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1989-12-12 第116回国会 参議院 農林水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十二日(火曜日)   午前十時開会     ─────────────   委員異動  十二月十一日     辞任         補欠選任      初村滝一郎君     西田 吉宏君  十二月十二日     辞任         補欠選任      西田 吉宏君     初村滝一郎君      細谷 昭雄君     角田 義一君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         仲川 幸男君     理 事                 大塚清次郎君                 北  修二君                 上野 雄文君                 村沢  牧君                 井上 哲夫君     委 員                 青木 幹雄君                 鎌田 要人君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 成瀬 守重君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 菅野 久光君                 谷本  巍君                 角田 義一君                 三上 隆雄君                 猪熊 重二君                 刈田 貞子君                 林  紀子君                 橋本孝一郎君                 喜屋武眞榮君                 横溝 克己君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    政府委員        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省構造        改善局長     片桐 久雄君        農林水産省農蚕        園芸局長     松山 光治君        農林水産省畜産        局長       岩崎 充利君        農林水産省食品        流通局長     鷲野  宏君        食糧庁長官    浜口 義曠君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    説明員        厚生省年金局企        画課長      阿部 正俊君    参考人        農林漁業団体職        員共済組合常務        理事       井川 祐二君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りをいたします。  農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に、参考人として農林漁業団体職員共済組合常務理事井川祐二君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 村沢牧

    村沢牧君 ことしは、農林年金制度設立されてから三十年の記念すべき年であります。私は、過日長野県の農林年金三十周年記念集会に招かれて、先輩の諸氏から設立当時の思い出や、この年金制度維持発展をさせるために努力をしてまいりました経過を聞いて、改めて認識を深めたところであります。  御承知のように、農林年金は、農林漁業団体に優秀な職員確保するためには老後保障充実が必要であること、同時に、農林漁業団体育成強化が農政の推進上重要であるとの趣旨で、昭和三十四年に厚生年金から分離独立した年金制度であります。当時の厚生年金は、市町村共済制度に比較しても、給付水準において、福利厚生の面において大きな差があり、不利であったために農林漁業団体が優秀な人材確保に支障を来しておったわけであります。そこで、厚生年金よりも内容充実した年金制度をつくろうということで、厚生年金から分離独立をしたのであります。関係者は、その後制度改善充実努力をしてまいりました。  ところが、八〇年代に入ってからは国庫負担率の停滞、掛金率引き上げ支給開始年齢引き上げ給付水準の引き下げなどこうした改革が続いておりまして、今回の改正案年金制度一元化地ならしとも言うべき措置であります。農林年金制度厚生年金から分離独立し、これまで発展をしてきたことはそれなりきの根拠があり、また沿革もあります。それが尊重されねばならないし、年金制度改革は、年金加入者受給者生活と密接なかかわりがあります。これを正当に評価して、将来に向けて、この制度が果たすべき役割について適切な位置づけを行わなければならないというふうに思います。  大臣農林年金設立趣旨発足以来の政府対応農林年金位置づけと今回の法案提出関連について見解を求めます。
  6. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農林年金制度は、先生今申されたとおりに、農林漁業団体が、農林水産業発展農林漁業者地位向上という重要な役割を担っている点に着目いたしまして、市町村職員等に劣らぬ資質のすぐれた役職員確保にも資するように、こういう意図のもとに、お話しのとおり昭和三十四年に厚生年金から分離発足したものでございます。今日までの間、幾度かの制度改正等を経まして、制度内容につきましては他の共済年金制度に比べまして遜色のないものと思っておるわけでございます。  このような農林年金制度充実はありましたが、例えば、農協における新規採用者高学歴化が進むなど、農林漁業団体資質のすぐれた人材確保いたしまして、その福祉向上にも資する という本制度役割を今日まで果たしてきているものと考えております。  そのような観点から、今回のこの改正案を提出いたしたわけでございますが、公的年金制度改革につきましては、昭和五十九年の閣議決定を踏まえまして、昭和六十二年九月十八日の公的年金制度に関する関係閣僚懇談会におきまして、昭和七十年、平成七年の公的年金制度一元化に向けまして、課題手順を明らかにしながら、平成元年地ならしできるものは地ならしをする、こういう申し合わせがあったところでございます。この申し合わせに基づきまして、農林年金制度につきましても他の共済年金制度同様、年金額の算定の基礎となる標準給与及び定額単価の再評価等による給付水準引き上げ完全自動物価スライド制導入及び年金支給回数増加等を講ずるための制度改正を行う、このようなことから提案をさせていただいているところでございます。     ─────────────
  7. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、細谷昭雄君が委員辞任され、その補欠として角田義一君が選任されました。     ─────────────
  8. 村沢牧

