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1989-11-14 第116回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十四日(火曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 大塚 雄司君    理事 粟屋 敏信君 理事 大坪健一郎君    理事 大原 一三君 理事 桜井  新君    理事 井上 普方君 理事 薮仲 義彦君    理事 青山  丘君       今枝 敬雄君    江口 一雄君       衛藤征士郎君    金子原二郎君       亀井 善之君    木部 佳昭君       鯨岡 兵輔君    古賀  誠君       佐藤 守良君    椎名 素夫君       田村 良平君    中島  衛君       穂積 良行君    柳沢 伯夫君       大原  亨君    菅  直人君       辻  一彦君    中村  茂君       草川 昭三君    小谷 輝二君       中村  巖君    森田 景一君       安倍 基雄君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣 石井  一君  出席政府委員         内閣法制局長官 工藤 敦夫君         内閣法制局第二         部長      秋山  收君         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         国土庁大都市圏         整備局長    三木 克彦君         法務省民事局長 藤井 正雄君         大蔵政務次官  高村 正彦君         大蔵大臣官房審         議官      谷口 米生君         大蔵大臣官房審         議官      濱本 英輔君         大蔵大臣官房審         議官      松野 允彦君         大蔵省理財局次         長       松田 篤之君         国税庁税部長 福井 博夫君         文部省生涯学習         局長      横瀬 庄次君         運輸大臣官房審         議官      井上徹太郎君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部長      吉田 耕三君         建設大臣官房総         務審議官    木内 啓介君         建設大臣官房審         議官      白兼 保彦君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         建設省道路局長 三谷  浩君         建設省住宅局長 伊藤 茂史君         自治大臣官房総         務審議官    芦尾 長司君         自治大臣官房審         議官      遠藤 安彦君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第三課長   大武健一郎君         大蔵省銀行局銀         行課長     小山 嘉昭君         大蔵省銀行局特         別金融課長   永田 俊一君         国税庁間税部酒         税課長     宝賀 寿男君         文部省高等教育         局大学課長   泊  龍雄君         農林水産大臣官         房参事官    山口 勝朗君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理事         長)      杉浦 喬也君         参  考  人         (日本国有鉄道         清算事業団理         事)      山口 良雄君         参  考  人         (日本国有鉄道         精算事業団理         事)      前田喜代治君         参  考  人        (日本銀行理事) 福井 俊彦君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    若杉 公朋君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  土地基本法案内閣提出、第百十四回国会閣法第六一号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六二号)  土地基本法案伊藤茂君外三名提出、第百十二回国会衆法第一五号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案大出俊君外八名提出、第百十一回国会衆法第一号)      ────◇─────
  2. 大塚雄司

    大塚委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出土地基本法案、第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案、第百十二回国会伊藤茂君外三名提出土地基本法案及び第百十一回国会大出俊君外八名提出国土利用計画法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  各案審査のため、本日、参考人として、日本国有鉄道清算事業団理事長杉浦喬也君日本国有鉄道清算事業団理事山口良雄君、日本国有鉄道清算事業団理事前田喜代治君及び日本銀行理事福井俊彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大塚雄司

    大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  4. 大塚雄司

    大塚委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鯨岡兵輔君。
  5. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 きょうは忙しいところを石井大臣原田大臣高村政務次官、御出席をいただいて、ありがとうございます。  主として政治家としてのお答えを期待して質問をいたしたいと思いますが、自由民主党は結党以来ずっと政権をとって、自分の党だから言うわけじゃありませんが、まあまあうまくこの国を繁栄に導いてきた、これはだれでもそう思うのです。しかしながら、やはり幾つかの失敗はある。例えば農政失敗、私は東京に住んでいますから詳しくわかりませんが、それから土地政策失敗。これは言われているのですが、農政の問題は別として、土地政策失敗と言われるのですが、どういうことをやれば失敗と言われないで済んだろうかという反省は、私はなければならぬと思うのです。いかがでしょうか。両大臣、どんなふうにお考えでしょうか。
  6. 石井一

    石井国務大臣 豊かさの中の貧しさなんという言葉がございますが、我が国は確かに経済大国として今日までの立場と繁栄を謳歌いたしております。最近アメリカのような強い大きな国が、ソ連軍事的脅威よりも日本経済的脅威を強く大きく感じる、こういうことがアメリカ世論調査にも出ております。私たちは、そこまで実感的に豊かさを感じておるかどうかといいますと、いささか疑問がございますが、外部的にあるいは客観的に見た場合に、我が国の豊かさという一面は評価できる面があるのではないか、それがただいま先生のおっしゃいました自民党の善政という一面ではなかろうかとも思います。何も繁栄のみが人々を幸福にするものではございませんけれども、そういう一面がございます。  しかしながら、それじゃ一体二律背反する豊かさと貧しさがなぜ共存しておるかということを考えましたときには、やはり貧しさの中に我々が反省をしなければいけない政策課題というものがあるのではないか。その一つに、やはり当然土地問題ということを挙げざるを得ません。実は、我が国の領土は余りにも狭い、そして利用する土地というものが少ない。客観的に見ますと、非常に難しい政策を強いられる。他の国の政治課題ではそんなに大きな問題になるべき筋合いのものでないのに、我が国の場合には客観的な制約というものが非常に大きい、こういうふうなことも考えるわけでございますけれども、現時点におきましては、土地神話というもの、これが存在しておりますように、土地を持っておる者はさらに富む、そして土地のない者はさらにしぼむ、そして額に汗して努力をし働いておるサラリーマン、庶民の皆様方が一生かけてもマイホームが持てない、こういう状況になってまいりますと、世の中何が正しいのか、これが公正なる社会なのか、こういう問題が提起されてくるわけでございまして、これまでいろいろの法案をつくり、それなりの規制をしてきましたけれども、やはりその点におきまして、まだ政策的にも、その政治姿勢におきましてもなまぬるい面、事態をここまで厳しく見なかったというふうな面については大いにひとつ反省をしていかなければいかぬ問題があるのではないか、そのように認識いたしております。
  7. 原田昇左右

    原田国務大臣 今御質問になりました、どこが失敗したのかという点でございますが、私は、過去に向かっていろいろ検証することも大事だと思いますけれども、一番問題だと現在感じておりますのは、土地需要がふえた場合に供給を促進していくということがまず第一。それから、御承知のように、土地についての基本法を今お願いしておるわけですが、基本的な考え方として、土地があればだんだん値上がりしてもうかる、こういうことになりますと投機のための仮需要がたくさんふえてくるわけですね。そしてまた、今金融が非常に緩和しておるわけですからどんどんそれに資金が供給されるということで、余計に需給がタイトになる、こういうことが基本ではないかと思います。それに輪をかけておるというか、一つ二つ申し上げますと、税制の問題ですね。都市計画とか税制が必ずしもうまくリンクして働いていなかったというところをやはり反省しなければならぬのではないか、このように思っております。
  8. 高村正彦

    高村政府委員 土地私有財産でありますが、その一方で公共のものであるという観点からの政策が十分でなかったというふうに思っております。それと関連することでありますが、土地投機的取引で利益を上げることはよくないことだ、そういったことをきっちり見据えてやっていかなければいけない、こういうふうに思っております。
  9. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 石井大臣は、土地のある者は幸せだし、土地のない者はしばしばつらい思いをする、それから原田大臣は、土地があればもうかるというような考えがある、それから高村政務次官は、土地公共のものであるという考え方が徹底していない、そこに問題がある、こういうことでございました。  私は全く同じように考えていますが、いつか、大きな企業なのですが、そこの入社式に私はよく行くのです。それで、その会社の歴史を知っているものですから、ちょっと講演をして新入社員に言うのですが、そのときに、新入社員が二千人もいるのですが、その後ろにその会社の何か標語みたいなものが大きく書いてある。「基本に対する徹底した認識 変化に対する機敏なる対応」、こう立派な字で書いてある。それを読んで、なるほどおもしろい、いいことを言うな、「基本に対する徹底した認識 変化に対する機敏なる対応」、これはいい言葉だなと思って覚えてきたのです。私は、土地基本法をつくるに当たって、土地というものに対する徹底した認識、まさにこれが基本ですから、これについてこれから質問を続けていきたい、こう思っているのです。  原田さんにも石井さんにも我々同僚としてしばしばいろいろ話をするのですが、お互いに言葉を飾って言っていたのでは政治のためになりませんから、普通に話をするようなつもりでやりたいと思いますが、土地というものは何だ、このことについて基本的に考えてみなければならぬ。その基本が徹底した上で、変化にいろいろ対応していかなければならぬ。変化対応に追われて基本を忘れていたら、今御三人の方が申されるようなことがまかり通ってくるわけです。  そこで、高村さんが言われたように土地国土でありますから、国土であるということになれば命がけでこれを守るのだから、我々の友人は、あのときは国土を守るというのじゃない、ちょっと間違えていたけれども、とにかく命がけで守らなければならぬものは国土である。どんなに役に立たない国土でも、こんなものは要らないと思ったって、国土である以上は理不尽によそからとられては大変ですから命がけで守る。今、両大臣が言われたように、その命がけで守った土地のために苦しんだりあるいは自殺しなければならぬというようなことは、これは矛盾ではないかな。国土というものを徹底的に考えなければならぬ。  我々が北方領土の問題についてやかましく戦後言ってきたのは、私の考えは間違えているかもしれませんから間違えていたらお許しいただきたいが、あの土地は、漁業の問題等ありますけれども、そんなに夢中になって言わなければならないほど役に立っているとは考えていない、私はですよ。これは間違えているかもしらぬ。しかし、それでも何でもソ連に無理言ってとられてしまったのだから、このことを解決しなかったらどんなにうまい話でも乗れません。これは当然のことだと思います。きのうあたりから話はちょっとソ連の方からやわらかくなってきたようですが、国土というのはそういうものだ。  そうやって命がけで守ったものを、自分の小さな家すら建てられない。だれかが建てようとすれば、それは石井さんという地主がいるから、失礼ですがお名前を借りて、原田さんという地主がいるから、それでどうにもならない。あるいは税金でいじめられて、まあいじめられたというのは妥当ではないかもしれませんが、苦しんで自殺をするなどという人が時々出てくる。これは「基本に対する徹底した認識」が誤っているのではないかな、認識なしに変化に対して安易な対応をした結果ではないかな、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  10. 石井一

    石井国務大臣 お説はそのとおりだと思います。  御承知のとおり憲法二十九条に財産権に関する規定がございますが、いわゆる個人の所有というふうなものでありましても、土地公共的性格考えました場合には、公共の福祉のために供せられるもの、こういう一つ基本的な概念がない限り、国土の有効な利用、また今日のような非常に大きな問題というふうなものは起こらないと思うわけでありまして、そういう意味で、土地に対する基本的な国民考え方、コンセンサスというものをこの機会につくっていくということが最も重要なことではないか、そのように考えております。  重要なことは、まず第一点、土地国民のものであって国民のために利用されなければならないということ。第二に、土地は現在及び将来における限られた貴重な資源である、国民の諸活動にとって不可欠な基盤であるということ。そういうふうな基本理念基本認識をこの際打ち立てる必要があると思います。今回、政府案と同時に野党四党が共同で土地基本法案を出されておりますけれども、この基本的認識におきましては政府案野党案も全く一致しておる、こういう現状であることも御認識ただきたいと思います。
  11. 原田昇左右

    原田国務大臣 土地については、これを公共利用に優先して供するといいますか、公共的な制約があるのだという基本理念を徹底することはやはり必要ではないか、こういうように思っております。
  12. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 高村さん、何か御意見ありますか。
  13. 高村正彦

    高村政府委員 両大臣と全く同じ見解でございます。
  14. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 与野党ともこの基本に対する認識については余り大きな変化がないばかりか一致しているということは、私も読ませていただいてそう思っております。非常にいいことだと思います。しかし、これを本当に徹底させなければいかぬ。今石井大臣はこれは国民のものであると……(発言する者あり)今こちらの方で言っている不規則発言はちょっとやめてもらいたいが、それは、不規則発言で耳に入ったのはそのとおりだよ。これは政治がサボっていた。政治がこれをサボっていた。私は政府がとは言わない。政治がこのことについて基本的な認識を甘く見ていた。国民のものだということならば、国民のものというのはあなたのものとは言えないかもしれないけれども、国民のものと言う以上は、国民の多くの者がそのために泣いているというのはおかしいでしょう。遠くの方から毎日片道二時間もかけてやってこなければ自分の職場まで来れないということ、それは国民のものじゃないから。それから、何か追い出されるような形になって自殺するなんということは、まさに国民のものであればそんなことになるはずはないのだ。だから、私はこの際、この基本法をつくるに当たって、基本法なんだから徹底して国民のものであるということを明確にして、今のこちらからのお話のように、このことについてサボっているというようなことを言われないようにしていかなければならない、こう思うのです。  石井大臣はもう私なんかよりもよほどよく知っておられるでしょうが、日本はなるほど狭い。三十七万平方キロしかないのですから。この狭いところの約八割近くが山地だ。可住面積は二割もしくは二割に足りない。そこに一億二千万人の人が住んでいるということですが、これはよその先進国に比べてもちょっとひどい。けれどもイギリスは、本土は日本よりも狭い。それで約六千万人、半分くらいの人口があるでしょうか。フランスは日本よりも大きいけれども、日本の倍なんかないですか、一・四倍くらいしかないと言われています。西ドイツ日本よりも狭いですからね。狭い狭いと言ったって、先進諸国と比べて、アメリカなんかは別ですが、ヨーロッパの普通の国と比べれば必ずしも狭くない、こう思うのですよ。それなのに、例えばこの間ちょっと旅行して、ちょうど北海道の札幌から博多くらいまでの距離を高速道路で走りましたが、高速道路原田さんの方ですが、私の郷里は福島県ですよ。東京から福島県まで行って帰ってくると高速道路料金は七千円くらい取られる。一万円にちょっと欠けるくらい取られるわけです。ところが、ヨーロッパに行って札幌から博多くらいまである高速道路を走りましたよ。全然ただです。高速道路料金は一銭もなし。それはアウトバーンなんというものは昔からできているからとかなんとかいろいろなことを言いますが、どこの国に行ってもあれはただでしょう。スイスは取られる。ただし、一回一回取られるのじゃなしに一年間に一回取られる。札をもらいまして、その札を自動車のところに張っておくともう料金は要らない。その札幾らするんだと聞いたら、一年間三千円だと言うんだ。これはどこか間違えてないかな、こう思うのですが、時間がないから先に進みたいので、原田さん、この点どんなふうに思いますか。
  15. 原田昇左右

    原田国務大臣 今お話しの、日本は確かに広さとしてはお説のとおりあるのですけれども、可住地面積というか、ドイツ、私も四年間おったことがありますが、日本の山のように険しい山じゃなくて、大体丘陵というか、そういう十分住宅を建てて都市ができるようなスロープが多いわけですね。そういうことを考えますと、可住地面積というのは日本はやはり人口当たりにすれば非常に狭いということは言えると思うのです。  それから、今の高速道路お話ですが、ドイツアウトバーンは確かに無料でやっております。しかし、有料でやっている国もあるわけです。カナダとか、アメリカも一部そんなところがあります。それからヨーロッパではイタリーあたりですね、これは有料であったと私も記憶しておりますが、私がヨーロッパに住んだときもたしか自動車ヨーロッパじゅう走りましたから、そのとき払ったような記憶があります。  そこで、日本の場合、狭い国土でどういうようにそれを活用して、うまく我々の公的な施設をつくり、また住む宅地を供給していくかということ、これはやはりヨーロッパに比べて格段にこの日本が難しいんじゃないか、こういうように私は思っております。事実、きのうも私、第二東名の問題で具体的に現地をヘリコプターで視察してみましたが、これは東京にアクセスするのに一体どうするのかな、東京の市街地にアクセスをどういうように持ってくるのかなというくらい人家が密集しておりますから、これはなかなか大変だな、こういうように思いました。特に大都市圏については非常に市街化が進んでおりますから、これは公共施設をこれから建設し、また鉄道でも道路でもそうですが、やっていくには相当大変な努力が必要だな、こういうように感じた次第でございます。
  16. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 聞いたところによると、高速道路みたいなものをつくるときには建設省なら建設省計画を立てる。それで、おまえの土地は坪五十万円で買い上げるよ、原田さんのところもそうだ。そうすると原田さんは、ああ結構ですよ、それじゃ売りましょう。これは国土だから出しちゃう。鯨岡は欲張っているから、五十万円じゃだめだ、百万円もらわなければだめだという場合には、日本の場合は建設省交渉するんだ。それでなかなか交渉が折り合わない。ところが、かの国ではこれは建設省交渉しない。裁判所交渉するんだ。建設省は私の土地を五十万円で買い上げようとした、とんでもない話だ、私は百万円でなければいやだと裁判所に言う。裁判所はそうかというのでいろいろ調べる。その結果、おまえの言うとおり百万円でなければならぬと言ったら、建設省は百万円出さなければならぬ。そのかわり、おまえの土地は四十万円だと言われたら、せっかく五十万円もらえるのに四十万円しかもらえなくなっちゃう。そういうことにして、土地交渉が工事を妨げることはないというのだ。これは随分乱暴な話だなと思うけれども、国土だということになれば、私はそれはわかるような気がするのです。  これに対して御意見を承ることはしませんけれども、田中先生が前に列島改造論というものを出した。私はあれを見てまことに理に詰んだいい計画だと思いましたよ。ところが一億総不動産屋だと言われるようなことになっちゃった。あのときに何が欠けていたからそうなっちゃったんだろうか。どういうふうに思いますか。どういうふうにしておけばあの列島改造論というのが――田中先生はあんなふうにしようと思ってやったんじゃないでしょう。ところが、あれが不動産屋のはしりになっちゃった。みんな、特に都市近郊の農家で不動産業みたいなものになる人が割合多くあったのはあのときから。どうしてそうなったか。どういうことをやっておけばそういうことにならないで済んだか、私は考えるに値する問題だと思う。この問題は建設省のだれか、役人でもいい、お考えがあったらひとつ聞かせてもらいたい、こう思います。
  17. 藤原良一

    藤原政府委員 国土の均衡ある発展を図っていくというのは非常に重要なことでございまして、そういう意味では現在の四全総あるいはそれを実施するための多極分散型国土形成法等でもそういう思想のもとで、ほぼ同じような思想のもとで新しい情勢等もさらに包含しながら進めているのだろうと思います。  ただ、その際特に重要なのが、やはり地価の安定を図りながらやっていく、そういうことが非常に重要であったと思います。そういう意味では、目標に向かってどういう対策を講じながら、手順を踏みながらやっていくか、そういう面も国土整備発展を図っていく上では大変重要じゃないかなと私は考えております。
  18. 石井一

    石井国務大臣 過去の土地高騰をつぶさに見てまいりますと、何回かの段階がございます。一番最初は、やはり高度経済成長の時期に土地が暴騰した。その次は、御指摘の日本列島改造論の時期に暴騰した。それからいろいろ上がったり下がったりはしておりますが、五十年最初には相当下落したときもございましたが、その後最近の高騰が、そのほかにもございますが、大変異常なものがある。  これらのことを総合的に考えますと、私はやはり国民の間に、土地が売買の対象になる商品である、この基本的な概念がなければこのような状態はなかったのではないか。例えば、日本列島改造というのは言われるとおり一つの大きなビジョンを示した、また地方に対して大きな夢を与えた、そういう意味におきましては一つのロマンのある思想であったわけでございますけれども、プロパーに地方の方が地域づくりに精を出す前に、東京からお金を持った人がどんどん入っていってその土地を前に仕込んでいく、そのことによって土地をどんどんつり上げていく。地域の夢なりロマンというものは、もう値段がそこまでいってしまっておるわけですからなかなか手が届かないということになりますと、今土地基本法で申しております、土地公共のために供されるものであり、売買の対象になるものであり投機の商品でないという一つ基本さえ締めておけば、日本列島改造というものは画竜点睛を欠くことのないものになっておったのではないか、そこがやはり欠けておったのではないかな、私はそういう感じがいたします。
  19. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 石井大臣の答えは、まことに私を満足させるものがあります。まさにそのとおりだと思う。あれはとてもいい案なんだ。とてもいい案なんだけれども、土地を商品として扱うことは許さぬという基本がルーズだったから、あれがせっかくいい案だったのにうまくいかなかったのはそこにある、こう思うのです。  原田大臣、私、この間ヨーロッパ旅行をちょっとしてきたのですが、成田から立っておりたところはフランクフルトです。フランクフルトの飛行場というのは成田の飛行場の五倍もあるんだ。あれは大変立派な飛行場ですよ。あそこの人口がどのくらいかといったら、六十万だという。六十万というのは、東京の足立区という私が住んでいる区の人口の方が多いですよ、六十四万ですから。フランクフルトより多いのですよ。フランクフルトは西ドイツの中では指折りの町ですよ。ジュッセルドルフにしたってハンブルクにしたってみんな同じくらいですよ。ボンなんかというのはどうですか、二十万か二十五万ぐらいしかないでしょう。適当に配置されているのですよ。私は、四全総にしたって新産業都市にしたって、ねらうところはそこなんだと思いますが、いつまでたってもなかなかできない、これが。どこに原因があると思いますか。
  20. 原田昇左右

    原田国務大臣 多極分散型国土というのは、東京が余り強過ぎるからこれを分散して少し首都機能を分散すると同時に、地方の振興を図っていこうというのが多極分散型国土基本的な考え方だと思うのですが、やはりドイツなんかの場合と比べますと、ドイツは封建制のときから地方に――ドイツの統一ができてベルリンで統一されたのはごく最近でありまして、日本は江戸時代から江戸というのが断然強くて中央集権をやっておったわけです。そこで東京がその後も首都になり、最近は国際金融並びに文化、情報、あらゆるものが集中しておると言われておるわけですが、そういうことで余りにも巨大になりつつある。しかも、それだけの魅力もあるという都市になってしまったものですから、なかなか地方が育たないということになってきたのではないか。  列島改造論で確かに地方のよかった点は、地方にかなり視点が行ったと思うのです。しかし、その後また情報化、国際化が非常に進んでまいりまして、東京というのが一極集中がますますひどくなってきた、私はそういうように認識しておるわけです。ドイツの場合は、封建時代から地方に核がかなりあってそれをベースに伸びていった。日本の場合は、江戸幕府というのは余りにも中央集権が強かったということはあったのではないでしょうか。
  21. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 原田大臣お話の前に、石井大臣が、列島改造論というものは立派なものだと私は思う、だけれども、あれがああいうことになったのは何かというと、商品として土地を扱うことはできないということをきちんとしておけばよかった、こうお話でございました。私も全くそのとおりだ、こう思うのです。  商品の話が出ましたから、石井大臣、私は、商品というものには含まれなければならない要素があると思うのです。普通の商品というものはつくれるということですよ。それからもう一つは、移動できるということですよ。こちらの方になくて、こちらの方に多くあったらこれを持っていけるということです。土地はつくれないのですよ。海を埋めるなんということは、あれはつくってもつくるうちに入りませんよ。それから、移動できないのですよ。商品ではないのですよ。商品ではないのに商品のように扱っているところに、大きな矛盾があると私は思うのです。  お米は商品ですよ。お米はつくれますよ。余りつくり過ぎるからやめておけということもできますよ。それから、移動もできますよ。それでありながらお米というものは我々の主食であって、金持ちであろうが貧乏人であろうが、これを食べなければ生きていかれないから、食糧管理制度というものをつくっているでしょう、商品でありながら。商品でない土地にどうして土地管理制度というものができないのでしょうか。御意見があったら、時間がなくなりますから簡単にひとつ、どうぞ。
  22. 石井一

