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1989-12-14 第116回国会 参議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十四日(木曜日)    午前十時三十分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         藤井 孝男君     理 事                 梶原  清君                 山岡 賢次君                 久保  亘君                 本岡 昭次君                 峯山 昭範君     委 員                 石川  弘君                大河原太一郎君                 斎藤 文夫君                 田辺 哲夫君                 中村 太郎君                 藤田 雄山君                 宮崎 秀樹君                 吉川 芳男君                 赤桐  操君                 稲村 稔夫君                 鈴木 和美君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 和田 教美君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 三治 重信君                 下村  泰君                 野末 陳平君    国務大臣        大 蔵 大 臣  橋本龍太郎君    政府委員        大蔵省理財局長  大須 敏生君        大蔵省銀行局長  土田 正顕君    事務局側        常任委員会専門        員        保家 茂彰君    説明員        法務省刑事局刑        事課長      松尾 邦弘君        通商産業省産業        政策局取引信用        室長       梅村 美明君        通商産業省機械        情報産業局情報        処理システム開        発課長      瀬戸屋英雄君        工業技術院標準        部機械規格課長  吉田 藤夫君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部業務課長    大辻 嘉郎君        郵政省郵務局企        画課長      藤野 利行君        郵政省電気通信        局電気通信事業        部業務課長    濱田 弘二君        自治省税務局市        町村税課長    林  桂一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○前払式証票規制等に関する法律案内閣提出衆議院送付) ○パート・内職・家内労働者課税最低限度額の引上げに関する請願(第八〇二号外四件) ○継続調査要求に関する件     ─────────────
  2. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  前払式証票規制等に関する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。橋本大蔵大臣
  3. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) ただいま議題となりました前払式証票規制等に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  前払式証票、なかんずくプリペイドカードは、利便性に富む決済手段として、近年、種々の分野で急速に普及し始めており、今後の一層の普及が見込まれております。  このような状況に対応して、前払式証票購入者等利益を一層保護するとともに、前払式証票に係る信用維持を図るためには、その法制度整備改善を図ることが緊要となっております。  したがいまして、昭和七年に制定された商品券取締法の全部を改正することとし、ここに本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、前払式証票発行者につきまして、登録制及び届け出制を設けるとともに、帳簿書類の作成、保存等の義務を定めるなどの規定を設けることといたしております。  第二に、発行者に対しまして、発行する前払式証票一定事項表示するよう義務づけることといたしております。  第三に、発行者が倒産した場合等における購入者等利益保護を適切に図るため、前払式証票に係る前受金の保全措置である発行保証金供託につきまして、所要規定整備を行うことといたしております。  第四に、前払式証票発行協会についての規定を設けることといたしております。  以上が、前払式証票規制等に関する法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  4. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 村田誠醇

    村田誠醇君 初めまして、村田誠醇と申します。  本委員会で初めて質問させていただきますので、舌足らずの点やあるいは言葉遣いが悪い、質問の中身がわからない等がございますけれども、その点は御容赦をいただきたいと思います。  まず、提案されました本法律案につきまして私のまず率直な感じでございますが、提出された理由につきましてちょっと疑問に思う点がございます。というのは、従来社会的に大変問題になりました豊田商事とかあるいはサラ金の事件、あるいは抵当証券の乱売、こういった一定社会的事犯あるいは事件等が発生をして、それに対応して法律整備する、あるいはそういうものを取り締まることができないので新規立法をする、こういうことが従来行われてきたわけですけれども、この法律案規制しようとしております前払式証票については、そのような事故もしくは事件、あるいは関係者間のトラブル等が余り聞かれていない段階で提案されてきているということについて疑問を持っております。したがいまして、その辺の理由についてまず御説明をいただきたいと思います。
  6. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かに今委員が御指摘になりましたように、プリペイドカード発行会社につきまして、これまでに発行者の倒産とかそういった意味での社会問題は起きておりません。しかし同時に、このプリペイドカード発行につきましてのルールが確定をしておらないということから、例えば地方商店街等におきまして、殊に多目的プリペイドカード発行等を考えながら、それが法的に認められるか認められないかの点に自信がなくその計画が中途倒れになる、あるいは大蔵省あるいはその他の関係省庁に対して相談をかけられましても行政当局判断が必ずしも的確に示されない、そうしたケースは今日までもございました。私自身の郷里におきましても、数年前、同様の相談を受け、行政関係者の意見を求めましたところ、判断の基準がないために待ってもらいたいということで、発行を断念したケース等もございます。  その意味では、プリペイドカードというものがその発行以来比較的日が浅く、殊にカード発行専門業者につきましてはまだ揺籃期状況にあるということでありまして、将来について確たる見通しを行うことは困難でありますけれども、私どもは、カード化進行という流れに即して行政がまさに後手に回らないように、消費者保護信用秩序維持のための仕組みを早期に整備しておくことが必要だと考え、今回この法案を提出させていただいたわけであります。
  7. 村田誠醇

    村田誠醇君 そうしますと、将来に向かって発生するであろう消費者カード専門業者とのトラブル、あるいはカード業者事業適正化というんでしょうか、そういうことに資するためにこの法律提案した、こういうふうに理解してよろしいんですか。特に将来に向かって発生するであろういろいろな事態に備えた法律案、こういうふうに理解してよろしいんでしょうか。
  8. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 確かにまだ比較的日の浅いプリペイドカードというものにつきまして、将来に起こり得ることすべてを予見して見通すことは大変困難でありますけれども、少なくとも私どもの立場からいたしまして、カード化進行という流れの中で、将来起こり得る実態上の変化あるいは技術上の進展というものになるべく広く対応し得るような消費者保護信用秩序維持というものについての仕組み整備して本法律案としてまとめて御審議を願うことにしたわけでありまして、その意味におきましては委員の御指摘のとおり、将来を想定しつつ審議をお願い申し上げておるところであります。
  9. 村田誠醇

    村田誠醇君 そうしますと、このプリペイドカード業者あるいは業界が、そんなに長い先の話を言っても恐らくむだだと思いますので、この一、二年の間に大蔵省はどの程度普及といいましょうか、業界発展というんでしょうか、あるいはプリペイドカード、特に第三者型の汎用型カードがどの程度普及するんだという見通しをお持ちなのか、ちょっとその辺を御説明いただきたいと思うんです。
  10. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) お答えを申し上げます。  このプリペイドカードは、昭和五十七年のNTTテレホンカード発売以来、さまざまな分野実用化が進められてきておるものでございます。  その状況につきまして、特にただいまはいわば第三者発行専門会社についてどのような状況か、また今後の見込みはどうかというお尋ねであったと思いますので、その点に絞りまして申し上げますと、いわゆるカード発行専門業者につきましてはまだ事業を開始していないものが多く、必ずしも私どもとしてその実情を網羅的に把握しているわけではございません。現在のところ設立されたものは二十社程度、このうち事業を開始したものは数社程度にとどまるものと承知をしております。その数社の具体例としては、一つのビルの中での物品サービス購入に共用して使うことができるようなカードとかそれからタクシーカードとか、それから、あるいは大臣からの答弁にもございましたが、地方商店街カードなどがあるようでございます。  今後につきましては、やはりこれはいわば揺籃期にありますし、それから今後のニーズの動向、それから技術進歩状況その他にもよりますので、確たる見通しを行うことは困難でございます。ただ、全体的にいわばカードソサエティーというか、カード社会化現象は全般的に見受けられるようでございますので、そのニーズをとらえればかなりの程度にまで今後普及する可能性があるというふうに私どもは考えております。
  11. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、同じような質問通産の方にお願いしたいんですが、通産の方で、きょうも出ておりましたけれども、中小企業庁の未来型中小商業情報プロジェクトの一環ということで商店街カード化にかなり取り組んでおられると思いますけれども普及する見通しとか将来的な展望あるいは業界判断、そういうものをどのように判断なさっているのかちょっとお聞きしたいと思います。
  12. 梅村美明

    説明員梅村美明君) プリペイドカード発展可能性につきましては、消費者にとりましては、具体的に購入または利用するプリペイドカード小銭代替手段となり得るか否か、あるいはまた反復継続して使用可能かどうか、どのようなプレミアムが付与されているか等のいかなる魅力があるのか、またそれを導入します企業にとりましては、どの程度顧客固定化に結びつくか、あるいは販売促進効果があるのかどうか、あるいは業務効率化にどのように資するのか等の事業者のメリットの存在、あるいはそういう大規模システムを導入する場合のコスト負担等々の要因によりまして決せられるわけでございまして、発展可能性につきましては、今後個々具体的に導入されます事業者の方の創意工夫に依存する部分が大であると思料しております。また、このような事業者創意工夫に加えまして、技術革新あるいは関連機器技術水準の向上、標準化の進展度合い等さまざまなプリペイドカードにかかわります環境整備状況にも左右されると考えております。  なお、本法律案の成立はプリペイドカード発行に関します諸手続の確立と消費者保護の対応が図られるという意味で、環境整備一つと考えておりまして、幅広い業種、業界においてより一層普及していく可能性が増大したもの、かように考えているところでございます。
  13. 村田誠醇

    村田誠醇君 産業界といいますか、業界としての規模、売り上げ的な規模、大体どのぐらいまで上がるかなというような金額推定がもしございましたらちょっとお願いしたいんですが。
  14. 梅村美明

    説明員梅村美明君) 今申し上げましたように、これは今後は事業者創意工夫、それからいかなる魅力を付与できるかどうか等々の不確定要素に非常に左右されますので、今後の事業規模というようなものに対しまして当省では全体の推計額等を持ち合わせておりません。
  15. 村田誠醇

