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1989-11-24 第116回国会 参議院 決算委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十四日(金曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  十一月二十二日     辞任         補欠選任      池田  治君     高井 和伸君      西川  潔君     下村  泰君  十一月二十四日     辞任         補欠選任      高井 和伸君     粟森  喬君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         千葉 景子君     理 事                 大島 友治君                 鈴木 貞敏君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 及川 一夫君                 刈田 貞子君     委 員                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 狩野 明男君                 鎌田 要人君                 木暮 山人君                 陣内 孝雄君                 西田 吉宏君                 福田 宏一君                 会田 長栄君                 大渕 絹子君                 菅野  壽君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 沓脱タケ子君                 粟森  喬君                 下村  泰君    国務大臣        運 輸 大 臣  江藤 隆美君        郵 政 大 臣  大石 千八君    政府委員        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省運輸政策        局長       中村  徹君        運輸省国際運        輸・観光局長   宮本 春樹君        運輸省地域交通        局長       早川  章君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       松波 正壽君        運輸省海上技術        安全局船員部長  田辺 淳也君        運輸省航空局長  丹羽  晟君        運輸省航空局技        術部長      中村 資朗君        郵政大臣官房長  白井  太君        郵政大臣官房経        理部長      木下 昌浩君        郵政省貯金局長  成川 富彦君        郵政省簡易保険        局長       松野 春樹君        郵政省通信政策        局長       中村 泰三君        郵政省電気通信        局長       森本 哲夫君        郵政省放送行政        局長       大瀧 泰郎君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        公正取引委員会        事務局経済部調        整課長      山田 昭雄君        総務庁行政監察        局監察官     菊池 光興君        防衛庁人事局人        事第一課長    太田 洋次君        国土庁計画・調        整局計画官    小坂 裕男君        国土庁土地局土        地利用調整課長  大日向寛畝君        国税庁直税部法        人税課長     栃本 道夫君        社会保険庁運営        部保険指導課長  佐藤 堅一君        郵政大臣官房人        事部長      桑野扶美雄君        郵政省郵務局次        長        早田 利雄君        労働大臣官房労        働保険徴収課長  加藤 輝雄君    参考人        日本国有鉄道清        算事業団理事長  杉浦 喬也君        日本国有鉄道清        算事業団理事   杉田 昌久君        日本国有鉄道清        算事業団理事   山口 良雄君        日本国有鉄道清        算事業団理事   前田喜代治君        東日本旅客鉄道        株式会社取締役  石井 康祐君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、江藤運輸大臣及び大石郵政大臣から発言を求められておりますので、順次これを許します。江藤運輸大臣
  3. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 当委員会へのごあいさつが遅くなりましたが、運輸大臣を拝命いたしました江藤隆美でございます。  運輸国民生活と密着しており、豊かで活力ある社会を築き上げていくために期待される役割はまことに大きいものがあります。私といたしましては、運輸行政の基本であります安全の確保に万全を期しつつ、運輸をめぐる多くの課題に積極的に取り組み、問題の解決に最大限の努力を傾けていく所存でございます。  特に、国鉄改革の大きな課題であります国鉄清算事業団職員の再就職対策長期債務処理対策には真剣に取り組む必要がありますし、新東京国際空港完全空港化も一日も早く実現しなければなりません。  いずれにせよ、運輸関係諸問題の解決には、委員長を初め各委員の御理解と御助言を賜らなければなりません。重ねてよき御指導と御助言を賜りますようお願い申し上げて、私の就任のごあいさつといたします。(拍手
  4. 千葉景子

  5. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 去る八月十日、郵政大臣を拝命いたしました大石千八でございます。  国民生活と極めて密接なかかわり合いを持つ郵政行政を所管することになり、責任の重大さを痛感しているところでございます。今後、所管行政推進に向け全力を尽くしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、電気通信放送分野につきましては、国際社会産業経済地域社会国民生活等それぞれの領域における情報化進展に対応し、適時適切な諸施策を推進するとともに、情報通信分野での先端的、独創的な技術開発に重点を置いて取り組んでまいる所存でございます。  また、郵便為替貯金簡易保険郵便年金事業につきましては、物流変革、金融の自由化国際化長寿社会進展等に対応するとともに、地域社会活性化にも貢献すべく、サービスの改善、充実に努めてまいりたいと考えております。  郵政行政最高責任者として鋭意これらの諸課題に積極的に取り組んでまいる決意でございますので、委員各位の格別の御指導と御鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。(拍手)     ─────────────
  6. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 委員異動について御報告いたします。  去る二十二日、池田治君及び西川潔君が委員辞任され、その補欠として高井和伸君及び下村泰君が選任されました。  また、本日、高井和伸君が委員辞任され、その補欠として粟森喬君が選任されました。     ─────────────
  7. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省郵政省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。     ─────────────
  8. 千葉景子

    委員長千葉景子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  10. 千葉景子

    委員長千葉景子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 喜岡淳

    喜岡淳君 運輸大臣におかれましては、公共交通確立の問題あるいは安全輸送確立、さらには清算事業団の問題についての力強い御決意を伺ったところでございまして、大変困難な事業でございましょうけれども、ぜひとも大きな成果を上げていただきますように心から御期待を申し上げる次第でございます。  さて、六十一年度決算の中におきましては、例の国鉄分割民営にかかわる問題が大きな問題であっただろうと思います。そこで最初お尋ねをいたしますけれども国鉄改革の三年目を迎えておりますが、進捗状況についてぜひお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  12. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) お答えします。  国鉄改革は三年目を迎えておりまして、おおむね順調に推移していると考えており、さらにその推進定着化を図っているところでございます。  まず、JR各社について見ますと、六十三年度決算につきましては、JR七社合計営業収益は前年度に比べまして七%増の三兆八千九百十二億円、税引き前の当期利益は七社合計で前年度に比べまして四二%増の二千二百七億円となっておりまして、六十二年度に引き続きまして六十三年度におきましても各社ともおおむね順調な決算状況となってございます。  このような決算は、国内景気が好調であること、また、青函トンネルとか瀬戸大橋の開通などの背景、これらを受けとめるJR各社国鉄改革の趣旨に沿いました営業政策の展開、健全経営実現への努力とが両々相まった結果であると考えております。  しかし、一方、国鉄清算事業団が抱えます現在の時点での二十七兆円に上る国鉄長期債務などは、その利子負担等によりまして現在のところは年々累増しておりまして、今後これらの債務を円滑に処理して国民負担をできるだけ軽減していくためには、土地売却促進とあわせてJR各社の株式をできるだけ早く効果的に売却して、その売却益を活用することが必要であると考えております。これらの国鉄改革課題解決するためにも、JR各社安全対策混雑緩和などの利用者サービス投資を進めながら、また同時に、安定的かつ発展性のある会社としての経営基盤の整備を急ぐ必要があると考えているところでございます。
  13. 喜岡淳

    喜岡淳君 ただいまの進捗状況説明の中で、非常に黒字といいますか、税引き後の利益が順調にいっておるという理由をいろいろおっしゃっておられましたが、私はその中の理由一つとして、採用定員割れによる人件費の節約ということも大きな要因ではなかったかと思っております。私は四国に住んでおりますが、四国の場合も非常に定員割れをしておりますので、かなり人件費が節約できたという指摘も必要ではなかったかというふうに思っております。  そこでお尋ねをいたしますけれども、ただいまのお答えの中で、長期累積は年々やはりふえておるという御説明でございました。その理由として、土地売却が思ったようにはいっていないのではないかというようなことでございますが、土地売却について値段が上がっていくから難しいのではないか。地価が顕在化していくということは国鉄改革議論したときに既に見通しができていただろうと思うんです。そういう意味では土地売却地価を顕在化させないでどうやって土地を売っていくのか、こういうことについてどのような御議論がされておるのか、少しお伺いをしたいと思います。
  14. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 今も申し上げましたように、清算事業団の抱える膨大な長期債務処理していくためには、清算事業団が持っております旧国鉄用地をできるだけ適切かつ早期処分する必要があると考えております。ただ、当初の計画どおり進捗しておりませんのは、現在の地価高騰等で、清算事業団用地については一般競争入札を原則としておりますが、なかなか地元との関係一般競争入札が行えないような状況にあり、当初の計画を下回った売却実績になっております。私どもとしては、今後土地売却促進するために、周辺の地価に悪影響を及ぼさない地域については公開競争入札を行うとともに、地価を顕在化させない種々の方法を講じて、清算事業団用地を一刻も早く適切に処分したいと考えており、既に土地信託方式等についてはこれを実現しておりますし、その他の方法につきましても現在鋭意検討しているところでございます。
  15. 喜岡淳

    喜岡淳君 大変難しい問題でございますけれども、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。  ただ、その際に、新聞報道などを見ておりますと、土地売却についてはどうも政府自民党の中で意見がまとまっていないのではないか、こういう指摘が行われておるように思います。これは新聞報道でございますけれども、見出しは「政府・自民 年内に返済計画」と書いてございます。橋本大蔵大臣三塚政調会長細田吉藏国鉄長期債務に関する特別委員長らは一般競争入札による用地売却の拡大を求めた、これに対し石井国土庁長官は慎重な対応を求めた、また渡部自治大臣もさらに検討していくべきだと消極的な発言をした、こういうふうに書かれておりますけれども政府自民党の中で明確な意識統一はできているんでしょうか。
  16. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 何せ二十七兆円に及ぶ長期債務を抱えた処理の仕方でありますから、さまざまな意見のあることはやむを得ないと思います。例えば、私ども汐留なら汐留というのを一般競争入札で売りたいという考え方を持っています。しかし、東京都、それにつながる自治省、あるいはまた国土総合開発の立場から今度は均衡ある発展ということで国土庁考えますと、それは随意契約でもって安く売ってくれよ、こういうことになります。したがって、若干の意見の違いのあることは私はやむを得ないと思っているんです。ただ、本筋において長期債務をなるべく早く処置 していくということについての意見の相違があるわけではありません。  私どもとしてもひとつ念頭に置かなきゃなりませんことは、例えば東京都の都心部においては全部規制がかかっておるわけですから、監視区域規制がかかっておる中で、それなら国鉄用地だけただ高く売ればいいのか、こう言われますと、それは全体的なやはり物の考え方から適当であるとは言えません。もろもろ意見を勘案しながら何とかしてこの債務の償還ができる土地処分方法考えたい、こう思いまして、着任以来、いろんな規制があることは承知の上で、一応事業団としてはこういうふうな処置をして土地幾ら金を生み出します、それから片っ方ではいわゆる株の処分をして、こういうふうにして負債の整理をします、こういう全体構想というものを明らかにする責任があるのではないかということで、今一生懸命徹夜をしてその作業を急がせておるところでございます。
  17. 喜岡淳

    喜岡淳君 運輸大臣におかれましては、建設大臣の御経験もあるということで、そういった方面については非常に経験といいますかノーハウもたくさんお持ちだろうと思います。私ども社会党としては、分割民営議論が行われた際に、対案として、土地売却に当たっては例えば信託制度の実施による、こういう方向も一つは提案をしてきたところであると思います。  これまた新聞報道で行われておるわけですが、やはり土地売却については地価を顕在化させない、これが大前提だろうと思いますが、一つ方法として不動産転換権つきローンというアイデアが検討されておるという報道が行われております。これについては大まかどのようなお考えなのか御説明いただきたいと思います。
  18. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 今地価を顕在化させない方法一つとして検討しておりますのに、今先生が言われました不動産転換ローンの導入というものがございます。これは、清算事業団が、その有する土地を対象に出資会社をつくりまして、この子会社が将来土地処分権に転換するということを前提とした低利の融資を受け、その資金土地清算事業団から購入する、このような方法清算事業団土地処分促進しようというものでございまして、いろいろの問題点を現在関係省庁等と詰めているところでございます。
  19. 喜岡淳

    喜岡淳君 地価を顕在化させないということが前提議論をされておるんだろうと思いますが、この不動産転換権つきローンにつきましてはこのような指摘も一方でされております。「投資家は「土地建物の将来の値上がり」を期待して子会社に貸し出しをするため、「地価上昇を見込んだうえでの方法で、結局は地価に影響を与える」との指摘もある。」、このような指摘も一方でされておりますが、この見解についてはどのようにお考えでしょうか。
  20. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 不動産転換ローンは、将来の土地の価格のみではなしに、そこで建物を建てる等の底地権等を総合的に評価してその価値を決め売却するということでございますので、今のような問題が生じないように制度的な面をさらに詰めたいと考えております。
  21. 喜岡淳

    喜岡淳君 最初の質問の答弁でございますが、JRのこの三年間の改革進捗状況について、順調に推移をしておる、こういう総括的なお答えがございました。私は、それほど順調に軌道に乗ったという判断はまだできるような時期ではないんではないかというような気がいたします。  例えば、株のことがいろいろうわさになっておりますけれども、その株の問題についても、「立法と調査」ことしの十月号、第百五十四号でございますけれども、どうもこれを読んでおりましても、JRの再建は順調に推移をしておるというのは評価が早いのではないかというようなことが書かれております。例えば、これから起こってくる問題として、安全の問題あるいは利用者に対するサービスの向上、労使問題の成り行き、あるいは四国とか九州北海道を中心にした経営基盤の強化、こういうものが果たしてどうなっておるのか。それから今も言いましたような土地売却等々、長期累積債務処理問題、こういったことを総合的に考えたときに、私はまだまだ順調に推移しておるというような判断は少し時期尚早ではないかと思いますが、どうでしょうか。
  22. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 計数上見たときに、全体の経営状況を見ると、税引き前に二千二百億の黒字が出た、こういうことですから、それそのものは計画より早かった、それが実現をすることが早かったから順調にまいっております、こういうことですが、例えば四国を見ますと、営業収入は四百三十七億です。それから営業費用というのは五百四十六億でありまして、実際からいうとそのままにしておったならば赤字が出る。しかしながら、これに対して経営安定基金からの援助が百五十二億あるわけですから、実際裸にしたら、例えば先生四国、私の九州、それから北海道というのは依然として営業収入よりその費用の方が余計かかって赤字体質であるということについては間違いがない。  その上に、これからますます鉄道の安全というのを図っていくためのその経費もかかってまいりましょうし、まだ労使関係が安定したといっても必ずしも万全であると言うことはできませんし、もろもろの問題を抱え、苦しみながら、関連産業等にも手を出して一生懸命努力をしておるという実は実態であります。そういう面が全体的にどうだと言われると、まずまずは問題抱えておりますが順調であります、こういうお答え審議官がしたわけであります。
  23. 喜岡淳

    喜岡淳君 続いて、清算事業団のことについてお尋ねをいたします。  清算事業団の再就職の法律もいよいよ四月一日を目前にして大詰めの時期に入っておりますが、再就職の例の雇用対策進捗状況について教えていただきたいと思います。
  24. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 清算事業団職員の再就職対策につきましては、国鉄改革に残された最重要課題であると認識しておりまして、政府としても全力を挙げてその推進に取り組んでいるところでございます。  国鉄改革時に再就職先が未定のまま清算事業団に移行しました職員は七千六百二十八人でございましたが、これら職員の再就職促進するために、職員個々の能力、希望に応じた教育訓練、一人当たり延べ六十二回の再就職のための職業指導、一人当たり延べ二十七回の就職先あっせん等清算事業団において実施します一方で、雇用情勢が特に厳しい北海道九州地域に再就職先未定者が集中していますことから、広域再就職が円滑に行われますように、子弟の転入学に関する情報の提供など、いろいろな面で援助措置を配慮してきたところでございます。その結果、JRにより実施された追加採用とか各分野の積極的な御協力によりまして、再就職先未定者平成元年十一月一日現在で二千二百十八人まで減少しております。  今後の再就職対策につきましては、平成二年四月一日の再就職促進法の失効に伴いまして再就職対策が終了する、つまりあと四カ月で終了するということを踏まえまして、去る十一月二十一日に清算事業団職員雇用対策本部を開き、そこで決定しました取り組みに従いまして再就職先確保に一層努力してまいりたいというように考えております。
  25. 喜岡淳

    喜岡淳君 二千二百十八名というところまできたわけでありますけれども、大変御苦労さまではありますけれども、ぜひ完全な再就職ができるようにお願いをしたいと思います。  この清算事業団の問題に関しましては、再就職の問題と関連をしながら、例の労使問題ということがよく新聞をにぎわしております。ほとんどの人が実際は国鉄労働組合に所属をしておる。この数字的なものも発表されておりますし、私は四国の香川県でございますけれども、つい先般も地方労働委員会においては国鉄労働組合主張が全面的に採用されて、不当労働行為であるということが明らかにされております。そういう意味では、 全国各地で次々に国鉄労働組合主張が認められております。  私は、昭和六十一年十一月二十八日の附帯決議、所属する労働組合によって差別は行わない、こういう附帯決議に沿って、ぜひ運輸省として労使紛争早期解決といいますか、そういう問題について強力な指導を発揮していただきたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  26. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 地方労働委員会からJR各社に対して不当労働行為救済命令が出ておることは承知しておりますけれどもJR各社はこの救済命令に対しまして、みずからの主張が受け入れられなかったとしまして、それぞれ中央労働委員会に対し再審査の申し立てを行っていると聞いております。これらの事案につきましては、今後中央労働委員会におきまして審理が進められ、当事者間においてなお係争中であるという状況でございますので、運輸省としましては今後の推移を見守ることが適当であると考えております。
  27. 喜岡淳

    喜岡淳君 時期が非常に切迫をいたしておりまして、冬が来て年末を控え、正月を控え、年度末、春の四月の子供の就職、進学、そういうことも踏まえておりますので、私らの田舎の方では、どうもあそこのお父さんは労使紛争などをやってと、そういううわさが広がれば、田舎の方は就職とか結婚とか、また新しい学校に上がっていくときにでもいろんなよくないうわさが立つというようなことがあるわけであります。そういう意味でぜひ、こういった地方労働委員会がはっきりした決定、命令を出しておるわけですから、附帯決議に基づいて運輸省としては強力な指導をやっていただいて、紛争が拡大しない方向で指導をしていただきたいと思うわけであります。  清算事業団について最後の質問でありますが、お答えをいただきたいわけでありますが、ひとつ運輸大臣には来年三月末までにぜひ全員の再就職をやり切ることについての御決意のほどを伺いたいと思います。
  28. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 去る二十一日に、総理を本部長とする雇用対策本部の関係閣僚と各省庁の事務次官が全部集まりまして最後の協議を実はしたわけであります。約束事でありますから、来年の三月三十一日までには全員の就職ができるように、私の方からは、特に総理からも各省庁に対して、ぜひひとつまげてこの中から、二千二百十八人ですから、御採用方の御協力を賜りたいと。一方では定員削減という中にあって定員を余計とれという話でありますから、なかなか話のしにくい面もありますけれども、事態がここに至っておるわけですから、それはそれとしてぜひ御協力を賜りたいと。それからJR各社も、逐次私は社長を呼びまして、そして今までの実態もよく聞き、先ほどの不当労働行為等の問題についても私も十分気をつけて聞いておるつもりであります。今後の受け入れについても改めて御協力を賜りたい。それから関連企業もそのとおり。それから各市町村、公共団体等に対しても改めてお願いをしたい。近く私は北海道にも行きますし、名古屋にも行って、それぞれ関係の皆さんにもそのことを直接にお願いしようと思っておるところであります。  したがいまして、ことしじゅうには最終的な案をそうした人々に示しまして、正月の間にひとつ御家族やら御親戚の皆さんとよく今後のことを御相談願って、そして一月の中ごろには一応締め切りをしたい、こう考えておるところです。  したがいまして、やはり私どもにも大きな責任のあることはしごく当たり前のことでありますが、就職は本人の気持ちもあるわけでありまして、それぞれの諸君がいよいよ最終段階に来たことを認識されて、自分自身もひとつ努力をして就職口を選んでいただくようにこいねがっておるところでございます。
  29. 喜岡淳

    喜岡淳君 次に、四国鉄道の問題についてお尋ねをさせていただきます。  まず、JR四国の問題でございますが、四国の複線、電化状況についての現状ですね、電化率、複線化率、これについて教えていただきたいというふうに思います。できましたら全国平均についても教えていただきたいと思います。
  30. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) JR四国の営業キロは八百五十六キロメートルでございますが、このうち複線区間は約五%の四十四キロ、電化区間は約一〇%の八十六キロでございます。これは、全国JR各社の中でも最も低い数字になっておりまして、全国合計でいきますと複線化率が三一%、電化率が五〇%となっております。
  31. 喜岡淳

    喜岡淳君 国土庁の方いらっしゃいますか。——四全総ではバランスのとれた国土の発展ということが言われておりますが、今お尋ねをしたところでは複線化率、全国平均が約三一%、JR四国は五%。電化率は全国平均五〇%、四国は一〇%。徳島県、高知県には複線、電化は一センチたりともないという状況であります。私どもが住んでおる香川県につきましてもつい二、三年前までは複線、電化はゼロセンチ、愛媛県も同じくゼロセンチでございました。四国に初めて特急が走ったというのはつい最近、一九七二年の出来事です。ほんの十七年前に初めて特急が四国路を走ったわけです。大都市部には新幹線が走り、リニアモーターのことさえうわさをされておりますけれども、私ども四国状況は今言ったような状況でございます。  私の香川県に初めてジェット機がやってくるのは今度の十二月十六日です。非常に遅いクリスマスのプレゼントでしょう。高速道路、これは全国の予定路線一万一千五百二十キロの中で供用中は四千四百三キロ、四国に至っては供用区間はわずか七十キロしかないわけであります。  こういう現状について国土庁の御意見を伺いたいと思います。
  32. 小坂裕男

    説明員(小坂裕男君) 御説明申し上げます。  第四次全国総合開発計画は、国土の均衡ある発展を図るために多極分散型国土の形成を基本目標といたしまして昭和六十二年に策定されております。  その中で、四国地方につきましては、四国の中央の山地により各地が分断され平地面積が少ないなど自然条件、あるいは交通体系の整備のおくれ、産業構造の変化への対応のおくれなどから、近年人口、経済等につきましては低いものがございます。今後につきましては、四国地域内の連携強化を図る、それから近隣各圏を初め全国各地との交流の活発化を図る、さらに四国の豊かな自然と恵まれた気候や地域個性に富んだ産業、文化を生かしまして、地域全体の発展を促すことが必要と、このように考えてございます。
  33. 喜岡淳

    喜岡淳君 産業、文化の交流とかいいましても、やはりこれは交通手段が不可欠でございますので、四国JRの複線、電化、交通後進地域としての四国の後進性をぜひ一日も早く脱却するために、電化事業促進化等々、大臣の御感想をぜひお聞かせいただきたいと思います。九州も含めてでいいですから。
  34. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私は宮崎県一区というところが選挙区でありますが、電化、複線化はやはり日豊線の長い夢でした。新幹線も一メーターもありませんし、高速道路も一メーターもない。したがって過疎地域が発生してくるという、言うならば発展途上国だと私は思っております。  この前、四国に私は関心がありますものですから、なぜ関心がありますかというと、建設大臣のときに、二十年間かかって四国の高速道路はたった十七キロしかできてなかったんです。明石海峡大橋や四国架橋をやりながら、肝心かなめのその高速道路が全くできないという状況にありまして、二十年かかってたった十七キロというのは情けないじゃないかということで、あの当時各県の知事さんたちに随分と御協力を賜ったわけでありますが、先般ちょうど休みの日がありましたから、徳島からずっと高知県に行きます鉄道を私はヘリで見てきました。私のところとやっぱり同じところがいっぱいあるなと思って、懐かしいような情けないような気持ちがいたしました。  先般また呉に参りました。海上保安大学に参り ましたものですから、またあそこの今治まで、時間がありませんでしたので、今治まで海上交通、それから沿岸のウオーターフロントの開発やら造船所の状況やら鉄道、道路の状況を見てきました。  しかし、やはり交通のおくれたところ、陸海空の交通手段のないところは、これはやっぱり取り残されていく。あれほど鳴り物入りで新産都市の指定を受けたけれども、新幹線のないところ、空港のないところというのは、土地だけはできたけれども依然として近代工業は立地しないということを考えますと、私はいつも運輸省の幹部諸君に言っておるんです、もう物の輸送というのが大きく変わってきたと。交通手段のないところには人々は住まなくなってきた。それから、運賃の高いところには産業は立地しないようになってきた。  それらのもろもろのことを考えると、航空行政、陸運行政、海運行政、我々運輸省というものが一つの日本の新しい産業の未来というものを念頭に置きながら、国の全体計画に沿って先導的な役割を果たしていく大きな責任がある、そういう役所にひとつお互い頑張ってなろうじゃないかということで、今一生懸命勉強をしておりますので、お気づきの点がありましたらまたぜひ何なりと御助言、御指導をいただけば大変ありがたいと思っておるところでございます。
  35. 喜岡淳

    喜岡淳君 交通手段の発達していないところにはなかなか人が住まない、産業もなかなか発達しないというのは本当にそうだろうと思いますので、ぜひ均衡のとれた国土発展のためにも、予算の都市集中的な投資よりも、やはり均衡のとれた予算の地方への投資の強化ということについて御要望をしておきたいと思います。  それから四国の地形の問題も一つあると思うわけであります。といいますのは、四国は非常に小さい島でありますけれども、地形、地理は非常に複雑であります。四国の真ん中を西から東にかけて中央構造線が貫いております。そしてその中央構造線のすぐ南側を二つの構造線が貫いておりまして、非常に交通手段が災害に遭いやすいというような状況になっております。  これはつい最近の出来事でございますけれども、ことしの秋に四国に台風二十二号が上陸をいたしました。割と四国は台風が多いんですね。台風が来て大雨が降ればどうなるかといいますと、がけ崩れが当然起きてくるわけです。JRの予讃線、香川県と愛媛県を結んでおりますが、このJR予讃線が台風二十二号のやってきた九月十九日午後六時八分、土砂に乗り上げて脱線をいたしております。この脱線した地域につきましてはノーマークだったというんです。といいますのは、四国の場合は今説明がありましたとおり約八百五十キロ余りのJR路線が走っておりますが、そのうち三十九カ所、二七・五%の区間がいわゆる大雨とか台風とかになりますとストップをするような規制区間でございます。四国鉄道の二七・五%の線路は規制区間に入っておるほど非常に危険なところであります。したがって、がけ崩れとか台風とか大雨が降ればもうどんどん鉄道がとまってしまうわけです。大きな事故も時々起きたりいたしております。  ところが、安全・災害復旧予算とかがけ崩れ防止の工事にはたくさんの費用がかかります。今大臣おっしゃったとおり、基金援助百五十二億円があるわけで、裸にしておったら大変なんだと。四国鉄道もいわゆる安定基金で運用がされておる実態であります。したがいまして、ぜひ経営基盤の弱い四国鉄道に対して、安全・災害復旧予算については優先的に国の役割でやっていただけますようにお願いをしたいと思いますが、その点どうでしょうか。
  36. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) JR四国鉄道につきましては、先生指摘のようにこれまでも多数の災害をこうむってまいりましたけれども、その大部分が豪雨や強風による落石、土砂崩壊、河川増水によるものでございましたことから、これまでも落石、土砂崩壊対策に重点を置いて進めてきております。安全の確保、特に災害の防止は鉄道事業にとりまして最大の使命でございますので、JR四国におきましても必要な安全・防災対策投資を行っておりますが、運輸省としても、JRが実施する鉄道防災事業につきましては、一般の公共事業の例に準じまして補助を行っているところでございます。  今後も、JR四国の置かれました地形、環境等を勘案の上、JR四国がこれらについて万全な対策を期すよう指導してまいりたいと考えております。
  37. 喜岡淳

