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1989-12-05 第116回国会 参議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  十一月二十九日     辞任         補欠選任      木暮 山人君     後藤 正夫君      高木健太郎君     中川 嘉美君  十一月三十日     辞任         補欠選任      吉岡 吉典君     立木  洋君  十二月四日     辞任         補欠選任      八百板 正君     穐山  篤君  十二月五日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     八百板 正君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         板垣  正君     理 事                 大城 眞順君                 永野 茂門君                 山口 哲夫君                 吉川 春子君     委 員                 大島 友治君                 岡田  広君                 田村 秀昭君                 穐山  篤君                 翫  正敏君                 角田 義一君                 野田  哲君                 三石 久江君                 中川 嘉美君                 星川 保松君                 田渕 哲也君    衆議院議員        修正案提出者   中村正三郎君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 森山 眞弓君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  松本 十郎君    政府委員        内閣官房内閣内        政審議室長        兼内閣総理大臣        官房内政審議室        長        公文  宏君        人事院事務総局        任用局長     森園 幸男君        人事院事務総局        職員局長     大城 二郎君        総務庁人事局次        長        兼内閣審議官   服藤  収君        北海道開発庁計        画監理官     竹中 勝好君        防衛庁長官官房        長        児玉 良雄君        防衛庁教育訓練        局長       米山 市郎君        防衛庁人事局長  畠山  蕃君        防衛施設庁労務        部長       竹下  昭君        大蔵大臣官房審        議官       石坂 匡身君        大蔵省主計局次        長        小村  武君    事務局側        常任委員会専門        員        原   度君    説明員        厚生省年金局企        画課長      阿部 正俊君        厚生省年金局年        金課長      松本 省藏君        社会保険庁社会        保険業務センタ        ー総務部長    宮島  彰君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部再就職対策室        長        丸山  博君        労働省婦人局婦        人福祉課長    堀内 光子君        建設大臣官房官        庁営繕部営繕計        画課長      石岡 征也君    参考人        日本国有鉄道清        算事業団理事   杉田 昌久君        日本国有鉄道清        算事業団共済事        務局長      長野 倬士君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月二十九日、木暮山人君及び高木健太郎君が委員辞任され、その補欠として後藤正夫君及び中川嘉美君が選任されました。  また、去る十一月三十日、吉岡吉典君が委員辞任され、その補欠として立木洋君が選任されました。  また、昨四日、八百板正君が委員辞任され、その補欠として穐山篤君が選任されました。     ─────────────
  3. 板垣正

    委員長板垣正君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案審査のため、本日の委員会日本国有鉄道清算事業団の役職員参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 板垣正

    委員長板垣正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 板垣正

    委員長板垣正君) 国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  国家公務員等共済組合法年金につきましては、さきの昭和六十一年四月より実施されました年金制度改正におきまして、公的年金一元化を展望し、年金給付設計等厚生年金と基本的に同様のものとされたところであります。  このたび、政府は、厚生年金につきまして、財政計算に伴い年金給付改善等措置を講ずるとともに、平成元年度の特例として年金額改定を行うことを内容とする法律案を別途提出しており、国家公務員等共済組合法年金につきましても、厚生年金と同様、年金給付改善等所要措置を講ずる必要があります。  また、日本鉄道共済組合年金につきましては、御承知のとおり、このままでは平成年度以 降毎年三千億円に上る赤字の発生が見込まれるという大変厳しい財政事情にあります。政府は、別途、被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案提出し、平成年度より被用者年金制度間の負担調整措置実施することを提案しているところでありますが、この問題に対応するためには、まず、鉄道共済自身最大限自助努力が必要となっております。  さらに、日本たばこ共済組合年金につきましても、その厳しい財政事情に対応するため、年金給付見直しを含めました自助努力が必要になっております。  このような事情から、本法律案提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一は、国家公務員等共済組合法による年金につきまして、厚生年金と同様、平成元年十月分より年金額引き上げを行うとともに、支給回数増加等を行うほか、年金額改定仕組み完全自動物価スライド方式にすることとしております。また、短期給付につきまして、財源拡充等所要措置を講ずることとしております。  第二は、国家公務員等共済組合法による年金につきまして、平成元年度の特例として、平成元年四月分より、昭和六十三年の消費者物価上昇率を基準として年金額改定を行うこととしております。  第三は、鉄道共済組合年金につきまして、その厳しい財政事情に対応するための自助努力の一環として、平成二年四月より年金給付見直しを行うとともに、旅客鉄道会社等特別負担及び清算事業団特別負担についての規定を設けることとしております。  第四は、たばこ共済組合年金につきまして、その厳しい財政事情に対応するため、平成二年四月より、年金給付見直しを行うとともに、たばこ会社特別負担についての規定を設けることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  7. 板垣正

    委員長板垣正君) 次に、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員中村正三郎君から説明を聴取いたします。中村正三郎君。
  8. 中村正三郎

    衆議院議員中村正三郎君) ただいま議題となりました国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正部分につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  この修正は、まず、政府原案におきましては、年金額改善平成元年十月一日から実施することとしておりますが、年金受給者生活実態等を考慮いたしまして、本修正では、その実施時期を平成元年四月一日に繰り上げることにしたものであります。  次に、在職中に支給する退職共済年金等支給割合区分政府原案におきましては、五区分になっておりますのを、本修正では、その区分を七区分改善することといたしました。  また、政府原案におきましては、施行期日が「平成元年十月一日」と定められておりましたが、既にこれを経過しているため、施行期日を「公布の日」と改めるほか、所要規定の整理を行ったものであります。  以上が、衆議院における修正部分趣旨であります。
  9. 板垣正

    委員長板垣正君) 以上で趣旨説明並びに修正部分説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 ことしの二月に国民年金法ほか各種共済組合法法律改正提案されておりましたが、ようやくこのほど衆議院で成立を見たわけであります。  今お話がありましたように、衆議院段階におきまして修正が幾つか行われました。国家公務員共済組合法にしろあるいはその他各種共済組合法改正審議するに当たりましても、その基本になっておりますのが国民年金あるいは厚生年金となっているわけでありますので、これからの当委員会審議参考のために国民年金法それから厚生年金法並びに通称財政調整法と言われております三つのものについて、総括的に修正部分説明いただきたいと思います。
  11. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) お尋ねいただきました年金改正関係法案につきまして衆議院修正が行われておりますので、その修正点の主なポイントについて御説明申し上げたいと存じます。  法律としては二本でございます。一つは国民年金法等の一部を改正する法律案ということで、これは内容としては国民年金制度及び厚生年金制度制度改正内容とするものでございます。もう一本の法律案通称制度間調整法と称されているものでございまして、被用者年金制度間の費用負担調整に関する特別措置法案でございます。両法あわせて修正が行われておりますので、通して御説明申し上げたいと思います。  まず年金額改善につきましては、政府原案では当初十月から改善するということになっておりましたものが、本年四月にさかのぼって実施するということでございます。第二点は、厚生年金保険料率につきまして上げ幅といいましょうか、は政府原案では二・二%ということを予定しておったものでございますが、これを平成二年一月から一・九%、平成三年一月以降は二・一%ということの引き上げということになってございます。  それから、厚生年金支給開始年齢引き上げに関する点でございますが、これにつきましては支給開始年齢引き上げに関する将来のスケジュールを明示しておったわけでございますが、そういったふうな関係規定は削除することにいたしまして、別に見直し規定を置くということになっております。見直し規定をちょっと読ましていただきますと、老齢厚生年金特例支給、この特例支給といいますのは六十歳から六十五歳までの間に支給される老齢厚生年金のことでございますが、この特例支給につきましては、次期再計算の際に、財政の将来見通し、高齢者就業機会確保等措置状況等を総合的に勘案して見直しをするということで、これに基づく所要措置を別に法律をもって定むるというふうな旨規定を置くということでございます。  それから、制度間調整につきましては、平成年度から平成年度までの鉄道共済自助努力の額を各年度千八百五十億円ということにいたしまして、一方、制度間調整による被用者年金制度拠出金はその総額は千百五十億円というふうにするということでございます。あわせて、国家公務員共済組合連合会負担についても減額措置を講ずるということ。このために必要な財源については清算事業団特別負担増加、JRの特別負担の追加及び積立金の取り崩しにより対応するということ。また政府は、平成年度末までに制度間調整について公的年金一元化を展望しつつ、その運用状況等を勘案して見直しを行う、附則にそうした旨の規定を置くということでございます。あわせて、制度間調整見直しを行うに当たっては、被保険者事業主学識経験者から成る検討の場を設けるということでございます。  以上が主なポイントでございますが、二、三つけ加えさせていただきますと、厚生年金在職老齢年金支給割合について五段階を七段階にするとか、あるいは支給の上限について引き上げを図るとか、国民年金基金運用受託機関全国共済農協連及び全国共済水産業協連を加えるとか、沖縄の厚生年金について格差是正のための特例措置を講ずる等の内容であり、あわせて施行期日等につきまして所要修正を行うというものでございます。  以上でございます。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 今それぞれ修正内容が明らかにされましたが、これは衆議院で院の意思として決めたわけですから、それはそれなり背景というものを持っているのは当然だと思うんです。政府立場らいえば、政府原案を可能な限り成立させてもらいたい、そういう意思であろうと思いますが、相当各分野できめの細かい修正が行われたわけですが、これについてどういう御感想をお持ちでしょうか。厚生省並び大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
  13. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今回の衆議院におきます各党のお話し合いをいわばわきから拝見する役回りでおりまして、私はこういう問題について、ゼロか一〇〇かという議論ではなく、いわば話し合いによる問題の処理というのが定着してきたことに対して非常に深い感慨を覚えております。  と申しますのは、私ども初めて当選をいたしましてから、例えば健康保険法でも、いわゆる健保国会と言われました臨時国会を含め何回かの乱闘騒ぎに至るような混乱状況を記憶いたしております。厚生年金保険法を初めといたします年金改正につきましても、いわばゼロか一〇〇かという議論の行われた結果、徹夜の審議等が繰り返された、非常にある意味では反省しなければならない国会も記憶をいたしております。  そういう意味では、昭和四十年代の半ばぐらいから、殊に衆議院の例で申し上げますならば、社会労働委員会におきまして年金とか医療保険制度についての論議というものが、それぞれの党の主張を背中に背負いながら、むしろ何とかお互い妥協点を見出すことはできないかという話し合いを求める空気が盛り上がり、随分長い間そういう状況が続いてまいりました。そういう意味では、その混乱の中からいわば話し合い路線とでも申しましょうか、委員会運営の変わってきた中で、社会労働委員会に長くおりました立場らいたしますとこうした空気が定着をすることを求めておりましたし、何回か私自身がその責任者として折衝の場に当たったこともございます。  政府立場から申しますならば、政府原案至上最善のものと信じて提出をしておるわけでありますから、これが一切変更なく通過、成立することを求めるのが当然でありますけれども、そうした意思とは別に、院における論議というものが不毛の結果を生まなくなったということについては私はそれなり評価をすべきものと、そのように考えております。
  14. 穐山篤

    穐山篤君 今大蔵大臣が言われるような状況も当然あったと思うんです。審議する側の立場らいいますと、六十一年から七十年度平成七年までの一元化の問題についてまだまだ将来方向が明確ではない、十分その点についての論議が深まっていないというお互い気持ちの問題も一つあると思います。  それから二つ目の問題は、年金受給者立場らいいますと、片方では四月一日から恩給法改正になって実施になっている。上げ幅について非常に格差がある。これも今回だけでなくして去年もおととしもそういうものを繰り返してきたわけです。したがって、そういうものについての、何といいますか、補強をどうしたらできるだろうかという意味二つ目にはあったと思うんです。  それから三つ目には、御案内のとおり参議院選挙の前、後を通しまして、国民の声あるいは選挙の結果というものが具体的に政治の地図を変えたわけです。そういう状況を踏まえて、国会側もあるいは政府側年金制度に対する充実強化を言わざるを得なくなった、そういう背景三つ目にあるだろうと思うわけです。  それから四つ目の問題は、どうしても避けて通れない鉄道共済組合財政の安定の問題だろうと思うんです。来年度から三千億円不足をしてくるであろうと思われる鉄道共済年金についての財政安定について、政府並びに関係者気持ち受給を受ける既裁定者あるいは現職の諸君の気持ちというものが十分に融和をしないまま、自助努力という名前で片方は解決をし、片方お互いの連帯ということで何とか糊塗しようとした問題が、障害になったとは言いませんけれども、相当大きな内容になったというふうに私は受けとるわけであります。院の側が修正したわけですから、行政の方に一々それぞれについて申し上げることはないと思いますけれども、若干の問題について少しお伺いをしたいと思います。  昭和五十九年度国家公務員等共済組合法統合がありました。あのときは当然鉄道共済年金財政上の問題が大きく原因をして統合という事態が発生をしたわけですが、あのときも言葉の端々に将来の年金制度一元化という言葉が出てまいりました。  それから、昭和六十一年度年金制度全体の改正が行われましたが、あのときには年金制度一元化を踏まえ何々をするというふうに提案理由の中にはっきりしておったわけです。あの当時の斎藤厚生大臣説明によりますと、これから十年間かけて年金制度一元化を図るわけだけれども、まず第一に仕組みを変える。一階建て、二階建て、三階建てというふうに仕組みを変える。一階建て、二階建てについては、考え方としては共通部分である。従来それぞれまちまちに計算をしておりました基礎給というものを標準報酬月額というものに統一をして、可能な限り一元化方向をとろうとしたわけであります。  一たん、昭和六十一年のときにスタートをしましたが、そのときの連合審査の際に、私は次のようなことを質問しました。第一段階仕組み改正計算方式改正というものであることは承知をするけれども、第二段、第三段の一元化方向は何かと、こう申し上げた。そのときの答弁は、第二段階としては負担給付調整を図ることを目標にしたいと。言いかえてみれば、それは一本化ではありませんよというふうにその際逆に念を押されたわけであります。  したがって、本来ならば、今回の改正といいますのは、第二段になります負担給付アンバランスになっているものを可能な限り調整するという作業にまず目標が置かれなければならない、こう思うわけですが、今回の政府提案あるいはこの修正考え方らいいますと、必ずしも負担給付アンバランス調整するというところに力点が置かれていないような感じがしてならないわけです。そのことをどのように意識されているのかどうかということをまず第一に厚生省並び大蔵省にお伺いしたいと思います。
  15. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 今回の、制度間調整法と略称をさせていただきますが、制度間調整法考え方は、その基本的なねらいといたしますのは、ただいま先生御指摘ございましたように、被用者年金制度一元化といいましょうか、結局は給付及び負担均衡をどう図るかというふうなねらいを持ちまして、そういったふうな方向をにらみながら、その中間地点である今回の財政計算時において最大限関係者の合意のできる範囲でその方向に向かって一定範囲についての調整をするということでございますので、今回の制度間調整法についての修正等々はそれなり修正は行われましたけれども、その基本的なねらいなり考え方については特段の変更はないものと考えております。
  16. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今厚生省の方からも御答弁がありましたけれども、私ども制度間調整法政府として御提案申し上げ、御審議を願いましたねらいは、今まさに厚生省の方から御答弁がありましたとおりでありまして、従前説明をしてまいりました方向と背馳するものではないと心得ております。  院の御意思によりまして修正を加えられました部分は、これは院の御意思の表明でありますから、これを政府として云々を申し上げるべきことではございません。政府としては従前考え方の延長線上のものとして何ら背馳するものではないと心得ております。
  17. 穐山篤

    穐山篤君 通称財政調整法にはその意味が十分に込められていると、こういうお話がありました。  仮の話ですよ、厚生年金あるいは国家公務員あるいは地方公務員その他を通しまして積立金が仮に十分ではないという仮定に立った場合に、この制度間調整という話は非常に薄くなる、積極性を 失うというふうに私は思います。それをもし基礎給付負担アンバランス調整するということになればどういう方法をおとりになりますか、研究したことがおありになりますか、伺いましょう。
  18. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 給付負担、特に負担面についてどんなふうな調整をするかということを検討するに当たりまして、これまでの積立金というものをどういうふうに評価するかということについては大変難しい問題を含んでおります。つまり、年金制度といいますのはかなり長期の期間における財政運営が、一方は積立金ということであらわれ、かつまた一方では先の給付の多寡にも影響するというふうな極めて長い時期を通じての給付負担均衡ということを検討しなきゃならぬということになるわけでございます。  その際に積立金というものは果たしてどう評価すべきなのか。例えて言えば、過去のこれまでの人たちの持ち物なのか、あるいは将来に備えた財源なのかというふうないろんな意見があるところでございまして、本来制度間の一元化という場合にはそういったふうな積立金をどう評価するのかということにつきましてもあわせて考えるべきものだとは存じますが、今回の制度間調整に当たりましては、そうしたかなり難しい、かつまた評価が分かれる点については別の先の問題として位置づけまして、当面する現在の負担面についてのみ着目いたしまして、一定共通する給付について共通負担するというふうな基本的な考え方に立って、その範囲内での所要負担調整を行ったということでございますので、積立金のあり方のことについてはいわば直接評価の対象にしたわけではないというふうに御理解いただきたいと思います。
  19. 穐山篤

    穐山篤君 またもう一度後で伺いたいと思っています。  それから、負担給付アンバランス調整するのが第二段階であると。そういう作業を行って、最終的に六十一年度から見れば十年後には公的年金制度一元化に入るつもりだ、こういうふうに言われてきておりますし、今回の決議案の頭にもそういう文言が入っています。そこで、衆議院附帯決議を見ますと、速やかに一元化の全体像を示せ、こうなっているわけですが、ざっくばらんに言いましてみんな同床異夢ではないかという感じがしてならないわけです。  それで、今まで私どもいろんな委員会質疑応答をしましたが、将来の一元化の姿というものの片りんを明らかにしてもらった経験がないんですが、現在考えております一元化の最終的な姿というものはどういうものでしょうか。
  20. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 公的年金一元化の最終的な姿というお尋ねでございますが、結論から申しますと、これは今後各制度間を通じてさまざまな検討を重ねながら構築していくべきものだということで、現在までのところそういった政府としてのものは持ち合わせはございません。  ただ、私どもの関係しております年金審議会で今回の制度間調整法審議するに当たりまして、年金審議会としての一つの方向づけといいましょうか、というものはこんなものではないかというふうに意見書として出ておりますので、それを御紹介さしていただきたいと思うわけでございます。  年金審議会の場では、被用者年金制度一元化に当たりましては、被用者年金制度ごとの歴史、沿革、先ほど先生からお話がございました積立金なんかもその一つだと思うんですが、そういったさまざまな条件を異にしておりますので、こうした被用者年金制度制度としては存続させるというふうな前提に立った上で、一階部分一元化、つまり基礎年金制度でございますが、基礎年金制度との整合性にも十分配慮しつつ、同一給付・同一保険料率による新たな単一の被用者年金制度を創設すべきであるというふうな意見書をちょうだいしておるところでございます。  この考え方を若干敷衍さしていただきますならば、基礎年金制度も基本的にそうでございますが、いわばほかの制度被用者年金なり国民年金なりに加入し、かつ基礎年金制度の対象にもなる、いわば二重加入といいましょうか、というふうな仕掛けになっているわけでございまして、二階部分についての各制度を全部廃止して一本化するとかということではなくて、各制度の歴史、沿革があるわけですから、それを基本的に制度としては残したままで負担給付面について公平な形に持っていくためにいわば基礎年金と同じような趣旨による二階部分基礎年金といいましょうか、というふうなものを共通給付について制度化し、それに各制度がいわば二重加入をすることによって制度間の共通部分についての負担給付の公平化を図るというふうな考え方に立った一つの提案ではなかろうか、こんなふうに考えております。  私ども厚生省としてはそういったふうな審議会の意見も十分念頭に置きながら、これから関係審議会の審議なりあるいは今回御提案さしていただいております制度間調整法による調整措置実施状況なりというふうなものの成果を十分見ながら、具体案の策定を図っていくべきものというふうに考えておる次第でございます。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 厚生省には次に聞きますが、将来一元化の全体像が示された場合の国家公務員等共済組合の性格の問題をまず大蔵省に伺います。  国家公務員等共済組合法というのは公務員制度の一環として存在をする、そういう認識のもとに我々はずっと来たわけですが、今厚生省の話がありましたように、将来基礎年金部分について充実強化といいますか、それなり仕組みを強化する。二階建てについても共通部分として、仕組みはそんなに変えないで、負担給付アンバランス調整した段階には一元化方向が出るわけですね。そうしますと、今まで私どもは公務員制度の一環としてこの国家公務員等共済組合法を認識してきたわけですが、その一元化ができるとするならば公務員制度の一環という話は、性格はなくなるのであるのかないのか、その点、大蔵省はどうでしょうか。
  22. 小村武

    政府委員(小村武君) 厚生省からるる御説明がありましたように、公的年金一元化というのは、国家公務員共済組合が社会保険方式をとっている限り、やはりこれと歩調を合わして平成七年の一元化に向けて十分協議をしていかなければならないと思います。  片や、委員御指摘のとおり、国家公務員制度との関連をどう位置づけるかという問題が次の問題として出てまいると思います。私どもはその点も十分認識をしております。ただ、今は何よりもまず一元化に向けて各制度が協力をしていく。今回の制度間調整法一元化に向けて費用負担面での地ならしという位置づけで審議をお願いしているわけでございます。こういったことがだんだん積み重ねられ、各制度共通の意識を持って一元化を実現した暁には、国家公務員共済制度としてさらに公務員制度との関係で何をなすべきかというところが次の課題になろうかと思います。まず、一元化に向けて今私どもは第一の課題として取り組んでいるという現状でございます。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 厚生省にもう一度戻りますが、政府原案の千五百五十億対千四百五十億が修正案で制度間調整の金額の割合が今度は変わりましたね。変わったものを基礎にして一元化を考えてみたい、この思想をそのまま継続をしていくのか、それとも制度間調整というふうな方法をとらずに負担給付アンバランス調整していくのか、そういう問題に私は流れると思う。  それからもう一つ、時間的なことで言えば、将来の一元化を急ごうとするならば相当思い切った措置をしなければならないし、長時間かけて将来一元化をするとするならば緩い方法で手直しを逐次していく、そういう方向が考えられるわけですけれども、厚生省あるいは政府考え方としては平成年度には一元化に踏み切る、こういうふうに既に決断をしているんでしょうか。あるいは、修正案にもありますように、三年後財政調整について見直しというものがあるわけですが、それを 踏まえてなお一元化方向については時間をかけて勉強していくのか、そういう方向議論が分かれると思うんです。厚生省としてはどういう道をとろうとされているんでしょうか。
  24. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 先生の御質問は大変難しい質問でございまして、的確なお答えになるかどうか若干心もとない感じもするわけでございますけれども、私どもとしては、公的年金制度一元化という場合の目標の年次といたしまして、従来はいわゆる七十年、平成で言えば平成七年というものを一つの目標にしておるということについては政府の閣議決定をした方針でございますので、私どももそれに沿って対応すべきものというふうに考えておるところでございます。  なお、制度間調整事業につきましては、これはその性格として、今回の法律案の第一条に書かさせていただいておりますけれども、「被用者年金制度間の給付負担の両面にわたる調整を図るための被用者年金制度全体の見直し措置が完了するまでの間」における特別措置だと。つまり、これを平たく言えば、いわゆる一元化までの暫定の措置だ、こういうことでございまして、そういう性格を持つものでございます。  ただ、そのねらいとする方向はあくまでも給付と特に負担についての調整ということでございますので、一元化というものの目指す給付負担と両面にわたる均衡を図るという面に即したものでなければならないというふうに考えておりますし、そうした考え方の点については、今回の修正による例えば三年後に、平成年度末に見直すというふうな点も、これはあくまでも制度間調整事業についての見直しでございまして、基本理念そのものについては、今回、当初御提案したとおりの趣旨を踏まえてやっていくべきことについての特段の障害になるようなものではないというふうに私どもは考えておるところでございます。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 それでは、簡単に申し上げましょう。仕組みはすべて一階建て、二階建て、三階建てになっていますね。一階建ての者は国民年金のみに加入をしている者である。厚生年金、共済組合は一階と二階と三階が共通だけれども、鉄道共済年金については三階建ては適用にはなっていない。この仕組みはみんな同じですね。それから、その次の計算方式は、かつては違いがありましたが、現在は標準報酬月額基礎にして計算するわけです。属人からいうならば報酬比例部分の何等級に該当をしているか、あるいは勤続年数、加入期間が何年であったかという違いだけが最終的には残るわけです。あるいは、多少の問題はありますけれども、支給の条件の調整というものが行われて、厚生年金であろうが、各種共済組合であろうが、支払いの条件が同じになる。こうなりますと、一階建て、二階建て部分共通をするわけです。  そうしますと、あと負担給付のバランスがとれるようになれば、なればというのは、かなり面倒なことが途中にあると思いますけれども、それが完了すればといいますか、それを乗り越えれば最終的には共通する部分についての年金制度というのは一本に形式的にはできる、こういうふうに理屈上進むと思うんですが、その点どうでしょうか。
  26. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 現段階で最終的な一元化の姿に関するような点について余り言及するのは私としてはいかがかと思いますけれども、先生のお尋ねに即してお答えさせていただくとすれば、一言で言いますと、同じような仕事をし、かつ同じような年数の勤務期間を持ち、同じような給与を得た方については、その所属する集団がたとえ違っても、結果として同じような給付に結びつくというのが一元化の一つの理想的な姿ではないか、こんなふうに考えるわけでございます。  ただ、その場合、各制度ごとに、例えば国家公務員で申し上げますと、国家公務員制度とのかかわりその他の点で、制度的には三階部分まで含めて完全にそれを実現するというのはなかなかやはり難しい面もあるし、そうすることがかえって不合理を生むということにもなる面も否定できないのではないかと思いますので、いわば三階部分は別にして二階部分についてまでは、共通部分についてまでは私が最初に申し上げたような結果になるような形に持っていくようにするというのが一つの考え方なのではなかろうかというふうに思われます。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 これは今後相当議論をした上で全体像を詰めてもらうと。その場合に当然気になりますのは、それぞれの被用者年金制度というのには歴史もありますし、もっと生臭い話で言えば感情も残っているわけです。したがって、そう機械的に統合するというのにはいろいろな政策を加味しなければできない、こう思うわけでありますが、その問題はそこまでにしておきたいと思っております。  それから、前に戻りまして、負担給付アンバランス調整するという意味片方に持ちながら、片方では鉄道共済年金財政の問題を考えなければならぬというところから通称財政調整法が出てきたというふうに思います。  そこで、二つのことをとりあえずお伺いしたいと思うんですが、国民の皆さん方の中には、それぞれの年金に加入している人の中には、鉄道共済年金財政上の問題については主として政策の問題、過去の運輸政策なり交通運輸事情の構造的な問題があるんだから、これはその問題として十分政府が責任を持って解決を図るべきだ、こういう厳しいといいますか、当たり前といいますか、そういう意見が一つあるわけです。まずそれについてどう考えるのか。  それから二つ目は、今私が申し上げましたように、財政調整ということも含むけれども、給付負担のバランスを将来の一元化に向けてとろうとするならば、現状は何対幾つかの割合でお互いに協力をし合っていかなければならぬ、こういう後段の道を政府はとられたわけですが、まず最初に、鉄道共済年金財政上の問題については国が責任を持って財政処理をすべきではないか、こういう意見があることについての政府の認識といいますか、考え方をお伺いしておきたいと思います。
  28. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど昭和四十年代の後半になりますと、内閣総理大臣の諮問機関であります社会保障制度審議会、これには御承知のとおり院を代表する委員が何名かずつ入っております。当時私は衆議院から社会保障制度審議会の委員を拝名いたしておりましたけれども、当時の国鉄共済につきまして将来に対する懸念というものはその時点から私どもの中では表明をいたしておりました。  その当時たしか国家公務員共済が直近三年をとっておったと私は記憶をいたしております。中途それが直近一年に変わりましたが、国鉄共済のみが退職時給与をベースに制度を組み立てておられたというようなこと、またその資産運用等につきましていろいろな角度から問題が提起をされ、たしか私の記憶では、社会党を代表して大原亨先生がおられたような気がいたします。国会側委員が党派を超えまして国鉄共済に対しての資料要求を繰り返した時期がございました。しかしその当時、他の共済制度の資料は社会保障制度審議会に非常に速やかに提出をされましたけれども、実は国鉄共済の資料提供だけはなかなか十分に行われず、社会保障制度審議会として抗議の意を表明するために、たしかある年のごときは他の共済制度に対する答申を出しましてから一週間程度おくれて国鉄共済についての答申をまとめたことがございます。  そして、そのころから実は現在の鉄道共済状況に至る不安というものは一部において心配をされながら、その問題として指摘をされました点につきましてなかなか改善の道がとられませんでした。今申し上げました退職時給与も一つの例であります。そしてそれが、これは組合員の責めに帰すべきではございませんけれども、当時の国鉄の管理者側の労務政策に利用されたといったような面もマル生問題の当時には指摘をされたこともございました。  さまざまな問題がありましただけではなく、退職時特昇が年金額に反映をいたしますこと、あるいは保険料の引き上げ不足など鉄道共済自身制度あるいは運営に起因する面がありましたことは委員がよく御承知のとおりであります。また一方は、モータリゼーションの進行など産業構造の変化、人口構造の高齢化に起因をいたします面等々もございました。こうした面は必ずしも私は国の責めに帰すべき面だとは考えておりません。しかし、かつての原因がどうこうということを今申し上げるよりも、鉄道共済年金への今回の対応策というものは、こうしたことすべての原因を勘案しながら取りまとめをいたしたわけでございます。  委員承知のように、たまたま私は運輸大臣の際に国鉄の分割・民営という一つの歴史の変革の責任をとる状態になりましたが、その時点におきましても鉄道共済について心配でありました。政府の中におきましても鉄道共済についての閣僚の懇談の場を設けると同時に、有識者の方々にお集まりをいただき、労働組合の方々あるいは学識経験者、いろいろな方々にお集まりをいただいて鉄道共済問題についての御意見も拝聴してまいりました。今回の考え方の中にはそうしたものすべてが生かされておると考えております。  一方では、先ほどから厚生省の方で御説明がありますように、今回平成七年の公的年金一元化に向けまして制度間調整というものが動き始めるに至りました。たまたまこの制度間調整をスタートさせる段階におきまして、いわば助けを求める側に立ちました共済は鉄道共済とたばこ共済の二者でありまして、結果として他制度から御協力をいただく羽目になったわけであります。これは各年金制度を通じる共通給付部分につきまして負担調整を行おうとするものでありますから、公的年金制度における先ほど来委員が御指摘になっております給付負担一元化という観点からは極めて合理的な仕組みが組み上げられたと考えております。  よくありますのは、国の責任だと、だから国の負担でという御議論でありますが、それは結局は国民の税金をもってこれを補てんしろということでありまして、現在、ようやく明年度何とか赤字国債依存体質から脱却をしたいと願っておりますような厳しい財政状態の続く中で、自助努力を行っていただく、また各公的年金制度全体を通じまして基礎年金の三分の一に集中して国庫負担を行っております状況の中で、鉄道共済にのみ国の特別な負担を行うということは公平の観点から見ましても不適当な方法であると考えております。  また、今回一連の対策の中で清算事業団に特別の負担を求めておるわけでありますが、清算事業団の経理内容委員よく御承知のとおりでありまして、この負担というものが最終的に国において処理する債務等の増加になっておることを考えますと、国もこうした形でその役割を担っているということも申し上げたいと存じます。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 ざっくばらんな話ですけれども、厚生年金にしろあるいは他の国家公務員、地共済、そういう方々の意見を聞きますと、それぞれみんな苦労して積立金も持っておるし、運用についても知恵を働かしている。そういう中でなぜ制度間調整という名によっておれたちの財産をつぎ込まなければならぬのかと、その話をしてみてもなかなか皆さんは納得しないわけですね。  振り返ってみれば、旧国鉄というのは国の機関であったし、それから今も大蔵大臣言われますように、昭和四十年代から構造変化が起きました。過去の国鉄再建計画を見ましても、昭和四十四年度から五十三年度までの当初計画があって、実際は四十七年で終わりましたけれども、財政再建基本方針というものができる。あるいは昭和四十八年にも同様に財政再建の対策というものができる。以下毎回毎回、毎年度出てまいりまして、最終的に分割・民営になったわけであります。  これは、共済組合の分野からいえば、単純な話で恐縮ですが、分母と分子の話になるわけですね。民間の炭鉱の場合には、エネルギーの変革が起きて石炭から石油に変わった、そういうことで閉山がずっと続いてきたわけですが、国鉄の場合について言えば、予算総則の中で人件費を毎年毎年減らされる、国鉄の立場らいえば所要員というものを毎年減らしていく、そのために肩もたたいて早くやめてほしいと。そうなりますと、退職者がふえてくるのは技術的に言えば当然だと思う。その結果が二十万の現職に対して既裁定者が四十七万人にもなった。これは単に物理的な結果というよりも、人為的な要素が非常に多かったというふうに私どもは思うわけです。したがって、少なくとも政府原案提案した際にも、国の責任、あるいは今日では清算事業団というスタイルになっておりますが、国並びに清算事業団の負う負担というものを十分に考えて負担割合というものを合理的にしていくということが当然だろうと思うんです。  ところが、政府の当初原案でいきますと、各鉄道共済負担をしますのは千五百五十億円になっている。片方の他の制度の拠出分が千四百五十億円というふうに、客観的に言えばうがった比重では出しておりますけれども、もっと国の果たすべき責任が具体的に財政の分野で明らかになってもいいのではないかというのが他の制度、一般の方方の厳しい意見になっているわけです。これは単に感情的なものを言うわけでなくして、過去の国鉄の再建計画、今日の状況を踏まえて、もっと国は責任ある態度を示すべきではないかということが言われるのは当然だと思うんです。大蔵大臣答弁だけではなかなか全体は私は了承できないだろうというふうに思うんです。  その意味で、少し嫌らしい質問ですけれども、千五百五十億円対千四百五十億円というのはどういう発想から出てきたんでしょうか。どうも合理的な説明というのはなかなかできづらいような感じがしますが、いかがですか。
  30. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 積算の根拠等につきましては、というか配分の結果につきましては主計局の方から御説明を申し上げさせますけれども、委員が今御指摘になりましたような御意見とは裏腹に、鉄道共済関係者の方々からは、自分たちの自助努力というものに負わされるものが余りに多過ぎるという御意見があることも御承知のとおりであります。同時に、清算事業団負担を求めたことに対しましても、世論の中には、清算事業団が負うということは結局国が負担をする、国が負担をするというのは国民が支払うことじゃないか、むしろ国鉄関係者がもっと払うべきだというような声もございます。  これは見方によりましていろんな御意見も出てくる話でありまして、私はそれぞれの御意見がそれなりにその方々のお立場になれば無理もない御意見と思って承っておりますけれども、要は鉄道共済という共済制度が、たまたま制度間調整の発足する時点においてたばこ共済と並んで他制度に助けを求めるその第一号になった。その共済の状況が悪化する原因には、先ほど委員お話しになりましたような問題点、また私からお答えをいたしましたような問題点があり、この制度に対する国民の受けとめには大変微妙なものがある。そうした点もどうぞ御理解をいただきたいと思います。  数字につきましては主計局の方から御説明を申し上げます。
  31. 小村武