    村田誠醇君 それでは、個別の中に入るに際しまして、二、三前提としてお聞きしたい点がございます。  ここで言われております前払式証票、大体今三つぐらい考えられておるわけですね。昔の商品券に相当するもの、それからNTT、JRのようなそういう磁気カード、それと今度この法律規定されます第三者型の汎用プリペイドカードということでございます。特に前二者については私は余り問題はないんじゃないかという気はしておりますけれども、この最後の第三者型の汎用プリペイドカード、これは大変問題があるのではないだろうかと思っております。したがいまして、これの性格は一体何なのか、つまり物品サービスの供給を受ける請求権なのか、それともそういうものを購入する通貨としての性格を持ったものなのか、一体どっちなのか、まず性格がよくわからない、これが第一点目でございます。  第二点目は、NTTの例でテレホンカードで若干裁判になっております。有価証券とは何ぞやというのが裁判で問題になっておりますが、この新しい法律によりましたら、プリペイドカードそのもの有価証券とこの法律に基づいて認定できるのかどうか、法律上の認定ができるのかどうか。  それともう一つ通貨であると、私はどうも通貨性格第三者型は非常に強いと見ておりますが、一体大蔵省は、それでは通貨紙幣とはどういう条件を満たしていれば通貨だと見るのか、汎用型のプリペイドカードはそのうちのどの要件が抜けているから通貨ではないと言われるのか、その三つについてお聞きをしたいと思います。
  16. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) ただいまの三点のお尋ねのうち、まず前二者につきまして御説明を申し上げます。  第一点は、プリペイドカードとは何かということでございますが、これにつきましてはただいま御審議をお願いしております法律案定義を設けてございます。  証票その他の物に記載され又は電磁的方法により記録されている金額に応ずる対価を得て発行される証票等であって、当該証票等発行者又は当該発行者が指定する者から物品購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために提示、交付その他の方法により使用することができるものこれは第二条の第一項第一号につきまして御説明を申し上げましたわけでございますが、このような定義を得ておりますわけでございます。  そこで、これにつきましては、通貨であるかどうかというのは後ほど通貨定義その他についての説明のときに譲らせていただくといたしまして、紙製の券であると磁気などを利用したカードであるとを問わず、消費者から見た代金の前払い性に着目をいたしまして、これを前払式証票として統一的に定義し、所要規制を行おうとするものでございます。したがいまして、後ほどまたその問題に戻るかと思いますが、これは私ども通貨ではないと考えております。  それから第二点ですが、有価証券性についてのお尋ねでございます。それにつきましては、有価証券という言葉を使われます場合はいろいろございまして、有価証券の概念もさまざまでございます。例えば証券取引法とか刑法とか商法とか幾つかの法律有価証券の用語は使用されております。しかし、その意味内容は広い狭いさまざまでありまして、ある証票有価証券に該当するかどうかはそれぞれの法律規定ぶりとか立法目的などに照らしまして個別に解釈されるべき問題であらうかと存じます。したがいまして、御質問に対しまして一概にはお答えしにくい問題でございますが、あえて申し上げますならば、プリペイドカード経済的価値を化体したカードでありますので、ある種の有価証券的な性格を有するものであるというふうに考えております。  ただ、ただいま御説明申し上げましたような前払式証票定義につきまして、この定義は例えば学説上のいろいろな他の法律有価証券に該当するかどうかという判断を下したものではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  17. 大須敏生

    政府委員大須敏生君) 委員お尋ねの第三点でございますが、通貨とどこが違うか、こういう点について私どもの方からお答え申し上げたいと存じます。  委員指摘の点は、恐らく紙幣類似証券取締法という法律がございますので、そこで言っております「紙幣類似作用ヲ為スモノト認ムル」そういう証券とどこが違うか、こういうようなお尋ねであろうかと存じます。  私どもは、紙幣類似証券取締法趣旨といたしまして、これは国の通貨発行権を確保する、そうして通貨秩序維持する、そういうために、具体的に発行されております証券紙幣類似作用をなして転々流通する、そういう事態を想定いたしまして、それは信用秩序混乱等の弊害をもたらすのでこれを禁止する、こういう取り締まり法規であるというふうに理解しているわけでございます。  したがいまして、第三者発行型のプリペイドカードについて御指摘のような一つの懸念があるというようなお考えもあろうかと存じますけれども、私どもが考えております紙幣類似作用をなしている場合とはどういうことかと申しますと、あるカード社会通念一般的な支払い手段として認知されるほど頻繁に私人間の取引に使われている、流通している場合、こういうふうに考えているわけでございまして、プリペイドカードが本来の目的に従って使用されている限りにおいてはそのような事態とはならないと、このように考えているわけでございます。
  18. 村田誠醇

    村田誠醇君 その件については後でまた質問させていただきます。  それではちょっとお聞きしたいんですが、汎用型のカード法律的に券面に記載させる事項というのが書いてございますが、それ以外に、例えばこの法律では加算型のカード発行できるという形になっていますが、その加算減算の区別の記載があるのかどうか。あるいは本人確認機能ID機能というのをつける必要があるのか、あるいは暗証番号等でそれを肩がわりさせる方法が考えられているのか。あるいは購入年月日がそのカードでわかるようになるのか、それともただ単に金額だけの表示なのか。その辺をカードの中に、これは機械的に、電子的に入れられると思うんですけれども、これが入れることになるのか、それとも入れる必要性がないのか。その辺についてもちょっとお聞きしたいと思います。
  19. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 三点のお尋ねでございますが、第一は加算減算型についてのお尋ねだったと思います。  現在までに行われておりますものは、すべて加算型ではない、いわばカード購入いたしましてそれを使用するに従いまして未使用残高が減少していくという種類のみでございますが、今後、この加算型と申しますのは、一たん使用いたしまして未使用残高が減少したときに何らかの方法でいわば入金をいたしまして、未使用残高をまたもとへ戻す、限度にまで回復し増額することができる、そういうようなカードが生ずるということは考えられるわけでございます。そのような場合には、したがいまして、反復使用できるようなことになりますので、その場合、一枚のカードをかなり長期間使うことができるというような現象も生ずるかと思っております。  そのようなもの、加算型のものはどうかということでございますが、それはこの法律案前払式証票の中に定義としては入ることにしております。それは、この法律案の第二条第一項第一号、第二号に前払式証票定義を書いてございますが、先ほど御紹介いたしましたような「電磁的方法により記録されている金額に応ずる対価を得て発行される証票等」というときに、そこに注釈をつけてございまして、「(電磁的方法により証票等に記録される金額に応ずる対価を得て当該金額の記録の加算が行われるものを含む。)」というふうに規定して、幅広くとらえているわけでございます。その加算型につきまして、しかし法律上特別のいわば一般減算型のものと異なった扱いを明定しているということではございませんで、これは一般システムに乗りまして、届け出登録の際にどのような種類カード発行するかというようなこともわかるわけでございますし、それからその後の報告その他によりまして状況をフォローすることができると考えておるわけであります。  次に、第二点の本人確認でございますが、例えばテレホンカードの例をごらんいただきますように、現在のところは本人確認機能を持っていないものが大半でございます。しかしながら、これにつきましては、今後の技術進歩によりまして、例えば集積回路、ICを使ったカードとか光メモリーカードというようなものを使用いたしますならば、その場合に記憶される情報量は飛躍的に増加をいたしますので、その記憶させる情報の中に例えば本人暗証番号その他をインプットすることは十分可能であります。その場合には、プリペイドカードもクレジットカードと同じような、いわば本人に限って使うことができるというような使用の制限を実際上はめることができるようになるわけでございます。  それから第三点の、購入年月日云々がわかるかというお話でございますが、現在のところ、多く出ておりますものは、いつそれを買ったというようなことがわかるようにはなっていないと思いますが、これもただいま申し上げましたような本人確認機能と同じような技術的な工夫によりまして、購入年月日がわかったり、それからそれをいつ幾ら使ったということがわかるような工夫は可能でございます。  なお、この法律案におきましては、「前払式証票表示事項」という規定を第十二条に設けてございまして、その中では「氏名、商号又は名称」云々と、それから住所または営業所、事務所の所在地、それから証票金額等、それから「期間又は期限が設けられている場合は、当該期間又は期限」という規定のほか、「その他大蔵省令で定める事項」を「前払式証票表示事項」とすることは可能でございますので、今後プリペイドカード発行、流通の状況をよく見ながら、遺漏なく運営してまいりたいと存じます。
  20. 村田誠醇

    村田誠醇君 説明していただくのは大変ありがたいのでございますが、法律案は一応目を通してございますので、そこに何が書いてあるかはわかりますので、それは結構でございます。  次に、第一条に、プリペイドカード発行事業者の適正な運営を確保することにより、結果として購入者利益保護するというように、これは私はそう読むわけですけれども、どうも普通私らが考えるときには、購入者利益保護するために事業者事業活動あるいは運営規制するとか制限するというのが普通だと思うんですね。ところが大体法律は逆に書いてありまして、どうもこれを読む限りにおいては、消費者の権利というのが非常に守られていない、あるいはそういう規定が薄いと、こういうふうに思われるわけです。  具体的には、聞きますと法律の第十三条に、発行保証金供託に関して二つの方法が記載されているわけです。一つ保証金供託する方式と、もう一つ大蔵大臣の命令に応じて供託する旨の契約を締結してやる方法、要するにお金を現実に積まないやり方が二つ書いてあります。実はこれが一つ問題が出てくると思われるわけです。というのは、まず企業が、プリペイドカード発行事業者が、特に第三者型の汎用業者が倒産の騒ぎを起こしたときに、基準日で、これは法律で未使用残高の二分の一を供託すると、こういうことになっていますが、実際に倒産したときの発行残高と、それから基準日で決まっている二分の一の残高とに落差があります。あるいはもっと逆な言い方からしますと、基準日を超えたところで大量に出して倒産しちゃうということだって起こるわけです。この場合の規定については何もない。二分の一というだけの規定、これはないんです。これが一つ問題がございます。  それから、契約で供託をする旨というこの第二番目の項目で、これは多分銀行等が行う債務保証だろうと思うんです。その場合に、銀行は一番情報をキャッチしていますから、あそこのカード業者は危ないよという情報が入ったら、途端に契約を解除する、はっきり言いまして。自分のところがかぶりたくないから契約を解除する、こういう事態になったときにはあの法律では、一一カ月以内に不足が出るから積み増ししろというんですけれども、積み増す暇もなく倒産という騒ぎが起こるのではないか。そうすると、一体プリペイドカードの所有者はどういう形で自分の権限、権利が保障されるのか、その二点についてお聞きをしたいと思います。
  21. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 第一に、この法律の第一条の目的についての御質問がございましたので、ちょっとこれは……
  22. 村田誠醇