    村沢牧君 今答弁がありましたように、政府昭和七十年、すなわち平成七年に公的年金一元化を図る、昭和六十年に基礎年金導入を柱とする大改革を行い、今回負担面調整を行うことを重点とした地ならし改定法案を提出しておるところであります。  年金制度一元化については、私も異論のないところでありますが、問題はその方法内容であります。政府事業者立場に立って改革を行うのか、労働者や広く国民立場に立って改革をし、一元化を図る、そのことは内容によってまさに正反対になるわけであります。共済年金についても設立基本理念既得権を十分尊重し、生活できる年金を保障すべきであります。  農林年金については設立当時の趣旨目的は今日何ら変わっておらないとするならば、年金一元化の中で農林年金特色をどのように生かしていくのか、またこの一元化は、組合員労働者立場を優先すべきだと思いますが、どうですか。
  9. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 平成七年を目途といたします一元化への最終的な姿につきましては、一つは各年金制度がそれぞれ存続をいたしまして、給付負担両面において整合性を図りながら一元化するというやり方、あるいは各年金制度を統合いたしまして新たな単一制度のもとで給付負担を一元的に行う、こういうふうなことなどが考えられるわけでございますが、具体的には今後の検討課題とされているところでございます。  このようなことから、今後の一元化に当たりましては、農林年金制度設立経緯あるいは独自性等を踏まえながら、対応に誤りのないよう、組合員代表の方々あるいは事業代表あるいは関係者意見、こういうふうなものを十分伺いながらこれから慎重に対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 厚生省に伺いますが、平成七年、公的年金制度一元化を完了するとするならば、その場合に今後どのような手続年金制度のさらに改正をしようとするんですか。
  11. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 年金制度一元化基本的な視点というものをちょっと申し述べてみたいと思うんでございますが、やはりこれからの本格化する高齢化社会の中で、産業構造就業構造というのが大きく変化してまいります。一方、年金制度といいますのはいわば世紀を超えて、四十年、五十年という、ひとつの長い時間的な流れの中で安定的に運営していかなければいかぬというふうな要請があるわけでございまして、まず一つはそうしたような産業構造就業構造というものの変化に十分対応できるような安定した制度にすること。二つ目は、やはり公的年金制度といいますのは、高齢化社会における老後生活の支えになる国民共通の財産でございますので、この制度を維持していくためには、負担給付両面にわたりまして公平性というのが非常に要求されてくるであろうというふうに思うわけでございます。したがいまして、負担給付両面にわたる公平性確保というのが、第二のテーマになってくるのではないかと考えられるわけでございます。  そうしたことから、先ほど委員も御紹介ございましたように、前回の六十年改正というときから基礎年金導入をし、被用者年金につきましても給付面については、事実上いろんな手直しをしてそろえつつあるわけでございまして、残されておる負担面調整というのは、被用者年金については、現在までのところそれぞれの制度が独立してやっておる現状でございますので、その負担面調整というのがこれからの一番のテーマになってくるだろう。そういうことから、今回制度間の調整ということで、いわば一元化へ向けての地ならしということで着手した、こういうふうに御理解願いたいと思うわけでございます。  したがいまして、一挙にやるということではなくて順次できるところからといいましょうか、ということで今日まで経過しておるわけでございまして、さてこれから先ということでございますが、先ほど私が申し述べました制度の安定と、それから負担給付両面にわたる均衡というふうな観点からしますと、被用者年金制度におきましても、例えば私ども年金審議会一つ意見を言っておりますけれども、同一給付、同一保険料による新しい単一制度、いわば第二基礎年金被用者年金の二階部分についてのいわば第二基礎年金的なものをつくって、そこに各制度が参加をして、給付面負担面についての均衡化を図るというのはどうだろうかというふうな提案がございますが、そうしたことを基本にいたしまして、先ほど農水大臣の御答弁にもございましたように、各制度それぞれの沿革もございますので、制度からよく関係者意見も聞きまして、あるいは関係審議会での御審議を願いながら、さらに今回提案申し上げております制度間調整法運営状況というものを十分念頭に置きました上で、具体的な姿を描きつつ、平成七年度を目途作業を進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 そうすると、平成七年の一元化までには、まだ法律改正なりあるいは諸制度改正はあるということなんですか。
  13. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 平成七年度という一つ目標といいましょうか、時期を決めておるわけでございますが、今回の例えば制度間調整法を御提案申し上げたわけでございますけれども、その制度間調整法についても御存じのとおり、衆議院段階での修正で三年後に見直すというふうな修正も行われておりますし、一応目標は七年ということでございますけれども、その間におけるあるいは制度手直しというのも否定できないのではないか、こんなふうに考えております。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 どうも今回は改正するけれども、その後どうなるかということについては必ずしも明らかにされておりません。  六十二年九月、公的年金制度に関する関係閣僚懇談会において、平成七年、公的年金制度一元化完了に向けて、課題手順を明らかにしながら平成元年地ならしをする、こういうことを申し合わせております。御承知のとおりです。今回地ならし法案は出したけれども、その課題手続を明らかに示しておらないんですね。これはおかしいんじゃないですか。
  15. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 課題手順といいますのは、先生指摘のとおり、一つの具体的な法律案のような形で提案してないわけでございますけれども、私ども農林年金も含めまして、各省庁間で閣僚懇談会の下に、局長クラスから成る調整会議あるいはその下の制度小委員会というふうなものをつくりまして、実質的に、共通にできるところにつきましては共通に合わせていくということで、例えば財政計算やり方だとか、あるいは将来の財政展望の見込みを共通にそろえるとかというところにつきましては、できるところから共通なものにして、土台づくりを進めていくというふうな作業を実質的には現在も進めているところ でございます。  ただ、制度全体の姿といいましょうか、これについては、やはり各制度ともさまざまな沿革があり、率直に申し上げまして利害にも絡む問題でもございますので、あらかじめ目標を決めて、段階を追ってというのはなかなか困難な面もございます。この点につきましては、現在のところ将来の姿は必ずしもはっきりしておりませんけれども、そういったふうな問題であるだけに各制度間の協議をさらに続けまして、各制度の合意のできる案をつくるように御論議賜りたい、こんなふうに考えております。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 将来、我が国の年金がどうなるかという展望を明らかにして、その都度地ならし的なような改正をしてくる、このことはこれから農林年金法審議するについても、農林年金特色を生かしていくんだという、大臣答弁をしていますから、一体どういうふうにして特色を生かしていくのか、そのことがわからないわけですね。  そこで、一元化された後における共済年金はどういうふうになるんですか。
  17. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 共済年金制度のあり方について、私から申し述べるのは不適当だと思いますが、私からは、その前提となる全体の姿の基本的な考え方について申し述べたいと思います。  被用者年金制度一元化という場合に、一つ考え方として、各制度を廃止いたしまして一つの新しいものにつくり上げるという考え方もあり得ると思います。二つ目は、先ほど、私が一元化基本的なねらいというふうに申し上げました制度の長期的安定と、負担給付公平化というふうなねらいからしますと、必ずしも廃止しないでも新しいいわば共通給付共通負担部分についてのみ一つ制度をつくりまして、それぞれの共済制度、それぞれの制度制度としては残したままで、その共通制度にいわば二重に参加すると申しましょうか、ということによりまして、共通給付なり、負担面についてはみんな同じになるということで、それから外れるといいましょうか、それの対象になり得ないもの、それぞれの制度のいわば独自性といいましょうか、というものについてはそれぞれの制度の中で工夫し、かつ必要なものは存続していただくし、あるいは拡充していただくというふうな道ができるような形での、一つ一元化というのもあり得るのではなかろうかと思っております。  年金審議会等での同一給付・同一保険料率による新しい単一制度といいますのは、私が申し上げたいわば後者のような考え方に立って、それぞれの制度独自性なりあるいはよさといいましょうか、というものはそれぞれの制度の仕組みの中で生かしていくというふうな考え方につながるのではなかろうかと、こんなふうに思っております。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、今お話ありましたように、一元化された後においてはすべて一元化するのか、あるいは農林年金その他の共済年金はその形を残して、給付面だとかあるいはまた、負担面の率だけ一元化していくのか、二つ方法があるというふうにお話があったんですけれども、先ほど来大臣は、農林年金特色を生かしていくんだというお話があったんですが、一体農林年金としては、一元化した後においてはどういう姿が望ましいんですか、どういうふうにしようとしているんですか。厚生省は、厚生年金のことを扱うのであって農林年金については農水省の責任だと思いますが、どうですか。
  19. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先ほど申し上げましたとおりに、完全一本化あるいは並列型というか、そのような考え方があるわけでございますが、今の時点でなかなか一本化される姿というふうなものがはっきりしないわけでございます。しかし、そういう中におきましても、今先生申されたとおりに、先ほど申し上げましたが、いわゆる農林年金経緯というふうなもの、設立当時の経緯あるいは独自性、こういうふうなものを保っていきながら、また残していくというふうなことも含めましてこれから検討していかなければならないのではないか、こんなふうに思っておるところであります。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 この農林年金の将来展望を目指さなければ、財政計算がどうだとか特色を生かすといったって、これは論議にならないと思うんですよ。一元化平成七年、そんなにずっと先の話じゃないんです。一元化された後において、今私が申し上げたように全部一緒になってしまうのか。農林年金を初めその他の共済年金は、形は残して負担面だとか給付面ただ一元化だけをしていくのか。その展望が開かれなければこれから十年、二十年からの財政計算なんてやる必要はない、どうなんですか。
  21. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今後の、平成七年に向けての一元化、この取り組みについては、今大臣並びに厚生省の方からるる御答弁申し上げたような内容で私ども認識をいたしておるわけでございます。  要は、七年に向けて一元化が行われるわけでございますけれども、その最終的な姿が併存型で負担給付調整をやるのか、あるいは完全に統合するのかという、理論的には二つのタイプが極端なケースとして想定されるわけでございますけれども、そのどこら辺に落ちついていくかということについては、関係者の御意見も十分徴しながら七年に向けて調整をやっていかなくちゃいけないわけでございまして、農林年金を預かる私どもといたしましても、関係者が、現役の方並びに既に受給権の発生している方がかなりいらっしゃるわけでございますので、その利害を十分踏まえ、農林年金特色が損なわれないような一元化ということに向かっての対応を進めていく必要があるというふうに認識をいたしておるわけでございます。  そこで、今先生が特にお尋ねになりました、今後の一元化の姿が具体化しないと年金財政安定化展望がきわめにくいのではないかという御指摘でございます。そういう面があることは率直に認めるわけでございますけれども農林年金の場合、現在は年金受給者一人を組合員四・七人で支えるという状況でございまして、農林年金に加盟されておる団体における今後の雇用の状況等を踏まえますと、平成三十九年度には、それが二・二人の組合員で一人の受給者を支えるというような財政状況になる、構造になるということはもう推定ができるわけでございまして、そういう状況を踏まえつつ、一元化対応する中で長期的な年金制度財政安定化確保していきたい。当面、その間年金の安定的な運営ができるように財政面でも対応してまいりたいという考えでおるわけでございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 農林年金は他の共済年金と横並びでありますから、農林年金だけ突出するわけにはいかないというふうに思いますけれども、しかし農林年金特色を発揮していくためには、一元化の後においても中身は若干変わるといたしましても、今のような形を保っておいた方がいい、現在ではそういうふうに思っていますか、率直に聞かしてください。
  23. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農林年金につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、制度発足以来改善が行われてきているわけでございますけれども、とりわけ現在は、三階建ての制度ということで、三階部分職域年金部分運営いたしておるわけでございますし、それに加えまして、農林漁業団体組織の活動と密接な関係を保った年金運営が行われているわけでございます。  例えば、各県の農協中央会に農林年金支部機能を果たすような連絡協議会が設けられておりまして、そのことを通じて年金制度運営にかかる事務コストの実質的な軽減もございます。また、将来の受給権発生に備えて、現役組合員の方の老後に備えた指導もきめ細かく行い得るような体制がとられております。また、積立金を原資といたします組合員に対する還元融資等、独自の役割を果たしているわけでございまして、これらの農林年金制度の独自の役割機能につきましては、一元化の中でもこれが十分生かされるように、私 ども関係者の御意見を踏まえながら対応していきたいというふうに考えているわけでございます。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、ここで私はちょっと年金の本論から少し外れて質問したいと思いますが、外れるわけではありません。それは消費税の問題であります。これは年金制度や農業にも大きな関連をしてくるわけでありますから、大臣見解を伺っておきたい。  本院では昨日、消費税を廃止する法案を可決いたしました。まさに日本の国会始まって以来のことだというふうに思います。最近の世論調査を見ますると、消費税を廃止する方が見直しをして存続するというよりも多くなっておるんです。このことは、自民党小手先見直し消費税を定着させようとすることに対して、国民の批判が高まっておる証左であります。野党が、消費税廃止法案代替措置法案を提出し本院で可決したことは、国民の要望にこたえたものであります。  この法律は本日から衆議院に送付され、衆議院では多数を背景にして審議未了、廃案にしようというようなことが報道されているところでありますが、そのような国民無視の行動をするならば、やがて衆議院の選挙の結果としてあらわれるでありましょう、そのことを申し上げておきます。  さて、自民党高齢化社会対応して消費税は必要である。海部総理自身も、当初は福祉目的税だとか福祉に使うなどと言っておりましたけれども、そのような考え政府自民党にあるとするならば、今回提案されている年金改革についてもこんな内容ではなくて、福祉ビジョンを打ち出して、年金の将来展望を打ち出して年金制度充実発展させる法案にすべきであったと思うんです。厚生年金におきまして、政府案は福祉の後退につながるものでありましたけれども衆議院修正をされたことは評価するものであります。これに関連をして農林年金を初めとする共済年金修正をされまして、当面の改悪は一たんストップさせることができたわけてあります。  大臣は、農林年金を担当する閣僚として、また国務大臣として、自民党の党員として、政府であるいは閣議で消費税福祉に、そして消費税年金に回す、こうしたことなどについて真剣に論議し、討議したことがございますか。自民党見直し案を実現するとするならば、この政策目標としての政策課題にこたえる消費税の財源は極めて少なくなるんです。こうした中におきましても、この消費税をもって優先して福祉に充てていく、そういうお考えになっておられるのか、農林水産大臣として、閣僚として御意見を聞きたい。
  25. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回の、自由民主党の消費税見直しに関する基本方針につきましては、あくまでも党におきまして作成されたものでありまして、政府といたしましてはこれにつきましてコメントをする立場ではございませんけれども、ただこの基本方針によれば、消費税収というものを優先して国民福祉のための経費に充てる、こういう趣旨、規定を定めることとされておるわけでございます。高齢化の進展に対応しました国民福祉の一層の増進の必要性、あるいは消費税をめぐる国会における議論、世論の動向などを考えた場合に、消費税の使途につきましては、このような方針が定められたというふうなことについては十分理解でき得るものと、このように考えておるところでございます。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 自民党の方針にはたしかそのように書いてありますね。国費分の消費税を優先して福祉の経費に充てることとしている。しかし、そういうことは政府部内で論議したことがありますか。  と同時に、もう一点お聞きしますけれども消費税によって確保しようとする財源五兆九千億ですね、そのうちの約四割は地方だと。それから、今回見直しによってかなりのものが政策経費に使われる財源として減少するわけですね。福祉に充てると言ってもそれは残る消費税による金額はどのぐらいになるんですか、御承知ですか。
  27. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 金額的にははっきりした数字は今ここに用意しておりませんが、いずれにいたしましても高齢化が進んでおる、こういうふうな中で、またこれまでのいろいろな議論というふうなものを考えてみました場合に、消費税福祉というふうな問題につきまして使っていくというふうなことにつきましては、政府税調におきましていろいろと議論もされておるところでございますので、そのような中において今後対応すべきものだ、こんなふうに考えておるところでございます。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 どうも自民党大臣としては余りすっきりしない答弁ですけれども、これは平成二年の予算に反映すると言っていますから、それではそのことを見ましょう。そして、また後日質問いたしましょう。  そこで、自民党見直しは、二転、三転してまとめた案ですね。党内にもいろいろな意見があったということは報道によって承知をしておりますが、この見直し案について、各方面からまた失望と疑問と抗議の声があるということは御承知のとおりであります。このことは、自民党見直し案は大型間接税は導入しません、そしてまた消費税についても大胆な見直しをする、こういうことを言われてきた自民党首脳が二重の公約違反を犯している、あるいは逆進性や国庫に入らない税金など、この税の持つ根本的な仕組みの欠陥が是正されておらない、これから国民の批判が高まってくるのは当然であります。  消費税廃止法案は、既に本院では可決されましたからこれ以上いろいろ論議をする必要はないですけれども、せっかく自民党さんも案を出しておりますので、農業問題に関係することについて若干伺っておきたい。  一つは、自民党の案は全食料品小売段階非課税、流通段階軽減税率課税となっておりますが、こうしたわかりにくい税制は世界に例があるでしょうか。  第二番目、農業用資材などには三%の課税があります。農産物には軽減税率一・五%課税という仕組みは、経費率の高い農畜産物は、競り価格に転嫁する消費税分が経費に課税される消費税分を下回りますので、生産者の手取りは減少してしまうのではないか。  第三点目、還付を請求することができるといっても、帳簿方式の消費税の仕組み、非課税農家、また農家の記帳能力などから見て、農家にとっては容易でないというふうに思いますが、どうですか。  第四点目、消費税による経費のアップ分を確実に転嫁できるという、現実問題としてこの保障はありますか。  第五点目、食料品を小売段階で非課税にしても消費税率の三%、つまりそのものが安くならないのではないか。また、内税方式にすれば消費税分が幾らになるかわからない、物価の値上がりにつながってくるのではないか。  農業に関係することでございますので、以上五点について答弁を願います。
  29. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) それでは、幾つかの質問に順次お答えを申し上げます。  まず、自民党見直し案につきましては、これは自民党の案でございますので、私どももそれに一々評価を加えるということは非常に困難な立場にあるわけでございますが、その前提に立ちましてお答え申し上げますと、まず今回の自民党見直しでは三%という税率を前提にいたしまして、全食料品について、今お話がございましたように末端小売段階では非課税にする、そして小売に行くまでの生産から卸までの流通段階における税率は、三%から一・五%の軽減税率を適用するという見直しの要素になっているわけでございます。  諸外国の例を詳しく承知しているわけではございませんけれども、いわゆる付加価値税制をとっている西ヨーロッパ諸国におきましては、そもそも付加価値税の一般税率、標準税率そのものが、我が国の三%に比べましてかなり高い水準で設定をされているわけでございます。その中で、食料品等の一部の品目につきましては軽減税率を適用するということで、二段階あるいは場合によって は三段階の税率を設定するという意味での軽減税率方式が、食料品等につきまして適用されていることは現実にあるわけでございます。ただし、末端で非課税、その途中まで軽減税率というような例があるかどうかについては、多分そういうものはないのではないかというふうに承知をいたしておりますけれども、詳しく全部をつかんでいるわけではございませんので、ただいま申し上げたようなことで御理解を賜りたいと思っております。  それから、第二の軽減措置がとられた場合の農業経営、わけても畜産あるいは施設園芸等の経営については、経費率が高いので手取りが少なくなるのではないかというお尋ねでございます。  これにつきましては、生産者等が生産行為を行う過程で、生産資材等を仕入れて生産をやり農産物を生産するわけでございますけれども、その生産資材、つまり農業機械あるいは農薬といったような資材には、当然農家が手に入れる段階で税率三%がかかって仕入れを行うわけでございます。  片や、それを販売する場合に、製品として販売する場合の税率が一・五%になるわけでございますので、仕入れコストの販売価格に対する割合、仕入れ率と申しますか、が高いような経営の場合、これは畜産とか施設園芸の場合には、御指摘のように、そういうケースが想定されるわけでございますけれども、仕入れ税額の方が販売にかかる税額を上回るケースも出てくるであろうというふうに考えられるわけでございます。このような場合には、課税事業者を選択することによりまして、その上回る額につきまして税務当局から還付を受ける道が開かれておるわけでございまして、仕入れにかかる消費税分について、事業者が自分でかぶる、負担をするということをしないで済む制度が、還付ということで道が開かれているわけでございます。  それから、第三番目のお尋ねは、還付の場合に、農家の記帳の能力等から見て大変ではないのかという趣旨のお尋ねだと理解したわけでございます。  やはり一たん納付をした、税金として税務署に納めたものを還付を受けるわけでございますので、その裏づけとなる資料といいますか、一定の帳簿による記帳管理等の事務が当然必要になるわけでございまして、そのことを通じて、当該農家の仕入れなりあるいは販売の実態というものは、ある程度還付の前提として税務署に理解を得るような資料をそろえていく必要があるわけでございまして、今後、私どもといたしましては、農家における記帳の実態、これは現に農家も青色申告あるいは白色申告等、いろいろなやり方で納税事務をやっているわけでございますので、何らかの形で記帳の経験もあるわけでございますけれども、その実態につきまして十分把握をした上で、関係団体等とも意見を交換しながら、農家等に過重な負担が生ずることのないよう、還付制度の円滑な適用が受けられるように、税務当局と十分その運用につきまして協議をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、一・五%以上の仕入れ相当部分については、ただいま申し上げたように還付ということで処理をされるべきものでございますが、一・五%部分につきましての転嫁の問題につきましては、これは現在の三%の消費税率のもとでも、御承知のように生鮮食料品につきましては、卸売市場における競り取引がかなめでございますので、競り段階における、決定された競り価格に三%相当部分を上乗せするということで関係者の合意を得て、条例の改正等によって手続をとっているわけでございますけれども、一・五%に軽減されることになった場合においても、同様の措置をとることによりまして転嫁が可能であるというふうに理解をいたしているわけでございます。  それから、小売非課税になっても、消費者の入手する価格は三%丸々安くならないのではないかという御趣旨のお尋ねでございますけれども、小売段階の仕入れにつきまして消費税額がかかるわけでございまして、小売業者が仕入れる場合には食料品に、そのものの仕入れ額のほかに、例えば運賃でございますとか包装紙といったような、それに関連する食料品以外の経費がかかっているわけでございまして、その経費部分については三%の消費税が従来どおりかかるわけでございますので、御指摘のように、消費者価格が三%そっくり安くなるということにはならないというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、お聞きのように、立派な見直し案を出したというふうにおっしゃっていますけれども、中身をいろいろ研究してみると疑問がいっぱいあるんですね。また、皆さんがというか、大臣が言っているわけじゃないが、大臣も言っておるかもしれませんが、自民党の皆さん方が言っているような形にはならないと。私は、きょうここで消費税問題を論議しようというふうには思いませんけれども、この消費税見直しは、例えば今答弁がありましたように、還付を請求できると言っているけれども、帳簿方式ではなかなか難しいんですね。伝票方式にならぬうちは還付を請求するといったってできない、あるいは内税方式にすれば消費税分は幾らであるかわからない、こういうことにもなってまいりますから、これは生産者にとっても消費者にとってもいい制度ではない、農家、農民のためにならない、このことだけ申し上げておきましょう。大臣答弁要りません。  さて、農林年金に戻りますけれども農林年金組合員数は十年前と比較して余りふえておらない。特に、最近年度の伸び率は悪い。こうした中で若い人たち、つまり二十歳代の組合員の動向はどうなっていますか。
  31. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 六十三年度末で農林年金に加盟している組合員の数は、総数で四十九万四千人いらっしゃるわけでございます。このうち、二十歳代の方は総数で十三万人いらっしゃるわけでございまして、全体に占める二十歳代の方々の割合は二六・三%になっているわけでございます。  それから、最近過去三年のこの割合につきまして申し上げますと、六十年が二九・五%、六十一年は二八・三%、六十二年が二七・三%でございますので、一番最近時点の二六・三%というのは、確かに六十年から比較しますと三%程度の減少、全組合員四十九万四千人に占める二十歳代の組合員の方の割合は減少してきている、今後もおおむね現状の組合員数で推移するのではないかというふうに想定されるわけでございます。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 退職者、すなわち年金受給者は多くなるけれども、この補充者、つまり農林漁業の職場に若者が減ってきている。若い職員は必要はないのかというとそうではない。退職者の補充は臨時あるいはパートといった不安定な身分の労働者でカバーしているんです。このことは、年金財政年金の将来にとっても大きな影響を与えるだけでなくて、農林漁業の拡大にとっても看過することができないことであります。こうした状況になっていることは大臣、農林漁業の将来展望が不明確であり、取り巻く現状が不安定である、若者が希望に燃えてこうした職場に入ってこない、こういうことではないでしょうか。
  33. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今日このような、今局長から具体的な数字を答弁いたしたわけでございますが、私どもといたしましては、農林水産業の重要性というものをさらに認識いたしまして、国民に対しまして食料の安定供給、こういうふうな基本的な考え方に立ちまして、これから信頼されるところの着実なる農政を推進してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 大臣答弁は私の質問にも答えておりませんが、こういう大事な職場に若者が入ってこない、これは大変なことですよ。これはやっぱり農業の将来の展望あるいはその職場の実態もあるでしょう。ですから、こういうところから農業に魅力を持つようにしていかなければならないというふうに思うんです。  そこで本院は、夏の参議院選挙の結果を顧みまして、去る十一月十七日、農業政策の拡充強化に関する決議を全会一致で可決いたしました。私は、 この決議案の提案者にさせてもらいました。この決議は、農業の現状、そして将来展望から政府に積極的な施策を要請したものでありまして、こうした施策を着実に実行することができるか否かは、農家、農業団体にとっても、農林年金組合員にとっても及ぼす影響は大きなものがあります。決議の内容は六項目にわたっておりますが、それらについてどのように対応されるのか、改めて、大臣に決意と具体的な施策について伺いたい。
  35. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今回、今先生申されたとおり、我が国農業の振興と国民生活の安定のため、六項目にわたりまして御決議をいただいておるわけであります。  そのまず第一につきましては、農業の将来展望、こういうことでございますが、農業者が将来を見通しながら農業を営むことができるように、このような考え方に立ちまして、二〇〇〇年を目標年次といたしまして、農産物の需要と生産の長期見通しというものを策定すべく今詰めておるところでございます。  二番目の米問題につきましては、米並びに稲作の格別の重要性にかんがみまして、国会におきましても両院におきまして御決議等もいただいておるわけでありますから、この国会決議の趣旨を体しまして、今後とも国内産で自給をするという基本的な考え方、これで貫いてまいりたい、このように考えておるところでございます。  三番目の、水田農業確立後期対策につきましては、需給均衡を図るとの観点から、転作等目標面積を八十三万ヘクタールとするとともに、転作助成につきましても総体として本年並みの額を確保する、このようにいたしておるところでございます。  土地改良負担金の軽減につきましては、平成二年度におきまして負担金の償還の平準化を図る制度の創設など、必要な助成措置を講ずることといたしまして、その予算要求を行っているところでございます。  中山間地域につきましても、国土の保全なりその果たしておる役割、こういうふうな重要性を踏まえまして、平成二年度におきまして新たな地域活性化対策を講ずるべく、これまた予算要求をいたしておるところでございます。  食料自給率につきましては、御決議の趣旨を踏まえまして、現在需要と生産の長期見通しの一環として検討いたしているところでございますが、米の消費が減少する一方畜産物の消費が増加する、このような国民の食生活の変化が進む中で、国土資源に制約のある我が国におきまして国民に良質で安価な畜産物を供給するためには、畜産に必要となる主要穀物の大部分を輸入に依存せざるを得ない。その引き上げにつきましてはなかなか困難な事情があるわけでございます。私どもといたしましては、自給率の低下傾向に何とか歯どめをかけたい、このような方向で今日これから検討してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 その決議を踏まえて、真剣に検討していることについては評価するものでありますけれども、最初にお話がありました、二〇〇〇年の我が国農業を展望して農産物の需要と供給の長期見通しをつくる、その作業を進めておるようでありますけれども大臣、最後に答弁ありました食料自給率を高めること、この長期見通しの中にそのことをうたわなければ、幾ら見通しを出したってこれから十年後に食料自給率は下がりますよ。そんなことでは農家に対して希望を持って農業に取り組めることができるような長期展望ではない。今作業を進めているようでありますが、私も、何回もこのことを言っておりまして、この決議の中ではこのことが一番大事なんです。全部大事ですよ、大事だけれども、このことをしかしやらなきゃいけない。それから、大臣は国内生産による自給は高めていくと言っている。あの決議には国内生産による完全自給と。参議院に来たらぜひ完全自給ということを言ってください。ずっと参議院は完全自給という決議をしていますからね。衆議院に行けば国内生産によって自給と言ってもいいでしょうけれども、参議院に来ておっしゃるならひとつそういう言葉を使ってもらいたいと思います。  それから、土地改良の負担金についても云々言っていましたが、きょうなんかの新聞を見ると、三塚政調会長は、ことしの予算で、この土地改良負担金を軽減するために、何か二千億ぐらいですか、基金をつくって何とかやっていくというようなことを言っておりましたが、これはもうそういうことを要求しているんですか、どうですか。あわせて答弁を願いたい。
  37. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) 負担金問題についての御説明をさせていただきます。  土地改良負担金問題は、先ほど大臣からもお話がありましたように、来年度予算で、支払い利息の負担軽減のための要求をしておるわけでございますけれども、今新聞の話が出たわけですが、全体といたしまして、五年間で国の支出を一千億予定をするという計画で来年度予算は要求しております。これの対応につきましては、都道府県にも負担をお願いするということで、二千億というのはその全体の話ではなかろうかと思います。私どもといたしましては、五年間で国費を一千億支出するという前提で、来年度予算を百億円現在のところは要求しておるわけです。これから年末にかけまして、政府予算原案策定の過程で、具体的な金額を詰めていきたいというふうに思っております。
  38. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 自給率の引き上げ等の問題につきましては、先ほど申し上げましたとおりに、なかなか困難な事情があるわけではございますが、何とか低下傾向に歯どめをかけたい、このような方向で検討してまいりたいと思っております。  また、米の問題につきましては、参議院におきまして、完全自給というふうなことでの堅持を御決議いただいておるわけでありますから、その趣旨を体して最善の努力をしてまいりたい、このように思っておるところでございます。
  39. 村沢牧

