運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1989-11-16 第116回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十六日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 大塚 雄司君    理事 粟屋 敏信君 理事 大坪健一郎君    理事 大原 一三君 理事 桜井  新君    理事 井上 普方君 理事 薮仲 義彦君    理事 青山  丘君       江口 一雄君    衛藤征士郎君       加藤 六月君    金子原二郎君       亀井 善之君    佐藤 守良君       椎名 素夫君    田村 良平君       谷  洋一君    中島  衛君       深谷 隆司君    柳沢 伯夫君       菅  直人君    竹内  猛君       辻  一彦君    中村  茂君       小谷 輝二君    中村  巖君       森田 景一君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣 石井  一君  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         国土庁地方振興         局長      野沢 達夫君         大蔵大臣官房審         議官      谷口 米生君         大蔵大臣官房審         議官      濱本 英輔君         国税庁税部長 福井 博夫君         運輸大臣官房審         議官      井上徹太郎君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      吉田 耕三君         運輸省運輸政策         局長      中村  徹君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設大臣官房審         議官      白兼 保彦君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省河川局長 近藤  徹君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君  委員外出席者         大蔵大臣官房調         査企画課長   久保田勇夫君         大蔵大臣官房企         画官      西川  聰君         大蔵省主税局税         制第一課長   長野 厖士君         大蔵省主税局税         制第三課長   大武健一郎君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 中山 恭子君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         大蔵省国際金融         局国際資本課長 北村 歳治君         国税庁税部資         産評価企画官  品川 芳宣君         農林水産大臣官         房文書課長   日出 英輔君         農林水産大臣官         房参事官    山口 勝朗君         農林水産省構造         改善局次長   谷山 重孝君         農林水産省構造         改善局農政部農         政課長     窪田  武君         運輸省地域交通         局次長     金田 好生君         建設大臣官房審         議官      河原崎守彦君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      杉浦 喬也君         参  考  人         (日本国有鉄道        清算事業団理事) 山口 良雄君         参  考  人         (日本国有鉄道        清算事業団理事) 前田喜代治君         参  考  人         (日本銀行総務         局次長)    増淵  稔君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    若杉 公朋君     ───────────── 委員の異動 十一月十六日  辞任         補欠選任   高沢 寅男君     竹内  猛君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     高沢 寅男君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  土地基本法案内閣提出、第百十四回国会閣法第六一号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六二号)  土地基本法案伊藤茂君外三名提出、第百十二回国会衆法第一五号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案大出俊君外八名提出、第百十一回国会衆法第一号)      ────◇─────
  2. 大塚雄司

    大塚委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出土地基本法案、第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案、第百十二回国会伊藤茂君外三名提出土地基本法案及び第百十一回国会大出俊君外八名提出国土利用計画法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻一彦君。
  3. 辻一彦

    ○辻(一)委員 土地基本法については既に随分と論議をされたのでありますが、若干重複する点があるかもわかりませんが、二、三お尋ねをしたいと思います。  まず第一に、土地基本法性格からして、土地問題の解決には、きのうの公述人の御意見を聞いても国民合意形成コンセンサスがぜひ必要だ、こういうことを公聴会においても主張されておりました。私も土地問題の難しさから考えて当然であると思いますが、そういう中で、今まで野党案というものがいろいろ論議されてきましたが、政府原案の中にどういうふうに生かされておるのか、こういうことを念のためにまず伺っておきたいと思います。
  4. 石井一

    石井国務大臣 御案内のとおり、野党案が六十三年五月に国会提出されました後、本年三月に政府案提出をされたわけでございまして、国会への提出という問題に関しましては野党が先鞭をつけていただいたという経過であることは委員御存じのとおりでございます。しかしながら、野党案提出以前に土地臨調なるものもございまして、政府総合土地対策要綱等を決定いたしましたり、あるいはまたそれ以前に自民党が緊急土地政策等を発表したりして、問題の緊急性重要性につきましていろいろの議論がなされてきたわけでございます。  そこで、政府案提出当たりましては、野党のおっしゃっております諸点につきましても十分これを踏まえて今回の成案になったわけでございますが、しかしながら、本委員会議論を通じまして、やはり多少意見相違というふうなものもございます。公共福祉というふうな問題に関します問題でございますとか、あるいはまた宅地供給の問題でありますとかいろいろございますけれども、これらの問題に関しましては、本来何かイデオロギーが対立するというふうなそういうふうなものではなく、御指摘になりましたような公述人意見もありましたように、当然国民的なコンセンサスを得るべき問題でございますので、文面に欠落しておるものもあり多少意見が違ったようなところもありますけれども、行き着くところは同じである。いかに土地を安定せしめるか、また住宅問題を解決するかということでございますから、そういう意味におきましては、経過なり多少の手法は違いますけれども、私としましてはそう大きな相違はないという認識に立っておるわけでございます。
  5. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それほど大きな相違がないという認識を持っていらっしゃるというのであれば、今野党の方から修正案が準備されて理事間でいろいろ御苦労いただいておるようでありますが、それが大体まとまる方向にあると思います。その場合は修正案は当然受け入れて広範な合意形成を図るべきであると思いますが、いかがですか。
  6. 石井一

    石井国務大臣 私は当初から、野党の御要望に対しては先ほど申しました基本理念にのっとって柔軟に対応させていただきたい、こういうことを表明してまいったわけでございます。ただ、ここ数日間の与野党間の折衝、私が余り深く介入するべき問題でございませんので一歩下がった立場でお伺いしておるわけでございますが、やはり政府政府案として提出するからには、内閣法制局でございますとかあるいはまた大蔵自治、農水、建設を初め各省とのいろいろの協議調整をやりまして出しておるわけでありまして、そういう観点からは法制的には政府案がかなり整合性を持ったものである。しかしながら、野党の御主張というのはどちらかといいますと法制というものよりももっと実態的な、現実的な視点からいろいろの要求をされる。そこに多少整合性を欠くというふうな問題がありまして、時間をとりましたりあるいはまた意見の対立というふうなものがございますが、これは克服されなければならない問題でございますので、いずれ決着がつくもの、そのように思っております。
  7. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題についてはいろいろ与野党論議をしておるわけでありますからこれ以上触れることはないと思いますが、ぜひよい合意形成をされて、これをひとつ全面的に受け入れて、広範なコンセンサスが成立するように期待をしております。  そこで、これは建設大臣にまず伺いたいのですが、日米構造協議というのが九月それから十一月と続いて行われておりますが、これはなるほどと思われる指摘もあるし、また余分なこと、おせっかいだ、こういう感じのする面もあります。土地問題や土地制度についてのアメリカ構造協議におけるところの提言といいますか指摘をどういうように建設大臣として受けとめていらっしゃるか、お伺いいたしたい。
  8. 原田昇左右

    原田国務大臣 構造協議については、私、直接出ておりませんで、事務レベルで外務省が一括してやっておりますので、担当局長から御答弁をさせていただきます。
  9. 木内啓介

    木内政府委員 日米構造協議における土地関係米側提案についての建設省考え方をお話させていただきたいと思います。  日米構造協議におきましてのアメリカ側関心事項一つとしまして、市街化区域内農地宅地化促進というふうなこと、とりわけ保有課税見直しというふうなことをすべきではないかというふうな指摘がありました。建設省としましては、先生御承知のように、これはもう昭和六十三年の六月二十八日の閣議決定における政府の「総合土地対策要綱について」におきまして同趣旨が盛り込まれておりますので、アメリカ指摘されるまでもなく、当然その市街化区域内農地宅地化促進については税制を含めて総合的に対応を検討しているところでございます。したがいまして、近いような発言でございますけれども、建設省は、アメリカに言われるまでもなく、省としてそういう宅地化方向でどういう施策がいいかということを検討しているというところでございます。
  10. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これは宅地並み課税に限らない、いろいろな問題があるわけであります。  もう一つ公共投資等に対するいろいろな注文をつけておりますが、これはあとで若干お伺いしたいと思います。  そこで、最近、私、五、六年ぶりに地方都市ですが、自分の出身の都市、町の中を、かなり世話になった方を歩いてみたのです。そうしますと、転居している人がかなり多い。というのは何かというと、仕事で転勤している人もあるけれども、また、ささやかなアパートや借家におった人が新しく家を建てて、そしてそこへ移って住んで、そのために転居した、こういう例にもかなりぶつかるわけでありまして、そういう意味で一戸建てが欲しいというサラリーマンの気持ち、意欲というものは依然として非常に強いというように思っておりますが、そういう点でいろいろ貯蓄をしている、かなり無理をしてお金を蓄えているという状況が多いと思うのです。  最近、既にいろいろ論議をされましたが、地価が非常に高くなって、東京やいわゆる大都市圏では、自分の家を持つということはサラリーマンの夢であったのでありますが、これを打ち砕いてしまった、こういう状況にある。したがって、その貯蓄耐久消費財、自動車の高級化というような方向に向いている面もあるということも事実だと思いますが、それにしてもなお日本貯蓄率が高いその一因が、上昇する地価に備えて自分の家を持つために貯蓄をしている、そういう面があるということは指摘されると思うのです。その地価上昇、より多くの貯蓄、そして多くの貯蓄がなされるために消費財の購入の方にそれが向けられない、これが輸入障壁になっている、こういうことをアメリカの方は言っていると思うのです。高い地価が豊かな生活を妨げているという日本の実態をついているという点では別に目新しい問題ではない。これはよく国内でも論議されていることだ。しかし、言われてみれば、またほかから言われれば一面の論理があるな、こういう真理があるなということをまた今さらのように感ずるわけなんですね。  そこで、さっきちょっと触れましたが、内需拡大推進するために公共投資拡大を求めている。公共投資の中で土地買収価格が非常に高くなってきている。これは日本も韓国もそうですが、そのために公共投資がなかなか難しい。いわゆる内需拡大のそういう意味のネックになっているということも指摘をしている。  先ほど申し上げましたが、別に外国から言われなくてもいい、余計なおせっかいだという感じもしますが、また大事な点をついているという感じもする。これらに対して、住宅それから公共事業等々を所管する建設大臣としてこういう指摘をどう考えるかということをちょっとお伺いしたい。
  11. 原田昇左右

    原田国務大臣 確かに土地高騰というものが、公共投資におきましても土地代に一部が食われる、さらに個人住宅建設についても抑制要因になりますし、また家賃等もある程度高くならざるを得ない、こういう性格になりまして、住宅の取得に対して非常な阻害要因になっていることは事実であります。確かにそれを米側構造協議でいろいろ指摘をしておるという報告は受けておりますが、我々はアメリカからそういう指摘を受けるまでもなく、全く我々の政策として土地価格鎮静化あるいは公共投資推進とか、特にまじめに一生働く人たち住宅一つ持てない、マイホームの夢が遠のいてしまうということではゆゆしき一大事でございますから、何とか住宅宅地総合対策を実施いたしまして、緊急に大都市サラリーマンに、勤労者住宅宅地供給しよう、こういうことで今鋭意取り組んでおる最中でございます。
  12. 辻一彦

    ○辻(一)委員 農地宅地並み課税の問題についてはいろいろ問題が私なりにあると思いますが、それはちょっと後で二、三論議をしたいと思います。  そこで、アメリカの方が内需拡大日本にやってくれと言う、我が方は、そちらの両方の赤字を解消しなさい、貯蓄を高めなさい、こういうことを主張する。構造協議でもそういうふうに大筋を率直に指摘し合うということは非常に意義があると思います。しかしまた一面で、内需拡大の中身を一体どういうようにやるか、果ては公共投資のあり方まで全部注文をつけてくるというのは、少しおせっかい過ぎる。言葉をかえて言えば、内政干渉にもなりかねない感じがしますが、日米構造協議という中で、そこらをどういうふうに受けとめておられるのか、それをちょっとお尋ねしたい。
  13. 原田昇左右

    原田国務大臣 御承知のように日米構造協議は、貿易のアンバランス、これを改善するためには単に貿易問題だけでやっていってもだめじゃないか、もっと深くそれぞれの経済構造までお互い協議し合って、いいものはいいと言うことでやっていこう、こういう仲のいい友人同士お互いにアドバイスし合おう、こういうことであります。中には、確かにそれだけストレートに見ますと、何をおせっかいな、こんなことまで内政干渉されなくてもいいよというような感じのものもなきにしもあらずでございますけれども、まあ精神は、お互い日米間の友好を深め、これから世界経済に向けてお互い世界の平和と人類の福祉のために努力しなければならぬ、それにはやっぱり日米がじっくり話をし合って、そしてお互いにただすべきところはただし合うということをやりながらひとつ友情を深めていこうというのが趣旨でございますので、多少耳ざわりの悪いようなところも聞くわけでございますけれども、それはそういう趣旨からお互いにやっておる、こういうように理解をしておる次第でございます。
  14. 辻一彦

    ○辻(一)委員 向こうの方も率直なことを言えば、こちらも率直に向こう問題点指摘する、本当に仲がいいならこっちもひとつ遠慮なしに指摘をすることが大事だと思います。  そこで、さっきから問題が出ておりましたが、農地宅地並み課税問題が日米構造協議でも非常に取り上げられ、国内でも論議をされている。建設大臣は九月の五日前後に記者会見等でいろいろ発言されておりますが、宅地並み課税の問題に対する真意、どう考えていらっしゃるか、もう一度お尋ねいたしたい。
  15. 原田昇左右

    原田国務大臣 大都市、特に東京圏等例にとりますと、確かに今の地価高騰というのは住宅宅地供給について非常に障害になっておるわけであります。そこで、何としても今後十年間なら十年間とって、まじめに働く方々に住宅宅地を十分に供給できるということをお示ししていく必要があるんではないか。それにはいろいろ方策はあろうと思いますが、あらゆる方策を総合的にやっていかなきゃならぬ。  そして特に市街化区域内の問題では、農地あるいは工場跡地等遊休地、こういう問題に着目してみますと、市街化区域内の農地については、これは前に政府が決めた総合土地対策要綱、これにも、市街化区域内の農地宅地化すべきものと、農地として、緑地として残さなきゃならぬもの、保全すべきものとしっかり仕分けをしようじゃないか。そして宅地化すべきものについては宅地化推進する。区画整理とか、あるいは地区計画とか都市計画手法がありますから、それに従って、切り売りしたりなんかされないようにしっかりとした宅地化をしていただく。あわせて宅地並み課税等の総合的な税制とリンクした、税制の方も見直しをしていただいたらどうか、こういうことであります。それで、保全すべきところは生産緑地制度に乗っけるとか、あるいは逆線引きして調整区域にしていただくとか、そういうことをしっかりやることが必要ではないか。同時に遊休地ですね。遊休地の活用も、地区計画とかあるいは再開発手法を用いるとか、いろいろ手段があります。こういうことによってぜひこれを宅地化していただきたい。  同時に、宅地化する場合には、農地の方の場合もそうですが、いろいろボーナスもつけましょう。都市計画手法で、あるいは住宅にしていただく場合には、例えば容積率を少しその分だけ余分に差し上げるとか、そういうことも考えましょう。公共施設も、道路とか関係施設もちゃんとやりまして、所有者が本当に宅地化してよかったなという、そういうように誘導していく必要があるんではないかな、そういうことを考えております。そして税制一体としてやらなきゃいかぬではないか。  そのほかまた、国公有地を活用していただくとか、東京にもたくさん埋立地がありますから、こういう公有地住宅に相当程度割いていただくとか、それから調整区域でいえば、これはちょうど常磐新線法律を通していただきましたから、常磐新線一体として調整区域において宅地化を図りまして、大量の宅地供給する。こういうことをひとつ総合的にやってみようということが私たち考え方でございます。
  16. 辻一彦

    ○辻(一)委員 農地については、大都市内では二つに分けて、その一つは保全すべき面もある、これは当然であろうと思うのです。私は、保全すべき必要があるという立場から、二、三あとの質問を続けたいと思うのです。  東京大阪名古屋市街化区域内で公園とか緑地、これと、それから主要な世界ワシントンニューヨークロンドンパリボン等公園緑地がどういう状況にあるか、この比較、これをちょっとお伺いしたいのです。
  17. 真嶋一男

    真嶋政府委員 お答えいたします。  我が国の一人当たり都市公園面積は、昭和六十二年度末現在の数字でございますけれども、全国平均で五・二平方メートルでございます。また、東京二十三区は二・五平方メートル、大阪市は二・九平方メートル、名古屋市は五平方メートルとなっております。  一方、欧米におきます一人当たり公園面積は、調査年度が多少区々でございますが、ワシントンでは四十五・七平方メートル、ニューヨークでは十九・二平方メートル、ロンドンでは三十・四平方メートル、ボンでは三十七・四平方メートル、パリ十二・二平方メートルとなっております。
  18. 辻一彦

    ○辻(一)委員 日本の場合は全体の国土が狭いのですから、それからすれば一般的に言えば数字が小さくてもこれはやむを得ぬと思いますが、しかしこの数字を見ると、かなり小さいわけですね。そういう点から、緑地公園が、我が国においては、特に東京とかこういう大都市では少ない。海外旅行すれば、空から欧米の各地を見ると個人の家の周辺を緑の木立が囲んでおり、緑地公園、こういうものが随分あるな、こういう感じがするわけですが、それに比べて東京にしても大阪にしても名古屋にしても、建物は随分建っておりますが緑はやはり上から見ると非常に少ない、下から見ても同じように少ないんですが。こういう点を考えると、大都市市街化区域内にある農地公園緑地が足りない中で緑としての大事な機能というものを持っておるのではないか、こういう感じが非常に強くするのですが、これらについての認識をひとつお伺いいたしたいと思います。
  19. 原田昇左右

    原田国務大臣 確かに緑地が足りない、遊び場も足りない、こういう御意見まことにごもっともだと思います。しかしながら、そういう形できちっと利用しようということでお決めになっていただくことは私たちとしては大歓迎でございますが、何も緑地をつぶし、せっかく都市に必要な憩いの場をつぶし宅地にしてしまえ、住宅にしてしまえ、こう言っているわけじゃございませんので、要するにしっかりと用途をはっきりしまして、その辺を都市計画でしっかり仕切りをして、そして緑地として残すところは残したらいいでしょうし、遊び場として確保しなければならないところも確保したらいいし、住宅を提供していただけるところは住宅、こういうようにしっかりきちっとした都市計画手法を使っていただいてやりましょう、こういうことを申し上げておるわけであります。  確かに日本都市全体として、欧米のよく例に挙げる都市と比べて緑地が少ないという点は御指摘のとおりであります。これは再開発とかなんかの手法でできるだけそういうものを取り入れていくということが大事じゃないか、一挙に解決はなかなかできないという感じがいたします。
  20. 辻一彦

    ○辻(一)委員 建設大臣、前半という約束ですから、後は向こうの方に上がるようでありますので、後は政府委員を通して論議しますから、どうぞ。直接聞かなくてはならぬことがあれば、また機会を改めて伺うことにしますから。  そこで、農林省にちょっとお尋ねするのですが、大都市における市街化区域内の農地、林地、農業の意義、こういうものをどういうように考えているか、改めてお尋ねしたい。
  21. 山口勝朗

    山口説明員 市街化区域内の農地、林地の役割ということだと思います。  都市近郊における農林業の役割につきましては、都市住民に対しまして野菜等の生鮮農産物の供給に加えまして緑やレクリエーションの場の提供、それから環境保全などの役割を果たしていると考えております。しかしながら、他方で都市農業なり林業に供されている土地につきましては、宅地など農業外の土地利用とどう調和させていくかという問題もあるわけでございます。そこで、このような都市近郊の農業なり林業の役割を踏まえながらも、都市計画法や農振法に基づきまして適切な土地利用を進めて、調和ある国土利用を図っていくということが必要ではないかと考えております。
  22. 辻一彦

    ○辻(一)委員 十月の二十四、二十五、土地特の委員長を初め一行は委員視察で名古屋大阪、兵庫の神戸の方の地価上昇状況等々を調査に行ったのですが、そのときに、愛知県名古屋市の方からいろんな問題が随分と話されましたが、その中の一つに、本当に市街化区域内で農業をやるものについては線引きをやり直して調整区域の方に入って、そして農業をやるようにしている、こういうことを、これは名古屋市の実態として報告があったわけですが、限られた地域でこれからどうやっていくかということがあると思うのです。また、本当に農業をやろうという人がやっていけるような、本当にやる気の人がやれるような状況もつくることが大事じゃないか、こう思いますが、愛知・名古屋指摘された、真に農業をやるというものは線引きをやり直して調整区域の方に移って、そして農業をやってもらう、こういう考え方が具体的に行われておるということを報告されておりました。これについてどう考えていらっしゃるかお尋ねしたい。
  23. 真嶋一男

    真嶋政府委員 お答えいたします。  市街化区域内の農地都市計画上の位置づけにつきまして、今御質問の趣旨は逆線引きをどう考えているかということでございましょうが、昨年の閣議決定をされました総合土地対策要綱におきましては、市街化区域内農地につきましては長期営農制度等の税制見直しとの関係におきまして、宅地化するものと保全するものとに区分を行うこととされております。保全すべき農地につきましては、市街化調整区域への逆線引きを行うほか、生産緑地という制度の積極的な活用を図ってまいるということでございます。  この場合に、市街化調整区域への逆線引きにつきましては、現に市街化されておらず、当分の間営農が継続されることが確実であることなどによりまして、計画的な市街地整備の見込みがなく、逆線引きを行っても当該市街化区域一体的かつ計画的な整備を図る上での支障がないというものについてこれまでも行っているところでございます。
  24. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これから市街地の中の農地をどういうようにやっていくかは非常に重大な、大事な問題でありますから、十分検討して取り組んでほしいと思います。  この問題の最後に国土庁長官にお尋ねしますが、農と住の調和ある町づくりを推進をしていく、このためには農住組合制度の充実を図るということが必要ではないかと思われますが、これについての見解をこの問題についての最後にお尋ねしたい。
  25. 石井一

    石井国務大臣 農住組合制度というのは、確かに地権者の立場というものを十分に配慮した非常に適切な制度であるという認識をいたしておりますが、ただ、その運用に当たりまして、例えば地権者全員が合意を見なければ、大多数の合意があってもこれは施行できない等々の運営上の厳しい制約というふうなものもあるようでございます。したがいまして、現時点におきましては、この制度が成立してからかなりの年月がたっておるにかかわらず、まだ全国で十三組合がその運営に当たっておる、また、最近もう一度制度が見直されまして、ただいま四つか五つの組合が新たにこの制度を導入しようというふうなことでございますけれども、必ずしも十分な成果を上げておるとは言いがたい面があるようでございます。今後、土地基本法成立の後に、地権者の立場をも考えるという意味におきまして、この制度をもう一度徹底普及いたしますとともに、運営上問題があるというふうなものがございましたら改正を加える等、適正な措置をとっていきたい、そのように考えております。
  26. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それから、地価上昇に対して行政がどう対応したかということについて二、三お尋ねしたい。  近年、東京地価が上がって、それが二年ほどのずれで大阪名古屋、神戸等の大都市圏に波及をしていく。こういう中でこの地価上昇の原因は、もう既に指摘されたとおり、金余りによる不動産金融等による投機の面、それから土地税制の不備等々が挙げられますが、それと同時に行政の立ちおくれがなかったのかどうか、この一点をちょっとお尋ねしたい。  名古屋大阪、神戸等々、大都市圏に早く監視区域を設定をして、最低の面積の引き下げを早目に行う、こういうことをやればかなり東京の波及というものを抑え得たのではないかという感じがするのですが、その点の行政上の立ちおくれはなかったかどうか、この点をお尋ねしたい。
  27. 石井一

    石井国務大臣 まず、事実関係に関しまして、過去の経緯等、政府委員からお答えさせたいと思います。
  28. 藤原良一

    ○藤原政府委員 当面の地価対策といたしましては、既に先生御承知のとおり、まず六十二年の六月に国土利用計画法を一部改正いたしまして監視区域制度というのを創設していただいております。この区域制度を活用いたしまして、著しい高値の取引に対して行政指導を行っておるところであります。  また、税制面では、取得後利用することなく二年以内に転売益を得るような取引に対しましては超短期重課制度、あるいは居住用資産を買いかえる場合の価格に寛大な取引に対しまして、抑制する意味で居住用資産の買いかえ特例を原則的に廃止するとか、さらには不動産業者あるいは金融機関に対する指導を繰り返し行ってきておるところであります。  その中で、監視区域制度の運用につきましては、できるだけ地価の動向を見ながら適時適切に指定を行い、指導をやっていくようにしておるわけでございますけれども、お尋ねの関西、名古屋に対する監視区域制度でございますが、まず、大阪市の一部で六十二年の十二月に指定が行われております。また、名古屋圏につきましては、六十三年一月に名古屋市の市街化区域の一部について指定が行われ、引き続き面積の引き下げとか区域の拡大も行ってきております。また、大阪、神戸につきましては、この七月から大阪市全域、あるいは神戸市では九月一日から全域につきまして三百平米から百平米に届け出対象面積を引き下げております。  ただ、この指定がタイミングが少し立ちおくれたのじゃないかという御指摘かと思いますが、私どもも、六十二年の半ばから関西、名古屋圏等と地価対策連絡会議等も開きまして、できるだけ前倒しの区域指定を行いまして地価の上昇を未然に防ぐことが重要であるということを強調してきておるわけでございますけれども、何せ新しい制度でございますし、地域のコンセンサスづくりにも最初はかなり時間を要するようでございます。また、厳しい行財政の中でございますので、審査体制の確立あるいは所要の人員や予算の確保という面でも非常に御苦労が多かったようでございまして、結果的に見ると、できるだけ早い方がいいのですが、やや立ちおくれぎみかなという気が我々といたしましても率直にしないわけではございませんが、今後とも公共団体と十分連絡を密にしながら、的確にこの制度を運用してまいりたいと考えております。
  29. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この間、我々が委員視察に行ったときに、いろいろな地方大都市状況を見たり聞いたりしたのですが、やはり監視区域設定には、それに必要な人員、それからまた、三百平米から百平米に引き下げれば、細分化すればするほど人は要るし、財政の負担がかかる、こういうことがどうも立ちおくれの一因になっておったのではないかという感じがしますが、これについてどういうような対応をしてきたのか、そこらをちょっとお尋ねしたい。
  30. 藤原良一

    ○藤原政府委員 まず、予算措置につきましては、六十二年度でございますが、監視区域制度の運用に伴いまして当初予定した以上の予算を要しましたので、補正をお願いしまして、九億余の補正を計上していただいております。また、六十三年度も、当初予算も厳しいシーリングの中で若干増額していただいておりますし、また引き続き補正をお願いしたところであります。そういうことで、予算措置については、必要に応じて適切に対処するよう努力しておるところであります。  また、体制につきましても、公共団体相互間の意見交換等を行いながら、できるだけ合理的な体制をとろうということで努めております。
  31. 辻一彦

    ○辻(一)委員 時間の点もありますからこれ以上触れませんが、せっかくのいいことも時期がおくれるとさっぱり効果があらわれないという面があります。これからは、地価上昇の傾向は大都市圏からさらにまた地方の都市圏へ及んでいく懸念があると思うので、こういうものに対して対応がおくれないように考えなくてはいけないということ。  それから、関連して、山間あるいは山村あるいは僻地に今リゾート開発の波が随分押し寄せておるのですが、ここらも地価をぐっと押し上げていく非常に大きな要因になると思うので、早目にこれらの問題に対処する、必要ならば、そういう地方の山村僻地の方へ行けば地方自治体としても財源的にも容易ではないので、そういう面の配慮をするべきではないかと思いますが、この点、長官いかがですか。
  32. 石井一

    石井国務大臣 委員いろいろ御指摘されております点に対しましての反省も加えながら、今後立ちおくれのないように措置してまいりたいと思います。  なお、制度ができましたのが六十二年六月、その後かなりの時間が経過いたしまして、この効用も一部評価されておりますし、各都道府県等におきましてもそれなりの対応になれてきておると申しますか、そういう状況もございますので、今申されました新しいリゾートでありますとか、今後また基本法制定後の新しい宅地供給に関連いたしまして、この制度をひとつ弾力的、効果的に運用するように努力したいと思います。
  33. 辻一彦

    ○辻(一)委員 先ほど建設大臣からも、遊休地や大規模な低利用になっている用地、そういうものについて宅地化を図らなくてはならないという点が強調されました。それで、今韓国で宅地所有上限法という法案が提案されている。もう一つ開発利益還収法、還元法といいますか、還収法という法案、さらにもう一本は土地の超過利得に対する税法、こういう三本が今韓国国会に提案されて随分論議されておるようでございますが、自由諸国の中でここまで私有権に踏み込むという例はほかには少ない。そういう意味では画期的な中身を持っているという感じがしますが、これを国土庁としてはどういうように受けとめていらっしゃるか、考えておるか、この点を伺いたいと思います。
  34. 石井一

    石井国務大臣 国土庁といたしましては、隣国でそのような土地に対する厳しい規制が行われておるということを注目して拝見いたしておる、これが事実でございます。ただ、例えばこの三つの法案を細かく分析いたしまして、これをそのまま我が国に当てはめることができるかというふうなことを考えますと、この点にはかなり国情の違いがあるのではないかというふうなことも考えるわけでございます。  先日も専門家のセミナーがございまして、その議事録等を読んでおりましたら、ある一人の韓国の専門家が申しておるわけでありますが、韓国の場合、貧富の差というのが日本よりもはるかにはるかに大きい、そしてまた、ごく一部の土地所有者が非常に広大な面積を所有しておるというふうな現況がある、さらにこれから先も、非常に政治的な発言でございますが、将来、南北統一というふうな問題等が起こった場合に、韓国の非常に最低の土地保有者と北のその状況とを比べた場合に、これは余りにも厳しい状況になっておる、そういうふうな南北対立の中での政治的な配慮というのもなきにしもあらずである、こういうふうなことを言及されておるのを、私、興味深く拝見したわけであります。  そういうことから、確かに公のために、公共を優先するために私権をある程度制限しなければいけないし、資産の格差がこれ以上大きくなったらいけない、こういうような基本的な問題につきましては学ぶところがあると思うのでございますけれども、果たして各論に入りまして、この法律をそれぞれ実施するというのにはいささか国情の違いがあるのじゃないかな、そういうふうに考えております。
  35. 辻一彦

    ○辻(一)委員 それぞれの国で違うわけでありますから、同じようには扱えないのは当然であります。しかし、時間の点から多くは触れませんが、内容をいろいろ見てみると、ソウルなどの六大都市では六百六十平米、二百坪を上限にして、それ以上は土地宅地は持てないような内容になっておるのですね。事情はいろいろ違うと思うけれども、こういう大いに画期的なやり方でないと、この日本宅地問題、土地問題はなかなか容易に解決できない。そういう点で十分参考になるものではないかと思います。  もう一つ、台湾では土地増値税ですか、名前がちょっと難しいのですが、土地増値税それから空地税、こういうものをやっております。考えてみれば台湾も、中国の一部ではありますが、台湾だけに限定して見れば非常に土地が狭い中にかなり多くの人口がいる。日本とも似た状況があると思うのですが、これらについてどう感じていらっしゃるか、これもお尋ねしたい。
  36. 石井一

    石井国務大臣 韓国のことについて一言だけ触れさせていただきたいと思いますが、土地所有の上限に関する法律につきましてはいささか問題があるにいたしましても、開発利益の回収に関する法律とそれから土地の超過利得の税の法案は、思想といたしまして今後基本法の実行法の中で十分検討すべき、示唆に富んだものが入っておるように思っております。  それから、台湾の税制でございますが、これは保有税と譲渡税とを組み合わせたような形の中から、合法的に不当な利益が得られない税制を誘導しながら土地の安定あるいは供給を図る、また資産の格差をできるだけ縮める、こういうところに効果があるように一見思われるわけでございます。ただ、実態的な運用をいろいろ研究したり伺ったりしてみますと、何と申しますか、なかなか理論どおり動いておらない。自主的に申告する価格も、いわゆる地価公示の価格の八〇%ぐらいの打ちどめというふうな状況になっておるし、また売買においてもいろいろの抜け道というふうなものがございまして、思想としては評価するべきものがあるにしても、運用面においては必ずしも問題なしとは言えない、そういう状況であると伺っております。
  37. 辻一彦

    ○辻(一)委員 土地の超過利得というものについて、示唆に富む内容である、今後のいろいろな対策に生かしていきたい、こういうことであります。これは私は非常に大事だと思うのです。この問題についていろいろ触れてみたいと思いますが、時間的にも制約がありますから、大変結論的な質問になりますが、一、二、伺いたいと思います。  去年の予算委員会委員調査で、私たちは関西新空港をずっと見てきたのですね。そして、それを見てみますと、あそこには一兆円の投資によって海の中に新しい空港ができる、今度は対岸の方、沿岸部はその新国際空港ができるのを見て、やはり地価がずっと上がってきているという動きがあるわけです。それからまた、先ほどもちょっとお話が出ましたが、新聞の報道等では、常磐新線にはこれが通ると二十兆円等に及ぶ周辺の超過分が出てくるとか、あるいはまた東京湾横断道路の湾岸部、沿岸部の地価が上がってくる可能性、それからリニアモーターの実験線ができるようになればその沿線等に、いずれも新しい公共的な開発の結果、その沿線周辺部は労せずして土地価格がどんどん上がっていくという実態は今まで随分あったし、これからもあろうと思うのですが、こういうものに対してどういうように公共性、それから社会の公平という点から対処しようとするのか、これは国土庁長官にひとつお尋ねしたい。
  38. 石井一

    石井国務大臣 開発利益の還元ということが今度の土地基本法の中にもうたわれておりますけれども、確かに御指摘のとおり、これまでそういう思想があったにいたしましても、実際にそういうふうなものが制度的に機能しておるかといいますと、都市開発の一部でありますとか、その他非常に特定、限定されたものにはそういうものが行われておったといいましても、今御指摘になりましたような大型プロジェクト、それから明らかに出てくるメリットというものに対して十分な適切な方途がとられておったかといいますと、これは私は大変欠けておる、反省すべき大きな一点ではないかなと思うのであります。  具体的にこれを事業者に当てはめるのかあるいは地域全体に行うのかあるいは都道府県当事者にやるのか、こういういろいろの難しい問題があろうと思いますが、これは今後必ず組み込んでいかなければいけない重要な課題だ、そのように認識いたしております。
  39. 辻一彦

    ○辻(一)委員 この問題で、各省ごとに今の課題についてのこれからのことを伺いたいと思ったのですが、時間的に無理なように思いますから、運輸省の方、いろいろ一番縁が深いので、簡潔で結構ですから、決意だけ伺いたい。
  40. 中村徹

