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1989-11-17 第116回国会 衆議院 文教委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十七日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 鳩山 邦夫君    理事 麻生 太郎君 理事 臼井日出男君    理事 北川 正恭君 理事 鴻池 祥肇君    理事 船田  元君 理事 中西 績介君    理事 鍛冶  清君 理事 中野 寛成君       青木 正久君    梶山 静六君       岸田 文武君    工藤  巌君       杉浦 正健君    長谷川 峻君       渡辺 栄一君    江田 五月君       有島 重武君    塚本 三郎君       石井 郁子君    山原健二郎君       田川 誠一君  出席国務大臣         文 部 大 臣 石橋 一弥君  出席政府委員         文部大臣官房長 國分 正明君         文部大臣官房総         務審議官    佐藤 次郎君         文部省生涯学習         局長      横瀬 庄次君         文部省初等中等         教育局長    菱村 幸彦君         文部省教育助成         局長      倉地 克次君         文部省高等教育         局長      坂元 弘直君         文部省高等教育         局私学部長   野崎  弘君         文部省学術国際         局長      川村 恒明君         文部省体育局長 前畑 安宏君         文化庁次長   遠山 敦子君  委員外出席者         法務省人権擁護         局人権擁護管理         官       島野 穹子君         外務省国際連合         局人権難民課長 角崎 利夫君         建設省都市局公         園緑地課長   曾田ひさ嗣君         文教委員会調査         室長      多田 俊幸君     ───────────── 十一月十六日  文化政策拡充等に関する請願(安藤巖紹介)(第四六六号)  同(浦井洋紹介)(第四六七号)  同(遠藤和良紹介)(第四六八号)  同(岡田正勝紹介)(第四六九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四七〇号)  同(斉藤節紹介)(第四七一号)  同(田川誠一紹介)(第四七二号)  同(田中美智子紹介)(第四七三号)  同(西中清紹介)(第四七四号)  同(春田重昭紹介)(第四七五号)  同(日笠勝之紹介)(第四七六号)  同(不破哲三紹介)(第四七七号)  同(伏木和雄紹介)(第四七八号)  同(冬柴鉄三紹介)(第四七九号)  同(正森成二君紹介)(第四八〇号)  同(矢島恒夫紹介)(第四八一号)  同(薮仲義彦紹介)(第四八二号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  私立学校教職員共済組合法及び昭和六十二年度及び昭和六十三年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六八号)  文教行政基本施策に関する件      ────◇─────
  2. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。臼井日出男君。
  3. 臼井日出男

    臼井委員 久しぶりでございますけれども文教政策について若干の質問をさせていただきたいと存じております。  最初に、生涯教育についてお伺いをさせていただきたいわけでございます。  最近の私ども国民の生涯学習意欲、これは大変すばらしいものがございます。各省庁ともこれに対応して、思い思いのプログラムというものを策定していただいております。先般、文部省からいただいた資料を拝見いたしましても、十一省庁六十六種というものが特にこの学級、講座、学習セミナーといったものでもってプログラムとして用意をされておるわけでございます。それらの要望に対してこたえていくために大変御努力をしていただいているということはもちろん私ども理解をいたしているわけでございますが、生涯教育ということになりますと、本来はやはり私ども文部省中心とした、我々の所轄というものが非常に大きいのじゃないだろうか。また、それらの要望をひとつ効率的に、有効に活用していくというためには、何かそれらの各省庁思い思い、ばらばらにやっているものを一つの大きな流れにしていく必要があるのじゃないか、こう考えられるわけでございます。  先ごろ中央教育審議会から生涯学習小委員会審議経過報告なるものが出されたわけでございまして、これらの問題についての解決の糸口というものもあるいは入っているのではないかというふうに考えております。そういう意味で、これらの国民の多様な生涯学習意欲に対する文部省の今後の対応についてお聞かせいただきたいと存ずる次第でございます。
  4. 横瀬庄次

    横瀬政府委員 ただいま御指摘の生涯学習基本方針につきましては、御指摘のありましたように去る十月三十一日に中央教育審議会の生涯学習小委員会審議経過報告というものを公表したわけでございます。その中におきましては、主に四つの項目について具体的に御提言がございました。生涯学習推進体制二つ目地域における生涯学習推進中心的な機関、三番目が生涯学習活動重点地域、四番が民間教育事業支援のあり方について、この四点を中心に御提言をいただいているところでございます。  私どもといたしましては、これらの問題はいずれも生涯学習支援の上で非常に重要なことでございますので、早急に実現を図っていかなければならない問題だと考えていたところでございますが、中教審は今回は小委員会報告でございます。これを今後答申ということにまとめるべく審議が進められていくというふうに考えておりますけれども、私どもこういう中央教育審議会審議経過を踏まえながら、その実現に努めていきたいというふうに考えております。  そこで、最初先生から特に御指摘のございました各省庁の生涯学習関連施策連携協力について、何か文部省中心になるべきだというお話がございました。これにつきましても、今申し上げました小委員会審議経過報告の中の、一番最初に申し上げました生涯学習推進体制、これがそれに当たるものでございます。この小委員会報告では、生涯学習の各省庁各種施策の相互の連携協力を図るための組織の整備が必要だということを提言しております。  これもこれから答申というところまで待つわけではございますけれども文部省といたしましてもできるだけ早くそうした組織を設ける必要があるというふうに考えておりまして、概算要求におきましてもその設置についてお願いをしているところでございますので、これは中教審意向を踏まえながらぜひその早急な実現に努めてまいりたい、こういうように考えておるところでございます。
  5. 臼井日出男

    臼井委員 私がどうしてこうした質問をさせていただいたかと申しますと、こうした生涯学習意欲というものに対応するためには、地方自治体においても地域においてもいろいろな活動が実際に行われているわけですね。ですから、その意欲に対する要望にこたえる、こういうことであるならばそれは個々ばらばら適当にやっておいていただいてもいいわけですが、それではいけないのではないか。やはりこういう学習意欲というものを社会のために反映をしていただくような目的を持った学習、またこれからはだんだんと休みもふえてくるわけでございますので、そういう余暇を活用した社会奉仕、こういうところにも発展をさせる一つの大きな目標を持ったことが必要ではないだろうか。そういう意味目標性というものを文部省でしっかり掲げていただきたい、こういうお願いがあったからでございます。  それぞれの省庁施策目的というものがあることは十分理解をいたしておりますが、文部省におかれましては、この経過報告を踏まえて国民の多様な要求にしっかりこたえられるように答申を待ってそういうことをぜひとも実現をしていただきたいというふうにお願いを申し上げる次第でございます。  実は、最近学校の五日制というものが大変具体性を帯びてきております。この五日制につきましては、既に一昨年暮れに、文部省教育課程審議会が臨教審の提言等を踏まえて答申を出しております。さらに本年八月には、社会変化に対応した新しい学校運営等に関する調査研究協力者会議、大変長いわけですが、これが発足をいたしました。それと並行いたしまして小中高六十四校で実験校として実際に実験が始まっているやに伺っておるわけでございます。最終的には平成四年春ごろまでには何らかの結論を出したいというふうに伺っております。  実はこのいわゆる土曜休学と申しますか、いずれにしてもこれはいずれの時期かには実施をされるということにはなると思うわけでございますが、この土曜休学というものは生徒中心とした施策の中で行われるものではないわけでございます。いわゆる国家公務員の四週六休制、こういうものの普及等に合わせて、あるいは官庁の土曜閉庁というものも実際に行われるようになってきておりまして、そういう意味から同じ公務員である学校先生にも、こういういわば教職員側の事由によって起きてくることだと私は思っているわけでございます。そういう意味において児童不在という感じもあるような感じも私はいたしております。  そこで、これらの土曜休学というものがいずれは来るわけですが、それに向けて今から子供たちに対しての配慮というものをしっかりとしていく必要があるんじゃないだろうか、これは言うまでもございません。いろいろな問題がございます。学力低下をどうやって防ぐかというような問題もございましょう。それらのことすべてのものを考えて、私自身としては、この中で一番大切なことは土曜日に一体子供たちをどうやって過ごさせるか、こういうことであると思うのです。  御承知のとおり、今はもう塾が盛んでございます。土曜日を休学にして子供たちを真っすぐうちに帰すようにしたら、一体どういうことになるだろうか。これは、だれもがそんなに深く考えなくても見当はつくわけでございまして、子供たち自分のうちにいないでお母さんの命令ですぐ塾に行ってしまう、こういう形になってくるのは目に見えております。こういうことは、子供たちがせっかく土曜日という日が有効に使えるのにまたまた知的教育偏重の結果による塾通いお母さん方も余分な出費が当然ふえてくる、こんなことをしていていいわけはないのであります。  そこで、私はこれから私の考えを述べさせていただいて、文部大臣にお考えをお聞きしたいと思っております。ぜひともこの日は学校教科外の、教科外といいましても選択等、音楽とか絵画とか書道とかそういうものであれば別でございますが、知的教育の分野以外のものとかスポーツとか趣味とか、あるいは地域に対する公徳心といいますか、そういったものを養う、何かそういう学校施設中心として、学校施設ばかりではありませんが、学校施設中心として自分個性を生かす、伸ばすための半日にしていただけないだろうか。そういうことになりますと、子供たちのために土曜休学というものができるわけではありませんが、災い転じて福となすと言った方がいいかもしれませんが、まさに子供たちのために新しい個性教育をする場ができるのではないだろうか、実はこう考えているわけでございまして、ぜひともこうした研究も精力的にやっていただきたいと思うわけでございます。こうした将来に備えての文部大臣所信等をお伺いさせていただければありがたいと思います。
  6. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  まず五日制の是非論でありますが、やはり子供教育でありますから、子供のためにどうやったらいいかということを基本に置いて、そして何とかこのような形であれば五日制ができるということ、そこのところが一番基本だと私は思います。ほかの省庁が皆そうなってしまった、教職に携わっている方だけが五日制にならないという形、もちろんこれも何とか考えなければならないのだと思います。  そこで、子供教育のためにはどっちがいいのか、あるいは夏休みの問題もあります。全般を考えてみて、基本はやはりそこに置くべきだと思っております。残念ながら、世論等調査してみますと、まだ本問題については約六割程度は反対のあれが上がってきてしまっているのです。そんなことも考えながら、基本はそこに置くべきなのだ。そして委員御提案の、五日制になった場合土曜日をどうしたらいいかというのは、まさに個性を伸ばすようなことに使えるようになれば全く理想だな、こんな考え方であります。
  7. 臼井日出男

    臼井委員 文部大臣から、まさにこの問題は子供たちのためにどうしたらいいかということを考えなければいけない、そういう大変すばらしいお言葉を聞いて安心をいたした次第でございます。  一番最初に私が質問させていただきました生涯学習、それらの方々がせっかく学習したものを世の中に生かしていくという意味で、ぜひともこうした方々に土曜日、子供たちのためにボランティアとして活動していただく、こういうリンクがもしできるならば、それなりに生涯学習のためのプログラムはもっと意義深いものになるのではないかと私は思っているわけでございまして、御検討をよろしくお願いいたしたいと思う次第でございます。  次に、幼稚園への三歳児入園促進についてお伺いさせていただきたいと思っております。  ある雑誌に、先日、こういう話が出ておりました。生後六カ月になる乳飲み子を抱えた奥さん教育相談に見えた。その奥さんが言うのには、この子は生まれて半年になるのですが、一体いつから教育をさせたらいいのでしょうか、こういうふうな質問があったそうであります。そのとき、それに答える先生は少しも騒がずに、奥さん、半年遅かったですね、こういうふうに答えたという話がございました。  これは単なる笑い話で済まされない、まさに教育基本に関する問題を含んでいると思うのです。まさに教育というのは、子供が生まれたときから既に始まっているものだ、幼児教育重要性というのは大変重要だと私は思うわけでございます。学校教育法ではせっかく幼児教育を三歳からどうぞやりなさいというふうになっているわけでございますから、これをぜひとも社会の場として生かしていく必要があるのじゃないだろうかと私は思っております。しかし、残念ながら実際には全国平均で三歳児の入園率はわずか一八%にすぎないという統計をどこかで見たことがございます。このことは私としては全く残念なことでありまして、この事実は決して親の意識が低いから三歳児から入れないということではないのだろう。  それじゃ一体どういう理由があるのだろうか。いろいろ理由はあると思いますが、一つには幼稚園就園奨励費が三歳児は除外されておる。共働き等で非常に収入が低い。こういう方々にとっては、まさに国でやっていただいている就園奨励費というのはかけがえのない入園促進一つの有効な手だてになっているのじゃないだろうかと私は思っているわけなんです。したがいまして、ぜひともこの三歳児に対する就園奨励費を積極的に推進していただきたいと考えておるわけでございます。  本年の来年度概算要求に三歳児就園に関する計画策定費が一千三百万円つけられたと伺っておるわけでございます。大臣、これらの幼児教育重要性をどういうふうにお考えになっておられるのか、どういうふうな決意を持ってこれからこういう面に当たっていただけるのか、後ほどこの点については北川先生からももっと詳しく御質問があるかと思いますが、概要だけをお話しいただければと思う次第でございます。
  8. 石橋一弥

    石橋国務大臣 幼児教育の問題でありますが、昔から東洋には胎教という生まれる前からの教えがあります。そしてまた、三つ子の魂百までという、まさに三歳ですが、こういうことわざもあるほど昔から大変大事だ。幼児期人間形成の基礎が培われる極めて重要な時期であるわけであります。この時期に幼稚園、家庭、地域社会一体となって適切な教育を行う。総理施政方針の中にもたしか人が生まれて一番先に出会う教師は親であるという言葉があったと思いますが、それほど大事なことだと認識をいたしております。  そこで、三歳児教育の問題については、幼児を取り巻く環境の変化を踏まえて、幼稚園教育の充実を図る観点から積極的に取り組んでいきたいと考えております。
  9. 臼井日出男

    臼井委員 後ほど北川先生、よろしくお願いします。もっと詳しくお話があろうかと思いますが、積極的にというお話がございました。平成三年度から就園奨励費実施、こういう御計画も先には含まれているというふうなお話も伺っておりますが、ぜひともひとつこういう点、さらに積極的に御努力をいただくようにお願いをいたしたいというふうに考えております。  次に、消費税関連をいたしまして、教育費非課税問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。  現在、消費税実施をされておるわけでございます。この消費税については、いろいろな問題も現に起きてきているわけでございまして、しかし私ども自由民主党は、この消費税については廃止ということは考えておりません。二十一世紀に通用する新しい納税価値観を持った税制として、ぜひともこれをひとつしっかりとやっていきたいと思っているわけでございますが、しかし実際に運営をしてみますと、やはり問題点も大分出てきているようでもございます。まさに私どもは、精力的にこれらの問題解決のために現在努力をいたしているわけでございますけれども、これらの中でいろいろ見直し案というものが出てきております。  一番国民要望が多いものは、食料品非課税というものが主婦の八割方そういう御意向があるということも承っているわけでございまして、これらのことについては私どもしっかりとやらなきゃいかぬとは思っておるわけでございます。しかし、それだけでいいんだろうか、こういうことになりますと、せっかくこういう手直しの機会というものが与えられているわけでございますから、よりすばらしいものにするためにもっといろいろな面での検討が必要ではないだろうか、こういうふうに私は思っております。  そこで、教育費非課税というものも当然もっと広げていってもらいたい、私はこういうふうに実は思っております。その非課税拡大の際に一番問題になっておりますのが、いわゆる入学金の問題でございます。これは、父兄にとっても一番身近な問題でございまして、こういう要望が多いと思っているわけでございます。これらのことについてどういうふうにお考えであるか、お聞きをいたしたいと思っております。  さらに、学校生徒の費用に関するものといえば、入学金等だけではないわけでございまして、例えば給食費等についてもいろいろな問題があるように聞いております。  例えば、学校の中にある給食施設を持っている場合には非課税になっている。しかし、給食を表から配給する大規模なものについては消費税がかかっているというふうな話も実は聞いているわけでございまして、こういうことは実際あるのかどうか。やはりそうであるとするならば、給食費等非課税というものの対象に当然加わってくるべきではないだろうか、こう思っているわけでございますが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
  10. 野崎弘

    野崎(弘)政府委員 初めに、入学金についてのお尋ねでございましたので、その関係につきまして私の方からお答えをさせていただきます。  現在、消費税法非課税になっておりますのは、先生指摘ございましたように、授業料とそれから入学検定料、これが既に非課税になっておるわけでございますが、さらに御指摘ございました入学金、それから学校では施設設備費等、そういうものも徴収しておりますので、入学金施設設備費等学生納付金につきましても非課税ということで関係団体等からの要望が出されておるわけでございます。  しかし、この消費税につきましては、現在、政府税制調査会におきまして消費税実施状況等を把握する場を設けまして勉強を進めていただいているもの、このように私ども承知しておりまして、文部省といたしましてもそれを見守っている次第でございます。
  11. 前畑安宏

    前畑政府委員 給食費についてもお触れになりましたので、補足をさせていただきます。  御案内のとおり、給食に関しましては、食材料費に相当する額を父兄から集めまして、その額で食材料を買って給食を提供する、こういう仕組みでございます。食材料を買うところの問題は、先ほど先生お話がございました食料品に係る非課税全体の問題にかかわるところがございます。そして、集めました給食費食材料を買って生徒に提供するというところでいわゆるサービス課税の問題があるわけでございますが、現実的には父兄から集めました食材料費でそのまま材料を買うわけでございますので、具体には課税の問題がないわけでございますが、ただ、食料品相場等の変動によりまして若干でも剰余金が出ればそこに課税の問題が起こるということもございますので、あわせて関係団体の方からそのような要望があることは十分承知をいたしております。先ほど私学部長からお答え申し上げましたように、私どもとしても十分な関心を持って見守っておるところでございます。
  12. 臼井日出男

    臼井委員 この非課税についてはしっかりと、しっかりとと言わなかったな、見守っていくというお話でございました。非常に冷静な御見解でございますが、私ども文教に強い関心を持っている自由民主党の議員は皆、党の中でもってこうした問題についてもしっかりとやっていく覚悟を持っているわけでございますが、ひとつ文部省におきましても、教育という問題というものを踏まえた、いま一歩積極的な姿勢というものをおとりをいただきたいというふうに考えているわけでございます。  それから給食費につきましては、今のお話でございますとほとんど影響がないということでございます。私も実際に現場まで行って調べたわけではございませんので、はっきりとした資料があってお話をしているわけではございませんが、地元の方からは、現実にそういう課税非課税の問題、学校によって課税がされておったりされてなかったり、そういう問題があるんだ、したがって、こういう問題については国の方で何とかしてもらいたい、こういう要望が現に私のところに来ておりますので、いま一つしっかりとお調べをいただいてこのことについてもぜひとも、もしそういうことが現実にあちこちにあるとするならば、非課税品目というものについて、こういうものもしっかりとお含みをいただくようにひとつ御配慮をいただきたいと思っております。  もう時間がなくなってまいりましたが、最後に、今回、芸術文化振興基金というものをおつくりをいただきました。これは私はかつてないすばらしい文部大臣ヒットだろう、こう思っております。文部大臣経験者でございます海部総理と現石橋文部大臣のコンビによる本当に会心のヒットだと私は思うわけでございます。このことは私は大いにひとつ御自慢をいただいていいわけでございます。  この御見解伺いたいと実は思っておりますが、いま一つ、例えば芸術文化、こう来ますと、必ずその後にはスポーツ、こうつくんじゃないだろうか、この三者はともにその国の文化性というものを象徴するものでありまして、振興基金というものをおつくりをいただくんであれば、やはりスポーツというものも当然入ってきていいはずだ、あえてこの中にスポーツというものが抜けておって芸術文化、こういうふうに来ている限りは、恐らく文部省におかれましてはスポーツだけは別に新たなる意気込みを持って基金設立努力をする、こういう新しい構想でもおありになるんじゃないだろうか、実はそういうふうに自分では思っているわけです。  特にオリンピックでございますとかあるいは国際マラソンでございますとかあるいは柔道でございますとか、そういうところで活躍をしたアマチュア選手、有為な人材がせっかく日本の名を高からしめて大変貢献をしていただいたのに、それがピークを終わりますと今度は自分が後継者の育成をしようと思ってもなかなか思うに任せない、こういう状況が現にあるわけでありまして、ぜひともひとつこの芸術文化振興基金と同時にスポーツ振興基金というものをしっかりとおつくりをいただく、その御決意をひとつ文部大臣から最後にお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  13. 石橋一弥

    石橋国務大臣 ありがたい御激励をいただきまして本当にありがとうございます。  そこで、新聞報道等で芸術文化振興基金ということで大変報道されております。決算委員会を初め今まで私の公的な立場における話し合いの中で、御指摘のとおり、芸術文化スポーツ振興基金の設置ということでずっと今までも来ております。そこで、結局は最終的なところに、これは文部大臣が幾ら言っても財政当局がどうなるか、あるいはまたこうしたものをやっていく場合、総理府とも大変な関連が出てまいります。そんなようなときになってぎりぎりの選択のときには、また腹を定めねばならない、こう考えておりますが、現時点においては芸術文化スポーツ振興基金の設置ということで動いておりますことを御了解をいただきたいと思います。なおひとつぜひ御激励を賜りたく、お願いを申し上げます。
  14. 臼井日出男

    臼井委員 どうもありがとうございました。景気が大変よろしゅうございまして、補正予算も大分しっかりととれるようでございますので、ひとつ国民的な文教の目玉として御努力をいただきたいと思います。
  15. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 次に、北川正恭君。
  16. 北川正恭

    北川(正)委員 それでは質問をさせていただきたいと思います。  我が国の次代を担う青少年を健やかにたくましく育てることは国の重要な責務であると考えますが、このために青少年の非行防止、青少年に有害な環境の浄化といった事柄について、教育行政関係者のみならず地域住民等がそれぞれの立場から手を携えて推進していくことが重要であります。しかし、最も基本的な問題は、具体的な対症療法とともに有害な環境等に負けないようなたくましい心を育てていくことが、迂遠な方法のようではありますが大事ではないかと考えています。  そういう観点から、今、都市化、核家族化といった近年の社会変化考えるとき、現在の子供に不足しているのは、大自然の中で思い切り活動する体験、額に汗して忍耐強く物事を成就する活動や、集団の中で年上や年下の子供たもと切瑳琢磨するような経験ではないかと考えるところであります。このような状況を考えるとき、今の子供たちに対しては教育関係者が相協力してさまざまな教育活動の場でいろいろな生活体験ができるような仕組みを意図的に整備していくことが必要であります。すなわち、公共心と独立心を本当に養っていくような体験をさせるべきだ、こう思っておりますが、現在、文部省においてはそのような観点からどのような施策を展開していらっしゃるか、お伺いをいたしたいと存じます。
  17. 横瀬庄次

    横瀬政府委員 ただいま先生指摘のとおり、現代におきます青少年を取り巻く環境ということを考えまして、都市化の進展でありますとか核家族化だとか少子家族化だとか、そういう非常に特徴的に急激な変化でございますけれども、そのもとで従来と比べますと、これも先生指摘のとおり、子供たちは自然との触れ合いとか、あるいは異なった年齢集団によっていろいろとたくましく育っていく機会であるとか、あるいは勤労体験をする機会、そういうようなところが従来と比べて非常に不足しているということは、大抵の方が御指摘をなさっているわけでございまして、文部省としてもまさにそういうことに対する対策が必要であるというふうに考えておるところでございます。そのために、本年の三月に改訂いたしました学習指導要領ですね、各学校における学習指導要領におきましても、自然との触れ合いというような、ただいま申し上げました体験的な活動と申しておりますが、そういうものを一層重視するようにということで、そういう方針で改訂をしております。  具体的な施策といたしましても、自然教室推進事業の充実でありますとか、あるいは体験学習研究指定校の指定とか、そういうようなところを充実しておりますし、また社会教育の側におきましても、少年自然の家等の青少年教育施設の整備、それから自然生活へのチャレンジ推進事業と言っておりますが、そういった異年齢集団による自然体験のための長期的なキャンプ活動というようなものを推奨してございます。それから青少年ボランティア参加促進事業というような奉仕活動という点についても充実に努めているところでございます。  それから家庭教育につきましても、その基本になりますのは家庭教育でございますから、家庭教育に関する学習機会とか、あるいは情報提供、相談事業の体制というようなことを推進してございまして、こういった施策を総合的に、生涯学習という観点というのもやはりこの横の連携といいますか、学校学校外あるいは社会教育との連携ということが非常に強調されているわけでございますので、そういう施策の全体についての総合的な推進ということで今後とも努力をしていきたいと考えております。
  18. 北川正恭

