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1989-12-06 第116回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月六日(水曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十二月四日     辞任         補欠選任      下村  泰君     西川  潔君  十二月六日     辞任         補欠選任      広中和歌子君     猪熊 重二君      西川  潔君     今泉 隆雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福間 知之君     理 事                 井上  孝君                 斎藤 文夫君                 吉川  博君                 村沢  牧君                 山本 正和君                 片上 公人君     委 員                 石井 一二君                 石渡 清元君                 岡野  裕君                 岡部 三郎君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 藤田 雄山君                 二木 秀夫君                 小川 仁一君                 小林  正君                 谷畑  孝君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 野別 隆俊君                 白浜 一良君                 広中和歌子君                 市川 正一君                 新坂 一雄君                 山田  勇君                 西川  潔君    国務大臣        国 務 大 臣  石井  一君    政府委員        国土庁長官官房        長        北村廣太郎君        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        国土庁地方振興        局長       野沢 達夫君        大蔵省理財局次        長        松田 篤之君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   白兼 保彦君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   遠藤 安彦君        自治省行政局長  森  繁一君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    長野 厖士君        大蔵省主税局税        制第三課長    大武健一郎君        大蔵省銀行局中        小金融課長    武藤 敏郎君        厚生大臣官房老        人保健福祉部老        人福祉課長    辻  哲夫君        建設大臣官房審        議官       河原崎守彦君        建設大臣官房審        議官       立石  真君        建設大臣官房技        術審議官     玉田 博亮君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○土地基本法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○国土利用計画法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 福間知之

    委員長福間知之君) 土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四日、下村泰君が委員辞任され、その補欠として西川潔君が選任されました。     ─────────────
  3. 福間知之

    委員長福間知之君) 土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案便宜一括議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野別隆俊

    野別隆俊君 私、日本社会党野別でございます。  これから土地問題に関して御質問を申し上げたいと思います。  最近の金余り状態から生じている異常と言われる土地値上がり、またこの値上がりを促進している土地投機をやっている業界、こういうことで一般の庶民の方々の手が届かないところで土地が動いているのであります。そのために大変な不満が爆発しておりまして、東京都だけではなくて、もう周辺大都市、そしてまた地方都市までこの高騰が広がっておりまして、まさに勤労者のマイホームの夢は消え去ったと言っても過言ではないと思うのであります。このような今日の政治に対する国民の怒りは本当に心頭に達している状況にございます。  戦後の地価高騰の変遷を見てみましても、第一のピーク昭和三十一年から三十七年、全国市街地地価指数を見てみましても毎年二〇%以上上昇をいたしておりまして、所得倍増が策定された三十六年には四二・五%、これは住宅地でそうでありまして、工業団地の方ではさらにこれを上回る値上がりをしているのであります。こういったことと同時に、リゾート地域にまで波及しまして、そういった地域値上がりが促進されてきているのであります。また、第二のピーク昭和四十二年から四十九年、全国市街地価格指数は毎年これも一〇%以上上昇いたしておりまして、四十八年には三二・六%の上昇を見たのであります。特に住宅地上昇が最も大きくなっておりまして、地域的には大都市周辺部地方部値上がりまでこのときもしているのであります。第三のピークは五十九年から六十二年、東京都を中心商業地域の異常な高騰、六十二年には東京都区部地帯住宅地では七六・八%、同商業地では七六・二%上昇しているのであります。住宅地及び地方主要都市にもこれが波及いたしまして、東京一極集中の進展が土地転がしや地上げ屋を横行させ、こういった値上がりにつながってきたのであります。  特に三十年ごろからの経済発展所得倍増列島改造等政策が特に土地値上がりとの関係が深いと思うのでありますが、こういった三十年前後から今日まで日本主要都市土地値上がりがどのようになっているのか、その実態を明らかにしていただくとともに、どういう点にその要因があったのかお伺いをしたいのであります。  また、四十七年六月十五日には、このような状態から法律六十六号をもって土地高騰を抑制するために公有地拡大推進に関する法律が定められたのであります。今日そのような異常高騰に対して公有地拡大推進に関する法律が出されているわけでありますが、これがどのように作動してどのような成果を上げてきたのか、これは国土庁長官並びに、建設大臣きょうはお見えでありませんが、関係の方にお伺いをいたします。
  5. 石井一

    国務大臣石井一君) まず基本的、概念的な問題につきまして私の方から御答弁をさせていただき、その後具体的な数字データでございますとかその他各論につきましては、担当局長からお答えを申し上げたいと思います。  御指摘になりましたように、土地を持っておる者と持っていない者との資産格差というものがますます拡大をし、異常な土地高騰とともに社会が公平な社会であるかどうかという基本的な疑問を投げかけておる情勢はまことに遺憾であると私も責任を痛感いたしておるところでございます。  したがって、土地基本法をてこにこの病根を退治し、何とか正常な公正な社会に戻したい、そういう強い熱望を込めて今日ここに立たせていただいておりますことを御理解いただきたいと思います。  御指摘のとおり、過去何回かのピーク時がございまして、高度経済成長の時期あるいは日本列島改造の時期あるいはまた中曽根民活を強く推進したとき、そして最近の六十年代に入って、大きく申しまして四つぐらいの大きなピークがあるのではないか。そしてそのときどきに政府それなり法律をつくり、政策を打ち出してまいったことも確かでございます。例えば都市計画法でありますとか国土利用計画法でございますとか、多極分散型国土形成促進法でございますとか、公有地拡大でありますとか、その他もろもろ施策をそのときそのときに打ち出してまいったわけでございますが、やはりその効果が後手に回った、そういう反省もございます。  しかし、その間これらの基本的な政策がすべて悪かったかと申しますと、高度経済成長によりまして国民生活はやはり豊かになったという一面もあるでありましょう。日本列島改造論によりまして裏日本でありますとか離島の人々に対しましても夢を与えるというふうな形の中から、やはりそれはそれなりにメリット、肯定すべき一面もあったのではないか。また、その間日本経済成長雇用の安定、失業率の低下、国民生活の安定というふうな面において一応の成果をおさめたということも確かでございます。昨日の閣議でも最近の物価指数とかあるいは雇用失業に関します指数等の発表が経済企画庁からございましたけれども、アメリカやヨーロッパ諸国に比べてはるかに有利な条件で我が国経済運営が推移しておることもこれまた一方では確かでございまして、その中にこの土地問題が何か突出したような形で大きな社会問題になっておる。この点が大変遺憾でございますけれども、過去行ってまいりました基本的な政府政策、またそれに対応するもろもろ法律の策定等々については評価されるべき面も大変多いのではないかな、こういうようなことも同時に考えておる次第でございます。  そういうことを踏まえまして、今具体的に御指摘になりました土地高騰状況等公有地拡大の問題につきましては担当局長から答弁をさせたいと存じます。
  6. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 三十年代からの地価動向でございますが、私手元に三十年代の数値をちょっと持ちあわせておりませんので正確な数値はお答えできないのですが、マクロ的に見まして、地価動向GNP伸びが大体パラレルだというふうに見ております。三十年から六十一年ころまで名目でGNPはおおよそ五十倍ぐらいになっているのじゃないかと思いますが、日本不動産研究所全国市街地価格指数あたりも大体五十倍前後の数字じゃないかと思います。  その過程で、御指摘のように幾つかの大きな高騰がございました。三十年代は、経済高度成長に伴いまして工業開発が非常に活発な時期でございましたので、工業地地価上昇が他の地価をリードしていった、そういうふうな状況だったと思います。  四十年代に入りまして全国的な都市化が進んでまいりまして、都市における住宅地価格が非常に先行的に上昇し、全国的な地価上昇を来したというふうに理解しております。四十年代後半になりまして、地域開発への期待、さらには金融緩和等背景がありまして、四十年代後半に異常な地価高騰を見ております。  また、五十年代では、五十年代の中ごろにやや地価上昇を見ておりますが、これは団塊の世代がちょうど世帯を構成する年代に入りましたので、やはり都市部における住宅需要、特にマンション需要等需要伸びが見られた、そういうのが背景にあったのではないかと思います。  今回の上昇でございますが、これは東京都心に端を発したわけでございますが、事務所ビル需要の急激な増大需給の逼迫、これが発火点になっておると思います。それに伴いまして、都心部業務地化に伴う住宅地買いかえ需要増大あるいはこれらの需要増大を見込んだ投機的な取引、それに金融緩和状況等背景となりまして、もろもろ要因が複合的に影響して生じたと考えておりますが、さらにこれが東京圏大阪圏名古屋圏あるいは地方都市との地価格差を大きくさせまして、その割安感等で順次地方にも地価高騰が波及していっておる、そういうことだと思います。  なお、前後しますが、最近の十年間のデータをちょっと調べてまいりました。十年間で都市別に累積どれぐらいの地価増加が見られておるかと申しますと、五十五年を一〇〇にいたしますと、東京都の住宅地で約四倍であります。商業地が四・七倍。大阪圏にまいりますと、これは平均でございますが、住宅地で二・六倍、商業地で三・二倍。大阪府だけ取り上げますと、住宅地で二・七倍、商業地で三・五倍程度であります。  なお、冒頭申し上げましたマクロの数値ですが、全国市街地価格指数はたしか五十倍だと思いますが、六大都市だけを取り上げますとこれは百倍ぐらいになっておると思います。追加させていただきます。  それと、公有地拡大推進法建設省の方から答弁していただけるそうですので、建設省にお願いします。
  7. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 御質問ございました公有地拡大でございますが、これは御存じのように、公有地拡大推進に関する法律ということで、地方公共団体等の先買い、それからまた都市開発資金というのを使っておりましての低利融資での用地取得ということで、積極的に今までも推進してきたところでございます。  最初の公有地拡大に関する法律、これによります取得、これは都市計画区域内の一定面積のものにつきまして、公共団体等事前協議をさせようということで用地を確保していこうというものでございますが、四十七年の法施行以来六十二年度末まででございますが、約九千九百ヘクタールの用地取得しております。一定成果を上げているのではないか、このような認識を持っております。  なお、これにつきましては、昨年、総合土地対策要綱が定められまして、そのときに届け出とか申し出面積引き下げという問題がございまして、最低面積を、ことしの六月でございますが、三百平米から二百平米へということで引き下げも行っております。  なお、都市開発資金貸付制度につきまして、これは工場等の跡地とか公共施設用地または都市機能更新に寄与する土地を先行取得しようというものでございます。これにつきましては、昭和六十三年度末までに約一千ヘクタールの用地を買っております。今後とも公有地拡大という問題は重要でございますので、積極的に進めてまいりたいと思っております。
  8. 野別隆俊

    野別隆俊君 今の土地価格の問題についてでありますが、大体四倍程度上昇を十年間で見ておるという御答弁でございましたが、東京都における実態は三年間で三・五倍という状況が出ているのであります。これは東京都の基準価格調査では、六十年と六十三年の平均地価の変化を調べた結果が、商業地では約百八十八万円が六百六十六万円、三・五倍であります。住宅地が二十九万円が八十九万円、三倍にこの三年間で値上がりをしているのであります。  私は、せっかく公有地拡大法が制定をされて、本気になって推進をすればこのような異常高騰は起こってこないのではないか。しかし、これにはいろいろな作用があろうと思いますが、この中の問題点、この点について一回はっきり出していただきたいのであります、どういうことで土地の値上げがあったのか。場合によっては土地買い占めて土地引き上げるための対策をやった人たちもいるでしょうし、銀行が非常に金融緩和をやっておりまして、そのために金余り現象が出て、買い占めをやっている面があるのではないか、そういう点で地価が急上昇しているのではないか、そのために国民が泣かされている。そうであるならば、こういった法律が出ているわけですから、もう少しそういった対策が欲しいのであります。この点について、こういった異常の起こった原因、これをもう一回お尋ねをしたいのであります。  それから同時に、今、公有地拡大に関する法律が出まして、確かに公有地を、これも私の調べた調査では、都市周辺経済状態のいい都市では保有がかなりあるのであります。ところが、地方では買ってもすぐ放さなきゃならぬ、持てない状態にございます。ですから、こういった面の資金対策土地公債か何かを発行してでも土地が一程度保有ができる、そして公共用地などに提供ができる状態を確保する。または、住宅住宅公社がございますけれども、これもどこの住宅公社も大変厳しい状態でありまして、土地を長く保有する状態にない。そうであるならば、土地公社あたり先行買いをやらせるなどあると思うのでありますが、もう少し積極的な対策が必要だと思うのです。  それからもう一つは、公共用地を確保すると同時に、準公共用地を確保するのに地方は非常に苦労いたしております。これは一つの例でありますが、私は宮崎県でありますが、宮崎港をつくる、そこに一つセットとして流通センターをつくろうとした。ところが、流通センターはこれは県が買う土地ではございません、民間がつくる流通センターですから。しかし、こういうのも公共団体が一緒に買ってやれば、公社などで買わせて安くここに入らせればそこにできたんだ。今まだ、もう四年間もあちこち探し回っている。土地のあるような田舎でさえ土地が確保できないのです。  そういう状態が出ているのはなぜか。これは今から十三年前に改正があったと聞いていますが、課税の問題でございます。今、千五百万以上にはぴしぴし課税されるのです。これだけ土地が四倍も上がっているのに、依然として昔の基準の一千五百万。この基準改定も一程度すべきではないか。そうされなければ土地を持っている人たちがなかなか放さないのです。そのために宮崎の場合は、さっき申し上げましたようにこういった流通センターができない。一銭もこれには見られないのであります。準公用地などについても一程度これは検討する必要があるのではないか。一つの港とセットをしているような事業民間でやるためにできないのであります。これは公共用地に近いものでございます。公共の用につくる流通団地、こういう面もございますので、その辺に対する今後の改善を図るべきではないか、この点についてお尋ねをいたします。
  9. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) そのときどきの地価高騰要因をさらに敷衍術させていただきますと、先ほど御説明いたしましたように、ときどきの社会経済要因がきっかけになりまして、そのときの需給関係を非常に厳しいものにし、それが地価高騰の引き金になっておるということは言えると思いますが、ただその過程で、やはり土地というものは一般の財と異なりまして需給のバランスを回復するのが非常に困難な財だと言えると思います。地価高騰してまいりますと、どうしても投機要因とかあるいは仮需要が発生してまいりますし供給の方は価格が上がったからといってすぐにふえる性格のものではございませんので、非常に供給弾力性の乏しい財産でございますので、ますます需給ギャップを広げていく、そういうふうな性格が強いわけでございます。  そこで、先生指摘のように、公有地をできるだけ確保し、タイムリーに基盤整備もし、あるいは住宅供給公社住宅供給増大させていくということは非常に大切だと思います。そういう意味で今後とも公有地拡大を図っていくということは一つ地価対策の手段として有効だというふうに考えております。  なお、建設省の方からも答弁がございます。
  10. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 公有地拡大の問題でございます。  先ほども御答弁いたしましたが、ことしの六月に届け出とか申し出面積引き下げをいたしました。これ一弾をやったわけでございます。  このほか先生指摘のように譲渡所得特別控除の問題がございます。現在一千五百万円の控除になっております。本控除引き上げ、非常に重要な問題でございまして、建設省といたしましてもその引き上げ方について関係方面に要望をいたしているところでございます。  なお、先生指摘公有地拡大法制度拡大の問題、これにつきましては、現在御審議いただいております土地基本法案の趣旨も踏まえまして、公有地取得してまいります地方公共団体の意向も踏まえながら今後検討を進めさせていただきたい、このように考えております。
  11. 野別隆俊

    野別隆俊君 時間がありませんので、次に移ります。  今御答弁がございましたように、我が国は確かにGNPは世界第二位、または第一位と言われるような状況にございますが、その反面、国民経済生活というのは大変厳しいものがございます。ゆとりある経済大国の感はほとんど大多数の国民がないのであります。実感がわくような政治を実現するのが我々の任務でございますが、地価高騰はこれからもよほどのがっちりした対策がない限り大変な状況にまだ進んでいくのではないか、このように考えるのであります。  大臣お尋ねいたしますが、東京一極集中を排するための今度の土地基本法が、衆議院では通過をいたしております、参議院でもぜひひとつ一部修正でもしていただいて国民期待にこたえられるような基本法をつくって、今後基本法中心土地政策を徹底してやっていただきたいと思うのでありますが、これは長官決意のほどをひとつお伺いをしておきたいと思います。
  12. 石井一

    国務大臣石井一君) ただいまいろいろと御議論を展開していただきましたように、やむを得ぬ情勢もございましたが、また同時に政府・与党の立場としては土地問題に関し反省をするべき点もたくさんあるように私は認識をいたしております。  そこで、このような原因の最大の要件はやはり国、地方公共団体国民の間で土地に対する認識、これは公共が優先し公共性を有する財であるという、こういう認識の確立がやっぱり薄かった、こういうところが基本にあるだろうと思うのでございます。そして、土地私有財産であり所有しておけばいいんだ、商品であり投機対象になるんだと。そうでなく土地は利用されるものであり投機対象になるべきものではない、こういうような形での意識の改革というふうなものも非常に必要ではなかろうかと思います。  そして、国、地方公共団体事業者国民責任、責務、こういうふうなことにつきましても土地基本法では強く訴えておるわけでございまして、こういうようなもろもろ基本政策の中に、今後土地政策を抜本的にどのように展開し、方向転換をし、そして施策の総合的、一体的実施をやるかということが必要ではなかろうかと思います。  今申しましたような方向によりまして、参議院におかれましてこの法案の成立をひとつ期していただきますとともに、政府といたしましては新しい立場に立ちまして国民に呼びかけ、そして土地政策に対する具体的な施策を次々と打ち出していくことによってその御期待にこたえていきたい、そのように決意をいたしておるような次第であります。
  13. 野別隆俊

    野別隆俊君 私は今まで基本的な点を聞いたのでありますが、これから土地高騰を抑制するための公有地拡大推進について二、三点御質問を申し上げます。  四十七年六月に公有地拡大法ができまして、そしてその推進が図られて、一程度成果を上げてきたことも否めない事実であります。しかし、土地は今論議をいたしておりますように依然として全国的に見れば値上がり傾向でありまして、東京のように異常高騰したところはもう買い手がないわけですから、これは上がる状態には今のところない、日本経済から見てもこんな価格はない、こういう価格になっているわけですから、これ以上のことはないと思います。  そこで、拡大推進を図るためにどのような対策をこれから講ずるかということでありますが、一つは、今度の土地基本法ができることになれば、この土地基本法が有効に機能を発揮しなきゃならぬと思うのであります。土地制度の進んだヨーロッパなどでは、ヨーロッパの特に西ドイツは公有地が六〇%を占めているといわれているのであります。我が国土地公有地保有率は一体どのくらいになっておるかわかりませんが、わかっておればこれは後でお知らせ願いたいと思います。数字的には問題にならない数字だと思いますけれども、こういった点で、東京などの値上がり状態地方にどんどん広がっていくということになれば、中核都市も大変な状況になっていくわけでありまして、これについて今後、法律でやっぱり歯どめをかけるようなことがなされなければならぬのではないか。  今回の土地基本法の十二条に、これは衆議院でも話によりますと合意にほとんどなっていたようなふうに聞いているのでありますが、参議院に少し協議が残されている部分ではないかと思いますけれども、適正な土地利用確保を図るための措置を、公有地拡大推進に対する措置の対策を明確にここでうたうべきではないかという気がいたします。この点についてどのように考えておられるかお伺いをいたしたいと思います。  またもう一つ、引き続いて申し上げますが、税制上の不備があります。それは、今さっき論議をいたしましたように、この十三年間見直しがされないために千五百万円が特別控除になっております。さっきの話では検討中のようでございますが、これは建設省として本気でこれをやる気があるのかどうか。一程度これは大幅に引き上げなければ、今まで言われるように基本法をつくっても現実にはこれは推進できないのではないか、こういう点が一つのやっぱり大きなネックになっている、このように考えるわけでありますから、この点についてもお伺いをしたいのであります。
  14. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 公有地拡大推進につきましては、基本法第十二条の適正な土地利用の確保を図るための措置の中に含まれる一つ対策だというふうに位置づけておりまして、基本法基本的な方向を定めることを趣旨とする法律でございますので、現在政府が提案しております法案におきましては、公有地拡大推進等の個別具体的な施策にまでは規定を及ぼしていないということでございまして、こういうことで、衆議院でも御審議、御議論いただきましたが、御了解を得てきたわけでございます。  ただ、公有地につきましては、先ほど来先生指摘のとおり、良好な住宅宅地の供給あるいは道路、鉄道、上下水道、公園等の社会資本整備をする際にも非常に重要な問題でございます。そういう認識は十分持っておるところでございます。
  15. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 譲渡所得控除の問題でございます。  御指摘のように、五十年に定められましてからの地価上昇等を見まして、ぜひこの千五百万の控除額の引き上げというものをお願いしたい。一年間限りでございましたが、収用のときの控除額が五千万ということで引き上げになりました。今年の末で一応この期限が切れるわけでございますが、三千万から五千万に引き上げをいただきまして、非常に公共用地取得というものが円滑化をいたしております。やはりこういう公有地拡大控除につきましても、そういう地価上昇等も踏まえまして、建設省として関係方面に強く要請をいたしているところでございます。
  16. 野別隆俊

    野別隆俊君 わかりました。  今の建設省答弁の中で、当面の控除額を特別控除ということで、学校、公園とか、こういった限定をされて五千万円というのがつくられているわけでありますが、これはどうでしょうか、せっかくつくったものをまたもとに返すなどという時代じゃないと思うのですが、このまま恒常的に残していく、均衡がとれない部分の千五百万をさらに引き上げる、こういうことが重要ではないかと思うのでありますが、その点をもう一回お聞かせ願いたいと思います。
  17. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 公共用地取得に伴います譲渡所得の特例でございますが、本件につきましても、五千万円に引き上げられていたものが切れますので、これの制度の恒久化の実現を要望いたしております。建設省として強い要望を出しているところでございます。
  18. 野別隆俊

    野別隆俊君 これはもう、せっかくの機会でございますから、ひとつ政府の見解を聞きたいのでありますが、経済企画庁が発表いたしました国民経済年次報告書によりますと、昭和六十二年度の日本土地資産額は千六百三十八兆円、同時期のアメリカの土地資産額は四百二兆円であります。一ドル百二十二円で計算されますと四・一倍となるわけで、日本土地代でアメリカが四つ買える、こういう状態になると言われています。我が国面積はアメリカの二十五分の一でありますから、単に計算してもアメリカの百倍日本土地がすると言われているのでありますが、これは我々政治家全体の責任も当然でありますが、何といっても現実の政治は自民党政権下であり、この責任はやっぱり重大だと言わざるを得ないのでありますが、どうでしょうか、御見解があればお伺いをしたいのであります。
  19. 石井一

    国務大臣石井一君) もちろん、外国と日本では国土の面積、人口、人口密度、面積当たりの経済活動等諸般の面において大きな差があることから、土地資産額を単純に比較することは困難であるという一面があるでしょう。しかし、そうした面を考慮いたしましても、現在の地価高騰我が国社会経済に重大な問題を提起しておるということは、これは内政上の最重要の問題として認識をいたしております。  それで、土地価格基本的には需給関係によって形成されるものですから、需要供給のバランスの確保を図るということが肝要でございます。日本の場合は土地神話等もありまして、異常な需要の、それに反する供給不足というふうな中から面積、人口という素朴な、基本的なものに加えて、異常なそういう要素が加わった中にそういう土地価格が形成された、そう判断をせざるを得ないと思うのでございます。  実は、この間私ヒルズ通商代表にもお目にかかるときがございまして、今野別委員が御指摘になりましたそのままのことを説明いたしましたら、大変関心を示されたと申しますか、日本土地がそれだけ高いのかということに対しましての認識をされましたと同時に、日本土地問題を解決するのはアメリカの土地問題を解決するのの百倍難しいんですよ、その担当を私はやっておりますと。したがって、アメリカの感覚で日本土地はこうあるべきだと言われるのもいささか無理もあり、また感覚の違いもあるんですよということを私は申し上げました。その点につきましては、本当に率直に驚きの声を上げておったわけでございますが、それにいたしましてもこれは異常な状況だと思います。  日本の資本が、金余り現象もありまして、アメリカでどんどん広大な土地を買ったり、ロックフェラー・センター・ビルを買ったりしておる。しかし、買う立場からすれば、日本で一坪買えるところを向こうで百坪買えるということになるのでありますから、これは魅力ある投資ということになるかもしれません。狭い土地に住んでおる日本人が今の格差というふうなものを非常に利用したり、また優越感を感じたりするというのもごく自然の現象としてわかるわけでございますが、こういう異常な状態、こういう議論を踏まえまして、国民の中にも十分認識をしていただき、土地が貴重な限られた資源であり、再生産が全く不可能であり、そして利用以外に所有だけをするということがいかに反社会的行為であるか、こういうふうな問題をやはり今の御指摘を踏まえて国民の中に定着せしめていく。そういう中から土地国民全体に利用されるという方向に持っていく、誘導していく、こういうことが非常に必要ではないかというふうに思う次第でございます。
  20. 野別隆俊

    野別隆俊君 どうもありがとうございました。  次に、土地行政の組織の一元化の問題についてお伺いをいたします。  現在、土地行政は、私がここで改めて申し上げるまでもないわけでありますが、地価公示を初め四全総の国土計画等は国土庁、都市計画等は建設省、それから公有地拡大法の窓口は自治省と建設省の共管、大変複雑になっております。また、固定資産税は自治省。相続税、贈与税は大蔵省、さらに水田、畑地、原野は農水省。すべて土地問題をめぐってたくさんな省庁があるわけであります。また、土地を登記する場合は法務省。さらに最近は国鉄の土地が随分ございますから、清算事業団の土地関係は運輸省。こういうふうに七省ぐらいがありまして、それぞれが行政を推進していただいているわけでありますが、やっぱりいろいろな事業を進めるためには、一つの窓口がどこかにある方がいいのではないかという気がしてならないのであります。これはやっぱり国土庁が最適のところではないかと思います。  このようなことで、新しい基本法ができて進めていくためには、私は来年の四月からこれを直ちに統一すべきだと言っているのじゃありませんが、三年、五年かかるかもしれませんけれども、やっぱり一元化した窓口がなければ、この調整がつかなければ、なかなかそれぞれの省庁が独自に進めていくということでは問題があるのではないかという気がしてならないのでありますが、この点についてお伺いをしたいのであります。
  21. 石井一

