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野中(広)
委員 次に、NTT問題、主として私は労使間のあり方について郵政大臣にお伺いをいたしたいと存じます。
私は京都の選出でありまして、京都は昭和二十五年から五十三年まで二十八年間、
日本の灯台だ、あるいは革新知事だと騒がれました蜷川三知事が君臨をされたところであります。したがいまして、そこで府
会議員をやっておりましたので、いささか質問は野党的になることがあろうかと存じますが、よろしく御了承願いたいと思うのであります。
また、十一年前に、蜷川さんの後、保守、中道の推薦をいただいて林田知事が実現をしたわけでございますが、私は副知事として在任をいたしました。京都というところで一体どうして一人の知事が二十八年間も知事を続けることができたのか、そういう実態を私は副知事の在任中点検をしてまいりました。
今その実態をここで申し述べることが質問の目的ではありませんので申し上げませんけれども、私に言わしめれば、京都人民共和国が目的意識的に、かつ組織的、計画的につくられようとしておった、こう言うことができると思うのであります。そして民主府政、革新府政というにはおよそほど遠い、役所の持つ権限と府氏の税金を使って知事の支持基盤と支持政党の組織拡大が行われていたのでありました。その中でも、労使の癒着というのはまことにひどいものがありました。組合専従は、二名を除いて本部はもちろん支部、分会まですべてやみ専従でありました。人事権も組合との協議、了解なしにやられなかったのであります。本論に入る前にほんの一例を御紹介申し上げたわけであります。
さて、去る十月二日に電気通信審議会がNTTのあり方について中間答申をされました。その内容がNTTの分割を強く示唆したものでありました
関係か、早速、証券
市場からは、株主の利益ほどうなるんだ、またNTTの山岸章全電通
委員長は、土足で他人のところに踏み込むような不当な労使
関係への介入だと激しく非難をされたと聞くのであります。しかし、電話加入数が五千万を突破をし、通信というものが電気や水道と同じように
国民の日常生活に欠かすことのできないものとなっておる今日、NTTは
国民全体の
企業であります。今
大蔵大臣もおっしゃったとおりであります。また、百年の間
国民が営々として築いてきた財産でもあるわけでございます。三回の株放出をしたとは申せ、NTT株は依然政府が全体の六五%を所有し、将来も法律によって三分の一は所有し続けることになっておることを考えますときに、NTTは株主の利益を最優先するわけにはまいりませんし、労使
関係もまたより透明性を要求されるものだと考えるのであります。
そこで私は、全電通の山岸
委員長の著書であります、ここにございますけれども、大臣、ごらんになったことがありますか、「NTTに明日はあるか」こういう御本が出ております。中は、大変いろんなことが書いてあります。例えば、真藤さんが組合四役と最初に会ったときは、ギブ・アンド・テークだ、こうおっしゃったとか、あるいは真藤さんの口から、電電改革案は全国の料金区域ごとに分割・民営化をしようと考えておる、いわゆる全国で五百六十七の単位料金区域で電電公社を分割してやっていこうというようなことを考えたので、余りとんちんかんであるので、非常識な発想に頭にきて「あんた何を本気で考えているんだ、こう言ったとか、あるいは、それじゃひとつ県単位であかんかと言ったから、それもだめだ、こう言った、こんなことがいろいろ書かれております。
またもう一方で、元全電通の執行
委員であります御原克百氏が「知られざるNTT労組」という著書を書いていらっしゃいます。これも私は通読をさしていただきました。この方は、自分がかって全電通の執行
委員であった中から、退職後、私は非常にダラ幹であった、そういう反省の中からこの本を書いていらっしゃるのでありまして、これもまた詳細に申し上げることができませんけれども、支
部長の組合費流用のゴルフとか、あるいは選挙はダラ幹の臨時収入源だ、こんなことを書いていらしたり、あるいは、処分者がその夜公社の幹部に宴席に招待される、昼は処分の辞令をもらって、その夜処分者全員が幹部に宴会に招待される、こういったことが具体的に書いてございます。また、やみ専従は当時で約二百五十人おった、こう書かれておるのでございます。これはこの方の著書の中に、今民営化されたけれどもこの姿は今もそのまま残っておる、こう著述をされておるのでございます。
