○
及川順郎君 今回、この
委員会で審議を
願い、私
たちが
成立を期しております法案は、御承知のように消費税廃止法案、さらにまた
税制再
改革基本法案と代替財源法案、この三つでございますが、この関連九法案につきましては、私は、やはりこの法案がどうして今消費税廃止なのかということと、この法案を出さなければならなかったその背景というものは極めて大事であると思うわけでございます。
そういう
意味におきまして、消費税が実施されましてから今日まで国民がどのように消費税実施の
状況を受けとめているかということは極めて重要な問題である。そういうことで私は前半、この消費税に対する国民の皆さんの気持ちというものを中心にしまして、この法案を提出する私
たちの趣旨というものを御
理解賜りたい、そしてこの法案に対するさまざまな御意見に対する私
たちの
考え方、そしてまた
発議者の意見を承りたい、このように思うわけでございます。
さて、
発議者の皆さん、午前中から専門的な、大変恐縮でございますけれ
ども細かな問題が出ました。活字一字が人を殺す場合もあるし、また国を動かす場合もある、そういう
意味におきまして私はこの問題を軽く見る気持ちはございませんが、やはりこの
議員立法の趣旨というものは、立法をされたその内容を真摯に受けとめていくことが大事ではないか。
この
委員会が始まりましてから、さまざまな声が私のところにも寄せられました。
発議者の皆さんのところにもそういう声がたくさん来ておられると思います。報道
関係の御
努力もありまして、報道機関に掲載されるこの法案にかかわる記事も大変多く出ております。私は、数日前の、当
委員会が始まりましたその前後からの
新聞をずっと読んでおりまして、その中で
新聞社が企画されたもの、そして納税者の告発、こういうものを中心にしまして少し整理をいたしました。その中から、大変この消費税の本質をついた内容を
二つほど紹介させていただきまして、
発議者のそうした実情を踏まえた所見をまず承りたいと思います。
これは数日前のある報道機関に載せられた記事でございます。
埼玉県春日部市のスーパー。同じ容量の牛乳パックが並ぶ。出荷されたばかりのが百九十八円、やや日がたったのが百六十八円。A子さんはちゅうちょなく古い(安い)方に手を伸ばした。
「味は二の次。おなかをこわさなければいい。四月からずっとこうです。」
二年前に夫を輪禍で失った。高校一年を頭に育ち盛りの子供四人。二歳弱の二男を連れての化粧品セールス。月平均六万円の収入だ。もちろん所得税はゼロ。この収入と預金の取り崩しで生活を支える。食費に回せるのはぎりぎり六万円。野菜は市場価格が下がる旬に限り、おやつを減らし、と一カ月に約二千円を切り詰め、消費税分をひねり出してきた。「今や消費税は国民生活の中に定着してまいりました」――。
国会で繰り返される
政府答弁。A子さん一家には皮肉にしか聞こえない。
「この菓子、子供が喜ぶんだけど……」。買い物のたびに味わう、この切実な思いに「慣れ」はない。
日本生活協同組合連合会がまとめた九月の家計
調査によると、月収四十万円以上五十万円未満の家庭の消費税負担割合は一・七%。これに対し三十万円未満では二・二%、十五万五千円の年金世帯では三・三%と、金持ちほど軽くなる消費税の逆進性がはっきり証明された。
このように述べられております。
もう
一つは、これは納税者の告発です。
老人福祉や弱い
立場の人達のための消費税導入と海部総理や時の
政府は言っている。だが今、一番痛手を受けているのが、老人や福祉家庭という低所得者及び一般大衆である。
定価が定価としての役割を完全に消滅させたのも、消費税の弊害であろう。われわれは支払った三%の消費税がそのまま、ストレートに税務署に納入されればムキになって
発言はしない。
ところが、支払った税金が商店の売り上げ事情によって、税務署に納入しなくてもよいというばかげた税である。われわれが支払った税金が中間で消えるという事実をどう説明するのか。
われわれが支払った消費税が税務署に届かない事実。届かない消費税が、老人福祉や弱い
立場の人
たちをどう救えるのか。子をしかるとき、親は必ず子の逃げる道を作っておくという先人の知恵も、今の
政府には通じないのではないか。
という告発でございます。
私は、法律の細かな
論議も大事でございますが、こうした思いを持って、消費税実施後、その実施された法律を国民の一人として守ってはいるけれ
どもそれを認めていないという、こういう最前線の人
たちの気持ちを大切にしなければならないのではないか。私
たち国民に選ばれてこの立法府で働かせていただいておる者といたしましては、やはり国民の気持ちを大事にして立法活動をしていくというのがその本旨であると思うわけでございます。特に、この二点目の、納税者の告発にありました支払った税が税務署に、国に届かない、これは本気になって改正すれば改正できる内容でございます。しかし、参議院選挙のときにいろいろ
発言されていた
状況がずっと後退をいたしまして、最近では、そのもとになっております簡易課
税制度についての声は、改正するのかどうなのか、余り聞こえなくなってきた。私はその内容については後から
議論したいと思います。
こうした実情、むしろ業界とのヒアリングの中でこれは先約があったんじゃないかな、こういう感じを抱かざるを得ない
状況もあるわけでございまして、こうした
状況を踏まえて、今なぜ消費税廃止なのか、このことを国民の気持ちを踏まえて
発議者の方に御
見解を賜りたいと思います。