    国務大臣石井一君) 先般、第九回目の土地関係閣僚会議を開きましたときに、私は総理の横で座長として議事を進行いたしたわけでございますが、普通の閣議とほとんど変わらないメンバーが全員出席しておる。これなら閣議でやってもいいじゃないかというような感じがいたしたわけでございます。  先生の御指摘のとおり非常に各省にまたがる、また財政面、経済面、行政面だけでなく、それから法律関係もまたがっておりますし、これを一省で取り上げるということは、我が国の複雑な行政機構の中ではこれは難しいと申さざるを得ません。したがいまして、これをいかに有機的に、一体的に、総合的にやっていくかということが今後の課題であることは間違いございません。  例えば、あるとき、後藤田内閣官房長官がやっておられましたようなときには、官房長官土地問題を主宰しておったという時期もあったようでございますが、近年になりまして、形式的にも国土庁長官土地問題については土地担当大臣としてその責任を果たす、こういうことに相なっておるわけでございます。  余談になるようでございますが、私は、内閣から国土庁長官という辞令とともに、もう一枚辞令がございまして、それには国務大臣土地担当を命ずるという別の紙をもらっておる。私は、それをもらいましたときに、なるほどそれなら土地の問題は私が相当強引にやってもいいということだなというような新たな認識をしたというのが実感でございます。  そういう意味におきまして、今後さらに、今こういう大きな政治問題になっておりますだけに、土地担当大臣としての責任と使命を感じ、イニシアチブをとって施策推進していきたい、そう思っております。
  22. 野別隆俊

    野別隆俊君 担当大臣石井大臣決意のほどを聞かせていただきましたが、これは私は当然そうならざるを得ないと思うのでありまして、特に石井国土庁長官はその最適任者ではないかと思うのであります。今まで私、この委員会に出ておりまして聞いておりますと、勉強も大変しておられますし、さらに向こう意気もあるわけでありますから、ぜひひとつ、どこから物を言ってもこれはおれがやってやるというような気持ちで今度のそういった窓口統一を図っていただきますことを特に要望いたしまして、この点は終わりたいと思います。  次に、住宅地の積極的な確保対策でありますが、今回の土地問題は、企業や事業所の土地対策も重要でありますが、何といっても私はやっぱり不足しておる住宅対策、この解決が最大の土地問題の我々の任務ではないか、このように考えているわけであります。我が国国民生活の質の向上を図ること、鶏小屋などと外国から言われる、経済大国国民が鶏小屋に住んでいるなどと言われる状態ではならないのであります。少なくとも豊かな、ゆとりある生活を営ませる任務が我々にある、このように感ずるのでありますが、しかも、これまでも論議されましたように、一時間以上の圏域から通っているサラリーマンがたくさんおられる。何としてもこれを三十分、一時間以内のところに高層住宅でも建てて、本当にゆとりある生活ができる体制をつくることが必要だと思います。  建設省は、住宅、宅地供給に係る実施プログラムを六十三年の六月に策定をされ、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法が制定されている。住宅三十七万戸、宅地四万へクタール供給構想を発表されたのでありますが、この進捗状態と申しますか、どういうふうにこの計画が進んでいるのか、お伺いをいたします。
  23. 立石真

    説明員(立石真君) 先生指摘のとおり、大都市地域勤労者の通勤負担を軽減しまして、豊かなゆとりある生活を営めるようにすること、そしてまた都心部の定住人口の回復を図ること、そういうようなことの観点から、大都市地域において職住近接に役に立ちます良質な住宅供給をしていくことは、住宅政策上も極めて重要な課題であるというふうに考えているところでございます。  このため、これまでも公営住宅、公団住宅等の公共住宅の的確な供給を図るとともに、あわせまして民間の建築活動を誘導しながら良質な市街地住宅供給を促進するため、特定住宅市街地総合整備促進事業、市街地住宅密集地区再生事業、あるいは市街地再開発事業等の諸事業推進を図りますとともに、市街地住宅総合設計制度等も活用いたしまして職住近接の良質な市街地住宅供給に努めてきているところでございます。  今御質問にございましたことでございますが、これらの従来の施策に加えまして、現在東京大都市地域において中堅勤労者が良質な住宅を確保できますよう、一つは広域的な住宅宅地供給方針の策定、また国公有地、市街化区域内農地等の低・未利用地の有効高度活用等によりまして、住宅宅地供給を緊急かつ強力に推進するための新たな施策について検討を進めているところでございます。
  24. 野別隆俊

    野別隆俊君 数字的な発表がございませんが、私は三十七万戸、四万ヘクタールの供給体制がもう定着して進んでいるのだと思っているのでありますが、この状態がわかればもう一回お聞かせ願いたいと思います。
  25. 立石真

    説明員(立石真君) 現在それらについての方策をとりまとめているところでございまして、今後成案を得次第、先生方の御審議をいただきたいというふうに考えているところでございます。
  26. 石井一

    国務大臣石井一君) 住宅建設省の問題でございますが、先生にも御激励をいただいたし、国土庁長官としては住宅宅地政策を総括するという意味で私の見解を少し述べさせていただきたいと思うのであります。  一つは百八十万人の勤労者東京都心への流入人口の中で、一時間半かかっておる人が百二十万人、まず六〇%から七〇%ということは、これはまことに異常な問題だと思います。こういうことをやっておって働く方々が通勤にエネルギーを消費し、そして働く時間どれだけの疲労をためた中に、その苦痛を連日負担しなければいかぬかということを考えましたときに、これは日本経済全体からも大変なマイナスだと申し上げざるを得ません。したがって、私は一つの持ち家という感覚から、やはり都心なりあるいは東京圏におきましては、ある程度職住近接の高層化を進める中に、仮に賃貸であってもまず満足して住める、そして働くに快適な、適当な時間で通勤する、こういう形のことを重視していかなければ、これまでと同じように宅地を開発し、それを与えるという持ち家制度だけではもう追っつかないという、こういうような状況になってきておるのではないかと思います。  例えば、法人なり企業が資産形成という意味で土地保有しておる場合には、社宅制度をもっと強力に推進するということをも促進していくことによって、企業へのプラスも返ってまいりますから、そういう施策も加えていかなければいけませんし、公的主体による住宅の直接供給から、土地所有者に土地所有権をそのまま残して、そして公的な融資なり信託制度なり、そういう制度でとにかく大量にまず住むところをつくっていく、こういうことを進めていく必要があるのではないかなというふうに思っております。  私は、まことに大ざっぱに申して恐縮でありますが、建設省はいろいろな観点から過去のデータを踏まえまして、最近二百六十万戸から三百七十万戸と、そういう線をここ十年間に打ち出しておるわけでございます。私は土地基本法を踏まえて、そうして具体的な政策を精査した後に、持ち家制度だけでなく賃貸住宅も加えて、過去の自然増に加えてプラス百万戸ぐらいの目標をここ十年のうちには打ち出さなければいかぬ、そのデータ建設省データととり方が違いますので多少違いますけれども、おおむね豊富な住宅供給し、その中にはかなりの賃貸部分があっても、住政策と通勤難というものをまず解決していく、こういう施策を進めていく必要がぜひともあるというふうに思っておる次第でございます。
  27. 野別隆俊

    野別隆俊君 ありがとうございました。  これに関連いたしまして、旧国鉄用地及び国有地の処分問題でお伺いをいたします。  特に、国鉄の用地が全国的に相当あるわけであります。この用地は閣議でも決められておりますように、国民負担を軽減すること及び一般競争入札を原則とすることに留意されておりますが、特に地価異常高騰している状態では、地域内の用地の売却については「現に公用・公共用」に供することが確実と認められなければこれは売ることができないということが臨時行政改革推進審議会でお決めになっているようでありますが、これは土地価格が鎮静化はしても引き下げられるようなことが直ちに来るとは思えないのでありますが、かなり期間が延びていくということになれば、なかなかこれは国鉄清算事業団の方も大変でしょうし、そこでやっぱり公共用地ということで住宅などを中心に、思い切って価格についても専門家の方々が協議をして一定価格を決めて、国民が納得する価格を決めて、そうしてこれを公共用地にして今の地価高騰を防ぐためにもこういった積極的な対策を図ることが重要な時期ではないか、このように考えるわけでありますが、お伺いをいたします。
  28. 石井一

    国務大臣石井一君) 清算事業団の用地に関しましては、一時公開入札をし大変な非難を浴び、その後凍結をいたしました。しかしながら、国鉄の累積債務を解消するために、最近またいささか手を緩めたい、何とか活用したい、こういう方向転換をいたしておるわけでございます。  土地担当大臣といたしましては、そうかといってみだりに公開入札に移っていただくことによって異常な土地高騰にさらに油を注ぐというふうなことは大変困る、こういうことを議論いたしておるところでございます。  それで、先生の御指摘は、私は当を得たものだと思います。公有地にかえる、市町村に渡すという場合には随意契約になりまして価格よりかなり低いものになり、国鉄の負債を補うものには必ずしも合わないというところに矛盾があるわけですけれども、先般この委員会でもお答えをいたしましたように、国鉄自身が土地を手放すことなくそこに高層化した住宅等を建てて、そういう中から利益を上げる、むだにそこに置いておくよりもはるかに有利ではないか。そういうことができないか。この間汐留の跡地に参りましたときに、そういうことにつきましてもデータを至急提出してもらいたい。東京周辺土地を全部点検し、清算事業団の土地に現時点で許されておる容積率、建ぺい率で建てた場合に、原価主義をとるわけですから、十分や十五分のところでは非常に高いものになりますし、一時間のところでは安い住宅になるわけですけれども、これらをすべてデータとして提出してもらいたい。こういうことを要請しておるわけでございまして、これは第三の道の模索でございますけれども、今後第一の道、すなわち公開入札、これには地価高騰に十分配慮しなければならない。第二は、公有地拡大することによって有効利用をさす。第三は、事業団プロパーの中で高度利用を考えるという中から一日も早く清算事業団の用地に草が生え、そして何も使用されないままに放置されておるというふうなことのないように私は今後も強く督促をしていきたい、そう思っておる次第でございます。
  29. 野別隆俊

    野別隆俊君 時間が参りましたので、まだあと二点ございましたがこれ以上はやめることにいたします。  今最後の決意を述べていただきましたが、土地問題を解決するのは、特に東京からその問題を解決することが一番私は早道であり正しいと思います。そういう面では清算事業団が相当の公有地を持っているわけで、これを全部そういうふうに供給に回せとは申し上げませんが、今長官が言われたように、第三の計画を一番最初に出していいんじゃないか。三割なら三割程度事業団独自でそういった高層住宅を建てて、事業団の土地は利便性のいい近いところだけにあるわけでありますから、そういう面からいきましても、これは国民の皆さんの大変な期待にこたえることになると思うのです。そして土地高騰を抑える手段に大きく力になる、このように感ずるわけでありますので、ぜひそういったことの実現を図るように御努力を願いたいと思います。  幾つかの問題を質問いたしましたが、大臣を初め政府機関におかれても積極的に対応していただきますことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  30. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 最初に、地価の問題につきまして二、三お尋ねをしたいと思います。  今回の地価高騰は、先ほど来のお話にもございましたように六十一年から六十二年にかけて東京都心部商業地がまず値上がりをし、それが買いかえ需要等によって住宅地に及び、さらに周辺都市あるいは大阪圏名古屋圏へ波及をしていった。こういうことでございますが、その契機となった都心部の事務所の床面積需給関係、これの現況あるいは今後の見通しにつきましてまずお伺いをしたいと思います。
  31. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 最近の東京都区部におきます事務所需要動向についてでございますが、都心部に立地する事務所や大規模な事務所につきましては依然として需要が強含みでございます。その他の周辺部の事務所につきましてはやや需要が緩和しているという状況でございます。これはやはり東京金融機能、情報機能等の世界的な役割の拡大に伴うものと考えられます。  供給についてでございますが、ここ二、三年着工ベースでもストックベースでも著しい拡大が見られます。こういったことから、ここ二、三年の東京都区部におきます事務所の床の需要は高い水準で推移をしておるという状況でございます。  長期的な見通しについてでございますが、長期的には東京圏全体としてそのときどきの需要動向に見合った良質な事務所が計画的、安定的に供給されることが必要でございます。このような観点から都市産業機能等の地方分散を行い、東京都区部への諸機能の過度の集中を是正する必要がございますが、こういったことから地方の振興開発を図るほか、国の行政機関等の移転、業務核都市の整備等の施策を考えておりますが、これを一層充実してまいりたいと考えております。
  32. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、金融の問題でございますけれども、最近の大蔵省の金融機関に対する相当徹底した指導等によって、土地取引市場に流れる投機資金の量というものは一時に比べて相当減ってきておるのではないかと思うのですが、その辺の状況はいかがですか。
  33. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 金融機関の土地関連融資につきましては、投機土地取引等に係る融資を厳に排除するという観点から、通達の発出、それから御承知のとおり特別ヒアリングの実施等を通じまして厳しく指導しているところでございます。  その結果、特に特別ヒアリングを開始いたしました六十二年度の上半期以降、全国銀行の不動産業向けの貸出残高の伸び率は基調として大幅に減少するといったようなことで、着実に指導の趣旨が浸透してきているものというふうに認識しております。  御指摘土地取引市場に流れる投機資金ということになりますと、必ずしも投機性の資金を定量的に把握しているというわけではございませんけれども、最近の特別ヒアリングにおきましても問題のある事案というものはほとんど見られなくなってきておりまして、金融機関を通じた投機性資金というものは確実に減ってきているものというふうに認識しております。
  34. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 そういう状況は大分改善されつつあるというふうに考えるわけですが、にもかかわらず、最近の報道によりますと、大分鎮静化した東京の一部の地域地価が再び若干値上がり傾向にある。それからまた、先般、土地局長のお話にもございましたように、モニター調査の結果等でも大変強含みであるというふうなことが言われておりますが、その原因はどこにあるというふうにお考えになるでしょうか。
  35. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 本年七月時点の平成元年の都道府県地価調査の結果でございますが、この結果で見る限り東京都の地価動向は鎮静化傾向が続いておるわけでございます。目下平成二年一月一日時点の地価公示の作業を私どもの方で進めておりまして、その結果を見て最近の現状を判断したいというふうに考えております。  しかし、最近発表されました御指摘東京都の監視区域地価動向調査の結果や、また財団法人日本不動産研究所の市街地価格指数などを見ますと、東京都心部地価が若干上昇してきております。また私ども、土地関係の精通者から聞きました話でもそういう傾向が見られます。ただ、調査地点も非常に少ないですし、短期的な動向でもありますので、今の段階で断定するのは差し控えたいというふうに考えておりますが、依然として金融緩和基調にあることには変わりないと思いますので、そういう面で地価動向は予断が許されない、そういうふうに考えております。
  36. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 なお、東京に関するだけでも予断を許されないというようなことでございます。  そこで、土地基本法についてですが、これは宣言法だ、こう言われておりますけれども、現在の深刻な土地問題に対して、政府が本格的に取り組む姿勢を内外に示したという意味では私は大変に意義があることであると思います。また、政府がこういう形で土地対策に取り組むというのは今回が初めてでございますから、大いに期待をし評価をいたしたいと思うわけであります。四十年代に御案内のように公害基本法というものができまして、これによってあらゆる施策集中して実施をした。それによって我が国は公害防止という面で大変大きな成果を上げたわけでございます。そういう実績もあることでございますから、どうか土地問題に関しましても、この基本法の成立を契機に大いに努力していただきまして問題解決に当たっていただきたい。大臣の御決意をまずお伺いをいたします。
  37. 石井一

    国務大臣石井一君) 現在、基本法と称されておるものが十幾つあるというふうに聞いておるわけでございます。土地になぜまだそれがないのかという質問も今回の審議を通じて各会派から疑問として投げかけられたわけでございますが、基本法があることによって、国民の意識に対しまして政府みずからの姿勢を示すと同時に、国民的な意識を高揚するという意味でも、公害にも見られますようにそれなりの意義があったと評価できますし、今回この機会を通じて土地に対して改めて国民に問いかける、こういうことをしていきたいと思っております。  過去いろいろの政策をやってまいりましたが、昨年六月に閣議決定をいたしました総合土地対策要綱というこの提案は各般にわたる、短期的なものだけでなく中期的、長期的な問題も全部網羅した一つの指針を示しております。もし仮に、あれをすべて実行したとしたら土地問題は解決しておったでありましょう。しかしながら、閣議決定までして政府の方針を出しておりましても、各省の言い分とか過去の沿革その他の理由でそういう主張がされたままで放置されておるという項目もございます。  そこで、土地基本法が制定されましたら、そこにうたわれておる基本理念、公共を優先する、所有が目的でなく使用が目的である、投機的取引というものは一切認めない、これは反社会的行為である。また、土地に対する自然的な値上がり等に関しましては、社会的な還元、適正な負担、こういうふうな問題。それから、衆議院段階で加えられました、もちろん政府案にもあったのですが、具体的な言葉として、宅地の供給でございますとか、あるいは住民参加というふうな問題、こういうふうな問題をことごとく総合土地対策要綱と照らし合わせまして、その中から、まず基本法ができた次にはこれをこのように実施してもらいたい、そしてできればタイムリミットを決めて、これは来年度じゅうにこういう方向に移してもらいたい。そういうような方針をまとめて、基本法成立後にできれば関係閣僚会議でも招集して確認をして、そして各省はそれぞれの立場でそのタイムリミットに合わして具体的なガイドラインに沿って実施する。そういう中から土地基本法ができたということを名実ともに実効あらしめる、そういう措置をとって初めて土地担当大臣としての責任が果たせるのではないか。そういうようなことを考えておるわけでございまして、実は国土庁だけではできませんので、税制に関しては大蔵省、自治省、また建設省、各省と今いろいろと水面下で調整をやらしておるところでございますが、基本法で事足れりと考えずに、今後の具体的な短期的、中期的見通しを打ち出すことによって、また国民にその協力を呼びかけていくことによってその実を上げたい、そう決意いたしておる次第でございます。
  38. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 ありがとうございました。ぜひそういう方向で具体的な施策を強力に実施をしていただきたいと思うわけであります。  そこで、この基本法では今お話しありましたように、土地に対する基本的な理念として、計画的な土地利用とか投機的な土地取引の抑制とともに、社会資本の整備等によって得られた利益に対して適切な負担をするのだということがうたわれておるわけでありまして、これは至極当然な話であると思うわけであります。しかし現実的にはなかなか難しい問題でもあるわけであります。これはやはり利益の程度とか、それがどの範囲に及ぶかというそういう範囲とか、こういうものを具体的に決めることがなかなか難しいというところから、各種の法令にも負担金を課すべきだということが決められておるわけでありますが、必ずしも十分に生かされておるとは言いがたい点があるわけであります。  そこで、今後どういうふうな施策によってこれを実現をしていくか、具体的な例がありましたらお伺いをいたしたいと思います。
  39. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 社会資本の整備等による開発利益につきましては、土地の資産としての有利性を減殺したりあるいは適正利用の推進を図る、社会的公平の確保を図るといったもろもろの観点からその還元は重要であると考えております。  基本法におきましても十四条で具体的な規定を行っておりまして、土地に関する権利を有する者が、社会資本の整備に関連して著しく利益を受けることとなる場合においては、適切な負担を課するという規定を置いております。  現在、こういったいわゆる受益者負担、開発者負担という制度につきましては、先生もよく御案内のとおり、都市計画法に基づきます受益者負担制度、これは区画整理事業等の公共減歩等もこれに当たりますし、下水道事業の負担金も広い意味で受益者負担金に該当するかと思いますが、こういった制度とか、あるいは土地改良法に基づきます公共減歩も、区画整理と同様広い意味での受益者負担金に相当すると思っております。また、最近では、都市計画法に基づきます特定街区制度や、あるいはこれは住宅の方ですが、総合設計制度等がございまして、公共空地を提供するかわりに決められた容積率以上の容積率が与えられるといった制度もございます。こういうのも受益者負担の一つのシステムかというふうに考えております。また、最近では東京湾臨海部におきましてその開発を進めるために、大街区方式の区画整理事業制度や負担金あるいは基金といった制度もそれぞれ検討されているやに伺っております。  いずれにしましても、現行制度の中で規定されておる制度が多々ございますので、そういった制度をできるだけ積極的に活用していくということが大切だと思っておりますが、さらに新しい方策につきましても、例えば大規模プロジェクトに絡むケースのような場合には、地域の特定その他の方法等も含めていろいろ勉強していかなければならないのじゃないか、そういうふうに考えております。  今後の課題でありますが積極的に取り組んでいきたいと思っております。
  40. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、国土利用計画法の一部改正について御質問をしたいと思います。  短期間の転売を抑制するために利用目的の審査を強化するということでございますが、利用目的というものを今回新たに追加された理由。  それから、これは例えば土地転がしをやるというふうな目的で申請することはあり得ないわけでありまして、申請時には当然建物を建てるとか、あるいは住宅を建てるとかというような形で申請はされたけれども、結果的にはそういうことが実現しないで、他に転売をされたというようなケースもないとは言えないと思うわけでありますが、こうした申請の目的に反したような場合には、どのような処置をお考えか、お尋ねをしたいと思います。
  41. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 御承知のとおり、地価高騰下におきまして、投機的取引というのは需給の逼迫を助長いたしますとともに、結果的に土地が現実に利用されないという現状を生み出すわけでございまして、弊害が多いわけでございます。  しかし、現行の国土利用計画法のもとにおきましては、通常そういう投機目的の土地取引は、資産保有という名目で多く届け出がなされております。しかし、資産保有目的に対しましては、現状では勧告対象にすることができないということになっておりますので、今回これを一部改正いたしまして、監視区域内の土地取引につきましては、そういった資産保有目的の届け出についても十分審査し、場合によっては取引の中止勧告等が行えることにしたわけでございます。  ただ、仰せのとおり、届け出書には適当な利用目的を記載し、実際の利用はこれと異なった利用が行われるというケースも予想されます。しかし、そういうケースは、虚偽の届け出に相当するわけでありまして、法律上罰則規定等も設けられているわけでございます。  国土庁といたしましては、改正をお認めいただきますれば、その運用に際して十分届け出内容を監視したり調査したりするよう努めたいというふうに考えております。また、非常に悪質な例が発見された場合には、告発も含めて厳正に対処してまいりたい、そういうふうに考えております。
  42. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、土地供給対策について二、三お尋ねをしたいと思うのですが、建設省は来年度以降十年間に、宅地四万ヘクタール、住宅三百七十万戸の供給を実現させたいということでございますけれども、この場合一番問題になるのは、やはり交通対策あるいは防災対策といったようなことではないかと思います。そういうものを十全に行って、質のいい宅地なり住宅をつくるということが非常に大事だと思うのですが、特に、これから大規模な開発が予想されておる東京湾沿岸地域、ウォーターフロントの地域、これは御案内のように大変な軟弱地盤でございます。建物自体はもちろん基礎をしっかりとつくってやられるのでしょうから問題はないにしても、それを支える道路であるとか上下水道であるとか、ガス、電気といったような生活ライン、こういうものが災害時、特に地震時に十分確保できるかどうか。これは先般のサンフランシスコの地震のときにもこういう被害が相当あって、住民が相当苦労した、所によっては電気が二週間も通じなかったというようなところもあるようでございます。事務所だけならともかくとして、ここに住宅をつくるということになりますと、その辺の対策をよほど十全に行っていかないと問題が生ずるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  43. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 東京湾沿岸地域におきまして、大規模な開発を行うに当たりましては、御指摘のとおり地形、地質等の自然条件、立地する施設の特性等を勘案いたしまして、それぞれの施設ごとに各種の災害に対します危険度を十分に把握した上で、開発計画の各段階ごとに防災対策を配慮していく必要があるというふうに考えております。建築物や施設構造物の耐震化等の防災対策は当然でございますが、ただいま御指摘のございました電力、ガス、水道、通信、こういったライフライン、また交通等の主要な施設につきましては、必要に応じまして共同溝の整備、複数ルート化、緊急時の代替補完能力の確保、こういった措置を十分に講ずる必要があるというふうに考えております。  東京都が平成元年の四月に策定いたしました臨海副都心開発事業化計画というのがございますが、これは職住近接を図りながら世界的な業務機能を持っていこうと、こういうものでございます。このものにつきましては、ただいま申し上げましたような考え方に基づきまして、各施設ごとに対応方針を定め、御指摘の緊急時におけるライフラインの確保、交通体系の確保、こういったことについて万全を期すという計画になっておるわけでございます。
  44. 石井一