民営化されて四年がたちます。やがて見直そうとする五年を迎えるわけでございますけれども、
先ほど大蔵大臣の答弁にもありましたように、最近低迷を続けているとはいえ抜群の
株価をつけたNTT株でございます。そして、リクルート事件というあの不幸な事件を除けば全く
我が国最大の優良
企業でございまして、華々しいスタートをしたわけでございます。六十三年度の営業収益も売上高で五兆六千五百二十六億円と、トヨタ
自動車に次ぐ
我が国第二位の優良
企業であるわけでございます。そして、形の上では着実な歩みをしているかに見えるわけでございます。
そのNTTは、
国内はもちろん国外の資本も競争相手として出てくる状態にありますし、今後さらに
自由化は日米間において激しい対立を来すであろうことを考えますときに、あえてNTTの労使問題を、さきに申し上げましたお二人の著書を
中心にいたしまして質問をし、やれ民主府政だ、革新府政だといってもてはやされた京都の蜷川府政の内部の黒い労使
関係を、私もやや目的意識的に副知事在任中
調査をいたしました。そして多くの証拠を把握いたしておるのでありますけれども、私は、その
体制は地方公共団体と公共性を持った民間
企業NTTとは本質的に異なるとは申せ、あえてここにNTTの今後の健全な発展を願いながら取り上げることにしたのであります。もちろん、だからといって、せっかく民営化の道を歩んでおりますNTTでありますので、郵政省等の権限強化や統制拡大は厳に戒めなければならないことを付言して、以下、この二人の御本の中から質問を展開をいたしたいと存じます。
NTTの労使間にあると言われる経営協議会とは、一体どのような組織であり、どのような頻度で開催をされ、どのような事項が協議対象とされておるのか、また、いわゆる団体交渉とはどういう
関係にあるのか、お伺いをいたしたいと思うのであります。
全電通の山岸
委員長は、
先ほど申し上げました著書「NTTに明日はあるか」という中において、次のように述べていらっしゃいます。昭和六十年四月に締結された労使
関係に関する基本協定に関して「「団体交渉事項以外の経営の基本政策など、重要課題について論議する場として経営協議会を設置する」とあるが、これは要するに、人事問題を除いて、経営側はあらゆる経営上の重要課題について組合側と話し合うということである。」と述べておられるのであります。また、元全電通の中央執行
委員の柳原克百氏は、その著書の中で、人事問題についても組合は徹底したいじめ、告げ口あるいは労使双方の幹部間でのでき合いレース、これによって公社人事に介入をし、これは民営化後も、今も続いておると書かれておるのであります。
さて、人事というのは、申し上げるまでもなく会社にとって管理運営事項の最たるものであります。これを含めて、経営上のあらゆる問題を組合と話し合わなければならないというようなことでは、NTTは組合の了解がなければ何
一つ経営判断ができないということになりはしないかと思うのであります。いわば、組合管理会社になっておるのではないかとの
懸念さえ私は持たざるを得ないのでありますが、どうお考えでありますか。
また、全電通の山岸
委員長の著書によれば、NTTには中央から職場段階まで四段階にわたって労働組合との経営協議会が設けられているとのことであります。本の中に、一般に経営協議会を設置している民間
企業労使は数多くあるが、これらの場合は第一段階か、せいぜい第二段階どまりである、職場段階まで経営協議会を置いているところは数少ないのではないかと思うと、みずから述べていらっしゃるのであります。
かつて旧国鉄はこの現場協議制によって経営がおかしくなってしまいました。NTTは黒字会社ということで余り取り上げられてこなかったのでありますけれども、全電通の
委員長自身がこう語っていらっしゃるように、現場段階まで組合との経営協議会が設けられておるという事例はまことに特異なものと私は思うのでありますが、大臣はこの点についてどのように感想を持っていらっしゃるか、お伺いをいたしたいと存じます。
ひとまずこれで切ります。