    中村(徹)政府委員 私ども開発利益の還元と言っているわけでございますけれども、そういう開発利益の還元等を通じましていろいろな公共事業、鉄道の整備とかそういうことをやっていきたいという気持ちは非常に強いわけでございますが、現実問題としてはなかなか難しい面がございまして、我々も非常に苦慮しておるというのが実情でございます。  現実にやつております方途としましては、例えば千葉ニュータウンとか多摩ニュータウンとかをつくる場合には、そういう開発者である方から負担金をいただいておりまして、それが一つ開発利益の還元のやり方だと思います。それから、あとは、公共事業をやっていく場合に、当該地方公共団体等にいろいろな御協力をお願いするというようなことをやっておりまして、それもやはりそういう一つ考え方に通ずるものではないかと考えておるわけでございます。
  41. 辻一彦

    ○辻(一)委員 これはこれからさらに非常に大きな問題になると思いますから、ひとつ十分対策を検討いただきたいと思います。  最後に、ちょっと大蔵省にお伺いしますが、詳しくは申し上げませんが、国内の金余り資金が不動産金融等によって今東京から大都市圏へ、さらに外へ動いていくことによって地価を押し上げている。同様に、国際的にも、ハワイであるとか豪州等に日本の余ったお金が出かける、出かけるといいますか、不動産金融等が行われて、ハワイあるいは豪州等の周辺の地価を非常に押し上げて批判を受けているという点がありますが、最近のアメリカ等における買収問題等を見ると、これからこの批判はますます高まると思いますが、国内と同様に国際的なこのような不動産金融の動きに対して規制をするあるいは自粛をする、こういうことの必要があると思いますが、これについて簡潔で結構でありますから、一言お伺いしたい。
  42. 小山嘉昭

    ○小山説明員 金融機関の融資につきましては、自主的な経営判断において決定されるのが当然基本でございますけれども、金融機関の業務の公共性にかんがみまして、社会的批判を招くようなことがあってはならない、こういうふうに考えております。  海外不動産に係る融資につきましても、国際的な摩擦の生ずるようなそういう投機的な土地取引等、不適切な取引に金融機関が関与いたしますこと、これは慎むべきことと考えております。したがいまして、当局といたしましては、海外不動産に係る融資につきましても必要に応じまして指導をしているところでございますし、今後とも適切に指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  43. 辻一彦

    ○辻(一)委員 終わります。     ─────────────
  44. 大塚雄司

    大塚委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として日本国有鉄道清算事業団理事長杉浦喬也君日本国有鉄道清算事業団理事山口良雄君、日本国有鉄道清算事業団理事前田喜代治君及び日本銀行総務局次長増淵稔君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 大塚雄司

    大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  46. 大塚雄司

    大塚委員長 質疑を続行いたします。竹内猛君。
  47. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、この土地基本法に関連をする諸問題について、農林関係立場から若干の質問をいたします。  昭和六十年に衆議院の物価対策特別委員長を私は務めてまいりましたが、記憶にあると思いますけれども、豊田商事事件という問題がありました。そのときには、一方においては金やダイヤモンドを見せびらかして、もう一つ土地を材料にして悪徳な金を集めた。その社長を国会に参考人として呼びたいと思っていたところが、ある者にそのときに殺されたというショックな事件があったのは今でも記憶に新しいわけであります。現在裁判になっておりますが……。  その後、物価に関する特別委員会にまだ加わっておりまして、特にサラリーマンがマイホームを持てるかという、そういう議論をそれぞれの皆さんから意見を聞きながら質疑をしたことがあります。  そういうときに、地価が非常に高騰する、こういうようなことが常に問題になるわけですけれども、地価高騰の責任というものが農民側にある、土地を所有している側にあるんだというような、そういう見解がマスコミや一部に伝わっております。国土庁長官としては、この地価高騰の責任というものが一体農民側にあるのか、それともほかに原因があるのかという問題について、まずお伺いをしたい。
  48. 石井一

    石井国務大臣 結論から申し上げますと、地価高騰の原因が農民側にあるとは私は思っておりません。地価高騰の原因はもろもろの理由が重なり、かつまた土地政策のおくれ等、政府が反省しなければいけない面もたくさんあるように思います。  ただ、昨今問題になっておりますのは、例えば日米構造協議におきまして、同じ場所にある土地でありながら、農地宅地に比べて七十分の一あるいは百分の一の税金を課しておる。これは余りにも常識的に不合理ではなかろうかというふうな指摘がございました。何もアメリカ側意見を聞くということではございませんが、客観的に見た場合に、そういう議論も出てくるでありましょう。  それからまた、例えば休耕をどんどんと政府はやむを得ず強行しておる一面がございますけれども、しかしながら、先生の選挙区等でも十分宅地にできる農地というものもあるのではないか。宅地でなくても、セカンドハウスには十分できるところもあるというふうなことを考えますと、やはりいろいろな理由の中の最大の一つのポイントは、需要に比して供給が余りにも少ない。こういうふうな問題でございますから、今後農民サイドの意見も十分参酌し、そこにコンセンサスが得られるものなら供給をふやしていく、そういう方向にやはり政策転換をしていく必要がある、そういうことは考えております。
  49. 竹内猛

    竹内(猛)委員 建設省は、これに対していかがですか。
  50. 白兼保彦

    ○白兼政府委員 お答え申し上げます。  ただいま国土庁長官がお答えになられましたが、やはり宅地供給拡大を図っていかなければいけないということで、我々としましては昨年の閣議決定等を踏まえまして、既成市街地にございます工場跡地等の低・未利用地の有効利用とか、市街化区域内の農地の問題も、宅地化推進とか新市街地の計画的な開発とか、もろもろの施策を進めていかなければいけない、こういうように考えている次第でございます。
  51. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今の御答弁を総合すると、農民だけが騰貴の加害者ではない、まだほかにもいろいろな要素がある、こういうふうに理解をいたします。  そこで、今大臣の御答弁にもありましたが、最近地方を回ってみると、アメリカの方から日本の政治に対して介入がひど過ぎやしないか、貿易は相互関係の問題ですから赤字黒字の問題はあるにしても、日本の貯金は多過ぎるとか地価がどうだとか入札がどうだとかこうだとか、一々日本の行政に介入するが、一体日本には主権はあるのかないのか、こういう厳しい質問を私はされます。なかなか答えに苦しむ。大臣、これはどうですか。
  52. 石井一

    石井国務大臣 最近の日米構造協議等におきまして、その報道が余りにも大きくクローズアップされ過ぎておるという面もあると思いますが、この協議趣旨は、コンスタントダイアローグとでも申しますか、両国の関係をスムーズにするためにお互いが忌憚なく腹を割って話し合う、そうして努力でき、歩み寄れるものは歩み寄っていく。しかしながら、このことによって、日本国内政策に対してスーパー三〇一条を該当させるということはできないわけでございますし、何ら強制力を持ったものではございません。ある意味におきましては、アメリカ側の焦りと申しますか、どんどんふえていく貿易赤字、その他国内の景気等々に関しますアメリカ側の問題というものをもこの姿の中には十分示しておる一面があると思います。  かといって、例えば談合でございますとか、また農地のことを申し上げて恐縮でございますけれども、市街化の農地、これにも我々は反論するものを持っておりますけれども、そういうふうに合理的なアメリカの感覚からすると、やや不可思議だ、これが公正な競争の原理というものを破壊しておるのではないかと考える向きもある。また我々も、反省を加えながら両国の関係を再構築していくという必要もあると思いますので、私は内政干渉だとは思っておりません。主張するべきことは主張し返し、我が国我が国政策をとっていくべきでありますけれども、謙虚に耳を傾けるべきものも中にはあるのではないか、そんな感じがいたしております。
  53. 竹内猛

    竹内(猛)委員 先ほどからも話があるように、市街化区域の中の農地の税金の関係が十分ではないということ、そんなことは何もアメリカから指摘されなくたってわかるはずだ。そういうのを一々指摘されてそれから動くなんということは、今の石井長官じゃないが、歴代の行政の怠慢、それは二カ月ぐらいで大臣がかわるような状態だから、なかなか落ちついた仕事はできないだろう。ここのところちょっと総理大臣もかわり過ぎるわね。これは終戦直後のような状態だ。そういう状態だから、落ちついてできないことはわかるけれども、それにしても地価の問題等については余り海外からの指摘を受けなくとも、逆に言えば海外に学んでもらうぐらいの、工業は大いに学んでもらっているんだから、それぐらいの指導性があったっていいじゃないか。  そこで、この宅地並み課税というような問題を中途半端で、約束の期間より非常に前にこれを改正しようなんということがちょくちょく新聞に出るけれども、それは本当にやるのですか。
  54. 石井一

    石井国務大臣 長期営農の意思のあるというような中で、そこで一つ免除規定を決めまして、大方十年が経過しようといたしておるわけであります。その間、庶民のマイホームの夢というのはさらにさらに遠くへ遠のいてしまったというふうなこともございます。  したがって、問題は、私はこの間、閣議の席でも申し述べたのですけれども、農地宅地並み課税ではない、そういう思想はこの際ないことにしようじゃないか、しかし農地の中で著しく宅地に適し農地に不適当、しかも大都市の近郊の中で、通勤の便から考えてもその他の環境の社会投資の面から考えても、これは十分に宅地として供給すべき場所ではなかろうか、そういうところに関してはインセンティブを与え、そして地権者が納得する方向宅地化することによって、一石二鳥と申しますか両者の、地権者である農民の方と、それから激しい厳しい通勤地獄を毎日受けておるサラリーマンの方々、こういう問題の同時解決をしていきたい。  しかしながら、緑地を全部つぶすのではない、保全すべきものは今後継続的に保全する、こういう方向をやはりこの際ある程度打ち出していくということはまさに国民的要求ではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  55. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この問題についてはまた後で触れます。  農林水産省にお伺いしますけれども、四十五年にこの新都市計画法ができて、それで線引きが行われた。市街化区域、市街化調整区域、農業振興地域、こうなったわけですね。これ大体二十年たっている。そういう中で恐らくこの二十年の間には大分状況が変わっているはずですね。  私の茨城県でも、先ほどもちょっと話があったように、常磐新線というものが今できようとすると、知事は宅地にして四千ヘクタールを提供するということを言う。その四千ヘクタールというのは何かというと、今の農地をつぶさなければならないでしょう。そうすると、農地をつぶすには宅地化をしなければならない、こういうことにもなるのですね。と同時にまた、当時市街化区域調整区域に入っていても、なかなか周辺の道路や下水や、そういう基本的なものが整わないために、農業をやりたい、営農を続けたいという者もいるわけだ。  こういう点で、この二十年の間に農林水産省は、いろいろ話をすれば、いや農地は農林省から嫁にやったものだから、それが悪女になろうと良妻賢母になろうと、そんなことは建設省国土庁の仕事だというような話もちょくちょく聞こえるけれども、現在の五百三十二万ヘクタールという農地の中で、市街化の中の土地調整、こういうものは農林省としては一体どういうふうに把握をしているのか。それは統計には農林統計に数字が上がってきて、管理指導するのは国土庁、建設省だということになるわけでしょうから、そういうふうな理解でしょうから、それは一体どういうふうになっているか。
  56. 山口勝朗

    山口説明員 お答えいたします。  ただいまのは、市街化区域内に大分農地もあるであろう、そういう農地の扱いについてどう考えているのかという御質問ではないかと思いますが、市街化区域内にはかなりの農地が現在もあるというのは、先生おっしゃるとおりでございます。これらの農地につきましては、都市住民に対する野菜などの生鮮農産物の供給に加えまして、緑やレクリエーションの場の提供、環境保全などの役割を果たしていると考えております。  また、この市街化区域内農地につきましては、他方で宅地など農業外の土地需要にどう調和させていくかという問題もあるわけでございます。したがいまして、昨年六月の総合土地対策要綱閣議決定されたものでございますが、これにおきましても、保全すべき農地宅地化すべき農地という区分けをするという、その上で適正な土地利用を図っていくということになっておりまして、農林水産省といたしましても、このような方針のもとで、都市計画法なり農振法に基づいたそれぞれの地域区分によって適切な土地利用を図っていくべきだと考えております。
  57. 竹内猛

    竹内(猛)委員 線引きは建設省の仕事だと思うのです。十年とか五年とかいろいろあるけれども、一度宅地に繰り入れられて、そして周辺がなかなか整わないために今度は農地に返してもらいたい、こういう要求もある。ところが、それがなかなかうまくいっていない。いろいろ聞いてみると、これは建設省の仕事だという。建設省はそういう場合にはどういう指導をしているのですか。これはやむを得ないということなんですか。これはどうですか。  宅地化というよりも、市街化区域です。
  58. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 市街化区域内における農地の逆線といいますか、市街化調整区域への線引きの問題かと思いますが、建設省といたしましては、営農が確実で市街地整備の見込みがなく、市街化区域一体的かつ計画的整備を図る上で支障がないような農地につきましては逆線引きをすることも可能であるということで指導をいたしております。
  59. 竹内猛

    竹内(猛)委員 その場合の手続ですね、どういう手続をしたら逆線引きができるのか。建設省は何か指示をしているのか、それとも農家が集まって申請をすればいいのか。それはどういう手続をしたらいいのです。
  60. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 御案内のように、今の市街化調整区域への逆線引きと申しますのも、これも都市計画決定の一つでございますので、都市計画的観点から見まして必要なところについてやるということになろうかと思います。したがいまして、手続につきましても、もとより公告、縦覧でありますとか、都市計画審議会の議を経る、意見を聞くとかそういうような手続はございますが、一般的な都市計画決定の手続で行うわけでございます。
  61. 竹内猛

    竹内(猛)委員 この点はこれ以上触れませんが、次に、地価高騰の主たる原因について、これはその後訂正をしてないからそういうことに理解をしているわけですけれども、まず金持ちがある。それでそれに銀行が融資をする、そういうことによって土地が買い占められる。非常に不健全な形である。こういうようなことを週刊文春の十月十九日号にノンフィクション作家の田原総一朗という人がかなり詳しく書いている。―あれはだめなんだけれども、その中に書いてあることは、自民党の中で白川議員が土地問題についていろいろ政策を立てようとしたところが、大蔵省出身の議員さんが後を追っかけてきて、それでいろいろ政策注文をつける。それで本人はもういるところがわからないようにしてまで頑張った、こういうことが書いてある。そして最近のまた別な新聞によると、大蔵省から銀行に対する天下りが非常に多い、日銀と大蔵省からの天下りが多いというのが書いてある。これはうそも隠しもない話だ。こういうふうになってくるとやはり、田原という人がどういう人かよく知らないけれども、書いてあることの一部はそうかなということになるわけであって、これは大変問題だと思うのですよ。だから、この辺のことについての感想とか見解については国土庁長官にお伺いしたい。
  62. 石井一

    石井国務大臣 確かに過去の土地の暴騰、昭和三十五年に著しいものがあり、昭和四十九年前後にまた非常にはね上がった時期があり、それから徐々に高騰しておりますが、昭和六十一年、六十二年にも相当な驚くべき土地高騰がございます。その時点に、期せずして銀行の土地関連融資残高というものが上がっておることも確かでございまして、そういう意味から考えますと、金融と土地高騰というものは無関係ではない、非常に深い関係があるということを私は認識いたしております。
  63. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこでもう一つ、これはどうしても尋ねておかなければならない問題がある。  それは、臨調行革の推進会議の中で土地の検討委員会がある。その委員長は大槻文平さん、委員長代理が宮崎輝さんですね。その中に委員がおりますけれども、そういう中で八七年七月に地価の抑制措置としての検討を始めているわけだが、そこにやはり金融業界の融資規制の足を引っ張るような動きというものが濃厚であったということで、なるほどそれを見ると財界の人たちがほとんど委員を占めているし、不動産関係が六人も入っている。例の、有名ですけれども、リクルートの江副氏その人も委員として座っていた、こういうことです。そういう中で、やはり市街化区域についても宅地並み課税に関連をしては、運用の適正な方向をというようなことになっていると言われる。自分たちが大いに金を出して土地を買ってあれしながら、また今度は宅地並みの方にも手を出していく。宅地並みの農地についての見解は後で述べますが、これはやはり本当にマイホームを持とうという人々から見て、あるいはまた職場に片道一時間半、往復三時間も通わなければならない一般のサラリーマン人たちにしてみたら、たまらない気持ちですね、これは。そういう点についてもう一つ御見解を伺いたい。
  64. 石井一

    石井国務大臣 今御指摘になりました点が最大の土地問題ではないかと思います。  海部総理も今回の施政方針演説の中で、資産の格差の増大、そして土地を持っている者と持ってない者との間にさらに格差が出てくるということについては内閣の最大の政治問題として取り組みたい、そのように申しておるところでございます。そして、与野党ともにコンセンサスを得ながら土地基本法というものを成立させるわけでございますから、問題は、これから先、仮に宅地供給が進むあるいは新しい土地政策ができた、しかしながら、これまでと同じような金余りの現象の中から土地の先買いということが今後起こるということになりましたら、これはますます事態が悪くなってくるということでございますので、この辺で過去の悪弊というものを断ち切って、たちどころに庶民に住宅が届くというところまではいきませんけれども、根強くこの問題に取り組んでいく。したがって、基本法成立後の実行法なり現存の法律の改正ということが非常に重要ではなかろうかと思います。そういう意味におきまして、私は、竹内委員が当初農民の立場からと言われましたが、農民のサイドもひとつ柔軟にこの問題に取り組んでいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
  65. 竹内猛

    竹内(猛)委員 今の地価問題というのは、それは人間の病気に例えたら重症ですよ、重症。その重症の段階のときにせっかく土地基本法を出して与野党で十分に話をして、質疑を通じて一つ方向に進めていくというところは、立派な処方せんが出たと思うのだけれども、そういう方向にどうもあるように思うのですが、本当はかなり手おくれなんだ。  そこで、この問題に関連をして、地価を統一して抑える。現在の地価には、国土庁が年二回ぐらい公示をする地価があるし、それから固定資産税を評価する自治省のもある。それから建設省あたりがいろいろ仕事をする場合には土地収用法なんということで認定時の地価でやるというそういう価格の決め方もある。それから不動産屋が地主と相談をしたりいろいろなところに相談をする実勢地価というものもあるのですね。こういう土地一つ一つのものに四つも五つも価格がつく。そんなのはわかりにくいです。やはり一物一価という方式で整理をするというところにこの基本法の一つの魂があるんじゃないかと思うのですけれども、そういうことは可能でなければならない、方法は非常に難しいが。その点はいかがですか。
  66. 藤原良一

    ○藤原政府委員 御指摘のとおり、幾つかの公的土地評価制度がございますが、それぞれ制度に目的あるいはその目的に応じたこれまでの経緯もございまして、これを一元化するというのは容易でないわけでございます。  固定資産税は、現にその土地から収益が得られる得られないにかかわらずこれは毎年納めないといかぬ税金でございますし、またその性格も、行政サービスとの受益の関係に配慮しながら課される財産税でございます。また相続税は一世代一回限りという性格の税でございますし、地価公示は、御承知のように一般の土地取引の指標としてあるいは公共用地取得の規準等として設けられておる制度でございますから、それぞれ制度に応じて的確に運用していくということが非常に大切だと思っております。  そういう意味で、国民の信頼を得られるような公的評価制度としてそれぞれが定着するためには、やはり地価公示との関係も十分考慮しながら、その均衡化あるいは適正化、そういったことを今後一層進めていくということが大切だと思っております。そういうことで、関係省庁とも十分相談しながら進めたいと思います。
  67. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ある新聞の投書によると、日本住宅会議とか都市政策を考える会とか、都市を考える法律家と研究家の会とか、三団体がこの基本法に対していろいろ検討を加えたが、それだけではどうも宣言法であるから、なかなか今の病気に本当にいい薬が盛れないだろう。これはこれとして大いに結構だけれども、さらにいろいろなものを拘束する法律―あるいはまた、所有と利用についてはかなり明確になっている。つまり、憲法の二十九条の問題もありますけれども、所有は侵さなくてもいいけれども利用については公的に大いに活用する、これは非常に大事なことですから、そこのところははっきり盛り込まれているわけだから、それはいいわけであります。  後の問題では、先ほども辻委員からも話があったが、開発利益というものを還元をしていかなければいけない。そうなると病人の体力もかなりよくなってくるじゃないか、こういうふうに思うのですね。だから、この基本法を成立させることについては、大変時期がおくれたけれども結構な話ですが、さらにさらにそういうものも加えていかなければ健康な状態にはならないだろう、この点についてはいかがでしょう。
  68. 藤原良一

    ○藤原政府委員 御指摘のとおりでございまして、基本法でも土地の所有権、利用権の関係につきましては、第三条で「適正な利用及び計画に従った利用」ということを規定しております。土地は所有するだけじゃなしに、まずその所在する地域のいろいろな諸条件を考えながら、適正にまず利用されるべきだ、そういう規定を置いております。この利用も計画に従った利用をしていこう、そういう宣言をしておるわけでございます。  また、負担につきましては、五条で「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」をしていく。これを受けて十四条で受益者負担の規定、十五条で税制措置の規定を置いております。そういう規定を今後さらに具体的な施策として深めていくことが大切だ、そういうふうに考えております。
  69. 竹内猛

    竹内(猛)委員 国土庁長官は、今私の出した意見についていかがですか。
  70. 石井一

    石井国務大臣 土地の所有、利用に加えて、投機の対象にしてはいけない、これは一つの重要な問題だと思っております。その点につきましては、もう既に委員も御指摘になったところでございます。  それから、この社会への還元という問題、これも一つの大きなポイントだというふうに認識をいたしておるわけでございます。ただ、受益者負担制度と申しますか、開発利益の還元の手法ということについて、これまでにも都市計画法を初め、いろいろ調べてみますと住宅地区改良法でございますとか、その他道路法、河川法いろいろなものにございます。負担を求める対象もそれぞればらばらになっておりますが、例えば土地問題、住宅問題を解決するのに余りにも対象者が多く広範な場合に、この手法をどのように組み立てていくかということ、これは必ずなさなければいけない問題であり、そのことによって富が自然に労なくしてふえていくわけでありますから、それに対します還元というものがなければ社会的な公正というふうなものも成り立たないわけでありますので、これは必ず何らかの形で今後の課題として取り組んでいかなければいけない。その中には、税は補完的だと申しますけれども、税による補強ということをひとつ考えなければいけない方針ではないかな、そういうことを考える次第でございます。
  71. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは後であれしようと思ったのですけれども、この際申し上げるが、中央においては各省庁の縄張りというか領域を守るということ、これを外して一体化しなければならない。経済企画庁があり建設省があり国土庁があり農林省があり、そして最後には大蔵省がだめだと言えば何もできないという、この大蔵省ですね。消費税の問題でも、大蔵省が案をつくって押し切ったという経過もあるようですから、今でも見直しが出ないのは大蔵省に大いに抵抗されているような感じがします。だから、もっと国会が軸になって問題を整理して、中央における各省庁間の一体性、わかりやすい指導、同時に下部、地方においては、この法律でも土地政策審議会というようなものをつくる形になっておりますが、それには所有者あるいは利用者、学者、いろいろなものが入ってきて地域の声を十分に吸い上げていく、その地域末端と中央が一体になって信頼関係を持たない限り、よくはいかないと思うのです。そういう意味ではこの法案の中にその趣旨は盛り込まれておりますが、そういうような形でむしろ中央の省庁の縄張りを何とかしなければならない、これはいかがでしょう。
  72. 石井一

    石井国務大臣 確かに今度の基本法の審議で明らかになっております問題が二つございます。  一つは、先ほど御指摘になりました土地価格の一元化ということでございます。これはそれぞれ沿革もありますが、同時に中期的な課題として取り上げていくべき、今後適正な平準化、統一化、均衡化ということを進めていく、各省庁がお互いに歩み寄るべきところは歩み寄るという姿勢が必要だと思います。  もう一つは、今の行政の一元化という問題でございます。例えば、先日も委員の御指摘の中に、台湾の池地政局のように土地に関して全権を持つというふうな形にしたらどうか、国土庁は弱過ぎるではないかというような御指摘もありまして、それは大いに激励として受けとめさせていただいたわけでございます。ただ、今回私は関係閣僚会議を招集いたしましたし、年内に必要があればたびたび招集をするつもりでございます。各省を代表しております閣僚も土地問題の緊急性認識しておりますので、今回は何らかの形での結論を出さなければいかぬという気持ちになっております。ただ、率直に申しまして自治省は自治省の立場があり、大蔵省には大蔵省の立場があることは確かでございますが、これはすべて共通の目的になっておるわけでありますから、縄張りを振り回しておるような時期はもう過ぎておる、そういう認識のもとに問題提起をしっかりと受けとめて、行政の一元化についても今後大いに努力していかなければいかぬ、そのように思っております。
  73. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ここで少し建設省にお伺いしたいのですが、今日、日本建設業者の数は、大手とか中手とかいろいろいるけれども、どれくらいあるものなのか、それから不動産業者は一体どれくらいあるものなのか、その点についてちょっと報告してもらいたい。
  74. 白兼保彦

    ○白兼政府委員 お答え申し上げます。  まず建設業者でございますが、許可をしました許可業者数が六十三年三月三十一日現在で、建設大臣許可が八千六百六十五、都道府県知事の許可が五十万一千六百五十四、計五十一万三百十九。  それから不動産業者でございますが、これにつきまして、分譲、流通、賃貸、管理があるわけでございますが、分譲、流通につきまして宅地建物取引業の免許が必要となっております。免許業者でございますが、平成元年の三月三十一日でございますが、建設大臣の免許業者が千八百七十九、都道府県知事の免許業者が十二万四千七百九十七、合計で十二万六千六百七十六となっております。  なお、例の法人企業統計で不動産業を営む法人数というのが出てまいりますが、これは十八万七千百三十九、こういうような状況でございます。
  75. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これは大変な数ですね。大体農業を専業でやる農家が六十万と言われている。まあその専業農家もやはりその他の農外収入を得なければできない。もう建設業がおよそ日本の政治の中軸に座っているのですね。だから、農家の皆さんはお米をつくりながら一方では建設業の仕事に働いている、こういう格好になってきている。だから日本においては建設業というのは政治の大きな中に座っているというふうに見なければならない。不動産業というのはこれはまた大変な数ですね。大体、都市主要部は除くけれども、町村の集落というのは十四万と言われている。一個の小さな集落にも不動産業者がある。建設業者というのはこれは大変だ。そういう形になっているから、これはオール建設というふうに彩られても差し支えないくらいにあるということをまず一つ頭に入れながら、次に質問するのは、これは農住組合の問題ですね。  農住組合法は、私も建設委員のときに審議をして賛成をした法律です。五十六年の六月から実施をされまして、先ほど辻委員のお答えに十三組合ができた、こう言われました。一体十年かかって十三くらいしかできないということは、これは一体何か阻害されている条件があるんじゃないか。余り進まない。夢と希望と現実が離れている。これからもこれについて、今までのような形でやられるのか、やはりどこかに手を加えていかなければならないのかということについては、先ほどのお答えだと不十分だと思いますね。もう少し痛いところに手のさわるようなお答えをしていただきたい。
  76. 藤原良一

    ○藤原政府委員 農住組合法が五十六年に施行されまして以来、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、現在までに十三地区しか設立されていないわけでございます。  その原因でございますが、一つは、大臣からも申し上げましたように、組合設立は全員同意が要件になってございますのでこれが非常に時間がかかる、また難しい点がある、そういうのが一つでございます。それといま一つは、この組合による事業施行に対しましてそれほど大きな優遇措置がない、その辺も一つの原因になっているんじゃないかと私の方は考えております。  したがいまして、ちょうど平成三年に組合の設立認可期限、これは十年までの期限つきの法律になっておりますので、ちょうど節目の時期でございますので、そこら辺の今後の対応につきましてさらに検討しまして、法律の改正等の際に十分そういった検討結果を盛り込むように努めていきたい、そういうふうに考えておる次第です。
  77. 竹内猛

    竹内(猛)委員 当然のことだと思いますね。十年もたって十三しかできないということは、どこかに大いに欠陥があるから、その欠陥を大胆に改めて、いいものは延ばすし、悪いものだったらもう法律改正なんて言わないで、それは少し、もっとはっきりした方がいいんじゃないですか。  そこで、私も四全総の特別委員として参加をした経過もありますが、一極集中ということが言われている。東京東京へ、あるいは県庁の所在地へ、県内の第二都市へという形で過疎地帯が一方に生まれると同時に、一極に、それぞれの地域に集中している。そういうときに、新しく三百万戸の住宅建設省がつくるという形で宅地を大いに開発するということを言い出した。きょうあたりの新聞にも、大きく読売新聞だけに出ているから、これはすっぱ抜きかどうか知らないが、出ている。今問題になっているのは、都市ですね。三大都市の周辺の土地が上がっている。そこへもってきてまた住宅を建てるということになれば、またぞろさっき言った建設業界と不動産業界が動いて何が起こるかわからない。それを抑えようというのが今度の基本法ですが、それもわかるけれども、一体この土地利用というものについて、農村地帯の農業の位置づけというものをどういうふうに考えるか。都市と農村の位置づけ、つまり都市計画というものが先にあって、それで諸外国のように農地というものはやはり農地として活用する、宅地宅地としてやる、公園公園としてつくる、道路もつくるというようにしなければならないが、日本の場合はそれができないところに悩みがあると思うのですね。特に高層住宅をつくろうとすれば、じゃ、車はどこに置くんだ、駐車場はどうするんだ。現在のように車社会であれもこれも車を持っているときに、道路はこれより広げられない、しかし空間利用で、高い、何十階もの住宅を建てよう、そういうときにはこれは大変なことになりますね。だから、そういうようなことを考えたときに、大都市中心でなしにもう少しその他の地域にもこれは考えていかなければいけないんじゃないかと思うのですけれども、そういうことを考えているのは建設省ですか。いかがですか。
  78. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 ただいま先生から御指摘がございましたように、我が国国土をめぐります最も大きな問題は東京圏への一極集中、このようなことであろうと思います。したがいまして、東京一極集中を是正しながら多極分散型の国土形成を図りますことが国土政策上の最も大きな眼目である、このように私ども認識をいたしておるところでございます。そのような観点から、一つは、地域の創意工夫によります地域主導型の地域づくりを進めますとともに、その基盤となりますような交通あるいは通信体系の整備というものを進めることによりまして、両々相まって活性化を図っていくということが重要であると認識をいたしております。  それらの中にありまして、先般、国土審議会から総理大臣に地域活性化のための戦略につきまして若干の提言がなされたわけでありますが、その中におきましても、例えば我が国国土の中で広大な空間を占めます農山漁村地域につきましても、単に農林漁業の近代化を図るという見地のみならず、都市との交流によりまして農山漁村の活性化を図るということも重要であるというような指摘もなされているわけでありまして、これらの点も含めまして、施策の一層の充実を図ることによりまして多極分散型国土形成に努めていく、このような考え方であります。
  79. 竹内猛

    竹内(猛)委員 ぜひこれはそういうふうにしてもらわないとなかなか思うようにいきませんね。  そこで次に、都市におけるオープンスペースを確保したり、市街化地域の中に農地、林野を守るために、現在はまだそれは若干残っているけれども、これからまたそれがつぶれていくのは非常にまずいわけですから、そういうスペースの確保という問題について、土地政策審議会はこれを検討するようなことに法律はなっているのですが、ぜひこれは実行してもらいたい。総合土地対策要綱の中にもそのことも書き込まれておるし、ぜひそれはやってもらいたいが、その基準です。どういう基準でこれを実施するのかという、この基準はどこでつくるのですか。
  80. 藤原良一

    ○藤原政府委員 先ほど来質疑が行われておりますように、総合土地対策要綱におきまして、保全するものと宅地化するものに区分しながら進めていくということになっておりますが、宅地化する部分につきましても、そういう生産緑地等が含まれておると思います。要は、そういうものを土地利用計画の中ではっきり位置づけながら進めていこうということでございます。土地利用計画は都市計画ということだと思います。
  81. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、やはり健康でゆとりのある豊かな町をつくるという、市街地をつくるというためには、緑やそういう一定の広場が必要だと思うのですね。その点について、これは大塚委員長のところもそうですが、港区、千代田区、それから中央区、人口が流出をして、それで小学校が閉鎖をするというようなところが幾つかある。あるいは研究所等もあるし、それから、騒音を出したり悪臭を出したり、公害を出すようなところはないけれども、そういった古い工場もありますね。それはそこになければならないということはないのであって、そういうところ、特に小学校が廃校になったようなところはそれは公的な土地でしょうから、あるいは、工場、研究所にしてもできるだけそういうのは近くの地域に分散をしてもらって、そこにはやはり公園をつくるとか、あるいは、遊び場をつくるとかいうような形にしてゆとりのあるものをつくってもらいたい。  例えば、農林水産省の阿佐谷にあった蚕糸試験場が筑波へ移っていった。あの跡は公園になっている。大変喜んでいますね。そういうことで、私的なものについてはやはり国なりその他域、県なりがそれに対する必要な財政措置をしなければなりませんが、そういうようなことにして農地だけを目当てにしない。農地もその中に、農地でありながら農業をやる意欲が見れない、梅の木を植えたりウドを植えたり、それから、草を生やしてとにかく肥培管理を怠っているところがかなりある。そういうものはもはや農地とはいえないですね。ところが、一生懸命に野菜をつくり、有機農業で新鮮なものを消費者に供給しているところもある。  だから、農地にも二種類あるわけだから、やはりこれは審議会が十分に検討して勧告をして、きかなければこれは活用する、こういう方針で結構だと思いますが、そういうふうにしていく必要があるだろう。そのためには、一団地の面積状況とか農家経営の実態、実情、経営の意思があるのか、本当はそうじゃなくて、地域の開発を待って、値上がりを待って財産的期待を持っておるものなのか。それから都市の熟度ですね、それから周辺のインフラの状況、それから環境条件、地理的条件というものを考えていく必要があると思いますが、これは国土庁ですか建設ですか、どっちですか。
  82. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 まず、市街化区域内の農地の扱いと申しますか、この問題かと思いますが、今のお話にありましたように、総合土地対策要綱におきまして宅地化するものと保全するものの区分を明確化することにされておりまして、その場合の区分として、先ほども申しましたが、保全すべき農地といたしましては、営農が確実で市街地整備の見込みがなくて市街化区域一体的かつ計画的整備を行う上で必要がない農地とか、公害、災害の防止等環境機能あるいは公共施設等の予定地としての機能等に着目して保全する農地、こういうものにつきましては、市街化区域、市街化調整区域への線引きあるいは生産緑地制度というようなものを活用してまいりたいと思います。  また、これ以外の農地につきましては計画的な市街地に御協力いただきまして、土地区画整理事業の実施でありますとか地区計画制度の活用、さらには開発許可制度の活用というようなことによって進めてまいりたいと思います。  なお、もう一つ公園の必要性について御指摘をいただきましたが、私どもといたしましても公的施設の跡地等につきまして周辺の土地利用の状況から見まして十分勘案の上、できるだけ公園緑地等のスペースが確保されますように努めてまいりたいと考えております。
  83. 竹内猛

