○大島友治君 私は、
自由民主党を代表して、当面する国政の重要
課題について、
総理ほか関係閣僚に対し若干の
質問をいたしたいと存じます。
今、参議院は、憲政史上初の大きな転換期を迎えることになりました。過ぐる参議院の通常
選挙において、我が党はまことに大敗を喫しました。その
原因は、
リクルート、
消費税、農政不信など、いわゆる三点セットという厳しい逆風の中で行われたことによるものと言われていますが、私なりに分析すれば、その根源は、
国民の
自民党に対する
政治不信が一挙に爆発したものではないでしょうか。我々は、ややもすると一党支配の長期
政権になれ過ぎ、立党の初心を忘れておごりはなかったのか、
国民の声に謙虚に耳を傾けたのか、
国民とともに苦楽を分かち合い、
国民のニーズにこたえた細心の配慮をもって
政治を行ってきたのか等々
考えれば、
政策以前に
自民党の
政治体質に
国民の大きな怒りがあらわれたものでありましょう。
私は、この現象を今回の単なる一過性のものとして受けとめるのではなく、やや長期的な変動の兆しがあるのではないかと厳しく
認識すべきと思うのであります。
総理は、この
国民の
審判をどう受けとめ、
自民党再生の道を模索するのかということについてまず承りたいのであります。
自民党の過半数割れの結果、
さきに首班指名をめぐって両院の指名が異なり、四十一年ぶりに両院協議会が開かれるという
事態がありました。
問題は、
国民生活に関係する法律案の処理がどうなるかであります。
自民党の安定多数下の数の論理は当然ながら今後は通じません。と同時に、多数を占めることとなった野党の動向が
政治を大きく左右するだけに、その責任は従来以上に増して重いものであります。ここに
議席を同じゅうする我々
議員は、今回の
事態の招来を天の声、
国民の声として深く心し、我が党の主張、エゴをあくまでも貫くのではなく、お互い協調と連帯で国家と
国民のサイドに立った徹底した
審議、話し合いを行い、今こそ参議院がその創設の原点に返って、抑制と補完の使命を果たし、
国民の負託にこたえ、その真価を発揮すべきときであると
考えるのであります。
総理、今後参議院の議会運営は
政府にとって極めて困難な
事態となることが予想されますが、
総理はこれをどう受けとめて対処されますか、お伺いいたします。
さて、今日、国際情勢は大きな変動期にあり、国内的にも
政治、
税制、
行政の三大
改革を初めとして、
農業、
土地問題、構造調整など重要
課題が山積しております。
総理は、就任に当たって、「
対話と
改革」を旗印として、
国民の意見に耳を傾け、
政治に対する信頼の回復に努め、二十一世紀に向けて、豊かで安定した活力に満ちた社会を築くことを表明されております。我々としては、若いエネルギッシュな行動力を大いに期待いたすのであります。改めて
政権担当の御決意を承る次第であります。
総理、今、
政治に課せられている最大の
課題は
政治改革であります。
思えば、ここ数年、
国民の間では何らかの形で
国民の
政治に対する疑問や不満が顕在化している中にあって、あの忌まわしき
リクルート事件が契機となって、
国民の
政治に対する強い不信、怒りが爆発いたしました。
我が党は、早速厳しい反省の上に立って、どうすれば二度とかかる事件を起こさないようになるのかを徹底的に追求いたしました。こうした
観点から、
政治倫理、
政治資金、
選挙制度、
国会、党の
あり方など、
政治家、政党みずからの出血と犠牲を覚悟して
政治改革大綱をまとめましたほか、関係
議員に対する
政治的道義的
けじめを行い、自己
改革の決意を示したところであります。一方、本件に対する司法当局による解明は終了しており、自後の
課題は再発防止のための抜本策をどう講ずるかであります。
「信なくば立たず」の三木哲学を継承する
総理は、
リクルート事件に端を発した
政治不信、腐敗をどう受けとめ、党の再建、新生に向かって
政治改革を
断行する決意であるか承りたいのであります。
およそ、
政治家の要諦は
政治倫理の確立にあることは申すまでもありません。昭和六十年に決定されている
政治倫理綱領を遵守してさえおれば、恐らくはかかる不祥事の発生はなかったのではないでしょうか。
我々は、
政治倫理をより一層確立するために、全
議員を対象に
資産及び所得報告を義務づける
資産公開法の
制定及び両院の
政治倫理審査会の強化を図る案を
