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1989-11-17 第116回国会 衆議院 法務委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十七日(金曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 戸塚 進也君    理事 逢沢 一郎君 理事 井出 正一君    理事 井上 喜一君 理事 太田 誠一君    理事 坂上 富男君 理事 中村  巖君    理事 河村  勝君       赤城 宗徳君    伊藤宗一郎君       上村千一郎君    尾形 智矩君       木部 佳昭君    佐藤 敬夫君       谷垣 禎一君    戸沢 政方君       稲葉 誠一君    山花 貞夫君       冬柴 鉄三君    山田 英介君       滝沢 幸助君    安藤  巖君  出席国務大臣         法 務 大 臣 後藤 正夫君  出席政府委員         宮内庁次長   宮尾  盤君         法務大臣官房長 井嶋 一友君         法務大臣官房審         議官      米澤 慶治君         法務省保護局長 佐藤 勲平君         法務省入国管理         局長      股野 景親君  委員外出席者         内閣官房内閣参         事官室首席内閣         参事官     多田  宏君         農林水産省構造         改善局建設部開         発課長     菊岡 保人君         運輸省国際運輸         ・観光局観光部         企画課長    玉置 佑介君         運輸省港湾局開         発課長     高橋 通夫君         労働省職業安定         局次長     齋藤 邦彦君         法務委員会調査         室長      乙部 二郎君     ───────────── 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   大塚 雄司君     谷垣 禎一君   佐藤  隆君     佐藤 敬夫君   塩川正十郎君     尾形 智矩君 同日  辞任         補欠選任   尾形 智矩君     塩川正十郎君   佐藤 敬夫君     佐藤  隆君   谷垣 禎一君     大塚 雄司君     ───────────── 十一月十六日  刑事施設法案反対に関する請願佐藤祐弘紹介)(第三四一号)  同(野間友一紹介)(第三四二号)  刑事施設法案の廃案に関する請願寺前巖紹介)(第三四三号)  同(金子満広紹介)(第三四四号)  同(不破哲三紹介)(第三四五号)  同(松本善明紹介)(第三四六号)  同(村上弘紹介)(第三四七号)  民事保全法案反対に関する請願安藤巖紹介)(第四二六号)  同(安藤巖紹介)(第四五八号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六三号)  民事保全法案内閣提出、第百十四回国会閣法第四〇号)      ────◇─────
  2. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより会議を開きます。  内閣提出出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。坂上富男君。
  3. 坂上富男

    坂上委員 出入国管理及び難民認定法及び職業安定法等に関する改正について、少し補充的に質問をさせていただきたいと思います。  不法就労外国人の基本的な考え方、これは法務省はどういうふうにお考えでございますか。
  4. 股野景親

    股野政府委員 不法就労外国人というものは、これは我が国及び我が国の近隣の諸国との経済格差あるいはこれらの諸国における経済事情等を原因として日本に来ておる、そして日本において、在留する際の基本的な法的な枠組みである在留資格とか在留期間、こういう制度を潜脱あるいは無視するということをしつつ就労をしている、こういう外国人を我々は不法就労外国人考えているわけでございますが、こういう者をそのまま放置しますことは、我が国社会安寧秩序というものに悪影響を及ぼすことはもとより、これに関係するブローカーとか悪質な雇用主による搾取などのような人権侵害をまた放置するというようなことにもなるものと考えます。  そこで、不法就労外国人につきましては、まず入国審査厳格化、厳格な入国審査の実施ということによってその入国を阻止するということが一つ。それからまた、そういう不法就労外国人を、日本におります者につきまして摘発を適正に、厳正に行うということによってその増加を防止し、また我が国での定着も防止する。最後にまた、不法就労外国人日本に来ることになるその吸引力推進力になるようなそういうブローカー雇用主に対して厳しく対処していく、こういうことが必要であろうと考えております。
  5. 坂上富男

    坂上委員 そういたしますと、不法就労外国人労働者は、一体日本ではどれぐらいおると把握をしておられるのでございますか。
  6. 股野景親

    股野政府委員 これはなかなか実際の数について正確に把握をすることは困難ではございますが、先ほど申し上げました不法残留あるいは資格外活動等関連不法就労を行っておる者というものについては、私ども電算統計もと推計いたしますと、十万人を超えるぐらいの数が現在おるのではないかというふうに考えております。
  7. 坂上富男

    坂上委員 一説によりますと、三十万とも言われておりますが、これはどうですか。
  8. 股野景親

    股野政府委員 私ども推計は、これは先ほど申し上げました出入国管理統計もと推計をいたしておるものでございますので、私どもとしては先ほど申し上げたような十万を上回るような数というものが大体その規模ではないかと考えております。
  9. 坂上富男

    坂上委員 そこで、今回の改正不法就労締め出しを強化するものだ、こういうふうにも言われておりますが、そういたしますと、これは十万人以上に及ぶところの不法就労者である外国人を順次国内から出てもらう、こういうような対応をなさるのですか。そうだといたしますと、大体この十万人、どういうふうになさるおつもりでございますか。
  10. 股野景親

    股野政府委員 先ほど申し上げましたように、現在不法就労を行っておる人間についての摘発の努力を今後傾けてまいりますが、それにつきましては順次、法の規定に基づいて退去強制ということを行っていくという方針でございます。
  11. 坂上富男

    坂上委員 また後でそれは聞きますが、労働省の方、職業安定法五十三条の二が新設になるわけですが、法務大臣連絡あるいは協力規定しておるわけでありますが、この目的はどういうためでございますか。
  12. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 今回の入管法改正法におきましては、職業安定法改正していただくようにいたしておりますが、この趣旨といたしますところは、外国人労働者受け入れの問題と申しますのは、やはり我が国社会経済にいろいろな影響を及ぼすだけではなく、我々の所管しております意味での労働市場というものにも直接大きな影響を与えるものではないかというふうに考えております。そういう意味におきまして、労働力需給の適正な調整を図るためには、労働省法務省、十分に連絡あるいは協力をしてやっていく必要がある、こういうような趣旨でこの職業安定法改正規定をお願いしているところでございます。
  13. 坂上富男

    坂上委員 具体的にどういうことを求めるのですか。大体項目別に言ってみてください。
  14. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 具体的な協力あるいは連絡ということでございますが、現在のところで考えておりますのは、具体的に申し上げますと、在留資格審査基準の作成あるいは見直しというような際の十分な連絡協議というのもあるだろうと思いますし、それから、個々の外国人労働者入国審査に当たりましても、必要があるとすれば個別的な協議というようなものもあるだろうというふうに思っております。さらに、不法就労対策の実効を上げるために両省間のいろいろな情報の交換というようなこともあるだろうというふうに思っております。
  15. 坂上富男

    坂上委員 法務省の方は、これについてはどの程度応ずるという意味を持つのでございますか。
  16. 股野景親

    股野政府委員 これは私どもの方とそれから労働省の方とでそれぞれ相互協力ということになるわけでございますが、基本的には、労働需給に非常に関係のあることについての、例えば関連する問題についての基本的な統計その他の情報を提供する、こういうことが我々の方として労働省側協力をするということになろうかと思います。
  17. 坂上富男

    坂上委員 労働省の方は、先刻問題になりました不法就労外国人問題はどういうふうにこの条文との関係において対応されようとしておるのですか。
  18. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 先ほど入管局長からお答えがございましたように、不法就労というもの自体につきましては好ましくないことだろうというふうに思っております。したがいまして、不法就労によって我が国労働市場に、あるいは我が国労働者労働条件にいろいろ影響を及ぼすというようなことは避けなければならないというふうに思います。そういう意味不法就労につきまして有効な対応策というのは、私ども労働市場の適正な維持というのを考えなければならない立場といたしましては十分にやっていかなければならない。そういう意味法務省とも十分に御相談しながら不法就労対策につきまして有効な対処をしていく必要があるだろう、こういうふうに考えております。
  19. 坂上富男

    坂上委員 ちょっと抽象的に過ぎるのですが、さてそこで、約十万に及ぶところの不法就労者問題、確かにこれは法に違反しておることは間違いないのでございますが、しかしまた一面、この間の難民あるいは偽装難民もやはり経済的な要求の中からやむにやまれずこちらに来ている方も相当あるわけでございます。しかもまた、日本にそういう形の中で十万人が結果的には在留をしておるわけでございます。十万人といえば、日本にとっては今の労働力需給から見たらそんなに問題にすべき問題ではないわけであります。先般の委員会におきましても、これは何とかならないのか、十万人についてはある程度何らかの救済方法はないのか、こんなような御意見も出ておるわけでございますが、法務省労働省の方は必ずしもその意見に賛同してないという状況もあるわけでございます。  しかし、やはり国際的に見まして、今までで不法就労者、いわゆる資格のない人が約十万人、しかも、今の日本はもう本当にのどから手が出るように労働力を欲しがっているわけであります。しかも、不法就労労働者というのはほとんど何らかの形の中で働いておられると思うわけでございます。また、これらの人たち生活権の問題もあるわけであります。そして、それなり日本に入ってきておるわけでございまして、特に犯罪を犯して入ってきたというよりも、入ってくること、在留すること、そのことが法律違反ではありまするけれども、実体的な違反というのは余りないんじゃなかろうか。  そんなようなことから見ますと、ひとつこの改正を機会に私たちは、この問題をいま少しいわば人権救済という部面の中から問題をえぐってみて方法を講じてみていいんじゃなかろうか。何といたしましてもこれだけ日本労働力が要望されている中で、殊さらこの法律をつくりまして十万人を逐次国外に追い出す、こういうことはどうもやはり問題があるのじゃなかろうかというふうなことは私は感じておるわけでございますが、こういう点ひとつ局長さんあるいは労働省、そしてこの問題を踏まえまして大臣のお考えもこの点について少しお聞きをさせていただきたい、こう思っています。
  20. 股野景親

    股野政府委員 まず、不法就労をしている人の取り扱いでございますが、不法就労はやはり入管法という観点からの違法行為でございますので、それに対する対処というものは適正、厳正に行っていく必要があると考えております。  他方、ただいま先生御指摘のその不法就労者についての人権という点、これは先般の法務委員会でも御審議を願ったところでもあり、人権ということについての考慮ということは、これは入管当局としても当然十分念頭に置いた対処ぶりが必要であろうと考えておりますが、しかし不法就労ということ自体については法の規定に従って対処するということが必要だろうと考えております。
  21. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 私ども立場から申し上げますと、いわゆる単純労務者と言われる方たち入国の問題ということになると思いますが、現在の我が国、確かに労働力不足という面がございます。特に関東地域におきましては求人倍率二倍を超えるような状態もございます。ただ、一方におきまして地域的に非常にまだ雇用失業情勢改善のおくれている地域もございます。北海道、九州、沖縄というようなところはまだ求人倍率一倍になっておりません。さらに高齢者、特に五十五歳を超えますと求人倍率が一を割ります。五十五歳を超えたような高齢者の方についての失業問題というのはまだまだ大きいものもございます。六十歳を適えますと〇・一七倍くらいになります。そういう意味でまだまだ我が国におきまして労働力不足といいましても、その中にはいろいろな問題点があるというようなこともございます。  さらにつけ加えさせていただきますと、このような労働力不足が市場一般に言われるようになりましたのはごく最近のことでございまして、ここ一、二年のことでございまして、それ以前には非常に失業率が急騰したような時代でございまして、我々緊急の雇用対策をいろいろやらなければならなかったような時代がございました。  そういうようなもろもろの事情考え合わせますと、外国人ならでは技術技能を有しておられる方に我が国において働いていただくということは、これは大いにやっていただきたいというふうには思いますけれども、いわゆるそれなりの能力のない、だれでもできるような労働というものにつきまして外国人労働力を今直ちに受け入れるというのはいかがか、もう少し広範な観点からの議論が必要ではないか、こういうふうに考えております。
  22. 後藤正夫