    国務大臣石井一君) 今回専門家十六名から成る調査団がロマプリータの地震の調査、視察に参りまして、アメリカ連邦当局と共同で非常に技術的な調査を終えて、二週間の予定で帰ってまいりました。私は、その報告を聞きましたときに、やはり今回の教訓の最大の問題は、今岡部先生が御指摘になりました、開発の進んでおる日本の場合、非常に最近多くなっております液状化の対策、それから緊急時のライフラインの確保、こういうことがやはり今回の場合一番大きい問題になったなという感じがしたわけでございます。  もう一つは、今の御指摘じゃございませんが、アメリカ建国以来の精神によるボランティア活動でして、ボランティアの方が仕事を休み、サンフランシスコへ集結し、どれだけの働きをしたか、これは日本では期待できない一面ではないかと思うのであります。ただ、液状化の場合、今回崩壊しました地域というのはほとんど一九〇〇年から一九一〇年ごろに埋め立てられたところだという報告でございました。もう五十年、六十年もたっておるのに、こういう大規模のものがやってきたらいまだに弱いのかということに対しましては、やはり昔はそれだけの規格もなかったし、技術もなかった。そのままの状態で軽い家が乗っておる場合には、やはり固まらないままの状況にあるんだと。しかし、今後日本でやります場合には技術も発達しております。この点につきまして最大の配慮をしなければいかぬ、こういう指摘でございました。最近できておりますウォーターフロントは、そういう規格を十分に検討してやっておるようでございますが、なお万全を期したい、こう思うわけでございます。  それから、ライフラインの問題でございますが、これがやはり緊急時にさらに火に油を注ぐような状況があるわけでありまして、電話局が一つつぶれることによってすべての連絡が途絶えたとか、水道にそういう問題が起こったというふうなことがございます。この点は他山の石として、この際総点検をするべきだ、こういう考え方を防災局長を通じて各省に対しまして今指示をしておるところでございまして、他の国の災いを転じて福となすという気持ちじゃございませんが、その二つが非常に重要な御指摘だというふうに私は認識をいたしております。
  45. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 ありがとうございました。ぜひそういうことで万全を期していただきたいと思います。  次に、土地問題解決のために大深度地下利用ということが非常に有効であるということは言うまでもありませんし、各省共同で今法律を出そうという検討もされておると聞いておるわけでありますが、最近、これはテレビで見ただけのことでございますけれども、環境庁の公害研究所等からこの大深度地下利用をやる場合に、東京都の地下水低下のおそれがあるのではないかというふうな指摘があるやに聞いております。地下水が低下するということになれば、やがては地盤沈下にもつながるわけでありまして、非常に大きな問題である。こうした環境問題と大深度地下利用というものとの関係はよほど慎重に考えていかないといかぬ問題ではないかと思いますが、これにつきまして、各省にわたるのであれですが、建設省の方から御答弁を願います。
  46. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) ただいま先生から御指摘のありました環境庁国立公害研究所の研究内容につきましては、私ども公式には今のところまだ伺っていない状況でございます。  私ども建設省といたしまして、現在どのような方針で臨んでいるかということを御説明申し上げたいと思います。  安全でかつ合理的な地下空間の利用を推進してまいりますためには、例えば地盤調査の技術、設計の技術、地下を掘削する技術、環境を制御する技術、それから防災管理の技術等々、地下利用に関します技術開発を総合的に推進する必要があると私どもは考えております。  現在建設省におきまして、総合技術開発プロジェクトといたしまして、地下空間の利用技術の開発をテーマにいたしまして、産学官の専門の先生方の御意見を拝聴しながら技術開発を進めているところでございます。  ところで、大深度地下利用を実際に進めるに当たりましては、これらの技術開発の成果を十分活用いたしまして、特にただいま御指摘のございました地下水位の低下あるいは地盤の沈下の問題につきましては、具体的には地下水をなるべく排水しない工法を採用する。私どもはこれを非排水工法の採用というふうに言っております。さらに構造物の施工中あるいは完成後におきまして、漏水をできるだけ防ぐというふうなことも当然必要なのでございます。これによりまして、周辺の地下水位の低下あるいは地盤の沈下に有害な影響を及ぼさないように十分配慮してまいる所存でございます。
  47. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、市街化区域内の農地の宅地対策でございますけれども、五十五年に農住組合法というものが制定されたわけでありますが、その進捗状況は余り芳しくないように思っております。これは十年の時限立法ですから、再来年にはたしか期限が来るころだと思いますが、これを廃止するのかあるいは単純延長するのか、あるいは今までの経験にかんがみて内容を改正して延長するのか、その辺の方針をお伺いしたいと思います。
  48. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 農住組合につきましては、この制度は、当面一部を営農用地として活用しながら他を計画的に宅地化していこうという制度でございまして、今後市街化区域内農地の計画的な農地保全と宅地化を推進する上で、非常に有力な手段の一つだというふうに考えておるわけですが、残念ながら現在まで、五十六年施行以来十三地区において組合が設立されるにとどまっております。なお、四地区が準備中でございます。特に六十年以降、かなり各地でこの制度認識され、何とかこれを活用して地域の整備を進められないかというふうな話が多くなってきておることは事実でございますが、実績は以上のような状況でございます。  御指摘のとおり、法律によりまして、組合設立の認可申請を行うことができる期間が法施行後十年までと定められておりまして、この期限が平成三年五月に到来することになります。  私どもといたしましては、今後大都市地域における市街化区域内農地の計画的な利用というのが非常に重要な課題になっております。そういう時期でもございますので、ぜひともこれは延長していただきますとともに、組合の設立や事業の円滑な推進方策についていろいろ検討しまして、そういった面での制度改善を加えながら改正してまいりたい、そういうふうに考えております。
  49. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 次に、生産緑地法による生産緑地制度というのがあるわけでありますけれども、これは第一種と第二種とあるわけでございますが、これもどうも私どもの目から見ると市街化区域内の農地への進展がいま一つ振るわないのではないかというような感じがするわけでありますが、その進捗状況並びに問題点がありましたらお伺いをしたいと思うのです。
  50. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) 生産緑地地区は、御案内のように市街化区域内農地のうちで「良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設等の敷地の用に供する土地として適している」というものにつきまして都市計画で決めるものでございます。昭和六十三年三月末現在でございますが、三大都市圏で千二百八十四地区、六百九十五ヘクタール余が指定をされております。  こういう指定状況がはかばかしくないじゃないかという御質問かと思いますが、昭和五十七年に、御承知のように税制関係で長期営農継続農地制度というのが設けられまして、同制度が生産緑地の制度に比べまして自由に土地を農業以外の用途に転換できるというようなことなど、いわゆる行為の制限が伴わないということで土地所有者にとりまして有利だということもありまして、昭和五十七年以降は生産緑地地区の指定が余り進んでいないというのが実情でございます。
  51. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 そこで、いよいよ宅地並み課税の問題に移りたいと思うのです。  建設省は九二年から宅地並み課税の実施と相続税への納税猶予制度の廃止をあわせて実施するということが先般新聞紙上等でも報道されておりました。私は個人的には、宅地供給をふやす対策ということから考えますと、宅地並み課税というのは必ずしもそれほど有効ではないのではないかと思うわけであります。と申しますのは、やはり土地値上がりに対する期待というものが消えない限り、いわゆる土地神話が崩れない限り、やはり多少税金を上げてみたところでせいぜいその税金分だけ土地を吐き出す、そして土地は一向に供給されないという結果が続くのではないかという感じがします。そういうふうにいわば切り売りでわずかずつ土地が出てきたのでは、かえってスプロール的な土地利用というものを促進するだけになるのではないかと思うわけであります。それからまた、相続税猶予制度の廃止ということも、これは言うまでもなく相続が発生しなければ効果がないわけでありまして、すぐに発生するところもあるかもわかりませんけれども、相当長期にわたって有効に作用しないというところもあると思うわけであります。  そこで、それにかわるべき施策はそれじゃ何か別にあるのか、こういうことなんですが、これは昨年都立大学の石田先生なんかが中心になられまして都市農業問題研究会というのがあるわけでありますが、ここで提案をした第三種生産緑地制度とも言うべき制度をひとつ検討してみたらばどうかと。これは、御案内だと思いますが、市街化区域内の農地を計画的に質の高い宅地に転換をする、今の生産緑地法の目的は将来公共用地なり緑地なりにする。これは住宅地にするわけでありますから目的は多少違うわけです。仕組みは大体同じようなことです。現在の生産緑地制度というのは、将来は公共用地にするんだというところが、土地所有者から見ると公共用地に買収をされてしまうというような心理的な抵抗が多少あるのじゃないか。この場合には宅地にするわけでありますからそうした面は少ない。要するに、当面は営農継続を希望するけれども、ある一定期間がたったならばそれは宅地化するんだ、しかも宅地化に際しては地権者なり地区住民あるいは区なり市なり町村といったところと十分に協議をして一定の地区整備計画というようなリジッドな計画を立てて、それに従って質のいい宅地を計画的に供給をする。そういう二つの条件が保証された農地については営農を認め宅地並み課税も免除していく。こういうふうなことを考えていけば市街化区域内の農地をスムーズに優良な宅地に転換することができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  52. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) 最初簡単に。今私どもで考えております宅地並み課税の話も御理解をいただきたいと思うのです。  まず、宅地並み課税をしてすべて宅地化というようなことではございませんで、当然農業をやっていただく方にはそういう適地でございますればそれなりの、何といいますか調整区域にしていただくとか、あるいは生産緑地を活用していただくとかして農業を継続できる道も考えますし、また一方、土地所有者が宅地化する場合、そこに賃貸住宅を建てるとかそういうようなことをしていただく場合にはできる限りの助成措置といいますか、そういうものを考えたい。  また、御指摘のありました切り売りになるのじゃないかということにつきましても、私どもとしては農地が良好な市街地になるような、公共施設を備えたような地区計画といいますか、そういうようなものも工夫をしてまいりたいというようなことを総合的に考えておるつもりでございますので、念のために御理解をいただきたいと思います。  それから御指摘のありました研究会の報告でございますが、これは私どもも研究をさせていただきたいと思います。ただ私読ませていただいたところで二、三コメントさせていただきますと、現在の生産緑地法で「公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているもの」ということを申しておりますけれども、これは公共施設等の用地の敷地とすることができる土地というように広く読んでおりまして、いわゆる公共施設等の予定地というものに限られておりませんので、御提言ありますような質の高い住宅地化が保証された農地というようなものにつきましてもこの対象にすることができるのじゃないかというふうにまず考えております。  ただ、その策定手続につきましては、御案内のように都市計画法上の例えば地区計画を例にとりますと、その案の作成につきまして土地所有者や利害関係者の意見を求めた上で作成するということになっておりますけれども、作成主体は市町村でございまして、その辺が相当に達うのじゃないかというふうな感じを持っております。
  53. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 これは一つの案でして何もこれに限らないわけですが、要は逆線引きか、しからずんば現行の生産緑地かという、そういう行き方ではなかなか地域住民といいますか、土地所有者現在の市街化区域内の農家の理解を得られにくい。やはり地域住民の理解を得て、それが参加して、参加しながら優良な宅地にしていくということが、これがまあ一番大事なことでありますから、そういう面ではもう少しソフトな対策をいろいろ御検討いただいて、その上で宅地並み課税とかというような問題を打ち出すということじゃないと、なかなかこれはうまくいかないのではないか、率直に言ってそういう感じがするものですからぜひお願いをしたいと思います。  そこで、時間もわずかになってまいりましたので、こういった土地問題の根本的な解決ということになりますと、これはもう言うまでもなく東京一極集中というものを排除して多極分散を図るということ以外にはないわけでございます。しかし、それじゃなぜ東京がこんなに一極集中をしておるのかということを考えますと、これは東京が今や政治経済はもとより金融、文化、あるいはハイテク、ファッションといったようなあらゆる分野で世界の情報発信基地になった。いわば情報化社会一つの宿命とも言えるわけでありまして、情報というのは言うまでもなくこれは集積すればするほど効果を発揮するわけでありますから、その機能分散を図るということは容易なことではないと思うわけであります。単なる官公庁の一部を移転するとか、あるいは展都とか分都とか遷都とかいろいろな案がございますが、そういうことだけで実現できることではない。やはり、地方分権ということももちろん大切でございますけれども、何よりも地方都市に人が集まるような魅力を備えさせるということが一番肝心なことではないかと思うわけであります。  長官の神戸も、かつては海沿いの非常に細長い町のような感じをしておったわけでありますが、今やポートアイランドとかあるいは六甲を越えて裏六甲まで開発を進める。さらにそこに独特の地域文化を打ち立てられる。非常に成功をした例だと思うわけでありますが、こういう地方都市を育成する方針といいますか、そういうものはどういうふうに考えておられるのか、国土庁にひとつお伺いしたいと思います。
  54. 野沢達夫

    政府委員(野沢達夫君) お答え申し上げます。  東京の一極集中を是正しまして、多極分散型国土の形成を図るためには、東京圏もろもろ機能集中しているわけでございますが、そういった機能地方に分散していくことが必要でございます。このためには、先生指摘ございましたように、まず受け皿となります地方都市それ自体につきまして魅力あるものにするというようなことで、整備なり努力をしていく必要があるだろうというふうに考えているところでございます。  地方都市につきましては、地域におきまして拠点都市の役割を担っているところが多うございます。したがいまして、各種の都市的なサービス機能の充実強化を図る、あるいはお示しありましたように文化とかいろんな面で個性のある都市条件、都市環境というものを整えていくということが必要でございます。こうした地方都市につきまして魅力あるものにし、あるいはその活性化を図っていくためには、それぞれの都市におきまして地域特性を生かし、地域の主体性と創意工夫を基本としまして地域づくりを進めてもらうことが大変重要であると思います。国土庁といたしましては、いろんな地方都市が取り組んでおられます先導的な事業に対しまして支援をしているところでございますが、今後さらにこうした支援を強めてまいりたいと考えているところでございます。
  55. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 それからまた、地方中心都市だけが発展をして他の地域が寂れてしまったのでは、これはまた国土の均衡ある発展ということは望めないわけでございます。最近はどうもそういう傾向が多少あるのではないか。例えば、北海道なら札幌だけは非常に発展をするけれどもその他の地域は非常に停滞をしているというふうなことがあるわけでありまして、そのためにはやはり各地域が自助自立の精神を持って独特の企画力を養っていく必要がある。一村一品運動であるとか、あるいはふるさと創生といったようなそういう政策はこうした地域の人材育成といいますか、そうした面でも大変有効であると思いますし、また、そのための基盤整備も非常に大切、こういったソフトとハードが一体となって初めて地域の発展が図られるのだろうと思うわけでございます。  それからまた、二次産業、三次産業ばかりじゃなくて、やはり地方の主要産業というものは農林水産業でございますから、一次産業についてもその振興を図るということが地方の発展の重要な戦略課題である。そういうふうに思うわけでありますし、特に農林水産業というのは農産物を生産するというだけでなくて、国土の保全であるとか、環境の維持であるとか、あるいは国土の美観であるとか、さまざまな多面的な機能を有しておるわけでありますから、そういうことに十分着目しつつ、やはり保護助長していくということが必要ではないかと思うわけであります。そうしたことについてのひとつ国土庁としての御見解をお伺いしたいと思います。
  56. 野沢達夫

    政府委員(野沢達夫君) 国土の均衡ある発展を図ってまいりますためには、先生の御指摘のとおり、中心都市だけが栄えて周辺がそれにおくれをとるということでは、やはり均衡ある発展というふうにはいかないわけでございまして、したがいまして中心都市周辺部が一体的に発展していくというようなことでもろもろ地方施策推進していく必要があると考えております。  そのためには、産業基盤や生活環境というハード面の整備も当然必要でございますが、御指摘のとおり、一村一品のお話もございましたが、最近はふるさと創生等自助自力で地域づくりをしていこうという動きが全国各地に起こっております。そういった面でやはり大事なのは、そういった運動を積極的に進めていく人材の育成とか、そういったソフト面の対策というものも大変重要になってきているわけでございまして、国土庁といたしましては、人材の交流とか、知識、情報の提供等を通じまして地域の活性化の支援を行っておりますけれども、そうしたソフト面についても今後さらに積極的に進めてまいるように努力していきたいと考えております。  また、全国の国土の大部分を占めます農山漁村の問題でございます。これはもう先生御専門の方でございますが、御指摘のとおり農山漁村は生産の場であると同時に、生活の場でもございます。国土保全あるいは環境等いろんな多面的な機能を持っておるわけでございまして、したがいましてこういった農村振興に当たっては、そういった多面的な機能の調和がとれて振興ができるように取り組んでいく必要があろうかと考えております。そうしたための生産基盤の整備は大変重要でございますけれども、生活環境その他いろんな施策を一体的に講じていくということをこれから考えてまいりたいと思っております。  国土庁といたしましては、こういった多面的な機能を持ちます農山漁村につきまして、今後どういう方向で整備等を進めていくかということについていろいろ調査をしているところでございますが、そういった調査に基づきまして農村整備のビジョンと方策等もお示ししているところでございます。今後さらに研究いたしまして、あるべき農山漁村の整備の方向というものをさらに充実してまいりたいと考えておりますので、よろしく御指導願いたいと思います。
  57. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 最近海外等へ参りましても、西欧の都市日本都市とを比べますと、都市においては日本都市よりも西欧の都市の方が美しいという場合が多いわけであります。地方、農村、日本の山河というものはこれは西欧へ行きましても、スイスだとかああいう特殊な国を除いてはやはり日本は非常に美しいのではないかという感じがするわけであります。これを支えているのは農林水産業、多少手前みそのようですけれども、家族経営中心の農林水産業が非常にきめの細かい国土管理をやっているというところにあるのではないかと思うわけであります。そうした面からも一次産業の評価というものを大いに高めていただきたいというふうに思うわけであります。  そこで、現在の四全総は二〇〇〇年を目標とした全国的な総合計画でございますけれども、最近における国内のこうした急激な変化あるいは国際的にも大変動が起きておる、こう言ってもいいような昨今でございますけれども、こうした国際化の進展あるいは国民の価値観の多様化等に応じて、この際ひとつ、四全総ができたばかりでありますけれども、世の中の変化は大変急激でございますから、やはり新しい国土ビジョン、五全総と言っていいのかどうかわかりませんが、そういうものをつくるための検討に今から入っても決して早くはないのではないかと思いますが、これについての大臣の御見解をお伺いしまして私の質問を終わります。
  58. 石井一

    国務大臣石井一君) 国土の均衡ある発展を目指す場合に、今もろもろの御議論がございました。一々ごもっともな意見でございます。  そこで、各省緊密な連絡をとりまして、まず第一に地域主導の地域づくりを推進していく。その次に、ハード面と申しますか、交通とか情報とか通信体系を整備して、その間で十分なまずインフラを完成せしめるということ。四国の、九州の、あるいは北陸のといいましたら切りがございませんが、それぞれの県庁へ行くのに三時間も四時間もかかって、東京へ来るのに一時間だと、こういう現象が今も残っておるわけでございます。それから三番目には、都市と農山漁村等の広域的な交流など、教育文化面での多様なソフト面の施設を含めた施策を拡充していく。こういう三つの観点から今後活力あるふるさとづくりというようなことで進めてまいりたいというふうに思っておりますが、四全総におきましてもそういう方針は文字には出ておるわけでございますし、国土審議会におきましても今さらにそれを進めて調査、審議をお願いしておるわけですけれども、本年六月に国土審議会から内閣総理大臣に対しまして当面の戦略的施策についての報告が行われたと、こういうふうなことでございます。国土審議会におきましては今後も引き続き検討を行い、一九九〇年代の国土政策について明らかにしていく予定、こういうふうなことになっておりますので、その指摘をも踏まえて四全総を一層効果的に推進していき、均衡ある国土の発展にひとつ邁進していきたい、そう思っておる次第でございます。
  59. 福間知之

    委員長福間知之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時一分休憩      ─────・─────    午後一時十一分開会
  60. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  61. 種田誠

    ○種田誠君 私は、最初に土地政策基本となる認識、そのようなことについて伺ってまいりたいと思います。  今日、土地についてのまさに憲法と言われます土地基本法が制定されようとしているわけであります。日本土地に対する新しい物の見方の創造でもあると同時に、戦後四十四年間土地政策の総括であって新たな出発でもある、そういう意味で私もまことに意義深いものと考えているところであります。  明治以来今日まで、日本において土地は私的所有財産としてその所有も利用も個人の自由な意思にゆだねられてきておりますが、ここにおいて土地がまさに空気や水や太陽と同じように、人間にとって不可欠の公共財である、このようなことが認識されるに至ってきたわけであります。その利用権がまさに大きく公共の福祉の制限を受けるこ とはもとより、公共の福祉のためにその利用権や処分権が存在することになった。あえて表現するならば、革命的な出来事と言っても過言ではないと思うわけであります。  そこで、土地基本権の理念の定着、さらには実効ある実現のために、むしろ国民一人一人の土地に対する物の見方、このことを改めていく必要があろうかと思いますし、また、これが改まらなければこれらの法律基本的な理念の定着ということはあり得ないのではないだろうか、このように思うわけであります。  他方、土地に対して、率直に言いまして利益を生む最良の手段だという、こういう認識がこれまた多く存在することも事実だと思うのです。そのことは、例えば日本土地を筆数で割りますと、統計によると何と一億六千万筆にもなる。そして、日本土地所有者は三千四百万人余もおられる。そういうことから考えましても、土地に対する神話性というのがまだまだ存在しているのではないだろうかと思うわけであります。  そういう中で、過日当委員会におきまして、長官みずから積極的に国民土地に対する認識を変えるよう努力をしたい、このような御決意を述べられております。しかし、これまた昨年の六月の総理府の統計で見ますと、土地に関して所有権が公共のために制限されてもやむを得ないのだ、そういう方は何と三八%にすぎないわけですね。大半の方はまだまだそこまで物の見方が至っていないのではないだろうかと思われるわけであります。先ほどの野別委員質問の中にもありましたが、欧米では六割から七割の方が土地の利用権に関する優位ということを当然のことと思っておる。  そういう中で、長官、具体的に過日決意のほどを述べられておるのでありますが、どのような形で国民土地基本法の理念を理解してもらえるだろうか、また、そのような手だてがあるだろうか、お教えいただければありがたいと思うわけであります。
  62. 石井一

    国務大臣石井一君) 本法の第二条に、「土地についての公共的制約」という基本理念の第一のものをうたっておるわけでございます。以下、基本理念と言われるものは四つあると思うのでございますが、やはり一番重要なのは、土地については公共の福祉が優先されるべきものであるという認識国民の間に定着させる。本法の審議を経て、また本法に基づく土地に関する施策の展開を通じて、この基本理念に関する理解が深められるスタートである、こう認識いたしております。土地は現在及び将来における国民のための限られた貴重な資源であること、国民の諸活動にとって不可欠の基盤である、そういう理念に基づきまして、今委員がお述べになりました国民のこういう理解が今のところ三八%という御指摘でもございますが、今後はこの理解が深まるためにあらゆる努力を成立後していかなければいかぬというふうに思います。  本法の六条二項では、「国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、土地についての基本理念に関する国民の理解を深めるよう適切な措置を講じなければならない。」、そういうふうに規定いたしております。なかなか広報、教育と申しましても一筋縄でいくものではないというふうにも思うわけでございますが、法律の中に「広報活動」という言葉で明確に書いてございますので、あらゆる政府広報を通じてもいろいろの機関にそういうふうなことを周知徹底していくという方法。また、教育の課程におきましても、土地に対する考え方、新しい理念というものについてのそういう科目をできれば加えていくというふうなこと。  また、ここにマスコミの皆さんもお見えでございますが、最近異常な土地高騰のために土地問題もかなりマスコミの紙面に出ておりますけれども、そこの基本にあります問題についていろいろな角度からこれを普及、徹底していただくというふうなこと。  そしてさらに、実際に基本法の後に土地価格を適正に安定させる、宅地を供給する、住宅を建設する。そういうような現実の問題の解決を示すことによって、なるほどこれまでとは違うといった国民の理解というものを生んでいかなければいかぬ。政府ひとりがなすべきことでなく、国民全体がそういう意識にのっとって、諸般の施策を進め、総合的な中に理解を深めていき、何年か後に今と同じ調査をしていただきましたときには、その数字が五〇%になり六〇%になりする、そういうふうなことを期待していきたい、そう思っておる次第でございます。
  63. 種田誠

    ○種田誠君 長官の熱意ある御決意のほどをありがたく拝聴いたしました。私、そのような中で、今長官も述べられましたが、やはり教育というものは極めて重要ではないだろうかと思うわけであります。  そういう意味で、先ほど長官は教科書なども想定に置いてだと思いますが、学校教育、小学校、中学校、高校、そのような教育の中にも土地に対する新たな国民認識土地に対する物の見方、このようなものをぜひとも各省庁と御協議の上、でき得るならば来年度の教科書あたりから入れていただければ幸いだと思うわけであります。  と申すのも、このような物の見方は、欧米においてはもう小学校の時代から公共財産に対する教育が徹底されているわけであります。それがいわゆる日常生活のモラルの問題、ルールの問題、そしてまた秩序を維持していく、そういうことが積み重ねられて初めて法律が理想どおりに定着していくという、こういうことがありますものですから、ぜひともお願いを申し上げたいと思います。  問題点がちょっと細かくなって恐縮なのでありますが、私この土地基本法案の第二条についてちょっと伺いたいと思います。  憲法二十九条にも公共の福祉という言葉は使われておるのであります。まさに自由権と生存権の調整理念として、憲法上大きく公共の福祉という概念が作用していることは、もうつとに御理解されているところだと思います。  そういう中で、公共の福祉という概念をまずどのようにとらえられておるのか、そこからちょっと伺いたいと思うわけであります。
  64. 石井一

    国務大臣石井一君) 御指摘になりました件は文部省当局とも十分打ち合わせまして、委員の御要望に沿いたいと。ただ、作成の過程等、認定その他、なかなか手続もあるようでございますが、この点は私ひとつ責任を持って取り上げさせていただきたい、そう思っておる次第でございます。  それから、土地基本法公共の福祉とは、憲法や民法で用いられているものと同様の趣旨であり、個々の人間の個別利益に対して、それを超え、あるいはそれを制約する機能を持つ公共的な利益を意味するものであります。  憲法二十九条一項には、確かに私有財産権の規定がございますが、二項並びに三項にそれと並列して、二項には土地所有権についても他の財産権と同様、公共の福祉のために制約を課することができると規定されております。三項には、御承知のように土地の収用等につきましてさらに厳しい規定があるわけでございます。土地基本法二条の「土地についての公共の福祉優先」は、このような考え方を土地についてもより明確化したものであると、こう御理解いただければと思うわけであります。
  65. 種田誠

    ○種田誠君 冒頭の教育の点については本当にありがとうございます。  今、長官から述べられたこと、私も基本的には同じ認識に立つわけでありますが、私ども法律の上で公共の福祉という概念を用いる場合には、極めて重要な概念であるがゆえに、慎重にかつ正確に扱わなければならない、このように今まで理解してきたわけであります。  そういう中で、さらに今、長官が述べられたことを踏まえた上で、公共の福祉というものの概念の果たす役割というのは、先ほど私申し述べましたように、調整原理である。すなわち価値と価値の比較考量を図った上でどのような価値を優先させるかとか、またその価値を尊重するとか、そういうふうな作用を果たす概念でもあると思うわけであります。  そういう立場に立って第二条における公共の福祉というのをより具体的に述べてもらった場合に、どのような価値と価値の比較の中に何を実現しようとするのか、省庁の方で結構ですが、御答弁願いたいと思います。
  66. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 二条の公共の福祉優先の大原則のもとに、理念としては三条から五条まで規定されておりまして、まず三条では適正な土地の利用と計画に従った利用の規定がございまして、三条の一項では、およそ土地というものは、所有するだけで、それを利用するもしないも所有者の自由である。また、利用する場合は、どのような利用でも所有者の権限に任せられるということではなしに、土地の所有には、もちろん所在する地域の諸条件に照らして適正な利用でなければならないわけですが、そういった適正な利用の社会的な責務のような規定が置かれておるわけでございます。  また、適正に利用する場合には、適正、合理的な土地利用が図られるための土地利用に関する計画を策定して、それに基づいて利用する、これも一種の公共的制約の一つだと思います。  また、取引に当たっては、第四条で「土地は、投機的取引の対象とされてはならない。」、非常に厳しい取引に対する公的規制だと思っております。  また、五条では、土地の価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担が求められるということですから、土地から得られる利益は自由に所有者にゆだねられるというのではなしに、その多くは社会経済的な要因に基づきまして、言うなれば外部要因に基づいて得られる利益でございますので、適切な還元をしないといけない。これもやはり公共的な制約の一種だと思うのです。  そういうぐあいに、この三条から五条まで、二条の規定を敷衍した格好で私権の制限の基本方向を示しておるというふうに考えております。
  67. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、いわゆる利用権の優位、かつ今述べられましたように投機に対する規制、利益還元を強く求める。このようなことが一つの理念として働く概念だと、そのように述べられたのだと思いますが、そうした場合、端的に対立する概念として存在するのは私的所有権だと思うのです。  その場合に、今のようなことを働かせることによって、それでは守ろうとする価値や権利は何なのでしょうか。
  68. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) この基本法の第一条「目的」にございますように、適正な土地利用の確保を図りつつ適正な地価の形成を図る、ひいては国民生活の安定、あるいは国民経済の健全な発展に寄与する、そういうことが目的でございますので、そういうスタンスに立った基本理念だというふうに理解しております。
  69. 種田誠

