不動産に払い下げるんですか。
  338. 石井一

    国務大臣石井一君) 原則的に、そういう意図はございません。既にうたわれておりますように、「極力公共・公益的利用を図る等適切な利用・処分を行う」、こういうことでございます。  実は、先般東京都の区長さんがそろって私のところにお見えになりまして、跡地に関しては将来計画であっても地方自治体の用に供していただきたいと、そういう御要望もございました。私は、原則的にそれも結構であるけれども、仮に地方の自治体にお渡ししてもそれをそのまま数年間放置されるというふうなことになりますと、結局は公共の用に供するかどうかというのは疑問がある、その場合にもはっきりとした公共的に使用できる計画を添えてひとつ御提出をいただきたい、その場合にはそういう御要望にこたえたい、こういうことを明確に答えておるところでございます。
  339. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 住宅に供するという御計画はいかがですか。
  340. 石井一

    国務大臣石井一君) 率直に申しまして、まだそこまで具体的に詰まっておりません。しかし、住宅というのは一つの考慮すべき対象になるものではないかと思います。委員も御案内のとおり、東京の通勤圏というものがこれだけ遠くなり、一時間半なり二時間を要して通勤をされておられる方々、東京の流入人口が三百万以上だというふうな状況のときに、やはり都心の跡地を公共的に住宅に使い職住接近を図り、そのエネルギーを日本の経済に持っていくということも非常に重要なことだと思っておりますので、今後十分考慮していきたいと考えております。
  341. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 今の計画が完了するのは、大体何年後ぐらいを予定していらっしゃいますか。
  342. 石井一

    国務大臣石井一君) 例えば大宮へ移ります大宮操車場の跡地なんというふうなことになりますと、土地の整備から始めましていわゆるビルディングの建設というふうなことになりますから、早くても三年ぐらいのタイムスパンはかかるであろうというふうに想像もできます。しかしながらまた、横浜の港北ニュータウンのように、既にもう敷地ができておりましてそこにあと、ビルを建設するだけだというふうな状況もございますので、それはもっと早くなり得る可能性もございます。できるだけ速やかに、準備が整い次第、やはり政府が打ち出した方針でございますから、これを実行に移したい、そういう考え方であります。
  343. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これはまだまだ日数がかかるということなんですが、今ほとんどが首都圏内とおっしゃいましたが、最初に竹下さんが計画されたところでは、やっぱり地方分散でありますから首都圏内だけじゃなくて日本全国に一機関一部局が移転をしていく、それがねらいであったと思うんですが、どうもこれを見ておりますと全くそれが果たされそうにございませんがね。だから、最初おっしゃったことと現実の今の計画の進みぐあいに随分大きな違いがあるように思いますが。
  344. 石井一

    国務大臣石井一君) ある意味におきましては委員の御指摘のとおりだろうと思います。もう少し前に就任さしていただきましたら私ももう少し馬力を出したと思うのでございますが、しかしながら恐らく相当の努力を各省庁されたと思います。そうして、それが政府の率先垂範という姿勢も示しまして、例えば民間機関におきまして本社を最近移しておる。それは本社機能のコストでありますとか住宅の問題等々ほかの理由もあると思いますけれども、私はやはり一歩前進であると。今後やはり中村委員のおっしゃっておる方向へ時間をかけて持っていく。そういうことによって今の機能分散型国土の形成というものを達成する。時間をかけ努力をし、あらゆる省庁の協力によって、また国民理解によって達成しなければいかぬ問題である、そのように認識いたしております。
  345. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 長官、どうでしょうか、この跡地利用は一番重点的にはやはり住宅政策にお役立てになるおつもりですか。
  346. 石井一

    国務大臣石井一君) その点は先ほども申し上げました。住宅ということはまず第一に考えなければいけないと思いますけれども、常に使われます言葉は公共的、公用的、公にということでございます。私の立場としてはいささかなりとも地価の高騰を招くようなことのない方向で、やはり公のところでございますから国民の納得いく方向で住宅も含めて検討するべきではないか。子細にわたっては建設省のお考えもあると思いますけれども、それをまとめております国土庁といたしましてはそういう認識に立っておるわけでございます。
  347. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 新聞報道によりますといろいろなシナリオが書かれておりまして、想定がされておりますけれども、「対象七十九機関すべてが東京二十三区外へ移転する」、それから「国の地方支分部局と一部特殊法人の移転が実現する」、それから「本四公団など一部機関・法人の移転だけで終息する」、こういう予想を立てまして、そして二重丸の本命は本四公団など一部機関・法人の移転だけで終わるだろう、こういう報道もなされているわけでありますが、この点について国土庁長官の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  348. 石井一

