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1989-12-12 第116回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十二月十二日(火曜日)   午前十時開会     ─────────────   委員の異動  十二月七日     辞任         補欠選任      鹿熊 安正君     斎藤 十朗君  十二月八日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     鹿熊 安正君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         中野 鉄造君     理 事                 谷川 寛三君                 二木 秀夫君                 田渕 勲二君                 片上 公人君     委 員                 伊江 朝雄君                 石原健太郎君                 上杉 光弘君                 鹿熊 安正君                 片山虎之助君                 野沢 太三君                 山崎 竜男君                 穐山  篤君                 喜岡  淳君                 小山 一平君                 瀬谷 英行君                 安恒 良一君                 小笠原貞子君                 粟森  喬君                 寺崎 昭久君    国務大臣        運 輸 大 臣  江藤 隆美君    政府委員        運輸大臣官房国        有鉄道改革推進        総括審議官    大塚 秀夫君        運輸省貨物流通        局長       寺嶋  潔君        運輸省航空局長  丹羽  晟君        労働省労働基準        局長       野崎 和昭君        労働省職業安定        局長       清水 傳雄君    事務局側        常任委員会専門        員        長谷川光司君    説明員        警察庁警備局公        安第三課長    伊達 興治君        大蔵省主計局共        済課長      乾  文男君        運輸大臣官房審        議官       土坂 泰敏君        労働省労働基準        局監督課長    氣賀澤克己君        労働省労働基準        局賃金時間部企        画室長      石川  透君        建設省建設経済        局民間宅地指導        室長       高橋 健文君        建設省道路局高        速国道課長    橋本鋼太郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○貨物運送取扱事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付) ○貨物自動車運送事業法案(第百十四回国会内閣提出、第百十六回国会衆議院送付)     ─────────────
  2. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 安恒良一

    安恒良一君 まず、貨物運送取扱事業法法案中身に入る前に、関係がございます一般質問の中で、佐川急便グループの各種の違反問題点等指摘いたしまして、大臣以下関係省庁にその善処方をお願いしておきました。それがその後の経過としてどのようにされたかということを、簡単にひとつ答弁してもらいたい。
  4. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 佐川グループ事業運営上問題点につきましては、委員からの御指摘を受けまして、労働省等関係機関とも連携をとりながら、本年九月以降いろいろな調査あるいは監査を行ったところでございますが、その結果、依然として過労運転防止義務違反等運行管理体制についてほとんど全社にわたって違反事実が見られるなど、改善の徹底が行われていないことは遺憾なことだと考えております。  その結果、清和商事会長佐川清氏を大臣が先般招致をいたしまして、大臣及び私から問題点改善が円滑に実施されるよう直接口頭及び文書によって強く指示をしたところでございます。清和商事に対しましては、グループ各社とともに対応措置について検討した上、十二月末日までに回答するよう求めておりまして、これを受けてさらに具体的な改善内容指導してまいりたいと思っております。
  5. 野崎和昭

    政府委員野崎和昭君) 佐川急便グループ所属事業場につきましては、本委員会の御指摘を踏まえまして本年九月に全国十八の事業場に対して監督指導を実施いたしましたところ、十二の事業場において法違反が認められたところでございます。そのうち最も多いのは労働時間に関する違反で、十事業場において違反が認められました。これらの違反につきましては、その是正につきまして厳しく指導したところでございまして、その結果、既に大部分については是正を確認しておりますが、引き続き残された違反につきまして是正指導を行っているところでございます。  また、さきの本委員会において御指摘のございました、上部組織である清和商事主幹店等の人事あるいは給与の決定に関与し、そのことが主幹店における長時間労働を引き起こしているとの点につきましては、先般の監督指導に際しまして各事業場から事情を聴取したところでございますが、十二月上旬に清和商事からも直接事情を聴取したところでございます。現在、その調査結果の分析、問題点整理等も行っているところでございますが、それがまとまり次第、運輸省とも協議の上、佐川急便グループ所属事業場労働条件の確保のために、清和商事に対して必要な指導を行うこととしているところでございます。
  6. 安恒良一

    安恒良一君 この前の一般質問を受けて、早速、大臣佐川商事会長を呼んでじきじきにお話をされた。さらに、局長名でいわゆる会長あて改善すべき諸点について文書が出された。また、労働省からもそういうことをされているということでありまして、十二月いっぱいにそれらについての回答が来るということでありますから、私はその回答を見たいと思いますし、さらに皆さん方の御努力が実れば非常にいいと思います。  しかし、以上のようなことをやっていただきましても、なお依然として佐川急便がいわゆる法違反を繰り返しているということになれば、前回も申し上げましたように、委員長に預けておきましたが、いわゆる佐川会長自身をここに参考人と して呼んでいただかなければならぬことに相なると思います。でき得べくば、運輸省労働省の御指導のもとにおいて、そういう事態が来ないように、さらに大臣の御努力をこの点についてはお願いをしておきたいと思います。よろしくお願いします。
  7. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先般来、御指摘のあったことでありますから、先ほど局長が御答弁申し上げましたように、実は十二月七日に大臣室佐川経営者を呼びましたわけであります。  せっかくの機会ですからかいつまんで申し上げておきますが、要するに、奥さんと二人で、奥さんがエプロンをしながら、従業員を大事にして一から始めた佐川急便というのが業界第二位になった、一万八千人を擁す大企業になったということについては、それなりに私は評価する。あるいは日本の物流について大いに貢献したことも一応評価するのにやぶさかではない。しかしながら、これほどの大企業になるとするならば、それは社会的な責任というのが極めて大きいということを片っ方では考えなければいけない。したがって、しばしば指摘をされてもその違反事実が改まらないということであるから、きょうはここへ来てもらったわけである。しかも、運輸省所管業務の中で、それが行政指導で改めることができなくて、国会に証人として招致されるなどということは不名誉きわまる。したがって、局長指摘したようなこと一つ一つ、前もって逐条違反事実を再確認しておりますから、そのことについて直ちに改めてもらいたい。もしそれが改まらないということであるならば重大なる判断をする、こう言ってあります。  役所流判断ではなくて、政治家としての判断をきちっとやるから十二月いっぱいにこれを改めなさい。それができないような、そういう経営者ではないはずだ。胸を張って、人様に後ろ指を指されることのないような経営をしてもらいたい。しかも、物流二法がただいま国会で審議される中において、代表的な企業委員各位から指摘をされるということは極めて不名誉きわまる。それでは物流二法の改正をやっても業界はよくならぬのではないかと言われても返す言葉はない。大事な時期であるから肝に銘じてこの改正をやってもらいたい、こういうことを言ってあります。  したがいまして、年末の回答を待ちまして、しかるべく対応を考えたいと思っておるところでございます。
  8. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、貨物運送取扱事業法の問題について少し質問をしたいと思います。  まず、本法目的が第一条に書いてございまして、その中に「貨物運送サービスの円滑な提供」、「利用者の利益の保護及びその利便の増進」、こういうふうにうたってありますが、私、この法律の最大の着目点というのは、どうも物流全体を再編成する、そして利用運送事業を登場させる、すなわち利用運送事業というものを法的に認知させる、こういうことに一つの大きな主眼が置かれているように思いますが、その点間違いありませんか。
  9. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまの御質問のように、この貨物運送取扱事業法案は、最近とみに高まっております高度化された、あるいは多様化された物流ニーズ対応して、荷主と実運送機関とをつなぐ役割をいたしております貨物運送取扱事業、これの法的な地位を明確にし、従来、各実運送法規でばらばらに規制されておりましたこれら取扱事業を横断的に同一の制度のもとで規制するということにしたものでございまして、その意味では貨物運送取扱事業、すなわち利用運送事業運送取次事業、この二つ事業法的地位を明確化するということが一つのねらいでございます。
  10. 安恒良一

    安恒良一君 たくさん質問しますから、簡潔に歯切れよく答えてください。  この法案といわゆる複合一貫輸送関係をどう理解すればいいんですか。
  11. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) この法案を提出いたしました背景には、運輸政策審議会答申あるいは行革審の答申がございまして、それは複合一貫輸送の促進を図るということが一つ目的とされております。  ただ、この法律自体では、複合一貫輸送という制度を設けてはございません。先ほど申しましたように、各輸送機関を使用する取扱事業、これをそれぞれの輸送モードに応じてサービス提供するという形で規制をしておりまして、複合一貫輸送という制度そのものはこの法律の中には盛り込まれておりません。しかしながら、冒頭申し上げましたように、横断的、統一的な規制をすることによってこの複合一貫の分野に進出する事業者法的地位が明確になるという意味で、複合一貫輸送を促進するという形でこの法律をつくったものでございます。
  12. 安恒良一

    安恒良一君 複合一貫輸送そのもの法律中身に入っていると私は言っているわけじゃないんですが、この法案のねらいは複合一貫輸送の環境の整備を行う、こういうところに私はねらいがあると思うんです。すなわち、複合一貫輸送整備して物流全体のコストを総合的に圧縮させる、こういう点にねらいがあるということを私は否定できないと思いますが、この点どうですか。
  13. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 複合一貫輸送推進によりまして利用者にとって何がメリットであるかということは、ただいま御指摘コストの面と、それからよりよいサービス提供という二つの面があろうかと思います。もともと、運送取扱事業というのは、荷主と実運送機関との間をつなぐ役割をしておりましたが、最近のようにいろいろな輸送機関輸送経路が出てまいりますと、それをどうやって組み合わせると最も荷主にとって最適輸送方法が見出せるかということについてのノーハウを提供するという意味運送取扱事業者の機能が期待されるわけでございます。それと同時に、最適の組み合わせをやることによって合法的な手段で総合的なコストの圧縮をするということも一つメリットになります。しかし、これはあくまで合法的な運賃を使用してという前提でございます。
  14. 安恒良一

    安恒良一君 今後、国際複合一貫輸送体制整備をされていくわけですが、その場合には船舶輸送というものを考えなきゃならぬ場合が多々あると思います。そうしますと、どうしてもこれは港というものが介在をするわけでありますが、その場合、はしけを使った港湾運送など港湾運送事業というものがやはりこの中にこれは登場してくるわけであります。複合一貫輸送、特に船舶を使った複合一貫輸送。  ところが、今回の法案で、いわゆる港湾運送事業適用除外としております。私は、やはり今後の国際複合一貫輸送ということを考えますと、この問題は実運送として規定をすべきではなかったかと実はこの法律を読みながら思うわけですが、私は複合一貫輸送体系整備の観点からこの港湾運送業を実運送として取り入れた方が法律的に整合性があるというふうに考えますが、その点いかがですか。
  15. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) この法律の第二条の「定義」の項で、実運送船舶航空鉄道貨物自動車、この四つ輸送機関を利用して運送を行うものを利用運送と定義づけています。実運送というのはこの四つの種類だけに限っておりまして、ただいま御指摘のように港湾運送というのは外してございます。  これをむしろ適用すべきではなかったかという御質問でございますが、この点は立法に当たって大いに考えた点でございますけれども一つには、他の輸送機関というのが相当距離の間の二地点間の輸送を行うのに対して、港湾運送というのは港湾という限られた地点での作業中心であるという意味で、他の運送事業とは異質な内容となっております。また、これを規律しております港湾運送事業法、これは沿革的に非常に特殊な性格を持っておりまして、かつての港湾運送事業の前近代性といいますようなものに対処してもろもろの特異な法規制を行っております。非常に業種区分を細かく分け、かつ下請の制限等を行っておりまして、これらは他の運送法規に見られない性格規制になっております。  そこで、今回定めようとしております運送取扱事業法港湾運送事業にも適用するかどうかという点につきましては、ただいま申し上げた実態面とそれから法規制の違い、これを考えまして、むしろ港湾運送には適用しない方がよい、港湾運送はあくまで港湾運送事業法によって律するということにした方がよいのではないか、こう判断して適用をしなかったものでございます。
  16. 安恒良一

    安恒良一君 どうも今の答弁理解できません。それはなぜかというと、港湾運送業実態を見ますと、はしけ運送に見られるように実運送と変わらない行為を実際は行っているわけであります。しかも、一種元請、海貨業務の取り扱いも含まれております。私は、この港湾運送事業の行っている荷役作業等の物の移動物流移動、やはり私はこれは実運送ではないかと考えます。  ですから、そうでないとおっしゃるならば、港湾運送事業の行っている行為性格についてあなたたちはどう考えているのか。私は、前段に申し上げたようないわゆる一種元請、海貨業務、そういうものも取り扱っていますから、いわゆる港湾運送事業というものは実運送と変わらない実際の行為を行っているというふうに思いますが、そうでないとおっしゃるならば、港湾運送事業を行っている行為性格はどういうふうに説明されますか。
  17. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 港湾運送事業船舶による貨物輸送にとっては不可欠の事業でありまして、これなくしては貨物は円滑に内陸から海を越えて外国なり内地の他の港へ動かないわけでございます。その意味で、実態的に他の運送事業と実作業であるという意味で変わるところはないと思います。ただ、先ほども申し上げましたが、港湾という限られた場所における作業である。はしけの例を挙げられましたが、確かにはしけは指定港の間でははしけ輸送港湾運送事業とはなりますけれども、これはむしろ例外的な輸送でございまして、基本的には港湾の中における作業ということで、他の相当距離輸送する輸送機関とは性格実態的に異なっております。さらに申し上げれば、そのような実態面と別に法規制性格の違い、この点から私どもはむしろ貨物運送取扱事業法港湾運送事業には適用しない方がよいのではないかと考えた次第でございます。
  18. 安恒良一

    安恒良一君 いや、適用するしないということをあなたに聞いているのじゃないんだよ。港湾が行っている作業というのはどういうふうな性格づけなのか。いわゆる荷詰めから船からの積みおろし、それからはしけを使っての積みおろし等々、港の中、また海の上で一生懸命物を運んでいるんでしょう。そのことと、あなたが言っているのは片方は距離が長いからだと。距離が短いからこれは物流を扱っていることにならぬというのはなぜでしょうかと聞いている。性格は何でしょうかと聞いている。距離が長い短いは関係ないんですよ、物を動かしているんだから物流というのは。それをあなたは距離が長いということ以外に言うから、それならばそれは何ですかと聞いている。
  19. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 港湾運送物流一環であることは間違いございません。その意味においては、距離の長い短いにかかわらず、その不可欠の一環であることは間違いございません。ただ、港湾という場所における貨物移動荷役、それが港湾運送事業中心でございまして、その点では他の運送機関とは性格の異なる行為をやっておる、こういう見方をしております。
  20. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、あれは全く、あんなのは三百代言答弁というんですね。いいですか。物流というのは、陸から港、船からまた陸へ揚がって、その真ん中を受け持っているわけですね。港でやっている、船で。それなのに、今申し上げたように、真ん中が抜けたら国際一貫輸送というのはできないんですよ。だから、私は素直にやはり物流を扱っているなら物流を扱っているというふうに認知する。ただし、法体系としてなじまないというなら、それにかかわることについて知恵を出せばいいので、今のような答弁では私は理解できません。あなたの言っていることは、何を言っているのかさっぱり分からない。私は、港湾荷役というものは物流を全体の複合一貫輸送の中間をきちっとやっている。国際的にも国内的にも、船を使ったときの輸送についてやっているんです。だから、それが法体系でなじまないことと、事業性格を曲げた答弁理解できません。はっきりしてください。
  21. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、港湾運送船舶を使った輸送物流の不可欠の一環である、そのことを私は全く否定するものではございません。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 港湾運送における実際の作業作業会社に行わせることができるのは一種元請だけなんです。利用運送事業者の資格だけで行えばこれは港湾運送事業法違反になる、こういうふうにあなたたちは答えられています、衆議院において。しかしながら、荷主一種元請の間に今度は新しく利用運送事業者が入ってくることが予測されます。利用運送事業者一種元請に港湾運送を委託するのは今度は港湾運送事業法上の荷主と位置づけられ、それは港湾運送事業法で適法である、そういうふうに言われているのでありますが、二つのことの理解は間違いありませんか。
  23. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま衆議院での私ども答弁を引用されました御理解は、そのとおりでございます。利用運送事業者荷主から引き受けた貨物港湾運送事業者港湾運送を委託するという場合には、港湾運送事業者に対する関係では荷主という立場になります。
  24. 安恒良一

    安恒良一君 そうなりますと、従来だったら、荷主港湾運送事業者、それから船会社、こういう関係ですね。今度は、そこに新しく荷主の代行として利用運送事業者というものが介在することに今回の場合はなっているわけです。そうなりますと、港湾運送事業者立場というのは、この法律では実運送事業者に含まれておりません。しかし、実態的には、私が申し上げたように実運送事業者と変わらない立場にあると思います。そういう認識は間違いありませんか。実態的には、そういう今あなたがおっしゃったように、物流一環を受け持っているというんですから実態的には変わらないという場合がある、こういう認識を持たざるを得ないと思いますが、それはよろしゅうございますか。
  25. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 港湾運送事業法上、利用運送という行為は何ら位置づけられておりませんので、港湾運送事業者に対して港湾運送を依頼するという立場では利用運送事業者港湾運送事業者の顧客である、こういうことになります。荷主立場にあるということでございます。
  26. 安恒良一

    安恒良一君 だから、それは僕の言ったとおりでしょう。その中に介在して、実際は港湾運送事業者というのは実務的には実運送事業者と変わらないことをやっているんです。  そこで、複合一貫輸送体系の中で港湾運送事業者料金が不当に値切られたとしても、現行港湾運送事業法では荷主に対する措置が十分でなく救済の道がありません。ところが、今回の貨物運送取扱事業法の実運送事業であれば、取扱事業の実運送事業者に対する関係が行き過ぎ、もしくは実運送事業者のみならず取扱業者の混乱にはね返ってくる場合には取扱事業に対して大臣改善命令を出し得る、こう言っていますね、今回のこの法律は。  そこで、港湾運送事業者は実運送事業者ではないということでありますから、これはその場合にはその法の適用が受けられないことになりますね。それは間違いありませんか。
  27. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) この貨物運送取扱事業法港湾運送事業適用がございませんので、この中に含まれておりますいかなる条項も港湾運送事業には適用がございません。そのかわり、港湾運送事業法適用になるわけでございます。
  28. 安恒良一

    安恒良一君 私は、どうも運輸省港湾運送事業本法から適用除外したことに意図的なものを感じざるを得ないのであります。なぜかというと、どうも運輸省は今後複合一貫輸送体系の進展の中で港湾事業というものを縮小均衡していかざるを得ない、こういう判断をしているのではないでしょうか。それらを見通しての私はどうも今回の除外措置と思わざるを得ないのであります。そうでない、そんな意図はない、そんな悪意はないとおっしゃるならば、私はなぜこの法案港湾運送事業者を実運送事業者として規定できるような法律制度整備を行わなかったのか、こういう疑問を持たざるを得ないのであります。どうですか、その点は。
  29. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 私どもとしては、港湾運送事業というものを今後縮小の方向に持っていくというような意図は全く持っておりません。港湾運送事業はあくまで港湾運送事業法によって、すなわち参入は免許制運賃料金認可制という、貨物運送事業法規の中では最も厳格な規制を持っております港湾運送事業法によって規制されるべきであると考えておりまして、その意味港湾運送事業を将来縮小均衡に持っていこうというような意図を全く有するものではございません。繰り返しますが、港湾運送事業現行港湾運送事業法規によって規律し、守られていくべきものと考えております。
  30. 安恒良一

    安恒良一君 現行港湾運送事業法港湾労働者港湾事業者に大変な問題をもたらしている点は後から私は具体的に説明します。それがあるから大丈夫です、こう言われておりますが、実態はそうでないのであります。  そこで、もう一回伺っておきますが、今回の貨物運送取扱事業法案が成立いたしましても港湾事業者に何らの影響はない、あなたはそうお答えになるんですか。そこのところをはっきりしてください。
  31. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 繰り返し申しておりますように、法律上何らこの新しい取扱事業法によって港湾運送事業規制が変わるものではない。これは繰り返し申し上げておるとおりでございまして、ただいま御指摘の点は、むしろ実態面の影響ということかと思いますが、これは私どもとしては、この取扱事業法によって劇的な変化が起こるとは考えておりませんけれども、冒頭にも申し上げましたとおり、複合一貫輸送の促進には寄与するものであると思っております。したがって、何らかの変化があることは決して否定するものではございません。
  32. 安恒良一

    安恒良一君 そういう答えがまた大変気に入らないわけね。何かの影響があるのかと言ったら法律的には影響がない。何ですか、その言い方は。法律が違う法律だからと。問題は、実態的にどんな影響があるかということをあなたに聞いているんだよ。そうしたら、実態のところはうじゃうじゃと何か言って、さっぱりわからない。あるのかないのか、もう少し上を向いて、胸を張って、はっきり言ってください。  私の方から言いましょう。いいですか。この法律は、港湾運送事業法を対象外としています。しかし、運送取扱事業にはこれからメーカー、商社、船社、陸上運送、外国資本等の多くの企業の進出が予測されるわけです。すなわち、私はこの法律が制定されますと港湾運送事業がそれらの大手企業の支配下、系列下に組み込まれるのではないか。そして、今の港湾運送事業法の認可料金制度がさらに形骸化していくのではないか。すなわち、私から言わせると、実態面では極めて大きな影響が出てくると思います。あなたは、法律的には法の対象外だから関係ありません、こう言っていますね。法律的には影響ないと言っています。それで具体的に済まされるんですか。今言ったようにたくさんの人がここに参入してきて、そうでなくてもいわゆる港湾運送事業法というものの認可料金制度が形骸化されているんです。  さらに、私は、この点については実態面においては大きな影響を受ける。私は、素直に影響を受けることは影響を受ける、問題がある点はあるというふうに答弁をしてもらいたいんです。その上で、ではどう救済策を講ずるかという点について、さらに大臣なりあなたにこちら側から最終的に一つ一つ問題を明らかにしていこうと思っていますから、経過を、自分たちの出した法案を通したい余りに、それの整合性を得る余りに実態をも無視した答弁で、万が一大きな影響が出てきたらどうしますか。あなた、責任をとってやめますか。そういう問題になりますよ。問題があるところはあるとはっきり答えるのが国会における論議の進め方じゃありませんか。
  33. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほどの答弁を補足申し上げますと、これから商社あるいはメーカー、船社等の系列の企業利用運送事業あるいは複合一貫輸送事業に大挙進出してくるのではないか、こういう御懸念でございましたが、既に数年前からこのような傾向は見られておりまして、主要な大手船社あるいは大手商社あるいは陸運系の会社、これは複合一貫輸送に既に進出をしておるわけでございます。そういう意味で、今回の法律制定をきっかけとして雪崩を打って新たに大きな企業が出てくるということはないのではないか。もちろん、新しい企業が参入することも当然あるとは思いますが、雪崩を打ったような現象が起きるのではないという意味で大きな変化はないと申し上げたわけであります。  しかしながら、同時に、先ほど申し上げましたように、この法律によって利用運送事業の法的性格が明確になることにより、その事業の位置づけがはっきりいたしますので、その意味ではやはり複合一貫輸送の促進は図られるであろう。なかなか量的に申し上げることは難しいと思いますが、何らかの影響が出てくることは私も否定をしているものではございません。
  34. 安恒良一