    後藤国務大臣 お答えいたします。  ただいまの坂上委員の御意見一つの御意見であると存じます。今政府委員から政府考え方についてはお答え申し上げましたが、現在単純労働に従事しております不法労働者については、個人的にはいろいろ同情すべき問題もあると思いますけれども、しかし不法残留等をしている者をその まま認めていくということはやはり今後けじめがつかないことになると思いますし、また、かつて先進国と言われたヨーロッパ諸国の例を見ましても、この問題は非常に深刻な問題になっていたことでもありますので、今回の改正後におきまして、やはりいろいろな御意見もございますので、これを検討をしていくということは必要なことであるというように考えております。
  23. 坂上富男

    坂上委員 ぜひ質問趣旨をできるだけひとつ生かしていただきますようお願いしたいと思います。  その次には、今回の改正在留資格拡大して明示した、こう言われておるわけでございます。これはこれで結構でございますが、在留資格が縮小した業種といいますか、そういうのはあるのですか。
  24. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘在留資格の変更でございますが、これは私どもかねて御説明申し上げておりますように、新しく入管法上の在留資格について十種類を加えまして二十八にいたしたということでございます。そういう意味で、まずその在留資格の面でも受け入れ範囲拡大が図られております。  それからまた、現在設けられている在留資格、例えばこれは報道関係、あるいは例えば研修といったようなものがございますが、そういう活動範囲についても、これも拡大するということも考えておりますので、そういう意味で皆、その受け入れ及び活動範囲については拡大を図っているものである、こういうことでございます。
  25. 坂上富男

    坂上委員 これはいかがでしょうか。不法就労者を締め出す、それが主たる目的で、そしてそれを偽装といったらおかしいですが、在留資格拡大して、それによってこの不法就労締め出し部分をできるだけ——入管法改正は決して不法就労締め出しだけが目的ではないのだということをおっしゃりたいというような感じもしないわけでもありませんし、また新聞ではそういうような記敵もあるわけでございますが、これはどう理解したらいいのでございます。     〔委員長退席井上(喜)委員長代理着席
  26. 股野景親

    股野政府委員 この入管法改正案の第一の柱は、私がただいま申し上げました在留資格の新しい整備によりまして専門的技術技能知識等を有する外国人受け入れをまさに拡大するということでございます。  また、入管法改正案の同じく第二の柱になっております入国審査迅速化ということも、これもそういう専門的な技術技能知識等を有する外国人についての受け入れを容易にするということでございますので、そういう意味での外国人の、資格をきちんと有する外国人受け入れについては、これはまさに拡大し促進する、こういう意図でございます。  もう一つの三番目の柱として、現在非常に社会でも問題となっておる不法就労、これに対する対応策というものも、これはきちんとしなければならぬという点で、その点も本改正案の重点でございますが、同時に、ただいま申し上げました前段の受け入れ拡大、そしてそれをまた効率化する、これも同機に重要な柱となっております。
  27. 坂上富男

    坂上委員 そこで、いわゆる大学に通う留学生は届け出なしに週二十時間のアルバイト、また各種学校就学生は届け出れば最高週二十時間までの就労が今まで認められておった。今度は許可が必要となる、こういうことなんですが、この許可というのはどういうことでございますか。アルバイトを二十時間やることについて御許可をいただく、こういうことになって、許可しないというような事態も起きるわけでございますか。これはどういうふうに解釈したらいいのですか。
  28. 股野景親

    股野政府委員 これら留学生就学生アルバイト活動について新しく許可を受ける、こういう制度を現在考えておるわけでございます。  では、そのアルバイト内容はどうするのかということでございますが、これはまじめな学生が本来の学業を補助するためのアルバイトとして必要な範囲ということを当然考えてまいりまして、そのために、アルバイト学生さんで、まじめに学業に専念し、かつ、補助的にアルバイトを行う、こういう人たちアルバイトについて今までよりも支障を感ずるというようなことがないようにするという、この配慮は必要だと考えておりますので、その具体的な許可中身については、これは関係省庁とも相談を十分した上で、今申し上げましたように、まじめな学生さんのアルバイト内容支障を来さないよう配慮をしてまいるつもりでございます。
  29. 坂上富男

    坂上委員 就学生と言われる諸君はどれぐらいいるのですか。それから、 留学生はどれぐらいおられるのですか。これと、今度皆さん方仕事関係はどうなりますか。     〔井上(喜)委員長代理退席委員長着席
  30. 股野景親

    股野政府委員 就学生留学生でございますが、まず留学生につきまして、これは昨年、昭和六十三年末の在留統計でまいりますと、日本留学をしておる留学生、 これが二万九千百五十四という数を持っております。他方就学生につきまして、同じ昭和六十三年末の統計でございますが、四万七千八百二十七名という方が就学生として在留しておる。以上が私どもが持っておる昨年の統計でございます。
  31. 坂上富男

    坂上委員 これが週二十時間単位許可をもらうのか、あるいはあなたは六カ月間いることができるんだからこれ全体に許可を与えるというのか、どういうやり方をするのですか、こういう場合。
  32. 股野景親

    股野政府委員 委員御高承のとおり、昨年来就学生アルバイト活動というものの中身が非常に、我々入管当局もとより、社会でも問題にされたわけでございまして、それは本来の学業とそれからアルバイトのバランスが、やはりきちんと本来学業本位であるべきものが本末転倒しておる、こういうような事態はぜひ是正しなければいけないということで、特にこの問題の多かった就学生につきまして昨年来各般の指導を強化してきておるということがございます。そのことは今後もぜひきちんと続けていかなければならないと考えております。  他方、先ほど申し上げました本来の学業に専念している方が学費を補助するためのアルバイト、これはやはりきちんと認める、こういうことも必要だと考えておりますので、まさにそういう意味学業を本来とし、そしてそれを補助するための学費補助アルバイト、この実態が確保されているかどうか、これを許可するときに見ていくということでございまして、その許可の具体的な中身について、先ほど申し上げましたように、関係省庁とも十分相談の上決めてまいりたいと考えております。
  33. 坂上富男

    坂上委員 だから、これは賛成するかしないかに重要にかかわるわけですね。  例えば、週二十時間あなたは許可しますよといって一週ごとにもらうのか、あなたは二十三時間やったからもうこの次の週はやれませんよ、こういうふうになるのか、具体的にどういうふうに運用されるのか。これはこれからの協議だ、これからの協議だでは、ちょっとばかり私たちも賛同いたしかねる事態も起きるのじゃなかろうか、こう思うものだから実は聞いているわけです。今までだったら、週二十時間働いていたのか、あるいは学校にまじめに出ていたのか、あるいは丸々仕事ばかりしていたのだ、こういう場合は在留延長にかかわっていたようでございますが、今度は労働そのもの許可制度ということになりますと、皆さんの方も人手が足りないで過労死されるような事態が起こっている、一方、就学生らもこの問題についてはできるだけひとつ厳格でないようにということを願っているわけでございます。  ただ、確かに問題のあるのはこれは厳格にしてもらっていいのでございますが、まじめな普通の就学生について一々時間単位許可をもらうのか、週単位許可をもらうのか、一カ月単位でもらうのかというようなことによっては、皆さん方の労務に大変な影響を及ぼしますし、これを規制をされる就学生にとってはまた大変なことでもあ ります。でありまするから、今まででありましたら在留期間延長というところにかかっていたわけでございますが、今度は在留資格関連をいたしまして許可か不許可、そしてそれに違反した場合は退去、こんなような事態になりかねないわけでございますから、ちょっと具体的にきちっとこういうやり方ですというようなことが言えたら言っていただきたいと思いますし、今局長がおっしゃったとおり、普通のまじめな諸君についてはそれができるだけ強化にならないようにしたい、こうおっしゃっておりますが、具体案というのはないのですか。
  34. 米澤慶治

    米澤政府委員 委員の御質問具体案はないのかということでございますが、現在内部で検討しております具体案について御披露申し上げたいと思います。  従来は、御承知のように、週二十時間程度のアルバイトをどちらかといえば自由にさせてきた嫌いがあるわけでございますが、その結果として、就学生の中には専らアルバイトをしてしまいまして、本来の目的を達成できない方が相当程度おられて、問題化しております。  そこで、今回は、在留資格を整理するに当たりまして、就学留学在留資格も、就労することのできない在留資格の表の方にまず入れました。したがいまして、就労しようとする場合には、資格外活動許可申請をしていただいて、許可をとっていただくということになります。しかしながら、留学生就学生も余り経済的に恵まれない国からおいでになる方が多うございますので、アルバイト必要性が十分考えられると思いますから、その資格外活動許可申請の手続のやり方あるいは許可の与え方等において十分な考慮をしようということから、これは例え話になって恐縮でございますが、まだ想定する範囲内で企画しておるところでございますので、例えばと申させていただきますが、例えば留学先大学から包括的に、この学生がこういう種類アルバイトをして学費を稼ぐことになるので許可願いたいというような代理申請的な手続も考えてあげられますし、あるいは在留期間内、例えば一年在留される人であれば、一年間分の一括した許可ということも配慮いたしております。  それから、時間によって制限するかどうかも非常に合理性、不合理性の両面ございますので、どういうふうにして与えていくかということを今ちょっと検討中でございまして、必ずしも週二十時間ということを、そういう規制をしていくかどうかちょっとまだ決めてございません。むしろ学業に差し支えのない範囲でというような抽象的な基準にしておいて、出席日数等がアルバイトによって落ちてこないかどうかというチェックをすることによって、アルバイトをある程度できるようにしてあげるというようなことも今考慮しております。  したがいまして、今委員質問の、一週間単位かというような御質問に対しては、そんな区切った細切れの許可制度考えておりませんで、一年間就学生としておられるとすれば、むしろ一年間の包括的な許可になるだろうと考えております。     〔委員長退席井上(喜)委員長代理着席
  35. 坂上富男

    坂上委員 今審議官が御答弁の中で、いわゆる日本学校から申請手続をとる場合もあり得る、こういうことでございますが、この日本学校がそもそも問題があるわけでございまするから、この問題は私はいろいろ問題をはらんでおるような気がいたしますので、後で附帯決議も申し上げさせていただきたいと思いまするが、やはり仕事を強化することは皆さん方の人員も必要だし、それからこれを受ける就学生たちにとっては大変厳しい状況になる。しかもまた、日本学校もこの手続をする。そして、日本学校はそれによって相当な権限を得る。権限を得て、そのことが悪用されないだろうか。そんなようなことも実は心配してならないのでございますが、問題の指摘だけをさせていただきます。  次に、これと同じく在留資格審査基準を省令で定める、こう言っておるわけでございますが、この大綱だけでも言ってください。省令できもっとこうこうというのを本当はしてもらわぬと実際の審議になじまないわけでございますが、まだできていないのでしょうから、大綱だけでもいいですから、この審査基準の省令の内容的な大綱をわかったらひとつできるだけお話しください。
  36. 股野景親

    股野政府委員 委員指摘審査基準を省令で定める点は、これは私どもかねて御説明申し上げておりますように、できるだけ一般の方にもわかりやすい内容にしたいと思っております。今の時点ではまだ具体的に文章の形で御説明申し上げる段階に至っておりませんけれども、その中身として、まず外国人側については、外国人の職種、それから地位、学歴、経験、職歴、その他持っている資格、こういったものをそこで明示をすることになります。  他方、今度は受け入れ側の機関につきましても、その受け入れ機関の内容、規模、実績等に関して示すということになりまして、今申し上げましたそのような内容を具体的に、また客観的に表現する、こういうことで、今成案を得るべく努力中でございます。
  37. 坂上富男

    坂上委員 皆さんの説明では、「審査基準の明確化と入国審査手続の簡易・迅速化を図る」、こう言っておるわけであります。そして、その審査の基準を省令で定めて、一層透明性、公平性を確保し、量的、質的な面から入国の管理を行いたい、それはそれで結構でございますから、具体的にもうちょっと、省令での審査の基準というのは、どうですか、十カ所ぐらいだあっと言えないものなんでございますか、大変抽象的ですが。
  38. 米澤慶治