    国務大臣石井一君) 実はきょうそういうふうなこともお尋ねになるんじゃないかと思いまして、打ち合わせをいたしました。これに対して歯どめはどうなるのかという私の質問に対しまして、これはやはり年々予算措置をとっていく。例えば、移転先地に対しましてビルを建設する、用地を確保するということをやってまいりますと方針が決まったからには、そういう方向で進まざるを得ない、進むべきである、また政府が公に発表をしたものを今のような形で済ますわけにはこれはいかない、今後いかなることがございましてもこの発表に対しましては忠実にこれを履行する、こういう姿勢で臨んでいきたいと思っております。
  349. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 これは総理を初めお願いをしておきます。先ほど来から私が言っております、政治家がレトリックで華々しく目玉として打ち出しまして、いつの間にかそれが後退をしていって忘れられてしまう。だから政治家が信用を失うわけでございまして、これは竹下内閣のときに国民に対して打ち出された立派な政策でありますから、このことはひとつ不退転の決意で取り組んでいただきたいと思います。ますます政治家が信用を失うことになると思いますので、特に要望をしておきたいと思います。  総理は、クロヨンという言葉と、その意味するところを御存じでございますか。
  350. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) その言葉は知っております。そして、大ざっぱでありますけれども、税の捕捉率の相違によってそれぞれの段階の方々に不公平感があるということを端的に数字にあらわしてクロヨンと呼んだのではないかと、私はそのように受けとめております。
  351. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 とすれば、累進税率の段階をなるたけ少なくして垂直的な公平を図っていく、カーブをなだらかにして階段も少なくする、これが大切なことだ、垂直的公平を果たすのが大切なことだと思うんですが、その点について大蔵大臣の御 見解をお伺いいたしま
  352. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今委員の御指摘になりましたような考え方から、かつて十五段階ありました刻みを五段階に整理し、そして一〇%から五〇%の間に税率をおさめ簡素化を図り、同時に、一生の間せいぜい一つないし二つの刻みの中で大抵の方が対応していただけるような税制を用意したわけであります。
  353. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 医師の優遇税制でありますとか、それからキャピタルゲイン課税でありますとか、みなし法人課税でありますとか、宗教法人課税でありますとか、こういうことについてもやはり思い切って鋭く踏み込むのが税制改正のあり方ではないかと思いますが、大蔵大臣いかがでございますか。
  354. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今幾つかの項目の御指摘がございましたが、例えばいわゆる社会保険診療報酬に係る概算経費率の特例制度は、昨年十二月の税制改革によりまして、その年の社会保険診療報酬が五千万円を超えた方にはこの特例を適用しないという適正化措置を既にとったわけでございます。  これによりまして、実質上僻地の医師でありますとか、あるいは小さな、それこそ御夫妻が医師と看護婦を兼業されたり、あるいは薬剤師を兼業されたりするような小さなお医者さん方が実質的に御利用になる制度にこれは切りかわってまいりました。そのほかに幾つかの例示を挙げられましたけれども、それぞれ昨年でありましたか、与野党税制改革の中におけるこうした特例措置の論議をされましたときに一定の方向の出ておる話もございまして、一定の期間内に見直しを行うという対応で現在進めておるものもございます。今委員の御指摘になりましたような問題意識は同一のものと心得ます。
  355. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 所得と資産と消費のバランスの問題ですけれども、昭和六十一年に所得課税が六〇・九%、税制改革後五一・九ですね。資産課税の方は一九・一から二一・八ですから、プラス二・七ということなんですね。どこへシフトしたかといいますと、これが消費課税等に、昭和六十一年二〇%であったものが二六・三と、このような数字が出ているんですね。  この現在の国税収入の構成を見ますと、バランスがとれているとは思えないんです。所得課税がそのまま消費課税の方へシフトしていって、資産課税の方にほとんど移動をしていない、こう思うんですが、そのことはお認めになりますか。
  356. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の税制改革の中で、所得、消費、資産というものについてバランスのとれた税体系を工夫したいということで対応してきたことは、委員御承知のとおりであります。そして、その中におきまして、例示にお挙げになりませんでしたけれども、例えば従来非課税でありました有価証券取引の利益というものに対して原則課税というような方針も打ち出してまいりました。  ただ、仮に委員が御指摘になろうとするポイントが、例えば土地というものに着目して土地の保有ということで御議論を展開されるのであるとすれば、これは確かに譲渡についての例えば不当な利益をむさぼろうとしたケース等に対する課税措置は強化しておりますけれども、保有という視点に対してはなるほどまだ手をつけておらない部分がございます。しかし、私どもといたしましては、問題意識は持っておりますけれども国民の土地に対する意識、哲学というものの一つの体系をつくっていただきたい、そしてそのためにも土地基本法の御審議を早くお願いすることにより、その上に立って我々としては対応してまいりたい、そう考えておるところであります。
  357. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 やはりこういった税制のひずみを放置しておきますと、国民が税金を納める気がなくなりますので、私はこういった点からも消費税というのは税のひずみをむしろ恒久化してしまう、資産課税を軽いままにしておいてそうして所得税からそのまま消費税の方にシフトするようなことをいたしますとぐあいが悪いと思いますので、この点も私は消費税が認めがたいという理由の一つになる、こう思うんですが。  次の質問に移らせていただきます。  赤字国債の発行額、八九年度で一兆三千三百十億円、これは半分以下まで圧縮をされました。しかし、財政再建といいますのは単にこれは赤字国債からの脱却だけにあるものではございません。これはお認めいただけると思うんですが、依然として国債の累増傾向、これは続いておりますし利払い費もふえておりますね。元利償還に充てる国債費は一般会計のおよそ二〇%、相変わらず国際的に見ますと大変異常な状況が続いていると思いますが、大蔵大臣、いかがでございますか。
  358. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の御指摘に対して、私はそれを否定するものではございません。まさに政府としても、これまで毎年度の予算編成などにおきまして既存の制度、施策の見直し、あるいはそれ以外にも厳しいチェックを行いまして節減合理化を繰り返してまいりました。  しかし現実に、確かに元年度末には百六十一兆円にも上る巨額の公債残高を抱えるわけでありますし、その利払い費が財政全体の中における圧迫要因として存在することもそのとおりであります。また、我々は明年度何としても赤字国債から脱却するという方針で今努力を進めておるところでありますが、仮に赤字国債依存体質を脱却いたしましても利払い費の重圧が変わるわけではございませんし、さらに、委員が御指摘になりましたように、各種の繰り延べ措置等により今まで工夫を凝らしてきたものを処理していく責任はあるわけでありまして、我々としては依然厳しい予算編成を続けていかなければならない、そのように考えております。
  359. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それから特別会計の借り入れ、支出の繰り延べ、地方財政へ振りかえ、こういうことで一般歳出を抑えよう、こうしているわけですね。この累計が八八年度までで二十四兆三千百五億円に達するとこう言われておりますが、こうした後年度への繰り延べ措置が九〇年度までとられている、こういう状況を見ますと、これは結局国の隠れ借金と、こういう言い方もできる。このいわば隠れた借金の削減は大変大事なことだ、こう思うんですが、大蔵大臣その具体的な削減計画を明らかにしていただけませんか。
  360. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今私が申し上げましたとおり、こうした問題が我々の前途に立ちはだかる大きな問題であることはそのとおりであります。  そこで、概要を申し上げますなら、厚生年金の国庫負担金の繰り入れなどの特例につきましては、五十七年度から行っておりましたが、五十七年度から六十年度までの間においての繰り入れ特例分につきましては、既に六十三年度の補正予算において利子相当分を含めて返済を終わりました。現在、元年度で一兆三千四百八十億円の繰り延べがございます。  また、住宅金融公庫の利子補給金につきましては、現在差し引き五千九百九十三億円残っております。  また、政府管掌健康保険の国庫補助の繰り入れ特例は六十年度から行っておりますが、四千六百三十九億円元年度で残っております。  また、国民年金特別会計への国庫負担金の繰り入れの平準化は平準化法に基づいて行っておるものでありますけれども、五十八年からで減額は合計一兆二千七百二十七億円であります。  また、地方財政対策に伴います後年度負担は、元年度で合計が一兆六百七十八億円であります。  また、地方財政対策の改革による特会借入金の一般会計負担は、五十九年度の地方財政計画の改革によりまして国の負担として振替整理をされたものでありますが、五兆八千二百七十八億円であります。  また、国債費の定率繰り入れは五十七年度から停止をしておること、御承知のとおりでございます。  また、これとはちょっと質を異にいたしますけれども、国鉄清算事業団の要処理債務は元年度末 で二十七兆一千億円と見込まれております。  個々に御説明を申し上げると、例えば厚生年金の繰り入れ特例につきましては、先ほど申しましたように六十年度までの分については返済を終わりまして、今後予算編成過程において考えていかなければならないテーマの一つでございますし、また住宅金融公庫の利子補給金につきましては、これは住宅金融公庫法の規定に従って行われてきたものでありますが、今後の取り扱いにつきましては、住宅政策全体のあり方あるいは公庫補給金の見直しなど、本措置をめぐるさまざまな状況を踏まえて十分検討を必要といたしております。  また、政管健保の繰り入れ特例につきましては、ここ数年間黒字が生じて多額の積立金が見込まれていた政管健保の現状に着目をし、運営に支障がない範囲で国の財源としてこれを使わせていただいたわけでありますが、政管健保の財政状況に変化が生じ事業の適正な運営が困難になる、そうした事態については繰り入れその他の対応措置を講じなければなりません。  国民年金の国庫負担金の平準化措置につきましては、先ほど申しましたとおり、平準化法に基づいておりまして、平成元年度においては減額を行っておりませんし、平成二年度以降は平成九年まで加算をしていくということになります。  これは一つずつ申し上げておりますと大変長くなりますけれども、それぞれ将来我々としてはこれをきちんと処理していく方針のもとに今努力をしておりまして、ぜひ御支援をお願い申し上げたいと存じます。
  361. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 まだ少しこの点について聞きたいことはありますけれども、とにかく歳出の拡大傾向をなるたけ抑えて、そして消費税を導入したから歳出をふやしてもいいというんじゃなくて、それは逆立ちした論理だと思いますので、その点だけはきっちりとお願いを申し上げておきたいと思います。  かつて我が国は公害先進国と言われましたが、今は公害防止先進国と言われております。総理にお伺いいたしますが、今、日本は幸いに進んだ公害防止の技術を持っています。それから資金量も他国に比べれば豊富でございますが、総理はこの地球環境全体についてどのような御見解をお持ちでございますか。
  362. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 地球環境問題は、私は人類の未来のために地球的規模で力を合わせて解決していかなきゃならぬ問題であると考えております。そして、御指摘のように我が国はいち早く環境庁という役所もつくり、またいろいろな知見も集め経験も集め、また公害防止に対応する技術開発等も行ってまいりました。つい先月は地球環境の東京会議を行ったことも御承知のとおりでございますが、今後やっぱり丸い地球というものを守っていくためには、水や空気には国境もありませんので、国境を越えた地球的規模の取り組みで対応していかなきゃならぬ。日本としてはできる限りの協力をし、また率先して環境保全に当たっていかなければならない、これが基本的な私の考えでございます。
  363. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 そこでお尋ねをいたしますが、既に社会党、公明党両党からODA基本法が提出をされておりまして、我々連合参議院も社会党、公明党と足並みをそろえましてこの基本法の立法に向けてこれから努力をしてまいりたい、このように考えるんですが、この立法の目的は二つあると思います。  一つは、今は四つの省庁が援助額の決定にかかわっておりますし、何と十八の省庁がその実施に関係している。こういうばらばらの対応を一元化しようじゃないか。それからもう一つは、ODAの実施に当たってその過程というものが国民の前にガラス張りにされることである。我々はそのために総理府の外局といたしまして国際開発協力庁、これは仮称でございますが、これを設置したらどうか。こういったことによって援助行政の一元化を図るということ。  それからもう一つは、ODAに関するすべての情報を公開しようじゃないか。ODAがどのように実施されているかということを常に国民の前に明らかにするために、その計画を国会に報告する。援助を実施した場合は国会の承認を求める。このようなODA基本法を国会に提出を用意しているわけでございますが、このことにつきまして総理の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  364. 松浦晃一郎

