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1989-11-29 第116回国会 参議院 環境特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十九日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         大森  昭君     理 事                 石井 一二君                 松浦 孝治君                 広中和歌子君     委 員                 井上 章平君                 石川  弘君                 石渡 清元君                 山東 昭子君                 須藤良太郎君                 原 文兵衛君                 山崎 竜男君                 國弘 正雄君                 清水 澄子君                 篠崎 年子君                 田渕 勲二君                 高桑 栄松君                 沓脱タケ子君                 中村 鋭一君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  志賀  節君    政府委員        環境庁長官官房        長        渡辺  修君        環境庁企画調整        局長       安原  正君        環境庁企画調整        局環境保健部長  三橋 昭男君        環境庁自然保護        局長       山内 豊徳君        環境庁大気保全        局長       古市 圭治君        環境庁水質保全        局長       安橋 隆雄君    事務局側        第二特別調査室        長        宅間 圭輔君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    賀来  敏君        環境庁長官官房        参事官      小林 康彦君        沖縄開発庁振興        局振興第三課長  江口  肇君        大蔵省主計局主        計官       林  正和君        文部大臣官房文        教施設部計画課        長        西口 千秋君        文部省教育助成        局施設助成課長  伊田 和身君        厚生省生活衛生        局指導課長    丸田 和夫君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    坂本 弘道君        通商産業省産業        政策局国際企業        課長       若杉 隆平君        通商産業省立地        公害局公害防止        課長       石海 行雄君        通商産業省基礎        産業局化学製品        課長       寺西大三郎君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部技術企画課長  堀込 徳年君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  小坂 英治君        建設省道路局道        路防災対策室長  佐々木隆士君        建設省道路局道        路環境対策室長  井上 靖武君        建設省住宅局建        築指導課長    鈴木 俊夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (石垣新空港建設に伴うサンゴ礁保護に関する件)  (アスベスト処理対策に関する件)  (閉鎖性水域水質保全対策に関する件)  (医療廃棄物処理対策に関する件)  (平成二年度予算要求における重点事項に関する件)  (スパイクタイヤ対策に関する件)  (日本企業海外進出と環境問題に関する件)  (二酸化窒素等による大気汚染健康被害者対策に関する件)  (野生動植物国際取引規制に関する件)     ─────────────
  2. 大森昭

    委員長大森昭君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、去る九月、当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。松浦孝治君。
  3. 松浦孝治

    松浦孝治君 委員派遣報告を申し上げます。  去る九月七日から九日までの三日間、自然公園管理野生生物保護及び湖沼水質保全対策等に関する実情調査のため、大森委員長広中理事清水中村委員と私松浦の五名で、北海道へ行ってまいりました。  日程の第一日は、釧路市において北海道環境行政国立公園管理等概況説明を聴取しました。その後、春採湖汚染状況釧路湿原及びタンチョウヅル自然公園現況等を視察するとともに、阿寒湖畔ビジターセンターにおいて前田一歩園財団概況説明を聴取いたしました。  二日目は、阿寒国立公園内の硫黄山植物群落現況を視察した後、知床国立公園を訪れ、網走管内における環境行政知床国有林事業等概況説明を聴取するとともに、知床自然センター国設知床鳥獣保護管理センター等を視察いたしました。  三日目は、ナショナルトラストオホーツクの村」、網走国定公園小清水原生花園等を視察いたしました。  以下、これらの調査のうち主要な点について報告いたします。  まず、自然公園管理野生生物保護状況について申し上げます。  北海道は、原始性豊かな山岳湖沼、広大な森林や原野など比較的自然の状態をとどめているところが多く、豊かな自然に恵まれています。しかし、都市化の進展や地域開発が進むにつれ、自然の改変が進み、野生生物の中には絶滅が危ぶまれている種もあり、その保護管理あり方が問題となってきています。  釧路湿原国立公園は、二万一千ヘクタールの我が国最大湿原釧路川を初めとする大小の河川が蛇行し、塘路湖、シラルトロ湖など多くの湖沼が散在しています。この広大な自然景観を有し、貴重な野生生物が生息する湿原は、ラムサール条約登録湿地として昭和五十五年に指定を受け、国際的にも高く評価されています。  しかし、周辺地域におきます森林の伐採や農地の改良等により、湿原水位の変化が懸念されておりまして、湿原生態系保護を図るため集水域保全調査を進めるとともに、砂防施設等整備計画されております。また、湿原探勝遊歩道整備塘路湖等において、舟遊施設等利用施設計画されていますが、施設の設置や維持管理に 当たっては、水質汚濁防止に特に配慮し、すぐれた景観や豊かな自然性保護に努めているとのことであります。  釧路湿原タンチョウ生息地でもあります。大正の初めには野生タンチョウは全く姿を消してしまったと思われていましたが、その後、釧路湿原タンチョウ小群が再発見されてからは保護対策が講ぜられ、現在では、釧路、根室、十勝地方で四百八十五羽が確認され、地元住民や各関係機関保護活動の成果が評価されております。  私どもは、釧路タンチョウヅル自然公園を訪れたのでありますが、ここは、絶滅危機にあるタンチョウ保護するため開園されたもので、当初、タンチョウ生態が全くわからず、その研究に苦心を重ねて、ようやく自然ふ化人工ふ化等に成功し、以来、増殖も順調に進むようになったとのことであります。このほか、国や北海道等給餌事業及び監視事業を実施して、タンチョウ保護増殖を図っているとのことであります。  次に、阿寒国立公園は、屈斜路湖、阿寒湖、摩周湖など雄大なカルデラ湖中心に、雄阿寒岳、雌阿寒岳等がそびえ、火山と森と湖が織りなす原始的景観の豊かな公園であります。  同公園では、エゾイソツツジの群落地を視察するとともに、阿寒湖周辺に三千八百ヘクタールの山林を所有する前田一歩園財団事業活動について概況を聴取しました。  当財団は、北海道自然保護に貢献することを目的とし、阿寒湖周辺にある財団所有林風致施業を行うほか、自然環境保全とその適正な利用に関する調査研究事業自然環境保全等に寄与する人材の育成事業自然保護思想普及啓蒙事業等を行っています。このようなナショナルトラスト運動については、住民運動に対する理解を深め、運動への参加を促すとともに、助成策の検討が望まれるところであります。  次に、知床国立公園は、険しい火山連峰原生林に覆われた山岳景観海蝕崖による豪壮な海岸風景を有する公園野生鳥獣も数多く生息しており、日本に残された最後原始地域とも言われております。  この知床の自然を守るために、知床国立公園内百平方メートル運動が進められています。この運動は、公園内の岩尾別地区民有地を買い上げ、植林などで原始知床に復元しようとするものです。地元斜里町が全国から賛同者を募って始められたのですが、今後、土地買収土地保全事業の目標が達成され、自然保護運動が結実することを期待するものであります。  また、国有林の伐採問題につきましては、新たな森林施業に基づいて、景観を考慮しつつ、貴重な動植物の生育する森林保全に努め、自然環境保全との調整を図って事業を進めていくとのことであります。  もう一つのナショナルトラスト運動として、小清水自然と語る会による「オホーツクの村」を視察いたしましたが、失われた自然を再生し、自然と共生の村づくりをしようと、植樹や自然探勝歩道等施設整備が進められていました。  次に、湖沼水質保全対策について申し上げます。  北海道におきましては、湖沼等閉鎖性水域水質汚濁未然防止周辺自然環境保全に関する基本指針の策定あるいは富栄養化しやすい湖沼への排水規制環境基準類型指定を行うなど環境保全対策が進められているとのことであります。  今回、視察いたしました春採湖釧路市内にあり、周辺地区都市化が急速に進展したことと相まって、生活排水流入や湖に流入する河工流量の減少による水位の低下、海水流入によって水質汚濁が進み、その汚染状況全国でもワーストツーという汚れた湖でございます。  その浄化対策として、周辺地域の下水道はほぼ整備されたとのことでありますが、今後の施策として、汚泥の除去等いろいろの対策が検討されており、湖の浄化に努めたいとのことでございました。  以上、三日間にわたり、北海道における自然環境保護実情中心に視察してまいりましたが、自然のすばらしさを目の当たりにでき、意義深いものでございました。自然が一たん破壊されると、その回復のためには多大の時間と費用を要し、完全な回復が困難な場合も少なくありません。私どもは自然を守り、そして、今残されている自然を保護するだけでなく、より豊かな自然を創造して後世に伝えることの大切さを強く感じた次第であります。  最後に、北海道釧路地方総合開発促進期成会及び網走支庁管内総合開発期成会から要望書をいただいております。これらを会議録末尾に掲載していただきたく、委員長のお取り計らいをお願いいたします。  以上、報告を終わります。
  4. 大森昭

    委員長大森昭君) これをもって派遣委員報告は終了いたしました。  なお、ただいま松浦君の報告中、御要望のありました北海道知事などからの要望書等につきましては、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 大森昭

    委員長大森昭君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ─────────────
  6. 大森昭

    委員長大森昭君) これより公害及び環境保全対策樹立に関する調査について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 清水澄子

    清水澄子君 私は、今回初めて当選いたしました清水澄子でございます。したがいまして、きょう初めての質問でございますので、いろいろなれないところもあると思いますけれども、どうぞ御了承いただきたいと思います。  ただいま松浦議員の御報告がありましたが、私もその一員に加わりまして、そして自然環境保護責任の重さを痛感したところでございます。私は、とりわけこの広大な北海道の現地で、職務とはいえ少ない人数で自然保護のために研究と情熱を注いでおられた職員皆さんの御苦労を痛感したわけでございます。この場で長官に、これら末端で努力をしておられる職員皆さんに激励の言葉をかけられたり、またはその定員をふやすためにどうぞ努力をしてくださるよう、私はこれを重ねてお願いしたいと思います。  そこで、私は、まず環境庁長官お尋ねをいたします。  今日、環境保護の問題は、従来の経済優先効率主義開発進歩とみなしてまいりました、そういう価値観の見直しが始まっているのだと思います。そして、自然と人間が調和して生きられる環境基盤保護資源利用に対して、企業活動もまた行政あり方も、そして人々の労働や生活あり方も、すべてエコロジー的責任を持たなければならないという新しい価値観が生じているのだと思います。  ですから、とりわけ環境保護政策行政は、社会全体に対してみずからを問うという教育的または道義的な面を持っておると思いますし、さらに将来の資源保護するという先見性を持った措置が求められていると思いますが、長官はいかがお考えでございましょうか。
  8. 志賀節

    国務大臣志賀節君) お答えいたします。  全く清水委員のおっしゃるとおりであると思います。ただ、私が考えておりますことは、開発とそれから環境保全、または環境保護というものは、相対立するものとして把握するのではなく、この両者を調和させあるいは両者を相互に依存させ合うことによって世の進歩といいますか、発展といいますか、こういうことを期し得ると思うのでございます。いずれに大きく偏っても、環境破壊をより推し進めるかあるいはより原始的な生活に戻るか、そのような事態になると思いますので、そういうことよりもこの両者を調和させていく、ここに環境行政ポイントを私自身は置いておるわけでございます。
  9. 清水澄子

    清水澄子君 それでは最初に、白保サンゴ保護についてお尋ねをしたいと思います。  私は、きょうわずかしか写真を持ってこれませんでしたけれども、もっと本当に美しい写真集が最近では出ております。私は、本当に美しい数々の白保サンゴ写真を見るまではこのサンゴ礁が驚異的な世界でまれに見る貴重な資源であるということ、そしてそれがサンゴ原始園であるということを今ほどまでには実感できないでおりました。この見事なサンゴ原生林は、一万年もの歴史をもって、そして沖縄という亜熱帯特有自然条件のもとで、また白保サンゴ礁の波や地形の環境条件のもとで生育されてきたものであるということ、そしてまた何よりもサンゴの生育に最も甚大な危機をもたらします赤土などの土砂流入による海水汚濁泥土化という開発影響がまだ少なかったという、そういう幸運的な条件のもとにこの海の宝庫が現在も生きているのだということを私は知るようになりました。  ですから、この白保サンゴの問題は、一九七九年に沖縄県がそのサンゴ礁を百ヘクタール埋め立てて新石垣空港を建設すると発表されて以来、その生態系を守るべきだという世論が国の内外に起きていると思います。特にそれは最近は国際的な問題になっております。  この問題についてはこれまでも何回か質問があったと思いますし、六月には田渕議員が御質問をされていると思います。しかし、私はここであえてもう一度お尋ねしておきたいと思うんです。  残念ながらこの白保サンゴ礁の貴重さは、これはIUCN決議によってやはり私たちが大きく覚せいされたという状況があったと思いますし、そのことによってもまた空港建設地変更されるようになったということはやはり周知の事実であったと思います。白保サンゴ問題は、今もなおこれは日本の環境問題の象徴として国際的に大変注目をされております。そしてIUCNも去る十一月の初めにはまた再度新予定地調査をしておりますし、カナダやアメリカの新聞にもこの問題が大きく取り上げられております。国際的に問題になっているこのサンゴの問題について、これは日本環境行政の姿勢が問われているというふうに思うわけですけれども、今後このサンゴ保全に対して、この世界的な関心について環境庁はどのように認識をしておいでになりますか、お尋ねしたいと思います。
  10. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 確かに日本サンゴ礁の分布します地域は限られておりまして、沖縄県が中心であることは事実でございます。そのために、御案内と思いますが、西表島中心西表国立公園が設定され、また石西碓湖と申しますか、石垣島西表島の間には幾つもの海中公園が設定されております。また、同じ西表島の中でも自然環境保全地域ということで崎山湾というところがこれはいわば人手を加えないという保全地域をつくっておるわけでございまして、私ども国立公園行政あるいは自然保護行政を預かる立場からは、沖縄におけるサンゴすばらしさについてはそれなりの対応をしてきたつもりでおるわけでございます。  先生指摘石垣島につきましては、従来は国立公園国定公園のいずれでもございませんし、また自然環境保全地域でもなかったわけでございますが、先ほど先生お話しになりました昭和五十七年以降の県の空港計画に関連いたしまして初めの予定地のかなり近いところにアオサンゴの大きな群体が確認されまして、これはそれ自身もちろん貴重でもあるのでございますが、北半球のこの位置でこれだけ大きく育ったアオサンゴはやはりその価値を高く評価すべきではないかという声が、今おっしゃいましたIUCNを初めとする関係者によって指摘されてございます。昭和六十三年でございますか、IUCN世界の総会におきまして、日本関係団体の提案に基づきまして、このアオサンゴは絶対守るべきであって空港建設は再考してほしい、リコンシダーしてほしいということを日本政府に求める決議が採用されたわけでございます。  そんなわけで私どもは、非常に大きなアオサンゴ群生中心とする旧予定地サンゴ保全につきましてはそういった指摘も踏まえて、従来の行政的な立場からいいますと事業者である沖縄県に判断をお任せする面が多かったわけでございますが、そういった先生今御指摘のような内外指摘にこたえて、率直に申し上げまして異例調査ではございますが、環境庁自身が直接石垣島周辺の、全体では二十二ばかりの地域でございますが、そこを調査するという行為をとったわけでございます。具体的には、昨年の十一月から年内一カ月近くをかけまして、二十二のポイント調査したわけでございます。これは、今お話しのように、石垣島をめぐるサンゴ礁の実態の中で古い空港予定地に近いアサンゴ、あるいは塊状ハマサソゴというのでございますがかなり特異な形をしたハマサンゴ群生もそこにございましたものですから、そういったものを沖縄県のサンゴの中であるいは石垣島サンゴの中でどのように評価をするかという比較をするためにかなり綿密な調査をやったつもりでございます。  その結果に基づきまして旧予定地アオサンゴ、あるいは今申しました塊状ハマサンゴ保全については、やはり私どもがじかに調査した結果でもいわば国立公園級保護を将来必要とするものと判断すべきであるという結論に達したためにそういった調査結果の感触沖縄県に伝えられて、実は御存じのように、古い計画を四キロ北へ思い切って変更するという空港計画変更が新しく行われたわけでございます。  私どもとしましては、古い予定地周辺アオサンゴ中心とする海域につきましては新たに国立公園指定をする、まあ西表国立公園の拡張ということも考えられますが、もちろんそれらも含めまして新しく国立公園指定するという形でこれは将来にわたって保全を図りたいというつもりでございますが、言いかえれば、変更後の空港計画につきましては、石垣島サンゴ礁保全あるいは沖縄県のサンゴ礁保全からはこれは認め得るものであるという評価をしたのが経過でございます。
  11. 清水澄子

    清水澄子君 環境庁異例調査とおっしゃいましたけれども環境庁自身が市民の世論や国際的な世論に耳を傾けられて調査をされたということはやはりこれは評価をしなければならないと、このように思っております。  しかし、その後この新予定地につきましては、今度は環境庁は、これは長官コメントによってですけれども、この空港建設陸側に寄せて計画されているから五十ヘクタールの埋立海域の間においてはサンゴ礁自然保護上の問題はないと非常に結論的なことを発表されておられるわけです。しかもこれが沖縄県の変更発表後まさに間髪を入れず、これは大丈夫だという表明をされておりますが、今もその判断に変わりはございませんでしょうか。
  12. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 結論から申しまして、今もその判断に変わりはございません。  なお、沖縄県の計画変更間髪を入れずというお話でございますが、実は先ほど言いましたように、国の調査結果の感触はある時間をもって沖縄県当局に伝えたのは事実でございます。  それから、そんなに長期間ではございませんけれども、新しい計画の県の構想につきましては、我々も今申しました環境庁調査に照らして地図に落としていろいろ判断をした上で県知事の最終的な御判断とあわせて当時の環境庁長官コメントをさせていただいたという経緯でございます。
  13. 清水澄子

    清水澄子君 非常に確信を持っておいでなので私はかえって心配でございます。  それは、この前の五百メートルカット案のときも、すぐに環境庁は、五百メートルカットするならばいいではないかと評価されたと思います。そして、そのため沖縄県もその五百メートルカット案で手続を進めておりましたけれども、その後、先ほどおっしゃいましたように、環境庁は独自の調査をされて初めてこの時点で白保サンゴ保全されなければならない貴重なものという評価をされたと思うわけです。そしてその結果が沖縄県のこの建設地への変更につながったと思います。  そういう意味でも、やはり今回も、さらにこの新しい予定地につきましては環境庁がみずからもっと独自の調査をする必要があると思うわけですが、その点はもう絶対調査はなさらないおつもりですか。
  14. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 私どもとしましては、何よりも今回の変更が、その位置、それから今先生お話埋立面積の大幅なカットということで十分評価にたえ得ると思っております。それから、その後、いろいろ御指摘ありますサンゴ生息状況、新しい予定地サンゴ生息状況も私どもが先ほどの調査で把握していた範囲内でございますので、そこは確信を持っております。ただ、先生が今何か何でもとはおっしゃらなかったと思いますが、もちろんこれは空港で海面を埋め立てるわけでございますから、その埋め立ての仕方、工事の仕方については、事業者である県当局において現在行われておるわけでございますが、環境影響予測調査をした上で相当慎重な配慮を必要とすることは事実でございます。  そういった意味で、私ども県のそういった調査を見守っていくと同時に、それからまたこういった経緯もございますものですから、私どもは当然県当局を助言しあるいは御指導させていただく立場にあろうかと思いますものですから、今申しました県の工事を控えての調査につきましては今後とも必要な助言、指導を与えていくということで十分サンゴ保全については果たし得るという考えを持っておるわけでございます。
  15. 清水澄子

    清水澄子君 しかし、今回のカラ岳東のこの予定地への変更案につきましても、三重大学の目崎教授調査では、新予定地地域にも天然記念物級のユビエダハマサンゴの大群落がある、また、旧予定地海域白保海域と同一生態系の海だ、そして、アオサンゴなどの貴重なサンゴ群に壊滅的な打撃を与えることは必至だと報告をされておりますし、また、IUCNも、悪い影響が出るおそれが強いと危惧の念を表明した書簡を竹下首相に出しておられます。また、日本生態学会も環境庁要望書を出すなど、新予定地での自然保護上の問題もいろいろと指摘されておりますが、これらの指摘は全く根拠のないものとお考えになるでしょうか。  また、環境庁が問題はないと判断されました新予定地カラ岳東ですね、そこのサンゴの問題について、もう一つ、旧予定地白保への影響について、それぞれの、安全である、問題はないという根拠をお聞きしたいと思います。
  16. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 今お名前を挙げられました目崎教授の所見と申しますか、私どもはそのこと自体は新聞報道でしか聞いておりませんが、天然記念物級という表現は、実はその後の目崎先生を含む、日本自然保護協会でございましたか、調査結果の発表では必ずしもそういう表現ではございませんで、サンゴの種類としては、新予定地の場合、かなり普遍的な種類であるということがたしか調査結果に明記されておったと思います。このことは私ども調査結果とも符合しておりまして、先ほど申しましたように、北半球のあの位置では珍しき大きさに達しているアオサンゴという点、それから、塊状ハマサンゴという、これはテーブルのような形をする大きな群落でございますが、こういった石垣島の中でも特異なもの、目立つものは新予定地にはないという事実は、これは私どもの認識とそれほどずれはないと思っております。ただ問題は、今御指摘の点は、そうは言ってもなぎさから離れたところにかなりいい生育域があるではないか、これはミドリイシとかエダサンゴというたぐいでございますが、これはなぎさ線からはやっぱり五、六百メートルは完全に離れておりますし、前の予定地における空港埋立地と塊状ハマサンゴ位置関係とは全く違っておりますことから、私どもは、先ほど言いましたように、それは工事に細心の注意を払えば影響がないものと考えていいという判断をとっておるわけでございます。  それからもう一つ、第二に、先生指摘のように、仮に新予定地サンゴの状態がそうであってもそこで工事が行われることによってより南の方にございます旧予定地の方に影響がいくんじゃないかという指摘も確かにこれはございます。  この点につきましては、私自身も現地を踏査したわけでございますが、その中間に轟川によるかなりサンゴの生息が途絶えた地域がございまして、その地域の広がりが、ある意味では幸いなことにと申し上げていいでしょうか、北側へ向かって広がっているという事実がございます。かなりの川から出てくる土砂が北へ影響を及ぼすという事実からも、私ども工事に細心の注意を払えば南への影響はもうほとんどないものと考えていいという判断をとっているわけでございます。  そのことについて、生態系が同一ではないかという言葉で反論といいますか、御指摘があるのは事実でございますが、私どもは、サンゴ礁を守る守り方としては地形的にサンゴ礁が連なっているからそれを全部保存するというわけにはいかないのじゃないか、やはりそれぞれの特異なサンゴ礁生態域を海中公園なら海中公園として守っていくということで十分ではないかという考えをとっておりまして、少なくともこれまでの海中公園のシステムではそのような考えをとっているわけでございます。  そのような二つの判断から、実はその後御指摘を私も承っておりますけれども、今までの環境庁考え方を変える必要はないという判断を今日までとっているのが実情でございます。
  17. 清水澄子

    清水澄子君 ちょっと時間がありませんので急ぎますけれども、私たちが伺っている環境庁の新予定地での調査というのは一測線の調査だけだ、その一ポイントだけでカラ岳全体を評価しておられるのではないかという危惧を聞いておりますし、また旧予定地への影響というのも航空写真とか文献でもって判断をしておられる。そして、沖縄の風とか季節とか潮の満ち潮とか干潮とか、非常に変化の多い沖縄のその自然条件というものをもっと本当に、そこに実際にある程度住みながらこれは実態を調査しないと空から見ただけではなかなかわからないと思うんです。そういう意味でもこの環境庁判断というのは、国際的にも国内的にも科学的な判断として皆さんを納得させるそういう判断では、ないのではないかという危惧を持っております。そして、それは今後もさらに続いていくであろうというふうに思います。  そこで、私はさらにお尋ねしたいんですが、現行法の上では確かに五十ヘクタール未満の埋立地の場合は環境庁行政の所管から離れると思います。そして五十ヘクタール以下は地方自治体の責任になるというのは、これは今日の法の上では確かにそうだろうと思います。しかし、自然保護とか生態系保護というときにそういう行政上の線引きと一体なじむものなのかどうなのか。じゃ四十九・九ヘクタールと五十ヘクタールの環境上の保全の線引きというのは可能であろうか。そういう意味でもここでどうしてももう一度、環境庁設置法の目的に沿ったそういう毅然たる態度でもって再度この問題について私は御検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。
  18. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 御指摘のように、海上の埋立面積が五十ヘクタールを超えるか超えないかによって公有水面埋立法の取り扱いが違うことは事実でございますが、先ほども御答弁申し上げましたように、このケースにつきましては、経緯もございましたので県が公有水面埋立法の枠内で行う環境影響調査につきましても環境庁としてやはり助言、指導するということは必要と考えております。その点では今の御指摘の点も含めて事業者である県の調査に私どもとして十分細心の配慮を払いながら助言、指導に努めていきたい、そのように考えております。
  19. 清水澄子

    清水澄子君 私は最後に、環境庁はこれでおさめていきたい、何とか処理したいとお思いになりましても、この問題はそのままおさまらないのではないかと思います。そういう意味でも、私は、世界的に大きな関心を持たれているこの白保サンゴ礁の問題について再度環境庁自身調査をなさることを要求いたします。  そして、環境の最も有効的な保護は予防によって行われるということを私は申し上げておきたいと思います。御見解をお願いいたします。
  20. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 繰り返すようでございますけれども沖縄県が行います調査そのものには細心の留意をもって助言、指導に努めたいと思いますし、また生態系保全について予防的な配慮が必要だということは私どもかねがね留意すべき事柄だと思っておりますので、そのような御要請がありますことは十分念頭に置きながら今後とも県との関係を密接にしていきたいと思っております。
  21. 清水澄子

    清水澄子君 次には大蔵省に、来年度の新石垣空港予算についてお伺いをしたいと思います。  新石垣空港の国家予算は、八四年度より五年連続で執行されない状態が続いていると思います。これは、住民とのコンセンサス、または環境上の配慮を求める世論などについて、大蔵省の見通しが甘かったことによると思われます。  ところで、運輸省は来年度予算の新石垣空港分として三億六千万円を概算要求しておられますが、まだその空港の基本設計もできていないと聞いております。すなわち知事が意思表明されただけの段階で、つまり構想の段階で予算要求が出されておりますが、予算というのは、このように構想だけで要求することができるのかどうか。これは非常に異常な、異例な例ではないかと思いますが、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  22. 小坂英治

    説明員(小坂英治君) 運輸省でございます。  先生指摘の、こういう構想の段階で要求するのはおかしいという話でございます。石垣空港経緯がございまして、この空港の必要性というのは、大方この点については御理解賜るものと思っておりますが、昭和五十五年度から予算措置をしております。用地及び漁業補償費として五十六年度から五十八年度までの間を予算執行したわけでございますが、用地造成費としまして五十九年度から六十三年度までの間、御指摘の今いろいろ話題になっておりますような関係上、予算をお願いしておりましたけれども残念ながら執行できない状態になっております。  沖縄県知事はこの四月にサンゴ論争の終止符を打つということで変更の案が出たわけでございますが、県はこの変更案について早期に建設が進むのではないかということで、今計画の修正に努めているところでございます。  私どもとしては、平成元年度の予算につきましてもその中で動くものと思っておりますし、平成二年度につきましては今の慎重な調査に基づく計画ができてきまして進むのではないかと理解しております。ぜひ御理解賜りたいと思っております。  こういう例が異常ではないかという意味で御指摘がございましたけれども、確かに流れ全体がこういう例は余りございませんで、私どもとしてはこの県の努力に対してぜひ御理解願いたいというふうに考えております。
  23. 林正和

