運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-12-13 第116回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十三日(水曜日)    午前十時三分開会     ─────────────    委員異動  十二月十一日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     平野  清君  十二月十二日     辞任         補欠選任      栗村 和夫君     小川 仁一君      立木  洋君     林  紀子君  十二月十三日     辞任         補欠選任      西田 吉宏君     田村 秀昭君      坂野 重信君     須藤良太郎君      小川 仁一君     本岡 昭次君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福間 知之君     理 事                 井上  孝君                 斎藤 文夫君                 吉川  博君                 村沢  牧君                 山本 正和君                 片上 公人君     委 員                 石井 一二君                 石渡 清元君                 岡野  裕君                 岡部 三郎君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 須藤良太郎君                 田村 秀昭君                 野村 五男君                 藤田 雄山君                 二木 秀夫君                 小林  正君                 谷畑  孝君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 野別 隆俊君                 本岡 昭次君                 白浜 一良君                 広中和歌子君                 市川 正一君                 林  紀子君                 新坂 一雄君                 山田  勇君                 平野  清君    国務大臣        内閣総理大臣   海部 俊樹君        国 務 大 臣  石井  一君    政府委員        国土政務次官   自見庄三郎君        国土庁長官官房        長        北村廣太郎君        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        国土庁地方振興        局長       野沢 達夫君        大蔵大臣官房審        議官       松野 允彦君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   白兼 保彦君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○土地基本法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○国土利用計画法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○土地住宅税制抜本改正等に関する請願(第一六八号) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一日、喜屋武眞榮君が委員辞任され、その補欠として平野清君が選任されました。  また、去る十二日、栗村和夫君及び立木洋君が委員辞任され、その補欠として小川仁一君及び林紀子君が選任されました。     ─────────────
  3. 福間知之

    委員長福間知之君) 土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 村沢牧

    村沢牧君 土地基本法が本院に送付されて以来、今日まで当委員会は長い時間をかけて慎重に審議をしてまいりました。この間の審議における我が党の同僚議員質疑また意見総括する立場に立ちまして、私は総体的に御質問申し上げますので、総理におかれましてもぜひ明快な御答弁をいただきますようにお願いをしておきます。  まず、四全総は東京一極集中の是正、多極分散型の国土形成を目指していますが、国土の均衡ある発展を図ることはあらゆる政策基本であり、地価土地対策としても重要であります。  総理、二十一世紀へ向けて我が国国土づくりをどのように展開をされていこうとされるのか、まず見解を承りたいというふうに思います。
  5. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 二十一世紀へ向けて、我が国の限られた国土をすべての国民皆さんのために有効に利用していくためにどうしたらいいかという観点から、第四次総合計画も誕生しておると私は理解をいたしております。そこに示されておりますような考え方を踏まえて、今土地利用計画は進んでおるわけでありますけれども、さらに豊かさを実感できる本当に質の高い国民生活を実現するためにも、いろいろと問題点がまだ残っております。その利用の中の一環として、土地基本法にその哲学とか考え方とかいろいろなものを織り込んだ御法案審議もいよいよ大詰めを迎えておると承っておりますが、そういったもろもろのことを踏まえながら、土地が有効に国民のために活用利用されますことを念頭に置いて政策を進めてまいりたいと考えております。
  6. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、土地問題に対して関連をしてお伺いいたします。  多極分散本気で取り組もうとするならば、まず土地政策に関連して行政機関地方移転跡地利用地方への権限移譲などに政府がもっと積極的に対応しなければならないというふうに思います。  行政機関地方移転問題は、既に七十九機関十一部隊移転閣議決定をされ、七十六機関十一部隊移転先決定をされています。しかし、その移転先を見ると、本四公団などの四つの機関を除きまして、ほとんどが東京圏内への移転であります。これでは、多極分散型の国土形成には役立たない。これは海部内閣において決定されたものでありますが、移転先等について総理、再検討する考えはありませんか。
  7. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 国の行政機関移転先等につきましては、いろいろ総合的に判断をして行われたものと承知しておりますけれども、結果として御指摘のように多くのものが首都圏内移転したにとどまったこともこれは事実でありますけれども、しかしそれは東京都区部外へ出ていくということによって、東京都の諸機能分散という効果を一応役割を果たしておるものと私は理解しております。  なお、今後地域集中を排除していくという問題は今回限りということでもございませんので、いろいろの機能地方への分散とか、今御指摘になりました機関移転のみならず、権限移譲問題等につきましてもいろいろ検討を続けてまいりたいと考えております。
  8. 村沢牧

    村沢牧君 総理政府機関東京都から出たけれども、土地対策などは首都圏というともっと幅広いわけですね。ですからその圏内におるのですよ。行政機関政府機関も経済も首都圏集中し過ぎる、人口も非常に多くなってきておる。ただ、今の政府機関移転を見ると、単にいろいろな審議会だとか閣議決定、これの体裁を整えたにすぎないのだ、そのように私は思うわけであります。これでは基本法が成立しても本当に政府本気になってやっているのではないということを感じますし、国民要望にこたえたものではないというふうに思いますが、どうですか。
  9. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、最初にも申し上げましたが、結果として東京都区部から首都圏内の近県に出たものが多いわけでありますけれども、首都圏その他の地域へも移転したものも一部ではございます。事実これは決心して持っていったわけでありますし、また埼玉県その他に行っておりますものは、関東地区のいろいろな問題をつかさどる機関も十四機関ほど移転をいたしましたけれども、これは事柄の性質上、余り遠いところへも持っていけなかったということもございますので、どうぞ御理解をいただきたいと考えます。
  10. 村沢牧

    村沢牧君 理解はできないけれども、既に政府決定したことでありますから、そのことについては今後の問題もありますから十分総理としても配慮をしておいてください。  それから、移転後の跡地については、地方自治体やあるいは住宅都市整備公団などに優先的に払い下げて公共用地建設など公共、公益的に利用を図るべきでありますが、いかがですか。
  11. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、跡地利用は優先的にそのような方に利用されるべきものであろうという基本的な考え方でございます。  また、跡地利用考え方につきましては、昭和六十三年七月の閣議決定において、「財源としての活用を図りつつ、移転趣旨を踏まえ極力公共公益的利用を図る等適切な利用処分を行うものとする。」とされておりますし、また本年八月の移転先地等の取りまとめにおいても、移転具体化に向けての留意事項として、「極力公共公益的利用を図る等適切な利用処分を行う」ことを国の機関等移転推進連絡会議において再度確認したところでございます。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 工場跡地だとか未利用地をさらに活用する、また農地まで宅地に転換しようというときでありますから、政府が率先して範を垂れなければならないというふうに思いますので、そのことは十分心がけてやっていただきますように要請しておきます。  そこで、国土庁長官にお伺いいたします。移転先については出そろった、しかし移転の時期については明らかにされていない。これでは空手形になるおそれがあるのです。同時に、今申し上げました移転跡地について、それぞれの機関を持っている省庁がどのように使うのか、このことは決まっているのですか。
  13. 石井一

    国務大臣石井一君) まず、移転の時期、方法等についてでございますが、既に当委員会でも一部御答弁をしたところでございます。移転先整備が整い次第、逐次速やかにこれを移転する。そして、その候補地として港北ニュータウンでございますとか、みなとみらい等々かなりの開発造成地がございます。これらに関しましては、その進捗状況を踏まえて着実に予算措置を各省において講じていく、こういうことからこれを集約していきたい。  ただ、早いもので既に移転を決めて、来年度動こうといたしておりますのが二つ三つございますのと、また再来年さらにその数がふえていくと思いますが、すべてが完了いたしますのにはやっぱり数年かかる。これはやむを得ぬ状況ではなかろうかというふうに考えております。  それから、跡地が大体三十六ヘクタール出てくるわけでございます。早速東京都の都知事なり各区長様からも私の方に要請がございまして、この跡地公共的に使わせてもらいたい、そういう御要望がございましたので、私は前向きな答弁をいたしたわけでございます。そのときに、基本法にも書いてございますように、いかに公共用地であると言ってもそのまま遊休状況で放置されるようなこともあちこちに散見する。したがって、利用を示していただきたい。それが公共の福祉に絡むものなら直ちにそういう措置をとりたい。こういうふうに申し上げたところでございますが、基本的にはそういう姿勢で臨んでいく決意でございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 今まで国有地公共用地競争入札したことによって地価をつり上げたことがたまたまあるわけですね。いやしくも、今回政府決定したような移転については、そのような轍は踏んではならないというように思いますが、総理いかがですか。
  15. 石井一

    国務大臣石井一君) ただいまの答弁の引き継ぎでございますが、私は村沢先生のおっしゃるとおりだと思います。会計法が存在いたしておりましても、公共用地拡大ということは基本法基本的な精神の一つでございます。  したがって、まず第一には、地方公共団体等々に随時契約と申しますか適正な価格で利用していただくということが一つ。もう一つは、国なりその所有者主体になって住宅建設いたしますとかそのほかの方法。この二つの方法中心に今後限られた移転跡地というものは有効に利用していくべきだ、そういう方針で進めてまいります。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 国土の均衡ある発展を図るためには、各省庁が握っている膨大な許認可権さらにはそれに伴う財源地方に大幅に移譲して、同時に地方の交通、情報、通信などの社会資本整備に力を注いで、定住と交流による地域活性化を図るべきであるというように思いますが、いかがですか。
  17. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 地方公共団体が本当に住民の意思をよく反映しながら住みよい地域づくりのために努力を願う。いわゆる地方の特性を生かした地域づくりのためには、いろいろ地域の総合的な行政主体である地方公共団体の果たす役割が増大してくることは御指摘のとおりでございまして、行政機能の各地域への分散を図ることも、また同時に財源措置等考え方についても地域の必要を考えていくということは大切なことだと考えております。行政機能分散を図る観点から、国は地方公共団体もしくはその長または関係支分部局の長への権限の委任に努めることを明らかにしているところでありまして、今後とも法律趣旨を踏まえて適切に対処をしてまいる所存であります。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 次は首都機能移転についてであります。  首都機能移転分散すべきではないかということについては本委員会でも多くの指摘がなされました。土地需要分散を図って多極分散型の国土形成を推進するためには、首都機能移転あるいは強いて言うなら遷都について検討が必要であるというような認識に立ちまして、本委員会におきましても首都機能移転等機能分散を図ることとの附帯決議を後刻採択をしようとしておるところであります。  そして、このことは政府に要求するところでありますが、また本委員会を初め国会としてもこうした論議をもっと高めていこうということも申し合わせをいたしておるところであります。首都機能移転については、石井国土庁長官からも極めて前向きな答弁がされているところでありますが、総理の前向きな御答弁お願いしたいと思うのです。
  19. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) お触れになりました首都機能分散の問題は、東京への一極集中の問題とも関連する極めて重要な問題だと考えておりますので、いろいろな角度からさまざまの御議論があることは承知しておりますけれども、私としては首都機能移転ということについては極めて重大な問題だと受けとめておりますので、今後ともその問題については取り組んで、結果があらわれてくるように努力をさせていただきたい、こう考えております。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 石井長官はこの点について大変に前向きでありますけれども、長官首都機能といってもいろいろあるのですが、例えばどんなものが長官念頭にはあるのですか。
  21. 石井一