    米澤政府委員 お答えいたします。  委員御承知のように、今度の改正法律案の中に、省令で審査基準を決める場合に、関係省庁協議の上決定するということになってございますために、今から私の申し上げますことは法務省の入管事務当局で考えていることを御質問ですからお答えする、したがいまして、協議をいたしました結果若干修正されたりしますが、例え話で恐縮ですが、例えば「投資・経営」という在留資格がございます。この「投資・経営」というのは、事業活動をなさるわけですけれども我が国社会にとってプラスの方向の事業活動でなければならない。つまり計画倒産なんかをされるような事業活動では困りますから、そういう意味合いから、例えばその事業経営に参加する人の事業本体がどのような規模の資本額を持っているかとか、いろいろなことを吟味いたします。そこでさらにその投資・経営に参加する方につきまして、例えば日本人が当該業務に従事する場合に受けると同程度の報酬を受けられるような保障があるかどうか、つまり事業に参加して経営をされる人に対して日本人と同じような報酬、待遇が保障されているかどうか、あるいは三年以上引き続いて管理職として経営参加をした経験を持っておられるかどうか、つまりずぶの素人では事業経営はできないだろうということから、そんな基準も考えることになろうかと思います。  それから、例えばそれ以外の、管理職以外の基準等もございまして、ほかの在留資格を言いますと、例えば「研究」の項がございますが、「研究」の在留資格なんかになりますと、今度は当該研究に従事する人がその研究をするに足るだけの学歴を持っているかどうか、それから経験を有しているかどうかというようなことを具体的に、例えば三年以上の経験とか大学院を卒業しているかどうかとか、そういうふうなことから基準を設けようと考えておりますし、例えば「教育」なんかになりますと、母国語または十年以上の教育を受けたとか、あるいはそういう教育に従事する人に必要な素質、才能があるかどうかというような観点から、やはりこれも経験とか学歴とかあるいは言葉の能力とか、そういうものを基準に設けるというふうに考えております。  いろいろございますので、時間がかかりますから今のような例だけにとどめさせていただきますが、新しくつくります「企業内転勤」がまた御関心があるだろうと思いますので、そちらも例を挙げ ておきます。  この基準といたしましては、外国の本店、支店その他の事業所に一年以上継続して勤務した人であることをまず前提にします。つまり、外国にあります事業所に雇われてすぐ日本に転勤してくるということは摩訶不思議でございますので、一応一年以上在職された人というような枠をはめようと今考えております。それから、先ほど申しましたように、日本人が同じ職につけば保障されるであろうような待遇を受けられることの保障があること、つまり月給が大体日本人並みであるとかあるいは社宅が与えられるとか、いろいろな条件を考える。それから、長期間日本にある企業に来て働かれるのはこれまた問題でございますので、三年を超えない範囲内に限って日本に転勤してきて日本で活躍され、そこでいろいろな営業上のノーハウを勉強されてまた現地の方にお戻りいただくという前提でこの企業内転勤を考えておりますから、三年を超えない範囲内で日本で活躍されることとなる人というような、具体的かつ明確な基準をつくっていきたいと考えております。
  39. 坂上富男

    坂上委員 もう一つ具体的に聞きますが、今まで入国審査あるいは在留資格審査というのですか、こういうものについて時間が大体平均どれぐらいかかった、この省令でいきますと今度はこれぐらい短縮できますと言えますか。
  40. 米澤慶治

    米澤政府委員 まことに難しい御質問で、一概になかなか言いにくいことでございます。  御承知のように、事前審査を仮にこの省令に基づいてやります場合でも、案件ごとに複雑多岐な内容を持っておりますので、例えば平均的にこれは一月でできるものが半月ぐらいになるというようなお答えはできませんけれども、今この審査基準を明確化し、かつ、改正内容にございます事前の審査をして在留資格認定証明書を出すというシステムをやりますと、物すごくアバウトな話で恐縮でございますが、現在よりは半分以下の時間内にできるのではないかと推定しております。  と申しますのは、現在は在外公館にビザ申請がございますと、在外公館から外務省経由法務省に合い議がございまして、その上で審査をいたしまして、また同じ経路を通って返っていく、オーケーが出るというような形をとっておりますが、現在のような審査基準を明確化し、かつ事前の審査ができるような、我が国の中で関係人が事前審査を申請されるようなシステムを開発すれば、少なくともルートから見ただけでも半分ぐらいの時間内に処理ができるのではないかと見込まれます。
  41. 坂上富男

    坂上委員 じゃ、それに引き続いて、関連するわけですが、東京入管、大手町ですか、この窓口をふやすというようなことでございますが、どんな程度の規模ですか。それから、この時期はいつからですか。したがって、今まで待ち時間どれくらいかかったのがどれだけ短くなるのか、できるだけ詳細に見通しだけでもお話しください。
  42. 米澤慶治

    米澤政府委員 委員御承知のように、窓口の拡大といいますか充実といいますものは、人員の増加とかあるいはスペースの確保とか、財政当局なりあるいは総務庁なりの御査定をいただかないといけませんものですから、現在具体的には内々交渉いたしておりますが、鋭意努力をしてその方向に動いておりますけれども、査定官庁の査定を待っておるところでございますから、具体的、詳細には申し上げられません。ただし、可及的速やかに窓口を広げていき、そして窓口で応接する職員の数をふやしていきたいと思っております。と申しますのは、委員も現場を見ていただきましたが、待ち時間が相当程度、数時間に及んでおりますので、待っている方々の人権問題も考えなければいけません。それから、職員の労働条件改善考えなければいけません。そういった観点から最善の努力をしたいと思っております。
  43. 坂上富男

    坂上委員 これも抽象的で、大蔵省が来て、大蔵省が予算許可するか、そうでなければ答弁できないみたいな答弁だと私は思っているのです。だから、法務省としては幾つふやしたいと思います、そしてその待ち時間を、半分だとおっしゃるわけですが、実際平均的な待ち時間が何時間かわかりませんが、これぐらいに短縮したいと思います、これは法務省の計画ですからびしっと言うてくださって、やらぬのは大蔵省悪いのだから、これまたやり方があるわけでございますから、ひとつ希望なり計画なりをお話しください。これ、大蔵省は話をするななんて言って圧力かけているかどうかわかりませんけれども、もう少し詳しく言ってもらいたいですな。
  44. 米澤慶治

    米澤政府委員 あくまで私どもの内部での計画ということでお聞きいただきたいのでございますが、大手町の現在の東京入国管理局のカウンターは混雑をきわめておりますので、別途関東財務局らのお計らいで国有地をあっせんしていただくことができれば、品川に分庁舎のようなものをつくりまして、在留資格を分けまして、ある種のものは品川の方に行っていただくとか、あるいは目黒に裁判所関係の建物がございます。お借りできるかどうかまだ本決まりでございませんから、あくまで私の計画ということでお聞きいただきたいのですが、その庁舎がもしお借りできれば、そこにも内陸型の出張所あるいは分室のようなものをつくって窓口の分散を図りたいなということで計画をしております。
  45. 坂上富男

    坂上委員 もっと聞きたいのですが、これも精いっぱいの御答弁でしょうかね。  今度、こういう場合はどうなりますか。就労資格証明書を所持していない外国人を雇い主が資格ありと信じて雇用したが、事実上資格がなかった場合の雇用主の責任、これはどうなりますか。
  46. 米澤慶治

    米澤政府委員 まず、今の御質問は罰則、新しく設けます雇用主等の処罰規定とのかかわりを御質問だと思いますのでお答えいたしますが、この雇用主等の処罰の規定は、当然のことながら故意犯でございますので、就労資格証明書の提示の有無にかかわらず、雇用主等が、つまり処罰の対象とされそうな方々が、その情を知らずに、不法就労者だということを知らずに誤って雇用されても、これは罰則の対象になりません。したがいまして、就労資格証明書を持っているか持っていないかの確認を怠ったとか、あるいは確認義務を設けるというような規定にはなっておりませんので、その点は御懸念には及ばないかと考えます。
  47. 坂上富男

    坂上委員 労働省にもあわせて質問ですが、就労資格証明制度というのは、その証明書を所持しない有資格者が雇用についてどうも締め出されるおそれがあるのじゃなかろうか、こういうことを皆さんが心配しているわけです。法務省はそういうことのないようにいたします、こう言っても、問題はやはり雇い主の問題なのですね。  雇い主ということになりますと労働省の問題にもなるわけでございます。もしも、きょういろいろ意見が出てきちっとせよとおっしゃいますれば、労働省の方としてはいわば外国人を雇うと思われるところの雇用者について何らかの指示、指導を必要とするのだろう、実はこう思っておるわけでございます。願わくは、私の方は法律改正をこの国会でお願いをしたいと実は思っているわけであります。いわばこれを提示できるかできないかによって差別してはならぬという条文を追加させていただきたいな、こう思っておるわけであります。しかし、これも本当に空条文になるおそれがあるわけでございます。したがって、行政がこれに真剣に取り組まぬと、いわばこの就労資格証明というのは悪用されたらとんでもないことになるわけであります。だから、その辺はもう絶対信用ならぬよ、賛成はできないよという意見も決してないわけではないわけであります。私たちそれなりに真剣に考えておるわけでございますが、一体こういう場合労働省雇用対策の上からどういう指導をなさるつもりですか。
  48. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 ただいま御質問の証明書でございますけれども、それはそれなりに簡便に在留資格があるかどうかを判断する一つの資料として役立つものではないかというふうに思いますが、それがある面で悪用されると申しますか、先生御懸念のような事態になりますと、それはまたそれで問題が起こるだろうというふうに思います。そういう意味におきまして、私ども、全国の職業安定所 等を通じまして事業主等に対しましていろいろな、外国人就労者を使うに当たっての注意事項と申しますか、この面だけでなくていろいろな面であるだろうというふうに思いますので、そういうものも含めまして適切に指導あるいはPR等をしていきたい、こういうふうに考えております。
  49. 坂上富男

    坂上委員 労働省、指導、PRはいいのですが、具体的にこういう場合差別なんか起きてくるおそれがあると私は思うのです。だから、労働省としては腰をきちっと据えて、これは法務省改正をしても労働省影響を及ぼす条文だと僕は思っているのですよ。労働省、その認識を持っていますか、本当に。そしてまた、この差別ができない、差別させない、任せてくださいと言えますか。どうです。
  50. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 先ほど申し上げましたように、外国人就労者が非常にふえてくる、また現実にふえてきております。そういうような事態を含めまして、適正な形でやはり事業主の方は外国人労働者を雇用していただかなければならない、またそれに当たっていろいろな外国人ならではの問題というのも起こってくるだろうというふうに思いますので、そういうことのないようにしなければならないというふうに思っております。したがいまして、先生ただいま御指摘のような点も十分頭に置きまして事業主には十分な指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  51. 坂上富男

    坂上委員 ぜひひとつ、私の質問が終わりましたらあるいは退場になるかと思いますが、できたならば私たちはこういう改正条文を入れていただきたいと言って今要請をしているわけです。結局「当該外国人が前項の文書を」、資格証明ですが、「提示し又は提出しないことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。」これは雇用主に対するあれです。そして、雇用主を指導監督するのは労働省でございますから、労働省はこの条文が入りましたら本当にきちんとしていただきませんと、こういうような差別をしたのが出てきますと労働省の責任なのです。おわかりでございましょう。本当にこの問題は大変な問題でございますから、我が党も真剣に問題を考え改正要綱をあれしているわけです。これがしり抜けになってしまったのでは私たち立場もないわけでございまするから、本当に労働行政の上で守っていただかぬといかないのでございますが、労働省、いかがですか。  それから、法務大臣、そういう問題があるのでございますが、御決意も賜りたい、こう思っております。
  52. 齋藤邦彦

    齋藤説明員 先ほども申し上げておりますように、先生の御趣旨の点を含めまして十分に事業主に対しましては指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  53. 坂上富男

    坂上委員 大臣、いかがです。
  54. 後藤正夫

    後藤国務大臣 お答えいたします。  ただいま坂上委員の御懸念といいますか御心配の点につきましては、この改正されました法律の運用に当たりまして、十分留意して運用するように努力いたしたいと思います。
  55. 坂上富男

