運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-30 第116回国会 参議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月三十日(木曜日)    午前十時二分開会     ─────────────    委員異動  十一月九日     辞任         補欠選任      林  紀子君     上田耕一郎君  十一月二十九日     辞任         補欠選任      白浜 一良君     矢原 秀男君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         対馬 孝且君     理 事                 沓掛 哲男君                 吉川  博君                 山田  勇君     委 員                 井上  孝君                 石渡 清元君                 遠藤  要君                 川原新次郎君                 坂野 重信君                 服部 安司君                 種田  誠君                 西野 康雄君                 野別 隆俊君                 及川 順郎君                 上田耕一郎君                 新坂 一雄君    国務大臣        建 設 大 臣  原田昇左右君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)      阿部 文男君        国 務 大 臣        (国土庁長官)  石井  一君    政府委員        北海道開発庁総        務監理官     松野 一博君        国土庁長官官房        長        北村廣太郎君        国土庁土地局長  藤原 良一君        国土庁大都市圏        整備局長     三木 克彦君        国土庁防災局長  市川 一朗君        建設大臣官房長  牧野  徹君        建設大臣官房総        務審議官     木内 啓介君        建設省建設経済        局長       望月 薫雄君        建設省都市局長  真嶋 一男君        建設省河川局長  近藤  徹君        建設省道路局長  三谷  浩君        建設省住宅局長  伊藤 茂史君    事務局側        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     大林 千一君        環境庁企画調整        局環境管理課長  中橋 芳弘君        外務省経済局国        際花と緑の博覧        会室長      佐藤 昌史君        厚生省生活衛生        局水道環境部浄        化槽対策室長   櫻井 正人君        運輸省地域交通        局交通計画課長  大森 寿明君        建設大臣官房技        術審議官     玉田 博亮君    参考人        住宅都市整備        公団理事     片山 正夫君        住宅都市整備        公団理事     渡辺  尚君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○建設事業及び建設計画等に関する調査  (道路整備に関する件)  (下水道整備に関する件)  (長良川河口堰建設に関する件)  (高速道路地震対策に関する件)  (建設市場開放問題に関する件)  (国際花と緑の博覧会に関する件)  (住宅宅地供給に関する件)  (東京湾開発問題に関する件)     ─────────────
  2. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る九日、林紀子君が委員辞任され、その補欠として上田耕一郎君が選任されました。  また、昨二十九日、白浜一良君が委員辞任され、その補欠として矢原秀男君が選任されました。     ─────────────
  3. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  建設事業及び建設計画等に関する調査のため、本日、住宅都市整備公団役職員参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 建設事業及び建設計画等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 野別隆俊

    野別隆俊君 私は、第十次道路整備五カ年計画推進状況並びに高規格道路網整備促進対策についてお伺いいたします。  建設省は、第十次道路整備五カ年計画基本方針で、全国一万四千キロのネットワークを形成し、二十一世紀を目指して社会開発、多極分散型国土形成国土の均衡ある発展地域社会活性化を図って、活力ある社会、安全で快適な国民生活の向上を目指して一定度成果をおさめられ、四千四百四十キロの供用開始が達成されました。今後、残された部分早期達成全国自治体を初め国民の皆さんは大変心強いと同時に大きな期待を持っているのでございます。  私の質問の第一点は、昭和六十二年九月、国土開発幹線自動車道として新たに三千九百キロの路線が組み込まれ、総延長一万四千キロが形成されました。さらに、平成元年一月三十一日には国土開発審議会が開かれて、新たに一千三百六十四キロが基本計画決定を見たところでございます。今後、この一千三百六十四キロを整備計画にのせることになるのでありますが、この審議会が一体いつごろ開かれて決定される予定か、この見通しについて建設当局にお伺いしたいのであります。
  7. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) お答えいたします。  昭和六十二年に定められました四全総で、一万四千キロの高規格幹線道路網形成が必要とされております。このうち、国土開発幹線自動車道、いわゆる高速自動車国道でございますが、従来の七千六百キロを拡大いたしまして一万一千五百二十キロ、こういうことが決められているわけでございます。この国土開発幹線自動車道を二十一世紀初頭までに完成させるというのが目標でございまして、その整備を円滑に進めるために、一月に開催いたしました国土開発幹線自動車道建設審議会において基本計画千三百六十四キロ、整備計画五百八十五キロを策定したところでございます。  次に、この審議会におきまして新しい基本計画あるいは整備計画がさらに策定されることになる わけでございますが、この審議会、最近では三ないし四年置きに開催されております。国幹道整備目標を達成するためには、私ども調査をやっておりますが、この調査促進して従来よりも開催の間隔を短縮いたしまして頻度を上げて開催していただきたいというふうに考えております。  それから早期完成のことでございますが、従来、基本計画から完成までに要する期間は、もちろん各区間整備状況等によりまして異なるわけでございますが、過去の実績では平均十五年程度を要しております。基本計画から整備計画まで三年程度事業着手から二年程度というような数字になっておりますが、私ども事業促進につきまして積極的に促進してまいりたい、こういうふうに考えております。
  8. 野別隆俊

    野別隆俊君 今の問題については三年置きというような状況でございますが、大変全国的にこの幹線道路整備は期待されておるわけでありまして、我々も陳情攻めに遭うような状態でございますから、一日も早くこういった審議会を開いていただいて、整備計画路線を早く発表していただきますように心からお願い申し上げたいと思います。  第二点は、決定を見ましたこの路線関係でございますが、調査から施行命令実施計画用地買収工事着工ということになりますが、こういった整備計画から着工までの間の期間、これほどのくらいかかるのか、この点をお尋ねいたします。
  9. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) スケジュールといたしましては、基本計画が決まりまして私ども調査をいたしまして、それから整備計画が出ました後に施行命令、その後道路公団が測量あるいは設計協議用地買収工事等、こういうものを進めるわけでございます。整備計画が出ましてからの平均は十二年でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これを少しでも短縮するように努力しております。  なお、具体的なことを申し上げますと、従来この国土開発幹線自動車道は、平均年間二百キロの整備を進めてまいったわけでございます。ただ、今回の第十次道路整備五カ年計画では、この二百キロの水準を二百五十キロに引き上げて整備を進める。さらに、あわせて高規格幹線道路網の一部をなします一般国道自動車専用道、こういうものについても年間百キロ、合わせまして年間三百五十キロ、従来のほぼ二倍に近いスピードで整備を進めていきたいというふうに考えております。
  10. 野別隆俊

    野別隆俊君 第三点につきましては、今までの二百キロ前後が二百五十キロ、さらに一般自動車道を入れて三百五十キロ、大変な御努力をいただいているのでありますが、供用開始が今四千四百四十キロのようでございまして、また工事中のものが千九百七十キロ、これは施行命令を待っている路線だと思います。それに五百八十五キロ、今年一月に決まりましたものを合わせますと八千五百九十キロでございますが、この部分が一体どのくらいの時期に完成できるのか、この点についてお尋ねいたします。約九千キロ目標ということになるのではないかと思いますが。
  11. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 先ほど先生からも御指摘がございましたように、高規格幹線道路、これはこの十一月末の数字で申し上げますと四千六百五十六キロが供用中でございます。第十次道路整備五カ年計画、これは平成年度までかかるわけでございますが、この間に四千六百キロの数字を六千キロにしたい、こういうふうに考えております。それから西暦二〇〇〇年でございますが、西暦二〇〇〇年におきましてこれを九千キロにする。それで、先ほど申し上げました究極的な目標であります二十一世紀初頭までに一万四千キロを完成する、こういうことで考えております。
  12. 野別隆俊

    野別隆俊君 次は、国土の均衡ある発展地域社会活性化を図り、国民のニーズに一日も早くこたえるために、現在の進捗状況の、今までは一年間に二百キロですか、それが二百五十キロになるようでございますが、このペースをやはり上げなければ、既に完成している、一番最初に完成したのは名神高速道路でありますが、これは昭和三十八年の七月に開通しているのでありまして、既に二十五年たっているのであります。さらに、これから一万四千キロの今の四千六百五十六キロ以外の約七千キロ程度が残ると思いますが、この分が今のお話でいきますと二十一世紀の初頭というような状況のようでございますが、これは何とかして短縮していく必要があるのではないか、このように考えるわけであります。  特に、高規格幹線道路有料道路でございます。今までにできた部分の全部金が入ってくる。そしてさらに、政府の今の補助金でありますか、出しております金利補給金等を増額して、やはり少なくとも、ことしの予算が総額で五十三兆でございますが、昨年に比べるとこの金額というのは極めて大きな伸びを示している。二〇%程度伸びを示しているのでございますが、これをさらに六十兆ベース努力すべきではないか。五カ年計画で六十兆、ここまでいけば私はかなり短縮ができるのではないかという気がするのであります。そして、しかもこれをできるだけ主要幹線道路については早期にやり上げる。そうしませんと、均衡ある地域発展ということにつながらないので、同じ県でも一部のところは早くできる、そして十五年も二十年も向こうの方はかかるというような状況では困るのでございまして、これは大臣にお尋ねいたしますが、ぜひひとつそういった積極的な対策を講ずる必要があると思うのでございますが、大臣の御見解をお伺いいたします。
  13. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 四全総で示されております多極分散型国土形成して地域活性化を図るには全国一万四千キロメートルに及ぶ高規格幹線道路網整備を積極的に推進する必要があるということは、まさに委員のお考えのとおりであります。また、個性と創意工夫を生かした地域づくりもあわせて進めることにしておりまして、この際、ぜひとも潤いのある緑豊かな美しい町づくりをやっていきたいと思っております。  そこで、もっと高速道路整備についてテンポを上げられないか、こういうお話でございますが、我々としては今まで、先ほど局長が答えましたように二百キロを二百五十キロ、それにプラス高規格道路国道百キロ、三百五十キロというテンポに引き上げたばかりでありまして、これは我々としてはもちろん引き上げてまいりたいわけですが、周辺とのいろいろ設計協議とか、用地買収とか、あるいは農道とクロスすれば農道のつけかえから河川管理者との協議とか、地元との協議が非常に時間がかかるわけであります。そして、用買でも市街地に近くなりますと非常に反対も出てくるというような状況の中で、現場は大変な努力をしてやっておるということもひとつ頭に置いていただいて、我々としてもぜひともテンポを上げたいということでやっておりますけれども、今のところ大体その辺が努力最大限というところであるというように御認識をいただきたい。もちろん、私どもとしてもどしどしとテンポを上げることには努力いたしますが、ぜひともひとつ各地におきましても御協力を賜りますようにお願い申し上げる次第であります。
  14. 野別隆俊

    野別隆俊君 今度の第十次計画は大変大幅な伸びを示しているのでありますが、第九次で計画された部分でございますが、当初は四十三兆円の要求がされて、いよいよ予算化されたのは三十八兆二千億円、要求に対して四兆八千億円の減でございましたが、さらに三十八兆二千億円が認められながらもこの実績は三十六兆六千百三十六億円と九五・八%で二兆円も落ち込んでいるのでございますが、予算完全消化ができなかったというこの原因、これはいろいろあると思います、地元協力が足らなかったとか。私が聞くところによると、やっぱり建設省はこれだけ事業が年々拡大されるのにかかわらず現場に非常に職員が少ないのではないか、比率から見ると事業量に対して職員が少ないためにやっぱり進まない部分もあるのではないか、こういうことも感じるのでございますが、減った理由、この辺についてお尋ねいたします。
  15. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 昨年度から第十次道路整備五カ年計画を始めておりますが、私どもその前に第九次道路整備五カ年計画実施をしております。第九次道路整備五カ年計画は、昭和五十八年五月に閣議決定をしております。それは昭和五十八年度から昭和六十二年度に至る五年間で三十八兆二千億の事業計画というふうになっております。これに対しての実績でございますが、最終的には三十六兆九千百九十四億円でございまして、進捗状況から見ますと九六・六でございます。  今回の第十次道路整備カ計画は、昨年度から発足したわけでございますが、総投資額で五十三兆円でございます。平成元年度までの進捗率は三五%でございますが、私ども今来年度予算要求をしておるところでございますが、来年度予算要求金額が仮に認められたといたしますと進捗率は五三・二%ということで、若干でございますが第九次を上回るわけでございます。私ども完全達成を目指して予算要求あるいは事業の執行につきまして最大限努力をしております。若干数字が下回ったというのはいろいろな原因があろうかと思っておりますが、いろいろの状況がございますが、私ども最大限努力いたしまして第十次道路整備五カ年計画完全達成を目指すことが最大の急務だというふうに考えて努力しております。
  16. 野別隆俊

    野別隆俊君 今の事業量はどんどんふえていっているわけでございますが、人的な対応はこれでよろしいわけでございますか。もう少し人的対応も必要ではないか、そうしなければぐっと進めることができないのじゃないかという気がするんですが、どうでしょうか。
  17. 牧野徹

    政府委員牧野徹君) お答え申し上げます。  恐らく今先生お話は、私ども地方出先機関の各地方建設局についてのおただしかと思います。ただ、先ほどからの御質疑の中で中心をなしております高速自動車国道につきましては、先生御案内のとおり日本道路公団が全部実施主体でございますから、これと私ども出先機関定員関係はちょっとこれは関係はないかと思います。  それで、ただ私ども自動車専用道路を初め幹線道路整備地方建設局で行っておるわけですが、御指摘のとおり、地方建設局で所掌いたします事業量というものは年々ふえております。一方、各地方建設局定員は、四十三年度から始まりました政府全体の定員削減計画の中で現在第七次定削を行っておりますが、約二十年間の中でアバウト一万人が減っておることは事実でございます。そういう意味で、いろいろ現場の第一線の職員の方には御苦労をおかけしておりますが、そうしたことに対応するのには三つのことで私ども対応をしております。  一つは、事業のやり方をなるべく簡素合理化していくということが一つでございます。それからもう一つは、定員削減計画政府全体の方針でございますからそれに従って整々と行いますが、一方、必要とされる新規増員はその確保に全力を挙げて一定成果をおさめている。さらに、それでなおかつまだ必要ということであれば補助業務あるいは簡単な業務について業務の委託を行うということで、以上の三本柱で精いっぱい頑張って事業を消化しておるというのが実態でございます。
  18. 野別隆俊

    野別隆俊君 高規格幹線道路整備を進めるに当たりまして大変な御努力をされていることに対しては高く評価いたしますが、高規格幹線道路のいわゆる均衡ある配分ということが私は重要だと思うのであります。今まで、この高規格幹線道路網地図をいただいているのでございますが、この地図を見ますと、全国的には大部分の県が縦貫の、いわゆる県内を縦走しているものはほとんど大部分が完了して、地域によっては横断道路着手状態でございます。  ところが、我が東九州のこの四百三十キロの高規格道路については、まだこれから整備計画に入るかどうかというような状態であります。一方、九州縦貫道路の通っている地帯では、もう既に八年前後早くできているんです。ょその県と比べるのもどうかと思いますが、四国と九州を見るだけでも大きな格差があるような気がするのであります。これは政治力で決まるということになれば大きな問題でございまして、もう少し均衡をとるというような面から、全国的に見てそういった配分をされたとは思いますが、この辺の決め方というのはどういうふうにお決めになるのか、お尋ねいたします。
  19. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 九州につきましての縦貫自動車道関係を申し上げますと、現在、九州関係では高速道路が今年度末でかなり整備されてまいります。数字で申し上げますと、六百キロぐらいの供用延長になるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、実は今年度九州高規格幹線道路網は約五割近い百三十五キロ、これは全国ベースで申し上げますと今年度の高規格幹線道路供用は二百九十九キロでございますけれども、そのうちの四五%を占めます百三十五キロということで、一番九州供用がどんどん進んできておるわけでございます。それから全体の考え方でございますが、高速自動車国道整備といたしましては、まず縦貫道整備を進めるというようなことで目下進めております。  ただ、先生指摘のとおり、一つ残っております八代―えびの間でございますが、この八代―人吉間がこの十二月に開通いたします。それで、全国的なパターンといたしましては、主要拠点を結ぶ、あるいは交通需要、それからもちろん高速自動車国道でございますからいろんな開発効果とかあるいは経済性とか、こういうことももちろん勘案しなければなりませんが、それらを踏まえまして、現在、一生懸命高規格幹線道路網とあわせて高速道路整備を進めておるわけでございます。そういうことで、九州関係につきましては、今整備が、例えば東名とかあるいは名神に比べまして着工は遅かったのでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今年度においては非常に大幅な開通を見ております。今後とも、この九州関係高規格幹線道路網を初めといたします国道網整備等につきましても最大限努力をしてまいる所存でございます。
  20. 野別隆俊

    野別隆俊君 今の九州縦貫道の方は整備がかなり進んでいることは私も認めるのでございますが、東九州、いわゆる福岡、大分宮崎鹿児島を通ずる東路線の方は別府―大分間八キロができたのみでございまして、四百三十キロございますが、この路線を早く整備計画にのせていただいて、私の県などは、面積からいってもそうでございますが、人口からいきましても八一%がこの東九州の高規格道に関連のある地域でございます。ぜひとも早く整備計画にのせていただくようにお願いして、そして早期に、全体を早くというよりも都市間、例えば宮崎では延岡宮崎間、それから大分では大分佐伯間、こういう人口密集地、こういうところを早くやっていただく。全体を進めるというよりも、やっぱり都市間をやっていただくということが重要ではないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。
  21. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) お話のございました東九州自動車道でございます。これは北九州から大分市、宮崎市を経まして鹿児島に至ります四百二十キロの路線でございます。この路線九州縦貫道あるいは九州横断道と一体となりまして東九州発展には大きく寄与するものというふうに私どもも考えております。  この一月の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、大分から佐伯市の間、それから延岡市から宮崎県の清武町、さらに鹿児島県の志布志から隼人のこの七十二キロ、この区間につきまして一月の国幹審基本計画になったわけでございます。整備計画に向けまして、現在、路線計画、それから環境調査、こういうものを進めております。それからこの基本計画になりました区間以外の他の予定路線区間、こういうものにつきましても、地域開発状況、それから交通需要周辺道路整備状況等を総合的に勘案しつつ高規格幹線道路調査を進めているところであります。
  22. 野別隆俊

    野別隆俊君 特に、高規格幹線道路が非常におくれています。まだ審議会が開かれない状態であ りますので、早くてもこれは審議会が開かれて着工に至るまでかなりの期間がかかる。そして、工事が完了するまでには相当期間がかかるのでございますが、今私どもは十号線一本に頼っているわけです。そういうことで、延岡清武間はわずか七十九キロでありますが、それでも二時間半ぐらいかかるのであります。一時間圏域などというのはまだ夢の夢でございまして、しかもこういった片方一車線状態でございますから、一部が二車線でございまして、特に渋滞するところ、ネックになるところの早期整備をまず十号線でやっていただいて、そしてこれは代替道路もないのです。一回災害が起きますと、この幹線道路が使えないことになると県民の経済は大変なことになるのでございます。ぜひひとつ、そういった当面の対策として十号線の整備をやっていただきますように、この点についてお伺いいたします。
  23. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 北九州から大分あるいは宮崎鹿児島に至りますこの国道十号線、大変重要な路線でございます。今お話がございましたように、特に都市周辺、例えば北九州市とかあるいは宮崎市とか延岡市とか、こういう周辺での交通量が多くて、例えば宮崎周辺では交通量も一日三万五千台、こういうことでございますので大変渋滞しております。この十号線の対策といたしましては、都市部でのバイパスを進めておるわけでございます。主要なバイパスは、例えば椎田バイパスとか、宇佐―別府バイパスというのがございます。例えば宮崎では宮崎北バイパス、宮崎西バイパス、鹿児島では鹿児島北バイパス、こういうような整備も進めてきております。これらの十号線の整備ももちろん必要でございます。先ほど申し上げました東九州自動車道整備計画へ向けてのいろんな調査、検討、あるいは基本計画へ向けての調査とあわせまして、できるだけ早期に実現できるよう努めてまいる所存であります。
  24. 野別隆俊

    野別隆俊君 続いて、住宅問題に入ります。  今、住宅、マイホームをつくろうとすることは、大都市では夢が消え去ったような状況にございます。何としても勤労者の生活を安定させるためには、住むことが一番重要であります。衣食足りてと言いますが、衣食は十分ございますが、そういった住居に対する対策が非常におくれているのではないか、こういった面で申し上げたいのであります。特に、関東を中心にして土地の値上がり、六大都市を初め全国の主要都市が次々に波及して高騰している、こういう状態でございますから、こういった社会的公正な施策が心要だと思います。今こういった不均衡を生んだ状況であるわけでありますが、土地高騰の対策、土地が高いために住宅が建てられないという現状でございますから、こういった住宅建設を図るための土地対策について、これは建設大臣にお伺いしたいのでありますが、どのようにこれから取り組んでいかれるのか、お伺いします。
  25. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 近年の地価高騰によりまして、住宅取得が非常に困難になっているということはまことに遺憾だと思っております。したがいまして、我々としては需要面、供給面、両方から総合的な対策を講じてマイホームの夢を何とか実現させようということで総合対策をまとめておるところでございますが、まず供給面では公営あるいは公団等の公共住宅の供給促進をやるとか、あるいは住宅金融、住宅金融公庫の活用、それから税制の充実によって住宅取得をしやすいようにする、そして良好な住環境を備えた宅地開発をやる、さらに市街化区域内の遊休地あるいは農地等につきましても宅地化すべきものは宅地化を促進するような手だてをしていくということが極めて大事だと考えておるわけであります。  同時に、地価抑制の面では投機的な資金をできるだけ抑制していただけるように、関係省に銀行、ノンバンク等について監査していただくとか、さらに特別な投機に対しては特別保有税とかあるいは短期譲渡についての懲罰的な税制を適用するとか、こういうような非常に多彩な政策を総合的に実施していく以外ないのじゃないか、こういうことで目下取り組んでおります。税制についても、投機的なものについての抑制は既に現在適用されておるわけでございますが、これから遊休地の関係等についてはそういう総合的な対策の中の一環として御検討いただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  26. 野別隆俊

    野別隆俊君 地価高騰について、さらに国土庁長官に御質問したいのであります。  政府は、地価高騰の原因、これはやっぱり徹底的に追求して、私は原因解明がはっきりとしなければ、原因解明がないままに新しく対策を立てるということにはならないと思います。まず、原因解明を徹底的にして、地価高騰を防ぐための対策、抑制対策をどのようにこれからされるのか、そして宅地をどのように供給できる状態に持っていかれるおつもりか、お伺いいたします。
  27. 石井一

    国務大臣(石井一君) ただいま建設大臣から各般にわたる宅地供給の具体的な政策を述べられました。現在、国会におきまして土地基本法案を審議いたしておるわけでございますが、この土地の宣言法とも言われるものの中に、土地は公共のために供せられるべきものであり、公共が優先する。単なる所有を重んずるのではなく利用を重視しなければいかぬ。また、計画的に土地を利用するとともに、投機的な面については厳しくこれを規制する。また、開発に対しては適切なる負担をしてもらう。こういうふうな形の中から従来の概念をひとつ打破して、新しい発想の転換をこの際求めたいと考えております。  従来の考えと申しますのは、いわゆる土地神話というものでございまして、土地は自分のものであり自分の勝手にしていいものだ。また、これほど資産を生む金の卵のようなものはない。したがって、できるだけこれを保存することによって自分の資産の拡大を図る。こういうふうな形の中から、仮需要と申しますか、金余り現象等もございまして、委員の御指摘のような憂うべき状態が起こっておるわけでございます。  現在、東京都心へ通勤いたしております百八十一・五万人の中で、六十分以上の通勤をしております者が百十二・四万、六一%。三十七・一万に至っては九十分以上の通勤を強いられております。こういうふうな状況が続きますと、この世の中が一体公正な社会なのか、こういう基本的な問題にまでさかのぼってくる問題ではなかろうかと思います。なかなか現実は厳しいものを感じますけれども、土地基本法案を成立させていただきました暁には、政府は不退転の決意に立ち返ってこの問題を解決しなければいかぬ。諸先生の積極的な御協力を、ひとつ、この際、お願い申し上げておきたいと思います。
  28. 野別隆俊

