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1989-11-17 第116回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十七日(金曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 大塚 雄司君    理事 新井 将敬君 理事 粟屋 敏信君    理事 大坪健一郎君 理事 大原 一三君    理事 桜井  新君 理事 井上 普万君    理事 薮仲 義彦君 理事 青山  丘君       今枝 敬雄君    江口 一雄君       加藤 六月君    金子原二郎君       亀井 善之君    木部 佳昭君       鯨岡 兵輔君    古賀  誠君       佐藤 守良君    椎名 素夫君       田村 良平君    谷  洋一君       谷垣 禎一君    虎島 和夫君       中島  衛君    深谷 隆司君       穂積 良行君    柳沢 伯夫君       小川 国彦君    菅  直人君       関山 信之君    辻  一彦君       中村  茂君    草川 昭三君       小谷 輝二君    中村  巖君       森田 景一君    伊藤 英成君       辻  第一君    中島 武敏君  出席国務大臣         内閣総理大臣  海部 俊樹君         国 務 大 臣 石井  一君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁土地局長 藤原 良一君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君  委員外出席者         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    若杉 公朋君     ───────────── 委員の異動 十一月十七日  辞任         補欠選任   衛藤征士郎君     谷垣 禎一君   武村 正義君     虎島 和夫君   大原  亨君     関山 信之君   安倍 基雄君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   谷垣 禎一君     衛藤征士郎君   虎島 和夫君     武村 正義君   関山 信之君     大原  亨君   伊藤 英成君     安倍 基雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  土地基本法案内閣提出、第百十四回国会閣法第六一号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六二号)  土地基本法案伊藤茂君外三名提出、第百十二回国会衆法第一五号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案大出俊君外八名提出、第百十一回国会衆法第一号)  土地基本法推進に関する件      ────◇─────
  2. 大塚雄司

    大塚委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出土地基本法案、第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案、第百十二回国会伊藤茂君外三名提出土地基本法案及び第百十一回国会大出俊君外八名提出国土利用計画法の一部を改正する法律案の各議を一括して議題といたします。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。  なお、時間が限られておりますので、理事会でお約束の質疑時間を厳守されるよう、お願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 総理、御苦労さまです。  この日本土地というものを考えてみた場合に、戦後だけで考えてみても限りなく地価高騰してまいりました。特に、田中内閣のときには地価高騰物価狂乱ということが言われましたけれども、日本列島改造計画ということが発端になって地価高騰は全国的に広がりました。そして、それを何とかしよう、こういうことでできたのが今の国土利用計画法である、こういうふうに考えております。  次に、中曽根内閣のときに、今度は東京一極集中という中央集権型、そこのところに民活という政治手法によって地価高騰が誘導されてきた。今度そういう幾つかの経過を経て国土基本法というものを制定しようという流れになってきた。そういうことを考えてみると、今まできちっとした土地政策土地対策が不足していたために、または対策が後追いになったために、政策手段が先行してこういう地価高騰というものが起きてきたのではないか、こういうふうに私は思っているわけであります。  そういうことを考えてみると、これから土地基本法というものをせっかくつくっても、土地対策というものを先行させて、その後に、その上に立って政策手段というものをやっていかない限り、土地高騰というものを招くおそれがあるのではないか、こういうふうに思うわけであります。ですから、今までの土地政策、または政府政策手段というものをどういうふうにしていくか、今までの経過を十分反省し、なお私ども政治家としても責任を感ずるわけでありますし、政権を持っている皆さんはなお責任を感ずるという上に立って、これからの土地政策というものを進めていかなければならないのではないか、こういうふうに私は思うわけであります。  総理見解をお伺いいたしたいと思います。
  4. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘をいただきましたような経過の中で、土地高騰が結果として今起こっておるということも御指摘のとおりだと考えます。  私は、例えば東京一極集中とよく一言で言われますけれども、東京国際化時代の中に金融中心地となり、そこに都心地ビル需要がふえてきたり、いろいろな要素というものが想像以上の速いテンポで、しかも東京の国際的な地位の中における、ある意味では必然的な結果であったかもしれませんが、需要が高まってくる、いろいろなことでこのような状況を招いたことについて、先生の御指摘どおりであろうという感じもいたします。  そこで、土地基本法をお願い申し上げておるわけでありますけれども、今までと違って東京一極集中に伴う需給の逼迫や投機的取引存在等、各種の要因に対してどのような対応をしていくか。そして、おっしゃるように、国土利用計画法による監視区域制度機能的運用とか不動産業金融業等に対する指導とかあるいは税制上の措置などの対策を今日までも講じてきたところではありますが、今後は引き続いて政府一体となって、総合土地対策要綱に基づき、諸機能地方分散を初めとして監視区域制度の積極的な活用や住宅宅地供給促進など各般の施策推進することによって、地価の安定には全力を挙げて取り組んでいかなければならないと思っております。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 今総理も述べられましたように、この東京一極集中地価高騰地方にずっと波及していった。その結果、現在の状況を見れば、今お話がありましたように、一つ東京にあらゆるものが一極集中してきた。  それから、二点目の問題としては、住宅宅地問題が起きてきて、現在の状況では大都市圏に住む者についてはなかなか住宅取得が困難というような状況が起きてきている。それのみか住環境も非常に悪くなってきていますから、都会に住む皆さんは特に、経済大国になったとかGNPが世界で一位になったとか二位になったとか言われても、生活実感はそういうのに伴っていかない。その一つの大きな要因住環境住宅問題、こういうところに原因があるのではないか。  それから三つ目には、やはり資産格差というものが土地高騰によって増大してきた。それは、ただ増大というよりも個人なり企業なりの格差が広がっている。それから、地域的にも地域格差というものが広がっている。それのみならず、国際的にも土地をめぐる格差というものが広がっている。  ですから、そういう状態をどういうふうに解消していくか。大筋として、私は、東京一極集中それから住宅土地を持つ者と持たざる者の資産格差、こういうゆがんだ状態を、これからの土地対策として重点的な施策として解決に臨んでいかなければならないのではないか、こういうふうに思うわけであります。総理見解と、それに伴う長官の御意見を承っておきたいというふうに思います。
  6. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘をいただきました点は、私もいろいろよく研究、調査をいたしました結果でありますけれども、御指摘はそのとおりであります。  例えば、ただいまの住宅取得するために欧米諸国日本とでは平均年収の何倍ぐらいになっておるかという計算だけ見ましても、欧米諸国が大体三倍、四倍というところでありますのに、日本の最近の調査では、特に東京圏では年収の七・五倍というような結果が出ておりますことは、いかに東京土地問題が深刻であるかということの結果としてのあらわれでありますし、また、住宅も一世帯あたり保有数というので見ますと、これは日本では一世帯当たり大体一・一という数が出ておりまして、そんなに見劣りはしないのでありますが、要は質といいますか広さといいますか、平均面積は特に東京圏に限れば非常に小さくなっておる。御指摘のとおりでございます。そういったことに対して、やはり今後は我々はなるべく欧米並み目標に近づくような目標を掲げながら諸政策を行っていかなければならぬという基本的な考えを持っておる次第でございます。  詳細は長官よりお答えをいたします。
  7. 石井一

    石井国務大臣 豊かさの中の貧しさを解決するということを最大の政治課題だ、そう認識いたしております。総理施政方針演説の中で、土地問題につきまして不退転の決意を表明しておるところでございます。  土地基本法が成立いたしましたら一歩も二歩も前進であるとはいえ、これは宣言法であり、基本法であります。その精神にのっとりまして、公共が優先するものであり、土地は利用されなければいけないものである。また、みだりに投機その他の対象になるものではないし、開発に対しては公正な負担を求めるべきものである。そういう中に、需給バランスを解消するために積極的に土地供給に対します公的あるいは民間の活力等を併合いたしまして努力するとともに、この法の精神が十分生かされるような具体的な実行法一つ一つ積み重ねることによって早急にこの問題の解決に対処したい、そう決意いたしております。
  8. 中村茂