    石井国務大臣 今申されました中にもう一つつけ加えたいのは、土地は古くならないということもあると思うのです。要するに、自動車でございましたら、何ぼいいものでも十年たてばもう全然値打ちがなくなります。土地は十年たてばもっと値打ちが出てくる。だから、今申されました二つの要件に、もう一つそういう特殊なものである。ただ、商品といいましても、これほど特殊な商品はない。非常に公共的に制約され、利用とか取引とか保有という面で、そういう制約を受けるという面が欠けておった、私はそういうふうに考えるわけでございます。  これは、食管制度というのはどうなんでしょう。今食管制度がうまく機能しておるとは申せません。私の考えでは、食管制度が機能したのは、お米がなく戦後の配給をやっておったときではないか。今そんなことを言いますと、農林大臣はおられませんし、自由な発言をせいと言われますから所管外ですから申すのですけれども、私は必ずしもこの制度が、我が国の農業政策なり食管に対して有効な手段を与えた、ある時期においては有効な手段を与えましたが、やはりこの国は非常に自由な社会である。その前に農地解放でありますとかあるいは地租改正というのですかやりましたものとか、土地はかなり封建領主のものであったり一部の地主のものでないというようにリベラルに渡したものですから、そこにもう一つ欠けておったかなと今考えますのは、土地は幾らでも買えるという感覚があったものですから、その辺から多少今から見れば反省が起こるわけですけれども、かといって、簡単に申しまして土地に対する管理制度をやった場合に、この国の国民感情なりあるいは自由主義社会、資本主義体制という中でなじんだかどうか、いささか私は、何かもっと一つの工夫はあったと思いますけれども、食管制度的なものを当てはめるということは、これまた時代の逆行といいますか極端なことになるのじゃないかな、そんな感じをいたしております。
  23. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 誤解のないように申し上げておきますが、私も土地の私有を認めない制度がいいと言っているのじゃないですからね。ですから食糧管理制度と同じように、食糧管理制度は今はちょっと機能がおかしくなってきたことは事実です。しかし、かつてはあれなくしては我々の命を支えることはできなかったのですから、今土地はそういうような状態になってきているから土地管理制度があってもいいのではないかなと心をよぎるぐらいに思います。だけれども、それでいいというふうに考えているわけではないのです。  原田大臣、歴史的にいろいろ考えてきて、日本ドイツのようなわけにいかない、こう言うわけです。東京東京にと集中するなら、新幹線をつくる。それはこの町とこの町とが交流できて何もこっちへ支店をつくったり本店をつくったりしなくてもいいように、すっと行ったらその日のうちに帰れるようにということで、大阪だってそうでしょう。前はどうしたって一晩泊まりじゃなかったら大阪へ行って商用は足せなかったです。今は日帰りで戻る。九州だってそうでしょう、飛行機があるから。ところが、交通が便利になれば便利になるほど東京に集中してくるのですよ。だから、私は高速道路だの新幹線だのを考えなければいけないと思うのは、東京東京にと集中するように、あなた方のお考えや役所の考えでは地方に分散するようにつくっているのでしょうが、どういうものか私わかりませんが、東京東京にと集中してくる。時間がなくなりますから申し上げますが、私東京に住んでいますが、甚だ迷惑なのですよ。おまえの財産はふえてくるからいいだろうなんて、私は借地に住んでいるのですよ。自分土地に住んでいるのじゃないのですよ。ところが、地代がどんどん上がってくるのですよ。私は商売やっているわけじゃないもの。地主にしてみれば固定資産税が上がってくるのだから、鯨岡さん、少し地代を上げてもらわなければ困りますよというのは当たり前です。何でもないのに地代がどんどん二年に一遍ぐらいずつ上がってくる。それで、何年かに一遍は書きかえみたいなものをして、そのときに何かまた変なお金を取られる。甚だ迷惑しているのですよ。これはひとつお考え願わなければならぬ。  そこで、時間がないから先に進みますが、不満を申し上げますが、これは国土庁ですか。土地は幾らというようなことを示すんだよな。何ですか、公示価格。公示価格というのが固定資産税の材料になるのですか。それはまた別らしいね。あれをやるのにかなりお金がかかる。何だか二十億ぐらいかかると言ったな、あれを一年間に調べるのに。税金を使って二十億もかけて調べて、ここの土地は幾ら幾らと値上がりする基準を、何かそういうことを商売にしている人たちのあんちょこをつくるみたいな話になっているのじゃないかな。なぜあんなこと言うのだろうか。あんなことを言わなければ上がらないのじゃないかななんという不満も民間ではしますよ。いかがですか。そのことについてひとつお答えください。
  24. 藤原良一

    藤原政府委員 お答えいたします。  地価公示価格につきましては、確かに予算も二十数億円で毎年一回実施しております。この地価公示価格の性格でございますが、一般の土地取引に対する指標として、また公共用地や土地取引の行政指導をする際の規準として活用されるように行っておるわけでございます。  確かに先生御指摘のとおり、地価上昇局面ではその上昇を後追いしたり誘導、先導するような役割を果たしているのではないか、そういう御批判も耳にしておりますが、私どもこの地価公示価格決定に当たりまして、近傍類似の取引価格や地代、賃料等をもとにしました収益還元方式等を採用しながら行っておるわけでございます。特に、取引事例の採用に当たりましては多数の事例を収集した上で、不当なつけ値やあるいは投機的な取引といったものを事例から排除しまして、適切な正常な取引価格が把握できるように努めておるところであります。また、収益還元方式等もできるだけ取引事例と合わせて重視していくように心がけておるわけでございますが、今後ともこの地価公示価格の的確な決定については、手法の改善とか努力を重ねていかないといけないと思っております。
  25. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ついでに聞きますが、私が地主だとします。あなたに地所を貸している。地代をもらっている。私は地所持っていると固定資産税を払わなければならぬ。だから、せめて固定資産税分ぐらいあなたからもらわないと、幾ら私が人がよくたって困る。そこで、固定資産税と比べてどのくらいが適正な地代だというようなことは何か御指示がありますか。それは私の勝手ですか。固定資産税が例えば一万円かかったとすれば、一万円以下ということは私が血出してしまうからだめだけれども、一万五千円だろうが二万円だろうが三万円だろうが五万円だろうが私の勝手ですか。あなたさえそれでよろしい、借りている人さえ泣き泣きでも納得すれば何ぼ上げても構いませんか。そこのところに何かお役所の方で指示がありますか。
  26. 藤原良一

    藤原政府委員 特に賃料、地代等について役所の方で指導しているということはございません。一般の市場の中で妥当なところで設定されるものだと思っております。
  27. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 わかりました。それでは一番最初に言った、国土である、もしも外敵からやられたときには、私もあなたも一緒になって命がけでこれを守らなければならぬ。現に命がけで守って死んでしまった人が靖国神社に何ぼでもいるんだ。そことちょっと違うじゃないですか。その基本がそこのところで崩れるじゃありませんか。固定資産税と同じだけの払いじゃ地主は困るでしょうから、一番多くても固定資産税の三倍だぞとか二倍半だぞとか。お互いに納得すれば五倍でも十倍でも構わないよ、それはちょっと基本を逸脱しているのではないかと私は思うのですが、あなたはどう思いますか。
  28. 藤原良一

    藤原政府委員 通常、収益還元法というのは、地代とか賃料等土地から上がります収益を利率等で還元しまして、それで価格を想定するわけでございます。
  29. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 時間がありませんから、これから一人でべらべらしゃべりますから、石井さんも原田さんもひとつ御勘弁を願いたいと思います。  今のお話をお聞きのように、これは乱暴なことをやってはだめですよ。やはり地主というものは、いい地主もいますし悪い地主もいるでしょうし、地主の立場もあるのですから、そう乱暴なことはできませんけれども、基本自分命がけで守っている国土なんだから、その国土については、石井大臣がしばしば言明なさったように、それが末端の変化に対する対応であらわれてこなければ、基本に対する認識がしっかりしていれば変化に対する対応でそれがあらわれてこなければ、変化に対する対応を見るとどういう基本認識を持っているんだかわけわからなくなるようなことでは困る。  それから、このごろ東京都ばかりじゃなくて都市周辺の農地の宅地並み課税ということが言われるのですが、これはある意味では当然です。これは農地でございます、農地でございますと言って、あれは何分の一ですか、えらい安いのでしょう。宅地の税金の……(石井国務大臣「七十分の一」と呼ぶ)七十分の一の税金でそれを持っていて、それで相続のときもそういうふうに安くしよう。石井さんと私が隣り合わせで住んでいたとしますか。お互い先祖は農家だ。ところが、石井さんはそこへ家を建てたりなんかしてみんな宅地になっちゃった。私は畑のままで持っている。それで、これをあなたの七十分の一の税金で私は済ませている。いつかもう少し上がったら売ろうと考えている。そういうものを見逃すことはできませんよ。ですから、これは厳しく対応しなければならぬことは言うまでもありませんが、それはそういうずるい考えをいけないと言うのであって、その土地を仮に広場みたいにして近所の子供たちを遊ばせてやるとか、あるいは緑のない東京に、そこに緑をつくっておいてやろうとかいうような考えで、長期にわたってそういうふうにやるということが確実にわかったならば、これは宅地並み課税としたらばそんなことできませんからね。だから、どうしても宅地並み課税するというのなら、私は不動産屋にでも売ってマンションでも何でも建てるか、どんどん家を建てるか、そうしなければならぬ、こういうことになります。  文部省、だれかいますか。あなたに今から質問しますけれども、帰ったら文部大臣にしかるべき話をしてもらいたいと思う。  私は東京の下町に育った。我々の子供の時分には広場があった。だれか地主がそこを開放してくれていた。学校へ行くと同じ年代の子供たちが遊んでいる。帰ってくると、かばんをほうり投げてその広場に行く。そうすると、年の上の者もいれば年の下の者もいれば同年配の者もいて、みんなして遊んでいる。そして、トンボをとったりセミをとったりメダカをとったり、あるいは騎馬戦をやったり、いろいろして遊んでいた。ところが、今はないんだよ。そういうところがなくなっちゃったんだよ。だから、学校から帰ってくるとマンションの自分の部屋に入って、それで遊んでいるしかない。まあ塾だ。それで、今度はじっとテレビゲームだ。住んでいるところはどうかというと、三十何階という、人間は鳥じゃないんだから、地べたがないんだから。それで、曇った日なんかは下から見ると雲の中に住んでいるようなことだ。そういうような環境の重大な変化を子供たちに与えておいて、将来の日本は、そういう子供たちが大人になったときの日本というのはどういうふうになるかということは、文部省として考えているかしら。今だけのことじゃないよ。私は偏差値や何かの問題も大きく取り上げたいが、それはきょう言うべきことじゃないが、広場みたいなものをどんどんなくしてしまって、それで将来大丈夫かな、安心かな、何か答えがあったら……。
  30. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 お答えいたします。  先生都市化ということを大体挙げられたと思いますが、それとかあるいは核家族化とか少子家族化、そういう社会の急激な変化がございまして、子供たちが自然と親しむ機会、あるいは異なった年齢集団の間での遊びというものを先生御指摘なさいました。そういうものによって昔は切磋琢磨されていたわけですが、そういった機会が非常に不足してきているということは、教育界でも非常に大きな重要な問題として指摘されております。先生のおっしゃるとおりでございます。私どももそういったことで学校教育と社会教育というのを担当しているわけでございますが、それらを相連携させまして、いろいろな、例えば自然教室推進事業というようなことをやって、学校の子供たちを自然豊かなところに通わせて、そして集団宿泊生活などをやらせまして、人間的な触れ合いとかあるいは自然との触れ合いを深めるというような事業も非常に充実してきているわけでございます。  そういうことで、学校教育と社会教育が相まって子供たちにそういった機会を与えていくということが大変大事でございますので、昨年の七月に文部省は社会教育局を改組充実いたしまして、私現在務めさせていただいております生涯学習局というのをつくって、そこで生涯学習という視点に立ってそういったことを進めていきたいというふうに考えておるところでございます。
  31. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 今、宅地並み課税の話が出ていることは文部省といえども御承知のとおりだ。もし地主がいて、広場に提供したいが宅地並み課税されたのではとても広場に提供しているわけにはいきませんという人がいたら、文部省は大蔵省と交渉して、そういう人には農地並みというか何というか、宅地並み課税じゃない税金の制度をつくってくださいと言うような用意がありますか。何にもそういう用意がないでそんなこと言ったって、君、できないよ、それは。
  32. 横瀬庄次

    ○横瀬政府委員 都市の中にそういう子供たちの遊ぶ広場といいますか空間をぜひ用意していきたいということは、私どもとしては人後に落ちるところではございませんけれども、課税の問題ということになりますと、所管を越える問題でございますので……。
  33. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 所管が違うって、同じ大日本会社だよ。おたくの方でそういうものが欲しいと思うならば、それに対しては税金の制度をこうしてくださいということを大蔵に、大臣同士で交渉するぐらいのことは当たり前のことじゃないですか。それもしないで、そういうものをしたいなどと言ったって、できっこないよ、それは。もっと熱心に考えなければ。大変な問題ですよ、これは。
  34. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 ただいまの借り上げ広場の問題でございますが、現実に、そういうふうに農地を地方公共団体が借り上げて公園に使っている例はございます。その場合には公共団体の方で税額について考慮しているということで、先生が今御主張されたような形は、現実に行われているものは幾つかございます。
  35. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 時間がもう迫ってまいりましたから、そろそろやめたいと思いますが、宅地並み課税の問題については、不当に、いつか上がるかもしらぬ、そのとき売ってやろう、今のうちは農地だということを言って、いろいろな形で、ごまかしと言ってはなんですが、カモフラージュしながら値上がりを待っているような者に対しては、これは、石井大臣、相当過酷にやっていいですよ。しかし、東京都民は青いところが欲しいのです。青いところがどんどんなくなって、雲を突くようなビルが建っていくことを喜ばないのですから、我々は。それから、今言ったような広場も子供たちのために必要なんですから、そういうことに協力していこうという農民に対してやみくもに宅地並み課税ということを言うことは間違いだ、私はそう思います。  それから、急激に土地が上がったときだってそうでしょう。山手線の中は天井なしにしようということをやった途端に上がったのですよ。そうでしょう。田中先生列島改造論をやったときに、土地というものは公共のものだから金もうけの手段にはならないのだよということをしなかったからああなったとあなたはおっしゃった。それから後になってなぜその経験を生かしてないんだ。山手線の中を天井なしにするよということになれば土地の価格は上がる。上がるだろうけれども、これは金もうけの手段にはできないんだよということをやっておけばよかったのに、またまた同じような失敗を繰り返してああいうことになっちゃった。そういうことになった結果、みんな苦しんでいるのですよ。  大蔵省も考えてくださいよ。相続税なんてやっていかれませんよ、これは。相続税の税率が七五%から七〇%に下がったって一生懸命言うけれども、あれは税率だから、こっちのもとの方が上がってしまったならばだめじゃないですか。もとの方はどんどん上がるんだもの、こっちの率なんてものが多少下がったってうれしがってはいられませんよ。もう我々の方の町だってあんな場末の、東京の一番外れですよ。それなのに坪三百万円だの五百万円だの、中には一千万円だの。そしたら二間か三間の間口でもってお菓子屋をやっていた人がやれますか。そういうことを考えて、土地国民のものなんだ、商品じゃないんだ、事があれば命がけで守るんだ、そのところの基本をしっかり踏まえて、商売で取引する人が多少のことがあっても仕方がないでしょう。商売で取引していないものに対してはこういうようなことをするという税法、これが変化に対する機敏なる対応、間違いのない対応だと思うのですよ。  土地問題は国民を悲しませている。国民政治に恨みを持っている。これはひいては愛国心に関係しますよ。両大臣、そうじゃないですか。何のために我々は戦争になったときに命がけで戦うんだ。愛国心に関係しますよ。これは重大な問題です。私は与野党土地基本法についておおむね合意しているということを聞いて非常にうれしく思うのですが、土地は決して商品ではないよ、商品として扱わせないよ、これは国民のものだよ。国民のものなんだからという基本をこの基本法を制定する機会に政治家がしっかり把握して、国民に安心してもらう制度をつくりたい、こう思います。どうぞ御検討願います。どうもありがとうございました。
  36. 大塚雄司

    大塚委員長 井上普方君。
  37. 井上普方

    井上(普)委員 ただいま鯨岡先生お話を承りまして、土地問題は古い問題であるし、また、提起する問題は前から提起しておる問題であろう、それがまた再燃しているなという感じがいたしておるのであります。特に、ただいまも鯨岡先生土地は商品にあらずという言葉を言われました。土地は商品にあらずということを国会で答弁されましたのは瀬戸山建設大臣が初めてだと思います。そうしますと、二十何年前の御答弁と同じことをやられておるわけであります。それほどまでに政府が実はこの土地問題に対しまして無策であったということが言えるのではないかと私には思われるのであります。そこで、この法案につきまして与野党考え方の違うところを示しながら質問を展開してまいりたいと思います。  ただいまも鯨岡先生が、土地国民のものだ、こういうお話でございます。それは言葉をかえますと、土地公共の福祉のためにあるんだ。これを優先するんだ。公共の福祉を優先させるということがもう定着いたしておるのであります。これは昭和四十九年につくりました国土利用計画法の中で、はっきりと公共の福祉が優先するということを明確に書いてあるのであります。この国土利用計画法というのは議員立法であります。すなわち自民党、社会党、公明党、民社党、この四党共同提案に成る法律が国土利用計画法なんであります。共産党は、この法律は憲法違反だと言って反対いたしました。しかしながら国会は、これを多数ではありましたけれども、政党のほとんどが共同提案として成立さしたのが国土利用計画法であります。共同提案ですよ。そして、ここにもございます。第二条で「基本理念」というものを書いてあります。その中にははっきりと、土地というものは「公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念」とするということを書いてある。今の考え方とどこが違いますか。しかし、今度のこの法案を見てみますと、この点が欠落いたしております。  基本法には、この土地基本法という名前が私は気に入らぬのだけれども、「適正な土地利用の確保を図りつつ適正な需給関係の下での地価の形成に資する見地から土地対策を総合的に推進し、」というのが目的になっていて、そして第二条では「公共制約」になっている。「土地については、公共の福祉のため、その特性に応じた公共制約が課されるものとする。」こうなっている。明らかに違う。  特におたくが盛んにおっしゃっておられました、昨年の六月に土地関係閣僚でつくりました文書、総合土地対策要綱を読みましても、はっきり第一の②に「土地利用に当たっては公共の福祉が優先すること。」と書いてある。さらにはまた、臨調の答申によってもそのようなことが書かれておる。さらにはまた、土地基本法考え方についての懇談会というのを内海大臣がつくりました。それにも、土地利用に当たっては公共の福祉が優先することということを明確に書いてあるのにもかかわらず、このたびのこの法案については、この点が公共制約を受けるものとするというように変わってきているのは、一体どうなんです。先ほどの鯨岡先生質問と、私はこれは関連してくると思うのですが、いかがです。
  38. 藤原良一

    藤原政府委員 お答えいたします。  国土利用計画法の二条には、御指摘のとおり「国土利用は、」「公共の福祉を優先させ、」「健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図る」ということで、「公共の福祉を優先」という言葉を使ってございます。また、今回の野党案におきましても、「土地利用については、公共の福祉を優先させなければならない。」という趣旨でございます。  政府案におきましては、土地につきましては、現在、将来における貴重な資源であり、また諸活動の不可欠な基盤である、また、その利用も他の土地利用と密接に関連する非常に公共性の強い性格を有するという特性を強調しながら、そういう特性ゆえに公共の福祉のために公共的な制約が課せられるべきものとしております。公共の福祉優先という言葉を直接使ってはございませんが、この政府案ではあくまでも財産権の対象たる土地について、その土地の取得、利用、処分、そういう土地に関するあらゆる権利の行使等に当たりまして、憲法にもございます公共福祉に適合するようぎりぎりの公共的な制約公共福祉の観点から課せられるんだということを明らかにしたものでございまして、考えるところは軌を一にしているんではないか、そういうふうに理解しております。
  39. 井上普方

    井上(普)委員 今おっしゃいましたが、私も普通の財産と土地財産権とはおのずから性格が違う。すなわち、先ほども鯨岡さんが言われておりましたように、土地に対する所有権それ自体について公共を優先させる考え方が生まれつつあるのが今の現状じゃないでしょうか。これを明確に、公共の福祉ということを明確にすることによってこそ国民の意識、すなわち大臣が言われる神話なるものを打破することができる。そういう目的のために国土利用計画法というのは十五年前につくられたものであります。にもかかわらず、その間一体政府は何をやったか。そしてまた、このたびのこの法律は、明らかに公共優先という考え方を、土地所有あるいは所有権それ自体に対しまして、利用に対しまして公共制約を受けるというように、公共制約が課せられるものとするというように後退しておるところに今の政府の姿勢というものがあらわれておるのではないだろうかと私は思うのであります。この点については、以下どうしてこういうように変わったのか。明確におたくのこの土地対策要綱にも書いてあるし、かつまた、懇談会の論議にも書いてある。にもかかわらず、こんな回り回ったような言い方をなぜしなきゃならないのか私は不思議でならないのであります。大臣、いかがです。
  40. 石井一

    石井国務大臣 率直に申しまして、この野党案の文面、非常に一貫してさわりがいいという感じがいたします、言葉は非常に露骨で恐縮でございますが。ただ政府委員の答弁を聞いておりますと、決してこの野党案の精神を否定したものではございません。私はそういう理解をいたしております。  なお、できればひとつこの点につきまして、公共の福祉が優先するという問題に関しまして、法制局長官の御答弁も求めていただくのはいかがか、そういうように思いますが、いかがでしょうか。
  41. 井上普方

    井上(普)委員 法制局長官は、もう既に国土利用計画法において明確に出ておるのであります、考え方というものは。にもかかわらず、こういうようなともかくおかしげな言い回し方をするというのは私は不思議でならないのであります。この点につきまして、私どもの意思というものを大体長官もお認めになったようでございますので、我々はこの法案の対処の際に各党において相談いたしたいと思います。  続きまして、この法案を私はずっと拝見いたしておりまして、飛び飛びになって申しわけないのでございますけれども、疑問点がかなり出てくるのであります。これは第七、八条に書いてあるんですが、国民と事業者というのは違うんですか。国民というものと事業者というものは、これは違うんですか。なぜこんな文面にしたんですか、わからないのでありますが、基本法という以上は国民が相手でなければならぬと思うのですが、なぜ事業者というような言葉をここに入れてきておるのですか、この点明確にしていただきたい。
  42. 藤原良一

    藤原政府委員 申すまでもないことでございますが、事業者も国民でございます。ただ土地に関しましては、適正な地価の形成あるいは土地の適正利用、そういう面で事業者の影響が非常に大きいわけでございます。特に、土地関係を主として事業目的とする者にとりましては、土地の取引も非常に頻度も高うございますし、また取引量も大きい、そういう社会的な影響が大きいという点に着目しまして、特に事業者につきましては国民の責務と分けまして、強いあるいは重いといいますか、責務を規定したわけでございます。
  43. 井上普方