    安恒良一君 雪崩を打っとか雪崩を打たぬとか、どうもあなたは性格が素直でないね、何か言いわけばかり盛んに。もう少し素直にあれした方が。だれが雪崩を打つと言いましたか。私は、そういうものがこの法案が成立することによってだんだん進出をしてくる。現在でもかなり形骸化されているんです。ダンピングが繰り返され、形骸化されている。そのことに新しい業者が次から次に入ってくるということによってさらに形骸化が進むのではないかという懸念もしている、こう言っているわけなんです。ですから、結論から言うと、残念ながら港湾運送事業法の実質的な形骸化が進むのではないかというふうに僕は大変心配しています。  なぜかというと、今回この法案で、法律の許可さえ受ければあらゆる分野の貨物運送輸送ができるようになります。そうすると、運送取扱事業者間における競争が一段と激化することは明らかなんです。その結果として、私が一番心配しているのは、この真ん中を受け持つわけなんですから、港湾運送事業法に基づく認可料金が守られるという保証はないんです。港湾運送事業法に基づく認可料金が守られるという保証がこの法律のどこにありますか。今回の法律には、そのことは全然保証がないんです。あなたは、いやそれは港湾運送事業法にある、こういうお答えが返ってくると思います。しからば、運輸省としては、今回の法案港湾事業法は何ら関係がないという立場をとるならば、港湾運送事業法に基づく認可料金を具体的にどういうふうに保証するんですか。  私は、形骸化がさらに進むのではないか、港湾運送料金、認可料金が守られなくなるだろう、そのことが大変港湾運送事業者、またそこに働いている人に重大な影響を与えることになるだろう、こう言っている。ですから、それならばあなたたちは、法律に書いてあるから保証されるというのは保証にならないんですよ。これは貨物運賃、トラックでもそうでしょう。この前の論議で、出てきたものでダンピング競争をどんどんお互いがやっているわけですから、法律に書いてあるから守られるということではだめなんです。港湾運送事業法に基づく認可料金を保証するというのは、具体的にどう保証しますか。
  35. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のように、港湾運送事業法に基づいて料金認可制になっておるということだけでその収受が確保されるというものでないことは、私どもも十分承知をしているところでございます。  そこで、従来とも料金監査等を通じましてその遵守を指導しておりますし、港運業界におきましても荷主側の理解を求めるというようなことで努力をしておるところではございますが、確かに現状においてそれが不十分であるということは、私どもも認めざるを得ないと思っております。そこで、今回の取扱事業法の制定を機に、そのような港湾運送料金がさらに崩れるのではないかという御懸念も強く表明されておりますので、私どもとしてはこの認可料金の遵守につきまして従来以上に努力をしてまいりたいと思っております。一つには、料金監査のさらに計画的な実施を図って、また場合によりまして重点的な監査をやりまして、悪質な事業者是正を図りたいというふうに思っております。また、従来、日本港運協会において料金遵守運動をやっておりますが、これにつきまして一層の充実を図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  36. 安恒良一

    安恒良一君 後から一問一答の形で保証のところは具体的にお答えを願うことにして、問題をさらに進めていきます。  さらに、港湾運送事業法に基づくコンテナ貨物への詰め出し作業、これも今度は利用運送人によって港湾地区から内陸で行われる、そういう方向に進んでいくのではないかという心配を私はします。ですから、今回の法律によりまして、利用運送事業者荷主と契約を行います。そして、港湾運送事業を下請に使うなら、港湾に残されています唯一のコンテナの詰め出し作業は港の地域から、いわゆる港頭地域から内陸部に移っていく。そして、今度は港湾労働者でなくて他の労働者によって行われるということに拍車がかかりはしないか、そういうふうに実はこの法律が心配であります。そうしますと、港湾事業法に基づく事業の業域、職域、そういうことの存立の基盤が大きく損なわれることになりはしないか、そういうふうに思いますが、この点はいかがですか。
  37. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) コンテナのバン詰め、バン出しの作業、これが港湾において行われる場合には港湾運送事業法港湾運送に該当いたしますので、これは免許事業者でなければできないことは言うまでもないことでございます。一方、御指摘港湾以外の内陸部でのコンテナのバン詰め、バン出し、これが複合一貫輸送の進展に伴いましてコンテナが港頭地区を通り抜けて内陸まで送られ、そこであけられる、あるいはそこで詰められるということがだんだんと広まっていることも事実でございます。  ただ、港湾以外の、すなわち内陸部でのコンテナのバン出し、バン詰めにつきましては何ら規制する法規がございませんので、これはだれがやるかということについてはむしろ自由競争の状態になっておるわけでございます。これを法律的に何か規制するということは適当でないと考えておりまして、むしろ港湾運送事業者あるいはそこで働く労働者の業域、職域ということを守る見地からは、まず第一に港湾地区でのバン詰め、バン出し作業、これが荷主にとって一層魅力のあるようなものにするためにもろもろの対策を推進していくということが重要であろうと思います。  また、内陸部でのバン詰め、バン出しにつきまして港湾運送事業者が内陸部に進出してこれを行う。港湾運送事業者は、海上コンテナの詰め込み、積みつけについてのノーハウを持っておるわけでございますから、船舶の動揺にどうやって耐えるような積みつけをするかということについてノーハウを持っておるわけでございますから、それを生かしまして内陸部でもそのような作業を引き受けるということを大いに促進すべきだと考えております。
  38. 安恒良一

    安恒良一君 私は、内陸部におけるコンテナの詰めは自由主義社会で自由競争だからだれがやってもいいのだ、こういう御答弁のようでありますが、今私が系統的に申し上げたようなことで、本来、港湾労働者がやっていることですら場合によればそれが内陸部へと移されていくと港湾労働者の職域、業域が少なくなるじゃないか、こういうことを私は言っているわけです。  そこで、少なくとも貨物運送取扱事業者による国際港湾貨物のコンテナ詰め出し作業、この取り扱いについてはやはりこの貨物運送取扱事業者によってやらせるということについて禁止をする、そういうことについて私はこれを検討しないと、自由主義社会なんだ、あとは指導によってできるだけ港湾におけるコンテナ詰め出し作業を内陸部に行かないように考えるということだけでは防ぎ切れ得ないのじゃないか、あなたがおっしゃったように自由主義社会で自由競争原理というのが今日の資本の論理でありますから。でないと、今申し上げたように国際港湾貨物のコンテナ詰め出し作業までがだんだん内陸部へ移動するということになりはしないか。今の港湾地区における職域、仕事というものが将来大きく激変をして減っていくことになりかねないんですが、そこらのいわゆる歯どめについてはどうお考えになりますか。
  39. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 利用運送事業者によるコンテナのバン詰め、バン出しを禁止すべきではないかという御意見でございましたが、先ほども申し上げましたように、内陸部におきまして現在自由競争で行われておりますものを利用運送事業者に限って禁止するというのは行き過ぎではないかと思います。また、さらに申し上げれば、多くの港湾運送事業者利用運送事業にも進出をしております。単に商社、メーカー、船社等が進出するだけではなくて、数の上では港湾運送事業者の多数がこの分野にも進出しております。したがって、それらの事業者利用運送事業者にもなりますので、これらが内陸でバン詰め、バン出しをやることを禁止するというようなことにもなりかねないと思いますので、やはりそのような法的な手段による禁止措置というのは適当でないと考えます。  しかしながら、先ほど申し上げたように、港湾地区でのバン詰め、バン出しを一層魅力あるものにするというためのもろもろの施策、さらに港湾事業者が内陸部にも進出するようなもろもろの施策、これが両々相まって港湾運送事業者のバン詰め、バン出し作業における業域、職域を確保していきたいと考えておる次第であります。
  40. 安恒良一

    安恒良一君 そこのところも、後から具体的な措置について詰めたいと思っています。  この法案では、利用運送の参入基準から需給調整規定を外していますね。そして許可制をとっています、それを見ますと。しかも、運賃は今度は届け出制度になるわけですから、大規模な取扱事業というのがどんどん参入してきて、大規模事業でありますから生産性、低運賃で大規模事業者が優位に立つことは容易に想像ができるわけです。いわば中小零細企業というのは今回の法律改正によって太刀打ちできなくなるのじゃないか。これは何も港湾運送事業者だけのことを言っているわけではありません、全体の問題といたしまして。  そういう流れにこれはこの法律ができ上がると変わっていくわけでありますから、そうすると当然港湾事業者の取り分というものが残念ながら、今でも過当競争でダンピングがあるんです、港湾運送事業法に守られているといいながらもあるわけですから、さらにダンピングの方向に向かわざるを得ないというふうに私は思うわけであります。でありますから、私は、今まで議論をした中で、今回の法案港湾運送事業者に大変な影響をもたらす、こういうふうに考えているわけであります。  そこで、この法案が成立した後も港湾事業者には何ら影響がない、こういうことでありますならば、江藤大臣として、今までの私の論争をお聞きになって、本当に港湾運送事業者に何も影響がない、心配はないというふうに大臣自身はお考えになるのかどうか。それから影響がないと大臣がお思いだったら、万が一いろんな影響が出てきた場合には大臣の全責任において港湾事業労働者のために万全な措置を講ずる、こういうようなことについてもお約束がいただけるのかどうか。後から具体的な条文については大臣にお答えを何点か願いたいと思いますが、全体の今までの論争を聞いた中で大臣のお考えをひとつ言ってください。
  41. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 物流の変化というのは一つの時代の流れでありますから、今回の改正案については、一方では参入、あるいはまた料金等についてある程度の弾力性を持たせ、片一方においては今度は過重労働、その他低賃金等に対する社会的な責任を負わせるということをやってきたわけてありますが、港湾業務というのは私もある程度存じ上げておりますが、特定の場所で特定の専門の方々が今まで携わってきたことでありますから、そうした参入を自由にするとか料金を届け出にするとか、そういうことではなくて、これはこれでちゃんと港湾運送事業法があるわけでありますから、実はその中できちっと守ってやろうという配慮からあるわけでありまして、このためにこの法案が可決されて実行段階に至って影響が全くないと私も考えません。  それはどんどんこれから国際化が進んでいく時代でありますから、我々の想像しなかったようなことが起こってくるであろうと思います。しかし、それについてはこれは行政当局でありますから、法律に基づいてやはり親心を持って港湾事業港湾業者だけは別個にして大事にしていこう、特別にここだけは守ってやろうという配慮でやっているわけでありますから、その志を忘れずに今後もしっかり取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
  42. 安恒良一

    安恒良一君 港湾運送事業に携わる人々が今度の法案で一番心配しているところがあるのは、今私がるる申し上げた点です。この前、全港湾の亀崎議長からもここで参考人としていろいろな意見が述べられましたけれども、確かにこの法案衆議院運輸委員会で三年後の見直し規定が新しく修正として加わりました。しかし、私は港湾の場合は三年経過する前にいろんな問題が出てきやしないか。こういうことでありますから、三年後に見直しをすればいいという考えでは港湾の場合には対処し切れないと思います。  ですから、港湾の動向については十分な注意を払っていただかなければならぬと思いますが、私はいやしくも政策担当の責任者といたしましても、結局、今港湾労働者が心配しているのは職域がなくなるのではないか、労働条件が悪化するのではないか、こういうことを心配しているわけですね。でありますから、この状況を大臣としても理解して、法律的に法案に盛り込めない点については例えば省令に盛り込むとか、通達に出すとか、私はそういう最大限の配慮をぜひしてもらいたいというふうに思います。この点については、私の方から後で大臣、その他関係者に一問一答で明確にいたしたいと思いますから、そういう考え方をまず申し上げておきます。  それから今回のいわゆるトラック法案では、荷主に対する勧告が設定をされておりますが、いろいろこの法案の中で荷主に対する勧告条文がいろいろございますね。港湾事業においてこういう問題が荷主との間に起こった場合は、どう対処されるおつもりですか。
  43. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 今回の改正におきましては港湾運送事業法を何ら修正しておりませんので、従来どおり現行港湾運送事業法の認可料金制度で対処していくことになります。  なお、トラック事業法に盛り込まれております荷主への勧告制度、これは確かに一つの新しい制度でございまして、貨物運送事業に法規において非常に新しい制度を創設したものでございますが、これを港湾運送事業法に盛り込むかどうか、これは港湾運送事業法全体の見直しの中で検討されなければならない問題であろうかと思いますので、ここで直ちにそのようなことを検討するというふうに申し上げるわけにはまいらないかと思います。
  44. 安恒良一

    安恒良一君 貨物運送取扱事業法案の中で、港湾運送事業者を相手方とした荷主港湾運送事業法で決められた認可料金を下回って契約をしてはならない点、そういうことを契約してはならない点、さらにこの点を強要した荷主への必要な勧告措置を私は明記すべきではないか。いわゆる現行法の中ではこれはないわけですから、そうでなければあなたがおっしゃったように港湾運送事業法をトラック法並みに近々に改正しなければこういう事態が起こってくるんですね。いわゆる荷主港湾運送事業者に対して港湾運送事業法で決められた認可料金を下回って契約を強要する、でないとあなたのところに仕事させませんよ、こういうふうに強要した場合、これをこの法律でどうにもならぬとおっしゃるならば、私は港湾運送事業法自体を、この今回出された法律と同じように改正をすべき点があるんじゃないか。でなければ、今言った事態は防ぎようがないじゃないですか。どうですか。
  45. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) この法律は、実運送といたしまして港湾運送事業を対象にいたしておりませんので、今先生お申し出の趣旨をこの法律で手当てをするというのはやはり法律上難しいと思います。  そうすると、次に先生が仰せになりましたように、港湾運送事業法の中でそういう規定を置くかどうかという問題になるわけでございますが、それも先ほど局長がお答えいたしましたように、港湾運送事業法全体の見直しという問題と切り離してそういう荷主勧告の規定だけを入れるということはやはり難しいのではないだろうか。免許制なり認可制なり根幹に触れるような議論もあわせてしていかなければそういう問題が乗り越えられないということを私どもは心配しておりまして、今の仰せの件につきましては、港湾運送事業法を直ちに手当てするということでなくて、認可制の充実というところで何とか頑張って御趣旨に合うようにやっていきたいと思っております。
  46. 安恒良一

    安恒良一君 何とか頑張ってと、こう言っても、荷主港湾運送事業者の契約の関係ですから、あなたたちが全部一つ一つをチェックするわけじゃないでしょう。そうするとそのことは現実に起こり得るんですよ。起こり得るんだったら、それの防止を考えておかなきゃならぬ。片方の法には書いてある。こっちの法律には荷主がそういうことをやったりしてはいけないと書いてある。だから、こういう罰則もあるわけだ、ある程度。ところが、港湾運送事業法にはそれが今ない。そうすると、私が実態的に複合一貫輸送の中で荷主港湾運送事業者の間に今申し上げたような運賃の値引きとか強要とかというのが起こり得るんだよ。起こり得ると予見されるものについて、私はそれをきちっとこの法律に何も書けと言っているわけじゃないんだ。この法律には全体がなじまぬ、それならば少なくとも港湾運送事業法にそこのトラック法と同じようなことにこれは改正するのが法のもとの平等であって、いやこっちの法律を変えるのは全部を見直さなきゃならぬから当面は認可の方で一生懸命頑張ります、これじゃ答弁、片手落ちじゃないですか。
  47. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほども申し上げましたが、今回のトラック事業法案におきまして荷主勧告制度を導入したわけでございますが、それと同時に、事業参入の免許制から許可制への移行とか、認可料金制から届け出制への移行というようなことがいわば抱き合わせになっておるわけでございます。港湾運送事業法荷主勧告規定を導入するということは一つの検討課題かと思いますけれども、先ほど審議官から申し上げましたように、その場合には新規参入の規制のあり方あるいは料金制度のあり方等もやはり検討は免れないと思いますので、この際は私どもとしては現行体制でできる限りの努力をしたいというのが考え方でございます。
  48. 安恒良一

    安恒良一君 何か聞いていると、そこのところをきちっとすると今度はいわゆる認可料金自身が守られなかったり、新規参入者が入ってくることについても守られなくなるよ、だからというおどかしのように聞こえるんですね。そんな姿勢で行政ができるんですか、あなたたちは。  この法案の中でなぜ港湾運送事業者を実運送事業者にしなかったかと言ったら、あなたたちは、港湾運送事業法というのは特別にいろいろ保護がされているんです、ですからこの法律とはなじまないんですと答えておきながら、今度はそこの中の肝心な、この法律関係荷主とこの人たちの間の契約のときに今私が申し上げたようなことが起こり得るんです。起こり得ることを、一方の法律は保護をしているんだからこちらの法でも保護しなきゃならぬのじゃないかと聞いた。そしたら、いや保護をする規定を入れたら今度は港湾運送法全体がと。あなたたちは臨調行革が言っている自由化路線、それに何も抵抗しないではいはいと従わなきゃならぬ、だからそんな危ないところは手をつけない、こういう意味ですか、あなたが今言ったことは。
  49. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 臨調行革審に対して何も意見は言わないということではございませんが、荷主勧告制度をトラック事業法において創設するに際しましては、荷主所管官庁等と非常に困難な折衝をやったわけでございます。それで全体の法体系改正の中でようやくこの新しい制度を設けることができたわけでございます。なかなか港湾運送事業法について荷主勧告規定だけを導入するというような交渉がうまくいくかどうか、この点について私どもとしては必ずしも十分の見通しを持っておらないということでございます。
  50. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、お聞きのとおりで、全くこの人たちは弱腰なんですよね。全く弱腰なんです。聞いておりますと、一方では、いわゆる自由化というものが臨調行革から言われている。だから、そこを一ところでもいじればそういうことになる。これでは私は行政というのはできないと思うんです。やはり行政というのは毅然たる態度で守るべきものは守っていかないと、私は少なくとも港湾労働法というのがあるのは、一方においては港湾労働法の優位性を強調しながら、一方においては、今度は肝心のことになると、そこに手をつけるとどうも全体の法律改正というのは必ずしも私どもが主張しているようなことにいかない、この参入の自由化であるとか料金の届け出制になりかねないと言わんばかりのことを言っているんですが、私はそんなことで、今いろいろ問題が出てきました港湾運送事業なり、そこで働いている労働者、そうでなくても私は残念ながらコンテナ一貫輸送のもとにおいてだんだん職場が奪われ、労働条件が向上しないということがいろいろある中において、本当にそういうようなことで港湾運送事業というのを守る考えが運輸省にあるのかどうか。失礼ですが、大変心配になりますが、その点はどうでしょうか。
  51. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 衆参両院の委員会の審議を通じて、この港湾運送事業に対する専門家である諸先生の御心配の趣は、私よく承ってきました。決して薄情ではありませんで、片っ方で実は参入のある程度の弾力化を図れ、料金も弾力化を図れ、こういう中でありますから荷主勧告制度を設けました、こう言っておるわけであります。しかしながら、片っ方では御承知のように行革審の方向もあります。それから、この前は公取がタクシー料金その他、参入も自由化せいということで、こっちから厳しくこれはたしなめたわけでありますけれども、実はそういう全体的な動きもございます。  しかしながら、そういうものからひとつ港湾運送事業というのは特別に守ろう、これをやっぱり全体の中にさらすのじゃなくて、この分だけはしっかり守っておこう、実はこういうことでやっておるわけでありますが、運用の面で至らざる面が多々あるとするならば、これからしっかり御意見を踏まえて勉強したいと思います。どういう点が具体的に問題になり、あるいはまた値引きの実態がどうあり、あるいは荷主のそういう問題がどうあるかということを含めまして、十分これから勉強してみたいと思います。
  52. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、以上の議論をしたことを少し整理して、大臣局長に明確に答弁を、それから扱いをどういうふうにするかということについてお聞かせいただきたいんです。  まず、大臣にお聞きしたいんですが、貨物運送取扱事業法から港湾運送事業を除外するために法案に修正を加えたらどうか、こういうことを私は今いろんな事例を挙げながらお聞きをしたと思いますが、この点については大臣はどのように対処されるつもりですか、お考えをお聞かせください。
  53. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) さまざまな御意見がございましたから、省内でいろいろ意見の調整をいたしました。余り性に合わないんですが、勝手なことを言うといけませんので、皆で取りまとめましたその意見につきまして、ここだけはひとつ読ませていただきます。  この法律で実運送とは、船舶航空鉄道または自動車による運送のことで、港湾運送は先ほど申し上げましたように入っておりません。実運送を対象として利用運送する事業がこの法律利用運送事業であり、取り次ぎをするのが運送取次事業であることは申し上げたとおりであります。したがって、港湾運送事業を対象とする利用運送事業運送取次事業がこの法律の対象とならないことは法律上明確でありますので、改めて港湾運送業適用除外とすることは法律的には不可能なことであります。したがって、港湾運送事業本法の対象とならないことについては、十分な御理解をいただくよう関係者に今後、周知、説明を徹底してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  54. 安恒良一

    安恒良一君 それから国際複合一貫輸送事業者が実際に荷主から受け取る運賃港湾運送の部分を含む一貫運賃となるはずでありますが、本法ではこの港湾運送の利用運賃はどういう取り扱いになるのでしょうか。
  55. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 国際複合一貫輸送を行う利用運送事業者は、荷主との間で本法による実運送港湾運送を合わせた利用運送契約を結び、その料金もこれらを一本とした料金として設定するが、このうち本法により届け出の対象になるのは本法が対象としておる実運送の利用運賃に限られるものであります。また、利用運送運賃は利用する実運送の種類ごとに異なりますので、これに対応して利用運送事業者が届け出る運賃も、実運送の種類、すなわち鉄道、自動車、船舶航空ごとに届け出る必要があります。以上の趣旨を省令で明確に定めることとしたいと存じます。  なお、利用運送事業者運賃は、実運送に支払う運賃に自分の手数料等を加えるものとなりますので、利用運送事業者荷主から受け取る運賃のうち港湾運送に係る部分については港湾運送の認可料金利用運送事業の手数料等を加えたものとなります。この旨通達で明示することにしたいと考えております。
  56. 安恒良一

    安恒良一君 それでは省令で明らかにするところは明らかにしてもらいたいし、通達で明示をされるところは明確に明示をしてもらいたいと思います。  次に、局長にお聞きしたいんですが、現在、全国港湾・港運同盟と日本港運協会との間で、賃金水準の引き上げ、労働時間短縮のために、あるべき賃金を目標にしての賃金専門委員会、千八百時間体制を目指すための時間短縮専門委員会等が設置をされ、労使の間で努力中だと私は聞いています。料金ダンピングの厳しい中で実際はその実現を危ぶむ声が強いのでありますが、運輸省としては労働条件改善の前提として料金ダンピング防止の具体的対策をどう考えているのか、明らかにしてもらいたい。
  57. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運輸省といたしましては、認可料金の完全収受が港湾秩序の安定、港湾運送事業の発展のため不可欠な要素であるとの認識のもとに、従来より料金監査を実施するとともに、事業者への指導等に努めてきたところでございますが、今後さらに利用運送事業者が行う国際複合一貫輸送の進展により港湾運送に関する秩序に支障が生じないよう、港湾運送の認可料金の遵守について社団法人日本港運協会に対し、港湾労働者の意見を尊重しつつ荷主利用運送事業者等に対し、その適正収受の確保につき積極的働きかけを行う体制を整備させる等、その効果的対策になお一層努めることといたしたいと思っております。
  58. 安恒良一

    安恒良一君 次は、港湾運送料金を守ることについて運輸省港湾運送事業法で対処するというふうに今さっき答えられましたが、法令違反者の監査、罰則規定の発動など、どのように行う考えなのか。違反者には厳重に対処すべきではないかと思いますが、どうですか。
  59. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運輸省といたしましては、従来より料金監査の実施に努めてきたところでございますが、今後とも料金監査の計画的な実施を図り、その是正に努めるとともに、港湾運送事業者はもとより、関係荷主及び取扱事業者に対し強力な指導を図ってまいりたい所存でございます。特に、社団法人日本港運協会に設けることとしております料金遵守の確保のための委員会とも緊密な連携を図りつつ、悪質な事業者に対しては重点的監査を行うことにより厳正に対処してまいりたいと考えております。
  60. 安恒良一