    中村(茂)委員 私自身四党の今度の基本法を提案した一員でもありますから、若干の意見を申し上げながら、また御意見もお聞きいたしたいというふうに思います。  特に今度の基本法の基本的な理念、きちっと定めていただいたわけでありますし、それから、そういう理念というものを考えてみた場合に、これはイギリスで言われている言葉でありますけれども、土地というものは所有だけでは価値がないんだ、利用することによって初めて価値が出てくるんだ、これを土地の基本的な理念としているということを私は聞いております。今度の基本法に基づいて考えてみた場合に、やはり日本もこれを一つの大きな理念としていかなければいけないのではないか、こういうふうに思うわけであります。私が申し上げるまでもありません。今度の基本法の中では、憲法二十九条に基づいて、所有財産権と認めるけれども、公共福祉のために、公共福祉優先という立場に立って土地利用については優先させていく、こういう手法がきちっと据えられた、こういうふうに思います。したがって、言いかえれば、これからの東京というものを考えてみた場合にも、都市計画というものをきちっとして権威を持たせていく、また日本全体から見れば、国土利用計画法に基づいて国土計画というものをきちっとさせて対処していく、こういうことが非常に重要になってまいりました。  その反面、政府の案をつくる過程において、「土地基本法考え方について」、土地基本法に関する懇談会答申がありましたけれども、その答申の中でも言われております、いわゆる都市計画なり土地利用計画なり国土計画なり、そういうものを策定する場合、特に都市部においてはそこのところの地域住民意見を聞くとか、そういうことについて意見だけ聞いていたのではなかなか事業が進まないのではないか。しかし、意見を十分聞いて対処していかなければいけないのではないか。そのために生活権とか営業権とか、そういうものもきちっと守るようにしなければいけないのではないか。意見が一致できなかった、そして両論併記の形で答申になっている。そのことを考えてみた場合に、私はそういう計画をつくる場合に、住民皆さん意見をどういうふうに反映させるか、それから今言いましたように生活権営業権、こういうものをどういうふうに保障しながら立派な計画をつくるか、利用権という問題を含めてそこが非常に重要になってきていると思うわけであります。その点を特に強調して、皆さん考え方をお聞きしておきたいと思います。
  9. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 最初に、憲法のいろいろな条文に触れて、公共福祉私権の問題についてお触れになりました。  言うまでもなく、日本個人私有財産権を認め、個人の権利いわゆる私権というものを認めておるのでありますけれども、私権はやはり公共福祉によって制限を受ける。逆に言いますと、私権が制限されるものは公共福祉だけであるということも日本国憲法の中の一つ方向だと思います。要は、その接点といいますか、どこまでが許容されるべきものであり、どこまでが私権乱用になるのかということは、これは個々のケースに従って判断をしていかなきゃならぬ大切な問題だと思いますが、しかし、この土地利用計画をつくりますときに、やはり公共福祉というものを優先して考えなければならない、私権乱用は慎まなければならぬという憲法上の物の考え方がにじみ出てきておると私は受けとめさしていただいております。  ただ、個人営業権とか個人生活権というものにつきましては、今も別個にそれぞれの保護のための法制度等もございますけれども、そこは新しい、皆様に今御審議いただいておる土地基本法の制定を見ました上は、土地利用計画やあるいは都市計画を策定する上に、住民意見を聞きながら接点を見つけていく努力は行政の立場できちっとしていかなければならない。いずれにしても御納得と協力をいただきながら、そういった計画は進められていくものである。背景は、先生おっしゃったような精神に基づく、このように私も考えさしていただきます。
  10. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、金融機関土地融資という問題でありますけれども、先ほど申し上げました田中内閣のときの土地高騰物価狂乱のときも、中曽根内閣のときの東京一極集中から始まった地価高騰のときも、その裏腹の関係土地融資が急激に膨大してきている、こういう計数的にもはっきりした経過をたどっております。それともう一つ、この土地問題と土地融資の問題で考えなければならないのは、石油ショックの起きたときに、今言った中間ですけれども、やはり地価高騰状況が出てまいりました。しかし、そのときには金融の引き締めが行われておりまして、今の金余り、低金利という状況と全く逆な金融状況で、上がり始めたけれども、それを押し上げていく土地金融というものが動かなかったためにそこでとまっていた、こういう経過指摘できるわけであります。  そのことを考えてみた場合に、私はこの土地融資あり方というものについて、一口で今度の理念の中でも、土地に対しての投機的取引を抑制する、制限していく、こういう条項があって、法的には一応定まりましたけれども、これが非常に難しい問題で、私も細かく調べてみましたが、土地投機対象になっているというのは、一口に言えばそういう国は日本だけじゃないか。最近韓国でもその傾向が出てきて、それに基づく法案国会提出されていろいろ論議されている。ですから、金融あり方を考えてみた場合に、何としても土地だけは、投資の対象というような理念国民の中やそういうところにはびこっているそういう思想というものをどうやって払拭していくか、それがこれからの非常に大切な問題ではないか。土地投機対象にという問題についてはこの機会にストップさせたい、こういうふうに思うわけであります。お考え方をひとつ……。
  11. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 土地国民のための限られた貴重な資源であり、国民の諸活動にとって不可欠な基盤であるという大前提に立って考えますと、私も、今委員指摘のとおり、土地投機対象にしてはならぬということは全くそのとおりだと考えまして、事あるごとにその考え方は私も強く述べてきたつもりでございますけれども、ただ、それに対していろいろな土地投機の諸原因がございます。その一つに、ただいまの土地金融の問題、そして金余り状況というものはそれに拍車をかけるのだという指摘も、まさにそのとおりだと思います。そして、土地に対する金融の抑制ということは、従来も指導を続けてきたところでありますが、最近ノンバンクというものに対する指導も徹底いたしまして、政府としてはできるだけ土地投機対象にはしないという方向に向かって今後とも努力を重ねていく、このような決意でおります。
  12. 中村茂

    中村(茂)委員 総理、これは国民の中にもやはり土地を持っていれば間違いないというか、土地取得しておきたいという気持ちは相当強いわけですね。それから、資産という問題を考えていった場合にでも、個人でも銀行から金を借りるということになれば今のところ土地担保価値が一番あるというような状態で、土地あればそれを担保にして金を貸すわい、こういう状態です。それから、それを資産として持っていればいずれかは土地は上がるから、あらゆるものよりも資産価値がある。これも一つの風潮としてあるというふうに思うのです。そういう状況で今までじわじわ、じわじわと土地は上がってきている。  そうなりますと、これはどういうふうに口で言って、基本法をつくって土地投機を抑制していこうというふうに言ってみても、その流れというものをどういうふうにとめて本来の土地利用の姿をそこに生み出すかということは、至難なわざではないがよほどの決意で臨まなければならない、こういうふうに私は思うのです。  例えて言えば、資産関係で言えば銀行へ預けて定期預金でやっておくよりも、やはり土地でやっておいた方がいい。株の問題も出てまいります。株もいろいろ上がり下がりがある。しかし、株はじわじわ上がっている。そういうさまざまなことをみんな考えて、資産価値というものをみんな高めていくんじゃないかというふうに思うのです。ですから、何としても全体的な施策努力によって、少なくとも土地の値上がりは定期預金利子程度にずっと行くなら国民のそういう感情も落ちついてくるのではないか、こういうふうに私は思うのです。もう少し細かく、長官に今度……。
  13. 石井一

    石井国務大臣 土地投機を厳しく規制するというのは政府案の四条、野党案の三条に明記されておるところでございまして、基本法の根幹をなす一つ思想ではないかと思います。  ただ、委員が御指摘のとおり、これまで土地高騰いたしました裏に、金融に仮需要と申しますか融資残高がその都度増大したということも事実でありまして、この辺の根を断たなければどうにもならない。それから、もう一つ指摘のございました重要なポイントでございますが、土地を持っておることは非常に将来性もあるし、また負担にならないという制度になっております。そういうふうなことを考えますと、この基本法理念を生かすためには、今後金融的、財政的、税制的措置をどのようにはめていくかという具体的な問題がなければいかぬと思うのであります。  私は、就任いたしましてからたびたび大蔵省に要請をいたしたことも答弁をしたとおりであり、大蔵省も現存の法律内におきましてかなり踏み込んだ適切なヒアリングあるいは指導というものをやってまいりました。しかしながら、問題の指摘の中には、それじゃ計画の中身まで踏み込んでおるか、あるいはまた子細なところについてまで十分な手が届いたかということになりますと、非常に疑問があるだろうと思います。この点は今後大蔵当局にさらに強い監視をお願いしたいと思います。  それから、土地保有するということが余りにも安いことである、土地だけは何ぼ古くなったって常に価格を生んでおる。そうでなく、利用しない限りには土地保有するのにはこれだけのコストがかかるのだという形での税制面施策というものを加えていく必要があります。要は、国民の中に、何年かしまして土地投機的に動かすということは犯罪なんだ、これはしてはならないのだというところまで持っていきますのに何段階かの過程があると思いますけれども、これは基本法精神にのっとって今後着実に進めていく必要がある。そのことによって定期金利程度土地というような、そういう結論に到達するのではないか。道遠しといえども、ひとつ御協力をいただいてしっかりとやっていきたい、そう思っております。
  14. 中村茂

    中村(茂)委員 長官決意を聞きました。  今も言われましたように、この土地投機の問題と、もう一つ土地税制の問題があるわけであります。土地税制は、一口に言えば税制改革の中で保留されてきた問題です。中曽根内閣のときに税制改革を行った。そうして、その中でいろいろさまざまなことが行われ、売上税から消費税ということで、その一つは今大変問題になっているわけですけれども、この税制改革のときに土地税制だけはということで保留されてきた問題。そうして、今度こういう基本法ができたわけでありますから、本格的に土地税制に手をつけるという段階だというふうに私は理解しております。  そこで、土地税制というものを考えてみた場合に、今日本は、私が申し上げるまでもなく、自由経済市場原理で物事が、値段が決まっていく。しかし、土地はそういうことだけではだめなんだ。利用する場合の公共性というものを今度はっきり決めていくわけでありますから、それに見合うさまざまな手だてをしていかなければいけない。そうして、需給バランスという問題についても、土地税制の果たす役割というものは私は非常に大きいというふうに思うのです。土地について取得、譲渡、保有、三段階税制があるわけですけれども、それをどういうふうに組み合わせるか、そして土地需給バランスというものをきちっとさせて地価の安定的な形成を図っていく、この手法一つではないかというふうに一点思います。  それから二点目には、先ほどから言われております土地資産格差というものが国際的にまで広がった。それはこの税制だけでやることは難しいと思いますけれども、しかし、その一端を担うことはできると思うのです。今回の理念の中でも、土地増価益というものの社会還元の項目がきちっとできました。したがって、土地税制についてのこれからの取り組みと考え方決意をお聞かせいただきたいと思います。
  15. 石井一