    説明員(林正和君) これまでの予算措置の経緯につきましてはただいま運輸省から御説明がございましたとおりでございます。  なお、平成二年度の予算要求におきまして運輸省から同空港の建設費として三億六千万円要求が来ておりますが、私ども現在予算編成の真っただ中でございますが、新空港の必要性あるいは新位置に係る所要の手続、こうしたものの進捗状況等も十分勘案して適切に対応したいというように考えております。
  24. 清水澄子

    清水澄子君 それでは次に、アスベストについてお尋ねしたいと思います。石綿と呼ぶ場合もございますので御了承ください。  最近、オゾン層を破壊するフロンは今世紀末までに全廃することになりました。二酸化炭素についてもこれ以上はふやさないことになりました。また、さきの衆議院環境委員会で青木元長官は「フロンとアスベストは、物質的には制限しなくちゃならないという点では同じでございますので、アスベスト全般につきましても当然全廃の方向に向かって調査を進めるべきだ」と答弁されております。志賀長官もアスベスト全廃に向けて御努力いただいていると思いますが、全廃に向けた具体的な対策と見通しについてお伺いしたいと思います。
  25. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 御指摘のアスベスト対策につきまして、アスベスト製品等の製造工場におきますアスベストの排出、飛散の防止対策を確実に行う、このために御承知のとおり本年六月二十八日に大気汚染防止法の一部を改正する法律を公布したわけでございます。  この法律によりまして、公布の日から六カ月を超えない範囲内において政令で定める日より実施する、こうなっておりますので、現在、関係省庁と詰めまして政令をつくって日本の中におけるアスベスト製造の工場周辺に対する飛散の防止というものに万全の措置を講じてまいりたい、このように思っております。
  26. 清水澄子

    清水澄子君 私は、まだアスベスト全廃という方向を本当に実行なさるにはとても具体策が乏しいのではないかと思います。例えば、各国がアスベストの輸入を削減しておりますけれども、そういう中で我が国の輸入量だけが増加しているのはなぜなのでしょうか。  私は、まず日本において発がん物質でありますアスベストによる健康障害が今後どう生じてくるのか、環境庁は予測を立てて対策を立てないと関係各省庁に対しても説得力を持たないのではないかと考えます。日本における一人当たりのアスベスト使用量はアメリカの三倍です。また、日本の大気中のアスベスト濃度はアメリカより非常に高いという点です。例えば大気一リットル中の繊維の数は、環境庁が調べられた商業地域のデータにおきましても、日本は平均一・四本、アメリカのデータでは一リットル中〇・〇七八ないし〇・一五本という開きがあります。日本のアスベスト使用の量はアメリカより二十年おくれて急増してきております。  このようなことを考えますときに、我が国でのアスベストによる健康障害はむしろこれから急増してくる可能性が大きいわけですけれども環境庁はその点をどのように認識をしておいでになるでしょうか。
  27. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) アスベストにつきましては、ただいま申し上げましたような法的な措置を講じてまいりたいと思っておるわけでございます。それからまた健康障害、外国との比較等の御指摘がございました。我が国におきましても、アスベストを極力使用を制限するということで現在代替製品の開発というものを急いでおるわけでございます。それからまた、代替製品と申しましてもアスベストと似たような被害が出てくるということも想定されますので、それの安全性というものについても並行的に検討しているという状況でございます。  それからまた、日本の諸種の環境の中での、空気中のファイバーの数ということを御指摘を受けましたが、私どもはWHO等との数値の比較等もいたしまして、現在、法律の数値も定め、また各種のモニタリングの数値というものも注意して見守っている、こういう状況でございます。
  28. 清水澄子

    清水澄子君 今代替品のお話がありましたが、アスベストの全廃に向けての前提条件はやはり代替品の開発だと思います。しかし、我が国における代替品開発は急速に進んでいるわけですけれども、その使用状況は必ずしも拡大していないと言われています。  例えば小型自動車のディスクパットは、一九七九年からアメリカ向けには代替品が使用されていますが、国内向けに使用されるようになったのは一九八六年からであったと思います。ブレーキライニングについては、一九八四年から欧州向け輸出車には代替品が使用されるようになりましたが、国内向けにつきましては一九八七年からであったと思います。代替品の使用を促進するために、代替品のあるものについては使用を禁止するとか代替品を使用した場合には財政補助をするとか、もっと具体的な対策を立てるべきだと思いま すが、通産省の方はどのようにお考えになりますか。  また、アスベスト使用量の八〇%が建材に使用されておりますけれども、そういう関係から建設省はどのようにお考えになっていらっしゃるか、具体的なプランニングをお示しいただきたいと思います。
  29. 鈴木俊夫

    説明員(鈴木俊夫君) 先生の御質問のうちの建設関係につきまして御答弁を申し上げたいと思います。  アスベストの代替品開発に関する考え方の前に、現在私どもが実施しておりますアスベスト対策をちょっと御紹介申し上げたいと思います。  まず一つは、既存建築物に施工されております吹きつけアスベストでございますが、これはアスベストの粉じんが飛散するおそれがあるという御指摘がございますので、吹きつけアスベストの劣化がどのような状況になっているかという診断、あるいは適切に維持、保全する方法、あるいは改修する方法につきまして技術指針をつくりまして、建物の所有者等に講習会等を通じて普及を図っているというのが一つございます。  それから、アスベスト成形建材でございますが、これにつきましては、アスベストが一応安定した状態にあると考えられておりまして私ども今直ちに使用制限をするという必要はないんではないかと考えておりますけれども、関係省庁等とも連絡をとりましてこの健康への影響の今後の知見の集積を待って対処していきたいと考えております。  それから、代替品開発でございますが、極めて重要な問題でございます。これを誘導するために建設省といたしましては平成元年度から、これは私どもの建築研究所とそれから民間の関係団体、関係企業と共同で代替品の性能評価あるいは使用基準の策定を通じてその技術開発を進めていきたいと考えております。  以上でございます。
  30. 清水澄子

    清水澄子君 それでは、次に文部省にお伺いをしたいと思います。  一昨年以来、学校の吹きつけ石綿が社会問題になっております。これは、少量でも石綿繊維を吸い込むと悪性中皮腫などのがんになる可能性があることから考えれば当然のことだと思いますし、吹きつけ石綿は早急に安全確実に撤去されなければならないと思います。  そこで、まず文部省の基本姿勢をお尋ねしたいと思います。  環境庁では既に石綿全廃を目指しておられるという、そういう方向でおられるわけですが、文部省としては、石綿の処理について受け身ではなく教育委員会や大学などを督励されて吹きつけ石綿を早急に安全確実に処理するという積極的な姿勢をお持ちなのかどうかという、この一点です。  そしてまた、これまで石綿を吹きつけた教室で勉強してきた生徒や学生、そしてそこで働いてきた教職員は今後発がんする可能性を持っているわけですが、将来発がんした場合の資料として、どこに石綿が吹きつけられていたのか、その記録を長期にわたって保存しておく必要があると思います。そのための措置が現在とられているのかどうかという点についてもお聞かせいただきたいと思います。
  31. 伊田和身

    説明員(伊田和身君) 文部省でございます。  公立小中学校における吹きつけアスベストの除去状況でございますけれども、文部省におきましては、昭和六十二年度でございますが、全国の小中学校等を対象に吹きつけアスベストの使用状況調査を実施いたしました。この結果を取りまとめておりますが、これによりますと該当する公立小中学校は千三十三校でございました。  アスベスト対策の除去の実施状況でございますが、昭和六十二年度それから昭和六十三年度のいわゆる大規模改修事業と申しますが、大規模改修事業に対する国庫補助事業によりまして四百八十八校の公立小中学校で対策工事が行われたところでございます。これ以外にも国庫補助を受けないで単独でやった事業もございますし、それからほかの事業と一緒に行われたものがございまして、いろいろ調査いたしますと、昭和六十三年度末現在で六十二年度調査のただいま申し上げました保有校のおおむね八割程度は実施している、そういう状況でございます。さらに今年度になりまして、平成元年度でございますが、百八十八校の国庫補助事業の申請がございまして、これに対してすべて対処しているという状況でございます。  このように緊急に措置すべきものにつきましては完了しているということでございますが、文部省といたしましては、今後ともアスベスト対策につきましては所要予算の確保等を行いまして適切に対応してまいりたい、そういう考えでいる次第でございます。  それから、記録等につきましては、ただいま確認はしておりませんが、私どもの方で補助事業として申請がございました学校についてはそれぞれわかるわけでございますが、特に統一的に記録保存、そういうことはしておりませんが、それなりの状況は把握している、そういうことでございます。
  32. 清水澄子

    清水澄子君 記録は、やはりこの発がんは潜伏期間が二十年から四十年と言われておるわけですから、どこの学校でどういう場所でその吹きつけがあったかということはやはりぜひ記録しておく必要があると思います。そのことを私は要求したいと思います。  そして、今、御回答の中で公立小中高校のうち千三十三校とおっしゃった。千三百三十七校は違うんですか。これは、今までの伺っていた数字は、衆議院でも報告されている数字は千三百三十七校であったと思います。  そして、今八割程度はもう措置済みだと、これも今までの答弁で伺っておりました。そして、今百八十八校とおっしゃいましたけれども、この吹きつけられていた面積と、現在どのくらいの面積が処理されたのか。また、処理の方法については、除去、封じ込め、囲い込みという方法があるわけですけれども、この処理方法別の内訳はどうなっているでしょうか、お聞きしたいと思うんです。  と申しますのは、先日アメリカのサンフランシスコ大地震におきまして石綿が非常に飛び散ったということが報道されておりますけれども、封じ込めや囲い込みではこの石綿が残っているということになって、これは問題の解決にならないと思うわけです。これは基本的には撤去しかないと思うわけで、そういう意味でこの処理方法の内訳をお伺いしたいと思うんです。  それから、六十二年の調査のときには教室や体育館、寄宿舎などについて行われましたけれども、給食室とか廊下などは調査対象になっておらないと聞いております。そしてまた、調査時点で確認した吹きつけ石綿のすべての処理の工事の後にまたまた吹きつけ石綿が発見されたというケースが各地で報道されておりました。埼玉県の蓮田市なども終わったという後にまた幾つも出てきているという報告がされておりますけれども、もう一度調査をやり直す必要があるのではないかと思いますが、その点についてはどのようにお考えになりますか。  それからまた、これまで三年間にわたって石綿処理が進められてまいりまして大体は目鼻がついたという御報告ですけれども、この段階で、文部省としてはこれまでの処理状況調査され、そしてその問題点を洗い出して今後の方針を打ち出す必要があるのではないかと思います。そういう意味でも処理方法はどうなっているか、それから吹きつけられているのにまだ調査漏れになっているところはないのか、そういったことも含めて再調査をしていただきたい。そして中間報告にまとめる必要があると思いますが、文部省の御見解を伺いたいと思います。
  33. 伊田和身

    説明員(伊田和身君) いろいろ御質問がたくさんありましたので全体にお答えになるかどうか、努力したいと思いますが、最初に数字の問題でございます。  千三十三校と私申し上げましたのは、六十二年度実施の調査で小学校、中学校のトータルで申し 上げました。そのほかに細かく申し上げますと、高等学校とか特殊教育諸学校とか幼稚園とかいろいろありますが、それにつきましても当時の調査では入っておりまして、先ほど申し上げましたのは公立の小中学校に限って申し上げましたのでそういう数字になったと思います。高等学校を加えるとほぼそういう、ここに内訳がございますが、今ちょっと計算ができませんので勘弁願いたいのですけれども、ほぼ先ほどおっしゃいました千三百三十七校になるだろうと思います。  それから、工法の問題でございますが、アスベスト対策といたしまして現在公立の小中学校で行われております工法でございますけれども、大きく三つの方法でやっております。一つは除去する方法と、それから薬液等による封じ込めの方法と、それから二重天井等による囲い込みの方法とありますが、私どもの方で掌握しております、いわゆる国の補助を受けまして改修するものについて取りまとめておりますが、その内訳を見ますと、約八割、八〇%のものが除去をするという方法でございまして、封じ込めないしは囲い込みはそれぞれ一割程度ということでございます。具体的な改修方法の選定の問題もございますが、この選定につきましては、関係省庁の通知等を参考にいたしましてそれぞれ専門の立場から出ております通知、指針等を参考にいたしまして、吹きつけアスベストの劣化の状況や学校の実情等に応じまして設置者におきまして適切に判断されますように、私どもといたしましては各県の教育委員会の担当の課長会議等におきましてその趣旨を徹底しているところでございます。  それから、調査の細かい中身といたしまして、当時の使用状況調査によりますと、先生指摘がありましたように、私ども調査では普通教室、特別教室、それから屋内運動場、寄宿舎、そういうものについて細かく内容的には調査したわけでございまして、その他の例えば廊下はどうかということになりますと、その当時入ってなかったのは事実でございますが、それにつきましては、その調査以降、先ほど申し上げましたようにいろいろな形で都道府県の教育委員会指導しております。吹きつけアスベストにつきましては、先ほど対策工事を各設置者の方で調査してやっていらっしゃるわけでございまして、それによって相当数のものが対処されている、そういう状況でございます。  今後再調査をして検討すべきではないかというお話でございますが、現状におきましては、いわゆる国の対応といたしましては大規模な改修事業を、一定の補助制限がございますが、アスベスト対策工事につきましてはそういう制限を緩和いたしまして予算的にも計画があれば優先的に対応するという構えでやっておりまして、いろいろな形で教育委員会との協議の場はあるわけでございますけれども、私どもとしては積極的に対応していただくようにお願いしている次第でございまして、現在のところでは調査まで考えていないので、そういうように御理解いただきたいと思う次第でございます。
  34. 清水澄子

    清水澄子君 中間報告をお出しになる予定はありませんか。
  35. 伊田和身

    説明員(伊田和身君) 中間報告は今のところはちょっと、どういう形でどういう趣旨でかちょっとわかりませんので、現時点では突然の御質問でもございましたしお答えはできませんが、今のところは考えは持っていないということでございます。
  36. 清水澄子

    清水澄子君 それはやっぱりまとめてぜひ報告をしていただきたいと思います。  今、予算の執行につきましても、これは国家的な予算で非常に優先して進めておるというお話がありました。しかし、その補助金は、これは文部省が出しておられるわけですけれども、それであるならば、その処理工事が本当に安全、確実に行われたかどうか、予算が適正に使われているかどうかということに関する非常に重要な問題だと思いますので、文部省としては、この処理工事が本当に安全、確実に行われたかどうか、その点は確認をしておいでになっておられるでしょうか。いかがでしょう。  そしてまた、もう一つ私はお願いをしておきたいのですが、どの学校のどこに使用されていたかというのが全然父母にも子供にもわからない、やはり本当に市民の健康を守るという立場に立ったとき使用学校名とか使用箇所を、これは市民に明らかにすべきだと思いますが、私はぜひそれを資料提出していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  37. 伊田和身

    説明員(伊田和身君) 予算の関係で国庫補助事業でもって改修工事をした場合の、何といいますか、処理方法の指導とかそれから最終的に安全に行われたかどうかについての話でございますけれども、私どもといたしましては、処理方法等につきましていろいろな形で関係各省から専門的な立場から成果が出ているわけでございまして、そういう指針とかそういうものをきちんと指導、徹底させるように努めているところでございます。  それから、補助事業の申請がございました場合には、ただ単に金額的な問題だけではなくて、どういうぐあいに工事が実施されるかという内容的な面につきましても審査することになっておりますので、そういうことを通じまして安全に施工されるように指導していきたい、そういうように考えております。
  38. 清水澄子

    清水澄子君 次に、私立学校の場合ですけれども、公立と私立に格差があってはならないと思うわけです。もう既にさきの環境委員会でもことし三カ年計画で撤去、改修の予定に四億五百万円の計上をしているという答弁もされておりますけれども、現在、私立の小中学校及び大学に対してどのような処理の状況になっているか、そしてそのためにどれほどの予算をお使いになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  39. 西口千秋

    説明員(西口千秋君) 私立学校につきましてのお尋ねでございますが、私立学校におきますアスベストの使用状況は、昭和六十三年の五月に調査を行いまして、約二千百校のうち二百六十四校の校舎にアスベストが使われております。  文部省としましては、学校施設等に使用されているアスベストによる健康被害が懸念されている状況から、平成元年度、新たに私立高等学校等の施設に使用されておりますアスベストの撤去あるいは改修工事に対する時限的な緊急対策といたしまして、当該工事に要する経費の一部を補助するということで四億五百四十万八千円を計上して、申請に基づきまして撤去、改修を進めているところでございます。
  40. 清水澄子

    清水澄子君 次に、国立学校関係ですけれども、さきの衆議院の環境委員会では、国立学校のうち百二校には約三十万平米の石綿が吹きつけられている、だから非常に緊急度の高いところから処理したいと述べておられ、先ほども御回答があったわけですけれども、第一、現在までの処理面積というのは一体どの程度あったものなのかということをお聞きしたいと思うんです。  そして第二番目に、公立の小中学校については五月の段階で既に八割が処置済みであったわけですが、国立学校といった場合に大部分は国立大学であろうと思うわけです。大学生ともなりますとたばこを吸う方も多く、たばこを吸った上にアスベストを吸いますと発がん率は五十倍になると言われております。大学で働いている教職員も多いわけです。ですから早急に大学に対しても石綿処理を進める必要があると思うわけですが、国立学校については何年計画でいつまでに処理するおつもりでございましょうか。  それから第三番目、今の問題と関係しますが、例えば東京大学でも京都大学でも石綿処理の予算というのはほとんどついていないと伺っております。いろいろ予算をやりくりして処理をしているために研究費にまで支障を来しているという話も聞いております。どうも文部省の足元の大学関係が一番対策がおくれているのではないでしょうか。新聞などでは文部省は国立学校の石綿処理に約六十億円必要と試算しているというふうに報道されておりますが、これまでに国立学校の石綿処 理予算はどのくらい計上されているのでしょうか。そして、文部省は国立学校についても石綿処理予算は優先的につけると言っていたわけですけれども、現在は実際はどうなっているかということをお聞きしたいと思います。
  41. 西口千秋

    説明員(西口千秋君) 国立大学につきましては、全体の施設数で申しますと百六十六機関あるわけでございますが、そのうちの百二の機関について吹きつけアスベストが使用されているという状況でございます。ですから、おおねむ六割の施設ということでございます。  なお、面積的に申しますと、私ども保有しております建物全体で約千八百万平方メーターあるわけでございますが、そのうちの三十万平方メーター、パーセントで申しますと一・六%というものに吹きつけアスベストが使われております。  これの処理につきましては、昭和六十二年度、六十三年度におきまして百二の部局のうち六十一の部局につきまして緊急度の高いところから除去あるいは封じ込め等をやっております。また、平成元年度につきましては二十八の施設で対応を図っているところでございます。面積的には三十万平米ということでございますので、おおむね平米二万円の処理費というふうに考えますと六十億になるわけでございますが、私どもといたしましてはおおむね五カ年程度で処理をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、先ほど大きな大学につきましてなかなか予算の配分がないので研究費等でやりくりをしているというお話がございましたが、現実にはそういう形での処理はしておりませんので、私ども施設整備費の中で処理費は出しておるということでございます。
  42. 清水澄子

    清水澄子君 この辺はもっと私は事実を知っているわけですが、きょうはちょっと時間がありませんので次に飛ばしたいと思います。  そこで、例えば東大などでも平均になっている一平米当たり二万ないし三万円の処理費、そういう単価が高過ぎる。最近は一万円を切って業者のダンピングが起きていると言われるほど非常に工事に当たってもずさんな状況が起きているわけですけれども、そういう点も非常に健康被害に対しては大きな問題があるわけですし、それから処理工事の監督体制につきましても非常にたくさん問題があるわけです。しかし、きょうはもう時間がありませんので、それはまた次に移したいと思います。  そこで次に、今度は市民の立場からアスベスト製品の表示についてお伺いしたいわけです。  欧米ではアスベスト含有率一%を超えるものをアスベスト製品と呼んでおりますが、日本の場合は五%を超えるものをアスベスト製品と呼んでおりますね。私たち市民が石綿製品の使用実態を知りたいと思っても、日本でこの製品の法律的な石綿の表示が義務づけられておりますのは労働安全衛生法とその施行令並びに施行規則であると思うわけです。ですから、なぜこういう五%に決まったのか。  それから、今、建材だけには国際的なアスベストのマークが刻印されておりますけれども、五%以下の製品は依然として不明です。しかし、例えば建設省の方や通産省の方は、それは建材だから一般の人たちとは関係がないとおっしゃるんですが、建材というのは私たちが住んでいる毎日の生活の中ですし、それから先ほど公立学校のアスベストの撤去はありましたけれども、一般の民間のところはこれまで使われたものについて何ら手が打てないという状況にあるわけです。ですから、私は、ここで一%以上五%までの製品においても何にこれが含まれているのかということを市民は知る権利があると思いますが、通産省並びに環境庁はその点についてこれらを表示することについてどのようにお考えになりますか。
  43. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 申しわけないんですけれども、通産省とちょっと連絡をとりまして表示について後刻また御報告させていただきます。
  44. 清水澄子

    清水澄子君 他の厚生省とかいろいろ――来ていないんですか。  それでは次に、今、学校のこともいろいろ聞いてまいりましたけれども、どこの学校で使われているのかということがほとんど市民には公表されていません。そしてまた、石綿製品の製造工場についても公表されておらないために、地域住民は健康への影響を予防する、チェックする、そういうチャンスを持つことができません。  最近、熊本県の松橋町の石綿旧採掘場周辺に住む五十歳以上の住民の健診で四一・五%に当たる百四十八人に石綿の吸引が原因と見られる胸膜の病変が見つかったことは新聞報道でも御存じのことと思います。この調査に当たられました横山邦彦先生は、これをチャンスに全国の旧石綿鉱山の周辺住民の健康調査を集中的に行う必要があると指摘されておりますが、環境庁はこれらの環境調査を実施する考えはございませんか。そしてまた、その結果を私は公開していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。  なお、これに関連いたしまして、現在環境庁ではモニタリングを行っておられると思いますけれども、アスベスト濃度が高いと思われる蛇紋岩地層のある地名を公開していただきたいと思います。いかがでしょう。
  45. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) 昨年の夏に熊本県の松橋町で老人保健法に基づく健診中に胸膜病変の方が数多く見つかったという事実は御指摘のとおりでございまして、現在、熊本県におきましていろいろ調査が継続されております。その結果によりますと、現在の胸膜病変というのは、自覚症状がなくて日常生活上も特段の問題はないという専門家の御判断と聞いております。  また、この松橋町以外に全国的にこのようなケースがあるかということにつきましては、私どもまだそういう他の報告例を受け取ってはいないところでございます。  現在、我が国におきましては結核の住民健診でございますとかあるいは老人保健法に基づきます健診が相当広範囲に行われているわけでございますので、今回もこの松橋町の件につきましても老人保健法の検査で見つかったということでございまして、このように日本では胸のレントゲン検査の体制が十分にできておりますので、その辺のところからこういう問題が起こった地域からは情報が集まってくるだろう、そのように判断をいたしておりまして、今ここで改めまして全国的な健康調査を実施するということは考えておりません。しかしながら、十分にいろいろな方面からの健康にかかわる情報、また地域情報も集めまして、問題がないかどうかということにつきましては十分なチェックを進めてまいりたいと思っております。
  46. 清水澄子

    清水澄子君 非常に残念なお答えばかりで、こちらがもっと質問できないのは残念なんですけれども、そしてアスベスト廃棄物というものも、法的にも有害廃棄物としては指定されていないわけです。建設廃材としての処理が許されているわけですし、その行方も余り定かではないという状況がいっぱいあるわけですが、これらの点についても、ちょっときょうは時間がありませんので次に回したいと思います。  そこで、私は、こういう有害物質についてはやはり情報公開制度が必要なのではないだろうかというふうに考えますので、その点について御意見を伺いたいと思うわけです。  スウェーデンやアメリカなどでは有害物質に関する情報公開の努力が非常に積極的に行われております。例えばアメリカでは、一九八〇年代に入りまして労働者の知る権利法並びに市民の知る権利法が制定されました。そして有害物質にかかわる情報公開制度が確立されたのは御存じだと思います。アメリカでは、こういう制度をつくるに当たりましては、実は一九六七年には行政の持つ情報を公開するという情報自由法が施行されております。しかし、この制度だけでは行政企業が取り扱っている有害物質の情報が十分に集められない。そういうことから、労働者、市民の知る権利法を制定されたと私たちは聞いております。つまり有害物質を取り扱う施設や工場、そういうもの に対しては有害物質の健康影響を初め、必要な情報を国及び地方自治体に報告する義務づけをする、そういう法律が私は必要ではないかと思うわけです。  そこで、日本でも今日たくさんのこういう有害物質が非常にはんらんするようになったわけですので、そういう有害物質には健康被害を予防するために一日も早くこういう情報公開制度を確立する、そして国民の知る権利法の新設というものを私は進めなきゃならないと思うんですが、特に環境庁長官としてはこれはどのようにお考えになりますか。このことを一点。  もう時間が参りましたので、もう一つだけ最後にお伺いしたいと思います。  それは、環境庁長官もアスベストについてはやはり全廃の方向と言われておるわけですから、そのためにはやはりやめるような法律と行政指導体制を整備されなければならないと思うわけです。これまで質問しながら感じていたわけですけれども、アスベストのような緊急性を要する有害物質から国民の健康被害を防ごうという場合には現行規制のような縦割り行政では絶対に不可能だと思います。例えば、採掘は通産商、そして加工や製造は建設省とか労働省、そして労働面ではまた労働省、廃棄は厚生省そしてまた環境庁というように、実にばらばらな縦割り行政になっております。これでは迅速で首尾一貫した規制は望めないと思います。したがいまして、各省庁の規制を総括的に指揮できる権限を持った省庁が必要ではないか、そういう法律が必要ではないか。その省庁は環境庁だと思いますが、それはどのようにお考えになりますか。そのためにも、アスベストを全廃するそういう法律が必要だと思います。そして、スウェーデンやアメリカでもアスベスト被害を非常に重大に見てその使用禁止の措置をとっておりますけれども日本でも少なくとも二〇〇〇年までにはアスベストの使用を禁止するアスベスト規制法を制定すべきだと考えます。  こういう点について長官のお答えを伺って、終わりたいと思います。
  47. 志賀節

