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1989-11-21 第116回国会 参議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十一日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月十七日     辞任         補欠選任      谷畑  孝君     細谷 昭雄君  十一月十八日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     初村滝一郎君      尾辻 秀久君     高橋 清孝君      清水嘉与子君     本村 和喜君      陣内 孝雄君     熊谷太三郎君      野村 五男君     鎌田 要人君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         仲川 幸男君     理 事                 大塚清次郎君                 北  修二君                 上野 雄文君                 村沢  牧君                 井上 哲夫君     委 員                 青木 幹雄君                 鎌田 要人君                 熊谷太三郎君                 鈴木 貞敏君                 高橋 清孝君                 成瀬 守重君                 初村滝一郎君                 本村 和喜君                 一井 淳治君                 菅野 久光君                 谷本  巍君                 細谷 昭雄君                 猪熊 重二君                 刈田 貞子君                 林  紀子君                 橋本孝一郎君                 喜屋武眞榮君                 横溝 克己君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君    政府委員        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省農蚕        園芸局長     松山 光治君        林野庁長官    甕   滋君    事務局側        常任委員会専門        員        片岡  光君    参考人        山梨早川町町        長        辻  一幸君        全国森林組合連        合会常務理事   山本 博人君        中京短期大学教        授        京都大学名誉教        授        半田 良一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○森林保健機能増進に関する特別措置法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十七日、谷畑孝君が委員辞任され、その補欠として細谷昭雄君が選任されました。  また、去る十八日、岩崎純三君、陣内孝雄君、清水嘉与子君、尾辻秀久君、野村五男君が委員辞任され、その補欠として初村滝一郎君、熊谷太三郎君、本村和喜君、高橋清孝君、鎌田要人君が選任されました。     ─────────────
  3. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 森林保健機能増進に関する特別措置法案を議題といたします。  本日は、本案につきまして、お手元の名簿にございます参考人方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところを本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。  本日は、森林保健機能増進に関する特別措置法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の本委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じております。よろしくお願いを申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。  御意見をお述べいただく時間は、議事の都合上、お一人十五分以内とし、その順序は、辻参考人山本参考人半田参考人の順とさせていただきます。参考人方々の御意見の開陳が一応済みました後、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、辻参考人からお願いをいたします。辻参考人
  4. 辻一幸

    参考人辻一幸君) おはようございます。  私は、山梨早川町の町長の辻でございます。  早川町は、日本の屋根、南アルプスの真っただ中にあります。四方の山はすべて二千メートル以上であります。美しい自然と人情にはぐくまれた土地であり、面積は三百七十平方キロメートルにも及び、県下六十四市町村中最大の町で県土の九%にも及びます。その大部分アルプスの急峻な地形となっており森林で覆われております。森林を守り育てている山村立場から、本日、本委員会意見陳述の機会を与えていただきましたことについて大変光栄に存じている次第であります。  昭和三十一年、南アルプスを源流とする早川の流域六カ村が町村合併により早川町として誕生いたしました。三十七の集落が広い範囲に点在し、一番北と南の集落では三十キロメートル以上も離れている地域でございます。  普通、町といえば役場、学校などの公共施設を中心として住宅が密集し、そこには商店街や病院もあり、その近郊には働く場の工場等が見られます。しかし、早川町にはその形態が全くございません。町とは名ばかりの峡谷の山村でございます。人口合併当時八千人を超えておりましたが、現在では三千人を割っている状態であり、しかも高齢化率は三〇%と典型的な過疎町村でございます。  かつては、林業水力発電で栄えた時期もありましたが、その後林業の後退や発電所無人化は過疎に拍車をかけてきました。地域収入源も減り、鳴り物入りだった電源開発も今は地域活性化につながっておりません。  また、町には高校がなく、この地からは高校に通学することもできません。高校教育を受けるには家から離れて下宿生活を送らなければならない。このときから、地域からの若者の流出が始まり卒業後もほとんどが都市に流出してしまう現状でございます。  さらに、交通が不便なことでございます。国道も通らなければJRもない地域でございます。都市から遠く離れ、厳しい環境の僻地では生活を営む上でも不都合であり、企業の進出などはとても 現在のところ望めない状態であります。  かなりの人が流出して現在に至っているわけでありますが、残ったものは美しい山河であります。美しい自然は山村固有のものであり、どうしても維持していかなければならない。しかし、美しい自然だけでは山村は生きていけません。地形的に見て企業誘致が困難であるならば、森林等地域資源最大限に活用し、林業だけでなく観光レクリエーション等地域産業を複合的に組み合わせて町おこしを行っていく必要があると考えます。  その際、森林を初めとした多様な地域資源を有していても、個々の資源施設は小規模であるためにその運営がうまくいかない場合が多く、これをまとめて一体化し、地域全体がこれらの資源施設集積体として運営することにより多大な力を発揮するものと考えております。  早川町では、地域最大資源である森林の中に、旧村一拠点づくりを合い言葉に拠点づくりを始めております。すなわち、歴史とロマンの里奈良田、森と湖の里雨畑二つ戦略的拠点整備を行うとともに、これと並行して三つ宿泊拠点整備や四つのレクリエーション拠点整備を行うこととしております。これらの拠点と五つの山と渓谷とを合体させ、それらを結ぶ道路に「南アルプス街道」という愛称をつけるとともに、並木の植樹など修景を施すことにより、その沿線の快適性機能性を高めることに工夫をしているところでございます。  また、町全体のイメージを確立するために看板、案内板統一化を図ったりいたしております。このうち奈良田の里においては、町の最奥部集落日本の十大秘境の一つに数えられ、南アルプス登山基地でもあり、昭和三十年代電源開発により集落の大部分が湖底に沈み、残った集落を維持することも難しいところでありましたが、昭和五十七年より山村振興事業を導入さしていただき、森林の中に温泉浴棟歴史民族資料館特産品加工展示施設などを建設し、訪れる多くの人に深い感銘を与えているところでございます。また、森と湖の里雨畑においては、地域活性化のために都市山村交流拠点となる施設を建設するとともに、森林レクリエーション基地としての環境を整えることとしており、緑のオーナー制度もスタートをさせたところでございます。  以上が旧村一拠点整備のあらましでありますが、同様のことはこの集積体の中の一つである森林レクリエーションの場についても言えます。訪れる人が再び訪れたくなるような気持ちにさせるために、森林と調和した施設まとまりのある森林の中に適切に配置し、その間を南アルプス連峰の美しい自然を見せるための登山道、遊歩道でつなぐなど、森林施設を一体的かつ総合的に整備することとしていることでございます。  このたびの新法案は、保健休養の場としての森林利用に関し、単に都市住民森林レクリエーション休養のためにというだけでなく地域活性化に向け、地域林業者所得確保につながる森林資源活用という点で極めて意義あるものと考えます。また、まとまりのある森林の中にできる限り自然の美しさを維持しつつ、必要な施設を有機的かつ計画的に配置するという法案考え方は、まさに私どもがここ数年間かけて町づくりにかかわってきた実践手法そのものであります。この法律案を見て、これまで私どもが行ってきたささやかな営みが何か報われつつあるような気持ちにすらなっている心境でございます。私はできることなら、この早川町全域をこの法案対象区域にしていただけたらありがたいと思います。要件的に困難であるというならば、せめて奈良田雨畑などの拠点地域でこの法律に盛られた取り組みをやっていこうという考えでございます。  昨年十一月に行われました全国町村長大会でも決議されたところですが、ぜひともこの法案成立さしていただきたいというのが私どもの念願でございます。  さらに、今回の法律案のメリットは、森林計画制度を手段として、このような森林利用について国、都道府県、林業者が統一した考えのもとにまとまって取り組むことができることにあり、しかもこのような取り組みは国なり県なりが地域実情を把握し、それに沿った形で進めることにより初めて実効が上がるものと考えているところでございます。その際、地域の行政をあずかる町としては、地元林業者の総意を酌み上げ、調整し、それを地元の意向として県に的確に反映させることが重要と考え、またこのことは法案運用面としても十分実施可能であると思うところでございます。  都市化が進展するに伴い、「水と緑と太陽と」という過疎地の代名詞として多少自虐的に言われた自然環境地が今や都市生活にとって大変重要な資源になりつつあると認識をいたしております。しかし、地域最大資源である森林保健休養の場として利用する場合に、森林を訪れる人に森林内での利便性快適性を味わってもらうためには、キャンプ場レクリエーション施設などの整備必須条件であります。  この場合、森林の持つ水源涵養国土保全などの機能や自然の環境を維持するため森林管理保全を図ることが必要だと思います。無秩序な森林開発はこれら森林の有する諸機能の発揮を妨げるとともに、自然の持つよさが失われ、訪れる人も少なくなることから地域振興にも役立たないと考えます。やはり施設整備する場合には、自然の利用環境保全の調和を図りながら、ここ南アルプスの自然に親しみ、神の恵みを享受できるようにすることが大事だと思います。  今回の法律案では、森林保健休養機能を発揮させることを契機として、林業者みずからにより地域森林を維持管理していこうという考え方がその根底にあるものと理解しております。すなわち林業者保健休養機能を発揮させるため自主的に計画を作成し、森林施設整備を行うことにより、従来必ずしも管理が十分でなかった森林も含め、乱開発の抑止や森林保全実効性が高まるものと考えられます。  森林管理保全森林で生計を立て、山村の将来を身にしみて憂慮している地域林業者自体が行ってこそ実があるものであります。本制度運営に当たり、政府当局が以上の趣旨を積極的に普及、啓蒙し、指導されることを期待いたしているところでございます。また、このような森林施設整備への取り組みについて、地域自主性が基本にあるならば、地域計画に賛同してくれる民間資本とも協調しながら整備が行っていけると思います。  交通情報伝達発達した都市化社会における山村地域のあり方は、都市化社会生活する人々が不可欠と感じつつある自然環境の重要な提供者として世の中に機能していくことであります。そのためには、都市住民に実際に山村を訪れてもらい、山村実情やすばらしい自然に触れ、それらを十分に理解してもらうことが必要だと考えます。この都市住民山村への来訪を契機として、単に都市住民山村自然環境を満喫するだけでなく、都市住民考え方、物の見方山村住民が摂取していくことが重要であります。このことにより山村地域都市との間には精神的な連帯が生まれ、山村地域が孤立せず外に向かって発展できるための基盤が形成されると思います。  そのための方策として、私どもの町では都市山村交流事業も進めております。また、不特定の都市住民対象とした特別町民制度を創設して、そういう事業も進めております。さらに、南アルプスの大自然に広く親しく接してもらおうと山岳写真館を建設、このことにより本年より日本山岳写真コンテスト企画、多くの山岳写真愛好家写真展示会を来年の春、東京で開催する計画をも進めているところでございます。そして、自然環境情報発信基地として南アルプス邑早川町をPRし、地域づくり活性化を推進しているところでございます。  このような自然環境提供者情報発信基地としての早川町の役割をより発展させるために、提供対象となる自然景観を一層充実し、訪れる都 市住民にとってより魅力あるものにすることが大事だと考えております。森林資源を守り、保存しながら保健休養の場として利用する「南アルプス野鳥の村」や、「南アルプス・スイス村」構想も現在町の計画として企画中でございます。  今回の法案保健休養の場としての森林利用を通じ、都市山村交流促進情報発信基地確立山村活性化に役立つものになることを期待するものであります。よろしくお願いいたします。
  5. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) どうもありがとうございました。  次に、山本参考人お願いをいたします。
  6. 山本博人

    参考人山本博人君) 全国森林組合連合会常務理事山本です。  参議院農林水産委員会委員の各先生方には、平素林業森林組合振興発展のため格別の御指導、御高配を賜っておりますことに対し、衷心より厚く御礼申し上げる次第でございます。  私は、全国森林組合系統組織立場から、今国会農林水産省から提出されております森林保健機能増進に関する特別措置法案につきまして意見を述べさせていただきたいと思います。  まずもって結論から申し上げたいと思いますが、既に先生方承知のとおり、我が国森林林業を取り巻く状況は極めて厳しいものがございます。木材価格の低迷、外材との競合、また山村社会における過疎化傾向林業就業者の減少と高齢化などにより林業生産活動は著しく停滞している状況にあります。  一方、我が国経済の著しい発展に伴い、地域環境変化人口偏在化や物の見方考え方変化等から国民森林に対する要請は単に森林木材生産水資源確保国土保全といったものにとどまらず、国民生活と結びついた安らぎのある快適な生活志向も強く、かつ森林浴初め森林内におけるレクリエーション活動等保健休養の場として活用を図ることが国民的ニーズとして求められてきております。このため、施設整備を進めることにより、都市山村交流林業への理解協力等を通じて林業山村活性化への道が切り開かれていくのではないかと考えております。したがいまして、これまで森林保健休養利用というものが法制度上明確に位置づけられていなかったものが、今回の法案によって位置づけられるという極めて意義あるものでございます。森林組合系統組織といたしまして全面的にこの法案に賛成するものであります。ぜひとも早期法案成立を願ってやみません。  賛成の主な理由といたしまして簡素に申し上げれば、一つとしまして、森林施業施設整備計画的かつ一体的に進めるために、森林法森林計画制度活用することにより森林所有者の円滑な合意形成を図る手続が明確に示されていること。一つ保健機能森林面積のうち森林保健施設の占める割合が一定以下であることや、森林施業方法並びに保健施設の位置、規模配置等構造上の技術的基準が明示されていること。一つ施設整備が不適切な場合には森林法監督権限が行使でき、設置の中止または復旧命令が行使できること。そして、森林組合保健機能増進事業に取り組むについては、従来は員外利用の制限がありました。今回の法案により国民森林に対するニーズ多様化にこたえて幅広く保健機能増進事業に取り組めるようになること。以上であります。森林組合系統組織といたしましても、今後一層森林の適正な管理利用に努力してまいる所存であります。  ここで敷衍して申し上げれば、農林業はその私的生産活動を通じて国民が不可欠とする多くの社会的効用をつくり出しております。すなわち食料の供給機能地域経済活性化機能、自然・国土保全機能人格形成教育機能保健休養機能等々であります。具体的には時間の制約もありますので省略させていただきますが、この中で申し上げた自然・国土保全以下三つのものが、農林業だけが持つ固有機能国民生活と生命の再生産人間人格発達を保障するかけがえのない公益的機能であるということが言われましょう。  私ども森林組合は、御承知のように明治四十年の森林法改正制度化され、自来八十余年にわたり森林の造成、保全等事業を実施してまいりました。この間、昭和五十三年第八十四回国会において、長年の宿願でありました森林組合法単独法が誕生いたしました。この成立に当たりましても諸先生方の力強い御尽力に得るところが大でありました。改めて厚く御礼申し上げる次第であります。  この新法のもとに、森林組合系統組織地域林業中核的担い手として、我が国林業振興山村活性化に向けて日々努力を重ねてきておるところであります。森林組合系統組織は、林業構造改善事業を踏まえ、都市山村交流森林都市住民保健休養等の場として利活用し、森林を総合的に整備していくという森林総合利用にも積極的に取り組んできており、同時に全国森林組合連合会としましては各地の森林組合事業活動に対応し、昭和五十九年に森林組合体制刷新運動を決定し、昭和六十年度から五カ年計画運動を展開してまいりました。この運動重点課題一つとしまして森林保健機能活用を取り上げ、森林組合系統組織一丸となって推進し多大の成果を見てきているところであります。  この五カ年計画運動も今年度で終わりますが、平成二年度からは新運動として「森林と人いきいき運動」という運動を五カ年間計画として実施することとしまして、系統組織全国大会において決定しております。この運動課題として一つには、国際化に対応した林業確立であります。二つ目には、恵み豊かな森林と魅力ある山村創造でございます。三つ目には、組合員参加による森林組合活動の拡充を挙げ、この三つの方向から森林組合活動を拡充し、組合員参加による地域林業の再構築を進めてまいる所存であります。特にこの中で、二の恵み豊かな森林と魅力ある山村創造課題一つとして取り上げていますが、このことは冒頭でも申し上げたとおり、国民森林に対する多様な要請にこたえる事業であり、森林の総合的な利用を進めるため、地域条件に即して森林のレクリエーション等総合的な利用促進を図ることとしております。  全国森林組合は、昭和五十八年度から都市住民山村住民との交流を深め、林業山村現状役割理解を得るため、そういう目的グリーンキャンペーンを各都市で展開してまいりました。平成元年度は、去る十一月の五日、日曜日、神奈川県小田原市の郊外にある「いこいの森」で「親と子の森林教室」を開催いたしました。この森林教室は約二百名の定数で計画しましたが、四百名からの応募者があり、このような行事に対しいかに多くの都市住民が希望するかを再認織した次第であります。当日は林内の散策、二十五年生杉、ヒノキの間伐、枝打ちの実演、木炭の製造、シイタケの栽培の見学等を実施、また森林に関しての親と子の対話等を通じ保健休養、教育等有意義な一日でありました。この「いこいの森」は、小田原市が四十六名の森林所有者から三十ヘクタールを貸借し、保健休養機能活用の場として施設整備し、小田原森林組合森林管理施設運営を受託しております。  この施設年間利用者は約五万人、森林管理及び施設経営を受託する森林組合延べ雇用日数年間千人余に達しております。小田原市の作成した案内書によれば、「この「いこいの森」は小田原市が森林の大切さを身近に認識していただき、木材生産ばかりでなく休養の場として活用していただくため開設したものです。「いこいの森」の豊かな自然ときれいな空気の中で安らぎと明日への活力を求め、健全な心身を培い、緑を通じて触れ合いを広めてください」とつづってありました。「いこいの森」の案内書の内容は本法案目的趣旨に沿っていると考え、一例として御紹介した次第でございます。森林組合系統組織は昨年の十一月、全国森林組合代表者大会の名において森林総合利用のための制度の創設を政府農林水産省に強く要望してまいったところでござい ます。本法案は、私ども森林組合系統組織の強い要望を十分反映して提出されたものと理解しております。  最後に、今や地球的規模において森林の危機が叫ばれております。このようなことは国際的連帯において何としても回避し、世界の人類が生きる平和で永遠の地球としなければならないことは論をまたないところであります。貴重な森林資源をこうしたことから国土緑資源を守る国民一人一人と心の触れ合い、人間関係形成、次代を担う子供への教育効果レクリエーション活動等森林保健休養施設整備利用は、山村都市双方が最も要求してやまない念願しているものだと思います。両者の交流は心の豊かな人間発達を促す上で大きな意義を持っていると思います。物の豊かさよりも心の豊かさな重視することが重要であります。  以上、森林組合系統における保健休養増進への取り組みの一端を述べさしていただきましたが、本法案成立によって今後一層計画的かつ一体的な取り組みが可能となるものであります。  終わりに、本法案早期成立早期施行を願って私の意見といたします。
  7. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) どうもありがとうございました。  次に、半田参考人お願いをいたします。
  8. 半田良一

