○
政府委員(
塩飽二郎君) それでは、幾つかの質問に順次お答えを申し上げます。
まず、
自民党の
見直し案につきましては、これは
自民党の案でございますので、私
どももそれに一々評価を加えるということは非常に困難な
立場にあるわけでございますが、その前提に立ちましてお答え申し上げますと、まず今回の
自民党の
見直しでは三%という税率を前提にいたしまして、全食料品について、今
お話がございましたように末端小売
段階では非課税にする、そして小売に行くまでの生産から卸までの流通
段階における税率は、三%から一・五%の軽減税率を適用するという
見直しの要素になっているわけでございます。
諸外国の例を詳しく
承知しているわけではございませんけれ
ども、いわゆる付加価値税制をとっている西ヨーロッパ諸国におきましては、そもそも付加価値税の一般税率、標準税率そのものが、我が国の三%に比べましてかなり高い水準で設定をされているわけでございます。その中で、食料品等の一部の品目につきましては軽減税率を適用するということで、二
段階あるいは場合によって
は三
段階の税率を設定するという意味での軽減税率方式が、食料品等につきまして適用されていることは現実にあるわけでございます。ただし、末端で非課税、その途中まで軽減税率というような例があるかどうかについては、多分そういうものはないのではないかというふうに
承知をいたしておりますけれ
ども、詳しく全部をつかんでいるわけではございませんので、ただいま申し上げたようなことで御理解を賜りたいと思っております。
それから、第二の軽減
措置がとられた場合の農業経営、わけても畜産あるいは施設園芸等の経営については、経費率が高いので手取りが少なくなるのではないかというお尋ねでございます。
これにつきましては、生産者等が生産行為を行う過程で、生産資材等を仕入れて生産をやり農産物を生産するわけでございますけれ
ども、その生産資材、つまり農業機械あるいは農薬といったような資材には、当然農家が手に入れる
段階で税率三%がかかって仕入れを行うわけでございます。
片や、それを販売する場合に、製品として販売する場合の税率が一・五%になるわけでございますので、仕入れコストの販売価格に対する割合、仕入れ率と申しますか、が高いような経営の場合、これは畜産とか施設園芸の場合には、御
指摘のように、そういうケースが想定されるわけでございますけれ
ども、仕入れ税額の方が販売にかかる税額を上回るケースも出てくるであろうというふうに
考えられるわけでございます。このような場合には、課税
事業者を選択することによりまして、その上回る額につきまして税務当局から還付を受ける道が開かれておるわけでございまして、仕入れにかかる
消費税分について、
事業者が自分でかぶる、
負担をするということをしないで済む
制度が、還付ということで道が開かれているわけでございます。
それから、第三番目のお尋ねは、還付の場合に、農家の記帳の能力等から見て大変ではないのかという
趣旨のお尋ねだと理解したわけでございます。
やはり一たん納付をした、税金として税務署に納めたものを還付を受けるわけでございますので、その裏づけとなる資料といいますか、一定の帳簿による記帳管理等の事務が当然必要になるわけでございまして、そのことを通じて、当該農家の仕入れなりあるいは販売の実態というものは、ある程度還付の前提として税務署に理解を得るような資料をそろえていく必要があるわけでございまして、今後、私
どもといたしましては、農家における記帳の実態、これは現に農家も青色申告あるいは白色申告等、いろいろな
やり方で納税事務をやっているわけでございますので、何らかの形で記帳の経験もあるわけでございますけれ
ども、その実態につきまして十分把握をした上で、
関係団体等とも
意見を交換しながら、農家等に過重な
負担が生ずることのないよう、還付
制度の円滑な適用が受けられるように、税務当局と十分その運用につきまして
協議をしてまいりたいというふうに
考えておるわけでございます。
それから、一・五%以上の仕入れ相当
部分については、ただいま申し上げたように還付ということで処理をされるべきものでございますが、一・五%
部分につきましての転嫁の問題につきましては、これは現在の三%の
消費税率のもとでも、御
承知のように生鮮食料品につきましては、卸売市場における競り取引がかなめでございますので、競り
段階における、決定された競り価格に三%相当
部分を上乗せするということで
関係者の合意を得て、条例の
改正等によって
手続をとっているわけでございますけれ
ども、一・五%に軽減されることになった場合においても、同様の
措置をとることによりまして転嫁が可能であるというふうに理解をいたしているわけでございます。
それから、小売非課税になっても、消費者の入手する価格は三%丸々安くならないのではないかという御
趣旨のお尋ねでございますけれ
ども、小売
段階の仕入れにつきまして
消費税額がかかるわけでございまして、小売業者が仕入れる場合には食料品に、そのものの仕入れ額のほかに、例えば運賃でございますとか包装紙といったような、それに
関連する食料品以外の経費がかかっているわけでございまして、その経費
部分については三%の
消費税が従来どおりかかるわけでございますので、御
指摘のように、消費者価格が三%そっくり安くなるということにはならないというふうに理解をいたしておるわけでございます。