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1989-11-15 第116回国会 参議院 税制問題等に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十五日(水曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  十一月十五日     辞任         補欠選任      大渕 絹子君     岩本 久人君      秋山  肇君     野末 陳平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中村 太郎君     理 事                 井上 吉夫君                 沓掛 哲男君                 宮澤  弘君                 村上 正邦君                 稲村 稔夫君                 及川 一夫君                 本岡 昭次君                 矢原 秀男君                 近藤 忠孝君                 古川太三郎君                 寺崎 昭久君     委 員                 伊江 朝雄君                 小野 清子君                 大木  浩君                 梶原  清君                 鎌田 要人君                 北  修二君                 久世 公堯君                 佐々木 満君                 谷川 寛三君                 前島英三郎君                 松浦  功君                 松浦 孝治君                 守住 有信君                 山岡 賢次君                 吉川 芳男君                 穐山  篤君                 岩本 久人君                 上野 雄文君                 粕谷 照美君                 渕上 貞雄君                 細谷 昭雄君                 前畑 幸子君                 村田 誠醇君                 安恒 良一君                 山口 哲夫君                 刈田 貞子君                 常松 克安君                 和田 教美君                 橋本  敦君                 高井 和伸君                 三治 重信君                 平野  清君                 野末 陳平君    委員以外の議員        発  議  者  久保  亘君        発  議  者  佐藤 三吾君        発  議  者  梶原 敬義君        発  議  者  小川 仁一君        発  議  者  峯山 昭範君        発  議  者  太田 淳夫君        発  議  者  笹野 貞子君        発  議  者  勝木 健司君    国務大臣        外 務 大 臣  中山 太郎君    政府委員        外務省アジア局        長        谷野作太郎君        外務省北米局長  有馬 龍夫君        外務省欧亜局長  都甲 岳洋君        外務省条約局長  福田  博君        外務省情報調査        局長       山下新太郎君        自治省財政局長  持永 堯民君        自治省税務局長  湯浅 利夫君    事務局側        常任委員会専門        員        竹村  晟君        常任委員会専門        員        保家 茂彰君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○消費税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○消費譲与税法廃止する法律案久保亘君外七名発議) ○地方交付税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○税制改革基本法案久保亘君外七名発議) ○法人税法等の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議) ○通行税法案久保亘君外七名発議) ○物品税法案久保亘君外七名発議) ○入場税法案久保亘君外七名発議) ○地方税法の一部を改正する法律案久保亘君外七名発議)     ─────────────
  2. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を開会いたします。  消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題といたします。  前回に引き続き、質疑を行います。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 本岡昭次

    本岡昭次君 いよいよきょうで二日目の、消費税廃止法案を含む関連法案委員会審議が始まったわけであります。四党を代表される八人の発議者皆さん、本当に御苦労さまでございます。  日本では、納税者である国民国民みずから主張する税法をかち取った歴史はありません。私たちは、民主主義の原点に立ち返り、民主的に民主的な税制の再改革国民とともにかち取っていく歴史的なスタートを今、切ったのであります。経済一流政治は三流と言われる日本政治一流にしていくため、私たちは今この議員立法審議を始めております。議院内閣制のもとでの議員立法は、政府提案する法律に比べ、法案作成から審議、そして採決において厳しいハンディを強いられています。国権の最高機関としての国会にふさわしい議員立法活動ができるよう国会法の改正を急がなければならないと私は考えます。  しかし、皆さんには、さき参議院選挙リクルート事件消費税などについて、もう政府自民党にはだまされないぞと大きな力を結集させ、自民党を大敗させ、その結果として参議院与野党逆転させた国民の大きな支援があるのであります。法案成立に向けて、ともに私も賛同者として頑張ってまいりたいと思います。  そこで私は、法案に対する質問に先立って、各党代表して発議者の中からお一人お一人にこの法案審議に当たっての決意を、感想でも結構でございますから、簡単に伺っておきたいと思います。
  4. 小川仁一

    委員以外の議員小川仁一君) ただいま本岡委員からの御質問がございましたが、社会党の基本的な性格あるいは抱負を申し上げてみたいと思い ます。  我々は、消費税廃止を求める多くの国民期待にこたえるために、参議院選挙の大勝の結果を受けて、選挙後、直ちに税制改革に対しての共同法案づくりを行ってまいったところでございます。そして、多数の賛同者をいただきまして、四会派共同消費税廃止関連法案提案することができました。本日、この場に立った意味はそういう立場からも大変大きなものだと考えております。ふなれなものでございますから、答弁等も不十分な面があるかと思いますが、委員長初め委員皆様、どうぞよろしく御鞭撻のほどをお願い申し上げておきます。  さて、振り返ってみますと、今までの国会審議は、行政官庁野党議論、こういった性格が強くて、議員同士が本格的な論議をするという形は少ない、こういう状況でございました。今度の消費税はこういう重要な議題でございますだけに、どうか国民皆さんの前でお互いの意見を披瀝し合って、本当の意味法律案ができ上がることを心から期待しているわけであります。先ほど質問者から歴史が動く、こういう歴史の変わり目というお話がございました。確かに今までの議会制民主主義、それが大きく変わろうとしている状況でございます。我々も懸命に努力をいたしたいと考えております。  法案趣旨は、もうおわかりのとおり、消費税廃止する法律案、もう一つは、今後の国民合意と理解を得るための税制改革基本法案でございます。この税制改革ということは、どうしてもこれからの国家の背骨である税制を民主的につくり上げるために国民合意を十分いただいたものをつくらなければ、日本の将来、経済あるいは政治の将来にプラスする面がないだろうと考えて、公平公正な立場から民意の反映の法律をつくろうと考えております。  御承知のように、基本法案では、税制改革趣旨二つ目には環境整備三つ目には基本原則及び基本方針、そして国民税制改革協議会を設置しているところでございます。現在、将来の経済社会に対応する新しい日本が担うべき政治経済の根本になる税制をつくり上げるために懸命に国民の多くの皆さんに訴えて、今までの国民の方々の御意思をいただいて成立をさせたいと考えているところでございます。
  5. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 本岡委員の御質問にお答えいたします。  ただいま小川議員の方からもお話がございましたが、ことしの夏の参議院選挙、その最大の争点は、リクルート問題もございましたけれども、何と申しましても、消費税廃止見直しかということでございました。その結果、大多数の国民皆さん方野党の主張しておりました消費税廃止を支持されたわけでございます。自民党は大敗し、参議院では、国民の要望されましたように、与野党議席数逆転がなされました。  本岡委員後ろをごらんになっていただきますとおわかりのように、今までこの委員会室発議者後ろはほとんど自民党議員さんでございました。今は社会党皆さん方がお座りになっていらっしゃいます。あちらの方には心優しいマドンナの皆さん方がお見えになっていらっしゃいます。私たち参議院選挙の結果についてはじくじたるものもございますけれども、しかし参議院選挙を通して国民皆様方が御選択をされました消費税廃止、これは私たち参議院選挙公約として国民皆様方と約束をいたしました以上はこれを実現していかなきゃならない、そういう決意でございます。  そこで、我々野党消費税廃止関連法案をこの国会提出いたしまして、今この税制改革特別委員会で御審議を賜っております。それぞれ四党よって立つところの基盤も違います。あるいは歴史、政策、運動、いろんな点で相違はございます。しかし、国民皆様方と約束した以上は、この相違点お互いに乗り越えて、今、法案作成提出に結集をして頑張ってまいりました。日本政治史上あるいは国会史上これは画期的なことではないかと私たちも確信をいたしております。このことがやはり政権交代を強いる野党連合政権構想への大きな飛躍台となれば幸いである、このように私は思っております。  最後に、消費税の持っておりますところの構造的な欠陥については、委員皆様方既に先刻御承知だと思います。竹下元総理がおっしゃっておりましたように、あの社会的に立場の弱い皆さん方に対する大きな負担を強いるところの逆進性の問題、あるいは国民皆様方税金を納めたと思って払ってみえるこの消費税の一部が国庫に納入されていないというような税制に対する不信感、こういうものは、今自民党が一生懸命見直しのことをおっしゃっておりますが、どんな見直しをしてもこれは絶対に解決されることはないと私は思っております。今こうして、国民皆さん方選択をしていただきました消費税廃止法案、私たちはこの委員会提出をいたしております。何とぞ速やかな御審議を賜りまして、どうか一日も早い可決を賜りますよう心からお願い申し上げまして、御答弁とさせていただきます。どうもありがとうございました。
  6. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 本岡議員の冒頭のごあいさつ、大変高邁な御趣旨に対し、私は心から賛同を申し上げたいと思います。  私たち連合参議院も、さき参議院選挙では、国民消費税反対、そしてリクルート疑惑の徹底した究明という国民の声を背に受けまして、十二人圧勝してまいりました。  議会というのは、本来、民主主義の最もお手本になる場であります。しかし、私は民主主義をこよなく愛し、その実現のために努力してまいりましたけれども、最も民主主義の中心であるべきこの議会は余り民主主義とは言えませんでした。そして、きょうこうやって議員提出によって議員同士が討議できるというのは、日本にもちょっとは民主主義議会政治が定着しつつあるのではないかというふうに私は思います。そして私は、国民消費税廃止というこの声を背に受けながら、この消費税廃止法案を速やかに可決するよう努力をしたいと思っております。これからは自民党皆様方も私たち議員同士議論をするよう、余り行政の力をかりずにこのような形で議論をいたしたいというふうに思います。  私は当選したばかりですけれども、力の限り国民の声をこの場で代表いたしたいというふうに思っておりますので、どうぞ自民党の諸先生方、ひとつ私に一生懸命応援していただきますことをお願いいたしまして、今の御質問に答えさせていただきます。
  7. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 私ども民社党も、さき参議院選挙消費税の撤回、また税制改革やり直し国民に訴えてきたわけでございます。  選挙の結果は、御案内のように消費税見直しを訴えました自民党が大敗をしたということで、国民消費税廃止すべきだとの審判を下したのであります。私は、この国民の厳粛な声に基づきまして、まず消費税廃止する、そして国民合意に基づいて高齢化社会福祉ビジョン行財政改革中期計画を策定し、その上で税制改革をやり直すことこそが政治家の責務であるというふうに強調したいのであります。  民社党は、消費税導入には一貫して反対してまいりました。消費税は、衆参議院におきましても自民党強行採決するなど民主主義的なルールを無視し、国民合意もなく拙速に導入されました税制であります。我が党も衆参の本会議におきまして、消費税導入を柱とする政府税制改革関連法案に堂々と反対票を投じたことを主張したいのであります。また、消費税は多くの矛盾と欠陥を内包した悪税であるというふうに思います。消費税は水、食料、家賃などの生存の源にまで課税する税制であり、低所得者年金受給者など社会的弱者生活を圧迫しているものと断ぜざるを得ないものであります。また、便乗値上げが多発し、競争力の弱い事業者転嫁ができず自分で税をかぶらなければならないなどの深刻な問題が現在生 じております。さらに免税点制度簡易課税制度限界控除制度などを設けたため、消費者が払った税金国庫に入らないという重大な欠陥がありまして、国民の怒りの的となっていることを指摘したいのであります。  今まさに消費税廃止税制改革やり直しこそが国民の声であり、私ども提案しております九法案を真剣に審議し、これを成立させる以外に道はないものと考えるものであります。消費税見直し公約しながらその法案提出せずに、私どもの案についてまじめに議論をやらないという姿勢はとらないでいただきたいというふうに思います。  私は、この九法案成立するか否かが平成の時代のかぎを握っているものと考えるものであります。これら法案成立させ、我が国税制史に新たな大きな一ページが開かれんことを強く望むものであります。私ども民社党はこれら法案成立に向け、提案会派一体となりまして全力を注いでいく決意であります。
  8. 本岡昭次

    本岡昭次君 ありがとうございました。  今それぞれ各党代表ということで、この消費税法廃止法案を含む関連法案をどういう立場に立って出したのか、それを成立させるために四会派がどのように結束して国民期待にこたえなければならないか、こうしたことが今の各会派代表者発言によって明らかになった、このように思うわけであります。  しかしながら、この九法案提案しましたのは我々四会派だけでなく、さらに賛同者がその周辺にいるわけであります。四会派以外に参院クラブ、さらに一部無所属の議員皆さんの賛成によってこの消費税廃止関連法案が本格的に審議をされるに至ったということは、今各会派代表される皆さん方がこもごもにおっしゃいましたように、我が国憲政史上偉大な第一歩をしるす壮挙であるという自覚を私たちは持たなければならぬと思います。  政府と与党である自民党は、みずからの今までの消費税導入等々にかかわる一連の活動について、私の見る限りほとんど反省というものが見られておりません。また、選挙公約であった消費税見直し具体的内容というものも、新聞紙上でいろいろかいま見ることができますけれども、いまだにはっきりとした姿が見えてまいりません。そして、一方では、きのうの質問の中にも見られますように、発議者提案の、私から見れば揚げ足取りというふうな事柄に躍起になっているように思えてならないのであります。口先では国会審議するところであるといろいろおっしゃりながらも、今まで強行採決強行採決を繰り返してきたというふうなことにはほとんど触れられず、四会派行政官庁のバックアップもなくみずからの手で法案作成し、そして議員提案として今ここで本格的な審議をやろうとしているわけでありますが、この貴重な経験、そしてこの共同提案というふうなものを積み重ねることによって本来の立法府の機能を我々がつくり上げていこうということについても、同じ政党であり同じ議員ということで、いま少しそうした問題に対しての積極的な態勢というものが自民党にも立法府という立場からあってもいいんじゃないかというふうなことを、私は今日までの過程の中で思うわけであります。  法案提出質疑に当たって、発議者に、今私が言いましたような問題に対してどういうふうなお考えを持っておられますか、その抱負をお聞かせいただきたいと思います。
  9. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 本岡君にお答えいたします。  今国会は、議員も御存じのとおり、参議院選挙後の特別国会と言ってもいいような国会でございます。そして、消費税国会とも言われているような国会でございます。私どもはことしの参議院選挙におきまして、委員もおっしゃいましたように、消費税廃止国民皆さんにお約束いたしまして選挙を戦ったわけであります。委員がおっしゃるとおりであります。そして、自民党さんは見直しということで戦ったわけであります。  したがいまして、見直しの案がこの国会に出てくるであろう、それに対しまして私ども廃止法案をとにかく一日も早くつくって、そして審議をいただいて国民負託にこたえなければならない、そういう決意で実は取り組んでまいりました。したがいまして、きょうこのようにこの廃止法案皆さん方のこの委員会におきまして審議が始まったということ自体私どもは非常に感激でございますし、私どもの背にはたくさんの国民皆さん方がついている、私はこういうふうに感じております。  また、選挙におきます公約というのは議会制民主主義の上からいきましてもこれ以上重大なものはないと思っております。実は私は、この選挙におけるいろんな公約あるいは自民党総理や役職の皆さん方選挙でどういう公約をされたかということを書いた資料をここに持ってきておりますが、いずれにいたしましても、いろんな資料から見ましても、今度の国会廃止見直しという二つ法案国会に出て、この議会審議をされるというのが国民負託にこたえた一番の道であろう、私はこういうふうに思います。  特に私が感じますのは、国民皆様方が今私ども政治家に対してあるいは税に対して不信を持っておる、この不信という問題を解消しなければいけないと私は思っているわけであります。皆さん方も御承知のとおり、税制というのは、先ほど委員お話の中にもございましたように国民の信頼と合意という問題があって初めて成り立つ問題であります。そういうふうな意味では、今大きくなっております国民の税に対する不信感を一日も早く解消いたしまして、国民合意の上に立った税制改革というものを確立していかなければいけない。そのための初めのいわゆる環境整備が今回のこの法案成立にも当たると、私はこう思うわけでございまして、ぜひともこの法案の一日も早い成立を心からお願い申し上げる次第でございます。
  10. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 私は、昨年の十二月二十一日に政府消費税を柱とする税制改革法案がこの場で強行採決をされましたときにその後ろ傍聴席におったわけですが、ふっと気がついてみましたら委員長席の近くまで飛び出しておりました。そのときに、本当にあの強行採決があった後、私はむなしい気持ちと強い憤りを覚えました。こんなことで我が国国会議会制民主主義というものがいいのか、このように本当に強く感じました。そして、二十三日から二十四日にかけて昼夜の本会議において私ども本当に抵抗しながら、何とかこの弱い者いじめ消費税をあきらめてもらうために一生懸命頑張ったのですが、ついに力が尽きて消費税可決をされました。  そのときにとっさに頭に浮かんだのは、これはもうこの国会委員会強行採決状況やあるいは数の多数による自民党の一党やりたいほうだいの政治というものを帰って有権者に訴えて、そして消費税、これを国民皆さんに信を問うしかない、このように考えて、一心に有権者皆さん状況を訴え、消費税の持つ意味、まさに逆進性、弱い者いじめ消費税、そして仕事のない人、赤ちゃんのミルク代からあるいはお年寄りまですべての生活面にわたって税金を取るというこの消費税のあり方に対して私は徹底して訴えてまいったところであります。そして、その結果、本当に多くの有権者皆さんから御支持、御支援をいただきました。その全国持ち寄った結果が参議院における与野党逆転、こういうような結果になったわけであります。  したがいまして、有権者国民皆さんは、この公約違反の弱い者いじめ消費税、また中小企業にとりましては価格転嫁ができない、経費がどんどんかかるこの消費税、そして国民が納めた消費税の一部が国庫に入らないこの消費税廃止は当然この選挙の結果で出た、私はこのように考えておるわけでございます。  政府自民党は、高齢化社会に対応するために今回この税制改革消費税導入を行ったのだと、このように繰り返し繰り返し答えております。し かし、よく見ますと、高齢化社会社会保障やあるいは福祉の部面に一体この三%の消費税が回っているのか回っていないのか、それを調べてまいりました。すなわち、この三%で徴収される消費税からの財源は六十三年度ベースで約五兆四千億円、一方、歳出の面で見ますと、比較的所得の高い層の所得税減税に約三兆三千億円、大企業等法人税減税に約一兆八千億円、そして相続税に七千億円、さらにまた既存の間接税廃止に三兆四千億円となっておりまして、差し引き二兆六千億円の財源不足が生じておるわけでありますから、高齢化社会福祉社会保障に、この三%の消費税財源の徴収というのは全く配慮されていないわけであります。このような全く国民を欺く欺瞞性の強い消費税大型間接税は当然廃止をするというのが私は結論だと考えております。  また、廃止か存続かについては、最近いろいろな世論調査の結果もありますが、議会制民主主義の精神に従って選挙の結果がすべて、選挙の結果が何よりも優先されるべきだ、このように考えておるわけでございます。
  11. 本岡昭次

    本岡昭次君 今こもごもに消費税廃止正当性妥当性というものの主張があったわけであります。そして公約違反という問題についての言及もありました。  それで、まず私は、公約違反というこの問題は、やはりもっときめ細かく追及をしておかなければならないと思うものであります。公約違反ということは民主主義ルールを被るということであると私は思っております。消費税と同じく大型間接税である売上税を掲げた中曽根元総理は、一九八六年七月の衆参同時選挙で、今から私が申し上げますことは、お互い耳にたこができるほど話し合ったことでありますが、国民自民党員が反対するような大型間接税と称するものはやらないという発言を繰り返したのであります。その上、政府税調が大型間接税導入を答申した場合、中身にもよるが私は採用しないとまで断言をされているのであります。  ところが、衆議院で三百以上の議席を獲得するや、この前言を翻して売上税の導入を決定してしまったのであります。総理のうそは厳しく批判にさらされて結局売上税は廃案になりました。しかし、自民党はすぐさま竹下政権にかえて、選挙国民に信を問うこともなく、再び三百議席の力でもって国民多数が反対するこの消費税問題を取り上げて、そして先ほど梶原さんがおっしゃったように、この消費税の強行導入を行ったわけであります。私は、竹下元総理も、民主主義ルールを破った点では中曽根元総理と同じであるというふうに見ております。  民主的な手法で民主的な税制を築けない国は民主国家ではないと言われても仕方がないと私は思います。選挙議会制民主主義の根幹であり、国政は国民の厳粛な信託によるものであります。したがって、選挙における公約は極めて重いものであり、今回の参議院選挙消費税への審判は、これら公約違反に対する厳しい審判でもあったと考えます。後でも取り上げる売上税の際の、先ほどありましたけれども、衆議院議長のあっせんが消費税のスタートであると海部総理は繰り返しておりますけれども、それで公約違反が解消されていないという審判も、また参議院選挙国民が下したのだと私は見ております。  また、政府自民党は、さき参議院選挙消費税の大幅な見直し、思い切った見直し公約しておりますが、それをやらなければまたしても公約違反になるということを十分認識しておく必要があると思いますが、この公約違反の問題について改めて発議者からの御見解を伺っておきたい、このように思います。
  12. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 本岡委員おっしゃるように、公約違反という問題は議会制民主主義の根幹にかかわる問題であります。したがいまして、選挙時の公約というのは、いろんな公約がたくさんありますけれども、私はどの公約よりも特に国政レベルにおける公約というのは、これはもう大変重要な問題であると考えております。さらに、消費税のいわゆる内容の中に欠陥があるという問題もありますが、公約違反のいわゆる大型間接税であるということもこれは明らかなわけでございますから、それこそ二重に三重に公約違反を犯している、こういうふうに申し上げてもいいんではないかと思います。  先ほども申し上げましたが、やはり税制というのは、国民の信頼と合意というものの上に成り立っているのが私は国民税制だと思うんです。したがいまして、この国民の信頼をどういうふうにいわゆる回復するかということを今私ども与野党含めまして真剣に考えなければならない時期に来ている、そういうふうに思っております。そういうような点から申し上げますと、今国会を通じまして、国民と約束をいたしました消費税をぜひとも廃止いたしまして国民期待にこたえるというのが私どもの責任である、私はこういうふうに考えております。
  13. 本岡昭次

