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山岡賢次君 考え方は先ほ
ども伺いましてよくわかりましたと申し上げているんです。配慮してやっているとおっしゃるから、どういうふうに配慮しているかと、こういうふうにお
伺いを申し上
げたわけでございます。
まとめて申し上げますと、金融機関の場合は、累積債務問題への対応、国際的な統一自己資本
比率の達成、維持など、実はこういう問題もまた今抱えている問題でございます。銀行経営の質的な充実を図るという観点から、昨年七月に、先進各国政策当局の参加により自己資本
比率規制の国際統一基準、こういうものが設定されたわけでございまして、我が国でも昨年の三月にさかのぼってこれが実施されているのであります。国際金融機関は、将来にわたって一定の自己資本
比率を達成、維持していくことが我が国に求められているわけでございまして、現在都市銀行の自己資本
比率というのは経過基準で平均九・一%、確かに八%の最低基準はクリアしているわけでございますが、最終ベースで最も低い銀行で今七・一%、こういう数字でございまして、最も高い銀行で八・六%、銀行によってはまだ相当なばらつきがあるわけでございまして、十三行中七行が最終基準をクリアしていない、こういう現実もあるわけでございます。
国際統一基準の自己資本
比率、これは単なる努力目標で定められているわけではないのでありまして、国際金融業を営む銀行の最低基準としてG10諸国間で合意されているものなのであります。したがって、この最低基準をクリアできなかった銀行は国際金融分野から締め出されかねない、こういう新しい問題もあるということをぜひ御念頭に入れておいていただきたいと思うわけでございます。
また、仮にこの所定の自己資本
比率を達成したとしても、分子である自己資本の充実が図られなければ、一定の自己資本
比率を維持していくためには分母である貸し出し等を圧縮しなければならないんです。貸し出しができないんです。このことは銀行の経営のみならず、
国民経済に重大な影響を及ぼすことになるわけでございます。
そのような観点から、貸倒引当金の圧縮ということは、
国民生活の安心、安定という上においても、また
個人、中小企業にとりましても、国際的
責任を果たす上においても大変大きな問題であって、今は金融・保険業
一つを例にとってみてこれだけいろいろな多様性があるわけでございますから、この点を十分考えてやらなければならないと思うわけでございます。
金融はやめまして、もう時間がありませんから、引当金全体について申し上げますと、引当金と留保金といった種類の積立金あるいは準備金と間違った議論がよくなされるんです、この何とかベースをいろいろと言いながら。しかし、この引当金というのは、
一般的、偶発的、不確定な損失に備えるものであるわけでございまして、これは非常に保険と似ているんです。そして、一方においては利益がある場合に限って積み立てができる、これが積立金、準備金になるわけでございまして、性格がおのずと異なって、前者は特定の目的のために正確な期間損益計算上必須のものとして、利益があろうがなかろうが引き当てを求められている、こういうものであるんですね。
したがって、利益があろうがなかろうが、これは安全のために引き当てなきゃならぬ、こうなっているもので、経営の当然必要な
経費なんでございます。そういう内容や変化、こういうものをよくとらまえて、時勢に合わせて課税していくのがこれからの
税制であるんではないかと思うわけでございます。
政府のことは言いたくありませんが、金があるから
政府が取っておるから、何となくそこからいただいてもよろしいんじゃないかと、それだけではどうも論理に乏しい、こういうことを申し上げたいわけでございます。
時間がなくなってきて、外国税額控除あるいは不公平
税制についていろいろそれぞれお聞きしたいんですが、これは時間があれば後からお聞きすることにいたしまして、次に、キャピタルゲインについてお尋ねを申し上げます。
野党の代替財源案には
個人の
株式売却益に対する源泉分離課
税制度に関して、一取引当たりの
株式売却益を七%とみなす、これに二〇%の税率を掛けて売り上げの一・四%と、こういう案でございますが、これは現行一%の四〇%にもわたる増税であります。有取税の〇・三%から〇・四%、この引き上げと相まって、証券市場に重大な影響を与えるおそれがある。これは今まで前の方が
指摘したところでございます。
そこで、
野党は
税制再改革
法案の中で「総合課税を一層推進する」、総合課税については時間があったら後でお聞きしたいんですが、「所得税体系の再構築を図る」、こういうふうに言っておられるわけでございます。基本的な方向を言っておられる。しかし結局今回具体的に出ているこの代替財源措置としては、源泉分離課税のみの強化が目立っているわけでございますが、その点について何ゆえこのところに課税をするのかお聞かせをいただきたいと思います。