    安恒良一君 次に、私の質問に対するあなたの答弁、それから組合の意見を聞きますと、インランドデポにおけるコンテナへの貨物出し入れなどの業務について、現在は港湾運送事業法に基づく免許を有する事業者がその多くの部分を取り扱っている、こういうふうに言われています。しかしながら、無規制の部分であるだけに今後の進出が予想される大半の貨物運送取扱事業者によって行われる可能性が私の質問の中でも非常に大きいということが明らかになったわけですが、現在、港頭地域に集まっている貨物ですら、真の国際複合一貫輸送体制を持つ大企業の本格的な進出によってインランドデポへ引き寄せられる可能性もあるということは私は質疑の中で明らかにしましたが、私は港湾運送事業者が中小だという点からやはり何らかの対策を講じなきゃならぬのじゃないか、こういうことをあなたとの間にやりとりをいたしました。この点について、あなたの考え方を整理して、何らかの対策を講ずるという点についてどのようにされるつもりですか。
  61. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) コンテナリゼーション、国際複合一貫輸送の進展による港湾荷役の変化に対応して、港湾物流センターの整備港湾運送事業者の協業化、共同化、集約化等により港湾運送事業者による物流機能の充実を図り、港湾運送の職域確保を支援する方策を推進することといたしたいと考えております。また、国際複合一貫輸送の進展に伴い貨物取扱事業者と港湾運送事業者との間における円滑な事業運営を確保するため、相互の意思疎通が図られるような協議の場を設けるよう指導してまいりたいと考えております。
  62. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、以上の大臣並びに局長とのやりとりの中の総括として、私は既にあなたの方に一つの私の考えの文書を渡してあります。それはどういうことかというと、今も言われましたように、貨物運送取扱事業法港湾運送事業法の違いの明確化並びに本法の中に港湾運送事業の除外規定を入れる条文修正を行ってもらいたいと言ったのですが、なかなか無理だということでありますから、そういう物の考えを含め、さらに港湾運送事業運賃料金と職域が影響を受けない、こういうことの担保措置を明確にするための一つの私の考え方をあなたに、できれば条文修正ということでできないかということを渡してありますが、その点について、今までのやりとりで条文修正はできないということであるならば、これをどのように担保していただけるのか、明確にここで考え方を明らかにしてもらいたい。
  63. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 本来、実運送業務運営の適正担保ということは各運送事業法で手当てをすべき問題でございまして、この取扱事業法においてこのような規定を設けるということは困難であると考えております。  また、利用運送事業者等と実運送事業者等とは本来対等の立場に立つものでございまして、一方の行為のみを法律規制するということはやはり適当でないと考えております。  以上の理由で、本法律の条文修正によって御提案のような御趣旨を盛り込むことは困難と考えております。しかしながら、そのような御趣旨、すなわち利用運送事業者及び運送取扱事業者が実運送事業者及び関連する物流事業者の正常な運営を阻害する行為をしてはならないというようないわゆる訓示規定の御趣旨を省令において設けることとしたいと考えております。省令に設けることにつきましても、やはり法律的には同様の困難さがございますが、これは運輸省の責任におきまして省令の措置をしたいと考えております。
  64. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、今局長の方に私の文書を渡してありまして、それを今読み上げたわけですが、法律修正は法律整合性からなじまない、しかし省令として明確にこれを盛り込む、こういうことですから、大臣お約束できますね。
  65. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 私ごとで恐縮でありますが、私も子供のころから港で仲仕をした時代が随分ありまして、肥料を担いだり、材木のいかだ組みをしたり、鉱石を運んだり、鉄道のまくら木を担いだりした時代がありますから、この港湾運送というものには私も少なからず実は愛着があるわけであります。この問題を取り上げられた安恒委員を初め、皆さん方が、この港湾の零細な、いわゆる中小の企業の皆さんの将来を考え、そこで働く労務者の諸君の待遇のことを御心配になるという気持ちは私も痛いほど実はわかる気がいたします。したがいまして、ただいま局長がお答えを申し上げましたように、省令の段階でそうした御意思を十分にそんたくして、私ども御意思のあるところを酌み、これを処置したいと思っておりますので、御了承賜りたいと思います。
  66. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、次はILO港湾労働条約の批准問題について、労働省運輸省、両方に少しお尋ねしたいと思います。  今までの論争を聞かれてわかりますように、今回のこの法案港湾労働者が厳しく反対をしている点は、前回この委員会参考人として出ていただいて意見を陳述していただいておることでもおわかりだと思いますし、さらに私のきょうの今まで約一時間二十分かけてやりとりをしました議論の中でも明らかです。それはなぜかといいますと、その背景には、港湾におきましてはコンテナ化によって十万人の港湾労働者が約六万人に今減少しているわけです。そしてまた、この法律が施行されますと、いろんなことを言われましても、この港湾運送の業域、職域が狭められるという点の心配がこれは多々あるわけであります。そういうことが港湾労働者が強くこの法案に危機意識を持ち、反対を持っているということは、ある程度各委員に御理解を願ったと思うのであります。  そこで、従来の港湾整備というのは、どうも施設が中心になっている。施設というのがどうも港湾整備中心になっていはしないか。そこで荷役をする事業の育成、近代化、そしてそこに働く港湾労働者の問題というのはどうも後回しになっている。しかも、この問題について私どもが今まで運輸委員会でたびたびこれを取り上げますと、運輸省労働省がお互いに責任のなすり合いをするわけです。私は、そういうことが当然の帰趨として港湾労働者が低賃金、低労働条件になると思います。いわゆる港湾における秩序形成は一体どうなっているのか、どちらの省がこの点については責任を持たれるか、まずその点を運輸省労働省で明らかにしてもらいたい。
  67. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 港湾における秩序という御提起でございますので、港湾運送事業、この事業につきましては当省の所管しております港湾運送事業法で規律をしておりますから、これは明確に運輸省の権限でございます。もちろん、港湾施設は当省の港湾局が整備しておりますので、この点も当然我が省の所管でございます。事業の秩序という面では、我が省、運輸省の責任でございます。
  68. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 港湾労働者の円滑な雇用情勢、それを確保していくための就労秩序の保持、こういった点については労働省として責任を持って進めていきたいと考えております。
  69. 安恒良一

    安恒良一君 大臣お聞きのように、事業の秩序というのは運輸省労働条件その他は労働省、こういうことで、我が国のいわゆる縦割り行政のいいところか悪いところか知りませんけれども、そのことは非常にやはり、私は全く両方は表裏一体だと思うんですよね。ですから、もう少し縦割りじゃなくて、一応受け持ち分野は分野であっても、運輸省労働省が本当に協力をして真剣にこの問題を討議し、施策を遂行しなきゃならぬ。こちらの方はおまえの方だ、こちらの方はおれの方だ、こういうことでお互いに、これは何も運輸省労働省だけじゃありませんけれども、日本の縦割り行政の一番悪いところだと思いますから、私はこんな問題は大臣がひとつ労働大臣ともお話をされて、両省が一体となって、いわゆる港湾の施設の近代化、そしてそこで働く労働者の賃金、労働条件等がやはり向上する、こういう表裏一体のことについて、この点についての御努力をぜひお願いしておきたいと思います。  そこで、話を次に進めたいと思いますが、コンテナ化の影響を受けたのは我が国の港湾労働者だけではないのでありまして、これは率直に言って世界の流れということで、諸外国においても同じような実情にあります。それがためにILO第百三十七号港湾労働条約が採択をされたわけであります、そういう背景の中で。我が国もこれに賛成しています。しかし、現在、我が国は港湾労働法があることを理由に、条約に基づく国内措置はおろか、条約の批准も今日まで済んでおりません。というのは、港湾労働法というのは、大臣、もともと日雇い労働者の需給調整に関するものでありまして、港湾労働者全体の雇用の安定を図るものになっていないのであります。私は、そういう点では政府は今日までの怠慢は免れないと思います。  しかも、私たちは、この問題については国会で何回も、例えば昭和五十九年の港湾運送事業法、さらに昨年の港湾労働法を初めとする法案審議で何回となく議論をやり合いまして、衆議院、参議院の運輸委員会、社会労働委員会で附帯決議をつけております。最近では、昨年の港湾労働法の制定の際、衆参の社会労働委員会の附帯決議がなされ、早期履行が求められています。私も、このときは社会労働委員会に出向きまして、この点について労働大臣に早期批准について強く求めたところであります。  その後、この点については、数々の私たちのいわゆる委員会の附帯決議というものの実行についてどのように対処されておりますか、考え方を聞かせてください。
  70. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) ILO百三十七号条約の関係につきましては、労働省といたしましては、旧港湾労働法によりおおむね満たされているのじゃないか、こういう考え方を持ってきたところでございますし、さらに第百十二回国会において成立をさせていただきました新港湾労働法、港湾労働者の雇用の安定を図る観点から常用化を促進する、そういう同条約の趣旨をさらに反映させることとなったものと考えているわけでございます。  さらに、今御指摘のように、港湾労働法の改正の際の附帯決議として、同条約の批准ということに向けて引き続き必要な環境整備に努めるものとする、こうした御決議をいただいておりまして、この趣旨を尊重いたしまして、ただ遺憾ながらこの条約の考え方をめぐりまして解釈その他、関係者の間でなお理解の面での隔たりというものがございますので、それらをできる限り調整を図っていく、そういう形での環境整備を行っていく必要がございます。そういった意味合いで、港湾調整審議会の場におきまして専門委員会を先般御設置を願いまして、その場におきまして条約の解釈、国内法制との整合性等も含めまして精力的な検討を進めていくということといたしているところでございます。
  71. 安恒良一

    安恒良一君 私は、委員会の附帯決議だけでも幾つもついているわけですから、どうも現状認識が少し甘いのじゃないかと思います。今の港湾労働法において何とかなっておるというなら、少し具体的に中身を聞きましょう。  港湾労働者労働条件は非常に悪いというふうに私は聞いていますが、まず船内労働者の一般的な労働条件、基準内賃金、労働時間、退職金、平均のところで答えてください。
  72. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 港湾労働者の賃金につきましては、一人一日平均現金給与額、港湾労働者が一万五千六百円ということになっております。これは労働省の屋外労働者職種別賃金調査の結果によるものでございます。なお、全産業平均、これと対比されるものといたしまして、毎月勤労統計によりますと一万五千六百五十円という状況でございます。  労働時間につきましては、港湾労働者が一日平均八・七時間、月平均百九十一・四時間ということでございまして、全産業平均では一日平均八・一時間、月平均百七十五・九時間という状況でございます。  なお、退職金につきましては、現在のところ、そうした対比の可能な正確な数値は把握をいたしておりません。
  73. 安恒良一

    安恒良一君 ILO百三十七号条約による勧告では、港湾労働者の条件はその国の工業、企業労働者の水準より不利になることは避けるべきであると規定をされております。工業、企業の同年齢、同勤続者の賃金、退職金、一時金、労働時間と比較すると、日本の港湾労働者の場合はどうなっておりますか。
  74. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 港湾運送業と製造業を年齢階級別に比較いたしてまいりますと、二十から二十四歳層では港湾運送業が二十四万五千円、製造業は十六万三千円という状況でございます。それから二十五から二十九歳でも、これは港湾運送業が高うございまして二十七万六千円、それに対して製造業が二十万二千円という状況でございます。三十から三十四歳層が三十一万対二十三万九千円。三十五から三十九歳層が三十四万一千円、それに対する製造業が二十六万五千円。こうした状況でございまして、以下五十歳代層に及びましても、製造業との対比の関係におきましては港湾運送業の月額の方が高い状況でございます。  なお、これは六十三年の屋外職賃、それから製造業については六十四年の賃金構造基本統計調査、一年のずれはございましたけれども、直接対比できるものとして以上のような状況でございます。
  75. 安恒良一

    安恒良一君 今僕が聞いたのは、同年齢、同勤続者と港湾労働者を対比して今申し上げた賃金、退職金、一時金、労働時間、これ全体です。あなた、今賃金だけ答えたでしょう。
  76. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 労働時間につきましては、先ほどお答え申しました状況でございまして、これについては残念ながら年齢別で把握をできる調査はございません。  全体で申し上げますならば、先ほど申し上げたように、港湾労働者の方が他産業に比べまして労働時間は長くなっているという状況でございます。  それから退職金につきましては、直接比較できる正確な数字は残念ながら把握をいたしておりませんが、日本港運協会調べによりますと、三十年勤続で、日港労連との協定額として約八百万円というふうに承知をしております。  一方、産業計では、退職金の支給実態調査、これは六十二年時点の調査でございますけれども、中卒現業職勤続三十年から三十四年で約九百九十万円という状況でございます。
  77. 安恒良一

    安恒良一君 一時金は。
  78. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 直接対比できる資料を持ち合わせておりません。
  79. 安恒良一

    安恒良一君 もう少しあなた、労働賃金や労働条件労働省の所管だというから、今資料がないことで、ここでそのことで資料が出るまでお待ちしますというわけにいかないですね。税特では、自民党の先生はここでストップをおかけになる。私もそれをやってもいいんですが、そういうことはあれですから、私は退職金、一時金、労働時間等々をやはりきちんと掌握してもらいたい。でないと、資料持ち合わせがありませんとか調査がありません、そんなことで労働省は務まると思いません。ILO条約に係る勧告の中で、港湾労働者の条件というのはその国の工業、企業の賃金水準よりも不利になることを避けるべきであると書いてあるんですから、不利になるかどうかというのはこれは調査資料がないとわからぬわけですよね。ですから、ぜひとも賃金や退職金、一時金、労働時間等、やはり一つの、例えば年齢別なり、それから平均年齢なり、そういうものの統計資料をきちっと整備してもらいたいということを強く言っておきます。  なお、現在、非常に好況に恵まれております、今の日本の景気は。ところが、港湾労働者も人手不足だと言われております。なかなか人が集まらないんです。その理由は何かというと、今あなたもお認めになったように、一つは異常な長時間労働であります。夏は炎天下いわゆるダンブルの中での作業、冬は寒風吹きすさぶ中で働く、そして非常に危険な労働である、労働条件もよくない、だから人手がなかなか集まらない、これが港湾労働者実態だと私は思います。そんな意味からいいますと、その実態について、人手が集まらない、こういうような点について、これは労働省運輸省、どうお考えですか。
  80. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 港湾労働者は、当然のことながら、海陸の重要な連結船としての港湾機能が円滑に発揮をされるような、そのための重要な一つ役割を果たすべき重要な要素になるわけでございまして、そういった意味で必要な労働力の確保ということがやはり十分に図られていかなければならないと思いますし、またそのためには港湾運送事業港湾労働の職場そのものが魅力のある形であることが極めて重要なことであるというふうに思うわけでございますし、そうした方向へ向けて、私どもも含めまして、関係者の努力というふうなものが結集されていくことが必要である、このように存じております。
  81. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 港湾労働につきましては、委員指摘のとおり、その職場環境が屋外作業で非常に厳しいものである、かつ港湾貨物の波動性によります就労状況の不安定さ、あるいは労働災害、死傷率の高さ等のいろいろ厳しい要因を抱えております。この結果、近年、若年層を中心労働者を確保することが困難になりつつあるというふうに認識をしております。また、このような厳しい労働環境の割に他産業の労働者と比べましても、その労働条件が必ずしも十分とは言えず、港湾労働者の平均年齢の高さからしまして、将来の労働力不足への対応に懸念があるのではないかというふうに考えております。  したがいまして、今後、港湾労働者の賃金あるいは労働時間等の労働条件について、時代の要請に沿ってその向上を図っていくことが肝要と考えております。労働条件の具体的内容につきましては、基本的には労使間において協議されるべき問題でございますが、運輸省といたしましても、港湾労働者労働条件の向上について、港湾運送事業者に対して必要に応じ指導をしてまいりたいと思っております。
  82. 安恒良一

    安恒良一君 そこで、私は労働省にも運輸省にもお聞きしたいんですが、やはり最終的にはILO百三十七号条約の批准に向けてできる限り速やかに必要な条件整備に努める必要があると私は思いますが、この点、労働省どうですか。
  83. 清水傳雄

    政府委員(清水傳雄君) 私どもといたしましては、国会の附帯決議の御趣旨を尊重いたしまして、そうした面へ向けての努力をしていかなければならないと思っております。  先ほど申し上げましたように、港湾調整審議会に専門小委員会をこの十一月から発足させていただきまして、そこにおいて教育的な立場の方も含めまして、この問題、条約の批准をめぐる国内法制との関係あるいは諸外国におきます未批准国、主要国かなり含まれておりますが、そうした国々がどういう状況、実態にあるのか、それから関係者のいろいろな御意見のヒアリング、そうしたことを精力的に進めて検討を進めてまいりたい、こういうように考えております。
  84. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、官僚というのはあんな答弁しかしないんですよね。国会の決議なんか何とも考えていないで、いろんなことをぐじゃぐじゃ言っている。私はそんな無理なことを言っているわけじゃないんですよ。今いろいろ議論した中において、少なくとも我が国もこの条約には賛成しているわけですから、だから、このILO条約百三十七号の批准に向けてできる限り速やかに必要な条件整備に努めるということに努力してくれますかどうか、大臣、あなたが答えてください。
  85. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) ILO条約の批准をしないということは国際社会において大変恥ずかしいことでありますから、御要請のとおり、運輸省労働省とよく協議を重ねまして、条約批准の方に向かって今後労働省とともにできるだけの努力をしてまいります。
  86. 安恒良一

    安恒良一君 この点は、附帯決議を何回つけても余り実効ないんですが、私は後から各党の御賛同を得てもう一遍附帯決議をつけておかないと、今まで大概つけておるんですが、そしてそのときには大臣出ておいでになって、附帯決議の趣旨を踏まえまして前向きに努力いたします、こうお答えになるけれども、何回もついていますから、残念なことですが、ちょっと今のところもまだ歯切れがよくありませんので、後で附帯決議の中で御善処をお願いしたいと思います。  そこで、時間が十五分になりました。残った質問項目あと三つあるんですが、緊急調整の発動の要件についてちょっとお聞きをしたい。  貨物自動車運送事業法の運用の中で緊急調整を発動する場合が今回は書いてあるわけですが、衆議院のやりとりを見ますと、輸送実績報告書、自動車輸送統計報告書等により需給状況を把握、実車率、一日一車当たりの輸送トン数、営業収支等の数値で判断する、こんなやりとりがされておりますが、間違いありませんか。緊急調整の発動の要件。
  87. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいまお話しのとおり、緊急調整の発動についての具体的な判断基準につきましては、実車率、実働率、実働日車当たりの輸送トン数等の数値を指標といたしまして、過去の実績、当該時点における経済の状況等に照らしまして総合的に判断してまいりたいと考えております。
  88. 安恒良一

    安恒良一君 そうしますと、具体的には実車率とそれから一日一車当たりの輸送トン数、それに営業収支、これがデータになっているようですが、この実車率が何%になったら発動するんですか。それから営業収支がどうなったら緊急調整の発動を行うんですか。具体的にお示しください。
  89. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 実車率のデータは過去ずっととっておりますが、幸いにして、ただいままでのところ自動車輸送輸送実績が順調に伸びてまいりましたので、実車率の数字も比較的安定しております。緊急調整を発動するような事態、すなわち多くの企業経営の困難に陥るというような事態が過去にありませんでしたので、そのようなデータが実際に過去に出たことはございません。しかしながら、地域ごとに見ますと、それぞれ地域の特性に応じて実車率の数字もいろいろと異なっております。私どもといたしましては、このような過去の実績を見まして、それから異常に低下しておる、この幅を具体的にただいま申し上げることはてきませんが、地域ごとにデータの動きがございますので、それから見ましてかなり乖離をしているという場合にはその実車率の指標としてはこれは危険な状態にある。その他の指標につきましても同様にチェックをしていくわけでございますが、それらの需給バランスと、ただいまさらに御指摘のございました各社の経営収支、これで欠損金が出ましたら私どもとしてはそれは危険信号であると考えますし、近い将来にそのような状態に陥るという場合も同様に経営が困難になるという基準に算入をするつもりでございます。
  90. 安恒良一

    安恒良一君 そんな不明確な答弁では納得できません。それはなぜか、幸い今まではそういう状態がなかったということですから、今度のこの法律が施行されることによって参入も自由になる、料金も届け出制になる。そうでなくても三万七千社からあって大変な過当競争だ。さらに過当競争に入っていくおそれがあるというときに、あなたの話を聞いていると、営業収支の方は赤字になったらこれはやるとか、赤字になるおそれがある、そんなの当たり前のことですよね。赤字にみんながなって、さらにまたあったんじゃたまりませんから。ところが、実車率が何%になったらということは、全くあなたの方でお答えにならないですから。地域によって多少数値が異なることは私も十分承知しています。  ですから、例えば具体的な例を挙げましょう。東京でも福岡でも結構ですが、例えば福岡なら福岡で、東京地域なら東京地域でどういう実車率になったら緊急調整が発動されるのか。ひとつ例を挙げて、東京でも結構です。東京の場合だったらこういう実車率になった場合には発動する、福岡の場合、二つの例だけ挙げましょう。例を挙げて説明してください。
  91. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 関東運輸局及び九州運輸局の過去おおむね十年の実車率の実績を見ますと、関東の場合には大体六四%から五%の台でずっと推移してきております。これから何%低下したらということはただいま明確に申し上げることはできませんけれども、おおむねこれよりも五%も低下すればこれは明確に過去のトレンドから外れておるということになりますので、この場合にはこの指標としては危険信号であるというふうに考えざるを得ないかと思います。  九州につきましては、関東の実績よりやや高目に出ておりまして、六六、七、八、九。最近年、六十二年度では七〇という数字も出ておりますが、やや高目に出ております。したがって、このあたりの分布から、先ほど申し上げたように四、五%も外れてくればやはり危険な状態というふうに判断されるかと思います。  ただ、これは唯一の指標、実車率なら実車率だけで判断するものでは当然ございませんので、総合的に判断をしなければならない。さらに、経営状況につきましても、今後の経済動向が上向きになっておるのか、あるいはさらに下向きになっておるのか、この辺も勘案しなければなりませんので、最終的な判断はそれらのもろもろの要素を全体的に見るということになろうかと思います。
  92. 安恒良一

    安恒良一君 私がだんだん問い詰めていったら、東京の場合は今の実績よりも五%ぐらい、九州の場合でもそれぐらいとか、それから経営が赤字になったとか、赤字になるおそれがあるとか、こういうことでまだまだあなたの答弁はかなり不明確なところがありますね。  それはなぜかというと、今回のこの法律をつくるときに、緊急調整があるから実態はこれまでと変わらないことになるから安心しなさい、こう言って業界をあなたたちは納得させておるわけです。ところが、緊急調整がどういう状態になれば発動されるのかということが明確かつ具体的になっておらないと、私は恣意では困るわけです。例えば各陸運局長、九州なら九州の運輸局長、東京なら東京の運輸局長、そのときそのときに適当に判断されたらこれはかなわぬわけですよ。新しく参入がどんどんふえてくるときにやはり一つのきちっとした方針というものがないと、例えばあなたがいつまでもそこのポストにおるわけじゃないんですから、かわるわけだから。次から次へ役人というのはかわっていくわけだ。その都度来たのがいわゆる緊急調整発動の条件を恣意に考えられたのじゃ業界は混乱する。だから、私は一定の基準というものを明確に、ポイントになる何点かがあると思うので、そういう点をひとつ明らかにしてもらっておかないと、後で話が違ったじゃないかとお互いにこんな論争はやりたくないんですよ。そういう点はどうですか。
  93. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のとおり、緊急調整発動が恣意に流れることがあってはならないと思いますので、この制度の運用につきましては本省から基本的な通達を出したいと思っております。さらに、地域の実情というものが先ほどのデータでも申し上げましたとおりございますので、これを加味した運用の方針は各地方運輸局ごとの公示で明らかにしたいと考えております。
  94. 安恒良一