    坂上委員 最後になりますが、ちょっと時間がありませんが、法務省、即位の礼の恩赦の検討、何かなさっておるというふうに政府筋は発表したようでございますが、どうなのでございますか。  明治天皇、大正天皇あるいは昭和天皇の御即位は恩赦が行われたわけでありますが、これは三代ともにあれでしょうか、どの程度の規模のものがなされ、今法務省はどういう検討をなさっておるのですか。ひとつ。
  56. 佐藤勲平

    佐藤(勲)政府委員 申し上げます。  御質問の過去の例をまず申し上げますと、明治元年九月八日に、明治天皇御即位御大礼、改元に際しまして恩赦が行われております。その内容は、当時は勅令でございますが、勅令恩赦として減刑令になっております。  それから次に、大正四年十一月十日の大正天皇の御大礼に際しまして、勅令恩赦として減刑令が公布されておりますほか、特別基準恩赦といたしまして特赦、特別減刑、特別復権が行われております。  それから次に、昭和三年十一月十日昭和天皇の御大礼に際しましては、政令恩赦といたしまして減刑令と復権令が公布されておりますほか、特別基準恩赦として特赦と特別減刑が実施されております。  以上の点、私どもで承知しておるわけでございますが、今度の即位の礼に際しましての恩赦につきましては、現在のところ全く白紙の状態でございまして、具体的な検討はいたしておりません。以上でございます。
  57. 坂上富男

    坂上委員 この新聞に、政府筋は、法務省は検討に入ったと言っているようですが、じゃこれは違うのかな。政府筋は十三日夕方、来年秋に行われる天皇陛下の即位の礼に関連して、昭和天皇の即位の礼に際しての恩赦などが先例として参考になるかもしれない、法務当局は事務的に勉強しているのではないか、こう述べて、今回も政府としての恩赦の実施を検討していることを示唆した、こう言っているわけでございます。これは全くそういう検討をしていないのですか。検討というか勉強、いつでも直ちに、はい、こうでございますと言えるような対応をとっていないのですか。
  58. 佐藤勲平

    佐藤(勲)政府委員 今申し上げましたように、過去の例については手元の資料でわかるわけでございますが、それ以上のことはいたしておりません。
  59. 坂上富男

    坂上委員 法務大臣、この問題、恩赦についてはどういうお考えですか。
  60. 後藤正夫

    後藤国務大臣 ただいま新聞に報道されたことにつきましては、私もその新聞を見ておりますけれども、今回の即位の礼に当たりまして、政令恩赦を適用するかどうかということにつきましては、法務省としてはまだ全く白紙でございます。
  61. 坂上富男

    坂上委員 法務大臣のお考えはどんなですか。
  62. 後藤正夫

    後藤国務大臣 今後検討すべき問題であると考えております。
  63. 坂上富男

    坂上委員 時間がありませんから終わります。  それから、農水省、運輸省大変恐縮でございました。時間がありませんので、二十二日に一般質問があるそうでございますから、そこでやらせていただきます。せっかく来ていただいて、本当に申しわけありません。ありがとうございました。
  64. 井上喜一

    井上(喜)委員長 代理 中村巖君。
  65. 中村巖

    ○中村(巖)委員 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  最初に、就労資格証明書制度についてお尋ねをいたします。  就労資格証明書制度というのは今般初めて創設をされたわけでありますけれども法務省の御説明を聞いておりますと、これはいわゆるサービスなんだ、こういうことでございまして、サービスはやってはいけないということはないわけで、サービスは大いにやることが望ましいわけでありますけれども、実際問題として、こういうサービスをやらなければならない需要というか必要性というものは本当にあるだろうかということは疑問でございます。むしろ余り必要性がないのに設けたのではないか、その意味では言ってみれば過剰サービスではないか、こういうような気がしてならないわけでありまして、どうしてこういうものを創設をするのかなということを考えてみますると、何かこれは西ドイツにおいて就労許可労働許可証を発行しているということになぞらえてつくったのではないかな、こんな感じがするわけでございます。ひところ、労働省労働許可証というようなものを外国人に対しては発行するんだ、こういうことを言っておりまして、これはいろいろ省庁間の協議でさたやみになったようでありますけれども、そのことに起因をするのではないか、こんな気も一方ではするわけでありまして、本当にこういうサービスをする必要性があるのか、その辺をお答えいただきたいと思います。
  66. 股野景親

    股野政府委員 実は就労資格という問題は、委員のただいま御指摘のあった問題について見ますと、これは当然在留資格にかかってまいります。そうすると、在留資格というものを一般の日本の方が何で確認するかということでございますが、 旅券あるいは外国人登録証明書というものも確かにあるわけでございますが、こういうものは本来的に本人がいつも持っているということが前提になっております。そうしますと、これを点検するというようなことについて、例えば預けるということがちょっとできないというような問題がございますし、それからまた、例えば資格外活動許可を得まして就労ができる、資格外活動許可を持っているのですが、それが旅券面には記載されない、あるいは外国人登録証明書にもその記載がないというようなことがありますほかに、また今の状況でございますと、外国人登録証明書あるいは旅券の上に記載されておる在留資格の表示というものも非常に略称的な書き方で書いてあります。  そういうことからしますと、在留資格就労できるものだということを見る点について、もう少しはっきりしたもので、かつ外国人の方の便利になるようなものを考えられないかということで、ただいまのようなことを念頭に置いて新しくこういう制度をつくりまして、これを外国人の方あるいは雇用主の側の方の便に供したい、こういうことでございますので、やはりその意味が十分ある、効果も発揮するものというふうには考えておるわけでございます。
  67. 中村巖

    ○中村(巖)委員 今局長の御答弁の中で、資格外活動許可が出た場合でも外国人登録証ないしは旅券に書いてないじゃないか、こういうお話もありましたけれども、原則的には就労する資格があるかどうかということは旅券なり外国人登録証を見ればはっきりしていることで、そういった意味では一々雇用主が証明書を持ってこいということは余りないんじゃないのかなというふうに思っております。また、法務省の方でも、就労資格を証明するといったって、何を審査して証明するんだということになれば、結局、この人はこういう在留資格を持っているからできるんですよ、こういうことだけで、じゃ法務省へ行ってどうするんだ、その外国人法務省へ行けば、自分のパスポートはこうです、ではあなたは就労できます、証明書を交付しましょう、こういうことになる以外にないわけですね。一体それ以外に、その人の持っているパスポートによって在留資格を確認する以外に何を審査するのですか。
  68. 股野景親

    股野政府委員 まさに在留資格そのものがこれに関係してくるわけでございますが、それはその活動内容が一般の方には必ずしも在留資格というだけでははっきりいたしませんので、そこで法文上もございますように、その人が行うことができる活動を証明する、それが収入を伴う事業を運営する活動あるいは報酬を受ける活動である、そういうことを明示的に示すということでございますので、在留資格を証明する以上の効果はあると思っております。
  69. 中村巖

    ○中村(巖)委員 個別的に人間によって審査するのではなくて、資格がこういう資格だから働けるんだ、そんなことが実態であるからには、要するに在留資格のうちこういうものは働けるんだよ、こういうものは働けないんだよということをPR活動によって周知徹底させればそれで足りることで、許可証を発行するなんということは必要ない。むしろ、どうしても法務省がサービスをしたいんだ、こうおっしゃるならば、こんな制度考えるよりも、本来的には、電話をしたならばこういう在留資格の人は働けますよということをお答えいただく、そういう窓口を設けた方が早いんじゃないですか。そういう、今度より簡便な方法でやった方がはるかにましだと思うのですが、いかがでしょう。
  70. 米澤慶治

    米澤政府委員 確かに、通常は委員指摘のような方法で簡便にできると思いますが、例えば、今回改正していただきます在留資格の一覧表の別表第一の五をごらんいただきたいのです。この五は「特定活動」という在留資格でございまして、個々具体的にこの在留資格で入ってくる方の活動内容を個別に定めてまいりますが、外国人登録証なり旅券には、この特定活動としかスペースの関係で表示ができません。ところが、この特定活動の中である種の職業につくことができるなんということを特定したといたしますと、その方は別途何らかの証明書を持っていないと非常に不都合でございます。  したがいまして、そういうことも非常にレアケースかもしれませんがありますし、私どもがこの制度考え出しましたのは、国際化社会にあって、日本もどんどん外国人を、いろいろな地球上の端々から来られる方を受け入れていくのが原則であろう、前向きに受け入れていくべきであろう。そうとすれば、定住外国人のように日本語のできる方以外の外国人が非常にふえてくるのではないか。その場合に、就労できる在留資格で入っておきながら、自分の在留資格を十分説明し切らないという人たちも入ってこられるだろう、その場合には、せっかくおいでになったのですから本来の在留活動をしていただきたい、そのための一助になればということから考え出した制度でございます。
  71. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そういうふうに説明をお聞きしておきますけれども、何か私としては余り釈然としないものがある。やはり法務省就労についてコントロールできるというか、そういう権限を有しているんだ、就労許可官庁なんであるというような外観をつくり出すためにこんな制度考えたのではないか、こう勘ぐりたくもなるわけでございます。  それはそれとしまして、次に、雇用主の処罰規定というものがありますけれども、これは附則とあわせて読まないとよくわからないわけで、これをこれだけ読むと、たちどころにこの法が施行になれば不法滞在の外国人を雇っていれば処罰されるんだ、こういうふうに思うわけでございまして、大変不親切な規定ではないかなというような感じがいたします。もう既にその種の、この条項が知れ渡っておりまして、そういう威嚇効果というか、それは非常なものがあって、そのために既にして解雇をされた人間というような者もおるわけでございまして、条文の規定の仕方というものをもうちょっと考えることはできなかったのかなというふうに思っております。  附則十一項によりますと、この新法の七十三条の二第一項というものが適用されるのは、これは既に本法施行の際本邦に在留していた者を除く、こういうことで、そうすると、不法に滞在していようが何の理由で滞在していようが、今現在日本にいる限り、この法律が施行される前に日本に到達していれば、これはそういう者を雇っても処罰されない、こういう趣旨でございますね。その後に、だから、この法律が施行をされた後に改めて入国をした者についてのみ適用がある、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  72. 米澤慶治

    米澤政府委員 附則十一項を設けました趣旨は今委員指摘のとおりでございますから、新たに本法施行後入ってきた外国人であって就労資格のない外国人を、その情を知りながら雇ったりあっせんしたりあるいは支配下に置いた場合にのみ適用があると御理解いただければいいかと思います。
  73. 中村巖

    ○中村(巖)委員 そうすると結局、他の委員も言っておりましたけれども日本に現に滞在し、今まで法が施行される前に日本におった人間について、不法滞在であっても雇った場合に雇い主を処罰しないということになると、かなり恩典を与えるというか、そういうことになって、一律に不法滞在という者に対するマイナス評価というものをしない。言ってみれば、その以前からいる人たちに対してはマイナス評価をしないんだという意味で、一種の何か差別取り扱いというか、まあアムネスティーと言うのはどうかと思いますけれども、そんなような感じになりますけれども、そういうマイナス評価をしないということでよろしいわけですね。
  74. 米澤慶治

    米澤政府委員 委員のおっしゃいます、既に本邦にいる不法就労外国人の存在あるいはそれを雇用している人たちについて、社会的に、あるいは法律的にマイナス評価をしないこととなるのかということですが、私は必ずしもそうではないと思います。  と申しますのは、この新罰則の適用に当たっては、附則十一項のような経過規定を設けますが、既に入管法には、資格外活動なりあるいは不法残留というものそれ自体入管法上の罪として規定されておりますために、その情を知って雇った人たちは現在でも、現行法上の資格外活動あるいは不法残留の幇助、教唆等として処罰対象になり得るわけでございます。  しかしながら、現実は、日本の一般の人たちの意識が、そういう雇用主等が罰せられることになっていないという認識が非常に行き渡っているようでございますから、今のような、委員指摘のマイナス評価しないのかという、現実論としてはそういう取り扱いになっている余地もありますけれども、現在も可罰性を持っている行為であるという点では、マイナス評価をしておることでございます。
  75. 中村巖

    ○中村(巖)委員 だから聞いているのですよ。だからそうなると、今までのそういう問題については、今幇助になるというようなお話だけれども、この法律ができることによってそれを免責してしまうような感じになるではないか、免責するように理解をしてもいいのかということを聞いているわけです。
  76. 米澤慶治