    北川(正)委員 随分、チャレンジ云々とかいろいろなことで御努力いただいて感謝いたしますが、少年自然の家なんかの、決まり切ったというか、パターン化された、一泊二日、二泊三日という、特別指定校とかそういう問題はあると思うのですけれども、ああいった問題も一遍分解していただきたいと思うのですね。そしてもう一回、本格的な自然に触れ合う環境の場というのをどうつくり出していくかという議論をぜひ文部省でもしていただきたいと思うのです。一泊二日、二泊三日で野外研修したときに、じゃどういうことが起こるかというと、自然に対してむしろアレルギーを起こして帰ってくる場合が非常に多い。したがって、当然そこにはもっと長期化の議論がなされてしかるべきだし、当然教職員組合等との話し合いも前向きに進めていただかないと、なかなかそういったところにメスが入れられないのではないかな。これは要望しておきます。  それで、今度は少し逆の立場で、逆の立場というか別の角度から、今日、地球の温暖化、オゾン層の破壊、大気及び水の汚染など、地球の環境をめぐるさまざまな問題が提起されておりますが、人類の生存基盤そのものに深刻な影響を与える重大問題であり、全世界が協力して対処していかなければならない緊急の課題であります。私は、人類がこの地球上で今後とも繁栄していくことを願うならば、人類の英知を結集して、我々に与えられたこの美しい地球環境を適切に保存し、子孫に伝えていくことが我々に課せられた責務ではないかと思うのであります。また、我が国は国際社会の中でその地位にふさわしい貢献を果たすことが期待されておりますが、今こそ我が国はかけがえのない地球を守るため、世界の先頭に立つべきであります。  私は、政府において地球環境保全に関する関係閣僚会議の設置や地球環境保全に関する東京会議の開催等、地球環境問題の解決のために積極的に取り組んでいることを高く評価するものであります。しかし、この地球環境問題のよって来るゆえんは大変複雑であり、これらの環境汚染と言われる現象がどのようなメカニズム、どのような要因の上に成り立っているのか、いまだ科学的にも十分に解明されていないと聞いております。そうだとすれば、この問題を真に解決するためには、当面とり得る環境保全施策をできるだけ多角的に進めるとともに、じっくり腰を据えて科学的調査研究に基づく因果関係の究明、将来予測といったことに取り組む必要があると思います。しかも、問題は全地球的規模に及ぶ問題である以上、幅広い国際的な協力のもとに進められる必要があるのではないかと思いますが、この点について文部大臣の御所見をお伺いいたしたいと存じます。
  19. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  この十一月十四日にも第三十一次南極観測隊が出港をいたしました。まさにこのことであります。御指摘のとおり、地球環境問題の解決のためには、大気あるいは海洋、生態系などの地球規模の環境変化の状況、変化を生じさせるメカニズム等に関して長期的観点に立って科学的知見を蓄積することが極めて重要であると考えております。  文部省といたしますと、かねてから地球環境問題の基礎となる地球科学全般の推進に努力を重ねてまいったところでございます。本年三月測地学審議会から「地球科学の推進について」建議をいただいております。これらを踏まえながら、大学等における研究体制の整備充実、国際共同研究の推進等を通じて地球環境問題の科学的解明に向けて今後とも積極的に努力をしていく所存でございます。
  20. 北川正恭

    北川(正)委員 今度はまた別の角度から、環境の問題で、例えば総量規制なんかで大企業などが随分実行してほとんど解決しつつある今日、家庭雑排水等の問題については指導なり規制がなかなか進んでいないわけであります。これらの環境問題の解決のためには、これから国民一人一人がそれぞれ人間の活動と環境との関係について深い理解と認識を持つことが非常に大切であると考えるわけです。  そのためには、大人になってからではなく、子供のときから自然を慈しみ環境を大切にする心を培う教育が極めて重要であると考えます。したがって、文部省のみならず各省庁との間にいろいろな議論の機関を設けていただくこともお願いしておきたいと思うのですが、その中で文部省小中高学校教育における取り組みについてお伺いいたしたいと思います。
  21. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 御指摘のように、環境保全につきましては子供のときから正しい理解を深めさせることは極めて重要だと考えております。このような観点に立ちまして、小学校、中学校、高等学校を通じまして社会科や理科を中心として指導しております。  例えば、小学校社会科五年などでは、生活環境を守ることが大切だとか国土の保全、森林資源が大切だということで、環境保全は国民一人一人の努力によるところが大きい、そういうことに気づかせるような指導をしておりますし、理科では、生物と環境の関係について調べて生物と環境のあり方を考えさせるというようなことも指導しております。  また、中学校では、社会科で環境汚染や自然破壊というものが大きな問題になっている。それを守るためには地球規模の努力が必要であるということとか、理科では、地球環境の保全の必要性につきまして二酸化炭素の問題とかフロンガスの問題等具体的な指導をすることにいたしております。高等学校も同じでございます。  今回の学習指導要領の改訂におきましては、一層こうしたことの充実を図ったのであります。また、児童生徒と自然との触れ合いを通しまして環境の大切さを体得させるということで、自然教室の授業なども推進しているところであります。
  22. 北川正恭

    北川(正)委員 今社会科の教科書云々、こう出てまいりましたけれども、例えばそれは随分内容が変わってきていいことだと思うのです。環境というものを否定的にとらえることなく、いい環境をどうつくっていくかという状況に教科書の内容自体も変わっていくべきだと思うわけです。  私は三重県なんですが、四日市の公害華やかなりしころはあれがばんと正面に載ってしまって、それがすべての諸悪の根源といいますか悪だ、こういう時代は過ぎ去って、我々が新しくいい地球環境をどう創造していくかということに論議がすりかわってこないと、本当にたくましい、きれいな社会ができ上がっていかないと思いますので、その点についても今後ともぜひ御検討いただきたい、こう思っております。  内容を変えまして、今までの家庭や地域では、兄弟姉妹も多く祖父母も同居する三世代世帯であり、地域では大勢の仲間とともに自然を舞台にいろいろな経験を積むことによって人生にとって必要な学習をしてきたわけです。ところが、近年核家族化や兄弟の減少、地域における異年齢を含む子供集団の減少、都市化やこれに伴う生活意識の変化等によって家庭や地域における人間関係が希薄化し、自然との触れ合いや直接体験の減少により、幼児にとって必要な経験や活動の場が著しく減少してきています。また、我が国は工業化社会から高度情報化社会へと人類がかつて経験したことのない新しい文明の時代を迎えようとしており、高齢化の進行や国際社会における責任の増大という新たな課題にも取り組むことが要請されています。  このような社会変化を踏まえてこのたびの幼稚園から高等学校を通しての教育課程の改訂がなされたものだと聞いております。そこで、今臼井議員の御質問にもございましたが、三歳児はあらゆる事象に興味や関心を示し、この年代の経験いかんがその人間の一生を決めるという極めて重要な時期であります。また学校教育法にも、幼稚園は三歳からと定めてありますが、それにもかかわらず四、五歳児と比べ三歳児の就園率は低く、幼稚園教育を受けていない幼児が多いという状況があります。私は、今後、国として三歳児の就園を奨励すべきであると考えておるわけです。  そこで文部大臣に、幼児教育重要性と三歳児教育について改めて御見解を承りながら、政府委員の方には、三歳児教育推進の具体的な措置として、現在四、五歳児を対象としている就園奨励費に三歳児を早急に含めるべきであると考えておりますが、あわせて質問をいたしたいと思います。
  23. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  先ほど臼井委員にも答弁を申し上げましたが、私は、やはり幼児のときに人の人格のもとの形成はでき上がってしまうだろうという考え方を常々持っております。胎教の思想があるのは、赤ちゃんを身ごもった母親が大変いい音楽を聞いているときあるいはかっと怒ってばかりいるような場合、これは科学的な分析の中においても明らかにその結果が出ていると言われております。  そのくらいのことでありますから、何とかして幼児教育、三歳児の幼稚園入学、これをぜひやってみたいという基本的な考え方を持って、そして、きょうは政府委員という立場でありますが、政府委員の諸君にも積極的に研究をしてみろ、できる限り早くやってみてくれということで命じてあります。
  24. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 就園奨励費に三歳児を含めるべきではないかという御指摘でございますが、この点についてお答えします。  文部省では、昭和四十七年度を初年度とする幼稚園教育振興計画を策定しまして、希望するすべての四、五歳児を就園させようということで計画的に整備を進めてきたわけでございます。この計画は実は昭和五十七年度をもって終了していたわけですが、その後、財政再建期間ということで新しい振興計画の策定についてはできなかったのであります。しかし、御指摘のように、社会や環境の変化に伴いまして、三歳児にかかわります幼稚園教育の役割に対する国民の期待というものは高まってきていると思います。三歳児の就園率は、平成元年度ではまだ一八・三%でございますけれども、このような状況を踏まえまして今後三歳児の就園をどうしていくかということも私どもは真剣に考えなければならないと考えております。  そこで、平成二年度におきましては、三歳児就園に対します保護者の意識を調査しましたり、市町村の幼稚園の整備計画などを調査をいたしまして、新たな幼稚園教育振興計画を策定してまいりたい、そのための経費を要求しております。したがいまして、その新しい振興計画の中で三歳児に対する就園奨励費補助について真剣に検討してまいりたい、このように考えております。
  25. 北川正恭

    北川(正)委員 調査計画策定ということで大臣初め皆さんの大変な御努力をいただいたことには感謝をいたしておりますが、正直申し上げて、そんなものはもうでき上がっているのですね。多分、そう思います。したがってもう実行あるのみ、こういうことで実はお願いをしておきたい、こう思うわけで、一年間かけて計画策定するということであろうと思うのですが、御努力は多としますけれども、いま一歩踏み込みまして二年度に実行ということを強く大臣要望をいたしておきたいと思います。  その次に、教職員定数の問題についてお尋ねをいたしますが、現在、小中学校の四十人学級を初めとする学級編制及び教職員定数の改善計画昭和五十五年度から十二年計画で推進されていますが、臨時教育審議会の答申や新しい学習指導要領の主要な柱である児童生徒個性を生かしたきめ細かな教育を推進していく上で、この計画実現は非常に大きな役割を果たすものと考えております。厳しい財政事情のもとで現在の進捗率はまだ五五%しか達成していないと承知していますが、計画も残り二年間となっておりますので、ぜひとも計画どおり完成させていただきたいと思う次第です。文部大臣の御決意をお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  教職員定数改善計画でありますが、第五次計画につきましてはこれまでその着実な推進に努力しているところであります。平成二年度予算においても所要の概算要求をいたしてございます。この改善計画につきましては残り二年間となりました。極めて厳しい状況にあると認識をしておりますが、なお目標に向かってできるだけの努力を続けていきたいと考えております。
  27. 北川正恭

    北川(正)委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと存じます。  政府委員で結構なんですが、この改善計画の中で、実は学校を取り巻くいろいろな要素というのが僕はあると思うのです。そして教師の定数というのも大きな問題ではありますけれども、事務職員なり栄養、保健といった方々が本格的に、やはりおれたちも学校教育に参加しているんだ、私たちも本当に使命感を持ってやれるんだという環境をつくり上げていくことが密度の高い教育環境をつくり上げていくことになろう、こう思うわけです。したがって、国庫補助の対象になるのかならないのかというような、ある意味の風前のともしび的な格好で果たして使命感を持った仕事ができるかといえばやはりできないわけでございますから、そのあたりはよほどこれから基本姿勢を固めていただきましてやっていっていただかなければいけない課題であろうと思っておりますので、学校を取り巻くすべての関係者の皆さんが使命感が持てるような状況をつくり出していくことが肝要であると思いますので、これはぜひお聞き届けをいただきたいと思います。  そういった中で、きょうは学校栄養職員の話に限定してお願いいたしておきたいと思いますが、学校職員の定数改善も行われてはおりますが、その進捗状況はどうなっているか。さらに、近年、児童生徒の体躯が非常に向上しておりますが、反面、飽食の時代の中で肥満の問題や子供の成人病的症状が指摘されており、給食等を通じた新しい食習慣の確立が求められていると思います。その中で学校栄養職員に課せられた期待は大きなものがあり、学校栄養職員についても計画どおりに完成させていただきたいと思いますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  28. 倉地克次

    ○倉地政府委員 学校栄養職員の定数改善の問題でございますけれども、これは十二年計画で全体で四千四百七十五人の改善を図ることになっている次第でございます。平成元年度時点で千七百六十八人の改善を行っておるわけでございまして、進捗率は三九・五%ということになっている次第でございます。  平成二年度の概算要求でございますけれども、これは改善計画の第十一年次分といたしまして七百三十人の改善を図ることとしている次第でございます。今後とも目標に向けて十分努力してまいりたい、さように考えておるところでございます。
  29. 北川正恭

    北川(正)委員 いろいろありがとうございました。  一つは、環境の問題でございますが、環境教育という問題を、当然環境庁もあればある意味で発生源の通産省もあればあるいは厚生省もあれば、こういう中で、ではその環境教育に関してどこがイニシアチブをとってそれをどう具体化し、どう進めていくかというのはやはり文部省にあろうと思うのです。近年の文部省の皆さん方の環境教育に対する御努力というのは、本当に目をみはるほどすばらしく前進していると私は実は高く評価させていただくわけでございますけれども、ぜひなお一層その推進方、御努力をいただきたい、こう思うわけです。  ついついセクトに陥りやすい今のこういった縦割り行政といいますか、そういった枠を超えていただいて、それぞれのお立場お立場、省庁省庁が一致協力をして地球的な環境あるいは生活関連的な環境、さらには子供の独立心とか公共心を養うための環境、さまざまな要素のある環境教育についてこれからもぜひ文部省が推進役、旗振り役をしていただきたい、そう考えているわけでございます。そういった中から生涯教育という観点に立って幼児教育からきちっとした文部省としての姿勢、スタンスというものをお決めいただいて、三歳児は来年度から確実に実行する、こういうことで強く要望をいたしておきたいと思います。  学校を取り巻く環境は、教師のみならずそれぞれのみんなが意識を持ってやっていかなければ、資源のない日本で子供教育が近年見られるような本当に管理されてしまって、勉強できる子だけが一番で、そのあとのことはほとんどカットだということについては、文部省としては本当に強いお気持ちでこれへの対応をしていただかないと全くいけないと思います。  自転車でよく高校生などが通学している姿を見て、五列で横隊になってすっと行く、その真ん中を行く生徒が百点満点とればそれはいい子だ、上できだ、ところが、交通道徳を守って右側をきちっと通学なりあるいは歩行なりしている生徒が百点満点で十点しかとれなかったら落ちこぼれだというようなことは、それはいろいろな状況はあると思いますけれども、その最大の責任は文部省にあるのだ、こう当然思いますし、そういった決意があってそしてそれに対して本当にすごいな、馬力が出てきたな、まじめだな、真剣だなという感じが出てこなければ、いやいやこれは行政指導の範囲を超えましてとか、いやいやこうですということではなしに、それは全力投球でかかわっていかなければ、今のいわゆる飽食の時代の社会で本当の意味での公共心、独立心、そういったものが養えるかといえば、残念ながらまだそのあたりは大きな問題、課題を残しているわけでありますから、ぜひこれからもよろしくお願いを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
  30. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 次に、中西績介君。
  31. 中西績介

    ○中西(績)委員 八月末に概算要求が決定されまして、石橋文部大臣が初めて政策的なものを具体化した内容をそこに示したと私は思っております。本来ならこの委員会でこの前のような簡単なあいさつでなしにもう少し実のあるあいさつをいただきたかったのですけれども、失礼ですが内容は余りないごあいさつであったために、あえて概算要求あるいは白書を通じて大臣の所信なり政策的なものを感じるわけでありますから、この点について質問を申し上げたいと存じます。  私は、従来からずっと文部省予算がシーリング枠の中でしか組めないという最も厳しい条件の中で予算編成をしておるということを大変残念に思っています。したがって、そうした予算を組むに当たって今後大きな影響を与える部分について何点か指摘をしながら、御回答をいただければと思っています。  まず第一は、人件費の問題。これから後、人事院勧告は相当高くなる傾向にあるのではないか。と申しますのは、余りにも労働組合の皆さんが御理解が早いものですから、賃金の上昇率が長い間抑え込まれてきています。しかし、これからは諸外国からも大変な指弾を受けるような状況が出てくるわけですから、相当伸びを示すのではないかと私は思っています。そういうことになってまいりますと、人事院勧告がこれから後、本年よりも数年は落ちないのではないかという気がしてなりません。したがって、今まで言われましたように、一%については三百二十五億円を必要とすると言われていますから、本年度は大体どれぐらいの財源を必要とするのか、それが一つ。  それと、これは大臣にお聞きしたいのですけれども、将来こういう問題についてどのように対応していくのか、こうした点についてお答えいただきたいと思います。
  32. 國分正明

    ○國分政府委員 お尋ねは二点あったかと思います。  まず今回の人事院勧告に伴います人件費の所要経費でございますが、私どもの推定の計算によりますと、千三百三十億程度というのが所要経費になっております。先生指摘のとおり、平成元年度文教予算で七七%が人件費でございます。しかも、ここ数年来国全体の一般会計が厳しい状況にございますので、年々ふえてきて七七%にまでなっている。人件費と申しましても、文部省の場合、例えば四十人学級その他の定数改善あるいは国立学校の教職員の定数増とか政策的な意味合いももちろんあるわけでございますけれども、人件費、物件費という観点から申しますと、人件費の比率が非常に高まってきており、文部省の予算が非常に厳しい状況にあるということは御指摘のとおりでございます。  今後、財政状況がどういうふうになるか私ども具体的には判断できませんけれども文部省としてできるだけの努力をしてまいりたい、そのために文教予算の確保に努めてまいりたい、かように考えております。
  33. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  委員指摘のとおり、いわゆるシーリングという枠の中に閉じ込められて予算を編成しなければならない立場にあるわけであります。当然、概算要求を行ったときにも何とかこの枠が外れないか、政治の柱の中に入れて枠を外してもらいたい、そんな考え方でいろいろ折衝をいたしたわけでありますが、御承知のとおり財政再建計画がもう一年あるのだということであります。その中で予算を組んだということもひとつ御了解をいただきたいと思います。
  34. 中西績介

    ○中西(績)委員 先ほどの七七%というのは、一千三百三十億程度必要となるが、これを含んでのパーセントでございますか。
  35. 國分正明

    ○國分政府委員 七七%と申し上げましたのは、平成元年度における人件費の比率でございまして、千三百三十億というものはこれとは別の問題でございます。
  36. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうなってまいりますと、七七%というのがさらに拡大されるわけでありますから、文部省の一般会計の中に占めるその割合は大変な率になるわけですね。そうなりますと、このまま放置をしておくわけにはいかぬ時期にきているのではないか。したがって、さっきどなたか言っておられた補正予算等でこれを完全に消化するとか、いろいろな形態でのやり方があると思うのですけれども、そうしたこととあわせて、将来展望はこういうふうにしていくのだということをある程度検討したということを示していただきたいと思うのです。この二つについて。
  37. 國分正明

    ○國分政府委員 現在の予算編成の過程におきましては、先生既に御案内のとおり人件費等はいわば別枠になっているわけでございますので、ベースアップ等があればそれに応じて人件費はふえていく、こういう仕組みでございます。  それから、物件費については、御案内のとおりしばらくはすべてがマイナスシーリングということで、平成元年度で申しますと、投資的経費にはゼロでございますが、それ以外の経常的経費については要求の段階でマイナス一〇%、こういう縛りがかかっているわけでございますので、人件費の比率の高い文部省予算といたしましては、当然にといいますか人件費の比率がどんどん文部省予算の中でふえていく、ここ数年来の数値を見ましてもそういう傾向があるわけでございます。  今後の問題でございますけれども、人件費はただいま申し上げましたようにふえてまいりますが、同時に、私どもとすれば、もう一つの重要な政策経費でございます物件費についても増額し、教育各般にわたります施策の充実を図りたい、こういうことでございますが、現時点におきましては、大臣からもお答え申し上げましたように、平成三年度までについては、少なくとも財政再建期間ということで厳しい概算要求を余儀なくされておるという状況でございます。
  38. 中西績介

    ○中西(績)委員 だから、それはもうわかっておるので、わかった上でこれからどうするかということの展望を持たないと、もう決めたらそのまま押し込められて何もできぬというのでは、政策的なものを具体化する、こうした点が大変欠落しているのではないかという気がしてならないから私は申し上げておるのです。それに比較して私たちが指摘をするような新しい政策というのはどんどん出てくるわけですから。  こうした問題と比較してみましても、何としても、一番基礎になる財源を安定させるという視点に立ってどうするかというものをやはり方針を出して、平成三年度まではもうどうすることもできませんということだけではなしに、もう少し工夫があっていいのではないかということを私は言っておるわけです。したがって、すぐれた皆さんいらっしゃるわけですから、ぜひこの点は検討をしておいていただきたいと思います。私、これはまた引き続いてやりたいと思います。  次に、ODAの問題にちょっと触れてみたいと思うのです。  これを見れば見るほど文部省予算をいよいよまた大きく圧迫してくる問題を醸し出す内容を持っておるわけであります。この内容は、ぜひこれはやっていかなければならぬ問題ですから私はこれを否定するものではないし、むしろ留学生の問題にいたしましても、あるいは留学生問題が最も大きいし、国連大学への協力というのは当然日本としてはやるべきだし、積極的に推進をする政策だろうと思うのです。ところが、これがふえればふえるほど今度は財源的には大変厳しゅうなってくるわけですから、これは文部省から示されました資料を見てもわかりますように、ODAの概算要求基準が、例えば六十三年度から申し上げますと、八・六、そして本年が九・四、概算要求額からいうと二年度が九・四、こうなっています。文部省のODAの伸び率は、四九・二%、二八・一%、一八・八%と特別の伸びをずっと示してきているわけです。ということになってまいりますと、私たちが今多くの皆さんから指摘をされたり、あるいは要求をされたり、諸外国の皆さんから期待をされる留学生問題を私たち自身が積極的にやるということになれば、この分もこれはまた全部このようにかぶさってくるわけですから、ここぐらいは何とか脱却をできぬのかということです。  特にODA問題からいいますと、皆さんも御存じだと思うけれども、たくさんの問題が逆にODAの場合にはあるわけです。もう一兆円を超えるような額になっておるわけでありますけれども、タイにおける実態だとか、フィリピンあるいはインドネシアにおけるというものを調べれば調べるほど問題があるわけです。どこが喜んでおるかといったら企業の皆さんがうんと喜ぶだけであって、そこの地域の、外国の大衆なりあるいは人民の皆さんが本当に期待をするようなものは非常に少ない。したがって、私たちはフィリピンに調査に行きましても、それが理由で反日感情というのが渦巻いておるという状況等があるわけですね。実際に我々は行ってみたのですから。現地の人から聞いたわけですから。  こういう状況であるなら、私はこの留学生問題をもう少し、文部省予算内で組み立てるということでなしに、特別な政策なり何なりを打ち出すことの中からそこに充当していくということにしさえすれば、金はあるのですから、むだな金を使わぬようにすればいいわけですから、そうしたことについて検討なりあるいは要求をしたことがあるかどうか、お聞きをしたいと思います。
  39. 川村恒明