    喜岡淳君 それでは続いて、今答弁の中にございましたが、安全の問題についての質問をさせていただきたいと思います。  たしか去年の十二月だったろうかと思いますが、十二月五日、JR東中野の構内で、普通列車同士が衝突をして死者二名、負傷者百十三名が発生したという事故があったと思います。この後、十二月八日の参議院運輸委員会におきまして安全問題が議論をされたというふうに議事録に残っております。この議論の中で当時の石原運輸大臣は、「今後とも安全対策にさらに万全を期するようJR各社を強力に指導してまいる所存でございます。」と決意表明をされております。この後一体どのような安全対策措置がとられたのかについて教えていただきたいと思います。
  38. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 昨年の中野事故にかんがみまして、JR東日本においては安全の総点検を行い、かつ必要な緊急区間についてはATS—Pという従来のATSよりもさらに精度の高いATSを導入する計画を定めて、順次これの導入を図っていきつつあるところでございます。ただ、残念ながら最近また、死傷者は出ませんでしたけれども、相次いで事故が起こっている状況であり、さらに私どもとしてはこれに対する対策を現在講じているところでございます。
  39. 喜岡淳

    喜岡淳君 JRの方にお聞きをいたします。  同じく昨年の十二月八日の参議院運輸委員会で、JR東日本の代表取締役社長住田社長が次のように委員会発言をされております。「安全の確保は最大の使命であり、社員が一丸となって取り組んでまいりました。しかし、このような事故を引き起こしたことにつきまして、社員一同深く反省し、改めて初心に戻り、二度とこのような大惨事を繰り返さないよう最大限の努力を払ってまいる所存でございます。」、こういう決意を表明されておりますが、東日本の中ではどのような安全対策が講じられてきたのでしょうか。
  40. 石井康祐

    参考人石井康祐君) お答えいたします。  まず冒頭に、最近常磐線におきまして幾つかの事故を起こしまして、多くのお客様並びに関係の皆様に大変な御迷惑をおかけいたしましたことを深くおわび申し上げます。  今先生お尋ねの件でございますけれども、東中野事故以来安全対策につきましては積極的に取り組んでまいりました。幾つかの例を申し上げますと、本年度から五カ年にわたる安全投資計画を策定いたしまして現在推進中でございます。先ほど運輸省からの答弁の中にありました新しい保安装置もその中の一つに入ってございます。また、総合訓練センターを設置いたしまして社員の教育の充実を図る、あるいは社員参加によります安全運動を現在展開中でございます。このようにソフト、ハード両面にわたりまして事故防止に取り組んでまいりました。弊社の本年の安全上のデータを見ましても昨年より減っている状況にありまして、私どもはこの取り組みの成果と実は感じておったところであります。  しかし、今回の一連の事故を起こしまして、私どもとしましては、重大かつ真剣に受けとめまして、早速作業方法の改善とか基本動作の徹底など、さらに事故防止に取り組んでまいりたいと思っております。
  41. 喜岡淳

    喜岡淳君 昨年の年末の大きな事故以来運輸省JRの皆さん方が事故防止のために大変御尽力をされてきたことについては心から敬意を表したいと思います。しかし、残念ながら十二月五日に死者二名を出す大事故が起きた後、十二月八日の参議院運輸委員会で大臣の決意表明がありまし た。  また、年が越えた四月十三日、長野県のJRで通学電車の正面衝突、負傷者百十八名の事故が発生をいたしております。原因は運転ミスと書かれております。その後六月には、これはJRそのものの責任を問うことは難しいでしょうが、踏切事故を契機にして列車がアパートのすぐ十メーター近くまで突っ込んできたという事故があったと思います。それから八月二十七日には、大阪の天王寺で快速電車が暴走、負傷者三十一名。しかもこの天王寺の事故につきましては七年前にも同じ構内で同じ車どめに激突、このときは九十三名が負傷をしたところであります。これも操作ミスということで大きく報道されました。  それから、今お話がありましたように、十月二十四日、JR常磐線で貨物列車の脱線事故。これは報道によりますと連絡にミスがあったと言われております。同じく十月二十四日、船橋市で電車同士が衝突。信号機見落としが原因と報道されました。同じく十月二十四日、この日三回目の事故で、松戸市のJR常磐線で誤って進入。ポイント切りかえのミスが指摘をされております。十一月十日にはJR勿来駅で列車同士が接触をする。このときは線路の間隔が狭くなっていた。しかも一年半前にわかっていたのにそのままにしておった。十一月十日に勿来の駅の接触があった後、十一月十九日ですか、「スーパーひたち」が煙を吐いた。新聞を読んでおりますと、床のところに、ひょっとしたら床を抜けて煙が上がってきたかもわからないと。こういう記事が毎日毎日報道をされているところであります。  こういった一連の事故についての原因といいますか、理由について、それぞれどのようなお考えをされているのか教えていただきたいと思います。
  42. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 今先生が挙げられました事故、連続しておりますことにつきましては、私ども大変遺憾に思っております。  踏切事故等で他に原因あるものを除きましても、JR職員の基本的な操作によるミス、点検のミスと基本的な確認のミスが相次いでいるところに私ども問題があると考えまして、現在JRの安全担当者とその原因の究明かつ今後の対策を検討しているところでございますが、内部的なマニュアルといいますか、ミスがあったとき、あるいは基準と違ったものを発見したときの報告の仕方、あるいは操作の仕方等の手続について現在のままでいいか等も含めて今後具体的な対応を考えていきたいと思っております。
  43. 喜岡淳

    喜岡淳君 内部で事故の原因についての調査が真剣に行われておるということでございますが、ぜひその原因追求について一日も早く結果を出していただきたいと思います。  ところで、これらの事故が発生をいたしておりますけれども、私は事故の発生についてはぜひJR社内で周知徹底をして注意を喚起するべきではないかと思うんです。その点についてどうでしょうか。
  44. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 安全は輸送の基本でございますから、JR各社におきましては社長以下全員が安全の責任者という気持ちで、このような事故のときには総力を挙げて原因を究明し、今後の対策を講じることが必要だと考え、私どももそのように指導していきたいと考えております。
  45. 喜岡淳

    喜岡淳君 そういう意味で周知徹底は非常に重要だということでございますが、私はここにJR四国社が出しておる報告、社報を用意いたしました。ことし一月までの社報がこちらであります。ことし二月の社報がこちらであります。これは後で見ていただければわかりますが、こちらの社報には事故が雑件として報告されて記載をされております。こちらにはそのようなものが記載されたものが一枚もございません。  今御答弁の中では、周知徹底しているんだ、それは意味があるという内容でございましたが、この出来事についてはどのように理解されるでしょうか。
  46. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 実は今初めてその社報のことをお聞きしましたので検討しなければわかりませんが、JR四国においても既に私ども安全の周知徹底、安全対策への取り組みについて指示しているところでございますので、社報以外で別途安全について周知徹底の方法を講じたかどうか、そのようなことを至急調べ、もし、かりそめにも安全の周知徹底が従来よりおろそかになっている面があるとしましたら、至急改善するよう指導したいと考えます。
  47. 喜岡淳

    喜岡淳君 この安全の問題につきまして、ここにアンケートがございます。  私は、いつも金曜日の夜六時三十六分の新幹線で東京を出て、夜中のうちに高松まで帰ります。そして日曜日は八時三十二分の高松発の夜行寝台列車「瀬戸」で上京してまいります。きょうも実は朝それで来たわけですが、いつも行き帰りはJRを使っております。なぜ使うかというと、私は安全、正確ということがJRだからと思って使っております。  ここにJR瀬戸大橋線を利用する人の車内でとったアンケートの結果がございます。これを見ますと、一九八八年六月二十日の調査と一九八九年六月二十八日の調査、一年間の変化がわかるわけですね。八八年六月二十日の調査では、JRは正確だ、安全だというのは二六%でございます。一年たったことしの六月二十八日、正確だ、安全だという声は三一%に高まっております。その間、去年の十月十八日にもアンケートが実施されておりますが、ここでは二八%でございます。  したがって、毎年毎年正確、安全に対する利用者の期待は高まりつつあるところでございますが、そういった利用者の期待に反するようなこれらの一連の事故が多発をしておることについて、どのように利用者に対して御説明をされるのでしょうか。
  48. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先ほども申し上げましたように、鉄道輸送の基本は安全にあり、安全がサービスの最大のポイントでもございますので、今後とも利用者の信頼を失わないように事故件数を一件でも減らしていく、大きな事故を起こさないという立場に立ってJR指導していきたいと考えます。
  49. 喜岡淳

    喜岡淳君 安全の問題についてこのような新聞報道が行われております。これは九月十六日の朝日新聞でありますが、余り事故が続くのでシンポジウムが行われております。一つのシンポジウムではこのような意見が出ております。JR東日本の松田常務はシンポジウムの中でこう言っています。「危ない、と思ったら列車を止めなさい、と副社長以下言ってきているが、なかなかわからないのかもしれない。安全確保は自分で考え自分でやるのが大事だ」、こういう発言をされております。それに対して、参加者の中からは、「現場の管理者は運転士ら個人の責任追及に厳しく、それがボーナス査定や処分につながっている」「公休や非番に出て行かないと安全に熱心でないと言われた」、このような意見が出されて、会社側の発言と現場で仕事をしておる人たちとの間にずれがあるということが指摘をされております。現場と会社幹部との間にずれがあるのではないか、これも一つ指摘をされておる点であります。  もう一つには、常磐線の事故の調査に当たった国労水戸地本の実態調査がいはらき新聞報道されております。これを読めば、分割民営後職場の人員配置が少なくなって、例えば電車のブレーキや車両を点検する仕業検査の周期が国鉄時代は四十八時間ごとにやっていたが今は七十二時間ごとの点検に終わっている、こういう声がつけられております。私は、安全問題については、やはり会社の方と現場で実際に作業に当たっている人の間でもっと親身になった話し合いをすることが必要ではないかと思うわけですが、その点はどうでしょうか。
  50. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先ほどお答えしましたように、安全問題は、社長以下現場の職員に至るまで全員が安全の責任者として自覚を持って取り組むことが一番重要であると考えておりまして、JRにおきましても会社の経営者、責任者と現場の職員が一体となって今後とも安全対策に取り組 むよう指導していきたいと考えております。
  51. 喜岡淳

    喜岡淳君 安全問題の最後でございますが、大臣にぜひ安全対策についての御決意を伺いたいと思います。
  52. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 近ごろ、以前のように酒を飲んで事故を起こしたというのがなくなってきたということだけ私はせめてもの幸いだと思っているんです。しかし、ごく初歩的な不注意によって事故が起こっておる。大体線路のないところに列車を運転するなどというこんな国は私は見たこともない話で、漫画にもならぬと思っているんです。それは経営者であろうが現場の一人一人の職員であろうが理屈にはならぬ、そんなことは。ですから、私はすぐに関東運輸局に命じまして、すぐに関係者を呼んで厳重に注意するとともに、原因の究明をしなさい、それから責任者も運輸省大塚審議官のところに呼びなさい、それから社長も私のところに呼びなさいと。いかなる弁解も事故が発生した後では理由にならぬ。輸送機関の第一は安全ですから、安全を抜きにしたいかなるサービスも成り立たぬ。  したがって、去る二十二日も、定期的にやることになっておるんですが、保安連絡会議も繰り上げて実施をして、ただいま御忠告のありましたようなさまざまなことを含めて、上から下まで一直線になって安全対策に取り組み、再びこういう事故の発生しないよう、私どもは監督官庁であるから、ただ言えばいいというだけのものではありません。出先の機関も通じて、我々も一生懸命にやる、現場もJR各社もそれから民鉄も、いわゆる私鉄も全部、自分のところは事故がなかったからいいということじゃなくて、JR各社それから私鉄含めて事故の発生を未然に防止する最大限の努力をしようと、こう取り組んでおるところでございます。
  53. 喜岡淳

    喜岡淳君 最後の質問をさしていただきます。  今大臣から安全輸送確立のために非常に力強い御決意をいただいたところであります。安全運転ができるように、ぜひJRの内部における労使の安定した状況をつくるために、附帯決議に基づく御尽力をいただきたいと思います。  最後に、運輸大臣の御尽力の結果、内部障害者に割引制度が拡大をされるという画期的な事態になっております。今まで運輸委員会でさまざまな決議がなされながらも、運輸省判断が求められておったところ、大臣が的確な英断ある決断をされたことに対して心から敬意を表したいと思います。つきましては、ぜひこの内部障害者の運賃割引については、JR会社の施策というレベルにとどまらず、ぜひ国として積極的にやっていくように厚生省に対しても大臣から御要望をいただけないものかと思います。  それからもう一つ割引の問題でありますが、急行料金については割引がされる。ところが、特急料金は対象外であります。私の四国では、高松—高知間に急行は一本走っているだけで、あとは全部特急であります。高松—徳島間は、急行はわずか一本、あと十一本は特急であります。高松l松山間に至りましてはすべてが特急でありまして、実は急行は一本も走っていないわけです。ですから、やはり時代の変化に応じて、特急料金についても割引をやっていくという方向で時代に即した対応をしていただければ幸いかと思いますが、最後にこの点だけお願いをいたします。
  54. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 今回の内部疾患者の割引につきまして、当委員会においても、また参議院の運輸委員会関係委員会、各党におきましても長年にわたっていろいろと御尽力をいただき、御声援をいただきましたことにこの機会を通じて厚くお礼を申し上げたいと存じます。  今回は、そうしたことを実は踏まえまして、内部疾患者二十九万の方々に、今まで身体障害者二百十二万人に対して行っておったと同様の割引制度を導入しよう、これはJRも民鉄も航空もと、こういうことにいたしましたわけであります。これにつきまして、実は精神薄弱者、それから難病患者、実は五十万ほどまだあるわけでありまして、これらの人々が言葉をかえますと積み残しになったような形になりましたわけであります。なぜかといいますと、実は精神薄弱者に対しましても、どこからどこまでかという非常に幅が広いということがあって、必ずしも法制上明らかでない。難病患者にしてもそういう面がありましたので今回は見送りにしたわけであります。  しかしながら、片一方では特急料金まで拡大するようにという御意向やら、あるいはまたほかにも私どもの扱っておるのでは傷痍軍人のものもあります。身障者もあります。そういう人たちが皆百一キロという制限を撤廃しなさい、特急にもやってくれ、そういう難病患者、それから精薄者と、こうなりますとこれは膨大な実は金が要るわけでありまして、先ほども申し上げたように、JRといえども実際は基金の援助を受けなかったら赤字経営がたくさんあるわけであります。それから民鉄でもさようでありますし、そういうところにも実は運賃は上げるなと言っておる運輸大臣が、今度は割引をしろという話でありますから、まことに胸を張って言えるような話ではありませんで、事務当局も随分とその点苦労してきたわけであります。  したがいまして、先般閣議においてこのことを報告いたしました機会に、これはもっともっと幅を広げて、そして皆さんが利用しやすくする。それから公平の原則ということを考えた場合には、もっと多額の犠牲を一方においては経営者に強いることになる。したがって、国会でも実は国鉄の無料パスはいよいよ国が金を出すようにしたわけですから、ひとつ運輸省だけではなくて、これからは社会福祉政策の重要な一環として厚生省においてぜひ御検討賜りたいし、また内閣においてもそのことに対するお力添えを願いたい、こういうことをお願いしてきたわけでありまして、これからも、それらの問題の残っておることはよく存じておりますから、実現のためにあらゆる努力を傾けていきたい、こう考えておるところでございます。
  55. 及川一夫

    ○及川一夫君 それでは運輸省関係から御質問をさせていただきたいと思います。  御質問をするに当たりまして、大変私は残念なことだというふうに思っているわけですが、けさの新聞で「なだしお」の問題が改めて報じられています。衝突時間のみならず沈没時間まで二分おくらす。清書ということになっているけれども、その「主張に強まる疑問」という形で報道されているわけでありますが、この問題はいずれにしても海難審判庁で扱っている問題ですから、ここに焦点を合わして質問をする気はございません。ただ、多くの犠牲者を出しているだけに、この種の問題が犠牲者のことを考えずに、安全運航の問題をどう確保するかという立場をとらずに、何となく自己保身のために作業が進められているという印象を与えることは、国民にとっても海上自衛隊にとってもプラスにならないと率直に私は思うのであります。  したがって、私からいえば、なぜこうした事故が起きるんだろうか、その起きる原因について究明をしていくことが非常に大事な問題だというふうに思いますので、そういう観点から大臣を初めとする運輸省の皆さんにお尋ねをしたい、こういうふうに思います。  まず一番先にお聞きしたいのでありますが、これは「なだしお」の艦長だけではなしに、海上自衛隊全体の艦長にも相通ずる問題でありますから、私は個人の問題だと思っておりません。制度の問題という観点から申し上げるのであります。  艦長さんは端的に言って、現在存在をしている船舶法の適用、つまり船長というふうに艦長を読みかえた場合に、そういう資格があるのかないのかということがまず一番先に疑問になってまいります。もちろん海上自衛隊そのものは防衛ということを前提にして潜水艦、駆逐艦、そういうものを操るわけですから、普通の船舶と違うということは前提に立っております。そして、自衛隊法でもどのように扱っているかということも一応私なりに知っているつもりではいるんですけれども、海上自衛隊のみならず陸上自衛隊、航空自衛隊、これらの人たちが、一般国民あるいは一般船舶、 一般の民間の航空会社あるいは道交法が、こういったものが今日の三つの自衛隊にどう適用されているかについてまずお尋ねをしておきたいと思います。防衛庁と運輸省にお聞きしたいと思います。
  56. 太田洋次

    説明員(太田洋次君) お答え申し上げます。  海上自衛隊の船舶につきましては、これは委員指摘のとおり、有事に際しまして我が国を防衛するという任務を負っています関係上、船舶の構造、性能、それからそれに伴いまして任務に応じまして船の操艦等、特殊性を持っていることは御指摘のとおりでございます。ただし、一般に海上交通する場合に、安全を確保するとか船を操る上での一般的な方法につきまして、いわゆる航法でございますけれども、これは一般の船舶と変わらないところがございます。したがいまして、一応自衛隊法におきましてさっき言った自衛官の特殊性から例外規定がございます。そこで、その例外規定に応じまして防衛庁の中の訓令におきまして、船舶の配員の基準に関する訓令、これにおきまして一般的に艦船に従事する者が負うべき技術資格等につきまして定めまして、それに基づいてやっておるというのが実情でございます。  そこで、先ほど御指摘の交通安全等についての教育も教育課程の中に共通するものはすべて織り込みまして、それについての教育を実施しておりまして、それに伴います、試験に合格した者について、実技とあわせまして十分な資格を有する者に資格証明を与えるというふうな手続をとっております。  そのほか航空機につきましても当然のことながら一般の航空機と違う点がございます。速力、それからもちろん戦闘を目的としたものでございますので、それに伴う特殊の操縦を要します。したがいまして、これにつきましても当然のことながらそれに伴う特殊性に応じまして部内の規定、訓令、航空従事者技能証明及び計器飛行証明に関する訓令ということを設けまして、それに応じましてパイロットにその技能を取得させることを制度化しております。そこで、これも船と同様でございますけれども、一般に平時に飛びます場合に他の航空機等の安全等もございます。そういう配慮がございますので、そういう点については、一般のパイロット同様の航空法規等についての知識を修得させるというようなことを部内の教育課程で十分織り込んでございまして、それについての教育も実施しております。  そういうことで、自衛隊の艦艇なり航空機なりそういうものが特殊であるからといって交通安全についての免除をされているというふうには考えておりませんで、それを十分に織り込んだ上で教育し技能を与え、それについての資格を与えているというのが実態でございます。
  57. 及川一夫

    ○及川一夫君 運輸省は同じですか。
  58. 田辺淳也

    政府委員(田辺淳也君) 海上自衛隊の使用する船舶につきましては、自衛隊法の第百十条によりまして船舶職員法が適用除外となっているということでございまして、これは船舶の構造、装備が特殊であるというようなこととか、その任務も海上防衛という特殊なものである、こういうことでございまして、一般の船舶を前提といたします船舶職員法の規定、これを適用することが難しいという考え方でございまして、そのようになっております。
  59. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま防衛庁の方からの御答弁があったとおりでございますけれども、自衛隊の現職の操縦士につきましては、自衛隊法の百七条第五項に定めるところによりまして、防衛庁長官が操縦士の技能に関する基準を定め、安全を確保するため必要な措置を講ずることとされております。それは、船舶と同様航空機そのものが相当な違いがあること、あるいはその業務の内容に違いがあること、そういったようなことによりまして航空法の今の関係の適用除外が行われたところでございます。
  60. 及川一夫

    ○及川一夫君 法律の適用の問題は私の認識とはもちろん変わらないんですけれども、もうずばり実態をお聞きしたいんですが、陸上自衛隊の場合に、自動車の運転をやる、あるいは大型の特殊車を運転するという場合に、特殊免許であるとか運転免許、普通免許ですね、こういったものは陸上自衛隊の皆さんは持っておられるかどうかということと、それから陸上自衛隊の方々はそういうものを持っておられるということになると、ずばり言って艦長である方が退官をして船長になりたいという場合に改めて免許をとらなくてもいいのかどうか。  それから、航空自衛隊の機長が退官をされて民間の航空機を操縦するという場合に改めて免許が要るのか要らないのか。この点についてはどうですか。この点は運輸省にお聞きします。
  61. 田辺淳也

    政府委員(田辺淳也君) 海上自衛隊の元隊員でございます方が民間の船舶に船舶職員として乗り組む場合には、やはり船舶職員法の規定に適合した海技免状を持っていなければならないということでございまして、こういう方々が海技免状をもし持っていないとすれば海技試験に合格しなければならないということになっております。
  62. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) 航空機の場合でございますが、自衛隊の操縦士であった方が退職後民間の操縦士となる場合につきましては、当然航空法に基づく操縦士資格を取得する必要がございます。
  63. 及川一夫

    ○及川一夫君 道交法の問題で、陸上自衛隊のお話、防衛庁の方、これはどうなっていますか。
  64. 太田洋次

    説明員(太田洋次君) 道交法の適用があります陸上自衛隊等が有します車両等につきまして、当然のことながらそういう免許を取得した者が運転するということになっております。
  65. 及川一夫

    ○及川一夫君 今のやりとりでおわかりのように、同じ自衛隊の方でも陸上自衛隊の場合には、それぞれ隊員であっても免許を持っていなければならない、こういう実態ですね。しかし船舶の場合には、艦長自身があるいは乗組員自身が船舶法で定められている資格要件というものを持たなくても要するに運航はできる。それからパイロットについても同じような立場で言われているんですけれども、確かに法文上、試験を受けなくとも採用できますよというのは、外国のパイロットといいますかね、外国の方を採用する場合にそういう免許を持っていればそれで終わりという条文はあるんですが、そのほかにはない。ところが、航空自衛隊の場合の自衛隊法による航空法等の適用除外というのは三十三条中十五条しかないんです。  つまり、私から言わしめれば、船舶でいう免許ですね、海技免許、これは船舶法全体が海上自衛隊の場合には適用しないとなってますから、資格からあらゆるものが全部適用除外になっている。航空法の場合には三十三条あるうち十五条が適用除外になっている。その適用除外の中には第四章でいう航空従事者という者は適用除外になっていないんですね。ところが船舶の場合には適用除外になっているから、船長になるには改めて試験を受けろとこう言われる。航空自衛隊の場合にも同じように免許を取得するために再試験を受けなければならぬ、こうなっているわけですね。しかし法文上はこれは適用除外にはなりませんよというふうになっている。適用除外はこれこれだと書いてあるものですから、それを当てはめていくと第四章の航空従事者の問題は適用除外の項にない、自衛隊法に。だから、私からいえば、逆に航空自衛隊のパイロットという人が自衛隊で認められて操縦をしていれば原則的にはこの資格を得たものと同じ、つまりそういう資格を得るだけの訓練をしている、運輸省もそれを認めることができるというふうに読みかえることが実はできるわけですね。  だから、一体これはどう解釈をすればいいのか。第一点として、同じ自衛隊員でありながら一方では免許を持たなければ動かせない。一方では、それぞれ目的が違いますから理由はわかるけれども、しかし免許を有するほどの訓練をしているかいないかという問題は一つあります。少なくとも法文上からいうと、船長に値するあるいは飛行機で言えば機長に値する、お客様を乗せて運航するという前提での安全運航の問題などに対する訓練というものは一体どうなされているんだろう か、十分それがわかった内容になっているんだろうかどうだろうかということを実は疑問に思うんです。  したがって、この辺になると防衛庁の問題でもあるかのようですが、安全確保をしなければならないという最大の責任を持つ運輸大臣が、こういう法文上の問題、それから訓練の内容の問題、それから現実に「なだしお」というものを通じて事故が起こったという問題、公海の方はともかくとして、国内の海上における運航問題に対する艦長の認識というものがどの程度であるのか、あるいはパイロットと言われる戦闘機やその他の操縦士の方々がどういう認識を持ってやられているのか。私の認識で言えば、航空法の関係はかなり厳密にやっているような受けとめ方を私はしているんですが、船舶に関する限りは全く拘束力がないというふうになっているものですから、こういう事故というものは何か安易さがあって起きたのではないかという気がしてならないんです。  したがって、運輸大臣にお聞きをしたいんですが、一体このままでいいんだろうかどうだろうかということです。自衛隊は自衛隊の任務がありますからそれはそうさせにゃいかぬでしょう。しかし、安全運航ということについても自衛隊の方は全く抜きだというふうなことにはならないと思いますね。そういう意味では私は、どうも法の不備がある、あるいは問題をとらえる認識において問題があるんじゃないかという気持ちがするんですけれども運輸大臣いかがでしょうか。
  66. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 法律家でありませんので、法律の問題はひとつ御勘弁いただくことにしていただいて、当初申し上げましたように、たとえ戦闘機のパイロットであろうともあるいは自衛艦の運航者であろうとも、一たん民間に行きますときは一般の国民と同じ条件でもって試験を受けていただく。それは、あれほどの戦闘機を操縦するわけですから高度の技術を持っておることは間違いありませんが、あれには人を乗せておりませんので、航空機は何といっても旅客の安全ということを大事にしますから、同じ条件でもってそれはやはりそれぞれの資格試験を受けていただく、こういうことだろうと思います。  私は実は、「なだしお」の事件が起こりまして、私の就任以前でありますけれども、就任して以来すぐにこの問題に取り組みました。  一つ大事なことは、海上保安庁がその原因を究明して公平に、何といいますか、いろいろな捜査をして、そして厳正な意味でその原因究明をして責任を明らかにするということが我々の一つ運輸省責任だと思っております。  それからもう一つは、海難審判において公平な審判をするように、これはいささかも政治的配慮があってはならない。  第三番目に、すぐに私はヘリで浦賀水道を見に行きました。それから船にも乗りまして事故の現場も見ました。あそこで一つの大きな原因というのは、港の大きさに比べて船の数が多過ぎる。それから最近は遊漁船が非常に多い。土曜、日曜となるともう無数に遊漁船がある。それはどこに集まっておるかというと、あの浦賀水道周辺にあります第一、第二、第三の御台場みたいなあれがありまして、私はあんなものは取ってのけられぬのかと言うんです。いや、魚釣りが多くて反対してだめだと。魚釣りも大事だろうが、人間の命の方がもっと大事だから取ってのけろと言うんですけれども、なかなかそう簡単に猫の子をのけるようにいかぬのだそうであります。  したがって、やはり海上交通センターを充実させまして、私は部長にも言っているんですが、衝突する前に何か信号を送って危ないぞと言えぬのかと言ったら、それぞれの通信施設がありまして、見てはおるんですけれども、なかなかぶつかるぞということをこっちから教えることができぬと、こう言っておりますが、海上安全の責任のある保安庁ですから、そういう安全は、ただ見ておるだけでいいのかどうか。いろんなことをまた技術的に私どもが研究する部分がたくさんあると思っております。  いずれにしても、海上の安全航行に関する責任運輸省にあるわけでありますから、私どもは、こういう事故が起こらないように周辺の条件を整備し、そして規則などで手落ちがあるとするならばそういう点は補っていくという方向で検討してまいりたい、こう思っておるところでございます。
  67. 及川一夫

