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1989-11-10 第116回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十日(金曜日)    午前十時二十分開会     ─────────────    委員異動  十一月六日     辞任         補欠選任      下村  泰君     喜屋武眞榮君  十一月七日     辞任         補欠選任      粕谷 照美君     福間 知之君  十一月九日     辞任         補欠選任      福間 知之君     三石 久江君      上田耕一郎君     諫山  博君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         千葉 景子君     理 事                 大島 友治君                 鈴木 貞敏君                 守住 有信君                 一井 淳治君                 及川 一夫君                 刈田 貞子君     委 員                 尾辻 秀久君                 岡野  裕君                 狩野 明男君                 木暮 山人君                 清水嘉与子君                 陣内 孝雄君                 鈴木 省吾君                 西田 吉宏君                 福田 宏一君                 会田 長栄君                 大渕 絹子君                 菅野  壽君                 喜岡  淳君                 種田  誠君                 三石 久江君                 木庭健太郎君                 諫山  博君                 沓脱タケ子君                 高井 和伸君                 山田  勇君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   鹿野 道彦君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  志賀  節君    政府委員        環境庁長官官房        長        渡辺  修君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       古市 圭治君        環境庁水質保全        局長       安橋 隆雄君        農林水産大臣官        房長       鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       塩飽 二郎君        農林水産省構造        改善局長     片桐 久雄君        農林水産省農蚕        園芸局長     松山 光治君        農林水産省畜産        局長       岩崎 充利君        食糧庁長官    浜口 義曠君        林野庁長官    甕   滋君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田 堯躬君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     榊   誠君        警察庁刑事局保        安部保安課長   平沢 勝栄君        環境庁長官官房        参事官      小林 康彦君        国土庁地方振興        局総務課長    岩崎 忠夫君        外務省北米局地        位協定課長    森  敏光君        外務省経済協力        局審議官     高橋 雅二君        外務省国際連合        局経済課長    藤本  進君        厚生省生活衛生        局水道環境部産        業廃棄物対策室        長        三本木 徹君        厚生省援護局援        護課長      船橋 光俊君        工業技術院総務        部研究業務課長  向井  保君        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        部新幹線環境対        策室長      倉本 東三君        建設省建設経済        局宅地企画室長  木村 誠之君        建設省河川局開        発課長      豊田 高司君        自治省財政局調        整室長      澤井 安勇君        会計検査院事務        総局第二局長   澤井  泰君        会計検査院事務        総局第四局長   山本  正君    参考人        農林漁業金融公        庫副総裁     宮本 保孝君     ─────────────   本日の会議に付した案件昭和六十一年度一般会計歳入歳出決算昭和六十一年度特別会計歳入歳出決算昭和六十一年度国税収納金整理資金受払計算書昭和六十一年度政府関係機関決算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産増減及び現在額総計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和六十一年度国有財産無償貸付状況計算書(第百十二回国会内閣提出)(継続案件)     ─────────────
  2. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  この際、鹿野農林水産大臣及び志賀環境庁長官から発言を求められておりますので、順次これを許します。鹿野農林水産大臣
  3. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 去る八月、農林水産大臣を拝命いたしました鹿野道彦でございます。  農林水産業をめぐる内外の諸情勢が厳しく、また農林水産行政について種々議論がされております時期に農林水産大臣を拝命し、その責務の重さを痛感している次第であります。  農林水産業は、申し上げるまでもなく、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧等を安定供給するという重要な使命を担っているほか、活力ある地域社会維持国土自然環境保全、生きがいの充足等我が国経済社会国民生活の土台を支える重要な役割を果たしております。  私は、与えられた国土条件等の制約のもとで、最大限生産性の向上を進め、国内での基本的な食糧供給力の確保を図りつつ、農林水産業の経営の安定を確保するとともに、国民の納得できる価格で食糧供給が行われることが大切であると考えております。さらに、国民のだれもがかかわってみたくなるような魅力ある農林水産業を育成し、緑とゆとりがあり、文化の薫りのする農山漁村の実現を目指していくことが必要と考えております。  私は、農林水産行政責任者として、我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていくよう最大限努力をする決意でありますので、委員各位の御指導、御鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。
  4. 千葉景子

  5. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 私は、去る八月二十五日付で環境庁長官を拝命いたしました志賀節でございます。  窒素酸化物による大気汚染生活雑排水による水質汚濁などの公害や、優れた自然環境保全、さらには地球環境問題など、環境問題については国民関心も高く、非常に重要な問題と認識いたしております。  環境庁は、公害を防止し、かけがえのない自然環境保全を図るとともに、快適で潤いのある環境をつくり出し、さらに地球環境問題の解決を図るなど、環境保全に関する行政を総合的に推進することを主たる任務といたしております。私は、かかる責務を深く認識し、健全で恵み豊かな環境国民共有財産として後世に引き継いでいけるよう、長期的な視野の中で環境行政を積極的に推進いたしてまいりたいと存じます。  特に地球環境問題につきましては、地球環境問題担当大臣として、本年九月に開催した地球環境保全に関する東京会議や、この六日及び七日に私が日本政府代表として出席したオランダにおける環境大臣会合の成果を踏まえて、政府一体となって積極的な取り組みを進めてまいりたいと考えております。  委員長を初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げてごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。     ─────────────
  6. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 委員異動について御報告いたします。  去る六日、下村泰君が委員辞任され、その補欠として喜屋武眞榮君が選任されました。  また、去る七日、粕谷照美君が委員辞任され、その補欠として福間知之君が選任されました。  また、昨日、上田耕一郎君及び福間知之君が委員辞任され、その補欠として諫山博君及び三石久江君が選任されました。     ─────────────
  7. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 昭和六十一年度決算外二件を議題といたします。  本日は、農林水産省環境庁及び農林漁業金融公庫決算について審査を行います。     ─────────────
  8. 千葉景子

    委員長千葉景子君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  10. 千葉景子

    委員長千葉景子君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  11. 会田長栄

    会田長栄君 会田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  議員一年生でございますから、各省庁におかれましても親切、丁寧、率直に御所見などをお伺いしたい、こう思いますので、まず最初にそれをよろしくお願いしておきます。  先生方初め政府関係者は既に御承知だと思いますが、第百十三回、百十四回国会では、内閣が提出して大気汚染防止法の一部を改正する法律が成立しております。そしてその国会では、附帯決議項目、同時に水質汚濁防止法の一部を改正する法律、そして附帯決議として衆議院では四項目、当参議院では六項目決議されていることを御承知だと思います。そして、決議といたしまして地球環境保全に関するものが満場一致で採択されていることを私も承知しております。日本経済工業発展に伴って改めて環境行政重要性を痛感しているところでございます。  私は、以上の視点に立って端的に以下の点について環境庁、農水省、関係省庁にお伺いしたいと考えます。  第一は、環境保全の意義と重要性であります。  今日改めて痛感されているところでございますから、今環境庁長官あるいは農水大臣からごあいさつがあったとおり、もう一度決意のほどを含めまして御所見をまずお伺いしたい、こう思います。よろしくお願いいたします。
  12. 志賀節

    国務大臣志賀節君) ただいまのお言葉は、私ども環境行政に携わる者といたしまして大変心強い応援のお言葉とも聞き得ることができまして、心から感謝を申し上げます。  特に環境保全に関しましては、地球規模であると国内規模であるとにかかわらず、一人一人の人類の自覚が何よりも根底になければならないわけでありまして、私ども環境行政を推進する者といたしましては、一人でも多くの我々人類の仲間にその認識に立っていただくことに努力をしてまいりたいと考えております。同時に、そのこと自体私ども環境行政に携わる者の姿勢にもかかるわけでございまして、私どもが真にこの問題に真剣に取り組んでおるという姿を、いわば従来の高度経済成長の中で忘れてきた自制、すなわちセルフコントロールというものに対してのそういう姿勢をみずから持っていかなければいけない、野方図になってはいけない、こういう考え方でおるわけでございます。  また、今回私はオランダで、たまたま私のカウンターパートに当たりますアメリカライリー環境保護庁長官ともお目にかかりました。その冒頭に、実はやられたなという気がいたしましたのは、彼の名刺は、アメリカのスーパーマーケットで人々が物を買うときのココア色の紙袋の裏面を利用した、いわゆるリサイクルの紙製でございまして、私はこういう点にもまだ私自身が至らない点を教えられたような気がいたしました。そういう点についても細かい配慮をしていかなければいけない、ともかく官であると民であるとにかかわらず一体になってやっていかなければいけない、そのための大変意欲的な気持ちを持ち続け、またそれを環境行政に反映させなければいけない、このように考えておる次第でございます。
  13. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 農林水産業というものは、自然を破壊することなしに自然を再生産しながら発展できる産業である、こういうふうな認識を持っております。それだけに、農林水産業の適正な振興を図っていくというふうなことが環境保全につながる、こういうふうなことからいたしまして、これからも環境保全の問題につきましては重大な関心を持って取り組んでまいりたい、このように考えておるところでございます。
  14. 会田長栄

    会田長栄君 環境庁長官並びに農水大臣から真剣に取り組む決意のほどをお伺いして力強く思います。  その上で、具体的にまずお聞きしたいのは、産業廃棄物行政についてでございます。廃棄物処理及び清掃に関する法律昭和四十五年十二月二十五日に成立して以来この二十年間、四たび一部改正が行われていることを承知しております。しかし、今日、東京中心とする圏内から廃棄物処理問題をめぐりまして現状と課題、とりわけ高速交通発展に伴って広域不法投棄の拡散が非常に目に余るものがございます。その意味ではますます危険が増大していると思わざるを得ません。今日の環境行政産廃に取り組む行政というのはあすでは遅過ぎるのではないかと私自身は痛感しているところでございます。  したがいまして、具体的にお聞きいたしますが、一つは、昭和六十一年度以降六十三年度までの産業廃棄物処理法違反態様別実態などについてお知らせ願いたいと考えます。そして、この一年間の不法投棄の総量はどのぐらいになっているものかということをお知らせ願いたい、こう思います。
  15. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ただいまの先生の御指摘につきまして御説明を申し上げます。  まず、不法投棄の件数でございますが、現在まで警察庁の方で調べております数字でございますが、昭和六十二年に二千九百五十五件というものが検挙されております。なお、六十年、六十一年とさかのぼりますと、六十年が四千七百二十二件、六十一年が三千四十七件という数字が上がっております。そのほか、廃棄物処理法に違反いたしました案件というものは、現在手元に詳細な数字は持っておりませんが、かなりの数に上っておるのは私ども承知しているところでございます。
  16. 会田長栄

    会田長栄君 私は、この産業廃棄物不法投棄違反というのは年々拡大しているし、それが広域化、拡散しているものと思っております。その意味では、この不法投棄法違反というものは、地域別に見たら、東京都を中心とする関東圏内から今や東北圏あるいは北陸圏というように自然環境の豊かなところに年々拡大してきている傾向にあると思っております。そういう意味では、本当に今日ストップをかけていかない限りこの種の問題は年々拡大するという観点に立って二つ目をお伺いいたします。  産業廃棄物適正処理するための具体的な方法というのは、今日産業廃棄物法律を改正する以外に私はこのストップをかける道はないものと思っておりますが、その点についての御所見を、決意のほどをお伺いいたします。
  17. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 産業廃棄物によります各種公害の発生あるいは国民の健康への影響ということは、大変私ども重大な問題と考えているところでございまして、廃棄物処理法昭和四十五年に制定したもので、およそ二十年ほどたっておるわけであります。現在私ども、この法律に従いまして厳正に対応するということとともに、いろいろな各種の方策を組み合わせながら総合的な取り組みをしておるところでございます。  具体的には、廃棄物処理法では、四十七の都道府県、その他の政令市、そういうところにおよそ千人規模の単位で現在職員がおってこの行政に携わっているわけであります。さらには、国におきましても、私ども厚生省中心といたしまして各省庁と連絡をとりながら実施してこの産業廃棄物適正処理をしております。さらには、具体的な施策といたしまして、例えば最近でありますれば各種のガイドラインを示すとか、あるいは廃棄物の流れを管理するマニフェストの仕組みを構成するとか、あるいはまた全国への産業廃棄物対策重要性につきましてのアピールをするような、そのような全国大会を開催するとか、そういった総合的な対策でこの適正な処理に取り組んできているところでございます。  なお、先生指摘制度の問題につきましては、現在の制度で適切に対応していくという基本的な姿勢のもとで、この制度を厳正に運用していくということで対応してきているところでございます。
  18. 会田長栄

    会田長栄君 まことに申しわけありませんが、最後のところをもう一度聞かせてもらいたいと思います。
  19. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 廃棄物処理法は、各種関係者に対しまして大変厳しい規制を課しているものというふうに理解しております。そのような法律に基づきまして、我々としては厳正にこれを執行していくということでこの産業廃棄物の適正な処理を確保してまいりたい、このように考えております。
  20. 会田長栄

    会田長栄君 実は三つ目にお聞きしたいことは、地方自治法第九十九条第二項の規定に基づきまして、本年十月六日付で福島県議会から満場一致のもとに、内閣総理大臣大蔵大臣厚生大臣自治大臣あて意見書が提出されておりますが、その意見書について御承知しておりましょうか。そしてこの意見書についての御所見を伺いたいと思います。
  21. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ただいま先先御指摘福島県議会あるいはその他福島県の関係の方々から産業廃棄物に関連いたしました要望というものは私ども受けとめております。  その内容でございますが、三つほどの内容がございます。順次朗読させていただきたいわけでありますが、一つは、産業廃棄物排出事業者及び処理業者に係る法的責任を強化すべきである。二点目が、産業廃棄物処理業許可要件を強化する必要がある。それから三点目は、産業廃棄物処理施設設置等につきましては、現行届け出制でございますが、これを許可制にすべきである。こういうような御要望をいただいているわけでございます。
  22. 会田長栄

    会田長栄君 実はこの産業廃棄物の問題につきまして、どうしてもこの法律適用に当たって各省庁間における力の入れぐあいと申しますか、各省庁間の調整といいましょうか、手おくれの感、何とも感じてなりません。その意味で今お聞きしたわけでありますが、御承知のとおり、廃棄物処理及び清掃に関する法律産廃にかかわる規定の中では、今まさに今日の工業社会発展の中にあって、環境行政と取り組むに当たってこの点の弱さがあるのではないかと痛感しているところでございます。したがいまして、紙の裏表の関係にある。ところが、この福島県議会意見書にあるとおり、非常に企業責任あるいは自治体任せ、こういう感が免れません。したがいまして、今月治体にとってこの産業廃棄物処理問題をめぐりまして多々問題が生じているところでございます。  そこで率直にお伺いします。この産廃法行政と取り組むに当たりまして、企業にも自治体にもあるいは地域住民にもなかなか徹底しない、あるいは産廃業者処理業者、これをめぐりまして徹底しないその弱さというものはどこにあるのかということを率直にお伺いしたいと思います。
  23. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) 各種産業廃棄物をめぐる問題につきまして、いろいろな原因があろうかというふうに思われるわけであります。  我々考えておりますのは、現在の私どもが持っている法律なり制度が適切に運用されているかどうかという点が一つあるかと思います。すなわち、その行政事務執行体制等の問題もるる指摘されてきております。さらにはまた、この廃棄物処理業をめぐる問題につきましてもそうでございますが、まだ何分歴史も浅いというようなこともありまして、なかなか法律の趣旨なり認識なりが徹底していかないということも多々あるかというふうに思っております。そういう面で、私ども、現在提起されております問題につきましていろいろな角度から総合的な対策を講じてきておりますし、今後ともその面でそのような方針で行政を行っていきたい、このように考えております。
  24. 会田長栄

    会田長栄君 さきの十三号台風、十七号台風大変関係者の皆さんにはお世話になりましたが、しかし、当福島県といたしましては、この廃棄物処理及び清掃に関する法律産廃にかかわる規定の中で、まず一つは、自治体にとって極めて不合理な法律になっているということを指摘せざるを得ません。したがいまして、産廃処理施設設置届け出制というのがその第一でありますが、この点について政府としては届け出制から許可制にしていく考えありや否や、その検討経過などを含めてお願いいたします。
  25. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) ただいま先生指摘施設届け出制から許可制にするという件でございますが、各方面から要望が出ているわけでございます。  現在の廃棄物処理法では、廃棄物処理法第十五条というところに、最終処分場、これは廃棄物埋立地でございますが、これについての設置届け出があった場合に、その届け出あった施設構造あるいは管理をしていく、そういうことについての基準が定められているわけでございます。これはあくまでも廃棄物の適正な処理を確保するというための基準でございますが、そういう基準に適合しない場合には、この届け出を受理いたしました都道府県知事計画の変更あるいは計画の廃止を命ずることができる、こういうことになっております。それからさらに、設置されました最終処分場構造なりあるいは維持管理につきましても技術上の基準が定まっておりますが、これに適合しないと認めるときには、さらにまた、この処理基準に適合した処理が行われていない、このように知事によって認められる場合には、必要な改善命令あるいは処理施設の使用についての停止の命令をかけることができる、このように現在なっているわけであります。  したがいまして、こういった技術上の基準を守らせるということによりまして、現行届け出制でありましても十分に廃棄物処理適正化あるいはまた十分に環境保全が守られるもの、このように考えられているわけであります。  なお、施設設置に関する届け出制ということにつきましては、環境関係の法令におきましては極めて一般的なものとして現在の制度では採用されているわけでございます。
  26. 会田長栄

    会田長栄君 実際に自治体に極めて不合理な点というのは、五つばかり私は御指摘申し上げたいわけでありますが、一項目ずつでは時間が食いますので、以下五点にわたってこちらから指摘をして御所見を伺いたい、こう思います。  今、産廃処理施設設置届け出制でも精いっぱいやれば不法投棄違反は防げるというような御意見でございますが、私はそういう甘いものではないという考えでございます。  二つ目は、産廃処理施設設置を禁止する区域は指定できない、したがって不法投棄がふえる、こういう状況になっているわけであります。  三つ目は、産廃排出事業者が委託処理した場合の責任があいまいである、この点が明確でない。したがいまして、産廃排出業者委託業者委託業者が無届け業者下請業者などに拡散している現状を考えれば、この点についてもっと積極的に私は担当省としては取り組むべきではないかという視点に立って御質問を申し上げるわけでございます。  四つ目は、産廃処理の公共関与を推進すべきだが、これに対する国の財政措置というのは今日の状況ではまことにお粗末であって、地方自治体に対して大変過重な負担を強い、なおかつ地域住民との間に大変いざこざが絶えない状況にあるという点でございます。  それから五つ目は、国の機関委任事務のため知事の判断で規制措置ができない。この問題も自治体にとりましてもまことに早急に解決しなければならない課題だと指摘されております。  したがいまして、これらの五点につきまして簡潔に、結論だけで結構でございますから、今日検討されている、あるいは考えている根拠というものを聞かせてほしい、こう思います。
  27. 三本木徹

    説明員(三本木徹君) まず、先生指摘不法投棄の防止策でございますが、私どもといたしましては、制度の厳正な適用を含めて、他の施策も絡めまして総合的にこれには取り組んでまいらなければならないものというふうに考えております。  現在、私ども厚生省といたしましては、不法投棄の原因の一つに、廃棄物が委託された場合にそれがどのようにどこで処理されているかということをいわば排出事業者が確認していただくということで、いわゆるマニフェストシステムを導入すべくこの秋から現在五都府県で試行を実施しております。こういう中で廃棄物の流れが極めて明快に管理できるようになることを期待しているわけであります。そのほか、産業廃棄物不法投棄の原因として、先生指摘のように広域的に産業廃棄物が移動しております。いわば都道府県を県境を越えて移動しているという例が大変多うございます。そういうわけで、これらの産業廃棄物の広域移動につきましてもブロック別の計画を策定するなどについての現在調査を進めております。さらにまた、不法投棄防止対策の手引書の検討など、そのほかもろもろの施策を講じながら、制度の運用と他の施策とを総合的に実施いたしまして不法投棄を防止していきたいというふうに考えておるわけであります。  それから産業廃棄物処理施設の設直につきましての立地規制の問題でございますが、私どもの現在持っております制度におきましては、施設のいわゆる技術上のいろいろな基準がございます。構造基準、あるいは施設ができ上がった後にそれを運営していくわけですが、管理をしていくためのそのような基準、あるいはまた実際に処理なり処分をする場合の処理基準、そういったものが二重にも三重にも基準をかけておりまして、そういう中で施設設置あるいは運営につきまして環境保全上問題のないような形で行われるように、現在も制度としてそのようなふうになっているわけでございます。  それから産業廃棄物業者への委託の問題でございますが、排出事業者産業廃棄物処理業者に委託することは法律的に認められているわけでございます。しかし、適切な処理業者を選定する、あるいはその処理業者が適切に処理することができる能力なりなんなりを排出事業者がいわば確認していただくということが必要でございます。そういう面での委託基準というものも現在制度として仕組まれているわけでございます。この基準を厳正に運用させていくような形でこの委託の処理が適切に行われるよう今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。  それから公共関与でございますが、現在、第三セクター方式でございますが、四十八の事業体が公共関与を行って産業廃棄物処理事業を推進しております。国の段階では、特に人口あるいは産業が集中しているような地域におきまして、民間の処理業だけではなかなかカバーし切れないような地域ではいわゆるフェニックス計画を進めておりまして、広域的な廃棄物処理を行うこととしております。  なお、財政措置につきましては、現在産業廃棄物処理施設設置につきまして、中小企業金融公庫であるとか公害防止事業団等におきまして低利の融資制度が設けられておりまして、大変これは活用されておるところでございます。  最後に、国の機関委任事務として廃棄物処理法に基づいて都道府県知事行政を執行しているわけでございますが、機関委任事務とは申し上げましても、法律規定された権限を都道府県知事が行使するという形でこの行政が展開されておりますので、いわばこの法律規定されているいろいろな都道府県知事が行う事務について適切に行われるよう私ども国の立場で適切に指導してまいりたい、このように考えております。
  28. 会田長栄

    会田長栄君 厚生省が直接、今回産業廃棄物不法投棄問題で問題を提起しているいわき市に現地調査に昨日入ったでしょう。現地調査に入っていればおのずからわかると思いますけれども、いわき地方における産廃問題、非常に拡散しておって地域住民が大変な問題意識を今日持っているわけであります。この中で、きのう現地調査したからまだ報告を受けていないかもしれませんけれども、排出企業から委託を受けて処理をしている会社が、県当局あるいは保健所の再三の勧告にもかかわらずついに手をつけないうちにこの問題が発生したという現実がございます。恐らくお調べになったと思います。  今やこの産業廃棄物不法投棄の問題は、単なる行政指導ぐらいでおさまる状況にはないほど深刻化しているという状況でございます。したがって、今御答弁をいただきましたが、何としても弱弱しいと感じざるを得ません。先ほど環境庁長官農水大臣から自然環境保全のために不退転の決意で今後臨むという実に力強い御意見をいただきましたが、一方、この豊かな自然を次々と悪魔の手に渡していくこの産廃行政のあり方についてどうしても弱さを指摘せざるを得ません。  今具体的にいわきで提起された産業廃棄物不法投棄の概要というものを端的に申し上げます。  排出企業は、県警調査、県内二十社、県外百四十社、県調査、県内四十七社、県外二百二十二社、六十三年度実績報告でございます。処理委託、いわゆる中間処理業者として、Oといういわきにある処理能力月二百五十トンの会社に契約したわけでございますが、月二百五十トンの処理能力しかないこの会社が処理できないまま不法投棄に入ったわけであります。その数たるや大変な問題でありますし、今ここで詳細にわたって述べることができませんけれども一つは、田人町の荷路夫というところの、これは畜産振興の非常な拠点となっている牧野育成の跡地に、実際は投棄量がドラム缶で四千三百五十六本、十八リットル缶で一万一千四百六十二本、瓶等の小物で二千七百四本というものを牧場原野に不法投棄しているわけでございます。  同時に、処理能力のない山野辺建設に対して、これは無許可業者でございますけれども、下請させて不法投票をした結果が十三号、十七号台風によって表に出たわけでありますけれども、これは従前から地域住民指摘されていたところでございまして、非常に巧妙かつ大胆なやり方で投棄しているわけでございます。投棄量は七千四百キロリットル、ドラム缶で約三万五千本、こういう実態でございまして、水田汚染の土壌問題あるいは地下汚染、こういった問題が廃坑を利用して不法に投棄したわけであります。しかし、現実にはどう処理されているかといえば、これだけの大量の廃油を廃坑の中に放置したまま。地方自治体といたしましても、先ほど言ったとおり、今日の公害防止事業団における財政的援助、これぐらいの小さい形ではどうにも処理できない。地方自治体の財政基盤も揺るがすほどの処理にかかる費用になっているというところから、ふたをしたままで終わってしまっているわけでございます。二次災害がいつ起きるかわかりません。  そういう実例があったわけでございまして、これだけではございません。今やこれがいわきだけでなくてお隣の田村郡まで拡散をしている状況にございまして、廃棄物処理及び清掃に関する法律産廃にかかわるところの規定というものは、早急に行政当局が改正する取り組みをしなければならないのではないかと人一倍強く感じているから今日質問したわけでございます。そういう意味からいえばほうってはおけない問題でございますので、この機会に廃棄物処理及び清掃に関する法律産廃にかかわる規定というものを、一日も早く関係省庁におかれまして連携を密にして取り組んでほしいということを最後に御意見として申し上げたいと思います。  とにかく、産業発展、結構、しかし廃棄物処理の問題については非常にテンポが遅い。先ほど申し上げたとおり、紙の裏表の関係でなければ、環境保全をどんなに意気高く叫んでみても、結果的には後で大変な問題を醸し出すであろうということは、今日東京廃棄物問題をめぐってもう既に予見されているところではございませんか。どうぞ積極的に各省庁連携をいたしまして、取り組んでほしいということをお願い申し上げておきたいと思います。地方自治体が今日本当に財政的にも法律的にも悩んでいるし、とりわけ、一歩でも前進させたいというところから先ほどの意見書が出たと思いますから、積極的に受けとめるようお願い申し上げておきたいと思います。  それでは次に、尾瀬の自然環境保護の問題について端的にお伺いいたします。  長い間尾瀬の水資源をめぐって、首都圏の問題、あるいは北陸、東北をめぐっていろいろな経過のあったことを私も承知しております。しかし、今日次の三点からいっても私は気になって仕方ないのは、あれだけの貴重な資源を保有している尾瀬湿原、それから豊かな自然環境、世界的な学術資源を将来にわたって確保していかなければいけないという強い気持ちを持っているところでありますが、その後、尾瀬の水資源を関東に分水するなどという動きがあるのかないのか。あるいは、政府といたしましては、第四次全国総合開発計画の趣旨から、一極集中をやめまして多極分散型国土形成という方針を出しているわけでありますから、そのようなことはないだろうと思いますが、念のためにこの委員会で御所見を伺いたいと思います。
  29. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 今先生のお尋ねの、いわゆる言われております尾瀬の分水問題については、私、環境庁の立場ではまだ具体的なものは一切お聞きしておりません。
  30. 会田長栄

    会田長栄君 それでは自治省の方にお伺いします。同じ問題です。
  31. 澤井安勇

    説明員澤井安勇君) 自治省においても、現在その具体的な内容についてはお聞きいたしておりません。
  32. 会田長栄

    会田長栄君 わかりました。  それでは第二の問題に移ります。  尾瀬の自然環境保護の問題についてでございますが、率直に言いまして、今この尾瀬の自然環境はボランティアによって、大いにこの資源を維持、保護するために頑張っているところでございますが、この尾瀬の自然環境を保護するために、国は思い切って財政措置等を含めて積極的に対応する考えがありや否や、環境庁からお伺いしたいと思います。
  33. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 尾瀬につきましては、御指摘のように、国立公園かつ特別保護地区であるばかりでなく、昭和三十五年でございましたか、文化財行政におきましても、特別天然記念物として地域ぐるみに指定されている非常に我が国を代表する貴重な自然であることは重ねて申し上げるまでもないと思っております。  それで、お尋ねの、財政的なことを主体に置いてこの尾瀬の保護問題に力を入れる気があるかないかという点でございます。もちろんそのことを私十分考えておりますが、御案内のように、この尾瀬の問題は、年間六十万人とも言われております利用者による環境への負担と申しましょうか、圧力と申しますか、これをどうするかということでございますので、財政の問題であると同時に、実は昭和四十二年以来、地域内の山小屋の収容力を凍結するとか、そういったことも実はこの尾瀬を守る手段として、大きな柱として掲げているところでございます。
  34. 会田長栄