    竹内(猛)委員 もう時間も来ましたが、最後に、課税強化により宅地をつくるために農地を、農民を追い出していく、追い出すという言葉は悪いけれども締め出していく、そういうことに関連をして、先ほど言ったように、本当に営農をしていく意思が見られるか見られないかという問題の一つの基準ですが、それもこの法律によると審議会等によって検討するわけですけれども、できるだけ厳密にこれはしていただきたいわけです。法人だけが残ってしまうような、そういう農地を法人が買い占めて、そして草を生やしてほっておくというような場合には、これはなかなか手のつけようがない。だれが持っているかわからない、そういう問題を残して、そして農民の方を追い出していくというようなことでは、これは地価抑制にも何にもならないわけであって、その点についてはいかにしてそれを抑えるか、法人というものの土地の所有は制限ができるのかできないのか、これはなかなか難しい話だろうと思うのですね。それから転用の場合ですね。これを公的なものに使う、こういうようなこと、用途に対する一つの優位性というようなものが考えられないかどうか。  そういうことをいろいろ考えた場合に、やはり農地をまず個人が、農民個人がそういう立場に立って、自分土地を活用する場合と農協なり別な団体が公的なものが預かって使うような場合もありますけれども、そういう細かい親切な指導というものがあっていいのではないか、こういうぐあいに思いますが、この点についてはいかがですか。
  84. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 今の先生のお話は、市街化区域内に農地を持っておられる農家が御自身で土地を利用しながら、例えば賃貸住宅を経営する、あるいはそこに公団住宅とか公営住宅を建てていくというふうなことで、その土地が法人に渡ってさらに別な法人がそこでマンションをつくって分譲するというような形にできるだけならないようにというお話ではないかと思います。  私ども住宅対策を預かっている側から申しまして、特に大都市対策につきましては、地主さんが自分自身で賃貸住宅を建てて経営をするということが住宅対策上非常に有効な手段であるというふうには考えております。したがいまして、現行の制度の中でも、例えば金融公庫の融資とか公団の分譲住宅とか、それから農地所有者等賃貸住宅につきましてはまた別途法律がございますが、いろいろな制度がございまして、地主さんが賃貸住宅を建てるときに利子補給をいたしたり、低利融資をしたり、いろいろいたしております。  今のお話は、地主さんが賃貸住宅の経営のノーハウを御存じなくてなかなかしにくいというときに、もっと公共団体、農協あたりが親身になって相談に乗る、こういうことが重要だろうという御指摘だと思います。私ども、全くそのとおりだと思います。  現に、農住の歴史も相当長うございますが、非常に熱心な地域、例えば名古屋市の周辺でございますとか、東京で申しますと西部の方になりますけれども、そういうところでは農協自体がそういうノーハウを非常に蓄積しまして、組合員をよく指導しながら賃貸住宅経営をやってございます。私どもは、公共団体をかませまして、もっと公共団体と農協が協力しながらそういう賃貸住宅経営をうまくやっていくということをやってはどうかということで、五つのブロックごとに農住事業推進協議会というものをつくりまして、非常に熱心な農協とそうでないところがございますものですから、そこで熱心な農協からのいろいろな事例の勉強であるとかマニュアルであるとか、そういうものをいろいろと情報交換しながら次第にその知識を農協間で広めていくということも努力をいたしております。今後ともそういうことで、先生の御指摘のような方向で私どもも指導に努力をいたしたいと思います。
  85. 竹内猛

    竹内(猛)委員 最後にもう一つだけ質問したいと思います。  農地都市的活用のために、都市住民を潤すということをまずねらいにしながら農地の市民農園的活用というものが必要じゃないか。神戸には市民農園というものがあって、あれは非常に評判がいいですね。私も行きましたけれども、大変いいです。ナシをつくったりワインをつくったり、そこに市民の遊び場があったりして、これは大臣の選挙区、足元ですが、大変立派なものだと思います。あのようなことは非常に大事なことだと思う。あれは相当な努力が要ったと思うのですけれども、そういう場合に障害になるのは、相続税対策として自治体や農協に貸与または委託管理をしたその当該土地に対して納税の猶予というようなことが考えられないか。つまり、公共的なものに対して協力をした農民に対する優遇措置としてそういうことが考えられないかどうか、この問題を一点お伺いしたい。これは窓口は建設省だろうが、閣僚としての大臣にお尋ねしたいと思います。
  86. 石井一

    石井国務大臣 私は都市に生まれて都市に育った者でございますが、それだけに、農村あるいは農業に対しまして何か一つの潤いを感じております。  それから、竹内議員御指摘都市農村といいますか市民の農村広場というふうなものもたびたび視察したこともございます。都市の人々が週に一回か二回、そこへ足を運ぶことによってどれだけフレッシュなものを得ているか、また作物の成長に子供たちがどれだけ喜びを感じているか、こういうふうなことを考えましたときには、都市をただ都市化しスプロール化するというだけでなく、農村の貴重なものをそのまま保存しながらやっていくということ、これは国土庁としても施策の中に十分入れていくべきものだと考えます。  ただ、具体的なそういう税制の優遇措置等々につきましては、今後の検討課題としていきたいと思う次第でございます。
  87. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間が来たのでこれで終わりますけれども、基本法が合意で成立するというのは一つの画期的なことだと思いますが、時期的にはやや遅かったような気がしますが、なおそれが実るように、関連する諸施策、諸方針を充実させて、そして一元的な指導、それからサラリーマンの皆さんに自分の生涯の中にマイホームが持てるというような希望を与える政治をお互いにやらなければいけない。これは与野党一緒の責任です。やらなければならぬと思いますが、最後にまた大臣に一言お願いします。
  88. 石井一

    石井国務大臣 十数年前には、東京圏域内でマイホームに手が届いた。それが千葉県へ遠のき、埼玉県へ遠のき、今や茨城県に行き、山梨県に行っておる。こういうふうなことで、この国が豊かな国なのか、世界に冠たる経済大国なのかという基本的な疑問を投げかけておる大きな政治課題でございますので、今後この問題では与野党ともに真剣に取り組み、解決に臨みたいと思います。
  89. 竹内猛

    竹内(猛)委員 終わります。
  90. 大塚雄司

    大塚委員長 午後零時三十分に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ────◇─────     午後零時三十三分開議
  91. 大塚雄司

    大塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上普方君。
  92. 井上普方

    井上(普)委員 私は、この土地基本法という法律の名前が実は気に入らぬのであります。野党四党で土地基本法という法律をつくって提出をしておりますが、これもどうも土地基本法という名に値しないものじゃないかと私は思っておるのであります。  といいますのは、土地というものの持つ基本的性格、これについての論議が示されておらないからにほかなりません。土地が財産権の対象になることは当たり前の話で、憲法二十九条によりまして「財産権は、これを侵してはならない。」ということが書かれております。「財産権の内容は、公共福祉に適合するやうに、法律でこれを定める」し、「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」こうあるわけであります。  しかしながら、土地というものは、再三論議せられておりますように、国民的な資源であり国民的な財産というような考え方からいたしますならば、当然その所有権と利用権というものとに、土地が持っております性格は分かれてくると思うのであります。そこで、所有権と利用権とを考える、特に利用権につきましては、私どもの考え方からするならば、計画性のある、そしてまた公共福祉のために利用権というものは存在しなければならないし、当然所有権それ自体も問題になってくると思うのであります。  そこで、日本土地制度それ自体を考えてまいりますと、大昔からずっとありますけれども、大体明治の地租改正において大きな変革があったと思います。その後は日本土地制度につきましての所有権あるいは利用権についての大きな変革といいましたら、戦後の農地解放でございましょう。そこで、農地法をつくった際の根拠は一体どこにあるのか。これは確かにアメリカからの、占領軍の指示ではあったでございましょうが、今の法律であの農地法の農地改革を解釈するならば、これは当然、耕作権すなわち利用権が主体になって、利用権に重きを置いた、すなわち耕作権に重きを置いて所有権をそれに付随させたという考え方になると思うのでございますが、農林省、ここらのあたりはどういうふうに考えたらいいのでございますか。
  93. 日出英輔

    ○日出説明員 私もつまびらかに承知しているわけではございませんが、先生のおっしゃったように、当時のいわゆる小作の解放、農地解放という趣旨は、利用に所有を合わせるという議論ももちろん大いにあったというふうに理解をしております。
  94. 井上普方

    井上(普)委員 今の法律で解釈すればどういう解釈になるか。しかも、その当時においては、農地解放のときには日本の憲法もできておったときでありますので、どういう解釈のもとであの農地解放が行われたのか、どう考えたらいいのでしょう、こういうことを聞いているのですよ。
  95. 日出英輔

    ○日出説明員 私もつまびらかに承知しているわけではございませんが、先生も御存じのとおり、農地解放が現実に行われる前に、自作農の維持創設ということが農林省の中でいろいろございまして、農地法の前身の農地調整法、その前身のいろいろな規則が戦前既に私どもの省内でも議論され、一部自作農の維持創設ということが進められておったというのが背景にありまして、その上で、私も法制度上の議論はよく承知しておりませんけれども、農村の民主化という社会的な一つの背景を受けて今のような農地解放といいますか、法制ができ上がってきたというふうに理解をしております。
  96. 井上普方

    井上(普)委員 自作農創設といいますと、小作農をともかく自作農創設に変えたわけであって、はっきりと申してこれは、今の法律、今の考え方から解釈いたしますと、公共福祉のために自作農を創設する、そのためには所有権というものに制限を加えていったという形になるのじゃございませんか。どうでございます。
  97. 日出英輔

    ○日出説明員 そういった理解であろうとは思いますが、制度上の話は私どもよりも、全体的な憲法との関係その他でお答えできるところもあると思います。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 農林省の役人というのは、しかも文書課長なんだから、そのくらいの基本のことを考えていただいておらなかったら、今のこの農地のやりとりということは解決できないと思うのだ。  自作農創設というような、あくまでも農地については利用権というものを最優先させていった。そしてその後、農地法も成立いたしておるわけであります。  そうすると、今の農地法というのは、これはあくまでも所有権よりもむしろ利用権、すなわち耕作権というものを最重点に置いた法律じゃございませんか。どうでございますか。
  99. 日出英輔

    ○日出説明員 先生のお話は農地法の一条にもございますが、要するに、耕作する者が所有をするということが、耕作者の地位の安定なり農業生産の増進を図ることに非常に役立つという前提で、こういった法制ができたというふうに理解をしております。
  100. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、大きく言って公共福祉のために耕作権というものを最重点的に置いて、所有権というものを抑えておる、こう私は理解いたしておるのであります。  そこで、私、農林省にちょっとお伺いしたいのだが、今休耕田というような制度ができて、田んぼを遊ばせていますな。ここらあたりは、耕作権それ自体を国が放棄させておるのだが、その間の所有権と耕作権との関係をどう考えたらいいのだ。
  101. 日出英輔

    ○日出説明員 先生お尋ねの休耕田でございますが、確かに一部都市地域あるいは山間で見受けられます。ただ、休耕田といいますか、現実に耕作をしてないことの理由なりその期間というのは大変さまざまでございます。それを権利関係で御説明するのはちょっと難しいかなというのが、今の先生の御質問に対するお答えにはなりませんが、そんな感じを持っているのでございます。
  102. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、これは重大な問題なんだ。休耕田といって田んぼの耕作権を放棄させているんだよ。すなわち、利用権というものを放棄させている土地、それで一体農地と言えるのかどうか。農地法に言う農地と言えるのかどうか。基本的な問題だからお伺いしているのだ。どうなんですか。
  103. 日出英輔

    ○日出説明員 先生のお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、休耕田というものの経緯、実態、さまざまでございます。お尋ねのような形で放棄させるという行為を要式行為としてこの関係でやっているということはございませんので、権利関係議論で説明するのはなかなか難しいのかなというふうに申し上げたつもりでございます。
  104. 井上普方

    井上(普)委員 これは、権利関係農地法の耕作権というのは確立しているわけだ。ところが、権利関係について話をすることは難しい、こうおっしゃると、話はちょっと難しくなってくる。憲法との関係あるいは我々が今論議いたしております所有権と利用権との関係からいくと、そういうことにはならないではないか。ここらあたりを明確にしてない。ここに日本土地制度の何といいますか、なあなあ主義といいますか、談合というような考え方から出てきておるのじゃないだろうか。  だから私は、休耕田というような考え方からするならば、休耕田を一カ所に集めて、それを何と申しますか、実態的に強制的に休耕田にさせているのだから、それを一ところに集めて、そしてそれを他の用に供するというような方法を講ずるのが至当じゃないかなと常々考えておりますので、あえて私はこのことを申し上げるのです。これは耕作してない土地、それに対しての権利関係、所有権と耕作権との関係、ここらあたりを明確にする時期が来ておると思うのだが、どうですか。
  105. 日出英輔

    ○日出説明員 私も、今のは突然の御質問でございますのでよく検討したいと思っておりますが、実際、今の農林省の休耕に対する取り扱いは、先ほど申し上げましたようにいろいろな理由がございますが、先生のおっしゃったように、やはり生産力を高めていくあるいは地域で上手に使っていくというのが大前提でございます。  そういう意味で、転作の場合に、地域輪作といったようなローテーションの中に入れていくとか、あるいはきちっとした能力のある方に農業委員会なり農協があっせんをして生産をしてもらうとか、そういうふうな形で、実際の権利放棄をさせるとかさせないとかの要式行為ではなくて、実際に地域、地域で上手に使う手法を今模索をしながら進めておるということでございます。
  106. 井上普方

    井上(普)委員 それは、今の自作農創設のときの考え方からいくならば、未利用地についても強制的に収用したことがあるんだ。そうして耕作権を与えていった。これの裏腹の関係になる。だから、利用権と所有権との関係は、ここらあたりは明確に解釈をしておかなければならないと思うが、恐らく農林省はそんなことをやらずに、耕作権と所有権との関係を根本的な論議をしていないから―していないと思う。そうでなければ文書課長があんな答弁で勤まるわけはないんだ。また戦後の自民党政府の中で、そこらあたりを明確にしていないからこういう問題も起こってくる。  さらに言うならば、宅地並み課税です。宅地並み課税というのは一体どんなものなんだ。これは実は所有権に対して税金がかかっている。税金をかけようとする。そうするならば、利用権、すなわち農地の、田んぼとしての耕作権というものに対して、これは否定していくんだ、都市内における利用権、耕作権というものは否定するのですよ。  ここらあたり、内閣法制局が来られておるが、どういうふうな考え方になりますか。
  107. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 突然の御質問でございますし、ただいまの農林水産省の方への質疑を伺っておりまして、私も頭の中の整理がなかなかつかないわけでございます。  宅地並み課税につきましては、私も必ずしも十分に理解しているわけではございませんけれども、やはり利用形態というものを一つの前提としまして、税というのは当然公平にといいますか、その利用形態に応じて公平に何物かがあるということだと思います。そういう見地から行われている。したがいまして、その利用形態についての一定の考え方を前提にして行われているもの、かように思っております。
  108. 井上普方

    井上(普)委員 利用形態とおっしゃる。しかし、宅地並み課税というのは、完全に耕作権、すなわち利用権というものを否定した考え方でなかったら宅地並み課税ということはできない。そうすると、農地法で言うところの農地というものは、耕作権があって初めて成立するのでしょう。  例えば、耕作をする能力のない者は農地の売買はできないでしょう。すなわち、今の農地法は耕作権の売買でしょう。今の農地は農業者でなければ売買できないのじゃないですか。どうですか。
  109. 日出英輔

    ○日出説明員 先生のおっしゃるとおり、一定の面積を持った耕作者でなければ農地の売買はできないということになっております。
  110. 井上普方

    井上(普)委員 明らかに耕作権、これを中心にした売買でなければ農地の売買はできない。所有権それ自体というものは耕作権に付随するような形になってきている。そうすると、先ほども言いましたように耕作をしないような土地をつくらしておったら一体その土地はどうなるのだ、それの耕作権はなくなっているのだから、当然農地ではなくなってくるのではないかという考え方が出る。だから、農地法の適用除外になるのではないですか、どうなるのですか。ここらあたりに私はそういう素朴な疑問を持つ。まさに素朴な疑問を持つ。どうですか、農林省、わかりますか。こういうところの論議をしたことは恐らくないのだろう。ないというところが日本土地問題に対する認識が甘い。ないからこういうことになるのじゃないかと思うのだが、どうなのですか。  いや、よろしい。それでは、これは意地悪な質問になるのだけれども、どうですか、国土庁の土地局長はどうなのです、どういう考え方を持ちますか。
  111. 藤原良一

    ○藤原政府委員 私も農地法の内容、解釈はつまびらかにしておりませんけれども、休耕の場合は、恐らく一定期間の休耕でございますので休耕期間が過ぎれば比較的容易に農地に復することができる、そういうことで農地法の適用対象にしておられるのだろうと思います。しかし、それが相当長期にわたり、実態上農地でなくなればこれは問題じゃないかというような気がしますが……。
  112. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、農地といいましてもこういう例がありますよ。農地だといって残すためにキリの木を植えておいてある土地、これは地目でいうたらやはり農地なのです。田なのです、畑なのです。そうすると、農地法の適用を受けてその土地の売買というものはできなくなっている。実態としてそういうようなケースはたくさんあるのですよ。だから、根本的に利用権と所有権との関係を徹底的に論議するのが土地基本法でなければならない、そこから出発しなければ日本土地利用という問題については解決しないと私は思っている。  都市計画法なんかにいたしましても用途を制限している、あるいは高さを制限している。これはすべて公共福祉ということを前提にして、利用権ということを中心にして物事を考えなければ用途制限なんかはできないと思うのだが、建設省、どうでございますか。
  113. 真嶋一男

    真嶋政府委員 お答えいたします。  今の都市計画上の利用制限は、先生のおっしゃるように公共福祉ということが基本にございます。
  114. 井上普方

    井上(普)委員 すなわち、もう既に日本においては公共福祉のために利用権を制限するのだという思想は定着いたしておるのであります。それを事改めて言わなければならないところに今の日本土地制度それ自体についての混乱があるのじゃないか。いいますならば、これは今までなあなあ主義で自民党政府はやってきたところに今日のツケが回っている。日米協議で問題になっている談合と同じですな。徹底的に論議しない。もちろん日本民族というのは農耕民族だ。だから他の狩猟民族と違って、農地土地に対する執着というものは非常なものがあると思う。あるけれども、ここらあたりを明確にしなければ、先ほど申しました宅地並み課税という問題はここに大きな衝突が起こってくると思うのですが、建設大臣、どうですか。
  115. 原田昇左右

    原田国務大臣 まさにお話しのとおり非常に大事な問題であります。しかし、大都市住宅宅地供給というのは焦眉の急でございますから、土地基本法をぜひ仕上げていただいて、土地に対する基本理念を明らかにしていただくということが今のコンセンサスづくりに非常に役に立つのではないかと大いに期待をいたしておる次第であります。
  116. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私が聞いておることに御答弁がないようだ。私は、この基本法にそういうような問題を提起して、それの解決のためにどうあるべきかということをするのが土地の基本問題だと思っている。土地が持っている性格なんだ。それを論議するのが土地基本法であるべきだと思うのだが、その点が欠落するというか、それが中心になっていない。だから、このたびの土地基本法という法律の名前を変えぬか、変えたらどうかという意見を私は持っておるのであります。  それはともかくといたしまして、先ほど申しましたように、宅地並み課税ということになると、考え方として制度上農地を、すなわち耕作権をなくするわけだ、税法上にしても何にしても。宅地並み課説についてはそこまで考えられておるのかどうか。私はなくするのが当然だと思うのだけれども、あなたはどういうように考えますか。
  117. 木内啓介

    木内政府委員 先生御承知のように、固定資産税は基本的には、この性格は大変難しい異論がありますけれども、財産税というふうなことになっていまして、適正な評価額に基づいて課税するのが原則になっております。  ところで、市街化区域内農地でございますけれども、先ほどから御質問ございますように、農地法上の扱いは届け出のみで転用が可能になっております。したがいまして、これを反映しまして、価格も一般の宅地と比較して同じような値段で自由に売買できるというのが実態でございます。そういうことから、市街化区域内のいわゆる一般の農地とは法的にも性格が違った扱いを受けているわけでございます。そういうものでございますので、これを宅地並みと申しますか、通常の固定資産税評価額、原則どおりに評価することも私は可能だと思います。  ただ問題は、市街化区域内に存在する農地をすべて宅地並みに課税するということは、まじめにお百姓をやっていらっしゃる方もおられますので、性格上もいろいろ問題があるということで、現在先生御承知生産緑地制度というのがございまして、そこで市街化区域内でもまじめに長期的に農業が継続できるという制度もございます。そういうことで、その他のところは宅地並みに課税する、言葉がよろしいかどうかわかりませんけれども、原則どおり課税するという考え方もあり得るのではないかと思います。
  118. 井上普方

    井上(普)委員 そうですか。それでは、ちょっと私も知らなかったのだが、市街化区域における農地は届け出によって農地でなくなるのですか。
  119. 木内啓介

    木内政府委員 お答え申し上げます。  届け出によって一般の宅地になることが可能でございます。
  120. 井上普方

    井上(普)委員 可能になるというが、そうすると、すなわち耕作権は全部そこで放棄するということが届け出一つによって成り立つのですか。
  121. 木内啓介

    木内政府委員 放棄するという言葉がどうかわかりませんけれども、転用が可能であるということはそのとおりであると思います。
  122. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、そういうような公共の用に供するために、都市においては市街化区域農地法の適用除外のような形になっておると考えてよろしゅうございますか。農林省いかがです。
  123. 日出英輔

    ○日出説明員 お尋ねの件は、先生御承知のとおり、農地法の四条と五条に転用の制限がございますが、その中で市街化区域内の農地につきましては、四条も五条も届け出で農地以外のものにできるあるいは農地以外のものにするための権利移動ができることになっておるわけでございます。
  124. 井上普方

    井上(普)委員 それでは、宅地並み課税をするときには所有権者、農地法で言う耕作者の意思によって結局農地法の適用除外ができるということになりますね。今度は耕作者の意思をネグレクトして宅地にしてしまうんだということになりますね、宅地並み課税は。どうです。
  125. 木内啓介

    木内政府委員 お答え申し上げます。  税金をかけるかどうか、税の世界の話でございますけれども、ただ、私どもとしましては、政府閣議決定に基づきまして、市街化区域内で農地として残すべきところと宅地化するところを明確に区分しようとしておりますけれども、その際、現実問題として、そこの農業をしていらっしゃる方々の意思というのが大きく入ってくるというふうに考えている次第でございます。
  126. 井上普方

    井上(普)委員 公共の用という観点から耕作権というものを付与しておる、これは国が付与しておるのですね。だから、その耕作権を公共の用に属さないと地域が考えるならば、耕作権それ自体についての考え方を変えていってもいいんじゃないだろうか、私はこのように感じられるのであります。  そこで、問題になるのは個人の意思でございますけれども、個人の意思で果たしてそういうようなことにしていいか悪いかという問題が私は起こってくると思う。しかし、公共の用に供するということになりますと、所有権あるいは利用権に対しては、土地公共福祉を優先させるということになりますと、それだけに個人の意思というものはなくなってくる。そうすると、農地法との関係でここに摩擦が起こってくると私は思うのだが、そこらはなあなあで何とかなるわという行政的な措置でやるべき時期はもう過ぎているのじゃないかと私は思うのだが、そこらあたりの考え方はどうでございますか。
  127. 木内啓介

    木内政府委員 大変難しい問題でございますけれども、先生御承知のように、現在、長期営農制度という制度がございます、税制上の制度でございまして。これは平たく申しますと、十年間長期営農をするという意思で現に五年以上営農をし続けた場合は免除されるという制度でございます。これは主として都市計画というよりは農家の方の意思、適当な面積要件とか一定の要件はございますけれども、意思でもってどちらにもなる。  問題ございますのは、税金上は軽減されておりますけれども、農家の方の意思でいつでもやめて売買することができるというふうな状態になっているわけでございます。ところが、片方で都市計画法上の制度としましては、御承知のように生産緑地制度というのがございます。生産緑地制度というのは、税金上は農地としての税金がかかっておりますけれども、計画的に、例えば十年間なら十年間制限がかかります。原則としてそのままずっと農業経営をしなければいかぬという制度があります。したがいまして、都市計画的に考えますと、きちっと農業を継続していけるような制度、ただいまで申しますと、生産緑地制度みたいな制度ですと公共性といいますか、都市計画の観点からも問題はないのでございますけれども、長期営農制度というのは現在の制度でございますが、これが個人の意思によってやめようと思えばいつでもやめられるというふうなことになりますと、そこに一つの問題があるのではないかというふうに私どもは考えているわけでございます。したがいまして、きちっと振り分けられる形がまず第一に重要でないかということを政府の対策要綱にも書いてあるというふうに認識しております。
  128. 井上普方

    井上(普)委員 この問題は根本的にさかのぼらなければならないと私は思うのです。先ほども申しますように、所有権と利用権との関係農地法という法律公共福祉のためにやっている耕作権を重視した法律なんだ。そこらあたりの関係が、まだともかく、もう何年たちますか、都市計画法ができてからもう二十年たつのですよ。ここらあたりの関係をきっちりとしておかなければ、個人の意思によって、個人のわがままによって、わがままと言ったら語弊があるかもしれません、けれども、個人の意思によって、こういうような宅地並み課税というものが毎回問題になってくる。これはやはり耕作権それ自体、すなわち公共福祉という考え方でもって解決していかなければならない問題じゃないかなと私には思われるのであります。ここらあたりを根本的にメスを入れるお考えがあるかないか、建設省及び農林省の御所見を承りたいのです。
  129. 木内啓介

    木内政府委員 ただいま先生のおっしゃるとおりだと思います。そういう方向で私どもも検討しているつもりでございます。大変難しい問題がありますけれども、いろいろ検討させていただきたいと思います。
  130. 谷山重孝

    ○谷山説明員 先生の御質疑を十分踏まえまして、都市計画法、農地法の関係を考慮しながら、農地の所有権、利用権の関係も検討していきたいというふうに思っております。
  131. 井上普方

    井上(普)委員 ここだけで、この場逃れの話じゃないと私は思うのですよ。それでなければ、日本土地制度というものは根本的に解決できないと思う。そういうようなために、私は先ほどちょっと時間があったので、あそこで思いついたままに、あれは一体どうなっているのだろうかと実は思いつくままに質問をした次第なのであります。しかし、基本の問題だと思う。ここらあたりをおろそかにしながらともかく上っ面だけなでておるのでは土地基本法にならぬのではないかな、我が党も出しておるのですから大きな声では言えませんが。ここらあたりの問題を解決していく基本を考えていくことがすなわち土地基本法であるというために、あえてこの問題をちょっと質問いたした次第であります。  それから続いて、この間視察で名古屋、神戸、大阪へ行きまして、いろいろお伺いした。そうすると、この前もちょっと申しましたが、区画整理によって生み出されておる宅地、神戸及び名古屋圏においてはこれの四割がまだ未利用地になっておるというのですね。だからちょっとお伺いするのだが、この区画整理事業制度というのは、建設省がこれでもか、これでもかというぐらいたくさんの種類の区画整理手法を実は編み出しておる。中にはこの十五、六年の間に一遍しか利用しなかったという区画整理手法もあります。そんなことで、ともかく区画整理区画整理というので大いにやらせたのだが、区画整理は今全国で何ヘクタールできて、そのうちで幾ら未利用になっているか、また自治体施行の部分はそのうちの幾らで、何割まだ未利用になっているか、その点ひとつお伺いしたいのです。
  132. 真嶋一男

    真嶋政府委員 お答えします。  土地区画整理事業の施行済みの状況でございますが、六十二年十一月現在の数字で、全国で七万五千百五十九ヘクタールが区画整理済み地でございます。それで、未利用の宅地がそのうちどれだけあるのかと申しますと、これが二万二千百九十一ヘクタールで、比率でいきますと二九・五%でございます。  なお、三大都市圏についても申し上げさせていただきます。三大都市圏でございますと、区画整理済み地が三万五千七百五十七ヘクタール、それから未利用が一万八百十九ヘクタール、それで未利用の宅地の比率が三〇・三%と、全国よりやや高くなっているということでございます。この未利用の比率は、三大都市圏の中では首都圏、中部圏、近畿圏、多少差はありますが、大体この前後でございます。  以上でございます。
  133. 井上普方

    井上(普)委員 未利用の土地がこんなにあっていいのだろうかという気がするのですよ。区画整理事業というように手とり足とり、ともかくあらゆるなにを出しながら、あめをなめさせながらつくった区画整理宅地です。それがまだ三〇%、名古屋圏においては、愛知県において聞いたところが、未利用が四〇%あったのですね。こんなところはどうにかなりませんか。
  134. 真嶋一男

    真嶋政府委員 お答えいたします。  初めに名古屋圏の数字は、私の方はもうちょっと低うございまして三二・二%になっておりますので、そこはあれですが、いずれにしろ三〇%というような大きい数字でございます。  この区画整理、全国で約七割が組合、公共団体が残りの三割という状況ですが、三大都市圏では八割が組合ということで非常に主力になっております。それで、実はその組合のやるものに対して、全く地権者だけでやって、私どもは非補助区画整理と申しますが、これが三大都市圏で八割ございますので、これにつきましては行政的には、事業の認可を知事がやっておりますけれども、そういう関与ということになっておりますが、それでもいいのかということにもなろうかと思いますけれども、区画整理済み地の市街化の速度は七%台、七・一%でございます。区画整理済み地というものは、その地域は一般の農地よりも宅地化のスピードは倍以上であるということでございます。当然といえば当然でございますが、それだけの効用は果たしていてくれるということでございます。
  135. 井上普方

    井上(普)委員 局長さん、あなたにちょっとお伺いするのだが、私はこの間委員長を隊長といたしまして名古屋で聞いたのですよ。そのときは四割以上が実は未利用であったのです。あなたよりこっちが情報が新しいのだ。確かに現地で聞いたのだから間違いないのだよ。
  136. 真嶋一男

    真嶋政府委員 それは私どももう一回チェックいたします。今の数字のことについては、私どもは六十二年十一月の数字でございますので、委員の方が新しいということであると思います。
  137. 井上普方

    井上(普)委員 それからもう一つ、今組合の施行が八〇%だ、その進捗率とか何とか率は七%で農地の倍だと言うが、農地というのは何ですか。
  138. 真嶋一男

    真嶋政府委員 区画整理の対象となるところはほとんど農地でございますから、その農地の一般的な市街化のスピードが、三大都市圏でございますと農地宅地化していく比率は大体二・五%ということでございます。それよりもスピードが二倍以上上がっておるということで、効用を認めたいということを申し上げたのでございます。
  139. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、今農地とおっしゃるのは、市街化農地のことですか。
  140. 真嶋一男

    真嶋政府委員 さようでございます。
  141. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、区画整理事業というのは、市街化調整区域においても区画整理事業としてやっておるところはかなりあると私は思う。それで、もう一度聞くが、市街化調整区域の中での区画整理事業の面積市街化区域の中における区画整理事業の比率は一体どれぐらいになっているのですか。
  142. 真嶋一男

    真嶋政府委員 調整区域での施行は組合施行でございますが、比率は何対何というほどでなく、調整区域の方が少のうございます。ほとんど全部市街化区域の中で行われておるということでございます。
  143. 井上普方

    井上(普)委員 市街化区域の中において、しかもそれが区画整理事業をやらせて七%というのでは、これは成果が上がっておらぬのではないですか。どうなんですか。
  144. 真嶋一男

    真嶋政府委員 それはもっと高ければ、もちろん私どもそれを期待して、いろいろな先ほど来先生のおっしゃっておられるような税制、金融上の施策を講じているところでございますが、しかし現実に三大都市圏での区画整理は組合が非補助でやっておるのが八割ございまして、しかもそのうち三割は残っているけれども、逆に七割は役に立っている。もちろんこれが十割であるということが望ましいわけでございますが、私どもはやはり今の仕組みの中でできるだけこれを促進していくように努力をしていくということを期待しておるところでございます。
  145. 井上普方

    井上(普)委員 しかし制度上、非補助組合というのがほとんどだ、こう言うが、当たり前だ。とうとい税金まで出して、そしてこれをあなた、区画整理事業をやらしておる。それが三割も四割も未利用地でほっておかれたらたまったものじゃない、我々は。しかし、制度の上であらゆる恩典を加えておるんじゃないですか、お宅の方の土地区画整理法という法律は。十二、三ありはせんかいな、新しい手法については。それほどまであなた方の優秀な役人の頭を使わして法律をつくって国会提出して、区画整理手法は十二、三あると思うんだ。それを利用しながら、つくるのがそんな遅いんじゃちょっと問題だと思うし、また、つくった宅地が三割も四割も残っておる、未利用であるということについては大問題だと思うんだがね。どうです。
  146. 真嶋一男

    真嶋政府委員 区画整理済み地の未利用地の問題につきましては、現状で満足すべきものと全く考えておりませんで、私どもも何とかして利用率を上げたいというふうに苦心をしております。平成二年度の予算要求の中でも今、新しい手法の検討をしているところでございます。これを少しでも、一%でも二%でも上げるようにこれからも努力をしていきたいと思っております。
  147. 井上普方

    井上(普)委員 そこで問題になっているのは、自治体でやっておるものの中で保有地というのがありますね。保有地というのはどれくらいのパーセントであるのですか。
  148. 真嶋一男

    真嶋政府委員 保留地でございますね。これは一概に言えませんけれども、大体一〇%くらいのところが多うございます。
  149. 井上普方

    井上(普)委員 この保留地というのがどうも、市街化しておっても、何ですかぽつんと草っ原になって置いてあるというところがたくさん見当たります。先般も名古屋で聞きますと、保留地がとにかく売れなくて困っておるんです、こういうようなお話もあった。わずか一〇%ですか。しかし名古屋では四〇%と言いました。ああ、それに加えると――保留地、あなた入れてないんじゃないですか、さっきの三〇%は。
  150. 真嶋一男

    真嶋政府委員 私が申し上げておるのは全体の数字でございます。
  151. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、これは名古屋で現実に私が聞いた数字なんだ、四〇%というのは。あなた三〇%と言うけれども。
  152. 真嶋一男

    真嶋政府委員 数字のことで、実は私どもの調査は、先生がお聞きになったのは名古屋市でございますか。(井上(普)委員名古屋近郊だ」と呼ぶ)ああ、そうですか。私どもは、この数字は中部圏としてとらえておりますので、少しその方が率が下がっているのかもしれません。いずれにしろ正確に把握いたしておりませんので、恐縮に存じます。
  153. 井上普方

    井上(普)委員 いずれにしても、区画整理事業を国はあめと太鼓をたたいてやったわけだ。ところが、それは三〇%も未利用でほってあるということは許されないと思うのですよ。大臣、どうです。
  154. 原田昇左右