    ○川村政府委員 ただいまODAの問題につきまして御指摘をいただきました。御指摘がございましたように、ODA予算は今政府全体として大変に大きな額になっております。一般会計ベースだけで申しましても約一兆円近い八千三百三十九億、こんな額になっておるわけでございます。  ODAの使い方として、やはりこれは大変重要な問題でございますから、政府としての方針があるわけでございますけれども、現在進んでおります第四次の計画、昨年から一九九二年までの五年間が第四次の計画に当たるわけでございまして、その間で、この第四次の計画期間中に特に重点的にやるべきこととして、そういうハードの問題もございますけれども、特に人づくりに対する協力でございますとか、あるいは技術移転とか、そういったソフトの面を中心にしていこうというようなことが中心になっております。あるいは国際機関との協力も大切にしていこう、そういう枠取りの中で、私ども文部省関係の予算はまさにそういうことに該当する部分が多いものですから、ただいま御指摘をいただきました留学生の問題、国連大学の問題、あるいはユネスコを通ずるいろいろな事業への協力、こういうことを進めているわけでございます。  こういうことについてODAの全体の枠組みが、御質疑がございましたように、先ほど来の厳しいシーリングの中で九・四%の増ということになっているわけで、私ども文部省予算の中でそういうODAの関係の経費を最大限に政策的に重点を入れていただくということを進めているわけですけれども、さらにODA全体の中でこういうソフト面の仕事、これは私どもだけの、文部省だけのことではございません。例えば留学生の関係で申しましても、文部省の予算がほとんどでございますけれども、もちろん外務省等にも関連の予算がある。それはそれでまた外務省の方で計上をされているというようなことでございます。でございますから、全体のODAの中でのそういうソフト的な経費というものの位置づけをさらに今後とも充実をしていくということでこの問題に対応していくことが一番現在とれる方法ではないかというように思っております。
  40. 中西績介

    ○中西(績)委員 私はこのことを否定をしているわけではないのです、やっていることについて。むしろ積極的に推進をすべきだと私は言っている。しかし、人材養成にかかわる留学生受け入れ体制等については、文部省の予算を拡大していけばいくほど食うわけですから、これを何とか別の方途でもってやる方式はないのか。ODAならODAでいいわけですから、文部省予算を食わないようにしてやる方式はないのか。そうしたことの提言等についてはやったことがあるかと言ったら、そのことについては今何も答えぬのだね。そして何かやっていることが何も間違ってないなどというような答弁をするから、これはけしからぬと私は言うのだ。これは私は何も否定はしてないのですから、推進をすべきだということを言っているわけですから、今のような答弁をしてもらっては困るのです。
  41. 國分正明

    ○國分政府委員 ODA予算でございますが、先生指摘のとおり、平成元年度あるいは平成二年度におきましては九・四%の別枠になっているわけでございます。ただ、これは御案内のように各省共通でございまして、率直に申して先生から御指摘がございましたように、文部省関係でございますと、留学生経費一つをとりましてもこの枠では足りないということで、端的に言えば九・四%を超えて、例えば平成二年度の要求におきましても一八・八%増の要求をしている、こういうことでございまして、これの財源確保ということについては私どもも今までもいろいろ努力してまいりました。今後の平成三年度以降の概算基準と申しますか、それがどういうふうになっていくか、これは今からわからないわけでございますが、そういうものの設定についてあるいはまた従来からいろいろ努力していることも含めまして今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほど御答弁申し上げましたところでちょっと訂正させていただきたいと思いますが、財政再建期間中ということで平成三年度と申しましたが、平成二年度の誤りでございますので、訂正させていただきます。
  42. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、留学生が全部で三百五十一億の中に二百八十一億を占めるわけですから、これはまだ拡大をされていくことは必至ですね。そのことはもうわかり切った話なんです。  ですから、私はやはりODA全体について枠外にしておる条件があるわけですから、この分だけでも枠外に、留学生だけでも予算の中から占めるのでなしに枠外にしていくという考え方がとれないものかどうかということを私は従前から言っているわけなんですね。そうすれば二百八十一億というのは大きいです。既に三百億近くになっていますよ。これは将来どんどんふえていく可能性というのはあるわけですから、ぜひそうした知恵を少しでも働かせていただきたいというのが私の主張なんですね。どうでしょう。
  43. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  究極的なところにいきますと私の力不足ということに相なるわけでありますが、先ほども申し上げましたとおり、何とかして文教施策を前進させるということには結局文教予算のパイを大きくしなければできない、ずんずん詰まりになっているところがたくさんあります。ですから、何とかこれをやりたいというのが基本的な考え方で折衝いたしました。  特に、人件費七七%以上にもなってしまう、マイナス一〇%の枠はかかる、ますます人件費の余計ある省庁というのは特に苦しいです。何とかここら辺を、例えばマイナス一〇%というもののかぶせ方を人件費の多いところはマイナス五%くらいにしていただけないだろうかとか、ODA、ODAといったって、結局各省に割り当てる中からそれが出るならば、ODA予算一兆円ということ、それは一体どういうことなんだ、別に財源を持ってそれをやるべきではないかとか、いろいろな折衝をやりました、何とかしたいという考え方で。結局、あと一年だ、平成二年度で財政再建計画は一応達成するのだからという議論に押し切られてしまったというのが現実の姿でありますので、御了解をいただきたいと思います。
  44. 中西績介

    ○中西(績)委員 これだけに時間をかけるわけにいきませんが、いずれにしましても、私、本当にこの留学生問題をさらに深く広く論議をずっとしていきますと、まだこれに対して積極的にやらなくちゃならぬわけですから、やればどこかのあれを削らなくちゃならぬなんというようなことになってくるのでは、文部行政、今大臣言われたように七七%は人件費ですから、これはもうどうすることもできぬ、あとの事業費の中にそれがどんどん拡大されてくるわけですから、大変なことになるものですから、特に私、この一〇%枠、来年一年だから我慢せよという今のお話のようでありますけれども、これはもうちょっと受けるわけにはいかないですね。  ですから、やはり皆さんが、文部省なりがこの点だけはどこかで、何点か、一点でもいいから一遍突破をする、こうしたことを何かつくり出していただかぬとなかなかこれは、年限が二年で切れたということになってもそう簡単には私はいかないのじゃないかという気がしてなりません。ですから、この点、特に主張しておきたいと思うのですが、十分な御検討をもう一回やってください。  そこで、問題になります、予算が特にまた不足しておることでなかなかできにくいだろうという問題について触れたいと思います。  それは、第五次学級編制及び教職員定数改善計画を見ますと、これは平成三年で終了することになるわけですが、これはそもそもつくられたときに御存じのように一年間空白期間がありました、四次から五次に移る際に。そしてしかも十年でという話になっておったものをまた二年加えて十二年ということになったから、結果的には十三年かかっているとしか言いようがないわけですね。これはもう随分いろいろなところで約束をしたり何かしたけれども、結果的にはこうした結果になってしまっています。  そこで私が聞きたいと思いますのは、この文部省から示されました計数をずっと見てみますと、来年の二年度の概算要求は、一応一万三千三百人の自然減の分を全部充てるということになっています。今年度分はそれができずに、随分私たち話をしましたけれども、とうとうできなかったのですが、これを全部充てるというのが今の案です。ところが、これを充てたとしても、将来的に考えてまいりますと、三年度で終了すると言われるのにここでは自然減はもう八千九百人しかないのですね。そうなってまいりますと、この残りの部分、十二年間で達成しなくてはならぬと言われておった分、二万人を超える二万二千八十一人になるわけであります。そうしますと、たとえこの八千九百人を全部充てたとしましても一万三千百八十一人を自然減でなしに別途これを用立てしなくてはならぬということになるわけですね。ということになってまいりますと、これは果たしてできるとお答えいただけますか。
  45. 倉地克次

    ○倉地政府委員 今先生指摘のありましたように、数字としては、来年度、現在の概算要求がそのまま認められ、かつ平成三年度の概算要求におきましても八千九百人の自然減を丸々活用したといたしましても、純増といたしまして約一万三千人の純増になるわけでございます。大変厳しい財政状況でございますから、私どももこれを遂行していくのは極めて困難な情勢にあるということは十分認識しているわけでございますけれども、今後とも十分努力してこの達成に向けて力を尽くしてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  46. 中西績介

    ○中西(績)委員 いや、見通しはあるのですか。全部充当したとしても、八千九百人を充てたとしても一万三千百八十一人ということになるわけですから、私はやはり本年度予算のときに大蔵省と折衝して競り負けたというのが一つあって、そしてことしこの一万三千三百人という人員を、自然減を全部充ててもなおかつ今度は足りないわけですから、将来展望でいきますと、これじゃ私はもうできぬとしか言いようがない。この点、ことしなぜ譲ったのかということと、それから一万三千三百人でこの概算要求をしたということ自体が、一万三千百八十一人になるかどうかわかりませんけれども、もうあきらめたということを前提にしているんじゃないですか、違うのですか。
  47. 倉地克次

    ○倉地政府委員 ことし、自然減の一万三千三百人をすべて活用いたしまして、四十人学級と教職員の配置率の改善を要求いたしているわけでございます。その理由はどうかということでございますけれども、それは先ほど来御議論がございましたように、厳しいシーリングということもございますし、文部省全体のバランスのとれた予算要求ということも勘案いたしましてこのような要求になっている次第でございます。  ただ、純増一万三千百八十一というのは平成三年度の概算要求に残るということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましてはできるだけこの目標の遂行に努力してまいりたい、さように考えている次第でございます。
  48. 中西績介

    ○中西(績)委員 私は、これはもう既にあきらめたのではないかという受けとめ方をしておるわけです。  そこで、皆さんが出された白書を見ましても、百三十五ページにございますように、「教員一人当たり児童生徒数の国際比較」を見ますと、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、日本と、この五カ国だけしか出ておりませんけれども、これを見てもわかりますように、日本が児童生徒数が最も多いわけですね。こうなっています。ですから、「改善計画の着実な推進に引き続き努力する」というように白書の中には書いてありますけれども、もう既にこれは来年何とかいって終了の平成三年度には完結しないのではないかということを私は感じるわけです。  そこで、もう一つの問題とあわせて考えてみたいと思います。それは初任者研修の問題ですね。初任者研修は、概算要求では二百八十億一千百万を要求しておりまして、百億の増額であります。  これでちょっとお聞きしたいのですが、初任者研修で教員定数、小中学校で完全にこれを実施するということになりますと、五千九百五十九人必要だということになっていますね。そして、非常勤講師が六千三十八人必要だということになっています。こうなりますと、この六千三十八人というのは、義務教員定数に換算をしますと、大体金額からいたしますとどれくらいの人数に当たりますか。
  49. 倉地克次

    ○倉地政府委員 正確に申し上げますと、この非常勤講師と申しますのは週当たり三日程度出てくる方でございますし、また単価も指導教員と異なりますし、その補助率もまた二分の一ということでさらにその単価が下がるようなことになっておりますので、定数で何名と申し上げるのは非常に難しいのではないかと思っております。
  50. 中西績介

    ○中西(績)委員 この点は予告をしてなかったからなんですけれども、簡単にこれはできるんじゃないですか、計算は。できぬですかね。一週に三日間でしょう。そうすると、講師ですから、時間講師なのか日給になっているのか知りませんけれども、いずれにしましてもそれをはじき出してやれば六千三十八人ですから、そうすると大体一人当たりのあれは半分だということになるわけですから、補助金は二分の一ですから、簡単に出ると思うのですけれども……。まあいいです。  とにかく正規のものが五千九百五十九人ですから、約六千人ですね。それにこれがありますから、最小限見積もっても、これは上のが二千人程度にはなるんじゃないかなという感じがするのですよ。そうなりますと、六千人プラス二千人ですから八千人です。そうすると、三年の八千九百人に該当するぐらいの人員をここに充てているわけです。そして来年はまた高等学校と特殊学校がこれにまた加わりますからね。だから、私が指摘をするような八千九百人には、これはもう該当するのですよ、同じぐらい。ですから、それを入れると一万三千百八十一人ですから、五千人程度になるわけですね。八千人より超えると思いますから。  だから、このような問題のある初任者研修、これはもう何が何でも強行採決をしてでもこれを上げていくということをやったんですね。しかし肝心の十三年間かかって今達成しようとしているものを、これをまた十四年も十五年も延ばすということになってきますと、文部省の政策推進というのは何なのだということになってくると私は思うのです。私、それが言いたいのですよ。もう少し長期にわたる計画を、わざわざ私らは五年間でやるべきだと主張した。なぜなら生徒の縮小期に入るわけですからね。それを充てていけば四十人学級というのは早期に達成できるということを主張したのですけれども、なかなかやらずにこうして十三年間に引き延ばしてやってきたのです。  ところが、今度は途中で皆さんが目玉みたいにして打ち込めば、それにはそれに該当するぐらい予算をどんどん食い込んでいくということになると、最も主要な目玉であるこの計画が破綻をしてしまうということになってしまっています。私は、これは文部省の政策としては大変な誤りだったと思うのです。ですから、その点で私が言っていることが間違いであるというなら間違いだと言ってください。どうでしょう。
  51. 倉地克次

    ○倉地政府委員 教員定数の改善は、一学級当たりの児童生徒数を減少したり、また教員の配置率を改善し、教員一人当たりの生徒数の実質的な負担を減少するということを通じまして教育の質を高めようということでございます。そういうことから見まして、この定数改善計画は極めて重要な条件整備の一つであるというふうに私ども認識しておるわけでございます。  それと同時に、そうして教員の方が一定数の児童を担当されたといたしましても、その教員自体の資質の向上というのもまた極めて大切な問題というふうに考えているわけでございまして、初任者研修は教員の資質向上のための最も重要な施策というふうに考えているわけでございます。  教育の問題は、特に教員の問題は、量的な整備を図ると同時にその質的な整備も図りつつ、その二つが両輪となって達成されたときに初めて効果を発揮するというふうに考えておるわけでございまして、定数改善計画も十分その重要性を認識しておりますと同時に、初任者研修の重要性も私ども唱えておる次第でございます。よろしく御理解のほどお願いをする次第でございます。
  52. 中西績介

    ○中西(績)委員 答弁になっていないと思う。私が申し上げたのは、本当に十三年もかけて、本来なら五年で、従来はもう全部五年単位で一次から四次までの定数改善をやってきたでしょう。ところが、あのときには財源がないということを理由にいたしましてとうとう十年と言い、そしてまたそれに二年加え、空白期間を一年置いたから十三年と私は言っているのですね。ところが、それが実現できぬようになっているのではないですか。このような全国の状態からいたしましても、皆が待ち望んでおることだし、いち早く達成をして三十五人学級ということを皆さんが要請しておるわけですね。そして教育白書に示されておるように、単純比較をいたしましても現在日本が最低になっているのですね。  こういう状況であるにもかかわらず、この中の文章は「義務教育学校、高等学校とも現在の改善計画の着実な推進に引き続き努力する」という文章であらわされておるけれども、実質的にこうしたものがあるということ、ですから、白書の書き方についても、文章でそれができないならできないというところを明らかにしておく必要があると私は思うのですね。白書は後でまた触れようと思っておったのですが、こういう点をもう少し大事にしてやるべきではないかな、私はこう思っておるものですから、初任者研修と引きかえにここを犠牲にしてこれを引き延ばしていくというやり方をやっておる、このことを国民の皆さんは知らなければいかぬと私は思うのですよ。  しかも、初任者研修だって満場一致ならいいですよ。満場一致じゃないのです。強行採決までしてこれを上げていったのですから。問題点指摘しようと思ってもそれには発言をさせなかった。こういう状況の中でやられたものと引きかえにするなどということになりますと、これは絶対に許されない。  私がこのように言うことに対して、もしあなたたちから反論があるなら、一万三千百八十一人、これにプラスの八千九百人を平成三年にはちゃんとつけるんだということを今からでも明言をしてください。それであるなら私は撤回をします。どうでしょう。
  53. 倉地克次

    ○倉地政府委員 初任者研修につきましては本年度から小学校について全面実施しているところでございます。昨年までは試行の段階でございましたけれども、その段階でアンケート調査などをいたしておりますと、初任者研修の重要性について大変皆さん御理解いただき、好評をいただいている次第でございます。教員の資質の向上のためには初任者研修を充実してやっていくことは極めて重要な施策というふうに考えている次第でございます。  この初任者研修の定数の問題等につきましては、教職員改善計画とは別建てで要求し、かつ予算の査定を受けているわけでございまして、私どもといたしましては、別建てでこの施策を進めていっておるというふうに理解している次第でございます。平成三年度までのことでございますけれども、このことにつきましては、先ほど来申し上げておりますが、その目標の達成のために十分努力してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  54. 中西績介

    ○中西(績)委員 へ理屈を言ってはいかぬですよ。別建てというけれども、では文部省予算は食っていませんか。
  55. 倉地克次

    ○倉地政府委員 両者とも文部省予算の一環であることには変わりございませんけれども、その要求考え方または査定の考え方におきましては、それぞれ別建ての制度ということで措置している次第でございます。
  56. 中西績介

    ○中西(績)委員 文部省予算の内部でやっているわけですから、これだけの八千人から九千人分、高校、特殊教育も入れればあるいは一万人になるかもわからぬですね、それだけの予算を消費するわけですから、それがなかったら五次計画は達成が簡単にできるわけですから、私はそれを言っているわけですよ。ところが、別建てだから、考え方が別だからなんというのはへ理屈だというのです。そういう論議はやめてほしいと思いますね。私は予算全体の問題としてこれを指摘しておるわけですから、その点でかみ合う論議をしていただきたいと思います。  そこで、大臣に最後にお聞きしますけれども、その前に、さっきの数はちょっとわかりませんか。非常勤講師を義務教に切りかえた場合の数。
  57. 倉地克次

    ○倉地政府委員 突然のお尋ねでございましたので今概算いたしたところによりますと、約二千四百というふうにお考えいただいてよろしいのじゃないかというふうに考えている次第でございます。
  58. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから、これをずっと計算していきますと、約八千人プラス二千四百人、それに今度はもう一年すると高校あるいは特殊学校が入りますから、そうしたことを考え合わせてまいりますと、大体一万人近くなると思いますから、その計数がそのまま初任者研修に消費されるわけですから、その分だけがこの計画の中から差っ引かれるという、今までの出てきた現象からいたしますとそうなっておるので、私は指摘をしておるわけです。  そこで、大臣にちょっとお聞きします。今のような論議をしてまいりましたけれども、少なくとも第五次計画などといって、従来なら五年でやっておるようなことを十年に延ばし、しかもそれをまた二年延ばし、しかも空白期間を置いて十三年にしておるものまでも実現できないようなことになっておるわけでありますけれども、こうした点についての文部省の政策展開に当たっての重点的なものをどのように取捨選択していくか、それをちょっとお聞かせください。こういう長期的なものはもう簡単に打ち切ります、そして初任者研修などというどんなことがあってもやらなくちゃならぬと構えた分についてはそうしてやるのだ、反対があってもやるのだということになっているわけですから、この点についての御回答をいただきたいと思います。
  59. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  なかなか難しい問題でありますけれども、教職員定数改善計画、これも今までの長い経過、どうしてもやっていくということで行わねばなりません。一方また初任者研修のことでは、教職員定数を一切終わらしてからでなければこちらに手をつけないということにも相ならないな。この問題につきましても、考え方、歴史の積み上げの中においてやってきたということで、片方をよして片方だけにするという考え方は私はとりません。
  60. 中西績介

    ○中西(績)委員 なぜ私がそのことを言うかといいますと、私は少なくともここで論議をしたことは今度帰って報告しますよ。そうすると、文部省考え方は何なんだ、私たちの考え方はこうなんだということを私たちは言わなければならぬ。そのときに明確にしてもらっておかぬと、私が伝えたことが誤っておったとかなんとかいうことになってくると困るのです、あれは国元に帰ったら勝手なことばかり言っているなどというと。極めて正確に伝えなければならぬから、私はあえて聞いておるわけですよ。  そして、これから文部省の政策の展開の仕方がどこに重点を置いていくかということを我々はとらえなくちゃならぬわけですから、そうしたときにこれは誤りだということであれば、私たちは今度はその転換を求める対応をしていかなくちゃならぬということになるでしょう。そういうことがこの委員会の重要な課題ではないかと私は思うのですね。だから、私は慎重審議、時間をかけろというのはそういうところにもあるわけなんですよ。ですから、こうした面における政策をどうするかというこの点のあれは、ごまかしでなしに、あるいは抽象的な文言でなしに、やはりぴしっと整理をして言ってもらわないと私は困る。きょうはもうこれ以上やりますとこれだけで終わりますからここでとどめますけれども、いずれにしても、これからのやり方というのはそうした点でぜひお願いをしたいと思うのです。  ですから、大臣が言ったのは両者とも重要だということでしょう。そういうことになってまいりますと、私はもう一度お聞きしますけれども、今度これが終了して六次に向けてどういうふうに移行していくかということのある程度の論議を始めておかないと間に合わぬと思うのです。三十五人です。幼稚園の学級定数については私たちは長い間衆法でもって提案をしておったけれども、なかなか実現できずに、この委員会では小委員会までつくってやろうかというところまで行っておりましたけれども、この前の自民党の皆さんが多数をとってから一挙にこれが消えてしまいましたので、審議はできずにおるわけですけれども、これは今度三十五人ということが、百年近くかかってようやく実現するようになってきました。四十人以下というのは百年までならぬかな、九十年ぐらいになるんではないですか。この間全く変わらなかったものが、園児の減少期に当たってようやく三十五人ということを指向し、これからやるようになるようでありますが、そうなると、今度は六次に小中高の移行はどういうふうになっていくだろうかということをこれから毎年考えていかなければならぬ問題ですが、この点についてはどうですか。
  61. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先生先ほど来御指摘がございましたように、現在の定数改善計画は大変厳しい状況にある次第でございます。私ども、その厳しい中でも十分努力いたしまして、その目標の達成に努めてまいりたいと思っておるわけでございまして、現段階ではその後の計画につきいろいろと検討するまでには立ち至っていない次第でございます。計画完了後、十分検討してまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  62. 中西績介

    ○中西(績)委員 計画完了後ということになると、この前みたいに中休みを一年とか二年とかとられたんではこれはまた大変なことです。先ほどから言っているように、これにも書いてあるように、世界的にも劣っておるという状況はあるわけでしょう。だから、やはり少なくとも経済大国と言われる我が国が、何としても教育については政策的にも最重点要項としてやっていくということにならなければいかぬと思っておるわけです。そのためにはこの移行についても、終わってから考えたらこれは必ず空白ができます。  ですから、空白をつくらないためにもぜひ事前からそういうものを計画してやるべきなんです。そうしないと、また二年なり空白時間をつくって、また十五年とか言われるんではかないません。そういうことをやめるためにもぜひ実現をさせていただきたいと思います。幼稚園は既にこういうことをやろうとしていますから、それであればあるほどこれから小学校の児童生徒数というのはどんどん減っていくわけですから、この時期に向けてどうするかということを当然考えるということにならぬといかぬと思うのですが、絶対考えぬのですか、どうですか。
  63. 倉地克次

    ○倉地政府委員 大変恐縮でございますが、先ほど来お答えしておりますように、現在非常に厳しい中で私ども最大限の努力をいたしまして計画の遂行に邁進してまいりたいと考えております。その段階でございますので、その後のことにつきましてはまだ検討をするまでに至っていない次第でございますので、何とぞ御理解お願いしたいと思う次第でございます。
  64. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは大臣にお答えいただきたいと思いますが、私が申し上げていることが突拍子もないとかあるいは財源のないときだからそういうことは今言うべきでない、こうお考えですか、それとも、表面に出す必要はないけれども、こうした問題について空白期間をつくらずに政策的にこれは続けるべきだとお思いになるのか、どちらか、二者択一的に、ちょっと失礼とは思いますが、お答えいただければと思います。
  65. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  二つの問題を取り上げての御論議であります。私の考え方もいろいろあります。ありますけれども、二者択一の考え方はとっておりません。定数の方も初任者研修の方も何とか目的達成をすべく努力をしていかねばならないことである、こういう認識であります。  そこで、また一年そっくり空白をつくるか、過去において確かにあったわけでありますが、そんなことはないようにきちっと対処していきたい、こう考えております。
  66. 中西績介