    会田長栄君 そこで、第二の問題として率直にお伺いします。  この尾瀬の自然環境を保護したい、このために環境庁並びに関係省庁の中では、年間六十万人という参観者を対象にして入園料などを取って、この豊かな自然、学術的にも世界的に高い地域を保護する動きありや否やという問題が今議論されておるところでございますが、今日までのその種の問題についての経過などをおありであればお伺いしたい、こう思います。
  35. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま御指摘のように、実は尾瀬につきましては、今申し上げましたような多数の利用者を前提にする場合に、このままでは放置できないのではないかという声も強うございまして、具体的には、昨年以来関係の村及び関係の県に直接私のところにお集まりいただきまして、尾瀬地区の対策をいかに進めるべきかについての協議会をつくらせていただいております。  非常に細かいことではございますが、一つことし着手いたしましたのは、至仏山の登山道を暫時閉鎖するということをそこの場で決めさせていただぎましたが、現在実はその協議会で一番大きな問題とさせていただいておりますのは、尾瀬を利用する方あるいは尾瀬の中に宿泊する方から出てまいります排水処理対策をどうするかということが今大きな懸案になっておるわけでございます。現状ですぐに尾瀬沼、尾瀬ヶ原が汚濁されているとまでは申し上げませんが、今のような排水処理を続けているととんでもないことが起こるという危惧から、ぜひ従来方式とは違ったかなり高密度な排水処理をしたいと私ども思っております。  そのためには、実はかなり設備面あるいは毎年の運営面で経費がかかりますものですから、これまでも国としては施設整備とかあるいは美化清掃あるいは植生復元にはかなりの財政をつぎ込んでおりましたが、今後、もしそういった適正かつ高度の排水処理を行います場合に、かなりの費用がかかるというところから、これについて、ある意味では利用者であり、ある意味ではまた原因者とも言ってよろしいと思います利用者の方から、一部の費用の負担をいただけないかということをその協議会の場で、私ども一つのアイデアとして提案した事実はございます。これは現在まだ引き続き協議会が検討を続けておるという状況でございます。
  36. 会田長栄

    会田長栄君 その協議会の中で、尾瀬の自然環境を保護するために入山料の問題が議論されているということをお聞きいたしましたが、私は、尾瀬の自然環境を保護するためには、国は積極的に財政的措置を講じて、入山料などという、言葉は悪いですけれども、けちな考え方を持たないで、積極的に環境保全に努めてほしいと、こういう意見でございます。  御承知のとおり国立公園でございます。これは国内的にも世界的にも、いや、今や学術資源の最も興味ある地域として国際的にも指摘されているところでございますから、当局におかれましては、積極的に財政措置を講じて保全に万全を期してほしい、こういうことでございます。検討する力はぜひ財政措置の方に向けていただきたいということを改めて強調しておきたい、こう思っているところでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは次に、農水大臣並びに農水省関係について幾つかの点について御所見をいただきたいと思います。  その第一番目は、農林水産大臣にお伺いいたしますが、今日の農業を取り巻く実態あるいは農家を取り巻く実態などを含めまして、これからの農業というものを再建するためには非常に重要な課題が横たわっているものと思っております。その意味で、過日農水大臣が、今日農水省内で検討していることの一つに、平成二年度からの水田農業確立後期対策が今月下旬にまとまるという発表をしていたようでありますが、どのような内容のものが今日検討されているか、まず第一にお聞きしたいと思います。  第二の問題は、西暦二〇〇〇年を見通しての農産物の需給見通し、これを打ち出すために現在農水省が作業を進めている、こういう問題提起がされております。この点についても一体どのような経過をたどっているのか、その御所見を伺いたいと思います。  三点目は、これも大臣みずから公開しているわけでありますが、今日の農業後継者を取り巻く環境、実態というのは言葉で言い尽くせないほど深刻な問題が横たわってきているところでございますが、積極的に農業後継者対策室を設けて何とか農家にこたえていこうという姿勢は私も同感でありますから、その点の中身をお聞かせ願いたいと思います。  それから、とりわけこの農業後継者の問題で私は指摘したいのは、きょうおいでになっておりませんけれども、これは文部省との関係がございます。御承知のとおり、農業後継者を育てるための基幹高校として今全国的に農業高校を重点的に各自治体が育成強化に当たっているところでございますけれども、現実にこの農業後継者たるべき農業高校、いわゆる農業高校から農業後継者になる生徒たちというのはまことに少のうございます。このことを考えれば、この後継者対策というのは抜本的には教育にも関係してくるであろうし、農業再建の問題にも関連してくるでありましょうから、その点を含めてお伺いしたいものと思います。  四つ目は、林野庁長官にお伺いいたします。  緑と自然を守るために国有林の果たしている役割というのは、大変な課題が横たわっているものと思っています。しかるに、今林野庁が進めているところの林業活性化の問題等を含めまして大変私は憂えている実態がございます。それは、林野庁の特別会計赤字を理由にして次々と国有林野に携わる事業所を閉鎖もしくは縮小、そして国有林野の保護育成に携わる人たちの要員の削減。まさしく森林と水資源と自然環境を守るという重要な課題の中にあっても、一方ではこのような流れになっているということでございますから、私は逆に、国有林を中心としてこの森林事業に携わる要員というのは縮小ではなくて拡大強化して、林野事業というものをもっと充実させていかなければならないのではないか、こう思っているわけでございます。その点についての御所見をお伺いしたいと思います。
  37. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 大臣からのお答えに先立ちまして、幾つかの点につきまして事務的に検討の状況あるいは実態について御説明させていただきたいと思います。  まず、水田農業確立後期対策をめぐる検討の問題でございますが、その場合に、前提となります米の需給実態かどうかといったような問題があるわけでございます。いろいろな面にわたりまして消費拡大努力に努めておりますけれども、依然として米の消費の減退が進んでおりますし、生産力の向上も見られるといったような状態の中では、需要に応じました米の計画的な生産を確保しながら水田農業の健全な発展を図るという観点からいたしますと、消費拡大のための格段の努力を含めまして今後とも相当の需給調整努力を行う必要がある、そういう実態にあるというふうに認識をいたしておるわけであります。  委員から御案内ございましたように、来年度からの後期対策をどうするか、こういう問題になるわけでございますが、御案内の水田農業確立前期対策の考え方自体、単なる需給調整ということではございませんで、米の計画的な生産を進める一方で、米及びそれ以外の作物の生産性を向上させる、あるいは地域輪作農法を進めまして定着性の高い転作営農を進めていくといったような考え方のもとに、これを生産者なり生産者団体の主体的取り組みを基礎にして行政一体となってやっていく、こういう考え方で行ってきておるわけでございますので、後期対策の検討に当たりましても、こういった前期対策の理念を継承し、かつそれを具体的にさらに展開していく、こういうことが必要なのであろうというふうに考えております。  そういう意味では、生産者団体の主体的努力を基礎にいたしながら米の需給の均衡を図る、同時に、地域輪作農法の確立、普及といったようなことを軸といたしました足腰の強い水田農業を実現していくことが必要であろう。今こういう観点から、問題になりますこれからの米の需給動向につきましての精査を行いますとともに、関係者の意見も聞くといったようなことをいたしておりまして、慎重に検討を進めておる段階にある、このように御承知いただきたいと思うわけでございます。  次に、後継者問題の実態面でございますけれども、いろいろな面から農業の後継者というのが考えられるわけであります。その一つが、今先生から御指摘ございましたが、農業高校を初めといたします新しく学校を卒業する方がどれだけ農業についているかということでございます。農業、農村をめぐりますもろもろの事情の中で、こういった新しく学校を出て就農してくる方の数が減ってきておりまして、平成元年数字では、最近の景気のよさでほかに就職する人が多くなったという特別の事情もあるようでございますが、二千百人というような数字に相なってございます。  このほかに、一たん学校を卒業いたしましても、まだお父さんが元気だから一時ほかの産業に就業して、それから一定の時期を経てから就農するという方もかなりおるわけでございます。しかし、こういう方も引き続き減少してございまして、六十三年には四千四百人というような数字になっております。  このほか、非常に数は少のうございますけれども、ほかの産業に就業しておりまして新しく農業に入ってくるという方もおるわけでございまして、昭和六十三年の数字では百人近い、八十人程度の方が新規参入をされてございます。そういう状況にありますが、かなり経営部門あるいは規模によりまして残り方が異なってございまして、例えば酪農なり施設園芸といったような部門でございますとか規模の大きい農家では、相対的に後継ぎの確保状況が大きいというのが実態でございます。  後継者の数の問題は、これからの地域農業のあり方をどう考えていくかということとも密接に関連する問題でございます。かつまた、後継ぎのいない高齢農家がふえてくるといったようなことを契機にして日本農業の構造改革を進めていくことになるんだという考え方もあるわけでございますけれども、今申し上げましたような就農の実態を見てまいりますと、新たに就農する若い人が一万人を下回っておるというふうな実情にございますので、次代の農業なり農村の担い手の確保という面から、私どもも大変重大な関心を持って、これを重要な問題として取り組む必要のある実態にある、このように考えておる次第でございます。
  38. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) 長期見通しの策定状況について御説明させていただきたいと思います。  御指摘がありましたように、現在、二〇〇〇年を目標とします農産物の需要と生産の長期見通しにつきまして、農政審議会の中に需給見通し小委員会を設けていただきまして御検討いただいているところでございます。この見通しは、農業者が将来を見通しつつ営農を営むことができるよう農業生産の向かうべき方向を示すとともに、私ども農林水産省といたしましてもそれを指針として農政を推進していくということになるわけでございまして、この農政審議会での御検討を踏まえまして、今年じゅうには何とかそれを策定したいということで作業を進めているところでございます。
  39. 甕滋

    政府委員(甕滋君) 国有林野につきましては、御指摘のとおり、緑と水にかかわる国土保全、その他公益的機能の高度発揮が非常に要請をされておるところでございます。また、木材の安定的供給、農山村地域の振興といった面でも極めて重要な使命を果たすべきものと考えておるところでございます。  こういった使命を十分果たしていくためには、経営の健全性を確立することが基本的に重要でございまして、近年の厳しい財務事情を踏まえまして、六十二年七月に改定、強化しました国有林野事業の改善に関する計画に基づいて、現在、事業の効率的な実施あるいは人員の縮減を含めまして最大限の自主的改善努力を尽くしておるところでございます。また、あわせて所要の財政措置も講じているところでございます。  特に、多様化しております国民の要請にこたえますために、森林の整備につきましては、従来の拡大造林を中心としてまいりました森林の整備方針を転換いたしまして、人工林の適正な整備に加えて、複層林の造成や天然林施業の推進あるいは広葉樹林の造成、自然保護をより重視した森林施業を行うこととしております。また、森林の総合的利用の観点からの多様な森林の整備を今後も積極的に進めていくこととしておるところでございます。
  40. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 水田農業の確立のいわゆる後期対策につきましては、ただいま政府委員の方から申し上げましたとおりに、地域輪作農法の普及確立等を軸といたしまして、しっかりとした水田農業の確立を図るとともに、需要に応じたいわゆる米の計画的な生産を推進するという観点に立ちまして、関係者の意見も聞きながら検討を急いでまいりたい、このように考えております。  また、後継者の育成の問題につきましては、次代農業を担う若い農業者を育成確保するということは大変重要なことでありまして、基本的には農業というものを魅力ある産業にしていかなきゃならない。そしてもう一つは、やはり住みよい農村をつくっていく、こういうことが大事だと思っております。そのことによって、若い農業者が配偶者にも恵まれ、そして意欲を持って農業に取り組んでもらうことができるようにする、こういうふうな考え方に立って施策を講じてまいりたいと思っております。  このようなことから、農業、農村のよさというふうなものを積極的にPRをしていくということ、そして農業の生産基盤、生活環境の整備を図っていく。そして、バイオテクノロジー等いわゆる先端技術あるいはそのほかの高度な技術によるところの新しいものの開発、そして経営能力を有したところのすぐれた若い農業者というふうなものを育成していく。具体的には、改良普及員によるところの技術系統の指導の強化なり、あるいは県農業者大学校におけるところの実践的な研修教育を充実していくという問題、あるいは無利子の農業後継者育成資金等の貸し付け等、具体的に対策を推進しているところでございます。先ほど先生がお触れになりました後継者対策室につきましても、平成二年度概算要求をさせていただいておるところであります。そのようなことから、今後とも技術、経営能力にすぐれた若い農業者の育成確保のためにいろいろと施策を講じてまいりたい。  そして、教育と農業との関係におきましてもお触れなされたわけでございますが、私どもは、第一次産業重要性というものを理解していただくべく、この点につきましてもこれから努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  41. 会田長栄

    会田長栄君 最後になりますからもう一言だけ要望を申し上げて、積極的に取り組んでほしいと思います。  一つは、国有林野の果たしている役割というものを再評価する運動をぜひ強力に進めてほしい。同時に、国民共通の基盤である自然、緑というものの大事さというものは、今林野庁を取り巻く経済的な基盤からいって、どうしても林野庁の特別会計債務残高というところがすべての出発点になっていると私は思います。そのことが逆に私は、どうも私の考えているこれからの国有林野事業の役割との関連で弱々しいのではないかと思っているところでございまして、政府当局におかれましては、今やふるさと創生論、三千億どころか一兆円まで出すというほどあるわけでありますから、ぜひこの特別会計の債務残高に政府から、とりわけ国有林を育てるという意味で、分けていただけるような積極的な要望を出して、もう一度林野行政について国民の期待にこたえられるようにしてほしいと思います。  同時に、農業後継者対策、これは並み大抵のことでは解決しないと私も思います。とりわけ今一番深刻なのは、農業後継者に嫁さんが来ないということであります。これでは、人生何のためにあるのかと希望を失う状況でありますから、農水大臣ひとつ本腰を入れてこの問題に取り組んでほしい。  最後に産廃問題について。  産廃処理業者はまことに零細業者であります。したがって、これに対する財政措置というものも検討しない限り私は前に進まないだろうと思うし、産廃処理にかかわる規定の見直しも一刻も早く当局におかれましてはやってほしいということを申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 自然環境保全についてお尋ねをいたします。  地下水や湧水、特に名水百選の汚染とその対策についてお尋ねをいたします。  最近、発かん性の疑いのあるトリクロロエチレンなどの有害化学物質による地下水汚染が大きな問題となり、これに対応するためにさきの第百十四回国会において水質汚濁防止法の一部改正が行われました。その改正の経緯及び要点はどのようなものであったのでしょうか。
  43. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 先国会でお認めいただきました水質汚濁防止法の改正の内容でございますけれども、地下水の汚濁の未然防止ということで二つのことを措置しております。一つは、地下水に特定の施設から有害物質が排出されることを禁止するということでございます。それからもう一つは、これと関連いたしまして、災害時等非常時の事態に備えまして報告義務を業者に課す、その報告の内容が適切なものでないような場合には措置命令を下すことができるというような内容の改正をさせていただいたような次第でございます。
  44. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 環境庁昭和六十年に全国のきれいな湧水等について名水百選の決定を行いましたが、その目的や選定基準はどのようなものであったのですか。また、名水百選指定後、その名水保全のための維持管理はだれがどのように行ってきたかお尋ねをいたします。
  45. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 昭和六十年に環境庁の方で名水百選を選定したわけでございますが、その選定の目的でございますが、この選定を通じまして国民の水質保全重要性につきましての認識なり理解を高めていただくということで、これとあわせまして良好な水質環境を確保するというようなことがその目的となったわけでございます。  この選定後どのような維持管理の方策がとられているかということでございますが、名水の維持管理につきましては、このような名水選定の経緯からいたしまして、やはり地元の住民の方々の御理解と御協力を得てその方々の主体的な取り組みが期待されているということでございます。  現実にも、この名水選定を契機といたしまして、名水の所在いたします市町村の自主的な組織でございます全国環境保全市町村迎絡協議会が結成されまして、この協議会が毎年市町村の水環境保全のシンポジウムを開いているというようなことでございまして、環境庁といたしましては、このようなシンポジウムの開催を支援するというようなことを通じまして水環境保全重要性ということにつきましての諸活動に協力申し上げているというような次第でございます。
  46. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 名水百選は地元の人たちによって守られていると理解してよろしゅうございますね。  名水はきれいな自然のシンボルというべきものですが、最近富士山ろくの柿田川及び流域の汚染が伝えられています。柿田川自然保護の会のメンバーが湧水の分析を検査センターに依頼したところ、微量ですがトリクロロエチレンやパークロロエチレン等の有機塩素系溶剤が検出されました。この柿田川を守ろうとナショナルトラスト運動を進めている人々の手により、川の流域二カ所、合わせて約千四百平方メートルの民有地が買い上げられることになりました。こうした美しい大自然は国家によって保全されなければならないと思います。  去る十月二十五日、日本地下水学会で、これは工業技術院の主任調査官と宇都宮文星短大の先生の共同調査によるものでございますが、名水百選についての発表がありました。この調査の経緯と結果、そしてその汚染の原因をお聞きいたします。
  47. 向井保

    説明員(向井保君) お答えいたします。  今先生指摘の研究発表でございますが、工業技術院の地質調査所は、全国の地下水であるとか地層であるとか地形図の調査研究をやっておる研究所でございますが、先ほど出ましたその一環といたしまして、名水百選の中に登場いたします地下水あるいはわき水でございますが、七十七カ所を選びましてその水質を調べております。その結果によりますと、硝酸イオン、これは普通は自然現象ではほとんど水に含まれないと言われておるイオンでございますが、この硝酸イオンが先ほどの七十七カ所のうちの十二カ所におきましては、一リットル当たり十ミリグラムを超えていたというような調査結果が出ております。  以上でございます。
  48. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ただいまの発表のように、名水百選においても既に汚染が進められております。環境庁は、名水汚染防止についてどのような対策を講じていくのか、具体策をお聞かせください。
  49. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 名水の水質を保全することによりまして、水自体がきれいでなければならないというようなことを国民認識の中に理解を求めていくということでございまして、その意味で名水の選定なり維持管理ということは一つの水質保全のシンボルであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その名水が汚染されるというようなことは非常に私どもとしては遺憾であるというふうに考えておるわけでございます。対策といたしましては、私どもは、先ほども申しましたように、地元の方々の自主的な御努力というようなところに大いに期待していきたいと思っているわけでございます。
  50. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 行政の立場で少しやっぱり国民指導するというかPRをして、地下水の汚染について仕組みとかそういうものを徹底的にPRしてもらいたいと思います。  昨年十月の参議院環境特別委員会において、堀内環境庁長官は、人間と一番かかわりのある水にいささかでも人体に影響があるという懸念があってはならないとの趣旨の答弁をされております。この水に対する基本的な考え方について志賀環境庁長官ほどのようにお考えですか。
  51. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 堀内環境庁長官と全く私は意見を同じゅうするものでございまして、特にその御意見に修正もつけ加えることもございません。
  52. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 しかし、現実に河川や地下水そして名水等が汚染されており、さらに工業用水や生活排水による汚染や、大規模なゴルフ場造成計画による汚染が進んでいるという状況にあって、環境庁長官として今後どのように対処していかれるのか、そのお考えをお聞きいたします。
  53. 志賀節

    国務大臣志賀節君) せっかくのリゾート地の整備が良好な自然環境の破壊とならないよう、環境庁といたしましては、早い段階の構想から十分な調整を図るように現に努力をしておるわけでございますが、今後とも自然環境保全等の観点から適切は対処していかなければならないと存じております。  なお、さきに先生が、もっとPRをしなきゃいかぬというようなことをおっしゃられましたが、全くその点、冒頭に私決意を申し上げるときに申し上げましたとおり、一人一人の環境問題に対する自覚がなければ環境問題の解決は全うし得ないわけでございますから、全く私も同意見でございまして、その点にも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  54. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 それでは次に、ここに新潟日報が特別企画をいたしました「東京都湯沢町」という記事があります。スキーと湯の里、川端康成の小説「雪国」で皆さんおなじみでございます新潟県湯沢町が、今リゾートマンションの建設ラッシュに遭って、次々と民間資本によって建設されるリゾートマンションに町の姿は一転してしまいました。余りの急激の変化に町の行政指導がついていけない状態です。また、この同じ記事の中に、行政指導により、地元主導で地道に進む塩沢町の石打丸山地域のスキー場と民宿の開発があります。湯沢町と塩沢町は隣り合わせの町でございます。この二つの町の現実を見るとき、リゾート開発に行政指導がいかに必要か痛感するものでございます。  昨年十二月に、総合保養地域整備法いわゆるリゾート法に基づき、私の住む新潟県では雪と緑のふるさとマイ・ライフ・リゾート新潟として約十六万三千四百ヘクタールの基本構想が承認されました。この承認される経緯の具体的な進みぐあいはどのようになっておるかお聞かせください。
  55. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) お答えします。  ただいま御指摘のマイ・ライフ・リゾート新潟のリゾートの基本構想につきましては、六十三年十二月七日、県からの基本構想の承認、六省庁による承認に至ったわけでございまして、現在その基本構想に沿っていろいろ推進体制等を整備いたしているところでございます。
  56. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 昭和六十二年十月十五日公表のリゾート法第一条に規定する整備に関する基本方針では、この大規模開発に当たって特に配慮すべき重要事項として、自然環境保全と調和に十分配慮することとしております。この点について、環境庁との事前協議ほか自治体及び地域住民との間の対応はどうなされてきたかお聞かせください。
  57. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 私どもこの総合保養地域につきましては良好な自然環境が不可欠の資源であると考えていますし、その整備に当たりましては自然環境保全に十分配慮しなければならないということが基本的な考え方であります。このため、御指摘の基本構想の承認に当たりましては環境庁長官と協議することとされておるわけでございますが、法に沿って協議いたしますとともに、基本方針においても特に自然環境保全との調和に配慮すべき旨明記しているところでございます。したがいまして、特にこの法律並びに基本方針に沿いまして、新潟県から提出されました基本構想につきまして十分慎重な審議をいたしますとともに、環境庁長官等にも協議をいたしまして適切な環境上の配慮を加えた上承認に至ったものでございます。
  58. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 十分に事前協議がなされておったと確認をさせていただきます。  そこで、具体的な問題として、十六万ヘクタールを超えるマイ・ライフ・リゾート新潟の特定地域に指定された一市十一町二カ村のうち、中魚沼郡津南町の地域住民の不安について伺います。  津南町は、自然環境に恵まれ、名水百選の竜ケ窪のあるところですが、このきれいな湧水の一帯が苗場山麓高野山地区リゾート計画による大規模なゴルフ場の設置により汚染されることが心配されております。ここに、地域住民が町の町議会にあてて出した陳情書と町長あてに出した願い書、それに地元の新聞等がございます。ゴルフ場設置計画に反対運動が起こっております。また、この反面ゴルフ場を推進していきたいという陳情書が出ていることも確かでございます。近々町議会によって討議をされる予定です。このような実情について把握されておりますでしょうか。
  59. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 新潟県等を通じまして、具体的な事実はつまびらかには承知いたしておりませんが、大体の状況承知いたしているつもりでございます。
  60. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 先ほどの工業技術院の発表の中に竜ケ窪の湧水の点がございますが、そのところの記述がわかりましたら発表していただけますか。
  61. 向井保

    説明員(向井保君) 先ほど申しました七十七カ所の調査地点には竜ケ窪は入っておりまして、その結果では、先ほど申し上げました硝酸イオンはほとんど含まれていないという結果が出ております。
  62. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございます。  そして、その発表の中に引き続いて、この竜ケ窪の湧水は夏でも水温が七・七度Cと低い。ここは多雪地域に位置しているため、融雪水による地下水への涵養が関係しているものと思われると発表されております。  皆さんのお手元に配付いたしました地図をごらんいただきたいと思いますけれども、こちらのこの地層を見ていただきたいんです。地層の二番目のところに「安山岩(苗場溶岩)」とございますけれども、これが非常にかたい地質でございまして、浸透性のない岩てございます。そういう実情にあるときに、高野山ゴルフタウン計画地は名水竜ケ窪地域の上の台地にあります。場所は、こちらの黒い方の地図を見ていただきますと、ゴルフ場の計画地が書いてありますけれども、そのずっと上の方に竜ケ窪というところが位置されております。こういう位置関係にございます。一たびゴルフ場が設置されますと、農薬や肥料の散布により名水の汚染はもとよりのこと、すぐ隣に妙法牧場という牧場があるんですけれども、この牧場に飼われている家畜たちへの影響、それからこのゴルフ場予定地はほとんどが森林地帯なんですけれども、森林の伐採により水の保水状態が失われるのではないかと心配をされています。  この点についていかがお考えでしょうか。
  63. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 私どもの承認いたしました基本構想、承認作成図にいろいろ自然環境面とか環境保全面の配慮をいたしているつもりでありますけれども、ただいまの名水百選に登載されましたその泉の件については特別な記載はいたしておりません。
  64. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 県当局は本年八月にゴルフ場・スキー場適正開発指導指針を決定し関係市町村に送付しておりますが、この中で、「開発事業計画に係る審査及び指導上の留意事項」として、「水質の汚濁その他の公害の防止について、適正な措置が講じられる」こと、「農薬等の使用に当たっては、環境保全等の観点から適切な措置が講じられる」ことなどとしておりますが、その具体的な内容は明らかでありません。県は現在技術指導指針を検討中とのことでありますが、今後どのような方法で関係市町村なり地域住民との対応が行われていくのか。また、国としてこういう指導はどうなさるのかお聞きをいたします。
  65. 岩崎忠夫

    説明員岩崎忠夫君) 私どもの承認いたしました新潟県のリゾート地域整備構想、マイ・ライフ・リゾート新潟構想につきましては、いろいろ私ども自然環境保全に十分配慮して承認を行ったものでございますが、そのマイ・ライフ・リゾート新潟構想におきましては、スポーツ・レクリエーション施設等の特定施設の整備に当たりましては、必要に応じて環境に与える影響を調査、検討することにより、適切な保全対策を講ずるものとし、特にゴルフ場の整備については、施肥・施薬に伴う水質汚濁等が生じないよう事業者を指導する等、環境汚染の未然防止の観点から十分な配慮を行うもの、こういうように明記されているところであります。私ども、こういった基本構想に沿って十分自然環境保全等に配慮いたしましたリゾート地域が整備されていくものというように考えているところでございます。
  66. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ちょっとお答えが抽象的でわかりにくいんですけれども、国の指導によって適正なリゾート開発が行われることを切にお願いいたします。大規模なゴルフ場が設置された場合には、水を初めとする自然環境保全は大変難しいと思います。  農山村は今、過疎化、高齢化、農産物の輸入自由化、減反と米価引き下げなどにより完全にその活力を失っています。かつては地元に働き場がないために若者たちが都会へ流出してしまいました。そうした時代を経て、今では生まれる人より死ぬ人の方が多い自然減社会になってしまいました。過疎化地域と言われる市町村千百五十七団体のうち、半数を超える六百十五団体がこの自然減社会になっています。これは東京一極集中と農村を切り捨ててきた政策の結果であることは明白です。このような状況の中で、農山村の多くがもはやリゾートしかないと思うのを一体だれが非難することができるでしょう。私はもとよりリゾート開発に反対するものではありませんが、そこに住む人々にとって、現在はもちろん、子供や孫の代になってもその地域で豊かに生き続けられるようなリゾート開発であってほしいと思います。  名水竜ケ窪地域一帯は県の条例によって自然環境保全地域に指定されています。私も先日現地に行ってまいりました。山紫水明、まさに今のままで立派な観光資源となり得るこの地域一帯の大自然こそ今一番貴重な存在であると思います。この名水が近郷の人々の水資源として活用されている現状を見るとき、その保全に万全を期さなければなりません。ゴルフ場設置計画の再検討とかリゾート開発の計画を変更すべきと思いますが、長官のお考えを承りたいと思います。
  67. 志賀節

    国務大臣志賀節君) よく調整をしてこれに当たりたいと存じますが、県当局としてもこのことについてはそれなりに検討してお決めになっておることでございますので、これはやはり慎重に私ども調整をしてまいりたい、かように考えております。
  68. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 ありがとうございます。  それでは次に、緑の多い場所を長時間歩くので極めて健康だと考えられているゴルフですが、本当にそうでしょうか。ゴルフ場の農薬散布と地下水汚染についてお尋ねします。  リゾート開発において、特にゴルフ場の造成は広い面積の樹林を切り払い、山を削って谷を埋めるなどの自然破壊をもたらす上に、芝生育成のために大量の農薬、肥料を使います。そのために河川や地下水の汚染を伴っています。ゴルフ場において使われる多種多量の農薬についてその調査をしたことがあったらお知らせください。
  69. 松山光治