    原田国務大臣 確かに、井上委員指摘のように、区画整理済みの未利用地が三〇%もある。(井上(普)委員「四〇%だ」と呼ぶ)名古屋では四〇%というお話でしたが、私も今拝聴しておって、これはいささか多いなという感じを率直に持ちました。  そこで、今までこれについては相当な促進策を税制上は講じておるわけですね。例えば換地を指定してから三年内なら優良宅地造成事業として安い税率で優遇されるとか、そういう税制上の措置もあり、金融上の特利で金融公庫が出すとかいろいろあります。それから地方公共団体に対してもいろいろ指導が行われておるわけでありますが、今後ともこれだけで果たして十分かどうか。現に三〇%もあるというようなお話でもありますので、少しこれらの施策をさらに徹底をさせて、ぜひとも早期の宅地利用を促進してまいることが必要であるということを痛感いたしました。
  155. 井上普方

    井上(普)委員 適切なる措置を早急に打たれるように希望いたす次第であります。  幸いきょうは、二日にわたりまして清算事業団の方が呼ばれておりまして、ちょっと恐縮なんでございますが、杉浦さん、この間から私、あなた方にとっては非常に迷惑なことを申しておる。例えて言うならば、一般公開入札はやっちゃいかぬ。これは地価公示制度及び国土利用計画法からもそういうことは許されぬじゃないかと私らは思っております。一般公開入札というのは、これは他の財貨に対してはあり得ることだけれども、やらなければいかぬけれども、土地に関しては、土地公共性からいってやるべき性格のものではない。そしてまた法的にもそういうように制限が加えられておるということになっておるわけであります。しかしまた、おたくのこの間の鉄道の再建法の中では公開入札に付さなければならぬというようなことも書いてある。法律の二面性、これは内閣、考え方がともかくごじゃだ。全然思想が統一してないからこういうことになる。あなたのところはお困りだろうと思うんだ。しかし、先般来、私だけではなくてほかの議員からの参考人として来られておるあなたとしては、一体清算事業団が持っておる土地を今後どうするおつもりですか、ひとつお伺いいたしたい。
  156. 杉浦喬也

    ○杉浦参考人 今先生御指摘のように、国鉄清算事業団法三十条の規定が私どもの処分の憲法みたいなものでありまして、これによりますと、土地の処分の原則は公開入札、ただし随意契約の場合は地方公共団体、公用、公共用に供する場合に随契が可能であるという原則になっておりまして、私どもその原則に従いまして今まで実行をいたしておりましたが、土地投機の問題が出てまいりまして、実際上の公開入札の実施対象は監視区域以外の大変問題の少ないところにのみ限られておりまして、実績的には非常に少ない数でございますし、また最近、閣僚会議によりまして慎重な配慮のもとに公開入札の凍結を解除するという仕組みがなされたわけでございますが、実際上はなかなかこれは地方団体と相談しておりますと、まだ困るということでありまして、実績的には今まで監視区域内では六件にしかすぎません。これからもやはり原則に従ってやりたいと思いますけれども、いろいろな事情の中で非常に難しいと思います。  そこで、私どもはそうも言っておられませんので、考え方といたしましてその土地の値段を表にあらわさないで処分できないか、例えば土地信託制度の活用というやり方等々、あるいは最終的には土地の証券化という難しい内容でございますが、そういうもので何とか一平米幾らという値段があらわれないで、地価に影響のないような方法をとりたいということで、私ども審議会の答申を得た上で今具体化に踏み出しているところでございます。  一つの例といたしましては、最近渋谷の駅の近くで土地信託制度の第一号を適用いたしまして、ここで今作業を進めている次第でございますが、ただそれは比較的中規模のものでございますから、全体の大きな、汐留等の用地につきましては、これはもう少し検討を要する、さらに基本的には大きな用地について、都市の真ん中にあるものについてはよく自治体も交え、将来の利用計画、これをしっかりと確立した上で、また地価に影響のないような処分方法を考え、これを処分してまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  157. 井上普方

    井上(普)委員 私は、今のお話を承っておると、たくさん問題があると思うのですよ。それは、先ほど申しましたように、土地基本法あるいは地価公示法に反して一般公開入札をやるのは私は間違いだと思っている。ただ、政府がそこらあたりをごまかしごまかししながら今日に至っておるから、こういうことになるのだと私は思う。大蔵省の連中は会計法を変えなければならないにもかかわらず、これを変えてない。そしてまた、この清算事業団法の中には、原則として一般公開入札ということをまた入れ込ましておる、私は大きな間違いだと思っております。  時間が参りましたのでこの程度にいたしますが、もう一つ問題になるのは、証券化という考え方、これは土地本位制に変わることなんですよ。金本位制という通貨の制度がありましたが、通貨が日本ではもうこれは土地本位制になっているのだ、それをさらに促進するおそれがないか私は憂えるものです。  この点を指摘いたしまして、十分この証券化ということについては土地担当大臣である石井さん、あなたもこのことについて重大な関心を持ってやっていただきたいことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  158. 大塚雄司

    大塚委員長 森田景一君。
  159. 森田景一

    ○森田(景)委員 石井大臣も連日の審議で大分お疲れのようでございますから、少し元気の出るようなことで御質問したい、こういうふうに思っております。  最初に、この土地特別委員会ももう三日間連続で審議をしておるわけでございますが、土地高騰ということでこれほど熱心に議論するというその原因はどこにあると大臣は考えていらっしゃるのでしょうか。
  160. 石井一

    石井国務大臣 我が国土地が余りにも希少であり、高価であるというそういう客観情勢の中に土地の神話というふうなものが現に存在しておるということ、また土地価格というものがどうしても市場メカニズム、需給のバランスというような中に形成されてくるわけでありますが、余りにも需要と供給とのアンバランスというものが存在しておる、そこへもってきて、大変景気がいいといいますか金余り現象等がございまして金融の緩み、過剰流動性、そういうふうなものが非常に悪い影響を与えておる、こういうようなところではないかなと思っております。
  161. 森田景一

    ○森田(景)委員 通告にない質問でございますので、突然のことであったかと思いますけれども、私は、土地問題が大きな問題になっているというのは、基本的には住宅問題ということだと思うのです。我々の生活の基本は昔から衣食住、こう言われているわけですね。衣の方は今暖冬で冬物衣料も売れないという状況にあるわけです。もうどの家庭でも着るものは心配要りません。食の方は、これも御存じのとおり、もうお米も余っている、こういう状況でございます。これは心配要りません。生活の基礎になる一番深刻なのがこの住宅問題だ、こう思うわけです。この住宅問題が確保される、解決されれば、土地高騰があっても何でも我々の生活にはそう大きな影響がないはずでございますけれども、残念ながら土地高騰というのが住宅を持つということについて大変大きな障害になっている、そういうことがこの土地高騰ということについての大問題になって、論議を進めなければならない、こういうことだと私は思っているのですね。  それで、私も実は二十年ほど前に千葉の県会議員をしておりました当時でございますけれども、ヨーロッパの住宅土地状況を調査に行ったことがありました。二十年も前と今と変わっているかもしれませんけれども、特にイタリアのローマに行きましたときに、現地でこういう話を聞いたのです。土地でもうける業者は紳士の仲間入りができない、こういうことがローマでは言われているそうでございます。したがいまして、土地でもうけようという業者は余りいない、こういう話を聞いてきまして、私も大変興味を深くしたわけでございます。  ところが、日本ではそういうことは通用いたしませんで、何しろ大手の不動産業者というのは日本を代表するような紳士という形で通用しているわけでございます。どうしてこんな違いがあるのかなと考えたことがあるわけです。それはやはりヨーロッパと日本の国民性の違いではないかなとも思ったのです。といいますのは、ヨーロッパでは土地を持っておりましても、御存じのとおり戦乱がしょっちゅう起こっておりまして、土地を持っていても財産にならない、こういうことですから、土地が余り財産の対象としては考えられないという長い歴史があったのではないかと思うのです。  ところが、日本はそういう外国からの侵略というのがほとんどありませんでした。したがいまして、特に農業立国という立場でございますから、土地がなければ生活ができない、そういうことから土地に対する執着といいますか、そういう考え方は長い間の国民性の違いによって起こったのではないだろうかな、こう実は思ったのですが、その辺のことについて大臣はどのように考えていらっしゃいますか。
  162. 石井一

    石井国務大臣 今の御意見を伺っておりまして、一、二本当に感ずるところの所見を申し述べるわけであります。  まず第一点は、アメリカ大陸がどれだけの値段で買えるかというデータを見ておりますと、四百八十兆円。しかしながら日本列島が一千六百兆円、こういうデータが出ております。異常なほどの違いでございます。あれだけ大きな大陸が日本列島の三分の一で買えるのかな。確かに日本列島よりも二十五倍大きいわけでございますから、そういうことから見ますと、日本アメリカとの単純な対比として一対八十とか一対九十、こういう格差が土地価格において出てくるわけです。ヨーロッパの方はもう少し高いかとも思いますけれども、各国によって違いますけれども、少なくとも土地に対する価格というものが、欧米の場合は庶民の通常の所得によって手の届く場所にある。したがって、余り投機というものもないし、平常な一つの資産形成というものができる環境にある。我が国の場合は、それが異常に開いてしまっておる。ここに一つの大きな問題があるのではないかな、こういう感じがいたします。  それから、どうしてこういう問題が起こっておるかということに関します衣食住の住に対する問題。これは至極当然な見識だと思うわけでありますが、我が国の場合は一家の長男が家を継ぎ、そして土地を持つ。次男なり三男は医者にするとか技術者にするとかあるいは腕に職を与え、学歴を与えて裸一貫しっかりやれ、だから医者になったり、医者が間違うて政治家になった人もありますが、いろいろあるわけですけれども。  要するに私の言わんとすることは、資産というのは家つきで長男に属する、そういう感覚がございまして、比較的町へ出ていって資金を稼ぐ、そしてまたふるさとへ戻ってくるというような状況がありましたけれども、最近我が国サラリーマンなり庶民の考え方は、小さくてもマイホームを得たい、そういうような住に対する志向がふえてまいりました。また、我が国住宅政策におきましてもそういう形のものを一時は推進してきたわけでありますが、今となれば残念なことに、特に東京の場合などなかなか手が届かぬという状況にきております。  したがって、私は、もう一度住宅政策を転換するわけではございませんけれども、若いときに一時間、二時間かかって通勤するということを少し方向転換して、仮に賃貸アパートでもなんでも、職住接近という住環境、生活環境に変えていく。そのかわりに中年、高年になりました場合には多少マイホームが持てるというような形に住宅政策自体を変えていかなければいかぬ、そういう方向が必要なのじゃないか、そう考えております。
  163. 森田景一

    ○森田(景)委員 先日の委員会におきまして大臣はいみじくも、大臣の命は花の命より短い、こうおっしゃったわけでございます。名言だと思いますね。私は、少なくとも大臣は二年、三年とやって一つ政策を実現させる、こういう姿勢が望ましいと思っております。今までの長くても大体一年で交代する、こういう仕組みというのは非常に日本はよくない仕組みだと思っているわけでございます。仮に短い命でありましても、大臣となったからにはその任期中にどうかひとつ立派な政策を実現させていただきたい、このように思っているわけでございますが、今お話ありましたように住宅問題を解決する、これが一番先決である。そのために今回この土地基本法案も出してこられたと思うのです。  端的に申し上げますけれども、この土地基本法案が成立いたしますと土地は安くなりますか。
  164. 石井一

    石井国務大臣 花の命は短い、こういうことをついつい申し上げたわけでございますが、それだけに短期間の中に必ず実績を残したいという気持ちを持っております。また、これだけの重要な法案を担当する立場に立ったことにやりがいを感じております。  これからがその御質問に対する答弁になるわけですけれども、願わくは、この法案だけでは宣言法であり憲法というふうに言われておるわけですから、その後どうするかということを打ち出しませんと意味がないと思っております。私は、先日土地関係の閣僚会議で各省各官僚に対しましての強い要望を申し上げました。と同時に、タイムリミットは年内だ、こういうことを発言しておるわけでございます。  私が申しておりますのは、基本法案ができるということについては与野党も、国民からも一応の賛意を示されておるし、また期待も持たれておる。しかし、しからばどうなるのかというところが非常に大きな問題である。もちろん、政策の中には短期的なものと中期的なものと長期的なものがあるでしょう。長期的なものの中には何百万戸かの新しい住宅供給する、したがって余りそう買い急がなくても結構だ、ひとつ夢を持ってしっかり働いてもらいたい。中期的なものに関しましては、具体的に何と何と何、例えば農地宅地化ということもあれば、未利用地の利用、そのほか調整区域市街化区域にする問題、交通との一体化の中に宅地開発していく問題、臨海地区の埋め立てとかいろいろございますけれども、そういうおおむねの政策方向を示す。そして、短期的にはとりあえず来年政府建設省としてこれだけのものに着工するというものを出す必要があるのではないか。その中から、直ちに土地の値段が下がるということを言うのは少しおこがましいかもわかりませんが、そういう中からこの問題は徐々に解決方向に向かう、そう確信しております。
  165. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣も大変熱が入っているようでございますが、我々としましては、この土地基本法案に対する基本認識といたしましては、一つは先ほど大臣も言われました土地神話をなくしていきたい。土地の資産としての運用を立ち切っていきたいというのが目標でございます。第二番目が未利用、すなわち保有から利用へ、いわゆる公共福祉へ、これが二番目の認識でございます。三番目は生存権、生活権の確立。住めないとか持てない、こういった問題を解消していきたい。これが我々の基本認識でございます。そういう認識に立ちまして、この土地基本法案についてもいろいろと考えを申し上げているわけでございます。  先ほど大臣も言われましたように、我々としてもこの土地基本法土地に関する憲法であるという認識を持っております。ただ、政府提出土地基本法案基本理念を前面に出したいわゆる宣言法である、こういうことは言われておりまして、大臣もお認めになったところでございます。国民が求めておりますのは実効ある土地対策の実施でありまして、政府案が極めて具体性に乏しい宣言法にとどまったということは非常に残念だと思っておりますが、ただいま大臣も十一月をめどにして、あるいは年内をめどにして積極的に対応を進められる、こういうお考えを示されましたので、また後ほどそのことについて詳しくお尋ねしたいと思っております。  その中で国民が大変注目いたしておりましたのは、地価高騰に伴う利益の社会還元ということでございますけれども、この法案策定の過程では、価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担が課せられるという考え方基本理念に盛り込まれたというふうに伝えられたわけでございますが、これが経済界などの強い反対に遭いまして、最終的な条文では「適切な負担が求められる」、こう大きく後退したわけでございます。適切な負担が課せられる、このようにすべきであろうと思いますが、この点について大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  166. 藤原良一

    ○藤原政府委員 申すまでもないことですが、土地の価値は、道路や鉄道等の社会資本の整備等、その土地以外の外部的要因によって増大する場合が多いわけでございます。こういう土地所有者等がみずからの努力によらないで利益を受けることに対しまして、不公平感もございますし、また資産としての有利性もそれゆえに大きい、ひいては国民一般の土地に対する執着意識も強くなっている、そういう現状だと思います。  そういうことに対しまして、第五条におきましては、外部的要因による土地の価値の増大によって利益を受ける者に対しては、公平の確保に資するほか、資産としての土地の有利性を減殺するために「利益に応じて適切な負担が求められる」べきことを基本理念として明らかにしたものであります。ただ、表現としまして、適切な負担が課せられるじゃなしに「適切な負担が求められる」と規定してございますが、表現に違いはございますが、その趣旨、内容においてはほとんど変わりないと考えております。  ただ、適切な負担が課せられるというのは、公的機関によって公的な租税公課とか、あるいは受益者負担金、そういったものが現実に課せられるんだというニュアンスが強いと思いますが、「適切な負担が求められる」というのは、そもそもそういう土地についてはその土地性格として負担が求められるんだ、そういう社会的な責務が内在しているんだ、そういう広い意味が込められているのではないかというふうに解釈しております。
  167. 森田景一

    ○森田(景)委員 宣言法ということでございますから、そういう御答弁になろうかと思います。後ほどこれについてはいろいろ協議があると思いますので、この辺でとどめておきます。  先般国土庁は、全国の都道府県が七月一日現在で調べた基準地の地価を発表しております。この一年間の全国平均上昇率は、住宅地が六・八%、商業地が七・五%で、両用途地域とも前年に比べて伸びがやや鈍化したということでございます。東京や神奈川県は初めて地価が下落したということでございますけれども、一方、大阪とか地方の都市で大変上昇しているわけでございます。  私の資料によりますと、私の住んでおります千葉県では二四・二%、山梨県で一〇・七%、静岡県で一七・三%、愛知県で一四・四%、京都が二八%、大阪が三八・三%、兵庫が一六・七%、奈良が二五・五%、このようにやはり相変わらず地方で地価高騰が続いているという状況でございます。これに対して東京あるいは首都圏では、監視区域をきちんと設定して上昇を抑えて、その効果があらわれた、こう言われておるわけでございます。地方がこのように高騰していった原因というのはどういうことなのでしょうか。
  168. 藤原良一

    ○藤原政府委員 一つには、先行して高騰いたしました東京圏の影響が割安感等を生じまして、東京圏の周辺あるいは地方圏の方に波及していったということが言えると思います。さらに地方圏について見ますと、やはり都市部から地価が上がっておりまして、その高騰がその都市の周辺部に波及していくということで、東京圏の場合と同じようなパターンをたどっておる場合が多いと思います。それに金融緩和基調が依然として続いておるといった背景もございます。さらには、地方都市によりましては、大規模プロジェクトとか都市開発等の都市整備に伴って当然、効用増と申しますか、土地生産性が上がり、上がるべくして上がっておるところもございますが、大部分はやはり東京からの波及とか金融の緩和基調に支えられた、どちらかといいますと手当て買いのような需要が非常にふえたんだろう、そういうふうに見ております。
  169. 森田景一

    ○森田(景)委員 報道によりますと、石井長官は十月三日の閣議で、地価問題の解決には不動産業者や金融機関の指導、地方自治体の積極的な取り組みが不可欠との観点から各閣僚に協力を要請した、国土庁として地価抑制に全力を挙げる、こういう方向を示したというように伝えられたわけであります。今まで対策というか対応を見ておりますと、どうも後手後手に回っている嫌いがあると思うのですね。長官はその点についてどう感じていらっしゃいますか。
  170. 石井一

    石井国務大臣 確かに結果を振り返ってみますと、いささか後手に回ったというようなところがあるように思います。監視区域制度が有効に機能しておると申しますけれども、これといえども事前に手を打ちませんと、問題が起こってから打ったんでは相当効果が薄いわけでございますが、私が就任いたしましてから、全国知事会議でも発言をいたしまして、そういう強い要請をいたしました。要するに、これだけの県がばらばらとありますと、隣接しておりまして、片一方の方では監視区域がかかっておる、そうして片一方はかかっていない、こちらの方が、かかっていないところがどっと上がっていくというような、都道府県制度の一つのひずみというようなものも明らかに出ておるところもございまして、そういう点、今後も厳しく注意をしていきたいと思っております。  それから金融の問題に関しましても、直接大蔵大臣に面会を求め、また大蔵省もこれまで以上に金融機関、銀行のみならず関連の金融機関に対しましてもそれなりのヒアリングを強化したりしておるわけでありますけれども、願わくはもう少し早くこういうことに手を打てばさらによかったんではないかな、そういう反省はいたしております。
  171. 森田景一

    ○森田(景)委員 先ほどの大臣の、いわゆる花の命より短いに関連するわけですね。大臣就任になった直後の問題だと思いますから、なかなかそこまで手が届かなかったということもあったかもしれませんけれども、しかし国土庁というのはずっと継続して存在するわけですから、長官がかわったとしてもそういうところをきちんきちんと手を打てるようにしなければ、ただ上がった後、上がってまた下がるのならいいのですが、先ほどのお話のように、地価が上がったら下がらない。土地神話ですね。この土地神話が崩壊できるならば、それは上がったとしてもやむを得ない、後でそのかわり下げよう、こういうこともできるわけですが、現状ではそれはまずまずできない相談なんです。  そういうことですから、ひとつ長官も、こんなこと大変失礼ですけれども、いつまで長官を続けられるかわかりませんが、ぜひ国土庁には石井長官がこういう方針だということを後の大臣にも、その後の大臣にも伝えられるように、特に地価高騰という問題については先手先手とこうやらなければいけないということをきちんと指示をしておいていただいたらいいんじゃないかな、こう思うのですね。ただ、一方では、先日も委員会で話がありましたように、各省からみんな偉い人が出向してきて二年ぐらいすると帰ってしまう、こういう欠陥もあるわけですから、その辺のところは石井長官のときに、国土庁としての人材確保といいますか、そういう体制はぜひ整える必要があるんじゃないだろうかな、私はこのように考えるわけでありますが、これは意見として申し上げておきます。  それで、大臣も先ほどお話がありました、この暮れまでには住宅対策をきちんと打ち出して、一般の庶民の方々が、サラリーマンの方々が職住接近の住宅を持てるように何とかしていきたい、こういう大変結構なお話があったわけでございます。  実は、これも新聞報道でございますが、建設省ではこの十年間で三百七十万戸の住宅をつくる、首都圏に促進地域を設けまして宅地供給する、こういう報道があったわけでございます。これは特別立法化をする、こういう報道なんです。これは通告がありませんからそちらに何の資料もないのです。特に東京圏内での今後十年間の住宅宅地供給可能量を最大三百七十万戸、四万ヘクタールと試算しまして、これを実現するために、一つは「マンションやアパート建設を集中的に進める「集合住宅供給促進地域」と、宅地開発を集中的に進める「宅地供給促進地域」を指定する」。二番目に「宅地並み課税による市街化区域内農地宅地化促進するなど、六つの方策を挙げている。」こういう報道があったのですが、これは御存じですか。
  172. 白兼保彦

    ○白兼政府委員 お答え申し上げます。  先ほど来から御質問ございますように、今の東京を初めとします大都市住宅宅地というのは、本当に喫緊の課題でございます。そういう観点から、昨年閣議決定されました総合土地対策要綱、それから建設省におきましては関連の審議会の中間答申をことしの六月にいただいておりますが、そういうものを含めまして、低・未利用地の利用の促進の問題とか、市街化区域内農地宅地化促進の問題とか、新市街地の開発整備の問題とか、そういうものの総合的な対策を現在検討をいたしております。  その中で、先ほども先生がお話をなさいました数字等が出ておりますが、これはいろいろな空閑地等、こう見て、私たちで今後どれだけのものが供給可能であろうかということで第一次の試案として数字が出ているものでございまして、この数字につきましてはまだ内部でさらに検討を進めさせていただいているところでございます。
  173. 森田景一

    ○森田(景)委員 突然の質問で大変こちらも恐縮しておりますが、大体数字はこういう内容だというお話でございます。  さらにこちらで具体的に細かく申し上げますと、「東京圏での西暦二〇〇〇年までの住宅宅地供給量試算の内訳は、①工場跡地や国公有地、資材置き場などの低、未利用地の計画的開発で百十―百八十万戸、一万ヘクタール②市街化区域内農地の計画宅地化で七十―百万戸、一万ヘクタール③低層住宅密集市街地の再開発で十―二十万戸④郊外新市街地の開発で七十万戸、二万ヘクタール」こういう試算だというわけでございますね。  「この実現を可能とする方策として挙げているのが、①国、地方自治体、住宅都市整備公団で構成する住宅宅地供給促進協議会の新設と、自治体ごとの今後十年間の住宅計画策定②都心まで通勤一時間圏内に設ける「集合住宅供給促進地域」、通勤一時間圏外での「宅地供給促進地域」の指定③市街化区域内農地宅地化、有効利用促進④工場跡地、低層住宅密集地の有効、高度利用促進常磐新線など交通アクセス整備と一体となった新市街地での宅地開発⑥民間と公団、公社の共同事業推進住宅取得税制の拡充、家賃の一部所得控除制度創設など、中堅勤労者に対する住宅対策の強化の六項目。」こうなっているんですね。今の検討の段階で、こういう内容は間違いないでしょうか。     〔委員長退席、粟屋委員長代理着席〕
  174. 白兼保彦

    ○白兼政府委員 お答えを申し上げます。  先ほども御答弁申し上げさしていただきましたが、先般、関連します審議会で中間報告をいただいておりますが、そういうものを踏まえまして、大都市地域においての住宅宅地供給を強力に促進する新たな施策というのを検討いたしておりまして、広域的な住宅宅地供給方策の策定の問題とか、市街化区域内の農地その他の低・未利用地の宅地化、有効利用の促進、そういう形のいろいろな方策を今検討さしていただいております。今、先生のお話しになりましたような内容は、関連審議会の中間答申等に載せられているものも含まれております。
  175. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間も余りありませんので、この中で一つお尋ねしたいと思うのですが、この六項目の中に「家賃の一部所得控除制度創設」というのがありますね。これは具体的にどのように検討されているんでしょうか。
  176. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 お答えします。  今回の大都市対策の検討の中でこれが行われているというのは若干正確ではないのですが、一般的に来年度の税制改正要望というのを九月段階で大蔵の方に出します。その中に建設省関係税制改正要望の中に、今先生御指摘のございました家賃の所得控除制度の創設というのが入っております。  この中身でございますが、五十平米未満の賃貸住宅の入居者につきまして、月額家賃の五万円を限度にしまして十二カ月分を所得から控除をする。それから、五十平米以上の場合には、五万円未満の場合には今のとおりでございますが、さらに加えて五万円以上の場合には、それにプラスすることの、十万円を限度としまして、その五万円を引いた額の二分の一を十二倍して所得控除をする、こういう制度を要求をいたしております。まだ要求段階でございます。
  177. 森田景一

    ○森田(景)委員 大変これはいい内容だと思っております。  私どもも、石田委員長が代表質問で、また木内委員が予算委員会で、私も大蔵委員会でこの家賃控除制度の実現ということで主張してまいりましたが、大変大蔵省の態度がかたいんですね。その点についてどう思っていらっしゃいますか。
  178. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 申し上げます。  税制改正要望というのは十二月、例年ですと予算編成の前でございますが、十二月末までかかっていろいろ議論いたしまして、その直前まで大蔵省というのは、初めからこれはオーケーですなんということは申さない、要求を受ける官庁でございますので。今のところそういう通常の反応でございます。
  179. 森田景一

    ○森田(景)委員 通常の反応だというのですね。  国土庁というのは、建設省とか大蔵省とかあるいは農水省とか、こういう各省庁を総括する立場国土庁だと私理解しているのですが、この点いかがですか。
  180. 石井一

    石井国務大臣 土地担当ということでございますが、土地住宅とが密接な関係にあり、住宅の場合は建設省が所管されておる。しかもそれの財政的負担の場合には大蔵省だ。こういうような関連が次々に出てくるわけであります。しかしながら、行政は土地だけではございません。すべての、金融、財政、国家予算という中にこれも一つ入っておるわけでありますから、今後、総合調整機構としての国土庁が、土地住宅に関しましては、土地基本法制定後できるだけイニシアチブをとってこれらをまとめていくという姿勢を貫いていくべきだと思っておりますし、私は閣議の中でもそのような立場で座長を務め、また意見を述べ、また意見をまとめて、これを推進しておるということでございます。  それから、先ほどちょっとお触れになりましたが、各省から役人が集まっておるということは、また大変意見の疎通の欠くことのない、もとの古巣へ帰りましていろいろ物も言いやすい、こういうふうなメリットもございまして、何もやってきたらすぐ帰るというようなデメリットばかりではない。私は、そういう面も評価してやっていいんじゃないかなというふうに考えております。
  181. 森田景一

    ○森田(景)委員 とにかく先ほど申し上げましたように、我々の生活の基本というのが衣食住なんですから、今、住の問題が土地高騰によって大変大きな社会問題になっているわけです。その解決の一助として建設省としては大変いい案を出したと私はこれを評価します。建設省大蔵省でチャンチャンバラバラやりますと、今の答弁のように普通の回答しかこない、こういうことでございますから、ぜひひとつ石井長官は大蔵大臣と建設大臣の間をうまく取り持って、あるいは総理大臣との間を取り持って、この住宅家賃控除制度を実現してもらいたい。来年から実現して、少なくともこの土地高騰によって庶民が住宅の不安を抱えている、その不安の解消の一助になるんだ、こういうことでぜひ実現させてもらいたいと思うのですが、決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
  182. 石井一

    石井国務大臣 長距離通勤に対します手当てということは、これだけ土地問題が大きくなり、先日もデータを見てびっくりしたのでございますが、一時間から一時間半の通勤をしておるという方が六二%か何か、東京でございます、はっきりしたデータを手元に持っておりますけれども。そういうことを考えましたときには、私は今回は、今建設省が提示しておりますいわゆる家賃に関します控除制度というものに国土庁長官としてもひとつ前向きに取り組んでいきたい、こう思っております。
  183. 森田景一

    ○森田(景)委員 前向きじゃなくて、ぜひ実現するように努力をいたしますとか、頑張りますとか、やはりこういう姿勢がなければ、花の命よりも短いということになっちゃうわけです。そうでしょう。さっき、その短い期間であってもぜひ必要なものは政策は実現さしていく、こうおっしゃったばかりですから、答弁としては大分後退した答弁だと思うのですよ。ぜひこういう制度は建設省と力を合わせて大蔵省を説得して、大蔵省だけは別格になっているんですから、説得しなければだめです。説得してぜひ実現をさせたい、こういう答弁が非常にすっきりした答弁だと思いますが、いかがでしょうか。
  184. 石井一

    石井国務大臣 前向きというのがどうも後退した答弁だと言われるのは残念ですが、私としては、やはり具体的な政策として評価するべきことであり、既に予算要求もしてあることでもあり、これが住宅問題の解決の一助になる、また庶民に夢を与える政策でもある、こう考えておりますので、ぜひ実現させたい、そのように考えております。
  185. 森田景一

    ○森田(景)委員 最初からそうおっしゃっていただけば大変すばらしい大臣である、こう評価もまた上がるわけであります。ぜひひとつ御努力をお願いしたいと思います。  いろいろ質問を予定していたのですが、時間も余りありませんので最後になるかと思いますが、私は、土地問題の解決の一環としてスーパーリバーサイド計画といったものを提案したいと思っておるわけです。どういうことかといいますと、今建設省ではスーパー堤防というものの建設を進めているわけでございます。ちょっと長官もおわかりにくいと思いますので、このスーパー堤防の内容について建設省から御説明をお願いしたいと思います。
  186. 近藤徹

    ○近藤政府委員 スーパー堤防について御説明させていただきます。  大都市圏等を貫流する大河川等では、背後に人口、資産が稠密に集積しており、また低平地に一たんはんらんした場合には水害の危険が非常に強いわけでございますが、そのような地域におきまして、従前の堤防の概念を破って幅広の堤防を築造したいというふうに考えておるわけであります。しかし、人口稠密地帯でございますから、それだけの用地を確保して治水施設だけで堤防をつくるということは甚だ常識的でございませんので、背後地の住宅やいろいろな公共用地等と一体となって地盤をかさ上げすることによって全体が堤防としての機能を確保する、また同時にその上には、せっかくでございますから区画整理あるいは市街地整備、市街地再開発、その他住宅宅地開発等と一体となって面的利用も図れるように進めていこうという発想でございます。  同時にまた、河川に面しておりますので、水と緑の潤いのある生活環境の都市環境ができ上がるのではないかということで、都市整備と一体となって治水対策の一環として進めていこうとするものでございます。
  187. 森田景一

    ○森田(景)委員 今、建設省の方から御説明があったような内容がスーパー堤防でございます。私の承知しておりますところでは、この幅広の堤防というのは約三百メートルの堤防だ、こういうふうに理解しているわけでございます。  私の住んでおります千葉県は利根川と江戸川に狭まれておりまして、この利根川、江戸川の、何といいますか、沿線というんでしょうか、これにスーパー堤防、私どもの一番北に関宿町というところがございまして、そこで利根川と江戸川が分かれています。そこからスーパー堤防をずっと、南の端が浦安でございますから、江戸川を例にとって申し上げますと、スーパー堤防をつくりまして、そして今お話しのように、区画整理とかあるいは都市計画、こういったものをその堤防上にセットする。そして、中高層住宅を建てる。緑地ももちろん必要だ。あるいはスポーツ施設東京ドームみたいなものをそこへつくったらどうか。あるいは教育施設、文化施設、こういうものをきちんと整備して、私もまだ計算しておりませんけれども、少なくとも江戸川の川沿いに三百メートルのスーパー堤防ができたら、こういう構想でつくりますと相当数の住宅の確保が可能ではないか、こんなふうに考えているわけなんですね。  ただ、住宅をつくるといいましても、やはりいわゆるサラリーマンといいますか、庶民の方々が安心して入居できるようなそういう住宅でないとつくった意味がなくなるわけですよ。先ほどの石井長官のお話のように、職住接近という立場からいきますと、東京の隣、江戸川を境にした隣にそういう新しい都市ができるわけですから、こうしたスーパー堤防の上に、主として、全部とは言いません、主として県営住宅、市営住宅、こういうものを私はずっとつくっていったらいいんじゃないかと思うのです。  なぜ市営住宅、県営住宅かといいますと、市営住宅というのは御存じのとおり、その市に住んでいる方が入居の資格があるわけです。県営住宅というのは、その県に住んでいる人が入居資格があるわけです。ですから、千葉県はもう御存じのとおりほとんど東京に住んでいらっしゃる方々が移ってこられた方でございまして、急激な人口膨張しました。これ以上余り人口膨張しても困るわけなんですね。したがいまして、また住んでいらっしゃる方も、東京地価高騰に伴いまして松戸とか市川とか浦安も東京都心並みに、都心までいきませんね、東京都並みに地価高騰しております。ですから、大変若い人たち、これから世帯を持つ人たちも将来の住宅ということについては大きな不安を持っていますから、そういう不安を解消するためにも市営住宅、県営住宅をたくさんつくっていく、こういう方策が一番いいんじゃないかなと実は考えておるわけです。  しかし、今までの県営住宅、市営住宅というイメージは、率直に言いまして余りよくありません。やはり狭い、それから外観がよくない、こういういろいろなことがあります。少なくとも理想的な住宅としては一人一室、一居住室という方策がありますから、三人家族ならば三LDK、四人家族なら四LDK、五人家族ならせいぜい五LDKくらいだと思うのですね。そういういろいろな種類の住宅をつくりまして、市営住宅、県営住宅、そして、そこが新しい都市、要するにヨーロッパ並みのああいう都市をつくれるような住宅をつくったらいいんじゃないか、こんなふうに考えておるわけです。そのためには法律改正もやらなければならないと思います。県営住宅の入居とか市営住宅の入居、いろいろ今厳しい条件がありますから、この辺の法律改正も当然行わなければならない。  それは後でまた対応するとしまして、こういう構想で新しい宅地ができ、新しい住宅ができる。建設省の先ほどの計画にはそういう計画が入っているのかどうかわかりませんけれども、そういう形で新しい都市を、そして新しい住宅の提供、こういう考えを私は持っておりまして、それをスーパーリバーサイド計画といったものにしたらどうかな、こう思っておるわけでございます。  これは私の意見でございますが、先に建設省の方から見解を聞きまして、その後大臣の方からお聞かせいただきたいと思います。
  188. 近藤徹