    ○種田誠君 さらに、今一条の「目的」のことを言われたのですが、とするならば、守るべき価値というものはまさに一条の中に入っているんだと、このょうに理解してよろしいでしょうか。
  70. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先ほど一条の「目的」の中に、適正利用確保あるいは正常な需給関係と適正地価形成、これが一つ土地政策の目標でありまして、その目的は、ひいては国民生活なり国民経済の安定、発展、そういう大きな目的に寄与する、そういう趣旨でございます。
  71. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、今述べられたこの一条の言葉の中に、例えば自然環境との調和とか、それから土地を持つ者と持たない者との認識に立った上での格差解消の問題とか、それからいわゆる社会的な弱者と言われる方の立場に立った意味での権利保護とか、そういうものは含まれているというふうに理解していいのでしょうか。
  72. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 土地の利用に当たって、そういった自然環境その他の配慮がなされているのかどうかというまず第一の御指摘でございますが、三条の適正な利用におきましても、ただやみくもに土地を利用すればいいという性格のものではない。そういう趣旨で「土地は、その所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用されるものとする。」という規定になっておりまして、やはり自然環境を保全する必要のある地域土地は保全されるべきだという趣旨が含まれておるわけです。そういうふうに理解していただきたいと思うところでございます。  それと公平の問題でありますが、公平の問題については、まず土地によって不労所得を得るということが社会的不公平の一番大きい根源じゃないか。そういう趣旨で五条の理念で、外部的要因によって得られる土地の利益というのは適切に社会から負担が求められる、そういう趣旨でありまして、さらにこれを敷衍しまして、第十四条あるいは第十五条の施策を講じながら、そういった社会的公平の確保にも努力をする。そういうふうな構成になっております。
  73. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、いわゆる公共の福祉という概念をまさに今長官がそしてまた局長が述べられたような視点に立って運用し、その価値を優先させていく。そのように伺っておきたいと思います。  次の質問に入らせていただきたいと思います。  この土地基本法の五条並びに十四条を拝見いたしますと、いわゆる開発利益の公共還元ということが言われているわけであります。この開発利益の公共還元について、従前来もそして本日も同僚委員の方からも質問があったわけでありますが、そういう中で、私はやはり開発利益の公共還元というのはかなり難しいものであるという認識に立っても、執拗に追い求めていかなければならないものでないだろうかと思うわけであります。  とりわけ我が国においては世界に類例を見ないほどの地価上昇、それによっていわゆるまさに巨大なと言われるキャピタルゲインが得られている国であります。しかも、先ほど来もお話がありましたように、資産格差などがひいては政治不信まで生んでしまった。こういうふうなことになっている場合に、開発利益の公共還元システムの構築をすることは、他の国よりも今の日本において私は極めてその必要性が高いのではないだろうかと思うわけであります。  そういう中で、これまで実際に行われてきた方法としては、いわゆる税制面においてしかるべく課税をした上で吸収をしていく。こういうふうなことが一般的なとられる手だてだったと思うわけですね。そういう中で、やはり新たな視点で開発利益の公共還元を図る手だて、このようなものを省庁において今御準備されているものがあるならば、簡単で結構ですが述べていただければと思います。
  74. 石井一

    国務大臣石井一君) 開発利益の公共還元というのは、基本理念の一つの重要なものになっておることは御承知のとおりでございます。諸外国におきましても、開発利益が言うなれば労せずして入ってくる利益であり、不当所得である。こういうような考え方から非常に厳しい規制をしておるところもあるようでございますが、なかなか実際問題として、そのシステムを具体的に構築するということが難しい問題であることは確かでございます。  国土庁といたしましては、今後基本法にのっとりまして、特に新しい開発を進める地域等に関しましては、現に例えば交通との一体化の法律等の中には、少なくとも民間にまで及んでおりませんけれども、地方公共団体にはそれなりの負担を課すというふうな制度も導入しておりますので、今後新たに打ち出す施策の中で、明らかにその施策を講ずることによって利益を生ずると考えられますときには、今申しましたようないろいろの施策、税制も含めまして、こういう制度を構築していくことが絶対に必要である。それが法の精神にのっとったものであると考えております。  これまでにも例えば委員も御存じのとおり、土地再開発におきます減歩の問題でございますとか、臨海地の埋め立て等の問題に一部そういうふうなのが導入されておりますけれども、どちらかといいますと、これもやっぱり土地基本の計画が立った段階でそういうふうなものを導入いたしませんと、自然発生的にそこに価格が上乗せされましても、それは不労所得としてなかなか還元の方法がないということでありますから、今後は前向きに講ずる施策にこの思想を貫いていく、こういうことを考えていきたいと考えております。
  75. 種田誠

    ○種田誠君 その点に関しましてですが、私はちょっと視点を変えなきゃいけないのじゃないかなというところが一つあると思うのです。  それは、この開発利益の還元というのが極めて難しいということは、都市計画の大先輩でありますイギリスにおいてもフランスにおいても西ドイツにおいてもなかなかうまくいかないわけであります。  実際、イギリスにおいても何回か実行されてみたり、やはり時の政権によって廃止されてみたりということで、端的に開発利益が一体どのくらいあって、それをどこからどういうふうに取るのかという、これはやはりなかなか難しいだろうと思うわけですね。逆に、この開発利益をまさに公共化するのには、先ほど同僚委員が午前中質問しておりましたが、やはり国、公共企業体が土地に対する先買い権を保証されて、そして公有地化を図っていく。そういう中で調整のバランスのとれた地域開発を行う、これが私は還元を求める最もいい方法ではないだろうかなという気がするわけであります。これが一つであります。  それからもう一点、今長官がおっしゃられましたように、新しい宅地の開発に関しては、現在ある法令はもとより、ことし制定されました簡単に言ってしまえば常磐新線などにも見られますように、やはり新たな視点に立って、いわゆる区画整理などを先行させながらこれも公共事業体が先行買いをして、そして実行していくということになると思うのですが、そういう意味で、私は長官が言われたことは極めて重要だと思います。もちろんそれが大きなベースだと思います。しかし、現実にそれを実行するのには、今私が述べたような、こういう視点に立った施策推進するということはいかがなものでしょうか。
  76. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先生指摘のとおり、十四条にございます受益者負担金なり開発者負担金というものを徴収する制度、仕組みというのは非常に難しゅうございます。難しい原因一つは、やはり著しく利益を受ける者と地域を特定することが難しいですし、また受ける受益の幅を特定することも難しゅうございます。  現在、都市計画法あるいは土地改良法その他いわゆる主要な公物管理法には受益者負担の制度がございますが、積極的に活用されておるのはわずかだという現状にとどまっております。したがって、この基本法十四条の規定を受けまして、我々も今後新たな受益者負担のあり方についてさらに検討していかなけりゃならないと思っております。  ただ、先生がそれとあわせて御指摘になりました大規模プロジェクトに関連する公共団体による先買い、これは実質的には公共側によって事前に開発利益を吸収する有効な手段だと思っております。かつては新住宅市街地開発法に基づく大きな団地整備等ございましたけれども、これなどはほとんどそういった先行取得によりまして、公共側で用地取得公共側で主として開発利益の多くを吸収していった、そういう例だと思いますけれども、やはり土地に対する権利者の執着意識がますます大都市地域で強くなる中で、そういう方法もかなり難しい面が多くなってきておる、そういう一面もあろうかと思います。そういう方法も、特に常磐新線等の沿線では公共団体の協力もいただきながら活用していかなけりゃならないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  77. 種田誠

    ○種田誠君 そのような視点に立って、より一層前向きに進んでいただきたいと思うのですが、そういう中で、私はもうそろそろ日本も具体的に土地基本法に基づいた施策を行う上では、やはりフランスにおけるあの有名な長期整備区域を設けての一定の先買い期間を置くとか、こういう制度もそろそろ大規模開発などの重点開発の場合取り入れることによって、ぜひとも実効ある形をつくっていただければ幸いだと思うわけであります。  そういう意味で、先買い権と同時に、まさに計画の策定というのが極めて重要視されるわけでありますが、計画の策定に入る前に、もう一言だけちょっとこの点について確認しておきたいのですが、先ほど長官のお話にも、鉄道整備などを伴う新たな周辺地域等の開発を行う場合に、さらにより具体的な施策を考えてみたいものだ、このようなこともたびたび言われておるわけであります。  そういう中で、何か現実にこういうものはという今考えられているものはあるのでしょうか。
  78. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 先ほど来、国土庁長官及び藤原土地局長から御答弁ございましたが、この問題につきましては本当に受益の範囲と受益の程度という問題になろうかと思います。それで、例えば、東京湾の臨海部の開発構想、こういう大規模なプロジェクトでございますと、受益者の範囲とか受益の程度というのがある程度つかまえることが、考えることができますので、こういうようなものにつきましては大街区方式の土地区画整理事業、こういうものを想定いたしまして費用負担を求めていく、こういうような活用方法も考えていきたい、こういうように思っております。
  79. 種田誠

    ○種田誠君 一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、さらに細かいことで申しわけないのですが、第十一条、いわゆる土地利用計画の策定関係について伺っていきたいと思います。  この第十一条は、私先ほど申し述べましたように、土地基本法の極めて重要な位置づけを得ている施策一つだと思うわけであります。土地の所有権というものがまさに利用権に対して優先するというのが今までの一般的な認識であったわけでありますが、そういう中で、まさにこの条項は現実に所有に対して利用権を優先させるという、そういうふなう視点に立ってつくられているのだろうと思うわけであります。したがいまして、この条項の実施いかんによってまさに日本土地基本法性格が決まってくる、このように言い切ってもいいのではないだろうかと思うわけであります。  そういう意味で、この十一条における「土地利用に関する計画を策定する」、この言葉の中身は極めて重要であると同時に重いものである、私はそのようにも理解しているわけであります。  そこで、最初条文について伺いますが、第十一条における「土地利用に関する計画を策定する」という一般宣言がありまして、次に二項において、「特に必要があると認めるときは土地利用計画を詳細に策定するものとし、」、そしてさらに飛びまして、「土地利用計画を広域の見地に配慮して策定するものとする。」、このようになっておるわけでありますが、私が若干疑問に思いますのは、例えば国、県が一つ土地利用に関する計画を策定した。さらに、地方自治体の中の市町村が別個に、より詳細な計画を策定した。このようなことが同一地域に対して起こり得る余地というのはあり得るのでしょうか。
  80. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先生も御承知のとおり、現行の土地利用計画体系といたしましては、国土利用計画法の中に国土利用計画及び土地利用基本計画を定めることになっております。国土利用計画は全国計画、都道府県計画、市町村計画という、それぞれ国、公共団体間の体系的な計画を整備する、そういう格好になっております。ただ、この計画は即地的な計画ではなしにマスタープラン的な計画でございます。さらに、土地利用基本計画は、県ごとに土地利用の区分を示す、これもやはりマスタープランでございます。現実の個別具体の地域計画は個別法にゆだねられておりまして、例えば都市計画法に基づく都市計画あるいは農業振興地域の整備に関する法律に基づく農振計画等がございます。地域的には若干オーバーラップする部分があるわけですけれども、そういうのは上位計画等をにらみながらできるだけ作成段階で相互に調整する、そういうふうなことをしております。
  81. 種田誠

    ○種田誠君 ちょっと私の質問と回答がかみ合っていないのですが、私ももちろん今の日本土地政策の中に都市計画法があり、線引きがなされ、色塗りがなされ、建築基準法によるその他の制限もまた多々ある、それはそれでよろしいと思うのです。  ただ問題は、私が今伺っているのは、十一条に関してちょっと伺っておるのですが、十一条の第一項と第二項の関係はどういう関係になるのでしょうか、これからまず伺いましょう。
  82. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) まず、十一条の第一項におきましては、一般論として土地利用計画策定の必要性、策定に当たっての勘案事項を定めているわけでございます。また、土地利用計画の充実を図っていくに当たりまして、その詳細性を確保することは極めて重要でありますので、そういった詳細の必要性を二項で規定しておるわけでございます。そういうことで一般論と必要に応じた留意事項、そういうことを一項、二項で書き分けておるということでございます。
  83. 種田誠

    ○種田誠君 そういたしますと、それでは一般論として土地利用に関する計画策定というのは、どういう内容を今描いておるのでしょうか。
  84. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) この十一条第一項では、土地利用計画の範囲といたしまして、例えば現行計画で言いますと、国土利用計画の全国計画や都道府県計画あるいは土地利用基本計画、そういったマスタープラン的なものも含めて全部この土地利用計画の範疇に入る、そういうふうな考えでおります。したがって、そういう計画を策定する際にも配慮されるべき一般事項を一項で書いてあるわけです。したがって、適正かつ合理的な土地利用を図るためには、人口、産業の将来見通しや、あるいは土地利用の動向その他の自然的、社会的、経済的条件を勘案してつくりなさい、そういうことになっておるわけでございます。  詳細計画の方は、詳細性の確保は重要でございますが、どの土地利用計画についても必ずしもすべてが詳細性を求められるものじゃないと思うのです。地域に密着した土地利用計画を決める場合には、できるだけ詳細に決めていく必要があろうと思います。特に遊休地とか、あるいは市街化区域内農地の宅地化を促進する、土地利用転換を図っていく、そういう場合にはまさに詳細な計画を定めないといけないだろう、そういうことで二項でそういう旨を規定しておるわけでございます。
  85. 種田誠

    ○種田誠君 そう伺いますと、仮に一項で茨城県が土地利用に関する計画を策定した、そして私のところが二項に従って見通しが必要であると考えて土地利用計画を詳細に策定したと、こうなった場合、もちろんその策定主体は二つに分かれるわけですね。そしてその二つの関係はどういうふうになるのでしょうか。
  86. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 規定、制度でもそうでございますが、より広域的な計画のもとで、より地域的な詳細な計画をつくるというのが通常のパターンと思いますが、その場合にはやはり広域計画を念頭に置いて、あるいは基本としながら、それに調和するように地域の計画をつくるというのが原則でございます。
  87. 種田誠

    ○種田誠君 そういう中で、特に二項についてさらに伺いたいのですが、この二項で一つ今挙げました詳細策定、この詳細策定というのは、一体これはどのようなものをイメージして現実に指導していこうとしているのか。具体的に諸外国の例で言えば、西ドイツなどでは、Fプランに対してよく言われるBプランというのがありまして、このBプランなどは本当に一件一件の土地の利用まである程度規制をしたり、その利用を指導するわけです。そういうものまでこの詳細策定というのは想定しているのかどうか、伺いたいのです。
  88. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 詳細性の程度についてはいろいろまだ議論しないといけないと思いますが、現在西ドイツのBプランに類する詳細な土地利用計画といたしましては、都市計画法の中に地区計画制度がございます。こういう計画を当面念頭に置いております。最近も再開発地区計画制度という制度も創設されまして、こういう詳細な計画制度が充実されつつあります。  今後必要に応じまして、さらにそういう詳細計画のあり方等も検討されていくのだろう、そういうふうに我々期待しております。
  89. 種田誠

    ○種田誠君 そういう中で、衆議院で新たに三項というのが加えられたわけであります。読みますと、「第一項の場合において、国及び地方公共団体は、住民その他の関係者の意見を反映させるものとする。」と、こうなっているわけです。  今局長答弁を伺っておりますと、一項は例えば一般的につくる場合のようなこと。二項の場合には、さらに具体的なケースのような場合を想定して述べられて、答弁されておるわけなんですが、三項を見ますと、そうであるならば「第一項の場合において、」というのではなくて、逆に第一項及び第二項の場合とか、もしくは前両項の場合においてとか、そういうふうに字句を整理するのがより鮮明にこの条項が生きてくると思うのですが、いかがなものでしょうか。
  90. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 御指摘のような考え、整理の仕方もあろうかと思いますが、これは衆議院で修正していただきました。ただ、私の方の理解といたしましては、およそ土地利用計画を策定する場合には、広く関係者の意見を反映させる必要があるという趣旨だと受け取っております。  ただ、具体的な反映のさせ方といいますのは、それぞれステージ、ステージの計画によりまして、関係者の範囲も違いましょうし、反映をさせる手段、手法も変わってくると思います。しかし、一般論としては住民及び関係者の意見を反映させながら計画をつくっていくということは重要だ、そういう趣旨に受けとめております。
  91. 種田誠

    ○種田誠君 その点はむしろ私の質問がまずかったのかもわかりませんが、住民の意思を十二分に一項の場合も二項の場合も反映する、そういう趣旨だというふうに伺っておきます。  それで、この詳細規定などをこれからつくるに当たっての問題は、先ほど来御答弁もあったのですが、日本都市計画法にしても建築基準法にしても、農振法にしても森林法にしても、土地に対するいろいろな用途規制を初めさまざまな規制をしているわけであります。そういうものと今回十一条に書かれている詳細規定または一般的な計画策定、こういうものをどういうふうに今後調整していったらよろしいのでしょうか。
  92. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) この十一条一項の規定も現行の土地利用計画制度を前提として規定しておりまして、当面はそういった計画の改善、充実、活用を図りながらやっていきましょう、そういう考えであります。  現在の計画体系で不十分な場合には、もちろん必要に応じて新たな計画制度というのも当然検討されるべきだと思いますが、現在はとにかく計画体系に屋上屋を重ねるのではなしに、現在の計画をとにかく充実、改善、活用していきたいのだと、そういう前提に立って規定し、理解しております。
  93. 種田誠

    ○種田誠君 この十一条で、先ほど局長さらには長官が述べられたように、より土地に対する利用権による所有権の制限という視点に立って施策がつくられるという視点が入ったわけでありますから、既存の関係法令に関しても、かなりマスタープランとしてだけ位置づけられて、それがさらに実行されていないという点も多々あったかと思われるわけです。そういう意味で、より一層の充実を図っていただきたいと思います。  次に、先ほど冒頭でも伺ったわけでありますが、またさらに、午前中の野別委員質問にもございましたが、十二条におきます適正土地利用の確保に関して伺いたいと思います。  先ほど来の野別委員質問にありました公有地拡大推進の件であります。日本において一九七二年に公有地拡大推進に関する法律というのが生まれております。そしてこの法律は現在も機能はしているわけでありますが、私がこれまでうかがい知るところによりますと、せっかくのこのような法律があって、いわゆる先買い権なども保証されていながら、現実的にこの法律が十二分な機能を果たしていると、そのようには伺っていないわけでありますが、これはどういうところに原因があったのか、端的に御提示願えれば幸いだと思います。端的で結構です。
  94. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 午前中もお答え申し上げましたが、法施行以来からちょうど六十二年度末までに約九千九百ヘクタールということで、用地の買収には一定成果を上げている。実はこの届け出申し出の実績を見てまいりますと、届け出とか申し出件数の約三割というような形で買い取りの成立も成っておりまして、この制度としましては私たちは一定成果を見ているのではないかと思っております。  さらに、総合土地対策でも指摘がございましたが、面積引き下げの問題、これをことしの六月にもやっております。また、これからもこの制度によりまして土地を譲渡されました方への税の取り扱いの問題、これにつきましても長年額が据え置きになっておりますので、この拡充につきましても関係方面に要請をしている。この制度の活用につきまして今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
  95. 種田誠

    ○種田誠君 最大の問題はやはり都道府県などにおける財源の問題ではないだろうかなという気もするのですが、その辺はいかがでしょうか。
  96. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) この制度につきましての財源手当てにつきましては、公共用地の先行取得事業制度というのがございまして、これで大体現在のところ、過去五カ年を見てまいりますと平均的に二千億程度毎年起債が認められております。財源的には実情に応じまして措置をされているというように理解はいたしております。
  97. 種田誠

    ○種田誠君 そういたしますと、むしろ運用に問題があるのか、それとも土地の所有者の意識に問題があるのかということにならざるを得ないと思うわけであります。  先ほども幾つかの提案があったのですが、当委員会でまだ出てなかったと思うのですが、いわゆる相続における物納制というのをもう少し活用したらいかがだろうかと思うわけであります。というのは、相続において物納をする場合に物納が少ないのはそのときの評価に問題があると思うのです。いわゆる相続を物納でする場合、これは時価で土地の評価がされるのではなくて、かなり時価よりは低い相続対象課税価格でこれが決まっていくわけでありますから、これから物納をさせる場合には時価相当で評価して、これで結構ですよとすれば、物納というのがもう少し機能するのではないのだろうかと思うわけでありますが、いかがなものでしょうか。
  98. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 公有地拡大につきましては建設省の方から答弁がございましたように、これまで相当の実績も上げてきておると思います。ただ、公共団体責任者の方からいろいろお聞きする話では、予算措置も随分努力していただいているのですが、先行取得債も一定期限内に事業をやる見通しがなければだめなんですね、例えば五年以内に事業が予定されているとか。それとか公共事業の代替地的なものをもっと抱えたいとか、いろいろ公共団体側には公共団体側の希望があるようでございます。そういう点も踏まえて、また関係省庁でいろいろ御相談しながら進めていきたいと思います。  先ほど御指摘の相続税の物納を公共用地としてというお話ですが、これは国有地ですから、国有財産の方ではそういうヶースもかなりあるのじゃないかと思いますが、その際に優遇措置を講ずるかどうかというのは、これまた私ども関係方面とまたいろいろ御相談したり意見交換したりしてみたいと思います。
  99. 種田誠

    ○種田誠君 先ほどおっしゃられました税制上のいろいろな処遇、そしてまた私が申し上げました問題点、さらには土地の起債などについても十二分に協議されまして、さらにこの点が推進されることを希望するものであります。  反面、私危惧するのは、最近公有地拡大という方向じゃなくて、民間活用という名のもとに公有地が逆に払い下げられていくという傾向があることもまたこれ事実だと思うのです。そういう意味で、この辺の公有地拡大に関する法律、さらには土地基本法における理念、このようなものを実効あるものにするためにもぜひとも御努力をお願い申し上げる次第であります。
  100. 石井一

    国務大臣石井一君) 局長からも答えておりますように、基本法の十二条の規定の中で「適正な土地利用の確保」、そういう措置の中に公有地拡大は位置づけておるわけではございますが、大変ごもっともな御指摘でもございます。また、今後有効な施策を遂行いたしますために公有地拡大ということは非常に重要な柱の一つだと認識いたします。  そういう意味から、改正の問題につきましては委員長中心に御決定をいただくわけでございますが、この問題に関しましては、政府といたしましては柔軟に前向きに取り組ませていただきますということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  101. 種田誠

    ○種田誠君 大変ありがとうございます。  次の問題で、私は住宅保障法の制定を目指してという視点に立って御質問をさせていただきたいと思います。  大都市でこれだけ地価が上がってしまいますと、私は四十四歳ですからまさに中堅勤労者に当たるわけでありますが、この私の立場において、率直に言いまして今国会議員をさせていただいても、東京都内において私有の持ち家を持つことは多分不可能ではないだろうかと思うわけであります。それは歴然たる事実として存在していると言わざるを得ないものと思うわけであります。そういう中で、土地基本法が制定されることによってより一層土地の利用権が高まるとしても、なかなか中堅勤労者住宅難は解消し得ないのではないだろうか、そのようにも危惧するわけであります。  そういう中で、先ほど来往宅の大量供給による手当てということが答弁されているわけでありますが、私も、今建設省において、いろいろ審議会からの意見を踏まえた上で新たな施策が展開されようとしているということに関しては、極めて重要な施策であろうという認識に立つわけでありますが、その中で一、二点、私は極めて問題を抱えているのではないだろうかと思うわけでありますので、その点について触れさせていただきたいと思います。  建設省の今回のいわゆる大量住宅供給、私はそのところについては大賛成であるということ。それからいわゆる重点供給地域をつくられまして、とりわけ通勤一時間圏以内などについての対策を積極的に進めようと、これも賛成であります。さらに、住宅に関しても、より快適な、より広い住宅を良好な環境のもとに提供しよう、これも賛成であります。問題は、果たしてこれらの供給する住宅が中堅勤労者である私たち四十代前半の者に取得し得る価格かどうかということが最大の課題だと思うわけであります。  そういう意味で、まず持ち家について、果たして私たち中堅勤労者が確保できる価格として設定されているのかどうか、またその基準、その辺のところを教えていただきたいと思います。
  102. 立石真

    説明員(立石真君) ただいま先生の御指摘がございましたが、大都市地域におきましては、近来の土地高騰に伴いまして、中堅勤労者が新たに住宅取得しようといたしますと非常に困難な状況になってきているわけでございます。現在の首都圏地域平均的な勤労者の年収に比べまして、最近ではマンションで七・〇倍、持ち家では七・五倍に及ぶというような状況になっているところでございます。  こういうような観点から、先生指摘ございましたように、建設省といたしまして、大都市地域の中堅勤労者向けの住宅の大量供給をしていきたいというように考えているところでございます。  それらの住宅供給価格等につきましては、具体的な数値としてははじいているわけではございませんが、いろいろな施策を通じまして住宅供給戸数をまず量としてたくさん供給するということ、そして、それと同時に質についても、例えば土地の有効高度利用を進めるなどによってかなりの程度質のいいものを安く供給できるというように考えておりまして、これらを通じて適正な住宅供給に努めたいというのが趣旨でございます。
  103. 種田誠

    ○種田誠君 そこまでは私も賛成なんです。問題は、果たして中堅勤労者が買える値段としてそれは位置づけられているのかどうかということであります。想定されている中堅勤労者というのは一体どのくらいの年収で、まず持ち家の方を聞いているわけでありますが、幾らぐらいでこれが供給されるんだということを想定されているのかということであります。その点だけちょっと教えてください。
  104. 立石真