    ○及川一夫君 大臣のお気持ちはよくわかるのであります。私も同じような気持ちを持っておるんです。ただ、とりわけ海上自衛隊について船舶法全体が何の拘束も受けないということはこれでいいんだろうか。少なくとも船舶法のこれとこれとこれとは海上自衛隊といえども平時にあってはやはり守っていかなければいけないということを明示していないところに問題がどうも隠されているようなのであります。  私も旧海軍の軍人を体験しています。江藤先生も恐らく体験されていると思いますが、軍人あって、それで何か国民全体の意思というのはある意味では無視された時代もあるわけですけれども、何となく軍人が偉い、軍隊が偉い、こういう時代で私も過ごしてまいりました。今は違うという前提に立ちながらも、航空自衛隊の方はこれこれが航空法によっていずれにしても適用されますよ、陸上自衛隊も道交法が適用されていますよと。そういう中で海上自衛隊だけがオール船舶法というものが全く適用されないということになりますと、気持ちの持ち方の問題それぞれ違うとは思うんですが、ちょっとした油断で、そこのけそこのけというふうになりはしないか。だから、安全運航という立場から、要するに国内におけるいろんな航路の条件によって、海上自衛隊といえどもかくかくしかじかのことは守ってもらいたい、適用するよというようなことがあってしかるべきじゃないか。  そういう角度から検討をして、海上自衛隊というか防衛庁に対して、そういう要求というか要請というものを私はなさるべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
  68. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私は、海上自衛隊がそのような思い上がりを持って業務を実施しておるとは思っておりません。それなりに隊員の諸君は国の守りのために日夜懸命の努力をあの荒波の中でやっておるものと私は思っております。したがいまして、船員法の適用は除外されましても、安全航行のいわゆる責務については海上自衛隊といえども免除されるものでないと心得ております。  したがいまして、今回の「なだしお」の事件がありましたときには、海上保安庁は、民間であろうが海上自衛隊であろうが厳しくその原因を公平に追求して海難審判にかける、こういうことをやるわけでありますから、これらのことについてもし意思の疎通の足りないところがあるとするならば、今後十分配慮してまいりたいと思っております。
  69. 及川一夫

    ○及川一夫君 実際に自衛隊におられる方、それからそれに関連して仕事をされている方、そういう行動を見守っている、あるいはまたふだん触れることのできない国民、こういうサイドから見ますと、なかなか理解できない問題も私はあると思います。したがって私は、少なくとも今度の事故がここから発生したというところまでは断定はいたしませんけれども、もう少し日常生活の中に溶け込んだ中での、要するに法律ということになるんでしょうから、そういう意味では船舶法が、職員になる、ならないということは、実際問題としてこの船舶法を適用される人たちの仕事の内容というのが「なだしお」の側でわかっていた場合とわかっていない場合によっても対応がいろいろ違ってくるんですよね。ですから、そういう問題なども含めて、そこまでいけば海上自衛隊における航行安全についての訓練内容というものはどういうものだろうかということをお聞きしなければにわかに断定はできないんですけれども、そういう点などについてひとつ我々も十分考えなければいけないというふうに思っておりますので、法の整備の問題を含めて私たちは取り組みをひとつ強化をしてみたい、こういうふうに思っていますの で、もしその必要性を考えましたら運輸省の方でも御検討をいただきたい、こういうふうに思っているところであります。  次の問題に入らしていただきます。次に国鉄清算事業団の問題について触れさしていただきます。  先ほど同僚の喜岡委員も触れておりますから数字的な問題は余り触れないでおきたいと思います。ただ、清算事業団の方からいただいた資料などを見てまいりますと、予算と決算は違うのはごく当たり前の話なのでありますけれども、例えば六十二年、六十三年それから平成元年、三年間の債務償還、一体どのぐらいお返しになったのかということ。それから、改めて財政投融資とか民間の借り入れということで予定されている金額がございます。この金額によりますと、私からいえば要するに二千二百億しか償還をしていないという数字になってくるわけなんですが、決算の方を見るともっとそれが下がるという形になっておりますので、過去三年間の償還の現状についてこれだけはちょっと事業団の方からお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。
  70. 杉田昌久

    参考人(杉田昌久君) 事業団債務でございますが、六十二年四月、国鉄清算事業団が発足した時点で予定されておりました事業団処理すべき長期債務でございます。  第一に、国鉄、鉄建公団等から承継あるいは負担いたします長期債務が十九・九兆円でございます。それからもう一つ事業団が将来にわたって支払わなければならない年金負担金、これの毎年費用の発生見込み額が五・七兆ございまして、合わせまして二十五・五兆円が見込まれていたわけでございます。  それで、事業団決算上の長期債務残高といたしましては、六十二年四月に国鉄債務等の引き継ぎ債務のうち十八・一兆円、これを引き継ぎまして、これがスタートでございます。その後、六十二年度中に津軽海峡線、いわゆる青函トンネル等の債務一・一兆円を承継いたしまして、その間、六十二年度に償還期を迎えたものにつきまして借りかえ等によります償還を実施したため、差し引き昭和六十二年度末時点の引き継ぎ債務の残高は十八・五兆円でございます。それから六十三年度には、本四備讃線、瀬戸大橋でございます、それの建設費等債務約六千五百億円の承継、負担がありまして、借りかえ等による償還を差し引きました六十三年度末の長期債務の残高は十八・三兆円となっております。  これに対しまして、事業団の新規債務というのがございまして、これらにつきましては実は六十二年十月十六日の政府の緊急土地対策要綱によりまして、非常に地価が高騰している地域公開競争入札が凍結されたことによりまして土地売却収入が予定どおり確保できなかった、こういう事情がございまして、当面借入金等で措置することにせざるを得なかったために、六十二年度末で一・九兆円、六十三年度末で三・九兆円と膨らんでまいっております。  したがいまして、引き継ぎ債務の残高を合わせました国鉄事業団決算上の長期債務残高は、六十二年度末二十・四兆円、六十三年度末で二十二・二兆円となっております。これらの債務残高に年金負担金等、将来費用の発生見込み額が四兆七千億ございます。これを加えますと、国鉄清算事業団処理すべき長期債務の総額は、六十三年度末におきまして二十六・九兆円と見込まれまして、このままで推移いたしますと今年度末には二十七兆円を超える状況となる、こういうふうに見込まれております。
  71. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうすると、ずばり答えとしては、ほとんど減ってない、債務は減ってないというふうに受けとめてよろしいですか。
  72. 杉田昌久

    参考人(杉田昌久君) 遺憾ながらそのようになります。
  73. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうしますと、次の問題としては、この大きな債務償還のための柱になっている土地売却状況ですが、これは、緊急措置法とかいろんなものが加わったことは十分私も知った上でですが、現状どうなっているんでしょうか。
  74. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 事業団が六十二年度に発足いたしまして、土地を承継してこれを処分して債務償還に充てるという役割でスタートしたわけでございますが、私どもそういう意味で諸般の準備を整えまして六十二年から全力を挙げて処分を進めているところでございます。  事業団土地は、まずいろんな権利関係がございますからこういうものを整理したり、あるいは鉄道施設がまだ残っているのがありますからこういうものを撤去したりあるいは移設したりというような準備を進めまして、特に大型の土地につきましては、地域との調整もございますので、いろいろな関係の方の御意見も得ながら土地利用計画をまとめた上で処分していくというような手続がございます。  それはそれといたしまして、六十二年からもう処分できるものは全力を挙げて処分してきたわけでございますが、先ほどお話ございましたように、地価問題との絡みが出てまいりまして、一部地価高騰区域について、これがかなりの土地の価格を占めているわけでございますけれども処分を凍結したというようなこともありまして、実際に六十二年度は予算が三千億ございましたが、これに対して千三百二十九億、それから六十三年度は二千四十一億、若干の施設も入っておりますけれども、これも含めましてこういった実績にとどまったということでございます。  ただ、ことしの二月からまた、その土地問題につきまして、関係方面の情報連絡を密にした上で入札を始めてよろしい、地価高騰区域についてもある程度地価に影響しないような手だてをとりながら入札を認めるというようなお話もございまして、監視区域内においてもことしから一部関係方面の御了解を得た上で入札を始めておりますが、まだほとんど件数は上がってないのが実態でございます。
  75. 及川一夫

    ○及川一夫君 そのぐらい土地が売られても、先ほどお答えがあったように、ほとんどマイナス分を償還してないと同じような状況に立たされているということなんですよね。そうすると、一体清算事業団としてどういう打開をしていくのかということが当然問題になってくるんでしょうが、昨年でしたか、いろいろと答申なるものが出ていますね。土地信託方式であるとか出資会社活用方式、あるいは建物土地売却方式というんですか、こういう三つの答申が出ておって、その中でとりわけ建物土地売却方式が清算事業団として採用されるとか、あるいは運輸省としてそちらの方に向いて具体化をしていきたいとかいう新聞報道が出されたんですけれども、現状はこの打開策についてどうなっているんでしょうか。運輸省でも結構です。
  76. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 事業団の抱えます二十七兆円に上る長期債務をこれ以上累増させず処理するためには、どうしても土地の適切かつ早期処分が必要でございます。私どもといたしましては、そのために清算事業団用地について公開入札、随意契約の拡大を図ることはもとより、ただいま先生が御指摘になりました大規模用地等の処分に当たって、地価を顕在化させない方法として清算事業団の資産処分審議会で提言されました中で、土地信託方式、建物土地売却方式については既に具体的な場所において検討を進め、その処分を進めているところでございます。その他の方式につきましても、それぞれの土地に見合った処分を行うために現在関係機関と詰めております。
  77. 及川一夫

    ○及川一夫君 この前、朝日新聞だったと思いますが、出ておりました建物土地売却方式というのは本決まりなんですか。それとも単なる課題で固まってないというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
  78. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 建物土地売却方式につきましては、現在数カ所において具体化すべく清算事業団で作業、手続を進めているところでございます。
  79. 及川一夫

    ○及川一夫君 ということは、これは報道どおり、本決まりとは言わないかもしらぬけれども、 もう具体化のために要するに作業をしている、具体化されるという認識でよろしいんですか。
  80. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先日一部の新聞報道されましたのは不動産転換権付ローンの土地売却方式でございまして、これにつきましては現在関係機関と検討しているところでございます。  建物土地売却方式と申しますのは、清算事業団の有します土地の上にマンション等の建物を建てて、建物土地を一体的に売却する方式でございまして、これはちょっと最近新聞で出ているかどうか私存じておりませんが、これにつきましては現在具体化を進めているところでございます。
  81. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうすると、今いろいろ答申で出ている問題があるんですけれども、これは運輸省の立場からいうとどういう特徴点を持つんでしょうか。
  82. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 本来清算事業団用地処分に当たっては、公開入札を原則とするところでございますが、最近の地価状況にかんがみまして、特に大規模な用地処分等におきましては周辺の地価に与える影響を考慮しなければならない、そのためには地価を顕在化させない方式をもって土地処分促進する必要がある、こういう観点に立ちまして、資産処分審議会の提言にもございますように、今申し上げましたいろいろな方法を検討し、かつ清算事業団においてそのような方法によって土地処分促進するように指導しているところでございます。
  83. 及川一夫

    ○及川一夫君 いずれの場合も土地そのものはどうなるんでしょうか。つまり、清算事業団が今持っておられるわけですね、出資会社活用方式とかあるいは土地信託方式とかいろいろありますけれども土地というものは、時期は別にして、もう清算事業団のものではなくなるというふうにこれは受けとめてよろしいんですか。
  84. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 先ほど申し上げましたように、清算事業団が抱える二十七兆円に上る長期債務の償還に充てる重要な財源が土地でございますので、土地売却してその売却収入を長期債務の償還に充てるという意味でございます。
  85. 及川一夫

    ○及川一夫君 ですから、十年後か十五年後か、いろいろな方式があるのでしょうが、いずれにしても旧国鉄土地は、民間に譲れば民間のものになるし自治体に譲れば自治体のものになっていく、少なくとも旧国鉄のものではない。したがって土地の売買には違いないというふうに受けとめてよろしいですね。
  86. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 最終的にはそのとおりでございます。
  87. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうしますと、今の事業団に対する法的な保証というのは、土地を売買しなさい、現金を得てよろしゅうございますよと、こうなっていますね。途中に、出資方式ですから株的な要素であるとかあるいは金を借りるとかいろんなことが出てまいりますよね。そうすると、今の事業団法の内容だけでできるんだろうか、事業団法の改正というのは必要ないんだろうかという疑問が出てくるんですが、それはいかがですか。
  88. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) ただいま具体化を進めております土地信託方式及び建物土地売却方式に関しては制度上の問題はございませんが、その他の方式につきましては、制度上問題があるかどうかも含めて現在検討中でございます。
  89. 及川一夫

    ○及川一夫君 その他の方式の場合の制度上の問題、要するに法律の改正が必要かどうかというのはひとつ具体例を挙げて言っていただけませんか。
  90. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) まだ検討中でございますので具体的には申し上げることができませんが、清算事業団法上でそのような方式が読めるかどうか、そのような問題について関係機関とも現在いろいろ内容を協議中でございます。場合によっては制度改正が必要ないという結論が出るかもわかりませんし、制度改正が必要あるという場合がございましたら制度改正について検討しなければならないと考えております。
  91. 及川一夫

    ○及川一夫君 それは当たり前のことなんですが、別にここで御発言になったから将来ともにそれが生きるという意味じゃなしに、例えばこういう問題点がありますよと。金を借りてくるとしても、低利であるとかあるいは十年がいいのか十五年がいいのか、そういうことを含めて建物つきで売るという発想。あるいは途中に管理会社を、子会社をたててそこにすべて預けて、そこが金を借りてきて、借りた金はいずれにしても事業団の方に払うが、この管理会社建物を含めて管理して、ある時期には全部売り払って、そしてみずからも措置をする、こういうことは正直言って事業団発足のときには余り発想されていない内容ですよね。たまたま検討してもらって答申という形で出てきているわけですから、それずばりを見ると、やはり何らかの法的な措置というか、変更というか修正というか、そういうものが必要なような気がするなという感じで私はいるんですよ。  ですから、そういう意味で、例えばこの方法でいけばこういう問題が出てくるというようなことは今でも言えませんか。
  92. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) それぞれいろいろな問題を持ってございますが、その問題というのは、金融上の問題というような法律改正と関係のないような問題もございますし、場合によっては法律上の解釈の問題に及ぶものもあると思います。ただ、清算事業団売却するという基本的な形態は変わりませんので、説明の上で複雑になっている部分は、むしろ出資会社等がどのようにその土地を将来また処分していくかというような運営上の問題を相当詰めなきゃならないことになるわけでございます。  しかし、さかのぼって、清算事業団法等について制度上問題があるかどうかは、今後検討していきます土地処分方式とも絡みますのでちょっと現在の段階では申し上げられませんが、今後そういう先生の御指摘のような点も踏まえてさらに検討を進めたいと考えております。
  93. 及川一夫

    ○及川一夫君 いずれにしても大変難しい大きな問題だという認識は私もしますが、今時点でそれ以上のことを言えないということであればやむを得ません。  次に移らせてもらいます。  これは本当は国土庁長官にもお伺いしたい点なんですけれども土地の問題、与野党を超えていずれにしても大きな問題になっているわけです。衆議院ではお決めになって、参議院の方で土地基本法の趣旨説明がされました。我々もまともにこの問題に取り組んでいくつもりなんですが、この土地基本法との関係です。  土地基本法自体は、まず土地問題に対する基本的な認識というものを変更することを含めて新たな観点でこの認識をひとつ改めようじゃないかという問題が一つ入っていると思います。それから、土地がいずれにしても売り買いによってどんどん高騰していくというのはよろしくない、何とかこれは抑えなきゃいかぬというか、むしろもっと下げねばいけない、そのためには公共利用といいますか公共性といいますか、そういうことを含めてこの土地基本法というものを決めていくんだ、こうなっているわけですね。そうしますと、ずばり公共性だ、こういうふうに言えるのは、国公有地ということがすぐ出てくるんですね、我々の頭の中には。この国公有地というものの売り買いをやっていいのどうか。国公有地ぐらいはそういう売買の対象にしないで国民生活とのかかわりにおいて利用し活用していくんだというふうになるべきじゃないかなという気持ちを持つんです。  そういう立場に立ちますと、国公有地というものの定義もこれまた問題にすれば問題になるんですけれども、どちらにしてもその土地基本法を今論議し決めようとしているものとの関係で言うと、基本法が決まる前と決まった後では、この清算事業団が持っている旧国鉄土地というものに対する認識を少し変えなきゃいかぬのじゃないかという気持ちを持つんですけれども、とりあえず国土庁にお伺いしておきたいと思います。
  94. 大日向寛畝

    説明員大日向寛畝君) お答えいたします。  国公有地等の利用に当たりましては、先生指摘のとおり、土地基本法案で示されました基本理 念に基づきまして土地利用計画を定めまして、当該計画に従って適正に利用されるべきものであると考えております。  国鉄清算事業団用地売却につきましては、第一義的には処分庁において適切に対処されるべき問題ではございますが、国土庁といたしましては、地価対策の観点から、また良好な住宅宅地の供給や社会資本の整備を図る上にも、公用、公共用に利用する計画がある場合にはそれを優先することが望ましいと考えております。いずれにせよ、個別事案に即しまして検討を行い、地価への影響にも十分留意しながら、関係機関とも連携を図りながら政府一体となって適正かつ計画的な土地利用が図れるよう努力してまいる所存でございます。
  95. 及川一夫

    ○及川一夫君 基本法の立場からいうと正確な答弁だと私は思います。  そこで、これは実際に現場を持っている運輸大臣にお聞きしなければならないんですけれども、例えば十一月の二十三日ですからきのうですね、用地確保東京都のどの区でも必死になっているという記事が実は出ているわけです。とりわけこの国会などがある千代田区などでは、年間三百億程度の年経常費ですから決して大きい自治体とは言えないわけです。しかし、何とか老人ホームというものが欲しい、そういう土地が欲しいということで物色をするんだけれども、とてもじゃないが土地の値段が高くて買えない、こういうことが訴えられ、そして具体化するなら東京都庁の力をかりてでも何とか実現をしたいということが背景にあって、別にねらい撃ちしたんじゃないと思いますけれども国鉄総裁の公邸跡地がぜひ何とかならないだろうかということでどうも折衝をされている動きが新聞に載っているわけです。  そうしますと、今国土庁の方が言われたように、公共的利用という意味が、あるいは国民生活とのかかわりで非常に重要だという場合には第一優先順位で考えるべきではないかというような答弁がちょっとあったのですけれども、この辺、余りちょっとリアルで申しわけないんだけれども運輸大臣土地基本法がいずれにしても成立をすれば、する以前とする後では違うわけでして、そのことを踏まえて、現実の問題で大変恐縮なんだけれども、こういう問題に対してどう対処されるのか。運輸大臣にお聞きしていいのか事業団にお聞きしていいのかということもありますけれども、ぜひ運輸大臣にお考えを聞かせていただけないかと、こう思います。
  96. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 土地がないものですから、各自治団体もあるいはその他の人たちも、わずかに残っている国鉄用地に対してやっぱり熱い眼を向けてくるということは、大変ありがたいような、迷惑をするような話であります。みんな高く売りゃいいと、こういうことですが、御説のように土地基本法も国会でできようというときに、地価に対する配慮がないという、それは心ないことをやるわけにもまいりません。借金は払わなきゃいかぬ、払い残したらば国民の税金で後始末と、こういうことになるわけですから、なかなかどっちつかずの非常に苦しい立場があって、今事業団でも苦労しているわけであります。  問題の国鉄総裁のもとの公邸跡というのは、私も行ってみましたが、大変いいところであります。記憶が間違っておったら失礼いたしますが、千坪以上あるのではないか。あそこに老人ホームをという話を聞きまして、私どものところはその一坪分ありましたら宮崎県あたりは豪壮な実は老人ホームができるわけで、やっぱり東京となると随分違うんだなと、こういううらやましいような気持ちもするんですが、事業団に申し入れはあったと私聞いております。しかし、あれだけの超一等地で、もうないところでありますから、それが一番いい使い道なのか、そのほかに御希望があって、もっといい使い道があるのか、社会性も考慮しなければなりませんから、それらを含めてただいま事業団で鋭意検討が進められておる、こういうふうに聞いておるところであります。
  97. 及川一夫

    ○及川一夫君 事業団の御判断にというお答えなんですけれども東京都内は私が申し上げるまでもなくどこへ行っても高いですから、なかなかもって自治体も大変だと思います。だからといって、自治体が抱えている生活との兼ね合いで、あるいはまた人間生活との兼ね合いで、やらなければならないものはどうしてもこれはやっていかなきゃならぬわけでして、そういう意味合いで言うと、この土地の問題というのは中央政府のみならず自治体を含めてどちらにしても考えていかなければならぬ問題ではないか。  私に言わしていただくならば、やはり国公有地というのは原則的に、売り払ってしまうというのではなしに、貸して管理をさして、そしてその収益でというふうにむしろやっていかないと、それこそ基本法でいう公共性云々という問題を私は貫いていくことができないんじゃないか。必ずぶつかるのは、私有権の問題だけがやはり基本法ができてもぶつかると思うんですね。ただ、基本法があるから今までよりは嫌だ嫌だという言い方が少なくなるか、少しは物わかりがよくなるかという変化はあると思いますけれども、基本的にはやっぱりぶつかるんだろうと思うんですよ。だから、そういう私有地との関係よりも、国公有地があるならばあるらしく、むしろそれをすべて国民生活のために提供していくというような発想に立たないと、土地基本法という問題を成立さしてその趣旨を貫いていくというのは非常に難しいんじゃないかという気持ちがいたします。  ただ、清算事業団にしてみれば、これは問題を解決しなけりゃならぬという課題があるわけですから、当然そっちの方はどうでもいいというふうにはなりません。したがって、よりよい案をどうつくるかということも一方では考えなければならないと思いますけれども、私たちもそういう立場からこの清算事業団の今の負債の問題についてはまともにひとつ考えていきたいと思いますので、できるだけ国公有地の利用については、売るよりも売らないで何とか利活用を図って事業団の負債のなくなる方法はないのかということを真剣にひとつ考えていくべきではないか、こういうふうに思っておりますので、そのことを結びとして、この問題について終わります。  次の問題として、公正競争のあり方の問題でお尋ねをしたいというふうに思います。  最近日本の物価の問題が論じられるようになりました。とりわけ先進国との関係において日本の物価はどうしても二倍あるいは場所によっては三倍というふうに高いと言われていますね。したがって、これも大きな政治的な課題として我々自身も取り組んでいかなければならない問題なんですが、幸いにもどちらかというと公共料金的なものがそれとなく値下げという話が出ていることは結構な話だと思うんです。  そういう観点から、運輸行政というか運輸事業というか、そういう立場から見て、過去三年間ぐらいの間にそういう値下げ問題というものが一体どの程度出ているんだろうかという点を、かいつまんでで結構でありますから、お話しいただきたいと思います。
  98. 中村徹

    政府委員中村徹君) 旅客運賃につきまして最近五年間で見たわけでございますが、いわゆる値下げ申請があった事例というのは航空関係だけでございまして、国内の航空運賃につきましては、昭和六十二年の十二月に、東京北海道の間を結びます四つの路線につきまして、それぞれルートがちょっと短くなったということが理由になりまして、千円程度でございますが値下げの申請がございました。  それから、本年の四月に消費税の導入及び通行税の廃止がございまして、通行税の廃止の方が大きいものですから、それに伴いまして値下げ申請が行われまして、いずれも直ちに認可をいたしておるところでございます。  それから国際航空運賃につきましては、急激かつ大幅な円高に伴いまして発生いたしましたいわゆる方向別格差を是正するために日本発の運賃の値下げというものの申請が出まして、これは逐次認めておるというところでございます。
  99. 及川一夫

    ○及川一夫君 非常に結構な話として受けとめはするんですが、しかしそれで今の公共料金全体を 洗ってみたり、あるいは公共料金に限らずいろんな職種の料金問題というものを考えたときに、現状これでよろしいという結論を出すには余りにも問題点が多いと思うんです。これは別に運輸業に限ったことではないと思います、日本国内のあらゆる産業の中でいい点、悪い点があるわけですから。  そういう前提に立ってちょっと公取委にお伺いをしたいんですけれども、ずばり言えば自由競争というのは一体何だろう。言葉どおりならば、例えば料金問題についての認可制度というのが必要なのか、必要でないのかというところまで議論がいこうと思えばいけるわけですよね。そういう意味合いで、いろんなところで談合しているわけじゃないんでしょうけれども、何となくどれをとって見ても同じ料金というのがあちこちに存在をしている。一体そういったところには自由競争としての競争の原理がどの程度働いているのだろうかという疑問を持つときが実はあるわけですね。  そういう立場に立ちますと、公取委が自由競争とか公正競争とか、そういうことをよく口にされるんだけれども、一体具体的にはどういうことを言っているんだろうかという疑問を持つものですから、公取委としてのひとつお考えを聞かせていただきたいと思います。
  100. 山田昭雄

    説明員(山田昭雄君) お答えいたします。  公正かつ自由な競争というのは一体どういう機能、働き等を有しているのかということに関連するかと思いますが、公正あるいは自由な競争ということを行うことによりまして、事業者の創意を発揮いたしまして事業活動を盛んにいたしまして、そしてこういったことを通じまして一般消費者の利益確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促すということ、これが自由かつ公正な競争のもたらす意味であると思っております。これは、私ども所管しております独占禁止法の第一条の目的規定に絡む問題でございます。
  101. 及川一夫

    ○及川一夫君 この種問題は余り抽象論議をしてもだめで、これはどうか、これはどうかといかないと本当は理解が深まらないと思います。そういう意味で言うと、決算委員会でやるべき問題かどうかというのは少し考えなきゃいけませんので、私はこの程度にしたいと思うんです。  ただ、冒頭、運輸行政の中で値下げということを具体的に実施したのはどれぐらいあるのでしょうかというふうにお聞きしたのは、この値下げという問題まで認可の対象にするというのはどうなんだろう。やっぱり政治の中で問題になるのは、物が値上がっていくということですね。それだけ生活負担になるわけですから、そういうものに対しては、一体そういう値上げがいいか悪いかということについて第三者の意見を含めて反映をさせないと混乱が起きてしまう。力の強い者だけが勝手に値上げしてしまうということになっては大変だという点では、これは認可の対象にしていくということは原則的によく理解できるわけですよ。  ところが、値下げということになりますと、日本経済へのマイナス影響と見るかプラスの影響と見るか、いろいろあるんでしょうけれども、あったとしても、そういう観点での議論が生じたとしても、値下げ自体はおおむね歓迎されるというのが常態なものですから、そういう意味で言うと、あらゆる産業ですけれども、この値下げということにまで認可の対象にするというのは、今公取委が言われた第一条の原則からいうと少しやり過ぎと違うかという気持ちを私は持つんですよ。  ですから、これは具体的な問題ですから答えられるかどうかわかりませんけれども、一応公取委として一体その辺はいかがなものでしょうか。
  102. 山田昭雄