    参考人半田良一君) 半田でございます。私は京都大学農学部林業経済林業経営等々の研究をしてまいりましたが、現在は岐阜県にあります中京短期大学に勤務いたしております。  私は、五つの点にわたりまして意見を述べさしていただきたいと思っております。  まず第一に、森林林業山村という三つの関係から見ましたこの保健機能が注目されるようになった背景でございます。世界的に森林保全ということが注目されておりますが、森林は適度の利用活動を行うことによって保全の実が上がるものであります。ところで、その利用の内容というのは、経済の発展あるいは生活様式の変化に伴って変わってまいっておりますが、大まかに申しますと、燃料利用から用材利用、そこへ近年アメニティーの提供、この法律の言う保健機能と申しますのは、アメニティーと同じ意味で考えております、と変わってきております。いずれにしましても、森林に対しましては生産力を高め、国民の求める福祉に役立てるという視点から適切な管理区分を行って、その上で、保全の枠内で森林施業の内容を改善し高度化するということが基本的方向であると思います。  一方、山村立場から申しますと、恵まれた森林対象にした生産活動によって所得を上げるようなシステムをつくるということが活性化のポイントであります。生産活動の分野としましては、木材の販路を開拓すること、次にキノコなどの特用林産物を導入すること、第三に、森林保健機能を生かしてレクリエーションの場を設定管理するということが重点であると思います。  第二番目に、保健機能の意義ないしはアメニティーに対する需要の背景について申し上げます。以前は、人々はいわば身の回りの自然の中から無意識のうちにアメニティーを享受して暮らしておりました。観光など意図的にアメニティーを求めるという行為は特殊なことというふうに考えられておりました。しかし、経済が発展し大都市人口が集中し生活環境が悪化いたします。また、社会生活におけるいろんな緊張が激しくなります。総じて都市生活のひずみに伴って、アメニティーを日常の生活圏の外部へ出て意図的に求めるような行動様式が一般化するようになってきたと思います。その求める対象は、いわば人工的な都市空間の対極にある自然であります。そして森林というのは、その自然の中で最もポピュラーな存在であります。  森林に代表される自然と接するということは、勤労者にとってはみずからの労働力を再生産する上で、また青少年にとりましてはバランスのとれた人格を涵養する上で、さらに高齢者の場合には安らぎと生きがいの場を見出すという意味で現代の社会に不可欠の要素になっておりますし、今後ますますその重要性を増していくことと思われます。  もっとも、保健機能と申しましてもその具体的内容はさまざまであります。森林に対して何を求めるかということも、例えば利用者の年齢あるいは個人利用か集団利用かという利用形態によって違いがあります。しかし、森林は単に休息の場を提供するというだけでなく、大なり小なり活動の場あるいは創造の場という要素が求められていると思います。こういったニーズに対応するためには、森林そのものだけでなく施設と一体化したものであることが望まれます。  翻って、自然ということについて若干申し述べたいと思いますが、学術的に価値が高い貴重な自然があります。例えば原生環境保全地域あるいは自然公園の特別保護地区等であります。これらは人為を加えずに将来に残すべきものであります。したがって、公共的管理のもとに置く必要があります。ここに言う保健機能利用増進対象からはこれは区別すべきものであります。さらに広域的な景観としての自然を保全することも重要であります。こういった広域的な森林景観の保全もまた公共的管理役割である。森林計画制度などが今後ともその役割を果たすことになると思います。  しかし、そういった広域の森林景観の中の個々の森林あるいは森林団地につきましては、一定の公共的規制のもとで特定の保健機能を求める需要者、それと森林所有者施設整備等適正な森林施業を媒介として結び合いまして、機能の高い森林をつくり出して提供する、そういった関係の設定が可能であると思います。また、その試みが地域活性化契機になっている事例は既に少なくないところであります。  次に三番目に、従来の山村振興施策と特別措置法の施策との関係でございます。一九七〇年代から林業に関する諸施策は地域振興的な色彩を次第に濃くしております。その中に、森林保健機能利用して地域振興に結びつけようといった構想も見出されます。例えば第二次の林業構造改善事業に始まりました森林総合利用事業は代表例でありますし、山村振興事業の中でも森林利用したレクリエーション開発は積極的に取り上げられております。  しかし、従来こうした施策は概して施設整備が中心でありました。修景施業といったこともありますが、それは施設の周囲のせいぜい数ヘクタールの単位の森林にとどまっておったと思います。もちろん施設型のレクリエーション施設山村振興の上で効果が大きいということはこれは事実でありますが、しかし森林を生かすことに力点を置き、森林をベースに置いて比較的小型の施設と有機的に結びつけるといったレクリエーションについては、例えばドイツなどに比べまして日本の場合には未発達であります。これを成功させることにおいて保健機能は一段と増進することが期待されます。すなわち、森林所有者をパートナーとすることによってそういった施設森林との一体的整備の受け皿をつくり出すということ、これがこの特別措置法の趣旨であると思います。したがって、この法案森林に対する国民ニーズに対応するという意味と、山村地域振興に資するという意味との両方で時宜を得ているというふうに考えます。  そこで、この特別措置法の意義でありますが、これを総括的に次の三つの点で評価したいと考えております。  第一に、森林施業施設整備の、一体的な開発のための制度的受け皿を初めてつくり出しているということであります。第二に、森林所有者またはその委託を受けた市町村あるいは森林組合が所有ないし管理する森林保健機能開発に能動的にアプローチできる枠組みをつくっているということであります。これによって、懸念されますデベロッパーによる大規模開発あるいは森林破壊に歯どめをかけることになると思います。第三に、森林所有者開発を実施する過程において も、森林法に基づく監督権限を行使することによって臨機応変に規制を加えることができるという点であります。  以上のように、この法案の内容につきましては評価するものでありますが、ただ法律の運用に対しまして若干希望したい点がありますので、それを最後に、五番目に申し述べたいと思います。  その第一は、保健機能というのはそもそも精神的な価値でありますから、人によって評価のばらつきが大きい点であります。ですから、特定の森林機能増進計画を樹立するに当たりまして、開発保全かといった対立が超こる可能性があります。ですから、計画を樹立する際には森林所有者だけでなく地元代表者、市町村、森林組合などの関係者が十分に話し合いまして、結びつくようないわば合意と協力に基づく推進体制をつくることが大切であります。言葉をかえれば地域ぐるみの取り組みを指導してほしいと思います。都道府県もまた広域レベルでこの種の施設の適正な配置を保つように常に目配りをして、計画策定段階から指導を行ってほしいと思います。  第二番目に、今申し述べたことと関連いたしますが、保健機能森林運営主体としましては、市町村が直接当たる場合、森林組合が当たる場合、あるいは地域、例えば集落が当たる場合などが多く考えられます。しかしながら、例えば集落というのは一般的には法人格を持っていないという限界があります。また、市町村は公共団体の性質として収益事業まで手を出しにくいといった限界もあります。したがって、そういったいわば地域管理の責任に当たる三つの集団がそれぞれの能力を高めるとともに、お互いに連携しまして適切な役割分担をしていくことが大切であると思います。いわば地域マネージメントのためのシステムの整備ということであります。  第三番目に、業者と同じようなやり方で保健機能の宣伝活動を行って客を集めようとしても、これはなかなか難しい点があると思います。それから、都市住民ニーズにうまく対応していくためには、不特定多数の都市住民に対して情報活動をするというよりも、むしろ特定の地域あるいはグループとの間で一種の縁組関係をつくるような形がむだが少ないのではないかと思います。  今都市住民の間では、山村理解山村交流しようというムードが着実に醸成されていると思います。これをうまく引き出していくためには市町村や森林組合が窓口になり、例えば姉妹協定などを結んで各種のプロジェクトを持ちたいと思います。こういった関係が成り立ちますと、保健機能というものの提供からさらに都市住民山村住民との人間的な相互理解に進み、両者の共存のきずなは強固になると思います。今のことを反面から申しますと、一般的にリスクが大きいと言われますレクリエーション事業の需要面の基盤を安定させ、また時には利用者側の注文をも取り入れまして、保健機能提供の内容を一層高度化することができることと思います。こういった山村都市との結びつき、縁組に行政は積極的な支援をしてほしいと思います。  最後に四番目に、現在一部のデベロッパーの間、また一部の自治体の間でも根強い観光開発期待のムードがある、これは事実であります。特に総合保養地域整備法が施行されましてこの方、政府の施策が全体として大型観光開発の推進にあるような受け取り方がされ、危機感と期待感とが交錯しているという世相であります。この法案をよく読めば、こういった大型開発とは縁がなく、むしろそれを抑制する内容のものであるということはよくわかるわけでありますが、ただ保安林の伐採や林地開発の許可制が緩められているという一点をとらえて開発に道を開くものと早合点されるおそれも事実として存在すると思います。法のねらいは、あくまでも森林保健機能地域振興に結びつけようとする地域住民の自発的な創意と努力、これをプロモートするということにあると考えておりますが、その趣旨政府レベルでも機会のあるごとに明確にし、いわば思惑による混乱を引き起こすことのないように注意をしていただきたいというふうに思います。  以上、私の意見をつたないまとめ方でありますが、取りまとめて陳述させていただきました。総体的に申しまして、ただいま述べましたような理由から、この法案につきましては積極的に賛成するという立場でございます。  どうもありがとうございました。
  9. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) どうもありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳は終わりました。  それでは、これより参考人方々に対して質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 上野雄文

    ○上野雄文君 三人の参考人先生方御苦労さまです。  一、二お尋ねを申し上げたいと思いますが、最初に早川町の辻町長さん、大変過疎地で御苦労をされておられることについて、私どももそういう町村を抱えている地域でありますから、それなりにわかるような気がするわけでありますが、交通手段が欠落しているというか、余りよくないという状況下で、町長さん言われるような期待を持つことができるのかなというのが、お話承っていて、町長さんの熱意は本当に痛いほどわかるんですけれども、その辺は一体どういうふうにお考えなのかというのがちょっとまずぶち当たった問題といいますか、そんな気がいたしました。  それから、御期待されているような開発が、年間現状一体どのぐらい客の入り込みがおありになるのかというのが、ちょっとあるいは私が聞き落としてしまったのかなと思いますが、その辺もお聞かせをいただければと思うのであります。  さらに、実はこの法律以前のリゾートの問題で、うちの地域で町がかかわりましたけれども、たった三カ月ぐらいで手を引いてしまったという実例があるんです。町のかかわり方ですね、そのことについて具体的な構想といいますか、そんなものが今おありになるとすればちょっとお聞かせをいただければありがたいというふうに思います。  それから半田先生、お話承っておりまして戦後の移り変わり、林業を取り巻く状況が非常に大変な変貌を遂げているという中での苦しみというのはそれなりにわかりますが、どうなんでしょうか、こういった開発林業とをマッチさせるというのはどうしても私ども重なり合わない。そこへ保健機能という名前をつけて、都市山村とのお互いの交流を図るというふうに言われましても、何かもう一つぴんとこないというのが私の感じなんでございますけれども、その辺について、私も先生の著された本のはしがきの要約されたところしか読むことができなかったんですけれども、それでもやはり林業を守ろうという視点でずっと御活躍されてきたんだなというのはわかるわけです。そういうものとどうマッチさせるのかなというのをもう一つお話しいただければ大変ありがたいというふうに思います。  それから森連のお立場で、休眠組合が物すごく多いではないかというような批判のある中で、皆さんも御苦労されていることについてはわかりますが、民間デベロッパーが入ってきちゃって森林組合のコントロールというものがきくのかなというのが、何といったって向こうは金もうけ最優先ではないかなという気がするわけでして、そういうものなんかについて森林組合としてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その辺の具体的な取り組みのことなどについてお聞かせをいただければありがたいなというふうに思います。
  11. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) それでは、まず辻参考人から。大変短い時間で時間帯を組んでおりますので、要領よくひとつお答え願えれば大変ありがたいと思います。
  12. 辻一幸

    参考人辻一幸君) 上野先生の御質問に対してお答えをさせていただきます。  まず、交通の不便なことはいろいろなことについて支障を来してないか、これからの法律につい ての設定についても地域開発について問題はないかという御質問だったと思いますけれども、先ほども申し上げましたように、実は私どもの町はJRの駅もありませんし、通ってもおりませんし、なお国道沿いの地域でもございません。もう少し詳しく申し上げますと、日蓮宗の身延山の身延町という町がありますけれども、その町の西北の位置に存在をします。南アルプスの大きな三つの山系の中の二つに挟まれたという地域でございますが、JRでは身延線の身延の駅から約四十分ぐらいで町へ入りますし、国道は清水、長野へつながる五十二号線から約十分ぐらいで町の入り口に入るようなこういう地域でございまして、町の中は、大変大きな町ですけれども、ただ一つ県道二百二十号線、先ほど南アルプス街道という愛称を町でつけて、道路の整備に、また愛称に沿った景観づくりを進めているわけでありますが、唯一の幹線道路は、町の中はただそれだけでございます。  先ほどのお話でございますけれども地域の住民が生活をしていく上には大変交通的にも不便で、例えば県都があります、工場地帯のある甲府盆地を中心として、そこへ住民が地元に根をおろしながら通えるかというととても通えるような地理的な位置でもございませんだけに、交通が不便なことは地域の住民にとっては大変生活をしていく上に厳しさがあることは事実でございますけれども地域をいろいろの村おこしや観光的な肉づけや、あるいは森林利用的な施設をつくっていくことによって、大勢の人たちが地域へ入ってくるということに対しては支障を来していないような気がいたします。実は東京からも中央道を使いますと二時間半で私どもの町へは大勢の人たちが入ってきてくれますし、そういう点では支障を来しません。生活をしていく上には困難ですけれども、その生活に役立てるための地域振興を進めていく上には、交通のことは障害にならないと思います。  なお、旧村一拠点づくりというのは、わずかまだ十年、町の主体的な施策としてこれらの施策を進めてきているわけでありますけれども、まだ十年たっておりません。おかげさまでこれらの整備が着々とされまして、大体年に二割ぐらいの入り込みが現在のところふえているところでございます。ことしの推定も約四十万を下らないだろうと。それもしかも、東京を中心とした、あるいは静岡県を中心としたこういう地域からの入り込みの皆さんが大勢入ってきてくれておりますし、森林保健機能活用制度によって、より一層森林の高度活用をしていくことによって大勢の人たちの入り込みが私ども地域は期待できる、こういうことが言えると思います。  なお、開発についてでございますが、私どもの町は大きなデベロッパーも入っておりませんし、今まで地域づくりを進めてきたのは行政主体、行政主導型で諸施策を進めてきております。山村振興事業だとか、あるいは新林業構造改善事業だとかあるいは農村整備事業だとか、こういう制度を過疎克服のために、脱却のために導入しながら、すべて町が行政主導で森林組合とかあるいは農協とか、こういう団体と提携をしながら地域の自然にマッチした振興事業を進めてきているということでありまして、今後もやはりこういう姿勢は崩したくないというのが町の考え方でございます。  なお、今回の法案は、そういう大型の開発については相当規制をも加えていき、行政が監督をしながらの地域づくりが進められるのではないかなと、こんなように感じているところでございます。
  13. 半田良一

    参考人半田良一君) ただいまの上野先生のお尋ねの件でありますが、今御承知のように、日本森林というのは人工林が四〇%、約一千万ヘクタールございます。この人工林は現在のところ非常にまだ未成熟のものが多うございますので、直ちに経済的な成果に結びついていないということは大変残念なことではありますが、これをしっかりと育成して将来の国産材の自給率を高めるという基盤にするということは、これは国際的な責任でもあろうと思います。  しかしながら、それ以外に相当広い、五〇%以上の広葉樹を主体とした天然林が残っておるということも事実であります。これらは申すまでもなく、かつては薪炭の生産に使われ、さらにパルプ材の伐採の対象となってきたものでありますが、その多くは、現在は低利用のままになっております。ですから、そういった森林を主体といたしましてどのように地域振興に結びつけていくかということは、これは大変大切なことでありまして、その一環としてこのような保健機能利用開発ということも大切なことであらうかと思います。  ただ、保健機能利用開発ということは、薪炭の生産等々と違いましていわば人が主体になって、つまり主体になってそれを計画し実行していく人ということも大変大事なことだと思います。そういった人づくりということが重要なわけでありますが、現実にはかなりの地域でそういう人が育ってきているというふうに理解しております。  以上でございます。
  14. 山本博人

    参考人山本博人君) 先生からのお尋ねの件で第一点、休眠組合も多いがということでございますけれども、私どもとしましては、新運動として「森林と人いきいき運動」というものを平成二年度から実施するというその中で、森林組合合併についても推進をしているのが現状でございます。  お尋ねの民間資本との提携でコントロールができるのかということでございますけれども、これは地域実情によって異なってくるのではないだろうかということでございます。一概には言えないわけですけれども、要はその計画そのものと提携関係、そういうものが適切であるかどうか、それからやはり企業そのものが森林管理をきちっとしていただく、それから保全をきちっとしていただくということが大切じゃないかというように考えておるわけでございます。そういう意味で、私ども森林組合としましては適切な指導をしていきたい、かように思っております。  以上でございます。
  15. 上野雄文

    ○上野雄文君 町長さんの話は、四十万人入られると相当な数だと思いますが、行政主導型でずっとおやりになってこられたというお話で、その蓄積は大変なものだったろうというふうに一般的に想像できるんですが、自主的におやりになるというのを行政主導型というと、町側の主張というのがかなり強くなってくると思うんですが、今までも開発してみたいなというようなお申し出というか、そういうのはあるんですか。例えば企業の側とか投資して、この辺こんなふうに開発してみたいなというような申し出というか申し込みといいますか、町長さんの方に届いておられますか。
  16. 辻一幸

    参考人辻一幸君) まだ公式にいろいろな話は出ておりませんけれども、例えば最近の話題ではゴルフ場をつくりたいとか、そういうお話は二、三町内へ入ってきております。  なぜ四十万ぐらいの入り込みがきょうの時点であるかといいますと、やはりそれだけの大きな自然の地域でありますので、観光的な資源も、既存の温泉地もありますれば、それに準じるような、先ほど身延山のお話をもしましたけれども、身延山を背景としたあの信仰の地も私どもの町にもありますし、自然的なそういう入り込みもきょうまでありまして、なお価値のある拠点づくりということで行政主導で進めてきて、先ほどの奈良田の里だとか、リフレッシュふるさとの雨畑地域だとか、森と湖の里の地域だとか、そういうところを行政主導で整備を進めておりますものですから、きょう時点の入り込みは約四十万人ぐらい数えられるところへきているということでございます。
  17. 上野雄文

    ○上野雄文君 今ちょっとゴルフ場というお話が出たりしたんですが、今度の場合は、そういうものについての想定というのはできないのだというふうに我々聞かされているんですが、それ以外のものとすればどんなものが考えられて、そして町にこんなに貢献してもらえるというような、何か計画されているといいますか、そんなものがあったら教えていただければと思いますが。
  18. 辻一幸

    参考人辻一幸君) 民間のデベロッパーが私どもの町をどういうように開発していきたいと考えているかということについては、私どもそういう立場ではありませんので判断がつきませんけれども、きょうまで全くそういう形の開発というものは私どもの町ではなされてはきていませんでした。ということは、大変自然が厳しくて、そして例えば富士山ろくだとか、山梨県にありますように清里の山ろくだとか、ああいう山ろくとは私どもの町や南アルプスの地形というのは全く違うものがあります。それだけに、なお過疎へ拍車がかかり、例えば林業振興だとか、そういう自然の振興の形というのがおくれて今日に至っているわけでありまして、よそから見た目でどういう開発をしたいかということは私どもは想像はつきませんけれども、少なくとも住民主体の、行政主体の中での過疎脱却と地域振興、村おこし等の観点から、森林活用した保健休養地域開発を進めていくことが町づくりとしてベターではないかということを町の長期計画でも、今までの地域振興でも取り入れさせてもらってきたという考え方でございます。  以上です。
  19. 村沢牧

    ○村沢牧君 私、長野県の社会党の村沢牧です。きょうは参考人の皆さん御苦労さんでした。  町長さん、最初に簡単にお聞きしますけれども、中央道ができて近くなったと。やがて高規格幹線道の中部横断道路、これも関係していますか。
  20. 辻一幸

    参考人辻一幸君) はい。
  21. 村沢牧

    ○村沢牧君 そうですか。わかりました。そうしますと、今まで開発をされておらなかったけれども、やっぱりこれから将来が展望されてくる地域ではないかというふうに思うんです。  そこで、町長さんの御意見の中で民間資本とも提携しておやりになることもできるというお話があったんですが、こういう事業に町長さんは町全体でひとつ取り組みたいというようなお話もあったんですが、それはこの基準と照らし合わせてどういうふうになるかは別問題といたしまして、そういう事業をやる場合においては町としてやるのかあるいは森林組合にやらせるのか。森林所有者といったって個々の森林所有者なんですから、自分ではできないことがたくさんありますね。あるいはまた、そうした資本を導入してやるのか。施行主体はおやりになるとすればどこに考えているんですか。
  22. 辻一幸

    参考人辻一幸君) 中部横断道のお話を村沢先生は話題になさいましたけれども、今私ども地域は、中部横断道がもし完成した暁には多分近くを通るだろう、しかもインターチェンジも近くへ出るだろうということで、この道路については一日も早い実現を町を挙げて期待しているところでございます。  なお、これらの施策についての運営でありますけれども、現在まで進めてきた施策につきましては町が直接運営している施設もありますし、あるいは地元運営協議会へその運営をゆだねながら委託管理をしていただいている施設もありますし、あるいは森林組合等へ国から導入した事業等は分担して森林組合等にしていただいている、こういう運営方法をとっているところであります。  なお、民間資本をということを申し上げましたけれども、少くとも町づくり理解を示していただき、ある程度地域の自然を残したりする形の中でのそういう申し出があれば、当然検討をしてみてもいいのではないだろうかなということは考えておるわけであります。やはりそれには相当町の考え方にのっとった自然をあるいは環境を残していくことを主体にすることでなかったら町外の民間資本は受け入れるべきではないだろうということを考えているところでございます。  現在のところ、先ほども申し上げましたように、そういう形での開発の申し入れとか、またよそからの、早川町の地域開発についてそういうビジョンを描いてきた話というのは、実際のことを申し上げまして大変厳しいところでありますだけに、よそからのそういう正式なお話というのは直接私どもは聞いていないところが現在の実情でございます。
  23. 村沢牧