    野別隆俊君 建設大臣は今おられませんから、建設当局にお伺いいたします。  今の住宅問題は、特に公営住宅についてでありますが、これは今大臣の答弁もございましたように、マイホームを自分でつくろうという夢は、とてもこれが花開く日はここに近くはないと見ます。そうであればやっぱり公営住宅等、公営、公団の住宅をうんと建てる、しかも都心部に近いところに高層で整備すべきではないか、このように考えるのでございますが、五万二千戸程度ベースではどうにもならないのじゃないか、少なくとも六百万戸、こういうところまでは進めていく必要があるのではないか。今も御答弁がございましたように、一時間半ぐらいのところからも相当の人が通っているわけでありますから、どうしても都心部に高層的なそういった住宅整備をする必要があるのでありまして、同時に戸数をうんとふやす、このようなことをお考えでないかどうか、お尋ねいたします。
  29. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 現行の住宅対策住宅建設計画法に基づきまして毎五年ごとに目標を定めて協力いたしております。今先生言われましたように、公営住宅につきましては五万二千という数字が毎年計画されておりますが、これは現行五カ年計画を達成するために必要な政府に対するノルマになっておる数字でございます。  この五カ年計画の考え方というのは、先生今おっしゃいました、例えば大都市圏におきまして中 期的な五年程度の見通しあるいは十年程度の長期的な見通しに立ちまして、五年後におきますそこの国民の所得水準、それからライフステージ、そういったものを十分勘案いたしまして、その時点におきます住宅価格をも考えて必要な公営住宅、公団住宅、公社住宅のストック量をはじき出して、そのストックを確保するための各年度建設努力する、こういう仕組みになっておるわけでございます。  したがいまして、五カ年計画の途中で、例えば今回のように非常に地価が上がり住宅価格が上がるというようなことは今までにも起こったわけでございますが、政府としましては、まずは五カ年計画を確保することに最大の努力をする。ともすれば、地価が上がった時点で事業主体がなかなか土地取得ができませんでしたりいろんな障害がございますので、計画戸数自体も非常に達成すること自体難しくなってくるわけでございますけれども、そういうことで五カ年計画の達成をまずやる。しかも、地価が上がって住宅価格が上がりましたので、その次の時点の、次の五カ年計画に向けて新たな施策はどうするか、こういうふうに施策の考え方を展開しているのが実情でございます。  今回の地価高騰につきましては、昨年の六月に総合土地対策要綱という政府全体の土地対策住宅対策都市対策の方向が固まっておりまして、この線に沿って私ども努力いたしておるわけでございますが、現行五カ年計画の中でできるものはこの総合土地対策要綱に基づいて着実にやる。それから、現行の五カ年計画あるいは現行の制度でできないものは、早急に制度の改善を行って、総合土地対策要綱の目指しております目標の実現に向けて努力する、現在こういうふうに取り組んでいるわけでございます。  先ほど私ども大臣が申し上げましたように、建設省としましては、今現在、来年度予算、税制、法律関係、制度関係挙げまして、いかにしたならば大都市の住民に適正な居住水準をできるだけ早い機会に確保することができるようになるかという方向におきまして、総力を挙げて検討しているわけでございます。その中で、先生今おっしゃいましたように、通勤時間がある程度短縮できるような既成市街地の中、あるいは既成市街地の近郊地帯でできるだけ土地の高度利用をして、しかもそこで中堅勤労者が負担できるような家賃の住宅、あるいは取得できるような住宅価格というものをいかにして供給するかというのが最大のポイントだろうと思うわけでございます。  したがいまして、私どもは、大都市圏におきます住民の所得の状況、価格の状況を勘案しながら、高層化を図る中でいかにすれば支払えるような家賃にすることが可能であるかということを今鋭意検討しております。その中で、今公営住宅お話が出ましたけれども、当然に事業主体は民間もございますし、公団もございますし、公営もございますので、そこは適正なバランスのとれた価格で供給してまいりたい、かように存じている次第でございます。
  30. 野別隆俊

    野別隆俊君 時間が来たようでございますから終わりますが、まだ住宅問題はあったのでございますけれども、これでやめます。どうぞひとつ、道路の問題、住宅の問題は、国民生活に欠かせない重大な問題でございます。できるだけ予算を獲得していただいて、これからの国民生活の安定のためにも御努力いただきますようにお願い申し上げまして、終わります。  ありがとうございました。
  31. 種田誠

    ○種田誠君 私は、最初に下水道の整備事業について関係省庁の皆さん方にお伺いしたいと思います。  下水道が果たしている役割は、今さら申すまでもなく、今日の国民生活、快適な住環境を維持するためには欠かせないものであります。しかも、情報化社会、東京での生活も、私の住む茨城県の水戸市においても、また茨城県の過疎の地域においても、国民の求めるものは同じではないかと思う次第であります。  そういう中で、今年度は下水道に関しては建設省において第六次五カ年計画実施されておって、来年度その最終年度を迎える。まさに第六次下水道整備計画のいろいろな問題点が出てきたと同時に、実施実績も積み重ねられてきたところではないかと思うわけであります。そのような時点において、本年度は八月に総務庁より下水道整備事業に関してもろもろの行政監察などもなされております。  そこで、第六次の最終年度を来年迎えるわけでありますが、建設省の担当の方におきましては、この第六次をどのように今総括をなされておって、六次の目標達成は十二分に可能なのかどうか。そしてまた、過般の総務庁の行政監察にあらわれました幾つかの指摘があるかと思いますが、この指摘事項については過日、決算委員会などでもお尋ねいたしましたので具体的内容は省きますが、そのようなものを勘案して御答弁をお願いしたいと思うわけであります。
  32. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 第六次下水道整備五カ年計画は、昭和六十一年度を初年度といたしまして、計画額九兆九千八百億円をもって処理人口普及率を昭和六十年度末の三六%から平成年度末には四四%へ、また雨水排水整備率を昭和六十年度末三五%から平成年度末四三%へと向上させることを目標としているものでございます。六十三年度末におきまする五カ年の進捗状況でございますが、計画の全体の進捗状況は六八・一%となっております。平成元年予算に基づきます進捗率は約九一%まで上がる見込みでございます。  整備目標実績でございますが、昭和六十三年度末におきましては、処理人口普及率四〇%、雨水排水整備率四〇%と着実な進捗を見ているところでございまして、平成元年度末には処理人口普及率四二%、雨水排水整備率四二%というふうなことで、目標に相当に近づくものとなる見込みでございます。今後とも、五カ年計画達成へ向けて積極的に整備を進めてまいりたいと考えておるところでございます。  また、御指摘がございました総務庁からの指摘事項につきましては、先般来、関係の省庁も幾つかございますので、そういう省庁と意見を交換しながらその指摘にこたえていくように努めているところでございます。
  33. 種田誠

    ○種田誠君 総務庁からの御指摘の中の一点だけについてお伺いしたいと思います。いわゆる下水道の普及率、ただいまの答弁によりますと、目標どおりほぼ達成できるだろうということでありますが、目標目標といたしまして、この間国民の下水道に対するニーズが一気に高まっている、このような状況が生まれているわけであります。そういう中で、いわゆる下水道類似施設などの普及もかなり伸びております。今普及率は目標を達成しておるということでありますが、さらに一層の普及を図るためにこの第六次五カ年計画の中において指摘された事項などを踏まえて反省すべき点、改善すべき点、気がつくところがございましたらば御答弁よろしくお願いしたいと思います。    〔委員長退席、理事吉川博君着席〕
  34. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 下水道事業実施に当たりましては、当該地域の自然的、社会経済条件というものを十分に勘案いたしました上で、生活環境の改善、浸水の防除、公共用水城の水質保全を図るため、その地域に通した下水道処理方式を採用するようにしてきたところでございまして、建設省の持っております下水道の整備手段でございます流域下水道、公共下水道、これが中心でございますが、このほか農村、漁村向けの特定環境保全下水道、あるいはその中でさらに千人未満の規模を対象とする簡易な下水道など、各種施策の手段を用意して下水道整備にこれまでも努めてきたところでございますが、特に流域下水道につきましては、これが長期にわたることからもう少し整備について柔軟に対応することはできないのかというような問題もございますので、負担が非常にかかりそうなところにつきましては処理場を中途で設ける等のフレックスプランというようなことの整備もことしから始めているところでご ざいます。
  35. 種田誠

    ○種田誠君 建設省の方から出されております資料などを拝見いたしますと、全国平均では今日下水道普及率は四〇%ほどであるということでありますが、さらに人口別の規模に大きく分けてその実施状況を拝見しますと、百万人以上の都市は八六%を超える普及率になっている。五十万から百万の都市が五三%、三十万から五十万の都市が四七%、十万から三十万が四三%、五万から十万が二九%、五万以下の市町村においては七%の普及率、このように大まかに分類されているところであります。    〔理事吉川博君退席、委員長着席〕 このような人口規模別の普及率というのを見たときに、この辺のところから建設省において今後改善すべき余地というのはどのようなところにあるか、お考えなどありましたらば御答弁をお願いしたいと思います。
  36. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 私どもの持っております下水道整備の手段のうち、先ほど申し上げましたような流域下水道あるいは公共下水道に加うるに特定環境保全公共下水道というものに力点を置いていくことが、今先生の御質問の問題点にこたえていく方法であろうかと思っているところでございます。  特定環境保全下水道は、主として農山漁村部の生活環境の改善と良好な自然環境の保護を目的として設定いたしております公共下水道でございまして、昭和五十年度から事業実施に入っております。平成元年度の事業費は約四百億円となっておりまして、下水道事業費全体のシェアとしてはまだ一%台でございますけれども、年々伸び率としては一番大きなシェアを占めておりまして、平成元年度ではこれは一・七%ぐらいまで上がるというふうなことを考えているところでございます。  また、箇所数でございますが、六十三年度までに事業実施いたしました箇所は百九十二カ所でございます。そのうち九十六カ所は既に供用開始済みでございまして、特定環境保全公共下水道については要望が中小市町村から大変多うございますので、さらなる積極的な推進に努めてまいりたと考えております。
  37. 種田誠

    ○種田誠君 ただいま人口の少ない都市に対する考え方をお述べいただいたわけでありますが、五十万人、百万人以上の大都市と言われる地域における下水道に対する新たなニーズ、そしてまた中規模の、人口が十万から三十万ぐらいの都市、それぞれ規模別によって、住民、県民の下水道に対する考え方、要望は大分異なってきているのではないだろうかと思われるわけであります。特に、大都市では八六%の普及率に至っておりますと、さらに下水道にまつわる問題として新たな水の再利用の問題とか汚泥の問題とか、いろいろ別な角度からの問題が提起されてきていると思うんですが、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。
  38. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 御指摘のとおり、都市のスケールに対応する形で下水道整備を進める、また普及率の状況ども勘案して整備の方策が練られていかなければならないことは私どもも全くそういうふうに考えております。  具体的に申し上げますと、相当程度普及が進んでおります大都市等におきましては、より清らかな水環境の創造あるいは水資源としての処理水の有効利用の促進等の観点からの高度処理というものを推進してまいりたい。あるいはこういう都市では早期事業が始められたこともございまして合流式の下水道が多うございますが、こういう合流式下水道では今日不十分であるというふうに考えておりまして、この合流式下水道の抜本的な改善、それから浸水、水浸しになるということに対する安全度というものの向上にも努めてまいる必要があろうかと思います。さらには、処理場の上部空間等の活用とか、あるいは所によっては下水道のパイプを有効に活用しようとかいうような多目的な活用推進というようなことも考えてまいりたいと思っております。  なおさらに、中小都市についてはどうかというところもお尋ねがございましたが、この地域におきます下水道整備をより一層促進するための財政的あるいは技術的な支援の強化に努めてまいりたいと思いまして、具体的には下水道事業団の一層の活用によって支援体制の強化を図ってまいりたい、あるいはプレハブ式の下水道の処理場というような技術開発の推進というようなこともやっていきたいというようなことを考えております。
  39. 種田誠

    ○種田誠君 今日まで流域下水道を大きな土台といたしまして事業が進んできた。そういう中で、今答弁がありましたように、さらにきめの細かい、それは人口ばかりでなくて自然状況とかいわゆる地域のそれぞれの特殊性、それらに応じてさらに弾力的な視点に立って下水道の普及を図られようという、そのような考えであると承りたいと思います。しかしながら、そういう中で、ますます国民の下水道に関する早期の実現という期待は高まる一方だと思うんです。と同時に、それは私たちの、水質を含めた生活環境の改善を一日も早く図りたいという生活を送る上での最低のニーズにこたえるものだとも思うわけなんです。  そういう意味で、先ほど来短い答弁があった点でございますが、この流域下水道というのを骨格としながらも、その流域の中でさらにきめの細かい処理施設をつくることによって普及率を倍化させる、三倍化させる、そういう手だてをとることは今後考える余地はあるものでしょうか。
  40. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 流域下水道の計画区域の中で、開始までに非常に長期間を要することが問題ではないかということでの御指摘であろうと思います。  流域下水道の整備につきましては、これ自体につきまして処理場の段階的な施工、管渠の二条管方式の採用など、効率的な事業によりまして早期供用開始にも努めておるところでございますが、所によりまして終末処理場から遠く離れておりまして下水道が整備されるまで相当の年月を必要とするようなところでございますが、早急に下水道の整備を行うことが要請される地域というものもございますので、そういう場所につきましては、全体計画に定めております終末処理場とはまた別に、将来的にそれも一体的に管理するということを前提といたしまして、中間的な処理施設を設置して早急に下水道整備をその地域について図るという、私どもこれを下水道フレックスプランと申しておりますが、今年度からこれを始めたいということで今鋭意努力しておるところでございまして、こういう需要が今後ふえてまいりますれば十分にこれに積極的に対応してまいりたいと考えておるところでございます。
  41. 種田誠

    ○種田誠君 中規模都市などにおいて流域下水道の整備がおくれている点に対する総務庁の御指摘などにも、今のような計画をさらに推し進めていただけるならば、まさに改善が図られるものと思うわけであります。そしてまた、あわせて先ほど来御答弁がありました、あえて言えば農村地帯のような人口の少ないところにおいても急を要する場合には特定環境保全公共下水道を設置する、そういうことでぜひとも御努力の上、国民のニーズにこたえられていただきたいと思います。  この下水道に関しまして、厚生省の方に一言お伺いしたいと思います。  ただいま建設省の方から特定環境保全公共下水道などの普及を図ってさらにきめ細かな下水道の普及を図っていきたい、このような答弁があったわけでありますが、厚生省の方も下水道の普及に関しては積極的な姿勢をとって今日まで御努力されているところだと思います。ただいま建設省のの担当の方の答弁にありましたいわゆる特定環境保全公共下水道というのは、どうしても流域下水道地域以外の地域にも可能性が出てくるということになりますと、厚生省の下水道類似施設事業との調整なども必要になるかと思うわけでありますが、その辺についてのお考えをいただきたいと思います。
  42. 櫻井正人

    説明員(櫻井正人君) 私どもでは合併処理浄化槽あるいは地域し尿処理施設、いわゆるコミュニティープラントといったような生活排水処理施設 の整備を鋭意進めておるわけでございますが、それぞれに浄化槽、下水道等いろいろな今施設の手法があるわけでございますけれども、それぞれ地域の自然的条件あるいは社会的条件等に応じた特性というものがあろうかと思います。そういった点でどういった施設を選択していくかということにつきましては、やはり地域の住民の意向等を十分踏まえまして、地域の実情に応じて地方自治体が行う選択というものを基本に考えるべきではないかというふうに考えておるわけでございまして、私どもの立場からは合併処理浄化槽あるいはコミュニティープラントといったものを選択する市町村につきましては積極的に整備の支援をしてまいりたいというふうに考えております。
  43. 種田誠

    ○種田誠君 そうしますと、厚生省の方の下水道類似施設の普及も一層力を入れていきたい。これからは建設省の考えておられるかなり多様な下水施設、ますます市町村においてその組み合わせというか、調整というか、そういうことが大事になってくるのではないかと思うわけであります。そこで、へまをしますと、二重投資だとかむだ遣いだとか、こういうようなことが指摘されるようになってしまうと思うんです。そういう意味で、市町村における組み合わせなども十二分なる御指導をしていただきたいと思います。  建設大臣、ただいまの関係担当者の方々の答弁、また私の質問を聞いていただきまして非常にありがたいわけでありますが、再来年度はいよいよ第七次五カ年計画が実行されていく、こういう時期になろうかと思いますが、建設大臣として国民のニーズにこたえるためにもこの問題に関する御所見をいただければ幸いだと思うわけであります。
  44. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 建設省といたしましては、国民の下水道需要にこたえるには、今後、中小都市に重点を置いてやっていく必要があると考えております。何といっても、日本が最も豊かな経済大国ということになったというにもかかわらず、下水道の普及率はわずか四〇%、今委員のおっしゃられたように大都市はかなり、政令指定都市平均が八、九割ですから中小都市が非常に普及率が使いということでありまして、今おっしゃったように、人口五万人未満の都市では普及率わずか七%ということであります。二千以上の市町村が下水道事業に未着手であります。したがって、来るべき平成年度から第七次五カ年計画実施するわけでございますが、中小都市下水道整備をより一層促進するための措置が必要だと思っております。  まず、中小都市は押しなべて財政が厳しいわけですから、下水道事業団の活用によって支援をしよう。それから技術の面でも役場の人たちに非常に負担がかかる。これから勉強しなきゃとても下水道なんてわからぬよということでは困るものですから、下水道事業団の技術的な支援というのは非常に有効ではないかと思います。そして、下水道事業団で最近開発したプレハブ式下水処理場という非常にコストが安く簡便にできるという方法もありますし、そういうような技術開発を推進いたしまして中小都市用に便宜を図っていく、こういうこともやってみたいと思っております。  そして、先ほどの厚生省の下水道類似施設との関係でございますが、庶民の需要はとにかく何としても水洗便所ということで、私の自宅でもそうですが、簡易な浄化槽を使っております。そういう状況でありますので、それは下水道と接続してやれるようになれば非常に望ましいわけでございます。しかし、放置はできませんから、そういう分野がどんどん広がっていくというのもこれは避けられないことだと思うんです。しかしながら、下水道整備をやることによってこういうものがだんだんそれと接続していくということ、うまくこの調整を我々としても努力しなきゃならぬと思っております。  そして一方、相当程度普及の進んだ大都市につきましては、さっき局長から答弁いたしましたように、より清らかな水環境を創造するとか、水資源としての処理水の有効利用を促進するとか、そういう観点からの高度処理技術を促進していかなければならないと思いますが、同時に情報が、下水道管に光ファイバーを埋めまして、これは各戸にみんな届くわけですから、そういうことも下水道の有効利用として考えるということを私はぜひ進めていきたいと考えております。  それから合流式の下水道というか、雨水を排除して、今ニューヨークあたりですら合流式の下水道であるようでございますが、ぜひこれは抜本的な改善をいたしまして浸水に対する安全度を向上してまいりたい。そういうこととあわせて下水路管とか処理場について、処理場は土地の高いところでたくさん処理面積を食うということが下水道のコストが非常にかかる要因になりますので、これを何とか圧縮いたしましてやれないかという技術開発も必要ですし、同時に、上部空間の高度利用ということも必要ですし、また山の斜面に流域下水道の処理場をトンネル式で入れるなんということも今下水道事業団が一部の都市でやっておりますけれども、そういう多目的な活用を図るということも大事だと思っております。いろいろ工夫をして、ぜひとも環境浄化のために第七次下水道計画は勇壮なものをつくりたい、このように考えておりますので、ぜひとも御理解いただきたいと思います。
  45. 種田誠

    ○種田誠君 大変有意義な御答弁、ありがとうございました。ぜひ、よろしくお願い申し上げます。  次に、時間が余りないので簡単に伺いますが、本年度は大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法というものを制定するに至りました。そして、現実的には常磐新線の設置に向けて行動がとられ始めたところだと思います。先ほど来の野別委員の質問にもありましたように、まさに大都市に勤務する勤労者にとって有効な宅地の取得は極めて困難な時期である。そういう中でこのような法律が実施に向かわれたことは極めて喜ばしいことである、このように思っているところであります。  しかしながら、私がこれまでこの法律ができてからマスコミなどでうかがい知った進捗状況、その後の状況に関しては何か非常に不安な状況、不安な感情を持っているところであります。十月十七日の新聞においては、運輸大臣の方では十五万戸ほどの団地をつくって五十万人ほどの新都市をつくる、このために全力を挙げたい、「海部内閣の時に実現へ向けての実績をあげたい」、このようにも述べられております。しかしながら、十月十二日の新聞記事によりますと、新法ができても財源の壁がある、事業参加にJRは難色、こういうふうな記事も出ているわけであります。  そこで、問題は、この事業計画はちょうど西暦二〇〇〇年を完成目途としているそうでありますが、それに向けての具体的な見通しについてまず一言伺わせていただきたいと思います。
  46. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話のように、先般、九月でございますが、常磐新線を直接念頭に置いたいわゆる宅地、鉄道の一体整備に関する法律が施行されております。この鉄道整備を中心とします沿線開発というのは、地域にとりましても、また首都圏の宅地供給という面からも大変重要なプロジェクトである、私どもこういう認識でおるわけでございまして、現在、建設省、当然でございますが運輸省、あるいは茨城県を初めとします関係公共団体、こういった関係者が緊密な連絡の中で十分な詰めをやっているさなかでございます。いずれにしても、法律は形式的には施行されたばかりでございますが、私どもこの施策というものが着実に今後展開されなきゃなりません。  そういった中で第三セクターの設立問題、これも今お話しのように大変重要なことでございますし、また同時に、土地をどういうふうにまとめていくか、どういうふうに整備方針を描いていくかということなどなど関係事項がたくさんございます。これらと一丸となって今精力的に取り組んでおるところでございます。
  47. 種田誠

    ○種田誠君 運輸省の方に伺いたいと思うんですが、第三セクター方式を採用していくという御答 弁が今建設省の方からあったわけでありますが、JR東日本がその対象にされているということでありますが、この新聞記事による参加に難色を示しているというのはどういうところにその原因があるのか、時間がないものですから、簡単にお答えいただければ幸いだと思います。
  48. 大森寿明

    説明員(大森寿明君) お答えいたします。  今建設経済局長さんの方からお話もございましたように、常磐新緑の整備に関しましては関係者で鋭意検討を続けているところでございますけれども、その検討の中で、とりあえず第三セクターをつくりましてそこで鉄道をつくるという流れで検討が進められているわけでございます。現在、常磐新線整備検討委員会というものが設けられまして、これは沿線の東京都、埼玉、千葉、茨城の一都三県の副知事、それからJR東日本の副社長、それから私ども運輸省の審議官というのが構成メンバーになっているわけでございますが、こういうところで検討を進めているところでございます。  常磐新線そのもの自体は、路線が約六十キロにも及ぶということで非常に長くなる。したがって、当然のことながら建設費が非常に高くかかる。一方、沿線の宅地開発をこれから進めていくという地域を相当たくさん抱えておりますので、お客さんがどの程度乗るのだろうか、いわゆる需要の見通しでございますが、これも非常に難しいというような問題から、重要な大きなプロジェクトに取り組むに当たりましては相当基本的な問題を詰めなくてはいけないということで、民営化されたばかりのJR東日本としてはその点を十分詰めた上で最終的な判断をしたいというふうに考えているところでございまして、その点を今鋭意検討しているというところでございます。
  49. 種田誠

    ○種田誠君 最大の課題は、今述べられたお答えの中にもありましたが、果たして用地取得が可能なのであろうかというところに対する不安材料だと思うわけであります。  そこで、私、最近、これは茨城県の中でありますが、どうも監視区域の指定がなされたといっても実際やみ取引などが行われまして、ブローカーの中に既に法の網をかいくぐって土地を取得したりしている者がいる。そういうふうなことで、監視区域の指定がなされたわけでありますが、どうもこれだけでは長期間かかる建設との関係で何か不安なものを感ずるわけであります。やはり高くなってしまったのでは勤労者は取得できませんので、その辺のところを考えますと、何としても年間所得の五倍以内、そのような形で取得できるような土地の価格の維持を図っていく必要があるかと思うわけであります。  先般の土地特委員会における石井長官の御発言によりますと、監視区域だけは任せておくのではなくてさらに一層の強化対策を図っていきたい、そして何としてもこの地域宅地供給を勤労者の方に可能にしたいのだ、このような熱意ある御答弁を伺わせていただいたわけでありますが、時間の関係上質問を省きますが、その点に関して長官のお考えなどをいただければ幸いだと思うわけであります。
  50. 石井一