    ○中西(績)委員 ちょっと質問の趣旨を取り間違えておるようです。私が言っておるのは、二者択一と申しますのは、私が今主張しておるように、第六次に向けての移行措置、移行するための検討をしてほしいということを言っているのです。ところが、終わってからだということを局長は言っておるものですから、そのように空白期間をつくらないようにしてほしいということを私は言っておるのです。  しかし、私が言っていることが、いや、それはもう突拍子もないとかあるいは無理だというようなことでどうなんだということを称して私は二者択一、こう言っているわけですから、私の主張を退けるというならそれで結構です。そうすれば、私は、きょうはできませんけれども、またこれから後ずっと続けていかなくてはならぬわけですから、その点をお答えいただきたいということを言っているわけです。
  67. 石橋一弥

    石橋国務大臣 ややお答えが違ったようで恐縮であります。  今の問題につきましても、何とかしたいという考え方を基本に置いて、そして検討を進めていく所存であります。
  68. 中西績介

    ○中西(績)委員 ぜひ検討してください。私は一回では終わりませんから、必ずこの場で今後もずっと続けてお聞きしますので、ぜひ検討してください。  それから、時間がなくなってしまったので困ったと思っているのですが、私学助成の問題で、私、資料をいろいろいただきました。私学関係のも読ませていただきましたけれども、この分について特別補助金配分基準というのがあるのだそうでありますけれども、私はこれを読ませていただきました。ただ、この際に、地方における高等教育機関の整備、それから特色ある教育研究ということになっておりますが、この点、特に地方で授業料がうんと低くて、その上まじめに学校経営をやっておるというところがたくさんあるわけです。こうしたところについて、幾つかずっと項目がありますけれども、全部読み上げるわけにいきませんが、そういう点について皆さんが重要視する。これはつかみ金みたいにして文部省の皆さんがやるのではなしに、ここに示されておる、検討委員会というのがあるそうでありますから、そこで検討して額を決めていくということになっているようですから、変につかみ金みたいなことにならないだろうということを期待をしながら、ぜひ地方におけるそうした私立学校・大学、これの助成をどう強めていくかということ等についてさらに深めるということにはならないかということをお聞きしておるわけです。  以上です。
  69. 野崎弘

    野崎(弘)政府委員 先生から特別補助につきましての御指摘があったわけでございますが、御指摘のように、その中で地方における高等教育機関の整備につきましても私ども特別補助の対象にしておるわけでございます。今つかみ金にならないようにという御指摘ございましたが、これも私どもとしては一定の要件を定めまして、それに該当するところに対しまして補助をする、こういう考え方で実施をしておりまして、私どもとしましても、この地方におきます高等機関の整備の問題、これは大変重要な課題だ、このように考えておるわけでございます。
  70. 中西績介

    ○中西(績)委員 それで、これは論議する時間がなくなってしまったものですから要望だけ申し上げておきますと、今言うように地方でもいろいろありますよね。ですから、そうした点でできるだけ皆さんが提出される内容を検討していただきまして、そして、今言う地方における高等教育機関の整備を促進していくために、授業料等が低いとか学生数が少ないとか、皆さんが基準を設けると今度学生数がどうだとかいろいろなあれで決まっていきますから、比率から単純な比較をするとどうなるかというと、小さいところほど金額が少なくて、苦しい中で努力しておるというような格好のものが多いわけですね。ですから、やはりそうした点を加味するようにやるべきではないか、こう思っておりますので、そうした点についてのこれからの御検討をいただければと思います。もう回答要りませんから、そうした点で十分御検討いただきたい。  それともう一つは、御存じのように、補助が大学におきましても最高のときは三〇%近くになっておったものが、現在では一六%になっています。高等学校におきましてもこれが同じように六十二年度が五・九という最低の状況になっていますから、この点ぜひもう少し努力をしていただきたいと思っております。この点はもうこれだけで終わります。  それから次に、公立学校施設整備費、これを見ますと、今から約十年ぐらい前になると思うのですけれども、五千億を超えた時期があったと思うのです。ところが、これが現在概算要求では二千二百五十五億七千二百万円に落ち込んでしまっておる。そして、来年度予算も百八十三億四千七百万マイナスの予算になっています。私がここで質問をしますと、今までの答弁の中では、地方の教育委員会から生徒の減少期に向けてそれだけの要求が上がってこなかった。だから、このように最高のときには四百億から五百億近くまで削っていったのですが、そうしたことが行われても支障がないということを今まで言われました。  ところが、聞いてみますと、そうでないような感じがするわけですね。それはなぜかといいますと、金額的に八〇%に抑える、そして将来は面積にまで制限を加えてくるのじゃないかというふうなことがささやかれ始めておるわけですね。そういうことになりますと、地方にはあるんだけれども、今度はかぶせて、これだけしかないのだからこの範囲で、あるいは金額はこれだけに制限するよ、面積を制限するよ、こういうぐあいにやられたのでは、これはもう大変なことですから、特に今改築の時期になっておるわけですから、この点はどうなっておるのか。整備費の最高の年次とその額、そして現在の格差を見た上で、さらにまた減額していくかどうかということに連なってくるわけですから、それをとどめていただきたいというのが私の気持ちですから、今言う八〇%にしたりあるいは面積を抑えるとか、そういうことのないようにすべきではないかと思うのですが、どうでしょう。
  71. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先生指摘のございましたように、昭和五十五年に最高の予算になっておったわけでございまして、五千七百十三億円ということになっている次第でございます。その後、御指摘のように毎年二、三百億程度の減額が続いてきたわけでございますけれども、これは先生の御指摘にありましたように、市町村の整備計画が年々減少したことによるものでございました。  ただ、先ほど御指摘のあった事態でございますが、これは、本年度を調べてみますと、市町村の整備計画の減少の度合いが若干下げどまってきたという傾向があるわけでございまして、執行の状況が若干厳しくなってきているというのが現状でございます。平成二年度の概算要求につきましても若干の減額となっているわけでございますけれども、これは一番最初の御議論にございましたように、文部省予算全体のバランスも考慮いたしまして他の経費の状況も考慮してこのようなことにしたわけでございまして、私どもとしてはやむを得ないものと考えている次第でございます。  ただ、市町村から強い要望のございます大規模改造事業でございますとかそのような経費につきましては、その増額を図っているわけでございますし、また、大規模校解消のための分離新設校の整備でございますとか老朽度の著しい改築校舎などにつきましては優先的に補助採択を行いまして、市町村の整備計画にできるだけ支障のないよう努めてまいりたい、さように考えているわけでございます。
  72. 中西績介

    ○中西(績)委員 今言われました点で、増額をしておるというけれども、そういうところでも八〇%に抑えておるとか、具体的にいろいろなものが出ているでしょう。ですから、そうしたことがないように、少額だというけれども百八十三億ですから、むしろこれは大きいですね。マイナスが二百億近くあるわけですから。ですから、こうした点をもうちょっと、こういうところに減額できるところがありますということでもうここ十年間ぐらいやっているものですから、それが惰性になってどんどんやられたのではかなわぬわけですよ。むしろこれを、もうとまりました、だから今度はできません、こういうぐあいに強い姿勢になってもらわぬと。助成局長のところではそんな姿勢はないんじゃないかなというような感じがどうもするのです。  ぜひこれからこうした点についてもうちょっと立て直しをして進めていただかないと、一〇%シーリング枠があるということでもってさらにこれに拍車がかかるということになりますと、改築の時期が迫っておるところが今度はできなくなるということになるわけでありますから、この点はぜひ今までのような惰性でなしに見直しをしていただきたいということであります。  じゃ、文化庁もありますけれどもこれも一応省かせていただいて、最後に、義務教育費国庫負担法に基づく事務職員あるいは栄養職員、これについては先般から大臣にも要請を申し上げましたけれども、基幹職員としての認識と、これについては一歩も引かないという姿勢をお示しいただければと思います。大臣だけでも結構です。
  73. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先生指摘になりました事務職員と学校栄養職員でございますけれども、私どもこれはいずれも学校の基幹的な職員だというふうに認識しておるわけでございまして、文部省といたしましては、今後とも義務教育費国庫負担制度の対象としていきたいというふうに考えている次第でございます。平成二年度概算要求におきましても、そうした考え方に立ちまして要求しているところでございます。
  74. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  具体的に申し上げますと、事務職員でありますとか栄養職員でありますとかその他ありますが、この負担法にある職員の給与関係は、これはもう是が非でもきちっと国庫負担法に基づいてやっていく考え方であります。
  75. 中西績介

    ○中西(績)委員 ぜひそうあってほしいと思います。  そこで、今までずっと申し上げてまいりました人件費、ODAあるいは学級定数、さらにまた初任者研修、私学助成、さらにまた公立学校施設整備等、減額をするなどはこれからできない状況になってきておることを私は一つは言いたかったのです。  その上に立って、このようにしてどんどん増額をしなければならない分がたくさんある。そしてまたコンピューターなどで、五年計画か六年計画か何か知りませんけれども、五十五億円をことし新規に導入すべく入れていますね。五十五億円も入れているのです。これは、米英は一〇〇%入っているのに日本が平均して三〇%しか入っていないということが理由です。そうすると、今度はこれを完全にやっていくとすると毎年五十五億とか、これだけのまとまった金が必要になってくるわけです。今まで申し上げた分で、減らしてはいけないものとこれからどんどんふやすという分がありますので、文部省予算というのは人件費の占める割合が多いものですから、どうしたって無理から無理を重ねていかなければならぬという状況が出てくるわけです。  したがって、先ほどから申し上げているように、ぜひ、全体を特別枠にせよということがなかなか困難であるならば、さっきもちょっと申し上げたように、どれからか突破口を開くように一つでもこの枠を外す、今度の概算要求を出されていますから十二月における決定のときにこれを実現をさせていただきたいと思うのですけれども、この点の考え方はどうでしょう。
  76. 國分正明

    ○國分政府委員 御指摘のとおり、財政再建が始まりましてから国の財政事情が大変厳しいわけでございます。この中で毎年毎年概算要求をし、予算編成をしてきているわけでございますが、その間いろいろな工夫をし、あるいはまたやむを得ず縮減をする、節約をするような中で今日まで来たわけでございます。ただいま御指摘のこの年末における予算編成におきましては、財政当局の理解も得まして私ども必要な経費は極力確保するということで臨みたいと思っております。
  77. 中西績介

    ○中西(績)委員 ですから大臣、何か項目的にもどこかを突破口にして、一つでも枠外に置けるように、今度大臣のお力を、私、外から見させていただいておりますので、頑張っていただきたいと思います。  時間が余りありませんから、白書の問題について一、二お聞きしたいと思います。  その前に、白書を新聞や報道関係には全部渡して発表するのですけれども、我々が要求してもないとかなんとか言うのですが、これだけはやめてほしいと思うのです。これは文句を言って持ってこさせたのです。そういうことがあってはならぬですよ。まだ印刷をしなければなりませんとかなんとかいうようなことを、これは文部省の姿勢が、私だからそういうように言ったのか。これはいけませんよ。報道関係にこれを出すときには、少なくとも我々には配ってほしいと思います。  そこで、この中身をずっと見ていきますと、憲法、教育基本法、学校教育法あるいは義務教育費国庫負担制度、学習指導要領、教育課程などなど、従来の白書には余り見られなかった評価がされておることが出ています。それは初中局を中心にした編成の仕方にもあったかと思いますけれども、そうした点で特徴があるのじゃないかと私は思います。特に、今回の教育白書は文部大臣の責任のもとにまとめられて、閣議にこれを報告、了承されて発行されたものであるわけでありますから、文部大臣あるいは文部省文教行政に対する基本的姿勢がこれに示されたものだと私は考えておるわけであります。  そこでお聞きします。戦後の新しい教育制度のもとで普及発展し、今日の我が国の発展に大きく日本の教育は寄与したと書かれております。国の発展は教育の成果に帰するところが大きいとの認識だろうと思うわけでありますけれども大臣、そのとおりだと確認していいですか。
  78. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  一番もとの考え方といたしまして、憲法、そして教育基本法があるわけでありますが、特に憲法の中で教育を受ける権利、言葉をかえて言えば父兄子供たちに対して教育を受けさせねばならない義務を負う、この二つがきちっとかみ合っていって、その考え方の上に立って教育基本法ができ、能力に応じ機会均等の教育をせねばならない。これは、私といたしましては一番基本的な考え方であるなと考え、その上に立って今度の教育白書をつくり上げました。委員指摘のとおり今度のものは初中局中心だという考え方、それから問題点が何であるかというものを遠慮なく出してみたいということでつくり上げたわけであります。
  79. 中西績介

    ○中西(績)委員 憲法あるいは教育基本法の理念を具現化するという基本姿勢に立って大臣が白書をつくり上げたということについては了解をしますし、そうあってほしいと思います。  そこで、細かく具体的に一つ一つやるつもりで来ましたけれども、時間がありませんからできませんが、もう一、二だけお聞きしたいと思います。  日本教育の目覚ましい普及発展の一方で、さまざまな問題状況が発生をいたしております。依然として多くの胸を痛めておる問題があるわけでありますけれども、その背景要因の中に教育制度とその運営の硬直性、画一性等の問題があると指摘され記述されておるようでありますけれども、例えば硬直性あるいは画一性の問題があると指摘をしたのは、文部省自身がそのように討論の中で確認できたのか、それともどなたかがこういうことを主張されてそれを取り入れたのか、この点についてお答えいただけますか。
  80. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 今回の白書では学校教育の諸問題について率直に幾つか挙げております。今御指摘いただきましたのは、学校教育の画一性の問題といたしまして、我が国の初等中等教育国民全体の基礎的な能力の向上を図るという観点から大きな成果を上げてきたということは前提といたしております。ただ、その一方で、制度やその運営の硬直化とか指導法の画一化ということでいろいろ問題点指摘されているということを述べているのであります。  この指摘は世間ではいろいろこれまでも指摘されてきております。それを前提にいたしまして、そういう傾向があることは事実でありますので、私どももその認識の上に立ちましてこれを白書に書きました。そしてこれらの問題に対してどう対応していくかということを述べたのであります。
  81. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、文部大臣が責任者としてそうした点について認識をし、文部省としてこれを認めたということになるわけですね。そのように理解していいですか。では、お答えがなくてもそのようですから。  それでは、教育制度の硬直性あるいは画一性が言われておりますけれども具体的には何を指して言っておられるのか、この点についてお答えください。
  82. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 学校教育は制度やその運営が硬直的に過ぎ、指導法も画一的であるという指摘があるということでございまして、学校教育の制度といいますとまず六・三・三刑という学校制度の問題、義務教育制度の問題、教職員制度とか各種の制度がございますから、そういう制度の中でその運営が硬直的だという指摘はこれまでもございます。そういう傾向があることは事実でございますから、その点を指摘しているのであります。
  83. 中西績介

    ○中西(績)委員 そうしますと、制度的なことは今言われましたけれども、もう一つ運営の硬直性、画一性ということになるとどういう面を指しておるのか、お答えください。
  84. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 いろいろございますけれども、例えば義務教育制度で申し上げますと就学制度等がございます。こうした問題が我が国ではかなりきっちりしておりますから、その反面いろいろかたい制度に対して対応できないような事態も生じているのは事実であろうと思います。例えば、最近の登校拒否の問題とか高等学校の中退問題といいますのは、やはり学校制度の運営について若干反省すべき点があるのではないかということも考えられると思います。
  85. 中西績介

    ○中西(績)委員 今私がお聞きしているのは、制度でなしに運営です。今局長指摘をされた登校拒否とか、そういう具体的な内容でもって運営面に欠陥があると触れられたのですけれども、そのほか運営面で何かありますか。少なくともこれに書かれる以上、そうしたものが具体的にあるということを前提にしなければこういう書き方はできないと思っておりますので、その点についてもう少し具体的に示してください。
  86. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 ただいま申し上げましたのも、制度の運営について申し上げたつもりでございます。
  87. 中西績介

    ○中西(績)委員 それでは制度の運営だけを言っておるわけですか。今私は、運営面における硬直的だとか画一的だとかいうのは具体的にはどういうものを指しておるのですかと言っておるわけです。
  88. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 例えば校則などの問題を取り上げましても、これは学校運営の問題になろうかと思いますけれども、そういうものも傾向として画一的な面とか硬直した面があることは事実であろうと思います。全部がそうであると申し上げるつもりは毛頭ございませんが。
  89. 中西績介

    ○中西(績)委員 時間がありませんからもう論議はできませんが、これはまた改めて細かくお聞きできればお伺いしても結構ですから、そのときに十分あれしていきたいと思っています。  そこで、この点で最後になると思うのですけれども教育制度あるいは運営面の硬直性あるいは画一性を改善するには、中央集権的行政のあり方を反省して、地方教育委員会学校教職員にもっと主体性、自主性を発揮できるようにすることが急がれなくてはならぬと私は思うのでありますけれども、この点については大臣どうでしょう。こういう画一的あるいは硬直性というものを改善するためには、私たちから見ると行政のあり方から来る影響が強いわけでありますから、地方教育委員会あるいは学校教職員にもっと主体性、自主性を発揮できるようにさせることが極めて緊急な課題だと私は思うわけでありますけれども、この点についての御見解伺いたいと思います。
  90. 石橋一弥

    石橋国務大臣 そのようなことを是正していくにはいろいろ手段があると存じます。例えば学習指導要領の問題もあると思います。あるいはまた都道府県、市町村教育委員会との関連もあると存じます。いずれにいたしましても、法令に基づく中で十分検討、意見の交換を行いながら処理していかねばならないと考えております。
  91. 中西績介

    ○中西(績)委員 もう時間が参るようですから、具体的にもうちょっと私申し上げたいのだけれども、きょうはやめることにします。  最後に、この白書の中では、リクルート問題で御存じのように官僚の最高である事務次官が、そしてそうでないと言われるでしょうけれども、三名の高官がやめなくてはならぬという状況にまでなったわけでありますけれども、そうした問題については何一つこれは触れておりません。  そこで、ここに地元の新聞がございますけれども、十一月九日の西日本新聞ですが、「高石氏擁立の動き」というのが出てきています。「十八日に三橋町で集会計画」をしておるということが出ておるのです。それで地域では物すごく大きな問題になっています。反省されてないからこうしたことが企画をされてくるのじゃないかということが言えるわけです。ですから、こうした体質そのものがこれに載っていない、そのことがやはりそのまま平気で依然としてあるという状況があるのではないかと私は危惧をいたしておるわけです。  この点、大臣、もう時間が参りましたから一言だけで結構ですが、極端な言い方をしますと、こうした文部省の体質と申しますか、こうしたことがあってはならないと私は思うわけだし、この非常識さが当たり前だというような状況では大変だと思っています。ですから、反省をしたと言うけれども、こうした状況を見る限り、余り反省していないのじゃないかと私は思うのですけれども、どうでしょう、大臣
  92. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  まことに残念な出来事であったと思います。このようなことが再び起こらないように私以下全力を挙げて綱紀の粛正に努め、文教に対する国民の信頼を取り戻すように一生懸命にやりたいと思います。
  93. 中西績介

    ○中西(績)委員 言いたいことございますけれども、時間が来ましたので、私が延引するわけにはまいりません。ただ一つ、やはりこれは単純な構造じゃないと私は思っています。ですから、そうした面を本当に国民の皆さんに理解できるように政策なりなんなりを通してやる以外にないわけですから、ぜひこの点はもう一度皆さんの中でも十分御論議をいただきたいと思います。そして、皆さんの結論的なものを出していただきまして、後日またお聞かせ願うなりなんなりの方途をとりたいと思います。  以上です。
  94. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十三分休憩      ────◇─────     午後一時三十八分開議
  95. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。鍛冶清君。
  96. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は本日幾つかの点で、新しく就任されました大臣に対して、また事務当局に対しましても御質問を申し上げたいと思います。  最初に古野ケ里遺跡の問題、それから訪問教育制度の問題、さらには教育白書に関連して大学入試の問題、それから登校拒否問題等幾つか御質問を申し上げます。  最初に申し上げておかなければならぬと思いますが、きょうの一般質疑が緊急に確定したということもございまして、十分に用意のないままに質問させていただきます。したがって、質問通告の中で詳しい内容をお示ししてない部分もございまして、多分用意はしていらっしゃるのだろうと思いますが、質問が出たことについてはわかる範囲でお答えをいただければ、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  まず吉野ケ里遺跡の問題でございますが、これは当文教委員会も九月の初めに視察をしてまいりました。雨の中で見させていただきました。私は二度目でございましたけれども、一度目のときにはちょうど墳丘墓もきちっと掘ってあって中が見える状態のときでございまして、私は非常に感銘を受けたわけですが、特に雄大な景観の中で、あの遺跡があるということについての感慨はひとしおのものがございました。弥生時代からあの地理的な位置にああいう集落ができて、どういう生活をし、どういう歴史の流れがあったのだろうか、そういうふうな思いに駆られたわけでありますが、発掘が進むにつれて、この遺跡は超一級の遺跡であるというふうにも言われております。  まず最初に当局にお伺いしたいのでありますが、吉野ケ里遺跡についての、その価値について当局はどのような認識をしていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  97. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  委員の場合は特に地元でありますから、関心も高いと思うわけであります。  佐賀県において発見された吉野ケ里遺跡についてでございますが、弥生時代のいわゆる「ムラ」から「クニ」への姿を示す極めて貴重なものである、こう伺っております。佐賀県においてはこの遺跡について積極的に保存を図る方向で対応することとなっておりますが、文部省といたしましても、今後佐賀県の申請を待って国史跡としての指定について積極的に協力をするとともに、史跡地の公有化あるいは整備活用等の面につきましても現在検討を行っているところであります。
  98. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 県からの申請を受けて積極的に対応という御答弁でございました。  これは当然のことであろうと思いますが、ただ、今地元の方で大変いろいろな方々から声が起こってきておりまして、御承知のように、工業団地造成のための土地にそういう遺跡が出てきたということで、いまだに県の方は工業団地の造成ということについてはあきらめていないようでございます。しかしながら、その中から出た遺跡の重要性を認識されて、二十二ヘクタールは保存地域と史跡の指定として指定を受けたいということで申請をなさる方向だと聞いておりますし、これは新聞報道によりますと、文化庁の方も事前にそういう相談を受けて、大体そういう方向でいいのではないかというふうな了解のもとに申請をするんだというようなことが新聞では言われておるのでありますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  99. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 先生指摘のように、大変貴重な遺跡でございますので、文化庁といたしましても、佐賀県の申請の内容によるわけでございますけれども、もちろん内々の話は聞いておりますが、それは正式には申請を待って判断するわけでございますけれども、現在のところでは保存地域約二十四ヘクタールのことについてお話を伺っておるところでございます。
  100. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 二十四ヘクタールですか、一一ヘクタール多いようですが。  ただ、現在地元での声、特に御婦人方も含めて、また老人の方も含めて大変世論が喚起している中で、これでは指定を受ける範囲としては非常に小さい。やはり周辺の地域を含めて全面的に全面保存という形で、もっと広範囲な、今の工業団地造成を予定されておるところも含めて保存すべきだ、こういうふうに声が上がっておるし、また考古学的な価値判断からいってもそれがまさに正しい考え方ではないか、こういうことで声が強くなっておるわけでございますが、私自身も現地を見て、確かにこういう大切な遺跡はそういう方向で史跡の指定もし、保存もされるべきである、こういうふうに思っておりますが、この点についての文化庁の御見解をお伺いいたします。
  101. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 佐賀県の方では、さきに実施されました発掘調査の結果を踏まえまして、当初予定していた保存対象地域を大幅に拡大しておられます。その結果、重要な遺構が所在する区域につきましては、ほぼ全面的に保存されるということを聞いております。  保存を予定している区域以外の区域につきましては、佐賀県教育委員会の話によりますと、この区域においても一部現状保存を図るというふうに考えているようでございますし、また、かねて佐賀県当局において計画しておりました工業団地としての開発の要請があるということにかんがみまして、調整の結果、現段階では記録保存の措置を講ずるというふうに聞いているところでございます。文化庁といたしましても、このような佐賀県の考え方につきましては、基本的にやむを得ないというふうに考えておるところでございます。
  102. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはいろいろな考え方、意見があるようですが、地元で起こっている全面保存という線でぜひ考えるべきであろう、こういうふうに思っております。特に今記録保存だけにとどめるという地域については、遺跡の部分については、いわゆる弥生時代ではなくてずっと時代が下がって奈良、平安時代などの遺跡の分野だ、こういうふうに聞いておりますが、これも新聞報道ですから確認をしているわけじゃございませんけれども、文化庁が、奈良、平安時代などの遺跡等については記録保存だけでよいというふうに言っているので、そういう方向で県も考えたというふうな報道もなされているわけですが、もしそうだとすると、ちょっと不十分ではないかな、こういうふうに思うのですが、この点についてはいかがですか。
  103. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 ただいま先生お話しの件につきましては、私どもといたしまして、正式に何か議論をいたしました結果のものではないというふうに考えております。
  104. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 出てくれば検討するというのは当然のことだと思うのですが、やはりこれだけ日本国じゅうあるいは全世界からも見に来られている方があるというふうに伺っておりますが、これだけ話題になり、重要な遺跡でありますから、出てきたのを検討するというのではなくて、むしろ積極的に、私どもとしては、文部省、文化庁を含めて発掘調査、それから保存ということについてできるだけ広範囲にわたって調査発掘も行いながら史跡指定もし、国からの補助等も十分考える、こういう方向でいくべきである、こういうふうに思いますが、その考え方について再度お答えをいただきたいと思います。
  105. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 いまだ佐賀県の方からも申請の手続もとられていない段階でございまして、今の段階で明確にお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
  106. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 細かいことを聞くようで恐縮ですが、佐賀県の方では吉野ケ里遺跡等の重要史跡特別緊急整備事業ですかというのに対して、ぜひ十八億六千二百万円を要望しなければいかぬということで要望したけれども、当局は、同事業として三億七千五百万円の概算要求しかしてない。これは平成二年度の予算の中に入るというふうに新聞では報道されておるわけです。こういう具体的な数字が出てくると、大体内容も検討なさって、そして相談に応じられた上でこの範囲でよいというふうに決められたということにはならぬのでしょうけれども、相談にあずかって具体的なこういう数字が報道されておるというふうにも思いますし、これでは私どもとしても、地元の住民の皆さんも、大変不十分である、何とか国の方でもっと十分な措置をしてほしい、こういう要望が強いんだと思いますが、この点についてはいかがでございましょうか。
  107. 遠山敦子