    政府委員(小村武君) 大臣から趣旨等の御説明がありましたが、六十三年十月七日の鉄道共済年金問題懇談会報告書に記載されておりますように、この鉄道共済問題は、「旧国鉄共済時代の制度運営等に起因する側面」、ただいま大臣の御答弁のあったとおりであります、あるいは「産業構造の変化、人口高齢化等に起因する側面」と二つの側面があるという指摘をされた上、さらにこの問題については、「本来、鉄道共済自身の問題であることから、まず最大限自助努力を行うことが最も肝要である」という基本的な考え方が示されたわけでございます。  今回、私ども各制度間で調整いたしました結果の自助努力といいますのは、三千億円の赤字のうち千五百五十億円を自助努力でやっていこう、そ の中で年金受給者の方、あるいは現在の被保険者の方、あるいは現在被保険者事業主であるJR、それから清算事業団、さらにこれまで同じ財政調整の仲間入りでございました国家公務員共済組合その他を含めましてこの千五百五十億円を負担していこうということに相なったわけでございまして、いわば各当事者が最大限の努力をした結果でございます。  残る千四百五十億円は、先ほど来厚生省からも御答弁がありましたように、平成七年の年金制度一元化の地ならしとして、六十年改正では給付の大半につきまして給付水準等々の調整が行われ、大体同じような水準に達してきた、それでは次の段階として年金一元化に向けて負担調整をしよう、平成七年の地ならしとして今回制度間調整をしよう、その結果千四百五十億円というのが各制度間調整鉄道共済の救済の財源として出てきた、これをもって今回のスキームを決定したという次第でございます。
  32. 穐山篤

    穐山篤君 鉄道共済組合が、自分の共済制度ですから、自立をする努力をしなきゃならぬというのは、赤字、黒字にかかわらず本来やらなきゃならぬことだと思っています。しかし、この三千億の金額というのは非常に膨大であります。そのことも十分に認識をいたします。  しかし、例えば他の制度では余り例を見ない追加費用というようなものが鉄道共済にはずっとついて回っているわけです。この金額は非常に大きいんです。数字は一々申し上げませんけれども、少なくとも鉄道共済が収入として得る六千億円なり七千億円の金の半分は追加費用を清算事業団が負わなきゃならないという特殊事情があるわけですね。これも、こういう追加費用をかつて当時の政府負担をしておれば、この部分についての過度の負担というのは少なくなっていただろうと思うんです。そういう意味では、この鉄道共済財政については私は相当考慮すべき点はあるというふうに考えるわけであります。  さて、そこで自助努力が基本であると。それに他の制度からの援助、制度間調整で協力を願うという気持ちについては私も否定はしませんけれども、昭和五十九年度改正国家公務員等共済組合の統合でもそのことが主張され、またそれに基づいた改正も行われたわけです。昭和六十一年度年金制度全体の改正の場面でも国鉄側の自助努力というものが主張されて、それでまた改正になった部分も多いわけであります。その上になおかつ今回自助努力をしろということになりますと、三重、四重の自助努力が長年続いてきた、こういうふうに言わざるを得ないのではないかな、そういうふうに私は思うわけであります。  したがって、私の素直な気持ちを申し上げますと、この際政策的な面やあるいは構造上の問題などを考えてみた場合に、国がもっと積極的な責任において財政上の負担を負ってしかるべきだ。他の厚生年金その他の被用者年金からの拠出分というのはこの際可能な限り少なくする方向をとることがいいのではないかと私は強く主張し、また希望もしておきたいと思っております。この点は社労委員会の方でも議論をされておることだろうと思いますので、十分にそれらの議論を踏まえて最終的には決断をせざるを得ないと思いますが、この際私どもの気持ちを率直に申し上げておきたいと思うんです。  それからその次は、鉄道共済組合年金給付見直しという問題が提案をされておりますが、ちょっと箇条的に説明をしてもらいたいと思います。
  33. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今の最後の御指摘に対して事務方から答弁をさせます前に、追加費用についてだけは、誤解が生ずるといけませんので、委員承知のとおり、臨時国会におけるやりとりを踏まえ一言申し述べておきたいと存じます。  確かに追加費用の問題は鉄道共済、当時の国鉄共済に大変な問題でありました。そして、国鉄分割・民営というものが論議をされました時点におきまして、当時の金額にいたしてたしか四兆五、六千億ではなかったかと思いますが……
  34. 穐山篤

    穐山篤君 四兆八千億です。
  35. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 四兆八千億でしたか、これは清算事業団の中に全部組み込みましたわけでありまして、現時点における鉄道共済運営にこれが影響を及ぼしておるものではありません。この点だけは誤解のないようにもう一度確認をさせていただきまして、以下事務方から補足させることにいたします。
  36. 小村武

    政府委員(小村武君) 年金給付の今回の見直しでございますが、まず第一点は、既裁定年金につきまして退職時特昇分、この部分について削減をすることにいたしております。  第二は、六十歳末満の退職金支給の新規発生の原則の廃止ということでございまして、これも厚生年金並みにしていただくということで、今回新規裁定は六十歳末満の発生を廃止するということにいたしております。  それから第三番目が、報酬比例部分の再評価の繰り延べをやらしていただいております。他の公的年金制度につきましては、今度衆議院修正によりますと平成元年四月より実施を予定しております再評価部分につきましては、鉄道共済について五年間実施を延期する、こういう内容でございます。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 逐次指摘をしたいと思いますが、既裁定年金者の退職時の特昇分、これは国家公務員との格差一〇%というスライド停止の問題とかかわっているわけでありますが、私の方からちょっと問題を指摘しておきたいと思います。  昭和四十九年の十一月二十六日、この日は大蔵大臣覚えていると思いますが、田中角榮元総理大臣が辞意を表明した日なんです、政治的に言いますと。その日は公労委の兼子あっせん委員から当時の国鉄の退職年齢の引き上げ等に関しますあっせんが出た日になっているわけです。私がなぜこれをよく覚えているかといいますと、当時私もこれに多少かかわっておったわけであります。  昭和四十八年、九年というのは、国鉄の内部ではその当時の再建計画に基づいて合理化が非常に行われておりました。組合側は退職の年齢を引き上げてもらいたい、経営者側の方では退職の年齢を下げる、あるいは若年でもやめてもらいたいという意味で争いが続きまして、十一月に公労委にあっせん申請が行われたものでありまして、まあ平たく言えばこのあっせん案というのは退職の年齢は五十七歳であります。しかし、五十五歳以内で退職する者については退職の発令日を四月一日にいたしましょう、五十六歳、五十七歳につきましては三月三十一日に発令をいたしましょう。その三月三十一日に発令すること及び四月一日に発令することによって退職時の基本給に変化が起きるわけです。そういう条件がついてあっせんが提示をされたわけです。  当時私ども公労協の役員をしておったわけですが、公労協にもこれを示しまして、受諾をしたものだろうかどうだろうかという議論の結果、公労協の戦術委員会あるいは給与対策委員会は満場一致オーケーをしたわけです。それから、公労協に対応します公経脇というのがあったわけです。三公社五現業でまとめていたわけですが、当時この問題について受諾をするか否かについては政府の窓口は運輸省になっていたわけですが、公経協に対してよかろうと、そういう見解が述べられましたので、労使双方がこれを受諾をしまして、昭和四十九年度の退職からでありますので、具体的に言えば昭和五十年三月三十一日に退職の発令をする者と昭和五十年四月一日に発令する者に分かれたわけです。自来、昭和五十九年の国家公務員等共済組合法統合までこれがほぼ十年間続いたいきさつがあるわけです。  当時の退職をする組合員、あるいは退職しないまでも将来退職をする組合員はこのあっせん案に基づく労使協定というものをある意味では契約として考えてずっときたわけです。その事実関係については、これはお認めになってもらえるでしょうか。いや、そんなものは知らなかったというお話でしょうか。
  38. 丸山博

    説明員(丸山博君) ただいま先生の御指摘になりました退職時特昇につきましては、昭和四十九年の十一月二十六日、公労委委員長のあっせん案として示された内容に基づくものでございまして、このあっせん案を労使双方が受け入れた結果、制度化されたというふうに承知しております。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 言ってみますと、労働協約が結ばれたわけですから、組合員にしてもあるいは経営者側にしてみても、これは雇用上のあるいは退職条件についての契約であると私どもは認識をするわけです。十年間それを続けてきた。五十九年のときに統合がありましたので、国会もいろいろ議論はありましたけれども、統合の際に、一〇%まではスライドいたしませんよ、こういう厳しい条件が提示をされて、不承不承従ったといういきさつがあるわけです。しかし、その段階では退職時の基本給を基礎にしておった計算が、退職時過去一年間の平均基本給で計算のし直しをするということによって調整をしたわけです。なおかつ昭和六十一年度からは標準報酬月額方式にならしたわけですね。そういう努力を積み重ねてきたわけです。  その上に、今回既裁定者の特昇分の頭の出ている分はカットしますよということになれば、これは過去の経緯からいえば二重、三重の改悪にならざるを得ない。まあ理屈的に言えば、法のもとに平等という憲法の精神からいうならばかなり問題のある点ではないかなというふうに言わざるを得ないと思うんですが、その点どうでしょうか。
  40. 小村武

    政府委員(小村武君) 先生御指摘のように、鉄道共済、国鉄共済につきまして統合法の時代、これは国家公務員の水準に合わしていただくとかいろんな御努力をこれまでお願いしてまいりました。今回さらに自助努力を求め、各関係者からも協力をいただくという場合におきまして、やはり他の公的年金よりも有利な部分につきましては見直しをさしていただく、それが関係者へのまた理解にもつながるということで御協力を願った次第でございます。  なお、この退職時の特昇部分につきましては、一般職員、二百三十万円以下の年金の方々には影響を及ぼさないということでございまして、主として管理職以上の方々の年金について見直しをさしていただく、こういう配慮をしておりまして、四十七万人の年金受給者の方のうち約六万人がこの対象になるということでございますので、御理解を願いたいと思います。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 協力をしてもらいたい、我慢をしてもらいたいというその気持ちはわからないわけでもありませんけれども、当時の状況らいえば、契約を途中で変えられてしまった、そういう話に通ずるわけです。これは私どもとして承服はいたしかねる点です。感情的には、助けてもらうんだから何とか自助努力をしたまえという気持ちはわかります。しかし、その当事者にしてみますと、契約をしたものが法律改正のたびにどんどん悪くなってしまったんでは、今回は鉄道共済年金でありますけれども、将来これは他の制度についてもあり得る話になるわけです。したがって、そういう意味では共済年金に対する信用の問題にも発展をするのではないかというふうに私は指摘をしておきたいと思うんです。  それから二つ目は、支給開始年齢を六十歳に引き上げるとともに繰り上げ支給は原則廃止、こうなっているわけですが、この原則廃止の意味はどういうことでしょうか、具体的におっしゃってください。
  42. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回の改正で六十歳未満の退職年金支給の新規発生の原則廃止ということを御説明いたしましたが、平成二年四月以降の退職者については支給開始年齢を五十八歳から六十歳に引き上げるとともに、退職共済年金の繰り上げ支給を原則廃止するということでございまして、激変緩和のため繰り上げ支給については二年間、五十八歳または五十九歳からの操り上げ支給を認めるとの調整をさしていただいているということでございます。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 従来、国鉄あるいは最近のJRでもそうですけれども、可能な限り五十五歳以内で肩をたたいてやめてもらう、合理化に協力をしてくれ、そういうことで長年続いてきたわけですね。管理職はかつて五十二、三ぐらいで退職の慫慂を受けたわけです。そして、ざっくばらんに言えば第二の職場を考え、若年で減額支給を受けるというのが慣例になったと言えば語弊がありますけれども、そういう習慣を続けていたわけですね。これは合理化のこともあるし、あるいは第二の人生を――目いっぱい勤めた場合にはあとの職場がなくなってしまうというふうなこともありまして、そういう慣習が続いてきたわけです。  さて、そこで今度の制度改正を踏まえて、六十歳支給開始になりますよと。五十八歳、五十九歳の者については今お話がありましたような適用になりますけれども、現実には今JRの職場で五十五歳以上という人はごくまれになってきました。これは橋本大蔵大臣が運輸大臣の当時、改革法では五十五歳以上の人はやめていただきたい、そういう立場に立って、ほとんど五十五歳以上の者はJRの職場にはいない。  したがって、五十五歳以内の人が現在いるわけです。従来の慣例、習慣というものを考えまして、国鉄関連企業などに転出をして多少の減額支給ならば若年でもらいたいという気持ちがあるわけです。ところが、現実の制度は三階建てが適用になっていない、減額率も高いということによりまして、従来の計算らいいますと、若年でもらう減額支給というのは非常に少なくなっているわけです。そのことについて来年の三月三十一日にやめようとしているJRの諸君たちも気をもんでいるわけです。何らかの適当な方法がないであろうかというのがJRの五十五歳以内の人たちの意見でありますが、この方々の意見にこたえる意味で何らかの方法があるんでしょうかないんでしょうか。清算事業団あるいは大蔵省からお話しをいただきたいと思います。
  44. 長野倬士

    参考人(長野倬士君) お答えいたします。  委員承知のように、今回の改正によりまして四月一日以降鉄道共済受給者の支給開始年齢が六十歳ということになります。もちろん現在は七月一日以降各共済は五十八歳ということになっておりますので、二年延びることになるわけでございます。職員が気をもんでおることは事実でございますが、こんな言い方をするとおかしいのでございますが、もし五十八で年金をもらいたいということであれば、本年度内に退職をすれば五十八歳の支給開始で現在の法律の適用を受けるということになります。来年度以降でありましたら新しい法律の適用ということになろうかと思っております。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 技術的にはそうなるだろうと思いますが、五十五歳以内で、今、年末ですから肩をたたかれているわけですね。この方々は五十八なり五十九、あるいはこの法律が通れば来年四月以降に六十歳になるわけです。したがって、来年三月三十一日にやめたいんだけれども何か便法がないんだろうか、こういう職場の意見があるわけですが、法律上なかなかできませんよという冷たい返事をせざるを得ないと思うんです。この点について衆議院の方でも随分議論をされたというふうに聞いておりますけれども、問題意識だけを申し上げておきたいと思います。  それから三つ目は、定額部分、一階部分についてはことしの四月にさかのぼってアップを行う。ところがスライドの部分、報酬比例部分のスライドについては今後五年間あきらめてください、こういうふうに法律提案をしているわけですが、ここでもスライドを我慢する。最初、最終の基本給で計算をしたのを国家公務員と同じにならした。その意味で言うと非常に改悪になったんだけれども、やむを得ない措置として皆了承をした。それから、スライドについては公務員との差一〇%というもので一つの壁ができた。そこで足どめをされたわけです。今回三つ目として、また二階建てについてはスライドを五年間遠慮しろと。これは非常に私は酷なやり方ではないかと思うんで す。理屈を言うつもりはありませんけれども、法のもとに平等という精神からいうならば、これでもかこれでもかと自助努力を求めているわけです。この点について私は非常に不満であります。法のもとにおける平等という精神からその点はどういうふうにお考えになるでしょうか。  それから、五年間の措置というふうに今回の法律は出ているわけですが、将来はどういうふうにここの部分についてのスライドを考えるのか、あるいは三階建ての問題については将来一元化とのかかわり合いではどういうふうに変化をしていくのか。そういうものについて検討されていると思いますので、まとめてひとつお答えをいただきたいと思うんです。
  46. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回自助努力の一つとして報酬比例部分の再評価の繰り延べを五年間させていただくということになっております。私どもとしましては、現在の給付そのものをカットするのではなしに、将来に向けてこの程度の自助努力はどうしても他の公的年金からの支援を受けるという際にはやはり御協力を願いたいということでとった措置でございます。定額部分につきましてはスライドはそのままさせていただくということでございます。  それから、将来の三階建ての問題でございますが、これはもう各制度によって非常にその財政力等々がまちまちでございます。三階建てを構築でき得る制度とそうでない制度等々がございます。最も基幹であります厚生年金につきまして、一階建て、二階建てという基本的な仕組みがとられている。その厚生年金が今回最大の出し手であるという状況を考えますと、鉄道共済が今後どういう財政状況の推移をたどるかわかりませんが、やはり厳しい状況であるとするならば、三階建てという制度をそうすぐには構築するのは無理ではないかというふうに私どもは考えております。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 考え方はわかりましたが、あとは意見になりますからその点は控えておきたいと思っております。しかし、いずれにしてみても年金給付見直しという部分について割り切れないものを持っているという意見を申し上げておきたいと思うんです。  さてそこで、修正によりますと、JR各社の特別負担が二百二十億になった模様であります。このJR各社の特別負担の性格の問題をまずお伺いしておきたいと思います。  年金制度というのは保険の原則あるいは相互扶助、扶養の原則というものが理念的にはあって、使用者側の負担割合が一、それから従業員が一、これが従来のものであります。しかし、諸外国には必ずしも一対一でないところも相当見受けられます。今回の特別負担というのは一対一プラスアルファという考え方であるのか、一対一プラス別のアルファといいますか、ベータといいますか、どちらの性格になるんでしょうか。
  48. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回JRにつきましても特別の負担をお願いしているわけでございますが、先ほどの追加費用につきましては、国鉄を引き継いだ清算事業団に四兆七千億の債務が承継されているということでございますが、これからの鉄道共済制度運営していくに当たりまして、JR各社は鉄道共済年金の一方の当事者でございます。鉄道共済年金の安定がその従業員の福祉に重大な影響があるという観点からやはり相応の御負担をお願いする、支援をしていただくという関係でございます。保険料として特別の保険料を徴収する、いわば強制的にそれを徴収するという関係ではございませんで、あくまでも任意の、主体的な判断に基づくことを前提とした特別の拠出金というふうに御理解願いたいと思います。
  49. 穐山篤

    穐山篤君 特別負担というのは法律鉄道共済組合は本体の会社の方に要請することができる、こういうことになっているわけですから、一対一という基本理念は同じで、変わらないで、別に分担をしてもらう。  先月、私ども日本社会党が政府に対しまして、国民年金基礎年金部分についての負担のあり方の問題と二階建て負担のあり方の問題について申し入れを行っております。その中には、一対一ということではあるけれども、一対一プラスアルファという思想があってもいいのではないか、またそれを取り入れるべきであるという申し入れをしているわけです。これは将来の制度上の問題にもかかわるわけですが、社会党の提案についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  50. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 先生のお話年金制度一般の改正に絡んだお話ですので、私から一般論としてお答えさせていただきます。  確かに被用者年金の保険料の負担につきましては、必要な保険料につきまして労使折半で御負担願うというのが現在の仕組みでございますし、先ほど先生が例示されましたように、国によりましては必ずしもそういったふうな折半原則ではなく、使用者の負担割合を増加している国もあるということも確かでございます。ただ、最近の傾向といたしまして、諸外国におきましてもイギリス等の例を見ますと、従来の負担割合が例えば七対三なり六対四なり事業主負担の方が重くなっておったわけでございますけれども、ここ五、六年の間に折半負担に徐々に近づきつつあるというふうな制度改正が逐次積み重ねられてきているというのも確かなところでございます。  我が国における社会保険、医療保険についても、年金保険についても同様の問題かと思いますけれども、これを折半負担を崩しまして事業主負担をふやせという点につきましては、これは特に中小企業等の負担の問題があるというような点、あるいは年金制度だけではなくて、雇用とか医療保険とかという社会保険全体への波及という問題もあります。あと、先ほどの諸外国の動向等を考えますと、いわば国際的な環境の中における一つの競争条件というふうな観点から考えましても、これを変更することについては私どもとしては現時点では妥当なものではないというふうに考えざるを得ないということを申し上げざるを得ないと思っております。
  51. 穐山篤

    穐山篤君 さて、衆議院で二十億円上積みをされて二百二十億円になったわけですが、これは会計処理上は税引き前の経費といいますか、で処理されるわけですね。したがって、最近のJRの経営の状況らいえば適当な金額だとは考えますけれども、この点についての大蔵大臣の感想はどうでしょうか。
  52. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) JRがそれぞれに発足をいたしますとき、私どもは、本州三社につきましては、それなりに将来の経営を考えましても、過去の国鉄の債務をそれぞれの経営規模に応じて負担をしていただけるだけの能力ありと判断をいたしました。しかし、北海道、四国、九州の三社につきましては、御承知のとおり基金を設けてその果実をもって補てんしなければ経営は安定しないという判断をいたしたわけであります。  さらに、もう一つその時点で私どもにとりまして心配の種でありましたのは、計算をいたしました適正規模よりも各社にほぼ二割ずつ余分な要員を抱えて発足をしてもらったわけでありまして、これらは関連事業の開発等により逐次吸収をされることを前提にしながら、発足当初には経営上の不安点として私どもは意識をいたしておりました。幸いに、貨物会社まで含めまして七社は非常に努力を積み重ねて、それぞれに我々が予測をした以上の業績を上げてくださっております。これは経営陣ばかりではなく職員全体が全力を挙げて再建のためにといいますか、レールを守るためにという活動を続けてくれておる結果である、こう考えております。  そうした中でJR各社にこの特別の負担を設けること自身、運輸大臣としてJR各社の発足を見送る羽目になりました私としては心の重いものがございました。しかし、鉄道共済財政状況を考え、さらに他制度からの支援を求めるに当たりまして他の制度の関係の方々、これは非常に幅の広い方々でありますけれども、そうしたところから出てまいります御意見というものが非常に鉄道共済を通じ旧国鉄に対し厳しい風当たりのものでありました中で御協力をいただきますためには、J R各社からも特別の負担を願わなければ到底納得がいただけないという判断に立ち選択をしたものでありまして、私自身としてはある意味では心の痛む思いで決断をした問題点であります。党におりましてこの相談にあずかりましたとき、非常に私は複雑な気持ちでこの案を了承いたしました。
  53. 穐山篤