    石井国務大臣 税制は本来補完的なものであり、また当然公平を期すものである、こう言っておりますが、このような極度の異常な状況にあります中で、土地税制の果たす役割というのは補完的以上のやや主導的な要因を期待したい、そういう見地から税制の見直しを図るべきである、私はそう思います。  それからまた、昭和二十六年以来の大きな変革を今回消費税に求めておるわけでございますが、これは所得に偏った方式を消費に変えよう、そして二十一世紀を迎えようというわけでありますけれども、もう一つ忘れられておりますのは、資産に対する課税という問題でございます。これはこれまでも、例えば政府税調におきまして、所得消費資産等の間で均衡のとれたよりよき税制の姿を求め、土地を初めとする資産に対する課税のより一層の適正化の検討も含め不断の努力を行う必要がある、こう問題提起をしておるわけであります。この問題提起をどう解決するかということによって税制改革が、今申しました三つの問題がすべて解決することによって公平な税制が生まれる、そういうふうにも考えておりますので、これは今後の課題といたしまして、土地対策推進の一環として、基本理念にのっとり、御指摘のとおり取得保有と譲渡の過程において公平な税制をつくり上げる、その中から土地問題の根本的な問題にメスを入れる、そういう姿勢で臨んでいきたいと思います。
  16. 中村茂

    中村(茂)委員 それでは、次に移らせていただきます。  土地問題がいろいろ取り上げられて、その集約は、良好な宅地をどういうふうに供給していくか、そういう体制をつくるか、ここに当面は集約されるのではないかと私は思っております。建設大臣も要請したわけですけれども、何か他の用事でということですから、宅地という意味で若干私の考え方を申し上げて、御意見を承っておきたいと思います。  いろいろ言われておりますように、いろいろな手だてをしていけば供給は可能だと私は思います。しかし、庶民というか勤労国民が入れるような良好な宅地、住宅というものが可能かどうかということだと私は思います。これだけ土地が上がり、宅地が上がっているわけでありますから、そこのところをどういうふうに手だてをしながら供給体制をつくるか、そこにポイントがあるのではないかと私は思います。  時間がありませんから次の問題について触れるわけですが、取得価格それから家賃、これははっきり言って基準がありません。諸外国と比べてみると、諸外国の場合には応能制度になっております。応能制度といえば、一番わかりやすく私が方方へ行っても説明しているわけでありますけれども、都でいえば都営住宅、いわゆる地方公共団体の住宅一つの応能制度の家賃制度だと思います。そのほかのところはほとんど原価主義。そういう体制をつくるためには、何としても家賃制度それから取得価格を一定の基準を定めてその応能制度の中におさめていく、こういう体制をつくっていかなければいけないのではないか。私が所属しております社会党では数年前に、そういう意味で住宅保障法というものを二回にわたって衆議院に提出したことがあるわけでありますけれども、土地基本法が今度できたわけでありますから、できれば住宅基本法、私どもは住宅保障法と言っておるわけでありますが、特に家賃問題、取得価格をきちっと一定の線で取得できるような制度が必要になってきたのではないかと思います。御意見を承りたいと思います。
  17. 石井一

    石井国務大臣 大変適切な問題の指摘でございます。  住宅宅地供給が可能でありましても庶民の手に届かないということでございましたら、これはいたし方のないことでございます。そのためには、私はいろいろ考えておりますけれども、一つには、この際思い切って市街地の農地も、一部の調整区域もあるいは市街化の中にあります未利用地、国有地等々も含めまして大量に供給するという、多少中期的な計画でありましても、これを実現する必要があります。  それと同時に、例えば今現実に東京都内で住宅を建てましても、今申しました原価主義をとりますとどうにも届かない、こういう問題が起こってくるでありましょう。最終的には手の届くように、遠くへ遠のいたマイホームをもう一度Uターンさせるという大量の宅地供給ということを前提にしながら、まず当面考えておりますことは、安い賃貸住宅を建設する計画推進していく。最近、建設省はかなり前向きな、十年間に三百七十万戸建設というようなものも出しておりますが、これを着実に実行していく。また、その中に住宅の家賃に対します一部の控除制度と申しますか、こういう問題についても検討いたしておりますから、まず短期的にはそういうような政策を入れつつ、中期的に今申しました宅地の供給というものを強力に推進していきまして、これまで市場メカニズムで遠のいたマイホーム、住宅宅地政策というものを急激に方向転換していく、こういうことが必要ではないかと思います。  そういう意味におきまして、社会党が住宅保障法等につきまして御提案をされておりますが、これが自由主義社会のこの国でそのまま当てはまるとは思いませんけれども、今の場合にはその格差というものが異常な状態である、これを修正する必要があるということを強く認識いたしております。
  18. 中村茂

    中村(茂)委員 今、住宅宅地問題を解決するとか、そういうことと関連して国公有地の問題です。  総理、国公有地というものは、地価問題とあわせ考えてみた場合に、それを民間に払い下げて地価高騰を誘導していったというようなことは、もう反省も反省、こういうことを二度としてはならないと私は思っております。せっかくの持っておる国公有地ですから、そういうときほどそれを放出することによって地価を安定させていく、なおその値上がりをストップさせていく、そういうことに国公有地というものは使うべきではないか。こういうふうに地価高騰してきているわけでありますから、住宅宅地問題が非常に困難になってきている。そういうことを考えますと、やはり国公有地を活用して住宅、宅地そして緑地等を含めての環境整備、こういうものに最大限使っていく、こういう手法をとるべきではないか、こういうふうに思います。  そこで、これで最後ですから、決意を含めながら総理見解をお聞きいたしておきたいというふうに思います。
  19. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今回の土地基本法の御議論の中で、この土地基本法が示しておりますいろいろな理念、それから土地投機的売買は許してはならないという基本的な考え方、そして今まさに御指摘になったように、公共福祉というものを十分に考えながらの方向性、私は、それは我々が目指していかなきゃならぬ街づくり、都市づくりの大きな基本理念であると受けとめさせていただいております。  問題は、土地高騰をこれ以上許してはいけない、それを抑えていかなきゃならぬ。そのために、あらゆる政策手段を使って安定的な供給ができるように努力していけという御指摘でございます。御議論を十分留意いたしまして、政府としてはその方向に向かって全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
  20. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  21. 大塚雄司