    本岡昭次君 次に、消費税廃止正当性妥当性という問題にかかわって、消費税強行採決によって成立をしたという問題であります。  先ほどもそうした立場からの答弁発議者の方からございました。消費税成立した昨年のこの臨時国会は、税制国会として七月から十二月まで二度の延長を加えて百六十三日間にわたって開かれたのであります。しかし、リクルート事件の発覚により、リクルートに汚れた自民党消費税という大型間接税導入を図ることなど認められないという国民の厳しい批判の声が上がりました。まず、リクルート事件関連した政治家たち政治的なけじめをつけることが先決である、まず、みずからの手をきれいにせよ、汚れた手で消費税導入するな、これが国民の声でありました。言ってみれば、税制論議のできない環境の中での税制国会であったと思うのであります。消費税の論議が国民によくわかるような正常な国会状況ではなかったと私は思います。  その中で、自民党がリクルート問題についてけじめをつけることもなく、それをほおかぶりして強行に次ぐ強行採決でこれを押し切ったのであります。衆議院において本格的な法案審議はわずか十六時間四十分だったと言われております。十一月二十四日、会期が三十四日間再延長されて私ども参議院に来たのでありますが、そこから審議が始まったわけであります。参議院税制特別委員会審議は九十時間行われましたものの、消費税を中心とする税制質疑はわずか四十九時間程度にすぎなかったのであります。十二月二十一日、参議院は、税制特別委員会質疑が続けられている中、一方的に動議を提出して、そして質疑を打ち切って、単独で強行採決をして成立させた消費税なのであります。  その結果、国民は、自民党税制改革が一体自分たち生活にどのように影響するのかということをほとんど知らされないまま、知りようがないまま四月一日より消費税が実施をされた、そして消費税というこの新しい税制に直面するということになったわけであります。その審議を打ち切り、強行採決したことがやはり手続の問題として今日の事態を招いた大きな原因と私は考えておりますが、発議者のこの点の御見解を承りたいと思います。
  14. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  昨年の税制国会におきまして、実は私も委員の一人といたしまして参加をさせていただきました。今委員が御指摘のとおりでございますが、私はこの強行採決という問題は本当に民主主義ルールを無視したものである、そういうふうに思っております。特に、昨日の当委員会におきまして、私もいろいろと答弁をさせていただきましたが、私はお互いに今度の参議院選挙を通じて参議院自民党皆さん方がやっぱりどういうふうに選挙を受けとめていらっしゃるかということを本当は聞きたかったわけであります。そういうふうなお言葉は全くございませんでした。  実は、この参議院選挙を通じまして、また先般の衆参の予算委員会におきまして、海部総理が強 行採決のことを新聞記者やいろんな方から聞かれまして、答弁をしていらっしゃる部分がたくさんあります。海部総理は、そのことをつかれるとごめんなさいと言わざるを得ない、こういうふうにおっしゃっております。ということは、ただごめんなさいで済む問題じゃなくて、本当は重大な問題を含んでいるわけでございまして、そこのところはやはりそれなりに反省をする必要があるんではないかなということをしみじみと私は思うわけであります。  さらに、私がしみじみと思いますのは、実は参議院自民党が多数になって強行採決をするようになったというのはまた最近のことでございますが、昭和四十六年に、皆さん方も御記憶にあると思いますが、与野党伯仲になりまして、当時の河野さんが議長さんに就任をされまして、あれ以来参議院改革というのが進んでまいりました。御存じのとおり、あれ以来当分の間、それこそ強行採決というのがなくなったのはもう皆さん方も御承知のとおりであります。あのとき、河野議長さんは、私は少数意見を尊重する、そして与野党いわゆる四分六の構えでいく、こうおっしゃいました。与党の意見は四分、野党の意見を六分聞く、こうおっしゃいました。たまには七、三とおっしゃったこともありますが、いずれにいたしましても与党の意見は少し、野党の意見を十分聞く、こういうふうな姿勢であったと思います。それが民主主義の根幹だと河野さんはおっしゃっておりました。そういう点から考えてみますと、昭和六十一年に衆参同時選挙になりまして、あの中曽根さんの、あの選挙の衆議院の三百議席、これがやはりいろんな問題の根源をなしているんではないかなということを私はしみじみと思うわけであります。  実は、この三百議席の選挙以来選挙が行われていないわけであります。特に、衆議院選挙は行われていないわけであります。このときの選挙で中曽根さんは、先ほどお話しございましたように、大型間接税導入しないとお約束をされたわけであります。したがいまして、考えてみますと、それ以来この大型間接税導入しないという国民とのお約束がまだ解消されていないわけであります。その約束を破って導入してきたわけでございますし、そういうふうないろんなことを考えてみましても、私どもは、今回の参議院選挙でいわゆる参議院が保革逆転をした、これはもう重大な意味がある。今の参議院のこの非改選の皆様方の議席というのは、昭和六十一年の三百議席が自民党の議席であるわけでございますが、この議席というのは三百議席とったときの議席ですから相当たくさんあるわけです。  三年後の選挙というのはどうなるかということを考えてみますと、それよりふえるなんということは、これは私は考えたくありません。今よりもっと参議院与野党の議席差は開くわけであります。そういたしますと、ますます与野党の差は開いていくわけです。これから先、三年、六年先までは続くということになります。そう考えてまいりますと、私は日本政治の行方というものを考えた場合に、今本当に謙虚にこの選挙を受けとめて、そして公約どおりそれこそ見直し案を出し、あるいは廃止に賛成をしていただいて、そしてみんな、野党だけじゃありません、議員がみんな寄ってたかってこれからの税制を深刻に考える、そういう姿勢にぜひなっていただきたい、私はこう思っております。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 今も峯山さんの方から、参議院選挙の結果を重く見なければならぬ、選挙というものがどれほど大切なものかということについての御答弁がありました。私も、やはり消費税の存廃を論議する場合、この参議院選挙という問題を取り上げなければならぬと思っております。  アメリカの第十六代リンカーン大統領の有名な演説の中に、国民の一部を終始だますことはできる、国民の全部を一時だますことはできる、しかし国民の全部を終始だますことはできないという言葉がありますが、昨年の税制国会では、自民党は多数の力をもって国会という政治の場では消費税導入させて勝利を得ました。そして四月から懸命になって消費税導入、定着に努力をされたのでありますが、このリンカーン大統領の言葉どおり国民は賢明でありました。政治家の言葉を冷静に判断されました。そして参議院選挙で、先ほどから私たち議論をしているような立場に立って自民党を大敗させたのであります。  選挙直後、自民党の金丸元副総理消費税はリコールされたとおっしゃいましたが、私はこの発言がすべてを言いあらわしていると思うのであります。こうした厳しい国民のチェックが働いている限り、日本民主主義は健全であると私は思います。  さき参議院選挙の最大の争点は、私が繰り返すまでもなく、消費税廃止か存続かということをめぐって争われたことはこれはもう事実であります。しかし海部総理は、そうではないんだ、参議院選挙で争われたのは消費税だけではないんだというふうにおっしゃっておられますが、百歩譲って消費税のみが争点でなかったとしても、総理みずからが認めておられるように、リクルート・スキャンダルというものに端を発した政治不信というもの、それは自民党政権に対する政治不信というものが最大の要素となり、その中で消費税導入という問題に関する手続上の問題等も含めて、大きく国民の批判を浴びたというふうに考えるのが私は妥当ではないかと思うのであります。発議者の御見解を伺いたいと思います。
  16. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今おっしゃったとおりでございます。いずれにいたしましても、選挙の結果をやっぱり率直に受けとめて、私どもはことしの夏からこの廃止法の作成に全力で取り組んできたわけでございます。実は私が今痛切に感じておりますことは、選挙の結果を大蔵省は一体どう受けとめていらっしゃるのかなということを感じているわけでございます。といいますのは、これは消費税を出したもともとのいわゆる大もとは大蔵省でございましょう。これはやはり国民がそれこそ、あれだけ厳粛な審判をしたわけであります。全国区の票を見ましても二六%と七四%ですから大変な差であります。これはやっぱり深刻に受けとめなくちゃいけないと私は思うのです。  ところが、選挙が終わりました途端に新聞広告やテレビの広告が始まりました。御存じのとおり「あなたも、一緒に考えてみてください。消費税について。」という広告から始まりまして、今までもう数回にわたって出ております。「もう一度、お話させてください。消費税について。」、そして「語り合いましょう 消費税について」、こうなっております。これらの広告や宣伝費というのは数億になるとも言われております。すべて国民税金でございます。実は、こういうような問題は、しかも中身がちゃんと合っておればいいんですけれども、これは中身が違う点が非常に多い。例えば具体的に申し上げますと、この「語り合いましょう 消費税について」という橋本大蔵大臣の写真を大きく載せました、こういう広告があります。この広告には大きく「語り合いましょう 消費税について」と、こう書いてあるわけです。  この宣伝の中身をずっと読んでまいりますと、こういうふうになっております。「前略 大蔵大臣 橋本龍太郎様 私の夫は、聴覚障害者の上、腎不全で週三回透析に通う身であります。毎日夫の介護で仕事にもなりません。夫妻の障害者年金でくらしています。三カ月分で合わせて三十六万円しかありません。楽な生活ではありません。」。これは広島の方であります。そして神奈川の方も、これと同様な文を載せておるわけであります。  そして、今度は大蔵大臣の返事のところであります。「お手紙ありがとうございます。消費税は、同じだけの消費をすれば同じ税金を負担するという意味で公平な税金ですが、広島県の主婦の方のように、病気や障害で所得の少ない方や、神奈川県のお年寄りの方のように年金だけで暮らしておられる方にもご負担いただくこととなります。こうしたことから、消費税は「弱い者いじめ」 の税金ではないかというお便りをずいぶん頂きました。」。  これから先が問題なんです。「しかし、この問題は消費税だけで考えるのではなくて、税制全体、さらには、社会保障も含めた財政全体で考えていただけないでしょうか。」、ここでは、消費税について語り合いましょうと言いながら、中身は、消費税じゃなしに税全体で考えてくれと。ということは、消費税そのものではこの逆進性の問題は(「全体に関連」と呼ぶ者あり)解決できないということを明らかにしているわけであります。  これはすなわち、今度の消費税の持つ一番の問題点がここにあらわれているわけです。片方では消費税について語り合いましょうと。それなら初めから、今の不規則発言のように、ここに初めに税全体について話し合いましょうと書いてあるなら話はわかるんです。そうは書かないで、消費税について話し合いましょうと言いながら、それじゃ消費税についてといったら、消費税じゃなしに税全体と社会福祉の問題を話し合いましょうと、こう大蔵大臣は言うておるわけであります。これは問題のすりかえであります。  それからさらには、これは全体がもうそれぞれみんなおかしいわけです。今回の税制改革では、所得税、住民税のかからない範囲を大幅に広げた結果、中低所得者減税率は相当大きなものになっておる。これは確かに中低所得者のこの減税というのはあったんですが、高額所得者の大幅減税というのもたくさんあったわけです。そういうことは全く書いていない。そして、結局は国民税金を使って、しかも国民から否定された消費税についてこういうことをすること自体、一体大蔵省は何を考えておるのか。これは重要な問題でありまして、しかもこういうふうな問題について、私どものところにもたくさんの投書や意見でたくさん述べられております。そういうような意味では、私ども選挙の結果というものの受けとめ方、これは大変重大である、こういうふうに考えております。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 大蔵省が、国民選挙にあらわした一つの答え、選挙の中で行った審判というものを非常に軽く見ているということは、私も非常に遺憾に思っている一人であります。またそれは別の機会に議論する場があると思いますので、やはりこれははっきりさせなければならぬと思っております。  それで、いま一つの問題点として、売上税廃案時の衆議院議長あっせんという問題が自民党そして政府側からしばしば出てくるわけでありますので、この点もはっきりさせておかなければならないと思います。この売上税騒動、あえて騒動と言いますが、これを静めるために出された衆議院の議長あっせんは、これは言ってみれば大型間接税という問題として、消費税そのものをやっぱり廃止ということがここでもう既に明らかになっている。議長あっせんが消費税導入を認めるきっかけになるなんというようなことは絶対考えられない中身であるわけであります。  政府自民党は、この議長あっせんの中の「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらうこと。」というこの文言をもって、野党消費税のような大型開接税の必要性を認めたと鬼の首をとったように言っておりますが、しかし今私が言いましたように、「直間比率の見直し等」ということが、大型間接税、しかもそれの導入という問題を意味するというふうなことはまさに論理の飛躍であり、全くこれはもう議論にならない問題だと思うわけであります。このことは議長あっせんの際も確認をされております。議長あっせんが出された経過を見れば、この「直間比率の見直し等今後できるだけ早期にこれを実現できるよう各党協調し、最大限の努力をはらう」というところの問題も結局間接税の問題にすりかえ、大型間接税導入の糸口というふうに、これは自民党が文字どおり論理をすりかえてやったということだけであって、だれもこの問題をそのようであるというふうに理解する者はいないと思うわけであります。  また、このあっせんを受けて設置された税制改革議会においても、この消費税のような大型間接税については全く論議がされなかったのであります。終始直接税の改革、不公平税制の是正を議題としていたのであります。しかも、一方的にその中で自民党税制改革議会報告、いわゆる中間報告というものを強行して、そして協議会が終了をしてしまったのでありまして、何ら具体的な結論などはそこで出ていないわけであります。  したがって、衆議院議長あっせんが消費税の出発点であるなどということは全く根拠のないものであり、出発点を云々するのであれば、これは三年前の衆参同時選挙自民党公約大型間接税導入しないというそこがこのすべての出発点であるという、この認識を我々は持たなければならないというふうに思いますが、発議者のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  18. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今質問者が御説明になりましたとおりだと思うのでありますが、私は、選挙公約というものは議会制民主主義にとって非常に重いものだと考えておりまして、これを議長あっせんでもって選挙公約を変えるなどということはできないことだと思っております。これは議会制民主主義のイロハでございます。そういう意味で、議長あっせんがあったからあの選挙公約はもうなくなったんだというお考えをもし自民党の方でお持ちになっておるとするならば、これは重大な誤りであると申し上げなければなりません。  また、この議長あっせんというのは、売上税という大型間接税を廃案にするという前提で決められたものでございます。そのことを忘れてはならぬと思います。そして、その前提の上に立って、行き詰まった国会運営を正常化するという性格も持って議長あっせんというものは出されたものであります。そして、直間比率の見直しということは、廃案を前提とした大型間接税をそこへ持ち込むなどということを野党側がこのあっせんで考えていたはずはないのであります。  だから、そのことに関してつくられました衆議院を中心にする税制改革議会は、その後大型間接税に関する論議等は一切行わないまま、一方的に竹下内閣によって消費税という名前に変えて大型間接税提案され、強行採決されていったというところに私どもは十分注意を払わなければならないと思っておりまして、国民は議長あっせんによって選挙公約がなくなったなどとはだれも考えていないということを申し上げたいのであります。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 今までの質疑の中で、この消費税導入というものが民主主義ルールを破った中での自民党の強行であり、また衆議院の議長あっせんというふうなものはもう全然根拠にもなり得ない、そしてまた強行採決参議院選挙の結果、公約違反等々どこを一つとっても消費税導入を是とする根拠は我々は見出し得ないのであります。したがって、消費税廃止というのは国民の声でもあり、選挙の結果でもあり、そして生まれてきた経過からも、当然これは廃止されるべきものであるというふうに考えるのが当然であるという結論を私たちは見出し得たように思います。  そこで、今から具体的にこの消費税の中身の問題について質問をし、そして御意見を伺っていきたいと思うわけであります。  こうした形の消費税にもかかわらず、自民党は定着させるんだということで、先ほど峯山さんが新聞で御紹介されたように、懸命になったわけであります。しかし、消費税に対する理解が深まれば深まるほど、政府自民党の言葉とは裏腹に、消費税とともに減税を実施したとか、あるいはまた高齢化に備えて消費税が必要であるとかいろいろ言ってみても、結局消費税賛成という声などは少しも広がらないのであります。廃止せよ、このままではいかぬから見直せ、しかし見直せという声も、これは中身の問題を見れば、廃止と同じ中身を持った性格のものがだんだんだんだんと広がっているのが今日の状況なのであります。それ は入り口の問題と同時に、消費税そのものが持っている構造的な欠陥、この構造的な欠陥というものがある以上、政府自民党の宣伝自体が欺瞞性を持っているということもあって、これはどうしようもないわけであります。構造的欠陥というものは、これは解体をしなければだめなわけで、見直しというふうな手直しでやるような性格のものは構造的欠陥とは言わないのであります。  消費税導入の半年間で一般家庭における消費税の負担が一体どのようになったかという、この半年間の問題について日本生活協同組合が調査した結果が新聞に報道をされております。この日本生活協同組合の調査結果というのは、ことし四月から九月まで全国的規模で、生活協同組合の組合員から提出された二千百八の家計簿によるものであります。その家計簿によりますと、世帯主平均年齢が四十六・八歳、平均家族三・七人の家庭では、半年の平均消費税負担額は四万八千五百円になったというふうに報告をされております。  問題は、その額もありますが、中身であります。給与所得世帯は、収入三百五十四万二千三百六円に対し、消費税額五万一千三百四十三円、年金世帯は、収入百六十三万五千三百二十一円に対し、三万五百六十二円の消費税負担となったようであります。収入に占める消費税負担は、年金世帯が一・九%で、給与所得世帯との差は、〇・五ポイントも年金世帯の方が消費税負担の割合は上回っているのであります。月収別の負担割合は、九月で見ると、四十万円未満で二・一%の負担割合、四十万円以上五十万円未満が一・七%、五十万円以上六十万円未満、六十万円以上八十万円未満がそれぞれ一・六%、八十万円以上百万円未満が一・一%、百万円以上一・〇%となっております。  皆さん方も今の数字をお聞きいただいておわかりになるように、この調査によって、収入の低い世帯ほど消費税の負担割合が高い、すなわちそのことは、逆進性が非常に強くあらわれているということがこの調査の中では明らかになっているわけでありまして、特に、年金で生活されておられる家庭には特に高い負担がそこにかかっているという実態が明らかにされています。これは一つの例として私たちは考えていかなければならぬと思うのであります。  また、時を経るに従って、消費税は定着するどころか、先ほど言いましたように、いろんな意味で反対の輪が広がっております。一円玉が、大手の小売業者には手に入りますけれども、小さなお店屋には一円玉がなくて困るというふうな、本当に笑えない現実が今起こっております。そして、私どものところにもそうした訴えが減るどころか逆にふえてきておるわけであります。買い物をするたびに一円玉がたまって困るという主婦の声も多いわけでありますが、私どもも買い物をするたびに一円玉がふえます。一円玉は私も別の箱の中にいつもお金を整理するとき入れます。だんだんだんだんふえている実態を見て、私もああこれが消費税の象徴的なものだなと思って見ているわけでありますけれども事業者の中にも、こうした実態とは別に、納税実務という問題について非常に不安を持っている事業者も多いわけであります。  自民党が先週九日の夜、約六百人のOLを集めて開催した、「女性とトーク 税制改革」と題する集会があったということは新聞に報道されました。恐らく、OLを集めて、消費税賛成、結構ですという一つの答えを得たいというふうに思われて開かれた集会であったと思うのでありますが、あの新聞の報道に関する限り、事、志と違って、中でも物品税問題については、消費税廃止して物品税を復活させた方がいいという割合が七割を超えたというふうに新聞は報道をされているのであります。  また、何よりも問題なのは、所得に対する逆進性という特徴によってこの間の所得格差、生活格差を確実に広げる役割を消費税が果たしております。  さらに、地方自治体も非常に困っております。いまだに消費税に対応して料金等に転嫁できない、引き上げることができないということで困っている自治体も多いわけであります。消費税は定着するどころか、反対、やめてほしい、嫌だ、こうした声がどんどんと広がっているこの現状、具体的に私たちは自分の生活の中でそういうことを実感としてつかむことができるわけであります。  発議者の御意見を賜っておきたいと思います。
  20. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 本岡委員の今質問あるいは御意見にあったとおりだと思います。  参議院選挙の結果や世論調査等を見ますと、消費税が定着していないことは私は明白だろうと思います。同時に、私たちにも消費税に対する苦情がたくさん参っております。  私も毎週毎週できるだけ地元選挙区の方に帰っておりますが、たくさんいろんなお話を聞きます。先般、非常に感激的だったことを一つ申し上げますと、ある中小の、文房具やあるいは子供のおもちゃ等を売っておる中小の地方都市のおかみさんが、そこには消費税はいただきませんと、こう大きく書いてあるんです。したがって、奥さんどういうことですかと、こう聞きましたら、あのかわいい子供たちが買い物に小さなお金を持ってくるのに消費税をいただけますかと、これまで仕入れや何かにはずっとかかっておりますが、私たち消費税は取れません、こういうように答えてくれまして、私も非常に胸が熱くなりました。  そういうように、消費税が定着しているかどうか、これはあきらめている人は確かにあるかもしらぬ。次から次に政府がそういう宣伝をすればあきらめる人はあるかもしらぬ。しかし、ほとんどの国民廃止ができれば廃止をしてほしい、そういうように望んでおる、これが私は国民の声だろうと。したがって、定着したと考えるのは、本当に生活部面で頑張っておる国民皆さんの心がおわかりにならない人がそのように言っているんだ、このように考えます。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは次に、消費税の構造的欠陥消費税が直すことのできない致命的な欠陥を持っているという問題について私の意見を申し上げて、発議者の見解を伺ってまいりたいと思います。  まず第一に、消費税税法の生命、命とも言える公正公平という観点から見た場合、新たな不公平、不公正を生み出す源をつくってしまった、私はこう思っておるわけであります。したがって、逆に、税制はあくまで公平公正、公正公平と言う方が正しいかもしれませんが、そういうものでなければなりません。税制改革は、不公平な税制の一掃と所得の再配分機能を向上させることを基本に行われなければならないのは言うまでもありません。しかし、その立場から見る限りにおいて、消費税は資産や所得の多い人にも、資産もなく所得の少ない人にも同じ三%の税を負担させるというこの仕組み、私は、この税負担を絶対に公平公正とは考えないのであります。竹下元総理も、だからこそ九つの懸念というものを提起されたわけです。  ところが、その九つの懸念が解消されればまた問題は別ですが、それは一向に解消されず、それがますます拡大しているというのが現実の姿であると私は思っております。  食料品等の生活必需品への課税によって逆進性という最も根本的な欠陥は如実にあらわれております。年金生活者、生活保護世帯への過重な税負担をももたらし、新たな格差を広げ、不公平を拡大させております。便乗値上げが発生する一方、下請零細企業においては重い負担となり、価格転嫁がうまく行われていないというアンバランスが生じております。消費税法をまとめるに当たって、消費者立場が一切無視されて、専ら業界が受け入れやすい形にすることにこれは全力を挙げられたのであります。その結果、消費税法における業者と消費者のバランスがとれなくなってしまったのであります。政府税制調査会の小倉会長も帳簿方式の消費税を堕落型と繰り返し発言をされておられます。税金の流れが不透明なのであります。公平公正が保てないということなのであり ます。  高い免税点や簡易課税制度は帳簿方式にも増して税法としては堕落型であります。大企業は、メーカーや卸小売店でも消費税でマイナスを受けることはありません。転嫁もスムーズにいくだろうと思います。デパートや大手スーパーは本体価格と税金分とを別々に表示して販売をいたしますから、消費者との関係がほとんどこんがらかることもないし、そこでもめごとが起こることもありません。消費者との間が気まずくなり、商売にマイナスを出すのは零細、中小の店や企業ということになるわけであります。消費税法というあいまいな法律をあいまいに執行されて一番困った立場に立つのは、消費者という弱者と正直な零細中小業者という弱者なのであります。(「消費者は王様」と呼ぶ者あり)簡易税制や免税点によって、その当事者ではなく取引上優位な大企業に、消費者から預かった多額の消費税国庫に納入されないだけでなく、消費税の運用によって巨額の運用利益というものが発生するということも現在明らかになっております。独占禁止法の骨抜きによってカルテルが公然と横行しております。  行財政、とりわけ地方自治体の行財政に混乱と実害を与えております。消費税という財源調達手段が不評だからといって、国民に受けないからといって、福祉という美しい歳出項目を持ってくれば消費税が正当化されるというふうなものではありません。現在、社会保障関係予算は十一兆円弱。一方、消費税による平年度執行が六兆円弱。さらに、消費税導入によって整理されてしまった地方財源を補てんするための消費譲与税、地方交付税交付金の分をどうするのか、社会保障の一部を消費税から賄うといって、どの福祉歳出項目と消費税収入をリンクさせるのか、全く明確ではありません。将来的には、私の見るところ税率アップ、三%を五%、一〇%とアップするための口実にするつもりではないかというふうに思えて仕方がないのであります。大蔵省は税の硬直化を招くおそれがあると言っております。    〔委員長退席、理事井上吉夫君着席〕  これはもう廃止する以外、消費税の矛盾を解決する手段は今のところ見当たらないというふうに私は考えております。発議者の見解を伺っておきたいと思います。
  22. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) お答えいたします。  消費税欠陥についてでございますが、竹下元総理も九つの懸念として認めざるを得なかった所得に対する逆進性など、消費税欠陥は解消されるどころか確かに拡大をしていると私も考えております。すなわち六つのことが私は言えると思います。  第一は、食料品等の消費者選択の余地の少ない生活必需品への課税によって逆進性が如実にあらわれ、年金生活者を初め低所得者への過重な税負担として新たな格差を広げ、不公平感を拡大し、所得再配分機能の低下を招いていると思います。  なお、つけ加えますと、これも私がごく最近聞いた話ですが、私の地元のお年寄りの年金生活者、夫婦二人でございますが、克明に消費税を記帳されておるようでございます。大体最小限毎月毎月四千八百円から五千円はどうしてもこれはかかる、年間に直しますと六万円はかかるだろう、夫婦二人で年をとって国内旅行、こういうものを楽しみにしておったけれども、これはなかなか旅行もできなくなった、つらくなった、このようにやっぱり訴えられております。これが私はすべてを物語っていると思います。  第二に、便乗値上げが発生する一方、下請零細企業等においては重い税負担となり、価格転嫁が機能しておりません。これは確かに三%は下請がいただきますよ、こうなりますけれども、しかしもとの仕入れ値段をたたかれるというか、そこを合理化して下げなさいよ、こうなりますから、形どおりの三%は下請の皆さんいただいておるかもわかりませんが、実質もとの価格を下げられる、下がる、こういうことになりますので、非常に中小零細企業というのはあるいは関連企業というのは厳しい状況に立ち至っている、こう見なければならないと思います。  第三に、簡易課税、免税点制度等において、事業者が預かっている多額の税金国庫に入らないだけではなく、大企業等において巨額の運用益が生ずることが明らかになっておると思います。これは大蔵省の大体の試算で、四千八百億円年間消費税を払ったお金が国庫に入らない、こう言っておるわけですから、この持つ税の欠陥というものをやっぱり本当に真剣にお互いに受けとめなければならない、このように思います。  第四に、独占禁止法の骨抜きによってカルテル行為が公然と横行しておると思います。  第五に、行財政、とりわけ地方自治体の行財政に多くの混乱と実害を与えております。  第六に、以上を含めて竹下元総理が表明した九つの懸念は何一つ解消されておらない、このように思います。  したがって、この消費税は私は廃止する以外にこの矛盾を解消する手はない、このように考えております。
  23. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今梶原議員の方から詳しくお答えを申し上げましたけれども消費税の持つ逆進性というのは、一番端的な例でお話を申し上げますと、例えばエンゲル係数が非常に高い、所得のほとんどを生活必需品に充てなければならないところでは、確実に生活を三%切り下げなければならないわけであります。そして、高額の所得、収入のある部分では、今度の減税効果と合わせて結局資産として残る部分が今までよりも大きくなっていく。そのことによってこの資産の格差がますます開いていくという意味でも、大変逆進的で不公平を拡大するものだと考えております。  先ほど自民党皆さんの方から、消費者は王様だというお言葉がございました。私も歴史の教師をいたしておりましたけれども、古今東西王様がその意に反して税金を強制されたということはございません。
  24. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 消費税欠陥の問題でございますが、一言だけつけ加えさせていただきたいと思います。  昨日も久保議員の方から、フランスの付加価値税を導入、創設をされました方のNHKのインタビューの話を御紹介になりました。それに追加をいたしまして、実はこのインタビューの中で、いわゆるこの消費税の構造的矛盾がありますということで全部で五点挙げておられます。これを紹介しておきたいと思います。  このモーリス・ローレさんのおっしゃった五点は、まず第一点が、消費税消費者が負担をするのにこれは企業者側に立った制度になっているというのがまず第一点であります。  それから第二点目が、免税点が高い。これは、日本は小さな企業が多いのでその保護のためと思われるけれども、優遇すべきはむしろ低所得者を対象とすべきであるというのが二番目であります。  それから三番目に、食料品は健康を維持するための生活必需品であり非課税にすべきであります。フランスでは文化、教養に資する新聞は低い税率にしてある、キャビアは高い税にしてあります、食品などに限らず、税率の段階にはいろんな問題点が生じてくるでありましょう、こういうようなことをおっしゃっております。  それから四番目に、帳簿方式、これはインボイスにすべきである、税の計算が複雑になると思うのはこれは錯覚である、コンピューターの導入で簡単にできる、フランスでは中小企業でも問題が起こっていない、こういうふうに紹介をされております。  そして最後に、税率アップの懸念ということで、五番目の懸念として付加価値税の持つ唯一の欠点がこの点である、こういうふうに述べておりまして、いずれにいたしましてもこれらの一つ一つの問題点を指摘しているわけでございまして、私どもが懸念している問題と同じであります。
  25. 本岡昭次