    国務大臣石井一君) 実は私は留学生活を続けてきた者でございますが、例えば、今後専門家検討されるべきことでございますが、ワシントンとニューヨーク、こういう都市現実に存在いたしております。ワシントンは約二百年前にそういう機能だけを分離してつくったものでございますが、我々政治家が足を運びましても非常に政治的な、何と申しますか機能、能率を兼ね備えた政治都市だ、こういう感じがいたすわけでございます。何もこれに倣うというようなことではございませんけれども、私自身が頭に想定をいたしておりますことは、東京国際金融商業機能というもの、あるいはまた首都としてのシンボルである皇居と申しますか、こういうふうなものには触れずに、政治行政という部門、この部門移転するというような方向で考えてみてほどうだろうか。しかしながら、これは、国土政策上はそういうことが言えましても、国民感情なり国民生活という観点から、国民の意識ということから考えますと異論もあるでしょう。今後この点に絞って各界の意見を総合的にまとめ早く結論を出す。そういう体制を総理のお許しもいただきまして具体的に進めたい、このように考えておるわけでありまして、私の立場で今どうだこうだと言うことはかえって誤解を生むと思います。申し上げてから後に言いわけをするようでございますが、ほかならぬ村沢先生の御質問でございますので、明快に、簡単に答える意味でこういうことを申しておりますが、これは私の私案であって、国民が納得する政府機関機能、これをやはり移すべきではないか。かなり大々的なことをやりませんと効果が上がりません。また、これほど国土政策上重要な問題はない。私はこの委員会での議論をも通じましてさらにその意を深めておる、こういうところでございます。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 総理石井長官は当委員会においても非常にいい構想を持っていますし、しかも今までの内閣には見られないような大胆な発想も持っておりますから、十分この意思を尊重していただくように総理に改めてお願いをしておきます。  そこで、石井長官土地基本法が成立したらスタートラインに立った気持ち実行性のある対策を講じていくと何回もこの委員会で言われておるわけであります。今まで、なぜ地価高騰を抑制し、住宅供給を促進することができなかったのか。なぜこれほどまでに資産格差を生じたのか。この総括反省がなくてはせっかく基本法ができても実行性のある対策はできないというふうに思うのであります。  臨時行政推進協議会からも、土地問題への政府の対応や、あるいは関係地方自治団体責任を厳しく指摘をしているところであります。私は、本会議において総理にこの問題についてお答えをいただきたいという質問をしたのですが、総理は何ら一言も触れておりません。今まで自民党政府がやったことが何でも悪いというわけではありませんよ、それは評価すべきものはあります。しかし、土地問題についてこういうふうに異常な状態になった原因政府対策は厳しく総括し、その上でスタートラインに立たなければならないと思います。総理見解を求めます。
  23. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 土地基本法が成立しましたならば、それをスタートラインに立ったと心得て努力をするという石井長官考え方は私も全く同じでございます。  そして、土地基本法で示されます土地利用に関する基本的な考え方、あるいは理念、そういったものは、やはり土地公共のもので、公共のためになるように利用しなきゃならぬ、あるいは土地投機の対象にはしてはいけないというようなことを国民的な立場で合意をいただいて、いろいろなことをしていこうというのでありますから、その考え方は私も同じくするものであります。  ただ、きょうまでもいろいろな努力政府としてもしてきたわけでございまして、国土利用計画法による監視区域制度の運用とか、不動産業金融機関等に対する指導とか、税制上の措置など、いろいろ講じてきたところでありますし、またおしかりを受けるかもしれませんが、多極分散型国土形成促進法制定政府機関移転推進等に、できるだけの努力をきょうまでもしてきたところでございます。  ただ、なぜこうなったか。反省する点を率直に申し上げますと、それはやっぱり東京というものが国際的金融中心になって利用度が急に高くなってきたということや、あるいはそれに伴う金融緩和の問題もたくさんあったでございましょう。同時にまた、共通認識がまだまだ不十分であったか、あるいは土地共通公共のものとして利用しなければならぬという考え方に徹底が足りなかったためか、遊休地や未利用地が多く目についたことも、これは率直に省みて事実でございます。そういったことの反省に立って、基本法制定スタートラインとしてなし得る限りのいろいろな施策を総合的に積み重ねて努力をしていかなければならないと私も考えております。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 総理悪徳不動産だとかあるいはそうした悪質な金融機関等に対しては、さらに取り締まり指導を強化していかなければいけませんけれども、政府が十分であったのか、国有地競争入札にしたり、あるいは東京でオフィスが足りなくなるという仮需要をあおったり、あるいはまた今日まで政府のとってきた対策、いろいろやってまいりました。しかし、土地基本法を四党が先に提出して、その後にしばらくたって政府が提出してくるというこういう実態。私は政府として反省総括を求めなければ、みんなほかの人たちが悪いんだ、国民が悪いんだ、東京都が悪いんだと言っていたのではスタートラインに立った気持ちにならないと思いますが、その点について伺っておきます。
  25. 石井一

    国務大臣石井一君) 実は当委員会で、私は過去の政策につきましていろいろ反省もいたしてまいりました。しかしながら、やむを得ぬ国際情勢国内情勢も同時に指摘をしたところでございます。いずれにいたしましても、現実が大変深刻である、こういう認識のもとに、過去の反省の上に立ちまして、しかしながら、後ろを顧みるというよりも前向きに、これを契機に土地総合政策を推進することによって国民の御期待にこたえたい。この点は、総理も就任されたところでございますししますので、私が土地担当大臣として過去の反省あるいは総括を受けとめておりますので、御了承いただきたいと思うわけでございます。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 私は海部さん自身責任を問うておるわけじゃありません。政府としての、この対策について今までの総括反省をしなければいけない。  総理、御承知のとおり、一昨日、当院は消費税を廃止するという決議をしたように世の中は変わってきております。政治情勢も変わってきております。ですから、本基本法野党案をかなり入れて政府も修正したのでありますけれども、率直に政府のやってきたことがこれでいいのか、そのことの総括がなくてはいけないと思うのです。いたずらに皆さん方のやったことを悪かった悪かったと私言っているのじゃないのです。そういうことについてのお考えありませんか。
  27. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほど私は答弁の中で気持ちをはっきり申し上げて、今日のこういう土地高騰の結果が出ておることについて、政府としてもいろいろなことをしてまいりましたが、にもかかわらずこうなったことについては反省もしております。これは率直に最初に申し上げたつもりでございます。そういった反省に立って、そしてきょうまでやってきた努力の上に立って、土地基本法で定められておる理念に従って、これをスタートラインと考えて努力を続けていきたい。こういう決意を申し上げた次第でございますから、先生の御指摘をそのまま厳しく受けとめさしていただきます。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 総理所信表明におきまして、近年、社会の公正さに対する国民の信頼が揺らいでいる原因一つは、地価の異常な高騰である、持てる者と持たざる者との格差拡大は看過し得ない問題である、地価高騰国民から住宅確保の夢を奪っている。こういう言明をいたしまして、そのために土地対策に全力を挙げて取り組んでいくことを述べていますが、しかし、基本法はできますが、その対策の目標が明確にされておりません。土地基本法第一条は、正常な需給関係と適正な地価形成を図ることを土地政策の目的としております。  総理、適正な地価形成とは高値安定を容認することではない。地価を引き下げる、そのぐらいな決意を表明すべきでありますが、いかがですか。
  29. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘をいただきましたようにこの数年来、都市部、特に東京中心として高騰をしてきた土地の問題を眺めますと、所信表明で申し上げましたとおり、住宅を持ちたいという働く人たちの夢、これを奪っておるという認識を持っておりましたから、これもいろいろな努力によって、まじめに働いておる人々が住宅を持つことができるような政策をぜひ打ち立てていきたいものだ。こう考えておりましたから、所信表明のときにも率直にそのことを申し上げました。  そうして、それにはいろいろな事情がありますけれども、しかし土地を有効に利用することや、あるいは周辺にそういった住宅を開発していくこととか、いろんな問題があろうと思います。政策努力を続けて、その夢が少しでも実現していくように努力をしていかなければならないと決意をいたしております。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 総理、その夢は、異常に高騰した地価をこのまま安定をさせる、さらに地価がさらに高騰していくということではなくて、せめて高騰前まで戻せ。私はそういう主張をしますが、それはできないとしても、地価を下げるのだ、これ以上上げてはいけない、高値で安定させるのではない。そのぐらいの決意を持たなきゃ夢は出てこないじゃないですか。――総理にですよ。長官には何回ももう長い時間かけてやっていますから、せっかく総理のお出かけですから、総理の御決意を聞かせてください。
  31. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 地価高騰前の価格に戻せという御質問の御趣旨でございましたし、石井さんは前向きにュニークないい考えを持っておるというお褒めの言葉もあったわけですから、君は正直言って何と答えたのかと今ここで聞いてみたところでありまして、その答えがよければ私も直ちに判断をしてお答え申し上げようと思って、実は率直に今意見の交換をしたわけでございます。  ただ、いつをもって高騰とするのか。高騰前に下げろという、手のひらを返したような方法というのはどうも直ちに持ち合わせていないように私は受けとめましたので、率直に申し上げますが、東京も高いところまで上がってきたのが、私の記憶に誤りなければ頭打ち状態になってやや下がりぎみという結果が報道されたこともございました。けれども、それではおっしゃるように不十分でございますから、そこに新たな需要と供給のバランスが崩れていくことによって何とか変わるのではないだろうか。そうすれば物は下がるという経済の大原則もあると思います。  あるいはこれは極めて私の短絡的な意見かもしれませんけれども、そういったときに不動産投機の背景として金融緩和、むしろもっと具体的に言うと不動産投資に関する大型な金融状況というものが背後に控えておりますと、それは下がるどころか上がる方に影響を与えることもあるわけでありますから、そういったものに対する厳重な指導その他を通じて、政策を積み重ねることによって安定よりも土地は下がるように持っていかなきゃならぬ。あるいはそういったものを開発供給していくような努力もしていかなきゃならぬ。  つい先日御議論願った常磐新線とそれに伴う土地開発の問題も、少し中長期な目盛りかもしれませんけれども、私の理解では住宅を提供するという夢につながる政治であると、こう考えておりますので、いろいろな政策努力を今後ともひたむきに積み重ねていきたい、こう考えております。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 そういう努力を積み重ねて土地はもう下げていくのだ、下げる努力をするのだ。そういうふうに私は総理決意を受けとめておきたいと思うのです。よろしいですね。  そこで、日本社会党は土地基本法野党案を提案するに当たって、健康で文化的な生活を営み得る住宅を勤労者の年収の五年分で確保し、あるいはまた月収の一五%以内の家賃で入居できる。こういうことが可能なまでにひとつ土地対策をやろうじゃないかというような気持ちで野党の案を提案したところであります。  今までの審議の中で、建設省も大都市地域における住宅宅地の促進に思い切った対策を講ずることによって、例えば社会党の方で言っていることとは若干の違いがあるにしても、ほぼこうした気持ちで取り組んでおるわけなんですよ。野党もここまで取り組んで法案も一緒になってつくったのじゃありませんか。修正して同じような、合体した法案ができたのですから、政府としても幾らにするということは別といたしまして、せめて五年分の所得で家が建てられる、家賃は一五%ぐらいに抑えていこう、そのくらいの政策目標を持つべきだというふうに思いますが、どうですか。
  33. 石井一