    米澤政府委員 経過規定であります附則十一項は、あくまでも新罰則の適用をいつから始めるか、どういう人たちについて始めるかを書いておるわけでございまして、現に存するマイナス評価であります幇助犯、教唆犯としての評価は、新旧両法にまたがって継続するということでありますから、免責という言葉は相当でないと思います。
  77. 中村巖

    ○中村(巖)委員 それではまた別のことを聞きますけれども不法就労という問題を論ずる上においては、日本学校就学生の問題というものを論じないわけにはいかないわけであります。  不法就労者の多くは、多くはということはありませんが、ある程度広範囲日本学校就学生として日本に来ているということの中で、結果的に不法就労に至っているということがあるわけでございまして、この日本学校就学生のあり方について、ある一時期は、非常に法務省日本学校就学生を歓迎をするというか、どうぞいらっしゃい、いらっしゃいということで、それについての審査が非常に甘くて、昨年一年だけだって三万五千人という大量の人間が日本へ来てしまったということでありまして、その中で実際に日本語を習得しようという意思で来ているという者は、まあ人の内心の意思ですからわかりませんけれども、極めて少ないというのが実態である。いわば日本へ行って出稼ぎをしてくるのだということで日本へ来た、そういう事実がたんだん明らかになるにつれて、今度は日本学校就学生締め出しをするという方向に変わってきている。審査基準を厳しくしたというのか、そういった形の中で現実に就学生というものの入国は減っているわけでありまして、そういうような一貫した原理原則というものがなくて、時には拡大をし時にはこれを縮小するというような場当たり的な日本学校就学生政策というものは反省を迫られるというか批判を免れないのではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
  78. 股野景親

    股野政府委員 日本学校の問題が就学生問題の中心的な課題であったわけでございますが、就学生のカテゴリーは必ずしも日本学校学生に限るわけではございませんで、各種学校その他かなり幅広い概念でございます。  それで就学生について、委員指摘のように確かに昨年来問題があって、 その中で学業アルバイトとが著しく均衡を失するような事例というものもあり、そういうものについての是正を大いに行ってきたわけではございます。したがってその点は、ただいま委員指摘のとおり、我々としても十分今後の運用について、就学生が本来の学業を達成する目的日本受け入れられるということとするよう、これは実際上の指導、特に日本学校の質的改善の方についても努力を今いたしておるところでございます。  他方、法的に申しますと、委員御承知のとおり従来は就学生というカテゴリーの方々は「法務大臣が特に在留を認める者」、こういう在留資格受け入れてまいりました。そこで、必ずしも在留活動上の制約というものがそこに明らかでないということがアルバイトのいわば乱用というようなことにもなったのではないかと思われますので、そこで新しく在留資格というものではっきり「就学」というものを明示するということによって、またそういうアルバイト等についての問題に対する資格外活動許可ということによる歯どめをかけていく、それで的確に対処するということでございまして、他方、本来の就学生というものは、やはり日本の現在の社会の国際化の中で、日本語をも含めまして各種の学校で勉強をしていくという人たちについての道を在留資格としてきちんと設ける意味、これはまたこれであるという考え方で、この就学生という新しい在留資格を設けたわけでございます。
  79. 中村巖

    ○中村(巖)委員 要するに、不法就労を広範囲拡大をさせたということは法務省の罪ですよ。法務省やり方が悪いからこういうことになったので、その典型的なものが日本学校就学生だろう、こういうふうに思っておるわけでございます。  日本学校というのは困ったもので、これは文部省の所管にもないわけで、いわば各種学校とか専修学校という形である日本学校もありましょうけれども、大半は私塾でございますのでそういう困った面があるということと、もう一つは、やはり日本学校就学生でも中国からの就学生というものが非常に問題である、こういうことになるわけであります。今後のこの就学生というカテゴリーで日本入国させる、その入国に関する政策というものはどういうふうに法務省考えていらっしゃいますか。
  80. 股野景親

    股野政府委員 新しい在留資格というものを設け、本来の就学という在留資格でまさに教育を受け、勉強をするという、これが基本であると思いますので、その観点に従っての受け入れ、そのために、まさに今委員指摘のとおり、文部省側とも十分御相談をしながら受け入れ側の体制の整備ということについても現在努力中でございますし、その観点での努力は引き続き行っていきたいと思っております。
  81. 中村巖

    ○中村(巖)委員 受け入れ側の日本学校の整備と言ったって、それは法務省が監督権を持っているわけでも何でもないのだから、これは非常におかしな話で、むしろそういうことではなくて、受け入れ側は勝手に整備をしたり整備をしなかったりするわけですから、やはりその受け入れ側の学校というものの中身に着目をして入国を認めたり認めなかったりするという、そこに法務省としての政策の主眼がなければ、それはおかしいことだろうというふうに思います。そういう意味合いで、就学生審査基準というか、そういう滞在資格を与えるための審査基準というものを厳しくすると同時に、やはり明確化をしていかなければならないだろうと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  82. 股野景親

    股野政府委員 ただいま私の申し上げました受け入れ側の体制の整価という点は、まさに委員指摘のとおり、法務省側の観点としては外国人受け入れるというその体制が整っているかどうかという点での関心でございますので、そういう観点から、適正な受け入れが行われるような組織があるように我々としても大きな関心を持っていく。そのためには、まさに教育行政に携わる文部省当局の十分な御協力をいただき、また我々の方はそれについて外国人の適正な受け入れという観点での対応を十分に尽くしてまいりたいと思います。また、その審査に当たりましても、まさに今の委員の御指摘のとおり、受け入れ学校が適格性をちゃんと備えているものであるということを十分に吟味した、そういう審査体制というものをきちんと設けて臨んでまいりたいと考えております。
  83. 中村巖

    ○中村(巖)委員 受け入れ側だけの問題じゃないのですよ。例えば日本に出稼ぎに来るという人を 日本学校就学という形で入国させてしまうからいけないわけで、その日本に来ようという、日本語を学ぼうという人たち中身を吟味しなければ、日本語を学ぶ前提であるところの基礎的な教育を外国においてさえ受けていないというような人、あるいは口では日本語を勉強しますと言っているけれども、従来のその人の経歴から見ますれば、これはとても日本語を勉強するとは思われないというような人、そういう者を入れないような基準づくりというものをきちっとしなければいけないのじゃないかということを申し上げているわけです。
  84. 股野景親

    股野政府委員 委員から日本学校の御指摘がございましたので、日本学校に重点を置いて御説明を申し上げましたが、もとより日本入国しようとする外国人自体についての審査が非常に重要でございまして、この点についても我々としては現在でも既に、その日本学校で勉強するということについて、それなり日本語を勉強するだけの目的が合理的に説明できるかどうかという点についての審査はきちんと行っておるわけでございますが、今後についてもその辺を審査するについては、今の委員の御指摘のように、日本語あるいはそれ以外のことについて日本就学をすることについての合理的な説明を本人がちゃんとできる、それだけの資格を持った人であるかどうか、審査ではこの点に十分重点を置いてまいる考えでございます。  それからもう一つ、これは先般の委員会でも議論になったところでございますが、そもそも日本語を勉強しに来るには、例えば海外で一定の日本語教育を受けてくることを考えて、それとの組み合わせということを今後考えてはどうかという御意見も拝聴いたしております。これは私ども今後の課題であろうと思いますし、そのためには海外における日本語振興あるいは検定試験というような制度も整備されていかなければならぬと思いますが、そういうことについてはこれはまた検討課題としつつ、今申し上げました本人の資格、能力について審査をする過程において十分考えてまいる所存でございます。
  85. 中村巖

    ○中村(巖)委員 先ほど法務省の罪ですよと申し上げたが、そういう審査をめぐっての法務省のでたらめさというものが、今日の外国人単純労務者を大量に生み出した原因であるということを十分に考えていただきたい、こういうふうに思います。  次に、研修という問題があるわけでありますけれども、研修というのもなかなか難しいものでありまして、技術移転という言葉を用いれば極めて格好はいいわけでありますが、とにかく技術というのはいろいろなものがありまして、例えば農業労働だってこれは技術が非常に必要でございますし、あるいは土木作業に従事するについても技術が必要である、こういうことでありまして、単純労務者という言葉ではくくれない問題がある。例えば看護婦さんなんというものはどうなんだ、技術があると言えばある、ないと言えばない、だから単純労務者のカテゴリーに属するのかそうでないのかということもあるわけでございます。こういうものについては、しかし少なくとも日本で学ぶ必要というものが大いにある、あらゆる領域に拡大してしまえば、あらゆる領域について日本から学ぶものはそれはあるだろう、こういうことになるわけでありまして、今後法務省としては、この研修を拡大するということについてはまずどういうふうに考えておられるのですか。
  86. 股野景親

    股野政府委員 研修は、技術移転を行うために海外からの外国人を迎えてこれに対する指導を行うということが本来でございまして、そのこと自体日本の国際的な役割ということからかんがみて非常に意味のあることであり、我が国としてもこれを拡充していくことが現在望まれているところなので、入管当局といたしましてもその基本に立って、本来の研修目的というものについては受け入れ拡大していくこととして臨んでおります。また、入管法上の書き方におきましても、今度の在留資格の中で「研修」という項目について先ほど御説明もいたしましたが、受け入れ幅がさらに広がるような規定の仕方を考えているのもそのためでございます。  他方、その研修という名のもとに実は研修の実態を備えないような実際の就労があるということではいけないので、この点については、研修の受け入れについての入国審査の基準等についても既に各省間で御協議をいたしました一つの基準というものをもって審査を行っておるわけでございますが、今後についてもまさに実態が大事なので、研修の実態を備えたものについての受け入れ拡大していく、こういう考え方でございます。
  87. 中村巖

    ○中村(巖)委員 その基準をよほど考えてもらわないと、技術というものは今申し上げたように単純労働の中にも技術があるということになりますと、その種のものは何といってもOJTというような形での技術習得が主となるということもあろうかと思うのですね。座学が必要なんだといっても座学なんというものはただ耳で聞くだけで、それではちっとも技術が習得できないということになるわけですから、実務労働を中心とする研修というのもあってしかるべきではないか、こういうふうに思います。そういう面については、そういうことで受け入れればそれなり日本労働力不足に対するカバーにもなるわけでありまして、そういった意味で単純労務も含めて研修というものを拡大する必要があるのではないか。その辺のことをもう少しお考えをいただきたいと思いますけれども単純労働を含めての研修の拡大法務省考えておられるかどうかお聞きをいたしたい。
  88. 米澤慶治

    米澤政府委員 単純労働を含めての技術研修という委員の御指摘の点だけに限ってお答えいたしますが、単純労働に関しましては、技術移転という概念と矛盾するんじゃなかろうかと思うわけでございます。実は、単純労働というのは、五体満足な成人男女であれば今から直ちに就労することができるような内容の作業に従事するという概念で考えておりますので、移転すべき技術はそこにないだろうと思われます。  もう一つ委員指摘の点で問題は、研修という形で何がしかの労働者を入れて日本労働力不足もカバーしよう、他方技術移転もしようという御示唆だと理解いたしますが、研修という名で入れますと労働者としての基本権が保障されないという点がございまして、まず賃金が払えませんし、団結権等も保障されない、純粋の研修生だということになってしまいまして非常に問題がございますので、将来にわたってそれらの点も含めて十分な検討が必要かと考えます。
  89. 中村巖

    ○中村(巖)委員 時間ですので、終わります。
  90. 井上喜一

    井上(喜)委員長 代理 滝沢幸助君。
  91. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長御苦労さま、大臣初め政府委員皆さん御苦労さまです。  初めに、せんだっての委員会で御答弁留保といいますか、御答弁願っておいたはずでありますから、お先にどうぞ。
  92. 多田宏