    説明員(山田昭雄君) お答えいたします。  先生お話しのような、事業者が相互に価格等を協定しましたり、あるいは協定に加わらない、あるいはそれ以下の価格で販売しようというような事業者に対して圧力をかけていくというような問題につきましては、これは独占禁止法の問題になるわけでございまして、従来から私ども厳正に違反行為については取り締まりを行ってきているところでございます。  認可料金等の問題につきましては、主務官庁がそれぞれの所管法律をどのように運用するかという問題であろうかと思いますが、競争政策の立場から申し上げますと、先ほど申しましたように、事業者の創意をそれぞれ発揮させるということが非常に重要である、そしてそれを通じて一般消費者の利益確保していくということが非常に重要であるというように考えております。
  103. 及川一夫

    ○及川一夫君 この問題、日本の物価の水準が高いという問題も関連してこれから大いに大きな議論になるでしょうし、認可ということは各省庁にまたがっている問題ですから大きな私は政治問題だというふうに思います。したがって、これでこの辺は打ち切っておきたいと思います。  運輸大臣、私に関する限りは運輸関係については以上で終わらしていただきます。  郵政大臣、大変お待たせいたしまして申しわけありません。私も逓信委員でありますので、じっくりそちらの方でやれるというふうに思っておるものですから、ただ決算審査するに当たりましてこれだけはどうしても聞いておきたいということに絞って申し上げますので、お答えいただきたいと思います。  その第一点は、ヒルズ代表との会談の問題です。もう約一カ月ぐらい前のお話ですから、ちょっと時期的には必ずしも適切ではないような気もいたしますが、しかし話の内容としてはかなり継続をされておりますし、構造協議との関係も出てまいりますのでお伺いしたいと思うんです。  ヒルズさんのお話を聞いていると、電気通信市場の開放とかNTTの民営化あるいは国際調達、物品にかかわる問題では日本の政府の対応について高く評価をしておられる。自動車電話、移動通信ですね、それから第三者無線の問題では合意に感謝をされている。そして、物のついでかどうか知りませんけれども、衛星などについては日本でつくらずにアメリカのものだけ買えとは言わなかったけれども、つくるつくらないの問題はともかくとして、衛星についてはもっと買ってくれというふうなお話があったようにお見受けしますし、lSDN網に関連をするDSUですね、最終端末の問題、あるいは事業法でいう一種とか二種とか特別二種については撤廃をしろ、こういうお話がされたことを聞いているわけです。感謝とか合意に対しては何も反発する必要はないんですが、そのほかのことについては大石郵政大臣は、一応話は聞いたが、簡単に言えば、そうはいかないというお話をされたようにお聞きしているんです。  したがって、これからのいろんな問題に対する対応のこともあると思いますので、郵政大臣として、ヒルズ代表との会談についてどう受けとめられて、我が国では何を問題にすべきなのか、あるいは何をもって日米関係というものを通信というエリアから見て考えていくべきなのか、その辺についてひとつ郵政大臣にお伺いしたいと思います。
  104. 大石千八

    国務大臣大石千八君) ヒルズ代表との会談があってから大分日もたちますので、つまびらかに一つ一つを申し上げることはちょっとできませんが、代表が話をしている前提の中で、アメリカの議会も日米貿易問題に関しては非常にヒステリックになっているというような表現がございまして、私はそういった議会を背景にいろいろ物を申さねばならないというようなくだりがあったわけでございます。したがいまして、これは郵政省との問題だけでなくて全体の日米間の貿易インバランスといいますか、そういったことの一つ前提に立って郵政省との問題もいろいろやはり解決の一端にしていかなくてはならない、こういう認識をヒルズ代表が持っているというふうに私は思いました。  そういう中で、当然のことでございますが、日本の市場をもっと開放してもらいたい、電気通信関係のものを中心に日本の市場をもっと開放してアメリカのものを買ってもらいたいという中に、今ありました衛星の問題があり、衛星の問題というか、衛星を直接さらにもっと買ってほしいという話があり、あるいは今おっしゃったDSUの責任区分のあり方とか第二種電気通信事業者の区分 とか、こういったものに関しての話があったわけでございます。  当然その中でも最もアメリカが、ヒルズさんのときだけでなくてスーパー三〇一条の発動等とも絡めております衛星問題に関しましては、とりわけこちらも重要な問題という認識がございます。また、今後とも我が国の宇宙開発政策は宇宙開発活動を安定的に自在に展開する自主技術の確立にあること、それからCS4は技術開発の要素を既にあわせ持った衛星であること、つまりこのCS4を具体的にヒルズさんは指しているというふうに考えましたので、具体的にどれをということは言いませんが、当面のことであるとCS4が向こうの買ってほしい一つの具体的なものではないかというふうにこちらは推察をしたものですから、このCS4は技術開発の要素をあわせ持った衛星であるので当然技術開発をしていかなければならないことを我々としては主張いたしました。  それから、平成元年度末で利用される通信及び放送衛星八基のうち五基が既に外国製である、平成元年度は特にたくさん通信衛星をアメリカのも購入しているという実績があることなどをヒルズさんに説明をいたしまして、アメリカ側の理解が得られるよう慎重に対応していきたいということを考えながらそういうことを説明いたした次第でございます。  やはり我が国のそういった電気通信部門の技術開発をしていくということは、これからも我が国の電気通信政策といいますか、そういったものでは非常に重要な問題であるという認識は強く持っております。そのことはヒルズ代表にも伝えたところでございます。
  105. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうしますと、最後のくだりなんですけれども、今後も、まあヒルズさんに限らずということになりますかね、どちらにしても、衛星とか通信機器とかあるいは日本国内の通信事業そのものに対する注文というか問題点というか、そういうものはこれから先もさまざまな問題として出てくるという認識に立っておられますか。
  106. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 出てくるか出てこないかということをこちらから想像する——するといいますか、それは出てくることも当然あり得るという認識は持っているわけでございますけれども、我々としては方向というものは常に不変でございまして、こういった問題に関してアメリカ側がさらに我々にいろいろ要求をしても今までの姿勢を一貫して貫いていくということでございます。
  107. 及川一夫

    ○及川一夫君 今方向は不変であるというお話がございました。不変とは何かということになっていくと大きな話になってくるんですけれども、そこまでいかずに姿勢の問題として受けとめますと、じゃモトローラ社の問題は我々は一体どう理解すべきなんだろうかということが次の問題として実は出てくるわけです。これは経過がありますから、そして大石大臣が最初からこれまでずっと携わってきていませんから、余り郵政大臣郵政大臣というふうに申し上げるわけにはいかないのかもしれませんけれども、しかし内閣は継続性があるという前提ですからお尋ねをいたします。  このモトローラ社の問題は、もう電波が存在をしない、ないんだ、だからできません、こういうお答えがあって、MOSS協議ですべてもう終わっているはずなのに言われる筋合いはないということを二つの理由にして、絶対に妥協はあり得ませんと、こう予算委員会でも言われておる問題なんですよね。しかし、現実には、いろんな変形だということでそれはお話しになるかもしらぬけれども、モトローラ社が関東あるいは近畿、全国的に事業ができるということになったことだけは事実であるわけです。郵政省として、大臣を頂点にして、絶対妥協はあり得ません、ないんですからと、こう言うたものが、結果的にモトローラ社が入ってきてそれでお仕事をされる。一体電波はどこから持っていったんだろうと。何か今まで割り当てた中で使ってないのを寄り集めて渡したようなお話もあるんだけれども、しかもこれから先も何ヘルツか知りませんけれどもお渡しをするお話もある。  そこまで合意しているということになってきますと、一体郵政省の対応と、それから予算委員会や逓信委員会お答えになったこととの関係というのはどう整理をされなきゃいかぬのか。とりわけ逓信委員会でそういう意味の、まあ委員会が開かれなかったということもあるのかもしれませんけれども、こういう経過でこうなった、したがって答弁との関係はこうなりますのでひとつ了承してくれというようなことがあればいいとか悪いとか言ったって、それはそれで終わりですよね。しかしそういったこともされたという記憶もない。したがって、格好はいいけれどもやることは全部だましじゃないかというふうにこちらには映ってくるわけですよ。一体これでいいんだろうかということと、本当にこのモトローラの問題は先行きどうなるんだろうということを私は申し上げなければならぬわけですよ。  これは何もこれだけじゃないんですね、郵政大臣。KDDの問題でも同じだったんですよ、新規参入の問題で。どんなことがあっても新規参入、二社体制以上はだめだと、こう言われておった。しかし現実には三社体制になる。それも理由は、競争したらもうお互いに共倒れになるからと、こういう理由だったんですよ。だから絶対譲らないと、こう言ったのがいつの間にか譲っちゃった。だけれども、現実には始まったばかりだから倒産なんという話は出てこないけれども、本当に一体成り立っていくのかどうかというようなことを含めて考えますと、ちょっと郵政省の扱いは少し荒っぽ過ぎはしませんか、それから信頼を欠く関係になりはしませんかということを私は強く主張しておきたいんですが、いかがですか。
  108. 大石千八

    国務大臣大石千八君) モトローラ社の電話を云々の問題に関しましては、詳しいことは後ほど電気通信局長から答えますけれども、あのころは片岡郵政大臣のころでございましたけれども委員会でそのような議論があったことは私も承知しておりまして、周波数の割り当てはふやさないということを、及川委員の質問に対して片岡郵政大臣が答弁していることも承知しております。いろいろ詳しい技術的なことは後から森本局長が答えますが、その重要な部分に関しては周波数の割り当てをふやさないということは、その実行をそのままこちらはしているというふうに私は認識をしているところでございます。  なお、ちょっと先のことになりますけれども、いろいろ外国との問題、こちらの方としては重要な部分は当然主張してまいりますが、もし妥協できる部分があったら、こちらの姿勢を崩さないで、そういうことはお互いに模索をしていかなければならないことでございますので、日米関係の良好な関係を維持するためには当然そういう努力を一方でする。しかし、向こうから言われてこちらの方針を曲げてやるというようなことはやっぱり極力避けるように、そういう姿勢を貫いてきているということはモトローラ社の電話の問題でもやはり貫いてきたので、というふうに認識をしているところでございます。  新規参入の問題に関しては、私詳しいあれはよくわかりませんので、そういった点も含めて電気通信局長から答弁をいたさせます。
  109. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほどからお話のございます日本の市場の開放の問題については、先生御案内のとおり、六十一年からMOSS協議というものを行いまして、自動車電話については世界各国でいろんな方式があるんですが、アメリカの製品も日本で売ることができるようにするという配慮から合意をいたしまして、北米方式の技術基準の設定あるいは周波数の分配ということもやってまいったわけであります。平成元年の四月二十八日に至りまして、御案内のとおり、米国の通商代表部がいわゆる包括通商法によって、郵政省が北米方式の自動車電話システムについて東京、名古屋圏での接続使用を認めない、その点はMOSS合意の違反だ、こういう判定を出したわけであります。  我が国といたしましては、先ほどから大臣も触 れましたとおり、日米の話し合いであるMOSS協議の合意というものは誠実に実施をしておる、にもかかわらずMOSS合意の違反ありという判定がなされたということはまことに遺憾である、そういう前提では話ができないということも重ねて主張してまいったところであります。この主張、今回の自動車電話の問題というのは、私どもにいたしますればそういう意味で違反だということではないけれども、そういう前提ならば話ができないが、新たな主張だ、新たな要請だということであれば、これについて日米の良好な維持あるいは消費者の利益、そうしたことを考えて最善の努力をすべきだということもこれまた大臣の申したとおりでございますので、そうした観点からいろいろ折衝を重ねました結果、最終的には、新たな周波数はないが、首都圏、中部圏という問題になっておりますサービスエリアにつきましては、事業体としてこの部分を受け持っております日本移動通信という会社におきまして、この北米方式の自動車電話サービスの実施を可能とするという道を講じた。  それからもう一点、この最終決着の中身になりましたもう一点は、もともとこういう問題が生ずるのは、今の方式はアナログ方式、アナログの自動車電話でございますために、お互いに接続について円滑にいかないという問題がございますので、こうした問題の根本解決のためにはディジタル方式、これもできれば統一方式が望ましい、こういうことで新たなディジタル自動車電話方式の開発というものをやってみよう、この問題に関しても日米間で専門家の会合を開催することにしようじゃないかというようなことで、以上二つの内容を中身といたしまして六月の三十日に決着をいたした、こういう経過でございます。
  110. 及川一夫

    ○及川一夫君 経過はわかっておるんだけれども。結局言葉の端々を聞いていると、モトローラ社が直接やっているんじゃないから電波の割り当てもしてないし、モトローラ社が営業をしているというふうには思わないという、言葉は使っていませんよ、だけれどもずっと聞いていると何となくそういう受け方になるわけだ。だけれども、これは実際にモトローラ社が営業を始めるためにいろんな準備をしているし、移動通信の方だって具体的に中継基地をつくる、そのために新たに百億も金を出さなきゃいかぬというような問題を含めてなされているわけですから、我々から見ると郵政省が唱えてきた一地域二社体制という考え方ですよ。この種問題の競争をやらせるにしても、一つ地域で二社体制でやらすんだということ自体がもう論理として崩れているじゃないか。それなら私たちにもやらせてくださいという日本の通信業者の方もたくさんおられるのですからね。  ですから私は、この問題は一体どういうふうに措置をされるのか、貴重な電波ですからね、そういう問題を含めてもう一回基本から問い直すべきではないかという考え方を持つんですが、いかがでしょうか。局長、どうですか。
  111. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) この問題、基本的には、日本の通信機が世界じゅうに、とりわけアメリカにも大量に輸出をされておる、片やアメリカの方からは日本に向けての輸出がなかなか現実の問題として成果が上がらない、こういうことでございます。  私どもとしては、さっき申しましたMOSS協議でできるだけ日本の電気通信市場自体を内外無差別に、しかも透明性を持った形でいくようにというそういう基本を据えて、日本に入ってくる機器、いろんなそうした物品、これについては国籍を問わないといいますか、どこで生産されたものであれ、日本の市場の実情に合い、そしてまたその基準が消費者にとって使い勝手が悪いとか、あるいは消費者が迷惑を受けるかとか、あるいはネットワークに損害が起きないように、そうした一定の配慮をした上で、そうしたものに合致するものであれば、今申したような立場でこうした問題を扱う、これは日本がこれから先生きてまいりますためにはぜひともとってまいらなきゃならない、そういう基準だと考えておるわけであります。先ほど大臣申しましたとおり、そうした視点で今後とも対処をしていかなきゃならない。そして、そうしたことをめぐって個別、具体的にいろいろ問題提起がありますならば、そうした大きな原則に立ちながら、世界全体のいろんな秩序を重んじながら解決に向けていく、これは我々行政府でも努力をしなきゃならない目標でもあろうかと考えておるところでございます。  今申しましたように、この電気通信市場は非常にこれからの成長分野でございますし、一方いろいろ工夫、努力はいたしますものの、結果において各国からの輸出がなかなか伸びないという事情にございますから、日本としては基本に据えておる原則というものを十分内外に宣明しながら、具体的な個々の問題についてはできるだけ誠意を持って臨むということは大変大事な問題だと考えておるところであります。
  112. 及川一夫

    ○及川一夫君 この問題はあと逓信委員会等でやらせていただきます。  時間がもう迫ってまいりましたので、どうしてもお聞きだけしておこうと思う問題に入らせていただきます。  それは、郵政省としてのほかの諸官庁に対する出向の問題でございますが、事前に資料をいただきまして、郵政省からの出向者は六十一年度で五十名、六十二年度で五十一名、六十三年度で五十三名ということをお伺いいたしました。それで、それが間違いないかということと、もう一つは、出向先の問題ですけれども、衆議院から始まって消防庁まで十五カ所ということになっておりますが、例の退職手当法の別表ですね。退職計算するときに、ここへ出向してきたらその分は全部退職手当の計算の中に入れますという手当法があるんですが、その中に別表がありまして、財団法人や何か八十五カ所書いてあるんですが、そういったところには一切郵政省としては今のところ出向させてないというふうに受けとめてよろしゅうございますか。
  113. 桑野扶美雄

    説明員桑野扶美雄君) 省庁間の出向につきまして、先生が今お述べになりました六十一年度、六十二年度、六十三年度の数字はそのとおりでございます。  それから、退職手当法に掲げられておりますいわゆる公庫等への出向につきましては私どももやっております。六十一年度百十四人、六十二年度百十七人、六十三年度百二十二人でございます。
  114. 及川一夫

    ○及川一夫君 出されてきた資料の中には一切それが入っていませんな。じゃ、追加として理解してよろしいんですね。  公庫等から復帰した職員の退職手当の特例が適用される法人というのは八十五ある。それから退職手当法第七条の二の一項の規定に基づく施行令の九条の二、これは百三十七並んでいますけれども、ここにも行っておられるということですな。出向させているということですね。
  115. 桑野扶美雄

    説明員桑野扶美雄君) 先生から御要請のありましたときに私どもが受けとめましたのが、省庁間のみというふうに受けとめましたもので、御報告してないということでございまして、大変失礼いたしました。  公庫等、例えば簡易保険郵便年金事業団に始まりまして通信・放送衛星機構、宇宙開発事業団、こういうところに行っておりまして、先ほど申し上げた数字でございます。
  116. 及川一夫

    ○及川一夫君 そうしますと、出向という言葉を法律用語としてこれは使っておられますか、おられませんか。
  117. 桑野扶美雄

    説明員桑野扶美雄君) 出向という言葉が法律用語としてどこかに法律に出てきているかどうかというのは、ちょっと私今承知しておりませんけれども、とにかく省庁間で人事交流をやるということ、それに、今つけ加えましたように、いわゆる公庫等に役所から行っているというようなところまで含めまして出向ということにいたしますと、今申し上げたとおりでございます。
  118. 及川一夫

    ○及川一夫君 出向者は大体郵政省の場合には何年勤められて帰るということになりますか。常態で結構ですから。
  119. 桑野扶美雄

    説明員桑野扶美雄君) 特に原則があるわけでございませんので、個人とその目的によりまして 年数はいろいろあると思いますけれども、短いものでしたら一年、長いものでしたら数年ということになろうかと思います。
  120. 及川一夫

    ○及川一夫君 数年というのは五年ぐらい。
  121. 桑野扶美雄

    説明員桑野扶美雄君) 正確に最長五年があったかどうかという記憶はございませんけれども、例えば外務省に出向している者等は四年ということになっておりますので、その程度でございます。
  122. 及川一夫

    ○及川一夫君 出向させる場合の根拠規定はどういうふうに考えていますか。
  123. 桑野扶美雄

    説明員桑野扶美雄君) 根拠規定というものがあるかどうかというのは別なのでございますけれども、いわゆる政府といたしまして省庁間の人事交流を促進しようという申し合わせをしております。その目的は、他省庁の勤務というものが自分の経験になって、将来その人の経歴にも役に立つだろう、あるいはその省におきます、何と申しますか、他省庁との連携を確保するとか、あるいは郵政省の人材育成に役に立つとか、あるいは郵政省の有する専門的な知識あるいは技術を相手のところに供与するとか、そういう目的でやっておるところでございます。
  124. 及川一夫

    ○及川一夫君 いや、私は別に出向させることを反対しているわけではない、非常に結構じゃないか、やるべきものはやって、むしろそのことによってそれぞれが鍛えられることは非常にいいことだと思っているんです。ただ、問題を見ていきますと、行かれる方が一体何を根拠にして行っておられるのかという立場から見てみますと、国家公務員法が本法だとすれば、本法にはほとんどないんですね。そういうことをやりますよというようなことはない。そして退職手当の方の計算のところに、そうやった場合にはということで保障しているのが根拠規定のようなんですよ。まあそれでいいかどうかという、せっかくその気になって行くのにということもあるんですが、これは出向のあり方の問題などを含めて幾つか私問題意識を持っているんです。いずれにしても郵政省の実態ということで私は受けとめておきたいというふうに思います。  もう三分しかないのであります。したがって打ち切りたいというふうに思いますが、もう一つお聞きしたかったのは郵政三事業の六十一年から見てこの三年間の動向の問題であります。私もかかわってきておりますからおおむね実態は理解はしているつもりですが、結論として恐らくお答えは、自信を持って郵政事業推進しています、今後も大いに発展させる自信を持っていますというお答え、そしてまたそういう数字が並べられるだろうと、こう私も受けとめております。  そこで、決算を是認するかしないかの問題に郵政省だけがかかわっているわけじゃありませんけれども、最後になりますが、ひとつ郵政大臣から郵政三事業に対する今後の決意について一言いただいて終わりたいと思います。
  125. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 郵政三事業は、申し上げるまでもなく、もうずっと大昔といいますか、明治の初頭以来、地域に密着した事業として営々と実績を築き上げてきたところであり、また現代に至ってもそういった重要性はいささかも後退しておらないというふうに認識をしているわけでございます。またさらに、新しい時代にこたえることのできる、新しいニーズも生じてきているという意味におきまして、郵政省としてもこの郵政三事業をさらに地域の皆さんあるいは国民の利便にこたえられるように全力を挙げて遂行していきたい、このような決意でおるところでございます。
  126. 及川一夫

    ○及川一夫君 終わります。
  127. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ─────・─────    午後二時四分開会
  128. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、運輸省郵政省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  129. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 我が日本は、いわゆる長寿化社会、すばらしい長寿化社会を迎えまして、今高齢化社会を迎えての将来の見通しの中で、不安のない安定した生活設計を必要とする時代になったと私は思うわけであります。私の聞くところによりますと、郵政省ではこれらのニーズに対応するため、保険と年金を統合した生活保障商品、新商品を検討しているということをお聞きをするところでございます。この趣旨と内容について具体的にお伺いをいたしたい、このように思うわけであります。  我が国の人口の高齢化は今後二十一世紀に向かってさらに一層の進展が見込まれているところでございます。総人口に占める六十五歳以上の人口割合は、昭和十年に四・七%であったものが、昭和六十年には一〇・三%、これから先、平成二十二年、二〇一〇年には二〇%になると推計されておるところであります。およそ半世紀をかけて二倍となったこの比率が今後は二十五年で倍になる。すなわち我が国の人口の高齢化が今後二十五年間で今までの二倍の速さで進むわけであり、これに対応する施策は今から講ずる必要があると私は思うわけであります。  ここで、郵政省にお伺いをいたしますが、来年度予算において新規施策として国際ボランティア貯金というものを、新商品でございますが、大蔵省に対して要求していると仄聞するところであります。この趣旨と具体的な内容についてお伺いをいたしたいと思います。
  130. 大石千八

    国務大臣大石千八君) お話しのとおり、高齢化社会がこれからさらに成熟度を増していくということで、郵政省だけでなくて、政府としてその対策に取り組んでいるところでございますが、郵政省といたしましてもさまざまな諸施策を今講じているところでございます。  御指摘の国際ボランティア貯金も今、平成二年度の予算にぜひ計上してこれを実施したいということで財政当局と鋭意折衝中でございますが、この国際ボランティア貯金は、ただ単に高齢化社会ということだけのためでございませんで、むしろ国際化に役立てていくという意味で提唱しているところでございます。特に、ODA予算もふえつつはございますが、そのODAの果たしている役割に関してはいろいろ御意見もあるところでございます。そういう中におきまして、国際化の中で役立っていくそういうボランティア貯金を創設することによりまして、さらに郵政省としても資金的にもその国際化のお役に立てていきたいということでこの計画をつくっているところでございまして、現在ございます少額貯蓄の限度の枠以上のものに関しまして、これを貯金した場合には利子のうちの一定の割合を国際ボランティア貯金として積み立てをして発展途上国等の役に立てたい、これが趣旨でございます。
  131. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 我が国が世界経済の中に占める地位が高まるに伴いまして、我が国の国際社会に果たす使命、役割もだんだんと大きくなっていく、このように思うわけであります。我々は、経済大国だと言われる中の一員といたしまして、今現在ODAの拡充を図るなどその責務は十分に果たしていかなければならない、このように私は思うわけであります。そして、国民一人一人もこの自覚の上に立って、国際社会の一員として行動をしていく必要があるのではなかろうか、このように今や思うわけであります。  そこで、今世界で大きな問題となっていることに、開発途上国、この開発途上国におきまして飢餓問題や難民問題がございます。我が国はもちろん世界各国がこれらの国に対しましての手を差し伸べているところであります。  私は、今回当選してきた者でございますけれども、私は京都でございます。東京の赤坂に宿舎を持っておるのであります。友人が朝ジョギングをしておりまして、聞きますと、朝五時ごろ赤坂の辺を歩いておりましたら、ルンペンですか、たく さんのそういう放浪者がおりまして、飲食店から出てくる、人が手もつけていないようなステーキやらてんぷらやら食べながらボトルをかき集めて朝から一杯やっておる、こういうようなすばらしい光景というのか、そういうような光景を見る今我が日本だと。空からカラスが飛んできまして、手もつけておらぬショートケーキ、アルミホイルに入ったショートケーキを持ってカラスが行く。日本のルンペン、このごろ糖尿にかかっておると言われるんですけれども、カラスまで糟尿にかかっておるんじゃなかろうかなと思うぐらい飽食時代であります。先ほど申しますように、飢餓の国のことを考えると隔絶の感があるわけであります。  ちょっと調べてみますと、栄養不足や感染症で亡くなる子供たちが世界じゅうで一日に四万人、年間約一千四百万人、このようなユニセフの調べの私は資料を持っております。さらにまた、重大な栄養不足の状態にある人々、いわゆる栄養不良の状態にある方々が十四億五千万人地球上におられる、このように聞くのであります。昨年起きた自然災害で被害を受けた世界の方々は約三千五百万人。このごろ特に問題になっておりましたけれども、生命の安全を求めて国外へ流出するいわゆるボートピープル等の方々、これは約一千万人から一千五百万人。片方ではこういうような世界情勢であります。  こういうことを考えてみますと、今大臣がおっしゃいますように、我々は世界に対しまして経済大国だと言われる中で果たしていかなければならないのは当然だ。今おっしゃったとおりに、この施策がここで講じられる、こういうことでありますけれども、これによるとどの程度の金額が集まってまいるのか。さらには、この国際ボランティア貯金に対して協力をしていただく皆さん方に対しては何らかの形でおこたえをしていかなければならないんじゃなかろうか、このように思うわけであります。この点についてもう一度お伺いしたい。
  132. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 今先生からお話ございましたように、我が国の経済的な地位が高まってまいりますにつれて国際社会におきましても一層の貢献をすることが求められているところでございます。国民一人一人につきましても、国際社会の一員としての行動が求められているという状況になっているところでございます。  国際ボランティア貯金につきましての内容でございますが、預金者から利子の一部を寄附していただきまして、これを対外援助のために役立てていっていただくものでございまして、身近な郵便局において国際福祉への手軽な参加手段を提供することによりまして、郵便局、郵便貯金といたしましても国際社会への貢献に寄与していこうというものでございます。  それから中身でございますが、具体的な中身といたしましては、だれでも無理なく協力していただけるということでございまして、貯蓄性の高い定額貯金とかいうものではなくて、出し入れ自由な通常貯金を対象といたしまして、利子の二割程度を対外援助のために寄附することを郵政大臣に委託していただきたいというふうに考えております。  このような善意の貯金に少しでも報いるためにといいますか、配慮をするために、国際ボランティア貯金につきましては一般の預入限度枠の別枠としてほしいということと、それから寄附していただく利子、利子の一部につきまして寄附していただくわけですが、その部分につきましては非課税としていただきたいということでお願いしているところでございます。  それで、どれくらい集まるかということでございますが、先ほど申し上げましたように通常貯金を対象としております。その平均の残高は、六十三年末の数字で申し上げますと十二万四千円でございます。現在通常貯金の利子は一・九%でございますので、その二割を寄附していただくといたしますと、約四百八十円程度になるわけでございます。こういうことでございますので、利子の一部を寄附していただくことについて、先ほど申し上げましたように預金者の協力も得やすいんじゃないかというふうに考えているところでございます。ただ、寄附金の総額につきましては、どれくらいの人がこれに協力していただけるか、国際ボランティア貯金を利用していただけるか、現時点においてははっきり言ってつかめないわけでございますが、仮定でございますが、約三割の方が通常貯金の利子の二割につきまして国際ボランティア貯金として協力していただくといたしますと、約百億円という程度になるというふうに考えております。  先ほど申し上げましたように、これらにつきましては非課税とか別枠とかのほかに感謝状やバッジ等を配付いたしまして、その協力におこたえしていきたいというふうに考えているところでございます。
  133. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 時間の関係で、この点ももう少しお聞きしたいのですが、今の御答弁にありますように、こういう国際社会の中で、そういう協力をされる方々に対しましては一つの報いといいますか、そういう形をとっていただきながら、国民全体が互助の精神というものを培養していかなければならぬ、このように思いますので、今の御答弁に対しまして、私はこの商品に対しまして、さらにその施策に対して大変大きな期待を持っておるものでありますので、どうぞひとつよろしくお願い申し上げたいと思うわけであります。  時間の関係上はしょりますが、郵政省にもう二点ほどお伺いをいたしたい、このように思うわけであります。  科学が目覚ましい発展を遂げております。経済活動が活発化するに伴いまして情報手段も飛躍的に高度化し目覚ましい普及を今見せておるところでございます。民間企業では今企業情報システムや企業戦略情報システムなどを積極的に導入し、情報化による企業の体質強化を図っておりますが、郵政事業においてもこのような情報システムを大いに取り入れていくべきだと考えるわけであります。そのため現在具体的にどのような施策を進めておられるのか、またその効果についてどのようなお考えを持っておられるのか、この点が一点でございます。  もう一点お尋ねをいたしておきたいと思います。  情報の伝達手段は新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどさまざまな媒介体を通じて行われておるところであります。この中で郵便の今日まで果たしてきた役割も大変大きなものがあると私は考えるのであります。特に我が国経済の発展に伴い国民の生活も多様化してまいりました。郵便に対する需要も高くなってきていると思うのであります。郵便事業もこのところ順調に推移していると聞くのでありますけれども、今国民一人当たりの利用度を見た場合、他の諸外国と比べてみますとどういう状況にあるのかということが一点。また、国民一人当たりの郵便部数は外国に比べて大変低い、このように私は仄聞をいたしております。これらを伸ばしていくためにはいかなる施策を講じようとされておるのか。  この二点についてお伺いをしたい。
  134. 白井太