    ○遠山政府委員 再三でございますけれども、国の史跡の指定につきましてもまだこれからの作業でございます。その前の申請もまだ行われていないというような段階でございまして、来年度の予算要求に、事態の緊急性と重要性にかんがみまして三億円の要求をしたということ自体について評価をしていただければ大変にありがたいと思うわけでございます。
  108. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この問題でいろいろ細かくやりとりするというよりも、大枠の考え方でぜひ全面保存に向けて腰を上げていただきたい、こういうこちらの思いでございますので、その点はひとつ十分御理解をいただきたいと思います。  その中で、これは朝日新聞の社説の中で、私は読ませてもらってなるほどと思ったのですが、こういうふうに出ております。   佐賀県が計画した神埼工業団地の中に、この二月、「超一級」の遺跡のあることが分かって、香月熊雄知事は特に重要な部分約二十二ヘクタールを残すことにした。「魏志倭人伝」で話題になった環濠集落跡などは、この決断で保存されることになり、工業団地計画は三分の二に縮小された。   しかし、考古学専門家たちによれば、この広さでもなお不十分のようだ。工場用地には、奈良時代の官道、駅家、郡衙らしい跡が残っている。弥生時代と奈良時代の遺跡が隣り合うこの「複合遺跡」を調べていけば、卑弥呼時代の「クニ」から律令国家への変化の秘密を解明することができるかもしれない。   南を望めば遠くに有明海が広がり、振り向けば脊振山系が迫る台地で、古代の人びとはどんな暮らしをしていたのか——訪れた人は、だれもがそんな思いに駆られる。もっと広い範囲で保存できるならば、将来訪れる人たちも古代社会の暮らしを体でじかに感じることができるはずだ。そんな教育的価値も、極めて大きいと予想される。こういうふうな記述があるわけですね。  これは大臣最初御答弁になった中でも、「クニ」から律令国家への変化の道というようなことをちょっと何か触れられたように思っておりますけれども、そういう意味からも、これは弥生時代の遺跡も含めて奈良時代のこういう遺跡というものもただ記録にとどめるというのじゃなく、全体像がわかるような形で残しながら後世にこれは残していく、そしてこの卑弥呼の伝説いろいろあるわけですが、こういったことにもかかわり合いを持ちながらやっていくということが私は極めて正しい、こう思っておりますが、大臣、いかがでございましょうか。
  109. 石橋一弥

    石橋国務大臣 佐賀県当局とのすり合わせも十分やっていかねばなりませんが、とにかく私ども聞く範囲においては、環濠集落でありますとか墳丘墓などの遺構でありますとかあるいは有柄銅剣、鏡、管玉など大変なものが出土されていると伺っているわけであります。  そこで、これはいずれにしろ我が国文化の原点といいますか、そんなような性格までも備えたしかも大変大きな遺跡であるわけでありますから、委員指摘の点について十分検討し、それが全うできるように考えさせていただきたいと思います。
  110. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これはまた再度大臣のお答えをいただくようで恐縮なんですけれども、文化庁、文部省の範囲でやろうとして大変な部面がもしあるとすれば、これはやはり国として取り組む姿勢が大切ではないか、そういうふうに思います。  そういう意味から、これは文部省、文化庁だけではなく、建設省や自治省などにもひとつ大臣から働きかけていただいて、保存のためにはいろいろな手段、方法が考えられるのであろうと思います。こういうときに役人の皆様方の英知を結集して、それこそそういう対応策を具体的に進めるという方向で、これは閣議などでも発言もいただくし、そういう方向づけというものをぜひやっていただきたい、こういうふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  111. 石橋一弥

    石橋国務大臣 御意見のとおり関係省庁あるいは地方団体等と十分討議を進めていきたいと思います。
  112. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 幸いに海部総理大臣が、文教族と言うとしかられるかもしれませんが、文教にお詳しい方でございますし、話も極めてしやすいのではないか、私どもも当然お願いもしていきますが、総理を含めてそういう対応をお願いいたしたいと思います。  そこで、建設省からおいでいただいておると思いますが、ちょっと二、三お尋ねをしたいのですけれども、昨日、佐賀県の県議会のこの件に関する特別委員会で、香月知事が非常に意欲ある答弁をされておるということが佐賀新聞に大きく報道されております。これは吉野ケ里遺跡、今申請すると予定をされておる隣接の三十ヘクタールを国営公園化ということについて、これは建設省の所管であると伺っておりますが、これは意欲的に働きかけをしながらやっていきたい、こういうような答弁がこうやって報道されておるわけでございます。この件について、建設省では何かそういう地元からの御要望なり働きかけがあったのか、ないしはこういう吉野ケ里遺跡の国営公園化ということについての何かお考えがあるのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  113. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 お答えいたします。  先生質問の地元から要望があるかという点については、私ども要望があったことは承知いたしております。  吉野ケ里遺跡の保存活用につきましては、現在、佐賀県におきまして調査検討中と聞いておりまして、これらの結果を踏まえまして、建設省といたしましても遺跡を含む周辺整備方策について文化庁、佐賀県等関係機関と相談してまいりたいと考えておる次第でございます。
  114. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは都市公園法の二条によると、イ号の計画公園とロ号の記念公園と二つの方式がある、こう規定されておるようでございますけれども、もし適用するとすれば、この吉野ケ壁遺跡というのはどちらの方式で考えられるのでしょうか、お答えをいただきます。
  115. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 お答えいたします。  国営公園につきましては、先生指摘のとおり都市公園法第二条第一項第二号にイとロの二つの種類が規定されてございます。この吉野ケ里遺跡関係につきましては、ロ号の中に「国家的な記念事業として、又は我が国固有の優れた文化的資産の保存及び活用を図るため閣議の決定を経て設置する」旨規定されているわけでございまして、このロ号ということで考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
  116. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ということは、地元からまた御相談も多少あっているようですが、本当に熱意のある陳情その他いろいろあった場合には、ロ号という形の中で十分検討していきたいということは可能性としては大分あるように思いますが、そこらあたりお答えできるのかどうかわかりませんが、可能性の問題として、お答えできるのならいい形でお答えを願えればと思います。
  117. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 ただいま先生指摘のように、この地域につきましては、現在、文化庁初め県の方で遺跡、史跡についての調査をされているところでございまして、私どもはその調査結果を踏まえまして、周辺地域を含めてこの地域が今申し上げましたロ号に該当するかどうかにつきまして今後文化庁、佐賀県等関係機関と相談してまいりたいと考えておる次第でございます。
  118. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ちょっとくどいようなお話で恐縮ですが、今香月知事が、この新聞記事によりますと、意欲的に国営公園化を政府に相談したいという方向ですが、工業団地の造成ということは、やはり従来から相当のお金をつぎ込んで造成を図ってきて、企業を誘致したい、地元の雇用関係を確立したいという大きなねらいの中で、この住民の皆さんの要望が大変大きくてやられたようで、現在それが進んできておるというような中でありますが、その中で二十四ヘクタールがまず文化庁に来年度申請をして、指定を受けて補助を受けて開発、保存をしたい、こういうふうに言っているようです。  しかし、工業団地の計画の中にある他の部分については、これは現実にはもう先月ですかの二日に一応工事再開という方向での話が出てきて、実際的には十二月十五日、十二月の半ばからブルドーザーが入って、もう造成にかかるというふうな決定がされているようでございまして、これも地元の県議会の中では大変議論をされて、それを担当しておる事務当局の答弁に比べまして、知事の方は非常に含みのあるお答えをされているようでございまして、「十分、吉野ケ里遺跡保存活用検討委員会の周辺整備部会の先生方に意見を聞いてこの工事は進めたい。慎重にやりたい。」こういうようなことを言っているようです。  これはこの団地について、そういう地元の方々の熱意ないしは全国的な盛り上がりの中での熱意というものを入れて、仮にこの工業団地をやるのをやめますと、これを含めてそういう国営公園化というものもお願いもしたいというようなことになれば、そういう点も含めて検討をしていただくという方向でお考えはいただくということでしょうね。ちょっと重なった質問になりますが、お答えをいただきたいと思います。
  119. 曾田ひさ嗣

    ○曾田説明員 お答えいたします。  先生再度の御質問でございますけれども、先ほど私がお答えいたしましたとおり、当該土地の史跡の内容等について現在検討されているところでございまして、私どもはその点については担当ではございませんので、その結果を待って、その地域全体が先ほど申し上げました法のロ号に該当するかどうかということを検討する必要があるわけでございまして、その結果が出てこないと私ども何ともお答え申し上げようがないわけでございます。御了承賜りたいと思います。
  120. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 では、これを最後にいたしたいと思いますが、いずれにいたしましても、これは地元の方の考え方、県の考え方がまず決まらないといかない部分が随分あるようでございますが、先ほどから御質疑を交わさせていただく中で、大臣にも御要望申し上げていたような方向で、ひとつ国のサイドでもぜひ強力に、建設省の方も含めまして、地元の要望等ありましたときには積極的に対応をぜひお願いもしたい。また、全面保存という方向でいい形で残すという方向でのアドバイス等もできる道があるならば、これを地元の方にもぜひしていただきながら対応していただきたい、こう思いますが、大臣に最終的に吉野ケ里についてのお答えをいただいてこの問題を終わらしていただきたいと思います。
  121. 石橋一弥

    石橋国務大臣 今建設省からもいろいろな考え方の開陳があったわけであります。冒頭申し上げましたとおり、まず史跡指定、これをきちっとやりませんとなかなか展開がいたさないと思います。しかも、県の考え、あるいは建設省の考え、その他自治省の考え、いろいろあります。委員考え方を十分腹に置いて、そして先ほども申し上げたとおり全く大事な我が国の史跡であるという観点に立って進めていきたい、こう思います。
  122. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 建設省の方、どうもありがとうございました。  次の問題に移らしていただきますが、重度の心身障害児のための訪問教育についてお尋ねをいたしたいと思います。  心身の障害が重くて、特に重複しているお子さんも含めてでありますが、日常生活に常時介護を必要とするために通学または寄宿舎を含む学校生活に適応することが非常に困難な障害を持っているお子さんについては、可能な限り教育を受けさせる機会を提供しよう、こういう趣旨から、養護学校等から教員を家庭や養育園などに派遣をして指導を行う、こういう訪問教育の制度があるようでございますが、この点について、これは学校教育法第七十五条二項にございますように「前項に掲げる学校は、」これは小中高のことを指しているわけでございますが、「疾病により療養中の児童及び生徒に対して、特殊学級を設け、又は教員を派遣して、教育を行うことができる。」こういう規定になっているようであります。  そこで、お伺いしたいのでございますが、訪問教育を受けている児童生徒の数といいますか実態、これは全国的にどういう形で今行われておるのかお尋ねをいたしたいと思います。
  123. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 訪問教育につきましては、ただいま先生指摘のように、盲聾養護学校の小学部と中学部で、心身の障害の状態が重度である、または重複しているという場合に、通学ができない子供さんたちに対して、教員が家庭とか児童福祉施設とか医療機関等に訪問して行っているわけでございますが、昭和六十三年五月一日現在で申し上げますと、小学部で三千四十九人、中学部で二千九十五人のお子さんたちがその対象になっております。訪問教育は、大体週に二、三回、先生が訪問して行っているわけでございます。  ただ、高等部ではまだ訪問教育は行われておりません。
  124. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 今最後にお答えいただいたように、高校では入ってないということでございますが、これは高校に、それに該当する障害を持つお子さんで訪問教育を受ける必要があると思われるようなお子さんについて、どれくらい実態はあるのか。文部省でお調べをいただいているようでありましたら現状をお答えいただきたいと思います。
  125. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 特殊教育学校の中学部の卒業者のうち、どの程度上級学校に進学するかというのを調べてみますと、盲学校の場合が九五%、これは大変高うございます。それから聾学校の卒業生の九八%は高等部などに進学しております。これも高うございますが、養護学校の場合は六六%ということになっております。  そこで、進学者のうち、これらの高等部とか高等学校に進学している者のうち、どの程度の者が重度の障害者であるかということになりますと、ちょっと数字をつかんでいないわけでございますが、特殊教育学校の高等部に在籍している者のうち一般的に障害が重い者、重い重複障害等について見ますと、現在高等部に在籍している者のうち一五%はそういう人たちであるということでございますが、全体的にそういう重いお子さんたちがどの程度進学しているかということは、必ずしも実態を把握しておりません。
  126. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 これは先ほども申し上げたように、私どもよりも文部省の方が専門でやられているわけですから私が申し上げるまでもないと思いますが、学校教育法の第七十五条の二項は、高等学校を含めて「教員を派遣して、教育を行うことができる。」という規定になっております。小学校、中学校については、障害のお子さんは義務教育ということでその範疇でございますから訪問教育が行われておるし、正確な数字も把握されておると思うのでございますけれども、それ以後の成長されたお子さん方については、私ども日常いろいろと相談活動など行っておりますが、ぜひ訪問教育実現してほしい、こういう切実な御要望が非常に高いわけでございます。ひとつ、これに該当するようなお子さんについての実態も把握しながらそういう方向でお考えいただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  127. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 繰り返しになりますけれども、小中学部の場合には義務教育ということで訪問教育実施しておりますが、高等部の場合には義務教育ではございませんので、現在のところ訪問教育を行う措置はとっていないということでございます。
  128. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 それは承知をしておるわけで、私が今お尋ねしたのは、そういう実態が私どもの相談の中にたくさん出てきますので、高校においても訪問教育実施するという方向でお考えいただけないのだろうか、そういう趣旨のもとに、現状把握というものもしていただけないのか、こういうことで今申し上げているわけです。その方向性についてはいかがでございますか。
  129. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 高等部の整備は重要でございますので従来から進めておりますし、今後とも進めてまいりたいというふうに考えておりますけれども、高等部段階の訪問教育につきましては、現時点では大変難しいかと存じます。
  130. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私、前に北九州市の市会議員時代がございましたけれども、そのときから不思議に障害のお子さんと随分かかわり合いがございます。そのときは、例えば知恵おくれのお子さん方、またそのほかもみんなそうですが、当時義務教育ではありませんから高等部というのがほとんどなかったのです。ところが、そういうお子さんがだんだん大きくなっていって高等学校に入学するような年ごろになりますと、行くところがないということで、父兄方々、父母の方々からの御要望を我々随分たくさんちょうだいしたことがあるのです。  確かに義務教育ではございませんから設置する義務はないのかもわかりませんけれども、この訪問教育でもできるという規定があるように、これはできないことではありませんので、随分と一生懸命お願いしてきたのです。これは全国的にそういう運動も広がってきたと思いますが、その中で高等部の設置というものもだんだんできるようになってまいりました。高等部の設置ということについても、そういう歴史的な流れの中で、要望が強まる中で高等部の設置をするところが多くなってきた実情がございます。そういうことを考えると、私どもとしてはそういう流れの中でぜひとも訪問教育までやれるような形でひとつ柔軟な対応を文部省お願いしたいというふうに思うのです。  文部省は今そういう方向でお取り組みではないのですが、地方ではやはりいろいろと要望が多くて、都道府県ではごくわずかではありますけれどもそういうことについて、試験的だろうと思いますが、やっているところも二、三あるようでございまして、こういったものも吸い上げながらぜひそういう方向でやっていただきたい、こういうふうに私は思うのです。  東京都の例で言いますと、私どもがお聞きした範囲では、通学可能な生徒に限り希望者は全入するということで受け入れをやっているようでありますけれども、訪問教育までには手が届いていないというような状況があるようです。だから東京都の場合でも、都会の方でもさらに高校の訪問教育までという流れもあるようでございます。具体的に名前を挙げていいのかどうかわかりませんけれども、そういう父母、父兄の皆さんの御要望また障害のお子さんの実態を見て訪問教育までというような希望を持っているところも都道府県の中にはなくもないようでございまして、そういう場合は、一つの過渡的な現象といっていいのかどうかわかりませんが、そういうものも自主的にやる分については文部省が弾力的に考えながらやっていただきたいなというふうにも思っているのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  131. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 高等学校段階のそういう重い障害を持っていらっしゃる方々教育ももちろん大事でございまして、従来から養護学校等の高等部の設置にも力を尽くしておりますし、現在療養中のお子さんたちには特殊学級を設けたり、そしてその場合には教員を派遣したり、これはいわば病院の中にある分教室のようなものでございますけれども、そういうことに力を尽くしております。  しかし、特殊教育学校の小学部、中学部と同じような訪問教育を高等部で行うことは、義務制でもないということもございますし、教育内容も小中学部と違いまして大変多様に分かれてまいりますし、現段階では大変難しい課題であるというふうに思います。
  132. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私は多少やっておるところの名前も実際お聞きはしているのですが、果たして名前を出して、文部省の方でこれはいけませんよととめることはないだろうと思いますが、自主的にやる場合はそれはそれでやむを得ないといいますか、それは自主的にやるのだからそれはそれでいいとも言いにくいのでしょうかね、そこらあたりはやむを得ぬなということでできるのかどうか、できればちょっとお答えをいただきたい。
  133. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 私ども、そういう実態について現在のところ承知しておりません。が、考え方につきましては先ほど来繰り返しているとおりでございます。
  134. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この点について最後に大臣にもお答えいただきたいのですが、障害児でも高校に進学させたいという意欲は非常にあるようです。私もいろいろな方を存じておりますけれども、そういう要望の多いのは親心として当然のことであろうということで私どもできるだけそういうことを推進したいと考えているわけでして、そういう意味できょうも御質問を申し上げているわけです。  教育に関しては、そういう希望者がおる場合には、特に法律上も訪問教育ができるという規定にもなっておりますので、これは門戸を閉ざすべきではないというふうにも思います。ぜひとも高校の訪問教育実施の方向でお考えをいただきたい。この点について、最後に大臣にお伺いをいたします。
  135. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  七十五条というのを今一生懸命に読んでおったのですが、なかなか難しい問題だな、こう思います。  そこで、いずれにしろまず調査をして、そして研究をするということできょうは御勘弁をいただきたいと思います。
  136. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 大臣から調査もし研究もするという御答弁をいただきました。私としては一歩進んだものと受けとめて、ぜひそういう方向で障害児をお持ちのお父さん、お母さん方の御要望にこたえていただきたいし、障害の子供さん自身、教育を受けたいという方もたくさんおりますので、ぜひそういう方向でのお取り組みを願いたいとさらに御要望申し上げまして、この点は終わらせていただきます。  次に、教育白書の問題でございますが、若干お尋ねをいたしたいと思っております。  今回の教育白書について、一番中心として考え、ここを特に強調してやったんだというような点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  137. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 今回の白書の特集では、現在の我が国の初等中等教育は、その普及の程度と水準において国際的にも評価されているという前提に立ちまして、ただその反面、教育の画一化とか受験競争の激化の問題とか学校不適応の問題、いろいろな課題を抱えているということを明らかにしたわけでございます。そして、文部省といたしましては、今後心豊かな人間の育成を目指しましていろいろやっていかなければならないわけでございますが、学習指導要領の趣旨の徹底とか学校運営の改善とか入学者選抜方法の改善、さらには生徒指導の充実、教師の資質向上といろいろな施策がございますので、それらの点をあわせて今後の展望について触れた、こういうことでございます。
  138. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 特に初等中等教育を重点にということでやられたということのお答えだと思いますが、この機会に、今年度の白書で初等中等教育中心に特にメーンに取り上げたということについては、何か文部省として一つ考え方があってなさったのか、その点、お尋ねをいたしたいと思います。
  139. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 教育白書につきましては、従来我が国の学校水準というテーマで五年ごとに出していたわけでございますが、臨教審の答申等でも教育白書はもう少し出したらどうかという御指摘もございましたし、文部省施策を一般の国民の方にわかっていただくという意味からも、文部省としては今後毎年発行したいということで、昨年が第一回でございました。昨年は生涯学習のテーマを取り上げたわけでございます。そこで、今年度は生涯学習に引き続きまして、学校教育としては基礎的な部分を受け持ちます初等中等教育をテーマにして取り上げた、こういうわけでございます。
  140. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 確かに今回は第I部が一番メーンになっておると思いますし、この中で、先ほども中西委員とのやりとりの中で若干触れておられましたけれども、今の御答弁の中にもありましたが、教育白書の中で学校教育の画一性、それから硬直性といったようなことをみずからはっきりと書きとめて認めた上で、それをよくしていこうという方向の記述がなされたということについては、私は極めて評価をしているわけでございまして、これをはっきりさした上で前進ということになるんだろう、こう思いますので、そこの中で指摘されてある問題に関連しながらさらに幾つかお尋ねをしてみたいと思います。  特に、第I部の「初等中等教育の課題と展望」が一番大切なメーンだろうと私は思っておりますが、その中の第一章がまた特に大事な部分であろう。これは「時代の進展と教育の質の向上」という中でございますが、この中で、第二節に「学校教育をめぐる諸問題」というところがありまして、これに三つの点が問題点として挙げられているわけですね。その第一点が「学校教育の諸問題」ということで、これもさらに三つ挙げてあります。  その一番目が、学校教育は制度や運営が硬直的で、指導方法も画一的で、記憶力中心の詰め込み教育の傾向が非常に強い、こういうふうにあるわけですね。これは、従来からの質疑の中でも、日本の義務教育段階のレベル、またここまで教育が進んできたということについての国際比較からいえば、極めて高い、いい形での評価がなされておりますし、その実態について認めるのに私はやぶさかではございませんけれども、反面、やはり予測されなかったマイナス部分が出てきた、それが今度の指摘だったろうと思います。  特に、学校教育の制度や運営が硬直的だとか、指導法も画一的だとか、記憶力中心の詰め込み教育の傾向が強いとかいうこの第一点の中の第一の指摘は、文部行政の今までのあり方が学校現場でどうも悪い形で出てきたのであって、これは文部行政自身にも大いに責任があるような気が私はいたしますし、特にこの中で私が現場に行っていて感ずるのは、これは教育委員会も中に入ってくるわけでございますけれども、どうも褒めてやる部分が少し少ないのじゃないかな。要するに一つの規則といいますか、いろいろ決められた中でこうしちゃいかぬああしちゃいかぬとか、何か問題が起こったときには出ていって、学校の現場からいえば、どうもいつも厳しくやられてばかりおって、結局そっちの方に顔を向けていろいろお伺いを立てないとどうも話が進まない、どうもおっかなびっくりでしかやれないぞというふうな気風が随分あちこちで見受けられるわけです。こういう点があるのじゃないかと思うのですが、極めて率直なお尋ねですけれども、文部当局としてはこの点についてどういうふうにお考えでございましょうか。
  141. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 学校教育の画一性の問題は、ここに記述しているようにそういう指摘があることは事実でございますし、私どももそういう傾向があることは認識しております。これはやはり明治以来の日本の近代学校制度が教育の共通性ということを非常に大事にしてきて、国民に共通に必要な知識とか能力とか、そういうものを育成しようということで一生懸命やってきた。その結果、日本では教育水準が世界の中でも非常に高く評価される状況になってきているということだろうと思います。  しかし、共通性を大事にすれば、その反面として弾力性とか多様性というのはやはりどうしても損なわれる面があるわけでございまして、これからの日本の教育考えますときには、変化の激しい時代に対応する子供たちを育てるという観点からはもう少し子供たち個性を伸ばす教育、そのためには教育が弾力的でなければならない、そういうふうに考えておりますし、事実、私どものとっております施策もその方向で対応しているつもりでございます。
  142. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 ちょっと意地悪く申し上げました。  今申し上げたように、自主的にやろうと思っても、学校現場ではやってやり過ぎるとどうもちゃっとやられそうだ。確かに、全体レベルアップのために義務教育段階で画一的にやってきた歴史から、これは今答弁にもありましたようにやむを得ぬ向きもあるのかなと思いますけれども、それがどうも定着し過ぎているような気がするのですね。今の子供には創造性がない。特に日本のこれからは、二十一世紀を目指したときに創造性ということが非常に大切だということはどこでも言われるわけですけれども、まず子供自体ではなくて対応する方の側がこういうことだと、幾ら子供にいろいろ言ってみたって本当の意味での創造性が出てくるとは思えない。  鶏と鶏の卵、どっちが先か後かという議論がよく言われるのですが、小中学校なんか余り詰め込み過ぎて困る。したがって、わかりやすく言えば教科書を薄くして、そして余裕の時間をつくってゆとりということを、前のときでしたか、指導要領の中では大変強調された。ところが、私が一口話で聞いたのは、ゆとりを、各学校の現場でどういうことをやればそういうのができるかということをいろいろ考えて対応するということを言ったのだろうと思いますけれども、それが何か学校の現場によっては教育委員会文部省にゆとりというのは具体的にはどうしたらいいのかというようなことを問い合わせなんかが随分あったとかなかったとかいう話を聞くわけですね。これは硬直化の最たるもののような気がするわけです。  それで、ここでそういう壁を破るためにも、ある意味では文部省の方から声を大にして、子供のために本当にやっていいということがあるなら思い切ってやりなさい、怒られることは余り気にせずにやりなさいというバックアップを教育委員会も含めてしながら、そして、文部省自体もどんどん伸び伸びとやらせるという、そういう空気というものをもう少しつくっていきながら、全体にそれを波及していくというところがあってもいいのではないかなというふうに感ずるのですが、この点についてはいかがでございましょうか。
  143. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 おっしゃるとおりだと思います。  ゆとりの時間を前回の改訂のときに入れましたら、ゆとりの時間についての基準をつくってほしいという要望等もございました。しかし私どもは、基準をつくれば、またそれはゆとりの時間でなくなりますので、文部省としては基準は示さないで、各学校の創意と工夫において子供たちが伸び伸びとした教育ができるようにお願いしますということでやってきたわけでございます。したがいまして、これからの学校教育は、子供たちが本当に個性豊かな伸び伸びとした創造性のある子供に育ちますように、大いに創意工夫を伸ばして教育をやっていただきたいという気持ちでございます。
  144. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私も文部省から出されておる本に全部目を通しているわけではないからわかりませんけれども、私が見ておる限りでは、余りなかったように思うのは——各学校学校現場で、校長先生初めユニークな考え方でもってどんどん学校の中で特色のある教育の進め方、子供のためにという視点に立ってやっておる、こういう学校が案外あるように思うのです。逆に、学校現場でいろいろ締めつけが強いとか規制が強いとか言われる。僕が文部省へ行って聞くと案外そうじゃない。子供のためにという視点があると案外いろいろなことがやれる雰囲気があるし、あちこちでそういういろいろなユニークな試みをやりながらいわば枠からはみ出したような形でやっているというような学校も割と耳にするわけでございまして、そういう学校もあるぞということもよく言うのです。  しかし、残念ながら、文部省から出た中のいろいろな本を私が知る限りでは——そういう事例をたくさん集めてきて、こういうふうにやっておるところもあるぞ、こういうふうにやっておるところもあるぞ、だから、ひとつ子供のためにというそこの視点がしっかりしておるならばあとは伸び伸びとおやりなさいという形のものもつくって、そういうものもどんどんみんなに読んでもらいながら伸び伸びとやる方向づくりというものもやっていいのではないかなという気もしているのですが、こういう点についてはいかがでございましょうか。
  145. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 私どもで各種の研究指定校がございますが、例えば教育課程の研究指定校でございますと、各学校がどのような工夫をして子供たちに生き生きとした教育をしているかというさまざまな研究がございます。そうしました研究成果は、文部省で出しております初等教育資料とか中等教育資料にその実践報告例も出しておりますので、それをごらんいただきましたら、全国の各地でいかに創意工夫にあふれた教育課程の実施教育活動が行われているかということはおわかりいただけるのではないだろうかと思います。
  146. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 私の方が寡聞にして余り読んでなかったのでそういうことになったのかもわかりませんが、今後ひとつそういう方向はどんどんおやりをいただきたい。バックアップする方向でやっていただきたいし、もしそこの中でいいところがあればどんどん褒めてあげる、表彰するというような形もあっていいのではないかなというふうにも思っておりまして、これは御要望を申し上げておきます。  それから、さっきの「学校教育の諸問題」の中での第二点として白書の中に挙げられておるのは、受験競争の過熱化ということです。教師、生徒、保護者が「精神的にゆとりのない状況に追い込まれている。」、こういうことの中で受験ということが挙げられているわけです。  ここで、これに関連してちょっとお尋ねをいたしたいのですが、大学入試の問題というのは随分と議論されてまいりました。共通一次試験に始まっていろいろな問題があったわけでございますけれども、どうやら今度は大学入試センター試験ですか、いわゆる新テストということで、これが今までこの数年ころころ毎年のように変わっておったのが、どうやら落ちついてこれから入試が行われるという方向の流れになってきておるように思うわけです。  前大臣のときに、大学入試のことで大学審議会の方にこの入試の問題もまた変えなければいかぬからということで諮問するという発言があって、私どもはちょっと前の質疑のときにも若干御質問は申し上げたのですが、どうも大学入試センター試験ということでせっかく方向がひとつまず落ちついてきたのに、またちょっと手直ししてころころ変えるというようなことはよろしくない、こう思うのですけれども、そういう点についての石橋大臣の大学入試に対する考え方、どういうお考えをお持ちなのか、これから先のことを含めてお考えを伺わせていただきたいと思います。
  147. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  結論から申し上げますと、制度はいじらないようにしようという考え方、ただ来年行う入試は既に大学入試センター試験ということで決まっているわけであります。その決まっている中においてどのような形をとっていったらいいかということについての創意工夫、こうしたことでやっていく、そして受験生の能力、適性等を多面的に判定する方向でやっていただきたいな、こう考えております。  もう一遍申し上げますが、決まっておる来年三月のものは決まっているとおりでやりますよ、その中でできる限り受験生のことを考えてやってほしいということです。
  148. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 前大臣も必ずしもころころ変えるような思いでおっしゃったのではないようにも受け取れはしたのですけれども、やはり大学入試センター試験もせっかく実施されるのに、もうそれも変えなきゃいかぬというような印象で聞こえておりまして、今度石橋大臣になりましたら、入試のことに触れられておる中で今おっしゃったようなニュアンスでちょっと言われたので、実は私はこれはよかったと安心したのですけれども大臣が変わってそんなにころころ違った発言してもらっても困る。特に受験生の方からいえば、本当にこれは不安でしようがない。だから、少なくとも最低は三年以上は、入試を一遍実施したら変えるというのはよくない、むしろ前大臣もころころ変えるということよりも抜本的にというところに真意があったのだろうと私は善意に解釈しておるのですけれども、表面的に聞きますと前大臣石橋大臣とは真反対のことをおっしゃっているみたいなんで非常に気にかかったのです。  それはそれとして、せっかく新しい入試制度を導入しての試験が始まるわけですから、これはしばらく様子を見ながら、特にまた受験生の立場に立ちながら、いろいろと窓口を多様化するとかいろいろ個性を見る中でいろいろな工夫をしろというようなことは文部省指摘されておるようでもありますし、しばらく様子を見ながら、また入試制度についてよりよいものの改革をすべき点が出てきたならばまた検討しながら、受験生の立場というものを尊重してじっくりお考えをいただきたい、こういうふうに思います。  特に、中曽根総理時代に、どうも完全な試験制度をつくらにゃいかぬみたいな発言があったように聞いておりますけれども、私はそういう試験制度ができるとむしろ困るんじゃないか、そういう試験制度ができて落っこちると、もう絶対だめだという烙印を押されることになりますから、少し抜け穴ができた方が、まあここはできなくてもそれは五教科の問題である、ほかはすばらしいものがあるんだというようなところがあっていいと思いますし、そういう意味では入試で完全なものというのは、よりよいものはしなければなりませんけれども、完全なものというのは望むべくしてできないのだろう、しかし改善すべき点は十分、考えられる点は多々ありますので、前大臣とのやりとりの中でも多少は私なりの考えを申し上げておったんですが、そういうことをひとつ勘案していただきながら、この入試問題については軽々にやることがないように、今大臣の御答弁の線で、またよりよいものを考えるときにはじっくり考えるという方向でやっていただきたいと思います。  事務当局の方も、せっかくお座りをいただいたので、この点で一言御答弁をいただきたいと思います。
  149. 坂元弘直