    国務大臣志賀節君) いろいろ御質問が多岐にわたっておりますので、順を追って申し上げたいと思います。  環境庁におきましては、化学物質等による環境汚染の状況を把握するために各種の環境調査を実施しておることは前にお答えをいたしましたとおりでございますが、調査結果につきましては、その都度環境庁といたしましては公表をいたしております。これはプレスに会見の際お伝えするとか、あるいはまた環境白書の方にもこれは出ておりますし、それからもう一つ、雑誌の「化学物質と環境」というのがございますが、これにも出ておるわけでございます。なお、このことにさらに御関心を持ってお問い合わせがある向きには、環境庁としてはそれにお答えできるような印刷物を用意してございます。そのような形でこの御要望にはおこたえをいたしておる次第でございます。  今後ともこの化学物質等による環境汚染に関する環境調査の充実を図って関係各方面に対して情報の提供を行いますとともに、環境汚染の未然防止に関する総合的な対策を推進してまいる所存でございます。  それから、縦割り行政についてのお話でございますが、これを取り扱います官庁といたしましては総務庁があるわけでございます。私ども環境庁が率先して縦割りをほぐして新たな秩序をつくることはできないことでございますので、これは政府あるいは国会一体となっていろいろ御審議をいただいてやらなきゃいかぬことだと思いますが、それの直接の官庁は総務庁かと思います。ただ、お話しのようなアスベスト問題に焦点を合わせれば、清水先生のようなお考えはまことにそのようなことになろうかとも思うのでございますが、このことだけではなしに、行政は万般にわたっておりますから、こちら立てればあちら立たず、あちら立てればこちら立たずになってもなかなか厄介でございます。そこで、これらの問題は時間をかけまして、そして慎重にすべてが大体納得のいくような線でやらせていただかなければいけないのではないかなということを考えておる次第でございます。  それから、もう一度アスベストについて申し上げますと、多方面で使用されている物質でございますから、関係業界、関係省庁は多岐にわたっており、関係業界、関係省庁が一体となってさしあたってはこれの対策に取り組まなきゃいかぬ、こう考えております。  環境庁においては、これまで関係業界あるいは関係省庁に対し各種調査結果に基づきアスベストの排出抑制について要請を重ねるとともに、関係省庁で連絡会議を設けて情報交換を行うなど、アスベスト対策が全体として適切に推進されるよう努めているところでございます。  このアスベストの使用禁止等をめぐる法律につきましては、なお今後、ただいま申し上げましたようなこと等も踏まえて慎重に検討して決めてまいりたい、かように考えます。
  48. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 篠崎でございます。初めてですのでよろしくお願いを申し上げます。  私は、初めに酸性雨、酸性霧の問題についてお尋ねをいたしたいと思いますが、まず初めに、環境庁長官環境行政につきまして大変高い識見を持って取り組んでおられますことに敬意を表したいと思います。  さて、先般オランダで六十九カ国の環境大臣が集まって開かれました大気汚染と気候変動に関する閣僚会議に出席されたと承っておりますが、先ほど清水委員の方からもお話がありましたように、今や環境問題はそれぞれの国の足元を見詰めるだけでなく、地球規模で考えていかなければならない大変大きな問題であろうかと思います。その会議の中で特に問題となりましたのはどういう点だったでしょうか。そして御出席の御感想も含めてお答えいただきたいと思います。御意見を承りたいと思います。
  49. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 確かに私は会議に出席させていただきまして、日本政府の代表としての立場で臨ましていただきました。  私が印象的でございましたのは、やはり日本が注目をされているということでございました。特に、私が席に着いておりますと、もちろん日本も含めてでございますが、各国のテレビとかカメラの放列が、例えば初日はベアトリックス女王に集中いたしますが、しかしそれほどであるかどうかは別といたしまして、アメリカ、オランダあるいは私ども日本に集中するというような状況がございまして、確かにこれは注目をされている、関心を引いておるんだなという印象を強く持ちました。そのことは、ただ単に私どもがそういうことで注目をされていること以外あるいは以上に、この人類の将来の大問題というものに対する諸外国のスタンスがそういうところにあるのかなということで私は非常に強い印象を持たしていただいたわけでございます。  それから、この会議で問題になりましたことは、会議が開かれる以前から実は底流として問題になっていた点であると私は理解をいたしております。それは、二酸化炭素の発生につきまして世界各国が必ずしも利害の一致を見ない。そのために、この会議の取りまとめに当たる宣言が果たして成立するかどうかということにあったわけでございます。  その利害が一致しないというのは、いわば世界の経済成長、経済発展というものを一方に踏まえながら、同時に人類の前途に暗雲をたなびかしてはいけない、こういう二つを一つにしなきゃいかぬことであったと思うのでございますが、経済成長にやはり頭がいく国と、それから経済成長は度外視してもこのCO2すなわち二酸化炭素の排出抑制に頭がいく国と二つあったというふうに私は理解をするわけでございます。  しかし、さればといって、今お話しいたしましたそれぞれが、しからば経済成長だけで地球環境を無視するのかというとそうではない。また片方は、地球環境だけで経済成長を無視するのかというとそうではない。そういう関係にございました から、この二つながらある国々がやはり一つの合流点を見出し得るのではなかろうかというところに着目をいたしまして、日本が積極的にイニシアチブをとりましてその両者の間に建設的で中間的な案を出しまして、その結果、両者がそれぞれに歩み寄ることによって宣言文が可能になったわけでございます。両論併記の宣言なぞというものは想像もつかないことでございますから、当然一本化して初めて宣言が可能になった、こう私は理解をいたしております。  この二つが一つにもしならなかったならばどうであろうかということを考えますと、いささか肌にアワを生ずるのでございます。もし、この七十カ国になんなんとする国々の環境相当大臣が一堂に会しあるいは十一の国際的な機関の長が一堂に会したこの未曾有のいわば画期的な会議が二つに割れたまま閉幕をするというようなことがあったならば、その後の国際政治に与えた悪影響ははかり知れないものがあったと思うのであります。そういう点から、私は、この二つながらの国々が、二つに割れている意見の国々がともかく合意を目指したという、いわばこの底流は人類愛であったかと思うのでありますが、そういうことに対しても私は深い印象を得た、こういうことでございます。  その他細かいことはたくさんございますが、重立ったところを申し上げさせていただくと以上のような次第でございます。
  50. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 大変高邁な御意見をいただきまして、私も、環境庁としては今後そういう方向に向かって大いに頑張っていただきたいと思います。  特に長官が、これは新聞で見たところでございますけれども、今回の本宣言を一つの契機として、今後地球の温暖化防止のための枠組み条約ができる限り早期に締結され、実施されることを願う、同時に、日本は積極的に参加、貢献すると言われましたので、今後の環境庁行政の中にそれをぜひ生かしていただきたいと思うわけでございます。  そこで、今地球規模の中で考えていかなければならない問題の一つとして酸性雨、酸性霧のことについてお尋ねをいたしたいと思います。  環境庁では、昭和五十八年度から五カ年計画で第一次酸性雨対策調査を実施されまして、本年八月にその結果をまとめられたようですけれども、その概要と、それからその調査の中で問題点となりましたのはどのようなことだったでしょうかということについてお尋ねをいたしたいと思います。
  51. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 環境庁では昭和五十八年度から六十二年度にかけまして第一次の酸性雨対策調査を実施しております。  調査対象は全国十四都道府県、二十九地点を選定いたしまして、全国的な状況がわかるような調査をしたわけでございますが、調査の中で酸性雨の成分分析を行いました結果、多くの地点で欧米や北米と同水準の、年平均値で申し上げまして、水素イオン濃度pH四台の降水及び酸性の降下物量が観測されております。  降雨につきましては、各地点のpHの年平均値が四・四から五・五の範囲内にございまして、地域的には北海道、東北の各地点に比べ西日本の一部で低い傾向にあるものの、顕著な差は認められておりません。  一方、湖沼につきまして、pHで五・五以下のいわゆる酸性湖沼の存在が認められておりますが、これは火山でございますとか鉱山の影響で既に酸性化しておるものと考えられまして、酸性雨の影響のためとは認められておりません。  また、土壌につきまして、この五年間経年調査をしたわけでございますが、水素イオン濃度が低下する傾向は見られなく、酸性雨の影響を受けている湖沼や土壌は現時点では確認をされていないという状況でございます。  この調査期間前後を通じまして、森林への影響につきましての情報収集も行ったわけでございます。関東地域におきまして杉枯れ現象が一部報告をされ、酸性雨によるものではないかという御指摘もあったわけでございますが、酸性雨との関連については明確な結論が得られていないという状況でございます。  これらの結果から、我が国に降ります酸性雨の生態系への影響といいますのは、現時点では顕在化していないというふうにとりあえず認識をしております。しかし、広範囲に酸性雨が日本でも降っておりますので、日本湖沼の中には酸性雨の影響を受けやすいと見られる湖沼も一部見られますので、酸性雨の発生のメカニズム、あるいは被害の兆候があるかどうか慎重に観測を続け、調査研究も進めなければならない、こういうように考えております。
  52. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 ただいま大体の傾向について御答弁いただきましたけれども、御答弁の中で、特に湖沼に対します酸性雨の影響とかあるいは土壌に対する影響は今のところ少ない、あるいは原因がほかのことだろう、例えば火山からの流出物とかそういうことじゃないかと思いますけれども、しかし、今後長い目で見ていきますと、今はそれがあらわれていなくても先々これがあらわれてくるんではないだろうかというおそれは十分にあるのではないだろうかと思います。  特に我が国におきましては、昭和四十八年ごろに一回、夏場に関東地方の一帯で、あるいは山梨県、静岡県でしょうか、そういうところで雨や雨水によりまして目や皮膚を刺激されたり痛みを感じたりしたということで、それは一過性のものではないだろうかということでしたけれども、こういうことがありまして環境庁の方でも調査を始められたと思いますが、イギリスにおきましては、一八五二年ごろに既にマンチェスターで酸性雨の現象が起こっていて織物の退色とかあるいは金属の腐食が起こっているということですし、その後、一九六八年ごろには酸性雨の原因が硫黄酸化物や窒素酸化物であったということがだんだん明らかになっているようでございます。  こう考えてまいりますと、これから先このメカニズムの究明ということはなされなければいけないんですが、そういったような硫黄酸化物あるいは窒素酸化物が空中に浮遊している、それが雨や霧になって影響を受けているということになってまいりますと、その原因はやはり産業活動にあるのではないだろうかというふうに思いますが、その点についての御意見いかがでしょうか。
  53. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 酸性雨は、工場やあるいは自動車から排出されます硫黄酸化物あるいは窒素酸化物が空中で酸化をされまして、それが雨水に取り込まれて酸性雨という形で降下してくるというように考えております。したがいまして、大もとの原因ということになりますと、工場あるいは自動車等活動全般によります排気ガス起因というふうに考えております。
  54. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 それに伴いまして、今調査結果によりますと、特に日本海側であるいは西の方にその影響があらわれているということですが、私は長崎県出身でございますので、先般調査結果を見ておりましたら、長崎県の大村市での調査がpHで四・七か四・五ぐらいだったと思われます。長崎県は工業も大分発達はしておりますけれども、大村という地区にそれほどに大きな影響を与えるという工場は少ないんじゃないだろうかと思います。その原因はどこにあるのかということでいろいろ考えなければならない問題じゃないかと思います。  また、今回、十一月の中ごろでしたか、各新聞の発表によりますと、国立公害研究所などの研究者の方々が川崎市で開かれた大気汚染学会で、工場の煙や自動車の排ガスなどの汚染物質を取り込んで強い酸性になった酸性霧が日本各地で発生をしているということを発表されております。これは、雨と違いまして霧の状態で参りますので、特にこれは植物を枯死させる原因になっていくのではないだろうか、付着性が強いのではないだろうかと思うわけでございます。  これも先日新聞で見たところでございますが、群馬県の赤城山系で南斜面の標高千メートルから千四百メートルにかけてシラカバの枯死が集中し ている、あるいは神奈川県の丹沢山地でもモミが枯れ始めているという報道がなされておりますが、環境庁としてはこういうことについてお調べになっていらっしゃいますでしょうか。
  55. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 現在、昭和六十三年度から第二次の酸性雨対策調査に入っておりまして、その中でただいま御指摘のございましたような報告あるいは研究者の御意見等も検討しながら調査を進めているところでございます。
  56. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 それからまた、冬季に日本海側に特に酸性雨の傾向が大変多いということで、この日本海側のそういったようなことが多くなってきているということについては、日本の国内だけではなく、周辺隣国からの影響考えられるのではないかと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  57. 小林康彦

    説明員(小林康彦君) 第一次酸性雨対策調査の概要を見ますと、大陸からの季節風が卓越します冬季に日本海側で酸性物質の降下量が多いというデータがございますが、現段階ではそれが大陸の影響によるものかどうか明らかになっておりません。
  58. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 水の汚染もそうだと思いますけれども、こういったような空気の汚染につきましては、特に広い地域にわたりますし、隣国との関係もいろいろあるかと思います。私は、これから先日本の国がなすべきことは、今まで日本が培ってまいりました知識や技術をそのほかの国々にも役立たせるような方法でもって援助をしていく、そういうことが何か考えられなければならないんじゃないだろうかと思います。  一遍破壊された生態系はなかなかもとに戻ることは難しい。たとえそれをもとに戻そうとしても、そこに汚された期間の何十倍も何百倍もかかるのではないだろうか。そういうことを考えますときに、先ほど長官も、閣僚会議の中で日本大変注目をされている、そこでこれから先日本のやらなければならないことについて非常に大きな責任があると、こういうふうにお感じになってお帰りになったようでございますので、そのことをこれから先の環境行政の中に大いに努力をして進めていっていただきたいと思います。  次に、閉鎖性水域水質保全についてお尋ねをいたしたいと思います。  特に私は、湖とか沼あるいは閉鎖性の強い湾等につきまして、やはりまだ水質保全が十分なされていないのではないかと思うわけでございますが、昭和五十九年七月に湖沼水質保全特別措置法が制定をされまして、続いて十二月に湖沼水質保全基本方針が制定をされているわけでございます。  私は、質問に当たりましてちょっとこれを読んでおりましたら、私がかねて思っておりますようなことがこの基本構想の中に書かれておりました。くどいようでございますけれども、ちょっと読み上げさせていただきたいと思います。  「湖沼は、古来人々の生活と生産活動を支えてきたかけがえのない国民的資産である。」。途中抜きまして、水資源あるいは水産資源、レクリエーションの場、あるいは治水、あるいは学術上にも非常に価値が高い。一方、閉鎖的なので汚濁が進みやすく、一たん汚濁するとその改善は容易ではない。その原因は、諸産業の事業活動から人々の日常生活まで多岐にわたるものだから、それぞれの汚濁原因に対応した各種対策を組み合わせて、総合的にその推進を図ることが肝要である。このように書いてございまして、私もまさにそのとおりだと思うわけでございます。  そこでお尋ねいたしたいと思います。  湾を含めまして閉鎖性水域の汚染の状況、特に汚染が非常に進んでいるところはどういう沼あるいは湾があるのかということ、それから、それに対しまして環境庁として今までとってこられました対策お尋ねいたしたいと思います。
  59. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 我が国の水質状況でございますけれども、これを生活環境項目でございますCOD、BODで見ますと、環境基準が未達成の水域の割合が、全国的に平均して見ますと三割が未達成であるというような状況でございます。中でも、先生指摘がございました閉鎖性の性格がございます湖沼でございますとか、あるいは東京湾その他の閉鎖性海域におきましてはこの達成率がさらに低くなってしまうというような状況でございます。  例えば、全国平均的には達成率は七割と申し上げましたけれども湖沼で申し上げますと、一番達成率が悪いと申しますか、ワーストとなっておりますのは千葉県の手賀沼でございます。海域で申しますと、東京湾というのは達成率が悪いということで、達成率は六三%ということになっているわけでございます。閉鎖性が高まれば高まるほどやはり水の循環が悪くなってしまっているわけでございます。  私どもといたしましては、先生指摘になりましたように、湖沼水質保全特別措置法に基づきまして汚濁の著しい湖沼につきまして指定湖沼指定いたしまして計画をつくっていただいて、その計画に基づきまして各種の対策を集中するというような政策もとっているわけでございます。  それから、海域につきましては、閉鎖性が高い東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等につきましては総量規制ということで、濃度規制にさらにかぶせまして汚濁の総量を規制するという対策昭和五十三年以来とってきているわけでございます。しかしながら、そういった閉鎖性水域につきましては、人口の集中その他の社会的条件もございましてなかなか思うように進んでいないというのが実情でございます。  私どもといたしましては、基本的には、そういったところに対します対策といたしましては、下水道の整備というのが一番抜本的な解決策だというふうに考えているわけでございますが、一度にこの下水道の整備率を高めるというのもなかなか難しゅうございますので、地域の特性に応じまして必ずしも下水道が適さないようなところにつきましては各種の排水処理施設というようなものの整備も進めていただくということでございます。  それから、さらに汚濁の原因といたしまして、必ずしも産業系の排水だけが原因ではなくて生活系の排水、雑排水でございますが、これが汚濁の原因の主要な部分を占めているというような現状でもございますので、こういった生活雑排水対策というようなものに対します施策も充実していかなければならないということで検討を進めているところでございます。
  60. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 今御答弁いただきましたように、産業からの有害物質の排出ということにつきましては水質汚濁防止法等でかなり規制はされていると思いますが、今大変問題になってきておりますのはやはり生活雑排水の問題ではないだろうかと思っております。  私、長崎県でございまして、長崎県に大村湾というところがございます。ここは大変閉鎖性の強いところでございますが、県議会におりましたときにこの水質保全の問題について取り組んでまいりましたが、そのときにもやはり七割が雑排水からの汚染ではないだろうか、そういうふうに言われておりますので、特にこの問題については、これは一つの地域だけではなく、全国的にも考えていかなければならない大変大切な問題だろうと思っております。  特に都市内の中小河川とか、あるいは先ほどお話がありましたように手賀沼とか印旛沼とか、あるいは諏訪湖とか琵琶湖とか、こういうふうに近くに工場がありあるいは住宅が密集してきているそういう地域、あるいは東京湾等におきましてもそうだと思いますけれども、特に住宅が非常に多くなってきているところでは生活雑排水をどういうふうにしてBOD、CODを少なくしていくかということは大変大切な問題だと思います。  今お話がありましたように、まず第一は下水道を整備することだと思いますが、今下水道の整備につきましては非常に進展が遅いと申しますか、伸び率が低いのではないかと思います。私が調べましたところでは、今大体四〇%ぐらい、前年度で三九%かなというふうに言われております。そう見ますと、わずかに年に一%内外伸びているかどうかということ、地方自治体にとりましては下 水道の布設ということは財政的に大変大きな負担を伴ってまいりますので、そう簡単にいかないのではないだろうか。  そこでいろいろ考えられることは、近隣の二十軒あるいは三十軒ぐらいの家々が集まったところに合併浄化槽ですか、そういったような設備を整えていくと幾らかでもこれを下げることができるのではないだろうかと思いますが、この点につきましてはこれは環境庁でよろしいですか、御説明いただきたいと思います。
  61. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 基本的には下水道の整備を進めるということが生活雑排水対策の重要なポイントになろうかと思うわけでございますが、先生指摘のように下水道、ただいま人口比率で申しまして普及率が四〇%程度でございます。ただ、これは非常に事業費のかかるものでございまして、毎年二兆数千億円の金をつぎ込んでいるわけでございますけれども、人口比率で申しますと一・五%程度普及率が上がるという程度になっているわけでございます。ただ一・五%と申しましても、これはもう二百万人ぐらいになるわけでございます。かなりの進捗率ではございますが、総体的に見ますと遅いように見えるというわけでございます。  ではそうしたギャップを埋めるために下水道が来るまで手をこまぬいていくということは許されないことでございまして、やはり下水道が来るまでの間、あるいは下水道が必ずしも適さないような地域につきましては、その他の処理というようなことも考えていかなければならないということでございまして、コミュニテーィープラントでございますとか農業集落排水処理施設でございますとか、あるいはそういったものではない個別の合併処理浄化槽といったものも地域によりましては重要な排水対策になるのではないかというふうに考えるわけでございます。  さらに、やはり生活雑排水対策といたしましては、個々の家庭からの排水という特性から申しまして、家庭を預かっていらっしゃる主婦の方々に対しまして台所のごみを水に流してしまうというようなことではなくて、ごみと生活雑排水とを分離してきれいな形で出していただくようなPRもさせていただく必要があるのではないかというふうに考えているところでございます。
  62. 篠崎年子

    ○篠崎年子君 最後になりますけれども、私、去る九月の二十三日でしたか、NHKの総合テレビを見ておりましたら「湖はよみがえるか」という、たしかそういう名前の番組だったと思いますがございまして、西ドイツのキーム湖というところでやっぱり排水を閉鎖性の強い湖の中に流し込まないようにするためにどうしたらよいかということでいろいろ研究をした結果、環状下水道と申しましょうか、湖の周りをずっと下水道をつくって取り囲みまして、それを下流の方に処理場をつくって流していく、そういうことで湖がよみがえっていっているということが報道されておりました。  日本でも今、湖の汚染ということを防ぐためにこういうふうな方法をとるといいんじゃないかというふうに思って見ておりましたけれども、しかしそうなってまいりますと、まず第一に考えられるのは、やはり下水道の管を長く延ばしていかなければなりません。地方自治体にとりましては、これは大きな負担になっていくかと思うわけです。特にこれから先、自治体にとりましても財政的な負担ということではなかなかおいそれと応じるということもできないかと思います。こういうときにこそやはり環境庁が主導権を持たれまして、他の省庁とともに、先ほど申しましたけれども、湖あるいは湾にしましてもそうですが、国民にとってかけがえのない資源を守るために少々のお金を惜しまない、あるいは強い主導権を持ってその対策を講じられるべきではないだろうかと思いますが、環境庁長官の御所見をお承りいたしまして終わりにしたいと思います。
  63. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 篠崎先生のお言葉は私ども環境庁にとりまして大変な応援のありがたいお言葉と承らしていただく次第でございます。  実は先年、私、下水道の勉強をするためのメンバーの一人といたしましてヨーロッパに参りまして西ドイツとフランスの下水道事情の視察に当たったときのことでございますが、フランスの環境庁に相当するところに参りまして、実は普通の省庁よりも大きな権限を与えられていることを学びまして驚いたのであります。日本流に言うと大体三つか四つぐらいの省庁の力を与えられているように私は受けとめました。例えば下水道をつくるにいたしましても、これは御案内のとおり環境問題のほかにも、例えば厚生省マターにも当たりますしあるいは建設省マターにも当たる、どうかすると農林水産省マターにも当たる。こういうことをやる場合に、例えば地域住民の反対運動等もすぐ巻き起こりやすいのでございますが、これに対してもある程度強い権限を与えられていることによってこれが可能になるのであります。  私はそういうことを学んでまいりましたがゆえに、ただいまの先生お話は大変心強いありがたいお言葉として承らしていただきますが、もとより私ども努力もまず第一に必要でございます。それとあわせて、先生のような方からの御後援、御支援をいただくことによってただいまの先生のお気持ちが届くような、そういうふうなことにさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  64. 大森昭

    委員長大森昭君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時三分開会
  65. 大森昭

    委員長大森昭君) ただいまから環境特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  66. 田渕勲二

    田渕勲二君 きょうは余り十分時間もありませんので、一つは医療廃棄物の処理についてお尋ねをしていきたいと思います。  私は、医療廃棄物の取り扱いなり処分の問題についてはまだ十分勉強しておりませんので、きょうを皮切りに御質問申し上げて、引き続きまた通常会でも取り上げていきたい、こういう前段の質問ということで行ってまいりますので、ひとつ意のあるところの御見解を伺いたいと思います。  近年、地球環境問題が大変問題になっておりますけれども、中でも有害廃棄物の処理に関する問題、こういう問題が国際的にも非常に注目を集めてきておるわけであります。きょうは特に、その申し上げました医療廃棄物の処理についてお伺いをしたいと思うのであります。  現行の廃掃法、これは略して言うんですが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、こういう廃掃法というのがありますけれども、この廃婦法では医療廃掃物を特別に処理するということにはなっていないんですね。これは四十九年ぐらいに改正したままになっている法律だと思うのであります。また厚生省が出されました医療廃棄物の処理ガイドラインというのもいただいておりますけれども、これも廃掃法によって処理をするということになっておるわけであります。そのために一般廃棄物とあわせて処理をされますので、安全性というものが十分に確保されないという嫌いがあるわけであります。これを何か業界用語ではあわせ産廃、こういうふうに言っておるようでありますけれども、この医療廃棄物によるウイルスなり細菌などによる微生物学的な二次災害というものはこの法律だけでは防げないと思いますけれども、それに対する厚生省の対策というものについてひとつお伺いをしたいと思います。
  67. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今先生からお話がございました感染性廃棄物でありましても、焼却することによってその感染力が失われますので、必要に応じて感染性廃棄物の排出方法等を定めることなどによりまして市町村においても適正に処理できるものである、かように考えております。  なお、廃棄物処理法上も市町村は一般廃棄物と あわせて処理することができると今先生お話しございましたが、そういうあわせて処理することができる産業廃棄物の処理をその事務として行うことができることとされているところでございます。
  68. 田渕勲二

    田渕勲二君 何かどうも適正にやっていると言うのですが、逐次聞いていきますけれども、例えば医療廃棄物の処理ガイドラインですか、これによると血液等、あるいは血清、血漿、体液、こういうものは感染性の廃棄物に指定されておりますね。  この血液なんかの感染性のものを下水道へ排出している例があると聞いているんですが、これを規制する何かそういう法律なり規制措置なりあるんでしょうか。
  69. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今お話しございましたこの医療廃棄物処理ガイドライン、これを先日厚生省で設けたわけでございますが、このガイドラインにおきましては、感染性廃棄物は原則として医療関係機関において滅菌処理することといたし、みずから処理が行えない場合には処理業者に委託して処理するか、感染性廃棄物の処理をその事務として行っている市町村にゆだねることとしておるわけでございます。したがいまして、今後このガイドラインに従った適正な処理がなされるよう医療関係機関等を指導してまいりたい、かように存じております。
  70. 田渕勲二

    田渕勲二君 それは、処理がなされるようになっているということなんですね。だけど、実際にはそういう処理がなされていないという幾つかの事例がありますよ。  これは、手元に東京都の清掃局の「六十三年度 医療機関から発生する廃棄物の実態調査結果」というものを私持っているんですけれども、これを見ましても「排出・管理」、ガイドラインでは責任者とかいろいろ書いてありますけれども「廃棄物取り扱い責任者の有無」であるとか、あるいは「ごみ専用の保管場所の有無」、あるいは廃棄物の分別の有無、これは「分けていない」、「決めていない」、「ない」とか、こういうような文書が出ているところを見ると、おっしゃるようにそうはなっているんだけれども実際にはそれが追求されていない、こういうふうに私思うんですけれども、いかがでしょうか。
  71. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今の実態につきましては正しく私どもの方で把握しているわけではございませんが、今後の取り扱いといたしましては今のそのガイドラインに従った適正な指導をしてまいりたい、かように考えております。
  72. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうすると、この排水について、現在、下水道法、それから水質汚濁防止法、各種の規制が設けられておるんですが、そういう感染のおそれのあるような血液の場合に、今後、下水道法あるいは水濁防止法、こういったものの改正も必要であると私は思うんですけれども、その改正の必要があるかないか、御見解を伺います。
  73. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 下水道に流すということにつきましての下水道法上規制する必要性の有無でございますが、これは建設省において検討すべきものじゃないかと思いますが。
  74. 田渕勲二

    田渕勲二君 建設省がいないからわからぬということですか。
  75. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) そういうことでございます。
  76. 田渕勲二

    田渕勲二君 実際は病院なんかで下水道へ垂れ流している面があるわけですよ。そういう非常に危険な医療廃棄物、血液とか血漿とかいうようなものを本当はこのガイドラインによってきちっと仕分けなきゃならぬのですけれども、実際にはそれがそうなされていない面があるわけですね。それを規制するということは、建設省であれ厚生省であれ、やっぱり考えなきゃいかぬのじゃないのかな。  これに対する厚生省の見解、どうですか。
  77. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 先ほどお答えいたしましたが、今のガイドラインに沿ってそういう危険のないように指導をしていく、こういうことでございます。
  78. 田渕勲二