    政府委員(松山光治君) ゴルフ場におきます農薬の使用の問題でございますが、普通の農耕地と同じように病害虫の発生対応あるいは雑草の除去といったようなことで行われておるわけでございます。地域によって相当そういうものの発生状態が異なっておるわけでございますので、そういう意味ではなかなか一概に画一的なことは申し上げにくいわけでございますが、私ども都道府県の方から報告を受けておるところを概要申し上げますと、ゴルフ場で使われております農薬でございますが、比較的多く使用されているものといたしましては、害虫防除という観点からはダイアジノンなどの殺虫剤、それから病気の防除にはキャプタンなどの殺菌剤、さらに雑草の防除につきましてはアシュラムなどの除草剤が使用されておる、このように理解をしておるところでございます。
  70. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 その農薬の中にダイアジノン乳剤やDEP乳剤はありますか。
  71. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 入っております。
  72. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 今申し上げた二点は劇物に指定をされている薬剤でございます。八百倍あるいは千倍に薄めて使用されることが許可をされておりますけれども、大量に使用された場合、蒸発による大気汚染や地下水に浸透して水質汚染をもたらすことは明白であります。ゴルフ場地域住民の不安を取り除くためにも、こうした劇薬に指定されるようなものの使用は禁止すべきと思います。そして、その危険性を広く国民に知らせなければならないと思います。環境庁及び農水省はどのような措置をとっておられますか。
  73. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 一般の薬も同じかと思いますが、農薬につきましても、その効果があると同時に、使い方次第では害を及ぼすということを十分頭に置かなければならぬわけであります。  そういう観点から、私どもの方では、農薬取締法のもとでどういう農薬を使っていいかということをあれしているわけでございまして、登録制度のもとにそういう対応をしておるわけでございますが、登録をするに当たりましては、安全性という観点から十分な審査を行いまして、かつまたその使用方法につきましても、この程度のものでこうするんだという手法も明らかにした上で、害がないということを確認して登録しておる、こういうことに相なるわけであります。逆に申しますと、そういうことで、登録されております農薬を定められたとおりに適正に使用していくということが基本的に重要な点である、このように考えておるわけでございまして、私ども、ゴルフ場も含めまして、農薬についての適正指導ということを都道府県等を通じて今までも一生懸命にやっておるし、これからもしっかりやっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  74. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 今農林省の方からお答えがございました農薬の登録に当たりまして、農薬登録保留基準というのがございまして、試験をいたしまして、これは危険であるというようなものでございますと登録を保留するという制度になっております。この試験の結果、登録が保留されないような農薬が登録することができ、かつ販売することができ、使用することができるという建前になっているわけでございます。この農薬登録保留基準等につきまして、私ども農水省と十分打ち合わせをさせていただきまして設定をしているということでございます。  そういう意味におきまして、登録された農薬につきまして適正に使用されている限り問題は起きないのではないかというふうに考えているわけでございますが、しかし特にゴルフ場等につきまして先生指摘のような問題もございますので、関係都道府県等にその水質の調査というようなものも依頼して監視に努めているところでございます。
  75. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 さっきのダイアジノン乳剤やDEP乳剤は人体にどのような影響を与える薬品なのでしょうか。
  76. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 有機燐剤でございますのでいろんな面での毒性があるわけでございます。そういう毒性に即しまして一定の、先ほど環境庁の方からお答えのございましたような基準がございますから、それに即して、安全であるということを確認の上登録しておることになっております。
  77. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 現に、プレー中のゴルファーやキャディーさんの中に気分が悪くなった人が出たり、あるいは農薬を散布する人たちの手肌が荒れるというような実態を見るにつけて、農薬の使い方等は本当に注意して行われなければならないと思います。その点の御指導を今後ともよろしくお願いをいたします。  今日、我が国はリゾート開発ブームに乗って全国的に多くのゴルフ場が造成されたり計画されていますが、大体どのくらいのゴルフ場が建設されており、また造成中である、あるいは計画申請がなされておりますか。
  78. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ゴルフ場の建設問題は私の直接所管ではございませんが、自然環境保全に大きく関係しますので。  私の知っております限りでは千数百カ所といいましょうか、その現状に対して、さらにいろんな計画中のものを入れると、そのほかに数百カ所のプランがあるというふうに理解しております。
  79. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 全国でおよそ千六百カ所以上のゴルフ場があり、数年後には二千カ所を超えると言われております。単純に一カ所百ヘクタールとして二十万ヘクタールの国土がゴルフ場になるわけです。一九八六年の統計によりますと、一つのゴルフ場当たりの年間入場者数は全国平均四万七千人だそうです。一日当たり単純計算で、雨の日を百日として差し引いてもせいぜい百八十人程度にすぎません。一日にわずか百八十人が遊ぶために百ヘクタールもの土地をフェンスで囲み、住民が入れないようにし、農薬を散布し地下水を汚染し、鳥や虫や微生物さえもすめなくなる、自然の生態系を破壊する、こんなゴルフ場が今たくさんつくられようとしています。人間にとって水と空気と大地は直接命にかかわる重大な問題です。  こうした観点から、リゾート開発と自然環境保全について、正義感が強いと言われております志賀環境庁長官に、いかに対処していかれるのか、高度な政治的判断のもとに改めて御所見をお伺いいたします。
  80. 志賀節

    国務大臣志賀節君) どうも恐れ入ります。  実は、あけすけなことを申し上げますと、私は国会議員になるまでは趣味の大変多い男でございまして、碁、将棋、マージャン、ゴルフの果てまで全部やりましたが、国会に出していただきましてから、率直に言って私は時間の使い方が下手でございますので、もうちょっと申し上げますと、一つのことをやりますと夢中になってのめり込む癖がございますので、国会の審議等に差しさわりがあってはいけないと思いまして、一切これをやめました。したがいまして、私はゴルフに関しましても極めて公平に物を見ることのできる立場に結果的には立っているような気がいたします。  その私の立場から見ますと、これはゴルフだけではございませんが、これもさきに申し上げましたとおり、自制心が今の人間あるいは日本人には大変欠けておる。そういう意味では、ゴルフに対する自制というものも、あるいはゴルフ場の建設というものに対する自制というものもあってよろしいのではないか。ただ、ゴルフ場がこれだけ建設されるということは需要供給の関係にもあると思いますので、これを求める力がやっぱり一方にあるので、この方の自制もなければいけないような気がいたします。そういう万般の自制の中にこれらの環境問題が十全を期し得る方向に行くのではなかろうか、かように考えておりますので、この問題に関しましては、環境庁だけの問題ではなくて、各省庁の横のつながりの中でやっていかなければいけないと思うわけでございます。  さきに産業廃棄物の廃棄の拡散のお話もございましたが、これも、東京の一極集中によってこちらの方では地価が非常に高い、ところが地方に行けば行くほど地価が安くなることがまたそういうことを招いている等のことにも思いをいたすならば、やはり総合的な各省庁間の調整、検討によって初めてこういうものは解決できるのではなかろうか、こういう考え方にございますので、私も鋭意これからこれらの問題について各省庁間の大臣とも意見を交換し、お願いをしてまいるつもりでございます。
  81. 大渕絹子

    ○大渕絹子君 新しいゴルフ場ができるとそちらの方に移行してしまって、古いゴルフ場が荒らされてしまうような現実が来ない日を私は願っております。リゾート開発イコールゴルフ場という、このようなことにならないように強くお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  82. 一井淳治

    ○一井淳治君 まず、農水大臣に対して、米の輸入自由化の問題についての御決意のほどを、私はもう二度と質問いたしません、この質問で終わりますので、一発の御回答を願いたいと思います。
  83. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 米というのは我が国の主食でございまして、我が国農業の基幹をなすものでございます。そしてまた、水田稲作というものは自然環境保全なりあるいは国土保全、そして地域経済上大きな役割を果たし、また地域社会を形成する上におきましても大変重要な役割を果たしております。そのような重要性にかんがみまして、また国会におきましても両院におきまして御決議もいただいておるわけでありますから、その趣旨を体しまして、米は国内産で日給するという基本的な考え方を貫いてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  84. 一井淳治

    ○一井淳治君 基本的という言葉がついて回るのでございますけれども、一〇〇%完全にという趣旨で一層の努力を願いたいと思います。  それから、来年の米の生産調整を行うべき時期が到来して、農水省でも御方針を出されるんじゃないかということでございますけれども、その生産調整の方向をお聞きする前に、現在の我が国の農業にとって生産調整がどのような深刻な影響を及ぼすか、あるいは農民の願いがどのように切実なものであるかということに対する大臣の受けとめ方についてまずお伺いしたいと思います。
  85. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 現在、水田農業確立対策のもとで農家の方々が大変な努力をしていただいておりまして、立地条件を生かして転作営農に取り組んでいただいておる事例が各地にあるわけでございます。しかし、そういうふうな中におきましても、他方、転作については限界感というふうなものが強まっておるというふうなことも十分承知をさせていただいておるところでございます。
  86. 一井淳治

    ○一井淳治君 農水省の方では、来年度の生産調整についていつごろ御方針をお出しになるのか、どういう内容のお考えをお持ちなのか、これについて御質問いたします。
  87. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 水田農業確立後期対策の中身につきましては、地域輪作農法の普及、確立等を軸といたしまして足腰の強い水田農業の確立を図る、あわせて需要に応じました米の計画的な生産を推進するという観点に立ちまして、今需給実態についての精査を行いながら、関係者の意見を聞いて検討を進めておるところでございます。  現場の関係者からはできるだけ早く対策を固めてほしいという強い要望がございますが、問題が問題であるだけに我々としても慎重な見きわめが必要であるということで、まだめどは立ってございませんけれども、できるだけ早く対策の中身を固めたい、このような気構えで検討を進めておるというふうに申し上げておきたいと思います。
  88. 一井淳治

    ○一井淳治君 そうすると、現在まだ農水省の方向は決まっていないというふうにお聞きしていいでしょうか。
  89. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 関係者の意見を聞きながら検討を急いでおる段階でございます。
  90. 一井淳治

    ○一井淳治君 そういう状況であれば、最近の農村部の非常に困難な状況を十分酌み取っていただきまして、来年は本年度以上の減反はしない、生産調整はしないという方向で一層の御努力をお願いしたいというふうに思います。  次に、転作作物について質問いたしますけれども、岡山県を中心といたしまして雄町米という、これは酒造に好適な米の銘柄がございます。これを転作作物として取り扱ってもらいたいという要望があるわけでございますけれども、これについての農水省の御所見をまずお伺いしたいと思います。
  91. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 酒造好適米のお話に入る前に、目標の関係のお話もあったわけでございますが、やはり需要に見合った米の計画的な生産を的確に行うということが非常に重要な課題でございます。先ほども申し上げましたように、昨今の需給実勢、やはり消費拡大努力を含めまして相当の調整努力が必要だというこういう実態にあることは間違いないわけでございますので、私ども今後の消費動向その他を慎重に見きわめました上で規模の問題等の判断をしてまいりたい、このように申し上げておきたいと思います。  お尋ねの酒造好適米の扱いの問題でございますが、御指摘のように転作作物という扱いにはなってございません。これはどういうことかと申しますと、どの程度の調整規模を必要とするかという判断をいたしますときに、何らの調整も行わないときに予想される生産量とそれから見込まれる需要量との差をいわば要調整量として考えて転作等を進めるという考え方をとっておるわけでございますが、酒造好適米につきましてはこれは酒米として需要の中に含めて考えておるわけでございます。したがいまして、今お話のございましたように、仮に酒造好適米を転作対象として扱うということに相なりますれば、需要からその分を落とすということに相なりまして、その分だけ転作の規模が広がるというふうなことにもなりかねないという性格のものでもございます。そういったことも考えますと、やはり転作対象作物として扱っていくということは適当でない、このように考えておる次第でございます。
  92. 一井淳治

    ○一井淳治君 ただいま酒米として需要の中に含まれているんだという御説明をいただきまして、ごもっともであるというふうに思います。そういうことであれば、仮に、これはあくまでここで思いつきの例でございますけれども、岡山県とかあるいは岡山県下の農協が中心になってこれまで以上に雄町米を酒造業者に売り込んで、例えば三十万トンだけ米の需要をふやしたというふうな事態が発生したとした場合はどうでしょうか。  ですから、私が申し上げたいのは、雄町米も米ですから、米全体の需要供給の関係で見られるというのは理解できますけれども、需要拡大を県とかあるいは農協が中心になって三十万トンだけ新規に開発した、そしてその雄町米については酒造会社にしか売らない。全量販売する。そうすると、それだけ米の需要拡大が実施されたわけですから、そういうふうな需要拡大をやった場合には、それに相応するものについては転作作物として認めるというふうな考え方は不可能でございましょうか。
  93. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 今のお尋ねは、言ってみれば産地間のいわば競争といいますかそういう関係にも相なるわけでございまして、全体としての需要が新たにふえるということでございますれば、これはむしろ需給計算上そういうものを反映させていくということになるわけでございますけれども、何らかのある産地からある産地への需要転換が起こっておるという場合には、米の全体の需給均衡ということからすればなかなかそこはうまくいかないという実は問題も持っている、そういう性格の問題ではないか、このように考える次第でございます。
  94. 一井淳治

    ○一井淳治君 現在、生産調整の面積を見ましても地域によって県別に生産調整割合が相当違うわけですけれども、これは生産調整というのは各県の事情によって決めるんだということが根本にあるからではないかと思います。同じ米ですから非常に奇異に感ずるというふうに私も思いますけれども、例えば将来大きさが現在の米の三倍ぐらいの大きな米を開発する、これを飼料にする、まずくてとても人間には食べられないけれども飼料としては大変多収穫米である、そういったお米を開発して地域でどんどんえさ米として牛や豚が食べて消費すると、これは完全に新しい需要の拡大であって、これまでのお米の需要とは全然関係がない。関係があるのは外国から輸入するトウモロコシが減るということではなかろうかと思います。  そういうふうに、同じ米だからというのではなくて、全く新しい別のものというそういうような抽象的な発想から何とか考え直すということはできないんでしょうか。
  95. 松山光治

    政府委員(松山光治君) お話のございましたように、今米の需要ということで私どもカウントいたします場合は、基本的には主食用ないしは今お話のございましたような酒米といったようなものをトータルとしてとらまえまして、それと潜在的な生産量との関係でどのような規模にするかという扱いをしておるわけでございますが、同じ米でございましても、御指摘のございましたように、主食用よりも相当安い価格であれば別の用途に向け得る、こういうことが十分あり得るわけでございます。その非常に典型的なのが加工用に使われる米、例えばせんべいなんかの材料に使われる米、これは今の主食用の米の価格に比べればかなり低い価格ではございますけれども一定の需要があるわけでございます。また、えさ米として使われる場合もあろうかと思います。  今の水田農業確立対策におきましては、そういう意味では、主食用ないしはそれに準ずるものとしての需要の外で一定の価格水準であれば扱われる米というものにつきましては、他用途利用米といったような形で転作等の態様の一つとしてとらまえまして助成の対象にしておる、こういう状況にあるわけでございます。
  96. 一井淳治

    ○一井淳治君 他用途利用米というそういう方向ではなくて、まさに米として扱う。といいますのは、現在米の消費が非常に減っておる。米の消費が減っておることが生産調整の原因になっておるわけでございますけれども、農民が自分の意欲で、農民の活力によって新しい米の需要を拡大したということに対してはそれ相応の農民の意欲を認めてやって、それについては転作作物として認めてやるということがいいんじゃないかという観点でお尋ねするんですけれども、いかがでございましょうか。
  97. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 私のちょっと言葉が足りなかったこと申しわけなく思いますけれども、いわゆる他用途利用米という名称で呼ばれておる米の需要の分野のほかに、えさ米も含めまして各地域が知恵を出して新しい需要をつかんでくるといいますか、つくり出してくる、需要開発米という名称で前期対策では呼んでおったんですが、そういうものも対策の対象として一定の助成措置の対象にする、こういう扱いを既に行っておるところでございます。
  98. 一井淳治

    ○一井淳治君 雄町米はなかなか適用ができてないようでございますけれども、これはここで質問したからおいそれと簡単に変わるような容易な問題ではないということも私は認識しておりますので、また改めて私の方のいろんな根拠をお持ちして要望を続けていきたいというふうに思います。  次に、岡山県下の苫田郡奥津町の農業基盤整備事業に関連してお尋ねするわけでございますけれども、新聞記事を見ますと、いろいろな事情がありまして、農水省が予定しておった農業基盤整備事業に対する助成のうち圃場整備二件については補助金交付が進められようとしているけれども、残る一件についてはそれが中途でとまっているというふうな記事があるわけでございます。補助金交付が認められるようになっておるのは羽出東、上野の二件ではないかと思いますけれども、そのように理解していいでしょうか、どうでしょうか。
  99. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 先生指摘の途中でとまっている事業といいますのは、農村基盤総合整備事業、通称ミニ総パと言っておりますけれども、奥津町の羽出地区において実施している事業ではないかというふうに思います。この事業につきましては、昭和五十五年に着工したものでございまして、本地区に係る平成元年度の予算についても農水省の方では一応予定をいたしておるわけでございますけれども、まだ県の方から農政局に対しまして補助金の交付申請がなされていない状況になっているわけでございます。  この補助金の交付申請がおくれているという事情といたしましては、奥津町に建設が予定されております苫田ダムに関連いたしまして、町の振興のあり方等をめぐって本年度の町の事業実施の手続がおくれているというふうに聞いている次第でございます。私どもといたしましては、今後県の方から補助金の交付申請があり次第対応いたしたいというふうに思っている次第でございます。
  100. 一井淳治

    ○一井淳治君 局長さんのところでは、この町内では羽出東、上野それから羽出と三件ございますけれども、今御説明いただいたのは羽出の件でございましょうか。
  101. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 今説明したものは羽出地区のミニ総パの事業でございます。
  102. 一井淳治

    ○一井淳治君 この羽出地区は水没地域には入っていないということを確認したいんですが。
  103. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 入っていないというふうに聞いております。
  104. 一井淳治

    ○一井淳治君 私どもは、県とのダムの紛争という問題がありますけれども、農業の環境が非常に厳しい折から、ダムの紛争に関係のない農業の改良というものは積極的に進めていただきたいという強い熱意を持っておるわけでございます。後ほど補助金交付の要請があった場合には早急な対応をよろしくお願いしたいというふうに要望いたしておきます。それはよろしいですね。
  105. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 県の方から補助金交付申請があり次第対応いたしたいと思っております。
  106. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、岡山市内の新福に株式会社日隈が建設工事を進めております場外馬券売り場の問題について質問をしたいと思います。  この問題につきましては、私は農水の委員会で時々質問をさしていただいたりいたしまして、また衆議院の方でも何回もこの問題については委員会で取り上げられております。そういった中で、農水省の方では三つの点を国会答弁の中で御確認いただいておるわけでございますけれども、この三つの点は、大臣が新しくおかわりになりあるいは局長が新しくおかわりになったわけでございますけれども、変更はないかどうかということをまず確認さしていただきたいわけでございます。  その三つの点の第一点は、場外馬券売り場の新設一般の問題でございます。いわゆる吉国答申というものがありまして、それに基づいて地元との調整を十分に行うことが前提である、いわゆる地元の同意が前提であるということが基本原則でございますけれども、これについては変わりがないのかどうかという点が第一点でございます。それから第二点は、岡山の新福における場外馬券売り場新設の問題については、地元の調整が十分にできているという判断はしがたい、中央競馬会から新設の承認申請を出し得る状態ではないという御確認をいただいておりますけれども、その点は現在でも同じかどうかという点が第二点でございます。それから第三点は、現在、地元の方では建物がだんだん建っておるという状況がありますけれども、仮に建物が完成しても、地元の調整が十分にできない限りは場外馬券売り場の新設は認めないというこの第三点目も御確認いただいておるわけでございますけれども、この三点につきまして、新しい大臣と新しい局長さんのお考えをお聞きしたいというふうに思います。変更ないとは思うんですけれども
  107. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) ただいま先生から御指摘がございましたが、私どもこれまで再三御答弁いたしておりますが、一つは、吉国答申、地元の調整を十分了するということにつきましてそのとおりでございますし、また、このことにつきまして、建物の有無については、建物の有無にかかわらず地元の調整が行われるということが当然の前提でございますし、また岡山の場合には地元の調整が十分行われたという実情にはない。したがいまして、私どもといたしましては、中央競馬会が承認申請を出すような状況でもないし、また仮に出されたとしても承認するような実態にはないというふうに考えておる次第でございます。今までの考え方と変わりございません。
  108. 一井淳治

    ○一井淳治君 大臣の御見解も同様でございましょうか。
  109. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 地元との調整が行われない限り承認を行うつもりはないという従来からの考え方に変わりはございません。
  110. 一井淳治

    ○一井淳治君 他の二点ですが、これは農水省の方で従来から御確認いただいております他の二点についても同じでございますね。
  111. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 変わりございません。
  112. 一井淳治

    ○一井淳治君 ことしの六月十六日に参議院の農水委員会で質問をさしていただきまして、局長さんの方から、建築工事をさせないための処置をいたしますという御答弁を当時の局長さんからいただいておるわけでございますけれども、これについてはどのような御処置になっておるんでしょうか。
  113. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 現地の工事の問題ではないかと思いますが、私どもといたしまして、現地で工事が進んでいるということについては聞いておる次第でございます。農林水産省といたしましては、その工事を差しとめる権限は有してはおりませんが、誘致業者に対しまして、中央競馬会を通じまして、地元調整のないまま既成事実が積み重ねられて場外馬券売り場が設置されるかのような印象を与えて地元を混乱させないように、再三慎重な対応を要請してきたというところでございます。
  114. 一井淳治

    ○一井淳治君 それからもう一つ、今回のこういう問題が起きて痛感していることでございますけれども、やはり建物を建設する工事に着工する前に設置の許可をとるべきではなかろうかというふうに思います。現在はそういった点が決められていないために、まず建物を建ててしまって既成事実をつくろうという意図が業者側にあるとは思います。そういたしますと、三十数億円という費用をかけまして既成事実をつくってしまうとなれば、あとはかなり資本の回収ということがありまして、現に市会議員に三百万円提供したというふうな問題がこの過程で起こっておりますけれども、そういった好ましくない状態が起こったり、あるいは脅迫がましいいろいろな問題が起こってくるというふうに思います。  それからまた、この業者について聞きますと、ただいま局長さんもお話がありましたけれども、何回も農水省の方の指導に基づきまして競馬会の方から建築工事をやめるようにという強力な指導があったにもかかわらず、どんどん建築工事を進めるということで、まさに農水省あるいは競馬会を、言葉が過ぎるかもしれませんが、なめてかかっている。非常によろしくない業者であると思いますけれども、そういった業者に地元の調整をやらしておくとすれば非常に問題が多発するんじゃないかと思います。現に、地元ではいろんな問題が起こりまして、子供たちの世界にまで学校内で反発するとか、あるいは子供が学校から帰るときには誘惑されたらいけないというので名札を隠して帰るとか、そういったふうなところまで深刻な問題が起こっておるわけでございます。  したがいまして、吉国答申という一つの実体法があるんですけれども、手続的にもそういうふうな困った問題が起こらないように、仮に場外馬券売り場を新設するにしても、明るく楽しい、そういう場外馬券売り場が新設できるようにこの際手続的にも整備する必要があるんじゃないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  115. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 場外馬券場の設置につきましては地元の調整が必要であるということについては、御説明したとおりでございます。  今御指摘のように、地域内におきます深刻な対立という状態を避けるために何らかの手法があるかどうか、手続があるかどうかということにつきましては、先般の答弁の直後に私ども畜産局といたしまして中央競馬会の方にも検討を要請したところでございますし、現在私どもも鋭意検討を進めているという段階でございます。
  116. 一井淳治

    ○一井淳治君 今検討なさっておるという御回答をいただきましたけれども、地元住民に不幸をもたらすような場外馬券売り場の新設の問題が起こらないように一層御検討を早めていただきまして、いい結果を出していただくように要望申し上げたいというふうに思います。  それから次に、警察庁の方にお尋ねをしたいわけでございますけれども、場外馬券売り場の新設の際には、地元警察との協議というものが条件になっているというふうに聞いておりますけれども、この協議の内容について御説明をお願いしたいと思います。
  117. 平沢勝栄

    説明員(平沢勝栄君) 警察としましては、地元の同意、理解が得られている、こういったことを前提にしまして施工者と協議に入るわけでございますけれども、この協議の内容につきましては、例えば雑踏事故防止の観点から支障がないかどうか、あるいは周辺の交通の安全と円滑を確保する観点から支障がないかどうか、あるいは暴力団の排除等の観点から支障がないかどうか、あるいは現金の安全な保管、輸送といった観点から支障がないかどうか、その他自主警備体制がとられているかどうか、こういった点を中心にして協議をするわけでございます。
  118. 一井淳治

    ○一井淳治君 岡山の新福における場外馬券売り場新設の問題につきましては、地元警察の協議はどのような状態になっておるんでしょうか。
  119. 平沢勝栄

    説明員(平沢勝栄君) 場外馬券売り場が設置される際には施工者が地元警察と協議する、これは今申し上げたところでございますけれども、岡山県の場外馬券売り場の新設問題につきましては、その設置につきまして地元で賛否両論がありまして、協議に入る前提条件と考えております地元の同意、理解がいまだ得られていない状況にあるというわけでございまして、こういった状況のもと、現在までのところ施工者から警察に対して協議の申し入れはなされていないと聞いております。
  120. 一井淳治

    ○一井淳治君 それから、不幸なことなのでございますけれども、賛成派あるいは反対派というふうなことで地元の反目がだんだん深刻になっているという一つのバックグラウンドもあるかと思いますけれども、この地域がいわゆる住宅地域で、多くの住民が住んでおるわけでございます。その中に場外馬券売り場を新設するのに反対している人たちに対して、例えば家に火をつけてやるとか子供に気をつけろとか、中には命をとってやるというふうな激しい脅迫の電話が入っているというふうな状況もあるわけでございます。こういった地域全体の住民の安全の確保ということは非常に難しい、新しい警備の問題ではないかというふうに思いますけれども、市民に危害が及ばないように十分に守っていただけるのかどうか、そのあたりはいかがでございましょうか。
  121. 平沢勝栄

    説明員(平沢勝栄君) 今先生から御指摘がございましたとおり、岡山の場外馬券売り場新設に反対する住民に対しまして、いろいろな嫌がらせの電話があったということにつきましては私ども承知しておりまして、地元岡山県の警察では、こうした電話があったときの対応等について指導を行うとともに、あわせまして関係地域のパトロール等の強化を行ったところでございます。なお、今後脅迫等の不法行為を認知した場合には迅速、適切に対応するよう地元警察を強く指導していきたいと考えております。
  122. 一井淳治

    ○一井淳治君 ただいま課長さんの言葉の中に嫌がらせというお言葉があったんですけれども、命をとってやるというのは、これはちょっと嫌がらせを超えておりますし、例えば何時に火をつけに行くからというのも、これはちょっと嫌がらせを超えておるんじゃないかと思います。現に、そういったことで子供まで夜遅くまで寝られないでおるとか、それからこれはここで言えば時間がたって切りがないと思いますけれども、嫌がらせを超えておるというふうに思いますが、いかがでしょうか。命をとるというのは嫌がらせなのかどうか、その点どうでしょうか。
  123. 平沢勝栄

    説明員(平沢勝栄君) 私どもも現地から電話の内容については聞いておりますが、その電話の内容の中には、例えば先生今御指摘のように、嫌がらせの程度を超えた脅迫的な内容に属するものも含まれている、このように理解しておりまして、先ほど申し上げましたように、このような行為が行われないよう、今後は厳正に対処するよう現地警察を強く指導していきたい、このように考えております。
  124. 一井淳治

    ○一井淳治君 次に、列車騒音に関連してお聞きしたいと思います。  昨年の四月に瀬戸大橋が架橋されまして、新しく在来線が走るようになったわけでございますけれども、そこで騒音問題が起こっております。これについて現在の状況はどうなっているかということにつきまして、簡潔で結構でありますけれども環境庁の方から御説明をいただきたいと思います。
  125. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 現在、瀬戸大橋の開通に伴います列車騒音でございますが、長大橋梁区域についての努力目標値とされます八十ホンを超えて田之浦地区に対する騒音問題が非常に大きいということから、地元並びに倉敷市、岡山県の方で多大な御努力、また本四公団、JR四国等の協議が続けられているわけでございます。その結果、七月二十二日のダイヤ改正に伴いまして騒音低減のためのディーゼル特急の減速というものが行われまして、その後測定した結果が報告を得ました。その結果、最大八十ホンを辛うじて達成いたしまして、低いところは七十三という形に改善されたわけでございますが、これが一応二年間の暫定措置の減速という形になっておりますので、今後とも騒音観測を続け、この間に音源対策をさらに進める必要がある、このように承知しております。
  126. 一井淳治