    本岡昭次君 消費税が持っている構造的な欠 陥、この問題について明らかにしたわけであります。  それで次に、消費税がそうした構造的な欠陥を持っている、だから廃止しなければならぬという中身からの今追及をやっております。一方ではこの見直しとかやれ凍結はどうかという論議もありますが、それはまた後ほど私は触れていくことにしたいと思います。いずれにしても、我々が法案提出している、私も賛同者という立場にあるわけですが、この消費税廃止するということを最優先に扱っていかなければならぬという、そこのところだけをまずはっきりしておかなければならぬ、こう思うのであります。  そこで、消費税廃止する、そして二年間かけて税制の再改革の論議をして現在の税制を再改革するんだということの中で、ひょっとすると消費税は必要だという結論に落ちつくこともあるのではないか、消費税の存廃の結論は二年後に延ばしてもいいんじゃないかというふうな議論もあるわけであります。しかし、そこのところだけはやっぱりはっきりとさせておかなければならぬ、このように思います。先ほどから私どもが繰り返し述べておりますように、参議院選挙の結果という問題は国民の審判として最も重要に考えていかなければならないのでありますから、消費税廃止してそして税制改革のスタートを切るということは、これはもう絶対譲ることのできない、変更することのできない立場であると思います。  一般消費税、そして売上税、そして今回の消費税、そうした経過を踏まえながら論議をして、再びそうしたところに戻ることのない税制改革を私たちはやっていかなければならぬと思います。したがって、発議者皆さんが今回の税制改革という大事業に際して、まず消費税廃止というものを大前提として据えておられるのは当然であるというふうに思います。そして、広く国民の参加を求め、国民に情報を公開するなどして国民合意の形成を図る、そして租税民主主義を貫徹するためにこの再改革を行うのであれば、この二年間という歳月は非常に大事になると私は思います。税制を混乱させ税制への不信感をいやが上にも高めたこの消費税は、平成元年度をもって廃止することが至当であります。政党としての私たちの義務であると考えるものであります。  それなくしてまともな税制論議の議論はできないと考えます。消費税廃止関連法案提案されたからこそ、このように今税制特別委員会が開かれ、私たち国民の前で税制論議ができているのであります。このことは高く評価をしていくべき問題だと私は考えるのであります。発議者の御見解を伺います。
  26. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) ただいまの本岡議員の二年間のお話は、全く私もそのとおりだと思います。税制というのはやっぱり広く国民の参加を求め、しかも国民にいろいろと情報を提供しながら国民合意形成を図らなければなりません。これが租税民主主義というものです。このことはもう論をまたず、この参議院通常選挙でもって結果が出ております。まして私たち連合参議院という国民の信頼を得ての消費税廃止する新しい会派のスタートが、これはもう何よりもそのことを物語っております。  ある新聞の調査を見ても、廃止見直しかというその調査でも、両方合わせて九二%がイエスと答えているわけですから、つまり廃止見直し以外の、賛成という数字は八%しかいないということです。これは、つまり国民のほとんどが、どちらにしてもこの消費税はもう欠陥消費税なんだということの意思表示です。特に、今回の選挙消費税廃止という問題について女性の多くがこの廃止に賛成をいたしました。女性というのは、福祉などという言葉を使ってだまそうと思ってももうその手には乗りません。日本の女性は、歴史の発展に合わせて正しく先を見る見方をもう持っているのです。  私は、この消費税は、税制を考える上でこれだけ混乱をさせ、しかも国民不信感に陥れたわけですから、とにかく平成元年廃止し、そして二年間ゆっくりとみんなでもって合意を求めたいというふうに思っております。
  27. 本岡昭次

    本岡昭次君 先ほどから論議をしておりますように、この手続、経過、それから消費税の構造的欠陥等々をずっと考えていけば、消費税廃止して税制改革を一からやり直すというのはこれは当然でありまして、凍結とか見直しというふうなものではこれは解決しないということであります。  しかし、自民党である人が凍結というふうなことを言う方もありました。だんだんそれは消えておりますが、しかし今では見直しということで議論が始まっております。思い切った見直し、思い切って見直しというふうなこの語尾の問題でもって中身を圧縮したり引き伸ばしてみたり、また抜本的と言い大幅と言い、いろんな表現でもって言ってみれば国民にこれは幻想を振りまいているだけではないかと私は思うわけであります。そして、一向に具体的な中身が我々の前に見えてこない。  そして、今月末に何か大綱のようなものが出るとかいうふうなことが新聞で報じられておりますけれども、今ここで論議しているこの場に、やっぱり見直し案というものが自民党公約であれば、それが出せないということは無責任であるというふうに言わなければならぬと私は思うのであります。したがって、私は凍結とか見直しでなくって、くどいようでありますけれども、やはり消費税廃止して税制改革をする以外にない、自民党見直しを持ってどうこうという問題ではないんだという点をはっきりさせておきたいと思うのであります。発議者の意見を伺いたいと思います。
  28. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) お答えをいたします。(発言する者あり)  今私は、とにかく国民は賛成しているのは少ないんだということで見直しという言葉を言ったわけですが、何かどう聞き間違ったのか、私が見直しに賛成しているかのように思うのは、これは非常に国語の能力の不足だというふうに思います。私ははっきりと廃止をすると言い切って最後の結論といたしました。  つまり、今回のこの討論は手続や経過や消費税の構造的欠陥を考えるならば、消費税廃止しです、間違っていただいては困ります、廃止し、税制改革議論を一からやり直すことが当然ですし、凍結とか見直しとかいう、そういうまやかしい言葉を使って国民を欺罔さしてはいけません。政府自民党のように凍結を言ったりあるいは見直し論を言ったりして国民に幻想を振りまくならば、ますます国民不信感を多くするでしょう。そういう意味政府は早く見直しを、ここで、言うならば見直し論を出して、私たちと一緒にこの場で検討するのが最大の議会制民主主義というものだと私は確信しております。そういう意味でこの二年間にはっきりと廃止をしてから議論をすべきだと考えております。
  29. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、見直しという論議がせっかくあるのですから、見直し論という問題についても若干考えてみたいと思います。しかし、これも見直し論についての基本的な欠陥というものがある。そこから、私たち見直しというものはできないのではないかという主張をしているのであります。それは一体何を見直そうとされているのかということを私たちは新聞報道でしか知るよしもありませんが、何か五つの項目に分けて見直しをされている。  一つは、非課税の範囲を拡大するということがあるようです。それから二つ目に、表示方式として内税か外税かじゃなくて総額方式とかいうふうなものが議論になっている。三つ目に、免税点あるいは簡易課税制度、限界控除というふうな問題についての見直し。それから四つ目に、福祉目的税というふうなことにはできないかという論点。それから五点目に、帳簿方式というものについての見直しはできないか。言ってみればこの五つが自民党皆さんが今見直しということで考えておられる中身ではないかと思います。それがそれぞれずっと、これはできる、これはできないといっ て整理をされている過程であるように思うわけです。したがって、私はそういうものに従って論議をする以外にありませんから、そこの今論議されているであろうと思う事柄について触れてみたいというふうに考えます。  まず第一点の内税か外税かという問題の論議から総額表示方式というふうなものが出てきたわけであります。この総額表示に改めるということは、これは全く技術的な問題で、消費税の矛盾をなくする、構造的な欠陥に迫るというものではないわけでありまして、逆にこれをやると便乗値上げというものが横行する危険もあるわけであります。  また、食料品を非課税とする、あるいはまた生鮮食料品だけに限るのか、生活必需品をどの範囲まで広げられるのか、とにかく非課税の中身を広げるということですね。薄く広くという消費税の基本的性格をこれは変えていくということになるわけであります。その矛盾もこれは出てくると思います。しかし、それをやってまいりますと、結果として過去の大型間接税の論議の中で国民の反対によって葬り去られた一般消費税あるいはまた売上税と同じような結果になってくるわけで、結局大型間接税として公約違反として問われて廃案になっていったところに入っていくという、この矛盾はどうしようもないとこう思うわけであります。しかも、仕入れ控除の問題から端を発して現在の帳簿方式では対応できず、これは伝票方式つまりインボイスという形の中で、非常に面倒な煩雑な業務というものを中小企業皆さんに押しつける。公平、公正、簡素というふうに、こう五つ六つ並べられた税制の中の大きな基本がこれが揺らいでいくということになるわけで、簡素という面がこれで揺らいでいく。  それから、逆進性の対応の柱とされてきた福祉目的税にすれば逆進性という問題が解消されるのではないかという議論でありましたが、これはもう特別会計を設置したらどうなるのかとか、あるいは福祉団体の人が反対される、地方自治体からもクレームがつくということで、これがどうも消え去ってしまったようであります。  それから、政府自民党高齢化社会対応のためにこの消費税は必要だとこう言いながら、この消費税による間接税の実質増収はこれはわずか二兆円でありました。二兆円が実質な増収であるとこういうことで、ここから一番今議論の対象になっている非課税の品目を広げて、そして生活必需品の中の特に中心的なものである食料品を非課税にするということにした場合、一体どうなるのか。全段階でこれを非課税にして、しかしゼロ税率は設定しない、こうおっしゃっているわけで、そうなると予算委員会でも論議されたように、九千五百億円の税収がそこで目減りをする、その穴埋めをどうするのかという議論になる。もし、そこの三%が仕入れにかかわっている分を、うまく小売の方が負担をしないということをやろうとすれば、これはゼロ税率を導入する以外はないわけですが、ゼロ税率を導入すると二兆円という大きな穴がそこにあくという問題を抱えての議論でありますから、一体福祉目的税に、福祉に使うんだということと生鮮食料品を中心とする食料品を非課税ということで対象にして、そしてそこで目減りする金額というふうなものを見てくれば、全体の見直し論というものは矛盾だらけだということになってくるわけであります。  結局は、海部総理が在任中は税率を引き上げないと、こういろいろおっしゃいましても、税率を引き上げて、そしてあるものは五%あるものは三%というふうに、一律の税率じゃなくて多段階の税率というふうなものをこしらえたりいろいろなことをやらなければ、もう消費税導入のときに根本理念とされた薄く広くとか、公平、公正、簡素とか言われたものが、全部あなた方はそれをひっくり返してしまう。これは見直しじゃないんですよ、見直しじゃ。これはやはり廃止をして、そしてもとから税制全体を公平公正にするために、不公平税制をどう是正するのかというところからスタートしなければならない。あなた方自身も矛盾の中に今足を突っ込んでいるのであります。  発議者の見解を伺いたいと思います。
  30. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 本岡委員から詳しく見直し論の矛盾点につきまして具体的に御指摘を受けておりますが、具体的な項目についてはまた他の発議者にゆだねたいというふうに思いますが、私たちも、さき参議院選挙におきましても、自民党消費税見直し公約として戦われたわけであります。それならば堂々とやっぱり自分の案を示して、早く国会に私も提出すべきだというふうに考えるものであります。  海部総理大臣も消費税を思い切って見直すというふうに主張されております。消費税廃止税制改革やり直し公約した私たち会派が、その法案をまとめて今、今国会提出しておるわけでありますので、政府自民党も早く見直し法案をこの国会提出すべきであります。そうすれば、国民は両者を比較してどちらがよいかということを選択できるわけでありまして、いまだに見直し法案が出ていない以上は、自民党はただ単に見直し見直しということを叫ぶだけで、やはりまじめに政策を立案する気が全くないというふうに断ぜざるを得ないわけであります。  選挙公約したことを即実施するということがやはり政治の原点ではないかというふうに思います。政府みずからが消費税に九つの懸念ということを認めておられますし、またつくったばかりの税を見直しするという公言もしておる。こういう事実を見ますと、このこと自体が政府自民党も内心では消費税を悪税だと認めていることにほかならないんじゃないかというふうに思われます。無責任な見直し論を繰り返す自民党にはもはや政権担当能力というものはないんじゃないかというふうに言わなければならないわけであります。  また、報道されております自民党見直し論につきましても、矛盾の上に矛盾を重ねる、言ってみますと今以上に消費税を悪税にするんじゃないかというふうに思われます。いずれにいたしましても、見直しでは消費税の矛盾は全くなくならないというふうに思われます。したがいまして、消費税廃止する以外に道はないものというふうに考えるものであります。
  31. 本岡昭次

    本岡昭次君 それで、今、姿のない形のない見直しという問題に私たちは論争を挑んでおりますので、まことに不十分な議論しかできませんが、いま少し個々の問題について突っ込んで議論をしておきたいと思います。  先ほど私が五つの問題を総括的に述べましたが、まずそのうちの一つの税額表示方式というものの問題であります。これは今は内税、外税、それぞれ事業者皆さんにお任せしてあるという形でありますが、当初内税に一本化してはどうかという議論が先行したように思います。しかし、内税にしたのでは価格の中にどれだけの税額が含まれているのか消費者にとっては判断が不可能である、あるいはまた便乗値上げというものも容易に行われるのではないか、こういうことが予想されて、これはうまくいかないであろうと。それでは外税一本化では一体どうなるのかという議論が当然出てきますが、今度は表示価格と実際支払い額というものの乖離が生じ、それから税額控除の計算も非常に面倒になってくるわけであります。  しかし、いずれにしても、消費税見直し問題を論議するときに、この表示方式問題が見直しの中の大きなウエートを占めるというものでなく、それがあたかも見直しの中身であるというのは余りにも矮小化した論議であるというふうに私は思います。そこへ議論が行ったのは、結局消費者が毎日毎日の生活の中で、買い物の中で、サービスを受けるということの中でこの消費税に直面をしていくということから起こるその消費者の怒り、痛税感というふうなものですね、それを何とか解決すれば国民消費税を認めてくれるのではないかというふうに、非常に安易な考えがあるのではないかというふうに私は思われて仕方がないのであります。  いずれにせよ、この表示額の変更というものは、 これは消費税の持っている矛盾を解決するというふうなたぐいのものではない。私に言わせてもらえば、消費税の持つ矛盾を覆い隠すために、むしろこれが取り入れられようとしているというふうに私は思えて仕方がないし、最初も申し上げましたように、これは便乗値上げというものの横行ということを結局拡大させていくことにもつながっていくということで、この問題については無意味であるというふうに私は断ぜざるを得ないのでありますが、発議者皆さんのこれについての御意見をいただきたいと思います。
  32. 小川仁一

    委員以外の議員小川仁一君) 本岡委員にお答え申し上げます。申し上げる前に、総括的な見直しという問題についても一言申し上げてみたいと思います。  おっしゃるとおり、見直しの声は随分いろんな場所からいろんな人から聞こえておりますが、声はすれども姿が見えずとかいう言葉があるように、内容が一つも見えてきていないということです。したがって、この問題に対する国民の声というのは、過日行われましたあるテレビの討論会の最中の電話アンケートがございました。その回答、見直しができるだろうかという質問に対して七五%の人は見直しができない、こうお答えになっておられるわけでございます。こういうわけですから、やはり見直しは非常に国民から不信を買っているのではないか。  なお、広く薄く水平的公平という言葉を使っておられますけれども、水平的公平というのは同じ所得のある者が同じ税金を払う、いわゆるおれもこれだけ所得があってこれだけの税金を払っているんだから、おまえだってこれだけの税金を払うべきじゃないかというのが水平的公平の真の意味であるという考え方も存在するわけでございます。  税額表示方式についての御質問についてお答えを申し上げます。  現行の外税方式は買い物のたびに負担をしていく、これが国民の痛税感を強く刺激している、したがってその痛税感を和らげるための心理的な小細工にしかすぎないのではないか、こういう感じがいたします。本当に国民の声を正しく受けとめているかどうかについては非常な疑問があるわけでございます。何かこれをお言い出しになった方は橋本大蔵大臣だったようでございますが、その後新聞等で盛んにお顔を含めて御宣伝をして意見を伺っておられるようでありますが、だんだんこの外税、いわゆる税額表示方式という声は薄くなってまいりました。このごろはほとんど聞こえなくなってきているような感じもいたします。ですから、出ては消え出ては消えというこの見直し案、まことに国民にとっては迷惑至極でございます。もともと現行の外税方式というのは政府が、業者が消費税転嫁するのに都合がいいということで始めたものでございまして、そのために総額表示方式というのはこれはまた違った角度になり、国民をばかにしたやり方、なめたやり方ではないかと考えますので、このようなごまかしの政策、これはもうおやめになった方がいいのではないかと申し上げておきたいと思います。
  33. 井上吉夫

    ○理事(井上吉夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十五分休憩      ─────・─────    午後一時一分開会
  34. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから税制問題等に関する特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、消費税法廃止する法律案消費譲与税法廃止する法律案地方交付税法の一部を改正する法律案税制改革基本法案法人税法等の一部を改正する法律案通行税法案物品税法案入場税法案及び地方税法の一部を改正する法律案の九案を一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  35. 本岡昭次

    本岡昭次君 午前中、休憩に入る前まで、予想される政府消費税見直し論の問題に触れてまいりましたが、まだ非課税品目の問題とか免税点、簡易課税問題等を残しておりますが、ここで代替財源案の内容にかかわる問題について安恒さんの方から関連質問というふうに切りかえをさしていただきたいと思います。
  36. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 関連質疑を許します。安恒良一君。
  37. 安恒良一

    ○安恒良一君 私は、消費税廃止についての提案者の基本的認識を承りたいと思っておりましたが、既に本岡さんの質疑を通じて明らかになりましたので、早速今一番大きい問題とされております代替財源問題を中心に発議者にお聞きをしたいと思います。  まず、代替財源案が、四会派並びに賛同される皆さんの御努力によってこれがまとまりましたことに私は心から敬意を表するものであります。戦後の政治史に貴重な一ページを記すことができたと高く評価をさしていただきたいと思います。  本来でございますと、この代替財源案については、参議院選挙国民の厳粛な審判が下されました以上、政府自民党の手によって消費税廃止とその穴埋めの政策、財政運営全体の中で調整をし、捻出をすべき責務を私は負っていると思うものであります。でありますから私は、参議院選挙の結果、この点について政府がサボタージュをしているということを厳しく批判しなければなりません。しかも政府自民党は、現在本当に政権を担当しているという自覚を持っているのだろうかということを疑いたくなるのであります。  参議院選挙に示された国民の意思を無視して、単に野党に対する嫌がらせでしかないと思われる、例えば消費税廃止するなら約六兆円もの税収に穴があく、その穴埋めは野党にできないと傲慢無礼な態度をとっています。税制問題や財政運営は、長く政権を握り続けてきた政府・与党でなければわかるはずがないという思い上がりの政治運営に、責任ある野党としての、政権交代能力を持つ実力ある野党の存在を示したのが今度の案だと思います。これは私から言わせますと、戦後の政治に貴重な一ページを加えたことになりますし、連合政権への一里塚と高く評価をいたします。  政府・与党は、我々の提示した代替財源案が国民の大多数の支持を得つつあることに慌てふためいて、やれ自然増収は代替財源案には不向きだとか、法人税率の二年間四〇%の据え置きは我が国の企業の海外移転で産業の空洞化が起こると、全然的外れのことを言っているのであります。ついことしの四月から消費税導入で、収入と支出の差額二兆六千億の穴埋めを自然増収でやったことなどは口をぬぐっているのであります。これは余りにも身勝手であり、私から言うと、天につばを吐く行為でないかと思うのであります。いわゆる責任政党としての資格に非常に欠けているのではないかと私はまず思うのであります。  こういう点につきまして、さらに政府自民党消費税見直しを盛んに宣伝しています。見直し案の発表は、本岡さんの質問にありますとおりに最初に十一月十五日と三塚政調会長は言いました。その後、十一月末に見直し案を取りまとめる予定とずらすなど、全く無責任きわまりないのであります。それに加えまして、もしも見直し案を、例えば生鮮食料品を非課税にいたしますと二千五百億、全食料品を非課税にした場合は一兆円を超えると報じられているわけであります。これは仮定の問題でありますが、またあってはならないと思いますが、消費税見直しに必要な財源消費税の減収部分を自然増収の金を使わずにできるというふうにお考えでしょうかどうか。  また、我々の代替財源政府・与党、大蔵省は、制度の改正には制度の改正による増税で対処すべきだと非難をしてきました。兆円単位の消費税の減収の穴埋めの増税は税制のどこをいじればできるのでしょうか。代替財源づくりで苦労された提案者の方々に推測で結構ですからお答えをしていただきたい。特に、私どもの代替財源案を批判した論旨と矛盾を起こさずに消費税見直しの穴埋めの財源平成二年度に調達できると判断されま すかどうか、教えていただきたいと思います。
  38. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) お答えいたします。  ただいま安恒委員から消費税見直し提案するに当たって、見直しによる減収分を補てんするための制度改正による財源対策を示すべきではないか、こういう御質問がございました。  確かにお話しのとおり、政府自民党は、我々の代替財源に対しましてその揚げ足取りに躍起になっております。昨年の税制改革、あれを見てまいりましても、政府自民党でさえも消費税所得税法人税あるいは住民税減税等の代替財源について全額を制度改正によって示しているわけではございません。かわりに二兆六千億の減税をしたということを誇示しているわけでございます。  また、この参議院選挙自民党消費税見直し国民皆様方公約いたしました。しかし、具体的に何をどうするのかいまだに明らかにされておりません。それでいて我々の提案の不備につきましては血眼になってそれを探しまくっているという状況でございます。他人の提案するその法案について批判をするならば、みずからもその代替案を示してこの税制国会で論議し合うのが政党のとるべき責任のある態度だと私は思います。  しかも政府は、ただいま安恒委員が御指摘のとおりに、非課税範囲の拡大、あるいはゼロ税率の適用、あるいは簡易課税制度、免税点、限界控除制度見直しなど、それぞれ挙げておりますけれども、それによって消費税がどの程度減収するのか、そういう発表をいささかもいたしておりません。私たちは衆議院の予算委員会におきましてこれらの消費税の減収について資料要求をいたしました。いまだにその答えはございません。自民党消費税見直しのための具体案とともに、その財源対策をはっきりと国民皆様方の前に示すことはとても不可能ではないかと思います。かえって消費税の税率アップを早めることになるんではないか、このような懸念を持っている次第でございます。  以上。
  39. 安恒良一

