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1989-11-29 第116回国会 参議院 土地問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十九日(水曜日)    午前十時四分開会     ─────────────    委員の異動  十一月二十四日     辞任         補欠選任      今泉 隆雄君     平野  清君  十一月二十九日     辞任         補欠選任      平野  清君     今泉 隆雄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         福間 知之君     理 事                 井上  孝君                 斎藤 文夫君                 吉川  博君                 村沢  牧君                 山本 正和君                 片上 公人君     委 員                 石渡 清元君                 岡野  裕君                 岡部 三郎君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 西田 吉宏君                 野村 五男君                 藤田 雄山君                 二木 秀夫君                 小林  正君                 谷畑  孝君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 野別 隆俊君                 白浜 一良君                 広中和歌子君                 市川 正一君                 新坂 一雄君                 山田  勇君                 今泉 隆雄君    国務大臣        建 設 大 臣  原田昇左右君        国 務 大 臣  石井  一君    政府委員        総務庁長官官房        審議官        兼内閣審議官   増島 俊之君        国土庁長官官房        長        北村廣太郎君        国土庁計画・調        整局長      長瀬 要石君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        国土庁地方振興        局長       野沢 達夫君        法務省民事局長  藤井 正雄君        大蔵大臣官房審        議官        兼内閣審議官   谷口 米生君        大蔵大臣官房審        議官       松野 允彦君        国税庁直税部長  福井 博夫君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        建設大臣官房審        議官        兼内閣審議官   白兼 保彦君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  真嶋 一男君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君        自治大臣官房総        務審議官     芦尾 長司君        自治大臣官房審        議官        兼内閣審議官   遠藤 安彦君        自治省行政局長  森  繁一君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        大蔵省主税局税        制第一課長    長野 厖士君        大蔵省銀行局銀        行課長      小山 嘉昭君        農林水産省構造        改善局農政部農        政課長      窪田  武君    参考人        日本国有鉄道清        算事業団理事   前田喜代治君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○土地基本法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○国土利用計画法の一部を改正する法律案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を開会いたします。  まず、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事前田喜代治君の出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 福間知之

    委員長福間知之君) 土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  前回、両案の趣旨説明は聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 山本正和

    山本正和君 両大臣汐留視察に行かれたそうでございまして、きのう私ども特別委員会視察京都大阪神戸と回って帰ってまいりまして、宿舎へ着いたら、ちょうど七時のニュースで国土庁長官のコメントがございました。  まず、両大臣汐留を御視察になっての御感想を承りたいと思います。
  6. 石井一

    国務大臣石井一君) 衆議院審議を通じまして汐留の国鉄の跡地清算事業団の処理、また例えばスーパー堤防の問題でございますとか、大阪東京臨海地域に対します広大な計画等々につきまして各委員からいろいろの御指摘等がございました。私たちも書類の上では、また役所からのレク等ではいろいろ勉強させていただいておったわけでございますが、参議院の審議に臨みまして、やはり百聞は一見にしかずということもございますので、実態を見てそういう中からもっと正しい判断を持って当委員会審議に臨みたい、こういうことで、昨日、建設大臣とともに約五時間をかけまして東京都内を回ってまいったわけでございます。  意見といたしましてはいろいろございますけれども、率直に申しまして、私たちが回りましたところは東京都心から五キロ、十キロというもう都心中の都心でございます。また、中央三区と言われております一点集中の中の核という場所でございます。したがいまして、住宅等を拝見したわけでございますが、確かに高度利用を行ったり、あるいはこれまで工場であったところの未利用地を活用したりして、東京都あるいは建設省工夫をしていろいろやっておるわけでございますけれども分譲価格を伺いましたり、あるいは賃貸価格等、またその入居に対します非常に過当な競争等を伺いましたときに、このままの状態であればなかなかこれはサラリーマンであるとか庶民の手に届き得ない状態にある。しかしながら、少し通勤距離を遠く広げてまいりますと、このような手法でも届いてくるような状況もあるのじゃないかなと思いましたけれども、そういう形の中に住宅政策、ひいては都市政策の厳しさというものを感じた次第でございます。  それから、汐留の空き地でございますが、周辺にはいろいろの施設がございますし、浜離宮もございます。二十一ヘクタールといいますが、二十一ヘクタールという土地は想像したよりも大きい。周りがビル化し市街化しております中に、それだけのものがあいておるというふうなところはちょっとほかにございません。しかしながら、二十一へクタールの中に今後どのような絵をかき、どのように都市計画をするかということ、これは一つのモデルケースになるのじゃないかと思うのであります。東京のど真ん中であり、新橋駅に隣接しておる。その中には縦貫道路も走らさなければいけない、また新交通システムを取りつける、そして地下街をくぐって下の方の高速道路とも連結する。私は、そこで清算事業団等理事長ほかにも申し上げたのでございますけれども、ひとつここですばらしい標本になるような町づくりをしていただきたい。当然住宅も加えていただきたいけれども日本の町は今後こうあるべきなんだ、こういうようなものにひとつ真剣に取り組んでもらいたい。また、なぜこれを何年間もあげておるのか、直ちに着工をしていただきたい。これまでの予定をさらにさらにスピードアップしてもらいたい。ニューヨークからでもパリからでも東京の町の標本としてこの汐留跡地へ来て、日本都市というのは今後こういうふうに形成されていくのではないか、こういう夢を持った構想をひとつ構築してもらいたい、そういうふうなことを見てまいった次第でございます。
  7. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 昨日視察いたしました国の所有地汐留ですね、それから都の埋め立てをいたしました臨海部国公有地、こういったものがまだ未利用状態で放置されてあるわけでありますが、これは大変住宅供給にとって重要である、こういうように認識をいたしました。非常に都心部至近距離にありますし、インフラ整備しさえすればすばらしい地域になるわけです。しかも、臨海部埋立地東京都が埋め立てたわけですから、ゼロから新しい土地をつくり上げたわけでありますので、コストも相当安いということになるのではないかと思います。こういうところに早く住宅計画を具体化していけば、かなり都心に近いところで勤労者に適当な住宅を供給できることは可能になるのではないかと私は大いに期待をいたしました。  汐留については、今石井長官の言われたとおり、新橋駅の目と鼻の先ですから、本当に商業地区も含めて区画整理計画でやるということでございますが、立派な市街地をつくってもらい、住宅もそれに付加していただきたい、こういうように期待をいたしておる次第であります。  それから、大川端の再開発、これも非常に、工場跡地あるいは倉庫の跡地利用した形ですばらしい計画だと拝見いたしました。こういうところはまだたくさんあるわけでございますので、わずか東京駅から二キロ、そういうところに住宅を供給し、オフィスを供給するということでございますが、私は既成市街地の再開発をもっともっと進めて、庶民期待の持てるような住宅を供給するように努力をしてまいりたい、こういうように考えておる次第でございます。
  8. 山本正和

    山本正和君 両大臣の御見解を伺いまして、何とか土地問題をやらなきゃいけないという一つビジョンといいましょうか夢といいましょうか、そういうものが必要である、こういうふうにお考えになったと受けとめたいわけであります。私も土地問題のこの委員会に所属いたしましてからいろいろ考えてみたわけでありますけれども、今までに実は政府の中でも特に、こういうことを言うのは大変語弊がありますが、優秀な役人諸君昭和二十年代から始まりまして我が国があの戦争の大変な惨禍の中で土地が荒廃した、都市がめちゃくちゃになったというときから、役所の中では随分すばらしいプランを考えたり、また国土計画あるいは都市計画、そういうものに随分いろんないい案が出ているわけですね、今までに。そしてまた、戦後の我が国民主主義を一番支えたと言われておる農地解放の問題でも、要するに農地というものの持っている非常に重要な意味、そういうことから、地主から土地を取り上げてしまって小作人に渡した。要するに土地に対して大変革命的な出来事が戦後行われた。  ですから、私は行政の中にあって我が国の将来を考えた場合にはやらなきゃいけない幾つかの課題、これはおのずからわかってくるわけでありまして、当然できなくちゃいけない。しかし、それが今日まさに平成元年という年を迎えて、なおかつ国民の間に大変な不満が出てきている。一体どうしたらいいんだ、こういうふうなことが出ておりますし、またことしの初め段階で若干東京土地が、地価が鎮静したとかそういうふうな問題等も出まして、もうこれでいいんじゃないかというふうな話が出ておったら、私どもがきのう視察いたしました京都大阪あるいは神戸さらに名古屋、大変な土地価格暴騰が出ているのですね。  こういうふうな問題について結局土地価格をどうしても適正にしていかなきゃいけない、これは一番基本の問題として本日今から議論するわけでありますが、適正な地価問題の前にひとつ両大臣どうでしょうか、地価高騰現状、そしてこれがなぜこうなってきているかというよって来るべき主な原因、これは趣旨説明の中にも若干触れておられますし法案の中にも若干触れておられますけれども、今日の土地問題が大変困難な状況になっている原因をどうお考えなのか、この辺をちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
  9. 石井一

    国務大臣石井一君) まず一つは、我が国土地というのが余りにも狭くまた貴重であり、そこに土地神話というふうなものが形成されたという、何と申しますか不幸な客観情勢というものが一つあるだろうと思います。御承知のとおり、我が国土地価格というのがアメリカの百倍だという、そういうような考え方もございます。日本列島が一千六百兆円、そしてその広さにおいて二十五倍するアメリカ大陸が四百兆円というデータが出ております。ということになりますと一対百の格差がある。日本における土地問題というものがそれほど厳しい問題だという一つの証左ではないかと思うわけでございます。  そこへもってきまして、我が国は美田を残すというような先祖父祖代々の思想等もございまして、土地に対する執着、意欲というものは並み並みならぬものがあるように考えられます。そして、土地というものは生産もできない、移動もできない、しかし古くなってもますます高くなっていく、土地を持っておれば資産はふえていく、土地のないところはその反対だ。こういうような中に土地ほど有利な投機投資対象はないという、こういうような考え方もございます。  そして第三に、反省として率直に申し上げるのでございますが、過去土地暴騰を超こしておりますのは、確かに昭和三十五年の高度経済成長の時期、あるいは四十九年、五十年の日本列島改造の時期、あるいは昭和五十六、七年の民活ブームの時期、そして最近の六十二年、六十三年というふうな状況の中に、一時は安定したり下がったりする時期があったにもかかわらず、十分な政策的な適切な手が打たれたかどうかということに私はやはり政府なり関係者としては反省をしなければいかぬ一点もあるのではなかろうか。  いずれにいたしましても、山本委員の御指摘のとおり、土地問題につきましては英知を集めたいろいろの具体的な手法なり計画なり、あるいはビジョンというものも出ておるわけでございます。ただそれがなかなかいろいろな関係で実行できてない、こういう問題も今後の大きな問題点として考えていかなければいけないのではないか。  非常に雑駁な所見を申し述べて恐縮でございますけれども、今日までの地価の異常なこの問題に関しましては、今申しましたようなもろもろな問題が積み重なった上に現状になっておるのではないか、そう理解しております。
  10. 山本正和

    山本正和君 主務大臣という形で今政府を代表された形での御意見だと思いますし、実は確かにかつて天野建設大臣土地問題の一番根本政府が適切な対策を講じなかったことだというふうなことをずばりおっしゃったこともあったかと私は記憶しております。そういう意味を含めまして、土地問題のやっぱり一番根本政府施策であった、これが何よりも中心になくちゃいけないと思うのです。しかしながら、政府施策といっても政治のさまざまな動きにはどうしてもなかなか逆らえない問題もたくさん出てまいります。ですから、そういう中での矛盾が今日まで来ておるのだろうというふうに私は思うわけであります。  ただ、ここで今まで一貫して議論をしてきている中で、今度政府が提案された原案に対して、四野党の修正案を含めて衆議院では多数でもって修正案が出されて、今日ここに来ているわけです。その中での論議一つ土地公共性の問題があるわけです。ところが、従来土地公共性の問題を前提としたさまざまな施策政府部内で立案されたり、また推進されたり、地方自治体でもそういうことに対して真剣に取り組んだりしてきた経緯があるわけです。しかし、これがいつの間にやらなし崩しにされていっているという背景には、土地は憲法二十九条の財産権だ、私有財産権を侵してはならないというこれが背後にあるのだ、そのために思い切って土地問題に対するいい案ができても、これがなかなか実施されないというふうなことがよく言われるわけであります。  もう一つ財産権の問題と公共福祉という問題です。その辺の関連について、これはどうお考えになるのか。これは経過から言ったら、どちらかといえば建設大臣の方が、過去の国土庁ができる以前からの経過がありますから、ひとつ建設大臣も含めて御見解を承りたいと思います。
  11. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 確かに先生指摘のとおり、土地一般財産と異なりまして、限られた貴重な資源でございますし、また経済活動にとりましても、国民生活にとりましても不可欠な基盤でございます。それと、土地利用というのは、隣接地だけじゃなしに周辺地域の利害と非常に大きなかかわりを持っておるわけでございまして、非常に公共性の強い財だと申せると思います。  したがって、基本法の第二条におきましても、そういう土地の特性にかんがみ、「土地については、公共福祉を優先させるものとする。」と、衆議院修正もありまして、そういう条項になったわけでございますが、公共福祉と私権としての土地の取得、利用、処分、そういったものが競合したり衝突するような場合には、やはり公共福祉を優先させるという立場を貫きながら、所有者の方にも利用の側面を重視していただく、こういうことが非常に大切じゃないか。我々施策をいろいろ考えていく際にもそういう基本理念のスタンスに立って、これからいろいろな展開を図っていかなければならないのではないか、そういうふうに考えております。
  12. 山本正和

    山本正和君 大体衆議院論議の中でもそういう問題がかなり強く出されまして、与野党を通じて土地公共性重要性ということが認識されてきている。政府部内でもこれはもう十分認識されているというふうに私は思うわけであります。  ただ、やはりここできちっと反省しておかなければいけないのは、かつての土地暴騰のときに、地方公共団体がさまざまな、これはかなり地元の経済界あたりから厳しい批判を受けながらも土地規制というものをやってきて、そしてそれぞれさまざまな指導要綱等もつくって地価の鎮静に努めてきた。ところが、これが中曽根民活という言葉で言われておりますけれども、要するに自助努力とかそういうものが言われるようになってきてから、自治体の指導要綱等を直せとか緩めろとかいうふうなことが盛んに行われてきておった。そしてそういう中で特に私ども大変自分が住んでいるところの話をするとぐあい悪いのですけれども、私は麹町宿舎におるわけです。三年前は日当たりがよくて大変環境もよかった。ところが、あそこの研修所跡地ですね。それは大蔵省が払い下げたわけでありますけれども、その当時の公示価格の何とたしか三倍近い、二・二九倍でしたかね、ちょっと数字はっきりしておりませんけれども、何か二千三百万ぐらいでしたね、坪。払い下げをして、そこへ物すごいビルが建った。私どもの部屋はちょっと暗くなって、朝、日当たりが悪いのですけれどもね、これは個人的なことですけれども、そういうものが建った。ところが、売却が行われたすぐ後から麹町一帯がどんどんどんどん値上がりをしたわけです。麹町宿舎のすぐそばに小さな一杯飲み屋があるのですけれども、これ老夫婦でやっているのです。昔からの麹町に住んでいる人です。その人が、先生、実はもう私ども夫婦土地を売らぬことには息子にこれ譲れない。こんなに値上がってしまって。こんな嘆きを語っておられたわけです。  ですから、そういう意味で、土地暴騰原因が安易な民活路線、本当に民間活力企業活動というものが我が国経済の根幹であることは私も否定いたしませんし、大変重要な意味を持っていると思うのです。  しかし、それが少なくとも審判としての役割を政府がしている、きちっと公正に調査が行われている、審判役をしておって初めて自由な市場原理というものは国の発展に役立つわけです。弱肉強食でほったらかしておった場合にはその国は滅びる。国を売ってでも金もうけするというのは、これは資本の論理ですから。そのために国家をつくっているわけですね。ところが、その国家国有地を払い下げて、そして地価の上昇をどんとあおるというようなことをした。これ事実なんですね、経過として。本当にこれ困ったことだと思っておったのですけれども、けさの新聞を見ましたら、汐留跡地はどうやら土地区画整理事業対象になるやに聞いております。したがって、今後こういうふうな問題について暴騰原因政府みずからがつくったと言われるような事態については、どうお考えになるのか、特に適正な地価対策という観点からどういうふうにお考えになっているのか、この辺ひとつ承りたいと思います。
  13. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 委員のおっしゃるように、確かに今資金が余っている時代でありますから、土地投機資金として流れるという可能性は十分あるわけで、そういうとき、それをたまたま格好の材料があると、いわば仮需というか、実際の需要に増して投機資金が動くということが避けられないわけでありますので、これについては銀行融資等、チェックするように大蔵省にもお願いして今やっていただいておるわけであります。  そして、今のケースも先ほどおっしゃったケースも我々は反省いたしまして、一般国有地を払い下げたりなんかする場合には、民間に対しては公開入札原則にする会計上の原則があるわけでありますから、そこをどういうようにうまく調和してやらせるかということになるわけで、できるだけ地価を顕在化しないような工夫をしようじゃないかということで、今度汐留清算事業団ができれば株式方式地価を顕在化しない形でやろうということであり、その利用方法について区画整理方式をとりましてインフラも一緒に整備をして、そして適正な市街地の形成を地価を顕在化しない形でやろうじゃないか、こういうことで今進めよう、こういうことになったと理解をいたしております。  きのうもそういうことで具体例として見に行ってきたわけでありまして、できるだけ早く都市計画決定をしたいということを言っておりましたが、周辺区画整理に参加していただく方々もおるわけでございますので、地主一つじゃありませんでたくさんありますので、そこの御理解を得て、早く区画整理事業が軌道に乗るように都市計画決定に持ち込んでほしい、こういうように私は期待をいたしております。
  14. 山本正和

    山本正和君 梅田の跡地の問題ですね、二十二ヘクタールあるわけです。今の汐留解の場合それはそのままでいいと私は言いませんけれども東京東京大阪大阪地域の事情がありますから。しかしいずれにしても都市計画基本である。どんな町づくりをするのかという観点から、そういう国公有地あるいはそれに準ずる土地を処分するときには、少なくとも地方自治体都市計画、そういうものを前提にしながらいろいろ考えていく。これのしょっぱなが今度の汐留問題であるというふうに思ったのでありますけれども、今後もそういう姿勢を国土庁としてはおとりになる、そういう流れとして私ども受けとめていいのか。この辺はどうですか。
  15. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 少しここ二、三年の経過も御説明させていただきますが、たしか先生指摘のとおり、五十九年ころから六十二年の初めにかけまして国公有地一般競争入札による処分を行ったわけでありますが、それが東京地価高騰の引き金あるいは高騰に油を注ぐ結果になったのじゃないか、そういう御指摘もございまして、六十二年に国土利用計画法を一部改正していただきまして、国等が土地の売買を行う場合にも適正な地価の形成に配慮すべきだと定められたわけであります。この規定に基づきまして、現在は関係行政機関で連絡、情報交換を密にしながら土地の処分利用を行っております。  まず、その具体的な例としまして、緊急土地対策要綱等で、地価が急騰しておるところでは、公共用地等に使われることが確かな場合を除き、しばらく処分は見合わせるとか、あるいは処分をする場合にも、厳に地価への影響等を考えながら処分を行っていく、そういうふうな取り決めをしております。  ただ、処分される土地は、原則的には公共団体の利用意向を確かめながら処分庁では処分されておるわけですが、処分予定地には大小さまざまな土地がございます。今お触れになりました汐留とか梅田貨物駅跡、こういう都心の一等地でしかも広大な土地、こういうものを今後利用していく場合には、確かに関係行政機関、もとより地元の地方公共団体等の意向も十分聞きながら、あるいは参加を得ながら土地利用計画をしっかり固めつつ利用を図っていく、そういうことであろうかと考えております。
  16. 山本正和

    山本正和君 これは我が国の縦割り行政ということから、それがやはり適正な地価といいますか、そういうものがなかなか形成し得ないというふうなことも言われておるわけですね。  パリの都市計画なんか聞きましても、二年ほど前に私はパリ、ロンドンを建設の大先輩の坂野先生のお供をしましてずっと回ったのですけれども、要するにヨーロッパあるいはアメリカの都市計画というものは、きちっと責任者が決めて、もちろんそれは都市計画が大前提ですけれども、その中で行われて、しかもそれぞれの自治体が自治体のカラーを持っている。アメリカなら例えばボストンとニューヨークとワシントン、それぞれの町づくりはみんな違うのですね。それぞれの自治体がそれぞれの特性を生かした格好でやっていっている。それぐらい自分たちの住む町というものに対して住民が強い関心を持って、そこで自分たちの生涯を送る、あるいは生活の基盤があるという、そういうものを前提にしながらきちっとやっていかれるのでありますけれども我が国の場合、そういう意味で縦割り行政等の問題も含めて、都市計画の責任をきちっと定める。そして、定めることに対して、それを保障するのが主務官庁である国土庁である。だから、いろんな省庁の縄張りとかなんとかの権限はやはりそれぞれおありになるにしても、最終的には調整は国土庁なら国土庁がきちっとやる、こういう責任体制がなければできないというふうに私は思うのですが、今後の地価あるいは土地基本問題に触れて、ひとつ国土庁の長官どういうお気持ちでございましょうか。
  17. 石井一