    国務大臣(石井一君) 宅地と交通機関の一体化を進めるということは、現下の非常に厳しい通勤事情を解決するのに有効な手段だと考えております。ただ、委員が御指摘になりましたようにいろいろな懸念すべき問題もございますので、私たちといたしましては、これらに対しても十分な配慮をしていきたいと思っております。不法な取引に関しましては、いわゆる無届け取引ということでありますから国土利用計画法にも決められております罰則規定が担保されておりますので、これに沿って厳しく対処していきたい、そう思っておるわけでございます。  なお、御質問の点でございますけれども、監視区域制度というものの最も重要なのは、そういうおそれのある以前にまず先行指定をしていただく、こういうことが非常に重要でございます。やや後手に回っておるというところを反省いたしており、また都道府県知事なり指定都市の市長にこの点は国土庁からしばしば要請いたしておるところでございますが、その指定権者が地方サイドでございますので、いささか地方では地方のお考え方もあるのでありましょう。そうして、さらにその効果が出ない場合には、指定をされた後に今後のおそれというふうなものを考えました場合にはいわゆる面積の引き下げということをお願いいたしておるわけでございますが、この常磐新線の沿線に関しましてはおおむね指定はされておりますけれども、まだ両積が大きくて一千平米程度のところが非常に多い。そうなりますと土地の切り売りでありますとか、そのほか取引がかなり容易に行われるというふうな問題が起こっておるわけでございまして、今後さらに監視を厳しくし、不法な取引を監視するとともに、届け出面積の引き下げ、こういうふうな問題についても鋭意努力を続けてまいりたい、そう思っておるわけでございます。  なお、御案内のとおり、監視区域のもう一つ厳しいものに規制区域という制度がございます。この伝家の宝刀は、これまで抜かれたことがございません。こういうように明らかに宅地化されるというふうな方向がはっきりと出ておるわけでございますから、その路線等についての決定はまだございませんけれども、私はできれば監視区域ということでなくもう少し進んだ方法がとれないだろうか、実は個人的に茨城県の知事ともお話をしたことがございます。ただ、知事のサイドになりますと、こういうような措置をとると全国で初めてだというケースとともに一切経済行為がとまってしまうということになりますと他への影響も非常に大きいということで懸念をされておるわけでございます。私は、監視区域と規制区域の間に何らかの中間的な措置というものが今後考えられないものだろうか。要するに、地価を抑制する効果が上がる一方、知事サイドとしてもやりやすいというような、これは条件が五つ、六つございますが、その中の条件の緩和等を考えまして、とにかく地価の抑制に効果のある措置があるというのであれば国土利用計画法に関します再度の検討というふうなことをも考えつつ十分もろもろの制度を活用いたしまして地価の高騰を阻止していきたいと思います。おおむね平成元年に比べまして地価公示は一〇%程度上がっておりますが、この程度ならまだお許しをいただけるのじゃないかと思っております。今後これ以上のことが起こりましたらそれなりの措置をとりたい、そう考えておる次第でございます。
  51. 種田誠

    ○種田誠君 どうもありがとうございました。
  52. 西野康雄

    ○西野康雄君 私は、長良川河口ぜきの問題について御質問したいと思います。  塩害のメタニズム、この間二十四日に長島町あるいは郡上八幡まで至るところ調査してまいりました。そういう中で長島町あたりでも、田んぼの塩害を防止するためにまず最初に地下からの塩水が上がってこないようにもみ殻を三十センチほど敷き詰める、そしてその上に土をかぶせて上から湛水して地下からの塩水を防止する、こういうふうなことをおっしゃっておられました。塩害の起こる原因の中に、地下からの塩水が噴き上げてくるということがあるのでしょうか。河川局長、お願いします。
  53. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) ただいま現地において、長島町等で塩害の発生の状況という御質問でございますが、長島町においては長良川の河口付近に存在している関係から河川に塩水が遡上しておる状況でございます。これらの塩水が地下浸透しまして地下水等に塩分が混入する結果、塩害等の発生が懸念され、そのため今先生がおっしゃいましたように地元ではさまざまな対策をとっていると聞いております。
  54. 西野康雄

    ○西野康雄君 地下から上がってくる、こういうことでございますが、この塩害というのは、地下水のくみ上げによって地盤が沈下してくる、そしてそういう中でくみ上げられた水にかわって塩水が入ってくる、その塩水が上に上がってくる、こういうふうに考えてよいのでしょうか。
  55. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 地下水への塩分の混入についてはさまざまな条件が考えられますので一概 に地下水くみ上げとは言えないと思いますが、地下水のくみ上げも一つの要素であると思います。基本的には、やはり塩水が長良川を通って遡上しており、地盤と非常に近いところに塩水が常に存在するということが大きな背景としてあるのだと考えております。
  56. 西野康雄

    ○西野康雄君 工業用の取水だとか農業用水の取水、こういったものは原則的に汽水域ではとらないものですね。どうなんでしょうか。
  57. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 工業用水等その目的によりまして、例えば冷却用水等は必ずしも塩分が混入しないことが条件とは限りませんから、その目的によって違うと思います。ただ、塩分を含まないことを必要とするものについては、汽水域より上流でとることが原則であると思います。
  58. 西野康雄

    ○西野康雄君 ここに「長良川下流部の水と生活」という、「長良川河口堰の建設を進める会」、こういうことで、伊藤光好さんがこういうことをお述べになっております。   北伊勢工業用水は、千本松原の南端で取水しておられます。   最初はそれで十分目的を達せられましたが、五年程経ちまして塩分が混じるようになって参りました。   そこで三キロメートル程上流の森下というところで取水することになりまじた。   ところが最近、又々異常が出てまいったのです。十月から二月までの間に塩分濃度二〇ppmを越える時があり、越える期間は取水を中止しておられます。   この現象は、地盤沈下によるものと思えます。   このように塩分が次第に上昇致しますと、飲料水等にも影響を及ぼし、やがて水田栽培にも支障をきたします。  こういうことですが、この森下あるいは千本松原というところは今のせきよりも上流の地点ですか。
  59. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 上流の地点でございます。
  60. 西野康雄

    ○西野康雄君 ということは、上流の地点で塩分が含まれたものが採取されている。原則的に真水をとるということがこの長良川河口ぜきの課題であったと思います。ところが、河口ぜきのはるか上流において、しかも汽水域でないところで塩分濃度の濃いものが出てきているということは、これは先ほど田んぼの方でも地下水の塩分が含まれたものが上昇してくる、こういうふうなことが河川の河床において起こっている、こう考える方が妥当ではないでしょうか。河川局長、お願いします。
  61. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) おっしゃるとおり、長良川においては地盤沈下その他農業用水のくみ上げ等もありまして、塩分が入りやすい背景にはあると存じます。基本的には、今汽水域であったところが上流の方に移動しているということも考えられるとは思います。
  62. 西野康雄

    ○西野康雄君 つまり原因はわからない。地下から出てきている可能性もある、あるいは汽水域が上流に上がってきている、こういう二つが考えられるということですか。
  63. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 今おっしゃっている意味は、先ほど申し上げましたように、長良川は海に通じているわけでございますから、長良川を通じて海水が遡上してくる。そこに地盤沈下等がありますと、さらに海水は上流へ遡上しやすい状況にある。したがって、その周辺にある地盤を通じて地下に海水が浸透していく基本的条件がある。それらも含めれば、塩水がそれぞれの取水口に混入する可能性があると考えられます。
  64. 西野康雄

    ○西野康雄君 川底から上がってくる可能性はありますか。
  65. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) おっしゃるとおりでございます。あります。
  66. 西野康雄

    ○西野康雄君 川底から上がってくる、それをせきでせきとめるならば塩害防止にはなりませんね。工業用水の取水は、わずか二〇ppmでも取水を中止しております。そうすると、このせきによってつくられた水というものは工業用水には使えない、こういうことになりますね。
  67. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) まず、河口ぜきの御説明をさせていただきたいと思いますが、河口ぜきは海水の遡上を防ぐためにせきを設けるものでございます。その結果、上流を淡水化することによって、現在塩分が混入しているような施設においても塩分が混入しなくなるわけでございますから、そういう意味で今まで塩害の可能性のあった地域が塩害から防がれるわけでございます。
  68. 西野康雄

    ○西野康雄君 海水が遡上してくるということですが、十月から二月までの間に塩分濃度が二〇ppm、これは上流のつまり冬枯れ現象の中で川の水の流量が少ない、底の中から、河床から塩分が上がってくる、こういうメカニズムでないと解決できない問題です。十月から二月までだけですか、汽水域が広がるのは。
  69. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 上流から淡水が降下してくるわけでございますから、淡水の降下量が多いときには塩分の遡上範囲は確かに低いかと思いますし、冬季に至れば淡水が減りますから塩分の遡上範囲も若干上流に上がると思います。それらの塩分の遡上を防ぐためにこの河口ぜきを設置する目的も一つあるわけでございます。しかしながら、今後といたしまして、特に長良川の治水計画上、河道を掘削し、なお一層治水の安全度を確保する必要があってこの河口ぜきは計画されたものでございます。
  70. 西野康雄

    ○西野康雄君 今河川局長は河床から塩分が上がってくる、こういうことを明言なさいました。そういうことは利水の面において河口ぜきのせきとめた上流の水は使えない可能性もある、こういうことです。塩分濃度が高いということはそういうふうなことで、河口ぜさよりも上流から塩分がわき上がってくるというふうなことでは、まず利水の面からいってこれはむだになる可能性を含んでいるということですね。
  71. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 先ほどから申しておりますように、河口から海水が遡上していく結果、地盤の中にその海水が浸透することを防ぐこと、それから上流で取水している地点に塩分が混入しないようにこの河口ぜきでそれを防ぐことを目的としているものでございます。
  72. 西野康雄

    ○西野康雄君 今河床から塩分が含まれた、周りの田んぼもそうでしょう、みんな地下塩水が上がってきているんですよ、地盤沈下で。地盤沈下は地下水のくみ上げだということですが、温泉は地下水ですか。
  73. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 広い意味では地下水になると思います。
  74. 西野康雄

    ○西野康雄君 海津町において昭和五十二年から、そして古くは長島町に、そして安八町に、木曽岬村に、桑名市に、この周辺に温泉という温泉が非常にたくさんございます。地盤沈下はずっと起きております。海津温泉のデータを見ますというと含塩化食塩泉、要するに海水がろ過された形の水でしかない、こういうものが地下にはるかにあるということなんです。今河床から塩分が上がってくるということ。周りの田んぼも地下水から塩分が上がってくるのを防止するためにもみ殻を入れているわけです。ですから、河床にも塩分が上がってくるのは当たり前でしょう。河川局長
  75. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 先生、河床とおっしゃるのでございますが、河床を通じてといいますか、河口から塩分が遡上してきてそれが地盤に浸透した結果、地下水に混入するということによって地下水の塩分濃度が上がるということでございまして、先ほどせきの上流のお話もしましたけれども、せきの上流は塩分の遡上をとめる結果、淡水となるわけでございますから、工業用水の取水等に塩分が遡上するおそれはないわけでございます。
  76. 西野康雄

    ○西野康雄君 河口ぜさより下から塩分が浸透していく、はるかに上の方にまで上っていく、そういうふうな可能性が十分にあるわけで、何も取水口を河口ぜきをして淡水化したからといってその部分に遡上しないのではなくて、地下水となって塩分を含んだ水が河口ぜさより下流の部分から行くという可能性も大いにあるわけで、だからせき をつくったから大丈夫だという保証はないわけです。
  77. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 地下水というのは、先生御承知のとおり、例えば毎日の単位で言うと数センチあるいは数ミリという移動でございます。それに引きかえ河川の水は一秒間に何メーターというオーダーで動いているわけでございます。したがって、上流に淡水がたまっておれば、地盤の中で淡水と塩水とのいわば力比べという感じで言えば、上流に淡水がたまっている限り塩分が混入するおそれは一切ないと考えております。
  78. 西野康雄

    ○西野康雄君 考えているだけですね。海津町におきましては一日千八百トンの温泉をくみ上げております。これによって非常に塩分を含んだ水が下の方から流れてくる、アクセレートされてくる、こういうふうな可能性が十二分にある。今河川局長から河床からも塩分が含まれていてそれが出てくるというふうなことをお伺いしましたので、また今後長くやっていきたい。今はこの塩分の問題だけを取り上げてもなんでございますので魚道の問題についてお伺いいたしますが、魚道の遡上結果とそれの魚種についてお答え願いたいと思います。
  79. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 長良川は古来よりアユのウ飼い等でも有名な河川でありまして、自然環境の中でも水産資源の保全については特に重要な課題と考えております。そのため、長良川河口ぜきの計画については当初より水産関係の専門家等九十名にも及ぶ木曽三川河口資源調査団を組織し、徹底的な調査研究を行い、さらにその後も種々の調査検討を実施しているところであります。  この結果、建設省、水資源開発公団では専門家等の協力を得て、初めてアユ、アマゴ、サツキマスの種苗の本格的な大量生産、放流技術を開発、多大の成果を得たところでございます。また、これらの研究を踏まえて画期的な魚道を計画したものでございます。魚道中央部にはかなり速い流水を流し、魚道入り口に魚を呼び寄せ、遡上効率を高める呼び水式水路方式を開発したところであります。本方式は、長良川での採用に先立ち、筑後川の筑後大ぜきでこの方式を採用し、アユの大量遡上を確認しております。また、我が国で初めてロック式魚道を併設し、上下流のゲート操作により閘門で船を通行させるなどと同じ要領でアユ、サツキマスを初めとする多種多様な魚類の遡上も可能ならしめるよう、画期的な計画のもとに設置したものでございます。上流は貯水位また下流は潮位変動に追随するよう垂直昇降式ゲートが世界で初めてこの方式として採用されております。魚道幅はせき長の約一〇%を占めており、この点においても我が国最大規模の魚道でございます。その他全門二段ゲートを採用し、魚類保全のためきめ細かなゲート操作を実施することといたしております。  以上、さまざまな技術開発がなされており、岐阜大教授の実物大の公開実験結果からもアユ、サツキマス等の遡上については何ら支障がないことが既に確認されております。以上の実物大の公開実験により、アユ、サツキマスよりも泳ぐ力のすぐれたマス類、ハヤ類、ウグイ類、ウナギ類、ヨシノボリ類等については何ら支障がないと考えております。
  80. 西野康雄

    ○西野康雄君 支障がないとお考えですが、まだその実験はなさっておらない、こういうことですね。
  81. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 先ほども申し上げましたとおり、岐阜大教授の実物大公開実験結果において十分支障がないということが確認済みでございます。
  82. 西野康雄

    ○西野康雄君 ウナギでは実験はなさっておられますか。
  83. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) ウナギについてはしておりません。ただ、先ほども申し上げましたとおり、泳ぐ力がすぐれておるところから何ら支障はないと考えております。
  84. 西野康雄

    ○西野康雄君 川へ遡上してくるウナギというのは小さなものです。シラス程度のものです。それが泳ぐ力があると河川局長はお考えですか。
  85. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 川を上るとき、下るときがございまして、今のシラス等では下るときのことだと思いますので、この問題とは関係ないと考えております。
  86. 西野康雄

    ○西野康雄君 小さなウナギが上がってくる。  アユカケについては実験なさいましたか。
  87. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) ちょっと恐縮ですが、よく……。
  88. 西野康雄

    ○西野康雄君 アユカケ。
  89. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 実験しておりません。
  90. 西野康雄

    ○西野康雄君 ウキゴリについてはやられましたか。
  91. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) しておりません。
  92. 西野康雄

    ○西野康雄君 シラウオについてはやられましたか。
  93. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) しておりません。
  94. 西野康雄

    ○西野康雄君 ヌマチチブにおいてはやられましたか。
  95. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 私、恐縮ですけれども、魚の専門家でございませんので一々のものについてはお答えできませんが、当河川に関連する水産資源の中で地域の生活に密着する重要なものについては先ほど御説明したとおりでございます。個々のものについてはいろんな雑多の魚種があると思いますので、それらについて徹底的にやっているわけではございません。ただ、当地の水産資源確保の上で重要なものについては確認済みということを先ほど御説明申し上げた次第でございます。
  96. 西野康雄

    ○西野康雄君 アユカケというのは、一九八八年に三十一年ぶりに見つかった魚です。もしこれが遡上できないとここで絶滅してしまう、こういうふうなことにもなります。利根川においてホタルエビが絶滅いたしました。あなた方のやっていることはそういう意味において十分な実験もなさっておられないまま魚道について見切り発車をなさる、こういうふうなことになります。本当に大丈夫だという自信がありますか。
  97. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 我々が治水事業を企画する場合においては、まずこの目的が地域住民の生命財産を安全に守ること、また命の水である水資源を確保するということを重大な目的として計画しておるわけでございます。その過程におきまして我々が企画した施設がいろんな意味で何らかの副作用みたいな影響が各所にあらわれることは不可避なことだと思います。その過程において守るべきものについては極力施設で守っていくということは基本理念でございます。先ほど魚道の説明をしましたのも地域の水産資源の確保上必要なものについては極力守るよう設計を加えた次第でございます。  さらに、それらを超えて、地域の水産業の保全上受忍の範囲を超えるというものについては補償によって対策をとることとしております。ただ、個々のものについていろんなものがございましょうが、それらについては今後調査の結果必要なものについては対応してまいりたいし、またそれらの非常に貴重なものについてはその保全についてさまざまな形から努力してまいりたいというふうに考えているのが我々の考え方でございます。
  98. 西野康雄

    ○西野康雄君 先ほど、塩水が遡上する、千本松原でとっていたのが塩水がまじる。そしてまた、三キロその上の方でとらなければならない。河床が地盤沈下しているという可能性ももちろんあるわけですが、そういう河床のデータを提出していただかないと、先ほどの塩水が地下から噴き上げるのか塩水が遡上していくのかわからないんです。そのデータをお出し願えますか。
  99. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 十分御説明しないところで先生の御質問でして、私もこの場で説明しておりませんので若干御説明させていただきます。  まず、これは長良川の河口ぜきの御質問でございますから、その重要性について御説明させていただきます。長良川は昭和三十四年九月の伊勢湾台風、昭和三十五年八月、昭和三十六年六月の大出水により、大変地域の治水の安全度が危険になった結果、その安全性を検討して基本高水流量八千トン、これは忠節地点でございますが、と定め、そのうち五百トンを上流ダム群で洪水調節 し、河道で七千五百トン、河道というのは洪水を疎通させる川でございますが、七千五百トンを流下させることとして、昭和四十年に木曽川の水系工事実施基本計画を策定したものでございます。河道で七千五百トンを安全に流下させるためには、現在の長良川の河積、先ほど言いました洪水を流下させるための断面が大変不足しておりますので、その対応策をさまざまな検討をしたわけでございます。  一つの案としては、堤防を広げる、それから堤防を高くする、かさ上げする、河道をしゅんせつして洪水疎通を図るわけでございますが、その際に従前以上に塩分の遡上が考えられますので、河口ぜきによって塩水遡上をとめる、こういう案について比較検討いたしました。その結果、長良川の周辺において現在の都市化の進行等も考えれば、最も経済的にも社会的にも妥当であるものとしてしゅんせつ及び河口ぜきの案を策定したものでございます。計画どおりしゅんせつを行えば、現在は十五キロ地点まで遡上している塩水が三十キロ付近まで遡上するわけでございますので、塩害のない地域まで拡大することが懸念され、それを防止するためにこのせき及びしゅんせつ計画を策定したものでございます。  このために、河口にせきを建設するわけでございますが、まずはせきを建設し、続いてしゅんせつを早急に進めることとしておりまして、御心配のような河床からの塩水の淡水の中への混入ということは一切ないわけでございます。また、そのほか中部圏の水需要の立場から、水資源開発施設としても重要であることからこのせきを建設したものでございまして、現状維持ということではなくて、これから長良川の治水能力を一段と拡大するために是が非でも必要である、その前提として河口ぜきを建設したものでございます。
  100. 西野康雄

    ○西野康雄君 長良川下流部の容積千三百万立米が足りない。ここに長良川の河口の平均床部の低下というもののデータがございます。それによると、河床は平均で一メートルぐらい沈んでいる。そういうふうなことも書かれておりますが、データを出していただかないと、あなた方の言っていることが正しいのかどうなのか。千五百億円も使うんですから、河床部のデータをきっちりと出していただきたいわけです。何メートルのところでは何ぼということを出していただきたいんです。
  101. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 先ほど申し上げていますとおり、これから河床を掘削するために必要である、そういう観点から申し上げているわけでございます。その上で、現在の河床よりかなり低くする必要があります。あるいは広げる必要があります。その結果、塩分が現状以上に上流へ上がってくる懸念があり、それを防ぐためにこのせきを計画したものでございまして、現状の資料との関係はある意味においては現在のこの議論には関係ないのではないかというふうに考えております。
  102. 西野康雄

    ○西野康雄君 現在の議論に関係なくても、これはいろんなところで長くやるものですから、私自身の質問だけで終わるのではないわけで、現在のデータを出してくださいと私は言っているんです。
  103. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 近藤河川局長、それは今質問者が言っているように、関係あるなしにかかわらず、資料要求をしているんですから、それは提出するべきです。
  104. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 検討の上、また御報告させていただきます。
  105. 西野康雄

    ○西野康雄君 長い間いろいろとお話ししてまいりました。こういうデータを出していただかないと、本当に河口ぜきが必要なのかどうか全くわからないわけです。  そういう中で、天然河川かどうかということで大変に議論のあるところでございますが、環境保護派の人は大変にそういうことで唯一天然の河川だということで守ろうと言って一生懸命頑張っておられますけれども建設大臣にその長良川の見解、天然なのかどうなのか、そういうことをお伺いしたい。それで締めくくりたいと思います。
  106. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 長良川の沿革について申し上げます。  長良川沿川は輪中地帯として昔から有名なことでも推察されますように、古来より水害に悩まされ、そのため地域住民の総力を結集して歴史的にも治水事業が営々と行われてきたものでございます。御承知のとおり、江戸時代にはたび重なる出水、とりわけ宝暦三年の大洪水を契機に、幕府の命により薩摩藩による宝暦の治水工事が行われ、木曽川、長良川、揖斐川のいわゆる三川分流工事着手されたものでございます。これらの工事はさらに明治時代に入っても引き続き行われ、オランダ人ヨハネス・デ・レーケを招き、明治二十年より木曽川下流改修工事着手され、木曽三川の分流工事はさらに続けられたわけでございます。  このように、長良川の歴史は古来より水害との闘いであり、営々と人の手を加えることにより治水の安全度を向上させてきたものでございます。昭和に入ってからも、昭和三十四年、三十五年、三十六年のいわゆる昭和三大洪水を迎えましたし、また昭和五十一年には安八町で大水害が相次ぎまして、長良川の改修は現在でも地域の治水の安全のため緊急の課題であると考えております。  河川を現状のままで人の手を加えないことは、洪水や渇水の危険をはらんだ状態のまま放置することであり、今日見るように、地域発展を基本的に支えるものとしては到底受け入れられるものではございません。長良川とて例外でなく、安全で渇水のない川とするため、営々と今後とも治水事業を進めていく必要があると考えております。
  107. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今河川局長からの答弁でお聞きのとおりでございまして、一般に河川は平常時には人間に自然の恵みをもたらしますが、一たん集中豪雨となりますと大水害をもたらしてまいりますし、渇水になると人間生活に重大な影響を及ぼすことになります。このため我々としては、あくまでも自然環境というものの保全に留意はしなければなりませんけれども人口密集地帯を流れる川についてはどうしても住民を守るためには治水ということをやらなければなりません。これはどこの川でも、日本にあります河川というのはみんな治水対策をやっておるわけであります。アラスカあたりへ行けば自然の川のままの原始の川はありますけれども、日本でそんなことをやっていたらみんな大変なことになってしまうわけでありまして、どうしても水害を防止するということをまず考えなければならぬ。その次に渇水を防止して水を利用しなければならないわけであります。  中国で古来から黄河を治める者は天下を制すると言われますが、まさに長良川を治めるのは中部を制するくらい大事な問題だと私は考えておりまして、今河川局長から環境に十分配慮するということも答弁したとおりでありまして、今せきをつくって何か塩水が下からわいてくるようなお話がありましたが、それは間違いです。ある程度の淡水の量を確保できれば、これは塩水がわいてくるようなことはありません。  それから、はっきり申し上げますと、もう一つ魚の話ですが、魚が遡上するようにちゃんと配慮してある。岐阜大学の教授も実物大で公開実験をやっておるわけですから、それを信用していただかないと、何か世の中にあるかないかわからないような魚についてやっていないと言ってしかられても、これはやはりこれからの調査をさらに進めさせていただくことにして、とにかく地元はみんな何とかひとつ長良川の河口ぜきをやってください、それでないと水が足りない、そして洪水を防止できない、こう言っておるわけですから、ひとつぜひその点は御理解いただいて我々にお任せいただきたいと思います。
  108. 西野康雄