    国務大臣石井一君) 今回の土地基本法から総合的なもろもろの重点政策、特にそこにうたわれております基本理念を具体的に実施していくことによって、勤労者にとって負担可能な範囲の住宅価格、家賃というものを形成していかなければ、額に汗して働く人々に報いる政治ということにはならない。  そういう意味で、野党四党がお出しになりましたもろもろの御意見。宅地の供給という思想もございましたし、公有地の拡大ということもございました。また働く人々の立場での強い御発言もございましたが、政府といたしましてもそれが究極の目的だと、そのように考えております。  当面これ以上上がらないということに努力し、中長期的な需給のバランス、大量供給あるいは公的住宅の増加等々の措置をとりまして、最終的には年収の五倍、また月収の一五%程度のものにまでしていく。そういう努力目標のもとに総合的な対策を進めていく必要がある、そう思っております。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 総理、今長官から私が指摘したような気持ちあるいは水準についてもお話があったところでありますが、せっかく基本法ができてこれからもろもろの対策を講ずるところでありますから、政治見解としてそういうものをいつかの時期に打ち出して、政府も一生懸命やります、国会を挙げてやりますということを国民の前にPRしていただくように特に総理お願いしたいのですが、どうでしょうか。
  35. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘の御趣旨は私もよく理解をさせていただきますし、現実のところ東京圏では最近の報告では年収の七・五倍というのが住宅を確保できる一つの数字として出てきております。何とかこれを、お話がございますように五倍ということは、これは勤労者にとっても夢として実現が近づいてくるわけでありますから、そういった考え方の方向に向かって、先ほど来申し上げておりますようないろいろな政策を積み重ねて実現する方向に努力をしていきたい、こう考えます。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 三塚自民党政調会長は、平成二年度予算編成について総理と協議をした際、首都圏の勤労者向けの住宅を明年度から九年間百万戸建設することを新しい政策として打ち出すお考えを表明したと言われますが、総理はそのような方針に立って平成二年以降の予算編成を指示しておられますか。
  37. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) これはまだ予算編成過程の、政府というよりもむしろ与党の内部におけるいろいろな御議論の中で、御指摘東京圏における百万戸住宅供給計画というものが構想として語られました。私は、その考え方は極めて結構だと考えましたので、それが実現していくようにいろいろと措置をしていただきたい。賛成を言い、それが推進されるように指示もしたところでございます。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 その構想も後ほど申し上げますが、建設省の構想もあるわけです。それらとの整合性も保っていかなければいけませんが、平成二年度の予算編成ももう迫ってきております。そういう立場に立って、そういう気持ちになって平成二年度の予算を編成していく。これは恐らく明年度何戸で幾らという予算は別といたしましても、そういう立場で予算編成をしていくというふうに受けとめていいですか。
  39. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 私は年内予算編成をするということを念頭に置いていろいろなことを行っておりますので、年内予算編成のときには、ただいま申し上げましたような基本的な考え方に立って行ってまいりたいと思っております。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 次は、土地に対する基本理念の確立についてであります。  基本法土地について公共の福祉を優先させるものと規定しています。衆議院の修正によってこのことが入ったわけであります。  総理府が六十三年六月に実施した世論調査によると、土地所有者公共の福祉のために制限を受けてもよいと考える者はわずかは三八%です。欧米の六〇%、七〇%に比べるとはるかに低くなっているのです。  総理、こうした土地公共性に対する認識の差というのは一体どこから生じているでしょうか。
  41. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 個人の基本的人権に属します土地の所有、そしてまた民主主義のもとにおける公共の福祉のために個人の権利は制約される。そのぎりぎりの接点の問題でありますから、積極的に社会のためを考えていただく、住みよい地域づくりのことを考えていただく、そうなりますと公共優先の理解もいただけるのではなかろうか。そしてまた、人間が一人一人暮らしていきます上において、すべての人の希望や要望が一〇〇%通るものではない。そうすると、どこでそれをぎりぎりに妥協していくかという個人の基本的な権利と公共の福祉の接点というものは非常に難しい問題だと思いますけれども、今御指摘のような数字が世論調査の結果出ておりますけれども、日本の国内においても、公共のためにお互いに協力し合いながら暮らしていこうという考え方というものが定着してくることが快適な生活のためにも必要ではないか。私はそのように今考えながら先生の御質問を承っておりました。
  42. 石井一

    国務大臣石井一君) 村沢先生がおっしゃいますように、確かに明確に二〇%の差がございます。これは大変シビアなことだと我々は認識しなければいけません。恐らくアメリカ、イギリス、西ドイツ等々の西欧の国々では土地に対しての考え方がおおようである。それに比べて我が国の場合は、土地に対する考え方というのが、非常に限られた資源であるだけにもっともっと厳しいものになっておる。そうしてさらに、土地神話と申しますか、土地の値上がりの期待感や、土地は他の財に比べて有利な資産形成に役立つという考え方が強い。それがかえって土地公共性を持ったものであるという認識を阻害している。したがって、土地基本法の意義というものは非常に重要でありまして、今後これを徹底することによって五〇%に上げ、六〇%に上げるということが非常に基本的な問題として認識を深め、政府一体となってやっていかなければいかぬものだ、そう認識いたしております。
  43. 村沢牧

    村沢牧君 総理、今長官からも答弁があったところでありますが、公共性に対する認識が薄いということは、いろいろ個人の権利もあるのでありましょうけれども、大事なことは、我が国では土地は絶対に値下がりをしないのだ。最も確実な商品として取り扱われた結果が、土地公共性に対する認識を低くしているのだと思うのです。この土地神話を打ち砕いていくことが何よりも肝要であります。今後土地は値上がりするものという前提に形成をさせたさまざまな社会的なシステムを、行政も含めて抜本的に改めていく必要があるというふうに思いますが、総理いかがでしょうか。
  44. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のとおりだと思います。そうしてまた、きょうまで顧みると、そのようなことが特に大都市においては続いてきておったということも事実だと思います。  したがって、そういったものを、今長官答弁しましたように神話を打ち砕いていくということは、逆に言うと土地は上がるばかりではないのだ、下がることもあるのだ。またそういうような努力も始まっておるということをやっぱり皆さんにわかっていただくような努力をこれから政府は一生懸命やっていくわけでありますし、またやらねばならぬことでございますし、同時に国民皆さんにも共通認識として土地というものに対してどのような考え方を持ったらいいのか。また、公共の福祉というものはみんなが譲り合いながら、みんなが協力し合いながら初めて打ち立てていかれるものなんだということを御理解をいただかなければならぬことでありますから、折に触れてこういったこともまた御理解がいただけるように我々は努めなければならない、こう思います。
  45. 村沢牧

    村沢牧君 諸外国と比べて、特に欧米諸国と比べて認識は随分隔りがある。そこで、土地に対する基本理念は何とかしなければいけないけれども、一朝一夕にはなかなか形成することができない。総理は、今総理であるとともに教育関係についての権威者でもあります。今後学校教育も含めて教育の場においても、土地公共性について何らかの措置を講じていく必要があろうというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  46. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように、教育、特に義務教育という段階においては、将来国、社会を支えていく国民社会人としての基本的な物の考え方を正しく身につけてもらうということも大切なことでございますから、そのようなことが教育の場を通じて行われていくことが望ましいわけでございます。  また、土地基本法の成立後には広報活動の展開にも努め、教育活動についても土地についての基本理念に対する理解が深められますように努力をさせていただきます。
  47. 村沢牧

    村沢牧君 次は、不動産業者の不正な取引と金融機関土地融資についてであります。  異常な地価高騰を招いたということは、不動産業者の投機的取引によってもたらされたものが非常に多いわけです。また、金融機関の不動産融資に対する間違った見解に助長されていることも看過することができない重要な問題であります。  建設省は、不動産業者を指導している、大蔵省は金融機関に対していろいろな指導、検査、ヒアリング等も行っておる、そういうふうに言っておりますけれども、依然として悪質不動産業者が横行しておる。金融機関土地関連融資はふえておる。今では地方まで波及して、地方都市地価高騰の大きな要因となっておるのです。  総理、こうした不動産業者や金融機関に対してもっと指導、監督を強めていく。総理立場でも関係機関に督励をすべきだと思いますが、どうですか。
  48. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) この問題につきましては、私は土地対策の中で非常に重要な点だと考えておりますので、さらに一層行政指導を強める。同時に専門的なことが御必要ならば担当からお答えさせますけれども、銀行のみならず不動産業者やいわゆるノンバンクと言われるところにも指導、徹底を周知していかなければならない、こう考えて、既に指示はいたしておりますけれども、より一層徹底を図る所存であります。
  49. 村沢牧

    村沢牧君 大蔵省からもその内容については随分聞いてます。大蔵省は土地関連融資残高が問題ではなくて、投機的取引のための土地融資があるか否かが問題だ。私もそういうふうには思いますけれども、大蔵省の調査、いろいろやればその内容もわかってくるわけです。調査の結果悪質な金融機関に対しては銀行名を公表する、国会の場でも言う、そのくらいの決意がなくてはならないというふうに思うのであります。  石井長官は、本委員会でそのような土地関連融資の高いところは銀行名を公表することが必要である。また、不徹底なものに対しては罰則を設けていただく、こういう発言までされておるのです。長官からはそういう決意を聞いておりますが、総理、そこまでやっぱり踏み込むべきだというふうに思いますが、どうですか。
  50. 石井一