    穐山篤君 次に、清算事業団特別負担が八百億プラス二百億ですが、一千億になりましたね。膨大な金ではあろうというふうに思いますが、一面では、ざっくばらんに申し上げまして、来年の三月三十一日までで原則的に要員の問題は解決するはずになっているわけですね。それから、本来はもっと資産の処分とか土地の売却というものが円滑に進んでいなければならなかったはずですが、六十二年、六十三年、今年度を見ましても当初予算案よりも半分も実績が上がっていない。そういう意味では、土地の高騰というやむを得ない事情があったにいたしましても、清算事業団の事業が円滑に進んでいないと思うんです。円滑にこの種の部分の仕事が進んでおったとするならば、清算事業団の土地の処分あるいは資産の処分、借金の返済というものはもっともっとスムーズにいっていたと思います。財政的に言えばもっと弾力性がある問題だと思う。  最近ようやく土地の売却などの問題について政府の方針あるいは清算事業団のきめの細かい方針が立てられるようでありますので、今後は期待を持てると思うんです。そういう立場らいいますと、清算事業団特別負担というものをもっとふやしてもいいのではないか、そういう意見が他の年金共済組合の方々からも非常に強く指摘をされているわけです。そういう点について清算事業団側の考え方及び大蔵省考え方、両方お伺いしたいと思います。
  54. 杉田昌久

    参考人(杉田昌久君) 先生御指摘のように、事業団は現在二十七兆円に上ります膨大な長期債務を抱えております。その上に特別負担といたしまして政府原案で八百億、衆議院修正案ですと一千億というものが毎年加わりますことは大変負担になるわけでございますが、私ども鉄道共済が他の制度の援助に依存するというような状況にかんがみまして、やはり自助努力の一環といたしまして清算事業団といたしましてもこれを受け入れざるを得ないというふうに考えております。  なお、先生御指摘のように、私どもとしましては現在まで土地処分につきまして地価高騰対策のため公開競争入札が制約を受けるというような難しい事情がございましたが、将来は土地の売却、地価を顕在化させない方法等も含めまして真剣に取り組んでまいりたいと思いますし、近い将来にはJR株式の処分というようなものに対しましてできるだけ事業団としては精いっぱい国民負担の軽減に役立つように頑張ってまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
  55. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 先ほどからの委員の御質問を伺いながら、率直に申して私は大変複雑な気持ちで伺っております。恐らく委員も同様のお気持ちがおありのように拝察をいたしますけれども、国鉄国会における立場こそ異なれ、百十余年の歴史を持つ日本国有鉄道の幕を引く、その役割をそれぞれに分担させていただきました中で、その時点におきましても過去の国鉄の栄光に対する評価、そしてその栄光を築いてきた職員の方々に対する思いというものはそれなりに党派を超えて皆が心を一にいたしておりました。  そして、そうした中で今日鉄道共済財政問題を論議いたします中で、既に受給権の発生しておられる方々に対してより以上の御負担を願う、あるいは新たに受給権の発生する方々に対して一時御遠慮を願う、こうした措置をとらなければならないということはお互いに大変複雑な思いのすることであります。  しかし同時に、清算事業団理由なく負担を積み増すことはできません。これは現在の清算事業団の経営状態のいかんを問わず、仮に予定どおり用地の売却等が進み、清算事業団財政状況が好転をしておったとしてもこの点は同様であります。  今回、清算事業団特別負担を行わせることに決しましたのは、旧国鉄時代の事業主としての負担が十分でなかった部分に対して、これを事業主立場を承継した清算事業団、そういう立場清算事業団負担をしていただくことにしたわけでありまして、それなり理由のある金額を清算事業団に御負担を願うことにしたわけであります。衆議院における各党のお話し合いの中でその負担を積み増すことになったわけでありますが、これは院としての御意思の表明であり、私どもは素直にこれに従うのは当然のことであります。  しかし、よく巷間、今も委員も御紹介をいただきましたように、他の制度の関係の方々等から清算事業団で全部かぶれというような御指摘がありますことにつきまして、清算事業団がゆえなく特別の負担をする事由というものはないわけでありまして、この点についてはやはり御審議を通じて世の中に御理解を賜らなければならない問題点の一つである、そのように理解をいたしております。
  56. 穐山篤

    穐山篤君 清算事業団財政を考える場合は、仮に特別負担なり借金を考えてみた場合に、清算事業団そのものが責任を持って処理しなければならない財政と、それを飛び越えたものについては一般会計を持っている国が責任を財政的に負わなければならない、そういう理屈になるだろうと私は思うんです。改革法の審議の際に、宮澤大蔵大臣の見解によれば、要員問題が一定のめどがついた暁には借金の返済計画も明示をしなければならぬ、こういうふうに答弁をされているわけです。新たに今回一千億程度の特別負担が出たわけでありますが、それを含めて清算事業団が責任を持って返済をしなければならない財政と、あるいは清算事業団の責任を超える部分について政府が何らかの財政的な処置をしなければならぬ、そういう部分が出るだろうと思うんです。  その場合に何といいましても、清算事業団部分的に保有機構からの金もありますけれども、原則的に言えば土地の処分あるいは資産の処分、それが中心になるわけですね。それを思い切って、平たい言葉で言えば高い値段で処理をして返済していくというのが理屈でしょうが、高い土地で売却することも許されない。そういう意味では非常に清算事業団としてはジレンマがあるわけです。しかし、それは清算事業団の責任ではないと思うんですね。ずっと過去百年とは言いませんけれども、昭和四十年代から続いてまいりました国鉄の経営上の問題なりあるいは構造上の変化に十分に対応できなかった政策のゆがみというものがついて回ってきているわけです。その意味では、国を含めて国民全体が感情論を抜きにして物を考えなければならぬ段階に今来たのではないかなというふうに私は思いますが、理由のある範囲の間では私は積極的に清算事業団負担をしてもしかるべきではないか、こういうふうに考えます。  これ以上申し上げますとこれは議論になると思いますけれども、そのことは十分にひとつ念頭に置いてもらいたいと思うんです。あえて私が二度三度この点を申し上げましたのは、財政調整についてとりあえず三年間やってみましょう、三者によるテーブルを設けて勉強もしましょう、見直しをしましょうという話は最終的にここに係る部分も多分出てくるであろうというふうに思うからです。そういう意味では、私の指摘をしている真意を十分に御理解をいただきまして、政治的な判断を十分適切にしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、消費税の見直し議論をするつもりはありませんけれども、あれが思い切った見直しとは言いがたいと思いますし、矛盾も不合理も非常に大きいと思います。  来年度予算編成を行う場合に、当然廃止の法案の処理いかんにもかかわるだろうし、あるいは消費税の見直しによりまして税収がどういうことになるかは定かではありませんが、見直しの中に可能な限り福祉政策に十分配慮をした財源の配分を目指しなさいと、こういう表現がなされているわけです。  その意味でいいますと、年金制度で言えば何といいましても基礎年金部分の充実ということがもう最大の問題意識だろうというふうに私は思います。とりあえず現行では三分の一国が援助しているわけですが、社会党の提案は将来に向かっては三分の二、当面は二分の一。考え方として、四十年間払って五万五千五百円で六十五歳以上の人が生活をしていくのは大変だと、もっとゆとりのある最低保障の生活ができるように金額を充実すべきだ、こういうふうに今回の消費税廃止に関する法案の議論でも申し上げているわけです。金額、割合のことを直ちに数量で申し上げることは難しいと思いますが、私ども社会党が提案をしております思想についてはどういうふうに大蔵大臣はお考えでしょうか。また、年金担当であります厚生省としては、その点についての考え方はいかがでしょう。それをお伺いして質問を終わりたいと思います。
  57. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今大蔵省の事務方がわざわざ紙をくれましたけれども、せっかくのお尋ねでありますから私なりの考え方で、これはあくまでも個人としての考えということをお断り申し上げた上で私の感じを申し上げたい、こう存じます。  自由民主党が提示されました消費税の見直し評価についてはさまざまな角度からさまざまな御意見があろうかと思います。政府としてはこれを受け取り、政府税制調査会の御審議を踏まえ適切な案を最終的に取りまとめる責任を負うているわけでありまして、予算編成に向けて私どもはこの作業に着手しつつあるところであります。  そして、その中において福祉関係に手厚くという御意見があることもそのとおりであります。ただ私は、その場合に、その福祉関係に手厚くというのが直ちに年金に連動するとは考えておりません。むしろ、将来を考えます場合、実は私はこれを発言いたしまして大変な誤解を生みましたけれども、日本の社会福祉というものを考えます場合に、我が国の家族構成は将来どう変わるんだろうか、そしてそれは核家族化の方向に動くんだろうか、世代間同居の方向に動くんだろうかという問いかけをいたしました。そして、私自身は実は世代間同居が望ましいと考えているということも申しました。ところが、これは大変たくさんお手紙や電話で抗議をいただきまして、それは妻や娘やあるいは母親といった家庭の婦人に対して重荷を押しつけるものであって、安上がりの福祉を考えるものだという御指摘を受けたわけであります。大変私は心外でありました。  私が申し上げたかったことは、仮に核家族化がどんどん進み、世代間の扶養というものが少なくなっていくとするならば、我々は将来を本当に年金に最重点を置いた社会保障制度、福祉行政を組み立てなければならないと思います。それは同時に独居老人の問題等に対するための老人ホームでありますとか、こうしたものの整備にも連動をいたします。  仮に世代間同居が今後ともにある程度以上のウエートで残っていくといたしました場合に、年金はもちろん大事でありますけれども、より以上に税制の面で同居をしやすい環境をつくること、あるいはお年寄りでありますとどうしても病気をしがちでありますから、それが家計に著しい圧迫を加えないような医療の部分に対する配慮をより手厚くすること、さらに、むしろ家庭における介護を完全に行える状態をつくりますためには、ホームヘルパーでありますとか訪問看護の体制でありますとか、あるいは家庭におけるリハビリがどうすれば可能になるかといった仕組みの問題、さらには同居を可能とする住宅建設などを含めての問題がありまして、むしろ安上がりの福祉にはならないと私は実は考えております。その上で、私は実は世代間同居の方が将来ともに望ましいと個人的には考えておりました。  その場合には、実は年金よりもまず日本の場合に整備すべきは公共福祉サービスではなかろうか。そして、在宅における老人の生活を可能ならしめる、またそれが家族に著しい負担をかけないで済む仕組みをつくること、そこにまず私は重点が行くべきではないか、個人的にはそのように考えております。
  58. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 大臣の御答弁にさらにつけ加えるものは特にないわけでございますが、念のために申し上げさしていただきますと、現在の基礎年金に対する三分の一の国庫負担というものは、昭和六十年の年金の大幅な改正の際に国庫負担を全国民共通の、政府として発足いたしました基礎年金に集中をしてできるだけ公平な負担にするという趣旨で現在の制度が組み立てられたわけでございます。その意味からしますと、やはり軽軽にこれを変更するというふうなことはいかがなものかと考えます。  現実問題としても現在の三分の一の国庫負担でも、これからの年金給付費の増というものが急激な勢いでふえてまいりますので、現在の制度のままでも国庫負担も相当増高するというふうな状況を考えますと、今後とも国の財政状況は相当厳しいというふうに予測される中でこれを引き上げるというのは大変難しいというふうに考えております。
  59. 板垣正

    委員長板垣正君) 午後一時十分に再開することとし、休憩いたします。    午後零時八分休憩      ─────・─────    午後一時十分開会
  60. 板垣正

    委員長板垣正君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  本日、穐山篤君が委員辞任され、その補欠として八百板正君が選任されました。     ─────────────
  61. 板垣正

    委員長板垣正君) 休憩前に引き続き、国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 共済組合の問題に入ります前に、官房長官に質問いたします。  きのう三時から記者会見を行って、アイヌの問題の窓口をお決めになった、そういう発表がございました。その概要について御報告をいただきたいと思います。
  63. 森山眞弓

    国務大臣(森山眞弓君) アイヌの問題につきましては内容がさまざま多岐にわたっておりまして、またいろいろ難しい問題が含まれておりますので、慎重かつ十分な検討が必要であると、かねて先生からもたびたび御指摘をいただいていたところでございます。このため、既に設置されております北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議というのがございますが、このもとに内閣内政審議室長を議長といたします検討委員会を設けることといたしました。この体制によって検討を進めていきたいと考えております。
  64. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 この問題は私ども社会党の北海道国会議員会といたしまして三年間にわたって要請を続けてまいりました。官房長官もあなたで三人目でございます。三人目にしてようやく実現をさせていただきました。森山官房長官の御努力に対しまして感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。いずれ時を改めまして新法制定の問題については質問をいたしたいと思いますので、ぜひこれから新法制定に向けて一層御努力をいただくようにお願いをしておきます。  ただ、一言苦言をちょっと呈さしていただきたい。それは官房長官にではありません、総務庁の首脳と言われる方に、きょうはいらしているかどうかわかりませんけれども。  きのうの北海道新聞の夕刊にこういう記事が載っておりました。「アイヌ新法「検討委」設置決める」という見出しであります。その中に、前文省略いたしますけれども、  三十日の道代議士会は、道ウタリ協会の「陳情」の形をとっているが、実は直前に代議士会側がウタリ協会に「上京して陳情してほしい」と要請して実現した経緯があるからだ。しかも、代議 士会の前には、「アイヌ新法問題は国会で社会党ばかりが取り上げている。この辺で北海道の自民党のメンツも立ててやらないといけない」(総務庁首脳)といった声もあった。   衆院選挙を目前に控え、与党である自民党に対する配慮が政府内に働き、それが北会長の前向き回答につながったのが実態のようだ。 という新聞であります。行政を預かるいわば役人と言われる方々が余りこういう問題について小手先の政治的な対策をしない方がいいんではないか、そんなふうに思って私は一言苦言を申し上げておきたいと思います。  さて、国家公務員共済組合法の一部改正についてです。  今度の改正によりまして保険料が、財政計算の結果、千分の百十四が千分の百五十二になるわけでして、千分の三十八のアップでありまして、これは組合員の負担は二分の一ですから千分の十九ということになります。平均給与を仮に三十万といたしますと、その千分の十九、月額にいたしますと五千七百円程度のアップになるわけです。これは年間にいたしますと実に六万八千四百円という相当莫大な負担を伴ってまいるわけであります。  それで、この中に、先ほど穐山議員の方からもいろいろと質問がありました鉄道共済分、旧国鉄共済の負担金が一万五千四百八十円も入るわけであります。先ほど大蔵大臣は、これはやはりお互い共済組合同士で協力をしていかなければならない、こういうふうにおっしゃっておりましたけれども、これを国の負担とするべきではないのか、こういう質問に対しまして大蔵大臣は、結局国が責任を持つということになると、これは国民の税金で賄っていかなければならない、こんな答弁をさっきされておりました。  ただ、私考えますのに、これは国家公務員だけではありませんけれども、なぜ特に国家公務員の共済組合の加入者がいわば政府の責任で行ったこの赤字分を毎年一万五千円も負担をしなければならないのか、これは私はどうしても理解できないわけであります。これは国の政策として行ってきた国鉄の民営化の問題ですから当然やはり政府も何らかの形でこれに対処するべきでありまして、同じ国家公務員という名のもとにだけ、その理由だけで国家公務員にこれだけの負担を強いるということは私は理解できない、そう思うんです。いかがでしょうか、もう一度お答えいただきたいと思います。
  65. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変失礼でありますが、委員何か誤解をしておられるように思います。と申しますのは、私は国家公務員共済との相互の云々といった御答弁を申し上げておりませんし、先ほど穐山委員からそういう趣旨での御質問もなかったと理解をいたしております。国家公務員共済と鉄道共済との間、旧国鉄共済との間における関係と申しますものは、むしろ昭和六十年以降、本法を考案をいたすまでの間、共済相互間のいわば助け合いといったものがあったことは承知をいたしておりますけれども、これについて穐山委員から御質問はございませんでしたし、私は御答弁も申し上げておりません。  ただ、先ほど御論議がありましたのは、鉄道共済問題についての御意見と同時に、制度間調整法につきまして厚生省にも御質問があり、また私の方にも御質問をいただきましたけれども、公的年金制度一元化に向けての、穐山委員の御指摘ではたしか段階という言葉をお使いになったと思いますけれども、その段階としての制度間調整、この制度間調整が発足をする時期にたまたま鉄道共済及びたばこ共済がいわば受け手になった、恩恵を受ける立場にあった、そういう趣旨の御答弁は申し上げましたが、国家公務員共済との調整問題というものは御論議がなかったと記憶をいたしております。
  66. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 直接、国家公務員共済が負担をすることについて云々という質問はしておりませんでしたと思います。ただ、当然これは国鉄という国家事業の問題であるだけに国の責任としてこれは解消していくべきではないのかというような質問に対しまして、国が責任を負っていくということになれば、それは国民全体が責任を負わなければならない、結局国民負担において行わなければならない、こういう答弁をしたと私の方にもメモしてあるんですけれども、それは国全体として鉄道共済の赤字を埋めるということになりますと国民負担ということになると思うんですけれども、私はそれはそれとしてやっていかなければならないだろうと思う。政府の政策の変更を行うとか、そういった形の中でこの負担を行うべきであって、同じ国家公務員であるがゆえにまず国家公務員の共済組合に対して負担を今まで強いてきた、そういう形というものは私はとるべきではないだろうというふうに思うわけです。そういう点についてお尋ねしておきます。
  67. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 大変恐縮でありますが、今回制度間調整法の対象になりますのは公的年金全体でありまして、そういう御趣旨でありますならば、最大の拠出者に当たるものは厚生年金であります。  また、国家公務員共済と国鉄共済との助け合いの関係と申しますものは、国鉄国会におきましても委員も御質問になられたような記憶がございますけれども、六十年度からスタートをいたしておりまして、その時点における御論議が私はいかなるものであったかは存じませんけれども、院において御了承を得て制度として施行されたものと私は理解をいたしております。  そして、今制度間調整法として御論議をいただいておりますものは、平成年度を目途に公的年金制度一元化に向けてのステップの中で、負担給付の公平という、その目標に向けてのステップの中で今回その制度論議をされている。その中においてたまたま鉄道共済とたばこ共済が受け手の立場にお立ちになった。先ほど来の御論議もそういうふうに私は申し上げてきたつもりであります。  また、それが他の公的年金制度とは全く問題を別にして鉄道共済にのみ特別な国庫負担をしろという御指示であるとするならば、それについては私は遺憾ながら同意はできません。それは穐山委員の御論議にもございましたけれども、旧国鉄時代からのさまざまな要因の中で鉄道共済は今日の状況を迎えているわけでありますので、これは旧国鉄に責めを負わすことのできない事由ももちろんございます。しかし同時に、制度面におきましてあるいはその運営におきまして旧国鉄共済というものが持っておりました問題点がそのまま拡大し、状況を悪化させたものがあることも御承知のとおりであります。そうした中で、今回御論議をいただきます以前に、かつての使用者としての国鉄が負担すべきものにつきましては、国鉄の分割・民営、JR各社の新たな発足という事態に立ち至ります過程において、清算事業団に四兆七千億の枠が用意をされたということでありまして、これは清算事業団における今後解消すべき債務の一つの大きな部分になっております。  また、今回の改正法の中におきましても、衆議院におきまして与野党のお話し合いの上で修正をいただきましたけれども、政府原案として清算事業団に八百億の負担を求めておりましたのは、かつての使用者としての旧国鉄のその時期における負担の十分でなかった部分について着目をし、今回の負担をいただいたわけでありまして、それなりに私どもは対応してきたつもりであります。  そして、特例の拠出を鉄道共済にのみ国が負担をするということにつきましては、これはもう委員よく御承知のとおりに、この鉄道共済に対しての援助措置を確定するまでの各界の御議論を御想起いただきまして、特別の負担鉄道共済にのみ入れることを世の中がお求めになるという雰囲気でなかったことも御承知のとおりであります。
  68. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 たまたま今当委員会国家公務員共済組合法改正問題が議題になっておりましたので国家公務員負担の問題に触れたわけですけれども、今大臣がおっしゃるように確かに厚生年金に一番負担を強いておりますし、また地方公務 員の共済組合そのほかいろいろな各共済組合がみんな負担をしているわけですね。ですから、いろいろとそういう論議がありますでしょうけれども、国の責任において国鉄の分割・民営化を行った、そういった政治的な背景を考えた場合に、同じ共済組合という名のもとに他の共済組合にそういった負担を強いるということはこれは一体どういうものなんだろう、そういうふうに考えているわけでありまして、当然これは国が国の大きな政策の中で、その政策の変更の中からこういった赤字分というものを埋めていくのが妥当ではないだろうか、そういうふうに私は考えているわけであります。そうでなければ、今申し上げましたように、国家公務員が毎年この鉄道共済の分だけでも一万五千円を超える負担をしていかなければならない。これは大変なことであります。  その問題は全く見解の相違がございますからこれ以上申しませんけれども、例えば今度の共済の改正によりまして千分の三十八ずつ仮に五年間ごとに財政調整を行って負担を強いていくということになりますと、これは最終的には千分の三百四という数字になるわけでありまして、組合員の負担だけでも千分の百五十二、これは大変な負担になるわけですね。恐らく現在の共済組合員の負担している掛金の二・七倍くらい負担になるんではないだろうか。これはもう公務員としての負担能力を超えるものでありまして、こんな大きな負担を強いるということになりますと、将来の生活設計においても大きな不安を持つんではないだろうか。  そういうことで今後こういった大幅な財政調整というものを一体続けていっていいんだろうか、こういうことについてどうお考えでしょうか。
  69. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回の措置は、平成年度年金制度一元化、その地ならしとして制度間調整をひとつやっていただこう、片方で、先ほど来大臣の御答弁がありましたように、鉄道共済の問題につきましてはその制度そのものあるいはその制度の運用について問題があったこと、あるいはモータリゼーション等経済構造の変化等々があったこと、この二つの側面があり、まずこういった側面の分析を通じて本来鉄道共済自身自助努力最大限要求されるということで、自助努力を中心に千五百五十億円の自助努力、それに制度間調整法年金一元化というものを展望しながら各公的年金の御協力をいただいたということできたものでございます。  先生おっしゃるように、これまでは国家公務員共済組合あるいはNTT、たばこといった共済グループでの五十九年改正に基づく財政調整事業というのがございました。その際、特別の保険料を徴収しておりましたんですが、今回のこの制度の結果、平成年度からはその国鉄救済分についての特別の保険料というのは国家公務員共済組合等においては織り込んでいないということでございます。
  70. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 年金一元化の問題はありますけれども、いずれにしても国家公務員共済組合の掛金率というものが今の状態で上がっていくことだけは、これは否めない事実だと思うんです。そういうことになりますと、相当の負担増加というものが見込まれるんではないだろうか。だから、将来こういった大幅な負担増加ということに対して大蔵省として一体どう考えるのか。もし二・七倍の負担ということになりますと、これはやっぱり生活設計にも大きな影響が出てくるわけでありますので、当然これは一元化に向けてやっていらっしゃるんでしょうけれども、せめて基礎年金分くらいは国庫負担負担率というものをもっと上げていくべきではないんだろうか。そういう形をとらなければ、この二・七倍の負担というものはどうしても消すことができなくなるだろうと思うんです。そういう点についてどうでしょうか。
  71. 小村武

    政府委員(小村武君) 将来の保険料負担、これがどの程度になるかというのはやはりその給付体系をどう持っていくかという問題であろうかと思います。支給開始年齢の問題あるいは給付水準の問題等々についてさらにこれから検討を加えられるものと存じますが、いずれにいたしましても年金制度そのものは一元化方向に向かって、各年金とも高齢化社会に向かってやはり負担増加は避けられない。  その際、社会保険料負担で求めるのか、税負担で求めるのかという問題がございますが、私どもはやはり社会保険方式によって給付負担の関係を明確にしながらこの制度を維持していくというのが望ましいと思います。究極的には社会保険料及び租税負担の合わせたものが国民所得に対してどの程度の負担が許されるかという議論がいろいろございますが、先般の臨調答申等ではやはり国民所得に対して負担率が五〇%を下回る水準が望ましいというような指摘がございます。さらに、どちらかといえば社会保険料負担によってそれは高齢化社会に対して対応していくべきであるという答申がございます。
  72. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 社会保険料の負担増ということになりますと、先ほど来心配しているようなこのままの状態でいけば最終的には負担が二・七倍くらいに上がる、そういう心配は当然出てくるわけですね。それは生活設計をもう超えるものだ、これだけ負担を公務員にさせるということはやっぱり問題があるだろう。  ですから、当然それは国庫が負担をするべきであって、その国庫負担によって少しでもやはり掛金のアップを抑えていくということを考えるべきではないのか、そういうふうに思うわけです。国庫負担基礎年金について今三分の一ですか、それが二分の一程度に仮にふえたとした場合、その時点ではもう一度財政計算をして、そしてこの掛金率というものを下げる、そういうことは当然考えられてしかるべきだと思うんですけれども、その点についてはいかがですか。
  73. 小村武

    政府委員(小村武君) 先ほど来御答弁申し上げておりますように、現在年金に対する国庫負担基礎年金の三分の一、各制度共通でセットをさしていただいております。  これにつきましては、私ども年金につきまして、受益と負担の関係が明確になる社会保険方式が望ましい、あるいはこのままの、今のままの国庫負担率においても高齢化社会に向かって大変な負担増加になる。その上に、高齢化社会は医療や福祉の面でますますその財政需要がふえていく。こういった中で社会保障の分野においても、年金保障あるいは医療保障、福祉等々の分野でバランスのとれた社会保障制度を構築していくにはどうすればいいかという観点に立ってみましても、やはり現行の基礎年金に対する三分の一の国庫負担というのが適当ではないかというふうに考えております。
  74. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それでは結局は公務員の掛金というものはそれこそとどまるところを知らないくらいにこれから伸びていく。そして最終的には、先ほど来申し上げているように、現在の負担の二・七倍くらいにまではね上がっていくだろう、こういうことを考えたときに、これはやっぱり国の負担というものは何らかの形で私は考えるべきだと思うんです。  保険料率というのは労使折半を改めて事業主負担というものをもっとふやすべきだという意見が随分これまであったと思います。今全くの折半でございますけれども、これを例えば六、四にするとか、七、三にするとか、事業主負担というものをもう少しふやすべきだという意見が今日まで随分なされてきたんですけれども、そういうことについていかがでしょうか、検討したことがございますか。
  75. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず委員に申し上げたいのは、国家公務員負担を減らすために、一般国民の税金を国家公務員の共済掛金の引き下げのために投入するということが果たして国民の合意が得られるかどうかといえば、私は到底それは得られるものではないと思います。  また、今その労使折半の原則というものを崩していわば使用者側の、事業主側の保険料負担を多くしろという声についてのお尋ねであります。これは中小あるいは零細事業の事業主を考えますと きに到底負担にたえられるものではないと考えておりますし、またその能力のある人だけがそれをするというのでは、これを実施するというのでは国民の中に不公平を生ずることであることも間違いがありません。むしろ、労使折半原則というものは今後ともにやはり継続していくべきものでありますし、その仕組み全体が長もちをしていくためにも制度間調整考え方を取り入れて御審議をお願いしている、そのように理解をいたしております。
  76. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 誤解を招いてはいけませんので申し上げておきますけれども、国家公務員の共済組合だけを七、三で、もっと事業主負担せいと、私はこう言っているのではありません。たまたま今国家公務員の共済組合法の審議を行っておりますので、一つの例として申し上げているんですけれども、保険制度そのものが、共済組合事業そのものがすべての各組合において労使の折半というものは基本的に改めるべきだろう、そんなふうに私は思うわけです。これは単なる民間の保険と違うわけでありまして、当然これは社会福祉制度の一環だというふうに考えた場合に、やはりもっと国がこういったものに対する、年金制度に対する国家負担というものは今後増強していくべきだ、そういうふうに私は考えておりますので、必ずしも折半というものが正しいというふうには私は考えないわけであります。  次の問題ですけれども、消費税が随分国民の生活を脅かしているわけでありますけれども、日本生活協同組合の調査によりますと、これはことしの十一月八日の新聞に発表されておりましたけれども、負担金額が半年間で大体四万八千五百一円、一世帯の平均ですけれども、そのくらい負担になっているようであります。それで平均家族が三・七人、こういうことでございます。それからいたしますと、半年間の負担が四万八千五百一円、それを六カ月で割りますと大体月八千円くらいになるんでしょうか、三・七人家族平均ですから、大体一人当たりにいたしますと約二千二百円くらいの消費税による負担がなされているわけであります。  それで、今度のこの公務員の共済、いわゆる年金のアップ率というのは実質三・六%、こういうことですね。そうしますと、平均的な年金の金額にこの三・六%を掛けてみますと大体約七万八千円くらいだろうと思うんです。そうすると、月額六千五百円くらいしかアップしてないんでないだろうか。消費税で約二千二百円くらい差っ引きますと、実際に上がる年金額というのは四千二、三百円くらいにしかならないんじゃないだろうか、こんなふうに思うわけです。ですから、せっかく年金がアップいたしましても、消費税の負担分を差っ引きますとそれほどのアップになっていないというのが実態なわけです。  それで、前の竹下総理大臣は、こういった方々に対しましていわゆる国の歳出面で協力をしていきたい、こんなようなことをおっしゃっていたと思うんです。いわば低年金者と申しましょうか、そういう人たちに対する一体福祉対策というのはどういうふうになっているのか、その辺についてお聞きしたいんです。
  77. 小村武