    政府委員松浦晃一郎君) 先生御指摘のような御批判があることを私ども重々承知しておりますけれども、現在の制度に関しまして、私ども基本的にはそれなりにきちんと機能している、こういうふうに考えております。したがいまして、現時点で重要なことは、現行の体制を前提といたしましてその運用面でのできるだけの改善を図っていく、そういうことに対しまして国民の一層の御理解を得てまいりたい、こういうふうに考えております。  先生御承知と思いますけれども、今御指摘のように、ODA予算は確かに現時点で十六省庁、それから来年度十八省庁が要求をしておりますけれども、対外的には二国間援助は全体として一本化されまして、各省がばらばらということではなくて一本化されまして、それを踏まえまして外務省が相手国政府と折衝いたしましてまとめております。  それから、御承知のように対外経済協力関係閣僚会議が昨年設置されまして既に三回会議を開いておりまして、こういう全体の大所高所の見地からも関係閣僚において意見交換をしていただいているところでございます。
  365. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 ばらばらなのがいけないんですね。今、日本はODAに大変な協力と貢献をしていると思うんですが、どうも国民の目から見るとそれがちゃんと適正に使われているかどうか。私はこういった援助額の決定にしても使われ方にしても、その間の経緯の情報を明らかにすることにしても、広く国民の前に、ということは国会に明らかにするということが大切だ、こう思うんですが、これにつきまして総理の御所見をお願いできますか。
  366. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 先生御案内のとおり、このODAに関する予算につきましては国会で御承認をいただいて執行するという仕組みになっておりまして、まず国会で御承認をいただく過程を通らないと外務省としては個別案件の協議に入れない、こういうことでございますので、その点ひとつ御了承を願いたいと思っております。
  367. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 それが今、もう一遍申し上げますが、ばらばらなために国民の目にはどうももう一つすっきりしないわけですね。ですから、やはり国民の知る権利を確保するためにも私はODA基本法というようなものをつくる必要がある、このことを指摘しておきたいと思います。  情報公開について一言お尋ねいたしますが、政府国民の知る権利、これは憲法の保障するところでございますから、この知る権利につきまして情報の公開をするということ、情報公開の制度の制定化につきましてどのようなお考えでございますか。
  368. 水野清