    国務大臣石井一君) 私の答えを十分聞いておられませんので一言だけ。  今後さらに情勢が悪化いたしました場合には、この問題は深刻な問題として受けとめてまいりたいと思いますが、ただ単に公表するかどうか、黒か白か、こういう答弁になりますと、これはなかなか技術的な問題も入ってくるようでございます。恐らく総理もこの問題につきましては、今後さらに厳しく対処する。そういうお気持ちではなかろうかと思いますが、その点は過去の答弁の流れの中から我々の気持ちをひとつお酌み取りいただきたいと思います。
  51. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 突然の御質問でございましたので、今長官答弁をしてもらいましたけれども、私は先ほど申し上げましたように、これは土地政策の重要なポイントだと思って既に指示はいたしておりますけれども、さらに徹底するように一層の努力をいたします。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 こうした委員会で大蔵省にそのことを要求しても国会の場では申し上げることはできません、個々の問題である。しかし、マスコミの報道によってそういうことが明らかになってくる、会計検査院の調査によって明らかになってくる。そのような悪質なものについては私たちも真剣に審議をして何とかしようと思っているのですから、せめて国会の場でも悪質な業者の名前ぐらい言えると、そのくらいにしなかったらただ大蔵省の内部だけでおさめておったのではいけないと思うのですよ。ぜひ総理においても御検討願いたいと思います。  次は公有地の拡大でありますが、公有地の拡大が本委員会でも審議をされ、また本院の修正事項として追加しようとすることで合意をいただいているところであります。公有地の拡大が必要であることは当然のことでありますが、そのためには、地方自治体の財政負担が今増高しておるときに、地方自治体が土地の買い上げに必要な資金調達を初め、土地の取得が円滑に行われるような施策が必要になってくるわけです。総理の考えと対策について伺っておきたいと思います。
  53. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 地域の健全な発展と秩序のある整備を進めるためには、公有地の計画的な確保が重要であることは御指摘のとおりでございます。また、公有地の拡大につきましては、公有地の拡大の推進に関する法律において土地の先買い制度や土地開発公社制度等により実施をいたしておりますが、財政的には都市開発資金貸付金による低利融資制度や各地方公共団体による公用地先取り取得等事業債制度を活用し、積極的に推進してまいる考えでございます。今後ともこの方針でまいります。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 次は土地評価についてであります。  総理も御承知のとおり、本会議でも指摘をしたのですが、土地価格の公的評価の制度として国土庁の行う制度、大蔵省の行う制度、あるいは自治省の行う制度、三つの種類に加えて市場の実勢価格がある。まさに一物四価であります。  このことが国民地価評価に対する信頼性を失わせるだけでなくて、地価対策を混乱させておるということになっておるわけであります。野党はこれの一元化を図りなさいというような案を最初出したのですけれども、なかなか困難であるという皆さん方答弁によりまして一元化ということだけは削ったのでありますけれども、将来は一元化していく。そういう気持ちには何ら変わりはないところであります。  そこで、どうしても各省庁の密接な均衡、連絡、適正化が図られなければならないわけです。今までのような縄張り行政ではこのことができないのであります。前向きに検討していくということの総理決意をお伺いしたいと思う。
  55. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘の問題につきましては、昨年六月に閣議決定をされました総合土地対策要綱においてもそれぞれの税の性格を考慮しながら均衡化、適正化を推進することにいたしておりますから、今御指摘の関係省庁において推進に努力をする。そのときにばらばらではなくて、よく連絡も協調もしながらとにかく均衡化、適正化を推進していくという方向については私はそのとおりだと思います。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 方向はそうですけれども、そのことが促進されるように、例えば私どもかこういう審議をしても、あるいは当院本会議答弁においても自治大臣はそんなことはできませんとぴっしゃり言っているわけですね。なおかつ整合性を高めるようにやっていこうとしても一つの省が絶対できないということであっては前に進まないのですよ。ですから、総理指導性を求めるわけなんです。もう一回答弁をいただきたい。
  57. 石井一

    国務大臣石井一君) やや各論に入っておる重要な問題でございますから、もう先生はよく御存じのところでございます。問題点はやっぱり固定資産税という問題だと思うのであります。他の部分におきましては、相続税でも、まあ一生に一回というようなことでございますし、ある程度の均衡化、適正化は十分図れると思います。  先日も議論がございましたように、比較的固定資産税が高く評価されておる地方においてそれを受け入れる情勢があり、地価高騰の激しい都市部等において固定資産税が低く見積もられておるにもかかわらずそれを受け入れられない。こういうような現実的な逆バランスと申しますか、この問題を克服しませんと一元化という問題が処理できないという苦しいところがございます。しかしながら、政府の公示しております価格が一物三値、四価というふうなことであれば何を信用し、どこに土地行政があるのかという基本的な問題が問われておるわけでございます。私は当委員会審議を経まして、自治省の頭も大分やわらかくなってきておると思います。今申しました現実的な問題を踏まえて、今後中期的な課題としてひとつ御指摘を胸に踏まえて取り組んでまいりたい、こう思うわけでございます。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 次は、土地政策の総合性、行政組織の整合性、あるいは住民の意見を聞くこと。これからの施策を進めていくためには各省ばらばらであってはいけない。政策も総合的でなくてはいけない。また、住民の協力も得なければこうした政策は進めることができないのであります。そうしたことを踏まえて衆議院においても、また本院においても総合性を保て、行政組織を整備しろ、住民の意見も聞け。こういうようなことを修正追加としてこの基本法に盛り込もうとしているわけであります。また衆議院では盛り込んでおるところでありますが、このことについて総理見解を聞きたい。
  59. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 土地政策に関しましては、おっしゃるように総合性は極めて大切なことで、各省間の考え方がばらばらであってはいけませんから、政府といたしましては土地対策関係閣僚会議を設置してその総合性の確保に努めておるところでございます。  また、住民参加の問題につきましては、先生指摘のように、必要に応じて住民その他の関係者の意見を求めていくことは必要なことであると考え、このため御審議いただいております土地基本法案において十一条三項に修正が行われ、その考え方が盛り込まれて衆議院で議決された経過も私は十分承知をし、それは必要なことであると考えております。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 土地問題に関連して総理に、建設省の住宅宅地供給の促進に関する特別措置大綱についてお伺いしておきたいと思います。  建設省がこの大綱を発表して以来、特に市街化区域内の農地の宅地並み課税について大きな紛争を醸し出しておるのです。建設省が市街化区域内の農地について宅地化するものと保全すべきものと区分をして、保全する農地については都市計画上の位置づけを明確にし、宅地化する農地については計画的に宅地化及び良好な宅地化を促進をすること。このことは私は考えはわかります。そうであろうと思います。  しかし、こうした思い切った措置を講ずるについては、先ほど総理から答弁ありましたように、施策の総合性を保たなけりゃなりませんし、行政組織の連絡協調が必要であるし、住民、関係団体の意見も聞かなくてはならないのであります。  ところが、建設省は、この大綱を策定するに当たって国土庁とも農林水産省とも自治省とも何ら協議もしておらないし、また関係地域農民はもちろん、団体の意見も聞いておらないということは当委員会審議の中で明らかになっているところであります。  やり方がいいのか、中身がいいかは別といたしましても、これは法案ができるときに相談をするのだということではなくて、大きな問題でありますから関係行政機関が協議をする。関係団体の意見も反映する。こうしたことに整合性を保たなければならないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  61. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) おっしゃるように、各省庁間の意見の調整も必要でありますし、また私はただいまもそのあり方とか進め方について党の方でもいろいろな御議論を願っておる、いろんな立場意見を今議論されておるさなかだ、こう承知しております。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 私は、市街化区域内農地の宅地化の推進についてすべて反対しているということではないのです。偽装農地まで農地として残すなんて言っているのではないのです。ただ、この案が発表されて以来宅地並み課税のみが先行して、農地に重い税金を課して農地をいぶり出すかのような印象を与えて、関係農民や農業団体の反対運動が盛り上がったのですね。そしてまた、自民党税調はこの案をもとにして明年度から税制改革をしよう、そして予算編成までに宅地並み課税についても方針を出そうというようなことが新聞でも報道されているのです。今、総理答弁がありましたように、党内にもいろいろ御意見があるというふうにお話があったのですけれども、この問題について明年度予算にあるいは税制改革に反映をさしていくのかどうか。そうすればもう時期も迫っているのですけれども、総理見解決意をお聞きしたい。
  63. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今建設省、自治省、農水省等においてこの問題についての調整、検討を行っておる最中でございますから、今ここで結論を申し上げることは御勘弁をいただきたいと思います。いずれにしても十分にその事情を踏まえてやっていきたいと思います。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 既に明年度の税制の大綱を決めていくという時期も迫っているというふうに思います。我が党の中にもいろいろな意見はありますけれども、特に自民党さんの方からいろいろな意見を私は聞くわけです。いやこれやるべきだ、いやだめだ、とんでもないというような意見も聞くわけです。まだ総理はどうしようという相談は受けてないのですか。
  65. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いろいろ途中の相談は受けておりますけれども、あくまでそれはまだ決まったことではございませんので、途中の相談の経過その他をここで申し上げるのは慎むべきことだと考えます。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 宅地並み課税をやる前にやらなければならないことがある。それは、農地や生産緑地あるいは市民農園も含めた都市計画を策定するのだと。その中で農地はどういうふうにその位置を保っていくのか、あるいは大企業の保有する工場跡地、未利用地遊休地などの活用をもっと積極的にやるべきだと。  総理、今の農地に今のような形で宅地並み課税をしていても、それは投機の対象になって、今までと同じようにまさに虫食い開発、ミニ開発、地価は下がらない、かえって逆に上がっている。そのことは目的とする宅地供給には役立たない。こういうふうに思いますものですから、やるべき前提がある、政府としてやらなければならないことがある、そのことについてどのようにお考えになりますか。
  67. 石井一

    国務大臣石井一君) 御指摘されておりますのは正論でありまして、建設省もそういう方向を考えておりますし、国土庁もそれを真剣に検討いたしておるわけでございます。農地の宅地並み課税という言葉が誤解を生むわけでありまして、私たちは農地を宅地並み課税しようとは考えておりません。農地を適正に区分し、都市計画その他の十分な計画を国、地方公共団体、場合によっては農業団体も入れまして計画を作成した後に、あるいは生産緑地、あるいは市民農園、あるいは保全すべき農地というふうに的確に区分をしていく。むやみに税金を直ちにかけるというふうなことは考えておりません。  これは途中経過でございますから総理立場でもお答えしにくいところがございますが、この経過を踏まえて、仮によしんば直ちに今回できなくとも必ず明年度には実現するとか、方向としてはそういう方向でやりたいと思います。  未利用地とか、あるいはそのほかのいわゆる市街地内にあります今後対象とするべきところに関しましても、当然税制の問題も保有税の問題でございますとか、あるいは未利用地の指定の問題でありますとか、計画の提示でありますとか、こういう順序を踏まえた住民の意識、地権者の意見を踏まえた形の中で説得のある案を示していかなければいかぬということでありまして、多少の時間はかかるわけでございますが、先生のおっしゃられている方向とはおおむね変わっておりません。ただ、多少の時間なり手続なり、また土地行政が複雑であり、あちこちがちゃがちゃという意見もあります。これには多少の調整がかかるということも御理解いただけると思うのでございます。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 私の持ち時間が参りましたので終わりますが、最後に総理、こういう法案が我々も賛成して成立するのですから、基本法趣旨を踏まえて基本法は単なる理念だけ決めたものではない、基本法ができたことによって今までの土地対策を本当に見直して、決意を持って土地行政に当たってもらいたいし、各省庁間の調整が十分とれるように、そのことについても御配慮を願いたいし、あるいは金融機関などに対しましても、大蔵省はいろいろかたいことを言っておりますけれども、さらに指導を強化していただきますようにお願いをして、総理決意を伺って私の質問を終わります。
  69. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) いろいろ御質問の中で貴重な御意見も承りましてありがとうございました。私は自分自身土地対策は大事だと考えておりますし、そのような方向で取り組まなければなりません。  土地に関する閣僚の懇談会をもっともっと有効に活用をして省庁間の意思の疎通を図るとともに、答弁の中でも再三繰り返しましたように、いろいろ政府が取り組まなければならない行政指導の問題については、全力を挙げてやっていくつもりでございます。そうして土地問題が皆さんの合意をいただいて、土地基本法というものの理念社会に広まっていい結果が生まれていきますように努力をさせていただきます。ありがとうございました。
  70. 広中和歌子