    国務大臣石井一君) 確かに御指摘のとおり、都市計画の推進でありますとか地価対策等々が非常に各省にまたがり、元化されていない。そういう中から効果が上がらない。こういうふうな問題は、過去の経緯の中で御指摘されるとおりの一面もあると思うのでございます。したがいまして、今回この基本法には土地利用計画というふうなものを設定いたしまして、また国、地方公共団体、事業者、さらに国民の責務というふうなものも規定いたしまして、土地利用計画にのっとって、それぞれの責務を果たしていくことによりこれらを総合的、一体的にまとめていく、こういうことを推進していくというのが基本方針でございます。  しかしながら、かといいまして、例えば一つ計画を進めるに当たりましても、どうしてもそれぞれ、俗な言葉で言いますと縄張りと申しますか、過去に積み重なった権限というふうなものがございます。これらの問題を今申されました欧米諸国に従って直ちに国土庁にこれを取り上げるというようなことも、現実の問題としては難しい面もあるだろうと思うのでございます。しかし、克服しなければならぬ問題でございますので、今後各省の連絡を密にいたしますとともに、政府の上の方には土地関係閣僚会議というふうなものもございますので、これらが総合的に一体となって、もう一度新たにスタートラインに立ったような気持ちでこれらの問題について対処していきたい、そういう考え方国土庁としてはおるわけでございます。
  18. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 私、建設大臣としても一言お話し申し上げたいと思います。  委員指摘のように、都市計画はそれぞれ自治体が責任を持ってつくるべきものであります。しかし、全体の総合調整をやる立場から建設大臣が認可したりすることを、あるいは指導したりしておるわけでありまして、基本的には自治体に責任があるということは、日本も外国と変わらないわけであります。  ただ、今委員指摘のように、みんなでいい都市をつくろう、そのために自分の私権をある程度制限されてもやむを得ないというところがどの程度かというところに大きな違いがあるのではないかと思います。例えば日照権一つとりましても、都心部だったら、少し高層化して大いに高層住宅に住んでもらいたい、一般にみんなそう考えると思うのです。便利なところにいるのだから、そのときは日の当たらないことも我慢してもらわなきゃならないわけですが、いやそれはだめだ、おれのところに日が当たらなくなるような高層ビルを前に建てるのは絶対に反対だ、いつまでも二階建てか三階建てにいて日照権を得ようとしておったのではこれは話になりませんですね。そういうところがこれからの都市をつくるのに非常に大事だと思うのです。再開発をやろうといってもなかなか再開発、まあこのごろあるところあたりでは非常に成功したものですから、その周辺がおれたちもやろうという空気になってきていただけるところも大分出てまいりましたけれども、いやおれはまだこの地面の方がいいよと、床面積におれの権利を転換させられるのは嫌だよというようなところもたくさんありまして、高層化がなかなか進まないというところもあるわけですね。それから、道路を拡幅しようとしても、いやもうそんな区画整理でおれの方減歩されたらかなわぬとか、いやおれはだめだとか、こういうことになりましてなかなかうまくいかない、したがって高層化も進まない。こういうような点の調整をやるには、一人一人の方と話をして判こを押してもらうという行政があるわけですが、これが大変でございます。そういうようなところが、パリがあれだけの都市をつくったときと住民一人一人の考え方あるいは区画整理を推進する側の人たちのやり方等々大分違うのではないかな。しかし日本都市化が進んできて、これではいかぬという空気にだんだんなりつつある、そういうとき、この土地基本法もぜひ国会で御審議をいただいてお示しいただければ大変ありがたい、こういうように考えておる次第であります。
  19. 山本正和

    山本正和君 大臣の今おっしゃったことが起こっている原因を私は政府考えてもらいたいと思うのですよ。というのは、土地を持っていればもうかるのです、必ず、今の仕組みはね。土地を上手に売買すればもうあっという間にお金がもうかるのですね。そういうふうな中で、何でばかばかしい、道路に自分の土地出さなきゃいかぬのか、何でおれの目の前にあんな大きなビル建てるのだ、こう言って怒るのは当たり前なんですよ。だから、土地は絶対にもうからぬものだ、土地によってもうけるということはだめなんだということをヨーロッパやアメリカでは、まあアメリカは若干違いますけれども、もういち早くそのことを政府施策として出している。ですから、フランスのニースのあのあたり、私も都市計画局長から聞いたのですけれども、そうしたらあそこをリゾートにすると決めるときに既にもう土地の値段を規制しちゃっているんです、ぴしゃっとね。それから開発しているのですよ。それぐらいのことを政府が思い切ってやるのでなかったらだめなんだけれども我が国政府あるいは財界あるいは一般我々日本人の心の中にある土地への執着も含めて、何か知らぬけれども土地というものはもうかるものだと、こうなってしまう。土地が生活の基盤であって自分たちの人間生活を営む上の一番大切なものだという部分を超えて、土地をとにかく持っていさえすればもうかるというふうなことにしているのが、今の都市計画をするにしても、さまざまな町づくりをするについてもできなくなっている原因だと私は思うのですよ。きのう神戸へ行って神戸のあの埋め立ての計画やあるいはあそこの貨車跡の跡地なんかの利用なんか見ておりましても、結局そういう公共性を持ったもの、全く私権のないものの中ではかなり自由なプランが、これが日本人が考えるプランだろうかと思うようなすばらしいプランがある。どうも私ども劣等感がありまして、外国の立派な都市ばっかり見ているものだから、こんな立派な都市できるのかと思うのですね。  結局、それは一番根底に政府土地というものに対してこういうふうに考えますよということをきちっと明示されてこなかったところに私は原因があると思うのですよ。  結局、だから土地の所有権の問題、土地所有権というのは一体何なんだ、公共性というのは何なんだ、そこのところが確立されなければいけないし、特に私は提案の政府原案の中にある、実際は大分内部でも議論があったようでありますけれども、需給の原理ですね。需給というものがあって、そして供給さえしっかりすれば土地は上がらないのだ、そんなことないのですよ、この狭い我が国ではね。巨大なGNPをこれだけ持って、我が国の企業が持っている資産、それがもし投機対象にしたら日本土地は今から二倍でも三倍でもなりますよ、こんなもの。だから、土地はそういうものじゃないのですよ、土地は需給関係といういわゆる市場経済原理によっていくということではなかなかこの問題は解決せぬのですよということを政府が出してこなければいけない。政府部内ではそういう議論があったように私も聞いております。しかし、どうしても政治の場でいろんなところからの声が出てくると、それをそのまますぐにはいけないというのがどうも政府原案のような私は気がするのです。それを衆議院修正公共福祉優先というふうに少し位置づけをきちっと明確にした。本当はこんなことを言うとしかられますけれども国土庁建設省役所の真っすぐに議論をする部分は歓迎しているだろうと私は思うのですよ。つまらぬいろんな政治的圧力があるのでなかなかそうはいかないということがあったのじゃないかというふうに思うのです。  そういうことを含めまして、やっぱり土地所有権という問題は、今度の土地基本法ではっきり出てきた公共福祉優先、これで今後はどんどん施策を進めていくのだ、こういうことで提案されているというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  20. 石井一

    国務大臣石井一君) 憲法二十九条に第一項、第二項、第三項がございます。確かに第一項は私有財産を認めておるわけでございまして、これは憲法の基幹に触れる問題ではございますが、第二項にいわゆる公共福祉に適合するようにこれを定めるという規定、さらに第三項には収用の規定がございます。どうもこれまで第一項だけが少し突出いたしまして、二項の思想というふうなものが余り国民の間でコンセンサスを得られず、また三項というふうなものもほとんど有名無実の状況にあった。これは事財産権の中でも土地に関しましては大いにこの際反省をするべき点だと思うわけであります。  したがって、今度の土地基本法の中には、この問題につきまして土地公共性、特に修正部分を加えましてこの点特にウエートが高くなっておるわけでありますけれども、これを十分前面に出しておる。今後は私有権は認めるにいたしましても、その利用等々につきまして、保有、譲渡に関しましても、すべての面について公共福祉を優先する意味におきましては、ある程度の制約というふうなものが加えられる、こういう基本的な対処の仕方をやっていこうというのが基本的な考え方でございます。  それから、その次に、需給の問題に関しまして、確かに普通の商品のような需給の状況ではないだろう。そういうふうなものにゆだねられては土地価格というふうなものは、とてもコントロールのできるものではございませんけれども、ただやはり需給の対象として、特に需要の対象として短期的には監視区域制度等の弾力的運用、あるいは強化、それからまた税制等に関しましては超短期重課制度の運用でありますとか特別土地保有税等に関します活用、それからただいま御指摘になりました土地投機対象になる、このことにつきましても土地基本法で新たな項目を設けて、これをみだりに投機対象にしてはいけないという問題を規制しておりますので、このことについては今後あらゆる措置をとってこれを抑えていくという方向をとり、不動産関連融資に関しましてそれなりの抜本的な手を加えていく。反面、供給をいろんな面でふやしていくという中から、やはり供給の部分がどんどんどんどんふえまして、需給の面に対しまして、今申しましたような制度を加えていくことによりまして、こういう形の中から基本的には所有権等々に対します公共の優先を考えまして、その中から適正な価格というふうなものを安定さしていく。これ以外にやはり解決の道はないのではないか、そういう考え方を持っております。
  21. 山本正和

    山本正和君 どうもその最後のところが難しくなってきて、そこのところにやっぱりどうしてもすがって、利潤を上げようという部分は需給関係という言葉にすがっていって、そこのところを何とか自分たちの逃げ道にしようということが感じられて仕方ないわけです。ですから不動産業者といえどもこれは企業ですから、別に利益を上げて悪いとは私は言わないのですよ。しかし不当な利益というふうに思わざるを得ない利潤を追求している。あるいは団地をつくって、そしてそこにどんどん住宅を建てて分譲する。これも立派な生産活動ですから、企業ですからこれは当然保障されなきゃいけないと思うのですよ。ところが、そういうことをやることが他のものに比べて問題にならぬぐらいもうかる。しかも、今度はそういうことをせぬでもいいから、土地を持っておればいつの間にやら大変な大もうけをするというふうに仕組みがなってきている。その仕組みを政府がほうっているじゃないか、政府が保障しているじゃないか、こういう感じが私は国民の間にあると思うのですよ。  ですから、今の税制の話にも触れられましたし、あるいは融資の問題にも触れられた。確かにそういういろいろな問題ありますけれども、問題はこの土地基本法の中にある、今度の修正案の中にある「公共福祉優先」、これに基づいて各省庁はそれぞれのいろんな今までの行政指導あるいは対策、対応というものを本気になってやっていくことができるのかできないのか。そこのところがどうしても何か宣言立法というふうに言われる。これはどうも言いっ放しであって、こういうことを目標にしましょう、みんな国民土地公共性理解してください、こういうことを言っているだけだ。もうお経を上げておれば成仏できると同じようなものになりはしないか、こういう心配がまだこの中にあるわけです。ですから、そうじゃないのですよ、土地基本法ができたのだから、例えば銀行が融資する場合も、少なくとも土地投機の疑いがあるというものはだめですよ、大蔵省は厳重に規制しますよ、あるいは通産省でも、不動産業界が、いやしくも不動産というものの売買、これは買いたい人と売りたい人の間に入ってやる。それはまあいいですよ、コミッション取るのはね。しかし、不動産業者が土地を買い占めしておって、あるだけやったらばんと売る。こんなことは私言いたくないのですけれども、例のあの新宿の公務員宿舎跡地ですね、西戸山の。あれなんて政治献金をした会社が、デベロッパーがその中心になってつくった企業ですよね。そこが競争入札とかなんとかなしにいつの間にか随契でもって買ってしまった。膨大なもうけですよ、あれ。大変な利潤ですよ。政治献金したらそういうことできるんだというようなことをみんな知っているわけです、不動産業界は。不動産業界がそうやって政治家に寄附する。そうすると、庶民から見ておったらばかばかしい。せめてそれじゃ自分は土地を買ったものを一生懸命守ろうかと、こうならざるを得ないのです。  これは別に私は、こんなことは封建的な言葉だから余り使いたくないけれども、上これを行えば下倣うのですよ。だから、少なくともこの土地基本法にある「公共福祉優先」というのは、政府はもちろん、国会議員も含めてすべての者が、土地に対してはこれを利益の対象としないという、これはもう宣言法じゃなしに、本当にこのことを実際にやっていくのだということがなければだめなんです。そこがどうも弱く受け取られるのです。  最後にどうも需給関係ということが出てくるのです。需給関係というのは、これは本腰入れてやれば、これは政府のさまざまな資料によっても供給余地は十分にあるのです。これは建設大臣が一番御承知ですわ、建設省の中の資料にあるわけですからね。幾らでも本気になってやれば国民の皆さん住む土地ありますよ、ちゃんと宅地も供給できますよと。これはあるのですよ。あるのだけれども、ないない言ってみたり、さまざまにアジったりしてやるから、特にマスコミ等を通じて、不動産取引をしてこんなにもうけた、あの小さな会社のリクルートがいつの間にやら巨大企業になったというふうな、そんなようなことも出てくるから、土地問題がいろいろおかしくなってくるので、私はそういう意味で、今長官が言われましたけれども投機的取引を抑制するためにそれじゃ具体的に今からどういうことを考えているのか。今ちょっと触れられたけれども投機的取引は絶対にさせませんよというための施策をどういうことを考えておられるのか、その辺ちょっとお聞きしたいと思います。
  22. 石井一

    国務大臣石井一君) 仮需要の問題でありますとか金余り現象の問題というのは、土地問題のネックの最大のものの一つである、そう思っております。  実は私、八月に就任いたしましてから二回にわたりまして大蔵当局に対しまして、一度は事務当局レベルで、もう一度は私自身が大蔵大臣に直接面会を求めまして、この問題についていろいろと要望をいたしてまいったわけでございます。細かくは大蔵当局も来ておると思いますので、もし必要であればひとつ答弁をお許しいただきたいと思うのでありますが、私たちが思っておりました以上に大蔵当局は金融機関に対しましていろいろのヒアリングと申しますか、あるいは指導をいたしております。特に、大きい都市銀行に対しましてはかなり徹底しておるなという感じがいたします。残念ながら地方銀行の方が融資残高等が多い。  問題になりますものは、その先へ参りますノンバンクの金の動きでありますとかあるいはそれ以外の、お金というものは、専門的にはいろいろ物の言い方があると思うのですが、どこから出てきてどこへ流れていくかわからぬ、銀行だけを押さえてもどうにもならぬというようなそういう代物であることも確かでございまして、やはり大蔵当局の限界というものもある程度あるような感じもいたしましたが、しかし私としては、相当なことをこれまでもやってきてくれておるなと。しかしながら、融資残高が三十六兆円とか、あるいはまた前年度比一六%とか、こういう状況を見ますと、やはりなまぬるいな。ひとつ、この土地基本法が通りました時点で、新たに全体的な抜本的な点検をしていただき、土地基本法に書いてありますとおりの、これが実行できるような適切な指導をしてもらいたい。  そうして場合によっては、これは企業秘密に属するとかなんとかというふうなこともございますけれども土地関連の高いところから順番に銀行の名前ぐらいは公表していく。そういう中から社会的信用というものに対して、国民的信用という問題に対して、こういう問題の認識を深めていくというふうなことも必要でありましょうし、なお、さらに必要であるとすれば、私はこの融資問題だけでなく、基本法が宣言法であるということが言われておりますだけに、土地供給の部分におきましても、土地利用計画におきましても、融資規制におきましても実行法というものが必要だと思います。これは来年から精力的にそれぞれの部署で取り組んでいく必要がある、そう思っておるわけでございまして、さらに必要な問題が出てきた場合には、融資に関します厳しい罰則をも含めた規定をつくってもいいのじゃないか、そういうふうに考えている次第でございます。
  23. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 今大臣から御答弁したとおりなんですが、そういう投機的取引抑制の観点からこれまで超短期重課制度という税制も活用させていただいております。これは取得して利用せずに二年以内に転売する場合は、その転売益に対して大変重い課税をするという仕組みになっております。これは暫定措置でございますが、私どもとしては引き続き、こういう基本法の制定も受けて、延長していただきたいなというふうに希望しております。  それと、今国会に国土利用計画法の一部改正案を御審議いただいておりますが、この改正内容も、土地を取得しまして、利用せずに土地転がしで転売益を得る、そういう取引に対しましては取引の中止等の勧告もできるというふうな内容になっておりまして、そういった制度を活用しながら、さらに投機的取引に対しては厳しく対処していきたい、そういうふうに考えております。
  24. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど先生の御発言、御質問の中に不動産業者に関するくだりがございますので、一言御答弁させていただきます。  もう申し上げるまでもございませんと思いますが、現在我が国で、いわゆる住宅地中心に申し上げますと、宅地供給をしているのはおおむね七割くらいがいわゆる不動産業者、民間の力によって供給されておるという実態が一つございます。同じように、また都市の再開発等におきましても民間不動産業界の業者がかなり活躍をしているということは、これは否定できない面でございます。  今後私どもの宅地政策あるいは都市政策考えていく上において、健全な意味での不動産業の適正な活動というもの、これは非常に重要であるという認識を持っておりまして、そういった意味で、不動産業が直ちにマイナス的なイメージということについては私ども業を預かる者としていささか気になる点でございますが、おっしゃるように、一部心ない業者がおる中で全体のそういった御評価というものが出ることについては非常に残念であります。  私ども、いろいろ不動産業界に対しまして、六十一年、六十二年、大変地価狂騰のときに数次にわたりまして、言いかえればあらゆる機会をとらえまして、適正な営業活動、言うなれば投機的取引の防止等について指導を重ねてまいっておりますし、また業界におきましても関係団体こぞって、六十二年の九月だったと思いますが、そういった面での適正な企業活動への自粛申し合わせというようなこともやって、現在業界挙げてそういった面で努力をしているさなかでございます。くどいようですけれども、広い不動産業界の中には残念ながらおっしゃるような行為を行っている業も見受けられますけれども、私ども、トータルとしての業界指導については、これまでもあらゆる機会をとらえて指導に努めておりますし、今後もまたこういった土地基本法の中に盛り込まれておりますような、「事業者の責務」というような精神を体した指導というものは重ねてまいりたい、このように考えております。  重ねて申し上げますが、不動産業界の我が国住宅宅地供給に対して占めている大きな役割、これはやっぱり私どもも大いに適正に評価しなければならないし、またそれであるがゆえに業の正しい企業倫理というものについて我々もさらなる努力を重ねてまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  25. 山本正和

    山本正和君 土地税制の問題はまた後ほど聞きますし、それで大蔵省にも来てもらっていると思うのですけれども、ちょっとその前に今の局長の言われたことと関連しまして、私は不動産業界が宅地開発をやる場合一番必要なのは、宅地開発をする市区町村、そこの都市計画がどうなんだ。都市計画がまずあって、そしてこういうところに宅地開発をしたいと市区町村も考えている。それに対して不動産業界が、コンペでも何でもいいですけれども、競争をする中で請け負う、これならわかるのですよ。ところが大手不動産業界、私どもも関西の方で言えば名前幾つか上がってきますけれども、そういうところは先にぼんと土地を買ってあるわけです。例えば私の出身の三重県なんというのは小さな県ですから、人口たった百八十万。その中のある地域だけ仕切って考えますと、そこに大手の不動産がどんと土地を買ってしまった、となると、都市計画というのは逆にそれによって左右されちゃう。そんなことがあったら、やっぱり企業利益というものに自治体が追随させられる、屈従させられるということにしかならないのですよ。だから、不動産業界がいわゆる開発等をする前提は、そういう市区町村の計画に合わせて、それに協力してその中で利益を得る、これならいいのですよ。その辺の問題がどうも我が国住宅問題あるいは土地問題に対して大きな影響を与えているというふうに思うのですが、その辺についてはどうお考えですか。
  26. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) これはもう先生には申し上げるまでもありませんが、およそ我が国土地開発を行うというときに、土地を持たない者が開発を行うということは、なかなか現実的には考えにくいところでございます。  お話のように、例えば公共団体が広大な土地を所有して、それをよりよい町づくりのためにどう開発するかということについて民間の力を借りようということも、観念としては考えられると思いますけれども、現実はやっぱり土地をデベロッパー等が持ち、それをどう開発するかということにならざるを得ないというのが現実だと思います。その際に、どのような開発であろうと地元公共団体との、具体的に言うと今お話しのように、都市計画との関係、あるいは調整地域におきます開発のあり方、町づくりの方針、こういったものについて公共団体との連絡調整がないままに行うということは、例外的に何かあるかもしれませんが、私が承知している限りではまず考えられない。先ほどもちょっと先生からもお話がありましたけれども、今指導要綱というものもあります。現在、千百余りの市町村が厳しい指導要綱を持って将来に禍根を残さないような町づくりの方針を示しておりますが、そういったもの等も使いながら公共団体との連携、意向というものが十分反映された格好で不動産開発が行われるというのが現実でございます。  そういったことと同時に、そういった調整が非常に重要視されるという中で、今現在はいわゆる懐妊期間と申しましょうか、計画を立ててから実際に供給に結びつくまでの間は、大体もう十数ヘクタールぐらいの団地になりますと二十年以上かかってしまうというのが現実でございまして、そういった意味で、私どももこの事務処理というものももっと円滑にせにゃならぬ。結局は金利負担等によって最終の消費者、エンドユーザーへの価格が高騰してしまうということも考えながら、我々としては現在その辺の適正化を指導も申し上げておりますが、申し上げたいことは、公共団体との連携、むしろ公共団体の強い指導というものの中にこういった大規模開発が行われているというのが現実と私ども理解いたしておる次第でございます。
  27. 山本正和

    山本正和君 そこの認識がどうもちょっと何といいましょうか、国の段階に出てくるデータと市町村に出てくるデータとの違いといいますか、どうもつかまえ方の違いがあるように私は思うのです。例えば、ある人口十万から二十万ぐらいの小さな市が、かつて開発公社をつくって、そして土地を先行取得した。そしてそれによって住宅開発しよう、都市開発しようとしたと、こうおっしゃる。それがもうほとんど今行き詰まっているでしょう。県段階で、県規模で公社をつくって、いろいろ開発も随分やったわけです。しかし、それが先行投資で買った、その金利にあえいで困った時代があるわけですよ、いろいろと。  それぐらい、要するに全体計画も立てて、土地の先行投資というのは難しい問題があるのですよ。ところが、大きな資本の場合は、それを容易に、例えばこの辺にこういう土地がある、どうも資本として考えた場合に、企業として考えた場合に、将来はこういうふうな格好になるのじゃないかという調査もできますから、その辺をずっと先に買い占めてしまう。それがどうしても先になるのですよ、田舎の場合はね。  だから、そういうふうなことも含めて、企業が、特に不動産会社が、要するに企業のモラルといいましょうか、企業倫理として、こういうものがありますよという情報があった場合に、逆にそれを市町村と話し合いをして、私どもとしてはそれじゃ十年持ちましょう、十五年間持ちましょうということでやっているならいいのですよ。そうじゃないところに問題がある。それから、それを聞いたらすぐ今度は小さな不動産業者がまたいろいろ買い占めをやるわけですよ。だからどうしても都市計画ができなくなる。  ですから、先ほど私がお話ししたように、ニースのあの開発をするに当たって、いきなりばんと規制してしまったというふうなことをしなければなかなか難しいのですよということを私は申し上げているわけです。  だから、土地基本法が今度制定されるについて、今後建設省におかれてもあるいは国土庁におかれても、要するに土地基本法の精神に基づいて、企業倫理というものに対して、君たちもうこれじゃだめですよ、もうけるなとは言いませんと。しかし、要するに自分たちの資本でもってとにかく先行投資して、これ絶対もうかるからという、そのことを先に頭に置いちゃいけませんよと。都市計画に不動産業界は協力するのだ、そこのところを、協力しながら利益を上げていくのだというふうに発想の転換をしてもらわなきゃいけない。それが今日の土地問題に対する解決の一つの問題じゃないかと私は思っているのですけれどもね。これは議論しても仕方ありませんから、今後またいろいろデータ等も出してやっていきたいというふうに思います。  そこで、大蔵省も来ていると思うのです。税制問題に入る前に、ちょっと先ほど長官が言っておられた不動産関連融資ですね、これ一体貸出残高どれぐらい今あるのか。そして、傾向はどうなのか。この辺ちょっと教えてもらえませんか。
  28. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 金融機関の不動産業向けの融資でございますが、一番新しいデータで、ことしの八月末で四十四兆七千億強でございます。  金融機関の土地関連融資につきましては、先ほど大臣からもお話し申し上げましたように、私どもも特に投機的な土地取引に対する融資を厳に排除するようにいろいろ指導してまいっております。通達を出し、あるいは個別の融資案件にまで踏み込んだヒアリングをしておるわけでございますが、さらに今般は国土庁の方で最近の地価動向にかんがみまして監視区域制度をさらに指導強化するという措置をおとりになりました。それに合わせまして、私どもも従来の指導をさらに強化するという一連の措置を講じたわけでございます。  具体的に申し上げますと、金融機関に対する投機的な土地取引融資を排除する、抑制するということは当然でございますけれども、それに加えましていわゆるノンバンクに対する金融機関の融資につきましても新たにチェックを行う。その資金の使途などが投機的な土地取引に利用されないように、その資金使途についてチェックを行うということにいたしております。また、特別ヒアリングの対象地域地価高騰地域に広げるというようなことで対象地域を拡大しておりますし、ノンバンクにつきましては特に問題が指摘されておりますものですから、ノンバンクに対する金融機関の融資の実態を把握する、あるいはノンバンク融資の中身についてもチェックをする。これも行政レベルでやるのに加えまして、私ども検査もやっております。金融機関に検査に行ったときもその検査を活用して今のような実情の把握に資するというような一連の措置を講ずることとしたわけでございます。  さらに、ノンバンクの各業界に対しまして、これは通産省とも共同でございますが、やはり不動産融資の適正化について一層の自主的措置を要請したわけでございます。  このような一連の措置によりまして、私ども投機的な取引に対する融資が排除されるように、一層強力に指導をしてまいりたいというふうに思っている次第でございます。
  29. 山本正和