    田渕勲二君 どうもあなたとやりとりしてもこれは時間のむだですね。  じゃちょっと観点を変えてお聞きします。  いわゆる医療機関の管理体制、こういうものについてちょっとお伺いしますけれども、このガイドラインによりますと、管理責任者は感染性廃棄物の処理に関して必要な知識、経験を有する者でなければならない、こういうようになっていると思うんですが、この必要な知識、経験というのは具体的にはどういうことですか。
  79. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今のガイドラインでは、医療関係機関内における廃棄物による感染事故等を防止して感染性廃棄物を適正に処理するために医療関係機関管理責任者を置くことと、こういたしております。  この管理責任者は、処理計画等に基づきまして感染性廃棄物の排出、分別、こん包、中間処理等に係る具体的な実施細目を作成して関係者に周知徹底することを任務とする者でございますが、医師、看護婦、検査技師等、医療従事者であれば必要な知識を有する者といえるというふうに理解しております。
  80. 田渕勲二

    田渕勲二君 そうすると、医療従事者であればその必要な知識、経験を有している者と理解されているわけですね。  そうすると、指導上のマニュアルについてですけれども、そういうものがありますか、指導上のマニュアル。
  81. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 特にマニュアル的なものはつくっておりませんが、ガイドラインの中で指導していきたい、かように考えております。
  82. 田渕勲二

    田渕勲二君 ないということになりますと、非常に判断がまちまちになって、そういう適切な措置もおのおのの判断の違いによって異なってくる、こういうように思いますけれども、厚生省はそういうことでいいんでしょうか。
  83. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) そういう何といいますか、病院やなんかによって違うことのないように指導してまいりたい、かように考えております。
  84. 田渕勲二

    田渕勲二君 しかし、ないようにそれはしてもらわにゃいかぬのですが、そういうマニュアルがなければそれぞれのおのおのの判断でおやりになるわけですから、それぞれの医療機関で異なった処置が行われているという実態というものを厚生省はもっとよくしっかり認識をして、そういうマニュアルぐらいはやはりつくる努力をしてもらわにゃならぬと思うんですよね。これは申し上げておきます。  次に、施設内における感染性廃棄物の取り扱いでございます。  これは管理規程の作成というものが、本来、私はもう当然義務づけられていなきゃならぬと思うんだけれども、このガイドラインによると、それはつくってもつくらなくてもいい、つくる必要があれば必要に応じてつくればいい、こういうようになっていて義務づけがなされていないと思うんですけれども、これはなぜそういうガイドラインになったんでしょうか。
  85. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今の御質問は処理体制の整備等ではないかと思われるわけでございますが、この感染性廃棄物、これは医療関係機関等の施設内にある焼却施設それからオートクレーブ等を用いて滅菌処理することが原則でございます。みずから処理が行えない場合には処理業者に委託して処理するとか感染性廃棄物の処理を事務として行っている市町村にゆだねると、こういうような形にしておるところでございます。そんなことでその中でやっていきたいと、かように考えております。
  86. 田渕勲二

    田渕勲二君 どうも質問と答弁がすれ違っちゃっているんですが、私もこれはそれ以上追及するだけの知識をまだ十分持っていませんから、いずれあなたの答弁を十分後の議事録で精査をして、また改めて次の通常国会で取り上げていきたいと思います。  それでは次の質問として、感染性廃棄物の焼却処理の施設ですね。適切な性能を有する焼却施設を用いて行う、こういうようにガイドラインでは なっておりますけれども、この処理施設状況についてひとつ御説明をいただきます。
  87. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 感染性廃棄物の年間発生量でございますが、大体十三万トンぐらいと、こういうふうに把握しております。これは既存の処理業者及び市町村の焼却施設等の能力に照らしまして処理が十分可能であると、かように考えております。  なお、今後、感染性廃棄物の適正処理の確保等につきまして、都道府県、業界団体等を通じ、医療機関、処理業者を指導してまいりたいと存じております。
  88. 田渕勲二

    田渕勲二君 東京の場合なんか、何か都内で処理をしないで他県、福島県などを中心に他県に持っていって、焼却というか、処理をしているというふうに聞くんですけれども、東京にはそういう施設はないんでしょうかな。
  89. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ちょっと今のところそこまで把握し切れておりませんが、仮にどこかに持っていったとしても、そこできちっと処理するように指導するということでございます。
  90. 田渕勲二

    田渕勲二君 じゃ、ここで答弁できなければ後で結構ですから、東京の施設状況を、一遍私の部屋までひとつ調べた結果をぜひお知らせください。  それから次の質問ですが、ガイドラインでは病院などの医療機関が感染性のものとそうでないものに分別をしないで処理業者に渡しても罰則がない、こういうふうに私は思っているんですね。この廃棄物を出す側の責任というのはやっぱり非常に重要だと思うんですね。この状況で、先ほど私が申し上げたように下水道へ垂れ流していたりしていても、またガイドラインに則さない処理方法を医療機関がやっておっても、それに対して何ら規制を加え罰則を加えるということができないということになっていると思うんですが、その辺はいかがですか。
  91. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) 今の医療廃棄物処理が先生おっしゃいましたようにガイドラインに適合しないというような場合、この適合しないことのみをもって直ちに罰則が適用されるということはございません。ただ、この不法投棄等の廃棄物処理法に違反した行為を行った場合には廃棄物処理法によりまして罰則が適用されるということでございます。
  92. 田渕勲二

    田渕勲二君 以上いろいろ申し上げましたが、十分な答弁はいただいておりませんし、私自身ももう少し深くこれを追求した上で実態というものをあなた方にお示しをした上で追及をしていかないとこういうすれ違いの答弁になってしまいますので、次回にこれは譲っていきたいと思います。しかし、いずれにしてもガイドラインというものが存在する以上は、これをやはり実効のあるものにしていく必要があると思うんですね。  それで、これは直接お答えはできないかもしれませんけれども昭和四十九年、もう十五年ほど前に改正されたままになっている廃掃法ではこの医療廃棄物を適切に処理することはできない法律になっていると思いますので、一般廃棄物、産業廃棄物、そして医療廃棄物というように明確にこの廃掃法の中で区分をしてそして誤りのない処置ができるようにしていただく。きょうは答弁される方がいらっしゃらないようですけれども、そういうことを含めて次の国会の審議の場で討議をしていきたいということを申し上げて、医療廃棄物に関する質問は終わります。  では続きまして、私が前々回から前回、ずっと環境委員会で追及をしてきましたいわゆる水濁法に関する問題で、特にテトラクロロエチレンに関する廃液処理の関係で最初にクリーニング店に対する関係について質問をしてみたいと思います。  厚生省は、テトラクロロエチレン等の廃液処理施設を持たないクリーニング店に対して法律の施行に伴い設置が推進されるよう指導するというようにことしの六月十五日の衆議院環境委員会で答弁をされておるようですけれども、これは現在どのようなことになっておるのか、このような設置が促進されているのかどうか、これについてお伺いをしたいと思います。
  93. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) テトラクロロエチレンにつきましては、本年の三月、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律に基づきまして第二種特定化学物質に指定されたわけでありますが、これに伴いましてクリーニングの営業者がテトラクロロエチレンによる環境汚染を防止するためにとるべき措置につきまして、廃液処理装置の構造あるいは設置等、こういったものを内容といたしました「クリーニング営業者に係るテトラクロロエチレンの環境汚染防止措置に関する技術上の指針」につきまして七月七日付で厚生省、通産省から告示いたしたところでございます。これを受けまして厚生省といたしましては、ことしの七月、生活衛生局長通知によりまして、この技術上の指針の周知徹底あるいは使用、管理の適正化について都道府県、政令市等に対しまして、また関係業界の団体あてに通知してきているところでございます。  それで、この技術上の指針につきましては、解説本を作成いたしましてクリーニング営業者にも広く周知徹底を図っているところでございます。都道府県におきましても、こういった技術上の指針等に関する講習会を営業者に行ったり、あるいはクリーニング所への立入検査等を通じまして広くクリーニング営業者に対する周知あるいは指導の徹底を図っているところでございます。  そこで、具体的に廃液処理装置の設置状況等はどういうことであるかということでございますが、ここ数年その設置は推進されてきておりまして、昭和六十三年の十二月の段階におきましては、廃液の産業廃棄物処理業者への委託、こういうものを含めまして六四・三%の設置率でございます。  そこで、水質汚濁防止法の規制がこのテトラクロロエチレンに関しまして適用されることになったわけですが、この十月現在の状況につきましては、現在都道府県とか政令市等に対しまして調査を依頼しているところでございます。
  94. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは、クリーニング業者の場合、テトラを使用する事業場ではガスの回収装置あるいは廃液処理装置、こういうものの設置を義務づけられているんですけれども、これに対する融資対象施設となるのかどうか。  それから、特にこのテトラを扱っている施設では、コンクリートの床の場合にひび割れがなくてもテトラの溶剤が浸透してしまう、したがってこれを防止するのにはこのテトラの溶剤に耐える合成樹脂などで相当被覆する必要があるんですが、それには相当高額な費用がかかると、このように言われておるんですけれども、この設備投資に対して業者の実行性をどのように確保しているのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  95. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) クリーニング所等の環境衛生関係営業に対しましては、環境衛生金融公庫におきまして設備やあるいは施設改善等に要する資金を融資しているところでございます。  そこで、排ガス処理装置とか廃液処理装置あるいは床の合成樹脂による被覆等につきましても、その促進を図るために環境衛生金融公庫におきまして特に低利の融資を行っているところでございます。
  96. 田渕勲二

    田渕勲二君 この処理方法ですけれども、これは処理施設に関することでありますけれども、クリーニング店が廃液処理を業者に委託している場合、委託されたテトラ等の廃液はどのように処理されているのか。また、こうした処理装置というんですか、これは全国に至るところにどのように設置されているのか。装置といいますからそれぞれのクリーニング店にも装置されていることもあるでしょうが、処理装置というか処理施設というか、それに対する能力というか、こういうものは十分にあるかどうか、これについてお聞かせください。
  97. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) テトラクロロエチレンは主に金属の洗浄溶剤とかそれから今お話ございましたドライクリーニング溶剤等の用途に用いられておりまして、これらを使用する事業所からは洗 浄の残渣である汚泥のほか、廃溶剤、それから廃酸、廃アルカリ等の産業廃棄物が排出されております。  なお、テトラクロロェチレンを含む産業廃棄物の一年間の排出量でございますが、約四万三千トン、うちクリーニング汚泥が三万七千トンと推定されております。テトラクロロエチレンを含む産業廃棄物は、従来より廃棄物処理法によりましてそれぞれ汚泥、廃酸、廃アルカリ等の種類ごとに処理基準が定められておりまして、これに基づく処理が行われているところでございます。  なお、本年度に都道府県等を通じ確認いたしましたテトラクロロエチレン等を含む汚泥、廃油等の焼却施設は五十三施設となっておりまして、各都道府県等において処理経路の確保等を図っているところでございます。
  98. 田渕勲二

    田渕勲二君 ところで、クリーニング店というのは全国に幾らあるんですか。
  99. 丸田和夫

    説明員(丸田和夫君) クリーニング所数でございますが、昭和六十三年の十二月末現在で洗濯処理まで行う一般クリーニング所が五万五千四百二十一施設でございます。また、取次業務のみを行う取次店が十万七十八施設でありまして、合計して十五万五千四百九十九施設という状況でございます。
  100. 田渕勲二

    田渕勲二君 私の聞いたのでは、東京のあるクリーニング業者がごみを含めた廃液などを北九州の工場まで持っていかないと処理ができない、こういうことを言われていることを聞いたんですけれども、それほど処理施設というのは東京近郊、関東近郊にないんでしょうかね。また、熱処理というのは何か相当な高い温度でやらなきゃならぬ特別な施設だと聞いているんですが、その辺いかがでしょう。
  101. 坂本弘道

    説明員(坂本弘道君) ちょっと具体的なところは押さえておりませんが、先ほど申しましたように、全国で五十三施設の廃油等の焼却施設がございますので、そちらの方で適正に処理していることじゃないかと、かように考えております。
  102. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういう状況であれば、なかなかクリーニング店で使っているテトラクロロエチレン、こういったものの廃液処理というものが必ずしも十分に行われていない、またその処理施設というものも私の調べでは十分なものではないというふうに聞いておるんですが、その辺のところはひとつ十分今後、せっかく水濁法を改正しましたわけですから、単にそういう工場から出るそうしたものだけじゃなくて、一般に五万五千軒も全国に散在しているクリーニング店の監視というものを十分にやっていただくということをお願いをしておきたいと思います。  それでは次に、環境庁にお伺いをすることになりますが、十月一日からいよいょ改正水濁法が施行されたわけですけれども、自治体、各種団体等へ具体的にどのような対処と指導を行ってこられたか、この点についてお伺いをいたします。
  103. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 改正水濁法の施行の状況でございますが、十月一日から施行されたことに伴いまして、私どもといたしましてはこの法律の着実適切な施行が最重要課題であるというふうに考えております。このため、九月十四日付で都道府県知事と政令市長あてに留意事項等につきまして通達をいたしたわけでございます。  さらに、その内容の説明会を本年十月六日に東京で開催いたしまして、改正の趣旨の徹底に努めているところでございます。
  104. 田渕勲二

    田渕勲二君 そういう通達が出されたわけですけれども、それに関してお伺いをしますけれども、地下水質汚濁の監視というものについて都道府県知事がその責任を負って地下水質の測定計画を作成して行う、こういうようになっているんですけれども環境庁として統一的な測定マニュアルのようなものをつくっておられるのか。つくっておられないとすれば、なぜそういうふうにされていないのかということについて、自治体との関係で申し上げているわけですが、お伺いをしたいと思います。
  105. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 先ほど申し上げました改正通達に合わせまして、地下水調査方法の準拠すべき原則的な基準というものを示しているところでございます。その中で、地域実情に応じまして年次計画を立てて計画的に監視測定をしてほしいといういわばマニュアルのようなものを示しているところでございます。  各自治体におきましては、それぞれの地域の事情もございましょうから、そういった原則的な考え方を踏まえまして、地方の公害審議会等にも諮っていただきまして、その地域実情に応じた地下水の適切な測定をやっていただければというふうに期待しているところでございます。
  106. 田渕勲二

    田渕勲二君 監視の測定結果の公表に関してお伺いしますけれども、この次官通達を読みますと、「井戸の設置者に対し、地下水の測定の協力を求める際には、その測定結果の公表方法を含めた取扱いについてあらかじめ提示し、了解を得るよう御配慮ありたい。」と井戸の所有者のプライバシーというものを非常に重要視されて通達をされているわけであります。  そういうように井戸の所有者のプライバシーを余り重要視し過ぎますと、その結果、経過についてどうも企業側、井戸の所有者側に都合よく公表されるという懸念がありまして、実際に出された結果で大変危険なものがあってもその辺が非常に薄められてくるという心配を私はするんですけれども、それはなぜそういうような通達になっているんでしょうか。
  107. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 地下水は、井戸を利用して水を採取し調べるという特性がございますので、公共水域でございますとさっととれるということでございますが、やはり基本的に井戸の所有者の御了解が得られないとなかなか採取も難しいということで、そういう意味におきまして、測定結果につきましても公表するということで御了解をあらかじめとっている次第でございます。しかも、井戸の所有者自身が地下水の汚染の原因者であるとは必ずしも限らないわけでございますので、そういうようなことも踏まえまして井戸の所有者の御意思を尊重しているということでございますが、このことによりまして測定結果の相違でございますとか測定結果の公表について御心配の、いわば曲げられるというようなことが現実にはそんなに起こり得ないのではないかというふうに、むしろ円滑な正確な調査をするためにはそのような御意思の確認ということが必要なのではないかということで、これは中公審の答申の趣旨も踏まえまして、事前に公表等も含めまして測定者の御了解をとるということにしたような次第でございます。
  108. 田渕勲二

    田渕勲二君 しかし、この水濁法が改正される一つの大きな原因、端緒になったのは、千葉等の工場のあるところでいわゆるトリクロロエチレンが検出されて、付近の住民が大変だということで新聞にも書かれ、大きな問題になったんでしょう。  だから、この常時監視体制というものを法律上明確にしている以上は、そう何も井戸の所有者に頭を下げて調べさしてください、調べた結果がどうもよくないけれどもこれは公表してよろしゅうございますかというようなこと、そんなへっぴり腰で果たして人体に猛毒の出るようなものが公正に扱われるかどうか。これはだれが考えたって行政側が企業側でまたいろいろやっているんじゃないかというような憶測が生まれるんですね。  その辺どうでしょうか。
  109. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 一応水の採取及び結果の公表について事前に原則的には御了解を得るという建前をとっておりますけれども、これによりまして御心配のような結果自体の公表が影響を受けるというようなことがないように私どもは運用したいと考えているところでございます。
  110. 田渕勲二

    田渕勲二君 まあそういう御答弁になるでしょうけれども、そういうことになっているからまた何年かすると大きな問題があちらこちらで起きて住民運動が起きたりするのであって、やっぱり行政というのは問題を先取りするということですから、水質を調べるのに何の遠慮もそう要らぬと思うんですよ。堂々とお願いをして、お願いするこ と自体どうか知りませんが、調べて出たものを正直に公表するということの了解をとるということでなければ、今までの例からいくとそういう企業はそういうものは隠すという本質を持っておりますから、その点私もよくそういう点の規制ができるかできないか一遍よく調べてみますが、ひとつ環境庁としてもこれからも十分な配慮をしていただきたいと思います。  それから、常時監視体制ということで、現在は河川については公共用水域の監視にモニター小屋があって、それが自動になっていますね。ああいうものが、水質調査というんですか、自動モニターというんですか、開発されていないんでしょうか。また、開発される見込みはないんでしょうか。水質ですね、河川じゃなくて。河川は今現在ありますから。いかがですか。
  111. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 一般公共用水域につきましては先生指摘のとおりの装置で観測をしている例があるわけでございますが、地下水につきましては、一般的に流速と申しますか、移動する速さが非常にゆっくりしていて遅いということでございますので、常時監視ということの必要性は公共用水域におきます水質監視ほどは不必要なのではないかとは考えているわけでございますが、しかし先生指摘のような地下水につきましての自動観測装置というようなものの開発その他につきましても、今後の課題として私どもとしては研究が促進されるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  112. 田渕勲二

    田渕勲二君 必要ではないんじゃないかなんという観点から機械を開発するんじゃなくて、水質なんてものは、そんなに川ほどは動きませんけれども、これからは地球環境の上で非常に重要な部分を占めていますね。だから、積極的にそういう機器を開発して、やはりIC工場のあるところとか、そういう危険なところには自動監視モニターを設置して常時監視をするという態度がないと、余り必要ないけれどもまあやってみましょうと、そういう態度じゃ困るんですがね。いかがですか。
  113. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 開発自体は非常に必要なことだと思っておりますので、そういう機械につきましての開発については積極的にやるべきものであり、私どももやりたいと思っておるわけでございます。
  114. 田渕勲二

    田渕勲二君 それじゃ次に、財政措置について若干御質問申し上げますけれども、地下水質の測定に要する経費として平成元年度は一千二百万円程度の予算を新規計上したと聞いておるわけですが、改正水濁法施行によって今後本格的な監視指標が必要になってくると思うんですけれども、来年度の予算はどれぐらいを考えられておられますか。
  115. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 平成二年度の地下水の測定監視関係に関します予算といたしまして、財政当局の方に私どもただいま六千万円程度の補助の要求をいたしているところでございます。
  116. 田渕勲二

    田渕勲二君 平成元年が一千二百万で平成二年は約六千万、こういうことですね。  今度のこの法の改正によって自治体の水質管理経費が確実にふえることになるんですが、現在自治体から地下水水質の監視に要する補助金の申請が出ていると思うんですけれども全国的に見てどれくらいが予想されていますか。
  117. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 平成元年度は、先生御案内のとおり、千二百万という予算の歳出権限が認められておりますので、私どもといたしましてはその範囲内でおさまりますように具体的な配分等について調整してまいりたいというふうに考えております。
  118. 田渕勲二

    田渕勲二君 それは違うんじゃないの。  質問の趣旨は、地方自治体から地下水の水質監視に要する補助金というのが申請されているんじゃないかと思うんですが、されていませんか。
  119. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 要望はございまして、その要望の額を合計いたしますと平成元年度予算の数倍程度の要望があるわけでございますが、私どもといたしましてはそれを予算の範囲内に調整して配分するということにさせていただきたいと思っているわけでございます。
  120. 田渕勲二

    田渕勲二君 改正水濁法の経過措置によって改正法施行の際に、特に現に特定施設を設置している者の特定事業場から浸透する特定地下浸透水についての改善命令、こういうものはもう改正法施行の際に六カ月間猶予されていることになっていますね。この猶予期間中に施設の改善を必要とする事業場、こういうものは一体何カ所あるのか、主にどのような業種に集中しているか、この点いかがでしょう。
  121. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) ちょっと数までは正確に把握しておりませんが、法律の施行から先生御案内のように現実の猶予期間というものも設けられておりますし、そのことを十分私どもとしては都道府県、政令市を通じてPRさせていただいておりますので、この期間内に適切な措置がなされるであろうというふうに考えているところでございます。
  122. 田渕勲二

    田渕勲二君 現実にそれらの事業場が施設の改善をしなければならないとしたら、国や自治体はどういう援助を、まあ融資といいますか、どういう援助ができるのか、この辺いかがですか。
  123. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 具体的に業者の方から相談がありました場合に、どのような施設をどのように設置すればいいかという、いわば相談なりコンサルタントに乗るという形で、法律が規定どおり働きますように期待しているところでございます。
  124. 田渕勲二

    田渕勲二君 それでは観点を変えて御質問しますけれども、安原局長は、公害防止協定の定着に努力をする、したいという答弁を昨年の十月のこの環境委員会でされたと思うんですが、その後、本年一月、全都道府県に対して情報の提供を依頼した、こういうふうに聞いておりますが、現在その取りまとめの状況はどうなっておりますか。
  125. 安原正

    政府委員(安原正君) 田渕委員指摘のとおりでございまして、環境庁におきましては、各地方公共団体におきまして公害防止協定づくりの重要な参考情報として活用していただく目的を持ちまして、本年一月に全部の都道府県を対象に、現在締結されております協定の概要につきまして情報を得るべく依頼をしたわけでございます。  この結果につきましては、ことし一月に調査いたしまして、本年六月に取りまとめを終えまして、各都道府県に対しましてその整理をいたしましたものを送付いたしております。そして、協定の事例集につきましても、現在印刷中でございまして間もなくでき上がる予定でございますので、そうなりますれば都道府県に対しましてこの事例集も情報提供ということで配付をしてまいりたい、かように考えております。
  126. 田渕勲二

    田渕勲二君 これは新聞で拝見したんですけれども、有機溶剤で汚染された土壌、地下水の浄化調査をする、こういうような報道があったんですが、その内容と、予算規模はどれぐらいになるんでしょうか。
  127. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 環境庁といたしましては、有害化学物質の土壌、地下水汚染対策基礎調査ということで、平成二年度の予算要求におきまして財政当局の方に調査費の要求をしているところでございます。この調査によりまして、汚染地域の地下水なり土壌なりの汚染のされ方といいますか、仕組みの解明について現地調査なりをいたしまして効果的、経済的な土壌、地下水の処理対策の技術の確立のための検討をいたしたいというふうに考えているところでございます。  その要求しております予算額は一千百万円でございます。
  128. 田渕勲二

    田渕勲二君 もう時間が来ましたから最後に一問お伺いしますが、塩素系溶剤、洗浄剤の代替品ですね、この研究と可能性について最後に一言お伺いをして質問を終わりたいと思います。――わかりますか。塩素系溶剤の代替技術というものが現在どの辺までいっているのか。
  129. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) 代替品につきましては、私どもの方の公害研究所なりとあるいは通産省の方の例えば工業技術院等の研究機関等におき まして今後研究していくべきものであるというふうに考えているところでございますが、環境庁といたしましては、今のところその具体的な研究計画というところまでは入っておりません。  しかし、やはり代替品の開発が進まなければ汚染物質の使用ということが減らないという基本的な関係にございますので、代替品の開発の必要性ということを十分踏まえまして研究開発に力を尽くしていきたいと考えているところでございます。
  130. 石井一二

    ○石井一二君 ただいま時計の針は一時五十四分でございます。私の持ち時間は六十分と理解いたしております。  さて、時がたつのは早いものでございまして、平成元年もやがて暮れようといたしておりますし、また平成二年度の概算要求も終わり、やがて我々もそれを審議する立場にございますが、まず手始めに、環境庁平成二年度の重点事項についてお伺いをいたしておきたいと思います。  特に、承りますところ、概算要求額は四百九十五億円、その中には新たな施策、制度、組織の改正要求、また定員の要求もあるやに承っておりますが、主な柱について簡略にまず触れていただきたいと思います。
  131. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 来年度の私ども環境庁重点事項の柱は四つ五つございますが、まず第一の柱は、地球環境保全のための積極的な役割の発揮ということでございます。  中身を簡単に申し上げますと、一つは、地球環境関係の広域的なモニタリングを進め、かつ学際的、国際的な研究を推進するということを考えております。具体的には、国立公害研究所に地球環境研究センターというものを附置しよう、それから開発途上国への環境協力も進めていこう、そしてそのために本庁に地球環境部を設けるなど体制整備を図る。その一環でございますけれども、国立公害研究所それから公害研修所というのがございますが、実態に合わせまして名称も変えまして、国立環境研究所あるいは環境研修所にしよう、これが第一の柱でございます。  第二の柱は、自然環境保全とその適正な利用を進めるということでございまして、具体的には尾瀬地域の排水処理対策を進める、あるいは東北自然歩道の整備をスタートさせる、こういうようなことでございます。  その他、都市環境の保全を進めるための窒素酸化物対策、あるいは生活雑排水対策の推進、その他環境教育を進める、こういったものが主なところでございます。
  132. 石井一二

    ○石井一二君 いずれにいたしましても、今、はやり言葉の一つに地球の環境保全という言葉がございます。  我々は大きく行政の目を世界に向けつつあるわけでございますが、各省庁の予算等を見ておりますと、いろんな省庁に同じようなプロジェクトがございます。そして十六省庁計で四千六百三十八億円、対前年度予算比で一〇%近い増と言われておるわけでございますが、各省庁の関係予算と環境庁の役割をどう認識しておられるのか、調整しておられるのか、できれば大臣の一言を承りたいと思います。
  133. 安原正

    政府委員(安原正君) 地球環境保全に関係いたします予算につきましては、御案内のとおり、大変広範かつ多岐にわたっておるものでございます。そこで、関係省庁が一体となりまして取り組みを積極的に推進していく必要があるというぐあいに考えておるところでございます。  ただいま平成二年度に向けまして予算編成が進められているわけでございますが、平成二年度の各省庁の地球環境保全関係予算の要求の状況につきましては、各省庁と連絡をとりまして環境庁におきまして全体の姿がわかるように取りまとめを行ったところでございます。  それによりますと、先生指摘のとおり、要求総額は四千六百三十八億円、対前年度比九%の増となっております。このうち、金額が非常に大きゅうございますエネルギー対策関係費あるいは人工衛星等の研究開発費も含まれておりますので、それを除きました地球環境保全の一般経費につきまして見ますと、総額は六百六十六億円でございまして、対前年度比は実に五〇%の増ということになっているわけでございます。このことから明らかなように、各省庁とも地球環境問題に積極的に取り組んでいこうという意欲を持っておられるというところがうかがえるわけでございます。  環境庁といたしましては、政府一体となりまして重点的に取り組んでいけるように、いわば調整役を務めていかなければならないと考えておるわけでございます。御承知のとおり、環境庁長官が地球環境問題担当大臣ということで指名されておられますので、そのもとで環境庁としましても事務当局としまして内閣と連携をとりまして、そういう政府一体の重点的な取り組みになるように努力をしてまいりたいと考えております。
  134. 石井一二