    広中和歌子君 現在の野党の勢力分野、分布ですか、それにおきましては、委員会での質問はどうしても日本社会党の後塵を拝するという宿命を負っているわけでございまして、今、村沢委員から非常に多岐にわたっての御質問があったわけでございます。  私も首都機能移転の問題、つまり新都建設についてこれから具体的にお伺いしていきたいわけでございますけれども、少なくともお答えに関しましては一歩も二歩も三歩も踏み込んだお答えをちょうだいできればと、そのようにお願いしたいと思います。  総理国土庁長官も世界の大都会というものをよく御存じでいらっしゃると思いますけれども、不思議にお思いになりませんか。つまり大都会というものは共通の問題を抱えております。または要件というのでしょうか、一定の限られた土地に大勢の人が住む。パリにおきましてもロンドンにおきましてもニューヨークにおきましても東京におきましても同じ条件であるはずでございます。しかしながら、なぜ東京だけがこのようにばかげた土地高騰であるのか。よその都市はどういうふうにしているかと言いますと、資産課税の強化であるとか、それから土地利用計画に基づいて私権を制限するとか、さまざまな流動的な運用によって地価をある程度抑え、そしてできるだけ多くの人が住めるように計画しているわけで、東京首都圏におきましてもそれなりの努力がなされたということは認めないわけではございませんけれども、なぜこのように日本の首都圏の問題というのは大きくなってしまっているのか。日本の小さな国土土地を売りますと大きな国土、アメリカが四つ買える、そういうようなばかげたことが起こっておりますが、まず総理、その原因についてお伺いいたします。
  71. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 諸外国と比べて確かに高いという結果は御指摘のとおりでございます。それから政府がいろいろきょうまでやってまいりましたこともあるのですけれども、結果がこうなってしまっておるわけでありますから、その点については最初に率直にきょうまでのことについてやってきたことはお認めいただきながら、結果については反省しておる点もあるということを申し上げさせていただきます。  そして、私なりに、この数年間、特にそれが激しくなったのはやっぱり需要が高くなってきた。そして東京は特に国際金融中心になっていろいろな面から需要がふえてきた。需要がふえるとともに、その需要を満たす資金の緩和状態というものも出てきた。それがこのような結果をもたらしてきた。簡単に言うとそういうように受けとめて、それなれば今度は供給の面を一生懸命やっていったら、今度はそれがまた頭打ちになったり下がっていったりする方向に向いていくのではないか。ですから施策としてはその両方をとらえてやっていかなければならない、私はそう受けとめさせていただいております。
  72. 広中和歌子

    広中和歌子君 一極集中にはさまざまな問題があり、それは指摘されているわけでございますけれども、一番大きなのは地価高騰でございます。ハンカチ一枚くらいの土地が、三百万円というところも東京にございます。  それから、交通渋滞を解消するために道路をつくろうといたしますと、一・五キロで一兆円かかる。その九九%近くが土地代でございます。建設費は一%。一兆円あれば瀬戸大橋ができるのですよね。そういう状況の中で、もう土地を持たない庶民というのはあきれ悲しみ、そして無策に腹を立てているというのでしょうか。  土地問題というのは、総理ワシントンのプレスセンターでも大きな問題として指摘していらっしゃいますけれども、構造協議での問題の一つでもあるわけでございます。今まで総理、キャリア政治家として、そして現在総理としてこの問題をどういうふうに前向きに取り組んでいられるか。今まで例えば四全総だとか、ふるさと創生、それからこのたびの土地基本法、言われておりますけれども、実効性があるとお思いになっていらっしゃいますか。
  73. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 例えば四全総の御指摘がございましたけれども、狭い日本の土地を有効に活用できるところは活用して、それぞれの機能にふさわしいような地域活性化を持っていくことが一極集中を排除していくために、私は結果として役に立つ、こう思って御努力願っておりますし、あるいは今またいろいろやっております地域活性化の中でもそれぞれの、今度は町村レベルでのふるさと創生の活性化が本当に定着しますと、今度は人のUターン現象といいますか、学校を卒業したら大都会で就職して居ついてしまうというのではなくて、また地方へ帰ってそこの地方の活力のためにも努力をしてもらうということになりますれば、それも一つ効果でもあろう、こんなことを考えます。  いろいろな政策をやっぱり積み重ねなければ、今直ちに手のひら返してこうしたらこうだという妙案はありませんけれども、努力をしていかなければならないテーマばかりだと思います。
  74. 広中和歌子

    広中和歌子君 企業はどんどん本社を首都圏に移している。もちろん経済、金融、国際都市としての集積が非常に大切なわけで、企業に無理に外へ出ていけというようなことはなかなか実行されない、少なくとも税制をいじらない限りそれはできないわけでございます。  それから、一省庁機関移転に関しましても、これはある方からオフレコで聞いたのですけれども、自分たちが移ることによって、さまざまな不便があるけれども、それでも自分たちが動けば、それで東京首都問題が多少でも解決するという前向きの結果があるのであれば移りますよと。しかしながら、そんな結果なんというのは見えないじゃないかと言われるのです。私は全くもっともじゃないかと思うのでございますけれども、前回も伺いましたけれども、一省庁機関移転、それはほとんど首都圏にとどまっておりますし、これから分散に役に立つのでしょうか。国土庁長官の御意見をお伺いいたします。
  75. 石井一

    国務大臣石井一君) まず基本的な姿勢、政府はそういう姿勢を示すということに一つ意義があると思います。  第二に、多極分散国土形成法等でも業務核都市という考え方を入れておりまして、東京三区のオフィスビル等の需要が余りにも急激なために人口がどんどん減っておる。しかしながら、ここのところから空地ができ、緑地ができ、そして核都市へ移っていくということでも、やはり評価するべきところもあるのではないか。  それから第三には、このことによりまして、最近やはり東京集中しております反面、東京から移転しております企業も出てきておるわけでございます。これは電鉄会社でありますとか自動車会社でありますとか、そのほかもろもろのところが、周辺でなく山梨県でありますとか静岡県でありますとか、そういうところへ出ておるものも私、散見いたしております。  こういう形の中から、要はいろいろの総合的な政策をやりまして、これを推進していかなければいかぬと思いますが、やはり重要なことは当委員会議論になりました首都機能移転という問題について、ほかだけ出ていけ、自分はおるんだ、これではどうにもならぬと思うのですね。我々もやるよと、こういう姿勢がやっぱり必要になってきているのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  76. 広中和歌子

    広中和歌子君 土地基本法理念、大変私は立派だと思いますし、まず土地利用計画というものをきちんと策定し、それに基づいて私権も制限しましょう、公共の利益が優先ですと言いながら、先ほどから申し上げていますように、実効性が非常に少ないのじゃないか。先ほど村沢委員もおっしゃいましたように、国民の三八%しか私権を犠牲にすることに賛成してない、そういうことでございます。それから、農地の宅地並み課税とか資産課税、保有にもっと税をかけるべきだと言われましても、先送りになっている。  そういう中で、私は唯一の希望が大深度法だろうと思います。これは唯一の私権の制限が可能な分野だと思いますけれども、二年くらい前から法案づくりをされながら、この前の御質問でも非常にあいまいな答えでございましたし、いつ提出されるのか。来年度の国会で提出されるのか、その際、私権ははっきりきちんと制限されるのか。土地対策担当大臣としての国土庁長官にお答えをお願いいたします。
  77. 石井一

    国務大臣石井一君) 先生御案内のとおり、七省庁で独自の法案検討しておりますし、関係省庁が十省庁ございます。私はこの間の質問をお伺いしまして、その後直ちに担当官を呼びまして、この問題につきまして意見を交換いたしました。  要はほとんどのコンセンサスがこれは推進するべきであり、土地利用上有効だと言うわけですけれども、一部、多分建設省ではないかと思うのでありますが、五十メートル以内の深度のものは、これはやはり地権者に関連があるという所有権の問題で、一つ基本的な法的な問題での争点が解決できないために、重要であるということがわかりながらもいまだに結論を得ていない。  しかしながら、四全総等でも、また土地総合対策要綱、両方におきましてこの問題には触れておりまして、次期通常国会法律案を提出すべきであるという政府決定までいたしておるわけであります。  したがいまして、私は次に行います土地関係の閣僚会議におきまして、この問題を一項目設けて、私の立場からさらに未解決の問題を処理し、この線に沿って問題が解決されますようにいたしたい、そう思っております。
  78. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  国土庁長官も今おっしゃっていただきましたように、新都の建設が必要ではないか。私はこういうふうにさまざまな政策議論があり、委員会も設置され、しかしながら、土地問題がなかなか解決されない以上抜本的な改革、解決が必要で、二十一世紀に向かってやはり国会を移す、国会中心になって、まず隗より始めよということで移すことを考える必要があるのじゃないか。そんなふうに思っております。  まず第一にアナウンスメント効果によりまして東京一極集中の圧力というのでしょうか、それが多少は冷やされるでしょうし、少なくともその結果として東京土地の鎮静化は起こるのではないか。国民に夢と希望を与える二十一世紀に向かってのすばらしいプロジェクト、これは国民を巻き込んでの大論争になれば大変すばらしいと思います。  移転に伴いまして多極分散の実も上がりますでしょうし、新都建設に伴う基盤整備も行われ、内需拡大も進む。今内需拡大の目標は、大きなプロジェクトとしてはリゾート開発というのがあるわけですけれども、リゾート開発では国民に十分な夢がないのではないか、もっと大きな夢をということでぜひお考えいただきたい。そういうふうに思うわけでございますけれども、総理のお考えをお伺いいたします。
  79. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) まさに御指摘になった問題は、昨年でございましたか、一時遷都問題というのが大変世をにぎわせたこともございました。私の記憶に間違いなければたしか仙台地方からも、関東の周辺からも、富士の山ろくからも、そして愛知県の東部からも、引き受けてあげるから大いに頑張ってここへ持ってこいというような御意見等も参ったことを思い出します。  いろいろなそういう御議論、御意見国民的なレベルで支持していただいて、そしてどういうことが必要かということは今後十分検討をしていかなければならない。それは四全総の中にもぎちっと出ておるわけでございますから、研究課題の一つであることは間違いないと思っております。いろいろなところでそれらの問題についての御意見をいただき、国民的な合意が得られるものなればと、私も大きな夢を描きながらそういったことについては研究をさせていただこう、こう思います。
  80. 広中和歌子

    広中和歌子君 総理、この前の委員会でもちょっと申し上げたのですけれども、首都移転というのでしょうか、首都機能移転に関しましては何遍も討議が行われているのはおっしゃるとおりでございまして、しかしながら東京地価高騰とともに起こり、そして鎮静化とともに何となく消えていってしまっている。なぜかということを考えますときに、どうしてもまず今おっしゃったように、どこに誘致しよう、そういう誘致合戦が先になってしまうのですね。それでもって結局議員としてもお互いにリーダーシップをとりにくいというような結果になってしまっているのじゃないかと思うのです。首都機能移転に関しましては一切候補地は第二段階として置いておくことが必要ではないか。この際日本の国土づくりのために、まず移転するか移転しないか、その点に焦点を絞りまして、そしてその規模、例えば国会と主要官庁だけが移るのかとか、どのような規模でとか、タイムテーブルとかそういったようなものをまず議論した上で候補地を出していただく。そういうふうにしないとちょっと無理ではないかなと私見でございますけれども思うわけでございます。そういったものを討議する委員会国会内に設置することができないだろうか。自民党の総裁といたしましてそれについて非常に前向きなお答えをちょうだいしたいわけでございます。
  81. 石井一