    説明員(立石真君) 住宅取得します場合に、一人一人いろいろな条件があるわけでございますが、平均的に計算をいたしてみますと、大体現在の年間所得が七百十一万円というようになっております。この人たちが、通常自分の持っている貯蓄を使って、かつ公的な住宅融資あるいは民間住宅融資等を借りて、さらに税制上の措置等を活用いたしますと、大体ローンの返済率を所得の二五%以内におさめたいというように考えておりますところでございますので、おおむね平均的な方ですと四千万円ぐらいというのが取得可能な住宅であろうかと思うわけでございます。  ただ、実際は全部住宅価格あるいは住宅取得というのが平均的ではございませんで、例えば資産を持っている人もおりますし、また親からの資産を当てにすることができる方もおります。いろいろな便宜がありますので、一つの目標は平均的には四千万円程度で買える住宅でございますが、それを中心に幅のある住宅供給になろうかと思うわけでございます。
  105. 種田誠

    ○種田誠君 ぜひとも、これからの大量住宅供給をする場合に、現実にいわゆる中堅勤労者の所得で買える範囲の中に抑えるという、そういう視点での施策を展開していただかなければ、何ぼ供給されても買えないのじゃこれはしようがありません。皆さん方の省庁の課長さんとか課長補佐さんとか、その辺の方たちが皆さん中堅勤労者だと思うのですよ。ですから、その所得とか、実際買えるか買えないかはわかると思いますので、ぜひお願いしたいと思います。  さらに、もう一点だけこの関係伺いますと、なかなか持ち家は東京都内では無理だと思います、率直に言いまして。その場合に、先ほど来答弁なされるとおり、いわゆるアパートとか公共住宅のようなものの賃貸の居住建物が極めて必要になると思うわけであります。このことについても、建設省さんを中心にしてかなりの供給を図ろうとしていることもわかるわけでありますが、問題は東京都内で原価主義で、仮に賃貸ですから、結婚して二十代の後半から三十代の半ば過ぎまで、子供さんが小学校に上がれば持ち家になりたいとかということになるかと思いますが、それまでの間に東京都内の職住接近で住みたいと考えた場合、果たして二十代後半から子供さんが小学校に上がるぐらい前までのいわゆる勤労家庭において取得できるようなコストで建築が可能かどうかということであります。また、それが不可能であるならば、中堅勤労者がまさに要求されている需要にこたえることにはならなくなってしまうものですから、その辺のところについてお考えをお知らせいただきたいと思います。
  106. 立石真

    説明員(立石真君) 先生指摘がございましたが、大都市地域での住宅問題の一つの大きなしわ寄せを受けている階層といたしましては、貸賃住宅に居住している三人ないし四人世帯層、まあファミリー層ということでございます。先生指摘のように、二十代後半から三十代にかけて賃貸住宅に住もうとすると、優良な質の賃貸住宅が著しく不足しているというのが現在の状況であるわけでございます。賃貸住宅供給につきましては、まず基本といたしましては、住宅建設五カ年計画に基づきまして、現在低額所得者あるいは都市勤労者等に対しまして公営住宅、公団住宅等、公共賃貸住宅を的確に供給していきたいということを基本に据えているわけでございますが、これらに加えまして、民間の賃貸住宅供給というのも政策的に金融上、税制上の面からも支援する措置をとってその充実に努めているところでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、ファミリー層向けの賃貸住宅が非常に不足しているという現状がございますので、今回建設省において検討しております大都市地域住宅宅地供給におきましては、賃貸住宅供給も大きな内容として取り組んでいるところでございます。
  107. 種田誠

    ○種田誠君 時間が参りましたので、最後に長官伺いたいのですが、今、関係担当の方から述べられましたように、東京都内においても、持ち家はもとより賃貸住宅などの大量の供給を図って中堅サラリーマンの需要にこたえようとされる施策が展開されようとしているわけであります。問題はその人たちの給料で借りられるようなものでなければならないわけであります。何ぼ原価が高くても、つくられたとしても借りられなければ意味がないわけでありますから、その辺のところをある程度応能的な物の見方を加味される中で、ぜひともこの事業を早急に施行していただきたいと思うわけでありますが、最後に御見解だけをいただきたいと思います。
  108. 石井一

    国務大臣石井一君) 御議論を聞いておりまして、まことに説得力のあるお話でございます。  常識的には、今のまま住宅供給したところで、いいところは仮需要によって投機的に押さえられるであろう、そして他のものはどうにもならないだろう、こういうようなことも考えられるわけでございますが、私は、ここで基本法成立とともに発想を転換し、大都市の中であいておりますところ、未利用のところ、遊休のところというふうなものを有効活用し、また抜本的に宅地の供給もやることによりまして、民間でできるものも多いようでありますが、少なくとも公的な主体によります、それを通じて供給する住宅なり宅地は、今、委員の仰せられておるような状況に合わせませんと、何のために政策をやるのかということになるだろうと思います。それに誘導されて、やはり需給関係でありますから、民間で建設するものもだんだんそれに合ってくる、こういうような状況が起こり、また、これまで需要供給がアンバランスになっておるものが、供給がふえることによりまして需給が見合い、適正な価格ができてくる、こういうような経済原理も年とともに定着する。そういうことに持っていかなければ、何のためにやるのかということはなるだろうと思います。特に、私自身主務大臣として、また建設省の担当者もおりますから、政府主体の住宅供給に対しては、委員の御指摘の趣旨を十分踏まえて対処したい、そう思うわけでございます。
  109. 広中和歌子

    広中和歌子君 まず、土地基本法について伺いますけれども、土地基本法基本理念といたしまして、投機的取引の抑制をうたい、土地取引の規制に関する措置を施策として挙げられておりますが、具体的にはどのようなことを考えていられるのか、まずお伺いいたします。
  110. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) お答えいたします。  一つは、現在、国土利用計画法にも規制区域あるいは監視区域といる制度がございまして、取引に当たりまして、利用目的なりあるいは取引価格等を調査し、必要な場合には勧告、公表等ができるような制度がございます。こういった取引規制が一つかと思います。  さらには、土地税制におきまして、これは六十二年十月から発足した制度でございますが、超短期重課制度というのがございます。これは、取得後利用することなく二年以内に転売し、その転売によって上げた利益に対しまして大変重い重課制度を課しておるわけですが、これなども土地税制を活用した投機的取引の抑制だと思います。  さらには、金融機関あるいは不動産業界に対しまして、投機的取引をしないよう、あるいは過剰な融資をしないよう指導を進めていくといった面での対応も投機対策の一環かというふうに理解しております。
  111. 広中和歌子

    広中和歌子君 そうした施策は現実に使われ、効果はあったわけでございますけれども、残念なことに大変後追いであったこと、現実に高騰が起こり、数年たった後に後追い政策として導入された、それは大変残念なことだと思います。  次に、法人所有の土地の簿価、それから評価額、時価、その三つの比率と、それから固定資産税の税率についてお答えください。土地の時価に換算した実効税率は何%なのか、それを国際比較すると日本土地保有に関するコストはどうなるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  112. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) お答え申し上げます。  法人所有の土地の簿価と時価につきましてはちょっと把握いたしておりませんが、評価額につきましては約八十五兆円と私ども把握いたしております。  それから、固定資産税の税率でございますが、百分の一・四ということで一・〇四%でございます。  時価に換算した場合の実効税率がどうかということにつきましては、非常に難しい問題でありまして、時価をどういうように評価するかということが難しいわけでございますが、地価公示制度というのがございますけれども、これは全国で一万七千カ所ぐらい国土庁の方で地価公示をいたしておりますが、それとそういう一万七千地点の固定資産税の評価額を比較しますと、今、固定資産税の評価額が地価公示価格に対して大体二〇%ぐらいというようなことでございますので、仮に全国一律にそういうような比率であると仮定をいたしますと、百分の一・四に二割掛けするということで、〇・三%弱かというような計算ができるわけでございます。  それから、国際比較をした場合に保有コストがどうかという問題は大変難しい問題でございますし、それぞれの国で税制の立て方が違いますので比較は難しいわけでございますが、仮に租税総額の中でいわゆる不動産税額といいますか、保有にかかる税の比率をとらえてみますと大体日本が八%ぐらいでございます。それからイギリス、アメリカが一三%程度、フランスが六%程度、ドイツは二%程度ということでございますので、保有コストを国際的に比較すると、イギリス、アメリカには劣るけれども、フランスよりはやや上かなと。これは特に地方税の場合には、固定資産税が中心なのですけれども、例えば資産からだけ市町村税を取っているわけじゃなくて、市町村税のうちの非常に大きな部分、全体の五割ぐらいは住民税で占めているわけでありまして、実は固定資産税というのは三割ぐらいのウエートでございます。したがって、税源と税収バランス、そういったものも考慮しないと、一概に保有コストの問題だけで地方の税の公正というものを考えるわけにいかないのではないか、そんなような考えでございます。
  113. 広中和歌子

    広中和歌子君 お言葉でございますけれども、土地問題に関する学者などの話を総合いたしましても、日本の税率は、保有コストでございますね、アメリカの十分の一などと言われておりまして、最近のこのような地価上昇などを勘案いたしますと、もっと大きな差があるのじゃないか。私自身もアメリカで不動産を持った体験がございますけれども、その比較の中でも私は今のお言葉、つまり日本はアメリカの二倍にしかすぎないといったお答えはちょっと納得しかねるわけでございます。  この基本法の中では土地税制にはほとんど触れられていないのですが、土地保有への実効税率が、私あえて言わせていただければ、請外国に比べて低い、そして土地評価額が低い割には土地を担保に時価の七割もの融資が受けられる、こういうアンバランスが土地投機的動きとなっているのではないか。このことを大蔵省にお伺いいたします。
  114. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) ただいまの土地を担保にというお話でございますけれども、金融機関は一般的に融資をします場合に何らかの担保をとるのが通常のことでございます。ただ、それはいわば金融機関経営の一般的な原則でございまして、特に行政上それを義務づけるとか、そういうようなことは一切されておらないわけでございます。金融慣行といたしましていろいろな担保をとった上で融資をする、その中の一つ土地というものがあるというふうに我々は考えておるわけでございます。
  115. 広中和歌子

    広中和歌子君 約三年前の予算委員会で、日本土地税制は保有に安く譲渡に高いことを指摘いたしまして、それが土地供給を阻んでいるのではないかということに言及いたしましたところ、宮澤元大蔵大臣は、未実現の利益には日本では原則として課税をしないというようなことをお答えになりました。しかしながら、現実の経済活動の中では、低い評価額の土地が高い経済価値を有しているということ、さらには土地購入のための借金の利払いや建物の減価償却に大きな免税措置があり、土地を担保に借金をし続ければ、それが即節税対策になっている、これが土地投機を促進しているのではないかというふうに思われるわけですが、土地税制、この点に関して特に見直しをする御予定はありますでしょうか、大蔵省にお伺いいたします。
  116. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) まず一般的な問題といたしまして、土地基本法、御審議いただいております法案が成立いたしました場合に、この法案そのもの及び法案の御審議の過程でいただきましたもろもろの御意見を踏まえまして、土地税制というものをいかにこれから考えていくかということは当然考えていかなければならない課題でございますし、その指針につきましても法案の中に幾つかちょうだいしているように存じます。  もう一点、節税関連のお話がございましたが、確かに土地関連、金融と絡んだ形も間々ございます。節税という問題が幾つかございましたので、従来もそれなりにいろいろと気を配ってきたつもりでございますけれども、例えば最近の改正で申しますと、法人が借入金を行って、土地は未利用のままである、金利は経費で落ちるというようなものは大変問題ではないか。  これは課税の公平の側からも問題でございますし、土地政策のあり方としても気になるところでございましたので、その損金算入の制限措置をさせていただきましたり、あるいは細かく申し上げませんけれども、相続税の世界でそんなことも対処した項目もございます。これからもそういった面につきましては十分に気をつけてまいりたいと思います。
  117. 広中和歌子

    広中和歌子君 ありがとうございました。  こうした傾向は一部の個人の土地持ちにも波及しておりまして、私のところに舞い込んでまいりました不動産の広告などでもこのことが書かれてありました。そして銀行は節税対策として個人にも土地購入の融資をしており、不動産業者、建設業者もこれに加わって宣伝に相努めているというのが現実でございます。  土地税制に触れない土地基本法は不備の一言に尽きると思うのでございますが、国土庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  118. 石井一

    国務大臣石井一君) 十五条に税制上の措置といたしまして、「税負担の公平の確保を図りつつ、土地に関し、適正な税制上の措置を講ずるものとする。」、そういうような規定を設けておるわけでございまして、これは基本法でございますから、税制のどこをということを記載するのはいささか法制上の問題もあろうかと存じます。ただ、この中に土地利用の問題でございますとか投機の規制の問題でありますとか具体的な問題、いろいろと重要な問題が含まれておりますので、これにのっとりまして適切な税制改革を行い、この法の趣旨が全うされることを期待いたしております。ただいま大蔵当局から長野説明員もお答えになりましたが、静かな中に大変前向きな答弁であったと私は評価いたしております。  具体的に土地保有税の問題、相続税の問題あるいは譲渡税の問題、これは甲論、乙論いろいろございます。メリット、デメリットを含んでおるわけでありますが、今、委員が御指摘になりました、例えば日本の場合、土地保有するのは非常にやすい国でございます。これは国際常識だと思います。そういう中から、これらの問題に関しまして土地基本法にのっとって適切な措置を講じまして、その有効な効果をひとつ図りたい、そう思っておる次第でございます。
  119. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  次に、国の行政機関等の移転について若干御質問させていただきます。  地方移転は東京一極集中の是正としての施策であったと理解しておりますが、政府が発表した案は一極集中是正には期待外れの決定として私は受けとめております。一極集中化の中で東京都市機能に問題が生じており、本来は国土の均衡ある発展を図るために検討されたものであったものが、東京圏以外に出る機関はわずか六十八機関中四機関にすぎません。他はすべて東京都市部、神奈川、埼玉、千葉の三県と茨城県の南部を挙げているわけでございます。今回のリストを見る限り首都圏内移転にとどまっており、多極分散型国土形成促進法の精神は全然生かされていないのではないかと思います。どうしてこのようなリストになってしまったのか。分散そのものが非効率なのか、したがって、できれば避けたいものなのか、国土庁長官にお伺いいたします。
  120. 石井一

    国務大臣石井一君) 実はこの政策は前内閣で発表され、国土庁が中心になり、内閣官房も参加して鋭意会議を進めてきたものでございます。私が就任いたしましたのが八月十日でございますが、そのデッドラインが八月三十日、こういうことであったわけでございます。就任いたしましたときにはここのリストに並んでおるような状況でもなく、それぞれに言い分なり考え方があったようでございますが、とりわけ働いておられる方の立場、労働組合もございます、そこまで合意をとるのにはとってもでき得ないという現実的な大きな問題が残っておったわけでございますが、政府が大きく打ち出した政策でもございますし、何とかここへ追い込んだ。委員から申されるとこれはまことにもって不完全だと言われますが、私からすればよくそのデッドラインにそこまで追い込んだというような気持ちすら持っておるわけでございますが、願わくはもう数カ月私に与えていただいたら、もう少しきっちりしたものをお出しできたのではないかというような気持ちも持っております。  そこで、考えていただきたいのですが、例えばある日突然子供の学校も全部変えなくちゃいかぬ、住居の手当てもせなけりゃいかぬ、生活の環境も違うということになってまいりますと、これは大革命を起こすような作業でございます。しかしやらなければいかぬということは確かでございますが、物には一歩前進二歩前進という言葉もあると思うのでございます。  国土庁の国土政策の中に業務核都市という思想を打ち出しまして、東京一点集中、とりわけ東京三区の中心部から少しでも周りへ拡散していく。そういう中からまたさらに拡散をしていくというようなことを考えましたときには、七十五機関がよくも外へ出たなと、まず一歩。そして、四機関というのも非常に少ないのですが、これは本当の意味ではございますけれども、本四架橋などは神戸へ来ていただくことになっておるわけでございます。これは何も私が利益誘導したわけでもございません。そこで橋をかけておるわけでございますから、最も効果的な場所だと思うわけでございますけれども、そういう中から今後ここから一歩も後退しない、まず先駆けができた、こういう形で御評価をいただき、今後さらにこの政策を進めていきたいというのが国土庁の考え方でございます。
  121. 広中和歌子

    広中和歌子君 おっしゃることはよくわかります。そして、何か本当にこのリストは国民への公約上、建前上無理やりにつくったという感が強いような気がいたします。一昨日でしたか発表されました新行革審小委員会の答申でも、自治体への権限移譲にかなりあいまいなものが残った発表でございました。このように多極分散をうたいながら地方分権は難しい、そういう現実があり、また今回の土地基本法の理念はとても立派だと思いますけれども、しかし公共の福祉のためとはいえ実際に人々の住んでいる土地、建物にどれだけ私権を制限できるか実効性は疑問視されます。東京中心とする首都圏は今や通勤地獄であり、交通渋滞もひどい。交通基盤整備をしたくても、土地代が道路建設費の九八%に上っているという例もあり、もうほとんど不可能と言えるのではないかと思います。    〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕  それで、建設省にお伺いいたしますが、大深度法はいつ国会に提出されるのか、そしてこの法律には私権が及ばないことがはっきり明記されているのかどうか、お伺いいたします。
  122. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 大深度の地下利用につきましては、御承知のように、各省庁からそれぞれの事業にかかわります構想が提案されたというところでございます。ただ、大深度の地下というのは、御指摘のように、大都市問題を解決するための本当に貴重な空間である、このように私たち認識をいたしております。このため、秩序ある公共利用の実現、それと私権との調整、こういうものが必要でございまして、共通の手続というものをつくり上げていかなければいけないだろう。  本件に関しましては、現在、内閣の内政審議室を中心関係省庁間の調整を進めていただいているところでございますが、建設省といたしましても、政府全体の調整のとれました成案が早期に得られますよう今後とも積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。  それから第二点の御質問でございます、私権がどこまで及ぶのかということでございます。この大深度地下の公的利用に関します制度をつくり上げていこうというときに、私たち、私権との調整課題等を検討するために建設経済局長のもとに大深度地下利用法制懇談会というのを設けました。座長はお亡くなりになられました林修三先生にやっていただいたわけでございます。昨年の十二月に報告書もいただいたわけでございますが、ここの中でも述べられているのですが、私権に関しましては、井戸を掘る権利に関する判例がございますし、また温泉法の規定等、こういうものがございますが、こういうものを考えてまいりますと、大深度の地下には土地所有権が及んでいないとは言えないのだ、    〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕 一般的には所有権が及んでいると評価することが適切であると考えられる。このような御報告をいただいたところでございます。  こういう中で建設省でどう考えていくかということで、昨年来から法案をいろいろ検討したわけでございますが、やはり大深度の地下にも私権が及ぶという前提のもとで、大深度地下の公的利用に関する制度の検討を行っている。ただし、大深度というのは、地下におきましては一般土地所有権等の通常の利用が行われないような地下空間であるという特性もございます。こういうことで、私権との調整を図りながら公共の利益となる事業のために必要な公法上の使用権をどういうように考えていくかということで、土地収用法との整合性も図りながら、できるだけ簡素化されました手続を創設していきたいと建設省は考えているところでございます。
  123. 広中和歌子

    広中和歌子君 地球の反対側まで私権をお伸ばしになりたいお気持ちなのかななんて思ってしまいますけれども、このことに関しましてはさきの予算委員会でも竹下元総理が大変前向きな答えをしていただいております。大深度にまで私権を及ぼすというようなことになりましたら、本当に土地基本法の原理原則も全く吹っ飛んでしまうようなものでございまして、ここのところだけはぜひ守っていただきたい。大深度に関してはまず何よりも公共が優先する、ここのところはもうきちんと守っていただきたいなと心からお願いする次第でございます。国土庁長官はどのようなお考えでございましょうか。
  124. 石井一

    国務大臣石井一君) 我が国土地問題を考えました場合には大変重要な問題で、当然検討すべき課題だと認識しておりますし、総合土地対策要綱の中にもかなりの部分をこれに割いておる、こういうふうなことでございます。  今回の土地基本法の中には具体的な問題についての指摘はございませんけれども、包括的にはこういう問題も含めて今後検討していくべきであろうかと思いますので、さらに政府のとっております態度を督促したい、そう考えます。
  125. 広中和歌子

    広中和歌子君 本当にお答えどおりよろしくお願いいたします。  土地高騰は、若いサラリーマンたちに一生住宅を買うことができないのじゃないか、住宅への夢を与えることができず、新プロレタリアート層と言っては大げさですけれども、そうしたものをつくりつつあるのではないか、そんなように思います。これは政治責任だと私は思っております。  その他、人口の流入をこのまま放置すれば、上下水道の水問題、そしてエネルギー、廃棄物処理にも問題がございます。一極集中は災害のときにも大問題でございます。こうした首都問題を考えますとき、抜本的対策を立てる必要があり、首都圏から離れた場所へ新都の建設が検討されなければならないと思われるのでございますが、過去三十年にわたりまして新都の建設に関しましては、官、民間を含め多くの研究会、委員会が設置されましたけれども、これがいまだに具体的な形で国民の前に示されていないのはなぜだろうと思われますか、国土庁長官にお伺いいたします。
  126. 石井一

    国務大臣石井一君) 首都移転の問題は国土政策の観点からはまことに重要な問題であり、特に東京一極集中を排除する多極分散型国土を形成する、そうして、この過剰な土地暴騰に対する抑止策としても私は大変有効な政策であるという認識をいたしております。  過去議論をされても、なぜ今日までその結論が出ておらないのかということは、結局は国民の意思が決まらない、こういうことではないかなと思うのであります。国民の意思と申しますのは、まず経済的にこれほど便利な場所はない、そして長年、百数十年以上もこの土地に首都を、正式に法律で決めたわけではございませんが、位置せしめ、そこに情報、金融その他すべての機能が集まり、政治経済すべての機能が集まった場合に、ここへ来れば何でも処理できる、こういう非常に経済性、利便性、採算性等の高い高密度社会に対する一つの順応、こういうふうなものもあるでしょう。  それから第二に思想的な背景。例えば、首都を移すといえば、皇居をどうするのか、天皇制がどうなるのか、こういうふうな議論に関しましても、やはり国民東京に宮城があるのならそこを動かしてはいかぬというようなことを主張される国民の階層もあるわけでございますから、要はそれだけ大きな問題である。国土政策上非常に重要な問題であるにもかかわらず、国民的なコンセンサスがいまだにやはり得られなかったというところが決定のできなかったところではないかな、私はそういうふうに思考いたしております。
  127. 広中和歌子

    広中和歌子君 お言葉ではございますけれども、国民にはっきりとした形で意見を問うたのかどうかということ、そしてまた、首都移転というふうに申しますけれども、その内容についてはっきり吟味したのかどうか、それが問題であろうと思います。すぐに、東京がだめになるとか、それから皇居はどうするかと申しますけれども、首都移転と申しましてもいろいろ規模とか内容があるのではないか。例えば国会と主要官庁だけを動かす、そのような可能性もあるのではないかと思いますけれども、そこまで議論がいかない前に消えてしまっている。  これは天野元建設大臣が新首都問題懇談会の中で述べられて、私、大変興味を持ったのですが、遷都問題は土地高騰とともに沸き起こり、鎮静化とともにいつの間にか消えてしまっているというふうに言われております。戦後これが三度繰り返されたわけでございます。そして、いつも東京圏が火つけ役で、やがて地方に波及し、今や日本土地の資産価値は、これはいろいろ計算の仕方もあるでしょうけれども、少なくともマスコミで報道された限りではアメリカ全土の四倍というばかげた数字になっております。  こうした土地の含み資産を担保にすることによって経済の活性化が促されているという面は確かにあると思います。しかしながら他方、土地や株への投機を生み、これがさらに国境を越えて資産獲得が広がり、国際摩擦さえ引き起こしているわけでございます。東京地価が現在鎮静化しているとはいえ、再度このような高騰が起こらないよう、今や四度目の正直で首都移転を真剣に考えるべきだと思います。  これまで首都移転の問題が沸き起こりながら具体化しなかったというのは、いつもどこへ行くかという、そういうことが先だったからじゃないかなというふうに私には思われるのでございます。つまり、それぞれの地方が誘致に向かって綱引き合戦をする。そして収拾がつかなくなる。結果として政治家の中にそれを調整するリーダーシップをとる人がいなくなって、とりようがなくておやめになってしまう。しかも行政機関の中にも中心となって取りまとめる主務官庁が今までなかったのではないかと思いますが、国土庁長官に一政治家として、また一行政機関の長として御所見をお伺いいたします。
  128. 石井一

    国務大臣石井一君) 理路整然とした意見を次々に言っておられますので、それぞれに議論したいのでございますが、まず第一点目、国民の意識という問題でございます。  私は、今率直に聞かれましたのでそう答えたわけでございますが、国民に現時点で問いかけたといたしましても、これは仮定の問題でございます。恐らく首都移転という意味もわかりませんし、また反対という方の方が多いのじゃないか、私はそういうことを率直に感ずるわけでございます。  しかしながら、国土庁長官立場として考えましたときに、また政治家として考えましたときに、このインパクトがどれだけ大きいかということを考えましたときに、今土地問題が異常事態でもございますし、過去長年議論をされてきた問題でもございますから、この時期にこれが国土政策の上にプラスになり、さらに土地問題に対しましても大きな貢献をするということであれば、この際ひとつ一大決断をしなければいかぬ、そういうふうな時期が到来しておるのではないか、そういうふうなことも、今の御意見等を聞きまして、また私もいろいろ調べておりまして、最近強く感じておるような次第であります。  こういう言い方をしますと問題がございますが、もともと世論というものは非常に無責任であったり、非常にそのときのムードに流れたりするというふうなものでございますが、やはり政治家の方がしっかりとしたリーダーシップをとってこういうふうな問題に対しては国民に呼びかけていく、あるいは説得をしていく、そういうようなことも必要ではないかと思うわけでございまして、そういう意味では何も私にリーダーシップをとれと言われておるのじゃないと思いますし、私もそこまでの政治家じゃございませんが、やっぱりここにおられる皆さん方がすべてこういう気持ちになっていただいて、例えば決議をしていただくとか、あるいはもう一歩この際土地問題をいろいろ研究し、いろいろの施策を議論したが、その根本の扇のかなめにあるのはこの問題ではないか、こういうふうな認識がせめてこの部屋の中でもできましたら、ひとつそういうもとに一歩前進していただく、こういうふうな形をとっていただくことが非常にいいことではないか。私としては、土地担当大臣としてこの問題を土地問題として取り上げるのじゃなく、もっともっとスケールの大きな問題でございますけれども、国民的課題として取り上げるべき問題だ、そういうふうに思っております。
  129. 広中和歌子