    山本正和君 特別ヒアリングの話が出ましたのでちょっと聞きますけれども、特別ヒアリングをしたためにいろんな問題が鎮静化したというふうな話を大蔵省がしたとかという話を、ちょっとそこのところ聞かせてください。
  30. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 特別ヒアリングは昭和六十二年の七月以降実施をしてまいっております。その結果、不動産業向けの金融機関の融資の伸び率が顕著に落ちておりまして、六十二年の特別ヒアリング実施以前では前年対比で二割から三割ぐらいの伸び率をしていたわけでございますが、特別ヒアリング以降は一割、場合によっては一けたの伸びにおさまってきているという状況にございます。
  31. 山本正和

    山本正和君 これは大手企業の場合は、ある程度自分のところの企業イメージがダウンしちゃいかぬというふうな問題もありますから、少し遠慮をするのですけれども、なりふり構わぬ格好でいろいろやるわけです。なりふり構わず何でもいいからもうけようと思ってやるところは、もうどうやったら上手に大蔵省から銀行がしかられないようにその銀行をだますか、随分知恵を絞るのですよ。ところがどうでしょう、金融機関が金を貸すときに、個人に対してあるいは個人企業、小さな商店とかあるいは旅館とか、そういう本当の中小企業に金を貸す場合には微に入り細にわたって返済計画資金計画、企業内容、細かく出さしてでなかったら絶対に貸さないのです。ところが金融機関が不動産関係に、本当は私はわかっていると思うのですよ、銀行マンなんてそんなちゃちなことをしたら勤まりませんからね。わかっているのだけれども、それを大蔵省の特別ヒアリングを免れるように上手に操作している、こういう話があるのですが、何なら実例を出してもいいけれども、その辺はどうお考えですか。
  32. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 私どもがこの特別ヒアリングと申しております、個別の融資案件の内容に踏み込んでまでヒアリングをしておるわけでございますけれども、その目的は三つございます。  一つは、土地の取引の価格が適正かどうか。それから二番目が、短期の転がしのようなものに使われないかどうか。それからもう一つは、借りたときはいかにもちゃんとした計画があるような説明をしていながら、その後一向に計画が進捗しない。つまり、土地が寝ている。投機的に寝かしているというようなケースがあるわけでございまして、そのようなケースについて特別ヒアリングで資金使途を十分チェックし、かつ事業計画をチェックしているかどうかをヒアリングをしているわけでございます。  特に、最後の寝かしているということにつきましては、これは実はフォローアップのような形になるわけでございまして、例えば一年後にもう一回同一案件をチェックするとかというようなことも工夫してやっております。もちろん膨大な件数でございますので、すべてを悉皆調査するというわけにはまいりませんけれども、そういったような観点で個別の案件についてのヒアリングをやっておりまして、私どもとしてはそういうことを通じて、金融機関の土地関連融資についてかなりの牽制効果があるというふうに考えているわけでございます。
  33. 山本正和

    山本正和君 今の話、二割台から一割台に、あるいは一割を切ったというふうな、効果が私はないとは言わないのです。確かに金融機関が安易に貸し出しをしておったということは許されないなという気持ちになることは事実だと思うのです。  ただ、金融機関に対して、いやしくも今の土地基本法の精神からいったら、土地の高騰をあおる、あるいは土地によって利益を得る、それも不当なといってもいいですよね、どれぐらいが適正かというのは問題があるにしても、いわゆる不当な利益を得るという、そういうことに金融機関が手助けをする、しかもその金融機関というのは、我が国独自の形態です。国際的に我が国の金融機関ぐらい国から保護されている機関はないのです。本当に大蔵省がおんぶにだっこです、金融機関というのは。そういう中で、ある金融機関が国民が困るような土地の上昇や住宅が逼迫するというこんな問題に対して、国に保護されている金融機関が金を貸すということは大変なことになるぞという、その辺の厳しさというものもやっぱり何か考えてもらわなければいけない。土地基本法が制定されるに当たって、大蔵省としては銀行に対して例えば今後どういうようなことを考えておられるのか、その辺もしありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  34. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 先ほど御説明いたしましたような今回の一連の通達を出し、あるいは検査を活用というようなことで、私ども銀行に対する行政権をフルに活用して、御指摘のようなことのないように一層強力に指導してまいりたいと思っております。また、このような指導で仮に不十分な部分が出てくるということになれば、これは見直しをしなければいけないというふうに思っているわけでございます。  こういうノンバンクも含めた全体の金融の流れについて、私どもとしてできるだけの指導をしていくということを始めたばかりでございまして、この効果についてはもう少し時間を見て評価する必要があるのじゃないか、またそうしていただきたいというふうに思うわけでございますが、もし不十分であればさらに追加的な措置を考えるということは、当然考えなきゃいけないというふうに思っております。
  35. 山本正和

    山本正和君 何ぼ言ってもこれは金余りの問題が、そして金融機関も実際はその金をどう利用していいか困るというふうなことも背景にあって、弱味があってということも私は否定できないと思うのですけれども、ひとつ今の方向、もっときちんと銀行を初め金融機関を指導するということをぜひ強化していただきたい、これはお願いをしておきたいと思います。  そこで、もう一つ土地問題で、土地価格上昇を抑えるために、先ほど一番初めにちょっと話が出たのですけれども、規制区域の問題です。これは現在は監視区域でもってやっているわけですが、ところが監視区域のために自治体が大変な事務負担をしているわけです。京都でちょっと聞きましたら、何か一人の人が百五十件扱っている、監視区域で届け出に対して全部自分で対応するのが。京都は全体で何人かといったら八人とか九人しかいない、神戸は四十四人おるんだとか言ってね。いろいろ自治体によって違うのですよ。そうすると、本当に土地の上昇を防ぐために、例えば監視区域の問題だけでやろうとしても大変な人件費が要るわけです。人が要るわけです。それからまた、不動産鑑定士というのがあります。かつては非常によく機能したのですけれども、この不動産鑑定士もいろいろな難しい問題を抱えている。ですから、こういう監視区域等の問題について、実際に今後現実にどんなトラブルがあるのか、また監視区域制度というものをきちっとするためには、今行政として何を考えなきゃいけないのか、その辺について御見解ありましたら承りたいと思います。
  36. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 六十二年の国土利用計画法改正によりまして監視区域制度が創設されたわけでありますが、その後現在に至るまで市区町村数にしまして五百六十を超える市区町村で監視区域が指定されております。まだ制度が発足して新しいものですから、いろいろ運用上問題なしとしないわけでありまして、我々できるだけ連絡会議等を開き、意見交換や情報交換をしながら制度の運用に当たっておるわけでございます。  特に一番自治体で悩まれるのは、まず指定する際に、本当はこの区域はできるだけ地価の上昇を未然にある程度抑制する、そういう観点から早目に指定されることが望ましいわけでありますが、その際にやはり地域のコンセンサス形成、これに相当手間どる、ややもすると後手後手になりがちだ、そういう点が一つあります。  それともう一つは、やはり人員といいますか、審査体制等の整備でございまして、地方公共団体行政改革の中で非常に苦労しておられる、そういうさなかに人員をやりくりして体制を整備しなきゃいけない、その辺が非常に苦労があろうかと思います。それと、さらにつけ加えて言いますと、財政負担が伴うわけでございますからお金の方もかかる。これにつきましては、交付金の交付制度がございまして、国からも必要額を交付してございますが、ここ一、二年、そういう監視区域の指定拡大に伴いまして、当初予算ではなかなか追っつかない。そういうことで、年度途中補正予算をお願いしまして、補正予算を計上しながらできるだけ公共団体が運用するに不自由しないように努めておるところでございます。それと、実際の運用の仕方も今先生一人年間百五十件ぐらいの処理が手いっぱいだ、そういうふうなお話ございましたが、その辺も公共団体によって若干異なるわけです。非常に合理的にやっておるところは二百件ぐらい処理しておる公共団体もあるわけです。その辺をお互い研さんを積みながら合理的、的確な処理方法、これも皆で学んでいかないといけないな、そういうふうに考えております。
  37. 山本正和

    山本正和君 いずれにしても、土地がどんどん値上がりしていく地域、今でいいますと、先ほどから言いました京都大阪、名古屋あるいは神戸、こういうところと、あとは主要都市の県庁所在地というような格好ですけれども土地基本法が制定されて、そして自治体が真剣に土地問題に取り組もうとすると、それに対する事務量がふえるということは事実なんですね。そういう事務量がふえるということ等の問題について自治省との話し合いというようなことはされておられるのかどうか、その辺はどうですか。
  38. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 今、土地監視区域の監視員の増員の問題につきましては、土地行政の中で非常に大きな問題であるということを私どもも認識はいたしておるわけでございますが、特に今お話し合いをしておるということにはございませんけれども
  39. 山本正和

    山本正和君 ひとつ自治省も、やっぱり土地問題というのは極めて重要であるということから、各自治体の意見等を聞かれて、土地対策ということについての施策をお考えいただくということの中にこれは当然加えていただくべきだと思いますが、そういうふうに受けとめてよろしいですか。
  40. 芦尾長司

    政府委員芦尾長司君) 今お話がございましたが、地方団体も非常に行政改革の中で人員を生み出して懸命に努力されておるということは私どもよく承知はいたしておるわけでございますが、今後とも国土庁ともよくお話はしていきたいと思っております。
  41. 山本正和

    山本正和君 ひとつ国土庁長官、自治省に厳重に指示をしていただいて、土地問題の最高司令官ですから、自治大臣を呼びつけて、ひとつ緊急に対策を講ぜよと、こういうふうにやっていただきたいのですけれども、どうですか。
  42. 石井一

    国務大臣石井一君) 実は先日、全国知事会議がございましたときに、役所の方からはそういう指示はありませんでしたが、私独自の立場で、監視区域の制度について協力をいただいておることにかんがみ、今後さらに事前に、一歩一歩手前に、後手後手に回らないようにひとつ対処してもらいたい、こういう要望もしたところでございます。その評価も徐々に高まりつつあるというふうに自負いたしておりまして、その後、例えば大阪が先日全域これを指定したとか、あるいはつい一週間ほど前に福島でありますとか会津若松というような地方でも指定したというふうなものがどんどんと出てきておりますので、要は予算的な措置、行政的な措置等でこれらの自治体がやりやすいように中央として仕向けていく必要がある、そういうふうに現時点では考えております。
  43. 山本正和

    山本正和君 後からでは遅いので、今長官言われたように。土地の値上がりというものがいつ起こるかわからないわけですから、そしてまた、いろんな企業等の関連の中で例えば企業がどこそこに入る云々と、いろんな問題ありますから、そういうふうな中で常に自治体の任務としては、自分たちが住んでいる土地がいつの間にかぽんと値上がりして、東京の二の舞は御免だ、こういうことに対して責任を持って自治体は行政しなきゃいけない責任があるわけですから、絶対ひとつそういうことのないように各自治体に対しても国土庁としていろいろ指導をしていただきたいし、また自治省とも連携をとって、自治省の方も、今のところは目に見えないけれども、いつあるかわからぬよというふうな問題についての注意をぜひ喚起していただきたいと思います。  それからもう一つ土地の売買に絡んで不動産鑑定士の役割が極めて重要なんですけれども、その不動産鑑定士の数も何か全国的に見ると大した数じゃないのです。しかも、権威ある鑑定としていろいろやっていくためにも、さまざまな不動産鑑定にかかわる施策が必要だろうと私は思うので、その辺のことも今後ひとつ十分に念頭に置いていただきたい。これは要望しておきたいと思います。  それから、大分時間がたってきましたので、税制の問題に入る前にまだもうちょっと質問しておきたいんです。  盛んに土地高度利用ということが言われるわけです。この高度利用ということについての概念、どういうふうにお考えになっているのか、ちょっと承っておきたいと思います。
  44. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 基本法で、十一条、十二条におきまして土地高度利用あるいは土地利用の転換、そういった言葉を使っておりますけれども高度利用と申しますのは、例えば市街地の再開発とかあるいは建築物の高層化、さらには全く遊んでおります遊休地の利用、そういったことを進めまして土地の合理的かつ健全な利用をしていく、そういうのが高度利用だというふうに理解しております。
  45. 山本正和

    山本正和君 これも実は問題を感ずるのは、高度利用という言葉によって本来その地域における住民の利益といいましょうか、あるいは自治体の都市計画全般の中での総合的な計画といいましょうか、そういうものとの間の矛盾が起こりはしないかということを心配するのですけれども、その辺の考え方はどうですか。
  46. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 高度利用は、具体的には都市行政の場合でございますと再開発が中心になるわけでございまして、再開発地方公共団体が施行主体になる場合も相当にございます。この場合におきまして、街路、公園等の公共施設の整備、それから再開発の区域内に空地を設けるというようなことの計画を立てまして、良好な都市環境の形成ということに常に留意するように努めているところでございます。また、手続的に見ましても、これらの都市計画決定をするに当たりましては、関係者に対する説明会の開催、計画案の縦覧、それから意見書の提出、あるいは都市計画地方審議会への付議というようなことで、関係権利者の意見を反映するように努めてきておるところでございます。今後ともそういう高度利用都市計画的な整合性を保って周辺の生活環境に十分配意していくということで努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  47. 山本正和

    山本正和君 ひとつ都市計画との整合性、それから住民のさまざまな抱えている問題点、その辺は、高度利用ということをするに当たってはぜひ前提に置いてやるように指導をお願いしたいと思います。  それから冒頭、初めの間にちょっと議論があった問題ですけれども、宅地供給が十分あれば土地価格の上昇が下げられる、これは否めない事実なんですけれども、それだけじゃないということを今まで議論したのです。ところが国民の間に宅地供給に対する大変な不安があるわけです。果たして我々サラリーマンで土地つきの家を持てるのだろうかと。大体普通なら年収の五倍ぐらいあれば土地つきの家を持てるぞというようなことを一般サラリーマンは一つの自分たちの夢として抱えてきている。ところが、東京ではもうみんなあきらめちゃったところですよね。通勤しなきゃいけない、遠いところへ行かなきゃいけない。遠いところへ行こうと思って見ておったら、今度はまたその遠いところもどんどん値上がりしていく。  この前の筑波新線ですか、あれでもう値上がりがどんどん起こっているわけでしょう。筑波新線のあれで東京まで通勤便利になりますよと、こう言うだけでもう現実に買い占めが始まっている。そういうふうなことを含めて、一般国民の間にある宅地が持てるのか持てないかという懸念、これを、皆さんどうぞ御安心くださいと言える資料を建設省国土庁もお持ちだろうと私は思うのです、本当からいえば。そんなに不動産屋やなんかの広告であおられずに、どうぞ御安心くださいと言える資料が僕はあるだろうと思うのですけれども、どうでしょうか、宅地供給の具体策あるいは見通し、こういうものはどんなふうにお考えになっているのか、ちょっとお聞かせ願います。
  48. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 確かに供給面でかなりはっきりした見通しを示して、これからの宅地需要に対して、もちろん投機的な需要は排除しなければなりませんが、十分な対応をしていくということが必要だという委員の御所見には全く同感でございます。  そこで、建設省としましては、宅地供給の総合供給対策に今取り組んでおり、近くまとまる見通しになってきておりますが、まず、大都市圏において地価の高騰というのが非常に今庶民住宅の取得の夢を遠のかしておる現状にかんがみまして、大都市圏中心に作業を進めておるわけであります。特に、四全総では二〇〇〇年までに必要な宅地供給量、首都機能の移転とかいろんなことを考えても約四万ヘクタール要るぞ、こういうように見込んでおるわけであります。これに対して、既成市街地工場跡地等の低・未利用地、これを活用する、それから約三万六千ヘクタールの市街化区域内農地が存在しておるわけでございますが、これらの土地の有効利用も積極的に推進する、それから国公有地の活用等も図る。こういうことのほかに、これからの新市街地計画的な開発、今常磐新線のお話がございましたが、交通アクセスの整備とあわせて新市街地開発をする、そういうこと等によりまして大体四万ヘクタールの宅地供給が可能だ、こういうように我々は考えております。これを実現するために、あらゆる手段を講じて、税制面あるいは都市計画上の手法等々を駆使いたしまして住宅宅地供給促進のための施策を推進してまいりたい、こういうように考えております。
  49. 山本正和

    山本正和君 大変みんなが聞いたらうれしい話なんですけれども、ただ、四万ヘクタールの確保がありますよといっても、四万ヘクタール確保してあるというやつが、いつの間にやらまたどんどんどんどん値上がりしないか。そしてまた、これが企業といいましょうか、不動産業者ですね、それも大手ばかりじゃありません、いろんな業者があるわけですから、そういう人たちが利益を追求するのに走りまくって大変なことにならないかという心配がささやかれるわけですけれども、その辺の対策はお考えでございますか。
  50. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) これは先ほど来石井長官からも御答弁がありましたが、需要面の抑制ということはどうしてもある程度やっていただかなきゃならぬ。投機的な取引を規制したり、金融面の規制をやったり、税制上の措置によりまして短期的な保有については相当な懲罰的な税を課すとか、それから未利用地の特別保有税を課すとか、そういう税制面の措置がやはりかなり需要の抑制になる、こういうように私たち考えております。  そして、やはり都市計画を十分に活用しまして、しかも都市計画手法はいろいろございますが、そういうものに従って計画的な供給を図っていく、こういうことが大事ではないか、こういうように考えます。
  51. 山本正和

    山本正和君 どうでしょうか、今新市街地建設という話も出ましたけれども、これから国の施策としてそういうことをやりますよ。これは市町村も大体みんなわかっているわけですから、そういうところはもうぴしゃっと地価を凍結してしまう。これは法律の範囲内で私は活用できると思うのですけれども、そういうふうなことはお考えになりませんか。やれるとかやれぬとかじゃなしに、考えることはできるかできぬか。どうですかその辺は。
  52. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、首都圏で言った場合に、今後二十一世紀の初頭までにおおむね四万へクタールくらいの宅地が必要である。私ども一つの見方でございますが、そのうち半分くらいはいわゆるニュータウン、具体的に言いますならば新市街地開発といいましょうか、そういった格好で新規に切り開く宅地開発のところで供給するということが現実的であり、また必要である、こういうふうに考えております。  そういったところで今我々が考えています施策、詳細は今大臣申し上げましたように、今建設省挙げて詰めているさなかでございますが、先般来我々が進めています一つの例で言いますと、常磐新線沿線のいわゆる重点地区的な開発、あるいはまた優良事業の建設大臣による認定制度というようなものも推進いたしておりますが、一般的に新しい宅地開発を行う、新市街地開発を行うということにつきましては、先生がおっしゃったようなことが懸念されることは率直に言って事実だと思います。  そういった中で、現在では私どもいわゆる監視区域制度、これを本当にきめ細かく活用していただくということが当面急がれる施策と認識していまして、首都圏で言いますと、大体対象になりますエリアについては関係県の御努力の中で監視区域の設定と届け出面積の引き下げ、大体三百平米以上くらいのものを届け出するようにというふうな制度が既に動いております。  御指摘のように、地価を凍結するということについての考え方でございますが、私どもこういった新しいニュータウンを今後開発するに当たりましての手法としては、率直に言いまして地元の地権者との協調関係の中で進めるというのが現実的であり、またそれが一番効果的な方式ではないか。わかりやすく言うならば、区画整理事業手法ということになろうと思います。そういった意味で、地価の凍結まずありきというよりも、言うなれば公的な計画開発の主体者ができるだけ先買いをすることによって区画整理事業によって土地をまとめていく、こういった手法でやっていくのがいいのじゃないか。  くどいようですけれども、現実には監視区域の設定とそれによるきめの細かい届け出制度を実現していただくと同時に、事業手法としては先買いをフルに活用しての区画整理事業手法、こういったことで対応していく中でかなりの効果が期待できる、こう考えているところでございます。
  53. 山本正和

    山本正和君 監視区域に指定して、それによって土地価格上昇がある程度抑えられるということは私は否定はしません。しかし、値上がりしないという保証はないのですよね、監視区域では。ですから、これはどこの市町村でも土地が上がってきたときに監視区域で一生懸命届け出をさせて指導をして勧告をして、いろいろやりますよね。だけど、それでは限界があるし、極端なことを言ったら訴訟に持ち込まれたら大変なことになるのです。ですから、そういうふうないろんな問題含めて、またこれは現実に例があったでしょう。例の大阪の問題を埼玉で何か裁判所へ提訴してぐじゃぐじゃやって、わけのわからぬ間に和解しちゃった、森下リクルート事件というやつですかね。私は、土地問題というのはあんなような形でこれからいろんなものが出てくると思うのですよ。  だから、やっぱり政府が本腰を入れて、土地は値上がりさせません、そして国民の皆さん、住宅については御安心くださいということを言う場合は、これはまさに憲法二十九条の後段の部分の公共福祉優先でやりますよということを一つぐらいやらぬことには、国民はやっぱり、あんなことを言っているけれども値上がりするんだよ、値上がりすることでだれかがもうかって甘い汁を吸っているんだよ、必ずこう見るのですね。一遍やっぱりどこかで、何かの段階ではこれを発動しますよと。今やるあるいは今度どこそこでやりますよ、そんなこと言う必要ないですけれども、その覚悟はあるというぐらい言ってもらわぬことには、土地基本法の議論をしておるのに私はどうもなまぬるいような気がするのですけれども、どうでしょう。  そういう新市街をつくって、ニュータウンをつくってやるよと言っている。もちろん地権者の問題はありますよ。個人財産ですから、それはある程度補償しなくちゃいけない。しかし、現在の土地価格、若干なら別ですよ。それをまた放置しておいたら二倍、三倍になっていくケースだって十分あるわけですから、そういうことに対して、もしそんなことが起こったら強権発動しますよ、そういう決意を持っていますというぐらい政府は言ってもらわぬことには、宣言法がまたいわゆる悪い宣言になってしまうのじゃないかという気がするのですが、どうでしょう、ひとつ長官、決意を述べていただきたい。
  54. 石井一