    政府委員(小村武君) 消費税の導入に伴います歳出面の措置といたしましては、まず六十三年度補正予算におきまして臨時福祉特別給付金の支給を約七百十万人の方々に七百四十五億円の給付をいたしました。これは消費税の導入の影響等の激変緩和措置ということを目的としたものでございまして、対象者は高齢者、障害者、母子家庭、その他生活保護あるいは原爆被爆者等々の方々でございます。  こういった措置のほか、社会福祉・医療事業団に対して百億円の出資をいたしまして、いわゆる在宅看護のための三本柱と言っておりますものの緊急整備を補完するものとして資金の手当てを行いました。そのほか、元年度予算におきましては、これは生活保護者につきましては消費税の影響等を盛り込みまして標準世帯で四・二%の扶助基準の引き上げを行ったり、あるいは公的年金につきまして、ただいま御審議いただいておりますように、十月実施年金制度財政計算に伴う年金額引き上げにつきまして四月から実施するとか等の措置を講じてまいった次第でございます。
  78. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そうしますと、低年金者に対してもそういった今説明されたような福祉対策というものは実際に行われているというふうに理解してよろしいんでしょうか。
  79. 小村武

    政府委員(小村武君) 六十三年度実施いたしました臨時福祉特別給付金の対象者には、老齢福祉年金受給者あるいは障害福祉年金受給者、特別障害者手当受給者、特別児童扶養手当受給者等等の方々が含まれておりまして、したがいまして激変緩和措置として直ちに措置をしなきゃいけない人たちにつきましてはこの一時金をもって対処されているものと理解しております。
  80. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 ということは、いわゆる低年金者、生活保護世帯よりもちょっと上程度でしょうか、そういう方々にもそういった制度が行き渡っているというふうに理解していいんですか。
  81. 小村武

    政府委員(小村武君) 今般のこの共済年金改正法をお認めいただきますと、完全物価スライド制が導入されております。消費税の導入に伴いまして消費者物価が上昇いたしますとその分は年金額に自動的に反映できるというシステムが組まれているものでございます。
  82. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 何かちょっと答弁が違うところにいっているようなんですけれども、竹下元総理が、いわゆる消費税による負担増加というものは減税効果のないような低年金者とか低所得者に対しては国の政策の中で歳出でもって面倒を見るんだ、こう言ったわけですね。ですから、そういう今あなたがお答えになったようなところが本当に低年金者に対してもきちっと行き渡っているんですかということなんです。物価の問題なんというのは別の問題なんですよ。
  83. 小村武

    政府委員(小村武君) 我が国の社会保障制度は、高齢者であるとか障害者であるとか、あるいは生活保護、特定のハンディキャップに着目していろんな制度が構築されております。こういった制度の充実を通じて先生御指摘のような措置が講じられているという趣旨でございます。
  84. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 極めて抽象的なので、要するに減税効果が行き渡っていない年金生活者は消費税分だけは負担増になっているんですよね。だから、その負担増になっているものを何らかの手当てをしていますかということなんです。実際にはしていないということだと思うんです。  それで、今物価スライドの問題が出ましたので、それじゃ物価の問題についてちょっと触れておきたいと思うんですけれども、物価スライドということになりますと、年金生活者の生活レベルというのは一つも向上しないわけですね。春闘で賃金が大体ことしでもって五・一七%ぐらい上がっています。そうしますと、その中で物価の面というのは〇・七%くらいということになりましょうか。ですから、四%以上という賃金のアップのものはこれはすべて生活レベルのアップにつながってくるわけです。  ところが、年金生活者というのは物価のスライドだけしか面倒を見てもらえないわけですから生活レベルというのは一つも向上しないということにつながってくるわけです。だから、現役のサラリーマンと年金生活者とそんなに差をつけていいんだろうか。こういうことを考えたときに、やはり年金生活者も少しでも生活レベルをアップさせようというふうに考えるならば、これは物価スライドでなくて賃金スライドに切りかえてもう一度改めていくべきだという考え方を持っているんですけれども、どうでしょうか。
  85. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 年金制度全般に共通する問題だと思いますので、私から現在の仕組みを申し上げてみたいと思います。  公的年金制度、共済組合関係も含めまして、厚生年金もそうでございますが、毎年の物価の上昇に対応いたしましてその上昇分をそのまま翌年の年金水準として新しく物価スライド分だけ必ず引 き上げるというふうな仕組みになっておりますし、特に今回の法律改正におきましてはそういったこれまでとってきました政策を完全に自動的に行う、完全に物価スライドを行うという仕掛けを組み込んでおるということは一つ申し上げておきたいと思います。 そういうことで毎年の価値の維持という意味では、確実に公的年金は物価の上昇に応じまして価値の維持が図られるというのがまず第一の公的年金の一つの使命かと存じておる次第でございます。  それから、それだけではございませんで、年金仕組みの中では五年に一度が通例でございますが、財政計算というものを行う仕組みになってございます。その中におきましては、例えば厚生年金で申し上げさせていただきますと、五年前と現在との全体の賃金水準の伸びに合わせまして御本人の持っております過去の賃金水準もその上昇率に合わして伸ばしまして、それを前提にして年金額計算をする仕組みにしてございます。  したがいまして、五年に一度というふうな一つのラグはございますけれども、制度的には生活水準なり賃金水準なりの上昇に応じまして、既裁定年金も含めまして、年金の額が改定されるというふうな仕組みになっておりますので、今御指摘のような意味では、毎年毎年の分については賃金スライドではございませんが、制度全体としては賃金水準なりの上昇に応じて確実に年金額が保障されていくというふうな仕掛けになっておることを御理解願いたいと思います。
  86. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 五年に一回は確かにそういった財政計算で賃金の面も加味されるということはわかりますけれども、それはあくまでも五年に一遍の話であって、それじゃその四年間というものはどうなのかといえば物価のスライドにしか合わせてないわけです。ですから、その間においてはサラリーマンというのはどんどんベースアップがされていく、しかも今はベースアップが昔の物価スライドと違いまして生活レベルの向上の方に相当厚くされているわけです。アップされているわけです。だから、現役のサラリーマンと年金生活者の生活水準というのはだんだん差がついていくというのが今の状態だと思うんです。  ですから、私は五年に一遍なんということではなくして毎年やっぱり賃金スライドというものをきちっと行っていくべきではないだろうか、それでなければその四年間だけは差がついてもいいんだということになると思いますので、これはぜひ賃金スライドで今後やっぱり考えてほしいということなわけであります。  それで、年金生活者というのは物すごく生活水準が低いという実態について、これは国家公務員ではないんですけれども、ある地方都市の都市共済の年間生活費の比較をしたのがあるんですけれども、例えば世帯主が七十三歳で妻が七十一歳。生活保護世帯で年間生活費というのが百九十四万一千九百円という数字が出ている。これに対しまして年金受給世帯、この方の共済年金受給額というのは約二百十万円なんです。これは平均よりどうなんでしょう、大体平均くらいでしょうか、ちょっと低いでしょうか。この方が、国民健康保険税というのが物すごく高いですね、十万七千五百円、固定資産をちょっと持っておるので五万七千円、それでも道市民税はゼロなんですけれども、それだけを差っ引きましても百九十三万五千五百円。もうこれは生活保護世帯よりも低いという実態があるわけです。これは地方都市の都市共済の一例ですけれども、恐らく国家公務員でも同じようなことが言えるんじゃないでしょうか。  ですから、今まで何十年も一生懸命働いて国家のために尽くしてきた、そういう年金生活者の中にも依然として生活保護世帯よりも低い年金で暮らさなければならない、そういう実態があるということについてどうお考えでしょうか。
  87. 小村武

    政府委員(小村武君) 年金は老後生活を支える主な柱でございますが、これのみで生活を設計するということではないと思います。各自老後の設計について個人によっていろんな生活の設計がございますが、強制保険たる公的年金につきましては老後生活の主たる柱になるその水準を設定しているということを御理解願いたいと思います。
  88. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 社会福祉国家と言われる、それを標榜している日本で、老後の生活が年金だけで支えられるものではないということを、政府の高官がそういう基本的な考え方を持っているというのはこれはもう心外ですね。そんなことで日本が社会福祉国家なんということを標榜しているなんて私は言えないと思う。  日銀の調査を見てみますと、「貯蓄に関する世論調査」というのがあるんです。十月、ついこの間発表したんですけれども、これを見ますと、貯蓄の目的というのは一位が病気、災害に備えてというのが八〇・五%、その次が老後の生活資金に充てるというのが五一・五%。この二つは国の一番大切な社会福祉の政策の中に入るものではないかと私は思うんです。だから、例えば先進諸国で社会福祉が非常に進んでいる国家のこういう同じような統計なんか見たことがありますけれども、老後の生活に備えてとか、病気、災害に備えて貯金しているなんていうのは余り聞いたことがないですね。  私は、ある国の人と話し合ったら、日本はこういう実態ですと言ったら、何のために社会福祉がされているんですか、年金は出ないんですかなんていう反論をされたことがありましたけれども、やっぱり国の政策そのものが行き渡っていないからやむなく貯蓄をしていかなければならないというのが今の日本人の現状だと思うんです。少なくとも社会福祉を標榜する国であるならば、やっぱりもっともっと国が責任を持って、老後は年金で安心して暮らせるような、私はそういう形をとるべきではないだろうかというように思います。  昭和六十二年七月二十三日に企業年金等研究会というのが斎藤厚生大臣に「厚生年金基金の育成普及方策のあり方について」という報告を出しているわけです。これを見ますと、「安定した老後生活を送るためには、平均的な被用者の退職前年間所得の少なくとも六割以上を厚生年金給付厚生年金基金給付とで賄いうるようにすることが望ましい。」、こう書いておるわけですね。これは厚生年金のことですけれども、ほかの共済年金も同じだと思うんです。国家公務員の場合には、六割以上の共済組合での負担をしているところが多いと思うんですけれども、まだ六割を切っている人だってあるわけですね。  ですから、今あなたがおっしゃるように決して共済組合年金だけで老後の生活ができるものではないと言うのは、これは私は当たらないと思うんです。こういった報告書を見てもそういう精神にはならないだろうというふうに思いますので、そんな考え方をぜひ改めていただいて、今後少なくとも年金で十分国民が生活できるような対策というものを一元化に向けて考えていただきたいものだというふうに思います。  防衛庁長官がいらっしゃいましたので、年金問題一時中断いたしまして「なだしお」の問題、この間質問をしておりましたので、その後の問題についてちょっとお聞きをしておきたいと思います。もし時間が余ればまた年金問題に入りたいと思います。  前の委員会からもう半月くらいたっているわけでございますけれども、「なだしお」の航泊日誌が改ざんされたんではないかというような問題について幾つかの疑問点を私は提起いたしました。この点について検討してみたでしょうか、いかがでしょうか。
  89. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 防衛庁といたしましても事故後割合早い時期に調査をしまして、整理、清書といいましょうか、書き直しの事実があったことはわかったわけでございますが、その後も機会あるごとに事故防止という観点からいろいろ調査も行っておりますし、前回の当委員会における山口委員の御質問にもこたえまして、つい最近もいろいろ事情を聞いたりいたしましたが、御承知のように関係書類は海難審判庁の方にございまして、そこにおのずから限度があるということでございますが、しかし調査しました結果は前に答弁 したことと変わりはないということでございます。
  90. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 改ざんはしていないということですか。
  91. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 書き直したことは事実でございますが、改ざんという言葉は当たらないと考えております。
  92. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 その書き直しの内容が実際と合っていないということについてはお認めになりませんか。
  93. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) 衝突時刻が今問題になっているわけでございますが、衝突時刻につきましては海難審判の第一審におきまして十五時三十九分少し前ということで、これは海上保安庁からお答えをいただくべき筋合いのことでございますが、航泊日誌だけではなしにいろいろな状況を総合的に勘案して十五時三十九分少し前ということで御認定をいただいておるわけでございます。そういう意味では四十分と三十八分、両方とも三十九分少し前というものとのずれはございます。
  94. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 いずれにしても、四十分というのは航泊日誌には出ておりますけれども、間違いだったということですか。
  95. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) 前回も御答弁申し上げましたが、三十八分と四十分という二つの数字が記録にあったわけでございまして、そのうち、より正確なものはどもらであろうかということで、艦長の判断のもとで四十分にしたと、その時点ではそういう判断をしたということでございます。
  96. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 山下艦長が、速力通信受信簿は速力通信機がコンピューター化されているので機械が書くから航泊日誌の方が正しい、こう言ったことがあるんですね。ところが、航泊日誌と通信簿を見ますと、これは手書きになっているんですね。コンピューター化しているから、それは機械が書くんだから正確だと言ってるんですけれども、何も機械が書いてない、全部手で書いている。  それで不審に思いますのは、十五時三十八Z、これは機関停止という意味でしょう。同じく三十八分BI、これはバックワン。これはよくわかりませんけれども、船をバックするための何か、ワンというのはどういう意味だかわかりません。それからBフルと書いてあるんですけれども、これはバック、後進いっぱいということのようですね。その次に、四十分としてZ、これは機関停止の意味でしょうね。同じく四十分衝突警報と書いてある。どういうわけかこれは矢印で入れ違いにしているんです。衝突警報が四十分に鳴ったということは、警報が鳴る前に衝突するはずがないんで、警報が鳴ってから衝突したというふうに当然解釈できるわけですね。そうしますと、これはどうしてもつじつまが合わなくなるんです。だから、あえて通信簿の方も改ざんしたんでないだろうか。通信簿に合わせて航泊日誌を書いたと言うんだけれども、両方とも一緒に改ざんをしたというふうにしか私どもとしては考えられない。  これは、もし二分間違うということになりますと、艦長としての責任というのは非常に大きいですね、違いますね。三十八分というのと四十分、二分間のずれがあるということはそれだけ余裕を持っていたということにもなるわけでして、その二分間の間にやったけれども衝突せざるを得なかったということになるんで、これは艦長としての責任問題には大変影響してくるわけです。そういうことから言って、どうもこの通信簿そのものが改ざんされていたというふうにしか考えられないんですけれども、どうでしょうか。
  97. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) 私どもが関係者から事情を聞いた中では、通信簿につきましては書きかえをした事実はないというふうに承知をいたしております。
  98. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 そして、小林訓練課長はこのことについてこう言ってるんですね。専門の要員が常に時刻を確かめて記録していた速力通信受信簿の方を採用したと、航泊日誌を後で訂正する整理は比較的よくあることだと、こういうふうに新聞で言われているんです。  しかし、速力通信簿というのはあくまでいわばわき役ですよね。主役になるのはこの航泊日誌の方でしょう。だから、航泊日誌については訂正するときには二本線を引いてきちっと直しなさい、決して一ページ削除するようなことをしてはならない、物すごく厳しく書いてある。主役だからです。しかも、これは裁判では非常に大きな影響力を持つ航泊日誌です。税務関係で言えば元帳に当たるものです。非常に重要なものなんです。ですから、そういうことから申しますとやっぱり主役はこちらの方、航泊日誌であって、速力通信簿というのはこれはあくまでもわき役だというふうに思うわけです。  そこで、もう一つ問題を進めますと、「なだしお」が横浜の海上通信隊へ第一報を送りました。それは三十八分衝突というふうに打電しておりますね。これは間違いないですか。
  99. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) そのように承知をいたしております。
  100. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それからもう一つは、審判では三十九分少し前衝突というふうに言われておりまして、それに対しても山下艦長は認めておりますね。この点いかがでしょうか。
  101. 米山市郎

    政府委員(米山市郎君) 衝突時刻につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、三十九分少し前ということで、防衛庁関係者も何らそれに争いを差し挟んでいるものではございません。そのような認定として受けとめてございます。
  102. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 時間がないんで先へ急ぎますけれども、第一報で三十八分衝突と打電していることは、これは衝突直後のことですからこの打電は正しかったと思うんです。そして、審判で三十九分少し前ということを艦長が認めたのもこれは正しいと思う。ところが、実際には四十分衝突というようにこれを改めているというところに非常になぞが秘められていると思うわけです。これはさっき言ったように明らかに艦長が責任を回避するためにこういう形をとらざるを得なかったんだろう、そういうふうに思うわけであります。  この真相については、ちょうどきょうも審判が行われていたようでありますし、これから続くでしょうから、そちらの方に任せるといたしまして、非常に多くの疑問を持っている内容であります。こういう点については防衛庁長官といたしましてももう少しやはり真剣に、克明にお調べになった方がよろしいんではないだろうか、こういうことを私は申し上げておきたいと思います。  そこで、二、三ちょっと問題提起をしたいんですけれども、一体なぜこんなことが起きたのかということなんですけれども、これはよく言われているように、山下艦長がまさに陸上であれば無免許で車を運転していたと同じだと、こう言われているんです。一般の船長は船舶職員法に基づいて当然海技免状というものを取らなければならない。ところが、海上自衛隊の場合にはこういうものは取らなくてもいいわけですね。海上自衛隊の中でそういった許可を出しているわけです。少なくとも浦賀水道というのは一般の船舶が物すごく往来しているわけです。そういう中で普通の免許も与えないで、自衛隊の中だけで許可を与えるような免許制度というものは私はやっぱり改めるべきじゃないかというように思うんですけれども、どうでしょうか。
  103. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ただいま委員御指摘になりましたように、自衛隊の資格につきましては自衛隊法の百十条において船舶職員法の適用を除外しておりまして、百十一条の中で自衛隊の独自の基準で定める形になっております。  その趣旨は、もちろん海上交通の関連法規あるいは航法等に関しまして要求される知識等につきましては、共通なものとして民間の場合と同様でございますが、それだけではなくて、それに加えて自衛艦の場合の操艦の特殊性ないし構造の特殊性がございますので、それに見合ったものを付加しているということからきているものでございます。  民間と共通に要求される部分につきましては、防衛庁における海技試験におきましても、民間に おいて必要とされる知識、技能の部分につきまして、運輸大臣の行います海技従事者試験の内容、基準を利用することによりまして民間の船舶職員の知識のレベルをそこに確保するという形にいたすとともに、実際の運用におきまして、試験におきまして、海技試験を実施する組織として設けられております中央海技審査委員会あるいは地方海技審査委員会委員に運輸省の海技試験官を委嘱するなどいたしておりまして、その辺の試験の厳正さ、公正さの保持は確保しているつもりでございます。したがいまして、そのようなことから我我といたしましては現在の制度を変える必要はないというふうに考えておる次第でございます。
  104. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 商船の船長なんかから今度の事件につきまして――今あなたがおっしゃっていたように、自衛隊の中で免許を与えている、だから同格のものを持っているんだという趣旨の発言をしておりましたけれども、山下艦長のあの判断というのは普通の船員では考えられないということをよく言っていますね。例えばこちらの左の方からヨットが来た、潜水艦がヨットをよけようとした。これは常識で考えたって、私はヨットをやっていないからわからないけれども、ヨットというのは一メートル前でもぱっとどこでも方向転換できるんだそうですね。だから、そのヨットをよけようとするようなそんな甘い判断をするような艦長というのは一体ちゃんとした免許を持っているんだろうかという疑問さえ持たれているわけでして、こういうことについては一度やっぱり私は検討をしておいた方がいいんじゃないかなと思うんです。  それから、海難救助についてももう少しやっぱり海上自衛隊に少なくとも義務づけをするようなことをした方がいいと思うんです。  最後に、時間がありませんので防衛庁長官にちょっとお聞きしたい。  この小林海難審判庁長官といいますと裁判所で言えば裁判所の長官になると思うんですけれども、その方がこの事件が起きた後に記者クラブにあらわれまして、「なだしお」が一方的に悪いとは言えない、船員定務だと、これはモラルの問題だというわけです。だから、両方ともモラルをきちっとしていれば起きなかったことだというふうに言ったそうであります。これは事故の直後でありまして、まだ取り調べも行っていない中で、少なくとも今後どういうふうにこれを審査していかなければならないかというその審判庁の長官たる方がこういう発言をしたということは、これは裁判に対する一つの介入だろうと思うんです。こんなことはいまだかつてなかったことでありまして、これはもう異例なことだと言われておるわけです。さすがにこれは大変だと思ったのでしょう、後日、記者の方々に、こういうことは言わなかったことにしてもらいたいということを防衛庁の役人が回って歩いたということを言われております。こういう事実を一体どうお考えになるでしょうか。  一連のこの事件というものは、海上自衛隊というものが極めて閉鎖的な、そういう中から起きた問題だというように私は思うわけであります。ぜひシビリアンコントロールの精神をひとつ防衛庁長官として発揮されまして、制服組の言うことだけが正しいなんというふうにお考えになったのではシビリアンコントロールというのは一体どこへ行っちゃうのかわかったものではありませんので、もっと海上自衛隊そのものを開かれたものにするように御努力をいただきたいと思うんですけれども、この小林海難審判庁長官のこういった発言の問題についてどうお考えでしょうか。
  105. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 海難審判庁の長官という方ですか、言われた言葉についてはその場で私は聞いておりませんので、正確にどういうワーディングが使われたのかつまびらかにいたしませんし、それは不適当だと判断されたと委員御指摘でありますので、そのとおりに承って、これについてコメントする立場には防衛庁長官はございません。  ただ、一言申し上げたいのは、この書き直しは大変国民の皆様に誤解を与えましたので遺憾に存じ、申しわけなく思っておりますが、ある予断を持っていろんな角度から悪い悪いと言われることがどういうことかという感じがするわけでありまして、これは第三者機関であります海難審判庁あるいは検察庁で公正に最終的には何が事実だったかということで判断されるわけでありますので、それまではもう少し何といいますか、オープンな立場で、余り一定の予断を持って悪い悪いと言われる前にしばらくその時間を待ってくださいと私は申し上げておきます。
  106. 山口哲夫

    ○山口哲夫君 それじゃ最後に一言だけお聞きしておきますけれども、審判庁においてこれが明らかに改ざんであったという事実が明らかになったときには、当然防衛庁長官として責任をおとりになりますね。
  107. 松本十郎

    国務大臣松本十郎君) 海難審判庁内でそれがどういう判断が出るか、出た上のことでございまして、仮定の御質問にはお答えすることはできません。
  108. 大城眞順

    大城眞順君 私は、問題を一点に絞りまして、厚生省のみに御質疑を申し上げたいと思います。  沖縄は御案内のとおり復帰してから十七年を経過いたしましても、なおかつ戦後処理そして復帰処理まで山積しているような状態であります。そういった中で、当然本土と同一であるべき諸制度の中にもいろんな格差が生じております。その最たるものは厚生年金格差であります。沖縄の厚生年金受給者年金額は本土と比較いたしまして大幅な格差が生じておることは御承知のとおりであります。その根本的な原因は、沖縄が戦後二十七カ年にわたり本土より行政分離されたがために、年金制度の発足がはるかにおくれたことにより加入期間が短いことであります。  そこで、復帰の際に本土の制度に包括継承されたわけでございますけれども、その特別措置は、沖縄の旧厚生年金加入日である昭和四十五年一月一日から起算いたしまして満六十歳に達するまでの加入期間が二十年未満の者に対して、年齢別に加入期間を短縮いたしまして受給資格を与えたにとどまっておるわけであります。これはあくまでも受給資格でありまして、同等の額の受給額まではいっておりません。公務員共済年金及び国民年金の加入者の加入時期がそれぞれ昭和二十一年と昭和三十六年への遡及適用の特別措置によって本土並みに是正されたにかかわらず、厚生年金制度の施行が昭和四十五年に固定されておることは、年金制度の施行がまさに他の年金との整合性においてあるいは公平性において欠けておるところがあろうかと思います。これはやはり法のもとの平等あるいは無差別さをうたう憲法十四条の精神にも反する気がいたすわけであります。  それでは、ちなみにどれほどの格差があるかと申しますと、これは政府の算定によりますけれども、昭和六十三年度モデル年金額を勤務年数あるいは報酬月額の同一条件におきまして比較してまいりますと、本土の年金額約二百二十二万、これは月額十八万五千円になりますけれども、これに対しまして沖縄の加入者はわずか百三十二万、月額にして十一万で、その格差は実に九十万余、いわゆる四〇・五%も格差があるわけであります。これは平成元年政府査定による生活扶助基準、先ほどもこの問題が他の分野において取り上げられましたけれども、この生活扶助基準が月額十三万六千四百四十四円であるのに対しまして、それより二万五千円余り下回る状態でありまして、国としても私は恥ずかしい限りだと思う次第であります。  こういったことで八十歳まで長寿するといたした場合、ふだん六十歳から十五年長寿するとして七十五歳の計算をやりますけれども、沖縄の場合は御案内のとおり日本一の長寿県でありまして八十歳までは優に生きるところであります。そういった意味で、八十歳まで長寿いたした場合に一人当て約二千万円の損失となります。  また、昭和六十二年度において代表的な老齢年金受給者、全体の四七%に相当すると思いますけれども、これに支給された平均年金額は、全国が百五十五万円に対しまして沖縄県は九十八万円 で、五十七万円、三六・七%の格差であります。これに受給者人数を乗じて得た格差の総額はまさに六十億円にも達しまして、以後十五カ年、今度は七十五歳までとりますけれども、十五年間受給が続くといたしますとその額は実に九百四億円余りになりまして、大変な損失であり、八十歳まで計算しますと一千億を超すんじゃないか、このように考えられるわけであります。  このことは社会正義の上からも到底容認できないゆゆしき問題だと私は思います。他の事業予算ならば来年まで待て、再来年まで待てと言えるかもしれませんけれども、年金は権利であります。復帰後十七カ年経過した今日、なおかつこのような格差のままで推移したということは、どうしても私は合点がいかないわけでございます。  そこで質問いたしますけれども、なぜこのような格差を許してきたのか、あるいはわかっておって何かの事情でそうなったのか、他の年金同様、復帰時点でもっと本土同様の額まで持ってこれなかったのか、あるいはそれを目指しての措置ができなかったのか、その理由をまずお聞きいたしたいと思います。
  109. 松本省藏