    国務大臣石井一君) 当委員会での御議論を踏まえまして私は具体的な指針を出したいと、そう今思っておりまして、関係各省また部内でも今真剣に協議をいたしておるところでございます。過去繰り返し繰り返し調査が行われてまいりました。しかし具体的なものはございません。今回必要なことは、移転するメリットとデメリット、そうしてその規模、その機関等々をあらゆる国民の各層の代表を集めて集約する。こういうことにするべきだと思うのであります。その機関国会に置きますと、まあ先生のように熱心にやられる方もありますが、自分のところへ持ってこいというような議論が出まして、かえって中身以前の政治的な問題というようなことになりまして、国会の中にこの委員会を置くのはいかなるものかなと、こういう感じが私にはいたします。御指摘のとおり、どこでもそうでございますが地価の問題もございますし、場所は一番最後でございます。    〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕  そういうことを考えましたときには、議員というのはどうしても我が町、我がふるさとと、こういうことになりますので、真剣な場をひとつ設置し、時間を切ってこの問題についての、それが前向きなものでもあれ後ろ向きなものでもあれ一応の結論を出していくということがこの際必要ではないかと思っておりますので、今後、総理のお許しもいただきまして、できれば私の任期中にそういうことを処理したい、こう考えておる次第でございます。
  82. 広中和歌子

    広中和歌子君 総理、行政府の長として、この問題を検討する主務官庁を定めそして審議会をつくる、そういうことをぜひ検討していただけますか。そしてそれを新春に早速取り組んでいただく、そういうふうにお約束いただけませんでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
  83. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 首都機能移転の問題につきましては、私、議員として非常に関心も持っておりましたし、自由民主党にあります首都機能移転に関する調査会の副会長ということで審議に参加させていただいてきた経緯等もございます。それから、全く世の中にはユニークなアイデアを持っておる方がいらっしゃいまして、どこに移転するのじゃなくて新しく首都をつくったらどうだ。新しいものをつくれという、例えばそれが東京湾の中に島をつくるという具体的な構想であったり、しかし一たんそういったようなことの議論を始めますと、それに対してもこういう理由で難しいとかこういう理由でいいとか議論百出の状態で、今決まったものはまだ具体的にはございません。  そこで、検討、研究を続けておるさなかでございますので、石井長官から後ほど具体的に詳しくいろいろな説明等も聞いてみます。そして、いいことであるなればひとつ検討をしていきたい、こう考えます。
  84. 広中和歌子

    広中和歌子君 最後に、いろいろ検討された結果をぜひ国民の前にわかりやすく説明していただきたい。そして国民意見を呼び起こすような喚起するような形でぜひこれを二十一世紀への夢としてやっていただきたい。お願いして私の質問を終わります。    〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
  85. 市川正一

    ○市川正一君 私はこれまで石井長官との間で三回にわたって率直に論じ合ってまいりました。その論議の一つの焦点になったのは、政府土地対策の、そしてまた土地基本法の根本に据わっている論理、すなわち地価が高いところはそれに見合った生産性の高い土地利用が必要である。言うならば生産性の論理をめぐってであります。  生産性を最優先する土地利用という論理の帰着はいや応なしに生産性の低い住宅はもっと生産性の高いオフィスビルに取ってかわられる、駆逐されざるを得ません。また、たとえそこに住宅が付随的につくられても、それは高い地価を反映し当然採算を成り立たせる高家賃にならざるを得ない、これまた必然の流れであります。かくて、高い地価に見合った生産性を確保する開発ができない住民、またそれに見合った高家賃を払えない住民は結局のところ住みなれた町から出ていかざるを得なくされてしまう。私が東京やあるいは大阪など各地の実例で示したように、実態はまさにこのことを立証しており、政府の姿勢が変わらない限り、土地基本法のもとでますますこうした事態が促進されるであろうということを私は論じてまいりました。総理、大体そういう経過なんです。  本日は、海部総理に対する締めくくり総括であります。総理には内外問題いろいろ伺いたいことはやまやまございますけれども、本日は法案に即しての質問に限定して以下お聞きしたいと思います。  土地基本法はその中に、土地は「地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用されるものとする。」、こううたっております。言うまでもなく、町はさまざまな生活を送っているところであり、長年にわたってコミュニティーを築き上げ、そして伝統を育ててきているところであります。これをオフィスビルしかない町、これを一定の階層の人しか住めないような町にしてしまうのじゃなしに、現在住んでいる住民の実生活の姿、これまで築き上げてきた地域のコミュニティーや伝統、歴史、そういうものを尊重しながらそれを生かした開発計画を考えなければならぬと私は思うのであります。  総理にもあらかじめ御一読をお願いいたしましたのですが、都市住宅問題のオーソリティーである京都大学の西山夘三名誉教授が十日付の毎日新聞に、京都市の実態にも触れつつ土地基本法について論じております。そしてその中に、土地基本法には「生活空間の論理がない」と指摘しているのも、私は今申し上げたようなことだろうと推察しております。  海部総理と私とは、音楽議員連盟の場で御一緒にオペラを拝見するなど長いおつき合いでございます。文化問題には極めて関心の深い方と、こう承知いたしておりますので、あえて先ほど引用いたしました土地基本法に言う「地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件」ということにかかわって、今私が申し述べているような意味での「生活空間の論理がない」という指摘に対して、どうお答えいただけるのでしょうか、まずお伺いしたい。
  86. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) やはり、都市における生活空間の問題というのは、それぞれその地域地域に必要なものが求められ、都市計画その他においてもできつつあるものであるし、また小さく言えば公園緑地とか公共の憩いの場とか、そういったようなものがすべて都市の生活空間に入るだろう、私はこう思うのです。ただ日本は、理屈を言うようですけれども、昔から生活空間を利用することが欧米と比べてすぐれた能力を持っておる国だと。例えば、一軒一軒の御家庭で、今でも地方へ行きますと縁側というものがありますけれども、あの縁側はあるときは公共的に使われ、あるときは家族のみに仕切られるというようないろいろなアイデアを持ってやってきた。そういった歴史や文化があるということは先生も御承知のとおりだと思います。  そういったことを踏まえながら政策を進めていかなきゃならぬわけでありまして、まさに今度土地基本法の問題に戻りますと、地域の人々のつながりとか、そういった生活空間とかいうようなものを大事にしながらいくということは、良好な都市環境を整備するため大切なことで、十一条に今度入りました「土地利用計画」を住民その他の関係者の意見を反映させつつ作成することになっておりますが、この規定をまさに利用し、この規定を生かすことによってそういった方面に配慮をすることができると私は受けとめさせていただいております。
  87. 市川正一

    ○市川正一君 総理今おっしゃったように、確かに私ども日本の歴史を顧みたときに、生活空間を活用する上でのすぐれた能力を我々は持ってきたと思うのです。ところが残念ながら、今そういう生活空間あるいはそれをめぐる論理というものが欠落し、逆に破壊していく開発が全国で進んでいるというのが実態ではないでしょうか。  実は、私は経歴を申し上げるつもりはありませんが、京都市の生まれで、日本人のふるさととも言われている千二百年の伝統を持つ、日本の顔とも言うべき京都の町が、今土地の買いあさり、地上げによって全国最高の四八・四%という地価上昇、言うならば生産の論理に貫かれた開発ラッシュによって大変なことになっております。例えば東山など京都市内を取り巻く静かな山並みが、これは京都のあるいは日本の極めて大切な景観であり財産だと思うのです。ところが、あの送り火で有名な大文字山にまで最近ゴルフ場が計画されました。さすがに市民の強い反対のもとで業者が断念し、とりあえずは守られましたけれども、しかし、京都の静かな寺院のあのたたずまいのかなたに、ゴルフ場に変わった山々の無残な姿を見るなどということは、京都には外国の賓客が多く来られるところでありますが、日本の文化のあり方が問われると思うのです。そういう点で私はこうしたやり方に対してこそ公共の制約を加えるべきだと思いますが、総理の所見いかがでしょうか。
  88. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) おっしゃることの全体、特に京都についてこれは例示的におっしゃったと思いますけれども、確かに長い歴史的な文化や伝統やそういった静かなたたずまいや、いろいろなものがその地域にとって必要なものでございましょう。特に京都というのは、外国人が日本へ来るときは京都とまず言うようなところでございますから、その史跡とか名勝とか得がたい伝統的建築物というものは私は守られていくべきだと基本的に考えます。したがいまして、このような貴重な財産が乱開発によって失われるようなことはあってはならない問題だと私は認識をいたしております。
  89. 市川正一

    ○市川正一君 まさに私も同感であります。ところが実態はそうなっていないのです。京都の町は戦災を受けませんでした。ですから古い木造住宅が多くて確かに建てかえの時期にあるのです。その足元を見た札束による地上げ攻勢で住民が追い立てられる。その跡には次々とマンションが建って、今や祇園祭りなど伝統的行事も困難になってきております。しかもこうしたマンションは、じゃ市民の住まいになっているのか、そうじゃないんです。ことしの春、京都府内の府立大学の吉野教授らが中京区の分譲マンション二十一棟、三百四十戸を調査いたしましたら、東京などの資産家の別荘になっておる。ふだんは無人という部屋が約四割なんです。西山名誉教授はこの論文の中で、「京都は今、夜、灯のつかない町になりつつある。」と嘆じております。そしてまた、中京区の調査を行った吉野教授も、このまま放置すれば、歴史都市の命とも言える古い家並みは条例や要綱で保護された地区を除いて消滅してしまうだろう。こう警告しておるのでありますが、こういう事態をやはり放置してはならぬと思うのですが、総理、いかがでございましょう。
  90. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 先ほど申し上げましたように、由緒ある伝統的な建物その他については、乱開発によってそれが失われてしまうというようなことはあってはならないことだと私も思います。
  91. 市川正一

    ○市川正一君 きょうは時間厳守で走っておりますので、ここで一問だけちょっとやや趣の変わった御質問で、総理に聞いていただくことで後でちょっとまたお願いしますが、建設省、えらい御無理言いました。  御承知のように、きょうの各紙が「長谷工、暴力団に六億円 都心の地上げ絡みで払う」という報道がなされております。私は、大企業がダミーを使って地上げをやっていることを厳しく規制しなければだめだということを大阪の例を地図入りで長官にもあのとき指摘いたしたのですが、まさにその典型的な事例の一つだと思うのです。恐らくこれは氷山の一角だと思うのです。私は、建設用地社及びその前に長谷工が地上げを任せていた暴力団の関係者は宅建業者なのかどうか。あるいはもし無免許でやらせていたとすれば、これは大問題だと思う。また、暴力団関係者に免許を与えていたというなら、それもまた大問題だと思う。私は、政府として事実関係を調査して、そして宅建業法及び建設業法に照らして厳重な措置をとられることを要求いたしますが、現在わかっている範囲のところでお答え願いたいと思います。
  92. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 本件につきましては、詳細をただいま調査中でございますのでコメントをちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、従来からもこういう悪質な地上げ行為の問題、または投機的な取引の問題につきましては業界団体の指導と、それから地方公共団体に対しましても関係行政機関と連携をうまくとって厳しく対処するようにということを指導しているところでございます。また、業界団体におきましても、取引から暴力団を排除するということを申し合わせているところでございます。  いずれにいたしましても、不動産業者のこういう悪質な地上げ行為等が行われること、今後とも厳に厳しく指導してまいりたいと思っております。よろしく御理解お願いいたしたいと思います。
  93. 市川正一