    ○安恒良一君 代替財源野党が提示する必要はない、こういう主張も一部なされておりますし、また、かつて導入されたことのあります大型間接税、すなわち取引高税の廃止の場合、当時の政府は、大蔵省は税制改革の代替財源案を示さなかったという事実も私は知っています。こうした点から見ますと、野党の代替財源案がさも実行ができない、このように税制改革に当たって国民に悪宣伝をし、野党消費税廃止法案を葬り去ろうとする政府自民党の無責任きわまる態度を私は厳しく批判しなければなりません。  しかし、納税者国民政府・与党が考えるよりもずっと賢明であります。現在、だれが国の財布を握り、五十兆を超す税金を取り立てて、六十兆円を超す予算を使う権限を握っているかということは、国民承知をしているものであります。消費税廃止に伴う代替財源六兆円の全部または一部を予算総額六十兆円の中でやりくりできる部分も私は相当あると思うのであります。税制改革税制の中で財源を見つけるべきだと政府・与党は参議院選挙敗北の直後から言い続けております。参議院選挙で示された消費税廃止国民の意思並びに野党法案作成について代替財源の面からこれを邪魔し、無理難題を押しつけたと私どもは実は考えておるのであります。  税制改革法案提案理由を拝見いたしますと、代替財源の絡みの中で大変重大な問題が指摘をされています。すなわち、消費税廃止並びに代替財源の処理は憲法七十三条に内閣固有の義務と責任だと規定されていると述べられました。そうしますと、海部内閣は憲法の規定を守っていない、こういうふうに私は思います。さらに、憲法九十九条で国務大臣を初め公務員に憲法遵守の義務を課していると私は記憶いたします。そうしますと、この点から見ますと、今、政府自民党の、特に政府がとっている態度は憲法に二重に違反をしているのではないかと安恒は思うものであります。こういう点について皆さん方の御意見がありますならば、お聞かせを願いたいと思います。
  40. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  代替財源に対する考え方は、私どもといたしましては、立法府として国民の多数の意思に基づいて法律の制定、改廃を行う任務を持っているわけでありまして、そのことによって今回消費税法廃止しようとするものであります。その場合に、この立法を受けて予算を編成し、国会提出する責務は憲法七十三条に内閣の任務として明定されてございます。したがいまして、本来消費税法廃止することが立法府において決定されました場合には、そのことは内閣の責任となるものだと考えております。  しかし私たちは、あえて代替財源をあわせて提案いたしましたのは、もしこの国民の意思を受けて消費税廃止するということが直近の国民の意思を反映いたしております参議院において可決されるということになります場合、その政治的な意味は非常に大きいものと考えます。その場合、今日政権を担当しておられます自民党のお立場で政権に責任が持てないという場合には、当然に政権を放棄されるものと思っております。  しかし、なお国民の意思を改めて問いたい、見直し案も出して問いたい、こういうことでありますならば、その最終的決着は総選挙において行われるものと考えております。総選挙において消費税廃止するという国民の意思が明らかになるということは、自由民主党が総選挙で敗北するということでございます。その場合には当然に私どもが連合政権を組織し、国政を内閣をもって担当する責任を持つことになるわけでございます。これは当然の帰結でございまして、その場合に平成二年度の予算編成の責任を生ずるわけでありますから、私どもはできるだけその場合においてはこのようなことで国の財政が運営されるということを国民皆さんにあらかじめお示しすることも必要ではないだろうか、こう思っているのであります。  また、この消費税廃止に伴う財源の問題は、歳入歳出全般にわたって論議をされていく問題でもございます。したがいまして、今回の代替財源に資する法案としてお示しいたしましたものはその中の骨格となるものをお示しいたしておるのでございまして、私どもはこれらを中心にして、もし消費税廃止という国民の意思が確定され、そして私どもが連合政権を担当することになりました場合には、責任を持ってこれらの財政を調整し、国民に対する責任を果たすことになるであろう、このような立場でお示しをしているところでございます。
  41. 安恒良一

    ○安恒良一君 これは国会議員活動の分野で、私ごとになりますが、税制の正しい見積もりがどうやったら可能になるか、こういうことで私はいろいろ追及をしてきましたし勉強もしてきました。ところが政府は三年も四年も連続で五兆ないし七兆円の巨額な税の過小見積もりを行っておりまして、私はこれを正さなきゃならぬということで一生懸命勉強し、予算委員会で毎回のようにこの問題について質疑を続けてきた者の一人であります。  その場合に私一番困りますのは、税及び税制に関する必要な資料や情報が国会にすら提出されず、守秘義務を盾にとったり、税金のことは税の専門家である大蔵省及び主税局、国税庁に任せて素人の納税者議員が口出しすべきでないと、大変間違ったやり方が横行していることであります。今回代替財源をつくるのには、こうした状況の中で行われたので皆さんの御苦労は大変だったと存じます。  そこで、私は、消費税廃止なら代替財源を示せと一見当然と思われるような主張、しかし、その実態は手や足を縛るかもしくは切って、百メートルを九秒で走れと、こんなことを言っているものと同じようではないかというふうに実は考えるものであります。税金に関する情報公開が絶対に必要だと私は痛感をしておりますが、代替財源案づくりを通じてこの点に関連した問題はなかったの かどうか、こういうことについてお伺いをしたいのであります。税金に関する情報をほとんど公にしないで、税金はお上の決めるものだ、税金は取り立てられるのは当然だという現状は、旧憲法下のやり方だと私は思います。税金に関する我が国の現状は非民主的で、議会制民主主義が貫徹していないと私は思いますが、これらの点について発議者の御意見を承りたいと思います。
  42. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) ただいまの御質問にお答えをいたします。  これまでの経過を見てきますと、政権の座にある自民党はみずからの行いをちっとも反省しているというふうに私は思えません。責任を持って消費税を見直すということを言っておりますが、一向に見直すための責任を明らかにいたしません。そして、政府自民党消費税廃止、かえってそれに絶対的に反対することを言明し、消費税廃止関連法案提案を葬り去ろうと今一生懸命意地悪をしています。無責任かつ国民期待に反する姿勢、全く相反するものです。  政府自民党の無責任で強硬な態度、参議院選挙の結果を踏まえ、国民期待などを考慮し、国民に政策責任を示す必要があると考えます。消費税廃止、代替財源をもまだ示せず、私たちに対して税務統計、税収試算のノーハウ、税制度の重要問題の情報が制限され、公開されておらず、資料提供にしても満足な資料が提供されていないのが現状です。今回は非常に苦労しております。財源対策等を批判する前に、前提となる情報を正々堂々私の前に示して、みんなに公表すべきだということを私は強く訴えるものです。(発言する者あり)
  43. 安恒良一

    ○安恒良一君 委員長、お願いします。やじがうるさくて答弁が聞こえませんから、余りやじらないように言ってください。  そこで私は、代替財源としてお示ししましたこの二年間の暫定期間と限定つきの物品税課税について伺いたいのであります。  ところが、その前に一つ問いただしておかなきゃならぬことがあります。実は、昨日自民党の伊江さんが御質問の中で、我が党の伊藤政審会長が物品税は憲法違反であるという旨の質問を衆議院において行ったという御指摘がありました。この点の真偽はいかがでしょうか。もしも調査されているならばお答えをいただきたいと思います。
  44. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいま御質問のございました点につきましては、昨日伊江委員から御質問のあった点でございます。私も大変重大な問題でございますから調査をさせました。現在私がこの問題について承知いたしております点をお答えしたいと思います。  伊藤政審会長、正確にはこの発言の当時は政審会長ではございませんで大蔵委員でございました。確かに昭和五十九年三月二十一日の衆議院大蔵委員会において物品税の問題について質問をいたしております。  しかし、これは伊江議員が御指摘になりましたのとは異なり、物品税そのものを憲法違反などと言っておるのではございません。伊藤君は、政府の物品税の課税思想が奢侈品課税であったものが、いつとはなしに担税力に着目した課税というふうに変わってきたことについて一つの意見を申し上げているのでございまして、課税思想というものはきちっとした議論を尽くして国民の理解と合意の形成を図らなければならないものである。また、物品税をいつしか大型間接税へと切りかえようという政府の意図が次第に顕在化しつつある中で、大型間接税反対の意思を明確に示したのがこの発言趣旨でございます。したがって、伊江委員に反論するわけではございませんけれども、伊藤君の真意は伊江委員の御指摘とは異なるものでございます。これは、昨日伊藤君に直接ただしまして確認したものでございます。  五十九年当時、五十四年に一般消費税国会決議で否定されたにもかかわらず、中曽根内閣において、大蔵省を中心にひそかに大型間接税導入が再び検討されているかの気配を察知し、警告したものでございまして、その後の売上税、消費税導入という経過を見れば、この伊藤君の発言はまさに先見性を持った発言であったなと敬意を表するものであります。  なお、昨日鎌田委員から御質問のございました、伊藤君の発言と称する報道記事が取り上げられたのでございますが、これにつきましても報道されたこの事情等について調査をいたしましたけれども、本人に確認いたしましたところ、事実とは異なることが明らかになりました。  したがって、昨日も申し上げましたとおり、伊藤君は常に我が党の政審会長としての重責を十分認識し、この任務に当たられているものと確認をいたしましたので、あわせてお答えを申し上げる次第でございます。
  45. 安恒良一

    ○安恒良一君 次に私は、物品税の問題につきまして、その課税対象品目が不公平であって、生活の実感から遊離している。政府・与党が必ず挙げる例に、紅茶には課税しないでコーヒーには課税。または、近年の国際化の流れの中で物品税は貿易摩擦を激化させるもので時代に合わない税金である。政府は、酒やたばこの税金をよく例に挙げます。確かに廃止される前の物品税にそうした非難が国の内外から行われていたことは私は承知をしています。(発言する者多し)  委員長、どうしますか。私の質問中がちゃがちゃやっているんだが、やめるんですか、やめないんですか。やめますよ。
  46. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  47. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 速記を起こして。
  48. 安恒良一

    ○安恒良一君 ちゃんとしてくださいよ、人の発言中にやられたらかないませんよ。  しかし、今回の皆さん提案されている物品税は、消費税の前の物品税制度を単純に復活したりもとに戻されたのではないと私は理解をしております。例えば税率について、消費者の負担の激変緩和のために、旧物品税では最高三〇%だった税率を最高八%に抑えた上三段階に簡素化する等、きめ細かい配慮がなされております。二年間の暫定措置として私は適切な代替財源法案だと高く評価しているのでありますが、もしも私の理解が間違っておりますならば、提案者の方で御指摘、御訂正を願いたいと思います。  なお、ここであわせて伺いたいのは、物品税は時代に適さない悪い税金との考え方を定着させた背景をどう判断されているかということを答弁していただきたいのであります。  私はまず第一に、中曽根内閣は売上税と、そして竹下内閣は消費税導入の動きと、軌を同じくして物品税悪税のキャンペーンが強まったように思われてなりません。これは、物品税の性格とか物品税が本来持つ特徴ということよりも、大型間接税をねらった中曽根、竹下両内閣の意図的な悪宣伝でなかったかと私は疑問を持つものであります。  第二には、課税対象品目やそれぞれに課す税率等については当然時代の変化や国民生活の変化を反映させた改正、改善を行うべきであったのに、その政策努力を怠り、取りやすいところから物品税を取ってきたのは政府自民党であります。自分たちの怠慢を棚上げいたしまして、あたかもそれが物品税の持つ本来的な性格のごとく言うのは私はいただけないと思うのであります。  第三に、物品税が国際経済摩擦の原因になるというのも、私からすると全くためにする議論だと思います。話は逆であります。例えば、酒やたばこについては大蔵省当局が一定の距離、間隔を置かないと販売を許可しない、その統制経済的なやり方が海外から新規参入ができなかったことの根本問題でありまして、税金問題が主題ではないのであります。また、百歩譲っても、自動車関係の税を含め酒、たばこ税も国内産業の保護政策に使い過ぎるというのが諸外国からの批判で、物品税そのものを頭から否定しなければならないという政府・与党の言い分は間違いだと私は思っております。  以上、物品税の諸点について御答弁をお願いいたします。
  49. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 安恒委員のおっしゃるとおり、消費税の持つさまざまな欠点や拙速な導入、また選挙公約違反などなどを考えましたときに、消費税は当然廃止すべきものであるというふうに思います。したがいまして、消費税廃止し、代替財源の一部として物品税、いわゆる個別間接税を復元するということは国民の大多数の声であるというふうに私どもは確信いたしております。個別間接税は、課税の対象あるいは課税物品の消費に示される担税力に応じまして課税を行うものでありますため、消費資金の大きい物品などに特定することができます。したがいまして、消費すべてに課税される消費税よりも逆進性を緩和するメリットというものがあるわけでございます。  また、御指摘のとおり、物品間の課税あるいは非課税のアンバランスは消費の多様化に伴いまして不合理な結果となっているのも承知いたしております。むしろ、今までの時代の変化に伴う国民の消費の多様化に適切な対応を怠ってきた、担税力に応じた負担を失わせてきたということでありますが、このような物品間のアンバランスというものをもたらしましたのは長年政権を担当してきました政府自民党でありまして、新規物品に課税しようとするとすぐまた政治圧力がかかっていく、人為的にゆがめてしまったものも少なくないというわけでありまして、だからといってそのしわ寄せを消費税という大衆課税で国民に押しつけることは、これは決して国民は納得しないはずであります。  したがいまして、私どもは物品税の復元に際しまして消費者の負担の激変を緩和するために、物品税では最高三〇%までありました税率を一〇%を最高に四段階に簡素化する、そして他の税目についても税率を半分にする、あるいは免税点を引き上げるなどの措置を講じております。したがいまして、国民の理解は十分得られるものと確信いたしております。
  50. 安恒良一

    ○安恒良一君 政府自民党消費税導入に当たって直間比率の見直しの必要性を訴えて投網型、トロール型の消費税をつくったわけですが、しかし、生活必需品もぜいたく品も税率が同じというのでは納税者の納得が得られるはずはありません。消費者にとって、間接税であっても課税物品に示される担税力に応じた課税であること、すなわち税負担ができるという意味であります。自分の収入と、それに見合ってという意味であります。また、税を払って買うのかそれともやめるのか、これの選択性があること、こういうものが私は絶対的と言ってもいい条件だと思うものであります。そして、この条件が備わっておるのが間接税であります。  と同時に、この間接税は、生活必需品には税を課さない、このことから私は逆進性が可及的に小さいものになると思います。逆進性というのは、所得の少ない人ほど税金をたくさん取られるということを逆進性という言葉で私たちは使っていますが、そういう収入と所得の関係であります。私はそういう消費者生活を混乱させてはいけないと考えます。ところが、消費税ではこれらの今私が申し上げた条件は何一つ備わっていないわけであります。でありますから、消費者皆さんが、国民皆さん消費税をやめてくれ、こういうことを言うのは至極当然と私は言わなければなりません。消費者間接税に対する意識からいえば、個別物品税が消費に課する税として最適で、投網型やトロール型の課税は許されない、こういう気持ちを持っています。  政府自民党消費税による逆進性を緩和するために歳出予算で穴埋めをする、例えば消費税導入のときに手当、一時金、生活保護費の引き上げ等を宣伝していますが、これは二階から目薬の例えのとおり、効果は非常に少ないと私は思います。消費者納税者立場からは、間接税それ自体の中にさきに挙げた三つの条件が組み込まれていることが必要であり、やや専門的に言いますと、消費に係る税金所得再配分の機能が働くという仕組みでないとだめだということであります。その点では、物品税的志向は税の基本理念とも合致するものだと私は考えます。  消費に係る税金所得再配分機能を持たせてほしい、こういう国民期待は各種世論調査でも明らかになってます。NHKの消費税連続討論会、朝日新聞のいわゆる消費税を見直す場合の改める点、自民党が若いOL六百人を集めて赤坂プリンスホテルで行いました「女性とトーク税制改革」で、物品税の復活でもいいのかという問いに対して当時七割の人がイエスと答えて、新聞では何のためにお食事を差し上げたのかと、こういう見出しまで書いてありました。こうした動向を見ると、自民党政府が物品税はだめな税制だと言うのは、私からいいますと国民は全く納得しないものでありまして、全然納税者の気持ちを理解していないと言っても過言ではないと思います。  そこで、間接税のあり方について提案者のお考えをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  51. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  間接税のあり方ということでございます。先ほどからいろいろとお話しございましたように、物品税というのは御存じのとおり、課税物品の消費に示される担税力に対応いたしまして課税をするものであります。したがいまして、先ほどお話しございましたように、逆進性という問題は、物品税だけではなしに間接税すべてにいわゆる逆進性というのはあるわけであります。これは間接税の持って生まれた性格といいましょうか、そういうような意味では間接税すべてにいわゆる逆進性というものがあるわけであります。  そこで、特に大型間接税、いわゆるすべての人に同じような税率をもってかけますと、消費者の方からいいますと、買い物をする方からいいますと、すべてにかかっておりますから選択ができないわけであります。そういうような意味で、実は物品税の話になってまいるわけでございますが、物品税がみんな悪のように今政府自民党皆さん方がおっしゃっているわけでございますが、実際問題としては現在の残された税制の中でも、自民党さん自身もこのいわゆる物品税というのが個別物品税の形で残っているわけであります。それは御存じのとおり、酒とかたばことか石油製品の中にそういうようなものが現実として残されているわけでございます。それはなぜかというと、やはり税率が非常に高い部分もあるわけですね。したがいまして、個別物品税にいたしますと、税率をいろんな角度でかけることができますし、先ほどお話しございました逆進性という問題を緩和することができるわけでございます。そういうふうな意味では、私はこの間接税の中でも物品税というのは大変すぐれた性格を持っていると、そういうふうに考えております。  さらに政府は、この物品税の問題についてかねがねいいところがあると言って説明をしてきたわけです。その説明の中身はどういうことかといいますと、これは政府が説明したことでございますから間違いないと私は思うんですけれども、一つは徴税コストがかからないと、こういうわけです。それからもう一つは、納税義務者が非常に少ない、こういうことをおっしゃっているわけです。それから、先ほどの最後の間接税が持っている逆進性を緩和することができると。これはもともと政府がおっしゃってきたことでございますし、こんなことが急に変わるわけは私はないと思いますし、また国によってはいろんな問題があるとは思いますけれども、いずれにしましても、この間接税というのはそれぞれすぐれた性格を持っておりますし、また税にはそれぞれいいところも、あるいは悪いところもあるわけです。それをお互いにカバーし合っていくわけでございますから、当然私どもがこの物品税を復活いたしたというのはそれなりに理由が明確であるということであります。
  52. 安恒良一

    ○安恒良一君 わかりました。  次に、代替財源のうち、当面二年間の法人税率の据え置き及び引当金の圧縮等について伺いたいと思います。  提案をされた中身は理解をされていますから省略いたしますが、これらの措置は、税制改革の都度世論を初め野党が今までこぞってその是正を主張してきたものだと、非常に適切な対策であるというふうに実は私は考えるものであります。  この法人税率の据え置きに関連して、政府・与党や財界の一部には我が国法人税率が主要先進諸国に比べて高いことを理由に過重負担を強いるのではないのかと、もしくは国際競争力を損なうやり方で世界の情勢に疎いとか、極論する人は日本の企業が海外に逃げ出して税金も入らなくなるのではないかなどと言っています。提案された方々としては、そんなことは万が一にもあり得ないと確信を持ってこの改正案を出されていると思いますので、まずこの点の御答弁をいただいて、誤解に等しいおどかしに対しても、また反対をしている人々にもぜひ御安心がいただけるように説明をしていただきたいと思います。
  53. 小川仁一

    委員以外の議員小川仁一君) 安恒議員法人税の課税にかかわる質問にお答えいたします。  お話にありましたとおり、今回の法人税の改正は主に次の六点でございます。  第一に、法人税の基本税率の三七・五%への引き下げ措置の実施計画を延期し、経過税率四〇%の適用を延長する。ただし、中小法人に対する軽減税率については九〇年四月一日から始まる事業年度について二八%へ現行法どおり引き下げる。  第二に、基本税率の経過措置の延長に合わせ、支払い配当に対する軽減税率の適用を延長する。中小法人、協同組合に対する支払い配当に対する軽減税率については二五%の税率を適用する。  第三に、特定株式等にかかわる配当等の額を除き受取配当益金不算入割合を二年で六〇%まで引き下げる。  第四に、賞与引当金の廃止を目指し、当面二年で二割圧縮する。  第五に、貸倒引当金の法定繰入率を圧縮する。  第六に、外国税額控除制度について国外所得の限度割合を八〇%に引き下げる。タックスヘイブン対策について現行体制を中心に適正化するという改正であります。  したがって、今回の改正は暫定的な税率の適用の延長と引当金制度の実態に即した見直しなど、法人の課税ベースを拡大する方向での法人課税の適正化措置であり、大法人への課税強化などと言えるものではないと考えております。  そこで、ただいまの安恒議員のお尋ねの点について、現在の我が国法人の税負担は国際比較で見れば高い、さらに大企業を初めとした法人に対して課税強化をすれば国際競争力を弱め、産業の空洞化を招くことにはならないかとの御心配の声があるようだとのことでございますが、しかし、第一に大蔵省の方式によって表面税率から機械的にはじき出した法人の実効税率の比較では確かに我が国はアメリカ、イギリス、フランスより高く、西ドイツよりは低い。しかし、これはあくまでも表面上の数字であり、会計における損金算入や租税特別措置に限らない広い意味の特別措置などによる課税範囲の伸縮によって税負担率が大きく変動するため、我が国法人の税負担水準が国際比較で実際どの程度であるかについては種々の議論があるところであります。  また、国際競争力を取り上げる場合、諸外国では社会保険料などの税外負担の大きいところもあることを勘案する必要があります。  第二に、ここ数年続いている激しい貿易摩擦は我が国企業の競争力の強さが最大の要因であり、法人負担税率が国際比較で高いと言われながらも、それには全く関係なく、摩擦は緩和されるどころかその反対である。輸出中心で成長してきた我が国大企業の国際競争力、収益力は相当のものであり、税を負担する能力はかなりのものがあると見てよいし、法人税率の引き下げなどの時期を延期したからといって法外な企業課税の強化などと言えるものではなく、心配されるような産業の空洞化が進展するとは考えられません。  第三に、企業の対外直接投資、産業の空洞化の原因が法人の税負担の重さによるものであると断定している分析は見当たりません。大蔵省が公表した対外直接投資の急増を分析した論文によれば、資源の安定的確保、賃金などコスト面での有利性、諸外国への外貨融資の積極化、貿易摩擦を背景とするECやアメリカでの現地生産拡充の必要性などの要因が挙げられている。為替相場の影響も大きく、法人税負担の前にどれだけ収益を上げられるかが法人企業の活動を規定する要因として大きいとしております。  以上のことから、今回の措置が経済の停滞や企業の海外逃避を急増させることは到底考えられません。
  54. 安恒良一