    ○石井一二君 私の質問と安原局長の答弁をお聞きになって、環境庁長官の現在の御心境を御披瀝いただきたい。
  135. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 日ごろから石井先生にはいろいろな面で御指導いただいておりましてありがたく存じております。  ただいまお聞き及びのとおり、今や地球環境問題が大きくクローズアップされてくる中で、各省庁の予算は、予算面ではもとよりのこと、いろいろな面でのこの地球環境の保全についての取り組みは環境庁がいわばイニシアチブを持ち、あるいはまたコーディネートする立場としてやっていかなければいけない、このような自覚と自負に立っておるわけでございます。そのような面から私ども一生懸命取り組んでまいりますので、よろしくお願いを申し上げます。  これは私からのお願いであり、感想でございます。
  136. 石井一二

    ○石井一二君 地球環境保全と同時に、今我々はODAについてもいろいろと論議をいたしておりますが、地球環境保全絡みでODAとしてもアカウントされるもの、これは地球環境保全が約一〇%の増に対しまして二〇%とも聞いておるわけでございますが、どのような推移をたどりつつあるか。また、特に目玉として御披瀝しておくべきと思われるものがあればちょっと御指摘をいただきたいと思います。
  137. 安原正

    政府委員(安原正君) ただいま御説明申し上げました各省庁の地球環境保全関係予算の要求の中身を見ますと、先般の六月三十日の関係閣僚会議の申し合わせ事項、六項目ございますが、これに則して分類をし直しまして、そのうち今石井先生がおっしゃいますODA関係と目されるものを取り上げてみますと、項目といたしましては、国際的な枠組みづくりに関係する経費、環境分野の政府開発援助の援助関係費、それから環境配慮の徹底を図るための必要な経費、この三本の柱が直接関係するかと存じます。  これらの経費の要求額は合計で約百三十億円ということになっておりまして、これに相当いたします平成元年度当初予算の予算額は六十一億円でございます。実に二倍強の大きな伸びで要求が行われているわけでございます。  なお、ODA予算として非常に大きいのは、もう御承知のとおり、外務省が実施いたします無償資金協力とかあるいは国際協力事業団等を通じます技術協力、それから海外経済協力基金の実施いたします有償資金協力等がございまして、これにつきましては実行の過程で分野の配分が固まってまいりますのでトータルとしてわかりますが、そのうち幾ら環境分野に振り向けられていくか、実行の問題となりますので、今の段階では把握はできないわけでございます。  しかし、いずれにしましても、政府といたしましては、アルシュ・サミットの直前の段階で当時の宇野総理からの表明がございましたとおり、環境分野のODAの拡充を思い切って進めていくということでございまして、このため、三年間に三千億円程度をめどに拡充強化に努めるということが表明されておるところでございます。これの確実な実施に努力してまいりたいと考えております。
  138. 石井一二

    ○石井一二君 今、外務省の名前も出たわけでございますが、俗に地球環境問題に関する主務官庁が決まっていないという指摘がございます。地球環境問題担当大臣には環境庁長官がなっておるんですが、その他国際会議の構成とかいろんな面でそういったことが言われておるわけでございますが、こういった各省庁が入り組んで同じような目的ごとに動いている中で、主務官庁としての立場から環境庁設置法の解釈あるいはその改正を行ってはどうかというような意見があるように承りますが、この点についてどのような御所見をお持ちでしょうか。
  139. 安原正

    政府委員(安原正君) 環境庁の設置法をごらんいただきますと、「環境の保全に関する基本的な政策」の企画立案及び推進、それから「関係行政機関の環境の保全に関する事務の総合調整を行なう」ということで権限が定められておるわけでございます。私どもとしましては、この「環境の保全」というのを広くとらえまして、地球環境問題についても環境庁として設置法に従いまして積極的に取り組んでおるところでございます。  また、先ほど御質問のございました環境保全分野のODAの関係につきましても、「所管行政に係る国際協力に関する事務」というのが規定されておりまして、それに基づきまして環境庁みずからのODAの実施に当たっているわけでございます。  今後とも、この当庁の環境保全に関する基本的な施策の調整、企画立案という立場を踏まえまして、関係閣僚会議における基本的な方向づけあるいは地球環境問題担当大臣としてのお立場での大臣の事務の推進ということで、地球環境保全施策が全体として調整がとれた形で重点的にしかも積極的に進められるように努力してまいりたいと考えております。
  140. 石井一二

    ○石井一二君 環境庁長官、今の局長の答弁を聞いておられて、環境庁設置法の改正は必要ないとお考えですか、それに対して一考すべきだとお考えですか。イエスかノーといえばどちらでしょうか。
  141. 志賀節

    国務大臣志賀節君) これは、右するか左するか、まさに研究課題でございまして、現在検討中でございます。したがいまして、ただいま右も左も定かに申し上げることができかねることをお許しいただきたいと思います。
  142. 石井一二

    ○石井一二君 大臣は検討中というお言葉でございましたが、局長お話ではいとも簡単にその必要はないようなニュアンスで私は承りました。  ちなみに本年六月三十日に開かれました地球環境保全関係閣僚会議の中で橋本龍太郎氏が次のような発言をしておられます。「現在の環境庁設置法で、地球環境問題に関する具体的な施策の調整を行うのは大変ではないか。環境庁の地球環境保全に関する連絡調整権限を設置法に明確に位置づけ、それなりの対応ができるような組織を作るべきだ」という指摘がございます。こういったことも踏まえて、よりよい仕事ができるために私も発言をいたしております。そういった面から御検討を要望しておきたいと思います。また、応援も必要とあらばさせていただきたい、そのように思うわけでございます。  次に、公害の基本的な問題について一、二お伺いをしておきたいと思います。  俗に我々は環境基準という名のもとにいろんな行動を起こしておるわけでございますが、その憲法ともいえるべきものは公害対策基本法ではなかろうかと思います。  それで、公害対策基本法を読んでおりますと、公害源として六つばかり具体的な名前が出ておるように思います。すなわち、大気の汚染、水質汚濁、土壌の汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭ということでございまして、第二条あたりに文言がございます。そして、「人の健康又は生活環境に係る被害が生ずること」を除去せなければならないという観点から規定されておるわけでございますが、今、環境行政をやる上においてこの六公害だけ見ておればいいわけですか、あるいはもっとほかにいろいろ対象となるものをお考えなんでしょうか。ちょっとその辺の公害対策基本法に対するお考えを承りたい。
  143. 安原正

    政府委員(安原正君) 御指摘のとおり、公害対策基本法に則しまして公害の防止につきまして環境庁として努力をしておるわけでございます。  環境庁といたしましては、仕事といたしましては、設置法にも規定がございますとおり、公害の防止が大変重要でございますが、そのほかにも自然環境保護及び整備その他の環境の保全ということで三つの柱がございまして、その三つの柱につきましてそれぞれ重要な問題に総合的に取り組んでおるということでございます。  そのほかに、その他の環境保全ということをどの範囲でとるかということでございますが、私どもとしましては、単に問題があるのを解決するというだけではなくて、この環境の質をより高めていくことに対しましても力を注いでいかなければならないというぐあいに考えております。そういう意味で、例えば快適環境づくり等の施策につきましても地方公共団体等々と連携しまして取り組んでおるところでございますし、それから公害につきましても典型七公害という範囲をどうとるかの問題もございますが、それに関連しましたもう少し広いとらえ方もしなければならないということで取り組んでおるのが実情でございます。
  144. 石井一二

    ○石井一二君 今、典型七公害とおっしゃって、もう少し広いとおっしゃいましたが、具体的には、名前で言うと、広いというのは何を指すんですか。
  145. 安原正

    政府委員(安原正君) 例えば、身近な例でございますと、近隣騒音につきましては公害対策基本法の騒音には入りませんが、我々としましては、地方公共団体が中心でございますが、相連携しましてその問題への取り組みもできるだけ進めていかなければならないと考えておりますし、それから先端産業等の関係で今までになかった汚染がまた生ずる可能性もなきにしもあらずでございます。そこで、そういう事態に立ち至らないように未然防止ということに力を入れているわけでございます。その一つとして、また新しい問題意識を持って十分安全性を確保していかなければならないと考えておるのは、バイオの問題等も、例えばでございますが、あるわけでございます。  そういう問題につきましても、今、鋭意安全確保の見地から検討を進めておるところでございます。
  146. 石井一二

    ○石井一二君 今、バイオ、近隣騒音、先端産業等々が出ましたが、私のつたない理解では電波とか眺望、低周波空気振動、食品公害、通風、原子力等々を考えて私はふだん物を言っておるんですが、いずれにしろ、お気持ちとしては七基本公害源のみならず広い範囲で一生懸命やっておる、そのように理解をさせていただきたいと思います。  さて、環境基準ということでございますが、一体この基準とは何か。特に私がお聞きしたいのは、これは規制値なのか目標値なのか、どちらかという観点からお教えをいただきたいと思います。
  147. 安原正

    政府委員(安原正君) 公害対策基本法に基づきます環境基準につきましては、「人の健康を保護し、及び生活環境を保全するうえで維持されることが望ましい基準」ということで政府が定めるものということに相なっておるわけでございまして、この基準を何とか達成すべく発生源に対する規制を初めとしまして総合的な公害防止施策を展開しておるわけでございます。そういう意味行政目標となるべきものというぐあいに理解いたしております。
  148. 石井一二

    ○石井一二君 今、目標値である、望ましい努力目標だと、そのように御答弁があり、私も第九条の文言を見ておりましてそのように理解をいたしております。  そこで、一たん話が飛びますけれども、十一月二十八日の新聞ですからこれはもうごくごく最近で、よその省庁のことでございますが、通産省が自治体規制に注文をつけた、中規模店舗の出店について法律に上乗せした地方自治体の条例が違法であるという注文をつけた記事が載っておりました。このことを同じように環境に当てはめた場合 に、県や市のレベルで罰則を伴う規制基準を上乗せした条例の制定というものが多く見られるわけであります。  今、局長は、努力目標だ、目標値である、そうすることが望ましいと、こうおっしゃったわけでございますが、では公害対策基本法と市の条例、県の条例との間の優先的な解釈について、どのようにふだん御指導になっておるのか、ちょっとそこのところをお聞かせいただきたいと思います。
  149. 安原正

    政府委員(安原正君) 地方公共団体におきまして、その環境の状況に即しまして、その地方の実情に即して独自に上乗せ的な基準を設定し得ることになっておるわけでございます。この点につきましては、大気汚染防止法とかあるいは水質汚濁防止法にその種の規定があるわけでございます。  こういうことで地方公共団体が上乗せ基準を定めることによりましてよりよい環境の実現を目指していく上で有効な手段でございまして、それは法律上も認められておりますし、現にかなり広く行われているのが実情でございます。
  150. 石井一二

    ○石井一二君 このような条例に基づいて市町と公害防止協定を結ぶ企業が多くございます。そしてその中には罰則規定もございます。特に勧告公表という罰則が充てられておるようでございますが、具体例としてこういった法律ができてからこのような罰則に該当するものというものはかなりの数出ておるんですか。いわば牽制的に置いてあるだけでその効果は十分果たされておるか、実態はどのようになっておりますか。
  151. 安原正

    政府委員(安原正君) 先ほど申しましたように、例えば大気汚染防止法等に基づきまして上乗せ基準を決めるとそれに違反したことによりまして罰則がかかってくるケースがございますが、別のパターンでございます公害防止協定につきましてはそういう根拠に基づくものではございませんで、当事者間での合意ということで結ばれるものでございますので、そういう強制的な罰則は通常はかかってこないというぐあいに理解いたしております。
  152. 石井一二

    ○石井一二君 ちょっと私の質問が御理解いただけなかったかと思うんですけれども公害防止協定の中身の文言を見ておりますと、罰則規定というものがあって、違反した場合には企業名を公表するとか、具体的な勧告がなされるという文言があるわけです。それで、それは牽制的にそういった文言があるだけなのか、具体的にそういうことがどんどん効果を発揮して起こってきたのかという過去の事実関係をお聞きしているんですが。
  153. 安原正

    政府委員(安原正君) ちょっと手元に公害防止協定の詳細にわたる資料を持ち合わせておりませんので、後刻またよく調べまして御連絡をさしていただきたいと存じます。
  154. 石井一二

    ○石井一二君 じゃ次に、もう少し地球環境について進めてみたいと思います。  先ほど御説明にありましたけれども、国立公害研究所に地球環境研究センターを設立するということでございました。四億二、三千万円の要求額が出ておるやに思いますし、スーパーコンピューター等の導入の声もこの関連であるように私も聞いております。特にこれは非常に重要な問題でもございますので、ごくごく簡単に、はしりだけで結構ですから、ねらいとするところをお示しいただきたいと思います。
  155. 安原正

    政府委員(安原正君) 地球環境の問題につきましてはまだまだ解明をしなければならない事柄が多うございます。そこで、不確実性を低減するということで地球環境問題に関しまして研究を強力に推進することが求められておるわけでございます。そういう見地に立ちまして、さきの六月三十日の関係閣僚会議の申し合わせにおきましても、日本政府としまして一体となって地球環境関係のモニタリングあるいは研究を推進していくということにいたしておるわけでございます。  環境庁といたしましても、その考え方に立ちまして地球環境問題につきまして学際的なあるいは国際的な地球環境研究を総合的に推進していきたいというぐあいに考えております。そのためには拠点が必要であろうというぐあいに考えておるわけでございまして、その拠点といたしましては国立公害研究所がございますのでこれを改組しますとともに、そこに新たに地球環境研究センターを設置したいということで予算要求をさせていただいているところでございます。  したがいまして、地球環境研究センターにおきましては、学際的、国際的研究ができる場にするという意味におきまして各省庁の国立研究機関あるいは大学、それから外国の研究機関のそれぞれの研究者の力を結集する、そういうことで研究の総合化をその場で行っていきたいというのが大きなねらいでございます。そのためには、必要な地球環境に関する研究のベースになりますデータを適時適切に活用できる体制にしていく必要がございます。そういう意味日本国内に限らない、できるだけ広域的な地球環境の状況調査いたしまして、その調査に、モニタリングでございますが、モニタリングデータをデータベース化する等によりまして研究者が使いやすい体制にしていきたい。そして、そこのセンターではそういうデータが研究者として容易に利用できるようにしていきたいというのが第二点でございます。  それから第三点は、先生から御指摘のございましたようなスーパーコンピューター等の研究支援手段の整備も図りたいということでございます。と申しますのは、地球環境につきましては、現在のそういう地球環境の状況を踏まえまして将来五十年先、百年先をできるだけ正確に予測するためのモデルの開発が必要でございます。そのためには膨大な計算を必要とするわけでございますので、モデル開発に必要という意味でスーパーコンピューターの整備ができればそれにこしたことはないと考えておるわけでございます。これにつきましては、全体としまして御指摘のとおり四億強の要求をしているわけでございます。ただ、スーパーコンピューターにつきましては、その導入の前に十分いろいろ調査研究すべき事柄がございますので、初年度でもございますので今はその検討費ということで要求しているものでございます。
  156. 石井一二

    ○石井一二君 本年の九月二十八日に海外環境協力センターなるものの設立発起人会が開かれておる。この組織と今おっしゃった地球環境研究センターとの競合関係あるいは分担関係、その辺についてなぜ二つの組織が要るのか、そのあたりをちょっと御所見を承っておきたい。
  157. 安原正

    政府委員(安原正君) 今御指摘の海外環境協力センターは、今は任意の団体でございます。目的といたしますのは、むしろ研究と申しますよりは環境ODAの関係でございます。  環境庁といたしましても、環境分野のODAを拡充していくことが必要であると考えておりますが、そのためには、途上国との関係で十分に必要な調査実情の把握をする必要がございますし、さらにはその人材を養成するということも必要でございます。それから、途上国におきまして環境分野のプロジェクトの形成につきましてできるだけの支援をしていくということも必要でございます。そういったいわば環境ODAを拡充、強化していくための基盤整備の仕事が重要になってくるという認識でございまして、そのための所要の予算につきましても環境庁として要求しているわけでございますが、それは単に政府ベースだけではなくて民間の力も活用していくということが必要でございます。官民一体の取り組みが必要だと考えておるわけでございまして、今御指摘のセンターはそういう意味での民間におけるそういう活動の主体ということで考えておるわけでございます。  研究関係は、これは分担するものではございません。そういうことでございます。
  158. 石井一二

    ○石井一二君 私は、先ほど地球環境に絡んで、またODAに絡んで、主務官庁としての環境庁の機能が若干弱いんではないかというような意味の発言もいたしたかと思いますが、本年七月十日の新聞を見ておりますと、「通産省は地球環境問題に対処するため、「地球環境対策技術研究所」を」「設置する方針を固めた。」とございます。これは「オゾン層を破壊するフロンの代替物質や地 球温暖化の原因とされる炭酸ガスの削減技術などの研究開発に取り組む。研究施設には約四百億円投じ、海外からも研究者を積極的に受け入れる。」云々ということでございました。実に膨大な構想でございます。  こういうものは私は、名前からしても、やっていることから見ても、何となく環境庁がやることであって通産省のやることではない、そのような気がしてならないわけでございますが、こういったテリトリーの重複を避ける、言うならば行政の簡素化にもつながるんじゃないかと思うんですが、こういった問題をどのように環境庁は受けとめておりますか。
  159. 安原正

    政府委員(安原正君) 石井先生指摘のとおり、通産省の方から来年度の予算要求としまして地球環境産業技術研究所につきましての要求が出ておりますが、これにつきましては、私ども承知しておりますのは技術開発を推進するという目的のための要求と伺っておるわけでございます。  先ほども言及いたしましたように、六月三十日の政府の関係閣僚会議の申し合わせでも明らかなように、モニタリングと研究の推進というのが重要な項目でございますが、それが第二項目ですが、第三項目といたしましては、フロンの代替物質だとかあるいはエネルギー分野での技術開発の強力な推進が必要であるということで基本的な方向が示されておるわけでございます。そういう意味調査研究、モニタリングと合わせまして、技術開発を推進していくことも重要であると考えております。通産省としましてはその所管行政に関する技術開発を進めていくということで御要求になっているものと理解しているわけでございます。  私どもの、先ほど申しました国立公害研究所を改組いたしましてそこに地球環境研究センターを要求しておりますのは、そういう意味では分野を異にいたしております。研究分野の推進でございます。俗に地球の諸現象と人間活動との相互関係とかあるいは地球環境保全のための政策研究とか、そういったことを中心に総合的な研究を推進していこうというのが環境庁の構想でございます。そういうことでそれなりの役割分担はできているものと考えております。ただ、この点につきましては、いずれにしましても、今進められております平成二年度の予算編成の過程で政府部内の調整がきちっと行われるというぐあいに理解しているわけでございます。  その上で、さらに十月の末日でございましたか、第二回の関係閣僚会議がございまして、そこでまた新たな申し合わせが行われたわけでございます。今問題になっております調査研究、モニタリング、技術開発、この三つの分野につきまして政府としましてバランスのとれた形で一体的な取り組みを進めていく、このために具体的にどうしたらいいかということで議論しました結果、各年度当初に、各年度ごとにその三つの分野の推進につきまして総合推進計画をつくる、その計画に即しまして各年度、研究あるいは技術開発、モニタリングを実施していくということにしておるわけでございまして、全体として整合性がとれた形で重点的な推進が行われるものと考えております。
  160. 石井一二

    ○石井一二君 今、私は七月十日の新聞を見てと言いましたが、その一週間前の七月四日の日経には、通産省はブラジルに鉱害防止センターをつくる、こう出ておるわけです。  それで、きょうだれか通産省来ていますか。――あなた、じゃちょっとあれですが、通産省はお金を集めやすい立場にあるし、先ほど申したこの技術研究所は特認法人なんですよね。だから、いろいろと税制上の恩典もあることだろう。ところが、その結果、企業からも出資があったりして、何となく自分たちで自分たちの研究をして、その結果、環境基準というものが何となく緩んでいくんじゃないかというような余分な心配をしておるんですが、通産省、こういった組織というものは何となく環境庁に任しておいた方がいいような技術的な面も感じるんですが、あなたのレベルというとおしかりを受けますが、これは環境問題特別委員会ですから局長とか大臣の御出馬をいただくわけにいきませんので、私はこの問題、予算委員会でもまた改めて取り上げますが、とりあえず現時点、今の質疑を聞いておって、ちょっと通産省なりの御意見を承りたいと思います。
  161. 石海行雄

    説明員(石海行雄君) お答えいたします。  今先生質問の地球環境産業技術研究所にかかわります予算要求でございますが、この地球環境産業技術研究所のあり方につきましては、通産省としては次のように考えております。  まず、地球環境問題というのは、これは人類にとっての大変大きな問題でございまして、各国の英知を結集して取り組むべき課題である、かように考えまして、日本としても本問題の解決に向けて積極的に貢献をしていかなければいけない問題だというふうに考えております。  この解決の方向といたしましては、先ほど安原局長から御答弁がございましたが、そのメカニズムの解明といった科学的知見の一層の向上がまず必要でございますが、これとあわせまして、さきのアルシュ・サミットでも確認されましたように、経済成長と環境保全の両立を確保するという観点から、技術によるブレークスルー、技術開発によってこの解決を目指していくという努力が重要と考えております。  この地球環境問題の解決に向けた技術開発といたしまして、具体的には、まず一つは、太陽光であるとか地熱であるとか、そういった新しいエネルギーあるいは再生可能エネルギー技術の開発、それから燃料電池等の省エネルギーにかかわります技術開発、そういったエネルギー関係の技術開発と、それから二番目としまして、生物科学それから化学工学等を活用しました炭酸ガスを固定化してこれをさらに有効利用していく技術、そういった新しい産業技術の開発が必要であるというふうに考えているわけでございます。  そういった大きく二つの流れの技術開発を進めてまいりたいわけでございますが、当省としましては、エネルギー関係の技術開発は従来から進めてきておりまして、これについては引き続き強力に推進をしてまいりたい。  それから、新しい地球環境関連の技術開発につきましては、その中核となる地球環境産業技術研究所を来年度設立をいたしたいということで、今財政当局と折衝をしているところでございます。  で、環境庁が今国立公害研究所内に地球環境研究センターというものを設立するという構想をお持ちでございますが、これは、先ほどの御答弁の中にもございますように、学際的、国際的な共同研究の推進あるいはその広域的な環境監視、観測の実施といった、そのほかにもあろうかと思いますが、そういった基礎的な研究中心となっておりまして、これに対しまして通産省が検討しておりますこの研究所はもう少し実用化に近い段階の技術開発というものに取り組もうとしているものでございまして、その対象というのがお互いに異なったものであるというふうに考えている次第でございます。
  162. 石井一二

    ○石井一二君 私は七月十日の新聞を読んでいるんですが、ちょっとあなたのおっしゃっているのと固有名詞が違うように思うんですが、もう一遍その組織の名前を大きな声で言うといてください。
  163. 石海行雄

    説明員(石海行雄君) 地球環境産業技術研究所、これは仮称でございますが、そういう名前で呼んでおります。
  164. 石井一二

    ○石井一二君 ということは、新聞とあなたのおっしゃることと仮称同士だけれども名前が違うということですな。
  165. 石海行雄

    説明員(石海行雄君) 新聞を今手元に持っておりませんので確認はできませんが、もし違うということであれば、違うと思います。
  166. 石井一二

    ○石井一二君 次に、地球温暖化防止のために、俗にIPCC、気候変化に関する政府間パネルというものがございますが、この第三ワーキンググループで地球温暖化問題に関する対応戦略の検討作業というものがなされてまいりました。そして、八月十五日までに各国政府に対してドラフト 案の提出が求められた。  我が国におきましても、通産省、環境庁あるいは運輸省、農水省などはそれぞれ同じテーマについて答えを出し合ったわけですが、この答えがまた私は非常に食い違っておるように聞いておるわけでございまして、外務省がその調整、そして日本案をまとめるのに若干いろいろと苦労もされたように聞いております。私は、来週ですか、外務委員会質問しますので、そのときこの問題を外務大臣に聞いておきますけれども、例えば法的処置に関しては通産省は慎重だけれども環境庁は積極的であったとか、いろいろな指摘がございますが、この点、安原局長、所管が違いますか、ひとつ環境庁の御意見を承りたいと思います。
  167. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) ただいまのお話は、IPCCの第三作業部会に対して各国から意見を出すという過程で、政府部内におきまして関係各省庁調整をいたしまして意見を提出した。御指摘のように、その調整の過程で各省庁それぞれ所管の立場から意見を申すということもございまして、意見の相違という御指摘を受ければ相違でございますが、それらを討議、検討いたしまして、最終的には政府部内の意見という形で一致したものを提出したということでございます。  そういうことで、我が国といたしましては、大臣が申されましたように、ノルドベイク宣言の方の基本的な立場というものがございまして、枠組み条約の早期締結というものに向かって、それぞれの項目について意見を提出している、こういう状況でございます。
  168. 石井一二

    ○石井一二君 それで、地球の温暖化ということになりますといろんな原因があるわけでございますが、その中の一つにCO2の問題も出てまいります。  やや時間がなくなってまいりましたので先を急ぎますが、このCO2絡みで最近、炭酸ガス排出権市場設立というような、今まで聞きなれない構想が出てきております。私は、こういった構想は非常に奇抜なアイデアのようにも思いますけれども、お金でそういった権利を買うということについてもまた全然違った角度から別の論議が出てまいると思いますが、このことについて我が国政府は積極的なのかネガティブなのか、一体どのようにお考えなのか、方向づけの方向をちょっと御説明いただきたいと思います。
  169. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) ただいまのお話に出ました排出権取引制度構想というものは、学会の中におきましてもまたIPCCの中におきましても時折話題になってくることでございますが、私ども環境庁といたしましては、その前に、温暖化対策について世界的な枠組みをつくるという形がまず先決でございます。  したがいまして、本構想と申すものも、全世界の排出枠をまず設定して、それから各国に割り当てるということでございますので、全体の枠組みが決まる前にその個々の中に入って議論するというのは非常に大きな問題を抱えている。これにつきましても、今お話に出ましたように、環境汚染物質の排出する権利を設定するということが社会的に合意を受けるかどうかというほか、幾つかの問題がございますので、慎重に国際的な動向も見きわめて検討していかなかったらいけないと思っております。
  170. 石井一二

    ○石井一二君 今、局長、胸を張って御答弁になりましたが、先ほど来申し上げておりますように、こういった問題については各省庁がいろんな違った角度から違った行動をするというのが一つの現実のように見えますけれども、まず政府間でこういった話し合いをされて、政府の統一した見解として今おっしゃったような考え方になっておるのか、あるいはそれは環境庁だけのお考えなのか、その辺はいかがですか。
  171. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 私どもが承知いたします範囲内におきましては、先ほどお話に出ましたIPCCの第三部会の方でも議論が出るという形で、日本国の政府の統一見解をつくるときにも、先ほど言った外務省、関係省庁との中でこの排出権問題についてはどのようなスタンスでいくのかというものが議論されて、今私が申し上げたような方向であったかと承知しております。
  172. 石井一二