    村田誠醇君 いや、そこのところはいいです。私の考え方ですから。
  23. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) わかりました。  この法律購入者利益保護する、すなわち消費者保護信用秩序維持とあわせて根本的な目的としているものでございます。  そこで、その次に消費者保護をどのようなシステムで図るかということでございますが、この点につきましても、もう詳細の説明は省略をいたしますけれども、届け出なり登録によっていわゆるニューエントリーを把握し、さらにいろいろな報告、届け出等の義務を課するほか、第三者発行者につきましては検査それから業務改善命令もできるという規定によりまして、第三者発行者業務内容の推移をフォローできるようにしておるわけでございます。  そこで、さらに具体的には消費者の、いわばカードの所有者の権利を保全するための措置として、御案内のように未使用残高の二分の一に係る金額以上の額を供託し、あるいは銀行等の保証を取りつけるというふうにしておるわけでございます。そのときの供託等の計算方法でございますが、それはまさに御指摘のとおり、年二回の基準日を定めまして、そこでこの未使用残高に対応する供託なり銀行保証の措置を確保するというふうにしております。これにつきましては実際に基準日は年二回でございますので、その半年の間にいろいろな発行者側の経営状態の急変があり、それで例えばお触れになりましたようなそういう事態が起こるということは考え方としてはあり得ることでございます。  その点は、実は従来商品券取締法によっても同じような状況があったわけでございますが、これを時々刻々把握しまして、常にいわば二分の一以上の供託を義務づけるということは、なかなか発行者側でも常時未使用残高がどのくらいであるかを的確にフォローすることができないとか、いろいろなこともございますので、やはり事務上の便宜をも考えまして、年二回というような仕切りを設けたわけでございますが、私どもといたしましては、もちろんこの未使用残高の二分の一を供託額が割るというような事態は好ましくないと思っておりますので、そのような経営状態の急変が予想されますようなものにつきましては、報告などを端緒にいたしましていろいろ検査なり業務改善命令なりを用意いたしまして、消費者に被害が及ぶような事態を極力回避したいと考えておるわけでございます。  それから、同じようなことば第二の方の問題、つまり銀行などが急遽保証を解約したらどうするかというような御懸念でございますが、これにつきましては、第十三条「発行保証金供託等」の第二項に、供託をすべき発行者等は、政令で定めるところにより、銀行保証の契約を締結し、その旨を大蔵大臣に届け出たときは供託をしないことができるという、そういう骨子の規定を書いておりますが、この「政令で定めるところにより」という政令によりまして、理由なき解約を制限するための規定工夫したいと考えております。
  24. 村田誠醇

    村田誠醇君 政令で解約をする制限をするということは、こういうふうに理解していいんですか。解約をして次の基準日まで、つまり大体普通六カ月問ですね、年二遍ですから。次の基準日が来るまでの間は有効、つまり途中で解約はできないよということですか。それとも、正当な理由がなければ解約をしちゃいけない、ただ一般的な規定なんですか。  この規定だけだったら、いつでも銀行は自分のところが損をこうむりたくないと考えれば解約できるわけですね。しかし、解約を通告しても消費者はいつの時点でその保証が解約されたのかはわかりませんから、どうしたって次の基準日までその契約は有効であるという制限を設けておかないと消費者にとってはトラブルが起こると思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
  25. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 政令の内容につきましては、なお検討中でございますが、現在考えておりますところを現時点で申しますと、大蔵大臣の承認がなければ解約できないというような趣旨規定、それからその保証契約の有効期間は一年以上のものにしなければならないというような規定、そういう趣旨規定を設けてはどうかと考えております。  ただ、何分にも政令は全般的になお検討中のところが多いのでございますが、ただいまの提起されました点をも十分踏まえまして今後起草に当たってまいりたいと存じます。
  26. 村田誠醇

    村田誠醇君 今言われたような制限はぜひ入れていただきたいと思います。  それとまた同じ質問でございますが、消費者から、消費者といいますかカードの所有者から見ますと、物品の供給者、私のところはあなたのカードが使えますよという表示をしているところが、今と同じようにやっぱりあの発行業者は危ないよということになって、まだ倒産もしていないのにそういううわさが出たときに、カードの保持者が使用しようと思って持っていったところが使えない、こういう事態が起こってくると思います。これもやはり同じように一方的に解約されましても、カード業者との契約はきょうを限りにあるいはきのうの段階で契約を解除しました、したがってこのカードはうちで使えませんよと、こう言われても、きのうまで使えたのに何できょうから使えなくなるのかということに対して消費者は全くわからない、こういう事態が起こってくると思うので、その辺についてもやはり何らかの規制を加えないと、カードの保持者が非常に迷惑をするのではないかと思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
  27. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) ただいまのお尋ねは、いわゆる発行者とそれからカードの提示を受けて物品またはサービスを供給する、いわば加盟店との関係の問題でございます。  ただいま御提起になりました問題は、いわば加盟店が発行者の倒産の危険を察知してということでございますが、実際問題といたしまして発行者と加盟店との間の契約関係は、そのほかの理由、例えばこれは一般の商取引上の取引関係を解消するというような、専ら営業上の理由によって解約になる場合もかなり多かろうかと存じます。そのようなときに営業上の判断に基づく解約を防止する、禁止するということは、これはなかなか難しいのではないかと思いますが、しかしながらそのようなことが多数発生いたしますと、全体としてそのカードについての信用力、それから消費者に対するいわばセールスポイントが非常に落ちるということは、これは否定できませんので、発行者方の方でまず極力そのような事態を防止するように努めるであろうと思うのでございます。通常私どもが理解しておりますところでは、その加盟店契約の解約につきましては、一定の予告期間を設けているものが多いというふうに承知をしております。  なお、そのような問題につきまして、今後健全な商慣行が打ち立てられますことは望ましいところでありますので、この辺につきましては、なお今後関係者の集まりました前払式証票発行協会などでいろいろ議論がなされてもいい話題ではないかと考えております。
  28. 村田誠醇

    村田誠醇君 わかりました。ぜひ消費者保護の方向で何らかの規制を加える、ただ無制限な規制はできないにしても、契約を解除して半年間なら半年間後じゃないと効力が発生しないとか、そういう何らかの規制を加えていただきたいと思います。  それと、今度は立場を変えまして、カード発行業者サービス業者サービスを含む物品サービスを供給する業者との関係についてちょっとお聞きしたいんですが、カードの所有者はこの法律規定によって「他の債権者に先立ち弁済を受ける権利を有する。」と書いてある。優先弁済権が明記されています。しかし、物品サービスの供給者は、カードの所有者に品物を渡したけれども、代金が専門業者から振り込まれないという事態になったときには、この債権は一般扱いになってしまって、財産の基礎なりあるいは支払い能力があればいいけれども、そうでない限りは丸々損をするという現実が出てくると思うんですね。こういった問題について、我々はむしろ逆にカードの所有者の優先弁済権よりも、カード使用させて、そしてこの使用した額をまとめて物品サービス供給者が優先弁済を受けるというふうにした方がベターではないかと思うんですけれども、その点についてはどうでしょうか。
  29. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) ただいまのお話は、品物を加盟店は既に消費者に渡したけれども、まだ発行者側から代金の支払いを受けていないという状況で、倒産その他不測の事態が起こったらどうするかということでございますが、この点はこのプリペイドカードの問題に限ったことではなく、むしろ一般の商取引などで、通常ほかにも想定できるような事態ではないかと思っておりますので、これについてプリペイドカードに限りました特別の手続を法律でつくるということはいかがなものかという感じがいたします。  ただ、この代金のといいますか、供託した金額の配当についてでございますが、これにつきましては、ただいま御指摘のように、消費者が個々に供託金の配当手続に参加するよりも、加盟店に債権を集中した方が効率的ではないかという御意見があることは承知をしておりますが、加盟店と申しましても、いわば発行者とは別の法律主体であります。これはその契約に基づく提携関係を有しているのにすぎないのが一般であろうと思います。したがいまして、発行者の倒産後にまで加盟店に責任を法律によって義務づけるというのは、やや通例の商取引、その他民事上の責任に関する一般的な考え方から見て行き過ぎではないかと思っておるのでございます。  しかしながら、このような点につきまして、発行者とそれから加盟店との間に、いわば特別の契約関係でそういうような取り扱いの特約を設けることはできないことはないと思っております。一応この法律上責任を義務づけることは無理であろうと思いますが、なお発行者などにおいて自主的にいろいろな工夫が行われることは望ましいと思っております。
  30. 村田誠醇

    村田誠醇君 それじゃ、この件で最後の質問ですが、法律の十四条で、倒産をした場合六十日を下らない期間大蔵大臣に債権を申し出ろ、こういうことですけれども、正直言って、一万人も二万人もの多数の人間が要するにカードを保有している状態を考えてみれば、一々その人が大蔵大臣あてに債権を申し出る、こういうことはちょっと現実的に不可能じゃないか。ましてや、倒産したというそれだけで、金額が少額であればやめちゃうという人もいるだろうし、これでは公示をするということになっていますね。不特定多数で、少額の債権を有する者が多数いる場合、この規定はこれではちょっと不十分じゃないかという気がするんですが、その点についてはどうでしょうか。
  31. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) この規定につきましては、ただいま先生から御紹介がありましたように、六十日を下らない期間に申し出をすべきことというふうに限っておるわけでございますが、この保全措置趣旨は、これは前受金の二分の一相当額について、他のすべての債権者に先立つ優先弁済権を証票の所有者に無条件で与える、その履行の担保のために国がみずから供託金を保管するという制度であり、いわばこの優先弁済が他の倒産関連の諸手続と並行し、しかも、優先弁済に関することでございますからなるべく早目に処理されることが望ましいという観点からいたしますと、一定期間を限らざるを得ない事情があるということは御了解いただきたいわけでございます。  このような手続は、いわば一般の破産手続などの司法手続に比べますと、はるかに簡易な手段で足りるということになるのではないかと思いますし、したがいまして、救済措置としては相当に手厚い消費者保護の措置になっているものと認識をしております。  その点、相手が多数に及ぶことでもあり、それからその事実を知ることができた、できないというような問題について御不満が残るような場合があるということも懸念されるわけでございますが、逆に、多数の関係者を一括して早期にその関係を整理するために、やはりこのような期間を定め、その期間内に申し出をしないときにはいわば手続から除斥されるというようなシステムは、これはいたし方のないことではないかと思っておるわけでございます。
  32. 村田誠醇