    ○西野康雄君 間違いかどうか、今後河床部から塩分が出てくる可能性もあると河川局長がおっしゃったわけですから、それについては間違いであるというふうなことは言い切れないと思います。  岐阜市の蒔田市長は、天然の川、長良川で繰り広げられる本物のだいご味を見てもらえれば、こういうことをアメリカのシンシナティとの姉妹都市契約のときにこういう言葉を残しておられます。つまり、天然の川というものは、向こうにと りましては大変に観光資源として重要な要素であり、そしてまた、アユを放流している、人工のアユである、そして人工のサツキマスである、そして天然の川ではない、いろいろと手が加わっているんだということは土地の観光業者にとっても大変な痛手かと思います。もう少し地元に配慮しながらの御答弁をまた期待して、私の質問を終えたいと思います。
  109. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 河床から塩分がわいてくるという御説明で今大臣からも取り消しをさせていただきましたけれども、背景として、長良川に海水が遡上し、それが地盤にしみていくということを申し上げたまででございますので、誤解ないようにお願いいたします。
  110. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時五分まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      ─────・─────    午後一時九分開会
  111. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) ただいまから建設委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、建設事業及び建設計画等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 石渡清元

    ○石渡清元君 それでは、建設行政につきまして一般的な質問をさせていただきます。  まず初めに、大臣にお伺いいたしたいと思いますが、今の時代、私どもの住んでいる時期、それと将来展望にわたる建設行政の総括的な御所見をお伺いしたいと思うわけであります。  二十一世紀も指呼の間に迫ってまいりまして、特に今、日本の社会人口の成熟化とかあるいは技術革新の進展、情報の高度化、国際化の展開、いわゆる多元社会の到来に差しかかっておるわけでございまして、そういう中でこの時代をどうとらえ、建設行政を進めていく上で大臣はどのような基本的な認識をお持ちになって、これからどのように対応されていくのか、まずお伺いいたします。
  113. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 我が国の経済は今や世界でもトップクラスになっておるわけでございますが、国の経済力と国民の生活実感には残念ながら大きなギャップがあると言わざるを得ません。その大きな理由の一つは、住宅社会資本整備が立ちおくれておるということではないかと思うわけであります。今後は、都市化とか高齢化、国際化、高度情報化、技術革新などの急速な変化に的確に対応しながら、国力にふさわしいゆとりのある生活大国の実現を目指し、投資余力が幸いにして現在ありますから、現時点において良好なストックの形成を急ぐ必要があるのではないかと思います。  具体的に申しますと、第一に、高規格幹線道路網整備などによりまして、地域活性化を推進すること。第二に、土地住宅問題が特に深刻な大都市地域におきます住宅宅地の供給を促進すること。第三に、潤いのある緑豊かな美しい町づくりを推進すること。第四に、安全な国土づくりを推進することであります。今後とも、このような長期的視点に立ちまして、計画的かつ着実に住宅並びに社会資本整備を推進していく所存でございます。
  114. 石渡清元

    ○石渡清元君 わかりました。  それでは、今お話しの主な柱、午前中にもいろいろ質疑があったところでございますけれども、まず都市基盤整備からお伺いいたします。  二十一世紀初頭には、御案内のとおりに高齢化社会、高齢社会と申しましょうか、現在でも長寿社会でありますけれども、そういう中で特に高齢者やあるいは障害者も含めまして地域の方々が快適な生活ができるような住宅の確保あるいは町づくりというのを、今お話しのとおりのいわゆる社会資本、都市基盤の整備をどういうふうに進めていかれるか、もう少しく具体的にお願いいたします。
  115. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 今先生指摘のように、二十一世紀に向けまして一つの大きな問題は高齢化社会への対応であるかと存じます。私どもは、高齢者が安全で快適な暮らしが営めるように住宅の確保や町づくりを進めることは最重要な課題であると認識しております。  建設省としましては、高齢者同居世帯に対する住宅金融公庫の割り増し融資、公営や公団住宅での設計上の配慮や優先入居、それから道路整備に際しましても歩道の段差の切り下げ、官公庁施設へのスロープの設置など、各般の施策を講じているところでございます。今後とも、こうした施策を積極的に推進してまいりたいということでございますが、特に住宅関係でございますけれども、ただいま現在六十五歳以上の老人の方々が千二百四十七万人おられます。その中で病院や社会施設に入っておられる方は五十二万人ほどというふうに聞いておりますので、九六%の方が住宅に住まっておられるということでございます。今後、非常に核家族化が進む中で、二十一世紀に向けて老人、高齢者がふえる過程で、今一千二百万と申し上げましたが、この方々が、六十五歳以上が三千万クラスにふえるわけでございますが、その過程でどういうふうな住宅に住み、どういうふうな家庭環境にあるかということは二十一世紀の日本の社会を考えるときに非常に大きな問題だろうと思っております。  厚生省を中心にしまして「長寿・福祉社会を実現するための施策の基本的考え方と目標について」といういわゆる福祉ビジョンというのが出されておりますが、ノーマライゼーションと申しましょうか、住宅に住みながらいろいろな福祉対策を受けて老後を過ごす、こういう方向に全体の施策が向けられているかと思います。福祉ビジョンによりますと、ホームヘルパー制度でございますとか、ショートステイ制度でございますとか、デイサービスセンター制度でありますとか、三本柱と称しておりますが、そういうことで福祉の方は対応しようとしております。  したがいまして、住宅の方はこういう福祉政策の方向に沿いまして、できるだけ住宅の中に老人、高齢者が住めるようにしたいということで、家族と同居しやすいような規模、設備に配慮した住宅を供給するということで、公営住宅や公団住宅なんかについても配慮いたしますし、持ち家の場合には割り増し貸し付けあるいはホームエレベーターの設置に対する割り増し貸し付け等も行っているところでございます。  さらに、先ほど申しました福祉の三本柱の中のデイサービスセンターの施策の中に入ると思いますが、ケアつきと申しましょうか、身体機能の低下に配慮しました公的住宅の供給とケアサービスの提供をセットにするという、シルバーハウジング・プロジェクトと私ども申しておりますが、こういうものを公営住宅、公団住宅で広げていきたいというのが一点ございます。  それから地方住宅供給公社あるいは公団住宅で考えておりますが、高齢者向けのケアつきの生涯そこに安心して住めるような賃貸住宅というものも、神奈川県の住宅供給公社が先駆者でございますが、そういう制度もでき上がっておりますので、こういうものもこれから広げていきたいというふうに考えております。  いずれにしましても、住宅政策におきます高齢者対策というのは非常に重要でございますので、今までの施策の充実、さらにこの的確な運用ということに努めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  116. 石渡清元

    ○石渡清元君 住宅のことについてはよくわかる。特に、ノーマライゼーション、総合的な福祉の視野に立ってということでありますけれども、私がお伺いしたかったことは、もう少し基幹的な都市基盤をどういうふうに、社会資本のストックをどのように展開されるかということが一点。  それと、今住宅対策と土地供給と何かごちゃごちゃになっているような社会的な雰囲気がありまして、特に都市部においては遊休農地をどんどん出してもらって、そこを住宅対策にしようじゃないか、そういう建設省さんの御宣伝が非常に強くなっている。一方では、農家の方は何でいたずら におれたちの農地に家を建てなきゃいけないのかとか、あるいは都市の中でそういう貴重な空間がなくなっているじゃないか。バランスというのでしょうか、そういったようなこともかなり慎重に配慮しながら住宅政策あるいは土地供給に対する基本的な対応をしていただかないと、何か農家だけが被害者のような今そういう雰囲気、私、随分方々から陳情されるわけでございまして、非常に大事な施策でありますので、その進め方についてぜひひとつ慎重にされると同時に、具体的にどういうふうに社会的、地域的なコンセンサスを得られるか、そういうことも含めて、もう一度お答えいただきたいと思います。
  117. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今の御心配まことにごもっともでございますけれども、何か農地の宅地並み課税だけがひとり歩きしているような印象を受けているのは私も大変心外でありまして、我々の意図するところではありません。私たちは、今の地価高騰によってまじめに働く勤労者のマイホームの夢が遠のいてしまった、これを何とかひとつ取り戻さなきゃいかぬということで、住宅宅地供給の緊急対策をやろうということでアプローチしておるわけでございますが、やはりそれには新市街地を開発することも大事でございますが、既成市街地の中にある遊休地あるいは農地で宅地化できるものをひとつ宅地化に協力してもらえないか、こういうことをお願いしておるわけであります。  そこで、何が何でも宅地並み課税をやるということじゃありませんで、農地につきましては前に政府決定いたしました土地対策要綱にのっとりまして、まずあくまでも農地で緑地で置きたいという方にはそのまま置いていただく、宅地化してもいいという方には宅地化していただく手だてをしようということで、はっきりその区分をします。そして、緑地にする場合には、生産緑地制度とか、あるいは逆線引きして調整区域に編入するとか、あるいは今度私ども考えております市民農園というのがありますが、市民農園の制度に入っていただくとか、そういうことできちっと仕分けをして、そして宅地化してもよろしいという方々には、区画整理事業とかあるいはこちらの都市計画を決めたことに従って道路とか下水道の整備をし、今までだったら二階建てしか建てられないのをもっと高層化するような、賃貸住宅を建てられるようにインセンティブを差し上げるというような都市計画決定をいたしまして、そして農家の方が宅地化されても収入はむしろずっとふえてくるというようなことも考えながら御判断をいただけるようにしていこうということであります。  同時に、工場跡地等の空き地については、これもぜひ宅地化していただきたい方々には再開発の手法とか地区計画の手法とかいろんな制度を活用させていただいて住宅を建てていただく、こういうことをお願いしたい。そして、どうしてもそれもしないでただ空き地を置いておくのだという方には、特別保有税を適用していただくとか、いろいろな諸手だてを考えておるということでありまして、これから税制の方もいろいろ関係の方々と煮詰めなきゃなりませんが、我々もそういう考えでおるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
  118. 石渡清元

    ○石渡清元君 それは私自身はよく理解しているつもりなんですが、とかく一般的には何かそのようなことが巷間うわさされておりますので、その辺のところをぜひ建設省としても周知徹底をお願いしたいと思います。とにかく住宅対策が土地対策に変わっちゃうようではこれは違いますので、ぜひ良質な住宅供給をお願いいたしたいと思います。  特に、御答弁の中で都市基盤、住宅問題を中心心に御答弁がありましたけれども、さらにこれから今の日本の社会においてどういったような基幹的な施設、都市施設と申しましょうか、社会資本で何が一番大事なのか、オーダリングというとちょっとオーバーになるかもしれませんけれども、そのようなことについて住宅以外でどういうことを進めていかなければいけないか、さらに御答弁をお願いしたいと思います。
  119. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) お答え申し上げます。  町づくりの上でこれから来るべき高齢化社会にどう対応していくかということにつきましては、建設省都市局といたしましても、今までの社会資本の整備の体系をそういう面から見直す必要があるのではないかということで対策の検討を始めているところでございます。この問題は、他省庁、殊に厚生省とお互いによく意見を交換しようということで厚生省の役人の方にもメンバーになっていただいたり、あるいは高齢化の対策の進んでいる北欧諸国のこちらにいらっしゃる方にメンバーになっていただいたりということで、そういう勉強会を年内に発足させよう、少しタイミングとしては遅いかもしれませんけれども、今そういうことで案をつくって対策について本腰を入れて勉強を始めかけているところでございますので、そう時間をかけずになるべく早く結論を出したいと思っております。
  120. 石渡清元

    ○石渡清元君 よくわかるんですけれども、今のお話は、割合短期的な問題にどういうふうに取り組んでいくかという、そういう検討会ではないかと思うんです。例えば、外国なんかでは町全体の都市設計を専門家に依頼して町づくり設計コンペ、これは五十年、百年先のことをやる国もよくあるわけでありますけれども、そういったようなやや中長期的な展望に立った、そういう建設省のビジョンといいますか、そういうことも必要ではないか。  先ほど大臣お話のとおり、住宅問題等々ございましたけれども、ただ税制でこうするといいですよ、優遇ですよというふうな税サイドのコントロールではなくて、もう少し建設省の場合は具体的な将来ビジョンを示されて、地域の方々がそれはそうだという賛同をいただけるような非常に格好な機関ではないかと思いますので、税のこともさることながら、やはりもう少し具体的なビジョンをお示しいただくのも結構だと思いますし、特に基幹的な都市基盤整備につきましては、今の経済情勢、国家財政非常に余力があると思うんです。私は、この残された二十世紀の余力のある期間に何をするかということが二十一世紀に非常に大きな影響と申しますか、それこそ基盤整備ができるのではないかと思いまして、お伺いしたわけでございます。
  121. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) お答えいたします。  私が先ほどちょっと申し上げました研究会は、実は今先生がお示しになりましたような将来の二十一世紀へ向けての都市ビジョンということを中心にやっていきたいというふうに考えておりますので、それに向けての努力をできるだけ早く、一次的、二次的にも早い段階で結論を出すように努力したい、こういう意味でございますので、全体の構想は長期的なものというふうに考えておるところでございます。
  122. 石渡清元

    ○石渡清元君 わかりました。  それでは次に、地震防災対策についてお伺いいたしますけれども、さきのサンフランシスコ地震は非常にセンセーショナルに報道も扱われましたし、私も非常に目の当たりに見てショックも受けたわけでありますけれども、日本の場合も環太平洋火山帯にぶつかっておりますし、そういう面で今までもかなりいろいろな地震に遭っております。  特に、これからの地震の発生というのは、全国的に分布しておりますので、大都市地域における直下型の地震等々について非常に地域の人はサンフランシスコ地震を教訓にさらにもう一回目が覚めたような感じでもあるわけでございまして、そういう中で特に都市部のような過密地域における地震対策が非常に心配になっておりますので、そういう都市型の大地震に対する建設省対応はどのようなふうになっているのか、あるいは特にサンフランシスコの場合は道路、橋梁等がかなりやられて被害を受けておりますので、それらについての耐震対策、公共土木事業に対する耐震設計等々は何か新たな見直しがあったのか、あるいは建築物に対する地震に対する何か新しいものがあ ればお示しをいただきたいと思っております。そして、大規模地震対策措置法に基づく地震防災対策強化地域の大幅な拡大とともに、地震防災対策の強化地域における国庫補助額の拡大というのはお考えになっているのかどうか、地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限の延長等々などはいかがかをお尋ねいたします。
  123. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) まず、建設省地震対策の取り組み状況について総括的に御説明させていただきます。  建設省では、従来から地震対策推進本部を設けまして、所管施設の震災対策を推進中でございます。また、本省及び地方建設局におきましても日ごろから地震防災訓練を実施しているところでございます。  先生のおっしゃいました我が国の公共土木施設、橋梁その他でございますが、そういった建築物につきましては、過去の多くの地震の教訓を踏まえつつ、関東大震災クラスの大地震に対しても安全性が確保されるよう設計に当たって耐震性に配慮しているところでございますが、このたび政府が派遣いたしましたサンフランシスコ地震調査団の調査結果を踏まえて、その中で教訓となるものについては大いに取り入れ、今後の震災対策に反映してまいりたいと考えております。  特に、住宅、産業の密集地域の多い我が国では、大地震による火災の発生、交通の混乱等により国民生活に大きな支障を来すことが懸念されますので、建設省としては震災発生時に応急対策活動を広域的に講ずるために必要な緊急輸送路の確保、建築物の被災度判定等の実施体制の確立、また治水施設等の被災によって浸水等の第二次災害が発生することのないよう防止点検、応急復旧資材等の調達方策等、震災対策について全般にわたって努力しているところでございます。
  124. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 特に、サンフランシスコ地震で道路橋の被害についていろいろ大きいことがございましたので、日本における道路橋の対策についてちょっと御説明させていただきます。  道路橋の設計につきましては、関東大震災等の地震の経験を生かしながら耐震設計の技術基準というのは決めておりますし、何回か改定してきまして現在に至っているわけでございます。現在の耐震設計法でございますけれども、これは地域とかあるいは地盤、橋脚の高さ等で設計震度を定めまして、これに応じた地震力に耐え得るような橋の各部の強度を決めるようになっております。具体的には、マグニチュード八クラスの極めてまれな大地震に対しても橋脚等の破壊等の被害が生じないように処置しておりまして、そのほかに落橋防止対策を講じて万全を期しているわけでございます。  なお、道路橋の耐震性の一層の向上を図るために、昭和四十六年以降適宜震災点検を行っておりますし、その結果に基づいて落橋防止の対策も行ってきております。そういうことで、我が国の道路橋の地震に対する安全性は十分確保されているというふうに確信しておりますけれども、先般、現地に派遣されました政府調査団の報告を受けて被害状況の詳細等について検討を加えて、必要があればまた適切な措置を講じてまいりたいと考えております。
  125. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 建築物関係の耐震、地震対策につきまして、御説明申し上げます。  我が国では、建築基準法によりまして、建築物は中規模の地震、震度階で五程度でございますが、これに対しては大きな損傷を生じることのない、それからまた関東大震災クラスのごとくまれにしか発生しない大規模な地震、震度階で七程度でございますが、これに対しましても壁面の亀裂、柱、はりの端部の部分的な損傷は生ずることはあっても建物全体は少なくとも人命に危害を及ぼすような倒壊はしない、そういう構造を目指した基準になっておるわけでございます。  しかし、現行の耐震基準施行以前の建築物はどうかということでございますが、この場合も耐震の計算の仕方を変えたわけでございまして、基本的には相当高い耐震度を持っておりまして、大規模な地震に対しましても建物全体が倒壊しない程度の耐震性を有しているというふうに考えております。さらに、耐震性を高めるために既存の建築物の耐震性を診断する、その改修を行うための耐震診断改修指針を作成しまして、毎年二回程度定期的に実施している防災査察等を通じまして、特定行政庁による改修指導を計画的に推進しているところでございます。今後とも、これらの方策を通じまして、建築物の耐震安全性の的確な確保に努めてまいりたいと存じております。
  126. 市川一朗

    政府委員(市川一朗君) 大規模地震対策につきましては、御案内のとおり大規模地震対策特別措置法というのがございまして、それに基づきまして行われます事業に対しまして財政援助等の法律がございまして、それで特別の補助率のかさ上げ等をやっているわけでございますが、その財政援助の法律は来年の三月で期限が切れるという問題がございます。これにつきましては、私ども今衆参の災対の理事さん方といろいろと御相談申し上げておりますが、基本的にはこの問題は期間延長ということで対応させていただきたいということで考えておる次第でございます。  それから現在の法律の中で結局のところ東海地震の対象地域だけが対象になっておるわけでございまして、それを例えば南関東地震対策として拡大できないかとか、そういったような問題点もございますが、そういったような問題につきましては、もう少し時間をかけまして学者ともいろいろ議論をしながら詰める必要があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、現在、東海地震で地域的に見ますと神奈川県の西部あたりも入っているわけでございますが、そういったようなところにつきます財政援助等の特例等に関します対応につきましては、来年三月で切れましても国会の御理解をいただきまして期間延長ということで対応していきたいというのが私どもの考え方でございます。
  127. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今国土庁の防災局長からお話がありましたが、私、建設大臣といたしましても、この防災、耐震問題は非常に大事な問題だと思っております。大規模地震対策特別措置法の延伸については、私も閣僚の一人、国務大臣といたしまして、ぜひ前向きに推進してまいる所存でございます。  それから同時に、南関東地域にどうするかという問題でございますが、これは少し検討を要する問題でございまして、もちろん南関東も非常に重要であり、災害が起こったときは大変だということもありますので、前向きに検討しなきゃならぬと思いますが、まだ直ちにお答えができる段階でないと理解しております。  それから小田原地震のことについても、ちょうど神奈川県でいらっしゃいますから、これは非常に大事だということで、関係各省で鋭意この調査を進めておる段階でございますので、あわせて御報告申し上げます。
  128. 石渡清元

    ○石渡清元君 大体わかりました。  私、地震について科学的な知識が非常に乏しいわけでありますけれども、例えばサンフランシスコ地震をばっと日本に当てはめた場合に、道路橋とかあるいは被害想定というのはどの程度になるのでございましょうか。
  129. 市川一朗

    政府委員(市川一朗君) 我が国の震災対策ほかなり長い歴史がございますので、ただいま出ましたような道路橋等も含めました土木構造物あるいは建築物につきましては相当の耐震化がなされておるわけでございますが、国土庁では昨年、南関東地域でいわゆる関東大地震クラスの地震が起きた場合にどういう被害が生ずるかといったようなことにつきましての被害想定を検討いたしまして、それを公表したという実例がございますけれども、その場合の関東大震災はマグニチュード七・九でございました。今回のサンフランシスコ・ロマプリータ地震はマグニチュード七・一でございます。〇・八違いますと二の四乗倍違うと普通言われておりまして、十六倍ぐらいの違いで ございますので、大体基本的に、特に最近つくられておるものにつきましてはそういったかなり巨大地震対応をきちんとやっておるという面もございますので、その辺が一つの目安になるかなというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  130. 石渡清元

    ○石渡清元君 わかりました。  それでは次に、先ほど来いろいろお話があります道路整備についてお伺いいたします。  道路は、御案内のとおりに非常に国民生活、特に経済社会活動に欠くことのできない交通施設でございます。先ほどのお話のとおりに、高規格幹線道路網から生活関連道路まで体系的に整備する必要があろうかと思いますけれども、第十次道路整備五カ年計画、その目標完全達成できるのかどうか。特に、道路財源確保等々の関連でとりあえずとにかく整備計画を達成していただかなければいけませんし、またいろいろなネック等々で進捗が妨げられる、そういうことも聞きますけれども、まず第十次道路整備五カ年計画、この目標完全達成ができるのかということと財源確保についてお伺いいたします。
  131. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 第十次道路整備五カ年計画は、昭和六十三年度、昨年度でございますが、初年度で五十三兆円の総投資規模ということで発足いたしております。  この五カ年計画では、四つの柱を掲げております。一つは、高規格幹線道路網整備を含みますいわゆる交通ネットワークの強化。二つ目には、よりよい都市のための道づくり。三番目には、地方部の定住と交流を促進する道づくり。それから道路の使われ方も非常に多様化してきておりますので、利用水準の向上のための多様な道路機能の充実。こういう四つの柱でやっておるわけでございます。このような四つの柱のもとに高規格幹線道路から市町村道に至る道路網の体系的整備を進める、こういうことでございます。  もちろん、この整備を進めるためには所要の財源を確保する必要があるわけでございます。そのため、受益者負担あるいは損傷者負担という考えのもとに自動車利用者に特別の負担を求め、その税収を道路整備費に充てる道路特定財源制度というものを採用しているわけでございます。  ちなみに、今年度について申し上げますと、揮発油税が一兆八千七百十九億円、石油ガス税が百六十九億円、自動車重量税のうち道路充当分が四千四百七十二億円で、合計二兆三千三百六十億円の特定財源があるわけでございますが、これは全額道路整備に充当しております。したがいまして、今後とも道路特定財源制度の堅持と、それから道路特定財源税収を全額道路整備に充当することが必要でございまして、今五カ年計画の二年目が終わろうとしておりますし、また三年目を迎えます平成年度の概算要求を進めておるところでございますが、我々は五カ年計画完全達成を目指して努力しているところでございます。
  132. 石渡清元

    ○石渡清元君 道路特定財源は全額充当ということなんですけれども、さらに地方道整備等々も含めて、かなり一般財源からも大幅な道路財源としての投入あるいは予算の確保というのも大事ではないかと思うんですけれども、これからの五カ年計画なら五カ年計画事業を遂行するに当たっての財源の見通しは大丈夫、こういう理解でよろしいですか。
  133. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 地方の単独事業、道路特定財源は国税が三税ございます。それから地方関係が五税で、両方で八税で成り立っておるわけでございますが、私ども五カ年計画完全達成するために、必ずこの特定財源制度の堅持と、それから財源税収を全額道路整備に充当しないと五カ年計画の達成はとてもおぼつかないわけでございますから、これはまだ五カ年計画が二年度終了したところでございまして、達成率が調整費を除きまして三六%ということになっておりますけれども、来年度要求でそれを調整費除きで五四・六%の達成率にしよう、こういうことで頑張っておるわけでございます。
  134. 石渡清元