    ○安恒良一君 時間がございませんからできるだけ簡単にお願いをいたします。  よくわかりました。私は、法人税率だけで企業がやっていけるなどとは思いませんし、ましてや海外に逃げ出して法人税が入らないなどということは私も全然考えておらないものであります。  さらに、引当金制度の合理化をやろうという提案が今ございましたが、これは私は野党提案だからできることだというふうに実は考えます。消費税導入に当たって、政府自民党法人税を一兆八千億も減税を行いました。これは国際的に法人税が高いからという根拠のもとに行ったのでありますが、アメリカのレーガン税制改革法人税率の引き下げを特別措置や引当金制度等の整理合理化による課税ベースの拡大と表裏一体で行ったということを参考にいたしまして、当時私たち我が国法人税率の引き下げもこのようにしてやるべきだということを主張した経過にかんがみまして、私は今回の皆さんが出されましたのは政策の一貫性という視点からも非常に賛成であります。  消費税導入で一般消費者の負担で一兆八千億の法人税減税を行った政府・与党の税制改正の間違いを正すという点を私たちは見落としてはいけないだろうというふうに存じます。こういう点について、今提案者から既に私の質問によく答えていただきました点に感謝をいたします。  そこで私は、法人及び資産課税に関連いたしまして、戦後日本税制の根幹であるシャウプ税制、当時これを池田大蔵大臣、後では総理になられましたが、資本蓄積を最優先とした改正を大蔵大臣は必死に行ったのであります。それがために、税制の使命である公平公正を犠牲にした時の政府の政策に奉仕するという税制になり過ぎた。すなわち、資本蓄積の手段の一つが今問題になっております特別措置や引当金、各種優遇措置だったわけであります。その結果、日本法人税ほど利益の費用化が行われている国はないと思います。合法的に費用化ができれば利益は当然少なくなります。納める税金は少なくて済む勘定になるわけであります。逆に利益の費用化をやるから、今度は税率そのものが引き下げができないということになるのであります。世界一の経済大国、金持ち日本になった今日、池田元大蔵大臣、元総理によってしかれました資本蓄積型の法人税は根本からつくり直すべきだというのが私の考えであります。二年間、国民税制議会での検討とも関連がありますので、これらの点について御意見がありましたら簡単にお聞かせを願いたいと思います。
  55. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 安恒委員の御質問は、要約いたしますと、法人税の税率の引き下げに伴って課税ベースの拡大を図るべきではないか、こういう御質問だろうと受けとめて、簡単にお答えいたします。  税率を引き下げるだけではなくて、一方では課税ベースを広げる必要があると考えます。引当金、租税特別措置その他課税ベースを浸食する必要を失った過度の優遇措置については、実態に即し適宜見直す考えであります。  なお、政府税制調査会も、中曽根内閣当時の抜本答申の中で、引当金制度の合理性を指摘しながらも、個別的に検討していく必要があるとし、賞与引当金、貸倒引当金について、実態に即した見直しを行っていく必要があると断言をしていました。  なお、売上税を軸とした税制改革案では、賞与 引当金制度の廃止が盛り込まれていたのは御存じのとおりであります。  したがって、法人税率の引き下げに伴って、課税べースは当然に拡大すべきだと考えます。
  56. 安恒良一

    ○安恒良一君 次に、いわゆる自然増収を代替財源にすることについて私は何ら問題がないと考えておりますし、既に本会議質疑でも自民党の反対論は私は完全に論破され、破綻したと承知していますが、この問題は非常に重要な問題でありますので、再確認の意味を込めて少し質問をしてみたいと思います。  世間で言われている自然増収には私は二つあると思います。一つは、毎年度の予算編成に当たって前年度に比較をして税収がどのくらいふえるかという年度当初の自然増収であります。二つ目には、税収の見積もり違いによって当初予算で予定した以上に税収が出てきた、すなわち年度内自然増収です。  私は、年度当初に見積もった税収の増加額、歳出の増加に幾ら、国債の減額に幾らといって財源配分を毎年度予算で行っていることからして、国民の最優先の政治政策課題である消費税廃止のためにこの財源を使うことは何ら問題はないと考えます。また、政府の義務としてもやるべきものであろうと思います。しかも、消費税廃止に伴う約六兆円のうち、一兆七千億に皆様提案はとどめてあります。さきの本会議提案者の答弁でも明らかなとおり、平成二年、三年の自然増収は五兆ないし七兆円がかたいということであります。消費税廃止に伴う代替財源は余裕を持って私は賄えるはずだというふうに思います。  自民党皆さんは、自然増収は株高、地価の高騰という一時的な要因によるもので長続きしないとの大蔵省主税局の言い分をうのみにしているのではないでしょうか。既に東京都等においては地価が横ばいもしくはある部分では下がるという点も出てきていると国土庁や建設省が発表しているのに、しかし税金平成元年度も三兆円以上の年度内自然増収が出るはずであります。私は予算委員会で論議をしてまいりましたが、すなわち、今や日本経済の体質が変わっている、だから一時的に税収がふえるといったことではないということを予算委員会の論議を通じて私は確信をいたしております。いやしくも消費税廃止と暫定の二年間に対して自然増収を財源とすることには何らの心配も要らないはずであります。  さらに、昨年の消費税審議の際に政府自民党は二兆六千億円の減税超過を大々的に宣伝し、税制改革に当たって制度的に増税の裏づけのない方式をとったのであります。すなわち、自然増収を引き当てにしたのであります。この二兆六千億と一兆七千億では金額に相当の開きがありますが、私は自然増収財源に全くばかげた反対をする人々の気持ちがわかりません。私は予算委員会で厳しく指摘をしました。当初予算と決算で、税収が六十二年度は五兆六千億、誤差率一三・六%であります。六十三年度は五兆七千三百六十五億、誤差率一二・七%も狂っている事実を政権政党の皆さんはどうお考えなのでしょうか。  こんなむちゃくちゃな狂いを知らないで予算編成をやっている政府・与党に納税者は財政運営を任すことはできない、こう思っているのではないでしょうか。自然増収が消費税廃止財源に使えるか否かという前に、政府自民党は正確な税収をどう見積もるか、こういうことに腐心をしていただきたいものであります。たった一年間の税の見積もりさえ的確にできない財政当局に二十一世紀の日本税制税制論を論じる資格があるのかどうかと私は疑問を呈したいのであります。  代替財源としての自然増収について、また税収の過小見積もりについて提案者の皆さんから答弁並びに御見解があれば承りたいと思います。
  57. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) いわゆる自然増収という言葉で言われてまいりましたものには二つのものがございます。  一つは、年度内の増収であります。これは、当初の見積もりに比べて決算段階でどれだけ税収が伸びてきたかということでございます。これは今安恒さんが御指摘になりましたように、最近特に当初予算における税収の見積もりと最終的な税収との間の乖離がひどくなっております。六十二年度でも、年度内増収を結果的には財源とする形で一兆八千億の減税を行いましてもなおかつ五兆円を超える増収が見られたのでありまして、六十三年度も同じように二兆円の減税を行いましても、最終的にはこれを含めて七兆七千億という年度内の増収がございます。この年度内の増収というのは、大蔵省が操作したものであれば責任を生じます。もし見積もる能力がなくて起こったものであれば、これは税収の取り過ぎでありますから、当然に減税財源として優先せらるべきものであると考えております。  年度間の増収はこれは経済の成長に伴って増額してまいるものでありますから、当然にその前年度に比べて見込み得る増収分というのは、歳入歳出全体の中で財政全体の財源として使われるべきものであると考えておりますから、私はそれが財政の全体的調整の結果、結果的に減税財源となることは当然あり得ることであると考えておりまして、最終的にはこの自然増収をいかに見、どう論ずるかということは、財政全体をどう運営したかということによって論ぜらるべき問題であろう、こう考えております。
  58. 安恒良一

    ○安恒良一君 最後に私は自民党が宣伝をしています見直しが実際に大変困難だと、大きな内部矛盾を含んでいるという点を指摘して御見解を承りたいのでありますが、既に本岡さんから一、二点ありました、いわゆる内税か外税かと。外税が主流になった場合は転嫁が容易であると言われますが、これをやめますと弱小業者の皆さんが非常に転嫁が難しくなります。今度消費者立場で言いますと、内税は便乗値上げの危険を増大いたします。  それからその次は非課税品目の拡大でありますが、非課税品目の線引きが大変困難だと。本岡さんも言われましたように、消費税は帳簿方式でありますが、非課税と課税の区分には伝票方式でないと私も無理だと思います。そうしますと、業者の税務業務が非常に煩雑で、これは消費税導入のときの政府の業者との公約に違反をすることになります。  三つ目には、免税業者、簡易課税、限界控除。いずれも業者に配慮し、消費税導入と引きかえに与えた恩典でありますから、私は手がつけられないだろうと思います。  それから四つ目の問題でありますが、納税期間の短縮。消費者から預かった税金を個人の業者は一年間、法人の業者は多くは半年ごとに納める。その間の運用利益が非常に大きいということは既に予算委員会で私は指摘しましたが、しかしこれは消費者からいうと不当利益だということで反発する。しかしこの点も、私は政府は業者にこのうまみと引きかえに消費税を認めさしたというふうに思います。  今、以上ざっといろいろ見ましたが、主な見直し項目はいずれも大変根が深いものであって、消費者の納得や理解が得られることとは非常にほど遠いものである。特に今回消費税について業者の立場よりも、消費者立場を忘れたというところに、参議院選挙においてこれは拒絶がされたわけでありますから、したがって、今いろんなことが言われている見直しは幻想でありまして、また選挙公約の違反を再び犯すことになりはしないか、こういうふうに考えているものであります。しかしまだ私たちの目の前には、本岡さんも言われたように、見直しの実態がこれは出てきてないわけでありますから、私も本岡氏と同じように早く見直し案をここに出して、そして堂々とこのいわゆる税制特別委員会の中で論議がされることを政府・与党に私は要求をしたいと思います。と同時に、以上私が申し上げました点についてコメントがございましたらお聞かせを願いたいと思います。
  59. 小川仁一

    委員以外の議員小川仁一君) 非課税品目の拡大問題についてはお考えのとおりでございますが、なお付言すれば、非課税品目の拡大は消費税 の持っている本質的矛盾を拡大し、消費者を戸惑わせ、業界を大混乱させるものと思います。  食料品を非課税にすればと、こういうことが伝えられておりますけれども、なぜ他の生活必需品を非課税にしないのか、こういう問題が当然惹起してまいります。そして、そういった国民の要求が次々と日常生活の中からの要求となってまいりまして、売上税段階のときのように大きな騒ぎが出てくるのではないか、こう考えています。  また、食料品を全段階非課税といたしますと、種子、肥料などの生産資材に消費税がかかりますから価格に上乗せせざるを得なくなります。この保証は一体だれがするのか。転嫁できないとすれば生産者が消費税分を負担することになってまいります。消費者からは便乗値上げというそしりを受けざるを得ないのであります。スーパーや小売店を問わず、非課税品、課税品を一緒に売っている店は仕分けや計算が大変で大混乱になるでしょうし、消費者にとっても支払った税額が正確かどうかを確かめるだけでもこれまた大変な問題になると思います。  こういった形の非課税品目の拡大ということは、ほとんど政府自民党にとっては不可能ではないだろうかと思いますが、今、何かこの非課税品目の拡大という問題がかなり焦点になって御討議をされているように感じられる面もありますが、そうであるならば、約一兆円にもわたる新たな財源を必要とする政府見直し案というものもここに出していただくことによって私は討議が深まるものと考えております。
  60. 安恒良一

    ○安恒良一君 それでは最後の質問になりますが、私は議会制民主主義消費税廃止についてお聞きをしたいんです。  百十六国会消費税問題を論議することを主要テーマに召集されたはずであります。しかるに、消費税廃止を論議する委員会審議は、実は昨日の昼からようやく始まりました。今回の会期は十二月十六日までなのですから、多くの日時を浪費したことは私は否めないと思います。  これは一つには、何といっても政府自民党が七月の参議院選挙で示された民意にこたえようとしない。消費税をできれば存続させたい、見直しをしたい、このことによって体をかわしたい、こういうことで国会審議をいたずらに引き延ばしを行っている。これは民主主義議会政治を否定するものだと私は厳しく批判をされなければならないと考えます。税制改革法案提案の理由に明らかなごとく、議会制民主主義の基本は民意の尊重と公約の履行である、こう言われております。  御承知のように、中曽根総理は、円高不況を名目に国会を召集し、そしてうそつき解散を行いました。さらに、その際衆参同日選挙大型間接税はやらないと公約しました。そして、これに違反しました。竹下内閣は、消費税提案し、十分な審議も行わないで強行採決でこれを成立させました。そして、国民を全く無視して大増税を四月から実施しました。その結果、国民消費者の総スカンを食って参議院選挙で大敗し、消費税廃止の意思を選挙民は決めたのであります。  我々議員はこの民意に従うのが当然でありまして、私は、政府自民党は、議会制度よりも自民党が上にいる、こんな考えをお持ちではないのだろうかと思うのでありますが、そういう考えであるなれば、これは絶対に許せません。私たち野党共同提案法案にいろいろ注文をつけながら、参議院選挙公約した見直しの内容を一向に今日まで明らかにしていません。そして、国民に対しては、思い切った見直しをやる、十月中旬、またきょうの新聞を見ますと今度は下旬に見直しを発表する等々、納税者国民には何一つ示さない。すなわち、私から言うとこれは雲隠れであり、後送りだと。後送りばかりを繰り返しています。これが本当に政権政党がやることでありましょうか。私は、こうした理不尽なやり方に納税者国民の怒りは頂点に達していると思います。  野党廃止法案に対し、自民党見直し法案国会提出する義務があります。それをやらずにいたずらに野党案に注文だけをつける、こういうことに終始していることは全く許されません。新聞で報道されるところでありますが、税制改革法案は、参議院審議を済ませ廃止が議決されても、衆議院での審議日数不足を理由に審議未了を自民党はねらっていると新聞で伝えられています。万一そういうようなことを考えているとしたならば、これはもう私は、完全な議会制民主主義の否定であるばかりか、参議院の存在の意義と権威を否定し、衆参二院制のあり方にかかわる重大な問題と言わざるを得ません。政府自民党が策を弄して税制改革法案つぶしを行うことは断じて許されません。私は、そのようなやり方をもしもされるといたしますと、次の衆議院選挙で厳しい審判と鉄槌が下されることを警告しておきたいと思います。  さらに、指摘と警告をしなきゃならぬ問題は、例えば、本院で消費税廃止可決された、ところが衆議院での審議未了をねらって万々が一この法案が廃案となった場合に、平成二年度の予算が消費税見込みで編成された場合の問題であります。国会の意思が確定していないまま、参議院の意思は完全にそのような場合は無視される結果になるのであります。参議院選挙で示された国民の意思も、その代表である参議院の意思も、ともに政府自民党のそういうやり方によってこれは葬り去られることになります。私はこうした事態を非常に強く憂慮しております。  一日も早い消費税廃止法案成立を強く要望するものでありますが、以上の考え方について所見がございましたら伺って、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  61. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) さき参議院選挙では、ただいまもお話がございましたように、私ども廃止公約し、自民党皆さん方見直し公約したわけであります。今お話しの中にもございましたように、議会制民主主義の中で一番大事なことは、民意の尊重と公約の実行である、もうそのとおりであると私は思います。したがいまして、私どもはこの公約をどうして実行し、そして国民皆様方の御期待にこたえるかということで、実はことしも、先ほども話しましたが、夏からずっとこの廃止法案成立のために、あるいは成案のために全力を尽くしてきたわけであります。  実は昨年の年末の国会におきましても、税というのは国民の信頼と合意が必要だということで竹下総理とこの席で議論をしたことがあります。竹下総理は、税のいわゆる改革を進めるということに対しては国民合意があるということについては私どもも大体合意に達したわけでございますが、それじゃ大型間接税導入するということについての国民合意があるかどうかということをここで議論いたしました。答弁も精査をいたしましたが、結局その点では、総理も正確にあるとはおっしゃいませんでした。そういう点から考えてみますと、さき参議院選挙の結果というのは大変重大であると思います。  そういうような意味では、私どもはこの廃止法案を両院におきまして成立可決することが今国民の信頼にこたえることだと心から信じております。
  62. 本岡昭次

    本岡昭次君 午前中の質問の中で、政府見直しという事柄にかかわって非課税品目の拡大あるいは免税点、簡易課税、限界控除といった問題に触れていく予定でしたけれども、今安恒さんの方からそうした議論もありましたのでそれは省きまして、最後の問題であります税制改革をどのようにして行うのかという問題の議論を行いたいと思います。  これについては発議者の方から税制改革の基本法を提案されておりますので、それに関係づけながら御質問をしてまいります。  まず、この税制改革の前提条件というものでございます。昨年、政府自民党が強行をいたしましたこの税制改革の特徴を一言で言うならば、初めに消費税ありきということでありまして、そのために、やらなければならない不公平税制の是正、これをすべて犠牲にしてしまったということ であります。これまで政府自民党は不公平な税制というものについていろいろ議論をなさっておられましたが、結局考えてみれば、それはこの消費税導入するためのバランス上そういうことをおっしゃってこられ、いわば税理論としての一貫性を保つために不公平を直さなければならないということをおっしゃってこられたのではないか、今にしてこう思うのであります。  したがって、消費税導入して、一%二兆円の増収ができる打ち出の小づちをここで握ったということでありますから、もう現在その不公平をどう是正するかというふうなことをやる意思も力も何かなくしてしまっているのではないかというふうに私は思えて仕方がないのであります。したがって私の今の思いは、消費税導入と引きかえにこの不公平税制の是正は忘れてしまって、逆の意味で、不公平税制を永久化してしまうということになってしまうということを国民は挙げて重大視しなければいかぬ事態であるというふうに私は思うのであります。したがって、そういう意味でその消費税廃止税制改革の大前提であるというのは当然でございます。税制改革の最大の前提条件はそういう意味からも消費税廃止でなければなりません。消費税ありきで始まった竹下政権時の税制改革であるからであります。  また、財政やもろもろの行政事務の見直し、あるいは行政情報公開の推進、行政監視制度の充実、行政機能の充実を確保した上での公務員総数の抑制、あるいは歳出面での見直しというふうなものを進めて行政改革を推進し、税制改革環境整備を図るべきであるというふうに私どもも考えます。そして、民主、公正、効率の三原則が貫かれて、これを通じて国民政治への信頼が回復され、参加と分権と公開が制度として実態として推進される、こうした行政改革は積極的に推進されなければならないと私どもも考えます。  さらに、間もなく到来するであろう高齢化社会では医療、年金等の福祉費が急増をしまして国民負担が高まっていくというのを、その負担を大型間接税で補うしか手がなかったのではないかという言い方が消費税との間で出ましたが、しかし、高齢化社会の必要な経費とその負担を大型間接税でしか賄うことはできないんではないかというのは余りにも短絡的ではないかと私は思います。その高齢化社会に対する国民の負担をどのようにして求めるのかという問題は、それはそれなりに重要な問題でありますけれども、それ以前に、国民の広範な議論に基づいて社会保障に関する総合的な長期ビジョンというものを確立しなければならないと思います。医療、年金、福祉等に関する総合計画が策定されることが高齢化社会における社会保障国民の負担との合意形成の前提であるというふうに思います。  しかも、高齢化社会対応を言い、財源の拡大を図る一方で、政府の方は年金の支給開始年齢を引き上げたいというふうな高齢化社会の対応とは言いがたい行為を行おうとするというふうなことでは、これはもう国民不信は高まるばかりでございます。  自民党は、こうした高齢化社会到来で大変だ大変だと言われるならば、その将来展望、あるべき姿を国民の前に十分資料をもって説明し、具体的にわかりやすくそれを国民の中に情報として提供すべきであります。このようなことが税制改革の前提条件、環境整備となるものと私は考えておりますが、発議者のお考えを伺っておきたいと思います。
  63. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) ただいま本岡委員から種々御指摘がございました。私もただいま本岡委員お話しになりましたことに同意でございます。  私どもも、この税制改革法案提出に当たりまして、その前提となるところは、何と申しましても、税制の混乱を招き、あるいは国民不信感を増幅しておりますところの消費税廃止をまず行っていく、それに伴いまして暫定的に緊急を要するところの税制改革を行おう、このことに前提を置いているわけでございます。  先ほどお話がございましたけれども国民税制改革への要請と申しますのは、中堅所得者層を、いわゆるサラリーマン層を中心といたしました大幅な減税、そして不公平税制改革してもらいたい、これが大きな要望でございました。税と申しますのは国民合意と信頼に基づくものであります。したがいまして、私たちもこの国民皆様方の要請を受けまして、今までも大幅減税の実現と不公平税制の是正を目指して共同して闘ってまいりました。  しかるに自民党政府は、この不公平税制改革を行わずに、逆進性の多い消費税を実施したわけでございます。これは国民税制改革への要請を逆手にとって、先ほどお話がありましたとおり、不公平税制改革は一切放棄して大衆課税を強行したものと言わざるを得ないと思います。したがいまして、この税制を再び改革するに当たりましてその前提といたしますのは、先ほど委員がおっしゃいましたとおり、消費税廃止でございます。  また、この消費税廃止に臨みまして、新しく税制改革していこう、そのためには、先ほど申しましたとおりに、国民皆様方の理解と、そして信頼を得ることのできる税制改革をしなければならないということでございます。そのための環境の整備に当たりまして、先ほど委員がおっしゃいましたとおりに、高齢化社会に対する総合計画、そういうものも当然必要でありましょう。私たちは、この廃止法案提出いたしまして御審議いただいております国民税制改革協議会、その設置をこの法案の中に掲げておるわけでございます。その改革議会におきまして、国民皆さん方代表として参加していただきまして、高齢化社会に対する負担の問題等々につきましても十分御審議を賜りたいと考えている次第でございます。
  64. 本岡昭次