    ○坂元政府委員 大臣がただいま御説明したとおりでございます。ただ、先生も、よりよいものについては常に検討するというようなその種の趣旨の御発言がございましたが、私どもも完全なものは、百人が満足する入試制度というのはなかなか開発できないだろうと思いますが、よりよい入試制度のための不断の研究は必要だろうというふうに考えております。  そういう意味で、現在中長期的な、すぐ来年あるいは再来年あるいはその次にこう変えるのだということではございませんで、中長期的な観点から大学入試の改善の方向につきまして大学審議会で現在御研究をいただいている最中でございます。ただ、これはあくまで中長期的な観点からの研究でございますし、仮にその研究の成果がまとまったといたしましても、実施するというのは相当の猶予期間を置いて実施しなければならない問題だろうというふうに認識いたしております。
  150. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 あとはもう御要望、御参考にと思うのですが、やはり一人一人の持っている特色、特性というものを、いい方の個性ですが、それを生かしながらやるということになると、入試の考え方もいろいろあるのだろうと思います。その一つで大切なのは、高校時代の三年間のすべての教科にわたる成績というようなものは、じっくりとそれを参考にして入試の際に使うという方向、これは何らかの形でぜひおやりいただきたいなというふうに私は思っております。私どもの方も多少そういった点について今検討しておりますので、具体的になればまたいろいろと質疑を交わす機会があると思いますけれども、ぜひそういう方向の考え方は取り入れながら、ペーパーテストだけでというのはちょっと厳しい面があります。これから一人一人を大切にして、二十一世紀の日本を背負ってもらわなければならない子供さんたちですから、入試制度については、ひとつ今まで申し上げたようなことを留意しながらお取り組みをいただきたい。御要望を申し上げておきます。  大分時間が来ましたので、一般質疑の時間はきょうだけではなくてこの法案審議が終わった後に設けようという方向もございますから、またその折にいろいろと細かく御質問申し上げたいと思います。  先ほどから申し上げている続きとしまして、「学校教育の諸問題」の中に、三番目として登校拒否と高校中退問題が深刻化しているという指摘があっております。私どもは、これは大変な問題であると思っておりますが、白書の中にもいろいろと書かれてはありますが、この登校拒否、高校中退問題が深刻化していることについて、当局としてはどういうようなお考えでどういう対応をなさる方向でお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  151. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 登校拒否は大変難しい課題になっております。学校という集団生活の場になじめないで登校できないケースもございますし、それから非行グループに入って登校しないというケースもございます。また最近は、不安などの情緒的混乱によって、登校したいのだけれどもできないというお子さんもいらっしゃいますし、いろいろなタイプがございます。その原因も、友人関係、それから学校生活をめぐる問題、葛藤、それから親子関係、家庭生活といろいろ絡み合っておりますので、これを一義的に特定できないケースが多いわけでありますけれども、問題の解決にはやはり関係者が連携して当たらなければいけないというふうに考えております。特に、学校教育の専門機関でございますので、学校、もちろん家庭も深くかかわっておりますので、家庭の保護者、さらには地域社会、こうしたものが一体となって取り組むことが必要ではないかと考えているのであります。  文部省では、今この件に関しましては、実態調査をしたり、先生方のための指導資料をつくったり、カウンセリング講座でこういう問題を取り上げたり、教育相談活動を推進したり、教育困難校へ教員の加配をしたり、いろいろな措置を請じておりますけれども、この学校不適応、特に登校拒否の問題につきましては、私どもで今検討会議を開いておりまして、いろいろな方からいろいろな立場からの御意見をお伺いして、今後の有効な施策を探っている段階でございます。
  152. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 カウンセリングの話が今出ましたが、実際にそういうことを身につけて、こういう登校拒否のお子さん、自閉症のお子さんだとか、いろいろ問題のお子さんがあるわけですが、だんだんふえてきておるという方向で、これは真剣に考えなければいかぬと思います。これはやはり各学校に専門的に対応のできる、カウンセリングのできる先生を最低一人ずつ配置しながらこういうことに対応していく。これは、学校全体の連携とか先生方の熱心な対応というのも確かにございますけれども、やはり専門的に技術的にそういう方面に非常に深い経験を持った先生が対応しないと、往々にして、対応を誤るとまたかえって子供さんがなおさら厳しい方向に行ってしまうという状況も間々あるようでございまして、そういう先生方を配置しながらこういう対応というものもしっかりやっていくという方向が望ましいのじゃないかと思いますが、こういう点についてはいかがでございましょうか。
  153. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 こうした登校拒否の生徒の指導に当たりましては、御指摘のようにすべての教師がカウンセリングマインドを持って当たるということがまず大事でございますし、特にカウンセリングの理論とか実際についての研修を受けた先生が当たらないと、例えば情緒的不安によって登校できない子供たちをいたずらに励ますだけではなかなかうまくいかない、かえって逆効果になるというような場合もあるようでございますし、そうした場合には専門家との連携をとって対応しなければならないということがございますので、そういう見きわめをつける意味でも、学校先生方がこうしたカウンセリングについての知識とか理解とかを持つことは大事だと思っております。  したがいまして、私どもでも中央でやっております生徒指導講座とか各都道府県で生徒指導講座をやっておりますが、その中でもこうした問題を取り上げているところでございます。
  154. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 この問題はちょっと大きな問題ですから、また一般質疑の時間もとられるようですから、その折にいろいろとさらに細かくお尋ねもし、いい方向で行けるような方途というものをぜひお考えをいただきたいというふうに思っております。もう時間がございませんので、次に行かしていただきます。  「学校教育をめぐる諸問題」第二節の中で、第二点としては「子供の生活体験にかかわる問題」が指摘をされているわけです。これもまた私ども、まさにそのとおりだ、こう思うのです。さまざまな生活面での体験不足、それから自然との触れ合いを通じて生命への畏敬の念を実感する機会が少ない。これは私どももいろいろと臨教審ないしは文部省にも御要望申し上げた中でこのことは強く申し上げてまいりました。  特に、体験不足というのはやはり否めないわけでございまして、これは、昭和五十三年ごろに文教委員会で、私は、国土庁がやりましたセカンドスクール構想の話を文部省大臣とも質疑を交わす中で、そういう方向でやったらどうかというやりとりをしたことがございます。その後、五十九年からでしたか自然教室推進事業ということで文部省では取り上げていただいて、これを今全国的に実施をされておるという状況があるようです。  ただ、実情をいろいろ聞いておりますと、年々数もふえていくし、よくなってはおるようでございますけれども、私ども一番残念に思っておりますのは、やはり五泊六日とか六泊七日とか、長期にわたる自然教室の中での体験というものを持たせるのが大切だろうと思いますが、やはり三泊四日程度が多いようですね、いろいろお聞きしてみますと。実際にやった方々お話を聞いてみても、それでは本当の実際の効果は上がらない、やはり三泊ぐらい後に子供の本音も出てくるし、いろいろと裸のぶつかり合いの中で教師と子供とのいい関係もできるし、実際の効果が上がってくる、こういうふうにも言われているわけでございますが、この点についてぜひそういう方向で進めていただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでございましょうか。
  155. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 自然教室につきましては、自然との触れ合いとか自然体験、生の体験ということを子供たちに味わわせる、そういう中で教育をするということで私どもも大変重視して事業を推進しております。  御指摘のように、私どもは当初もう少し長い期間の宿泊を期待していたのでございますが、実際に学校でやってみますと、やはり長い期間の宿泊指導というのは子供たちにとっても大変な面がございますが、先生方にとっても大変な面があるということで、実態上は三泊四日が多うございます。しかし、中には五泊六日というのも最近はふえてきておりますし、御指摘の点は私どもも十分わかっておりますし、そういう点が望ましいということも思っているのでございますが、実際にやってみるという実践の場の御意見というのもやはりそれはそれで尊重しなければなりませんので、現在やっているのをもう少しより充実していくという方向で子供たちの自然体験とか実際体験という活動を充実していきたいと考えております。
  156. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 そういうところで余り妥協せぬようにひとつお願いしたいのですよね。むしろ、しんどいから大変だからというのを乗り越すか乗り越さぬか、乗り越すところから新しい展開があるし、貴重な体験ができると私は思うのですね。  だから、セカンドスクール時代に、国土庁がやっておるときに私も神戸の川池小学校でやっている現場にも行って、実際中に入って体験もしてきましたけれども、いろいろ先生方のお話を聞いても、子供の話を聞いても、また私が現実を見ておっても、やはり三泊四日を越えるころから一番問題であって、そこが一番しんどい、だから引っ込んでしまうというのでは、人生というのは、私が申し上げるまでもなく壁がいろいろあるわけでありまして、ここまでやってしんどいから退くというようなことでは、本当の意味での教育という立場、また挫折に強い人間を育てるとかいう意味で、これは教員の皆さんもお子さんも含めてちょっと足りぬところがあるのではないかな。だから、そこのもう一押しがまた大きく教育的効果もあるような形でできるんだというふうに思います。そういう意味で、ぜひひとつこういう方面については、むしろこういうことこそ少し強気で指導していただきたいし、ぐんぐん押し込んでいただいて、いい形で子供に生活体験、また原体験といいますか本物の体験をさせる場をつくっていただきたい。  現在はどうも疑似体験が多過ぎるのですね。だから、例えばカブトムシとかクワガタにしたって、我々のときは実際に山まで行って木で見つけてとってきたというようなことがあったのですが、最近はデパートで買ってくるものですから、よく言われるように、カブトムシはデパートに行けばいいというようなことで原体験がない。こういう疑似体験を含めて、いろいろな本物の体験というものをさせる場をせっかくつくっているわけですから、ぜひこれは生かしていただきたい、そういうふうに思います。  時間が参りましたのでこれでやめますが、あといろいろ白書について残りました点はまたの機会にいろいろと一問一答でやらしていただきたいと思います。こういう生活体験にかかわる問題についてぜひ強くお進めいただきたいと思いますが、大臣に最後にお答えをいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  157. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  生活の問題、いろいろあるわけでありますが、私は基本的に人間やはり自然から生まれて自然に返るんだ、これが一番もとだな、その上に立って自然教室の問題あるいは体験学習の問題、今委員の御指摘なさるような問題、そこへ原点を置いてこれからやっていくことが肝要なことだな、こう考えております。
  158. 鍛冶清

    ○鍛冶委員 どうもありがとうございました。
  159. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 次に、江田五月君。
  160. 江田五月

    ○江田委員 文教行政基本施策についてお伺いいたします。  文部行政については経験を随分豊富にお持ちでこの分野に精通をされ、高い識見をお持ちの石橋文部大臣を迎えて今百日ぐらいでしょうか。しかし、国会の都合もありましてなかなかこれまで石橋大臣の高邁な識見をこの場で伺うことができておりません。きょうは時間が余りありませんが、ひとつ伺わせていただければと思うのです。  まず、大臣が今の我が国の教育の状況、現状について一番基本的にどういう気持ちをお持ちか。つまり、我が国は今世界第二位の経済発展を遂げた国だということにもなっており、ここまで来るについて確かに教育が大きな成果を上げたということもあるでしょう。そういう状況ですから、これはもうだれかの言葉じゃありませんが、つかさつかさに任しておけばうまくいくんだ、大過なくというような、そういう姿勢でおられるのか。それともそうでなくて、確かに経済は発展し、その中で教育の果たした役割は大きいけれども、しかし考えてみるとこの間にいろいろと問題もまた積み重なってきておる。今の子供たちを取り巻く状況、教育の状況というのはなかなか難しい問題が山積していて、これはつかさつかさなんていうのじゃなくて、ひとつ自分大臣として大いに走り回って、あるいはいろいろな人に会ってこの状況を切開き、変えていくために全力を尽くさなければ、そういうお覚悟でおられるのか、そのあたりのところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  161. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  なかなか容易ならないときであるなという認識であります。そして、私の基本姿勢でありますが、人づくりを通じ、あすの社会を創造する営みである、一日たりともゆるがせにできない国政の重要課題であり、教育改革に対する国民の期待はまことに大きいものがある、こういう認識でございます。  そこで、今後の教育改革を推進するに当たりまして、特に心の教育を重視する必要があると考えており、豊かな心を持ったたくましい青少年の育成を期して一人一人の個性や創造性、社会性を伸長する教育学校、家庭、そしてさらに地域社会を通じて充実してまいるように努力をいたしたいと思います。
  162. 江田五月

    ○江田委員 お話の初めに、容易ならざる事態だという認識をお持ちだということを聞かせていただいてほっとしたのですが、つい先日の閣議で報告、了承されましたいわゆる教育白書も、従来と一変してということでもないのでしょうが、比較的従来とは異なって、現在の問題状況というのをはっきりと浮き彫りにしていくという色彩であるわけです。  学校教育の画一化、受験競争の過熱、登校拒否など子供たち教育の中にきちんとおさまっていかない状況、そうしたことが出されているわけで、これに対して私ども大人が、それは学校であり、あるいは家庭であり、地域であり、同時に文教行政に責任を持つ文部省やあるいは私たち衆参の文教委員会、こういうものは本当に子供たちに対して重い重い責任を負っているというふうに思うのですが、そのような中で、とにかく大臣、この容易ならざる事態の中にある今の子供たち、いわゆるふびんな子供たちをどうやって救っていくのかということに全力を挙げてもらわなければいかぬ、そしてそのためにはとにかくかみしもを脱ぎ、胸襟を開いて教育に携わっているありとあらゆる人たちと、あらかじめの答えを用意してではなくて、ひとつ裸でぶち当たって話をしていく、理解を求めていく、あるいはみんなの悩みを理解していくというそんな姿勢が今大臣に求められているのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  163. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  私は、今までの流れの中において、とにかく終戦後日本国というものをどうしたらいいんだという中において、今まで先輩諸公が努力をなさってここまで参ったものと思います。また、文教の中においてもこれまた大変な議論をしながらとにかくやってまいりました。それは日本全体あるいは世界全体の中において日本人というもの、日本国というものが一定の評価を受けるところまで来たことは私は間違いないと思います。ただそれであるだけに、これからどうしたらいいかということ、これは経済的な事柄もあるでしょう。いろいろなことがあると思います。  でも、教育というものを中心に物事を考えてみますと、今からまた一歩ぬきんでていくということを考えますと、先ほど白書でみずから反省してこうしたことをやっていかなければならない、こう書かせていただいたわけでありますが、例えば大変不確実な世の中、いわゆる科学技術の進歩によって大変不確実な世の中がこれから参る、そうしたことを考えてみますと、やはりみずからが考えてみずからが独創的にその答えを自分でやっていかなければいけない。つまり、言い方をかえれば、個性を伸ばすあるいは自由に物事をやらせるということ、そのようなことを中心として考えていかなければならないのだ、それは白書の、なかなか反省の弁が出ないものでありますが、今度はそれを入れさせていただいて、そして前に出ていかなければならない、こんな考え方を基本的に持っておりますので、よろしくどうぞ。
  164. 江田五月