    ○石渡清元君 それでは、ローカルで恐縮でございますけれども、高規格道路関係二点ちょっと具体的にお伺いいたします。  現在の東名高速道路はかなり満杯の状態になっておりますので、これからの高速交通に対するニーズを考えると、第二東海自動車道、いわゆる第二東名と言っておりますけれども、この建設が急務になってきておるわけでございまして、さきに国幹審基本計画路線として位置づけをいただいたわけでございますけれども、その後の調査状況はどうなっているか、また今後のスケジュールについて具体的におわかりの範囲で御説明をいただきたいというのが一点。  もう一つは、首都圏中央連絡道でございまして、都心から四、五十キロ圏の神奈川、東京、埼玉、茨城、千葉、各都県の中核都市相互に連絡をする交通の大動脈として非常に重要な幹線道路と位置づけられておりますけれども、産業や経済活動の活性化や交通環境の改善に大きく寄与すると考えておりまして、この道路の整備進捗状況についてもあわせお伺いいたします。
  135. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) まず、第二東名につきまして御説明いたします。  第二東名は、多極分散型国土形成のための根幹となります重要な路線でございます。それで、現東名が平均交通量が一日六万三千台、混雑区間が全体の九四%という大変な混雑状況から見ても、現東名と一体となって機能する道路として緊急に整備する必要があると考えております。  このような観点から、この一月の国土開発幹線自動車道建設審議会におきまして、横浜―東海間二百九十キロの基本計画を策定したわけでございます。現在、整備計画達成のための必要な環境調査あるいは路線調査について具体的な調査を行っております。これらの調査促進するとともに、環境影響評価を実施しなければなりませんので、これを実施いたしまして、この審議会の議を経まして重点区間について整備計画を策定した上に、第十次道路整備五カ年計画期間内の平成四年までに逐次事業着手いたしまして、二十一世紀のできるだけ早い時期に概成させようという考え方で今努力しているところでございます。  それから、もう一つの相模縦貫道路でございます。これは先生今御指摘ございましたように、相模縦貫道路は湘南から津久井地域を南北に結ぶ延長三十五キロの自動車専用道路でありまして、首都圏中央連絡自動車道として整備を進めることにしております。これは御案内のとおり、第二次新神奈川計画、六十一年の十二月に策定いたしましたが、これに位置づけられている路線でもあります。この整備に当たりまして、昭和六十三年度に茅ヶ崎、これは新湘南バイパスでございますから、そこから海老名の間、東名でございますが、約九キロについて建設省の直轄及び道路公団の一般有料として事業区間として採択いたしました。現在、この事業区間を含みます茅ヶ崎市から厚木市までの二十二キロについて都市計画手続を進めるべく準備中であります。今後、さらに関係機関と調整の上に都市計画決定の手続を行いまして、逐次事業を推進してまいるところでございます。
  136. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 第二東名の御質問がありましたので、一言。  私、この間ヘリコプターで第二東名から名神にかけて視察してまいりました。特に、神奈川県の東部、これは市街化が進んでおりまして、相当工夫しないと用地の確保がなかなか困難ではないかという印象を受けましたし、ほかの地域につきましても早急にやらなければいけないな、特に現東名の混雑状況から見ましても、また用地の面から見ましても焦眉の急である、こういう印象を受けましたのでできる限り急がせるつもりでございます。そのために、各県と道路公団建設省地建三者の連絡調整会議を随時催して促進を図るように指示を関係者にいたしたところでございます。
  137. 石渡清元

    ○石渡清元君 それと一般国道二本をちょっとお伺いさせていただきますが、いわゆる東京湾岸道路の一部を形成するベイブリッジ、開通式に大臣もお見えいただいたわけでございますけれども予定の工期を早めていただいて完成し、横浜博覧 会等々にも間に合いました。今や非常に観光の名所にもなって片側一車線はとまっておりて見ているような状態でもあるわけでございますけれども、それだけにまた交通ラッシュにもなっている。こういう痛しかゆしの面があるわけでございますけれども、残りの三期、四期、五期についても平成年度完成ということになっておりますが、ぜひこれも国の頭脳と近代科学の粋を凝らして、たとえ一年でも半年でもひとつ工期を短縮していただければ幸いだと思いまして、まずお伺いいたします。  もう一つ、東京湾の横断道路絡みで川崎縦貫道路の関係なんですが、これも非常に密集しちゃっているところなんですが、何か一部地元でもこの秋にある程度の見通し等々を建設省さんから御説明いただけるのだという期待をされている向きがあるんですけれども、その辺のところがどういうふうになっているか、御説明いただきたいと思います。
  138. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 首都高速の湾岸線でございますけれども、これは市川から横浜市の金沢区までの六十二・一キロの道路でございます。神奈川県分がうち三十・一キロでございます。今お話がございましたように、この九月に横浜ベイブリッジを含む本牧埠頭から大黒埠頭の間の二・八キロが供用されたわけでございます。残りの区間でございますが、まず多摩川から大黒埠頭の十二・七キロ、それから本牧埠頭から金沢区の並木十四・六キロについては、関連する東京都の羽田空港から多摩川の間、これと合わせまして平成年度供用を目途に事業を進めているところであります。また、そのほかの大田区の東海から羽田空港の六キロについては平成年度供用いたします。  これらの区間により、横浜線の混雑緩和に大きな効果が期待されております。できるだけ早くということで我々頑張っておりますが、なかなか技術的な問題もございますけれども、できるだけ早期供用が図れるよう努力していきたいというふうに考えております。  それからもう一つの川崎縦貫道路でございますが、川崎縦貫道路は東京湾横断道路とそれから東京湾岸道路の接続する川崎市の浮島から川崎市を縦貫をして川崎市の北西部に至ります幹線道路でございます。ちょうど東京湾岸横断道路から国道十五号線の八キロの区間、この区間については都市計画決定の手続を今進めております。首都高速道路公団において東京湾横断道路平成七年に供用しようということで頑張っておりますが、これに合わせて整備を図りたいということで予定として立てております。  それから国道十五号線よりさらに以西の問題については、幅広い観点からルート、構造の検討を行っており、今後はできるだけ早く計画を固めてまいりたいというふうに考えております。
  139. 石渡清元

    ○石渡清元君 道路関係は非常に時間を要する事業でもありますので、ぜひひとつ精力的にお願いいたしたいと思います。  それでは次に移らせていただきますが、建設業法の一部改正で業界生き残りのために大変な努力をしてやっておるんですけれども、最近の社会経済情勢を見たときに、特に労働力不足等々によりまして資材費、労務費等実情に即さない場面がしばしば起こりつつございまして、地域によっては工事量はあっても収益率が極端に低下している、そういうことで受注を差し控えようか、そういうような業者も出始めているというふうに聞いておりますけれども、公共工事額の適正価格についてどのような対応をされているのか、あるいは首都圏を中心とした入札不調が生じているその理由は那辺にあるのか、さらに入札不調に対する建設省対応、また地方自治体等々についてはこのようなケースにどのような御指導をされているか、お伺いいたします。
  140. 玉田博亮

    説明員(玉田博亮君) まず、ただいま御指摘のありました首都圏を中心に発生しております入札不調の状況について簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず第一点は、公共の建築工事を中心に入札の不調が一部発生しているというのが第一点でございます。具体的に申し上げますと、一都三県、首都圏でございますが、ここにおきまして本年度これまで上半期で約四千件の公共工事の新築、増改築、それから修繕、そういった仕事が発注されております。この四千件のうち約二十件が最終的に入札不調に至ったという状況でございます。したがいまして、四千件の〇・五%に当たるものでございます。なお、建設省所管の土木工事におきましては、この上半期におきまして契約に至っていないというものはただいまのところはございません。  このように公共建築工事におきまして入札不調を生じている原因についてでございますが、先生御承知のとおり、ただいま民間工事を中心にいたしまして建築需要が相当程度増大しているわけでございます。また、これに伴いまして型枠工等の技能労働者が不足しているということでございまして、不調が発生している原因は私どもとしてはそこに存在するのではないかというふうに考えている次第でございます。  次に、入札不調に対します私ども対応方針でございますが、建設省におきましては昨年十月以降、東京圏の一部で、建築工事に使用しております型枠の単価でございますが、これにつきましては従来のやり方を若干変えまして、刊行物に表示されている単価、これを基礎に算定するというふうに首都圏では改めていこうではないかというふうにしてございます。中央省庁で構成いたします公共建築積算研究会の場におきましてこのことを御紹介申し上げますとともに、この十一月以降、中央省庁それから住宅都市整備公団等におきましてはこの方式に移行してございます。  さらに、官民による懇談会を設置いたしまして、ここにおきまして首都圏等におきます発注等に対しまして、土工関連の条件面、やや専門的でございますが、あるいはその直接工事費に差異が大きい場合においては刊行物単価を採用する等の申し合わせをいたしまして、ただいま実施に移っているところでございます。なお、地方公共団体に対しましても、私ども常に連絡を密にしておりまして、都道府県の担当課長会議等でその趣旨を十分説明しているところでございます。
  141. 石渡清元

    ○石渡清元君 わかりました。  結局、入札不調は経営的にどうということよりも、むしろ建設業に対する将来展望、基礎的な建築業に対する業界環境づくりというんですか「それを含めた御指導をひとつぜひ御期待申し上げる次第でございます。  次に進みます。  宮ヶ瀬ダムでございますけれども、国直轄事業として洪水調整、流水の正常な機能の維持、水道用水の確保、発電を目的としております多目的ダムを今建設しております。非常に人口が急増し始めておりまして、一日も早くこれの完成を期待しておるんですけれども、ダム本体の工事はもう既に着手して、神奈川県では最後の水がめであり、今世紀最大の事業だろう、こういうことで見ておりますが、目標どおり平成年度完成されるか、ややおくれぎみということも聞いておるわけでありますけれども、このことを一点お伺いします。
  142. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) 今先生おっしゃいましたように、宮ヶ瀬ダムは相模川水系中津川に建設される高さ百五十五メーター、総貯水容量一億九千三百万トンのコンクリートダムでございまして、ダム地点の計画洪水量千七百トンのうち千六百トンを調節し、中津川並びに相模川沿川を洪水から守るとともに、相模川本川中津川における既得用水の補給、流水の正常な機能の維持と増進を図り、また神奈川県内の広域水道企業団に対し一日最大百三十万トンの水道用水を供給し、宮ヶ瀬ダムの建設に伴って新設される宮ヶ瀬第一発電所及び宮ヶ瀬第二発電所においてそれぞれ最大出力二万四千二百キロワット、千二百キロワットの発電を行うことを目的としているものでございます。  そして、このダム事業昭和四十六年度実施 計画調査昭和四十九年度建設事業着手いたしまして、水没地の皆様と移転補償についてお話し合いを進めてきたわけでございますが、昭和五十六年八月に清川村、津久井町、五十九年六月に愛川町の一般補償基準が妥結して以来、用地補償契約を継続、促進しました。同時にまた、工事用道路、つけかえ道路等を施行してきたところでございますが、おっしゃいますように、昭和六十一年度用地補償契約をほぼ完了したのに伴いまして昭和六十二年十一月に本体工事を発注し、本体関連の仮設備やつけかえ道路等を鋭意施行中でございます。このたび平成元年十月に本体の掘削に着手したところでございまして、今後はダム本体の早期完成に向け鋭意努力しようとしているところでございます。現段階におきましては、宮ヶ瀬ダム基本計画予定工期は平成年度末としてございまして、我々はこの方針を堅持して何とか期間内に完成すべく鋭意努力しているところでございます。
  143. 石渡清元

    ○石渡清元君 わかりました。次に進みます。  次は、都市公園の整備等々についてでございますけれども、公園用地等々も非常に取得難になってきておりますので、そういう中で下水道と都市公園を一体的に整備するような方式を推進するとか、あるいは下水処理場の上部利用とか、いろんな方法があろうかと思いますけれども、そういったようなことを含めて都市公園をどのように整備される方針なのか。  さらにもう一つ、これもローカルで恐縮でございますけれども昭和天皇、今上天皇にゆかりの地の三浦半島、特に葉山に御用邸がございましたので、そこにできたら国営記念公園を設置してほしいというのが神奈川県民の以前からの強い要望でございました。平成の時代がスタートいたしまして、首都圏のレクリエーション需要に対応するためにもこの実現を望んでいるものでございますけれども、その辺のことについて見通しをお聞かせいただければ幸いでございます。
  144. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 下水道の用地上部を公園用地の取得難の折から活用したらどうかというお話でございます。現在、下水道全国で七百十二カ所ございますが、上部利用を行っている箇所は九十五カ所ございまして、約一三%でございます。その内訳はテニスコートとか広場の公園というものがほとんどでございまして、これから先ますますそういう多面的な活用を下水処理場の上部について図っていくということで進めてまいりたいと思っているところでございます。  それからもう一点の国営公園のお話でございますが、国営公園につきましては、実は今お話しの記念公園というのは、私ども都市公園法でいうところの第二条の一項の二号のロ号に当たるロ号公園と称しておりますが、記念事業として閣議決定を経て設置される公園というものをそういうふうに呼んでいるわけでございますけれども、ロ号公園について今のところその計画はあるということを予測し得る状態にはございませんので、具体的検討は現在は行われていないというところでございます。
  145. 石渡清元

    ○石渡清元君 時間が二時九分までということでございますので、ざっとお伺いいたしますけれども、河川関係でございますが、鶴見川、都市河川の治水対策、あるいは具体的に多摩川のスーパー堤防整備関係、さらに多摩川にかかっておる三橋、大師橋、丸子橋、多摩水道橋という三橋あるんですが、これが大分古い橋になっておりまして、かけかえ計画建設省発表されておりますので、その辺の進捗状況も含めて二時九分以内で、余り答弁の時間がないかと思いますけれども、お願いいたします。
  146. 近藤徹

    政府委員(近藤徹君) まず、鶴見川について申し上げますが、鶴見川は横浜市、川崎市等を流域とする典型的な都市河川でございまして、とりわけ近年その流域に人口、資産の集中が著しく、水害が顕在化してきたという意味で特徴のある河川でございます。我々としましては、鶴見川の工事基本計画は毎秒千八百トンの河道を整備することとあわせて、流域内に計画的な遊水地を設置して毎秒五百トンの洪水調節をすることを目途にして整備を進めることとしておりますが、とりわけ近年の都市化によって浸水被害が激増しているところから、河道改修を鋭意進めると同時に、遊水地についても多目的遊水地構想に基づいて改修を進めているところであります。  同時に、流域の都市化によって降雨の流出量が増大しているところから、流域内の公共公益施設の管理者の理解と協力を得まして敷地内に降雨を一時的に貯留するなどの流域の保水、遊水機能の確保にも努めまして、降雨の流出を抑制することとあわせまして、治水安全度の向上に努力しているところでございます。今後も、なお一層、治水の安全度の向上に努めてまいりたいと考えております。  次に、多摩川でございますが、スーパー堤防というお話がございました。大都市を貫流する大河川においては、一たん破堤した場合に、背後地に人口、資産が稠密に集積しているところから、壊滅的な被害を発生する懸念がございますので、このような被害を回避するために、堤防を越水した場合あるいは地震等に対して十分安全な幅の広い堤防を築造しようとするものでございます。同時に、背後地の都市と一体として堤防の高さに盛り土をすることによって良好な都市環境の形成も図ろうとするものでございます。このようなスーパー堤防の構想の一環として多摩川についても現在構想中でございまして、必要なところから鋭意進めてまいりたいと思っております。  なお、今先生がおっしゃいました各三橋についても、洪水の疎通との関係、あるいは老朽化その他の検討を進めながら、今後、計画的に対応してまいりたいと考えております。
  147. 石渡清元

    ○石渡清元君 以上で質問を終わります。  ありがとうございました。
  148. 及川順郎

    ○及川順郎君 それでは、私の方からまず建設省に伺いたいと思いますが、企業の国際化が進む中におきまして建設市場もこれまた例外ではございません。特に、日米関係における経済摩擦の中で、日本の建設市場の開放というこの問題提起は一つの柱になっておるわけでございます。そうした状況の中で、日米関係が今後ますます発展する状況を考えますときに、やはりその実態というものは明確に関係省庁として掌握しておかなければならない課題ではないか、このように考えるわけでございます。そういう観点から、日米の建設業あるいはまた業務をめぐる関係につきまして、特に今まで建設省としておまとめになっているような事項がございましたならば、まず御説明を賜りたいと思います。
  149. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) お話のように、企業活動の国際化というものが大変進む中で、建設業についても同じような問題に直面いたしております。そういった中で、具体的にちょっと振り返らせていただきますと、昭和六十一年からいわゆる関西空港の発注をめぐりまして、米国企業が参入できないかということをきっかけといたしまして、以来、日本の公共事業市場に対する米国企業あるいは広く国際企業の参入問題というのが話題になって今日に至っているわけです。  そういった間において、昨年の五月に我が国とアメリカにおきまして、言うなれば公共事業の発注については、それぞれの制度がそれぞれの国において定着している現状をお互いに認め合いながら、しかしそういった中でできるだけ参入しやすく、なれやすくするように特別の措置を取り決めましょうということで公共事業参入に関する合意が取り結ばれたわけでございまして、以来、私ども建設省におきましては、あるいは関係の各省等公共発注機関におきましては、この合意事項を誠実に実行しようということで、米国企業が言うなれば日本の市場に習熟するためにいろいろと努力をさせていただいているという次第でございます。  とりわけ、私ども建設省で申しますならば、我が国では御案内のとおり、建設業を営むためには建設業法上の許可をとらなきゃなりませんが、当然のようにこの許可はすべて要請によって与えております。参考までに、現在、米国企業十一社 が日本の建設業の許可をとっております。また、他の国においても同様に許可取得という状況になっておりますが、そういったことと同時に、合意の中で決められました特例プロジェクトについての発注について合意の内容に沿ったきめ細かい措置を講じておるという次第でございます。
  150. 及川順郎

    ○及川順郎君 建設大臣にお伺いしたいんですが、先月十二日ですか、ヒルズUSTR代表とお会いになっておられます。そのヒルズさんの言動でございますけれども、日米の関係におきまして大変いろいろな影響を持ってきているという状況を私は認識しておるわけですが、お会いになりました感想を含めまして、その当時に建設省所管大臣としてお受けになりました印象からまず伺いたいと思います。
  151. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 十月十二日、それから十一月十日、二回にわたってヒルズ代表とは会談を持ったわけでございます。  ヒルズ代表は、我が方の努力は評価するものの、なおしかし日本の建設市場に関しては五項目について問題があるという指摘をし、これを改善してもらいたいという提言をしておったわけであります。私は、その辺は十分アメリカとの間で今まで、昨年五月に日米合意をいたしておりますから、その合意に基づく措置を誠実に実施してきておる。米国企業の我が国建設市場への参入実績も、わずかではございますけれども着実な成果を上げてきておる。そして、この間、建設省におきましては、外国企業に対し我が国建設市場に習熟させるためにアクセス推進体制を整備するなどきめ細かい取り組みを行ってきております点を指摘し、なお十分理解を深めなきゃいかぬということで、十一月の八、九日、事務レベルを派遣いたしましてワシントンで十分な協議をしてまいったわけであります。  そういう状況も踏まえて、私どもも今後引き続いて米側と協議する用意はある、同時に、来るべき五月にはレビューが行われるという今までの合意がありますから、そういう点を申し上げておるわけでありまして、米側の言い分も聞きながら我が方の考え方も率直に述べて意見交換をしておる、こういう状況であります。
  152. 及川順郎

    ○及川順郎君 十月十二日にそういう要望がございまして、その後そうした一連の作業がありまして、今月の二十二日ですか、最終的に包括通商法三〇一条に基づく日本の建設市場調査結果を発表してございますね。  主な骨格は、対日市場参入の実績を評価し制裁措置を見送るということで一つの柱ができておりまして、指摘されている四つの事項があるわけでございます。談合防止措置は不十分。二つ目は、指名入札制度は競争制限になる。三つ目には、受注実績での外国企業の不利。それから情報提供で米企業への差別があるという点が指摘されておるわけなんです。この点は御承知のとおりであろうと思いますが、アメリカとしては来年五月までの努力を見きわめたいという意向のようなんですね。  これに対しまして大臣は、これは報道ですから若干ニュアンスの違いもあろうかと思いますけれども、日本の建設市場は内外無差別に開放されており障壁など何ら存在しない、また別な項ではアメリカとの間には市場参入促進のため日米建設合意があり、我々は誠実に対応してきた、こういうコメントをなさっておるわけでございますが、このまとめられた指摘事項と若干乖離があるように受けとめられるんですが、この点は大臣いかがでございますか。
  153. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 私、率直に申し上げて、我々は、日本の建設市場でアメリカが仕事をするという場合には、工場生産の物を輸出するのとは違いまして、日本の制度、慣行にやはりある程度なじんでもらうというか理解をしていただかなければ、現場で仕事をすることは、これほどこの国でもそうですが、一般的に言って非常に難しいわけですから、そういう意味で日米合意をやりまして、少しアメリカに日本の建設市場のアクセスを容易にするように一つのモデルプロジェクトを設定しまして習熟していただこう、こういうことで今までやってきたわけですね。  したがって、それを我々としては着実にやっておりますし、アメリカもどしどし来ていただけばいいんですが、どうも我々から見ますと、本当にアメリカが日本の建設市場に興味を示して努力しているとは思えないような実績なんですね。そういう傍ら、法律論で日本の建設市場に不合理な点がたくさんあるぞ、こういう議論ばかりしても、どうも余りお互いに利益はないじゃないか。もっとそういう点で、アメリカ側もどんどん関心分野を日本に示して、入りやすいように我々は内外無差別でやっておるし、その上に障害があるならどしどし取り除いてあげよう、こう言っておるところでありまして、まだまだ相互の話し合いが継続しているのかな、こういうように考えておるところであります。
  154. 及川順郎

    ○及川順郎君 そこで、来年の五月までですが、認識の若干のずれはありましても、それなりの努力をしていかなければならない。来年の五月に向けての建設省としての具体的な計画対応策、どのようなお考えであるか、お述べいただけますか。
  155. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 大臣も御答弁申し上げたような現状である中で、来年の五月に向けてといいましょうか、あるいはその先も含むのかもしれませんけれども、引き続きいろいろと話し合いの場を持っていこう、こういう中でございます。  私ども現在一番念頭にありますことは、何よりも日米合意が昨年五月にできて、きょう現在で一年半という段階でございますが、まだまだ半年間残っております。この二年間というもので本当にどういうふうに習熟の実が上がるかどうか、あるいは習熟のための企業努力というものがなされるであろうかということなどをつぶさに見ていく必要があるし、また我々もその間の努力をしなければならぬ、こういう構えで今おります。したがいまして、来年のレビューの段階でどういう点をどうするかということについて申し上げるのはいささか早いのじゃないかというふうに私ども思いますが、繰り返しますと、日米合意の線を我々としてはお約束どおり誠実に実施し、できるだけ習熟するためのあらゆる努めをしてまいりたいということでございます。  その間においていろいろのことが、先ほどヒルズ代表から言われたことなどがございますけれども、これらにつきましては、やはり私ども、日本の制度というものはこれは日本の制度として定着しているわけでございますし、アメリカの制度もアメリカとして定着しているわけでございますので、そこらについての理解が不十分であるということについては、これはお互いにまだまだ話し合って相互理解を深めていく、こういう構えはぜひ必要だろうと思っております。
  156. 及川順郎

    ○及川順郎君 私、指摘されている中でちょっと気にかかりますのは、日本の文化的土壌といいますか、アメリカの合理主義、この違いからくるところは談合問題ですね。この談合問題について何点かの事例もあるわけですけれども、この点についてはどういうぐあいに認識されておられますか、談合問題に対するアメリカの指摘に対して。
  157. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) おっしゃるように、談合問題というのが一つのテーマとして提起されております。これについての日米の相互の基本的な構えでございますけれども、どちらの国においてもいわゆる談合行為、違法行為は認めない、許さないということについては同じように厳しい姿勢で臨んでいるということは基本的に変わりないと思います。  ただ、日本の場合にはどちらかというと、これに対する規制というものは行政手段によって再発を防止する、こういったことを基本に取り組んでおるわけでございますが、アメリカは御案内のとおり、どちらかというと刑罰主義的な色彩が非常に強いわけでございまして、そういった目から見ると日本のやり方はなまぬるい、こういったふうな指摘があるのも率直に言って事実でございます。  この間は、どちらがどうということで必ずどちらに合わせなきゃならぬという性質のものかどうか極めて私どもも意見のあるところでございますが、ともあれ再発を絶対に認めない、厳正な態度で臨むということについては同じスタンスでございますので、それぞれの国のルール、制度、こういった中でのあり方というものはお互いに認め合う上でできるだけの話し合いをするほかはないのじゃないか、こんなふうに今考えている次第でございます。
  158. 及川順郎