    説明員松本省藏君) お答えを申し上げます。  ただいま沖縄の厚年年金格差につきまして大城先生の方から具体的な数字をお示しになられまして御説明があったわけでございますが、一つの仮定に基づいた数字だと思いますけれども、私どもといたしましても、現実に本土の方々が受給している厚生年金の額と沖縄県民の方が現時点で受給している厚生年金の額、この間に格差があるということは十分承知をいたしております。  また、その原因について考えてみますと、年金の額と申しますのは加入期間、そしてまた標準報酬と申しますか、働いておられるときの賃金の高い低い、こういうようなものに左右されるものですから、そう簡単に割り切れないところはございますけれども、沖縄の厚生年金の額が低いという原因の大きな一つといたしまして、先生今おっしゃられましたように沖縄が米国施政権下に二十数年間置かれまして、沖縄における厚生年金制度昭和四十五年一月一日からスタートした、こういうように立ち上がりが遅かったということが沖縄の厚生年金格差が生じている主要な原因の一つであるということは十分承知しているところでございます。  しからば、復帰の際に一体どうしたのか、こういうことになるわけでございますが、昭和四十七年の五月に沖縄が復帰いたしました際に、厚生年金制度の中で実は復帰の特例措置をとっているわけでございます。そのときのことを申しますと、これはまた現時点でもなかなか解決しづらい問題なんでございますが、厚生年金制度と申しますのは、釈迦に説法でまことに恐縮なんでございますけれども、基本的には社会保険の仕組みをとっておりまして、厚生年金保険の制度に加入をしていただきまして保険料を納入していただく、そしてその保険料の納入、納付に見合った形で給付が出されている、これが年金の一番の基本になっているわけでございます。  厚生年金の場合には基本的にはサラリーマンの制度でございますので、まず事業所に雇われているかどうか、いつの時点からいつの時点まで雇われているかどうか、こういう実態がまず厚生年金に加入する前提になるわけでございます。そしてまた、さらに申しますと、その時点その時点でどれだけの賃金が支払われていたか、そういうようなことがわからなければならない、こういうことになるわけでございます。したがいまして、これは本土の場合、厚生年金昭和十七年からできているのでございますが、基本的に制度が逐次拡大してきている間を見ましても、そういう雇用の詳細な実態について過去にさかのぼって把握をするということが実際上非常に難しいという制約がございまして、一言で申しますと制度ができ上がった以前にさかのぼって年金を適用していくという手法が非常にとりづらいという限界があるわけでございます。  そういう意味厚生年金の場合には、むしろ制度ができた後に、例えば既に御高齢の方については加入期間が非常に短くなってしまうものですから、その制度の中でできるだけ期間を短縮して厚生年金受給をできるようにする、こういう期間短縮措置をとっているわけでございます。そして、沖縄の場合におきましても、四十七年の五月に復帰になった際に、四十五年一月一日時点で四十歳を超えておられる方々につきましては――本土の場合ですともともとの原則は二十年で厚生年金受給できるんでございますが、四十を超えておりますと十五年間で厚生年金受給できるという特例の扱いになっております。それを沖縄県の場合にはさらに短縮をいたしまして、生年月日別に最短で四年、最長で十四年、そういう短い期間で厚生年金受給ができるような措置を講じました。  厚生年金の場合には定額部分と報酬比例部分という二種類の要素があるのでございますが、定額部分につきましては、四年で厚生年金受給権を得た場合でも二十年で:::
  110. 大城眞順

    大城眞順君 時間がないから簡略にやってください。
  111. 松本省藏

    説明員松本省藏君) というような措置をとってきたということでございます。よろしくお願いします。
  112. 大城眞順

    大城眞順君 今長々と内容についてお聞かせいただきましたけれども、いずれにしましても、今のお話からしますと関係者間の要求であるいわゆる年金の性格、国民平等の立場らいたしまして、復帰の時点で措置しておけば昭和二十九年までさかのぼることができたんです。これはできない理由はないと思います。  時間がございませんが、その法的根拠もお伺いいたしたいわけでございますけれども、その法的根拠はおっしゃるとおり沖縄の復帰特別措置法第百四条四項及び百五十六条、これからすればもうはっきりしておるわけです。同条には、本土の厚生年金法規定にかかわらず、かかわらずですよ、関係なく受給資格及び年金額その他については特別の定めをすることができるとなっております。これは明らかに遡及適用も可能であるということで解釈しなければならないと思います。しかし、それがいわゆる先ほど申し上げましたように短縮期間の措置措置されておるわけでございますけれども、このことについてはどうお考えですか。  それと第二番目に、歴代内閣も沖縄県と本土との格差は絶対に是正するということは言うてきておるし、これは明確に公約として約束をされてきているわけであります。  そういった中でやはり実態として勤務年数とか、あるいはその時点における給料術の差とかいうことで実態が把握できないというような節のことをおっしゃっておりますけれども、私は実態は把握できると思っております。関係者の話によりますと、やはりその時点でやっておけばもっとはっきりしましたけれども、復帰から十七年経過いたしました。しかし、今でも明確かつ具体的に把握可能な被保険者というのはわからない者よりもずっと多いんじゃないかと我々は考えております。だから、その困難さというものから逃げて、法的根拠もなくしてただ難しいんだというような形でこれが処理されたんでは、私は沖縄の差別というのは未来永劫に続くんだと非常に憂えておるものでございます。  それで、お伺いいたしますけれども、最近こういった格差の是正に対しまして新しい措置を請じた、こういうことを聞いておりますけれども、その内容について簡単にわかりやすくお聞かせ願えれば幸いだと思います。
  113. 松本省藏

    説明員松本省藏君) お答えを申し上げます。  沖縄の厚生年金格差問題につきましては、今御質問のございます大城先生からの強い要請もございましたし、また県の知事様あるいは経営者の関係の団体あるいは逆に労働組合の方々、沖縄県の多方面の関係者の方々からその格差是正についての要望が従前からございました。大城先生初めとしてそういう強い御要請を踏まえまして、厚 生省としていろいろと現実的にどういうふうに解決できるかということを検討してきたわけでございますが、つい先般基本的な考え方をまとめ、整理をし、方針として発表させていただいたわけでございます。  具体的に申しますと、本土と沖縄の厚生年金格差是正を図るという見地から、本土に復帰時の受給資格期間短縮の特例の対象となった人たち、先ほど私が申しましたように四年から十四年で厚生年金受給できるという措置の対象となった方方について、その短縮された期間分の年金額をこれから保険料で特例納付をしていただく、それによって本土の年金額と同様の額を保障する、こういう措置を講じたいと考えているわけでございます。  もう少し具体的に申しますと、復帰時の資格期間短縮の特例措置の対象となった方々で当該特例措置による老齢年金受給資格期間を満たしている方々、これはもう少し具体的に申しますと、復帰時に四十歳を超える方々でございまして、平成二年四月時点では六十一歳以上の方々になると思います。現実の沖縄の厚生年金の老齢年金受給者の方あるいは受給権者の方々と基本的にオーバーラップをするというふうに御理解いただきたいと思います。こういう方々につきましては年金額が定額部分については二十年既に保障されておりますが、報酬比例部分については加入期間分だけしか保障されていないわけでございます。本土並みに十五年分を保障するという措置を保険料の特例納付を行うことによって認めているということでございます。  さらに、それでは幾ら保険料を納めていただくかということでございますが、沖縄の厚生年金ができました四十五年一月におきます標準報酬月額、これに当時の本土の保険料率六・二%でございますが、このうちの事業主負担分を除きまして本人負担分のみ三・一%という料率を乗じた額、これを年利五・五%の現在価格換算をいたしたものを保険料としてお納めいただく。そして、保険料の特例納付期間は平成二年四月から五年間の間に納めていただく。分割で納めていただいても結構ですということです。  そして、今度は支給する年金額の方でございますが、同じように四十五年一月におきます標準報酬月額を再評価、現在価格に評価をし直すわけでございます。それに保険料の納付月額と一定の料率を掛けた額、これを新たに年金額として加算をしていく、こういう措置を講じさしていただきたいと考えているところでございます。
  114. 大城眞順

    大城眞順君 先ほどいろいろと申し上げましたけれども、沖縄の厚生年金格差の是正に対しまして厚生省として一歩踏み込んだということで大変評価をいたしております。しかしながら、我々の計算では、この改正によりましてもなお七一%までしかたどり着いてないというようなことでございます。  例えば従来の沖縄の基本年金受給額を見ますと、報酬比例の部分が二十四万四千六百八十円、定額部分が五十九万七千八百四十円、八十四万二千五百二十円になるわけであります。今回の改正によります基本年金受給額が、報酬比例部分が三十六万七千二十円、定額部分が五十九万七千八百四十円、計九十六万四千八百六十円、月に直しますと八万四百五円。これが今回の改正後ということになりますと、本土と沖縄の年金格差は、先ほど本土と同様の額を保障するということをおっしゃっておりましたけれども、保障されていない。報酬比例の部分を十五カ年の中でちょっといじっただけでございまして、この格差はなお、本土百三十五万九千円に対しまして沖縄九十六万四千八百六十円、一・四倍であります。格差が三十九万四千百四十円。そういうふうにして先ほどの四〇・五%から七一%までようやくたどり着いた、あと三〇%がまだ残されております。  この新しい改正によって、なおかつその損失は、七十五歳まで長寿するといたしましても五百九十一万六千六百円の格差がまだ出てきます。八十歳まで生きるとするとまだまだこの数字は大きくなるばかりでございまして、これはやはり遡及すべきである。遡及しないでそういった形、今御答弁があったように現行の年金加入日である昭和四十五年一月一日に固定したまま、復帰特別措置の沖縄特例による受給資格年数四年から十四年を十五年になるまでの年数を十一年から一年を積み上げたにすぎない、こういうふうに受け取っております。だから、沖縄特例受給者だけに限定されておりまして、厚生省の方針によると、大正十三年四月一日生まれから大正三年四月一日以前に生まれた方は年分に応じて一年から十一年の加入年数を加算されているだけなんです。そうしますと、大正十三年四月二日から昭和三年までに生まれた人は全然適用されてない。どうしますか。これについてどうお考えですか。簡単に。
  115. 松本省藏

    説明員松本省藏君) お答えを申し上げます。  ちょっと事実の問題で恐縮でございますが、細かいことで恐縮でございますが、今回の特例措置によります加入対象可能年数でございますが、昭和三年四月二日から昭和四年四月一日までの生まれの方、この方々が一年間の追納 を認められる方方、それから昭和二年四月二日から昭和三年四月一日までの生まれの方は追納可能が二年ということで、以下ずっと十一年までさかのぼってまいりまして、先生のおっしゃるような趣旨から申しますと、昭和四年四月二日以降生まれた方々は今回の特例措置の対象にはならないではないかということだろうと思います。  その点については、結論から申しますと、御指摘のとおりというふうにお答えをせざるを得ないわけでございます。それは、今回私ども予定をいたしております特例措置が、沖縄が昭和四十七年の五月に復帰いたしました際にとりました特例措置、そこの部分をさらに補充した形で特例をしていこうということにいたしている関係で、前回の特例措置にのってない方々に実はなるわけでございまして、そういう方々は今回の措置には実はのらないということでございます。
  116. 大城眞順

    大城眞順君 昭和四年以降はやっぱりもう同じようです。別に特例でやる必要はないわけです。何も特例を適用する必要はないわけですね。だから、今申し上げました大正十三年から昭和三年までが一応私が指摘したとおりでありますという答弁をいただきましたが、そこがやはり問題として残るんじゃないかということを指摘しておきます。  それから、昭和四十五年一月から昭和五十九年十二月、十五カ年ということですけれども、までに被保険者であって昭和六十年以降に満六十歳で老齢年金受給している人は、復帰の特例措置の該当者であっても今回の特例では何のメリットもないんじゃないかということなんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
  117. 松本省藏

    説明員松本省藏君) 基本的には先ほどお答えいたしましたのと同様なお答えになると思うのでございますが、今回の特例措置が、昭和四十七年五月に復帰いたしました際に行われました沖縄の厚生年金特例という措置にさらに補充をする、補完をするという形でとることにいたしたものでございますので、その対象にならなかった方々については今回の特例措置には残念ながらのらないということになろうかと思います。
  118. 大城眞順

    大城眞順君 時間が参りましたんで結びますけれども、今までお聞きしたところによりますと、なおかつ格差があるということは歴然であります。したがいまして、このたびの改正によって政府としてはすべて解決したとお考えになっておられるのかどうか、これについてお聞きしたい。
  119. 松本省藏

    説明員松本省藏君) 現実に沖縄県民の方々が厚生年金受給している額、そしてまた本土の方が現実に厚生年金受給している額、ここに格差があって、今回の措置によってその格差が完全に解消してしまうという形にはならないかと思っております。それは事実であろうかと思っておりますが、ただ、御理解をいただきたいと思いますのは、厚生年金制度の体系の中で私どもとしてはできるだけの工夫をいたしまして措置を講じたものだということについては何とぞ御理解を賜りたい と思っている次第でございます。
  120. 大城眞順

    大城眞順君 時間が参りましたので終わりますけれども、完全に本土並みになってはいないけれども大変に努力をなさったんだと、それは認めます。先ほども私が申し上げましたように、心から感謝をしそして評価もいたすわけでございますけれども、年金という性格は平等でなくちゃならない、それが年金なんです。同じ国民の中で年金の受け取る額が差があっては困るんです。もちろん、私は平均的なあれを言ってるんであって、個個の年金額は違いますよ、勤務年数から、あるいはいろいろな報酬比例の部分をなにした場合。ただ、制度そのものの中で物差しが違うということは、これは年金にならないんじゃないか、こういうふうに私は考えておるわけです。  それで、今はこれは非常に沖縄の世論の中で沸騰しておるんですよ。将来いわゆる考え直す余地はあるのかないのか、それだけ聞いて終わります。
  121. 松本省藏

    説明員松本省藏君) 重ねての答弁になるわけでございますが、現行の制度体系の中でできる限りの工夫を凝らしたということについて御理解を賜りたいと思います。
  122. 大城眞順

    大城眞順君 終わります。
  123. 吉川春子

    ○吉川春子君 まず大蔵大臣にお伺いいたします。  大臣は参議院選挙後の八月、九月、十月に一般紙十数紙を、一回一億円とも言われていますが、お金で大きなスペースを買い取って政府広報で消費税の必要性を力説しておられます。その中で、現在は働き手五・九人で一人のお年寄りを支えているが、三十年後には二・三人で一人のお年寄りを支えなきゃならなくなるから消費税は必要である、こういうふうにおっしゃっておられるわけですね。この問題については、私どもの党は不破委員長、正森委員など何回も反論してまいりました。  私はここに十月十二日付の日経の切り抜きを持っているんですが、「高齢化社会に扶養地獄なし」と、こういう見出しがついています。記事の中で中公新書「高齢化社会の設計」の著者、国立大阪病院病院長古川俊之氏の論が紹介されています。氏は、扶養問題を単に老人と生産人口の対比で考えるのは間違いではないか、生産年齢人口は老人を支えると同時に十四歳以下の子供たちも養育している、いわば全人口が生産年齢人口の働き手で食っている、そうした観点から総人口に占める生産人口をはじき出しています。総人口に占める就労人口の比は、一九二〇年が四六・二%、八〇年が四七・七%、二〇二五年の推定値も四七・七%、今とそう変わらないとしています。  また、都留文科大学教授の川上則道氏の共著「高齢化社会は本当に危機か」を引用して、一九八五年、日本の生産力の中心を担う二十五から六十歳代の世代は全所得を一〇〇とすると八九を稼ぎ出し、うち八を六十五歳以上の高齢者に割り振り、六四を自分で消費し、残り一七を二十四歳以下の若い世代の養育費に充てたと。二〇二五年はどうかといいますと、二十五から六十四歳の世代は全所得の八四を稼ぎ出し、高齢者に一六渡し、五六を自己消費し、若い世代には一三使うという構図になる。この数字から読み取れるのは、高齢者への負担がふえても二十五から六十四歳世代の持ち分はそう減らない、二〇二五年までの四十年間に一四、五%ほど経済成長があれば現状の生活水準は維持できる、こういうふうにしているんですね。  最後にこの記事は、「とかく不安や危機感ばかりが先立ち、本来なら喜ぶべき長寿社会がかすんでしまう面もある。少し頭を冷やし、こうした楽観論も含め高齢化社会の実像をじっくり検討してもよいのではなかろうか。」というふうに書いているんですけれども、大臣としてはこういう見解についてどうお考えですか。
  124. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) その新聞記事は私も読みました。また、最初はたしか衆議院の予算委員会における不破委員の御質問からであったと思いますけれども、同様の趣旨の御質問を何回かちょうだいいたしております。  そこで、正確を期すためにきちんと書いたもので読み上げてまいりたいと思いますけれども、結論からまいりますと、私は必ずしも今の御議論に簡単に賛成をする意思はございません。そして、従属人口と生産人口の対比について、私はその数字を否定もいたしておりません。それでも現在よりふえていくという事実は御否定にならないはずであります。  そこで、総人口に占めます就業者の割合というものは二〇一〇年までほぼ一定に推移すると試算をされております。また他方、我が国の人口の年齢構成比の変化に伴いまして扶養される人口の内訳では確かに二十歳未満の年少人口が減少し、六十五歳以上の老人人口が大きく増加していくと見込まれております。そして、かかる被扶養者人口の年齢構成比の変化及び財政需要との観点を見ますと、従来からの実績を考えてみましても実は年少人口が減少いたしましても財政需要は減少いたしません反面で、老年人口の増加に伴う社会保障関係費の増加によっての財政需要は大きく膨らむということになります。さらに、厚生年金あるいは国民年金等になりました場合、六十五歳以上になりますと就労しておられても老齢年金支給されるわけでありますし、医療費の面でも老人の医療費は非老人に比べて高額であるなど、就業しているかどうかにかかわらず老人に対する社会保障給付は高まることも考えますと、今後高齢化の進展に伴い働き手一人当たりの負担は増大するものと思われます。  税制改革の広報用のパンフレット等で用いました二十歳から六十四歳までの人口に対する六十五歳以上の人口の比率の推移、一九八五年五・九分の一、二〇〇〇年三・七分の一、二〇一〇年二・八分の一、二〇二〇年二・三分の一。これはこうした人口の高齢化の進展に伴い働き手の負担が増大するという事実を人口構成比の変化という側面から象徴的にわかりやすく示すものであります。  なお、敷衍して申し上げますと、一九六〇年度から現在までの間、総人口に占める年少人口の割合は四〇・〇%から二七・二%にまで減少いたしましたが、その間に例えば文教費あるいは科学技術振興費のGNPに占める比率というものは、この間の政策水準の向上また進学率の上昇等によりまして一九八九年度におきましても一・三%、大体一九六〇年度と同水準になっております。これは、私自身が敗戦直後に小学生でありますけれども、当時は別といたしましても、私どもの弟たちの時代から考えてみれば小学校、中学校ともに教室における児童一人当たりのスペースは広くなっておりますし、また施設整備等々も進んでおることを考えれば、この数字はそのとおりでありましょう。  他方、同じ期間におきまして、老年人口が総人口に占める割合は五・七%から一一・五%へと高まりました。社会保障の政策水準の向上によりまして、社会保障関係費の対GNP比は一九六〇年度の一・二%から一九八九年度の二・八%、非常に大きく上昇をいたしております。  このように被扶養者の割合が一定でありましても、その構成の変化によりまして社会保障関係及び文教、科学技術振興の財政負担は著しく上昇していることがわかるわけでありまして、不破委員あるいは正森委員にも同様の内容で御答弁を申し上げたところであります。
  125. 吉川春子

    ○吉川春子君 新聞の広報よりも大変詳しく御答弁いただきましたが、私は雑誌でアフリカのギニア出身のタレントさんのこういう言葉を見ました。ギニアではお年寄り一人が死ぬことは図書館一つなくなることと同じ、ギニアでは子供たちがおじいさんの昔話を大変楽しみにしている、お年寄りは大変物知りなので図書館一つ分にも当たるんだと、こういうふうに言って大変お年寄りを大切にする気持ちというのを述べておられるわけなんですね。  この夏、私は地下鉄で日本には百歳以上のお年寄りが何人いるかという大きなポスターを見ました。政府広報だったと思います。この広報を見 て、お年寄りはその身が細る思いをしたと、こういうふうに述べておられるわけですね。不破委員長も指摘しましたように、二・三人が五・九人という、こういうおどかしの数字によって、しかもお年寄りがいるがために日本の社会は大変になるんだ、こういうような論というのはお年寄りに対する大変冷たい扱いにも通じるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。  それで、重ねてお伺いするわけなんですけれども、消費税導入の理由としてお年寄り、高齢化社会というものを挙げておられるわけですけれども、消費税導入反対の声が一定の割合であるということももちろん大臣はお認めになると思うんですが、こういう問題について広報という形で、それで多額の税金を使ってお年寄りの問題を例にとりながら必要論を説く、こういうことはフェアではないんじゃないか。広報のあり方の問題につながるわけですけれども、そういうふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  126. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 昭和三十八年に老人福祉法が生まれる前、我が国の法制度の中に老人という法律用語がなかったことは委員も御承知であろうと存じます。同時に、その当時までの日本においてはまさに平均寿命が比較的短く、長生きをされる方が少なかった中で、長寿の方々がおられることは家族の誇りであり、また親族の誇りでありました。そして、国あるいは地方公共団体がお年寄りへのお世話をと言い出すまでもないという雰囲気であったことも御承知のとおりであります。しかし、三十年代の後半になりまして、当時の先輩方がおぼろげながらに高齢化社会というものを予見しつつ老人福祉法をつくられたのが我が国の法制度の中に老人という言葉が生まれた最初でありました。  委員が御引用になりました海外の方のお話、たしかサンコンさんという方のお話でありますが、私も読み、往時をしのんだことであります。そして、お年寄りを大事にしなければならないという点では、恐らく委員がこれを読まれて受けとめられたと同じ感じを持ったと思います。  しかし同時に、昭和三十八年、初めて日本政府が百歳以上人口の統計をつくりましたときには、我が国には百歳以上の方は百五十三人しかおられませんでした。私が厚生大臣を務めておりました昭和五十四年で九百三十七人、十六年間で六倍であります。しかし、逆に言えば十六年かかってその間にふえた百歳人口は八百人足らずでありました。一昨年の敬老の日、我が国の百歳人口は二千二百七十一名でありました。昨年の敬老の日、その数字は二千六百六十八名となりました。本年初めて三千人の大台を超え、我が国の百歳人口は三千七十八名と敬老の日に報告をされております。  まさに長寿は喜ぶべきことであります。しかし、その長寿者の生活が苦しくなってしまい、その生活を支えるすべがなくなったのではまさにその長寿社会というものは地獄になります。だからこそ、そのお年寄りたちが不幸せにならないで済むような仕組みを今から用意していこう。しかも、我が国はなお長生きになりつつあるわけでありますし、委員みずからが引用されましたとおり、従属人口は変わりませんでも、その中の比率は大きく老年人口に変わるわけであります。その高齢化社会というものに対する対応を今我々の世代として準備しておこうというのが私は間違っているとは思っておりません。  税制広報につきましても御批判がありましたが、政府としてもっとPRをしろという国民の声が非常に強かったことも御承知のとおりでありまして、事実そのとおりの状況を申し上げております。
  127. 吉川春子

    ○吉川春子君 税金問題について政府のPRをもっとせよという意見があった、こういうお話ですけれども、消費税問題について言えば、これはもう国論を二つに割っての大きな論議が展開されていたわけであり、また参議院選挙の結果、それが一定程度反映されたということも政府もお認めになっていることですね。そういう問題について政府広報という形で、まあ言ってみれば大蔵大臣の意見広告ですよね。こういうふうに考えますと、そういうことをもし政府国民の税金を使って堂堂とやれるということであれば、それに対して、じゃ国民の反論する権利というのはどういうふうになるんでしょうか。
  128. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私はそういうふうな難しいとらえ方をいたしませんでしたけれども、私自身が、負け戦に終わりました東京都議選、そして参議院選、幹事長として国民の前に立ちましたとき、消費税の一点のみが関心の的であり、税制改革全体についての姿が知られておらなかったということについてもたびたび痛感させられました。  それだけに改めて、税制改革というものが昭和五十年代の後半になって非常に強く改正を求められる国民の声が起こり、しかもそれが所得税あるいは法人税に非常に負担のかかる中で、そうした分野に対しての減税を求める声と相まって出てきたということは委員も御承知のとおりであります。そして、その結果として、ここは税制特ではありませんから税の議論をするつもりありませんけれども、所得税及び法人税、住民税の大幅減税とあわせ、問題のありました物品税の廃止を行い、同時に広く、薄くお互いが支え合う仕組みとして消費税というものを私どもは採用し、現在それを実施に移しておるという状況について、改めて知っていただく必要は私どもは本当にあると思います。  そして、あの広告を出しまして以来、十一月の末で一万八千通を超える国民のお手紙をいただきました。そのお手紙の中に賛否両論があり、また税制に触れる以前の問題として、リクルート事件に対する御批判や国会における審議状況に対する御批判が二%程度あったことも私は隠すつもりはありません。ただ同時に、特定のグループ等がまとめてそのグループの方々に投書をさせたような同じような文章のお手紙がほとんどなかった。一人一人が御自分の生活の中から意見を述べていただいたことを非常に幸せに思っております。  詳細を今ここには持ち合わせておりませんけれども、その中には無条件でこれを支持される方、また条件つきで支持される方、反対だがその見直し内容によっては是とされる方、全く反対と言われる方、それぞれの投書がございました。私どもは国民の御意見を生にこうした形でちょうだいをしているつもりであります。
  129. 吉川春子

    ○吉川春子君 例えばアメリカなどは、政府が意見広告をする、そういう広報というのは国民の世論が大変厳しいのでできないというふうに聞いています。こういう法律ができました、何月何日から施行されます、申し込みはここですとか、手続はこうですとか、こういう伝達のための広報というのはもちろんやらなければならないでしょうが、テレビとか新聞とか、マスメディアを使って政府の消費税の宣伝というのはイコール自民党の政策の宣伝にもつながるわけですけれども、そういう内容にわたるものを多額の広報予算というものを使ってもし政府がおやりになる場合に、国民はそれとは違うんだと、こういう反論の権利というのはどういうふうにして持ったらいいんでしょうか。そういう形で私は、大臣のお考えはお考えとしてあると思うんですけれども、それを広報という形で広報予算を使ってやるということについて大変疑問に思うんです。  じゃ、政府広報をおやりになる場合に、もう全くフリーハンドで、どういうことをやっても構わない、限界がない、こういうふうにお考えでいらっしゃるんでしょうか。
  130. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私は広報を主管しておりませんので私個人の考え方として申し上げますけれども、政府が行おうとしている施策についてその内容国民に熟知していただくための広報活動、また御理解を求めるための広報活動というものは私は否定をされるものではないと思います。  ただし、その意見の中に例えば意識した間違いがあったり、そういうものがあれば、それは御批 判を受けるのは当然でありましょう。しかし、政府の施策に対して国民に周知徹底させるための努力を行うことは私は許されることだと思っております。
  131. 吉川春子

    ○吉川春子君 この問題についてはまだ日本はいろんな点で成熟していないと思いますし、今後も国会でも詰めていかなきゃならないと思うんですが、一つ検討課題として、政府はどんなことでも意見広告を、括弧つき意見広告ですね、政府広報をできる。そのために広報予算も大分ふえているんですけれども、そういうものを自由に使えるということは、やはり民主政治という立場らいっても非常にフェアではないというふうに思うわけです。  また、結局政府は高齢化社会のためと言って消費税を強行的に導入した。それをどうしても定着させるんだとおっしゃって、ごく最近発表されました自民党の消費税見直し案、これは既に各方面から厳しい批判を浴びています。例えば食料品小売段階非課税、これで税収減が九千九百億というふうに言っていますけれども、静大のグループの試算でもどう見積もっても四千億程度にしかならないとか、水増しの疑いも指摘されているわけです。そしてまた、非課税の範囲が複雑でありますけれども、自民党の渡辺元政調会長は、これは高松市の講演なんですけれども、消費税を取られたか取られなかったかをわからなくするのが今度の見直し案だと、こういうふうに述べたと報道されているんですね。これは、事実だとすれば全く国民をばかにしたものだと思うんです。こういう消費税を定着させるために政府広報を利用するということは私はとんでもないことだ、このことを指摘しておきたいと思うんです。  それで、この論議ばかりに時間を費やすわけにはいきませんので次に進みたいと思うんですけれども、国公共済の掛金の引き上げ問題ですが、国公共済の掛金が一足早く大幅に引き上げられました。大蔵省に対しては共済掛金の引き上げ反対の声が各省庁から寄せられたと思いますけれども、その内容はどういうものでしょうか。また、なぜ労働者の反対を押し切って強行したのでしょうか。  国公労連の八九年の春闘のアンケートでは、家庭への負担で共済年金と答えた人が三四%で最も多いわけです。三十代、四十代という階層です。若者の中にも悲鳴に近い不満の声も上がっているわけです。共済組合はやめられないか、こういう声まで出ているわけですけれども、こういう声にどうこたえられるのか、お伺いします。
  132. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 共済掛金の問題は事務方から説明させますが、その前に自由民主党の見直し案並びに我が党所属の議員の名前を挙げての御意見がありましたので、この点だけは申し上げておきたいと思います。  先日、本院の違った場におきまして、本院だったと思いますが、近藤忠孝議員から同様の趣旨の御質問をいただきました。政府は、自由民主党の御意見もちょうだいをいたしました、そして政府税制調査会の審議を経まして、年末の予算編成時までに次年度の税制改正内容というものを確定してまいります。  そして、自由民主党につきましての御意見は、これは私が御答弁申し上げることではございませんけれども、私どもは消費税というものは必要な税制だと本当に信じておりますから、国民に御理解をいただく努力は今後ともさせていただくつもりでおります。  共済につきましては、関係者の方から答弁をいたさせます。
  133. 小村武