    井上(普)委員 こんな法律は、基本法に事業者と国民とを分けて書いておる法律は、私は見たことがないのであります。それほどまでに不動産業者が不届きだということをともかく強調しなければならないほどの世の中だと私は思っている。国民というものと事業者というものを分けて、しかも基本法に入れなければならないなんということは、基本法の性格、名前からしておかしいものだと私は思っておるのであります。ここで、それほどまでに今までの不動産業者あるいはまたそれを支える銀行、金貸し、こういうのが不届きだと言わんがために入れたと思うのです。  これは話は別になりますが、先ほどもいろいろと鯨岡先生がおっしゃっておられました。列島改造論、改造が失敗した原因を、ともかく地価の抑制ということに力点を置かずに発表した、こう石井大臣も言われました。それはそのとおりなんです。しかし、その背景があります。  ちょうどニクソン・ショックが起こりましてから、ニクソン・ショックという金余り現象、当時うまいこと日銀だの大蔵省は過剰流動性という言葉を使った。過剰流動性が多くなったのでこういうことになったのだ、こう言うけれども、これはニクソン・ショックで金余りになったんですよ。石油ショックというのはその後のことで、実際物価の上昇を来したのは、それは石油もあったでありましょうが、ニクソン・ショックによる過剰流動性によって起こったということは、これは経済企画庁も白書で認めておるところなんです。そこへもって、地価の抑制ということを考えずに列島改造論なんということをやってムードをあふり立てたために、あの一億総不動産屋という、地価が二倍にも上がりあるいは三倍にも上がった原因があるのであります。  このたびも同じです。中曽根内閣が東京に国際市場をつくるなんというようなことを言って、大塚委員長がこれはいつも強調されておるんだけれども、事業所の床面積があるにもかかわらず、足らぬ、足らぬと言うてあふり立てたために東京の中心地の地価が上がった。それは事実なんです。それが一つです。その後ろには、私は過剰流動性というものが存在するんだ、こう思うのです。これは日本の貿易収支の大きな黒字、これを背景にして金余り現象が起こっている、このために現在の地価の上昇の引き金になっている、こう思うのでございますが、日銀はどういうような理解をされておるのか、ひとつお伺いしたいのです。
  44. 福井俊彦

    福井参考人 お答えを申し上げます。  ただいま先生、昭和四十八、九年の例を引用なさいまして金融の緩和と土地価格の上昇関連の御指摘がございました。かつまた、今回の金融緩和の局面においてそういう問題が同じく生じているのではないかという御指摘を同時になさったわけでございます。  先生もよく御承知のとおり、土地価格の上昇につきましてはいろいろと複合的な要因のなせるわざでございます。ただ、その一環として金融の緩和、その中で金融機関の活動に行き過ぎがあるような場合に、土地価格の上昇を一層拍車する懸念というものが常に含まれていることは事実でございます。金融の緩和そのものはそのときどきの経済運営の必要上行われていくものでございまして、今回の場合にも、昭和六十年末の為替相場の大きな変動の後を受けて円高不況にいかに対処するか、はたまた、国際的な経済の枠組みの中で日本経済の仕組みそのものをいかに内需主導型の経済にうまく誘導していくか、その必要上、全体の経済政策の枠組みの一環として金融緩和政策もとられてきたわけでありますけれども、先生御指摘のとおり、金融緩和は同時に副作用を伴う危険が常に併存するわけであります。したがいまして、私どもも金融政策の運営上、なかんずく金融緩和を進めてまいります過程では、副作用が大きくなり過ぎないようにということは常に十分配慮しながら進めてきているところでございます。ことしになりましてから、先生承知のとおり五月とそれから去る十月と二回金利の引き上げ措置をとっておりますけれども、そうした際にも金融緩和の副作用として土地価格を含む資産価格の上昇、これが全般的な国民のインフレ心理につながる懸念ということを十分に念頭に置いてとった措置であるというふうに御理解賜りたいと思います。
  45. 井上普方

    井上(普)委員 全体的に言うならば、日銀、大蔵省のこの金融緩和措置、その際には必ず土地が上がるのだということを忘れておるといいますか、サボっておって今日の事態を来したのじゃないか、私はこのように思うのであります。  例えて言いますならば、先般も申し上げたことでありますけれども、不動産業者向けの融資残高、これを見てみますと、昭和四十五年には融資総額に対する不動産業向けの融資残高は四・七%でございました。四十八年末には七・三%になる、それが五十年には六・五%に下がり、五十一年には六・一%になり、五十二年には六・〇%になってきている。ところが、昭和五十八年からこれがまた上昇してまいりまして、そして五十九年に七・四%になり、六十一年には九・九%、六十二年には一〇・七%、平成元年六月の末に至っては一一・六%にまで上がっている、これが実情なんです。土地の値上がりをしておるときには、不動産業者に対する全金融機関の融資残高というのは比例をしながら上がっていっているのです。ここに日銀並びに大蔵省の金融に対する、不動産、土地政策に対する考え方がない、こう考えるのですが、この数字を見て石井大臣はどう思いますか。
  46. 石井一

    石井国務大臣 確かに土地の値上がりの異常な状況の中に、融資の残高、相一致したものがございます。これは非常に重要な指摘だというふうに考えるわけでございます。  しかしながら、私ここまで踏み込んで答弁をしていいのかどうかと思うのでありますが、要因はそれだけではない、もし仮に、その場合に、厳しい金融の引き締め等の措置等をとった場合にどういうふうなことになるか。一般的に考えまして、経済成長の問題もございましょう、景気の問題もございましょう、雇用の問題、失業の問題等々もありましょう。特に当時は財政再建下の厳しい経済財政運営を強いられておったし、外的には円高でありますとか黒字基調というふうなものに対します内需拡大というふうな政策課題もあった。そういう中から土地関連に関してもう少し厳しくできなかっただろうか、そういう反省を私は今の御指摘に対して感ずるわけでございますが、一般的財政経済運営という中にはやむを得ない客観的情勢というふうなものもあったのではなかろうか、そういう感じを持つわけでございます。
  47. 井上普方

    井上(普)委員 大臣、それはおっしゃるとおり円高不況等々ありました。しかしながら、このときに不動産業に対する残高が五十七年末には六・七%なんです。五十九年には七・四%になり、六十二年には一〇・七%に上がっているのですよ。そして慌てて大蔵省は銀行の特別ヒアリングなるものを実施したのじゃありませんか。ここに政府の後手後手に回るというよりは土地政策を軽視した姿勢がうかがわれると私は思う。だから、こういうように内需拡大のために努力しなければいかぬということを口ではおっしゃりながら、片方、中曽根内閣においては地価の上昇を来させながら、不動産、土地の値上がりを図りながら、意識的に国内における内需拡大なるものを政策的に図っていったのではないかと私は思う。これは済んだことではありますけれども、しかし、そこに土地政策に対する考え方が自民党内閣には乏しかったのではないか、私はこのように感じられてならないのであります。それが引き金になっていわゆる資産がこのようにふえてまいったのであり ますが、ここらのところを明確にしなければ私は土地政策は幾らやってもできないと思うのです。  この点について、きょうは話を聞けば、政府委員の諸君が私のところに質問の注文をとりに来たので、大臣は一体だれとだれが出るんだと聞いたら、いや、大臣は出ないんだ、土地の問題は全部石井大臣が答弁します、大蔵大臣の答弁もできるのか、あらゆる人の答弁ができるのか、できますと生意気なことを言った。こういうことは困るだろうと思う。あなたは、今後金融政策はやります、これはそのときそのときの経済情勢によってやりますが、土地は特別にやりますかということなんですよ。これを明確にしなければ、幾らこんな法案をつくっても意味がないと私は思う。何をいいましても経済原則が優先する世の中なんで、ここらあたりを明確にしていただかなければ、今後こういうものをつくったところで意味をなさなくなってくると思います。大臣、どうお考えになりますか。
  48. 石井一

    石井国務大臣 基本的に御指摘になっておる問題は結果として正しい面もたくさんあり、またこれは今後の反省材料にするべきだというふうに考えます。  そこで、今度の土地基本法の中には、いわゆる投機的な土地取引の抑制というふうなことに関しましても新たに一項を設けて明文化し、非常に重要な力点を置いております。したがいまして、もちろんこの基本法基本法、宣言法でありまして、今後いかに実行法を組み立てていくか、その中には金融財政政策あるいは税制の改正というふうなものも全部含まれておるわけでございますので、ただいまの問題の御指摘等も考えまして、今後この点につきましては十分配慮をしていきたい、このように考えております。  また、最近井上委員のようなお立場でお聞きになりましても、大蔵省も腰を据えて銀行のヒアリング等いろいろとやっております。この点につきましても、いささかの評価をちょうだいいたしたいと思います。  なお、土地政策全般に関しまして、確かに昭和五十年代は目ぼしい法律もございません。ずっと見まして、六十年代に入りましてからまたかなりの法律が出ておりますけれども、国土利用計画法を昭和四十九年に成立させましてから後、比較的安定した時期もございました。五十年代後半に今御指摘の金融の問題もございますが、土地は比較的平静化しておったという時期も経ておるわけでございます。国土利用計画法の立案指揮者である井上委員でありますから、そういうふうな意味におきましては、政府・与党、野党一体となってこれに取り組んでいく、ただ一方的に政府だけが御批判を受けるという面につきましても、我々も反省はいたしますが、同時に、こういう面につきましては、今後総合的に与野党ともに取り組んでいきたい、そう考える次第でございます。
  49. 井上普方

    井上(普)委員 今おっしゃいましたが、国土利用計画法には投機的取引につきましてはやらさぬような項目もあるわけなんです。入っておるのです。ところが、これについて十分な措置を、その後政府がフォローをやらなかった。ここに問題があるのです。昭和四十九年につくられ、この国土利用計画法は一面地価抑制法だと私は思っていたのです。この法律ができれば多少下がるなと思っておりまして、三〇%ぐらい下がるのではないだろうかという期待を持ちながら私はあの法律をつくったのでありますが、不幸にして、五十一年には四十九年に比べて一一・四、五%ぐらいしか下がりませんでした。しかしながら、政府はその後の努力をこれにフォローしなかった。ここに問題があるのでありまして、これを反省の材料にするといいましても、これはちょっと遅過ぎるのではないだろうかという気がいたすのであります。  そこで、今はしなくも大臣が言われましたが、この法律をつくることによって次はどんな政策展開がいつごろまでにできるのですか、そして、それはどういう法律を用意しておるのですか、ひとつお伺いしたいのです。
  50. 藤原良一

    藤原政府委員 土地に関する施策につきましては、この基本法でも第二章で基本的な施策の展開方向を規定しておりまして、十一条では、土地利用計画の策定、またこの策定に当たっては、地域の状況等に応じて詳細計画の策定あるいは広域的な配慮を加えた計画の策定、充実を図っていくということにしております。また、計画に基づきまして、その計画を実現するための事業の実施あるいはその他の措置、そういったことも規定してございますし、投機的な取引に対しましては取引の規制に関する措置、さらには、基本理念の適正負担を受けまして、十四条で社会資本整備に関連する利益に応じた適切な負担措置、あるいは税制上の措置としまして、基本理念にのっとり、あるいは施策を踏まえ、税負担の公平の確保等も図りながら適正な税制上の措置を講ずるといったことで、そういう基本的な方向を示しておるわけでございます。なお、これは基本的な方向ですから非常に抽象的でございますが、この基本法制定後におきましては、こういう規定を受けて施策の検討がさらに進められるものだと期待しております。  なお、現在、政府では総合土地対策要綱に基づきまして現時点で考えられます施策を推進しておるわけでございますが、この中にも、こういう基本法の規定を受けた施策が相当盛り込まれております。そういうものも今後、この基本法の規定等にかんがみ、さらに具体化され推進していかれるものだ、そういうふうに我々は考えております。
  51. 井上普方

    井上(普)委員 この土地基本法ができたらこんなありがたいことができるのだ、こんなありがたいことができるのだと盛んに宣伝なさっておられる。今お伺いいたしますというと、税法上の措置、あるいは利用計画を策定し詳細計画もまたつくるのだ、こうおっしゃる。しかし、この基本計画がなくてもできる問題ばかりじゃありませんか、どうなんです。例えば利用計画の策定、詳細計画の策定なんというのは国土利用計画法によってつくらなければならないようになっておるのじゃありませんか。どうです。
  52. 藤原良一

    藤原政府委員 確かに御指摘のとおり、基本法の中の基本的施策につきましても、現行法制等の中で既に整えられております制度もございます。例えば詳細計画につきましては、都市計画法に地区計画という制度もございますし、そういう制度もあるわけです。また、現在の総合土地対策要綱の中に盛り込まれております施策の中にも、こういう基本法の内容を既に先取りしたような形の政策が盛り込まれております。  しかし、それらを今後さらに充実させていく、あるいは円滑に実施、推進していく、そういう上で、これは何といいましても国、公共団体また国民土地に関する基本的な認識を一にしてやっていくことが非常に重要だと思われる面が非常に強いわけでございます。そういう意味で、この基本法の制定は非常に有意義ではないかというふうに理解しておるわけでございます。
  53. 井上普方

    井上(普)委員 この法律ができなければ、成立しなければできないというものはありますか。
  54. 藤原良一

    藤原政府委員 制度そのものについて考えますと、この基本法成立を前提にしなければできないというものはなかなか見当たらないかもしれません。
  55. 井上普方

    井上(普)委員 今はしなくもおっしゃいましたが、これはこの基本法がなくてもできるのです。なぜ今までできなかったかといえば、各省の役人どもがともかく自分の縄張りを守って、それを突破するだけの材料にこれをつくろうとしたとしか私には思えない。それと同時に、政府も、地価を安定させるために、あるいは抑制させるために何か格好をしなかったら国民の皆さん方が納得してくれぬわいということでつくられようとする一面があることも事実なんです。既に法律はできておるのです。いじめがあると言うが、国土利用計画法は私がつくったから、これは地価抑制法なんだから、できておるのだ。もう既にある。改めて格好づけをしたところにこの土地基本法があるし、そしてまた、国民の意識を転換させるためにというようなところもなきにしもあらずと私は思う。しかし、それならばともかく明確にやっておく必要がある。だから、先ほども申しました公共の福祉優先ということを明確にする必要があるというのも、ここに私の言わんとするところがあるわけであります。ごまかすなということを申し上げたいのであります。  さらにもう一つ申し上げたいのは、何といいましても地価の高騰に対しましては金融政策というものが非常に大きい意味合いがある。そして、税制上にもそれがある。今も、税制上で何かできるかといいましても、現在の法体系の中でこれはできるのです。この法律で国土庁が考えておる考え方というのは私にはわかる。土地基本法というのをつくって、国土利用計画法があり、あるいはその下に都市計画法があって建築基準法がある。体系的にずばりとつくりたいという意味も私はわかる。これによって土地立法というのは大体完成する、そのために意欲を燃やしておられることもわかる。しかし、土地基本法と言うけれども、土地政策法とか土地政策基本法とか土地対策基本法じゃないかと私は思っているのですよ。といいますのは、土地基本法といいますと、土地が持っておる根本的な問題、すなわち利用権と所有権との関係、利用権と所有権あるいは計画との関係、処分権の問題、こういうものを全部ともかく詳細にがんじがらめにするのが土地基本法じゃないか、土地の性格それ自体について論及していく法律が土地基本法だと思う。しかし、これを見てみますと、土地政策法といいますか、土地対策基本法といいますか、そういうことじゃないかと私は思っている。だから、名前が違うのだと前々から言っているのですよ。  それはともかくといたしまして、ここに「土地利用計画の策定等」、十一条からいろいろと書いてございますが、これで国土利用計画法及び都市計画法と基本的に大きく違うところがある。何かといえば、都市計画法及びその上の国土利用計画法はいずれも住民参加ということがうたわれておる。この法律には住民参加の住民の住の字も書いてない。一体これはどうしたのですか。
  56. 藤原良一

    藤原政府委員 本法は基本法でございますので、計画について、その必要性、それと、計画策定の際に特に配慮すべき重要な事項について規定してございます。御指摘の住民参加等、計画策定の手続については規定してございません。これは、計画策定の段階での個別具体法にゆだねるという考えで、基本法では特に触れなかったわけでございます。
  57. 井上普方

    井上(普)委員 それはおかしい。ここにははっきりと、特に国民の義務のところでは明確に「国及び地方公共団体が実施する土地に関する施策に協力するように努めなければならない。」と書いてある。義務だけ書いてある。しかし、土地立法につきましては、これは最初行われましたのが昭和四十三年でございましたか、都市計画法をつくった。そのときの当時建設大臣は保利茂先生でした。このときには住民参加というものが全然書けておらなかったのであります。公聴会であるとか、そういうのがなかった。都市をつくるのに住民の参加がなくして都市の形成ができるかということを私どもは強く主張いたしました。そのときに、政府原案にはなかったのでありますが、当時の建設大臣保利先生は、実は三日間、我々と一緒に夜通しで論議しました。そして、これは住民参加ということがなければ都市計画というものも住民の了解を得ることができない、国土計画都市計画をするには住民の参加がなくしてはできないという英断を、実は私らの主張を七項目出したのでありますが、四項目まで取り入れて、大修正を加えたのであります。そして、戦前から内務省が持っておりますところの都市計画に対する考え方を百八十度変えまして、実は初めて住民参加のもとの都市計画法というのが成立いたしたのであります。  その後一年たちまして、都市計画法制定一周年記念という行事を建設省は大々的に行いました。当時の皇太子まで実はお越し願ってその式典を行ったのでありますが、そのときに、この都市計画法の特徴は住民参加にあるんだということを麗々しく打ち上げたのであります。そのときは、建設省の役人というのも器用なものだと私は思いました。自分たちはともかくそんな原案をつくっておきながら、住民参加がなくしてやろうとしておったのだけれども、このときには住民参加だということで実は打ち上げたものであります。その後も、国土利用計画法をつくる際に、基本計画をつくるに際しましてもすべて住民参加ということが大きくうたわれておるのが土地政策基本であります。にもかかわらず、このたびの土地基本法には住民参加の一項目すらない。一体いかがなったのでございましょう。  私は、この点について、こういうような計画考えるのなら、しかも国民に対しましては、国、地方自治体が行う公共事業に対しては、土地政策に対しては全面的にともかく協力しなければならないという義務を課しながら、住民の意思というものは全然出てこないようになっている、ここに大きな問題があると思うのですが、大臣いかがでございますか。
  58. 藤原良一

    藤原政府委員 やや繰り返しになるかと思いますけれども、先生御指摘のように、非常に即地的といいますか、市町村レベルの土地利用計画等につきましては現行の法制でも住民の参加手続を非常に丹念に規定してございます。特に地区計画等、詳細な計画になるほど住民参加手続には手厚い規定を設けておるところでございます。したがいまして、土地基本法におきましては、計画の策定、変更の手続までは、この法律の性格上、個別具体法の規定にゆだねよう、現在でもそういうふうな規定が定着してございますし、また、それぞれ個別法においてその法律の目的や内容が異なるわけでございますので、そういうところにゆだねるのが至当ではないか。そういうことで、基本法では特に規定は置かなかったわけでございます。
  59. 井上普方

    井上(普)委員 この基本法の中で、国及び地方自治体に義務まで課しておるのです。国民は協力しなければならないという義務まで課しておるのです。したがいまして、利用計画をつくる、あるいはあらゆる計画をつくるときには住民の参加が必要であるということは、ぜひとも私は今までのいきさつからいたしましてもつくらなければならないと考えておるものであります。今までの国土利用計画法による基本計画の策定あるいは都市計画法、すべて住民参加がうたわれておるのであります。だから、住民参加なくしてはできないのだということを明確にする必要があると思うのであります、国民に一たんそういうような義務を課しておる以上は。大臣、この点いかがですか。  住民参加については、行政当局はやらせたくないのです、面倒くさいから。その後の立法にいたしましても、特に瀬戸内海環境保全法というような法律のときには住民参加をきちっと入れました。地域立法においてもそういうものを入れているのです。しかし、行政当局は入れたくないのです。だから、このたびも抜かしたのじゃないかと私には思われてならないのであります。大臣、お考えはいかがでございますか。
  60. 石井一

    石井国務大臣 私は今ずっと議論を聞いておりまして、土地基本法について、主権在民という基本的な考え方から当然その実施に当たりましては住民参加を求めていくべきでありましょうし、そういう意味におきまして、これまで生まれております御指摘の法案の中にもそういう言葉がございますし、今後また生まれてくるでありましょう実行法の中にもそういうような規定というふうなものがあるのだろうと思うのでありますが、これは基本法でありますから、そういう意味から、国民の責務という一つ概念的な言葉の中に基本理念国民の中に定着させるということ、そしてまた、いろいろの施策に対して協力するように努めていただきたい、こういう努力義務を含んでおる、こういうふうなことでありまして、この点は確かに重要な問題で、その基本的な思想を否定するわけではございませんけれども、こういう形で基本法なるがゆえに当然読み取れる問題ではないかなというふうに思うのであります。野党から提示されております中に、それでは住民参加というのが規定されておるのか、こういう問題もいろいろあろうかと思うのであります。
  61. 井上普方

    井上(普)委員 私は、野党の出しておる、党が出しておるのですから責任を持たなければならないことは事実なのですが、私はかなり抜けておるところがあると思う。これは基本的に抜けておるところがたくさんあると私は思っております。したがいまして、そういうことを私はあえて申し上げておくのであります。今野党の修正につきましてすり合わせをやっておりますが、この点をひとつ明確にいたしておきたいと思います。  それから、飛び飛びになりましてまことに申しわけないのでございますけれども、「土地取引の規制等に関する措置」の次に「土地の適正かつ合理的な評価制度の確立」、これは私は先ほども鯨岡さんのお話を承っておりまして、土地の評価の一元化という問題は、私はこれはやらにゃ済まぬのじゃないだろうかと思うのですよ。それは歴史的に言いましたならば、相続税の路線価格、これは歴史は古いです。あるいはまた固定資産税の評価、これも歴史は古い。しかしながら、四つもある土地に関する考え方。これは土地の評価の一元化というような問題が出てまいりましたので、この間私のところに自治省の役人がやってきました、ここにおるだろうと思うけれども。そして、先生、固定資産税を存続させてくれ、こんな問題があります、こんな問題がありますと言っておりました。言っておりましたが、これは税率で全部解決する問題だと思います。これはいかにも地価公示制度というのは都市地域においてやられておるだけでございますので一発にやれというのは難しい。評価地点というのは少な過ぎる。これは問題はある。しかしそれを、二十億円使っておるからあんなのつくるなというようなことを言われても、これもちょっとおかしいのであって、やはり土地の評価の一元化という問題は将来の努力目標として明確にやらなければいかぬ。あるいは五年後、十年後にやらなければいかぬ。五年か十年たったらこれができるという努力目標は明確にしておかなければいかぬのじゃないだろうか。もちろん固定資産税評価額が多くなったり少なくなったりというのはおもしろくないからそれは税率で左右すればいいし、路線価格にいたしましても税率で動かせばいいのであって、一元化を一度にやるということはできないかもしらぬけれども、将来の努力目標としてはやはり必要じゃないかと思うのです。  石井大臣、どう思いますか。
  62. 大塚雄司

    大塚委員長 自治省、遠藤審議官
  63. 井上普方

    井上(普)委員 こんなことは政府委員なんというのに答弁さすべき問題じゃないのです。これはもう決断の時代に入っている。政治家の、大臣の決断でこそ物を言う時代になっている。役人というのは自分の仕事が取り上げられたら困るのだ。役所というのはなるべく仕事を多くして部下を多くしたいのだよ。昔からなにがありまして役人の習性というのはわかっているから、こんなのは政治家が決断すべき問題だと思うのであえて私は大臣にお願いするのだ。
  64. 石井一

    石井国務大臣 いや、実はそれぞれの立場がございますので基本的な問題を述べていただいてからと思いましたが、例えば固定資産税の評価、非常な歴史、沿革がございます。先般の委員会でも御指摘がございましたように、例えば公示価格のおおむね二〇%ということを言っておりましても、九州のある地点ではそれが四〇%程度になっておる。また東京では、先ほどの鯨岡委員のように、高い高いと言われるが東京の価格は一〇%ぐらいになっておる、一体これを一元化いたしましたら、東京の方と九州の方に、なぜここは一〇%でここは四〇%なのかという説明をしなければいかぬという問題が起こってくる。それはやったらいいじゃないかと言われますけれども、やはり長い歴史の積み重ねの中にこういうものができてまいりましたところに問題があるわけで、その価格はそれなりに一つの意識の中に定着しておるというような状況もございます。  しかし、委員御指摘のとおり、私は一物四価というのはやはりおかしい、そういう考え方政治家としては持ちます。しかしながら、それでは直ちにこの法案を通して一元化をするかということになりますと、これは中期的課題と申しますか、長期的とは申しません、しかし、直ちにということになりますと各省それぞれの問題点もあろうかと思いますので、この辺は今後の努力目標として、当然この基本法ができました段階において一つのけじめをつけなければいかぬ問題ではないか、そういう問題意識を持っておるわけでございます。
  65. 井上普方