    ○及川順郎君 率直に言いまして、日本の業界の土壌から考えますと大変難しいことではないかな、こういう感じがしております。しかし、その中でも、国際化の中で日本の業界の前向きの前進というものはどうしても必要になってくる。やはり法制度としまして諸外国にも、特にアメリカにも通用するようなそういう環境づくりというものが必要ではないか、このように思いますが、この点についてはいかがですか。
  159. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先ほど申し上げましたような両国の基本的な制度の違いというものについてのすり合わせということについてならば、なかなか難しい問題が私どもあるなという率直な感想を持っておりますが、言われるような意味で、要するに談合というものを業界も行政も認めない、こういった方向に向けての強い姿勢ということについてはお互いが理解し合えるような方向づけというものがぜひ必要だろう、こういうふうに考えております。
  160. 及川順郎

    ○及川順郎君 米軍横須賀基地の工事をめぐる談合問題でございますが、最終的に日本側の九十九社が合計で四十七億円の損害賠償金を支払うということで和解が成立したと伝えられておりますけれども、まず一つは、建設省としてこの問題に指導的立場とかあるいは何らかのかかわりを持ってこられたかどうか、これを省としての立場でお伺いいたします。建設大臣に、その後、この問題に対しての御感想を含めて所見を承りたいと思います。
  161. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) いわゆる星友会事件、これに関する損害賠償を求める書簡が来たということから始まりましたその後の展開の中の話でございますが、私どもこの事案につきましては基本的に当事者間で解決すべきいわば民事上の事案である、こういう認識を終始持っておりまして、そういった意味では、おっしゃったような意味でのいわゆる相談、指導というようなものは一切行っておりません。
  162. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今局長から御答弁申し上げましたように、今の日米間で実質的な合意に達したという報告は建設省としても受けてはおりますが、会談の内容の詳細はまだ承知しておりません。九十九社が何か和解に達して、四十七億円を米側に支払うというように聞いております。いずれにいたしましても、今回の事案は純粋に民事上の案件であると考えておりまして、建設省としてはこの和解についてのコメントを出す立場にないわけであります。恐らく、関係企業でさまざまなことを総合的に考慮した上で和解金を払うということで和解したという結論ではないかな、そう想像しておるところであります。
  163. 及川順郎

    ○及川順郎君 数年前にも、日本国内においても公共事業等で談合事件が大変多発した時代があった。やはり今回の事故を通しまして、賠償金という罰則、さらにペナルティー、こういう考え方に対して国内の談合事件には建設省としてどういう指導体制で臨むか、そのお考えはどのように受けとめておられるか、その点を確認しておきたいと思います。
  164. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 私ども終始申し上げておりますように、そもそも国内の問題として談合という事案、言うなれば独禁法違反という行為をいささかも行ってはならないという厳しい姿勢で臨んでいるわけでございますが、そういった中で現在まで独禁法によります処分のほかに、私どもとしましてはいわゆる建設業法上の処分、あるいはまたいわゆる指名停止という行為によります一種の措置、こういったものでもって対応しているわけでございます。  あわせて、やはりこの問題は基本的には業界自身のモラルにかかわるところが大変大きいわけでございまして、私ども昨年の暮れ、いわゆる星友会事件が発生した直後に、たびたびこういう事件がいまだ後を絶たないということについて厳しく業界を指導しようということで指示も申し上げ、業界の方でもこれを契機にして今談合防止のための刷新検討委員会というようなものもつくって精力的に取り組んでいるという状況でございます。
  165. 及川順郎

    ○及川順郎君 やはり今回の出来事を通しまして国内の指導を、これは時間と大変忍耐の要る作業だと思いますが、そういう意味では指導を強化していただきたいということを希望しておきたいと思います。  アメリカのサンフランシスコ地震の問題、これは先ほど同僚委員から質問が出ておりましたので、若干通告しておりました質問を減らしまして私何点か確認とお伺いをしておきたいと思いますが、国土庁防災局で十一月十六日から二十九日までですか、ロマプリータ地震政府調査団、この派遣の計画があったやに認識しておりますけれども、この計画実施の目的、そして調査されて帰ってまいりましたのを国内の関係のところにどのように具体化して反映しようとなさっているのか、お伺いしたいと思います。
  166. 市川一朗

    政府委員(市川一朗君) サンフランシスコで起きましたのはロマプリータ地震と呼ばれておりますが、現地時間で十月十七日でございました、日本時間では十月十八日でございましたが。もう既に御案内のとおり、高速道路の損傷等によりまして多数の人々が死傷いたしました。また、市民生活にも大きな影響を与えたわけでございますが、世界有数の地震国であります我が国におきましても、このような地震の発生も懸念されるというところから従前からいろいろの震災対策には努めてまいっておるところでございますけれども、今後の我が国の震災対策の一層の推進を図る。ひいては、地震先進国という言葉は適切かどうかはわかりませんが、そういう立場からも世界の地震災害対策の向上に貢献したいというところで、政府といたしまして、関係省庁十省庁にわたりますが、中心といたしまして十六名の専門家を派遣いたしました。御指摘のとおり、十六日に出発いたしまして、昨夜全員無事に帰ってきております。  米国側におきましても、今回の調査団に対しましては、日本から耐震工学などの専門家が来たということで、ワシントンの連邦政府から直接の担当官が現地に赴きまして、一種の共同調査みたいな形になりまして、調査結果は毎晩食事の合間等にこちらから参りました団長と向こうの政府の方々とディスカッションするというくらい綿密な調査が繰り返されたわけでございます。  私ども調査団に期待しておりまして、実際に調査してまいりました問題点はたくさんあるわけでございますが、かいつまんで項目だけ申し上げますと、一つは、今回の地震発生のメカニズムでございます。それから液状化問題。次に、高速道路、橋梁、建築物等の構造物の被害の実態と復旧。それからライフラインの施設の被害並びに復旧でございます。それから消火とか救助、救援等のいわゆる防災応急対策。それから災害時における一般市民の対応、特に治安、秩序関係。それからさらにボランティア活動というようなことでございます。  昨夜帰国したものでございまして、また内容もこういったわけで非常に多岐にわたりますし、専門的な部分も多いものでございますから、最終的な報告がまとまりますまでにはいましばらく時間がかかる見込みでございますが、これまで出ております情報の中で特に印象的なものといたしましては、一つには被災建物の診断が極めて早急になされまして、危険な建物の取り壊しとか入居の可否などの判断、こういったものが非常に的確に行われておるということ、あるいは多方面の活動にボランティア活動が積極的に組み込まれておりまして、特に連邦政府あるいは州、市当局と各種ボランティア団体が共同して迅速な被災者救済策が 講じられておるといったようなこと等がございまして、今後の我が国の震災対策でいろいろきめの細かい、今後の課題にいろいろと教えられる点が多いのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  167. 及川順郎

    ○及川順郎君 時節にかんがみまして大変有意義だったと私は思うわけですが、ただ所管大臣お二方に伺いたいのは、この問題が出ましたときに、ブラウン管を通して、日本は地震耐震構造にできているので安全である、そういうのが非常に伝わってきた。それは人心をいたずらに心配をかけさせないという意味では大切でございます。行政並びに所管庁といたしましては、やはり人心を心配に駆り立てないように、こういう配慮は配慮といたしましても、他山の石として関係のところをやはりきちっと総点検をしておく必要があるのではないか。日本の構造物は大丈夫だ、道路は絶対大丈夫だと。だけれども、何で大丈夫かということが、その点の突っ込みがやはり大事ではないかという感じがするんです。  ですから、今回の調査の結果を早急にまとめていただくと同時に、それを我が国の社会情勢あるいはまた社会のいろいろな施設、こういうものの点検作業に反映し、あるいはまた今後の改善にこれを活用していく、こういうことをぜひ私はやっていただきたい。特に、日本の高速道路というのは、渋滞というか、低速道路か駐車場かわからぬなどというような酷評もあるぐらいでございまして、道路に都市部だと非常に過密な状況で車が走っていたり、あるいは渋滞をしている。こういう状況を考えますと、力学的、構造学的に考えて安全だといっても、これが保証されるものではないと私は思うんです。したがって、この地震をきっかけにいたしまして、こうした地点の総点検をぜひやっていただきたいと思いますし、今回の調査結果を踏まえて必要なところは改善措置にぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、両所管庁の御意見を伺っておきたいと思います。
  168. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今及川委員指摘になったところはまことにごもっともでございまして、我が国の公共土木施設及び建築物は関東大震災クラスの大地震に対しても安全性を確保すべく設計上耐震性に配慮してつくられておるわけでありますが、今回サンフランシスコ地震調査団の調査結果をよく踏まえまして、他山の石となるところについては十分教訓として活用させていただきたい、こういうように考えております。  先ほどもちょっとお昼休みに建設省から派遣して帰ってきた政府調査団の一員から話を聞きましたら、例えば被災建築物の診断を即座にやって、そしてレッテルで赤、青、黄色と表示して、青は大丈夫だから入ってよろしい、赤はちょっと危険だから入るな、こういうようなのを即座にやったそうです。こういうことなんかは、そういうレッテルをちゃんと用意してあって、直ちに対応したということはすばらしいことだというような話も聞きましたし、ライセンスを有するボランティア技術者の協力体制もしっかりしておったということも聞いております。そのほか恐らく学ぶ点たくさんあると思います。大いに教訓として活用させていただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  169. 石井一

    国務大臣(石井一君) 実は、本日、この委員会が終わりましてから、四時十五分より調査団十六名とお会いいたすことに相なっております。私は、出発に当たりまして、日米両国の関係、また今日の大被害を考えて、ひとつ積極的なすばらしい成果をおさめていただきたいというふうに強く激励いたしたところでございます。調査団派遣に当たりまして、当初十省より十名の技術者を選任したわけでございますけれども、その後アメリカ側と子細な打ち合わせをいたしまして、アメリカ側が要求いたしております特別の分野の専門家をさらに六名追加し、そして期間も二週間以上でございますから相当長い期間でございますけれども調査を終えて帰ってくるわけでございますので、そういう意味では、アメリカ側に対しまして我が国の高度の技術をいろいろとお与えするというような意味だけでなく、今後の我が国の防災政策に対しましても大変有意義なものである、そのように私は確信いたしておるわけでございます。  先般、このサンフランシスコ地震が起こりました直後に消防庁が国民の意識調査をいたしたわけでございますが、それを拝見いたしておりますと、これまで地震に対する関心が四〇%程度であったものが一挙に八〇%に上がっておるというふうなものも一つの証左でございますけれども、何も相手側にこういうことが起こったからそういうことでこうなったという言い方もまことに不見識であるかもわかりませんが、我が国はもともと地震多発国と申しますか、極端な言い方をいたしますと先進国というような立場もございまして、技術的には構造物の建築等々、専門家と話をしてみますと相当配慮してやってきておるようでございます。しかし、今回、例えば高速道路が言うなれば下から見たら恐ろしいような形で交差点あたりも交差しておるというふうなところが大都市の中にも散見できます。  それからもう一つ私が重要だと認識を新たにいたしましたのは、臨海部の液状化に関する問題でありまして、例えば関東大震災のときには液状化であるとか臨海部なんかは全くなかったでしょう。その後、最近の開発の中に臨海部においてどれだけのそのような新しい地域ができておるかということを想起いたしました場合、私はそういう問題に関しましても防災対策をさらに整備する必要がある、こう考えておりますので、やや過信ぎみになりましたところを抑えてもう一度ひとつ努力してみたい、そう思っておる次第でございます。
  170. 及川順郎

    ○及川順郎君 ぜひ関係方面の総点検と、できるところから生かしていただくように、建設大臣国土庁長官、一段の御奮闘をよろしくお願いしたいと思います。  それから高規格道路につきまして何点か用意してございましたが、これも先ほど質問が出ましたので、極めてローカル的な話題で恐縮でございますけれども、一、二カ所現地で大変強い要望がありましたことを踏まえまして、今後の計画等をお伺いしたいと思います。  一つは、やはり東北方面の発展のために日本海沿岸東北自動車道の早期建設に対する要望が非常に強い、こういうことでございます。特に、酒田市を中心にしまして新潟の村上から秋田の本荘まで、ここまでの間が現在予定路線になっておりまして、助骨道路と言われるところは、例えばいわきから新潟とか、あるいはまた相馬から抜けまして酒田へ抜けていくこの肋骨道路のところはかなり進んでいる。それをつなげるという状況が非常にある。特に、庄内に空港ができるということで、それでなくても取り残されております日本海沿岸にぜひ国としても力を入れていただきたい。こういう観点から予定路線区間をぜひ基本計画に組み入れてやっていただきたいという強い要望があったわけでございますが、この辺の見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  171. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 今お話がございました日本海沿岸の東北自動車道でございますけれども、この路線は新潟市が起点になっておりまして、秋田、それから能代、こういうものを経まして東北縦貫自動車道に至る全長が三百四十キロの路線であります。この路線は、東北横断自動車道あるいは東北縦貫自動車道等と一体となりまして東北地方の発展に大きく寄与する重要な路線であるわけでございます。  それで、この一月の国幹審で、新潟市から村上市の五十キロ、あるいは本荘市から秋田市の四十キロ、あるいは秋田市から秋田県の琴丘の二十キロ、この区間についてだけ基本計画になったわけでございます。もちろん、基本計画から整備計画、、施行命令というようなことになるわけでございまして、現在はその整備計画策定に向けて、路線計画であるとかあるいは環境調査などを進めているところでございます。  したがいまして、今先生の御指摘がございました村上から本荘との区間につきまして申し上げますと、予定路線区間でございます。この区間 は、もちろん、現在、私ども地方建設局が中心になりまして、地域開発状況とか交通需要とか周辺道路整備状況、こういうものを総合的に勘案しつつ、いろんな高規格幹線道路調査を進めております。  したがいまして、この路線、一般的にやはり予定路線のものについては基本計画へ、あるいは基本計画が決まっておりますものは整備計画へということで、次回以降の国土開発幹線自動車道建設審議会でいろいろ議論されることとなろうと思っておりますが、いずれにいたしましても、この五カ年計画で六千キロあるいは今世紀中に九千キロ、こういうようなことを考えてやっています。  なお、この整備に当たりましては、交通需要あるいは地域開発効果などの整備強化とか、あるいはいろんな県庁所在地の結び方とか、こういうものをいろいろ勘案して考慮しておりますが、さらに交通需要地域開発効果、こういうものをあわせまして、経済性にも十分配慮して整備を推進してまいりたいというふうに考えております。
  172. 及川順郎

    ○及川順郎君 もう一カ所でございますけれども、リニア実験線が東京―甲府間、ルートがどのようになるかというのはまた別といたしまして、この場所が決定されまして非常に注目されている地域がございます。中部横断自動車道についてですけれども、これが清水から佐久に抜ける部分、特に増穂から双葉の間というのはどの地点になるかわかりませんけれども、リニアの実験線の終点のところとかかわりも出てくるということから、これを基本計画区間からぜひ整備計画へ上げていただきたい。さらにまた、やはり日本海、太平洋を結ぶ道路としてはこれは非常に大事な要路になるということから、清水―増穂間、それから双葉―佐久間もこれを予定路線から基本計画、さらには整備計画と、経済効果やいろんな日本全体の中心部の交通体系の上から、これをぜひ促進していただきたいという声が関係方面から強いわけでございますが、この点につきましても見通し等を承りたいと思います。
  173. 三谷浩

    政府委員三谷浩君) 中部横断自動車道でございますけれども、これは今お話がございましたように清水市が起点でございまして、佐久に至る延長百五十キロでございます。東名、中央道あるいは関越道、こういう重要路線を相互に結ぶ路線でございまして、大変やはり骨格路線として重要な路線だというふうに考えております。  山梨県の増穂町から双葉町につきましては、平成元年の一月に開催した国土開発幹線自動車道建設審議会基本計画を策定したわけでございます。現在、整備計画のための調査を行っているところでありますが、それ以外の予定路線区間、これにつきましても基本計画のための調査を進めております。いずれにしましても、今後とも高規格幹線道路網整備については積極的に努力していく方針でございます。
  174. 及川順郎

    ○及川順郎君 時間が参りましたので、大臣、中央リニアの実現に向けて今時代が大きく動こうとしている状況の中で、この実験線の事業開始というのは非常な意義を持つわけでございます。所管は運輸省が中心になりますけれども建設省国土庁のかかわり合いのある問題等もはらんでおるわけでございまして、それにかかわる整備も含めまして、ぜひその推進方に対する御決意を最後に承りまして、きょうの質問を終わらせていただきたいと思います。
  175. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今のリニアにつきましては、私ども所管でございませんので詳細聞いておりませんが、ああいうものが実験線を経て実用になるということは、日本の国土政策から見ましても大変有意義なことだと思います。  それに関連するわけではございませんが、中部横断自動車道は、清水市が地元でございますので私も大変関心を持っておりまして、特に高速道路の道路網から申しましても中央道と東名を結ぶ、もし東名に何か事故があったときは中央道にスイッチできるということでもありますし、また関越道ともスイッチできることになります。特に、昔からあそこは塩の道としてできておって交流があるわけで、東京を経なければ中部の太平洋と日本海が結べないということでは残念でありますので、これを直に結ぶという道路をつくるということは、経済的にも交流の面からいっても道路網のネットワークからいっても大変大事なことだと思います。  今局長が答弁いたしましたように、できるだけ早く審議会を開催いたしまして、基本計画区間整備計画に、残余の区間は早く基本計画をつくるというふうにやっていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  176. 石井一

    国務大臣(石井一君) リニアの新実験線が東京―山梨に決定されたということ、私も交通関係にいささか関心を持っておる立場として、まことに時宜を得たものであり、将来を展望した場合にこれはぜひとも成功してもらいたい、またそのためには支援も惜しまない、そういう気持ちでございます。  国土庁長官として懸念いたしますことは、このことによって地価の高騰ということを誘発するということでございまして、そういう関連からいろいろ調べてまいりますと、現時点では山梨県におきましては監視区域はごく一部、甲府の周辺に指定されておるだけでございますが、住宅地の対前年変動率が一〇・七%、商業地のそれが一一・七%、こういう程度で移行しておりますが、このこと自体リニアの新実験線に関する期待感の地価上昇というふうに、要因の一つであるというふうに注目をいたしておるところでございまして、今後、県当局とも連携をとりながら、みだりに投機的な土地取引等が行われないように注意をしてまいりたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
  177. 及川順郎

    ○及川順郎君 終わります。
  178. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 私は、光が丘の公団住宅のパチンコ店の出店問題と東京湾の臨海部のウオーターフロントの大規模開発計画、この二つを取り上げたいと思います。  今まで公団の問題では、家賃問題とか建てかえ問題で上からの官僚的押しつけの体質があるということで論戦をやってきたのですけれども、この問題は今度は非常識な、非文化的体質をどうも住都公団が持っているということのあらわれで、こういうことが先例になるとまた大問題だと思うので、取り上げたいと思います。  これは、光が丘の二十五階の住宅棟の一階の半地下のところにかなり大規模なパチンコ店の出店で住民が非常に反対しておりまして、自治会並びに管理組合二十五あるうち二十二の団体が反対運動をやって七千を超す署名運動を行い、区議会にも請願を出しているんですね。  それで、なぜこの店が出てきたかというと、これは赤羽西口にあったビルを持っていたグランド東京という株式会社がある。そこはパチンコもやって、ほかにもいろいろやっていたんですね。それが西口の再開発で、補償は全部とったのだけれども、補償以外に代替地を要求して、公団としては所沢の公園に二棟のビル、それからこの光が丘のパチンコ店、合わせて、床面積で言うともとの西口のビルの大体三倍、優先分譲ということになったんですね。それで、ここへ出てきたわけです。いろいろ経過はあったと思うのだけれども、住都公団はこのパチンコ出店をいつ決めたんですか。
  179. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) 光が丘にパチンコ店を予定しました経緯について御説明いたします。
  180. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 簡単に言ってください。いつ決めたか、それだけでいいですから時間がないので。
  181. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) その経緯につきまして、要点のみ御説明します。
  182. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、いいです。日にちだけ。
  183. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) まず、区の基本方針に従いまして、区の基本方針と申しますのは、娯楽施設を入れるということでありまして……
  184. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、全部知っているから。だから、時間がないので月だけ言ってください。
  185. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) それに基づきまして六十年三月に公団が区に提示した基本計画におきまし て、まずその地区につきましては渋谷センター街のような町としてイメージをするという説明をしてございます。その渋谷センター街のような町と申しますのは、駅前のパチンコ店、ゲームセンターなどで構成されたにぎやかな町で……
  186. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、だから月だけはっきり答えてください。そんなことは全部わかっているのだから。
  187. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) それをまず行いまして、その後におきまして六十一年二月にこれをパチンコ店と予定したわけであります。
  188. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 それだけでいいです。必要なことだけ答えればいいんです。  今、六十年三月の方針に従ってと言った。渋谷センター街を描いた。だけれども、こういうことになっているんです。商業施設についての方針なんですね。これが練馬区に対して提出した公団の方針なんです。この商業施設は「光が丘公園とセットにし、健康で文化の香りたかい広域的コミュニティーの核として位置づけ」るとなっている。いいですか、「文化の香りたかい」。レジャー施設は「子供から年寄りまで、誰でも気軽に楽しめる、スポーツ及びレジャー施設を整備します。」となっている。文化の香り高くて子供まで楽しめるものにパチンコ業というのは絶対入らないんですよ。  幾つか聞きたいのだけれども、まずパチンコ業というのは単なる娯楽とかレジャーじゃないんです。風俗営業なんですよ。警察がここは監督しているんですね。この間、パチンコ疑惑で私も大分調べたので詳しくなった。風俗営業なんですよ。僕は警察庁の人によく聞いたのだが、まず暴力団がかかわるんですよ、景品の交換で。それで、どういうことになっているかというと、景品として出てくるのは頭をかくくしだとかレコード針、ボールペン、これが金券のかわりに使われるんですって。だから、百円か二百円のボールペンが景品で出るのだが、これだと千円ぐらいの計算で渡されて、それを持っていって約六割、六百円もらう。これは法令違反なんですよ。それが全国で行われていて、それで暴力団がかかわっていて、今度プリペイドカード問題が出てきたのは暴力団のかかわりを打ち切るためなんだというのが警察庁の、ある部分は本当かもしれませんけれども、説明なんですよ。こういう風俗営業を何でこの文化の香り高い、子供まで楽しめる、そういうレジャー施設に入れられますか。
  189. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) この中心センターの構成として考えられておることは、まず第一に、中央地区につきましては都市型百貨店、大規模量販店、それから百店以上に及ぶ専門店、さらにファミリー用の飲食店で構成することとされております。さらに、東地区は業務あるいは高級レストラン地区として構成する。この南地区はそれらの機能を補完する意味において、むしろ駅前のにぎわい、活気ということに重点を置いて大衆的な施設として構成する、こういうことに位置づけられておりますので、その一環としてパチンコ店を導入したわけであります。
  190. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 毎日新聞の記事によりますと、公団側は「四万二千人規模の団地を潤いのある街にするには、パチンコ店など娯楽施設が必要」だ、こう述べておりますね。これから大規模団地ができるたびに、潤いのある団地にするためにパチンコ店、こういう風俗営業を入れるというようなことはとんでもないですよ、こんなことを決めたら。  それで第二に、公団法の三十三条によれば、公団は地方自治体と協議する、話し合いをすることが義務づけられているんですよ。六十一年二月に決めたときに練馬区と話し合いをしましたか。
  191. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) 六十年三月に基本方針、地区のイメージを出しましたときにまず御説明申し上げてございます。
  192. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 パチンコ店の話を。
  193. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) 地区のイメージを。
  194. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 いや、パチンコ店の話をよ。
  195. 片山正夫