    政府委員(小村武君) 財政計算期に当たります本年の十月一日におきまして、国家公務員共済組合連合会を例にとりますと、財政調整分を含めた千分の百二十二・六から千分の百五十二に引き上げられたところでございます。
  134. 吉川春子

    ○吉川春子君 どうこたえるんですか。
  135. 小村武

    政府委員(小村武君) 財政計算期におきましては、国家公務員共済組合におきまして将来の給付財源を確保するという一つの平準保険料を算定いたしまして、これは何も社会流出しているわけでございません、将来の年金給付財源あるいは現在の受給者等にも回り回ってその財源が手当てをされるわけでございます。このほかに国庫負担基礎年金部分について三分の一ある。老後保障の年金の水準を確保するためにこうした負担をお願いしているというふうに理解を賜りたいと思います。
  136. 吉川春子

    ○吉川春子君 国公共済の掛金の引き上げ法律事項ではなくて定款事項ですね。これはなぜかといえば、国公共済というのは独自の意思を持つ機関であり自主性を持たなくてはならない、こういうことにつながっていくんじゃないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
  137. 小村武

    政府委員(小村武君) 御指摘のように国公共済は昭和三十四年に発足して以来、共済組合方式をとっております。厚生年金の場合には保険者は国でございまして、財政計算をするのも国でございます。共済組合は共済組合において保険者であります、国ではない別の法人の共済組合連合会が再計算を行い、責任を持って運営するという意味で、定款で保険料率を定めるということに相なっておるわけでございます。
  138. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、やはり自主性とか主体性とか、こういうものはかなり尊重されなければならないわけですね。
  139. 小村武

    政府委員(小村武君) 年金制度は各年金におきまして成熟度がまちまちでございます。したがいまして、各制度独自にその責任において財政計算を行い必要な保険料率を設定しているということでございまして、あくまでもそういう意味では独自性を持っているということでございます。
  140. 吉川春子

    ○吉川春子君 第九条の国公共済の運営審議会は現在メンバーが十名ですけれども、二十四省庁すべての代表を参加させるということをすべきじゃないかと思うんですけれども、全省庁参加というのは何か障害があってできないんですか、立法の問題は別ですが。
  141. 小村武

    政府委員(小村武君) 連合会の運営審議会の委員数は十六名でございます。これは他の運営審議会等々とのバランス等を考えてみましても適当な規模ではないかということで法定されたものと理解をしております。
  142. 吉川春子

    ○吉川春子君 全省庁の代表を参加させても不都合なことはないわけですね。
  143. 小村武

    政府委員(小村武君) 現在の十六名というのはそれなりに各制度、例えばNTTの共済組合等々と比較しましても大体同じような人数できております。したがいまして、単位組合の代表ということでなしに、国家公務員共済組合連合会の業務、年金、病院経営、運営等々におきましてその内容について十分組合員の意見が反映されるということで十六名中八名が組合の代表者で占められておりまして、これで十分対処し得るものというふうに考えております。
  144. 吉川春子

    ○吉川春子君 連合会の役員も天下り、理事長、常任理事はすべて各省庁からの天下りで二、三年で交代していますね。それで、労働組合を代表する者が一人もこの中にいないわけですけれども、これは大変問題ではないかというふうに思うわけです。やはりこういう代表も役員の中に入れていくべきだと思いますけれども、それはいかがですか。
  145. 小村武

    政府委員(小村武君) 現在連合会の役員は理事長一名、理事十二名以内ということで定められておりますが、連合会の業務は技術的、専門的にわたる部門が多いこと等から、これらの事務に精通した方々、経験のある方、こういった方々が任命されているというふうに理解をしております。
  146. 吉川春子

    ○吉川春子君 そういう事務に精通した方々を役員に据えるということと労働者の代表を一人も入れないということとは別に理論的な必然性というのはないわけで、これはよくないことだと思うんです。組合自身の自主的な権限を持たせるべきだし、それは社会保障綱領、一九五三年のこの原則におきましても、また社会保障憲章、一九六一年の原理にしても、官僚主義を防ぎ、労働組合の参加を義務づけているわけです。だから自主性、主 体性、こういうことをきちっとそういう労働者の代表に持たせることなくしては共済制度本来の役割は果たすことはできない、このことを強く指摘しておきたいと思います。  それから鉄道共済の問題、きょうもたびたび出たわけですけれども、既裁定年金の切り込み、国鉄清算事業団、JRの労働者の間には強い不安感を持っているわけです。また、青年の中には、六十五歳の支給とか掛金の引き上げに嫌気が差して、もう共済をやめたい、こういう声すら聞かれるわけなんです。こういう不信感を持たれるということは社会保険の存立にもかかわることだと思いますが、この問題についてはどうお考えでしょうか。
  147. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回鉄道共済年金問題を御審議いただいておりますが、鉄道共済につきましては、先般来御説明申し上げておりますように、旧国鉄時代の制度運営に起因する側面あるいは産業構造の変化、人口高齢化等に起因する側面がございまして、まず鉄道共済自身の問題であることから最大限自助努力を行うことが最も肝要である、こういう基本方針に基づいて年金受給者、被保険者、JR、清算事業団等々の合わせた自助努力、それに今回、年金一元化の地ならしとして負担面制度間で調整をしようという手当てがございまして、合わせて三千億円の赤字の解消策を図ったということでございまして、ひとえに公的年金の信頼性を確保し、老後の保障の主たる柱である年金制度を確立していくという観点からの改革でございます。
  148. 吉川春子

    ○吉川春子君 鉄道共済の破綻の問題、そして旧国鉄の問題について私ども繰り返し国会論議をしてきましたので、きょうは繰り返しませんけれども、国鉄共済の今日の状況について現在の年金受給者、そしてJRの職員も、まして他の年金の組合員に責任はないと思います。国鉄の赤字は歴代自民党政府による無責任な政治路線、新幹線工事の膨大な借金を当時の国鉄に押しつけた結果であり、またさかのぼれば、あの戦争のときの事後処理、無謀な戦争のツケを今国民が払わされている、こういう側面もあるわけなんです。私どもとしては、国鉄共済の赤字を他の年金の加入者に押しつけるのではなくて、政府の責任において補てんするように強く要求して、次の質問に移りたいと思います。  だんだん時間がなくなってきたんですが、介護休暇についてお伺いしたいと思います。  労働省、お見えでしょうか。「老親介護に関する労働者福祉対策のあり方について」、この「長寿社会における女子労働者等福祉に関する調査研究会中間報告」、この結果の概容量について御説明いただきたいと思います。
  149. 堀内光子

    説明員(堀内光子君) 今先生御質問の長寿社会におきます女子労働者等福祉に関する調査研究会の中間報告の内容について簡単に御説明申し上げます。  高齢化社会の進展に伴いまして、老親介護の問題は女子労働者の職業生活と家庭生活との調和を図る観点から大きな問題になっているということで、労働者にとりましても大きな問題であるというふうに認識いたしております。このため、労働省としましては、その問題に対応する企業におきます介護休業等労働者家族福祉制度のあり方を検討するために昭和六十二年度から今申し上げた研究会に調査結果を委託いたしておりまして、本年八月その調査結果の成果を中間報告としておまとめいただいたものでございます。  この報告の内容といたしましては、現状の老親介護に関します企業及び労働者の実態をお取りまとめいただいた。そういった調査結果も踏まえまして老親介護に関します企業内福祉制度や国の労働者福祉対策として望まれることといたしまして、介護休業制度の普及促進策の検討の必要性等の御提言をいただいたものでございます。  調査結果の内容でございますけれども、この研究会で行いました調査結果から見ますと、実際に何らかの形で老親介護のために企業で制度をお持ちだという企業は約半数ございました。そのうち介護休業制度実施している企業が一割強ございました。制度の対象につきましては、ほとんどの企業が男女労働者を対象としておりまして、対象となる家族の範囲は本人の親、配偶者の親、配偶者、子供とするところが多くなっております。また、休業期間に関しましては、一カ月未満から一年までさまざまな形でございました。  それから、調査対象になりました労働者の中でかなりの方が実際に介護に携わったという結果が出ておりまして、この労働者の中で介護に中心的に携わった方々は、男子の場合には配偶者、親、それから女子の場合には自分や親ということで女性の方が多かったと。そういう介護を実際に行った方からの実際の企業内の福祉制度に対しますニーズとしましては介護休業制度が最も高かったという結果になっております。  以上、簡単でございますが、研究会の報告内容を御説明させていただきました。
  150. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、労働省といたしましては介護休暇を普及するためには奨励措置が必要だと、こういうふうにお考えですね。その概算要求している中身についても御説明いただきたいと思います。
  151. 堀内光子

    説明員(堀内光子君) ただいま申し上げましたとおり、労働省といたしましても、高齢化、核家族化を背景といたしまして老親介護の問題が労働者にとりまして大変大きな問題となってきているというふうに考えております。介護休業制度はそのような問題に対応いたします有効な制度の一つであるというふうに考えております。  ただ、先ほど御説明申し上げましたとおり介護休暇制度の普及率は現在一割程度という状況でございますので、行政といたしましては、現在企業で実施されております制度内容、効果、問題点等を十分勘案いたしましてその対応につきましては十分検討してまいりたいというふうに思っているところでございます。
  152. 吉川春子

    ○吉川春子君 大蔵省に概算要求しておられますね。この内容について簡単に説明していただきたいと思います。
  153. 堀内光子

    説明員(堀内光子君) 労働省といたしましては、今御説明申し上げましたとおり、介護休業制度の普及促進策をできるだけやってまいりたい、取り組みたいということで現在概算要求をいたしたというところでございます。
  154. 吉川春子

    ○吉川春子君 最近労働省が発表されました婦人労働白書によりますと、既婚婦人が働き続けるということは大変いろんな困難が伴うということです。定年まで働き続けている既婚婦人というのは何%ぐらいいるんでしょうか。
  155. 堀内光子

    説明員(堀内光子君) 先生御指摘がございました婦人労働白書、私ども婦人労働白書を最近発表しました中では、就業構造基本調査を特別集計いたしました結果から、同一企業におきまして継続就業者ということで、二十四歳以前から企業にお勤めの方が同じ企業に二十五歳以後もお勤めの有配偶女性の方は全体で大体二割ぐらいではないかというふうに結果を出してございます。  年齢別で見ますと、大体二十代の後半で有配偶の雇用者のうちの六四%が二十四歳以前と同じ企業にお勤めである。それから、三十歳代前半で四割弱になりまして、三十歳代後半では二一・四%、四十歳代前半になりますと一三・五%、四十歳代後半一〇%ということで、年齢が高くなるにつれまして二十四歳以下、二十五歳より前から企業にお勤めの方の割合が低下しているという結果になっております。
  156. 吉川春子

    ○吉川春子君 五十代後半までわかりませんか、その数字は。
  157. 堀内光子

    説明員(堀内光子君) お答えいたします。  ただいまの数字の続きでございますけれども、五十代前半が九・三%、それから五十五歳以上で七・三%という数字でございます。
  158. 吉川春子

    ○吉川春子君 五十代後半というのは定年までほぼ勤めたというふうに受け取っていいかと思いますけれども、そうしますと七%、あるいは五%ぐらいかもしれませんね、そういう数字になって、女の人が働き続けるというのは大変難しいわけな んです。  私は「女が職場を去る日」という沖藤典子さんの本を見たんですけれども、だんなさんの単身赴任、そして自分のお父さんの発病、娘の高校受験、こういうものが重なってキャリアウーマンがつらい思いをしながら職場を去っていくという本で、かなり話題を呼んだと思うんです。これは十年以上前の本ですけれども、今日も女の人が働き続ける上でいろいろ問題があるということは、国公労連の婦人協議会とか、あるいは全司法の労働組合でこういうパンフレットを出しているんですが、特に今問題なのは、家族が病気になったときに看護の問題で大変つらい思いをしながら職場を続けているという問題なんですね。それで介護休暇の必要性ということが出てくるわけなんです。  これは全司法の労働組合の「三十七人の発言」の中からですけれども、例えば熊本の方は、昭和五十六年にお母さんが入院して、看護で交代で病院に泊まり込んで病院から出勤する毎日だった。そして、その後またお父さんが倒れて五年間入退院を繰り返して、亡くなるまでの半年間泊まり込みの看病を夫と交互にしたと。あるいは福岡の方は、十七年間半身付随のお母さんに付き添って看護を続けながら働いたと。あるいは福島の方は、お姉さんが骨折のために入院して、看病で十キロ体重がダウンしたと。あるいは、いまだに借金が払い切れていない、亡くなってもう既に三年を過ぎたけれどもまだ借金の支払いが続いているとか、老親だけでは必ずしもありませんけれども、そういう人々を抱えながら職場を続けることの大変さということがここに書かれているわけです。  さっき労働省のお話にもありましたけれども、そこで介護休暇の必要性ということが出てくるわけなんです。そこで大蔵大臣にお伺いしたいんですが、ことし労働省は介護休暇の促進策について予算要求をしているわけです。ひとつこの制度をぜひ認めてほしい、けってしまわないで、第一歩ですので必ず介護休暇の奨励策については予算をつける、そういう御努力をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。
  159. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 予算編成過程で十分相談をいたします。
  160. 吉川春子

    ○吉川春子君 先ほど大蔵大臣の御持論である多世代間同居というお話も伺いましたけれども、幾つかの世代が同居して、そして楽しく仲よく暮らせればこれは本当に幸せなことだと私も思うわけでございます。  同時に、そういうときに、病気になったときに公的ないろんなサービスが不十分な場合は家族の看病、看護に頼らざるを得ないわけなんです。そういう中で大変それが女性に降りかかってきているわけですので、介護休暇というのをどうしても認めて、期間はいろいろありますけれども、一定の休暇の後はまた再びその職場に戻れるというような制度がどうしても必要だという声が今高まっているわけです。だから、大臣の多世代間同居の論を実現される上でもこの制度は必要ではないか、それに反するものではないと思うんですけれども、予算編成の大変厳しい中ですけれども、その点についてはぜひよろしくお願いしたいと思います。
  161. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 個人的なことを申し上げて恐縮ですが、私の母親自体が現在、昨年八月に倒れましてから五回の手術を繰り返して、病状が改善をしたり悪化をしたりの繰り返しでございます。昨年の八月から暮れにかけて私自身がほぼ週に三日ぐらいずつは病院に寝泊まりをしておりました。現在この仕事につきましてからその余裕がありませんために付き添いの方をお願いし何とかこれをカバーいたしております。家に連れて帰るところまで何とか病状が好転をしてほしいと願っておりますけれども、残念ながら今日なおその願いはかなっておりません。ですから、問題の所在はお話しをいただくまでもなく私自身がよく今日も存じております。  そして、私は比較的若く父親も亡くしました。一年余りの闘病の後に父親を亡くしました。家族の負担というものも存じております。また、母方の祖母の死も私の家でみとりました。ですから、問題の所在はよく知り尽くしておりますけれども、今具体的なお尋ねとして労働省全体の施策の中における位置づけがどうなっておりますのか、率直に申しまして私は要求の中身をよく存じておりません。ですから、この施策が大事でないと決して申し上げるつもりはありませんけれども、労働省全体の施策の優先順位等々も十分私は聞きながら予算編成をしていこうと考えております。  むしろ、情にほだされて無責任な返事をいたすことの方が私はこの問題に対しては礼を失することだと思っております。
  162. 吉川春子

    ○吉川春子君 人事院はお見えでしょうか。――この介護制度は男女を問わずすべての労働者に適用される制度なんですけれども、とりわけ女性労働者に切実に求められている制度なんです。どうしても医療制度の不備の中で介護という問題は女性の肩にかかってしまう、そして老親の介護のために職場を去らなければならない、老親に限りませんが、こういうことが後を絶たないわけです。  今航空管制官とか気象観測官とかも含めて女性の職場も物すごく拡大しているわけです。だから、女性が働き続けるためにも介護制度というのはどうしても必要で、民間の介護制度の促進のための施策を労働省は一歩踏み出そうとしているわけですけれども、人事院としても国家公務員のためにぜひこういう制度を早急につくっていただきたい。そのことについて質問いたします。
  163. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 国家公務員の休暇制度の問題に関連いたしましても、今お話のありましたような介護休暇という問題の重要性が高まってきているというふうに理解しております。各方面の御意見、御要望などもいろいろ出てきております。また、民間での導入もかなり進みつつあるというふうに理解しております。  そういう中で人事院としてはこの状況を踏まえまして重大な関心を持って研究を進めているという状況でございます。民間に先駆けてということはなかなか難しいと思いますけれども、国家公務員につきましても、そういうことの必要性は今後ますます高まると思っておりますので、今後とも真剣に研究を進めていきたいと考えております。
  164. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうですね。じゃ、このことは早く実現するように強く求めて、次の質問に移りたいと思います。  国家公務員の職場の勤務環境について最後に伺いたいんです。  私は、埼玉県に住んでおりますので、埼玉県の職安、法務局に視察に行きました。それを例にして伺いますけれども、恐らく全国的に同じ状態であろうかと思います。  例えば、川口の法務局には四十人の職員が働いており、そのうち女性は二十人います。ところが、女性用のトイレは二階、三階にはなく、一階のみに職員と来客兼用の男女別トイレがあるという状態です。しかも、川口は鋳物の町だったんですけれども、今はマンションの町に生まれ変わりつつありまして、十日に一個マンションが建つのではないかと言われているくらいで、登記の、登記所の仕事というのも物すごく多いんですね。人員ももうふやしてもらわなきゃならない、これも強い要望です。女性のお客さんも多いんですけれども、女性用のトイレは、こういう場で恐縮ですけれども、便座は二つしかなくていつも満員なんですね。女子職員の利用にも差し支えている状態なんです。  それからまた浦和の職安では、三十八人の職員の中で女性は十三名です。ここでは競輪、競馬で働く婦人の皆さんが非開催日に失業手当を受け取りに来るんですけれども、この問題は別に取り上げたいと思いますが、朝の七時半から十時過ぎまで、五百人とか六百人の方が、女性がやってくるわけなんです。ところが、ここでもトイレは一階に男女別々のが一カ所あって、それで便座は一つしかない。二、三階は男女一緒のトイレなんですね。ところが、もう十時過ぎまで三階まで含めてトイレが全部外来者に占領されて、職員はほとんど利用できない状況なんですね。外来者にして も、このトイレの数では大変御不便で御不自由だと思うんです。国民に対するサービスの点からも好ましくないと思うんです。  それで、まず建設省と人事院に伺いたいんですけれども、埼玉県内に十四の職安があるんですけれども、浦和、大宮、川越など五つの職安では男女別のトイレがないわけなんです。特に女性側からすると、男女一緒のトイレというのは大変利用しにくいものなんですね。労働安全衛生規則六百二十八条には、トイレは男女別々にせよと規定しているわけですけれども、比較的最近できた建物でもこういうものがないわけなんです。なぜ男女別々のトイレをつくらなかったのか。まずその理由からお伺いします。
  165. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) トイレにつきましては、男女別にしております。
  166. 吉川春子

    ○吉川春子君 いや、していないから、なぜかって聞いているんです。
  167. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 一つでもあれば、しているということになります。
  168. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうするとこの安全規則は、トイレは男女別々につくるべしと書いてあるんですけれども、これは一階のトイレはと、こういうふうに読む条文なんですか、どうですか。――意味がわかりませんか。もう一度言いましょうか。  トイレは男女別々にすべしと書いてありますね、規則で。でも、このトイレはという意味は、一階のトイレはという意味なんですかと伺っている。
  169. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 一階、二階とそういう区別はしておりませんで、全体で考えております。
  170. 吉川春子

    ○吉川春子君 そうしますと、とにかくトイレというのは男女別々にしなきゃならないというふうに書いてあるわけですが、なぜ別々にしなかったんでしょうか。
  171. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 職員数あるいは来客数等を考えて、当時そのようになっていると思います。
  172. 吉川春子

    ○吉川春子君 浦和や川口のトイレは、来客数も考えてのトイレの数になっていませんよね。
  173. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 当時としては全体として、先ほどから申し上げていますが、全体として男女区別ということで考えておると思います。
  174. 吉川春子

    ○吉川春子君 当時というのはいつのことです
  175. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 川口については六十年でございます。
  176. 吉川春子

    ○吉川春子君 今はじゃ違うんですね。
  177. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 個別の具体の事案については状況は把握しておりません。
  178. 吉川春子

    ○吉川春子君 私はきのうちゃんと質問通告してありますよ。外来者の数を考えてトイレの数はつくってありますか。例えば職安とか法務局とか税務署というのは必ず外来者がたくさん来ますでしょう。そういう数も含めてトイレの数を決めているんですか。
  179. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 外来者の数についても十分考えて設計しております。
  180. 吉川春子

    ○吉川春子君 建設省でしたっけ、あなたは。
  181. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) はい。
  182. 吉川春子

    ○吉川春子君 外来者の数も含めた数ですか、この労働安全規則のトイレの数というのは。そうじゃないでしょう。これは職員の数だけを考えた数じゃありませんか。
  183. 大城二郎

    政府委員大城二郎君) 今のお話、国の職場につきましては、私ども人事院の規則で基準を定めておりますけれども、それは一般の民間の事業所と司じように定めるということで、労働安全衛生法に基づく事務所衛生基準規則、その例によるということにいたしております。  その中では、今お話しのように、トイレにつきましては、使用する、就業する労働者の数を基準にしまして基準が定められておりますから、恐らく外来のいわゆるお客さんについては別だというふうに考えてよろしいかと思います。
  184. 吉川春子

    ○吉川春子君 職員の数だけを厳密に数えると今のトイレの数でもいいかなというふうに思われるんですね。ところが、御承知のように職安とか登記所というのは外来者の数が多いんですね。御存じかどうか、登記所は今、三時間も四時間も待たされるんですよね。外来者が多いのと待ち時間が長いから実際大変なんですね。そういうようなことを考えて、なおかつこのトイレの数だと、こういうふうに建設省はおっしゃるんですか。
  185. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 当時の状況から状況が変わっておるというふうに認識しております。
  186. 吉川春子

    ○吉川春子君 もう少し長い言葉で答えていただけませんか。  というのは、当時の状況とどこがどう変わったからこうなったのかという意味がわからないんです。
  187. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 来客の数について、当時から現在では相当状況が変わっているということでございます。
  188. 吉川春子

    ○吉川春子君 ちょっと済みません、私意地悪な質問をするつもりはないんですけれども、六十年と現在と来客の数なんて変わっていないんですよ。もちろんふえているということはありますけれども、大体川口も浦和も来客の数というのはうんと多かったところですから、この三年間にそういうふうにふえたということじゃなくて、最初からもう全然来客の数なんか念頭に入れないで設計しているんじゃないですか、そうでしょう。
  189. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 浦和の職安については四十七年でございますので、職安の方は相当変わっているというふうに思っています。
  190. 吉川春子

    ○吉川春子君 川口はどうですか。
  191. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 川口については六十年でございますので、正確には存じ上げませんが、どんどんふえてきているというふうには考えております。
  192. 吉川春子

    ○吉川春子君 あのね、じゃ要するに一階のお客さんが、外来者が来る男女別のトイレは、トイレは一つで便座も一つ、法務局とか職安とか全国でも有数のお客さんがそこに来る、そういうお客さんを賄えるような、で職員もいるわけでしょう、そういうトイレの数だと大体思いますか、どうですか。
  193. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) その件につきましては今後十分実態を調査して対処してまいりたいと思います。
  194. 吉川春子

    ○吉川春子君 トイレの問題で私お願いしておきますけれども、設計図を見せていただいても、スペースが別に狭いからとれなかったというんじゃないですね。大体最初から念頭にないわけなんですよ。要するにトイレは男女別々に各階ともつくらなきゃいけないとか、外来者が来るからこれぐらい広くしなゃやいけないとかという、そういうことが全然配慮されていない設計図なんですね。恐らくそういうことは関係なかったと思うんです。で、少なくともトイレは、もうくどいようですけれども、男女別々につくる、そして来客の数も十分検討に入れて、そして今後つくっていただきたいと思うんです。  大蔵省、ついでにこの点についてお伺いしますが、例えばトイレの数を外来者の数も入れて予算要求したのに大蔵省が予算の関係で来客の数のトイレだけ切っちゃう、そういうようなことはまさかしないでしょうね。どうですか。
  195. 小村武

    政府委員(小村武君) 官庁施設のトイレの設置につきましては、その施設の用途、規模等を勘案いたしまして私ども適正な平米当たりの単価を設定するということでありまして、トイレは不必要だ、そういった観点から無理やりにそれを査定す るということはいたしておりません。
  196. 吉川春子

    ○吉川春子君 すみません。時間がなくなりました。要望申し上げておきます。  休養室も男女別々になっていないし、大体更衣室がないわけですよね。ロッカーはあるんだけれども、カーテンを引いて外は男性がいるみたいな、そういうところで更衣しているとか、着がえをしているとか、そういうところもあるわけなんです。ですから私は人事院にも建設省にもお願いしておきますが、職員が働いている場所は、休養室とかロッカーとか更衣室とか、そういうものも設計の段階できちんと、労働組合の意見も聞いて、働いている人たちが十分仕事ができるようなそういう環境にしていただきたいと思います。どうですか。
  197. 石岡征也

    説明員(石岡征也君) 更衣室につきましても必要に応じまして設置するように努めておりますし、今後とも先生のおっしゃる方向で対処してまいりたいと思います。
  198. 吉川春子

    ○吉川春子君 終わります。
  199. 中川嘉美

    中川嘉美君 本年五月に行われた総理府の世論調査によりますと、いわゆる日常生活の中で感じている悩みとかあるいは不安、こういったもののうちで、やはり老後の生活設計あるいは健康、こういったことの項目が非常に上位を占めているというこういうことでありますけれども、まさに長寿の中の国民総不安時代を物語る、こういう感がするわけですが、我が国としてはこのような国民の悩みとか不安を解消する施策というものは、これはもう当然積極的に推進し、かつ実現するように努めていかなければならない、このように考えます。  そのためには、まず全国民を対象としているナショナルミニマムとしての基礎年金、この充実を図るべきであると、このように当然思うわけであります。基礎年金給付水準、これが今回の給付見直しを図ったとしてもなお低い、暮らせる年金になっていない。また、将来の国民年金の保険料は平成元年度価格で一万六千円以上になることが想定されておる。この保険料の半額以下であった昭和六十三年度における国民年金の保険料でさえ、払えない、いわゆる免除となっている人々が約二百二十四万人。さらに、国民年金第一号の被保険者の数となりますと、約千八百万人のうち一六%近い人々が保険料を滞納して、無年金者になるおそれがあるわけであります。  私は、先ほどからいろいろ御論議が出ているわけですけれども、以上のことからやはり基礎年金に対する国庫負担率、これは三分の一から二分の一に引き上げることによって云々という先ほどの山口委員の御意見にも同感である。特に、我が党としても前々からこれを主張しているわけですけれども、基礎年金額を老後の生活を保障するに足る水準に引き上げるという先ほどの御論議、特に所得比例保険料を導入して所得の低い人たちの保険料を引き下げるべきだと、このように考えるわけですけれども、ここで厚生省並び大蔵大臣の御見解をまず承っておきたいと思います。
  200. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 基礎年金の水準の問題についてまずお答え申し上げたいと思うわけでございますけれども、私どもが基礎年金の水準を決める際に立っている考え方でございますけれども、基礎年金国民共通の一番基礎的な年金でございますし、それによりまして老後のお一人お一人の基礎的な消費支出部分を賄えるに足る水準というふうな考え方に立っております。  もう少し具体的に申し上げますと、老後の六十五歳以上の方の単身の方の実際の消費支出の調査を基礎データにいたしまして、基礎的な衣食住及び光熱費等につきましておよそ賄える程度の水準というのが、前回の新しく基礎年金制度が発足いたしましたときからの考え方でございまして、今回の改正におきましても、そういったふうな視点から新しい調査データ等も加味いたしまして五万五千五百円というふうな水準にいたしておるところでございます。  なお、基礎年金によりましていわば生活の最低保障機能を持たせるべきではないかというふうな御主張でございますけれども、年金制度といいますのは国民全体をいわば対象にし、一般制度としてどれだけの給付を行うかということでございますので、個人個人の生活の実態から見ていかなる保障をすべきかというふうな観点からのものではございませんので、その点は社会保険というのを一つの原則としながらの年金制度の中で国民全体の、ある意味ではナショナルミニマムといいましょうか、というふうなものをその年金制度だけで構成するというのは難しいのではないかというふうに考えております。  それから国庫負担の問題でございますが、これも午前中からの御審議の中での繰り返しになりますけれども、全国民公平にということで、基礎年金の三分の一ということで制度発足以来とった措置でございますし、これから先の費用の増高傾向、あるいは一方での国家財政というふうなものを両面あわせて判断いたしますと、これを引き上げていくというのは大変難しい問題だというふうに考えております。
  201. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今厚生省の方から御説明がございましたけれども、私どもの立場から申し上げることはほぼ以上で尽きております。むしろ、受益と負担の関係というものが、明確な社会保険のシステムというものを考えてまいりましたときに、私どもは今基礎年金にこの三分の一の国庫負担を集中する方式というものは必ずしも批判をされるべきものとは考えておりません。
  202. 中川嘉美