衆議院議運関係者に提出いたしております。また、我々は、
政治資金の収支を明確化するため、冠婚葬祭等への寄附禁止、
政治資金の運用の限定、パーティーの法的規制などを盛り込んだ公職
選挙法及び
政治資金規正法の二改正案も
提案済みであります。
これら三法の
内容は、
政治への信頼の回復のため直ちに
実施すべき最小限のものであります。各党の賛同を得て速やかにその成立を図るべきと存じます。
総理の御決意を伺います。
私は、
政治批判の
中心はあくまでも
政治に金がかかり過ぎることと思います。その代表的なものが
現行の
衆議院の中
選挙区制であり、参議院の比例区制であると
考えるのであります。
中
選挙区制について見れば、一党で複数の候補者を立てる我が党にとって、
選挙が
政策論争以前の
選挙民に対するサービス合戦や
利益誘導の争いとなり、金のかかる温床となっています。私は、小
選挙区制を
基本としつつ、少数意見を反映させるため、比例代表制を加味したものを考案してはいかがかと思うのであります。今回の
選挙において、二十六の一人区で我が党が勝利したのがわずかに三であることからすれば、これが我が党の党利党略の
考えでないことは明らかであります。
また、五十八年から
導入した本院の比例代表
選挙は既に三回の体験をいたしました。我々に限って申せば、
制度改正の目的であった銭酷区、残酷区を解消し、
国民から見て本当に選びやすい
制度となっているかは疑問のあるところであります。またさらに、
制度としての党名投票の
あり方に問題があるという
指摘もございます。
以上の点について
総理の御
所見を承ります。
次に、
税制改革について伺います。
今般の
税制改革は、直接税偏重からくる種々のゆがみ、ひずみを是正し、国際的
水準に見合う税
体系の確立や働き盛りの中堅サラリーマンを
中心とした重税感、
不公平感の解消を図って大減税を行うとともに、特定の物品だけに偏って重い
負担を課していた個別間接税のひずみを是正するものであります。また、豊かな長寿
福祉社会をより堅実なものとして維持するために、
国民全体で広く
負担を分かち合う仕組みをつくるものであります。
さきの
参議院選挙においては
消費税が大きな争点となりましたが、
廃止を言われる方々の多くは、
消費税そのもののみを取り上げ、単にこの税をどう思うかといった感覚的な議論に終始いたしまして、今回の
税制改革の意義や全体の姿を
理解していただけなかったことは極めて遺憾であります。
御承知のように、
世界の主な国には皆
消費税のような広く薄く
負担を求める間接税があります。何よりもあの
福祉国家で知られておる北欧諸国においては、
消費税と同じタイプの税である付加価値税で
福祉を充実していることを忘れてはならないと思います。
消費税実施に当たっては、何分にも新しい
税制でなじみが薄く、しかも準備
期間が十分でないまま
導入された経緯があり、我々としては、今後ともこの
消費税を含む
税制改革について、
国民各層に粘り強くその
必要性を訴える等、全力を挙げて円滑な定着に努めていく所存でありまして、
消費税を
廃止することは全く私も
考えておりません。
国民へのPRも兼ねて、何ゆえ今
消費税かを改めて
説明願うとともに、
消費税の定着について
総理及び大蔵大臣の御決意を承りたいのであります。
さて、
消費税廃止法案は、去る九月二十八
日本院に提出されました。この案は、一口で申せば、いかに拙速で無責任で、
国民生活を混乱に陥れるものであるか、全く税
体系の整合性が整っておりません。野党案は、まず
消費税を
廃止し、二年後に将来展望に立った
税制の再
改革を行うとしていますが、あるべき
税制の具体的ビジョンを示しもせず、ただ単に、あのゆがみ、ひずみの生じていた
改革前の
税制に戻そうとしているにすぎないのであります。当てもなく
税制が変更されて迷惑をこうむるのは
国民ではないでしょうか。
特に間接税は、それが物やサービスの価格の中に織り込まれている税金であるだけに、その改廃は、物価の変動をもたらし、買い急ぎや買い控え、値札の書きかえ、経理システムの手直しなど、
国民生活、
国民経済に極めて大きな混乱を生じかねません。間接税の分野については、
物品税、入場税、電気税、ガス税及び料飲税などの個別間接税を復元するという
考えを明らかにされていますが、今回の
消費税の創設を含む間接税の
改革は、従来の個別間接税が直面していた諸問題を解決するため、長期にわたる検討の未