    政府委員(白井太君) 最初の方の情報機能の強化に関連いたしますお尋ねについてお答えを申し上げます。  これからの社会におきましてはそれぞれの企業情報機能を強化するということが企業として生き残っていくためには不可欠の事柄になっていると私ども考えております。特に私どもの郵政事業におきましては、全国あらゆるところに設置をいたしております二万四千という大変な数の郵便局、いわば拠点と言ってよろしいかと思いますけれども、大変多くの拠点を通じていわゆる郵政サービスというのを提供させていただいておるわけでありまして、ほかの企業以上にネットワーク機能を強化するということが大変重要であるというふうに考えてきております。  ところで、情報機能強化の現状でございますが、正直申し上げまして、今日までのところはどちらかと申しますと郵便とか貯金とか保険とかいうそれぞれの仕事ごとにネットワークをつくりま して、これで全国を結んでそれぞれのサービスを行ってきたわけでありますけれども、できることならそうした多くのネットワークというのをできるだけ一本化していくということがこれからは必要ではないかということで、統合通信ネットワークというようなことで、通信回線網をそれぞれの業務ごとにつくるということではなくて統一した回線網を使おうということで、六十二年三月からそのようなシステムを稼働させております。そのようなシステムをさらに機能の高度化という方向に向けていろいろと研究を重ねているところでございます。  なお、さらにその上に、それぞれの仕事のサービスという観点からだけではなくて、企業経営というような側面からもこうした情報機能というのを生かしていくことを考えていく必要があろうかというふうに考えているところでございます。
  135. 早田利雄

    説明員(早田利雄君) 郵便関係につきましてお答えいたします。  最初に御質問ございました日本の国民一人当たりの郵便の利用度でございますけれども、最近私どもの日本の郵便というのは大変伸びておりまして、六十二年度が百九十四億通ということで前年より七・一%、六十三年度が二百三億通でございまして四・六%というふうに順調に伸びておりますけれども、国民一人当たりの郵便物数という点で見ますと、我が国の場合に欧米の主要国よりまだまだ低いという状況にございます。ちなみに、一九八七年における我が国の国民の一人当たりの郵便物数は百五十九通でございまして、世界で第十五位ということになります。ちなみに、世界の第一位はスイスの六百九十七通、第二位はアメリカの六百七十九通ということでございまして、フランスは三百十二通で第八位、イギリスは二百四十四通で第十一位というような形になっております。  それで、我が国の郵便事業でございますけれども先生指摘のように将来まだまだ伸びる可能性を持っているというふうに思っております。  その理由といたしましては、八〇%のシェアを占めます企業から差し出される郵便につきましては、欧米主要国と比べましてまだまだ通信販売の今後の需要が見込まれますし、ダイレクトメールというようなものについての需要も見込まれるというようなことでございます。また個人間通信につきましても、現在のところ企業間通信に比べまして伸びは低くなっておりますけれども、今後とも伸ばしていきたいというふうに思っております。  ただ、今後電気通信メディアもいろいろ発展していく中で、将来にわたって先ほど言いましたようなそういう環境の中で郵便の需要を伸ばしていくためには、発展させていくためには、郵便の持っております特性と申しますか、現物がお客様の手に配達されるとか、記録性があるとか、あるいは非常に簡便に利用できるというような郵便の特性を生かしまして、お客様のいろんなニーズの多様化、高度化に応じたサービス改善を今後ともやっていかなければならないというふうに思っておりますし、またお客様の信頼にこたえる業務運行をやっていかなければならないというふうに心得ております。
  136. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 それじゃ運輸省の方に少しお伺いをいたしたいと思います。  近年に見る所得水準の向上や産業構造の変化等を背景といたしまして、交通運輸の面において高速性の志向が大変高まっているところであります。こういう中で、対応策の一つといたしまして、運輸省は今コミューター輸送の整備に努力をされているというふうに私は伺っているところであります。このコミューター空港の中でも、ヘリコプターを利用するいわゆるヘリコミューターであります。このヘリコミューターは、国際空港へのアクセスと短距離間の航空輸送手段として最適なシステムと私は考えております。  私の郷里は京都でございますが、大変細長いところであります。特に京都府の北部は道路交通網の整備が大変おくれているために、現在、大阪空港や近隣の空港を利用いたしますにも大変困難な状況にあるわけであります。この間まで私は地方議会におったわけでありますけれども、全国の議長会議で、また大体会合は東京であるわけでありますけれども、例えば会合で東京に集まる際、かつては北海道の議長さんが稚内におられた。そうしますと、稚内から札幌、さらには丘珠空港を経由して東京まで三時間で到着する。これに対して京都は、例えば北部の宮津市から東京まで来ようといたしますと、従来の今までのJR山陰線に乗り、さらに新幹線を利用して来ると六時間半かかるのであります。すなわち、交通輸送機関を利用した時間で考えますと、京都北部は全国で一番不便なところと言えるのではないかなと、こういうような感を持つわけであります。  今、関西国際空港が平成五年の完成を目指して工事が進められているところであります。京都府北部に生活する者にとりましては、これまでの不便を解消するためにぜひともこのヘリコプターによるコミューター航空を導入して、ヘリコミューター航空を導入し、それによって生活基盤及び産業の基盤の活性化を図ってほしいという強い希望があるわけであります。  そこでまず、このヘリコミューター航空の育成に対して運輸省といたしましては基本的なお考えをどのように持っておられるのか、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  137. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 交通網の整備に伴って新しい過疎地域が出てきたということが各地で私は見られると思っています。そのためにコミューター空港、それからヘリコプターによるコミューターヘリポート、そういうものが実は強く要請されるという時代になってきました。なかんずく、今仰せのように、関西国際空港ができますと、海の中にありますので、奈良県、それから京都、それらの地域においては当然それによる近距離輸送ということが問題になってまいるわけであります。  運輸省としましては、国際空港の整備に伴っての必要性、あるいはまた新しいリゾート地域の開発によって起こってくる必要性、それから取り残された、コミューター空港は無理だけれどもヘリコプターならば都市と都市を結べるという短距離のもの、いろんなものが実は全国で出てくると思います。  それらを地方自治体がやりますときには、NTTの売却利益から三〇%を融資する、助成していく。それから一般の民間の皆さんがやりますときには、これは日本開発銀行もしくは北海道東北開発公庫でもって資金の面倒を見て、これが充実を図っていく。これらのことを進めてヘリコプターの基地をあちこちつくっていく。ただ基地だけじゃありませんで、基地をつくるとなると環境アセスメントからの問題が出てきますから、今度は基地ではないけれども、必要なときにそのヘリコプターが離着陸できるような地点もひとつつくっていこうではないかということで、今新しいヘリコプター行政について取り組むと同時に、いろんな航空上の管制等の問題もありますから、それらもあわせて不便がないようにしていこうということで、今鋭意研究を進めておるところであります。
  138. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 大臣から大変御理解ある御答弁いただいて大いに期待をいたしておるところであります。これを設置するに当たりましてはアセスの問題が当然あろうと思いますから、その点はよく理解をいたしておりますが、希望を持ちながら大臣の答弁を聞かしていただいたところであります。  しかし、現実はと、こう考えてみますと、東京シティ・エアリンク、いわゆる空港から空港へ飛んでいるあれですね、これは利用率が極めて低位にとどまっておる、こういうことも片や聞くわけであります。この原因の一つは有視界飛行に限定されているためだ、就航率が低いということはそういう有視界飛行が原因だ、こういうことも一つだと言われておるわけですね。そこで、安全性の確保を基本としつつも、計器飛行方式を導入して運航の安全性と信頼性を高めていく、こういうことが必要じゃなかろうかなと考えるわけであります。この点をひとつお伺いをいたしたいと思いますが、事務局の方から御答弁いただけますか。
  139. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生の御指摘のように、シティ・エアリンクの就航率というのは確かにそれほど高くないというところにございます。その解決策の一つとして、先生の御指摘のように計器飛行方式を使ったらどうかということも当然私どもも検討しておるところでございます。  ヘリコプターの計器飛行方式の問題につきましては、現在国際民間航空機関、私どもICAOと言っておりますが、そういう国際機関においても検討中であるということに見られますように、世界的に見ましてもまだ具体的な基準が確立されておりません。現在の計器飛行方式は固定翼の飛行機について行われているわけでございますが、それをそのまま使えばヘリコプターの計器飛行も可能という意味では可能なのでございますが、せっかくのヘリコプターのいろいろな飛行特性が今の固定翼機を対象とした計器飛行方式では生かされないことになりまして、その効率性だとか経済性とか、そういったような面から問題が残ってしまうわけでございます。  それで、私どもの方は六十三年度から、諸外国の検討状況も踏まえまして、ヘリコプターの飛行特性に見合う計器飛行方式の導入の可能性、そういう問題について検討を行っておるところでございます。その検討に当たりましては、ヘリコプター専用の航空路の設定とか、当然その前提には航空保安施設の問題もございますので、一般的にどうこうというよりも、具体的に計器飛行の要望が出ている路線、今の東京シティ・エアリンクの場合もそうでございますが、そういうものを念頭に置いて進めていくのがよろしいかと考えておりまして、現にそういう方向で検討しております。
  140. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 次に、旧国鉄JR問題について少しお伺いをいたしたいと思います。  かつての国鉄JRとなりまして、旅客のサービスの向上や社内の活性化が図られつつありますことはまことに喜ばしいことだ。午前中もこの問題が出ておりましたけれども、私は角度が全然違います。この点につきましては利用者の多くの方々が大変歓迎をいたしているところだ、このように私は高く評価をいたしておるものであります。しかしその反面、民営化後の問題として、競合するような、中小業者の経営を圧迫するようなケースが最近あちらこちらで目立っておるのじゃなかろうかな、こう思うわけであります。  例えば具体的に申し上げますと、各駅に従来はキヨスクというような名前で売店がありました。最近ではそれ以外に、もう駅構内に所狭しと思われるほどJR直営の売店やその子会社のテナントが進出しており、従来の構内営業者に大変経済的にも商業的に圧迫感を与えている、また圧迫しておる、こういう状況である。こういう傾向はさらに旅行あっせん業者または建設業者部門にもあらわれていると聞くわけであります。やはりJRは大資本としての節度を持って関係事業者との共存共栄の道を目指すべきだと私は考えるのであります。大臣、この辺につきましての御所見をお伺いいたしたいと思います。
  141. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 当初、民営化をいたしますときに約二割余りの余剰人員をしょってもらったということもございまして、人員の適正な配置の面からあるいはそういうそしりを受ける面もあったかと思いますが、法律の趣旨からいいますというと、中小企業の事業活動を不当に圧迫したりあるいは迷惑をかけるようなことをしてはいかぬというのが、これはちゃんと決まっておるわけでありますから、あくまでもその点は限度を心得てそして適正にやっていくことがいいだろう。  少なくともJRの使命というのは人様を運ぶということでありまして、その人様の輸送にかかわるサービスというものの範囲を逸脱して著しく民間の分野まで踏み込んでいくということは慎むべきことであろう、こう思っております。
  142. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 最後に、都市周辺の市町村に都市化の波がだんだん押し寄せてくるわけであります。人口の増加に伴いまして自動車等による交通量も大きくなってまいる、従来の道路ではこれに対応し切れない、こういう状況が各所に起きるわけでありまして、そこで各自治体、市町村はこれを解決するために道路の拡幅を図り、またそれを実際に工事の中に入れながら今行っております。道路はでき上がりますけれども、前後の道路は拡幅をされながら、その途中にあります踏切が従来のままである。いわばひょうたんの食い切れたような形になってしまう。こういうところが随所で農免道路等含めまして見受けるわけであります。このことが原因で交通の停滞をもたらしておる、さらに不幸な事故を発生させておるということであります。  このような事態が生じた原因についてはいろいろ行政面であろうかと思いますけれども地域住民の利便の向上、停滞の緩和、交通事故の防止という大所高所に立って対策を急がなければならない、このように思うわけであります。この点について運輸当局のお考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。  この間も京都では、観光地であります嵯峨のJR山陰線のところで京都市営の市バスが両方が突っ込んでしまって、踏切で前へも行けず後ろにもバックできずというような状態で大変な問題が起きた事例もあるわけでありまして、この点につきましてお聞かせいただきたいと思うわけです。
  143. 松波正壽

    政府委員(松波正壽君) お答えをいたします。  最初に、先生の御質問に答える前に少し基本的な背景を御説明さしていただきたいと思いますが、先生も御案内のとおり、踏切道に関連して発生します鉄道事故のうち約六割が踏切でございまして、大変厳しい状況にございますので、我々の一つ考え方といたしましては、踏切事故を防止するためにはやはり踏切の数を減らすことが大事ではないかなと思っております。  そこで、第四次の踏切事故防止総合対策である内容におきましてもこんなことが書かれております。先生指摘の狭い踏切の拡幅などの構造改良あるいは踏切道の立体交差化、こういう事業にあわせまして近接踏切道の統廃合を進めていくということが大変大事である、こういうふうに指摘をされておりまして、この線に沿って、我々運輸省といたしましては、踏切の立体化とか廃止などをやっているわけであります。先生今御指摘のございましたような接続道路より幅員の狭い踏切につきましては、その道路整備に際しまして道路管理者と鉄道事業者との協議調整が必ずしも十分行われないまま道路側の整備が先行したことも一因ではないかと考えるのであります。  そこで運輸省といたしましては、立体交差化あるいは近接踏切道等の整理統合といった周辺地域の踏切の総合的な整備推進について、道路管理者を初めといたしますところの関係者の御協力と相まちまして、御指摘のような狭い幅員の踏切につきましての構造改良による対応が適切に行われますよう鉄道事業者を指導してまいりたいと考えております。
  144. 西田吉宏

    ○西田吉宏君 終わります。
  145. 岡野裕

    ○岡野裕君 きょうの私ども会派にいただきました割り当て時間は六十分であります。ただいまの西田先生の御質疑に続きまして、残り時間をちょうだいして若干の質問を郵政大臣その他郵政省の皆様にいたしたい、こう思いますのでよろしくお願いいたします。  まず最初に、災害通信の関係であります。  去る十月十七日でありましたでしょうか、海の向こうはサンフランシスコで大きな地震が発生をいたしました。あのベイブリッジの橋脚が倒れるというような惨状につきましては新聞、テレビで多くを耳にし目にしているところでありますが、この種災害に伴いますところの通信回線の途絶、それに伴うところの情報混乱、この点につきまして私どもは余り情報を得ておりません。郵政省としてはこの面について調査をなされておいででありましょうか。また、おわかりでありましたら実態等を多少御説明いただきたいと思います。
  146. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先生指摘のサンフランシスコ大地震につきましては、現在政府の調査団が派遣されておりまして、そこには私ども郵政省からも通信の専門家という形で現在いろいろ 調査を行っております。  御指摘のとおり、通信というのは、災害が起きましたときに災害状況が現実にどうなっているか、どういう復旧対策が必要かといろいろ情勢判断をするに当たって、それからまた人心の混乱を安定させるという意味でもまた大きな役割を果たすわけでありますので、私ども大変関心を持っておりまして、ぜひひとつさらに大勢の専門家を派遣したいものだと考えておるところでございます。我が国の役に立てるということもございますが、この種災害に対する対応というのは大変世界的にも有用なノーハウだと、そういう視点で現在いろいろ比較をいたしておるわけであります。  被害状況でございますけれども、通信の関係は、サンフランシスコの地域における交換器の非常用電源が故障したということで一部停止があったり、あるいは交換器を入れてある電話局でございますが、こういう建物が一部損壊したりという程度の被害は出ておりますものの、通信設備全体としての被害というのは比較的小さいと聞いておるところでございますが、詳細は今申しましたような形でこれから研究してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  147. 岡野裕

    ○岡野裕君 情報関係の混乱がサンフランシスコでは比較的少なかった。まことに同慶の念にたえないわけでありますが、一般的にこの種の対策としましては、一つは地下埋設のケーブルの保全でありますとか、あるいは安否を気遣う通信電話が非常にふくそうするだろう、そういうような意味合いで緊急の資料を収集し、あるいは指令を伝達する、その面のトラフィックを確保しなければいけない、このハード、ソフトの両面にわたって対策を講ずるべきだ、こう思うのであります。  今回私どもの会派の坂野重信前自治大臣が早速サンフランシスコに飛ばれたようであります。サンフランシスコでは、ボランティアといいますかアマ無線の活用というようなことで多くの評価を得ているようでありますが、やはりアマ無線の活用というよりは、我が国におきましては国土庁等を中心とする防災施設あるいは地方公共団体のネット網等もあるわけであります。そういう意味合いでは、どのような態勢をこの種の災害に対しては郵政省は講じておられるのか、いわゆる揺れる地震の中にあって揺るぎない対策の自信、字が違うわけでありますが、自信がおありかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  148. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) ただいま現地の通信設備は、比較的設備の損壊自体は少ないと聞いておりましたが、ただやはり安否を気遣う通信が相当殺到いたしたためにその地域の通信全体が十分機能しなかったと伺っております。日本からかけました国際通信もやはり相当ふくそうしたということでございます。そういう状態を十分想定した上で、なおかつネットワーク自体が損傷を来さないようにやはり御指摘のとおり万全を期すということは大変大事だと思っております。  我が国におきましては、まず第一に、他人の通信を媒介いたします通信事業者、ここがしっかり態勢をとってもらわなきゃならないということで、これは電気通信事業法という法律でさまざまな技術基準、つまり地震が起きることを想定いたしまして、我が国は幸か不幸か災害においても先進国の中で珍しいほどのいろいろ実績もあるわけでございますので、そうした意味でいろいろな設備について、交換設備についても予備の機器を設けるとか、あるいは予備の回線を設けるとか、あるいは異常にふくそうしてまいりましたときには通信回線は弾力的に制御できるようにするとか、さまざまな必要対策を講じております。  せんだってのことでございますが、五十九年のことになりますが、世田谷の電話局でケーブル火災が発生いたしましたが、そうした意味で、これを教訓といたしましてNTTでは全部に不燃化対策を講ずるという措置も進んでおるところでございます。  同時に、事業者に対しまして、我が国で電力、ガスあるいは鉄道とかそういう公共事業が、これはまあ公共的役割もあるわけでございますので、郵政省において優先して電波割り当て等を中心とします通信回線の割り当てを付与いたしておるわけでありますが、ここでもこうしたネットワークが災害時に大きな意味をなしますので、単に自社の通信のみならず、災害時において完全に電力等を初めとする通信が途絶するということになりますと社会的混乱が起きますので、これに対するさまざまな地震対策を中心とします災害対策の規定を、具体的には情報通信ネットワーク安全信頼性基準という約百五十五項目の具体的な対策の指標を設定してこの管掌に努めておる。  さらにもう一つ、公共機関としては御指摘ございました国土庁、消防庁、地方公共団体、さまざまな防災機関に対しまして電波を優先的に割り当てて防災のためのネットワークの構築を行っている。  概観申し上げれば以上のようなシステムになって、万全を期そうということになっておるところでございます。
  149. 岡野裕

    ○岡野裕君 電気通信の対策につきましては十分自信がおありだというような御答弁に伺ったわけであります。  建物が地震で崩壊をする、それに伴って大きな火事が出てくる、これが一次災害、二次災害でありますが、一番おっかないのは、情報不足によるところの言いますならばパニック、これが大きな問題だと思うわけです。ところが、電気通信回線がふくそうしてしまうということになれば、一般的に同報的な施設が完備をしていなければならない。電力さんは、配電施設が懐われてしまうということになれば、電気がとまっちゃうとテレビが見れない、もうラジオしかないのじゃないか、こう思うわけです。そのラジオを使っての緊急避難命令、これがサンフランシスコでも十分活用されたと聞いているわけでありますが、我が国においてはアメリカと適って、民放ではない公共放送であるNHKがある。あるいは民放も百五十六社を数える。非常に放送設備、チャンネルが多いわけでありますが、やはり報道あるいは放送の内容ということになりますと、所管郵政省としてはなかなか中身に入っては指導ができない、こう思うわけであります。  しかしながら、パニックの中で何とか避難をしなければならないという一般住民からすると、その報道、緊急避難命令等の情報が区々にわたるとこれはかえって混乱をするのではないか。NHKの放送はどうだ、しかし民放はこうだということになってしまうと非常に困るというような意味合いで、一たん有事の際のこの種の報道は、NHK、民放等はどんなふうに規制をされているのか、その辺お伺いができればと思う次第であります。
  150. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 災害時におきます情報のいわゆる伝達として、先生指摘のように、非常にラジオが有益である、有効であるということでございまして、私どもも、災害対策基本法の五十七条によりまして、都道府県知事または市町村長は、住民その他関係団体に対する通知、警告等が緊急を要するものである場合におきまして、なおかつその通信のため特別の必要がある場合には、放送局に放送を求めることができるとされているわけでございます。その場合に、協定をお互いに結びまして、その協定によりまして放送を行っているわけでございます。そのほか、電波法によりましても、郵政大臣は非常通信といたしまして放送局を含めた無線局にこのような非常通信を行わせることができるのでございます。  したがいまして、そういうふうな協定のもとに、しかも各放送事業者は気象庁であるとか国土庁、警察庁等の中央防災関係の機関あるいは地方の防災関係機関等から災害情報をいただきまして、それに基づいて放送を行っているのが通例でございます。
  151. 岡野裕

    ○岡野裕君 限られた権限の中で一生懸命頑張っておられるということで御苦労さまであります。  さて、先ほどもお話をちょうだいいたしましたけれども、防災関係の通信情報関係のネットワー クにつきましては非常に立派なものがあるというわけでありますが、しかし多々ますます弁ずである。特に関東あるいは東海地方の地震の可能性、これについては叫ばれて久しいものがあるわけでありますが、そういう意味合いで有事に備えてのネットワークの高度化について心がけるべき点があると思うのでありますが、郵政御当局としてはどんな努力をなさっておられ、かつこれから方針として持っていかれるのでありましょうか。
  152. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 我が国の防災網は、先ほども申し上げましたが、もう少し地震ということに限って、あるいは防災、災害直接ということになりますと、国土庁が中央省庁とかあるいは指定行政機関との間を結ぶために構築をいたしております中央防災無線ネットワークというか、中央防災無線網がございます。それから消防庁が都道府県との間を結ぶために構築しておる消防無線設備というのがございます。もう一つは地方自治体自体が構築しておるいわゆる防災行政無線網でございます。これらのそれぞれの防災無線網は、災害時における情報の収集でありますとか伝達に大変大きな役割を果たしております。市町村では例えば雨量を直接テレメーターで絶えず市庁舎におって情報が入る、あるいは無線機を被災地のところへすぐ走らせまして直接被災地から市役所に情報を伝える、そうした高度化ということもいろいろやってはおるわけであります。  しかし、現在の無線網では通信回線数が不足をいたすのではないか。いざというときには、先ほど先生の御指摘もありましたように、非常にふくそうを来すのじゃないかという心配。それから、それぞれ今申しましたようなネットワークを持っているんですが、お互いが十分つながっていないわけでございますので、非常災害が起きたときにはどうしても情報の収集等に一定の限界がありはせぬか。こういう点で御指摘の防災通信網の高度化といいますか、信頼性をさらに高めていろんな事態に対応できるためには二つのことを今計画をいたしております。  一つは、通信衛星を使ったらどうかという問題でございまして、非常災害時にはこうしたいろんなネットワークはそれぞれ通信衛星を使うことで現地の映像が直に伝達される、そうした考え方。それからもう一つは、こうしたそれぞれのネットワークをお互いに接続させようと。消防とか警察とか市町村、こうしたものの相互接続というようなことで、これには国のお金がぜひ必要でございますので、いろいろ来年度の防災のための情報通信システムの整備という形で予算要求をいたしておるところでございます。
  153. 岡野裕