    ○近藤政府委員 今のお話は江戸川に関連してでございましたので、江戸川におけるスーパー堤防構想の状況について御説明させていただきます。  先ほど申し上げましたように、スーパー堤防は大都市圏を控えた大河川ということでございまして、現在利根川、江戸川もその一部になるわけでございますが、利根川、荒川等の大河川について五水系について企画しておるわけでございます。江戸川も当然その中に入っておるわけでございまして、現在江戸川では既に二地区について着手しておりますが、江戸川周辺の都市計画、市街地整備と一体となってこの事業を進めていこうとしておるのでございます。当然に、住宅宅地計画等があります場合にはそれらの計画と整合させて進めてまいりたいと考えております。
  189. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 今、河川局長の方から江戸川のスーパー堤防の全体の構想のお話を申し上げましたが、住宅サイドでは既にことしの予算から水辺居住整備事業という新しい予算上の制度ができ上がってございまして、土地の整備、盛り土も含みますが、人工地盤その他そういうものをつくる、それから共用通行部分、エレベーターとか廊下とかというようなものでございますが、そういうものに対する補助あるいは全体の計画策定に対する補助ということで、既に予算制度上はでき上がっております。  あと、この制度の上での事業主体としましては、今先生おっしゃいました地方公共団体、それから住宅都市整備公団、それから地方住宅供給公社、それから民間事業者ということでございます。したがいまして、住宅立地上非常にいいところであれば、当然に河川事業とタイアップしまして私ども住宅建設事業をやってまいりたいと思っております。  ただ、今先生の御構想からまいりますと、全部県営住宅あるいは市営住宅というお話でございましたが、これは今の住宅全体の体系からまいりますと、公営住宅につきましては当然所得制限がございます。したがって、どっちかというと低額所得者層をねらっております。したがいまして、中堅所得層に対しては、地方でいいますと地方住宅供給公社というものがございますから、そういうものも大いに活用していただきたいと思いますし、各層の、いろいろな職業、いろいろな所得層のいろいろな方が住まわれるこういう町がよりよい町づくりだと私ども思いますので、そういういろいろな住宅、民間まで含めていろいろ住宅がその上に建っていく、こういうのが理想ではないかと思っております。
  190. 石井一

    石井国務大臣 森田委員から次々に具体的な提案をこの質疑を通してしていただいたということに大変感謝いたしております。  ただいまのスーパーリバーサイド構想ですか、私もちょっと話を聞いたことはございますけれども、まだしばらく先になる計画ではないかというような印象を持っておりましたが、ただいま建設省当局から甚だ具体的な計画が進んでおるということを聞きまして、大変意を強くいたしました。  問題は、一日に三時間あるいはそれ以上の通勤地獄を受けながらもまじめに額に汗して働いておるサラリーマン勤労者の方々に、まず応急的、可急的速やかにどういう措置をするかということが第一番だと思っております。そういう観点からいたしますと、第一の住宅に関します控除の制度にしましても、また第二の住宅の具体的供給の施策にしましても、非常に検討に値する、取り組んでいくに値する提案であると思いますので、国土庁長官といたしましても、でき得れば年内にまとめる試案の中に組み込むことができるように努力していきたい、そのように思っております。
  191. 森田景一

    ○森田(景)委員 大臣からも力強い回答がございまして、これは確かに江戸川の上流から下流まで全部つくるというのは時間がかかりますけれども、できるところからやっていく、こういうことならば不可能ではないわけでございますので、ぜひひとつ今の御答弁のような御努力をお願いしたいと思います。  それで、このスーパー堤防建設については、各地方自治体との協議が必要なわけですね。建設省としてはどうなんでしょうか、例えば江戸川あるいは利根川の千葉県サイドの地方自治体との協議というのは行われているのでしょうか、いないのでしょうか。
  192. 近藤徹

    ○近藤政府委員 先ほども申し上げましたように、スーパー堤防の整備に当たりましては、その上の土地利用については関係する皆さんと十分合意をして進めていかなければなりませんので、それぞれの計画に応じてそれぞれの地方自治体と協議を進めていくこととしております。
  193. 森田景一

    ○森田(景)委員 協議を進めていくこととしておりますじゃなくて、私が聞いたのは、具体的にもう協議に入っているところはありますか、こう聞いたのです。
  194. 近藤徹

    ○近藤政府委員 既に実施したものについては十分協議をしておりますし、これから構想のものについては協議を進めたいというふうに考えております。
  195. 森田景一

    ○森田(景)委員 もう少しはっきり言っていただきたいと思うのですね。協議したところもありますけれども、これから協議を進めていこうとしているところもありますと言うのですから、じゃ、協議を進めているのはどこで、どこの市とかどこの町とか、あるいはこれから進めようと思っているのはどこの市とどこの町だ、こういう具体的に、決してこれは秘密にする必要はない問題だと思うのです。あるいはそういうことが明らかになると反対運動か何か起こる心配があって発表できないのですか。そういう心配がなかったらひとつ具体的に挙げていただきます。
  196. 近藤徹

    ○近藤政府委員 江戸川については既に二地区、葛飾区と関宿町で着工しております。これは一つは区営公園ということで葛飾区と御相談申し上げましたし、また、関宿町については関宿町あるいは県の博物館等もございますので、県とも協議しております。  それから、大変長い距離でございますから、どの地区からどういうふうに進めていくかということはそれぞれの方の都市整備の構想、我々の方の治水の必要性をお互い協議しながら、実現性の高いものについてはさらに突っ込んで協議をしていくという意味で、先ほどから申し上げた次第でございます。
  197. 森田景一

    ○森田(景)委員 では、最後に要望を申し上げておきますけれども、この江戸川も非常に長い地域でございますから、できるところからやる、そこだけで区画整理なり都市計画だけやってしまいますと、全体としてでき上がったときに大変ちぐはぐな、そういう都市にならないような――最初に全体計画を、建設省は優秀な方がそろっていらっしゃるのですから、こういう形でいきたいという全体構想をつくって、それでこの地域はこういうふうにできるところだからやりましょう、ここはこういう形にしていきたい、それを地元の市町村とよく協議をして、でき上がったときにきちんとした立派な都市になるようにぜひやっていただきたいと思うのですね。全体計画をつくっていただきたい。  それからもう一つは、今大臣が二時間、三時間かかって通勤大変だというお話がありました。もう二時間、三時間かからなくても常磐線なんか大変な状況でございます。松戸駅などでは快速列車を二回も三回も皆さん行列して待っていても乗れない、総武線も同じような状況でございます。こうした混雑解消は、時間がきょうはありませんからここでは論議しませんけれども、そういう問題がありますから、少なくともこの新しいスーパ堤防の上に建設される新しい都市については、交通体系というものを十分に検討していただきたいと思うのです。  建設省の資料によりますと、地下に高速道路をつくったり、あるいは鉄道をつくったり、こういう計画もあるようでございますが、こうした交通体系は十分な検討が必要だと思います。これはやはり建設省と運輸省の協議とか、こういうこともありますから、それもできるところからやっていくということになりますと、最初から全体計画でやらないと、ここは鉄道が通るようになったのに、ここは通らなくなった、これでは整合性を欠くことになるわけでございますから、そういう点についても十分な協議をして、十年先か二十年先か、でき上がったときには本当に交通の利便も確保されている、こういう形で本当に住みよい都市だ、こう言われるような、せっかく新しい土地をつくって新しい都市をつくるわけですから、そういう将来の大きな展望に立って計画を進めていただくようにお願いいたしまして、質問を終わります。
  198. 粟屋敏信

    ○粟屋委員長代理 薮仲義彦君。
  199. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、今上程されております土地基本法並びに国土利用計画法の一部を改正する法律案野党案そして政府提出の両法案があるわけでございますが、いよいよ委員会審議も大詰めの段階でございます。  連日の長官の御答弁を伺っておりまして、やはり長官も、今国民の最も要求している、地価高騰、いわゆる土地神話を何とかこの基本法の成立によって好ましい方向へ持っていこうというお気持ちは、その答弁の一言一言ににじみ出ておるわけでございます。我々野党から基本法並びに国土利用計画法、二法案出しておりますけれども、我々野党も長官と軌は一にするといいますか、その目指す方向は同じであろうと思うのでございます。  野党案、そして政府案を眺めてみまして、巷間言われておりますことは、的を射ているといいますか、やはり両案とも目指す方向、最も基本となる精神といいますか政策の方針は間違ってはいない、両方とも同じ方向であり、ほとんど一致しておる。ただ、幾つか野党案と与党案で違いがあるかなということは私は野党立場から考えるわけでございますが、しかし、我々公明党は、ここで違いを強調してそれを論議するということ以上に、今の土地の問題は国民的緊急な課題であって、国民の望んでおるのは一日も早いこの基本法の成立である、こう認識しております。ですから、違いよりも、何とか政府案野党の修正せんとするところを理解してほしい、やはり政府・与党の立場から土地問題を眺めた立場野党がこの土地問題に取り組んできて考えたことで大筋は合っている、しかし、一部こうしてほしいというこの野党の気持ちは長官に十分酌み取っていただいて、かたくなに修正を拒むということではなくして、やはり違いは違いとしてお互いに理解し合って、最も好ましい法案修正のあるべき姿を目指していただきたい、それが当委員会国会に課せられた国民の負託にこたえる重要な課題だと私は思うのですね。  きょう私はその何点かを質問いたしますけれども、それは反対を強調するのではなくて、国民が願っているよりよき基本法を目指そう、こういうことで何点か質問いたしますが、その御答弁の中にやはり野党の気持ちも政府は理解してくださっておるなということが酌み取れれば、我々野党は決してこの政府案そのものに反対している立場にはございませんので、歩み寄れるところはしっかり歩み寄っていこうと公明党は考えております。  そういう意味で、これから私の質問に対する御答弁をいただくわけでございますが、冒頭、まず長官の今申し上げたことに対するお考えをお聞かせいただいた上で質問に入らせていただきたいと思います。いかがでございましょうか。
  200. 石井一

    石井国務大臣 土地問題の解決ということは緊急の課題である、国民すべてが関心を持っておる最大の政治問題であるという認識与野党ともにいささかの違いはないというふうに認識をいたしております。  そこで、この基本法の問題でございますが、野党が先鞭をつけられ、政府提案を数カ月後に行い、そして今日、審議をしていただいておるわけでございます。確かに与野党の違いと申しますと、例えば公有地拡大の問題でございますとか宅地供給の問題でございますとか、言葉として、文言として挿入されてないもの等々はございますけれども、求めております目的というのは同じ方向を示しておる、こう申し上げてもいいのではないかと思います。公共の優先ということも、言葉、形容は今後の与野党の折衝によってどのように落ちつくかは別にいたしまして、そこに思想の違いやら考え方の違いというふうなものはないはずでございますので、そういう意味で、私は政府立場政府案にいつまでもこだわるつもりはございません。それよりも、基本法を成立せしめ、その後、その精神、理念を基礎にどのように現実の社会に問題の解決が生まれてくるか、このところが最も重要なところではないか、こういう基本的な考え方にありますから、そういう意味で法案成立後も積極的な御協力を切にお願い申し上げる次第であります。
  201. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官のお気持ちがよくわかりましたので、それでは順次質問をさせていただきたいと思うわけでございます。  今、長官が最後に申されたことは非常に重要だと私は思うのです。国民がこの基本法の成立を待ち望んでおった、成立した後どうなるか、ここが国民の期待は非常に大であろうと思うのでございます。これは与野党ともに合意しておりますように、この基本法というものは宣言法であり、長官もたびたびおっしゃるように、この基本法は土地の憲法のようなものですよという御発言もありました。私も全くそのとおりだろうと思うわけでございます。  ここで長官の御決意を伺っておきたいのは、さはさりながら、この基本法はできたけれども土地はますます増高するとか、国民を政治不信に陥れるようなことは断じてあってはならないと私は思うわけでございます。そのような意味で、この基本法が成立したときに、時間はかかるかもしれませんけれども、地価は変わってきたなということが実感として国民生活の上ににじみ出てくるような施策をぜひとも長官にお願いしたい。この基本法ができてもだめだったということのないようなしっかりとした長官の御決意をまず一点お伺いしたい。  同時に、もう一つは、国土庁の所掌の法律というのは国土利用計画法が最も関係のある法律かもしれません。しかし、これから住宅あるいは都市計画あるいはまた税制の問題になりますと大蔵自治省と関連してまいりますし、あるいは農地に関することですと農水省とかかわり合ってまいります。各省庁との調整、話し合いということがこれまた非常に大事でございますので、当然今までも、この法案成立までに御協議はあるかと思いますが、いよいよこのスタートする段階において、長官のこの法案に対する御決意と関係省庁の協議に対しての御決意、この二点をお伺いしたいわけでございます。     〔粟屋委員長代理退席、委員長着席〕
  202. 石井一

    石井国務大臣 土地基本法の成立によりまして土地公共性ということを明確にし、まず国民に強く呼びかけて国民の意識、土地に対する考え方、このことについてコンセンサスを得、理解を求めるべきであろうと思います。そして、それに従いまして、本法に含まれております基本理念や施策の展開方向を需給両面にわたって打ち出していくということでございます。  具体的に、まず供給面については、土地の適正な利用、計画的利用の基本的理念に基づいて、土地利用計画の充実と土地区画整理事業等各種事業の実施、それから土地税制の活用などの手法を通じて宅地の計画的な開発、低・未利用地の有効高度利用、市街化区域内農地の計画的宅地化都市開発促進、こういうことを一つ一つ図っていく必要があると思います。また、需要面におきましても、投機的取引の抑制、国土利用計画法の一部の改正をいたしまして不動産業者、金融業者に対する指導の強化、その他税制等の新たな活用の推進を図っていく必要がある。  そういう中から今申しましたことを行おうといたしますと、各省の緊密な連絡のもとにお互いの歩み寄りと理解の中に問題を解決していく、いやしくも縄張り意識でありますとか過去のしきたりにとらわれることのない、新しい角度に立った、国民にも新しいコンセンサスを求めておるわけですから、当然それを指導していく各省におきましては、その基本としてそういう認識を持つべきであろうというふうに思っております。  私自身、先般来からこの委員会が続いております過密なスケジュールでございますが、各省の担当者を国土庁に招致いたしまして、それぞれ問題点意見の交換をいたしております。既に大蔵省、自治省、農水省、建設省を終えたところでございまして、なかなか一回の数時間の会合で調整のつかないものもございますが、今後、参議院段階に参りました合間を縫いましてこれを繰り返していき、横の連絡というふうなものを確実に足並みをそろえて、法律が制定できた、そうすればこれから用意ドンをする、その場合にどこをどうしなければいかぬのかという問題について取り組んでいく、そういう準備のいろいろの施策を現実にこの委員会とともに進行させておるというのが現状でございます。
  203. 薮仲義彦

    薮仲委員 重ねてお伺いするのもいかがかなと思いつつ、もしも具体的にこうだということがおありだったらお伺いしたいのは、基本法が成立いたします、今長官は幾つかの具体的な施策を列挙なさいました。長官がいつもおっしゃるように、一つ政策では土地は好ましい方向には行きません。すべての施策、ありとあらゆることをやらなければならぬといつも御答弁なさっておられることは私もそのとおりだろうと思います。ただ、今この基本法ができたぞ、長官まず何をやってくれますか、こう国民に聞かれたときに、これはせっかちかもしれませんけれども、真っ先に直ちにやらなければいかぬかなと長官がお考えになっておるようなことはございますか。
  204. 石井一

    石井国務大臣 既に御答弁も申し上げたところでございますが、土地関係閣僚会議を開きまして、総理からも強い要望をし、私からも関係各大臣に対しましてそれぞれの問題点の提起をいたしたわけでございます。基本的なことは総合土地対策要綱に盛られておるわけでありますが、その中でどれもこれもと申しましても、いろいろなことで時間のかかる問題もございます。その中から短期的に決断できるものはどれかということになると思うのでありますが、私が見ておりますところでは、一つは、もう既に大きな問題になっております大都市圏内における農地宅地化推進大都市圏内にあります未利用地の利用、公有地、国有地等に関します空地のまま放置されておるものに対する具体的な利用計画、それ以外にも、土地の高度利用、再開発というふうな問題もあるのでありましょうし、それをやるためには、やはり有効な税制面での誘導措置というふうなものもあるでありましょう。それらを組み合わせた中に、先ほど森田委員からも、賃貸住宅に関します控除制度の問題でありますとか、その他の有益な御提案もございましたが、こういうもろもろの提起されております問題を、私は、土地問題、住宅問題の解決は、もう意見は十分出そろっておる、ただ、やる意思があるのか、やれるのか、本当にやってみるならやってみよう、こういう問題に限られてきておるのではないか、したがって、その中から問題を整理し、選択し、決断をする、こういうことになってきておるのじゃないかなと思うのであります。その意味で、年内にはひとつ政策を打ち出したいということも関係閣僚会議で言明いたしておりますので、今申しましたような方向の中で最終の詰めをさせていただきたい、そう思っておる次第でございます。
  205. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、基本的な問題をお伺いしたいのです。  土地についての基本的な考えでございますが、これは政府案の「総則」の「目的」あるいは「土地についての公共的制約」というところでうたわれておるわけでございますけれども、いわゆる土地は他の財と違って公共福祉に、この政府案では「公共福祉のため、」とうたわれてございます。先般来の御答弁を聞いておりますと、野党が主張する公共福祉を優先するという気持ちと同じ意味です、こういう御答弁を何回か我々は伺いました。  これは憲法問題もおありかもしれません。確かに憲法において、私有財産というのは不可侵であるとうたわれておりますけれども、やはりその二項においては公共福祉がうたわれておるわけでございます。憲法は確かにバランスがとられておるかもしれませんけれども、野党は決して私有財産のすべてに公共福祉を優先しなさいということを言っているわけではなくて、土地については異常な状態にあるので、先ほど来長官は国民のコンセンサスとおっしゃった。コンセンサスの根底は何か。土地公共福祉のために使われるべきだという、所有よりも利用ということのコンセンサスとおっしゃった。であるならば、そのコンセンサスの理念は、やはり公共福祉を優先するというコンセンサスが国民になければならない。これを基本法の中で、国民のコンセンサスを得るとおっしゃるならば、やはりこの公共福祉を優先するということを明文化してもいいのじゃないかと私は思いますけれども、長官のお気持ちはいかがでございますか。
  206. 石井一

    石井国務大臣 私は、公共福祉という議論を当委員会でもやりましたときに、当初からその意見に全く賛成でございます。それは、第一項にあります私有財産というものの否定には必ずしもつながらないのではないかという考え方をいたしております。  限られた資産であり、そして、利用されずに放置されたり投機のために動かされたりするというものではなく公のために利用されるべきものであるというコンセンサスに欠けておるから、今日のような社会問題が出ておるのだ。例えば、大きな道路ができます、あるいは都市開発ができますときに、一人の人が何らかの自己主張をするために全体に迷惑がかかるというふうなこと、大都市の中でも、私のところでもよく起こっております。それも一つの財産権の主張ではありましょうけれども、そういうことに関しては、やはり公共福祉は優先するという思想を貫かなければ、これだけ限られた土地において、一人のために万人が迷惑をこうむるというようなことが起こってくるわけであります。私有財産に対しますむやみな剥奪であるとか権利の侵害というものをこの土地基本法はうたっておるものではございません。しかし、前段に申しましたような形の中で土地は利用されるべきものである、公共のために使われるべきものであって、利用のない土地というものは意味のない土地なんだ、これは反社会的行為なんだ、こういうことが国民のコンセンサスの中に根強く生きてなければいけないのではないか、その点においてこれまで欠落しておった面も一部あるのではないか、私はこの点は強く主張いたしたい一点であります。
  207. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、税制についての公明党の考えを申し述べますと、学者の中には、税制土地問題の補完的なものである、こういう言い方をする方がいますが、公明党はそう考えておりません。確かに、今国土庁の持っていらっしゃる国土利用計画法、あるいは建設省の所掌の都市計画等を含めたいろいろな土地住宅政策がございますが、政策も確かに重要かもしれませんけれども、やはり税制というものは土地基本法の中で重要な施策の一つのポイントだと私は思うのです。この基本法の中で我々がうたっておるのは決して補完的な役割とは考えておりません。  そこで、長官は既に先ほど来、各省庁の担当部局の者を招致していただいておる。大変好ましいし、そのことについて私は敬意を表するわけでございますが、税制といいますと、自治省、大蔵省、あるいはいろいろな意味で農水省も間接的にはかかわっておる部分もあるかもしれませんし、建設省もかかわっておるかもしれませんが、税制に関しては関係省庁ともうお話し合いが進んでおることとは思うのでございますけれども、どの程度までということは聞きませんが、大体協議をしていただいておるかどうか。  同時に、今まで土地基本法がないときの土地税制のあり方というのは、非常に思いつきというか、その場限りのような税制が多かった。猫の目とよく言われていますけれども、譲渡あるいは保有等に関する税制も一貫性がなかった。しかし、今後、基本法ができた以上は、土地というものは、求めたときの取得、持っているときの保有、それを譲渡したとき、この三段階あるわけでございますが、そのほかに相続のときも出てまいりますけれども、いずれにしても土地については、取得して、保有して、譲渡するという一貫性、流れがあるわけです。この税制の一貫性をきちっと適正なものに、整合性のあるものにしていただきたいなと私は思うわけでございます。  一つ関係省庁との話し合い、それから整合性について、長官はそういう形でしていただけるのか、御答弁いただきたいと思います。
  208. 藤原良一

    ○藤原政府委員 土地税制につきましては、政府税調におきましても、所得、消費、資産の間で均衡のとれた税制の姿を求める、土地を初めとする資産に対する課税のより一層の適正化の検討も含め、不断の努力を行う必要があるとされております。また、我々としましても、今後、この土地基本法の制定を踏まえまして、総合的な土地対策推進の一環として、土地についての基本理念にのっとり、今国会での御議論等も踏まえつつ、土地税制見直しに向けて関係各省庁と積極的に相談していきたいと思っております。各省庁も、これまでも土地基本法の制定を踏まえてひとつ土地税制見直し検討しようということでございます。基本的にはそういう点では一致しているのじゃないかと思っております。  さらに、土地税制の果たすべき役割でございますが、まさに先生御指摘のとおり、土地税制はまず土地に関する施策との整合というのが必要だと思います。基本法で掲げられました施策との関係をいろいろ吟味し検討していく必要があろうかと思います。  さらに、税負担の公平の確保、これは、所得あるいは他の資産課税との関係、そういった間のバランス等も考えながら、公平確保にメスを入れていかなければならないのじゃないか。さらには、土地が資産として他の資産より有利だ、そういうところに不要不急の需要を招く理由があるわけでございますから、資産としての有利性を減殺する観点からの検討も大変大事だと思います。  そういった視点から、土地の取得、保有、譲渡、各局面にわたっていろいろ勉強させていただきたいと思っております。
  209. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで問題なのでございますが、これは与党と野党の、我々幾つも問題がある中での違いの一つでございますけれども、公的評価の一元化ということがよく出てまいります。このことに対する公明党の考え方をまず申し上げますと、確かに自治省に言わせますと、今答弁を求めれば反対という答えが返ってくると思うのです。大蔵省も反対と言うと思うのです。自治省も大蔵省も、路線価によって面的に課税を考えておる、こういう言い方をするわけです。国土庁の公示価格は点でございますから、調査地点が、これはいわゆる都市計画区域でございますので、非常に限られております。一万七千ポイント。自治省は反対の理由に、一億六千万筆の地籍を全部やっているのだという言い方をすると思うのです、今ここで答弁を求めれば。その辺のことを私は求める気持ちはございませんけれども。大蔵省も路線価でやりますが、山林とかそういうところは公示価格を引用したりあるいは他の計算式でやっていらっしゃると思いますが、何が一番問題かというと、国民にとって一番不信の根っこは、評価がばらばらだということです。  これは今後ますます論議を詰めていく問題で、きょうは余り深くはやりませんけれども、考え方だけ申しますと、評価がなぜブラックボックスなのか。例えば相続税の路線価、固定資産の路線価についても、自分のことはわかるけれども一体あそこはどのくらいなのかということを、自治省も大蔵省もこれは守秘義務があると言う。どういう守秘義務なのか私にはわかりませんけれども、本当に国民が納得できることであるならば、この評価というものが一元化されていくという野党の言い方は正しいと思うのです。政府臨調の中にも、この評価がばらばらだということについては整合性を持たせなさいという答申が出ているはずです。やはりブラックボックスのところへきっちり踏み込んでいって、一億六千万筆かどうか知りませんけれども、だったら土地公示価格をもっと調査点数を上げて必要な調査をして、面的な、線ではなくて面的な評価額まできちんとできるような整合性のある評価というものを確立しなさい。これは私、政府も異論はないところだと思うのです。  相続税の今日までの歴史的な、政策をずっと行ってきたことを一挙に変えろというようなことを野党が言っているのではありません。これから長い時間をかけても、評価について国民が、ああそうかと、固定資産についても相続財産についても、ああなるほどな、あるいは最も今度の問題である土地の売買、あるいはただいま土地局長は資産の格差の是正をどうしたらいいかということも勉強するとおっしゃった。私は非常にありがたいと思う。資産格差の是正ということは大事なことだと思うのです。これは総理大臣も、持つ者と持たざる者の格差をどうするかという御答弁もあるように、私は資産格差の是正等も考えますと、やはり根っこにあるものは、国民が納得できる、信頼できる評価というものが求められていると思うのでございます。  短兵急に、きょうあすにやれということではなく、自治省の、行政の、こういうことではなく、今国民が何を望み、何に政治不信を抱いているかということを考えて決断すべき事柄は、この評価の問題だと思うのです。一元化という言葉が嫌いならば、一元化という言葉を使わなくても結構です。国民が望んでいる、信頼できる土地の評価を確立してほしいという国民の声に、私は政治的な判断で、自治省や大蔵省の答弁ではなく政治家としての国土庁長官の御決意をお伺いしたいのでございますが、いかがでございましょう。
  210. 石井一

    石井国務大臣 既に私は地価の一元化の問題につきましては当委員会でも答弁をいたしました。一物三価とか四価と言われておる現象は確かに異常な問題であり、国民に混乱を与え、またそれがいわゆる公平な施策かということになりますと、これは批判にたえ得るものではない。  ただ、具体的な問題といたしまして、この問題に関して私が関係省庁ともいろいろ議論をしたのでございますが、例えば東京のような過密地帯では、固定資産税が公示価格の十分の一程度になっておるようであります。恐らく過去、固定資産税評価におきまして予想以上の急激な地価の上昇をした、本来それに合わせていくべき固定資産税の評価ではあるけれども、毎年毎年その対価を求めていくという性格のものであればそんな急激な土地に対する評価がえをするわけにもいかない。まして今まで固定資産税の場合は、面積等によりまして減免したりいろいろの優遇措置はやっておりますけれども、そのことによって固定資産税が払えなくなってしまうというような状況が出てきた場合には、ある程度作為的、人為的にそれを抑えざるを得ない。しかしながら、あるところの固定資産税は三〇%とか四〇%というような評価であり、しかもそこに大きな土地の変動もなく、そこにずっと住んでおられる方にとっては地価評価も全般的に低い、そうなりますと、三〇%、四〇%でも十分に払える、たえ得る状況にある。これを一元化し、それでは公示価格の二〇%に設定いたしますと言った場合に、やはり国民の立場から、国民にもいろいろあるわけでございますから、一つの混乱が起こってくる。したがって、多少の時間をかけながらその間を適正化、平準化し、コンセンサスを、こういうことだからこうあるべきなんだということを求める時間というものもある程度必要ではなかろうか。  相続税の場合は一生に一回ということでございますから問題は少ないわけでありますが、相続税とても、相続をされる家族の構成員でありますとか条件によって違いますけれども、必ず土地を手放さなければいかぬというふうな問題もあるわけでございます。そのことによってまた土地の公平な配分というものもできるのかもしれませんけれども、相続税には相続税の考え方がありというような状況の中で、全体として問題はこの基本法審議において十分認識をした、今後の中期的課題として、長期的と言ったって説得力がございませんから、ひとつ我々政府に、検討しそういう努力をする時間をちょうだいしたい、こういうことを申し上げたいわけでございます。
  211. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は長官のそのお考えで賛成でございますので、どうかその方向で御努力をいただきたいとお願いをいたしておきます。  そこで、今長官がいみじくも相続税のお話をなさいました、確かに一生に一度。固定資産税は三年に一度の評価がえ、こういうわけでございますが、これは後ほど大蔵省にお伺いしたいわけでございますけれども、今は聞きません。さっき資産課税の公平というお話がありました。総理大臣のお話にも、持つ者と持たざる者というお話がございました。今、日本の国で持つ者と持たざる者の不公平がどんどん乖離しておるということは長官も御承知だと思います。確かに個人のレベルで持つ者と持たざる者の資産の乖離も激しいわけでございますが、今度個人と法人の資産格差も私は検討していただきたい。というのは、経企庁の資料等にもございますように、日本の国が一千六百兆を超えておる、アメリカは四百九十七兆。もしも日本の国を買ってくれればアメリカが三つ買える。  私は後ほど大蔵省に徹底的にこの是正をお願いしたいと思うのですが、日本のこれだけの土地が一千六百兆、これをある一面でいえば、日本の経済力であるとかあるいは日本のすばらしい豊かな社会というものを支えているものはそこにあると言われればそれまででございますけれども、しかしこれが正常であるかと言えば、バブル、泡のようなものだと思うのですね。これがぷうっと沈んだらば、日本の経済はある意味では壊滅的なダメージを受けるのじゃないか。しかも、この土地を担保にして銀行からお金を借りて海外へ資産を求める、このことが大きく対日感情を悪化させておる。こういうことを考えますと、この土地という問題は単に日本の問題ではなくて、国際社会における日本立場の上でも、この土地の問題をどうするかということは非常に大事であります。  なぜそうなったか。やはりこれは持つ者と持たざる者の資産の格差だと思うのです。今長官がおっしゃられたように、個人の場合は一生のうちに一度、相続税によって資産は再評価されます。ところが、法人の場合はそれが再評価されずにずっと来ておるわけでございます。確かに資産再評価というのはシャウプ税制のときにございました。今まで四回、自分でやっておるわけでございます。でも、ここまでまいりますと、個人と法人との資産格差を放置するということは、私は日本の将来のためにも非常に危険かな、資産格差の不公平感是正というような意味で法人等についての資産の再評価、これは恐らく大反対があろうかと思うのでございますが、やはり政治的な決断をしてこれを是正していく方向に持っていきませんと、日本の将来、そして不公平感はぬぐえないものと思います。  これについて、将来の課題としてで結構でございますが、こういう公平な税制を考えるということは、長官、いかがでございましょうか。
  212. 藤原良一

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  地価高騰によりまして持てる者と持たざる者の格差が拡大しておるところでありますが、その中でも持てる者同士、法人と個人間の資産格差というのはやはり大きくなっておるだろうと思います。正確なデータを持っておりませんが、企画庁の白書等によりましても、法人は四百数十兆の含み資産を抱えておると発表されております。御指摘のように、個人は相続の際に再評価されて相当の課税を強いられる、そういう状況ですから、その辺につきましても税の見直し、検討をする際に対象として十分勉強させていただきたい、そういうふうに考えております。
  213. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか長官、この資産の再評価、心にとどめておいていただきたいと重ねてお願いを申し上げます。  それでは、もう少し具体的な問題でございますが、やはり基本法の中で重要なのは、良好な、しかもリーズナブルな価格、適正な価格土地供給されるということが大事だと思うのです。今まで、私も建設委員会等で何回か宅地供給の質問をしますと必ず出てくる答弁は、地価というものは需給関係によって決まります、しかし、需給関係によって決まるといっても、高値安定されては困るということが一つでございます。  それから、土地臨調の答申の中にもございますように、土地の特性といいますか、いわゆる需要に対して供給というものは必ずしもリンケージしない、そういう再生産不可能な、国民共有の、いわゆる先ほど来言われておる公共福祉に使われるべき財であるという特定をされておられます。  そうしますと、ここで良好な宅地を提供していただくということは、やはり税制の上からも検討していただかなければならないのではないか。長官が保有よりも利用とおっしゃられたことを、税制の上で今一体何があるだろうか。一つは固定資産税あるいは特別土地保有税がございます。これも後ほど論議いたしますけれども、自治省は猛反対だと思うのです。確かに固定資産税は地方自治体の財源でございます。大体地方財源の五〇%はいわゆる市民税といいますか住民税によって賄われる、あとの三〇%程度はこの固定資産によって、二〇%から三〇%ぐらいがそうなっているのかなと思われますが、いずれにしても重要な、しかも安定した地方財源であることは間違いございません。ですから、固定資産税について政策的に使っては困る、恐らく自治省、今質問して答弁求めればそう言うと思うのです。  しかし、今土地基本法の中で政策的に税制を使わなければならない。しかも土地臨調の中でも、特別土地保有税についても検討、見直しが必要である。これは列島改造のときにできた法律でございますので、土地を売買したときにその取得と保有に課税されますけれども、土地を売買しなければ、四十三年以前の保有には全くきかないのがこの税制でございます。これは長官も御承知のとおり。そうなってまいりますと、基本法で言うところの単なる保有も出していただきたい、宅地に利用していただくという趣旨からしますと、政策的にこの特別土地保有税を使うとしますと、臨調でも提言なされているような方向で一部修正しなければ土地は出てこないかなと思うわけでございますが、特別土地保有税のあり方について長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  214. 石井一

    石井国務大臣 御指摘のとおり、総合土地対策要綱の中にもいわゆる特別土地保有税の見直しを検討するということが明確にうたわれております。  現実に一番問題になっておりますのは、利用されておらない土地、そうして日本において土地を所有するということにコストがかからないというこの概念を打破いたしませんと、土地の流動化が起こりませんし、土地が利用されるということを阻害しておるわけであります。そして土地神話があります場合に、自然の形のままにその値上がりが継続的に行われておる。これはやはり社会的不公正だと思いますので、特別土地保有税に関しては当然積極的に見直す必要があると考えております。  それから、実は先ほど大蔵省の方から相続税に関して専門的な答弁をいただきたかったわけでございますけれども、私も、個人に相続税の再評価が行われるのに法人に関してはこれが行われないというのはやはり公正を欠くのではなかろうか。保有税に関しましても、十年すれば全くなくなってしまうというふうな状況がございますし、企業の赤字決算のときにそれらの土地保有がどういうふうに処理されるかというふうな問題もいろいろ関連としてあるわけでございます。この点は恐らく日本の経済界からは、何も大蔵省だけではございません、そういうことでなしに、日本の社会から激しい反撃はあると思いますが、やはり一つの社会の公正な税制の運用というふうなことから考えれば検討に資する問題ではないか、そういう認識をいたしております。
  215. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここで大蔵省に発言を求めないと、これは不公平でございますから、反対は反対あるいはいろいろな思いがあれば思いがありで結構でございますから、いわゆる法人の資産の再評価に限って、長く答弁されるとほかの重要問題に差しさわりますから、余りわからないような、大蔵省の答弁は後で会議録を読むと一体何を言っているのかといつも悩むわけでございまして、国民の皆様に、資産の再評価については今野党立場で私も申し上げたし、長官も国土庁長官として、資産の公平の立場からしかるべしという御意見でございました。財政当局の大蔵省、いかがでございますか。
  216. 大武健一郎