実施したものであることを全く忘れた議論と言わざるを得ないのであります。
すなわち、消費態様や価値観が
多様化し、消費支出に占めるサービスの割合が半分を超えるほどサービス化が進み、また、
国際化が経済の隅々にまで及んでいる
我が国の実情に顧みると、
物品税など個別間接税のままでは、従来
指摘されていた個別間接税の課税のアンバランスの是正やサービス課税の充実、さらには諸
外国からのさまざまな
批判にこたえることは困難であり、個別間接税にのみ依存する間接
税制度は
先進諸
外国にも例を見ないものであります。また、さまざまな問題が
指摘されていた旧
物品税をほとんどそのまま
復活させることは、たとえ暫定的とはいえ
余りにも無責任であり、
我が国の国際的信用にも傷をつけるものではないでしょうか。
さらに、野党の諸君は、
消費税廃止と言いながら、二年後にはサービス、流通等への適正な課税の
あり方について検討するとのことでありますが、消費の半分以上がサービスへの消費であることを
考えれば、単なる物品課税では適正な課税とは言えないのではないでしょうか。結局、物やサービス全般を課税対象とするような消費課税が必要との結論に至るのが自然な姿ではないでしょうか。そうであるとすれば、
消費税を
廃止するのではなく、これを
見直し、
国民の皆さんの納得が得られるような姿にしていくことこそが今求められていることではないでしょうか。
野党案では、
消費税の
代替財源として不公平
税制の是正を挙げています。確かに、脱
負担の公平を確保すべきであるという主張それ自体には何人も異論を差し挟まないと
考えますが、何が公平で何が不公平かを具体的に示すとなると、さまざまな意見や主張が存在し、必ずしも一概には言えないのじゃないかと思います。しかるに野党案は、
消費税廃止の
代替財源としての数字合わせのために、
国民の意見を何ら聞くことなく、自分
たちの独断と偏見により不公平
税制是正案を並べ上げ、これを敢行せんとしているのではないでしょうか。不公平の是正と言いますが、要は増税を強いるものでありますから、このような拙速な改正を行えば、かえって新たな不公平が生じることになるのではないでしょうか。
自然増収につきましては、仮に
消費税を
廃止した場合、かわりにどのような
税制をつくるかという
制度の問題を問うているのに、
自然増収を財源とするという発想自体、問題のすりかえであります。結局、
代替財源の足りない分を
自然増収で埋めることにしてつじつま合わせをしているのではないかと思うのであります。また、
自然増収はいつまでも続くものではありません。確かにここ二、三年、
政府の当初見積もりを数兆億円上回る
税収が出ております。しかし、この増収は、先ほども話がございました
土地高、株高、円高、原油安、そして金利安といったいわゆる三高二安という一時的な要因によるもので、極めて不安定なものであると私は思うのであります。円高の進行、金利の
上昇など最近の経済環境の変化を
考えれば、
税収の好調が将来とも続くとは思えないのであります。
このように、
自然増収は全く不確実なものであり、
自然増収を当てにするというのは、一歩間違えば赤字国債の発行につながる極めて危険な
考え方であります。まさに「巧言令色すくなし仁」という孔子の教えが思い出される次第でございます。
重ねて申し上げますが、
消費税の
代替財源と言われるものは、野党間の
密室協議によって拙速につくられた単なる数字合わせの無責任な増税案であることを厳しく
指摘したいのであります。
したがって、責任政党たる我が党としては、
消費税廃止法案は絶対に
反対であります。これらの私の主張について大蔵大臣はどう受けとめておられるのでしょうか、お伺いをいたします。
なお、野党の
代替財源案が先日明らかになったこととの関連において、野党側から我が党に対し
見直し案を早期に提出すべきとの主張がありますが、野党の
代替財源案は再
改革までの二年間の暫定的なものにすぎず、恒久的
税制の一環をなす
消費税の
見直し案と対比して論ずるべき性格のものではありません。また、
代替財源案は、これまでるる申し上げたとおり、
税制が経済社会の基盤となるものであることを忘れ、安易につまみ食い的に旧
税制の
復活を
提案するものではないでしょう
これは、二年間の措置とはいえ新鋭制の創設にほかならないで、社会に大きな混乱をもたらし、
