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米沢委員 行財政改革が推進されない限り、税に対する信頼は本当は確立されない、そういう関係にあるということをぜひ御自覚いただいて、叱咜激励をして効果が上がるように頑張っていただきたいと思います。
それから、先ほど消費税がなぜこんなに拒否反応を受けたのかということで、理念が生きていないという話を申し上げました。
もう
一つは、もうここでも再三取り上げられておりますけれども、やはり今日の資産格差、土地の値上がり、株の値上がり、その恩恵にあずかる人、あずからない人、ニューリッチ、ニュープアの出現、昔は
国民はほとんど中流意識というのを持っておったという世論
調査がありますが、このごろ中流意識がどんどん減ってきて、
気持ちは中流だけれども、実際は欲求不満がたまりたまっておるというのが普通のサラリーマンの皆さん方の
気持ちそのものではないのかなと思います。ここまで土地が上がってしまいますと、特に都心等では自分の一生住む家さえできないなんというのは、これはもう
政府の失政そのものだと私は思いますね。そういうものがやはり今度の消費税についても、確かにサラリーマンの皆さんでも年収の高い方は減税の恩恵にあずかったんですから、にもかかわらず消費税嫌だというのは何かと言ったら、やはりそのあたりに大きな要因があるのではないのかな、そこに私は思いをいたすべきだと思うのでございます。それが言うたら不信を買った落とし穴みたいなものだ、私はそう思うのでございます。
そういう
意味では、やはりこれからの税制義諭、私はやり直しを主張しますけれども、実際はそのあたりの
対策等も含めて――それは一挙に効果は出ませんよ。しかし少なくともこういうことをやろうじゃないか、こんなことをやりますというような議論が並行的にあって初めて税に対する理解が深まるわけであって、一方は放置して、そして全然それがいい方向に向かうどころか悪くなりつつあるという
状況の中で税制だけ何とかやってくださいという、それはちょっとタイミング的には完全に誤ったのではないか、こう思うのです。
特に、今度の消費税というのは、結局こういう背景があるとおっしゃっていましたね。例えば所得が上昇して平準化した、だから買い物されるときぐらい消費税三%出していただく担税力みたいなものはお願いしていいのではないか。これは垂直的公平よりも水平的公平、そういう発想ですね。ところが、一方では景気がいいときがちょうどいいんだとか、物価が安定しているからそういう物の
考え方を導入するにはちょうどいい時期だとおっしゃったけれども、実際は、昭和五十年代後半ぐらいから所得格差はじりじりと大きくなりつつあるのですね、
国民階層の中で。ましてや資産格差、これは一挙に大きくなっていきつつある。もう絶望感ですわね。
努力をして何とかなるというのが
日本社会の活力の原因だった。今はもうたまたまそこに生まれたからよかった。たまたまじいちゃんが土地を持ったからよかった。
努力いかんにかかわらず、ニューリッチで思い切り遊べる人種と、一生懸命働けども働けども全然ニューリッチについていけない、そういう
社会をつくり出したのは政治の責任だと思わなければいかぬ、こう思うのです。そういうところが置き去りにされながら、こちらの方で
高齢化社会と。本当に今苦しんでおる、相対的に貧困感を持っておるこの皆さん方は、将来大変だから大変だから。わかっておるのですよ。わかっているけれども、
考えたくないですよ、もう出すことで。というのが政治課題として残されている大きな問題ではないかな、私はそう思っているのでございます。
特に、ジニ係数という所得、富の再配分がどう行われておるか。これはもうずうっとじりじり上がってきましたよね。貧富の格差が大きくなりつつある傾向にあったのですよ。その上、今度の税制改革は、高額者を減税して、低所得者の皆さんから税負担をお願いするということでございますから、ジニ係数はもっと悪化したということですね。だから、いかにも冷静に議論したらわかってもらえるだろうとか、我々のPRがうまくいけばうまくいったでしょうなんという程度のものじゃないんですよ、本当に背景にあるものは。そこにやっぱり思いをいたすときに、定着させるために見直しをするという、そういうことで一生懸命頑張りたいという
気持ちはわかりますけれども、私はそのことが絶対にうまくいかないという感じがするんですね。もしあなた方一方の方の、こちらでドラスチックに効果が上がるようなものがあれば、少々わかってくださるかもしれませんよ。しかし、こちらの方が台なしにされて、こちらの方だけうまくといっても、ちょっと化粧を変えただけで消費税等が拒否反応がなくなるということを
考えること自体がやはり甘過ぎると私は思うのですね。後でそれはいろいろと申し上げますけれども、実際はこの見直しというのも