    ○市川正一君 最後に、今の長谷工問題で建設省の当事者からそういう答弁がございましたが、総理決意を伺い、そしてもう時間が参りましたので、私は結論的に申しますと、限られた土地利用をただ生産性の論理だけで優先させるというのじゃなしに、歴史と住民の生活を尊重した都市開発を行う、そういう立場でやるべきだ。  私は、時間があればイタリアのボローニャの例など御紹介しようと思いましたが、ここに共同通信が発行しております「変わる都市」というのがございます。いろいろ私どもにとっても教訓的な事例がございますので、そういうこともぜひ視野を広げながら対処されることを要望いたしまして、ただいまの長谷工問題にかかわってのああいう飽くなきやり方に対する総理の御決意、御所信を承って私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  94. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 今調査をしておる問題がもし事実であるとすれば、それはよくないことでありますから、今後起こらないように厳重に対応をさせます。
  95. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございます。  大変時間が限られた中での総括質疑ということでございますので、重点を絞りまして、ひとつ総理土地問題に対する政治姿勢も踏まえて御質疑しますので、端的にお答えいただきたいと思います。  先ほどもありましたように、やはり土地問題というのは政治不信の一番の元凶になっているのじゃないかという観点から、総理大臣も十月二日の所信表明演説で、「社会の公正さに対する国民の信頼が揺らいでいる原因一つは、地価の異常な高騰にあります。持てる者と持たざる者との格差拡大は見逃し得ない問題であります。」、こういうふうに演説されております。  総理自身持てる者ですか、持たざる者ですか、御意見を伺います。
  96. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 持てる者、持たざる者ということでありますから、私は自分自身がそんなに持てる者だとは考えておりません。けれども、世の中にはいろいろな立場がございますから、強いて分けろとおっしゃれば私は東京とそして一宮に私の家は持っております。
  97. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 一般のサラリーマンにとりましては、住む家は狭くて通勤は長くて電車は込んでおるのでございます。寅さんじゃございませんけれども、奮励努力のかいがなく、やはり家は持てなくなっている、こういうのが現実でございます。  そういう中で、若干気になる総理政治姿勢に対するお言葉がございます。例えば、所信表明の日に、総理は記者の質問に対して、総理住宅地が地価でトップになったということでございますが、僕が地上げしたわけではないというようなお言葉でございますが、これは事実でございますか。
  98. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 歩きながら取り囲まれてのいろいろな御質問なりやりとりは、記録も一々とっておりませんし、そういったことは私は自分では考えておりませんし、私自身はああいった一番高い公示がされたということに、逆に言うと非常に困惑しておるといいますか、なぜ僕の所が日本一のあれで発表されるのだろうかという気持ちになったことは、これは事実でございます。
  99. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 まさにそういうような思いの方がたくさんおられるということでございます。  要するに、自分が値上げをしたわけではないけれども、現実的には値上げになってしまって、しかし、持たざる人にとってはこれは大変な格差が広がっている、こういうことでございます。その限りでは海部総理も持つ者のグループに入っているんじゃないかという気がいたします。現実に僕が地上げしたわけじゃないけれども、値上がりがトップになってしまったという所にお住まいだということでございます。  若干そういう意味で市民感覚に外れているんじゃないかという気がいたすものですからお伺いするのでございます。総理の、歩きながらの質問に対してまともなお答えはできないというふうな雰囲気だったろうと思います。例えば、ちょっと次元が違いますけれども、いわゆるパチンコ疑惑で朝鮮総連へのいじめが非常に強いというふうなときに、何とか朝鮮人への暴行事件が再発しないように適切な措置をとってくださいというふうなことに対して、僕がいじめをやったわけでもないし、僕が出ていって探し出すわけでもないというふうなお答えがあったということでございますが、これは事実でございますか。
  100. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 正確に申し上げさしていただきますけれども、これも廊下を歩きながらの質問でございましたが、私はいじめというものは全体よくないものだということをまず申し上げましたし、それから、朝鮮人であるという理由でいじめることはいけないから対応をさせますと言いました。そしたら、あなた自身は何も調査をしないんですか、あなた自身はどうするんですかと言われましたから、私自身はけんかをやっているところに出会えばやめると言って引き離すこともできましょう。けれど、僕自身がそこにおったわけでもないし、僕がやったわけでもないし、それは係の人がきちっと対応しますよと言いましたけれども、いささかそれは表現において適切を欠くと私自身も思いましたので、直ちにもう一回今度は正式に記者の人にみんな来てもらって、私自身考え方を述べて、私はそういった問題についてはこのような対応をしますということをはっきりと申し上げたわけでございます。
  101. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 今お話がありましたように、たとえ廊下で囲まれてお話ししたにしても、「綸言汗の如し」と申しますか、それほどカリスマ性がないにしても、やはり総理大臣の発言というのは非常にそれだけの重みがあるということでございます。後で、これはこういう真意だというのはよくありますけれども、やはり市民感覚としてはそういったおかしいなということの方が先にどうしても印象づけられてしまうという嫌いがございます。これはもちろん総理の今のお話で十分意図するところはわかりますけれども、見出しとかあるいはそういう囲みによって市民の政治に対する不信感といいますか、政治スタンスというのははかられてくるのでございます。  そういう意味でいいますと、やはり土地問題についても実行するかしないかというのが今問題でございます。土地基本法というのは一歩前進でございます、非常にいい法案でございます。これは連合参議院でも賛成する立場でございますけれども、要は、やはりそのことに対してリーダーシップを持って総理が率先してやれるかどうかということの一点にかかっているということでございます。決意のほどを土地法案に対してお聞きしたいと思います。
  102. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 土地問題に関しましては重ねて申し上げさしていただきますけれども、これは極めて重要な問題であると理解をいたしておりますし、また政府としても土地問題の関係閣僚会議をつくって一省のみならず政府を挙げて、関係閣僚が集まって取り組んでいこうという態度をつくっております。また、土地基本法が通ったということは土地政策のきょうまでのいろいろなことを踏まえて新たなる展開へのスタート台に立ったという気持ちだと、私も国土庁長官もこの場でも申し上げさしていただきましたが、そのような気持ちで前向きに努力を続けてまいります。
  103. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 ぜひ総理の強いリーダーシップで土地法案の精神を踏まえてやっていただきたい、こういうことをお話しして私の質問を終わります。
  104. 山田勇

    ○山田勇君 総理土地政策の究極的な目標は、限られた資源である土地を合理的、効率的に利用して国民に豊かな生活を保障することであると考えます。そのためには地価を正当な価格に抑制し、土地の高度利用を図らなければなりません。土地基本法案を長時間にわたって審議してまいりましたが、公共の福祉を優先すること、土地取引においては投機の対象とされてはならないなどあらゆる角度からの検討もなされてまいりました。何と申しましても一般サラリーマンが大都市圏で一戸建てのマイホームが持てないという現実、また土地を持つ者と持たない者の資産格差拡大土地に関する国民感情は憤りでいっぱいであります。  まず総理土地基本法制定を踏まえた土地問題に対する御認識をお聞きいたします。
  105. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘のように私も土地問題につきましては、土地価格の急激な暴騰、そしてまた暴騰に伴って夢が奪われていく、土地を、家を持ちたいと思う働く人々の気持ち、そういったものを考えまして十月二日の御指摘所信表明でもこれを内閣の最重要課題であると取り上げさせていただきました。また、土地基本法の成立を私が強く期待をしてまいりましたのは、土地基本法に出てきております土地に対する理念、今委員お触れになりましたように土地公共的な性格を強く持つものである。したがって公共の福祉のために私権というものとのぎりぎりの接点をどうしていくかという認識、あるいは遊ばせてはならない、有効に使うべきだ、いわんや土地は投機の対象にすべきものではないのだということを広く国民的な合意事項としてきちっと確立していくことが大切である。そういった理念がこの土地基本法には示されておるということでございますから、これをいただき、政府としても土地問題関係閣僚会議等を通じて、これらの具体的な前進に向かって今後努力を続けていかなければならない、こう考えておるところでございます。
  106. 山田勇

    ○山田勇君 これは最後の質問になります。もう時間がございませんので、途中割愛させていただきます。  我が国はもともと可住地の面積が小さい国であり、有効利用を図ることは極めて重要であります。そのために土地利用に当たっては公共の福祉を優先するということ、また国民共通認識と原則を確立することが大切であります。土地基本法制定国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与するための第一歩であります。国民サイドに立った土地問題解決に向けて今後一層の努力が望まれるものであります。総理の御決意を伺いまして私の質問を終わります。
  107. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) 御指摘いただきますように、国民共通認識をつくっていただきながら、そして土地公共のためにいろいろな面で有効に活用利用されて、それが社会生活の向上にも役立っていかなければならぬ。その御認識は全く同じくしておりますので私も全力を尽くして努力をさせていただきます。     ─────────────
  108. 福間知之

    委員長福間知之君) この際、委員異動について御報告をいたします。  本日、小川仁一君、西田吉宏君及び坂野重信君が委員辞任され、その補欠として本岡昭次君、田村秀昭君及び須藤良太郎君が選任されました。     ─────────────
  109. 平野清

    平野清君 私は参院クラブに所属しておりますけれども、政党はサラリーマン新党でございます。  今回の土地基本法の論議に当たって、サラリーマンの党員から多くの声が寄せられております。はっきり申し上げますと、何が今さら土地基本法案だというのがサラリーマンの生の声でございます。もう御存じだと思いますけれども、サラリーマンは三十年も四十年も働いても、その退職金で小さなマンションさえ買うことができません。土地住宅に対するサラリーマンの怒りというものはもう爆発点に来ているのじゃないかというふうに思います。  特に問題でありますのは、自分たちが将来のために備えて生命保険を掛けるなり銀行に預金をしている、そういうお金がめぐりめぐって土地購入費に充てられ、それによって土地が上がって、それを今度は買おうとするサラリーマンには、その土地住宅が手が届かなくなってしまう。非常な矛盾点を持っているわけでございますけれども、総理として、このやり切れないサラリーマンの不満というものに対してどういうふうにお考えなのか。  土地基本法案がこれから土地問題のスタートだというふうに言いますけれども、サラリーマンにとってはもうスタートじゃないのですね。今さらスタートだなんという考えをお持ちだったとしたら、サラリーマンの怒りは静まらないと思います。具体的に、一日も早く土地基本法案を軸にした具体的な土地住宅政策を明らかにするのが政府の任務じゃないかと思うのですが、基本的な総理の御所信をお伺いしたいと思います。
  110. 海部俊樹

    国務大臣海部俊樹君) きょうの委員会でもお答えはさせていただいたと思いますが、きょうまでも土地の問題について政府は何もしないで眺めておったのでは決してないわけでございまして、例えば国土利用計画法を改正して監視区域を設定するとか、その他いろいろなことをやってまいりました。けれども、結果として今日のような状況になっておりますので、この状況を乗り越えていくためには土地基本法に示されておるような理念を、まさに国民皆さん共通認識として持っていただいて、投機の対象にするのはいけないことだ、これは許さない。あるいはもっとほかのことでいろんなことを書いておるわけですから、この理念を受けて新しい角度から土地政策に向かうスタートだ。こういう意味におとりをいただきまして、いよいよ自動車のギアも入れかわる、走ってきたものがさらに質をかえて前向きに努力をしていきたい。そういう意味のスタートだとどうぞお認めいただきますとともに、今後ともこのような施策の実行に対して全力を挙げて努力をしていくつもりでございます。
  111. 平野清