    ○石井一二君 ではちょっと次にテーマを変えさしていただきたいと思いますが、最近はゴルフばやりでございます。ゴルフ場自体の経営が一兆円産業に入ったとか、六十歳までの成人男子の七%が会員になっておるとか、ゴルフ場の数が現在約一千五百カ所、会員数に至っては二百二十六万人というような数字もございますし、さらに全国計画中のものが七百以上ある、こういった数字も出ております。この数字の正しい正しくないは今そう重要じゃないんですが、おおむね正しい数字だと思います。  そういった中で、ゴルフ場で使われます農薬の使用というものが環境汚染の一つになっていないかという指摘がございます。特に、現在の農薬取締法というものを見ておりますと、農作物等に使用される農薬は農林水産大臣の登録を受けなければならない。ところが、農林水産大臣が農薬を登録するかどうかの判断基準は環境庁長官が定めるということになっております。そして具体的には、作物の汚染防止、土壌汚染防止、水産動植物の被害の防止それから水質汚濁防止の観点から安全性が評価をなされておる。したがって、農薬の使用については登録された農薬を適正に使用することが基本であって、こういう観点からは農薬被害というものは起こり得ないというのが前提のはずですが、現実何らかの調査をされたり、何らかの御認識をお持ちかと思いますが、この点いかがでございましょうか。
  173. 安橋隆雄

    政府委員安橋隆雄君) ゴルフ場の周辺に農薬による影響が出ているのではないか、水質影響が出ているのではないかというようなことが話題になっておりますので、私どもといたしましては、各都道府県に対しまして、そのございますゴルフ場の水質につきまして調査するように依頼しておるわけでございます。  その調査結果につきまして各自治体の方から、二十都道府県でございますが、二百カ所程度のゴルフ場について報告がございました。その結果を見ますと、一部において微量の農薬が検出されたという例があるわけでございますが、ほとんどの場合農薬は検出されていないという結果になっているわけでございます。  先生指摘のように、農薬の使用につきましては、登録された農薬をその使用の基準に従って適正に使用する限り特に環境の方にも影響が出ないというふうになっておるわけでございますので、それが水田畑というような耕地に使用される場合に限らず、ゴルフ場の場合にも、そのような使用基準が守られる限り特に問題が出ないのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  174. 石井一二

    ○石井一二君 きょうは建設省お見えですか。  私も去年まで三年間建設委員をやっておりましたし、今全国に高規格道路網が敷かれようとしておる。また、高速道路ばやりで、いろんな建設が内需拡大の観点からなされておる。喜ばしいことであろうと思いますが、大気汚染の原因の大きな一つが自動車公害であるということは先ほど来の論議にも出てまいりました。  そういった中で、いろいろと道路建設についてあらかじめ都計審にかける前にアセスメントをおやりになる。ところが、アセスメントをやってから実際建設して完成するまでに十年ぐらいのずれもあると思いますね。こういった面から見て、現在高速道路建設にちなんで環境ということにどのような配慮をなされておるのか、まず基本的な姿勢をお伺いいたしたいと思います。
  175. 井上靖武

    説明員井上靖武君) お答えいたします。  まず、路線の選定に当たりましてできるだけ影響の少ないルートを選定するということを心がけますとともに、やむを得ず住宅地等に接近する場合におきましては道路構造面で適切な配慮を行うということで、環境保全に努めることとしております。
  176. 石井一二

    ○石井一二君 余り答弁が簡単過ぎて理解に乏しいわけですが、じゃ具体的に、例えば関西新国際空港が建設される。そして大阪湾岸道路が建設さ れる。私が調べたところでは、昭和五十四年にアセスメントをやって、今、もう六十四年、平成元年ですから、既に十年たっておる。  例えば芦屋という町をとってみた場合に、その後埋立地にどんどん家が建って、湾岸道路の目の前に高層住宅がある。こういった場合に、もとの都計審を通ったときのアセスメントを振りかざして、そのままの道路構造で私は済まない、そのように思うわけであります。特に阪神間の住民は国道四十三号線の問題等々で毎年非常に苦しい公害上の悩みを持ち、またそれなりに関係省庁も御努力をしていただいていることも私は理解をいたしておりますけれども、例えば湾岸道路にシェルター方式をその部分だけ採用するとか、先ほど何か路線を決めてそれでやるんだということですが、海の上だから深い方へ行くというわけにもいかぬと思いますし、そういったフレキシブルな対応というものが可能なのかどうか、その辺のお考えをちょっと御披瀝願いたいと思います。
  177. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 大阪湾岸道路は、大阪湾に沿いまして神戸市の垂水区の名谷町から大阪府泉佐野市に至る幹線道路でございまして、大阪の周辺地域を連絡するとともに、臨海部の都市開発の基盤でございますけれども、内陸部の交通混雑の緩和に資する重要な路線でございます。  ただいまの芦屋浜の集約料金所付近につきましても、アセスメントの段階で騒音予測をいたしまして、適切な高さの遮音壁を道路の端のみならず中央分離帯にも設置するという形で、適切な騒音量にとどめるべくそういった対策を講ずることとしております。
  178. 石井一二

    ○石井一二君 今、中央分離帯をつくるとあなた言われましたか。もう一遍そこのところを言ってください。
  179. 井上靖武

    説明員井上靖武君) 道路の両端ばかりでございませんで、中央にも設置したいというふうに考えております。遮音壁でございます。
  180. 石井一二

    ○石井一二君 あなたもきょうは説明員としての御答弁ですから、また別の機会にもう少し詳しく局長、大臣にこの問題は当たりたいと思いますが、こういった五十四年になされたアセスメントに基づいて、それが最終的な答えだというかたい頭を持たずに、状況、町の変化に応じてフレキシブルにやってほしいという要望があったということを強く記憶にとどめてきょうはお帰りをいただきたい、そう思います。(「もう少し突っ込んで聞いてください」と呼ぶ者あり)  時間の関係で、もっと大事な問題がありますから、この後の問題は中村先生に譲るといたしまして、次の問題に移りたいと思います。  私の持ち時間があと五分足らずぐらいかと思いますので、公害健康被害補償制度、これも同じ地区の問題でございますが、賛否両論、いろんな激論の中で、結論として六十三年の三月一日をもって新規認定が打ち切りになりました。このことは将来の補償費用の減額ということが新たな認定がないわけですから起こってくるわけでございまして、そのかわりに健康被害の予防事業をやって、違った角度から頑張っていこう、こういう姿勢が行政の姿勢でございますが、現実の姿として年々の予算は以降どのような減額のカーブを描きつつあるのか、予測でも結構ですが、ちょっとその辺をまずはしりにお伺いをいたしたいと思います。
  181. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) 既裁定の認定患者が制度改正によりまして、ここ一年ほどの傾向ではございますが、そのような傾向が今後も続くものといたしますと、これから毎年大体五%程度の割合で減少していくのではないか、これは患者数でございます。補償給付費の総額につきましても、医療費の伸びでございますとか補償費の改定等を勘案いたしましても、今後毎年減少していくものと予想をいたしております。
  182. 石井一二

    ○石井一二君 とすると、あれですか、二十年でゼロになるということですか。
  183. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) 将来の予想まではなかなかつきませんが、ここ二、三年先、近い将来を見越しますと、数%ぐらいの減少が見込まれるということでございます。
  184. 石井一二

    ○石井一二君 それで将来のことですが、予防協会の基金が五百億円を予定しておる、それで将来運営は基金の運用益によって賄う、こうなっておるわけですが、この運用益で賄うということは言うはやすし行うはかたしの面があろうかと思いますが、そういう前提で、じゃここ一、二年どのような運用益で賄うための努力をなさっておるのか、ちょっと具体的に数字で教えていただきたいと思います。
  185. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) 健康被害の予防事業がスタートいたしましたのが実質的には六十三年度からでございまして、ここ二年間ほどでございますが、六十三年度につきましては、これは実績ベースでございます。国の一億八千百万円の出資金を含めまして十九億三千四百万円。それから本年度でございますが、これは予算ベースでございます。国の出資額二億七千九百万円を含めまして、トータル二十八億五千七百万円を予定をいたしておりまして、六十三年度につきましては実質的に基金事業の初年度でもございまして、事業者の拠出金につきましてはほぼ全額基金事業の費用に充当されたところでございます。本年度につきましては、拠出金もふえまして、事業費に充当するほか基金の積み立てもなされる見込みでございます。  またなお、国の出資金につきましては、昨年度、本年度とも基金に繰り入れられているところでございます。
  186. 石井一二

    ○石井一二君 もう一問だけ、最後に大臣の答弁をお願いいたします。  我が国は、先般来いろいろな国際的な約束をしてまいりました。特に、オゾン層の保護という観点から、フロンは今世紀末までに全廃、ハロンは二〇〇五年までに生産、消費の全廃、メチルクロロホルムは一九九一年から現状の水準で凍結、こういった約束がございますが、その自信と見込みのほどを端的に御表現願えればありがたいと思います。
  187. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 国際的にお約束をした以上は、そういうことに対してはいささかも国際的に不信の念を持たれてはいけませんので、そういう方向で努力をしておるところでございます。
  188. 石井一二

    ○石井一二君 ありがとうございました。
  189. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは、質問に入ります前にちょっと説明をさせていただきたいことがございます。  先ほど来の質疑応答の中で国立公害研究所の名称変更というのがございました。私が国立公害研究所副所長で参りましたのは今の土屋参議院議長が長官の時代でございまして、そのときから英語ではちゃんと環境科学研究所と書いてあるんです。ナショナル・インスティチュート・オブ・インバイラメンタル・サイエンシーズなんです。公害という日本語を使われておりますけれども、外国の言葉で公害というのはないのです。公に振りまいている害というのはないので、加害者か被害者かということで、インバイラメンタルデストラクションとかポリューションとかという言葉が使われているのです。ですから、まだ変わっていないようでありますので、これは急いで変えた方がやっぱりいいのじゃないか、環境研究所に変えた方がよろしいと思います。  では質問に入らせていただきます。  先ほど来大変広いハイレベルの地球環境の話が出ておりまして、私は、いささか小さく国内の対策の手おくれについて少し質問させていただきたい、こう思っております。  それはスパイクタイヤの問題点とその法制化に関する質問でございますが、まずスパイクタイヤ粉じんというものがどのような健康障害を起こすか、環境庁では動物実験等のデータをお持ちのようでありますから、簡単に説明をしていただきたいと思います。
  190. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) スパイクタイヤの粉じんによります健康影響としましては、人体ではのどの痛み、せき等の急性症状の発現が既に指摘されております。それからまた、長期影響につきましては、事例が乏しい状況にありましたために環境庁で今お話のような実験を昭和六十年度後半よ りラットについて実施いたしました。その結果、アスファルト粉じん等を吸入いたしました結果、昨年八月に報告が取りまとめられたところでございますが、ラットの肺とリンパ節に異物沈着が認められまして、一部に肺の繊維化が確認された、こういうような状況を得ております。
  191. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私は環境特別委員会昭和六十年の三月に実はスパイクタイヤに関する質問をさせていただいておりますが、その時点で既に、私のメモを見ますと、西独、アメリカ、オランダではもはや立法で禁止をしている。そのほかたくさんあったと思いますが、メモにはそう書いてございました。そういうことで、私は環境庁もずっとスパイクタイヤを禁止するということについての法制化を検討していると聞いておりますので、今日までの経過について御説明をしていただきたいと思います。
  192. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) スパイクタイヤによる粉じん問題につきまして、これまでにも関係省庁、さらには問題で悩んでおられます地方自治体等と連携をとって対策を検討してきたわけでございます。その結果、環境庁といたしまして、スパイクタイヤの使用禁止及び脱スパイクタイヤへの円滑な移行と定着を図る、このような各種の対策を盛り込んだ総合対策立法が必要である、このように考えまして本年の三月初めに関係省庁に環境庁の法案を示しまして、さきの通常国会に提出してみよう、こういう努力を行ったところでございます。  しかしながら、脱スパイクタイヤの方向で対策を進めるということにつきましては関係省庁意見が一致しているわけでございますけれども、法律による規制につきましては、交通安全の確保、各種対策の法律上の位置づけ、それから規制の実効上の確保、どのようにそれを担保するのかというような幾つかの論点で調整が引き続き必要だという状況でございます。現時点ではいまだ法案について合意を見るに至っておりませんが、現在さらにこれらの点につきまして引き続き関係省庁と鋭意努力を継続しているところであります。
  193. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私もスパイクタイヤ使用の現場である札幌におりますので、大変関心を持って、タクシーに乗りますとしょっちゅう運転手に話を聞いたりしているところでございますが、スパイクタイヤを使用することによって舗装道路が掘れていくので、わだち掘れというか、溝がずうっとできてしまう、そういうことで例えば雨天の場合なんかは大変スリップをするので、変更できなくて事故を起こすことがある、こんなふうに聞いております。  そこで、各省庁のとおっしゃっていたので、きょうは関係各省庁に来ていただいておりますけれども、道路のわだち掘れというお話をいたしましたけれども、札幌市ではスパイクタイヤをやめると雪解け後の今の舗装の補修の費用がかなり浮くだろうという予定をしておりましたが、建設省にこれは承りたいんですけれども、補修にはやはりそれだけ莫大なお金がかかるんじゃないかと思うんです。そして雨天の事故等を考えますと、道路管理者としてはやはりスパイクタイヤは禁止した方がいいとお考えになっているのではないかと思って伺うんでありますが、建設省いかがでしょうか。
  194. 佐々木隆士

    説明員佐々木隆士君) お答えいたします。  スパイクタイヤの普及に伴いまして道路の維持に対する摩耗が大変著しく、道路管理上大きな問題となっております。また、粉じんの環境に関する影響というのも社会的に大いに指摘されているところでございまして、このような道路舗装の摩耗や粉じんによる環境問題などを解決するためには、地域社会のコンセンサスを得ながらスパイクタイヤをなくしていくということが必要であるという認識に立っております。  そのためにも、道路管理者の対応に加えまして代替タイヤの開発とか交通安全対策とか安全運転に対するドライバーの啓蒙など、さまざまな対策を総合的に推進していく必要があるんではなかろうかと考えますけれども、道路管理者といたしましては、このような総合的な取り組みの中でスパイクタイヤ問題の解消に資する雪寒事業を通じまして除融雪等の対策を引き続き講じてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  195. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今、お話を伺いながら私、札幌に住んでおって思い出すのでありますけれども、昔々はスノータイヤもなかったわけでつるつるの夏タイヤでやっておって、運転技術というものを研究したり指導したり、冬運転の免状を別にやったらどうだとかという話が出ておったぐらいでございます。スノータイヤからスパイクに変わって、今度はスタッドレスになってきたわけでありまして、私もさっき申し上げましたように道路交通の取り締まりをやるお巡りさんとも仲のいい人がおりまして、いろいろ聞いているわけであります。それで聞いてみますと、やっぱりちゃんと規則を守ってきちっとやっていれば間違いないんだ、スタッドレスで大丈夫だというようなことを言っておりますけれども、タクシーの運転手さんなんかに聞きますと、何といってもやはりスタッドレスとスパイクが混在しておりますと急に何かがあったときに困ると、そういうことを言われておるわけであります。  しかし、先進諸国では、後でこれは環境庁に伺いたいと思いますが、ほとんどスパイクを禁止するかあるいは使用しないということになっているようでありますし、札幌では、今段階を経ているところで、かなり脱スパイクタイヤを進めております。モニターと称しまして、助成金を出してタイヤの四つのうち二つでしょうか補助するとか、何かそういうことでスタッドレスに変えさせる努力をしておりましてかなり進んでおりますが、やはりスタッドレスとスパイクが混在するということがどうしても安全性では問題になるんじゃないのかなと思うのでありますが、このことについて一番安全性で関心を持っておられ検討しておられる警察庁に御意見を承りたいと思います。
  196. 賀来敏

    説明員(賀来敏君) 御案内のとおり、スパイクタイヤあるいはスタッドレスタイヤ、両方出ておりますが、私どもが聞いております感じでは、いわゆる滑りどめ性能という面では現在のところスパイクタイヤの方がより性能があるというように聞いております。そういう面で滑りどめという面ではスパイクタイヤの方がすぐれておると、そのように承っております。
  197. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私の聞いたところでは、ブレーキ効果は、スピードだとか雪の状況によるでしょうけれども、スタッドレスに対してスパイクの方は大体八割ぐらい、だから二割ぐらいの違いがあるということのようですね。もちろんアイスバーンだとまた変わってくるんです。  ですから、私は自分で車を運転しないからわからないんですが、昔々聞いたときには、ポンピングブレーキというんですか、そういう技術だとかいろんなことが必要ではあるが、何といっても二割の制動の性能がブレーキになるわけですね、これはどうしようもないんで。そうすると、みんながスタッドレスになれば、前のがとまった後こっちもブレーキをかければ同じようにいくではないかと。そうするとこれはぶつからないわけで。場合によったら、スパイクを禁止してからでは法律違反でしょうが、スパイクをしていてぶつかった場合にはぶつかった方が悪いんじゃなくてとまった方が悪いんだと、こういう法改正でもあればまたこれは話が別じゃないかと思うんですが。つまり、車間距離をせっかくとってスタッドレスで行っているのに、あいているからスパイクが入ってくる、そういうこともあるんですね。ですから、私は、混在しているからにはやっぱりどっちかにする。どっちかというのは、もちろんスパイクをやめる、禁止ですよ。そういうことにならなきゃいけないんじゃないかと思うんです。  それで、それに関しまして環境庁では諸外国にアンケートというか調査をしておられるようでありますので、諸外国の事情、それから安全性のデータ等で御承知の点を御説明いただきたいと思います。
  198. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) 私どもで本年の春、スパイクタイヤの対策についての先進的な対策を実 施した国にアンケートを出しまして、それを集計いたしました。  その結果の主な点を御紹介いたしますと、西ドイツ、オランダ、それから東欧諸国を初め多くの国におきましては、スパイクタイヤの全面的な禁止が行われております。それから、アメリカ合衆国におきましては、州によってそれぞれ全面禁止、一部禁止というような状況でございます。その結果心配されております自動車による事故がふえたかどうかということもあわせて照会をいたしましたが、それらの国におきましては交通事故件数には大きな変化がなかった、あるいはむしろ減少したというような状況でございました。  またさらに、ちなみに西独の脱スパイクタイヤのビデオを拝見いたしましたところ、その事故死亡件数が二万件から八千件台に減ったというようなことも、ビデオでございますが報告されておりました。  したがいまして、私どもは、スタッドレスタイヤの性能をさらに上げていく必要がございますが、現在の状況でも交通安全、それからまた運転の習得その他によりまして脱スパイクタイヤを進めて粉じん問題を解決することは可能ではないかと、このように考えております。
  199. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のお話を伺って、やはりそういう方向で御検討いただきたい。できるだけ早くと私思っておりますけれども。  先ほどNOxの問題で大型車、トラックのお話も出ておりましたけれども、前々から私は大型車のいわゆる大気汚染公害に関しての指摘をしてきたつもりであります。NOxもそうですし、それから今の粉じんで言いますと、やっぱり大型車はそれなりに重量がかかってスパイクで引っかくわけですし、それから幅の広いタイヤですから、大変たくさんの粉じん、車粉を製造しているということになりますので、この点からもやはり大型車のスパイクタイヤにかわる代替タイヤの開発が必要なのではないか、これが大型車の脱スパイクタイヤのネックになっているんじゃないかと思うんです。  通産省にこの開発状況について御説明いただきたいと思います。
  200. 寺西大三郎

    説明員(寺西大三郎君) 御説明申し上げます。  ただいま御指摘ございましたように、普通乗用車用のスタッドレスタイヤにつきましては、既に開発が進んでおりまして非常に出回っており、かつ毎年性能も向上しているわけでございます。ちなみに氷上の制動性能におきましては、スパイクが一〇〇に対しまして八五%ぐらいまでいっているというふうに考えております。  ただ、大型車用のスタッドレスタイヤにつきましては、技術的になかなか難しい問題もございます。これは、例えばトラック、バス等は非常に大量の荷物あるいは人を積むというところからタイヤにかかる荷重が非常に大きく変化するわけでございまして、そういう技術的な難しさから現在なお開発途上でございます。  私ども通産省におきましても、従来からタイヤメーカーに対しましてはその開発の促進を指導しているところでございますが、各タイヤメーカーにおきましても共同研究等も交えながら開発に鋭意努めておりまして、ことしの冬には一部のメーカーから大型スタッドレスの工法タイヤといいますか、試作段階の工法タイヤでございますけれども、これを市場で限定販売をいたしまして評価をしていただく、実際に使った評価データを取得するということが始まる予定でございます。  今後もこの大型スタッドレスタイヤの早期実用化に向けて指導してまいりたいと思いますけれども、何分にも大変技術的に難しいものでございますので、直ちにいつできるということは今申し上げがたい状況にございます。
  201. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今のお話を伺いますと、大型車のスタッドレスも実現の第一歩を踏み出したように私は受け取ったわけでありますが、運輸省に御意見を承りたいんですけれども、大型車についても私はスパイクタイヤを禁止するという、そういう環境が整う方向で進んでいるし、その実現も間もないんじゃないか、今の性能の八五%ぐらいというと非常にいいところへいっていると思うんです。  ですから、そういう状況で、運輸省としては法制化についてはどういうふうにお考えになるのか、承りたいと思います。
  202. 堀込徳年

    説明員(堀込徳年君) お答えいたします。  運輸省といたしましても、現在のスパイクタイヤの粉じんによる公害の発生状況にかんがみまして何らかの規制措置を講ずる必要性は感じております。  ただいま御指摘の大型車につきましても、先ほど通産省の方から説明がございましたように、日本自動車タイヤ協会におきまして鋭意技術開発中でございます。我々もこの開発状況に期待しておりまして、開発状況を見守りまして、安全性の確保等の面におきまして実用に供し得る代用タイヤが開発された場合にはスパイクタイヤの使用について何らかの規制をしていかなければならないのじゃないか、かように思っております。
  203. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大型車のことでこの際もうちょっと触れておきますと、NOxが依然として先ほどの環境汚染基準を相当上回る程度のままでずっと何年も推移しているということの責任の一つは、大型車のやっぱり排気がうまくないんですね。乗用車のエンジンというのは、私が聞いた範囲では、もうそれこそ完成品に近いぐらいの高率で非常に改善されている、しかし大型車はどうしてもそうではないと。黒い煙を吐きながらということのようでありますし、前にもお話しいたしましたが、あの中から出てくる黒い噴煙でありますが、あの炭素化合物がベンツピレンを含んでいるということも当然でありましょうが、もう一つは、あれがもとで、あれに花粉がくっつくことで花粉アレルギーが起きる確率が高くなる、そういう動物実験があるんですね。ですから、東京で杉花粉アレルギーが非常にふえてきたんですね。あれは私が東京に出たころはあんなでないと思っておったのに、ここ数年来急にふえてまいりましたが、恐らくそういう車粉、特に大型車の出すあの黒い噴煙でございますけれども、これが東京都内住民の花粉アレルギーを増強させたのではないだろうかというふうに私は思うんです。  ですから、やはり何らかの方策であのエンジン改良をどうしてもしなければならない、あるいは古いのを何とかしてエンジンを取りかえていくということが要るんじゃないかと思うんです。あわせまして、これはタイヤでございますから、ぜひこれもひとつしっかりやってもらいたいと思います。  それから、つい最近、公害調整委員会で国内七社のタイヤメーカーと調停が成立をして、一九九〇年、来年の十二月には製造規制、それから九一年三月には販売規制という調停が成立したというふうに新聞紙上等に出ております。しかし、このままで法規制が使用禁止でなければ安い外国産のタイヤが輸入されてくる。もう既に少しずつふえているという話を新聞等で聞いておるわけでございますが、通産省に伺いたいんですけれども、それを輸入禁止をするということは果たして可能なものかどうか伺いたいと思います。
  204. 寺西大三郎

    説明員(寺西大三郎君) 輸入スパイクタイヤでございますけれども、まず、どのくらい入っているかということを申し上げますと、私ども調査によりますと、昨年の冬で一年間約十六万本ぐらい入りました。これは日本におきますスパイクタイヤの総出荷量が約五百数十万本でございますので、十数万本と申しますと、まあ三%ぐらいに該当いたします。したがって、量的にはその程度でございますけれども、輸入量だけを比較しますと、前年に比べて約六割ぐらいふえた、約十万本ぐらいが十六万本ぐらいにふえたということでございます。  したがいまして、私どもといたしまして、こういった状況を踏まえて、主要な輸入業者に対しまして輸入量の削減方の要請を行っておるところでございます。したがいまして、今後も輸入動向については十分注視してまいりたいと思いますけれ ども、法律的な禁止というところまではちょっとまだできないと思っております。
  205. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今伺っておりましても、確かに今貿易の問題が頭痛の種というのは日本にとってはあるわけでございますから、輸入禁止というのは大変難しいだろうと思うんです。使用禁止なら文句なく入ってこないわけでありますから、ですからやっぱりこれは使用禁止に持っていかなきゃいけないんじゃないか。  それから、七つのメーカーは、まあビッグセブンなんでしょうけれども、それ以外のメーカーは国内でも調停の網から逃れるというのもあるわけで、やっぱり天下の大勢はどうしても禁止の方向でなければならぬのではないかと思うんです。  そして、私が国の法律で大きく縛りをかけるというものの一つは、ここにデータがございまして、仙台市で昨年スパイクタイヤ使用禁止期間で反則金を課せられた人が二百三十六人いる、ところがそのうちの六五%が県外者だっていうんですよ。だから、県外者だから権限外だと思ったらそうではない、やっぱり入ってくれば取られるというわけでありますから、これは大きな網がかかっていれば、これはちゃんとローカル的な使用禁止期間の適用はありましょうけれども、大きな枠が入っておれば、これは県府間あるいは自治体間のトラブルが起きないということになろうかと思うんです。  そういうこともありまして、国の法律で早急にこれは禁止の方向を示すべきであると私は思いますけれども、これをまとめますと、まず、私は医者でございますので、健康障害予防という見地、これは非常に大きいと思っております。  それから、自治体等でスパイクタイヤ禁止の要求が高まってきております。私は札幌へ帰りますと、このごろはお医者さんを会長にする民間団体のスパイクタイヤを禁止する会というのが私のところに陳情にも参りまして、私は政府側ではございませんが、いやもう喜んで私は賛成であるからそういうふうに努力をいたします、こういうふうに言ってきたわけで、こういうスパイクタイヤ禁止の要望が非常に高まってきた。  それからもう一つは、先進国のほとんどが使用を禁止しているのに、日本はいつでも、地球環境だって私に言わせればいろいろありますけれども、いつだって日本は後追いなんですね。これは情けないと思います。スパイクタイヤの禁止は十年ぐらい前から外国でやっているんだから、だからこれでやれないというのはやっぱり何かしらエコノミックアニマルだということを言われることになるのではなかろうか。やっぱり健康というのは大事なんですから、まずやっぱり健康を重点に打ち出していただいて、これは先進国並みに、そして地球環境を一生懸命にやることももちろん大事でありますが、それと同時にというかそれよりも先にというか、国内のそういうことが整わないで外国のことに口を出すということは私はある意味では口幅ったいんじゃないかなという気がしております。  そういうことを踏まえまして、最後長官から、スパイクタイヤを禁止する法案を私は早急に検討していただいて次期国会にでも早速提出していただきたいものだと思いますので、長官にひとつお考えを承りたいと思います。
  206. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 高桑先生のただいまのお話を承っておりまして、大変説得力のあるお言葉にまことに痛み入ります。  地球環境問題を言う前に足元を整えろと、こういう御趣旨であったと思いますが、まことに切実に私の心を打つものがございました。私も、できますことならば次期国会におきましてこのスパイクタイヤの禁止法案を提出し、物にできればと思いますが、先ほど大気保全局長の方からお答えがございましたようなもろもろの経緯がございます。したがいまして、この法案を提出した以上は成立を図らなければならない、しかし出しておかしな形になることもまことに好ましいことではない。そういう諸般の情勢を十分に踏まえる必要がございますが、同時に環境庁としてもでき得る限りの努力を重ねながらよりよい方向を見出してお話のような方向に行き得ればと、こう考えておる次第でございます。  以上でございます。
  207. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ありがとうございます。  終わります。
  208. 広中和歌子

