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政府委員(
寺嶋潔君)
労働力の確保、これは基本的には各
物流事業者、さらには
物流業界として対処すべき問題であると思っております。
労働条件の改善というのは各企業がやらなければならないことでありまして、企業の存立を図るためには必要な
労働力を確保しなければなりませんので、人がどうしても来ないというときには、当然いろいろ賃金あるいは
労働時間その他の
労働条件を改善していかなければ必要な人が確保でき
ないという事態になっておるわけでございます。
しかしながら、
事業者あるいは
業界の問題であるというふうに放置できるかと申しますと、先ほど申し上げましたように、この人手不足が要因となって
物流活動が阻害されることになりますと
経済全体に非常に深刻な
影響が及ぶわけでございますので、
運輸省といたしましても
労働力確保問題というのを極めて重視しておりまして、先月末に運輸政策審議会に諮問いたしました。一九九〇年代の交通政策の基本的な課題の一つとして位置づけておりまして、運輸政策審議会の
物流部会で検討していただくことになっております。
このように、中長期的な観点から、
物流業界と協力して
労働力確保のための総合的な対策を推進しようとしておるわけでございますが、現実はなかなかそれを待っているわけにもまいらないほど深刻な事態になっておりますので、とりあえず早急に実施することができることにつきましては私
ども限りで対策をまとめまして、つい先般公表したところでございますが、これは「プロジェクトF緊急対策」と仮に名をつけてございます。
内容的には、
業界の共同求人
活動の実施などによりまして人材の確保を図る。大企業は自分の努力でかなり人を集めるということが可能でございますけれ
ども、
中小企業になりますといよいよそれが難しいということでございますので、
業界ぐるみで求人
活動をやらなければならない。共同の求人パンフレットをつくったり、ビデオをつくったり、共同の説明会をやったりというようなことをさせる。そういうことを各
業界ごとにやっていただくように私
どもとしては
指導をしておるところでございます。
それから
労働時間の短縮でございますが、先ほど申し上げましたように、最近の若い人は自由な時間を持つということに非常に重要な価値を認めておりまして、長時間の勤務ということはどうしても嫌うということでございますので、人に来てもらうためには
労働時間の短縮を積極的に推進しなければならない。これは企業存立の課題になっておるわけでございます。
そういうことで、
業界としていろいろこの問題に取り組んでおりまして、例えば
トラック業界におきましては、時間短縮マニュアルというようなものをつくって各
事業者の利用に供しております。また、魅力ある職場づくり、人に来てもらいやすい職場環境をつくるということも重要でございますので、きつい
労働というイメージをなるべくぬぐい去るために、新しい荷役機械を入れて作業を楽にするとか、あるいは過労運転の防止を図りますように今回の
トラック業法でもそのためのいろいろな措置を講じようとしておりますが、そのようなことで、若い人に来てもらいやすい職場をつくるということにつきましても、役所として積極的に支援あるいは
指導をしていくという所存でございます。
それから世の中にどうも
物流業というのは十分よく知られていない面がございまして、この点についてはできるだけPR
活動を活発にやるということで、広報映画とかパンフレット、ビデオ等をつくりまして広く訴える。従来、
トラックドライバーコンテストといいまして、全国から腕のいい運転者が集まりまして年に一回コンテストをやっておりますが、これを引き続き行いますとともに、できれば
トラックの日というようなものも設けて、
国民の
認識を広く求めるというようなことも
考えてみたいと思っております。
それから非常に重要な課題といたしまして、再三申し上げておりますが、荷主の理解を得るということが極めて重要でございます。このままでは入手不足から非常に
物流業の円滑な運営が図られなくなるという心配があるということを広く荷主に
認識してもらうことが必要であろうと思いますので、各
業界ごとに荷主
業界との懇談会などを開きまして、適正な運賃の収受とか、長時間
労働や、むだな待ち時間でせっかく貴重な
労働力をむだ遣いしないようにというような点について理解、協力を求めるというようなことも
指導してまいりたいと思っておる次第でございます。