    安恒良一君 その点はひとつ明確にしてもらいたいし、その中身は私たちにも教えてもらいたいと思います。  それから、今言われたようなものをいろいろ把握するためには、運輸省が需給の条件を把握するためには輸送実績報告書、それから自動車輸送統計報告書等々のこういうものを使っておやりになるというふうに衆議院のやりとりで聞いていますが、年度統計というのは一年待たないと出てきませんね。つまり、これを使うと一年間の認知のタイムラグが出てくるということにこれはなるわけです。それからまた、月報というのがございますね。ところが、これも私の方で調べますと、自動車輸送統計月報というのを調べますと、平成元年の四月分がようやく十一月になって出てきています。それから平成元年の五月分が十二月末ですから、これも七カ月間おくれがあるわけですね。  あなたたちは、こういうものを使って今言われたようなことをやると言うけれども、今申し上げたように、年報は一年おくれだし、月報は七カ月おくれたやつ、その資料でおやりになるのではとても需給調整は現実味を帯びてこないと思うんです。例えば総務庁で作成しています消費者物価指数、これは翌月にすぐわかるような仕組みになっています。ですから、七カ月おくれた統計月報で適時適切な機動的な発動というのができるのだろうかどうか。  それから営業収支も考えるというと、このデータも大体のところが年度決算になっていますね。そうすると、これは翌年の五月にならぬと。三月末で締め切って五月になる。これは三月決算の会社の場合ですよ。大体わかるのは五月。そこで、会社がどうも倒れそうだ、こんなことで緊急調整の発動を皆さんがおやりになったのじゃ全くずれてずれてずれまくる。こういうことになると私は思いますが、そこのところはどのように改善し、どうされるんですか。運輸省の今ある統計は私は全部調べてみました。全部調べて手元に持っておりますが、これは全部今言ったようなずれが出てくるわけですね。  それから収支報告というのは、今単年度、一年決算というのが多くなりました。昔は半期半期にやっておったんですが、企業会計というのはほぼ一年会計というのが多いんです。そういうような問題について、それを見てからあなたたちが緊急調整をおやりになっても実態とは物すごくずれたことになると思いますが、そういう点はどうですか。
  95. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 御指摘のとおり、現在編集しております輸送実績報告書あるいは自動車輸送統計報告書等の出方は、残念ながらややタイムラグがございます。これにつきましては今後その短縮に努力してまいりたいと思っておりますし、さらに緊急調整が発動されるような文字どおり緊急事態になってまいりました場合には、必要に応じてサンプル調査を行うというようなことで速報ベースでのデータの収集に当たりたいと思っております。  ただ、企業決算につきましてはこれは企業自体がおやりになることでございますから、これを役所が肩がわりするわけにもまいりませんので、これは企業ベースになろうかと思いますが、法律の規定におきましても「事業の継続が困難となると認めるとき」ということでございますので、赤字が出ておるというところまで行っておらなくても、それすれすれであって今後の景況の見通しでその危険があるというようなときには、先ほども申し上げましたが、「事業の継続が困難となる」という認定が可能かと思っております。
  96. 安恒良一

    安恒良一君 大臣、そこで私はお願いがあるんですが、今言ったように、現在の運輸省の統計資料では大変なずれが出てくるわけです。そこで、私は、緊急調整を機動的に発動するためのデータをスピーディーかつ正確にとらえるためにも、一つは体制の整備が必要だ。それと同時に、貨物自動車運送業というのは、この前も参考人から御意見がありましたように、大部分が中小企業なんですね、ほとんどが中小企業ですから。それが今回需給調整規定が撤廃をされますから、この業者が大きな影響を受けることになるわけです。ですから、今後これへの大きな影響が出てこないようにするためには、緊急調整を的確かつ機動的に大臣が情勢を判断してやっていただかなきゃならぬと思うんです。でないと、手当てがおくれて緊急調整がとられたときには既に手おくれになるんですね。中小企業の場合には手おくれになる。ですから、そんなことが絶対ないように大臣の責任で万全の体制を以上のようなことについてとっていただきたいと思いますが、大臣、よろしゅうございますか。
  97. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) この緊急調整の措置というのは、平常な状態では私は起こり得ないことだろうと思っています。起こり得るとするならば、それは不況が襲ってきたときに起こり得る、過当競争からくるそういう緊急事態であろうと思いますから、そういう経済界の変動というものをしっかり見きわめながら、局長は先ほどサンプル調査ということを申しましたが、サンプル調査を初め適当なデータを集めることによって適時適切にこれは処置していくという方向で今後取り組んでまいりたいと思います。
  98. 安恒良一

    安恒良一君 それは一番大きいのは国の経済全体が不況の場合、これは大臣がおっしゃるとおり。ところが、そうじゃなくて、地域的にやはり過剰な状態が、新しい参入者なり、地域経済の中で荷物の動きが極端に減る場合も起こるわけなんです、日本全体は別にしても。そういう場合には、その地域についてはやっぱり緊急調整の発動も必要になってきますわね。そこのところをどうぞ大臣、御理解の上で、大きい意味で不況とおっしゃったと思いますが、手おくれのないようにその点はひとつ万全に行っていただきたいということをお願いいたします。  私の持ち時間がなくなりましたので、運賃ダンピングと公取の規制のあり方、それから内航海運の標準運賃の必要性等々についても用意をしましたが、約束の二時間になりましたので、これらはまた改めて次の委員会の中で議論を進めたいと思います。  以上で終わります。
  99. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 去る十二月五日に二時間半近く質問を行いました。貨物自動車運送事業法案に関する質問でありますけれども、これはもう既に質問書をお渡しいたしました。時間が限られておりますから、会議録に残すという意味で確認の質問を行いますから、ひとつ要領よくお答えをいただきたいと思います。  まず第一は、法案の第十七条の第一項において過労運転防止のための事業者遵守義務が規定されておりますけれども、過労運転の大きな要素というのは運転者の長労働時間、こういうように我々は判断をしております。そのことは事実そのとおりでありますけれども、運転者の乗務時間の基準についてこの条文では極めて不明確であります。したがって、私どもとしては修正案を提起するわけでありますけれども、これに対する運輸省の見解について、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  100. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 第十七条第一項により事業者が遵守すべき事項としては、既に規定してあるもののほか、新たに法律上の例示として事業者が適切な勤務時間及び乗務時間を定めることを明定することにつきましては、本委員会の御決定があればこれに従うことについてはやぶさかではございません。委員長のもとでしかるべきお取り計らいをいただければ結構でございます。
  101. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 それでは、その次でありますけれども法案の第十八条の運行管理者の選任につきまして、その第一項と第二項に「運輸省令で定める」、こうありますけれども、その事項は何でございますか。
  102. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 第十八条第一項の運輸省令では、運行管理者を選任すべき営業所の要件とその人数を規定することとしております。運行管理者の選任を必要とする営業所か否かについては、管理の対象となる車両数及び運行形態により決まるものと考えられ、現行の配置基準を踏まえ、五両以上の事業用自動車を配置する営業所及び特別積み合わせ貨物運送の用に供する事業用自動車を配置する営業所は少なくともその必要があるものと考えられます。また、一人の運行管理者によって適切に管理し得る運転者数または車両数はおのずから限定されることから、適正な運行管理の徹底を図る観点からこの省令においては運転者数または車両数に応じた数の運行管理者を選任する義務を加える予定でございます。  第十八条第二項の運輸省令では、運行管理者の業務の範囲を規定することとしております。この省令では、輸送の安全の確保の実効を高める上で運行管理者の果たす役割の大きさにかんがみ、乗務割りの作成及びこれに基づく運転者の配置、乗務記録の作成、過積載車両の運転禁止の指導、事故時における運転者への指導等、現行の自動車運送事業等運輸規則で規定されている業務に加え、仮眠、休憩施設の点検管理、運転者の確保に関する事業者への助言要請などの新しい業務を規定することを検討しております。
  103. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 その次に参りますが、法案の第二十二条に運行管理者の義務が規定されておりますけれども、これに違反した場合の処分はどうなるのか。また、トラックの運行の安全を確保する責任は事業者にある、我々はこういうように思いますけれども、運行管理者に過大な責任を負わせないように我々は今後措置をすべきだというふうに考えますが、この点についてはいかがですか。
  104. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運行管理者が法令に規定していることに違反した場合は、運行管理者資格者証の返納命令の対象となります。また、運行管理者については、第二十二条の規定により運行管理者に業務の遂行上必要な権限が事業者から付与される等運行管理者の地位の向上が図られるところでございますが、この権限はあくまでも会社の内部の問題であり、対外的に運行の安全に関する責任が事業者にあることは従来と変わりないものと考えております。運輸省としましては、この規定の創設により事業者が事故時の責任を回避できるものではないという趣旨の徹底を図ってまいりたいと考えております。
  105. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 重ねてちょっとお聞きしますけれども、今おっしゃいましたように、この管理者は地位と責任が社内的には大変重くなったわけですね。そのことがかえって社内罰を受ける要素になりかねないという心配があるんですけれども、これに対して運輸省はこの指導監督を強化するということですが、どのように措置されますか。
  106. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運行管理者の責務の遂行、これは当然のことでございますが、先ほど申し上げましたように、会社の責任を運行管理者に転嫁するというようなことがあってはならないのは当然でございまして、その点につきまして厳正に事業者指導してまいりたいと思います。
  107. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 そのことは非常に心配ですから、その点ひとつ通達なり指導監督というものを強化していただくということを特にお願いしておきます。  続いて、下請業者に関して申し上げますけれども、トラック運送というのは非常に下請の業者が多いということで有名なのでありますけれども、これについて本法適用関係を明確にされなければならないわけで、同時に、元請事業者が下請事業者に対して運賃ダンピングであるとか、あるいは過積載、過労運転の違法行為、こういうものを強要するなどしてやった不当労働行為に対しては厳正に対処していく必要があると思うのでありますけれども本法においてはどのように措置をされますか。
  108. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック事業の下請運送関係につきまして、元請運送人を下請運送荷主としてとらえ、両者間の関係についてトラック事業法を適用し、厳正に対処することとしております。  一つには、下請運送人が元請運送人から収受する運賃についてトラック事業法に基づく届け出が必要であり、不当な運賃については変更命令を発動することとしております。さらに、元請運送人が運賃ダンピングや過積載、過労運転等を強要する場合には、トラック事業法に基づき元請運送人に荷主勧告を発動することとしております。
  109. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 続きまして、適正化事業実施機関に関する点でございますけれども、これに類するものとしてタクシー業務の適正化臨時措置法に基づいたタクシー近代化センターというのがあるわけでございますが、この近代化センターは財団法人となっているところでございますけれども本法による実施機関は社団法人、そして聞くところによりますと、現存する日本トラック協会が指定されるというように聞いておるわけでありますけれども、我々はこれとは別な財団法人を指定してはどうかということを先般の質問のときにも意見として申し上げたのであります。この点について、いささか今のトラック協会の運営から見て不安があるわけでありますけれども、私どもとしては少なくともこの体制の見直しをできれば三年以内に行っていただいて、その中で実施機関として指定する財団法人を設置する方向でひとつ措置を願えないかということを私たちは考えているのでありますけれども、その点について運輸省の見解をお伺いします。
  110. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 適正化事業実施機関につきまして、将来的にもただいま考えております体制のまま継続するかどうかにつきましては、適正化事業実施機関に予定しておりますトラック協会によります事業の進捗状況等を十分踏まえまして、適正化事業の実効をより高める見地から、施行三年後をめどに必要に応じて適正化事業実施機関の体制について御指摘の財団法人化を含めてあらゆる角度から総合的に見直しを検討することとしたいと思っております。
  111. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 それに関連をするわけでありますが、審議会の問題でありますけれども、タクシー近代化センターには事業者団体、労働団体、学識経験者あるいは利用者で構成する適正化事業諮問委員会が設置をされております。本法による実施機関におきましても、構成に関係の行政機関を加えてこれと同様な委員会を設置する必要がある、このように考えておりますが、運輸省に対してお考えを伺います。
  112. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 適正化事業が果たす役割の重要性にかんがみ、この事業が公正かつ着実に推進される必要があると考えております。したがいまして、適正化事業の基本的な方針につきましては、関係行政機関、事業者団体、関係労働組合等によって構成される諮問委員会を設置することについて検討をしてまいりたいと考えております。
  113. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 それでは、最後に一点だけ質問いたしますが、事業者資格の有効期間制の問題でありますが、我々はしつこくこの事業者資格の有効期間制というものの導入を求めてきたのでありますけれども、これは単に定期的な監査の実施だけでこれまでの実績からして十分な効果を上げると我々は考えられません。したがいまして、更新制に見合うような具体的な措置を明確にしなければならない、このように考えておりますが、これに対する運輸省の見解をお聞かせください。
  114. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) まず、不適格な事業者の参入の防止につきましては、第五条に定める欠格事由に該当するかどうか、そして第六条各号に定める許可基準に適合するかどうかについての審査を厳正に行うことで対処してまいりたいと思います。  また、許可を受けた事業者の参入後の違法活動に対しては、適正化事業実施機関の活用を図るとともに、計画的かつ着実な監査を実施することにより違法活動の摘発、監視体制を充実強化し、あわせて確認された違法行為に対しては、許可の取り消し処分を含め、厳正かつ機動的に行政処分を行っていくことにより、有効期間制が導入された場合と同様の効果を確保したいと考えております。
  115. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時二十一分開会
  116. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  117. 片上公人

    ○片上公人君 さきの衆議院での質疑におきまして、我が党の浅井委員がデパートなどが商品の発送に当たってお客から配送料金を取っているのは、今回の貨物運送取扱事業法案の中の運送取次事業に該当するのではないかということを指摘した点につきまして、再度確認しておきたいと思います。  この点に対する運輸省の説明は、有料であれば取次事業で、無料であれば取次事業ではない、あるいは販売行為が完了しているかどうかで決まり、ケース・バイ・ケースであるなど見解が不明確で、その後この解釈をめぐって各方面でも論議が出ておる。そこで、もう一度明確な見解を伺っておきたいと思います。  まず、現在デパートが行っておるところの商品の配送は、この法律でいう取次事業に当たるのか当たらないのか、当たらないと言うならばその理由を明確にしていただきたいと思います。
  118. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) デパートの配送につきまして、衆議院段階の御議論で運送取次事業に該当するケースとしないケースがあるというような御説明を申し上げましたが、その後時間をかけまして日本百貨店協会あるいはトラック協会等にその実態を確認いたしました。その結果としまして、デパートの配送は販売行為一環として、デパートみずからを荷主とする運送契約により行われており、デパートのお客に対しても、その商品がお客の手元、つまり配送される場合にはお宅まで届いて初めて百貨店の販売行為が完了するというものでありまして、仮に配送の途中で商品の破損などの事故があった場合にはデパートの責任で商品の取りかえ等を行うのが慣行であるということでございました。したがいまして、現在行われておりますデパートの配送は、いずれも本法運送取次事業には当たらないという結論に達した次第でございます。
  119. 片上公人

    ○片上公人君 法案の第二条では、運送取次事業の定義を、他人の需要に応じ、有償で貨物の取り次ぎを行う事業、このように規定しております。今の説明では、契約上貨物荷主はデパートになっており、したがって他人の貨物の取り次ぎではない、相手先に届けるまではデパートの所有物とのことでございますが、しかしその説明では、デパートの物なのになぜお客が配送料金を払わなくてはならないのかという新たな疑問が生まれるわけでございます。また、デパートの使っている届け出先を記入する用紙には御依頼主と書いてありまして、そこに依頼したお客の名前を書く欄がございます。事実、依頼したのはお客であって、法案では他人の需要に該当する。他人の需要とは、その貨物の所有権者であるか否かを特にこれは規定しているものではない。運輸省の今の説明にはどうしてもこれは無理があるように思われる。現在、デパートがそれぞれ配送運賃を勝手に決めてやっておるという状況を考えますれば、ある程度の指導監督が及ばないということの方が法的におかしいのではないか。法案の「目的」にも「利用者の利益の保護及び利便の増進に寄与する」と書かれてあるわけでございますが、この点について伺います。
  120. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 外見上、運送取次行為であるがごとき部分、先ほど御指摘のように配送の伝票に御依頼主というような欄があるというようなことは確かにございますが、デパートの売買の実態から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、配送の途中で仮に例えば家具にきずがついたというような場合に、そのようなきずがついた家具が届いた場合には当然デパートのお客というのはきずのない新しい物をよこせ、こう言うに違いないわけでございます。デパートは当然それに応ずる。ということは、完全な物をお客のお宅に届けるまではデパートの売買契約上の責任、履行が完了していないということでございまして、それを届けるという行為はその販売行為の一部分にしかすぎないわけでございます。  したがって、その運送に当たります運送事業者と契約をしておりますのはデパートでございまして、確かに伝票に御依頼主というような欄がありますので一見取次事業に当たるがごときでございますけれども、やはり運送事業者に配達を頼んでおるのはデパートそのものである。御依頼主の欄に書かれましたのは、その配達先が記載されているということであろうかと思います。それがやはり売買の実態であろうかと考えるわけでございます。  そういうことでございますので、運送取次事業には当たらない。したがって、配送料を取るか取らないか、あるいは取る場合にそれをどのような水準にするか、これはデパートの販売政策あるいは商道徳の問題。非常に高い配送料を取るというようなことは商道徳上の問題になり得ますが、これは運送取次事業ではないということでは本法の対象の外にあると考えております。
  121. 片上公人

    ○片上公人君 この問題につきましては、時間の関係上これ以上の論議は行いませんが、法案が修正され三年後に見直しを行うことになっておりますから、その際、改めてデパート等の実態を踏まえながら論議をしてまいりたいと思います。  運輸省として、今後デパートの配送業務についてどのような姿勢で取り組んでいかれるか、これについて伺っておきたいと思います。
  122. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 現在のデパートの商慣行というのは、先ほど申し上げましたようにお客のお宅に届けるまでが販売行為であるということでございますので運送取次事業に当たらないと考えてはおりますが、このような実態が今後変化していくということもあり得ますので、私どもとしては十分そのような実態の把握に努めまして、もしデパートの配送が運送取次事業に該当するようなケースが出てくれば、つまり販売行為とは別に運送行為を独立で引き受けておるというようなことが出てまいりましたら、その場合には貨物運送取扱事業法適用すべきものと考えております。
  123. 片上公人

    ○片上公人君 次に、トラック事業について消費者保護の問題で伺いたいと思います。  トラック輸送では、宅配便、引っ越し輸送といった一般消費者向けのサービスが大変な勢いで伸びておるわけでございますが、例えば宅配便をとってみますと、昭和五十六年度では一億七百万個にすぎなかったものが昭和六十三年度では九億一千百万個と約八・五倍に増加しておる状況でございます。このように取り扱い量がふえてきますと、預けた荷物が届かない、壊れてしまったという苦情もよく耳にするところでございます。運輸省としてこれらサービスについての消費者保護対策をどのように措置してきたのか、御答弁願いたいと思います。
  124. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま御指摘がございましたように、トラック運送事業におきまして宅配便でございますとか引っ越し運送等の一般消費者を対象とした輸送サービスの進展が近年著しいものがございます。  そこで、運輸省といたしましては、これまでに、昭和五十八年に宅配便の運賃制度、昭和六十一年に引っ越し運賃料金制度といった一般消費者にとってわかりやすくトラブルが生じにくい運賃制度を設定したところでございます。また、昭和六十年には引き渡し期間の明確化を図る等の「標準宅配便約款」、昭和六十一年には無料見積もりの実施などを内容とする「標準引越運送・取扱約款」を制定するなど、トラック輸送サービスに係る消費者保護政策を着実に推進してきたところでございます。
  125. 片上公人

    ○片上公人君 宅配便は大変便利なものでございますけれども、最近、主婦の皆さんも外で働かれることが多くなりまして、せっかく宅配便で送られてきても荷物を受け取る人がいない、こういうとき宅配事業者が玄関や軒先に荷物を置きっ放しにしている、こういう苦情も聞いたことがあるわけですが、今話が出ました宅配便約款では具体的にどのように手当てされているのか、伺いたいと思います。
  126. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 荷受け人が不在の場合に宅配事業者がとるべき措置につきましては「標準宅配便約款」の第十二条に規定しておるところでございます。  この規定におきましては、荷受け人が不在のために荷物の引き渡しが行えない場合には、荷受け人に対して不在であった旨、また引き渡しをしようとした日時、営業の名称、問い合わせ先の電話番号などを記載した不在連絡票により通知した上で営業所等で保管しておくことを定め、荷受け人の庭先とか玄関口に勝手に放置することのないように手当てをしているところでございます。また、荷受け人の隣人の承諾を得た場合には、不在連絡票にその隣人の氏名を記載した上で荷受け人への荷物の引き渡しを依頼することができることをあわせて規定しておりまして、宅配便荷物の円滑な引き渡しが行われるように配慮をしているところでございます。
  127. 片上公人

    ○片上公人君 次に、引っ越しの方ですが、これは宅配便と違いまして頻繁に利用するものではございませんから、どこの会社が幾らの運賃でどんなサービスをしてくれておるのか、これはよくわからない。そういうところで消費者が大変頭を痛めるわけでございますが、引っ越しを頼む際にはいろんなトラック会社に見積もりをお願いするわけですが、現実に引っ越しが終わって請求された金額がこの見積金額よりはるかに上回っているという苦情も聞いておりますが、この点につきまして引っ越し約款でどのように手当てされておるのか、伺いたいと思います。
  128. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 引っ越し運賃あるいは料金の見積もりを行った後に作業内容などに変更が生じて、実際に要した運賃などの金額が見積金額と異なる場合にトラック事業者がとるべき措置については、「標準引越運送・取扱約款」の第十八条に規定をしているところでございます。  この規定におきましては、まず実際に要した運賃等の金額が見積金額よりも安い場合、実際にかかった経費が安かった場合には実際に要した運賃等の金額に見積もりを修正する、安い方の料金をいただくということにしております。逆に、実際に要した運賃等の金額が見積金額よりも高い場合には、お客が見積もり後に荷物を新たに購入したために予定より大きな車両が必要となるなど、利用者の責任による事由で見積もりの内容に変化が生じたときに限って実際に要した運賃等の金額に見積もりを修正することを許します。それ以外の場合、例えば事業者が見積もりのときに運賃などを誤って過小評価した場合、その場合には当初の見積金額に拘束されることを定めまして、一般消費者に不測の損害が生ずることを防止しております。
  129. 片上公人

    ○片上公人君 主婦の皆さんを初め一般消費者からの苦情が絶えないというのは、このような約款があるということについて十分周知されていないことが大きな原因だと思います。運輸省として業界にどのような御指導をされておるのか、伺いたいと思います。
  130. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運輸省としましては、引っ越し輸送などにおきますトラブルを防止し、消費者保護対策の充実を図るために、全日本トラック協会を指導しまして各都道府県トラック協会の相談窓口におきます事前の相談とか苦情の処理あるいはパンフレットの配布とか新聞広報によります利用者への周知などを図っておるところでございます。この面につきましては、今後とも消費者保護対策の一層の周知徹底を図るように努力をしてまいりたいと思っております。
  131. 片上公人

    ○片上公人君 そういった対策は現行の道路運送法のもとで行ってきたわけでございますけれども、今回の法案では消費者保護に欠けるような事態を招かないよう十分な配慮をしておるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  132. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 本法案におきましても、運賃については第十一条第二項第一号の規定によりまして、能率的な経営のもとで適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えるような、つまり消費者にとって不当に高いものに対しましては変更命令により是正する制度を設けておりますし、約款につきましては第十三条第一項の規定によりまして従前どおり認可にかわらしめております。このようにしてトラック輸送サービスについて消費者保護に欠けることのないように手当てをしているところでございます。  さらに、適正化事業実施機関においては、輸送サービスに関しまして利用者から寄せられる苦情の処理に関する事業を行うこととしまして、その着実な実施を推進することとしており、消費者保護の一層の充実を図れるということを期待しておるところでございます。
  133. 片上公人

    ○片上公人君 次に、物流におきますところの事業用地の確保問題についてお伺いしたいと思います。  大都市における土地問題は国政上極めて重要で緊急に解決すべき問題でありますし、現在、土地特委におきましては土地基本法案が審議されているところでございます。昔に比べますと東京湾のウオーターフロントも随分さま変わりしてまいりまして、物流機能しかなかった地区に住居、商業といった都市機能が押し寄せてきて、倉庫、トラックといった物流事業者が立ち退きを余儀なくされているという話もよく聞きます。  また、好景気が続く中で拡大する物流を支える事業用地が不足しているということも耳にいたします。しかし、これからのいろいろなウオーターフロント開発計画を見ましても、物流用地よりもやはりオフィス、国際会議場、住居といったものが中心になっているようなぐあいでございます。このように都市の中心部ではもはや新たに事業用地を確保することは困難であり、どうしても都市の周辺部に求めざるを得ない。そういたしますと、まずネックになるのは市街化調整区域の開発許可の問題でございます。  現在、都市計画法施行令で路線事業には開発許可さえも不要という特例が認められておるわけでございますが、区域事業は大変厳しい開発許可の審査があるわけでございます。本法では、路線事業と区域事業が統合されることになりますけれども、この際、区域事業にも何らかの形で市街化調整区域に立地できるよう工夫できないかと思うわけでございますが、建設省のお考え方を伺いたいと思います。
  134. 高橋健文