    中川嘉美君 公的年金一元化、これは平成七年をめどに進めるとしているわけですけれども、現在までのところ具体的に公的年金一元化に至るまでのプロセス、さらにはそのあり方等が政府から示されていないわけでありまして、いわば自民党の公的年金等調査会のスケジュールがひとり歩きをしているんじゃないか、こう言っても過言ではないと私は思うわけですけれども、果たして政府が考えている公的年金一元化の具体的姿というものはどんなものなのか。法律の一本化なのか、あるいは給付負担一元化なのか、あるいは別の形をとるものか。この際、この点はぜひ明確に示すべきじゃないかと思いますし、またその際の共済制度厚生年金に併合されるのか、あるいは制度が残ってもどのような形で残るのかとか、そういった点に関して政府の見解を承っておきたいと思います。
  203. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 平成七年ということを一つのターゲットにいたしまして、公的年金制度一元化、特に被用者年金部分の二階部分を含んだ制度一元化というのが一つの課題になっているわけでございますが、その最終的な姿につきましてどういうものになるのかということについては、まだ私ども確たるものを持っているわけではございません。ただ、その中で年金審議会から一つの考え方が示されておるところでございますが、それによりますと、各制度は一応存続させたままでその負担給付面についての均衡を図るという観点から、同一給付・同一保険料の単一の新しい仕組みをつくりまして、そこに各制度がいわば二重加入するというふうなことにより、一元化のねらいでございます負担給付均衡化ということを実現するという一つの意見が出されております。  私どもとしては、年金制度一元化の姿につきましては、そういったふうな関係審議会での御検討なり、あるいは現在提案されております制度間調整法の推移等を見きわめながら具体化していくということになろうかと思うのでございます が、したがって現在のところ、先生が今おっしゃったように法律を一本化するのかとか、あるいは統合するのかどうかというふうな点について明確にお答えする用意はございません。ただ、いずれにいたしましても、一元化の理念的な意味での目標負担給付の両面にわたる均衡を図るというのがいわば必要にしてかつ十分な条件ではないかというふうに思いますので、そういったふうな点を考え方基礎にしながら、各制度間で協議を進めながら具体的な姿を描いていきたいというふうに考えています。
  204. 中川嘉美

    中川嘉美君 少なくとも現時点で考えた場合には、今の御答弁ですと非常にまだ漠然としたものにしかすぎないというふうに受けとめられるわけです。こうなってきますと、受給者の不安を増加させるだけじゃないだろうか、私はこういうふうに思うわけで、もっともっと政府としてのビジョンというものは今からしっかりと明らかにする方向にひとつぜひ向かっていただきたい。こんなふうにここで要望しておきたいと思います。  六十五歳への年金支給開始年齢引き上げ、これについて衆議院における修正で一応の合意を見ているようでありますけれども、五年後には再度問題になることは必至ではないか、こう考えます。そこで、共済年金としても本年三月二十八日の閣議決定、この閣議決定にあるように、いずれ六十五歳への年金支給開始年齢引き上げについて厚生年金と同様に法改正をもくろんでくるということは間違いないと私は思うわけで、その場合に、雇用の確保というものがなされていかなければ、これはもう賛成できないわけです。  政府は、四月二十日の関係省庁申し合わせによって公務員共済年金制度改定問題に係る雇用問題検討委員会、これを設置して検討を行っていることと思いますけれども、どのような観点からどのように検討を行っておられるのか。年金支給開始年齢引き上げについては、現行の六十歳支給維持を含めて慎重に協議すべきものと考えるわけですけれども、この点に関して大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  205. 服藤収

    政府委員服藤収君) 共済年金支給開始年齢国家公務員の雇用問題との関係につきましては、ただいま先生から御指摘のございましたように、関係省庁の局長クラスを構成員とします検討委員会をこの四月に発足させまして、同時に設置されました関係課長クラスによる幹事会をも活用しながら、種々の観点から調査研究し、検討を進めているところでございます。今後とも同委員会におきまして、雇用に係ります制度運用のあり方、共済年金に係ります制度運用のあり方、それから民間企業における同種の制度運用状況、諸外国における同種の制度運用状況などについて検討を進めていくこととしている次第でございます。  なお、国家公務員の定年制度は、計画的な人事管理を通じまして公務の能率的運営を図ることを目的としております。したがいまして、定年の延長につきましては、共済年金支給開始年齢との関連はもちろんのこととしまして、公務の能率的運営に与える影響とか民間企業の定年制度の動向など、諸般の事情を総合的に勘案する必要があるというふうに考えております。こういった観点から今後も引き続き検討を進めていこうというふうに考えているわけでございます。
  206. 中川嘉美

    中川嘉美君 もし共済年金年金支給開始年齢というものを六十五歳にするならば、先ほど述べたように、定年制との関係で雇用と退職を一致させるべきである、このように思いますけれども、この点に関して、公務員の勤務条件及び共済年金の調査検討を行う立場にある人事院並びに総務庁、できれば大蔵大臣、ごく一言ずつで結構でございますが、御答弁をいただきたい。
  207. 森園幸男

    政府委員(森園幸男君) 公務員制度におきまして公務員の退職年金は、相当年限忠実に勤務して退職した公務員が退職後に適当な生活を維持できるようにとの目的で設けられているものでございますから、したがいまして現在、今御指摘ありましたような問題につきましてもこの制度趣旨から考えまして、当然、支給開始年齢と職員の雇用という両者の関係につきましては十分な配慮がなされなければならないものだというふうに考えております。  先ほど人事局からも御答弁ございましたように、定年年齢といいますのは、もちろん職員の退職後の生活保障というのも大事でございますけれども、片や公務員制度全体といたしまして公務の能率的な公正な運営を図るということで、定年退職制度といいますのはその中で適正な新陳代謝を図りながら公務の活力を維持するという大きな目的もございますので、六十歳を超えた人たちの能力あるいは体力、意欲というようなものとのかかわり合い、あるいは今御指摘がございましたような公務員の重要な勤務条件の一つでもございますから、民間企業で高齢者雇用問題等についてどういう方向が打ち出されるかということをにらみながら、総合的に検討していく必要があるというふうに考えております。
  208. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今御意見を伺いながら考えておりましたけれども、年金支給開始年齢と定年制など雇用の問題というものを機械的に一律のものとしてとらえてしまうと、これは私は実は、殊に一般論として申し上げました場合に、民間企業等におきましてさまざまな問題が生じるのではないかという危惧の念は持ちます。しかし同時に、年金と雇用というものが密接な関連を持っているというのはこれは御指摘のとおりであります。ですから、今後支給開始年齢引き上げを進めると仮定して考えました場合には、高齢者雇用促進などの条件整備というものと密接に連携をさせるなど、そうした施策を総合的に進めていく必要がある。その意味では委員の御指摘のとおり、そのように理解をいたします。
  209. 中川嘉美

    中川嘉美君 じゃ、お二方に御答弁いただきましたので次に進みます。  公的年金一元化の問題とも関連しますけれども、国共法の附則第二十条の三にあります旧三公社の年金制度適用の検討条項、これについてちょっと一言伺いたいと思いますが、この規定によりますと、「公的年金制度全体の再編成が行われる時点で検討を加え、その結果に基づいて必要な見直しを行うものとする。」と、このようになっておりますけれども、この条項の基本的な考え方ですね、これについてちょっとお答えをいただきたい。
  210. 小村武

    政府委員(小村武君) 三公社の民営化に当たりまして、将来の年金制度のあり方等について議論がなされたことは承知しております。三共済、今私ども国家公務員共済と同じ共済グループに入っております。国家公務員共済も含め、平成七年の一元化を展望しつつ、今後どういう形でその一元化を図っていくかという検討が進められると思います。今回お諮りをしております制度間調整法は、負担面においての年金一元化の地ならしであるということを御理解願いたいと思います。
  211. 中川嘉美

    中川嘉美君 この旧三公社の年金制度適用についての見直しですけれども、制度の沿革等いろいろ問題を含んでいることから、早目の検討を行って対処方策を示して、この点に関する論議とかあるいは審議、こういったものの余裕を持たせることが必要じゃないだろうかと私は思うわけで、ですから、今現在の検討状況はどうなっているのか、いつごろまでに検討結果を出してその実施方を行えばよいと考えておられるのか、ちょっと今の御答弁であれですが、もう少し今現在の検討状況とか、今度はその辺についてのお答えをいただ きたいと思います。
  212. 小村武

    政府委員(小村武君) 旧三公社の共済年金制度とともに全体の年金制度公的年金制度一元化という中で私どもはその位置づけを検討していきたい、こういう意味でございます。
  213. 中川嘉美

    中川嘉美君 平成七年の一元化間際に検討結果を出すようなことだけはこれはもう避けなきゃならないことですし、早目に出して検討に要する時間をぜひともこれは確保していくべきだと、このように意見としても述べさしていただき、また要望をしてまいりたいと思います。  次に、鉄道共済年金にかかわる既裁定年金額の削減、これは年金史上初めての措置と言われているわけですが、このような措置をとることに至った理由はどういうところにあるか、この点はどうでしょうか。
  214. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回お願いしております鉄道共済自助努力部分のうち、受給者の方々について退職時の特昇分の削減をさしていただいております。これは、鉄道共済は最終退職時の俸給をもとにして算定されるわけでございますが、その際、退職時に特昇を行いまして年金額のかさ上げを行っているということでございまして、他の公的年金よりも有利になっている部分、こういったものにつきまして、今回制度間調整法で各年金からも支援をいただくという意味からも自助努力の一環としてその削減をお願いしているということでございます。
  215. 中川嘉美

    中川嘉美君 自助努力とはいいましても、けさほど来いろいろ論議が交わされているとおりで、受給者に責任はないというふうに私たちは思いますし、むしろ当時の国鉄当局の人事管理ということによる責任ではないかと我々も思っておるわけで、この点についてどのようにまず考えておられるか。もういろいろと御答弁はいただいておりますが、先般来の、先ほど来の御答弁にさらにというか、いま一度ここで確認だけはしておきたいと思います。  このような措置が財産権とかあるいは既得権の侵害に当たるのではないか、特に訴訟問題が起こる可能性もあると考えますけれども、こういったことについての大臣のお考え、御答弁をいただきたいと思います。
  216. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ちょうど運輸大臣在任中に鉄道共済の将来を私は心配いたしまして、当時大蔵省にお願いをいたし、有識者懇をつくっていただいたわけであります。そして有識者懇で、これはもう労働者代表の方も、いろいろな方方にお入りをいただいて御議論をいただきました。そしてその中で、いわば社会経済情勢の変化の中で国鉄自体に責めを帰すべきでない原因、同時に、例えばその退職時給与をベースにいたしておりました点、またそれを労務政策に利用いたした部分がありましたような面等々、さまざまな部分から日本国有鉄道自体が責任を負うべきであると判定をされた面、非常に厳しい御意見がこの中から出てきたわけであります。そして、本来鉄道共済自身の問題であるということから鉄道共済に対して最大限自助努力というものが求められてまいりました。  そうした中で、今回明年度以降年間三千億という巨額な赤字を生ずることが明らかな状態になり、その中で鉄道共済についての将来方策を検討いたしますと同時に、一方では平成年度を目途といたしております公的年金制度一元化の構想が進展をし、制度間調整が一方で進んでまいりました。その制度間調整の中におきまして、たまたま今回いわば受け取り側という位置づけになりましたのは鉄道共済とたばこ共済、この二者であります。そしてその中で、非常に厳しい鉄道共済については自助努力というものが関係各方面から求められまして、ぎりぎり、先ほど穐山委員には私は実は大変複雑な気分であるということを申し上げましたけれども、合意の求められる点を求め、また一方では旧国鉄時代からの積み立て不足等、こうしたところに着目をし、清算事業団負担を願ったということでありまして、現時点において私どもとしては最善を尽くした案を国会に御審議願ったつもりでありました。  衆議院におきまして所要の、御審議の中で各党の御相談の中から御承知のような修正が行われ、私どもは現在これを実施すべく御審議を願っておるところであります。
  217. 中川嘉美

    中川嘉美君 財産権あるいは既得権の侵害に当たるんじゃないかということで先ほどもちょっと私は質問の中で申し上げましたけれども、確かにそれに関してもやっぱり訴訟問題とかそういったことが起きる可能性というものが今考えられるということで、そこの最後のところでちょっと申し上げたわけです。この点についてはどうでしょうか、どういうふうに考えられますか。
  218. 小村武

    政府委員(小村武君) 先ほども申し上げましたように、最終俸給を基礎として年金額を算定するわけでございますが、本来旧公共企業体共済法が予定いたしましたのは、退職時に特別昇給を行ってその年金額をかき上げするというようなことは予想していなかった運用でございます。今回各制度から相互扶助の精神に基づいて応援をいただくという場合には、やはり他の制度よりも優遇されている部分についてはその部分について削減をさしていただくということは十分御理解願えるものと思います。  さらに、この特別昇給分のカットの対象者でございますが、一般職員はおおむね削減の対象外でございまして、管理職以上、四十七万人の鉄道年金受給者のうちの約六万人が対象になるという実情でございます。
  219. 中川嘉美

    中川嘉美君 時間の関係で、いろいろ詰めたいところですけれども、それでは飛び飛びになるかと思いますけれども、ちょっと二、三点まとめて最後に伺っていきたいと思います。  鉄道共済年金自助努力の一環として国共済の財政調整が行われることが予定されておりますけれども、その手続、それから額、保険料率換算等について御説明をいただきたい。これが第一点。  それから、社会労働委員会審議されているいわゆる被用者年金制度間調整法案、これになぜ国共済が入っていないのか、また入っていたとしたら国共済の立場はどのようになっているか。これが第二点。  それから、国共済はこの鉄道共済自助努力の中に組み込まれた上、制度間調整からも除外されているという二重のハンディを背負うようなことになったわけですけれども、今後財調委員会運営審議会と手続を経ることにはなろうと思いますけれども、国共審答申、それから現役組合員の意見を尊重すべきであるという、こういう考え方に対してどのように考えておられるか。  ちょっと項目的で恐縮ですけれども、この三点まとめて伺っていきたいと思います。
  220. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回の鉄道共済の救済スキームの中で、国共済はいわば自助努力グループの中の一員として政府原案におきましては百億円、衆議院修正されたところによりますと八十億円、厚生年金等と修正された同じ率でその負担が減少しております。国共済は、これまで六十年度から共済グループとして鉄道共済の救援をしてきておりまして、その際特別にその保険料を設定していたわけでございますが、今回このスキームが完成いたしますと、特にその保険料率の形でこれまでのように各被保険者の方々から負担をお願いするということをいたしておりません。  それから、今回の制度間調整の中で除外されたという点でございますが、これは後ほど厚生省の 方からお答えを申し上げます。
  221. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 第二点目についてお答え申し上げたいと思います。  今回の制度間調整法は、被用者年金制度一元化されるというまでの当面の特別措置だというふうな位置づけになっておりますし、しかも各制度間での負担調整でございますので、各制度間が合意できる範囲でその部分からやっていこうというふうな考え方に基づくものでございます。  その基本的な考え方一元化のねらいでございます給付負担面調整ということでございますけれども、具体的な中身の設計に当たりましては、今申し上げたような関係者の合意というのを一つの前提にして組み立てたものでございます。したがいまして、制度間調整の実際の効果をどう発揮させるかというふうな観点からいたしまして、その一方で制度間においてかなり窮迫度の強い制度あるいはまだそこまで達してない制度さまざまでございますので、その効果を緊急度の高い制度、必要度の高い制度に集中的に働かせるべきではないかというふうな観点から、いわば拠出する保険制度あるいは受ける年金制度について一つの判断を加えたところでございます。  そういう観点からいたしまして、実質的に交付を受ける制度鉄道共済とたばこ共済ということにし、国共済連合につきましては、当面その緊急度という観点から見て交付を受ける保険制度とするには値しないといいましょうか、になじまないというふうなことで、当面いわば拠出でも交付でもない、交付を受ける保険者でもないというふうな整理にいたしたというものでございます。したがいまして、先生の御質問になられました、もし仮にそれが交付を受けるならばというふうなことはそもそも制度で組み立て方として予定しておりませんので、具体的な試算等々申し上げるのは適当ではないのかなというふうに考えております。
  222. 中川嘉美

    中川嘉美君 もう時間も参ったようですので、これはちょっとまだ御答弁をいただきたいところなんですが、きょうはどうしても。これはこれでまた改めてじゃこの関連のことについては機会を得てさらに続けたいと思います。  それで、どうしても一問だけ最後に伺っておきたいのは、共済年金法の改正に当たって重要な点を一つ確認しておきたいと思います。  それは年金受給者の問題ですけれども、御承知のように年金受給者は既に二千五百万人を数えている、しかも毎年百万人近く増加している中でその支払い通知事務のシール化ですね、これについて我が党は年金法の改正のたびごとにプライバシー保護の立場からこれを取り上げていわゆるシークレットラベル方式への転換を主張してきたわけですけれども、まず平成元年度予算でどのような予算措置がとられたか、またいつから完全実施の体制でシール化が図られるか、ここで改めてできれば確認をしておきたいと思いますし、また、最後に大臣の御決意を伺いたい、このように思います。
  223. 宮島彰

    説明員(宮島彰君) 年金の支払い通知書へのシール貼付に要する経費といたしましては、平成元年度予算に約三億円を計上しております。それから、シールの貼付につきましては本年十月から遺族年金及び障害年金につきまして既に実施しているところでございまして、平成二年二月からは老齢年金も含めまして社会保険庁が支払います年金すべてにつきましてシール貼付を行うということとしております。
  224. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今事務当局から御答弁を申し上げましたが、御要望のとおり進捗をいたしておるようでありますし、今後とも注意を払ってまいります。
  225. 中川嘉美

    中川嘉美君 終わります。
  226. 星川保松

    ○星川保松君 私は、連合参議院という新しい会派の所属の者でございます。そこでまず大蔵省らいただきました資料についてちょっとお尋ねをいたします。  「鉄道共済対策スキームの修正内容」というリーフでありますが、この題目の下に括弧して「平成元年十一月二十九日与野党合意」ということが書かれておりますが、これは私ども全然知らないことでありますので、どこでどなたが合意なさったのか、その内容についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
  227. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 公党間での合意ということについて私どもが申し上げるのはいかがかと思いますけれども、私どもの法律に関係する事項でございますので私どもが承知している範囲で申し上げさせていただきたいと存じます。  衆議院社会労働委員会国民年金法等改正法案及び略称制度間調整法案が審議の対象になりまして、その審議が行われた段階でその取り扱いについて四与野党で協議が行われ、その間において中心になりましたのは社会労働委員会の理事さん方でございますけれども、協議が行われ、一つの合意というものが成立したというふうに承知しております。
  228. 星川保松

    ○星川保松君 衆議院の社労の方で、そういう理事会で合意があったということでありますが、それを殊さらに、ここにこういうふうに印刷をして参議院の我々に配ったというのは、どういう意図があってのことでありましょうか。
  229. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは、どういう意図というお尋ねに対して答弁に窮するわけでありますが、少なくとも衆議院を通過、成立いたします時点で、衆議院における御審議内容を受けてその修正が行われ、その内容を明らかにしているというものであります。
  230. 星川保松

    ○星川保松君 こういうふうに与野党合意があったということになりましたので、私も会派の皆さんに聞いたのでございます。でも、だれもそのことは存じておらないわけでございまして、そういうことになりますと、こういうことを印刷して私のところに配ったということは、衆議院で与野党が合意しておるのでおたくの会派も当然それに右へ倣うべきだみたいな、何か圧力をかけられたような感じがするわけでありますけれども。そういうことで、どうも連合参議院という存在が無視されたのかなということを会派の中でも言っておるわけなんです。  ですから、そういうことについての配慮があったのかなかったのか。それを確かめておきたいと思うんです。
  231. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) これは委員、恐縮でありますが、政府にお尋ねをいただきましても、政府としてお答えのできる範囲の問題ではございません。衆議院社会労働委員会における与野党のお話し合いというものは、院の中におけるお話でありまして、私どもがそれを御説明をすることはできない話であります。  そしてその内容について、政府案が修正されて本院に送付をされておるわけでありますから、その説明資料をごらんをいただいておるのだと思いますが、これを御説明をいたすことがおしかりを受けるというのでは、我々としてはお答えのしようのないことであります。
  232. 星川保松

    ○星川保松君 私は、この内容をどうこう言っておるのではないのでありまして、これをこういうふうにして印刷をして、なぜ我々に渡したか。この印刷物についてお聞きをしておるわけでございます。
  233. 小村武

    政府委員(小村武君) お手元にお持ちのものは、公式の資料ではございませんで、何か御説明の際に衆議院におきまして修正された内容についての説明の文書だと存じます。決して他意はございません。
  234. 星川保松

    ○星川保松君 こういうことを、私どもが全然関与していないのに「与野党合意」ということで出されますと大変な迷惑をこうむるわけでありますから、今後連合参議院というのもあるんだということをしっかり踏まえて対処していただきたいと思いますが、いかがですか。
  235. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 私、率直に申しまして、衆議院における与野党合意をそのまま「与野党合意」と書きました資料を今ここに見ております。今後、参加されました政党名を書けという委員の御意思でありますならば、そのように書くことに別に異論があるわけではございませんけれども、少なくとも一院においての与野党合意、その院を構成する与野党の合意があったという事実に基づいての御説明でありますので、こういうのは委員長、いかがいたしたらよろしゅうございましょうか。――むしろ今後、ただ、確かに一院で与野党の合意があったことは事実でありますから、今後、参加された政党名をそのまま記載するといったような方法でも考えてみたいと思います。
  236. 星川保松

    ○星川保松君 こんなことをやっていますと時間がなくなりますけれども、そうおっしゃるなら、ここに衆議院で与野党合意というふうに書いてあればそれはいいわけですよ。これは何も書いてないでしょう。そういうところから誤解も招きますし、入っていない会派から不満も出てくるということですから、その点を注意してくださいと、こういうことです。大臣いかがですか。
  237. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) おしかりは、今後よく注意いたします。
  238. 星川保松

    ○星川保松君 それでは本題に入ります。  まず、今回いわゆる制度間調整ということをやる、こういうことでございますが、どうもけさほどからいろいろ大蔵大臣お話も聞いておりますと、どうも腑に落ちない点があるわけでございます。それでまず最初に、この制度間調整分の千四百五十億と、それから自助努力等の分の一千五百五十億という、どうもその根拠もはっきりしておらないようでございまして、その後にいわゆる三百億の今度調整を行ったと。この後、新聞の報道等によりますと、六、四にすべきだというようなことで、それでまた五十億を追加したというようなことで、どれも確たる根拠に基づいておらないやりとりで与野党合意ということにいったように感じてならないわけです。  それで、まず最初の踏み台となった千四百五十億と千五百五十億の根拠について、もう少し納得のいくような説明をしていただきたいと思いますが。
  239. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回の鉄道共済年金の問題は、鉄道共済年金自身本来解決すべき問題であるという懇談会の答申もありまして、最大の自助努力を行うことが何よりも肝要であるという指摘がございました。そういった観点から、まず基本的なスキームを設計する際に、年金受給者の方々あるいは現役の被保険者の方々、それから現在の事業主であるJR、従業員の福祉に密接に関係するという意味で現在のJR、さらに旧国鉄の清算事務を行う清算事業団、さらにはこれまで財政調整事業に参加しておりました国家公務員共済組合等々を合わせまして、最大限自助努力を行い千五百五十億円の財源を捻出したところであります。  片や、先ほど来御説明いたしておりますように、平成七年をにらみまして、年金制度一元化の地ならしとして、負担の面で各制度間の調整を行おうという地ならし法案、制度間調整法案が出されました。その結果、鉄道共済は受け手に回り、千四百五十億円の財源が確保され、あわせて三千億円の赤字に対処すると、こういう基本的スキームが成り立ったわけでございます。
  240. 星川保松

    ○星川保松君 どうも今の説明を聞きましても、こういう区分けをしたその分け方の根拠になったものというものは別にないと、こういうことですか。
  241. 小村武

    政府委員(小村武君) 再三御説明申し上げておりますように、鉄道共済問題は、まず鉄道共済自助努力最大限行われるということが前提でございます。そういった関係から、自助努力の中では受給者、被保険者、あるいは清算事業団あるいはJR、国共済等々の協力を得て最大限千五百五十億円の自助努力を行った、こういうことでありまして、そういう意味において無原則に行ったということではございません。
  242. 星川保松

    ○星川保松君 どうもすっきりしないのでありますが、結局は自助努力等で千五百五十億しか賄えなかったからあとの分について制度間調整を行ったと、こういうふうにとらえてよろしゅうございますか。
  243. 小村武

    政府委員(小村武君) 制度間調整は、その残渣を持って単純に計算したということではございません。六十年の改正におきまして給付の面で、厚生年金等々、被用者年金グループにおきまして調整が行われ、統一が行われてきております。今回、その統一された新たな給付面において負担調整をしようということで、財源計算を行って算出した額が千四百五十億ということでありまして、合理的な数理計算に基づいた計数でございます。
  244. 星川保松

    ○星川保松君 どうもすっきりした根拠というふうにはお聞きできないわけであります。  次に、これも先ほどから問題になっておりますけれども、鉄道共済年金財政破綻の原因は、いわゆる大蔵省の資料にも書いてありますように、旧国鉄共済時代の制度運営上の問題、それに産業構造の変化に伴う雇用の縮小等から急速に悪化してきた、こういうふうに分析しておるわけでありますが、そういうことならば破綻の原因というのはあくまでもここにあるわけでありまして、それを解決するのにいきなりその原因とは関係のないいわゆる制度間調整というもので処理するというのは、原因に対処して問題を解決しなければならないというようなことから考えますと、問題の解決の方法が余りにも飛躍し過ぎているのではないかと思われるわけですね。  それが、調整される側の皆さんからすればどうもすっきりしない、納得のいかないという根拠になっているのではないかと、こういうふうに思うわけです。それはいわゆる鉄道共済制度の内部の問題として、産業構造の変化に伴う雇用の縮小ということになりますと、それはもう国鉄改革の時点で大蔵大臣もやはりもう想定されたものではないかと、こう思うわけです。そういうことについて、どうも問題の解決の仕方に飛躍があり過ぎるのではないかということについては、どのようにお考えでしょうか。
  245. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に、制度間調整はまさに平成年度を目指して、公的年金制度一元化のたどるべき一つのステップとして今回行われるものでありまして、結果として、今委員鉄道共済を例示に挙げられましたけれども、たばこ共済と鉄道共済がいわば受け取り側に回ったということであります。そして、鉄道共済そのものにつきましては、先刻来御論議が行われておりましたように、確かに国鉄改革の時点で問題になっておりました。その時点におきましては、本年度までの鉄道共済財政安定策は講じられておりました。明年度以降について今年度中にその結論を出すよう、国会でも御意見をちょうだいしてきたところであります。そしてその後の作業の中で、今御審議をいただいておりますような考え方が有識者懇その他の御意見を参酌しながらまとまりまして、私どもとしてはぎりぎりの案として国会提出をさせていただきました。先ほど委員か らおしかりをちょうだいいたしましたけれども、その案につきまして、衆議院社会労働委員会を中心とした与野党の御論議の中におきまして、その委員会を構成される各党の御相談の中から、政府提出をいたしました案が修正を受けたということでありまして、私どもとしては今日までも努力をしてまいりましたし、今御審議をいただいている状況でございます。
  246. 星川保松