    国務大臣(水野清君) 行政情報の公開問題につきましては、政府は従来から個別的にはやっているわけでございます。例えば白書、外務省ですと青書と言いますが、そういったもの、あるいは先ほど来御議論をいただきましたけれども政府広報であるとかその他文書の閲覧等は既にやっているわけでございます。  これをもっと拡大したらどうかということは私どもも考えておりますが、ただ問題は、その情報公開法という法律をつくってやるかどうかという問題については大変いろんな諸問題が多岐にわたりまして、例えば外交とか防衛の問題というのはどこまで公開するかという問題もございます。あるいは官庁が得た個人の情報あるいは企業の情報、こういったものを右から左に直ちに公開することがいいかどうか、こういった問題もあるわけでございますので、いましばらく慎重にやっていきたいと思っているわけでございます。現在も各省庁間でこの調査研究は進めているわけでござい ます。  それから、先ほどODAのガラス張りというお話がありましたけれども、私どもの役所では今年度ODAの監察をいたしました。先般、監察の内容については公表いたしましたし、国民にかわってこの監察というのは厳重に、まことに正確にやっております。
  369. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 外交に関する情報の公開について、外務省としての現状を申し上げておきたいと思います。  外務省といたしましては、特に法律に基づくということではございませずに自発的決定によりまして、作成後三十年を経過した外交記録については、その公開により国の重大な利益が侵されるあるいはまた個人の利益が侵されるものを除きまして、原則として公開することとしておりまして、昭和五十一年以降既に十回にわたり外交文書の公開を行ってきたところでございます。
  370. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 我々は、近いうちに情報公開法を我々で考えましてまた国会で御審議願おう、こう考えておりますが、政府におかれても、どうも最近見ておりますと公開がむしろ後戻りしているような印象がないでもないですね。ですから、そういう点について、国民の知る権利を確保するためにもこの情報公開法の制定については前向きにひとつ皆さん方の御見解を承れれば幸いでございます。  続きまして、池田議員が関連質問をさせていただきます。
  371. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 関連質疑を許します。池田治君。
  372. 池田治