    ○村沢牧君 山本さんにお伺いしたいんですが、森林組合は今まで森林の保育増進のために、植林にしてもあるいは保安林解除にしても努力をしておるんですが、保健施設を取り入れる場合、今法律そのものには書いてないけれども、省令として技術的基準だとか面積だとか規定をするようですけれども、果たして今までやってきた造林だとか保安林解除だとか、それらに余り影響があってはいけないと私は思いますが、それらについてどういうふうに考えるか。  それと同時に、今上野さんからもお話があったんですが、森林組合の実態について私も承知しているんですが、全国森林組合はこうしたことをやろうと本当に熱意に燃えているのかどうか、できる組合というのはどのくらいあるのか、そのことについてお伺いしたい。  それから、半田先生にもお伺いしたいんですけれども、関係者が十分話し合って合意形成をすることが大事だと、確かにそうだというふうに思います。ところが、この保健機能をつくる場合において、果たして関係者といっても森林所有者あるいはまた森林組合だけではなくて、保安林もいろいろと関係してまいりますから地域住民もあるわけですね。それらの者に対してどんなふうにやっぱり考えていくのか、法律に必ずしも明確でないんですけれども、そんなこと。  それから、保安林について御承知のとおりいろいろな御意見があるわけですね。だから、保安林を指定し解除するだけではなくて、保安林の中のいわゆる施業をいろいろ変えていく場合においても、この事業であれば特別な手続を要しないということになるんですけれども、やはりこれでいいのかどうか、私は若干疑問に思う問題があります。例えば、森林法によって保安林の指定要件では伐採だとかの限度、伐採跡地は植林をするんだとかあるいは樹種はどうする、かなり厳しく決められておるわけですね。しかし、認定のときに十分配慮をするから、実際仕事をやる場合においては保安林のそうした届け出も何も要らないんだということになっていますけれども、特に保安林に対していろいろな御意見があるものですから、先生としては保安林に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのか、簡単にひとつお願いしたいと思います。
  24. 山本博人

    参考人山本博人君) 森林管理保全等につきましては、森林組合が従来、明治四十年以来森林組合というものができましてからずっと携わってきておるわけでございます。そういう中で今回の法律につきまして、総量規制とか技術基準とかそういう点につきまして詳細に規定されておりますし、その範囲内でやはり地域森林所有者なりと行政等が十分話し合い、また御指導をいただいて進めるということで、私どもとしてはこれで十分管理は適正にできていくのではないだろうか、かように考えております。  それから、森林組合がこういう森林総合利用につきましてどのぐらいできるかということでございますけれども、これについては現在みずから森林組合森林総合利用につきまして林業構造改善事業で行っている場合と、それから市町村から受託をされている組合、そういうような形で二つのケースがございます。現在森林組合全国で約千七百強あります。そういう中で先ほど上野先生からもお話しありましたけれども、不活発な組合もございます。しかし、私どもとしては三分の一ぐらいなものはやはりそういうことが可能ではないだろうか、かように一応考えております。
  25. 半田良一

    参考人半田良一君) 最初のお尋ねの地元の関係者の件でございますが、私も全くそのとおりに考えております。先ほどの意見陳述の際に、森林所有者だけでなく地元代表者、市町村、森林組合などの関係者がというふうに申しましたが、特にこういった保健機能森林はほぼ集落に相応するような地域を単位に設定されるということが多分に考えられますが、その場合に、その集落の住民の合意というのは、大変これは大切なバックアップ になるというふうに思いますので、そこのところは村沢先生の御指摘のとおりと思います。  それから二番目の保安林の件でありますが、保安林にもこれはいろいろございまして、例えば土砂崩壊防止林などのようにどうしてもその局部に森林がなければ困るというふうなものがございます。しかし一方、水源涵養保安林のようにかなり包括的に広い範囲が指定されまして、そしてその施業要件などにつきましても特に伐採地を指定しないというふうな森林も相当大きいわけでございます。そういった森林につきましては外からの規制ということと同時に、それよりもむしろ森林所有者の内部的な計画的な施業の中で、そういった保安効果が発揮されるということがむしろ望ましいことであろうと思います。今回の保健機能増進計画というのがそういうふうな内部的な自立ということへの一歩接近になるというふうに期待をしているわけでございます。  技術基準につきましては、私必ずしも専門ではございませんが、私もよく尊敬しております多くの林学関係の研究者が相談をしましたものに基づいて基準が決められておりますので、この点は信頼してよいかと考えております。
  26. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 ただいま、先ほどの参考人御三方の陳述を要約いたしますれば、やっぱり国民的な森林に求めるニーズ多様化、高まり、それにこたえようとして、今回の行政的手法によりますソフトウェアを新たに構築するという意図のもとに立法されておる、非常に時宜にかなっておるという御評価を得ておりますけれども、問題はソフトウェアと一体であるべき具体的に行われるハードな面、これを本当に立法の意図のとおりに持っていくためにはいろいろな難しさがあると思うんです。ですから、立法の中身からは少し外れてまいりますけれども、ひとつ非常な経験、学識ともに豊かな方々ばかりですから、一点ずつ三人の参考人の方にお伺いをいたしたいと思います。  まず、現場で実際おやりになっております早川町長さんでございますが、実は非常に私もまだはっきりしませんのは、ずばり申し上げまして、御経験からして収益事業を行わない、公営ですが、公が手を染めてやる。それから森林組合等のいわゆる非常に森林というものにかかわりの深い団体営でやる。それからもう一つ、純粋な民間資本を導入してみる。いわゆる民活という形を取り入れる。そういうものが事業によって、その中の施設によって、あるいは関連事業によって仕分けされていかなきゃならぬ、あるいはまた第三セクター方式でアロケーションしていくということについて、どういう方向になるだろうかということを経験からひとつお教えをいただきたい、お考えをお聞きしたいというのが辻参考人に対する御質問でございます。  それから、全森連の方にお伺いいたしたいわけです。山本さんにお伺いいたしたいのは、森林組合のこの法律ができますと、その法律の枠内で総量規制あるいは技術基準、この二つの相異なる条件の中にこれを調整すべき主体的な担い手の役割森林組合が背負っていかざるを得ないわけです。そうなった場合のいわゆる不在村地主とのかかわり合いをどうまとめていくか。それからさらに、今度は利用者として員外の方がどんどん入ってくる。これとのいわゆる施設をうまく利用していくためにはやっぱり調和、一体的なつながり、これが連帯ができてこなきゃならぬと思うんです。そうした場合、現在の、率直に申し上げまして森林組合の方の中でのことで、そういうことが経済事業まで含めてやれるかどうか。実は森林組合の枠の中でやれるのか、もう少しこれはひとつ法律でも改正して基盤強化をしてもらいたいのか、あるいは財政基盤をどうするのかということについて要望があればこの際伺っておきたいと思います。  それから、最後に半田先生にお伺いをいたしたいと思いますが、先ほど運用上の問題点が、課題としてこういうものがありゃせぬかということを数項目挙げていただきました。  その中で、いわゆる望むべくんば不特定多数を客体にしたそういう保健機能施設じゃなくて、でき得ればいわゆる特定地域あるいは特定団体とのコンビネーションを強くつけていった方が成功率が高いであろうし、また立法の趣旨にも沿うんじゃないかという、まことにユニークな御発言があったわけでございます。私もそうだと思いますが、往々にして姉妹都市等を見てみますと、どうもどういうわけか一過性のものになってしまう。ある特定のところと奥深く限定して強い結びつきをつくりますとそれが永続的に、発展的に広がっていけば非常にいいわけでございますけれども、その中で残っていくのは何割かしかないというようなことで、結局はそうなってはいかぬので、不特定多数を求めていくということにまた展開していかなきゃならぬような今までのなにがあるわけでございますね。  例えば、今リゾート開発で問われております例の休養施設利用等につきましても非常に大きなものはできたけれども利用効率が悪いとか、あるいは本当に意図された方向で利用されていないといったようなことが、このリゾートの非常ななにの中から数多く出ておるような気がするわけです。その点うまくいけばいいんですけれども、ちょっと懸念がございますので、その点につきましてお考えをお聞きしておきたいと思います。  以上です。
  27. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 大変重ねて恐縮でございますけれども、質疑の要点は参考人皆おわかりでございますので、ひとつ時間帯もございますのでエキスのところでお答えを願いたいと思います。よろしくお願いをいたします。
  28. 辻一幸

    参考人辻一幸君) 大塚先生の御質問でございますけれども、私どもの町は大変厳しい町でございまして、住民を主体とした民間活力の中で地域活性化が図れればいいわけでありますけれども、そのことがなかなか不可能で、きょうまで町村合併して三十年間にして八千人の人口が三千人を割ってしまったというような状況でございまして、やはり地域振興を、いわば村おこしを行政主導型でということで、旧六カ村一拠点を行政主導型で住民参加の中でつくり上げていこうということが、当面の町づくりの目標になっているところでございます。そして、先ほど申し上げました民族資料館だとか、あるいは温泉浴棟だとか、あるいは住民の創作を舞台にした秘境奈良田の里なんかも、やはり周りの森林となおかつ環境利用して大勢の人たちに利用していただこうということできょうまで組み立ててきたものでありますけれども、実はこれらの運営につきましては、町で、行政で財団をつくりまして、南アルプスふるさと活性化財団という財団を設立いたしまして、そして財団へ町から委託をしながら管理運営をしているというのが奈良田の里の姿であります。  なお、森と湖の里で森林を主体とした休養施設でありますが、町営の宿泊施設並びにキャンプ場、遊歩道、滝の景観の周りの修景事業とか、こういうものをやはり一拠点の中でつくっておるわけでありますけれども、これは地元の財産部を主体として地元へ森と湖の里雨畑運営協議会というものを設立いたしまして、そしてその運営協議会で自主的に運営管理できるように町から委託をしながら、それらの管理施設運営しているということで、地元の官民一体となった運営の仕方を今進めているというところでございます。
  29. 山本博人

    参考人山本博人君) 先生から不在村地主についての御指摘がございましたけれども、実は平成元年度から森林組合系統の中でふるさと森林活性化対策事業というのを行いまして、この中で不在村地主との接触を重ねまして、やはり森林の適正な管理、これを行うために現在努力をしている最中でございます。  それから、第二点の森林組合事業でございますけれども、御案内のとおり、森林組合事業には必須事業と任意事業という形で二通りございまして、その中で森林保健機能増進事業というのがございます。その範疇の中で現在事業森林組合がみずから行っているケースはございます。  それから、助成についてでございますけれど も、補助金の根拠規定のようなものは最近の立法例では置かないようになっているように聞いております。しかし、やはり助成措置につきましては予算で確保できれば十分であり、当局にこの予算を要求する次第でございます。ひとつよろしくどうぞ。  以上でございます。
  30. 半田良一

    参考人半田良一君) 大塚先生の御指摘の件でございますが、一般的に申しますと、これはそれぞれの土地の立地条件なり、あるいはその管理運営主体の力量なりによって異なってくることではないかと思っております。  今お話を聞きまして、私近畿地方の四つのことを思い浮かべましたが、一つの例として、大阪の高槻市に森林環境センターというのがございます。それから兵庫県の神崎町にグリーンエコー笠形というのがございます。これは市、町が中心になりまして不特定多数を相手にして相当の成果を上げております。それに対しまして、和歌山県の花園村というのが大阪の守口市と提携をいたしまして、これは山村振興法による山村都市共同事業をやっております。それから、兵庫県の波賀町のこれは一つの原という部落でございますが、これが高砂市との間で姉妹提携をやって成果を上げております。  ですから、そういう意味ではケース・バイ・ケースと思いますが、いずれかといえば、そういった奥地の情報に恵まれない山村の場合にはどこか縁組の相手を求めた方がいいのではないか、そういう趣旨で申し上げました。
  31. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 ありがとうございました。
  32. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 公明党の猪熊と申します。本日はどうも御苦労さまでした。時間が十分しかありませんので簡単に質問さしていただきます。  まず、辻参考人にお伺いしますが、今早川町長さんとして森林利用活用にいろいろ御努力になっておられるという話をお伺いして大変すばらしいことだと思います。ただ、今回の法律が通った場合に町長さんは、これでさらに飛躍的に今のような事業発展するというふうにお考えのように思われるんですが、私が法文を見る限り、この法文によっては森林所有者について、施業計画あるいは森林保健機能のいろんな計画ですね、これをやるについて便宜なような規定にはなっておりますが、地方公共団体等がこれに対してどのように関与するかどうかということについては何も規定しておらないわけです。  そうすると、むしろ森林所有者がこの新しい法律に基づいて、私は私でこういう計画でこういうふうにやっていくんだというふうなことになったら、むしろ今の地方自治体としていろいろおやりになっていることにかえって支障を来すようなことはないんだろうか。私は私でやる、町は町でやってくれ、こういうことになったら今よりもかえって不便に、不便というか、今よりも本当の森林利用保健機能のための利用ということについて支障を来すようなことになる可能性はないんだろうか、その辺はどのようにお考えなんでしょうか。  言葉をかえて申し上げれば、町内の森林所有者に対する自治体としての町の関与というか、統制というか言葉は適当でないですけれども、その辺はどのようにお考えなんだろうか、この点をお伺いしたいと思います。  それから次に、山本参考人にお伺いします。  先ほどお話もございましたが、現行法でも、森林組合法によれば、九条二項八号には「組合員が森林所有者である森林で公衆の保健の用に供するものの保健機能増進に関する施設」、これを組合が組合の業務としてやることができるんだ、こういう規定になっておりまして、今ここで時間がありませんから具体的にこれがどうなっておりますかということはお伺いしませんが、この森林組合法の規定に比較して、今回の法改正によってさらに森林保健機能増進するんだとお考えだとすれば、それはどういうふうな観点からそうお考えなんだろうか。というのは今町長さんにもお伺いしましたが、森林組合が果たして森林所有者にどれだけの、言葉は先ほど申し上げたように適当じゃありませんけれども、統制というか、関与というかできるというふうにお考えなんだろうか、これをお伺いしたい。  それから、半田参考人に対してお伺いしたいのは、本法によると森林のいわゆる企業による大規模乱開発のようなものが防止されると考えられる、こういうお話なんでそれの根拠をお伺いしたい。  それから第二点目には、先ほどから村沢先生やあるいは上野先生からもお話しありましたけれども、先生がお考えになっておられる運営主体というのは、私も非常にすばらしいことだと思うんです。しかし、今辻参考人の際にも申し上げましたように、この法案事業主体等については何らの規定もしておらないんです。  要するに森林所有者が自己の森林保健機能増進計画の認定を受けることができるということが書いてあるだけであって、その認定を受けた実際の施業を、開発計画を実際にだれがどう担当するかということについてはこの法案は何も書いてない。ですから、先生が町も一緒にやろうと、森林組合も一緒にやろうと、地域で一緒にやろうと、私はそういう形でいけばこれは非常に立派な法案だと思うんですが、そうなるかもしれないし、あるいは逆に森林所有者がこの認定を受けた計画を何人かでまとまってそのまま民間大企業に持っていったら、そのまま大企業乱開発のところにいく可能性というものはどうなんだろうという点についての先生の、要するに運営主体についての御見解をもう一度お伺いしたい。  それから、三点目に先生に対してお伺いしたいのは、この法案が通りますと、実質的に保安林の解除じゃないですけれども、解除と実質的に同じような効果が生ずるおそれがある。そうした場合に、現行の保安林解除の要件というものは、こういうふうなものによることではなくしてもう少し公益的な問題による保安林の解除というふうなことになっておるわけですが、現行の保安林の解除もしくは開発許可、これの要件と全く異質なことによる実質的な保安林の解除というふうなことが発生するというか、結果する可能性が非常に多いと思いますが、これについての御意見はいかがでしょうか。  以上、申しわけありません、なるべく短い時間でお答えいただいて終わります。
  33. 辻一幸

    参考人辻一幸君) 猪熊先生の御質問でございますけれども、私はこの法律によって今地域森林所有者林業に対する、活性化に対する意欲というものを町の、行政の最前線であるその地域の自治体が示してやることはできるような気がいたします。今は森林の所有者というのは林業では食べていけませんものですから、やはり山へのあきらめの気持ちの中で山を見捨てていることがあるわけでありますけれども、十分その保健活用機能によって林業がもう一度見直されるところへきているのじゃないか、そして町の行政の立場としてそのことを地元林業業者にこの法律をもとにしながら訴え、なおその活性化のための計画、利潤の拡大、林業所有者の拡大を図るための方向づけというものを十分してやることができるんじゃないだろうか、こういう考え方のもとに立って保健機能制度を導入しながら町の活性化計画を、ビジョンを練って、なお所有者に協力を呼びかけていくことができる、こういうふうに考えております。
  34. 山本博人

    参考人山本博人君) 森林組合法におきましても、森林総合利用については規定してあることは先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、今回の法案について私どもが評価している点は、森林保健機能増進、これは森林計画制度の一環として位置づけられているということがまず第一に評価している点でございます。森林組合というのは、山の守りとして、山を守るということで自負しておるわけでございます。そういうわけで計画的なこの推進の手だてというものが森林計画制度である、かように思っております。  それから第二点は、森林保全について適切な 配慮が払われているということは、総量規制とかそれから技術基準、こういう考え方が今までにはなかった画期的なことではあるのじゃないだろうかということが考えられるわけでございます。  それから第三点は、先ほど参考人としての意見を述べた中にございますけれども、やはり今まで私ども総合利用林業構造改善事業でやっていまして、やはり多くの都市住民利用していただくための中で員外利用の規定があるわけでございます。こういうものが明記されているということが今回の法案で評価すべきことじゃないか、かように考えておる次第でございます。  それから、森林所有者を統制できるとか関与とかいうことでございますけれども、先生も御案内のとおり、森林組合というのは組合員の共同組織でございまして、統制力とかそういうものを持つのじゃなくてみんなで相談して民主的に解決をしていくというのを基本にしておりますので、そういう中で、地方の行政または国の行政の御指導をいただきまして対処していきたい、かように思っております。
  35. 半田良一

    参考人半田良一君) 猪熊先生の御指摘の第一点でありますが、私は乱開発というのは一般的に言えば森林の土質を変更するような大型開発というふうに考えております。それと対置いたしまして、この法律の場合にはいわば森林状態のままでそれを整備していくということでありますので、むしろそういう森林状態のままでその機能増進するということが、かえっていわば低利用状態にある場合に比べて、外部からのそういった大型開発は防止できるということであろうかと考えます。  それから第二点につきましては、森林所有者森林に関する権限を持っておりますので、やはり森林所有者の立てる森林施業計画という形をとることはこれはやむを得ないと思います。しかしながら、もしもそういった森林所有者が先生の御懸念のような事態、外部のデベロッパーにその森林運営を任せるというふうな場合が起こりましても、それは都道府県知事の認定という形で十分チェックできることであろうかと思いますし、一般的にはそのような事態は山村社会の実態から見て起こり得ないんじゃないかというふうに思います。  それから、第三番目の保安林の解除でございますが、これも解除という場合には大体森林でなくなる場合が一般的でございます。この場合にはあくまでもいわば森林生態系と申すべきものをできるだけ残していく中でということでございますので、解除の効果と全く同じということはないのじゃないかと考えております。
  36. 猪熊重二

    ○猪熊重二君 どうもありがとうございました。
  37. 林紀子

    ○林紀子君 私は、時間の関係もありますので山本参考人半田参考人に伺わせていただきたいと思います。  まず山本参考人にお伺いいたしますが、先ほど意見の中で林業を取り巻く状況は極めて厳しいというお話がありました。こういう危機的な状況になった原因といいますのは、外国産の木材の輸入急増によって国産材の価格が低迷していること、また木材の需要不振の中でも輸入木材がシェアを高めていること、こういうことが広く言われているわけですけれども、こういう状態にある林業を立て直すことこそ山村活性化にとって大事ではないかと考えます。都市の住民のニーズにこたえて森林を健全なレクリェーションの場として活用することは当然必要だと思いますけれども乱開発にならないよう、本当に地元にも利益になるようにするためにも地元が主体制を持つこと、大資本の言いなりにならないようにすることが大切だと思います。そのためにも林業を立て直すということがまず第一ではないかと思うわけです。  日本は昨年、一昨年の二度にわたって木材製品の関税を大幅に引き下げた結果、関税引き下げを要求した当事国であるアメリカよりもはるかに低い関税率という事態になりました。ところが、アメリカは日本木材を人工衛星やスーパーコンピューターと並んでスーパー三〇一条の対象にし、さらに実質的な関税の引き下げを要求しております。こういう圧力に屈したのでは、日本林業はますます危機的な状況に陥ることは必至だと思いますけれども、こういう状態について本法案審議の前提としてどうお考えになっているかということを伺いたいと思います。  それから次に、半田参考人にお伺いいたしますが、私も先生の論文をほんの少々読ませていただいただけということなんですが、林業経済八五年の五月号に掲載されております先生の論文には、  七〇年代の自然保護論者は、公害反対・環境保全という時流に乗ったこともあって、具体的対象それぞれに対する保護の目的を個別に検討することなく、多くは十把ひとからげに非妥協的に保護を主張した。 というふうに書かれていらっしゃいます。また、先ほどのお話の中に観光開発のもと、民間の大型開発に対して危機感と期待があるというふうにおっしゃったわけですけれども、現在のゴルフ場の開発ブームなどを見ますと、開発そのものがまさに保護の目的を個別に検討することなく十把一からげである、こういうふうに私は思わざるを得ないわけです。先生はリゾート法とも関連して、本法案についてどういうふうにお考えになっているかということを重ねてお聞きしたいと思います。
  38. 山本博人

