○市川正一君 私は、日本共産党を代表して、
内閣提出、衆議院修正の
土地基本法並びに
村沢牧君提出の修正案に対して反対の討論を行います。
今日の
地価高騰を招いたのは、金余りとまで言われるふんだんな資金を
土地、不動産の買いあさりにつぎ込み、巨額の利益をむさぼっている大資本であることは万人の等しく認めるところであります。同時にそれを放任してきたのがほかならぬ中曽根
内閣の民活
政策であり、
東京への
一極集中を推進してきた
政府の
政策であります。
したがって、現状を打開するためには何よりも
地価高騰の最大の
原因である大資本による
土地の買いあさり、都心への業務
機能の
集中を規制することこそ最大、緊急の課題と言わなければなりません。
しかるに、本
法案の
質疑の中で明らかにされた
政府の
見解は、こうした根本問題に対する抜本的な
対策を講ずるものではないばかりか、反対に
公共の福祉優先の名のもとに
国民の生存権をすら侵そうとする、まさに本末転倒とも言うべきものであります。
反対理由の第一は、本
法案が長年住みなれた住民から
土地を奪って、大企業の事務所ビルや一部の高額所得者向けの高級
住宅などに提供させようとしていることであります。それは、
地価の高いところは生産性の高い
活用がなさるべきであるとする再三の
答弁で明らかなとおり、まさしく生産性の論理であります。その行き着く先は、一般
住宅は駆逐され、オフィスビルが林立し、ごく少数の高額所得者しか住めない異常な町の姿であります。
反対理由の第二は、本
法案が肝心かなめの大企業の
土地買い占め、
土地投機に対してほとんど無力であることであります。確かに本
法案は、「
土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」と、文言ではうたっております。しかし、その具体策である
国土利用計画法の改正は投機的取引を中止勧告の対象にした改善ではあるものの、住民を追い出す悪質な地上げ行為は勧告の対象外となっております。
また、
土地投機の根源である大手銀行やノンバンクに対する
土地融資規制も
質疑の中で大阪の実例をもって具体的に
指摘したとおり、しり抜けというのが実態であります。これでは到底
国民の期待にこたえた
土地基本法とは言いがたいものであります。
反対理由の第三は、本
法案が借地借家法改悪、市街化区域農地の宅地並み課税の強化、
住宅地への公害道路
建設の強行など住民犠牲の施策を推進する基盤となろうとしていることであります。これらの施策は、一般
国民に良好な
住宅の供給を促進するどころか
土地転がしの種地となって
地価の一層の
高騰を招き、あるいは乱開発を引き起こし、
都市部の貴重な緑地空間をなくし、また自動車公害を激化させるなど
都市の生活環境を悪化させるおそれを伴っているのであります。
以上
指摘したように、
国民の生存権を損ない、今後の
土地問題、
国民の
住宅難をさらに深刻にさせる本
法案には強く反対するものであります。
なお、提出されている修正案は、公有地の
拡大など一定の改善点は含まれてはいるものの、本
法案の本質的な問題を是正するものではなく賛成できません。
我が党は住民の
意思を尊重した
都市計画、安くて良好な
公共住宅の大量
建設など、真に
国民生活を守り、向上させる
国民本位の
土地政策、
国土政策への転換を強く要求し、反対討論を終わります。