    ○池田治君 全国の農業経営者は、今一番不安に思っております。  それは、オレンジを自由化したり牛肉の自由化を政府はしないと言いながら思い切ってやってしまった、米も減反減反と言われて最後は自由化されて、農業は切り捨てられるのではなかろうかという不安を持っております。  この中で、総理所信表明において、農業が自立できるよう確固たる長期展望を示し、誇りと希望の持てる農業を営める環境づくりをする、こう立派な御発言があり、私もさすが中央大学の先輩だなと思って海部総理を尊敬した次第でございますが、しかし、言葉だけではいかがなものかと思うので、具体的な施策、いかなる方法で希望と誇りを持った農業経営ができるようにするか、御所見を承りたい。
  373. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 基本的にはやっぱり農業というふうなものを魅力ある産業にしなきゃならない、このように考えております。  そこで、いわゆる農業としての産業政策、例えば構造政策をこれからも進めていかなきゃならない。そして、規模拡大のために農地の貸し借りとかあるいは作業の受委託とか、そういうふうなものを進めていく。そして同時に、経営なりあるいは技術なりというふうなのの指導を強化していく、そしてまた研修も重ねていく、いわゆるすぐれた担い手を育成していくということ。そして同時に、国民消費動向も変わってきておりまして、一つのものを大量に消費するというよりはいろいろなものを消費したい、こういうふうなニーズにこたえていくというふうなことから、やはり付加価値の高い生産体制をしいていく、あるいはバイオテクノロジーといった先端技術を活用した新しいものの開発普及、そういうものをやっていく。  もう一点は、やはり農村づくりであります。地域政策としての魅力ある農村づくりをしていかなきゃならない。そのためにはやはり農村独特の、水もありますよ、緑もありますよ、そしてまたゆとりもありますよと、そんな農村づくりをしていかなきゃならない。そのためには集落道をつくっていこう、あるいは集落排水もやっていこう、そして農村公園もつくっていこうという、そういう環境を整備していく。そしてまた、工業等の導入等によって就業の機会の場もつくっていく、こんなようなことによって農村の活性化を図っていく。  この二本の柱を打ち立てながら、そして農業を営んでいる方々が将来を見通しながら農業を営むことができるようにということで、今二〇〇〇年を目標年次といたしまして長期見通し策定をいたしておる、こういうふうなことでございます。
  374. 池田治