    平野清君 時間がありませんので、もう一言だけ御質問いたします。  この際、サラリーマンが住宅として使用するような三百平米以下の土地に対しては別ですけれども、三百平米以上の土地に対して累進的に、例えば固定資産税を上げるとか、資産税をかけていくとか、土地新税を新しく考えるとか、そういうようなお考えはありませんでしょうか。
  112. 石井一

    国務大臣石井一君) 確かに一考を要する問題だと思います。今後の検討課題ではあろうかと思いますが、固定資産税は御承知のとおり行政サービスに対する受益関係に着目して毎年課税するものでありますから応益的な税であり、所得税のように応能的な税ではないという基本的な性格がございます。  それから第二点に、サラリーマンの場合は特別な措置をするということは一つ考えるといたしましても、例えば土地を二町村に持っている場合、両方とも受益を受ける。あるいは広い土地だからといっても個人の邸宅でなくいろいろ生産に役立たせているという場合にまた固定資産税がかかってくるわけでありますから、それが累進的にということになりますと、狭いところでも大きな生産性を上げるものもありますし、広いところでも倉庫とか何とか土地だけが要るというところもございますので、こういうふうなところの別の意味での不公平という問題も出てくるであろう。しかしながら、今回土地税制の中では税負担の公平の確保を図りつつ、土地に関し適正な税制措置をとる。こういう一項目がこの中に設けてありますので、今後譲渡所得、所有あるいは保有等に関しましていろんな面から検討を加えていきたい、その一つの研究項目といたしたい、こう考えております。
  113. 福間知之

    委員長福間知之君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認めます。  土地基本法案の修正について村沢君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。村沢君。
  115. 村沢牧

    村沢牧君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合を代表して、土地基本法案に対する修正の動議を提出いたします。その内容はお手元にお配りいたしました案文のとおりでありますが、以下、その趣旨を御説明申し上げます。  土地基本法案は 地価高騰国民住宅取得を困難にするなど、我が国社会、経済に重大な問題を引き起こしている現状にかんがみ、土地対策を総合的に推進するため、土地についての基本理念を定め、国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、土地に関する施策の基本となる事項等を定めるものであります。  本法案は、衆議院において、土地についての公共の福祉の優先、土地利用計画の策定に当たっての関係住民の意見の反映、公的土地評価の適正化、宅地の供給等について修正がなされておりますが、土地問題により適切に対処するためには、なお不十分な点があり、さらに修正を行う必要があると考えます。  次に、修正の要旨を申し上げます。  第一は、国及び地方公共団体の責務についての第六条の規定を改め、国及び地方公共団体は、土地に関する施策を総合的に策定し、これを実施する責務を有することとすることであります。  第二は、公有地の拡大推進等についてでありまして、第十二条第二項に、国及び地方公共団体は、適正な土地利用の確保を図るため、公有地の拡大推進等公共用地の確保に努めるものとする規定を追加することであります。  第三は、土地取引の規制に関する措置についての第十三条の規定を改め、国及び地方公共団体は、土地の投機的取引及び地価高騰国民生活に及ぼす弊害を除去し、適正な地価形成に資するため、土地取引の規制に関する措置その他必要な措置を講ずるものとすることであります。  第四は、土地に関する施策の整合性確保と土地行政に関する組織の整備についてでありまして、国及び地方公共団体は、土地に関する施策を講ずるにつき、相協力し、その整合性を確保するように努めるものとするとともに、総合的見地に立った行政組織の整備及び行政運営の改善に努めるものとする第十八条の規定を追加することであります。  以上が本修正案の提案理由及び要旨でありますが、委員各位の御賛同をお願い申し上げまして、修正案の趣旨説明を終わります。
  116. 福間知之

    委員長福間知之君) それでは、ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。――別に御発言もないようですから、これより土地基本法案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  117. 市川正一

    ○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、内閣提出、衆議院修正の土地基本法並びに村沢牧君提出の修正案に対して反対の討論を行います。  今日の地価高騰を招いたのは、金余りとまで言われるふんだんな資金を土地、不動産の買いあさりにつぎ込み、巨額の利益をむさぼっている大資本であることは万人の等しく認めるところであります。同時にそれを放任してきたのがほかならぬ中曽根内閣の民活政策であり、東京への一極集中を推進してきた政府政策であります。  したがって、現状を打開するためには何よりも地価高騰の最大の原因である大資本による土地の買いあさり、都心への業務機能集中を規制することこそ最大、緊急の課題と言わなければなりません。  しかるに、本法案質疑の中で明らかにされた政府見解は、こうした根本問題に対する抜本的な対策を講ずるものではないばかりか、反対に公共の福祉優先の名のもとに国民の生存権をすら侵そうとする、まさに本末転倒とも言うべきものであります。  反対理由の第一は、本法案が長年住みなれた住民から土地を奪って、大企業の事務所ビルや一部の高額所得者向けの高級住宅などに提供させようとしていることであります。それは、地価の高いところは生産性の高い活用がなさるべきであるとする再三の答弁で明らかなとおり、まさしく生産性の論理であります。その行き着く先は、一般住宅は駆逐され、オフィスビルが林立し、ごく少数の高額所得者しか住めない異常な町の姿であります。  反対理由の第二は、本法案が肝心かなめの大企業の土地買い占め、土地投機に対してほとんど無力であることであります。確かに本法案は、「土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」と、文言ではうたっております。しかし、その具体策である国土利用計画法の改正は投機的取引を中止勧告の対象にした改善ではあるものの、住民を追い出す悪質な地上げ行為は勧告の対象外となっております。  また、土地投機の根源である大手銀行やノンバンクに対する土地融資規制も質疑の中で大阪の実例をもって具体的に指摘したとおり、しり抜けというのが実態であります。これでは到底国民の期待にこたえた土地基本法とは言いがたいものであります。  反対理由の第三は、本法案が借地借家法改悪、市街化区域農地の宅地並み課税の強化、住宅地への公害道路建設の強行など住民犠牲の施策を推進する基盤となろうとしていることであります。これらの施策は、一般国民に良好な住宅の供給を促進するどころか土地転がしの種地となって地価の一層の高騰を招き、あるいは乱開発を引き起こし、都市部の貴重な緑地空間をなくし、また自動車公害を激化させるなど都市の生活環境を悪化させるおそれを伴っているのであります。  以上指摘したように、国民の生存権を損ない、今後の土地問題、国民住宅難をさらに深刻にさせる本法案には強く反対するものであります。  なお、提出されている修正案は、公有地の拡大など一定の改善点は含まれてはいるものの、本法案の本質的な問題を是正するものではなく賛成できません。  我が党は住民の意思を尊重した都市計画、安くて良好な公共住宅の大量建設など、真に国民生活を守り、向上させる国民本位の土地政策国土政策への転換を強く要求し、反対討論を終わります。
  118. 福間知之

    委員長福間知之君) 他に御発言もないようですから討論は終局したものと認めます。  それでは、これより土地基本法案について採決に入ります。  まず、村沢君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  119. 福間知之

    委員長福間知之君) 多数と認めます。よって、村沢君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  120. 福間知之

    委員長福間知之君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  次に、国土利用計画法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  国土利用計画法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  121. 福間知之

    委員長福間知之君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、片上君から発言を求められておりますので、これを許します。片上公人君。
  122. 片上公人

    ○片上公人君 私は、ただいま修正議決並びに可決されました土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院、民社党・スポーツ・国民連合、参院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、地価高騰が大都市地域住宅取得を困難としている現状にかんがみ、適正な地価水準の形成を目標に総合的な土地対策を強力に推進すること。  二、土地需要分散を図り、合理的な土地利用と適正な地価形成に資するため、首都機能移転等機能分散を図り、多極分散国土形成を強力に推進すること。  三、土地についての共通認識を確立するとの土地基本法制定趣旨にかんがみ、土地について公共の福祉を優先させるとの基本理念の周知徹底を図り、その定着に努めること。  四、土地問題の緊要性にかんがみ、土地基本法に基づく関係法令の整備を含めた具体的な施策を早急かつ的確に実施すること。  五、土地基本法の精神にのっとり、早急に土地税制の見直しに取り組み、取得譲渡、保有等に関し、整合性ある税制の確立に努めること。  六、大都市地域における良質な住宅・宅地の供給を促進するため、市街化区域内農地の計画的宅地化、工場跡地等低・未利用地の有効利用、既成市街地の再開発、鉄道と宅地の一体的開発等に努めること。  七、住宅の供給に当たっては、勤労者にとって負担可能な住宅価格や家賃で供給することを優先すること。  八、国公有地等の利用処分に当たっては、公用・公共用の利用を優先させるとともに、売却に当たっても、周辺の地価へ悪影響を及ぼさないよう十分配慮すること。  九、過剰な土地関連融資が土地の投機的取引を助長させている面がある現状にかんがみ、金融機関、貸金業者等に対する指導、監督を一層徹底すること。  十、土地の買占めや投機的取引が地価高騰の一因となっている現状にかんがみ、不動産業者に対する指導、監督の一層の徹底を図るとともに、健全な不動産取引市場の整備を図ること。  十一、国土利用計画法による監視区域の運用に当たっては、地価高騰のおそれのある区域に対する先行的指定、届出対象面積の引き下げ等、その的確な運用により地価高騰の未然防止に努めること。  十二、都道府県等における監視区域制度の円滑かつ的確な実施が確保されるよう、必要な財源措置等を講ずること。   右決議する。  以上であります。  何とぞ各委員の御賛同をお願いいたします。
  123. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいま片上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  124. 福間知之

    委員長福間知之君) 多数と認めます。よって、片上君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、石井国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石井国務大臣
  125. 石井一

    国務大臣石井一君) ただいま土地基本法及び国土利用計画法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会において熱心な御審議の上、御可決いただき深く感謝申し上げます。また、附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。  本法案審議に関し、委員長を初め、委員各位から賜りました御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表しまして、ごあいさつとさせていただきます。
  126. 福間知之

    委員長福間知之君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  128. 福間知之

    委員長福間知之君) この際、首都機能移転問題に関して委員長としての見解を申し述べます。  本委員会における土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案の審査に当たり、首都機能移転問題について、委員から国会として積極的に取り組んでいくべきではないかとの指摘があり、石井国土庁長官からも極めて前向きの御答弁がありましたので、委員長として今後当委員会を初め関係委員会において、この問題の論議がさらに深まることを希望いたします。     ─────────────
  129. 福間知之

    委員長福間知之君) 次に、請願の審査を行います。  第一六八号土地住宅税制抜本改正等に関する請願を議題といたします。  本請願につきましては、理事会において協議の結果、保留とすることに意見が一致いたしました。  つきましては、理事会協議のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  131. 福間知之

    委員長福間知之君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  土地問題及び国土利用に関しての対策樹立に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十七分散