    村沢牧君 農業政策の拡充強化に取り組む決意は、当面をする農林予算に反映しなくてはならないというふうに思います。平成二年度の政府予算案の編成も間近に迫っていますが、農林水産省の概算要求額、元年と比較してどうか。また、農林年金の予算要求についても明らかにしてください。
  40. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) 来年度の全体の予算要求額でございますけれども、いわゆるNTTのAタイプ分というのを除きまして、来年度要求額は三兆一千二百八十億円、前年対比〇・七%のマイナスになっています。これは、ことしも予算要求の段階で投資的経費については前年と同じ、それから、その他の経費につきましてはマイナス一〇%というシーリングが設定されたわけでございます。その中で、各種経費の節減合理化に努めながら、予算の重点的、効率的な配分を行って要求をいたしておるわけでございます。
  41. 村沢牧

  42. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農林年金平成二年度の概算要求について申し上げますと、これは事業費補助と事務費補助の二本立てになっておるわけでございますが、事業費補助につきましては要求額四百億九千二百万、これは前年度が三百六十億六千二百二十万でございますので、一一・二%の増。それから、事務費補助につきましては四億八百万の要求額でございまして、これは前年に比べて七・五%の増加要求になっているわけでございます。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 官房長は、概算要求をまだ参議院選挙の前から要求しておったんですね。選挙の結果ああいうことになったんだから、これは概算要求でもって幾らもふえてないで、総体的には、わずかながら減っている、平成元年より。そんなことじゃやっぱり農民の期待にこたえることはできないですよ。選挙の結果はこういうことになったし、消費税もこういうことになったんです。今度の予算編成については概算要求を超えて予算を獲得する、そのくらいの熱意がないとまた選挙、選挙にはね返っても私のところへはね返るのじゃないの で、自民党さんにはね返っていいんだけれども、しかし農家、農民のためには、そのくらいの決意を持ってやっていただくように要請しておきます。  そこで、農業協同組合等相互扶助事業ですね、これは幾ら要求しているんですか。
  44. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) これにつきましては、前年度と同額の六億一千万を要求しておるところでございます。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、農林年金予算の要求額の伸びですね、一一・二%あるいは七・五%伸びている。そのことは結構ですけれども、これは制度改正に伴うそんなに新たなものではなくて、年金件数等の増加に伴う当然増だというふうに理解してよろしいですか。
  46. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ほど申し上げた事業費補助につきましては、当然、給付費を反映しているわけでございますけれども、今回の制度改正による給付費アップは、この中には織り込まれてないわけでございます。それから事務費補動、先ほど四億八百万で要求している、前年に比べまして七・五%の増でございますが、実額では二千八百四十三万の要求でございまして、これは当然、年金受給権の増加に伴ういわば当然増的な要素もございますけれども、今回改正をお願いしています一つの要素でございます、年金の支給回数を年四回から六回にふやすという要求をお願いしているわけでございます。それに伴う事務費補助の増が約千八百万ぐらい含まれておるわけでございまして、これはいわゆる制度改正にかかる予算のアップに見合うものでございます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 制度改正に伴う予算増というのは千八百万ですか。それ以外のものはどうなるんですか、いつの予算になるんですか。
  48. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ほど申し上げた平成二年度の概算要求額は、八月段階での要求額を申し上げておるわけでございまして、今回制度改正をお認めいただいた暁には、当然年内に行われる予算編成の最終段階において、制度改正による必要増額分を織り込んだ形で予算が決定されるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 次は、農林年金適用団体の定年制の推移と現況、定年の状況について簡潔に説明してください。
  50. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 系統団体の方で、定年制等に関する調査報告を行っておるわけでございますが、それによりますと定年年齢は、六十年八月時点では総平均が五十八・三歳でございました。六十三年八月現在では五十八・七歳になっておるわけでございます。中でも六十歳以上の方々の割合を申し上げますと、六十歳定年が四六・九%から、六十三年八月には五五・二%に六十歳を定年とする割合が高まっております。また、六十一歳以上のケースも、二・〇%から二・二二%に高まっているわけでございます。それから定年制の採用団体を見ますと、六十年では全体の七七・四%でございましたが、六十三年八月では八〇・四%、団体の実数では七千九百一団体ということになっておるわけでございます。
  51. 村沢牧

    村沢牧君 この定年制についても、加盟団体努力をしておるようてありますが、実は六十一年改正の折、当時の後藤経済局長は、昭和六十四年ころには六割以上の農協が六十歳の定年制になる、あるいは六十年後半においては全農協が六十歳定年制に持っていく。それから、退職年齢と年金開始の間に空白が生じないように団体努力しているので政府も指導に努めておる、こういう答弁をしておるんです。  にもかかわらず、今説明のあったような現状はそれよりも下回っているんです。成果は上がってないとは言いませんけれども、当初期待したような形にはいってない。農水省としてはどういう指導をしているんですか。今後、どういうふうに取り組んでいきますか。
  52. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 雇用と年金給付支給開始年齢との関係というのは、非常に密接な関連があるべきものというふうに理解をいたしておるわけでございまして、雇用条件、特に農林年金に加入されている農林漁業団体における雇用条件の整備、そういうものと密接に関連をしながら、この年金支給開始年齢というものに対応すべきものというふうに理解をいたしておりまして、雇用条件の改善といいますか、定年制の確立等を含めまして、本質的には、基本にはやはり労使間の自主的な話し合いで進められるべきものではございますけれども、やはり年金との密接な関連がございますので、そういう観点から、私どもも日ごろから農協を初めとする、農林年金団体関係団体の方々に、そういう面からの対応をお願いいたしておるわけでございます。  農協について見ますと、昨年第十八回の農協大会で、二十一世紀に向かっていく農協の組繊としてのあるいは事業としてのあり方、取り組む基本方針を出されているわけでございますが、その中で、経営管理の充実強化あるいは人材の活用等について、農協としても積極的な取り組みの姿勢を打ち出されておるわけでございます。  私ども役所といたしましても、適正な要員計画に基づいた農協、あるいはその他の農林年金加入団体における要員計画が自主的に行われるわけでございますけれども、それについての取り組みが的確に行われるように、一段と指導に努力をしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  53. 村沢牧

    村沢牧君 次は、農林年金支給開始年齢についてでありますが、厚生年金支給開始年齢引き上げ、つまり六十歳が段階的であるけれども六十五歳にする、これが大きな政治問題となって衆議院段階において削除された。このことは、参議院が逆転をしたそういう背景があってのことだというふうに私は思いますが、これは結構なことだというふうに思うんです。  今回は削除されたけれども、次期の再計算の際には、またこれを検討することになっておるというふうに私は理解をしておるんです。  農林年金法改正には、支給開始年齢引き上げは対象になっておらないけれども、しかし支給開始年齢の延伸については、厚生年金と同様な措置をとることが閣議で決定されておりますので、今回これが削除されなくてそのまま通過してきたならば、農林年金もやっぱり支給開始年齢引き上げという問題が出てきたであろう。将来、次期において厚生年金をまた六十五歳までにするということになってくれば、農林年金もこれに倣っていくという形になるのではないかというふうに心配するんですが、どうですか。
  54. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今お話がございましたように、厚生年金の、今回の衆議院修正におきまして、支給開始年齢引き上げ関係の規定の削除が行われ、新たな附則の規定におきまして、厚生年金の将来見通しでございますとか、あるいは高齢者の就業機会の確保等の措置状況等を総合的に勘案し、次期財政計算の機会に見直しを行うという趣旨の規定が置かれたわけでございます。  農林年金につきましては、今後における本格的な高齢化社会の到来に向けて、安定的な年金構造というものを構築していくためには、やはり掛け金の問題あるいは給付水準の問題とあわせて、支給開始年齢をどうするかというのは非常に大事な一つの要素でございますので、支給開始年齢見直しの問題は、やはり農林年金でも避けて通れない、極めて重要な課題であるというふうに受けとめるわけでございます。  しかしながら、この問題は、先ほども定年制との関連で申し上げましたけれども、職域における就業の実態なり他の年金の動き等との関連もありますので、今後そういったものを十分留意しつつ、適切に対処してまいる所存でございます。  今先生からお話のございましたように、政府提案支給開始年齢厚生年金についての、閣議決定の際の共済年金についての扱いに関する閣議決定もございます。そういう趣旨というものは、今回の修正がありましても、私どもとしては、やはり農林年金の扱いについての踏まえるべき基礎的な考え方であるというふうに認識をいたしておりまして、今申し上げたような対応で今後取り組ん でいきたいというふうに思っておるわけでございます。
  55. 村沢牧

    村沢牧君 農林年金支給開始年齢は五十五歳であったわけであります。昭和五十四年の改正によって六十歳支給になり、さらに六十年の改正によってその経過措置期間が短縮をされた、平成七年までには完全に六十歳支給になる。既にこういう地ならしを行っているわけですね。こういう地ならしを行っているにもかかわらず、また厚生年金が将来延びるとするならば、またやらなければならない。まさに混乱を来してくるし、年金受給者にとっても、組合員にとってもいいことではないというふうに思うんですが、どうなんてしょうか。
  56. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 結局、先ほど申し上げたことを繰り返すようなことになるかと思いますけれども、今後の高齢化社会の急速な進展ということが、当然与件としてあるわけでございまして、かつまた農林年金の場合、年金加入者の現在数四十九万四千人というのは、将来とも、少なくとも横ばいというふうに見ざるを得ないという状況があるわけでございます。したがって、安定的な年金財政構造というものを構築していく場合に、給付水準あるいは掛け金の問題とあわせて支給開始年齢というものをどう設定していくのか。これは現役の方々の大変な期待があるわけでございますから、軽々に扱うことはもちろんできないわけでございますけれども年金財政の安定という見地から、他の制度とのバランスにも配慮しつつ、私どもは真剣にこの問題に取り組んでいく必要があるというふうに考えておるわけでございます。
  57. 村沢牧

    村沢牧君 ぜひ慎重に扱っていただくように、将来のことですけれども、特に申し添えておきたいというふうに思うのであります。  そこで、提案されている改正案は、標準給与の再評価、定額単価引き上げ等によって給付水準引き上げ、物価スライドを完全自動物価スライド制に改めるなどの、年金額引き上げも前面には出していますが、同時にこのことによって、必要な財源を、財政計算を一年早め、組合員の掛け金を大幅に引き上げようとするものであります。  きょうは、参考人として年金共済からもおいでを願っておりますが、お聞きしますけれども財政計算は共済組合にとって従来五年ごとに行われておりましたが、これを一年繰り上げて実施することは従来の慣行を破るものである、あるいは年金当局はどのように受けとめておるんですか、またそのことによって組合員にいかなる影響を及ぼすか、どうですか。
  58. 井川祐二

    参考人井川祐二君) お答えいたします。  私どもの共済組合法におきましては、財政計算の規定が明確にされておりません。他の厚生年金制度あるいは共済年金制度には五年を超えない期間、五年以内に再計算をする、こういうことになっておりまして、従来他の制度に倣いまして五年ごとに再計算をやってまいった、こういうことでございます。これは制度改正等がありました際は、他の制度におきましても、五年という期間にこだわらないで再計算を実施したケースもございますので、私どももこれに倣いまして今回再計算を行っておる、こういうことでございます。  御質問の、前倒しの理由でございますけれども一つは、平成元年におきまして各制度共通給付改善が行われることとなっておりますので、負担面と申しますか、財政面においてこの裏打ちをしていきたい、こういうことが一点でございます。  それから二点目は、先ほど来御議論がございますように、平成七年に向けまして公的年金一元化が行われる運びとなっておりますが、厚生年金、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合等、他制度でも本年度に財政計算が行われておりまして、私ども公的年金制度の一環として足並みをそろえてまいりたい、こういうことでございます。  それから、組合員にどんな影響があるのかという御質問でございます。  確かに、団体組合員負担の増加をもたらすことでございますので、大変苦しい思いでお願いをしておるわけでございますけれども、仮に、今年度財政計算を行わない、明年の四月一日からの掛金率の改定を予定しておるわけでございますが、これを行わないということになりますと、給付改善のみが先行し、それだけ後代の負担が増加するということに相なります。それからまた、前回再計算をいたしまして将来見通しを立てたわけでございますが、いろいろと実態に相違するような点が出たりいたしておりまして、財政の健全性を確保するという点で、先ほど来申し上げておりますような他制度との整合性、そういったものを勘案しながら、将来の組合員負担増を避けるために財政計算をさせていただく、こういうことでございます。
  59. 村沢牧

    村沢牧君 年金財政の健全化あるいはまた長期安定の確保については、政府も積極的にこれは指導していかなければいけないと思いますが、そこで参考人が、今おっしゃったようなことでもって財政計算を早める、あるいはなぜ早めなければならないか。私は、なるほど給与改定も前面には出しておりますけれども、これはやはり平成七年、年金統合の地ならしとして重点を置いたものである、地ならしをするために今回の法律提案したものである、その方のウエートが高いというふうに思いますが、経済局長どうですか。
  60. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ほども、御答弁の中で申し上げたわけでございますが、今回の制度改正、これは各年金共通改正内容になっておるわけでございますけれども、いわゆる二階建て部分の、共通部分についての被用者年金制度間の負担調整あるいは完全物価スライド制等のほか、再計算に当たりまして、制度間で共通の前提を置いて再計算計算を行うというような要素が盛り込まれておることは事実でございまして、平成七年に向かっての、各年金一元化という重要な課題がございますので、そこへ向かっての地ならし措置という意味合いが込められて、今回こういう提案もなされているわけでございますので、そういうことの一環としての給付水準見直し改善ということが行われるわけでございまして、やはり一元化に向かい進めていく必要がある。さらにはまた、各年金間で給付水準公平化という重要な課題がございますので、他の制度が本年給付水準引き上げを行うということに伴って、我が農林年金としても給付水準引き上げというのは、やはりこれは実施をせざるを得ないわけでございまして、したがって年金の安定的な運営という見地から、五年に一遍の財政計算でございますけれども、それを一年早めてでも再計算による財政的な裏打ちを確認しつつ、給付水準引き上げに見合った掛金等の措置を実施していかざるを得ないということで、ただいま作業を行っておるところでございます。
  61. 村沢牧

    村沢牧君 大臣年金統合の一元化は、私は先ほど申しましたように決して反対するものじゃありません。しかし、一元化をするのだから、少し給付を上げるのだからその財源として従来の財政計算等を早めてやっていくんだ、上げる分は全部組合員負担をさせるのだということでは、せっかく大臣が、先ほど消費税福祉に充てるのだと言ったんで、消費税導入してやるのだったら、政府措置によってこれを改正するんですから、せめてその分ぐらい消費税でもって負担をするような、そういう気持ちがあっていいんじゃないでしょうか。
  62. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生申された件につきましては、今後の検討課題じゃないか、このように思っております。
  63. 村沢牧