    ○江田委員 今の基本的な考え方の中にも私は幾つか申し上げたい点も実はあるのでありまして、例えば確かに我が国が一定の評価を受けるところまで至った、しかし逆に、必ずしもいい評価ばかりをいただいているわけでもないのです。  東南アジアの国々は、それは我が国の経済発展については、ある尊敬なりあこがれの気持ちを持っていただいているかもしれない。しかし一方で、何だ日本は自分の経済発展だけで、例えば東南アジアの熱帯雨林をどうするのだ、自分たちの地域の経済あるいはこれまで豊富であった自然の恵み、そういうものが日本によって破壊されたじゃないかというような思いを持っている人たちもたくさんいたり、あるいはまた同じ先進国の仲間の皆さんの中からも日本についていろいろな複雑な思いがあることも確かで、そんな中で今の状態からさらに一歩ぬきんでるという発想でいいのかどうかといったことも感ずるのでありますが、それはさておいて、個の充実、個の豊かなたくましい成長というようなことをおっしゃいますが、しかし、現実にはその個がいろいろな学校社会あるいは家庭、重圧の中で打ちひしがれて悲鳴を上げているというような状況もあるわけです。  それがいじめになったり落ちこぼれになったり登校拒否になったりというようなことがあるので、そういうことは文部大臣が一人で号令をかけて旗を振ってもなかなか解決がつくものじゃないので、国民みんな、それぞれ教育に何らかのかかわりを持ち、子供たちにかかわりを持っている者が皆真剣に悩んで、そして腕を組みながら共同の営みをしていかなければ解決つかない課題だと思うのです。ですから、そういういろいろな皆さんと腹蔵なくお話し合いをするようなことをひとつ大臣にお考え願いたいということを言ったのはそういう趣旨です。  そこで、そのととをぐるぐる繰り返し繰り返し言っても仕方がないので、ひとつずばっとお聞きをしますが、やはり何といっても教育の中で一番大きな役割を担っている人のグループというのは教師です。その教師の集団ということで日教組という団体があるわけで、日教組というものについていろいろな見方もあります。私どもも日教組すべて正しいとか日教組様々と思っているわけではありません。しかし、教育の最も重要な責務を担っている教師の集団として日教組というのがある以上、この日教組の皆さんと文部大臣ひとつかみしもを脱いでお会いになって腹蔵なくいろいろなことをお話しになったらどうなんだろうかと思うのです。  日教組の皆さんもこれはいろいろな立場からの評価、評価といいますか見方もあるでしょうけれども、つい先日大会でこれまでの動きに一つのけじめをつけて、間もなく結成をされようという全国の労働組合を全部一つにしていこうといういわゆる新連合、これに加盟をしようという、大変な組織の分裂まで覚悟しながらそういうところまで来ているわけで、こういう皆さんとイデオロギーのぶつけ合いではない話し合いができるというふうにお思いになりませんか。そして、ぜひそれをやってみたいというふうにお思いにならないかどうか。
  165. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  一言で申し上げまして、現在のところはありません。でも、日教組のこれからの動き、そうしたものを十分見定めながら、慎重に検討して結論を得たいと考えております。
  166. 江田五月

    ○江田委員 現在のところそういう意思はないという理由は何ですか。
  167. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  教育集団として大きな団体であります。そのほかにも幾つも団体があるわけでありますが、言いづらいことをはっきり申し上げますが、文部省がやっております教育の諸問題及びそれに対する解決の方法、すべてのことに反対、反対、反対であっては、これはいいものが生めないですよ。ですから、私の方も委員指摘のように胸襟を開いて、相手方も反対、反対、反対ではなく胸襟を開いて、そこら辺のところを私はよく見詰めてそして検討をしたい、こういうことです。
  168. 江田五月

    ○江田委員 文部省がいろいろなことをお出しになる。日教組はすべての点で反対、反対、反対、そうやって対決をしていて、私は日教組にも言いたいんですが、そうやって対決をしていて、そうしてその対決の谷間で結局一番救いの手が差し伸べられてないというのは子供たちでしょう。まず、どっちから胸襟を開くかですね。やはり、それは大臣として、大臣にひとつ大人になってと言うのも変な話ですけれども、ひとつ自分の方から、あらかじめこうでなければ話はできないよなんて言わずに、かみしもを脱いでいかれたらと思いますが、立場でなくて、日教組だけに限らず、とにかくすべての人と一緒になって子供たちのためにいい教育をつくっていかなければという、そのときにあるテーマでだれかが反対と言った、賛成と言った、そういうことであらかじめの相手についてのイメージをつくり上げた上で話し合うんじゃなくて、問題は子供たちですから、ひとつこれをぜひお願いをしたいのですが、余りこのことばかり話をしていてもしようがありません、お願いをしておきます。  ところで、子供の権利条約というのが今話題になってきております。一九七九年が国際児童年、それから十年たちまして、一九五九年に国連で採択をされている子供の権利宣言、これをもっともっと発展さして、五九年からいえば三十年目ですから、ことし国連総会で子供の権利条約というものを採択しよう、このことは大臣、お聞きですか、御存じですか。
  169. 石橋一弥

    石橋国務大臣 承知をいたしております。
  170. 江田五月

    ○江田委員 外務省の方、来ていると思うのですが、この子供の権利条約、簡単で結構ですが、今国連でどういう状況か、十一月二十日には採択というような新聞報道もありますが、そういうことなのか。  さらに、もし採択をされたら日本は一体どういう態度をこれからおとりになるか、批准の方向ということになるんだろうけれども、その見通し、そしてあわせて批准をする場合に国内法の整備の問題があると思うのですが、大体どの程度国内法の整備が懸案として今浮かび上がっているのか、簡単にお答え願いたいと思います。
  171. 角崎利夫

    ○角崎説明員 お答え申し上げます。  委員指摘のとおり、児童の権利条約草案は、十五日に国連総会の第三委員会におきましてコンセンサスで採択されました。二十日の国連総会本会議におきまして最終的に採択される見込みでございます。我が国は、この条約草案の趣旨には賛成でございまして、第三委員会におきます採択に際しましてはコンセンサスに参加いたしました。また、本会議におきましても、委員会案どおりに採択される場合には基本的に賛成の方向で対処する方針でございます。  それから、その後の締結につきましては、今後その草案が国連総会本会議におきまして最終的に採択されました後、我が国国内法との関係等を勘案いたしまして、関係省庁とも協議をして検討を行っていくという方針でございます。  国内法との関連でございますが、この趣旨には賛成をしたわけでございます。ただし、条文の定める権利義務の具体的な内容でございますとか、我が国国内法令との関係の詳細につきましては、条約草案が今次国連総会で最終的に採択されました後、検討をしていくということになろうかと思います。
  172. 江田五月

    ○江田委員 最終的にはそういうことでしょうが、しかし、そうはいっても条約に基本的に賛成ということでコンセンサスにお加わりになるというときには、日本の国内法との関係検討されはしたんでしょうね、全く検討せずにということではないんでしょうし。一部には法務省、厚生省、文部省などと調整をしてみると、関連する法律が四十近く存在する。これは手直しをしなければならぬ法律というわけではないのでしょうが、そういうものがあるという、そんな話もあるのですけれども、もうちょっと突っ込んで、例えば民法の嫡出子、非嫡出子の規定など、こういうところは手直しをせざるを得ないことになってくるのではないかというような気がしますが、もう少し具体的に何かお話はないのですか。
  173. 角崎利夫

    ○角崎説明員 今申しましたように、各省庁とは一通りの検討をした上で趣旨には賛成するということで臨んでおるわけでございまして、その詳細な検討につきましては、今後各省庁ともさらに進めてまいるということでございます。
  174. 江田五月

    ○江田委員 詳細はそうでしょうから、ラフなところはどうですか。
  175. 角崎利夫

    ○角崎説明員 先生が御指摘になりました嫡出子等の点につきましては、法務省とも検討をしておるというのは先生指摘のとおりでございます。
  176. 江田五月

    ○江田委員 文教関係も恐らくいろいろ出てくるという気がするのですが、例えばこの十二条の意見表明権ですね。学校の中でのいろんな懲戒のことなどについては、この十二条はカバーされるのでしょうか、されないのでしょうか。その辺はラフな検討の結果、どんなおおよその感じになっておられるか、聞かしてください。
  177. 川村恒明

    ○川村政府委員 ただいま御指摘の権利条約でございますけれども先生御案内のとおりに、かなりいろいろな段階で案が変わっております。私ども、その都度外務省と御相談しながら国内法規との関係を進めてきたわけでございますが、私ども関係で現時点で文教関係考えなければならない、検討を要する点というのは、例えばこれで申しますと、現在の案の二十八条に教育に関する規定がございます。教育に関する規定で、初等教育の無償化というようなことが言われておるわけですけれども、その初等教育の範囲というものは幼稚園教育が入るのか入らないのかというような点がございます。  それからまた、同じく二十八条の(b)項で中等教育の無償化ということがございまして、これがこの条文にございますようにすべての子供たち教育にアクセスしやすくするための例示の書き方としてそういうことが示されているのか、あるいはもう少しそれが強い拘束的な意味を持つのかといったような点、その辺が今回の関係で言えば私どもとしてこれから検討をしなければならない点であろうかというふうに思っております。
  178. 江田五月

    ○江田委員 外務省の方は、文教行政との関係でこういうことが外務省としては気になるというような点は特に何かありませんか。
  179. 角崎利夫

    ○角崎説明員 今、文部省側から御指摘のあった点につきましては、外務省としましても、その点に関しましてこの条約の審議に際しまして意見を述べたという次第でございます。
  180. 江田五月

    ○江田委員 この今の二十八条でいうと、例えば二項ですね。「学校懲戒が子どもの人間の尊厳と一致する方法でかつこの条約に従って行われることを確保するために、適当な措間をとる。」これは、体罰というのは一体ここで言う「子どもの人間の尊厳と一致する方法」、同時に「条約に従って行われる」もの、こんなことになるのですか。それとも、体罰はこれまでいろいろ問題になっていましたが、この際こういう条約締結あるいは批准といったことに際して、これは改めて根絶を誓い、いろいろな手を講じなければならぬというようなことになるのかどうか。そのあたり、いかがですか。
  181. 川村恒明

    ○川村政府委員 ただいま御指摘のございました二十八条の二項でございますけれども、これはまだ正文が翻訳としてできているわけでございませんが、「締約国は、学校の規律が児童の人間としての尊厳にふさわしく、かつこの条約に合致した方法で運用されることを確保するため、適当な措置をとらなければならない。」ということでございまして、これは学校という組織の規律全体について述べているということでございますから、今御指摘のような懲戒云々ということと直接ここでかかわってくるというようなことではなかろうと思っております。
  182. 江田五月

    ○江田委員 恐らく条約の文案自体もいろいろ変わって、最終的な確定までいろいろなものが途中であっただろうし、その翻訳もいろいろあったので、私の持っておるものと局長がお持ちのものとがちょっと違ったようで、これは議論をまた後でじっくり詰めていきたいと思います。  同時に、十二条の関係どもなかなか重要でして、文部大臣子供の人権を守っていくということが今国際的な声になっている。とりわけ途上国の子供たち、先日も参議院の方で海部総理大臣とどなたかの議論の中に出ていたようですが、ストリートチルドレンとか、子供たちが非常に劣悪な状況に置かれている。しかし、途上国だけでなくて我が国も、冒頭大臣と議論したように、子供たちは決して今恵まれた状態にはいないんですね。もちろん途上国の子供たちと比べれば、それはぜいたく言えない環境ですけれどもね。  そこで、今の学校教育の中でいたずらに体罰が行われているような状況、いや、いたずらにじゃないんだ、あれは必要だったとはなかなか言えない事態だと思いますよ。そうしたことについて、こうして子供の権利条約というようなことを議論するに際し、文教行政の責任者としても子供の権利といった観点から改めて見直していく。子供というのは大人になる過程であると同時に、子供自身の人生、子供のときの人生も一人の人間の人生でして、子供のときはどんなに苦しくても大人になってそれが報われればいいじゃないかと言ったって、その子供のときで終わる人生の運命を背負わされた子供もいるわけだし、そうでないとしても、子供のときに子供としての充実した——子供としてというのは、大人になるための未完成なものという意味じゃなくて、一人の人間としての子供の充実した人生を送るということは大変大切なことです。  そんな意味から、この子供の権利条約というものにひとつ大いに目を開き、これは勉強して、今の文教行政の中で生かしていこうじゃないか、こういうお気持ちをお持ちくだされば幸いですが、いかがですか。
  183. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えをいたします。  本条約につきましては、趣旨自体基本的に適切なものと考えております。文部省としても、かねてからこのような考え方のもとで教育の改善充実に努めてきたところであります。  今委員の御指摘のような考え方、子供の人権、親になる前あるいは子供そのものの人権、そうしたことも考え、さらに関係省庁と十分相談してやっていきたい、こう思います。
  184. 江田五月

    ○江田委員 これはまだちょっと先走り過ぎて、質問してお答えをいただくという段階まで行ってないと思いますが、子供の人権条約批准といったときに、恐らく多少の法的な手直しも要るんだと思います。女子差別撤廃条約の批准のときに家庭科の履習の仕方について検討会議を設けて、そして今、指導要領の改訂というところまで至っているわけですが、そうしたこともまた検討される必要があるのではないかと思いますので、この点はひとつよろしくお願いをしたい。  あと五分しかありませんが、この子供の権利条約の中にも性差別を含めたあらゆる差別の禁止ということが入っているのですが、学校現場で何かと性による区別だけでない差別的な——差別というものはなかなか難しくて、例えば最近セクシュアルハラスメントなんといって、何がハラスメントかといったら、女性がハラスメントと感じたことがハラスメントだ、そんな話もあったりで難しいのですが、やはり学校の中に差別というものがある。  そこで、具体的に男女別出席簿、出席簿をとにかく男の子だけ初めに五十音順でざっと書いて、それから今度ちょっと欄をあけて女の子が五十音順でずっと並ぶ、そんなのはやめたらいいのじゃないか、もう男女混合で出席簿をつくったらいいのじゃないかというような声があって、一部の地域では既にそういうことに積極的に取り組んでいるところもあると聞いております。  大臣、この出席簿がこんな問題で今騒がれている。騒がれているというほどでもないけれども話題になっている。これは御存じですか。
  185. 石橋一弥

    石橋国務大臣 具体的には余り耳に入っておりません。
  186. 江田五月

    ○江田委員 これは朝日新聞ですが、上、中、下と三回に分けて特集まであるわけです。とにかく教育に関することはもうすべてに触覚を働かせて、いいことであろうが悪いことであろうがぜひ注意深く見ておいてほしいと思いますが、それはお願いですが、男女別出席簿を混合五十音順の出席簿にするといったことはできないのですか、できるのですか。
  187. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 出席簿は、学校教育法施行規則の十五条で学校で備えなければならない表簿の一つになっております。そういう規定がございますが、文部省としてその様式を特に示したということはこれまでないわけでございます。教育委員会または学校で適切な様式を定めて作成するというものでございます。したがいまして、出席簿の様式をどうするか、男女別にどういうふうに並べていくかというような問題は、学校教育委員会学校運営上の問題を考慮して考えていただければいいのではないかと思います。  ただ御指摘のように、それが男女差別とかそういうことに結びつくようなことは避けるという配慮は必要かもしれません。男女の平等の問題につきましては、御指摘がありましたように、家庭科は直しましたし、それから、今回の新しい指導要領では家庭科以外にも社会科の中でも、それから特別活動のホームルームなどでもそういうことを指導するように、そういう配慮をしております。
  188. 江田五月

    ○江田委員 最後に、文部省への報告あるいは都道府県教委への報告の様式が男女別になっておるから、それが障害になって出席簿の男女別の配列を直すことができないんだ、そんなことが言われたりしておりますが、そんなことはありませんね。
  189. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 出席簿の様式等について文部省に届け出ということは一切ございません。それから教育委員会は、教育委員会によってはあるいはあるのかどうか私は詳細存じませんけれども、そういうことが隘路になって今の問題が困る状況になっているとは考えておりません。
  190. 江田五月

    ○江田委員 終わります。
  191. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 次に、石井郁子君。
  192. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 まず、登校拒否の問題について質問をしたいと思います。  先月文部省もこの登校拒否児の実態を発表されまして、小中学校で四万人に上るということでマスコミも大きく取り上げました。登校拒否の問題は、登校拒否に陥った子供たち、その渦中にいるときの親の気持ち、本当に深刻なものがございます。私は、この問題は解決策を急がなければならないというふうに思っているわけで、そういう立場で質問をしたいと思っています。  法務省の人権擁護局も不登校児の人権実態調査報告書を発表されています。不登校児の実態について明らかにし、提言もあるというふうに思うわけですけれども、まずこの内容について法務省に伺いたいわけです。  この報告書によりますと、「総括」と「結論」という部分で、「総括」部分は五項目ですね。「結論」の部分でも四項目で、特に学校教育の問題が指摘されているというふうに見えるわけです。教師の受けとめ方、授業の進め方など、それから、いわゆる落ちこぼれに対する配慮という点が登校拒否を予防する点、またその解決ということで重要だというふうに言われているように思うのですが、こういう調査結果を発表されたわけですけれども、その内容について御説明をいただきたい。特に学校教育指摘の部分についてお願いしたいと思います。     〔委員長退席、麻生委員長代理着席〕
  193. 島野穹子

    ○島野説明員 では、御説明いたします。  今回私ども調査いたしましたのは、各種の施設に通園をしている児童生徒五百九名に直接にアンケート調査を行いまして、その結果を集計しております。それで、学校に行けなくなった原因というものを複数回答で回答してもらっております。それの調査結果を申し上げますと、友達関係を挙げた者が最も多く、次いで先生学校関係、勉強・学業関係がほぼ同数でございます。そして家庭関係というものがこれに次いでおります。最後に給食関係というのもございますが、これは少なくなっております。  その勉強・学業成績関係というものの細部を見てみますと、「勉強がわからなかった」と答えた者が百四十二名、「勉強についていけなかった」と答えた者が百十六名、「成績が落ちて先生や親から強く叱られた」という者が三十八名で、以上、勉強・学業成績を原因として挙げた者の数を合計いたしますと二百九十六名になっております。
  194. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 実はもう少し御説明いただきたいのです。それは「総括」のところで「いわゆる「落ちこぼれ」に対する配慮は、登校拒否を予防する点で、大きな意義をもっている。」というふうに言われていますので、その中身をちょっとお聞きしたかったわけですね。
  195. 島野穹子

    ○島野説明員 落ちこぼれという言葉を法務省としては余り使いたくなかったわけですけれども、この調査は、ある学者の先生質問をつくっていただき、また集計、分析をしていただいております。その中で、学業成績が不振であると申しますか、今先生がおっしゃった落ちこぼれと見られる生徒が多いという傾向は否めないように思います。それが原因となって学校に行けなくなったということは不登校の一つの要因として否めないように考えております。
  196. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そこでもう一点伺いたいわけですが、「結論」の部分では、そういうことで教師の受けとめ方とか授業の進め方、特に授業について言われているわけですが、「抜本的な改革が必要であることが痛感された。」というふうに書かれています。この場合の抜本的な改革というのは何を指しているのでしょうか。
  197. 島野穹子

    ○島野説明員 大変失礼ですが、白い表紙のですね。法務省としてのまとめはこの黄色い表紙のものにしておりまして、それは調査を委託した先生のレポートでありますので、それはそのままそっくりお配りはしておりますけれども、法務省の人権擁護局としては学校教育についてその先生のレポートのように提言し得るまでには至っておりませんので、恐縮ですが、お答えできません。  今からいろいろ皆さんと意見交換しながらその部分もその専門の分野で検討課題にはなっていくと思いますけれども、それは先生提言としていただいた報告のとおりに印刷した資料でございます。どうも失礼いたしました。
  198. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どうもありがとうございました。  そこで、文部省伺いますけれども文部省も児童生徒の問題行動実態調査を発表されました。そこでは、登校拒否のきっかけとして学業不振が最も多い。とりわけ中学校の場合はそのように強調されているわけですが、文部省もこの登校拒否を生み出す学校教育の大きな原因にいわゆる学業不振、授業についていけない、この問題があるというふうに認識していると受けとめていいでしょうか。
  199. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 登校拒否は、小学校で六千人余、中学校で三万六千人余で、小中合計で四万二千人。全体の生徒数の比率からいきますと、〇・六%ですから少ないということになるかもしれませんが、年々子供が減っているのにこの数字はふえている。そして、登校拒否には至らないけれども潜在的にそういう傾向を持っている子供たちもふえているということを聞いておりますので、これは大変重要な問題であるというふうに認識しております。  そこで、今回の白書でもこの問題を取り上げているわけでありますが、今先生から御指摘がありましたように、そのきっかけとして、私ども調査いたしましたのを見ますと、学校生活に影響のあるものとしては、「友人関係をめぐる問題」が一四%、「学業の不振」が一五・四%、やはりこの二つが大きいと思います。それから「家庭生活での影響」がきっかけになっているのも一五%ほどございますし、いろいろな原因ないしはそれが複合した原因によって登校拒否が起きていると思いますが、もちろん学校教育に対する不適応という問題もその一つの要因であるというふうに受けとめております。
  200. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 ここ数年、登校拒否の子供たちがふえてきました。しかし、その子供たち学校に完全に行きたくないというふうに拒否をしているかというとそうではなくて、勉強したい、行きたいという気持ちを持ちつつ行けないという問題を抱えているわけです。  このところ、そういう子供たちが夜間中学校に入ってそこで勉強をしているというケースが多くなってきています。東京都内には八校の夜間中学校があるわけですけれども、過去六年間に七百二十七名の登校拒否生徒が入学している。一九八三年から毎年調査が続けられてきているわけですが、その調査によりますと、やはり夜間中学の入学時の学力が十分ついていない。例として申し上げますと、とりわけ国語では四六%が小学校段階だ、数学でも三九%が小数や分数の基礎的段階でとどまっているということが判明しています。だから、やはり小学校や中学校での勉強のつまずきという問題が大きな要因になっていることが報告されているわけです。  今御答弁もございましたけれども文部省の児童生徒の問題行動の実態調査を見てみますと、小中学生の登校拒否のトップが「ずる休みによる拒否の型」、これは小学生で三九・〇%中学生で五三・九%とあるわけです。こういう形で、登校拒否をずる休みとか勉強嫌いと子供の責任としてとらえる視点は登校拒否の真の原因をつかんだことにならないのではないかと思うのですが、その点でいかがでしょうか。
  201. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 今御指摘いただきました数字がどの数字なのかわからないのですが、ことし発表しましたのでは、要するに学校生活に起因するものとして三九・八%、家庭の問題が三一・八%という数字を出しておりますし、また別な登校拒否のパターンといいますか態様としては、要するに遊び型、遊ぶためとか非行グループに入って登校しないという怠学が数字としては一六・六%でございます。一番多いのは、行きたいけれども行けないという情緒不安定、情緒混乱が二九%。それと並びまして無気力と申しますか、要するにアパシーの状態に陥っている子供たちがやはり二九%という数字でございまして、ちょっと今御指摘の数字が……
  202. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 これは八八年十一月の数字なんです。これを持ち出しましたのは、ことしの分の「実態と文部省施策」を見ましても、子供の側の責任というか、今のお話でも子供が無気力になっているだとか、そういうような指摘は、なぜ学校に行けないのかという、学校の問題が明確にされていないということで、八八年十一月の数字が非常にはっきりしていましたので、今引用したところなんです。  文部省の方でも学校不適応の対策という形で対策に取り組まれているということはわかっているわけですけれども学校不適応という言い方では、学校子供たちが合わせられていないんだというふうに聞こえるわけです。だから、あくまでも子供の方に問題があって、子供の心理状況や身体的な状況やそういうことが変われば学校に行けるのかということで、学校に行けない本当の原因は、今の学校を取り巻く教育の内容や、また条件や、それからとりわけ管理主義的な体制、体罰や規則の押しつけ、こういうところが子供たち学校へ行けなくしている大きな原因ではないかと考えるわけですけれども、その点で文部省の御認識をもう一度伺っておきたいと思うわけです。
  203. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、登校拒否の態様としましては、学校生活に起因する型はもちろんございます。それから無気力に起因するものないしは不安などの情緒的混乱によって行けないもの、ないしはそれらの混合型、いろいろございます。ですから、これがすべて子供の責任とか学校の責任とか親の責任とかという単純な問題ではないと思います。  結局この豊かな社会の中で子供が健全に育っていくのが大変難しくなっているということでございまして、これは欧米でも先進工業諸国に共通した、学校嫌いといいますか、こういう一つの傾向があるわけでございますから、日本もその中の一つの態様として存在しております。もちろん特殊日本的な問題もあろうと思いますけれども、私は、これは学校も家庭も社会も共同して一体となって取り組んでいかなければ解決しない問題であるというふうに思っております。
  204. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 学校生活に起因するという点で、では学校生活のどこが問題なのかという点ではいかがでしょうか。
  205. 菱村幸彦