    大塚委員長 薮仲義彦君。
  22. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、当委員会に付託されております土地基本法、いよいよ審議も最終段階でございますので、問題点も大体明らかになってまいりました。その段階で、総理並びに国土庁長官に何点か基本となる問題をお伺いいたしたいと思うわけでございます。  総理にまずお伺いいたしますけれども、この基本法、今日まで審議を続けてまいりましたけれども、我々野党四党案として基本法提出させていただきました。同じく内閣からも基本法が出てまいりまして、我々はこの審議を通じまして違いを述べるのではなくて、今国民の緊急的な願いは、この地価を何とかしてくれないか、これがやはり政治家に、そしてまた国会に託された最も緊急な政治の課題だと思うのです。国民が不満に思う、政治に対して不信を抱く幾つかの問題があるかもしれませんが、この土地の異常な高騰は、国民にとっては土地あるいは住宅、生活の基盤を破壊しているわけですから、これは最もやり切れない問題であろうと思うのです。  特に、総理も幾たびかおっしゃるように、持つ者と持たざる者の格差を何とか是正しなければとおっしゃること、全く私はそのとおりであり、しかも今国民の間に土地神話、土地を持っておれば必ずもうかりますよ、これは決してあってはいけないことで、臨調あるいはいろいろなところで指摘されておりますように、土地国民共有の限りある資産であり、それは保有して金融資産のような形で利益を上げるのではなくて、公共福祉を優先して利用されることが最も大切であるということを論じてまいりました。我々も、野党案政府案が全く同じということはございませんが、しかしその違いは違いとして、政府によりよき修正を、あるいは野党の考えはこういうことだ、いかがかということを今日まで続けてまいりました。その中で、国土庁長官も当然野党の意見も組み入れた、国民が最も望む方向法案の成立を期すということで参ったわけでございますが、総理も当然その辺は御理解をいただいていると思うのでございます。  そこで、問題はこの基本法が成立した、しかし国民の期待にこたえられなかったということが断じてあってほしくない。やはり国土庁長官も、関係省庁の中で土地対策の中心の閣僚として頑張っていらっしゃる。しかし、やはり国全体の問題として、税制大蔵省、自治省、あるいは建設省、農水省にかかわる広範な行政万般に、この基本的な土地あり方をどうするかという政策になってまいりますと、政府を挙げて、今国土庁が取り組もうとしておられる土地の問題について各省庁ときちっと連携を保って、国民の期待にこたえて、地価が安定した形でしかも国民が生活しやすいような社会環境もしくは社会資本の整備ができるように、できたらどう運用していくか、これが最も緊急な、また国民が期待することだと思います。できたけれども何にもなかったということではなくして、この基本法が成立したら必ずや国民の皆様にお喜びいただける、こういうことが総理にとって国民が最も期待していることだと思いますので、その御決意を冒頭にお伺いいたしたいと思います。
  23. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御審議いただいております土地基本法案について、野党の皆さん方が政府案よりも早く御提出を四党でなさったということは私も重々承知をいたしておりますし、また、野党案の中と、それからその中で示されておる方向についても、政府土地基本法案を作成し提出しますときにいろいろ参考にさせていただいたり、また考え方、指さす方向が相交わっておるところのあることも、先生よく御承知のとおりだと思っております。  同時にまた、土地基本法を制定して、つくっただけで何もやらなかったらいけないではないかという御指摘でございますが、まさにそのとおりでございまして、土地基本法というものは、いろいろな厳しい考え方や、あるいは私権乱用は許さないという公共優先の考え方等が出ておりますこと、私もよく承知をしておりますし、また、それはある意味で正しい方向であると考えております。  そういった意味で、国土庁だけに任せておいても他省庁の御協力がなければだめではないかという御指摘でありますが、それも全くそうだと考えます。私は、閣議等においてこの問題が議論になり、国土庁長官がこれに対する考え方を述べますときには、それをぜひ達成させるように各省の協力も要請をしておりますし、また政府といたしましては、土地問題の連絡閣僚会議を開いて、そこで各省庁の皆さんにも意見を述べていただくとともに、国土庁長官立場というもの、そして我々が目指しておる方向というものを皆が協力をして力を合わせて解決していくように、私としても強く指示をいたしたところでございます。今後とも前向きに一生懸命取り組んでやっていこうと考えております。
  24. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は総理に、これからの政策の根幹となる、政策のコンセプトといいますか、考えについてお考えをお伺いしたいわけでございます。  総理が文部大臣のとき、私も総理に質問をさせていただきました。小さなかわいいお子さん、日本の二十一世紀を担っていく子供たちのために教育が最も重要であることは全くそのとおりでありますし、一人の人間が形成されていくその教育環境の中で必要なのはやはり思いやり、温かさ、親切。そういう優しさを子供の心に植えつけていくということは、総理の御発言、全くそのとおりだと思います。  今そのことを我々政治の場で考えますと、国民の望んでいるのはやはり優しさ、思いやりだと思うのです。今具体的に例を挙げますと、東京に都民が本当に住めるのか住めないのか、ここにいらっしゃる行政マンの方々も、長時間通っている方もいらっしゃる。東京はだんだん住めなくなって、一時間、一時間半、そういうところからの通勤距離になってきてしまっている。あるいは、悪い地上げ屋さんのために、お年をとられた方やお体の不自由な方や年金生活者の方に東京は住みにくくなってきた。ちょっと固定資産税の負担にたえられません、しかし土地は持っているじゃないか、固定資産税というのは大事な財源だから簡単には、という意見もあります。しかし私は、そこは政治に優しさと思いやりがあって、東京に住みたいなと思う方がお年をとられても住みなれた東京で住めるような東京であってほしいし、また働く方が東京っていいな。知事が言うマイタウン東京という、その言葉はわかります。でも、やはり総理がこの土地基本法をやった後には、東京もあるいは大阪も名古屋も、人が住むに、本当に優しさと思いやりがあって住みやすい、東京はいわゆる二十四時間の経済活動の拠点だ、金融都市だ、情報都市だ、確かにそうかもしれませんけれども、私はやはりそこに人が住めるというのが国民の一番望んでいることだと思うのです。これだけ文化の高いところ、首都に人が住めないということは政治のどこかがおかしいと私は思うのです。  そういう意味で、政治に思いやりと優しさ、東京も本当に人がみんな気持ちよく住める、安心して生活できる、お年をとられた方もあるいは社会的に弱い立場の方も東京っていいなというような、いわゆる一極集中するとかしないとかじゃなくて、住みたいという気持ちの起きるような優しさが、この基本法の制定と同時に、行政の中にあってほしいと私は思うのでございます。基本的な言葉で言えば、東京も人が住みたい、住める、そういう町ができるのです、この基本法が成立したらそういう日本の国になるんだと、都民の皆様あるいは国民の皆様に宣言していただきたいと私は思いますが、いかがでございますか。
  25. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 今の御意見を聞いておりまして、私も内心そのとおりだ、そうだな、こううなずきながら聞く面が多々ございます。  しかし、それだけではいかにも申しわけありませんから、もうちょっと答えさせていただきますと、全国総合開発計画をつくって、それぞれの地域の特性やきょうまでの歴史や文化や伝統に根差した地域の開発というものに、今国を挙げて取り組んでおるところでございますから、それぞれの特色を生かしながらそれぞれの地域が活力を持って暮らしていっていただくように、今私どもも活性化に関する懇談会等もつくって努力をしております。  しかし、問題を出発点に戻しますと、首都の東京というものにきょうまで住んで愛着を持って生活をしていらっしゃる皆さん方に、このごろだんだん住みづらくなったな、嫌だな、もう東京なんか捨てて出ていってしまおうかというようなお気持ちを抱いてもらわないように、生活環境の整備とか、あるいは文化状況をどのように誘導していくかとか、それから土地対策とか、住宅東京だけは全国と比べても狭いというような問題があります。都市だから狭いのは当たり前だといえばそうかもしれませんが、そうではなくて、もうちょっとゆとりを持って、ゆとりを持った住宅に住めば心理かになっていくということにもつながってまいるわけでありますから、御趣旨のような方向で、それぞれの地域にふさわしい、東京には東京にふさわしい住宅政策土地政策があってしかるべきだ、私もそう考えております。
  26. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここで総理にお伺いしたいわけでございますけれども、土地問題イコール一〇〇%近く住宅問題だという認識で、私はこの法案の審議を続けてまいりました。土地住宅というのは即リンケージしているような問題と我々は認識しておりますし、国民もそうだと思うのです。  そこで、我が党は昭和四十三年から住宅基本法というのを国会提出いたしました。今度野党四党案で土地基本法案ができました。土地に対する政策土地に対する問題の整理はやはり基本法宣言法憲法のようなもので、先ほど総理おっしゃったように、各省庁を網羅するところはその精神、よりどころとするところに従って行政が行われる。住宅も根幹となる住宅基本法があってしかるべし、これがあることによって国と地方責任も明らかになって解決されるのではないか。  なぜこう申し上げるかといいますと、日本の国がこれだけ世界に冠たる経済大国、GNP世界第二位、世界からは豊かな国と見られております。しかし、今政治が最も解決しなければならない問題、また残されている問題というと、きょう審議されている土地の問題と住宅だと思うのです。これは決して豊かな国日本を象徴しているような住宅政策ではないと思うのです。この住宅問題をどう解決するか、これは今土地の問題と同時に大事なことであって、土地基本法と車の両輪のように住宅基本法があっていい。これは野党のコンセンサスといいますけれども、先ほども社会党の委員が質問なさったように、社会党さんも持っております。うちの党も四十三年からずっと出しております。また与野党案でどうのこうのということじゃなくして、住宅に対する基本的な、国と地方と、あるいはいろいろな問題があるかもしれませんけれども、整合性のある基本法のようなものをつくることが今国民が最も望んでいる方向であると私は信じますけれども、いかがでございましょう。
  27. 石井一