    広中和歌子君 ありがとうございます。  今まで国土庁を中心にさまざまな御研究も続けられてきたと思うのでございますけれども、その資料をちょうだいするわけにはいかないか、お伺いいたします。  それから、これまでの調査に比べまして、現在もう非常に急速に変化が起こっておるわけでございまして、経済社会、技術の進展が著しいので、新しい状況を踏まえた再調査もまた必要ではなかろうかと思います。  首都機能移転、特に私が考えておりますのは、これは皆様で考えていただくことですけれども、国会と中央官庁なのでございますけれども、本格的に取り組んでいただけないか。本年度遅過ぎるかもしれませんけれども、概算予算に首都移転のプロジェクト予算などを計上し、国土庁がリーダーシップをとっていただけませんでしょうか。
  130. 石井一

    国務大臣石井一君) 実はこの問題は本当に古い政治問題でして、過去にさかのぼってみますと、いろいろの研究なり機関なりが調査しておりますし、超党派の議員連盟もできておるのも御存じのとおりでございます。  国土庁といたしましては、首都改造計画策定調査の一環として、首都機能移転再配置についての検討を進めて、調査結果を最近の例ですけれども昭和五十八年一月に公表いたしております。それから、四全総を受けて、昭和六十三年度より三年間の調査を行っており、これが本年二年目である、こういうようなことでございます。四全総においては、「政治・行政機能経済機能の相互関係をの在り方を含め、国民的規模での議論を踏まえ、引き続き検討する。」。しかし、いつ見ても引き続き、引き続きと書いてありますね。検討、検討、調査調査と。この辺はいささか政治家としてはもうこの辺でという感じがしないでもございません。  ちなみに、本年度の予算は四千六百万円とかいうことでございますから、御指摘されるまでもなく、例年この予算を計上いたしまして、正式の機関において調査をいたしておるということは確かでございまして、その資料はすべて委員のところへお届けさせるようにしたいと思っております。
  131. 広中和歌子

    広中和歌子君 それで、提案させていただきたいのですが、まず二十一世紀に向かって首都移転をする必要はあるのかないのか。先ほど国民は反対するかもしれないというふうにおっしゃいましたけれども、あるのかないのか。それに焦点を絞って検討する審議会を第八条機関として内閣直属で設置すると同時に、国会内にも特別委員会をつくり、議員がこれを検討する。その際どこへ移転するか、そういった議論は控えることが大切ではなかろうかと思います。検討課題は、あくまで新首都の規模、移転する機関、そして要件、移転までのタイムテーブル、そして場所の選定の基準づくりに限ります。もし新首都建設に合意が得られましたらば、第二段階として各地元に誘致の立候補をしてもらい、国民を巻き込んでの議論に発展させる、そういう手順が必要ではなかろうかと思います。  新首都建設は、二十一世紀の国家的大プロジェクトとして、今内外から求められております内需拡大にも役立ちますし、国民に未来への夢と希望を与えるものではないかと思います。仮に国会と行政機関が移転いたしましても東京は寂れることはございません。国際情報文化都市として適正規模を守りつつ立派に存続し続けるでしょうし、他方、新都におきましては、国会とそして地方への権限移譲を果たして身軽になった主要官庁が移り、新都を中心に新たな国土の基盤づくりがなされ、内需の拡大にも寄与することでございましょう。さらには、新都移転を契機に多極分散へのインセンティブも高まることだと思います。もちろんこれはきょうあすするということではございませんで、十年、二十年あるいは三十年のスパンで二十一世紀をにらんでのことでございますので、今東京土地を持ち、子供が学校に行っている方などには影響はないはずでございます。  また、この新首都ではこのたびの土地基本法の理念でうたわれておりますような土地利用計画が無理でない形で実行される。つまり二十一世紀という近未来に豊かな日本の理想都市が出現するのではないかと私は思っている次第でございます。その費用に関しましては、もちろん今後検討されるわけでございますけれども、たまたま私が属しております新首都問題懇談会、これは議員が属しているものでございますけれども、堺屋太一氏が講演に呼ばれ次のような話をされました。  この方のアイデアによりますと、競争入札制度、つまりできるだけ安い土地を提示していただく、そして土地代は大体十万円までというふうに言っていらっしゃいました。そして規模は五千ヘクタール、つまり五千ヘクタールの土地を十万円ぐらいで提供できる場所、その一部を民間に開発利益を還元した形で売却すれば首都建設の費用は非常に安く済む。つまり十兆円ぐらいを見込んでいらっしゃいます。これは一つの例でございまして、押しつけにならないことを望んでおりますけれども、こうした検討に入るために国会の移転を前提といたしました主要行政機関の移転を検討する国家行政組織法第八条機関の審議会の設置、それについて国土庁長官のお考えをお伺いいたします。
  132. 石井一

    国務大臣石井一君) いろいろ示唆に富む御意見を拝聴いたしたわけでございます。  まず、位置の問題、場所の問題でございますが、これは仰せのとおり一番最後に来るべき問題であります。この問題が先行するために問題自体がゆがめられる、こういう性格のものではなかろうかと思います。  各先進国の例、例えばキャンベラとかあるいはそのほか古くはニューヨーク、ワシントンでございますとか、そのほかいろいろ世界にも例がございますけれども、ほとんどやはり規模、機能あるいは目的、あるいは移るべき機関等々の決定がなされた後その条件に合ったところの敵地を探しておる、こういうことでありますから、当然そういう方向で考えるべきだというふうに思います。  それから、東京の立派な高密社会、特に経済金融、商業を中心にした機能というのはそのまま残ってそれなり機能を果たすという考え方もいいのではないか。そういう意味ではワシントンとニューヨークのような考え方でこれを進めることによって、もちろん皇居は、それは今後議論をされて決定されるべきことでございますけれども、皇居まで移転するというようなことは考えない。そういう意味ではやはり国民に誤解を与えないために、遷都という言葉とか首都移転という言葉でなく、首都機能の移転、こういう形の方がよほどなじみやすいし、国民的なコンセンサスをとりやすい問題になるのではないかなと思うのでございます。  そういうふうなことで、もし広中委員の御質問を通した意見が満場の賛同を得るようなら、福間委員長なんかは参議院の中でも最大の実力者でございますから、村沢筆頭理事等々と御相談の上、野党主導ででも結構ですから、与党の方も十分入れていただいて、ひとつこの点はお考えをいただいたら、先般片上委員もこの点につきまして大変な意見を述べておられましたので、私はひとつ国土庁長官としては前向きに取り組ませていただきたい、そう思っておる次第でございます。  なお、審議会の設置という問題でございますが、これはいろいろな形があると思います。その制度にのっとって審議会を開くのか。国土庁には国土審議会というものもございます。何かの審議会をつくろうと思えばスクラップ・アンド・ビルドという問題もございますので、国土審議会をつぶしてそれじゃ首都移転の審議会にせよと言っても、これはまた異論もあるでしょう、離島でありますとか半島でありますとか過疎地帯もございますから。国土審議会の中へそういう新しい検討のものを位置づけるのか、あるいはまた、冒頭申しましたように、国土政策の問題と国民生活国民意識の問題とあります。国民意識の問題を取り上げようと思えば、これは一国土庁長官の問題でなく、総理大臣みずからが取り上げられないといかぬ問題でしょう。当面、国土政策の問題として、規模であるとかあるいは移転の内容というものを、私のところでそういう懇談会を設置する、それならスクラップ・アンド・ビルドなんて言わなくても、八条でどなたでもできることでありましょう。その辺のやり方につきましては、ひとつ皆様方の御意に従いたい、そう思うわけでございます。
  133. 広中和歌子

    広中和歌子君 どうもありがとうございました。  最後に、委員長にお願いを申し上げたいのでございますが、国会内に今おっしゃいました首都機能移転問題を審議する小委員会みたいなものの設置が考えられないか、諮っていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
  134. 福間知之

    委員長福間知之君) 広中委員の御提言に関しましては、ただいまの石井国務大臣の御答弁なども踏まえて、理事会で協議をさせていただきたいと思います。
  135. 市川正一

    ○市川正一君 私は、前回に引き続いて、土地基本法国民期待に反するものであるという論点に即して究明いたしたいのでありますが、それに先立って石井長官基本的な政治姿勢にかかわってたださなければなりません。  去る二日、長官は福岡県の行橋市での自民党自見庄三郎衆議院議員、国土政務次官でありますが、その決起大会において、この土地からどれだけの票が出てくるかを拝見し、来年の予算で地元のために最大の努力をする、こういう発言を行っておられますが、間違いないか、確認をいたします。
  136. 石井一

    国務大臣石井一君) 市川先生のような先輩に盾突くつもりはございませんが、予算獲得は十二月でございますし、選挙は一月なり二月とこう言われておるわけでございますから……
  137. 市川正一

    ○市川正一君 いや、事実かどうか。言うてはりますか。
  138. 石井一

    国務大臣石井一君) 予算の前に選挙はないのでございます。だから、票がどれだけ出てくるかと言うても出てこぬわけでございますね。  そこでまず、そういうアバウトな話をしておりましたら切りがございません。大体、「赤旗」でたたかれたらようやく自民党の議員は一人前になったなんて言われるので、私なんかは常にたたかれております。私は基本的にそんなに間違ったことは言っておりません。自分の後輩の議員のところへ応援に参りまして、しっかり票を出してやってくれ、頼むぞという言葉の形容で多少そういうような脱線をしたかもわかりません。その点はお許しをいただきたいと思いますが、事実関係として、票が出て予算が取れるものでもなければ、また時期的にもクロノロジカルにそういう整合性というのは全くないということでございますので、その辺はお手やわらかにひとつお許しをいただきたいと思います。
  139. 市川正一

    ○市川正一君 ここはやっぱりけじめをきっちりつけておかぬと。私、ここにテープ、現物持ってきていますから、もし理事会の承認を得られれば、これをスイッチさえ押せばそれでいいのですが、それはまあ……。  確認をいたしますが、今の発言はこの中にちゃんと記録されているのです。としますと、政府の予算編成というのは、時期がどうあろうと票の出方によって左右されたりあるいは決められたりするものなんですか。長官はそういう認識をお持ちなんですか、はっきりしていただきたい。
  140. 石井一

    国務大臣石井一君) 日本には大変優秀な官僚がおりまして、また大変大きな権限を持っております。しかしながら、わずかな調整財源が残っておることも確かであり、政府・与党なり各県の地方公共団体がそのために年末大変大騒ぎをするというふうなことも事実であります。その過程の中において、大臣が、政務次官がその裁量ですべて決定するというふうな権限は、委員も御承知のように持っておられません。しかしながら、福岡県選出の議員が福岡県の予算獲得のために奔走するということも事実でありまして、それと票とは実際問題、口では何とかかんとか言うてもはかれるものでもございません。  しかしながら、一つには、私が福岡まで参りました裏には、やっぱり自分の後輩に対して次の選挙を頑張らせたい。そのためには、そこに集まっておられる皆さんに、内輪の会合ですから――私なんかは共産党の会合なんて行ったことございません、内輪の皆さんに叱咜激励をする。これは政治家としては一つの当たり前な行為だろうと思うわけでございまして、物の言い方におきまして多少乱暴なところがあったところはお許しをいただきたいと思うわけでございますが、認識は今申したとおりでございますし、またそれが政党政治の中のやりとりであるというふうにも御理解いただければ大変幸いでございます。
  141. 市川正一

    ○市川正一君 物の言い方ではなしに物の考え方なんです、ここはね。  それで、あなたは今、そんな権限持っていないとおっしゃったけれども、このテープをもう少し回すと出てくるのですが、こうも言っておられる。北九州新空港、国道十号バイパス建設問題などに触れて、国土政務次官の発言は大変大きい発言力を持つ。あるいは、建設行政やら道路行政に対する発言というのは絶対大きな力を持っている。政務次官というのはこういう権力を持っているとあなたは売り込んでいる。  そして、ことし福岡県が玄海レクリゾートの指定を受けた経過に触れて、こうも述べておられる。つい一カ月前に私の名前で、私というのは長官の名前で、承認を与えたわけだが、あと六カ月くらいかかるような状況だった。その点なかなか自見代議士はちゃっかりしたところがあって、もっと早くしてくれ、選挙に間に合うようにしてくれということを言うものだから、まあ何とか間に合わすことができた。本音が出ているのです。(発言する者あり)  その辺が、ガヤガヤ言うておりますが、すねに傷ある人はまあ黙っていただいて、長官、選挙に間に合うようにしてくれという言い分で早めることができるものですか。行政の許認可権を選挙のために利用する、これは公選法第二百二十一条の利害誘導にも触れるし、また憲法第十五条の公務員の規定にも反するし、さらにはまた衆参両院で議決した政治倫理綱領の三項「われわれは、全国民の代表として、全体の利益の実現をめざして行動することを本旨とし、特定の利益の実現を求めて公共の利益をそこなうことがないよう努めなければならない。」という規定にも反するじゃないですか。この際きっぱりとこの発言は、先ほどは行き過ぎたとか内輪やとかおっしゃったけれども、これは取り消す、そうなさいませ。
  142. 石井一

    国務大臣石井一君) まず前段の問題でございますが、国土庁に関連をいたしておりますいろいろの公的な審議会、あるいはまた党におきます調査会等、私がこういう形で委員会にくぎづけになっておりますので、ほとんど政務次官が出ております。そういう中から、例えば国土審議会九州地方開発特別委員会でございますとか、九州全体の問題でありますとか、あるいはまた道路全体に関します調査会等に出ておりましてそれなりの発言をいたしておりますわけでありますから、そういうもろもろ公共事業に関しまして直接発言をする立場を与えられておる。これは非常に恵まれた立場でもある。それを力があると、こういうふうに申したわけでございます。  それから後段の問題に関しましては、実は事実関係を調べてみますと、二カ月ほど前でございますか、福岡県と大分県と京都府に対しましてリゾートの許可を決定したわけでございますが、その申請の時期をさかのぼりますと、福岡県は六十三年七月に申請をいたしておりまして、それから大分県と京都府は六十三年九月に申請書を出しておるわけでございます。事実関係として申し上げられますことは、福岡県の方が二カ月前にこれを提出いたしておる。したがって国土庁の審査におきましては、それなりの適切な審査を加え、そして本来ならば福岡だけ先に出してもよかったのでございますが、他の二つと一緒に適切な審査を終えましたので、これに対しまして認可を与えたということでございます。  ただ、今のようなことを政治家が報告をいたしますと、これは官僚答弁というようなことになるわけでございまして、不正なことは一切いたしておりませんが、支持者を集めた大会におきまして、認可がおりておって、それは合法的な形で間に合っておるわけでございますけれども、福岡県の方々に対しましては、記憶にも新しいところでありますから、自見さんはそういうような努力もしておる、こういう話をしたわけでありまして、事実関係をゆがめたとか、あるいは何と申しますか、今いろいろなお言葉を使われましたけれども、利益を誘導したとか、あるいは越権行為をやったというふうにはいささかも考えておりません。ただ、私がそういう場所で、そういうような形で多少聴衆をあおったというようなことに関しまして、いささか反省をいたしておるところでございます。
  143. 市川正一

    ○市川正一君 反省という言葉が出たのですが、そうしますと、それを前提にしてお聞きしますが、選挙に間に合うようにもっと早うしてくれというので何とか間に合わせたというのは、これは事実でなかったと、こう確認してよろしゅうございますね。こういうことはあってならぬことやし、そういうことはおまへんな。
  144. 石井一

    国務大臣石井一君) またそれを赤旗へお書きになるのですか。  正規な手続を経てこれを認可したということにつきましては、今説明を具体的に申し上げましたので、御了承いただければ大変幸いでございます。
  145. 市川正一

    ○市川正一君 不規則発言をひとつ制止してください。
  146. 福間知之

    委員長福間知之君) 御静粛に。
  147. 市川正一

    ○市川正一君 続けますが、今回の臨時国会は、消費税廃止とともにリクルートやパチンコ疑惑など金権腐敗政治を一掃して、国民に信頼される政治を取り戻す国会でもあると思うのです。これらの諸事件を通じて国民が深い関心を持っていますのは、政治が金の力で動かされているのじゃないかという疑惑だと思います。  そこで私、一九八八年の政治資金の収支報告書を調べてみましたところ、開発敵地の宅地化要求を行っている社団法人全国宅地建物取引業協会連合会というのがございます。その政治団体である全国不動産政治連盟を通じて交際費あるいは寄附、交付金の名目で約四千七百万円の政治献金がまかれています。その内訳を見ますと、敬称は略しますが、渡辺栄一、天野光晴、そして亡くなられた亀岡高夫元建設大臣がそれぞれ百九十万、百万、三百万、また綿貫元国土庁長官が二十万等々、建設、国土庁の関係者が名を連ねております。  石井長官ももらっていらっしゃると思うのですが、御記憶ございませんか。
  148. 石井一

    国務大臣石井一君) 私は、先般赤旗のリストを見まして、五十万円というふうに出ておったのを実は拝見したわけでございます。自分のものを拝見したと言うのはまた大変言い過ぎかと思うのでございますが、ただ問題になりますのは、今度の総選挙でどうなるかということではなかろうかと思います。数年前のその時点は、私はいささかも国土行政には関係がございませんでしたし、そういう業界にもタッチをいたしておらなかった立場でございまして、総選挙のようなときには地縁血縁、いろいろな関係からいろいろの、何といいますか、そういう資金を得てやっていくというのが多少自民党のこれまでのしきたりでもございまして、その中にそれが含まれておったと、このように理解いたしておるわけでございます。
  149. 市川正一

    ○市川正一君 個別問題についてはこれ以上申しませんが、八八年という年はちょうど土地基本法とかあるいは国土利用計画法の改正案への準備が作動していた時期でございます、御承知だと思いますが。私は、国民の疑惑を一掃する上からもこうした企業献金あるいは業界献金による結びつき、癒着というのはこれは断ち切らなければならない。そして、いわんや特定の政治家の選挙に間に合うように国の建設事業や開発事業を認可するようなことがあってはならない。あるいはまた、企業の利益のための建設開発計画を組むようなことがあってはならぬ、こう思うのでありますが、この土地基本法の審議ともかかわって長官責任ある所信を承りたいと思います。
  150. 石井一

    国務大臣石井一君) ただいまの問題は委員のおっしゃるとおりでございまして、その関連のあるところに関しましては、政治家みずからの政治姿勢としてやはり遠慮すべきだ、そのように思います。  ただ、その八八年という時点におきましては、御理解いただいておると思いますが、それの準備にかかっておる時期、実は私、国土庁長官の任命を受けましたとき、私が何で国土庁長官やと総理に言うたのでございます。それぐらい私はこの分野には関係がなかったわけでございますが、土地問題が重要だから一遍しっかりやってくれと言われるから、よしそれならやりましょうということでございまして、今そういう御批判を受けているような考え方においてそういうふうなものがあったとは私は考えておりません。  しかし、今後そういう問題につきましては、国民の目もあることでございますから、十分わきまえて私の行動、またそういう行動を政治家はとるべきだ、そう思うわけでございます。
  151. 市川正一

    ○市川正一君 それでは本論に入らせていただきます。  前回の質問で、私は土地について、ただ生産性だけを最優先する観点から高度利用という政府の方針というのは、結局住民が追い出され、住民が暮らしていたその町、そのコミュニティーというものが破壊される。そこにできてくるのは大企業のための事務所ビルだけである。よしんば住宅がその一部にできたとしても、一般の人にとってはとても入居できない高額のものにしかならないということを指摘いたしました。もし土地基本法が通りますと、生活と営業を守ろうとする住民は公共の福祉の名のもとに非難され、指弾され、飽くなき利潤追求で町を破壊し、ゴーストタウン化していく大企業に大義名分の旗印を法的にも与えてやることになるのではないかと、こう指摘いたしました。これに対して石井長官は、土地所有者でなくても、長く住んでいたお方の意見を聞いて都市の形成に努めなければならない、こうお答えになりました。あるいはまた、公共の福祉優先だからといって、長く住んでいた人の権利を直ちに奪うとか、その人の声を聞かないというようなことは一切考えておりません、こうもお答えになったのです。その言やまさによしなのです。そして、少々高くなってもより広い環境のよい住宅に入って、長距離通勤のサラリーマンも入居できればお互いにハッピーと、こうまでおっしゃった。しかし、事実はどうなのだということをきょうは時間の許す限りでお聞きしていきたいと思うのであります。  まず伺いますが、この六月に出されました住宅宅地審議会市街地住宅委員会の中間報告をここに持ってまいりました。戦略的に住宅供給すべき五つの地区というのがあります、建設省御存じのように。その一つに、「老朽住宅等密集地」ということで七千ヘクタールがここの第三項に挙げられております。そこに居住している住民の数は、私どもの試算によれば百数十万と考えますが、いかがでしょうか。
  152. 立石真

    説明員(立石真君) 市街地住宅委員会の中間報告におきましては、老朽住宅が密集して現在道路あるいは緑地、空地等が非常に不足しており防災上も……
  153. 市川正一

    ○市川正一君 人間、そこに住んでいる住民はどれぐらいやという算術計算言うて。
  154. 立石真

    説明員(立石真君) じゃ、算術計算の部分についてお答えいたします。  中間報告におきましては、二十三区内で木造住宅密度が一ヘクタール当たり五十五戸以上で、昭和三十五年以前建築の老朽住宅密度が一ヘクタール当たり二十戸と……
  155. 市川正一

    ○市川正一君 それを計算したら何ぼ住んでまんね。
  156. 立石真

    説明員(立石真君) そういうような老朽住宅密集地区が約七千ヘクタールあるであろうというように述べております。これらは、いろいろな住宅統計調査、国勢調査結果等から建設省で推計したものでございます。
  157. 市川正一

    ○市川正一君 早く答え言うてな、答えを。
  158. 立石真

    説明員(立石真君) その地域内の人口につきましては推計しておりませんが、二十三区内の平均人口密度で申しますと約百万人程度になると思われますので……
  159. 市川正一

    ○市川正一君 わかった。もうそれでええ。  約百万というのが答えなんです。以下、これで話を進めます、  私どもは百数十万と思うのですけれどもね。少なくとも百万の住民が住んでいるその住宅が取り壊されて、そして中高層の建てかえあるいは再開発が現に進んでいる。  私、じゃそこはどうなっているかという例として、森ビルが主体になっている港区のアークヒルズを調べてみたのです。そうすると、ここはもともとは低層住宅の密集地区で、住宅や商業の混成地域であります。地区内の居住者は最高時で八百八十七戸、二千人以上がおりましたが、ここに今、総面積三十六ヘクタールの大ビルディング群がつくられた。そして、再開発組合設立の時点における地権者はわずか五十人でした。現在のアークヒルズの中に、三十七階の事務所ビル、こういう写真がございますが、あるいは三十階の全日空ホテルビルが林立する中に住宅棟が四棟、四百八十一戸あります。この家賃は何ぼかというと、最高が百七十一万円。これ月ですよ、月額。一番安い部屋でも二十九万円。ここを視察なすった当時の天野建設大臣が、だれがこんなところに住むんや言うてびっくりされたというのは有名な話なんです。このことについて建設経済研究所の長谷川徳之輔常務理事、建設省御存じでしょうが、元建設省出身のこの分野の専門家です。この方が日本弁護士連合会、日弁連発行の「自由と正義」という機関誌の中で次のように指摘しています。  要旨を紹介しますと、「都市再開発法による再開発事業は、土地利用の転換に伴い、そこに従来から居住し、営業していた権利者に、居住と営業が継続できることを保証することにある。」「しかし、現実には、そのような人はほとんど残っておらず、単に地区内に土地という財産権を所有していたにすぎない地主のマネーゲームのために組合員になったにすぎないのである。」、こう論じています。そして、「従来の居住営業を維持するという建前は、この事業のように徹底した土地利用の転換を伴う都市再開発事業には必ずしもフィットしていないように思える。」と結論づけております。  結局、従来の住民はゼロなんです。これが実態ではございませんでしょうか。いかがでしょうか。
  160. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) ただいま御指摘ありました従来の住民がゼロじゃないかという御指摘でございますが、今資料を持ち合わせておりませんけれども、私ども再開発事業をやります場合は、もとより地元の御意向を聞きながら進めておりまして、従来の住民の方々の御意向に沿った措置を講じておると思っております。
  161. 市川正一

    ○市川正一君 一遍追跡調査してみなはれ、私の言うたとおりだ。  それで、今言うたのは、大規模ないわゆる再開発です。個々の地主の木賃住宅、いわゆるアパートです。アパートの建てかえを促進する建設省の木造賃貸住宅総合整備事業の場合をとってみますと、これは新宿のケースですが、八〇年七月、西新宿で三十九ヘクタール、八五年の七月に北新宿で六十九ヘクタール、八八年十一月、大久保百人町で四十六・五ヘクタールが認定されております。いずれも再開発促進地区で、指定されて老朽住宅等の建てかえ促進などを進めることになっている。この事業の申請は十六棟、百八十七戸です。これによってそこに住んでいた住民がどうなったか実態調査をいたしますと、建てかえたマンションに入居しているという例はほとんどないんです。  それはなぜかというと、木賃住宅の家賃は大体三万円前後だったんです。それが、新しい住宅の多くは賃貸しのワンルームマンションです。私も建築屋の、なれの果てと言ったらおかしいが、出身ですから実感を持ってわかるんです。だから、その部屋は1Kないしは1LKです。そうすると、その家賃は何ぼか言うと、六万から九万です。約三倍なんです。決して勤労者の良好な世帯向け住宅にはなっていないし、またいわんや年金生活の老人などはとても入れない。  石井長官が先日の私の質問に、お年寄りも広々とした良好な環境で暮らせ、長時間の通勤者の悩みも解消する、こうお答えになったのですが、そういう実例がありますか。あったら教えてほしい。私が述べたのが現実だということを、長官でもいいし、建設省でもいいんですが、どうですか。
  162. 石井一