国民経済にとって到底耐えがたいものであると言わざるを得ないのではありませんか。我が党は、この点について
国会等の場において徹底的に明らかにしていきたいと
考えております。
そもそも、我が党の
見直し案と対比して論ずべきは、野党の言う
税制再
改革の具体案であり、我が党が今回の
税制改革によって既に示した新しい
税制の
あり方に比べ、極めて抽象的で名ばかりの
考え方を提示したにすぎない野党こそ、早期に再
改革後の具体的な
税制の姿を示すべきではありませんか。
また、野党は、
参議院選挙の際の
公約に従い、二年間の
代替財源案を一日も早く法制化して
国会に提出すべきであり、
代替財源法案の
審議なしに
消費税廃止法案のみを
審議することは
財政運営上無責任のそしりを免れず、到底
考えられないことであります。
見直し案の早期提出論は、議論のすりかえをもくろむものであり、これに惑わされてはいけません。
さて、我々は、
消費税に関して、
国民の皆様の間にあるさまざまな御意見や御
批判についてはこれを率直に受けとめ、必要な
見直しを行うことを既に約束しております。この
消費税の
見直しについては、先月七日、我が党の全国政務調査会会長
会議を皮切りに既に
見直し作業に着手し、その後、各地で一日政調会を開くなど精力的な作業を行っております。
ただ、
消費税制度は納税者である事業者と税の実質的
負担者である消費者の双方に密接に関連するものでございますので、
見直しを検討するに際しましては、拙速を避け、双方の主張とデータを十分に把握し、それを踏まえ、
消費税を取り巻くあらゆる
事項について議論した上で結論を出すべきものと
考えておるのであります。
したがって、
見直しの
内容については、先般の全国政務調査会会長
会議などを通じて吸収した地方の声を初めとして、各方面に意見を十分聴取した上で、党の
税制調査会における議論の中でできるだけ早く具体的に詰めていく所存であります。
政府においても
税制調査会で作業を進めているとのことでありますが、
消費税の
見直しについて大蔵大臣の御
所見をお伺いいたします。
次に、
行政改革について伺います。
我が党は、
政府と一体となって、二十一世紀に向かって明るい
日本の将来を開くため、国、地方の
行政全般について聖域なき
見直しを行うとともに、
国民の強い要請にこたえて各般にわたる
制度改革、三公社の民営化、組織・定員の合理化など
行政改革を推進してまいりました。しかし、なお残された
課題も多く、また、
行政は社会経済情勢の変化に
対応して簡素にして効率的でなければならず、今後とも常に監視を怠ることなく、引き続き
行政改革に努めていかなければならないと思うのであります。もとより、
行政改革は、
国民の個々の利害に直接関連してくるため推進が困難な
課題であり、
国民の声に耳を傾けながら強力に推進する必要があります。
海部内閣は「
対話と
改革」をスローガンとしておりますが、
税制改革に関連して、公正でむだのない
行政の実現を求める
国民の声は一層高まっており、これにどうこたえていくのか、
国民の期待は大きいものがあります。これに取り組む
総理の御決意をお伺いいたします。
財政問題につきましては、今日まで十年にわたり、
財政のスリム化を図るため歳出の節減合理化を行う一方、内需の
拡大に努めた結果、近年来大幅な
税収増を可能とし、
財政は著しく
改善されてきました。この結果、平成二
年度赤字公債依存体質からの脱却が確実視されるほどになっております。しかしながら、本
年度末の公債残高は依然として百六十兆円を上回るという状態は変わらず、その利払い等に要する国債費は一般会計歳出の約二割を占めており、
財政はなお厳しい状況にあります。今後急速に進展する人口の
高齢化や
世界の中の
日本として国際社会への貢献などを
考えるならば、引き続き
財政の
対応力を回復するための
財政改革は、我々が取り組まねばならない優先
課題であると思います。
昨今の好
景気を反映した
税収の伸びを背景として
財政事情を楽観視する向きがありますが、明
年度赤字公債依存からの脱却を確実に達成するためにも、一層
財政改革を推進して歳出の節減合理化を目指すべきでありますが、明
年度の
予算編成の
方針及び赤字公債脱却後の
財政改革の目標について、これまた大蔵大臣の御
所見をお伺いいたします。
次に、外交
政策について伺います。
総理、先般の