    ○一井淳治君 その二年の間の対策というものはどのようなことなんでしょうか。
  127. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 私どもが伺っていますのは、さらなる音源対策を行いますためにはディーゼル特急の車輪を精密に真円にする、削る旋盤を輸入する必要がある。それからまた、新しい低騒音型のディーゼルエンジンを開発する必要がある。ディーゼル特急の電化を行う等による音源対策に必要な期間である、このように伺っております。
  128. 一井淳治

    ○一井淳治君 そういう対策によりまして騒音が大幅に縮減するということを私どもも強く希望するわけでございます。しかし、現在の減速されておる状態から二年後に速度を復旧するという時点が、地元と国鉄との友好関係維持という観点からいたしましても非常に大切な時期ではなかろうかというふうに思います。この二年後の速度を復旧する時点に、JR四国だけが一方的に速度を回復するということでは将来円滑な付近の関係維持できないというふうに思います。やはり県とか公団とかそういった関係機関の人たちが協議をしながら、例えば騒音の測定にいたしましても、JR四国だけが騒音の測定をするんではなくて公団や県も音量の測定については立ち会うとか、そういったふうな関係諸機関が協議の上、地元が円満に運ぶようにJRに対して御助言、御指導をいただかねばならないというふうに思うわけでございます。  この点について、運輸省さんかあるいは環境庁さんか、権限のある方から御回答をいただきたいというふうに思います。
  129. 倉本東三

    説明員(倉本東三君) 二年後の速度回復の前提の対策といたしましては、先ほど環境庁の方からもお話がございました在姿車輪旋盤、これを導入いたしまして、この装置につきましては専門家等の指御導も得まして、相当騒音レベルが下がるというふうに聞いております。そこで、この装置の導入によって車輪の適正な作成がなされますれば目標値の達成は可能である、このように考えておりますけれども、速度の回復に当たりましては、先生指摘のように、関係自治体あるいは公団と十分話し合いまして、騒音レベルの測定、確認等を行った上で実行するよう事業者を指導してまいりたい、このように考えております。
  130. 一井淳治

    ○一井淳治君 その際の進め方でございますけれども関係者の協議が事実上行われないとまた非常に複雑な解決困難な問題が起こるというふうに、悪い方向へ発展するということも考えられますので、十分な関係機関の協議が行われるように御助言、御指導をいただきたいと思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  131. 倉本東三

    説明員(倉本東三君) 今回の減速につきましても、鉄道事業者はもとより公団あるいは関係自治体等とも十分協議をさせてこういう現状に至っておりますし、先ほど申し上げましたように、速度回復の前提となります騒音レベル等の測定、相互の理解というものを十分に行うように指導してまいりたいと考えております。
  132. 一井淳治

    ○一井淳治君 協議はやり過ぎていけないということはありませんので、またJRの立場としても地元に愛されるJRとしてお客さんに乗ってもらうということも必要だと思いますので、どうか十分な協議がなされますようにその際には御指導をいただきたいというふうに重ねて要望申し上げます。  次に、瀬戸大橋のような列車騒音の問題が起こってくる一つの原因は、在来線については環境基準ができていないということが原因であると思いますけれども、この環境基準をつくるということについてはどのようになっておるんでしょうか。
  133. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 新幹線の沿線の騒音に対して環境基準を持っておりますので、それに準じて在来線にもと、こういう要望は従来から強く受けておりますが、御承知のように、在来線と申しますのは、極端な場合は山手線のように都会の中で高架の下で生活している人たちがおられる。騒音に慣れている。もう一方、下津非、田之浦地区のように全く静寂なところに橋梁の大騒音が発生する。こういうように非常に全国的に見まして差がございますので、一律的に在来線の環境基準というものを国のレベルでつくるということの困難さが一つございます。  それからまた、騒音の測定評価方法というものも検討しなかったらいけないということで、従来から測定方法の検討、さらに防止技術の可能性というものについて運輸省とも協議をいたしておりまして、さらに引き続きまして協議を重ねてなるべく早い時期にその方向性を見定めたい、このように思っております。
  134. 一井淳治

    ○一井淳治君 公害対策基本法の第九条によって環境基準をつくる必要があるんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
  135. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 各種の汚染物質、騒音等につきまして、先ほど申し上げましたように、現在環境基準ができているわけでございますが、今申し上げましたように、すべての事象について環境基準をつくっていくということについては、それぞれ個別の事情がございますので、その判断を検討を重ねていきたい、このような考えでおるわけでございます。
  136. 一井淳治

    ○一井淳治君 公害対策基本法ができたのが昭和四十二年、あれから二十年たっていると思うんですが、その点どうですか。
  137. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 時間がたてば知恵が出るという問題でもありませんで、先ほど申し上げましたように、その公害事象の性格によって、そういう全国一律の基準でいくというものになじみ、時間をかければできるものと、非常にまたそのほかの対策と総合的にやらないと、基準だけつくって解決する性格でないものとございまして、この在来線の騒音対策については後者の方なのでいろいろ現在検討さしていただいているという状況でございます。
  138. 一井淳治

    ○一井淳治君 新幹線の騒音基準ができたのがたしか昭和五十年であったというふうに思いますけれども、それからしてももう十数年たっておるわけでございます。五十年ごろに騒音基準をつくっておればかなり高くても住民が納得したのかもしれませんが、現在騒音基準をつくるとすれば、それより下げないと住民が納得しないというようなこともあるいは起こるんじゃないかというふうな感じもいたします。  それから外国の方の、これは後進国もあれば先進国もあるでしょうけれども、先進国の騒音基準を見ますと、日本の現在の新幹線の騒音基準よりはかなり進んでいるんじゃないかと思います。ただし、これは平均値のとり方あるいは騒音測定の位置、いろんな問題がありますから、一概な比較は非常に難しいですけれども、かなり先進国では騒音基準が前進しているんじゃないかというふうな気がいたします。そういう中におきまして、日本の在来線の基準かないということは非常に残念に思うわけでございます。せめて新しい線、新線をつくる場合についてだけでも早急に騒音基準をつくっていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。せめて一年か二年以内ぐらいにお願いしたいと思いますが。
  139. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 今先生指摘のように、全国一律の在来線ということでなくて、瀬戸大橋のように新しい在来線の状況が変わった、また津軽の海底トンネルに伴って本数が非常にふえた、そういう特段に事情が変わったところだけにでも新しい何らかの基準の可能性がないかという御指摘でございますが、私どもも現在そういうような考えも取り入れまして検討しているという状況でございます。
  140. 一井淳治

    ○一井淳治君 外国の法制度を見ますと、非常に幅の広い環境基準を決めておいて、そして具体的には行政当局がその地域について指導するということもあるようでございますけれども、何らかの環境基準を早急につくっていただきまして、今後の新線設置においてちゃんと事前に騒音基準達成目標があるという状態にしておいていただきたいというふうに要望いたしておきます。  次に、騒音基準をつくるだけではいけないので、列車自体の騒音が下がるように技術開発等をしていただく必要があると思います。最近車の排気ガスの公害が多発している、あるいは車の渋滞が激しくなりまして、大都市部における通勤者等の運搬につきましては、大量交通機関である鉄道が見直されておるわけでございますけれども、やかましい鉄道がどんどん走ってくれては困るので、騒音対策技術開発を大いにやっていただきたいと思いますけれども、そのあたりのことはどのようになっておるのでございましょうか。運輸省にお尋ねいたします。
  141. 倉本東三

    説明員(倉本東三君) 在来線の環境対策につきましては、先ほど来お話が出ておりますように、非常に車両あるいは線区の特殊性等多岐多様にわたってございます。そこで、これらに対する技術的な対応という点につきましても、非常に一言で申し上げて難しい点がございますけれども、今までも非常に環境問題は重要という考え方から、個個の地域特性あるいは線区の実情等に応じまして指導して改善方を図ってきております。特に新線建設等につきましては、工事施行認可という行政上の手続の過程におきまして、環境への影響を十分配慮した計画となるべく指導しておるところでございます。  それではこれからの技術開発をどのようにやっていくかという点につきましては、非常に多様にわたります線区の実情等の施設の形態、それに対する環境問題の解決等につきまして、具体的に一部着手して今検討を進めております。
  142. 一井淳治

    ○一井淳治君 なお一層開発が進むように御努力をお願いしたいと思います。  次に、酸性雨の問題に質問を変えさしていただきますけれども、日本に酸性雨が、相当酸性度の濃いものが降っておるということはわかっておるわけでございますけれども、これについての被害の現状というものが必ずしも十分に把握されていないんじゃないかという非常に心配があるわけでございますけれども、その点はいかがでございましょうか。
  143. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 酸性雨の状況につきましては、昭和五十八年度から五カ年計画をもちまして第一次の酸性雨対策調査を実施しております。その結果によりますと、日本でも欧米並みの酸性雨、具体的には、水素イオン濃度でpH年間平均四の台及び酸化物の量、ほぼ欧米並みの雨が降っておるのが確認をされております。しかし、被害につきましては、土壌、湖沼等を調査しておりますが、日本では顕在化していないというふうに私ども認識をしております。しかしながら、欧米の例を見ましても、深刻な事態になる前に対策を講ずる必要がございますので、引き続き調査をし、把握に努めているという状況でございます。
  144. 一井淳治

    ○一井淳治君 ここに環境庁がおつくりになりました「第一次酸性雨対策調査結果について」というものがありまして、私も勉強させてもらっております。それを見ましても、今参事官が言われましたように、酸性雨の度合いについてはヨーロッパ並みであるということでございますけれども、実際の被害は余りあらわれていない。これは非常にありがたいことではございますけれども、他方不気味な感じもするわけでございます。特に、公害関係の図書などを見ますと、西ドイツでは五〇%の森林が影響を受けているということが何冊かの本に書いてありますし、たしか国会でもそんなことが答弁の中で出てきておったというふうに思います。しかし、西ドイツに行きますと、日本人の目から見れば日本の森林に比べて向こうの森林の方がよっぽどきれいで、元気いっぱいで、どうしてこれが酸性雨の影響を受けているのかというふうなことを感ずるわけです。  そういったことで、日本人がただ気がついていないだけであって、実際には植物、植生にも影響があるんじゃないかという心配があるわけですけれども、どうなんでしょうか。いわゆる第一次酸性雨対策調査結果というのは、これをそのまま受け取っていいんでしょうか。それとも、私はまだこの現状の把握が十分にできていないのじゃないかという非常に不気味さを感ずるわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  145. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) ヨーロッパの報告あるいは経験も踏まえまして実施をしております調査でございますので、現時点、ヨーロッパ並みの被害が出ていないということは明確に申し上げてよろしいというふうに思っております。雨の降り方が日本はヨーロッパの三倍程度の量でございますし、土壌の条件も緩衝能力が強い、あるいは植生も従来から酸性土壌に適した植生であるというような条件もございまして、そのヨーロッパとの違いは必ずしも明確ではございませんけれども、ヨーロッパの判断基準から日本を判断いたしましてもまた顕在化には至っていない、こういうように判断をしております。
  146. 一井淳治

    ○一井淳治君 環境庁の方でお調べになっておりますのは、一つが酸性雨成分分析調査、そして二番目が陸水影響調査、三番目が土壌影響調査でございますけれども、私は専門家ではないので大変失礼な表現になるかもしれませんが、抽象的、大ざっぱな表現を使えば、かなり表面的な調査ではないか。もっと詳細な調査をしないと現状把握はできないんじゃないかという気がいたしますけれども、どうなんでしょうか。
  147. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 湖沼につきましては、酸性化しているかいないか、かなり数値的にはっきりいたしますので、ヨーロッパの湖沼の状況と比べまして日本の酸性化が進んでいない、これは明確に申し上げられると思います。それから植生につきましては、私ども環境庁の直接やっております調査のほかに、国立機関公害防止等試験研究費という調査研究費がございまして、この中で関係機関が植生につきましても調査をし、今後も引き続き実施をするという体制になっております。
  148. 一井淳治

    ○一井淳治君 現在第二次酸性雨調査が進められているわけでございますから、その中で一層の御調査を要望しておきます。  私どもが不安に思いますのは、今後この酸性雨に関連して我が国環境がどのように変化していくのかという予測がつかないわけでございます。一説には日本の土が強いんだということを言われておりますけれども、その辺も確固としたものがあるわけではございません。したがいまして、できるだけ早く酸性雨による影響が今後どのようになるのかという予測をつかんでいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  149. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 現在行っております第二次の酸性雨対策調査におきまして、一つは酸性雨の生成メカニズム、どういう状態で酸性雨が生じ、それがどういう形で全国に分布をしてくるかというメカニズムの解明を重点に行いたいという点と、それから環境に対します影響を総合的に把握したいということで計画を立て、現在分担をしながら実施をしているところでございます。
  150. 一井淳治

    ○一井淳治君 そういう研究の成果を待って、日本の酸性雨被害が将来どのようになっていくのか、特にもう心配は余り要らないのか、あるいは早急な何らかの対策を必要としておるのか、その辺がわからないわけで、予測を立てていただきたいと思うんですが、その辺はどうなんでしょうか。
  151. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 将来の予測、要素が多くてかなり困難な面があるというふうに考えておりますが、そういう意識を持ちまして現在調査研究を進めているところでございます。
  152. 一井淳治

    ○一井淳治君 この酸性雨被害というのは国土全体に及びますし、特に土壌とか湖沼につきましては一たん酸性化してしまうと生態系も一変してしまいますし、復元が不可能であるということであると思います。多少とも危険性があるのであれば、環境庁がおつくりになっておりますこの調査結果を見ますと、「将来、酸性雨による影響が現われる可能性があることが懸念される。」という、まことにこの懸念というのはいろいろ読める言葉かもしれませんが、今現に懸念されるわけでございますから、相当予算を大量に投入してでも、予測というものは早く立てていただきまして、もし本当にこの懸念があるんだったら早目に大規模対策を立てていただきたいというふうに思うわけでございます。  この点につきましては、環境庁長官から一言御答弁をお願いしたいと思います。
  153. 志賀節

    国務大臣志賀節君) まことに御指摘、私も拝聴いたしておりましてごもっともだと存じます。  御案内のとおり、酸性雨は欧米では国境を越えた問題でございますし、また、そのような大きな規模での問題でありますと事の正確な把握がまことに困難でございます。そのために、ただいま先生も、しかとした将来の見通しを環境庁からもらえないということでいささか御不満のようにもお見受けいたしましたけれども、しかしやはり蓋然性としては問題をはらんでいる酸性雨でございます。したがいまして、現段階では近隣諸国からの影響は依然として明らかではございませんが、広域的な取り組みが必要でございますから、今後近隣諸国と協力をし合いながら調査研究に当たっていかなきゃいかぬ。それから、地球環境保全の観点から東アジア地域における研究協力の強化に特に力点を置いていきたい。また、将来的には東アジア地域を中心とする酸性雨の観測網を設置するなど、取り組む所存でございます。
  154. 一井淳治

    ○一井淳治君 まさに地球的規模といいますか、少なくとも東アジア全体として取り組まねばならない問題だと思います。しかし、どこの国の煙が来ているんだとかいうふうなことを言いますと、感情的になって友好関係も損なわれてしまうということで、やはり日常的に友好裏に情報交換をするとか、学者の交流を深めるとか、そういうふうな相互理解を積み上げていくということを事前にやることが必要ではないかというふうに思いますけれども、外国から日本へ大気汚染物質が入ってくるという予測がされる中で、近隣諸国との友好関係維持しながらの対策について外務省の方ではどのような対策をお持ちでございましょうか。
  155. 藤本進

    説明員(藤本進君) 先生のおっしゃいましたとおり、外国との間におきましては友好的に物事を進めていかなければいけないという関係がございます。でございますので、現在日本におきまして酸性雨が起こっているわけでございますが、それがどういう形で生成されておるのかというようなことにつきまして、まずその生成のメカニズムを解明する、そのために必要な種々の情報交換を行っていく、そしてまた研究者同士の相互の交流を進めていくというようなことが行われているわけでございまして、ただいま日本と韓国との間におきましても科学技術協力協定に基づきましてこのような交流が行われているところでございます。  さらに、日本と中国の間におきましても同様の協定のもとに協力を進めていきたい、こういうぐあいに考えておりまして、本年六月初めに開催されました日中環境会議におきまして、この分野の協力を進めていくということにつきまして意見が交換されたところでございます。
  156. 一井淳治

    ○一井淳治君 中国との関係で、ODAの一部としてたしか環境アセスメントセンターでしたか、あるいは観測器具の援助でしたか、そういったことがあったけれども、天安門事件で一応中止になっているというようなことも聞いたことがあります。こういった種類のものは何とか早目に実施をしていただきたいというふうに思うわけでございますけれども、いかがでございましょうか。
  157. 高橋雅二

    説明員(高橋雅二君) 中国との援助の関係におきましては、この環境分野におきまして環境保全センターというものの設立の計画というものがございまして、これまで幾度かにわたりまして予備調査を行ってきております。その後、今先生指摘のとおり天安門での事件が起こったため、その後に引き続くべきはずでございました本格調査というものの実施ができないという状況になって現在に至っておるところでございます。  本件の取り扱いにつきましては、今後現地情勢の帰趨等を見きわめつつ検討していきたいと思っております。日中の間の援助の、特に環境分野における関係につきましても、できるだけ速やかにこういうものが実施できるような状況になってほしいと願っておるのは私たちも同じでございます。
  158. 一井淳治

    ○一井淳治君 最後に、環境庁の方にお尋ねいたしますけれども一つは、外国から汚染物質が入ってくるのかどうかというその辺の調査が、科学的な研究が必要ではないか。もう一つは、今も外務省に聞いたんですけれども、日常的に友好裏なうちに事前に相互理解を深めていくということが対外関係においては必要ではないかと思いますけれども、その点についての御処置を簡単に御説明いただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  159. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 酸性雨につきましては、現段階では大陸からの影響につきまして、その有無につきまして判断ができる状況にはございません。しかしながら、酸性雨は広域的な視点で調査研究を進める必要がございますので、離島におきます測定局を初め全国的に常時監視の体制の整備を行いたいということで、本年度から測定局の増設も図っているところでございます。そして、日本での基礎的な研究あるいは技術的な整備を進めながら、関係諸国とも意見交換あるいは技術的な交流を図りながら今後取り組んでいきたいというふうに考えております。
  160. 志賀節

    国務大臣志賀節君) ただいま一井先生からお話がございましたとおり、友好的にこれを行わなければいけないのは当然でございまして、もし友好関係が損なわれれば、促進されるでありましょう研究も阻害されることになりかねません。したがいまして、友好裏にこれを行うということはまさに日本の基本的な方針と申し上げても過言ではございません。
  161. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 午前の審査はこの程度とし、午後二時十分まで休憩いたします。    午後一時十分休憩      ─────・─────    午後二時十二分開会
  162. 千葉景子

    委員長千葉景子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和六十一年度決算外二件を議題とし、農林水産省環境庁及び農林漁業金融公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  163. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 私は、持ち時間が三十分しかございませんけれども、何問か質問をいたしたいので、私自身も要点を簡潔に申し上げますから、答弁の方もどうぞひとつ余り抽象的な前置きなんかでなしに本音をずばりと答弁していただきたい。まずもってお願い申し上げておきます。  第一問は、今問題になっております水田農業確立の後期対策の問題です。  六十二年から平成四年までですか、それを二期に分けてやるということになって、前期が終わるわけですね。ですから、今現場の方では割り当てをする町村長とかあるいは農業団体長とかあるいはまた生産者も大変な関心を持っておりますことは御案内のとおりでございます。私どものところへも、もうこれ以上はできないからそんなに拡大しないでくれ、こういうことで毎日のように陳情に来ます。恐らく農水省にも行っているはずだと思いますけれども、これにつきましてどうでしょうか、まず大臣から御決意のほどをお聞かせいただきましょうか。
  164. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 後期対策の問題につきましては、ただいま先生からお話がなされたわけでございますが、地域輪作農法の普及なりあるいは確立等を軸といたしまして、しっかりとした水田農業の確立を図っていくとともに、需要に応じた米の計画的な生産を推進するという観点に立って関係者の方々の意見を聞きながら検討を急いでまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  165. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 大臣はそんなことかもしれませんけれども、何と申しましても農家の経済というものは他産業と非常にアンバランスになっております。特に、農業者の中でも専業農家の経済が一番苦しいわけですね。兼業の方は兼業収入等が相当あります。農林省なんかが統計をとると、農家収入とかなんかといった兼業も含めたものでとりますから、平均すると他産業とそれほど劣っていないんだ、こういうふうな統計を出しますけれども、専業農家はもう兼業はいけませんから農業収入だけしかやれない。農業収入というのは年々減少しておりますし、それからどこかへ行って兼業収入を得ようとしても、得られないぐらいの面積を持っていますから、これはとても兼業収入を得られない。これが実は一番困ることでございまして、これから後継者を養成するとしましても、そういう農家を養成しなきゃなりませんけれども、とても後継者なんか育たない、そういう環境では。  しかも、ほかの兼業者あるいはまた小さい経営の人はいろんなことができます。できますけれども、専業者というのはもうそれだけでやらなきゃならない。しかも、その専業者に対してまたこれ以上の減反を強いるということになれば、日本の農業なんかは崩壊してしまうのではないか、農村社会も崩壊してしまうのではないか、こういうふうに実は考えるわけでございます。これは事務当局から言うと、後ほどまた食糧庁長官に聞きますけれども、ことしもまたどれだけ米が余って在庫が多くなったんでと答弁するでしょうけれども、そういうことはいろいろ知恵を出しておやりになれば解決できる問題ですから、ことしは政治決断をしなきゃならない。大臣は事務当局の意見ももちろんいろいろお聞きになるでしょう、参考にしなきゃならないから。しかし同時にまた、これは大臣として、政治家として政治決断をしなければならない年だと私は考えております。  近く衆議院の選挙が行われるそうでございますけれども、大臣も米どころの山形ですから、どうぞひとつそこを大局から御判断をいただきたいとお願いを申し上げているわけでございます。どうしてもやむを得ないというのであれば、先ほどどなたか触れたかとも思いますけれども、今も若干の地域の割り当ての傾斜配分はやっているんでしょうけれども、もっと傾斜配分なり考え方を改めていかなきゃならないと思います。市街化区域なんかはもう米をつくらぬでもいいんじゃないかとか、あるいはまた都市近郊のそういうところをどうするのだとか、あるいはまた農家内部においても、専業農家と、農業収入なんてそんなに当てにしなくとも暮らしていかれる農家とをどうするのだとか、差別になりますけれども、そこらまで踏み込んでやらないとこれはもう割り当ててもだめですね。  そうすると、私も実は農協の組合長をしていますから割り当てをする係になるんですが、苦労するんですよ。そして本当にまじめな人は泣き泣きやるけれども、そうでないのはやらない。やらないでどうするのだといえば、悪い言葉で言えばやみに出す。出せるような環境になっちゃっているんです、今の食管が。ですから、そういうことを考えて、専業者、中核農家をどうして育てていくのだ、そういう観点から割り当てをしていただきませんと、しり抜けになってなかなかできないと思います。どうしてもやらざるを得ないというならばそういうふうな点をお考えいただきたいと思います。  そこで、六十二年の米穀年度も終わったわけですが、最近の需給関係はどうなっていますか、食糧庁長官。米の六十二年度の需給関係数字は出たでしょうか。
  166. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 鈴木先生の御質問の点でございますが、六十二年の米穀年度は十月末で終わったわけでございます。現在全国各地におきまして集計途中でございまして、まだまとまっておりませんが、一番の肝要の在庫の概略の数字はほぼ数字がまとまっております。  それによりますと、概算でございますけれども、十月三十一日現在で百五十万トン程度ということでございます。私ども、ことしの三月に食管法に基づきまして立てております基本計画で百六十万トンないし百五十万トンという数字を掲げておりますが、この数字に大体カバーされているという数字でございまして、重ねて申し上げますが、在庫だけではございますけれども、百五十万トン程度ということでございます。
  167. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 在庫が百五十万トンにしても、一年間の生産なり流通では、生産が何トン、そのうちの自主流通米何トン、それから政府買い入れ米、配給何トン、その他の米がありますね、最近はそれが何トンぐらいの見込みか、計算はわかりますか。
  168. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 現在の基本計画で申し上げますと、平成元年度の需給動向でございますが、供給で約一千百六十万トンということでございます。これのうち、いわゆる管理米と称しまして、端的に言いまして、農家の保有等々を除きました数字が八百三十万トン、それから管理米のうちの数でございますが、政府米が三百九十五万トン、それから自主流通米等、これは超過米等もございますので、それが四百三十五万トンという計画でございます。先ほど申し上げましたようにまだ最終集計はしておりませんけれども、現在までのところ、途中の経過等々でまいりまして、管理米が八百二十二万トン、政府の計で三百八十一万トン、いわゆるマル自、自主流通米等四百四十一万トン、そういう数字になっております。
  169. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 このほかに、自由米と称するものはここに入っていますか。この中のどこかに入っているのか、この外なのですか。
  170. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) この数字は、先ほど申し上げました供給計という数字千百六十万トンの計画ということは全体の数字でございまして、政府が直接管理をしている数字だけではございませんで、それ以外のものも含んだ数字でございます。  政府が直接管理をしておりますのは、先ほど管理米ということで申し上げました八百三十万トンでございまして、全体のうちからこの八百三十万トンを引いた部分、これは農家の方々が自分で消費される米あるいは縁故米等はこれの中に、その他の部分に含まれているというものでございます。したがいまして、先生指摘の米を含めまして私どもは全体で、供給計で申し上げました千百六十万トンの中に入っているということで推計をしております。
  171. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 なかなかわかりにくい、都合のいい説明をするんですけれども、実際のこの状態はあなた方も既に知っているわけだ。自主流通米なんかは、政府管理といっても半分か三分の一の管理です。それから政府自身の売り渡しする米が今やもう三分の一か四分の一でしょう。自主流通米と、それから悪い言葉で言えば昔のやみ米、やみ米でなくてもこのごろは物々で、土地を借りたりすると小作料とか何かを払ったり、あるいは縁故米とか贈答米とかやりますが、そういうものがあると政府米と同じぐらいになるんじゃないですか。そうすると食管というものはもうあってないようなものです。ですから、今度無理に割り当てなんかするとまたそういう米がふえて、食管というものはますます形骸化して、もう持てなくなります。私ら現場の実感としてそういう流れをよく知っているんだ。  そういうわけで、食管問題も実はもう再検討しなきゃならぬ。この条文からいって、今の食管の業務と制度そのものとが全く乖離しちゃって、本当に食管制度なんてあってなきがものになっちゃっているんですから、これからは余りびくびくしないで本音をやっぱりやるべきですよ、こうなるよということを。そのために米価なんかは将来このぐらいになりますよと言わざるを得ないかもしれませんね。そういうことをひとつ検討してください、大臣もそういうことまで頭に置いていただいて。そして、無理な割り当てをしますとそういう米だけがふえてだんだん自由化するようなことになる。  それから、一つ聞いておきますけれども、内村委員会、農政審議会の内村さんが小委員長の小委員会が答申を出しましたね。重要な問題がたくさんありますけれども、あれを政府はどう扱いますか。
  172. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先ほど鈴木先生から御質問がありました数字の点については、重ねて数字を挙げて申し上げませんが、生産等々から申し上げまして供給全体の中で千百六十万トンという数字がありまして、これにつきましては統計等々から現実の全体の数字でございます。それにつきまして一番大きな部分というのは政府米であり、さらに政府がいろいろな意味で助成をしております自主流通米でございまして、そういった数字がはっきりと八百三十万トンという数字でございます。その他の部分につきましては、具体的に食管制度のもとで縁故米等々の形で流通しているものがかなり大きい、圧倒的な部分であるというふうに私どもとしては理解しております。  なお、鈴木先生指摘のように、内村委員会の部分につきましては、ことしの六月の段階で農政審議会の全体の報告という形で報告が政府に対してなされております。私どもといたしましては、このタイトルにありますように、「今後の米政策及び米管理の方向」として、この精神に従いまして、先生指摘のように、多岐の提起をされております諸点につきましてきちっと実施をしていかなければいけないというふうに考えているところでございます。  この考え方は、これも鈴木先生の御指摘のとおりでございまして、現在、米の生産、流通、消費をめぐる状況は大きく変化しているという現状認識でございます。基本は、国内において自給していく方針あるいは食管の根幹を維持していくということでございますが、これにつきましては、御提言の点について関係者の御意見も十分賜りながら実行に移していくという考え方でございます。  特に一点だけ申し添えさしていただきますと、「価格形成の場」という御提言がございます。これにつきましては、現在、食糧庁の中で研究会を設けさしていただきまして先月から始めさしていただいております。できる限りこの方向づけをしていただきまして実行に移さしていただきたいという考えでございます。
  173. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 将来は米の市場でもつくろうということですね。わかりました。  時間がありませんので、三問ほど通告していますが、次に移ります。  国有林野の財政ですが、時間が長くなると思ったものですからゆうべ数字をいただきました。六十三年度の収入五千七百五十七億、支出五千六百七十六億、こういう決算ですが、その中で最も中心を占めなければならない林産物収入、木を切って売る収入、これが千九百二十六億、二千億になりませんね。ところが、人件費だけで千八百九十億と八百二十七億ですから二千七百十七億です。足りない分は若干土地なんかを売っているようですけれども、そういうことでこれからも国有林野というものをやっていかれますかね。  先ほど、国有林の地域に対するあるいは環境に対する重要性のお話もありました。これは私も全く同感でありますけれども、現在の財政といいますか、財務といいますか、これは今の形ではもちません。累積債務が一兆何千億あります。そして肝心の収入の一番もとになるのが二千億ちょっとですから、これ毎年毎年借金している、ことしも二千七百億の借金、その累計が一兆幾ら。そして年々利子だけだって二千億か三千億かかるわけです。どうしてこれからもっていくんですか、国有林。七十二年までに収支をとんとんにするなんという法律ができているようだけれども、どうしますか、長官。
  174. 甕滋