    ○大武説明員 お答えさせていただきます。  まず、法人についていわば個人に対する相続税のようなものがないという点に関してでございますが、法人そのものがゴーイングコンサーンという思想でできております。法人については終局的には株式という形で、その株式を保有している個人の相続税という形で負担をしていただくという仕組みになっているのかと存じます。  それから、保有課税なり資産の含み益課税に対する考え方でございますが、所得課税として考えた場合には、これは所得が発生していないと課税として成り立たないものですから、その意味で実現していないキャピタルゲインに対する課税は難しいとかねがねお答えさせていただきました。  他方、保有課税として考えた場合には、これは一つ考え方だろうと思います。ただ、その場合、不動産については既に現行の地方税として存在しております固定資産税あるいは特別土地保有税というようなものとの関係をどう考えるかという問題があるかと存じます。
  217. 薮仲義彦

    薮仲委員 大体そういう御答弁だというのは、余り聞いてもうれしくないのでやめてもらおうと思ったのですが、公平の原則の上からお答えいただいたのです。  しかし、大蔵省に言っておきます。政治は必ず変わります。法律をつくるのは我々政治家でございます。あなた方は行政マンでございます。今度基本法も与党と野党で力をあわせて何とかしようという思いでございます。国民のその気持ちにやはり政治家はこたえていかなきゃなりませんし、長官の御決意も伺いました。やがて、資産のあるべき姿、我々は決して過剰な負担を企業に求めるということは考えておりません。やはり日本の経済力を支えているのは企業でございます。その企業のあるべき姿を十分踏まえて、じゃあ税率を極端に下げるとか、あるいは経済学者の中にはインデックス債を出しなさい、これは大蔵省御存じだと思います。インデックス債によってこれを何とかやるとか、いろいろな形でこの資産の再評価については考えられないか。あるいはほかの国債を求めてどうかとか、経済学者あるいは経営者の中でもおっしゃる方が数多くいらっしゃいますが、いずれの日かこの資産の公平については与野党が一致して大蔵省に考えを改めていただく、また経済界の御理解もいただくような日が来るということを、私はここで申し上げたいと思うのです。こういう不公平は許されないと思います。  それからもう一点、大蔵省がいつも答弁のときに言うことで、未実現のキャピタルゲインという表現を使って公明党の資産の再評価に対して反論します。私は公明党の立場から言っておきます。相続税にせよ、固定資産税にせよ、あなた方のやっていらっしゃる相続税というのは路線価で、あれは未実現のキャピタルゲインに課税しているのです。相続税というのは未実現ですよ。売却してないのです。その人にあなたは課税しているじゃないですか。なぜ法人のことについて未実現という答弁をするのですか。改めた方がいい。これは間違いですよ。  また、未実現といいながら、今、日本経済を支えているのは土地じゃないですか。土地を担保に銀行が金を貸しているでしょう。あれは未実現ですか。融資を受けているというのは完全にお金が出ているのですよ。これによって企業は企業の営業活動をしっかり支えているということは認めております。しかし、未実現未実現といって、固定資産税も未実現です。売却しておりませんよ。私は東京に一生住みたい、でも三年に一度は評価がえをされて東京に住めなくなるお年をとられた方、あるいは年金生活者もいらっしゃるのです。これも自治省は反対かもしれない。しかし、アメリカにおいてはサーキットブレーカー、遮断器を設けて、年金生活者や高齢者の方の固定資産税の軽減措置を図っている。  東京に人が住みたいというなら住ませてあげる。今、政治家が最も考えなければならないのは、東京に人を住めなくしていること。これでいいのか。サラリーマンも一時間、一時間半。先ほど長官も一時間、二時間というのは好ましくないということは何回も御答弁なさった。東京に人が住めなくしたのは一体何の責任だ。これは政治の責任です。本当にこれだけ文化がいろいろな意味で密集し生活レベルの高いところへ人が住めなくするというのはいいことか。やはり東京も、都知事はマイタウン東京と言っておりますけれども、東京に住みたいというお年をとられた方も、固定資産税が払えなくて困った、私はこういう東京であってほしくない。やはり東京に本当にマイタウンとして多くの方が住める、サラリーマンの方も住める、お年をとられた方も住める、お体の不自由な方も住める東京をつくっていくのが政治家の責任だと私は思うのです。そういう意味で、今の大蔵省の答弁には私は納得しませんし、いつの日か必ず政治を変えるということを政治の場にある者の一人として宣言しておきます。  こんなことを大蔵省とやっていると質問時間がなくなるのです。長官に大事なことをお伺いしたいので、今は保有税のことはいいです。  もう一つ大事なのは、この基本法を成立させて国民の方がごらんになったときに一番感ずるのは、これによって良質な宅地供給されるのかなということだと思うのです。これは、今までも同僚委員宅地供給という希望あるいは質問を何回かしておるわけでございますが、法案の中ににじみ出ているという御答弁は何回も私伺いました。しかし、国民が法律を読むときに、よく役人言葉とか法律用語というと理解されない最大の、わからない言葉の一つでございますけれども、にじみ出るのじゃなくて、この法案の中に、良質な宅地が提供されるように国も地方も一生懸命努力しますという明文化した形での表現があってほしいな、私はこう願う一人でございますが、長官、いかがでございましょう。
  218. 石井一

    石井国務大臣 私は、宅地供給ということがいろいろの土地政策の中でも具体的な最も重要な問題の解決だと思うのであります。政府案では、土地は利用されるべきものであり、国なり都道府県等々はいろいろの計画を進めるというようなもろもろの中に十分宅地供給というものはうたわれておるようには思うのでありますが、私、個人的な感覚としましては、やはり宅地供給という問題に関して記述があってもいいのではないかというくらいの考え方を持っております。  また、残念ながらやはり市場メカニズムというものが働くわけでありますから、強制的に地価を安定することはできません。したがって、そういう場合に、非常に大きな需要があるわけですから、需要に対して供給をふやすということをやりませんと地価の安定ができないわけですし、この基本法の精神というものが全うできないということになるわけでありましょうから、この点は非常に重要な政策課題だと思っております。そして現実には、大都市圏内においてまだ利用されていない宅地をどのように供給せしめるのか、ここが地価安定の決め手になる、そういう認識をいたしております。
  219. 薮仲義彦

    薮仲委員 我が党としては、今長官の御答弁どおり、土地が適正な価格で、しかも安定した形で提供されるということが一番好ましいので、長官の御答弁を聞いて、今後の法案修正の方向が好ましい方向にいくことを願って、この問題は終わらせていただきます。  その次のことですが、これは、私はきょう時間がもう余りありませんので、長官に私の気持ちを知っておいていただきたいと思うのでございます。  今、例えばふるさと創生であるとか地域の活性化という言葉がよく使われます。そのときにすぐ浮かぶのは、いわゆる駅前の再開発であるとか商業の活性化、商店街をもっと美しくしようとか、商業地の再開発のようなイメージがわいてまいりますし、地方におきましては、何とかすばらしい企業が来てくれないかな、いわゆる産業基盤、経済の活性化ということが絶えず政策の一番の根っこのところで出てくるわけでございます。地域の経済あるいは商業を活性化しよう。確かに今まではそれでよかったかもしれませんが、これは建設省住宅局長、聞いておいていただきたい。建設経済局長もおみえだと思いますので、きょうは質問があるいはできないかもしれませんので、お願いをしておきたい。  確かに商業も、それから産業、経済基盤も大事です。でも、本来この日本の国、世界じゅうそうですけれども、これからの都市というものは、人間が生活するということを政策のコンセプトの中で最も根っこに置いてほしい。例えば田園調布が住宅地としてはどうのこうの、あれが悪いとかなんとかということは抜きにして、どんな小さな町でも、クォリティー・オブ・ライフというかもしれませんけれども、その町でこんなに快適で豊かな住環境が、生活環境があるんだ。やはりそういうものがこれからの政策のコンセプトの中にきちっとうたわれて、商業もそれから産業も大事です。でも本当に、人が咲くと言ってはおかしいかもしれませんけれども、生き生きとそこで生活できるような都市空間、人間を主体にした生活のしやすさ、快適さ、アメニティー社会、こう言う学者もいますけれども、そういうものがあっていいと思う。  用途地域の中で、例えば混在しているのは認めますけれども、本当に良好な住宅、居住環境をつくったらば、そこへ入ってくる洋品店もブティックも、あるいは喫茶店も本屋さんも、その地域の住宅の環境の中にマッチするような商店街、町。何も連檐しなくていいわけですから、ところどころにきれいな喫茶店があったっていいと思うし、本屋さんがあったっていいと思う。町づくりも、本当に人間の住みやすさ、快適さが求められるような、そういうところに重点を置いた、私の町はこんなに住みやすいんですよという政策をつくれないものかと思うのです。私も商工委員でございますから、こんなことを言っては悪いのですけれども、商業や経済の活性化ということで政策をつくられるのじゃなくて、できれば私は、土地の上に人が咲くような、本当にすてきな居住環境を、居住空間をつくっていただきたい、こう思うわけでございます。  そこで、これは長官に質問でございますが、やはり土地基本法の中で、国民にも基本法の精神に協力してください。私は強権発動とかなんとか、長官おっしゃったように、そんなことをこの法案が言っているわけでないのは十分わかっています。しかし、この用途指定の中で、これから今申し上げたような快適な住環境をつくってみたいなと思ったときには、やはりそれを遊休地や未利用地、そういう地域については、みんなが住宅促進であるとか快適な住環境をつくるように都市計画の中で参画し協力するような、逆に言うと、これはある意味では遊休地を持っていらっしゃる方、未利用地を持っていらっしゃる方は少し私権の制限になるかもしれませんが、保有よりも利用していただくような御協力をお願いする施策はある程度やむを得ないのかなと思いますけれども、長官いかがでございましょう。
  220. 藤原良一

    ○藤原政府委員 御指摘のとおり、非常に土地需給が逼迫している大都市地域におきましては、特に未利用地を有効に活用しながら都市の整備に使っていくということが非常に重要だと思います。今後宅地供給等を図っていく上においても、先ほど長官も御答弁申し上げましたように、この低・未利用地をいかに有効に活用していくか。現在の制度で足らざる点はひとつ検討を加えまして、例えば遊休地につきましては、現在の制度の基準でいいのかどうか。もう少し、例えば遊休地の認定基準のようなものを洗い直す。そういう基準のもとに遊休地を特定し、その特定したものを町づくりの中にうまく活用していくということが必要だと思うのです。そういう意味では制度の整備、税制面の検討というものも必要だと思います。そういう方向で検討していきたいと思っております。
  221. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つ、これは長官も何回か御答弁になっていらっしゃる市街化区域農地の問題でございますけれども、これを宅地並み課税すべしという御意見、私はその御意見についてよくわかります。ただやはり、こうやって何年間か土地問題、住宅問題にかかわってまいりますと、では宅地並み課税をかけてどうなのかなということを具体的に各省庁に聞くわけでございます。例えば東京土地の賦存量はどうですか。世田谷とか練馬とか、これだけありますという数字は出てまいります。では、もう少し具体的に、この土地は確かに宅地化できますか。こうなってくると、明確な答弁をなかなかいただけない。  ということは何が原因かといいますと、今の局長の御答弁にもございますけれども、未利用地、遊休地、工場跡地あるいは市街化区域農地の総点検と言うと何か大げさに聞こえますけれども、的確な調査といいますか、ここにこういう工場跡地があって、これは宅地に利用していただければ、あるいは市街化区域農地であっても、これは宅地化していただいた方がいい。それよりも、これは逆線引きで生産緑地にしていただいた方がいいということがあろうかと思います。  そこで私は、宅地並み課税をかけなければならないということについて幾つかの条件をつける。例えば、長官も幾つかおっしゃるように、アクセスがなければだめだというお話も御答弁なさっていらっしゃいますように、確かにバスも通わない、交通機関もないところが出てきても、これはかえって大変な問題になろうかと思います。そういう意味で、例えば駅から何キロ内の市街化区域農地については宅地化をしたいという、区なりあるいは都なりがしっかりとした都市計画をつくる。そのために、まず前段になければならないのは、土地のしっかりとした情報といいますか調査、これは基本法の中にもうたわれておりますので、私はこの調査というものが本当に、いわゆる工場跡地、未利用地、遊休地区画整理済みのまだ未処分の宅地、それから農地の中でも駅から何キロ以内、交通機関の関係で、ここは宅地化した方がいい農地で、農家の方に御相談して何とか宅地化に御協力いただくようにお取り計らいいただけないかというような話し合いが進んでいくことが大事だと思うのです。  ですから、やはりその前にしっかりとした土地の調査を、国あるいは政府機関、地方自治体が力を合わせて調査をしていただく、この基本法にのっとって。と同時に、それが国土庁としても、今後の土地対策に有効適切に使えるようなデータをしっかりと集めていただいた方がいいのじゃないか。そうしますと、この国会論議の中でも、宅地並みの課税のときに長官からの御答弁は、あそこにある土地宅地化をしようと今考えておるところで協議しているというような御答弁が来るわけでございますが、今その具体の都市計画なり、ここの土地宅地化しようという調査とデータの持ち合わせが不足なのかなと私は思わざるを得ない。関係省庁に資料要求しても出てこない。単なる数字だけで来るわけでございますから、調査をして、的確な都市計画の中に取り込んで、その上で、宅地並み課税をお願いしなければならないところには長官がおっしゃる何らかのインセンティブで、決して損をしないような形での御協力をいただけるような施策が農家の方の御理解も得られるのではないか、私はこう思いますが、調査とその辺の計画性の中での処理について、いかがでございましょう。
  222. 石井一

    石井国務大臣 まず国土庁といたしましては、遊休地の実態調査というのを予算をつけてやっております。きょうもこの委員会に臨む前に、どの程度進んでおるのか、自信があるのか、こういうことを申したわけでございますが、これは大都市圏局長の答弁で、自信はありますというようなことでありますが、まだこの点につきましては、何を遊休地というのか。こういう点で、偽装農家という言葉がございますが、偽装工場あるいは偽装企業が使用しておるもの等々、あるいは駐車場みたいなところもたくさんございましょう。大都市の中で遊休地なり未利用地というものをどう定義づけ、どう線引きするのかという最終の段階では、これは非常に難しい問題が御指摘のとおりあるように思います。しかしながら、これを座して待つと申しますか、その利用してないものを放置するわけにいかぬわけでございますから、この問題につきましてはさらに努力をしたいと思っております。  それから、農地の方に関しましても、実は私、農水省初め役所サイドとも、それからまた実際にこれを持っておられる農協の皆さん方とも話し合いを一、二度いたしまして、話を聞けば聞くほど確かに難しい問題だなということを感じております。しかしながら、何らかの形で一歩前進、二歩前進をしていかなければいかぬわけですが、今薮仲委員が御指摘になりました、例えば交通の利便とか社会資本の投資という観点から、ここは客観的に見て宅地化すべきだというふうな一つの基準を設ける必要もあるでしょう。それから、いわゆる都市計画というものが当てはまるかどうかという観点からも検討を加える必要がありますし、担当の都でありますとか区でありますとか地方自治団体、それから特に重要なのは農協なりなんなり、本当に地権者のサイドに立っておる方々にそういう気持ちになってもらう、こういう話し合いも必要でありましょう。そういう観点から一つのクライテリアといいますか、区域分けというものをやっていく必要があるように感じます。  それからもう一つは、宅地化するのだ、そうして宅地化に応じない場合は税金を取るのだ、これはできないと思うのであります。やはり地権者の方のサイドに立って、営農の意思があるのか、相続人があるのか、そしてそれを今後残していくことが先ほど申されました周囲の住環境上から見ても重要だという観点からも見ていかなければいけない。それから、一言に市街化農地と申しましても、今申しましたようなもろもろの観点から検討を加え、そうして当事者の納得を得ながらやっていこうと思いますと、多少の時間もかかり、いろいろあると思います。  しかし、そういう慎重な計画の方がかえって最終的には早道である。例えばスプロール化が進み、土地の切り売りが行われ、乱開発が行われる。あるいは、あるところまでいくけれども、いまだに農地がそのまま残った状況であて全くそこに都市計画がない。こういうことになりますよりも、今申しましたような問題を再整理して一つの方針を決めて、それに従って逐次問題を解決していく、そういう手法が必要ではないか、そう考えております。
  223. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか的確な調査、情報をもとにして、今長官がおっしゃったような手続は私まことにそのとおりだと思いますので、よろしく推進方をお願いして次の問題に移らせていただきたいと思うのでございます。  もう一つの問題は、これはもう同僚委員から何回も言われておるわけでございますが、JR、清算事業団の持っている、いわゆる公有地といいますか、あのような土地の処分。問題になりましたのは、司法研修所の問題であるとか、あるいは林野庁の土地の売却が地価高騰に大きな問題を起こしたということで、これは社会問題に近い批判を浴びたわけでございます。私は、この基本法ができた以上、公共福祉立場に立てばこのような値上がりを認めるような公有地の売却処分というのはいかがかな、これは国民も納得をしていただけないのではないか。この公有地のあり方について長官も対応は十分慎重におやりいただけることと思います。  そこで、この公有地の処分についてのお考え、それから、特に地方都市に参りますと、駅周辺の国鉄のヤードであるとか、一等地に非常に近いところに清算事業団の土地があるわけでございます。今、公有地拡大法という法律がございますが、これはただ話し合いの場を設けるというだけで財政的な力もございませんので、地方自治体がなかなか届きかねます。こういう問題は単なる税制だけの問題ではなくて、財政的にも国が積極的に応援をしませんと、公有地の取得を地方自治体が進めることは実際は困難だというのが現実でございます。  そういう意味合いにおきまして公有地の処分と、それから昨日は公聴会がございまして諸先生に公述をしていただいたわけでございますが、その中でもスウェーデンの例などは七割が公有地です。これは都市計画をやろうとするときに非常にやりやすいという御意見もございました。それはそれなりの意義があるなと思って承っておるわけでございますが、同じように地方自治体にも税制だけじゃなく財政力もつけて公有地拡大都市計画推進をやりやすくしていく、これは長官の御努力によってそういう調整関係省庁とおやりいただきたいな、これがあるわけでございます。  特に四野党案の中でも、これからの都市計画とか地方都市を快適にするためには、地方自治体が公有地拡大できるような施策が実行できるような条文があってほしいなというのが、四野党案の気持ちでございます。そういうことを含めて、処分とそれから財政的な地方自治体への応援と、この法案の中でもそういう意味合いがにじみ出てくるようなというとあれでございますが、はっきり明文化するぐらいのあれでできないのかな、こう思っておりますが、いかがでございましょう。
  224. 石井一

    石井国務大臣 いや、私は、公有地拡大ということも土地基本法に場合によっては盛り込んでもいいのではないかというふうな考え方をいたしております。  それで国鉄の議論をいつも聞いておって感ずるのでございますが、公示地価の五倍も七倍も、場合によっては十倍もするものでこれを売るということは、いかに会計法上の規定等がありましても、今の場合無理ではなかろうか。しかしながら、今、清算事業団の理事長はおられませんけれども、清算事業団としては、財政当局からはせっつかれておりますし、利子だけを支払っておるということに大変苦しい負担を感じておるだろうと思います。その辺の中から出てきます思想というのは、これをできるだけ地方自治体なりそこらで適正な価格で抱いてもらう、そうして有効利用をしてもらうというようなことが一番いい解決方法ではないかな、そういうふうに思うわけであります。  先日も、七十九政府機関の移転を決めました直後に東京都の各区の区長がお見えになりまして、これはたしか委員長が引率をされたわけでございますが、その各区の区長からの要望というのが、移転後空き地をどうされるのですか、これは公有地にまず優先してもらいたい、こういうようなお話がございました。私は原則としてはそれでいいと思うのでございますが、それがウナギ登りの天井のようなもので市場に放出されて、しかも利用されないというようなことは一番最悪のケースですね。しかし、私は地方自治体の長にも申し上げたのでございますけれども、優先はいたしますが、ただ土地利用計画というものを提示していただきたい、そういうことも申し上げたわけであります。私は、その辺のいろいろな考え方から、公有地拡大していく中にそこを有効利用する、あるいは適当な代替地として利用する中から都市計画というふうなものを迅速に進めていくことは、今後の町づくりに大変重要な問題だと思います。
  225. 薮仲義彦

    薮仲委員 そういう方向でよろしくお願いをいたします。  もう時間が本当になくなって残念なんですが、この法案の中に、投機的な土地の取引を規制するというようなことで土地を投機的取引の対象にしてはならないときちっとうたってあるわけでございますし、事業者に対する義務も課せられております。第二地銀も含めまして銀行関係、ノンバンクと言われるリース、ファイナンス、こういうところに対する問題指摘は最後にいたしますけれども、こういうことを含めて投機的取引は規制する方向でございますが、ここでもう一つ問題点は、投機的な取引とこの法律の中でうたってございますが、通常取引も国民が不利益をこうむらないような配慮、例えば瑕疵のある土地を買わされる、あるいは後で聞いてみたら物すごい高い値段で土地を買わされた、こういうようなことを国民に与えてはいけないと思いますので、投機的な取引を規制していただくのは当然でございますが、通常の取引も、正常なといいますか公正な取引を守らなければならない。こういうことをこの法の中でもきっちり、成立すれば守らせるのだ、守れるのだということがあってほしいと私は思いますが、この点、いかがでございましょう。
  226. 藤原良一

    ○藤原政府委員 投機的取引を抑制するための措置といたしまして、監視区域の運用とかあるいは税法の活用、さらには金融機関、不動産業者に対する指導があるわけですが、特に不動産業に対しましては、御指摘のとおり、原野商法等に見られるように、土地取引を行う者に知識や経験が欠けていることを利用して不当に利益を上げる、そういった不公正な取引は許されるべきことじゃないわけでございます。  現行法制でも、宅地建物取引業法の中で、このような取引が行われることがないように、免許制度とかあるいは重要事項の説明の義務づけ等、規定が設けられております。また昨年、業法も改正されまして監督が強化されておるところでございます。しかし、土地基本法十三条でも、投機的取引を抑制するための取引規制に関する措置が定められておりまして、このような措置の実施によりまして、先生おっしゃるような不公正な取引についても、その抑制をさらに図っていかなければならないと考えております。
  227. 薮仲義彦

    薮仲委員 今、局長御答弁のように、通常の取引も正常な状態で行われることを期待をいたしておきます。そうでなければならないと思います。  そこで、もう最後になってきて残念なんですが、建設省お見えだと思いますので……。  ところで、今、不動産業のことを申しました。やはり私は、不動産業全体の社会的なステータスを上げていくといいますか、不動産業界がもしも健全で正常な取引を行ってくだされば、地価というものはその取引の範囲内ですら抑制されると思うわけでございます。いわゆる土地を転がすとか不当な利益を上げる、そういう業界の体質、すべてだとは私申しませんけれども、現に行われている事実を見ますと、不動産業界の体質改善といいますか、あるべき姿というのは、国民の信頼にこたえ、本当に国民の一人一人が土地を買うとき、家を建てるときあるいは家を売却しなければならないとき、北海道あるいは九州に土地を求めるとき、安心して不動産屋さんを頼めば適正な価格土地なり住宅が得られる、こうなれば国民はどれだけ安心できるか。  しかし、今どこの土地を買おうとするときに、正確な土地の値段がわからないわけです。不動産屋さんのガラスに張ってあるおおよその値段で、話していくと上げるだの下げるだのいろいろな話になってきて、先ほどの地価の公的評価の一元化に通ずるのですけれども、やはりそういう意味で不動産業全体の、業界全体のあるべき姿というのは、もっと社会的ステータスを上げてほしい。それを国民が期待しているだろうし、また土地の情報も、何とか国民が理解し使えるようなところまで、適正な価格まで情報として国民に開陳できるような方向があるべき姿であろうと私思うのでございますが、建設省いかがでございますか。
  228. 望月薫雄

    ○望月政府委員 昨年、宅地建物取引業法の改正をしていただきましたが、そのときに盛んに申し上げ、あるいは御理解いただいて御同意いただいたのは、不動産業に信頼性を高める、こういうことで一連の改正をさせていただきました。  以来私ども、その法律の適正な施行に努めていることはもとよりでございますが、私ども建設省立場でも、また業界といたしましても、今後信頼向上ということをいつまでも繰り返しているのではなくて、これからは次のステップ、今先生おっしゃった不動産業のステータスの向上ということにもっともっと我々頑張っていこうじゃないかということが、今行政、民間を通じての意識の一番大きなポイントでございます。とは申しながら現実には、残念ながらいわゆる投機的取引あるいはまた消費者をだますというふうな事例がいまだに後を絶たないということで、私どもは改正業法の本当に厳正な執行ということに努めているさなかでございます。  いずれにしましても、そういった信頼を確保するという道筋を十分に徹底していくと同時に、おっしゃるように、これからは不動産業はまさしく国民生活に非常に密着した大変大事な物件を預かる産業でございますし、同時に、都市づくり、町づくりの上でも大変大きな担い手であるという観点からすると、果たしておる社会的役割は大変大きいという観点からの指導性を一層強めていきたい、このように考えております。  そういった中で、今先生御指摘の取引の実態でございますが、おっしゃるように、ともすると宅地建物取引は店頭に張ってあるいわば相対の情報みたいな部分が率直に言ってまだございます。が、同時に、私ども、先般の法律改正で不動産流通市場の近代化ということについて大変大きな内容を盛り込んでいただきまして、言うなれば指定流通機構、具体的に言うと建設大臣が指定する流通機構をできるだけ各需給圏域単位でつくっていこうという内容を盛り込まれましたけれども、これが来年の五月にいよいよ法施行という時期を目前にいたしております。今私ども、業界団体をできるだけ束ねる中で、言うなれば、ある需給圏域の中では一つの情報、システムという中でもって取引ができるような道筋を強めていきたいということで今一生懸命やっておりますので、こういった不動産流通市場の整備が進むと同時に、あわせて私ども、今御指摘のようなことについても成果が期待できますし、我々もまた努めていきたい、こんなふうに考えている次第でございます。
  229. 薮仲義彦

    薮仲委員 局長のおっしゃること、全くそうあってほしいという一言一言でございました。どうかそういう不動産業界にしてくださいますよう、私は国民の一人として重ねてお願いをいたしておきます。  いよいよ時間が来たので、残念無念で大蔵省さん申しわけないのですが、きょう大蔵省さんとやろうと思ったのですが、ただ問題の指摘だけはさせていただきたいと思います。これは同僚委員が何回か大蔵省に対して指摘をしておることだと思いますが、私も改めてこの問題だけはきちんとさせておきたいことでございますので、お話をさせていただきます。  と申しますのは、大蔵省はこういう土地の異常な高騰に対して特別ヒアリングを行いました。その詳細について私の方で資料をいただいております。もう時間がありませんから申し上げます。これは大蔵省の資料です。「特別ヒアリング」「六十二年七月以降実施」こう書いてございまして、六十二年十月あるいは平成元年二月以降いろいろと金融機関に対してヒアリングをやってまいりました。言うならば、六十二年七月からやってきたということでございますが、大蔵省の資料によりますと「全国銀行の不動産業向け貸出残高」、六十二年七月に一番近いのは六十二年九月でございます。これは、ざっと三十五兆九千億ですね。それから今日の元年七月末、四十四兆まで膨れ上がっているわけです。特別ヒアリングをおやりになってから貸出残高が減ったのか。時間がないからこの数字は言いませんけれども、六十二年九月から元年七月まで貸出残高は一向に減っておりません。そして聞いたら、貸出件数が減少しておりますとおっしゃるから、では資料をください。「不動産業向け貸出先数」、六十二年三月末から元年三月末で、都市銀行は六万七百五十五から八万二百七十八。これは一つも減っておりません。地方銀行は六十二年三月末四万八千八百三十一、元年三月末六万五千三百二十九。地方銀行がこういうふうにふえるということは、今国土庁が一番問題にしている地方への地価高騰の分散の一番の元凶はある意味ではこれですよ。第二地銀を除く全国銀行計でいっても、六十二年三月末で十二万二千百十、これが元年三月末では十五万八千五百六十と、件数も不動産業向けの貸出残高も減っていません。  個別案件まで踏み込んでやっておりますと、何回も御説明は聞きましたし、ここでも答弁なさっていると思うのですが、これでは国民の理解は得られません。このことについて大蔵省は、今この基本法を上げるときに与野党を問わず一番問題にしているのは、不動産業に対する銀行の貸し出しについてはもっと自粛してほしい。これは長官も答弁のときに、大蔵省を呼んで厳しく言っておると何回も言っているのに、できないのが大蔵省です。この数字に間違いがあるわけないですね、これは大蔵省の資料ですから。時間があれば御答弁を求めたいのでございますが、特別ヒアリングをおやりになっておるとおっしゃるけれども、これは一つも効果がない。  我々、土地基本法の中でこの問題については重大視しております。野党案の中で政府は金融についてもやってほしいということを言っておるのは、そのためです。財政だけでなくて金融にもしっかりとした問題意識を持ってこの法案の中で対処したいと思うわけでございますが、国土庁長官、我々とすれば、やはりこの法案の中に金融についてきちっとした姿勢を打ち出すことが国民の期待にこたえる道かと思いますけれども、いかがでございましょう。
  230. 藤原良一

    ○藤原政府委員 六十年中ごろから数次にわたって、大蔵省と相談しながら金融機関に対する指導をしていただいているわけですが、先生御指摘のとおり、貸出残高は非常にまだ高水準でございますし、また地方銀行での貸出残高の増加等と符合しまして地方で地価が上がっておるという事実はございます。そういう中で今後とも地価対策としては、そういう需要を抑制する観点からの融資の抑制ということが非常に大切だと考えております。  基本法の中でも、いろいろそういう意味合いの解釈は行間から読み取っていただけるのではないかと考えておりますけれども、明確に金融という言葉が出てこないという点はあろうかと思います。我々としては、今後とも大蔵省御当局等とも相談をしながら、しっかり金融機関に対して必要な指導はお願いしていきたいと考えております。
  231. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も大蔵省が努力しないという立場にはございませんので、どうか国民の期待にこたえて不動産の業界全体の適正な、あるいは不動産業すべてが悪いなどと言っているのではなくて、必要な金融はきちんと融資していただきたいし、地価高騰や国民生活を破壊するような融資については我々が望んでいる方向で指導していただきたいとお願いしておきます。  それから、時間が参りましたのでこれが最後の質問になりますが、自治省にお願いだけしておきます。  固定資産税についてでございますが、いわゆる市街化農地宅地並み課税を減免して、東京などはここにございますように六十二年で六十一分の一に軽減しているわけでございます。これは自治省さんの資料をいただいておりますから間違いないと思いますが、それでお願いしたいのは、宅地並み課税、農家の方にああやって減免措置を講ずるのであれば、高齢者であるとか年金生活者であるとかお体の不自由な方に対して、アメリカでもサーキットブレーカーといって、身障者の方、六十五歳の方、高齢者の方のために固定資産税の減免を行っております。そういう意味で、私は、社会的弱者に対する配慮が固定資産税の中で必要なのではないか、これは主張いたしておきますから、この次また論議をしたいと思います。  そこで、私の最後の質問は住宅局長にでございます。  土地基本法と同じように大事なのは、こんなことは余りあからさまに言いたくないのですが、今、日本の国民生活の中で一番立ちおくれていることは何だろうというと、きょう問題になっております地価の問題、それから衣食住といいますけれども、住宅の問題です。これだけ世界に冠たる経済大国、あるいは世界からは豊かな国と言われる日本で最も貧しいのは住環境だと私は思うのです。そうしますと、住環境をどうするか、最も立ちおくれている住宅を早く解決しなければならない。土地問題で、余り住宅問題はきょう触れませんでしたけれども、本当は触れたかった。土地問題イコール住宅問題だと私は思うのです。そうしますと、この土地基本法ができて国全体の土地税制あるいは都市政策がきちんと整合性のある形で各省庁と連携をとってすっきりできるわけです。  私は、土地基本法と同時に住宅基本法が、政府提出で結構ですから、やはり行政官庁というのは後ろに法律があるかないか、公害対策基本法があり、教育基本法があり、あの公害がだんだんと鎮静化していっているように、住宅問題に対して国と地方の責任を明確にする基本法、これを言いますと、建設省はいつも野党間あるいは政党間、国民のコンセンサスがないと言いますけれども、ないのではないのです。やらないだけで、あるのです。これは必ず政府がおやりにならないと、また野党住宅基本法を四党で提出して政府がどっちをとろうかというようなことにならないように、今のうちから住宅基本法についてはしっかりと、伊藤住宅局長、これはおやりになった方が歴史に残る局長になると私は思う。これはちょっと余談ですけれども……。  そこでもう一つは、私の言うミニ公共住宅東京都の住宅問題を解決しようと、特賃であるとかいろいろなことをやりますけれども、私のこの政策を何回言っても住宅局はわからないから公式の場で言っておきます。  例えば東京に百坪程度の土地があってお年をとられた方が建てかえをしようとしたとき、半分は御自分の家をお建てなさい、あとの半分の土地を提供してくれれば地代はただです。そこへ国と東京都がミニの公共住宅を建てましょう。これは資料全部集めてあるのですけれども、建物だけは大したことないのですよ。一千数百万とか二千万以内で大体誘導居住水準の建物が建つのです。東京大阪も静岡も極端な差がなく建つわけです。そこへ例えばミニの公営住宅を建てて、ではその家賃は、住宅金融公庫に聞いてみますと、一千五百万あるいは二千万借りても六万とかそこいらですから、今東京で六万とかその程度の家賃だったら安いです。それにお年寄りの建てた方だって、そう高い家ではないのですから、仮にそちらの方の償還も含めたとしても、二十年、二十五年で、この家賃を仮に六万を七万にしていくならば、この宅地を提供してくださった方の家の建てかえの負担も軽減されるでしょう。ですから、御自分の建てかえの負担も家賃の中から入ってきて安くなるし、あるいは建てる賃貸住宅も、今建設業界の中で本当にすばらしい家がいろいろあるわけですから、二千万のものを一千五百万ぐらいで大量につくれないかというようなことでいろいろな型式のものをつくらせていけば、そこで二千万が一千五百万になれば五百万浮くのです。それをこちらのお年をとられた方の建築に回しましょうとかいうようなミニ公共住宅土地を求めて家を建てようという集合住宅の考えはやめて、公明党はセミパブリックといっていますけれども、ミニの公共住宅をお建てなさい。例えば一人の人が一軒建てても倍ですよ。もしも三人か四人の地主が集まって建てれば三倍、四倍のミニ公共住宅ができるのです。  お年寄りが家賃やその管理を嫌だと言ったら、第三セクターあるいは住都公団のようなところあるいは区が家賃やその管理をやるぐらいのことはやってもいいと思うのです。そうすれば先ほど来国土庁長官が苦労している、遠くから通わなくても、ミニの公共住宅についてきちっと私はやるべきだと思う。だんだん小さくなってきましたと言うけれども、私はまだだめ、一から始めろ、いつも住宅局の方と論議はしますけれども、伊藤局長、このことは真剣に検討していただきたい、いかがでございますか。これを聞いて私の質問を終わります。
  232. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 最後に大きな問題を二つ言われましたので答弁が大変なんですが、住宅基本法でございますけれども、建設省といたしましては、既に五十年と五十五年の二回にわたりまして住宅宅地審議会から答申を得ております。その中身も、住宅政策の目標であるとか国及び地方公共団体の施策分担、相互協力、住宅及び住環境の水準の目標、それから地域レベルで設定された住宅計画の策定云々と、いろいろ項目が挙がっております。私どももこれに基づきまして、これは住宅局の中でございますけれども原案を勉強してきております。ただ、相当前にやりまして、正直申し上げますと中断をいたしております。  問題は、この答申でも言っておりますように、「政府は、国民各層の幅広いコンセンサスを得て、その内容を確定していく必要がある。」という一項目が入っておりまして、その後、公明党から六十年、社会党から六十一年に、社会党の方は住宅保障法案というのが出ておりますが、具体的な御提示をいただいております。その中でコンセンサスを得られるかどうかという一つ一つ問題があるわけでございます。  住宅問題は土地問題と言われて久しいわけでございますが、土地については御案内のとおり、こういう形で土地基本法を御審議いただいてございます。したがいまして、次は住宅だということだろうと思いますけれども、住宅問題は一方では大都市問題ということでもございます。したがいまして、住宅問題を考える場合に、基本法の位置づけになるわけでございますが、とりあえずは大都市対策をどうするか、具体的な効果が上がる大都市対策というのをまず急ぐべきだろう。そして、住宅基本法の方は皆さん方の御提案をいただいた、あるいは審議会の御提案をいただいた中身を見ますと、要するに例えば住居費負担の比率であるとか居住水準の目標であるとか、基本法といえどももっと相当具体的な中身に踏み込んでおるわけでございまして、この点に関しましてはまだまだコンセンサスを得ていないのではないか。一つ一つ議論すれば長いことになりますが、そういうことで若干時間がかかる。したがって、施策の重要性から考えて、まずは大都市対策について実効性あるものを打つべきが住宅対策の緊急な課題ではなかろうかと考えております。  それから、小規模敷地活用型でございます。先生のアイデアは二つあるわけでございます。一つは、地主さんがつくる賃貸住宅を活用して本来公共が果たすべき役割を十分機能させるようなことができないかということが一点。それから、賃貸住宅というのは小規模な敷地に小規模な地主さんがどんどん建てるというこの活力が非常に大きいわけでございますから、小規模の敷地のところまでもっと賃貸住宅を建てるところに施策の手を入れるべきではないかという二つがあると思うのですね。  前の方の問題でございますが、これは現在のことからいきますと、公共団体がみずからつくるものしか公営住宅方式というものはないわけでございます。公営住宅法は、例えば借り上げることは今はできないわけでございます。したがいまして、そういう借り上げまでやるという政策転換をするかどうかという問題。それからさらに今お話に出ましたような小さな規模の賃貸住宅がたくさんばらばらにあるとなりますと、やり方としまして物で管理するのがいいのか、それとも公共団体が今あちこちでやっております家賃補助みたいなものがいいのかという手段の問題も大きな問題でございます。したがいまして、そこら辺の検討につきましては今後とも勉強していきたいと思います。  それから、もう一つの問題は、小さな敷地までということになりますと、これは私ども一生懸命勉強しまして、大蔵にもお願いをして、ことしから小規模な賃貸住宅にまでできるようになりました。先ほど先生、百坪とおっしゃいましたが、もっと下のところまでできるようになっております。したがいまして、そうなってまいりますと今度は都市づくりということとの関連が非常に出てくると思います。したがって、敷地はできるだけ共同化して、二百平米とか百坪とかというような敷地になりますればある程度のものができてくると思いますので、そういう町づくりの観点を入れながらやっていかなければいかぬということで、小さければ小さいだけいいという話ではなかろうと思います。これもまた勉強させていただきます。
  233. 薮仲義彦