    村沢牧君 参考人は、いろいろ条件を言われまして財政計算をする必要があると。今お考えになっているような立場で再計算をすると、新しい掛金率は何%ぐらいを想定しているんですか。
  64. 井川祐二

    参考人井川祐二君) 現在千分の百三十四の掛金率を千分の三十引き上げさしていただきまして、千分の百六十四にいたしたい、かように考えております。
  65. 村沢牧

    村沢牧君 千分の百三十四を百六十四にする、三十上げですね、これは大幅なアップだと思うん です。  そこで、厚生省にお聞きをするんですが、厚生年金は、掛金率についてこれはやはり野党の要求によって一部修正したわけです。厚生省、当初政府考えておった率、修正された率はどういうふうになっていますか。
  66. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 政府提案による厚生年金の場合の男子の例でございますが、一二・四から二・二、千分率で言いますと二十二ということでございますが、二十二の上げ幅を予定しておりましたが、衆議院修正によりまして、平成二年の間は、これが二・二が一・九、それから平成三年以降は二・二が二・一ということで、政府提案よりも最初の平成二年が〇・三、それからその後が〇・一、それぞれ圧縮された姿になっております。
  67. 村沢牧

    村沢牧君 厚生年金は、今答弁がありましたように千分の二十二上げるのを引き下げたと。しかも千分の二十二上げるというのは、六十五歳まで定年を延ばしていく、そのことを前提にしてつくった案です。しかし六十五歳は削除された、にもかかわらずやっぱり掛金率は下げたということですね。これは全くこの見解については私は評価する。  そこで、大臣にお伺いするけれども厚生年金横並びであるという農林年金が、厚生年金がこういう措置をとった、農林年金について指導監督のある農林水産省として、どういう指導をされますか。
  68. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農林年金掛金率につきまして、今、平成二年四月から千分の三十程度の引き上げが必要だと、このような試算がされておるというふうなことを参考人から話があったわけでありますが、年金制度における掛金率は、それぞれの制度の実態に即しまして必要に応じ見直しが行われることになっておりまして、農林年金における掛金率も、農林年金財政の長期安定、あるいは給付負担公平性確保する、このような見地に立ちまして、一定の前提を置いて引き上げが試算されたものでございます。今後、具体的な掛金率見直しにつきましては、農林年金当局におきまして所要の手続を経た上で決定されることになっており、農林水産省といたしましても、関係者の十分な理解のもとで実施されるよう、適切な指導を行ってまいりたいと、このように考えておるところであります。
  69. 村沢牧

    村沢牧君 参考人にお伺いいたしましたが、今まで厚生省答弁をお聞きになったというように思うんです。  六十五歳まで定年を延長するということで政府案を出した。六十五歳は削除されたけれども掛金は下げたと。農林年金厚生年金を常に見習うと言っていますが、厚生年金について政府原案が修正された今日、農林年金も原案を再検討するべきだと思いますが、どうですか。
  70. 井川祐二

    参考人井川祐二君) 厚生年金の方で、衆議院におきまして政府提案修正をされたということは承知いたしております。ただ、農林年金におきまして、厚生年金と同様に引き上げ幅を圧縮できないかという今お尋ねであろうかと思いますけれども、今回の再計算の結果として提案しております千分の三十の引き上げは、この段階保険料を採用する際の幾つかの原則がございますけれども、この原則といいますか、条件を満たす最低の引き上げ幅であるということでございまして、これを下回らせれば後代の負担を一層ふやさざるを得ないということになるわけでございます。農林年金制度は、厚生年金保険あるいは公務員関係共済年金に比べまして、保険集団としては大変小そうございますので、成熟段階に至るまでの間の収入、支出が相等しくなるような、保険設計を崩すような、何といいますか、掛金率修正をいたすということは、農林年金制度の長期安定的な維持にかかわる問題であるということで、現在関係者の理解を得るべく努めておるところでございます。
  71. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、千分の三十引き上げようとする、それは何年を見越してこういう率を出したんですか、何年後を見越して。
  72. 井川祐二

    参考人井川祐二君) これは、平成六十二年度までの六十年間でございます。私どもだけでなくて、これは各公的年金制度共通の手法でございます。
  73. 村沢牧

    村沢牧君 平成六十二年ですか、随分向こうの話ですね。平成七年に年金統一をしようとするのに、平成六十二年まで見越してこういう率を出すんですか、間違いありませんか。
  74. 井川祐二

    参考人井川祐二君) これは、掛金率を決定するのは当初の五年間の上げ幅でございますけれども、例えば千分の三十という掛金率引き上げ幅を五年ごとに繰り返していけば、年金制度は、一人の人間が採用されて現役で働いて引退して年金受給をして、さらに亡くなって遺族に対する年金の支給が完了するまでの一つのサイクルというのがございます。それを大体六十年間というふうに想定をいたしまして、六十年程度たつと成熟段階に至る。こういうことで、その間の収入、支出が等しくなるような計算をするということでございまして、保険料率掛金率として決定するのは第一段階の五年間だけである、こういうことでございます。
  75. 村沢牧

    村沢牧君 計算の仕方はいろいろあるであろうというふうに思いますが、しかし、これから六十二年の財政計算を見て、それから当面五年間は三十上げるんだ、その次には、また三十上げるんだ、こんなことをやっていったら、とてもじゃないが組合員はたまらぬですね。  参考人に申し上げますけれども参考人政府じゃありませんから私は追及しませんが、こういう政治情勢になって厚生年金はこういうことになったと。厚生年金だって将来見通ししてつくったんですよ。そしたら、参議院の方の数が多くなったから参議院へ持ってくれば否決されるなんて、そんなことばかり考えてやったわけじゃないんだ。ちゃんと計算してこういうことをやったんだから、これは農林年金だってやっぱりいろいろ国民の感情から見ても、年金組合員の気持ちから見てもこれは再検討すべきだ。私は、きょう幾らにしますなんということを聞いても、あなた答弁できないでしょうけれども、再検討すべきだと思いますが、どうですか。
  76. 井川祐二

    参考人井川祐二君) 先生の強い御希望でございますけれども、私どもは、農林年金制度を長期に、安定的に維持していくためには、今回の掛金の引き上げ幅千分の三十をぜひお願いしたいということで、関係者にお願いをしておるということでございますので、ひとつ御理解を賜りたいと思います。
  77. 村沢牧

    村沢牧君 皆さんはそういう気持ちだというふうに思いますが、私どもがこの年金法を審議して、この委員会で、参議院で上げれば成立するんですよ。この年金法が成立したために、厚生年金はこれだけ下がったけれども農林年金はこんなに上がったんだと。こんなことじゃ一体この法律を通していいのか悪いのか迷っちゃうんですね。せめて熱意を示してもらわなければ私はこんなもの採決しませんよ、どうですか。
  78. 井川祐二

    参考人井川祐二君) 同じお答えをするしかないわけでございますけれども、財源的な裏づけがないままに掛金率を下方修正するということは、共済組合の運営当事者の良心として申し上げにくい点でございますので、一生懸命、団体組合員関係者の皆様方にお願いをして御理解を賜ってまいりたいというふうに思っております。
  79. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、農林水産省としての今後の指導性も関係してくると思いますが、財政計算をするとどうしても三十上げなきゃいけないというわけですね。せっかく福祉国家として年金考えるならば、一体国庫の負担分をどうするか。基礎年金については三分の一しか出してないんですね。私は全額政府が出しなさいと言っているんですよ。全額とは言わなくても、せめて基礎年金について二分の一補助をする、そのくらいな政策目標がなくてはならないというふうに思うが、どうですか。
  80. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農林年金に対する国庫補助は、昭和六十一年度の制度改革によりまして、 従来の給付費に対する一九・八二%補助から、基礎年金拠出金の三分の一補助へと仕組みが変更されたわけでございます。この基礎年金拠出金に対する現行の補助は、社会保険料方式をとっている我が国の年金制度におきまして、組合員事業主及び国が平等に負担するという考えのもとで各年金制度共通に行われているものでありまして、この方式を変えるということは、我が国の年金制度の根幹にかかわる問題ではないか、こんなふうに考えているわけであります。  事務費国庫補助につきましては、毎年、年金受給者数やあるいは組合員数の増加に伴いまして増額されているところでございますけれども、農林水産省といたしましては今後とも必要な予算額の確保に努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  81. 村沢牧

    村沢牧君 それは、基礎年金について政府が三分の一負担している、そのことはいろいろな経過があったことは承知をしていますが、年金当局がこれだけ強く言っているんですから、本当に、極端に値上げをすることができないとするならば、政府としても考えなければいけない。年金財政の将来展望、六十年がいいのか悪いのか私はよくわかりませんが、農林水産省としても、厚生年金はこういう形になったんですから、この再計算をするときにおいては、他の共済年金との関係もあるでしょうけれども、よく組合員国民の要求に合致するように指導すべきだと思うんですが、どうですか。
  82. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ほども大臣から御答弁を申し上げたわけでございますが、この掛金率の決定は、年金当局が年金加入者の御意見を十分体しながら形式的には定款の変更、それを農水大臣が認可するという形式を踏んで、来年の四月から新しい掛金率を通用すべく今必要な手続を進められている段階でございます。私どもは一応の試算として、千分の三十の引き上げの必要性というものが数字として出てきていることは承知をいたしております。その算定の基礎承知をいたしておるわけでございまして、年金財政の長期的な安定という見地から、先ほど来年金当局からも御答弁がありますように、後代に負担を延ばしていくということを避けつつ、現役の方の負担の急激な増加というものも回避するというような視点、さらには年金の長期的な安定というようなことから出された数字が千分の三十である、非常に重みのある数字であると受けとめざるを得ないというふうに認識をいたしておるわけでございますけれども、やはり関係者らの非常に大きな利害にかかわる問題でございますので、今後来年の三月までの間の、年金当局を中心とする関係者の話し合いが十分理解と納得の上で行われて、円滑な掛金の引き上げが実現できるように、私ども年金当局と密接な連携をとりながら、適切な対応をとってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 村沢牧

    村沢牧君 定款の変更を許可するのは農林水産省ですね。だからその際、十分私が今申し上げたことを念頭に置いて取り扱ってください。年金当局にはもう余り強く言いませんが、お聞きのとおりだというふうに思いますしね。これは、国の要請や時代の変化によって財政計算を五年でやるところを一年繰り上げてもやるんだと。ですから、皆さん方が考えているような掛金率、今までそういうことで、末端の方へいろいろ徹底してきたからかもしれませんけれども、こういう情勢になったところでありますので、さらに再検討を要請しておきます。重ねて要請しておきます。  そこで、組合員の掛金が高くなると負担者も大変になってくるわけです。掛金率組合員事業主が折半して負担をすることになっておりますが、この規定は組合員の二分の一以上負担させてはならないということは強制規定でありますが、組合員負担を軽くすること、例えば四対六だとか三対七であったとしてもこれは法律違反ではない、制度上もいけないというものではないと考えますが、どうですか。
  84. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) お尋ねの負担の問題につきましては、我が国の年金制度が社会保険料方式をとっておりますので、事業主と組合員の方の折半という原則に立ちまして、そのことが我が農林年金でもこれは五十五条になるわけでございます。掛金を折半して負担するという規定が設けられていることは、御指摘のとおりなんでございますけれども、この法文の意味合いは、事業主が最低二分の一は負担するという趣旨で設けられている。したがって、仮に組合員が二分の一を下回る負担というようなことになっても、直ちにそのことがこの法文に違反することにはならないというふうに私どもは理解をしているわけでございます。
  85. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、今回の改正によっていろいろと支給の条件も違ってくるわけですが、本法が成立して政令その他の条項が整備されるとすると、年金額は具体的にどのようになりますか。各種目ごとにわかりやすくひとつ説明してください。どのくらい上がるんだとか、そういうようなことについて。
  86. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 年金額が種別にどのぐらい上がるのかというお尋ねでございます。御承知のように、年金の種類としては退職に伴う退職給付に該当される方がございますし、それからまた障害を受けられたということから障害共済年金というような給付もございます。また、亡くなられて遺族の方が受けられる遺族給付、三種類ぐらいに大きく分けられるわけでございまして、全体で十八万三千人ぐらいの方が現に受給を受けられておるわけでございます。  その種別ごとに給付改善措置内容がどういうふうになるのであろうか、モデル的に申し上げますと、退職共済年金につきましては、平均標準給与が、組合員期間二十年以上の新規裁定者の方をモデル的にとって申し上げますと、百九十五万五千円が二百三万四千円に、前年に比べまして四%のアップになるわけでございます。二百三万四千円ぐらいになる。それから障害共済の場合、二級障害を例にとりますと百五十二万九千円が、百六十万五千円、対前年で五%のアップでございます。それから、遺族共済年金につきましては百四十九万二千円が百五十六万二千円に引き上げ、対前年比でやはり五%のアップになるわけでございます。
  87. 村沢牧

    村沢牧君 これは、六十年の改正によって平均標準給与月額は、組合員期間の標準給与の合算額をその組合員期間の月数で割った額になっています。それまでは退職時の給与額を年金の対象にしておった、だから随分低くなったわけですよ。ですから、こういう調整をするのは当然だというふうに私は思っているわけです。そのことについては、年金が上がるのは結構だというふうに思いますが、政府がこういうことをやったから地ならしをするのじゃなくて、当然の措置だというふうに思っておりますので、そのことを申し上げておきます。  さて次は、制度間の調整についてでありますが、これも本法律案一つ課題でありますが、厚生省にお伺いいたします。  この調整によって一体他の年金農林年金を含めてどのように拠出をするのか、拠出額あるいは一人当たりの拠出額、それについて説明してください。
  88. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 被用者年金制度間の制度間調整法と略称させていただきますが、これによる拠出額及び制度としての拠出額を料率換算にしてみた場合の率で申し上げさせていただきたいと思うのでございますが、厚生年金の場合で〇・一一%、NTTで〇・一九%、地方公務員共済で〇・一七%、私立学校教職員共済組合で〇・一八%、農林漁業団体職員共済で〇・一五%というふうな数字になります。これをちなみに本人負担分の月額で計算してみますと月当たりでございますが、本人負担分で、厚生年金が百四十円、NTTが三百四十円、地方公務員共済が二百七十円、私立学校教職員共済が二百七十円、農林漁業団体職員共済が百四十円というふうに見込まれるところでございます。
  89. 村沢牧

    村沢牧君 その金額ですね、総額。各年金ごとに。
  90. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 各制度が拠出する総額の見込み額でございますけれども厚生年金が九百十億円、NTT共済が二十四億円、地方公務員共済が二百十六億円、私学共済が二十四億円、農林共済が十六億円、これは確定額でございませんで見込み額でございます。
  91. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、今答弁がありましたように、農林年金制度調整によって十六億円の拠出をしなければならない。このことが農林年金財政にどのように影響を与えますか。そうしてまた掛金への影響はどうですか。
  92. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 先ほど、厚生省の方から御答弁になったようなことで農林年金全体で十六億でございますけれども、これを一人当たりの給与に対する負担計算をいたしますと、〇・一三%弱になるというふうに理解をいたしております。年金財政全体との関連につきましては、これは先ほど来お話がございますように、掛金そのものの引き上げにそれを反映させるというものではございませんで、年金の資金運用、現在八百六十億ぐらいの運用益が年間に生じているわけでございますけれども、そういったもので対応する性格のものでございます。
  93. 村沢牧

    村沢牧君 そうしたことで対応するんですけれども年金財政に影響はしてくるんですが、その影響の度合いはそんなに心配するほどのことはないということなんですか。
  94. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 当面これは五年間の暫定措置ということになって毎年十六億の支出を伴うわけでございますけれども、先ほど申し上げたように運用益が八百六十億ぐらいございますので、五年間の措置としては、これは年金の現在の運用益の中で対応できるものというふうに理解をいたしております。
  95. 村沢牧

    村沢牧君 厚生省、この制度調整をしなければならない年金は、鉄道年金とそれからほかにありますか。
  96. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 制度間調整法基本的な考え方は、各制度ごとに持っている構造的な負担面の差異というものを調整していこうということでございますので、直接的に、いわば窮迫した組合にお金を差し上げるといいましょうか、そういうふうなものではないということをお断りした上でお答えさせていただきますけれども制度調整による実質的な交付を受ける保険者としては、日本鉄道共済のほかにたばこ共済組合がございます。
  97. 村沢牧