    井上(普)委員 私も直ちにやれと言うのじゃないのです。先ほども申し上げましたように、五年か十年後にはこれは一緒にして明確にしていくことが必要だ。だから、その努力目標をここに書き込む必要もあるのじゃないだろうか。それが土地基本にもなろうかと思いますので、その点はひとつ、私、あなたの御意見と一致しましたので、また考えさせていただきたいと思います。
  66. 大塚雄司

    大塚委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  67. 大塚雄司

    大塚委員長 速記を起こして。  井上君。
  68. 井上普方

    井上(普)委員 それではひとつお伺いいたしましょう。  実は、先ほども鯨岡さんがおっしゃっておった、イタリアへ行ったら裁判所が全部決めるんだ、こうですな。紛争は、価格は決めるんだ、こう言う。あの国には土地裁判所という特別な制度があるのですね。普通の裁判所と違うんだ。あの人知らぬのだ。その案件は、実は今ここに出ております土地収用委員会というのが処理に当たる。しかし、この土地収用委員会というのがその機能を果たしておるかといいますと、時間がかかってなかなか難しくなっている。ここらあたりの紛争処理に対して、もう少し迅速にやられる必要があると私は思う。これは土地基本問題の中にやはり入れなければならない問題だと思います。  今、収用委員会にかけるまでに、初めの基本計画はともかく、認定してそして処理まで行われるといいますと、早くて一年半じゃないですか。長かったら三年ぐらいかかっておると思うのですが、どうですか、建設省。これは建設省が中心になってやっておるのだが、どうですか、それぐらいかかっていませんか。
  69. 望月薫雄

    ○望月政府委員 土地問題の専門の先生にあれですが、一言で申し上げさせていただきますと、公共用地の取得の場合にも、御案内のとおり日本の場合、またヨーロッパでもそうでございますけれども、任意交渉を精力的に積み上げる、この基本は同じでございます。そういった中で、収用法というものが最後のぎりぎりの段階で出てまいるわけですが、率直に言いまして、かなり事業が進んでいながら、数名の反対の中で事業がとんざしておる、にもかかわらず収用手続に入っていないというふうな事例も残念ながら見られるところでございまして、数字を申し上げますと、現在私ども事業認定を行います件数が、年間、大臣認定が百件前後、知事認定が六百件前後、合わせて七百件前後、こんな状況でございます。  問題は、先生御指摘の大分時間がかかるじゃないかという点でございますが、一つにはやはり事業認定になかなか移行しない、事業認定を受けない、こういったところにまず問題点がございます。それが一つと、同時にまた今度は収用の事務手続に入った段階においてもいろいろと時間がかかっておるという現実がございます。  そういったことで、建設省におきましても、事務手続の迅速化ということあるいはまた合理化、簡素化ということ、これがぜひ必要であるという認識に立ちまして、昨年来、精力的に事業者あるいは収用委員会、こういったところに指導を申し上げております。とりわけ、ことしもう具体の指導通達を出しておりますが、一例で申しますと、ダムのようなものはちょっと別でございますけれども、一般的には公共事業で用地買収が八割程度済んだもの、それでなおかつ事業が進まないというようなものについては、直ちに事業認定申請に移るように、あるいはまた、道路の場合でございますけれども、幅ぐいを打って三年もたっていながらまだ動かないというようなものについては、いずれかとにかく早い時期に手続をとるように、こういうことを指導いたしております。また、収用委員会の方におきましても、七名の委員全員が参加して審理するというのはなかなか現実的に機能的でないということもありまして、指名委員制度というようなものも大いに活用して、少数の委員で審理が進むようにということなどを内容とした指導を、今一生懸命やっている段階でございます。
  70. 井上普方

    井上(普)委員 事業認定してから解決するまでどのくらいかかっていますか。
  71. 望月薫雄

    ○望月政府委員 認定申請を受けましてから認定するまでに大体二カ月、それから収用委員会の手に移りまして裁決審理が大体六カ月、機動的に動き出しますとおおむねそういう期間で処理されております。
  72. 井上普方

    井上(普)委員 果たしてそれで解決しているんですかな。一、二の方のために事業が三年、四年おくれておるというのは、ざらにある。私は、これも一つには住民に対する行政当局の姿勢に問題があると思うのですよ。私も実はこの間、土地を売ってくれという話が県からありまして、私も交渉に当たった、私自身が。おおむねよろしいというようなことがあるけれども、行政権の独走だな、これは。私は最終的に来た副知事に灰皿をぶつけてやろうかと思った、温厚なる私が。それぐらい信義というものを守らないのが間々行われておると言わざるを得ないんです。  これはやはりそこらあたりに、特に先ほども申しましたように国及び地方公共団体に対して国民が協力しなければならないという義務を課したならば、ますます行政権の独走ということが起こり得る。したがいまして、その点についての事件処理、事後処理。これは収用法というのは何年につくりましたかな。大分前につくった法律なんですよ、基本は。戦前の法律を引き継いできておるものですから。そこに、やはり事業認定に対し、利用計画をつくるときに何か住民参加というところが非常におろそかになっておるから、そういうような問題も起こってくるところも私は一面あると思う。だから先ほども申しましたように、住民参加という問題も必要だし、事業を早く推進するために、基本問題には紛争処理に対する一項目を入れる必要があるのじゃないだろうか。それはやはり所有権、利用権の問題と公共の福祉との衝突がある。それを処理するための何らかの機関が必要かなとは、これ以上役所をつくる、役人をつくるのも私は余り好きじゃないんだけれども、何らかの義務をここにつくっていかなければならぬのではないかと思います。  それからもう一つ、どうも石井大臣、おたくは弱いんだ、この間うちできた役所でもあるし。役所をつくるときに私も努力した。けれども、国土庁というのは四十九年にできたのでしょう。おたくにはまだプロパーが生えそろってない。各省から、大蔵省であるとか建設省であるとか農林省とか自治省とかの、最初は優秀な役人を集めたと思いますよ。今でも優秀な役人がともかく国土庁に集まっておるんだと私は思う。これは何かというたら、各省のポストを維持するために、次官なら大蔵省がとろうじゃないか、あるいはともかく建設省でとろうじゃないかというので、建設省あるいは大蔵省からかなり優秀な人材を、あるいは農林省からどんどんとよこしてくる。それはいい。しかしやはり後ろがある。はっきり申して後ろの役所のひもつきだ。だからその役所の縄張りというものがなかなか抜け切らぬというのが現状じゃないかと私は思う。  そこで、この考え方といたしまして、土地に対する一元化というのはどうも、この基本計画というものをつくられたけれども、国土庁自体には一つの案があったんだけれども各省各省からともかく突っ込まれておかしげな文章になってしまったのだろうと私は思うのです。それはともかくといたしまして、土地行政の一元化ということですね。行政組織の整備を図らなければならないし、法制上の整備も図らなければならないと私は思う。  法制上の整備のことをひとつ申し上げましょう。どういうようになっておるかといいますと、先ほど来も土地局長が申されましたが、公示制度というものは、つくられたのは昭和四十三、四年だったと思いますが、民間の売買の指標にしなければいかぬ、これを規準にしなければならぬということを明確に書いてあるのですよ。ところが、この間テレビであなたに言ったらあなたはそんなことないと言ったけれども、国の会計法上では、土地はほかの物件と同じ扱いになっているんだ。先ほども言うような土地の特性ということは会計法上は全然考えられないことになっておって、すなわち一般の物件と同じように土地の処分については全部入札にしなければいかぬことになっている。これを私が予算委員会で指摘しましたとき、予算委員会はストップしたんだ。法制上そうなっているから、土地を売る場合には全部入札にしなければならぬことになっている。  そしてまた、今度は国鉄再建案というのが出てまいりましたね。あの法律の中では、鉄道が持っていて事業団に移った土地というのは全部競争入札にしなければいかぬということが書いてあるのですよ。競争入札にするということになれば地価は青天井になるのは当然の話です。ところが、法的に言えば、土地の取引についてはすべて公示価格というものを指標にしなければいかぬし、規準にしなければならないのですよ。法制上も一致していないのです。ここらあたりが直さなければいかぬ問題なんです。だから、先ほども申しましたように、土地が持っておる公共の福祉優先ということになればこれは青天井にするわけにはいかない。ところが、国鉄の赤字財政上これはやむを得ぬ、何とかともかくやってくれというようなことで、政策上の目的からそういうふうなことをゆがめてきているのが今の実情なんです。これを整備しなければいかぬ。どうです。
  73. 藤原良一

    藤原政府委員 御指摘のとおり、会計法上は原則として一般競争入札に付し最高価格をもって申し込みをした者と契約する、そういうふうな規定になっております。そういうことで五十九年の初めころから六十二年の初旬にかけまして国鉄清算事業団用地あるいは国有地が一般競争入札に付され、かなり高値の落札も出てまいりまして、それが高騰を始めておりました東京等の地価に油を注ぐ結果になったのじゃないか、そういう御指摘等もございまして、六十二年六月に国土利用計画法を一部改正していただきまして、一条を設けて、国等は、土地売買等の契約を締結しようとする場合には、適正な地価の形成が図られるよう配慮をしなければならない旨の規定を設けたわけです。  その後、この規定に基づきまして関係各省庁、連絡、情報交換を密にしながら、また閣議等の決定もいただきながら、地価に対して悪影響を及ぼさないように十分配慮しながら処理をしていただいているところであります。
  74. 井上普方

    井上(普)委員 藤原君、法律というものは民間を縛るだけじゃなくて、国及び自治体は当然守るものだという善意のもとにすべてつくられているんだ。国が法律違反するということを想定して法律というのはつくってないんだ、全部。そんな法律をつくったところで何ら意味がないのですよ。ところが法制上においてそういう矛盾がある。一体どうするんだということ、これを言ったら、おたくの方は答弁できないんだ。だから、私が言うのは、土地というのは公共の福祉優先ということを明確にすると同時に、会計法上においても土地というものは一般の物件とは違うんだということを明確にしなければならない。  国民から取り上げるときは、最悪の場合土地収用法によって収用する。その規準になるのは地価公示制度の価格だ。いいですか。だから上が決まっている。ところが、国が国民に売り渡すときには青天井だ、幾らでもいいというのが今の体系であり、かつまた、先ほどの鉄道の清算事業団の土地の処分については一般競争入札にしなければならないという一項が入っているのですよ。そうですな、総裁。そういうことになっているのです。ここに法制上の矛盾がある。一体どういうように措置されるか。これは法制上の措置だから法を直さなくてはしようがない。どうされますか。  内閣法制局どうだ。おかしげなへ理屈並べぬと、素直にやろうよ。
  75. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま委員御指摘のように、確かに会計法におきましても、あるいは国有鉄道の清算事業団法におきましても、競争入札の原則が規定されております。一方、地価公示法におきましては、その一条の二におきまして、土地の取引を行う者は、公示価格を指標として取引を行うよう努めなければならない、こういうふうに規定されております。法制上これらの規定が併存するという形になっていることは御指摘のとおりでございます。  この両方の規定の関係につきまして、昨年の三月でございましたか、大蔵大臣国会で御答弁も申し上げていると承知しておりますけれども、国土利用計画法の、今お話に出ました二十七条の五で「国等は、土地売買等の契約を締結しようとする場合には、適正な地価の形成が図られるよう配慮するものとする。」というふうな規定もございます。こういうもので、国等がこういう双方の規定を行政運営の上で調和させていくべきであるというふうに考えるのが適当ではなかろうか、かように考えております。
  76. 井上普方

    井上(普)委員 今もお隣から話がありまして、後法が優先するということがある、法律には。これは法制局、そうですな。後法が優先するんだ、これは。
  77. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 規定間につきまして、後法優先という原則があることも事実でございます。また、一般法と特別法というふうな関係があることもございます。そういうふうな規定の併存の場合におきまして、いろいろな解釈の原理があることは事実でございます。ただ、常に後法優先、例えば今申し上げましたような一般法、特別法とか、あるいは規定の趣旨、目的とするところが違うというふうなこともございまして、直ちに後法優先が常に働くというふうには申し上げかねると思います。
  78. 井上普方

    井上(普)委員 法制局というのはへ理屈言うところなんです、理屈にならぬところ。それで国民が辛抱しますか、わかりますか。法治国家ですよ。  国民から取り上げるとき、買い取るときには地価公示価格を指標とし、これを規準としなければならないのですよ。国が払い下げるときには青天井だというのが今の事実なんです。だから行政措置とか、そんなことで解決できる問題じゃないんだ、これは。ここに今国土庁の限界があると言ったら怒られるけれども、それは実際、こういうところを直しておかなければ土地政策というのはできませんよ。地価政策というのはできませんよ。もうあそこで、清算事業団の総裁か理事長が来ておられるけれども、それが足かせになってうずうずしているのですよ、事実売りたくても。大臣、どういうような措置をとりますか。  これはあなたの立場から言うたら、先ほど法制局からの答弁のように言わなければいかぬけれども、国民からすれば、こんな矛盾した話あるかというのが実情じゃないですか。私はそう思う。私がもし収用法にかかわり合ったら行政訴訟を起こして、おかしいじゃないかということを言って、行政権に対する抵抗を私はしたいと思うくらいだ。これで理屈は通る。どういうようにされますかと申しましても、なかなか答弁しにくい問題だと思いますが、あえてやりますか。
  79. 石井一

    石井国務大臣 過去にそういう事例がありましたことは十分に承知いたしております。また、法的解釈の面でいささか相矛盾しておる、そういう行為を政府がとっておるという御指摘、これも認めざるを得ません。  なお、先日国鉄に関します関係閣僚会議がございまして、その席で、国鉄の再建はこれだけのものになっておる、年々利息をこれだけ払っておるというような苦しい財政の説明が運輸大臣からございました。そうして、既に閣僚会議で決めておるものは、一時凍結を解除しておるのだから、逐次適正な価格で売却をすることによって国民の財産を守っていきたい、血税をこれ以上むだ遣いしたくない、こういうような発言がございました。したがいまして、私はそのときに発言を求めまして、しかしながら地価公示の問題もあり、過去の十件ぐらいですか、異常な価格に対する国民の批判ということもこれあり、あくまでも、この国鉄清算事業団に関します閣僚会議における決定を忠実に守っていただきたいとともに、国土利用計画法二十七条の五に規定されております適正な地価の形成ということ、いやしくも土地高騰に波及効果を及ぼすようなことについては厳正に注意を払っていただきたい、こういうことを申し述べたわけでありまして、今後そういう実態を踏まえて問題の処理に当たっていきたい、そのように考えております。
  80. 井上普方

    井上(普)委員 ともかく、それは会計法を直さなければしょうがないのですよ。会計法は大きな法律だ、地価公示法という法律は小さい法律だ、こうとしか思っておらぬのだ、大蔵省の役人どもは。だから、ここで土地について公共の福祉を優先するということを明確にばんと打ち出すことによって、会計法上の一般の物件と土地は違うのだということを明確にさせていく、これが私は必要ではないかと思うし、また法的性格からいたしまして、法律上の相反したところが出てきている。  国民の常識から考えたって、法は常なりなんですよ。法制局のへ理屈を言ったって話にならない。法は常なり、常識なんだ。常識でわかるようにしておかなければ法律というものは守れるものじゃない。これは昔から、法は常なりという言葉、私は医学部出身だけれども、これくらいのことはわかっているんだ。だから、こういうことを明確にしておく必要がある。  どうですか。会計法を直そうという努力をされますか。法的統一を持たせなければ法治国家とは言えませんよ。
  81. 工藤敦夫

    ○工藤政府委員 今の先生のお言葉でございますけれども、会計法はまさに一般的な、土地のみならず種々のものを含みました法律でございますし、また通常の地価の場合でしたらこういった問題は起こらない、異常な高騰の場合に起こるケースであろうと思っております。したがいまして、会計法そのものに手を入れるかどうか、これは大蔵省の立法政策にかかわる問題でもございますし、私どもの方から答弁するのは差し控えたいと存じます。
  82. 井上普方

    井上(普)委員 土地高騰しておるときではないんだ、法制上の問題なんだ、これは。そんな現象面じゃないですよ。そしてまた、大蔵省というのは力が強いと世の中で言われておるから、威張りくさって会計法を直そうとしないけれども、土地公共の福祉のために利用されるのだということを明確にするならば、当然、土地というものとここにあります鉛筆とは違うのだ、商品にあらずという考え方が定着してくるのであります。土地は商品にあらずという考え方、これは、先ほど来私が申し上げた土地というものの制約、それを明確にしながら日本全体の法律体系を直さぬことには、こういう不都合が生じてくると思うのであります。  それから、ここにも書いてございますが、土地の需給関係によって正当な価格ができるということは、そう言い続けてまいったのが今までの政府の言い方。ところが、この間、我々理事会は、兵庫、大阪それから愛知を視察いたしました。そうすると、特に愛知県のごときは土地区画整理によってできた土地、それの四割以上がまだ売れてないのです。売ってないのです。何だと言ったら、保有地を持っておるがために、四割以上がまだ売れてない。そしてまた、地価というものが三割以上上がっておる。宅地はたっぷりあるにもかかわらず、土地の値段は三割以上上がっている。  石井さん、あなたの住んでいる神戸もそうなのです。これは神戸の助役さんが来られまして、局長も来られた。全部仮性需要だとこう言うのです。思惑買いだと言うのです。土地の需給関係によって値段が決まるというのは大きな大間違い。思惑によってできてきている、全部。そしてまた神戸ですよ。この間、神戸の公社がともかく募集したところが、いい土地だったら七千倍の募集だったでしょう。こういう現実が出てきている。需給関係によって起こるというのは、我々も、そうかいなと思っておったけれども、そうじゃないような事態が、愛知、兵庫では出てきている。  これは、我々視察いたしました理事はみんな口をあけて唖然とした。全部思惑でやられている。投機ですよ、思惑といえば。売り惜しみがある。あるいはまた、売る方も買う方も思惑で動いている事実が神戸及び愛知において顕著にあらわれておるわけであります。したがって、ここで需給関係について適正な、と書かれておるけれども、これは削除しなければいかぬなというのが見に行った皆さん方の実際の考え方じゃないかと思うのですが、この仮性需要について、これは投機的取引だけじゃなくて、思惑でまだ持っておろうとする手合いに対する措置というものも講じなければならぬと思うのですが、どうですか。
  83. 藤原良一

    藤原政府委員 通常、地価は安定期におきましては、一般の財と同様に需給関係バランスするところでほどほどの地価が形成されると思われるわけでございますけれども、確かに地価の変動期、特に上昇局面におきましては、他の財と著しく異なりまして、投機とかあるいは買い進み、手当て買いのようなものでございますが、そういう需要がたくさん入ってまいります。また一方、供給面では売り惜しみ、そういう事態が発生いたしまして、必ずしも市場メカニズムが健全に機能しない、そういう面がございます。  したがいまして、この基本法の一条に書いてございますように、適切な公的介入を加えながら市場メカニズムが健全に働くような需給関係、それを適正な需給関係と言っておるわけですが、そういう需給関係のもとで地価の形成を図っていく、そういう見地から土地対策を総合的に推進するということにしておるわけでございまして、先生おっしゃるとおり、自由に任しておけば常に適正な価格が形成されるというわけではございません。そういう面で市場原理に対して健全な枠組みを設けたい、そういう意図でございます。
  84. 井上普方

    井上(普)委員 藤原さん、適正な枠組みというのはどんなことですか。そんな抽象的な言葉を使わずに、どういうようにしたら適正な枠組みになるのか教えていただきたいのだが。
  85. 藤原良一

    藤原政府委員 まず需要面におきましては、短期的には地価の安定を図るためには投機を徹底的に封じ込め、かつ不要不急の需要を抑制していく、そういうふうな努力が必要だと思います。また中長期的には需要に見合った供給を円滑に行っていく、そういう枠組みが必要じゃないか、そういうふうに考えておるわけです。
  86. 井上普方

    井上(普)委員 それを枠組みというのですか。これはいじめになるからこの程度においておこうと思うけれども、これは税制上あるいは金融措置上の措置がなければ私はだめだと思う。そこのあたり税制上の措置について、このありがたい法律ができたらどんな措置が講ぜられるか、ひとつその点、税制上にはどういう考え方を持ってこれから、土地の主管省ですから考え方があるだろうと思うので、その税制上の措置について、この法律ができたら税制上どんなことができるか、お伺いいたしたいのです。
  87. 藤原良一

    藤原政府委員 十五条に税制上の措置を規定してございますが、この十五条では「土地についての基本理念にのっとり、」というのがまずございます。土地についての基本理念は二条から五条まで具体的な理念がございますが、適正利用計画的な利用を推進するということ、さらには投機的取引をしてはならない、さらには社会資本の整備に関連する適切な負担、それに税負担、そういうことでありますが、そういう基本理念にのっとり、また施策を踏まえ、さらには公平の確保を図るという観点から税制上の措置を講ずるということでございます。  したがいまして、土地につきまして、土地が有しております資産としての有利性を減殺するような観点、あるいは他の所得あるいは他の資産に対する課税との公平確保の見地、さらには土地を有効、適切、計画的に利用を推進するため、それを規制なり誘導するための税制措置、そういった措置が今後検討されていかれるべきだろう、そういうふうに考えております。
  88. 井上普方

    井上(普)委員 私は、税制上の措置につきまして、これはもう少し厳しくやらなければいかぬな。税制上の措置は書いてあります。しかし、開発利益の吸収ということは、今から二十四、五年前から国会において論議されたところなんです。  開発利益の吸収というのを明確に打ち出したのは実はイギリスなんです。しかもイギリスはロイド・ジョージの時代ですから、第一次大戦後において既にその問題、考え方が出てきている。大体、税金で道路をつくるあるいはまた学校をつくる、公共施設をつくる、そうするとその付近の土地がぼんと上がる、これは不労所得です。あるいは頭も何も使わなくていい措置だから、その利益というものを吸収してやろうじゃないかというような、ロイド・ジョージの時代から考え方としては発足いたしておるのであります。ですから、この問題はイギリスにおいては大きな問題になっている。一時は、労働党内閣のときには七〇%これを税金として収納するということもやりました。保守党になったらすぐにまたもとに戻すというような、戦後内閣が変わるたびに再三税制が変わったのです。  しかし、不労所得であるし、開発利益があるものを吸収しなければならぬというのはだれもが考えることなのでありますが、その点が日本では徹底してない。福田内閣のときに福田総理にこのことを伺いました。あの人も行政管理庁の長官のときですから、内閣をつくる前に、行政監理委員会が開発利益の吸収ということを書いているから、あなたが書いたんだから、あなたどうするんだと私質問しましたら、いや今の税金は、三年、短期保有の問題は高くしております、これで御勘弁をと言うけれども、そんなのでは解決できない問題なんです。保有に対しましても的確に直ちにやらなければいかぬ問題だ。これは開発利益の吸収という面からするならば、先ほども問題になっております宅地並み課税の問題も解決する問題であります。ここらあたりを明確に考える必要がある。どうでございます。  開発利益の吸収というのはここに書いてありますけれども、「税制上の措置」ということが書いてありますけれども、「土地に関し、適正な税制上の措置を講ずるものとする。」と言いますが、開発利益については吸収するんだぞということが書けてない。この点、一体どうでございます。  それからもう一つは、第十四条の「その利益に応じてその社会資本の整備についての適切な負担を課するための必要な措置を講ずるものとする。」というのは、例の自治体がつくっております条例ですな。何じゃら条例というのか、開発指導要綱、あれはまま子みたいだから嫡出子にしようという考え方じゃないんですか。どうなんですか。ここらあたりを明確にしておかなければいかぬと思うのですが……。
  89. 藤原良一

