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伊江朝雄君 非常に大事なことでありますので、今の
政府側の
説明をもう少し砕いて、あるいは今の
説明と重複する点があるかもしれませんけれ
ども、実はここに自由民主党が二十一
世紀を
展望した
税制改革ということで「
税制の抜本的
改革大綱」というのがあるんです。これを
皆さん方に御紹介しながら、なお細部について私はコメントしてまいりたいと思っております。大事なことだから
国民に知っていただきたい。自分の家庭
生活が一番大事なんですから、その家庭
生活はどういうふうに今度の税でもって変わってきているのか、あるいは負担の軽減はされているのかというふうなことが必ずしも徹底していない。読んでもよくわからない。だから、それをうんと砕いて、簡単ではあるけれ
ども御
説明したい。
その前に、この
税制大綱というのはどういうことが書いてあるかということを言いますと、この大綱の前文にこう書いてある。「
国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、負担を幅広く薄く求め、世代間の相互の協力により
社会を支えることのできる二一
世紀を
展望した
税制を確立する」。二十一
世紀を
展望した
税制を確立するとの基本方針のもとに、一、中堅所得層の所得
減税、二、法人課税の軽減、三、相続税の軽減合理化、四、不公平
税制の是正、五、
消費税の創設ということで、今
主税局長からお話があった点をブレークダウンして細かく言うとそういうことなんです。あと
中身については後ほど御紹介をしたいと思う。
ところが、この際コメントをして、その後
皆さんに私は
質問していきますけれ
ども、その前に私が非常に印象に残った興味を引いた記事があるので、これを御紹介しておきたいと思う。それは
社会党の
政策委員会ですか、
委員会の会長の伊藤茂さんの「
国民連合政権への道
社会党は何をすべきか」という論文の中の一こまなんです。読んでみます。
これは、これから伊藤さんのお話です。「私はかつて地元県知事の長洲さんに意地悪
質問をしたときのことを思いだす。長洲さんに「
改革とは何ぞや」と
質問したのは対して彼は「先見性」と答えた。正解だと思う。ほかのどの勢力よりも
社会の将来を正しく見通し、どの勢力よりも豊かな
政策能力を持ち、しかもそれらを自ら実現し担う新しい力と情熱を持つこと――それが現代の革新だと思うのである。」、こう言っておられる。非常に興味の深い言葉です。
私が若いときに読んだマックス・ウェーバーという人の本の中で、
政治家にとって大事な欠かせない三つの要素がある、その一つは先見性である、二つ日は
責任である、三つ目は情熱であると。これは政党にも通ずることなんです。伊藤さんはその限りにおいては非常に立派なことをおっしゃったと思う。
ところがどうでしょう、おたくの
税制改革の
消費税の問題やら
税制再
改革基本法案を見る限りにおいては。しかも、
代替財源についてはわずか二年間。今
消費税を導入したばかりなのがもう一遍くるっと変わる。変わったと思ったら、また二年後に変わる。じゃ二年後にはどういうことが用意されているかといって
中身を見たら抽象的なことで
中身がない。そういうことで
長期を見通した先見性ということが言えるんだろうか。私は伊藤さんのその言葉を評価しますけれ
ども、言葉として評価するのであって、内容が伴っていないということを今私は言っているわけなんです。(「そっくりそのままお返ししたい」と呼ぶ者あり)そっくりそのままお返ししたいわけであります、おっしゃるとおり。
物品税や通行税等の復活などを含む
税制改正というのは、
先ほど言ったようにわずか二カ年間、先は見通しがつかない。だから、そのままそっくりお返しする。
我が党がこれからコメントしてまいります
先ほどお話しした
財政改革のこの抜本
改革の
中身は、それこそ
税制の先見性を持って策定し、ほかのどの勢力よりも
社会の将来を正しく見通し、どの勢力よりも豊かな
政策能力を持っておると我々は自信を持っておる。しかも、みずからそれを実現し、それを担う情熱を持っている、これを
国民の
皆様にはっきりとお知らせしておきたいということを申し上げるために伊藤さんの
意見を引用した次第であります。別に伊藤さんを非難しているわけじゃないけれ
ども、結果がそうなっておる、初めはそうでなかったかもしらぬけれ
ども、結果がそうなっておるということを指摘しておきたいと思うのであります。
そこで、私がこれからコメントをいたします
税制の大綱の
中身でありますけれ
ども、多少
先ほどの
主税局長の御
答弁とあるいはダブるかもしれません。その点は御容赦願って、大事なことですからちょっとこれから申し上げておきたいと思うんです。