    ○岡野裕君 災害通信に限らず、言いますならば日本列島のインフラとしての情報通信ネットワークの構築という面について努力をいただいていると思うのでありますが、郵政省の一般会計は総体予算二百五十六億円、まことに小さいものであります。これは、戦後郵政省が一般会計として発足をするときに体が小さかったものですから、その後努力はなされておられるが、今のところ一般会計の予算は足りない。そういう意味合いでは、今日、日本列島の情報通信関係の改善、これに伴うところの広がりというのは非常に大きいわけであります。そうすると、今までの限られた一般会計の予算の中ではどうしようもない。昨年は、言いますならば関東一円の多極分散型国土形成のために開発センターをつくろうという御意向があったようであります。ことしはそれを広げて日本列島全土にわたって再構築をするための予算、こういうお考えのようでありますが、今後もぜひ大きく羽ばたく郵政行政情報通信行政ということで御努力をいただきたい。郵政大臣よろしくお願いいたします。  ついでにでありますが、日本の災害通信対策は非常に立派だということでありますが、天下に冠たる日本の指導的地位からするならば、日本の災害情報対策が立派だということではちょっと物足りない。先般もバングラの水害、数年置きに起こるようであります。あるいはカメルーンのガス爆発もありました。あるいはコロンビアの火山の爆発もありました。開発途上国におきましてはこういう際にもいまだに鐘だとかどらなどを使って緊急避難を伝えるというようなありさまだということを仄聞するところであります。郵政省としては我が国のみならず開発途上国にも大きく手を差し伸べる。これはノーハウの面あるいはハードの面、いろいろであろうかと思うわけでありますが、大臣いかがでありましょうか、何かこの面についての御感想なり御所見を賜れれば幸せであります。
  154. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 郵政省としてもそのような国際化の中で防災面での国際協力ということは当然考えているわけでございますし、特に一九八七年、おととしですね、国連の総会で、一九九〇年つまり平成二年から十年間を国際防災の十年として、特に発展途上国における自然災害を軽減するための国際協力を推進することが採択されたところでございまして、従来より先進国が蓄積してきた防災対策における電気通信分野の技術運用に関するノーハウを活用した積極的な貢献が望まれているわけでございます。我が国も先進国の一員として国際社会における一層の貢献、責任の分担が求められているところでございます。  したがいまして、郵政省としても、こういった趣旨を踏まえて、発展途上国に対する防災通信に対するノーハウを移転し、指導していきたい、このように考えております。
  155. 岡野裕

    ○岡野裕君 先ほども西田先生のお話の中にボランティア資金というのがございました。郵便貯金の利子を使って大きく開発途上国に援助の手をという意味でありますが、ひとつ大臣、そのボランティア資金あたりにつきましても、珍しく新聞報道等は、郵政省の見解はまことに気宇が広大でいいというお話があった次第でありますので、この災害通信対策についてもよろしくお願いいたします。  時間がありませんので、これから大臣お得意の放送についてお尋ねをと思ったのでありますが、一言だけ大臣にお伺いをして私の質問を終わろうと思うわけであります。  今我々東京に住まう者は、NHK地上波で二チャンネルであります。それから民間放送につきましては四、六、八、十、十二と五チャンネルを享受しているわけでありますが、近く来年の夏でありましょうか、新しくBS3が地上三万六千キロのかなたに上がる。これによりまして新しいJSBあたりもできる。民放で衛星放送ができるということでありますならば、地方の難視聴地域についてもパラボラを設けるならば自宅にあって新しいチャンネルをひねってまた新しい内容の放送が聞ける。非常にありがたいことだ。あるいは通信衛星を使って、言いますならばCATVがスペース・ケーブルネットワークということで大きく発展をする。チャンネルが多くなりますれば情報の提供が多くなる。その中で自由に選択ができる。非常にいいことだとは思うわけであります。これは郵政省、NHK、その他所管の向きの御努力、技術分野発展によってもたらされた大きな利益だ、こう思うのであります。  さて、技術の方は、ハードの方はそういうふうに発展をしたが、しからばNHK、民放等から流れてきますところのあの放送内容であります。テレビをひねると、灯ともしごろでありますならば、サスペンスものあるいは暴力ものでありますとか、よろめきドラマというように、なるほどチャンネルは多いけれども、出てくる番組は、金太郎あめではありませんが、皆同じようだというような感じを受けるのは私だけではないと思うのであります。  そういう意味合いで、なるほど技術は発展をした、ハードは立派になったが、ソフトの面を大臣はどのようにお考えをなされておられるのか。言いますならば、一般論的には、文明機械は発展をしたけれども、文化の方は発展をしているのかどうなのかというようなこととの関連が出ると思うのであります。大臣は放送面については一番の専門家だと伺っております。大臣としての御答弁は無理だと思いますが、今お話をしたような面で大臣の御感想でも承れば幸せだと思いますので、よ ろしくお願いいたします。
  156. 大石千八

    国務大臣大石千八君) 私は、別に専門家ではございません。放送事業に携わった経験がございますが、広く今の放送の内容に関して論評できるほどの蓄積と権威を持っているとは思いませんので、個人的な見解として申し上げるのはどうかというふうに思うわけでございます。  NHKがあり、そしてまた民放各社があり、それぞれの公共的使命を認識して、放送というメディアを通じて社会に貢献してもらいたい、これは当然の話でございます。しかし、いろいろ放送番組に関しては批判のあるところでもあることも承知してはおります。なかなか意見というのは多種多様でございまして、一つ意見が大体総合的にコンセンサスが集まればいいわけでございますけれども、いろいろ放送に対する批判というものあるいは注文というものは、いろんな角度からいろんな御意見が出されているわけでございまして、そういうものを国民のニーズとして吸収していく。そしてまた、ただ単に国民のニーズにこたえるだけでなくて、やっぱり放送としての高い理念を求めて放送を実施していくというような問題もございますので、私の個人的な立場を申し上げるほどのものは持ち合わせておりませんけれども、今申し上げましたような観点から、よりよい放送というものを国民に送ることができるように郵政省としても一生懸命頑張ってまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つは、これはもう岡野先生に申し上げるのは釈迦に説法でございますが、送り手としての放送の充実、これが大切でございます。それともう一つは、国内だけでなくて外国にも日本の文化を理解してもらうというようなことを積極的にやっていくということ。それからさらに、放送通信というものはパーソナルに、一方的に送るだけでなくて、既にキャプテンとかいろいろそういうようなメディアもありますけれども、できるだけきめ細かく要望を聞いて、それに対して受け答えができていく、そういうようなきめ細かい施策というものもあわせて郵政省として進めてまいりたい、このように考えております。
  157. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 総務庁が先日九月二十五日に取りまとめられました、利用者サービスを中心とした鉄道事業に関する行政監察の概要について、簡単で結構でございますから報告してください。
  158. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) お答え申し上げます。  大都市部におきます鉄道輸送につきましては、御存じのとおり通勤時間帯におきます慢性的な混雑が見られますので、それに対する輸送力増強対策を初めといたしまして各般の利用者サービスの改善が求められております。また、都内の通勤輸送に大きな役割を果たしている帝都高速度交通営団については、将来の民営化の方向に向けて一層の経営合理化が要請されているという状況にございます。このようなことから私ども総務庁におきましては、一昨年、大都市部におきます民営鉄道利用者サービス対策や、帝都高速度交通営団の業務運営状況を調査いたしまして、去る九月二十六日運輸省に勧告をしたところでございます。  その内容をかいつまんで申し上げますと、民鉄利用者サービス推進するため、安全確保の観点を含めまして駅施設の整備充実を図ること、列車の混雑を緩和するため列車編成の増発あるいは長編成化を実施すること、それから利用者の利便を図るための連絡運輸、乗り継ぎ運賃の実施等を指摘しますと同時に、営団につきましては、経営基盤を強化して経営の効率化をさらに一層図るために要員の合理化、関連事業推進等を行うこと等を指摘したものでございます。
  159. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今回の監察の中にJRグループが含まれておりません。確かに国鉄調査を五十九年、それから監察を六十年六月ということで行っていらっしゃいますけれども、一応JRとして日本一の民営鉄道会社が誕生したわけですし、また、午前中もちょっと論議が出ておりましたけれども、最近事故が余りに多いというようなこともございます。そういった意味も含めてぜひ一度はJRについても早急に行う必要があるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどんなふうにお考えでしょうか。
  160. 菊池光興

    説明員(菊池光興君) 行政監察につきましては、私ども、我が国の社会経済の動向でありますとか政府重要課題というようなものを踏まえて適時適切なテーマで実施するという観点から、現在、三年程度の中期行政監察予定計画をつくりまして、それで毎年ローリングしながらテーマの選定を行っているところでございます。  平成二年度以降に実施します行政監察につきましては、現在そういうことで見直しを行っているところでございますけれども民営分割化された後のJRにつきまして、三年程度の実績というようなものも出てくるだろう、そういうものを踏まえて監察する方がいいのではないかということで、来年度以降、利用者サービス安全対策等含めて業務運営全般にわたって監察をすべく現在検討をしているところでございます。
  161. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 JRにとっても、客観的な目で監察をやってあげるということも必要だと思っておりますので、ぜひその方向でお願いしたいと思います。  今度は運輸省の方ですけれども、今回の総務庁の行政監察を受けられまして今後どう具体的に対応していくお考えなのかをまずお伺いしたいと思います。
  162. 早川章

    政府委員(早川章君) お答えいたします。  総務庁が九月二十五日発表されました行政監察報告は、民鉄の全体的なサービス改善の問題、営団地下鉄の問題等さまざまございます。いわば一種の民鉄のサービス関係につきましては、とりあえず私どもといたしましては、各地方の運輸局に、このような監察があった、こういうような指摘があったということを連絡をとりました。また、それぞれのテーマの中で特に重点的なポイントになって御指摘があったようなものにつきましては、所管の運輸部長に対しましても私どもの担当部局から直接連絡をとって対応していただく、こういうことをお願いしたところでございます。  全体的に申しますと、以上のような運輸局に対する連絡に基づきまして、運輸局に対しまして十一月末までに総点検、例えば身体障害者のことについても御指摘ございますので、そういった問題についても総点検をして私どもに報告しろ、こういう形のものを指示しておりまして、その結果に基づいて我々としてまた具体的な対応を考えていきたいと考えているところでございます。
  163. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 私がその行政監察の指摘の中で一番深刻だなと思ったのは混雑率の問題でございまして、通勤通学時、全国の地下鉄二十四路線で混雑率が一九七%、大手私鉄では主要二十六路線で一八一%と、いわば身動きできないような状況だというふうな指摘がございました。私も、今回国会議員になりまして十三年ぶりに東京に上ってきて、また地下鉄に乗りましたけれども、本当にこの混雑ぶりというのはなかなか解消できていないなというようなことを身をもって感じている一人でもございます。  時差出勤の問題とかいうことでいろんな努力はされているんでしょうけれども、何かもう一つインパクトのあるような施策も必要じゃないかなというようなことを感じておりましたら、この報告書の中で総務庁が一つ提言しておりましたのが、「今後、時差通勤通学協力者に対するメリット制」、いわば企業に対して定期券運賃の割り引きをするというものですけれども、「の導入等新たな制度についても検討すること。」というようなことを挙げております。運輸省としてもぜひこの混雑緩和のために今もうちょっと積極的な対応が必要ではないかなと感じておるんですけれども、この点どんなふうにお考えでしょうか。
  164. 早川章

    政府委員(早川章君) 先生指摘のように、特に大都市の通勤通学時の混雑問題というのは大変深刻な状態になっております。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕 私どもといたしましては、各般の措置を講じてそのピーク時混雑率を大体一八〇%とかその程度に おさめたいということで、例えば路線の複々線化とか列車の長編成化、列車本数の増加等の対策を行ってきているところですが、まさに御指摘のとおり大変実態的には改善が顕著な形になっていない、こういうことであろうかと思っております。  御指摘の時差通勤通学の問題につきましても、これは昭和三十六年当時から東京圏から始まりまして、現在は、昭和六十一年三月に策定された時差通勤通学推進計画ということで、関係方面に時差通勤の推進方をお願いしているところでございますが、これも端的に申しまして、ある一定のところまでいった以上はなかなかそれ以上の御協力という形になって目に見えてこないという実態がございます。そこで、総務庁のお話もそうですし、先生の御指摘もそうだと思いますが、何らかメリットをつけないとこれ以上進展しないのではないかという御指摘であろうかと思っております。御指摘のとおりかと思いますが、具体的にどういうような形のものを考えていったらいいのか大変苦慮しているところでございますが、なお十分勉強はいたしたいと思っております。
  165. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひ勉強していただきたいというふうに思います。同じ日本に住みながら通勤の差別みたいなのが余りひど過ぎるような気もしますので、その辺はぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、話を地下鉄の問題に移しまして、まず営団地下鉄の問題でございます。  平成元年度の行革大綱において、「完全民営化を目標として平成三年を目途に可及的速やかに特殊会社への改組を図るため、その条件整備を進める。」というふうにされております。この営団地下鉄の民営化の手順といいますか、それと、民営化のための関連法案をいつ提出されようとしているのか、それからさらにもう一つ民営化に向けてどのような現在取り組みをされているのかということをまずお伺いしたいと思うんです。
  166. 早川章

    政府委員(早川章君) 営団地下鉄につきましては、先生指摘のとおりでございますが、六十一年六月に臨時行政改革推進審議会の答申がございまして、営団地下鉄につきましては、「五年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、地下鉄のネットワークがほぼ概成し、路線運営が主たる業務となる時点において、公的資本を含まない完全な民営企業とする。」、こういう答申がございました。それを受けまして、例えば平成元年の一月二十四日、閣議決定をもちまして、行政改革大綱としては、「既定の方針に沿って、完全民営化を目標として平成三年を目途に可及的速やかに特殊会社への改組を図るため、その条件整備を進める。」、こういう形になっております。  そこで、今御質問ございました、まずどんな手順になるかということでございますが、私どもといたしましては、現在、この特殊会社化という形になるといたしますとどのような形が最も適切だと考えるのか、あるいはその場合に、例えば特殊会社というものの監督関係というようなことが出てくると思いますが、そういったものはどういうことになるのかというような点、あるいは御承知のとおり営団地下鉄は現在も百五十四キロの営業をいたしておるほかに、半蔵門線の三越前—蛎殻町とか、七号線と申しておりますが、目黒—岩淵町間の建設工事を行っております。また、特にこの建設につきましては大変資金を要するわけでございまして、五百億円とか、その規模になりますような財投を直接資金運用部からお借りして建設を行っていく、こういう形になっておりますが、その辺の問題について特殊会社の対応でどんなことになるかとか、そういうさまざまな検討をいたしているところでございます。  この検討結果というのがまだ実は出ておりませんで、今盛んに議論をしているところでございます。この結果を踏まえまして、先ほどの閣議決定にございます平成三年を目途に特殊会社への改組を図るという形の手順を踏んでまいりたい、こういうことでございますが、いずれにいたしましても、大変引き続き人口集中が続いております東京圏においてどのような形で地下鉄の整備を進めるかという全体の問題にもかかわることでございますので、なおしばらく時間をかしていただきたい、こう考えております。
  167. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 何か一部報道で、次の通常国会ぐらいにこの民営化のための関連法案が出せるんじゃないかみたいなこともあったんですけれども、時期についてはそんな早い時期に出てくると理解していいんですか。ちょっと早いような気もするんですけれども
  168. 早川章

    政府委員(早川章君) 閣議の決定が平成三年を目途ということでございますので、平成三年というタイミング、再来年ということのいつ時点までにこのような形に持っていくかということが私ども課題であろうか、こういうふうには理解しております。
  169. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もう一つその民営化で気になっているのが都営地下鉄関係の問題でございます。営団自体が約半分東京都の出資でございますし、その東京都の方は、都営地下鉄と営団地下鉄との一元化というか統合というようなことを考慮しているという話もございますし、その辺のところをどんなふうに調整をされていくのか、何か御見解があれば聞かせてください。
  170. 早川章

    政府委員(早川章君) 営団地下鉄と都営地下鉄、同じように東京の地下鉄を運営していく、建設していくということであるので、一体化をしたらどうかというお話は前からございました。私ども、あるいは私どもに限りません、有識者の間では従来からその一元化問題については次のような問題があるというふうに言われておるわけでございます。  一つは、東京都営は大変大きな累積赤字を抱えております。現在時点で三千百五十三億円という赤字が累積しているということでございますが、これと、現時点では累積赤字がゼロになっております営団地下鉄、これを一元化するという形になれば、その三千億を超える赤字を営団が負担する。営団が負担するということは、言ってみますと営団のお客さんもこれを負担する、こういう問題になるのではないか。さらに、営団と都営との間には生産性につきましてもあるいは効率性につきましても相当な格差がございます。これを一元化するということになりますと、そのような効率性の低下というような問題につながるのではないだろうか、こういうことでございます。地下鉄の整備を推進するために、整備主体が一本の方が資金調達がよろしいのか、二元化している現在の方が実際には資金調達についても十分な利便が得られているのかどうか、そういったような問題もある、こういうことであろうかと思います。  営団地下鉄、現在、先ほど申し上げましたように蛎殻町からの問題、さらには七号線の問題等、いろいろ資金調達を必死に図っては整備、建設を行っているところでございますので、私どもといたしましては、このようなタイミングにおける一元化、三千億のいわゆる累積赤字を営団も分担するという形のようなものは適当ではないと考えているところでございます。
  171. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今都営地下鉄の赤字の問題が出ましたので、都営地下鉄を含んだいわゆる公営地下鉄の赤字の問題ですが、最近七千億を超えるようなかなり深刻なものになっているというような指摘もございまして、特に昭和五十八年、五十九年度以降、単年度の赤字幅がだんだん急増しておりまして非常に深刻な問題になっていると私自身認識しているんです。運輸省としてこの赤字幅の急増についてどのように分析をなさっているか、まずお願いいたします。
  172. 早川章

    政府委員(早川章君) 先生指摘のような形で、現在公営地下鉄の赤字幅は累積で七千四百八十三億円、こういうことでございまして、この数字自体は大変大きな数字でございまして、深刻な受けとめ方をいたしているということは事実でございます。  その原因ということでございますが、御承知のとおり、最近建設費が大変上昇いたしております。東京でも一キロ二百五十億から三百五十億というような高い建設費が必要となる。それから需 要というようなものも、いわばその当該地下鉄の建設を始める前に想定いたしました状態よりはもう一つ地域によっては伸び悩んでいるものも多い、こういうことでございます。その他いろいろございますけれども、ただ、地下鉄は大体建設後三十年ぐらいの期間でその収支といいますか、全体としての経営状況といいますか、そういうものを評価するのが正しいのではないかというふうに考えておりまして、このところ地方中核都市を中心に多少整備のテンポが上がってきたというようなことが、その公営事業者の収支全体で見ると厳しい赤字を抱えているという状態になってきているのではないか、こういうふうに理解をいたしているところでございます。
  173. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今おっしゃいましたように、公営地下鉄の累積赤字ですけれども昭和五十五年度決算から見てみても、あのときが二千三百四十五億円の累積ですから、わずか八年間で三倍以上ということになっております。  今要因については幾つか、建設費の上昇とか需要減の問題とかさまざまな指摘をしていただいたんですけれども、私ははっきり言って、地下鉄の建設補助金の削減、これが一番大きな要因ではないかなというふうに思えて仕方ないんです。特に、建設翌年度に補助金が支給になっていたのが、六十一年度から開業翌年度へ変更になりましたし、そういった意味で、利子支払いのところでみんな苦しみながら赤字をどんどん雪だるま式にふやしているんじゃないかというふうに思えてならないんですけれども、この点の認識はどうでしょうか。
  174. 早川章

    政府委員(早川章君) 先生指摘のとおり、地下鉄の補助金につきましても、国の他の支出と同様に、五十八年度以降国の財政事情が大変厳しいということを反映いたしまして、ゼロシーリングあるいはマイナスシーリングということでございます。地下鉄の補助金はその中でもマイナスシーリングということでございまして、そのことで年々減少してきている、こういうことは御指摘のとおりでございます。その間に、補助方式につきましても、当面の措置ということでございますけれども、建設いたしましたらその翌年度に補助金を出すことを開始するということから、その地下鉄が開業いたしましてからその補助というものを進めていく、こういう形のものに変更をいたしました。これは六十一年度でございます。そのようなことで、営団を除きまして千三十五億円、営団まで入れますと千二百五十二億円の補助金が繰り延べられてきている、お払いできないでいる、こういう実態はございます。  私どもといたしましては、元年度予算で対前年四億円、わずかでございますが四億円増加の予算を取り、来年度要求につきましてもさらに三億円増加いたしまして四百二十九億円というようなものを要求いたしております。このような努力にもかかわりませず、今申し上げましたような千三十五億ないし千二百五十二億という補助金が繰り延べられているということが多少影響しているのではないかという御指摘かと思いますが、私どもといたしましては、このような措置によって大きな影響が出ているということでなしに、その全体として、地下鉄としては三十年間という形で見れば事業特性的に見ても収支が回復していくというふうに理解はいたしているところでございます。  ただしかし、それだけでいい、そのままでいいということではございませんで、私どもといたしましても、先ほど申し上げたようなことのほかにも、何とかこの補助金の繰り延べ措置について対応ができないかということは種々検討いたしているところでございます。
  175. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今数字を挙げていただきましたように、補助金の最高は昭和五十六年の六百一億円、これがピークでございます。ずっと下がって、先ほど言われたようにどうにか平成元年度でちょっと戻って四百二十五億。平成二年度にはもう少し伸びるかなと思ったら、三億円ぐらいしかできない。その厳しい事情も重々わかるんですけれども、逆に言うと、この補助金というのは、御存じのとおり、建設費の七割のうち半分が運輸省さんで、半分が地方ということになります。その地方分の方は、これは九都市ございますけれども、九都市からもうどうしようもないというような声が挙がってきまして、たまりかねて、地方側の負担分三五%の方は実を申しますと平成元年度から従来の建設翌年度方式に戻されております。しかも、加えて昭和六十三年度までに繰り延べられた。これは八百十億円ですかね。それについては五年間で回復するというふうな措置を地方側はとっているわけですね。  そうすると、この補助金一つの出し方にしても、同じ補助金を出して今まで同じようにやってきているのに国と地方でアンバランスを生じているというのは、これはおかしな話だと思うんですね。そういった意味では、これ以上ふえていけば、自治省関係の研究会でございましたか、二十一世紀初頭には赤字が二兆円になるというようなショッキングな記事もこの前載っておりましたし、このままいったら何かかつての国鉄みたいな状況に追い込まれてしまうんじゃないかというような危惧が正直ございます。私としては、せめてこの本来の建設翌年度方式、これにどうにか戻せないものか、また繰り延べられた額の早期支給を行って少しでも改善の方法をとっていくべきだと考えておるんですけれども、その点についてまず一言お願いいたします。
  176. 早川章

    政府委員(早川章君) 御指摘のとおり、この補助金は国と地方が三五%ずつと申しますか、建設補助対象経費の七〇%を三五%ずつ分担していく、こういう形でお互いに同じ額を負担していく、こういう基本的な考え方で進んできたものでございます。したがいまして、いわゆるゼロシーリング、マイナスシーリングが始まりました繰り延べ措置につきましても地方と国とでまた同じような対応を図ってきた。それが本年度の予算におきまして、自治省側の方で、先ほど先生がおっしゃいましたように補助方式を建設翌年度へ戻す、あるいは繰り延べられた八百十億円という繰り延べ額がございますが、それを五等分で払う、こういうような対応を図るという形にいたした、その段階で国の措置と地方の措置とにぎャップが生じた、こういうことだと思います。  私ども、このような措置が地方側でとられたということ、それに伴って不均衡が生じている事実は厳しく認識いたしておりまして、私どもはそのような認識に立って、現在もそうでございますが、今後とも検討を進めていきたい、こう考えているところでございます。
  177. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 一生懸命努力していただきたいと思いますけれども、先ほどお話があったように、この補助金というものは、もともとの発生自体がいわゆる経常収支というか、それで賄われるというような問題から始まりまして、利子補給みたいな面から始まったというような歴史的経過もあるようでなかなか難しい面もあるんでしょうけれども、午前中に大臣もおっしゃったように、この公共輸送機関というか、運輸省指導していくことによって地域発展とか地方発展とか、そういうものができていくと思うんです。  地下鉄というのはまだまだ、今から地方でつくりたい、公共輸送機関としてやりたい、そういう要望が強いものでもございます。そういった意味では、今後大蔵省、自治省との折衝の問題になっていきますけれども、ぜひこの問題、赤字解消へ向けての大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  178. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先ほど来御意見がありましたように、やはり建設費が上がったということ、それから長年かかるようになったということ、あわせて国がマイナスシーリングをかけてきた。一般公共事業費についてはマイナス五%、一般経費についてはマイナス一〇%、こういうことでやってきまして、いわゆる平成二年度に赤字国債から脱却しよう、これは大体目的が達成できるだろうという見通しと聞いております。  したがいまして、私は運輸省の幹部に言っているんです。今までと来年以降は違う。だから来年 は、運輸省は単なるこういう地下鉄のいわゆる繰り延べ問題だけではなくて、例えば整備新幹線の建設にしても、今ではあれだけの膨大なものを、八十五億の鉄道防災の費用でもってせい、あとは運輸省の中で調達せよ、そういうことでスタートしたわけでありますから、そういうことではこれは地下鉄の建設もできなければ、あるいは整備新幹線の建設も進まない。事ほどさように、我々が抱えておるもろもろの問題が今までは財政再建という名のもとに抑えられてきたわけですから、来年度の予算はやむを得ぬとしても、しかし来年度は今度は将来に向けて公共事業というものを一体どう取り扱っていくのか、国の財政運用というのをどう我々は受けとめて対応していくかということは大きな課題になる。その準備をしていこう、こういうことで今一生懸命勉強をしております。  これらの御指摘のような問題は、約束事でありますから、一日も早く解消できるように私どもとしては努力をしてまいりたいと思っております。
  179. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 整備新幹線の話までしていただきまして、江藤運輸大臣は宮崎でございまして、私は福岡でございますし、課題としてはぜひやりたいことですし、ぜひそちらの方もよろしくお願いいたします。  話題を変えまして、運輸大臣が今月の十一日でございましたか、福岡県の苅田町の沖にあります新北九州空港の予定地を視察されたということで、地元のために一言ぜひ御感想を聞いておきたいと思いますので、よろしくお願いします。
  180. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先般、実は土曜、日曜を利用いたしまして、二つ三つ目的があったんです。一つは、地元で一生懸命進められておる新北九州空港の状況というのを見てみたい。あれはしゅんせつの土捨て場でやっておることでありますが、一つの大きな候補地であることは間違いありませんから、それをひとつ見よう。それから関門海峡のあの船舶の通航状況。それから、あれは浅いから掘ってくれという意見が大分ありますから、そういうこともちょっと見ておこう。それからもう一つは、所管外になりますけれども、私の時代にやりましたことですから、東九州高速自動車道路の建設等について少しくヘリの上から予定路線等を見ておこう。いつまでも運輸大臣しておるわけじゃありませんから、またもとに戻っていきますので。大体三つの目的を持って先般参ったわけです。  北九州市を中心とし、また国会選出議員、これは与野党を問わず非常に強い要請で、熱心におつき合いをいただきました。県議会それから市議会、経済界を挙げての大運動で、一方成田と比べると随分違うな、やっぱり九州というところはいいところだな、こうつくづく実は感じたわけでありますが、幸い天候に恵まれまして、もし将来候補地として考えるならばこれはすばらしいところだな、こういうふうに正直感想を持って帰ったところであります。
  181. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。  運輸大臣が記者会見された折に、見ていて注目しましたのは、新北九州空港の問題のほかに、福岡ではまだこれは具体的な話は挙がっていないんですけれども、新福岡国際空港の問題がございまして、その問題に絡みまして大臣が、全国の地域ブロックごとぐらいに二十四時間体制の国際空港が必要なんだというようなことをおっしゃったと聞きましたので、これは非常にうれしいことだなと。今成田に実質的に一極集中に国際線はなっている。今度大阪ができる。その後に名古屋からもそういう国際空港の要望が出ている。そういった意味では非常に先見の明のある考え方じゃないかなと思ったんですけれども、その辺どういう御発想なのか、ぜひもう少し教えていただければと思います。
  182. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) お褒めをいただいて大変恐縮でありますが、私どもはやっぱり九州の人間ですから、お説のように、国際便が成田と関西国際空港に集中するという姿は、一極集中を排除して地域分散のいわゆる国土の均衡ある発展をしていこうという考え方からすると私は逆行すると思っておるんです。ですから、今回の日米航空交渉におきましても、それは成田、大阪だけではなくて地方空港に入れると。今もう毎日のように外国の首相、外務大臣あるいは運輸大臣が参りますが、それは東京、大阪だけじゃ困るが、地方空港への国際便の乗り入れについては相談に乗りますよ、こういう姿勢で、その第一として先般の日米航空交渉というのを実はまとめたわけです。    〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕  九州につきましても、御案内のように三千メーターの滑走路を持っておるところが幾つかあるわけでありまして、役割を分担しようと思えばおのおのの空港が分担していくことも結構でしょう。しかし、九州各県がどこかに二十四時間の空港を建設しようという合意をするならば、それはすばらしいことですから、将来九州一つだと。今九州一つと言いますが、九州一つ一つでありまして、決して一つじゃないんです。ですから、そういう意味で足並みをそろえてみんなかつくろうやということでやれば、私はできるだけの協力を惜しまない。それは北海道においてもあるいはまた東北においても、そういうところで地域全体の開発のために二十四時間営業の国際空港をつくろうということであるならば大変結構なことだ、私はこういうふうに考えております。  一極集中だけはやっぱり空の面からなるべく調整をしていきたいものだ、こう考えて——あの記事はそのまま本当じゃないんです。記事は本当じゃありませんが、今私が申し上げたのが本当であります。
  183. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 丁寧な説明をいただきまして、本当に地方にとっては力強い援軍だと思ってみんな期待して、大臣がやられることを待っておると思います。  最後に、これは余りいい話じゃないんですけれども、確認のためにということで。厳しいことでございますけれども、例の空港整備特別会計の件なんです。これは新聞報道だけなんでちょっと確認をさせていただこうと思いまして御質問します。  特別会計というのは、航空需要が予想以上に伸びたために、空港使用料の増加とか、また航空機騒音のひどい住民への移転補償対策費の予測違いですか、そういうのが起きて六十二年度末に七百八十二億円の剰余金が出て、三百三十四億円が不用金になった。六十三年度末では八百二十七億円の剰余金が出て、不用金が二百五十三億円発生した。その発生したもののうち、ことしの八月七日になって二百五十億円の不用金を大蔵省の資金運用部に回されたというような新聞報道がございましたのですけれども、これは事実かどうかということが一つと、事実としても余り好ましい状態じゃないのではないかと感じますし、その点の一言ぜひ説明をいただいて質問を終わりたいと思います。
  184. 丹羽晟