    藤原政府委員 まず十四条の社会資本の整備に関連する利益に応じた負担の問題でございますが、いわゆる受益者負担金あるいは開発者負担金と言われるものがこの条項の適用に該当する負担金だと思います。要は、社会資本の整備に関連して土地所有者等が著しく利益を受けることとなる場合において、地域の特性等を勘案しながらという配慮を払いながら適切に負担を行うということでございます。したがいまして、まず要件としては、社会資本整備に関連して著しく利益がある、それと、当然のことながら、受益者が特定される、地域的にも人的にも特定される、そういう要件を満たす場合にこの十四条の規定が適用されると思います。  現在実施されておりますのは、都市計画法に基づく受益者負担制度として、下水道事業の負担金などもこれに相当するかと思います。あるいは土地区画整理事業の公共減歩も、広い意味ではこれに該当するのじゃないか。それと、特定街区制度とか総合設計制度というのがございます。容積率のボーナスをもらうかわりに公開空地等を提供する、これもあるいは広い意味での受益者負担金に該当するのじゃないかと思います。今後も、なかなか難しい点もございますが、こういう精神でいろいろ方策を凝らしながら適用範囲を広げるといいますか、そういう努力をしていかなければならないと思っております。  例の宅地開発要綱でございますが、これも開発に伴って必要な社会資本整備の負担金を求められるという制度でございますので、趣旨はこういう十四条の規定にのっとった趣旨とは思いますが、十四条で言っております措置は法的根拠を持った制度として整備していくという趣旨でございまして、必ずしも開発指導要綱に根拠を与えるという意味ではございませんが、開発指導要綱による負担もこの条項の精神には一応乗っかっているのじゃないか、そう思っております。ただ、開発指導要綱についてはもう御承知のとおり、負担内容とか程度が行き過ぎが間々ございまして、これの是正につきましてはたびたび指摘されるところでもございますので、行き過ぎを是正しながら適切に運用されるということが必要じゃないか、そういうふうに考えております。
  90. 井上普方

    井上(普)委員 私は、この指導要綱については大きな疑問を持っておるのです。果たしてあれで、不動産業者は弱みを持っていますから、行政権が強くて、これを押しつけながら実はやっている。この点についてはもう少しすっきりしたものにしなきゃいかぬ。それはやはり開発利益の吸収という形でこれを税制上の措置として、後で、税制になったら後になりますけれども、それは負担を持たさなければならない。しかし、今では指導要綱というのを行政権だけでやっている。これに一つなにを加えるものじゃないですか、重みといいますよりは、オーソリティーを加えるだけの話になってくると私は思うので、ここらあたり考え方をもう少し明確にしていただきたいと思うのであります。  それから、先ほど申しました開発利益の、道路ができたら、あるいは公共施設ができるとぼんと上がる、これの開発利益の吸収については何ら御答弁がありませんが、この点についてはどうなんです。どういうふうに考えるのです、考え方としてあるのですか。
  91. 藤原良一

    藤原政府委員 開発指導要綱につきましては、確かに開発許可に伴う任意の指導でございますので、制度的にはやはりより明確にする方向で今後も幅広い勉強はしていかないといけないと思っております。ただ考え方そのものは、この十四条の精神に一応のっとった方向のものであろうというふうに考えております。  それと第二番目の、大規模公共施設の整備に伴う利益でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、地域と受益者が明確に特定される場合には受益者負担制度をいろいろ考える余地があろうと思います。そういう意味で、新たな受益者負担制度のあり方についても今後この基本法を踏まえて勉強していかなければならないと思いますけれども、もう一つその地域、受益者がそれほど明快に特定できない、そういう部分につきましては、やはり税制上の措置でフォローされるべき性格のものではないかというふうに考えております。当然、地価等も上昇するわけですし、それに伴いまして固定資産税等の税負担も高くなっていく、そういう関係にあるのではないかというふうに考える次第でございます。
  92. 井上普方

    井上(普)委員 イギリスにおいては、実は地価が三%上がると内閣が倒れるぐらい大きい問題なのです。一九六二、三年ぐらいでしたか、地価が三%から五%上がったではないかということで保守党内閣が倒れたことがあります。それほどまでに地価というものに対する考え方が非常に敏感なのでありますし、だからこそ向こうの地価というものは安定いたしておるのであります。ましていわんや、先ほども申しましたように、開発利益の吸収ということはロイド・ジョージ時代から言われておる。ところが、日本については、もうこれはほっとけばいいわ、持っておる者が得なんだ、まさに不労所得なのである。ここらあたりを明確にしなければ地価は幾らでも上がる。そしてまた、考え方としましては、地価は上がるものだと考えておられるのが国民の大多数なのです。石井大臣は、これは土地の神話だとおっしゃっておられますけれども、これを打破するには開発利益の吸収ということを大きな命題として内閣が、あるいは政治全体が取り組まなければ地価の上昇を抑えることはできないと私は思う。この点について、両大臣考え方をひとつお伺いいたしたい。
  93. 石井一

    石井国務大臣 議論を伺っておりまして、また私もいろいろこれまでのものを見ておったのでございますが、税制というのは、まず公平でなければいけないという原則がございます。それから第二に、これが補完的であるべきだ、こういう意見もございます。しかしながら、土地税制考えましたときには、これは補完的と言い切れない、非常に大きな意義があるというふうに私は考えます。しかしながら、先ほどから議論を飛躍するようですが、それでは一元化して土地税制だけは国土庁でやるというわけにもこれまたなかなかまいらぬ問題ではないか、その辺が土地行政の非常に難しいところであるというふうにも考えるわけでございますが、これはどうしても克服しなければいかぬ問題だというふうに私は認識をいたしております。  それで、この開発利益の還元という問題でありますが、これはもう当然至極と言っていいでしょう。東京土地が一体なぜこれだけ高いのか、それはすべての開発なり投資がそこに行われておるということであります。そして、最近、多極分散型国土とかなんとか申しましていろいろとやっておりますけれども、東北を見ましてもどこを見ましても、開発が進んできておるところ、投資が進んでおるところの土地が上がっていっておるということもこれまた事実でありましょう。したがって、この際、まず第一点は、土地を保有するのにはやはりそれだけのコストがかかるのだ、そういう概念を打ち立てるということ、第二に、開発が進んでおるものに対してはそれに対する適度の負担をやっていただくのだ、こういう考え方税制の中に生きてこなければいつまでたっても土地問題は解決いたしません。したがって、これも基本法が成立しました後に一つの大きな課題として取り組んでいきたい、そう思っております。
  94. 原田昇左右

    原田国務大臣 開発利益の還元の問題、非常に昔から言われ、難しい問題でもあるわけですが、先ほど土地局長が答弁いたしましたけれども、今、御承知のように区画整理事業の減歩とか下水道事業に対して受益者負担制度とか、そういうものはあるわけです。同時に、都市計画税の徴収等々が行われておりますが、もちろん必ずしも十分ではない。そこで今、御承知かと思いますけれども、東京都の港湾部でやっております臨海部開発の例ですが、これは開発利益を吸収できるように社会資本をその中の勘定で全部出していくという形をとっておりまして、私もこれは厳重にやってもらいたいと思っておるのですけれども、鉄道あるいは新交通システムを敷くとかあるいは一般道路とか高速道路等々について整備スケジュールがありますが、かなりの部分について開発利益で負担していただくということにいたしておるわけであります。  ただ、一般的に、開発利益をうまくこのくらいだという特定をして、それに対してそれを吸収して社会資本に充てるというシステムがなかなかうまくできないというのも事実でありまして、税制と一体として検討していかなければならないかな、こういうふうに考えておる次第であります。
  95. 井上普方

    井上(普)委員 時間が参りましたが、大蔵省はもう二十年、三十年前から、税は地価に対してどういう措置を講じろと言ったら、いや、税というのは地価政策に対しまして補完的性格を持っておるのですと言い続けてきているのですよ。そこで、国土利用計画法をつくり、あるいは都市計画法をつくり、詳細計画もつくっておるけれども、まだ補完的性格だというようなことを盛んに言っておるのです。私は、そういうことを考えると、笠信太郎さんという人が昭和三十三年か四年ぐらいに「花見酒の経済」を発表したことを思い起こすのです。  「花見酒の経済」というのは、結局、土地を担保に入れて、土地が値上がりする、そうしたら値打ちが上がってくる、値打ちが上がってくると担保能力がさらに高まるから、こういうことでどんどん「花見酒の経済」と、こういう考え方なのですが、そうして日本経済全体を見てみると一体どうなんだろう。これで果たしていいのだろうか。被害者は一体だれなのだ。住民なのです。国民なのです。「花見酒の経済」で一番苦しんでいるのは国民なのです。  しかし、今の日本の経済それ自体を見ると、土地本位制だと私は思う。土地というものが基本になって日本の経済は動いているのではないだろうか。生産ということを抜きにして動いているのが今の日本の経済の実情ではないかと思うし、これがまたアメリカにまで及んでいくのですから、一体どうなるのだろうといって私は不安を感ずると同時に、このままでいいのかどうか、ここで土地政策というのを明確に打ち出さなければ、これは被害を受けるのは国民ばかりだという感じがいたすのであります。まさに笠信太郎が今から三十年前に喝破いたしましたこの「花見酒の経済」そのとおりで今まで動いてきておるのが実情ではないか、被害者は国民だという感がするので、抜本的な政策を打ち出さなければならない。それにはこの法律も多少は役に立つでしょう、多少ですよ。そして、具体的に一体この法律ができたらどんなありがたい施策ができるのだと言いましたら、まだ明確ではない。それは国民皆様方にこの法律ができたら地価は安定するぞ、安定するぞという宣伝効果は大いにあるでしょう。  私は、国土利用計画法という法律は、一面、地価安定法と地価抑制法という法律であるということを言いました。あの中に書いてある地価抑制についてもまことに不十分なものがありましたけれども、あの法律によって一一%、一〇%以上、ともかく地価を抑制することができたのです。これが地価抑制に多少の影響がないとは私は言いません。あるだろうと思います。しかし、だからこんななまぬるいことで、政府が本当に真剣になってやらなければ、地価というのはますます高まってくる。それには金融上の政策というのが一番大きい。それに続いては、税制上の措置というのが一番大きい。この二つを本気になって大蔵省が動くならば、内閣が動くならば、私は地価安定することができると思います。それが今の日本の経済それ自体を根本的に変えることになるかもしらぬけれども、それくらいの迫力と決意を持って臨んでいただかなければならないと考える次第であります。  私が質問いたしました事柄につきまして、野党四党で修正案を用意した、そのことに大体沿って実は質問を展開いたしたつもりであります。私の主張を先ほど来も野党四党でお話しになっておるようでございますので、自民党の皆さん方とも御相談しながら、この法律が持っております点を補完、強化しながら、私どもも地価安定のために、国土が有効に利用せられるためにさらに努力することを付言いたしまして、私の質問を終わります。
  96. 石井一

    石井国務大臣 実は、発言を求めて恐縮でございますが、長年の経験に基づく非常に貴重な御意見をちょうだいいたしましたことを大変多といたします。ただ、一、二点だけ反論をさせていただきたいと思うのがございます。  それは、この土地基本法ができて何ができるのか、どういう法案ができるのかと言われますが、土地基本法を御提出になりましたのは野党の方が先でございます。野党は何を求めてこれを出されたのかということにもなろうかと思うのでございます。何も議論を吹っかけておるわけではございません。要は、この間政府は無策と言われますから、五十年代いろいろやってきたけれども、不十分であるからこそ、ここに野党も与党も歩調を合わせて土地基本法というふうなものを打ち出し、その中に土地投機の問題であるとか利用の問題であるとか、あるいはいわゆる投資の還元の問題でありますとかという基本的な問題、遅きに失したと言われますけれども、こういう問題に対しまして一つの足並みをそろえてこれからスタートしよう、こういうふうな状況になっておるわけであります。  また、御指摘の金融税制、重要であることも十分認めます。だからこそ事業者の責務だぞというような項目を設けまして、特に不動産の取引あるいはまた金融の問題等につきましても、これは国民以上の責任を持ってもらわなければいかぬということを政府案でも規定しておるわけでありまして、あとは最後の結びの言葉にございましたような与野党の歩み寄りの中に一つのコンセンサスを形成して、そうして抜本的にこれに取り組んでいくということで御協力を賜れば大変ありがたいと思っておりますし、やはり今申しましたような理念の問題、国民のコンセンサスの問題を求めております法律だけに、土地基本法という、野党もそう呼ばれておりますし、我々の方もそうとらえておりますこの名前をひとつお認めいただくように御要請を申し上げまして、私の答弁としたいと思います。
  97. 原田昇左右

    原田国務大臣 私からも一言。  井上委員から大変貴重な御意見をいただいてありがとうございました。  ただ井上委員のおっしゃった中で、もう個々の法律で規定されてあるではないか、基本法がなくたってもうちゃんとあるぞ、こういう御意見基本法に言う基本理念、これがやはり個々の法律を運用する上に非常に大事だと私は痛感しておるのです。  例えば土地収用法の問題一つとりましても、今井上委員、もう少し早くやる手続の問題等について御指摘をいただきましたけれども、これからやはり基本法があるということで、土地収用法の運用等についても十分心してやればかなり促進ができるというように思っております。  また、個々の都市計画法にいたしましても、今後、いろいろな中にいろいろな制度がありますが、これも今の基本法の精神を生かしてできるだけやるように運用してまいりたいし、また必要とあらば新しい、そういう基本法の情勢のもとで必要な法令の改正もやっていかなければならぬ、こういうように考えておりますので、ぜひ基本法の成立を促進していただきますようにお願い申し上げる次第でございます。
  98. 井上普方

    井上(普)委員 一言私、申し上げておく。  実は、これは政府がここ十四、五年ですか、土地基本理念というのは国土法で明確にしてあるのです。にもかかわらず、それに対する措置が講じられてなかった。そこに野党としまして、行政上これは当然議員立法よりもむしろ政府提案の方が、行政上の措置としてやるのが当たり前なんだから、それができてないところに野党としては歯がゆさを感じてこういう法律を出したのであります。この点はひとつ、今政府が当然やらなければならないことがやられていないというところに野党基本法案を出したゆえんがあることを御理解願いたいのであります。  さらに、言いたいことはようけあるのです。特に原田建設大臣がさっき答弁しておる中にも、間違った答弁をしておった、特に鯨岡さんの答弁に対しましてはもう少し――言うたら恥をかかすからこれでやめるけれども、この程度にいたしておきますが、どうか、私どももよりよい土地政策ができ、しかも強力なる政策ができるように心から希望いたしておる次第であります。でございますので、先ほども申しましたような観点から、私どもはこの法律に対しまして考え方を示していきたいと思いますので、自民党の皆さんも御協力のほどお願いいたす次第であります。  終わります。
  99. 大塚雄司

    大塚委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時九分休憩      ────◇─────     午後二時一分開議
  100. 大塚雄司

    大塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中村巖君。
  101. 中村巖

    中村(巖)委員 土地基本法の審議でありますから、土地基本法そのものについて最初にお尋ねをしておきます。  現在の地価の状況というものは、東京圏におきましてはかっての急騰が一応おさまって、今高値安定というかそういう状況にあるわけでありまして、また、大阪圏あるいは名古屋圏においてはまだ地価は上昇中である、こういう状況にあるというふうに理解をいたしておりますけれども、今般政府土地基本法というものを提案をされたということでございまして、この土地基本法そのものがこういう地価の状況に対して本当に有効に働くのだろうか。つまり、地価の上昇をとめ、あるいはまた地価を低下させるという点について有効な働きをするのだろうかということがもう一つよくわからないわけであります。土地に関する基本理念を宣言するということと、地価そのものの抑制あるいは低額化を図るということとの間の関係というものをひとつ御説明をいただきたいと思います。
  102. 石井一

    石井国務大臣 土地の暴騰、そしてそこからくる住宅の確保の困難、そしてそれがつくる国民全体の資産の格差、不公平な社会、こういうふうなものを解消する観点からも、内政上、土地問題の解決というのは海部内閣におきまして最大の政治課題認識をいたしておるところでございます。  そこで、今回の基本法におきまして、土地公共性を明確化し、共通の国民意識を確立する、それから総合的に各般の政策を執行していく、こういうようなことを考えておるわけでございます。各般の施策の中には、土地利用計画の充実、それから土地利用の促進、土地の供給等々もございます。それから、土地取引の規制の強化、土地税制の見直し、こういうことをやっていこうとしておるわけでございます。昨今の東京あるいは三大都市圏等の土地高騰を見ておりまして、それに対します政府の施策は、一つ国土利用計画法によります監視区域の弾力的運用、それからまた、融資等に見られますこれらの問題に対します規制等々、その他税制でも多少いじくったところがございますが、やはりこの辺がなまぬるい、こういう御批判もあるわけでございます。  したがって、基本法を通過せしめ、基本的な認識に立ちました後に、需給の関係から価格も決まってまいりますので、土地の供給というものに対しまして計画的に、弾力的に、積極的に行うことを施行する。それと同時に、税制の面でありますとかその他の政策を総合的に推進いたしまして、土地高騰に対して歯どめをかけるだけでなく、サラリーマンあるいは庶民の方々のマイホームの夢が実現する、そういう方向に具体的な実行でき得るいろいろの法律案を今後御審議いただきまして、早急にこれらの問題と取り組んでいきたい、こういう考え方でございます。
  103. 中村巖

    中村(巖)委員 今大臣もお触れをいただきましたけれども、何といいましても、例えば私の選挙区は東京でありますけれども、東京の人間というものは今東京都内では土地は手に入らない、余りに高過ぎる、こういうことでもう土地をあきらめざるを得ないという状況にあるわけでございます。  問題は、政府でも今までいろいろな施策を行って、例えば大臣の言われる監視区域の規制というようなものを行った、あるいは税制を変えた、あるいは銀行に対して土地に対する融資を規制するようなことをやられたといいましても、結果として今の東京の地価というものは低下をしていない。ただ、これ以上の暴騰はとめましたというにすぎないのだというふうに思っておりまして、これもさらに低下をせしむるためにはいろいろな施策が必要である。やはり何といっても土地の価格というものは需要と供給で決まるわけでありますから、需要があることはもう間違いないわけでありますから供給を大幅にふやさないとどうもならない、地価は下がってこない、こういうふうに思うのですけれども、供給をふやす具体策というのはどういうふうにお考えになっておられるのでしょうか。
  104. 石井一

    石井国務大臣 おっしゃるとおりいろいろの施策はございますが、その中で最も有効なのは、土地を高度に利用する、今のように生産性の低い利用の仕方をやめるということと同時に、新しく土地を供給する、こういうことだろうと思うのであります。  そこの手法としていろいろございますけれども、例えば都市再開発という問題がございます。東京を上から見ますと二・四階とかというようなデータが出ておりますけれども、本当に果たしてこれでいいのかというような利用の仕方でございます。西洋の大都市と比べていかに生産性の低い利用の仕方か。これには容積率とか建ぺい率とかというふうなものもございますが、要は自分土地は勝手に利用するのだという概念から土地国民すべての者に利用してもらうのだ、こういうような発想の転換を基本法の中から酌み取っていただきたい、そういう感じがいたします。  それから宅地の計画的な開発ということでございますけれども、この中には、大きくいいまして、低・未利用地という企業所有のもの、個人所有のもので大都市の中でいまだに利用されていないというもの、それから第二には市街地におきます農地、これも全部宅地化するということは難しいと思いますが、余りにも合法的でないものがたくさんございます。これらに対してどうするかというようなこと。それからさらに、もう少し外へ出てまいりますと、いわゆる調整区域等というふうに言われております区域で十分宅地化しても可能なところ、こういうふうなものもございます。そのほかもっといろいろ、最近は鉄道との一体化の中にもう一歩広がったところへ宅地を供給するというふうなこともありますが、要は、まず供給というものを十分にふやす、こういう原則に立たざるを得ないと思いまして、これを基本法の後にひとつ総合的にやっていきたい、こう考えておる次第であります。
  105. 中村巖

    中村(巖)委員 基本法の後に総合的にやっていきたいというお答えでありますけれども、基本法の主たる部分は、大臣もおっしゃられるように土地公共のものである、こういう観念を徹底させる、そのための宣言をする、こういうようなことであります。しかしながら、野党四党も土地基本法を出しているわけでありますけれども、土地公共のものであるというような観念は既にして憲法の中でうたわれておるところでありまして、今さら土地基本法が成立しなかったから施策が行えないなどという、こんな話はどこにもなかろうと思っておるわけでございます。  そういう意味で、今大臣がおっしゃられた今後行う施策、こういうものが今日まで行われてこなかったところに最大の問題があるというふうに私は考えるわけでありますけれども、大臣がこれからこういうことを総合的に行うと今おっしゃっておられることが従来できなかったという理由はどこにあるのですか。
  106. 石井一

    石井国務大臣 大変難しい問題でございますが、日本土地に対します土地神話、こういうものがやはり非常に大きな阻害の要件になったのではないか。要するに、需給関係の中の正常な経済行為でなく、投機的取引とか土地に対する先買いとかというふうなものが先行したために、平常ないわゆる土地を得たい者のところへ手が届かないというような異常な現象が繰り返されてきたところに、日本土地問題の一つの大きな深刻な場面というものがここに出ておるような気持ちがいたします。  それともう一つは、やはりそこにありました、土地基本法にうたわれております、土地公共の福祉のために優先的に利用されるべきものである、また投機的なものの対象になるべきではないというふうな基本的な概念我が国国民意識の中にあったかどうかというと、いささか疑問点というふうなものも残るところがあるように私は思うのでございます。だから、そうであってもこれまでのいろいろな既存の法律でできておったと言われればそれまででございますけれども、その辺は大いに政府反省をしなければいかぬところではなかろうかと思うのであります。やはり、そういう異常な環境の中で土地に対する概念というものが遊離してしまった、こういうことが指摘されるようなそういう問題じゃないかと思っております。
  107. 中村巖

    中村(巖)委員 大臣を攻撃するようで大変申しわけありませんけれども、もう一点その関係で今御答弁がございましたので聞かせていただければ、この基本法ができれば、従来大臣が言われたように長い間日本人が持っておった土地神話というものはやむ、こういうことなんでしょうか、どうなんでしょうか。
  108. 石井一

    石井国務大臣 それはなかなか難しい、また重要な御指摘のように思います。したがって、実行法をこれからいかに補足的に、補強的にこれと取り組ませていくかということではないかなと思うのであります。  実は先日、私の地元で近代化グループという、不動産に関係をしております人々の会合に出ました。若い人々の集まりでありまして、これまで熱心にこの土地問題の研究をし、取り組んでおるグループなんでございますけれども、そこでやはり要望として出てまいりますのには、基本法を早く通してくれということを言うのでございます。私がなぜかということを聞きましたら、やはりそういう一つ基本的な姿勢と、そういうものからの波及的な効果は非常に大きいものが期待できる。これを契機に、ひとつ国民の意識革命というようなものを十分やっていく。そういうところから補強的に、さっき申しましたような特に重要なところは税制面だろうと思うのであります。  今の土地神話の中に、土地は損をしないという意見もあります。要するに土地のコストが安過ぎる、ほかのものに比べて投資効果が高過ぎる、そしていつまでたっても新しいものであり、これほど得なものはないというふうなものがございますので、今後は、何も憲法に保障されております私有権を制限するわけではございませんけれども、公共の福祉のためにはこうだという抜本的な姿勢というものを基本法とともに打ち出していくことによって相当大きな効果が結果として出てくるだろう、そういうことを期待いたしております。
  109. 中村巖

    中村(巖)委員 供給の話に戻るわけでありますけれども、先ほどちょっとお触れになっておりますけれども、具体的に今大臣としては、供給策としては市街地の再開発、そのほか今後どういうものを供給増大策として期待しておられるのか、おっしゃっていただけますか。
  110. 石井一