    説明員(高橋健文君) 都市周辺部におきまして、その事業用地の円滑な確保を図るために、特に要望の強い市街化調整区域における立地につきましては、現在、開発許可手続をとっていただいております一般区域貨物自動車運送事業につきましても、運輸省とも御相談の上、インターチェンジの周辺でございますとかあるいは四車線以上の道路の沿道、こういったところにおいて立地を認めても差し支えない、そういう指導をやっておるわけでございます。これを六十一年八月に通達を出して指導しておるところでございますが、実際にも六十二年度で二十四件、六十三年度では三十五件、これだけの実績が市街化調整区域で開発許可を受けて立地を認められておるわけでございます。  一般貨物自動車運送事業全体につきまして、今回路線と区域の区別がなくなるわけでございますが、やはり事業用地、大型自動車の発着によります道路交通への影響とか、いろいろ都市計画上の調整も必要と考えられますので、市街化調整区域のどこにおいても認めるというわけにはまいらないかと思います。しかしながら、都市周辺部におきまして事業施設用地の円滑な確保を図られるようにするために、周辺地域の交通機能を阻害することなく土地利用上支障のないような、そういうような地域につきましては市街化調整区域においても立地が認められますよう地方公共団体に対する指導を徹底していくことといたしたいと考えております。
  135. 片上公人

    ○片上公人君 それから都市周辺部に立地する場合の二つ目のネックとして、営業所と車庫との距離が制限されていることがございます。トラック事業者は、営業規模の拡大に伴いまして増車していくわけでございますが、どうしても今ある車庫が手狭になって新たに広い車庫を求めると遠くの場所にこれはなってしまう。最近の土地不足の現状を考えますと、この距離制限は随分トラック事業者にとって過酷なものとなっていると考えますが、運輸省認識はいかがか、伺いたいと思います。
  136. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ただいま御指摘のように、大都市圏におきますトラック事業者についての事業用地の確保というのが非常に困難になってきた、非常に深刻な入手難になってきたということは認識をいたしております。  そこで、このような状況にかんがみまして、運輸省としましては、従来、適正な運行管理の徹底など安全面での担保を確保するために営業所と車庫との距離を定めておるわけでございますけれども、御指摘のような土地の取得難ということを考慮しますと、この点について現行の基準、これは局ごとに定めておりますけれども、この基準をある程度緩和するという必要があるのではないかということで現在検討をしているところでございます。
  137. 片上公人

    ○片上公人君 運輸省は、今回の法案につきまして、新行革審の方へは規制を緩和しましたと説明し、トラック業界へは制度は変わるけれども実態は大幅に変わらない旨の説明をしたと聞いておりますが、それもこれも第七条の緊急調整措置と第六十三条の標準運賃制度の運用次第でいろいろと解釈が変わる性格を持っているためだと思います。その意味でもこれらの規定がどういう場合に適用されるのか、具体的かつ明確にする必要があるのではないかと思うわけであります。  まず、緊急調整措置について伺います。  今回の法案提出に至る過程におきまして、緊急調整措置につきましては公正取引委員会を初め、徹底的に規制緩和をやるべきだと言う役所が難色を示したと言われておりますが、運輸省としてはこの緊急調整措置の必要性をどのように説明し、これらの役所の理解を得たのか、御説明願いたいと思います。
  138. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック運送事業と申しますのは参入が比較的に容易でありまして、かつスケールメリットが発揮しづらいということから経営悪化が破滅的な競争を引き起こす、また安全にかかわるコストの引き下げにつながりやすいというような事業特性を有しております。このために、参入許可等の制度だけでは対応し切れない著しい供給力の過剰、需給のアンバランスが生じる場合に過当競争を防止しようというのが緊急調整措置目的でございます。  このトラック事業におきます著しい過当競争は、その事業特性から大多数を占めます中小事業者の倒産とか経営圧迫をもたらしますので、これを防止し、適正な輸送サービスを安定的に確保する必要がございます。過当競争による影響をこうむりやすい中小事業者が九九%を占めるという業界実態を勘案しますと、過当競争が生じた場合に発生する社会的な弊害が大きいということが考えられますので、これを防止する措置が不可欠であるということでございます。さらに、トラック運送事業におきます著しい過当競争が極端なコスト引き下げをもたらして、過労運転とか過積載というような危険を惹起するために、これを防止して輸送の安全を図る必要がございます。  このような理由から、参入規制の見直しを行う場合に、異常事態に対する有効な措置としてこの緊急調整措置を導入したものでございまして、関係省庁にいろいろ意見はございましたが、ただいま申し上げましたような点を説明して理解を得たものでございます。
  139. 片上公人

    ○片上公人君 具体的に伺いますが、著しい過当競争か否かの認定につきましては大変難しいことと思いますけれども、第七条第一項でいう供給輸送力が輸送需要量に対しまして著しく過剰となっている場合とはどういう場合なのか。また、相当部分について事業の継続が困難となると認める場合と書いてあるわけですが、これはまた現実に相当部分の事業者が倒産してしまった後でなければこれは認定されないのかどうか。これらの認定方法を、具体的に説明願いたいと思います。
  140. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) まず、著しい供給輸送力の過剰状態となっている場合の具体的な判断基準につきましては、輸送実績報告書、自動車輸送統計報告書等のデータから実車率、実働率、実働日車当たりの輸送トン数などの数値を算出しまして、これを基本的な指標として過去の実績、また当該時点におきます経済の状況等に照らして総合的に判断をしていきたいと考えております。  それから相当部分について事業の継続が困難な状態という基準につきましては、事業の休廃止はもちろんでございますが、トラック事業についての欠損金の発生または銀行取引の停止など著しい経営悪化の状態に陥ることも含むものでございまして、かつ供給輸送力がさらに増加する場合に、近い将来においてそのような状況に立ち入るか否かを予測して判断をするものでございます。
  141. 片上公人

    ○片上公人君 法文作成上の制約があることは理解できますけれども、どうもこの規定には国民が理解しにくい表現が多い、こういう感じがいたします。第七条第一項に「当該特定の地域にその営業区域の全部又は大部分が含まれるものの相当部分」という表現がございますけれども、この点は一体どのような意味を込めて規定されたのか。単に一般貨物自動車運送事業者の相当部分としなかった理由を御答弁願いたいと思います。
  142. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック運送事業は他地域への事業展開が必ずしも容易でないということに加えまして、中小事業者はその資本力などから活動範囲が現実には極めて限られているケースが多いわけでございます。したがって、特定の地域において著しい供給輸送力の過剰による過当競争状態が生じた場合に、その営業区域の全部または大部分がその地域に含まれる事業者は、広域的な事業展開により運営の継続が可能な大手の事業者とは違いまして、著しい過当競争における弊害が生じやすいわけでございまして、その地域全体における適正な輸送サービスの安定的な提供に支障を生じるとともに、輸送の安全の確保が困難となるおそれがございます。このような弊害を未然に防止し、一般貨物自動車運送事業の適正かつ合理的な運営を図るためには、当該地域のみならず全国的に営業区域を有するような大手事業者経営状況は発動要件の認定基準からは外しまして、当該地域と営業区域の全部または大部分が重複するような、平たい言葉で申しますと、いわゆる地場の事業者経営状況だけを対象として緊急調整措置の発動要件を設定することが適切であると考えたわけでございます。
  143. 片上公人

    ○片上公人君 それから緊急調整措置の発動に際しましては期間を定めて行われることになっておりますが、どの程度の期間をお考えでいらっしゃるのか、明らかにしていただきたいと思います。また、事態に改善が見られないような場合、期間を延長することもこれは必要になってくると考えられますが、このような場合は想定されているのかどうか。さらに、期間内に事態が改善された場合には途中で解除することも起こり得ると考えますが、これらの場合における対処の仕方を明らかにしていただきたいと思います。
  144. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 緊急調整措置発動の期間でございますけれども、緊急調整措置の発動の要件の充足を確認する指標は通常、年度ごとに集計されるデータが中心でございますので、おおむね一年程度とすることを考えております。  それから緊急調整措置の延長につきましては、この措置が国民の権利を著しく制限する厳しい法的効果を伴うものでありますために、不当に長期化することのないようあらかじめ設定された期限の到来によって再度その措置を講ずる必要性を改めて検討する、こういうことにしたいと考えております。  それから、この期間内に事態が改善されると認められる場合には緊急調整措置の指定を解除することは当然でございまして、指定の告示を廃止するという手続をとることを考えております。
  145. 片上公人

    ○片上公人君 緊急調整措置の発動につきましては、輸送実績報告書といった提出書類で需給状況を判断し、さらに運輸審議会にかけて意見を聞く手続になるとのことでございますけれども、確かに厳しい法律上の効果を発生させる制度である以上、慎重に発動要件に該当するかどうかを認定し、中立公正な審議会に諮問することはこれは必要であろうと思います。しかしながら、事態が発生してから適用されるまでには相当のおくれが出てしまうし、有効な歯どめになり得ないことも懸念されると思います。  そこで、運輸大臣にそういうことにはならないという保証をいただきたいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
  146. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) トラック業界というのは中小企業が九九%以上を占めておるという特殊な業界でございますから、その存立については厳しく私どもは責任を負う必要があると思っております。したがいまして、緊急事態が発生してから対応するというのではなくて、事前にあらゆるデータを精査しながら、いついかなる場合もそれに対応できるようなそういう措置を講じていくことが大事である、こう考えております。特に、この委員会でもしばしば御指摘をいただいておることでありますから、十分これらの問題については注意してまいりたいと考えております。
  147. 片上公人

    ○片上公人君 米国での規制緩和のときも随分倒産が出まして、失業者が増加したのはこれは事実でございます。確かに、現在の状況は比較的好景気にあるわけでございますが、好況はいつまで続くわけでもこれはございません。物流業界の人手不足という現象も好景気が背景となっておりますが、既に景気はピークを打ってその後は景気後退局面に移行するわけでございますから、不況下における中小を中心とするトラック事業者の倒産あるいは失業者の増大といったことが憂慮されるわけです。そこへ今後は規制緩和の影響や国際資本の導入などの問題が加わるわけでございますから、トラック業界の雇用問題の深刻化が生じるおそれがあるわけです。そのような状態になったらこの緊急調整措置による参入調整を機動的に行っていただけるよう、まずこれは強く要望しておきます。  次に、標準運賃制度について伺いますが、第六十三条に標準運賃制度が規定されておるわけですが、第十一条の運賃の届け出制と変更命令がきちんと運用されればこれは必要ないのではないか。この標準運賃を設定する要件につきまして、イメージがわくように具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  148. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運賃につきましては、現在の制度におきます認可制を新法におきましては事前届け出制に改めることといたしておりますが、過剰利潤を生ずるような運賃とか不当差別となる運賃あるいは不当競争となる運賃の防止というような三つの視点から、不適正な届け出については変更命令により常に是正し得る仕組みとなっておることは、ただいま御指摘のとおりでございます。  しかしながら、輸送力が極端に不足している状態、あるいは人件費とか燃料費等の物価が高騰して事業者運賃が著しく高騰するおそれがある場合におきましては、とかく運送原価に適正な利潤を加えたもの以上の超過利潤を取るような運賃適用しがちでございます。そのような動向を制限する必要がございます。その一方、輸送力が極端に過剰になりますと、事業者運賃が著しく下落するおそれが出てまいりまして、運送原価を割るような運賃適用するようなことになりがちでございます。その場合には、その下支えを図る必要があるわけでございます。  この法律に盛り込んでおります標準運賃の設定は、このような経済情勢の著しい変動が生じた場合を念頭に置いておりまして、このような場合に運輸大臣があらかじめ標準的な水準を示すことによりまして、個々の事業者に対して変更命令を非常に多数、頻繁かつ広範囲に発動する必要がないように、つまりそのような変更命令の対象にならないような運賃を届けてもらうようにあらかじめこれを公示するということにするわけでございまして、したがって公衆の利便も確保され、トラック事業の健全な運営も図られるということになるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、これは経済状況が極めて著しく変動したような場合を想定しておりますので、常時これを設定するというような性格のものとはしてございません。
  149. 片上公人

    ○片上公人君 前回の質疑におきましても指摘したわけでございますが、トラック産業の健全な発達を図るためには中小トラック事業者事業運営に配慮した法制度の運用と積極的な指導育成策が必要不可欠であると考えております。特に、運賃面での混乱が生じないよう、これは適切な運用を行われるようお願い申し上げておきます。  運賃に関連しましてもう一つ伺っておきたいのは、区域トラックの実質的な運賃改定は昭和六十年六月に行われて以来四年以上も据え置かれておるわけですが、近年の労働力不足への対応労働時間短縮への取り組み等をトラック業界が着実に進めていくためには、やはりこれに伴うコストアップを回収できるように直ちに運賃改定をすべきではないか。この法案が成立しても施行までは一年近くあります。この間に業界の申請があれば運賃改定を認めるかどうか、御答弁願いたいと思います。
  150. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック業界におきましては、労働時間の短縮等によります人件費の上昇などを理由としまして運賃改定の要望が出てきておることは、私どもも承知をいたしております。ただ、現在のところ、運輸省としましては、現時点で運賃改定が必要であるというような判断を下すべき材料を得るには至っておりません。今後、時間短縮等によります人件費の上昇など輸送コストの増加が実績として生じ、あるいは今後見込まれるということがあり得ますので、値上げの必要性及びその時期につきましてはそのようなデータの入手を待ちまして慎重に検討してまいりたいと思っております。
  151. 片上公人

    ○片上公人君 次に、経済の活発化によりまして、我が国の物流貨物の増加で今後とも鉄道貨物輸送並びに国内、国外の航空貨物、また旅客輸送はぐんぐん増大されていくと思いますが、私は鉄道輸送の安全性について一つの心配がありますので、お聞きしたいと思います。  本年一月に、JR山手線の通信ケーブルと小田急線の信号機のケーブルが焼かれるという事件がございました。さらに、二月にはJR四国管内で四カ所にわたりレールのボルトが外されるという事件も発生しております。過去におきましては、六十年、六十一年に首都圏の交通を麻痺させるような大規模なゲリラ事件も発生いたしております。一般の市民を巻き込む大事故を起こしかねない交通機関、特に鉄道に対するゲリラ活動は絶対にあってはならないことでございます。運輸省においては、これまでのゲリラ事件等を踏まえましてどのような防止対策をとってこられたのか、伺いたい。また、あわせて警察の御見解も伺いたいと思います。
  152. 大塚秀夫

    政府委員(大塚秀夫君) 運輸省としましては、警察当局の協力を得ながら、何らかの情報を得ましたときあるいは要請がありましたときには、JRによりまして鉄道の有要設備、要注意箇所の警備を強化したり線路を巡回する、また駅構内の点検を実施しまして、トイレ、くずかご等におきまして不審物、不用物を発見しましたら直ちに撤去する、また不審者については警察へ連絡を図る、このような方法によりましてゲリラ等による妨害に万全を期するよう指導しているところでございます。  今後とも、JR各社に対しまして、警察当局と緊密な連絡をとって旅客の安全、列車の運行の確保に万全を期するよう指導してまいりたいと考えております。
  153. 伊達興治

    説明員(伊達興治君) 御指摘にありますとおり、JRの各緑について過激派といいますか、極左といいますか、そういう連中がいろいろゲリラ的な行動をしかけまして、通信ケーブルを切断したり、あるいはこの前浅草橋駅を襲撃してそれを燃やしたような大きな事案もありましたけれども、かなり広範囲にわたってそうしたゲリラを繰り返しているところであります。私どもも、JR当局と十分な連絡をとりながら、情勢に応じて警戒をしたり、あるいは発生した事件の解決に向けていろいろ努力している状況にございます。  ただ、彼らも実行するのが秘密部隊といいますか、そういう組織を持っておりまして、綿密な事前調査をやり、また時限式のものを使ったりというようなことで痕跡を残さない、あるいは逃走経路を十分検討してとか、いろんな問題がありまして、なかなか全部が全部直ちにつかまえるというわけにはいかないのでありますけれども、何とかこの非公然部隊というものを摘発して、彼らの組織に壊滅あるいは打撃を与えるべく懸命に努力しているのが現状でございます。
  154. 片上公人

    ○片上公人君 去る十二月二日にJR総連の当時総務部長をしていらっしゃった田中豊徳氏が帰宅途中に殺害されるという、まことに痛ましい事件が発生しました。本日は御子息も来ていらっしゃるようでございますが、この事件の概要と捜査状況について説明願いたいと思います。
  155. 伊達興治

    説明員(伊達興治君) 御指摘の事件は、平成元年十二月二日午後七時五十分ごろ、埼玉県の大宮市におきまして帰宅途中のJR総連の役員の方が四、五人の武装した男に襲撃されまして亡くなられたという、まことに遺憾な事件でございます。埼玉県警では、事件発生直後に捜査本部を設置して、鋭意捜査を進めております。  これまで判明したところでは、先ほども触れましたが、極左といいますか、そのグループで革労協狭間派というのがありますが、この革労協狭間派が自分たちの事務所の前で記者会見をしたり、あるいは報道機関に犯行声明の文を送りつけたりというようなことで、自分たちが行ったものであるという自認をしているのがあります。それから彼らが犯行あるいは逃走に使った車両というのがあります。これは盗んできて偽造のナンバーを取りつけた、そういうものでありますけれども、これを現場から約三キロ離れたところで燃やしてしまって痕跡をなくするという形の行為をとっております。こんなところでありますが、あとは事後捜査にまつわけでございます。  ただ、一般的に申し上げまして、この種のテロ、ゲリラ事件は先ほど申し上げましたように極左暴力集団の秘密部隊が敢行しております。極めて厳しい規律のもとに訓練され、お互い同士の名前も知っていないというような、そういう防衛体制をとっておりまして、しかも相手の攻撃対象の行動を探ったり、あるいは犯行場所を下見したり、それから逃走経路を十分検討を加えたりというようなことで、事前の綿密な調査を行った上で、しかも逮捕されることのないよう周到な計画のもとに事件を引き起こしているのであります。例えば、この際もそうでありましたが、犯行に際して顔をヘルメットやマスクで覆ってしまう、あるいは車両を発火装置で燃やしてしまうというように痕跡を残さないようなやり方、それから現場付近一帯の電話線を切断して警察に通報されないようにというような対応をとるものも一般的によく見られる例であります。  こんなふうに彼らの秘密の部隊の訓練された軍事組織がやっているものですから、非常に捜査に困難が伴いまして、事件の解明に時間がかかっているのが実情でございます。しかしながら、警察としましては、これまでも幾多の事件を解決してきたわけでありますし、特に今回の事件につきまして大変に遺憾に思うような事案であります。何とか解決したいという決意でもって臨んでいるところでございます。
  156. 片上公人

    ○片上公人君 過去にJR総連、JR職員に対しまして八件、十五名もの死傷事件、自宅の焼き打ち事件が発生していると聞いておりますが、これは事実でしょうか。
  157. 伊達興治

    説明員(伊達興治君) 過去どの時点からとるかが問題なんですが、例えば切りのいい昭和六十年以降ということでとってみますと、労組員とか学生を襲撃した事件というのは三十二件発生しておりまして、うち被疑者四十三人を検挙しております。こうした中には、JR関係者のほかに県職員とか郵政職員とか、こういう方々も含まれておりまして、被害に遭った方々がおられます。  特に、その中で絞りをかけて、旧国鉄及びJR関係労組員が被害者となった事件、とりわけ国鉄の分割・民営化問題がクローズアップされてから以降限定を加えてみますと、昭和六十一年以降になりますが、十三件発生し、うち死者が四人、負傷者十二人、これを数えております。それから個人宅に対する放火事件というのも発生しておりまして、昭和六十年以降三十四件発生しておりますが、ほとんどが成田闘争関連でありまして、JR職員宅に対する事案というのは四件ほど発生いたしております。これらにつきましても、鋭意捜査を進めているところでございます。
  158. 片上公人

    ○片上公人君 法治国家として、また人道上からも全く許されないことでございますが、この種の事件の再発を防止するには犯人逮捕が最大の防止策と思いますけれども、警察はどのような対策をとってきたのか、また今後どう対処するのか、御決意のほどを伺いたいと思います。
  159. 伊達興治

    説明員(伊達興治君) 先ほど来申し上げていますように、極左の秘密部隊の敢行であるというところに難しさがあるわけでありますが、何とかこうした秘密部隊の摘発を図っていきたい。彼らがアジトに潜って盗んできた車を保管し、あるいは偽造ナンバーを取りつけ、あるいは火薬を扱い、爆発物をつくったり、時限装置をつくったり、あるいは発射弾を飛ばす装置をつくったり、こういうことをしこしことやっておりますので、こうしたアジトを摘発する必要があります。また、非公然の活動家、秘密部隊の活動家というのはなかなか表に出ずに各地を潜って活動しております。  そういう意味で、例えばアジトを発見するためにアパートローラーというようなことを徹底して繰り返す、それから犯行に使用される車両の盗難防止を図る、そういう対策を総合的に実施しているところであります。ちなみに、昭和六十年以降秘密アジトを四十一カ所摘発し、秘密部隊のメンバー九十九人を検挙しております。この中には、昨年九月二十一日に千葉県の収用委員会会長が襲撃されて、一年以上たつにもかかわらず今なおまだ歩行困難でリハビリ中であるというふうに聞いておりますけれども、そういう大きな事件が発生しておりますが、この犯人につきましてもつい先日二人を逮捕したということでございます。  なお、この種同様の事案について鋭意解明を進めていきまして、何とか極左に壊滅的打撃を与えたい、こういうふうに努力しているところでございます。
  160. 片上公人

    ○片上公人君 時間ですが、最後に、成田空港を初めとする過激派問題に対して、ゲリラの対象が無差別化する傾向も出ているようでございますが、今後どのように対応していくのか、警察並びに成田空港担当大臣の御見解を伺いたいと思います。
  161. 伊達興治