    ○多田説明員 先生の先般の御提案につきましていろいろ研究したり相談したりさせていただいておるわけでございますけれども、大変難しい問題もございまして、当面その実施はちょっと困難だなという感触でございます。しかし、御提案の趣旨である各方面の有識者の御意見を幅広く聞くようにということにつきましては、十分心がけてまいる所存でございます。
  93. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 お答えどうもありがとうございました。それでいいのですが、せっかく出てきていただいたついででありますから、二つほど申し上げたいのであります。  一つは、とにかく今のお話のように、なるべく各方面の御意見を拝聴されて、よき即位の礼、また大嘗祭が行われまするように希望を申し上げておきます。  そこで、二つ三つ一緒に申し上げますから簡単にお答え願いたいと思います。  今までの例でありますと、大礼使というのが任命されるわけでありますが、これはいかが御検討か。置かれるならば何人くらいの規模でというふうにお願いしたい。もう一つは、悠紀田、主基田 というものが点定といいますか、選ばれる。これはなされるかどうか。何か一部の言われるところによりますと、これを警備の都合上皇居の中にしようというお話もあったとか聞きますが、それでは意味がないので、やはり東西に国を分けて選ばれるべきであります。また、伝えられるところによりますと、それは選ぶのだけれども知事までであって、あとは知事に任せるのだ。そして具体的な田んぼの場所は公表しないでこっそりと国の東西のどこかで稲がつくられるというふうにも伝えられる。ここら辺のところはそれであっては本当に意味のないことでありますから、国民が挙げてこれをお祝いをする、そして、悠紀田、主基田ではそれぞれいろいろの儀式がありますから、抜穂の儀とかいろいろありますから、そのときはみんなで祝福できるようなぐあいにした方がよろしいと思います。そういうことを意見を加えながら承りたい。     〔井上(喜)委員長代理退席、 委員長着席〕  もう一つは、即位の礼の翌日に賢所御神楽の儀というのがあります。日本は何でもお祭りの後に神楽がつくのでありますが、これを外国の賓客の接待のために取りやめるというふうに書いている新聞もあるのでありますが、それでは全く主客転倒、お客さんのためだからこれこそ本当に主客転倒ということになりますわな。いかがでありましょうか。以上のことを追加して、ひとつ簡単にお漏らしください。
  94. 宮尾盤

    ○宮尾政府委員 ただいま御質問のあった事項でございますが、これはいずれも実施上の事項でございまして、今基本的に大嘗祭をどういう形で行っていくかということを政府の準備委員会の方で検討していただいておるわけでございますから、その基本的な事項をお決めいただいた後、具体的なただいま御質問になったような事項について検討していかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、今第一点の、大礼使の定めを今回はどういうふうに、どのくらいの人数でというような御質問でございましたが、これにつきましても、十分先例等を勉強しながら、政府の方針が決まった段階で具体的に検討をしてまいりたいと思っております。  それから、悠紀田、主基田の問題あるいは賢所御神楽の問題について新聞報道等を御引用なされまして御質問があったわけでございますが、悠紀田、主基田ということにつきましてはこれまでの長い伝統の中で非常に重要な事柄であるというふうに私ども十分承知をいたしておりますので、それを具体的に今後どういうふうにしていくか。十分先例を尊重しながら検討していけ、こういう先生の御指摘については十分心にとめながら検討してまいっていこうと思っております。ただ、新聞に報道されておりますことは多分に推測等を交えた記事でありまして、私どもそういうことにつきまして、新聞に報道されているようなことを決定いたしておるわけでは全くございません。それから、賢所御神楽につきましても、一部の新聞で報道されているような理由によってそういうことをいろいろ検討しておるということは全くございませんので、その点は十分御承知おきいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
  95. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 後ろに新聞記者さんがおいででありますから、想像の記事、小説ですな。小説は文化欄に書いてありますが、それはそれ。ひとつどうぞ、これからいろいろな方々の御意見を聞いて定めるのでありましょうから、謙虚に識者の御意見を聞かれて対処されるように希望いたします。  大変御苦労さまでした。お引き取りいただいて結構であります。  ところで、本来の法案のことについてでありますが、私が心配しておりますのは、通訳さんが十分なのかな、こういうふうに思います。殊に最近は中国からおいでになるお客さんにトラブルが多いわけでありましょうから、そうしましたら、中国と言っても広うござんすで、それこそ私の会津弁から九州弁まであるわけでありますから、十分にこれに対応できるかどうか。しかし、先ほど申し上げておるように、御大喪の礼にしても百六十四カ国からおいでになったというのでありますから、これから日本は世界に窓を開く日本であるのでありますから、通訳こそは十分に——実は私、大変尊敬し、親しくしておりますアメリカの宣教師さんがいらっしゃいまして、ずっと町になじみでありますから、お客さん、お知り合いがたくさんいらっしゃるわけです。そして日本語の堪能なことはもうとても私たちが遠く及ばぬきちんとした日本語をおっしゃる。ある日、近所の奥さん方が「先生、奥さんおいでですか」、「頭を直しにビヨーインに行きました」。そうしましたら、お客さん方は変な顔をしていた。後で花を持ってこられて「どこの脳病院に行かれたのでしょうか」、こう言うのであります。これは最近の話です。ところが、さかのぼって、大正のころの話と聞きますが、奈良で人力車にお乗りになった外国人が、たくさんという意味で「奈良はお寺のダラケナトコロと聞いている」と言ったら、その車夫は怒って「お寺が堕落とは何事だ」と言って、そこにおりろということになったのであります。外国語というのは事ほどさようなことであります。しかし日本語だって、私の方の書記長が、何かばかなとかばかやろうとか言ったら、何か九州の方では、ばかはよくてあほはいけないのだとかなんとか言っておりました。  事ほどさようでありますから、やはり通訳陣をきちんと整備をして、たくさん有能な人を採用していただかないと、私はあらぬ誤解とあらぬトラブルがあろうと思うのでありますが、この点はいかがでありますか。そして、待遇もよくしなくちゃなりません。いかがでしょうか。
  96. 股野景親

    股野政府委員 ただいま委員指摘のとおり、入管行政を運営してまいります場合に語学の重要性ということはまさにおっしゃるとおりでございまして、私ども入管当局として、まず、審査あるいはそれ以外の警備関係についても、言葉の力がなければきちんとした事務ができないという点はおっしゃるとおりで、我々としてもそのための努力をいろいろいたしております。  まず、通訳の点で御指摘になられましたが、これは各地方入国管理局がそれぞれの地域において審査等の事務に関して常日ごろ通訳として依頼できる人たちの確保に努力をいたしておりまして、またその言葉の中身も、ただいま委員指摘のとおり、中国語といいましても、例えば標準語だけではなくて、ほかの地方語もこのごろ必要になってきているという状況がございます。そこで、各地方局において、それぞれの地域で信頼のおける通訳の方々を確保するということに努力しておりますが、今後、また扱う業務量がふえるにつれて、そういう点についての配慮を一層していく必要があると考えております。  それからまた、通訳以外に入管局職員の中でもある程度外国語を履習した者がおりまして、それはある程度は通訳というものを介さずに審査事務を行うということもできておりますので、そういう意味での職員の語学研修ということについても、現在までも努力しておりますが、引き続き配慮していく所存でございます。
  97. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大変結構でありますが、いささか抽象的なものですからなお不安があるのでありますが、さっき古い例、よそ様の例を申しましたが、私もせんだって韓国に行きましてほとほと参ってしまったのですよ。公の立場で招かれますと、何か一切うまくやってくれるものだから、つっと行けるわけですが、一人で、個人の資格でおりますと、こちらは韓国語がわかりませんから全く参ってしまうです。しかし、韓国さんともあろうものが、日本語が話せるのがずっと各窓にいるのだけれども、おい君というくらいのことになっていないのかな、こう思いましたよ。しかし、それは顧みて日本立場に立ったならばいかがなものかと思います。  大体、英語ができる職員は何%ぐらい、何人とかそういうふうに、あるいはまたおっしゃる話を聞きますと、どうなんでしょう、通訳さんは平生そこにいないんだけれども、待機していて言われ ればおいで願えるようなことになっているのでしょうかね。そしてこういう法案を出しなさるのでありますから、契約された通訳さんをこれだけふやすとかあるいは職員をこういうふうに対応しますというような、数字も含めた具体的な御説明はできませんか。
  98. 股野景親

    股野政府委員 まず通訳の全体の数字については私ただいま資料が手元にございませんが、委員指摘のとおり、各地域でそれぞれ地方入管局が日ごろから通訳事務を依頼できる人たちのいわばプールを持っておって、そこからお願いしておる。最近は特に九州方面等において中国語の通訳の必要が非常に多くなったということから、通訳の重要性が非常に増してきていることは事実でございまして、私どもそういう点は、これは財政当局の御配慮もいただきまして、現在通訳について支障がないように取り計らっているところでございます。  それから職員の語学研修でございます。これは先生御指摘のとおり、英語については基本的なことは皆ある程度知っていなければいけないということで、若いころからいろいろな段階での研修を行うようにしておりますが、さらに本当の高度の語学ができるような職員を養成するために、例えばこれまででありますと日米会話学院等に百七十一名の人間を研修に派遣をいたしておりますほか、韓国語、中国語、ロシア語、タイ語、ベトナム語、こういう言葉につきましてはそれぞれ職員を研修に当てる、こういうことを行っておりますので、こういう努力も今後さらに重ねてまいります。
  99. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大臣も御経験あるかもしれませんが、よその国へ行って税関等で時間をとるのはほとほと参ってしまうんですよ。私はやはりこれは国の玄関、国の顔だと思いまして、私たちも仮にょその会社、よそのお宅をお訪ねしたときに、最初に出てきなさるのは社長さんでもありませんし御主人でもありませんけれども、最初にお会いする人が不愉快でありますと、やはりその御家庭に対し、その会社に対し、その団体に対してどうしてもだめですわな。そういうものがあろうと思いますよ。言うなれば出入国の窓口というのは日本の顔であります。この方々が、ああいいなって、よその国々の方に思っていただけると、その人たち日本いいなという感じで入っていただくものだから、商行為であろうと、あるいは特に外交の立場であらうと、観光、友人関係であろうとスムーズによくいくわけでありますから、本当に大事だと思うんです。このために私は、銭金を惜しまぬ立場で十分に職員を配置して、お待たせしないように、そしていい対応ができるようにと思うのでありますが、これらについて具体的に何かこの法案提出に当たって強化されるというお考えがありますか。
  100. 後藤正夫

    後藤国務大臣 お答えいたします。  ただいま滝沢委員指摘の問題でございますが、かつては日本の入管行政も決して諸外国に劣るようなものではなかったと思っておりますが、過去十年ぐらいの間に出入国の数は倍以上にふえておりますけれども、入管の職員はほとんどふえていない、そういう状態でございます。したがって、諸外国と比べましてそれにふさわしいものであるかどうかという点につきましては、私どもも大変憂慮をいたしております。  したがって、これを改善いたしますために人員、予算等の要求ももちろんいたさなければなりませんし、同時に入管職員の効率的な運用を図るための努力等につきましても、今後一層私どもとしても努力をいたさなければならないと思っております。そういう点からも、我々も努力をいたしますが、ひとつ諸先生方の御努力も賜りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
  101. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 大変ありがとうございました。ひとつ世界に劣らぬ日本の心と精神、そして政策というものを窓口で示されるように願いたい。  そこで、特に御注意申し上げておきたいのは、今も英語は最初からみんな、こうおっしゃいましたが、我々日本人は先入観として、近代の日本というのは英米の白人に対しては大変な尊敬の念を持って接し、しかし有色人種については、これは表現がどうか知りませんけれども、いささかこちらが優位性を持ったような立場で接するものがあると思いますよ。それは大使館等の人員を見ても明らかなことであります。しかし、今日本を取り巻く情勢というものはそういうものではない。殊にアジアの諸国に対する配慮はもっともっと大きくなければならぬと思うのでありますが、ひとつそういう偏見のないような対処をちょうだいしたいというふうに希望を申し上げまして、質問を終わります。  委員長ありがとうございました。大臣初め皆さん御苦労さまでした。
  102. 戸塚進也

  103. 安藤巖

    安藤委員 入管法改正案について、引き続いてお尋ねをします。  就労資格証明書の問題について先ほどからもいろいろ御議論がありました。私もこの就労資格証明書の意義というのがよくわからないのですが、これは例えば今度の改正法案の別表一の二に記載されている資格を持って入国された人ですね、そういう人たちがここに書かれている以外の活動、就労活動をされる場合にあらかじめ申請に基づいて交付する、こういう資格のものですか。
  104. 米澤慶治