    石井国務大臣 まず、農地の宅地化の推進という問題でございますが、いろいろ調べてみますと、三大都市圏には相当ございます。特に東京の場合、二万四千ヘクタールとかいろいろ言われておりますが、要するに大まかに言って中野区全体ぐらいの農地として認定されておるというような土地があるわけでございます。これは確かに緑地という面、その他の面からも効果のあるところではなかろうかとは思います。しかし、そのことを保全することによって余りにも大きな負担といいますか、遠くから通っておる方々に犠牲を与えておるというふうなことでございますから、保全すべき地域、営農なら今後何十年とやっていただくというところと、それから第二に、将来は市街化をするけれども、その間計画利用であるとかそのほかについて検討をしていただきたいという区域と、最後に直ちに宅地化すべきだという区域を分けまして、これがどれぐらいになりますか、今建設省、農林水産省あたりが盛んに調査をしておられるところでありますけれども、少なくともそのうちの何分の一かでも直ちに供給できる、こういうようなことをまずやるべきではないか。  第二に、市街化区域内におきます未利用地といいますか遊休地といいますか、こういう問題でございますけれども、これもそれを規定する概念というものがなかなか難しい、こう言われておるわけであります。国土庁でもいろいろ調査をいたしております。少なくとも、利用されるべきところが何らかの形で放置されておる。それが値上がりを待っておるというふうな土地に対しましては、税制上の制度を変えるということをもしまして、利用してもらうという方向に、住宅を建ててもらうか、何らかの形で放出をしてもらうという方向づけをやっていく必要がある。いわゆる農地だけに目をつけるのでなく、農地と同時にバランスのとれた形で、企業なり法人に対しましてもかなり優遇措置がとられておりますから、同時にそういうふうなインセンティブを与えていくという方向を打ち出していく。もちろん、それを牽引する意味におきましても、政府が率先垂範をしていく必要があるというふうに考えますので、公有地でありますとか国有地でありますとか、そのほか国鉄関係のいわゆる清算事業団に属しておりますというふうなものに関しましても、この際、何も値上がりを待っておるわけじゃございませんけれども、いろいろな理由で利用されてないところに対しましては、何らかの具体的な計画を強制していく、そういう方向に持っていく。新しく森林を開発したりせずに、今申し上げましただけでも相当の数の宅地供給が可能である、そういうふうに考えておるわけでございます。
  111. 中村巖

    中村(巖)委員 今、農地の宅地化、さらに遊休地の宅地化というか、それから国公有地の宅地化、こういう三つのことをお触れになりましたけれども、農地の宅地化ということについては、これは強制的にやるわけにもいかぬだろうし、インセンティブという面では、これは固定資産税を宅地並みに課税をする、こういうことになるのだろうと思います。しかし、仮に固定資産税を宅地並みに課税したとしたって、やはり土地を放さない人は放さないのではないかということになると、農地に対する宅地並み課税というものの供給に対する有効性、そういうものが非常に低いのではないかと思いますが、いかがですか。
  112. 石井一

    石井国務大臣 しかし角度を変えて、農地でも、本当の意味で労働意欲を持ち、長期的な営農の意思があって市街地でやっておられる方は、それはそれなりに必要性があるのでありましょうから、そのまま継続してもらうということでいいと思うのでございます。しかしながら、仮に今批判されております偽装農地でありますとか、そういう形で、所有するためにのみ農地を装っておるという方々にとってそれが果たして将来いいことだろうか、公共に対しても個人に対してもいいことだろうかという場合には、必ずしも私はそうではないと思っております。これらの地権者が地権者たる立場を継続でき、しかも今現在上げております収益よりもさらに高いものを上げ得るというようなメカニズムを組み立てることができるとすれば、これはそのことによって土地を売らなくてもいいというようなことになるわけでありますから、当然高度利用というものが可能になってくるであろう、そういうふうに考えます。  要は、ただ単に、今七十分の一とか百分の一と言われております税金を宅地並みにしたとすれば、非常に無計画なスプロール化、土地の切り売りということが起こってくると思いますので、ここは一番避けなければいかぬ問題ではないかと思うわけであります。したがって、これは自治体とも十分相談をしながらやっていかなければいけないわけでありますけれども、計画的に土地利用計画を示し、地権者が所有者として残るか、あるいは信託制度のような形でだれかに預けるか、あるいは売却するかはその人々の選択によると思うのですが、要は、ただ単に税制のみで追い出すということでなく、地権者の利害というものをも考えながら段階的に宅地化をしていく、こういう知恵が考え得るのではないかというふうに考えております。
  113. 中村巖

    中村(巖)委員 土地神話というものが継続している限り、持っておれば、多少固定資産税が高くなったってやはり保有している方がいいのだ、こういうことになってしまうというふうに私は思うので、大臣は一生懸命に農地の宅地並み課税のことをおっしゃられるけれども、その効果というのはかなり疑問じゃないかなという感じがいたしております。  さらに、遊休地の問題ですね。民間の保有している遊休地でもこれを宅地化してもらいたいということになれば、それなりのインセンティブというものがなければならない。そうすると、これは税制面でいくのだということになると、新しい土地保有税みたいなことを考えないと、そう簡単に遊休地を宅地化するということはあり得ないのではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
  114. 石井一

    石井国務大臣 私は、いろいろなものを見ておりまして、土地保有税というものは一つの非常にリーズナブルな制度のように思えるわけであります。ただ、小さい敷地なり商店を経営しておられるそういう立場の方にも同じように保有税を強いることは問題があるというふうに考えましたときに、一つの面積上の規定というものをやりまして、例えば百坪以下ならこれは免税にするとか、あるいは非常に低い税率を与える。しかしながら、段階的に土地保有税という思想を入れていきませんと、今の問題は解決できないのではないか。また、最近韓国でやっておられますああいう政策でありますとか、そのほか各国の例を見ましても、こういう思想は中に入っておるところが非常に多いと思いますので、これは今後将来の課題として十分検討していくべき構想ではないか、そう思っております。
  115. 中村巖

    中村(巖)委員 さらに国公有地の問題でありますけれども、私ども東京の中でいろいろ眺めておりますと、国公有地の低利用というか、そのまま放置をされているというか、そういう部分が非常に多いように思うわけであります。あるいはまたその低利用という中身では、公務員住宅とかそういうようなものがあるところにおいても土地の余裕が非常にある、こういうこともあるわけでありますし、あるいはまた、いろいろな施設がつくってありましても、その施設は低層の施設でやっておって、地上の空間が物すごくあいているということがあるわけであります。  一例を申し上げれば、地方公共団体の、東京都の都バスの駐車場、そういうようなものについても、これはただ空間を車をとめるに利用しているだけであって、その上にある空間については放置をされている。例えば高層の住宅を建てて一階だけをバスの車庫というふうに利用すれば相当膨大な住宅ができるのではないか、こういうふうに思いますけれども、今まで国公有地についてはこれを宅地化の方向で放出をするというようなことが余りにも行われてなかった。その辺について、やはり各省庁がありまして、自分のところはそんなことには利用されたくない、自分の持っている土地はそういうふうにはしたくないというような思いでみんなやっているものですからそういうことになろうかと思いますけれども、これを何とか国土あたりで宅地に放出をする、あるいは住宅を造成するような方策というものはお考えになれないのか、この点はいかがですか。
  116. 石井一

    石井国務大臣 御指摘のとおり、国有地の処分は当該所管省庁で適正に処分されるべきものである。一たんそこの所有になりますと、これを民間に放出するというところまでは現時点において政府内では考えてないようであります。しかし、今申されました、これをもっと高度に利用する、もう何年も何十年もたった古ぼけた中に前近代的な状況の中で住まいをしておる、そういうふうなものもあるだろうと思いますから、この際、こういう機会に、土地問題がここまで焦点になっておりますときに一度公有地、国有地等に関しましてその施設並びに土地というものを総点検して、そういう中から公務員の住改善というふうなことにも当たっていったらいいんじゃないかな。これは先ほどから申しております宅地供給の中でも、やり方によっては最も早くできる一つの問題点ではないかというふうに認識をいたしております。  ただ、ちょっと話がそれるようでございますが、東京都の中で事務所を持っております各国の大使館が土地高騰で非常に苦しんでおるという中から、先日国土庁で政府の機関移転を決定いたしましたときに、その跡地があくではないか、そこへそういうふうなものを優先的に建てられないかということを考えたのでありますが、一等地で大使館の用地になるような場所は余りにも土地が高い状態になっておりますために、それを減額してやるわけにもまいりません。やはりある程度時価に合わせてつくっていくということになりますと、でき上がったものはそんなに価格的に変わらないというふうな問題もありまして、公有地といえどもなかなか難しい問題があるなということを実は私はその問題を通じて痛感をしたわけでございますが、少なくとも国公有地の土地については効率化、高度利用あるいは有効化をこの際図りたい、それは当然そうすべきだというふうに思っております。
  117. 中村巖

    中村(巖)委員 各省庁の持っている土地は各省庁の任意に任せておったらどうにもならない。こういうことであるならば、政府は一省庁について一カ所の機関を地方へ移転するというようなことをおやりになろうとしているわけですけれども、それと同じように各省庁から遊休土地を放出させて、それを住宅・都市整備公団あたりに全部随意契約で払い下げをして住宅を建てさせるというような積極的な策をお考えにならないといかぬのではないかと思いますが、それについてどう思いますか。
  118. 石井一

    石井国務大臣 御意見としては貴重なものですが、ただ残念ながら、今の政府なり東京都、地方公共団体が考えておりますのは、どちらかというと、民間の土地でも公有地として保有したい、そのことによって代替地にも使えますし、都市計画全体にも利用できる、したがって放出するというよりもできるだけ自分のところへキープすることによってもっと高い立場から都市計画なり住宅政策ができるのだ、こういうような方向になっておりますので、今中村委員が言っておられるような状況で直ちに各省にそういうことをするということはいささか難しい問題ではないかなという感じがいたします。
  119. 中村巖

    中村(巖)委員 そこで、国鉄清算事業団が今持っておる土地については、国鉄清算事業団の国鉄の赤字を減らすという目的があってなかなか思うようにいかないのでしょうけれども、これをただ単に売却して、そこからその売得金をもって赤字の補てんをするということだけでなくて、より積極性を持たせて、例えば土地の供給あるいは住宅の供給の方へ振り向けることが可能でないかということを考えるわけですけれども、そういう方向での国鉄清算事業団の持っている土地利用ということが考えられないのかどうか、それをお伺いしたいと思います。
  120. 山口良雄

    山口参考人 お答えいたします。  国鉄清算事業団の土地の処分は、先生御指摘のように長期債務の早期償還の観点から現在鋭意処分を進めておるところでございますけれども、地方自治体等からの要望がございました件名につきましては積極的に応じ、公共目的に使うものにつきましては随意契約をしておるところでございます。  ただいま先生から御指摘ございました土地利用につきましては、清算事業団が現在持っております土地のうち大規模と言われておるところ、件名が約百カ所ございまして、そのうち既に五十一カ所につきましては資産処分審議会に土地利用計画を諮問いたしておりまして、そのうち十六件について既に答申をいただいております。これは地方自治体並びに関係省庁等の方に入っていただきまして、いかに町の開発に整合性がとれるかという観点から土地利用計画を立てていただいて、そのような方向で事業団としても今後土地利用、処分していきたいというふうに考えているところでございます。
  121. 石井一

    石井国務大臣 実は、先ほど杉浦事業団理事長来ておられまして、答弁をされずに帰られたわけですが、エレベーターの中で一緒になりまして、国鉄の土地を売るということを考えずに住宅を建設する、そしてそれに対して分譲にするか、あるいは分譲というものができなければ賃貸ということで解決をするという方向はどうなのかという話をいたしました。それに対しまして理事長は、実はそういう計画を国鉄内部で内々練っております、近く一度説明に伺わせたいと思います、こういうような話でありましたが、恐らく中村委員が御指摘になっておるところもそういうことではないか。  要するに、国鉄の長期債務の中で土地売却によります収入というのは三分の一ぐらいでございます。先ほどの議論もありましたが、これを今無理に公開入札等で売ってほかへ悪影響を与えるよりも、これを保持した形の中から新しい利用の方法がないか。これは、きょうの御議論をも踏まえまして、国土庁、国鉄等で、もう少し内容について、果たしてどの程度の価格でどういう形で放出できるのか研究してみたい、そう考えております。
  122. 中村巖

    中村(巖)委員 大臣、御研究いただければ大変結構なのですけれども、私は、ただ漠然と考えると、JRは民間になりましたが、国鉄清算事業団というものはやはり政府の施策に合うように運営をされなければならないのであって、それは赤字の解消ということも大切ですけれども、やはり政府に協力をしていくという関係が必要なのではないか、こういうふうに思うわけでして、政府が片一方で国土庁なり建設省が住宅建設が今急務であると言いながら、片一方はそれは知らぬよ、おれの方は赤字だけ解消すればいいのだ、これでは政府内不統一みたいなものではないかな、こういう感じがして今御質問を申し上げたところでございます。  それに関連してちょっと私の地元のことを聞いておきますが、これは私も毎日通りますから痛感をしておるのですけれども、東京の板橋区の中にJR板橋駅というのがありまして、そのわきにかつての国鉄の貨物ヤードの跡地があるわけです。これは貨物ヤードが廃止になりましてずっとそのまま放置をされて、駐車場などに使われてはおりますけれども、相当に広大な土地であります。こんなものをどうしてこうやって放置しているのかな、周辺の人もみんなそう思っておるわけでありまして、ここへ何らかの形で高層住宅でも建てられれば物すごくいいのではないか、こういうふうに思っているわけであります。この貨物ヤードの跡地について、これをどうするつもりなのか。例えば板橋区などにおきましては、これの払い下げを受けたい、そしていろいろな形で利用したい、住宅なども建てたいということで考えておるようですけれども、清算事業団の方の考え方を聞かしていただきたいと思います。
  123. 山口良雄

    山口参考人 お答えいたします。  板橋駅付近の事業団用地につきましては、貨物跡地を含めまして三カ所ございまして、面積約一万七百平米ございます。現在、これらの土地につきましては、その利用方法方と申しますか開発の仕方と申しますか、これにつきまして東京都、それから関係区と御相談申し上げておりまして、その結果によりましてその土地の処分等を行っていきたいと考えております。
  124. 中村巖

    中村(巖)委員 今の点ですけれども、それは具体的に協議が進んでいるということでしょうか。そしてまた、その協議をしているとするならば、それは近々のうちにめどが立って、何らかの計画があれば国鉄としても即座に、それはまあ値段の点もありましょうけれども売却をすることが可能だ、こういうことなのでしょうか。
  125. 山口良雄

    山口参考人 現在、地元の方も含めまして勉強会をしておりまして、その結果に基づいて結論が出れば、その方向で処分をしていきたいというふうに考えております。
  126. 中村巖

    中村(巖)委員 もう一度聞きますけれども、それは随意契約でも売却し得る、例えば地方公共団体が買うとすれば随意契約でも売却をし得る、こういうことですか。
  127. 山口良雄

    山口参考人 現在事業団法におきましては随意契約の相手方は地方公共団体等ということになっておりまして、それから使用目的が公用、公共用ということになっておりますので、その要件に合致すれば随意契約で売却するということになると思います。
  128. 中村巖

    中村(巖)委員 そういう値段の問題というものは、地方公共団体も金がないとかいろいろありましょうから難しい問題があると思いますけれども、やはりそういう土地については国鉄清算事業団としても地方公共団体等に優先的にこれを出す、公共目的というようなことをおっしゃられましたけれども、本当に住宅を建てるという計画がある場合には最も優先的にそこへ随意契約で売り渡すというようなことを考えてもらいたいものだ、こういうふうに私は希望をしておきます。  それと同時に、私有地についても、そういうようなときに、今は制度としてはないわけでありますけれども、これは大臣にお伺いするわけですけれども、何とか地方公共団体が住宅建設等の今緊急の問題について利用したいという場合には、優先的に買えるのだ、先買い権があるのだというような、こういう法律、制度というものが考えられないものか。これは国土利用計画の一端になるかもわかりませんけれども、そして、その優先先買い権について一定の協議をして、どうしても協議ができない場合は他に売り渡すことはできるけれども、とにかくそれが前置というか先に置かれるのだ、こういうような制度というものは考えられないのか。その辺は大臣、いかがでございましょう。
  129. 石井一

    石井国務大臣 公有地の拡大の推進に関する法律の中に、先買いの協議制度その他がございます。ただ、これがどの程度実際に運用され、先行取得のために効果を上げておるかどうか、これをさらに拡充しなければいけないのかどうかという点につきまして、政府委員からの答弁をひとつお聞きいただきたいと思います。
  130. 芦尾長司

    芦尾政府委員 お答えいたします。  地域の健全な発展と秩序ある整備を進めるために公有地の計画的な確保が必要不可欠であるということは申し上げるまでもございませんが、今大臣の御答弁がございましたように、公有地の拡大の推進に関する法律がございまして、ここで私有地につきまして都市計画区域内の一定の土地、二百平米以上ということになるわけでございますが、それを売却しようとするときは届け出をまず要するということにいたしておりまして、そこでその届け出を受けまして、地方公共団体が必要とする土地でございますならば、民間への売却に先立って確保する道を今開いておるわけでございます。この二百平米でございますが、ことしの六月から三百平米を二百平米に下げてやっていくということでやっておるところでございます。
  131. 中村巖

    中村(巖)委員 その法律は存在しておりますけれども、それは有名無実ですし、実際にはやられてないということに問題があるので、ある程度その一定範囲、例えば監視区域の問題があるわけですから、監視区域で適正な値段というものが云々されているわけですから、その値段なら公共団体なんかに売らなければならないのだというような制度、補充をするというか拡充をするというか強化をするというか、そういう方策というものをお考えをいただきたいというふうに思います。  さらに、今まで土地の価格対策の問題として、省庁の地方分散化ということが内閣で推進されるということになっておりますけれども、実際的にはこれはなかなか進んでいないのではないか。これとこれとこれというふうに省庁の部局、機関を挙げまして、これは地方に移転することになっております、こういうふうに決めましたというところまでは進んだわけですけれども、具体的にそれが地方に移転するということになると、ほとんど進んでいないのではないかという感じがいたします。竹下内閣のときにやられたわけですけれども、今、現に移転したという省庁の部局あるいは機関というものはございましょうか。
  132. 三木克彦

    ○三木政府委員 国の行政機関等の移転につきましては、本年の八月二十四日の国の機関等移転推進連絡会議におきまして、七十九機関と十一部隊を対象といたしましてその移転先等を取りまとめたところでございます。これらの機関につきましては、今後、移転の条件等が整備され次第、逐次移転をしていくという方針でございます。その移転の推進状況につきましては関係省庁から報告を会議に求めるということで、円滑な推進を図っていくことにいたしてございます。移転に関しましては各省庁からいろいろ要望があろうかと存じますが、国土庁といたしましても、移転の具体化に向けて移転の条件等が早期に整備されるよう、関係省庁に対し積極的に働きかけてまいりたいと思っております。  具体的に移転をしたところは、まだこれからでございますので、ございません。
  133. 中村巖

    中村(巖)委員 例えば具体的には、私の地元の東京北区に東京外国語大学というのがありますけれども、これは今言われた移転の機関の一つでありますが、実際、大学当局に聞くと、まだどこへ移転するのかもわからない、いつ移転するのかもわからないという、ただ移転することは決まっております、こういうようなお話なんで、こういうことばかりではどうしようもないと思うのですね。  文部省にお見えいただいていると思いますけれども、東京外国語大学の移転についてはどうなっておりましょうか。
  134. 泊龍雄

    ○泊説明員 お答えいたします。  東京外国語大学及び同大学の附置のアジア・アフリカ言語文化研究所の移転につきましては、昨年、昭和六十三年七月のいわゆる閣議決定の趣旨に基づいて移転の対応を検討を進めているところでございます。  御案内のとおり、ことしの八月、国の機関等移転推進連絡会議におきまして、移転候補地として府中市の関東村を決めているという状況でございます。現在、この府中市の関東村住宅地区跡地の利用計画につきましては、地元の地方公共団体等関係機関におきまして調整中であるというふうに聞いております。私ども文部省といたしましては、さきに申し上げました閣議決定の趣旨に沿いまして、同大学の移転に伴う諸条件が整い次第、移転の速やかな実現を図ってまいりたい、かように考えているところであります。
  135. 中村巖

    中村(巖)委員 そういうお話でございまして、結局いつ幾日までに移転するのだ、こういうことは全然ないわけです。だから、これは五年先になるかあるいは七年先になるかわからないというのが実態で、当面のこの一極集中化の問題あるいはそれに伴うところの地価の高騰の問題に何の役にも立たない、こういうことになってしまうのじゃないかということを私は危惧しているわけでございます。  また、同じく北区に大蔵省のアルコール関係の醸造試験所というものがありますけれども、この移転についてもどういうふうになっておりましょうか。大蔵省、いかがでしょうか。
  136. 宝賀寿男

    宝賀説明員 お答え申し上げます。  醸造試験所の移転につきましては、現在国の機関の地方移転の趣旨に沿いまして、移転先の広島県への円滑な移転というのを行うべく、広島県など関係機関と鋭意協議しているところでございます。そのスケジュールにつきましては、移転の条件が整備し次第移転することにしておりますが、まだ具体的な日程としては固まっておりません。  以上でございます。
  137. 中村巖

    中村(巖)委員 事ほどさように、いろいろ政府の方で言われるのですけれども、それを実際具体的に実施をするということになると、実施というものが当面の問題に間に合わないことが圧倒的に多いということで、その辺は各省庁のやっていることでありますけれども、やはり土地問題に対して責任を持っている国土庁が推進をしていただかなければこれはどうにもならないというふうに思うわけでございます。大臣のお考えをお伺いいたします。
  138. 石井一

    石井国務大臣 実は私、八月十日に就任いたしまして、移転問題のデッドラインが八月中であったということで、これは一番最初に取り上げた問題でございます。一番最後に二つ、三つの機関の決着場所で大変難しい局面に当たったことがございましたが、要は、政府なり我々が簡単に移転せよと言いますが、そこに働いておられる皆さんの気持ちを考えますと、これは大変なことなんでございます。それからまた、それぞれの機能なり業務を考えますと、周辺に出すということがいかがなものかというふうなものもございまして、これは考え方としては正しい方向ですけれども、実際は大変難しい問題だということを私つくづく体験いたしました。  ただ、例えば神戸へ持っていこうといたしております本四架橋公団などは着々と準備が進んでおるように私は思いますし、建設もこれから十年間続くわけであります。広島の場合も、かなり実現性は高いというふうに私は踏んでおります。  要は、周辺に、これも非常に意味があるのですけれども、東京一点集中から周辺に出ていきます場合に、それだけのビルを建設し、受け入れ態勢を先行させなければいかぬ。これにはやはり何年かかかる。しかし、一たん政府が決定をしたからには、大蔵省で予算化をし、国土庁としてはこれを強力に推進する方向に参りますので、この点は、ただ単に政府が移転先だけを決定し何ら実行しないというふうなことは許されるべきことではございません。そういう意味で、マスコミ等で一部批判はされておりますけれども、政府はそういうような姿勢で真剣な態度でこれに取り組んでおりますことを御理解いただきたいと思います。
  139. 中村巖

    中村(巖)委員 次に、当面の土地対策というか、その問題として、借地・借家法の改正ということが言われているわけでございます。大臣もたしかどこかで、この借地・借家法の改正というようなものが一つ土地対策として土地供給あるいは建物供給というものに役に立つようなことをおっしゃられたような記憶があるのですけれども、果たして今法務省がやろうとしているところの借地・借家法の改正というものが土地、住宅対策に有効性を持つのかということについてお伺いをしたいと思います。その辺、こういうわけだから有効だという何かがございましょうか。
  140. 石井一