    政府委員(丹羽晟君) ただいま先生指摘の空港整備特別会計の問題でございますけれども新聞報道の中にありますこととの関係で申し上げますと、昭和六十二年度末の決算の時点におきまして資金の剰余が七百八十二億ございます。また、六十三年度決算におきましても同様に八百二十七億の資金の剰余がございます。これらの資金は後年度の予算におきまして歳入に計上されまして、その年度の事業に充てるという性格のものでございます。  それからまた、これらの資金事業の進捗に応じまして順次支払いに充てられますけれども、一定期間は資金運用部に預託するというようなことが可能でございます。その資金運用部への預託の問題につきましては、かねてから私どもその必要性を認識いたしまして、そのための検討を行ってきたところでございまして、準備に多少時間がかかり過ぎたという点はございますけれども、今先生のお話の中にもございましたように、八月の七日になりまして二百五十億円の預託を実施したところでございます。  今後は、資金に余裕があるときはしかるべく資 金運用部に預託を行いまして、空港整備特別会計の資金の適切な運用を行ってまいりたいと考えております。
  185. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それじゃ運輸省にお伺いをいたします。  今、国公有地の売却、とりわけ国鉄用地売却につきましては国民が大変注目をしているときでございます。  私、時間がありませんから具体的にお伺いをしたいと思いますが、下関市の旧国鉄職員宿舎跡地にパチンコ店がつくられようとしております。旧国鉄用地売却条件では、地域、面積にかかわらず風俗営業、風俗関連営業への使用を禁止している。売却条件にそういうふうに禁止をしております。そういう点で、パチンコ店ができるというのは明確に売却条件に違反しているのではないかと思いますので、経過を簡潔に伺いたい。
  186. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 今御指摘ございました土地は、下関市にあります彦島長崎宿舎といって、国鉄のかつての職員用の宿舎でございまして、これを本年に売却をいたしまして、その際に、この売却いたしました土地がさらに転売をされまして別の業者の手に入ったということでございます。  当初売却いたしますときは、御指摘のように、風俗営業並びに風俗関連営業につきましては五年間の禁止条項を設けておりますが、転売されますとその条項が効果がなくなるということで、事実上現在、お話によりますとパチンコ系統のお店になろうとしているやに伺っています。
  187. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 一つずつ聞いたら長くなるんで、私ちょっと経過を、お手元へ資料が行っていると思いますから、資料に基づいてお伺いいたしますから、違っていたら違うと言ってください。  この旧国鉄宿舎跡地というのは、三千三百平米ですね。これを昨年の三月十日に一括入札をやって売却するということになった。ところが三名が参加したけれども不調だということで売れなかった。そこで昨年の九月二十七日に二回目の入札を行いまして、その場合に三つに分割をして一号、二号、三号というふうに分けて入札をした。その際に一号と二号はそれぞれ二名、三名の応札者があって落札をした。三号だけは不調になって、さらにことしの四月の二十日に三回目の入札をして、一名だけが参加されてこれが落札をした。  そういう経過の中で、二号地を買われました南国開発という会社が、買うたのが昨年の九月二十七日ですが、ことしの四月二十五日に南星という会社売却をした。南星という会社はこれを直ちにことしの、買うてから間もなしですね、五月十六日にパチンコ店の建築確認申請をやったと、こういう経過のように伺いましたが、間違いありませんか。
  188. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) そのとおりでございます。
  189. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは実に巧妙に仕組まれているんでね。というのは、三千三百平米だと、市街化区域なので、二千平米以上は所有権移転をしてはならないということになって売れない。それで半年後に三つに分割をして千百平米ずつで売った。そうしたら二千平米以上の規制にはかからない、転売の規制にかからないので二号地を買うた南国開発がすぐに南星というところへ転売をした。転売をされてから、転売をして買うた人は直ちにパチンコ店の建築確認申請をした。こういううまいぐあいになって国鉄用地がパチンコ店にさま変わり、こういう状況なんですね。  恐らく清算事業団がそんなことを仕組んだわけではありませんと言うかもしれぬ。言うかもしれぬけれども、うまいこと買うたなと私も感心をしておるわけだ。ここらで底抜けていたら、膨大な土地を売らにゃいかんと午前中から大臣おっしゃっておられますけれども、こんなうまいこと規制をすり抜けて好きなようにやられたんじゃたまらない。どうですか。
  190. 大塚秀夫

    政府委員大塚秀夫君) 清算事業団用地につきましては、いわば国民共通の財産でございまして、その公開競争入札の結果、清算事業団用地が風俗営業等に使用されますことにつきましては国民感情から好ましくないと考えておりまして、国有財産の処分の例に倣って、清算事業団用地につきましても公開競争入札により売却する場合には、その落札者との売買契約において原則として清算事業団用地を風俗営業または風俗関連営業などに供することを禁ずる旨の条項を盛り込んでいるところでございます。  ただいま先生指摘されました事例につきましては、最初の入札で落札者がいなかったために土地分割して再入札したというような特殊なケースでございまして、その場合の転売禁止条件の適用が徹底されていなかったためにパチンコ店への転売がなされてしまったものでございます。運輸省としましては、もちろんただいま先生が言われましたような仕組まれたということは全くないと認識しておりますが、少なくとも結果的にそのようなことにならないように、今後は分割前の面積をもとに清算事業団が条件を徹底するように指導したところでございまして、以降、清算事業団用地の適切な処分が図られるように一層努めてまいりたいと考えております。
  191. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんなことがあってはならぬというんですな。  ただ、もっとひどい。私どもが調査をしたところでは、この転売を受けた、パチンコ店の建築確認申請をしている南星という会社の代表取締役は事業団から用地を落札した南国開発の役員なんですね。登記簿謄本を調べてみますと、この南星というパチンコ会社の目的の七項目というのは、この土地を譲り受けた南国開発と会社目的は全く一字一句違わない、一緒なんですね。それから南星という、まあ難しい名前なんですね、パチンコ会社は南国開発が落札をした約二カ月半前に会社を急速設立されています。これは落札をしたのが六十三年九月二十七日でございますが、この南星という会社は六十三年七月十二日、二カ月半前に急遽設立をした。それから建設予定のパチンコ店の隣の三号を取得したパレス商事というのは、元代表取締役が南国開発の代表取締役でもあります、謄本を見ますと。また、現在のパレス商事の女性の代表取締役の住所は南国開発代表取締役と同一の住所であるということは、これは謄本によって確認をいたしております。  さらに、パレス商事が取得をした三号、それから一号地を取得したアイコー、両方とも駐車場の申請が出されています。また、二号地の転売を受けた南星がパチンコ店の建築確認申請を頼んでいる設計事務所と両隣の駐車場の設計事務所は同じところに頼んでおります。そういう状況なんですね。  以上の点から見まして、これはまあひどいなと私は思う。一つ言うの抜かしたかな、南星という会社の所在地が、南国開発の経営するアパートの一室に所在地がある。  こうしてみると、南国開発と南星というのは実態的には同じである。隣のパレス商事も南国開発のファミリー、同族で南星と同様であると見られるわけでございます。したがって、さっき売り方もぐあいが悪いと言うたけれども、売った相手の中身も悪いんですよ。そんなこと知っていましたか。
  192. 前田喜代治

    参考人前田喜代治君) 私ども、経過といたしまして、第一回目は御指摘のように三千平米以上の大きな土地でございましたので、土地投機等防止という観点から転売禁止条項を、市街化区域では先ほどお話ございましたように二千平方メートル以上の土地については市街化区域では転売禁止の条項をつけております。これを、不調になりましたので、その後、この土地の需要、土地柄から見てどのぐらいの大きさなら有効に買っていただけるかというようなこともありまして、これはよくある例でございますが、大きい団地を分割いたしまして三つに分けて入札をしたわけでございます。  したがいまして、入札をした相手さんについて私どもはとかくちょっと申し上げかねるところがございますが、有効に落札した場合にはそのよう に御利用いただくということになっております。ただ、これは分割したために二千平方メートル以上云々という規制がかからなくなりましたので事実上転売されたということもございまして、大きな団地を分割して処分する場合には、後の利用方で、あるいは相互に利用されたり同一の方が二カ所落として利用するというようなこともあり得るかと思いますので、今後はもとの団地の大きさを基準にして転売の規制をかけるということにさしていただいたわけでございます。
  193. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 二度とそんな売り方をせぬように指示をしたというわけでしょう。そんなことをやっておって、しかも事実経過は私が述べたとおり。  こういう実態から見まして、国の売却条件に明白に違反しておるわけでしょう。だから地元ではもう大問題になっております。どない言うているかいうたら、これは地元新聞ですが、わざわざ風俗営業に使ってはならないと契約で明記しているのに、規制できないという逃げの一手の事業団の姿勢は極めて問題、これは政治家絡みのうわさも耳にしたけれども、下関のパチンコ疑惑と違うかと、こういうことまで言われているんです、大臣。  私は、だれが見ても清算事業団がそんなことを計画的にやったといったらこれはただで済まぬ。しかし、そういうことを計画したら、とにかくうまいこと規制を外れて、転売もできて、パチンコ屋ができて、両隣はちゃんと駐車場になってと、こんなうまい話がぬくぬくと通るというようなことは私は許してはならないと思う。こういう事態になっているというのは、今後の清算事業団土地の売買をめぐって非常に重要な問題提起になっておるだろうと思うわけで、清算事業団運輸省に大変責任が重いと思うわけです。私は、地域住民の疑惑、この疑惑のままで、うっかりしたんやというふうなそんなことでは済まないと思うわけです。やっぱり地域住民の疑惑を晴らす道は、契約を解除して原状復帰をさせるということ以外にないのではないかと思いますが、大臣いかがですか。余り話がうま過ぎますでしょう。
  194. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 世の中には随分と知恵のある人がいるものだなと、お話を聞きながらひそかに思っておったところですが、問題の土地はちゃんと一般の人々に対して公開入札をしますよということを公告をしておるわけでありますから、それほどの価値のあるところでしたら、もっとたくさんの人々がこの入札に参加していただいただろうと思います。しかしながら、第一回は不落に終わったと、こういうことから三つに分けて売って規制をうまいこと逃れたということでありますが、これはいい経験でありますから、これからはたとえ分割をして売ってももとの面積に規制をかけます。  一たん商取引が成立したものをそういうことで解除していいかどうかということについては、私はいろいろ考える余地があると思っております。したがいまして、今後の重要なこれは私どもの参考にして、再びこういうことが起こらないように注意していきたい、こう思っておるところです。
  195. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 二度と起こらぬように指導を強化したいというんだけれども、口頭で強化したというんですね。大臣、本当に以後起こらぬようにしようと思うんだったら、入札するときに原則として地域、面積にかかわらず風俗営業、風俗関連営業の使用は禁止すると言うててもこんなことをやるんだから、これはやっぱりもっときちんと、こんなやり方をしたら損をするというところまできちんと行政上けじめをつけなかったら、これは大変なことになるであろう。だって、七十兆も百兆もと言われている膨大な土地を今後処分していくというんでしょう。今わずか三千坪の土地でもこんな問題が起こるのに、後何が起こるかわからぬ。そういう思いがする。  だから、その点ではこれは大臣に、せっかく売っているから後へ戻すわけにもいかぬであろうとおっしゃっておられますけれども、一遍よく御検討いただきたい。地元の皆さん方がそういう大きな疑惑を持ったままで事を進めていく、そのまましようがないんだということでストップをするということ、処理をするということではぐあいが悪いんじゃないかということで、私念のために、これは解除してもとへ戻すということが一番疑惑を解く近道だということを申し上げたわけで、そういう点を重ねて要望しておきますが、一言伺って次へ移ります。
  196. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 国鉄用地は言いかえれば国民の大事な財産でありますから、以後このような批判を受けるようなことは絶対させません。
  197. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは次の課題に移ります。  運輸大臣、私一般論ですけれどもちょっとお聞きをしておきたい。  というのは、運輸省職員の皆さん方も実は国家公務員共済組合に加入をしておられますよね。当然収入に応じて社会保険料あるいは所得税等が徴収をされていると思うんですね。民間で働いている場合も、民間の労働者というのは当然、保険の種類は違いますけれどもそういう徴収の仕組みでやっていっているわけですね。もし運輸省職員の皆さん方が、四十万の収入があるけれども、半分を標準報酬にして半分で保険を掛ける、税金もかけるというふうなことになったら、これは大変だと思うんです。こんなことをもしやられていたら国家財政も成り立たぬであろうし、いわゆる社会保険関係が財政上成り立たなくなるなというのが一つ。  それから、払うときは少なくていいけれども、いよいよ老人になって年金をもらうという段になったらえらい少ししかもらえない。病気になって休んでも傷病手当金がまともにもらえない。そういうことになったら大変だと思うので、まさかこういうことはあってはならないと思うし、ないものだと思っていた。大臣、こんなことまさかあると思われますか。
  198. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 実は、先般来衆議院で物流二法の御審議をちょうだいしております中で、輸送業務に携わる従業員が約百万人になった、ところが九万人不足をしておるということがありまして、一体どういうことだろうかということを内々いろいろと幹部の諸君と検討してきました。そうしますと、非常に作業というものがきつい、それから危険だ、それから職場が汚い、こういう問題点がある。  それからもう一つ問題点は何だろうかと思いますと、例えばタクシーならタクシーで、東京都内で運転手が足りないということから栃木やら群馬あたりからパートで雇ってくる、そうすると、社会保険を払わない、あるいはまた年金も払わない。いろんなことをやると、これを料金に換算すると七%ぐらいもうかったことになる。片方で売り上げをしかるべくやったらなおさらそういうことがあるというようなことも実はいろいろと勉強の結果出てきました。  これは容易ならぬことでありますから、みんなやっぱり従業員が気持ちよく働く職場というものをつくっていく責任運輸省にはある。したがって、それらの職場についてはこれは何としても直させることをしなきゃならない。従わない者についてはしかるべきまた方法も講じなきゃならない。これは昨今そのことを実は内々打ち合わせておるところであります。
  199. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 大臣おっしゃったように、衆議院でも既に出ておりますから御承知いただいておるんですが、実は私は、我が国の行政当局というのはもうちょっと厳格にきちんといっているものだと私は信頼をしておりました。ところが、今大臣ももう御承知のとおりでございますけれども、随分ひどいことが起こるんですね。私見て驚きましたよ。これは関係者に資料を全部差し上げてないんですけれども、大臣はもう御承知でしょう。  これは北港タクシー、梅田グループのタクシー会社なんです。これは結構大きな会社でございまして、大阪だけで六百四十八台、約千三百人。そのほかに和歌山、静岡、群馬、千葉などを合わせますと八百三十八台。かなり大きいんですが、こういうことが起こってきております。これは厚生 省にも労働省にも細かい資料を差し上げてありますが、大臣に差し上げてないんですね。ひとつ差し上げていただきましょうか。御承知ですか。
  200. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 調べて知っています。
  201. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは恐れ入ったんですが、ずっと給料表なるものを拝見いたしますと、タクシーの労働者ですから一カ月の総営業収入というのが六十三万七千九百七十円。ここの会社では六十万以上は五八%だそうなんで、約三十七万なんですね。ところが本給がこの方は八万四千六百五十一円なんです。そのほかの深夜手当、乗務給などを含めまして十一万三千七百五十円になっております。で、その十一万三千七百五十円から健康保険料が四千五百六十五円、厚生年金保険が六千八百二十円、雇用保険は六百二十七円。それを全部差っ引いて課税所得にいたしますと十万一千七百三十八円。ですから所得税は二千八百四十円ということになっているんですね。これはちょっと驚きました。私ども長い間給料生活者としての歴史を持っておりますので、これどないなっているんやということを率直に思いました。  そこで、ちょっとひど過ぎるので厚生省にきっちり聞いておきたいと思いますが、この労働者の場合の実際の月収というのは今申し上げたように三十七万ですね。それでその給料が二回に分けて渡されております。これは最近解決したのかどうかな。これが十二月なら十二月の給料です。その約三十七万の中で十一万はここへ入って、ここへ保険料やら何やら税金やら皆引いたのが明細が入っている。このあとは二十八万なら二十八万貸付金という名前で給料を渡している。こんなことちょっと考えられませんでしょう。  こんなこと考えられないというだけではなしに、既に五十八年の十二月には審査請求がやられて、五十九年の十月三十一日に社会保険審査官は、これは全額が報酬だということを決定しているんですね。ところが会社の方は、逆に審査会へ問題を持ち出したというもので、四年間そのままでしょう。こんなものまともにやらぬのですか。厚生省、ちょっと意見を聞きたい。
  202. 佐藤堅一

    説明員(佐藤堅一君) ただいま先生指摘ありました北港タクシー関連の健康保険あるいは厚生年金の標準報酬の関係でございますが、御指摘ありましたように、梅田交通株式会社関係につきましては、先生お話ありましたように、五十八年に審査事件として提訴を受けております。その際、お話ありましたように、審査官としては、本来この給与体系を見ますと、先生指摘のように、本給、乗務手当、残業手当、深夜手当が中心でございまして、歩合給というものが乗っかってないのが実態なんです。  私どもの方といたしましても、一応給与についての規則等につきまして審査官が調べまして、今お話ありましたように、貸付金という性格のものが本来の給与ではないかというようなところにメスを入れて、お話ありましたように、決定をしたところであります。ところが、事業主の方はこれを不服として、現在社会保険審査会に再度の審査の請求をしているという現状でございます。北港タクシーの関係につきましては先生お話しのようにまだ審査になっておりませんが、私どもといたしましては、お話ありましたように、標準報酬は給付決定の基礎になりますので、従来から標準報酬の適正化につきましては都道府県に厳正に対処するよう指導しているところでありますが、今回先生からの御指摘もありますので、早速大阪府を通じまして事実関係の調査をした上で対処してまいりたいと考えているところであります。
  203. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 梅田交通というのが全部買収されて梅田グループになっているわけですね。  今おっしゃったように、健康保険だけではなしに労災も失業保険も税金も全部そうなんです。だから、健康保険で病気になって長期休養した人が傷病手当金をもらったら、わずかに七万円なんですよ。もし仮に四十万円の月収の人がちゃんと労災保険を払っていたら、八割だったら三十二万円ですね。休養してももらえるわけです。それがたった七万円なんです。だから、大の男がこんなもので生活できるかいといって毎日のように会社と交渉しているという、そんな事態が起こっているわけなので、これは厳正に調査をして是正させるべきです。  グループ全体の中で北港タクシーの本社というのがあるんです。その本社では二十一台あって四十三人ですが、この人らは当たり前にその歩合給もちゃんと計算して税金を納めているんです。これは私資料を持っておりますから後でお渡しをいたします。だから、労働者の方々は本社並みにしてくれというのが要求なんです。それを厚生省、労働省ともにこれはぜひ厳正にやってもらいたい。何で今までやらぬのだと私思いますよ。だって、審査請求中だといってほっておいたら四年でも五年でも十年でもそのまままかり通るわけですね。そんなことがまかり通るということが一般化したら、これは健康保険も労災も厚生年金も成り立たなくなってくる。その方がいいなということになったら大変です。労働者の利益は少しも守れないということになりますから、やってもらいたい。  特に、私何で今までこんなことをしてたのかと不思議でならぬのです。だって、健康保険法だって厚生年金法だってちゃんと大臣に権限が与えられているんですよ。どうして発効しないんですか。言うこと聞かぬ業者に対してはその分野だって罰則があるじゃありませんか。そんなこともやらぬで、ぬけぬけと五年でも十年でもそういうばかげたことを続けさせるということは私は許されないと思います。したがって、厳正に調査をしてしかるべく対処してもらいたい。そのことよろしいですか、厚生省、労働省両方とも。
  204. 佐藤堅一

    説明員(佐藤堅一君) 御指摘のように、標準報酬につきましては、先ほども申し上げましたけれども、健康保険、厚生年金すべて給付の基礎になっております。したがいまして、標準報酬の適正化につきましては従来からも都道府県について適正に実施するように指導しているところでありますが、今お話しありました件につきましては、早速大阪府を通じまして調査の上対処してまいりたいと存じます。
  205. 加藤輝雄

    説明員(加藤輝雄君) 御指摘の件につきましては、私どもといたしましても、今後労働保険料を適正に算定しているかどうか調査してまいりたいと考えております。
  206. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 国税庁おいでですか。——これも半分か三分の一しか、支給総額を基礎に算定されているというふうなことになっておりますと、こんなやり方というのは事業主の所得税法違反、義務違反じゃないですか。  これは本気で調べてほしいと思うので言うておきますが、この事業所の前の代表取締役というのは脱税で起訴されて公判中です。五十六年、一億五千万の脱税、所得隠しで起訴されています。なかなかやり手のようで、大阪貯蓄信用組合の理事長さんもやっておられるかと思うと、この間東村山市で火事で老人ホームが焼けました松寿園ですか、お年寄りが二十一人亡くなった、ここも理事長さんだった。なかなか手広くいろいろやっておられるんで、知恵も発達しているんだと思うんですよね。ですから、これはひとつ厳重に査察をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  207. 栃本道夫

    説明員(栃本道夫君) お答え申し上げます。  一般的に申し上げまして、国税当局としましては、常に納税者の適正な課税を実現するという観点から、あらゆる機会を通じまして課税上有効な資料や情報の収集に努めまして、これらの資料と納税者から提出されました申告書などを総合検討いたしまして、課税上問題があると認められる場合には実地調査を行うなどによりまして適正な課税に努めているところでございまして、このような方針に沿って今後とも適切に対処してまいることとしたいと考えております。  なお、査察調査について申し上げますと、御案内のとおり、通常の税務調査とは異なりまして、検察官への告発を目的としまして国税犯則取締法に基づく強制調査権を発動して行うものでございます。例えば偽りその他不正の行為というものに 該当する行為があるのかどうか、この不正の行為との間に因果関係がある税の逋脱があるのかどうか、逋脱について犯意があるのかどうかということ等につきまして立証し得る見通しがあるかどうかなどを慎重に検討いたしまして、査察立件、その要否を判断しているところでございます。  本件のような個別にわたります事柄について御答弁を申し上げるということは、恐縮ですが差し控えさせていただきたいわけでございますが、いずれにしましても、課税上問題があると認められる事例につきましては、今後とも適時適切に対処してまいる考えでございます。
  208. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それはひとつよろしく頼みたいと思いますが、もしさかのぼって取るとき、労働者の責任でないのにずっとさかのぼって税金を取られたら大分気の毒なんで、これはちゃんと事業主の責任処理するように指導をしてもらいたいということも強く要求しておきます。  この会社というのは、社会保険やら税金ごまかすだけでなくて、不当労働行為もすごいんですな、これはもう多くを申し上げませんが。  ことしの八月十一日に組合つくったというと、突如その晩にクレーン車を持ってきて、組合の建物をクレーンでつかんでばあっととってしまう。それで中の品物も組合の財産も書類もめちゃめちゃですわ。そういうことをやる。それはちょっと今ごろの時代にないことですよ。その上に、会社で常に会議等で集まっておった集会所を使えないようにかぎを溶接した。その翌日からはその平野という営業所、あれは四、五十台あるんですが、そこでガレージを半分にちょん切って、五台の車だけがもうこのようにへ切られて、そこへガレージに仕切りをつくって、労働者から隔離する。トイレは使わさぬ。トイレないんですから、そのへ切ったところには。ふろへは入れぬ。人権上の問題まで起こるようなことをあえてやるということが平気でやられるようなことなんです。これは救済を申し立てておりますから、この問題も労働省としては無関心ではおれないと思いますから、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。  時間がありませんで、最後に運輸大臣にお伺いをいたします。  この会社、今申し上げたいろんなことがあるし、労働協約も出してないようですよ。労働省、覚えておいてください。車検証のコピーで営業さしておるんですな。これ、道路運送車両法というんですか、これに違反することになるんでしょう。きょうもまだコピーでやっていますよ。こんなことをやらしてもいいんですか。これはもうこの前に衆議院でも既に指摘をされておるので御承知のはずなんですが、改善をされないというのは極めて遺憾だと思うんです。こんな業態というのはきちんと改めさせて、法律違反、不当なやり方、そういうものは厳しくきちんとやってもらいたいと思う。やっぱり大衆の交通機関ですから、そんなでたらめな業者がやられていたんじゃたまらぬと思いますよ。いかがですか。
  209. 早川章

    政府委員(早川章君) 先生指摘のようなさまざまな違法行為と申しますか、適切でない行為というのが当該会社にあるということはよく伺ったところでございます。  また、ただいま御指摘ございました道路運送車両法の違反、これにつきましても、本日私ども会社に出向きまして確認を図ったところでございますが、十分な形では確認できなかった、こういう……
  210. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 きょうやったんですか。
  211. 早川章

