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梶原清君 北海道への
委員派遣について、その概要を申し上げます。
去る九月五日から七日までの三日間にわたり、
藤井委員長、
久保理事、
本岡理事、
峯山理事、
石川委員、
藤田委員、
村田委員、
近藤委員、古川
委員及び私
梶原の十名は、北海道財務局、札幌国税局、札幌国税不服審判所、函館税関、函館税務署及び
日本たばこ産業株式会社札幌支店から、それぞれ管内の概況説明を聴取するとともに、民間金融機関及び納税協力団体との
意見交換を行ったほか、
日本たばこ産業株式会社函館工場等を視察してまいりました。
以下、
調査の概要について申し上げます。
北海道は面積が全国の約二二%と広大であるのに対し、人口は全国の五%足らずと人口密度は低く、その中にあって全道の人口の二八%強が札幌市に一極集中しており、その影響は北海道
経済全体に及んでおります。
産業
構造面では、総生産額は全国の四%弱とシェアは低く、構成比では第一次産業、第三次産業の
割合が高いのに対し、第二次産業の
割合は低く、特に製造業のシェアは全国
水準の半分以下となっております。また、総資本形成のうち、公的資本形成は全国
水準の二倍弱と公共事業への依存度がかなり高いと言えるほか、貿易面では輸入額が輸出額の約六倍弱と大幅な輸入超過となっております。
最近の北海道
経済を見ますと、物価安定のもとで、盛り上がりを見せる
個人消費、設備投資等による景気押し上げ効果により、昨年度に引き続き
拡大基調にあり、
企業の経営
判断も明るい見通しとなっております。
景気拡大の支え役である住宅投資や公共投資は好調で、住宅投資は高
水準を維持し、公出投資もゼロ国債等により発注はスムーズに進んでおります。さらに、景気のリード役として、
個人消費は大型小売店売り上げが好調で、設備投資も製造業、非製造業とも前年度を上回る見通しとなっており、観光も引き続き好調を維持しているほか、雇用面も一段と改善が進んでおります。
次に、金融面についてであります。
北海道では、信用金庫、漁協、郵便局など中小金融機関の店舗が多く、預貯金の
ウエートも高くなっており、特に、信用金庫は一五%と全国
水準を五%ポイント上回っております。また、公共事業が多いこともあり、貸出金残高に占める公的資金の
ウエートはかなり高くなっております。
預貸金の全国シェアでは、預貯金が三%、貸出金が三・二%と低く、伸び率も全国平均を下回っており、これを道内について見た場合、札幌市とそれ以外の貸し出しに格差が目立っております。
金融機関との
意見交換においては、各金融機関は金融ニーズの多様化・高度化が進む中で、地域
経済の活性化、本州との域際収支のアンバランスの補完などに努めており、資金調達、リスク管理などに
対応するための
制度面からの配慮を求める
意見が多く出されました。
次に、税務行政についてであります。
札幌国税局管内の
昭和六十三年度の徴収決定済み額は、一兆一千九百六億円と全国に占める
割合は二・三%であり、六十二年度に比べ五・三%の伸び率となっております。これを税目別に見ますと、好調な景気を反映して申告
所得税と
法人税の増加が大きく寄与しております。また、税目別構成比では、全国に比べて源泉
所得税の
ウエートが高く、
法人税割合が低いのが特色と言えます。
税務行政の高度化・複雑化が進む中で、過去十年間の徴収決定済み額、申告
納税者数、
法人数などがそれぞれ増加する一方、定員はほぼ横ばいであり、税務当局としては業務の合理化・機械化に力を注いでいるとのことでありました。
また、
昭和六十三年度の国税不服審査の要処理件数は百四十八件で、そのうち九十五件が処理されており、その他、
給与所得事案に係る審査請求も多く出されております。
納税協力団体との
意見交換では、日ごろ、税に関する知識の普及
拡大や
納税者意識の高揚などに努めている各団体が、新たに導入された
消費税の
理解・研修などに当たっており、今後とも小規模事業者に対する配慮を求める
意見などが出されました。
なお、函館税務署において、概況説明を聴取した後、署内の業務状況の視察を行っております。
次に、税関行政についてであります。
函館税関の管轄面積は全国の三〇%であり、海岸線距離では二五%と、非常に広い区域を管轄し、また、昨年七月の新千歳空港の供用開始により航空貨物が増加するとともに、北海道を中心として輸出貨物の需要創出に努めていることから、適正かつ迅速な業務処理が求められております。
管内の貿易
構造は、輸出額が九百七十一億円であるのに対し、輸入額は五千七百五十億円と輸入主導型となっております。これを対前年比で見ますと、輸出貿易額は横ばい、輸入貿易額は非鉄金属やトウモロコシの伸びが大きく、七%の増加と過去最高となっております。
なお、函館税関では、税関監視艇により函館港を視察いたしております。
次に、たばこ事業についてでありますが、
昭和六十三年度の販売数量は約百四十一億本、販売代
金は千五百億円と、全国に占める
割合は約五%と低く、販売数量を前年比で見ますと、関税無税化、
外国たばこの価格
引き下げ等により約八%減少しております。また、特徴としては、喫煙率が全国に比べて高く、輸入たばこシェアが北海道は全国で最も高くなっております。
最後に、視察先について簡単に紹介しますと、まず、
日本たばこ産業の函館工場は、
昭和四十七年に現在地に新築移転したもので、セブンスター、マイルドセブン及びマイルドライトを主力銘柄として、年間約七十八億本を生産し、ほとんどが道内で
消費されております。
雪印乳業は、北海道に酪農を定着させ、牛乳、乳製品によって
国民の食生活と健康に資するため、大正十四年に北海道製酪販売組合として出発したもので、食と健康に関連する分野に事業展開しております。
さらに、サッポロビールは、明治九年の開拓使麦酒醸造所を原点とし、百十年に及ぶ歴史を誇る
企業で、最近では近代的な北海道工場を新設するなど、健康で文化的な
国民生活に貢献しております。
以上、概略を申し述べましたが、今回の派遣におきまして
調査に御協力いただきました関係行政機関、団体、事業場の方々に対し、この席をかりまして厚く御礼を申し上げ、派遣報告を終わります。