    広中和歌子君 まず、志賀環境庁長官にお伺いいたします。  先般、環境行政における政府代表が集まって、オランダのノルドベイクで開かれましたハーグ会議に御出席になりまして御苦労さまでございました。私も、その後ワシントンで開かれましたEC、アメリカ、日本の議員で構成されましたGLOBEの環境問題にここに御出席の國弘議員とか衆議院の小杉、武村両議員とともに出席してまいったわけでございますが、その際ECの議員から、先般のオランダでの会議におきましてはアメリカと日本が地球温暖化防止のためのCO2排出規制に非常に消極的であった、失望した、そのような指摘を受けたわけでございます。日本の新聞の報道も、そして外国の報道も含めまして、日本の環境への取り組みが依然経済優先であり消極的である、そのように指摘しているわけでございます。  環境庁といたしましては西暦二〇〇〇年までにCO2排出三〇%削減にあのハーグの会議で同意できなかった、その理由、背景、経過などについて、長官みずから御体験をお伺いいたしたいと思います。
  209. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 冒頭、私に対するおねぎらいの言葉をちょうだいいたしましたが、私の方からは、GLOBEにお出ましいただきまして、御活躍に対する敬意と感謝を申し上げさせていただきたいと思います。  オランダの会議でございますが、これについては欧米でただいま御指摘のような論評、コメントのあったことは私も十分承知をいたしておりますし、事実日本の国内におきましてもそのような報道が新聞等でなされたことは私も読んでおるところでございます。  ただ、私自身、最近はやりの言葉で第三の道という言葉がございますが、もし第三の道のようなものがありとせばどういうことがあったのだろうかとつくづく考えさせられるわけでございます。  というのは、先ほどもちょっと申し上げたと思いますが、もしオランダ案に同調するものとせざるものとこのままの状態で会議が終わったならば、これは国際政治にその後与えた大変悪い影響がある。これはもう覆うべくもなかったのではなかろうか、このように私は理解をしておるわけでございます。さればといって、もしそれが可能であるとしても、日本がアメリカ、ソ連、英国あるいはまた中国のようなオランダ案に同調できないでいる諸国からひとり離れてオランダ案にくみするというようなことを、仮にこれが可能であるとしてやれば、事がこれでおさまったのであろうか。そうしますと、私は、我が田に水を引くわけではございませんが、今回日本がイニシアチブをとってオランダ案の原案を修正してもらいつつ当方も歩み寄るというような、そういう建設的なあるいは中間的な案を出して、これによってまとめる、そのことが実は大変大きなよき結果に結びついたのではないだろうか。もしそれがなければオランダ宣言はあり得なかったのではなかろうかという私は考えに立っておるわけであります。  したがいまして、これに対する、日本が後ろ向きであるとかラストランナーであるとかあるいはまたエコノミックアニマル的であるという論評は、もとより人様の口には雨戸ほたてられませんが、これはこれで私は日本にとっては最良最善の道を選んだのではなかろうかと考えておるのでありまして、私自身は掛け値なしに満足をしておるわけでございます。  以上が私の考え方でございます。
  210. 広中和歌子

    広中和歌子君 東西ドイツを隔てておりましたベルリンの壁が崩れ、東ヨーロッパに民主化の流れが怒濤のように広がっている。世界はポスト冷戦に向かって歩み出しているわけでございます が、そういう中で地球環境破壊が全人類の共通の敵と、そういうふうに認識されているわけでございます。環境庁はもとより日本政府、さまざまな議員がもちろん超党派で環境問題で指導力を発揮するようにと、そのような期待が高まっているわけでございます。しかしながら、ハーグの会議の例にありますように、現実の対応は、今長官のお言葉で理解はいたしましたけれども、ともかく妥協をせざるを得ない、そういうようなことがございますし、またそうした政府を支える日本世論そのものも、日本人の環境意識もかなり低いんではないか、そんなような世論調査の結果もございます。  ところが他方、世界世論の方では、日本の行っている南太平洋など公海における流し網漁業とか三百頭に上る調査捕鯨、それから熱帯雨林の破壊者として日本がレッテルを張られている、そういうようなことで日本が環境に背を向けた国だと、そのような非難も結構あるわけでございますね。それは環境庁としても大いに弁解したいところもあると思いますし、また新たな日本の積極的な環境のリーダーとしてのイメージを売っていきたい、そういうようなところだろうと思いますけれども、今後環境庁として世界に向かってどう説明し、どういうふうに行動をなさっていくおつもりなのか。そういう未来に向かってのビジョンというんでしょうか、少し先ほどの同僚石井委員からの御質問に対してお答えもございましたけれども、具体的な点で随分誤解されている、指摘されているという点がございますので、そういうことも含めましてもう一度お答えいただきたいと思います。
  211. 志賀節

    国務大臣志賀節君) オランダ会議につきましてはただいま私申し上げたとおりでございますが、しかし日本の環境問題に対する取り組み、姿勢というものが十分であると必ずしも胸を張って世間に威張れるようなものではないと私は考えております。  ただいま高桑委員から御指摘のございましたことも率直に大変胸をつかれる思いでございまして、私はまだまだ日本環境行政の至らなさをいろいろな面で思い知らされるわけでございます。したがって、私は、すべてに対して日本はいいんだ、間違っていない、こういう強弁をしようとは思っておりません。  しかし、誤解が非常に多いこともまた事実でございます。例えば、私は、今回オランダの会議が終わりましたその直後に、内外の記者団との記者会見に臨む場面がございました。このときの冒頭、外人記者から、日本は熱帯林をつぶしておる、一体日本はブラジルのアマゾンの森林をなぜつぶしてしまわなければ気が済まないんだ、こういう趣旨の質問がございました。ところが、私の手元に来ておりますアマゾンの森林からの日本に対する木材の輸入は、ゼロと言って悪ければ、限りなくゼロに近い程度なのであります。しかるに、こういうことまで諸外国からは日本が真犯人であるかのように扱われておりまして、私は、そのためその新聞記者にそのことを率直にそのとおり答えますとともに、無罪のものを有罪にしないようにしてほしい、こういうことも申し添えた次第でございました。  したがいまして、日本の国内にあっても相当そのような誤解が多いことは事実でございます。例えばCO2の排出にいたしましても、日本の場合世界のGNPの約一二%でございますけれども日本はCO2の排出が四・三%でございまして、しかもこれをいわゆるトンで言うのでございますけれども、年間一人当たりの排出量をトンで申しますと、アメリカが五トンでございます。ソ連が三・二トンでございます。それから、中国はこれは言うに当たらないのでございますが、西ドイツが三トンでございます。それから、イギリスがこれが三トン弱でございます。カナダが四・一四トンでございます。そういうふうに見てまいりまして、日本は一・九一トン、これは二トンと言ってもようございましょうか。それから、フランスが一・七八トンですからこれも二トン弱でございましょう。フランスがいわゆる先進工業国では最低でございます。日本はこの最低に近いところにございますが、しかし日本の排出はまことに莫大なことをやっているかのような加害者意識的なものが日本人そのものにもございますし、あるいは他の国々の国民の中にもございます。  こういうことについては環境庁自身努力の至らなさもございますが、こういう点はもっともっと広く世界じゅうに知ってもらわなきゃいかぬことだと思っております。そういうことを通じて日本環境行政に対する正当な評価も得られるのではないか。誤ったところから評価されるのでは日本もちょっと困りますので、そういうことも十分頭に置いてやっていかなければいけないと考えております。  なお、細かいところは担当局長に答弁をしてもらいます。
  212. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) ただいまも大臣が基本的な点につきまして述べられたとおりでございます。我が国の地球環境保全に向けての姿勢につきまして、広く海外に正確な理解をしていただくということが非常に重要かと考えております。そのためには、我が国の地球環境保全に向けた取り組み姿勢というものを明確にする、それを機会あるごとにいろんな方法をもちまして周知を図っていくということに尽きるかと存じます。  その点につきましては、先ほど来言及いたしておりますように、政府一体の取り組みということで関係閣僚会議の申し合わせがあるわけでございまして、当面の基本的な方向を六項目にまとめまして日本政府として積極的に取り組んでいくということを明確にしているわけでございます。この基本的な方針につきましては、国際会議がいろいろございます、そういう国際会議の場を通じまして日本の姿勢を説明し理解を求めているところでございます。  まだまだ至らない点がございますが、引き続き努力を重ねていく所存でございます。
  213. 広中和歌子

    広中和歌子君 大変よくわかりましたが、日本における環境保全対策、それは今言われましたように世界でも水準が高く、また技術的にも能力もある。その日本企業日本で許されないような基準で海外進出をしたりすると、仮にその例が少ないものであっても批判され、ひんしゅくを買い、世界じゅうにそのニュースが広がるということがあるわけでございます。そうした事実関係につきましては資料もあるわけですけれども、それをただす時間がないのであえて伺いませんが、私は、やはり政府としても前向きの姿勢で何かもっと取り組めないかということで一つの小さな提案をさせていただきたいなと思っているわけです。  それは、日本が海外で事業を行う場合、それは私企業海外進出であろうと、また融資であろうと、政府開発援助いわゆるODAであろうとも、いやしくも日本がかかわる場合には日本環境基準を外国においても守ろう。つまり、自分の国において大切なことは外国においても大切なんだというフェアネス、良識をもちまして海外活動をする、そういうことを提案させていただきたいなと思っているわけです。このような非常に小さなことですけれども環境問題に対する前向きの姿勢を示すことが大変大切なことじゃないかと思うんです。  実を言うと、私は、これはGLOBEでEC並びにアメリカの議員にちょっと申しましたところ大変に好評でございまして、彼らも自分たちの国で同じようなことを考えようというふうに言ってくれたわけでございますが、このような提案をすることを通産省並びに環境庁としてはどのようにお考えか、ちょっとコメントを伺いたいと思います。
  214. 志賀節

    国務大臣志賀節君) GLOBEで御活躍の一端を教えていただきましてありがとうございました。  この御提案の御趣旨が海外でもし可能であるならば、相手国の基準以上の環境上の配慮を行うことはまことに理にかない意にかなったことであると私も存じます。ただ、私自身若干危惧いたしますことは、およそこれは現地との合弁企業でござ いましょうから、さすれば彼らのやっぱり法律とか規則に従う必要があろうかと思う、そういう点がございます。そこで、そのことと今先生御提案のこととが必ずしもぶつかり合わないことであるならば、そこが可能であればという意味でございますが、私はまことに結構なことではなかろうかと思うのでございます。  なお、従来いろいろODA、開発援助について言われていることに付随してちょっと私の考え方を申し上げますと、我々の経験からいたしますと、やはり経済的に発展していない国民ほど人口が多いと申しましょうか、貧乏人の子だくさんという言葉が古来日本にもございますが、出生率が下がるということと経済的に向上するということとがどうやら私どもの経験則では正比例しているものでございますから、そういう面でも十分発展途上国には我々は配慮してやらなければいけない面がこのこととはまた別にあるのではなかろうか、こういう考え方も私は持っておるわけでございます。
  215. 若杉隆平

    説明員(若杉隆平君) 海外に進出しております日本企業につきまして若干御説明を補足的にさせていただきたいと存じます。  海外に進出しておる日本企業は、投資先国におきます現地法人として事業活動を行います以上は、投資先国が定めております環境保全のためのさまざまの規制、そういったものを遵守しまして環境保全に努めることがまず基本的に重要であるというふうに考えている次第でございます。今ほど環境庁長官からの御答弁にもございましたように、環境問題につきましては、投資受け入れ国におきます経済開発政策との調整問題、あるいはその国の政府全体の政策的な御判断、あるいは経済事情、環境事情等の差異がいろいろ反映されております関係上、例えば日本企業が親企業を通じまして現地法人であります海外の投資企業に対して現地の基準とは別の、例えば日本の基準を一方的に遵守するように求めるというようなことは、先ほど環境庁長官の御答弁にございましたが、実際上の問題とともに相手国の主権との問題も絡みまして困難な問題があるということも事実のようでございます。  しかしながら、御指摘のとおり、環境公害対策先進国であります我が国の企業はすぐれた公害技術を有していることも事実でございまして、こうした技術を生かして現地の環境保全に貢献することも片方で期待されているわけでございます。日本の民間の経済団体におきましては、自主的に海外投資行動指針というものを策定しておりまして、投資先国の生活なり自然環境保全に十分努めるという旨の申し合わせをしておるところでございます。通産省といたしましても、適切な環境配慮が行われるようにこの指針の徹底を要請しておるところでございます。  なお、本年五月、通産省の産業構造審議会におきましても、日本から海外に現地法人として活動している企業がょき企業市民として現地社会に受け入れられるように、必要となるような企業行動指針も提言を受けたところでございまして、通産省といたしましては、こういった内容を関係団体を通しまして周知させるべく行っているところでございます。  今後とも、通産省といたしましては、日本企業が現地の海外社会においてよき企業市民として受け入れられ活動していくように引き続き努力してまいりたいと思っている次第でございます。
  216. 広中和歌子

    広中和歌子君 日本の置かれた環境が今大変厳しいところでございますので、今のお言葉どおりくれぐれもよろしくお願いしたいところでございます。  時間が大変少なくなってしまったんですが、通告申し上げましたように、石垣島白保空港問題で再度質問させていただきます。  けさほど清水同僚議員がるる質問なさったわけでございますが、私も同様に新石垣島空港予定地が去る四月変更になり、白保サンゴ礁保全に配慮してくださったことを大変喜んだわけですが、しかし新たに決定された新予定地というものが旧予定地から四キロしか離れていない、しかも海岸を埋め立てるということで大変失望しております。それはサンゴ礁生態系、自然の破壊という点で非常な懸念を持っているものでございます。なぜここが新たに空港予定地として決定されたのか。これは最初の計画では、白保を含め五つの候補地がありまして、この海岸というのは候補地、予定地としては含まれていなかったわけなんです。なぜ埋め立てにこだわっていらっしゃるのか。大変失礼な言い方かもしれませんけれども、既に支払われた漁業補償とか、埋め立てによってもう既にでき上がっております指定業者とか地権者にもたらされる開発利益とかかわりはないのかどうか。仮にサンゴへの直接の影響は仮になかったとしても、自然の海岸を埋め立てればリゾートによって立つ石垣島の将来というものは、幾らどんなに立派な空港ができたとしても、その将来は余り明るいものではないと、そのように思うのでございます。  たくさんのことを申しましたが、沖縄開発庁の御意見をお伺いいたします。
  217. 江口肇

    説明員(江口肇君) お答え申し上げます。  新石垣空港建設地点の選定につきましては空港の設置管理者となる沖縄県が行うこととなっておりますが、沖縄県の検討によりますと、現空港の拡張案を含む陸上部での代替案、これは騒音問題がありますほか、建設予定地となる場所が農地として既に土地改良されているかまたは計画中の地域でありまして、代替農地の確保や離島対策を講ずることも土地の限られた離島では容易でなく、農民感情を考慮いたしますと極めて困難であるということから、これらの離島の特殊な事情を総合的に勘案して陸上で建設することは現実的でないと判断されております。したがいまして、海上部を利用することとして建設予定地を検討いたしましたところ、空域の確保や滑走路の方向などから、白保から大里という地名のところですが、そこに至る海上、すなわち石垣島の東側海岸の南寄りの部分、そこしか可能性がないと判断されたものであります。  以上のことを踏まえましてこの地域を対象に具体的な建設位置を検討したところ、できるだけサンゴ礁への影響を小さくするため極力陸域を利用いたしまして、埋立面積を少なくするとともに、運航の安全上必要な空域条件を満足し周辺集落への騒音の影響を避け得る場所としてカーラ岳東側海岸が空港建設適地であると判断されたと承知しております。  なお、変更計画案につきまして、現在は事業着手のために必要な調査検討を進めるとともに周辺地域住民の理解と協力を得る努力を行っているところでありまして、せんだって県が行いました周辺地域住民への説明会は協力的な雰囲気の中で行われたと聞いております。この点御理解いただきたいと思います。  以上でございます。
  218. 広中和歌子

    広中和歌子君 大変残念でございますけれども、今の御説明では納得できませんし、何か今度の決定は非常に拙速のような気がいたします。  日本は本当に世界でもまれなサンゴ礁を守れないで、しかし仮に守れたとしてもすぐそばに空港を置くような、そのような環境に対する配慮のなさを世界に示すことによってどうして地球規模の環境問題について発言できるか、そういうふうに思うわけでございます。もう一度お考えをいただきたい。  環境庁長官にお願いすると同時に、委員長には、ぜひこれは本当に我々環境委員会のメンバーが実際にこの目で見て視察する必要があるんではないか。もちろんそういうふうにかたくなに思い込んでしまうのは私どもの側でもいけませんけれども、同時にもっと新たな代替案があるんじゃないか、そういうことをもっと腹を割ってゆっくり話し合う必要があるんではないか、そのように思うのでございますが、お二方に御提案申し上げて私質問を終わらせていただきます。
  219. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 広中先生に余りはかばかしいお答えができないかもしれませんが、既に計 画が進行しておりましてなかなか後戻りできる状態に現在ないという事務当局からの報告に接しております。この間、環境庁といたしましては、十分にこれを勘案、検討いたしまして、旧計画に比べて白保サンゴ中心とする自然環境保全という観点から十分に評価できるのでこれを支持するということになっておるわけでございます。旧予定地周辺アオサンゴを初めとするサンゴ群生する海域国立公園海中公園地区に指定する方向で検討するなど、今後とも適正な保護を図っていく考えで臨んでおる次第でございます。  環境庁はただいま申し上げたような方向に進んでおるわけでございます。
  220. 大森昭

    委員長大森昭君) 委員長に対する提案でありますが、後ほどまた何らかの方法で検討したいと思います。
  221. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 今フロンガスによるオゾン層の破壊だとかあるいは地球の温暖化の問題、酸性雨、熱帯雨林の伐採など、地球環境問題というのが大変重大な問題になってまいっております。きょうは時間がありませんのでその問題を中心に触れるわけにいかないわけですが、私は思いますのに、環境問題の解決というのは、これは私どもの歴史の示すように、我が国の歴史が示すように、被害の実相を踏まえた原因と責任の明確化、これが不可欠な問題であり、再発防止策と同時に被害者の救済を最大限行う、これが必要条件であったということを今までの日本公害対策の歴史が教えていると思うわけでございます。したがって、つまり足元の公害問題、これをきちんと解決することなしに地球環境の問題の解決というのはできるはずがないなと思うわけでございます。  といいますのは、宇宙で起こっている問題だからということでこの宇宙に起こっている問題は勝手に起こっているわけじゃなくて地球上の私ども人類の行為によって起こっているという立場から見ますと、これはやはり地球上、とりわけ足元の公害問題、ここをきちんと片をつけていくということなしには地球規模の問題の解決という点でもこれはできないのではないかというふうに思っておるわけでございますが、そういった点についてまず大臣の基本的な御認識をお伺いしておきたいと思います。
  222. 志賀節

    国務大臣志賀節君) ただいま沓脱先生からお話がございましたことに私は全く異存がございません。  もう一つつけ加えさせていただくならば、人類の一人一人が環境問題の深い自覚と認識に立っていただくことがまた同時にただいま先生が御指摘になられた原因の発生とその責任の問題にもさらに明確なことにつながるのではなかろうか、私はそういう考え方を持っております。一人一人の人類の自覚と認識の深まりが環境行政を全うし得るもう一つのポイントであるという考え方を持っております。
  223. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 これは論議をすると私の持ち時間がなくなりますので、基本的な認識という点で御理解をいただいたという点で次に行きます。  環境庁によります東京、大阪、神奈川のいわゆる窒素酸化物総量規制地域における八八年度の二酸化窒素の測定結果というのがことし八月二十五日に発表されました。これによりますと、多くを申し上げる時間がありませんが、「年平均値は昭和六十一年度、昭和六十二年度と増加していたが、昭和六十三年度は前年度に比べておおむね横ばいとなっている。」というのが一番に書かれている総括の概要でございます。  この発表された測定結果、これに対して全国公害患者の会連絡会が声明を発表しているんです。私はこれを見て本当にそうだなと思ったので一節をちょっと申し上げますが、「二酸化窒素による汚染は依然として高濃度となっており、私たちが求めている旧環境基準はもちろん。十一年前に緩和された新基準の達成すらはかばかしくない深刻な状況にある。」、政府、環境庁は、緩和した環境基準、あれは七八年、五十三年でしたか、NO2の環境基準緩和をいたしましたが、この環境基準は八五年度に達成する予定であった、これができなくてさらに八八年度の達成ということで相次いで次々クリアできなかった。昨年暮れに新たに窒素酸化物対策の新たな中期展望というのをおまとめになって、これが一九九三年という目標でございますが、これもどうやら達成できないという状況のようでございます。環境庁は今秋に予定しております、十二月だそうですけれども、中公審の答申に基づくディーゼル自動車の排ガス規制の強化や移動発生源にかかわる窒素酸化物の総量規制の検討をお進めになっているが、進めておられて一定のものをお出しになるかもしれませんが、従来の延長線上の公害行政であってはならないという意味のことを明確にしておられます。  そういう中で患者の立場としては、これは窒素酸化物の環境基準をもとに戻してほしい、一日平均〇・〇二ppmですね、これに戻してほしい。それから二番目は、固定発生源に対する規制監視を引き続き強化すると同時に、交通総量の規制を含む抜本的な移動発生源対策を早急に具体化すること。総量規制地域に愛知や兵庫を加えること。三つ目は、公害は終わったとの姿勢を改めて公害指定地域の復活、拡大を行うとともに、公害被害者の救済対策を拡充強化することという三点を盛り込んでおりますが、私は本当にそうだと思うんですね。  公害は終わったといって確かに認定地域指定地域を全面的に打ち切りをいたしましたけれども公害が終わったどころか毎年毎年悪化の一途をたどっている、そういう中では患者の立場としてこういった御意見が出るのは当然であろうと思いますが、環境庁の御見解を伺いたいと思います。
  224. 古市圭治

    政府委員(古市圭治君) ただいま御指摘の全部についてということでないかもしれませんが、お話にありました総量規制の三地域につきましての窒素酸化物を中心とした大気汚染の現状というのは決してはかばかしいものでございませんで、八月の二十五日に発表いたしましたところで数値等はお示ししておりますが、これのさらに改善に向かって新中期展望に基づく施策を一つずつ着実に実行していきたい、このように考えているわけでございます。  その中でも殊に都会の空気の汚染の大きな原因となっておりますディーゼル自動車の排気ガスにつきましては、ことしの十二月中に中公審の大気部会から世界で一番厳しい基準値を答申していただくんじゃないかという形で、現在専門家の中で鋭意検討を進めて、もうしばらくするとその結果をいただける、このように思っております。  それからまた、お話にございました大都市を中心とする交通総量の規制でございますが、これも社会的な合意を得て行わないと非常に影響するところが大きいわけでございます。そこで、東京都の方でも既にその検討会をスタートさせると聞いておりますが、私どもの方もこの検討会をスタートさせまして、既に二回の検討を終わり、一年間以内に何らかの知恵を報告していただきたい、このように思っているわけでございます。
  225. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 余り時間がありませんから多くを申し上げられませんけれども、こういう測定結果などによる大気汚染の悪化例というのはこれはもう一つずつ申し上げると切りがないほどあるんですが、例えばこれは東京の大田区ですね。この大田区ではNOxとあわせて今御指摘がありましたSO2、亜硫酸ガスの濃度が高くなっているということが大田区の測定で出ております。NO2については、これはもう論外ですね。東京都の場合は、二酸化窒素の自動車排ガス測定局三十二カ所に対して二酸化硫黄の自動車排ガス測定局はわずか四局だという段階で、二酸化窒素との複合的な影響というのが問題意識として非常に強くとらえられているという問題が提起を既にされておりますね。  もう一つは、東京都が出しておる東京都の測定値を見ましても、これは大変な状況になっておるようですね。自動車道沿いの自動車排ガス測定局ではNO2の環境基準〇・〇六ppmをクリアしたのは三十局中わずか二局だ、その二局もこれは 三多摩だということを明確にしておるようでございます。  さらに、これは大阪の例をちょっと申し上げたいんですが、これは長官にちょっとお見せしてください。どなたか、ちょっと説明をさせてもらうのに。(資料を渡す)  大阪府、大阪市の大気測定の状況というのは、ことしの七月、大阪府、市が、大気中のNO2濃度は全般的に上昇し、悪化傾向を示したということを明確にしております。その結果、NO2は十年前の汚染状況に逆戻りをしたことを明るみに出したというふうに言っておるわけでございます。  これを今お見せ申し上げましたのは、これは民間の公害患者会を中心にして大阪NO2簡易測定運動本部実行委員会というのを労働組合、民主団体等でつくっておるわけですが、大阪で七千余りの測定点をつくりまして、五年ごとにこれを地図に落として汚染の広がりを示しているわけです。  長官、これをちょっと見てください。(資料を示す)これは大阪府下の図面ですが、この一番初め、これが十年前です。五年前がこの真ん中のなんです。ことしの測定値はこうなっている。これは色分けをして、一目瞭然のように大変な状況が起こっているということがよくわかります。  時間の都合がありますので、そういう汚染度というのはもう誤解ではなしに全くの現実の姿だと思いますが、そういう中で昨年の三月一日以後、公害患者の新規患者の認定を打ち切って以後、自治体で子供の対策をやっておりますが、それを見ますと随分患者さんふえているんですね。  私、地元の大阪市を調べてみましたが、大阪市も当初は、昨年ですね、十五歳以下の子供さんですが、千二百名ぐらいだろうということで予算を組んでいたところが、実際には三千六百五十三名ということで三倍になっておって、慌てて予算を補正しなくちゃならないという状況でございますし、お隣の尼崎でもやはりぜんそくの子供が、これは十五歳末満ですが、予測の十倍というのはこれちょっと大きいと思いますが、数字を見ますとそういう数字になってきているようでございます。さらに東京都でも、東京都の足立区など、これは東京都は全域が指定地域じゃありませんでしたから、指定地域で改正前のところをずっと調べておられます。東京は十八歳未満でございますが、これを見ますと、東京都では改正前の二十五倍にふえているというんですね、足立区では。それから、川崎でも、これは約三倍に患者さんがふえている。だから、公害はどんどんひどくなっている、患者さんは認定をされるような公害患者がどんどんふえてきているという状況というのが客観的な事実として出てきているわけでございます。  したがって、これらの事実を踏まえますと、公害は終わったととって確かに公害健康被害補償法の改正をやって全指定地域を解除し、患者さんを打ち切ったわけですけれども、これは間違っていたんじゃないかということを明確に示すような客観的な事態が出てきていると思うわけでございます。したがって、そういう点ではやはり再指定について検討する、あるいはさらに新しい地域への拡大についての検討を行うということが今何よりも大事な段階に来ているのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  226. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) 最近の大気の汚染の状況については、先生も御指摘になられましたように改善がはかばかしくない、この環境基準の早期達成が最重要課題であるということは理解をしているところでございますけれども、しかしながら現時点における大気汚染状況と申しますのは、公健法を改正いたしました時点でこの答申の中に述べられたような状態とは基本的には大きく隔たっているものではないという認識に私おりまして、今、現時点で再指定についてこれを検討するという必要があるとは考えていないところでございます。  しかしながら、公健法改正後未然に大気汚染による健康被害を予防するということから、公害健康被害補償予防協会に設けられました基金による健康被害予防事業というものを開始しておりまして、総合的な各種調査研究、また過去の指定地域におきます住民の皆様方の健康確保のための医療機関の整備でありますとかいろいろな相談事業等々を行っているところでございまして、今後ともその一層の充実を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  227. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 部長、部長は大阪からおいでになったんじゃないかなとさっきからお顔を拝見しながら思っているんですが、大阪を知っていてそんなばかなこと言うたら困りますよ。それは官僚が書いた文章だろうからしようがないから読んでいるんだろうけれども、実際に公害大気汚染はひどくなっているという点は客観的事実でしょうが。そうして子供たちの患者数が激増してきているということも、これは人体被害に影響が及んできているということの客観的事実でしょう。だから、これは考え直さなきゃいけませんよ。早まったんじゃないかということを私は申し上げているんで、まあ部長はそのときおいでじゃなかったんだから無理して答える必要ないですわ。  長官、これは時間がないから、ほかのことをちょっと申し上げたかったんですが、そういう点ではこれは駆け込みということで打ち切られる前に申請をした人たちの中にもいろいろな問題がありました、御承知かと思いますが。そういう問題等も含めて、これ北九州なんてひどいなと私事実を聞いて思います。時間ないから言いませんけれども。  やはり法の趣旨というものは、打ち切りをするとかランクを下げるというのが目的じゃないでしょう。公害の被害によって健康被害を受けた被害者を救済するということが中心の任務なんだから、その中心任務を外さないようにこれは現行の法の運用についてもやってもらいたいし、それから長官、さっき申し上げたように客観的には大気は汚れている。その被害の患者はふえてきている。考え直さなくちゃいけないんじゃないですかと言うているわけなんで、それはひとつ御英断でもって御意見を承りたいと思いますね。
  228. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 今、先生から、一つ一つ地図に描かれた色等も拝見しながら、事態が深刻化している、悪化していることをつぶさにお教えをいただきました。もとより、このようなことを黙視、看過することはできないと思うのでございますが、ただいま官僚の作文とは申せ、事実これは中央公害対策審議会の委員の方々に十分御審議をいただいた結果のことでございますので、これをにわかにまた私の一存で切りかえるということもいささか性急に過ぎるものでございますから、この点十分検討させていただきたいと存ずる次第でございます。
  229. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 長官もそのときの事情はおいでじゃなかったわけで御無理だと思いますが、私どもずっと一貫して見てまいっておって、相当無理な法改正をやったということを具体的に感じておりますので、特にこれは注目をして後追いをしていかなければならない課題だと思っております。  先ほど石井委員からも御指摘がありましたけれども、道路計画はどんどん進んでいますね。道路沿道の自動車排ガスの問題というのが大気汚染の非常に大きなファクターになっておりますし、そういう点では自動車沿道の健康調査などというのを、これは前から言うていんだけれどもさっぱりきちんとおやりにならないんですが、自動車沿道の健康調査というのをひとつ環境庁がやり方などについてきちんと検討して、東京、神奈川、大阪の路線地域中心にひとつぜひ沿道調査を進めてほしいと思うんです。  それからもう一つは、やっぱり長官、新しく長官におつきになっていただいたときにはこれは被害者のお声を聞いていただきたい、そのことを特に要請をしたいんですが、そのことについて簡潔に伺っておきたいと思うんです。あと一問別の問題をお聞きしたいと思いますので、簡単に御答弁をお願いします。
  230. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) 調査の問題について私からお答え申し上げたいと思います。  道路沿道、幹線道路沿道におきます大気汚染状況と健康の関連につきましては、非常に難しい問題もございますが、今環境庁としても取り組んでいるところでございまして、今現在やっておりますのは、いかにしてNOxの暴露量と人間の健康被害というか、その健康への影響というものをどのようにしたらちゃんと把握できるかという手法の開発に今鋭意取り組んでいるところでございます。
  231. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 声を聞いてもらえませんか、長官
  232. 志賀節