    石井国務大臣 おっしゃるとおり、土地問題は住宅問題を解決するものであり、それはイコールであります。住宅に関する特別立法ということも今後当然考えられるべき方向ではないかと思います。現時点におきましても、御案内のとおり、第五期住宅建設五ヵ年計画に基づきまして、公営、公団等の公共的な住宅供給と良質な民間住宅供給につきましては建設省を中心にいろいろとやっております。また、一昨年、昨年、鉄道整備と一体になった宅地開発の推進でございますとか、あるいは大都市地域における優良宅地の開発の促進のための施策についてもいろいろ手を打っておるわけでございます。さらに遊休地あるいは工場跡地あるいは市街化の農地等につきましても、宅地の供給をし、住宅の建設を進めていきたい。  なお、最近建設省が出しております計画の中に、集合住宅供給促進地域と、それから宅地供給促進地域、こういう構想があります。  第一のものは、高層化であってもまず住めるところをつくろう、多少狭くても所得に合ったものをまず供給しよう、それから第二の方は、もう少し遠くなるけれども、一時間以内程度に良好な環境のいい住宅所得の届く範囲で供給しよう、こういうことでございますから、基本法成立の後に、今申しましたようなものを、特別立法をつくるかどうかは別にいたしまして、着実に推進していくことによって国民の期待にこたえたい、そう思っております。
  28. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、総理がおっしゃる資産格差という問題。持つ者と持たざる者との格差を、とおっしゃった。確かに、ここに政府の資料、国民経済計算年報、経企庁の元年版がございますが、国民の総資産は五千三百三十八兆。そのうちの約三割は土地でございます。一千六百兆。正確に言えば一千六百三十七兆。こんなに狭い日本の国の総資産が一千六百兆です。アメリカが四百九十兆余り。よく笑い話のように、もし買ってくれる方がいればアメリカが三つくらい買えちゃうじゃないかというようなことが言われます。これは余りにも膨らみ過ぎているのじゃないか。  また、総理ですから、やはり経企庁の資料でやりますけれども、この中にもこう書いてあるのです。六十三年末の法人の含み資産は、土地については三百四十二兆、株式については百七十兆、合わせると五百兆円に達している。これは経企庁の白書でございます。この中でも法人の含み資産という話が出てまいります。個人において、総理のおっしゃる持つ者と持たざる者の格差もございます。  しかし、現実には個人と法人の間の格差もまた広がりつつあるのかな。なぜ広がるかといえば、税制上、個人の場合は一生の間に一度は相続税で全部資産が再評価されます。ですから、自分の持っている資産はまた社会に還元してその人生を終わられていくわけでございますけれども、法人の場合は残念ながら資産の再評価というものは、シャウプ税制以来四回ほど各自企業がおやりになりましたけれども、きちんとした形で資産を再評価するということがなされずに、フローはストックとしてこれだけの資産になった。しかも、それをもとに金融機関からお金を借りて日本の経済が今日成り立っているという重要な面も見逃せないと思います。  しかし、余りにもこうなってまいりますと、これはバブル、泡みたいなものです。金融も経済も、日本の国全体がそういう泡のような、土地に対する評価が適正じゃないところに成り立っていることは、将来この泡がぽんとつぶれて大不況になってはという懸念はどこかにありますけれども、そうならないために政治家があり政治があると私は信じていますから、ソフトランディングさせる必要があると思うのです。しかし、このような資産あり方については、持つ者と持たざる者と同時に、法人と個人の差についても、経営者やいろいろな方の御意見、反対意見はもろに出てくると思いますけれども、調整しながら、国民の合意が得られるような資産あり方に進めるべきだと思います。これは拙速はかえってまずい問題でございますが、長期にわたって適正な評価に持っていく方向が私は正しいと思いますが、いかがでございましょう。
  29. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 御指摘のように、私もかねがね、最近特に土地を中心にして持てる者と持たざる者との格差がだんだん開いていくということに対して、これはある意味で、まじめに働いておる人々の夢を奪ってしまうものではないか、何とかならないかということを言い続けてまいりました。  戦後我が国は、物を動かすフローの場合とストックの場合に分けて考えますと、所得の多い方、少ない方を五段階に分けて、第一、第二、第三、第四、第五と分けた、あの分け方は委員もよく御承知と思いますが、最初五・九倍、約六倍近くあった格差が、最近では二倍近くにフローの方ではだんだん縮まってきておる。それと違ってストックの方では、土地というものの価格の高騰によって、せっかくの政策努力や、せっかくすべての国民が同質社会意識を持てるようなところまで縮まってきたのに水を差すような結果になっておることを非常に残念に思いながら、そしてこれを何とか是正するためにはどうしたらいいかということで、この土地基本法などにも大きな期待を寄せ、皆様の御議論もお願いしてきたことは御承知のとおりでございます。  そういったことから考えますと、今新たに御指摘のある個人と法人の問題は、法人には法人なりに、社会にいろいろ雇用をつくっておるとか社会的な貢献をしておるとか、いろいろな功績その他評価すべき点も多々ございますけれども、そちらの方が野放しであったのでは、これは個人の方との格差はどうなるかという御指摘も、新たな角度の、別の次元の問題として、我々としても適正な方向に行くように考えていかなければならぬ政策課題ではなかろうか、このように受けとめさせていただきます。
  30. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間もあれでございますから、ちょっと大事な問題、総理にもう一つお伺いしたいのですが、私も自分の選挙区に農業者の方がいらっしゃるわけでございますが、最近の新聞を見ておりまして、転作といいますか減反の問題ですね。八十三万ヘクタールの水田で生活をなさっていらっしゃった農家の方にとっては非常に心の痛む問題です。国民が約一千万トン程度のお米を食べる、これがもっとふえればいいのでしょうけれども、食生活が多様化してまいっておりますので非常に困る。  八十三万ヘクタールといいますとどのぐらいかなと思って調べていただきましたら、東京、埼玉、神奈川、この程度を合わせましても八十万ヘクタールですね。それよりも大きい。相当広大な水田が今減反、いわゆる転作をしなければならない。しかし、私の静岡で転作作物を何にしようかというときに、ミカンとかお茶とかということを例えば考えたとしても、これはとても生計が立つ話じゃございませんし、他に何か転作しようと思って作物を考えようとしても、これは非常にリスクの大きい問題でございます。あるいは基盤を拡大しようと思っても、その投資した資本に対してそれをペイできるだけの力が農産物にございません。  そうなってまいりますと、これは町名は避けますけれども、私の住んでいる静岡市からちょっと離れた、車で四十分程度のところへ行きまして、先日も言われました。私は三反の耕作をしております、しかし減反に容赦なくかかってまいりますので一反何条耕作しております、これで一年間耕作して飯米に足りません、ですからお米屋さんからお米を買ってきます、しかしもう後継者もだんだん、息子もやりたいとは言っておりません、ではこの農地をどなたかに買ってもらおうと思っても、とても買ってくださるといいますか引き合うような値段では買っていただけない。これを何とか有効利用しようと思っても――では、私は有効利用がないのかということで、いろいろ建設省や国土庁にお伺いしました。国土庁は確かに農住組合法を持っておりますけれども、これは三大都市圏周辺しかきかないのですね、農家の方が住宅政策に行こうと思っても。あるいは建設省何がありますかといったら、集落地域整備法、これも一団の百戸ぐらいの農家が集まらないとできないのです。では、あと何があるのかといったら全くないのです。  しかも、そこに都市公園をつくろうと思っても、いわゆる基盤整備という構造改善事業が入っておりますと、それが終わるまでは一切他のお金が入れません。途中でやめたくなっても続けなければならない。しかも、完了してから基本的には八年間は他への利用はできない、こうなっておりますと、水田のこういう減反政策のはざまの中で、今市街化区域の農地も問題になっておりますけれども、それ以上に大都市あるいは中小都市からちょっと離れた農村地帯は、農業の補助金が入りますと、そこに都市公園一つつくれないのです。都市公園をつくってくれと言っても、基盤整備事業が入っておりますと手が出せない。これはやはり農家の方にとってやりきれない問題で、我々も政治家としてその質問を受けて最も心が痛むのです。転作作物はないわ、減反はしなければならないわ、後継者はいないわ、このやりきれなさを、ではすぐ、建設省や国土庁がお考えになると、ちょっと規模が大きいのですね。国土庁長官は御専門でございますので、もう少し規模を小さくしていただいて、数人とか本当に話の合う仲間で、農地を、いわゆる逆線引きなり調整区域の中に踏み込んでいって――宅地がないわけじゃないのです。この基本法で一番問題になったのは宅地が足りない、需給関係がアンバランスだということだった。しかし、こういう八十三万ヘクタールということになってまいりますと、考えようによっては、良好な良質なしかも低廉な居住環境というのは中小都市の付近にたくさんございますし、調整区域の中に良質な良好な、大きな何ヘクタールという形ですぐやれという構想ではなくて、小さな形で農家の方がああやりたいな、やろうという気持ちになれるような政策がおできにならないか、これが一つ問題提起でございます。  もう一つは、これもどうしてもお願いしたいのは、先ほども御答弁あったのですが、これは大蔵省の問題ですけれども、大蔵省は六十二年七月から特別ヒアリングをやっていただいているわけです。非常に一生懸命やっていらっしゃる。長官も何回か大蔵省と話をなさっていることも知っております。ところが、六十二年の九月の三十五兆九千億から元年七月まで四十四兆と貸し出しが減りませんし、件数も全く減らないのです、どの銀行もノンバンクも。ですから、この辺のところのあり方についてももう一歩、不動産業への貸し付けが全部悪いなどとそんな荒っぽいことは言いませんので、この辺のところをやはり国民が納得できるようなあり方に、私は金融を是正していただきたい。  この二つ、恐縮でございますが、簡単に御答弁いただいて終わりたいと思います。
  31. 石井一

    石井国務大臣 農水省並びに農協の宅地化に対する姿勢というものは大変かたくなだと私は思っておりましたが、いろいろ意見を交換してみますと、社会の変化に対応して非常に柔軟な考え方に変わりつつあるということ、私、大変新しい方向に向かっておるという認識をいたしております。  御承知のとおり、確かにかなりの大きな広い場所でなければ、また、町づくりの具体的な計画がなければなかなか農地をかえるということは難しいようでございますが、しかしながら、市街化区域内におきましては届け出のみで容易にできるという制度になっております。それからまた最近、本年の三月には農地転用許可基準の大幅緩和をやっておる。それから、それ以外にも本年九月に特定農地貸付法等が施行されて、水田の市民農園等についての活用というふうなものも進んでおります。こういう形の中から、優良農地の確保を基本的には図りつつ農地以外の用途への利用を円滑に進めていく、これは大変必要なことではないかと思います。片方で休耕を求め、すべての手と足をくくっておいて、しかも片方で、そこまで住宅が来ておるのにこれを抑えておるというのは、やはり時代に逆行しておる、こういうことでございますから、今後農水省その他とも十分な連携をとりまして、この問題についても柔軟に対応していきたいと思います。  金融問題に関しましては、先ほどから繰り返し答弁をいたしておるところでございます。総理の前でそういうことをおっしゃっていただきましたので、なお私の力に加えて総理の力を加速いたしまして、巨大な大蔵当局あるいは金融機関に対処していきたい、そう思います。
  32. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  33. 大塚雄司