    村田誠醇君 ちょっと不満ですけれども、まだ質問する項目がございますので、次に移らせていただきます。  次に、この法律をもとにいたしますと、第三者型の汎用カード発行業者は、その一枚当たりの発行する限度額と同時に、会社自体が発行する総枠というんでしょうか、金額というんでしょうか、これについて何にも触れていない。つまり裏を返して言えば、高額の商品券、百万円というか一千万円というか。それと同時に総枠規制がありませんから、保証さえ積めば、あるいは財産的価値がある事業主が行えば、現にほとんどの会社を見てみますと大手商社なり大手の都銀がみんな資本参加で入ってます。したがって、財産的価値があるということで大量の金額の部分が発行できる規定になっています。現実に発行するかどうかというものは別としまして、法律的には青天井で発行できる規定になっている。  これは一体どういうことなのか。つまり金融機関が一つ発生するのと全く同じことになりはしないだろうか。そうなったときに一体消費者なり、あるいは物品サービスの供給者から見てそこの会社の事業が適正であるのかどうなのかということを判断する材料が何も与えられないまま、ただあそこは大きい会社が株主にくっついているからということだけで流通する可能性が出てくる。そうすると八条で、それぞれの資料を登録し、縦覧に供するとなっていますけれども、この中身についてあくまでも資本金とか、本店の場所とか、一番最初の状況あるいは変更された、静止された状況の数字だけを記載されておるわけです。  ところが、やはり問題を起こして規定されました抵当証券業の規制等に関する法律、これはいろいろ問題が起こって規制された法律だと思うんですが、この中には、抵当証券業者業務及び財産の状況を記載した書類及び販売を行った書類等は、顧客の求めに応じて閲覧させなきゃいけないということの規定が十七条に入っているわけです。だから、今回の法律も、ここの登録簿の中に、あるいは閲覧させる資料の中に、経営内容を明らかに消費者なり物品サービスの供給者が判断できる、契約をしても安全だと、そういうことの判定できる資料をこの中にも公表する必要性があるんじゃないかと思うんですけれども、その総枠、発行限度額、それと情報の公開の中身、この三つについてお聞きしたいと思います。
  33. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 第一のお尋ねは、このカード発行金額限度が定められていないというお尋ねであったかと存じます。これにつきましては既にテレホンカード以来いろいろな発行の実績があるわけでございますが、この証票により給付を受けることができる物品や役務の種類は多様でございます。それからプリペイドカードのみならず、この法律で一体として規制することにしております商品券の場合もあわせて考えますと、非常に少額のものから十万円を超えるような高額のものまでさまざまなものが現に出ておりまして、一律に法律で最高券面額の制限を設けることは適当でないと考えられますので、そのような規定を、特にこの商品券取締法でも置いておりませんのと同様に、この法案でも置いておりません。  しかしながら、この法案では、証票金額等種類についての報告を徴求することにしておりますので、高額のカード発行する業者は当局としてその事実を把握できる。したがって、特に問題があれば関係省庁と協議の上、適切な措置を検討することができるという体制まではつくったわけでございます。  それから第二に、総枠の問題でございますが、これは現にこれまで発行されております実績を見ましても数千億円に及ぶようなプリペイドカード発行されていることもあるわけでございますので、特にこれも法律で一律に最高枠を設けるということは適当ではないと思っておるわけでございます。  ただし、その場合に、この前払式証票につきましては、その発行に当たってあらかじめその代金が前払いをされておることが必要でございますので、大量に発行されるためには大量のいわば現金が前払いされるということが裏づけとしてあるわけでございます。したがいまして、その点はそのカードに対する社会のニーズ消費者ニーズというものがよほど出てこなければ、高額なものを大量に発行する、ないしはその発行の総枠を非常に大きなところまで持ち上げるということはどたいできないことでございます。そのようなニーズが発生するかどうかはやはりこれはそのカードが提供しようとしておりますサービスなり、それから物品の供給なりの内容魅力的であるかどうか、それから多数の加盟店を組織できるまでに大きないわば一般的な魅力ある組織になっておるかどうか等、さまざまの状況によるところでございまして、一概にそのようなニーズをとらえて大量に発行したものが危険であるとか問題があるというふうになるとは考えておりません。  それからその次に、この業務、財産の状況でございますが、これにつきましては自家型発行なんかの場合が特に典型でございますけれども、このプリペイドカードなり商品券発行いたします者は必ずしも有名な大企業であるばかりではなく、中小企業、中小商店ないしは自家型の場合には個人企業であっても発行することは可能でございます。したがいまして、そのような者の業務状況などを公示するということは必ずしもこの法律で一律に義務づけるのにはなじまないという問題がございます。それで、むしろ消費者保護のためにより実効ある措置として私どもこの法律案で想定しておりますのは、一般の方々が個別にこの内容、財務諸表などを見るというのも確かに一つ方法ではございますが、その内容を見ることができるような方々は、これは多少証券投資やなんかの場合と違いましてごく限られてくるであろうというようなことも考えまして、この法律によりまして届け出、登録というようなニューエントリーをチェックし、それから報告を求めることができることとし、それから第三者発行型の場合には特に厳重に立入検査とか業務改善命令を出すことができるというようないろいろな仕組みを設け、加えて未使用残高の二分の一の供託を義務づけるということによりまして、実際的にはかなり手厚い消費者保護を図っておるものと考えたわけでございます。
  34. 村田誠醇

    村田誠醇君 今の御見解なんですが、私はあいまいに規制できないという理由は、商品券取締法をこの中に取り込んじゃったために規制できなくなっちゃったわけでしょう。商品券というのはもともと高額のものもかなり出ているわけですよ。それを一律に規制しようというのがこの法律なんですよ。上限を抑えちゃうと、商品券発行が一万円なら一万円に決めちゃえば、一万円以上の高額のものは出せなくなっちゃう。だから、商品券の取締法とこの第三者型のプリペイドカード汎用カードのやつは区別しなければいけなかったのを一緒の法律にしたために今言ったような矛盾が出てきたわけじゃないんですか。しかも商品券というのは、これは自分で買う人はいないですよ。大半が贈答用ですよ。そうすると、少額のものじゃなくて高額になっているわけですよ。現に東京のコインショップに行けば有名デパートの商品券が束になって買い取られる。売りに来る人、買う人がいるわけですよ。そうすると、高額化してくるというのが必然なわけです。  これはプリペイドカードだって同じだと思うんですよ、法人が使用を始めると。しかも一番問題になるのは商品券、あるいは皆さん思い出していただいたらいいですよ、ビール券にしても図書券にしても商品を特定しているんですよね。まあ商品券はちょっと意味が違いますけれども。商品を特定したものと、それから使用場所を特定しているんですよ、商品券は。デパートならデパートこの資本のデパートじゃなければ使えませんよという形で限定されているから、貨幣とはみなされない要素があるわけですよ。しかし、第三者型の汎用カードというのはどこでも、だれでも、いつでも使えるというこの三つの要素を満たしている限り、そして転々と皆さんが利便さを感じて利用していけばいくほど限りなく紙幣に近づいていく。だから、上限を規制しないとまずいんじゃないかと私は思うんですけれども、その辺についての見解はどうでしょうか。
  35. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) まず前段でございますが、商品券とそれからプリペイドカードとを一律に同一の法体系で取り込むことの是非についてのお尋ねであったかと思います。  これにつきましては、商品券はやはり紙でできておるというところはございまして、それに対しまして、プリペイドカードは今のところこういう大体一定のサイズのプラスチックカードでできておるということではございますが、この両者は、技術的にも極めてこれを截然と仕切ることは難しいわけでありまして、紙に加工を施してそれでいろいろな情報をインプットすることができるわけでありますし、それから、このプリペイドカード自体も単なる今のような簡単なプラスチックカードではなくて、例えばコイン状のものとか材質、構造その他いろいろのものが出てくるということはあり得るわけでございます。  したがいまして、この法律におきましては、また前払式証票定義のところに戻りますけれども、「証票その他の物に記載され」と、「その他の物」というのは、いわばいかなるものであっても有体物であれば全部「その他の物」の中に入る。それから「又は電磁的方法により記録されている」というのも、この「電磁的方法」とは何かと申しますと、「電子的方法磁気方法その他の人の知覚によって認識することができない方法」一切の方法をいわばここで取り込んで「電磁的方法」という言葉に集約をして定義しているわけでございます。  このような問題、それから、実際の消費者保護についてのシステムのつくり方、それから実態把握のシステムのつくり方、それらはやはりプリペイドカード商品券とは全く同様の機能を持つものと考えられますので、基本的にはこの両者を分けて論ずる必要性は少ないものというふうに判断をいたしまして、この立法に当たりましてはプリペイドカード商品券を統一的に取り扱うことが適当と考えた次第でございます。  さてその次に、後段のお尋ねでございますが、商品券は例えばギフト用に使われるではないかということでございますが、実はテレホンカードなどを見ましてもかなりギフト用には使われております。それからビール券、図書券のように、それは商品を特定しているではないか、それから使用場所を特定しているではないかということでございます。その点はプリペイドカードでも状況は全く同じでございまして、ただいまのお尋ねがありましたが、汎用型のプリペイドカードといえども、どこでも、だれでも、いつでも使えるということにはなり得ないものでございます。どこでも、だれでも、いつでも使えるということになりますと、これはすこぶる通貨ではないかという問題を生じますのでありますが、プリペイドカードそのものはあくまでも物品またはサービスの供給を目的として、いわばその程度の差はありましょうけれども、あくまでも限られた範囲内で使われるにすぎない。どこでもという場所はおのずから限定されてまいります。  それから、だれでもというのは、本人確認機能などを組み込むことによってその本人でなければ使えない、比較的高額なものはそのようになる可能性が大きいと思うのでございますが、これはだれでもというわけではない。  それから、いつでもという点につきましては、有効期限がついたものが発行されることも想定されておるということでございますので、その辺は商品券またはプリペイドカード通貨との間には明確な一線が引かれておるものと考えております。
  36. 村田誠醇