    国務大臣石井一君) 大変重要な問題の指摘だと思って拝聴いたしております。そうしてまた現実的な運用としては、先ほどから建設省の建設経済局長が答えておりますとおりだろうと思います。ただ、それじゃ何のためにこの時点で土地基本法をつくったのか。また、なぜ基本法の中の一つの大きな精神に、投機土地取引というものはしてはいけない、土地に対する考え方を改めてもらいたい、それが新しい国民の認識だ、こういうことになりますと、やはり今、山本先生がおっしゃいましたような決意で厳しくこれに臨んでいく必要があるのじゃないか、そういう認識をいたしております。  ただ、過去のいろいろの経過を私も調べてみたのでございますが、例えば国土利用計画法ができまして、まず最初は監視区域制度がなく規制区域というものがあったわけでございます。これは今日までついに抜かれなかった伝家の宝刀として残っておるわけでございます。その間、国土庁としては土地担当の省庁として各県知事に対しましても相当の要請をしたり、相談を持ちかけたりもしたようでございますが、この規制というものがすべての経済行為を停止するというような、使途はすべて規制されるというような規定でありますだけに、革新知事と言われた方々でも決断ができなかった、こういう経過もあるわけでございます。  しかしながら、今後新しく開発される例えば常磐新線的なもの、こういうところに対しましては、規制区域ができなくても監視区域にさらにもう少し風圧の強まるような考え方を取り上げていくべきである。ようやくつくりました宅地をこれまた投機対象にされたのでは、一体何のために、何をしておるのか、こういう問題になってくるわけですから、少なくとも新しくできる宅地供給に対しては投機対象には絶対にしない、こういう姿勢が基本的に必要だと思いますので、今後そういう方向につきまして、関係省庁とも協議をいたしまして何らかの知恵を出すべきだ、そう認識いたしております。  なお、さらにもう一つ私、これは少し法的にも難しいと思うのでありますが、現在土地を持っておる者と持たざる者との格差がさらに拡大し、資産の格差というものが世代間戦争にもなる、こういうような問題が指摘されておるわけです。政治問題の中でも最もやはり深刻な問題に将来なり得る問題ではないか。固定資産税の納税者とその家族等々を調べますと、七割から七割五分の方が土地所有者でございます。二割五分ないし三割の方が資産を保有されていないということでございます。土地問題の難しいのは、七割の方はその土地を基礎にもっと土地を広げようとか、あるいは少なくとも有利な立場にありますから、土地は上がってくれた方がいい、こう考えておる方々も多いのでございます。残念なことでございますが、それは事実でしょう。しかし、新しく供給したマイホームはまず資産を持っていない方が優先するのだ。例えばきのう見てきました住宅でも二百倍とか百倍とかといっておるわけでございますが、私はそういうような資産の格差を縮めるための何らかの新しい知恵、こういうものもやはり組み立てていく必要があるのじゃないか、基本法にのっとった次の実行法としてやっぱり考えていく必要があるのじゃないか、そういうふうに考えております。
  55. 山本正和

    山本正和君 大変力強い決意で私も安心するわけですが、特に問題なのは、これは我々も含めてですけれども土地を持っている者は値上がりしたら何となくうれしいという気になるのです。財産ふえたと喜ぶのです。私が持っておるのじゃないのです。そこのところの意識を変えようというのが土地基本法だと思うのです。だから、土地を持っているといっても、自分の生活といいましょうか、生活圏という範囲で持っているという土地と、それが利潤の対象になるという部分としての土地と違うのだ、そういうことも含めて、やっぱり土地基本法の精神は、土地によって利益を得るということはもう今後認めないのですよ、そういう方向に我が国は進むのですよ、こういうことを高らかに宣言する。それに基づいて速やかに今後の立法措置を講じていくのだ。こういう問題だということを徹底的にやっていかなければ国民の不安というのはなかなか解消しないし、やっぱりいつまでたっても、おれの住んでいる土地が値上がりしたらいいけどなというふうなことがなくならないのです。  確かに三年ほど前の論議でやったときに、そんなこと山本さん言うけれども日本人の大部分というかかなりの多数派はもう既に家と土地を持っていますよというふうな反論をされた政府側の答弁もありました。それを直そうというのが今度の土地基本法なんですね。そうじゃないのだと。だからひとつ今の長官の言われた新しいニュータウンの建設だって、持っていない人をまず優先しよう、それはぜひひとつ今後のニュータウンの募集に当たって頭の中に置いていただきたいと思います。  それから、あわせてここで、盛んに市街化区域内農地の問題が今までも議論されております。ちょっとこの問題に少し触れておきたいと思うのです。  生産緑地法という法律がありますね。農林省お見えになっていると思うのですけれども、農林省は市街化区域内農地を所有している農業者に対してどういうふうな指導をしておられるのか、この辺ちょっとまず承っておきたいのですが。
  56. 窪田武

    説明員(窪田武君) 市街化区域といいますものは、御案内のようにおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域であります。そのため、市街化区域内の農地につきましては、その転用等に当たりまして農業委員会への届け出のみで容易に宅地等への転用が可能という制度的な対応をまずしております。さらに、このような状況を踏まえまして農林省といたしましては、市街化区域内の農業につきましては基本的にその効用が長期に及ぶような、例えば土地基盤整備事業等は行わないというふうにしております。ただ、当面営農を継続するというのに必要な災害復旧事業とか、あるいは家畜衛生対策とか病害虫の防除対策とか、そういう効用が短期に限られる土地については講じているところでございます。
  57. 山本正和

    山本正和君 市街化区域内の農地を宅地並み課税するということによって、これが住宅問題の解決の非常に大きな役割を果たすというのが盛んに言われておるのですけれども、私は必ずしもそのとおりじゃないと思うのです。大変疑問を感ずるのです。というのは、都市の中に農地があってもいいのですよ、本当の農地が。経済の効率からいえば、何でそんな高い土地農地があるのだということになるのですけれども、そうじゃなしに都市圏全体で考えた場合、例えばニューヨークの真っただ中に仮に果樹園があったとします。不経済と言うかもしれぬ。しかし、その果樹園がもしニューヨーク市民にとって大変喜ばれたらこれぐらいな結構なことはないと私は思うのです。  ですから、そういう意味で市街化区域内農地の問題というのを農業という問題、あるいは都市計画全体のバランスの中における問題として考えて、そうは言いながら利益を求めるために値上がりを待っているのだ、格好だけちょっとつけて農業でござるというような、これは許さないということで、その辺はきちっとやっていただきたいというふうに思うのですが、長官この辺の問題をどうお考えですか。
  58. 石井一

    国務大臣石井一君) 例えば東京圏で、二十三区の中で中野区だけの面積が市街化農地として、そのうちの九十数%がいわゆる長期営農の形で農業が営まれておる。またその反面、最近東京都で大変栗の生産が上がって、全国一とは言いませんが、全国の三番目ぐらいじゃないかなという、本当かうそかそういうような話も伝わってくるというふうな中に、この問題はいろんな視点から判断をするべき問題だと思います。  私は結論から申しますと、市街化の中に緑地を保全する必要もございますし、それからまた避難地でありますとかその他の目的もあるでしょう。都市空間ということも重要な市民に対する潤いを与えておると思います。かといって、偽装農地と言われておりますもの、これはやはり処理しなければいかぬと思います。それからまた、もう既に社会投資がすべて完備し、もうすべてのものがそろっておるのにかかわらず、農地を比較的小さい地域でやっておる、こういうものについては、やはり遠くから通ってきておるサラリーマンの心情をも考えて市街化していくべきだろうと思います。したがって、本当に細かく今あります市街化農地を再点検しまして、保全すべきものは保全せしめる。これの部分がかなり大きくなると思いますが、今度は猶予期間であと十年だとか、一時でまた税金だけ安く納めといて、自分が金が要ったら今度高くぱっと売れる、こういうのもまたこれは不思議な制度だと思うのであります。あらゆる意味で再点検する必要がありますが、一部はやはり市街化をしていくべきである。また市街化をしていく場合にも地権者の意向を考えて、あなたが今こういう形で無理をして農業をし、税金逃れをしておるよりも、こういう形でこういう新しい経営をされたらどうですか、そこには農住制度もありますよ、農協の協力の体制もあれば別の体制もあるという地権者とのコンセンサス、住民とのコンセンサスを得ながら、そういうインセンティブを与えていく、こういうようなことをし、直ちに固定資産を上げて何かその土地を分捕る、こういうような手法でなく、今申しましたような形の中からある程度の部分は市街化し、ある程度の部分を保全する、そうしてまた中間の地域もあってもいいと思うのであります。数年間ひとつ御検討いただきたい。そのかわりそのタイムリミットにおいてはどちらかの判断をしていただきたい。農地をするのなら永久的ですよ、宅地にするのなら、やっぱり今これだけ困窮しておるこの時期にひとつ新しい考え方を示していただきたい。こういう手法の中から税制でありますとか、あるいは新しい金融の措置でありますとか等々を組み合わせて、この形に対して少なくとも今のような状況に対して、一歩二歩前進せしめる施策土地基本法とともに打ち出していくべきだ、そう思っております。
  59. 山本正和

    山本正和君 大体私も今の長官の御意見大変結構だと思います。要するに市街化区域内に農地を保有している農業者、これに対して本当の話できちっとしてないという部分が幾らかある。そして、いたずらに土地に住む勤労者に対してあんなうまいことやっているぞ、こういうふうな話がばっと出てしまって、何か知らぬけれどももう悪の権化にされてしまう。これが問題の一つだろうと思うので、今長官の言われたような話で、農業者としてきちっとやっていくのだ、都市農業としてはこういうことでちゃんとやっていきますよ、これは農林省と十分相談して、この辺ちょっと私は農林省の施策が今まで物足りぬと思うのです。都市農業として重要な役割を持っている要素があるわけですから、それはそれで位置づける。そうじゃなしに、もう何でもいいからこうやってやっていれば税金は安いし、いざとなったら売ればいいしというのじゃ困りますよ、その辺の指導をきちっとやっていくということで対処をしていただきたいというふうに思います。  それから、次に税金の問題ですが、どうなんでしょう、これ、土地税制の問題、譲渡益課税あるいは保有課税、相続税、あるいは特別土地保有税、固定資産税、いろいろ絡んでくるわけですけれども、これについてひとつ大蔵省、自治省、土地基本法制定に絡んでどういう見解をお持ちなのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  60. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 国税の立場でお答え申し上げますが、土地基本法の中に、税制に関しまして直接的に十五条という条文もございますし、さらには、第一章の基本理念のところに書いてあります三条、四条、五条といったものが今後私ども土地税制を考えてまいります場合の大変参考になりますと申しますか、指標をお与えいただいておるというふうに考えております。  税制上の立場から申しますと、現在、土地税制につきましては二つの方面から要請が高まっております。  一つは、税体系の議論としての資産に対する課税というのが、他の所得に対する課税や消費に対する課税とのバランスでどう考えていくかという問題、税体系の中の問題です。  他方では、やはりここ数年来の土地の高騰を前提といたしました土地問題、地価問題に税制が政策税制としてどういう役回りを果たせるかという両方の面からの御要請があると思いますが、政策税制の面から申しますと、従来からもいろんな措置をやってきておるところでございますけれども土地の有効利用ということを進める、その一方で、不要不急の需要を抑えていくということで土地の需給を均衡さしていくということが焦点であろうかと思います。さらに、先ほどの税体系と申しました側から受益とか負担力に応じた税負担をお願いしていくということも要請されております。  ただ、若干問題になってまいりますのは、実は税体系上の税負担の公平という観点から考えます土地税制と、それから、供給促進といった観点から考えます土地税制が必ずしも常にスムーズに両立するものではないという側面がございます。それを両立させるかぎと申しますのは、やはり土地利用計画でありますとか、それに対する規制でありますとか、そういった土地政策の具体的な方向というものが加味することによりまして、その両方を中和さしていけるのかなというふうに考えております。  土地基本法を踏まえまして、これからさらに、長官の御発言では実行法とおっしゃっておられますけれども、そういった具体的な土地のあり方というものの姿が確立されるに従いまして、私どもの方に土地税制がそれに見合った税制上のお手伝いといったことが十分に考えられるだろうと考えております。
  61. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) お答えを申し上げます。  基本的には、土地税制につきまして、ただいま大蔵省の長野課長の御答弁になった内容と同じ考え方を私どもも持っているということを申し上げたいと思います。  土地に対する税制は、現在、土地の取得、保有、譲渡などの各段階で国税と地方税と組み合わせた税制があるわけでありますが、土地基本法が制定されました暁におきましては、これらのいろいろな基本理念に基づいた具体的な各種の土地に対する施策というものが考えられるはずでございますので、そういう具体的な土地施策といったものが前提になりまして、国税、地方税を通じて、それぞれの税の性格を考慮しながらも総合的な適正な税制を考えていくべきものだというように基本的に考えております。
  62. 山本正和

    山本正和君 ちょっと、税制問題、時間がないので、あと同僚議員の質問の方に譲ります、問題点等の指摘、いろいろあるわけでありますから。  そこで、時間がもう五分しかなくなったので、土地価格の一元化の問題もちょっと聞きたかったのですけれども、これも同僚議員の方に譲ります。  問題は、公有地の拡大ということが、これは衆議院でも大分議論したようでありますが、一九七二年の六月に公有地の拡大の推進に関する法律というのが定められていますね。これ大変いいことが書いてあるのです。「この法律は、都市の健全な発展と秩序ある整備を促進するため必要な土地の先買いに関する制度の整備地方公共団体に代わって土地の先行取得を行なうこと等を目的とする土地開発公社の創設その他の措置を講ずることにより、公有地の拡大の計画的な推進を図り、」以下云々、こうあるのですけれども、公有地を拡大していくということは、私は土地行政になくてはならない問題だろうというふうに思うのです。西ドイツあたりでは、とにかくその土地の三割から四割ぐらいが、人口がかなり大きな都市では公有地になっているのです。我が国の公有地の面積なんというのは本当に少ないのです。ですから、公有地を拡大するためにはやっぱり市町村というか、自治体に先買い権というか、それを認めさせていくということはしなきゃいけないというふうに思うのですけれども、公有地の拡大問題について、もう時間があと四分ぐらいしかないのですが、野党案は何としても、やっぱり公有地の拡大ということを基本法に入れるべきだと考えているのですが、その辺の問題についてちょっとお考えを聞いておきたいと思います。
  63. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先生指摘のとおり、住宅や宅地を供給していく際にも、町づくりを進める際にも社会資本の整備が非常に重要でございまして、その際公有地の拡大が非常に大きな武器になるということでございます。そういうことで公有地の拡大の推進に関する法律によりまして、これは直接所管は建設省及び自治省でやっておりますけれども、積極的にこの法律を運用していただいておるということであります。  それで我々も、基本法案の政府案を作成する際にその辺十分認識していたわけでございますが、ただ基本法案でございますので、個別具体の施策はできるだけ除きまして、包括的抽象的な表現をさしていただいたわけです。したがって、現在十二条に、「適正な土地利用の確保を図るため」に、「土地利用計画に係る事業の実施その他必要な措置を講ずる」ということでのみ込んでしまった格好になっております。  実は衆議院の方でも、公有地の拡大あるいは宅地の供給促進の重要性指摘されまして、宅地の供給促進の方は十二条二項で修正して入れていただいております。公有地の方は衆議院の方では修正にまでは至らなかったというふうなことでございますが、重要性は十分認識しておるつもりでございます。
  64. 山本正和

    山本正和君 それじゃ、公有地問題ももっと詰めた議論をしなきゃいけないと思いますが、要するに、土地政策の根本政府が責任を持って解決いたします、国民の皆さんどうぞひとつ住宅については御安心ください、こういうことを宣言するのが土地基本法だと思いますし、そういう意味からいったら、国が今日のような状況で、何か国有地はどんどんどんどんもう売ってしまうんだ、ぽっぽこぽっぽこね。自由競争で民間にどんどんどんどん払い下げるというふうな、それはもうつち地基本法の精神に完全に反している。むしろ国公有地を拡大していざというときに備える、またそれを有効利用していく。  さらにもう一つ言っておきたいのは、これはいろんな原因はありますけれども、例えば私どもの住んでいる三重県の四日市でも、公害等の問題で企業が随分撤退したのです、かなり中心地からね。それはやっぱり企業は資産としてそのまま保有しているわけです。なぜあれを有効利用しないんだという声が出るわけですよ。だから、さまざまそういう問題も含めて、これは仮に国や地方公共団体が当面借り上げるという制度もあると思うのです、極端に言うとね。何らかの方法で国公有地あるいは国なら国、市町村なら市町村の責任において土地問題に対して解決していくというそういう方向性を出すためにも、この基本法の中にもう少しはっきりした国公有地拡大ということが見えるような、そして国民も国の、あるいは自治体の持っている国公有地というのは国民全体の財産で、これだけちゃんとあるんだなという安心感が持てるような方向へやっていく、そのことをひとつ今後の委員会論議の中でも尽くしていきたいと思いますので、またひとつぜひ政府側からもそういう面での積極的なお答えを期待いたしまして本日の私の質問はこれでとめたいと思います。
  65. 福間知之

    委員長福間知之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ─────・─────    午後一時五分開会
  66. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから土地問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  67. 坂野重信

    ○坂野重信君 質問時間が一時間でございますから答弁の方も簡潔に要領よくお願いいたします。まあ詳細についてはまた岡部委員から後でまた質問があると思いますので、概括的な問題をポイントを絞って質問いたしたいと思います。  まず地価の動向でございますが、きのうあたりのテレビの報道によると、また東京地価がちょっと上がりぎみだというようなことが出ておりますが、大体の傾向としては東京圏から大阪あるいは名古屋等にだんだん地方へ拡散、移行してきつつあるというのが今までの傾向であるようでございます。東京が依然として高値安定的なようなことでは大変な問題でございますが、その辺の状況について事務当局からまずお答えいただきたいと思います。
  68. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 御報告いたします。  都道府県地価調査によりますと、これは六十三年七月から平成元年七月まで一年間の地価の変動率でございますが、住宅地について、まず東京圏は一年間で二・七%、大阪圏は三七・三%、名古屋圏は一四・八%といった上昇でございます。それ以外の地方平均は四・六でございますが、その中でも人口規模の大きい五十万都市地域では九・一といったぐあいに、大阪圏、名古屋圏、地方圏の主要都市、そういったところに地価の上昇が波及しております。  やや詳しく敷衍さしていただきますが、東京圏におきましては、埼玉県、千葉県の圏域周辺部から東京圏の圏域外にかけてかなりの地価上昇が見られております。ただ、東京圏、神奈川県では地価が下落する等、全体としては鎮静化傾向が続いております。  ただ、先生指摘されましたように、つい最近私どもの方でモニターの先生方に集まっていただきまして、最近の東京圏の状況をお聞きしたわけですが、非常に強含みのところが出てきておる、予断は許されないというふうなコメントをいただいております。大阪圏におきましては、著しい地価上昇の見られる地域が圏域のほぼ全域に及んでおりまして、この一年を通じて上昇傾向が継続しております。また、名古屋圏におきましては名古屋市で上昇率が鈍化傾向にありますが、かなりの上昇が見られる地域周辺部に拡大してございます。地方圏では、一部の主要地方都市等でかなりの上昇が見られましたが、その他の地域ではおおむね安定的と、こういった状況でございます。
  69. 坂野重信

    ○坂野重信君 住宅地と商業地で違うと思いますが、何かそこに特徴がありますか。
  70. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 東京圏の場合も商業地でまず上昇いたしまして、それが周辺住宅地に波及するという傾向をとっておりますが、それが大阪圏、名古屋圏、地方都市に波及する場合にも、それらの都市の中心商業地でまず上昇しております。それが周辺に波及するという格好で地価が上昇してございますが、圏域全体で見ますと、大阪圏はほとんど住宅地と商業地で差がない、三十数%の高い上昇になってございます。名古屋圏は、商業地の方がやや住宅地より上昇率が高い。地方都市もおおむね商業地の方が住宅地より上昇率が高くなっております。
  71. 坂野重信

    ○坂野重信君 そういう情勢の中で土地基本法が今、目下審議されているわけでございます。野党からも法案が出、与党からも出て、その中で衆議院は通過したわけでございます。参議院で鋭意皆さんの御議論の中でこの基本法審議していただいて、国民もこの基本法に寄せる期待は非常に大きいと思います。  しかし、まあこれはいわば宣言法といいますか、基本的な考え方が主として盛られているわけでございますから、これを具体的に早急に実行に移すためにはかなりの勇断、蛮勇を振るって実行しなければならぬと思いますが、その辺の国土庁長官としての決意をお伺いしたいと思います。  それから、六十三年六月二十八日に既に閣議決定で総合土地対策要綱というものが決定されておりますが、その要綱と今度通るであろう土地基本法との関係をどういうぐあいに関係づけていくのか、その辺の考え方を長官にお伺いしたいと思います。
  72. 石井一

    国務大臣石井一君) 土地基本法の成立をこいねがっておるわけでございますが、四つの基本理念がございます。  公共福祉を優先し、そして土地利用されなければならない、投機対象としてはいけないというふうな、こういうような基本的な理念を十分国民の中に植えつけて、土地に対する基本的なコンセンサスを求めていくと同時に、御指摘のとおりその後どういう手を打つかということが非常に重要だと思っております。私といたしましては、先般関係閣僚会議を招集いたしまして、今御指摘になりました総合土地対策要綱に基づき、この中から具体的に実行可能なもの、また可及的速やかに取り上げなければいけないものを選別し、基本法が成立した後に再度関係閣僚会議を招集し、その中で直ちに実行に移していく。そして来年度の予算でありますとか、あるいはそのほか法律の改正等につきましても、その線に沿って進めていきたい、こういうことを関係閣僚会議の合意として得ておるような状況でございます。  したがって、具体的には、土地計画の充実、それから市街化区域内の農地計画的宅地化、低・未利用地の有効利用等の適正な土地利用の促進、それから国土利用計画法等による土地取引の規制の強化、そして土地税制の見直しなど、需給両面にわたる各般の施策を推進することによって、地価の安定と適正な土地利用の実現に全力を挙げて、そして土地基本法が成立いたしましたその目的が十分に成果としてあらわれるように努力してまいりたい、そう思っております。  また、総合土地対策要綱は大変広範にわたる重要な問題の指摘がございまして、これとの関連がどうかと言われますと、これも閣議決定の政府の方針でございます。土地基本法がさらに加速度を加えて、これら要綱に盛られております問題を具現化していく、実現化していく、そういう方向に持っていきたいとこいねがっております。
  73. 坂野重信