    参考人(片山正夫君) それから六十一年二月のときには、これは公団内部として決めて予定してあった段階でありまして、区に御説明申し上げましたのは平成元年の七月でございます。
  196. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 つまり六十一年二月にパチンコ店を出すことを決めて、三年半後のことしの七月に区にようやく話したんですよ。これは公団法三十三条にも違反したやり方だと思うんですね。こういうことを、つまり公団法三十三条による区との話し合いもしない、三年半たってからなのだから。それからその前の年に見せた「商業施設の基本方針」、「文化の香りたかい」というものにも違反している。違反しているから説明しないのでしょうな。土壇場になって明らかにする。私は、こういうことを許しておくと今後大規模団地にはどんどんパチンコ店が、公団がそういう方針なんだから出てきかねないと思うんですね。居直って、これはいいんだいいんだと言うとそういうことになるんですよ。  それで、僕はあなたとここで議論していてもしようがないので、あなた方はなかなか変えられないんでしょうけれども。  それで、建設大臣、公団に対する監督官庁として、こういうやり方が出て、地域住民と問題が起きて大問題になっているんですね。だから、一パチンコ店と公団住民との関係ということでなくて、これがいいんだということになると、今後、住都公団、住宅政策にもやっぱりかかわる問題となるので、大臣として今すぐ私にどうこう返事はできないかもしれぬけれども、よく今までの経過、それから住民の意見、区議会に請願が出ているんですよね。そういう点をお調べになって適切な解決をするように建設省として指導してほしいと思う。  光が丘公園というのは、グラント・ハイツの地域をいろんな運動でああいうふうになって、それでなかなかすばらしい住宅地域になっているわけなので、そこを業者はかなり強硬だったのでそういうことになったかもしれないし、私たちも業者が被害を受けていいと思っていないんです。都市再開発法の改正問題のときに当建設委員会でも附帯決議をつけまして、ここに「地区外に転出する者の生活再建のための各種の措置もあわせて講ずること。」となっておりますから、業者は業者としての言い分があるんでしょうね。ですから、この業者については所沢市とのところでも、所沢市も公園をもっと地域のためにというのを希望していたら、この業者のビルが建っちゃったのでこれも問題になっているんですよ。これは話し合いが始まろうとしているんですよね。光が丘でも二カ所について問題にたっているわけでしょう。恐らく公団としては、業者などと詰められて、約束しちゃってそういうことをやって、練馬区にも所沢市にもろくに話さないで、土壇場で両方問題になって、板挟みになって建設委員会にまで出てきてこういうことを言っているのだろうけれども。だから、いろいろ経過があって頑張っちゃっているわけだけれども。僕もわかりますよ。だから、そういう問題を解決せにゃいかぬと思うんだな。解決するには、大臣建設省がやはり責任を持ってやってほしいんですよ。  練馬区の方もこの「商業施設設置の基本方針について」では、商業施設もちろん要るのだが、「実生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成していくため、公私両部門の役割分担の中で、その役割を担えるよう文化・体育・教養・娯楽等の機能を充実すること。」という方針を決めているんですね。これは大体当然の方針だと思うのだけれども、そこへ風俗営業の暴力団がかかわるようなパチンコのかなり大きな出店が、四百五十台あるんですが、出てきて、近くには教育施設もありますし、これは父兄の方々がやっぱり心配して、これはふさわしくないと。住宅にパチンコ店が出るのは公団始まって以来ここが初めてなんですよ。だから、ぜひ大臣、責任を持ってこれは調査して解決するよう御努力をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  197. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 先生よく御承知のとおり、公団は公共団体とよく打ち合わせをしながら町づくりをやっているわけでございます。先ほど 来の公団側の説明でも申し上げましたように、既に区の消防施設設置の基本方針を議論する際からどういう町づくりをするかということはお話し合いをずっとやっているわけでございまして、その中でパチンコ店の話が出ているわけでございます。したがいまして、パチンコ店そのものがどういう性格の娯楽かという議論をここでする気はございませんけれども、土地柄によりまして、地域の性格あるいは町づくりの規模、そういうものによりましては当然そういう施設もあってもいいのではないかというふうに私は思うわけでございます。  先ほど公団法三十三条云々というお話ございましたけれども、これは最終的に形式的に三十三条で協議すればいいわけで、実質的にはその以前からいろんな機会を利用して町づくりの相談をしていくということではないかと思っておりますので、直ちに違反だということにはならないというふうに考えております。  今後の話でございますが、あくまでも地元の方でそういういろんな意向があるということは公団側も承知しておるわけでございまして、私どもも承知しているわけでございますから、やはり自治体との十分な話し合いというものを今まで同様に続けていくということで、公団の方を指導してまいりたいと思います。
  198. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今局長から答弁いたしましたように、公団としても前の住宅を建てる上に替え地としてやむにやまれずどこか考えたということでありますが、しかし今の団地の方々が大変な反対だということで当惑しておるのだろうと思います。十分話し合いをさせていただき、理解していただいて、地域の方々に受け入れられるように今後努力を重ねていく必要があるのではないかなと思います。そういう点で、我々も十分指導してまいりたいと思っております。
  199. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 これは区議会で請願がもし可決されますと住民の反対の方が通るわけなので、そういう際にもんきちんとした解決をしなきゃならぬので、大臣お話はパチンコのことを住民に理解していただくというふうに私は受け取らないで、住民との話し合いがやっぱりちゃんとつくという形の解決というふうに受け取ってよろしゅうございますね、地域の住民にパチンコ店を理解してもらうのじゃなくて。
  200. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) その両方です。余り詰められてもちょっと困るわけでございますので、その辺はひとつ双方にやはり理解し合うということが必要ではないかな、こう思いますので、もう少しお時間をいただきたいと思います。
  201. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 住民の反対を押し切って強硬的な態度はとらないというふうに受け取っておきます。  次に、臨海部問題です。  今地球環境の問題が大問題になっておりますけれども、我々の身近な東京湾が大規模開発で大変な事態になろうとしているんです。かけがえのない東京湾なんですけれども、今までに二万四千ヘクタール、二割東京湾は埋め立てられているんです。これがさらにどんどん埋め立てられ、大規模開発が進もうとしています。昨年の十二月八日、この委員会でも赤桐委員がこの問題を取り上げられて、当時の内海国土庁長官は、広域的、総合的視点で東京湾の利用保全計画、これは現在調査中で、そういう計画国土庁としてつくるという御答弁がありました。東京都が臨海部副都心計画、これは四百四十八ヘクタールなんですけれども、これは事業費四兆一千四百億円、就業人口十一万、出入人口四十五万というような非常に大規模な計画なんですけれども、こういうものが進み始めて、住民運動も非常に活発に、首都東京の大問題だというので取り組みが今進んでいます。例えば東京都の都職労、また新建築家集団、あるいは数多い住民組織が臨海部開発問題を考える都民連絡会というのをつくって、これが九月三十日に行われたそのフォーラムの記録ですけれども、そういう運動も行っている。パンフレットやリーフも出ておりますし、現地見学でバスツアーを六十数回、二千五百名も参加するというように、非常に都民の関心も高いようであります。  そこで、まず国土庁にお伺いしたいのは、どんどんどんどん雨後のタケノコのごとく中曽根民活路線がいよいよ拍車をかけて、東京湾の開発計画を官も民も次々出しているんです。それで、国土庁としては、現在事業中のもの、計画中のもの、どのぐらいつかんでいますか、件数、対象面積、開発床面積。
  202. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) お話のように、東京湾臨海部におきまして官民を問わず多くの開発構想が打ち出されております。国土庁においていろんな情報をもとにいたしましておぼろげながら承知しているものだけで三十プロジェクトほどございます。このうち業務都市の育成整備であるとか、都心地域の諸機能の再編成あるいは職住近接型の住宅供給、こういったことを目的といたしまして国と地方公共団体とが一体となりまして推進していくべきだというふうに考えておるものといたしまして、東京臨海部副都心、幕張メッセ、みなとみらい21等々、幾つかのプロジェクトがございます。この計画内容については国土庁としても十分把握しておるところでございます。
  203. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 この問題に関しては本がどんどん出ていまして、七十数件という集計もあるんです。  政府が八七年十一月に発表された東京都区部における二〇〇〇年までの新規事務所床需要推計は千六百から千九百ヘクタール、ここに文書がありますけれども、この中では東京臨海部等における大規模プロジェクトの開発可能床面積は六百から八百ヘクタール、こういう推計が関係省庁等連絡会議の文書では書かれている。六百ヘクタールから八百ヘクタールというのが出ているんです。  今度、環境庁がこれはなかなかいい仕事をされて、「東京湾地域の開発と環境保全に関する基本的方策について」、ことしの三月に中間報告が出たんです。これを見ますと、かなり熟している三十九プロジェクトの商業・業務関係の土地利用六百六十一ヘクタール、これは土地ですからね。平均容積率、いろいろあるでしょうけれども、土地が六百六十一ヘクタールというのだから床面積はかなりの数に当然なりますね。そうすると、政府が八七年に発表した臨海部の床面積の推計を当然もう既にかなり上回っている、そう見ざるを得ない。  もう一つデータを言いますと、この政府推計は八六年から二〇〇〇年までの十五年間の東京都の区部での床面積供給を千八百ヘクタールと見込んでいますね。ところが、都の区部の事務所建築着工実績を見ますと、わずか三年間で七割近い新規供給がもうできているのですよ。だから、二〇〇〇年まで千八百ヘクタールと十五年を見ているのに、三年で七割近いビルが建っちゃっているということなので、このスピードでいきますと大変なことになるのじゃないか。三十九プロジェクトでさっきの数字ですから、いろんなものが七十幾つある。  中にはすごいのがありますよ。有名な建築家の黒川紀章さんのグループ二〇二五なんか三万ヘクタールの計画ですからね、東京湾に物すごい大きな島をつくるような。これは実現性があるかどうかは別として、そういう計画がどんどん出ているので、そこで国土庁にお伺いしたいのは、この趨勢で進んでいくと臨海部の大規模プロジェクトは過剰供給、そのおそれがあるのじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  204. 三木克彦

    政府委員(三木克彦君) 先生が最初に御指摘になりました六十二年の需給の見通しでございますが、これはお話のように千六百ヘクタールから千九百ヘクタールぐらいになるであろうということでございます。これは昭和七十五年の人口規模を前提といたしまして、事務所の就業者数、一人当たりの床面積、こういったもので推計いたしたものでございまして、お話のように臨海部の開発などの業務都市整備の点もこれに入っている、こういうものでございます。  ところで、お話のように最近の事務所床の需要 は非常に高うございまして、非常に強目に需要はなっております。着工ベースでもストックベースでもお話のように著しい拡大がございます。しかし、それを上回る需要があるようでございまして、都心部における事務所や大規模な事務所では依然空室率が非常に低いということでございまして、わずかに周辺部の小さな事務所で床需要が緩和されておる。こういうふうな状態でございまして、推計のやり方あるいは見通しの実際的な効果につきましてはいろいろ御議論がございますけれども、現在の強含みの状況のもとでは需給はその時点でバランスしているというのが実態ではないかと思います。
  205. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 国土庁は需給バランスは大体いいというお考えなんですな。これは一つ承っておきましょう。  環境庁にお伺いしたいんですが、環境問題がこのまま進むとどうなるかということが最大の問題です。この中間取りまとめは、発表されたときに各新聞でも非常な反響がありました。ごみの問題、水質の問題、大気汚染の問題、自動車公害の問題。特に、ショッキングだったのは人工熱という問題ですね。ビルが建つと熱量が発生する。今でも都心三区、この人工熱の発生量は一平方キロメートル当たり七十万ギガカロリーで太陽と同じだというんですね。一一つ太陽がこの三区ではあるのと同じだというんです。ところが、東京臨海部副都心では百四十万ギガカロリーになっている。つまり、副都心でこのまま進みますと、太陽の二つ分の人工熱が発生するというんですね。それが東京における気温その他にも大きな影響があるというので、これは非常にショッキングなことになったのだけれども、こういうことが一つありますが、環境庁としてはこの中間報告を発表されて、今の臨海部のこういう大規模プロジェクトの進行、環境問題についてどういう見解なのか、御説明いただきたいと思います。
  206. 中橋芳弘

    説明員(中橋芳弘君) 環境庁におきましては、現在の東京湾につきましては環境保全上もいろいろな価値がある、そういう価値をこれからもさらに高めていく必要があるのではないかというふうに思っているわけであります。また、一方におきまして、先ほど国土庁の方からも御説明ありましたように、東京が現在果たしている役割、国際的な意味でも果たしている役割もあるわけでございますので、そういうものもある程度東京の中において解決する工夫をしていかなければならない。  そういたしますと、その両者の接点としてどういうことを考えていかなければならないかと申すと、やはりそれぞれのプロジェクトが環境に与える負荷というものを必要最小限度にとどめるということと同時に、そのプロジェクトがその地域だけの問題でなくして東京圏全体の環境問題の解決に少しでも役立つようなプロジェクトであってほしい。それから各プロジェクト全体をトータルとして扱ったときに東京の環境問題、首都圏の環境問題をこれ以上悪化させることのないようにトータル的な管理を進めていく必要があるのではないか、そのようなことを考えているわけでございます。
  207. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 時間が参りましたし、これは非常に大問題なので、きょうは本当のとば口の質問で終わりますけれども、最後に大臣にお伺いしたいのは、環境庁の中間報告は三十七ページに「関係行政機関が一堂に会して協議を行う場を早急に設置すべきである。」、こう強調されているんですね。当然だと思います。  もう一つは、東京都は環境アセスメントの条例がありますね。しかし、国は環境アセスメントの法律を、環境庁も一時考えていたのがそのままちょっと今消えている状況ですし、やっぱり日本にアセスメントの法律がないと国内も大問題になる。この間、新聞には、ODAもフィリピンなどでどんどん公害が出ている、やっぱりアセスの法律かないのでODAで公害輸出にもなっているという問題も指摘されていたので、これは所管じゃないかもしれませんけれども、直接非常に大きな関係があるので、国土庁長官建設大臣に、この東京湾問題での関係行政機関の協議の場、それをつくる問題とアセスの法律、これが必要だと私は思うんですけれども、このことについてお考えを承って、質問を終わりたいと思います。
  208. 石井一

    国務大臣(石井一君) 私、建設大臣とともに一昨日臨海部へ入りましてつぶさに視察してまいったところでございます。率直な感想は、これだけ広い土地がまだ東京に残っているのかということでございますが、計画を聞いてみますと、あちらも埋め立てる、こちらも埋め立てるというような将来計画の説明がございました。それだけ必要があるのかどうか、今後慎重に検討していく必要があると思っております。  したがいまして、委員の御指摘もございましたように、国土庁では昭和六十三年度から東京湾地域の総合的な利用と保全に関する調査着手いたしておるわけでございまして、今後、総合的な土地利用、秩序ある計画の策定等と同時に、ただいま御指摘になりました環境アセスの問題等につきましても、これは国土庁でできることではないと思いますけれども、環境庁等とも連携をとりながら進めていく必要が確かにある、そういうふうに考えております。  なお、東京臨海部においては、五省庁及び東京都より成る東京臨海部開発推進協議会を設けております。これは業務機能に加えて職住近接型の開発を実現するために適切な住宅フレームワークを設ける等所要の調整を行っていこう、これまでもやってきたし今後も進めていく、こういうふうなことでございますので、確かに乱開発は避けていかなければいけません。しかしながら、一極集中を排除すると申しましても、一時間、一時間半かかって東京へ働きに来ておられる方がこれだけ多い場合に、現実は現実として、これだけの広大な土地を有効に環境をも考えながら適切に利用していくということは重要な課題だと考えておりますので、今後も開発を進めるに当たってもろもろの条件あるいは制約というふうなものも十分踏まえてひとつ推し進めていきたい、そう考えております。
  209. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 委員御承知のように、東京臨海部の開発は、内閣官房、国土庁、通産省、運輸省、郵政省、建設省及び東京都より成る臨海部開発推進協議会を設けておりまして、その協議会において近年の東京圏における土地問題に対処するための土地供給策の一つとして位置づけて、東京の都市構造の再編に資するように基本方針を定めて推進しておるわけでございます。  先ほどおっしゃったように、約六百ヘクタールくらいの膨大な、何か数字によると五百五十という数字もありますが、要するに六百ぐらいの数字が職住近接で、就業人口と居住人口のバランスをとって供給されるということは地価の鎮静化にも役に立つわけでございます。したがいまして、私どもとしてはできるだけ早くこういう住宅とか何かが整備できていくことが、庶民が今近いところに住宅がなくて困っておるわけですから、臨海部ですと、私どもも見に行きましたが、今交通の便が悪いから時間はかかりますが、直線距離で見ますと東京駅からせいぜい四キロから五キロぐらいのところにおさまっておるわけです。大変近い。そういうところでございますので、ぜひ早く住宅建設して持っていくことは非常に大事じゃないかという認識を得ました。  環境庁の問題は、確かに環境アセスメントからいって問題があるということであれば、ぜひ内閣官房もこのメンバーでございますので、ここでひとつ大いに意見を言っていただいて調整を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
  210. 上田耕一郎

    上田耕一郎君 終わります。
  211. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 連合参議院の新坂でございます。  原田建設大臣に若干の花の万博関係についての御質問をしたいというふうに考えておりますが、御拝見しますと大臣の胸に四角い何か、バッチのようなものをつけておられますが、政府委員の中にもそういう四角いきらりと光るものがありますが、これは一体何でございましょうか。
  212. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) これは花と緑の博覧会、私、担当大臣をやっておりますが、そこで配 っております記念バッジでございまして、花と緑の博覧会を推進するのだというシンボルにつけておる次第でございまして、もし委員御必要でございましたら、お配りいたしますので、ぜひひとつおつけいただきたい。
  213. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 来年の四月から半年間大阪で開かれる花の万博でございますが、特に建設省を中心に審議する建設委員会でございますので、隗から始めよということではございませんけれども、今御説明いただいたように、建設委員の皆様にも、皆で万博を成功させようじゃないかというキャッチフレーズでございますので、ひとつ御理解を賜って、動くPRとしてみんなで頑張ろうという精神でやられたらいかがかというふうに思っておりますが、いかがでございますか。
  214. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 大変ありがたい御指摘をいただきまして、私の方でどうも気がつきませんで大変申しわけございません。皆さんにぜひ万博に御協力いただきますように早速配らせていただきます。よろしくひとつお願いします。
  215. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 コンパニオンが六百人ほどおりまして、鈴鹿で二回目の訓練が始まったそうでございます。主に、英会話とかあるいは礼儀作法ということで始めているそうでございますが、中にはいろいろな家庭の事情がございまして、ドロップアウトといいますか、せっかくコンパニオンに決まりながら参加まで行けないという方も出ているそうでございますけれども、全体の現在での切符でございますが、前売り状況などはいかがでございますか。
  216. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 前売り券の販売状況でございますが、現在のところ八百八十万枚余ということの前売り券が販売されております。
  217. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 それは、その数だけ示されてもわからぬですが、順調なんですか、あるいは大変危ないことなんでございますか。
  218. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 順調でございます。
  219. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 ここに世論調査がございまして、総理府の世論調査でございますが、この国際花と緑の博覧会についてのアンケートが届いておりますけれども、実はこのアンケートが、現在配られている本のところのアンケート時点がことしの五月に調査されたアンケートでございます。この中のアンケートを見ますと、この博覧会を見に行きたいかというような調査もございますけれども、その中で見に行きたくないという理由に会場まで遠いからというようなことが五一%、そういうような調査結果が今ごろ発表になっておるのでございますけれども、みんなで頑張ろうと言っているときに、調査時点からこれは六カ月おくれでございますか、そういうのが発表されるというのは大変迷惑な話だと思うんですが、どういうふうになってこういう総理府の方のアンケートの調査が今ごろ発表されるかということをちょっとお聞きしたいと思います。
  220. 大林千一

    説明員(大林千一君) 総理府広報室におきましては、政府政策推進の参考資料のことなどを目的といたしまして、各省庁の要望等も勘案いたしまして調査テーマを決定いたしました上で、世論調査実施しているところでございます。御指摘国際花と緑の博覧会に関する世論調査につきましては、博覧会開催の準備、運営の参考といたしますために本年五月に調査実施いたしまして、九月に結果を公表したものでございます。私ども総理府広報室で行う世論調査につきましては、調査資料としての活用が十分に図られるようにいたしますために、調査実施後、集計、分析、報告書の印刷等、適切な処理を行った上で発表することといたしておりまして、発表までにある程度の日数を必要としているところでございます。
  221. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 ちょっと変な話でございますけれども、例えば新聞社の世論調査にしても一週間かおくれても一月というのが大体の相場でございます。なぜ総理府だけが五月に調査したのが九月に発表されにゃいかぬというのか、これはよくわかりませんが、もう一度重ねてお願いします。
  222. 大林千一

    説明員(大林千一君) 新聞社等の世論調査がどのような形で行われているのか詳細には承知しておりませんけれども、総理府広報室におきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、調査実施後、集計、分析、さらには報告書の印刷といったような処理を行った上で発表していることを御理解願いたいと思っております。
  223. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 特に、こういう一つのイベントとかは生ものでございまして、毎月毎月完成日時に合わせていろんな施設等を建築、あるいは施設のために動いているわけでございまして、これが五月の時点の調査で、九月に発表されて、それが会場まで遠いから行きたくないというふうな発表をされますと、一般的にこれが相乗効果になりまして、ああそんな遠い会場なのかということで私も行くのをやめたというような意味合いの、四カ月たって発表しても生きているような調査結果ならいいんですけれども、結果的に四カ月たった後の発表で、実は五月の結果でしたというようなことは、一般の人はそこまでは思い及びませんものですから、結局遠い会場なんだなということだけが印象に残っちゃって、それでみんなが行きたくない、それじゃ私も行きたくないんだというようなことになりますので、調査、分析、印刷等というふうな今お話ありましたけれども、性格によって、本質によって、これを四カ月、五カ月おくれで発表することがいいのかどうかということも大変問題じゃないかと思います。したがって、こういうところのアンケートの中身によって、物によってはある程度急ぐとか、そういうことがあってしかるべきだと思いますが、機械的にそういう四カ月でないと出ないものかどうかというのが大変心配でございますということでございます。重ねて御返答いただきます。
  224. 大林千一