    政府委員(甕滋君) ただいまも御指摘のように、国有林野事業の財務事情は大変厳しい状況にあることは事実でございます。昭和五十三年度以降経営改善に取り組んでいるところでございますが、諸般の事情からさらに六十二年の七月に改善計画を改定強化いたしまして、現在鋭意その計画に沿って一層の努力を払っている最中という現状でございます。  この改定強化いたしました改善計画におきましては、林産物あるいは林野、土地の売り払いに加えまして、ヒューマン・グリーン・プラン等々新たな事業の展開によりまして自己財源を確保するといった点、あるいは組織、機構の簡素化、合理化を初めとする事業運営の一層の改善合理化、あるいは要員の縮減、これは平成五年度に二万人体制にするということを目途に努力中でございますが、そういった各方面の支出の削減努力最大限の自主的改善努力を尽くしますと同時に、一般会計の繰り入れといった所要の財源措置の確保を含めまして経営の健全性を確立することを目標に、苦しい中でございますが、現在鋭意努力中ということでございます。
  175. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 なかなか御努力いただいて、御立派な御方針でやっておられることに敬意を表します。敬意を表しますけれども、幾ら敬意を表したって、一兆八千億円の累積借金を持って、そして山を売ってあれするのが年に二千億ぐらいで、七十二年までにどんな手品をやってバランスがとれるようになるのか理解ができません。これは不可能です。不可能です、はっきり言って。なぜかというと、これは独立採算制でしょう。独立採算制である限りできませんよ。このごろは、山の木を切ろうとすると、うちの方の県だって、ブナを切ろうとすると反対反対と言って切らせない。知床だってそうだった。青秋林道のあれだって、環境が大切だ、こういうことでしょう。それで独立採算制でやれといったって、これはもうでさません。  林業白書を見ても、民有林の木材収入を入れても一年に六千億か七千億です。ところが、公益的機能と言われるものは、国土保全とか水の涵養とかいうのもやると二十五、六兆というんでしょう。一年に六千億か何かしか入らない。そういう国有林と民有林に対して二十何兆円の効果をあらわせとやっているのだから、独立採算制なんてだめですよ。これは改めなきゃだめだ、幾ら手品を言ったって。あなたは七十二年まで林野庁長官でないからそういうことを言えるかもしらぬけれども、七十二年までにはと、そんな法律になっている。これはできない。ですから、思い切って本音のことをやって、もうだめです、独立採算ではだめです、ですから別の方でやりましょう、こういうことに思い切って転換をするように申し上げておきます。  それから、一般会計から幾らか入っていますが、あれは林道なんかに使っているというわけだが、どこの林道にどのくらいやっておるのか、後から資料を出してもらって――委員長、出させてください。  時間がだんだんなくなってきたから以上で国有林はやめます。  次は、農業者年金について簡単に質問します。  今のところどんどん農業者が減っておりますから、組合員が余り加入しない。予定では三万人ぐらい年に加入してもらう予定のが二万人に減っていますね。逆に今度、年金を受ける方は予定よりふえておる。こういうことになるともう何年ももたないというような危機感を持っているんですけれども、実態はどうですか。
  176. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 農業者年金の現在の加入者数は六十八万人、それに対しまして年金受給権者の方は六十一万人というふうになっている次第でございます。さらに、近年農業者の兼業化、高齢化の進行によりまして加入者数が減少する一方、受給権者が増加しているというような状況でございまして、今後年金財政の長期的安定を図るために、いろいろな観点からこの年金制度の改正につきまして現在検討を続けておる状況でございます。
  177. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 この制度は、農民にも年金をということで非常に熱望して始めた事業です。ところが最近加入する農業者というのが減っておりますから、本当にこれがもつかどうかというのが心配されておるわけですが、これは農水省と厚生省の共管のようですから、両方で相談して抜本的な対策、方針というものをひとつ早急に立てて、農家に安心をさせていただきたいとお願いします。  時間がなくなりましたけれども、少しいただきましたからあと一問、尾瀬の問題。  これも先ほど御質問があったようですが、あそこは御承知のように標高千四百メートルというのが尾瀬ガ原で、それから尾瀬沼が千八百。世界にも珍しい高層湿原ですか、非常に貴重な動植物あるいは景観があるわけですね。国立公園の特別保護地区とか言うそうですが、私もあそこが好きで、もう三十年来ずっと、毎年とはいきませんけれども行っておりますが、最近私は、最初行ったころより湿原が少し枯れてきておるような気がする。環境庁長官もどうぞ頭に置いておいてください。枯れてきていますよ。  それはいろいろ調査して対策をしてもらうこととして、最近は交通の便も大変よくなったものですから入山が非常に多い。何万人ぐらいあるのか私はわかりませんが、百万か何百万か知りませんけれども、そういう人たちが、道徳的にもっと訓練すればあれなんでしょうけれども、缶を投げたりビニールを捨てたり、そんなことを大変よく見受けますが、環境庁の役人なりあるいは地元の人たちが一生懸命清掃してくれて結構きれいになっております。しかし、目に見えないし尿、山小屋が何軒もできておりますし、泊まる人も多いわけですから、あれはどう処理されているんだろう。交通の便も大変悪いところですから、どんな処理をしているのか。それによってあの辺の湿源に影響しないのか。あそこに尾瀬沼というまたきれいな沼があります。沼が汚濁しないのか。そういうことについて環境庁はどんなにお調べになってどんな管理をしているのか、お聞きをしたいと思います。
  178. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 尾瀬の問題は、御指摘のように、端的に言いますと、一番心配でおそれを持っておりますのは、し尿を含みます排水でございます。  現状を申し上げますと、日帰りの利用者が使います便所の場合も、それから年間十五万人程度の宿泊と考えられております山小屋の宿泊者から出ます排水につきましても、いずれもあの中で処理せざるを得ないものですから、浄化槽その他である程度の浄化をいたしますが、多くは地中に浸透させておるというのが実情でございます。一部の山小屋ではおがくずにまぜてこれを焼き払うとかいうこともしておりますが、抜本的に外へ出すということは経費もかかりますものですからなかなかやり切れないでいるところでございまして、先ほども申し上げましたが、私どもこれから取り組まなきゃいかぬ排水対策では、何とかできる限り、処理されたにせよ排水をパイプで域外に出すことができないかということを今考えている現状でございます。
  179. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 あの地域は、土地の所有者から見ると、福島県側の方が国有林は多いですね。群馬県側の方は東電がある。東電の子会社か何かが持っているんです。そうすると、そういう方々に対して、あるいはまたいろんなものに対する規制は、勝手に木を切ったり何か建てたり、そういうことは環境庁は規制できますね。
  180. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 御指摘のように、国立公園で、かつその中でも特に規制の厳しい特別保護地区になっております。また、文化財の方では特別天然記念物地域になっておりますので、現状を変更することは相当厳しい規制ができます。ただ、山小屋につきましては、中にはこの天然記念物あるいは国立公園になる以前から事実上のそこに山小屋が経営されておりますので、現在あります収容定員の限りでは今のまま山小屋の宿泊機能を認めているというのが現状でございます。これを増築して人をふやすようなことはこれからは認めない方針で臨んでおります。
  181. 鈴木省吾

    鈴木省吾君 どうぞひとつ立派な管理をお願いしておきます。  ところで、そういう経費の一部にしようとしたんですか、環境庁が入山料といいますか入園料、それを取りたいとかなんとかいって各町村や何かに相談をされたという話を聞いておりますけれども、その経過はどうなっておりますか。十分地元と連絡して、そして余り心配をかけないようなことにしていただきたいと思いますが、その点だけ伺って、時間が過ぎましたので終わります。
  182. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま申しましたように、合併浄化するにしましても、通常の暖かい、気温の一般的に高いところと違いまして相当な経費を要する、それからまた、パイプで持ち出すにしましてもかなりの費用を要することがございますので、私どもとしましては、すべて何もかも事業者の責任である、あるいは国のお金で全部を持つということではなくて、何とか利用者にも費用の一部を持っていただけないかということを御説明しながら地元の自治体にも御提案しているところでございます。むしろ何もかも税金でやるよりはその方がかえって尾瀬を利用する人にとって公正、公平な面もあるんじゃないかと思っておりますが、今お話しのように、よく御説明をしながらこの問題に対処していきたいと思っております。
  183. 狩野明男

    ○狩野明男君 ただいま鈴木先生から農業をめぐる環境の厳しさについていろいろ御指摘がありましたが、我が国の農業は、農産物の自由化だとか減反問題だとかそれから農産物の価格低迷、いろいろ非常に厳しい環境にある。また、農村も特に高齢化しつつある。そういう中で、農業の後継者を確保し育成していきながら、食糧の安定確保、それから農村の活性化をするために、これから農政の中で守りの農業から攻めの農業、そして前向きの農業という方向づけをして、農業の将来の展望をしっかり明らかにして、国家の安全保障たる食糧の自給の確立と魅力を持った農業を確立していかなくてはならないと思います。農家の人たちが仕事をしておもしろい、そして楽しい、しかも収益性の高い農業を育成して、そして営農意欲を守り立てて農家に活力を与えていく必要があると思います。そのためには農政の中で具体的に明確に方向づけをすべきであろう、私はそのように考えるわけであります。  一方、農業への関心度調査でありますけれども、学校の農学系の学生の卒業後の進路を調べてみますと、卒業後すぐ農業に従事をするというのが六%ぐらいいるんです。それから将来農業をやるつもりだという方が大体一七%ぐらいいる。条件によっては農業をやってもいいというのが三六%ぐらいいるわけであり、つまり農業に従事する意向のある学生が六割いるということは、農業が決して魅力のない職業ではないということも言えるかもしれないんです。そこで、魅力ある農業とするために、ほかの産業と比較しても生産性の高い農業、そして国際競争力のある、付加価値の高い農業として農家の方々に充実感を持たせていくことが必要だろうと思います。  以上のような趣旨で四点か五点質問をしたいと思います。  まず最初に、魅力ある高付加価値の農業ということで、有機農業について御質問したいと思います。  最近、消費者の間で健康とか安全性、それからいわゆる大自然志向というか本物志向というか、そういう方向が非常に高まっております。それで、最近有機野菜とか無農薬野菜などといったものに関心が高まっており、出回っているわけでありますけれども、私が知っている野菜づくり農家などでもかなり安定した、収益の高い野菜づくり農業を営んでいる方もおります。また、我が国の主食である米についても、特別表示米という例のやつでありますけれども、無農薬、低農薬で、堆肥づくりとか土壌づくりだとか、そういうのが普通の農業と著しく異なった基準で栽培されている米として、栽培基準を袋に表示してこの十一月から店頭に出されるという話を聞きました。そういった特別表示米なども高付加価値により生産された米であると思います。  大臣の地元であります山形県においても、この間新聞で見ましたところは、庄内経済連では「ゆうきくん」という名前で庄内型有機米が売り出されて、普通の米よりも一割ぐらい高く売れた、こういうことが書いてありました。これなどは米づくり地帯における生き残りの戦術の一つであろうし、また有機農法による付加価値を高める前向きの農業ではないかと思っているわけであります。そういった有機農業についての栽培技術とか販売経路、それからその価格動向などの実態の把握を農水省としてはしておられるか、またこういうものについてこれから積極的に普及を図っていっていただけるか、お聞きしたいと思います。
  184. 松山光治

    政府委員(松山光治君) いわゆる有機農業の問題でございますけれども委員から御指摘がございましたように、多様化する消費者ニーズへの対応ということ、あるいは手づくりで高品質な農産物の生産によります地域農業の振興といったような観点から最近注目を集めておるところでございまして、農林水産省といたしましてもこれについて関心を有しておるところでございます。  これまでの我が国の農法は、御案内の限られた農地を集約的に利用していくというのが大勢でございましたから、そういう意味では知見にも乏しいということもございます。そこで、まず六十三年度から有機農業の技術実態調査というのを実施しておりまして、その実態の把握にまずは努めておるところでございますけれども、さらに平成元年度からはこの問題につきましての担当部署を設けるなど体制の整備を行い、国内なり諸外国の情勢の把握、あるいは栽培技術情報の収集、提供、関係諸団体に対する指導調整等を行いますとともに、栽培技術についての具体的な実証圃等を設けて試験を行うといったような新しい取り組みも行っておるところでございます。  また、いわゆる特別栽培米の問題につきましては、既に食糧庁の方で一種の自主流通ルートの形で特別の流通ルートを開くということの手も打っております。私どもといたしましては、引き続きこの取り組みを強化いたしまして適切に対処していきたい、このように考えておる次第でございます。
  185. 狩野明男

    ○狩野明男君 次に、二年後に迫った牛肉輸入の問題でありますけれども、この自由化対策として我が国としては黙って見ているわけにいきません。したがって、足腰の強い畜産農家を育てていかなくちゃならないということで、先ほどの有機農業に関連するわけでありますけれども、付加価値の高い畜産ということで、二番目の御質問は受精卵の移植による優良牛の双子生産についてであります。  これは私の地元のいはらき新聞に、「受精卵移植に成功」と、乳牛の体を借りて双子の和牛が誕生と出たわけでありますけれども、この受精卵移植についてはもう昨年度より研究に取り組んでいると聞いておりますが、現在その受胎率というのは大体五〇%なんです。そういう中で、特に双子の発生率が現在三五%ぐらいだと。これをもう少し研究を進めて、また外国産牛肉と価格が競合することは必至でありますから、良質肉を低コストで生産できるように今後関係省庁において、農水省において多頭生産が可能になるように指導と研究開発のためのいろいろな助成を積極的にしていただきたいと思います。これは肥育乳牛生産農家にとってはもちろんコストダウン。多額生産ということができるわけでありますけれども、また酪農の農家にとっても、乳牛の雌の腹を借りるわけですから、和牛生産で所得が向上するわけで、酪農農家にとっても非常にいいことだろうと思っております。  さらに、先ほどちょっと申し上げましたが、守りの農業から攻めの農業というふうなことで、例えば我が茨城県においては、関城町というところがありますが、そこではナシをハワイに輸出して成功しているわけであります。また、鉾田町というところがありますが、そこのメロンは香港に輸出して非常に好評を博しているわけであります。なお、また大臣の地元の例で大変恐縮でありますけれども、山形県の高級和牛はシンガポールとか、先ごろは香港の方に輸出の売り込みに取り組んでいるというお話も聞いておりますし、また宮崎県、群馬県、鹿児島県などの畜産農家はアメリカのロサンゼルスそれからサンフランシスコ、あちらの西海岸方面に輸出を計画している。  そういった意欲的な畜産農家に対して積極的な施策といいますか、宣伝とかその他積極的な援助というか、そういうものをもっともっとやってあげてほしい。そういうことによって畜産農家に大きな活力と、輸入自由化に向かっての我が国の農業、農家に自信を持たせる、そういう積極的な攻めの農業の御指導というか、それからいろいろな助成などをしていっていただきたいと思っているところでございます。  そういうことについて大臣の御所見を伺います。
  186. 岩崎充利

    政府委員岩崎充利君) 委員指摘のように、一つは双子生産の問題でございますが、確かに現在受胎率が五〇%、それから双子が産まれる率は三五%というふうなことでございます。  ただ、受胎率について申しますれば、例えば、新生卵につきまして六十一年度で三五%が六十二年度に四九%、六十三年度五一%というふうな形で年々増加してきている。現在五一%ということでございますが、これは今までのいろいろな形での研究なり、皆様方の御努力によりまして何とかこの辺にきた。これからの問題といたしましては、いろいろな面で技術の向上なりあるいは普及を促進していく必要があるということは確かに御指摘のとおりだというふうに思っておりまして、この辺のところにつきましては、現在、双子生産モデル基地の育成を図るための事業を実施するということのほかに、平成元年度からは、双子生産の推進に必要な良質受精卵を安定的に供給するために受精卵供給センターをモデル的に整備するというふうな事業をやってきております。先生のところの茨城県におきましても、試験場なりあるいは茨城県の経済連等々においてもかなり熱心に取り組んでおられるというふうな状況でございます。  また、もう一つは輸出問題ということでございまして、輸入牛肉について、輸入だけでなくて輸出についてもある程度の努力が見られるということでございますが、先ほども指摘ございましたように、例えば宮崎県なり鹿児島県等々におきまして現在アメリカへの輸出に取り組んでおられるということでございまして、このためにはアメリカとの間で衛生条件について必要な話し合いが持たれなければならないということで鋭意今話し合いを進めているというところでございます。どうしても屠畜場なり食肉センター等々におきます施設整備が必要だというようなこともございまして、この施設整備等々につきましても私どもとしても必要な助成は図る。あるいは先ほど御指摘ございましたような広告宣伝等々も含めまして、いろんな面で私どもとしても取り組んでおりますし、これからも取り組んでまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  187. 鶴岡俊彦

    政府委員(鶴岡俊彦君) 今畜産局長の方から牛肉の輸出の話がありましたけれども、その他につきましても若干補足して説明させていただきたいと思います。  先ほど委員指摘のように、農林水産物の販路の拡大あるいはそれを通じまして農山漁村の活性化を図るということから、特に我が国の場合、ナシでありますとかリンゴでありますとかミカン、極めて品質の高い果物の生産ができるわけであります。そういう品質を生かす、あるいは林産物でありますけれども、シイタケ等、我が国の特産物につきましてその特性を生かしながら輸出の促進を積極的に展開していきたいというふうなことで、海外でアンテナショップを設けるとか、あるいは見本市への参加等について実施するというようなことで努力をいたしておるわけでございます。  来年度予算におきましても、我が国食文化とかあるいは農林水産物の紹介あるいは輸出についての基本的なマニュアルといいますか、戦略の確立でありますとか、今局長から話もありましたように、輸出検疫条件の整備等、各般にわたりまして輸出振興関係対策を積極的に進めていきたいというようなことで、来年度予算も今年度より大幅に増額しまして要求をいたしておるところでございます。今後そういう方向に沿って進めていきたいと思っています。
  188. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 牛肉の輸入枠撤廃等に伴う国内対策につきましては、まさしく我が国畜産の存立を守っていくということが大事なことでございまして、そのようなことから体質強化を図るため生産、流通等の各般にわたり万全を期してまいりたい、このように考えております。
  189. 狩野明男

    ○狩野明男君 今の大臣の力強いお言葉をいただきまして大変安心いたしました。  次に、農業の生産性向上のための基盤整備事業でありますけれども、土地改良負担金の問題であります。  土地改良資金の補助率は今国庫が四五%、それから地方自治体二五%、受益者負担が三〇%、こういうふうになっておりますが、今農家の非常に厳しい環境の中で農家が負担するというのはかなりつらいことであります。特に、最近資材が高騰していたり人件費が高騰していたりしておりまして、非常にその負担がきつくなってきております。そのために農家の負担をぜひとも軽減して国庫補助率をアップしていただきたい、これは強くお願いを申し上げたいと思うわけであります。  特に、そういう中で公共性の高いもの、排水とか大規模農道というものは農家以外にもほかのいろんな多目的に使っているところでありますし、こういうものも含まれるわけでありますので、その辺を十分考慮して、国の補助率のアップの方向に向かってぜひともお願いしたいと思いますが、簡単にお答えいただきたいと思います。
  190. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 農業基盤整備、土地改良事業の国の負担割合につきましては、事業の種類に応じまして決めているわけでございまして、先生指摘の四五%というのはいわゆる圃場整備についての国の負担率でございます。例えば大規模のかんがい排水用のダムとか水路とか、そういうものにつきましては、ものによりましては八割、場合によっては九割というふうに国の負担率を高くして、受益者の負担をほとんどなくすというようなこともいろいろ工夫をいたしている次第でございます。今後ともそういう方向に向かいまして努力したいというふうに思っております。  それからもう一点、土地改良事業をやる場合に地方公共団体の負担というのもございます。これにつきましても、近年特に市町村が負担をするというケースもふえておりますので、そのための地方財源対策ということについても現在自治省の方といろいろと相談をしている次第でございます。
  191. 狩野明男

    ○狩野明男君 次に、これは外務省になりますか、農業技術指導という面に絡んで、JICA及び青年海外協力隊に関しての問題であります。  現在我が国の開発途上国に対する援助、ODAとしては三通りあると思うんです。有償、無償の資金援助、それから機材の援助、もう一つは人的な技術援助と三通りあると思います。今我が国が世界じゅうから言われているのは、金は出すけれども人は出さない、こういうことで余り評判がよくないわけでありますけれども、特に開発途上国などに対しては食糧不足等もあり、農業技術援助などは重点的に行うべきではないかと思っているわけでありますが、なかなかこの分野において人が集まらないということを聞いております。  そこで、青年海外協力隊でありますけれども、協力隊の隊員に対する行っている間の待遇は公務員並みの待遇でありますが、帰ってきてからのアフターケアは、帰ってきてからの就職問題とか社会的な評価とか、そういういろんなアフターケアの問題が十分でないような感じもするわけであります。ちょっと意味は違いますけれどもアメリカに平和部隊というのがありますが、就職だとかそういういろんな面での優遇措置などをもっと考えてあげてはどうかなと思うわけであります。特に、この秋に各界の叙勲がありましたけれども、例えば七十歳になったらば生存者を叙勲の対象にするとか、将来のそういう願いを込めて、開発途上国では非常に評価されているわけでありますので、青年海外協力隊をもっと大事にしていってもいいんじゃないかと思います。  今から十年前ぐらいだったと思いますけれども、映画監督の谷口千吉監督がアフリカのタンザニアへ行って、青年海外協力隊がその地域において非常に尊敬され感謝されていたのを自分の目で見てきて、大変感動をして、それで自費で映画をつくりました。アサンテサーナという映画であります。私もその映画を見てそのとき非常に感動した映画でありますけれども、アサンテサーナというのは向こうの言葉、スワヒリ語でサンキュー・ベリー・マッチという言葉でありまして、非常に感動的な映画でありました。そういったように、青年海外協力隊は、開発途上国においての功績というか功労というか、非常に高く評価すべきものだろうと思っております。  なお、ODAとOECFですか、両方合わせて資金援助も大体百億ドル近くになっているそうであります。この援助の仕方でありますけれども、もっと援助が円滑化できるように、資金を出す面において円滑化できるように、そういう手続をもっと簡略にしてお金が出せるようにしてあげたらどうかと思うことは、非常に省庁間の協議が多いとか、閣議決定とか交換文書の締結とか、いろいろ何か複雑な手続があるようであります。こういった資金を効率的に運用するためにも、もっとJICAに権限を移して海外協力を積極的にできるようにお取り計らいを願いたいと思いますが、いかがでしょうか。
  192. 高橋雅二

    説明員(高橋雅二君) 我が国が行っておりますODA事業の中に、今先生指摘のとおり、大きく分けまして資金協力と技術協力がございます。最近、開発途上国の中にも、食糧援助、食糧をもらったり物をもらうのもありがたいけれども、それよりもむしろ農業生産をやる技術、あるいは魚をもらうよりも魚をとる技術を教えてほしいという日本の技術に対する要請が非常にふえてきておりまして、私たちもこれに積極的に対応していきたい、やはり基本的にはその国の自助努力を助けるということで技術協力をぜひともふやしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。  さて、その技術協力の中でも極めてユニークで高い評価を受けておりますものに青年海外協力隊事業というのがございまして、これは、若い青年が自分の持っている技術とエネルギー、若いバイタリティーをもって、開発途上国の住民と一緒の生活をしながら開発途上国の社会経済開発の向上にお役に立つ、こういう協力でございまして、これは大変高い評価を受けているところでございます。最近は毎年九百人弱派遣しておりますが、ちなみに農業、水産の分野は大体二〇%でございまして、日本の青年協力隊事業の大きな柱ということになっております。ただ残念なことに、向こうの方からの要請にすべてこたえることができなくて、半分も満たせない、こういう状況であることは非常に残念なんですが、これもできるだけ対応していきたいと思っております。  ただ、この人たちが二年間たって帰ってきたときにどういうふうに国内復帰をしてもらうかということが、今先生指摘のとおり、問題があるといえばあるわけでございます。この人たちは極めて貴重な経験をしているわけですから、せっかくのそういう経験を国内にも生かしていただくというのは、本人のみならず日本の国にとっても重要なことではないかと思っております。幸いに協力隊員のOBに対する求職者が最近非常にふえてきておりまして、中には海外で二年間開発途上国の人たちと一緒の食事をして一緒の生活をした、こういう経験とバイタリティーがぜひこの国際化時代に必要だ、どうしても協力隊のOBが欲しい、こういう企業もふえてきておりまして、私たちもかつてに比べますと非常に喜ばしいことだというふうに考えております。  ちなみに、大体帰国一年後に約九割近くが就職をしております。しかしながら、帰国隊員が日本の社会に十分に復帰でき、かつまた、ある者はまた国際的な仕事をやりたいという人はそのようなことができますように、外国に留学して充電をするとか、そういうような機会をいろいろつくって生かしていきたいというふうに考えております。  また帰国隊員に対する社会的な評価の問題でございますけれども、これも、外務大臣から帰国隊員に対して謝状を差し上げる、こういうような措置をとっておりますが、これは一般的に社会全体として協力隊の事業に対する評価というものが高まっていくことが必要ではないかと思いまして、何とか我々も努力いたしたいと思います。  今叙勲の話がございましたけれども、青年協力隊の事業が始まりましてまだ日が浅うございまして、一期生でもまだその叙勲の対象になる年齢にはなっておりませんけれども、そのときには社会的な評価が非常に高まるということを期待しておるところでございます。  それから手続の点でございますが、援助につきましては二つ考慮がございまして、相手国にとって十分こなし得るものである、いい案件であるということと、それから国民の税金で行う事業でございますので、やはり公正できちっとしたものでなければならない、こういう二つの要請がございまして、これをいかにして満たしていくかということが問題でございます。  開発途上国の中には、行政機構も余りしっかりしておらず、余りにも手続が複雑、時間がかかる、非常に物事が進まない、フラストレーションが起きるということもございます。しかし、余り簡素化しますと、国民の税金をきちっと執行、管理する、効果的な効率的な援助を図るという点からやはり問題も出てくるというので、ここをどうやってバランスさせていくかというところが日本を含めまして各国の問題、共通の認識でございますが、私たちとしては日本の手続についてできるだけ簡素化を図りたいと思っております。しかし、どうしても守ってもらわなきゃならない手続等ございますので、この点については不断の対話を通じまして日本のシステムをよくわかっていただいて、場合によっては我々からお助けしながら、せっかくやった援助が向こうから喜ばれるよらな、そういうものにしていきたいというととを考えております。  今委員の御指摘になったいろいろな点につきましては、我々も考慮に入れて一層効果的、効率的な援助の実施に努めていきたいと思います。
  193. 狩野明男