    参考人山本博人君) 林業を取り巻く情勢非常に厳しいわけでございます。特に御案内のとおり、外材が相当量入ってきております。そういう意味で、私ども森林組合系統、また森林所有者非常に努力はしておるわけでございますけれども、厳しいというのが現状でございます。  そういう中で、やはり地元が主体的になって立て直すということは当然でございます。地域地域のいろいろな実情もございますので、そういう中でこの森林組合系統として取り組んでいくと。  先ほど御案内しましたように、森林組合系統としましては、六十年から森林組合の体制刷新運動というのを行って、国産材というものの資源を大切に保存しながら適正な管理をしていくということを進めてまいったわけです。平成二年度からはそういう意味でやはり森と人、そういうものが一体となった、生き生きとした運動を展開しようということで現在展開をしているわけでございます。そういう厳しい中で、保健休養の場としての森林に取り組むというのは、やはり地元の所得とかそれから雇用機会の増大、こういうことをあわせて図っていかなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。  それと、先ほどからお話がありますように、都市住民森林に向かって目を向けているときに、そういう交流の場をつくって、そして山を理解してもらわないとなかなか山全体が育っていかないんじゃないかということで、私ども努力している次第でございます。  以上でございます。
  39. 半田良一

    参考人半田良一君) この法律対象とします保健機能増進計画と申しますのは、いわゆる大規模開発というものとはむしろ対置されるようなものではないかというふうに考えております。例えばこの技術基準として、技術基準を適用する一個の森林の範囲というのは最大限五十ヘクタールというふうに、これは省令で決められるというふうに見ております。ですから、そういった大規模開発とむしろ異質の、きめ細かい開発地域振興に結びつけるというのが趣旨であるというふうに考えております。  今その大規模開発なりあるいはリゾート法につきましての意見はできれば差し控えさせていただきたいと思いますが、ですからそれと混同されないような、いわば理解を求めていくということは政府にとってもお願いしたいというふうに考えております。
  40. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 連合参議院の井上でございますが、町長さんにお尋ねをしたいと思います。  今おたくの町では、森林組合というのがもしあれば幾つあってどのようになっているか。そしてこの森林組合の場合、財政基盤は必ずしも十分ではないと思いますが、このような森林組合が、果 たして今度できた場合のそういう施設管理と、そして森林の維持と両方をうまくやっていけるための具体的な見通しがあるのかないのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。  私の場合六分しかございませんので、よろしくお願いします。
  41. 辻一幸

    参考人辻一幸君) 私どもの町の森林組合は、単独の一町の森林組合でございます。今森林組合合併があちらこちらで叫ばれておりますけれども、私は地域を守る上で森林組合合併というのはいささか批判的で、その町単独で進めたいと思います。ということはなぜかというと、手近にあることによって直接地元の森林業者とのつながりを深くしながら、やはり林業を守り、地域を守っていく姿勢というのは一町一森林組合が私は適当だと思ってこれを貫いているということでございます。  あわせて住民の世帯は一千世帯ちょっとでありますけれども森林組合の加盟組合員は約八百六十でございます。これらが森林組合に加盟をしておりますけれども、個人の所有林面積というのはわずか五ヘクタールという零細そのものでありますが、森林組合はそういう中にありながら、町の助成とかあるいは森林組合みずから何とかして踏ん張っているというのが町の状況であります。  あわせて林業に携わる内容としたら、特にシイタケの産地化とか、あるいは特産のクリの生産とかあるいはシイタケの原木の供給とかということをしながら、森林組合が今林業農家の人たちと連携をとりながら頑張って地域を維持している。こういうことでございますし、今後もこれらの森林活用ということが拡大されていくと、やはり森林組合の持っている使命というものはより一層今まで以上に重要になってきますし、なお町としていろんな施設に取り組むについて、管理運営等については委託を考えていきたいと思います。そのことが、森林組合を通じて地域林業従事者の生産の拡大にもつながるし、雇用の拡大にもつながっていくと考えているところです。
  42. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 次に、半田先生にお尋ねをいたしたいと思いますが、先ほど大塚先生がお尋ねになられた点に関連しますが、特定の団体なり集団と提携をしてということで、高槻その他兵庫県の例を挙げられたわけでございますが、こういう場合に、先生のおっしゃる、例えば壮年層は余暇利用、青少年層は教育的配慮、そして高齢者は安らぎ増進と、こういうバランスのとれたそういうものが、今の先生のお考えの中で実現できるのでございましょうか、その点について伺いたいと思います。
  43. 半田良一

    参考人半田良一君) これは適当な施設、施業というのはつくり出すのに時間がかかりますが、適当な施設を配置することによって、各年齢層あるいは各階層のニーズに合うようなものをつくっていくということは難しいことではないと考えております。私、申しました兵庫県の例なんかもちょっと念頭に置いて申し上げた次第でございます。
  44. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 今のそのバランスの点を、いかがでしょうか。
  45. 半田良一

    参考人半田良一君) そのバランスの点は、適当な施設を配置するというふうな形でそれはやっていけるのじゃないかというふうに考えております。
  46. 井上哲夫

    ○井上哲夫君 ありがとうございました。  以上でございます。
  47. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 参考人の方御苦労さまでございます。二点お尋ねいたします。  まず、第一点ですけれども、これは半田先生にお尋ねしたいんですが、本法案には、例えば森林機能が劣らないようにするために裸地状態というのですか、裸地状態森林伐栽量については区域の一〇%以内と、こう規定しております。その他いろいろ設備に関しても多くの基準が設けられておりますけれども、そこで、これらの基準で森林機能が劣ることはないのかどうか、これが一つお尋ねしたいところでございます。  それからもう一つ、この本案とは関係ない問題ですが、専門的な方がお見えですから、山本参考人半田先生にお尋ねしたいんですけれども、いわゆる最近の自然保護団体の動きを見ておりますと、一本の木たりとも切らさないと、こういうのがあるわけなんですね。森林の本当の機能を育成、発展というのでしょうか、守っていくためには果たしてそれでいいのかどうなのか。数年前だと思うんですけれども、北海道、羅臼の山があるんですが、知床半島かどこかですね、ちょっと忘れましたが、あそこで、あれは鳥の問題だったと思いますけれども、自然林をやはり育成していくためには日照とかいろいろな条件考えれば、間伐というのですか、間引きというのですか、やることがむしろ大事なんだと、それが自然の保護になるんだ。ところが、全く違う運動が起こっておるわけなんです。それらについてどのようにお考えですか、お尋ねしたいと思います。
  48. 半田良一

    参考人半田良一君) 初めのお尋ねの技術基準の点でございますが、これは既に要綱を御承知のことと思いますが、私その詳しい点、なぜそうなるのかといった数字的な根拠はちょっと説明をいたしかねますが、ただ先ほどもちょっと申しましたように、多くの林学関係の研究者が衆知を集めましてこういう基準をつくり出しておりますし、それから実は、私などのいわゆる経営経済をやっております者に比べまして、そういったいわば技術の研究者というのはより厳しく物を考える方向がございますので、そこへ出ました結論については、私信頼してよいのではないかというふうに考えております。  それから、二番目の自然保護の関係でございますが、これはさまざまなケースがあると思います。一般的に申しまして、適度な利用をすることによって森林が健全に保全されていくということはそのとおりだと思います。ただ、日本は非常にいろんな森林層というものを持っておりますが、その中にはいわゆる国民的財産というふうな意味で、将来手つかずに残しておくことが必要なようなところもあるのはあります。これは事実でございます。  最近、保存という概念とそれと保全、保存というのはいわば自然保護に通ずるような概念でございますが、それと一般的な保全ということを分けて考えるような考え方が大分出てきておりますが、これによって事態はかなりよく整理されるんじゃないかというふうに考えております。
  49. 山本博人

    参考人山本博人君) 森林の自然保護とのかかわりでございますけれども、私ども森林組合員というのは、森林の適正管理、この中で、不在村者も大分ふえてきてむしろ管理できないで逆に自然が損なわれているのじゃないのかという意味で、やはり木は植林をしてそして間伐をして、そして伐採していくという一つの循環機能があると思うんです。やはり人間にも寿命があるとおり木にも寿命があります。そういう意味で、私どもとしましてはきちっとした管理をしていきたいというのが念願でございます。そういうことでお答えといたします。
  50. 橋本孝一郎

    橋本孝一郎君 終わります。
  51. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 大変ありがとうございました。お礼の心を込めて、御三名に持ち時間お尋ねいたしたいと思います。  まず、辻参考人にお尋ねしたいことは、八千名の村人が三千名に減った。その活性化に大変御苦労していらっしゃるお気持ちよくわかります。  そこでお尋ねいたしたい第一点は、この法案ができました場合に何を期待されるのか、いわゆるメリットですね。何を期待しておられるのか。また、注意すべきこれはと思うデメリットですね。メリットは特にどういう点をお考えですか、デメリットはまたどういう点をお考えですか。  それから山本参考人に対しては、この法案の中ではこういうことが気になります。一つは、国土保全に対して十分に配慮されていないのではないかという点と、それから施設の設置に対する基準に歯どめがないではないか、こう思われます。この二点について率直な御見解を賜りたいと思います。  それから半田参考人には、先ほど地域住民の自 発的な努力を期待していらっしゃるお言葉がございました。そのことと、それから学術研修の場にしたいと強調しておられました。その点について簡単にお話し願えたらと思っております。  以上です。
  52. 辻一幸

    参考人辻一幸君) この法案が出ることによってのメリットは、私はたくさんあろうと思うわけでありますけれども、まず森林の高度活用と同時に、森林所有者のやはり意欲と奮起をかき立てることができるのじゃないかということと、計画を立てることによって町自体の活性化へもつなげていきたいということが地元にはあります。なお都市に向かっては、やはり森林に目を向けてもらって、交流の場を提供してやることができるのじゃないか、こういうことを深く思っているところであります。  デメリットについては、今のところこういうデメリットが出てくるんじゃないかなということは思ってはおりません。  以上です。
  53. 山本博人

    参考人山本博人君) 国土保全についてでございますけれども、この法案にもございますように、第四条の全国森林計画の変更、それから地域森林計画の変更、それから第六条の森林施業計画の変更等がございます。こういうそれぞれの段階のいろいろ地方の行政と協議していく中で、やはり国土保全というのはこれは非常に重要なことでございますので、そういう点について十分配慮していく。また、そういうところで森林所有者として意見を述べていきたいというふうに考えております。  それから、施設の基準でございますけれども、これにつきましても、同様十カ条から成るこの法律の中で、いろいろと政令なり省令なり、そういうものがまた出てくると思いますし、そういう中で一つの基準が何らかの形で明確になってくるのじゃないか、かように考えております。
  54. 半田良一

    参考人半田良一君) 学術的に価値の高いということは、ある程度象徴的な意味で申しましたので、実際には、例えば現在まだその生態系が解明されてない大型動物の保護でありますとか、あるいは動植物の種の保護でありますとかいうふうないろんな意味があると思いますが、それを一応学術的というふうに総括いたしました。これは保存していくべき森林である。これは、今回のこの法律対象森林とはやはり厳に区別されるべきものであろうというふうに考えております。  それから、地域住民の自発的努力ということでございますが、それはその言葉どおりなのでございますが、旧来、例えば先ほど大塚先生のおっしゃいました都市山村の姉妹協定というふうなものが余りうまくいかない例がしばしばあるというふうに、これまでは割合自治体任せでありますとかというふうな形で、実際に地域の人が自分たちで物を考えていなかったというふうなケースが随分多いんじゃないかと思います。しかし、ここ数年あるいはここ十年来かなり様子が変わってまいりまして、地域の中からも確実にいわば人が出てきております。地域リーダーというふうな名前で呼ばれることも多いわけなのでございますが、そういう人が出てきておりますので、そういう人を中心としました地域の中からの努力というふうなことに大いに期待したいし、それは政府としてもエンカレッジしてほしいというふうな意味で申し上げました。
  55. 横溝克己

    ○横溝克己君 私が、最後の質問者になると思いますけれども、時間の関係上辻町長さんと山本理事さんにお願いいたします。  それではまず、辻町長さんは先ほど、山村振興のためにはいろんな施策、施設をつくったりして、特に博物館をおつくりになっているのかわかりませんけれども、そういうようなものが一つあります。ところが、この法案では大きな観光開発は抑制したいという、そういう抑制的な面もございますが、一方山村振興という面からはやはり人に来てもらわなきゃいけない。そういう点ではどのような施設が必要か、あるいは望ましいのか。この法案を踏まえてどのようにお考えになっているか御意見を伺いたいと思います。
  56. 辻一幸

    参考人辻一幸君) やはり私ども地域は大自然の地域でありますので、その自然を壊さず、より高めながら、大勢の人たちに訪れてもらうということが大きな地域づくりの目標ではないかと思います。当然、森林活用という中で先ほど申し上げましたけれども、やはり森林は野鳥とかそれから動植物なんかと切っても切れない関係があるのじゃないかなと思います。そういうものも保護しながら、この保健休養の場には野鳥の森構想なんかもいいのではないかなと思います。なお、本当に住民がこの森林の中へ訪れながら心身ともにリフレッシュできるような、そういうゾーンをつくっていきたいと。町では「南アルプス・スイス村構想」なんということを言っておりますけれども森林の中へ滞在して、本当にリゾート的な気分が味わえるようなそういう施設をつくっていきたい、こういうように考えております。  以上です。
  57. 横溝克己

    ○横溝克己君 ありがとうございました。  それでは、山本理事さんにお伺いしたいんですが、森林経営というのはなかなか大変だということは私も存じておりますが、そういう森林の、しかし一方本来の施業とか営林、こういった面からこの法案における保健機能増進に関するいろんな施設をつくっていきますが、遊歩道をつくったり、その施設をつくったり、ある意味じゃ非常にお金がかかることなんですが、こういうことが本来の、本来といいますか、林を育てていくような面からどのような経済的効果というのが期待できるんでしょうか。私は、別な意味からの助成が必要だと思っているんです。この点をお伺いします。
  58. 山本博人

    参考人山本博人君) 今先生からのお尋ねの件でございます。  森林につきましての経営、はっきり言いまして実は非常に厳しい状況でございます。そういう意味で、遊歩道とか施設をつくるわけでございますけれども、御案内のとおり、現在森林組合でみずから行っておりますのは九組合がございます。それから、市町村から委託されて行っているのが十九組合。全部で二十八組合ございます。  そういう意味で、お金のことについてでございますけれども、私どもとしましてはなかなか、こういう施設をつくっていくための本来助成的な処置、こういうものをひとつ国の方にお願いをして、やはり森林管理と一体となった整備をしていきませんと、施設だけが先行してみても本来の森林というものが適正に管理できないのじゃないかということで、一体となった経済効果が上がるようにひとつ国の方でもいろいろと御指導なりまた助成をしていただきたい、かように考えております。
  59. 横溝克己

    ○横溝克己君 どうもいろいろありがとうございました。これで質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  60. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 以上をもちまして参考人方々に対する質疑は終わりました。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわりませず、本委員会に御出席をいただき、長時間にわたり有意義な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。本委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  まことに、重ねてありがとうございました。    午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  61. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  森林保健機能増進に関する特別措置法案を議題といたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 私は、秋田の出身でございます。大臣は山形、そして林野庁長官もまた秋田の農政 部のお役人をしておられた方でございます。今回の法案に対しまして、私質問に立つわけでございますが、ところどころ秋田弁ということになりますが、質疑を交わしたいと思いますのでひとつよろしくお願いします。  まず最初に大臣に、大変な厳しい状況の中にあります林政、その林政に取り組まれる基本的な姿勢についてお伺い申し上げたいと思います。
  63. 鹿野道彦

    ○国務大臣(鹿野道彦君) 今先生申されたとおりに、我が国林業木材産業を取り巻く状況は、森林木材に対する国民の関心は高まっておるわけでございますが、担い手の減少なりあるいは高齢化等によりまして林業生産活動の停滞、国産材と外材との競合の激化など、依然として厳しいものがあるわけでございます。このような中で、森林に対する国民要請にこたえる多様な森林整備を進めるとともに、外材や代替材との競争に耐え得るような林業木材産業の一層の体質強化というふうなものを、活性化を図っていくことが必要だと、このように考えております。  このために、木材需要の拡大と木材産業の体質を強化していく、あるいは国産材の安定供給体制の整備をやっていく、あるいは林業生産基盤の整備、林道等の整備を図っていく、あるいは機械化等技術開発の推進をやっていく、あるいは林業経営活性化と担い手の育成をしっかりとやっていく、あるいは森林整備保全等総合利用の推進等、いろいろな今申させていただいたような諸般の施策を推進しているところでございますが、これからも森林林業振興地域活性化を図っていくために、林業諸施策のもろもろの考え方に立って積極的に展開をしてまいりたい、このように考えております。
  64. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 私は、本法案の質疑に入る前に、当面の問題について大臣の所信と決意をお伺いしたい、こんなふうに思います。  それは、きのうのテレビでも報道されてはおりましたけれども、その前の十一月十六日付の読売新聞の報道によりますと、   政府は十五日、アメリカが新通商法スーパー三〇一条の対象としたスーパーコンピューター、人工衛星、木材製品の三品目のうち、木材製品について、具体的な市場開放策の回答を行う方針を固めた。十七日から東京で行われる日米貿易委員会フォローアップ会合で、アメリカ側に示す予定だ。 その内容は、関税分類の見直し、具体的にはこれまでの関税率一五%から、米国の要求どおり一部加工品については三・九%へ下げるものであると報道されておりましたが、この事実関係についてお伺いしたいと思います。
  65. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいまお話ございましたように、アメリカの通商代表が、ことしの五月二十五日でございましたけれども、包括貿易法、いわゆるスーパー三〇一条に基づく優先慣行の一つとして林産物の技術的障壁があると、こういう認定を行ったわけでございまして、その後私どもは、こうしたスーパー三〇一条のもとでの話し合いには応じられない、こういう立場をはっきりさせた上で対応をしておるわけでございますが、去る九月に日米貿易委員会がハワイで開催されました際にも、先方からは林産物につきまして建築基準あるいはJAS、さらに関税分類、関税水準、補助金等につきまして貿易障壁であると、こういう主張をしてきておるところでございます。  今月十七日から、その会合に引き続きまして日米林産物質易専門家会合が開かれたわけでございますが、そこではただいま申し上げましたような技術的な問題について先方の説明を聞きますとともに、当方の立場も説明をいたしたところでございます。一部報道にありましたような構造用集成の関税率の引き下げを提示するといったことは私ども考えておりませんでしたし、現にそのような提示は一切行っておりません。
  66. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 仮にこれは推測の記事だということを考えましても、俗に言う火のないところに煙は立たぬということで、そういうふうに勘ぐられるという姿勢というのがやっぱり問題だと思うわけです。  こういう点で、今度のスーパー三〇一条要求、これは今長官がお話しのとおり、そしてこれまでも何回か報道はされておりますし、政府の決意ということもありましたし、不当な要求に対しては断固これは拒否するということは再三言われておるわけであります。しかし、この米国の不当な圧力といいますか、こういう屈するというふうな姿勢というものは、今後予想されますガット等の中で米のいわゆる市場開放、こういうふうな難局に立った場合に、一歩後退というのが二歩後退に通ずるという状況になろうかと思うわけであります。したがって、あくまでも不当な要求であるという点に立ちましたならば、それなりのやっぱりきちっとした毅然たる態度というのが必要じゃないだろうか、こういうふうに思いますので、この問題に対する今後の大臣のこの交渉の見通しと決意を再度お聞かせ願いたいというふうに思います。
  67. 鹿野道彦