    大塚委員長 青山丘君。
  34. 青山丘

    ○青山委員 さきに施政方針演説海部総理の演説を聞きました。土地対策地価対策に対して大変意気込みが強く感じられまして、心強く思いました。  また同時に、大いに期待していきたい、そういうふうに感じましたが、新しい内閣が発足をされた段階石井国土庁長官の就任を求められたときに、総理からこの土地対策地価問題、どういうふうな話を一番最初にされたのか、改めてまずお聞きしたいと思います。
  35. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 内閣をつくりますときに、一番最初にとおっしゃいましたから、正確に言うと、国土庁長官にお願いしようと思ってお目にかかったときに、土地問題、特に地価対策、これは内閣が取り組まなければならない最重要課題一つであります、その解決のために全力を挙げてもらいたいと思って国土庁長官をお願いしたいと思うがいかがですかと言って、私は申し上げました。そして、石井長官決意を聞きました。そして国土庁長官に就任をしてもらった、期待をしております。
  36. 青山丘

    ○青山委員 実は、最重要課題一つと今総理大臣はおっしゃいました。私は、戦後日本政治の成果で見てまいりますと、アメリカやヨーロッパに向かって胸を張って話ができる多くの成果を上げてきた、率直に評価したいと思います。  ただ、しかし、事土地問題についてだけは、これは日本戦後政治史の中での最大の失政、こう申し上げてはちょっと言い過ぎかもしれませんが、今日こんなに深刻で重大な事態になってきてしまっている。先ほど日本土地の価格がアメリカ総土地の価格の三倍という話が出ましたが、私は四倍と聞いておる。これはまさに異常な地価、病める地価、この事態を打開しなければ、これは日本が経済が豊かになってきても、力をつけたといっても国民生活は決してそうでない部分がだんだん出てきた。これは政治として最大の重要課題になってきておる。総理大臣が、そういう意味で施政方針演説の中でも土地基本法についての意見を述べられました。土地総合対策の中で、土地基本法の位置づけをどう受けとめておられますか、総理
  37. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 土地基本法に示されておりますいろいろな理念とか、あるいはきょうまで、私権乱用なのか公共福祉なのか、公共福祉私権の調和点をどこに求めるかということ等についても、明確な理念を今御議論を願っておると思います。私は、そういったものに従って、土地基本法ができましたならば、それの基本理念に従い、運用、展開にはその理念に沿って各省庁皆が力を合わせながら総合的な土地対策を展開していかなければならない、こう考えております。
  38. 青山丘

    ○青山委員 そこで、土地問題が相当深刻な政治課題である、そういう認識は一致しておりますが、結果として土地に対する需要であるとか供給であるとか、要するに利用であるとかあるいは取引の規制であるとか土地税制であるとか、いろいろな問題が実は山積をしております。  先ほど国土庁長官であったと思いますが、対応策を整理をして具体的に進めていくという御答弁がありましたが、まさに私もそのとおり、総合的にと一口に言いましても焦点を絞って整理していかないと、なかなかこれは問題の解決にはならない、相当深刻な事態だという受けとめ方をいたしますと、一つはまず土地対策関係閣僚会議があります。これがこれからどのような活用のされ方をしようとしておられるのかが第一点。関係閣僚会議をどう活用していかれるのか。その会議だけで大体いい、これを中心にやっていこうと考えておられるのかどうかが第二点。  それから、行政組織全体の中での効率的な運営を図っていくために、組織の見直しが必要だと考えておられるのかどうか。そこまでは考えておられない――ちょっと多過ぎますか。  今申し上げた関係閣僚会議をどう活用していこうか、あるいはこれだけでいいと考えておられるか。  もう一点は、行政組織全体の運営の中での見直しを考えておられるかどうか。
  39. 石井一

    石井国務大臣 性格上総理から御答弁をされるべきものかもわかりませんが、私は、土地関係閣僚会議というもの、私の辞令には国土庁長官というものと、もう一枚、国務大臣、土地問題担当に任命するという別の紙がございます。これの意味というのは、これまでいろいろ、例えば内閣官房長官が中心になられましたり、あるいはそのほかいろいろな制度を経てきたようでございますが、現在の政府の機構の中におきましては、国土庁長官を座長にして、そして、もちろん総理がその後ろで指導性を発揮されるわけでありますけれども、関係省庁との話し合いをする、しかも、その関係閣僚というのはほとんど全員にまたがっておりますので、閣議にほとんど近いような構成になっております。私は、まずトップの組織としてはそれでいいのじゃないかなというふうに考えております。また、基本法の中に土地政策審議会等なるものも設定されるというふうなことでありますから、こういうふうなものも、これは勧告機関でございますけれども、十分活用を図っていきたい。  なお、従来、事務レベルにおきまして、政府内におきましては緊密な連絡をとっております。各省ごと単独のもの、あるいはそれを全体をまとめるものというふうな状況がございますので、今こういう土地基本法ができましたときに、政府もあるいは官庁、役所も心を新たにいたしまして取り組んでいく、そういう中から、また補足しなければいかぬ問題等が出てまいりましたらそれに対応していきたい、そう考えております。
  40. 青山丘

    ○青山委員 総理にもう一点お尋ねしたいと思います。  現下のこの異常に高い地価状況を率直に受けとめられて、この対応策をきちっとこれからとって確立をしていくということになってまいりますと、スタートはいわばこの土地基本法かもしれませんね。  そこで、内閣の思想がないと、これはなかなか難しい。といっても、そう難しいことを私は申し上げておるわけではなくて、この土地対策について焦点は、一つ土地の取引の問題である、あるいは土地税制を今適切に組み立てていくことである、あるいは保有について、もちろん税制の問題もありますが、効率的な利用について、それから宅地を供給していくというような多面的な対応をこれからしていくのですが、問題は非常に重要なことは、私は、一つ土地税制が非常に重要になってくると思います。  もう一つは、計画的な土地利用、この土地利用計画というものが、今までのように規制を考えていくという利用計画ではなくて、将来展望を待った計画をきちっと組み立てていく、つくり上げていく、そのためには時間もかかっていくかもしれないが、それを組み立てていく、そしてそれに沿って計画的な土地利用を図っていく、高度な土地利用を図っていく、こういうことでないと現下の土地問題を解決することにはならない。  もちろんそれだけではないのです。たくさんの問題がありますが、そういう意味で焦点を絞って、これとこれだよ、第一にこれ、第二にと尋ねられたらこれだというような、内閣が考え得る方向をきちっと持っていただく必要がある。その点では総理大臣、焦点を絞って、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  41. 石井一

    石井国務大臣 総理と私とは恐らく考えが同じだと思いますので……。  総合土地対策要綱、非常に細かく問題を指摘いたしております。一々うなずけるもっともな提案であります。ただ、その中にはかなり時間のかかるものと、直ちに実行しなければいかぬという問題がございます。私は、この辺の仕分けをいたしまして、これを内閣が既に決定しておる施策でございますから実行に移していく、そして、具体的には、先般の関係閣僚会議海部内閣として合意に至った問題でございますが、土地基本法を幸いにして野党の御理解も得、成立せしめた後に、来年度に向けて直ちにやれるものについて意見の一致を見、そしてこれを国民に提示する、こういうことを申し上げておるわけでございまして、その中身につきましては今検討中でございます。  しかしながら、青山委員のような専門的なお立場からお考えになりますと、あれとあれとはやるべきだというのがありましょう。私の中にもございます。これらの問題につきましては、年内にひとつこれを提示いたしまして、国民の御期待にこたえたい、そのように思っております。
  42. 青山丘

    ○青山委員 もう時間が本当にあとわずかしかありませんが、今長官がおっしゃられたのは、この土地基本法がもし成立すれば直ちにそういう方向でというふうに受けとめさせていただいてよろしいのでしょうか。  それから、日本土地税制は、利用計画も含めて、土地税制については対応がおくれてきた面と、利用計画についてはどちらかというとアメリカに近い。しかし、戦争が終わった段階、終わったと言うべきか負けたとはっきり言うべきかわかりませんが、西ドイツも同じような状況から立ち上がりまして、既に二十年、三十年前に土地問題、住宅政策でかなり大きな成果を上げてきているのです。日本の方がもっと成果を上げている経済の一面もありますよ。しかし、この土地問題、住宅政策というものは西ドイツに学ぶべき点が非常に多いと思うのです。とりわけ土地計画的な利用については大いに学んでいただく点があると私は思うので、諸外国の参考事例もひとつ十分勘案していただいて、私は、日本のようなこういう異常な国は恐らく他にないであろう、現内閣は土地対策のしっかりとしたスタートの内閣であったということで政策を進めてくださるようにお願いをいたします。  質問を終わります。
  43. 大塚雄司