    政府委員(早川章君) はい、やったのでございますけれども、結局車両が出払っているということで確認ができなかったということでございます。  しかしながら、先生指摘のように、道路運送法でタクシー事業というのは公益性にかんがみて免許事業という形になっている事業でもございます。またタクシーは、特に運転手さんがお客さんと一対一で対応する、こういう事業でございますので、私どもとしては、良質な運転手の確保ということがいわばこの事業の基本であるということで、従来から種々指導しているところでございます。そういう観点からも、今みたいな形で種々な労働条件等をめぐりますトラブルがあることは決して好ましいことではない。具体的なそれぞれの問題点につきましては、関係各省それぞれのお立場から御指導が行われて、あるいは違反是正といいますか、そういう措置がとられると思いますが、運輸省といたしましても、タクシー事業の特性ということも十分勘案しながら、違法行為があれば厳正な対応を行ってまいりたいと考えております。
  212. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 じゃ、よろしく。時間だから終わります。
  213. 粟森喬

    粟森喬君 私の方から、昭和六十一年度の郵政三事業決算を中心にして、前後の年度の対比をお聞きしながら質問を申し上げたいと思います。  まず一つに、昭和六十一年度の決算は、それ以降もそうでございますが、郵政三事業とも好調でございまして、それは大変喜ぶべきことだと思いますが、そのうち特に郵便貯金事業について申し上げます。郵便貯金事業について、昭和六十一年度の剰余金といいますか、利益は予算を相当上回ったものになっていますが、その理由についてどう郵政省当局はお考えですか。
  214. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 六十一年度は、先生指摘のように五千六百十四億円の黒字を生んでおります。その理由でございますが、預託利率と貯金利率との間に利差がございまして、預託利率は六・〇五%から五・二〇%で推移しております。その間の貯金の支払い利子といいますか、利率の方は四・七五から三・六四%でございまして、その間に利差があって、経費を含めましても若干の余裕が出たということ、それからもう一つは、職員一人一人の営業努力によりまして郵便貯金が予算上目標としておりました額を上回ったということによりまして預託利子収入がふえたということが要因として考えられます。
  215. 粟森喬

    粟森喬君 郵政省が七月二十四日に発表いたしました報道用の資料によれば、郵便貯金の増加額が目標に対して六千七百億円増加したことによって、五千六百十四億円の利益が生じたという表現があります。すなわち、予算に対して約八百億ほどの利益が出たのは、いわゆる郵便貯金の増加額だけのような発表が報道資料として出されています。もちろん「等」という言葉が入っていますから、必ずしもそれは正確ではないのだと思いますが、「等」という言葉がそうだといえばそうでございますが、私どもがその後の六十二年度の決算を見たときにも、これは明らかに先ほど申し上げた運用利差の差によるものが多いわけでございますから、その辺の理解と確認の方法について、この七月二十四日の時点の発表は必ずしも適切ではなかったと思いますが、いかがなものですか。
  216. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 六十一年度につきましては、先生のお話のように、「等」がございまして、実績額が七兆六千七百十五億円です。実績額としては目標としていたものを上回ったということもございます。実績が上回りますと、それだけ預託される額がふえますものですから預託利子収入がふえてくるということがございます。それから、先ほど申し上げましたように利差がございまして、預託利率と支払い利率との差、それに経費を足しましても預託利子の方が上回っているということがございまして、それらによりまして、先ほど申し上げましたような利益が生じているということでございます。先生指摘のように、「等」ということで含めて申し上げているとおりでございます。
  217. 粟森喬

    粟森喬君 その当時のことを若干申し上げますと、ほかの金融機関も含めていわゆる利ざや、逆ざやがかなりあったときの郵政省の発表としては必ずしも適切ではなかったという意見を申し上げておきます。  次に、同じように関連をするわけですが、郵政事業の順調な伸びの理由にはもう一つは保険・年金事業がございます。これも毎年いわゆる利益といいますか、収支差額というのが、その前の年から見ると、昭和六十年度が二兆八千九百五億、六 十一年度が三兆四千億、六十二年度が四兆円です。収支差額というのはすべてが利益といいますか黒字というふうには断定できる性格でないことは十分承知をしております。しかし、含み資産的なものがこのように伸びていくということは、いわゆる簡易保険の場合は若干毎年還元というんですか、やっておりますが、その金額として果たして適切なのかどうか、その辺のところについて、六十一年度の決算やその前後のことを郵政省は適当と考えているかどうかについてお尋ねを申し上げます。
  218. 松野春樹

    政府委員(松野春樹君) 簡易保険事業におきましては、入ってまいります収入は保険料収入と運用収入の二つであります。ほかの事業と違いまして簡易保険の場合には、長期的にこれをお預かりして運用して、簡易保険の契約が消滅するときに配当としてこれを加算しております。  したがいまして、先ほどおっしゃいました六十一年度の時点でありますけれども、この簡易保険の運営の内容につきまして一番端的に出てまいります数字は、いわゆる利益剰余金でございまして、簡易保険利益剰余金は、六十一年度は決算によりますと七千八百九億円になっております。これは当年度発生分です。その後の六十二年度あるいは六十三年度を見てまいりましても、およそ八千億前後の利益剰余金を出しております。  この利益剰余金は、基本的には翌年度分配金としましていわゆる分配準備金に繰り入れております。私どもがお預かりしております加入者の方の共同資産みたいなものでありますが、これの準備に備えまして、いわゆる契約準備金という項目を貸借対照表上立ててございます。その中の責任準備金と申します項目には、これは商品そのものでお約束した将来お返ししなきゃいかぬ資産になります。それから先ほどの利益剰余金でありますが、これはいわばプレミアムといいますか、最後に契約が消滅するときにお客様にプレミアとしてお返しする準備金であります。これを合わせまして契約準備金としてやっております。  したがいまして、利益剰余金が七千八百九億円六十一年度ございましたが、これは基本的にはすべて利用者の方に分配される、配当される性格のお金であるということであります。六十一年度の前の数字を私実は持ってきておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、六十一、六十二、六十三を見てまいりますと、およそ八千億程度が利益剰余金出ておりまして、私大体現時点ではこれが適正規模かなというふうに感じておる次第でございます。
  219. 粟森喬

    粟森喬君 一般的に数字としての適正化の見方についてはいろいろあるのだと思いますが、郵便貯金の場合に、例えば利益がかなり上がるということは、裏返しに申し上げれば、もう少し預け入れの利息を上げるということが、その後の運用の中でそういう改善が果たしてでき得なかったのかどうかということが一つ。それから生命保険の場合も、これはもらう金額と配当のやり方というのはたしか法律で決められているはずでございますが、八千億とかそういう数字で利益が上がるというのは、現実に保険金額等の減額についてそれ以降において検討したのかどうか。  そして、郵政大臣にもお尋ねをしたいのは、三事業のそれぞれが、特に過去の例で申し上げますと、郵便が少し赤字でその分を保険と貯金の利益で、それぞれの郵便局ごとにいえば委託料みたいな格好で渡しているというのは承知をしておりますが、事業が潤沢であればあるほどその分の還元方法について、今のような立場、今のような利率を堅持していくのかどうか、このことについてお尋ねをしておきたいというふうに思います。
  220. 成川富彦

    政府委員(成川富彦君) 郵便貯金の利率でございますが、これは郵便貯金法第十二条第二項におきまして、預金者の利益の増進と、それから民間金融機関、一般の金融機関の預金の利率に配意して定めるということになっております。  発生した利益でございますが、過去におきましても利益が生じなくて損失が生じたこともございますが、その発生した利益につきましては、直接金利の引き上げに結びつくものではございませんけれども、将来金利変動等によって損失が出ることもあり得ないことじゃないわけです、金利変動はいつでもありますのであり得ないことではないわけでございますので、その金利変動等に伴う損失に備えて積み立てることとなっております。そうした中で、国民全体にといいますか、利用者全体に還元されているということになるのではないかというふうに考えているところでございます。
  221. 松野春樹

    政府委員(松野春樹君) 簡易保険について申し上げます。  私どもは、保険料を商品別に策定するに当たりまして三つの要素をもとにしております。一つは生命表でございます。死亡率の状況はどうであるかという内容であります。それからもう一つは、その商品の利回りの設定でございます。それからもう一つは、私ども事業に伴う経費、付加保険料と申しておりますが、この三つを組み合わせて、私もよくわからないんですが、大変専門的な数理計算に基づいてやってございます。  したがいまして、おっしゃいますように、この利益剰余金の発生が順調に出るということはそれだけ経営内容がいいということで、おっしゃるように、いろいろな情勢を検討して、例えば現在の保険料の水準がどうであるかということは確かに参考資料になるわけでありますけれども、実はそれ以外に、先ほど申し上げました死亡率とか金利の動向、あるいは経営の健全性あるいは加入者負担の軽減のバランスを総合的にどう見るかというふうなことも勘案してやはり保険料というものは考えなきゃいかぬだろうと思います。と申しますのは、保険料を高く徴収いたしますと配当がふえてまいります。保険料を安く設定する、これは営業上は大変有利のようでありますけれども、最後になりまして配当金が減ってくるということで、割合相関関係がありまして、その辺のバランス等は重々考えた上で今後対処してまいりたいというふうに考えております。
  222. 粟森喬

    粟森喬君 いわゆるその三事業の余裕金といいますか、それは外債発行などによって運用しているということが当時の決算報告に関連をして新聞などでも話題にされています。特に当時の円レートはたしか二百四十円ちょっと低いぐらいのところで、当時さまざまな金融機関が同じようなことで円高差損を出しまして大騒ぎしたことになっています。郵政省にも関連をした問題がありますが、その後の運用の仕方にそれらの反省を込めたことが出されているかどうか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  223. 松野春樹

    政府委員(松野春樹君) 御指摘のように、外国債、特に外貨建ての外国債をめぐりまして円高差損の問題が生じてまいっておりまして、毎年私ども決算諸表の脚注といたしましてその金額を付記さしていただいておるわけであります。もちろんこういうことがないことが望ましいわけでありますが、私ども外国債を買う目的といたしまして、やはり国内債に比較しまして大変金利が高い、大体およそ二倍程度というふうに見ております。したがって高い利子収入を得られるということが一つの問題であります。それから同時に、例えば日本において関東大震災規模の大きな災害が起こった場合どうであるかといいますと、運用をできるだけ分散してリスクを分けるということもまた運用の際に一つの大事な視点ではないかというふうに思っております。  私ども五十六年度から外国債の運用をやったわけでありますが、その後この状況を見まして私ども対応としてやっておりますのは、やはり外国債の購入に当たっては慎重な分析が必要であるということが基本的な姿勢でありますが、同時に、外国債の購入の仕方もいろいろな組み合わせの仕方があります。逆デュアル債というような難しい言い方で、外貨建てと円建てと組み合わせしたような債券購入の仕方もあるようであります。できるだけ為替リスクを分散する上で、例えば通貨も一つに固定しないでたくさんの国の通貨に分けるというふうなやり方も一つ方法であると思います。このようなことを総合的にいろいろ工夫しながら現在一定の外国債の購入に当たっておるところで あります。
  224. 粟森喬

    粟森喬君 外国債を今後買っていくのかどうかということについて、所管大臣としては今の考え方を踏襲されるつもりですか。私どもとしては外国債の購入は適当ではないという幾つかの根拠を持っていますが、時間的に十分述べることができませんので、考え方だけをお伺いしたいと思います。
  225. 大石千八

    国務大臣大石千八君) ただいま簡易保険局長から答弁をさせていただいたとおりだというふうに私も当然認識をしているところでございまして、運用対象を多様化して分散する、それによって予期せぬ経済変動等のことが起きた場合にもリスクを軽減することができる、したがいましてできるだけ有利な運用をしていくことがまた郵政省の任務でもあるというふうに認識をしているところでございます。実際の運用に当たっては、内外の金利差とか為替の動向等を十分注視して適切に運用しているところでございます。
  226. 粟森喬

    粟森喬君 時間がございませんので、国鉄決算のあり方について若干申し上げます。  六十一年度は国鉄最後の決算でございますが、その後のJR経営状況決算について今までの運輸省の答弁では順調だというふうに言われています。  若干の見解を申し上げますが、長期債務を切り離して、最も赤字なところを第三セクターにして、国鉄労働組合指摘するような不当労働行為をやって、その結果の経営状況から見ると、果たして分割民営がこれでよかったのかどうかということについては若干議論の分かれるところだと思います。特に黒字が出ている。国鉄決算赤字のままたくさん残してあるんですね。黒字が出ていても、それは民営化になったわけですから、承継法人のところで、ちょっとそのもうかったところをよこせというふうに言えないというような決算のあり方について果たしてどうであったのだろうか、こういうふうに考えるわけであります。  運輸大臣として、この種の、JR各社が今黒字が出た分を何らかの格好で、これは全く性格が別ですし、その省庁を呼んでおりませんので適切かどうかということもありますが、例えば今国鉄の共済の問題、年金の問題が大変問題になってます。このような黒字について何らかの格好で政府が、こちらへ少しくれるというか、政府の側にその利益を配分することを求めるつもりはあるかないか、そのことについてお尋ねしたいと思います。
  227. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) かつて、昭和六十年ごろだったと思いますが、運輸収入が三兆一千億くらいであった。そのころ多分実質上の赤字が二兆五千億ぐらいではなかったかと記憶をしております。その時代から比べますと随分と頑張ってきたと思っています。例えば、その当時は貨物というのはもう本当に厄介者だったわけですが、貨物が元気を取り戻してきて、おまけに今度はその貨物ヤードが大変な財産になって売り払いの対象になってきたわけですから、貨物などというのは随分と改善され、努力をしてきたなと、こう思っています。  しかしながら、おおむね順調であるといいますけれども、午前中も申し上げましたように、実は基金からの援助を受けて三島の会計は黒字を体面上つけておるわけであります。したがいまして、ある方面からは、黒字が出るようになったんだから値下げをしたらどうだという御意見もあります。それから、国の方に召し上げて、もうちょっと年金負担を増したらどうかと。五年間で一千億見るわけですが、それでも一般の民間の同種の企業からすると年金負担は一・七倍ぐらいになると私は思っています。しかし、もっとふやせと、こういうことがありますが、私どもは、一つの役割として、国鉄清算事業団土地をなるべく適正な価格で売り払って、そして長期債務に充てる。それからもう一つは、準備の整ったところからひとつ株式を公開して、そうしてNTTと同じようにこれを長期債務の大きな財源として充てる、こういう考え方でおりますから、なるべく将来この株が高く売れるようにひとつ頑張っていこう、こう考えておるわけであります。
  228. 下村泰

    下村泰君 障害者の福祉問題を基本にいたしまして、郵政省運輸省の両省に伺いたいと思います。  運輸大臣にまず一言お礼を申し上げておきます。十四日の閣議で、内部疾患を持っている者、心臓病などの方々のJR、私鉄、国内航空運賃の割引制度を来年の二月をめどに実施するというお話でございます。  私がこの問題を取り上げてからもう十年以上たちます。やっと一歩と言いたいところですが、ほとんど半分ぐらいしかまだ前進していないんじゃないかなと思います。しかし、その具体的な実施方法と今後のスケジュール、JRや厚生省などとの調整の必要があると思いますが、その辺はどういうふうになっておりましょうか。まずそこからお伺いします。
  229. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 長い間いろいろと貴重な御意見をいただきまして、ようやく一部でありますが実現の運びになりましたことについて、各委員の皆さんに厚くお礼を申し上げる次第であります。  今後のスケジュールといたしましては、なるべく早くJR各社あるいは関係の機関に申請を出していただいて、申請が出てまいりましたら年内にでも認可をしたい、こう考えております。私は、年内に実施したらどうだ、年末年始がありますから年内に実施したらどうだという意見を持っておったわけでありますが、障害者手帳の書きかえとか、あるいは、第一線で業務に当たられる皆さんが全然内容を知らないというのではかえって、利用者が行きましたときに、何じゃこれはというようなことになってもいけませんので、若干のそうした周知徹底する時間を置いて、二月中には、二月にはひとつこれが実際の行動に移れるようにしよう、こういうふうに考えておるところであります。
  230. 下村泰

    下村泰君 これは大変うれしいお言葉なんですが、十一月十四日の朝日の記事なんですけれども、大臣がこうおっしゃっております。「本来は、費用負担を民間にたよるのではなく、国の社会福祉政策として実施すべきだ。距離制限の撤廃や割引対象者の拡大も含め、今後は厚生省と話し合いたい」。この問題を抱えている方たちにとってはもう大変な福音なんです。ところが、「しかし、精神薄弱の人(約三十三万人)や難病患者(約十六万人)の割引適用は、「どの程度の障害まで適用範囲とするか明確でない」として、見送られた。」、こういう記事も一方にあるわけなんです。内部障害の方たちはそんなに遠くへ行くということはほとんどないんですよね。だから逆に距離制限の撤廃というのは本当は早くしていただきたいと思うんです。むしろ遠くへ行くよりも近距離の方が多いんです、この内部疾患の方が利用するのは。  特急料金の問題があります。これもしばしば出ております。そのほかにも幾つも問題があります。課題すべてを民間に依存するのは確かにいろいろの困難なことがあると思います。雇用の面からのアプローチ、所得の面からの施策、そして福祉制度としてのあり方、さらに民間の方々の協力といったものが総合的に行われてこそ、よりよいものになると思います。  いかがでございましょうか、こういったことをすべて含んで、大臣のひとつ御決意のほどをお願いしたいと思います。
  231. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) せっかくここまで来ましたから、そうした約五十万の精薄者あるいは難病患者というのを残すというのはいかがか、こう考えておりましたけれども、さまざまの理由がありまして、いろいろ法制上にもまた取り扱い上にも厚生省で明らかでない面がありまして、例えば精薄者はなかなか幅が広くて、どこからどこまでするんだということもあって今回は見送ったわけであります。しかし、既に割引対象になっておられる身障者の皆さんでも、おっしゃるように短距離の方が多いですから、その制限を撤廃しろとか、あるいは特急料金を入れろとか、いろいろございます。それからもう一つ傷痍軍人がほかにあ るわけでありまして、これを全部やるということになると、私の立場は、運賃は上げるなという方でありまして、運賃はなるべく申請がありましても値切ろうという方が、片方では割り引きをしろ、半分にしろという話でありますから、なかなか厄介な話であります。  したがいまして、今回の中でも、これは各社の中には赤字のところも実はあるわけで、赤字のところにも同様の負担をさせるわけですから、国の全体的な社会福祉政策の中で取り上げて、やっぱり弱い人は弱いんですから、政治は弱い者のために汗を流すという原点に返って、国の大きな社会福祉政策の基本として取り上げていただくようにということを、閣議の場所で私は厚生省並びに各閣僚にお願いしたところでございます。
  232. 下村泰

    下村泰君 障害者の方たちが聞いたら随喜の涙を流すんじゃないかと思われるようなお言葉でした。これが発表されてから私どものところへも電話がたくさん参りまして、よしとする方、まだ足りないという方、悲喜こもごもで、全部が全部というわけにはいきませんが、今の大臣のお言葉、議事録ができ上がったらコピーして皆さんに送りたいと思います。どうもありがとうございました。  今度は郵政省の方に伺いますけれども、電話番号を聞く一〇四でございますけれども、これがまた何だかそろそろ有料化しようじゃないかというお話が出てきているようです。これはNTTの方に言わせると、一通話当たりのコストが二百円、それをせいぜい三十円ぐらいだからいいじゃないかというような御意見が出ているそうですが、この前は中山大臣のツルの一声でオジャンになりまして、ちょうど一年たったらまた同じ時期にこういう話が出てきているんですけれども、ことしは逆で、何か大臣はお進めになりたいような御意見なんですが、これをひとつ聞かせてください。
  233. 大石千八

    国務大臣大石千八君) それは安い方が、そしてまたただであれば何でも一番いいわけでございますが、それにはどうしてもコストがかかるという基本的な現実とどう対応するかという問題があるわけでございまして、中山郵政大臣がどういうことをおっしゃったのか、大体は聞いておりますが、つまびらかには認識をしておりませんが、私は電話料金はできるだけ利用者に有効に還元するということを考えたらいいだろうと思います。そのためにはやはり一〇四番も、ほとんど使っておられない方のために、利用しておられない方もおるけれども、一年間に二千三百五十億も経費がかかっておるわけですね。そうすると、やはり一〇四番を使われない方は大変損をしているというか、しているのではないかというふうに私は認識をしますし、そういう方が非常にむしろ平均すれば多いと思います。  そういう意味では、二百円かかるコストをそのままにしておくというのは、利用者の公平ということから考えて果たして公平だと言えるだろうかというふうに私は思います。でも、そのまま二百円を一番初めから有料化するのは、一番初めからと言うと後でやるみたいで変ですけれども、その有料化というのも、今コストがかかるだけ二百円そのままというのはいかにも高過ぎるといいますか、今まで無料であっただけに恐らく利用される方も戸惑われると思うので、そういう意味ではコストが二百円かかるからといって二百円ということはあり得ない。NTTもまだ有料化するともちろん発表しているわけではございませんけれども、まあそういうことを考えれば、三十円ですか、幾らかわかりませんけれども、ある程度の有料化をして、コストが浮いた分はほかの電話料金を安くするとか、そういった方へ還元する方が合理的な考え方である。私もそういう考えをとっているところでございます。
  234. 下村泰

    下村泰君 フランスの方ではミニテルというのがあるんだそうです、電話の加入あるいは更新の場合ですね。電話帳の更新時期になると、これまでどおり紙の電話帳にしますか、それとも電子電話帳にしますかというようなことで、今この電子電話帳の方がふえて、かえって増収になっている、それが今度逆に利用者に還元されて喜ばれているというような記事があるんですけれども、そういうような感覚が今郵政省におありになるんですか。
  235. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) お尋ねのありましたフランスのシステム、確かにミニテルという通信端末がございます。これは、フランスの郵電省がやっておる電話事業のセンターにオンラインで直接アクセスできる端末がある、そしていろいろ利用者の質問に答える、こういう仕組みでございます。フランスではそのミニテルが電話番号案内の経費を節減する等の効果があったということで、郵電省ではミニテルを原則として無料で配布しているという実態は確かにございます。  先ほど大臣が申しましたように、日本の問題をどうするかというのはかねがね論議がございまして、この問題は考え方としては、今大臣が申しましたように、全体の公平を図るという意味で、この一〇四は特定の利用者が相当、全体の例えば八割ぐらいを占めておるとか、そういうデータ等もNTTからの報告を受けておりますので、確かに大臣が申しましたとおり受益者負担という考え方というのはそれなりにあるんではないか。  ただ、NTTも現在検討中でございます。そうした場合には、中山大臣も当時申しておりましたが、これには社会的コンセンサスが必要だと。そのためにやはり私どもといたしましても、この番号案内の業務をできるだけ、今二千三百億余かかっておりますのをできるだけ節減するということをもっともっと考えてもらうという必要もある。同時に、今もおっしゃいましたミニテルみたいな形で電子電話帳に直接アクセスができるという方途もいろいろ考究をしてもらう必要もある。さらには、節減された料金が利用者にまたちゃんと還元できる、そういうような点の配慮も必要だというふうに考えておるところでございまして、これから問題の研究をいよいよしていこう、こういう状況でございますので、御理解を賜りたいと思います。
  236. 下村泰

    下村泰君 実は私がこういう質問をしているのは、一番大きい問題は視覚障害者の方々なんです。  御存じのごとく、もし視覚障害者の方々のための電話帳をつくったら一体どういうことになるだろうかということ。あの岩波文庫ぐらいの本を例えば点字にしたとすればあれの十倍の大きさが要るはずですね。そうすると、現在のあの電話帳をもし点字でもってわかるようにして目の不自由な方々のための電話帳をつくるとしたら、恐らくこの部屋の半分ぐらいになるんじゃないですか。そのぐらい大きくなるでしょう、電話帳が。ですから、そういった方々が利用しているということについてはもう大変な福音なんですよね、この方たちにとっては。  一応郵政省の方としても、こういった方々とか障害者の方々に対しては無料にしようというお考えがあるようですけれども、例えば具体的にどういうふうな方法でやろうとお思いになりますか、それともまだそこまで出ていませんか。
  237. 森本哲夫

    政府委員(森本哲夫君) 先ほど申し上げました社会的コンセンサスという意味で、今先生のおっしゃる視聴覚障害の方に対してもそれはそれなりの配慮をしていく必要があるということは、もしNTTが検討をして郵政省等の方にいろいろ相談がある場合には、私どもとしてもぜひ大事なポイントだと考えております。  方法としては、これはそういう意味ではまだこれからになるわけでありますが、例えば視聴覚といいますか、そういう目の不自由な方が電話を持っておられることがわかりますれば、あらかじめその電話番号を登録していただく、あるいは登録番号を申していただくといったときにはそういった配慮ということも可能になるかと思います。何らかの手段をとらなきゃならないと思いますが、まだ今のような全体の状況でございますので、具体的な詰めは、あるいは技術論はこれからのことになろうかと思いますが、できるだけ配慮はしなきゃならぬと考えておるところであります。
  238. 下村泰

    下村泰君 私の考えたとおりでした、今あなたのお答えは。多分そういうふうな方法になるんじゃないかなと思っていました。  さて次は、NHKの受信料の問題なんですけれども、例によって小中学校からの徴収問題が再びかま首をもたげたという話を聞くんですけれども、事実でしょうか。
  239. 大瀧泰郎

    政府委員(大瀧泰郎君) 長期展望と申しますか、NHKの将来ということでの審議会、そういう会を会長の諮問機関というような形で現在審議を進めておるわけでございまして、そういうふうな問題についてはまだその場でも審議が行われておりません。
  240. 下村泰

    下村泰君 これでおしまいにします。  全国の幼稚園とか小中学校、養護学校あるいは特殊諸学校、こういうところは受信料が免除になっているんですけれども、できるだけこういうところからは徴収しないでください。これは私は去年もやっているんです、文教委員会で。ところがNHKは意外と手抜かりのところがあるんですよ。ホテルとか喫茶店とか、日本全国これを完璧に徴収しているとは言えない状態なんですよ、たしか。本当はこれはNHKの方に来ていただいて、そちらの方からよくお聞きくださればわかると思いますが、完璧にそういうところから徴収しますと膨大な額になるはずです。  それから、一言言わせていただきますれば、NHKというのは確かに技術その他の面においては世界一優秀です。ただむだが多い。これは中に入った人間でなきゃわかりません。私らは出演者としてあそこに入っておりましたけれども、民放の倍の人間が使われているんですよ。例えばテレビカメラを動かしますときに、コードといいまして線がついています。そのコードを運搬する人はそれだけなんですよ。民放は違うんです。カメラが動くとそのコードを持つ、そのコードを持った人が今度は昼食になれば弁当も配る、あるいは番組が終わったらタレントを送るためのそれぞれ配車とか、いろんな気を使う。そういうことまで全部やるんです。NHKの場合はそうじゃないんです、個々なんです、みんな。どんなにむだな人間がおることか、あそこには。そして、その役付の名前がないものだから第一室長、第二室長、第三室長とか、第一主幹、第二主幹、第三主幹、なんだったら部長待遇とか。こういうむだなのがうんといるんですよ。身内のことだから余り切り刻むわけにいかないからそのままになっているんでしょうけれども。  まずそういった人件費とかをもう一回よく考えていただいて、整理できるところは整理するというような方法をやれば、あの赤字がそう膨らんでいくようなことはないと思うんです。  意見として申し上げて、終わります。
  241. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 他に御発言もないようですから、運輸省郵政省及び日本国有鉄道決算審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十一月二十九日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会