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政府委員(菱村
幸彦君) お答えをいたしますが、その前に、かなり複雑なものですから御
指摘のようにわかりにくいということは事実だろうと思います。
そこで、実はこれは、
審議会は要するに
審議会
一つでございまして、その出てくる結論がその
審議会の結論でございますが、そこに至るには、従来からカリキュラム開発というのは小中高全教科を一遍にやるものですから非常に大きな組織で大変時間をかけてやっている、そのためにかなり複雑な組織をとらざるを得ないということが
一つのわかりにくさの原因であろうと思います。
そこで、ちょっと時間をいただきまして組織のことを御説明させていただきたいのですが、この
審議会が始まりますときは、当初は親
委員会といいまして二十七人の限られた人で始まるわけです。これはなぜかといいますと、要するに、初めから
専門家をたくさん入れて
議論すると、この
教育課程というのは各教科の
専門家が出ていってそこで綱引きをして、結局、従来どおりといいますか、教科エゴみたいなもので
教育内容がよくならないのじゃないかという
指摘が従来からございました。そこで、とりあえずは有識者とか、もちろん
専門家もある
程度は入りますが、一般の代表とか有識者とかマスコミ
関係とか、そういう
観点からまずごく
常識的な
議論をしようということでスタートするわけでございます。
そこで、大きな課題を四つに分けまして、今回は六年制中等
学校の問題が出ておりましたのでそれをどうするかということと、道徳
教育が最近非常に問題になっているがそれをどうするかということと、それからこの社会科をどうするかということと、もう
一つは男女共通必修ということで家庭科がこのとき大変問題になりました。これは条約の
関係がございました。ですから、そのときの大きな課題を四つ決めまして、この当初発足する二十七人の親
委員会で四グループに分けて、これを課題別
委員会と言っているのですが、粗ごなしをしたわけでございます。
その粗ごなしをしたのをまとめたものが
審議会の中間まとめという形で公表しているわけでございます。これはなるべく
国民に広く途中経過をわかってもらえるようにということで、六十年に親
委員会が発足しまして、ちょうど一年たちまして翌年の十月にこの中間まとめを、それまでの間
議論してきたものを詳しく書きまして世の中に公表した。
そして、同時にこのときに、
審議会
委員が二十七人であったのを六十四人にふやしまして、今度は
学校別に分けて
審議しよう。
小学校の
教育課程をどうするかというので
小学校の分科会、中学をどうするかというので
中学校の分科会、そして高校をどうするかというので高校の分科会、
三つの分科会に分かれまして、それぞれこれまで親
委員会で積み重ねた
議論をもとに
学校段階別に
審議を深めていく、こういうことをしたわけです。
それと同時に、これは要するに
高等学校の
教育をどうするかという大きな
議論と同時に、実際上は
高等学校も国語だ、数学だ、社会だ、理科だというふうに分かれていますので、その教科のまた
議論を深める
委員会をつくったわけです。これは従来からそうしているわけですが、この教科別
委員会というのを、一年たった後いよいょ
学校段階別に
審議を深めようというときにつくりましてそして
議論を深めていくという形をとっているわけです。
この教科別の
委員会というのはもちろん
審議会の
委員が入ってやるわけでございますが、それだけではなかなか専門性が足りないということでございます。
学校の
先生の
意見もたくさん聞かなければいけない、教科の
専門家の
意見をもっと聞かなければいけないというので、この
教育課程審議会の
一つの下部機構と言っては失礼になりますから、下部機構というよりは内部の機構として協力者会議というのをつくるわけです、この
審議会とは別に。各教科ごとに、
専門家とか、
学校の
現場の
先生が一番多いわけでございますが、その協力者会議をつくりまして、これを
審議会の下部機構というより作業部会といいますか、
審議を深める部会として置くわけでございます。そこの代表者の方がこの教科別の
委員会に入られまして
議論を深めていくという形をとっているわけでございます。
先ほど来話が出ております社会科
委員会で両論併記であったではないかという御
指摘があったのはここでございまして、ここは、ですから
審議会の
委員のほかにそういう
学校の
先生とかそれから大学の
先生とかが入られまして、拡大
委員会のような形でここで
議論を深めるという形でございます。ただ、これらはいずれも決定機関ではございません。これは
審議を深める機関でございますから、そこで
審議を深めた
内容を、本来の
審議会であります、この場合は高校分科
審議会が中心になりますがそこにフィードバックして、そこで決めるという形になるわけであります。
したがいまして、この間ずっと決まっていないではないかという先ほど来御論議があって、最後でばたばたと決めたじゃないかという御
指摘がございましたけれ
ども、
教育課程の
審議は本来そういうものでございまして、いろいろな
専門家の知恵をかりながら
議論を深めていって、そして教科別の
委員会で外部の方をまた入れたりして
議論を深めていって、最後にもとになります
高等学校分科
審議会で結論を出し、それを今度は最終的に、小中高決まりますと
審議会総会で決める、こういう形をとっているわけでございます。これはかなり複雑に見えますけれ
ども、やはり小中高、しかも教科別に国語、数学、社会、理科、特別活動、道徳まで含みますから、これだけ膨大な
内容をつくるにはそういう作業が要るのでございます。
それで、
指導要領の作成にかかわります人たちは、そういうわけで総計約六百人になります。これは多くは
学校の
先生が入られるわけです。そして、この六百人の方々のお知恵をかりてそして
教育課程審議会のまとめができ、それを受けて
学習指導要領ができる、こういう何といいますか膨大なエネルギーと英知と時間をかけてつくってきているものでございます。したがいまして、ある人がどうこう言ったから、この人がこう言ったからといって決まるようなものではないということをまず御
理解いただきたいのであります。そしていずれにしましても、こうした経緯を経て、決定機関であります
高等学校分科
審議会と、そしてそのもとになります
教育課程審議会の総会では、この社会科の再編成についてはいずれも異論なく、満場一致で決まっているということを申し上げたいのであります。
そこで、その間なぜ
審議の経緯を公表しないのだという御質問でございましたけれ
ども、先ほど申し上げましたように、中間的な形で中間まとめを出したり、それから
審議会のまとめにつきましても、まず総会の案を出しまして公表しまして、そしていろいろな方の御
意見を聞きまして最終的に答申にするというふうに、途中の期間、二回
審議の経緯を公表しているわけでございます。
それから歴史の
専門家が少ないというふうに言われましたが、確かに親
委員会では少のうございました。これはもともとの
趣旨が、なるべく
専門家を入れないで
教育というものを
常識的な
立場から
議論しようということから始まっているわけでございますから、一番当初には
専門家は確かに少のうございます。ですから課題別
委員会のときには
専門家は少ないわけでございますが、高校分科
審議会が始まり、さらにそれを深めるために教科別の
委員会が始まりましてからは、先ほど言いましたように数多くの
専門家が集まった代表がこの中の教科別に入っておりますので、実は歴史の
専門家も相当入っていらっしゃるわけであります。
そういう形で
教育課程審議会の答申がつくられ、それを受けた
指導要領がつくられるということを申し上げたいと思います。