    本岡昭次君 それでは次に、その税制改革基本原則基本方針等にかかわる諸問題をお伺いいたします。  昨年の税制特別委員会のことを思い起こすのでございます。あのときは、消費税導入リクルート事件が同時に審議をされました。リクルート疑惑が解明されるに従って、このスキャンダル問題が税制改革問題と密接に関係のあることが国民の目にはっきりとしてきました。当時の江副リクルート会長が、リクルートの事業発展のために政官財界に金をばらまいていく。しかし、金をばらまくわけにはいかないので、コスモス株の公開の機会をねらって、法律の網をくぐって、そして株式に目をつけた。  もしコスモス株があのように政治家にばらまかれた一九八四年と一九八六年に、当時キャピタルゲイン、つまり株式などの売却益が原則として課税であったら、どういうことになっていたであろうかと思うのであります。原則課税であれば、リクルート事件もまた別の発展をしていたと私は思っております。アメリカのように納税者番号が導入され、総合課税システムというものがあれば、リクルート社から政治家にばらまかれたその株がどのようなものであったか、どのように流れたか、株は幾らであったか、お金は幾らであったかというものは、すべて一網打尽に明らかにできたと思うのであります。しかし、日本税制はシャウプ税制に改悪に改悪を重ねた結果、アメリカのような機能を持っておりませんでした。政治資金規正法も、いわばざる法で、政治家が株取引で利益を上げることを、それが幾らいかがわしいものであっても、それは禁じていないという法律でありました。  政府自民党にこうした問題に関していま少し思いをいたすということをやっていただいて、リクルート疑惑を徹底的に解明して、この事件の再発を防ぐために納税者番号制の導入を含むキャピタルゲイン課税の強化、証券取引法の改正など、みずから積極的に手をつけて税制改革をやるべきであったと私は思うのであります。しかし、残念ながら、政府自民党は、そうしたリクルート問題の解明を積極的に進めようとする本院の中においても、予算委員会において疑惑の解明を求める 動議についてもそれを握りつぶして、そして臭い物にふたをする式でそれの解明をやめさせてしまったということもあるわけであります。そういうことで、キャピタルゲインの原則課税というふうなものも税制改革の中でなされましたけれども、しかし、結果として実態はほとんど変わっていないのであります。  また、土地税制の素通り、法人税の相変わらずの優遇、軽い資産課税などに見られる税の不公正、これは先ほど言いましたけれども、ほとんど手をつけられていない。考えてみれば、これは大企業や資産のある富裕層を支持基盤とされる自民党には抜本的な不公平是正を望む方が無理なのかもしれません。したがって、私は発議者提案による税制改革に全面的に賛同をするものであります。  税制改革基本法の中を見てみますと、五つの基本原則が盛り込まれてあります。私が見る限り、いずれも極めて適切なものでございます。  第一に、国民合意に基づく民主的な手続というものが盛り込まれております。これはもう当然のことであります。  第二に、公正公平という問題がそこに掲げられてあります。  第三に、総合課税主義を基本とする応能負担原則というものを打ち出され、直接税を主とし間接税を従とする税体系を尊重するという問題の提起がございます。そしてその後、所得、資産、消費などに対する均衡のとれた課税という提起もございます。さらに、国などから公共サービスを受けながら意図的な大企業の赤字法人に対して適切に税負担を求めるための応益負担の考え方も取り入れられておりますが、当然のことであります。  第四の問題として、政府税制改革の悪影響を受けている地方財政の確立の問題も、税制改革の原則にはっきりと明記されているのは、これは評価すべきことであると思います。  第五の、富裕な者から多くの租税を徴収し、それを社会保障の給付に充てるという税制の社会的再配分機能に配慮して、福祉社会を支えていく基盤としての税制の確立という提起も重要な指摘であると私は思います。  さらに、その原則を受けた基本方針の中に、税制改革にはみなし法人の問題、社会保険診療報酬の特例の問題、企業に対する各種特例の問題、土地譲渡所得及び保有課税の問題、納税者番号制の問題、地方分権及び地方自治などに対する問題など、国民税制改革協議会の俎上にのせて論議するように法律によってあらかじめ指示した意義は、私はまことに大きいと考えるわけでございます。  この点について、税制改革基本原則基本方針全般にかかわる問題についての発議者のお考えを聞かしておいていただきたいと思います。
  65. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) お答えいたします。  最初に基本原則でございます。今本岡委員るる挙げて御説明になりましたが、重ねて申し上げたいと思います。  基本原則、その第一は、民主的な手続により国民合意に基づくことでございます。  第二は、税負担の公平公正を確保するということでございます。  三番目は、総合課税主義を基本とする応能負担原則を重視しながら、これは応益負担等も配慮しながら、直接税を主とする所得、資産、消費のバランスのとれた税体系を構築していきたいと考えております。  四点目は、安定した地方財政の確立を図り、分権、自治の発展に役立ちます、こういうことでございます。  五番目は、お話しのとおり、税制の持つ社会的な再配分機能というものを向上させることによりまして、これから高齢化社会を迎えるそのときに活力のある社会というものを支えることのできる税制、これを構築することを五つの原則といたしているわけでございます。  また、基本的な方針につきましては五点ございます。一つは、企業に対する各種の特別措置、この抜本的な整理合理化ということでございます。そして、課税ベースを広げる等の納税環境の整備を行いながら税負担の不公平をなくしていきたい、こう考えております。二点目は、今お話がありました総合課税制度を貫くために納税者番号制度の導入でございます。このことはプライバシー保護に十分留意をしながら、国民合意を前提としてまいりたいと思っております。さらに、国際化や経済構造の変化に対応する法人税の合理化、適正化というものを図ってまいりたい、このように考えております。四点目は、委員御指摘のとおり、このたびの自民党税制改革には欠けておりましたところの土地及び株などの資産性所得の課税あるいは資産課税を適正化していきたいということでございます。個別間接税の整理合理化等及びサービス、流通に対する適正な課税等も検討を行ってまいりたい。そして、バランスのとれた税体系を構築する中で、勤労者の皆さん方あるいは低所得者皆さん方の負担を軽くするような税制の構築を考えていきたいと思います。  また最後に、御指摘のありました将来の間接税に対する考え方でございますけれども、既に一般消費税、売上税、消費税といったように国民に否定をされました大型間接税、こういったものは当然検討され得ない、このように考える次第でございます。二年間かけて国民税制改革協議会で十分論議をいただきまして、その結果を私たちもこの再改革に生かしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。  以上です。
  66. 本岡昭次

    本岡昭次君 もう一度、大事な問題でございますので確認をさせていただきたいと思います。  税制改革基本原則そして基本方針の中で、ためにする話のたぐいであろうと思うんですが、大型間接税を将来導入するのではないかという危惧がその文面の中から感じられるというふうな話も一部にあるわけであります。それは今発議者の方が否定をされましたが、これは極めて大事なことでありますので、再度確認をしたいのであります。  私もそうした危惧に対して、再改革法案を読みましたが、その中にそれに類する文言としては「国及び地方の個別間接税の整理及び合理化を図るとともに、」というところで個別間接税ということが出てくるんですが、これは「国及び地方の」ということですから、今回改正を提案している酒税の問題、たばこ税といった国及び地方の間接税を含んでいるということですから、当然こういう文言がなければならない、こう思います。  また、今も発議者が述べられましたように、サービス、流通等に対する適正な課税というのが種々議論を呼んでいる部門でもあります。しかし、消費税というもので個別物品税を廃止して、サービス、流通全体に対して一律に網をかけたような形で課税をして物品税をなくすということで全部なくなってしまうんですから、今でもサービス、流通というところにかかっている税の率というものは非常に低いので、当然今の経済全体を見たときに、そこに対する適正な課税というものは考えなければならぬというふうに私も考えるわけでありまして、それにかわる課税のあり方を検討するということであろう、こういうふうに私は思っております。  私がきょう十時から延々と申し上げましたように、要するに私たちが今行おうとしております税制改革は、大平内閣当時の一般消費税に始まり中曽根税制の中の売上税、そして竹下税制の中の消費税というふうに、一貫してその中に大型間接税をどう導入するかということの関係の中で行われてきて、二度、三度と国民選挙による審判によってそれが否定されたという事実に立てば、いかなる理由があるにせよ、大型間接税というものは税制改革の中に盛り込まれるというようなことは絶対あってはならぬということを思うわけでありますから、そういうような重要な意味合いを込めて、そこのところをはっきりとひとつもう一遍発議者代表の方からお願いしたいと思います。
  67. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 今お話がございましたように、まず趣旨説明の中でもいろいろと御説明はいたしましたように、私どもが今回の代替財源案をつくるに当たりましていろんなことを考えたわけであります。何はともあれ、前提条件といたしまして、御存じのとおり昭和五十四年の大平内閣における一般消費税の決議、これは国会の決議でございますから、しかも両院にわたる決議です。これを本当に我々としてはどうとらえるかというのは大変重要な問題であります。これが一つ。  それからもう一つは、先般の中曽根内閣における売上税、これも大変重要な問題であります。しかも、今回の参議院選挙における消費税の問題、この三つをずっとつなげて考えてみますと、国民皆さん方は、いわゆる大型間接税というようなものをやはり全面的に否定をしている、そういうふうな前提に立つわけであります。  そういたしますと、流通やサービス、こういうような問題をどうするかという問題は大変大事な問題であります。したがいまして、そういうふうな中から、先ほども話をいたしましたように、あの物品税を復活さしたわけであります。そして、個別物品税を復活させまして、それぞれの担税力に合わせまして、いわゆる何といいましょうか、一般消費税の持っております逆進性というものが少しでも緩和できるからこちらの方がいいんじゃないかということで物品税を復活さしたわけであります。そういうふうな考え方からいきますと、これから先の話は実は国民税制改革協議会の方で検討していただくことでございます。そのことは基本法の中でも詳細にうたわれているわけであります。  したがいまして、ここでは流通、サービスの問題につきましても我々は個別物品税とあわせまして、将来大型間接税の中には含めないで、こういうものは一切除いて、そして流通、サービスというものを含めて間接税のあり方を検討してまいりたい、こういうふうに考えているわけであります。
  68. 本岡昭次

    本岡昭次君 国民税制改革協議会が極めて重要な責任を負うということが明らかになってきたわけでありますが、新しく設置されようとする、また、設置を提案されている国民税制改革協議会について伺っておきたいと思います。  これまでの各種審議会は、政府があらかじめ結論を決めておきながら、こう言っては失礼になるかもしれませんが、大体そういうふうな形で、いかにも国民の声を聞いたかのような装いをして、あるいは国会議論というものを避けるために、そこを隠れみのにして利用されてきたことが多かったのではないかというふうに私は思うのであります。だから、この点はやっぱり私自身も厳しく批判する者の一人であります。  それは、消費税導入時の税制改革に対する政府税制調査会の中間答申を見ても、自民党や財界の政治的圧力の前に改革の基本理念がぼやけてしまって、税制改革の全体像が見えてこない、そして、中途半端な内容になったのではないかという学者なり各界から強い批判を受けていたことを私は思い起こします。  さらに、政府税制調査会の答申が今度は政権政党の自民党によってゆがめられていくわけであります。政府税制調査会が、例えば竹下税制改革のときに、中間答申では、年間五兆円以上と言われている企業が、賞与引当金を段階的に減らすことによって法人税減税の原資を生み出して法人税の増減税差し引きゼロにするという、つまり法人税法人税の中で一方で増収にして財源を見出して減税をする。だから、法人税の税率を下げるということと、それは法人にとって減税になるということは別の問題という理解がやはり必要だと思うんです。ましてや消費税というふうな、大衆から税金を集めてそれを法人税のところに上積みして減税するというふうな手法というのは私はあってはならない、こういうふうに思うんです。  ところが、自民党税制調査会の中では結局財界の方のいろいろ反対に遭って、こう言われると自民党皆さんに怒られるかしれませんけれども消費税を認めるかわりにこちらはまあまあだというふうなことになって、私の思いですよ、消費税導入と賞与引当金の段階的廃止という政府税調の中間答申が一緒になって取引された。その結果法人税減税は、先ほど言ったように消費税、大衆増税によって原資に充てられたということになったのではないかと思うのであります。  いろいろこういう例を挙げるとたくさんあると思いますが、私は今回発議者が御提案されている国民税制改革協議会国民各界の声を聞き、そしてその意見を集約して改革の具体案をまとめていく本当の権威ある審議会であっていただきたいわけであります。その場合、政府税制調査会との関係というものが当然出てくると思いますが、政府税制調査会は政府の政令によって設置されるということでありますが、国民税制改革協議会法律に基づいて国会によってこれは設置をされるということを考えれば、国民税制改革協議会が大きく機能を発揮している間、政府税制調査会は政府の諮問に従って単年度の税制を改正することについて必要なことがあれば諮問を受けて、そしてその活動をするというものであって、やはり政府税制調査会の上にあって、そして今言った権威ある一つの国民税制改革協議会というものにしていただきたいと思うのであります。  そして、この協議会は恣意的にやるのでもなく、政府が諮問するというのでもなく、あくまで法律が一定の審議すべき中身を決めているということがあります。二年後をめどに結論を出すように審議をするということで、期限も一応決められている。そして、そこで得られた具体策が内閣総理大臣に報告されて、そして内閣総理大臣は国会にそれを報告し、国会はそれに基づいて立法など適切な措置を講じていくようになっていくと思うわけです。  私が言いたいのは、従来のように政府税制調査会があって、自民党税制調査会があって、そしてそれが法律になって出てくる、そしたらそれはもうすべてであって、やはりそれは数の力で押し切られていくという形でない新しい一つの形態というものをそこに生み出していくものであってほしいと、私は心から念願をしているわけであります。そういう意味においての国民税制改革協議会は私の意図するような、私の願うようなものであるのかどうか、これは発議者の方からひとつお答えをいただきたいと思います。
  69. 梶原敬義

    委員以外の議員梶原敬義君) 本岡委員質問に対しまして簡単にお答えいたします。  中曽根元総理のときに多用されました総理大臣の私的諮問機関やあるいは懇談会、これらは国家行政組織法第八条で規定されている審議会と非常に紛らわしかったわけでございまして、その点を私ども国会軽視も甚だしい、そういうことで強く反省を求めた経緯がありますし、また政令で定める政府税調についても国会の意思がなかなか反映をしにくい、こういう点に対しまして、私どもが今提案をしております国民税制改革協議会というのは、この協議会の設置そのものを国会で決め、そして五十人の委員をまた国会で決めるという、国会の意思が反映をされた委員会でありますから、そこが違うわけでございます。  したがって、私たち国民各界の声を聞くとの本来の審議会の原点に戻って、ここで国民の意見を集約し、改革の具体案をまとめることとしたのでありまして、現在の審議会とは全く異っていると承知をしているのであります。そうして得た具体案についても、国会審議に際しては事実上の最終案として押しつけるのではなく、議員からの自由活発な質疑を通じてよりよきものに改める姿勢を堅持していく、そのようなものであります。  なお、政府税調はこの協議会活動している間は自動的に休止、このようになると考えております。
  70. 本岡昭次

    本岡昭次君 最後に、二年後の税制改革の内容について伺いたいと思います。  税制改革の内容は税制改革基本法の中に、先ほど私がお尋ねしたようなこと、また答弁いただいたような事柄をやるのだとはっきりしておりま すが、それはあくまで法律の文言でございまして、我々の日常生活、我々の感覚というものに合わせていくとどうなるのかという点で私は再度念押しに伺っておきたいのであります。  まず、税制改革に暫定期間を二年間置いたという問題でありますが、私は極めて適切であり、今日の状況を考えると常識的であろう、こう思うのであります。まず税制国民の信頼と合意に基づくものであるということですから、広く国民の参加を保証して、国民合意を得ていかなければならないという手続のところが非常に大切だというふうに考えるからであります。とにかく拙速は避けなければなりません。そのためにかなり慎重に審議していく時間の十分な保証が要ると思います。しかし、だからといって現在放置されている税の不公正をいつまでも放置しておくわけにはいきませんから、ある程度の時間を限る、それが言っているところの二年間とすることについては私は妥当であろうと思うし、また税制改革を行うときのある客観的条件として、やはり経済の安定したときにやるということが極めて大事であり、無用の混乱を招かないで済む。そういうことを考えていきますと、現在の景気を拡大していく、そして継続がほぼ見込まれていく、こういう段階の期間を一応二年と認めていくことも私は非常に妥当性がある、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、ちょっと話は変わりますが、最後だから私も言わせてもらいますけれども、昨年この委員会審議中に、たしかここに喜屋武さんがおられたと思うのでありますが、審議続行中に審議打ち切り動議がそのあたりから出て、そしてわあっと言ってこんなになって、そして採決されたのかされなかったのか全然わからぬうちにここで何か決定されてしまったというあの瞬間、今でもテレビに時々出ますが、忘れることが私はできないわけなんであります。ちょうど一年たって今立場逆転をして、あのときに強行成立させられたその消費税を私たちの方が廃止する法案提出して、今こうして質問させていただいておるということの一つの歴史の流れの経過というものを、私は非常に大きな感慨と感動を持って今ここで質問させていただいておるのであります。  その政府自民党税制改革、いわばそうした手続上の問題もありますが、さらに中身は国民不在のとにかく消費税導入のためだけの税制改革であった、資産の多い人たちに有利な税制改革であった、所得の高い人ほど得をする税制改革、老人や低い所得の人たちが非常に冷たい税制改革だと感じるような中身のものであったというふうに、これは私たちの感覚からいえば思うわけであります。だからこそ、参議院選挙納税者がその怒りを爆発させた結果という問題を私たちはここではっきりと受けとめておかなければならぬと思うのであります。  そして消費税導入による税制改革が全般に一応行われたわけでありますけれども、しかし私が初めに言いましたように、それは消費税改革ということと引きかえに不公平税制というものがたなざらしにされて手をつけられなかったという状態があるんです。ある学者が現在ある不公平税制を是正すればどれだけの金が得られるかということを最近ある雑誌に発表しておりますが、その学者の説によると七兆八千六百億円の財源が現在の不公平税制から得られるというふうな説もあるわけでありまして、これが消費税が今平年度になっても五兆九千四百億円というふうに見ると、不公平税制の是正というものは消費税の大衆課税を軽く超えていくだけの大きな財源を持つということを考えるときに、私たちはこの不公平税制の是正というものに本当に大きな力を注いでいかなければならない、このように考えます。  結局そのことが、久保発議者も本会議でおっしゃいましたように、正義のための応能負担原理と公正のための所得再配分機能が働く税制ということになってくるわけで、これこそ国民期待に沿う税制改革であると、私はこのように考えているわけであります。二年後の税制改革の内容がそのような形に発展をして、国民の本当によかったというそういう喜びの中でこれが完成していくようこれから私たちは頑張っていかなければならぬと、こう思うわけであります。  発議者の最後の御答弁をお願いしたいと思います。
  71. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今、私どもが今回提案をいたしました法案の考え方について本岡さんの方からお話がございまして、私どもとしてはそのとおりに理解をいたしております。不公平感や重税感が税制改革の出発点であるとするならば、不公平税制をきちっと是正していくということが何よりも重要なことでございます。また、重税感を取り除いていくためには可能な限りの公正な減税措置をやっていくということが必要であろうと思っております。これらの点は今後税制改革に当たって、今御指摘のとおりにやっていかなければならぬと思っております。  なお、本岡さんが今御質問に当たりまして、昨年の税制改革に当たっての議会制民主主義の手続の問題について御批判がございました。私は、最近自由民主党の代議士を父と夫に持つ女性の書物を読ませていただきました。元総理大臣の娘さんでもございます。この方が、今度のようなやり方で消費税を強行したことは一人の主婦として私はこれに対して強い反対の意思をあらわしたい、そしてこの消費税が弱者に対していかに問題を持っているかということをお書きになっております。最後のところで、国民の信を問うことなくこんな重大政策を国会に出して暴力的強行採決によって決めてしまったところに問題のルーツがあるんだということを書かれておりますが、そのような政治にかなり近い場におられる主婦の方でもそういうふうなお考えをお持ちになる。このようなことは私たちがいろいろ考えてみなければならないことではなかろうかと思っております。  なお私は、今本岡さんの御質問を聞きながら本会議における大鷹淑子さんの自由民主党を代表する質問を思い起こしておったのでありますが、その最初のくだりに、与野党逆転下の新しい参議院の行方に国民は関心と期待を寄せている、私はそうだと思うのであります。この国民期待にどうしてこたえるか。そしてそのことについて大鷹さんは、ぜひ与野党立場を超えて徹底した論議を尽くしたいということを冒頭に言われております。大変立派なお言葉だと思っております。私は、与野党立場を超えて、国民のために今何をなすべきかということで御論議をいただきたいと思っておるのであります。それは同時に、正当な手続によって成立した法律によってつくられた消費税自民党としては廃止に絶対反対であるということを御主張になっておりますが、そのような立場にこだわらず、今度の私ども提案をしております法案について十分な御論議を国民のためにいただきたいと思うのであります。  私たちも、提案しております九法案審議の必要もない完璧なものだという思い上がった気持ちはありません。どうか、この特別委員会の十分な徹底した論議を通じて国民皆さん期待にこたえる結論を出す、そういう立場に立って与党の皆さん方も御論議をいただきますことを提案者として心から期待をいたしております。
  72. 本岡昭次

    本岡昭次君 時間も参りましたからこれで質問を終わらせていただきますが、発議者皆さん、どうか最後までひとつ結束を固めて頑張っていただきたいと思います。どうもありがとうございました。どうも御苦労さんでした。(拍手)
  73. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから十分間休憩いたします。    午後三時九分休憩      ─────・─────    午後三時二十三分開会
  74. 中村太郎