  44. 中島武敏

    中島(武)委員 総理にお尋ねしたいと思います。  土地国民のためのものであり、国民共通の資源であります。ですから、国民土地なしには生きることはできません。憲法二十五条の国民の生存権を保障するためには土地国民にとって不可欠のものである、この点で、国民土地に対する根源的ともいうべき権利を持っております。  ところが、本法案国民のこうした権利を守るものとはなっておりません。公共福祉を口実に、公共的制約、すなわち私権制限ばかり強調するところからは国民土地に対するこうした権利は守られなくなるのではないですか。
  45. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 国民の権利が守られなくなるおそれが出てくるのではないか、こうおっしゃいますけれども、まさに私権を認めるということと私有財産を認めないということと、そういう基本的な議論はきょうはいたさないつもりですけれども、私権乱用を制限できるのは公共福祉ではないでしょうか、私はそう思っておるのです。ですから、公共福祉を考えるために、私権はある程度そこで政策接点を求めて、国民共通の理解をしていただかなければ、土地問題、住宅問題の解決のためには避けて通れない問題ではないか。したがいまして、土地基本法においてその理念が示されておることについても私はそれなりの評価をしながら、それがなお皆さんの理解をいただいて定着していくようにすべきである、このように受けとめさせていただいております。
  46. 中島武敏

    中島(武)委員 これは報道された大阪での話なんですけれども、地上げ屋が暗躍をして、そしてかなりのところを地上げをした。さらに地上げを広げるために、地上げしたところに金網を張って、そこに鶏九十羽を放し飼いにしたわけです。これは全く合法的なことなんです。ところが、鶏は騒ぐし、羽は飛んでくるし、地上げをねらわれたところは大変なわけであります。  ところが今、総理から、公共福祉のためには私権の制約、これは当然だ、こういうお話なんですけれども、本法案で、公共福祉のための公共的な制約、私権の制限、これが強調されている。そこからは、結局、今申し上げたような生存権的な土地所有あるいは土地の利用、これが侵されることに無力なだけでなしに、こういう地上げをさらに促進することになりかねない。なぜなら、土地利用計画に基づく高度利用のためであれば、住民は権利が制約されるあるいは私権が制約されることを尊重する義務さえ負うことになるのではありませんか。
  47. 海部俊樹

    海部内閣総理大臣 悪質な地上げも公共福祉に明らかに反する問題でありますから、それと全く次元の違う問題を短絡的に結びつけてしまうのはいかがかと思います。全体の政策の中での公共福祉というものは、すべてのより多くの国民皆さん住宅土地問題に対する願いを達成することではないでしょうか。私はそう受けとめておりますから、ちょっと質問と答弁がすれ違うように思います。
  48. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、これまでの審議の中でこの法案に即していろいろとお尋ねをして、そして今も言ったように、こういうような事態が起きてきても無力であるというだけじゃないのです。それは法案の審議の中でも言ったからこそ私は申し上げたわけであります。  では、もう一つお尋ねいたします。  本法案は、庶民や中小企業などの生存権的な土地所有あるいは土地の利用、それと大企業の土地所有や利用と全く区別していない。これもやはり国民土地に対する権利を守る観点が本法案に欠如しているというところから来るのじゃありませんか。
  49. 石井一

    石井国務大臣 憲法二十五条と二十九条が抵触するものとは考えておりません。また、二十九条には第二項と第三項がついておる。第二項には明確に公共福祉のために土地を有効活用してもらいたい、そういう精神があるわけでございます。  今の鶏の問題でございますが、あるいは地上げの問題でございますが、これは公共福祉に反するものでございますから厳しく規制をしていかなければいかぬ問題ではないかと思います。  また、高度利用の問題におきましても、中島委員がしばしば申されますので、この席で一言触れさせていただきたいのですが、狭い、小さい、古い住宅でひとりお住まいになっておるよりも、それを高度に利用し、そうして効果的に、もっと快適な住環境の中で土地を利用するということもできるわけでありまして、これは今後の手法の問題でございます。この中には、事業者の責務等々のものを規定し、不動産業者、金融業者あるいは事業施行者に対しまして厳しい規制も設けておる。そういう精神も入っておるわけでございます。  なお、最後に大企業等の問題に触れられるわけでございますが、これは各委員からも出されておりますように、個人と企業との所有、それに関する税制の不公平というふうな問題につきましては、今後の課題として取り組んでまいりたい。  基本法ができることによりまして、中島委員が御指摘になっておる問題はいい方にこそ行け、逆の方向に行くという解釈は非常にしにくい問題ではないか、私はそのように思っております。
  50. 中島武敏

    中島(武)委員 憲法二十九条二項の強調を長官はおやりになった。私は、先ほども申し上げたように、そしてまた今までの審議を通じても言ってきておりますように、土地利用計画に従った利用ということで高度利用がやられる、詳細計画がつくられる、そしてそれに従わなければならないという場合には、やはりこの間も審議で申し上げたように、そのことが住民皆さんの受け入れないものになる場合もしばしばあるわけです。現実に既に起きてきてしまっている。だから、そういうことが住民参加だけではなくて、住民の合意なしに進められるようになっているのが今の法律じゃありませんか。そして、それをさらに公共福祉ということを理由にしてこれを実行しよう、制約を課そう、こういうふうに出てきているわけでありまして、私はそういう点では、今、長官が言われたのは決して当たらないということを申し上げておきたいと思うのです。  それからさらに、これは長官にお尋ねしたいのですけれども、地価高騰の元凶の一つであります東京一極集中、この問題について、本当にやめるという気があるんだったら、一極集中を促進する大きなプロジェクト、例えば情報・金融業務機能、こういうものを中心とした東京海部の開発であるとか、あるいは汐留の再開発であるとか、あるいは東京駅周辺の再開発であるとか、これは結局東京一極集中を進めることになるわけでありますから、こういうものにストップをかけるということが必要なんじゃないでしょうか。
  51. 石井一

    石井国務大臣 まず一極集中の問題でございますけれども、そうかといって、それでは汐留の広大な土地、そのほか臨海部に開発したものをそのまま放置するというのもいかがなものでしょう。やはりそこには適切な利用というものを考えて、これまでのこのような超過密都市というふうなものに対して何らかの形でメスを入れていく必要がある。そのために業務核都市というふうな思想を持ちまして、周辺部へ一部のものを移転し、七十九機関を周辺に移転するというのもその一つ思想でありましょう。そうして、さらにそれよりもっと広い地域に人口を分散するということを中期的、長期的、そういう形で行おう、そういう方向で進んでおるわけでございます。  それから、高度利用等に関します御指摘でございますけれども、一人の権利を受認することによって多数の者が迷惑をするという、そういうケースもしばしば都市の再開発の中では起こっております。だから、この法案ができたからその一人を無視するということではございません。十分な話し合いの後に、その権利なりあるいは御主張なり過去の経緯をも踏まえてコンセンサスを求めていく。そのためは新たに住民の参加という言葉も加えておるわけでございますから、この点十分お考えをいただきたいのは、地権者の、地権者と申しますか、そこに長く住んでおられる権利も考えなければいけませんが、同時に、一時間、二時間かかって過重な負担をしながら通勤地獄にあえいでいる勤労者、労働者、サラリーマンの人々、この人々の苦しみというものも解決していかなければいけない。そこが政治の難しいところではなかろうかと思いますけれども、そういうふうな形で、共産党としてもひとつこの問題の解釈を前向きに取り上げていただきたい、そう願いたいと思います。
  52. 中島武敏

    中島(武)委員 高度利用の問題、一人のために、まあその一人も尊重しなければならないけれども、一人のために犠牲になっちゃならない、あるいは遠いところから通勤している人たちのことも考えなければならない。一見もっとものように聞こえますけれども、しかし実際に起きていることは何かといえば、私はこれは率直に申しますけれども、たった一人じゃなくて多くの住民が反対する、そういう場合もあるのです。あるいはまた、遠いところから通っている人を近くに職住接近させたい、それは気持ちはわかる。だけれども、果たしてその家賃は一体どうなるのかといえば、勤労者が住むことができない家賃になってしまう。これじゃ絵にかいたもちにしかすぎないということになるわけです。現実に国民が求めているものは何かといえば、都市でいえば住みよい都市です。そしてなお今長官がお触れになったように、一極集中をやめていろいろな大きなプロジェクトをストップしたらどうかという話に対しては、せっかくできているものですからと、こういうお話だったんです。あるいは周辺に政府機関その他を移動させると言うけれども、現在の東京集中東京圏集中に事実上拡散をするというにすぎないのじゃないかと私は思います。  だから、総理にこの問題に関連をしてお尋ねをしたいと思うのです。それは何かというと、私いろいろ調べてみますと、東京の都営住宅、もう二十年近く前は年間一万戸を超えて新築していたんです。十年前だって千五百から二千戸新築していました、そこまで随分落ちたんですけれども。昨年度はついに六百四十五戸、こういうところへ落ち込んできたんです。土地は、先ほどから申し上げているように国民のためのものであります。発想の大転換が必要じゃないかと私は思うのです。土地国民住宅や、そしてまた住環境の保全に優先して使うべきではないか。先ほど申し上げたような東京の汐留とか臨海部とか、こういうところを初めとして二千ヘクタール、東京だけでも国公有地があるのです。その半分を緑地、公園にしたとしても、あとの半分で安くて住みよい公共賃貸住宅を十五万戸、二十万戸つくることは可能なんです。そういうふうに発想の転換を思い切って今ここでやるということこそ国民の求めているものではないかと思うのです。総理、どうですか。
  53. 石井一