    村田誠醇君 おかしいと思いますよ。今言われた制限というのは、あるいはいつでも、どこでも、だれでも使える、使えないという説明をした制限というのは法律上に書かれた制限じゃないですよ。現実に流通しないとか、あるいはID機能を持っているカードもあるという説明もありましたけれどもID機能を持っていないカードもあるわけですよ。それから、今デパートなりスーパーなりがやろうとしているのは、自分の中で使えるだけじゃなくて自分が取引している業者の中に、それから隣接する商店街にも広げよう、こういうことになってくると、点から線に、線からさらに大きい面へもっと広がっていく可能性があるわけですよ。そうすると、ますますこれは通貨ですよ、本人識別機能をつけていないんですから。  しかも、一枚当たりのカードの上限額の規制もない。もっと簡単に言えば、百万円の現金を持ってきた人に百万円のカードを売る。カード業者としては当然の行為なんです。しかし、クレジットの業者は、この人間が百万円の果たして弁済能力があるかどうかを信用調査して、あなたは百万円使っていいですよということをカードで渡すわけでしょう。汎用カード業者は、買いに来た人間がどういう資産を持っていようが、その金の出どころがどこから出てきていようが、現金で百万円、一千万円持ってきた人に対してはお客さんなんですから、カード発行するということは可能なわけですよ。  しかも問題はもっとあります。大蔵省も最近注意をするようになったということで、マネーロンダリング、犯罪やあるいはアングラマネーで隠れている金をクリーニングするというやり方が国際的に問題になっている、これがまさに使われる可能性があるじゃないですか。無記名だし、しかも金の流れカード発行会社のコンピューターを通ってきますから、どこから金が流れてきたのか、だれに渡ったのかも全くわからない。そして転々と流通する。本人と所持者との暗黙の了解があれば金はどこにでも隠せる。こういうふうに使われる可能性が大変強いんじゃないんですか。あるいは法律規制しても、今のコインショップに持っていけば率は悪くなっても換金はできるわけですよ。  そういうところまで考えると、一枚当たりの発行金額を制限する必要性がどうしても出てくるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれども、その点について簡単にひとつ、余り時間ありませんので。
  37. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) お尋ねの第一の問題でございますが、この汎用性につきまして重ねて御説明を申し上げますと、確かに御指摘のようなことで加盟店が非常に多くなるというようなことであり、その発行が非常に大きく、発行額が多額になりますならば、それはカード汎用性が高くなるということではございます。したがいまして、仮に極端な場合を考えますと、カード汎用性が極めて高い場合には、これはカード発行者としましては物品サービスの供給を目的とするという発行の意図であろうといたしましても、それと無関係にいわば一般的な支払い手段として使用される。それで、かつそれが私人間に転々流通するに至るという可能性を懸念になる向きもあろうかと思うわけでございますが、その辺は紙幣類似証券取締法との関係をどういうふうに整理するかという問題でございます。  その問題につきましてごく簡単に申し上げますけれども、この一つの運用方針をプリペイドカード研究会でも披露したところでございますが、使用場所が明確に限定されているようなカード、それから暗証番号などにより使用可能な人間が特定されているようなカード、それから一枚のカードで家計の消費活動のうち相当部分をカバーし得るまでの汎用性の程度には至らないようなカード、これは紙幣類似証券とはならないという目安が示されたところでございます。それで、なおその目安に照らして問題がないと言い切れないカードがあった場合にも、それが一般的な支払い手段として流通する可能性がないようなものにつきましては、むしろこの紙幣類似証券取締法を根拠とする行政指導を直ちに行うというのではなく、この法案でお願いしておりますような届け出、登録、それから券面額の報告、その他、実態把握を容易にする手段が整備されておるわけでございますから、そのような手段を通じ、実態の状況をまず見守るようにしたいというのが私どもの立場でございます。  それから、後段のマネーロンダリングのお話でございます。これは確かに御高承のように、昨今マネーロンダリング問題が浮上しております。これは具体的には特に麻薬取引が話題になっているわけでありますけれども、犯罪者が麻薬取引等によって得た不正資金について、例えば金融機関の口座から口座へ資金の支払いや移転を行うなど、資金の出どころや受益者を隠ぺいするというような目的で金融システムを利用して、いわばその資金を浄化する、クリーニングする、それをマネーロンダリングという言葉で言っているようでございますが、そういう行為を防止すべきである、ないしはそういう資金を発見したときはそれを凍結すべきであるというような議論が、麻薬対策の一貫として、近年のサミットを中心にいろいろと議論をされ、また現在主要国の間でその具体的な今後の取り扱いが議論されている状況でございます。  それにつきましては、このプリペイドカードが道具に使われないかということでございますが、それは、金額が何億円というようなカードでも存在すればそれは多少そういう懸念もあり得るかと思うのでございますが、なかなかそういう最高額のカードをいわば当局が探知しない状況のもとで発行されることはまずないであろう。この法律システムを適正に運用される限りにおいては、当局はそのような極端な高額のカード発行を探知し得るはずであるというシステムをつくっておるつもりでありますし、それから、他の有価証券、その他いろいろな金融商品と同様の問題といたしまして、今後いろいろこのマネーロンダリング対策を研究し、日本は日本なりにどのようなシステムでこの国際協力を行うかという具体的な手法を研究するときに、あわせて御懸念のようなプリペイドカードの位置づけというものについても研究し、しかるべき位置づけを考える機会があると思うのでございます。
  38. 村田誠醇

    村田誠醇君 ちょっとよく論議したいんですけれども、もう時間でございますので、最後に一点、自治省にいらしていただいておりますので、地方税法上認められております法定外普通税である商品切手発行税についてお聞きしたいんです。  まず、これの現在課税されている理由、それから税収で上がっている金額、それとこの法律に基づいて今後できるであろうプリペイドカードあるいは前払式証票がこの商品切手発行税の課税対象となるのかどうか、それについてちょっと見解をお聞きしたいと思います。
  39. 林桂一

    説明員(林桂一君) 御説明いたします。  第一のお尋ねは、商品切手発行税を認めている理由というお尋ねだと思いますが、商品切手発行税は地方税法上法定外普通税という位置づけとなっておりまして、法定外普通税は地方団体の固有の課税自主権に基づきまして、課税の要件あるいは税率、徴収方法等につきまして、条例で当該地方団体の議会の議決を経た上、あらかじめ自治大臣の許可を受けて定めるということになっておるわけでございます。自治大臣は、法定外普通税の新設の申請がありましたときには、当該申請のありました地方団体にその税の収入を確保できる税源があるかどうか、また税収入を必要とする当該地方団体の財政需要があるかどうか等、一定の要件を満たすものである場合には許可をしなければならないというふうに地方税法上義務づけられておるわけでございます。  御指摘の商品切手発行税でございますが、現在十八団体課税をしておりますけれども、戦前から課税している団体、これは戦後の地方税法の成立のときに法定外普通税として引き継がれたものがございますけれども、大部分の課税団体につきましては、その後、先ほど申しましたような手続に基づきまして申請がなされ、法定要件を充足するということで自治大臣の許可を得て成立しているといったようなものでございます。  それから税額でございますけれども昭和六十二年度の実績でございますが、課税団体は先ほど申しましたように十八団体でございまして、その税収額の合計額百二億円という数字になっております。  それから第三のお尋ねでございまして、汎用型のプリペイドカードが商品切手発行税の課税対象になるかどうかというお尋ねでございますが、現在の状況を申しますと、すべてのプリペイドカードにつきまして課税がされているということではございません。いろいろな理由から、現在、例えば商品切手発行税の対象としておりますプリペイドカードのうち、主としてサービスを対象とするようなもの、例えばNTTテレホンカードとかそういったものでございますけれども、そういうものは課税の対象となっていないということでございます。ファミリーレストランで発行されているカードとかあるいは一定のビルの中で使用できる汎用型のカードというようなものが現在出ておりますが、そういうものについては課税が行われているという実態でございます。  いずれにしましても、このような具体的なプリペイドカードにつきまして課税の対象とするかしないかということは、当然、条例の定めるところによりまして地方公共団体が、その課税団体が、そのカード内容あるいは利用状況等を勘案しながら個別具体に判断して課税をするかしないかを決めていくべき性格のものであるというふうに理解しております。
  40. 村田誠醇

    村田誠醇君 終わります。
  41. 和田教美

    ○和田教美君 ことしの二月にプリペイドカード等に関する研究会報告が出されまして、その中で、実態に即した適切な立法を早急に行う必要がある、そういう提言が行われました。私は、そういうことでございますから、さきの通常国会に法案が提出されるんじゃないかというふうに思っておりましたが、結局、今国会の会期末に初めてヒアリングがあったわけでございますが、今国会については、消費税廃止法案、これが先行したという事情もあると思いますけれども、しかし、プリペイドカードは既にかなり広範に日常の生活、消費生活に浸透しておりまして、早急な法的整備が望まれていたわけですが、さきの通常国会に本法律案が提出されなかった理由、何か特にあるのか、大蔵大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  42. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) ただいま御指摘のように、このカード化の進展は一つの時代の流れでございまして、これに即しまして、消費者保護信用秩序維持仕組みを早急に設ける必要があるという問題意識を持ちまして、大蔵省といたしましては、昨年から本年の初めにかけ、約一年間にわたりましてプリペイドカード等に関する研究会を開催し、その報告をことしの二月十七日にいただいたところでございます。  これにつきまして、気持ちといたしましては、まことに御指摘のように、早急にこれを法案化し、国会の御審議を得たいというふうに考えておりましたが、多少立法技術その他研究を要する点がありましたので、その点について見通しの確たるものを得られませんでしたので、先般の通常国会の提出予定法律案のリストの中では、検討中という位置づけをさせていただいたところでございました。  何分にも、この商品券取締法の全部改正という技術使用いたしましたために、条文数も相当数に上るわけでございますし、それから、かなり将来の機械、技術進歩にも対応できるような規定ぶり定義その他のところで工夫する必要がございますので、その点も難しい部分がある。それから、いわばそのカード発行しておる業界なり企業を所管しておる省庁、その他の関係省庁もかなり多数にわたるということで、残念ながら通常国会には間に合うようには立法準備作業が進まなかったわけでございます。  それで、私どもその後、約半年近く鋭意立法準備作業を行いまして、この十一月十日に法案を国会に提出させていただいた次第でございます。
  43. 和田教美

    ○和田教美君 私の質問時間は非常に限られておりますので、懇切丁寧の必要はございません。簡明にお願いします。  プリペイドカードは、昭和五十七年にNTTテレホンカードが販売されたのを皮切りに急速に普及しまして、現在ではJRのオレンジカード、地下鉄、高速道路、ガソリンスタンド、外食産業等の種々の業種において発行されております。また、第三者発行カードカード発行専門会社も今のお話のように設立されて、汎用性を持ったプリペイドカードが今後増大することが予想されます。ところが、プリペイドカードは社会経済的には通貨にかわる決済手段として機能するものでありますから、その発行量のいかんによっては国の金融政策にもかなりの影響を及ぼすものと私は考えます。  そこで、大蔵省に伺いますけれども、現在、プリペイドカードそれからクレジットカード、キャッシュカードなどいろいろなカードですね、これが大体何枚ぐらい発行されているのか。また累計発行枚数、累計発行額、使用実績額などについての最近の数字をお示し願いたいと思います。
  44. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 簡単にということでございますので、その数字を中心にお答えをいたします。  プリペイドカードの主なものについて御説明いたしますと、私どもが承知しておりますのは、テレホンカード発行枚数は、これは平成元年三月末でございますが、七億四百八十四万枚、累計発行額が四千四百二十三億円、未使用残高は約二千五百億円というふうに承知をしております。もう一つ、オレンジカードだけ申し上げますと、これは累計発行枚数約五千五百万枚、それから累計発行額約一千億円、未使用残高、これは民営化されました後の分しか実は数字を持っておりませんが、百九十六億円であると承知をしております。  次に、クレジットカードにつきましては、これは業界調べで、平成元年三月末でございますが、発行枚数が一億四千四百四十七万枚。それからキャッシュカード、これは全国銀行協会連合会が調べた平成元年三月末の数字でございますが、発行枚数が一億八千四百八十九万枚というように承知をしております。
  45. 和田教美