    ○坂野重信君 順序からいいますと、本来ならば土地基本法というものが先にあって、そこで一つの哲学なり考え方というものがあって、そのもとで本来ならば土地対策要綱というものがあるべきなのが順序だと思います。もちろん我が党におきましても政府土地対策要綱のできる前に実はつくって、それを政府が参考にしながらおつくりになったということはよく承知しておりますが、しかし、土地基本法に基づいてかなりの考え方公共福祉優先とか、そういう問題については今まで以上の考え方がかなり徹底しなければならぬという面もあると思いますから、ひとつ基本法ができましたら、総合土地対策というものをそういう考え方に基づいて見直して、できるものからひとつ早急に手を打っていただくということが国民期待を裏切らない責任だと私は思います。恐らく皆さんは、基本法ができたらもう土地問題はすぐさま片づいて地価が下がるんじゃないかという期待が非常に大きいと思いますので、ひとつ政府におかれては勇断を持って具体的な対策を進めていただきたいと思います。  そこで順序をちょっと変えまして、建設大臣用事があるようでございますから、住宅問題、宅地問題を先に質問いたしたいと思います。  私が言うまでもございません、国民に豊かさの実感がないというのは、主として都市勤労者にとって快適な住宅の確保が難しいということで、国民の皆さんが日本経済は豊かになったと言いながら、国民一人一人の豊かさの実感がないというのはそういうことが非常に大きく左右しているのじゃないかと思うわけでございます。一生働いても適地に適当なマイホームが得られない、そういうのが私が申し上げるまでもない実情でございます。  そこで、住宅局長にもう一遍確認しておきたいのは、我が国の宅地を含めて住宅取得価格と年収との比率ほどうなっているか、外国と比べてどうなっているか、それで建設省として住宅宅地の取得価格と年収との比率は一体どの程度を目標として考えているのか、これをお答え願いたい。
  74. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 民間の不動産経済研究所の調査がございますので、この数字で申し上げたいわけでございますが、昭和六十三年の首都圏の新規分譲マンションの平均価格は約四千八百万円となっておりまして、京浜地区の平均的なサラリーマンの年収に対します倍率は、六十二年五・四倍、六十三年七・〇倍に拡大しております。  お尋ねの第二点の、欧米主要国、ヨーロッパ、アメリカではどうなっているかというお話でございますが、調査時点、それから統計資料の制約がございますので、なかなか正確な比較はできませんが、従来から使っております資料で申し上げますと、アメリカが三・四倍、イギリスが四・四倍、西ドイツが四・六倍でございます。  お尋ねの第三点の、建設省としてはどのくらいの倍率が適当なのかというお話でございますが、住宅宅地審議会の、ちょっと古うございますけれども、五十年の八月九日の答申の中に附帯資料として出ております、標準的な世帯、三分位の四人世帯で申し上げまして、その家計支出に占めます住宅ローンの支払いの率でございますが、収入のおおむね二五%以内であればよろしいということになっております。したがいまして、京浜地区の平均的な勤労者、年収七百十一万円で計算いたしまして、住宅ローンの返済負担率が二五%になるようにローンを借り入れる。その場合に、公的資金でありますとか、減税でありますとか、そういう政策的な効果をも織り込みまして、貯蓄をも加えまして考えますと、おおむね四千万円程度になります。したがいまして、先ほどの七百十一万円で割りますと、年収の約五・六倍、五、六倍というところではないかと考えております。
  75. 坂野重信

    ○坂野重信君 住宅問題といっても結局は宅地問題、土地の取得価格に大変な成否がかかってくるわけでございます。  そこで、しばしば建設省におけるいろんな構想の記事が出ております。建設大臣の談話も新聞紙上等で出ておりますが、建設省において、当面、住宅宅地供給促進策というものを検討中であるということを聞いておりますが、ある新聞によるともう既に決まったような記事も出ておりますが、その辺の問題を建設省でどういうぐあいに今検討されているのか。 東京圏等を考えますときに、大都市周辺では未利用地あるいは低利用地というものが相当残されておりますし、また市街化区域内においては農地についてもまだまだ宅地化できる余地というものがあるはずであります。  そこで問題は、宅地並み課税を強化するとか保有税を強化するとかというような端的な表現がよくマスコミで報道されているようでございますが、これは問題でございまして、農地を所有している人にとってはやっぱり農地に対する愛着心というものがあるわけでございますから、土地を持っている所有者が宅地化しやすいような環境をつくるということが一番ポイントじゃないかと思うわけでございますが、その辺の問題を含めて建設大臣としてのこの辺に対する方策をどうお考えになっているのか、お述べ願いたいと思います。
  76. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 委員指摘のように、大都市において適切な住宅、宅地を供給するということは大変重要な問題であると認識しておりまして、建設省としては今そのための総合対策を検討中でございます。  このためにまず必要なのは、都道府県を超えた広域的な調整を行うための住宅宅地供給方針というものを策定いたしまして、共通のひとつ認識を持っていただいて地方自治体努力していただくということが大事だと思います。そして今おっしゃるように、土地所有者につきましては、土地所有者住宅を建てていただく、あるいは宅地化のための都市計画に従っていろんな措置をしていただくというように、土地所有者に御協力をいただかなければなりませんので、それには都市計画をまず策定するわけでございますが、それにインセンティブを大いに考えて、例えば住宅インセンティブゾーンを創設するとか、中高層、普通だったら二階しか建てられないのを四階、五階建てられるような市街地にしていくとか、そういう都市計画の面からアプローチして、大いに土地所有者に魅力のある住宅を建てていただけるような措置を講じなければなりません。それから財政上、金融上のインセンティブとか、それから税制の問題もそれと一体としてインセンティブを与えるということが大事ではないかと思います。  そういうことによりまして、今の工場跡地とか未利用地の有効利用、そして市街化区域内の農地の宅地化というものを促進する総合的な施策考えていきたい、こういうように考えております。  その一環としての土地の保有とか取得に必要な税制の見直しを検討しておるわけでありまして、決して新聞の見出しなんかにありますように宅地並み課税ということをまず先行して考えるわけではありませんで、宅地化をあくまでも推進し、農地として残したいという方には生産緑地制度とか、あるいは市民農園とか、こういう制度によって農地としてキープしていく、宅地化したい方々には宅地化をお願いする。また、その方が農家の方が魅力があるというところを出していきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  77. 坂野重信

    ○坂野重信君 今、大臣の方針を大体お聞きいたしましたが、これは自民党としても、政府としても住宅対策をどうするかというような問題は、まさに一つの大きな私は政策の柱だと思いますので、その辺の扱いを十分ひとつお考えいただいて、どうも何か宅地並み課税の強化とか、保有税の強化というのが先に報道されて非常な反響を呼んでいるようでございますから、その辺のところを皆さんのコンセンサスが得られるようにさらにひとつぜひ努力していただきたいと思いますし、また予算の編成期もだんだん近づいてまいります。政策決定の段階でもひとつまた政府と党の方が十分この問題について今後議論をしてまとめていくように持っていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたしたい。建設大臣はお忙しいようですから、結構でございます。  そこで、あと総務審議官でございますか、今、建設大臣がおっしゃったような施策によって、例えば東京圏において当面いつごろまでに何ヘクタールぐらいの宅地が確保でき、そして住宅が一体何戸ぐらい建てられるか、見込み、見通しというものがあると思いますが、その辺を述べていただきたい。
  78. 木内啓介

    政府委員(木内啓介君) 先ほど大臣の御答弁がございましたように、建設省としましては、特に税制ということでなくて、税制も含めてでございますけれども先生おっしゃいましたように既成市街地高度利用、それから工場跡地等の低・未利用地の有効活用、それから市街化区域内農地の残すべきところと開発すべきところを振り分けた上での開発促進、それから新市街地の積極的な開発というふうな項目で新しいいろいろな施策を含めまして検討しているわけでございます。そういう施策が仮にできましたというふうなことで、これは試算でございますけれども、どのくらい宅地供給ができるだろうか、住宅戸数がどのくらいできるだろうかということを仮に試算しますと、東京圏におきまして宅地開発で約四万ヘクタール程度、それから住宅の戸数で二百六十万戸を少し超えるくらい、そのくらいは可能ではないかというふうな、一応これ試算でございますけれども、試算しておる次第でございます。  ちなみに、二百六十万戸をちょっと超えるという程度の住宅というのは、四全総で東京圏で必要だと言われております住宅建設戸数が全体で五百七十万戸でございまして、そのうち建てかえ等がございますから新規はどのくらいかということは、これは推定でございますけれども、新規で大体三百万戸弱ぐらいの感じかと思います。そういうようなことで、非常に努力してまいりますと四全総の予定する住宅ぐらいの住宅は、需要がございましても努力すれば供給可能ではないかというふうな目算を得ている次第でございます。
  79. 坂野重信

    ○坂野重信君 余り大きな数字を出しても、これがまたそういうことを言い出すと、それによってまた地価の高騰に結びつくということもありますから、ひとつ着実に個々の計画というものを固めていただいて、何百万なんということでなしに、もうちょっと具体的な数字を年次計画というものでも立てて、十分具体的にひとつ検討していただきたいと思います。それだけ申し上げておきます。今ここで多いとか少ないという問題を言っても始まりませんから。確かに四全総では三百万とか五百方という数字が出ておりますから、こんなものをいじり出しますと、何だ東京の一極集中をまた助長するのかというような議論も出てまいりますので、年次計画のもとでひとつ綿密な計画で進んでいただきたいと思います。  そこで、国土庁長官にお伺いしたいと思いますが、今東京圏の問題を中心にして建設省考え方をただしたわけでございますが、土地政策というのは何といっても首都圏である東京圏、東京をどうするかという問題がやっぱり一番大きな柱だと思います。東京の一極集中の国土構造の是正、多極分散、かねて国土庁長官を中心にして推進されているわけでございますが、何といってもその辺の問題がますます私は重要になってきておると思います。  先般、私もサンフランシスコの震災の跡を見てまいりましたが、やはりそういうことから思いをいたしましても過密都市で、しかも木造の住宅が密集しているというような状態は、とても我々の生活の面からいっても、いろんな面からいっても、防災上の立場からいってもこれは放置できないような状態であることはもちろんでございますし、やっぱり地価の問題を考えますときに、結局はやはり多極分散を図る、それによって地方への地価の拡散というものの放任はできないわけですけれども基本的には一極集中の排除、多極分散というものがどうしても根本策として考えなきゃならぬと思うわけでございます。なかなか言うべくしてそう簡単にはいかないことは、私どもは承知しているわけでございますけれども、多極分散のいわゆる具体策といいますか、それとこれに対するスケジュールをどういうぐあいに今国土庁として、最高の責任者である長官でございますから、どういうぐあいにお考えになっているのか、それをお述べいただきたい。
  80. 石井一

    国務大臣石井一君) 坂野委員は党の緊急土地対策委員長などとして、この問題にこれまで中心的存在で取り組んでいただいております。また、国土庁が今推進いたしております国土政策の中で最も重要なことが東京一極集中の排除と多極分散型国土の形成ということでございますが、これは最重要の課題であり、土地問題、防災問題に対する基本的な対応であることは確かでございますが、現実にこれを行うということがまた大変難しい問題であることも、よく体験を通じ御認識をいただいておるところでございます。  国土庁としましては、まず四全総に基づきまして地域主導の地域づくりを推進する、そしてその基盤となる交通、情報、通信等の総合的政策を推進する、これをいたしておるわけでございますが、現に例えば新幹線が設置されましてかなりの時間がたちます東北あるいは上越等でも、だんだんと工業化が進んだりなんかいたしまして、これらの成果を徐々にあらわしておるというふうに認識をいたしております。  そのほか、多極分散型国土形成促進法に基づきまして、国の行政機関等の移転とか振興拠点地域開発整備等に積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。  国の行政機関移転に関しましても、七十九機関の移転を八月に発表したところでございます。十分な成果とは言えません。評価できない面もございますけれども、私たちはこれは一歩二歩前進である、また政府が率先垂範することによって、民間のサイドでも最近本社機能を地方等に移転しておるというようなところもぼつぼつ出てきておりますので、今後も根強く継続的にこういう努力をしていきたいと思っております。  なお、国土審議会におきましては、四全総推進のための調査審議を進めていただいておりますが、先端的サービス産業の地方展開、事務所機能の分散、都市との交流による農山漁村の活性化等の戦略的施策について、内閣総理大臣へも報告がされたところでございます。今後も、土地基本法が成立いたしました後、さらに具体的な各法と申しますか、実行法を実施することによりまして、時間をかけてもこの大きな課題を解決するために努力してまいりたい、そう考えております。
  81. 坂野重信

    ○坂野重信君 ぜひひとつ頑張っていただきたいと思います。  各省でそれぞれの地方の活性化というような政策を私ども各省から聞いているわけでございますが、それぞればらばらに出ておるわけです。農林水産省は農林水産省でまたいろんなことを考えている。建設省はもちろん考えている。自治省は自治省でまた御案内のようなふるさと創生、いろんなことを考えている。いろんな立場で、環境庁は環境庁でまた自然の歩道とか、いろいろ考えておりますから、総合的な政策の中で十分これはもう各省、党内もちろんでございますが、調整を図りながら、私は一番内政上の大きな問題はこの多極分散、地方の活性化ということにあると思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思うわけでございます。  そこで、私はあらゆる機会に主張しているのは、そういった道路をつくったり多極分散の下地をつくり、そしていろんな建物なり企業というものを分散する。そのためにはやっぱり地方分権というものが伴っていかなければ、移してみてもまた東京に来なければいろんな行政上の処理ができない。各企業はやっぱり東京に本店を持ってやらなければいかぬということになってまいりますので、そういう面で私は地方分権、地方に対する権限移譲というものが非常に重要な役割をするのじゃないかと思っております。  そこで、地方制度調査会は、御案内のとおりに、十六項目の提言も既にやっております。それを今度は行審で取り上げて、国と地方との役割分担をどうするかというようなことも既に検討しておりまして、新聞紙上等によりますと何か百四十二項目の項目をまとめて、近く答申するようなことも報道されておりますが、もちろんこれは国土庁長官としてはそういうものはあわせてお考えいただいておると思いますけれども、自治省あるいは総務庁においてどういうぐあいにこういう問題に取り組んでいくのか、その辺の取り組みの姿勢なり決意をお願いいたしたい。
  82. 森繁一

    政府委員(森繁一君) ただいま委員お示しのとおり、新行革審におきまして、権限移譲を含めました国と地方の関係につきましての審議が進められておりまして、現在、大詰めの段階にまで来ておる、こういうふうに承知をいたしております。来月上旬には一応の結論がまとめられるのではなかろうか、こういう予定だと承っております。  自治省といたしましては、先ほど来お話のありましたとおり、権限移譲というのが地方分権、地方活性化のためにどうしても必要である、こういう認識を持っておりまして、そのための努力を重ねておるところでございます。  新行革審の検討内容につきましては、これまで個別の権限移譲の具体的な内容につきましては、現段階では詳しくは承知していない段階でございます。ただ、先ほど申しましたように、それぞれの地域が個性豊かな地域づくりができますように、町づくりに関する権限を初め、この機会に大幅な権限移譲をぜひともお願いしたい、関係各省庁とも相携えながらそういう努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。
  83. 増島俊之

    政府委員(増島俊之君) 昨年の暮れでございますが、総理から御諮問がありまして、国と地方の問題につきまして、ただいま御紹介がありましたように、検討を重ねております。  国と地方の問題につきましては、これは臨調時代からそうでございますけれども基本的に住民に身近な仕事は身近な地方公共団体で処理する、そういう基本方針のもとでいろいろな具体的な案の実現を図ってきてまいっておるところでございます。現在、行革審の中で国と地方問題小委員会というのがことしの二月に設置されまして、その小委員会のもとでの審議が今精力的に進められておりまして、来月の初旬になると思いますが、親審議会の方にその報告が持ち上げられるわけでございます。それを受けまして、親審議会の方でまた精力的に御審議がされまして、年内答申ということで進められるということを聞いております。  従来、臨調あるいは行革審でございますが、答申が出ますと、これを最大限尊重するという方針のもとで具体的な実現の方途、そういうものを政府として決めておるわけでございます。今回もそういう答申を受けまして、これを最大限尊重するという、そういう方針で具体的な方途を講ぜられるというふうに理解しております。
  84. 坂野重信

    ○坂野重信君 これは大変重要な問題でございます。内閣全体として取り組むべき重要な課題でございますから、国土庁長官におかれても、ひとつこういう問題を大きく取り上げていただいて推進願いたいと思います。  そこで、先般本会議でも社会党さんでしたか質問がございました。土地対策の政策目標、私も、基本法ができ、あるいは国土計画法というものの改正ということを考える以上は、やはり政策目標としては地価を下げる、単なる安定ということでは、もう国民の皆さんは納得しないと思いますし、国民の大方はこういう基本法ができたら地価が下がるだろうということを期待していると思います。そういうことでございますから、地価を下げるということは確かに言うべくして困難とは思いますけれども、目標としてはやはり地価を下げるのだということで、ひとつ長官も頑張っていただきたいと思いますが、どうでしょう。
  85. 石井一

    国務大臣石井一君) 私がここで地価を下げると断言いたしましてもなかなか御信用願えないほど問題が深刻化いたしておることは確かでございます。  しかしながら、土地基本法ができまして、総合土地対策要綱等に盛られておりますもろもろの施策を着実に推進し、そしてまた、御指摘いただいております東京一極集中を排除し、業務核都市などというふうなことを言っておりますけれども、これをまず一歩外へ分散させる、そのうちにさらに首都移転というふうなことをも仮に実行する。そして先ほどから建設省当局が申しておりますような三百七十万戸とか二百六十万戸というような住宅を供給する。そして土地高度利用、未利用地の活用というふうなことをやりますと、供給面において相当豊富に、庶民の手の届く土地あるいは住宅というふうなものが出てくる余地は十分にあるわけでありますから、これらを確実に実行することによって、相当地価が安定した、場合によっては地価が下がった、こういうふうなところを政策目標に決めて、今後精力的に、政府だけでなく与野党協力してやっていくという姿勢でやっていかなければ、何のために政治があるのか、この国が果たして豊かな国なのか、こういう基本的な問題を問われることになるだろうと思いますので、私は希望を捨てずにひとつ頑張ってまいるということを申し上げさせていただきたいと存じます。
  86. 坂野重信

    ○坂野重信君 自民党でも六十二年でしたか六十一年でしたか、総合土地対策要綱をつくったときも、いろんな議論の中でやっぱり地価を下げるということを目標にしなければ総合対策意味がないのじゃないかというようなことを随分議論したこともございますし、まあひとつ大臣を中心にして、ぜひ地価を下げるということを目標にして頑張っていただきたいと思います。  そこで、時間の関係もありますので、これから事務当局に若干具体的なことを質問いたしますが、端的にひとつ要領よくお答えいただきたいと思います。  まず、土地利用計画整備充実というのがこの基本法でうたわれておりますが、都市計画とか農振地域計画との関係、調整は一体どう持っていくのか、その辺のところをひとつ具体的に説明願いたい。
  87. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 御承知のとおり、基本法では土地利用計画の策定を非常に重視しておりますが、ただ、現行法制の中で計画体系が一通り整えられております。国土利用計画法では国土利用計画として全国計画、都道府県計画、市町村計画とございますし、また、土地利用基本計画というそういったマスタープランに位置する計画体系ができております。また、個別法では都市計画法あるいは農辰振計画、そういった計画が即地的な計画としてございます。  当面、そういった現行制度を積極的に活用し、必要な場合には適時適切に見直しを行いながら計画の充実を図っていくのがいいのじゃないかと思っております。もちろん、今後の問題としては、新しい計画制度等も必要が生ずれば検討されなければならないと思っておりますが、当面はそういうふうに考えております。
  88. 坂野重信

    ○坂野重信君 地価高騰の元凶は私が申し上げるまでもありません。まさに投機的な取引が依然として行われているということでございます。  そこで、当局は、今まで地価高騰の急激な地域に対して規制区域ではなくて監視区域制度を運用してきたと思いますが、その辺の実績はどうであるか。また、効力発揮というものができたかどうか。効力あるならば、もうちょっと先手先手で手おくれがないように手を打っていくべきだと思いますが、その辺のところを御説明いただきたいと思います。  それともう一つは、続けて申し上げますが、今回の基本法の制定及び国土利用計画法の改正によって、投機的な取引の規制は一体どのように強化されることになるのか伺いたい。
  89. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) まず、監視区域、規制区域の関係でございますが、先ほども大臣から答弁がございましたように、制度創立以来、規制区域についてはまだ指定された実績がないわけです。これは非常に厳しい規制でございまして、地価はほとんど凍結、利用目的も限定、列挙された目的にしか利用できない、しかも全取引が対象になる、そういう制度でございますから非常に公共団体でも指定しにくい。そういう事情もあって、六十二年六月、監視区域制度を創設していただいたわけですが、その後公共団体で積極的に活用されておりまして、この十一月二十九日現在、一都二府二十九県、十一政令都市、市区町村数で五百六十九市区町村で監視区域が指定されております。  監視区域の届け出対象面積がそれぞれ公共団体によって決められるわけですが、東京、横浜等では、御承知のとおり、百平方メートル以上の取引が全部届け出対象になっております。また、六十三年以降は東京、神奈川を中心にそういうこともありまして地価の鎮静化が顕著になってきた、そういうふうに見ておりまして、監視区域制度の運用だけじゃございませんが、それ相当の効果が出てきているのじゃないかというふうに考えております。  また、最近の大阪圏、名古屋圏あるいは主要地方都市等への地価波及にかんがみまして、この十月二十七日にはさらに監視区域の先行的指定、あるいは指定後なお地価上昇が続いている場合には、面積の引き下げ等につきまして各部道府県知事等に通達を発出しまして、より厳正、的確な監視区域制度の運用をお願いしておるところであります。  それと、基本法制定後、投機的取引に対してどのように取り組もうとしておるのかということでございますが、投機的取引につきましては、これまでも金融機関に対する指導、あるいは不動産業界に対する指導等を関係各省を通じてお願いしております。  また、税制面でも超短期重課制度を設けまして、これは取得後二年以内に利用することなく転売するような場合には、転売益に対しまして相当の重課をするという制度でございますが、こういう税制等も活用をしながら投機的取引の抑制に努めてきておるわけでございます。また、監視区域の取引規制を通じましても相当程度投機的取引がチェックされておるのではないかと思いますが、この国会に国土利用計画法の一部改正をお願いし、現在御審議いただいているわけですが、その改正内容も、監視区域における取引を、現在の著しく適正を欠く価格行政指導の対象にするだけではなしに、利用目的をも行政指導の対象に加え、土地転がしによる転売益を目的とするような取引につきましては取引の中止等の勧告ができるような中身になっております。この一部改正案もぜひとも早期に成立さしていただきまして、より投機的取引抑制に実効を上げてまいりたい、そういうふうに考えております。
  90. 坂野重信