    石井国務大臣 従来この国では借地・借家法というものが非常に定着いたしておりまして、借地の上に一戸建てのものあるいは長屋が建っておったということが非常に多かったのでありますが、最近はどんどんと減っておる、下降現象にあるということでございます。  これの最大の理由は、委員は弁護士でございますからよく御承知のように、一たん貸してしまうと自分土地でありながらどうにもならない、こういうような状況が起こっておることも確かであります。  基本的な問題といたしましては、いわゆる地主とたな子ということになりますと、たな子の、弱者の保護のためにできた法律が、最近の厳しい住宅情勢の中では逆に利用されてきておる。要するに、一たん貸してしまうとそれが永久化して固定化してしまう。そのことによってその場所がいつまでたってもそのまま放置される。そして一時間半、二時間の通勤を強いられるというような犠牲者も出てくる。この場合に、借地権も認め、たな子の方にも理解を求めることによって、その辺を高度化することによって、もっと別の意味での利用ができるのではないか。  今の御質問に対しましては、土地が高くなり、そうして密度が高くなってきておる場合に、借地権をもう少し近代的な方向で利用できないか、こういうことを考えましたときには、やはり効果がある、私はそういうふうに判断するわけでありますが、いかがでしょうか。
  141. 中村巖

    中村(巖)委員 借地・借家法の中で、今大臣がおっしゃられるように、たな子というか、借地人、借家人の権利が強過ぎる、世上こういうことが言われているわけでありますけれども、これを保護を弱くしてしまうということになると、現在の住宅秩序といいますか、これを根本から破壊するということにつながりかねないというふうに思っているわけでございます。確かに抽象的に言えば、それは借地・借家法でかなり借地人、借家人が保護されているということにはなるかもしれませんが、個々の住んでいる人からすれば、自分の住居が奪われるというのは大変なことでございまして、そういう借地人、借家人の犠牲の上においてこの高度利用というか開発を進めようという考え方は当を得ないのではないかというふうに私は思っております。こんなことをやったら、いわば今までやられておりますような地上げ屋というものをかえって横行させるもとになるのではないか、こういうふうに思いますが、いかがですか。
  142. 石井一

    石井国務大臣 確かに御指摘のそういう一面もございます。その点は土地を借りておる方の立場、弱者を保護するという思想は今後も貫いていかなければいけませんし、地上げ屋を横行させるということは厳に戒めていかなければいけません。しかしながら、この法律があるために、ただ単に所有しておってそれを利用しないという地主もたくさんおるわけでございます。本来ならば何かに利用させたいのであるけれども、借地・借家法があるために利用もせずに保有をしておる、そしてその保有に対して余りコストがかからぬ、こういうような事例も非常にたくさんあるわけであります。  また、借りておる立場からしましても、一階や二階で古びた長屋に住んでいただくよりも、多少高層化して他の人々にも共同に利用してもらう、こういうふうなメリットも出てくるだろうと思いますから、その点は、法の精神を大切にしながら、やはり時代に即した変化を加えるということの方が適切な判断ではないかな、そのように思います。
  143. 中村巖

    中村(巖)委員 大臣の御認識もちょっと違っているところもありまして、借地・借家法があるために利用もしないのに借地あるいは借家として保有している、こういうようなことであるならば、それは現行の借地法、借家法をもってしても明け渡しをさせるということは十分できるわけでございまして、あえてそれに対処するために借地法、借家法を改正する必要というものはないわけでございます。  今、法務省民事局の方で「借地法・借家法改正要綱試案」というものが出されておりまして、大臣もまだ御研究になっておられないと思いますけれども、これが本当に今後の土地供給の問題あるいは土地住宅対策に対して有効なのかどうかということについては、大臣の方でもぜひ御研究をいただきたいというふうに思っております。私の方の立場としてはやはりこの改正は必要ないのではないか、こういう立場でございまして、これを改正すれば土地住宅対策として有効なんだということを振り回されるということは大変に迷惑だというふうに思っておりますので、ぜひ御研究を賜りたいというふうに思っております。  最後に、時間がなくなりましたけれども、金融機関による土地融資の規制という問題について、いわゆる銀行については大蔵省も銀行局を通じていろいろやっておられますが、銀行以外の金融機関というか、例えば生保だとか損保だとかそういったような機関に対する融資の規制、あるいはまたいろいろなクレジット会社等に対する融資の規制、これができるかどうか、それはどういう方法によったらできるのかということについてお伺いをして、終わりにしたいと思います。
  144. 小山嘉昭

    ○小山説明員 お答えいたします。  大蔵省といたしましては、いわゆるノンバンクである貸し金業者一般に対しまして、銀行等に対するような一般的な指導監督権限はないという貸金業規制法上の限界はあるわけでありますけれども、従来から投機土地取引等に係ります融資を厳に抑制するために、二点ほどにわたりまして指導してまいったわけでございます。一つは、ノンバンキングのうち金融機関の関連会社につきましては、金融機関を通じまして自粛を指導いたしてまいりました。二番目に、それ以外の貸し金業者につきましては、業界団体による自主ルールの作成を通じまして、投機土地取引等に係る融資の抑制が図られるよう注意を喚起してきた、こういうことでございます。しかし、地価の高騰の地方への伝播という現在の状況にかんがみまして、ことしの十月二十七日に新たにノンバンクにつきましては五つの点にわたりまして措置を講じたところでございます。  時間がございませんのでごく簡単に申し上げますと、第一点は、金融機関に対しまして通達を発出いたしまして、ノンバンクであります貸し金業者一般への融資について十分に審査を行うという指導をいたしたということであります。二番目は、金融機関の貸金業を営む子会社、関連会社土地融資案件について金融機関を通じまして特別ヒアリング、聞き込み調査でありますが、これを行う。三番目に、金融機関を通じますノンバンク融資についての報告の徴求ですね、数字をとるということであります、及びその実態についてのヒアリングを行う。四番目に、金融検査というのを私ども金融機関に実施しておりますが、この金融検査において金融機関のノンバンク融資の実態把握を行う。また最後に、全国貸金業協会連合会等の団体に対しまして投機土地取引等に係る融資の自粛要請を行ってきたところでございます。  なお、先生から御指摘のございました生命保険会社、損害保険会社等の保険会社は、金融機関という概念で既に融資に対する規制を行ってございます。今回強化をいたしましたのは、それ以外のリース会社とか信販会社とかクレジット会社、そういうものに対して行政指導を強化いたす、こういうことでございます。  大蔵省としましては、今後ともいわゆるノンバンクであります貸し金業者一般について土地投機に係る融資の抑制が図られますように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  145. 中村巖

    中村(巖)委員 では、時間ですので、終わります。
  146. 大塚雄司

    大塚委員長 安倍基雄君。
  147. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣承知のように、私どももいろいろ中小企業者なんかを回ってきますと、昔と比べてともかくみんなが生活が上がった上がったというけれども、少なくとも昔は退職するころにはちょっとした土地と家を持てた。ところが、現在のいわば勤労者というのは本当に気の毒だ。全く世界一の富の国だといいながら、退職したときに家もろくに持てないという話をよく聞きます。まさにそのとおりだと思いますね。土地問題というのはどうしてこういうぐあいになってしまったのかな。本当に幾ら世界一豊かな国といっても、家一軒持てない。持つとすれば働く場所から一時間も二時間もかかるというような状況になってきている。土地の値段が、もう日本土地を足すとアメリカの数倍になるというような話までなっている。  これはどうしてこうなったのか。結局、いろいろな原因が言われますけれども、例えば土地基本法でも適正な需給関係というようなことも口にしておりますけれども、この主たる原因をどう理解されているか、幾つかのいわば原因として挙げてみたらどんなものがあるのか、まず冒頭に大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  148. 石井一

    石井国務大臣 私は先生が書かれておりました論文を拝見いたしまして、一々ごもっともな御指摘だな、そういうふうに感じました。それをここで一々申し上げるつもりはございません。要は、もろもろの政策において足りなかったもの、後手に回ったもの、また改善すべきもの等々たくさんございます。しかし、その原因になるものは、やはり日本土地の価格というのが、先ほども申されましたように、二十五倍あるアメリカ土地の三倍以上にもなっておる。こういうことになりますと、極端な話ですが、この間ヒルズ通商代表ともお目にかかる機会がございましたので私は申し上げたのですが、アメリカ日本土地の価格はこう違うのですよ、したがって、日本土地問題に取り組む姿勢というのは恐らく五十倍、百倍アメリカよりも厳しいんじゃないか、こういう認識のもとにいろいろの御提案をいただきたいということを申したのでございます。それは非常に説得力があるというふうに答えておられたわけでありますが、そこから土地神話というふうなものが生まれてきておる。  そうして、そこへもってきて、我が国の経済力が強くなり、過剰流動性と申しますか、仮需要というふうなものを喚起するような基盤がその後ろにあった。そうすると、土地というものが最も投機の対象になる。そういうふうなあらゆる意味での条件が複合的に相まって、こういう結果が出てきた。そしてさらに土地行政というものが過去の経過から見て一元化できない、税制税制である、そして地方の計画は地方の計画である、そのほか、どれだけの各省にまたがった行政であったかという場合に、その辺の問題というものもあったのではないか。  一言で言えませんけれども、そういう中から特殊な今日の現象というものが出てきておるところは率直に認めざるを得ないというふうに思っておる次第でございます。
  149. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 大臣が私の論文を読んでいただいてあればここで一つ一つ指摘することはないと思いますが、簡単に言いますと、すべての価格は需要、供給の関数なわけですけれども、日本の場合には、ともかく供給はえらい狭まる、需要はどんどん伸びるという形で構築されてきている、そこに一つの大きな原因があると思うのです。私もまさに同感ですが、国土政策についていろいろな所管庁がいろいろなことをやっておる、それでいて一元的な指導理念がないというのが一つの大きな原因かと思います。  話はちょっと飛びますが、日本は今各地で監視区域というものを設けてやっています。今度の法案でも、基本法じゃない方でいろいろ言っておりますが、できるだけ監視区域の単位、単位というか何坪以上を監視の対象にしようというようなことを言っています。反面、そうすると、それの監視だけで地方自治体がまた非常に手数もかかるというような話も出てきていますが、ほかの国で監視区域に類するような規制をしている国はあるのでしょうか、海外の状況をお知らせ願いたいと思います。
  150. 藤原良一

    藤原政府委員 お答えいたします。  我が国と同様の取引規制を行っております国は韓国でございます。監視区域のことを申告区域と言っておりますけれども、内容はほぼ同じでございます。
  151. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 そうすると、韓国と日本以外にはそういうことを設けている国はないわけですね。  私は論文で書いたのですが、監視をしてみたところで、需要が非常に強くて供給が少ないと、どうしても裏金が飛んだりして、結局買いたいものは無理してでも何かの方法で買う。そうすると、監視をしてみたところで、現実問題として何かの形で対価が払われて所有権が移転する。私はよくそこで、うみができているのをばんそうこうで押さえるようなものだ、でもばんそうこうを張ればますますうみが中で広がるばかりだという言い方をしているのです。  この前、私は地方関係の議員団と話して、地価の問題になると、こぞって、私どもは監視区域を広げます、監視の単位をもっと小さなものに及ぼしますと異口同音に言いまして、それが決め手みたいな感じを受ける。ただ反面、そこで地方自治体が、いやその対応にまた追われる、こういう話も出てきています。地方自治体の関係でどうでしょうか、自治省はその辺の感触をどうつかんでいらっしゃいますか。
  152. 藤原良一

    藤原政府委員 地価安定のための当面緊急の対策といたしましては、投機を初め仮需要的なものを抑制するということが一番効果的だと思われます。あくまでも対症療法的な性格のものでございますが、当面の対策としてはそういうことで何とか不要不急の需要を抑える方策をこれまでもとってきたところでございます。  その方策の一つとして監視区域制度がございます。そのほかに、不動産業者に対する指導、金融機関に対する指導、あるいは税制面では投機的な投資に対する超短期重課制度等を創設してきたわけでございますが、先生御指摘のとおり、監視区域制度は著しく適正を欠く取引に対しまして主として行政指導を加えようという性格のものですから、地価高騰抑制策としても確かに限界がございます。しかしながら、各公共団体ではできるだけタイムリーにこの区域を指定し、かつ効果的な運用ができるような届け出面積を設定するというふうなことで現在努力しております。  ただ、御指摘のとおり、この制度の運用には審査体制も必要でございます。したがって、人員も必要ですし予算も必要といたします。我々といたしましても、予算の確保等につきましてはできるだけ努力しながら、また、運用も適正を欠かないように公共団体といろいろ打ち合わせをしながら、運用に努めておるところでございます。
  153. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 今の答弁にもあったように、一時的な対症療法なんです。その対症療法だけにかかわっておっても病根は去らないわけで、幾らばんそうこうを張ってみても、おできができるところを隠すだけみたいな話になってしまう。結局は裏金が飛んでおる可能性も随分あるので、監視区域は非常に急上昇のときにとめる効果はあっても、それが一番の方法だと思っておることそのことが本末転倒じゃないかと私は思います。国土庁長官もうなずいていらっしゃるから、同意見でございますか。
  154. 石井一

    石井国務大臣 同意見と申しますと国土利用計画法の趣旨にいささか反するように思いますが、私はある意味で評価もいたしております。  東京の地価が高値安定したというのもこれだということもございますし、また、行き着くところまで行ったからそれでとまったという議論もあるでしょう。今後、土地基本法の後に実施いたしますいろいろの実行法の場合に手おくれにならないように監視区域を先駆けしていくということは、あるいは必要に応じて監視区域だけでなく規制区域にしていく、そういうふうな積極的な手法によりまして、この制度自体は評価すべき一面もございますけれども、しかし、委員が御指摘になっております問題点というのは、もうある程度上がってしまってからそれを後追いしておるというふうなところ、あるいはこれはある程度知事なり地方団体の権限の高いものでありますから、こちらがそういうふうな指導をしておるにもかかわらず、ある地域にはその網がはまり、別のところは抜けておる、抜けておる方が先買いされる、こういうふうな運用の問題での問題点はあると思いますが、そういう意味で、お答えになったかどうかわかりませんけれども、御指摘の点も十分わきまえて今後弾力的な運用をしていく必要があるというふうに認識しております。
  155. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、監視区域、あるいはそれを規制区域にしようと、ばんそうこうには違いがないので、結局これは病根そのものを削除、切り取ることにはならないのです。  そこで、せっかく建設大臣も来られましたから建設省関係で、やはり東京のど真ん中あたりでも、ちょっと見ますと二、三高い建物があるけれども、本当に平地ですね。一階建て、二階建て。私も論文のときに指摘したのですけれども、東京都のいわばど真ん中の区でも相当の部分が宅地専用になり、しかもそこでは建ぺい率、容積率が非常に縛られておる。だから高層化しようにもできない。もちろん、それは昔から中央に住んでいる人にとってはそこに居住するのが一つの権利かもしれないけれども、しかし、その辺に相当高層を建てていけば、住宅地としても十分スペースがあるはずじゃないか。  建ぺい率、容積率の決定ですが、これがどういうぐあいになされて、どういうぐあいに見直されているのかということを、ちょっと建設省の担当者から聞きたいと思います。
  156. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えを申し上げます。  用途地域、容積率の見直しについてでございますけれども、例えば東京都の区部でございますが、本年十月十一日に見直しを完了いたしておりまして、その結果、指定の容積率は、これは二十三区平均でございますけれども、これまで約二四三%の指定容積率でございましたが、これが約二五二%となって約九ポイント上昇しているということでございます。東京都の区部はこうでございますが、そのほかの地域では、さらに現在区部以外のところでも、東京都の見直しの作業を進めているところでございます。
  157. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 従来、見直しはどの程度頻繁に行われてきたのですか。
  158. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 制度上、都市計画法では五年に一度見直すということで、こういうルールでやってきておりまして、ややおくれぎみでございますが、おおむねそういうペースで進んでおります。
  159. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 例えばニューヨークとかその辺と比較してどのくらいのレベルになるのでしょうか。
  160. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 ニューヨークの商業系でございますが、これは非常にばらつきがございますが、容積率が五〇から一五〇〇というメニューの中から選ばれております。
  161. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 こういった率の決定ですけれども、日本の場合には、地方自治体から上がってきたのを最終的に建設省が認可をする形でございましたかな。これは、例えばニューヨークなどアメリカあたりは決定権者はだれになっているのですか。
  162. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 これは実はアメリカの場合は非常に区々でございますので調べ切れないのでございますが、ヨーロッパを中心に、この制度の先駆者でございますがそこを調べてみますと、おおむね、その地域レベルの計画では市町村が決定しておりまして、それから基本的な計画については国や県が関与しておるというふうなパターンが一般的であるというふうに承知をいたしております。
  163. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私は過日、トランプというニューヨークの建設業者の自叙伝を読んだのです。なかなかえらい日の出の勢いで、ニューヨーク地区に非常に高層建築をつくっている業者ですけれども、彼に言わすと、結局そこでどういう容積率を得るかということが事業の大きなポイントだということは、さっきお答えがあったように、非常に容積率についての弾力性があるわけですね。もっとも余り許認可が弾力的になり過ぎると、ある業者に特定の利益を与えるというような要素も出てきますけれども、容積率、建ぺい率、あるいは調整区域の見直しというのが余りにも、いわば一遍つくったのをなかなか変えようとしない。地方なんかでも調整区域の線引きをなかなか変えない。そうすると、すぐ隣はべらぼうな宅地で高くなっているのに、その先はほとんど動かせない。その辺に土地政策の非常に大きな問題点がある。  私はさっき需要と供給と言いましたけれども、供給というのは調整区域の問題も供給でございますし、建ぺい率、容積率の問題もやはり供給なんですね、空間をどのくらい高く使えるかにかかるわけですから。東京土地政策というのは、東京以外も、日本全体もですけれども、本当に一体供給をどうやってふやすかということをどう考えているのだろうか。これは単に遊休地を使用する云々だけではなくて、よく人工島をつくるという説もありますけれども、建ぺい率をちょっと変えるだけですごい空間ができるわけですよ。その辺を何か昔からの、何年に一回ということはわかりませんけれども縛っておいて、そして、いわゆる規制区域あるいは監視区域ということだけに重点を置いていることが、私はさっき言ったように病根をそのままにして一生懸命ばんそうこうを張っていると言わざるを得ない。  この辺、国土庁長官の話でもあり、あるいはまた建設大臣の話でもあると思いますけれども、それぞれの御意見を承りたいと思います。
  164. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 事実関係の数字について少し答弁をさせていただきます。  線引きの状況でございますけれども、五十八年の四月から現在に至るまで約六万九千へクタール、現在の市街化区域が百三十五万ヘクタールございますからその五%程度の区域拡大をやっておりまして、これを住宅戸数にして約百三十万戸分に相当するという試算をしているところでございます。  また、容積率の問題について、先ほど指定容積率が約九ポイントアップしているということを申し上げましたが、実際上、一番問題は、東京におきましては建物の前面道路の幅員が狭いことによって指定容積がフルに使われないということで、公共投資が十分行われないことから来る制約、その他斜線制限とか日影とかいうものもございますが、そういう点からの制約がございます。それで、先ほど申し上げた数字が指定でございますけれども、実効上は、六十三年で見ますと九九%、約四割程度の充足になっているということが実情でございます。
  165. 原田昇左右

    原田国務大臣 今、都市局長から御答弁申し上げましたけれども、容積率については東京都区部で本年十月十一日に見直しを完了しておるわけですが、それで二五二%と約九ポイント上昇した、こういうことでございますが、実際に使われているのははるかに低いわけですね。恐らくこれの四割ぐらいしか使われてない。そういうことで、宅地あるいは住宅の供給には先生御指摘のようにもっと高層化を図っていかなきゃいかぬのではないか、こういうことはまことにごもっともではあります。しかしながら、用途地域の指定と容積率というのは密接不可分になっておりまして、例えば松濤とか高級住宅街がございますね。この辺ですと日照権の問題もあるわけであります。したがって、一種住専から二種住専とか、あるいは住居地域に用途がえしろなんということになったら大反対を食らっちゃうわけですね。  それでも東京都の方は今回大分頑張ってくれまして、かなりの地域を一種から二種に変えてもらったという経緯はあるわけでありますが、確かに、まだまだ一種を二種に変えてもらい、そして日照権の問題も、一時間半も通勤してくる人のことを考えれば、そんなに日が照らなくても、都心に住んでいるのだから我慢してもらえないかな、こういう気持ちもしないではないわけでございますが、やはりどうしても行政は地域住民の意思を主体に決めていかなければならぬという行政でもありますので、おれたちのところにそんなに日の当たらないようなビルを建てられたら嫌だ、こういう総意になりますと、それを押して、おまえは環状線の中にいるんだから日照権なんかやめちまえということで押しつけることはなかなか難しいということをひとつぜひ御理解をいただきたい。  それが今までの経緯でありまして、今までとしてはよくここまでやったかなと、しかし、もちろんおっしゃるように、まだまだ十分利用してないわけですし、今の日照権まで云々しなくてもやれるところはたくさんあるわけですから、私どもとしてはその場合、まず再開発という手法を少し広げていこうじゃないか。そこで再開発事業について、再開発地区計画等の再開発手法を使いまして、東京都にもお願いし、二号地区とかいう指定をかなり広くやってもらいました。それでまた二号地区に準ずるところも指定をしてもらいまして、そこを再開発していこうということで、鋭意その再開発のためのいろいろな融資とか税制とか、あらゆる手段を挙げて応援をして、再開発を通して高層化していただこうという手段を今とっておるということも、ひとつ御認識をいただきたいと思います。
  166. 石井一