    ○狩野明男君 海外青年協力隊はOBも含めて非常に豊富な経験を持っているし、これを大切に育て上げていっていただきたいと思います。特に海部総理が生み育てた制度でありますので、これはすばらしい制度だとも思いますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間が参りましたので、以上で質問を終わらせていただきます。
  194. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 世界六十九カ国の環境相が集まりました地球温暖化防止策を検討するオランダ会議が七日に終了いたしました。環境庁長官、出向かれてまことにお疲れさまでございました。この会議の宣言の中で、二〇〇〇年までCO2を原則凍結する旨の宣言がなされまして、地球温暖化防止という意味では本当に歴史的な宣言がなされたというふうに私自身は理解をいたしております。ただ、現地から伝わってきました報道を読みましたら、日本代表団は律儀に、実行できないものは約束できないというようなこともおっしゃっておりましたし、結果的にこの二〇〇〇年までのCO2の原則凍結について六十七カ国まで合意した中で、日本とアメリカだけが保留という形になったというようなこともお聞きしております。  会議に出席された環境庁長官に、この歴史的な宣言というのをどのようにお受けとめになっていらっしゃるか、御見解をお伺いできればと思います。
  195. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 私が出席をさせていただきましたのは政府代表としてでございまして、まさしく私の全責任においてこれを行ってきたわけでございます。今度のオランダのノールドベイクというところで行われましたこの会議の意義につきましては、実は私は大変大きな意味をここに見ておるわけであります。  まず第一に、一九八九年ということしはフランス革命二百年に当たるわけでございます。その一七八九年のフランス革命に先立ちましてちょうど百年前の一六八九年は、イギリスの権利章典が制定された年でございまして、いわゆるザ・ビル・オブ・ライツであります。このときから人間の権利、いわゆる人権というものに目覚めまして、そこから自由、博愛、平等を目途といたしましたフランス革命が起きました。そのフランス革命から今度はちょうど百年下りまして一八八九年という年は、曲がりなりにも近代国日本が憲法を持った年であります。日本の旧憲法は、いろいろ批判の余地がございますが、しかしそれでも人権というような問題がこれにまるきり関与しないわけではない、やはり人権というものがなければ理解できないようなものであったわけであります。  いわばイギリスに端を発した人権問題がヨーロッパに広く伝播されるような形で具体的にあらわれてきたのがフランス革命であったし、その次に遠くアジアの日本にまで人権、権利という問題が伝播してきた。そしてその後、いわゆる人権問題、権利問題につきましては、一部の国におきましてはこれはブルジョア支配のための方途にすぎないというようなことが言われておったわけでございますが、今やペレストロイカのもと、ソ連においても東欧においても人権問題というものは広く行き渡るような、そういう年にことしはなってきた。その年も年、我々人類の前途に立ちはだかっている大きな生存にかかわる問題について、世界のほぼ七十カ国、正確には六十九カ国でございますが、及び十一機構が一堂に会してこの問題に四つに取り組んで、しかも合意を得たということは、今申し上げたような観点から歴史的に見て大きな意義を持つものである、このように私は理解をしておる次第でございます。  そして、ただいまお話がございましたことに触れるわけでございますが、私ども日本代表団が、実行できないことは約束できないと言ったことは、これは律儀とおっしゃっていただきましたが、実はないのでございます。ただ、私個人は、実行可能なものを目指したいということは申しました。そういうことで、今、日米両国だけが原案に難色を示して、あとの六十七カ国が一体となっておられたようなお話でございますが、実はそうではございませんで、日、米、ソ、中及び英国の五カ国であったと思いますが、この五カ国が実は原案に対してなかなか具体的にこれを承認といいますか、同意をすることができないという立場でございまして、そしてこれに、私の記憶に間違いがなければ、オーストラリアも私どもと同じ考え方でございました。  そういう国々があって、もし歴史的な意義を持つこの宣言が両論併記のような形に終わるようなことになれば、この宣言が形が悪いものになるのみならず、その後の世界政治に及ぼす悪い影響というものははかり知れないのではないかという私ども危機感がございまして、何とか一本化を図りたい、こういう考え方のもとに、私が事務方に日夜それこそ勉励、督励をいたしまして、その結果、我々も歩み寄るが、オランダ案を支持しているグループも歩み寄ってもらう、こういうことでお互いが歩み寄った結果一本化に到達をしたわけでございます。その間の、私どものことを言えばこれは我田引水になりますが、オランダ案を支持していた諸国のいわば地球に果たすあるいは人類に果たすその役割に向けての責任感というものには、私は大変敬意を表しておる次第でございます。  そのような次第で、この宣言案に私どもが一本になって合意、支持をした、このように御理解を賜りたいと思いますし、また、私のまさに見てきた、そしてずっと考えていた感想を申し述べれば、そのようなことでございます。
  196. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今長官もおっしゃったように、オランダ案、いろいろな意味で難しい点もあるけれども、非常に積極的にやったものだというふうに私自身は思っているのでございます。といいますのは、こういう問題、どうなるかといいましたら、例のフロン規制のとき、科学的に解明されていないとか、また非常に難しいとかいうことで、例のオゾン層保護のためのウィーン条約でございましたか、あれは日本の場合二年ほどおくれて署名するというような結果にたしかなっておったと思います。そういうふうに世界各国が協調してやりながら先に進んでいくときに、私としては、ぜひ日本がその先頭に立っていただきたいというような思いが正直な思いでございまして、また海部総理自身もこの前、地球環境の問題というのは非常に重視するというようなこともおっしゃっております。  そういった観点で、このCO2の問題、特に通産省の対応を初めとしていろいろ難しい問題があることも重々理解した上でなんですけれども、特にもう一つは、IPCCが来年秋規制の問題をきっと出すと思うんですが、そういう意味ではそう遠い話でもないものですから、私としては一回ぐらい、この地球環境問題で日本がある意味でおくれたグループじゃなくて先頭グループに立ってやれるようなことをぜひやっていただきたいというような思いもございます。  そういった意味で、環境庁としては非常に難しい面もございますでしょうけれども、ぜひ努力していただきたいと思うし、その決意を伺っておきたいと思います。
  197. 志賀節

    国務大臣志賀節君) ただいま本当に力強い御支援のお言葉を賜りまして感謝感激をいたしておるところでございます。  この宣言は、やはり一本にまとまったというところから弾みがつくのではないかと思うのであります、これからの地球環境保全について。そしてこの二酸化炭素等の抑制問題については、その排出の安定化を図るための認識を一方で示しながら、ただいまお話のありましたIPCCにおける実施可能性の検討を踏まえる、そしてそれを踏まえて着実なアプローチをしていこうということでございますから、私どもがこれを主張した以上は、当然IPCCのこの検討に日本自体も加わりまして、その時期をおくらせるのでなしに促進させて、早い機会にこの科学的な知見、すべての方たちに対して説得力のあるいろいろな結論を導き出したい。そして、それを導き出した以上はこれが具体的な方途としてとり行われるような、それにも日本は積極的に加わってやっていかなければいけないし、この取りまとめのときにこれだけの発言をしながらイニシアチブをとってやったんですから、その責任をそういう形で果たしてまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、ただいま先生から御指摘がございましたウィーン条約の締約外交会議に参加した国は全部で三十八カ国ございまして、その中で二十一カ国、これは地域も含めてですが、二十一カ国が会議と同時にこの条約に署名をしたけれども、その中に日本は加わらなかった、そのことについての御指摘であったと思います。ところが、日本はその後モントリオール議定書締約外交会議というのに参加をいたしまして、このウィーンの条約会議とモントリオールの議定書締約会議で出てきた二つの条約について一緒にサインをしてしまって、これは世界で十番目になっておるわけでございまして、少なくともさきのウィーンでもっておくれをとっていた分は十分取り返しておるような形になっておりますこともこの機会に報告をさせていただきたいと思う次第でございます。  なお、御質問にないのでございますが、あえて言わしていただきますと、現在日本の排出しているCO2は年間一人当たり約二トンでございまして、フランスとともに、フランスも二トンでございまして、世界で最低の排出国でございます。有力な国々をあえて言わしていただくならば、約五トンがアメリカ、三・五トンがソビエト連邦それからカナダが四・二トン、西ドイツが約三トン、それからイギリスが二・七トン、こういうことでございまして、日本の場合はCO2の排出につきましても世界一進んだ国と豪語してもよろしいかと思います。というのは、フランスの原子力発電が総発電量の中で七割方を占めておることを考えますと、日本のCO2排出が非常に進んでいるということも御理解いただけると思うわけでございまして、そういうことも一応一方に踏まえながら頑張ってまいりたいと、かように思っておるわけでございます。
  198. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 質問にない分まで説明していただきまして、本当にありがとうございました。  農林水産大臣にお伺いいたします。  午前中からいろいろ農政不信の問題につきましても御指摘がございましたので、少しダブるような感じにもなるかなと思いながらも、ぜひ最初にお伺いしたいなと思っておりますのは、大臣が就任インタビューの中で、一昨年、昨年と米価は下げられ、収入減になっているし、もっと米をつくりたいと思っても減反ではつくれない、米にかわるいい作物もない、そこへ牛肉・オレンジが結果的には自由化をした、このままでは米も自由化されてしまうとの不安感が広がったのです、農家が農政を見る目は厳しく、それを踏まえて出発しますと、非常に率直な気持ちを述べられております。また、お聞きしましたら、就任以来ずっと精力的に農政の現場を回っていらっしゃって、その中から考えようというふうなことをおっしゃっているということもお伺いしております。  参議院選のときに私も一生懸命、農業これじゃだめだと叫び続けた一人でございますし、そういう意味で、この農政不信というのを今後どんなふうに払拭していくのか、まず決意をお伺いできればと思います。
  199. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 私が申させていただいたことにつきましてお触れをいただいたわけでありますが、基本的には、そういういろいろな決定というふうなものが短い間になされた、こういうふうなことから農家の人たちには将来どうなるんだろうかという不安を与えてしまった。その中で農業外からの農業批判というふうなものも重なってしまいまして、これではもう農業切り捨てではないかと、こんなふうに受けとめられてしまった点があるのではないか。  そのようなことを考えた場合に、私どもとしましては、手順を尽くしたつもりでも手順が尽くされてなかったというふうなことから、やはりそういう手順を尽くして農政を推進していくことが大事なことであり、またきめ細かい配慮、正確なるところの情報というふうなものも提供していかなきゃならない、このような考え方に立ちまして、私どももやはり今日、農家の人は実際どういうふうな考え方を持っておられるのかという生の声を聞かせていただくというふうなところから出発することが大事ではないかと、そのように思って行動させていただいておるわけであります。その辺の自主的な行動というふうなものがこれからの農政推進に当たっての私どもの基本的な姿勢である、このように受けとめていただければ幸いと思っておるところでございます。
  200. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 今言われたように、手順の問題あたりというのは非常に大事なことだと私自身も思います。  これもまた午前中あったのですが、例の米に対する市場開放圧力、自由化の問題でございます。午前中も、国会決議を体して国内産で自給するという方針で基本的に対処したいというふうにおっしゃいましたし、同様の趣旨のことを海部総理も十月五日の参議院本会議でおっしゃっておりまして、自由化反対ということを明確にされていると思います。  ただ、農業政策というのは、大臣もおっしゃったように、その場その場で変わっちゃうと非常にこれまた不信を招く結果にもなる。ちょっとこれは大臣に聞くのは酷かなと思うんですけれども、こういう自由化反対というか、先ほどおっしゃった国内産で自給するという方針で基本的に対処するということが、自民党がずっと内閣が続く限り今後も変わらないと見ていいのか、ぜひ大臣から教えていただきたいなと思うんです。
  201. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生お触れいただきました点につきましては、まさしくそのような基本的な考え方に立ちまして、昨年九月に、国内自給方針の堅持を趣旨とした自民党の米の自由化反対決議というふうなことが行われておるわけでございまして、自民党にとりましても明確にそのような基本的な考え方を示しておるわけであります。また、御承知のとおりに、両院におきましても決議をしていただいておるわけでございますから、党ももちろん政府一体となって、基本的には今申し上げたような方針というのは一貫していると、このように受けとめていただけるのではないかと思っております。
  202. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 実はこういうのを聞きましたのは、先日、これも新聞報道でまことに恐縮ですけれども、自民党の渡辺元政調会長が例の米の自由化問題に触れて、少しでも輸入していれば逃げ道があるというふうに何かおっしゃったと聞きまして、それはどういうことかというと、日本の消費量の五%程度米輸入の道をあけるべきだというふうな方向を示唆したのではないかという報道がございまして、一体どうなっているのかなというような気持ちもございましたのですけれども、これに対して何か農業団体が反発するようなこともお聞きしました。  大臣、この発言どんなふうに受けとめていらっしゃいますか。
  203. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 具体的に渡辺議員がどういう発言をされたかというのは私承知はいたしておりませんけれども、もし今言われたような内容ということでありますならば、五%といいましても五十万トン、こういうふうなことでありますから、今日稲作農家の人たちが懸命になって生産調整努力をしていただいているわけでございますので、少量といえども入れるというふうな考え方は持っておりません。
  204. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 わかりました。しっかりそういう方向だと受けとめておきます。  今後の交渉のことになってまいるんですけれども、ことし九月のウルグアイ・ラウンドの農業交渉で日本代表側がおっしゃったのは、食糧安全保障の立場から、食糧自給率の低い国には米などの基本的食糧の輸入制限権を認めるという提言をなさっています。逆にアメリカ側は、十月二十五日のときに、日本の米など農産物の輸入制限措置を十年以内に完全撤廃することなどを盛り込んだアメリカ政府の農業貿易改革案を提出したというふうに聞いています。いずれにしても、この問題は来年初めから始まります本格交渉で一番問題になってくる問題だと思います。大臣も十月二十五日の参議院の方の予算委員会で、このアメリカ提案に対しては明確に反対ということを表明していらっしゃいます。  ただ、いつもこういう外交問題になってきましたら、十二品目問題のときですけれども、やっぱり政府は自由化に反対しておりましたけれども、結局ガットの場では日本だけが孤立して押し切られるような状況になったというような経過もございます。こんなことはもう二度と繰り返してはならないということを一番懸念いたしておるわけです。そこで、政府はこの日本案に対して他の国々の賛同を得る努力がもう絶対不可欠だと思うんですけれども、大臣どのような所見を持ってこれに対応されていくのかということをお伺いしたいと思います。
  205. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 今先生申されたとおりに、私どもといたしましては、食糧安全保障の観点から、あるいは国土環境保全といった観点から、農業というものは大変重要な役割を果たしておる、こういうふうな考え方、主張をしながら交渉に臨んでおるところでございまして、これからも各国といろいろ接する機会の中におきまして、そういう基本的な考え方を私どもといたしましては常にあらゆる機会を通して主張していきたい、こういうふうに思っております。  また、来週東京で開催される予定でありますウルグアイ・ラウンドの非公式閣僚会合におきましても、そのような機会がございましたらば私どもの考え方につきまして引き続き主張してまいりたい、こういうふうに考えております。
  206. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 もうこの件だけはぜひぜひ努力していただきたいということを要望いたします。  ところで、私先日農家の青年と話しているうちに、本当は米はどんどん輸入されているんだみたいなことを言われまして、びっくりいたしまして詳しく聞きましたら、何のことかと言いましたら、輸入自由化品目になっている米菓とか穀粉調整品の輸入の問題でございました。ただ、この輸入の件、調べてみますと、例えば昭和六十三年の輸入量は、米菓が八千八百トンになっておりまして、五年前に比べましたら約二倍になっておりました。そして、米粉調整品の方ですけれども、これは五年前に比べると実に五倍の千五百トンに達しておりました。さらに、平成元年度になってから新たに加工米飯の輸入が急増しているというようなことを書いた記事もございまして、大体この加工米飯、毎月百トンを超えて、ことし年間で千五百から二千トンになるんじゃないかというような推測も出されております。また、こうした米加工品の輸入が今後は、日本酒も自由化品目ですから、そこにも波及するんじゃないかというような指摘もありました。  そういう意味で、実質的な米の市場開放が、知らないうちにというのは不勉強かもしれませんけれども、何かわけのわからないうちに進んでいる一つの示唆じゃないかというようなこともちょっと危惧するわけです。  そういった意味で、この米関係調整品輸入の現状、それから今後もっともっとふえる方向にあるのかどうか、そういうことがもしわかりましたら教えていただきたいんです。
  207. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) ただいま先生が御指摘の、あられ、せんべい等の米菓あるいは米粉調整品、さらにまたピラフ等の現状は、数字の統計上は事実でございます。ただ、五年のタームでお話しになりましたけれども一つの事例だけにとどめますと、例えば米菓におきましては、五十五年のときには五千百三十トンという数字がありまして、それがわずかではございますけれども先生が御指摘のような五年前は三千トン台に下がったということでございます。  そういう形でいろいろ変動があることは事実でございますけれども、ここへまいりまして為替レートの変動が大きいと思いますけれども、ふえている傾向はあるわけでございます。もちろん、その全体のウエートは、米の量、約一千万トンというふうにお考えになれば、小数点以下の話ではございますが、そういう為替のレート等によりまして、現在国際社会の中に生きております日本といたしましてのいろいろな制度といったようなことから、既に自由化されております対象につきましては、米菓とかあるいは米粉調整品についてふえているという状況がございます。こういうことにつきましては、もちろん米といったような大きなことにはそういうことはないと思いますが、こういうものに対しましては、やはり価格差の縮小に努力をするという国内努力で対応していく必要があろうと思います。  この点について一言申し添えさせていただきますと、現在いろいろ議論になっておりますが、主食用の約二分の一の価格の他用途利用米の利用というようなことを考えますと、こういったものについて企業努力、あるいは農家の方々の御努力によりまして対抗し得るものであろうというふうに考えているところでございます。
  208. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 対策を聞こうと思いましたが、先にお話しいただきましたので割愛いたします。  これもまた午前中議論になっておりました水田農業確立対策についてお尋ねいたします。  ずっと新聞報道なんか見ていましたら、もういろんな話が飛び交っておりまして、今月中にもというような話でお聞きしておりますけれども、やっぱり一番関心を集めているのは減反目標面積の話になるんだろうと思います。特に報道で、消費が今後十五万トン減少していくとか、収穫が二、三キロ増加を予想するとか、政府米の在庫を現在より五十万トン少ない百万トンにするとか、そういう話が出てまいりますと、これはどっちにしても大幅に減反しないと話が合わないなというようなこともちょっと感じるんですけれども、一方では、もちろん関係者の方たちがこの拡大については反対をされているのは御存じのとおりだと思います。  先ほど大臣もおっしゃっておりましたけれども、農家というのは今減反問題については我慢の限界に達しているというのが本当正直な気持ちだろうと思うんです。だから、ぜひ米過剰の解決策として最も安易な手段である大幅減反というのを避けるべきではないかというふうに考えているんですけれども、どんなふうに大臣はお考えでしょうか。
  209. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 後期対策の問題につきましては、先ほどから申させていただいておりますが、まだ具体的にどうするかというふうなことは決めておらない段階でございます。いずれにいたしましても、関係者と協議をしながらできるだけ急いで決めてまいりたい、このように考えております。
  210. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 難しいですね、そうすると。  また、後期対策のうち、できれば少しでも教えていただければという部分で、こちらの意見も言いながらということで、例の転作助成金の問題です。  この転作助成金が出るということが、実を言えば、減反目標はこれまでほぼ毎年達成されてきた最大の理由だと私は思っております。ただ、この転作助成金は減反政策の区切りごとにだんだん切り下げる傾向にありまして、農家に聞きましても、現行水準でも十分でないという意見があるのはもちろん御存じのとおりだと思うんですけれども、これをもうちょっと切り下げというふうなことがもし今度出るようなことがあったら、減反の円滑な運用自体が支障を来すような気持ちもいたします。後期対策の決定に当たっては引き下げてはならないというふうに私自身は考えているんですけれども、この点について見解をぜひお伺いしたいと思います。
  211. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 水田農業確立対策、単なる米の需給調整策ということではございませんで、将来の望ましい水田農業の姿にできるだけ近づけていくという構造政策的な視点を重視した政策になっておるわけでございます。こういう考え方のもとに、助成のあり方につきましても、地域営農の生産性の向上でございますとか、コストの低減に資するといったような観点から転作にどのように取り組んでいるか。例えばまとまった形でやっているかどうかとか、いろんな観点からそういう転作への具体的な取り組み方に応じまして基本額に加算金を上乗せするという形をとっておりまして、そういう方向をだんだんとこれまで強めてきておる、いわゆる加算重視の体系になっておるわけでございます。  後期対策におきましても、やはり私ども前期対策の理念、経験を踏まえながら地域輪作農法の積極的な推進と定着を図っていく、あるいはまた水田の多面的な利用を促進していくといったようなことで、水田農業の確立のための積極的な取り組みを十分評価する、あるいは好ましい形態の方に誘導していくといったような観点でのやはり助成措置の見直しを行っていくことがこれからの望ましい水田農業の確立にとって必要ではなかろうか、こういう問題意識のもとに今具体的にそのあり方について検討を行っているところでございます。
  212. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 先ほど、この後期対策の決定時期についてできるだけ早くというようなことを大臣おっしゃっておりましたけれども、事実上これが早くて十一月末に決まりましても、農家が実際やるまでわずか五カ月間ということで、そういう面でも非常に不満があると思うんですね。そういった意味では、もうかなり時期が迫ってきたので厳しい面はございますけれども、私自身思っていますのは、前回前期対策を決めましたあのときよりはせめて早く決定するんじゃないかなと私は信じておるんですけれども、そんなふうにできるだけ早くということで理解してよろしいでしょうか。
  213. 松山光治

    政府委員(松山光治君) 前回の前期対策の大綱を正式に決めましたのがたしか十二月に入ってからであったと思います。それではなかなか現場の対応が難しいんだという声をよく私どもも耳にいたしております。事柄が事柄だけに慎重な見きわめを必要とするということがございまして、まだめどがついていないということも事実でございますけれども、先ほど大臣からお答えいたしましたように、できるだけ早く決めていくという基本的な考え方のもとに今検討を急いでおるところでございます。
  214. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 減反面積を拡大しないで米の過剰を解決するための対策というのが生産者側から随分いろいろ挙がっております。集約すれば一番大きいのは三つになると思うんです。一つ政府米の在庫数量の引き上げ、二つ目は米飯学校給食の回数の増加、三つ目が国産米の、援助の問題ですが、飢餓国への援助、この三つが一番大きいと思うんですけれども、それぞれこれについてどんな御見解を持っていらっしゃるのかお聞かせ願えればと思います。
  215. 浜口義曠

    政府委員(浜口義曠君) 先生から三つの点を御提起になりましたので、それぞれの点につきまして要点を申し上げてみたいと思います。  まず在庫水準の問題でございますが、この政府米の持ち越し在庫の水準は新米と古米の売却比率等々も考えていかなきゃいけない問題でございまして、前期対策、現在の前期対策でございますが、百五十万トンをその上限といたしまして、適正在庫水準は百万トンということにしておるわけでございます。この百万トンというのは、昭和五十五年のような大不作のときにも対応できるという考え方によるものでございます。現在の十月末の政府在庫百五十万トン程度ということでございますが、このうちに古々米になりましたのが四十五万トンございます。そういったようなことを含めまして水田農業確立対策、先ほど農蚕園芸局長からお答えをいたしましたけれども、作柄の変動等々を踏まえまして、円滑な回転操作と米の安定供給を図るという基本的考え方に立ちまして考えていかなきゃいけない問題だというふうに考えます。  それから学校給食の問題でございます。これは主といたしまして各地域の学校の方々、文部省が御努力いただいているわけでございますが、日本型食生活の定着を図っていくためには極めて重要なことだと思います。ただ、量の問題でございますけれども、これ一回分ふえるということで五万トン程度の問題ではございますが、現在週五回のうちの二・三回まできているということで、本年度から学校給食用の自主流通米についての所要の助成措置といったようなものも新たに出させていただいているということで、努力をしていかなきゃいけないテーマだというふうに考えております。  それから援助米の問題でございますが、これも簡単に申し上げますと、余剰農産物の処理の場合、特に政府が買い入れて援助するということについては国際的にいろいろなルールがございます。一つは、やはり援助を受ける国の農業生産を阻害しないということの配慮がどうしても必要でございます。さらに、その援助をするべき国に対して、通常のコマーシャルベースでの輸出をしている関係国との関係が実はあるわけでございまして、これについては詳述いたしませんけれども、FAOの余剰処理原則との関係というのが厳然とあるわけでございまして、かなり難しい問題だというふうに考えるべきだと思います。なお、人道主義的に行われている分というのはもちろんございます。ただ量的には極めてわずかだということでございます。
  216. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 時間ですので、あと一問で。
  217. 木庭健太郎