    村沢牧君 この制度調整問題も、年金制度一元化地ならし措置であるというふうに思いますが、社会保障制度審議会の答申でも「関係者の理解を求めるにはいささか説明の要因不足を認めざるを得ない。」、こういうふうに指摘をされておりますが、年金一元化の全体像が不明確な中で、財源措置のみが突出した印象を受けます。  そこで、重ねて厚生省にお伺いいたしますが、今回の制度調整、これでもってもう事足りる、将来は大丈夫だというふうにお考えになりますか、またいずれのときには考えなきゃならないということになりますか。
  98. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 年金制度一元化といいますのはさまざまなねらいを持つわけでございますけれども、その中の一つの重要な要素といたしまして、特に被用者年金制度間の負担の不均衡の是正というふうなテーマがあるわけでございますので、それに向かっての一つ措置だというふうなのが今回の制度間調整法でございまして、財政的な意味でというふうに申し上げさせていただきますと、今回の措置法律趣旨にも書いてございますけれども、先ほど農水省の方から五年間の暫定措置だと、こういう御説明がございました。立法的には、特段いわゆる時限立法にはなっておりませんけれども制度趣旨らいたしまして、一元化が行われるまでの間の措置だというふうに法律目的にも書いてございますので、そういった時期までの一つ措置ということでございます。  その間においては、現在法律で仕組まれている、予定されている財政効果というものが生ずるというふうに考えられますので、その間の財政的な支援という意味では、現在予定されているものが継続されるということになりまして、今特に窮迫していると言われております鉄道共済について申し上げますと、自助努力というふうな面の財政的な措置と相まちまして、例えば支払いの不能に陥るとかいうふうな事態にはならないで、当面推移していけるのではなかろうかというふうに考えております。
  99. 村沢牧

    村沢牧君 財政調整一元化のためには必要になってくることは、私も理解はするんですけれども、これで終わったんじゃないんだと、これは当面五年間だと。あとまたあるかもしれないし、あるというような口ぶりですね。  そこで最後に、私も時間が参りましたから大臣に一言申し上げて見解を承りたいと思います。  制度調整をする、農林年金も十六億円出すんだ、あるいは他の年金一人幾らずつ出すんだということだって、国鉄年金が赤字だから我々がカバーしてやるんだと、一般にはそういうふうに受けとめられておるわけですね。私はそれだけの原因ではないと思うんです。なるほど直接の原因になったのは鉄道年金だというふうに思いますが、鉄道共済がなぜこういう財源不足になったのか。私は、国鉄に働いておった人たち、現在のJRや清算事業団に働く人たち、そういう人たちの責任に帰するべき問題じゃないと思うんです。国鉄の長い歴史の中での雇用関係、あるいは政府のもろもろの施策、赤字が生ずることが明瞭であるにもかかわらず新線を建設したようなこういう実態、あるいは当時の国鉄当局の年金財政に対する対応の不備、国鉄の分割・民営化などなどが重なり合って、こういう事態になったことを大臣としても認識をすべきだと思うんです。  私は、昭和六十一年国鉄改革法案提案された際には、この政府案に対抗する社会党案の提案者となって、本会議委員会で論陣を張ったことを今思い出しているわけであります。したがって、鉄道年金の赤字の原因についてもよく承知をしていますので、ここで、この問題を論議しようとするものではありません。国鉄の分割・民営化法案の論議、そして全会一致の附帯決議を尊重するなれば、鉄道年金の財源対策は、政府と清算事業団で負担をすべきものなのであります。  衆議院審議におきまして、これまた政府原案も修正をされて政府が若干多く持つようにはなりましたけれども、鉄道年金の状態を見るならば、保険料率引き上げだとかあるいはまた、自助努力といっても限界にきているというふうに思うんです。また、制度調整によって、他の制度の拠出分もこれ以上求めることは大変に困難だと。したがって、今回の調整後に生じた不足額においては政府の責任で処理すべきだと思う。国務大臣としての大臣見解を伺いたいと思います。
  100. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 年金制度間の財政調整につきましては、先ほど来から申し上げますとおりに、平成七年における公的年金制度一元化に向けて、公的年金制度全体の長期的な安定を図るために地ならしとして行うものであるわけでございます。  具体的な負担調整内容につきましては、先生らいろいろお考えを述べられたわけでありますが、清算事業団も含めまして関係者によるところの、いわゆるぎりぎりの自主的な努力を前提として定められたものでございまして、その内容につきましては、私どもといたしましてはやむを得ないものと、このように考えておるところでございます。
  101. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから終わります。
  102. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      ─────・─────    午後一時二分開会
  103. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) ただいまから農林水産委 員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  104. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 質問の通告はしてございませんでしたけれども、午前中の村沢牧先生の質問に関連してちょっとお伺いしたいと思います。  村沢先生の御質問の中で、公的年金一元化に関する質問がございました。その公的年金一元化について、現在農水省においてもどのような方向づけになるのかはっきりはしないと、ただ類型としては各種の制度を一本化するということと、各種の制度は並列的に存続させて給付一元化を図る、このような二つの方向が考えられるというような御答弁のように思いました。  お伺いしたいのは、公的年金一元化ということは、要するに給付を同一にするということなのか、それとも給付と同時に負担も同一にするということなのか、どちらなのでしょうか。
  105. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 午前中に申し上げましたように、平成七年の年金制度全体の一元化に向かって、既にその手続が開始されているわけでございます。今回はその地ならしをやるということで、財政負担調整を初めといたしまして、給付水準引き上げ、あるいは物価上昇率を自動的に反映させるような給付水準の改定のための措置、そういうものを提案申し上げておるわけでございます。  七年の一元化の具体的な姿については、それぞれの制度を分立させることを前提として一元化を図るのか、あるいは完全に統合、融合させていくのかという、幅で理解せざるを得ないのが現時点でございます。今のお尋ねの、最終的に給付面なり負担面一元化というものをどう理解するかというふうなお尋ねでございますけれども、あるいはそういう給付なり負担というものを、完全に年金の世界では同一化していくというものもタイプとしてあり得るのだろうと思いますけれども、やはり年金制度というものが、それぞれの職域における、現役の方の給与に比例した掛金というものが財政の大きな基軸になっているわけでございます。  また、年金権が発生して年金を受給される方々も、現役時代に得られていた、報酬、賃金、そういうものを現在の水準に評価がえをしまして給付をやっていく、いわゆる給与に比例する要素というものが掛金の世界でも、給付の世界でもあるわけでございます。  これを全部そういうもの等の関連性を断ち切って、定性的な、いわゆる給与比例型というものの要素を捨象するという行き方もあろうかと思いますけれども、現実には、やはり年金というものの成り立っている基礎というものが、現役の方々の年々得られている賃金、給与、それから得られる掛金というものがベースになっておるわけでございますので、それぞれの職域の違いあるいは経済部門の違いというものが今後も残るとすれば、やはり年金の世界でできるだけそれを一元化する中で、均衡確保していくということは重要でございますけれども、そういう要素というものは、一元化の中でも残っていかざるを得ないのではないか。そういう枠内での給付なり負担公平化ということで、一元化というものを進めていかれるのではないかというふうに見られます。
  106. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、先ほど私が伺っていて、何か一元化ということが同一給付というふうなことのようにお話しされたり、あるいは負担給付も同一であるというふうな趣旨にお伺いしたように私は聞いておったのですけれども、そうすると、一元化と言うけれども給付負担も必ずしも全員について同一化するんだということではないということですか。
  107. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今申し上げたような、現役の方々が支払われる掛金というものが、やはり年金財政の一番の基軸でございます。その現役の方々が、それぞれの職域で働かられることによって得られる賃金というものは、それぞれの職域の事業の性格、あるいは経済全体の発展の中での相対的な地位というものは残らざるを得ない。そういう給与水準の違いなりあるいは経済の発展におけるそれぞれのセクターの違いというものは、やっぱり残らざるを得ないのではないかと思います。  しかし、制度として、考え方として年金制度というものの共通性というものがあるわけでございますので、各年金に分立はしていても、それぞれの年金から得られる額が現実に全く同一ということではなくても、考え方として均衡のとれた水準の給付、それに見合った負担ということが、今後の年金全体の安定化一元化という中で実現していくためには、やはりそれぞれの年金の違いというものを克服していくべきことは、当然そうでなければならぬと思うわけでございますけれども、前提はあくまで、それぞれの職域に基礎を置いた現役の方々の支払いになる掛金というものが大きな財源の要素でございますので、そういうものがあるということを申し上げたいと思います。
  108. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、これ以上質問していてもはっきりしませんので申し上げませんが、年金一元化と言うけれども給付一元化するわけじゃない、掛金が一元化するわけじゃないということになると、しかも今おっしゃっているような各人による給与、その給与に応じての負担というようなことを言っておられると、一体年金一元化というのは何を言っておられるのか私には理解できません。もう少し勉強させてもらってから質問させていただきます。  それでは、標準給与についてお伺いしますけれども、いただいた資料によると、標準給与の月額の第一級というのに八万円というのがございます。要するに八万三千円未満の人は第一級として八万円ということに標準給与がなっているわけですが、現にいる職員の中に八万円以下の職員というふうな方、月額八万円以下というような職員の方がおられるのでしょうか。
  109. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農林年金組合員、全体で四十九万四千人いらっしゃるわけですけれども標準給与が、八万円の方々が二千二百六十二人、四十九万四千人のうち、〇・四五%の方々がそういう標準給与に該当される方でございます。
  110. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 常識的に考えて月給八万円というのは、どんな仕事をしてどんな年齢であるいはどんな職種をやっている方なんでしょうか。
  111. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) ただいま申し上げた二千二百六十二人の八万円の標準給与に該当される方のうち、組合員期間五年未満の方がそのうちの八一%、千八百三十三人いらっしゃるわけでございまして、やはり組合員期間、つまり在職期間が非常に短いということが、その方々の標準給与が八万円という最も低い部類に属する要素になっているというふうに見られるわけでございます。これらの方々は、臨時に使用されるあるいはパート的に働いておられる方が該当しているというふうに理解をいたしております。
  112. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 月給八万円の人はどうやって食べているのかわかりませんが、また表によると、四十歳以下の若い人の平均給与月額は二十一万円程度ということになっておりますが、これは平均ですから、必ずしも四十になって二十一万円だということではないですが、非常に給与水準が低いように思いますけれども、他の被用者年金制度と比較して職員の給与が低いというふうなことはないですか。
  113. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 昭和六十三年度の、農林年金組合員標準給与について申し上げますと、三十五歳から四十歳未満の方、そのうち男子の方が二十四万八千円、女子は十八万五千円となっております。それから二十歳未満の場合には、男子が十一万四千円、女子が十一万一千円になっておるわけでございます。これらの方々を総合して三十九歳以下の方の標準給与の平均額を申し上げますと、男子は二十万円、女子が十五万四千円になっておるわけでございます。  この標準給与の水準についての評価はいろいろあろうと思いますが、農林漁業団体の給与につき ましては、地元の市町村職員の給与水準を念頭に置いて決められるということで、労使の間の話し合いの結果そういう水準になっているというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  114. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 ほかの、いわゆる被用者年金制度との比較というふうなものは、全然手元にございませんか。
  115. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 昭和六十二年度末で農林年金標準給与は、先ほど六十三年の数字を申し上げましたけれども、ちょっと比較のために六十二年度末を申し上げますと、平均月額が二十一万七千円でございます。これを一〇〇として他の年金標準給与と比較をいたしますと、厚生年金が一一二、国家公務員共済が一三五、地方公務員共済が一四九、私学共済が一二三でございまして、農林年金が低い水準にあるということはもうおっしゃるとおりでございます。  しかし、標準給与の平均額の比較は、その属するそれぞれのグループで働いておられる方々が、男女の比率がどうなっているのか、それから年齢構成がどうなっているのか、当然違いがあるわけでございまして、それらの違いを抜きにして単純に比較することは、高低を比較することはできない、そういう性格のものでございます。
  116. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 標準給与についていただいた資料を見ると、どうも非常に低額だなというふうな感じがするんですが、今度は標準給与じゃなくて年金額についてお伺いします。  年金額についても、いただいた資料によると、組合員の期間が二十年以上の人で、百万円未満の退職年金の人が一万六千四十九人、比率にして一七・一%もいるというんですが、二十年以上勤めて百万円未満という人、しかも年金受給者の中の一七%の人がそれだけの金額だということは非常に低額だというふうに考えられますが、こういう原因はどこにあるんてしょうか。
  117. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 三人そういう方がいらっしゃるわけでございますけれども組合員期間三十七年で百万円未満の退職年金を支給されている方が三名いる。それは今委員の方から御指摘がありましたが、そういう方がいらっしゃいます。この方々は途中の期間が中断したと、年金の対象期間として算入すべき期間に中断時期があった、あるいは退職時の給与から見て標準給与が低いグループに属するというようなことではないかというふうに思われるわけでございます。
  118. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 今私が申し上げたように、一覧表に三十七年以上組合員であったうち三名の方が百万円未満ということは、今のお話だと途中でやめたからやめた期間があるかもしれないというふうなことをおっしゃいましたけれども、三十七年以上組合員であった、やめたけれども組合員であったと、こういうふうなことなんですか。それともどういうことで、ともかく三十七年勤めて一年間に百万円しか年金がもらえないということになったら、働く期間をほとんど働いたのに年金は百万だということになるんですが、どういうことの計算でこんな人がいるんですか。
  119. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) それぞれの事情について、先ほど申し上げたわけでございますけれども、例えば三人いらっしゃる方のうちには厚生年金からの引き継いだうち、中断期間が十四年近くあられる方もあるわけでございまして、そういったかなり長期の中断期間があるということは、相当この年金の支給額に影響しているというふうに見られるわけでございます。
  120. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それから、やはりこの年金の額を一般的に見た場合に、平均給与の月額は昭和五十三年を一〇〇とした場合には、昭和六十二年では一四六・四%ぐらいになっているんです。要するに、昭和五十三年に比べて六十二年は一倍半ぐらい近くなっている。しかし、退職年金昭和五十三年を一〇〇とした場合に、六十二年で一一九、二割ぐらいしか上昇していない。これは平均月額給与が一倍半になったにもかかわらず、要するに五割増しぐらいになったにもかかわらず退職年金の方は二割ぐらいしか上がらないというのは、これはどういうことからこういう結果になるわけですか。
  121. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 標準給与の平均額は、今委員の方からお話ございました昭和五十三年度を一〇〇にいたしますと六十二年度は一四六・四、今お話があったような倍率になっておるわけです、これは標準給与の平均額でございます。五十三年から六十二年の約十年間に、四六・四%増ということになっておるわけでございます。退職年金について同じ期間どれくらいの変化があったかというのは、私どもの資料によりますと、退職年金の五十三年度を一〇〇にいたしまして六十二年度の数字は一六八、今一一九という数字を言われましたけれども、私どもの方の資料によりますと、一六八ということで給与の上昇率を一四六・四と、四六・四%の増ですけれども、その間に、退職年金の平均支給額は六八%の上昇になっておるわけでございます。
  122. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 そうすると、この参考資料として農水省からもらったやつの四ページに、退職年金の指数が昭和五十三年を一〇〇として順次上昇していって、六十二年に一一九、こういうふうに書いてあるのと今の説明はどういう関係になるのですか。
  123. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今私の手元にその資料が直接ございませんので、私の資料で申し上げますと、昭和五十三年度に農林年金の退職年金、それから退職共済年金と両方とも退職絡みの年金でございますけれども、それの平均額が五十三年度では九十六万円、それが六十二年度では百六十一万七千円、一六八・四%となっておるわけでございます。
  124. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 手元にないと言ったって、農水省でつくって渡した資料に書いてある数字を聞いているだけなんですけれどもね。
  125. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今委員が言われた数字は、我々の資料で申し上げますと退職年金の五十二年度の額を一〇〇といたしまして、五十四年度に一人当たりの退職年金の額が、五十二年度に比較して五十四年度が一一九という数字ではないかと思われます。
  126. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 いやいや、ちょっとこれを見てください。(資料を示す)これ一一九、書いてあるじゃないですか。五十三年が指数一〇〇で六十二年が一一九と。――それは時間があればしますから、もう別にして次の問題に移ります。  給付の回数についてお伺いします。  従前二月、五月、八月、十一月の年四回の給付を今回の改正で、二月から偶数月に年六回に回数をふやした。この改正は非常に結構だと思うんですが、まずこの年金給付するについて、実際に支給するのはどんなような形で支給されるんだろうか。特に、私がお伺いしたいのは、支給についての費用ですね。例えば送金手数料というふうなものはどのくらいかかって、だれがどの程度負担するんだろうかという点についてお伺いしたいと思います。
  127. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今委員の方からお話がございましたように、年金の支払いは年に四回、二月、五月、八月、十一月の四回に三カ月分をまとめて年金を送金するということでお支払いをやることになっておるわけでございます。今回の改正ではそれを年四回から年六回にすることによりまして、その支払い期間と受給権とが若干、時間的なずれが短縮することになるわけでございます。  送金にかかる事務経費の負担の問題でございますけれども、これは年金の支払い方法について受給者が選択できることになっておりまして、大部分のものが農林中金から各県の農協信連を通じて、それぞれの組合員の方が入っておられる農協の口座に振り込むということで、年金の受給をしていただいているわけでございますけれども、送金の手数料につきましては農林漁業団体職員共済組合、つまり年金当局そのものが負担することになっておりまして、支払い方法の違いによる年金受給者負担にはならないように手当てをしているわけでございます。これの手数料の額は、六十三年度で約一億一千六百万ぐらいの額になるわけでございます。
  128. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 回数がふえても送金に関する費用負担受給者にはないということだと、それは回数を大いにふやしてもらうことは結構なことになるわけですが、この法文によると、「その前月までの分を支給する。」ということになっておりまして、後払いということになっておるわけですが、なぜ後払いなのか。もし年金の性質が生活保障金の支給ということであるとすれば、食ってからもらうんじゃなくてもらってから食うということで、前払いが当然だと思うんですが、なぜ前払いにできないんだろうか。前払いを検討する余地などはないんだろうか、お伺いしたいと思います。
  129. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 年金受給権が発生するときと、それから現実に支払いを受けられる時期との間に、今は年四回でございますから若干の時間的な差があることはお話のとおりあるわけでございます。今回の改正で、年四回から六回にすることによりまして、支払いの時期と、それから現実に受給権が発生した時期との時間的な差というものが縮小することになることは期待されるわけでございますけれども年金の毎月の支払いについては、先ほど申し上げたように、農林中金から信連を通じて、それぞれの組合員の方の単協に振り込むという上で、これは大変大勢の方々の、十八万人ぐらい現実に年金権が、農林年金だけでもいらっしゃるわけでございまして、この方々への送金を間違いのないようにやるためには、やはりそれなりの事務処理の手続が要るわけでございまして、今後、お話のありますような問題につきましてはさらに検討を進めてまいりたいと考えておりますけれども、最小限のやはり事務処理というものは避けて通れない問題としてあるわけでございます。
  130. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 何万人いたとしても、新たに受給する人というのはそんな十八万人もいるわけじゃないですから、新たに支給をすることになった人というのについて、半月や一カ月の事務期間が必要だというのはわかりますけれども、それ以外は継続なんですから、何も時間的なゆとりはなくても当然できるだろう、こう考える。そしてやっぱり前払いにするか後払いにするかというのは、年金に対する考え方基本から出てくる問題だろうと思うんです。  いずれにせよ、国民生活周期というのは、今までのように三カ月単位とか、今回法改正になって二カ月単位とかということじゃなくて、一カ月単位のサイクルで生活しているわけです。この年金を一カ月ごとの支給にする、しかも前払いにする。特に、一カ月払いということについては受給者の方からの要望もあることですが、どのように考えておられますか。
  131. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 年金の毎月払いにつきましては、事務処理上の問題もありますし、ほかの制度との横並びという問題もありますけれども、今後さらに検討を進めてまいりたいと考えております。
  132. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 それから、まだちょっとありますが、私は、今回の改正によって年金額を物価スライドさせる、しかもこれが、従前の五%云々という問題でなくして直ちに物価スライドさせるということの改正という点は非常に結構だと思うんですが、ただ物価スライドといった場合の物価の算定について、特に都市部においては、住居費の異常高騰というふうなことがあった場合に、年金のわずかな上昇では、住居費の異常な高騰があった場合には全く比較にならない。こういうふうなことが考えられるわけですけれども、この物価スライドといった場合の物価の算定、これについては都市部の住居費の異常高騰というふうなものは、何か考慮されているんでしょうか。
  133. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 物価スライドを行います場合の物価の上昇は、総務庁で行っております全国消費者物価指数の上昇率をベースに行うことになっております。その中には、当然全国の消費者物価指数という中には都市部における住居費も算定の中に含まれておるわけでございます。
  134. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 非常に細かい、難しいことかもしれませんけれども、全国平均の物価の上昇率、これをただ単純に都市部の年金生活者に持ってこられても、実際の生計支出に対する増額の比率というものが非常に少ないことになると思います。通常の食料品が何%上がったというふうなことを基準にして算定した数字で、二倍、三倍にも上がる何万円という住居費の問題を何ら考慮しなかったとしたら、年金生活者としては非常に大変だと思うんです。このような物価変動の地域間の格差について、年金額の算定において考慮するなどということは、余りに細かいことで難しくて不可能なことなんでしょうか、それとも検討する余地はあるんでしょうか、いかがでしょう。
  135. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 受給権が発生して現に年金をもらっておられる方がどこに住居を定め、どこで生活をし、その年金の支給で、受けられた年金を現実に消費されるのかということにもよるわけでございます。その方々の具体的な生活の場所というものを特定して、それを物価スライドの算定に当たって反映させるというのは、非常に細かい作業をやれば物理的に全く不可能ということはないかもしれませんけれども、大勢の方々の、しかもその生活の場所というものは非常に特定しがたい、個人のそれぞれの意思によって生活が展開されるわけでございますので、やはり物価スライドに当たりましては、全国の物価の上昇率というものをとらざるを得ない。それを各年金共通のやっぱり指標として運営をせざるを得ないというふうに考えるわけでございます。
  136. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 終わります。
  137. 林紀子