    委員長中村太郎君) ただいまから委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、九案に対する質疑を行います。
  75. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私は自由民主党を代表いたしまし て、提案に係る九法律案並びにこれらをめぐる諸問題について質問をいたします。  戦後、我が国は目覚ましい発展を遂げました。これはもとより国民各位の努力のたまものでございます。そして、これら戦後の長い間、一時期を除きまして、我が自由民主党が国民負託を受けまして政権を担当いたしましたことも、これもまた事実でございます。我が自由民主党は、内に自由と民主主義を高く揚げ、外に西側の一員としての外交を積極的に展開してまいりました。その結果、内外の政策よろしきを得て、国民生活は充実向上し、そして我が国経済は未曾有の繁栄を謳歌するに至ったのであります。経済は拡大をいたしまして、その結果安定した税収も確保することができた次第でございます。  今、野党会派は当院に九法律案提出されました。そして野党四党は、かねてから自由民主党にかわって政権を担当するということで、連合政権構想を協議しておいでになります。そして、連合政権の恐らく中心になるであろうと思われますのは野党第一党の日本社会党であろうと思うのでありますけれども日本社会党も、その綱領とも言うべき新宣言の中で「そして自民党にとってかわり政権を担当する党としての能力と決意国民のまえに明らかにする。」、新宣言にこう述べておいでになる。しかも、政権担当近しという御認識をお持ちだと思うんです。それは社会党の土井委員長も、参議院選挙で扉の一方は開かれた、来るべき衆議院選挙で扉のもう片一方を開くんだ、こういうことを言っておいでになりますね。また、昨日でありましたか、久保議員も、連合政権が現実的なものになりつつある、感慨無量だ、いずれこの席に自分も座るんだとまでは言われなかったけれども、感慨無量である、こういうことを言われた。そういう意味で、非常に現実感を得っておいでになると思うんですね。議会制民主主義というのは、これは時に応じて政権の交代が行われることが私は政治に活力を与えるゆえんだと思います。これは私は否定をいたしません。  そこで本日は、具体的な税制論議に入るに先立ちまして、野党四派、なかんずくその中心となるであろうと思われます社会党が政権を担当されるに当たって、政治経済の面で基本的にどういう姿勢を持って臨まれるのか、これをまず明らかにしていただきたいと思います。  それは、どういう基本姿勢、どういう基本政策を持って臨まれるかは、我が国の内外政治の充実発展あるいは国民経済の前進に非常に密接な関係がございますね。例えば経済政策にいたしましても、経済政策がよろしきを得なければ、これはその経済は停滞をする。経済は冷えます。その結果、税収というものは予定どおり確保できない。いわんや今回の法案提出されるに当たって代替財源をお考えでありますけれども、そういう自然増収なんていうものはもとより期待できないということになるわけであります。経済政策一つとりましても、そういうことにならざるを得ないと思うのであります。そういうことでありますので、野党、特に社会党政治経済に対する基本姿勢というものをまず私は質問によって明らかにさせていただきたいと思います。  野党の政権構想に関する諸問題を明らかにしたい、自民党としても明らかにしていただきたいのでありますけれども、これは国民も一番今知りたいと思っている点なんですね。むしろ野党皆さんがこの場を通じて、自分たち政治経済について基本的にどういうことを考えているか明らかにしていただく義務がある、これはまた国民が一番知りたい点だと、私はそう思いますので、そういう角度から質問をいたしたいと思います。  まず伺いたいのは、私どもの自由民主党の政治経済に対する基本的な考え方と野党皆さん方の考え方に一体相違があるのかないのか、あるとすればどこに基本的な相違があるのか、こういうところから伺いたいと思います。野党、なかんずく、先ほど申しましたように、連合政権が成立をすればその中心となるであろうと思われるのは日本社会党であろうと思いますので、まず日本社会党政治経済に対する基本姿勢、これから承ってまいりたいと思います。  社会党の規約を拝見いたしますと、前文でいきなり「日本社会党は」、ちょっと飛ばしますが、「社会主義革命を達成し、日本の独立の完成と確保を任務とする政党であり」、こう書いてございます。社会党の綱領とも言うべき新宣言、数年前に新たにされましたが、この規約はもちろん現行の規約でございますね、まずそれを伺いたいと思う。
  76. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今お尋ねになりました規約の「社会主義革命を達成し」という部分等につきましては今日その部分を凍結いたしておりまして、新宣言に基づいて綱領の改定等について検討作業をやっているところでございます。
  77. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 綱領については新宣言をお出しになった、それで新宣言の中で、前の綱領は「歴史的文書となった。」とこう書いてありますけれども、規約は、私がいただいたのには今申しましたように「社会主義革命を達成し、日本の独立の完成と」云々と書いてありますが、そうすると、それは世の中には明らかになっていないことでありますか。
  78. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) ただいまお尋ねの点につきましては、新宣言を決定し、そしてこれを国民皆様方に発表いたします段階で、あわせて規約の改正につきましても大会でその作業を進めることを決めておりまして、ただいま御指摘の部分については、したがってこの部分を凍結し、そしてこの改定作業を急ぐ、こういうことで作業を進めているものでございます。
  79. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 そういたしますと、今改定作業を進めておいでになる、しかし形式的にはまだこれは残っている、しかし改定作業も進めておいでになる。私はそれはそれで結構でありますけれども、社会主義革命、いかにも革命というのはおどろおどろしい言葉でございますね。革命という日本語は、無論私どもはすぐフランス革命を思い出したりしますけれども、少なくとも革命という言葉は、普通の変革とか変容とかいうことではない、世の中のさま変わり、世の中が基本的に変わっていく、さま変わりだ、こういうふうに考えるものですから、さあ一体世の中がどういうふうにさま変わりするんだろうか、非常に疑問に思うんです。しかし、今承ると、形式的にはこの規約というものはあるけれども、それを今改定すべく作業中である、こういうことでございますか。
  80. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 御指摘のとおりでございまして、新宣言を綱領にかわる文書として発表をいたしておりますので、新宣言に基づいて党の考え方を御理解いただければよろしいかと思います。
  81. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 規約がそういうことでありますならば、それはそういうことで理解をいたしたいと思います。  そこで、社会主義というのは、一言で言っていただくとどういうことでございましょうか。
  82. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 大変大きな御質問でございますけれども、お読みいただいております新宣言によって明らかなように、人間をあらゆる束縛から解放し、そして人間尊重、ヒューマニズムを前進させていく、そういうものを私どもは社会主義の目標と新宣言において決めたのでございまして、社会主義に一つのモデルを求めたり、現に社会主義と言われているものをモデルとして私どもは考えていこうとしているのではございません。そのことにつきましては新宣言に明らかにいたしております。
  83. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 昨日もお話がございました。社会主義の目標というのは、人間を解放していく、これが目標だ、新宣言にもそういう趣旨のことがございます。  そこで、一つ伺いたいのでありますけれども、人間解放を目指すのが社会主義である。ソ連でございますとか東欧各国、今までの歴史の経過を見ておりますと、どうも人間解放という面からいうと甚だしく遠い、今や人間解放に向かいつつあるような感じがいたしますけれども、それについて 御感想を承りたいと思います。
  84. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私がここでその点についてお答えいたしますことが適切かどうか、昨日伊江委員にも申し上げましたように、私たちはここに消費税廃止にかかわる法律案提案する責任者として出席をさせていただいているのでございまして、私どもがここでお答えするその責めは、本来九法案にかかわる問題だと思っております。  それで、せっかくのお尋ねでございますから、私がわかる範囲でお答えを申し上げたいと思っておるのでございますけれども、今政治的にも経済的にも、それでは我が国の西側のこの資本主義の体制の中で、すべての人たちが今日人間尊重の社会の中で生きているのであろうか。現に、経済は大国になったけれども豊かさの実感がないというのは、自民党の歴代政府の責任者からも国会においてもしばしば述べられていることでございます。
  85. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 簡潔にひとつお願いします。
  86. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) はい。あなたの方のお時間ぐらいはいいでしょう。  それで、そういうことを考えてまいりますと、社会主義であれ資本主義であれ、今人間の解放のために、そして本当の物心両面にわたる豊かさのためにやるべきことは幾つもあると思うのであります。そういう中で、自由と民主主義ということが東西の共通の理念として、今いろいろな面でそういう動きが非常に高まってきていることは歓迎すべきことであろうと考えております。
  87. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 ちょっと方法論については余り議論をしてもしようがございませんけれども、私は議題外の議論をしているつもりは全くないのでございます。先ほど来申し上げておりますように、政権に最も近いと考えておられる政党がどういう政治経済政策をおとりになるかということは、まさに国民が一番注視をしている問題ですね。そういうことで伺っているので、私が例えばプロ野球のストーブリーグをどう思いますかなんて伺ったならば、それは議題外でございますけれども、これはまさに私は一番中心の問題だと思うんです。  実際私も、そういうことをおっしゃるかと思っておりました。二、三日前、私の国の新聞、これは恐らく共同から流れたんだと思いますが、「八日から論戦へ」というので「与野党五氏に方針を聞く」。与野党の五人の方に方針を聞いておりますが、久保亘氏は、「自民党の主張する徹底審議を受けて立ち、淡々と論戦を重ねていく。税制の本筋の議論を望んでいるが、他の政策をどうしてもやりたいというなら逃げはしない」、こう書いてございます。私は、逃げる逃げないじゃなくて、久保議員社会党の政審の幹部でいらっしゃいますから、まさに政策、ポリシーメーキングの中心においでになるということも頭に置いて質問をいたしているわけでございます。  そこで、新しい綱領ともいうべき新宣言をお出しになったんですが、ヨーロッパの西ドイツを初めとする社会主義政党は社会民主主義政党というふうに一般に言われておりますね。伺いたいのは、社会党が旧綱領にかわって新宣言をお出しになった、それはヨーロッパ型の社会民主主義路線へと方向が変わったというふうに考えていいんでしょうか。
  88. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 変わったというお言葉に対しては少し議論があるところでありますが、社会党が新宣言で目指すものはヨーロッパ型の社会民主主義かということを一言でお答えするとすれば、そのとおりでございます。  社会民主主義の理念は、自由と公正、連帯が基本の価値でございます。  私どもは、ここで言う自由とは、日本国憲法の前文でも明記されております恐怖と欠乏、従属から人々が解放されることであると思っておりますし、また政治抑圧からも解放されることでもございます。また同時に、個々人の能力を発揮し、社会や政治に責任を持って参加する機会を要求する自由でもあると考えております。  公正とは、すべての個人に対する一切の差別の克服と、人類が同等の価値を持つことを意味しております。  連帯というのは、個々人の社会的な連帯、人々がともに生きることでありますし、国際協調の精神でもあろうか、こう思っております。  これは日本国憲法の理念と合致をしておるのでありまして、新宣言はヨーロッパ型の社会民主主義の価値を共有する政党であるということを社会党が示したものだと御理解をいただければよろしいのではないかと思います。
  89. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 くどいようですが、もう一つ伺います。  そういたしますと、新宣言によってマルクス・レーニン主義と決別をされた、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  90. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日本社会党は、結党以来、マルクス・レーニン主義の党と申し上げたことは一度もございません。
  91. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 政治的側面ばかりを論議していてもあれでございますので、次に経済的側面について伺いたいと思います。経済的側面は、特に経済政策いかんが租税政策とかかわり合いがございますので、少し詳細に伺いたいと思います。  一番基本は、社会主義政権下で一体経済政策面で現在とどこがどう基本的に変わっていくのだろうかということ、これが疑問なんですね。疑問というか、伺いたい点なんです。新宣言を見ましてもその辺がどうも、私の読み方が不足なのかもしれませんが、よくわかりません。  これはなぜそういうことを申しますかといいますと、社会党の以前の綱領などを拝見いたしますと、その点はもう非常にはっきりいたしているというふうに考えられる。時間の関係もございますので余りくどくど申し上げることはございませんが、例えば前の綱領に相当する「日本における社会主義への道」というのを拝見いたしますと、「現代は資本主義から社会主義への移行の時代である」というところから始まって、具体的に私が非常にはっきりしているということを申し上げたのは、例えば「基幹産業の公有化と中小企業及び農業の協同化ならびに計画生産」と書いてあって、「重要基幹産業、たとえば金融、保険、エネルギー」云々というものは「公有化し」と、こう書いてあるわけですね。私はこういう政策に、賛成反対は別でありますけれども、とにかく非常に具体的なことがはっきりしていると思うんです。  ところが、新宣言におきましては、先ほど申しましたように新宣言は「自民党に取ってかわり政権を担当する党としての能力と決意国民のまえに明らかにする」んだと書いてありますけれども、どうも能力と決意について、例えば経済面については具体的に何をどうなさるかというイメージが率直に言ってわかないのであります。新宣言自体の文章、これは前の綱領なんかに比べますと大変平易に読みやすくできておりますですね。一番これがはっきりいたしますのは、例えば新宣言の最後の方を拝見いたしますと、「日本社会党 そのイメージは、すんだブルーと深紅のバラ。ブルーは、未来と明るさと清潔さ。深紅のバラは、愛と知と力。」、これはもう大変名文だと思います。これで鮮やかな具体的なイメージが浮かんでまいりますね。我が党の綱領なんかもこのぐらいの夢とロマンがあったらいいなとさえ思うような表現だと思います。  しかし、久保議員に伺いたいんですが、政治はやっぱりフィーリングではいかない。具体的にそれでは社会党政権が経済政策で何をなさるのかということは、その深紅のバラのようにはどうもはっきりこの宣言を読んだだけではいたさないものですから、少し具体的に質問をいたしたいと思います。  自由主義経済体制というのは、むろん私どもも全く自由放任であるとは思いません。必要な保護的枠組みの中にある市場経済のもとで企業が創意と責任を発揮する、それによって経済の前進、効率を追求していくというものだと思います。ところで、新宣言によりますと、新宣言には「市場の有効性を生かしつつ」、ちょっと中間を省略しま すが、「民主的な経済計画にもとづき社会的な規制と誘導をおこない」と、こう書いてあります。  そこで、まず基本的に伺いたいんですが、これは自由主義経済体制を基本として必要な規制と誘導を行うのか、それとも社会主義経済体制を軸として自由主義経済の市場原理を持ち込むのか、お答えをいただきたいと思います。
  92. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私どもといたしましては、新宣言にも明らかにいたしておりますように、自由主義経済体制を認めつつ、これに対して計画経済立場国民のニーズとか、また国民の豊かさを保障していくというような立場で有効に働かせながら進めていくものだと考えております。
  93. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 ここにあります「民主的な経済計画」というのは、これは何でございますか。
  94. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 言うまでもなく、自民党政権のもとでもこれまで所得倍増計画など経済計画が策定されて経済運営がなされてまいりました。これは既存の社会主義国が行っている計画経済と異なることは周知のことでございます。なぜならば、我が国のような市場経済システムをとる国では、国民経済に一定の目標を設定することができても、国有化を前提とする既存の社会主義のように経済全体を計画化することはできないであろう、こう思っております。  したがって、社会党の言う民主的な経済計画というのはソ連などの既存の社会主義国の計画経済とはおのずから異なるものでございます。国民経済国民の幸せのために生かしていくことが経済運営の第一義的な課題であろうかと思います。そのためには、政府が勝手に計画を立てて国民に押しつけるということではなくて、広範な国民の各界各層の民主的な討議の練り上げによって経済計画を策定することが国民合意経済運営の原則であろう、このように考えております。
  95. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 先ほども読みましたこの宣言の中に、「社会的な規制と誘導をおこない」とあります。一体どういう分野でどのような方法で規制と誘導を行われるんですか。
  96. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 例えば土地の問題であるとか、規制を加えていかなければならない問題が現実にも議論をされているところでございますし、それから医療に関する問題とか教育に関する問題であるとか、国民生活の基本にかかわってまいります問題等については、そのようなことが十分考えられていかなければならない問題ではないでしょうか。
  97. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 承りますと、どうも私どもが考えております経済運営と同じようなこともおっしゃいますが、違うような気もいたします。  そこで、この土井提言に関連をいたしまして、「新しい政治への挑戦」と、政策をお出しになったのがありますですね。それを拝見いたしますと、「新しい経済成長はあくまでも自由市場原理を通じて達成される。この市場原理は過渡的なものではなく、将来をも貫く経済体制の原則である。」、こう書いてありますが、これは国家統制的な社会主義経済を将来にわたって放棄したものだと、こういうふうに考えてよろしいんでしょうか。
  98. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 放棄したものではなくて、むしろ今日の民主主義の、政治経済各面にわたって進歩発展をいたしております民主主義状況に合わせて、私どもはそのような立場が最も国民的な要求、そして国民生活の向上に役立つものである、こういう現実的な考え方に立って今申されたようなことを決めているわけでございます。
  99. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 先ほど久保議員は国有化についてお触れになったんですが、この宣言の中に「日本社会党は、国有化だけがただちに社会主義とは考えない。けれども」云々と、こう書いてありますのですが、どうもこの表現を読みますと、少し持って回ったと言っては大変失礼ですけれども、どうも持って回った表現であって、国有化政策というのは否定しておいでにならない。国有化の思想が依然として根底にあるように受け取られますけれども、いかがでしょうか。
  100. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 新宣言に明確にいたしておりますように、国有化だけが直ちに社会主義とは考えていない。社会党は現に国有化すべきものを今日想定しているわけではありませんし、まして連合政権においてもそのようなことは考えていないのでございます。西欧諸国におきましても、国有企業は利潤動機だけのものになじまない部門、あるいは国有化した方がかえって効率よく運営できる部門、あるいは育成するために有効な場合に考えられているものだと思っております。で、社会党は国有化だけが直ちに社会主義だと考える社会主義の道をとっているわけではございませんで、国有化という問題はそれぞれの性格やその目的と有効性に即して考えられていくべき問題であろうと思っております。
  101. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 数年前に、日本国有鉄道が分割・民営化をされました。そのときに日本社会党はその法案に反対をされたというふうに記憶をいたしておりますが、いかがでございましょうか。
  102. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 国鉄には、企業性と公共性の両側面がございました。そのため、民営的手法による経営の施策は経営の施策面では必要であるが、全国ネットを持つ企業をあえて分割する必要はないであろう。そのことは、今日必ずしも分割によって安全性の問題とかそういう問題が非常にうまく解決されているという結果だけではないのでございまして、分割した会社で三社は黒字基調と言われておりますけれども、残る会社の将来の不安は今も大きいのであります。国鉄清算事業団に託された長期負債も再び巨額になっております。新会社に不採用となった旧職員の政治不信もまた不毛な労使対立を大きく残す問題となっておりまして、私どもが国鉄の分割・民営化に当たって危惧いたしました問題と、今後もなお政治の責任で解決のために努力しなければならない問題がたくさん残っていると考えております。
  103. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私は反対されたかどうかということだけを伺ったんですが、それに関連をして、国鉄の現状についてのお話がございました。  そこで私は、公明党、連合参議院民社党に伺いたいんですが、国鉄の今の分割・民営化、一般の国民の評価は、サービスがよくなったとか、便所がきれいになったとか、無論いろいろ問題はありますけれども、よかったなという感じの方が多いと思いますが、簡潔にこの国鉄の民営化について評価を伺いたいと思います。
  104. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) お答えいたします。  旧国鉄が分割・民営化しました。一昨年四月でございます。もう二年半を経過したわけでございます。国鉄は当時毎年約六千億から七千億円の国庫補助を受けながら、なお毎年二兆数千億円の赤字を出して、しかも長期累積債務というものは三十七兆円にも及びまして、ほとんど言うなれば企業としては経営破綻していたわけでございます。このような国鉄の現状を救済して新しい鉄道経営を更生する道は、私たちとしましては国鉄を分割・民営化していく以外にないと、そう思いました。一部法案を修正の上公明党は賛成し、国鉄改革は実施したわけでございます。  そして、公明党の主張によりまして実現しました国会への改革状況報告書、これを見てまいりますと、八八年度JR各社は経常利益で二千百十八億円、税引き後の当期利益も八百八十九億円と、極めて順調に推移しているようにうかがえます。  また、国民、利用者の皆さんからは、民営化してサービスが随分よくなったと、先ほど委員がおっしゃいましたが、そういう声も聞こえるわけでございます。しかし、今後清算事業団の長期債務の返済、あるいは事業団職員の再雇用の問題、あるいは昨日問題になりました年金等の問題、残された国鉄改革の諸問題につきましても、国鉄改革推進者としての立場から私たち公明党も今後とも積極的に取り組んでまいりたい、このように考えているわけでございます。
  105. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 宮澤議員にお答えします。  大変残念なんですけれども、この法案可決され議論がなされたときに私たち連合参議院はまだありませんでしたので、評価の点はまとまった意見は申し上げられませんのが大変残念だというふうに思います。しかし、あれだけ赤字だった問題が黒字に変わったということは、私個人としては非常によかったというふうに思います。  しかし、私の個人的な偽らない率直な気持ちを言いますと、黒字に転化したということは大変喜ばしいことですが、国営のときの赤字というのは、お役人さんというのは経営が下手なんだなというふうなことを今思ったりもしておりますが、なお私どもといたしましてはこれから検討してまいりたいというふうに思います。
  106. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 国鉄の分割・民営に対する評価についてでございますが、国鉄の分割・民営化は行政改革の大きな柱ということで、我が党も従来から強く主張してきた政策の一つであります。今日のJR各社の活力ある経営活動国民の評価を見れば、問題が全然なしとはしませんけれども、分割・民営という私どもの政策は極めて的を射たものであったことを確信いたすものであります。
  107. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 分割・民営化について四派の中で多少評価が違うように受け取りますが、少し先に進んでいきたいと思います。  社会党の宣言の中に、例えば「財やサービスからみて、また、国民的利益の観点から必要な部分は公共経済として位置づける。」、こういうくだりがあります。それからまた「企業の社会的責任をあきらかにし、国際協調と国民生活の質を保障するようなシステムをつくりあげる。」、こういうことがあります。  今ここでその個別の問題について細かく議論をする余地はありませんけれども、どうもこれは自由経済に何らかの管理的な枠組みをはめていくんじゃなかろうか、こういうふうに思いますけれども、いかがですか。
  108. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) その前に、先ほど国鉄の問題でお尋ねになりましたときに私お答えをちょっと失念をいたしておりまして。あの国鉄分割・民営化の法案に対しまして、社会党といたしましては民営による全国一企業としての対案を提出しておりまして、賛成か反対かというお答えには一言でお答えできなかったので申し上げなかったのであります。  公共経済につきましては、国民が日々健康で文化的な生活を営むためにはさまざまなサービスや財が提供されなければならないと思っておりまして、これらのサービスや財は利潤を目的とする企業の論理によっては果たせないものがたくさんあることは委員もお認めになるところだと思うのであります。したがって、利潤を第一義的にせずに国民福祉のために財やサービスを提供する公共経済の部門は、今日の国民経済にとって不可欠の部門であると考えております。  もちろん、この事業形態は国や自治体など多様に考えられるものであろうと思っておりまして、その事業にとって最も適切な形態を選択すべきものである、こう思っております。また、公共経済部門が官僚的になったり全く効率性を欠いたりすることのないように運営されなければならないことは当然のことでございます。
  109. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私はお答えを聞いておりまして、どうもやっぱり私どもの考え方と違う、自由経済に管理的な枠組みを私どもが考えているのとは違う意味でおはめになるのではないか、こう思うんです。  そこで、社会党が過日の参議院議員選挙に臨まれるに当たって、「一九八九国政選挙にのぞむ政策集 伯仲新時代へ」がございますね。久保議員は政策担当の幹部でいらっしゃいますから無論御存じだと思いますが、これを拝見いたしますと、これの五十ページですか、「「生活の質」重視の金融政策の実現」というくだりがありまして、簡単でありますから読んでみますと、「長・短金融、証券・銀行など業界の垣根を低くし、すべての民間金融機関を一元的に管理できるシステムの確立をめざします。」、こうあるわけです。  金融機関の間の業界の垣根を低くする、これは賛成でありますけれども、すべての民間金融機関を一元的に管理できるシステムの確立を目指すというのは、私はこれは問題ではないかと思います。しかし、もう時間がありませんので、それは指摘を申し上げるにとどめておきます。  そこで、最後に伺う前に、いろいろ今まで問答を続けてまいりましたけれども、そしてまた新しい宣言で市場原理によるんだと、こういう大きな方針を示されましたけれども、どうも私は自由主義経済を基本として規制と誘導をするのではなくして、社会主義体制を軸にして自由主義の市場原理を持ち込んでいく、こういうお考えのように思われてならないんです。もしそうであるとすれば、これは経済界を初め社会党が政権をおとりになった場合はどうなるのだろうかと非常に危惧をする、その危惧の解消にはなかなかならないのではなかろうか、そういうふうに私としては思わざるを得ないということだけを申し上げておきたいと思います。  そして最後に、これは通告はいたしませんでしたけれども、簡単なことでございますので感想を伺いたいんです。  それは、ドイツの社会民主党のブラント元総理大臣が、六月下旬、ストックホルムに世界八十カ国以上の社会民主主義政党の代表者が集まった席で、こういうことを言っております。多くの経験を積んだ結果、世界の社会主義政党は、経済活動への国家の役割について持っていた強い自信が誤りだったことに気がついた、そしてさらに、市場経済について、マーケットこそ社会の革新を進め消費者の欲求にこたえることができる、こう演説をした。  一言で結構でありますから、御感想を承りたい。
  110. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今、いわゆる東側の陣営と言われてまいりましたところでも、経済の開放や改革が積極的に進められている状況でございます。そういう国際的な動向にも着目をしながら、私どもとしても今日の世界の動きに十分対応できるような経済政策というものを考えていかなければならないと思っておりまして、ブラント氏のその発言についても私どもはこれを重要なものとして聞くべきものであろう、こう思っております。
  111. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 もう一方。少しお暇のようですので御婦人に敬意を表しまして、笹野議員、御感想を。  読みましょうか、もう一度。
  112. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) はい。もう一度読んでください。
  113. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 多くの経験を積んだ結果、世界の社会主義政党は、経済活動への国家の役割について持っていた強い自信が誤りだったことに気がついた、さらに、マーケットこそ社会の革新を進め消費者の欲求にこたえることができる、こういうことでございます。
  114. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 私ども会派も自由と民主主義というものをこよなく愛し、これからその道を進んでまいります。ただいまのその趣旨に関しましては私どもも賛成を、特に私は賛成をしたいと思っております。
  115. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 次に、連合政権下の外交政策について承りたいと思います。  まず、世界情勢についてどういうふうな認識を持っておいでになるか。第二次大戦後、米ソ二大国間の冷戦が続いてまいりましたけれども、幸い最近は核軍縮でありますとか軍備管理が進んで緊張緩和の方向に向かっておりますけれども、東西間の政治経済体制の相違というのは依然としてあります。また、強大な軍事力が対峙しているのが現実であって、まだまだ戸にかぎをかけないで安眠をするというわけにはまいらない、こう思うんですけれども、まず四会派、簡潔にで結構でありますが、どうお思いになりますか。社会党から伺いたいと思います。
  116. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 私、外交の専門的 な立場でございませんので、もし御指摘をいただきますならばまたお聞かせいただきたいと思っておりますが、現在のこの国際情勢は緊張緩和と相互信頼、軍縮と平和に向かって大きく変化をしつつあるのではないか、こう思っております。  一九七〇年代までは、デタントは米ソの核軍拡競争の枠内のものでありました。いわゆる戦後の世界秩序の基調である東西対立を背景に冷戦志向が主流となっておりまして、これを背景にして地域紛争も数多く存在しておったと思うのでございます。八〇年代は米ソ首脳会談によるINF全廃条約の調印と発効、それから戦略核兵器半減交渉の進展、通常兵器削減交渉など、戦後世界でかつて例を見ない実質的な軍縮が進展をしていると考えております。しかも、この軍縮は、アメリカのブッシュ大統領が封じ込め政策の終えんを強調し、一方ソ連のゴルバチョフ書記長が階級利害を超える全人類的な利益、私もゴルバチョフ氏にもお目にかかったことがありますけれども、そういう立場の追求を強調しているように、米ソ両国の対話と協調、相互依存を前提としているところに八〇年代の特徴があるのではないでしょうか。  こうした米ソを中心とするグローバルな緊張緩和、軍縮の進展を背景に、アフガニスタンからのソ連軍の撤退を初め、カンボジア、イラン・イラク戦争、アンゴラ、ナミビア、中南米などの地域紛争も終息の方向にあるものと思っております。また中ソ関係の正常化や東欧諸国の民主化など、全体的に世界情勢は好ましい方向に進んでいると考えておりまして、この方向は九〇年代にも持続するものと確信をいたしております。  以上のような立場に立って、日本社会党は平和憲法の理念をもとに国際的な緊張緩和と軍縮を一貫して求めてきましたし、最近の世界情勢は社会党が追求してまいりました平和基調と軌を一にするものでございまして、この世界情勢を進展させるための一層の努力が必要になってきていると、私どもはこう考えております。
  117. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 ほかの会派の方にも伺いたいのでありますけれども、時間がございませんので、外務大臣、どういう御認識でありますか。
  118. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) 今お尋ねの国際情勢につきましては、一九六〇年代の委員御指摘の大変厳しい米ソの軍事力を背景とした対立、それから七〇年代に入りましての対話、そして八〇年代になって今日では米ソ間の協力という雰囲気が出てきたことは極めて大きな、まあ百年に一度ぐらいに起こり得る国際政治の大変革期にあるという認識を持っております。  その背景になりましたものがゴルバチョフ書記長を中心とする新思考、ペレストロイカとグラスノスチという新しい政策の影響でソ連における国内政治改革、こういうものが一つの大きな動機になってまいり、さらに東ヨーロッパにおける、戦後のヤルタ協定によって社会主義圏に属し共産党支配に入ってきた社会主義中央統制経済機構が、その経済の活力を失って、現状ではとても国民の要求を満たすことができない、こういう状況の中で世界は、緊張緩和そして話し合い、協力という新しい時代に向かって大きな歩みを始めているという認識をいたしております。
  119. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 今外務大臣は最近の東欧等の問題についても言及をされましたけれども、ソ連、東欧では今いわば地すべり、地殻変動的な大きなうねりがあるわけであります。  それで、私は今のソ連なり東欧の現状を見ますと、これは社会主義政党が中核組織として政治的、社会的にいわゆる指導的役割を果たす一党支配が崩壊しつつある、また社会主義政権下の国民経済は停滞をして西欧型の市場経済導入の方向に向かっている、私はどうもこういうふうに考えたいと思います。これは古い型の社会主義の衰退であり、自由と民主主義とを基調とする西欧型の議会制民主主義の勝利ではないか、また国家統制による経済計画の後退、敗北による市場経済への回帰ではないか、こう思いますが、公明党の方、どうお思いになりますか、簡潔にお答えをいただきます。
  120. 太田淳夫