    木庭健太郎君 ぜひ努力していただきたいということを御要望いたします。  最後に一点だけ。済みません、時間過ぎてしまいまして。  我が党も挙げている、先ほどもちょっとありましたけれども、都市近郊の水田の問題について、例えば優良農地の確保とか環境保全なんかに配慮して秩序ある宅地化を積極的に進めたり、例えば農業公園それから市民農園などとして活用を促進することを我が党も要望しておるんですけれども、これについて最後に一点お伺いして終わります。
  218. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 都市近郊の農地につきましてこれを多面的に利用するという方向につきましては、私どももそういう考え方で推進をいたしておるわけでございます。特に地域の活性化とか生活環境の整備というような観点から、農業公園とか市民農園とかそういうものに転換していくということにつきましては、農地転用上特にいろいろ配慮をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  219. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、農水省にきょうはお伺いをいたします。環境庁長官、どうぞ御退席いただいて結構でございます。  七月の参議院選挙では、御承知のように、消費税廃止という問題とともに米の輸入自由化反対、そして日本農業を守れという国民の大変大きな世論が広がりまして、そういった結果が選挙にあらわれて自民党が、与党が大変大きな敗北をするというふうな結果が出たというのはもう周知のところでございます。そういった中で農水省といたしましては、先般来いろいろと御見解を表明しておられますが、まさに農業振興のために国民の期待にこたえられる具体策、これが迫られている段階であろうと思うわけでございます。  そこで、私は農水大臣にきょうお聞きをしたいのは、そういった日本農業の振興という立場を踏まえて、都市農業という点でどういう御見解をお持ちになっておるか、都市農業もやはり守り発展をさせるという立場で御意向をお持ちになっておられるのかどうか、その点をまず最初にお聞きをしておきたいと思います。    〔委員長退席、理事一井淳治君着席〕
  220. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 都市農業は、都市住民は対する野菜と生鮮農産物の供給に加えまして、緑やレクリエーションの場の提供あるいは環境保全などの役割を果たしておるものと、このように考えております。しかしながら、都市農業に供されている農地につきましては、宅地等農業外の土地需要をどう調和させていくかという問題もあるのではないかと思っております。このため、都市農業の果たす役割を踏まえつつ、都市計画法や農振法の適切な運用によりまして調和ある国土利用を図っていくということが大変重要なことだと、このように考えております。
  221. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私、限られた時間ですので、建設省の方にお聞きをしておきたいと思いますが、地価高騰の中で良好な宅地の問題というのが出てくると必ず切り札のように出てくるのが、市街化区域内の農地の宅地化の促進という問題です。昨今では毎日のように報道もされるというふうな状況になっております。そういう中では、長期営農継続農地制度ですか、これを取りやめる、あるいは宅地並み課税を課するんだというふうな積極的な施策の展開について盛んに報道をされております。そういう点で、この方針がどうなっているのか、いきさつはどうなっているのかを簡潔にお伺いをしたいと思います。
  222. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) お答えいたします。  三大都市圏の市街化区域内農地につきましては、今も御答弁ありましたとおり、都市に残された貴重な空間であり、その有効利用は宅地供給対策といたしましても極めて重要な課題と認識いたしております。  この市街化区域内農地につきましては、昨年六月の総合土地対策要綱の趣旨に沿いまして、保全するもの、これは市街化調整区域への編入あるいは生産緑地の指定ということでしっかり保全いたしますとともに、宅地化するものにつきましては、土地区画整理事業の実施あるいは地区計画の活用等によりまして計画的な宅地化を積極的に進めることが肝要かと考えております。お尋ねの税制の問題を含めまして総合的な対策の検討を進める必要がある、かように考えております。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは報道によりますと、例えば九月四日、日米構協議の中で、農地の宅地化を求めるという旨の見解が表明をされた。しかも建設大臣は、翌九月五日に閣議の後の記者会見で、長期営農継続農地制度の廃止を求めていく考えだということを表明したというわけでございます。つまり、アメリカがこういうことを言うたということで、それを弾みにして施策を促進させようというふうな動き、こういうことがあるのかどうかですね。  きのうの新聞でも、これは毎日新聞ですけれども、やっぱりそういうふうに外圧を利用して絶好のチャンスだというふうな表現がされております。しかも、その中では、一律に対象とせずに、具体的には地域を東京、大阪圏などに絞った上でなどということが、これは新聞記事だからあなたのところは知らぬとおっしゃるかしらないけれども、こういうことが報道されているわけでございますが、その辺は、外圧を利用して弾みをつけて進めようというふうなことをお考えになっているんですか。
  224. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) 先ほどもお答え申し上げましたとおり、この農地の問題につきましては、昨年六月に閣議決定されました総合土地対策要綱におきまして、東京等大都市地域におきまする住宅宅地問題は極めて切迫した国民的な重要な課題になっておるということでございまして、この農地の問題あるいは低・未利用地の問題あるいは新市街地の開発の問題を含めまして総合的な対策政府として早急に検討しろ、こういう宿題をいただいております。それに基づきまして私ども必要な検討を今総合的に進めておる次第でございます。
  225. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私アメリカのことを聞いたんだけれども、そのことはどうなんですか。
  226. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) ただいまお答え申し上げましたとおり、内政上の最重要課題ということで私ども認識いたしておりまして、昨年あるいはそれ以前から、ここ数年の地価高騰に対応する住宅宅地対策の一環として所要の検討を進めているということでございます。
  227. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、それは私の問いに答えてない。  私は日米構造協議に参加しているわけじゃないから、報道を通じてしかわからない。それによると、日本の地価高騰のために、アメリカが日本に参入するためにオフィスを確保するんだって高過ぎる、だから市街地における農地を解放せよというふうなことを言っているわけですよ。これは要らぬことですよ、全く。どない不細工な都市計画をやっておろうと、外国に対してそんなことを言うというようなことは内政干渉も甚だしい。まずそんなことが言われているということについては許しがたいですよ。その許しがたい言葉を利用して建設省あたりが弾みをつけてなんてことがあったら、いよいよ許しがたいと私は思うんです。その点はどうなんですか。
  228. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) 簡潔にお答えいたしますと、外国から言われているからということでこの問題の検討を進めているわけでは決してございません。
  229. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは答えはそう言うだろうよね。言われたんで喜んでやっていますと言うたら、これはパアですからね。しかし、それは言わないけれども国民の中にはそのように受け取られているということをしっかりつかんでおいていただきたいと思うんです。  それからもう一つは、良好な宅地を確保するためにこの問題が大変大事だということを繰り返しあなたはおっしゃっておるんだけれども、大都市の中における宅地供給の問題ということになるとこの問題がいつも浮上するんですね。しかし、そういった論議の中で、農業者が地価が上がるのを待っているとか、あるいは田んぼを売らないでそのために財テクをやっているようなものだとかいう非難などが出ているのを私は非常に残念だと思っているんです。大体、大都市のいわゆる農地の値段が上がるなんというようなことは、こんなもの農民が勝手に値上げをしているんじゃないんですね。そうでしょう。  むしろ私は、ちょっと大臣に聞いておいてほしいんだけれども、農業者、農民というのは随分犠牲をこうむっているなと思うんですよ、客観的には。だってあれでしょう、農産物の輸入自由化が始まったのは、もとをたどれば、自動車を初めとする日本の工業生産物がいわゆる洪水のように輸出をされた、その見返りがいわゆる農産物の自由化という形でさんざん苦しめられてきているわけでしょう。それで米の自由化まで大問題になってきているということ。しかも、大都市における農業をやっている人たちは、いわゆる地価暴騰の原因がほかにあるにもかかわらず、農民が土地を売らないのが悪いのだと言わんばかりの言われ方、こんなひどいことはないと思うんですよ。今の地価の高騰の問題の原因というのは農民じゃないでしょう。  私は、その問題をやっていると時間がかかるから多くを申し上げるつもりはありませんけれども、土地の急騰というのは全く農民に何の責任もないわけですね。それが責任があるような、土地を売らない農民が悪いのだと言わんばかりの指摘をされるなどというのでは、農民は私助かるすべがないと思うんです。片や農産物の自由化で、じゃかすか痛められ、政府・自民党と大企業がやってきた地価高騰のあおりで今度は土地を持っているのまで悪いと言われたら、それは農民、農業者の皆さんは助かりませんよ。  そういった中で、せめて農業の主管大臣である農水大臣が都市農業を守るということを、農民を守る、日本農業を守るという観点を貫くということ、そういう姿勢をせめて農水大臣がおとりにならなかったら、日本の農業者、農民は本当に浮かぶ瀬がないと私は思うんですよ。そういう立場でやっぱり基本的にはそういう姿勢を貫かれるのかどうか。外圧も言われています。建設省は閣議決定もあることだしと言わなかったけれども、そうなんでしょう。閣議決定で縛られているというふうなことで大変私は環境は厳しいと思いますけれども、そういう厳しい環境の中で農水大臣がせめて農民、農業の立場に立ち切っていただける決意があるかどうか。私は非常に今大事だと思うんですが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
  230. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 都市近郊農家の人たち、一生懸命農業をやっていただいておるというふうなことも承知をいたしております。  ただ、それを宅地化していくかどうするかというふうな問題等につきましては、結局は町づくりの問題等のことでございまして、私どもといたしましても、昨年閣議決定いたしております総合土地対策要綱というふうな線に沿って保全する農地といわゆる市街化する農地と、こういうふうに振り分けをしていく。市街化することについてはもうそれはきちっと環境整備をして、そして基盤づくりをしていく。そういうふうなことに沿ってやっていくということについては、私どもも協力を惜しまないということを申し上げているわけでございまして、その辺のところは基本的な、町をどうするかというふうなことが大前提になるものと、こういうふうに思っております。
  231. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これはやはり農水大臣だけがほんまに日本農業にとっては頼みの綱なんです。その基本姿勢だけは忘れないでほしいと思うんです。  こういった市街化区域内の宅地並み課税を強行するとか、長期営農継続農地の制度を見直すとかというようなことを言われているものですから、各地から御意見が、あるいは要望が農水省にも出ていると思います。御承知でしょうね。時間の都合がありますから、細かくは申し上げる余裕はありませんが、大阪の府議会はことしの十月十九日付で「長期営農継続農地制度等の堅持に関する意見書」というのを採択して送付されているはずでございます。それから全国農業協同組合中央会も、「市街化区域内農地の保全に関する要請」ということで要請が出ていると思いますし、全国農業委員会都市農政対策協議会も十月二十四日に、また全日農からも十月六日、それぞれ要望やあるいは抗議的意見も付して提出をされているというふうに思いますが、これは御承知いただいていると思いますが、悲痛な叫びです。  一つ一つ申し上げる時間もありませんから、例えば大阪府議会のものの論点の中心を見ますと、これは長期営農継続農地制度や相続税等の見直しによる課税強化は「農業を崩壊させるばかりでなく、市街化区域内にあっても多数存在する営農意欲の高い農家を中心とした地域社会の歴史的・文化的関係をも破壊させることになる。また、課税強化は、宅地の量的確保には必ずしも結びつかず、計画的な街づくりをむしろ阻害するものといわざるを得ない。」というふうに述べられておるわけでございます。その他の団体におきましても農業者にとっては課税強化は生存権を脅かすものだという意味のこと等々が要請をされておりますが、これは御承知ですか。
  232. 片桐久雄

    政府委員(片桐久雄君) 先生指摘全国農協中央会、それからまた大阪府議会等からの意見書が提出されていることは承知いたしております。  この意見書の中で、特に両方とも共通する面がございますけれども、市街化区域の農地が果たしてきた機能を都市計画に位置づける施策を講ずるとともに、農業の用に供されている農地については、現行の長期営農制度なり相続納税制度を堅持されるよう強く要望する、こういう点があるわけでございます。こういう府議会ないし全中の要望については、都市計画で農地を位置づけてほしいという要望が来ているわけでございまして、私どもといたしましては、やはりこの問題は町づくりの計画の中で解決をしていくべき問題ではないかというふうに考えている次第でございます。
  233. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それは最後に私申し上げようと思っているんですが、大変限られた時間なので、それについて多くを申し上げる余裕はありません。  最近、経済企画庁委託の上智大学の岩田教授の論だということで、宅地並み課税を一九七六年から実施しておれば、これは神奈川県をモデルにしたんだそうですが、二八プロ地価が下がるというような発表がされておりますね。この問題についてきょうは論ずる時間はないので、この発表がされまして農民が皆さん驚いているんです。驚いているというよりもむしろきょとんとしていると言った方がいいでしょうか。というのは、何できょとんとしているかといったら、どこを押さえたらそういうのが出てくるのかなということなんです。  大阪を例にとってみますと、現実にはどんどん地価が上がっているわけですね。しかも土地を放出していてもどんどん地価は上がっている。例えば大阪府では昭和三十五年から昭和六十年までの間には五六%減少していますよ、農地が。それから、例えば枚方市というところを例にとってみますと、これも昭和三十五年から平成元年、ことしまでで五八・一%減っている。こんなにたくさん農地は減っているけれども、それじゃ枚方あるいは大阪は地価が上がっていないか、上がりが鈍いか、そんなことないでしょう。この間の報道では大阪は物すごい上がった。  そんならどのくらい上がっているかということを、こんなにたくさん農地が放出されて無計画な宅地に随分やられているんですが、    〔理事一井淳治君退席、委員長着席〕 そういう中でどんなふうになっているか、枚方市のある農民の方の実態を調べてもらった。そうすると、昭和三十五年に一坪当たり、これは畑です、千円だったのが昭和四十年には坪当たり三千円になった。それがことしの七月一日の基準地価額で何と百三十九万円に坪当たり上がっている。だから、農民の皆さん、農業者の皆さんにとったら、宅地並み課税をやって土地を残ったやつ吐き出したら値段が下がるんやと言われたって、きょとんとしているんです。全体の農地の五割、六割が既に吐き出されていてもこない上がっているやないかということなんですね。  いろんな批判が出ているから本当はこれについての批判をしたいわけですけれども、きょうは時間がありませんからやめておきますけれども、農民に対して政府が言うようなことについて不信を感じさせるというようなこと、あるいはきょとんとさせるというようなことをやっちゃならぬ、本当は。  私、時間に追われるんで、そういう中で、どうしてこんなに宅地並み課税というのは――随分農業者の中で強い要求が出てきている、こんなことをやられたんじゃ大変だということが言われておりますから、一体宅地並み課税というのは本当にどんな税金なのかと思って調べてみました。実は私、農業と全く縁のない人間なものですからよく知らなかったんで、改めて調べてみた。  そうすると、今十アール当たり大体八俵ぐらいだそうですね。一俵の米が政府買い上げ価格は一万六千七百四十三円だそうですから、八俵ですから八倍掛けると十三万三千九百四十四円。間違っていたら言ってください。面倒くさいからこれを十三万何ぼや言うて、八俵で十三万なんですが、例えば十俵とれたとして十六万円余り。  ところが、そういう場合に宅地並み課税というのがまともにかかったら税金が何ぼになるのかということを調べてみてちょっと驚いた。大阪市は特別高いんで、十アール当たりの税額は四十八万七千四百円。それから、大阪市の周辺都市ですから、池田市が三十万二千六百円。守口市が三十万一千百円。今例を出しました枚方は三十一万一千九百円ですよね。これを見てちょっと驚いた。十アール当たりで米が例えば大豊作で十俵とれたとして、十六万円余りの粗収入が手に入るのに、固定資産税と都市計画税で二十万、二十五万も三十万も、時によったら四十万もということになったら、これは怒るのが当たり前じゃないかなと思うんですね。粗収入の何倍もの税金を払わなきゃならないというふうなことというのはまともな税金かなと思うんです。  農民はこう言うて怒っていますよ。例えば大臣の歳費、総額は、調べてみたら二千四百三十一万四千百三十六円ですか。間違いないですよね。間違っていたら言うてください。農民の方はこう言うんですよ。大臣が二千四百万何がしの歳費を年間もらって、その他の収入は別ですよ、二千四百万余りもらっていて税金を五千万払え言われたら、何ぼ立派なおうちにお住まいになっていても腹が立たぬやろうか、これはまともな税金ということで穏やかに御理解になるだろうかというのが農民の意見です。それはそうですね。サラリーマンだってそうですよ。月三十万のサラリーマンが税金だけ五十万、六十万払え言われたら、こんなものあほかということになりますわ。私それを見て、これは昔の悪代官以上の悪政じゃないかと思うんですが、こんなことで宅地並み課税をかけて、税金払えなかったら土地を売って出ていきなさい、それで宅地を供給しなさいというこんなひどいことをやったら、農民の方々の職業選択の自由だってない。抹殺されますよ。金さえくれはったら何でもできるんだというようなことじゃないと思うんですね。  私はこのことを特に論議をする時間も余りないんで、本当ならこの税金、自治省の人に来てもらって言うてもいいんだけれども、時間がないから。  私、大臣に聞きたいのは、農民の皆さんに宅地並み課税が課されるというて盛んに計画を進めているというんだけれども、それがやられたらこんなひどい目になるんですよということを認識してもらいたいんですが、御存じですか。
  234. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) 具体的な数字は、今先生からお話を承ったわけでございますが、この問題につきましては、長期にわたりまして営農を継続する意思のある者については、一定の条件のもとで農地課税とするいわゆる長期営農継続農地の制度が設けられた。これは都市政策や住宅供給政策からの宅地化の必要性と、現に農業を行っている者の負担の軽減の要請の調整を図った結果である、こういうことを承知いたしているわけでございます。
  235. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そんな難しいことを聞いていない。例えば大臣が二千四百万何がしの収入があって、歳費をもらって、五千万の税金を払えと言われたら黙って払いますか。それ間きたい。
  236. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) まだ私も三カ月でございますから、二千四百万もらえるかどうかわかりませんけれども、あくまでもこれは歳費でございまして、またこれは別問題だ、こういうふうに思っております。
  237. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは幾ら考えたってむちゃくちゃだ、だれが考えたってむちゃくちゃだと思うんです。そういうむちゃをやって、建設省さん、宅地並み課税をやったら市街地に宅地が出てくるというふうに思っているんですか。これやったらどんどん宅地が供給されると思っておられるんですか。
  238. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) 宅地供給量につきましては、各種の社会的あるいは経済的な条件によりまして影響を受けますものでございますから、宅地並み課税ということだけで、単一の要因によりましてどの程度宅地が出てくるかということは、確かになかなか想定は難しいものでございます。ただ、諸施策の推進とあわせまして、私どもといたしましては、宅地並み課税ということではございませんで、例えば首都圏におきまして三万六千ヘクタールの農地がございますが、その中から相当量の宅地が供給されるものというふうには考えております。
  239. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 いや、はっきりやると言っているんだから、長期営農継続農地制度はやめるんだと大臣だって言うんだから、そんな中途半端なことを言ったら困るよ。  それで、そういうことで払い切れないような税金をとにかくかぶせたら土地が出るというようなことを考えていたら、私は当てが違うと思う。これは農家の皆さんに聞いてびっくりしたんですけれども、さっきも申し上げたように、農地の半分あるいは三分の二近く吐き出している人たちがいます。だから、今市街化地域の農業者の方々というのは平均して三十アール程度、三反内外ですね、所有面積というは。農業者で三反といったら大体昔でいうたら飯米農家ですね。必要最小限の面積に最近はなっている。ですからこんなもの売れ言われたって売られない。  私、地域的にきっちり見るとよくわかると思って、同じ枚方市の農業者の方々に伺ってみたんですが、例えば売るいうたって、転業できる農地というのはせいぜい二〇%か、多く見て二五%。だって道路も進入路もあらへんのやから、どっか袋路で土地売ってみたところでどないもならぬということで、さあ売れいうたってこんなもの売れるもんじゃないでというのが御意見です。  それで、それでもこんなむちゃくちゃな税金ぶっかけてきて、売れ、吐き出せというんやったらこちらにも覚悟があるというんだよ。どんな覚悟があるんですかと言ったら、私どもは農業をやりたいから農業をやっているんだ、それをやたらに税金ぶっかけてきて、無理やり算段で、払えぬのやったら土地売ったら払えるやないかということで土地を吐き出せというふうな、悪代官以上の悪政をやるというんだったらこっちも考えがある。どんな考えや言うたら、とにかく三反あるんだと、三十アール持っているんやから、せめて百坪でも切り売りする。切り売りしたら、地価が暴騰してくれたおかげで大体五千万余りになるそうですな、百坪売ったら。それで五千万。売ったら税金千三百万かけて三千七百万残る。その三千七百万を農協かどっか金融機関に預けたら、利息の税金を払うても年間百六十八万何がしの利息が残る。それができたら税金たたきつけて払ってでも百姓は続けられるんや。そんなことまでやらせようというのかというのが農民の率直な意見なんです。これはよう覚えておいてください。  百坪そこらずつ売ったら、税金払うためにあっち百坪売った、こっち七十坪売ったというようなことをやられたら、これは良好な宅地供給なんて絶対なりませんよ。乱開発もいいところです。何が起こるかわからぬということになりますわ。したがって、建設省さん、この点はしかと踏まえていただかなきゃなりませんが、見解があれば簡単に一言。
  240. 木村誠之

    説明員(木村誠之君) 一つ申し上げたいのは、農地の中で、先生おっしゃるように、農業を継続されたい方、先ほど農水省の方からも御答弁ありましたが、生産緑地等で都市計画上位置づけを行っていくということでございまして、すべての農地を宅地化するというものではまずございません。それから、宅地化する農地につきましては、これはやはり地区計画等でしっかりと良好な町づくりに誘導できる方向で進めていくということを考えております。そういうことで、先生おっしゃるようなばら建ちというようなことがないように考えてまいりたいと思っております。
  241. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 あんたのところが言うている政策についても反論をしたいんだけれども、時間がないのできょうはやめておきます。  最後に農水大臣にお聞きをしたいんですが、農水大臣も、都市近郊農業は生鮮野菜の供給だとか災害対策とか自然環境の保持だとか、あるいは緑と空間の居住環境の保持だとかということをおっしゃっておられて、効用は認めておられるんですね。私、いかに都市住民に対する寄与をしているかということを生産物等について申し上げたいと思いますけれども、ちょっともう時間が足りないなと思いますが、例えばこれは大阪のを言いますと、大阪全体の中央卸売市場の資料です。シロナという軟弱野菜は八九・一%です。それから菜類というのは、菜っぱ類らしいですが、これは八七・八%、キクナは七三・三%、タケノコ六六・九%、キャベツ五〇%というぐあいに、都市住民に対する生鮮食品の寄与をしておることは事実でございます。その他の問題については御理解になっておられるようなんで、こういう都市農業における効用というのを御理解になっておられるなら、今問題になっている中で私一つ問題提起をしておきたいと思うんです。  都市住民の中ではこういう意見が非常に強い。これは各団体の御要望の中にも出ておりますが、緑と空間、農業のある町づくりをぜひしてほしい。大阪というところは公園はろくにないし緑はないし、だから住民にとっては空間が欲しい、緑が欲しいというのは切実な願いなんですよ。そういった点で、農業者も安心して農業ができる、住民も安心して住めるような都市環境がつくられるという点で、いわゆる農業のある町づくりというのを都市計画の中にきちんと位置づけていけるようにしてもらいたいなと思うんです。その場合に、建設省が言うているように勝手にいろいろやるというんじゃなしに、やる場合には農業者とそれから地域住民と地方自治体とが力を合わしてやっていけるような農業のある町づくり、これをぜひ実現させられるように農水大臣のお立場で推進をしてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  242. 鹿野道彦

    国務大臣鹿野道彦君) いずれにいたしましても、この問題につきましては、町づくりをどうしていくかという中において、先ほど申し上げましたとおりに、昨年の総合土地対策要綱におきましても、いわゆる市街化を進めていく、そして宅地化を図っていく、農地として保全をする、この両方に振り分けをしていく、そういうふうな中で進めていくものは進めていく、そして税制においても対応していく、こういうことでございますので、そういう考え方に立った中で私どもといたしましても協力をしていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  243. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 時間が来ておりますので……。
  244. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 もう終わります。  最後に一言言うておきたいのは、農水大臣しか農業、農地を守るという頼りになるところがないんだと全国の農業者は考えているんですから、そのお立場を貫いていただくことを重ねて申し上げて終わります。
  245. 高井和伸

    ○高井和伸君 私は、環境庁中心に、実は岐阜県を流れて三重県に注ぐ長良川の河口に、ダムじゃありませんが、せきをつくるという問題で昨今自然保護派と地元の方々の対応が非常に激しくなっている、そういった問題につきまして、自然環境保護という立場から環境庁のお立場をお尋ねしたいと思います。  それに先立ちまして、まず長良川河口ぜきの建設事業の概要につきまして、建設省の方お見えになっていると思いますけれども、その概要を御説明願えればありがたいと思います。
  246. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) 御説明いたします。  長良川の河口ぜきは、木曽川水系長良川の治水対策の一環といたしまして、治水機能の向上を図るとともに水資源の開発を図ることを目的として、長良川河口より約五・四キロ地点の三重県長島町及び桑名市地先に可動ぜきを設置するものでございます。本事業は昭和四十三年度実施計画調査に着手いたしました。続きまして、昭和四十六年度水資源開発公団に事業実施方針を指示いたしまして、同公団事業として実施しているものであります。昭和六十三年三月にせき本体工事に着手いたしました。  長良川河口ぜきは、長良川沿川の方々の人命と財産を洪水から守り、将来の中部圏の発展に必要不可欠な水資源を確保するために必要な施設でございます。地元関係者の同意を得て、せき本体工事に着手したものでございます。せき建設促進につきましては、関係の県や市町村の強い要望がございまして、特に長年水害に苦しんでこられました沿川市町村の方々にとって河口ぜきは悲願でありまして、これらの要望にこたえるため、早期完成を目指したいと考えております。
  247. 高井和伸

    ○高井和伸君 念のためあと二、三点データとしておわかりになれば教えていただきたいんですが、河口ぜきの計画をなさったその基準点といいますか、治水それから水資源ということでとらえられた基準点を、環境庁との関係がございますので、まず教えていただきたい。それから建設費用、治水と利水の割合、工期など、現在どれぐらい進んでいるか、そのぐらいのこと。
  248. 豊田高司

    説明員(豊田高司君) この治水計画基準は、昭和四十三年の工事実施基本計画に基づいて定められたものでございます。  それから費用負担につきましては、治水が千分の三百七十四でございます。それから利水分といたしまして千分の六百二十六でございます。建設費の概算額は約千五百億円でございまして、これは六十年単価でございます。  工期は現在のところ平成七年の三月末までを予定しております。現在の進捗状況は、昭和六十三年度末でございますが、約三六%でございます。  以上でございます。
  249. 高井和伸

    ○高井和伸君 今のような建設概要のもと、地元の方々は特に治水というような側面から長良川河口ぜきの建設促進を早くしてくれということで、私ども議員にも文書が参っております。他方、ある意味では自然を保護しようというカヌーを愛好している方々が中心になりまして、河口ぜきなどに集まって反対を唱えておられまして、その摩擦が地元と外からの人間というような雰囲気で、余りいい雰囲気になっていない現状なんでございますが、こういった現状、河口ぜきをめぐる自然保護を唱える方々との摩擦的な状況につきまして環境庁は御存じなんでしょうか。
  250. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 長良川河口ぜきの問題に関しましていろいろと意見が出ているということは承知しております。
  251. 高井和伸

    ○高井和伸君 長良川河口ぜきの建設につきまして、環境庁がこれまで何らかのことで行政庁として関与なされたことはおありなんでしょうか。
  252. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 長良川の河口ぜきに関しましては、昭和四十三年の十月でございます、政府ベースでの合意がなされておるわけでございます。環境庁は四十六年にできておりますので、それ以前のことでございます。そういう意味におきまして、この河口ぜきに関しまして当庁として関与したということはございません。
  253. 高井和伸

    ○高井和伸君 現実的な側面で皆さん反対派の方々がおっしゃっておられることは、自然の保護ということが中心でございます。言葉で申し上げますと、唯一の天然河川を守れというようなことだとか、日本最後の川、それを守れ、それから生態系を守れ、岐阜県の県庁所在地である岐阜市の真ん中を非常に堂々と流れる長良川を守れ、その河口に人工的なせきがあったのではこれはとてもじゃない、そういう非常にメンタルな側面、上流から下流まで本当に川が海に注ぐという形容詞どおりになるように川を守ってもらいたいというのが、私が理解している自然保護派の方々の主張の中身なのでございます。  こういった観点から環境庁設置法、それから自然公園法、それから自然環境保全法等々、環境保全のためのいろんな法律もできております。こういった問題から、先ほど時間的な問題で間に合わなかった、こういうおっしゃり方をしておられましたけれども、ちょっと仮定的な話で申しわけないんですが、現実的に現在こういったものを計画しようというような話が持ち上がった場合、環境庁はチェックする、チェックという言葉はおかしいんですが、関与する立場におありなんでしょうか。
  254. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 仮に河口ぜきの建設事業が現在政府部内で検討され始めたというような段階のことでお答え申し上げますと、例えばその建設自体が自然公園等の中で行われます場合でございますとか、それから水資源開発基本計画の策定あるいは変更にかかわるような問題であるというような場合、長良川の場合はこの水資源開発基本計画で策定されておりますが、そういった場合でございますれば環境庁として関与することになりますので、環境を適切に保全していくという観点からいろいろと御意見を申し上げるというようなことになろうかと思います。
  255. 高井和伸

    ○高井和伸君 そうしますと、今のは抽象論でございますけれども自然環境保全するために関与していくという場合、もう少し具体的にはどのぐらいのことができるんでしょうか。
  256. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) ただいま御答弁ありましたように、これが国立公園、国定公園の中の問題でありますればこれは環境庁長官、国定公園の場合であれば知事の権限で、ある施設をするかしないかも場合によっては許可、認可にかかわらしめることができますが、この場合は、実は長良川のかなりの部分がそういった国立・国定公園の中でないために、その点からのチェックはいずれの場合もできないと考えております。  それから、仮定の問題として、こういった水資源上の計画が改めて政府の中で議論されたならば、かかわりを持つ官庁として大きな基本方針に御意見を申し上げることはできると思いますが、その場合は、実は今申しましたように、自然公園の中でないというところから、具体的に、どう言いましょうか、白か黒かという結論を申し上げることはいささか無理があろうかと思います。  そこで、ちょっと時間もないようでございますが、環境庁として、こういった問題に対処するためではなくて、全国の主な河川を五年に一度必ず調べております、これは緑の国勢調査というものの一環でございますが。長良川は最後の天然河川、自然河川というお言葉を返すわけじゃございませんが、水際の、海岸部分の、人手が入ったか入ってないかという点では、実はかなり古くから人手が入った方の典型でございまして、全体の八割以上が実は人工的な手の入った川でございます。ただ、保護の立場からのおっしゃり方の中でよくわかりますことは、魚がいろんなものに邪魔をされずにさかのぼれる度合い、これは全国のトップテンじゃございませんが、十三河川ほどは源流まで魚が上れる。その十三の次のグループに十河川ほどありまして、その中ではかなりのところまで魚が遡及できる川が長良川の特徴でございます。  そんなことで、これは仮定の議論を余りここで深く申し上げてはいかがかと思いますが、私どもがそういう長良川の性格からもし議論をするとしますれば、魚のさかのぼることについて、できることならばなるべく現状が残されるようにということを申し上げるような立場、そのような意味で、厳密に公園の中の川に人手を加えることに対するオーケーを出すか出さないかという議論とは違った意味での議論になるのではなかろうかというふうに考えております。
  257. 高井和伸

    ○高井和伸君 自然公園の中であれば何とかできるかもしれないということですから、現在長良川河口ぜきの問題になっている地域はそういった地域じゃないということでございますね。  それを前提でお聞きしますけれども、自然保護という立場からいえば、ある意味では局地的な場面での自然保護ということになるんだろうと思うんですが、今自然保護派の方がおっしゃっておられるのは、先ほど申された、人の手が加わっているという側面じゃなくて、上流から下流まで一気に下りおりられるという、海へもろに直接的につながっているというところを強調なさっておられるわけです。しかも、これが東海地方、濃尾地方の真ん中、そして人口の多い岐阜の真ん中を通り抜けていく川として、享便戸数というんですか、利益を受ける人たち、人間が非常に多という点から、そういった自然保護の場面において、局地的な、地域的なものじゃなくて、もう少し広い、川一本全部というような感じのそういった環境保護の方策は現実的にはなされていないんでしょうね。
  258. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 結論から申しますと、そのような形での川ぐるみの規制といいますか、決め方はございません。例えば、先ほど先生、自然環境保全法をお出しになりましたが、これはやはり単に人手が入っている入っていないだけじゃなくて、貴重な魚、貴重な生態が原生的に残っているところは川ぐるみ指定するという制度がございますが、長良川は率直に申しましてそのような指定対象にはちょっとなじまない川と考えております。
  259. 高井和伸