    ○林紀子君 政府は、公的年金制度を一九九五年に一元化することを目指して地ならし改正を行おうとしています。中でも、支給開始年齢の延伸とか財政調整を行おうとしています。そして、農林年金の掛金の大幅な引き上げを前提にしている。先ほど井川参考人お話にもありましたけれども、来年度からは千分の三十値上げをしようとしている、労働者側の負担は千分の十五、一・五%のアップということになると思うわけです。今年度の賃上げを上回る年金の掛金のアップ率ということで、労働組合の方もこれを指摘しておりますけれども、こういう掛金の大幅な値上げということは許せないということをまず申し上げておきたいと思います。  さて、農協の職場では農協の統合と減量経営、合理化によって、先ほど村沢委員からも指摘がありましたけれども、臨時職員やパート労働者が非常にふえている。臨時、パート労働者の男女別の人数と、全職員に占める割合はどうなっているかというのをまずお聞きしたいと思います。
  138. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 六十二年度で、全国の農協で働いておられる職員、正職員の方々が二十九万七千五百九十四人、うち女性職員が十万五千八百六人いらっしゃるわけでございます。その方々に対しまして、臨時あるいはパートで働いておられる方が全国の農協に一万五千四百五十二名、うち女子の方が一万一千八百二十二名いらっしゃるわけでございます。したがいまして、臨時、パートの方々も含めた農協全体の職員は三十一万三千四十六名、女子が十一万七千六百二十八名でございます。ですから、全体に占める臨時、パートの方の割合、これは四・九四%でございます。女子だけをとりますと一〇・〇五%の方が、全体の女子職員の中のパートあるいは臨時の方々でございます。
  139. 林紀子

    ○林紀子君 農林漁業団体職員共済組合の調査によりますと、臨時職員農林年金への加入状況というのは、総合農協や森林組合などの単位団体で四四・四%、その中で、雇用期間別で見て一年以上働いている臨時職員、パートの人が六五・二%加入しているということになっております。短期雇用の臨時職員の加入率が非常に低いというのは、働く人たちにとって掛金を少ない賃金から支払う、先ほど八万円という方が二千人以上もいるというお話がありましたけれども、これが非常に大きな負担になるからだろうということはよくわかるわけです。  しかし、一年以上の臨時職員の数字を見ましても三分の一がこの年金に加入をしておりません。 一年以上の勤務年数の職員といいますのは短期雇用の繰り返し、一年ごとの契約更新ということで、長い方はもう十年以上勤めているという方もいるということですけれども、臨時職員の経費は正職員の経費に比べると三分の一で済むと言われているそうですね。年金加入者がふえれば理事者側の負担がふえるわけで、理事者はこの臨時職員にも年金の加入、これをさせたくないという意思も働いているのではないかと思うわけです。  しかし、長年にわたって臨時職員と言われている方々は、正職員と全く同じ仕事をして同じだけ時間も拘束されている、残業もこなしている。それにもかかわらず、賃金でも、一時金でも、退職金でも差別をされていて、そして老後の保障までも大きく違っている、こんなばかなことはないと思うわけです。これは長年働いている人々を臨時、パートという身分のままにしておくということに根本的な問題があると思うわけですが、年金の問題にかかわりましては、農林年金財政基盤を強めるためにも、農水省としても臨時職員年金加入というのを積極的に指導すべきではないかと思いますが、その辺はどういうような手を打っているのか、お聞きしたいと思います。
  140. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 臨時職員の方でも、そのことで直ちに農林年金組合員資格がないということではございません。組合員資格は臨時職員の方にもあるわけでございますので、そういう資格のある方が現実に組合に加入をする、その手続をとっていただくということが、その方々の将来にとっても非常に大事なことですし、また年金全体のいわば母集団を確保していくという意味からも非常に大事なことでございますので、資格のある方々は全員入っていただくということで、組合の方も、農協の方も職員の研修ですとか広報活動に力を入れていただくように、我々も常日ごろから申し上げているわけでございます。  なお、六十年の改正で、それまでは組合員の期間が一年以上ないと計算基礎に入らないということであったわけでございますけれども、いわば一年未満の在職期間というものがカウントされないというのが、六十年改正の前の状態だったわけでございますけれども、六十年改正によりまして、例え一年未満であっても組合員期間があれば、それを他の年金と通算して二十五年以上あれば、年金基礎としてカウントするということになったわけでございます。その結果六十一年度以後、これらの臨時職員の方々の加入の増高が見られております。農水省といたしましても、農業団体に対しまして、今後とも加入の促進のための一層の指導に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  141. 林紀子

    ○林紀子君 広域農協合併が進む中で、正職員の減少、臨時職員の増加とともに職員の労働強化というのが非常に進んできております。農協の事業組合員の営農と生活を守るという協同組合の目的とはほど遠く、経営優先による利益追求を第一にしている、こうしか考えられないような状況が方々に生まれております。三重県の例では、合併した農協では合併記念貯蓄推進期間を設けて、職員に一人当たり三百万円のノルマを課して貯金集めをさせている。また、職員を三日に一度はセールスに出して、墓石、仏壇あるいは学習塾の経営、参考書の販売など、売れるもの、お金になるものなら何でも手を出す。また、こういうことをさせておきながら上司が認めない残業は支払ってもらえない、品物を売ってこないと残業代というのは支払ってもらえない、こういう状況も生まれているということです。  また、職員に課せられる共済事業のノルマは、労働者に夜討ち朝駆けのセールス活動を強いており、職員の労働条件は本当にすさまじいというような状況になっています。登校拒否ではありませんが、出勤拒否になる者も出ている。朝はうちは出るのですけれども、後は車の中に閉じこもってお昼は奥さんがつくってくれたお弁当を食べて一日を終える、こういうノイローゼ状態の職員まで生まれているということも聞いています。  ここに、福島県の県単共の労働組合のビラがありますけれども、共済推進の目標を達成するため、年間十二万円から十三万円自爆した仲間や架空の人物をつくり、掛け捨てして目標を達成している仲間の苦痛が訴えられたと書かれています。自爆というのはノルマを達成するために自分で契約をして、自分で掛金を払う、こういうところまで追いやられている、こういうような労働者の実態を農水省はつかんでいらっしゃいますでしょうか。
  142. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農協の事業活動に絡んだ行き過ぎ、ノルマを課して販売活動などに職員を酷使しているのではないかというような趣旨の御質問でございますけれども、やはり農協の事業活動、これは農協法の十条で農協が事業として展開できる金融事業、共済事業あるいは営農指導事業、販売、購買はもちろんでございますけれども定められておるわけでございまして、そういったまず農協法の枠内で適切な活動をやっていただくということが大前提でございます。  しかしながら、御承知のように兼業化が非常にもう進んで、七割ないし八割の方が第二種兼業ということでございますので、農協の組合員のニーズというものも狭義の農業経営に直結することだけではなくて、やはり生活面あるいは農外事業面でいろんな要望があるということは、もう間違いなく実態として認めざるを得ないわけでございます。農協は組合員のための自主的な組織でございますから、組合員からの要望を踏まえて事業を展開するということは、やはり農協の指導者、経営者としてはそういう方向にいくこと自体は、これは自主的な組織として当然ではないかというふうに思うわけでございます。  ただやはり、かつまたいろんな金融機関にしても、いわゆる金融の自由化などを契機にいたしまして農村地域でも非常に強烈な競争が展開されているわけでございますので、農協の経営の基盤を確立していくという意味から、農協経営者にとってはやはり厳しい競争に打ちかつような事業展開をせざるを得ないという面も、これは率直に言ってあろうかと思います。  しかし、職員の健康ですとかあるいは安全というようなことも大事でございますし、行き過ぎたノルマを課するというようなことは当然あってはならないわけでございますので、そういう点については今後とも農協の事業運営のあり方について我々が指導する際に、そういうことについての、もしそういうことが事実としてある場合には、それを是正していただくように我々としても適切な指導をやっていきたいと思っておるわけでございます。
  143. 林紀子

