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国務大臣(鹿野道彦君) お答え申し上げます。
まず、
農業後継者対策からでございますが、
農業後継者の動向を見ますと、近年、減少傾向にありまして、新規学卒就農者、
平成元年は二千百人、いわゆるUターン青年は
昭和六十三年で四千四百人程度となっております。
我が国農業の発展を図るためには、次代の
農業を担う若い
農業者を育成確保することが極めて重要と
考えておりますが、このためには、基本的には、
農業を魅力ある産業として育成し、住みよい農村をつくり、若い
農業者が配偶者にも恵まれつつ、意欲を持って
農業に取り組めるようにすることが重要であると
考えております。
このため、
農業・農村のよさを積極的にPRするとともに、
農業構造の改善、
農業生産基盤、生活環境の
整備等各般の施策を推進しているところでございますが、これとあわせて、バイオ等の先端技術を含む高度な技術・経営能力を有するすぐれた若い
農業者を育成確保するため、改良普及員によるところの技術・経営等の指導の強化、あるいは県
農業者大学校におけるところの実践的研修教育の
充実、あるいは
農業青年の海外派遣研修の実施、あるいは無利子の
農業後継者育成
資金等の貸し付け等の対策を推進いたしておるところでございます。
今後とも、技術・経営能力にすぐれた若い
農業者の育成確保のため、これら施策の
充実強化に努めてまいりたいと、このように
考えております。
次に、米の貿易問題についてでございますが、米は、御案内のとおりに、
日本国民の主食であり、かつ
我が国農業の基幹をなすものであります。また、水田稲作は、国土や自然環境の保全、地域経済上不可欠の役割を果たしておるわけでございます。
このような米及び稲作の格別の重要性にかんがみ、
国会におきます決議等の趣旨を体し、今後とも国内産で自給するとの基本的な
方針で対処してまいりたいと
考えております。
次に、穀物の
自給率についてお答えをいたします。
穀物につきましては、食用穀物と家畜のえさとなる飼料用穀物とに大別されます。食生活の変化に伴い、食用穀物の消費が減少する一方、畜産の発展により飼料用穀物の需要が大幅に
増加をしてきておるところであります。主食用穀物につきましては、米を自給するなど全体で
自給率は六八%、かなり高い水準を維持いたしております。他方、
国民に良質で安価な畜産物を供給するために安価な飼料穀物を輸入いたしております。この飼料穀物の輸入の
増加が穀物
自給率の低下をもたらしておるわけであります。飼料穀物を国内で生産することは、
我が国農業生産構造や生産性等から見て、輸入飼料穀物価格に比べ相当割高なものとならざるを得ず、畜産
農家の利用には無理があるものと
考えております。
したがいまして、現在の豊かな食生活を享受するため、国内で畜産物を供給していくためには安価な飼料穀物の安定的な輸入を図ることが不可欠でありまして、穀物
自給率を大幅に引き上げることは困難であります。
現在、二〇〇〇年を
目標年次とする「農産物の需要と生産の
長期見通し」の策定
作業を進めてい
るところでございますが、米は自給するのを初め、その他の作物につきましても、消費者ニーズ等需要の動向に対応いたしまして生産性向上を進め、国内生産の維持
拡大を図りながら
自給率の低下傾向に歯どめをかける方向で
検討してまいりたいと
考えております。
最後に、
農業問題に対する取り組み
姿勢についてお答えをいたします。
農業は、
国民生活にとって最も基礎的な食糧を安定的に供給するという重要な使命を担っているほか、活力ある地域
社会の維持、国土・自然環境の保全等、
我が国の経済
社会と
国民生活の土台を支える重要な役割を果たしております。私は、このような
農業の健全な発展なくして
我が国経済
社会の調和ある発展はあり得ない、このように
考えておるわけであります。
農業は、豊かな自然環境の中でみずからの創意
工夫を存分に発揮できる職業であります。また、技術進歩の余地も多く、十分に魅力ある産業となり得るものと
考えております。さらに、農村は、緑と水に恵まれたゆとりある生活空間として、都会にはないよさを持っております。このような
農業・農村の持っているよさを十分に生かしつつ、文化の薫りのする明るく新しい
農業・農村づくりを目指していくことが必要と
考えております。
このため、
農業者が将来を見通しつつ
農業を営むことができるように
長期展望を示すとともに、
農業のより一層の生産性の向上を進み、
農業経営の安定を確保しつつ、
国民の納得し得る価格での安定的な食糧供給を図ることを基本といたしまして、
農業生産基盤の
整備、担い手の育成、技術の開発普及等各般の施策を推進してまいる所存でございます。また、農村生活環境の
整備、就業機会の確保等を通じ、農山村地域の活性化を図るよう全力を傾注してまいる所存でございます。(
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