    ○坂野重信君 監視区域もやって効果を発揮できていると私も認識しているわけでございます。これから常磐新線とかいろんな新しいプロジェクトが出てくる場合に、あらかじめ予想して、先手を打って監視区域にするならするというような手を打っておきませんと、一遍上がってしまいますとなかなかもとに戻すわけにまいりませんから、その辺をひとつ遺漏のないようにお願いいたしたいと思います。  そこで、金融機関の指導強化の具体策、どのようにおやりになっているのか。これは簡単で結構ですから、この法律に基づいてさらに強化されるのかどうか、説明願いたいと思います。
  91. 松野允彦

    政府委員(松野允彦君) 大蔵省といたしまして、金融機関の土地関連融資につきましては、従来から特に投機的な土地取引にかかわる融資が厳に排除されるように通達を出し、あるいは特別ヒアリングを実施して強力に指導してきたところでございます。今般、また国土庁におかれて、最近の地価動向にかんがみまして監視区域制度の指導を強化する、そういう施策をとられまして、それにあわせまして大蔵省といたしましても一連の指導強化措置をとったところでございます。具体的には、従来の趣旨をさらに徹底いたしますとともに、いわゆるノンバンクに対します金融機関の融資につきましても、その資金使途などが投機的な土地取引に使われないように十分審査されているかどうか。それから、特別ヒアリングの対象区域も地価の高騰地域にまで広げたり、あるいはノンバンク融資の実態の把握、あるいは金融機関検査制度の活用、それからさらにノンバンク業界自体に対しましても自主的な適正化の措置を要請したわけでございます。  私どもといたしましては、金融が住宅とかあるいは民間開発関連活用など、いわゆる積極的に対応すべき土地取引に対しては円滑な資金供給を確保していく必要があるわけでございますけれども、そういったものを確保しつつ、かつ投機的な取引に対する融資を排除するというためには、今申し上げたような一連の措置をきめ細かく実行していくのが最善の対応ではないかというふうに考えているわけでございます。こういう一連の措置をとったばかりでございまして、我々全力を挙げてこの措置によって投機的な土地取引に対する融資が排除されるように強力に指導していきたいと思っている次第でございます。
  92. 坂野重信

    ○坂野重信君 これ大事ですから頑張ってください。  そこで、基本法公共優先の立場が強調されているわけでございますが、これを徹底するためには、私は相当な国民の意識改革というものが前提でなければならぬと思っております。そういう中で、国土庁の役割というものは大変私は重要だと思っております。  そこで、具体的な問題として、例えば建設省が担当しておる土地収用制度の問題、成田空港で大変苦労して、大変な騒ぎを起こしながらなかなか前進しないということですが、土地収用制度のもうちょっと機動的な運用というような問題について、この辺で制度の見直しを含めて公共優先の立場を、基本法ができるわけですから、それを踏まえてひとつ対応すべきだと思いますが、どうですか。簡潔にひとつお答えいただきたい。
  93. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) もう先生の御承知のとおりでございますが、公共施設用地を取得する場合に、一般的にはやはり任意の交渉を積み上げるということが通常の姿でございます。そういった意味で、地主さんの協力をいただきながら土地収用に協力をいただくということをやっていくのが基本でございますが、にもかかわらずなかなか御協力いただけないという事例もたくさんあるわけでございまして、そういった中で公共事業がいわばストップしているということを見るにつけましても、こういった問題について土地収用法の的確な運用、的確な発動というものが当然私どもも重要なことだと思っております。  そういった中で、現在までのところ私どもも、収用法について制度面あるいは運用面、これについて改善すべき点があるかどうかということを一昨年の暮れから半年かけまして、林修三先生委員長にいただきまして、先生方あるいは実務者を交えての勉強会をしてまいりました。その結果といたしましては、制度については、いろいろ言われているけれども完備しているわけでございまして、むしろこれを使い勝手をよくするということが基本であるということで、運用面での改善ということがまず重要であるという観点から、昨年の末でございましたけれども、私ども起業者あるいは収用委員会あるいは収用委員会事務局等に一連の通達を出させていただきました。  その内容は、やはり積極的に土地収用手続をとっていただきたい。適時適切な収用手続の発動であり、また審理においても非常に事務を円滑化していただきたい。ちょっと実務的ですけれども、全委員でもって審理するというよりも、必要によって指名委員制度を活用していただくとか、あるいはまた事業の認定に当たりましてもできるだけ簡略な方法で、許されるぎりぎりのところまで簡略化しようなどのことを通達いたしておりますし、引き続きまして私どももまた、土地の八割ぐらいを取得した場合にはもう収用手続に遅くとも移るようにというようなことを今指導中でございます。  そういった意味で、私どもはいわば制度の運用面での改善指導を今専ら進めているところでございますので、こういったものをもっともっとプッシュしながら、その上でなおかつ必要だということになりますならば制度の検討も必要かなと思いますが、当面はそういう構えで臨みたいと思っております。
  94. 坂野重信

    ○坂野重信君 基本法が制定されることですから、この機会にひとつ前向きでそういう問題を検討すべきだと思います。  そこで、先ほど話が出ているように、土地所有者にとっては土地に対する愛着心というものが非常に強いわけですから、土地を所有しながら、使用権というものを分離して調整すべきじゃないかというようなことが既に何回も検討されておりまして、そういう中で、現在の借地借家法、これはどうしても改正しなければそういう問題を解決できないのじゃないか。例えば市街化区域内の農地の問題にいたしましても、こういう問題が解決すれば、使用権は切り離して活用するというようなことを考えていけば相当事態は解決できる問題もあるのじゃないかと思います。そういう意味で、法務省が借地借家法の改正の作業を進めておられると思いますが、どういう状態になっているのか、簡潔で結構ですからお答え願いたい。
  95. 藤井正雄

    政府委員(藤井正雄君) 借地法、借家法の見直しにつきましては、法務大臣の諮問機関であります法制審議会の民法部会で昭和六十年から検討が行われております。  ことしの三月にこれまでの審議を踏まえまして「借地法・借家法改正要綱試案」を公表いたしました。各界に広くお示しいたしましてこの試案に対する意見の提出を求めました。一応九月末を締め切りといたしましたので、期限後も提出されておりますが、既に相当数意見が寄せられております。現在七十八の御意見をいただいております。私どもの方でそれを分析を始めておりますが、法制審議会民法部会では十二月から審議を再開いたしまして、この寄せられた意見をもとにいたしまして今後の審議を詰めていくことになろうかと思います。この審議、これからどのぐらいを要するかというのは、私から申し上げられる段階ではございませんけれども、まあ少なくとも一年ないしそれ以上ぐらいかかるのではないか。いずれその答申が出ましたならば、当局といたしましては答申を踏まえまして速やかに改正法案をまとめたいと思っております。
  96. 坂野重信

    ○坂野重信君 利害が相反する立場の人がありますから、そう簡単にはいかないと思いますけれども、鋭意作業を進めていただいてなるべく早く結論を出すようにひとつ頑張っていただきたいと思います。  そこで、土地税制問題に移りたいと思います。  時間がありませんので余り詳しくは申し上げませんが、土地譲渡課税の問題あるいは長短期の問題、建設省国土庁、その他の関係省庁でいろいろ検討しながら今日まで至ったわけでございます。もちろん大蔵省、自治省は主管の官庁でございますからいろいろな立場で今日までやってまいりましたが、やはり基本的には、土地ではもうけにならぬ、投機対象にならぬというような考え方、そういう意識を徹底させるような税制というものをこれから模索していかなければならぬと思うわけでございます。それぞれ各省の立場でお考えがあろうかと思いますが、土地局長、それから大蔵、自治省等のこれに対する考え方、一方においては宅地を供給する立場、一方においては土地の騰貴、高騰を防ぐ立場と両面の立場の調整を図りながらやっていかなきゃならぬわけでございますが、それぞれのひとつ基本的な考え方をお述べいただきたい。  それから、時間があれですからあと残りのもう一問だけ、これもあわせて申し上げておきます。  土地評価の一元化問題でございます。これはいろいろ衆議院でも議論が出たようでございますが、一物三価とか一物四価はおかしいじゃないかという議論もあったと私は聞いております。しかし、考えてみますと、地価公示価格あるいは相続税の問題あるいは固定資産税の評価額、いずれも目的、性格というものを異にするわけでございますから、これを無理に一元化しようということはなかなか私は無理があるのじゃないかという感じがいたしているわけでございます。そういう問題についてひとつ各省庁の御意見も後でお述べいただきたい。  特に固定資産税等については、苦労して長いことかかってローンでやっとのことで住宅、宅地を手に入れた。それが地価の高騰によって生活に重大な影響を及ぼすような高い固定資産税というものが徴収されると、これは確かに一つの大きな問題をそこで提起してくるわけでございますから、そういう問題を含めて固定資産税のあり方というようなものも自治省で検討しているわけでございますが、その辺の考え方をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
  97. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 法案では、税制につきましては利益に応じた適切な負担を基本理念といたしておりまして、投機的取引の抑制はもとより、土地の資産としての有利性をできるだけ減殺するようなスタンスというのが求められるのじゃないかというふうな気がしております。  また、土地の適正利用の推進あるいは税負担の公平の確保、こういった観点から今後土地税制の見直し、検討が行われるべきだと思います。そういうふうに考えております。  それと、土地評価の一元化の問題でございますが、御指摘のとおり、それぞれ目的、性格を異にしておりますので、これを一元化することは困難だと思います。ただ、それぞれの評価につきまして国民にわかりやすく信頼され得るような形にするよう努力する必要はあると考えております。そういう面で、今後関係省庁ともよく連携をとりながらいろいろ工夫をしていきたいと考えております。
  98. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 譲渡益課税のあり方につきましてのお尋ねに対してお答えいたしたいと思います。  土地によります所得というのは他の所得と違うという意味で、つまり勤労性の所得と違うという意味で厳しい税負担をお願いするということは一つ考え方であろうと思います。ただ、土地という商品の特殊性上、税金を払うならもう売らないということになりますと、ロックイン効果とかいう学説的に言う効果もございますので、一律に考えるのはなかなか難しゅうございますので、保有の期間とか、あるいは譲渡の相手先とかいったものによってきめ細かく土地制度を考えてきたつもりでございますけれども、今後とも御趣旨を体しまして措置してまいりたいと存じます。
  99. 遠藤安彦

    政府委員(遠藤安彦君) お答え申し上げます。  第一点の譲渡益課税の問題につきましては、個人住民税において長短期の所有土地に対する譲渡益重課などの措置を講じているところでありまして、基本的には譲渡益に関する課税については国の所得税の譲渡に関する考え方考え方を同じくしてやってきておりますし、これからもそういう方向で考えてまいりたいと思っております。  それから、地価公示価格と固定資産税の評価額との一元化問題でございますが、私ども、御指摘がありましたように、これを一元化することは目的、性格も異なりますし、不可能ではないかというように考えております。  地価公示の場合は、期待利益といいますか、例えば街路が通る計画になるとか、あるいは地下鉄の駅ができるとか、そういう具体的な計画ができますと売買実例価格が上昇するというようなことがありますから、それをある程度反映して地価公示価格というのはあらわされるわけでありますが、固定資産税の評価は具体的な便益ができまして初めて評価額は上がるというようなことでございますので、計画だけの段階で評価を上げるというのはやはりちょっと無理ではないかというように思うわけであります。  それからもう一つは評価地点の問題でございまして、固定資産税の場合は全国約一億六千万筆にわたります地籍の評価をいたしておる。一方、地価公示の場合につきましては、私ども聞いている限り一万七千ヵ所ぐらいでございますので、固定資産税の場合は一万倍の地点の評価をしているというようなことでございますので、これらを一元化して果たして事務的に整合性がとれる評価ができるのか、その辺にも技術的な問題があろうかというように思っております。  それから、最後の、一元化した場合には固定資産税の税額が大きくはね上がってしまうのではないかという御指摘があったわけでありますが、単純に一元化をして地価公示の価格を固定資産税の評価額にすれば、現在非常に大きなところで、この両者の評価額の差が地価公示一〇〇に対して固定資産税二〇とか、そういうようなところがございますので、端的にいえば、固定資産税の税額は五倍になってしまうというような問題が生じますし、またそれを調整するために固定資産税の税率を下げたらどうかという御意見もあるわけでございますけれども、そのようなことをいたしますと、土地の上がっている地方団体については税収が減らないわけでございますけれども土地価格が安定している地方団体においては税率が下がってしまうために固定資産税の収入額が激減いたしまして財政運営上非常に困難を生ずるというような問題も生じてくるかと思いますので、その辺も慎重に考えていかなければならない問題ではないかというように思っております。
  100. 福井博夫

    政府委員(福井博夫君) 私どもが担当いたしております相続税の評価とそれから他の評価との関係、一元化の問題につきましてお答えをさせていただきたいと思います。  この問題は、ただいま先生から御指摘いただきましたように、結論といたしまして、私どもといたしましてもなかなか容易ではない、難しい問題であるというふうに考えているところでございます。といいますのは、相続税の評価ということになりますと、一般の商業取引の評価とやや違った事情があるわけでございます。大体相続で資産を保有いたしましても、必ずしもそれを売るというわけではございません。大部分はそれを保有しているという事情がございます。それからまた、これを売るということになりますと納税のためということになりますので、どうしてもこれを売り急ぐというふうな事情があるわけでございます。特に土地ということになりますと、相当値幅が広いというような事情もございますので、相続税の評価に当たりましては一般的な商業取引の評価に比べまして相当かための評価をしていく必要があるというふうな事情があるわけでございます。  こういったことでございまして、地価公示価格との関係では大体七割ぐらいのところをめどに評価をしておるというふうな事情があるわけでございます。  それからもう一つは、ただいま自治省の方からも御指摘ございましたけれども、やや技術的な問題でございまして、地価公示価格一般土地取引についての指標、それから公共用地取得の補償規準ということで公示されているわけでございますけれども、その公示地点は大体一万七千点程度であるというふうに聞いておるわけでございます。しかしながら、私ども相続税につきましては、全国土に面積としてこれを評価してまいりますので、これではなかなか足りないわけでございまして、実際上は宅地だけでも私どもは大体十二万点を超える土地を評価しておるというふうな事情がございまして、この公示の評価、公示価格を私どもの方に使っていくということにつきましても限界があるというふうに考えておるわけでございます。  また、固定資産税評価につきましては、ただいま既にお話ございましたけれども、相続税との関係では、相続税は一世代に一回の課税でございますし、固定資産税は毎年一回課税される、あるいはまた、その評価も三年に一度であるといったような事情もございまして、なかなかこれを一元化していくということは難しいというようなことでございます。  以上、るる申しましたけれども、それぞれに目的、性格といったものに相当な隔たりがあるというような実情でございます。今回この法律の中に一つの条文が挿入されたということを私ども重々承知はいたしておるわけでございまして、これに沿いまして努力をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございますけれども、ただいま申しましたような事情から見まして、これらの公的評価の一元化を直ちに実施していくということにつきましては、容易ではないというふうに考えている次第でございます。
  101. 白浜一良

    ○白浜一良君 国土庁長官にお伺いいたします。  ただいま審議中の基本法案、御存じのようにこれは土地に関する基本理念を示されたものでございまして、大事なことは今後これがどう具体的に運用されていくかということが大事でございます。先ほどからもいろいろ話しされておりますが、そのためには土地及び住宅関連法案の問題、それから土地税制の問題、それから土地利用計画を明確にしなければならない。これらについて実施大綱を示していくべきだ、このように考えますが、どのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。
  102. 石井一

    国務大臣石井一君) 土地基本法が成立いたしました直後に、でき得れば関係閣僚会議の招集を願いまして、そこで具体的な施策をまとめ、提示をいたしたい、そう思っております。  ただ、実際の問題といたしまして、予算の編成の時期にかかりまして、さらに年末年始を控え、そして各省の調整に多少時間のかかる諸問題もございます。私は大変時期の悪いところに入ってきておるなということを考えておるわけでございますが、少なくとも当面直ちに着手すべき問題点、それからやや中期的と申しますか、新しい国会の構成ができました後法案を作成し、それを積み重ねていくことによって中期的課題として取り組むべきもの、これは少なくとも項目だけを列挙し、そういう形の中から基本法ができたということで事なれりということでなく、画竜点睛を欠くことのないような措置を私としてとりたい、そう念願いたしております。
  103. 白浜一良

    ○白浜一良君 法案の中に適正かつ合理的な土地利用の責務というものが明示されておりますが、これも先ほどお話があったわけでございますが、現行でも国土総合開発土地開発のさまざまな計画があるわけでございまして、本法にいうところの土地利用計画、これとどのように調整され、また運営されていくのか、御見解を伺いたいと思います。
  104. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 基本法案の二条から五条まで土地に関する基本理念の規定がございまして、二条では、土地については公共福祉を優先させるものとするという規定でございます。これが大原則に当たる規定だと思いますが、この理念を敷衍する形で三条から五条の規定がございます。三条が、土地はその所在する地域のいろいろな条件において適正に利用されるものとする。この中で、土地は所有の側面よりも利用の側面が重視されるべきだという原則を規定しておるわけであります。それと二項で適正かつ合理的な土地利用を図るため、土地利用計画を策定し、それに従って利用していく旨の規定を置いております。この規定を受けましてさらに十一条で、土地利用計画は必要に応じて詳細な計画を策定し、また広域的な観点に配慮しながらつくっていくのだという規定を置いておるわけでございます。  お尋ねの、現行の諸計画との関係はどうかという御指摘でございますが、現行の計画体系も国土利用計画法では国土利用計画として全国計画、都道府県計画、市町村計画をそれぞれ段階ごとにつくることになってございます。それと土地利用基本計画というのをまた別途県段階でつくる、そういうのがマスタープランの役割を果たしておると思います。その下に各個別法に基づく即地的な土地利用計画制度がございます。その中に都市計画とか農振計画というのがあろうかと思いますが、とりあえずはそういう現行の整備された計画をできるだけ充実させ積極的に活用する、そういう中で基本法の精神を生かしていきたい、そういうふうに考えております。
  105. 白浜一良

    ○白浜一良君 去る十一月一日に土地対策関係閣僚会議が行われたわけでございますが、その内容を伺っておりましたら、市街化区域内の農地の宅地化対策の問題、工場跡地などの低・未利用地の有効利用、この辺の対策を取りまとめようと申し合わされた、このように伺っておりますが、これはいつごろまでに結論が出るのでしょうか。また基本法が制定されるという前提で、この閣僚会議の中でどのような役割を果たされるのか、お伺いしたいと思います。
  106. 石井一

    国務大臣石井一君) 総合土地対策要綱の中には、今御指摘になりました二点以外にも相当部分有効な施策が盛られております。しかしながら、例えば借地借家法の改正のように今から審議に一年かかる、私は少し時間がかかり過ぎると思うのですが、もう法務省帰られたので、また後できっちりやっておきます、というようなたぐいの問題がたくさんございます。そういう中で既に十年、厳密には二十年を経過し、しかも大都市の中で相当の市街化農地が残っておるという問題、これは常に指摘されてきた問題でございます。かといって、この問題だけを取り上げますと、それじゃもっとほかにも未利用地があるじゃないかという議論も起こってまいりますので、未利用地、遊休地の問題もこれまた同時並行的に取り上げていくべき問題だというふうに考えております。それより優先するべきものは、やはり国公有地、これはもっとある意味におきましては取り組みやすい条件がそろっておるわけでございますから、これらの問題に関しまして具体的な施策を打ち出すべきだというのが私の関係閣僚会議における提案でございます。  また、一般的には各閣僚とも、具体的には農水大臣、自治大臣、大蔵大臣、運輸大臣等も、当然建設大臣も入っておりますが、原則的に私の提案を可としておるわけであります。ただ、これは実際問題といたしまして多少の予算措置も必要でありましょうし、また税制の改正というような、そういうような吸引力を働かさなければいかぬというふうなものもあるわけでありますから、多少の時間はお与えをいただかざるを得ないと思うのでありますが、基本的方針として、市街地農地に対してはこのような施策を打ち出していく、未利用地に対してはこういう形で基本法にのっとって施策を推進していく。利用計画を提示し、地方公共団体に対してそれだけの要請をし、でき得れば一年先にはこの程度のものを開放する、三年、五年先の中期的にはこの程度のものに進めたい。また、それに対するインセンティブはこういう形であるというようなものを目下鋭意関係省庁と打ち合わせを進めておるというのが現況でございます。
  107. 白浜一良

    ○白浜一良君 よろしくお願い申し上げたいと思います。  それで、今回、基本法案に「公共福祉優先」、こういう案文が衆議院修正案で入れられたわけでございますが、そのためには何といいましてもやっぱり公有地の拡大ということが非常に大事な要素となってまいります。そのためには、地方公共団体がいわゆる先買いをできる、優先がある、そういう制度が有効的に運用されなきゃならない、このように思うわけでございます。  それで、現行制度でも公拡法、公有地の拡大の推進に関する法律、こういう法律があるわけでございますが、これによりまして地方公共団体もしくは土地開発公社が先買いを行える、こういう建前になっているわけでございますが、この概要と、実際の土地取引が行われた際に何らかの優遇措置があるのかどうか、この点について御説明をいただきたいと思います。
  108. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 公有地の拡大につきましては、先ほどお話がございました公有地の拡大の推進に関する法律、こういうもので地方公共団体等が先買いをするという制度と、もう一つ都市開発資金の貸付金で低利融資等をしている、こういうものがございます。これを政府としては進めておるわけでございます。  まず最初の、公拡法によります先買いでございますが、これは都市計画区域内の一定の土地の取引、地方公共団体との事前協議をさせる、これで、法が四十七年に施行されておりますが、それ以後六十二年度末までで約九千九百ヘクタールの用地の買収をしております。一定の成果を上げております。  それから、都市開発資金の貸し付けによりますもの、これは工場等の跡地、それとか公共施設用地とか都市の機能更新をしていくための土地を先行取得するということで買い取りをいたします地方公共団体に対して費用の貸し付けを行っているわけでございますが、これが昭和六十三年度末までで約一千ヘクタールという用地の買収をいたしております。
  109. 白浜一良