    ○高井和伸君 現場の声、中心はやはり治水である。長い間非常に大水の被害をこうむってきた、非常に救いの神であるという声であるとともに、それは地域の方の声でございますが、日本的に言えば、やはり川の永遠性といいますか、そういったものをぜひ守ってほしいという切なる願い、これは日本のふるさと創生にもまさるとも劣らない、日本人としての先祖から受け継いだ遺伝子の中にも組み込まれているであろう自然を非常に愛する国民の心がそういった声になっているんだろうと私は思うわけです。  地元の方と、それから治水、それから水資源を利用する利水という面からの観点と、環境保全という観点、これはもちろん双方の利益はあるわけですけれども、どこかでその妥協点を見つけなきゃいけない。現実的に、先ほど建設省からお聞きしました計画の時点によりますと、昭和四十三年度ベースでいろんなデータをインプットして計画を作成されているというふうになっております。  私ども確定的な事実を申しているわけじゃございませんが、紛争当事者の一方がおっしゃっておられる言葉を聞きますと、利水の面では余りもう必要性はなくなっている、治水においても非常に問題だというような観点で訴訟が起きておりまして、長良川河口ぜきを建設してはいけないという差しとめ請求のような訴訟も出ております。  そういった側面から見ますと、環境というものは一度失われますと、それを復元するのは大変なエネルギーと時間と技術も要るんだろう。例えば、佐渡島にいたトキなんというのを、いろんなことで苦労してもとへ戻そうなんておっしゃっておられます。そういったことから申しますと、環境というものは二度と戻らないという立場から重要視していただきたい。そのためにも、地元の治水という側面、利水という側面から観点を逃しちゃいけないということはわかっているんですが、やはり国民の資源としましては、ぜひともに二度と戻らない自然を守ってもらいたい。そのために、幾らか金がかかっても他の方法があるならば河口ぜきをつくらぬ方向でやってもらえないかという切なる願いがあると思うんです。  私個人的に申し上げますと、四国で四万十川と三年ほど一緒に暮らしてきたものですから、やはり水がたくさんあって、魚がいろいろいて、この川が川下で海にとうとうと流れ込んでいるという、そういう意識があればこそいろいろ自分の心も落ちついていく。ところが途中で川がダムで切られているということを知りますと、やっぱり何かしら不然感が残る。非常に哲学的、メンタル的で申しわけないんですが。  そういったことから、ぜひとも環境庁長官にお伺いしたいんですけれども、長官と同姓の志賀重昻という方が明治の古い時代に「日本風景論」というのを書かれました。日本の風景は非常にいい、湿気のあるのもいいし、川が急流なのもいいしというようなことをいろいろおっしゃっておられまして、その結論たるものは、日本人は山野を愛する、それが日本人の美徳であるというようなことを非常に強調なさっておられます。  そういった観点から、ある意味ではゾーン的な自然保護じゃなくて、非常にまとまりのある自然保護をしていただきたいし、現実に今長良川の河口ぜきをめぐるある種の紛争は、行政庁としては何も違法なことはやっていない、適法なことを積み上げてきて現在になっているので何ともしようがない、こうおっしゃられるかもしれませんけれども、そこを一歩踏み込むような何らかの方策で、自然保護派と地元住民が摩擦を起こしておられるというところ、行政の立場からできることがあるならば教えていただきたい。できなければできないなりに、また今後の同様の問題に対してのお考えを示していただきたいというふうに思います。
  260. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 大変古い方でありますが、志賀重昂先生のものは私も読んだことがございます。余談でございますが、志賀重昂先生のたしか孫に当たるのが前の特許庁長官の志賀学君でございます。御参考に供します。  私自身も、日本人が古来大変に自然を愛し、自然の中で自分の情緒、精神を培ってきたこと。これはちょうどことしが芭蕉三百年祭というのがやられておりまして、奥の細道が書かれて三百年であると理解をいたしております。そういうことで、私自身も何とか長良川の河口ぜき問題については私の見識を生かすことができればと思っておるわけでございますが、先ほど来環境庁並びに建設省からの答弁どおり、私の権限外に置かれておるわけでございまして、私自身行政一つの重要な課題であるというような受けとめ方はしておりますが、私の手の及ぶところにないことを隔靴掻痒の感を感じておるわけでございます。私としても、この問題につきましては自然環境保全にできる限りの調整が払われるように期待をし、かつ私のような隔靴掻痒の感を味わわないでも済むような方途が何か今後見出せないかどうかをぜひ研究してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  261. 山田勇

    ○山田勇君 環境問題について質問いたします。  まず、オランダ、ハーグにおける会議に御出席をされておられました長官、御苦労さまでございました。  今や我々の地球はかってない危機にさらされていると言われています。オゾンホール、熱帯雨林の破壊、酸性雨、砂漠化、また温暖化など、これ以上地球を汚さない、破壊をしない、そのために世界的な規模で地球環境を守るためにも日本の果たす役割は大きいと考えるわけですが、特に地球温暖化についてはこの十一月六日から七日にオランダのハーグ郊外で各国の環境大臣などが集まり、CO2の削減問題を最大課題として討議されたようですが、この会議我が国としてはどのような態度で臨まれたのでしょうか、その点をお伺いをいたします。
  262. 志賀節

    国務大臣志賀節君) ただいま山田委員の御指摘のとおり、人類の生存にかかわる重大問題であるとの認識から、私どもはこの会議が成功裏に終わるように、ぜひそういうことで協力をし、その自覚に立って結論を得、かつその結論に邁進してまいりたい、こういう考え方で当初から臨んだわけでございます。  この会議で、御案内のとおり極めて重要なポイントでございますが、一本化をして宣言もなされました。それを我が国といたしましても、各国における施策の弾みをつけるものとして大きな意義を見出しておるわけでございます。  そして、二酸化炭素の問題につきましては、今後その排出を安定させることが必要であるとの認識に立ちつつ、実現可能性の検討を踏まえた着実なアプローチが必要という立場で対処いたしておりまして、これが大方の認めるところとなって一本化につながった、このように理解をいたしております。特に、二酸化炭素の抑制目標につきましては参加国の意見が大きく分かれたことも既に報道済みであり、私も先ほど述べたところでございますが、二つに分かれた意見環境大臣会合としてきちっとまとめなければいかぬということで、国際的な合意形成のために日本がイニシアチブをとって最善を尽くしたと自負いたしております。  なお、私自身の自負に限らず、実は環境大臣の会議の終末におきまして、時のオランダのネイプルス環境大臣、実はその当日に大臣を辞任なさいましたものですから、そのときには環境大臣であったという意味でございますが、同時にその会議の取りまとめ役をした議長でもあったネイプルス大臣が、各国の協力に感謝を述べつつ、イの一番に日本の名前を挙げて、日本がよくやってくれたおかげでこうなったという感謝の意を表していただきました。  また、会議の後に行われました記者会見におきまして、ライリーというアメリカ環境保護庁の長官が、日本のおかげでこのとおりうまくいった、こういう評価もしていただきました。非公式的ではございましたが、イギリス代表の一人が、これはナンバーツーでございますが、ちょうど私と同席いたしております安原局長と二人でたまたま会いまして、その協力に感謝を私が申したところ、いや、これは日本のイニシアチブでもってうまくいった、本当に御苦労さんだった、ありがとう、こういう趣旨の返事もございました。  そういうことでやってまいりました。
  263. 山田勇

    ○山田勇君 そこで、この会議における各国の大勢としては、CO2の削減問題について具体的に目標値を設定するということにあったのでしょうか。
  264. 安原正

    政府委員(安原正君) ただいま大臣からお話があったとおりでございます。  今度の会議におきまして重要な点となりましたのは、二酸化炭素その他の温室効果ガスを抑制していく、その目標の設定をどうするかということが一番重要なポイントとなり、各国の見解が出され、その見解がかなり分かれたわけでございますが、大臣からお話がありましたように、我が国のイニシアチブもございまして一本化にまとめることができたということでございます。
  265. 山田勇

    ○山田勇君 地球温暖化の原因であります二酸化炭素などの排出を抑制することは重要であります。このことはだれしも十分に認識をしていると思いますが、当初のオランダの提案は、二〇〇〇年までに現在レベルに凍結とされていましたが、これは実質的に何割の削減ということになるんでしょうか。もちろん各国の事情も異なると思いますが、その点を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  266. 安原正

    政府委員(安原正君) 山田先生指摘のとおり、オランダの当初の案では、CO2の排出につきまして現状レベルで安定化を目指すというものであったわけでございます。  そこで御質問は、排出量を現状で安定化させるという場合にどの程度の削減が必要になるのかというお尋ねでございますが、この点につきましては数字で具体的にお答えするのがなかなか難しい問題でございます。と申しますのは、CO2が今のまま特別の対策を講じない場合に二〇〇〇年に向かってどの程度増加していくのかという、その将来予測をどう立てるかということによって大きく左右されるわけでございます。そこで、今この場におきまして、例えば我が国の場合にどういう将来予測になって、もし現状レベルで安定化するためにどの程度のCO2の排出の削減が必要になるかという点につきましては、なかなか数字でお示しはできないわけでございまして、さらに詳細な分析が必要であると考えております。  この点につきましては、委員指摘のとおり重要な点でございますので、環境庁といたしましても、今後関係省庁と十分連携をとりながら引き続き検討をしてまいりたいと考えております。
  267. 山田勇

    ○山田勇君 オランダにおける環境会議は、七日の午後に、温室効果ガスの排出量凍結を原則合意するというノールドベイク宣言を採択し、閉会したわけですが、ここに至る日本の態度と今後の対応について御説明を願いたいと思います。  新聞報道などによりますと、二〇〇〇年達成の保留国は日本と米国であるとされていますが、この間の事情についても説明をお願いいたしておきます。
  268. 安原正

    政府委員(安原正君) CO2の排出量の抑制の問題につきましては、冒頭大臣から申し上げたとおりでございます。  当初のオランダ案を支持いたしましたのは、英国を除きますEC諸国、それから北欧の諸国等でございました。一方、米国等は、IPCC、これは政府間パネルの略称でございますが、このIPCCの検討を重視しまして、具体的な目標値の設定につきましては慎重な態度であったわけでございます。  そこで、我が国といたしましては、何としても今回の会議が非常に重要でございますので、この点につきましての全加盟国の合意をまとめるということが重要であるという認識に立ちまして、CO2の排出を安定化させる必要性は認識すべきであるという点が第一点。第二点は、CO2の具体的な抑制目標につきましては、米国等も申しておりますように、IPCCの検討を待ち、そして明年秋にもともとIPCCの中間報告が出ることになっておりますので、その報告の中に、目標につきましての検討結果も織り込んではどうかということを主張いたしまして、その点につきましては米国、ソ連あるいは英国等も同意できるということになりまして、その結果、閣僚会議参加国のすべてが合意に達し、一本化ができたわけでございます。その点で貢献したものと考えております。  今お尋ねの保留云々というお話がございましたが、今申しましたように、今回の閣僚会議の宣言は、我が国を含めまして参加国すべてが一致しまして採択をしたものでございまして、保留云々ということはないわけでございます。ただ、山田先生がおっしゃっているのはあるいはこの点かと思うわけでございますが、CO2の排出に関するパラグラフの中におきまして、多くの先進国の見解によれば、CO2排出の安定化を遅くとも二〇〇〇年までに達成されるべきであるという部分がございます。そこで多くの先進国という表現が使われておりますので、その範囲は必ずしも明確でないわけでございますが、強いて申し上げればオランダ案を当初支持した国がこれに該当するんではないか、そういうように解釈いたしておる次第でございます。
  269. 山田勇

    ○山田勇君 僕は環境委員なものですが、若干質疑を飛ばしまして最後の質問にします。またこれはゆっくりと委員会でいろいろお教え願いたいと思います。  最後の質問にいたしますが、国立公害研究所、国研が名称を変え広く環境影響の研究を進めていくことにしていますが、それはよいといたしまして、科学的に、また技術的なハードな面だけというんではなく、環境経済と申しましょうか、この前の質問でちょっとやりたかったんですが、環境経済と申しますいわゆる経済活動のメリット、環境への配慮などとどう調和させるのか。ソフトの面も研究し、それを政策決定に生かすべきだと思います。すなわち、環境保全、経済の安定的発展の保障、この両面を考慮しながら世界第二位の経済大国としての経済力と公害防止の技術力を駆使し世界に貢献すべきだと考えます。環境問題の調整官庁としましても環境庁の役割は今後一層重要と考えますが、最後に御決意を伺いまして私の質問を終わります。
  270. 安原正

    政府委員(安原正君) 大臣から御発言があります前に、今山田委員の国立公害研究所につきましてのお尋ねの部分につきましてお答えさせていただきます。  委員指摘のとおり、環境行政を推進していく上で、自然科学の分野だけではなくて社会経済的な側面からの研究が大変重要であるということはそのとおりかと考えております。私どももその推進に努力していきたいと考えております。  来年度予算の要求の中で国立公害研究所の改組の問題を今検討させていただいております。その構想の中では、社会的な、あるいは行政的な現在のニーズにできるだけ的確に対応していく、そして多方面にわたる研究を総合していく必要があるわけでございますので、いわゆるそういう研究ニーズに応じた体制をつくらなければならないということで、総合的な研究推進の体制を整備しようと考えておるのが第一点でございます。  それから、政策形成のために重要なのはやはり情報でございますので、そういった環境行政を推進していく上で必要な情報が的確に把握できるように収集整理ができ、活用ができる体制をつくりたいということで、情報部門の充実も考えておるわけでございます。  それから、第三点としましては、地球環境関係の研究もこれからますます重要になってくるわけでございます。この分野というのは大変多くの学問分野にまたがるわけでございます。そういう意味で内外の研究者の力を結集する形をとっていかなければならないと考えておりまして、そのために学際的あるいは国際的な研究が円滑に推進できるような体制をつくり上げていきたいと考えております。  今申しましたような三つの点を特に重点に置いて今改組の問題を検討さしていただいているところでございます。
  271. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 環境保全と開発とが私どもの考えでは必ずしも相対立し相矛盾するものではない、これがともども調和をとりながらあるいは依存し合いながら発展していくのでなければならないのであって、これを私どもは持続的開発、持続可能な開発、要するに一度こっきりの開発では後がないわけでありますから、持続可能な開発というものを目途としておるわけでございます。  例えば、これなどは典型的な例でございますが、裸山に植林をするというのは環境保全であるとともに開発であります。あるいはまた、山の森林の手入れを行うのが果たして環境保全であるか開発であるかというと、ここらも非常におもしろいことではなかろうかと考えるわけでありまして、そういうことが一方にはございます。  それから、ただいま安原局長が言いましたようなことも推し進めてまいりますと、環境と経済とが立派に両立していく道にもつながります。  また、日本が今日まで得ましたノーハウ、これによりましてその技術を移転するとかあるいはこれを協力し供与するというようなことをいたしますと、先ほど若干私が触れたわけでございますが、二酸化炭素の縮減を行うことに相当成功する国が出てくる。そうすると、地球上の絶対量の二酸化炭素はそのまま安定化させても同時に経済成長というものは可能になるわけでございまして、いろいろな面でただいま申し上げたような点から日本は今後国際的に大いに貢献していける分野がある、このように考えておるわけでございます。  したがいまして、環境庁といたしましては、あるいは日本の政府といたしましては、そういう面に向けて積極的な姿勢で臨みたい、かように考えております。
  272. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、大気汚染と気候変動に関する閣僚会議について環境庁長官にお尋ねしたいと張り切っておったわけです。ところが、ただいまも、また先ほど来そのことに対する御見解が述べられましたので、時間の都合もございますので質疑は抑えることにしまして、このことだけは、失礼かと思いますが、私きちっと申し上げておきたい。  当初環境庁オランダ政府の宣言案に賛成の立場だった。ところが、通産、外務両省の反対と米国政府の方針に追随をしてオランダ政府案に反対の修正案を用意して臨まれた、こうお聞きしております。そこで問題は、経済優先の結果地球環境が悪化してもやむを得ないと考えておられるのか。もしそうだとすれば、環境行政責任を持つ立場からまことに頼りない、こう喜屋武は思っておるわけであります。  ところで、結果的には、経済成長の後退か地球環境の破壊かという今後の生存をかけた選択にもつながる実に難しい、実に責任重大な立場に立たされておるのが日本である。名誉であると同時に責任が重大である。そこで、ぜひ名誉ある責任を十分に果たしてもらうよう頑張っていただきたいということを申し入れて、御答弁は要りません。そのかわり、前向きの私提案をいたしたいと思います。  まず、マングローブ国際会議が来る十二月一、二、三の三日間、いわゆる地球環境を守り抜くという実にすばらしい地球的な構想を持つ。この三日目に本部の沖縄設置をマングローブ地域調査委員会議で決定の予定であると漏れ承っております。ならば、どうかこのことを誇りある日本の立場から、また前の会議でも国会で私質問をしたいきさつもありますので、前向きで検討するというお答えをいただいておりますが、その前向きがまさしく棚からぼたもちみたいにころがり込んできつつあるわけでありますので、本部の沖縄設置をマングローブ地域調査委員会議で名実ともに決定していただきたい。そして、その決定の後にはそれを保護育成していくための予算措置、対応するところの愛情が当然つながらなければいけないと思います。そのことについて長官のひとつコメントをお願いしたい。
  273. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 答えが要らぬというお言葉でございますが、誤解があってはいけませんので、一言だけ冒頭のことにお答えをさしていただきたいと思います。  実は、オランダ案が今回出てまいりましたのは、二転三転いたしまして出てまいったのが最終の、合意に達する以前のでございますが、原案でございました。最初の方はちょっと申し上げるのもはばかるので数字等は差し控えますが、果たして私自身がこの会議に出席して妥当であろうかとすら私個人が思うほどのものが大分これは現実性のあるものになったなということで、私はせいぜいその程度でございまして、環境庁はいまだかつてこのオランダの原案がよしとしたことはないのでございます。これは何らかの情報が誤って伝わっておりまして、環境庁は一度としてオランダの原案をよしとしたことはない。よしとしたものを引っ張ってよしとしなくされたというような話が伝わっておりますが、そうではないという事実関係だけはこの際明らかにさせていただきたいと思うわけでございます。この点は環境庁の自負と誇りにかけて申し上げさしていただきたいと存じます。  なお、マングローブの点につきましては、今喜屋武先生指摘のことでございまして、私も十分よくわかりますから、事務当局にはこのことについては前向きに一生懸命検討してみましょうという話を私から既にしておりますが、事務当局からお答えさしていただきます。
  274. 山内豊徳

    政府委員(山内豊徳君) 大臣からも重ねて指示をいただいておりますが、御案内のように、ことしの九月に、東京で日本国際マングローブ協会をつくると。ただ、これはユネスコとの関係もございますので、文部省あるいは林業ということで農水省、それから外務省も関係を持っております。それからもちろん環境庁関係を持っておりまして、近々、先生がおっしゃいましたシンポジウムの開催も昨日連絡を受けましたものですから、その席で決めることがすべてを決するとは思われませんけれども、私どもこれから前向きにぜひ環境庁がかかわりを持つ役所の一つとして取り組んでまいりたいと考えております。
  275. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これがマングローブの苗でございます。記念に長官に差し上げたいと思います、後で。  次に、本当に怒りを込めてと言いたいけれども、表現は必ずしもそうにはならぬと思うんですが、戦後四十四年、いまだに戦後処理がなされていないというのが沖縄の悲劇であります。今ここで訴えたいことは、軍の命令によってマラリアの環境にある地域に強制立ち退きをさせられた。そこで何千名という犠牲者が出ておるが、いまだにそれが報われておらぬということに怒りを覚えます。  そこで、県議会におきましても決議をいたしまして、いみじくもきのう私のもとへ訴えてきたのであります。それで、あしたはこの決算委員会で取り上げる予定だから、必ず私の誠意はまともに受けとめてもらうだろうから、要望が通るように努力しますからと言って帰したわけであります。ところが、今までの日本政府の窓口の面、問題が発生すると、どこがその窓口であるかわからぬということで今までも苦い経験を持っております。だが、正しいことは当然国の責任においてやるべきことは、これは避けるわけにはいかない。ですから、どこが窓口であるか、政府で検討して、直ちにその窓口を設置して受けとめる、調査検討してもらう、これが戦後処理の前向きの姿勢だと私は言うんです。  口を開けば経済大国、世界優位だと胸を張っておる。ところが内政面から、国民の幸せを言う点からすると、しかも戦後処理という悲劇がいまだに処理されていないというところを日本政府は厳しくこの際反省してもらわなければいけないというのが喜屋武の訴えであります。  そこで、このマラリアについては要請を受けておられるだろうが、その前提に立って、もしまだ見ておらぬとおっしゃるならこれは大変なことであります。そのことを私はまず申し上げて、総理府、厚生省が中心になってどうしても調査そして検討してもらわなければいけないと思うんですが、いかがですか。
  276. 榊誠

    説明員(榊誠君) 先生お尋ねの件でございますが、総理府の方にも検討をというお話があったわけでございます。私ども、去年の五月に制定されました平和祈念事業特別基金等に関する法律というのを所管しておるわけでございまして、恐らくその関係での御質問かと思います。  御案内のとおり、この法律につきましては、法律の中に趣旨なり目的なりが書いているわけでございますが、まずこの法律の対象者という方々が、いわゆる戦後処理問題の中の恩給欠格者の方、あるいはシベリア抑留者の方、あるいは引揚者の方等を中心にする法律でございます。また、事業内容につきましても、これも法律の中に書いているわけでございますが、例えば資料収集をする、あるいは労苦に関する調査研究をする、あるいは講演会をするという形の事業を考えておるわけでございまして、先生今お話しのございましたマラリア問題につきましての補償問題ということにつきまして、この法律の中で検討するというのは非常に難しいのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  277. 船橋光俊

    説明員(船橋光俊君) 沖縄県議会からの要請につきましては私どもも拝見しております。厚生省の所管しております法律といたしましては戦傷病者戦没者遺族等援護法があるわけでございます。この法律は、御案内のように、軍人軍属など国と雇用関係のあった者が戦争公務に従事している間に死傷した場合に傷害年金、遺族年金などを支給するというものでありますので、御指摘のような事例に援護法を適用することは困難であると考えております。
  278. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 きっとその答えが出るだろうと予想しておりました。援護法の適用が困難である。困難であるということは、不可能ではありません。努力すれば必ず道は開けてくる。問題は、解決しようという愛情、努力、誠意があるかどうかが問題であり、そしてその訴えが正しいことであるのか、いけないことであるのか、それぐらい判断できないはずはありません。政府は何のためにあるのかと怒りを私はまた覚えます。そんなくだらぬと言えば失礼ですけれども、そのような言い逃れでは私は断じて下がりません。道は開いてください。  厚生省と総理府、いいですか。あなたにはその責任は持てぬでしょう。それくらいの代弁はできるでしょうが、責任ある答弁はできぬでしょう。私はそれを聞きに来たのではありません。きょう大臣におってもらいたかったのですが、あなた帰ったらすぐ大臣に喜屋武の訴えを率直に申し上げて、そして後日私はそれを確かめます。いいですか。コメントしてください。
  279. 船橋光俊

    説明員(船橋光俊君) 喜屋武議員の御発言の趣旨は十分に伝えたいと思います。
  280. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 まさしく伝えてください。  その例はほかにもあるんですよ。対馬丸遺族の例が、窓口がないといって追及されて、解決した例があるでしょう。ここですよ。官僚の座にあぐらをかいて、人民を幸せにするのが政治の目的じゃないですか、それぐらいわからぬ者が政府の座におる自体がおかしいと思うんです。  それでは最後に外務省へ。  これまた結論を先に申し上げますと、沖縄の差別と犠牲、憲法のもとにも疎外されておるこの犠牲は、沖縄は戦場ではありませんよ。沖縄県民は米軍演習の標的ではありませんよ。一切の軍事演習を直ちにやめて、基地を撤去せよ、これが今沖縄県民のとうとうたる世論であります。それはなぜか。一つ、日本政府の窓口は外務省の対米従属姿勢だと私はあえてはっきり申し上げます。日米安保を重視するという声の裏側には、直ちに沖縄への犠牲と差別がおっかぶさって、今申し上げるような事件、事故が頻々と起こっておるというのが沖縄の現状ではないですか。生命、財産、人権の侵害、不安、危機感。いつまでも我々沖縄県民がこのような日本政府の政治のもとに憲法の外に置かれて差別される理由がどこにあるんですか。もう我慢なりません。  例えば、恩納村に建設しておる都市型戦闘訓練施設。村長を初め座り込みをして村民が今守り抜いておる、抵抗しております。与野党一致してやっておるという。これもくしくもきのう県議会で三回目の決議を携えて訴えてきております。さらに、あの黒い殺し星と言われて恐怖の的になっておるB52の嘉手納基地飛行場への飛来。たびたび反対決議をし、今日まで十五回も反対決議をして、これもきのう陳情で参っております。何の手ごたえもないというのが現状である。一体それでいいのか。このことを私はもう我慢ならない、こう怒りを込めて、沖縄県民の意思表示についてどう考えておるか。大臣はいませんが、外務省の方答えてください。
  281. 森敏光

    説明員(森敏光君) 外務省といたしましては、沖縄に米軍のおよそ七五%の専用の施設、区域がある、それに伴いまして、施設、区域の存在及び米軍の活動に伴いまして種々の問題が沖縄において発生しておるということは十分承知しております。政府といたしましては、かねてより施設、区域の安定した、かつ円滑な運用を図っていくためには、そのような周辺住民への影響が最小限にとどめられまして、可能な限り地域住民の皆様方の理解と協力が得られることが重要であると考えておりまして、私どもとしては機会あるごとに米側に対しましてもこのような点につきまして申し入れを行っているところでございます。  委員指摘のB52の飛来でございますけれども、安保条約、地位協定に基づきまして、米軍はB52を初めとします米軍機を飛来、展開する権利がございます。しかしながら、昭和四十七年、大平外務大臣が当時のインガソル在京米大使と会談した際に、大平外務大臣より、国民感情の上で、B52の本邦飛来は、台風避難等真にやむを得ない場合に限定するよう申し入れております。これに対して米側も、B52の飛来は台風避難その他の緊急事態を避ける場合のみに厳重に限定するということを明らかにしております。このような点につきましては現在も守られておりまして、政府としてはこのような確認を引き続き維持していきたい、かように考えております。  委員指摘の恩納村における都市型訓練施設の問題につきましては、政府といたしましては、日米合同委員会等種々の機会に米側に対しまして、本件訓練施設にかかわる安全確保に対する十分な配慮方を要請してきたところでございます。これに対しまして米側は、在日米軍司令官みずから当該訓練施設を視察するなど、その安全性を確認するための努力を払っております。  また、この関連で、例えば射撃の方向をすべて山側とするとか、あるいは射ダとなる建物の民間地域側の窓を閉鎖するとか、あるいは施設の中で最も民家に近い建物は当初発射用の建物でございましたが、これを倉庫に使用するということにするとか、あるいは安全担当将校を立ち会わせ安全を確保するとかといった種々の措置を講じ、あるいは講じているところでございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、このような訓練にかかわる安全確保等に万全が期されますよう、米側との接触を含めて努力してまいりたいと考えております。
  282. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 これで終わりにしたいと思いますが、一言言わせてください。  きのうの県議会の要請団に対しても、こんなに数をかけて訴えるが、時間と費用を使って陳情していささかも反響がないなら、皆さん喜屋武も一緒に座り込みをしようじゃないかと私は言いました。それほど沖縄問題は、何回言いましたとか、どう言いましたとか、感情論や同情論では解決できない。このことを厳しく反省してもらわなければ、結局日本政府の対米姿勢のあり方が沖縄問題を前進させる、このことを私は重ねて申し上げます。  安保優先か憲法優先か。生命、財産、人権を守るという限界はどうあれ、憲法よりも安保優先されておるのが沖縄の現状であるんです。そんなばかなことが許されていいものですか。このような怒りが、喜屋武君は百二十万県民の底辺に支えられた発言であるということを忘れぬでもらいたい。  外務省も今答えたんですが、事実は何よりの真実ですよ。幾ら百万言を費やしても一歩も一つも解決しないというなら、それは空砲にすぎない。むだに空砲は撃ったって痛くもかゆくもないはずです。どうかそのことをこの際、日本の政治はどうあるべきか、その中で沖縄の問題はどうあるべきか、このことを厳しく反省をしていく中からしか問題の前進はないということを強く申し入れて、終わります。
  283. 千葉景子

    委員長千葉景子君) 他に御発言もないようですから、農林水産省環境庁及び農林漁業金融公庫決算の審査はこの程度といたします。  次回の委員会は十一月十五日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時三十七分散会