    ○和田教美君 今御説明ございましたけれどもNTTテレホンカードは累計発行枚数が七億枚を突破している。そうすると、一人平均四・五枚持っているというふうなことに累計発行額がなるわけですけれども、そうするとテレホンカードに限らず、その他のプリペイドカードでも相当量のカードの退蔵があるんではないか。NTTテレホンカードについては大体半分ぐらい退蔵になっているというふうな今のお話でございました。この退蔵の実態をどういうふうに考えておられるのか。  また、NTTテレホンカードの場合は、ことしの十月三十日から、カードでも電話料金が支払えるというふうになったと聞いております。これは二年ほど前に公明党の日笠衆議院議員が大蔵委員会で取り上げまして、昨年の五月に大蔵、郵政両省が実施を約束して、今度実施されたということでございますが、テレホンカードはそれ以外に利用方法がないのか、退蔵のテレホンカード。その他プリペイドカードにもかなりの退蔵があるとすれば、何か方法がないかどうか、その点についてお聞きしたいと思います。
  46. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) プリペイドカードの中のテレホンカードを例にとって申しますと、テレホンカード発行、それからそれを所持するに至る目的というのは、もちろん主目的は電話をかけるときに使うということでございましょうが、そのほかにかなり贈答用に使われましたり、それからいろいろなデザインを工夫しましてコレクションとして集める収集家が出てくるのをねらっておるというような、そういうようなものもあるようでございます。それからまた、そういう個別のテレホンカードのデザインにつきましては、いろいろな一般人の申し込みを受け付けて、それに即応したいろいろなデザインをカード表示いたしまして、それを関係者に配ってもらったり分けてもらったりということで所持するというような動機もあるようでございます。したがいまして、そのようなところから正確なところはわかりませんけれども、かなりの使用されないまま退蔵されておるカードがある。そして、それの裏側に退蔵益が生じているんではないかということが言われておるわけでございます。  しかしながら、最近出始めましたようないろいろなカード、例えばファミリーレストランとかそのようなものにつきましては、これはどちらかというと実用向きでございまして、カードを買いましてからそのカード使用しますまでに余り時間があかない、こういうようなものはしたがって余り退蔵益が問題になることはないであろうというふうに想像されるわけでございます。  なお、退蔵益なるものがあるとした場合に、それをどのようにいわば利用方法を広げるべきかという点は、これは委員指摘のような、NTTで電話料金の支払いに使うことを認めるというような工夫を発表されたわけでございますが、そのような工夫を今後発行者にいろいろしていただくことが適当であると考えております。
  47. 和田教美

    ○和田教美君 ことしの春から夏にかけて一連の変造テレホンカード事件が摘発されました。事件内容は、テレホンカード磁気部分が改ざんされて、通話度数が五十度から千九百九十八度、約四十倍にふやした、こういうカードが大量に出回って、その改ざんカードをつくったり販売したりした者が有価証券変造罪と変造有価証券交付罪で起訴されたというものであります。  この事件は、検察当局がプリペイドカード有価証券に当たるというふうに判断をした初の起訴だったわけですけれども、これに対する一審判決が分かれております。例えば千葉地裁の一審判決は、テレホンカード有価証券に当たらないとの理由で無罪になっております。今後司法上の判断は東京高裁にゆだねられることになりますけれども、問題は有価証券とは何かということでございます。  先ほど大蔵省から、有価証券的な性格を持っているというふうなテレホンカードについての規定がございましたけれども、刑法上有価証券というのはどういうふうに定義されているのか。また、このテレホンカードについては有価証券と認定していいのかどうか。千葉地裁の一審判決とも絡んでひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
  48. 松尾邦弘

    説明員(松尾邦弘君) 刑法上の有価証券概念につきましては、次のように定義するのが通説、判例でございますが、証券に財産上の権利が表章され、その権利の行使にその証券の占有が必要なものであるということでございます。一般論として申し上げますれば、先生お尋ねのようなテレホンカードは、今申し上げました判例、通説に照らしまして刑法上の有価証券というふうに当たるものと理解しております。  なお、先生お尋ね裁判例でございますが、御指摘のように千葉地裁でこの有価証券性を否定しました一審判決が出ておりますが、これまでに合計十八件同種の一審判決が出ておりまして、このうち有価証券性を否定したものは先生御指摘の千葉地裁の一件でございます。この余の十七件につきましては有価証券性は是認しているという結果になっております。
  49. 和田教美

    ○和田教美君 次に、日本弁護士連合会から「プリペイドカード法の立法にあたっての要望書」というものが私どもの手元に寄せられております。その要望書でも、磁気記録内容の偽造改ざんが比較的容易にできるというような見解が述べられております。そして、偽造発行に対するセキュリティーの確保ができないのであれば、むしろプリペイドカードそのもの発行が否定されるべきであるというふうな見解も示されております。これを大蔵省としてどういうふうにお考えになっているのか、御見解をお聞きしたい。
  50. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 日弁連の方々からはこの前払式証票法案の制定に当たりまして貴重な御意見もいただいておるわけでございます。ただ、ただいまの御質問の点につきましては、やはりカード技術的なセキュリティーに関する規格とか安全基準というようなものは、この法律案そのもので規制することにはなじまないものがあると考えております。  この問題につきましては、カード事業がいわばまだ揺籃期にありまして、今後の技術進歩によりその向上が図られることも見込まれますことを勘案いたしますと、一律の規格によることのほか、やはり今後業界業界団体で実態に即した基準を自主的に作成し、それで時代に即した対応を行っていくことが望ましいのではないかと存じます。私どもは、むしろこの法案の一連の仕組みによりまして、金融システムとしてのいわば消費者保護作用をこの法律整備いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  51. 和田教美

    ○和田教美君 要望書では、プリペイドカード発行について、発行者側のメリットとして前受け金の運用益の享受とかあるいは退蔵益の享受だとかいうようなことを挙げまして、どうも発行者側のメリットの方がより大きいというふうな指摘がございます。その分消費者保護を十分配慮した立法を求めておりますけれども、この点について、供託割合の問題なども含めて、大蔵省として、消費者保護は十分に行われているかどうか、その辺の見解をひとつお聞きしたいと思います。
  52. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) プリペイドカードにつきましては、ただいま御指摘がありましたような発行者側のメリットもございますが、消費者にとりましても現金携帯が不要になるとか代金決済の迅速化が図られるなどのメリットはあるのでありまして、その両方の原因により最近急速に普及しているものと考えられます。  運用収益なり退蔵益なりというものは、これはカード利用の実態によって非常に大きく変わり得るものでございます。例えば極端な例を申しますと、ファミリーレストランで食事をするというときに、プレミアムがついたカードが買えるとしますと、まずそのカードを買っておいて食事をして、それから後でそのカードで代金を払いますというふうにいたしますならば、いわば実態的には商品のディスカウントと同じような効果があるわけでございます。そのようなこともございますし、その場合にはほとんど運用益も退蔵益も見込み得ないわけでございます。したがいまして、このようなものにつきまして一律に法律でその取り扱いを義務づけることは難しかろうと思っております。  それから供託割合の問題でございますが、これは前受け金保全措置として未使用残高の二分の一を供託する、銀行保証などでそれに代替できることは先ほど申し上げましたが、基本的にはその二分の一について保全措置を講ずるということでございますが、これは商品券取締法における二分の一というルールを基本的には承継したものでございます。今回その比率を加重すべき特段の事情もございませんし、また商品券取締法に比べましていろいろ届け出、登録等システム整備を図ったこともございますので、これによりまして消費者保護については一応十分目的を達成できるのではないかと考えております。
  53. 和田教美

    ○和田教美君 時間もなくなりましたから、最後の質問でございますけれども、今のお話では、供託金は商品券に関する供託金の制度を踏襲したというわけですね、五〇%供託割合は。しかし要望書では、汎用性の高い第三者発行プリペイドカード供託割合は、従来の商品券等大手デパート、スーパーがその信用力と資産力を背景に発行してきた自家型とは違って、最低限七五%の供託割合に引き上げることが必要ではないかというふうなことを言っておりますけれども、特に供託金の割合を引き上げなかった理由をもう一度御説明いただきたいと思います。
  54. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 前受け金の保全割合、これを二分の一としておりますのを四分の三とすべきではないかという議論がございますことは承知をしております。ただ、この保全割合につきましては、一つ消費者保護の充実を図る、これはもちろんでございますが、もう一つ発行者にとって過度な負担になり、創意工夫や企業経営の努力の発揮に対して過度な制約要件になるということはやはり避けなければいけないのではないかと考えておるわけでございますが、この両サイドの立場を考えましたときに、現在の商品券取締法ではやはりこのような両サイドの観点から二分の一と定めれておるものと考えられますので、今回この比率を加重すべき特段の事情を生じていないのではないかと考え、この二分の一の義務を承継することが適当と考えたものでございます。
  55. 和田教美

    ○和田教美君 終わります。
  56. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 速記をとめてください。    〔速記中止〕
  57. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 速記を起こして。
  58. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 このプリペイドカード問題で、利益を主として受けるのはカード発行会社それから物品サービス提供業者であることは明らかです。先ほど消費者のメリットがあると言いましたが、それはその反射的利益であって、やはり今回の立法で一番中心は何といっても消費者保護する制度、そして利益発行会社などが独占しないということが私は大事だと思うのです。  そこで、具体的に利益の問題でお聞きしますが、テレホンカードで申しますと未使用残高二千五百億円、オレンジカードで申しますと約二百億円。問題は、さっき退蔵益もありましたが、この運用益がNTTの場合ですと百七十五億円です。ということは、逆に申しますと先払いしている消費者はその分損したことになるわけで、こういう消費者に不利なプリペイドカードがはやるのは日本的な特質だと思いますけれども、外国にこういうぐあいに発行する方がこんなに得をするという、こういう状況はほかにあるのでしょうか。
  59. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 簡単にお答え申し上げますが、外国でも公衆電話用の前払いカード、つまりテレホンカードの事例は幾つかあるように存じます。しかしながら、そのほか交通機関の例も一、二聞いておるのでございますが、我が国のような普及状況を耳にしてはおりません。これは、一つには贈答の習慣がないとか、いろいろなことも関係しているのではないかと思われます。
  60. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私が申し上げたのは、消費者にこういういわば利益のストックの問題でも不利なものがほかには私はないんじゃないかと思うんです。問題は、巨額の退蔵益や運用益をいかに消費者に還元するかという、こういう問題だと思うんです。  そこで、具体的にお聞きしますが、通産省の諮問機関であるカード社会への対応を考える研究会の報告で、「退蔵益は基本的にカード購入者のものとして取り扱わなければならない。」ということで、消費者に還元するために「適正水準の割引・プレミアムが付与されるべきである。」、こう言っております。  そこで運輸省、郵政省にお聞きしますけれどもテレホンカード、オレンジカードの例で、どの程度のプレミアムがついているのか、その実情をこれも簡潔に言ってください。
  61. 大辻嘉郎