    ○池田治君 工業導入とか、公園をつくったり、緑の環境とかということを聞いているわけじゃございません。具体的にいかなる方法で経営が安心してやれるか、後継者ができるかという具体性を聞いておるんです。総理、答えてください。
  375. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) いろいろ今申し上げましたとおりに、農業のいわゆる産業政策と農村づくり、こういうふうなものをやっていくことによって将来に対して農業を営む人が夢を持ちながら、希望を持ちながらこういうふうなことになっていただけることができるようにしていきたい、これが基本的な考え方であります。
  376. 池田治

    ○池田治君 論理のすりかえのように私には聞こえますので、具体的に聞いていきます。  七十七万ヘクタールの減反から今度九十三万ヘクタールへの減反を強いているようでございますが、自給率を総理は高める高めると言っておきながらこの減反をしていくこととは、耕地面積が少ない日本で矛盾してくるんじゃございませんか。次に、そんな減反をしないで、飼料米をつくるとかいう作付の転換をしたらどうか。また、日本は途上国に対する経済援助をかなりやっているわけですから、この経済協力の一環として米の提供をすることはできないか。  以上、三点について具体的に回答願います。
  377. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) この自給率の問題ですけれども、一番の問題は穀物自給率であります。先生御承知のとおりであります。これは三〇%ということでありまして、八二%のときもありましたけれども、だんだん下がってまいりました。これは穀物の需要量というふうなものは大体四千万トンであります、大体の粗っぽい数字でございますけれども。そのうち、米は自給でございますから一千万トン、そして小麦と大麦で大体九百万トンくらい、そしてあとの二千万トンはトウモロコシ、コウリャン、こういうことであります。これがいわゆる飼料穀物であります。  それで、自給率というものは御承知のとおりに経済のそのときの情勢の変化あるいは食生活の動向によって変動してきたわけでありますので、この辺のところが私どもの国としてのいわゆる国土条件の制約と生産構造の違いからどうしても割高にならざるを得ない、量的にもそういう制約があるというふうなことで、私どもとして何とか自給率を下がっているのをここら辺で歯どめをかけたいなと、こんな気持ちでおるところでありますけれども、そういうところに自給率を高めていく難しさがあるということを御理解いただきたいと思います。  もう一点のいわゆる援助米、こういうふうなことにつきましては、いわゆる食糧の援助、こういうふうな農産物の余剰の処分というふうなものについては、国際市場に悪影響を及ぼさないようにという、いわゆるFAO、世界食糧機構、こういうふうな定めもございます。また、食糧援助規約、IWCにおきましては、いわゆるそういうふうな穀物の援助については途上国の穀物を優先的に使用するというふうな定めもございます。それから、今申し上げましたとおりに財政的な負担等もございまして、なかなか現実的には難しいというところがあるわけであります。  また、飼料用にということにつきましては、主食用のお米がトン当たり二十八万円であります。外国から入ってきておりますところのいわゆる飼料用の米はトン当たり二万円と、こういうふうなことで余りにもその格差があり過ぎる、このようなことから現実的になかなか困難なことではないか、こんなふうに考えておるところでございます。
  378. 池田治

    ○池田治君 飼料用の米が高くつくということは知っておりますが、それについては飼料用は大量生産できる、うまくない米ができるわけですから。そういうものを研究して品種改良でもおやりになれば、これは今後ともまだまだ違った評価が できると思うんですが、農林省はそんな研究をしているんですか。
  379. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) 今農水省の研究所におきまして、スーパーライス計画というふうなことから、おいしい米とか大量にとれる米とか、あるいは大粒の米とか小粒の米とかあるいは香り米とかということで、いろいろな米の開発研究に取り組んでおるところでございます。
  380. 池田治

    ○池田治君 もうちょっと詳しく答えてもらいたかったんですが、時間もありませんので……。  次は、オレンジの自由化もあと一年半後に迫りました。愛媛県の農家では既に千六百ヘクタールのミカンの木が伐採を余儀なくされております。昔はミカンをつくれつくれと言っていた政府が、今は伐採せよ伐採せよと言っております。そうして伐採の奨励金といいますか、減反助成金について、一反歩、九百九十平米のそれを切って、根を掘って、もらえる奨励金はわずか三十万か三十三万。このわずかな金に対しても税金を課しておりますが、これを免除するような方法はとれませんか。
  381. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 今のお尋ねのかんきつ園地の再編助成補助金にかかわります税制上の扱いの問題でございますが、農業者団体等関係者からの強い要望も踏まえまして、かつ農家の方が長年育ててまいりましたかんきつ樹を伐採するという、そういう特別な事情にあるといったようなことも頭に置き、これまで、ほかの分野でも転廃業を余儀なくされましたことで交付される補助金がございますけれども、そういう補助金について適用されてまいりましたいわゆる転廃業助成金等にかかわる課税の特例というものを適用することとしておるわけでございます。  この特例を適用することによりまして、助成補助金の交付を受けました農家の相当部分、大部分の方が実質的には非課税になるわけでございますし、かつまた課税される農家の方につきましても税負担は大幅に軽減される、このように考えておる次第でございます。
  382. 池田治

