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政府委員(塩飽二郎君) お答え申し上げます。
今
お話がございましたように、農業
交渉グループでの十月の会合でアメリカが包括的な農産物の
交渉についての
提案を出したわけでございます。その
内容は、今
お話がございましたように、私
どもに非常に徹底した自由化を求めている、国内でそれぞれの国が
農業政策をやり、それに見合った国境措置をアメリカも含めて実施しているわけでございますけれ
ども、それを究極的にはほとんど撤廃に持っていくという大変極端な
提案をしたわけでございます。この
提案の
内容自体は、実施に至るプロセスな
ども明らかにし、これまでのどの国に比べましても非常に詳細で包括的な性格の
内容になっておるわけでございます。しかし、その
内容自体については、そこに盛られた考え方自体については、従来からアメリカが言ってきたことのいわば延長線の上にある考え方、それを非常に詳細にしたというものでございまして、我々は改めて今回のウルグアイ・ラウンドの農産物
交渉にアメリカが大変な意気込みをかけている、強い姿勢で臨んでいるということをこの
提案によっても改めてうかがうわけでございます。
しかし一方、果たしてアメリカの
提案が現在の世界の農産物の
生産なり貿易の実態からいってどうなんだということになりますと、今
お話がございましたように非常に問題のある
提案でございます。
申すまでもなく、農業
生産は工業と違う、天候に支配されるとかあるいは土地の
条件に支配されるというような特殊性がございます。それからまた、農業
生産は国民に対する食料の安全供給、安定供給という大きな
役割を持っておりますし、また
生産を通じて国土なり
環境保全にそれぞれ
役割を果たしておるわけでございまして、こういう
役割はなかなかほかの機能では代替できにくい機能を農業が果たしているわけでございまして、今のこのアメリカの
提案をそのまま各国の農業に当てはめると、我が国はもちろんでございますけれ
ども、世界の相当の国は大変な影響を受けることになりかねないわけでございまして、その結果は、今申したような農業のその国で果たしている
役割というものはどこへ行ってしまうんだろうかということになるわけでございます。
そういう
意味では非常に問題のある
提案であり、また、そういうものがいかに
交渉の中とはいいながら、各国がそれを
現実的なものとして受け入れる余地は非常に乏しいのではないかというふうに我々も見ております。そういう考え方については、十月の
交渉の場でも日本の代表から反論いたしましたし、先般ワシントンで日米次官級の経済協議があったわけでございますけれ
ども、その際にもこれを取り上げて我が国から批判をしたわけでございます。
ECの批判についても言及がございましたけれ
ども、私
どもは決してアメリカの考え方についてECと違ったような見方をしているわけでございませんで、EC以上にアメリカの
提案というものに厳しい見方をしているわけでございます。かつまた、このアメリカの
提案は、ことしの四月の中間
合意、これはアメリカも含めて
合意をした中間
合意の
内容からいってもそれにそぐわない
内容でございまして、そういう認識を持って今後もこれに取り組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。