アメリカ、メキシコ、カナダ訪問、まことに御苦労さまでございました。申すまでもなく、日米関係は
我が国外交の基軸であり、
総理が就任直後に米国を訪問されたのも、かかる
認識に基づくものであると私は思うのであります。
今日、日米間の貿易不均衡が大きな
改善を示していないことから、米側のいら立ちが高まっており、日米関係の運営は困難な状況にあると思うのであります。このような状況のもとで、両国首脳の間で個人的信頼関係を確立し、懸案の問題を話し合いと双方の努力で解決していくことがとりわけ重要であることは申すまでもありません。日米関係はグローバルパートナーシップと言われていますが、日米両国が力を合わせて
世界の平和と繁栄のために貢献していくことが、ひいては二国間の関係をより円滑にしていくことにもつながるものと
考えます。
総理は、今次訪米、特に
ブッシュ大統領との会談ではどのような
事項について話し合い、成果があったのかを承りたいのであります。
中でも、貯蓄・投資、
土地利用、流通
制度、価格メカニズム、金融系列、排他的取引慣行の日米構造問題協議は我々の大きな関心事であります。本件協議は、一方的制裁措置を背景としたスーパー三〇一条とは異なり、日米の
協力と共同作業により、今後一年間、日米の貿易不均衡の調整の上で障壁となっている構造問題を識別し、日米双方がおのおのの構造問題と取り組んでいくことを目的としていると聞いておるのであります。私は、経済構造を調整するため積極的に努力することは、日米貿易不均衡の是正の
観点からばかりでなく、経済の効率化を高め
我が国自身の将来に資する、そういう
観点から不可欠であると思うのであります。
この意味から、
我が国の経済構造調整の一環として日米構造問題協議に積極的に取り組んでいくことが必要であると
考えますが、元来、本件は
日本古来の歴史的、社会的な
制度、慣行に係るものだけに、早急な転換にはかなりの困難さを伴うことが予想されます。
本件に対する
総理の御
所見を伺います。
中国につきましては、今般、伊東日中友好議連会長が訪問し、鄧小平党中央軍事
委員会主席を初めとする最高首脳との会談が行われました。
我が国は、従来より隣国中国との友好
協力関係を維持、発展させていくことを外交の主要な柱の
一つとして進めてきているところでありますが、先般起きました天安門事件はまことに遺憾と言わざるを得ないものであります。しかし、
我が国としては、中国が孤立化の道を歩むことを望むものではなく、アジアひいては
世界の平和と安定にも資するとの
観点から、中国の近代化建設の努力に対してはできる限り
協力していくことが必要と思うのであります。
総理は、伊東会長の訪中を踏まえ、今後、中国情勢をどう
認識して、いかなる対中
政策をとられるか、その点につきましてお伺いをいたします。
日ソ関係は、外相会談等を通じて
対話の機運が醸成されていましたところ、去る九月二十七日、国連における中山外相とソ連シヱワルナゼ外相との会談により、来年三月にはソ連外相、さらに一九九一年にはゴルバチョフ最高
会議議長の訪日が決定されましたことは、日ソ関係に新しい一ページを開くものとして歓迎いたすものであります。かねてよりの問題としての北方領土問題を初め、日ソ間の懸案解決に局面を開いたことも事実であろうと思うのであります。
政府は今回のソ連の予想外の
対応をどう受けとめているのか、また、今後の対ソ外交への取り組み方を外務大臣にお伺いいたしたいのであります。
「
世界に貢献する
日本」を標榜する
我が国にとって、
政府開発援助の拡充は国際社会において
我が国が果たすべき重大な責務であります。
我が国の援助量は年々伸びていますが、問題は、
我が国の援助が相手国に喜ばれ、かつ効果を上げているかということであります。
政府として、今後
政府開発援助の
実施体制、評価体制をどう充実して
世界に貢献していくのか、外務大臣の御決意を伺います。
次に、
農業問題に移ります。
さきの
選挙敗北の一因に、
自民党農政に対する
農民の不満、反発が大きくあったことと私は思っております。今、
我が国の
農業、農村は、昨年の牛肉・オレンジ等の
自由化の決定、農産物価格の連年の引き下げ、東京一極集中の一方での農村の活力低下など、まことに厳しい状況にあります。このようなときに、農家は、自分
たちが
国際化の進展の中で切り捨てられるのではないかと
農業の将来に対し大きな不安を抱きつつも、
自民党政府の農政の