    ○池田治君 減反の適用ということよりも、先日の新聞では、伐採時点での木の残存資産相当額及び転業に伴う代替資産取得価額を控除する、こういうことじゃございませんか。
  383. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 内容的には今先生から御指摘のあったようなことで、いただきました助成金から伐採前の木の残存価額の分をまず差し引きいたしまして、例えば二十年生のものでございますと、残存価額、大体平均的には十アール当たり二十万円程度でございますから、三十万の助成金をもらっている場合にはその分をまず差し引くということになるわけであります。それから、もし代替資産を取得しております場合には、その取得価額の分も差し引きいたしました上で、残りにつきまして一時所得の特例という形で一戸当たり五十万円を非課税にして残りの二分の一を課税にする、これが転廃業助成金の課税の特例でございまして、こういうことで対応したいと考えております。
  384. 池田治

    ○池田治君 まさしく今の回答は不動産屋の山の転売の発想ですね。もともと増産せよと言って政府が奨励したのを、今度は一方的に産業構造の変革もしないまま農民にしわ寄せをしてミカンを伐採させているんですから、これは不動産屋的発想でなくて民法上の慰謝料的発想をすれば、慰謝料には税金はかかりません。これぐらいのことをしなくて、農民に対してミカンが余る、オレンジは自由化したから切れというようなことは言えないんじゃないか。これは農林大臣、どうですか。
  385. 鹿野道彦

    国務大臣(鹿野道彦君) ミカンの消費につきましても、昭和五十年時におきましては二十キロくらい食べておった時代もあったわけでありますけれども、それが今日は半分くらいになってきた、このような状況もございまして、やはりやむを得ない処置だ、こういうふうに思っております。しかし、国内のそういうふうなかんきつ生産者の方々の存立を守る、こういうふうなことが大事なことである、このようなことからあらゆる手だてをこれからもやってまいりたい、措置をまた講じさせてもいただいておる、こういうことでございます。
  386. 池田治

    ○池田治君 ぜひ農林大臣、もっと頑張って、こんなわずかな金から税金を取るようなことをしないで、ひとつ農業をさせていただきたい。  次には、ジュース用ミカン、加工用ミカンですね、この点についてです。  ミカンの食べ方が減ったんじゃなくて、今ジュース用の安いミカンが海外から入ってくるからジュース用ミカンではもう生存が立たなくなっている。三割か四割の農家はもうどうにもならなくなっている。そこで、農林省はこのジュース用ミカン生産者に対して補給金を出しているでしょう。この補給金は最初はたくさん出して、だんだんだんだん少なくして、八年後はもうなくして国際価格と同じようにする、こういう基本方針で臨んでおられますね。まさしく、八年の間にだんだんと農民が百姓を嫌がって逃げて死んでいくのを待っておられるような政府のやり方、このやり方が私は今の自民党政府のやり方じゃなかろうかと思っておりますが、農林大臣どうですか。
  387. 松山光治

    政府委員(松山光治君) オレンジ果汁につきましては、御案内のようなことで一定の期間を置きました後自由化をする、こういうことになっておるわけでございますけれども、これに対応いたします対策の一つといたしまして、従来から行っております通常の価格変動に対する価格差補てんに加えまして、オレンジ果汁の輸入がふえてまいりましたことに伴います価格の低下、果汁用のかんきつの価格の低下、それについて特別の補てんを行う、委員指摘のように一定の期間、八年間というものを予定いたしておるわけでございます。  こういうふうにしておりますゆえんのものは、御案内のように日本のかんきつ生産農家の経営は生食用が主体でございます。いわば一種の需給調整の必要のあるときに果汁用に回るというのが本体でございまして、そういうことを考えましたときには、私どもといたしましては、一定の期間内にこれは産地にもいろいろと御努力いただく、あるいは果汁産業に対しましてもいろんな近代化のための支援も行う、そういう形でひとつ国際競争力をつけていただきまして頑張っていただくのがかんきつ産業全体としての健全な発展につながる道ではなかろうか、このように判断したというふうに御理解をいただきたいと思います。
  388. 池田治