    国務大臣石井一君) まあ、反論するわけじゃございません。最初に一発やられたからいうて、それをお返しするというわけじゃございませんが、今のままの議論をやっておりますと、東京都心の今アークヒルズのところへ老朽の住宅をそのまま置いておけ、そこへ住んでおる人をそのまま住ませ、あるいは新宿やらどこやらの木賃住宅はそのまま置いておいてそうやれ、そこへできた高いビルがいかぬ、そこの高い家賃がいかぬと言うておったら住宅政策は解決いたしません。そこはやはり何らかの知恵を出しながらやっていかなければいかぬ。  そこで、市川先生、アークヒルズのそこに住んでおられた方がどこへ行かれたか追跡調査をされたのか、今どういう生活をされておるのか。私が聞いておりますのは、その大部分はかなりの補償金を得て、快適な郊外の住宅を与えられたり、あるいは別の土地で。それなりの措置をされたからこそそこの地域の問題が処理されていっておるのではないでしょうか。だから、これは短絡的にこの問題を指摘されてもいかぬわけでして、中には強引な地上げの問題でございますとか、再開発の問題でありますとか、弱き者が被害を受けておるというふうな問題もありましょう。これはひとつ徹底的に究明し、そういうことのないようにしていかなければいけません。しかし同時に、環境をよくし、住民の声を聞きながら、福祉政策も含めて都市の再構築をやらなければ、今のこの大都市東京大阪、すべての問題の解決にはなりません。  もう一度繰り返すようでございますけれども、そこに住んでおられる方の意見も聞き、一階であったものを五階建てにすれば四階建て分スペースもできるでしょう。一階の方に対する家賃の政策はきっちりせなければいけません。十階建てにしたらそこには緑も土地もできるでしょう。どこから見てもみんなが円満に解決するという方向の中から新しい政策をやっていきませんと、先生のような、共産党という最も革新的な政党が最も保守的な現状維持、何もせぬでいいと、こんなことを言うておって、これは国民に受けるものではございません。強く反論をさしていただきたいと思います。
  163. 市川正一

    ○市川正一君 いよいよ本論というか核心に入ってきました。  私が申しましたのは、長年住みなれた土地を何も好きこのんで皆行っているんじゃおませんですよ。やっぱりそこに住んでおりたい、そしてまたちゃんと住宅ができればそこへ戻りたいという気持ちですよ。そして、共産党は最も革新的だと、今こうお褒めの言葉をいただいたのですが、まさにそうなんです。明確にしておきたいのは、私も建築家出身です、町づくりについては革新的見識を持っているつもりです。それはいずれまたやらしてもらいますけれども、都市におけるこういう老朽住宅とか密集市街地をそのままにしておけというようなことはいささかも考えていません。私どもは大いに積極的に再開発をやるべきやと。その場合には、住民の意見を聞き、住民が主体になって住みよい町づくりを進めていくという、そういう世論と運動と結びついてやるべきである、そのことを主張しているわけです。  私、ここに持ってきましたのは東京都文京区小石川一丁目の例なのです。ここに色塗りしておりますけれども、この中でオレンジのところが結局地上げ屋でくしの歯が抜けたようにいかれてしもうたんです。しかし、この小石川の人たちは、自分たちの力で町づくりをやろうということで頑張っているんだけれども、ところが地上げで召し上げられた土地、ここに事務所ビルがつくられて、そういう主体の町づくりになろうとしているときに、地元の人たちのそういう町づくりをもっと大いに重視し尊重していく、こういうことを私はやるべきだという意見です。  そこで、私はまとめてあと具体的にお聞きしたいのですが、三つあります。  第一に、住宅地を事務所ビル、インテリジェントビルにするような再開発は適切に規制すべきだと考えますがいかがかというのが一点。第二点は、高度利用でできる住宅を従来の住民、例えば老人とか低所得者が入居できる家賃にするという保証は今ないのです。そのための法制度を考える必要があると思うのですがいかがかというのが二番目。三番目は、先ほども取り上げましたが、老朽住宅密集地の、例えば百万人に及ぶ住民のうち、公営住宅の入居基準以下の低所得者がすぐに入れるような公営住宅を建設すべきであると思いますがいかがかという、この三点をまずお聞きしたいのですが、いかがでしょうか。
  164. 立石真

    説明員(立石真君) 第一点でございますが、住宅地が事務所にかわる話についてでございます。これらは都市の中において具体的にその地その地の状況に応じて適切な土地利用を図る、あるいはまた土地利用になることであろうというふうに思っておりまして、これらを法的に規制するというものはできないのではないかというように考えております。  第二点は、高度利用に伴いまして、従前そこに居住していた方々がその後に適切な家賃の住宅としてそこの住宅に住めるようになる、あるいはそういうような法制度を整備することについてでございますが、当然先ほどの木賃住宅、密集地域の改善事業にいたしましても、再開発事業を行うにいたしましても、従前の人たち事業後適切な住宅に住まわせるようにすることは事業の目的の一つでございます。これまでそういうような事業推進をしてきているところでございますが、現段階におきましてそれを法制度化するところまでは考えていないところでございます。  第三点でございますが、公営住宅につきましては特に東京都等におきまして一生懸命建てているところでございまして、この点につきましては御理解をいただきたいと存じます。
  165. 市川正一

    ○市川正一君 時間が参りましたので最後のまとめ的質問をさせていただいて終わりたいと思います。  一番最後の問題にもかかわるのですが、公営住宅の建設計画の戸数を調べてみますと、昭和五十一年当時は八万五千戸だったのです。それが現在は幾らかというと、この数年間四万八千なんです。約半減してしまっているのですね。ところが諸外国の例を見ると、その点では、戦後の住宅建設に占める公共住宅の割合は、イギリスが五九%です。西ドイツが四二%です。それなら日本は何ぼかというのです。あなた知っていると思うのですが、九%です。こういう現状を打開することが私は課題だと思うのです。  以上の議論を通じて最後に長官にお伺いしたいのですが、長官は先日私に対して、公共の福祉は長年住んできた住民の権利を直ちに奪うものではない、今後は土地所有者以外を含めて住民の意見を聞き、地域のコンセンサスを求めて進めていく。こうお述べになったのであります。だとすれば、以下四点を最後にお聞きして本日の打ちどめにしたいのです。  第一は、都市計画法では十七条で、都市計画の決定に当たって住民、利害関係人は意見書を提出できることになっているのですが、この意見書の要旨を都市計画審議会に提出するだけで、実質的に反対意見は無視されて、十分反映していないのです、長官。この現状を改めるべきではないかというのが第一点です。  第二点は、「公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」と、こうあるのですけれども、それも知事などが必要と認めた場合だけになっておるのです。これをある意味では義務規定にする必要があると思うのですが、いかがでしょうか。  第三点、地区計画における利害関係者には借家人や登記をしていない借家人などは含まれておりません。また、都市再開発法でも借家人等は再開発組合の組合員になれず、無権利です。こういう規定を改めるべきであると思いますが、この点いかがでしょうか。  第四点、多くの再開発では一般の権利者に対して権利返還の案が決まるまではほとんど情報が明らかにされません。聞きに行ってもまだやまだやと言うて知らさぬのです。案ができたときはもう遅いのです。もう変更はできぬということで押し切られる。だからすべての情報を関係住民に明らかにすることを義務づけるべきではないかという、以上四点、玉石混交でありますが、長官の御答弁も含めて、以上で質問を終わらしていただきます。
  166. 河原崎守彦

    説明員河原崎守彦君) 四点の御質問をいただきましたが、前半の三点につきましてはいずれも制度上の措置を講じろということでございます。  実態を申しますと、先生御案内のように、都市計画の手続に乗る前の調査の段階から、各そこに住んでおられる方の意見を聞いておりますし、公聴会という形でないにいたしましても、集会を開くなり、パンフレットを配るなり、いろんな形で地元の住民の御意向を伺って進めておるわけでございまして、私どもはそのやり方を徹底する必要があるのじゃないかというふうに思っております。  それからまた、権利返還の手続につきましても、御案内のように意見を聞く縦覧の機会もございますので、そういうものを通じまして意見聴取に努めてまいりたいと思っております。
  167. 石井一

    国務大臣石井一君) 土地基本法におきまして公共の福祉の優先ということを申しておるわけでございますが、それによって私権を踏みにじるものではございません。二十九条とともに、憲法二十五条が存在しておるということを我々も十分了承いたしておるところでございます。  そうして、今いろいろの問題がございました。それは手続上いろいろ不備なところもあるだろうと思いますが、要は、一戸建てが建っていたところが事務所になったというところは相当の最優秀地だろうと思います。地価も高い、高度利用も必要なところであろうかと思います。そこにおられる方はそこに住みたいという願望がございますが、一人のために全体が犠牲になることも困るという場合には、その人の立場を考えつつ十分な補償をし、そして高度利用を図るということが必要であろうかと思います。高度利用の問題についてもそうでございます。老朽化の住宅の建てかえについてもそうではなかろうかと思います。  市川先生のような先輩に対して言葉を返すようでございますが、今の御主張をそのまま入れると、これまでどおり土地基本法以前の個人の権利というものが先行いたしまして、そこにあります占有権がすべてだと、こういうことになりはしないか。やはり一人のために万人が犠牲になるのでなく、万人のために一人か二人が犠牲になるというケースもある。その場合にも、犠牲という言葉は適切ではございません、その方に対する十分な権利と補償と、そしてそういう話し合いの中でやっていく。都市計画を一つ進めるにしましても、なぜこれだけ時間がかかるのかというような時間をかけつつ現在はやっておる場合も多いわけでございまして、その中に、公聴会の手続とかあるいは十七条の問題とかというふうなものもあるわけでございますが、そちらの立場から見られると、この条項があるならば十年とも二十年とも言われますけれども、また別の立場から考えますと、ある程度のタイムリミットというふうなものもあろうかと思います。そういう中から住宅政策、これだけの狭い土地にこれだけの問題を抱えておるのを解決しようというわけでありますから、そういう意味ではもう少しリベラルな考え方になっていただいてもいいのではないかなと思うのであります。  人々が協力をすることは難しい、しかしその協力の成果は美しい、こういうのが町づくりのフィロソフィーだと思いますので、そういう精神にのっとって、みんながともにやる、お互いの権利はあくまでも剥奪せず尊重する、しかしながらお互いが少しずつ譲り合う、公共が優先である、みだりな公共の優先は許さない、こういう形の中から漸進的に政策推進してまいる決意でございます。
  168. 市川正一

    ○市川正一君 次回やりますから。ありがとうございました。
  169. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございますが、少し効率的に論議を進めたいというふうに思っております。  先ほど広中委員が、特に国の行政機関の地方転出ということで御質問されましたけれども、私も若干この点について当局の見解をただしたいというふうに思っております。  特に国の行政機関の転出につきましては、竹下内閣のときの閣議決定ということで、大変竹下内閣、ふるさと創生論というようなことで一億円の創生資金を配ったりしていろんなことをおやりになりましたけれども、閣議決定の地方分散ということは、とにかく大変これは評価すべきことだろうというふうに思っております。したがいまして、そのフォローアップといいますか、既に青写真は出ているものでございますから、やる気があるのかないのかということ一点に集中される問題だと思います。  そこで伺いますけれども、去年の七月十九日に閣議決定されました。それに伴って、まあこれ答案が出たときには竹下内閣はなかったものでございますけれども、現実に移転先がまとまったということで、八月にまとまった内容を申しますと、先ほど申されましたように本当にほとんどが首都圏。全国に散らばったのは本当に数えるほどしかないということでございます。  例えば北海道開発庁の北東公庫が北海道の函館市に行く。考えてみればこれは当たり前のことでございますね。北海道の開発のことを北海道の函館市でやると。それから先ほど石井長官も申されましたように、本州四国連絡橋公団が兵庫県神戸市に行く。これも当たり前の話でございまして、地元に行った方がスムーズにやりやすいためにやったということでございます。石炭鉱害事業団が福岡県福岡市と。これも、まあ言ってみれば地元で処理するのが当たり前だというような話でございます。あとは大蔵省が酒の研究所を広島にやる。このわずか四件だけが首都圏以外に分散したという結果でございまして、とりたててこのために地方にばらまいたというか拡散したということにはならないのじゃないかという意味が一つございます。  それから閣議決定のときの趣旨がまとめてありますけれども、研究機関等は関西文化学術研究都市等に含めて敵地への移転が行われるように配慮するものとするというこの閣議の決定がございますけれども、拝見するところでは、関西文化学術研究都市に移行したところは一件もございませんけれども、こういった何というのですかね、やる気があるかないかということを考えざるを得ないような結果になりつつあるということでございますが、まず最初にこの点について長官に考え方をただしたいと思います。
  170. 石井一

    国務大臣石井一君) 先ほど御答弁もいたしましたのですが、現実の問題としてそこに勤務されておられる方々の気持ちの上での整理というふうなことにはかなりの時間もかかるようでございますし、方針を決定しても、それぞれ問題があったようでございます。ただいまおっしゃいました四つの地方へ出ました中でも、北海道東北開発公庫、これを函館へ持っていった、こういう話なんでございますが、現実に事務の内容を聞いてみますと、北海道と東北の各県の事業をやられる中小企業者でありますとか、そのほかいろいろの方々が融資を受けるという場合に、北海道へ、函館へ行くというのに東京から何便あるか。あるいは岩手県なり北海道の端からそこへ到達するのに東京へ行くよりもはるかにはるかに時間がかかり金がかかる。こういう状況が起こるわけでございまして、だから自然にそこだというふうには言えない。北海道東北開発公庫の立場からすれば、東京に所在しておる方がはるかに利用者に便を与えるのだ、こういう説明にもなるわけでございます。そういうような状況をも克服してその場所に決定するというところに大変現実の作業として難しいところがあるということを御理解いただきたいと思うのでございます。  それから、あとの三機関にもそれぞれ理由がございますが、時間がありませんので省略をさせていただきますが、あと七十五機関の東京周辺に移転しましたものに関しましては、大宮、横浜、千葉、それから東京都内の八王子であるとか立川というふうなものがほとんどでございます。その中で、例えば大宮の場合は、国鉄の大宮操車場の跡地がございまして、ここに業務核都市を集積させようという計画がございます。主に関東支局であったかと思いますけれども、そこに集結することにより、その周りには住環境のそろった住宅地も整備されつつありますから、職住接近の住宅を、東京のど真ん中まで出てくるよりも、もっとはるかに近い距離で通う方も行かれるのではないか。同じような考え方が港北ニュータウンという、神奈川県でございますが、高速道路をおりて十分かそこらの、今大きな団地が形成されておりまして、その中心に業務ビルを建設する。そこにある程度政府機関を集める。こういうような形の中から、先ほども申しましたように、都心の中にいなくても業務ができる、また通勤の方々に対しても利便を与え得る、真ん中にあるよりも一歩二歩前進だ、こういうような評価をこれらの問題に対してはいたしておるような次第でございます。  関西学園都市の関連に関しましては、実はいろいろ努力はいたしたようでございますが、基本的に筑波学園都市政府機関の多い学園都市になっており、関西学園都市はどちらかというと民活のエネルギーを中心にこれを集結しておるというふうな事情もございまして、また東京から向こうへ持っていくということで抵抗もあった機関が二、三ありまして、実は目的どおりそれを果たしておりません。しかしながら、今後、国会図書館の分室等をも含めまして、政府機関等を移転することによって最初に打ち出しております方針を全うしたいな、そう思っておる次第でございます。
  171. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 どうもお話を伺っていますと、東京から地方へ分散というよりは、東京中心部を何か首都圏といいますか近郊にばらまいたような印象になってきますね。これは土地柄を見てそのとおりだと思うのでございます。  この跡地が移転に伴って出てくるわけでございますが、三十六ヘクタールというから、この間御答弁をいただきまして、日比谷公園が十五ヘクタールということで、日比谷公園の二・五倍ですね、こういうふうに計算上なっておるのでございますが、はかってみたらこうだということが出ているのでございますけれども、それじゃ実際に実施をするのにいつどうするのかということが決まらないと、計画だけでいつまでたっても前に進まない話でございます。要するに、この候補地がどういうふうに具体的に進んでいるのかということの現状はどうでございますか。
  172. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 今回移転先が取りまとめられました機関につきましては、今後移転の条件等が整備されまして逐次移転をする、こういうことにいたしてございます。その進行につきましては、国の機関等移転推進連絡会議におきまして各省庁から報告を受け、これを指導するということで推進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。  ただいまの跡地の方でございますけれども、あきました後適切な利用が図られますように、跡地の三十六ヘクタール、いろんなところに分かれておりますが、この跡地利用につきましても移転とあわせまして逐次計画を立て、適正な利用が図られるように措置をしてまいりたいというふうに考えております。
  173. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 抽象的なお言葉でお答えいただくのですけれども、先ほどの石井長官のお言葉ですと、いつまでたっても調査、検討するというような形のものが非常に多い中で、地方分散というのはぜひ早く進めていただきたいというのが、特に土地基本法の制定に伴いまして、悪い言葉で言うと何か住民だけが高度土地利用という名のもとに近郊に移らざるを得ないということになりかねない状況の中で、やはり国、政府としてもそういう意味では、先ほどいろんな住居あるいは学校関係で子弟の人が大変血を見るような思いで出なきゃいかぬというようなお言葉でございましたけれども、それはそれぞれそういう目的に向かって前進するという気構えが必要でございます。  特に国土庁長官というのはそのまとめ役になっているわけでございますから、それぞれの各省の理由を聞いておったらこれは前へ進まないのでございます。総論賛成でございますが各論については自分のところは出したくない、これは人情として当たり前の話でございますので、取りまとめの方の方がそれはごもっともでございますという立場に立ったならば、これは前に進みません。したがって、これは日にちを切って本当にやらないと前に進まないということでございます。今の御答弁でございましたけれども、その辺の見通しはありますでしょうか。
  174. 石井一

    国務大臣石井一君) 私も新坂先生と同じような考え方で担当者とも話し合いを続けておるわけでございます。これは打ち出しただけでできるのか、いつまでにできるのか、こういう問題でございますが、基本的には今後その移転先の建設状況を踏まえて予算をつけていく、ころいう状況になってくるわけですし、それに対します補償でありますとか住宅の手当てというふうなものに対しても、それは十分なものを見るというふうなことをこの答申にも書いてありますように、移る人々の立場を考えながら十分な施策をするという予算措置のようなことも詳しく書いてあるような中で、これは本気でやるという方向で進めていくわけでございますが、ただ、来年完了するとか再来年完了するというのは、どうも残念なことですけれども、移転先地のビルの建設等々がそろいませんとできない。こういうような問題もございますので、やはり相当大きな移転でございますから、数年間の余裕というものは見ざるを得ないという客観情勢にあるということを御理解いただきたいと思うわけでございます。  なお、跡地の三十六ヘクタール等に関しましては、早速、例えば東京都の知事からも要請がございますし、各区の区長からも要請がございまして、この跡地はこういう目的で公共の用に供したい、住宅というものもあれば公園というものもございますけれども、そういうような要望が来ておりますので、それは価格を考えながら適切に、これがみだりにマーケットに放出されるというふうなことのない措置をとっていくべきだ、そのように考えておるような次第でございます。
  175. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 一般的には予算をつけて移転地のところをしっかりと受け皿をつくってやるというのが当たり前の話でございますが、一般的な話じゃなくて、例えば国土庁でも機関がかかっていますのは、水資源開発公団あるいは地域振興整備公団というのが所轄になっています。この二つについてはどういうような状況でございますか。
  176. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) ただいまの公団につきましては、それぞれ移転先を候補地として決定をいたしておりますが、その移り方につきましては、水資源開発公団は横浜市となっておりますし、地域振興整備公団は川崎市となっているわけです。その移転の受け入れ先につきまして、ただいま両公団におきまして検討いたしておるところでございます。先ほど申し上げましたように、逐次その準備が完了し次第それは移るということにさせていただきたいというふうに思っております。  なお、現在の移転の状況につきまして若干補足させていただきますと、長期的なスケジュールといたしましては先ほど長官から申し上げたとおりでございますが、既に移転を完了し、また準備をしている機関もございます。例えて申しますと、大蔵省の税関研修所と文部省の宇宙科学研究所でございますが、それぞれ本年度中に移転を完了いたします。また、科学技術庁の金属材料技術研究所でございますが、これは移転を開始をするという段階に至っております。また、東京外国語大学でございますが、これ、移転先の問題もございますが、既に準備に取りかかっているということでございまして、具体的に申し上げますと、各機関、それぞれの移転のスケジュールにつきまして努力をいたしておるところでございます。あわせて御報告を申し上げます。
  177. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 本当にこれは国民が望んでいる話でございますので、リーダーシップが強く望まれます。どんどん推進してほしいという気持ちでございます。  この質問については終わりまして、次は、あと残り少ないのでございますが、土地問題の方に入らせていただきます。  委員会の質疑を拝見していますと、大体輪郭が出てきましたのは、やはりサラリーマンが一番必要としている都心住宅、賃貸、持ち家含めてなかなか難しいだろうというのが大体わかってきた輪郭だろうと思います。一番庶民が願っているものが、法律ができても、その望みがかなわないというようなことをつくっていたら、これは政治家何やっておるかという話になりますので、できるだけそれに近いものをやっていくというのが次善の策だろうと思います。  この間の質疑討論の中で、一番望ましいのは、異常な土地価格ができることならば下がってほしいというのが願いでございますけれども、やはり自由経済の中では一たん上がったものはなかなか下がらないというのが常識でございますから、そういう中で、今後とにかく異常な値上がりをしないという網の目をかぶせるというのが土地基本法の一番の大きなねらいになってくるかと思います。  そこで伺いますけれども、文言の中に「適正な地価の形成」という文句がございますけれども、この適正な地価の形成、これは一体、庶民にとってわかりにくいのは、「適正な」という抽象的な言葉じゃなくて、例えば取引で何%ぐらいだったら適当な形成なのか、あるいは、今地方でもそうなんですけれども、百平米のところに監視区域の網をかぶせるというようなことで、取引のときには届けなさいという規則になっておりますけれども、その届けたものが取引分の何%ぐらいの利潤としてのところまでだったら認められるか認められないか、その辺の適正な価格とは何ぞやということをちょっとお答えいただきたいというふうに思います。
  178. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) お答えいたします。  地価は地目ごと、あるいは用途、それとその土地がどのような土地利用規制の適用を受けているか、そういった要件によってそれぞれ異なりますので、その適正な地価地域ごとに具体的に水準で示すというのは非常に難しいのですが、一般的に申し上げますと、正常な需給関係のもとで形成される価格が適正地価だろうというふうに思います。  ただ、これも非常に抽象的でございますので、少し言葉を変え、視点を変えて申し上げますと、例えば大都市地域の宅地に関する適正価格、適正地価というのは、一つはそれぞれの土地の収益に見合ったような価格、収益に見合って形成されるような価格、あるいは一般的な需要者、利用者の取得能力などとそれほど乖離していない価格、そういったものが一つの目安になるのじゃないかというふうに考えておりまして、住宅地では、中堅勤労者にとって良好な住宅の確保が可能となるような地価を言うのである、そういうふうに理解しております。
  179. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 いろいろと述べられましたが、わかったようなわからないような、要するに私が聞きたいのは、何%ぐらいのものだったら大体常識の中に入るだろうということをお答えとしてほしかったわけです。これがないと一般の庶民は、適正なる価格とは何ぞやということが今もってわからなくなってしまうということです。これ以上お話ししてもなかなか難しいお答えのようでございます。  もう一つは、いわゆる土地高騰で一番問題になりました「投機的取引」という言葉がございます。これも一つのキーワードになっている土地基本法の言葉だと思いますが、投機的取引ということをとにかくやめなくちゃいけないということでございますが、投機的取引とは一体どういうものを定義するのか。それからこの法律ができますと、投機的取引というのをかぶせた場合に、一体過去どういうふうな、何件ぐらいの事例が当てはまるのだろうかということを具体的にお答えいただきたい。
  180. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 第四条で言っております投機的取引の定義でありますが、例えばいわゆる土地転がしのように、将来他に転売してその間における地価上昇による価格差益を得ることを目的とする取引、こういった取引を全部含めて一切合財投機的取引と考えております。  それと、こういった投機的取引がどれぐらい現在あるのか、あるいは過去にあったのかという御質問ですが、監視区域制度を運用する中で、届け出書に記載された利用目的から判断いたしまして、これは利用目的には投機的取引という目的が記載されておりません。ただ、その可能性の高い資産保有等の目的が記載されております割合は、これも時期、地域により異なりますが、おおむね一割から多い地域で二割程度でございます。
  181. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 何というか、一割、二割というのは、今までの網をかぶせた中でそのぐらいが該当するだろうというお答えなのか、ちょっと最後のところ意味がよくわからなかった。  それと、将来にわたってというのはだれが判定するわけですか。これが投機的な取引になるかならないかという、将来にわたって判定したいというのは、だれが判定するわけですか。
  182. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 現在、利用目的が投機的取引と目されるものを監督するために、国土利用計画法の一部改正をしております。その改正の中では、届け出られた書類の中から、やはり利用目的を記載していただきます、その記載内容を先々、報告、調査を受け、さらには追跡調査等もしながら実効を確保していこう。もちろん、虚偽の記載につきましては罰則規定の適用がございますし、そういった意味では厳正な対処ができる、そういうふうな仕組みになっております。
  183. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 もう一つ私大変危惧いたしますのは、先ほどの市川委員長官とのやりとりで、とにかく端的な言葉、木造モルタル二階建てを近代的なビルディングにしないと国の発展がないというふうなお言葉でも、まあ語弊はありますけれども、大体そういうところが長官の御答弁の趣旨であったかと思いますけれども、私大変危惧いたしますのは、土地をどんどん経済発展のために利用することによって、そこに住んでいる住民ですね、これがだんだんと少なくなっていって、例えば東京の千代田区の場合、本当に五万人いるかいないかというふうな住人口、言ってみればゴーストタウン化してしまうというふうなことを非常に――それがいいか悪いかという意見はありますけれども、やはり住民がいる以上、そこに住機能というのがないと、これは何のために生きているかわからないということにもなりかねません。  例えば総理大臣官邸の横に町内会がございます。千代田区の霞が関三丁目という町内会でございますが、ここの町内会はわずか六世帯でございます、六世帯。それで、ここの町内会は何世帯というような数え方をしません。というのは、要するに町内会の中にビルが建ちまして、会社あるいは役所という人たちが町内会に入っているわけです。したがって、ここの町内会は何世帯ということじゃなくて、何十カ所という呼び名で町内会をつくっているわけです。それから、ここの霞が関三丁目は九十カ所ということが町内会の会員でございます。  したがって、日本ではどこでも普通やっている夏祭りとかというのは基本的にないわけですね。六世帯じゃできないわけです、夏祭りも。それから旅行会なんということを提案しましても、これは要するに会社でレクリエーションで行っちゃうわけですから、会員に町内会の旅行会しましょうと言ったってできないわけですね。ただ一回やっていますのは新年会でございます。これは、霞ヶ関ビルを町内会で借りまして、ここでやるということでやっているのが唯一のそのコミュニティーの一大行事ということでございます。  こういうような形でもって、虫食い状態でもって、住民側からしたら買い物ができないわけですね。どこへ行っているかというと、官庁の地下の協同組合といいますか互助会といいますか、そこに買い物に行くわけですね。これは普通のいわゆる町内の住環境とはおよそ違った形のコミュニティーしかないわけです。  こういうような状況がこれから都心ではどんどんふえていくのじゃないか。言ってみれば、本当にスズメもいない町と言いますか、なぜスズメがいなくなるかというと、ペンシルビルに突き当たるから生きられないわけですね。ですからこういうところの、どんどんと二十四時間都市あるいはペンシルビルが林立する町というだけがいいのかどうかということをやはり考えなくちゃいけないと思います。  自治省の方、東京都の鈴木都政でマイタウン構想ということで、コミュニティー充実ということを掲げておられますが、この辺のところと、土地基本法の制定に伴ってコミュニティーがどうなっていくのか、この辺の調整はどうなっているかということをちょっとお答えいただきたいと思います。
  184. 森繁一