    ○国務大臣(鹿野道彦君) 先生御承知のとおりに、一九八六年にMOSS協議の合意がなされまして、関税の引き下げ等、その合意事項を誠実に我が国が実行いたしてきているわけでございます。その結果、米国からの木材製品輸入も増加をいたしておるわけでありまして、不公正な貿易の実態にはない、このように考えております。このような中で、この五月に包括貿易法スーパー三〇一条に基づき林産物が認定されたということは極めて遺憾なものと考えておりまして、米国がこのような法律に基づき、一方的な制裁措置というふうなものの発動を辞さないとの前提で交渉を求めてくるのであれば、これには応じられない、こういうふうな基本的な方針で対処をいたしているところでございます。  また、日米間の林産物貿易に関しましては、両国政府及び業界の協調のもとに地道な努力を続けていくことが重要でありまして、基準・認証等に関する技術的問題につきましては専門家間で意見交換を行うことが適切と、このように考えておるところでございます。
  68. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 ぜひとも今後のそういうふうな外交交渉につきましては、やっぱり我が国の国益、こういう点に立脚しまして、今の大臣の決意にお示しのとおり、毅然たる態度でひとつ臨んでいただきたいということを強く要望申し上げたいと思うわけであります。  次に、法案の具体的な中身に入って質疑に入りたいと思います。  第一に、法案が提出されたというそもそものねらいは何なのか、端的にお伺いしたいと思います。
  69. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 最近、森林浴でございますとか、森林の中におきますレクリエーション活動等保健休養の場として森林を利活用することに国民の期待が高まっていると考えられます。また、林業山村の側からいたしましても、保健休養の場としての森林整備いたしまして、都市山村交流あるいは都市住民森林林業への理解と協力を通じまして活性化を図っていきたい、こういう強い要望があるところでございます。  こういった要望がございます一方、森林の利活用に当たって森林保全が重要であるということもございまして、森林保全に十分留意して計画的に行われるような仕組みをつくっていく必要があるということが、この法案を制定したいというねらいのポイントになっておるところでございます。
  70. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 この二つの面ですね、先ほど参考人の皆さん方からもるる意見がございましたけれども法案の面というのは二つあるわけでありますが、提出をされるという前にはいろんな要望があったと思うわけです。具体的に私たちに盛んに要請に来るのは森林組合の各団体でございました。それ以外には来ておりません。したがって、恐らく森林組合以外の皆さん方もそういう要望があったと思うんですが、私たちはそれを聞いておりませんので、この提出を要請された団体、機関、こういったものを具体的にお示し願いたいと 思うわけです。
  71. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 本法案の策定に対しまして具体的な要望といたしましては、ただいまお話ございましたような森林組合系統全国森林組合連合会がこれを代表いたしまして森林総合利用のための制度の創設について強い御要望があったところでございます。そのほか、私ども直接伺っておりますのは、全国町村会からも森林総合利用のための整備促進するための制度を創設していただきたい、こういう要望がございました。  さらに、どんな団体か具体的にというお話でありますので申し上げますと、やはり森林あるいは山村活性化について関心を寄せております、例えば治山治水協会といったところからも実はこういった要望がございます。なお、全国森林レクリエーション協会という団体等からも要望書の提出があったやに記憶しております。
  72. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 この法案の持つ側面というのは今わかりましたけれども森林法、これはもう本法としてありますけれども、この森林法のいろんな諸制度も今まであったわけであります。例えば、これは農林水産省の所管しているのでは、森林とのふれあい環境整備対策事業、それから森林総合利用促進事業、これは林業構造改善事業でありますけれども、こういった具体的に林野庁の計画の中で、予算の中にも進められておるわけであります。したがって、森林法という制度の中でくくることができなかった部分というのは何なのか。現に今回いろんな、いわゆる森林浴だとか、それから国民保健機能、これを満足させるためのいろんなものを挙げておるわけですが、今言ったような林野庁の計画の中でそれができなかったのか、あえてこういう法律をつくらなければならなかったという、そのはみ出した部分は何なのか、そのことを明らかにしていただきたいというふうに思います。
  73. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 森林法は、ただいまお話ございましたように、森林計画でございますとか保安林その他森林に関する基本的な事項を定めておるところでございまして、森林の保続培養あるいは森林生産力の増進を図りまして、国土保全あるいは国民経済に資するということを目的としておりまして、いわば森林全体についての資源計画、あるいはその管理、規制を行うという法体系になっておるわけでございます。  一方、この法案は、森林保健機能増進を図るための特別の措置について、一定の森林対象に、森林資源総合利用に必要な施設整備をあわせて行っていくというところに特色があるわけでございまして、施設整備を含めて森林保健機能増進を適切に位置づけコントロールしていくというために新たな法制度が必要になったということでございます。  したがいまして、具体的にはこの法案の中で、森林保健機能増進に関しまして農林水産大臣が基本方針を立てる、こういう規定がございますし、また森林組合事業利用の特例を設ける、さらに森林法目的に加えまして、「国民の福祉の向上に寄与すること」といったことが目的の規定にもございますように、森林法の体系を超えると申しますか、外れると申しますか、そういったものも含まれているということが、実はこういった新しい法律を特別措置法という形で御提案申し上げておるところでございます。
  74. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 これはもうちょっと踏み込んで聞きたいと思うんです。といいますのは、例えば森林とのふれあい環境整備対策事業、これはもう林野庁がこれまでやってきた事業なんですけれども、この中でもいろいろあるわけです。駐車場、キャンプ場、ログハウス、林間イベント広場、森林浴の森林、野鳥の森林木材工芸作業舎、幹線道路等、こういったものをつくれる。しかも、対象森林区域面積につきましてはおおむね二百ヘクタール、事業主体は市町村等。それから森林総合利用促進事業、これは林業構造改善事業ですが、これは関連施設として、いわゆるこの保健機能の特別措置法でいうような施設としては、林道、林間広場、歩道、修景施業、テニスコート、ゲレンデ整備、休憩施設、食堂、キャンプ場、総合案内施設等、そして対象森林区画面積は実績でおおむね二十五から二百ヘクタール、事業主体は都道府県、市町村、森林組合林業者の組織団体等。  したがって、今お話しのとおり、森林法でくくることのできなかった部分というのは、今お話しのとおりのものじゃない。むしろ私はこう考えるんです。  一つは、森林組合なり町村会が便宜的に、便宜的にというよりもいろんなことをやりたい場合に、非常に保安林その他やっぱり厄介な手続上の問題がある。一々いろいろな許可をもらわなくちゃいけない。そういういわば煩雑な手続を省くために何とかしてくれという要望があったのではないかということなんですね。それからもう一つ、これは林野庁のレクチャーで私聞いたことですが、もう一つは、黙ってほうっておくと今乱開発でどんどん森林が虫食い状態になっていく。しかも、ばっと投網をかけてそれを規制するというようなことはなかなかできにくい。したがって、何らかの点で民有林その他についてもぎちっとした植栽をさせながら開発を一応許可する。この二つの側面を持っているのじゃないかなと思うんですよ。  さすがに林野庁の人は前の方は言わなかった。便宜主義の方は言わなかった。しかし、後の方は非常に大事なこととして私たち聞いておったんですよ。その二つの側面が背景にあったのではないか、このことについて確かめておきたいと思います。
  75. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この法案提出に当たりまして各団体からも御要望があった点は先ほど申し上げましたけれども、その御要望の背景にありますのは、結局森林保健機能増進するために現在保全利用の両者の要件を全うできるような法的な位置づけがはっきりしていない。  そこで、保健休養の場を整備していく上で、何分にも森林所有者が零細多数というのが一般的な形でございますけれども、その意思を統合といいますか、誘導いたしましてこれを合意形成に円滑に導いていく、こういう仕組みがないんだと、こういう事情がございました。それからまた、キャンプ場等の施設整備を行っているわけでありますけれども、これも間々森林保全上問題なしとしないケースが見られるではないか、また施設整備にやや偏りまして森林の施業といったものがおろそかになっていないか、こういう指摘も事例によっては行われておったところでございます。さらに、森林利用する場合に、現行の制度は一件一件の許可ということでございますので、必ずしもその地域全体につきまして計画的なあるいは合理的な推進のために手続としても不十分である、不便である、こういった指摘もございました。  それから、もう一つ申し上げますと、施設の敷地となるべきところを、現在の林地開発の許可等でございますと、これを林地でなくする、いわゆる転用するということで森林法の傘の外に出してしまうわけでありますが、そうなりますと、その後の監督と申しますか、チェックが全くできない状況になるというようなことも困ったものである。やはりそういった不都合な事態が生じたら是正できるようなふうにしなければならないのではないか、こういうようなことがございまして、具体的にはそういった問題点、要望を踏まえまして、森林の維持保全と両立を図りながら保健機能増進を適切に促進するということでこの法案で位置づけをはっきりさせまして、具体的には森林利用のための施設整備森林計画制度の一環として位置づけまして、森林の維持保全に留意した施設整備が適切に進むことをねらいといたしまして法案を作成したという経過でございます。
  76. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 法案提出の背景というのは非常に大事だと私たちは思うわけであります。今長官がお話しのとおり、全体の森林開発の中でやっぱり森林としてきちっと林野行政の範疇の中に入れて管理する、この姿勢というのは非常に大事だというふうに思うわけであります。この点は非常に 大事にしてもらいたい、その背景の中で。  ただ、私が指摘しましたように、今回の法案森林法でくくれなかったという部分も今お話しのとおりあるわけでありますが、反面、森林法であるからこそ非常にいろんな手続は面倒だ、その面倒な手続を省略するという極めて便宜主義の面もやっぱりあったというふうに私は指摘せざるを得ないと思うんですよ。そこで、この法案の審議に当たりましては、やっぱり手続を省略する余り今意図した森林として管理するという部面がおろそかになるとすれば、これは大変な問題になるというふうに思いますので、この点を背景という点で私は押さえながら、今後これから質問を続けていきたいと思うわけであります。  そこでお伺いしますが、私たちが今非常にこの法案の審議に当たって心配しておるという点がございます。それは何といいましても保安林の制限の問題でございます。本法案によれば、保安林解除手続、これを省略して保安林の中に森林保健施設、これをつくることにならないかという危惧でございます。  この点についてちょっと突っ込んでみたいと思うんですが、本法案の八条一項、これに「保安林の区域内において」「森林保健施設整備するために行う立木の伐採については、森林法第三十四条第一項本文及び第三十四条の二本文の規定は、適用しない。」となっております。このことはせんじ詰めて言えば、保安林のままで都道府県知事の許可なしに保安林内の土地を改変することも可能となるということ。森林法の保安林管理と運用を便宜的にしたのではないか、このような批判が現にあるわけであります。この批判に対しましてどのようにこれは違うと言い切れるのかどうか、森野庁としてのきちっとした見解を承りたいと思うわけです。
  77. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま先生御指摘の点につきましては、まさに保安林の制度がなし崩しになってしまってはならない、その規制が緩和されるということであってはならない、こういった御心配があるといたしますと、それはそうあってはならないという点については私どもも同様に考えておりまして、そのためにまた十分留意をしながら今回の法案についても検討に当たったということでございます。  具体的に申しますと、保健機能森林の区域におきまして施設整備をするに当たりまして、立木伐採あるいは土地の区画形質の変更の許可が不要になる、また施設敷地の植栽義務が免除されるという点がございました。  実は、この法案に基づきます施設整備につきましては、施設面積が総量規制の範囲内である。その施設の位置、規模、配置、こういったことも技術的基準に適合する必要がある。加えまして、保安林の指定目的に支障を及ぼさない場合、すなわち保安林の機能が維持される場合にのみ計画の認定がなし得る。こういう構成になっておるところでございまして、いわば森林状態ないし保安林の状態がそのまま維持されるということがこの計画認定の条件になっておるわけでございます。  したがいまして、こういったことを条件に三十四条の立木の伐採許可、土地の形質の変更許可といったことが、二重許可を防止する、むしろそういう立場からそれを不要とするということでございます。  また、植栽義務の免除につきましても、この森林の区域全体の植栽義務が免除されるというものではございません。明記されておりますように、施設敷地につきましては、一定の厳しい要件のもとにこれがもう施設の敷地になってしまうわけでございますから、そこにおける植栽の義務というものは、これは物理的な問題もございますけれども、免除されるということでございます。  そういったことから、この規定が現行の保安林に関する規制を緩めるとかないがしろにするといったものではないということを御理解いただきたいと思います。
  78. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 この点はいろいろ批判を我々も伺っておりますし、恐らく林野庁にもそういうふうな批判なり要望なりというのがうんと寄せられておると思うんです。したがって、今長官お答えのようにきちっとこの点はひとつ守っていただきたい。厳重の上にも厳重、少なくとも保安林を安易に、手続省略してなし崩しに保安林をなくしていくんだというふうな危惧を持っている方々が現におるわけでありますから、この点についてはかなりきちっとした対応をしていただきたい。そのことを強く要望するわけであります。  それから、もう一つ私危惧を持っておりますのは、林地開発の特例についてであります。  この林地開発の特例につきまして、本法案の七条でこういうふうに言っていますね。「森林保健施設整備するために行う森林法第十条の二第一項に規定する開発行為については、同項本文の規定は、適用しない。」、このようにこの本法律案の七条に書かれております。森林法十条の二第一項は林地開発許可制度というふうに言われておるものでありまして、「地域森林計画対象となっている民有林」「において開発行為」「をしようとする者は、省令で定める手続に従い、都道府県知事の許可を受けなければならない。」、このように森林法では規定されております。本法案では、森林保健機能増進する計画、この機能増進計画については都道府県知事が認定することになっております。  ここで私注意を喚起したいと思いますのは、森林法の林地開発の許可と本法案で言うところの保健機能増進の認定、この二つは基準も手続もそれぞれ違うものであります。  そこで、乱開発を防止するというためにも、林地開発許可に定められております現地調査、利害関係者の意見聴取、市町村長の意見、都道府県森林審議会等の意見を聞くなどの手続を省略するということは規制を緩めることにつながるのではないか、こういう批判がございます。私も、そういう懸念を持っておるわけです。これについて、なぜ省略をされるのか、省略しても大丈夫なのか、そのことについて林野庁のお考えをお聞きしたいというふうに思います。
  79. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま林地開発許可に関連して、先ほどの保安林の場合におけると同様のおそれはないかというお話があったわけでございます。林地開発許可の場合におきましても、これはこの法律に基づきます計画の認定というものが、先ほど申し上げましたような厳しい基準に基づいて行われることを前提にいたしましてこれを不要とする、こういうことにいたしておるところでございます。  そこで、もう一つ御指摘ございました手続と申しますか、林地開発許可制度においてとられているような手続が必要ではないか、こういうお話かと思いますけれども、その点につきましては、この法案の内容といたしましては、まず地域森林計画をつくりますときに、保健機能森林の区域でございますとか、区域内の施業の方法あるいは施設整備に関する事項等といった具体的な項目が出てまいるわけでございますが、その地域森林計画の樹立あるいは変更に当たりましては都道府県森林審議会でございますとか関係市町村長の意見を聞く、こういう制度になっておるわけでございます。  それからまた、都道府県知事が実際に森林保健機能増進計画、これは森林施業計画として定められるものでございますけれども、これを認定するに当たりましては、林地開発許可制度におきます運用と同様に、原則として現地調査を行いますとか関係者の意向を十分反映するように、必要に応じましてその地域の市町村長あるいは直接影響を受けると見込まれる区域の市町村長、さらには都道府県森林審議会等の意見を聞く、こういう措置を講じていくことが相当ではないか、そういった指導を行いたいと思います。
  80. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 我々が危惧した点はそれこそ杞憂にすぎないということのようでありますけれども、慎重の上にも慎重を期しまして、こういうふうな批判や我々の危惧に対しまして、今言ったようなこの上にある地域森林計画とかないしは知事 のそういう施業計画の認定、こういったものの手続をかなり慎重にきちっとやらせるということがどうしても必要ではないのか、こんなふうに思うわけです。何といっても今回のこの法案の最も問題点というのはこの二つだと私は思うんですよ。保安林の問題、そしてもう一つはこういった林地開発の特例、この二つの点が一番批判のあるところであるし、我々としても法案の審議に当たりまして一番危惧を持っておる点であります。  ですから、いろんな手続がありますけれども、今長官がお話しのとおりの、いわゆる都道府県段階における、ないしは林野庁におけるそういうふうな審議会なり、ないしはしっかりした指導、これが欠くことのできない要件として浮かび上がってくるというふうに思うわけでありますので、この点のいわば歯どめという点を特に要望したいと思いますし、場合によりましては、このいわゆる法律の運用に当たりましては利害関係者の意見を聞く機会の保障ないしは地域住民の意見を反映させる、こういう面をあわせて運用の上で考えていただきたい、こんなふうに思うんですが、どうでしょうか。
  81. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいまいろいろ御注意のありました点、十分念頭に置いて運用に当たってまいりたいと思います。
  82. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 次に私、リゾート法、これは総合保養地域整備法ですか、この関係についてお伺いしたいと思うわけでございます。  まず最初に、リゾート法と普通言われておりますこの法律と本法案は、目的、内容という点で相違点があろうかと思うんです。はっきりした線引きができるかどうか、いろんな点で各省庁がこのリゾート法には関係しておるようでありますけれども、本法案との関連についてひとつ御説明願いたいと思います。
  83. 甕滋

    政府委員(甕滋君) いわゆるリゾート法でございますけれども、これは御案内のとおり、良好な自然条件を有する土地を含んだ相当規模地域で、国民の余暇活動に関する要望にこたえまして、スポーツ、レクリエーション施設などのリゾート関係施設整備を行う、またこれを民間活力を利用して促進するということが目的になっておるものでございます。一方、本法案につきましては、いわば林業山村のサイドから森林そのものを維持しながら保健休養の場としてその利用促進していこうということ、またそれを通じて林業山村活性化を図っていこうということをねらいとしておりまして、目的がその点異なっておると思います。  内容について見ましても、リゾート法は必ずしも森林の維持をリゾート整備の要件ということにしておるものではございません。対象となる規模につきましても地域全体、あるいは特定施設整備といった場合におきましても相当大規模な広がりを予定しておるところでございます。一方、本法案につきましては、再三申し上げておりますように、森林資源の維持培養を前提としているということで、森林関係者になじみの深い森林計画制度活用してこれを進めるということにいたしておりますので、森林保全のための措置が、計画の手続あるいは基準の明確化、こういった点ではっきり講じられておるということでございまして、内容的にも大きな違いがあるものと考えております。
  84. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 このリゾート法ができまして、各道府県ではそれぞれプロジェクトを出しておるようでございます。これをずっと見まして、いろいろな地域的なあれがありますけれども、すぐ感じることは、申請済みないしは申請中のプロジェクトの目玉はゴルフ場ということになるようであります。  所管は違うとは思うんですけれども、農水省も一枚かんでいる行政官庁でございますのでお尋ねしたいと思うんですが、一体基本構想の中でゴルフ場はどのくらい計画されておるのか、把握されておるところをお知らせ願いたいと思います。
  85. 甕滋