    ○池田治君 国際価格と太刀打ちできるような農家をつくるには、補給金は一切要りませんよとそのまま今やらしてみなさいよ。農家は全部全滅ですよ。そんなことはわかり切っているじゃないですか。だから、国際価格と同じようにするためにももう少し環境整備を広くして、というのは農地の保有面積を広くして生産場も外国に劣らないような広い規模にした上でのあなたたちの政策なら私は納得しますけれども、そういう基本的な政策をとらないで、いきなり補給金をだらだら出して最後には牛のよだれみたいになくなってしまう、こういうようなやり方をとるのが私は気に食わない。農民みんな怒っていますよ。これで海部総理、将来確固とした農業経営ができる、誇りと希望が持てるとあなたはお思いになるんですか。総理に最後にお聞きします。
  389. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 農業を将来に展望を持ってやっていただくためには、いろいろな対策がございましょうけれども、当面、新たな農産物の需要と生産の長期見通しを策定してお示ししていかなければならぬ。その作業を今一生懸命させておるさなかでございます。同時にまた、日本の農政の中にありますいろいろな問題の中で、我々が国会に出てまいりましたころに農業基本法というものが論議されてでき上がりました。都市と農村の格差を是正しようという大きな目標がございました。  しかし、第二種兼業農家が非常に多くなってきておる今日、その現金収入の都市と農村の格差のみならず、大事なことは農村のやっぱり環境整備といいますか、生活環境を整備したり、あるいは都市と農村との文化の格差の幾らかでも埋まるような努力をしていくということも、若い人に魅力 のある農業というものを打ち立てていくためには大きな目標の一つだろうと私は思います。そういったことを総合的に計画を立てながら、目標を立てて進んでいきたいと考えておる次第でございます。
  390. 池田治

    ○池田治君 牛肉も自由化されて、これに対する補助金が畜産振興事業団から今まで出ておりましたけれども、自由化されると最初の年は関税を七〇%、次の年は六〇%、その次は五〇%、その次についてはない、ガットで協議して決めてください、こういうことになっているようでございますが、そうなった場合に国家の一般会計予算から畜産農家保護のために補助金を出す用意はございますか、どうですか。
  391. 岩崎充利

    政府委員(岩崎充利君) ただいま委員指摘のように、平成三年四月から牛肉輸入枠の撤廃後におきましては事業団は輸入牛肉の場合は一切しないというようなことになりますものですから、売買差益はなくなる、こういうことでございます。しかしながら、昨年、肉用子牛生産安定等特別措置法によりまして、牛肉に係ります関税収入というものを特定財源ということにいたしまして、肉用子牛の生産者の補給交付金の交付に充てるとか、あるいは食肉に係る事業に使用できるというような措置を講じたというところでございまして、今後とも必要に応じて事業費は確保できるというふうに考えている次第でございます。  なお、牛肉に係ります関税収入が三年間の間に七〇、六〇、五〇というような形で縮減することになっておりますけれども、他方自由化によります輸入量もふえるというような形もございまして、所要額は確保し得るというふうに考えている次第でございます。
  392. 池田治

    ○池田治君 ガットでもアメリカはかなり厳しい要求をする様子でございますが、ひとつ海部内閣の総力を挙げて日本農業を守っていただくようお願いして、私の質問を打ち切ります。(拍手)
  393. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 時間がありませんので、最後に一つだけお伺いをしておきたいと思います。  男女雇用機会均等法では、育児休業の法制化に向けまして国の助言や指導や援助というものを掲げておりますが、どうもその普及は遅々としておくれている感がございます。そこで、最後にお伺いいたします。  労働大臣にお答え願いたいと思うんですが、ヨーロッパの各国ではいわゆる育児休業法はほとんど制定されております。しかも、ヨーロッパは日本と比べますといわゆる年功序列ということははるかに問題になりません。能力が非常に重視をされております。そのヨーロッパの国で育児休業法が制定されておりますのに、我が日本ではまだこれが制定に至らない、こういう点につきまして労働大臣の積極的な御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  394. 福島譲二

    国務大臣福島譲二君) お答えを申し上げます。  御婦人の目覚ましい社会進出は今後もますます拡大していくものと思っておりますが、その働く御婦人の皆様方が安心して仕事につき、またその小さなお子さんが健やかに育っていくために、育児休業手当を中心とする育児休業の制度が普及していくということは、大変大切なことだと思っております。そして今、四党共同の御提案の育児休業法案国会で審議されつつあるところでございますので、私どもといたしましてはその審議の経過を十分に見守ってまいりたいと思っております。いずれにせよ、この制度は大変大切な制度でございますので、できる限り普及するように全力を尽くしてまいりたいと思っております。
  395. 中村鋭一

    ○中村鋭一君 終わります。(拍手)
  396. 林田悠紀夫

    委員長林田悠紀夫君) 明二十五日は午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十八分散会