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政府委員(勝村
坦郎君) 来年度の見通しをどういうふうに判断しているかという御
質問でございましたが、現在、我々はどういう形の見通しを立てるか作業中でございまして、現在の
段階で数字を申し上げるわけにはまいりませんので、その点は御容赦いただきたいのでありますが、大体どういう
問題意識で、定性的にどういう感じで見ているかということについて要点だけ申し上げさせていただきたいと思います。
今年度の上半期の数字が出ておりますが、これは七―九月期に限って申しますと、けさも御
指摘ありましたように、非常に高い伸びでございますが、上半期をまとめてみますと、長官がけさ答えられましたように、前期比では一・六%、前年同期比では四・九%という数字でございます。
あと下半期をどういうふうに見るかということも作業の一でございますが、例えば最近発表されました
日本銀行の短期
経済観測などを見ますと、依然として全体として好況感というのは続いておりますし、
企業収益が、伸びは横ばいになっておりますが、非常な高水準を維持している。その一方で、ただいま長官触れられましたように、人手不足感がほとんどの産業に広がっておりまして、特に
中小企業分野では人手不足感が強まっている、こういう結果が出ているわけでございます。
〔
委員長退席、理事岩本政光君着席〕
現在のところは個人
消費、設備投資その他非常に堅調な基調を維持しておりまして、来年度にかけまして、需要面から申しますと、こういう各需要部門の好調さというのは基調としては維持されるであろうというふうに考えているところでございます。
それから物価面につきましては、今年度は
一つは
消費税の導入という一時的要因がございました。それから春先からの円安、それから石油価格の上昇ということがございまして、三%弱のやや最近としては高目の物価上昇ということになっておりますが、来年度につきましては、今申し上げましたような要因がさらに物価上昇要因として加わるというふうには考えにくい
状況にございますので、物価の上昇率はむしろことしよりも安定するのではないか。そういたしますと、個人
消費な
ども、ことしは確かに物価上昇でやや食われた面があったかと思いますけれ
ども、来年はそういうことはないだろう。ただ、設備投資の今後の強さを、今のような伸びが今後とも続くというふうに見るかどうか、ここは非常に問題でありましょうし、我々の政策的判断といたしましては、やはり過剰な設備投資をやってしまって後で
調整をするというようなことが万が一にも起こるとまずいわけでございます。そこら辺はよく注意を払いながら考えてまいりたいということでございます。
それから、今需要面から申し上げましたが、もう
一つ供給面から申しますと、まさに御
指摘の労働力需給というものが来年もかなり雇用はふえるという形で続き得るかどうかという問題がございます。ことしは大体雇用としては三%ぐらいの増加が続いているわけでございますが、そもそも
日本の生産年齢人口、つまり労働力の対象となります人口の伸びというのは一・一%か一・二%であります。したがって、全体としては専門用語では労働力率と申しておりますが、就業率でございますね、この就業率がかなり高まったということで三%の雇用者の伸びということが実現されているわけでありますが、その内容を見ますと、その労働力率の、就業率の増加のほとんどは女子労働力でございます。男子の労働力率はむしろ傾向的にいまだにやや低下ぎみという
状況が続いておりまして、女子労働力率の高まりによって三%という高い雇用の伸びが達成された。それで恐らく新しい供給のかなりの
部分はパートタイマーとして吸収されているんではないか、こういう
状況でございますので、そういう
状況を来年度にかけてなお続けていくのか、いき得るのかということになりますと、いろいろ問題が、
一つは限界が出てくるんじゃないかということと、もう
一つはもしかすると賃金の方に相当インパクトが強まってくる
可能性もあるんではないか。諸般の事情から考えまして、労働力供給にやはり頭打ち感というのは、もちろん伸びるわけでありますが、伸び方として頭打ち感が出てくるんではないか。
先ほど設備投資との
関連で御
質問がございましたが、最近の設備投資は、
先ほど大臣言われましたように、相当程度省力化投資という
部分がございます。あるいは研究開発投資とか多様化投資とかいろいろございますけれ
ども、生産性の伸びは堅調に続くと思いますが、一年で急に生産性が上がるというのもちょっと考えにくいものですから、労働力供給にある程度頭打ち感が出るんじゃないか、それから生産性の伸びは好調ながら今年とそう変わりはないだろうと考えますと、それほど高い成長率を期待できるかどうかという問題も供給面から見るとございます。
そういう諸般の事情を考えまして、今
関係省庁とも御相談をしながら数字としてどういうものを固めるか検討中でございます。
私の答弁はそういうことで御了解いただきたいと思います。