    政府委員(甕滋君) いわゆるリゾート法に基づきまして現在基本構想が承認されているものがございまして、農林水産大臣も主務大臣ということでございますので、その内容について当たってみたわけでございます。  数字を申し上げますと、十七道府県が現在策定しております中でゴルフ場についての計画は、新設に係るものは百四カ所、面積一万二千三百三十四ヘクタール、既設のものの増設に係るものは六カ所、面積三百三十四ヘクタールといった数字になっております。
  86. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 私の方で調べましたいろいろな計画の中でも、非常に計画書の中身はゴルフ場が目玉になっておるという実情でございます。今お話しのとおり、リゾート法の基本構想の中で十七道府県という限られた道府県で合計が百十カ所、一万二千六百六十八ヘクタールというのが多いのか少ないのか、これは議論はあろうかと思うんですけれども、問題は、今回の法案と関連して考えてみますとこんなことが考えられるのではないか。  今長官がお話しのとおり、このリゾート法そのものは大変区域が大きい、大面積であるわけでありますが、私自身秋田ですけれども、秋田県でもそういう策定はしているわけです。ところが問題点は、その中に入ってくれればいいと地域住民は望んでおるわけです。しかし無制限に伸ばすわけにいかない。そこで線引きがあるわけです。そうすると、周辺のその外れたところの町村が盛んにその区域に入りたい、ないしは言うなれば活性化という言葉でそれにあやかりたいという希望が続出するわけであります。そこで、本法案が余りにもタイミングがよいという問題から、リゾート法の周辺にもっと小規模のスモールリゾート法みたいなものをぽんぽんとつけていく、こういったことが一応関連として考えられる。そんな法案提出の時期というのがゴルフ場花盛りという中で、私たちはそういったところも連想するわけであります。  そこで、地域的に見てゴルフ場というのはたくさんあちこちにあるんですけれども、首都圏だとか京阪神とかいう人口周密のところ、こういうところにかなり集中してあるわけです。そして、今リゾート法でやっているところはいわゆる俗に過疎と言われているところです。そういうところにいろいろ設置をして滞留型のリゾート、いわば休養地を設けていく。したがって、ゴルフに行くばかりでなくて、何日かそこへ滞留しておるというふうな施設をつくろうとしているわけですね。  それでお聞きしたいと思いますのは、林野行政という立場からなかなか言えないということだと思うんですが、限定して首都圏という立場からしますと、林野行政の立場でこれ以上ゴルフ場がふえては困るのか困らないのか、端的にひとつ御感想を述べていただきたい、こう思います。
  87. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ゴルフ場のお話でございますけれども、林野行政の立場からは、ゴルフ場に限りませんけれども、あらゆる開発森林山村の方に押し寄せてくるという実態は各所で見られるところでございます。  私ども立場からいたしますと、当然のことながら極力森林保全上問題が生じないようにするということが重要なところでございまして、これは概して保安林の場合には保安林の解除、それからその他の森林の場合には林地開発の許可、こういったことで対応しておるわけでございますが、そういった運用の際に、これは細かなことは省略いたしますけれども、林地の保全に支障がないように、こういうもろもろの判断を加えて対処しておるところでございます。  特にゴルフ場の造成の場合には、そういった要件に適合しているかどうか、またゴルフ場独自の基準としては原則として自然林を四〇%以上残置するとか、各ホールの間に、あるいはその開発区域の周辺部に二十メートル以上森林の幅を残すようにとかいうことで、いわゆる森林乱開発については極力これを生ぜしめないように留意して運用しているというのが実態でございます。
  88. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 なかなか端的には、例えば首都圏のようなところで林野行政上、これ以上たくさんだとなかなか林野行政という立場では言い切るこ とが難しいという問題のようですけれどもね。  私たちから見ますと、例えば環境保護団体等の問題提起によりますと、日本ではゴルフ場はもうたくさんだと、もうこれ以上ふやすべきでないというふうに言う向きもあります。一方、ゴルフ人口はどんどんふえてきてゴルフ場のニーズがふえるという問題もございます。  もう一つ社会的に言いますと、いわゆる滞留型のゴルフ場があちこちにできますと、それを使える人、いわゆるゴルフ場の会員権を持ってそれを使える人、ないしは財産の増勢という点で使える人がごく一部に限られておる。日本のゴルフ場というのは一種独特のものでありまして、もう金持ちないしは大企業とか会社とかいうことでなければ、なかなかサラリーマン、一般個人では会員になってそれをエンジョイすることはできないという性格があるわけであります。  そんな意味で、外国のゴルフ場と同一には論じられないと思うんですが、大変このリゾート法によるゴルフ場のラッシュ、そうしてそれを補うためのこれは法案じゃないのかというふうな邪推もある現状でございますので、ここで明確にお聞きしておきたいと思いますが、この法案にょっては、今長官がお話のとおりゴルフ場の設置はもう不可能だということなんですが、それをもう一度ひとつ、なぜ不可能なのか、これを御説明願いたいと思います。
  89. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この法案森林保健施設とされておりますのは、法文の規定の上からもはっきり規定がございまして、「その設置によって森林の現に有する保健機能以外の諸機能に著しい支障を及ぼさないと認められるもの」となっています。これを担保いたしますために、具体的には総量規制でございますとか技術的基準といったものに照らして、それに適合しているかどうか、こういう判断がなされるということでございます。  現在、私どもその基準につきましては、その道の専門家から純科学的技術的な見地から詳細なその基準について案をつくってきておりますが、そういった中で残置森林、これも自然森林に限られるわけでありますが、七〇%以上必要であるということに相なりますし、また設置箇所の一カ所の限度面積は傾斜十五度未満で三ヘクタール、十五度以上二十五度未満で一ヘクタール、こういった線を考えております。また施設施設の間、これはゴルフ場で申しますとホールの間ということになろうかと思いますが、五十メートル以上の森林を残置させる必要がある。それから切り土工、盛り土工が四メートル未満というふうに、これはゴルフ場設置にとってはちょっと考えられない基準ではないかと思います。現に、現在開設あるいは造成中のゴルフ場でこの条件を満たすものは見られない。したがいまして、本法案は、その趣旨あるいはその基準からいいまして、一般に見られる形態のゴルフ場は想定しておらないということでございます。
  90. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 要するに、今長官のお話では、いわゆる正規の十八ホールというのはできないということだと思うんですね。問題は、例えばいわゆる俗にミニゴルフ場とかハーフだとか練習場だとかということは、これは十分可能だと思うんです。ただ、いわゆる施業という中で、施設の中でこういったハーフとか練習場で他の地域の人方がうんと来て、そしてお金を落としていくかというとそれは疑問なんですけれども、ゴルフ場としては私は可能だと思うんです。いわゆる十八ホールは不可能だということははっきりしているんですが、どの程度のゴルフ場ならつくれるのか、皆さん方が想定しておる方法で、民間企業ならば。
  91. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま先生お触れになりました例で申しますと、練習をするといった面で何か施設をするということはこれは可能ではないかと思います。ただ、ハーフと申しますか、九ホールというようなことになりましても、一カ所当たりの面積、あるいは距離、工事施工上の制約等々、先ほど申し上げました基準からいたしますと、これはやはり同様に難しいんじゃないかと思います。
  92. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 恐らくリゾート法におけるところのゴルフ場にしても、それから今回の法案によるところのいろんな保健施設、こういう中でも今言ったような広場だとか、それからそういうゴルフ練習場だとかミニゴルフ場とかいう形のものは、これは自然にできると思うんですよ、これはもうそれを望んでおるというところもありますので。  したがって、それはきちっとした基準なり、きちっとした林野を守っていくという観点の中で今お話のとおりやられるのは結構だと思います。問題は、環境保護団体等で指摘しておる点は、ゴルフ場そのものじゃなくてゴルフ場の薬害の問題だと思うんですね。この薬害の問題、農薬の問題についてお伺いしたいと思うわけです。  今、こういうゴルフ場に対して日本で使われておる農薬の種類は何でしょうか。
  93. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 我が国の場合、高温多湿で病害虫なり雑草の発生が非常に多い気候条件である、こういうことで、ゴルフ場におきましても芝等の適切な管理ということで、農薬によります最小限の防除が必要というふうに承知をいたしておるわけでございます。  今お尋ねの使用農薬でございますが、都道府県からの調査の報告によりますと、殺虫剤といたしましてはダイアジノン、MEP等、それから殺菌剤としてはキャプタン、TPN等、除草剤といたしましてはアシュラム、CAT等、こういうふうなことで使われておるというふうに報告を受けております。
  94. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 問題は除草剤だと思います。非常に多くの指摘をされておるのが除草剤ですが、この除草剤につきましては、どうでしょう、一般の水田とかそれから畑とか、こういった農作物に使われているのと、こういうふうな施設の除草に使われている農薬では同一のものを使われておりますか、それとも規制がありますか。
  95. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 大体同じものが使われておるはずでございます。
  96. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 その場合、えてして農家が使う場合にはいろいろな点で近隣の皆さん方、それから今では共済組合、こういった共同防除ということでかなり影響を考えながら使っているというのが実情なんです。ところが、ゴルフ場というのは一つ経営者、経営体でやっておる、法人がやっておるというのが多いわけです。したがってそこに、つくる方の製薬会社とか売る方の場合までの規制はあると思うんですが、どんなふうに使われておるのか、どういうふうな環境の中であれしているのかということに規制は及ばないのじゃないかというように思うんですよ。その点ではどうでしょう。
  97. 松山光治

    政府委員(松山光治君) これも県からの報告でございますけれども、除草剤につきましてはフェアウエーなりラフを中心に散布されてございまして、グリーンでは少ないようでございます。基幹的な全面的な散布と申しましょうか、これは春、秋一回ぐらい、あとスポット的な処理が数回ある、そういうふうな実態だというふうに承知をいたしております。  それほど農耕地とは違わないというふうに承知はしておるわけでございますが、今先生から御指摘のございましたように、全体としての農薬取締法の体系は、御案内のように安全性の問題につきまして関係省庁で定めました基準等に即して厳正に検査し、安全性を確認いたしました農薬の使用方法を定めて登録をいたしておるわけであります。問題は、その登録されました農薬が適正に使用されるということが極めて重要であろう、このように考えておるわけでございますが、私ども、最近におきますこの問題についての関心の高まり等も頭に置きながら、特に昨年来この関係の指導の強化に努めてございます。  特に、昨年は特別の通達も発しまして都道府県を通じてこれを指導しておるわけでございますが、各都道府県段階におきましても国の指導を受けまして、個々のゴルフ場に対する文書指導なりあるいは指導要綱を定めるとか、それからグリーンキーパーなんかを対象とした講習会を開くという形で趣旨の徹底を図っております。ただ、残念 なことに一部不適切な使用実態が見られる例もございました。これについては直ちに個別事例に即した適正使用の指導を行ったところでございます。  また、ことしの八月には民間の関係者によりまして、こういったゴルフ場等の農耕地以外の緑地におきます農薬の安全対策を推進する団体といたしまして緑の安全推進協会というのができたわけでございまして、私ども、従来からの都道府県を通ずる指導のほかに、こういった団体との連携も図りながら農薬の安全使用ということについての徹底を一層図ってまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  98. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 本法案とゴルフ場は直接は関係がありませんので深入りするのもなんだと思うんですが、実際にこういうふうな法案ができますと、今お話ししましたとおり、リゾートの周辺でどんどんそういうふうな状況が出てくる、これはもういたし方ない要因だと思うんです。したがって、ミニゴルフ場とか練習場とかいうふうなところがどんどん出てくる。私は、リゾート法によるところのゴルフ場も含めまして、これは決して農水省の責任じゃなくてむしろ環境庁の問題であろうかと思うんですが、これは別の機会にもやりますけれども、全体の森林、全体の自然環境を本当の意味で人間がその保健機能を享受するということであれば、少なくとも農薬みたいなものはまかないという原則をやはり打ち立ててもらいたいものだと思うんですよ。  そこに行ってキノコをとる、タケノコをとる、ワラビをとる、ゼンマイをとる、それが一つ保健機能なんですね。それを、いわゆる施設をつくりますと当然除草剤をまく、殺虫剤をまく、当然なんですよ。それを両立させるということがいかに難しいか。だから、やっぱり環境団体みたいに鋭い批判勢力もなくちゃいけないというふうに思うんです。  そんなことで、この法案をめぐってはいろんな副次的な問題が出てくることが予想されるんです。ですから、本法案とは余り関係のないゴルフ場、それに類似したそういうものの出てくることを予想しながら万全の対策をひとつとっていただきたい、このことをこの法案審議に当たりまして強く皆さん方にお願いしたい、こんなふうに思います。  次に、先ほどからずっと議論をしてまいりましたけれども、この点があるから大丈夫だということで、総量規制と技術的基準がございます。そこでこの総量規制と技術的基準についてお伺いしたいと思うんですが、まず最初に総量規制についてであります。  総量規制を行う場合、対象森林面積規模は大体目安をどのくらいに置かれておるのか、これをお伺いしたいと思います。
  99. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この対象となる森林でございますけれども、これは具体的には、都道府県知事が地域森林計画を定めます中で保健機能森林の区域等を定めますが、その中で森林所有者森林施業計画として決められるということでございます。したがいまして、その面積の目安というものを特に示しておるものではございません。  ただその場合、総量規制で対象森林面積が大規模にわたる場合には、例えば下流域の集落等の分布状況からいたしまして特定の流域に集中するということがあってはならぬというようなことは当然考えられますので、その流域等に配慮をいたしまして、小流域ごと、およそ五十ヘクタール程度、狭いところから相当広いところがあろうかと思いますが、平均的には五十ヘクタール程度の小流域ごとに適用をしていったらいいのではないかと考えております。一言で申しますと、総量規制の面積そのものはございませんけれども、中仕切りを設けて適切に対応していく必要があろうかと考えております。
  100. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 この総量規制をするということは、何といいますか、総量規制そのものは何を意図するのか。これは大変大事な基準になるというわけですが、最もここが大事なんですよと言いたいのは何でしょう。
  101. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この総量規制の趣旨は、対象森林面積に占める森林保健施設面積の比率として適正なものでなければならないということでございますので、施設設置に伴いまして対象森林の持つ機能の低下を最小限に抑える。しかしながら、一定の低下分は避けられないわけでございますけれども、その低下分は森林施業の適切な実施等によって十分補完し得る範囲にするということが基本的な点であろうかと思います。  そこで、具体的な数字といたしますと、裸地状態利用では一〇%以内、植生状態利用の場合には三〇%以内ということで定めるのが適当であろうと考えておるわけでございます。今の基準を適用していきます場合に、先ほど申し上げました小流域ごとに適用していくということがまた適切な運用の上で必要であろうというふうに考えております。
  102. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 総量規制について上限がないという点は大変問題だと。これは衆議院の審議の段階でもいろいろ議論されたようでありますけれども、上限のない総量規制というのは物によって変幻自在ということになるわけであります。ケース・バイ・ケースという形で処理されるということがあり得るわけであります。小流域五十ヘクタールが森林対象面積なんだと、それの今言ったようなパーセンテージということになりますが、それはやっぱり物によりけりでありますし、その自然の形状にもよるわけであります。したがって、やっぱりこれは上限が必要じゃないのか、こういうふうに思わざるを得ません。  ですから、この総量規制の分母をある程度制限する、上限を制限するということがどうしても必要だと。パーセンテージだけがひとり歩きするという危険がありますが、この点はいかがでしょうか。
  103. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 現実に今各地で行われ始めておりますこういったケースにつきましては、大体十ヘクタール程度から数百ヘクタール程度といった規模のものでございまして、いろいろあるわけでございます。これは結局、その地域実情でございますとか関係者の創意工夫を生かしていくということから出てきておりまして、一律に対象森林面積の上限を決めてしまうのはいかがかというふうに考えております。  それでは、そういうことをいたしませんと実際に支障が生ずるおそれがある、こういう御指摘かもしれませんけれども、この計画自体は森林法の中で森林施業計画として決められるわけでございますし、都道府県知事の認定の際に十分審査を受けるものでございます。また、関係市町村長の意見でございますとか、そういった森林所有者の主体性にまた根拠を置くものであるといった点から申しましてもおのずから限界があるのじゃないか。また、個別施設の基準等もございますし、あるいは総量規制等もございますので、無制限に対象森林が認定されるということは、実態の上では非常に考えにくいのじゃないかというふうに思います。  なお、今御心配の点は、例えば総量規制の場合には先ほど申し上げました小流域ごとの適用というようなことでもございまして、区域が広過ぎるがために弊害が生ずるということは想定しているところではございません。
  104. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 ちょっと確認しておきたいと思うんですが、この総量規制が言うなれば対象面積おおよそ小流域五十ヘクタールを大体上限と考えた場合、裸地状態の場合が五ヘクタール、それから植生状態利用で十五ヘクタール、こういうことになるわけです。この五ヘクタールなり十五ヘクタールを伐採した場合に、実際問題として、前にさかのぼって考えた場合にそこが保安林である場合はこれはもうできないわけですね。そこは確認しておきたいと思うんです。そこが保安林である場合、十五ヘクタールないしは五ヘクタール、まあ裸地の場合は切るものはないんですが、植生状態の場合は十五ヘクタールも切られると保安林でなくなるのじゃないか、そんなふうに思うんです よ。そこら辺はどうなんですか。
  105. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 保安林につきましては、御承知のとおり、その保安林の種類に応じまして指定施業要件が既に定められておるわけでございまして、どのぐらい切れるのか切れないのか、切れる場合にはどこまで切れるのか、こういうことがはっきりしております。したがいまして、これは個々の森林に応じましてできるできない、どこまでできるかということが決まってこようかと思います。
  106. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 次は、技術的基準についてお伺いしたいと思うんですが、技術的基準の中間報告がありましたね。この中間報告が、やがて省令で決めるというところの技術的基準策定とどういう関連を持っておるんでしょうか。
  107. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいま御指摘がありましたように、私どもこの基準の策定のために、専門家でございます大学の先生あるいは研究者から成ります、森林保健機能増進に関する技術基準研究会というものを開かせていただきまして、技術的観点からの検討をお願いしたわけでございまして、その中間報告もいただいております。具体的にこれをもとにいたしまして農林水産省令で基準として決めていきたい、こういうふうに考えております。
  108. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 この中間報告についていろいろ批判されている向きもあるようです。これはもう技術的基準というのは全く基準になるわけでありますので、極めて重要な基準、尺度だというふうに思うわけです。その尺度そのものを批判されるということになりますと大変な問題になる。学者の皆さん方の名簿も渡してもらいましたが、私たちはそういう学者の皆さん方がどういうお立場方々だかはわかりませんけれども、要するに専門家の中からもあの基準ではだめだ、ぬるいというふうな人もおるわけです。ただ、今までの森林法における林地開発の基準と比べますとかなり厳しいものになっていることは事実なんです、私、素人から見ますと。ただ専門家から見ますと、このような押し寄せる開発行為のラッシュの中で一体これでいいのかという批判があるわけです。これは事実なんですよ。  したがって、この基準というのは、今のところ中間報告ということでまだ策定しておりませんが、極めて重要だというふうに思うわけであります。ですから、こういうふうな専門家の批判にたえ得るものでなければならない、基準というものは。その点で、中間報告からやがて省令で決定をするという段階で、今後どういう手続と、それに対してどういうふうな検討を加えていかれるのか、このことをお示し願いたいと思います。
  109. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この中間報告は、先ほど申し上げましたように、森林保全等に関しますその道の専門家も必要な分野の方々は網羅いたしまして、純技術的な観点から検討をしていただいたわけでございます。これまでの研究成果、あるいは山地の災害実例等々についても十分検討を加えられまして、現在の科学的な知見に基づいて決められるやはりベストの結果を出していただいたのじゃないかというふうに私ども考えております。  中間報告ということではありますけれども、今後補完的になお細かい事項で御検討いただくことはあるかもしれませんが、今先生もごらんいただいたようでありますけれども、そのメンバーによって決められたその内容につきましては、これはそのまま省令で決めさせていただきたいというふうに考えておるところでございます。
  110. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 老婆心ながら、今言ったような状況がありますので十二分にひとつ慎重に、他から批判をされないような基準策定、これは省令だというふうに言っておりますから、省令を定める場合には、私は十分な配慮が必要だというふうに指摘したいと思うわけであります。  そこで本法案以外の、例えば林地開発許可をする際の判断要件として今後この技術的基準が準用されるのかどうか、これを確かめておきたいと思います。
  111. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 林地開発許可制度におきましては、御承知のとおり、現在災害の防止あるいは水源涵養機能、さらには生活環境保全といった点に支障を及ぼさないように配慮しながら適正な運用を指導してきております。このたび、本法案で総量規制なり技術的基準につきましてこれまでになかった細かな、的確な、数量的な基準を設ける、こういうことでございますので、これは森林森林性を失わずに森林状態を維持するという必要性を基礎にいたしまして、いろいろ判断されてきたということで、これ自体は当然のことでございますが、本法案計画の認定に当たっての基準として今後使っていくということでございます。  ただ、これまで行っております林地開発許可制度の運用についてどうかといった点でありますけれども、一般的に、現在の社会経済の発展あるいは国土開発現状等々からいたしますと森林の持っている公益的機能がますます重要である、こういった指摘もある中でございまして、秩序ある適切な林地開発というものに一層心がけなければならないといった情勢と心得ておりますので、これを機会に林地開発許可制度の具体的な運用の見直しについても点検をしてみまして、必要があればその改善を図るということも考えていきたいと思っております。
  112. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 わかりました。ぜひひとつ検討をお願いしたいと思います。  問題は、私たちずっといろいろ検討してみましたが、何といっても今回の法案で重要な点はこの総量規制と技術的基準なんですよ。それで、私たちこれはぜひとも林野庁として考えてもらいたい、こう思いますのは、この技術基準はいわゆる省令という形で公布されるわけです。この省令を決定する手続において注文をつけたいのは、諮問機関をはっきりつくってもらいたい。学識経験者で中間報告を出し、いろんな技術基準についてこういうのはどうだろうという形で一応案を出すわけです。そうしたらやっぱりいろんな批判にたえる諮問機関をつくっていく、それにオーケーを出す、チェックをするという機関は絶対必要だ、こういうふうに思うわけです。我が党としてはぜひともこの点をひとつ要望したい。  その中には、環境問題や何かで運動しているような方々の代表、自然環境にあれしている全国的な団体もあると思うんですよ、そういう方々の代表なんかも入れた形で、全国民がやっぱり山を守っていく、そういう意味での権威ある諮問機関というのが技術基準を省令で定める場合絶対必要になるということが一つです。  そして、これは万古不易なものじゃないと思うんです。やっぱり状況に応じてもっと厳しくしなければならないという場合だってあり得ると思うんですよ。したがって、私は見直しをする場合に当然この諮問機関が対応しなくちゃいけない、こう思います。  そして第三に、運用に当たりましては地元の市町村や住民等の意見が反映されるようなそういう措置がどうしても必要だ。この三点をぜひとも要望したいと思うわけでありますが、ひとつ農林水産省の、何といいますか、我々が心配しておる点は絶対心配ありませんよという意味でのきちっとした対応をお願いしたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  113. 甕滋