対応に大きな期待をしていたのが、
国際化という名で
自由化が強行され、結果としてうそをついた。さらに、ただ
一つ残っている米については、私は
自由化絶対
反対の
考えでありますが、この問題で
農民は重大な不安を感じております。これが農政不信の最たる
原因と私は思うのであります。
改めて申し上げるまでもなく、
農業は、
国民生活に不可欠な食糧の安定供給、活力ある地域社会の形成、国土・自然環境の保全など多面的かつ重要な役割を担っています。来るべき二十一世紀に向かって
農業の一層の発展を期するためには、
生産性の向上を図り、
国際化に
対応し得る足腰の強い
農業を育てていく必要があります。
なお、一口に後継者育成といいますが、昭和三十年前後は約六百万戸の農家に対しまして約二十万人に近い中学以上の学卒の農家子弟が就農していましたが、現在約四百二十万戸の農家に対し、昨年は約三千五百名、本年は実に二千百名と前述の一%
程度に激減していることは、将来の
我が国農業にとって最も私は憂うべき問題と
考えているのであります。
以上の状況を踏まえて、まず農家に対し、
農業の将来展望を明示し、その将来に対する不安を取り払い、希望と
自信を持って意欲的に
農業に取り組むことができるようにすること、これが農政に課せられた喫緊の
課題であり、
農業者に信頼される農政を確立する道であると私は確信するものであります。
政府は、今後、農政不信の解消にどう取り組み、
農業の将来展望をどう確立させるのか、特に、米の
自由化を含んでの
総理の御
見解をお伺いいたします。
我が国農業、農村がこのような内外の厳しい状況を乗り越えて、その機能を十分に発揮し、一層の発展をなし遂げていくためには、国土
条件、自然
条件の制約の中で可能な限りの
生産性の向上を図り、足腰の強い
農業を確立することが不可欠であります。そのためには、
農業生産基盤の整備を進めるとともに、経営規模の
拡大を初めとする構造
政策を従来にも増して強化していくことが求められております。今後の構造
政策の
基本方針をどう
考えておられるのでしょうか。
また、現在大きな問題となっている
土地改良の
負担金対策についてどう取り組まれるのか、農林水産大臣の御
見解をお伺いいたします。
さらに、食糧自給の問題でありますが、戦後四十年間、
我が国経済の発展とともに
国民の食生活は質量ともに飛躍的に向上しました。これに伴い、農産物の輸入は増大し、現在
我が国は
世界最大の農産物純輸入国となっております。この結果、食糧自給率は年々低下の一途をたどっており、昨年には、カロリーベースでついに五〇%を割り、また穀物自給率は三〇%と、いずれも主要
先進国の中で最も低い
水準となっております。輸入された農産物によって我々の食生活が豊かなものとなっていることは否定できませんが、農産物貿易の不安定性を
考えた場合、常に国内における食糧供給力の強化に努めていく必要があると私は
考えます。
食糧自給についての
見解を
総理に伺うとともに、このように食糧自給率が低下した要因について農林水産大臣にお伺いいたしたいのであります。
次に、
高齢化社会への
対応について伺います。
まず、年金
制度についてでありますが、公的年金は、働いている世代が高齢世代を支えるという世代間の助け合いの仕組みをとることにより、生活
水準や賃金が
上昇した場合にはこれに応じて年金額を引き上げていくこととされており、高齢者の生活を支えている最大の柱となっております。
今後の
高齢化の進展の中で、こうした公的年金の役割はますます高まるものと見込まれ、将来にわたり老後を確実に支えていく年金額を確保していくことがぜひとも必要であります。また、今後増大していく年金受給者を支えていけるよう、公的年金
制度の基盤を今から確固たるものとしておくことが必要であります。このためには、
保険料を段階的に引き上げていく必要がありますし、また、将来の現役世代が
負担にたえられるよう厚生年金の支給開始年齢を引き上げていくことは避けられないものと
考えるのであります。
現在継続
審議となっている年金
改革関連
法案を早急に成立させ、年金額を引き上げるとともに、
制度の長期安定を図っていく必要があると
考えますが、
総理の決意はいかがでありましょうか。
長寿社会において重要な
課題は、
老人の
福祉の確保であります。お年寄りの方々にいかに充実した老後の生活を安心して送っていただくかは、現在の高齢世代のための