    ○星川保松君 私は、三千億という巨大な鉄道共済の不足分が出てきたということになってにわかに制度間調整という方法に出たということが、どうも今まで大蔵大臣がいろいろと将来の高齢化社会等を見据えて今のうちから対策を立てていかなければならないというような先を見通した政治を進めていらっしゃるにしては余りにも、三千億という額が今日出るまでに方法を講ずることがあったのではないかというふうに思いますが、今までどういう、この時点を想定しただろうと思いますけれども、どういう努力を払ってこられましたか、その点についてひとつお伺いしたいと思います。
  247. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 過去のと申しましても、いつごろからお話を申し上げればよいのかよくわかりませんが、内閣総理大臣の諮問機関であります社会保障制度審議会の中におきまして、これには各党の代表者も参画をしておるわけでございますけれども、当時の国鉄共済について運営に疑念が投げかけられましたのは昭和四十年代の後半であったと記憶をいたしております。しかし、なかなか資料等が提出をされず、いろいろな問題が生じておりました。その後、五十年代のいつの時点でありましたか、私も正確な日時を忘れましたけれども、国鉄共済の財政状況というものが大変厳しいということが表面化をしてまいりました。  一方では、例えば国家公務員共済は当時直近三年をとりまして年金額の算定の基礎にいたしておりましたが、その後改正を加え、直近一年をベースにするようになったと記憶をいたしております。一方、厚生年金等は平均賃金ということで、官民格差といった議論もございました。ところが、そのころには国鉄共済は退職時給与をベースとして給付を組み立てておられまして、この点についても世の中からさまざまな御批判があったところでございます。  そのほかに、先ほど来出ておりましたようなさまざまな問題点が重なり、国鉄分割・民営という事態に立ち至りました時点では巨額の赤字を抱えるに至っておりました。そして、国鉄が分割・民営のもとに新たなJRとして発足をいたします時点で、追加費用に関する部分は四兆七千億円でありましたか、清算事業団の中にこれが組まれたわけでございます。そして、その限りにおいて姿はすっきりといたしました。  ただし、そこまでにさまざまな原因で積み重なってまいりました財政状況というものが非常に厳しいということは、その時点で院の御審議でも明らかでありましたし、その時点における対応策も講じられ、いわば本年度の間に鉄道共済の将来に対しての絵図面を示せというのが院から私どもが御注意を受けておった内容でございます。そして、鉄道共済につきまして今御審議をいただいておりますような考え方を私どもはまとめ、院の御審議を願っておるわけであります。  一方では、公的年金一元化という目標に向かっての作業が進められ、制度間調整法が今回御審議をいただいておる、その中におけるいわば受け取り手は鉄道共済とたばこ共済であるということも先刻来申し上げておるとおりでありまして、赤字が発生することを予測しつつそれにどう対応するか、関係者の合意を得るかに私どもは努力をしてきたことであります。
  248. 星川保松

    ○星川保松君 いわゆる制度間調整ということをやるにしても、やはり調整される側にとっては、我々よりもはるかにまず国の方で手を打つべきではないかという気持ちが強いのは当然だろうと私は思います。  といいますのは、結局この調整とはいいますものの、調整の額が余りにも大き過ぎるということだろうと思います。もう調整というものの常識の許容範囲を超えているのではないかということを言っていらっしゃる方もあるわけでございます。  そういうことで、まずこの調整の額をもっと何とかして私は減らすべきだと。そうしなければ到底調整される側ではもう納得できない。今まで努力をしてきたそれらの方々が到底私は納得ができないと思うんですよ。もう少しでもこれを減らして、いわゆる清算事業団の方の出し分をふやして、そっちが困ればやはり政府の方から何とか援助の手を差し伸べて、この調整の額を減らすべきだというふうに思いますが、大蔵大臣どうですか。
  249. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) まず第一に申し上げたいことは、現在清算事業団は非常に大きな累積債務を抱えておりますけれども、この債務があるなしにかかわりませず、清算事業団に何でもかんでも負担を押しつければいいという考え方は我々はとることはできません。清算事業団は、日本国有鉄道の分割・民営時にその資産と同時に債務の大半を継承した組織でありまして、ここが負担をするということはそれなり理由があるものでなければ負担をすることはできないわけであります。  今回、政府原案におきまして清算事業団に御負担をいただくことにいたしましたのは、過去の保険料の積み立て不足というものをここで負担していただくという考え方でこれを負担願うことにしたわけでありまして、衆議院におきましてこの点について御修正を受けたところでございます。  また同時に、国がどうにかしろと言われるわけでありますけれども、国と申しますことは要するに国民の税を投入するということでありまして、現在基礎年金の三分の一に着目、集中して国庫負担を行っております状況の中で、鉄道共済にのみ特別の負担を行うということになりますと、これは制度の公平という上からも問題を生ずることであります。また仮に、清算事業団負担がふえました場合に、将来清算事業団の用地の売却あるいはJR株式等の売却によって償い得ましたものの残金というものは、いずれ国がこれを処理しなければならない時期が来るわけでありますから、これはまさに国民の税でその処理をお願いするということになるわけでありまして、これを少しでも減らしておこうとする努力も我々は一方で払わなければならないわけでございます。  いずれにいたしましても、やはり清算事業団負担の対象といたしますためには、それなりの理屈のつくものでなければ事業団としては負担はできないものである、このように心得ております。
  250. 星川保松

    ○星川保松君 理屈が通らないということを大蔵大臣はおっしゃいますが、この鉄道共済年金財政の破綻というところでこれは大蔵省でこういうふうにその原因を、いわゆる旧国鉄共済時代の制度運営上の問題、その次に産業構造の変化に伴う雇用の縮小ということがあるわけですね。この前の方は、これはいわゆる清算事業団が負うべき責任であるかもしれませんが、この後段の方は、これは当然政府としてその責任において処理してもいい発生原因だと思うんですよね。ですから、理屈が通らないのではなくて、こういうふうにこの原因を位置づけたならば、当然国としてそれを負担しても立派にその理由は通るというふうに私は見ておるんですが、どうでしょうか。
  251. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 委員のようなお考え もあるいは成立をするのかもしれません。しかし、少なくとも私自身が運輸大臣として心配をし、当時大蔵省にお願いをし、内閣の中に有識者懇を設置いただいて御論議をいただきました中から私どもは今御審議を願っておるような案をまとめ上げたと、こういうことでございます。  これは、旧国鉄の責任問題というようなものを論議いたしますと、本当に随分長い御論議があろうかと思います。国鉄国会におきましても、山口委員初め、私が厳しく御質問をいただいた委員もこちらにおられますけれども、その時点におきましても清算事業団に承継すべき債務あるいはその発生の原因といったことについてはいろいろな御論議がございました。  そして、今清算事業団というものに新たに負担を求めますものにつきましてはそれなりに理屈の通るものでなければならないと、少なくとも私はそう考えております。その点において委員とあるいは意見がそごいたしておるかもしれません。しかし、今回清算事業団負担を願いました八百億というものは、過去の保険料のいわば積み立て不足というものをここで負担を願ったということであります。  また、鉄道共済に一般会計からの費用を投入しろと言われますならば、これは他制度との関係を考えましても、鉄道共済にのみそのようなことを行うことが制度間の公平を維持する方法だとは私は理解をいたしておりません。
  252. 星川保松

    ○星川保松君 時間がなくなってしまいましたが、大蔵大臣、意見が相違するとおっしゃいますが、私は、この大蔵省の、いわゆる鉄道共済の破綻の原因ですね、大蔵省がこう分析しているその根拠に立ってお話をしているわけですから、見解は相違はしていないと私は思って言ったわけですから、その点ひとつ御理解をいただきたいと思います。  最後に、この制度間調整をやるということで、まず一番大きくその負担をしなければならないのが厚生年金なわけでございます。厚生年金の皆さんからすれば、本当に私は、腑に落ちない今回の調整だと思うのはこれは当然だと思います。それで、こういう調整を無理やりにやりますと、いわゆるこの年金制度に対する大きな不信が起こってくるのではないかという心配をするわけです。例えば、まじめに制度を運用してきましても時々地ならしをされてしまうというようなことでは、これはまじめにやってばかを見るというような感じさえも私は抱きかねないと思うわけです。そういうことと、それからもう一つは、こういう調整をやっていって、いいところが山が崩されて、結局最後は共倒れになってしまいはしないかというような、制度全体に対する不信というものも起きてこないかということも非常に私は心配をするわけです。  ですから、そういう点についても、そういう心配がないようにやっぱりはっきりした納得のいくような説明をしておかなければいけない、大変大事なことだ、こう思いますが、その点について最後にお尋ねをしておきたいと思います。
  253. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 被用者年金制度間調整をやった場合に、委員御指摘のとおり、持ち出し額という意味では厚生年金が当初の案では千百四十億ということで、全体としては一番大きな額になっているわけですけれども、ただ厚生年金は、他の制度と違いまして被用者年金の中の全体の八割の加入者を擁する制度でございますので、全体的な金額は多うございますけれども、他の共済制度と比べますと、いわば一人当たりの金額ということで割り戻してみますと決して高いものではない、高い方の部類ではないということは言えようかと思います。  あと、本来、制度間調整というものにどう御納得いただくか、なかなか難しい問題ではございますが、そもそも公的年金といいますのは、個々の制度ごとでそれぞれ年金原資を営々と積み立てまして、三十年なり四十年なりの後にその積み立てた原資を個人に返すというふうな仕掛けでは現在の状況ではもうなくなってきております。端的に言いまして、かなりいわば現役世代が現在の受給者の世代を支えるという一つの、私どもの言葉で言えば世代間扶養の構造に極めて近い状態になってきておるのが現状でございます。  そうした中で考えますと、例えば国鉄のOBの方々、数十万という方を現在の国鉄の現役の方々だけで支えるようにするというのには、やはり相当な無理が生じてまいるということも事実だろうと思うわけでございます。  例えば、私どもの厚生年金の中に抱えております産業といたしまして、例はどうかと思いますが、石炭産業というものがございました。これもある意味では、産業構造のエネルギー革命によりまして、いわば石炭産業という集団で見ますと大きな構造変化を遂げたわけでございますけれども、それは単独の制度ではなくて、厚生年金という一つの大きな制度の中にあったわけでございまして、そのために現在の国鉄のような、いわば年金制度の一つの危機というふうなものは生じなかったわけでございます。  かように、世代間扶養というふうな制度の現在の状況を前提といたしましてこれから先の公的年金制度の展望を考えますときに、やはり産業構造、就業構造の変化というのが一つの宿命として避けられないだろうと思いますので、そうした場合には、各制度ごとに小集団に分立するということでは到底公的年金制度全体の安定というのは期しがたいということもやはり事実であろうかと、こんなふうに思うわけでございます。  そうした観点から考えますと、被用者年金制度全体においてやはり大きく一元化方向に向かって進んでいっていただくというのが一つのあり方であり、ひいては公的年金制度全体の信頼性を確保する上においても大切なことではなかろうかというふうに考えておりますので、そういったふうな点から、ぜひ厚生年金の被保険者あるいは事業主さんたちにも御理解を賜りたいというふうに考えております。
  254. 板垣正

    委員長板垣正君) 時間ですので詰めてください。
  255. 星川保松

    ○星川保松君 一つだけ。  私ども連合参議院は、さっきも言いましたように、いわゆる与野党合意というものには入っておりませんし、これには拘束されないということを一つ。  それからさらに、この調整についていわゆる厚生年金を初めほかのいわゆる負担のさらに減額することを要請いたしまして、終わります。
  256. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 初めに、公的年金一元化の問題で質問をしたいと思いますが、政府は、平成七年をめどとして公的年金一元化を行うという方針でありますが、この一元化をした場合に大体どういう姿になるのか、ごく概略で結構ですからお聞きしたいと思います。
  257. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 公的年金制度一元化の姿についてはまだ明確になっていませんが、一つの意見といたしまして、年金審議会から一つの意見が出ておりますので、簡単にそれを御紹介させていただいて御答弁にさせていただきたいと思います。  そこでは、基本的には各制度仕組みとしては残したままで、別途新しく同一給付・同一保険料率による新たな単一の制度を設けまして、そこに各制度がいわば二重加入というふうな形で参加する形によって全体の負担給付の整合性をとるというのが一つの考え方ではないかという御提案が あります。そういったふうなことを念頭に置きながら、今回の制度間調整法措置による推移等も見ながら、具体的な姿を描いていくようにしていきたいというふうに考えております。
  258. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうしますと、個々の年金を受ける人あるいは掛金を払う人の立場らいうと差がなくなる、同じ負担をすれば同じ給付が受けられるということになると理解していいわけですか。
  259. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 各制度にはそれぞれの特別な事由による特典性というのはある程度残さざるを得ない面があろうかと思うのでございますが、それは、年金制度の通称的な言葉で申し上げますと、例えば一階部分基礎年金、二階部分がみんな共通の報酬比例部分、それから三階部分が例えば職域部分とかその他の要因による、特別な事由による部分があるわけでございますけれども、少なくとも二階部分につきましては、一つの考え方といたしまして、同じ仕事で同じ期間、同じ給料で仕事をされた、かつ被保険者期間を終えられた方については、結果として同じ保険料負担で同じ給付を実現するというのが年金制度一元化の一つの考え方になろうかと考えております。
  260. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、いろいろな年金があるけれども、その財布が一つになるということではない、財布はそれぞれ別々に持っていって、一階建て、二階建て部分共通の保険に加入する、そういうことになるわけですか。
  261. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) もちろん、一つの姿というものを現在構築したものはございませんで、先ほど申しました年金審議会の意見なんかに即して考えますれば、そういう個々の制度、例えば共済組合とか厚生年金とかという制度そのものはそれぞれの例えば過去の経緯その他いろんな事情がございますので、残したままで共通する給付については同じ保険料率で賄い合うというふうな形にするために、いわば一階部分について、基礎年金についてもほぼ同様な仕掛けになっているのでございますけれども、そこにそれぞれが参加する形によってその共通給付部分については同じ保険料で同じ給付を実現すると、こういうことになろうかと思っております。
  262. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 大体わかりましたけれども、そうすると、今の制度間の調整が行われるわけですが、反面自助努力というものも行われております。これはよそから助けてもらうから自分のところでも努力するというのが極めて自然な形だろうと思いますが、例えば鉄道共済なんかで見ると、今でも掛金というのはもう最高に高い、それをさらに掛金を上積みする。そうすると同じ負担、同じ給付という原則からはますます遠ざかっていくような方向になるのではないか。  それから自助努力の中で、鉄道共済の場合ですが、退職時特別昇給分を廃止する。これは厚生年金にはこういうことはないわけですから、そろえる意味ではこれはむしろ当然の方向だと思います。それから六十歳末満の退職共済年金の新規発生の原則的廃止、これも厚生年金と歩調をそろえる意味で納得がいくんですが、ただ、標準報酬の再評価の繰り延べというのは厚生年金に比べてそれは悪くなるわけですね。だから、給付がよ過ぎるものは平準化していく方向にいくべきである。平準化すべき水準より悪くなる方向改善するというのは、自助努力という言葉ではありますけれども将来の一元化考え方らいうと逆行するような気がしますが、この点はいかがですか。
  263. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回お願いいたしましたスキームの中で、年金受給者の方々にお願いしております中で、公的年金よりも有利な部分を削減していただくというほかに、委員御指摘のように報酬比例部分について五年間スライドを停止するということをいたしております。これは確かに厚生年金よりもその部分については不利になります。ただ、最大限自助努力を行いまして、他の公的年金からの支援をいただく際にもぎりぎりの努力をしたということがこれによって御理解を賜りたいと思います。  年金制度一元化に向けて各年金共通制度になりますとこういったアンバランスというのも解消されるのではないかと思います。ただ、各制度おのおのかつての歴史的沿革がございまして、こういった成熟度の相違等々がございましてやむなくとらしていただいた措置であるということを御理解願いたいと思います。
  264. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 平成七年に予定される公的年金一元化に向けて、この過渡期はむしろそういう格差が広くなる方向になるということになるわけですね、三年後の見直しでまたどうなるかというのはこれからの問題ですが。これはどうもちょっと理解しがたいというか、方向が逆の方向へ動くような気がしないでもないんですが、その点どうなんですか。
  265. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回のスキームは自助努力最大限に行うという意味において被保険者の方々に対しては大変な御負担をいただくわけでございますが、それも現在の制度よりも、平準保険料で算出した保険料よりも低い水準で抑えております。年金受給者の方々につきましても、有利な部分及びこれだけは御辛抱願いたいというぎりぎりのところでお願いをしているわけでありまして、こうした観点から各制度間の調整を行うということでありまして、何も努力しないでただひたすら支援を待つということでは関係者の御理解が得られないということでとった措置であります。  私どもとしては、一日も早く年金制度一元化を行い、特定の制度が有利で特定の制度が不利だということではなしに、やはり大きなパイの中で産業構造の変化等を吸収していくという形が望ましいというふうに理解をしております。
  266. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 一元化に向けて制度間の格差というものをできるだけなくすことが、段階的でもいいからなくしていくことが大事だと思うんです。  それで、これは一つの例ですが、厚生年金の場合は六十五歳になればたとえ勤めておっても年金支給されるという制度があります。共済年金の方にはこういう制度がないわけですが、厚生年金だって今のところはほかを助ける余裕があるかもしれませんが、将来は財政的な余裕は全くなくなるわけでありますから、こういうアンバランスはやはり是正をした方がいいのではないかと思いますが、いかがですか。
  267. 阿部正俊

    説明員阿部正俊君) 実際に一元化を行う場合には、まだまだ各制度間で整合性をとらなきゃならぬ点というのがたくさんあろうかと思っております。例えば現在、支給開始年齢なんかについても、厚生年金と各種共済とでは差があるわけでございますし、そういったふうな点も一つの課題だと思いますし、先生の御指摘のように在職した場合の年金支給一定の資格要件、支給開始年齢に達した以後の在職した場合の年金支給のあり方というのは、厚生年金の場合と各種共済とでは、今御指摘のあった点だけでなくていろんな面でまだ相違点がございます。  したがいまして、基本的にはその点は一元化の際には条件をそろえていくべき点の一つではないかというふうに考えておりますが、ただ私どもとしては、やはりどちらが妥当なのかということについて判断する場合には、一階部分については六十五歳からの支給になっておりますので、私ども将来六十五歳支給開始というのも一つの課題だというふうに考えておりますが、一階部分との整合性もやはり二階部分一元化を図る場合には考えていかなきゃいけませんので、そうした点を考えますと、六十五歳で一つの割り切りとして、以降は職業につくかつかないかのいかんにかかわらず 年金支給にしていくというのも一つの判断なのではなかろうかというふうには考えております。ただ、いずれにしてもそれらの点については被用者年金制度間で整合性をとらなきゃならぬ一つの課題であろうというふうには認識しております。
  268. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 次に、自衛官の共済年金についてお伺いしますが、国共済グループで自衛官年金財政単位は別になっておると伺っておりますが、その理由は何でしょうか。
  269. 小村武

    政府委員(小村武君) 自衛官につきましては、その退職年齢及び任期制、非任期制の制度がとられておりまして、必ずしも現行の一般の公務員と財政計算をプールしてやるというような状況ではございませんので、別に経理をいたしております。
  270. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 自衛官の場合は定年が低いということ、それから支給開始年齢も低い、そういう点から考えますと、これは将来財政的に非常に大きな問題を生ずるのではないか。第二の鉄道共済になりかねないということも言われておりますけれども、その点自衛官年金財政見通しはどのようになっておるかお伺いをしたいと思います。
  271. 小村武

    政府委員(小村武君) 自衛官の年金の見通しでございますが、非任期制自衛官、任期制自衛官それぞれ抱えておりまして、その財政状況は現在、料率でいたしますと、非任期制自衛官が平成二年で千分の百六十八でございますが、将来この状況を続けてまいりますと、平成三十二年には千分の三百九十六というふうになる見込みでございます。
  272. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今の御説明のように、二〇二〇年には千分の三百九十六も掛金を掛けないといけない状況になる。この問題について、自衛官の年金問題について防衛庁は、八六年つまり三年前ですね、八六年七月に自衛官年金問題研究会を設けて一年ぐらいかけて意見を聞くというようなことで出発したわけですけれども、まだ結論は出ていないと聞いております。なぜいまだに結論が出ないのか、その理由をお伺いしたいと思います。
  273. 畠山蕃

    政府委員(畠山蕃君) ただいま委員御指摘のとおり、部外の研究会をつくりまして専門の先生方に鋭意検討をいただいていたわけでございますけれども、慎重に検討を行っておりまして、現在いろいろな案をいろいろな角度から議論いたしておりまして、非常に難しい問題でもございますので、当初考えておりました予定を過ぎてなお現段階でも成案が得られていないという状況でございますが、成案が得られ次第、それに沿いまして適切に対処したいと考えております。
  274. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 平成七年の公的年金一元化の際にこの自衛官の年金というのはどのように位置づけされるのかお伺いをしたいと思います。
  275. 小村武

    政府委員(小村武君) 自衛官の年金制度につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、退職年齢が若い、あるいは任期制自衛官を抱えているという特殊な事情がございますが、まず共済年金制度の中でどういう対処の仕方があるかということをこれからよく検討してまいりたいと思います。さらに、公的年金一元化に向けて他の被用者年金との関係を厚生省等とも相談をしていく、こういう関係になろうかと思います。
  276. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、国共済の年金財政の長期見通しについて、大蔵省の資料によりますと、やはり二〇二〇年には保険料率が千分の三百十五になると言われております。かつて大蔵省の共済年金制度基本問題研究会の意見としまして、負担の限界は保険料率は千分の二百五十だという意見がありましたけれども、これをはるかに上回るわけであります。大蔵省としましては、この負担の限界ということについて大体どの程度に置いておられるのかお伺いをしたいと思います。
  277. 小村武

    政府委員(小村武君) ただいま議員御指摘の料率は、現在の制度をそのまま維持いたしますと、例えば支給開始年齢を六十歳のままでいきますと千分の三百十五という料率になるということでございます。私どもとしましては、厚生年金負担水準等々その均衡を考えながら適正な料率を設定いたしたいと思います。現在私どもはまだ六十五歳支給開始年齢引き上げということを御提案申し上げておりませんが、仮に六十五歳になりますと千分の二百七十二ということに相なります。厚生年金が描いております二〇二〇年におきます六十五歳の支給開始年齢でいきますと、千分の二百六十一という数字をにらんで現在のスキームが設定されているということでございますので、今後こうした他制度との均衡を考慮して制度の中身を検討していきたい、こういうことでございます。
  278. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 今回、鉄道共済年金とたばこ共済年金については六十歳支給ということで経過措置は原則的に廃止されて厚生年金並みとなるということでありますが、たばこ会社は定年制を来年度から六十歳定年にする予定と聞いております。ただ、JRは当分の間五十五歳定年を据え置くということも聞いておりますが、年金でこのような措置をとるならばJRにおいてもやはり定年は五十五歳でなくて六十歳にすべきではないかと思いますが、この点はいかがですか。
  279. 丸山博

    説明員(丸山博君) 先生ただいま御指摘になりましたように、JR各社の定年につきましては、各社の就業規則によりまして本則では六十歳ということになっておりますが附則によりまして当面五十五歳ということになっております。また、経営の状況等を勘案しながら逐次六十歳に移行するというふうに就業規則では定めております。  私どもといたしましては、定年の問題も含めまして基本的には各社の労使間の問題であるというふうに考えておりますけれども、JRにおきまして、鉄道共済年金制度改正に伴います条件変化でございますとか、各社おのおのの事情等を踏まえつつ労使間でこの問題につきまして検討が進められていくことを期待しております。
  280. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 橋本大蔵大臣は、清算事業団から金を出すにしてもやっぱり理由のつくものしかだめだと言われました。理由のつくものというのは旧国鉄時代に当然負担すべきものが負担されていない、つまり負担不足分ということだと理解しておりますけれども、それは大体額にしてどれぐらいのものになりますか。
  281. 小村武

    政府委員(小村武君) 今回自助努力の中でお示しをしておりますスキームは、約五年間で四千億ということでございます。
  282. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それは、今回の五カ年間で負担を予定しているのが四千億という意味ですね。不足しておる額という意味じゃないですね。
  283. 小村武

    政府委員(小村武君) 清算事業団負担分につきましては、旧国鉄時代に国鉄が事業主負担として掛金として不足分がございます。その分を清算事業団が肩がわりをするということでございまして、清算事業団が承継いたしました二十七兆円の債務のほか今回新たにこうした部分につきまして約五年間で四千億円の負担を行うということでございます。
  284. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 そうすると、国鉄が当然負担しなければならないもので負担していないものが約四千億円と見積もっておると理解していいわけですか。
  285. 小村武

    政府委員(小村武君) 旧国鉄のですね。
  286. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 旧国鉄のね。  それから平成年度以降は、一元化すればこういうものは全くなくなるわけですね、必要でなくなるわけですね。と理解していいわけですか。
  287. 小村武

    政府委員(小村武君) 平成年度以降の一元化、その姿は現在残念ながらまだ具体的に描かれておりません。したがいまして、どういう形で鉄道共済問題が解決されるかということにつきましては、これからまた関係者と協議をしていくという問題であろうと思います。
  288. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 それから、鉄道共済は将来は一元化するわけですから、当然厚生年金並みの給付と掛金がもらえる、保障される、そしてその時期は平成七年というふうに理解していいわけですか。
  289. 小村武

    政府委員(小村武君) 鉄道共済につきましては、一元化は、過去の部分あるいは鉄道共済独自の古い時代のものがございます。公的年金一元化がどの部分において達成されるかということがあろうかと思います。したがいまして、一元化された部分については先ほど厚生省お話のような姿が描けるかもしれませんが、各制度それぞれさらにその奥に過去を背負っております。したがいまして、その財源措置をどうするかとかいった問題につきましては、平成七年の一元化の際にさらにこの部分について、その対処方針について関係者の合意がなされなければならない、こういうふうに理解しております。
  290. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 古い人の場合はさておきまして、例えば現在JRに入る人は、一般の民間の会社より高い掛金を払って、そして将来自分が、まあ自分がもらうことになればまた変わっているかもわかりませんけれども、今想定される給付厚生年金より若干下回るということになるわけです。これは非常に不公平だと思うんですね。昔の国鉄に対して何の責任もない、年金に対しても責任のない人が、JRに入ると厚生年金より高い掛金で、そして現在決められておる給付はそれより悪い、こういう状態は長く続けるべきではないと思うんです。少なくともこういう人たちについては平成年度一元化でこれはならされると考えていいわけですね。
  291. 小村武

    政府委員(小村武君) 年金制度は、歴史的な沿革で幾つかの制度に分立しております。特定の制度が有利というような観点もあって独立した部分もあり、あるいは先行グループとして最初に年金制度を手がけたというグループもございます。こういったグループ、分立をしているグループ、こういう状況は産業構造の変化に対応し切れないということで一元化方向に今努力をしているということでございますが、一元化の姿というものはそういった歴史的な沿革をどういうふうに処理していくか、年金制度というのは経過措置の塊でもあるわけでございます。今、平成七年に具体的にどういう姿になるかということをお示しすることができないというのはそういう事情によるものでございまして、今後鋭意関係者の間で詰めていきたい、こういうふうに考えております。
  292. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  293. 板垣正

    委員長板垣正君) 以上をもちまして本案に対する質疑は終局いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会