    ○林紀子君 農協の事業は、組合員の営農と生活を守るという、そこにぜひ力点を置いていただきたいということを指摘いたしまして、最後の質問をさせていただきます。  一九八七年の農水省の調査によりますと、定年制での男女差別が残っている組合数は二百八十七組合。一九八二年に比べましたらその数は半数になっているということでは、随分努力が払われているということは認めるわけですけれども、相馬市の農業協同組合では、昨年の十二月五日付で、労働組合に就業規則の一部改正の通知が行われました。その内容を見て、私も驚いたわけです。  第六十二条には、「職員は満五十七歳に達したときは定年とし、同日をもって退職するものとする。但し、女子の定年については段階的に延長するものとする。」、こういうことで、昭和十九年三月一日以降に生まれた人が満五十七歳になったときにようやく女子の定年が五十七歳になる、こういうことが行われています。  均等法の施行後三年というのに歴然とした違反がまかり通っている、こういうことについて今後どういう指導をなさるかということを最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
  144. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 定年制を採用している農協で、男女で別々の定年制をとっている組合の数、これは昭和五十六年度では五百五十七農協あったわけで、全国で約四千弱の農協がございますけれども、そのうち五百五十七農協が男女別の定年制をとっていた。その数は六十二年度になり ますと、二百八十七農協と大幅に減少していることはもう間違いないわけでございますけれども、それだけまだ男女別の定年に差をつけているという組合があるわけでございます。  男女雇用機会均等法においても機会均等ということが掲げられております。この趣旨に即して、農協でできるだけ早くそういうことの解消が見られるように、これまでも通達を出すなどして農協の方の指導を行っているわけでございますけれども、今後引き続き、この点の是正について努力を継続していきたいと思っておるわけでございます。
  145. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 私は、今から被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案に関しましてお尋ねをしていきたいと思います。  まず第一は、農林年金制度そのものが、今までのお話を伺いますと、職員の増加は見込めないといいますか横ばいだと。しかし、年金受給者はこれからふえていくであろうということは十分に予想されるわけでありまして、そうしますと、こういう状況の中で、今回出されております短く言いますと制度間調整法案ですね、この法案が成立した場合には、現時点で三年間十六億円の拠出を見込んでおる。衆議院修正をされたようでございますが、こういう場合にこの三年間の十六億円という負担はかなり大きな負担だと思われるわけで、大丈夫なのかということをお尋ねしたいと思います。  先ほど来のお答えでは、八百六十億円の運用益の枠内で出すから、暫定期間だとすれば大丈夫なんです、こういう趣旨のお答えがあったと思いますが、万が一この農林年金制度も、今急を告げる国鉄の年金と同じ窮状になるとすれば、これはたとえ十六億円、三年間でも大変なことではないかと思う次第でありますので、お尋ねをしたいと思います。
  146. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 制度間の調整を今回お願いするということで、制度間調整法を提出しているわけでございます。これは、平成七年に向かっての各年金制度間の一元化に向けていく、その中間時点での地ならしとしてとられる措置でございます。各年金の最も基礎的な、いわゆる一階建て部分基礎年金ということで昭和六十年にスタートしたわけでございますが、今回の制度調整は、その一階部分の上に乗っかっているいわゆる二階建て部分のうち、厚生年金相当部分を少なくとも負担の面では制度間の成熟度の差による、それをそのまま放置すると負担にアンバランスが生ずることを、少なくとも二階建て部分厚生年金相当部分については負担公平化を図る、均衡化を図るという観点から行うのが今回の調整措置でございます。衆議院の方での話し合いの結果、当初予定しておられました千四百九十億、全体の拠出の規模が千百九十億に縮減をされまして、その結果、農林年金についての拠出額も二十億から十六億になったわけでございます。この十六億は、農林年金負担といたしましては組合員それぞれの方の掛金に直にはね返るということではございませんで、現在年金は、一兆二千億ぐらい積立金を所有しておるわけでございますが、それによります年間の運用益、年間約八百六十億ぐらいございますけれども、その運用益の支出によって対応するという取り扱いになるわけでございまして、確かに、積立金の運用益からの支出ということではございますけれども、それぞれの現役組合員の方の、直接の負担に直ちにはね返ってくるものではないというものでございます。
  147. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 これは平成七年、いわゆる一元化のための前提でやむを得ない措置だというふうなことでございますが、では、その平成七年に一元化をするんだという、その一元化内容ですね、大まかな枠組み、こういうものが明確になっているかをお尋ねしたいと思います。  きょう、私も朝からお聞きしておりますと、これまでの制度を全部ぶち壊して新しい単一年金制度をつくる、こういうことも考えられるが、むしろかなり難しいのではなかろうか。共通給付共通の掛金による並列的な年金制度といいますか、そういうものが考えられるのではないかというふうに私はこれまでの答弁で理解をしたわけですが、先ほど猪熊先生もおっしゃったように、共通給付共通の掛金といっても中身は違うということになると、一体その一元化の枠組みというものは非常にわかりにくい。そういうわかりにくい枠組みで暫定的にやむを得ないんだということになると、ますます説得力は薄くなるのではなかろうかと思いますので、再度お尋ねをしたいと思います。
  148. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 六十年の年金制度改革の際に、平成七年に向けて一元化を進めていくということで、六十年にまずその一元化への第一歩として国民共通基礎年金制度というものが、いわゆる一階建て部分として制度化されたわけでございます。それから、今回一元化に向けての地ならし措置として、制度間の負担調整ということで御提案をいたしておるわけでございます。最終的に、平成七年を目途とする一元化がどういう姿になるのかということにつきましては、午前中、大臣からも御答弁申し上げましたけれども、それぞれ制度が分立しながら実質的に負担給付両面整合性を図る、そういう意味での一元化になるのか、あるいは完全に制度が融合して、統合して文字どおり単一制度の中に吸収されてしまうのかという、理論的には二つのタイプが想定されるわけでございますけれども、現実にその中間のどこに落ち着いていくのか、現時点で申し上げるのは非常に難しいわけでございます。  少なくとも、これまでにとられた一元化に向かっての動きというものは、例えば基礎年金導入といいましても、これは現実に基礎年金のための財源拠出は、例えば農林年金に加盟されている方の分は、農林年金から基礎年金に向けて拠出をする。それに伴う国庫助成も、一たん農林年金が受け入れた上で出していく。それから支払い、受け取りの方も、農林年金を通じて受け取った上で受給者に支払いをしていくということで、いわば各制度が分立して、その分立を前提として基礎年金というものを受けとめるというようなやり方になっているわけでございます。  それから、今回の制度調整も、まさに基礎年金よりもさらに、それぞれの制度を分立させながら財政面で、負担面一元化をする、調整を図るということをやるということからすれば、これまでの少なくとも二回行われました一元化というものは、どちらかといいますと、分立をしながら実質的な調整を図るという姿になってきていることは間違いないわけでございますが、残された期間に最終的な姿がどういうふうになっていくのかについては、率直に申し上げましてなかなか予測が難しいのが現時点でございます。
  149. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 まだちょっとよく理解ができないわけでございますが、七年までに一元化の枠組みをつくる、その枠組みの内容については、今御答弁をいただいたような内容であるとすれば、制度間調整法を七年までの、その限りの時限立法にするべきではないかと考えるわけですが、それが法案上は措置法という名前でありながら時限立法にはなっていないという点で、私はちょっと納得をしかねると思っているわけです。  そこで、今の点に関しまして、七年で制度調整は終わるのだと、法文上明記しなくてもそのことはもうはっきりしているんだということなのか。その辺のお答えをいただきたいと思います。
  150. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 制度間調整法趣旨でございますが、一元化というものの最終的な枠組み、姿というものは、委員先生方から御指摘のように、あるいは農水省の局長さんからお答えいただいたように、必ずしも現時点でははっきりしておりません。ただ私、午前中にも申し上げさせていただきましたが、そのねらいとするところは、公的年金制度全体のいろんな産業構造就業構造なり経済的な変動に対応していける構造、これは率直に申し上げまして小集団方式というのはなかなか難しいというふうな現実があるわけでございますので、そういったことにもたえられるような、公的年金全体の構造をどう構成するかという長期 安定という一つ目標。それからもう一つは、特に被用者年金制度間においての構造的な費用負担の不均衡、あるいは給付のまだ残されている格差といいましょうか、というふうなところを是正していくというねらいがあるわけでございまして、そういうねらいからしますと、今回の制度間調整法といいますのは、その基本的なねらいに沿った考え方で組み立てられておるというふうに御理解願いたいと思うわけでございます。  そういうことでございますので、一般的に時限立法といいますのは、臨時応急的な措置とか、あるいはそもそも一定期間終われば一定期間に限定した施策といいましょうか、を展開する場合にとられる施策でございますが、今私が申し上げましたように、今回の制度間調整法といいますのは、その考え方被用者年金制度間の負担の不均衡の是正というふうな、本来的な一つのねらいに沿った立法であるというふうな趣旨から、時限立法にはなっていないというふうに御説明させていただきたいと思うわけでございます。  ただ本来の、法律目的にも書いてございますけれども、時限立法ではございませんが、その性格として、一元化段階で本来的な施策がとられた場合には、そこに吸収されていくというふうな性格のものだろうと思いますので、そういったふうな趣旨につきましても、この制度間調整法目的の中に織り込んで提案させていただいておるということでございます。
  151. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 先ほどの御答弁の中に、必ずしも六十歳ではなくて、六十五歳延長ということも避けては通れないというような御答弁があったわけでございますが、実際に六十五歳に延長をするといっても、これまできょう御答弁いただいた中を見ますと、まだまだ今平均の定年が五十八・七歳であるということになると、その差は六・三年あるわけでございます。こういう状況の中で、果たして年金をもらう人たちが六十歳から六十五歳までの間、この先就業環境がよくなって、六十五歳まで雇用が保障されるというような見通しは、私自身は到底持てない。非常に厳しい内容だと思うんですが、この点で、今後どういうふうに農林水産の職場の就業確保といいますか、就業環境を切り開いていかれるのかどうか、この点を最後にお尋ねをいたしたいと思います。
  152. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 支給開始年齢の問題は、今回の農林年金改正法案の中では検討対象になってないわけでございますけれども厚生年金における支給開始年齢引き上げの問題につきましては、衆議院修正措置がとられたわけでございますが、いずれにしましても、支給開始年齢引き上げの問題については、年金間の整合性ということからすれば、厚生年金と同様の措置を講ずる旨の閣議決定もなされているわけでございます。やはり一元化ということも、結局は日本国全体の年金の長期安定化ということにより、高齢化社会に十分たえ得る年金制度を構築していこうということでございます。  そういう中で、やはり年金現役の方々の掛金、それから年金権が発生をされた方の年金の受給の水準と、それからまた、受給開始がどの年齢から開始されるかというようなことが、財政安定を考える上の最も重要な要素でございますので、それらとのバランスといいますか、を考えながら、かつ年金間の整合性ということも踏まえながら、この支給開始年齢の問題は、基本的には考えていかざるを得ない性格の問題でございます。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、やはり年金と雇用、あるいは定年というようなものは非常に密接に関連がございますので、雇用の状況あるいは勤労条件の状況というものを十分踏まえた支給開始年齢についての対応ということが、当然行われるべきものでございますので、我々としましては農林漁業団体の雇用条件の問題についても、経営者の方々に、絶えず年金との問題の関連性を御留意いただいて取り組んでいただくように、今後とも指導をしていきたいと思っているわけでございます。
  153. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 終わります。
  154. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 一元化問題は私もよくわからないんですが、一元化農林漁業団体共済年金独自性という問題についてお尋ねしたいわけです。  完全に一本に統合されていけば、これはもう独自性というのがそれぞれの団体とも全部なくなっちゃうわけなんですけれども、そうでないもう一つ方法として、いわゆる給付負担両面において、今回のような調整を進めてできるだけ整合性を図っていこう、こういうことになってまいりますと、一方現在農林年金が持っておる独自性というんですか、メリットというものが失われていくと思うわけであります。したがって、それをどう存続させようとされておるのか、所見をひとつお聞きしたいと思います。
  155. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 農林年金制度の現在の姿は、昭和六十年の基礎年金導入によりまして、いわゆる三階建ての構成、構築になっている。二階建て部分について今回制度調整ということが行われるわけでございますけれども、その上に、いわゆる三階建て部分の職域年金というのが農林年金給付としてあるわけでございます。そのほかに、やはり年金運営していく上での農林漁業団体が会員組織になっておるわけでございますので、その団体組織の活動との関連で、年金独自の性格があると思うわけでございます。  具体的には各県の農協中央会に、農林年金の支部的な機能を果たしていただくための農林年金連絡協議会が設けられておりまして、制度運営における実質的な事務に必要なコストの軽減は、そういうものの活動を通じて実現されておるわけでございます。また、連絡協議会を窓口にいたしまして将来の年金の受給に備えて、現役の時代から組合員に対する適切な指導を行っていただくというようなこともきめ細かくやることになっております。  それから、積立金の還元融資などを通じまして、組合員のための福祉事業を実施しているところでございます。こういったものが、農林年金のいわば独自な運営なり制度的な特色ということになっておるわけでございますので、こういうものを踏まえて、関係者意見も十分体しながら、今後の一元化の動きに対応していきたいと思っているわけでございます。
  156. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 次に、制度間調整法ですが、これももう既に、それぞれ聞かれておるわけでありますけれども、八百四十億の運用益の中の十六億だから、私の聞き違いかもしれませんが、大したことないというふうな感じに聞かれたんですけれども、これは加入者にしてみれば、一生懸命に企業努力をしてまじめにやっておる者が損をする、そうでない者はそのまま救済なんて、こんなばかなことはないわけでありまして、現実に今の厚生年金関係のいわゆる今度の法改正でも、超党派で、もう参議院は直さぬようにということでやっちゃってこれが通ったわけですが、必ずしもこれは皆満足してないんです、それぞれの団体とも。この十六億を負担するに当たって、農水省としてはどういうふうな主張と対応をされたのか、お尋ねしたいと思います。
  157. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今お話がございましたように、制度調整というのは、これまでそれぞれの職域に分かれて成立している年金のうち、二階建て部分についての負担調整を行う、その結果、具体的には約千百億余の新たな負担が、厚生年金を初めといたしまして農林年金も含めて、全体で千百九十億の拠出を行うという、そういう意味では、これまでの農林年金厚生年金が予定をしてなかった負担が新たに生じてきているということは、もう間違いのないことでございます。  しかしながら、これはやはり平成七年の一元化に向かって、いわば日本の年金全体を長期安定的な運営が可能となるような構造に構築していくために、不可欠なプロセスとして行われているわけでございまして、確かに、当面の三年間には毎年十六億の負担が新たに発生することは間違いないわけでございますけれども、全体としての年金の安定的な構造を構築していくことが、結局は、農 林年金についてもその安定を確保する上で非常に大事なプロセスでございますので、我々としてはできるだけ負担が軽減されるようにという立場は当然主張し、そういう対応をしたわけでございますけれども、現在の結果として、負担として出てきております十六億、そういうものはやむを得ないものというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  158. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 その救済を、救済という言葉は悪いですけれども、受ける方が大体平均的な水準ならばいいんです。突出しておればこれは大変な問題でありまして、そういった問題も精査されておると思いますけれども年金においてもそうだと思いますが、やはり資金の運用とかあるいは組合員の拡大を図るとかいう、いわゆる企業努力というんでしょうか、そういうものをなされてそれぞれの団体が成立しておるわけでありますから、そういう面で、私は大変これは貴重な財源だと思うわけです。  そこで、今回の法律案では、余裕金の運用範囲の拡大も図られておるわけでありまして、運用収益の増大は、言うまでもなくこれは、財政の健全性あるいは掛金率の上昇をある程度防ぐことにも役立つわけでありますし、一方また、最近の金融情勢下においては、これまでのような利回り、高利回りを確保することが非常に難しい状況でもあるわけです。一方また、利益のみばかり追求して安全性をおろそかにしてもなりませんし、こういった問題について、農水省として組合をどう指導されていく方針なのか、御所見をお聞きしたいと思います。
  159. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 余裕金の運用についてのお尋ねでございますけれども、余裕金を運用する場合の金融の環境は、御案内のように金融の自由化、国際化というものが急速に進展をして、それに伴いまして金融商品の種類というものも多様化が進んでいるわけでございます。今後も新しい商品が開発されて、余裕金運用の可能性が広がってくるということが想定をされるわけでございます。片や、年金財政は高齢化の進展とともに非常に厳しさが想定されるだけに、積立金の運用については、これまでにも増して効率的な運用を心がける必要があるわけでございます。  そういう意味合いで、積立金の余裕金の運用が機動的にできるという状況をつくり出すことが極めて大事ということで、余裕金の具体的な運用の方法については、これまでは法律である程度規定はございましたけれども、すべて政令によってできる、政令に委任をするということをしたのはそういう理由からでございます。  それから、農林年金の余裕金の運用につきまして、かねてから安全確実ということで指導をいたしているわけでございますけれども、具体的には、年度ごとの資産の増加額の三分の一は政府保証債を取得するなどを義務づけておりまして、今後とも、効率性はもちろんでございますけれども、やはり安全ということも大事なので、その点についても十分指導をする考えでおるわけでございます。
  160. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 自動物価スライド制の問題についてお尋ねしたいんですが、今回は五%枠というのが取られて、完全自動物価スライド制というのが採用されたわけでありますけれども、上がったときの保証はいいんですが、下がったときどうするのか。私は、下がっても引き下げるべきではないと考えるわけですけれども、その点についての御所見をお尋ねしたいと思います。
  161. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 完全自動物価スライド制導入されますと、物価が上昇したときもそうですけれども、下落した場合にも、その下落率にスライドして年金額を減額することに法律上はなるわけでございます。この場合、年金額を減額しないという措置を仮にとるとすれば、新たに法律の手当てをする必要が出てくるものというふうに思われます。
  162. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 これは、そういうことだと思うんですけれども、私どもとしては、その数値にもよりますけれども、それこそこっちよりかここの方が高くつくようなことのないようにしなきゃいけませんから、少々のやはりダウンでは動かさないというぐらいの下限条項があっても、私は年金という相互扶助の精神のものからすれば温かい措置だと思います。非常に事務的な措置ではないかというような気がするわけです。  最後に、給付改善率で今回さまざまな給付改善措置が図られておりますけれども、例えば退職共済年金の配偶者及び子に係る加給年金額については六・六%に引き上げられる、また特別支給の退職共済金、いわゆるつなぎ年金の定額部分改善率は一一%、これは高いわけでありますが、給付内容がなぜこのようなばらばらの改善率になったのか、お答えを願いたいと思います。
  163. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今回の法改正で、給付の改定、引き上げが行われることになるわけでございますけれども給付のベースには定額部分と給与比例部分二つの性格のものが込みになっているわけでございます。その引き上げの率は、定額部分につきましては五十九年度価格に対し一一%と六・六%、それから給与比例部分につきましては、六十一年度の標準給与に対し五%となっているわけでございます。  このように引上率がそれぞれ異なりますのは、定額部分につきましては法律に規定する価格が五十九年度価格で設定をされておりまして、基礎年金関連する部分、例えば六十歳から六十四歳まで農林年金として支給をいたしておりますつなぎ年金の定額部分などは、基礎年金の引上率でございます一一%を用いることといたしております。この一一%といいますのは、五十八年から六十三年までの六十五歳以上の単身で、かつ無業の方の基礎的な消費支出というものが統計的にあるわけでございます。それの上昇率を勘案して算出したものが、この一一%という引上率でございまして、それを用いているわけでございます。例えば、配偶者や子供さんに係る加給年金などは、支給の対象となる方々の年齢階層が幅広いということから、全世帯の基礎的な消費支出の上昇率を勘案して、六・六%という数字を用いて給付改定を行うということにしておるわけでございます。  一方、給与の比例部分につきましては、六十一年の改革によりまして標準給与が六十一年度ベースで再評価されておりますので、今回は、その後の全被用者年金制度に加入している方の、現時点までの賃金動向を勘案いたしまして五%の引上率にしたところでございます。
  164. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 終わります。
  165. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私はきょうの質問で、ぜひこれこれお聞きしたいと五つ問題を用意してきました。ところが、皆さんの御質問によって大分解明されましたので、これは触れないことにいたします。ところで、まだ触れておられない二つの問題については、どうしても、大臣を中心にここで明確な御答弁をお願いしたい、こういう願いを込めてこれから申し上げたいと思います。  まず第一点は、沖縄に関する問題からすぐ触れたい。それは沖縄における農林年金給付の問題であります。  戦争に敗れたドイツあるいはイタリーでさえも国民に対する義務はちゃんと果たしておる。なのに経済大国という日本が、国民への義務、しかも戦後処理さえもまだ十分なしていないというところに私は怒りを感じます。それは物の問題というよりも心の問題、これが私は問いたいことなんです。そういうことで、農林年金制度について、その制度が生まれたのは昭和三十四年一月一日ですね、発足が。ところが沖縄は、昭和四十五年一月一日なんです。まさに十一年のおくれがあります。  したがって、県民は掛金を払うことができなかったんです。払わない意思はない、払わないのではない。払う意思はあったけれども、残念ながら日本政府がそれを受けとめるパイプをつくらなかったんです。掛金を掛けないという理由でまさに四五%カットされているでしょう、四五%カットされておる。この掛金を払わなかったのを個人の責任において、これを受けとめる国の姿勢、心に私は猛省を促したい。まさにこれは国の責任で ある、戦争がなければこういうことはなかったでしょう。戦争はだれがやったのか、国がでしょう。ならば、そこから派生するもろもろの個人の権利というのは、すべて国がいち早く格差をなくするということは、これは文化国家として当然のことなんでしょう。  そこで、衆議院においても、これは沖縄の厚生年金の場合でありますが、格差是正のため特例措置を講ずることになっておりまして、それが引き金になってだんだん改善されつつある、まだ完全回復ではありませんが、されつつある。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  そこで、農林年金においても、国の責任において現在の不利益をこうむっている沖縄の受給者に配慮すべき、格差を完全解消せよと私は叫びたいのです。ということに対して、大臣はいかがお考えでしょうか。
  166. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) ただいま先生申されたとおりに、沖縄におきます農林年金制度は、昭和四十五年一月に発足したものでございますが、本土に立ちおくれること約十一年、こういうふうなことであります。これ以前の期間で、引き続いて農林漁業団体に勤めていた期間については、四五%をカットして年金を支給する、こういうふうなことになっておるわけであります。この四五%カットにつきましては、沖縄農林年金制度発足前の期間につきましても年金を支給することになっているわけでございますが、この期間については掛金の負担が行われていないために、組合員負担相当分である四五%がカットされて支給されるということになっているわけであります。カットをなくして全額支給というふうなことにつきましては、当該期間におきまして、掛金を支払ってきたほかの都道府県の組合員との均衡等を考えます場合に、なかなか難しい点もあるものと、このように考えておるところでございます。
  167. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 この格差を依然として放置されるのですか。あるいはそれに対しどういう手を打とうとおっしゃるのですか、それを聞きたいのです。
  168. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今、大臣から御答弁を申し上げましたように、沖縄での、琉球政府のもとでの農林年金制度発足以前の期間で、農林漁業団体に勤めていた期間については、現実には掛金の支払いをなされてなかったわけでございますけれども、そのことを勘案いたしまして、支給水準を四五%カットして支給するということをいわば特別の措置として行っているわけでございまして、他の都道府県の組合員との均衡等を考えますと、これはやはり年金という一定の条件のもとで行っている制度でございますので、今の四五%カット支給、組合員として勤めていたけれども、掛金の支給がなかった期間に見合う分についてはやむを得ない措置ではないかというふうに考えるわけでございます。
  169. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 重ねて言いますが、喜びも苦しみも悲しみもともにというなら話はわかるのですよ今日、経済大国、世界に優位だと胸を張っておる日本が、そのようなマンマンデーでは絶対に承知なりません。  それじゃ、特別措置ということをおっしゃったが、その特別措置でいつまでにその格差が消えるようになっておるのか、それを言ってもらいたい。
  170. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 結局、先ほど申し上げたことを繰り返すわけでございますけれども制度が沖縄におきまして発足した昭和四十五年一月以降は、それ以外の地域と同じような扱いになっておるわけでございますけれども、四十五年以前の、本土におくれた十一年間のおくれがあるわけでございますけれども、その期間であって、引き続いて農林漁業団体に勤めていた期間につきましては、四五%の力ットのもとでの年金の支給という措置がとられているわけでございまして、そのことによりまして、制度発足がおくれたことに伴ういわば不利益は、そういう措置によって対応されているというふうに私どもは理解をいたしております。こういうことで、沖縄に対する年金支給額についての手当てがなされているということで御理解を賜りたいと思うわけでございます。
  171. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 戦場の犠牲と悲劇の中で、自助努力ということが先ほども出ましたが、自助努力というこの心を結集して、戦後の沖縄から日本国民としての立場を回復するために、それこそ血みどろになって頑張った。その中から沖縄なりの制度を生み出したのですよ。それを異質な考え方に立つこと自体がこれは許せないというのです。  今からでも遅くはない、いち早く格差をゼロにするということが当然だと思います。どうか大臣、私のこの主張が間違っておるんなら間違っておると言ってください、正しいならその正しいことに対する謙虚なコメントをしてください。
  172. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 先生のおっしゃられる今日までの歴史的な経緯、また沖縄県民を思う心、こういうふうなことについてのお話でございますが、いずれにいたしましても、当該期間におきまして掛金を支払ってきた他の都道府県等の組合員との均衡等もございまして、年金制度基本的なあり方というふうなものからいたしまして、なかなかそういうふうな問題を考慮いたしますならば難しいところがあるものと、このように考えるところでございます。
  173. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 多くを申し上げませんが、現在もう沖縄は戦場ではない、沖縄県民は米軍演習の標的ではない、一切の軍事演習を直ちにやめよ、こう平和を願い、熱烈に日本国民としてのこの心を堅持して血みどろに立ち上がっておるのが沖縄県民の自助努力ですよ。それに一刻も早く、恵みじゃなく施しの心で、政治で沖縄を立ち上がらしてもらう。これが唯一の亜熱帯、沖縄のあの土地をどのように国土の一環として国が大事にするか、海に陸に空に、このことを考えてもらえないはずはないと思うんです。余りにも対米従属の姿勢がそのまま沖縄を現在も犠牲と差別に置いている、このことを私は重ねて申し上げまして、一刻も早く県民の要望にこたえてもらいたい。きょうのお言葉がどう具体的にあらわれてくるか、それを私は関心を持って見守ってまいります。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕  次に、沖縄県の農林漁業団体について、沖縄の農林漁業団体の経営は、全国的にも特に厳しいという状況にあることはさらさら申し上げる必要もないでしょう。それは多くの島々で、離島で構成しておるというこの事実、現実。したがって、経営規模が小さなものにならざるを得ない。これも宿命的なものがありましょう。経営規模について申し上げますと、農業協同組合では、総合農協五十八組合を正組合員規模で見ると、組合員千人未満の農協が約五九%、総合農協組合員一人当たりの財務規模について申し上げますと、その資産で見た場合、全国平均の何と五五・六%にすぎません。  そこで政府は、地理的条件からおのずから小さなものにならざるを得ない、宿命的と申し上げましたが、沖縄の農林漁業団体の経営基盤を安定、強化していくために、当然為政者の国の立場から積極的な施策を講ずべきであるということは今さら申し上げるまでもありません。この農林漁業団体に対する大臣見解はいかがでしょうか。
  174. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 現在沖縄県では、先生御案内のとおりに、サトウキビ、パインなど伝統的な農産物に加え、亜熱帯の温暖な気候条件等の特色を生かした花卉類、あるいは本土の端境期に向けた野菜等の生産振興が図られているものと承知をいたしております。  沖縄農業の振興のためには、共販体制の整備なり物流の体制強化など農協等が果たす役割が極めて重要であるものと、このように考えております。離島が多く、経営規模が小さいという、先生今申されたような沖縄の農協が抱える制約条件を踏まえ、これからも実情に即した合併の推進等が行われるよう、農林水産省といたしましても沖縄県の関係者の自主的な取り組みを支援してまいりたい、このように考えておるところでございます。  また、沖縄の漁協につきましても、今申されたとおりに、経営不振漁協の信用事業の整備強化や、あるいは雰細漁協の合併の推進など、漁協関係者の自主的な取り組みを支援しつつ漁協のいわゆる 経営基盤の強化を図ってまいりたい、このように考えておるところでございます。
  175. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最後に申し上げます。  もう県民はばかじゃありませんからね、哀れみを請うようなことは絶対にやりません。もうその域を脱しております。一体国は、沖縄のためにとはあえて私は申し上げません。日本の国の発展、繁栄は沖縄を無視してはあり得ないはずです。沖縄を宝の島と私は位置づけております。唯一の亜熱帯、そして栽培漁業、亜熱帯農業、花卉園芸、もろもろの生産に国が技術と金を出すならば、もちろん沖縄のためにならないとは言いません。私はその前に、そのことが日本の農業の発展、繁栄につながる、国民の食料資源の栽培地であるということを私は常に歴代の大臣にも申し上げております。そのことをお忘れなく、ひとつこれからの沖縄を温かくそしていち早く県民を行くべき方向に、立ち上がる方向に立ち上がらせていただいて、この自助努力を何倍にも膨らませていただきたい、このことを強く申し上げまして、時間ですので終わります。
  176. 横溝克己