    石井国務大臣 国公有地を利用いたしまして低廉な住宅の建設ということも今後進めてまいりたいと思います。そのほか住民の意思、気持ちというものも、十分話し合いの中から土地利用計画というものも進めてまいります。そういうことを無視をするというふうなことを一切言っておりません。  しかしながら、中島委員意見を総括的に聞いておりますと、そうしますと今のままでいい、何もしなくていいんだ、こういうふうにも聞こえるわけでございます。これは……(中島(武)委員「発想を」と呼ぶ)いや、発想を新たにし、土地基本法のもとに住宅政策、宅地政策に取り組む、その中にはもろもろの問題もある、しかし住民の意思を体し、それぞれの責務を果たしていく、こういうことでございますから、共産党におかれましても大いなる発想の転換を御期待申し上げたいと存じます。
  54. 中島武敏

    中島(武)委員 時間ですから、終わります。
  55. 大塚雄司

    大塚委員長 ただいま議題となっております各案中、第百十四回国会内閣提出土地基本法案及び第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案の両案に対する質疑は、これにて終局いたしました。     ─────────────
  56. 大塚雄司

    大塚委員長 ただいま質疑を終局いたしました両案中、まず、第百十四回国会内閣提出土地基本法案について議事を進めます。  この際、本案に対し、大坪健一郎君外四名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合の共同提案による修正案が提出されております。  本修正案について提出者から趣旨の説明を求めます。大原一三君。     ─────────────  土地基本法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  57. 大原一三

    大原(一)委員 ただいま議題となりました土地基本法案に対する修正案につきまして、私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び氏社党・民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  我が国は、戦後、急激な都市化、工業化の中で、数次にわたって地価高騰に見舞われ、激しい土地投機土地利用の秩序の混乱等が生じてきました。特に、近年の東京都心部に端を発した地価高騰は、大都市地域における住宅宅地取得をいよいよ困難にし、都市基盤の整備や良好な都市環頃づくりに多大な影響を与えるとともに、土地を持つ者と持たざる者との間の資産格差を拡大し、社会的不公平感を増大させる等我が国社会経済に重大な問題を引き起こしております。  このような土地問題に対処するため、土地についての基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民土地についての基本理念に係る責務を明らかにするとともに、土地に関する施策の基本となる事項を定めることによって、土地対策を総合的に推進する必要があるわけでありますが、今般提案されております土地基本法案には、その目的、土地についての公共福祉優先、土地利用計画の策定等につき、不備な点が指摘されるのでありまして、その修正を行う必要があります。  以上が土地基本法案に対する修正案の趣旨でありますが、次に、この修正案の要旨を御説明申し上げます。  まず第一に、土地基本法案を制定する目的において、土地についての基本理念を定め、土地に関する施策の基本となる事項を定めることにより、適正な土地利用の確保を図りつつ正常な需給関係と適正な地価の形成を図るための土地対策を総合的に推進するものといたしました。  第二は、土地は、公共の利害に関係する特性を有していることにかんがみ、公共福祉を優先させるものといたしました。  第三は、土地に関する施策を実施するため必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならないものといたしました。  第四は、国及び地方公共団体は、土地利用計画を策定する場合においては、地域の特性を考慮して良好な環境に配慮した土地の高度利用、土地利用の適正な転換等を図るため特に必要があると認めるときは土地利用計画を詳細に策定するものといたしました。  第五は、国及び地方公共団体は、土地利用計画を策定する場合においては、住民その他の関係者の意見を反映させるものといたしました。  第六は、国及び地方公共団体は、適正な土地利用の確保を図るための措置を講ずるに当たっては、需要に応じた宅地の供給の促進が図られるよう努めるものといたしました。  第七は、国は、適正な地価の形成及び課税適正化に資するため、土地の正常な価格を公示するとともに、公的土地評価について相互の均衡と適正化が図られるよう努めるものといたしました。  以上が土地基本法案に対する修正案の趣旨でありますが、各委員の御賛同をお願いいたしまして、趣旨の説明を終わることといたします。
  58. 大塚雄司

    大塚委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。     ─────────────
  59. 大塚雄司

    大塚委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  第百十四回国会内閣提出土地基本法案及びこれに対する修正案について採決いたします。  まず、大坪健一郎君外四名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  60. 大塚雄司

    大塚委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  61. 大塚雄司

    大塚委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。  次に、第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  62. 大塚雄司

    大塚委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 大塚雄司

    大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕      ────◇─────
  64. 大塚雄司

    大塚委員長 土地問題及び国土の利用に関する件について調査を進めます。  この際、粟屋敏信君外三名から、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合の共同提案による土地基本法推進に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。中村茂君。
  65. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合を代表して、土地基本法推進に関する決議案について、その趣旨を御説明申し上げます。  本委員会は、土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案について質疑を重ねるとともに、愛知県、大阪府及び兵庫県に委員派遣を行い、また、公聴会を開催する等慎重に審査を進めてきたのでありますが、現下の土地問題に対しての土地基本法の重要性から、本委員会として土地基本法推進について決議すべきであるとの合意に達したのであります。  以下、案文を朗読いたします。     土地基本法推進に関する件(案)   本委員会は、土地基本法案及び国土利用計画法の一部を改正する法律案の審議を通じ、土地対策について検討を重ねてきたが、現下の地価高騰が大都市地域の住宅取得を困難なものとし、社会資本整備に支障をもたらすとともに、持てる者と持たざる者との資産格差を拡大し、社会的不公平感を増大させる等経済社会に重大な問題を引き起こしている現状にかんがみ、この際、政府は、左記事項に留意しつつ、適切な施策を進めるべきである。      記  一 土地公共性を明確化し、土地についての共通の国民意識を確立するとの土地基本法制定の趣旨にかんがみ、土地についての基本理念の周知徹底を図り、国民の間に定着するよう努めるものとすること。  二 土地問題の緊急性及び重大性にかんがみ、土地基本法に基づき、関係法令の整備を含めた具体的な施策を早急かつ的確に実施すること。  三 土地税制については、適正な土地利用投機的取引の抑制、利益に応じた負担等を図る上で重要な意義を有していることにかんがみ、土地基本法精神にのっとり、その見直しに早急に取り組み、取得、譲渡、保有等に関し、整合性のある税制の確立に努めること。  四 大都市地域を中心とした良好な住宅・宅地供給推進するため、関係住民等の意見を反映させつつ、土地利用計画制度の整備・充実を図り、新規の宅地供給の促進、市街化区域内農地の計画的宅地化、工場跡地等低・未利用地の有効・高度利用、既成市街地の再開発等に努めるとともに、あわせて道路・鉄道等の社会資本の整備、公有地の拡大の推進公共用地の確保に努めること。    なお、土地の有効利用等を図るに当たっては、良好な居住環境地域住民生活権営業権等に配慮するよう努めること。  五 国民の信頼を確保するとともに、適正な地価の形成、課税適正化等に資する観点から、地価公示等の公的土地評価制度の一元化について努力すること。  六 金融緩和情勢が地価高騰を助長しているという面があることにかんがみ、土地関連融資適正化について金融機関、ノンバンクたる貸金業者に対する指導の一層の徹底を図ること。  七 監視区域制度については、大規模開発プロジェクト予定地等における先行的指定及び届出対象面積の引下げ等、その的確な運用により地価高騰の未然防止に努めること。    さらに、これによってもなお地価の急激な上昇等を抑制することが困難な場合は、規制区域の指定について指導すること。  八 監視区域制度等の円滑かつ的確な実施に資するよう、都道府県等の財源に充てるための所要の予算の確保に努めること。  九 国公有地等の利用・処分に当たっては、公用、公共用の利用を優先するとともに、民間への払下げに当たっては、周辺の地価への悪影響をもたらさないよう配慮すること。  十 不動産業者に対する指導の一層の徹底を図り、投機的取引の抑制と適正な地価の形成を図るとともに、不公正な取引の未然防止に努めること。  十一 土地行政の総合的推進を図る観点から、行政組織の整備と行政運営の改善に努めること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。(拍手)
  66. 大塚雄司

    大塚委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  粟屋敏信君外三名提出の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  67. 大塚雄司

    大塚委員長 起立多数。よって、本動議のごとく決しました。  この際、ただいまの決議につきまして、石井国務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。石井国務大臣
  68. 石井一

    石井国務大臣 ただいまの決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。(拍手)
  69. 大塚雄司

    大塚委員長 ただいまの決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 大塚雄司

    大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十四分散会