    米澤政府委員 お答えいたします。  委員の御指摘のところは、今回つくられます在留資格の別表の第一の二にある在留資格のことをまず前提に御質問と思いますから、それに基づいてお答えしますが、別表第一の二に羅列されております各在留資格はいろいろございますが、そのうちの一つ在留資格を持って日本に入られた方が、その二の表の別の在留資格に当たるような活動をして報酬を得ようとされるようなことがありますと、当然のことながら資格外活動許可を必要とするわけであります。したがいまして、問題の就労資格証明書を発給いたします場合には、別表第一の二の一覧表のうちのどの在留資格であるかを特定して、資格証明書を発給するということになります。
  105. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、その場合は資格外活動許可を受けて、その上で、この資格以外のことができるのだということを何か証明か疎明かして証明書をもらうという手続になるというふうに理解をいたします。  そこで、そうしますと、もう一つ就労してはならぬということで入国を認められた人たち、いわゆる留学就学、研修、家族滞在。しかし留学就学については、これから法務大臣許可を得ればいいのだ、こういうような場合に、やはり許可を受けるということを前提にして就労資格証明書、こういうのをもらって、そして就労することになるのかどうか。その場合は、具体的にこういう仕事ができますよということも就労資格証明書の中に書き込まれるのかどうか、これはどうですか。
  106. 米澤慶治

    米澤政府委員 例えば、留学在留資格を持って日本においでになった方が、その学費を稼ぐためにアルバイトをするという場合には、委員指摘のように資格外活動許可というのを受けるわけでございます、今度そういう制度にするわけでございますが。そして資格外活動許可を受けますと、その範囲内において就労することはできますから、当該留学生が必要だということで就労資格証明書をお求めになれば、前から申し上げていますとおり、当該本人の利益のためにその旨の就労資格証明書を発給することになります。その場合、当然、資格外活動許可申請に当たって、当該留学生は、例えば本屋の店員としてアルバイトするのだというようなことをお書きになるでしょうから、そういうふうな種類アルバイトをなさるものとして就労資格証明書に記載をすることになろうかと思います。
  107. 安藤巖

    安藤委員 そうすると、こういうような労働上の腕といいますか技術なりなんなりを持っている、あるいは熟練を持っているというようなことではなくて、先ほどおっしゃったように、アルバイトで本屋の店員さんをやるということでもいい というわけですが、そうすると今度はどこかの食堂の皿洗いをするというようなときはまた取り直さないといかぬわけですか。
  108. 米澤慶治

    米澤政府委員 資格外活動許可申請に当たって、労働内容といいますか、アルバイト先の特定をどの程度していただくかまだ確定いたしておりませんけれども、ですから例え話で申し上げて恐縮なのですが、例えば留学生にふさわしいような業種のアルバイトを向こう一年間やりたいという種類の、そういった種の許可申請書であれば業種の特定は非常に難しくなります。そうしないで許可を与える場合もあり得ると思います。ですから、許可内容就労資格証明書に書くというふうに御理解いただきたいと思います。
  109. 安藤巖

    安藤委員 それではついでに、今の留学就学は別表第一の四のところの関係でお尋ねしたのですが、その関係で研修というのがあります。この研修も技術の習得ということで、就労してはいけないということになっておるわけですね。研修をして、ある程度技術の習得ができて就労できるというような段階になったときは、やはり就労資格証明書の申請をして就労することができる、こういうことになりますか。
  110. 米澤慶治

    米澤政府委員 委員の御質問に若干の混乱があろうかと思います。  と申しますのは、今就労資格証明書をもらって就労することができるようになるのかという御質問のように承りましたが、就労資格証明書はあくまでも就労できる在留資格あるいは資格外活動許可の結果として就労できる人であるということを前提にして出すものでございますから、就労資格証明書の有無によって働ける働けないが決まるわけではございませんので、その点十分御理解いただきたいと思います。  それを前提にお話し申し上げますが、今、研修生として日本においでになって、研修期間まじめに研修を受けられた結果としてある程度の技術技能をお持ちになった。そこでその段階で、自分はある会社でその技術を生かして就労したいのだというような場合には、むしろ在留資格の変更申請をなさって、そして就職をなさる余地、道が開かれておりますから、もしそういうふうな在留資格の変更申請があって、許可を受けられて就職が認められれば、その変更後の在留資格について就労資格証明書を出すことになろうかと思います。  ただし、研修制度については、先ほど来いろいろな委員の方々から御指摘がありますように、乱用されないようにといいますか、研修という在留資格を悪用されないようないろいろな基準をつくっていかなければなりません。その基準の中で、原則的に現在考えておりますのは、研修を受けられた方が本国へお帰りになってその技術技能を生かして自分の母国の産業発展に寄与してもらいたいという観点から技術移転をするのでございますから、我が国内において改めて就職されるというケースはどららかといえば極めてレアケースになろうかと考えております。
  111. 安藤巖

    安藤委員 そうだろうと私も思うのですが、この前、参考人の方々の御意見を拝聴いたしましたときに、研修には相当なコストがかかる、だから何か、見返りと言ってはなんですが、メリットがないとなかなか研修ということは難しいのではないかというようなお話がありました。だから、メリットということを考えますと、研修をある期間させて、そして本国へ帰ってその研修の結果を生かす、これが本来の筋ですが、何かメリットを生かすためにその研修をさせた企業がその企業内で就労をさせるというようなことだって大いに出てくるのではないのかなという気がするのです。  そうしますと、それは研修の程度というのもいろいろありましょうけれども、熟練というところまでいかなくても、二分の一の熟練あるいは三分の一の熟練でも一応研修は終わったということでもって資格外活動の申請をして、その許可を受けて、そして今度は就労資格証明書をもらってそして働かせる、こういうようなことだってできるのではないのかなという気がするのですが、そういう抜け穴ということは心配要りませんか。
  112. 米澤慶治

    米澤政府委員 就労できない在留資格で本邦に在留される方が就労できる道が二つございますので、改めてちょっと説明させてもらいますが、委員は時として在留資格の変更のことをお指しになっているのかあるいは部分的に資格外活動許可のことをお指しになっているのか、ちょっと私、紛れておりますので、この二つの道があると思うのです。  研修生が技術技能を習得して、我が国の会社でその技術技能を生かして働きたいという希望をもしお持ちになれば、むしろ在留資格の変更、Aという在留資格、例えば研修からある種の会社への就職というふうなことで在留資格の変更になろうかと思いますが、これは専ら変わってしまうわけです。それから、部分的にアルバイトみたいな場合、時間外にちょっと稼ぎたいというようなことになると資格外活動許可申請ということになります。  いずれにいたしましても、抜け道に使われやしないかという危惧、それは当然あり得るわけでございますので、その辺についての実態調査なり規制なりを十分やっていきたい。あくまで研修は技術移転をもって当該外国人の母国あるいは本国あるいは居住国の産業の発展に貢献していくことが日本国の責務だという観点から研修の在留資格を設けますので、大方は母国へ帰っていただいてそして働いていただくということになります。  他方、参考人が、メリットがなければ研修になかなか民間企業としては協力できそうにないというような趣旨の御発言をなさった由でございますが、私の知る限りでは、それは例えばその外国人の本国において部品工場がある、そして部品を本国の工場でつくっていただくために技術移転をしておいて、そしてその部品を日本に輸入して、日本の企業がそれを生かして製品をつくるとか、いろいろなメリットがあるわけでございます。あるいは、東南アジア諸国経済的発展をすることによって、かえって日本との経済の均衡性を保持することができ、相互が経済的な発展を図るというメリットもあるわけですし、ですからそこに言われるメリットは、何も研修に名をかりた労働者を入れるということにのみ力点を置いてお話しなさっているとは私は理解いたさないのであります。
  113. 安藤巖

    安藤委員 しかくさようにうまく運べば万々歳だと思うのですが、往々にしてそのメリットは企業の論理というのが働く場合が多いのではないかと思うわけです。そうしますと、せっかくこのように具体的に在留資格をいろいろ明示されて改正案をお出しになったにしても、企業の論理に基づくメリットで、研修が終わった、そして今度は在留資格の変更という方向へ使うということも大いにあり得るのではないか。だから、その点についての本来の研修、技術移転といいますか、そういうものの趣旨が十分生かされるように入管当局でも御配慮をいただきたいということを要望しておきます。  それから別表第一の二にたくさんの資格があるのですが、時間の関係でそうたくさんお尋ねするわけにいきませんけれども、その中の「技術」という欄があります。この「技術」の欄は一部これを内容変更ということで改正案が出されておるわけですが、現行の第四条一項十二、十三も関係あるのですかね。主として十二ですね。これを見ますと「産業上の高度な又は特殊な技術又は技能を提供するために本邦の公私の機関により招へいされる者」、これが「技術」になろうかと思うのです。あるいは十三が「熟練労働」。  十二の関係でいいますと「産業上の高度な又は特殊な技術又は技能を提供する」ということになっておるのですが、今度は改正案によると「理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術又は知識を要する業務」、こうなって、「特殊な」とかあるいは「高度な」というのがなくなっているのですね。となると、これはそういう縛りというものをなくする、そういう御趣旨だと私は受けとめておるのですが、そうなると、これも、今の研修じゃないですけれども、そういうようなものではなくてもある程度のものがあればそれでいいのだ ということで、これは日本の相当大きな企業だと思うのですけれども、これが考えて、技術者を入れるというようなことになってくるのではないのかということを懸念するのですが、どうですか。
  114. 米澤慶治

    米澤政府委員 委員指摘のように、この新しい方の「技術」につきましては、現行法の「産業上の」とか「高度な又は特殊な」という枠はめといいますか、制約を取っ払っております。  これは実は、統計を定かに覚えておりませんけれども、現行法の厳格な在留資格がございますために、年間二十数名しかこの在留資格で入ってきておりません。したがいまして、この在留資格、今の四条一項十二号は余り活用されていないわけでございます。  しかしながら、現在の産業界あるいはいろいろな商業界のニーズを考えてみますと、さらにいろいろな観点からの技術技能を持った外国人日本にやってきてくれることによりまして、相互に競争をし、技術技能の発展に貢献するというような御主張とか御要望がございます。それは少なくとも大企業に限っておるわけじゃございませんで、私どもの聞く限りにおきましては服飾関係技術技能もございます。これなどはほとんど中小企業の方が頑張っておられますし、電気溶接あるいはメッキ等もございますから、この技術技能について若干の、前向きに枠を広げていくということは必ずしも大企業だけのメリットではないと私は思います。  それから、この「技術」の隣に「人文知識・国際業務」というのも在留資格に新しくなってございますが、いわゆる文化系の、あるいは知的なノーハウをもっていろんな産業あるいは商業等に貢献される方も前向きに入れていく。このことが日本社会の将来の発展に大きく貢献すると考えて、枠を広げるためにつくったものであります。
  115. 安藤巖

    安藤委員 ありがとうございました。時間が来ましたので、これで終わります。
  116. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  117. 戸塚進也

    戸塚委員長 ただいま委員長の手元に、出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対し、井出正一君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。井出正一君。     ─────────────  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  118. 井出正一

    ○井出委員 私は、提出者を代表して、修正案の趣旨について御説明いたします。  修正案の内容につきましては、お手元に配付いたしておりますので、その朗読は省略させていただきます。  ただいま審査中の改正案においては、外国人就労に関して就労資格証明書制度を設けることといたしております。しかし、この制度の導入に伴い、本来就労上の制限がなく就労資格の証明の必要のない者、例えば、多年本邦に在留している永住者等についても、就職等に際して就労資格証明書の提示等を求められることとなり、不利益を受けるおそれがあると思われるのであります。  本修正案は、就労資格証明書制度が、これらの者に対し不利益をもたらすことがないよう、訓示的規定を設け、その趣旨の徹底を図ろうとするものであります。  以上が本修正案の趣旨であります。  何とぞ本修正案に御賛同くださいますようお願いいたします。
  119. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  120. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより討論に入ります。  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。安藤巖君。
  121. 安藤巖