    説明員(大辻嘉郎君) 御説明を申し上げます。  JRオレンジカードにつきましてのプレミアムの実態でございますが、一万円券につきまして七百円、それから五千円券につきまして三百円のプレミアムをつけておるところでございます。
  62. 濱田弘二

    説明員(濱田弘二君) NTTテレホンカードでございますが、先生御案内のように、カード種類種類ございますけれども、五百円カードについては付加度数はゼロでございますが、千円カードについて五度数、三千円カードにつきまして二十度数、五千円カードにつきまして四十度数のプレミアムがつけられておるところでございます。
  63. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の答弁を聞きましても、一番よく利用されるのは大体五百円あるいは千円の少額カードなんですね。オレンジカードには五千円以上であって、ついてない。テレホンカードも千円の場合には五度数。私は、一番利用するこういったところに、またこういったところからこそ退蔵益、運用益がたくさん出ているわけですから、こういうところにやっぱり還元する。だから、こういう少額カードにもっとプレミアムをつけるということ、これは考えられないのか。どうですか。
  64. 大辻嘉郎

    説明員(大辻嘉郎君) オレンジカードの関係についてお話し申し上げます。  高額のオレンジカードにつきましては、低額のオレンジカードに比べまして一般的に引きかえの期間が長い、あるいは反復使用頻度が高いということで、いわば回数券的な要素が非常に高うございます。そういうことでプレミアムがつけられておるわけでございまして、ただ、低額のカードにつきましては、特にオレンジカード等につきましては、その頻度とか今申し上げましたような事由に乏しいという点がございます。一方でカードの製造コストにも相当のものがかかっておりますので、私どもも今の程度のプレミアムで妥当ではないかというふうに考えております。
  65. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 郵政省にお聞きしますけれども、四月からふみカード発行されていますね。これ大体九月末現在で百六十万枚発行。ストックされているもの三割か四割。プレミアムはついていない。これは唯一の政府発行カードですね。民間のカードに対してやっぱり模範を示すべき立場にあるんだと私は思うんです。これは、切手などを購入するためのもの。しかし、切手そのものがプリペイドであり、それを買うためにさらにカードだと、いわば二重の前払い、前払いというのが二重ですよね。しかも、このメリットが消費者に何も還元されていないんで、むしろ私は民間に対してひとつ模範を示すという意味でこのふみカードについても何らかの還元を図るべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  66. 藤野利行

    説明員(藤野利行君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、本年四月からふみカード発行したわけでございますが、省といたしましても、現金の授受をしないというようなメリットがあるわけでございますが、御指摘のように、切手につきましても、これは実際に張って料金を納めていただくという意味ではプリペイドカードと同様の性格がございまして、したがいまして、ふみカードにプレミアムをつけるということを考える場合には切手とのバランス等を考えなければいけないという問題がございますので、現在のところはふみカードにプレミアムはつけてございませんが、先生御指摘の点につきましては、利用状況あるいは利用者のニーズ等踏まえまして、今後慎重に検討してまいりたいと思っております。
  67. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 切手の場合はまだ一回だけだからいいけど、二回も前払いして全然プレミアムをつけないというのは、やっぱりこれ常識的にもおかしいと思うんで、ひとつ前進的に考えてほしいと思うんです。  あと、制度的な保証を若干お聞きをしたいと思うんです。  先ほども、基準日が年二回で、その間、基準日を過ぎた後大量に発行した場合どうなのかという話がありました。そういう場合が私は往々にして起きると思いますね。ということは、逆に申せば、基準日の未使用残高を少なくしておけば供託金は少なくて済むというので、これはしょっちゅう動いているものですから、年に六回ぐらい基準日があっていいのではないか。そうすると事務処理が大変だというんですが、しかしこれは罰則がついていますからね。その罰則がある以上、発行者はそのことも十分考え、自発的にそれは自分で供託すればいいんですからそんな手間じゃないんで、後で問題になったときにその点をしっかり押さえていく。私はこれ大変大事なことだと思うんですが、そういうことは考えられませんか。
  68. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 罰則がついておりますから、余計やはり正確な計算と、それに基づく的確な供託を行っていただく必要があると思いますので、やはり事務処理量も現実の問題としては無視できないと思います。そのような観点から、従来と同様に二回の基準日というものを踏襲しているわけでございますが、なおその回数の点につきまして、御指摘のようなことが実情を踏まえて可能であるかどうかも含め、今後研究してまいります。
  69. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 これは、その六カ月というのは結構経済の働きの中では長い期間ですから、ぜひ検討してほしいと思うんです。  それから、次の問題は、保全される発行保証金供託契約締結の方法によった場合に、この場合でも基準日発行残高の二分の一で済むんですね。これ、具体的な供託じゃないわけですから、発行主体の負担はそんなに大きくないですよ。だから、私はこういう供託契約締結の場合には、実際金は運用できるんですから、基準日発行残高の全額をやっぱり保全させるべきだし、また、させても私はそんな負担にならないんだと思うんですが、この点いかがですか。
  70. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 供託されております二分の一につきましても、例えば普通は国債などで供託することが多いと思うのでございますが、その国債の運用益は供託をしている方の懐に、収入に入るわけでございます。他方、保証の場合には、保証料を金融機関に支払う必要が生じますが、これはなかなかいわば相対の世界でございますので、どのような保証料で済むかということは一概には言えない。まあ、例えば安いと限ったものではないような気もいたします。したがいまして、供託に伴う負担とそれから保証に伴う負担とどちらが重いかということを一律に議論できるような性格のものではないように考えておるわけでございます。
  71. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 時間が来たので終わります。
  72. 古川太三郎

    古川太三郎君 大体論点は出尽くされたので、私の聞くところは余りないんですけれども、この法律では、商品券とか今までの法律で捕捉できるものと、第三者型の汎用カードではやはり相当の性質の違いがあるように思われてならない。  この法律ができますと、今までならそんなに信用されない、あるいはまたこれくらいなら便利性があるからそのカードを買っておこうという程度のものでありましたけれども、ひとつ法律で制度化されますと、それが何かこれは大丈夫だというように感ずる人がたくさん出てくるのではないか。そういう意味で、第三者型の汎用カードについては、また今までの商品券とかそういったものの規制よりもいま一度厳しくしなければならないんじゃないか、こういうように考えておるんですけれども、そこら辺はどうお考えですか。
  73. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 商品券とそれから第三者発行型と、確かに現在までのところ一方は紙であり、片一方は電話その他で出ておりますようなプラスチックカードであるということでかなり違うような印象をお持ちになるのかと思いますが、技術的に見ますと、この両方の間に明確な仕切りがあるわけでもなく、それからこれについての消費者保護システムをつくります場合に、その目的なりそれから態様なりを見ますと、ほとんど差異を設ける必要がないというようなことで、従来ございました商品券取締法規定をさらに抜本的に整備するという形で今回の法律案を用意させていただいたわけでございます。  ただ、その場合、第三者発行型につきましては、これは自家型発行に比べてより注意を要するものであるという点は全く御指摘のとおりであると思っております。したがいまして、この法律案につきましては第三者発行型については自家型発行が届け出であるのに対して、登録という比較的、相対的には重い手続をかけ、さらにその後のフォローアップの段階におきましても立入検査ができるとか、業務改善命令を発することができるというように、その方面の規制はいわば自家型のカード商品券に比べて重くしておるということでございます。  それから、法律ができると信用度がふえるのではないかというのは、確かに一面そのようなことはございますけれども、私どもはやはりその点は、今後カード普及するであろうというような状況も予測しまして、仮に悪質な事件が不幸にして起こりましてから後追い的に対策を講ずるというよりも、むしろ前広にできる限りの消費者保護信用秩序維持のためのシステムを今の段階から整備した方がいいであろうということで、この法案をお願いしたわけでございます。
  74. 古川太三郎

    古川太三郎君 確かにそういった点での違いはございますけれども保証金については同一の五〇%というような形になっておりますけれども、この第三者カードに関しては、これは先ほども指摘がありましたように、どこでも、だれでも、いつでも使えるようなという意味で、貨幣に限りなく近づいている。しかも日本ではそういう贈答用の慣習がございます。もしこれが大きなプレミアムとかいうことでエスカレートしていきますと、とにかく買った方が得だというような形でカードの販売会社は競争していくような感じになろうかと思うんです。そうなりますと、むしろ信用度で流通するんじゃなくて、逆に零細の本当に小さい人は、プレミアムの享受でつられて買うような関係も出てくるんじゃないか。私はそれが一番心配するところなんです。  そういう意味から、これを悪用しようと思うと計画倒産というような形も多く出るんではないか。雨後のタケノコのようにそういう企業が出まして、そういう意味からも、先ほど御指摘もありましたように年二回の検査とかあるいは保証金の五〇%というのは余りにも意味がないんではないか。私に言わせればこれは一〇〇%の保証を積んでいただきたい。少なくとも企業の方では運用益とかあるいは退蔵益が出るんですから、一〇〇%積んでもこれは何ら企業の方でのメリットがなくなるというものではないように感ずるわけです。もしそれができなければ、少なくとも三年とか五年、そういう状況を見きわめるまで一〇〇%の保証金を積んでもらいたい、こういったところが一番また非常にデメリットになる部分だと、消費者に対しての保護については、せっかく政府が関与されるんですから、そこまでの一〇〇%の自信を持っておやりになっていただきたい、こう思うんですけれども、その点はいかがですか。
  75. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 最初のお尋ねのところでございますが、貨幣に限りなく近づくという御懸念でございます。しかしながら、どこでも、だれでも、いつでも使えるというものがそれは通貨であり、貨幣でございまして、このプリペイドカードはやはり現実に発行されておりますものから見ましても、また今後非常に飛躍的に普及するといる事態を見ましても、やはりどこでも使えるというふうにはなかなかならないのではないかと思いますので、そこはやはり貨幣と同じような信用を得るということはあり得ないと私どもは考えるわけでございます。  それから、確かに販売競争、カードを売る競争が起こるということはあり得るのでありますが、何分にもこれは金を払ってカードを買う必要があるわけでございまして、しかもそれは買って持っているまでは何も得になりませんので、むしろ持っているままでありますればその資金を消費者の方で運用した方が運用益は手に入るわけでございます。したがいまして、やはりよほどのニーズをとらえませんと、それは贈答用も一つニーズではありますが、よほどのニーズをとらえませんと、金を払ってもらってそれでカードを売ることができるということはそう簡単ではないように思われます。  それから、その次に、この現在のシステム消費者保護のために十分であるかというお尋ねでございますが、それにつきましては、私どもこの法案についてそのシステムその他をいろいろ御説明申し上げたわけでありますし、それから計画倒産というようなお尋ねにつきましては、これは最初に登録を受け付けるときの問題として法律に書いてあるわけでございますが、「業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有しない法人」の登録は拒否しなければならないという規定を設けておるわけでありますし、その後の業務状況の報告などを通じましてそのような不幸な事態を極力行政的に防止をしたいと考えておるわけでございます。  もとより、私どもこの法律によりまして今後いかなる事態にも対処できるという自信があるかといえば、そこまでの自信はないのでありますし、それから機械技術面の進歩がどのように進むか、また一体現在いろいろ汎用型のカードの企画をしておる者がありますが、それは本当に発行まで踏み切るか、どのくらいまで流通に持っていけるかというのは未知数でございます。そのような状況も見きわめ、いわば大体の見通しがついたところで、現在の法律ではどうしても対応できないというところがあればそれはまたそのときに見直しをする機会もあると思うのでございますが、当面はこれだけシステムを用意いたしますれば消費者保護信用維持に一応十分備えたものと言えるのではないかと考えております。
  76. 三治重信