    政府委員(森繁一君) ただいま千代田区の例をお引きになりまして住民の減少の問題をお取り上げになりました。  千代田区は、昭和五十五年には六万人を若干超えておりましたけれども、それ以降人口が歴年減っておりまして、六十三年には五万一千人、それから平成元年、ことしの三月三十一日現在では四万八千人まで落ち込んでおります。お示しのような町内会というのも都心では数多く出ておるということも事実でございます。  地方自治の原点といいますのは、要するに向こう三軒両隣のつき合いというのが原点だろうと思いますが、今お話にありましたような状態が続きますと、地方自治の存立基盤にまで影響を及ぼさないか、そういう心配を私ども非常に強く持っておるわけでございます。これは東京都ばかりでなく、ほかのところでも同じような事情があろうかと思いますが、そこで東京都の場合、例を申し上げますと、マイタウン東京構想の中でコミュニティーの推進というのを一つの大きな柱にいたしましていろいろな支援措置を講じて具体的な事業をやっておるのも実情でございます。  ただ、先ほど申しましたように、この趨勢というのはいかんともしがたい、こういうふうにも考えられますので、なかなかこのコミュニティーの形成というのは難しい面がありましょうけれども、住民の方を含めましていろいろな知恵を集めながらコミュニティーの形成に今後もやっぱり努力をしていく以外にないのじゃなかろうか。御心配の住民自治の観点からいいまして、コミュニティーが崩壊するのではないかという危惧を私ども十分に持っておりますが、それを十分心配いたしながら、なおかつそのコミュニティーの施策というのをさらに進めなきゃならぬだろう、こう思っておるわけでございます。
  185. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 時間も来たようでございますけれども、私が指摘したいのは、一概に経済効率だけでそういうデベロッパーの開発、いわゆる高級マンションとかペンシルビルあるいはインテリジェントビルだけを建てることは、それは企業経営の理念としては追求するのが当たり前だと思いますけれども、そのことによってやはりそこに住む人たち基本的に住生活が全うできないというような形にどんどんなってくるとしたら、これはやはり、何というのですか、生きがいといいますか、あるいは生活といいますか、この辺がなければ基本的には何のために生きているかわからないというようなことになります。こういうところを喚起したいと思うのです、土地基本法の審議に当たっても。ですから、この辺のところをちょっと留意されてしっかりやっていただきたいということを指摘いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。     ─────────────
  186. 福間知之

    委員長福間知之君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、広中和歌子君が委員辞任され、その補欠として猪熊重二君が選任されました。     ─────────────
  187. 山田勇

    ○山田勇君 東京一極集中の是正が土地対策の重要なポイントであることは常々言われているところでありますが、政府としても積極的に取り組んでいると考えます。大学や研究機関の地方移転、東京圏内での新増設の抑制、また国の行政機関の東京圏への新規立地の原則禁止など、さまざまの対応があると考えますが、さきに国の機関の移転について移転先並びに移転候補地が公表されましたが、これを見ますと、一部を除きそのほとんどが大宮、川崎、横浜等、先ほどの同僚委員の御答弁にもありましたとおり、その辺の移転が集中をしておりますが、このような東京圏内での再配置では東京一極集中是正という大目的につながらないのではないかと考えますが、その点いかがでしょうか。
  188. 石井一

    国務大臣石井一君) 先ほどの御質問にも答えたわけでございますので、重複しておる部分は避けさせていただくわけでございますが、政府としては、本来すべて地方移転という、そういう壮大な計画でスタートいたしたわけでございます。しかしながら、現実の問題として大きな壁に当たり、一部を移転せしめ、一部は周辺の業務核都市にとりあえず移転を決めた。しかし、今後、多極分散型の国土を形成していく上で第二弾、第三弾と進めていく中にその実を時間をかけても図っていきたい、そう念願いたしておるわけでございます。  なお、この姿勢を評価してと申しますか、民間におきましても都心部からかなり本社を地方に移転したというのがございます。私の手元にも食品会社、紙会社、工作機械あるいは電鉄、鉄鋼、繊維、一般機械等々、会社の名前を一々申し上げるのもどうかと思いますけれども、かなりの大きな規模が、これまで移転前は中央区、千代田区、港区、新宿区、台東区というようなほとんど都心三区に集結しておりました本社機能が、兵庫県、静岡県、神奈川県、埼玉県、静岡県、山梨県、まあ江東区、杉並区というのもございますけれども、こういうようなところへ移転いたしておるという、こういうケースもございます。  我々としては、官民一体となってこれを進めていくことによりまして、今、新坂委員の御指摘にもございましたように、中央区がべらぼうな過密のビルだけの密集したところになっておるわけでございます。ここからこれらが出るということで緑の公園ができ、あるいはまた住宅地ができるというメリットがあるわけでございますので、そういう形の中から今後も政府施策として粘り強く推し進めていきたいと思っております。
  189. 山田勇

    ○山田勇君 若干重複するところがありますがお許しをいただきたいと思います。  政府機関の移転は具体的にいつまでに進められるのか。計画的かつ円滑に移転がなされなければならないと考えますが、どのような方法が一番よいとされておるのでしょうか。
  190. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 今回、移転先が取りまとめられました機関につきましては、今後移転の条件が整備され次第、逐次移転していくという計画でございます。  政府全体の取り組みといたしましては、国の機関等移転推進連絡会議におきまして移転の推進状況を把握し、関係省庁からの要望も求めましてそれに対処し、円滑な推進を図っていくということにいたしてございます。  また国土庁といたしましても、移転に関連いたしまして各省庁からいろんな御要望が出てまいりますが、そういった要望を踏まえまして、移転の具体化に向けまして条件整備をいたしてまいりたいというふうに考えております。  逐次でございますが、着実にということを旨として考えてまいりたいと思っております。
  191. 山田勇

    ○山田勇君 東京一極集中是正について、今回の施策以外にどのようなほかに考えを持っておられるかお聞かせ願いたいと思います。
  192. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) お考えのように、国土の均衡ある発展を図るためには、東京圏への人口及び諸機能の過度の集中を抑制し、多極分散型国土を形成することが必要でございます。  既に首都圏につきましては国の行政機関等の移転、ただいま申し上げましたもののほかに、従来よりいわゆる工場等制限法によりまして工場や大学等の新増設を厳しく抑制してきたところでございます。また、東京圏を現在の一極依存型の地域構造から職住が近接したバランスのとれた地域構造へ改善するため、業務核都市等の整備を積極的に推進しているところでございます。  今後も引き続きこれらの施策の一層の推進を図るとともに、民間企業の事務所等の分散を促進するために施策の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
  193. 山田勇

    ○山田勇君 次は土地税制の改革について若干お尋ねをいたします。  まず、土地保有に関しては重課、譲渡には軽課という原則に立つべきだと考えます。  保有税の改革としましては、まず公的地価評価に対する信頼を高めるため、固定資産評価、相続税評価、告示地価など、公的評価の一元化を進めるべきであります。この一元化した公的評価に基づき、固定資産税や相続税などの保有税を課税する。これによって資産格差といった不公正を正し、また適切な土地利用を促すようにするべきであると思います。  この際、居住用とか営業用といった生存権的な土地保有には負担を軽くするという配慮は当然でありますが、社会開発による土地利益は社会に還元をし、良好な都市環境をつくるための財源にするといった、国税としての土地保有税という形を検討してよいのではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。大蔵省の方、お願いします。
  194. 大武健一郎

    説明員大武健一郎君) 地価高騰背景といたしまして、国民の間に資産格差に対します関心というものが高まってまいりまして、土地に対する課税の公平というのが求められていることは、先生の言われるとおり、十分認識しているところでございます。  したがいまして、土地取得保有、譲渡等に対します課税については、まさに御審議いただいております土地基本法案の趣旨や、それに則して講じられます関連諸制度施策の整備を踏まえまして、土地対策全般との関連において対処してまいりたいと考えております。  なお、国税としての土地保有税を創設すべきではないかという御指摘につきましては、土地保有について課されます税としまして、既に従来から地方税として固定資産税、都市計画税あるいは特別土地保有税というものがございまして、これは、国と地方の間の税源配分の問題というような問題もございますので、広い見地から検討すべき課題だと考えているところでございます。
  195. 山田勇

    ○山田勇君 土地基本法の審議のところでございます。やっぱり土地も税の方も多少手を加えなければ前へ進まぬのではないかという気もいたします。  次は、大阪府においては、現在二十六市六町を監視区域に指定し、特に関西空港や関西文化学術研究都市などに関連する地域届け出対象面積引き下げを実施するなど、地価上昇を抑える手を打ってはいますが、商業地ではやや鈍化傾向が見られるものの、住宅地は依然として高い上昇率を示しております。  先ほども、長官の方もその数字を申し上げていたようでございます。平成元年七月の一日時点の地価調査でも、大阪市、北大阪地域、阪神間などからその周辺地域よりさらに隣接の府県にまで地価上昇が見られます。泉州地域、東大阪地域も例外なく地価高騰の波は押し寄せております。これらの状況については、どのような御認識をお持ちでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  196. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 御指摘のとおり、大阪圏地価動向はまだ予断を許さない状況でございまして、例えば大阪府北大阪におきましては、商業地では前回よりも変動率がやや縮小しておりますが、なお著しい上昇が継続しておりますし、また東大阪や南大阪におきましても、地価上昇傾向が強まっております。この一年間を通じて広い範囲で地価上昇が継続しております。  そこで、大阪府、大阪市等とも協議いたしまして、監視区域の拡大あるいは届け出面積引き下げを行っていただいております。  また、国土庁といたしましては、こういった地価動向にかんがみまして、十月二十七日に監視区域の先行的指定あるいは指定後の地価上昇がなお引き続き著しい場合における届け出対象面積引き下げ等、監視区域制度のより的確な運用に努めるよう、関係知事あるいは指定市の市長に通達したところでございますが、この趣旨に基づきまして、さらに厳重な地価監視に努めまして、監視区域の的確な運用を徹底してまいりたい、そういうふうに考えております。
  197. 山田勇

    ○山田勇君 監視区域の指定については、地価が急激に上昇し、またそのおそれがあると認められる地域であると考えますが、適切に効果的に指定するにはどのような対応が必要なのでしょうか。  また、監視区域に指定されていない地域が逆に割安感から上昇するというヶースもあります。その上、監視区域に指定されているのにもかかわらず、地価上昇が著しい場合もあるわけでございますが、これらについてはどのような地価抑制の手段を考えられるでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  198. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 監視区域の運用に当たりましても、できるだけ早目に区域指定を行っていく。そのためには事前に十分な予備的調査を実施するということが重要だと思います。それと、上昇機運が衰えない、そういう場合にはやはり早目早目の厳しい届け出対象面積の設定が必要だと思います。  ただ、こういった監視区域制度の運用は、やはり制度としては対症療法的な性格が強いものですから、需給バランスをとるために過剰な融資の引き締めあるいは宅地供給の促進、そういった需給両面にわたる施策をできるだけ早くやっていく必要があるのじゃないか、そういうふうに考えております。
  199. 山田勇

    ○山田勇君 これは最後の質問でございます。  これまでは、国会、裁判所、また各省庁、地方自治体が土地に関する私権を神聖視し、土地公共性といったことに踏み込むのを嫌ってきた嫌いもありましたが、この基本法基本認識が鮮明になりますと、土地問題に対するコンセンサスが生まれ、前向きの立法、判決、行政上の措置が可能になるというような期待が大きくなると思いますが、その点はいかがでしょうか。これで私の質問を終わります。
  200. 石井一

    国務大臣石井一君) 土地公共性という問題が、土地基本法の幾つかの基本理念の中でも、最も重要だと申し上げてもいいだろうと思います。土地は生産ができるものでもございませんし、移動ができるものでもございませんし、またほかの商品と違います特性は、古くなっても値段が上がっていく、こういうような非常に異常なほかと一種切れ味の違うものがある。そこへもってきまして土地神話というものがありまして、持てる者は膨らんでいく、持っていない者の方はしぼんでいく、こういうような現象が繰り返し行われてきたわけでございますから、土地は所有したり投機したりするものでなく利用されるものだ、また公共が優先するのだということは、思想の上でも非常に大きな前進があると評価するわけでございます。国民がこれをどう受けとめてくれるか、認識するか、またそれを実践するかというところがこれからの問題でございます。この六条には、政府地方公共団体はその新しい概念、しっかりとした広報活動をやり、教育の中にもこういう問題を取り上げていく中でコンセンサス、意識革命をしたい、こういうふうなことを基本に臨んでおるわけでございます。  今、十二、三の基本法というのがあるようでございまして、その中には農業基本法でありますとかそのほかいろいろの基本法がありますが、公害基本法等は、公害というものがどういうものかよくわからなかったときに、これができたことにより公害に対する国民の意識というのは非常に高揚しました。土地というものは身近にありますのでそういう意識はなかったと思うのでありますが、今回こういうふうなものを十分徹底するとともに、そこにうたわれておりますもろもろの具体的な施策を、いろいろな実行法でありますとか税制でありますとか、あるいは都市計画等々を絡めて、そういう中から実際の効果をあらわして、もう一度願わくば庶民の手にマイホームを取り戻していく方向で努力したい、そのように考えております。  また、ノックさんなんかはテレビにもよく出られますから、じゃんじゃんやっていただいて、興を懲らしてやっていただく、今度はあかんで、今度土地を買うたりしたら、あんたこれ反社会的行為でいかれまっせ、あんたらの周りに余っておる土地があったら、ばあっと言うてくださいよ、こういうようなことを言うていただいたら大変ありがたいと思っております。
  201. 西川潔

    西川潔君 初めてこの委員会でお世話になります。最後の方は大変和やかなムードになりまして、よろしくお願いいたします。  私のライフワークは老人福祉でございまして、そういう観点からいろいろとお伺いしたいと思いますが、土地基本法というのを見せていただきまして、私は土地基本法というのは本当に土地に関する憲法のようなものだなというふうに感じております。午前中以来ずっとお話を聞かせていただきまして、本当にやる気のある大臣、ひとつ口だけじゃなしに頼みます、本当に。いや本当です。もうあと少しやらしてくれたら随分やりたいこともいっぱいあるというお話もお伺いしましたが、もう解散も間近いわけですから、ひょっとしたら、このまま続いてやっていただけるようなことがあったら本当に、我々話の内容を聞いておりまして大変楽しみにはしておるのですが、頑張っていただきたいと思います。  土地基本法地価の異常な値上がり背景の中で提案されたわけですが、地価の暴騰が社会のどこに一番しわ寄せになるかといいますと、二十四年間いろいろ老人ホームなどを回らしていただきまして、お年寄りとか身体に障害を持っておられる方とか、老人ホーム、いわゆる社会福祉施設、社会的、経済的に弱い立場にあられる方がやっぱり苦しんでおられるのです。そういう方々が安心して住めるような老人ホームの整備、社会福祉施設の充実を図る上でも、地価対策を積極的に推進する必要が本当にあると思いますが、素人の私にわかりやすいようにひとつ御説明をよろしくお願いします。
  202. 石井一

    国務大臣石井一君) 残念ながら、現在の土地基本法とその周辺にありますいろいろの政策を考えますと、これが直ちに老人ホームの建設やら社会福祉施設にプラスになるか、必ずしもそうではないという面があるのは大変遺憾です。と申しますのは、このことによりまして、現在需給関係に余りにも落差があるものをそろえようとするわけですから、土地供給しようとしておるわけですけれども、またいろいろな形で未利用地を利用したり遊休地を利用したりしようとしておるわけでありますが、老人ホームとか福祉施設というのは決してもうかるような事業ではございません。また、そこから収益が上げられるというふうな性格でもございません。しかも、ほとんどその計画が国の施策というよりも地方自治体の施策に移っておるという一面もございます。  したがって、これから土地基本法によっていろいろ政策を変えていき、土地住宅を変えていく。これはサラリーマンなり勤労者なりの方向へ持っていき、地方自治体がこれまで保有しておる土地あるいは遊休地、こういうふうなものを、これはもう既に取得されておるわけでありますから、地方自治体のものなのでありますから、これを極力そういう方向へ持っていくという、そういうような指導を今後していくということが具体的な今潔さんの言われた問題を解決する方向になるのではなかろうか、そういう感想を持っております。
  203. 西川潔

    西川潔君 お話をお伺いしておりますと、内容はよくわかるのですけれども、いろいろ毎日の新聞とかテレビとかの報道を見ますと、例えば厚生省なんかは寝たきり老人ゼロ作戦というようなことも打ち出しまして、なるべく老人ホームに行かない、病院にも行かない、おうちに帰っていただく、家族で楽しく暮らしていただくということが計画はされておるのですけれども、それが今度はおうちに帰ってもなかなか住宅事情がございましてうまくいかない。我が家も三人の親がいるのですが、たまたま三人の親の面倒を見るスペースがございますので幸せに生活はさせていただいておりますが、なかなか現場を回りますとそういう現状ではないわけです。  法案では、土地の理念として「公共の福祉を優先させる」とありますので、あえてこういうことを真剣にお伺いしておるわけですけれども、弱い方々を守るという立場でひとつ、最近、近い将来の高齢化社会が問題になっておるのですが、恵まれないお年寄りの方々、親のいない子供たち、そういう方々のために自分は一生懸命やりたいな、こう思っておるのですけれども、九月十五日の敬老の日の毎日新聞にも載っておったのです。「追いつかぬ特養ホーム 高地価の壁 待機老人が急増」。お年寄りがいっぱいふえております。寝たきりの人ばっかりでもないのですけれども、元気なお年寄りがふえましたし、国会議員のお年寄りの方は実に元気たなと、こういうふうに思うわけです。行く行く皆さん年とっていかれるわけですから、そういうことをひとつ――この間総理大臣にも、だれに面倒見てもらうのだという質問をさせていただきますと、やっぱり嫁や娘というふうに言っておられますが、一緒に住める方はいいのですけれども、なかなか住めないのが現実です。  二十三区内の地価は高くて、今後新たな特養ホームを建設するときは大変難しい。昨年、港区立の特養ホームで「白金の森」というところがあるのですが、土地の購入、建設費合わせて何と六十四億円。千代田区は用地難から建設のめどが立っていない。お金の問題もあるようです。ホームへ入所したいという希望者はたくさんいらっしゃるわけです、これはやっぱり住宅事情で。先ほどもお話ししましたが、やっぱりおうちへ帰ってみんな楽しく過ごしていただこうという厚生省などのお話もございますので、高齢者の増加、しかし施設の数は不足。地方自治体や民間で施設を確保しようとしても、その最大の障害がやっぱり地価高騰であります、場所の確保。  そこで、きょうは厚生省にお越しいただいておりますが、最近の地価上昇でますますこうした施設の整備が難しくなると思います。大変でございましょう、皆さんのお仕事も大変でしょうが、病院の方では社会的入院はお金の方もたくさんかかるので帰っていただく。帰ってきてもらっても夫婦で子供が二人、三人おる。おじいちゃん、おばあちゃんは気を使うてまた出ていく。最近の高齢者の自殺等を見ていただいてもよくわかるのですが、このあたりをこれからどういうふうにしていただくかということを、現場を回りまして、潔さん、どないなってんねん、あんたら国会に行ってんのやから説明してくれんかいなというお話が実に多いものですから、あえてきょう厚生省の方にお越しいただいたんですが、よろしくお願いします。
  204. 辻哲夫

    説明員(辻哲夫君) 都市部における特別養護老人ホームなど、老人用の施設の立地問題についてお答え申し上げます。  世界共通でございますけれども、年をとりますと住みなれた環境から離れることを非常に悲しむといいますか、住みなれた環境にいたいというのが高齢者共通の願いでございます。ところがこれまでの都市というのは、どちらかといいますと若夫婦あるいは子供といったイメージを中心に形成されておりまして、このように高齢化が進みますことに伴いまして高齢者に対するスペースというものが不足しておるということが非常に大きな問題でございます。  したがいまして、住みなれた環境に住めなくなるということで、私どもといたしましても、都市部に特別養護老人ホーム、これは寝たきりのお年寄りのための施設でございますけれども、都市部に何とか立地させていただくように、それからケアハウス、ケアつき住宅というふうに言っておりますけれども、ひとり暮らしで心配なお年寄りのための福祉サイドからの、住まいといったものをこれから整備する、このようなことを考えておるわけですが、具体的には何といいましてもこういうものは公的に整備するものでございますので、公有地の活用、これが非常に大切なことだというふうに考えておりまして、これをお願いしておる。  それからもう一つは、他の施設との合築。これから高層化ということを高齢者用の施設については差し支えないと考えておりまして、他の目的の施設との合築、複合化ということを進めていただきたい、こんな考え方でございます。  それで実例を申しますと、今先生からも御指摘がありましたように、公有地の活用という形では、港区の例でございますけれども、これは本当に莫大なお金をおかけいただいて林野庁の職員宿舎跡地を購入していただきまして、そこに施設を立地させたという例がございます。それから多目的施設との複合化では、中央区の例でございますけれども、区立中学校の建てかえに際しまして、中学校と特別養護老人ホームと保育所、こういうものを複合した施設をつくるというようなことを進めていただいております。  私どもとしては、これからはこのような高齢者用の施設ができることがとりもなおさず住みよい町だ、いい町だということでございまして、この例を各府県に紹介いたしまして自治体レベルでの工夫を促進していただき、全国どの都市でもこのような形のものがふえてまいるように努力してまいりたいと存じております。
  205. 西川潔

    西川潔君 ありがとうございました。ひとつよろしくお願いいたします。  本当に実際現場を回りまして、都会の人でもどうしてもちょっと離れた田舎の方の老人ホームにお世話にならなければいけないということが現実ですが、僕ら参りますと、お年寄りの人にいいですなと、朝、昼、晩、食事を栄養のバランスまで考えていただいて結構なことですやないかいな、こう言いますと、いやいや寂しいねと。これ見てみいな、バスも通ってへん、電車も通ってへん。一回一回息子や娘のところへ帰るときでも、施設のマイクロバスに乗せてください、ちょっと駅まで送ってくれませんかと言うと。毎回毎回そんないい顔をしてくださらないというような、いろんな寂しいことがやっぱりあるわけですね。それはしていただく分には何か辛抱しなきゃいけないという部分はよくわかるんですけれども、特に都会の人たちは都会から離れたくない、田舎の人たちは都会に来たくないというお話をお年寄りの方々に聞きます。  もう御存じだと思うのですけれども、スウェーデンのコレクティブハウスというのもございます。これはどういうところかといいますと、大臣にも聞いていただきたいのですけれども、すべての人が住んでいるのですね。定年退職者、男女、もちろん女子学生、男子学生、サラリーマン、共同ぶろ。夫婦、子供、そして学校の先生、あらゆる階層の方々が同じところに住んで、そして子供たちの、またお年寄りたちの面倒を見てあげたり、交流を深めたり、福祉国家はこういうことをしておるのですが、なかなか国土の問題もありますので難しい問題かとは思いますが、考えてみていただきたいと思います。そして、実際問題として土地を得るには国公有地を活用することがこれからの時代は特に必要ではないかと思います。現実に旧国鉄の跡地などに自治体も交渉をなさっているような報道は私も伺っております。また、国鉄跡地につきましては、旧国鉄の債務を埋めるという事情もありまして、その処分については価格にも難しい面があると思います。  きょうも一日お話をお伺いしまして、本当に難しい問題が、また申し込みの問題とかいろいろお伺いしましたが、政府機関の移転の跡地につきましては旧国鉄跡地の抱えるような問題はこれはないと思います。国有地の活用については公的な住宅などとともに、こうした社会的に必要な施設に対しても積極的に進めていただきたい、こういうふうに私自身考えるのですが、大臣ひとつ前向きな答弁をよろしくお願いします。
  206. 石井一

    国務大臣石井一君) 実は、土地基本法土地の問題、住宅の問題、サラリーマン、勤労者に目が向いておりまして、また政治的問題として資産の格差、こういう問題ばかり議論をしておりましたさなかに、西川議員が御老人あるいはその施設、福祉施設等々について今非常に自分の体験を通じた議論をしていただき、土地問題にこの問題を欠落させたのでは政治家として失格だ、こういう感じを実は抱いておるような次第でございます。  具体的には、ただいま厚生省の説明員も述べられましたように、大都市の中で、土地の高いところで福祉施設をつくるのは難しい。しかしながら国公有地を利用してもらいたい。また附置義務といってそれをつけるというところまでできませんけれども、何か学校をつくる、公園をつくるというときに、そういう老人ホームを必ずつけるというところまでいっておりませんけれども、今後新しい宅地が大規模に開発されたりなんかいたしましたときには、そういうふうなものをも同時に併設するというような考え方を土地行政の中に組み込んでいくことができないだろうかとか、あるいはまた、税制上あるいは融資その他金融上の措置で、これから人口がもっともっと多くなるわけでございますから、そういうことを考えましたときに、今のような制度のままでは遅々として施設は進んでいきません。恐らく我々が老人になったころには入るところがのうなるというようなこともあるかもわかりません。自分たちのことを考えておるわけではございませんけれども、老人人口の伸び方がさらに大きいということを考えましたときに、土地住宅政策の中に福祉施設をどのように組み合わせるかということについてもひとつ真剣に検討をさせていただきたい、そのように考える次第でございます。
  207. 西川潔

    西川潔君 いいお答えをいただきましてありがとうございます。我々も皆さん方もそうですが、やっぱり老後は不安なく安心して健康に暮らしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  208. 石井一

    国務大臣石井一君) 実は、西川さんもなかなかテレビで人気があります。必ずブラウン管に向かって、土地基本法ができるんやぞと、そんならもうこれから土地をみだりに質うたら処罰されるよ、これはみんなのもんやでと、こういうことを繰り返して国民の中に浸透させるために、ノックさんも御協力賜りますように政府よりお願い申し上げます。
  209. 西川潔

    西川潔君 じゃ、その資料をひとつよろしくお願いします。
  210. 福間知之

    委員長福間知之君) 両案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後四時四十九分散会