    委員以外の議員太田淳夫君) 簡潔にお答えいたします。  ソ連、東欧の現在の大きな変化をどう見るかということでございます。やはり、今お話しありましたように、ソ連のペレストロイカあるいはゴルバチョフ書記長の外交政策というのが大きな役割を果たしているのは事実だと思います。で、やはり今お話がありましたように、東欧諸国の民主化、自由化、市民のいろいろなそういう要求というものが大きな変化となって潮流をつくってきていると思います。今お話がありましたような経済的な困窮ということもその一つの大きな原因になっていると思います。東欧諸国のあるいは政治的、経済的な体質の行き詰まりということも否定できないのではないか、こう考えておるわけでございます。  以上です。
  121. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 外務大臣、簡潔に御所見を承りたいと思います。
  122. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) 実は、今三時半から四時まで、ハンガリーの副首相の訪日――あすからのウルグアイ・ラウンド非公式閣僚会議にお出ましになるために東ヨーロッパからお越しになったわけでありますが、二人で約四十分間会談をいたして、終わってここへ参ったわけであります。  そのお話の内容を一部御紹介いたしますと、ハンガリーでは共産党は解散をした、そして今日までの経済体制はだめであった、こういうことで複数政党制が芽生えて、そして市場経済導入するためにハンガリーの国民は一月の上旬に大統領選挙に入る、しかもそれは自由選挙である、こういうことでございまして、私どもはそういうふうな直接の話を承って、これがやはり社会主義圏における今日の新しいしかも勇気のある行動である、しかも最後に、日本におけるこの自由主義経済体制というものによって繁栄した日本のあり方というものを大いに学びたい、こういうお話がございました。
  123. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 世界情勢についての質問をもう少し続けたいんですけれども、戦後の我が国の平和と繁栄は、外交面では西側の一員として西側陣営に属していたことによるところが非常に大きかったと私は考えるのでありますけれども、まず外務大臣から承りましょうか。簡潔にお願いをいたしたいと思います。
  124. 中山太郎

    ○国務大臣(中山太郎君) このような大きな国際的な変化の背景には、西側の自由主義経済市場による大いなる繁栄があったことは委員の御指摘のとおりでございます。
  125. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 この点、民社党はどういうふうにお考えになりますか。
  126. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) そのとおりであるというふうに思いますが、アメリカとの同盟関係のもと防衛負担を最小限に抑え、また自由貿易体制によって自由な国際経済活動を進めてきたことが今日の繁栄の基礎となっているというふうに考えます。  しかし今日、経済的また物質的な豊かさは多くの国民の認めるところでございますが、資産格差の拡大や精神面での、つまり一人一人の心の豊かさの問題が問われておろうかというふうに思います。これらの問題を解決するのはやはり民主社会主義であるというふうに確信いたしますと同時に、来るべき二十一世紀は民主社会主義の時代であり、そうなることがさらなる人類の平和と繁栄をもたらすと認識いたしております。
  127. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 社会党議員の方に伺いたいんですが、社会党は、十月の二十日でありますか、西側の一員に立つということを明らかにされた。非常な思い切った現実的な前進であるというふうにマスコミ等には取り上げられております。  しかし、社会党の綱領である宣言には依然として「非同盟・中立・非武装の実現。」、これが日本社会党の政策目標だ、こういうふうに掲げてあるわけであります。東側に対する西側の一員であるということは、今の「非同盟・中立」ということと矛盾をするんじゃないでしょうか。国民に対してその辺どういうふうに説明をなさいますか。
  128. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 社会党は今日まで地球世界の一員として全方位外交などを中心に考えてまいりました。いわゆる東西という立場社会党がその東側の一員というような立場を申し述べたことはございません。  今日、私どものこの新宣言に示しております社会党の基本政策目標というのは長期的な展望を示したものでありまして、この中で明記いたしております「非同盟・中立・非武装」というのは日本国憲法の理念をここにあらわしたものであります。このような長期の政策目標があってこそ現実の政策形成と運営が展望と精彩を持つことができるものだと思っております。  他方、十月二十日の中央委員会での委員長報告で述べられた西側の一員という言葉は、連合政権の政策の枠組みについて語ったものであります。その内容は、第一に政治的には自由と民主主義を基本とすること、第二に経済的には自由な市場経済の枠組みを基本とすること、第三に国際経済については日米基軸の現実から出発し日米経済を重視すること、第四に対米偏重外交を是正し、全方位外交を目指すことなどでありますということを明確に定義しているのであります。  書記長報告の中の西側の一員論は軍事同盟などは規定しておらず、むしろ対米偏重の是正、全方位外交の問題などを私どもとしても依然としてこの問題については重視していかなければならぬ、こういう立場を示したものでございます。
  129. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 どうも納得できない点が多々あるのでありますけれども、時間の関係がございますので、今の御答弁関連をいたしまして、次に日米安全保障条約ですね、日米安保体制について質問をいたしたいと思います。  これは連合政権構想をめぐってマスコミ等を通じて承知をいたしておりますところは、社会党と他の党との見解がかなり違っているというふうに言われておりまして、国民が最も知りたい点の一つであろうと思います。  外務大臣、もう結構でございます。  社会党議員に伺いたいんですが、社会党は日米安全保障条約の評価について、九月十日ですか、土井提言が出されたときに、これは土井委員長のごあいさつの中に、「「ソ連・中国の脅威」を理由として強制された安保条約が」、こういうことを土井委員長は言っておいでになります。また、石橋前委員長は「非武装中立論」という本をお書きになりましたが、その中でアメリカの戦争に日本が巻き込まれるおそれがあるという否定的な評価を下しておいでになる。社会党は今日でもそのような評価でありますか、伺いたいと思います。
  130. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お答えいたします。  歴史的に見て、日米安保体制が中ソ封じ込めに始まりソ連の極東軍事力と対抗する形で存在し、日米安保条約のもとでアメリカの戦争政策に巻き込まれるおそれがあり、日本の国益を著しく損なったことは事実であります。例えばプエブロ号事件、米軍のベトナムへの出撃などがそれであります。今日でも安保体制によって日米が結びついている以上、朝鮮半島など米国が関与した戦争に日本が巻き込まれる危険性はないわけではございません。これは日米安保体制下で日本国民が抱く不安の一つでございます。  日米安保の否定的側面を認識しているからといって、それで安保条約を維持、運用できないというものでもないと思っております。NATO加盟の西欧諸国でも、米国との間に中距離核ミサイルの配備問題をめぐって対立があったし、今日も短距離ミサイルの近代化に関連して摩擦が生じております。だからといって、西欧と米国との間に深刻な亀裂が起きているわけではありません。安保、防衛問題をめぐってアメリカの言うとおりになることが信頼関係を築く道ではないと思うのであります。両国の利害を調整する能力の有無が信頼関係の行方を決めることになります。その意味で、自民党の冷戦志向型の安保政策は、長期的に見てむしろ日米両国民の信頼関係を損なっているとさえ言えるのではないでしょうか。  日本社会党は、条約の運用に当たって、日米両国民の真の利益に沿って、東北アジアの平和に貢献できる方向に変えていくことが重要であると考えております。
  131. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 今お話を承りますと、やはり安保によって日本がアメリカの戦争に巻き込まれるおそれがあるということを考えておいでになる。そういうことでありますと、安保条約というのは約束事で信頼関係でありますから、一体この日米安保を維持するとおっしゃることについてさあどういうことになるのかなと。維持する以上は、そこに基本的に信頼関係が必要なように私は思います。  そこでこの点につきまして、公明党と民社党の日米安保についての評価を簡潔に伺いたいと思います。
  132. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) ただいま委員がおっしゃったような議論があるということはもう十分承知をいたしております。日米安保条約があるから戦争に巻き込まれる、そういうふうな議論といいますのは、これは条約論の中ではそういう議論もあると思いますし、また当時は、もう大分前の話ですけれども、ベトナム戦争とかそういうことで随分そういうことが言われたことも事実であります。しかしながら、私ども公明党は安保条約をそれなりに肯定をし役割を認めているわけでございますから、そういうような意味ではそういうことがないようにしないといけない。しかし、実はこの問題につきましては、今日的な問題といたしましてはそういうふうな戦争に巻き込まれるなんていう可能性はもう相当減少しておる、そういう可能性はないようにまた運用していかなくちゃいけない、私はこういうふうに思っております。
  133. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 日米安保と戦争巻き込まれ論とかいろんな御意見がございますが、私どもは逆に日米安保体制になってから日本は一度も直接戦争に巻き込まれていないことを評価いたしております。
  134. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 今承りますと、どうも連合政権を構成しておられる会派の間で随分お考えが違うんですね。国政の基本にかかわることでこんなにお考えが違う。これはまあ人様のことでありますからどうこう言うことではありませんけれども、どうも人様のことながら一体これで連合政権ができるのか、これは心配をいたします。一体これで連合政権ができるんだろうか、こういう感じさえいたすのであります。  そこで、社会党は今回、「外交の継続性に立って日米安保条約を維持」する、こういう政策を明らかにされたわけであります。この場合の維持というのは一体どういうことでありますか。
  135. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 維持ということにつきましては、安保条約が日米間の国際条約である以上、我々は憲法九十八条の「日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」との条文にのっとり、維持することは当然であると思っております。  我々の安保条約の維持は、先ほど申し上げましたように、自民党の冷戦志向型の安保条約政策とは異なって、軍縮の視点を重視しなければならぬと思っております。したがって、条約の運用に当たっては日米両国民の利益に沿い、東北アジア、アジア・太平洋地域の平和に貢献できるような方向に今後変えていく努力をしなければならぬと思っております。自民党にかわる我々の連合政権は、平和憲法の理念に立って米ソの相互軍縮の進展に、日米安保条約を必要としない国際環境づくりに努力することにあるのだと考えております。  いずれにせよ、この課題は連合政権協議の中で具体的に合意を得るために今協議をやっている問題でございまして、その成果に基づいてまた御意見を承りたいと思っております。
  136. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 成果ができましたときはまた伺いたいと思いますが、維持というのは、ただ現にあるということ、存在をお認めになる、こういうことですか。
  137. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 現在条約として存 在をしていることを認め、そしてこれが軍縮、平和を重視する方向へ変えられていくといいますか、条約そのものの変更ということに至らなくてもその運用について努力をしていく、こういうことだと思います。
  138. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 現にあるものを確認して軍縮の方向に努力をしたい、こういうお話はわかりましたが、維持というのを非常にくどいようですがもう一度伺いますけれども、日米安保条約というのはあっては困るんだ、あっては困るけれども外交の継続性から嫌々ながら受け継ぐんだと、こういうことでございますか。
  139. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日米の関係というのは、我々は連合政権下におきましてもこれを重視していかなければならないということを先ほど申し上げました。日米安保条約というものは、将来にわたっては日米両国民の友好に役立つ平和的、友好的な側面を強めていくものであって、この条約が将来にわたってはその軍事的側面をなくしていくことができるように努力をする。我々の側の主体的な考え方がそこへ存在することは、相互の対等な条約であるならば私は認められてよいものだと考えております。
  140. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 どうも私が頭が悪いのか、よくわからないのでありますけれども、要するに維持するというのは、前の政権がそういうものをやった、したがってどうも厄介なものだけれども嫌々ながらそれは受け取っておこう、こういうことではないかと。私がこれは邪推かもしれませんが申し上げるのは、これは四月のいつかでありますが、社会党の山口書記長が、日米安保は自民党から受け継ぐ負の資産だ。負の資産だと、こういうことを言っておいでになるんですね。負の資産というのは、これはもうありがたくない財産、こういうことだと思いますが、やっぱりそういう御認識でしょうか。
  141. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 日米安保条約が軍事同盟的内容、機能を持っている限りにおいては、軍縮、平和を目指す私ども立場としてはこれを変えていかなければならぬ問題だと、それは実際に日米の友好的な外交関係の努力の中でそのことを相互に協力し合ってやっていかなければならぬ問題だと思っておりまして、それを厄介なものだとか厄介でないものだとかいうような言葉で表現をすることは大変誤解を招くと思っております。
  142. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 とにかく、維持をするということははっきりしたわけでありますね。  そこで、実は先ほど西側の一員のくだりでも多少その議論になりましたけれども社会党の基本政策である宣言の中の「非同盟・中立・非武装の実現。」、例示をされているわけでありますけれども、これとの関係でどうこれを説明なさるのか。先ほどもちょっと出ましたのでこれ以上ここでは申しませんけれども、どうも私はなかなかそこの説明がつかぬのじゃなかろうかと思うんです。非同盟、中立ということが究極の理想というんならこれはわかりますよ。それは私どもも戦争のない世界というのがあればこれは一番望ましいに違いない。究極の理想ならわかるのでありますけれども、この宣言を拝見しても、それは基本政策になっているんですね。究極の理想ではないんです。  そこで、一般論といたしましては、連合政権でありますから、連合政権というのは無論政党の合併ではありません。おのおのの政党、自主性を持った政党が政権を構成するということでありますから、構成する政党の相互間にその固有の政策について違いがあるということはこれはわかるのであります。しかし、この問題は国の存立にかかわる基本問題なんですね。そして、社会党の言われることは、固有政策と連合政権下の政策とが多少違うというんならわかりますけれども、百八十度異なっている。これはどうしても私は理解できない。国民もなかなかこれ理解するのに苦労をするだろうと思います。そこで、連合政権を構成される政党もこの点については大変お困りと言っては悪いけれども、非常に苦悩をしておられると思いますので、その点について公明党と民社党のお考えを承りたいと思います。
  143. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) お答えいたします。  安保条約につきましては、先ほども申し上げましたが、その抑止的効果という問題につきましては、当然私どもは安保条約の一定の役割を果たしているということは事実である、そういうふうに認識をし評価をしているわけであります。  そこで連合政権の問題でありますが、私どもは今回参議院選後、連合政権の問題につきまして国民の絶大なる御支持をいただいたわけでございますから、連合政権をつくるということについては国民が大きな期待を持っている。そこで、宮澤議員先ほどからおっしゃいましたように、確かにおっしゃったような問題が非常に大事な問題である、そういうふうに私は考えております。したがいまして、私どもは先般石田見解といたしまして連合政権をつくるに当たりましての基本的な考え方を発表さしていただいております。その中に、連合政権の発足に当たりましてはやはり経済、外交、安全保障、エネルギー、そういうふうな基本政策が大枠で一致をしないとこれはスタートできない。しかも、それ以外にも憲法の問題もあります。したがいまして、こういうふうな問題が基本的に一致しないと、基本政策であいまいなままでいわゆる連合政権というものがスタートいたしますと、連合政権そのものがあいまいないわゆる脆弱性につながっていく、そういうふうなことであります。  したがって、私どもが考えております連合政権というのは、ただ単に一時的に自民党の政権を引き継ぐという暫定政権というふうなことじゃなしに、いわゆの連合政権の時代が長く続く、そういうふうなことを前提に考えますと、やはりその政策の基本的な一致という問題が非常に重要である、そういうふうに考えておりまして、先般よりこういうふうな前提条件等につきましても私どもの党の見解を発表いたしまして、今その問題についてそれぞれの政党との話し合いが始まったところでございます。
  144. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 本会議でも御答弁さしていただきましたけれども、今日におきましても日米関係は我が国の平和と繁栄にとりましては重要性を持っておるというふうに認識いたしております。したがいまして、我が民社党といたしましては、連合政権下においても日米安保を堅持しつつ一層の信頼と協力の関係を進めていくべきであるというふうに考えております。ただ誤解があってはなりませんけれども、そういう考え方を持っておりますけれども、連合政権協議の場をただいま進めておりますので、そちらの場で十分国民皆さん方に不安を与えないように詰めておるところでございます。そしてまた、この税制改革の九法案消費税廃止を含む九法案についてはいささかも乱れがないことを付言申し上げます。
  145. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 ただいま峯山議員勝木議員から、あいまいのままに残しておくわけにはいかない、基本政策は一致しなければいけない。そのとおりだと思います。そういたしますと、どうもなかなかお考えというものが随分異なっておりますですね。それですから、連合政権をこれから結論にまで導かれるには随分御苦労があるだろうと私は思います。同時に国民も、これはどういうことなのか、社会党の方も宣言に書いておられることとこの土井提言、「新しい政治への挑戦」に書いてあることと一体どちらが本気なのかなということについても大変迷うんだと思います。  社会党の先輩議員に、こういうときの質問で大変比喩の上手なお方がおいでになる。私も多少拝借をしてみますと、今私は国民は一体どちらが本気かわからないんじゃないかということを申しましたけれども、例えば大阪に行くつもりで新幹線に乗りまして、気持ちよく一眠りをして目が覚めてみたら汽車は米原から北陸線に入って北の方に行っていた、こういうようなことになってはこれは国民はだまされたことになるんですね。ですから、その辺はこれははっきりなさらなければいけない問題だと私は思うんです。  そこで、今の連合政権の政権協議は再開をされたわけでありますけれども、一体いつまでに大体おまとめになる見通しですか。
  146. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 乗ってみたら別の方向へ行っておったというのは、公約を信じた消費税の問題ではなかろうかと私は思うのでございます。  連合政権、いつまでにまとめるかというお話でございますが、これは私どもがここでお答えできる問題ではないと思っております。党のしかるべき責任者ができるだけ早く連合政権構想をまとめるように今努力をされているのでございまして、そのことについて私がここで委員にお答えする立場にございません。
  147. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 無論、党の正式な責任ある御答弁を求めても無理かと思いますが、久保議員は、先ほど来しばしば申し上げておりますように、政策担当の幹部でいらっしゃるわけですね。ですから、個人的な見通しでもよろしいんですが、来るべき――いつあるかわかりませんが、衆議院選挙の前までにはおまとめになるんですか。
  148. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) それを私がここで申し上げますことは、四党の御努力いただいております皆さんの今後の協議等に大変影響のある問題だと思いますので、私の責任ではそれは申し上げられません。(「わかっていることは聞かないのさ」と呼ぶ者あり)
  149. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私はわからないから御質問を申し上げているのでありますが、しかしお答えができないということであれば結構でございます。  そこで、日米安保を維持するに当たって、この「新しい政治への挑戦」の中には、「私たちの連合政権は、外交の継続性に立って日米安保条約を維持し、非核三原則の厳格な適用、日米共同作戦の中止、米軍基地の縮小・撤去をすすめることを明言する。」、こう書いてございますね。で、これはもう申し上げるまでもないことなんでありますけれども、日米安保条約というのは、その五条を見ましても、これは武力攻撃に対して「共通の危険に対処するように行動する」ということがこの日米安保条約の第五条の基本になっているわけなんですね。ですから、それに関連をして、米軍に対して施設や区域を提供したりすることは、これはこの安保条約の核心の一つだろうと思います。  また、「共同作戦の中止」ということがありますけれども、これは武力攻撃に対して共同して危険に対処するんですから、共同作戦を中止するということは安保条約を全く無意味にする、こういうふうに思われるんです。こういうことを否定しますと、安保を維持するというのは一体どういうことになるのかと思いますが、いかがでございますか。
  150. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) お言葉でございますが、今の委員の御質問でございますと、国是となっております非核三原則についてもこういうものをかたく守るということは日米安保条約の上ではぐあいが悪いと、こういうお尋ねでございましょうか。
  151. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 私は、私の伺ったことに答弁を願いたいと思います。
  152. 久保亘

    委員以外の議員久保亘君) 今の御質問は、非核三原則の厳格な適用とかずっとお挙げになりましたから、私は申し上げたのであります。  それから基地の提供等につきましても、アメリカの要求するものについて日本国民立場を一切考慮できないということになれば、この条約自身が問題となるわけでございまして、これは私どもは平和と国民の暮らしのために必要な発言は相手国でありますアメリカに対してもやるべきものだと思っております。  また、共同作戦の中止、米軍基地の縮小、撤廃を進めるということにつきましては、そのすべてを直ちに中止、撤去するとは主張していないのでありまして、連合政権のもとではどのような日米共同作戦を中止し、またどの基地を縮小、撤去するかは日米間の協議で進めていかなければならない問題でもございます。  また、日米共同訓練について言えば、PACEXなど明らかに憲法で禁止された集団的自衛権に踏み込む軍事演習は参加すべきではない、こう考えております。
  153. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 日米共同作戦の中止というのは、今おっしゃったような限定的なことはここに何もしておりませんですね。全般的に共同作戦を中止するというふうに書いてありますから、私は伺ったんです。  そこで、他の三派の方に伺いたいのでありますけれども、今の日米共同作戦の中止、米軍基地の縮小、撤去を進める、これは一体どういうふうにお考えですか。
  154. 峯山昭範

    委員以外の議員峯山昭範君) 簡単に申し上げますが、米軍基地と日米合同演習の二つをおっしゃいましたので、二つに限定して申し上げます。  米軍基地の問題につきましては、私どもこれはもともと整理縮小するという方針でまいりましたし、総点検をやってまいりましたのも私どもでございますので、これはいろんな私ども懇談をしたことがあるんですけれども、現在の米軍基地をこれ以上拡大してほしいという御意見の方は自民党の中にもいなかったように私は思いまして、実は沖縄の米軍基地の調査のときにもやはりできるだけ整理縮小してほしいという御意見が多かったように思っております。  それから日米共同演習の問題につきましては、これは当たり前のことでございますが、憲法で禁止されております集団自衛権という問題がありまして、この問題にかかわるような共同演習というのには我々としては反対であると、こういうことであります。
  155. 笹野貞子

    委員以外の議員笹野貞子君) 大変大きな問題だと思います。私たちはあくまでも平和と日本国憲法を守る立場に立ちまして、十分この問題は今後とも検討さしていただきます。
  156. 勝木健司

    委員以外の議員勝木健司君) 土井提言は、非核三原則の厳格な運用、日米共同作戦の中止、米軍基地の縮小も提唱されております。しかも、土井提言は連合政権では日米安保を認める方針のようでありますが、私どもは日米安保が機能面で結果的に安保の否定、日米関係の亀裂にならなければよいがと危惧をいたしております。
  157. 宮澤弘

    ○宮澤弘君 日米安保体制につきましては、連合政権構想を進められるに当たって、各党各派随分御見解が違うということが明確になりました。  外交問題についてなお二、三伺いたいことがございますけれども、本日は五時で終わりということでございます。ちょうど区切りでございますので、次の質問は明日に譲りたいと思います。(拍手)
  158. 中村太郎

    委員長中村太郎君) 九案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は明十六日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会