    ○三治重信君 この前払式証票規制等に関する法律案は、時宜に適した立法だと思って賛成をいたします。  そこで、一つお尋ねしますが、協会をつくることができるようになっているんだが、これは今もこれに類似したような発行者団体があるのかどうか。  それから、これはほとんど強制加入みたいになるんだけれども、そういうことによって国の指導監督なり補助金なりというようなものをやるような気持ちがあるのか、どれぐらいの規模でこの業務がうまいことできると思っておられるのか、そういうような協会についての考え方をお聞きしたいと思います。
  77. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) このような協会は、現在は商品券それからプリペイドカードに関連する限りではございません。  ただ、必ずしもこの法律の円滑な実施を担保しますためには行政当局だけの仕事にもなじまないところがございますので、この法案では前払式証票発行協会規定を設けまして、その業務の健全な発展に資するということを目的として設立する前払式証票発行協会について業務その他の規定を設けているわけでございます。  なお、この協会は強制加入ではございません。類似のものといたしましては、金融に関連するものから見ましても、例えば貸金業協会とか金融先物取引業協会とか抵当証券業協会とかいうような類例はございます。そのようなものも見比べながら今後協会に円滑かつ適正な運営を期待したいわけでございますが、当面まだその規模その他について具体的な御説明を申し上げられるまでの煮詰まった段階にはございません。  それから、行政当局との関係でございますが、ちょっと金銭的な意味の補助ということは考えておりませんでしたが、むしろこの法律の円滑な実施のためにいろいろと協会の方々と意思疎通を円滑に行ってまいる必要はあろうかと考えております。
  78. 三治重信

    ○三治重信君 自治省の方にお尋ねしますが、商品切手発行税について、これは特別、自治省の方で許可した場合に行うということなんだか、何か情報によると、各自治体ごとに課税の手続が異なるから不便ではないか、こういうことなんですが、これについてそういうことがあるのか。一々認可されれば認可されていいんだけれども、各地方自治体が課税するのに、業者に対して違う形式、いろいろの認可手続、課税する手続なんかを同じにしたら、そういうことは考えておられるのか。
  79. 林桂一

    説明員(林桂一君) 商品切手発行税の課税に当たりまして、その課税の対象となっております商品券等の証券といいますかカードに検印を押すという手続が必要になってくるわけでございますが、この検印が、今現在課税団体十八ございますけれども、それぞれの課税主体ごとにその検印を設けているという実態もございまして、そのために商品券等の印刷上いろいろな種類のものをつくらなければならないというようなことで、手続が煩わしいというふうな意見があるということは聞いております。こういったこともございまして、課税の手続をなるべく簡素化して納税義務者の方に多大な負担を負わせないような観点から、その手続等について現在課税団体十八団体で協議会をつくりまして、いろいろそういった点についても検討しているという段階であるというふうに伺っております。
  80. 三治重信

    ○三治重信君 この法案をつくるのに大蔵省は研究会をつくり、また通産省の方もカード社会への対応を考える研究会というようなものをおつくりになっていろいろ研究結果を公表されておられるようなんだが、これは、この法案についてその両者の意見がみんな盛られているのかどうか。
  81. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 大蔵省の立場から御説明申し上げますと、大蔵省の方ではただいま御指摘もございました大蔵省の方のプリペイドカード研究会の報告を基礎といたしまして法案の骨組みをつくり、それから極めてその初期の段階から通産省の関係当局の方々と十分な意見交換を行ったというつもりでございます。
  82. 瀬戸屋英雄

    説明員瀬戸屋英雄君) 通産省といたしましても、商務流通審議官の研究会で、カード社会への対応を考える研究会というところでいろいろ検討しております。  その結果につきましては、今回の法案をつくるに当たりまして大蔵省さんと十分に調整しております。
  83. 下村泰

    ○下村泰君 この法案は別に反対するものでもございませんので、障害者の立場からちょっと質問さしていただきます。  昨年の一月に、柏崎の国立療養所新潟病院に福祉用移動式ヘッドホンつきのカード公衆電話が取りつけられたんですが、これはだれかにヘッドホンをつけてもらって、後はカードで自由にかけられるというので大変好評なんです。ここは筋ジス病棟がありまして、御存じのように、筋ジスの方は進行すると車いす生活を強いられます。それから腕も上がりません。首も安定しなくなります。そういったことで一般の機器が使いにくくなってくるわけです。こうした障害者の方々にとって、一々財布からお金を出したり、電話のように一々投入する必要がないというので大変便利で、私から考えますと、福祉機器に近い領域にきたのかなとさえ思うことがあります。  ほかの障害者の方に伺いましても大変便利で好評なんですが、ただ、視覚障害の方については、紙幣と同じで、一体どういうカードで幾らのものになるかという識別がきちんとできないんじゃないかという不安が残るわけです。今の紙幣もそうなんですが、千円、一万円なんというもののサイズが余り変わらないんですね。以前は変わっていたからわかったわけですけれども、ところが、今のはちょっとわかりにくいんです。何かぽちぽちがあるんです。このぽちぽちもすり切れますとわかんなくなってくる。この間、視覚障害の方に伺いましたらわからなくなるのがやっぱりあるんだそうです。先日も、鍼灸師の方がただの紙切れをつかまされたという事件があったんです。  お札以上に今のカードは識別がしにくいと思うんですが、そこで、通産省の方がいらっしゃいましたら、まずお願いしたいんですが、識別の方法を何とか検討してもらえないかということなんです。今の紙幣のような記号または重さを変えるとか、あるいはサイズを変えるか、カードの角を一つ切れば五百円とか、二つ切れば千円とか、こんなようなことができるのかできないのかも専門技術的なことで私にはよくわかりませんが、そんなことは考えられるものなんでしょうか。まずお願いをしてみたいと思います。
  84. 吉田藤夫

    説明員(吉田藤夫君) お答えさせていただきます。  ただいま御指摘のありました目の不自由な方のための券面表示方法につきましては、技術的な観点から標準化の課題の一つとして検討してまいりたいと考えております。  カード種類や額面などを目の不自由な利用者が識別できるような方法としまして、例えば、今先生おっしゃいましたような紙幣に用いられているような識別符号による表示をするとか、またカード端面の切り欠き形状を工夫した表示をするとかいろんな方法が考えられますけれども、現在検討の準備を進めております標準化についての課題の一つとして今後検討してまいりたいと考えております。
  85. 下村泰

    ○下村泰君 ありがとうございます。よろしくお願いします。  それから、実はこの残高表示といいますか、残高を知る方法についても音声で知らせることができればいいなというふうに私は考えておるんですけれども、これはまた別の機会にお尋ねすることとして、法案の第十二条に「表示事項」というのがあります。こういうところに、視覚障害者のための識別についての表示というものを入れてみることなども検討してもらいたいなと思うんですが、大蔵省の方のお考えはいかがでしょうか。
  86. 橋本龍太郎

    国務大臣橋本龍太郎君) 今伺っていて、確かにそうしたことは研究する必要のある事項だと思います。ただ、今委員が例示でお述べになりましたように、現行の紙幣における凹凸による表示が、使っておってすり切れてしまうという御指摘がありました。あれなどはむしろ非常に視覚障害者の利便を思って採用したことでありますけれども、材質によってそういう問題が生じるというようなこともあります。そうなりますと、私はカード利用機器の普及状況と、その機能の中で委員が言われたような音声表示というのは、さて一体そこまで技術的にいつごろいけるんだろうという感じを率直に持ちましたが、むしろカードそのものの素材においてどういう素材を使うことによって、例えば凹凸表示が摩滅しないでそのカードの通用期間内の識別が可能になるか、そうしたことは私は今後やはり研究する必要はあると思います。  ですから、先ほどからお話がありました協会というようなものができました場合に、こうした自主的団体の場において研究していただくべきテーマの一つだな、そのように感じました。
  87. 下村泰

    ○下村泰君 大蔵大臣は大変御理解をいただくんでいつもありがたいと思っております。  もう一つ確認しておきたいんですけれども、最近こういうプリペイドカードに幾らかの寄附金をプラスして販売して、それを活動資金に充てるという新しい基金集めが、障害者団体のみならず福祉関係団体、全体でも多くなってきました。これがなかなか好調なようなんですけれども、この法案提出の背景にもありますように、消費者保護という立場で考えますと、カンパして購入した人も販売した団体もいわば消費者ですから、うまくいっているときはいいんですけれども、倒産などの事態が起きると一体どういうトラブルが起きるのか、はっきり予測はできないわけです。一抹の不安が残るんですが、とにかくそういう点からもこの法案の趣旨にのっとって十分な対応を今後ともお願いしたいと思います。ここでひとつ大臣によろしくお願いをしておきたい。
  88. 土田正顕

    政府委員(土田正顕君) 御趣旨を十分拝承したわけでございますが、ややシステム的に申しますと、今のお話は、テレホンカードならテレホンカードにいわばチャリティーの金額を上乗せしたものを間に関係の団体の方が入ってそれを転売するというようなことではないかと想像いたします。  この法律案では、行政上必要な規制を行う、また状況によってこれに対していろいろな指導を行う対象といたしましてはこのカード発行者を考えておるものでございまして、プリペイドカードを転売した者がこの法律案に基づいて義務を課せられるということはないと思っております。それから、委託販売のケースではございましても、委託販売者がこの法律案に基づいて義務を課せられるということはないというふうに考えております。
  89. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  前払式証票規制等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  92. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 次に、請願の審査を行います。  第八〇二号パート・内職・家内労働者課税最低限度額の引上げに関する請願外四件を議題といたします。  これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、いずれも保留とすることに意見が一致いたしました。  以上のとおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ─────────────
  94. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。  租税及び金融等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 藤井孝男

    委員長藤井孝男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十五分散会