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広瀬委員 中山大臣は、過般の九月二十六日の国連の総会で演説をされました。実に立派なことを言っている。私もこの格調の高い演説全文を外務省からいただきまして、読ませていただいたわけでありますが、こういう国連の総会で、国際舞台で、大舞台で演説をされたわけですから、世界一の経済大国になった日本の外務大臣として実にふさわしい演説だと私は拝見したわけなんです。「国際社会は、対立から対話へ、抗争から協力へという大きな変化の中にあり、地域紛争の恒久的解決、繁栄の持続、地球環境の保全、人間尊重社会の実現等のグローバル・チャレンジの時代を迎えております。」まさにそのとおり、実に立派なお
考えだと思うのですね。そしてまた、「東西関係における肯定的な変化は、地域問題、地域紛争の話し合いによる平和的解決にはずみをつけています。」こういう認識も持たれて表明されておるわけですよね。なるほど今
お答えになりましたように、第三国を通じてというようなこと、これを私流に理解しますと、近い国で中国があります。北京に日本の大使館がある。そういう大使館を通じて朝鮮民主主義人民共和国の大使館との接触というようなことが、これは同じ北京のことですからあり得るとは思うのですけれ
ども、そういうようなまどろっこしいことをやらずとも、日本
政府がもっと友好親善の手を伸ばして、日本独自の
立場で具体的な措置というものがやれないのか。こういう点が非常にいらいらするような、もどかしい気持ちがあるわけで、私は大変不満なんです。もっと主体性を持った自主的なアプローチというものがあり得ていいんじゃないか、そういうように思うのです。
先般も総理と、ちょっと立ち話ではあったけれ
ども、あなたも竹下総理のあの
考えを全く踏襲をする、全くその気持ちでやりたいということをおっしゃったんだから、解散・総選挙が近い、新内閣がどうなるかわからぬというような状態だけれ
ども、それはそれとしておいて、あなたの内閣の中でこの朝鮮問題を打開をする、解決をするというぐらいの気持ちになってもらいたいという要望を私からも申し上げたわけですが、私もそのつもりで一生懸命やらせてもらいます、こう総理も言っておられるわけなんです。
そういうことですから、特にこういう立派な国際認識を持たれ、それを演説の中で言われる大臣が外交を担当されているわけですから、これは何か知恵があってしかるべきであらうと思うのです。
それで、日本の非友好的な態度、朝鮮側ではむしろ敵視政策とまで言っているのですよね。いつでもそう言う。我々は、そう敵視政策を持っているわけではないだろうとむしろ弁明をし、かわって釈明をしているようなわけなんですけれ
ども、しかし、向こうがそう見るのは、特に向こうから政治関係のお客さんをお迎えする、
政府のある程度高級レベルの人
たちなんかが――かつて、そうトップレベルと言わないまでも、朝日友好協会の副会長をやっておられた玄峻極さんが来られた。それは日朝漁業暫定合意書の延長を目的にしてその交渉のために来られるというときに、日本
政府がビザの発給を断ったというような国際的な非礼なことがございました。それはやはり国交がないというところから来るわけでして、政治的な発言、それから会合への出席なんということは一切やらぬでもらいたいという一札をとられてビザをもらう。それに新聞記者が承知しないで、会見を申し入れる。そして、どうだこうだとインタビューをされる。そういう場合に、率直な発言をしましたら、それがとがめられて、政治的な発言をした、政治的な行動をした、入国目的以外の行動だというようなことで、もう次は来ないでもらいたいというようなことでビザの発給を停止をするこういうようなことがあったのですね。例えば、元外務大臣をやられ、我々が行っていつもお会いをする朝鮮労働党の書記であり、前に大臣もやられたホ・ダム書記、この方なんかは日本のこともよく承知をしておりますし、日本の政治家で行った人
たちなんかは大概の人が会っておるわけです。こういう人
たちについて、無条件に来ていただいて、向こうも政治家なんですから、国内へ入ったって言論の自由のある日本なんですから、憲法上もそういう国なんですから、そういう点についても余り条件なんかをつけない、こういうような
立場ぐらいとれないのか。七月に行きましたときに、
課長クラスの人とホ・ダム書記と会った後雑談をしたわけでありますが、一番あなた方が敵視政策と思っているのは具体的に何なんだと実はざっくばらんに聞いてみたのです。そうしましたら、この前、ここでも私が
質問をいたしましたが、新潟で卓球の国際大会をやったときは、法務省の当時の熊谷
局長に
質問をいたしまして、これを受け入れるか、受け入れます、それはもう卓球の競技をやるために来るんだということで、スポーツの目的ということでビザもいただいて、来たわけです。どころが、新潟で、朝鮮総連の支部がある、下部機関があるわけでして、そこが昼食パーティを競技の間にやったわけです。そこへ選手団が出席をしましたら、途端にこれは目的外の行動である、こういうようなことで、こういうものは渡航目的にはないんだ、こういうことで非常に失礼な態度で接したというようなことなものですから、途中から競技をやめて、あす決勝戦で恐らく優勝したであろうに、本国と相談して帰ってしまった。ああいうような非礼なことはもう我慢がなりませんということなんかがあるわけですね。
そういうようなことで、もう本当に前提をつけずに、将来に対して
政府間接触という
立場でいくためには、向こうの高級レベルの政治家もあるいは官僚も呼ばれる、
政府の高級的な地位にある人
たちもお呼びをしてそこから話をつけるというような、やはり何かそういう具体性を持った一歩の前進というものがないとこれはだめだろうと思うのです。
あるいはまた、インテルサット、日本のKDDが行って向こうでも準備をした。そしていつでも、日本の郵政大臣の判を一つ押してくれればインテルサット条約機構のオブザーバーのような形で、これは正式な会員にはまだなれませんけれ
ども、そういうことで放送衛星通信というものがすぐにでもできる状態になっている。それに対しても、ソウル・オリンピックに参加をしたらというようなことまではいったんですけれ
ども、参加をしなかったということでそれもだめになってしまったというようないろいろな問題があるのです。
あるいはお互い貿易のそれぞれの事務所をピョンヤンと東京に設けたらどうかというようなことなんかもあったわけでありますが、そういうことなんかについても、アメリカ筋からはそういうことを認めるのじゃないかというような情報がきょうあたりの新聞にも載っておりますけれ
ども、そのほか申し上げたら切りがありません。日朝友好議連での話で我々の方からむしろ提起した問題でも片づかない問題が多々ある。そういうようなものを一つ一つどれでもいいからまずやるというような態度はとれないものでしょうか。