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説明員(
武藤敏郎君) いろいろな
お尋ねがございましたけれども、まず第一点の
昭和四十七、八年当時に
大蔵省がどのような指導をしてどのような効果を上げたかということでございます。
昭和四十七年それから四十八年。四十八年には一月と十二月の二度にわたりまして合計三回、
土地取得関連
融資について
大蔵省から通達を出しております。過当な
融資の是正を図っていくという観点から強力に指導が行われております。また同時に、先ほどもお話し申し上げましたとおり、当時は石油危機とも相まった
物価高騰期、いわゆる
狂乱物価の時期でございまして、
金融、これは公定歩合の引き上げでありますとか預金準備率の引き上げでありますとか日銀の窓口指導でありますとかいう
金融政策、それから
公共投資の抑制等、財政政策の両面からいわゆる総
需要抑制策が実施されたわけでございます。その結果、四十九年ごろから
地価を含めまして諸
物価の
鎮静化が図られたというふうに考えております。
それから第二点の、今回の
地価高騰期において
大蔵省は前回の
経験を踏まえてどのように指導をしておるのかという
お尋ねでございますけれども、今回の
地価高騰期におきましては、先ほど申し述べましたようにいわゆる総
需要抑制策をとるような環境ではございませんで、むしろ内需拡大というものを図らなければならないという時期にあるわけでございます。そういう
経済情勢を踏まえまして、
住宅あるいは民活関連等の内需拡大には積極的に対応するということで、そういう資金につきましてはこれを確保しつつ、投機的な
取引に係る
融資を排除していこう、こういう基本的な考え方に立っておるわけでございます。
今回も六十一年以来何度かにわたりまして通達を発出いたしましたり、特別ヒアリングを実施して、指導の趣旨の徹底を図っておるわけでございます。
既に御
承知のことでございますけれども、特に申し上げますと、去る十月二十七日の通達におきましては、一連の対策、ノンバンクの
融資の
実態についてのヒアリングでありますとか、
金融検査を通じます検査でありますとか、あるいはノンバンク
関係業界団体に対する自主
規制の要請といったようなことまで一連の対策を講じたわけでございます。
そういうことでございますので、このような指導を通じまして
全国銀行の
不動産業向け貸出残高の最近の
情勢は、基調といたしましては大幅に減少してきておるというふうに考えております。順次着実に指導の趣旨が浸透してきているものというふうに考えておるわけでございます。
それから第三の、
金融機関が不動産媒介業務を兼業することについてどのように考えるかということでございます。
お尋ねの趣旨があるいは二点にわたろうかと思います。
一つは、
金融機関みずからが不動産媒介業務を兼業するということは信託銀行以外は認められておりません。これは御
承知のとおりでございます。そこで、信託銀行につきまして申し上げさしていただきますと、長年にわたりまして不動産の売買、媒介業務を行ってきておるわけでございますが、そういう
経験、専門知識というものを生かしまして、財産の効率的な管理、運営という
国民のニーズへ対応していくということは、これは
不動産業の健全な発展という面からも意義のあることではなかろうかと考えております。例えば社内の牽制がうまくいかないのではないかとか、銀行が
経済的強者の
立場を
利用してゆがめるのではないかというような御心配でございますけれども、信託銀行につきましては、やはり今回の特別ヒアリング等を通じまして趣旨の徹底を図っているところでございます。今後ともそういうことのないように厳しく指導してまいりたいというふうに考えております。
それから次に、銀行の関連会社が不動産媒介業務を行っているのではないかという問題もあるいは含まれておるかと思いますが、
昭和五十年までは銀行も関連会社におきまして
不動産業務を行っておりました。しかしながら、四十七、八年当時に
土地問題が
社会問題になったことにかんがみまして、
昭和五十年以降、銀行が関連会社で
不動産業務を行うことを禁止するという措置をとっております。したがいまして、一部一〇〇%出資子会社で銀行の店舗、営業用の不動産、それを管理しているというような、そういう会社はありますけれども、一般的な
不動産業務を行うという事実は現在においてはないということでございます。
それから、
大蔵省の指導が例えば支店等の場合には十分に
認識が行き渡っていないのではないかという御
質問でございますけれども、この点につきましては、私どももそういうことのないように通達を発出するに当たりまして特段の注意をしたところでございます。また、特別ヒアリングの際にもそういうことのないように指導しております。例えば六十二年十月の通達では、厳正な
融資態度を各営業店へ徹底するように、あるいは本部によります集中管理体制を確立するようにといったようなことを特に通達の中に規定いたしまして指導しております。それから、ことしの二月以降実施しております重点的特別ヒアリングにおきましては、そういう事柄につきまして
金融機関の取り組み姿勢につきまして特別のチェックをしておりまして、私どもそのヒアリングの中で特にそういうことを
指摘した上で趣旨の徹底が図られているというふうに受けとめております。
それから、今後不動産
融資を適正なものにするためにどのように指導していくのか。特に、例えばその指導が守られない場合にどのような手順で指導の徹底を図っていくのかという趣旨の
お尋ねがございました。
これは大変難しい問題でございますけれども、まず通達違反の事実でありますとか、指導に当たりましていろいろな問題が発見された場合には速やかな是正を求めております。これは当然
金融機関の側におきまして直ちに適切に対応していただいておるわけであります。ごくまれな例ではございますけれども、責任の明確化といったようなことが必要になる場合には、あわせてその点におきましても指導を行っておるわけであります。
ただ、お話の中に新聞公表とかさらに人事介入といったようなこともございましたけれども、そういうことになりますと、果たしてそれが適切であるかどうかというふうに私どもは慎重に考えております。まず当局が厳重に指導し注意していく。本当に責任が問題であれば
関係者についての処分を求めるということは事実上やっておるわけでございますけれども、例えば違反した
金融機関の名称を公表するということになりますと、個々の
金融機関の信用に甚大な
影響を及ぼすことになります。ひいては信用秩序にも悪
影響が及ぶ可能性があるわけでございまして、そういうことについては慎重に対応しなければならないだろうというふうに考えておるわけでございます。