福祉施策であるとともに、現在働いている世代が将来を不安に感じることなく社会の中で積極的な営みをすることでもあります。
このような
観点から、特に寝たきり
老人、痴呆性
老人対策については、保健、医療、
福祉等の各施策を総合的に推進していくことが必要であります。
政府は今後の
老人福祉対策をどのように進めようとしているのか。
また、
高齢化社会は、これを別の面から見れば、より少ない人口で高齢者を支える社会であり、その意味において、
高齢化の問題は次代を担う児童の問題ではないかとも
考えるのであります。明日の
高齢化社会を担う児童の健全育成をどのように進めるのか、特にその
中心となる児童手当
制度を今後どのようにしていくのか、お
考えをお聞かせいただきたいのであります。
さらに、医療
保険制度の問題でありますが、今日、人口の
高齢化が一層進展し、就業構造の変化等の社会変動や生活
水準の向上等による疾病構造の変容など、医療を取り巻く環境には大きな変化が生じつつあるのであります。これに対して、
国民だれもが安心して医療を受けることができるよう長期的に安定した医療
保険の仕組みを構築し、将来にわたり
国民の医療保障を確固たるものとする必要があります。とりわけ、急増する高齢者の健康を保持し、適切な医療の確保を図るため、
老人保健
制度や地域の住民の健康を守るための
国民健康保険については来
年度においてその
見直しが予定されております。
これら両
制度の帰趨は、将来の医療
保険制度の
あり方を
考える上でも極めて重要なものになると思われますが、これらについて
総理の御
所見を伺います。
続いて、
土地問題について伺います。
最近の
地価動向を見ますと、東京圏では全体として
地価の鎮静化が進んできておりますが、その
水準は高値横ばい、その外周部では依然として
地価上昇が続いているほか、特に大阪圏、名古屋圏等の
地価上昇には著しいものがあります。加えて、昨今の金融緩和状況等を勘案するならば、今後の
地価動向にはなお予断を許さないものがあるのであります。
東京都心部に端を発した今回の
地価高騰は、今後の社会資本整備に支障を及ぼすことはもちろんのこと、特に
大都市地域の勤労者にとってはマイホーム取得の夢が遠のき、
土地を持つ者と持たざる者との
資産格差を
拡大し、社会的
不公平感を増大させてまいります。こうした
土地問題に適切に対処していくためには、まずは
土地基本法の早期
制定を図り、これに基づき、市街化区域内農地の宅地並み課税など
土地税制の整備を含む総合的な
土地対策を早急に講ずる必要があると思うのであります。
総理の
土地対策に取り組む決意及び
大都市圏の住宅供給促進についての
考え方を伺うものであります。
終わりに、一言申し上げます。
我々は、結党以来の厳しい敗北を厳粛に受けとめ、今徹底した
原因の分析の中から思い切った出直し的
改革を図っております。今日ある
我が国が、
世界でも例がなく平和と繁栄であるのは、
国民が我が党を長きにわたって信頼し、
政権をゆだねたからにほかならないのであります。確かに、今回の
選挙において、我々を支持する票がムード的に
消費税反対、自衛隊を憲法違反としている社会党へ大きく流れました。がしかし、このことから
国民は本当に社会主義
政権の誕生や社会主義の国となることを心から望んでいるのでありましょうか。断固、そうでないと思うのであります。
我々は、今回の敗北を肝に銘じ、解党的な気持ちでみずからの
政治不信を速やかに是正して党の再生を図り、機敏にして大胆な
政策を敢行して
国民の信頼を取り戻さねばなりません。そのためにも、まず我々がなすべきことの第一は、今次
国会において社会党を
中心とする野党の
消費税廃止法案等の矛盾をつき、非現実性をただし、
国民にこの欺瞞性を知らしめることにあると思うのであります。
我々は、これまで
国会の駆け引きとして常習されてきた
審議拒否と強行採決の悪循環を断ち切り、堂々と論議する
国会へさま変わりし、
国民から
理解され期待される参議院へ前進することが参議院
改革の真の姿であると存ずるのであります。
最後に、我々は、
国民の心を絶えず銘記して、捲土重来を期し、平成時代の新しい
自由民主党へ大きく生まれ変わることをお誓い申し上げまして、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣海部俊樹君登壇、
拍手〕