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小林正君 私は、いわゆる次官候補と言われるようなナンバーツー以下の皆さん方がおやめになったその
経過、そしてそれが公式にはどういう扱われ方になっているかといったような点については、今の
お話の筋とは極めて違うのではないかというふうに
考えているわけでございますが、先へ進めます。
次に、初任者研修制度の問題でございます。
臨教審の答申を受けてこの制度の導入が本格実施
段階を迎えているという今日の
状況でございますが、私自身も長い間
教育現場に身を置いてきた者の一人として、自分が一人前の教師になる道筋というものがどういうものであったかということを振り返って
考えてみましても、やはり入った当時は極めて不安があるわけです。そしてちょうど、大学生に五月病なんというのがあるそうですけれども、それと似て、教師にも、自分は職業選択を誤ったのじゃないかなというようなためらいやさまざまな不安というものが、入って一カ月ぐらい
たちますといろいろ出てまいります。そういう五月病現象的なことがあって、私の出身の神奈川でも何人かの自殺者が出たという経緯もございました。
こういうことからいたしますと、その不安を何とか取り除いて元気と自信をどうつけるかというのが、一歩を踏み出す新しい教師の皆さんにとって大事なことではないかなと思うわけでございますが、そういう意味で
考えてみますと、この初任者研修制度、研修
実態、内容、そしてなかんずく洋上研修という方法があるわけですけれども、このことについては再検討すべきではないか、こう思うわけです。
それぞれ地域に取り巻かれている
学校の中で、その地域について十分理解をし、
子供たちの
生活の
実態を知り、その上に立って
教育実践が進められていく、まさに教師と
子供の間でもまれながら一人前になるというのが
教育現場から見た場合の教師の生い立ちではないかというふうに思うわけでございますが、そういう点から
考えてみますと、この制度というのは、
一つの発想として、実力をつけてもらう、そしていろいろな人との触れ合いというものを大事にしたいという
考え方も一方にあるかもしれませんけれども、具体的には、
子供と同じ地域
社会の中でより多くの人と触れ合いながら一人前になっていく
経過というのが何よりも尊重されなければならないと思うわけです。
研修の目的が、先ほど言いましたように、まず不安を取り除き自信をつけさせて元気になってもらう。元気になった教師が元気な
子供を育てることができるわけでありますから、そういう意味から
考えますと、そうした環境をどう条件的に保障するかということがまず求められてしかるべきだ、こう思うわけでございます。そういう点で
考えてみますと、今の制度自身が本当に研修を受ける身になって
考えられ構想されているのだろうかという点に強い疑問を持つと同時に、この中で最も早急に
改善への検討をすべき問題はやはり洋上研修であろうというふうに思います。
ことしは特に台風の発生が多かったものですから、洋上研修に参加された皆さんは大変だったろうと思います。
文部省が今度の
学習指導要領で「われは海の子」を復活させたということで、海国
日本の立場から何としても若いやつをしごいてやろう、少しぐらいの吐き気で何だというようなしごきの精神で引き続きおやりになるのかどうか知りませんけれども、これはそういうことであって、研修の場として集中力を持って勉強ができるような
状況ではないわけです。そういうことを含めて、これは方法の問題としても基本的にはやめるべきだというふうに思います。
現在、各県各市でそれぞれ主体的に現場
実態を踏まえて研修のメニューがつくられ、それに基づいてさまざまな研修というものが、私
たちが所属しておりました教職員団体も含めて、いろいろ手だてと努力がされてきたわけです。神奈川
段階でも、いろいろ騒然たる
教育論議等の
経過を踏まえて、教師の研修問題についても、
教育委員会との間にラウンドミーティングを繰り返しながら一定の合意形成の中で授業を進めているわけですけれども、神奈川では、洋上研修という形式に
文部省がこだわるのであれば自前のメニューを持った船を仕立てようではないかということで、実はそれもやったわけです。
広島でもやったという経緯があるわけですが、実際に行ってみて、そういうやり方というのは極めてふさわしくないということが率直な印象として語られておりますし、何よりもまず大事なのは、その各県各市
段階でつくられたメニューに従ってそのことが行われるということが大事ではないか、こういうふうに思うわけです。
初任者研修という制度は、身分上の問題も含めまして大きな問題を抱えているわけですから、この抜本的な見直しというものを私は求めたいというふうに思いますし、なかんずく洋上研修については早急に再検討に入るべきだということを
実態を踏まえて申し上げておきたいと思いますが、この問題についてどういうお
考えを持っておられるのか、承りたいと思います。