    説明員(大林千一君) 発表の可否につきまして、当室で行う世論調査につきましては調査結果のいかんにかかわりませず公表を原則としているということでございますので、よろしく御理解願いたいと存じます。  また、調査実施後何カ月かかるかという御指摘でございますけれども、それは調査の複雑さといいますか、調査事項の多寡あるいは集計事項の複雑さ、そういうものによって変わってまいりますけれども、この四カ月という期間が特におくれたというものではございません。
  225. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 あと質問は、百周年事業とか地方自治体はことし特にいろんなイベントばやりでございまして、その中で来年の四月から行われる政府主催の博覧会であるということで、一般にたくさん行われている中での一つじゃないかという、印象としてはそんな感じを持たないわけでもないんです。特に、花の万博というのは初めてなものですから、受け取りようによっては植木市を半年間やるのか、そんなことなら何も大阪くんだりまで行かなくてもいいじゃないかというようなことが、関西地方は御認識いただいているような気もするんですけれども、特に東北、北海道と距離が遠くなればそういうような認識になりやすいのじゃないかという気がいたしますけれども、主管官庁としての花博のPRというのはどういうことになっているのかということを、ちょっとお聞きしたいと思います。
  226. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 国際花と緑の博覧会は、花と緑と人間生活のかかわりをとらえて、二十一世紀に向けて豊かな社会の創造をすることを基本理念として開催されます国際博覧会でございます。  博覧会の開催及び基本理念の普及等に関する広報活動でございますが、まず全国を巡回するPRキャラバンツアーの実施をいたしました。そのほか、全国的規模でポスターの掲出、パンフレットの配布等を行ってきているところでございます。開催を四カ月後に控えまして、今後は花と緑の豊かな会場、地方色豊かな各都道府県、これは全都道府県が御出展いただきますが、政令指定都市、これも全政令指定都市が出展していただきますが、この出展等具体的な内容を中心に全国的に開幕キャンペーンを展開することを考えております。また、テレビ等の活用につきましても積極的に行ってまいりたいと思っておりまして、花の万 博の内容、趣旨についてより多くの人々に御理解いただけるよう努力してまいる所存でございます。
  227. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 当然それはPRされておると思いますけれども、私がお聞きしたいのは、特にそういう遠いところでございますね、東北と北海道、その辺に対してどういうような効果的なPRを今後されていくような計画があるかどうかということを聞きたいということ。  それから建設大臣に、聖徳太子の憲法十七条じゃございませんけれども、やっぱり群臣、要するに官僚の皆さんが恨みやねたむことがないように、私は二年間外されたということであと二年たてば本省に帰れるとか、あるいは縄張り争いで、花博をするにしても、建設省だけじゃなくて、農林水産省あるいは通産省、外務省、もろもろの混合部隊でございますので、その辺のところのモラールの上げ方といいますか、そういうことが大変心配されるところでございます。したがって、人情の機微として、できるだけ現地視察ということでウオッチしているんだよという意味合いもありまして、一回だけの視察とか二回目とかいうのじゃなくて、機会があればどんどんチャンスをつくって、現地ととにかく常に接触しているというトップの心意気をやっぱり示していただきたいなという気がいたします。  この二点でございます。東北、北海道のPRとモラールの向上の点でございます。
  228. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) 東北、北海道等について特に考える必要があるのじゃないかという御指摘でございますが、そのとおりだと思っておりまして、現在の関心度等もその地域についてやや低くなっているところも事実でございます。  そのやり方としては、一つには、東北、北海道にございます地方公共団体に御協力いただいて、その御協力によってPRを積極的にやりたいというふうに考えておりますし、それからやはり全国ネットのテレビ、マスコミという手段も非常に効果的でございますので、その辺に力を入れてやっていきたいというふうに考えておりますが、最近になってそれらの地域においても御関心が高まってきたというような話もだんだん入ってきておりますので、一層努力してまいりたいと思っております。
  229. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 先ほど来、さすがにマスコミで鍛えられた新坂委員の御質問で、我が方の調査の時間のかかる点とか、あるいは今のPRについての改善とか、また各省から出向しておる職員の問題とか、大変適切な御指摘をいただいて、大変ありがとうございました。早速御指摘の点を踏まえて、私も一回しかまだ実は行っていないわけでございますので、十分その点を配慮しながら、みんながやる気になって、開会間近でございますので、全力を挙げてやれるような体制づくりに頑張ってまいりたいと思っております。どうかひとつ御指導をお願いいたします。
  230. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 いろんなイベントもそうでございますが、車社会の中で非常に懸念されますのは会場周辺のいわゆる迷惑駐車でございます。それで、駐車場もつくるということは当然計画の中に入っていると思いますけれども、それでもまだあふれるとか、そういうところがよくイベントをやるたびに指摘される問題でございます。したがって、いわゆる迷惑駐車対策、それをひとつ万全を期すためにやっていただきたいということ。それから、まだこれは早いのでございますけれども、せっかくああいう大きな緑の公園地帯というものをつくるのでございますけれども、跡地利用ということで一体どうなるのかという心配をする向きの方もおりますので、この二点についていかがでございますか。
  231. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) まず、交通渋滞、駐車場の問題でございますが、期間中に多くの来場者が車でお見えになるということは十分に予想されるところでございますので、特に花の万博交通管制センターというものを設置いたすということも考えておりまして、それによりまして、駐車場を大量に高速道路の下等を利用して用意いたしまして、そこへの円滑な誘導を行う、あるいは交通情報を早期に適切に提供するというようなことによりまして会場周辺での交通渋滞が緩和されるように、協会を中心に大阪府、市の御協力も得て今鋭意案を策定しているところでございます。  それから、お尋ねの第二点の鶴見緑地は一体その後どうするのかということでございますが、この花の万博の会場である鶴見緑地はもともと大阪市の都市計画公園でございまして、博覧会終了後は緑豊かな美しい町づくりの一大拠点となるよう大阪市が都市公園として整備していくこと等を考えておりまして、どういうものを存置するのか、残しておくのかということでございますが、国際庭園、国際展示館ホールの一部、花の休憩所等につきましては、博覧会のときの施設を存置したいというふうに考えているところでございます。
  232. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 特に、国際博でございますので、できるだけ外国から参加して盛り上げるということが一番基本的な要素の一つでございますが、外務省が主に誘致していただいておるのだと思いますけれども、単なる参加が多ければいいということじゃなくて、やはりこれは今後日本が緑を愛するといいますか、花を愛するといいますか、基本的に環境政策ともつながっていく大切なきっかけをつくるイベントだと思っています。したがって、そういう精神を生かした誘致の仕方ということをしてこれからどんどん招いていってほしいと思うんですけれども、今六十七の国が政府出展したいというようなお申し出があるそうでございますけれども、今後もまだエントリーは可能でございましょうか。外務省の方、ひとつお願いします。
  233. 佐藤昌史

    説明員(佐藤昌史君) 現在、御指摘がございましたとおり七十近い国から参加表明が行われているわけでございますが、まだ幾つかの国との折衝が続いておりまして、幾つかまだふえていくのではないかと思っております。
  234. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 いや、ふえるのはいいのだけれども、どういうふうにしてPR、招請してきたのですか。
  235. 佐藤昌史

    説明員(佐藤昌史君) 国際花と緑の博覧会は、先ほど御説明ございましたように、花と緑と人間生活のかかわりをとらえ、二十一世紀へ向けて潤いのある豊かな社会の創造を目指す、そういう基本理念を有しております。外務省といたしましては、かかる基本理念を有する国際博をアジアで初めて開く、そういうことがひとつ我が国の環境政策あるいは緑化政策、そういうことについての理解を深めるものだというふうに考えております。  また、具体的な御質問の点でございますが、諸外国に対する参加招請、この部分でございますが、単に花卉、庭園を中心とする園芸博ではない。二十一世紀における豊かな社会の創造のため、砂漠の緑化等環境問題の側面についても世界の国々が協力し検討していく場としたい、こういうことを強調してまいってきているわけでございます。いずれにいたしましても、御指摘の点を踏まえまして、博覧会を成功裏に導くべく最善を尽くしてまいりたいと思います。
  236. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 最後でございますが、いろんな方が今花博を支えていて、現場で建築をやっている方あるいは道路をつくっている方、地下鉄をつくっている方、いろんな労働をされている方、額に汗して一生懸命働いている方、こういう方は花博が始まってしまうともう終わりなのでございます。  したがって、一つの発想でございますが、お父さんの働いた仕事場はここでございましたというようなことで、家族と一緒に花博へ来て、お父さんが汗して働いたのはこのところなんだよということが家族とともに喜び合えるような、そういうようないわゆる下働きした人、労働者が一緒に祝い合えるような家族デーといいますか、今までのあれですと、賃金をもらったらそこでさようなら、次は実際に花博の開催しているときはほかのところで働いているというようなことで喜び合えないというようなことが当たり前でございましたけれども、花博をきっかけに何かそういうような、勤 労感謝デーというようなことが、額に汗した人が報われるような、ちょっと発想の転換でございます。  実は、これは非常に大切なことでございまして、いわゆる地下に潜ってしまっていることだけの、余りにも人生むなしいというようなことでなくて、一緒に喜び合えるようなことをやれるような機会を花博をきっかけに何かできないものでございましょうかということを、ちょっと建設大臣に御提案したいと思っております。
  237. 真嶋一男

    政府委員(真嶋一男君) ただいまの御提案についてでございますが、私どもは、過去の国際博もそうでございましたが、花の万博は入場料収入ということで会場の運営を行っているところでございまして、入場料金に特段の割引措置は高齢者と身障者等に限定されてきたところでございまして、今御指摘工事関係の家族の優待入場させる、あるいは無料入場日を設けるということにつきましては、現在のところそういうふうなことを本博覧会においても考えていくということは考えておりません。
  238. 新坂一雄

    ○新坂一雄君 私の言っているのは政治判断をお願いしているのであって、事務当局が収支決算が赤字になるからあほらしい、こういうようなことを言ってるのじゃありません。
  239. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 御指摘ごもっともでございますので、十分検討してみたいと思っております。ただ、事務当局の言っているのも、一つ例外をつくり出すとただパスが方々に横行するということの防ぎを言っておるわけでありますので、御理解いただきたいと思います。
  240. 山田勇

    ○山田勇君 大阪選出の議員としては大変ありがたい。花と緑の万博の意義を同僚委員の新坂委員から質疑をしていただきまして、ありがとうございました。余りやられると私の立場がなくなるのではないかと思っておりますが、ただただ花と緑の万博の名誉のために申し上げておきますが、決してこの花と緑の万博は植木市ではございません。一生懸命頑張ってやっております次第でございます。  そこで、同僚委員であります及川委員質疑と多少重複するところが第一点ございますが、簡潔な御答弁で結構でございます。  我が国の建設市場をめぐる懸案はいろいろあります。国際的にも課題を抱え、非常に厳しい状況にあると考えます。そこで、日米関係のことでありますが、日米の建設協議が行われ、改めて米国側から建設市場の開放について要求が出され、今後一九九〇年の五月に見直し協議が行われることとされておりますが、政府としましても鋭意努力されていると思いますが、現在までの米国側の要求並びに我が国の対処方針について伺いたいと思います。
  241. 望月薫雄

    政府委員(望月薫雄君) 先生もう既に御承知のとおり、昨年の五月に日米合意が取り結ばれました。これは内容としましては、日本の公共事業発注制度について、その制度を当然認めた上で習熟するための特例措置を決めましょう、またその実行のためにお互いに努力しましょうというものでございます。現在まで、私ども建設省はもとより、関係の発注機関ともども精力的に誠実な実行に努めているというさなかでございます。  そういった中におきまして、特に最近において日本の建設市場をめぐるもろもろの問題、なかんずく日本政府の政策、慣行などが話題になっておりまして、具体的には談合の問題だとかあるいは指名入札制度にかかわる問題等々について、言うなれば不公正な部分がある、こういったような話が最近は特にクローズアップされております。  私どもとしましては、あくまでも日本の制度というものについて十分な御理解をいただく、お互いに理解し合うということを基本に据えまして事務レベルの折衝を重ねておりますし、その間においてまた大臣もヒルズ代表と二度にわたってお会いするという場面もございます。  とにかく、こういったことを重ねながら、私どもは現在あくまでも日米合意に沿って誠実な実行、アメリカ企業の参入の実を上げるための我々としての努力、あわせてまた米国側企業の企業努力に対する期待というようなことを申し上げながらあらゆる努力をしているところでございます。
  242. 山田勇

    ○山田勇君 局長、公共的なものにというようなアメリカの要求が大変強うございました。その中にあって空港建設なんかでもかなり参入したがって入ってきましたが、日本の近代土木の水準を見て、ある意味では驚いた面もあるし、またある面では技術的には太刀打ちできないという尾っぽを巻いたところもあります。尾っぽを巻いたと言うと語弊があるかもわかりませんが、技術的には日本にかなわぬなと思う分野もあったやに聞いております。そのために、ほかの空港の附帯設備に対しての参入を決めたというような現場においてのいきさつはあったそうですが、その公共的な基準というのはアメリカ側にとっても非常にわかりにくいところなので、この五月についてはその辺の理解をぜひアメリカ側にも求めていっていただきますように、これは要望いたしておきます。  次に、国内関係ですが、これも課題が幾つかあるわけですが、中でも住宅の供給をいかに推進するかは重要なポイントであります。  そこでまず、大都市中心部における住宅の供給を考えますとき、東京都の都心区部ではオフィスビルの建設にあわせて住宅の附置義務、いわゆる住宅も一緒につくりなさい、例えば駐車場と同じようなものでございますが、これが講じられているわけでございますが、これをつくりましてもいわゆる賃貸価格が高くなり過ぎるなど、一般庶民の手の届かないものがあってはなりません。国として法制度の裏づけを考えるべきではないかと考えますが、建設省としてはこういう問題にどう取り組んでいくつもりですか、お聞かせ願いたいと思います。
  243. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 今先生お話しの住宅附置義務でございますが、御指摘のとおり東京の都心ではやられております。ただ、これはいわゆる指導要綱という形でやっておりまして、先生指摘のとおり法律の裏づけがあるわけではございません。    〔委員長退席、理事吉川博君着席〕 都心地域でそういう住宅が確保されますと、都心の人口の減少を救うというような面がありますので、公共団体がやむにやまれずやっている点もあろうかと思いますが、一つには、先生今おっしゃいましたように、非常に家賃が高くなる問題がございます。  それから指導要綱ということですので、法律で義務づけたことにはなっておりませんけれども、やはりこれを法律で義務づけるかどうかにつきましては、過度の権利制限というような問題も出てまいりますので、まだまだ検討すべきことではないかと思っております。  ただ、大阪の場合には東京の方式とはちょっと逆でございまして、この地域に高度利用をして建築物を建てる場合には、住宅であるならばこれくらいまで建ててもよろしいよということで、非常に住宅を優遇する地帯を決めております。総合設計制度を活用して住宅の供給をやっておるわけでございます。そうしますと、その建築主はここで住宅をこれだけ供給した場合に果たして採算がとれるかどうかという点と、お客さんがちゃんと来るかどうかということを考えてやりますので、そんなに高い家賃にはならないということでございます。  したがいまして、私どもは例えば公共的な施設と合築で公共的な賃貸住宅を乗っけるとか、工場跡地で都心のビルの業務街から相当離れておるようなところで再開発をする際に業務用の床とあわせて住宅の棟を建てていくというような複合の再開発をやっていくというような手法で、できるだけ近いところで賃貸住宅を供給する工夫をいろいろとしておるわけでございます。    〔理事吉川博君退席、委員長着席〕  同じような発想は、実は昨年の六月の総合土地対策要綱で閣議決定されておりまして、「東京等大都市園の一部地域において、一定基準の業務系開発に伴う住宅開発義務等制度の創設など」とや やっこしいんですが、言うなれば「業務住宅との調和ある開発の確保措置を講ずべく所要の検討を進める。」、こうなっておりまして、業務床ばかり建築されるのではなくて、業務床と住宅床が調和していくということがこれからの町づくりで大事だろう、それがとりもなおさず住宅対策上も有効だ、こういうことで制度を検討しなさいということになっております。  したがいまして、私どもは、今申しました総合設計制度でありますとか再開発事業とかにあわせまして、さらにどんどんと住宅が抜けていくところで業務開発される際に住宅が乗らないか、大阪方式になるかもわかりませんが、そういうことを新しい制度でつくりたいということで現在検討中でございます。
  244. 山田勇

    ○山田勇君 次に、住宅供給に当たっては、取得者や居住者の負担軽減を図っていくべきであります。住宅取得減税の拡充、また公的融資制度の拡充を考えるべきであります。また、家賃負担の軽減についても同様でありますが、建設省としてはどう取り組んでいかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  245. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 最近におきます地価高騰で住宅価格が上がり、家賃も上がってきておりますが、それに対しまして、住宅金融でありますとか税制の拡充で消費者サイドの取得能力、負担能力を拡充するということが非常に重要でございます。あるいは公営や公団住宅、公共の住宅を供給することも重要でございます。したがいまして、私どもは来年度予算要求、税制改正要望で今申しました点につきまして新たな拡充措置を要求いたしております。  全体を御説明する時間ございませんが、大ざっぱなことを申し上げますと、金融公庫融資につきましても、貸付限度額のアップ、あるいは大都市につきましてはその貸付限度額につきましてさらに大幅にアップをしたいということでございますとか、住宅促進税制、ローン減税でございますけれども、これの拡充、さらには家賃控除制度等の新しい要求もいたしておるところでございます。これから十二月末に向けまして具体的に財政当局と詰めの段階に入るわけでございますが、できるだけ実現する方向で努力してまいりたいと存じております。
  246. 山田勇

    ○山田勇君 参考人、御苦労さんでございます。  次に、北九州市小倉北区昭和町の住宅都市整備公団昭和町公団住宅の外壁崩落に関してお聞きするわけでございますが、まず大臣に、この事故に対してどのような認識をお持ちでありますか、お尋ねします。
  247. 原田昇左右

    国務大臣原田昇左右君) 今回の事故につきまして、このような事態が起きましたことはまことに遺憾だと考えております。亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族に対してお悔やみ申し上げますとともに、負傷された方の一日も早い御回復を心からお祈りいたします。また、公団には誠意を持ってこれに対処するように指示いたしたところでございます。  公団住宅の外壁につきましては、建設後三年目以降は年一回の定期的な安全点検を行っていると聞いておりますが、今回このような事故が起きたことにかんがみまして、当面緊急に外壁の安全点検を実施しろと指示いたしております。早急に今回の事故原因を究明し、事故の再発防止のための所要の措置を講ずるようにいたしたいと存じます。
  248. 山田勇

    ○山田勇君 今回事故を起こした昭和町公団住宅では過去にも同じような事故があったということですが、そのときの状況、また補修はどんなものであったのでしょうか。また、その後の同住宅での点検はどのようになっていましたか、お尋ねいたします。
  249. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 公団住宅につきましては、安全性を確保するために、今も大臣からもございましたが、定期的な点検などを行っているところでありますが、このような事態が起きてしまいましてまことに遺憾であります。公団を代表いたしまして深くおわび申し上げたいと思います。被災された方々あるいはその家族の方々に対して心からおわび申し上げると同時に、亡くなられた方の御冥福を心からお祈りいたしたいと思います。また、御遺族に対してはお悔やみ申し上げますと同時に、負傷された方の一日も早い御回復を心からお祈り申し上げたい、こういうふうに考えております。御遺族や負傷された方などに対しましては誠意を持って対応いたしたい、そのように考えております。  今の公団としての対応をちょっと簡単に申し上げたいと思いますが、事故が起きまして直ちに支社に事故対策本部を設置しまして、二次災害の発生防止のための必要な処置を直ちに講じて、それと同時に、本社からも副総裁それから関係職員が四名ほど現地に飛びまして、事故の状況等の把握とか、遺族といいますか、被災された方々に対する対応に当たったところでございます。  御質問の点でございます。前が長くなって恐縮でございましたが、最近では昭和六十年に三階住宅住宅の三階部分でございますが、そこの住宅のベランダの上の外壁タイルが一部はがれ落ちるということがございました。公団といたしましては、単に落ちたものだけではなくて、その周辺といいますか、例えば浮いたタイル、そういったものを取る、そしてその跡にエポキシ樹脂モルタルというものによって補修を行ったところであります。  点検の問題でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたが、外壁に関する安全点検につきましては年一回を基本として実施しているわけでございますが、その点検の結果、緊急に修繕を必要とするという箇所が見つかりましたときにはその都度修繕などを実施するという形で対応しているところでございます。本件、昭和町の市街地住宅につきましても、この安全点検を、我々は実施要領を持っておりますが、それに従って行ってきているところでございます。
  250. 山田勇

    ○山田勇君 公団は、これまでこのような崩落事故について公団住宅全体の実態調査を行ってきたのかどうか、またこのような外壁崩落対策として点検作業の基準はどうなっていたのか、お尋ねしておきます。  それと、非常に交通の頻繁な道路に面してあるというのと、重量級のトラックの通過の多い道路地点だというふうに我々は承知しております。そうなりますと、振動から起こる崩落というのもあったのではないか。そうすると、これからああいう交通頻繁のところに建てる場合の基礎工学的なもの、基礎工事的なものですか、そういうものも十分検討しなければならないと思いますが、その点について御答弁いただきたいと思います。
  251. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほども申し上げましたが、公団住宅の外壁等につきましては、年一回ということを基本といたしまして、これは公団住宅全部でございますが、巡回方式による点検を実施しておるわけでございます。これは公団の実施要領というのを定めておりまして、それに従ってやるわけでございますが、先ほども申しましたように、その結果によりましてそれぞれ必要な対応をしているということでございます。  この点検につきましては、年一回を基本としておりますが、そのほかに常時それぞれ一定の団地を受け持っている職員がおりますから、それが随時巡回するというようなことで点検しております。  それと、経年変化といいますか、一定の時間がたってまいります。したがいまして、一定期間を経過した住宅、例えば外壁につきましては十八年というものを今までの経験等から一つのめどとしておりますけれども、そういったものにつきましては調査の上計画的に修繕するという形で対応しているところでございます。
  252. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、十八年という一つの基準を置いての点検をしてきたということですが、建設省としてはこの点検作業について指導あるいは指針を示すなど、今まで行ってきた経緯がございますかどうか。
  253. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 住宅公団は、当然にその事業の中で賃貸住宅建設し管理するわけでご ざいますから、その賃貸住宅の管理ということは当然に安全の問題も含めて管理をしなきゃならないと思うわけでございます。  一般的に申し上げますと、建築物の所有者または管理者は、建築基準法によりまして建築物の適切な維持保全を行う義務があるということになっております。したがいまして、その場合に、建築基準法では定期的な検査をして報告するということになっております。したがいまして、報告の際にどういう検査をしたらいいかということにつきましては、外壁タイルの問題につきましては六十年の一月に外壁タイルの安全確保のための具体的な診断、改修方法を示した「外壁タイル張りの耐震診断と安全対策指針」ということでその検査のやり方等につきまして非常に詳しい指針を示しております。  公団の場合には、こういう建築基準法あるいは建設省の指針を受けまして、賃貸住宅の管理業務一つとして巡回点検業務実施要領、先ほど理事の方からお話がありましたような内容を含めまして外壁について定期的な点検を実施し必要な維持補修に努めてきたというふうに聞いております。しかしながら、今回の事故が発生したことは極めて私どもとしましても遺憾に感ずるところでございます。公団におきましては、先ほど申しましたような実態調査原因調査を十分に行っておるわけでございますけれども、その結果をもちまして、さらに学識経験者が事故原因の究明を行うというふうに聞いておりますので、建設省としましても、外壁タイル等落下物対策については、これらの勉強の成果、あるいは建設省としてもさらに専門委員会による検討を行うことにしておりますので、そういう結果を踏まえてさらに公団に対して適切な指導をしてまいりたいと存じております。
  254. 山田勇

    ○山田勇君 このような事故を契機として住宅都市整備公団は、全国の公団の建築物について調査、点検、補修などのあり方について見直しをすることを考えておりますか。これが第一点。  今後、高層化が進むと外壁とか看板などの落下事故が心配されますが、建設省としては、建築の段階だけではなく、建築後の調査とか補修についてどのように今後対応、対処していこうと考えておりますか。  この二点をお尋ねいたしまして、私の質疑を終わります。
  255. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 後段の今後の問題についての御質問に、私からお答え申し上げます。  このような事故が発生したことにかんがみまして、ただいま再発防止のための一定の建物についての緊急点検を実施しているところでございます。今御指摘のございました今後の点検の方法とか補修の方法をどうするのかという点でございますけれども、まず今回の事故の原因を究明する、それによって今後そういったようなものをいろいろな検討していく際の材料といいますか、そういうものにするということでございますが、既に公団といたしましては専門の機関に調査などを依頼しているところでございます。したがいまして、先ほどの御指摘のございました点検方法あるいは補修のあり方等につきましては、これらの結果を踏まえまして適切に対応、対処してまいりたい、このように考えております。
  256. 伊藤茂史

    政府委員(伊藤茂史君) 落下物の問題は、公団住宅だけでなくてほかの建築物も問題があるわけでございます。したがいまして、建築基準法におきまして、先ほど申しましたように、建築物の所有者等に対しまして建築物を建築後も、先生おっしゃいましたような建てた後の話でございますが、常時適法な状態に維持保全するということを義務づけております。  一定規模以上の建築物につきましては、定期的にその状態調査すると同時に、特定行政庁に対しまして報告するということになっております。特に、建築物の窓ガラス、外壁等の落下から人命の安全を確保することは極めて重要だということでございますので、六十年の一月に、先ほど申しましたように、外壁タイルの安全性確保のための具体的な診断、改修方法を示しました「外壁タイル張りの耐震診断と安全対策指針」を策定しまして周知徹底を図ったところでございます。  さらに、六十年の四月には落下物対策の推進についてということで通達を発しまして、特定行政庁に対しまして、特に大きな建築物が立ち並ぶ商業地域、あるいは地震の際の避難路もそうでございますが、そういう建築物につきまして、外壁でありますとか看板等の落下物による危険性を調査する。したがいまして、建築主が自分で診断するのではなくて、要するに特定行政庁側が調査するということをやらせております。外壁看板等の落下物による危険性を調査しまして、必要な改善指導を行うよう指導したところでございます。それ以来、毎年二回定期的に実施しております防災査察等を通じて落下物の調査と改修指導を推進したところでございます。  今般、北九州市で御指摘の事故が発生したわけでございますが、そこで一層の安全性を確保するために、外壁タイル等の落下による危険のおそれのある建築物につきまして、当該建築物の所有者等に対して先ほど申しました「外壁タイル張りの耐震診断と安全対策指針」等を参考に、外壁タイル等の状況を緊急に調査するよう指導するということで、その結果に基づいて必要な指導、改善を特定行政庁に行うように新たに指示を出したところでございます。
  257. 山田勇

    ○山田勇君 参考人に、最後に一問だけ済みません。  これは決して手抜き工事ではなかったということは言えますか。いや、まだ調査する段階であるのでまだわかりませんと言うか。その点だけ。
  258. 渡辺尚

    参考人(渡辺尚君) 先ほど申しましたように、現在、専門機関に調査等をお願いしているわけでございまして、その結果を十分踏まえた上でそういった対応等を考えていくべきだというふうに考えております。
  259. 対馬孝且

    委員長対馬孝且君) 本日の調査はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十一分散会