    政府委員(甕滋君) まず、総量規制と技術基準を定める省令を制定するに当たって、審議会を設けて意見を聞くべきではないかといった点でございますけれども、私どもこの省令を決めるに当たりまして、先ほど申し上げました研究会によって科学的、技術的には十分な検討を加えて、現在におけるこれはベストのものであるというふうに思っておりますが、なお御注意の点につきましては、この法案に基づきます基本方針につきまして中央森林審議会におかけするということになっておりますので、それとあわせまして、中央森林審議会にこの総量規制あるいは技術基準等につきましてもお伺いをして、意見を聞くという運用を考えたいと思います。  それからなお、この基準等の変更でございますけれども、これは現在の科学的な知見あるいは研究レベルといったものにまた進歩が見られるということがあれば格別でございますけれども、そういうことがない限りは、今回策定した基準で今後やっていこう。特に現時点でこれを変更しなきゃいかぬ、こういうようなことを予断を持っているわけではございません。また、地域意見を十分聞きながら運用していくべきだ、こういう御注文につきましても、それはそういったことを心がけながらやってまいりたいと思います。
  114. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 これはぜひ今言ったような審議会、いわゆる中央森林審議会でそういう運用のことを考えていただきたいというふうに思います。  次に、チェック機能の問題を監視機能とあわせましてお伺いしたいと思うんですが、本法案によれば、保健機能増進計画、これのチェックは今言った総量規制と技術的基準をクリアしさえすれば、申請者がだれであろうが、いわば土地の持ち主であれないしは委託された森林組合であれ、この二つさえクリアできれば、これは建築基準法と同じように許可をするということになると思うんですよ。  そこで、何回も言うようでありますが、だからこそ都道府県知事の認可が極めて重要だと。この基準さえよければ、それでクリアできればもう認可せざるを得ない。知事のいろんな社会的な、それから地域的な、そんなことは余り関係ない、基準さえ達すれば許可だという性質のものだと思うんですね。その点で、森林審議会等の機関による慎重な認定、こういったものがやっぱり必要ですし、実施後の監視体制というのは私は余り意味かないと思うんです、実を言えば。衆議院ではパトロールをもっとふやして一生懸命監視するということだそうですが、切ってしまえば監視なんかしても後は生えてこないんですよ。したがって、私は監視体制よりもむしろ認定の段階が必要ではないのかというふうに思うんです。  その点で、ぜひとも二つ条件二つ条件というか、総量規制と技術基準さえクリアすれば何でもかんでも全部認定してしまうという仕掛けじゃなくて、そこの認定に県の森林審議会が参画するというようなそういう運用が考えられないものか。そういうことについてどうでしょう。
  115. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 県の森林審議会に対しましては、県知事が地域森林計画を立てるとか変更するとかの場合にこれをかけるということは、先ほど申し上げたとおりでございますが、ただいまのお話は、森林保健機能増進計画森林施業計画として認定するといった際にもこれは大いに活用すべきである、こういう御意見かと思います。その点は私どもも、運用上必要がある場合にはその審議会あるいは市町村長等の意見を徴するような指導をしてまいりたいと思います。
  116. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 次に、この計画に対する違反罰則が規定されております。いわゆる二十万円以下の罰金ですが、これは罰金でこの違反を取り締まるということは私は不可能だと思うんです。私も秋田ですが、かつて秋田杉という藩政時代に佐竹藩が大変な力を入れた、それから木曽のヒノキにしても、紀州、和歌山の木材にしましても大変な厳しい、死罪をもってする罰則を決めておったというふうに言われるわけであります。幕藩体制のもとでああいうふうな美林を保つというのはそれなりのあれがあったと思うんですけれども、現代において、これは刑罰の整合性からしてまさか死刑なんてことはできっこないわけでありますが、二十万円以下の罰金で、この世の中のもうけ主義の連中の多いときに規制するなんていうのは不可能なんです。  ですから、罰則でこれを守らせるということは不可能に近いわけでありますので、したがって、違反の歯どめは何としても認定のスタートのところだと私は思うんです。このことを特に感じるわけでありますので、その点、罰則について強化しなさいと言うのではありませんけれども、罰則よりも認定に重点を置くべきじゃないのかということについてのお考えをお伺いしたいと思います。
  117. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 御指摘はよくわかるところでございます。いずれ計画どおりの整備を進めるということが基本でございますので、これが認定をされましたならば、その線に沿って適切な整備が行われるように、指導に全力を挙げるということが最も重要かと思います。  なお、罰則につきましては、確かに重いとか軽いとかという御論議があるわけでありますが、この罰則自体は、森林計画制度を下敷きにいたしまして現在決められております森林法の罰則の適用、こういうことになりますし、また、御指摘もございましたようにほかの、横並びと申しますか、体系全体の中におきます位置づけもございますものですから、どうしてもいたし方ない場合にはこういった監督命令、それからそれに続く罰則、こういう制度に依存いたしますわけですが、そうなる前に、認定の段階またその指導の段階等で十分な配慮をすることが肝要かと思います。
  118. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 森林組合についてお伺いしたいと思うんです。  森林組合現状というのは、先ほど参考人の常務理事さんのお話をお聞きしましても非常に大変だろうなというふうに思うわけでありますし、私自身も先祖代々の非常にちっぽけな山ですけれども継がせられております関係で、全部森林組合に委託しているんです。私も一組合員であります。ただ実情を申し上げますと、森林組合の組合員というのは一体だれのために金を払っているのかというふうな気がするわけです。非常にちっぽけな山にすぎませんけれども、毎年毎年分担金、そして植林をした、造林をしたという政府からの借金、これを毎年返していく。そしてそのほかに、そういう施業を委託しておりました点で毎年金を引き去られているんですよ。そしてここ当分、私の孫かそこら辺まで全然収入はない。  元来、今の資本主義社会の中で山を育てるなんということは、経済的な感覚を持っておったらだれもやれませんよ、これは。したがって、私が森林組合に金を払っているのは一体だれのためなんだろうというふうに考えてみますと、まるできょう出ております自然を守るとか水の涵養とか、そんな公共の福祉のために私は金を出しておるような感じなんですよ。それの集まりなんです、森林組合というのは。したがって、だれかの委託を受けないと存在できないという組合なんです。しかもその委託する我々は、まるで今の近代資本主義の中からしてみますと到底ばからしい、そういう投資をしておるという状況なんです。  ですから、この森林組合状況というのは大変な問題を含んでいると思うんですが、現状をどのように把握されておるのか、このことをまずお聞きしたいと思うわけです。
  119. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 森林組合でございますが、現在千七百四十六組合設立を見ております。これが民有林におきます林業生産活動に次第に力をつけてきておるのも事実でございまして、造林で八割、間伐で六割、素材生産で二割、こういった割合を占めております。地域によってこの活動状況はさまざまでございますけれども地域林業中核的担い手として大きな役割を果たしているという評価はできるのではないかと思います。また、その地域の林家の組織といたしまして、地域の特色を生かしました山菜でございますとか特用林産物の加工の面でも役割を演じておりますし、また、本法案に関連いたします森林レクリエーション等についても力を入れている組合もふえてきておるという実態にあるわけでございます。  ただしかしながら、全体として見ました場合に、まだ半分を超える六割の組合は常勤役職員数が四人以下という状況でございますし、約五割の組合は払い込み済みの出資金が一千万以下というような、押しなべてみますとまだ弱体な森林組合が多いわけでございます。また、林業生産を直接担います労務班につきましても、作業労務班員が減少いたしますとか高齢化いたしますとかといった問題も抱えております。したがいまして、そういった中で、これからますます地域森林の適正管理の担い手といった点で重視をして育成してい かなければならないということでございますので、国の助成指導の面につきましても、また生産基盤の強化等々と相まちましてこの取り組みを一層強化していかなければならないのではないかと考えております。
  120. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 今森林組合にとって必要なことは、私は二つあると思います。  一つは、私たち組合員にやっぱり林や山を育てようという意欲をどう持たせるか、これはもう根本的な問題なんですね。今の私には全くその気持ちがないというのが本当だと思うんです。全くばからしいというふうな感じしかないんです。したがって、それにどう意欲を持たせるかということになりますと、これは大変な金が必要だということだと思うんです。今のところは、十年後でないと投資が返ってこない、そんな状態で意欲を起こさせるというのは不可能ですから。  残念ながらこの森林組合を見ますと、私のような零細の山林地主が非常に多いわけです。大きい山林地主というのは非常に少ない。しかも、今の民有林の現状を見ますと大変ないわゆる法人で所有されているというのが非常に多いわけです。その点の実情からしますと、森林組合の組合員がいわば意欲を持ってやるということはかなり難しいんですよ。ですから、それをどうするかということは、私はやっぱり予算とか財政に尽きると思います。  そして第二は、森林組合の職員の質と待遇の問題があるんです。森林組合の皆さん方はさっき言いましたような造林でも間伐でも黙々とやってくれておりますが、その待遇たるやまだまだ大変低いんです。したがって、技術水準もこれはまだまだ低いものがございます。ですから森林組合を本当に育てるのならば、しっかりとした職員に対する待遇、身分、これを保障してやるということ、同時に技術的にも高い技術を身につけさせるようなそういう施策、これが林野庁としても必要じゃないかと思うんです。この両面があるんですね。この両面に対してどのように考えておられるのか、そしてこれは具体的には平成二年度予算についてどういうふうな要求をされておるのか、このことがお聞きしたい点なんです。  つけ加えて言いますと、私は今回の法案によって、先ほど参考人に対する御質疑もございましたが、森林組合がもうけ仕事に走ることのないように、必ず本来の組合員のやっぱり林、山を守っていくというところに足を踏ん張って、そしてその上で都会の人間との交流を図っていく、この本旨を忘れさせてはならないというふうに思うわけです。そういうふうな指導もどういうふうにお考えなのか。予算を通じまして、あわせてもう一つお知らせ願いたいと思います。
  121. 甕滋

    政府委員(甕滋君) まず、森林組合に造林あるいは森林管理に対する意欲をもっと喚起させて取り組んでいただく必要があるということにつきましてはそのとおりでございまして、私どももこれまで各種の補助制度あるいは融資、こういった政策に当たりましては、森林組合を主たる担い手に位置づけましてその対象としてきております。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕 林構あるいは森林総合整備事業、こういったところにおきましても、市町村あるいは森林組合地域で連携して進めていただくようにということを中心に対策を進めてきておるところでございます。  またしかしながら、現状はなかなか厳しいというお話もそのとおりでございますけれども、これはやはりその地域によき指導者を得まして、前向きに将来に向かって頑張っておられるという事例も多々見られるところでございまして、そういった意味合いにおきまして、役職員の育成が非常に大事であるといった点も御指摘のとおりであろうかと思います。そこで、この役職員の資質の向上と、またそれを通じて森林組合系統の強化を図っていくということをねらいといたしまして各種の研修事業等に力を入れておるところでございまして、機械化等の林業技術あるいは労働安全衛生、さらには最近の電算化でございますとか、金融、税制、経理関係の事務等にわたりまして研修を強化しておるところでございます。  また、予算の上におきましても、今後そういった取り組みを一層助長するように、また森林組合が本来林業生産活動を通じて活性化していくといったことも十分念頭に置いた取り組みを進めてまいりたいと考えております。
  122. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 ぜひひとつ、森林組合状況は把握されている状況以上に深刻なものがあるように私は見ております。例えば、所得税の減税につきましても、現在あるところでは、森林施業計画に基づく伐採等による収入金額の二〇%相当の金額を控除できるという特別控除制度、山林を現物出資した場合の納期限の特例、こういった二つの措置、それから相続税、特別土地保有税、法人税、こういうのがありますけれども、いわゆる小規模森林所有者とかそれから零細な森林組合の組合員等に対するそういう減免措置、こういったものももっともっと検討してもらいたいものだ、こんなふうに思うわけです。この点は要望として出しておきたいと思います。  最後ですが、国有林の問題についての取り組みについてお伺いしたいと思います。二つありますので、後の方は大臣にぜひ御答弁をお願いしたい、こう思います。  まず最初に、本法案の基本方針が定められた場合、国有林にもそれが及ぶのかどうか、及ぶとすればどのように取り組まれるつもりなのか、この点をお伺いしたいと思います。
  123. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この法案に基づきます森林整備に関する基本方針につきましては、当然日本森林全体、すなわち国有林にまで及ぶものでございます。国有林も含めた森林保健機能増進に関する基本的な事項が定められますので、国有林につきましても、自然探勝あるいはスポーツ、文化活動等の利用に供することが適当と認められる森林につきましては、その整備を適切に実施していく考えでございます。これは、今レクリエーションの森といった仕組みを通じてこの保健休養事業を進めておるところでございますが、この中に、まさに今回の法案対象となりますような保健機能森林に該当するものがあるわけでございまして、これはやはり基準等の点においてもそれに準じて適切に整備をしていくつもりでございます。  またしかし、中にはこの保健機能森林に該当しない、一口に申しますと相当大規模な面的な広がりがある、例えばスキー場とかパブリックゴルフ場とか、こういうものも含まれておるものもございますが、こういった種類のものはこれまでと同様、これは民有林の場合も同様でございますけれども国土自然環境保全等に留意しながら、保安林の解除なり林地開発許可なりによって対応していく、こういうことになろうかと思います。
  124. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 国有林というのは国民の財産であります。我々としましても、ぜひとも国有林を維持していく、むしろもっともっと国有林に国民全体の関心が向けられるように、そういう意味ではぜひひとつ林野庁を中心として農林水産省全体が関心を持ってもらいたいし、ますますそういう点で今の方針を堅持していただきたい、こんなふうに思います。  最後に、大臣に決意を含めてお伺いしたいと思いますのは、今までずっとやってきたわけですが、午前中の参考人の御意見、そして本法案の提出されてきた背景、これを考えますと、いわゆる森林そのもの、自然そのもの、これに国民の関心とそれから期待が非常に高まりつつあるという背景がございます。これはお互いにこういう状況の中で、農林水産省自体がそういう面でのPRを国民に向けてしてきたということにも御関係があるというふうに思うわけであります。これは非常に喜ばしい状況だと私は思うわけですね。  そこで、この時期をとらえてひとつ大臣にぜひお願いしたいと思いますのは、国有林野の財政というのは、あのとおり林野特別会計という形で大変窮屈な状況でございます。このように、自然を守る、水の涵養、しかもその上に国民保健機能 の享受、こういうふうな多角的な価値観を持っておる森林に対する財政措置としては、これは極めて寒心にたえないという状況だと思うんです。いわゆる独立採算ですから、売る物がない。もちろん山そのものを売ってしまうと大変な財産が残るというふうに言われておりますが、これはもう大変な話なんです。  そこで、このような国民森林から受ける、国有林を含めまして山や自然から受けるというプラス、このプラスにかんがみて、やっぱりここら辺で不足分を一般財源から繰り入れていくということを検討する時期に来たのではないか、このように思うんですよ。そのことについてひとつ、今回の法案が具体的に可決をして成立した場合に当然平成二年度で皆さん方がいろいろな点で予算要求をされると思うんですが、それとあわせまして、こういう林野特別会計という形の窮屈な、しかも国民ニーズにこたえることができない財政状況というのをどう改善していくのか、このことを真剣に考える時期だというふうに私は思うんです。私は方法としては、一般財源から繰り入れる、このことをやっぱり大胆に国民の前に明らかにしていくことが必要だと思うんですよ。  我々農林水産委員は党派を超えて、これはもう林野庁なり農水省の応援団だというように思っております。ぜひともひとつそういう前向きの検討を願いたいというふうに思いますし、この機会に大臣の決意なり来年度予算に対する姿勢というのをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  125. 鹿野道彦

    ○国務大臣(鹿野道彦君) 国有林野事業につきましては基本的には独立採算で運営すべきである、このようなことになっておるわけでございますが、現下の厳しい財政状況にかんがみまして、臨時的なものでございますけれども、いろいろと施策を講じてきておるわけであります。また、平成元年度におきましても、六十二年度の改定強化しました改善計画に基づきまして、いろいろな自主的改善努力の一層の徹底を図ることを基本としながら財政措置を講ずることといたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、厳しさは先生の今申されたとおり増しておるわけでございます。そのようなことから、やはり基本的に経営の健全性の確立をしていかなきゃならない、このようなことで、林政春に対しまして総括的な検討をお願いしているところでございます。
  126. 細谷昭雄

    細谷昭雄君 終わります。
  127. 上野雄文

    ○上野雄文君 私からは、同僚の細谷委員が随分各般にわたって質問をいたしましたので、総論的なことでお尋ねをいたしたいと思うんです。  今度のこの立法措置について私なりに考えたんですけれども森林林業を取り巻いている情勢は本当に厳しい。外圧でというよりも、安い材木を輸入していることに頼っておりますから林業経営がどんどん苦しくなってくる。これはかつての林野の全体を通じての合理化計画のときでも議論をしたわけでありますが、皮肉な言い方をして大変恐縮ですが、こういう手法を取り入れながら山村地帯の活性化を図るということをうたっていますが、とりようによってはもう林業はだめなんだということを何か宣言するような法律になっちゃうんじゃないかなという気がしてならないんですね。怒らないで聞いてもらいたいと思うんですけれども、その辺のとらえ方といいますか、それについて所感を述べてもらいたいと思うんですけれども。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕
  128. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 現在の森林林業をめぐる状況が大変厳しいものである、したがって、その関係者の間にもなかなか意欲がわいてこないのではないか、こういう御指摘でございます。  この現状の厳しさは、私どもそのとおり考えております。対外関係、外材との競合の問題、代替材との競合の問題等々ございます。そういった中で、やはり外材にも負けないような足腰の強い木材の安定供給体制をつくっていかなければならない、こういうことで諸施策の充実強化に努めているつもりでございます。各地の事例を見ますと、やはりもろもろの現状の問題点はございますけれども、そういったものを克服して林業経営活性化を図ろう、あるいはまた木材生産に加えて地域資源活用した前向きの取り組みをしていこう、こういうような事例がまた同時に見られるところでございます。  そこで、私どもとしては、こうした地域の創意工夫を生かしながら、国産材については供給量のまとまり確保しますとか、品質の安定を図りますとか、高付加価値化を図りますとか、それから特用林産物等はもちろんでありますけれども、今回のような森林森林資源として活用して、これを地域活性化につなげていこう、こういうことも含めて、今や山村資源とエネルギーを最大限発揮いたしまして、おっしゃるとおり難しい難局に際してその打開を図っていきたい、全力を尽くしたい、こう考えているところであります。
  129. 上野雄文

    ○上野雄文君 活性化の方法、いろんなことが考えられてきて、今までいろんな議論があったと思うんです。川上に対して川下の協力を求めるとか、そういう議論があったわけですけれども、いよいよそういうことではもうだめなんで、今度のような手法で、そこにある資本だけではだめですから、言うなら山村以外のところから金を導入するというような発想があるのではないのかなというふうに思うんですけれども、従前の川上、川下との協力関係をつくり上げていこうじゃないかという方針は変更ないんですか。
  130. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 山村地域活性化を図っていきます上で、山村が自分の力を発揮してこれを進めるという際にどうしても、川下とおっしゃいましたけれども都市の住民の理解と支持を得ながらこれを進めていくことが有効である、必要である、こういったことは変わりないと思うわけでございます。したがいまして川上、川下の関係をより密接にしていく、その良好な空気を醸成するといったことを背景といたしまして、やはり今回の保健機能増進ということにいたしましても、これを適切に進めていく必要があると考えているところであります。
  131. 上野雄文