    薮仲委員 農水省さん、自治省さん、大蔵省さん、答弁の時間をつくらなかったことをお許しいただきたいと思います。どうもありがとうございました。終わります。
  234. 大塚雄司

    大塚委員長 青山丘君。
  235. 青山丘

    ○青山委員 この審議も大分大詰めにきましたので、私からは前の質問の延長線のような形になりますが、土地税制のこれからの進め方について質問をいたしたいと思います。  ただ、その前に一点だけ。現下の我が国土地価格状況国土庁長官、どういうふうに受けとめておられるのでしょうか。私は、あの資源も豊かで我が国の二十五倍も広いアメリカ土地の価額の総額の四倍にもなっておるというような状況は、まさに異常な地価、まさに病める地価。もちろん、これは何とかしなければならないということで今回の基本法の提出になっておりますが、現下の日本地価状況国土庁長官は一体どのように受けとめておられますか。まず一点。
  236. 石井一

    石井国務大臣 まさに病める地価、異常な地価、そうして豊かさの中の最も貧しさを象徴する象徴、そういうふうに思っております。実は先日、私、アマコスト大使に招待を受けましてアンバサター・ヒルズに、通商代表はアンバサダーと呼んでおりますが、アンバサダー・ヒルズにお会いいたしまして、そのときに今委員が申されたようなことを英語で申し上げました。実はそこまでの認識はなかったのですね。それはどういう意味かということで、説明をしましたら、土地問題の価格の落差というものに非常な驚きを示されたわけです。私としては、同時に、それほど我が国における土地問題の解決は難しいと御判断いただいてもいいんじゃないですかと付言したわけでございますが、そう言ったからというて、その後ヒルズ通商代表、土地問題をもう忘れられたのか、あるいはまた今後どういう対応をされるのか別といたしまして、我々日本人だけでなく、そういうふうな国際問題にまでなっておるこの土地価格はまことに異常なものである。そうして、政治問題として考えましたときに、庶民のマイホームの夢を破ってしまったということは、これはやはり重大な責任を政治家は感じなければいけないな、そういう感じを持っております。
  237. 青山丘

    ○青山委員 まさに異常な地価、病める地価、こういう認識でこれから土地問題を解決していかなければ、日本は戦後、経済運営や政治的な取り組みで多くの成果を上げてきたにもかかわらず、最大の弱点を抱えてこれから政治に取り組んでいかなければならない。したがって、その中で土地税制が果たす役割は非常に大きい。先般私が質問したときに土地税制については少し触れさせていただいただけですので、きょうは少し時間をいただきたいと思いますが、結局、土地の需給関係を緩和をしていくためにも土地税制が果たす役割は非常に大きい。土地税制といいますと、取得、保有、譲渡、大きくこういうふうに分けられてきますけれども、この政策が円滑に進められていけば、一定の政治課題を解決していく、政策課題を解決していく力になってくる、そういうふうに私は思います。  まずお尋ねしたいことは、政府土地税制に対する基本的な姿勢であります。政府昭和四十三年七月、税制調査会の土地税制特別部会においてこういう答申を出されております。「土地政策全般において土地税制の果たしうる役割は、あくまでも補完的、誘導的」であるとの立場を示してきました。しかも、この考え方は以前にもたびたび聞いておりますが、現下のこの異常な地価状況また病める地価状況、こういう状況下においても、なお大蔵省は土地税制の果たすべき役割というのは「あくまでも補完的、誘導的」な立場であるというお考え方をこれからも持っていかれるのかどうか。いかがでしょうか。
  238. 長野厖士

    ○長野説明員 お答え申し上げます。  四十三年に確かに土地税制に関しましてそのような答申が出ました。また、そのような言葉はそれ以来の税制調査会のたびたびの答申の中でも何度か触れられておりまして、最近におきましては昨年の四月、税制改革についての中間答申の中でも同じような趣旨のことを言っております。  ただ、この税制が「補完的、誘導的」という言葉の意味につきまして、若干それ単独では誤解のおそれがある点がございますので、昨年の税制調査会の御答申では、かなりそこをどういう具体的な趣旨であるかということをお書き込みいただきまして、お時間をとりますが関連のところだけ読まさせていただきます。  「税制は、基本的に市場原理を通じて経済行動に影響を及ぼすものであり、土地利用に関するルール等市場原理の外にあるものに対し直接的な影響力を行使することはできない。したがって、土地税制を活用し、特定の政策目的に沿って個人や企業を望ましい方向に誘導しようとする場合には、望ましい土地利用のあり方等に関し、詳細な都市計画その他の制度・施策が整備されていることが前提要件となる。その意味で、土地政策全般における税制の役割が補完的、誘導的なものであることは当調査会がつとに指摘してきたところである。」こう申しておりまして、しばしばこの誘導的、補完的という言葉が余り効果がないとか限定されておるというふうに理解される向きがありましたので、税制調査会でこういう御答申に昨年なったわけでございます。  大変恐縮ですが、例え話で申し上げますと、税制土地の基本施策との関係というのは、私なりに理解しますと機関車とそのレールみたいな関係になろうかなと思っておりまして、税制そのものは機関車でございますから安全に客をどこかに運ぶこともできますれば、暴走すれば人や財産を傷つけることもございます。どっちの目的に走っていくのかということがレールでございまして、都市政策の方できちっとしたレールを確立して、それに向けて税制頭張れということであれば機関車は走っていくであろうというふうに考えております。
  239. 青山丘

    ○青山委員 私は、昭和四十三年の「土地税制の果たしうる役割は、あくまでも補完的、誘導的」であるという考え方について、当時は妥当性を持っていたように思いますね。あるいは妥当性があったかもしれない。しかし、今日のこの異常な地価高騰を率直に見てまいりますと、さて、本当にこの土地税制が有効に適切に運用されてきたか。これがもし、もっと適切に運用されてきておれば、今日のような異常な事態は避けられることができたのではないか。もちろん税制だけではありませんよ。今日のこの異常な地価状況というのは、その原因はいろいろあることは私もわかっておる。けれども、その中で土地に対する税制が適切であったかどうかといえば、適切ではなかった。結果として今日の異常な事態を、また病める地価状況をつくり出してきておることは率直に受けとめていただきたい。  そういう意味で、例えば補完的であるのならもっと補完的な役割を果たすことができたのではないか、誘導的であるのならばもっと誘導的な役割を積極的に果たしていくべきであったのではないか。それが結局、いろいろな要素があったのでしょう、できなかったのかもしれませんが、誘導的な、政策的な役割が果たし得なかった。したがって、今日のようなこういう異常な事態を招いてしまったということは率直に受けとめていただきたい。そういう意味で、税制に対する基本的な姿勢、こういう点でもっと土地税制を有効に、適切に、活発に活用するべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  240. 長野厖士

    ○長野説明員 御指摘いただきました点は、まことにそのとおりであろうというふうに考えております。  過去、土地税制が本来期待された役割を果たしたかどうかという評価の問題につきましてはともかくといたしまして、税制を展開する上で私ども何を悩んだかということを素直に申し上げさしていただきます。  例えば土地を有効利用させるということが土地政策の目的の一つであろうかと思いますけれども、その有効利用という場合に、都心で平家で伝統的な小売業をなすっておられる方がいらっしゃったり、あるいはそこに住まいを持っておられる方がいてその方々を、土地高騰したことによって税もふえる、被害者と見るのか、あるいはそういったのは有効利用してないのだからそこで同じことをやるのは許されない、出ていきなさいというふうに向けるのかというあたりにつきまして、実はなかなかコンセンサスが得がたいというところで、右か左か税制がはっきりしなかったということがあるいはあったかなというのが率直な私の感じでございますけれども、この基本法の御議論などで、だんだんと煮詰まってきておるようでございますが、そういった点を踏まえまして、今後どちらの方向に行くべきかという御指示をいただきながら考えてまいりたいと思います。
  241. 青山丘

    ○青山委員 今、あなた方が悩んでこられたことをお話しになりました。同じことを私たちも悩んできたのです。悩んできましたが、今日のこの事態を率直に受けとめていただきたい。日本土地税制というものは多くの点で後手に回ってしまった、適切な手が打てなかった、そういうことをぜひ反省点としてまず受けとめていただかないといけない。  さらにもう一点は、土地税制地価高騰を招いたのだ、土地税制が結局、地価問題、土地問題を助長させてきた、こういうような声を聞くにつけまして、これはいけない、間違ってもこんなことがあってはいけない。これは先ほど御答弁いただいた内容と全く違ってきておる、そういう意味で、不動産業界で土地を購入していただくことが節税につながりますよというような情報が結局地価高騰させてきてしまった、こういう事態も結果としてあったと私は思う。これをまず一点指摘しておきたい。もし、そうでないというのならば、これはそうした情報を流したり広告を出したことについて厳正に対処していただかなければならなかったのではないか。  この二点、いかがでしょうか。
  242. 長野厖士

    ○長野説明員 今後さらに土地税制を考えていきますときに、御指摘の点が非常に大事な点であろうかと考えておりますが、最初に、土地税制の中でかえって土地問題を深刻にさせたものはないかという御趣旨のお尋ねにつきましては、これは例示として適当かどうかわかりませんけれども、こういうことがございます。  例えば土地供給促進するために、なるたけ売りやすくするというような形で税制を仕組むということが、そのときは非常に合理的に感じられた。しかし、しばらくやってみますと、いつでも売るときには税負担が軽いのかということで、かえって運用資産としての土地の魅力を増してしまって、事志と違ったのではないかということで、改廃を余儀なくされたような制度も過去にございます。そういった、本当にその税制の及ぼす効果というものの需要と供給と両面への見きわめということが、今後検討いたしますときに大事なことであろうというふうにまず考えます。  それから第二点、節税の問題でございます。土地施策のために税制を使うということと、税の命でございます負担の公平というのは、場合によってはしばしば逆方向を向くことがございます。節税目的で土地というものが利用されてということになりますと、これは両方の意味で問題であろうかなと考えますが、これも具体的に申し上げた方がいいかと思いますけれども、結局は、土地を購入すること、あるいは保有することによって赤字をつくってこれを節税に使うという方法と、出た黒字をほかの赤字と帳消しにするというふうな手法が両方ございますけれども、いずれにしても、そんな例が従来、例えば借金をして土地を購入した場合に、その金利だけは経費で落ちるが、土地は遊ばせておいても構わない。その土地に見合った税金は納めてないというのはどうかということで、これは御承知かと存じますけれども、借入金による土地取得というものに対する法人の措置は近年とらせていただきましたけれども、今後さらに検討しなければいけないと思っておりますのは、その赤字、黒字の通算ということを通じての節税という問題、実はこれは大変根が深うございます。  と申しますのは、これは総合課税という税制の基本を利用いたしておりまして、不動産の方では建物の減価償却も含めて赤字になる。したがって、給与所得の方と相殺できて、あなたは税金が軽くなりますよというチラシを確かに見たことがございます。これは総合課税を放棄するあるいは禁止するということによってしか防ぐことができません。確かに、法人税の世界では若干土地の譲渡益につきましては分離課税の思想を入れておりますけれども、そういったものが個人の方まで考えてくるのか、しかしこれはまた税制といたしますと、総合課税の方を目指すべきなのか、ある部分で分離課税を拡大していくのかというのが、これは土地の問題だけでなくちょっと及ぶところが大きいような感じもいたしますし、そんなこともこれから研究していかなければいけないなと考えているところでございます。
  243. 青山丘

    ○青山委員 考え方の基本はよくわかるのですけれども、基本的に土地が現在のような状況であるという認識に立ってきますと、今おっしゃられたように、土地の購入について借入金の利子が損金算入になる、それは不動産業界がそれを逆手にとって、節税につながりますよと広告いたしますよ。そういう点も細かく対処していかないと、逆に土地税制土地高騰の一因をなした、土地問題を逆に増幅させてきてしまったという指摘を受けても私は仕方がない。これは理念的な問題ではなくて、きちっとした対処をしていくべきだという姿勢を確立していただきたい。政治の多くの面で日本はかなり成功してきておる面がありまして、必ずしもアメリカやヨーロッパが全部進んでおるとは思わない、思わないが土地税制だけは全く致命的に日本はおくれてきてしまった。これはぜひひとつ率直に受けとめていただきたいと思います。  それから、土地税制の目的としては、これまでは第一に土地の有効利用を促進しなければいけない、第二に適正な地価形成を図っていかなければいけない、第三に宅地供給促進していかなければいけない。それが土地税制の目的としてこれまで取り上げられてきました。先ほど来の議論や審議の中にも少し触れられておりましたが、そうした点での見方だけでは足らないのじゃないか。今日一番重要なことは、地価がこれだけ異常に上がってきたことによって、資産の格差が深刻なまでに拡大してきておる。この資産格差の拡大土地税制による不公平感、地価上昇による不公平感、これを是正していく、このことが土地税制の極めて重要な目的に挙げられていかなければいけないと私は思っています。いかがでしょうか。
  244. 長野厖士

    ○長野説明員 先生御指摘のとおり、土地税制、この二つの言葉は一緒になってございますので、土地供給促進でありますとか有効利用でありますとかいうような側面と同時に、先ほど税制としての命と申し上げましたけれども、負担の公平ということは特に大事であろうかと思いますが、昨今のごとく土地価格上騰というものの中では、その役割は一段と大きいものと考えております。  ただ、制度的には、私どもの所管いたします譲渡所得につきましては、一般の所得税本則に比べますと、土地の所得につきましてはやや負担を多目にお願いいたしておりますし、法人税におきましても、通常の法人税に加えまして譲渡益に対して特別の御負担をお願いいたしておりまして、昨今自然増収というような御指摘もございますけれども、そのかなりの部分はまさに土地価格上昇に伴います譲渡に関しまして税制がきちんと機能いたした結果として税収が上がってきておるというような実態もございます。今後とも土地の資産としての課税の適正化につきましては十分に配慮していかなければいけないと考えております。
  245. 青山丘

    ○青山委員 今おっしゃられたようなことで、土地の不公平感を是正していくということは、これからの土地税制の重要な課題だ、目的だと思います。  そこで、国土庁長官か土地局長かどちらかに、これまで土地税制といいますと、投機を抑制していく、あるいは有効利用を図っていく、高度利用を図っていく、土地を高度に利用していく、宅地供給促進していくというような点に配慮されてきましたが、私は、今取り上げておりますように、不公平感を是正していく。地価がどんどん上がっていく、持つ者だけが資産価値をふやしていく。持たざる者の立場から見ますと、まことにこれは不公平感が拡大していく。これじゃおもしろくない。まともな勤労意欲もわかなくなってくるし、不公正な社会になってきてしまった。だからこそ、今回土地基本法を制定してこの不公平感を是正していくのだ、こうおっしゃるのかもしれません。国土庁として土地税制の適正な運用によって不公平感を正していくのだという姿勢を今回の基本法で明確にしていかれるのでしょう。そこで、具体的には今どういう考え方を持っておられますか。
  246. 石井一

    石井国務大臣 ただいま大蔵省の政府委員からも予想以上に前向きな土地税制に関する答弁を伺っておりまして、私は意を強くいたしております。  まず、税制のマクロの問題としては、今回消費税等でいろいろと議論いたしておりますのも、昭和二十六年シャウプ勧告以来長年の間所得に偏重した税制を消費と資産にバランスを変えようということでありますから、消費税の問題はともかくといたしまして、資産に対する視点を今後重視し、社会の公正を保たなければいかぬということは当然ではないかと思っております。  それから、具体的な問題といたしましては、私はそれぞれ税というものがいかに難しいか、もろ刃の剣のようにメリットの面とデメリットの面が出てくるわけでありますけれども、当面基本法が成立しました後に、土地保有課税の適正化、特に特別土地保有税につきさらにその運用の厳正化、適正化を見直すということ、それから特定市街化区域農地に対する固定資産税の課税に関しても、宅地並みとは申しませんけれどもやはり検討を加えなければいけない。確かに、区分した場合におきましては税額を変えるということ、これをやっていかなければいかぬと思います。それから、土地の相続税上の取り扱いの適正化、これも重要な課題ではないか。それから、法人関係に関しまして、借入金等による土地取得等を通ずる税負担の回避行為等に関しては、仮需要をあおるような傾向にありますから、この点に関してもやはり所要の手続をとってもらいたい。  それから最後に、これは一番難しいのですが一番重要だと思っておりますのは、都市宅地開発推進とか土地の有効高度利用を促進するために、利用されていないものに対してやはり所要の手続なり措置をとって関連制度なり施策の見直しということ、この辺についてはひとつできるだけ早く所要の手続をとって税制改正に踏み切るべきではないか、そういう考え方を持っております。
  247. 青山丘

    ○青山委員 長官の非常に意欲的な姿勢をひとつ評価させていただいて、ぜひ進めていただきたい、強く期待しております。  ただ、これは政府提案の土地基本法案ですが、土地税制について書いてありますけれども、一体どういうふうにしようとしておられるのか。だから今長官が述べたじゃないかということではなくて、今回の土地基本法を制定するに当たって、例えばこの第十五条は「土地についての基本理念にのっとり、土地に関する施策を踏まえ、税負担の公平の確保を図りつつ、土地に関し、適正な税制上の措置を講ずるものとする。」土地税制一体どういうふうにされようとするのでしょうか。基本法なので、ある程度幅を持った、ある程度抽象的な表現にならざるを得ない、こうおっしゃるのでしょうが、もう少しわかりやすい表現はなかったのかどうか、具体的に何を考えているということについて、少し明確に説明をしていただきたいと思います。
  248. 藤原良一

    ○藤原政府委員 お答え申し上げます。  この十五条の「税制上の措置」は、理念の方の五条の規定を受けて、十四条とともに土地に関する基本的な施策の一つとして位置づけられておるものでございます。十五条では、まず土地についての基本理念にのっとって税制上の措置を講じていくんだということでありますが、基本理念の方は、二条から五条までございますように、土地の適正利用、計画的な利用を進めていく、あるいは投機的な取引を排除していく、さらには適切な負担を求めていくといった理念が規定されておるわけですが、そういった理念を推進する観点から常に税制上の措置は考えられていくべきだというのが一つであります。  次に「土地に関する施策を踏まえ、」ということでありますが、これは、土地税制については総合的な土地対策の一環として望ましい土地利用のあり方に関する土地利用計画、あるいはその他関連する制度、施策の整備を行っていかなければならないわけですが、そういった計画、施策を推進する上で必要な税制上の規制、誘導措置、そういった措置も必要であります。さらに加えて「税負担の公平の確保」という観点からも税制措置は考えられるべきだ、所得との均衡あるいは土地以外の資産課税に対するバランス、そういったことを考えながら税制上の措置を講じていくべきである、そういう基本的な方向を示したものであります。
  249. 青山丘

    ○青山委員 そこで、土地税制。大きく分けて、取得課税、保有課税、譲渡課税と分けられていきますが、取得課税については、その代表格は相続税、この相続税にはいろいろな立場がありまして、複雑に入り組んでまいりまして、なかなか難しい問題があります。そこで、きょうは保有課税と譲渡課税についてお尋ねしたいと思います。  まず、率直に申し上げて、保有重課、譲渡軽課。譲渡軽課といっても、短期のものまで軽課というわけにはいかない。保有税と短期譲渡の重課、それから長期保有による譲渡税の軽課、こういう方向だと考えてよろしいのでしょうか。
  250. 藤原良一

    ○藤原政府委員 私からお答えするのが適当かどうかと思いますが、一般的に、先生がおっしゃいますように保有税課税強化、そして譲渡益課税を軽課していくということは土地の流動化、供給促進につながるという御主張はよくなされるわけです。ただ、保有課税を強化いたしますと、確かに供給促進につながる面もございますし、また、土地保有の一般的な有利性を減ずるという効果もあろうかと思いますけれども、一方では国民生活とか営業に与える影響も大きいというふうな気がいたします。また譲渡益課税につきましては、これを軽課いたしますと、土地に対する仮需要を喚起するような効果も出てくるのではないか。一方、強化いたしますと、ロックイン効果と申しますか土地供給を阻害してしまう。そういう両面を持っておるような気がいたします。だからその辺のバランスを考えながらその水準というのは設定されていかれるべきなんだろう、一般的にはそういうふうに私は考えているのですが。
  251. 青山丘

    ○青山委員 おっしゃられることはもう一々ごもっともでして、妙なことを言っておられるなどとは思っていませんよ、私も。ただ、現在の病める地価状況で、適切に対処していくという立場からしますと、基本的な姿勢をきちっと出すべきだと考えているから申し上げているのです。もちろん生存権や営業権を脅かそうなどということはとるべき態度ではありませんよ。あるいは社会的弱者に対する適切な措置というのもとらなければいけません。けれども、我々が現在のこの異常な地価を率直に見て、この状況を放置してはいけない、適切な施策を今打たなければいけないという立場からしますと、基本的にはそういう立場をとるべきではないかと私は思うから申し上げた。  それで、保有の重課についてよりも長期譲渡の軽課についてはいささかスムーズにきていると私は思います。ロックイン効果などというのは出てこないように、例えば昭和五十年の改正で、長期保有の譲渡課税、これは譲渡所得二千万円、譲渡所得ですから売った金額から取得金額を引いたもの、もちろん手数料もそこに含むんでしょうが、譲渡所得二千万円以下は二〇%、二千万円を超えるものは四分の三総合課税、こういうふうであった。それが五十八年には税制改正によって、譲渡所得四千万円以下のものは二〇%、四千万円を超えるものは二分の一総合課税。比較的スムーズにこれは来ているのです。私は、これはこれでいいと思う。問題は、保有課税の方がむしろ後退してきておるんじゃないか。実勢価格と比較をしてみると実態は後退してきておる。基本的には保有課税の適正化、適正化という言葉はなかなか微妙な言葉ですが、そういう点が後退しておるように思えます。その点はいかがでしょうか。
  252. 藤原良一

    ○藤原政府委員 一般的には、保有課税につきましては、固定資産税、特別土地保有税があるわけでございますが、固定資産税につきましては、自治省の方で三年に一回評価がえをしながら適正化を図っておられるところであります。しかし、先生御指摘のように、一般の取引価格を事例にした地価公示価格等と比べますと、そういうふうな確かに御指摘の実態があるんじゃないかと思います。公示価格と平均的な固定資産税の評価水準、恐らく地価が安定したときと現時点では、高騰した地域では相当な乖離が出てきておる、そういうふうに一般的に言えるんじゃないかと思います。  特別土地保有税につきましては、これは取得価格で課税されることになっておりますから、これはこれで一定の機能を果たしておると思います。ただ、取得してから十年間で一応対象土地から消えるというシステムになっておりますので、今後、土地の有効利用を促進していく上では、そういう点も含めて勉強の対象にしないといけないんじゃないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  253. 青山丘

    ○青山委員 保有課税の適正化、もちろん一面の難しさはよくわかっていますけれども、保有税の代表格は何といっても固定資産税。固定資産税が土地の実勢価格との間でどういう状況になってきておるのか、また、そのことに対してどういう所見をお持ちなのか、自治省いかがでしょうか。
  254. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えいたします。  実勢価格というのをどういう価格でとらえるかというのは非常に難しいと思うのですが、今、地価公示価格というものを基準にしてとらえてみますと、地価公示の価格、それから固定資産税の価格というのはもちろん目的もちょっと違うわけでございまして、一律に述べるわけにはいかないかと思いますが、一応この両方の価格、あるいは評価額の割合を見てまいりますと、昭和五十年代の前半で言いますと、地価公示価格に対する固定資産税の評価額の割合を地価公示地点で比較をいたしてみますと、約四割ぐらいでございます。そういったことでございますので、現実には固定資産税の評価額に対して一・四%という税率がかかりますから、もし実勢価格地価公示の価格というものをベースにして考えるのであれば、この一・四%が、一・四掛ける〇・四というようなことで〇・五六%というのが昭和五十年代の前半かと思います。  同様な方法で五十年代の後半を測定いたしてみますと、この地価公示の価格と固定資産税の評価額が、先ほどは四割ぐらいと申し上げましたが、これがちょっと下がってまいりまして二五%ぐらい、四分の一ぐらいになっておりますので、先ほど申し上げました固定資産税の実質税率といいますか、地価公示の価格をベースにした場合の税率ということで置きかえてみますと、これが〇・三%ぐらいになる。〇・二ポイントぐらい下がっている。それはとりもなおさず地価公示の価格に対する固定資産税の評価額の差が出ているということであります。  これに対する評価の問題でありますが、地価公示の価格はやはり売買の際の一つの指標になる価格であると思います。それから、固定資産税の価格は「適正な時価」という表現を用いておりますが、やはり使用収益し得べき価格といいますか、例えて言えば地価公示と固定資産税の評価額との間にはどうしても差が出てきてしまうという宿命的な問題がございまして、例えばどこかに一つ地下鉄の駅ができるとか、それから鉄道が通るとか、そういう計画が発表されますと、売買実例価格というのは、そういう期待価格、期待利益というものを求めてぐっと上がるわけでございます。しかし、実際に地下鉄の駅なり線路が通らなければ便益は上がらない。そこに住んでいる方々たちは、そういう期待利益に基づいて固定資産税の評価をされると非常に困るということになるわけでございまして、先ほど来、石井長官の方からいろいろ御説明もありましたけれども、そういった意味で、地価公示の価格と固定資産税の評価額というのはやはり違った基準といいますか物差しになる場合があるということを御認識いただきたいというように思っております。
  255. 青山丘

    ○青山委員 自治省、きっとそう言われるだろうとは思っていました。思っていましたが、戦前の評価と今日の評価、実勢価格との乖離、これは自治省、恐らく御存じだと思うが、戦前は比較的正確に反映されていた。しかし、今は大きな乖離がある。しかもそれはいつも出てくるんですが、未実現のキャピタルゲインの話でしょう。  ここに自治省の「市町村税徴収実績調」、それから経済企画庁の「国民経済計算」、こういうことで資料が出ていますが、固定資産税収額の土地資産額に対する比率というのは、これは全国、東京圏、東京都もそうですけれども、昭和五十二年に少し高かったのですが、それからは若干下がったり上がったりしてきていますが、著しい下降線をたどっているんですね。昭和六十年以降、六十一年、六十二年などは土地資産額に対する割合というのは、もう大変な低下の仕方。昭和五十二年で固定資産税収額の土地資産額に対する比率では、全国平均が〇・二三%、この段階では東京都が高くて〇・二六%。ところが昭和五十九年になってきますと、全国平均が〇・一九%、東京都が〇・一八%。六十年、六十一年、六十二年、現在では〇・〇六%が東京都。この割合から見ますと、絶対値で言っているわけではないんですが、これは適正な保有に対する考え方が反映していると言えるのかどうか。そのあたりいかがですか。
  256. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えいたします。  御指摘のような事実は確かにあろうかと思います。私ども、この土地の資産額に対する比率というのをとっておりませんけれども、先ほど申し上げましたように、地価公示と固定資産税の評価額との間の比率というのをとってみますと、過去の例からいいますと、地価が安定をしているときには全国的に地価公示の価格に非常に近づいてくる。ある時点で地価が非常に急騰をする、高騰したりしますとこれが離れて、そしてまた地価が安定しますとくっついてくるというようなことでございまして、固定資産税の評価額自体をどういうふうに定義づけるかというのはなかなか難しいことかと思いますけれども、やはり私どもそういった中において固定資産税の評価額の適正化といいますか、均衡化というものを常に追求しながら指導していく中で、国民あるいは住民の皆様方に納得のできるような固定資産税の額を納めていただくということになろうかと思います。
  257. 青山丘

    ○青山委員 戦前はどうだったと思っていますか。
  258. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 ちょっと今手元に資料がないのでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  259. 青山丘

    ○青山委員 戦前はほぼ一致していた。しかし今日では著しい乖離があって、実勢、実態が適切に反映しておらない。これは、基本的にそうありますと、固定資産税に対する評価の信頼性といいますか、これが傷ついてきますし、何かうちだけ高くてよそは低いような空気が出てまいりまして、非常に国民に不信感を募らせていく。よくない。はっきり申し上げておきたいが、将来はひとつぜひ適正なものに一元化をしていくという方向で取り組んでいかなければならない、そういうことを一言申し上げておきます。  それから、受益者負担の規定が今回の土地基本法にありますけれども、この点は評価していかなければならないと思います。問題は、具体的にはどのように受益と負担の適正化を図られようとされるのか。いかがでしょうか。
  260. 藤原良一

    ○藤原政府委員 十四条に「社会資本の整備に関連する利益に応じた適切な負担」という条項が置かれておりまして、社会資本の整備に関連して著しく利益を受ける特定の者、そういう方から特別に利益に応じた適切な負担を求めようという趣旨でございます。  ただ、現行制度の中でも幾つかの受益者負担制度が設けられております。先生御承知のとおり、都市計画関係の受益者負担金、これは下水道事業など、これに基づいて負担金が徴収されておりますし、またこれは余り動いておりませんが道路法、河川法、海岸法、港湾法といったいわゆる公物管理法関係には受益者負担の規定が一応置かれております。道路法が若干動いておると思いますが、他の法律に基づく受益者負担の実績というのは、私余り聞いておりません。ただ、区画整理事業や土地改良事業に基づく公共減歩あるいは総合設計や特定街区制度による容積率の割り増しと関連させた公共空地の提供、そういったものも広い意味ではこの受益者負担金に相当するのではないか。また、現在進行中の事例としましては、東京臨海部で公共施設の整備のための土地または負担金を関係土地所有者から徴収する、そういった制度が検討されております。また、これは少し毛色が変わっておりますが、いわゆる市町村等で行われております宅地開発指導要綱に基づきます寄附金、あるいはニュータウン鉄道整備に関連するニュータウン業者からの金銭寄附、これは任意協定の場合が多いわけですが、そういった事例があるわけです。  そういう既存の制度、事例等も活用しないといけないわけですが、さらにこれに加えてより合理的な制度を基本法制定を機にいろいろ検討していかなければならないのではないか、そういうふうに考えております。
  261. 青山丘

    ○青山委員 運輸省来てもらっていますね。例の都心と筑波研究学園都市を結ぶ通勤新線、常磐新線、これが西暦二〇〇〇年開通を目指して一九九〇年、いよいよ来年からこの事業が、鉄道の工事が始まるというふうに聞いております。この建設総経費、これが今計算されておりますところによるとおよそ七千億円くらい、運輸経済研究センターでそんな数字が出ていますね。その新線が建設されることによって、沿線には宅地開発が相当進んでいくでしょう。そうした宅地開発を進めることによって開発利益というものが相当生まれてくる。一体どれくらいか。これが資料として出ていますが、二十一兆二千億円くらい生まれてくるであろう。約三十倍、大変なものですね。  問題は、開発されることによって出てくる利益、これは例えばアメリカやヨーロッパですと、その地主、個人や法人の地主に帰属するものではないという受けとめ方から、地方団体あるいは公的機関がその開発利益は吸収していくんだというようなことのようですね。  さて、第百十四国会で、大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体推進に関する特別措置法、これは常磐新線のための法律だと言われているのですが、この開発利益に対する社会への還元、負担、これはどういう考え方でこれから進められようとするのでしょうか。それから、この考え方がその法律案にどういうふうに盛り込まれていたのでしょうか、これからどういう組み立て方をしようとしておられるのでしょうか、いかがでしょうか。
  262. 金田好生