考えれば
考えるほど難しいですね。本当に難しいですね、これは。消費税という税体系を変えない限り、簡単なものじゃないですよ、こんなのは。結果的にはちょっと薄紅をつけたくらいになるでしょうね。それで
国民がどう反応するか。それが次の衆議院選挙でしょう。それはまた後で質問させていただきますが。
ところで、ちょっと脱線しますけれども、その資産大国の問題ですね。ことしの経済白書によりますと、八七年末の
国民総資産残高は五千三百三十八兆円。
世界一ですね、これは。このうち土地の資産が千六百三十三兆円。
日本全体の正味資産、
国民純資産というのだそうですが、二千五百四十六兆円で、このうち六四・三%は土地が占めている。だから、こんな高い資産価格であれば、アメリカの土地が四つも買えるとか、
日本の二十五倍ぐらいの面積ですから、土地の単価はアメリカの百倍に相当する。こんなのは気違いざたですね。そして、八七年には土地資産の増加分が、付加価値分が初めて
GNPの三百四十五兆を超えて三百七十四兆となった。土地が幾らインフレになって値が上がっていっても、全然
国民全体にとっては生活が豊かになることじゃないですよね。もともと一年間かけて全
国民が一生懸命働いてつくった付加価値よりも土地の値上がり分が大きいなんというのは、
国土庁長官、今度のを見ておって血が本当に騒いで、本当にやろうかなと思わぬと男じゃない、そんなのは。現に一番大きな問題は、先ほど言いましたように、白書にも書いてありますように、地価の上昇によって土地資産の評価額が名目的に膨らんだところで
国民生活の豊かさに直接結びつくものではないから、これを国富の水膨れだという。企業はこのような土地資産を持って、土地価格は上がりますと担保価値が膨れますから、それでまた金を借りてまた土地を買うことができる。サラリーマンは一生懸命家を買おうとして貯金をするけれども、その貯金した金が土地に回って値が上がって結果的にはどんどんマイホームの夢は遠ざかっていく。あるいはまた、企業の株ですね。株もかなり上がりましたね、これは。企業が持っておる株、持ち合いをやっていますから、大体今上場企業で八八
年度で六七・四%株式の持ち合いをやっていますね。このあたりアメリカから非難されておりますが。これはやはり高株価を維持する
一つの装置ですよね。そして土地が上がる、株も上がる、株が上がったらまた土地も上がる、そういう総合的にお互いに関連しながら、結局どんどんどんどん株も上がれば土地も上がっていく。会社が大きな株価になれば、それだけ時価発行を通じて低コストの資金を調達できる。また株式の担保が上がりますから銀行借入限度もふえていく。いいことばかりなんですね、これは。今はですよ。土地が上がる、株が上がる、このことが逆に現在の繁栄の一部を支えているかもしれませんね。
しかし、このことは何を
意味するかといいますと、そこのふえるところはどんどん大きくなるけれども、それにあずからない人はみんな劣後に置き去られていって、サラリーマンのみはどんどんどんどん打ち砕かれていくという、そういう仕組みが現在の
日本の経済
社会の中にもしはまり込んでしまったとするならば、一体どういうことになるのだ。持てる者はますます富み、貧しさ者はますます貧しくなる。マルクス、レーニンの何か本を読んでいるようなものだ。ここまで高度に発達したこの
日本の
社会が、今やそういう土地や株の水膨れの結果、何かそちらの方に総崩れしていくのではないか。うまくいっているときはいいですよ。水膨れの上の経済ですから、それは拍車をかけたら伸び率は高いでしょう。しかし一たん崩れ去ると、その人だけの被害じゃない、
国民全体の被害になる。もう少しこの水膨れ経済というものを直視して、もう一回経済を改めていく、そういうことに取り組まないと大変なことになるのじゃないのかな。じわっとボディーブローが効いて、十年先、二十年先
日本は大変かもしれませんよ。その上
高齢化社会だ。そのあたり一体
経済企画庁長官、どういうふうに今のこの水膨れ経済を見ておられるのか、何が問題だと思っておられるのか。また
総理大臣、それを変えていかねばならぬ、そういう発想がありますか。
国土庁長官、もう早く土地ぐらいはおさめるようにしましょうよ。特に土地税制等も積み残された問題です。残念ながら土地基本法がまだ審議が始まっておりませんけれども、早く成立させて、でき得れば、もう土地は少なくとも投機の対象にしないというような税制、持っておったらもうかるなんという土地神話を崩すような税制、そして
それなりに
社会開発が進んで、値上がりした分についてはお返し願って、その分で
社会開発をしていくというルール、そういう三つの少なくとも原則を守った土地税制をぜひつくるべきだと思う。
これは大蔵
大臣に尋ねると同時に
国土庁長官にも御答弁いただきたい。