    ○上野雄文君 今度の法律で山に人を入れて農村を活性化させよう、そういう期待が込められていると思うんですけれども、きょう午前の早川町の辻町長さんが、いろいろ夢と希望は述べるんだけれども、まだ引き合いが来ているのはゴルフ場だけぐらいで、というのが非常に印象的に私の頭に残っているわけです。皆さんの方で期待しているような成果を上げることができるんでしょうか、極めて初歩的な質問になりますが、その辺についてはどうでしょう。
  132. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 午前中の早川町の町長さんのお話は私もお伺いをいたしました。私の感じますのは、早川町の場合はこれまでにかなり森林保健施設あるいはそれに類する施設整備は進めてこられておりまして、相当その成果を上げておられるというふうに考えております。  私も実際に、例えば新潟県の越後小国森林公園、こういった事例もございますけれども、そういったところを見聞いたしましたりするにつけましても、やはり森林整備というものが一方であり、かつその必要な施設整備を進める。これを一体として進めるということが山村の側からも必要なことであるし、また都会から訪れる人々にも歓迎をされているというような実態にあるように思います。  今回の法律がそのためのルールづくりということでございますので、これによって、ほかの地域で今後こういったことに取り組まれるところについては、この法律がいろいろな面で役に立っていくということを期待しておるところでございます。
  133. 上野雄文

    ○上野雄文君 さっき長官は、開発が山に押し寄せてくると言われているという意味の御発言があったように思うんです。それは一つの、今日本全体が金余り現象、地価高騰、そろそろ山に押し寄せてくるのじゃないかというふうに言われている面があるように私もあちこちで話を聞かされるんですね。そういうことで、何かお金の逃げ場所に使われてしまうのでないのかなという、そんな心 配があるのですけれども。  というのは、さっき細谷先生の質問じゃありませんが、細谷先生自身森林組合の組合員で、金ばかり取られちゃっていて何ともどうも、だれか買ってくれるんだったらという気持ちがないわけではないと思うんですね。そこへわっと押し寄せてくると大変な、山そのものが町の人たちに奪われてしまうというようなことが起こるのではないのかな、そういう心配が考えられるわけですけれども、こういう点については今度の法律との関係でどんなふうにお考えになっておられますか。
  134. 甕滋

    政府委員(甕滋君) このたびの法律につきましては、先ほど来るる申し上げておりますように、森林保全が大きな眼目でございまして、保全を図りながらその有効活用を図るということでございます。そのために、森林法の中の森林計画制度活用いたしまして、この森林計画制度に対する規制は、丸々今回の計画なり計画の実行なりにかぶさってくるわけでございます。それに加えまして知事の認定に当たりましての基準の設定、これがやはり厳しい基準として定められておりまして、それに違反と申しますか、違った事業を行おうということになりますと、森林法の傘の中で監督権限も及ぶというような仕組みでございます。  したがいまして、これは、もともと山村地域の皆さんが自分たちの主体性の中で市町村長とか森林組合とかいろいろ相談をする中で、物事を生み出していくためのルールとしてふさわしいものでございまして、おっしゃいますような金余りでありますとかいろんなほかの事情から、森林の土地について買い占めでありますとか乱開発でありますとか、そういうものの動機になるような性質のものはないのではないか、こういうふうに思います。  そこで、私どもはこの法律によって、あくまでも地域の主体性に基づいて適切な森林の利活用が進められるようにという精神で運用してまいりたいと思っておるところであります。
  135. 上野雄文

    ○上野雄文君 そこで、森林保健機能増進に関する特別措置法という名前ですね。「保健機能」というその文言の定義というのはどういうのですか。  これは、人間生活がみんな保健にかかわってくるので、保健機能というのは物すごく幅広く使われるというふうに思えるんですけれども、どういうふうに理解したらいいか、その定義というか、そのことについてお聞かせをいただきたいと思います。
  136. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この「保健機能」ないし「公衆の保健」といった文言自体は、現在の森林法ないしは森林組合法の中にも使用例がございますけれども、やはり森林浴でございますとかレクリエーションといった保健休養の場として森林利用に供される、またそこを訪れる人たちに快適な環境提供する、さらには森林自体が気象条件の緩和でありますとか、じんあい、ばい煙等のろ過作用の働きによって不特定多数の人々の保健確保の役に立つ、こういう意味があるということで一般に理解されておると考えております。
  137. 上野雄文

    ○上野雄文君 そうすると、やっぱり森林浴だとかどうのこうのというお話があっても、とめどなく人間生活にかかわりがあって、これは保健機能というものにみんな結びつけていけば何でも該当するのではないかというふうに理解していいんですか。
  138. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 保健機能についての範囲と申しますか、どこまで保健機能であるかということは、おっしゃいますように人間の生存に関係をいたします広範囲に及ぶ話になろうかと思いますが、本法でこの保健機能ないしは保健機能森林、それからまた保健機能増進計画ということで実現をしようとしておるものにつきましては、あくまでも森林におきます保健機能ということでございます。  森林状態を維持しながら、その森林の中で先ほど申し上げましたような保健機能を高度に発揮していくための不可欠な施設整備をする、こういう具体的な目的、場面、手続、こういうものを定めて森林保健機能増進を図ろう、こういう趣旨でございます。
  139. 上野雄文

    ○上野雄文君 森林の中での保健機能増進というと、代表的なのはさっき挙げられましたけれども、もう一遍おっしゃっていただけますか。
  140. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 私ども、これまで各地で見られる具体的な事例等に即して、この法律整備されるであろう施設等も頭に描いておるわけでございますけれども、具体的な例といたしましては、休養施設の部類には休憩舎、あずまや、展望台等というものがございましょうし、教養文化施設に類するものとしては、樹木園でございますとか体験林業施設、野外劇場等、またスポーツあるいはレクリエーション施設ということになりますと、野営場、遊歩道、林間広場、フィールドアスレチック、バードウォッチング施設等々があるのではないかと思います。もちろん附帯いたしまして、食堂でございますとか、駐車場でございますとかいろんな類するものは当然あろうかとは思いますが、ざっとそんなものを頭に描きまして政令で実はその施設を定めるということになっておりますけれども、政令の定め方といたしましては、休養施設あるいは教養文化施設、スポーツ・レクリエーション施設等々といった規定を予定しておるところでございます。
  141. 上野雄文

    ○上野雄文君 政令での決め方としては、これ以外は違いますよという決め方ではないんですね。
  142. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 具体的な個別施設につきましては、これはまた地域の皆さんの創意工夫によっていろいろな形があり得るわけでございますし、それを一々個別的に限定するような結果になります列挙は避けたいと思います。  また、これまでにもございます立法例に従って、ただいま申し上げましたような目的といいますか、性格づけを行った施設としての決め方を考えておるところでございます。
  143. 上野雄文

    ○上野雄文君 そうすると「認定」、何か難しい文句が使ってありますよね。これは包括的に一回の許可であとはもう何でもできるというふうに考えていいんでしょうか。そうだとすると乱開発の助長になるのではないかなと、そういう心配があるわけですけれども、その点についてはどのようにお考えですか。
  144. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいまのお話は、都道府県知事が保健機能増進計画森林施業計画として認定をする、その認定を受けましたら、その計画に従って森林所有者等が森林の施業及び施設整備を行う、こういう手続についてお触れになったと思います。  そこで、その認定が終わったらあとは何をしてもいいのかということでございますが、それはそういうことではございませんで、その認定された計画に沿った施業あるいは施設整備が要求されるわけでございます。それがまた、そのとおり行われているかどうかということは、県なりあるいは地域の中で十分トレースをされるところでございますし、仮にその計画どおり行われないという場合には、森林法に定められました監督権限が及ぶ、こういうことでございまして、やはり基本的には森林状態が保たれているということに伴う森林法の規制が後々まで及ぶというふうに御理解いただきたいと思います。
  145. 上野雄文

    ○上野雄文君 さらに、国有林は対象外になっているんだけれども、これらの事業を行う場合に「適切な配慮をする」ということがありますけれども、これは一体どんなことを想定しておられるのか、その点もお尋ねしておきたいと思うんです。
  146. 甕滋

    政府委員(甕滋君) この法律は民有林の保健機能増進ということでございますけれども、国有林が隣接するような場合につきまして、一体として森林あるいは施設整備することによってより森林保健機能増進が図れると、こういうようなことがあるわけでございます。そういった場合には当然市町村あるいは森林所有者等から、すなわちその計画を立てるサイドから国有林野の活用について要望が参るということになると思いますが、これにこたえる道を開くためにそういった条文を置いているということでございます。  具体的には、国有林野事業との調整を図る必要があるわけでございますけれども、国有林野法でございますとか、国有林野の活用に関する法律等に基づきまして、個別のケースによりますけれども、あるいは売り払い、貸し付け、使用許可、こういったことでその活用を図ることになると思います。
  147. 上野雄文

    ○上野雄文君 先ほど、細谷委員から技術基準の問題について質問がありました。それで基本方針を定める段階で中央森林審議会であわせてお伺いをするようにしていきたいという御答弁があり、私はそれなりに評価をしたいと思うんですけれども、やっぱり一部に将来、省令ですからこの技術基準が緩められてくるのではないかという心配があるわけですね。これらについては答弁で、特別の科学的な進歩がない限りは緩めるつもりはない、こういうふうに受けとめてよろしゅうございますね。
  148. 甕滋

    政府委員(甕滋君) おっしゃるとおりでございまして、私ども今後、これは専ら科学的技術的な知見に基づいて定める基準でございますので、それがもっと進歩してくるとかいった事情が生じたときは別でありますけれども、現段階で見直しを行う考えはございません。  もともとこの基準を決めようとしております森林保健施設につきましては、この法文の上でも「森林の現に有する保健機能以外の諸機能に著しい支障を及ぼさないと認められるものに限る。」というふうに明定をされておりまして、たががはまっておるわけでございます。したがって、その範囲内におきます省令でございますから、御心配のように将来緩められるとかそういったことはないと考えております。
  149. 上野雄文

    ○上野雄文君 大臣ね、山ではもう食っていけないという印象を与えるようなことがあってはこれは大変なことだと思いますし、山の果たすべき公益的な機能なんかについては、私が今さら申し上げるまでもないと思うんですが、今まで質問した事柄に関して大臣の所見を伺って終わりにしたいと思うんです。
  150. 鹿野道彦

    ○国務大臣(鹿野道彦君) 先ほど来から、長官の方からお答えいたしておりますとおりに、あくまでも森林保全に留意をする、そのような観点に立っていかなければならないわけでありまして、保健機能増進を図る上において、いろいろな施設整備等々をやっていく場合は森林計画制度の一環としてやっていく、こういうふうなことでありまして、森林保全に留意をしていかなければならない。このことを考えながら運用を図っていくべきである、このように考えておるところであります。
  151. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 それでは、法案の内容に立ち至ってのみ質問をいたします。  実はこの法案におきます森林保全、その中での保健休養施設をそこに置いていく、この両立をさせますためにはやっぱりポイントは第六条の総量規制と技術的基準、これであろうと思います。  そこで、端的に伺いますけれども、いずれ省令が出てくると思います。その場合に、この総量規制、技術的な基準、これは都道府県知事の計画認定の判断につきまして、これは絶対的なものに等しいものになるのか、それとも例外をそこに置いて非常に幅広い弾力的な運用になるのか、これは非常に基本的な問題だと思いますので、簡単にお答えいただきたいと思います。
  152. 甕滋

    政府委員(甕滋君) これは、研究会におきまして技術的なまた科学的な見地から十分きめ細かに検討していただいた基準でございますので、省令でそのとおり定めまして、そのとおり認定の基準にしていただくというつもりでございます。
  153. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 そうなってまいりますと、都道府県の知事による認定、農林水産省はこの法律でそれを御指導なさるというようなことになるわけですが、そうなるとますます、都道府県の認定のプロセスの中に森林保全という強い担保措置をやっぱりここで入れていかないと、どうもこの辺が非常に問題になるんじゃないか。と申しますのは、いわゆる異議申し立て等の地域内部からのみんなの意見、こういうものが施業計画にどう反映していくかという問題と、それから最近は公害、環境問題ですね、非常に外野の影響というのが今後想定されてくる。そうしたことに対応するためには、ただある基準で、幾らか例外措置があるかどうかしれませんが、認定しただけで、その後の動き、動向の中でどうもそういう点が乖離していけば問題を残すんじゃないかと思いますが、その点についても簡単に御答弁いただきたい。
  154. 甕滋

    政府委員(甕滋君) おっしゃるとおり、森林保全のために所要の配慮が必要である、またその保全のための計画が実行段階でもしっかりトレースされなければならないというふうに考えております。  そこで保全のために、それにまた適切な施設整備が可能になるために森林計画制度の中に位置づけまして、森林の他の諸機能に著しい支障を及ぼさないような計画に基本的にいたしまして、総量規制、技術基準等も明確にいたしまして、さらに計画認定の要件も法定をいたしまして、計画に従った施設整備がなされなくてはなりませんけれども、もしそういう場合があれば森林法に基づく監督権限が講じられる、こういう仕組みに位置づけておるところでございます。  また、実行段階におきましてもこれが確保されますように、必要な監視体制と申しますか、都道府県の職員が現地調査その他の方法により確認をいたしますとか、所要のアフターケアの措置は考えてまいりたいと思っております。
  155. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 次に、森林組合の積極的な参画がないとこの法律もうまく生かされないと思いますが、そういう点で森林組合役割は大きいわけでございます。  それで、そうするためには、法案では、森林組合員外利用の特例を講じていくんだということのようでございます。これは、森林組合法というのが一つ別にあるんですね、森林組合運営規範が。そういうことで、この法律ではそういうことをうたってありますけれども森林組合法の改正は、この員外利用の特例も含めてほかに保健休養施設事業運営をやっていくためにはやっぱり森林組合法の改正も、今の員外利用の特例も含めて考えなきゃならぬのじゃないかという常識的な考え方でございますが、その点についてはいかがですか。
  156. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 森林組合保健休養に関する事業に取り組んでいる事例もふえてきておりますが、それ自体は、現在森林組合法の中に森林組合事業として位置づけられておるわけでございます。ただ、この場合その特例を設けておりますのは、やはり森林組合が一団の森林につきまして大勢の組合員を取りまとめてこれを推進するという立場に立ちました場合に、最近はどうしても非組合員の森林が介在するという状況がございます。特に不在村の森林所有者がふえている、こういうこともございまして、そういった組合員でない人の森林も一緒にまとめてまいりませんと効果が上がらぬという事態があるわけで、それに対してそういったところも一緒にできるように員外利用の制限をここで緩和をしたと、こういう趣旨でございます。
  157. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 一般的には員外利用ということにつきましては、やっぱり組合であるためにその割合が考えられなきゃならぬが、員外利用の割合がどうなるのか、事業との関連でいかがですか。  例えば、事業利用率は農協法であれば二〇%以内とかいろいろな制限がありますね。ただ、それを天井なしでやるわけですか。
  158. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 現行では、御承知のとおり員外利用は本来の組合員利用と同量と申しますか、同じ程度ということでございますけれども、これは森林状況からいたしますとそれを超える、こういう場合が予想されましてこの規定にいたしておるわけです。具体的には、やはりそこの地域地域によりましてどこまでなるのかということは決まってくるわけでありますけれども、その制限はいたさないということでございます。
  159. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 したがいまして、これはやっぱり法律的な整合性というものについて私は心配し ておるわけですから、その点よくひとつ御検討を願いたいと、このように思います。  それからもう一つは、先ほども国有林とのかかわりについてはございましたからもう触れないことにいたしたいと思いますが、実は森林保健休養利用のための助成措置について、これは非常に法が立派に施行されていくためには、また法の目的を達するためには必要だと思っております。大体森林休養の場としてきちっとしたものにしていき、しかも施設利用密度を一過性のものじゃなくて、だんだん高めていかなきゃならぬという積極的な面があると思うんです。  そのためにこの法律森林保全という枠の中でそういうことをしよう、誘導しようということにあると思いますが、実はこの種のものについて、私はいろいろな事業主体がこれに取りかかってやってみても経済ベースになかなか乗りにくいと思うんです。特に民活、デベロッパーでやる大型のものについては乗りやすいわけですが、これは非常に乗りにくい事業になるのじゃないか。そうなったら、一たん施設をつくってみても事業活動の継続性、発展性がなくなるおそれがあるのではないかということを大変に懸念するわけです。それはやっぱり今の林業業者、森林生産者の置かれた経済的な立場、それから地域活性化振興立場、そういうものを考えると、これはよっぽど強い助成、支えをしていかないと財政的な支えと行政的な支えをしていかなきゃならぬのではなかろうか、このように思っておるわけでございます。  そういう中で、今ございますもろもろの山林、森林に関する助成措置は新林横その他あります。それに中山間の活性化対策というのが林野庁のらち外のものとしてあるわけですね。せっかくこういうソフトウエアとしての法律ができたからには、やっぱりハードの部分もひとつここで統合して整理していく必要があるのじゃないか、そして本当の実効の上がるものにしないといかぬのじゃないかな。そうでないと、どうしてもこれを背負う力が現場でなくなってしまっては角を矯めて牛を殺すことになりはせぬかという懸念をするわけですが、そういう懸念については心配御無用ということなのかどうか、ひとつ長官の御見解を承りたいと思います。
  160. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 今御指摘のように、せっかく地域資源を生かしてこれを所得あるいは就業の場として活用していこうということでございますので、これが長続きするようにいろいろ指導、助成の面で考えるべきだ、こういう御指摘は私どももそのとおりと考えております。現実に収益を上げて経営としてもこれが発展できるということはかなり関係者に努力をしていただかなければいけないということでございますけれども、国としてもいろいろな面からこれを応援し、また後押しをしていく必要があると考えておるところでございます。  現在でも、森林総合利用に関しましては、保健休養あるいは教育文化等の森林機能を高度に高めるためのモデル的な整備ということで、森林とのふれあい環境整備対策事業あるいは体験の森造成、整備事業といったものも実施しておりますし、また、国土保全機能とあわせまして保健休養機能を高度に発揮させるといったことで、自然林の造成、改良等についても助成を行っております。また、本年度からは複合機能森林活性化緊急対策という事業を行いますとか、あるいは農林漁業金融公庫の森林レクリエーション施設の融資限度の拡大とか、こういうこともいたしておるところでございます。  今後、御指摘ございましたように林構でございますとかあるいは公共事業におきましても、これは直接この計画対象ということではございませんが、その基盤を整備するといった面で、林道の事業あるいはその林道と附帯した集落整備的な事業とかいうものについても積極的にこれを推進していく必要があるというふうに考えまして、来年度予算等におきましてもいろいろ工夫を凝らしておるところでございます。
  161. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 ただいまの御答弁に関連してでございますが、いわゆる立派な枝ぶりのいい施設をここでつくり、森林保全の傘の中で成功させますためには、やっぱり一番ここで乏しいのはそれぞれの直接的な休養の場ではなくて、インフラ、基盤だと私は思うんです。だから、これには相当の公共投資というものがそこへ出てこないといかぬのじゃないか、こう思います。けさの参考人意見もそうでございますけれども、そこからもちょっとうかがわれたところでございますが、その点について大臣の気構え、決意のほどをお伺いしたいと思います。
  162. 鹿野道彦

    ○国務大臣(鹿野道彦君) 今先生が言われたとおりに、せっかくそういうふうな森林活用しようという中におきましても、そういう整備がなされないということになってくれば生かされないということになるわけでございますので、今後とも森林林業振興と、地域活性化を目指した林業のいろいろな諸施策を積極的に展開していくという意味におきまして、平成二年度の予算におきましても全力を挙げていきたい、こういうふうに思っておるところであります。
  163. 大塚清次郎

    大塚清次郎君 最後になりますけれども、これは長官に聞きたいと思います。  一つは、保健休養施設を中心にした今後のいわゆる都市山村の共存、リレーションの中から緑と水に対する国民的な合意を得ていくための一つの大きな足がかりがこの法律によってできるわけでございます。非常に結構なことだと思いますが、その合意形成をなお緊密なものにしていくためには、そしてこの事業がうまくいきますためにはやっぱり主体と客体、これが混然一体にならなきゃならぬ。その場合、客体の利便のために、いわゆる利用者の利便のために、その主体でございます森林所有者そのもの、あるいはその地域に対して相当なメリットが出てこなきゃいかぬ、これが一方的に偏ってはいかぬという問題があるわけです。それこそ経済的な面での両立ということも考えていかなきゃならぬことがございますので、そういう点についてメリットを出すためには、今の国の援助の諸制度を強化していかなきゃならぬと思いますので、最後に、長官の決意のほどを聞きまして私の質問を終わりたいと思います。
  164. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいまお話がございましたように、この保健機能増進に関する法律成立させていただきまして、これを実行に移していきます場合には、その地域が持っておりますそのエネルギーを十分引き出しまして、また国としても所要の助成あるいは指導に万全を期しまして、保健機能の直接の面はもちろんでありますが、地域林業あるいは山村整備等々にわたりまして、林野庁といたしましても全力を挙げて取り組んでまいりたい。  さしあたりましては来年度予算等々、ただいま大臣から申し上げましたように、全力を尽くして予算等の面でも頑張ってまいりたいと考えております。
  165. 仲川幸男

    委員長仲川幸男君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十一分散会