    ○白浜一良君 ただいまのお話で伺いましたけれども、要するに地方公共団体土地取得を行う、また交換処分を行う、そういう場合に租税特別措置というものがあるらしくて、譲渡した者に対して特別な控除をされる、その内容をお伺いしたいと思います。
  110. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 失礼いたしました。千五百万円の特別控除がございます。
  111. 白浜一良

    ○白浜一良君 千五百万円というのは、公拡法の内容ですね。  もう一つお伺いしたいのは、要するに公共団体が土地を取得する、交換する、そういう場合に、いわゆる譲渡した者が売り上げするわけでございますが、特別控除、租税特別措置があると、このように伺っておりますが、どのような内容ですか。
  112. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) 特別控除につきましてはいろいろな段階がございますが、一つには、収用といいますか、収用対象事業等に譲渡をしました場合、これは三千万の控除というのがございます。それから、事業の内容にもよりますが、二千万の控除の事業もございますが、一応今の御指摘公共用地の場合でまいりますと、公拡法が千五百万、それから代替地提供者に対しましての控除が千五百万円ということで、三千万と千五百万というような形になっております。それと、収用の三千万の控除につきましては、今年度一年限りでございますが、五千万に引き上げられております。
  113. 白浜一良

    ○白浜一良君 それを伺いたかったわけでございます。昨年までは三千万ということらしくて、ことしは五千万に引き上げられた、そういうことでございまして、要するに来年以後のことが明確にされていないわけでございますが、本年度のこの五千万が来年以降も引き続いて実施されるのかどうか、この点を伺いたいと思います。
  114. 白兼保彦

    政府委員(白兼保彦君) おかげで五千万に引き上げをしていただきましたもので、公共用地の取得が非常に円滑に進んでまいっております。このため、来年度以降も本制度の継続につきまして措置の恒久化の実現ということで現在要望をいたしているところでございます。なおまた、先ほどお話にございました代替地の取得につきましての控除額につきましても、三千万円の引き上げにつきまして要望をいたしているところでございます。
  115. 白浜一良

    ○白浜一良君 こういう措置があってこそ公有地がふえる要素があるというふうに私も思いますが、残念ながら非常に土地の安い地域と、いわゆる大都市近郊の高い土地、同じ三千万、五千万といいましても非常に適用の範囲が違うわけでございまして、そういった面での配慮もこれから必要であると思います。  いずれにしても、公有地の拡大という観点で、いわゆる地方公共団体による土地先買い制度、これが活用されていかなきゃならない、このように考えるわけでございますが、なかなか思うように機能が発揮しにくい、こういう面もあると思います。  その理由といたしまして、一つは、先買いに伴う財政への援助が十分ではないということ。二つ目には、先買い制度には余り強制力がない、協議するということになっておりますが余り強制力が伴っておらないということ。三つ目には、譲渡所得の特別控除でも明らかなように、先ほど言いましたように地価の実勢が余り考慮されていない、全国一律の価格である。そういうことが挙げられると思うわけでございますが、基本法が制定された上での公有地のこれからの一層の拡大という観点に立ちまして、今三点問題点を挙げましたが、長官の御意見を伺いたいと思います。
  116. 石井一

    国務大臣石井一君) 公有地の拡大という問題は、政府提案の中にもそういう精神はあったわけでございますが、さらに衆議院の改正段階で特に強く要望を受けたところでございます。ただいまの御議論はそれぞれごもっともなところがあると思いますので、今後の研究課題として前向きに、懸命に取り上げていきたい、そう思っております。どうもありがとうございました。
  117. 白浜一良

    ○白浜一良君 よろしくお願い申し上げたいと思います。  今度は逆に言いまして、いわゆる国公有地の払い下げ問題でございます。  特に過去の例におきまして、民活が叫ばれたときに新聞にたくさん載りましたけれども、特にこれは昭和六十一年ですかね、国公有地、また国鉄用地が公示価格の三倍から三・五倍で売却されたということが非常に土地の値上がりを誘発したということもございますし、いわゆる公共団体が手に入れたいということもできないような現実になってしまったという過去の例があるわけでございますが、今後国公有地の払い下げ等を考えましたときに、このような過去の例にならないように、どのような対処をされていくか、お考えを伺いたいと思います。
  118. 石井一

    国務大臣石井一君) 国公有地の売却につきましては、地価対策上バランスのとれた規制も必要であると同時に、また所期の目的を達成しなければいかぬというこういう二律相反するような問題があるわけでございます。また、法律的にもいわゆる会計法上の問題と、それから同時に地価に影響を与えない、こういうような相矛盾したものを常にはらんでおるわけであります。  先日国鉄に関連いたします関係閣僚会議がございましたときに、運輸大臣から、二十六兆円の負債を抱え、年間一兆数千億の利息を払っておるという現況において、凍結を解除してもらいたいというこういう発言がございまして、またそれに対しまして大蔵大臣その他からも、それをややサポートするような発言があったわけでございますが、私といたしましては、土地担当大臣として、しかも土地基本法審議を前にして、ここでそれを解除し、公開入札のような形で市場に放置されるということは、これは認めるわけにはいかない。この点については十分の配慮を願いたいというようなことで、実際問題として結論が出たような出ぬような状況で閣僚会議は終わったわけでございますが、今後も厳しく、この点につきましては私の立場を主張してまいるつもりでございます。  ただ、国家財政という点から考えまして、やはりそれなりの主張もまた別の観点から、政治家として納得のできないところでもございません。  私は昨日、汐留清算事業団理事長が参っておりましたので、とにかく清算事業団の用地、これを直ちに即利用する方法がないだろうか。売らずに利用計画を立てて、そこから何らかの形で、土地を残すか売るかとそういう選択でなく、第三の選択をひとつ考えてもらいたい。一体今余っておる国鉄の清算事業団の所有しておる土地住宅を最高限建てたら何戸できるのか、その調査をひとつ私の方へ届けてもらいたい、こういうことを申したわけでございますが、今後二つの、申しました対立した考え方の中に政府は苦慮しておるわけでありますが、第三の道をも模索しつつ、これらの国公有地に対処していきたい、そう考えておる次第であります。
  119. 白浜一良

    ○白浜一良君 力強い御回答でございまして、さまざまの各省庁の難しいあつれきがあると思いますが、基本法も制定されることでございますし、どうか大臣よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、いわゆる監視区域のことに関しましてお伺いをしたいと思うわけでございます。最近京阪神の地価高騰が著しいわけでございますが、要するにこの利用計画法にもありますように、地価が急激に上昇する、または上昇するおそれがある、その場合に指定することができるというふうになっているわけでございます。しかし、特に近畿、関西エリアを見ておりましたら、非常に先行した対策が打たれていない、むしろ後手を踏んでいるから非常に土地が値上がりしているという、そのように思うわけでございます。  昨日の大阪版の新聞でございますが、この三月から九月まで、この六ヵ月間で大阪は、住宅地で二四・四%、商業地は二二・四%、この半年間でこのぐらい上昇しているわけですね。確かに十二月一日から大阪府下全域がいわゆる監視指定されるわけでございますが、この半年間でこのぐらい地価が上がっている。そういう現状を見まして、要するにすべて後手に回っているのじゃないか、このように思わざるを得ないわけでございます。国土庁としてどのように御指導されてきたのか伺いたいと思います。
  120. 石井一

    国務大臣石井一君) 私は、この国土利用計画法ができまして規制区域の制度が導入されましたが、これは十分な目的を果たさず、その後導入された監視区域制度、評価が出てきたのがかなり最近ではないかという感じがするわけであります。  例えば大阪の場合でも、市街地等につきましては当初からそういう指定はございましたけれども、最も重要であると考えられる関西国際空港周辺の南の方、周辺地域は別としまして、いわゆる富田林でありますとか、ああいうところはごくごく最近指定された。その間に白浜先生のおっしゃるとおりそれだけの高騰が起こっておるということは、現実にはもう少し早く監視区域にしておればその結果はどうだったろうかということを考えましたときに、内心じくじたるものを感ずる次第でございます。そのとき私は国土庁長官でなかったわけでございますが、制度ができたからにはやはりそれを弾力的に、積極的に運営するということは必要であります。先日、全国の知事会議もございまして、私はこの問題につきましても全国の知事に注意を喚起いたしました。  また、先ほど申しましたような状況で、制度が相当定着してきておりますので、今後は法律ができました後、その文言どおり、そういうおそれのあるところに対しましては、先手先手を打っていくというそういう指導を当然してまいるべきだ、そう思っておりますので、ひとつお許しをいただき、また御協力をいただきたいと思います。
  121. 白浜一良

    ○白浜一良君 非常に力強い御答弁が多いわけでございますが、ちなみに区々というわけにはいきませんが、今もお話がありました監区ができます泉州地域ですね。その隣接市、ある市でございますが、六十一年から六十二年にかけて、いわゆる住宅地は二・八%の上昇しかしてないわけです。六十二年から六十三年にかけまして、ここで一挙に一九・八%上がったわけです。それで六十三年から本年、平成元年まで、四五・六%。ですからもう六十二年から上昇を始めたわけですね。ところが、この市は監視区域に指定されたのは昭和六十四年、本年の一月五日である。先ほど長官おっしゃったとおりでございまして、非常に後手を踏んでいるわけでございます。  こういうことが結局、監視区域に指定されていっていながらなかなか地価上昇がとまらない。こういう一つの大きな原因である、このように思うわけでございます。いわゆる後手を踏まないために、そのためにもやはり一つのガイドラインが要るのではないか、それぞれ市町村に判断を任されているわけですね。それで都道府県でそれを決めているわけでございますが、要するに、はっきりしたガイドラインがないからそういうふうになる。ですから、例えば具体的な例でございますが、年間で例えば一〇%地価が上がれば、これはもう自動的にいわゆる監視区域の対象になる、このようないわゆるガイドラインを決められないものかどうか、そういうことをお考えをお伺いしたいと思います。
  122. 石井一

    国務大臣石井一君) 大変示唆に富む御提案だと思います。事実、商業地から端を発した土地の値上がりが住宅地に移転し、そして周辺地域に移っておる。また、東京で始まったものが大阪へいき、そして地方都市へいっている。地方都市の中でも、さっき言ったように商業、住宅周辺と、こういう状況でいっておるわけでありますから、どうも土地の値上がりというのはかなりそういう面では整然とした一つの流れというのがあるということも確かでありましょう。  今後、基本法が通りましてさらにこういう情勢が続くとは私は思っておりません。できれば下げたいぐらいに思っておるわけでありますが、しかし今後そういう状況が続くという状況の場合、あるいはまた基本法にのっとって大量の土地供給、例えば鉄道の沿線でございますとかそのほか、そういうような施策をしました場合には、これまでより以上にこの制度を活用するようにしていきたいと思います。  そのためには、まあこれ国土庁が指導いたしましても、本当にやっていただくのは県知事なり地方自治体のサイドでございます。また、それにはそれなりの人員と予算が必要だ、こういうようなことでありますので、これらの点につきましても、国のサイドでやれることは取り上げていきたい。また、おっしゃられるとおり一年間で、例えば三〇%なら三〇%あるいは二〇%なら二〇%、そういう指標についても全国的なデータの中でそういうようなものが生み出せるかどうか国土庁でひとつ検討させていただきたいと思います。
  123. 白浜一良

    ○白浜一良君 どうかよろしくお願いしたいと思います。  ただいま長官から話がありましたように、やはり自治体といたしましても、いわゆる人員がない、財源がない、だから余り拡大をしてできないという、そういう苦しい実情もあるわけでございまして、その面での手当ても必要でございますし、各地方自治体が明確な行政指導にのっとって適切な措置ができますように、そのようなガイドラインの設定もどうかよろしくお願い申し上げたいと思います。  もう一つ、私思いますのは、監視区域に指定しながらなかなか地価が鎮静化しないという問題のもう一つの問題といたしまして、いわゆる対象面積の問題でございます。  今、いわゆる都心部は百平米というふうになっているわけでございますが、実際百平米の場合、三百平米の場合、どのぐらい捕捉率があるのかということが大事でございまして、これが非常に低いとなれば実際この監視区域、網かけても実際の売買に対するいわゆる効力というのは非常に薄いわけでございまして、ちょっと具体的な例で申しわけございませんが、例えば大阪府、私住んでおりますので伺いますが、大阪府の場合でございましたら、いわゆる百平米の指定面積の場合、また三百平米の指定面積の場合、それぞれ現状でどのぐらい捕捉率があるのか伺いたいと思います。
  124. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 届け出面積の規模によりまして全取引件数の何割ぐらいが捕捉できるかというお尋ねだと思いますが、これは地域によって多少異なりますが、ごく大ざっぱな感じで答えさしていただきますと、百平方メートル以上の取引を届け出対象にいたしますと、大体、マンション等の取引も含めまして全取引の六割ぐらい捕捉できるのじゃないかと思っております。しかしながら、三百平方メートルぐらいですと一五%近辺、よくいって二〇%ぐらいか、そういう感じでございます。
  125. 白浜一良

    ○白浜一良君 ですから、いわゆる指定面積も届け出対象面積も非常に大事でございまして、私この面でのガイドラインもないものか、このように思うわけでございます。大阪府なんかずっと地図見ましたら全部監視区域として色が塗られているわけでございますが、ああ全部これで措置された、こういう雰囲気がするわけでございますが、周辺部は二千平米以上ですか、そういう比較的広い土地になっているわけでございまして、いわゆる届け出対象面積という内容面でも、できればそういう一定のガイドラインが設けられないものかどうか。例えば、捕捉率で五〇%なら五〇%、そのぐらいは最低要ると思いますが、六〇%でしたら六〇%、そういうガイドラインによって届け出対象面積なんかも限定されていくという、そういうふうにならないかどうかということを私も考えているわけでございますが、この点いかがでございましょうか。
  126. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 関係公共団体とは、ブロック別に地価対策関係連絡会議という連絡会議を設けまして、区域の指定あるいは届け出面積のとり方、あるいは実際の運用についての苦労話、そういったことを常日ごろやっておりまして、先生指摘の区域指定、届け出対象面積、その辺については特に綿密な相談もしておるわけです。  ただ、公共団体にとりましては、これは歴史の浅い制度でございますから、最初の指定に一番抵抗を感じられるようでございます。特に、関係方面のコンセンサスを取りつけるのが非常に大変だ、そういうことで手間暇がかかり、結果的には後手後手という感じになるわけでございますが、一たんこの制度を運用していただきますと、相当なれが出てまいりますので、以後の対応がかなり円滑になっておる、そういうふうな印象を私受けております。  面積の引き下げにつきましては、大体三百ぐらいのところが最初は多いわけでありますが、それを百にいたしますと一挙に事務量が倍増する、そういう問題もありまして、これはこれでなかなか踏み切るのに決断を要するようでございますが、やはり地価状況が待ってくれない。そういう状況の中で、最近では関西の重立った都市等も順次百平米に引き下げていただいております。  ガイドラインにつきましては、そういう連絡会議の中でもいつも話題になっております。先ほど大臣もお答えしましたように、勉強さしていただきたい、そういうふうに思っております。
  127. 白浜一良

    ○白浜一良君 私こう申しますのは、国土庁の皆さんも非常に熱意を持って地価抑制のために頑張られていらっしゃるわけでございまして、ましてそれぞれ地方自治体、人員、財政、最低でやっているわけでございまして、その割に全然効果がないというのじゃ、何のためにやっているかわからないようなものでございまして、そういう実効性が上がるように、そういった面からお願い申し上げているわけでございまして、どうか適切な御措置をよろしくお願い申し上げたいと思います。  これは極端な例かもわかりませんが、もう一つ、監視区域制度をとりながら地価が抑制できないという大きな問題といたしまして、届け出いたしまして正規のルートで不勧告通知が出されて売買されるわけでございますが、しかしこれは売買の手続だけでございまして、例えば売買があって登記をされる、また不動産取得のために国税に報告するわけでございますが、売買契約を報告するわけでございますが、実際の連携が全くないわけでございますね。ですから、非常に極端な例で説明いたしましたら、例えば実際坪二百万で行政指導された、それで届け出されて、不勧告通知が出されてそれで売買。しかし実際の契約というのはほかにもいろんな要因があったということで、例えば坪三百万で売買契約された、しかしそれはわからないわけですよ。    〔委員長退席、理事村沢牧君着席〕 実際今の体制ではそこまで、省庁も違いますし、干渉もできない、調べることもできない、人員もないという、これは非常に悪質な例で例えを言っているわけでございますが、そういうことも考えられるわけでございまして、そういう現実があり得るということに関しましてどのようにお考えになっているでしょうか。
  128. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 取引に先立って届け出をしていただくわけですが、届け出に基づいて契約が成立しましたら六ヵ月以内に報告を受けることになっております。通常そういう中でチェックしているのですが、ただ虚偽の届け出、虚偽の報告をされますと、この制度、罰則規定はございますが、我々行政の限界というふうな気がいたします。  ただ、取引後通常登記されますが、登記内容につきましては我々の方も、取引がどういう格好で行われたのかをフォローアップする意味もありまして、適宜登記の実態を調べさせていただいております。
  129. 白浜一良

    ○白浜一良君 これは非常に悪質な場合でございまして、そこまで考えたら実際手を打てないというような現状もあると思いますが、いろんな意味地価が高騰するという、それを抑制するための手だてでございまして、いろいろ善処をお願い申し上げたいと思います。  それからもう一つ、非常に悪質な例でございますが、いわゆる分筆をして買う。それで、例えば一年以内とか、そういうことでございましたら、確かに行政指導して落とされるということがあるわけでございます。許可にならない、こういうことがあるわけでございますが、実際私がいろいろ実際商売していらっしゃる方に聞きましたら、三年ぐらいたったら大体みんな許可が出るという話も聞いたわけでございます。そういうような分筆をして買い上げていくというようなやり方に対して何か一定のお考えがあるのでしょうか。    〔理事村沢牧君退席、委員長着席〕
  130. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 土地利用の形態が計画上一体性ありということで判断されますと、分筆しても一つ土地とみなしてこの国土利用計画法対象にしてございます。計画上一体性を有するにもかかわらず、そうでないという主張で届け出をし不勧告通知を受けた、実際利用の際には届け出内容と違った、そういう場合は往々にして虚偽の届け出ということになって行政処罰の対象にはなる。そういうふうに理解しております。
  131. 白浜一良

    ○白浜一良君 いずれにいたしましても、現段階におきましては監視区域制度というのが最大限とり得る有効な手だてでございまして、適切な運用をお願い申し上げたいと思います。  それから、これは既にある新聞で発表されたことでございますが、土地の値上がりを抑止するためにいわゆる超短期の重課制度というものが現在実施されているわけでございますが、これが来年三月で期限切れになる、こういうことになっております。ある新聞でこの制度が二年から五年延長されるという記事が出たことがございますが、この制度、延長が必要であると思いますが、それぞれお立場が違うと思いますが、それぞれのお立場で結構でございますので御見解を伺いたいと思います。
  132. 長野厖士

    説明員(長野厖士君) 大蔵省でございます。  御指摘の超短期重課制度につきましては、六十二年の秋に導入さしていただきました。その時期に相前後いたしまして、ただいままでお話しのございました価格監視区域制度、あるいは不動産業者や金融業に対する指導とかもろもろの措置がいろいろととられましたけれども、総合的に判断いたしまして、それなりの効果はあったのではなかろうかというのが私どもの印象でございます。  ただいま、明年度の税制改正に関連いたしまして、国土庁の方からもこの制度を存続してほしいという御要望を承っておるのは、国土庁でも同様の御判断をしておられるのかなというふうに考えておりますが、十二月に入りますと明年度の税制改正に向けまして税制調査会の審議が始まりますので、ただいまの白浜先生の御指摘、それに限りませず、当委員会でもろもろいただいております御指摘は年末の税制調査会に何らかの形で報告いたしたいと考えておりますけれども、そのような扱いをさせていただきたいと存じます。
  133. 石井一

    国務大臣石井一君) 現在のように土地問題が深刻化し、また土地転がし、投機土地売買、仮需要というのが問題になっておりますときに、この制度はぜひとも必要だと思っております。国土庁としては恒久的に制度を設定してもらってもいいのじゃないかと思っておりますが、建設省とも相談いたしまして、当面五年間の延長をするべく今鋭意努力をいたしておるところでありますが、非常にわきのかたい大蔵省からも委員の御指摘によって前向きの答弁が出ておりますので、私は大変高く評価をいたしております。
  134. 白浜一良

    ○白浜一良君 まだまだ土地投機が強い現状でございまして、ぜひともこの制度も延長をしていただきたい、このように思いますし、いずれにいたしましても、基本法制定に伴いまして健全な土地利用、公有地の拡大、安定した住宅の供給というものが非常に大事な課題でございまして、どうかそのような施策の流れができますことを念じまして私の質問を終わらせていただきます。
  135. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございます。  石井大臣は大変政治に対して情熱を燃やされておられるということを推察いたしまして、大変御努力に対して敬意を表したい、こういうふうに思います。新しい時代になりまして、お互いに政治改革を一緒にできるということは大変幸いだと存じております。  そこで、若干質問したいのでございますが、海部総理は先般の所信表明演説でこういうことを言っております。「政治と国民の心とのつながりが希薄になっていることを謙虚に反省し、民主主義の原点に立ち返って、政治を国民に開かれた明快なものにしてまいります。私は、国民の皆さんそれぞれが、毎日の生活の中で何を感じているのか、その声にできる限り耳を傾けます。」というのが所信表明演説の中で語られたことでございます。  実際に国民が何を感じているかということでございますが、サラリーマンの立場に立ちますと、住む家は狭く、通勤は長く、電車は込んでおります。したがって、第二の経済大国になったのでございますけれども、結果的に私たち努力が狂乱地価を呼びまして、そのために一層労働を強いられる、あるいは貧弱な生活に駆り立てられるというようなことになりますと、こういうような政治のシステムはもうやめにしようじゃありませんか、根絶しなければならない、こういう立場に立たざるを得ないと思うのでございます。  それで、現在土地基本法というのが出ておりますけれども、その前提となっている土地の高騰でございます。異常な高騰でございますが、前提として高騰のまま開発するのかどうか。要するに、異常な高騰が続いておりますが、その前に戻すような考えはございませんかということをまず最初に御質問したいと思います。
  136. 石井一