    ○金田説明員 お答えいたします。  今先生御指摘のように、百十四国会で、いわゆる一体法と称しておりますが、法律がおかげさまで成立いたしまして、この九月から施行されたところでございます。御指摘のように、常磐新線東京圏北東部で計画されておるわけでございますが、その具体化に向けまして今基本的な問題を関係者間で協議を進めておるところでございます。法律にもございますように、いわゆる大都市近郊と都心を直結する大規模鉄道、こうはっきり書いてございますが、こういった長大な鉄道新線を整備するに当たりましては、用地代を含めまして大変多額の資金がかかってまいるわけでございます。土地対策のための鉄道が実は土地問題でちょっと制約を受けているという状況にございますけれども、そういった収支採算、極めて厳しいものがございますので、御指摘の受益者負担、開発利益の還元という意味かと思いますが、何らかの形で図っていきたい、必要である、このように私どもは考えておるところでございます。  ただ問題は、このような長大、大規模新線というものが建設された場合に、非常にその効果は沿線広範に及ぶわけでございまして、一体だれがどのくらいの開発利益を受けるのか、したがって、それによってどのような範囲で負担をお願いしていくのか、なかなか決めかねるところが実はございまして、現実問題として非常に難しい問題を含んでおるということは御理解いただけると思うわけでございます。  こうした問題を踏まえまして、御審議いただいております土地基本法を成立させていただいた場合には、そういった趣旨を具体化すべくさらに政府部内で鋭意検討を進めてまいりたいと考えておりますが、いわゆる一体化法におきましては、法律の二十一条におきまして、関係地方公共団体が鉄道事業者に対して出資するとか補助をするとか貸し付けをするといった助成、あるいは鉄道用地の確保そのものについて協力をしていただくというような形で鉄道整備に対して非常に積極的に関与するという仕組みがございます。鉄道整備につきましては、実はこれは初めてこういう法律上の規定が本法において設けられたわけでございまして、これはある意味では開発利益の還元という考え方に通ずるものではないか、このように理解しておりまして、私どもこの趣旨を踏まえまして、鉄道整備の促進を図るために今後地元自治体に御協議を申し上げまして、実情に即した形で、実効のある形で実現をしていくように進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  263. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ、日本においてもこの土地基本法が制定されることによって受益の適切な負担、こういうことが具体的に進められますようにお願いをしておきます。  時間が来ましたので質問を終わります。ありがとうございました。
  264. 大塚雄司

  265. 中島武敏

    中島(武)委員 まず、国土庁長官にお尋ねしたいと思います。  この土地基本法案はその第二条で、「土地については、公共福祉のため、その特性に応じた公共的制約が課されるものとする。」とありまして、以下第三条「適正な利用及び計画に従った利用」、それから第四条「投機的取引の抑制」、さらに第五条「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」ということがうたわれておりまして、具体的な制約をいろいろと課すという考え方が出ておるわけです。  どうも公共福祉ということを理由として制約をいろいろ課することばかり書いてあるのですけれども、ここで言う土地というのは、憲法二十九条の財産権としての土地を前提あるいは対象として考えているものなのかどうかという点を伺いたいと思うのです。
  266. 石井一

    石井国務大臣 当然、基本的にはその二十九条を対象とした内容を持っておるわけであります。ただ、土地の特性を踏まえつつ土地の基本的な認識に対して国民に新たな注意を喚起しておる、こういう意味合いが込められておるわけでありまして、公的制約を課する前提として、土地に対する国民の権利を当然に予定しているものであります。それはあえて明文的に規定していないものである、そのように理解しております。
  267. 中島武敏

    中島(武)委員 今の答弁では、当然憲法二十九条の財産権、しかしそれだけじゃなくて、土地の特性を考えてそれを前提にしているというお話だったかと思うのですけれども、確かにこの法案の第二条、これは「土地は、現在及び将来における国民のための限られた貴重な資源であること、国民の諸活動にとって不可欠の基盤であること、」こういうふうに書かれております。それから、私たち日本共産党も、土地はすべての国民にとって生存、生活、生産の基盤であり、人と人のつながりを築いていく基礎的条件である、しかも土地は有限である、こう考えておるわけです。  ですから、今ちょっと長官の方からもあったのですけれども、このような特性を持っている土地はやはり国民のためのものであり、国民は土地なしには生きられないと思うのですね。そういう点では、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」というあの憲法第二十五条の生存権を保障するために不可欠のものではないのだろうか、国民はいわば土地に対する根源的とも言うべき権利を持っているのではないだろうか、こう考えるわけです。この点は長官、どうですか。
  268. 石井一

    石井国務大臣 二十五条に規定されております生存権等に拘泥するものではないという理解をいたしております。  中島委員承知のとおり、二十九条には第二項でいわゆる国民の資産は公共福祉に供せられるものであるというような考え方、また第三項では、さらに進んで収用の問題に対する規定というふうなものもございます。最近の土地問題の最も重要なところは、要するに、土地に対します個人の所有というものが余りにも先行いたしまして、土地が利用されずに放置をされましたり、あるいはまた投機的にこれが売買されるというふうなことの中から、いわゆる公共福祉というものが一歩も二歩も後ろへ下がっておる、また、収用なんというふうなものはよほどのことがない限りこれを執行しないというふうな中に、かえって国民の共有の財産であるものが、二十九条一項が先行し二項というものがずっと後ずさりしておる、そういう中から今日のやはり土地高騰という問題を招来しておる一つの原因にもなっておる。したがって、決して私有権を剥奪したり規制したりするというふうな考え方はございませんけれども、憲法の明文にあるように、二十五条を重視するとともに、二十九条の二項あるいは三項にも触れまして、特に土地の国民の公共に服するという意識を強めたい、そういうことから高度利用、有効利用、土地供給地価安定というものに供したい、そういう考え方でございます。
  269. 中島武敏

    中島(武)委員 本法案は土地基本法案なんですね。ただ、私は率直に言って、やはり長官も認めてはいるのですけれども、憲法二十五条で国民が保障される土地に対する国民の権利、こういうのをきちんと言うべきなのではないかということです。特に二十五条でいうところをもっとうたうべきなのではないだろうかという見解なんです。ところが、そういう点は欠落しているわけです。それから、土地についての利用についてでも、住民の参加とか合意、こういう規定もこの中にはないわけです。あるいは、限られた資源である土地の利用について優先順位があるかというと、これもないのですね。非常に限られた土地でありますから、国民の土地に対する権利を擁護する立場に立つならば、当然私は、非常に立ちおくれている国民のための住宅供給とか、あるいは良好な居住環境の整備充実、こういったことを優先すべきだと考えるのですね。あるいはまた、考えてみましても、国公有地についてもその利用をどうするかという問題については、周辺を含めて町づくり計画を住民参加によって策定した上で最も有効な活用を図るということが国民の土地に対する権利を保障する道だと思うのですね。ですから、そういう観点からみると国民の共有財産である国公有地についてさえも、その利用についての国民の権利というものは特にうたわれてはいないのです。  長官は公共福祉、二十九条の一項が先行して二項が陰に隠れている、後退しておる、だからそこの部分を出したのだと言うのですけれども、私はそういう点はやはり基本法なんですから、きちんと土地に対する基本的な国民の権利というようなものをうたい上げるということが大事であって、この基本法の中にも明記すべきなのではないか、こう考えるわけです。長官どうですか。
  270. 藤原良一

    ○藤原政府委員 当然に私有財産権が保護されるべきものという前提に立ってこの基本法をつくっております。  もとより個々の財産権の対象たる土地に関する基本法でございますが、長官からも申し上げましたように、他の財と違った非常に公共の利害と密接に関連する特性を有しておるわけでございますので、公共福祉すなわち多数の国民のための制約、制限は受忍されるべきだ、そういう趣旨のもとに二条の規定が置かれておるわけでございます。この大原則の理念を踏まえて三条、四条、五条の規定があるわけでございますが、この三条の中で、確かに大都市地域では住宅用地が非常に大切でありますが、しかし、住宅用地の中でも環境の保全はもとより重要であります。地域地域によってそれぞれ土地利用の重要性が変わってまいります。そういうことも意識しながら三条では、所在する地域の自然的、社会的、経済的、文化的諸条件に応じて、そういう条件に適切に対応した利用を選択すべきだというふうに規定しているのでありまして、それはこの三条の一項に規定されているのではないかというふうに考えております。  ただ、住民参加の趣旨につきましては、これは計画を策定して、計画に従って利用しよう、計画策定に当たっては地域の諸条件あるいは高度利用や土地利用転換、環境形成、それぞれ必要に応じて場合によっては詳細な計画あるいは広域的な観点からの配慮を加えながら計画をつくりましょう、ただ、計画の策定手法あるいは手順、そういうのはそれぞれ具体の法律にゆだねる、そういうスタンスをとっておりますので、直接住民の意見を反映する規定は置いておりませんけれども、既に個別具体法の中で即地的な土地利用計画を策定する際には、その程度に応じていろいろな住民の意見を反映する方法を考えながら講じておるところでございますので、この基本法では特に規定しなかったわけであります。
  271. 中島武敏

    中島(武)委員 今の答弁、全然違うのですけれども、ちょっと具体的なことに質問を進めます。  この土地基本法案がだれのために、何の目的で出されたのか、これから具体的に質問していきたいと思うのですが、まず最初に伺いたいのは、市街化区域内の農地の問題、これについて建設省に最初に伺います。  これまでの審議の中で国土庁長官も建設大臣も、農地として保全すべきものと宅地として供給すべきものとを区分けしなければならない、こういう答弁を繰り返ししておられます。そこで伺いたいのですけれども、農地として保全すべきものと宅地として供給すべきものとを区分けする基準は一体何なのか。それからもう一つは、この区分けをする時期は一体いつを考えているのかということです。それから次には、区分けの手法、方法は一体何なのか、どういうふうにしてやるのかということについて担当の建設省の方から伺います。
  272. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 お答えいたします。  総合土地対策要綱におきまして、市街化区域内農地について、その税の見直しとの関係において宅地化すべきものと保全すべきものの区分を明確に行うこととされております。  その場合の区分といたしまして、保全すべき農地といたしましては、営農が確実で市街地整備の見込みがなくて、市街化区域一体的かつ計画的な整備を図る上で支障のない農地でありますとか、あるいは公害、災害の防止等の環境機能及び公共施設等の予定地としての機能に着目して保全する農地等が挙げられるわけでございまして、これらにつきまして市街化調整区域への逆線引きでありますとか、あるいは生産緑地地区制度の活用を図ってまいりたいと考えております。また、これ以外の農地につきましては計画的な宅地化を図るために土地区画整理事業を行いますとか、あるいは地区計画制度の活用、また、開発許可制度の活用等を図ってまいりたいと考えております。
  273. 中島武敏

    中島(武)委員 時期はいつですか。
  274. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 これらの区分の明確化を図るための諸措置の時期でございますが、いわゆる市街化区域内農地に係る税制見直しが行われて、新たな税制が適用されるというような時期との関係を見ながら考えてまいりたいと考えております。
  275. 中島武敏

    中島(武)委員 重ねてお尋ねしますが、長期営農継続農地制度は廃止する方向で検討しているのですか、また、相続税猶予制度がありますけれども、これも廃止する方向で検討しているのですか。
  276. 白兼保彦

    ○白兼政府委員 お答え申し上げます。  市街化区域内農地に関します現行の長期営農継続農地制度は、御存じのように、昭和五十七年度の税制改正におきまして三大都市圏市街化区域農地に対し課税の対象範囲を拡大するに当たりまして導入された制度であります。この長期営農継続農地制度を含めまして、大都市地域の市街化区域農地にかかわります税制については、昨年決めました総合土地対策要綱に示されておりますように、保全するものと宅地化するものとの区分の明確化等とあわせまして総合的な検討を進めていくということとされているところでございます。  なお、もう一点御質問がございました農地の相続税の猶予措置の問題でございますが、この制度が置かれました目的は、相続による農地の細分化防止等の目的ということに配慮してつくられた制度、こういうことと承知いたしております。だが一方、先ほども申し上げました総合土地対策要綱では、この相続税につきましても、保全するものと宅地化するものとの区分を明確化することとの関連において宅地との均衡を考慮しつつ見直しを検討するとされているところでございます。
  277. 中島武敏

    中島(武)委員 時間も余りありませんので、私の方からまた申し上げたいと思います。  市街化区域内の農地というのは非常に大きな役割があると思うのです。新鮮な野菜を初め農産物の供給地であることはもう言うまでもないのですけれども、都市の緑として環境保全で果たす役割とか、区民農園、市民農園として区民や市民の皆さんに非常に親しまれているとか、子供たちの生きた教材、こういう点でも大変大きな役割を果たしている。あるいは水害の遊水地としての機能も大事な役割だと思うのです。それから、震災時の防災の用地あるいは避難地としても非常に大きな役割を果たしていると思うわけです。  それで、十年ほど前になりますけれども、私は建設委員会で当時の国土庁長官に質問をしたことがありまして、それは南関東地震が起きたときの被害想定をやるべきではないかということを申し上げて、国土庁長官も私の要求を受け入れて、昨年暮れに御存じのような被害想定を発表されたわけです。それによりますと、関東大地震クラスの地震が相模湾を震源地として冬の夕方に発生した場合には、死傷者数三十五万人、焼失棟数二百六十万棟、罹災世帯三百七十七万世帯、建物被害三十八万七千棟となっているのです。この間サンフランシスコ地震があって非常に衝撃を与えたのですけれども、それの比じゃないわけです。日本の場合には、特に東京の場合には木造家屋が多いわけで非常に大きな被害が起こる。そうしたことを考えますと、市街化区域内の農地はもう一度役割を見直して全体を保全するということが必要じゃないかと私は思っているわけです。  そこで、そのことに関連して伺いたいと思っておりますのは、東京公園面積は一人当たり一体幾らになるのかということをお答えいただきたいのです。
  278. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 東京都における一人当たり都市公園面積は、昭和六十三年三月末現在で三・一平方メートルでございます。
  279. 中島武敏

    中島(武)委員 東京都の公園面積市街化区域内農地面積を合わせたものは一人当たりで幾らかということを建設省なり国土庁なりでお答えをされる用意がありますか。なければ時間の節約で私から申し上げますけれども……。  それでは、私の方から申し上げたいと思うのです。国土庁からいただいた資料に基づいて計算してみますと、東京都の市街化区域内農地の一人当たり面積は七・二〇平方メートルということになります。それから、公園面積について今お答えがあったのですが、三・一〇平方メートルでございますから、合わせますと十・三〇平方メートルということになります。  それで、東京は首都ですけれども、世界の首都は一体どれくらいの公園面積を持っているものかというのを見てみますと、イギリスのロンドンは三十・四平方メートル、西ドイツのボンは三十七・四平方メートル、東ドイツのベルリンは二十六・一平方メートル、アメリカワシントンは四十五・七平方メートルです。ぐっと少ないのはイタリアのローマで十一・四平方メートル、韓国のソウルで十三・〇平方メートルという数字があるのですけれども、ローマ、ソウルに比べても十・三〇平方メートルというのは非常に少ないのです。それにも及ばない状況なんです。  だから、さっき私が申し上げたように、市街化区域内の農地も非常に重要な役割ということを考えに入れるならば、積極的に全体として保全策をとるというふうにすべきではないか。区分して農地として使うものと宅地として供給するものと、こういうことを繰り返しおっしゃるのですけれども、しかし、今申し上げたようないろいろな大事な役割、それから世界的に比べてみても首都東京公園面積が大変少ない、農地を全部計算に入れても及ばないという状態、しかも地震国である、南関東地震というようなことを考えに入れるということになったら、そういう目先の話だけじゃなくて、もっと展望のある、そういうところを考慮に入れた考え方が必要なんじゃないかと私は思うのですけれども、長官の見解を伺いたいと思います。
  280. 石井一

    石井国務大臣 その市街化区域内の農地の問題は古くて新しい問題でございます。既に相当議論もされてまいったものでありまして、十年前にも、これだけの住宅不足、土地の値段というふうなことを考えましたときにいろいろと議論されましたが、今言われましたようなもろもろの事情を考慮して十年間の猶予期間というような形で今日に至ろうとしておるわけでございます。  その間、この十年間の宅地あるいは土地の変化というものがどれだけのものであったか。これは目を覆うような状況でございます。まさに病める土地とかいうふうに言われておる現状でございます。現に、十年前でございましたら、一時間以内で何とか小さい土地つきの家に勤労者の手が届くというふうな状況であったわけでございますが、この十年間のうちにその夢も遠くはかなく消え去っておるという状況であります。また、ある調査機関の調査によりますと、こういうものはシミュレーションスタディーですから、どこまで正当かということはいろいろ異論はあると思いますけれども、もし仮に十年前に東京農地宅地化しておったとすれば、今の高騰の歯どめというものが、もう著しい値段の差が起こっておる、こういうふうなスタディーも出ておるわけでございます。  そういうふうなことを考え合わせますと、委員の御指摘もございますけれども、今この問題を国民世論に問うて、このまま全部を保全するということが一体通用するだろうか、私はいささか疑問に感ずるわけでございます。したがって、全農地をそのまま保全するということはできないにしましても、もう既に宅地化されるような状況にあり、社会資本が投資され、通勤通学等にも最も利便性の高いところに、やや偽装農地化のような形で、そのまま税金逃れというふうな形になっておるもの等々、いろいろそういうふうなものがあろうかと思いますので、一挙に半分あるいは全部を宅地化するといっても時間がかかりますし、なかなかそういうふうにできるものではございません。何分の一ということは、先ほど建設省の方からも一つの基準を示されておりましたから、そういうところできっちりと区分をしていきますし、地権者の意見も聞きながら、あるいはまた農協等の意見をも集約しながらやってまいりますけれども、全体の国民の声は、先生が聞かれる国民の声も国民の声であり、私が代弁する国民の声も国民の声ですけれども、大多数の国民の声は、やはりもう少し何とかしてくれというのが世論ではないか、そのように認識いたしております。
  281. 中島武敏

    中島(武)委員 今、長官のお話を伺っておりますと、東京を初めとして地価の値上がりは確かに著しい、それは現象的にいってそのとおりであり、マイホームの夢も消え去った、それもそのとおりであります。しかし、十年前に農地がいろいろ吐き出されておったならば値上がりを著しく防ぐ歯どめになっただろうというのはいささか違うのじゃないか。この十年の間に農地は随分出されておりますよ。随分吐き出されて宅地化されています。だけれども、にもかかわらずどんどん上がったのです。私は、きょうここで地価高騰の原因論争を長官とやろうと思っているわけではありません。やはりこれは大企業の土地の買い占めであるとか、民活と言われる政府の規制緩和を初めとしての諸政策、こういうところに非常に大きな責任があるわけでありまして、農民の方には全然責任はないのですよ。  私は、そういう土地の値上がりを起こしている一つの元凶と言ってもいいと思うのですけれども、金融機関の土地関連融資のことについて、前回も申し上げたのですけれども、きょうもまたちょっとこの問題について質問をしたいと思っております。  大蔵省、いらっしゃいますか。東京都練馬区中村北一の十九の十四に二百九十三・八四平方メートル、約八十九坪の土地があります。この土地昭和六十二年に不動産業者が購入したときには、三菱銀行が四億一千万円の融資を行ったわけです。ところが、ことしの八月に三井銀行と三井ファイナンスサービスが融資の肩がわりを行いました。この土地を担保にして、三井銀行が一億円の融資を行い、三井ファイナンスが五億五千万円の融資をやりました。近くの不動産業者の評価によりますと、この土地の時価は坪当たり二百五十万円から三百万円である、こういうことを言っております。私は、これが正確とばかりは言えないと思っておりますけれども、八十九坪を掛けますと、全体で二億二千万円から二億七千万円ということになるのです。ところが、三井銀行、ファイナンスは、地価が最もはね上がっていた二年前の取得価格である四億一千万円をそのまま肩がわりして融資をしている。その上、建物の建築費をさらに上乗せして、全体で六億五千万円を融資している、こういう状況であります。  こんなふうに、値上がりピークのときの価格をもとにして、融資対象の土地の評価額をはるかに上回る融資が行われていたら、投機によって暴騰した地価は下がるわけがないのです、こういうやり方をしておったら。これは明らかに過剰融資じゃないかと私は思うのですけれども、大蔵省はどう見ておられますか。
  282. 小山嘉昭

    ○小山説明員 御指摘の件につきましては、個別銀行の具体的な取引に係る事項でございますので、内容について申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。  大蔵省といたしましては、従来から、各金融機関に対しまして投機的な土地取引に係ります融資等を厳に慎むようにということを求めているわけでございます。問題があれば、通達の趣旨に沿いまして厳正に指導してまいりたいと存じます。
  283. 中島武敏

    中島(武)委員 問題があれば厳正に指導してまいりたいということなのですけれども、もうちょっと言います。  この土地はワンルームマンションの建設が計画されているものですけれども、六億五千万円という融資額は、このマンションの収益性を全く度外視したものなのです。六億五千万円の融資に対する支払い金利は、三井銀行が一億円の融資で利率五・七%ですから利息額が年間五百七十万円になります。それから三井ファイナンスの融資額は五億五千万円で利率は六・七%ですから利息額が三千六百八十五万円。合わせて四千二百五十五万円に上るわけなのです。ところが、このワンルームマンションというのは、その立地条件などから見て、一戸当たりの家賃は月額六、七万円じゃないかと言われております。建築計画によりますと、二十七戸のワンルームを供給することになっています。二十七戸全体の賃貸収入は二千万円から二千三百万円であります。不動産業者自身、これは私ども直接聞いているのですけれども、このマンションは赤字であるということをはっきりと認めております。これはやはり過剰融資と言わなければいけないのじゃないかと思うのですね。  大蔵省は、きちんとした事業計画があれば問題ない、きちんとした事業計画があるかどうかが過剰融資かどうかのチェックポイントだというふうに言っておられるのですけれども、賃料の収入が支払い利息の半分程度しかない、これがきちんとした事業計画と言えるのでしょうか。私は、こういうのは野放しにしておくのじゃなくて、きちんと規制するということが必要じゃないかと思う。
  284. 小山嘉昭

    ○小山説明員 御指摘の点につきましては、個別銀行の具体的な取引に係る件でございますので、内容については申し述べることを差し控えさせていただきたいと存じます。  ただし、一般論として申し上げますれば、金融機関の個々の融資につきましては、金融機関みずからの責任と判断において、資産内容の健全性等を確保する、こういう見地から借り手の信用力等を十分に審査して融資しているというふうに考えております。これは一般論でございます。
  285. 中島武敏

    中島(武)委員 どうもはっきりしないのですね、何か銀行に任せるみたいな答弁なのですけれども。こういうのを大蔵省が、個別銀行のことだから言えないというのもおかしいのですけれども、一般論としてのお答えとしても、銀行の判断に任せる、通達は出している、それに沿ってやりなさい、これでは私は問題は全然解決していかないと思いますね。これはちょっと重大な答弁じゃないかな。長官は聞いておられてどうですか。土地の担当大臣として、こういうのでいいですか。
  286. 石井一

    石井国務大臣 世の中にはいろいろな人があるのでしょう。今のお話を聞いておりますと、年間二、三千万損をするというプロジェクトですね。その裏にどういうメリットがあるのか、やはりその所有者に聞いてみませんとあれですが、私としてはそういうことはいたしませんし、経済行為として考えても非常に不可思議な話だ。本来、銀行がチェックいたしておりますのは、正当な資産価値があり、またそれをすることによって健全な経営なり運営ができる、またそれに対する担保もある、そういうものに対して融資を許可する、こういうことが正常だろうと思うので、このケースは、私も行ったわけでも見たわけでもありませんのでそれ以上申し上げられませんが、いささか経済行為から見ても、また融資の形から見ても解せぬところがある、そういう感じがいたします。
  287. 中島武敏

    中島(武)委員 長官の判断、どなたでもやはりそういうふうにこれは解せないな、おかしいなと思うのが当たり前なのです。土地特別委員会でもいろいろ問題になってきたのですけれども、例えば税金逃れを目的にして利益を赤字に転化させるためにいろいろな物件を購入するとか、国会でも随分問題になった。そういうことに銀行が手をかすとしたら、これは大変なことだと思うのです。そういうことはきちっと規制をするということがやられませんと、地価問題なんというのは全然解決するものじゃないのですよ。どれだけ厳しく見ても見過ぎることはないと私は思うのです。  ところが、もう一つ議論を先へ進めますけれども、この土地を使ったワンルームマンションの建設、これに反対する近隣住民との間に紛争が生じている。このような近隣住民との間の紛争が生じている物件に対する銀行の融資というのは、銀行法が規定している銀行の業務の公共性にかんがみて容認できるものではないのじゃないかと私は思うのです。紛争の円満な解決に銀行も責任を持つべきなのじゃないか、こう思うのですけれども、どうなんでしょうね。
  288. 小山嘉昭

    ○小山説明員 ワンルームマンションの建設をめぐりましていろいろな問題があることは、私どもも十分承知いたしております。そこにはいろいろな当事者の主張があり、利害の対立もあろうかと思います。建設する側の方に立ちますと今度は住宅供給をふやしたい、こういう要望もあろうかと思いますし、一方、地域住民にとりましてはまたいろいろな問題に巻き込まれる、こういうことであろうかと思うわけでございます。  個別の具体的な事柄でございますので、ここで見解を申し上げることは差し控えさせていただきたいと存じます。
  289. 中島武敏

    中島(武)委員 個別問題ということで答弁を避けられるのですけれども、やはり銀行の業務というのは公共性がうたわれているわけです。そういうことからいうと、紛争の解決には銀行も協力をするという義務があると私は思うのです。紛争が起きようが何しようが、はい、金貸しますよ、これではどうにもならぬわけですよ。銀行の本来の性格をも否定することになるわけでありまして、私はこういう点はぜひひとつ銀行に対してきちっとやはり指導するということを確立してもらいたいということを述べて、次に行きましょう。  基本法の第十四条に「社会資本の整備に関連する利益に応じた適切な負担」がうたわれておりますが、この問題について伺いたいのです。  この条文は、現在ある制度としてはどのようなものがあるのかということについては、先ほど青山議員に対してもお答えがありましたからちょっと省略をして、今後どのような制度の導入あるいは拡充というようなことを考えておられるのかということについて最初に伺いたいと思うのです。
  290. 藤原良一

    ○藤原政府委員 基本法制定後の問題でございますが、受益の範囲や程度が特定される場合におきましては、社会的公平確保の見地からやはり利益に応じた適切な負担を求めるために現行制度のほかに新たにどういう措置があるか、その辺については積極的に検討してまいりたい、成立後スタートしたいというふうに考えております。
  291. 中島武敏

    中島(武)委員 開発利益の還元ということで都市計画法に基づく受益者負担の対象となる都市施設としては、下水道のほかに道路とか都市高速鉄道、河川その他がいろいろ想定されるわけですけれども、道路その他についても、下水道のように一般の土地所有者等に対して受益者負担を導入するというお考えですか。
  292. 藤原良一

    ○藤原政府委員 先ほどもお答えしましたように、著しい利益が生ずる場合で、かつ受益者、受益地域が特定される場合でないと、受益者負担制度というのは非常になじみにくいという面があろうかと思います。諸外国の例を見ますと、いろいろ工夫を凝らしながらこの制度をつくり、運用しておられるところがあるわけですけれども、一般の街路等につきましてその沿道にどのような受益者負担金制度の導入が考えられるのか、その辺は全く今後の問題です。しかし、非常に難しい課題だなというふうな気がしております。ただ、その場合は、受益者負担金制度で受益を吸収できなくても、これは一般税制上の措置で、地価高騰等もあるわけですから固定資産税等の措置によって適切な負担が求められることになるというふうに思います。
  293. 中島武敏

    中島(武)委員 下水道の場合ですけれども、市町村によっては必ずしも受益者負担を課してないところもあるわけです。今度この土地基本法案が採択をされるということになったら受益者負担の方向がより明確に推進をされる、されるべきである、こう考えておられるのかどうか、これも伺いたいと思います。
  294. 藤原良一

    ○藤原政府委員 基本法の理念を受けまして、公平確保の観点からやはり積極的に検討していくべきだと考えております。
  295. 中島武敏

    中島(武)委員 ところが、そういうことになってくると、今まで受益者負担を課していないというところも課する方が望ましいといいますか、今の答弁だとそういうことですね。  東京都下水道問題担当専門委員中間報告というのが、大分前のものですけれども、出されているのです。それを読んでみますと、受益者負担金制度にいろいろ問題があるということを指摘して、税金の二重取りだという指摘もある、これは肯定せざるを得ないと述べているのです。それから、公共用地に対して減免措置があるけれども、それに対する不満、批判、これもある。問題は「この制度を採用しない限り、国から補助金に大きな格差をつけられるために、市町村はやむをえず採用に踏み切ったところが多い」、こういうことが述べられているのですね。こういうことを国の方としては一体やってきているのかどうなのか。今度の土地基本法はもちろんまだない時期の話なんですけれども、そういって圧力をかけておるわけですね。これはどうなのかということと、それから今度は、そういういろいろな圧力をかけられているとすれば、その上に基本法が採択をされて、今局長が答えられたようにその方向へ進めることが望ましいということになってくると、やはりこれは非常に問題な条項じゃないかと考えるのですね。この点はどうですか。
  296. 藤原良一

    ○藤原政府委員 これは一般論でございますが、例えば現在臨海部の整備が進められておりますけれども、この臨海部の整備に伴って街路の整備あるいは公園、鉄道等の整備も必要であるわけですが、そういう施設による受益は、専ら臨海部の土地所有者に一時的には帰属するわけでございます。これを国民一般の税から賄うというのは、著しく公平を欠く面があるのではないかと思います。  こういう場合には当然、公共用地を区画整理の中から減歩していただくとか、あるいは必要な社会資本整備費を負担していただくとか、そういうふうな措置が公平確保の上から妥当ではないか。そういう精神のもとにこの十四条が規定されておるわけであります。そういう限りにおいて、積極的に検討していこうということであります。
  297. 中島武敏

    中島(武)委員 私は下水道について聞いたのであって、局長は答弁をそらしていらっしゃるのですね。下水道が現在一番やられているものなんです。端的なものです。臨海部の話もありますよ、ありますけれども、全国でどこでもやられているのは下水道なんです。その下水道について、今さっき申し上げたようなことが政府から圧力がかかっている。そこへ持ってきて今度は基本法だということになったら、これはますます一般住民の負担が大きくなる、これは問題だということを私は指摘しておきたいと思うのでず。  それから、時間がだんだん迫ってきてしまって、残されている時間では余りたくさんできないのですけれども、次の問題に踏み込んでお尋ねします。  東京一極集中にかかわる問題なんですけれども、地価問題と東京集中問題の関係です。今回の地価高騰東京中心、そしてまた東京の都心から始まって周辺に、周辺からさらに地方都市へと移っていったわけです。その発火点になりましたのは東京都心のオフィス需要。そのオフィス需要の問題に関してちょっと私こういうデータを紹介したいんです。  それは実は、トヨタと野村証券を比べたものなんです。トヨタの工場の総面積は千百八十七万五千平方メートルあります。経常利益は昭和六十二年七月一日から昭和六十三年六月三十日までの一年間で五千二百十七億六百万円。一平方メートル当たり幾らになるかといえば、四万三千九百三十三円ということになります。ところが、野村証券ですけれども、業務用フロア面積は二十四万一千二百九平方メートルです。経常利益は幾らかというと、昭和六十二年の十月一日から六十三年の九月三十日までですけれども、四千四十七億五千万円。一平方メートル当たり幾らかというと、百六十七万八千五円、こういう数字になるんです。  これは端的に比べてみていただけばよくわかりますけれども、大変大きな、何十倍という開きがあるわけです。つまり、これは何かといいますと、金融的な土地利用を行う者にとっては、住宅的な土地利用はもちろんですが、工場的な土地利用あるいは一般の商業的な土地利用とはけた違いの高い地価であっても、幾らでも平気でどんどん土地を買うことができる、これはこういうことを示しているわけなんです。ですから、東京の都心部は国際情報金融都市ということで、どんどんこの種のものが寄ってくるということになるわけです。  ところで、最後に伺いたいと思っておるのは、長官はよく、一極集中はストップだとか、そして地方へ、そのことによって地価を抑制していきたいというようなことを言われるわけですけれども、ところが実際に政府がやっていることは何かということになりますと、東京湾の臨海部開発だとか東京駅周辺の再開発だとか汐留の再開発だとか、大変大型なプロジェクトを政府は直接乗り出して推進をしておるわけであります。ところが、これらは地価高騰の発火点となりました今申し上げた業務管理機能の東京都心部への集中をより一層強めるものであることは明瞭じゃないのか。そういう点ではやはり政府政策としては、きちっとこれにストップをかける、そしてこれらの用地は思い切り発想の転換で、環境のための用地にするとか庶民一般が住むことのできる住宅にするとか、やはりこういう思い切ったストップと発想の転換が必要なのじゃないかと思うわけです。長官の見解を伺います。
  298. 石井一

    石井国務大臣 東京のオフィス需要が急激に増したということは事実でございます。最近大分これはとまっておりますが、私のデータでも、昭和五十五年から六十年にかけまして都心のオフィスに産業人口が殺到した。特にサービス業に多いということも事実であります。それから東京の都心へ外国企業が進出してきたということも、これまたその時期に大変多い数になっております。これはとりわけ東京が金融の中心になり、情報の中心になり、高密度、過密社会になったということでありまして、この点はもろもろの施策をしても及ばなかったということを率直に認めざるを得ないだろうと思います。  しかし、その後ややこの傾向も、高値安定なんて言いますといけませんけれども、一部とまっておりますので、この際、我々が推進しております、東京圏から少しでも中心の機能を分散化させていくというふうなこと、それから、業務核都市なんてことを言っておりますけれども、この辺を整備して職住の接近を図っていくこと、そしてさらにその周辺での宅地供給等をやりまして、この超過密の東京状況を排除していく、これは政府としての方針も打ち出しておるわけでありますし、御指摘をまつまでもなく、努力をしていかなければいかぬ課題である、そう認識しております。
  299. 中島武敏

    中島(武)委員 時間がもう終わりに近いと思いますので、これでやめますけれども、東京一極集中の問題ももっとやりたかったし、あるいは大企業の遊休地、低・未利用地の問題とか、地方自治体の先買い権問題など、やりたいことは随分ありました。しかし、時間も来ましたので、きょうはここで終わりにさせていただきます。
  300. 大塚雄司

    大塚委員長 次回は、明十七日金曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十二分散会