    説明員(伊達興治君) 先ほど来お話に出ていますような事案、いずれもやはり彼らの秘密部隊を摘発するということが一番ポイントであります。犯行の下見をしたり、あるいは犯行に際して電話線を切ったり、あるいは秘密アジトで武器をいろいろつくったり、こうした現状を何とか私ども早く把握して、それについて捜索をかけ、あるいは非公然の者を逮捕したい、こういうふうに思っているわけでございます。  そういう意味で、私ども努力しているところでありますけれども、国民一般の方々におかれましても、例えば見なれない者が写真撮影をしているとか、アパートの中で不審な物音がするとか、あるいは不審な人物が電柱に登っているとか、こうしたものを散見した場合に、これが極左のテロ、ゲリラにつながるのではなかろうかという関心を持っていただいて、警察へ通報していただくということも重要なことだろうと思っております。  また、情勢情勢によりまして、確かに先ほど御指摘のように、彼らの攻撃するターゲットといいますか、非常にかたく固めているところは攻撃できないものですから、だんだんと無差別、無制限というような形で非常に関連の薄いようなところをねらってくる傾向がふえてきております。例えば千葉県議会の事務局の方の家が焼かれるとか、あるいは幕張メッセというようなことの開発を扱っておられる企画部の方が攻撃を受けてやはり家を焼かれるとか、こんなふうにだんだん広がってきております。情勢情勢に応じて何とか所要の警備措置をとってこれに備えるということも重要だと思っております。ただ、何といっても攻めが最大の防御でありますので、攻めた形で彼らの秘密部隊摘発に努めまして、何とか組織の壊滅に向かっていきたいと切に考えているところであります。
  162. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 成田の問題についてはいろいろと御心配をいただいておりまして恐縮をいたしておりますが、先般、東峰団結小屋の処分を実はいたしたわけてあります。あのときごらんいただいたと思いますが、夜作業をやめましたのは、単なる火炎瓶ではなくて火炎放射器を持っておるということが伝えられましたので、夜間の作業を危険でありますから中止する、こういうことにしたわけであります。  しかしながら、あと三十五の団結小屋が残っておるわけであります。まだ、そのうちの一つを倒しただけの話でありまして、あと三十五残っておる。これらは、この前のとはまたけた違いに違う組織力、それから戦闘力を持っておりまして、あるいは手りゅう弾、火炎瓶はもちろんですが、火炎放射器あるいはロケット砲、それらも備えておるとも伝えられております。したがいまして、今までも若い警察官の諸君が五人待ち伏せに遭ってなぶり殺しに遭いました。三千人の人々が、労務者を含めて重軽傷を負ってきた。私は、法治国家においてこういうことは断固として許さない。  政府に過ちがあったとするならば私は関係農民の皆さんには謹んでおわびも申し上げたいと思いますが、かかる無差別の人道を無視したいわゆろ過激派テロ集団に対しては断固とした政府の対応が必要である、こう確信しておりますので、海部総理にも、内閣を挙げて国家の威信をかけてこれは取り組むことである。今や成田は二分間に一便の割合でジャンボ機がピーク時には飛び立つわけでありまして、いつ何百人という人を巻き込んだ事故が起こるやらもわからない。三十九カ国の人々が毎日のように成田に乗り入れられる。日本は市場開放して輸入を拡大するというのはうそじゃないか、成田を見ろ、我々は荷物を運びあるいは観光客を誘致することが発展途上国の唯一の生きる道である、それを経済大国日本が入れないとは何事だ、今この厳しい攻勢に遭っておるわけでありまして、世界の中における日本の大きな役割を考えましたときに、これは共産主義国家であったならば戦車を持っていってぶっ倒す話ですから、日本であるからこそかごをかぶせたりして我慢をしておる話でありまして、そういうことは理由にならないんですよ。過激派がおります、千三百人の一坪地主が頑張っておって成田空港ができませんということは、国際的には理由になりません。  したがいまして、非常な決意を持って平成二年度の概成に向かって今後も全力を挙げて努力をしてまいりたい、こう考えておりますので、今後ともによろしく御叱正、御鞭撻を賜りたいと存じます。
  163. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 前回は参入の問題、運賃の問題などを具体的に伺いました。本日は、引き続いて、運賃問題にも大きな影響を及ぼします荷主の問題について質問していきたいと思います。  今度の法律荷主への勧告というのが設けられました。その目的とそのねらいについて衆議院の議事録を拝見いたしますと、寺嶋局長はその御答弁で、運送業界荷主からの不当な要求を受けやすい環境にある、その改善する施策が必要である、そう述べられております。そのとおりでございますね。
  164. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) そのとおりでございます。
  165. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 自動車運送事業法で荷主勧告措置が入りました。その理由は、今おっしゃいましたように、運送業界荷主から不当な要求を受けやすい環境にある、こういうことでございます。そのことを考えますと、港湾運送も全く変わらない環境に置かれているのではないかと思いますけれども、いかがでございますか。
  166. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) その点におきましては、港湾運送もトラック業界と同様な立場にあると考えております。
  167. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 同じ環境にあるとするならば、これを港湾運送事業の場合にどうしたらいいかということを考えていかなければならない、そう思うわけなんです。今おっしゃいましたように、トラックの場合にこれが入ったということは、免許から許可になった。運賃は認可から届け出に規制緩和された。規制緩和になったことによって荷主の圧迫が強くなるというような心配があるからこれをあえて入れたというふうに考えますが、そのとおりでよろしいでしょうか。
  168. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 一面での経済的規制の緩和の中でそれが行き過ぎた過当競争を招かないようにいろいろないわゆるセーフガードを設けておりまして、緊急調整もそうでありますし、運賃変更命令もそうでありますし、そして荷主勧告もその一つでございます。そのように、今回のトラック事業法におきましては経済的規制の緩和の中でもろもろのセーフガードをつけておりますが、それは基本的な参入制度について免許制から許可制への移行、あるいは運賃認可制から届け出制への移行といった規制緩和とのバランスにおいて導入されたものであります。
  169. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 その規制緩和によって安全の確保が心配だ、だからそういうことがないようにと荷主への勧告制度というものがここに入ったというふうに素直に理解していけると思うんです。経済的規制を緩めると社会的規制に大きな影響を与えるという結果になるわけです。だから、私たちはこの社会的規制に大きな影響を与えるというここのところで賛成できないんだ、こう言いたいところなんです。  さらに問題なのは、港湾運送の場合なんですけれども運賃がダンピングされている。それが決してちょっとしたものではなくて、非常に大きな運賃のダンピングがずっと行われている。このことにつきましては、実は私もこの委員会で六十三年四月二十八日でございましたけれども、神戸海運局の監査資料というものに基づいて質問をいたし、その実態を明らかにしてまいりました。料金監査の対象になったのが二十七社。そして、海貨料金ダンピングということで十一件、八社が文書警告を受けた。そのほかに口頭警告というものが二十九件、十二社。この口頭と文書警告と両方合わせますと四十件、十四社もあった。これが六十三年四月二十八日、私が神戸海運局の監査資料に基づいてその実態を皆様の前に申し上げた。  こういうような運賃のダンピング、この問題について荷主サイドは当然自分でやっていることだから知っていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
  170. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 運賃監査に際しましては、当局は港湾運送事業者に立ち入るわけでございまして、相手の、取引先の荷主に立ち入るわけではございませんから、当然にその相手の荷主港湾運送事業者が処分を受けたという事実を知っているというわけではないと思います。
  171. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そこのところをわかりやすく言って。今言ったように、ダンピングしているということを荷主が契約したりなんかするわけですね。だから、荷主はそのダンピングしている自分のこれでやれと言った価格について知っていなきゃうそだ、当然知っていると思うんですけれども、どうですか。
  172. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 運送契約は荷主運送事業者の契約に基づいてやるものでございますから、どちらが持ち込んだ場合であっても双方ともその内容は知っておるというふうに考えられます。
  173. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 受注業者である運送業者にとって荷主との対等性を確保させるということが今強く求められているわけです。  そこで問題は、運送業者にはね返りがないようにいかに実効を上げるかという点が大事な問題になるわけです。勧告を発動するというまでにはいろいろな何点もの要件がございますけれども、中でも違反行為荷主行為に原因があるということの論証について私たちが聞くところによりますと、荷主側からあらかじめ過積みとか、それから過労運転しなさい、それをやって運びなさいというようなことは当然言わないわけですよね。言わないけれども、あうんの呼吸でやられて、そして過積みだの、それから過労運転だのということが現在もやられているというのが今の現状だと思うんです。結局、運転手さんが自分がやりましたと言うしかないというわけですよね。だから、私たちが行っていろいろ聞くと、いや、好きでやったわけじゃないけれども、やらざるを得なくてやっているんだみたいなことになるわけです。運送業者の口からもなかなか言えない。もしそれを言ったならば仕事がもらえなくなるというようなことで、実効性が上がるのかが懸念されるというのが私の言いたい問題なんですね。つまり、あうんでやらざるを得なくなって追い込まれているところに問題があると言いたいわけなんです。  ところで、港湾運送事業の認可運賃となっておりますコンテナ貨物船積み料金、いわゆるE料金というのがございますね。それは幾らになっておりますでしょうか。
  174. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 港湾荷役料金でございますが、コンテナの場合は二十フィート型と四十フィート型、また実入りと空で違っておるわけでございます。さらに、接岸本船から上屋、野積み場内へ入れる場合とその逆の場合でまた違うのでございますが、一つ典型的な例として四十フィート実入りコンテナを接岸本船から上屋、野積み場内へ搬入する場合は一トンにつき七百五十八円でございます。
  175. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 済みません、ちょっとわかりにくかったのですけれども。  それじゃ、私、運輸省の方から資料をいただきましたし、それから「輸出貨物船積料金早見表」というのをいただきました。それからきょう運輸省の方から資料をいただきました。おたくの方からいただいた資料を見ますと、「上屋入れよりバンニングの上CY渡しの場合」と書いてありますけれども、一トン四千五十一円、そういうふうになっておりますね。こっちの早見表もそうなんです。一トンについて四千五十一円、これが船積み作業料金で、それにプラス分担金というのが書いてありますね。この分担金がいろいろありますが、合計すると十円五十銭。この船積み作業料金と分担金が認可の運賃、こういうようになっているわけなんです。船積み作業料金と分担金などを足しますと、一トン当たり五千八百三十六円五十銭というのがおたくからいただいた資料で出てくるわけですが、それで間違いございませんね。
  176. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 先生が今仰せの件は、輸出貨物の船積み料金表のうちの上屋入れよりバンニングの上CY渡しの場合、一トンにつき四千五十一円でございます。それから、それにさらに分担金等が港湾福利分担金その他三種類ございますが、一トンにつき一定の額が加わったものが料金になる、そういうことになっております。
  177. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことになっているというのはそのとおりなんだけれども、だから私が確認したいのは、五千八百三十六円五十銭というのがおたくの資料からでも船積みの料金として出てきますね、E料金
  178. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 全部を合計すると、そういう料金になるわけでございます。
  179. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうことになるんだというのだけ言ってくださればいいの、ああだこうだと言うとわからなくなってしまいますから。  今御確認いただきました一トン当たりのいわゆるE料金というのが五千八百三十六円五十銭、こうなるわけなのです。それを覚えておいていただいて、私の質問、次に移りたいと思います。  この五千八百三十六円という決められた料金が払われていれば心配はないわけなんです。ところが、先ほども言いましたように、実際にはひどいダンピングが行われているということが私の心配なんです。私が言うだけじゃわからないから、大臣にその辺のところ数字を私言いますから、質問の上からも見ておいていただければいいと思います。(資料を手渡す)  会社の名前は消しました、個別の名前が入っていますから。これでいきますと、港湾運送事業者荷主側に見積もりを出しているその見積書なわけですね。そこに船積み料というのがございますでしょう。その船積み料が三千二百円、こういう見積もりになっておりますよね。先ほどの認可運賃では五千八百三十六円五十銭という数字だったわけです。そうしますと、三千二百円というのは四六%にしか当たらない、こういうわけなんです。これは直接荷主とそれから実運送業者の間の見積もりなんです。  その次のページを見ますと、これは船積み料というのが二千三百円というふうに出ていますでしょう、この見積書の中で。二千三百円というと、先ほどの五千八百三十六円五十銭の四〇%切りまして実に三九%にしかならない。これはひどい実態だな、そう思うわけです。まともにやれば取引ができなくなってしまう。事業者がこんな大変なダンピングの運賃ででも仕事を欲しいというところまで追い詰められている。だから、事業者が好きこのんで違法行為をやっていないんだ、こうやってダンピングして契約をしなければ仕事がなくなるんだというその姿を示していると私は思うんです。  こういう中で、先ほどからも問題になりました、いわゆる世界的なネットワークを持つ国際複合一貫輸送業者が出てきます。それが大手であったり、いろいろな大きな力を持ったもの、こういうものが入ることによって事実上下請が支配されてしまう。そして、系列化されてしまう。運賃料金のダンピングということが、相も変わらずというよりも、より大きな力で進んでいくのではないか、こういうことが心配されると言わざるを得ないんですけれども、それについていかがお考えでしょうか。
  180. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 港湾運送料金の完全収受、これは古くて新しい問題でありまして、港湾運送事業法の認可料金ではございますけれども、ただいま御指摘があったケースなどに見られますように、相当の値引きが行われておるということは遺憾ながら事実でございます。これは従来より料金監査等で当局としても取り組んでおり、また業界としても日本港運協会を中心としまして完全収受に努めておるわけでございますが、今後の複合一貫輸送等の進展によって、利用運送事業者が既に相当数存在するわけでありますが、さらに活動が活発になるということも考えられますので、いずれにせよ港湾運送料金の完全収受は従来にも増して真剣に取り組む必要があると認識をしております。
  181. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 真剣に取り組んできちっとした料金を払ってくれるということであればそれは問題ないんだけれども、何年もこういう状態が続いているということなので、それをやめさせて、きちっと料金が払われるようにするのにはどうしたらいいか、具体的に。ということを考えたときに、やっぱり私は安いことがわかっていて荷主側がそういうことを契約しているわけだから、そうすると、この港湾運送にも荷主勧告がこれは当然必要なことではないか。荷主に対してどういう勧告をして、どういうふうに守らせるように具体的に進められるかということ、荷主勧告をどうするかという問題についていかがお考えですか。
  182. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 荷主勧告制度、今回のトラック事業法案には非常に新しい制度として導入されたわけでございますが、これは先ほど来御説明申し上げておりますように、一方における規制緩和とのバランスの中で導入されたものでございます。港湾運送事業におきましても、確かに運賃料金のダンピングが行われておりますので、このような荷主勧告制度が導入されるということは一つの検討課題であるとは思っております。ただ、これは全体の法規制のあり方の一環として検討される必要がありますので、これだけを取り出して直ちに導入を図るというわけにはまいらないのではないかと思います。今後の検討課題の一つというふうに考えております。
  183. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ついでに伺っておきますけれども、今度入りました荷主の勧告というもとに、運賃ダンピング、届け出運賃違反の場合、荷主側に問題があれば勧告措置するということになりますね。
  184. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) トラック事業を前提といたしました場合には、荷主側が不当な運賃の要求をしたという事実が明らかな場合には荷主勧告の対象になるわけでございます。
  185. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 そういうわけだから、大臣どうなんでしょうね。さっき、港湾運賃のその問題についても、荷主が知っていて安いダンピングで契約をするというようなことがずっと行われている。だから、この辺のところを荷主にきちっと姿勢を正させる具体的な問題がなければ、やっぱり圧迫されてくると思うんですね。だから、私は、今この法律の中にこれを港湾運送荷主に対してというのを入れるということになると、これは法体系でなじまない、いろいろな問題が出てくると思いますけれども、こういう港湾運送事業荷主に対して何らかの勧告をして姿勢を正させるということ、これは必要なことではないか。そのためにどういうことが考えられるか、大臣としての御見解を伺いたいと思います。
  186. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) たびたび御指摘がありましたが、こうした港湾事業というのは特別の厳しい法律でございまして、今回のトラック事業法の改正と比べると格段に厳しくなっております。ですから、港湾事業という特殊な世界はきちっと守っていきたい、こういうことが実は本心であります。御指摘がしばしばございましたように、運賃のダンピングが行われておるではないか、したがって荷主勧告も入れたらどうだ、こういう御意見があるわけでありますが、これは法律が別個のものでございますから、荷主勧告だけをいじったときに、当局で心配しておりましたのは、今の一つの流れとして行革審その他でいろいろ言われますから、その他のいわゆる規制緩和をやれ、こういうことになりかねないという配慮から実は除いておるわけであります。しかし、皆さんの御心配をいただいたことでありますから、午前中もお答えいたしましたように、これから勉強させていただきたい、こう思っております。
  187. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 本当に、もうちょっと早く大臣にこれを申し上げて勉強していただいていれば、今ごろいい結果が出たと思うの。これからの御勉強でちょっと大変でしょうけれども……
  188. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) これで賛成しますか。
  189. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 法案、そんな取引だめよ。そんな取引はやめます。  だけれども、その荷主勧告を本当にきちっとやらないと、荷主さんの態度で下が苦しんでいるということを私は重ねて申し上げたいと思うんです。  この荷主勧告制度で、運賃ダンピングというのが届け出違反の場合に勧告することになります、そうおっしゃいましたね。過積みだとか安全問題についてはすぐ勧告するというのであれば、その勧告というのは安全問題だけではなくて運賃についても勧告するというその役割をしっかり果たしていただかなければならない、そう思いますので、よろしくお願いします。大丈夫ですね。
  190. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 御意見のあるところをよく承りましたから、申し上げましたように勉強させていただきます。
  191. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 この荷主に対する勧告の規定なんですけれども、調べてみたら罰則が何にもございませんね。これでは、運輸省からおしかりを受けた、はいわかりましたで終わり。極端に言えば、小言一ついただけばそれで済むんだというようなことになってくることが今までずっと安易に過ごされてきたのではないか、そういうふうに心配するわけなんです。そこで、荷主さんにしっかりしてもらうためにはどうしたらいいか。いわゆる社会的規制、どうしたらいいかということを私なりにもいろいろ考えたのでございますけれども、やはり一つの大きな問題は社会的にこれを公表して社会的規制をかけるということが必要ではないか、私はそう思うわけなんです。  たまたま読んでおりました「物流プランナー」という雑誌なんですけれども、ここでは運輸省貨物流通局陸上貨物課の課長さんの小幡政人さんとおっしゃるんですか、その方が書いていらしたのね。運輸省の当事者が書いている。読んだら、こう言っていらっしゃるんです。「荷主に対する罰則は法体系としてはムリ。したがって、勧告や指導、あるいは悪質なものについては名前の公表などになる。」、いわゆる社会的に公表して社会的規制を図るということを運輸省のこの課長さんがおっしゃっておりました。  そしてまた、同じその雑誌なんですけれども、これは八八年、さっきのは八九年一月。その前をずっと繰ってみましたら、八八年四月の「物流プランナー」というところに、ここでは警察庁の吉村幸晴警視という方が発言なさっているんです。この問題については非常に安全の問題だとか警察の方もいろいろ御苦労なさっていらっしゃる、この立場からこの吉村警視はこう言っていらっしゃいます。これは前があるんですけれども、「これらの違反の見逃がせない点は、運賃問題や労働環境などが複雑に絡み合っていることです。つまり使用者、荷主等の指示、あるいはかかわっていながら見て見ぬふりをするといった実態がある。」、こういうふうに実態を見ていらっしゃるわけなんですね。「構造的違反とでもいえるものなのです。そのため、こうした違反については運転者のみでなく、背後責任の追求を徹底していく方針です。」、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。  だから、当然こういう決められた運賃を守らないというような、悪質かどうかということは別にして、実際やる運送業者や働く人たちにしわ寄せがいくというような、こういうことがずっと大きな問題としてやってきているわけですから、だから聞かない場合には今度は社会的規制をかけるよというくらいのことがあってもいいのではないか、私はそう思うんですけれども、いかがお考えでしょうか。社会的規制は無理だとおっしゃるなら、どうすれば荷主の姿勢を正させるという方向がとれるか。だめだと言うのなら、考えていらっしゃる何かいい知恵をお聞かせいただきたいと思います。
  192. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) このトラック事業法案におきましては、再三申し上げておりますように、非常に新しい制度として荷主に対する勧告の規定が入ったわけでございます。このような規定は他の運送事業法規に例を見ないものでございまして、その意味では画期的であるというふうに考えております。従来は、このような規定が全くありませんでしたので、御指摘のように荷主は知らぬ存ぜぬで済んだわけでありますが、これからは悪質な場合には運輸大臣の勧告があるということで、大きな社会的制裁を受けるわけでございます。罰則は確かについておりませんけれども、これによって荷主として極めて大きな不名誉をこうむるわけでありまして、大きな制裁効果が期待できると思っております。  荷主の名を積極的に公表してはどうかという御意見も出るのでございますけれども、この点につきましては、この制度が初めて導入されたという経緯にもかんがみまして、現在のところではそのような積極的公表ということは考えておりませんし、それがなければこの規定の意味がないということではないと思っております。
  193. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間なので最後になるわけですけれども、先ほど差し上げました資料で私が申し上げましたように、一つは一トン当たり三千二百円、一つの場合には二千三百円、こういうふうに差があるわけなんですね。これは利用運送事業者が入ることによってダンピング、ピンはねが促進されるという心配をあらわしておるわけです。先ほど差し上げました表で見ていただきますと、認可運賃の半分を割った四六%、この三千二百円というケースは取扱事業者が中に入っているわけなんですね。だから、取扱事業者が入ることによって、荷主との直接契約と比べまして、ここのところでちょっと計算しますと一〇%くらいまた差が出てきているというわけなんです。  取扱事業法は港湾運送事業を一部対象にしないと繰り返し、議事録を読んでも、またここの委員会でもおっしゃっておりましたけれども、今でさえも私が具体的に申し上げましたような心配な事態になっておりますので、複合一貫輸送の中に組み込まれれば一層認可運賃というものの形骸化が促進すると、やっぱり最後まで心配なんですね。そういう心配はない、大丈夫だ、その保証はいたしますと言うのなら、ちょっと安心してどうしようかなと考えるのだけれども、その最後のところいかがですか。大丈夫だとおっしゃり切れますかどうか。
  194. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 当局といたしましては、先ほど来申し上げておりますように、料金監査の一層の重点的実施等を通じまして、認可料金の完全収受の実を上げていきたいと思っておりますし、また日本港運協会におきまして新たな組織をつくりまして、これには港湾労働者の御意見も尊重しながら、この運賃完全収受の運動を進めていくということが考えられておりまして、これも従来に増して大きな前進であると考えております。なかなか一〇〇%確実に取るということは難しいことでありますけれども、現状に比べれば大きな前進が期待できると考えております。
  195. 粟森喬

    粟森喬君 それぞれ各委員から、今回の規制緩和に基づきましていわゆる料金のダンピングといいますか、自由競争になって結果的にその部分が労働者にしわ寄せになるのではないかという懸念で幾つかの質問が続いています。既に解明された部分もございますが、改めて幾つかのことについて確認を求める立場で申し上げたいと思います。  私の手元には、既に原案の原案として、貨物自動車運送事業法案に対する修正案の中に、「運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定」という言葉がございます。この部分は、言うまでもないと思いますが、適切な運転時間というのは、現状の特に通運関係、トラック関係労働者の一年間のいわゆる実労働時間が三千時間を超えるケースがかなりある、こういう実態の中で言われておるわけでございます。したがって、例えば月三百時間の労働時間のものを百五十時間にするということを単純にやるだけでは問題は解決いたしません。それはどんなことかといいますと、いわゆる労働時間、運転時間と給料といいますか賃金はおのずと連動しておるわけですから、月三百時間働いているものが百五十時間になったら賃金が下がるというか半分になるというのでは全然問題は解決しません。したがって、運転時間を適正にするということは相対的には労働条件全体を向上させる、こういう立場でこの意味理解したいと思いますが、それでよろしいかどうか、答弁をお願いしたいと思います。
  196. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック事業におきます長時間労働、これは再三御指摘がありますとおり際立っております。このような事態を改善しなければ、トラック事業における必要な労働力の確保すらおぼつかないという状況に立ち至っておるわけでございます。したがいまして、現下の極めて緊急を要する課題が労働時間の短縮であるということで、私ども業界を督励しておるわけであります。ただ、それが単純に賃金の低下に終わるということであってはならないわけでありまして、全体として労働条件が維持あるいは改善されることが望ましいことは言うまでもないと思います。
  197. 粟森喬

    粟森喬君 今の最後のところ、ちゃんと確認しておきたいんですが、労働時間といったときに、単に労働時間だけでなしに一時間当たりの賃金というんですか、そういうものがある程度保証できなければ運転時間を適正にすることはかなり難しいという認識に立っていることでは一致しているわけですね。ノーかイエスかでお答えください。
  198. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 労働時間を短縮して賃金の単価を変えなければ、総所得は当然低下するわけでございます。この賃金水準それ自体は、当然のことながら労使間の交渉にゆだねられる問題でありますから、行政当局が介入すべき問題ではありませんが、方向として全体の労働条件改善していくことが望ましいということにおいて先ほど申し上げたことと変わりはございません。
  199. 粟森喬

