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井上(喜)
委員 実は国営土地改良事業、私の選挙区の方にも二つ大きな事業がございます。加
古川西部地区というのと東播用水地区というこの二つでございまして、いずれも私が先ほど申し上げましたようなことに該当する国営事業でございます。非常に典型的なものだと思うのでありまして、その
一つの加
古川西部地区を例として私申し上げたいと思うのでありますけれ
ども、当初の計画といいますのは工期は四十二年から四十八年ということであったのでありますけれ
ども、四十二年から五十九年に変わり、今は四十二年から
平成二年度、つまり来年度完成をする、こういうような
状況に変わってきているわけでございます。また、事業費につきましても、当初五十四億円、約五十五億円でありますけれ
ども、これはもちろん四十一年の単価でありますが、五十五億円弱の事業費が順次変わりまして、最終的には、六十二年の単価でありますが三百九十四億円、こういうぐあいになるだろう、こんな予想でございまして、これはもう何倍になりますか、五十五億が大体三百九十四億になるわけでありますので、非常に大きな事業費の増高だと思うのであります。
これだけ期間をかけておりますので
状況の変化がございまして、例えば受益面積につきましても、当初四千八百五十ヘクタールありました受益面積が漸次減りまして、現在では三千八百四十九ヘクタールぐらいになるだろう、こんな予想でございます。約千ヘクタールぐらい減るだろう、こんな
状況でございます。
こういうことになりましたのも、今構造
改善局長から御答弁がありましたように、これは石油ショックというようなこと、あるいは農地転用等が増加していった、そんなようなことが影響していると思うのでありますが、さらに、この間米の生産調整が漸次強化をされてきているわけでございます。稲作転換対策とかあるいは水田利用再編対策等々名称は変わりましたけれ
ども、いずれもこれは米の生産調整でございまして、現在七十七万ヘクタールもの減反が行われている、こんな
状況になってまいっておりますし、また米価を見ましても、今から二十年前は大体六十キログラム八千円ぐらいなんですね。今大体一万七千円
程度だと思うのですが、十年前ですと今よりも若干価格が高いわけであります。
そういう
状況で米の需給
状況なり価格の
状況が大きく変化をしてきた、こういう中で農家が
負担金を払わないといけないわけでございますけれ
ども、今従来の国なり県の補助金がありまして、その残余を地元が
負担をする、こういうことでいきますと、十アール当たりの地元の
負担額が、これは
平成二年度の段階でありますけれ
ども、約三十万円と言われております。それから、これを何年間かかかりまして償還をしていくわけでございます。従来の方法でありますと、二年据え置きで十五年の償還をしていくわけですね。したがいまして、その間金利がついていくわけでありまして、それを含みますと、大体一年間に十アール当たり三万一千円を
負担をしていく、こういうことになるわけでございます。総償還額、つまり金利を含めました総償還額が五十万一千円、約五十万円ぐらいになる、こんな
状況になっているわけでございまして、御承知のとおり、農家の
負担といいますのは受益の限度において
負担をする、こういうことが法律上定められているわけでありますけれ
ども、そういった観点からいたしますと、なかなかこういう従来のルールによります
負担ができない、こういうことになるわけであります。
私
どもの方は、米の方は、生産費は大体十アール当たり十一万五千円ぐらいですね。それから全体の粗収入が十四万円ぐらいでありまして、したがいまして、大体
所得が十アール当たり二万五千円ぐらいのところであるわけであります。そういうことを念頭に置いていただきますと、この
負担金の重さということがよくおわかりいただけると思うのでありますけれ
ども、今まで農林省も計画償還
制度その他で
努力はいただいておるわけでありますけれ
ども、到底今までのようなところでは償還ができないような状態だとも思うのでありまして、これは
相当思い切ったことをやっていただかないと、この
負担金問題というのは解決しないと私は思うのであります。私は今、加
古川西部の事例を申し上げましたけれ
ども、全国かなりのところでこれは見られるところだと思います。
これは確かに
昭和四十年前後から今までの期間の、いろいろなことが起こりました、そういう事情によって事業の中身が変化をしてきまして、したがいまして、この農家の
負担が大きくなってきたわけですね。だから、こういった事業につきましては特別の対策をやはり
考えていかなくちゃいけないと私は思うのでありまして、どういうようなことをお
考えなのか、ひとつお聞かせをいただきたいし、またその
努力をしていただきたいと思うのであります。
あと、自治大臣の方も、これは県が第一次的には国に償還をいたしまして、県が農家の方に賦課をしていく、こういうルールをとるわけでありますけれ
ども、ひとつ自治省の方におかれましても思い切った特別対策を、特別措置をとっていただきますようにお願いするのでありますけれ
ども、それぞれ大臣の御所見を賜りたいと思うのであります。