    ○横溝克己君 それでは、農林年金制度についてお伺いいたしますけれども、これがだんだんと成熟をしてまいります。現在組合員五人で大体受給者一人というふうになっておりますが、これが高齢化社会の移行に伴いまして、平成十二年には三・五人に一人、三十七年には二・五人に一人、こういうようなふうにだんだん減っていくのではないかと思います。  現在の年金財政状況を見ますと健全のようでございますが、しかし、運用益の率などを見ますと少しずつ減っているということも一つございます。将来こういう状態ですと財政状況が逼迫するのではないか、そういうことも考えられないことでもないんですが、農林年金制度財政の将来の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  177. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 今委員の方からお話がございましたように、受給者現役組合員の相対的な比率、これを成熟度と呼んでおるわけでございますけれども、急速に成熟度が高まる。平成三十九年度には四六・六%、つまり年金の支払いを受けられる方一人を組合員現役の方が二・二人で一人の受給者の方を支えるというような構造になるということが十分想定されるわけでございます。  こういう見通しのもとで、今回お願いをいたしております給付水準改善を実施し、かつ仮に現在適用しております、掛金率千分の百三十四を将来そのまま据え置いていくというふうに仮定をいたしますと、年金財政状況が急速に悪化することは間違いないわけでございまして、平成六年には支出が収入を上回る。以後、積立金、現在一兆二千億ぐらいあるわけでございますけれども積立金に手をつけざるを得なくなり、平成十七年には積立金がゼロになるということも理論的には予想されるようなそういう財政状況が見通されるわけでございます。
  178. 横溝克己

    ○横溝克己君 それではその次に、いろいろ資料を見ておりますと、給付水準を見直すことによりまして、月額で十三万七千円から十四万三千円へと四%引き上げるというようなことになっておるんでございますが、このような引き上げがどのような基本的な考え方のもとで行われているのか、それをひとつお伺いいたしたいと思います。
  179. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 年金額は、給与比例部分とそれから定額部分二つの要素から構成されているわけでございます。  給与比例部分につきましては、それぞれの方々の標準給与というものがあるわけでございます。その標準給与を最近時点における現役の方の給与水準並みに評価がえをするということをやる必要がございます。そのことによりまして、給与比例部分についての、年金額引き上げを実現していくという手法をとるわけでございます。また、定額部分につきましては、定額の単価の引き上げを行うわけでございまして、これら二つの要素をそれぞれ引き上げることによりまして、給付水準は前年度に比べまして四%程度引き上げが実現されるということになるわけでございます。これは、昭和六十年の制度改正時に設定された給付水準を実質的に維持していくという基本的な考え方で、今回の給付水準引き上げも行われることになっておりまして、六十年の制度改正時には、現役の男子の平均標準給与の六九%程度の額を年金として確保していくということで、給付水準の設定が行われているわけでございまして、この現役の方の給与水準とOBで年金の支払いを受けられる方との関係が、現役の方の六九%ぐらいが、やはり望ましい水準であるということで設定されているわけでございますので、これを実質的に維持するという考え方で、今回の給付水準引き上げ措置が行われるわけでございます。
  180. 横溝克己

    ○横溝克己君 今度は年金の退職給付のことについてお伺いしたいんですが、これを見ますと、退職給付の水準を農林年金は一〇〇としますと、他の制度を見ますと厚生年金は一〇一、それから国共済は一三三、地共済は一四五、私学共済一一七となっておりまして、いずれも農林年金より高い給付になっております。今回これを四%引き上げるということにしましても、とてもこの程度では他の制度との差は縮まらないというふうに思うのでございます。  またもう一つ、先ほどお答えにもありましたように、これから成熟率が高くなってくる、こういったこともいろいろ関係してくると思いますが、この問題についてどういうふうに対処されるつもりでございましょうか。
  181. 塩飽二郎

    政府委員塩飽二郎君) 六十二年度末の農林年金の退職給付月額、平均で十三万三千円でございまして、他の年金との比較では、今委員の方からお話がございましたような比率になるわけでございます。これは制度自体が、年金としての制度が異なっているからそれだけの格差が出るということではございませんで、それぞれの組合員として在職した期間、これは職域によって当然異なるわけでございます。それの長短あるいは給与水準自体が、やはりその職場での経済活動というものが基本にあるわけでございまして、そこから来る給与水準の高低といったものが反映してくるわけでございます。したがって、このような他の制度と比較した相対的な年金水準の差につきましては、今後とも大きな変化はないというふうに思われるわけでございます。  農林年金給付のあり方については、引き続き加盟されている農林漁業団体に対しまして経営の改善を図るなど、その健全な育成を通じ適切に指導をしていきたいと考えておるわけでございます。
  182. 横溝克己

    ○横溝克己君 それでは最後に、大臣にひとつお伺いしたいんでございますが、年金一元化ということで、先ほど来多くの質問が行われておりまして、またお答えをいただいております。  その中で、農林年金のいろんな特徴を維持しながらこれを考えていきたいということを言っておられますが、一元化の構想がどうもはっきりしませんので私も質問をしにくいんでございますが、どんな形になるにしましても、やはり農林年金の特徴は維持するということでございましょうけれども、このあたりのひとつ御意向を最後に伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
  183. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) さきの、昭和六十年の年金制度改革におきまして、先生御案内のとおりに、平成七年の公的年金制度一元化に向けた第一歩として、全国民共通基礎年金制度導入いたしまして、いわゆる一階部分一元化を図ったところでございます。  今回各制度を通じ、共通給付部分につきましての負担調整を行う制度負担調整法案を国会に提出して審議願っているところでございますが、平成七年を目途とする一元化への最終的な姿、こういうふうなことにつきましてはそれぞれの年金制度を存続いたし、給付負担両面において整合性を図りながら一元化をするというやり方、あるいは各年金制度を統合いたしまして、新たな単一制度のもとで給付負担を一元的に行うというやり方などのことが考えられるわけでございま すが、いずれにいたしましても、一元化に当たりましては農林年金制度設立経緯、あるいは先生今申されたとおりに、独自性などを踏まえまして対応に誤りのないよう組合員代表の方々、事業主の代表等、関係者意見を十分伺いながら慎重に対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  184. 横溝克己

    ○横溝克己君 ありがとうございました。これで質問を終わります。
  185. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。  本案に対する討論採決につきましては、これを後日に譲ります。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十五分散会