    粟森喬君 それで結構だと思いますが、労使が自主的に決定をするといいますが、その労使の労が労働組合もちゃんとあって成立するところではそれなりにいいわけでございますが、いわゆる通運、トラック関係労働者といいますか運送関係労働者の組織化率は必ずしも高いと言われる部類ではございませんので、その部分だけでお逃げにならないようにお願いをしたいと思います。  その上で、さらにお尋ねを申し上げたいと思います。  トラック関係の通運関係労働者の労働条件をある程度保護する立場で出された労働省の通達で、いわゆる二・九告示というものがございます。先ほど安恒委員質問の中でも労働省運輸省の幾つかの関係性についてもやっていたんですが、少なくとも運輸省としては、この修正に応ずるということはこの二・九告示についてクリアするという前提でこの文字を挿入することについて考えているのだと思いますが、それでよろしいのかどうか、お尋ねをします。
  200. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 労働省の二・九告示につきましては、既に運輸省として過労運転であるかどうかの重要なメルクマールの一つとして援用をしておるところでありまして、労働省との相互通報制度の活用等、労働省との緊密な連携によりまして既に二・九告示の遵守徹底を図っておるところでございます。  委員からお話のございました、法文の修正によって「運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定」を法令上明文化するということにつきまして、運輸省としましては、修正の御要求の趣旨を踏まえて、もしこれが委員会の合意となる場合には、これを体して一層の遵守徹底を図ってまいりたいと思います。  重ねて申しますが、既に二・九通達は過労運転であるかどうかの重要な指標の一つとして使っておるということでございます。
  201. 粟森喬

    粟森喬君 今の答弁では既にそのことはちゃんとやっているということでございますが、実態としてはこの二・九告示すら守られていないというのがかなり実態報告にございます。後でそのことについての報告もいただきたいと思いますが、少しこの内容を含めてちょっと申し上げます。  一つは、この二・九通達を見ますと、一カ月の拘束時間の最高ですから、最高以下というのも当然あるのだと思いますが、これは三百二十五時間でございます。三百二十五時間ということは、年に直しますとこれは三千八百時間を超えると思います。今国際的に労働条件労働時間をどうしようかと言っているかといいますと、いわゆる週休二日制、拘束実労働時間を千八百時間にしようということです。ですから、現状からいうと普通の労働者の倍働いているというのが関係労働者の実態でございます。したがって、今後二・九告示との関係でこのような実態改善していかないと、一方で千八百時間、今、日本の労働者の平均の年間の所定内労働時間が、これはいろんな見方があるわけですが、二千百時間から二千二百時間と言われています。少なくともこれから見ても、今トラック関係労働者の実態はかなり上回った数字でございますから、この平均値に近づけるだけでも相当の努力が必要だと思っていますが、そういう努力をする決意なりやり方、方法について、今回の法律制定に当たっての考え方を聞かせていただきたいと思います。
  202. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 先ほど申し上げましたように、トラック事業におきます長時間労働は早急にこれを改善しなければならないという認識に立っております。今回の新しいトラック事業法におきましては過労運転の防止ということを極めて重視しておりまして、法第十七条にそのための規定をもろもろ設けてございますが、先ほど委員からお話がありました法文修正におきましてはその点を一層はっきりさせようという意図であると理解をしております。このような新しい法制度のもと、さらにその実施のための実効性を確保する手段として適正化事業実施機関というものを指定いたしまして、これに日常的指導活動をやらせようということでございますので、当局の行います監査等の指導と両々相まちまして、これら長時間労働実態是正に実を上げていきたいと考えておる次第であります。
  203. 粟森喬

    粟森喬君 三年後にこの法律そのものを見直すということになっていますが、その都度運輸委員会でも、先ほどの報告は若干幾つかいただいた中でもあるわけですが、状況をその都度報告いただいて、そしてそのことがやっぱりちゃんとそういう運転時間が適正な方向に向いているかどうかということについてはこれからも事あるごとに申し上げるつもりでございますから、関係者にその種のことを周知できるように重ねてここはお願い申し上げたいと思います。  関係いたしまして、先ほど港湾労働者に関する百三十七号条約の問題が出されたんですが、今度は百五十三号条約についてお尋ねをしたいと思います。  これは路面の運転者に関するILO条約でありまして、ILO条約の批准については労働省の所管であるということを承知しておりますが、これについて当然今のこととも関連をするわけですが、未批准になっている現状についていかなる理由だというふうに考えているのか、これは労働省運輸省との両方にお尋ねをしたいと思います。
  204. 氣賀澤克己

    説明員氣賀澤克己君) ILO百五十三号条約、これは路面運送における労働時間及び休息期間に関する条約でございますけれども、具体的には路面運送に従事をします運転者の連続運転時間あるいは最大総運転時間、一日当たりの休息期間等について規定をしたものでございます。  本条約につきましては、単に雇用労働者に適用があるというだけではございませんで、車両の所有者やその家族である運転者にも適用されるということになっておりまして、そのような基本的な問題もございまして現状では批准が困難であるというふうに考えているところでございます。
  205. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) ILO百五十三号条約がまだ批准されておらない事情につきましては、私どもとしてもただいまの労働省の御説明と同様の理解をいたしております。
  206. 粟森喬

    粟森喬君 特に、中身二つ御意見を申し上げたいと思います。  一つは、今まで締結できない最大の一つの理由に、運転者だけでなく、自営業者、その家族までこれは及ぶんだ、したがってできないというふうに言われましたが、今回の規制緩和によってむしろそういうところがダンピングしたり野放しするということが大問題だよ、こういうふうに言っているわけです。したがって、むしろILO百五十三号条約を締結することによってその人たちに対して一定の拘束性を与えるというんですね。むしろ、我々から見たら好ましい状態に来ると思うわけでございますが、今の新しい法をつくるに当たって、そういう時代変化をとるとするならば労働省は当然そういう立場に立って問題を立てるべきではないか。あるいは今の点で申し上げますと、運輸省が再三にわたってさまざまな答弁をするときに、労働問題は労働省だとかこういうふうに言いましたが、自営業者を含めてそのもとに一定の拘束、労働者の立場から見れば保護を与えるといいますか、そういう立場について従来労働省任せという立場だけでなく、運輸省もむしろ積極的にこの条約は締結をするという立場に方針転換をするのが適切な立場ではないか、こういうふうに思うわけでございますが、さらにそのことについて御意見をいただきたいと思います。
  207. 氣賀澤克己

    説明員氣賀澤克己君) 先ほど申し上げましたように、百五十三号条約につきましては申し上げたような問題があるわけでございます。労働法の場合には基本的に雇用労働者について適用するという建前になっているものですから、私ども所管をする立場におきましては、それを前提にしながら条約との関係をいろいろ検討していかなければならないというふうに思っているところでございます。
  208. 粟森喬

    粟森喬君 運輸省
  209. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 二・九告示の対象が雇用労働者に限られるというのは、これは労働法規の基本的な原則ではないかと思っておりますので、それ以外のオーナーあるいは雇用されていない家族等に拡大するということにつきましては、これは私どもとして余り独自の判断ができない部分ではないかと思います。ただ、実態の問題として、およそトラック事業者である限りこのような労働基準が安全の妨げにならないように確保されなければならないということは同感でございます。
  210. 粟森喬

    粟森喬君 運輸大臣、ここはちゃんと答えていただきたいんですが、自営業者などがいるからだめだというのはどうしても納得できないんです。やっぱり公正競争というのは、最低の基準をお互い守らなければならないということが必要だと思うんです。労働省は、これは労働者以外の人が入っているからだめだと言う。運輸省は、それは所管外であると言う。そうすると、ILOには日本国として、日本政府としてちゃんと加盟しておるわけです。一つでも多く条約を批准するのが、これは日本国の責務でございます。その立場から見ますと、これを締結するために努力をするということが今回の二法制定に当たって当然必要な事項だと思っていますが、運輸大臣の見解をいただきたいと思います。
  211. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 物流二法の改正を四十年ぶりにやる一つ目的は、労働者の過重労働あるいは地位の向上ということにあるわけでありますから、ILO条約の批准がその線に沿う大きな責任であるとするならば、労働省と積極的に相談をしてまいりたいと思います。
  212. 粟森喬

    粟森喬君 という発言をいただいて、それで結構でございますが、中身をちょっと申し上げますと、ILO条約の第六条などを見ると、日本でこのようなことを守るときには大変だと思っています。第六条には、「超過勤務を含め、最大総運転時間は、一日につき九時間及び一週につき四十八時間を超えてはならない。」、これがこの条約の一文にございます。  例えば、このような標準労働に日本全体の関係事業並びに労働省が取り組みに相当の努力をしなかったら国際水準に来ないということ、そしてそれでもなおかつ労働時間短縮全体の問題が日本の場合比較的長くかかったわけですが、いわゆる貿易摩擦や日本の国の国際的な立場などから、そういう追い風といいますか、全体のバランスの中で徐々に労働時間短縮に一定の成果が上がっていると思います。したがって、本問題の条約の中身は相当厳しいものでございますが、その中身を含めて今後の努力すべき方法論、プロセスについて若干御意見をいただきたいと思います。
  213. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) ILOの六条をお引きになって、最大運転時間、一日につき九時間というお話がございましたが、最大運転時間につきましてはいわゆる二・九告示でも定められておりまして、そもそも二・九告示はILO百五十三号条約の趣旨に沿った国内の指導基準という関係に立つものでございます。その中では一日当たり最大運転時間は九時間、連続運転時間は四時間というように定められておりまして、相当程度トラック運送事業に関しては条約の内容を考慮した指導基準になっておるものと考えております。したがいまして、この二・九告示を今後とも一層遵守するように指導していかなければならないというふうに考えております。
  214. 粟森喬

    粟森喬君 それでは、次の質問に入ります。  規制緩和を前提とする今度の貨物法案でございますが、それだけに守るべきところはちゃんと守ってもらう。従来の法というのはややざる法に近いと言われたことを、新しい法律が出発に当たって守るところをちゃんとするというのは、ある意味では罰則規定等で行政処分を有効適切にやるということが必要だと思います。前回までの運輸省答弁では、今までもちゃんとやっているし、これからもちゃんとやるというのでは従来の延長線でございますが、私の意見は、今後のあり方をこれまでのあり方より、より厳しい適切な早い時期における行政処分などをやるべきだというのが私の意見でございます。  ちょっとお願いをしたいのは、今までの違反者の総数とか、営業停止とか、自動車を動かしてはならぬというような停止処分なんかの一定の報告があると思いますが、簡単にその現状について報告できるものがあれば出していただきたいと思います。
  215. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) いわゆる処分は、今仰せのように車両の使用停止あるいは事業の停止、免許の取り消し、その他警告など多数にまたがるわけでございますが、トラック運送事業者を対象にいたしましてその処分事業者数というのを暦年で見てまいりますと、ここ二、三年で申し上げますと、六十一年が二千九百三十五件、六十二年が三千五百七十七、六十三年は四千百九十六、こういう処分の実績がある状況でございます。
  216. 粟森喬

    粟森喬君 処分の件数が逐年ふえているというのは実態が相当悪い状態になっていることを示していると思いますが、ただ実感として申し上げると、このような処分件数というのは全体の中のごくごく氷山の一角だというふうな感じを受けます。したがって、今後の行政処分などのあり方ではより一層、法律でございますから周知期間、法を知らないとか、初めてのことだからお互いに運用がわからないとか、そういうことについては一定の過渡的な期間は必要だと思いますが、少なくともそれを遵守させるためには、従来にも増してそのことについては厳しくやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  その上で、ちょっともう一遍、いわゆる労働基本権といいますか、そういうことで若干意見と質問を申し上げます。  一つは、いわゆる貨物運送取り扱いの関係労働者の雇用形態でございますが、非常に雇用関係があいまいだということがこれは通常よく言われています。例えば月給制、日給制といいますか、日給月給制はまだいい方でございまして、日給制というのがかなり普通の状態でございます。したがって、その日給制の中でも、休みがいつであって休憩時間がどうなのかというのは、就業規則があっても、個別の労働者にとっては、これは正規の社員なのか、臨時の労働者なのか、請負でトラックだけ借りに来ているのかよくわからないという、これは日常茶飯事にやられていることでございます。そのようなことを改善するために、これはもちろん運輸省としても今回の法律でいろんな管理者の設定をするとか、いわゆる法人をつくるとかいうのはそういう措置だと思いますが、実態として私が指摘したことは、全体かどうかは別にいたしまして、状態としてそういうことが多いということについてはお認めになりますかどうか、答えていただきたいと思います。
  217. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 運転手につきましては、日々雇い入れられる者という者は使用してはならないという規制はあるわけでございますが、それ以上に今先生が仰せになりましたような雇用契約の実態は私どもとしては把握をいたしておりません。
  218. 粟森喬

    粟森喬君 ですから、ならないということと実態はかなり違うということが言外には私はあると思いますが、きょうはその部分について深く言うのは一定の限界があるということを承知の上で申し上げます。  これは、例えば普通正規の社員かどうかというのは、健康保険であるとか年金であるとか、こういういわゆる社会保険を受けているかどうかというのが一つの基準だと思いますが、今日の問題で言うならば、これは健康保険も年金もそうでございますが、本人負担と使用主負担と両方あるわけです。両方とも安上がりするときには、仮に正規の社員であって社会保険制度適用するといってもできるだけ低い水準、あるいはこれはたしか厚生省で、きょう来ておいていただかないと思いますが、これは一定の期間の月収入の三カ月分ぐらいをもう一遍割りまして標準報酬と称して標準掛金を決めるわけでございますが、この辺の実態は、特にこの関係労働者のところでは実態は悪いものになっているという認識に私は立っていますが、それぞれ関係者の答弁をお願いしたいと思います。
  219. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 法定の社会保険への加入問題につきましては、御指摘のとおり、一部の事業者において未加入等の実態にあることは認識をしております。これがふえておるかどうかという点については、私どもとしてはつかみかねております。  これらの法定社会保険への未加入ということは直接には道路運送法に違反することにはなりませんけれども、雇用主としての基本的な社会的責務であると考えられますので、昨年の四月に全日本トラック協会を通じまして事業者に対してこのようなことがないように注意喚起を行ったところであります。これを受けまして、全日本トラック協会では自主的な点検運動を行うとともに、各地において所要のセミナーとかポスターの作製、配布などを行っておりまして、事業者の啓蒙を図っており、ある程度改善が見られていると聞いております。運輸省としましては、この問題が労働条件の重要な部分であって、今後の労働力確保、事業の健全な発展を期する観点から一層徹底を図るべく所要の指導を今後も行ってまいりたいと思っております。
  220. 粟森喬

    粟森喬君 健康保険と年金を聞いた関係もございますので、少しJR関係の年金問題についてお尋ねをしたいと思います。  年金法と被用者年金制度間の費用負担調整のための特別措置法案という二つ法律が今社労に回ってきております。衆議院での与野党合意で、鉄道共済の救済のための年金がパンクするということで、それぞれ法律と政令の両方の内容を与野党合意したようでございます。ただし、これは関係のないことでございますが、連合参議院は衆議院にありませんので聞かされたという立場でございますが、ちょっと質問関係者に申し上げます。  一つは、JRが自助努力と称する中に六十歳支給に変えるという部分がございます。ところが、JRの定年というのはまだ六十歳になっていないわけですから、たしか経過措置がございますが、若干不利になるといいますか、そこに働いている職員の立場から見れば条件が悪くなるというのが自助努力中身一つです。二つ目に、積立金の取り崩し、赤字になって大変だというので積立金があることを承知しながらも毎年それを埋めていくというのでございますが、これまたかなり、初め百億だったのが二百億というふうに聞いてますが、そのようにするというのはそれを管理する運輸省大臣立場から見て果たしてこれが適切なものと考えるかどうか、そのことについて御意見をお聞きしたいと思います。
  221. 大塚秀夫

    政府委員(大塚秀夫君) ただいまの御質問の中で定年の問題についてお答えしたいと思いますが、鉄道共済の自助努力一つといたしまして、先生御指摘のとおり、六十歳未満の退職年金支給の新規発生を原則廃止する措置が盛り込まれておりますが、鉄道共済年金が各方面からの理解と協力に頼らざるを得ない状況にかんがみまして、やむを得ない措置と考えております。  なお、JR各社の定年は、各社の就業現則において六十歳とするが、当面五十五歳として、経営の状況などを勘案して逐次六十歳に移行するものとする旨が定められており、この定年の問題も含めまして、基本的には各社の労使間の問題であると考えております。JRにおきましても、鉄道共済年金制度改正に伴う条件変化や各社それぞれの事情を踏まえつつ、労使間での検討が進められていくことを期待しておるところでございます。
  222. 乾文男

    説明員(乾文男君) ただいま委員が御指摘になりました衆議院段階におきます与野党間の修正におきまして、制度間調整の金額を三百億円減額し、鉄道共済の自助努力等を三百億円増額ということが与野党間で合意されたわけでございますが、確かにそれに伴います財源といたしまして、清算事業団の特別負担の増加が二百億円、JRの特別負担の増加が二十億円及び積立金の取り崩し百億円により対処することと、その合意において決められたわけでございます。  私ども大蔵省といたしましては、鉄道共済の積立金は平成元年度末で約千九百億円程度かと思いますが、鉄道共済の年間のいわゆる歳出が九千億円を超える中、そして赤字が年間三千億円を超える中で、この積立金というのは最小限のものとは存じますが、今回この与野党間の合意におきまして自助努力を何とか引き上げよというお話し合いの中で、積立金の取り崩し百億円も鉄道共済自体のいわば自助努力一環として御決定されたものとして、私どもそのように受けとめているわけでございます。
  223. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) ちょうど昭和六十一年の第一回の財源調整のとき私は国対委員長をやっておりまして、そのときから実は今日があることは予測されておったことであります。したがいまして、いろんな工夫をいたしまして仰せのような財源措置を講じてということで衆議院で若干の修正を願ったということでありますが、いずれにしましても、来年度から三千億の財源が足りないということで鉄道の退職者が年金がもらえないのではないかという心配をしておるわけでありますから、ただいま参議院で審議中でありますけれども、ひとつこれはなるべく早く通していただいて、そして年末、皆正月を迎えますわけですから、安心して新しい年が迎えられるように各党御協議をいただくと大変ありがたい、こう思っておるところでございます。
  224. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 それでは、前回に引き続きまして過労運転問題、これを質問させていただきます。  まず第一に、高速道路における休憩所の不足、これに関して国あるいは高速道路公団等の姿勢を聞きたいわけであります。  貨物自動車運送事業法の第十七条に、輸送の安全に関する事業者の講ずべき処置が規定されております。他方、運輸の長距離化、そういうことを踏まえて、高速道路でのサービスエリアの不足あるいはパーキングの不足、そういう中での運転者が休憩がとれないという実態については前回も申し上げました。この二つをあわせることがどうかということもあるかもしれませんが、あわせて考えてみますと、国や高速道路公団はみずから輸送の安全に関して何かやることがあるのじゃないのか、あるいは義務を負うべきではないか、そういうような疑問が出てくるわけであります。  多分、これに関しては国とか公団というのは運転者に指揮命令する立場にないというような答えが返ってくるのかもしれませんけれども、単に運輸省令でこのように決めました、それを守らせる努力をしますという事業者に対する遵守事項を言うだけでなくて、実際にパーキングエリアなんかが足りないわけですから、道路をつくるときには必ずこれぐらいのパーキングエリアスペースを確保するとか、そういうことをみずから課すことも大事ではないかと思うし、輸送の安全確保のために国や公団が講ずべき措置規定というのもこの法案の中にあってもおかしくないのではないかという気がしているわけですが、その辺についての御見解を承りたいと思います。
  225. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 運転者の休憩なり仮眠のための施設の整備というのは、輸送の安全を確保する上で事業者の義務づけの中身でございまして、きちんとやっていただかなきゃいかぬわけでございますが、運輸省といたしましては、それに対応するための措置といたしまして、いわゆる運輸事業振興助成交付金の制度を活用いたしまして、トラックステーション、これはそういう仮眠や休憩のための総合施設でございますが、それの整備促進に努めているところでございます。現在、既に全国で二十八カ所供用が開始されております。また、予算措置を講じ、今後計画をしているところは八カ所あるわけでございまして、さらにそのほかにも整備を検討している箇所があるところでございます。
  226. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 例えば、高速道路をこれからつくるという場合に、運輸省立場からパーキングエリアをこれぐらい確保すべきだとか、そういう意見を言っているんでしょうか。
  227. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 個別具体的にここでここでというようなことは、今までのところ申し上げていないようでございます。
  228. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 せっかく法案輸送の安全を確保するという趣旨が盛られているわけであり、過労運転の問題に今回言及されているわけでありますから、今後、道路をつくるに当たりましては、運輸省運輸省立場からぜひ意見を強めて反映させていただきたいと思うような次第でございます。  ところで、建設省にお伺いしたいんですが、サービスエリアとかパーキングエリアというのはどういう基準でつくられているのか、あるいは法律の定めがあるのか、その辺についてお伺いします。
  229. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 高速道路の休憩施設の設置の考え方につきましては、サービスエリア、パーキングエリアを含め、すべての休憩施設の相互の間隔をおおむね十五ないし二十五キロとなるように設置することを原則としております。また、その規模については、本線の交通量、休憩施設への立ち寄り率等をもとにして適切な規模とすることとしております。これらの基準は、法令ではございませんで、高速道路の設計要領、日本道路公団で定めておりますが、こういうものに基づいて行っております。
  230. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今の高速道路におけるパーキングエリアの過不足、例えば東名、名神、これにおいての過不足状態、実態をどのように把握されていますか。
  231. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 先生から御指摘ございましたが、現在、東名・名神高速道路につきましては、駐車升等の増設に努力しておりますが、近年の交通量の増大に伴い大都市近郊の、例えば東名、名神でございますと港北パーキングエリアとか海老名サービスエリア等においては容量をオーバーしている現状でございます。このような現状を打開するために、現在この道路整備第十次五カ年計画の期間の中においてもさらに増設を検討しているところでございます。
  232. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 前回の質問で、今計画されているパーキングエリア等はおよそ千三百カ所であるというような答弁をいただいたわけでありますけれども、今後この需給というか過不足を見越してどういう計画を持っておられるのか、その辺固まっておりましたらお聞かせいただきたいと思います。
  233. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) 前回御説明申し上げましたのは、日本全国の高速道路で現在千三百六十五台の大型車の駐車升を整備中であるという御説明をいたしました。現在、特に混雑しております東名、名神につきましては、例えば東名の霧が丘パーキングエリアあるいは名神の一宮パーキングエリア等の新たな建設とか、あるいは東名の海老名サービスエリアの拡張等を進めており、これらの事業は平成四年度までに東名、名神で千二百八十一合ふやしまして、合計として四千三十三台の駐車升を確保する予定にしております。
  234. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 それだけ確保できればどれぐらいまで不足を生じないという見通しを持っておられるでしょうか。
  235. 橋本鋼太郎

    説明員橋本鋼太郎君) これらの計画は、現在平成一年でございますので、おおむね四年後に達成するということにしております。今後の交通量の伸びを上回る駐車升の増設をすることとしておりますので、現状を改善することができると考えております。しかし、これではまだ十分であるとの確信には達しておりませんので、今後、利用交通量とか立ち寄り率、駐車時間の実態対応した駐車スペースの整備を早急に進めていくように努力してまいりたいと思っております。
  236. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 時間の関係もありますので、最後の質問にしたいと思いますけれども、高速道路の建設とか管理費というのは言うまでもなくほとんどが財政投融資等からの借入金で賄われ、それは通行料金によって償還されているわけでありますけれども、高速道路を利用している立場の者からしますと、例えば一番金を払っていると思われる東名、名神で渋滞続きだ、あるいは休憩しようにも休むところがない、どうも割り切れないなという意見が大変強く寄せられているわけであります。もちろん、建設省は建設省でそういう声を聞きながらいろんな対策を打たれていると思うんですけれども利用者という立場からいえば、先ほどもちょっと触れましたように、運輸省運輸省立場からもっともっと意見を反映してほしいという要望も寄せられておりますので、できましたら、大臣、この辺について御見解を伺わせてほしいと思います。
  237. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 建設省から高速道路の説明もありましたが、ちょうど原案をつくりますときは私は建設大臣でありまして、したがいまして例えば東名、名神の一番料金を払ってもうかっておるところが一番渋滞して迷惑かけているじゃないか、こういうふうなこと等もありまして、御案内のように第二名神それから第二東名をつくって、そしてそれにこたえようということにしたわけであります。したがいまして、今基本計画の段階でありますから、整備計画がいよいよ審議会に付せられて、そして施行命令が出て実際の施行という段階になってきます。したがいまして、今後のトラック輸送というのは日に日に盛んになってくるわけでありますから、道路の構造等につきましても、私ども運輸省の方から建設省にお願いをいたしまして、できるだけ御意見が取り入れられるように今後努力をしてまいりたい、こう思っております。
  238. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 それでは、過労運転防止の第二番目の問題としまして、労働時間の問題を取り上げてみたいと思います。  午前中の質疑の中で、第十七条に勤務時間とか乗務時間の設定についての条文追加を行うというお話がございましたが、適切な措置であろうと思います。  ところで、前回の委員会のときに、トラックの運転に従事している人の総労働時間についてお伺いいたしました。そのときは二千六百八十時間ぐらいのお話でございましたけれども、恐らくこれは事業規模が三十人以上の場合の統計なのであろうと思います。ちょっと先ほども触れられておりましたけれども、全日本トラック協会等が発表しております総労働時間というのは、中には三千時間を超えているのではないかというのも見られるわけであります。そのように理解していいのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  239. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) トラック事業におきます長時間労働実態は、ただいま委員指摘のとおりの状況でございます。
  240. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 そういう実態を踏まえまして、さらに質問を続けたいと思いますが、六十三年五月に経済運営五カ年計画が閣議決定されております。それによりますと「年間総労働時間を計画期間中に、千八百時間程度に向けできる限り短縮する。」ということがうたわれているわけでありますが、三千時間もあるという実態に照らして、この閣議決定というのはどれぐらい有効性があるのだろうか、ぜひ有効であってほしいと願っているわけでありますけれども、なかなか先が見えないだけに心配しているわけであります。当然、これはトラック運送業にも適用されると考えていいわけですね。
  241. 石川透