税というのは、私はなければないにこしたことはないと思います。しかし、
社会の一員である限り、
国家を構成する一員である限り、その便益の供与を受けている限り、それに伴う費用というものは構成員である各自が負担しなきゃならない。これは憲法第三十条でもはっきりとうたわれていることであるし、また、
野党四党の
提案である
税制再
改革基本法案の中に応益主義の原則という言葉が出ておる。確かに税というのは応能主義であると同時に応益主義が原則でなきゃならない、この点は同じこと。だから、税はどうしてもやはりだれかが分担しなきゃならない。だれがどういうふうに分担するかというのが私は
税制だと思う。
そういう
立場に立って見る限りにおいて、今
皆さんがおっしゃるとおり、
消費税についてそれは評判の悪い点もありますよ、評判の悪い点はある。それはなぜかというと、毎日毎日が税を払うんだというふうな痛税感といいますか、そういったことを家庭の主婦は持っておられるかもしれない。持っておられるかもしらぬけれ
ども、一歩静かに考えてみた場合に、じゃ自分たちの子供たちが、中学生があるいは小学生が、義務教育を受けておる子供たちが一体
社会からどのぐらいの援助を受けているんだろう。教科書も買わないよ、学費も払わないよと、私立は別ですよ、公立に関する限り、今小学生一人年間で五十一万円国が持っておる、中学生に至っては五十六万円、それは全部国が持っておる。それは
皆さんが毎日毎日お買い物をなさるときに払う三%が積み重なっていくからですよ。そうでしょう。
そして、
生活に困っている方々、弱い
立場の人たちのいわゆる
生活保護もそうなんだ。それから大事なことは、自分たちが老後の
生活をするに当たって一体だれが面倒を見てくれるんだろう。いろいろ調査がありまして、労働省、厚生省の調査がありまして、老後の
生活で一番頼りになるのは何だという調査をしたら、年金だと言うんです。
社会保障の費用は年金が含まれている、あるいは
社会福祉の費用が含まれている。そういったのはどこから金が出てくるかといったら、やっぱり
国民が負担するからですよ。だから、三%は具体的に言うとそういうお金になりますよと。
皆さん方は毎日毎日の御負担はそれはなるほど痛税感はお持ちになるかもしらぬけれ
ども、将来の
日本を支えるために、自分の子供や孫たちのために積み立てていることですよということをやはりお考えいただかなきゃならぬじゃないだろうか。だから、間違っている、あるいはこれはぐあいが悪いなという見直す点は見直す。そういうふうに
自民党も言っている。しかもそれを単に言っているだけじゃない。
それで、ある
社会党の
皆さんがおっしゃった、
自民党は一番いいものだとおつくりになった
消費税をなぜ
見直しする必要があるんだと。それを盛んに見直す見直すとおっしゃっている、どういうわけなんだとおっしゃる。それはよく
御存じじゃない。
税制改革法の中にはちゃんと、
見直しますよということが規定してある。だから、そのときの
動きによって、定着
状況によって見直さなきゃならぬものは
見直していきますよと、こういうことなんだ。まだ施行してから半年しかならない、そうでしょう。そういうことを私は
国民の
皆さんは知らぬと思う。それが一番いい税だというんなら見直す必要はないじゃないかという
議論で、ああそうなんだなというふうに思っちゃう。そういうことになるのであります。
そこで
質問だ。まず、
消費税の前に所得税
減税。この所得税
減税というのは、これは
皆さん方、サラリーマンの
減税というのが一番今問題なんです。というのは、
社会において直接税の負担者というのはサラリーマンです。今五百万人以上いるサラリーマン、この人たちは痛税感といいますか、重税感を持っておる。それを直そうとしたのが今の
消費税であり、所得、資産、消費に対して均衡ある
税制をやろうとする、そのこと自体はサラリーマンの重税感を、直接税に頼り過ぎている
我が国の
財政、
税制を改めようという一つの方法なんですよ。特に十六歳から二十二歳までというこれから大学に進学していくという子供たちを抱え、しかもそのおやじたちが四十歳代の後半から五十歳代の前半にかかるような年齢層、これが一番負担が重いんです、いろんな
意味で。これをうんと軽減してやろうじゃないかというのが今度の
税制改革の中に入っておる。それは
御存じですね。その評価をまずしてもらわなきゃならぬ。
それから基礎控除がある。今のも基礎控除ですよ、新しくつくった基礎控除なんです。今どういう基礎控除があると思いますか。基礎控除であると同時に配偶者控除、扶養控除のいわゆる三控除というのがある。そのほかに今学生を抱えている家庭は扶養控除といいますか、教育控除といいますか、教育費控除というのがある。それ
御存じですか、峯山さん、ちょっとお答えください。