    ○菱村政府委員 学校に起因する場合もいろいろなケースがございます。友人関係をめぐるトラブルが原因になって行けなくなったという子供さんもいらっしゃいますし、教師との関係でうまくいかなくて登校拒否に陥ったというのもございます。それから先ほど来御指摘の学業の不振、授業がわからないというようなことで学校嫌いになっていく、登校できないでいる。この場合もいろいろな要因がございます。
  206. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 そういうふうにいろいろな問題を羅列されるだけではやはり解決策は見えてこないように思うのです。  それで、私は十一月一日の朝日新聞の社説がその点では非常にすっきりと問題点指摘していると思うわけです。それをちょっと御紹介したいと思うのです。   原因がさまざまであれば、解決の道もまた、いろいろだ。その中で一つだけ提案がある。学校の、一学級の児童生徒の人数をもっと少なくすべきだと思う。   受け持つ子どもの数が少なければ、先生はイライラせず、一人ひとりに目も行き届く。子どもの気持ちも、より理解できるだろう。それは、登校拒否の原因を、一部であっても解消することにつながる。 欧米諸国並みに二十五人ー三十人。四十人に減らす計画がまだ終わってない日本が問題だということが指摘されているわけです。  先ほど欧米諸国に共通する現象だというふうに言われましたが、登校拒否の現象は特殊というか、日本的な現象だ、欧米諸国には見られないということは法務省の調査の中でも出ているんではないでしょうか。先ほども法務省の調査結果でもやはり学業不振が大きな原因だ、その学業不振を本当に解決するためには、新指導要領でもさらにもっと詰め込みをしていくということがあるわけですから、そういう問題もありますけれども、何よりも教育行政として教育条件の整備と、一学級の生徒数を減らすということは何をさておいてもしなければならないということだと思うのですが、そういう点での文部省のはっきりとした見解というか認識をぜひお示しいただきたいというふうに思うわけですが、どうでしょうか。
  207. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先生お話にありましたように、私ども今四十人学級を含めまして教職員定数の改善計画を進めているところでございます。平成二年度の概算要求におきましては、改善計画の第十一年次分ということで、四十人学級につきましてはその他の市町村の小学校の五年生まで、中学校につきましては第二年生まで措置することを要求している次第でございます。  教職員定数の配置率の改善につきましても、いろいろな職員についての改善を要求しておりまして、五千百九十一人の改善を要求している次第でございます。四十人学級と合わせますと、全体で一万三千三百人の改善ということで、これが認められるということになりますと七二・二%の改善率になる次第でございます。今後二年間で四四・六%の改善を図らなければならないわけでございます。極めて厳しい状況にあると認識しているわけでございますけれども、なお目標に向けて十分努力を続けてまいりたい、さように考えている次第でございます。
  208. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 その問題に入りましたので、そちらの方でちょっと質問をさせていただきたいと思います。  今お話しのように、九一年度に第五次学級編制・教職員定数改善計画が完成するのかどうかという点で、今定数改善の数字も出されましたけれども、例えば来年度の予算で見ても養護教員での改善率は五七・二%です。栄養職員では五五・八%、事務職員では四七・八%で半分に満たないところもあるわけですが、本当に実現は大変困難だというふうに思うわけですが、どうでしょうか。
  209. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先生の御指摘にございましたように、養護教員定数、それから事務職員定数、学校栄養職員定数の改善率は御指摘のあったとおりでございます。あと二年ということですとこの改善率は必ずしも高くないわけでございますけれども、私ども、あと二年の予算の要求、それから査定を通じましてぜひ目標が達成できるよう努力を続けてまいりたい、そのように考えておる次第でございます。
  210. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 九一年度までに、これはもう法律事項ですから、法に沿ってはっきり完成するというふうに、いかがですか、努力をするでは本当に達成できるかどうかということがはっきりしないわけですけれども、完成するというふうにはっきりお答えいただけないでしょうか。
  211. 倉地克次

    ○倉地政府委員 あと二年でございますけれども、やはり予算の問題と申しますと毎年度の概算要求、それから査定ということを通じて行うわけでございます。私ども十分努力する所存でございますけれども、やはり査定という作業があるわけでございますので、先生の御指摘のあったような御答弁をするわけにはなかなかまいらないのではないかと思う次第でございます。私どもといたしましては、十分努力を続けてまいりたい、そのように考えている次第でございます。
  212. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 それは竹下元総理の九一年度中にきちんと対応できるという国会答弁もございますけれども、私は、努力で済まさないで残る二年で完全に達成するということで大臣は決意を持って臨んでいただきたいと思いますし、ぜひ大臣の決意をお聞かせいただきたいと思うのです。
  213. 石橋一弥

    石橋国務大臣 先ほども他の委員にお答えを申し上げたわけでありますが、あと二年ということ、いよいよ目前に迫ったわけでありますが、何とかしてこれを達成すべく全幅の努力を傾けたいと存じます。
  214. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 その辺は本当に文部省を挙げてぜひ頑張っていただきたいということを強く申し上げたいと思います。  問題は九二年度からのことも考えなければいけないと思います。児童生徒は今後も減少していくわけでございますけれども、こういう中で三十五人以下学級に移行できる条件があるわけでございます。先ほど中西委員からも質問がございましたけれども文部省としてこの九二年以降のことについてはどのような方策を検討しておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  215. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先ほど来お答え申し上げているところでございますけれども、大変厳しい財政事情の中で教職員の定数改善計画を達成するよう努力しているところでございます。そういう事態でございますので、現段階では改善計画につきましてどうこうすることを検討する段階に至ってない状況でございます。今後の検討課題だとは考えておりますけれども、そういう現状でございますので、ひとつよろしく御理解のほどお願いする次第でございます。
  216. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 先ほど大臣の御答弁の中でも、この問題では何とかしたいということを基本検討するというような趣旨で中西委員に対しての御答弁があったように伺っていますけれども、その中身はどういうことなのか、もう少しお聞かせいただけないでしょうか。
  217. 倉地克次

    ○倉地政府委員 今御指摘の点につきましては、検討した結果、現在の改善計画終了後直ちに次の計画がスタートするか、また今回の計画のスタートと司じように一年の間があくかという問題につきまして大臣がその真情をお述べになったものと私ども理解している次第でございます。  ただ、この問題は、そのときの概算要求、それから査定の問題も含めまして財政上の措置が必要な問題でございますので、現段階でそのことについて確定的なことをお答えする段階ではないというふうに考えている次第でございます。
  218. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 私は、昨年でしたか、この委員会でもこういう問題は取り上げているのですけれども、こういう条件の中で、先ほど登校拒否の問題もまさにそうだったわけですけれども、本当に学級定数を減らすということは国民的な要望というか強い願いだと思うのです。また世界的にもそういう趨勢なわけですから、ぜひしなければいけない、できる条件のときに本当に踏み切るべきだというふうに思うわけですが、九二年度以降からにつきましては当然法改正をしなければ進められないということもありますので、だから、いろいろと検討をしていくということでありますと準備期間が要るわけですので、やはり調査費をつけるなどして取りかかっていく、文部省はそういうふうにも踏み出せない。どうでしょうか。
  219. 倉地克次

    ○倉地政府委員 先ほど来申し上げているところでございますが、財政事情が大変厳しいのが実情でございます。その中でさらに定数の改善を行うわけでございますので、現段階ではそれに最大限の努力を傾注してまいりたい、そのように考えているところでございます。
  220. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 最初大臣にお聞きいたしましたので、大臣にもう一度大臣のお考えのほどをぜひお聞かせいただきたいと思います。
  221. 石橋一弥

    石橋国務大臣 予算を伴うことでありますので、なかなかここでぴしっとやり抜くということが答えられなくて恐縮でありますが、とにかく決められてあることでありますから、それに向かって一生懸命に努力をいたします。
  222. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 九二年度以降についてもうそろそろ準備をしなければいけないということを言っているわけですが、では今のようなお考えですと九二年度以降については全く、何とも計画が立たないということでしょうか。
  223. 倉地克次

    ○倉地政府委員 再度の御質問で大変恐縮しているわけでございますけれども、本当に厳しい財政事情が続いているわけでございまして、その中で大変な財政需要のある定数改善を進めるという課題を抱えているわけでございます。私どもといたしましては、この課題をぜひ達成していきたいということで努力を続けてまいる所存でございます。現在のところは、そういうことでひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。
  224. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 次に、高校の四十人学級の問題で伺いたいと思います。  厳しい財政事情を盛んに言われますと、こういう問題で本当に言いにくくなってくるわけですけれども、高校問題も深刻でございます。ことしをピークに高校生が急減期を迎えています。公立学校の定数は御承知のように四十五人ですけれども、大都市部では四十七人、八人というクラスになっているということですね。急減期こそ四十人学級、さらに三十五人学級ということも、国民的な非常に強い要望になっているというふうに思います。  高校の第四次の教職員定数改善計画が、これも九一年度に終了するのですけれども、学級定数を変えるためにはやはり法律改正が必要になるというふうに思うわけです。  ここで、具体的な事例で申し上げますけれども、これは私の大阪ですけれども、大阪府の場合では九〇年度が四十八人から四十六人へ、九一年度は四十六人から四十五人に戻すという計画まではあるわけです。ところが、九二年度からはそれをさらに縮小するかといえば、検討できない、国の施策待ちというのが現状になっているわけです。文部省として積極的にこの急減期対策を立てなければ、地方でもこれ以上踏み出せないということが起こっていると思うのです。こういう点で、文部省がこの学級定数を変えるということに取りかかるかどうかということが今問われていると思いますが、いかがですか。
  225. 倉地克次

    ○倉地政府委員 公立高等学校につきましては、現在第四次の教職員定数改善計画が進んでいるところでございます。この進捗率も、平成元年度で六〇%ということになっている次第でございます。この改善計画も義務教育と同様にあと二年で計画を完成する必要があるわけでございまして、私どもとしては今後地方財政当局と十分折衝して、その実現努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。  その後の学級編制の改善のことを今御質問でございますけれども、そういう状況にあるわけでございますので、現在の改善計画の達成ということに私ども努力するということをひとつ御理解いただきたいと思う次第でございます。     〔麻生委員長代理退席、委員長着席〕
  226. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 急減期問題というのは本当に深刻だということはもう重々御承知だと思うのですね。  高校の問題でいいますと、急増期ということを理由にしてこの定数改善が先送りされているわけです。この小中の十二カ年計画の中には入らなかったわけですね。今度もまたこの急減期の中でそういうことにも踏み出せないということになれば、本当に高校教育というのは、いわば無策の中で高校生たちが大変な目に遭っているということになるわけですから、私はやはり本当にこの定数改善に踏み切るべきだというふうに思うのですが、そのことは強く申し上げたいというふうに思います。  時間がありませんので、私立高校の急減対策について同じような意味質問したいと思います。  この急減期問題はとりわけ私学がそのしわ寄せを受けるわけですね。こうした問題について文部省はどのような認識をお持ちなのか、それをまず伺いたいと思います。
  227. 野崎弘

    野崎(弘)政府委員 十五歳人口がこの平成元年度をピークにいたしましてその後急減をしていく、全国的に減っていくということは先生指摘のとおりでございます。ただ、これは既に予測をされておったことでございます。実は私立幼稚園につきましてもこの問題が既にあったわけでございますが、私立幼稚園につきましてもそういう急減のための特別の措置というものは特に講じてきてはいないわけでございます。  それから、この急減の傾向というのは今後ずっと続くわけでございまして、現在、平成元年が二百五万、それに対しまして平成九年が百五十一万ということで、五十万減るわけでございますが、さらにその後もこれが減っていくというような状況にありまして、ずっとこれが継続をしていく。こういうようなことを考えますと、そのような長期的な対策というものを講ずることが果たして適切なのかどうかというような問題がございますので、生徒急減のための特別措置ということを講ずることは考えていないわけでございます。  ところで、今の私立高等学校の経常費助成補助の考え方というのは、私立高校に直接助成するわけでございませんでして、都道府県に補助をするわけでございます。その都道府県に補助いたします考え方は、各都道府県の助成水準の維持向上というのが一つ、それから各都道府県間の助成水準の格差是正を目的として実施しておるわけでございますので、各都道府県におきまして経常費助成の増額を図るという場合にはそれに見合って国庫補助の方も増額が行われる、こういう仕組みになっております。  そういうようなことを総合的に考えますと、私どもとしてはこの私立高等学校の経常費助成、総額としてこれをできるだけ確保していくということがやはり基本的に重要なことである、このように考えておるわけでございます。
  228. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 全体的な、こういう私学が今後どのようになるかということでの認識を伺ったのですけれども、もう既にいろいろ踏み込んで御答弁をいただいたようなところもあるのですが、本当に大変ですよね。大阪の私学のことでいいますと、今後私学の約半分が不必要となっていく事態だ。公私の受け入れの比率を七対三という比率で考えていきますとそういう数字も出ているわけです。だから私学は経営の面でも大変ですけれども、もちろんそれでやっていくためには経済的な負担をさらに学費値上げということでしなければいけないということにもなるわけですから、やはり私立学校振興助成法の精神からしても今後の事態というのは大変なことになっていくということだと思うのです。  そういう点で、経常費の総額増という点は当然ですけれども、過疎地の私学特別補助並みに急減期の特別助成対策ということはやはりどうしてもやらなければいけないことになっているんじゃないでしょうか。既にもう答弁で考えていないということが先回りでいただいているわけですけれども、やはりそういう姿勢では本当にこれからの私学に対しての文部省は、全く切り捨て、見捨てるというふうなことにしかならないのではないかと思うのです。  こういう点で、私立高校も四十人以下学級ということも含めて私学の教育条件の拡充ということについて本当に文部省はどういうお考えなのかということが問われていると思うのですが、再度伺いたいと思います。
  229. 野崎弘

    野崎(弘)政府委員 現在、過疎地に対する対策ということで実施しておりますのは、これはそういう特に減の激しいところに対しまして実施をしておるわけでございますが、先生のおっしゃることは全国的なことでございますので、やはり私どもは全体を確保するということによってそれがまた全体の水準の向上にもつながっていく、このように考えておるわけでございます。
  230. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 しかし、私学の助成費の割合はもうこの数年、年々減り続けてきている。ですから、それでは到底間に合わないということになっているわけです。だから、今のこういう実態の中で、やはり特別助成対策というようなことを考えない限りどうしようもなくなっているのじゃないでしょうか。そういう点では、文部省が前向きに検討していくということは本当に必要なことだと思うのですが、全くそういうお考えはないのでしょうか。
  231. 野崎弘

    野崎(弘)政府委員 先ほどの過疎地に対する対策もこの私立高等学校等経常費助成費の中で措置しておるわけでございますので、全国的な傾向のものに対してどう対応するかということは、やはり全体の経常費助成の増額の中で対応していくのが一番適切ではないか、私どもはこのように考えております。
  232. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この際、大学の助成についても伺いたいのですが、今国会の予算委員会で、これは橋本大蔵大臣がこういうような御答弁をされているわけです。石橋文部大臣もいらっしゃいましたので御存じだと思うのですが、問題を起こした私学もある、経常費助成だけが私学助成ではないというような趣旨でおっしゃったのですが、石橋文部大臣も同じようなお考えでしょうか。
  233. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  大学の助成の問題について、結局二九%もあったものが一六%程度に下がってきてしまった。その理由がどういうところにあるのだということでありますが、私はいろいろなところにあるな、こう思っております。ただ総計は、御承知のとおり全く微々たるものでありますけれども、とにかくふえていることはふえているのですが、残念ながらパーセンテージは減っている。ただ、大蔵大臣がおっしゃったことがそのままかなという感じであります。
  234. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 どういうふうに受け取ったらいいのでしょうか。もう少し積極的な大臣のお考えは。
  235. 野崎弘

    野崎(弘)政府委員 大蔵大臣のお答えになった趣旨は、それは私どもの受け取り方でございますのでいろいろな受け取り方がまたあるかと思いますが、経常費助成だけでなしに、やはりいろいろな特別補助的なものをやる、例えば大型の施設、装置に対する補助なんかもやっておる、そういうことをいろいろなことを考えてやっていくべきじゃないかというようなことで私どもは受け取ったわけでございます。やはり特色ある私学を育てるためには、そういう特別補助の充実も含めましていろいろな形の補助というものを私どもとしても重視していかなければいかぬかな、こう思っているわけでございます。
  236. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 この間の私学助成で言いますと、ふえているのは特別補助だけなんですね。経常費助成の分というのはふえてないわけです。だから、先ほど来お話がありますように、文部省としては、経常費助成について本当にもっと力を入れるということではぜひ大臣もそういう立場でやっていただきたいというふうに思うわけです。国会決議で二分の一助成をうたっているわけですし、この私学の署名は、いろいろな請願署名がある中では群を抜いて多いわけですね。ことしはこの十二月に向けて全国三千万署名に取り組んでいらっしゃるという話であります。  だから、今高校問題は、公私の普通高校を含めて高校の四十人定数の実現、それからこの私学助成の拡充ということで、そういう大きな運動の広がりがあるわけですね。そういう中で本当に国会決議を生かして、この決議に沿って私学助成を拡充するということでは本当に大臣の強い決意をお願いしたいというふうに思うのですが、いかがですか。
  237. 石橋一弥

    石橋国務大臣 お答えいたします。  今もお話のありましたとおり、経常費補助だけでなく、例えば私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助ですとか私立大学研究設備整備費等補助ですとか、いろいろな立場において出ているわけでございますが、何と申し上げましても、中西委員のときにも申し上げたわけですが、大変苦しい予算、財政事情ということでシーリングの枠をかけられてしまっている、その中で少しでも努力をして前に出さなければならない、こういうことであります。しかし、私立学校の役割の重要性にかんがみまして、私学助成のことにつきましてはその役割の重要性、しかし一方また厳しい財政事情があるわけでありますが、何とかして、法律は二分の一を目途としているわけでありますから、できる限り推進をしていきたい、こう考えております。
  238. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 非常に厳しい財政事情ということばかりが強調されまして、そういうふうになると文教行政は本当に何も進まないのではないかというふうにさえ思われるわけですね。けれども教育基本法を持ち出すまでもなく、やはり何よりも教育条件の整備に全力を挙げるべきであるということが文教行政基本ですから、そういう立場で最善の御努力をいただきたいと思うわけです。  時間が参りましたので、最後に、私は文相の政治姿勢について一言伺っておきたいと思います。  石橋文部大臣、これは大臣時代ではありませんが、月刊「自由民主」の八五年の八月号に「教育改革への提言」をお書きになっていらっしゃいますが、その中でこのようなくだりがございます。「私は国民合意の上で格調高さ「教育憲章」の制定を心から望みます。今回の教育改革論議はその結果として極端に言えばこれ一つが出来上がればよいと思います。しかもこれは教育基本法の上に位置されるべきです。過去に日本民族が持った教育勅語に匹敵すべきものでなくてはなりません。」こう主張されていらっしゃったわけですが、今日もこのような考えを持って教育行政に臨んでいらっしゃるのかどうか。  また、大臣になりましてから心の教育ということをどうも盛んに強調されていますが、これはこういう内容のことを指すのでしょうか。  この二点を伺いたいと思います。
  239. 石橋一弥

    石橋国務大臣 確かに書きました。たしか四、五年前であったではないかな、こう思っておりますが、現時点、文部省入りをいたしましてからは、あのようなことは考えておりませんです。そして、ではというお話でございましたが、新しい指導要領がこの三月にでき上がったわけでありますので、あれにのっとっていわゆる日常生活の規範となるべき倫理問題等にも取り組んでいきたい、こう思っております。
  240. 石井郁子

    ○石井(郁)委員 終わります。どうもありがとうございました。      ────◇─────
  241. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 第百十四回国会、内閣提出私立学校教職員共済組合法及び昭和六十二年度及び昭和六十三年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。石橋文部大臣。    ─────────────  私立学校教職員共済組合法及び昭和六十二年度及び昭和六十三年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  242. 石橋一弥

    石橋国務大臣 このたび、政府から提出いたしました私立学校教職員共済組合法及び昭和六十二年度及び昭和六十三年度における私立学校教職員共済組合法の年金の額の改定の特例に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。  私立学校教職員共済組合の給付については、共済組合設立以来、国公立学校の教職員に対する給付の水準との均衡を保つことを本旨とし、逐次改善が進められ、現在に至っております。  今回は、最近における社会経済情勢にかんがみ、厚生年金保険及び国家公務員等共済組合における措置に倣い、標準給与の等級の上限の引き上げを行うとともに、年金額の算定の基礎となる標準給与の月額の再評価等の給付の改善を図り、また、平成元年度における特例としての年金額の改定措置を講じる等所要の改正を行うため、この法律案を提出することといたしたのであります。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、私立学校教職員共済組合の役員の任命について、行政改革の趣旨に沿い、理事は、理事長が文部大臣の認可を受けて任命することといたしております。  第二に、掛金及び給付の基礎となる標準給与の等級の上限を四十七万円から五十三万円に引き上げるとともに、その等級の区分についても改正することといたしております。  また、短期給付に係る標準給与の等級については、政令で定めるところにより、さらに上位の等級を加えることができることといたしております。  第三に、退職共済年金等の額の算定の基礎となる標準給与の月額について、社会経済情勢の変動を勘案したいわゆる再評価を行うことにより給付水準の改善を図ることといたしております。  第四に、私立学校教職員の雇用の実態及び厚生年金保険における取り扱いとの均衡を考慮し、私立学校に在職する教職員に対し、六十五歳に達した日の前日に退職したものとみなして、年金を支給することといたしております。  なお、この年金の支給を行うに当たっては、一定以上の高額の給与を受ける者については、政令で定めるところにより、その給与の額に応じ、年金額の一部の支給を停止することといたしております。  第五に、平成元年度における年金の額の特例改定措置でありますが、厚生年金や国民年金の改定措置に倣い、昭和六十三年の消費者物価上昇率を基準として平成元年四月から引き上げを行うことといたしております。  その他所要の規定の整備を行うことといたしております。  最後に、この法律の施行日につきましては、標準給与の等級の上限等の改正及び標準給与の月額の再評価については、平成元年十月一日、六十五歳以上の組合員に対する年金の支給については、平成二年四月一日とし、その他の改正については、公布の日といたしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容の概要であります。  何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  243. 鳩山邦夫

    鳩山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会