    説明員(石川透君) 先生御指摘のとおり、トラック運送業、道路貨物運送業の労働時間、長いという実態にございます。そのため、労働省といたしましては、従来から二・九通達、二七通達、あるいはことしできました改善基準に基づきまして重点的な監督指導をいたしているところでございます。労働時間が長いという実態を踏まえまして、私どもといたしましてもその短縮に向けまして積極的に努力してまいりたいというふうに考えております。
  242. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 先ほど粟森委員からも三千時間と千八百時間は余りにも乖離が大き過ぎるのじゃないかという意見が述べられましたが、私も同感であるわけです。五年間といいましても既に半ばに近づいておりまして、あと三年くらいで千時間も本当に詰まるのだろうかという疑問を禁じ得ないわけでありますけれども、具体的にこうやって進めるのだという話がありましたら、さらにお伺いしたいと思います。
  243. 石川透

    説明員(石川透君) 政府といたしましては、我が国の年間総実労働時間を、現在の経済計画期間中に千八百時間程度に向けできる限り短縮するということにいたしているところでございます。これは我が国産業全体としての労働時間短縮の目標でございまして、これとは別に個別の産業ごとに千九百時間だ、あるいは千八百時間だという目標を設定しているわけではございません。したがいまして、この自動車運転者につきまして特に千八百時間との関係で達成、未達成を云々するのはいかがかというふうに考えております。個別の産業、企業労働時間の短縮につきましては、当該産業、企業実態を十分踏まえつつ、関係労使におきまして創意工夫をし、自主的に進めていくべきものというふうに考えておりまして、労働省、政府といたしましてはこのような労使の自主的努力に対してできる限りの指導援助に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
  244. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今答弁にもありましたように、労働時間の問題というのは帰するところ労使の問題かもしれませんけれども、ぜひ行政は行政として御指導を賜りたいと思うんです。  ところで、その行政のセンターというのはどこになるんでしょうか。このトラック運送業における時間短縮の指導センターと言うんでしょうか。
  245. 氣賀澤克己

    説明員氣賀澤克己君) トラック運転者の労働時間の問題、これは全体の労働者の労働時間の問題と同じでございますけれども、私ども労働行政の重点課題であるというふうに考えておりまして、かねてより重点に取り上げて、いろんな方法によります指導援助をやっているところでございます。今後におきましても、私どもの重点課題として取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  246. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 労働時間が労働省の御所管であることは言うまでもないところでございますが、私どももトラック事業を所管しております立場で、そこに働く労働者の労働時間、これは安全の見地からも極めて重要であると考えておるわけでございます。  昨年の四月、労働基準法の改正によりまして週四十六時間、法定労働時間が定められましたけれども、トラック事業等の運輸交通事業につきましては三年間の猶予期間で四十八時間が認められたところでありますが、しかしその期間内でありましてもできるだけ早くこれを四十六時間とするように業界に対して通達をしたところでございます。  また、昨今におきましては、労働時間の短縮をしなければ必要な運転者等の労働力が確保できない事態になってまいりましたので、業界といたしましてもこの点について強い自覚を持っておりまして、いわゆる時短マニュアルというようなものをトラック協会でつくって会員に配付し、その推進に努めておるわけでありますが、運輸省といたしましても、このような動きを積極的に支援する取り組みをしておるところでございます。
  247. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 労働時間の短縮を実際に進めるにはそれなりの仕掛けだとか仕組みというのも工夫されなければいけないと思うんですが、先ほど運輸大臣から、適正化事業実施機関の中に運輸省とか団体あるいは組合の代表で構成する諮問機関のようなものをつくりたい、そういうお話がございました。この諮問機関では、こうした労働時間の短縮の問題等も取り扱うんでしょうか。
  248. 寺嶋潔

    政府委員寺嶋潔君) 適正化事業実施機関は、公正な競争を確保するために、特に安全基準の遵守について積極的に業界指導することとなっております。したがいまして、労働時間の問題もその中で重要な事項の一つとして考えられておるところでございます。私どもとしましては、この実施機関の活動を通じまして従来にも増して労働時間の短縮が推進されることを期待しているものでございます。
  249. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 御趣旨は大変結構なんですが、例えば運輸省関係では物流政策懇談会とか運輸審議会とか、あるいは運輸政策審議会というような機関が既に設置されており、中でも物流政策懇談会の中では労働時間の問題にも触れられていると伺っているんですが、なかなか実効のほどが上がったというところまでは聞いていないわけであります。こういう既にある機関と今回新たに設置される適正化実施機関とどういう関係で運営されるんでしょうか。
  250. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) 幾つかお挙げになりましたが、物流政策懇談会と申し上げますのは、いわゆる労働組合と運送事業者と、それから運輸省関係者が集まりましてトラックの諸問題、位置づけなどについて議論をする場でございます。したがいまして、そこでは当然、今言ったような問題も議論の対象になる重要な事項でございます。  また、運輸審議会は、これは全然性格の違う機関でございまして、法律に基づく免許でございますとか基本的な運賃の認可などを公平に行うために運輸省の設置法に基づいて置かれておる機関でございまして、その委員も両院の同意を得て任命される、そういう性格のものでございます。  また、運輸政策審議会というのは、これはまた全然違う運輸省の所管行政に関する政策を諮問する場でございまして、それぞれ性格が違うわけでございます。ただ、労働問題につきましては、運輸政策審議会の場で今後、物流部会という場が設けられることになりますが、そこでは議論をしていただかなければならないというふうに考えております。  それと、こういった機関と今の適正化事業実施機関の諮問委員会でございますが、適正化事業実施機関の諮問委員会というのは、法律に基づいてこのたび発足いたします適正化事業というものを公平に行えるようにいろんな方の御意見を聞いていこうということでございまして、その第一のねらいは、やはりいろんな輸送秩序などを守る事業の適正化というものをきちんとやっていくということが第一のねらいでございます。したがいまして、それぞれ役割が違っておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  251. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ちょっと今聞き漏らしましたが、政策審議会の構成メンバーというのはどういう方でしょうか。
  252. 土坂泰敏

    説明員(土坂泰敏君) これはいわゆる学識経験者を中心にして構成されておりまして、具体的には運輸大臣が任命をするものでございます。それぞれ各界から運輸政策について高い識見をお持ちの方を運輸大臣が任命して委員に御就任をいただいているところでございます。
  253. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 今のお話を伺いますと、例えば労働時間を取り上げる場としては物流政策懇談会、ここが一番ふさわしいのかなというような感想も持ったような次第ですけれども、聞くところによりますと、この懇談会というのはそうたびたび開かれているわけでもないし、あるいはここで何か決め事の申し合わせをするという場でもないように伺っているんですが、もっともっとこの機能を充実し、開催頻度も上げ、例えば労働時間の短縮の問題を重点的にやろうとか、過積みの問題を重点的に取り上げようと。今伺いますと、構成も運輸省のほか業界団体、労働組合の代表、そういった人たちも加わっているようでありますので、言ってみればこの懇談会の格付をもう少し高めて機能を充実するというようなことが今後具体的に問題をつぶしていく上で大事なことではないかと思うんですが、大臣、その辺の御意見はいかがでしょうか。
  254. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 今までの物流政策懇談会というのは、おっしゃるように、しょっちゅう開いておるわけではございません。今度は、適正化事業というのは、中央もそれから地方もこれは常設機関になるわけであります。ひとり、官庁は運輸省だけではなくて、関係官庁の中から適正な人を委員として選ぶ、また経営者諸団体からも出す、それから労働組合の代表も出してもらって、これから一つの適正化事業というのが常設機関として、不当な競争がないように、ダンピングがないように、あるいは過積みがないように、労働時間が守られるように、労働過重にならぬように、そういうことを協議していくわけであります。私どもは、この成果を期待いたしまして、このせっかくつくる機関が機能するように厳重に取り計らってまいりたい、こう思っております。
  255. 寺崎昭久

    ○寺崎昭久君 ぜひ、大臣が言われた趣旨で運営されるように期待したいものだと思います。どうも、ややもすると言いっ放し、聞かれっ放しというんてしようか、そういうフォローがないということ、あるいはそこに参加した代表からしますと、何か利用されたというんでしょうか、よく審議会の御意見を承りましてというまくら言葉がありますけれども、そのために出さされたのかななんということを言う人もいないではないわけてあります。せっかく新しい法案が成立しようとしているそういう時期なだけに、今おっしゃられました適正化事業実施機関、これについては実効のある、権威のある、あるいは中においての拘束力の持てる、そういう機関であり運営にしていただきたいものだ、そういうことをお願いして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  256. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  257. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより両案のうち、まず貨物運送取扱事業法案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  258. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、貨物運送取扱事業法案に対する反対討論を行います。  まず、指摘しておかなければならないことは、運輸事業規制緩和が今まで臨調行革、行革審の民間活力として財界の意向に沿って次々と手がつけられてきましたが、本法案物流部門の総決算として出されたものです。そして、本法案には物流関係者やそこに働く労働者の意見が十分反映されたとは言えず、今回このような形で本法案が採決されることは今後に大きな禍根を残すものであり、極めて重大と言わなければなりません。  反対理由の第一は、本法案が実際の運送事業者を犠牲にした物流合理化法案であることです。  本委員会の審議でも明らかなように、トラックや港湾運送事業等の運送事業者が法定運賃である認可運賃さえ完全に収受できないのが物流の現状であります。ところが、本法案は、このような物流業者がまともな営業ができる環境や労働条件等の整備には何らの抜本的な対策を示さずに、大手の荷主やメーカーの保護は法文化しているのであります。このことは、今までさえも大手の荷主やメーカーは物流業者よりも優越的地位にありますが、本法案はこの優越的地位法律で一層強めるだけではなく、それを前提にしてなおかつ直接的に運送事業を行えるようにするものであり、絶対に容認できません。  反対する第二の理由は、本法案がトラック湾運送事業等の各輸送手段別の運賃料金をますます形骸化させることであります。  本法案のねらいが、国内はもとより、国際的な複合一貫輸送体制の確立であり、そのためにも各輸送手段等の運賃料金等の込み運賃である通し運賃は避けられません。このことは、運輸政策審議会物流部会複合一貫輸送委員会の報告や経団連の運輸規制緩和部会報告等で通し運賃の重要性や同運賃を前提にした市場原理の導入が述べられていることからも明らかであります。港湾運送事業の現状は、認可料金さえも下回り、通し運賃として日常的に支払われております。本法案のもとでは通し運賃が各種の運送事業運賃料金の積み重ねにならないことは、物流実態からも明らかであります。  最後に、我が党は、国民本位の物流制度の確立は大変重要であると考えています。複合一貫輸送制度もその一方策であると考えます。しかし、本法案のように、中小物流業者に一方的な犠牲を強要する大手の荷主やメーカー等の物流コストの削減のための合理化や再編を一層促進する複合一貫輸送には反対であることを申し上げて、反対討論を終わります。
  259. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  貨物運送取扱事業法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  260. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  谷川君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。谷川君。
  261. 谷川寛三

    ○谷川寛三君 私は、ただいま可決されました貨物運送取扱事業法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     貨物運送取扱事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、関係者に本法の趣旨、目的を周知徹底させるとともに、次の事項につき、万全の措置を講ずべきである。  一 貨物運送取扱事業者が実運送事業者に対して、不当な運賃料金の引き下げを強要することのないよう関係者に対する指導監督を強化するとともに、運賃料金の遵守について本法及び関係事業法の適正な運用を図ること。  二 貨物運送取扱事業者が、実運送事業等を不当に圧迫して輸送の安全を阻害する等実運送等の正常な運営を阻害しないようその趣旨を省令において定めるとともに、適正な指導監督を行うこと。  三 貨物運送取扱事業者の不適正な事業活動を防止するため、更新制と同様の効果が期せられるよう計画的かつ着実な監査を実施する等許可又は登録後の指導監督を強化すること。  四 貨物運送取扱事業の適正化を図るため、運賃料金の変更命令、事業改善命令、許可の取消処分等について厳正かつ機動的に行うこと。  五 貨物運送取扱事業参入の許可又は登録に当たっては、その基準を具体的に定め、統一性、透明性を確保すること。  六 港湾運送事業本法適用がないことを関係者に周知徹底すること。  七 利用運送事業者が行う国際複合一貫輸送の進展により港湾運送に関する秩序に支障が生じないよう、港湾運送の認可料金の遵守については、(社)日本港運協会に対し、港湾労働者の意見を尊重しつつ、荷主利用運送事業者等に対し、その適正収受の確保につき積極的働きかけを行う体制を整備させる等その効果的対策になお一層努めること。  八 港湾運送の認可料金が遵守されるよう法令上の手当てを含め所要の措置を検討すること。  九 コンテナリゼーション、国際複合一貫輸送の進展による港湾荷役の変化に対応して、港湾物流センターの整備港湾運送事業者の協業化、協同化、集約化等により港湾運送事業者による物流機能の充実を図り、港湾運送の職域確保を支援する方策を推進すること。  十 港湾労働者の雇用の安定を図るため、ILO第一三七号条約の批准に向けて、できる限りすみやかに必要な条件整備に努めること。   右、決議する。  以上であります。
  262. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいま谷川君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  263. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 全会一致と認めます。よって、谷川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  次に、貨物自動車運送事業法案の修正について田渕君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。田渕君。
  264. 田渕勲二

    ○田渕勲二君 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合を代表して、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容はお手元に配付いたしております案文のとおりでございます。これより、その趣旨について御説明申し上げます。  貨物自動車運送事業法案は、輸送ニーズの多様化、高度化に対応して事業者の創意工夫を生かした事業活動が迅速かつ的確に行えるよう事業規制の抜本的見直しを行うとともに、過労運転等輸送の安全を阻害する行為を防止するため、貨物自動車運送に関する秩序の確立に資する民間団体等の自主的な活動を促進する措置等を講じようとするものであります。  しかしながら、貨物自動車運転者の労働時間は年間三千時間を超える状況にあり、また自動車運転者の労働時間等の改善のための基準等の違背状況も改善されていないことにかんがみ、本法案事業用自動車の運転者の適切な勤務時間及び乗務時間の設定を加え、輸送の安全に係る規制について遺憾なきを期そうとするものであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  265. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  266. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、日本共産党を代表して、貨物自動車運送事業法案に対して反対の討論を行います。  反対理由の第一は、本法案目的からも明確なように、従来の運送事業の理念であった公正な競争、秩序の確立、公共の福祉の増進という立場から、市場原理を最優先し、専ら事業者間の競争にゆだねているからです。  道路運送の使命は、何よりも安全で秩序維持が優先されなければなりません。しかも、トラック運送事業は、日本経済を支える動脈として物流輸送の重要な役割を担っています。中小企業が九九・五%を占める特質を持つ同業界だけにこそ、事業者の保護、育成が必要なのです。にもかかわらず、これらの理念を放棄し、大企業の利益優先を重く見た法案であり容認できません。  反対理由の第二は、参入の規制から需給調整を外すなど、一層過当競争を強いることになり、その結果、大手が中小を淘汰することになるからです。  現在、トラック運送事業の問題は、荷主に従属化した関係による慢性化した運賃ダンピングと三千時間を超える長時間労働、過労運転、ひいては交通事故の多発など、他産業と比較しても著しい問題を抱えています。免許制から需給関係を全く無視した許可制となれば、力の強い大手運送が中小を食いつぶし、さらに大資本が運送事業に自由に参入し、中小零細業者が淘汰ないしは大企業の系列、下請化構造を促進することは明白です。  一方、予想される過当競争を見越し、セーフガードとして緊急調整措置をとるとなっていますが、実効性の問題と同時に、それにも増して重大なことは、発動要件がその地域の三分の一ないし二分の一の事業が倒産か倒産しそうなとき発動するというものです。そのときには、既に大量の事業倒産、倒産しそうになっているのですから、何とも冷酷な法案と言わざるを得ません。当委員会でも明らかになったように、日常的に需給状況のデータを把握するのですから、倒産などの危機的状態を未然に防止する、そのことこそ運輸行政に強く求められているのです。  第三に、トラック運送事業者の営業並びに労働者の生活と権利にとって生命線とも言うべき運賃が認可から届け出制になることです。  認可運賃のもとでも荷主側から陰に陽に圧力を受け、運賃ダンピングが恒常的に行われているのが実態です。届け出運賃により運賃はたたかれ、ダンピング競争が進行していくことは火を見るよりも明らかです。しかも、届け出運賃は個々の企業ごとの適正なコスト、利潤に基づき算定され、当然大手の運賃と中小の運賃の格差は広がり、中小のシェアがどんどん奪い取られ、労働者の過労運転、過積載なども何ら解決しないばかりか、より問題が拡大すると考えられます。確かな運賃保証こそ強く要求されているのに、届け出運賃はそれに逆行するものであり、絶対認められません。  第四に、参入規制の大幅な緩和、運賃の届け出制など、経済的規制の緩和は過当競争を引き起こし、ひいては交通事故、公害など社会的規制を緩めることになるからです。  本法案には安全の確保など一歩前進の規定も導入されています。しかし、一方で経済的規制を外して、根本的な解決にはなり得ないということを強調しなければなりません。  以上で、反対討論を終わります。
  267. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより貨物自動車運送事業法案について採決に入ります。  まず、田渕君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  268. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 全会一致と認めます。よって、田渕君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部の採決を行います。  修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  269. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 多数と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、本案は多数をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  片上君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。片上君。
  270. 片上公人

    ○片上公人君 私は、ただいま修正議決されました貨物自動車運送事業法案に対し、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、連合参議院及び民社党・スポーツ・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     貨物自動車運送事業法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行に当たり、関係者に本法の趣旨、目的を周知徹底させるとともに、次の事項につき、万全の措置を講ずべきである。  一 貨物自動車運送事業者に対する許可後の指導監督を強化するとともに、貨物自動車運送適正化事業実施機関の有効活用を図ること。  二 貨物自動車運送事業の適正化を図るため、運賃料金の変更命令、輸送の安全確保に関する是正命令、事業改善命令、許可の取消し処分等について厳正かつ機動的に行うこと。  三 不適正な事業活動を防止するため、貨物自動車運送適正化事業実施機関の活用を図るとともに、更新制と同様の効力が期せられるよう計画的かつ着実な監査を実施する等、許可後の指導監督を強化すること。  四 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年二月九日労働省告示第七号)」を輸送の安全確保に関する事業者の遵守すべき事項として、運輸省及び労働省において、その徹底を図り、労働時間の短縮及び労働力の確保について業界指導するとともに、その円滑な推進のための環境整備を図ること。  五 過積み、過労運転を防止するため、自重計及び運転時間等も正確に把握しうる運行記録計の研究開発に努め、装着義務化に向けて環境整備を図るとともに、乗務記録等輸送活動の状況を示す記録の作成義務の遵守徹底を図り、併せて高速自動車国道を含めた貨物自動車の運転者の休憩施設、駐車施設、重量計の設置等の整備を促進すること。  六 貨物自動車運送事業への参入についての許可基準を具体的に定めて公示し、その運用については、統一性、透明性を確保すること。  七 貨物自動車運送事業の許可に当たっては、最低車両規模の確保等適切な事業計画及び事業遂行能力が確保されるよう厳正に行うとともに、許可後においても最低車両規模等が確保されるよう指導監督を強化すること。  八 緊急調整措置、標準運賃料金及び荷主への勧告に関する規定については、具体的にその要件を明らかにし、適切かつ機動的に運用すること。  九 自家用貨物自動車による営業類似行為等の違法行為を防止し、当該違法行為に対して厳正な処分を行うとともに、自家用貨物自動車の運行に関する安全規制の遵守徹底を図ること。  十 下請・傭車に関する本法適用関係を明確にするとともに、元請事業者の下請事業者に対する違法行為の強要等元請事業者の不当な活動に対しては、荷主の勧告規定の適用等により適切な指導監督を行うこと。  十一 貨物自動車運送事業に従事する労働者の労働時間短縮を促進するとともに、累進歩合制の廃止等賃金制度改善指導、産業別最低賃金制度の確立に努めること。  十二 適正な原価を下回る運賃の収受等不公正な取引を防止し、貨物自動車運送の秩序の確立を図るため、貨物自動車運送事業者とその荷主及びそれぞれの団体相互の協力体制の確立に一層努めるとともに、貨物自動車運送適正化事業実施機関は、荷主及びその団体に対する啓発活動の実施等広範かつ効果的に事業を遂行すること。  十三 社団法人を貨物自動車運送適正化事業実施機関として指定するときは、適正化事業が公正かつ着実に実施されるよう当該実施機関に対する指導監督の徹底を図るとともに、事業の実施状況を踏まえ、三年以内に新たな財団法人への指定を含め、あらゆる角度から総合的に見直しを検討すること。  十四 貨物自動車運送適正化事業実施機関の在り方及び事業活動指針の策定について協議するため、関係行政機関、貨物自動車運送事業者団体、関係労働団体及び学識経験者からなる委員会を設置すること。  十五 貨物自動車運送事業経営基盤の確立及び社会的地位の向上を図るため、九十九パーセントを占める中小貨物自動車運送事業者に十分配慮し、円滑かつ安定的に事業が行えるよう協業化、共同化等の中小企業対策を強力に推進すること。  十六 物流の合理化を推進するため、都市周辺部における事業用施設用地の円滑な確保を図るための措置を講ずること。  十七 輸送の合理化等を推進するため、車両総重量等車両諸元に関する制限の緩和について、その具体的な方向について早急に検討結果を出し、輸送の安全の確保及び環境への影響を配慮しつつ、今後の道路整備の進捗状況等に応じて規制緩和を図るとともに、車両構造や車両機器の改善について開発を促進し、その普及に努めること。  十八 事業用自動車の運行の安全を確保することにおいて、貨物自動車運送事業者の責任が回避されることのないよう、運行管理者の業務の責任範囲を明確に定めるとともに、運行管理者に係る規定の運用に十分留意すること。  十九 本法の趣旨、目的を達成するため、指導監督等行政体制の強化、関係行政機関の円滑な連携・協力体制の充実強化に必要な行財政措置を一段と強化すること。   右、決議する。  以上であります。
  271. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) ただいま片上君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  272. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 全会一致と認めます。よって、片上君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの両決議に対し、江藤運輸大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。江藤運輸大臣
  273. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案につきましては、慎重御審議の結果、御採決をいただきましたこと、まことにありがとうございました。  また、それぞれの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に体し、その実現に努力してまいる覚悟であります。ありがとうございました。
  274. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  275. 中野鉄造

    委員長中野鉄造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会