    国務大臣志賀節君) そういう方たちのところに私の方が出向くのか、それともおいでいただくのか、その辺もちょっとよくわからないのでございますが、私、御案内のとおりいろいろ日程が立て込んでおりまして、にわかにこれからそちらに出向くとかどうとかということで簡単なお約束はできかねますが、ただ、そういうお声には耳を傾けてみたいものだとは存じます。
  233. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 ちょっと課題を変えますが、水俣病被害者の救済問題について最後にお聞きをしたいと思うんです。  これはもう時間がありませんから多くを申し上げませんけれども、一昨年三月に熊本地裁では被害者の請求を全面的に認める判決が出ておるわけですが、その後政府は控訴をなさって何ら責任をとっておられない。私は、今、水俣病の被害者の方々というのは、せめて生きている間に救済をしてほしいなというのが悲願だと思うんですね。そういう点で環境庁、国の責任というのを痛感してほしいと思うわけです。最近、提訴以来五年有余になりますが、東京裁判が十二月八日に結審になりますね。そういう段階へ来ておりますが、また一方では熊本県では患者や原告団とのお話し合いを始めておられるというふうに伺っておるんですね。  ですから、私は、この際本当に地球環境を論じる、あるいはそのことに具体的に乗り出さなくちゃならないというときに、水俣病というのは日本公害の原点ですよ。こんな問題ぐらいは、これは判決を待たずに少なくとも原告団の人たちと同じテーブルに着いて片をつけていく、解決をしていくということが今急速に望まれているのじゃなかろうかと思うんです。そういう点でひとつ大臣に、地球環境を守っていくという仕事を成功させていくためにも足元の一番の原点を、これのひとつ解決のめどをつけていただくということが今は大事じゃないのかなと思うんです。  その点についてひとつお伺いをしたいと思います。
  234. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 先生指摘のとおり、水俣病が戦後の我が国の公害問題の原点であると私は思っております。戦前は田中正造の足尾が私は原点だと考えておるのでございますが、これが重要課題であるという認識においては私も全く同じでございます。この問題については十分私ども努力をしてまいりたいと存じておりますが、一方、この問題に大変熱心な現地の細川知事と当事者の間で話し合いが持たれておることも承知をいたしておりまして、この成り行きについても十分深い関心を払って私は見詰めておるところでございます。
  235. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 終わりますのでもう一言。  ぜひそのことを心がけて進めていただきたいと思います。  最後に一つ申し上げたいのは、そういう中で認定をしてもらえなくて待っている苦しい患者さんたちの中で非常に困っているのは、何ていうのかな、特別医療救済というんですか、はり、きゅう、あんまとかいうあの救済制度を何とかして拡充してほしい、せめてそれをやってほしいというのが強い御要望のようでございます。はり、きゅう治療の拡充、やるのはやっておられるんですけれども、はり、きゅう、マッサージの拡充とせめて医療給付、交通費の手当てですよ、そのぐらいのことは何とか拡充してほしいという強い御要望がありますので、その点についての御回答をちょっと色のいいところを聞かせていただいて終わりたいと思います。
  236. 三橋昭男

    政府委員(三橋昭男君) ただいま先生指摘事業、特別医療事業のことだと存じますけれども先生よく御存じの、水俣病等は認定できませんが、一定の神経症状を持っている者に対して行政として医療費の自己負担分を助成し、健康不安の解消と症状の原因の解明に資するということから、六十一年六月から実施をしている事業でございます。  これの拡充というお話でございまして、その中ではり、きゅうの問題があることも理解をしておりますけれども、この事業についての趣旨についてまだ十分な御理解を得られていないといったような向きもあるやに感じておりまして、そういう意味でこの事業の徹底を図りますとともに、この事業の定着を見守りながら御指摘のはり、きゅう事業の拡充につきましても検討をさせていただきたいと思っております。
  237. 中村鋭一

    中村鋭一君 先ごろスイスのローザンヌで行われました第七回のワシントン条約締約国会議でソマリアが提案いたしました、アフリカゾウの取引を全面的に禁止する、これを附属書のⅡからⅠに上げるという点につきまして、最初日本は棄権をいたしました。その後、志賀長官の御勇断によりましてこの留保を撤回するということになりました。これは世界世論に沿う道であったということで、長官に対してまず敬意を表しておきたいと思います。御苦労さまでございました。  今回日本は十一種の動物について留保をしているわけであります。だんだん減っていっておりまして、今回は先日閣議了解でイリエワニが留保を撤回することになったと、こういうことでございますが、これは外務省の所管であるかと思いますが、このことにつきまして環境庁としてはどのように関与をしておられたんですか。
  238. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) イリエワニを含めて十一種類を留保しておりましたが、実は、あす、十一月三十日付の政令をもちまして国内法の上でもイリエワニを規制対象として確定することにいたしました。  国内法につきましては、私ども所管しておりますのでこれが留保を撤回する過程についても承知しておるのでございますが、一言で言いますれば、十一にも上る留保品目を少しでも減らしたいという関係省庁及び関係業界の御努力といいますか、御検討の結果ということで、私ども大変よかったというふうに認識しております。
  239. 中村鋭一

    中村鋭一君 イリエワニはそういうことで結構なんですけど、まだオオトカゲとそれからタイマイが留保を付したままでございますが、環境庁としてはこれらの種の撤回についてはどのようにお考えでございますか。
  240. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) 方向としましては、この問題につきましても難しさはあると思いますが、ぜひ撤回が実現する方向で協力いただけないかと思っております。  ただ、この問題につきましては、幾つかの国にも科学的知見という立場から原則第Ⅰ種というままでいいかどうかという議論もあることは今度のローザンヌの会議でも報告されております。しかし、いずれにしましても日本が加工原料として輸入しているということ、それを理由に留保問題を貫くということにはいろいろ難しい状況もございますので、環境庁だけでは決め切れないことではございますけれども、関係省庁においてまた関係業界とも御相談していただいて取り組みの方向を見出していただけないかと、そのような期待を持っておるという実情でございます。
  241. 中村鋭一

    中村鋭一君 特にウミガメですね、ヒメウミガメとタイマイ。日本世界最大のウミガメ輸入国で一九七〇年以来二百万匹以上を輸入していると。もう東南アジアではタイマイをとり尽くしまして、今はカリブ海でタイマイをとっているということなんですが、観光地へ行きましてもタイマイの土産物が随分たくさん置いてありまして、見るたびに日本世界世論に逆行することを商売にしているんだなとの感を深くしているわけです。これはひとつせっかく御努力を願いまして、 やはりこういった留保をしておりますものは、今世界世論の流れは本当にこれはよくないというふうになっているわけで、今回もアフリカゾウについては志賀長官のそういう御勇断もあって皆さんからお褒めをいただいたわけですから、これからもできれば全種そういった商業取引の対象にならないように、日本が札びらでそういった貴重な動植物を消費している国だと言われないようにお願いをしておきたいと思います。  ところで、同じく留保をしております中にナガスクジラそれからマッコウクジラ、こういった鯨類があるんですけれども、どうでしょうか、この鯨につきましては学者の間にも、随分鯨はふえているんだ、特に例えばシロナガスクジラなんかは随分ふえてきて、調査捕鯨に出ていった人なんかでも、それはもう昔見かけなかったような海域でもシロナガスを多く見るようになったと、こういう声があるわけなんです。  例えば和歌山県の太地港、ここの人たちは、これはもう江戸時代以来鯨で生計を立ててまいりました。日本人にとりまして鯨というのは本当に貴重なたんぱく資源でありますね。あの太地町は、御存じでしょうか、住民の半分くらいが例えば銛とか、こういった捕鯨に関係のある名字の人なんですね。太地町の住民は、昔のいわゆる古式捕鯨以来、鯨とともに生きていた人たちなんです。  そういう一方に世論があるわけです。ふえ過ぎて困っている、ふえ過ぎたために鯨社会のエコロジーをかえって破壊している、何だかIWCに遠慮ばっかりしてそうして遠洋、近海の漁業者、特にアメリカ、カナダ沿岸の漁業者に遠慮があるために鯨の方で譲っている、貿易摩擦とかいろんな関係で結局捕鯨に従事している人たちがこのことのためにえらい目に遭っていると、こういう声が一方にあることも事実でございます。  環境庁としては、こういった鯨についてどのようにお考えでしょうか。端的に言いますと、日本の捕鯨を再開するかしないかというような点について、これはもう感想で結構ですからお伺いをしたい、こう思います。
  242. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) ちょっとお答えする前に、誤解があるといけませんので。  ワシントン条約という国際条約は国際的な取引を規制するという条約でございまして、日本の国内では、水際は原則として通産省が押さえておられますが、科学技術当局ということで環境庁が実はこの条約にかかわっておりますが、魚を含みます、鯨を含みます水産物につきましてはこのワシントン条約上の科学技術当局も農林水産省、水産庁であるということになっております。  その意味で実は今の問題、感触でもということでございますが、形式的に申し上げますとお答えするにふさわしい立場に私はいないわけでございますが、ただ、一つこの際申し上げておきたいことは、今申しましたように取引に着目したワシントン条約とは別に、私の理解でも、鯨の捕獲自体といいますか、あるいは鯨の資源的な問題につきましては、今、先生もおっしゃいましたIWC、国際捕鯨取締条約が存在しているわけでございますから、私は、むしろこの鯨の取り締まりについては基本的にはこの取締条約をめぐる問題として対処する、言いかえれば水産庁が中心になって対応すべき事柄というふうに認識しております。  もう一つ申し上げておきたいことは、ワシントン条約の方の事実として申し上げるわけでございますが、イリエワニとか先ほどお話にございましたタイマイのように、日本だけが留保しているグループとはちょっとこの鯨問題は違っておりまして、正確に申し上げますと、日本では確かにナガスクジラを含む六種類の鯨を留保しておりますが、実はこれには国際的にも仲間はおりまして、ソ連のごときは日本よりも多うございまして八種類を留保している。北半球でいいますと、ノルウェーも四種類を留保している。これはいずれもナガスクジラ共通でございます。また、南半球の国でもブラジル、ペルーその他ということで、全世界では六カ国が鯨について留保しているという事情もございます。  そんなことも含めまして考えますとき、繰り返すようでございますが、やはり、これはワシントン条約の留保の問題としてだけの問題ではなくて、国際捕鯨条約の問題として我が国としても対応していく事柄ではないかな、そのような感想と申しますか、感じを持っているのは事実でございます。
  243. 中村鋭一

    中村鋭一君 私も自分でも言っていることがやや矛盾はしているようには思います。思いますけれども、鯨は私はとってもいいんじゃないかと思いますがね。だから、これは別に環境庁にお願いすることじゃなくて、水産庁にも、政府の皆さんにお願いをしなければいけない、こう思います。  次の質問ですが、ラムサール条約の第五回の締約国会議に我が国が立候補をいたしております。この点につきましては環境庁としてはどのように考えていらっしゃいますか。
  244. 山内豊徳

    政府委員山内豊徳君) この問題につきましては、午前中ですかお話のございました過般の委員派遣におきましても、現地で釧路当局要望大森委員長初め、先生方じかにお聞きいただきまして、また私どもに対しましてもこの扱いについて遺漏のないようにというお口添えをいただいたところでございます。  結論的に申し上げますと、正式に省庁を決めますのは来年六月の、つまり一回前の四回目の締約国会議ではございますが、その前に、今のような経緯もございましたものですから外務省とも相談いたしまして、ことし十月の中旬の段階でスイスにございます日本の大使館からこのラムサール条約当局に第五回、これは一九九三年になるわけでございますが、第五回の締約国会議日本に招請したいということをはっきり意思表示をできるように政府部内の了解も取りつけたところでございます。そんなことで、今のところ競争はないように私ども聞いておりますが、来年の六月の正式の締約国会議でこれがぜひ確定しますことを今後ともフォローしていきたいと思っております。  なお、開催地につきましてはお尋ねの外かもしれませんが、東京のようなところで開催するよりはできれば日本国内では第一号の指定地であります釧路湿原に臨む釧路市が有力な候補ではないかということで、外務省などとも公式、非公式にはそのような候補地を挙げながら相談を続けている状況でございます。
  245. 中村鋭一

    中村鋭一君 先ほど広中委員質問をなさいました、私もちょっとそのことについてお尋ねをしておきたいんですが、ラワン材と呼ばれる熱帯木材がございます。  日本はこれの世界最大の輸入国で、一九六〇年代以降にフィリピン、インドネシアはほとんどもう切り尽くして、今はマレーシアのサバ、サラワク、この両州からの輸入が原木に限って言えばおよそ九割、こういうことなんですね。このサラワク州の北部にプナン族という少数部族の方がおいでになりまして、この人たちが一九八七年の三月に林道を封鎖いたしました。この林道は実は日本の政府開発援助、ODAの一環として国際協力事業団が伊藤忠商事に一億九千万円の融資をして合弁会社が建設をしたものであります。その一億九千万円の融資をして建設した林道を地元のプナン族の人たちが、森は我々のものだ、こういうわけで封鎖をした、こういう事実があるわけなんです。  それから、こういう会議が行われました。世界の五十カ国以上の人が集まりまして、これはノンガバメント、NGOが中心になりまして国際NGOフォーラムというのが開かれたんですが、その最終日に日本政府に対するアピールが採択された。このアピールにおいて、日本のODAが開発途上国における社会・環境問題を醸し出し、また悪化をさせてきている、開発援助に環境アセスメント制度を導入すべきこと、開発プロジェクトによって影響を受ける現地住民の声に耳を傾けるべきだ、こういう決議が採択されたわけなんです。  一方、現在、我々有志議員が相集いまして、ODA基本法を議員立法として提出の用意を鋭意し ておりますが、その中の重要な一項といたしまして、ODA援助が被援助国の住民生活を破壊したり、今私が具体的に申し上げたような、例えばサバ、サラワク両州の人たち、ODAで援助してつくった道によって森が破壊されて原住民生活が立ち行かなくなる、そういうことはいかぬじゃないか、だから被援助国の環境を破壊したり住民生活を脅かしたりすることのないようにしなければならないという一項を立てるべく今鋭意研究を行っているわけでございますが、環境庁として、このODA援助についてそういった被援助国における環境アセスメント等の実施についてどのように関与をしていったらいいとお考えでございますか。
  246. 安原正

    政府委員(安原正君) ODAに基づきますプロジェクトの実施に当たりまして開発途上国における環境を破壊することがあってはならない、環境の配慮を徹底していかなければならないということは御指摘のとおりかと存じます。この点につきましては、先ほど来言及しております六月三十日の地球環境の関係閣僚会議の申し合わせにおきましても、政府の基本的な方針といたしましてODAに関連しまして環境配慮を徹底していこうという方針を明確に打ち出しているところでございます。それを受けまして、ただいま関係省庁におきまして鋭意作業が進んでおるところでございます。  具体的には、JICAとかあるいは海外経済協力基金の方でその環境配慮を徹底していきますためのガイドラインづくりを進めるとかあるいはその審査体制を強化するというようなことで、体制の整備につきまして検討が続けられているという状況でございます。そういうのを待ちまして、御指摘のように、相手国における環境の保全がきちっとできるように持っていかなければならないというぐあいに考えている次第でございます。
  247. 中村鋭一

    中村鋭一君 それは難しい問題があるのはわかります。やっぱり主権国に対してODAをするわけでございますから、お手助けをするのに、それはその国からすれば自分の国のことはほっといてくれとおっしゃるのもまた当然でございますけれども、やっぱり今のように地球的規模における環境破壊がこれだけ世界じゅうの人たちの論議の対象になり、いわば二十一世紀における政治的課題の最優先のものだ、こう言われているときでございますから、ひとつその点についてもまた格段に努力をしてくださるようにお願いを申し上げたいと思います。  そのODAに関係してですが、環境庁の今年度のODA関連の予算とその費目をお教え願えますか。
  248. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 平成元年度、今年度の私ども環境庁予算に計上しておりますODAでございますが、総額は一億円でございます。  その内容でございますけれども開発途上国におきます環境保全に関する情報整備、あるいはその整備された情報に基づいて途上国みずから環境保全計画をつくる、こういうものを側面的に援助をする、促進をするための経費が一つございます。それから、今もお話しございましたが、開発援助プロジェクトへの環境上の配慮の組み込みというものを途上国において行うための方策を検討する経費というのがございます。さらには、途上国におきます野生生物資源保全調査協力を行うための経費、こんなものが今年度の主なものでございます。
  249. 中村鋭一

    中村鋭一君 もう一遍お尋ねしますけれども、その開発援助の中の環境保全に関する今年度の決定額は幾らですか。
  250. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 第一の項目として申し上げました開発途上国環境保全計画策定支援調査費でございますが、これは今年度新規のものでございまして、四千三百万円でございます。
  251. 中村鋭一

    中村鋭一君 四千三百万円ですか。私の手元にある資料では、開発援助環境保全経費として二千十万一千円、それから今あなたがおっしゃいました開発途上国の環境保全計画が四千三百万円、このように理解してよろしいですか。
  252. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 先生のおっしゃるとおりでございます。  私が最初のお答えで申しました二番目のものは二千十万円でございます。
  253. 中村鋭一

    中村鋭一君 としますと、これ、ODA百億ドルを超えようというんですね。世界一の援助大国になろうとしているわけですね。この今や日本世界一のODAの大国になろうとしているときに、環境関係で合わせて、ですから六千万円ですか、それから全部合わせてわずか一億円というのは、これはいかにも少ないと私は思いますね。  この間も大蔵省の主計をやっていらっしゃる方にお伺いをしたんですが、それは各省から膨大なものが集まってきます。そのほとんどは外務省ですけれども、その中でこれは環境庁全部合わせて一億円、これはいかにも少ないと思いますが、長官どうなんでしょう、次年度は思い切って環境庁としてはこのODA関連の予算をばちっとひとつおとりになる、特に環境関係の予算を。今おっしゃっているわけです、ここは一生懸命やっていくんだと。やっぱり裏づけになるものは金ですよ。ODAですよ。  ひとつ大幅に増額要求されることを私も心からお願いを申し上げたいんですが、その点について。
  254. 渡辺修

    政府委員(渡辺修君) 大変ありがたいお励ましのお言葉をちょうだいしたわけでございますが、政府開発援助の予算の組み方でございますけれども、有償、無償の資金協力ですとか技術協力、国際機関への出資、拠出といったようなものがございますが、大部分は、先生今御指摘のように、外務省なりJICAなり、そういうところにまとめて計上するという仕組みになっております。これを相手国、途上国政府からの要請に基づいて実施をする。実施の段階で環境に関係あるものは私どもにも相談があり、御協力を申し上げている。私どもの予算に直接計上いたします費目は、相手国から正式要請が来る前の段階の、相手国で環境保全についての基礎的な情報を集めましたり計画をつくったりという段階でのお手伝いをする予算ということで計上しているものですから、ソフト面ということであり、また正式要請の前の段階の費目に限ってやっておりますので、どうしても金額は少のうございます。  しかし、六十二年度、実は私どもの予算は千七百万円であったわけでございます。六十三年度に三千八百万円、本年度一億円といたしました。来年度は、先生のような御趣旨も十分踏まえて二億二千万円の要求を出しているということでございます。  全体の仕組みと、それからその仕組みの中での私ども努力も御理解をいただきたいと思います。
  255. 中村鋭一

    中村鋭一君 よくわかります。  今伺いますと、倍々で、倍々ゲームで来ていますから、二億円ですか、それは結構ですけれども、全く釈迦に説法でございますが、この間も大蔵省の役人の方に伺いましたら、被援助国から一つのプロジェクトが上がってまいりますね。それを各省でまとめまして、それで大蔵省へ来るわけですね。大蔵省の方がおっしゃるには、じゃそういった被援助国から上がってきたプロジェクトについて具体的にこれがどうこうだというようなことを調べるかと聞きましたら、大蔵省はそういうことは何もしないわけですね。もう人手がありませんし、世界各国へ出ていって具体的にそんな調査をすることは大蔵省としてはとてもできません、こういうことなんですね。  そうすると、我々の理解からすれば、何かいかにも被援助国の声の大きいところ、それから各省の力のあるところ、そういうところがどんと予算を分捕って、結果的には新聞でたたかれているように、例えばエジプトにほとんど人の行かぬような巨大なオペラハウスが出現をしたとかあるいは通産省と労働省が縄張り争いで同じような研修所をつくったとか、そういうような金の使われ方をしているからだから世界の人から笑われたり新聞にたたかれたりしているわけでございます。  だから、そういう点で私は今おっしゃったような仕組みはよくわかります。わかりますけれど も、それはやっぱり環境庁が闘う政策官庁であれば、例えばあなたがその被援助国へ行かれまして、おたくの国の状況はこうだからひとつこういうソフトについてどんどん注文を出してくださいぐらいのことはおやりになってもいい。まあ二億円ということでございますから結構ですけれども、さらにその点の御努力をお願い申し上げておきたいと思います。これは応援演説でございます。  最後に、先ほどから各委員皆さんお尋ねでございますけれども、地球的規模の環境破壊あるいは自然の保護等々につきまして、以前は日本公害先進国と言われました。現在は我が国は公害をなくすための公害防止先進国として世界をリードしていかなければいけませんね。現実にじゃどういうお手伝いができるかといいますと、お金のお手伝い、それから技術のお手伝い、この両面があると思うんですが、例えばフロンガスあるいは熱帯雨林の破壊等々につきまして、最後環境庁長官の、環境庁のなすべき役割、世界環境破壊環境庁はどのように闘っていくのかについて一言御決意のほどをお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  256. 志賀節

    国務大臣志賀節君) 先ほど来、私のことなどもお褒めをいただきまして、まことにありがとうございました。  実は中村先生が滋賀県の出でいらっしゃいますから、琵琶湖の問題等にもっとに御関心をお持ちになり、あるいはそういうことから地球環境問題にも入ってこられた方かなと推察をしておるわけでございますが、先ほど来お話がございますように、やはり私どもは足元の国内の公害対策というものに力をいたさなければいけない。そして、それと両々相まってと申しますか、あるいは余力を駆ってと申しますか、そういうことで地球環境問題に取り組まなければいけない、かように考えておるわけでございます。  特に、ただいまお話がございましたように、技術面とそれからお金の面との両面からの貢献が日本はできると考えます。まさに世界に貢献する日本としてはその両面からやらなければいけないと考えておりまして、その技術につきましては、ただいま御指摘のとおり、公害を発生した面でも先進国でございましたが、公害を克服する努力においても先進国として今までそれなりのノーハウを身につけてきたわけでございます。これらのノーハウを諸外国にいわゆる技術移転と申しますか、供与と申しますか、その辺の表現はともかくといたしまして、そういう面からお手伝いをしていく、またモニタリングとかあるいは育成された人材を派遣するとかいろいろな貢献の仕方があると思うのであります。  もう一つはお金の面でございますが、ODAのことについてただいまいろいろ御指摘がございました。きょう私に御質問がありました石井委員と私は、特に河本元国務大臣とお親しくお願いしておりますが、河本元国務大臣のごときは、ODAの大半を環境問題に割いてしかるべしと、こういうことを公の席でも言っておられまして、それでもしそういうことをしなければ第二、第三のマルコスを生むではないだろうか、むしろそういうことにODAを使おうではないか、こういう提案を受けておるほどでございます。したがいまして、お金の使い方につきましても、思い切った使い方ができればと少なくとも私個人は考えております。  なお、今回もそうでございますが、以前から私は、まことに個人的な立場でございますが、各国の重立った方々とお話をいたします際にも、世界の軍事費が約一兆ドルございますが、この一兆ドルのわずか一%でよろしい、すなわち百億ドルになりますが、これを削減してそれぞれの国がそれを環境保全に振り向けるという案は具体化できないだろうかという打診をし続けておる一人でございます。そういうことも含めて、この経済面での一層の日本の貢献というものも考えてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  257. 中村鋭一

    中村鋭一君 ありがとうございました。
  258. 大森昭

    委員長大森昭君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時五十三分散会