    安藤委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、出入国管理及び難民認定法改正案に対する反対討論を行います。  政府は、外国人労働者受け入れ範囲を広げる方向をとるとしながらも、単純労働者については従来どおり、受け入れないという方針を貫き、「不法就労」の摘発・規制だけを強化しようとしています。しかし、こうした方向では、急増する外国人労働者問題を正しく解決することはできないと考えます。  日本の大企業は、アメリカの世界戦略を補完しながら、アジア諸国を中心にした発展途上国へ新植民地主義的に進出し、激しい収奪を行っています。それがこれら諸国の貧困を一層深刻なものにしています。そのため日本で働き、家族を養っていきたいと考え外国人労働者に対し、それを締め出すようなことは、あってはならないことです。日本政府対応は、労働目的とした国際的な移動の自由は原則的に認めるべきであるとしているILO百四十三号条約の立場を否定するものです。  今我が国に求められていることは、外国人労働者の急増を必然的にもたらしている内外の状況や国際的に確認されている原則を重視する立場に立って対応することです。  反対の第一の理由は、本法案が、我が国政府が従来からとってきた単純労働者の入国は絶対に認めないとの姿勢を一層強化するために、いわゆる「不法就労」に対する罰則の新設、強化を行おうとしている点であります。罰則の新設、強化によって、ある程度「不法就労」に歯どめをかけることができるかもしれませんが、現在の経済労働事情の実態を根本的に変えられるわけはなく、それどころか逆に暴力団の介入など規制逃れやその他悪質な行為を潜行させることになりかねません。さらに、現実に十万人余とも言われる「不法就労者」を根こそぎ取り締まることは至難のわざであり、これをすべて強制退去で処理するということでは、相手国との関係でも到底受け入れられるものではありません。  また一方で、外国人労働者を入れさせよとの外圧をかわすため、「研究」や「企業内転勤」「法律・会計業務」など多国籍企業やアメリカからの要望の強い部門の在留資格の新設などに見られるように、欧米等の経営者や技術者等に対しては門戸を広げる一方、逆に東南アジア、中近東などのいわゆる「単純労働者」は締め出すような便宜的差別的扱いも、認められるものではありません。  第二の理由は、不法就労助長罪の新設についてであります。「不法就労」をあっせんしている悪質なブローカーを厳しく取り締まることは当然必要でありますが、これは、現行法のもとでも十分取り締まることができるのであり、単純労働締め出しもとで新たな刑罰を設けることは、外国人を雇用している中小業者等に対しても同じ罰則で取り締まることになり、人手不足に悩む中小業者の営業に対する脅威になりかねないものであります。秩序ある受け入れ制度を確立した上で、悪質な違反者(雇い主)への罰則を設けよというのが、我が党の主張であります。  さらに、労働のできる在留資格を持つ外国人本人に対しても、その枠外の労働許可なく行った場合の罰則を強化していますが、アルバイト等に厳し過ぎる制限を設けている現状のもとで、さらに外国人に対する処罰を拡大することとなり妥当ではありません。  第三の理由は、現在のいわゆる「不法就労者」問題についてであります。政府はこれらの人々に対し、強引に処罰し、退去強制しようとしておりま すが、これでは問題は何ら解決せず、かえって深刻な生活権侵害と人権問題を惹起するおそれがあることは明らかであります。  今日、外国人の「不法就労」問題は看過できない状態にあります。現状において暴力団や悪質なあっせん業者の無法をはびこらせ、外国人労働者の無権利状態が野放しにされており、そのことから日本労働者の労働条件や国民生活にまで悪影響を及ぼしかねない状態になっているのであります。これは、外国人単純労働者の導入拒否という態度をとり続けてきたことが大きな原因となっています。  政府はこれらの人々の人権を擁護する立場から、退去強制で事足れりとするのでなく、現状改善の緊急対策をとることこそが今求められているのです。  労働者の国際的移動を原則的に認める立場に立って、国際的にも通じる条件を整備するための具体策をとることは、政府に課された義務であります。政府は次の諸点について、直ちに具体的対策を検討すべきであります。すなわち、国籍による労働条件の差別を禁止している労働基準法第三条の遵守、二国間協定の締結、受け入れ枠の設定、滞在期間の限定などの施策を緊急に実施して秩序ある受け入れを行っていくことが、外国人単純労働者問題の正しい解決の道であると考えます。  なお、本改正案には、在留資格の整備で、従来法文上余り明確でない規定しかなかったのを活動内容を含めて具体的に法律で定めるようにして、法務大臣の裁量の範囲を極力少なくし、外国人にとってわかりやすくすることや入国審査手続を簡易・迅速化して上陸の利便を図っている点など改善点も含んでいます。さらに、新設した罰則を法施行以前からの在留者には適用しない点など、在日朝鮮人を初め現に日本在留している外国人の既得権の後退を防ぐ配慮もなされています。  しかし、これらの諸点を考慮しても、さきに述べた理由から、全体として本改正案に反対するものであります。  政府が、外国人「単純」労働者を締め出すというかたくなな姿勢を改めて、受け入れを原則的に認め、そのための条件を整備することを強く要求し、私の反対討論を終わります。
  122. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  123. 戸塚進也

    戸塚委員長 これより採決に入ります。  出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案及び井出正一君外三名提出の修正案について採決いたします。  まず、井出正一君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  124. 戸塚進也

    戸塚委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  125. 戸塚進也

    戸塚委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ─────────────
  126. 戸塚進也

    戸塚委員長 次に、ただいま可決いたしました出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対し、井出正一君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。坂上富男君。
  127. 坂上富男

    坂上委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。  一 就労資格証明書制度及び不法就労外国人雇用主等に対する処罰規定の新設により、多年にわたり本邦に在留している外国人就労を含む社会生活に不都合の生じることがないよう、事業主への指導・啓発に努めるなど十分配慮するとともに、より簡易に証明できる制度の在り方について検討すること。  二 雇用主等に対する処罰規定については、同視定が悪質な雇用主・あっせん者等の取締りの必要性から設けられた経緯にかんがみ、その運用に当たっては、いやしくも濫用にわたることのないよう、十分に配慮すること。  三 不法就労外国人といえどもその人権は保護されるべきであり、人道的観点から適切な措置がとられるよう十分に配慮すること。  四 特別な技術技能又は知識を必要としないいわゆる単純労働者の受入れについては、国内の議論が多岐に分かれていることにかんがみ、その是非については広く国内各方面の意見をも見極めつつ引き続き十分な検討を重ねること。  本案の趣旨につきましては、当委員会の質疑の過程で既に明らかとなっておりますので、省略いたします。  何とぞ本附帯決議案に御賛同くださるようお願い申し上げます。
  128. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  129. 戸塚進也

    戸塚委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、後藤法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。後藤法務大臣
  130. 後藤正夫

    後藤国務大臣 出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案につきましては、委員の皆様方に熱心に御審議いただき、ただいま可決されましたことを心からお礼申し上げます。  なお、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、今後とも努力を重ねていく所存でございます。     ─────────────
  131. 戸塚進也

    戸塚委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 戸塚進也

    戸塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  133. 戸塚進也

    戸塚委員長 この際、内閣提出民事保全法案を議題といたします。  まず、趣旨の説明を聴取いたします。後藤法務大臣。     ─────────────  民事保全法案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  134. 後藤正夫

    後藤国務大臣 民事保全法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  現行法におきましては、仮差押え及び仮処分、すなわち民事保全の命令手続については民事訴訟法第六編に、その執行手続については民事執行法第三章にそれぞれ規定されております。民事訴訟法第六編は、明治時代に制定されたものでありますが、規定が簡素に過ぎるため実務の取り扱い上各種の不便を生じておりますとともに、判決手続によって審理がされる場合におきましては、裁判に 至るまで相当の長期間を要し、特に迅速な処理が要請される民事保全の制度趣旨に十分にかなっているとは言えない実情にあります。また、現行法では、仮処分の執行方法及び効力についての規定が十分でないことから、実務の取り扱い上各種の不便を生じているのみならず、適切な仮処分の効力が必ずしも確保されない場合があります。  そこで、この法律案は、民事訴訟法第六編と民事執行法第三章とを統合した民事保全の手続法としての単行法を制定し、当事者の手続上の地位を実質的に保障しつつ、命令手続の審理の適正迅速化並びに仮処分の執行方法及び効力の確立を図る等、民事保全の制度改善を図ろうとするものであります。  この法律案の要点を申し上げますと、第一は、命令手続の審理の適正迅速化を図ることであります。すなわち、現行法では、保全命令の申し立てについての審理については、一定の場合に決定手続によることが許容されているものの、判決手続によることを原則としており、殊に、保全命令に対する不服申し立てについての審理は、すべて判決手続によるものとされておりますが、審理の迅速化を図り、もって民事保全の制度に対する国民の信頼を確保するため、これを改め、すべての手続を決定手続とするものとしております。決定手続においては、口頭弁論による審理、審尋による審理、書面による審理のうち、事案の性質に応じて適切な審理方式を選択することができることとなり、審理の充実を損なうことなくその迅速化を図ることが可能となるのであります。しかし、保全命令に対する不服申し立ての手続におきましては、当事者双方の主張及び立証の機会を確保する必要がありますので、口頭弁論または当事者双方が立ち会うことができる審尋の期日を開かなければならないものとし、審理の終了に当たってはその終結を当事者に告知しなければならないものとしております。また、審理の充実及び迅速化のため、当事者の事務の補助等をする者に事実関係につき陳述させることができる制度、受命裁判官に審尋を行わせることができる制度、証人等の尋問につき交互尋問の順序を変更することができる制度、保全命令に対する不順申し立ての事件において参考人等の審尋を行うことができる制度等を設けるものとしております。  第二は、利用頻度の高い仮処分につき、その執行方法及び効力を明確化するとともに、その改善を図っていることであります。まず、不動産に関する権利についての登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分については、その執行として処分禁止の登記をするものとし、債権者は、その被保全権利に係る登記をする場合には、原則として、処分禁止の登記におくれる第三者の登記を抹消することができるものとするとともに、これにより本来抹消されるべきでない登記を抹消された第三者が速やかに救済手段を講ずることができるようにするため、債権者は、第三者の登記を抹消する場合には、事前にその第三者にその旨の通知をしなければならないものとしております。また、不動産に関する所有権以外の権利の設定登記請求権等を保全するための処分禁止の仮処分については、その執行として処分禁止の登記とともに保全仮登記をもするものとし、債権者は、保全仮登記の本登記をすることにより、処分禁止の登記におくれる第三者の登記を抹消することなく仮処分の目的を達することができることとしております。次に、物の引き渡しまたは明け渡しの請求権を保全するための占有移転禁止の仮処分につきましては、公示を伴うその執行が行われた場合には、債権者は、債務者に対する本案の債務名義に基づき、仮処分の執行後に占有を取得した第三者に対して、原則としてその物の引き渡し等の執行をすることができるものとするとともに、これにより本来その執行を受けるべきでない者に対して執行が開始された場合には、その者が速やかに救済を受けることができるようにするため、決定手続による簡易な救済方法を設けることとして、当事者間の利害の調整を図りつつ、この仮処分の効力の充実を図ることとしております。  第三は、保全命令の発令手続及び執行手続につき、解釈を統一し、新たな制度を設ける等の規定の整備をしていることであります。すなわち、一定の要件のもとに仮処分命令において解放金を定めることができること、不服申し立てに伴う執行停止等の裁判をすることができること及びいわゆる断行の仮処分が執行された後に不服申し立てに基づき仮処分命令が取り消される場合には、その決定において原状回復の裁判をすることができること等としております。  なお、この法律の制定に伴い、最高裁判所規則の制定及び関係政省令の整理等所要の手続を必要といたしますので、その期間を考慮いたしまして、この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとし、また、民事訴訟法及び民事執行法等の関係法律の所要の整理をし、必要な経過措置を定めております。  以上が、この法律案趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
  135. 戸塚進也

    戸塚委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来る二十一日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十四分散会