    国務大臣石井一君) 今いろいろの政治問題がございますが、最も深刻な問題になっておるのが私は土地問題だと思います。今、総理の演説の御引用がございましたが、土地問題に関しましてもかなりのスペースを投じまして総理はこれに対してそれなりの決意を述べておるわけでありますが、私自身大都市に生まれ育ち、またサラリーマン等もやってまいりまして、新坂先生の御指摘になっております問題は、私はこれは政治のもう最大の課題だというふうに思っております。しかしながら、どうでしょう、土地の値段をもとへ戻すということが、具体的に自由主義体制下にある我が国においてでき得るのかということを考えました場合に、まあこれはいろいろな方法はあろうかとは思いますが、憲法二十九条に保障された財産権というような状況の中から、公有地、国有地に対していささか何らかのことはできるでありましょう。しかしながら、果たしてそれができるかということになりますと、需給関係の中から自由経済体制を堅持しつつ、具体的な施策を講じていくことにより適正な価格の形成と安定というものを図っていき、そして庶民の夢にこたえるということ以外にほかの解決方法はないのではないかな、こう考えておりますが、いかがですか。
  137. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 大変石井大臣のおっしゃっていることは一部ではわかります、自由経済のもとでですね。ただし、問題は異常な土地の高騰があったということを前提にして、これから開発していかなければいかぬという立場でございますね。したがいまして、連合側の、いわゆる重点施策になってます何はともかく、安くて良質な住宅を大量に供給してくださいというのが、これもう国民の悲願でございます、ある面では。それが高値のまま開発するということになりますと、果たして低廉な、良質な住宅ができるかどうかというのが一つ問題でございます。  それと、土地基本法案は、いわゆる土地に住む、住みたい、生まれた土地に住みたいという基本的な居住権というのが一方でございます。そういうところの権利と、いわゆる土地公共のものであるということの権利のぶつかり合いになるのでございますけれども、そういうところを、片っ方を削って片っ方を優先さすということの論議の中で、やはり考えなくちゃいけないのは、安い土地が本当にできるのかどうかというのが一番大きな問題だと思います。したがって、土地基本法の一番の目的は何かということを次に問いたい、こういうふうに思っております。
  138. 石井一

    国務大臣石井一君) 今二、三の問題を御指摘になったわけでございますが、まず最大の目標は、土地公共が優先するという考え方を持ってもらいたい。そして、私有権は認めたままでおいても、利用されるものであると同時に公共福祉が優先するという考え方の中から、もう遠くに遠のいてしまったマイホームの夢をもう一度何とかUターンせしめることができないか。具体的には十年、十五年前までだと東京圏内でマイホームの夢が実現できておりました。しかし、今は福島県か山梨県へ行かなければいかぬという、こういう状況でございます。私はこれに対しまして、しかしながら私有権を主張されれば、平家も非常に多い。未利用地もたくさんある、農地も残っておる、そして利用されてない工場跡地も何も全部あって、これらの問題に対して、まず大量の土地の供給をやるという、これには多少時間はかかりますけれども基本法の後にやっていきたいと思います。  それからその次に、やはり考えていかなければいけないのは、これだけ高い土地でありますから、高度利用というような高さの、高度利用ということも非常に重要なものだと思いますが、それをやるにいたしましても、私権が前へ出てまいりますと、すべてストップしてしまうわけでありますから、この点に関しても相当の国民の意識の改革といいますか、考え方の違いといいますか、そういうふうなものをこの法律制定後には求めていきたい、そういうふうに考えております。  そのほかいろいろなことを総合的に推進いたしまして、もう一度マイホームを庶民なりサラリーマンなり勤労者の手に戻していく、こういうことをやっていきたい。  なお、マイホーム志向型が非常に多いのですけれども、例えば東京のような場合に一時間半以上かかって通勤しております方が五〇%を超えております。こういう状況でいいのだろうか。場合によっては若い間には多少職住近接という考え方の中から賃貸住宅制度というふうなものを拡充していく必要があるのではないか。いろんな形をやりながら、今委員が御指摘になっておる問題の解決を図りたい、そう願っております。
  139. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 今のお答えは、安い資金で良質な住宅開発するということには余り意図されていないような気がいたします。と申しますのは、高騰の、非常に高いままで開発されるということは、これはやっぱり業者の方の、デベロッパーの方にしてみればもうけやすいものをつくりたい、これはもう先ほどおっしゃいました自由経済主義の鉄則でございますから。そうしますと、ますますインテリジェントビルとかオフィスビルとか、あるいは建ったとしても非常にデラックスなマンションしか建たないのじゃないかという気がいたします。したがって、高値のままの業者開発という形になって、低利用、未利用なところをどんどん追い立てていくような形でもって土地をあけなさいという形でデベロッパーが開発するならば、これは高値の値段をもう一つ上、上積みをするような、そういうからくりになってきやせぬかという面が一番気がかりでございます。この点いかがですか。
  140. 石井一

    国務大臣石井一君) 確かに御指摘のような点は、今後の計画推進において十分配慮をしていかなければいかぬと思います。基本法の中には土地投機というふうなものも具体的にこれを規制するというような方向になっておるわけでございますから、しかしながら、今の現状のまま自由な状況で市場のメカニズムが動くというのであれば委員のとおりになると思いますけれども、私はやっぱりここまで土地が上がっておるというその裏には、供給と需要とのバランスがもう崩れてしまっておる、こういう状況だろうと思うのであります。したがって、大量の供給面をふやしていくということが価格を抑えていくという一つの重要な決め手になるのではないか。それだけ多くなってまいりましたら投機も少なくなってまいりますし、やはり安い方へいろいろ動いてくるという、こういうメカニズムが働いてくるわけでありますから、必ずしもそのような状況にばかりいかないのではないかな、そう思うわけであります。
  141. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 繰り返しになりまして、時間もございませんけれども基本的に一つ指摘をしておきたいのは、やはり土地開発法案というのは宣言法であるということが一般に解釈されておりまして、宣言法ならいいだろうというような形でもって認識されては大変困るということでございます。  一つは、良質な住宅をぜひ確保してほしいというのは、基本的な本当に国民の願いでございます。こういうところをしっかりと法律の文言に押さえておかないと、今石井大臣の御発言のように、そういう面もあろうかというふうに思われますというところは、そういうふうに解釈できるのでございまして、したがってそういうところの基本的に主要なところは住宅供給でございまして、その従としてインテリジェントビルとかオフィスビルとかつくるのは、それは結構でございます。しかし、どちらが主であるかということを基本的に認識されて、法律の文案の中にもはっきりとやっぱり記してほしいというのが私の立場でございます。
  142. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 先生指摘の点につきましては、法律でもまず第一条の「目的」で、この法律は適正な土地利用の確保、それと正常な需給関係、適正な地価の形成、これを図るのが目的だということをうたっております。そういう中で、適正な地価の宅地が供給される、そういうふうなことがこの基本法の一番大きい目的になっておる、そういうふうに理解していただきたいと思います。
  143. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 適正な宅地が供給されるとどこに書いてあるのでございましょうか。  それで、もう一つは、一番気がかりなのは高騰した地価を適正な値段に引き下げるということはない、要するに前提として高値のところから出発するというのが基本になっています。これ土地が下がるという保障は全くないのでございます。高値のところから出発した開発ということになれば、住宅供給ももちろんあるのかもわかりませんけれども、デベロッパーに任した場合に高値のところへどんどん押し上げていくのではないかというような気がしてならないから御質問しているわけでございます。
  144. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 第一条「目的」の中に、基本理念を定め、あるいは国、公共団体、事業者、国民土地についての基本理念に係る責務、さらには土地に関する施策基本事項、こういったことを定めるわけですが、それはとりもなおさず適正な土地利用を確保し、適正な需給関係、適正な地価形成を図る観点からやるのだというふうな趣旨の規定をまず最初に置いておるわけでございます。こういう目的を達成するために、第二章の「基本施策」におきましては、十一条で土地利用計画の策定、さらには十二条で、策定された土地利用計画を実現するための諸施策の必要性、そういったものを規定しているわけでございます。  先生指摘のような、今の東京でいえば高値をスタートにした対策じゃないかという御指摘ですが、やはり土地利用計画に基づく適正な土地利用、そしてそれが適正な地価の形成のもとに行われるような状態を目標にする、そういうことでございますので、適正な地価とはどういう地価水準を言うのかというのは非常に難しい問題ですが、その辺はさらに我々もこれを具体的に実施する際に詰めていかなければいけない問題だとは思いますが、その辺にいろいろ今後の施策努力目標があるのじゃないかというふうに考えております。
  145. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 今局長がおっしゃったようなところをぜひ留意されていただきたいということを強く要望したいと思います。  最後に一点、先ほども白浜議員の御質問の中にるるありましたけれども土地監視制度でございます。いわゆる公共事業の、例えば道路の路線、これが発表になった途端に周囲がどんどん値上がっていって、最終的に公共事業体が道路のところを買うという時点では、既に周囲が値上がっておりますから、なかなか自治体の予算では土地の取得ができにくいというようなことが起こっているのが普通だと思います。  そこで、ちょっと考えていただきたいのは、いわゆる土地監視制度を活用して、都会のところだけでなくて、今後は公共事業のそういう原案が発表された時点で土地監視制度をその自治体にお願いするなりして網をかぶせていくという前向きの発想で網を張っていかれたらどうかということをちょっと考えておるのですが、いかがでございましょうか。
  146. 石井一

    国務大臣石井一君) ちょっと先ほどの議論に戻るわけですが、最近韓国が非常に私権を制限した法律を出しましたり、またそれ以前に台湾におきまして譲渡税なり保有税等をかみ合わせた非常な厳しい制度をとっております。こういう手法をとりますと、それはかなりの効果は出ると思いますが、日本の国情等を考えましたときに、これが受け入れられるかということを考えますと、私はやはりなまぬるいという御指摘はあるかもわかりませんが、土地基本法の後にもろもろの施策を総合的に現実に具体的にやることによって、委員が要望されております問題の解決に当たる以外に、我が国土地政策というのはほかの道を探すということは非常に難しいのではないかという感じがいたします。  それから、ただいまの御質問に関しましては、土地基本法の五条に「適切な負担」ということを明示いたしております。公共事業関連の土地はもうかるというような土地神話といいますか、そこへ殺到する、いつの間にかもうびっくりするほど上がっている、こういうことを今後許しては絶対にいかぬと思いますので、国土利用計画法による施策かあるいは別の施策をとりましても、こういう投機的なものにつきましては十分注意をし事前に手を打つ、こういうことをやっていきたいと思います。
  147. 山田勇

    ○山田勇君 私は、土地問題を考えるとき、いつも、土地とはだれのものなのか、だれがいっその所有権を認めたのか、実に素朴な疑問に突き当たるのであります。特に、最近の異常な地価の水準、そしてサラリーマンが一生かかっても住む家が持てないという現状国民に勤労意欲をなくさせるだけではなく、資産格差による不公平感がますます大きくなり、国民の不満が爆発するのではないかと憂慮するものであります。  土地対策は何か後手後手に回っている嫌いがあるのでありますが、土地基本法によって土地所有を通常の財産権と別扱いにする理由が明確にされ、私権に対する公共の立場からの制約、投機的取引の抑制、受益者負担、計画的そして公的利用の優先など、ちゃんとした理念を確立し、これまでの場当たり的な政策ではなく、理念に基づいたもので対応しなければならないと考えます。また、これに基づいて国民土地に対する認識が変革され、公共福祉を最優先し、良好な環境づくりなど具体策を推進しなければならないと考えますが、まず御所見を伺いたいと思います。
  148. 石井一

    国務大臣石井一君) 我が国は大変大きな経済大国だというふうに言われております。例えばODA、アメリカをしのぐ、こういうような状況も言われておりますし、大変な債権国だというふうにも言っております。実際問題、そういう一面もございますけれども、恐らく日本人が、国民大衆が最も不満に思っておるのは土地問題、あるいは自分の住んでおるところ、ウサギ小屋なんて言われるわけでありますけれども、そういう問題だと思います。もともと基本的な難しい問題であったのにかかわらず、最近の経済の膨張あるいは金余り現象等々というところで、そこに今大変大きな症状がはっきりとあらわれたというのが現在の姿ではなかろうかと思います。  この六条でございますか、国及び地方公共団体は、広報活動等を通じて、土地についての新しい理念について国民の深い理解を求めるように措置を講じなければいかぬと。ここのところでどのようなことをやるべきか。今山田先生がおっしゃいました理念というものが直ちにそのように変わってくるものではございません。しかし、国民にそういう意識がえ、これまでの考え方とは違うというものをどう植えつけるかということが、まず基本的な問題としては一番重要な問題ではないかと思うわけでございますけれども、これはまず基本を決めて、その後の具体的な総合的な政策の積み重ねによって、また地価を安定するという現実の姿の中からコンセンサスを具体的なものにしていく必要がある、大変難しい問題だ、そういう認識をいたしております。
  149. 山田勇

    ○山田勇君 本法案の理念は、国民共通のものとして、事業者も国民土地公共財でありいたずらに経済原則を優先させてはならない、そのためにも計画というものの裏づけも重要であると考えますが、この点の認識について伺っておきたいと思います。
  150. 石井一

    国務大臣石井一君) 三条には計画の問題について明確にうたっておりますし、大きな柱の一つでございます。  土地は、国民のためのものであり、貴重な資源であり、再生することもできない、移動することもできない、また、商品のように取り扱われるけれども実際は商品であるべきではない、土地は古くなれば古くなるほど価値の上がるものであり、普通の商品とは全く違ったものである、こういう認識がまだ少ないのではないかなと思うのでありますが、基本理念にのっとって適正に利用されるという具体的な計画を国において、地方公共団体において、そういう認識のもとに立てていき、その利用計画に従って整備、改善していくということが最も重要だと認識いたしております。
  151. 山田勇

    ○山田勇君 今回の土地基本法案では、野党案は詳細な計画の必要性をうたっています。また、政府修正された案を見ましても詳細な計画を策定するとしています。現在の都市計画法に基づく用途地域のあり方では、いわゆる住工混在や良好な居住環境の破壊などが見られるわけですが、この点、用途地域のあり方、見直しについてはどういう対応をするのか、長官にお尋ねをいたしておきます。
  152. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) お答え申し上げます。  良好な都市環境、生活環境を確保するために地域ごとの建物の用途の順化を図っていくことは基本的に望ましいことでございまして、このために、新しい住宅地についてはできるだけ住宅地として順化が図られるように第一種住居専用地域あるいは第二種住居専用地域というような住居の専用地域として明確な指定をこれまで図ってきたところでございますが、しかし既に市街地の形成されておるところでさまざまな用途の混在いたしております地域において、これを今申し上げましたような専用住宅地として順化するということになりますと、これまでございます店舗とか事務所などの建てかえが、私どもの言葉では既存不適格と申しますが、そういうことで建てかえが不可能になるということで増改築が規制されるということになりまして、土地所有者の方々に厳し過ぎる規制となるというふうな実情もございます。このために、このような地域におきましては、地区の住民等の合意形成を図りながら用途のより詳細な規制を行い得る地区計画という制度がございますが、それを活用することによりまして居住環境の保護、誘導ということを推進することに努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  153. 山田勇

    ○山田勇君 あと固定資産税の問題、それから価格の問題、罰則の問題、これからまだ日にちがありますので後日に譲ります。  これ最後にしますが、衆議院修正により政府土地に関する施策において金融上の措置が加えられました。現在、土地関連融資については行政指導が図られております。地価上昇の原因一つに金融機関の土地融資が過剰だという批判がありますが、大蔵省土地融資に対する自粛通達はこれまでたびたび出されていると思いますが、ちょっとなまぬるいのではないかと思うのです。過剰融資した金融機関の会社名や事実関係の公表は考えておられませんか、その点をお伺いして私、質問を終わります。あとは後日に譲ります。
  154. 小山嘉昭

    説明員(小山嘉昭君) お答えいたします。  投機土地取引等に融資を行いました金融機関の名称あるいは事実関係、これを公表いたしますことは、個々の金融機関の信用に影響を及ぼす重要な問題でございます。また、これはひいては信用秩序等にも悪影響が及ぶ可能性もあるわけでございまして、こういうことをいろいろ考えますと、慎重に対応すべきものと、こういうふうに考えております。
  155. 今泉隆雄

    今泉隆雄君 参院クラブの今泉です。  きょうは初めての質問なので、ちょっと抽象的ですけれども基本的なことを政府にお聞きしたいと思います。  まず、憲法の第二十五条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」、こう書いてありますけれども、一番最初に、土地についての基本理念で、私の考えでは、命と暮らしと文化が一番の基盤と考えております。特に、文化はさておいても、命と暮らしが一番の基本だと思っておりますが、政府の御見解はいかがなものでしょうか。
  156. 藤原良一

    政府委員藤原良一君) 土地基本法も憲法のもとにございます法律体系の一つでございますので、憲法の精神を踏まえて法案作成等もしてきておるわけでございます。土地基本法案におきましては、まず憲法二十九条の規定を敷衍しまして、二十九条では、一項で「財産権は、これを侵してはならない。」、しかし二項で「財産権の内容は、公共福祉に適合するように、法律でこれを定める。」となっておりまして、そういう憲法の財産権に関する規定を敷衍して基本理念を定めております。  基本理念は四つございまして、一つは、土地については公共福祉が優先されるべきであるという土地についての大原則を定めているわけでございます。それと、それをさらに敷衍したような形で、土地国民のための限られた資源でございますので、土地は適正に、また土地利用計画に従って利用されるべきであるということを定めております。また、土地投機的取引が地価の高騰等、国民生活にいろいろな支障を及ぼしておりますので、土地投機的取引の対象とされてはならないということを定めております。さらに四番目では、社会的な公平の確保というのがまた重要な課題でございますので、土地の価値の増加に伴う利益に対しては適切な負担が求められるべきだといった原則を定めておる次第でございます。
  157. 今泉隆雄

    今泉隆雄君 細かいことをいろいろお聞きしたかったのですけれども、ちょっと時間もありませんし、きょう参考人の方もいらしているのでそちらの方に譲りたいと思います。  国の公有地の利用の問題なんですけれども、国の公有地は国民の非常に貴重な財産だと思いますし、特に公有地を活用しての住宅政策などは非常に重要なものだと思っております。特にその中でも旧国鉄の跡地利用については一番大事なものだと思いますが、その跡地をどのように使われているかということには非常に疑問が多いのじゃないかと思います。  私の考えでは、これは譲渡をせずに所有したまま賃貸契約などをして収益を上げるのがいいのじゃないかと思うのです。今までの旧国鉄時代から今日に至るまで、国鉄の遊休地が貸し出された例があるのかないのか、あるとすればどのような条件で貸し出されたのかお願いします。
  158. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 国鉄時代には国鉄の用地で事業目的に従って使っている土地、あるいは将来事業用に使うような土地でございまして、そういったものが暫定的に使える場合には部外の方にお貸ししていたということでございます。  それから清算事業団になりましてからはちょっと土地の性格が変わっておりまして、国鉄時代とは違いまして処分対象用地ということになっております。したがいまして、私どもは膨大な負債をしょっておりまして、この負債を償還するために土地は処分することが前提だということになっておりまして、ただ土地の処分と申し上げましても直ちに全部すべて今ある土地を処分するというわけにもまいりません。これはいろいろ上物の整理とかあるいは土地利用計画をつくるとかというようなこともございますし、地元との調整もございますし、監視区域等で一部入札を抑えているというようなこともございまして、必ずしも直ちに処分をするというわけにはまいりませんので、暫定的にあいている土地は積極的に部外の方に御利用いただいて活用していきたい。その間若干でも収入を上げたいということもございます。ただ、基本的にはやはり処分対象用地でございますので、国鉄時代と違いまして、かなり長期間にわたってお貸しするということはできないというのがただいまの貸し付けの状況でございまして、国鉄時代それから清算事業団時代合わせまして貸付率はかなりの数に上っております。
  159. 今泉隆雄

    今泉隆雄君 私は実は舞台関係者なのでいろいろその辺の資料はたくさんあるのですが、昭和六十二年のときには件数が千六百件、大体五百団体で千六百件貸し出しをしております。ところが、一九八五年度大阪の西梅田、一九八六年度南新宿、一九八八年度名古屋、国鉄の場合には一九八五年度から長期の一年以上にわたってある劇団に貸されております。ですから、長期で貸されたことがないとおっしゃっていますけれども、一年一ヵ月以上にわたって、三年間にわたって全国で貸し出されておる。またそれが今後も貸し出される予定になっておりますが、それはどういうことでしょう。
  160. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 土地の貸し付けは各種ありまして、イベント等にお貸しするのとか、あるいは駐車場にお貸しするのとか、工事材料置き場に使うとかいうのがありまして、数はかなりの数に上っているはずでございまして、今先生おっしゃいました数字を私直接ちょっと把握しておりませんが、国鉄時代は先ほど申し上げましたように土地をかなり事業目的に使っている土地の余裕使用だということで長期にお貸しする。とりあえず使用承認という形で三年を一つの区切りにいたしましてお貸ししていたような事例がございます。ところが、清算事業団になりますと、これは処分対象用地でございますので、法令的にも一年以内には貸し付けることができるということになっておりまして、現在そのような形で短期の貸し付けという形になっております。
  161. 今泉隆雄

    今泉隆雄君 それで、今それを申し上げようと思ったのですけれども、それは一定の劇団に貸し出されたということと、それから一番最初のときに貸されたのが国鉄の時代から民営に移ったときに貸されたということ、しかもそれが戸山のデベロッパーが経営しているところに非常に関係している劇団であるというような事実が一つあるのです。  それからもう一つ、その後の、民営化されてからは不思議なことにその契約書に関して言うと、全然金銭が書かれていない。それから金銭に関して貸出料を聞いたところが、教えることができないというので教えてもらえませんでした。その辺はどういうことになっておりましょうか。
  162. 福間知之

    委員長福間知之君) 少し声を大きく御答弁ください。
  163. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) ちょっと戸山云々という話、私も承知しておりませんが、国鉄時代の土地をJRが引き継いでいる土地もございますし、それから清算事業団が引き継いでいる土地もございまして、私ども今申し上げましたのは、清算事業団として処分対象用地になっているという土地でございまして、これについてはイベント等でお使いいただいているのもございますし、劇団でお使いいただいているのもありますし、ただ先ほど申し上げましたように土地の性格といいますか、処分対象用地という前提がございますので、法令的には一年以内という形でお貸ししている、お貸しせざるを得ないという形になっております。
  164. 今泉隆雄

    今泉隆雄君 この問題については、私ももうちょっとまた資料を細かく調べた上で、もう一度具体的に、実は私も借りようと思ったのですけれども、私には貸してくれませんでした。なぜ貸してくれなかったのかがよくわからなかったのですけれども、そういうふうに貸す人と貸さない人と、裏に手が回っている人と回ってない人といろいろあるみたいな状態で、非常に不愉快な思いをしたことがありますので、ちょっとまた一度調べてから何かの機会で質問をしたいと思います。  質問を終わります。ありがとうございました。
  165. 福間知之

    委員長福間知之君) 両案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会