    石井国務大臣 私は生まれたのも育ったのも大都市でございます。そういう観点から、先生御指摘の容積率、建ぺい率を見直すということは非常に重要な問題だというふうに認識をいたしております。  ちなみに充足率というのが、容積率の場合、千代田区とか中央区では八〇%とか六四%ですが、港区で五三%、新宿、足立へいきますと四五、三一、こういう状況でございまして、何か中曽根内閣の民活のときに山手線内のいろいろな緩和をしたけれども実際にそれが動かなかったということでありますから、これらを見直すのと同時に、その充足が十分足るような政策をも同時にとらなければいかぬ、そう考えております。
  167. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それぞれの御意見承りましたけれども、また、あしたあたり公述人からの意見もいろいろあると思いますけれども、さっきの都市開発についてそこにいる住民が日照権を主張するとか、用途地域を変えては困るとか、その辺は一体だれを主として考えるかという問題だと私は思うのです。つまり、都会のど真ん中で日に当たりながら一階か二階に住んでいる連中と、毎日毎日一時間、二時間通勤してくる連中と、どっちに重点を置くか。冷暖房の発達してきたこの時点で、麹町とかあの辺におって日照権がないとけしからぬとか、おれはここにどうしても住みたいんだと主張する。なぜ主張できるかというと、要するにろくな税金を払わないで済んでいるからですね、簡単に言えば。もっともっと固定資産税が上がってくれば高層化せざるを得ないんですよ。それが、結局保有コストが少ないから日照権とかで頑張れるわけです。  その辺、要するに土地政策基本的に、住民の利益主張と、大勢の膨大な連中の利益とどちらを重んずるんだ。都会のど真ん中であればもっともっと住宅地は削減してもよろしい。本当に快適なところに住みたいんだったら少し田舎に行きなさい、でなかったら、そのかわり高層化しなさい、その中のマンションに住みなさいと。それは何でかというと、繰り返すようですけれども、そこに住んでいてもろくな税を払わないで済んでいる。  日本土地が高いのは、一つは、需要が多いのにかかわらず供給が非常に少ない。日本の株と同じです。日本の株は相当の部分が持ち合いですから、売りに出るのは割と少ない。そこに需要がわっと来ますから上がる。その価格でもって評価される。株も土地もある程度、実際のところは水膨れしているのですよ。だから、日本がこれだけ土地が高いといっても、供給がごく限られている中で、すごい需要でもってかさ上げされている価格、それでもってすべての土地が評価されます。日本土地と株というのはある意味では水膨れしておる。だから、今それに応じて固定資産税の評価額を上げると困るという話もあります。事実ありますけれども、この基本は、今おっしゃったような、要するに日照権は代理できないとか、そういう観念にあるからですよ。確かに日に照らされぬのは困るかもしらぬけれども、昔と違うのです。要するに、何も都会のど真ん中で、洗濯して物干しざおにつるすわけじゃないんですから、例えば東京のど真ん中あたりはそれなりの土地の保有コストを課してもいい。そうすれば高層化せざるを得ない形になりますね。だけれども、その辺、今建設大臣がくしくも言われましたけれども、基本的にだれが犠牲者だということをもう少し考えるべきじゃないのか。  日本土地政策基本は、そこに住んでいる者の利益を優先するのか、もっと大勢の人々の利益を優先するのか、そのいずれか、どこに重点を置くかだと思います。ここに私は大きな誤りがあると思います。さっき借地・借家法の話が出ましたが、若干私は公明党と意見が違うのですね。これは居座って、もうごね得みたいになってきている。建ぺい率も容積率も借地・借家法も、つくったときは非常に意味があった。時代の変遷に従ってその意味が非常に薄れてきている。それなのにかかわらず、それを変えていないというところに一番の問題点があると思うのですよ。だから私は、たまたまほかの国でだれが権限を持っているかということで、どうも地方公共団体が持ち、建設省がそれを見て多段階的な、要するに許認可制度の間で何か身動きならないようになっているのではないか。     〔委員長退席、粟屋委員長代理着席〕 さっきの調整区域を外すという話も大分進んできているようです。我々がわあわあ言っているおかげかもしれませんけれども、私は前から調整区域を見直せ、見直せと言っていますし、建ぺい率とか、そういったこともあると思います。そこはもう一遍過去の規制というものを洗い直してみる。果たしてこれでいいのかどうか。規制区域を設けて価格を縛るよりは、その基本の、ばんそうこうか病根かといったときに、我々はばんそうこうばかり重点を置いて、そのもとになっている病根を取り去ることをもっと考えなければいかぬ。土地基本法というのは非常に抽象的に書いてあります。ここで需給関係のためどうのこうのと書いてありますけれども、ではどうするのだといったら、答えは出てこない。これはつくってから考えますでしょうけれども、一番大きな根底には今までの規制の見直しというものがある。おっしゃったように、確かに道路が狭いとかなんとかいうことは非常に大きな問題点になっていると思います。  それから、私がよくこういうことを言いますと、都会のど真ん中にあれしている我々が追い立てられる、こうおっしゃる。私はパリなんかに行ってみますと、御承知のように、一階は専門店がある。上はいろいろなマンションに使ったり、オフィスに使ったり、そういうような町づくりもできるわけですね。このためには、一つは権利関係の錯綜をどうほどいていくかということと同時に、みんなが協力してつくる場合にはそれに対してどういう融資制度を設けるとか、よく中曽根さんが、野党に政権を渡すと固定資産税をばんばん上げて問屋街は全滅しますよ、こういうことを言うたらしいけれども、私はそのときに、問屋街でも高層化して一階、二階にオフィスを設け、あとは貸せば、つぶれるどころか不動産収入だってぱっぱと入るじゃないか。だから、そういう既成の、決まっている容積率、建ぺい率なんかを前提として固定資産税を上げればそういうことになるかもしれぬけれども、一緒に連動させればかえって彼らは不動産収益が上がる。  さっきちょっと道路をつくるために公共投資とおっしゃったけれども、公共投資だけでやってはいかぬですよ。彼らに負担させなければいかぬ。私は、一番の問題点は、日本の一番の富の不均衡は、公共投資ということで何もかもやってやることだと思うのですね。その結果、その周辺の地価が上昇しても、それはみんな吸収しないわけです。だから公共投資を持ってきたところはみんな得をしてしまうわけですよ。今の東京の例えば建ぺい率、容積率を上げるために、どうも公共投資が必要だ、その公共投資の原資は彼らが負担すべきなんですよ。  私はこの前、どの委員会だったかな、ちょっと意地の悪い質問をしたことがあるのです。つまり四谷から新宿まで、あの拡幅にどのぐらいお金がかかったかと聞きましたら、三千億円かかったそうですね。それはだれが負担するかというと、国道だから三分の二は国が負担するというのです。二千億円国が負担して一千億だけ東京都が負担する。利益を受けるのは東京の周辺のビル所有者であり、土地を持っている人間ですね。国民の、サラリーマンの税金を、国道であるがゆえに二千億ぶち込んで、その周辺は地価が上昇する。こんな不公平はないわけです。  だから、今あなたは、公共投資をしなければいけない。その公共投資はそこの住民が負担しなければいけない。でなかったら、消費税とかいろいろ言うときに、もっと支出体系を考えろ、受益者が負担するというシステムがないと、これはまさに富の不公平になるのですよ。現在、土地を所有している者としていない者との格差が非常に出てきている。一つは無差別に行っている公共投資のおかげですよ。私は論文の中で「公共事業の神話」ということを書きましたけれども、私は演説するために来たわけではないのだけれども、土地政策考える上に、どうして日本アメリカあたりと比べてこんなに土地の値段が高いのだろうか。一つは、さっき言ったように供給が固定された中で、少ない供給の中で高い需要がある。それがまた株と同じようにべらぼうな値段をつける。それで全部評価するから高くなっているわけですね。それ といろいろな規制がある。規制があることが供給を狭めているわけですから。  私はここでちょっと質問をしたいのですけれども、高層化のためには道路とか区画整理とか、そういうのが必要だ。それとともに、ある程度の融資制度的な要素も必要だ。これについて建設省、大蔵省はどう考えているか。
  168. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 お答えをいたします。  都市土地高度利用を図るために、街路等の都市基盤施設の整備を推進するとともに民間の建築活動を適切に誘導していくということは一番基本でございまして、このため従来から市街地再開発事業、再開発地区計画等の再開発手法、都市開発資金による再開発のための種地の取得促進のための制度、建築活動に対する補助、融資制度及び税制の助成制度を活用して土地利用の高度化に努力してまいりました。特に融資制度につきましては、住宅金融公庫、日本開発銀行等によりまする再開発関連融資制度の整備拡充を年々図ってきたところでございますし、また近年、民間の資金をも活用した都市開発のプロジェクトを支援するための財団法人民間都市開発推進機構を設立いたしましたし、それからNTT株式の売却収入を活用した融資制度というのも設けたところでございますが、今後ともこの方向で制度の改善充実に努めてまいりたいと考えております。
  169. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  融資の関係ということでございましたので、私の方から大蔵省としてお答えいたしますが、中小企業者とかあるいは個人によります高層建築物の建築を促進する観点から、政府関係金融機関といたしましては、ただいま建設省からお話のありましたように、住宅金融公庫等におきまして中高層建設資金あるいは市街地再開発資金の貸付制度を設けているわけでございますが、そのほかに今年度から中小企業の土地利用の円滑化のために、中小企業金融公庫におきまして土地の高度化利用のための貸付限度額についての特例制度を設けまして、基本限度額三億五千万円に対しまして特例として五億二千万円の限度を適用することとしたところでございます。当面、政府系の金融機関といたしましては、これらの制度の活用を図りつつ、その利用状況等を見きわめる必要があると考えております。その結果も踏まえまして今後対応していきたいというふうに考えております。
  170. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 よく駅前の商店街などというのは、結局、保険会社とか銀行が来て、ぼんと金でたたいてぱっと買ってしまう、それで出ていかざるを得ない。むしろそういったのは、さっきのパリではありませんけれども、オフィスとそういった商店街とが共存できるような、要するに個々の商店主が幾ら借りるではなくて、まとめて共同してやるときにもう少しまとまった資金が出るというような制度も必要ではないかと私は思います。  こういったことで、これから都市開発問題、私どもはどちらかというと中小企業とか中小商店主のことが非常に念頭にあるわけですけれども、そういった連中がちゃんと生きていけるいわば都市開発ということが必要なのではないか。その点で私は、今いろいろ手段を講じていることは、そういうグループでいろいろやる場合とか、そういったものにも十分考慮してもらいたいということはいかがでございますか。大蔵省でいいです。
  171. 永田俊一

    ○永田説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の、グループ化して高層建築を建てるためにといったことでございますが、先ほど私が御説明申し上げました融資制度におきましてはグループ化あるいは個人を問わず融資をすることができることになっておりますので、グループ化するということにつきましては、地権の問題とかその他いろいろ解決すべき問題が当事者の中にあるのだろうと思います。そういうものができてグループ化したものにつきましては、この制度をグループ化あるいは非グループ化にかかわらず御利用できることになっておるということでございます。
  172. 真嶋一男

    ○真嶋政府委員 駅前の再開発等で土地を一体的に使うようにということでございますが、私ども全くそれが基本考えておりまして、市街地再開発事業というのはそれをねらってやっておりまして、そういうものについて税制上あるいは特別な融資上の優遇措置を講じてまいったところでございますが、今後ともその充実を図ってまいりたいと思っております。
  173. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 それから、最近市街化区域内の農地の宅地並み課税の話が大分出てきております。私どもは基本的にはそうすべきではないかということを従来言っておりますけれども、自治省にお伺いしたいのですが、これで増収は大体どのくらいになるのでしょうか。
  174. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  三大都市圏の特定市街化区域の農地を全部宅地並みに課税をしたとしますと、昭和六十二年度ベースで見ますと約五百五十億円の増収になろうかと思います。そのうち首都圏では、丸い数字でございますが約四百億円と試算をされます。
  175. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私が今ここでちょっと言い出したのは、結局、そういう土地上昇によって大都市の地方自治体の税収がどんどんと上がるわけですよ。私は論文でも指摘したので御存じかと思いますけれども、公共投資が国のお金を使っていろいろなことをやる、それは大都市圏に結構集中しておる、その結果地価が上昇した分は全部メガロポリスの収入になってしまう、だからメガロポリスはまた法人が非常に集まり、法人住民税あるいは個人住民税でとても左うちわになる、だから固定資産税を据え置いておる。固定資産税を上げるともうその都市ばかりが得をしてしまうという一つの矛盾があるわけですね。だから、私どもが土地保有税を上げろ、上げろと一生懸命叫んだその結果が、要するにメガロポリスばかり潤ってしまうという問題があるわけです。  ですから、地方の時代というのはいいのだけれども、やはりもう少し土地税制を、土地保有税を国税にという議論もありますが、その辺についての考え方、これは自治省は財源を失いたくないと思うだろうし、大蔵省は国の財政に組み込みたいと思うかもしれませんけれども。また地方の時代というのが、本当に困っているところと、ただただ金が自然に集まるようにできているところ、非常に二極分化が甚だしくなっておるわけです。だから、そちらの方の非常に困っているところを中心に考えると、護送船団みたいなもので、そういう地価は上昇する、本社が集中しておる。よく東京都の悪口を言いますと、東京都の皆さんが余り悪口言うと民社党の議員が当選できなくなるから余り悪口言わないでくれ、こういうような議論も出てくるのですけれども、やはりここのメカニズムにメスを入れなければいかぬと私は本当に考えているのですよ。だから、この点、いわば土地保有税についての見解を自治省と大蔵省、それぞれ聞いてみましょう。
  176. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えを申し上げます。  土地保有税を国税として考えられないかという御提案かと思います。  委員御指摘のとおり、今固定資産税は地方税として市町村の非常に重要な税源となっております。これは歴史的にも非常に長い地方の税制度でありますが、何といいましても、個人あるいは法人の資産の保有と市町村の行政サービスとの間に一定の受益関係がある、そういった点に着目をして課税されてきている税源であります。  それともう一つ「市町村の税源としては非常に各市町村に普遍性がある、どこの市町村にも固定資産があるということで、私どもは市町村税としては非常にふさわしい税であると考えているわけでありまして、この土地にかかわる固定資産税を国税とするということは、こういうような市町村の基幹的な税目でございますので適当ではないというように考えざるを得ないと思っている次第でございますので、御理解を賜りたいと思います。
  177. 大武健一郎

    ○大武説明員 お答えさせていただきます。  土地の保有にかかります税が地方税とされておりますのは、先生十分に御存じのとおり歴史的経緯によるものでございまして、固定資産税が地方税とされましてから既に四十年余という年月を経過しているわけでございます。これを国税とすることにつきましては、単に国と地方の間の税源配分の観点だけではなくて、より広い見地からの観点での検討が必要ではないだろうかと考えているところでございます。
  178. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 私の質問がちょっと誤解を招くような感じを皆さん受けたかもしれません。要するに、土地の固定資産税を全部国税にしろというほどの言い方ではもちろんないのです。私の言っていますのは、結局そういう国と地方の税源配分というのをもう一遍見直す必要がある。特にメガロポリスにおける、私は論文の中で指摘したのですけれども、例えば法人住民税的なものは二五%は東京に来てしまっている。こういったものはむしろどっちかといえば交付税財源にぶっ込むという手もある。また逆に、それだけ税源がメガロポリスに来るのであれば、そこにおける事業は全部自前でやるべきだ。要するに、国の公共投資によって生ずる地価上昇を全部吸収するのはおかしい。  ここでちょっと私の言ったことが誤解を招いたかもしれません。要するに固定資産税を全部国の方へ持ってくるのではなくて、増価税的な意味の、非常に上がってきている、地価上昇で潤うところをどうするか。だから、国と地方の税源見直しを、いわば資産税でやるのか、法人税あるいは所得税関連でやるのか。例えばイギリスなどというのは、地方自治体は全部レートでやっていましたからね、今まで。最近、人頭税に変える動きがあるようでございますけれども、要するにイギリスあたりは地方公共団体の税は全部資産税でやってきて、そういう法人住民税、個人住民税みたいなものはないわけですから。  そういう既にでき上がっている体系を、今度消費税論争でこれから二年間大いに議論しようという根底には、そういういろいろな今まで当たり前とされてきたものに、もう一遍メスを思い切って入れるくらいの気持ちでやらなければいかぬのではないか。私は、今の固定資産税を全部国税にしろというようにとられたらおかしかったので、土地高騰についてしかるべくやはり税を、公共事業による果実を吸収するシステムが要るということでございますね。
  179. 原田昇左右

    原田国務大臣 安倍委員の、大都市のいわば集積のメリットといいますか、それを吸い上げて、あるいは住宅を供給するような近隣県に相当それに伴う公共施設の整備の費用が要るわけですから少しそういうものに使ったらどうかとかいう点については、私もそういうことはできたら都市問題の一つの解決になりはせぬかな、こういうように思っておるわけでありますが、どういう手段でどういうようにやっていくかというのについては、また安倍委員は大変御造詣が深いわけですから、いい知恵をひとつかしていただけば大いに検討さしていただきたい、こういうように思っております。  いずれにしても、公共投資だけではなくて、要するに大都市というもの、東京がどんどんこれでもまだ事業所が建つ、さらに臨海部も何か事業所をかなり東京都は建てようというような計画があるそうですが、それによって、では通勤者、そこで働く人はどこから来るのかというと、大体近県なんですね。東京の中になかなかそうたくさんいるわけではないわけで、そういうところがみんな住宅を供給し学校をつくり、道路なり公共施設をつくって供給しなければならぬ。それに対する負担が非常にかかるからというので、条例でいろいろな負担を開発者にしろというようなこともやっておるわけでありますが、そういうのがやはりそこの住宅建設に相当負担になっていることは事実であります。  集積のメリットのあるところから少し出してもらうというような考え方は確かに一つ考え方ではないか、率直にそう思います。何か具体的な御提案があれば、ぜひひとつ聞かしていただきたいと思います。
  180. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 国土庁長官、やはりこの土地問題は、今までの既存概念に相当メスを入れないと解決はしないのですよ。さっきの建ぺい率、容積率にしても、要するに公共投資をした反面、ではだれが公共投資の負担をしてその受益をだれが受けるのか。どっちかといえば、私の今の見方は、いろいろなことを国がつぎ込んだ結果がメガロポリスは成長する、高速道路にしても地下鉄にしても、いろいろなそういったものの果実が十分吸収されないで、むしろローカルのメガロポリスが恩典を受けている。そこの辺の機構そのものにメスを入れなければ、単に今のいわば監視区域を設けてばんそうこうを張るだけではだめですよということなんで、基本法の議論というのは最終的にはそういう権限問題、税源問題まで連なる問題であるということを十分御認識願いたいし、そういう理解の上で、さっきの日照権の話なんか実は建設大臣に食ってかかったけれども、そういう要素、既存的なものをちょっと考えを変えていかないといかぬのじゃないかと思いますが、この点いかがでございますか。
  181. 石井一

    石井国務大臣 私は御意見を承っておりまして、ことごとくと申しますか、かなりの部分そのとおりだろうと思います。  ただ国土庁には権限がないなどと言われまして、よし、それならひとつ権限をもう少しと思っておるのですが、任期もそう余り長うございませんから、しかし、次々に立派な方がやられるだろうと思うのでありますが、ただいまの御意見の中で土地保有税の創設、また土地保有に関して重課し、譲渡に軽課する、相続税、固定資産税等は引き上げの方向で――いや、相続税はそうではありませんが、固定資産税等については見直していくというのも、税としての考え方基本的な方向だろうと私は思います。  また、市街化調整区域等につきましても、土地供給の観点から今後見直しをしていくというところ、特に受益に対する正当な負担ということは当然であると思いますが、この辺につきまして直ちにやれるもの、中期、長期で取り組んでいかなければいかぬ問題、いろいろあると思いますけれども、御指摘のとおり監視区域がすべてだとは思っておりません。土地基本法のもとにこれらの抜本的な政策に取り組んでいきたい、そう考えておる次第でございます。
  182. 安倍基雄

    ○安倍(基)委員 持ち時間は終わったけれども、ちょっと誤解があってはいけませんから。  私は、固定資産税は上がるといっても、今の地価上昇はちょっと水膨れな地価上昇であることは事実なんですよ。だから、それにつれてどんどん上げろということまで言っているのじゃなくて、保有税を比較的上げて譲渡税を下げれば土地価格そのものも相当下がってくる可能性がある、そういう意味を含めてですから、誤解があるといけませんので、さっきの固定資産税を国税にするということについての誤解と同じような誤解があってはいけませんから、本当に固定資産税を思い切ってどんどん今の地価上昇に比例して上げろというと、ちょっとこれは行き過ぎですし、私も選挙に困りますから……。
  183. 粟屋敏信

    ○粟屋委員長代理 辻第一君。
  184. 辻第一

    ○辻(第)委員 土地、地価の問題というのは極めて深刻な重要な課題であるということでございます。きょうも朝からいろいろ御議論を聞いておって一層その感を強くしたわけでございます。大臣も大変長時間でお疲れのようでありますが、あと一時間よろしくお願いをいたします。  これは一九八五年、東京都の都心部に端を発していると思うのですね。そして、それが首都圏一帯に拡大をし、いろいろ私ども議論しましたが、東京では非常に高値で、鎮静というより高値でそのままとまった。最近また上昇傾向にあるのではないか、こういうふうに言われておるわけでございます。  また、ことしの国土庁の基準地価によりますと、大阪や札幌、広島あるいは地方のリゾート地域などにおける地価高騰が目立っております。中でも地価暴騰の目立つのは大阪圏で、大阪府は住宅地が全国第一位の三八・七%、商業地が二位の三二・二%、私のおります奈良県は商業地が全国一位の四〇・六%、住宅地が全国三位の二五・五%、京都府が住宅地で全国二位の二八%、地点別でも商業地の最高は兵庫県の川西市の九四・七%、さらに三大都市圏以外の上昇率は、滋賀県が第一位、このように関西規模で大変な高騰が起こっているわけでございます。この数字ですと、このように三八%か最高四〇%というふうな数字で出てくるわけでありますけれども、実際ひどいところになりますと五倍も七倍もこの二、三年の間に上がっているようなところがかなりあるわけであります。  私どもも党の国会秘書団の人を中心に大阪、京都で調査をしてきたわけでありますけれども、それはそれは深刻な状況であります。また、この間この土地特別委員会で愛知県と大阪府と兵庫県を調査に参ったわけでありますが、そこでも大変だなということをいよいよ痛感をしてまいりました。奈良でも庶民の方々、働く人々が住宅がどんどん遠のいてしまった。まじめに働いているだけではなかなか一戸建て住宅を手に入れることが困難だという状況が奈良でも起こってきているように思うわけでございます。家賃の値上げがありますし、また建設省やあるいはそれぞれの地方自治体で公共用地を求められるときにも、それは大変な御苦労があると思うのです。そういう実態ですね。  この問題では、東京圏の地価暴騰の際、その対策の論議が大分やられたわけですね。政府自身も監視区域の面積の引き下げ等いろいろ措置をとられたと思うのです。それから、例えば今の関西圏、殊に最近は大阪の周辺部が特に上がっているというふうに思うのですね。一定の日にちがたっているわけです。土地特別委員会がつくられて論議をやってもう二年はたつと思うのですけれども、そういういろいろな経験、議論をやって、そして一定の期間が来ているのに、今このような大変な暴騰が起こっているわけであります。  そこで、国土庁長官にお尋ねをしたいのですが、国土庁としては今このような、四年前から二年間ほど東京が上がりました。そして、大阪や名古屋や札幌と広がって、そしてこの一、二年は近畿圏でいえば奈良や大阪の周辺あるいは兵庫の周辺、そういうところがずっと上がりましたね。こういう大阪の暴騰が今全国にこんな異常なほど高値で広がるということを想定をされておったのかどうか。いかがでしょうか。
  185. 石井一

    石井国務大臣 委員が御指摘のとおり、実は中心部から、商業地から住宅地へ、住宅地から今度は周辺部へ、また東京の中心部から大阪圏へ、あるいは周囲の核都市へ、核都市からまた周辺部へ、こういうふうな状況にいっておったわけですが、本当に地方と申すところはそれほど異常なものを見せておりません。この二、三年の非常に特異な現象でございます。私も就任をいたしまして、次に必ずここへ来るということが予想できたのではなかったかということを質問したわけでございますけれども、この辺は数量的に変動を予測できるものではない、いろいろと策を講じてきたけれども結果的にこうなったというのが実情だと思います。
  186. 辻第一

    ○辻(第)委員 僕は、こんなにひどいというのは国土庁としては予測できたのではなかったかと思うのです。結果的にいろいろやられ、対策をとられたですね。しかしそれは、私どもは、先ほどもお話がありましたように対症療法ではあかん、しっかり病根にメスを入れなければあかん、そういう立場でいろいろ提言もしてまいりました。しかし、そういうことがやられずに、その他いろいろ金融の問題も重要な問題です、やられてきたのですけれども、ほとんど効き目がなかった、結果からいえばそういうことではないかと思います。  そこでお尋ねをするのですが、先ほどもちょっとお話がありました、本当に抜本的なメスを入れる。例えば一つの方法は、規制区域に指定をして許可制にする。こういう問題を何でやらなかったのかというのが私はいまだに本当に残念で仕方がないのですが、大臣はどうお思いになりますか。
  187. 藤原良一

    藤原政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、東京に端を発しました地価高騰は、経済、金融情勢が変わらない限りいずれその周辺あるいは地方圏に波及するのではないか、どの地域にどういう順序でどういう伸び率でというところまではなかなか予測できないのですが、そういう波及の蓋然性は感じておったわけでございます。そういうことで、とりあえず対応しやすいのは監視区域制度でございますので、私どもも各ブロックごとに公共団体等地価対策連絡会議を持ちまして、東京の轍を踏まないように、できるだけ早く監視区域制度の事前指定、運用を図ってほしいとお願いしてきたわけであります。しかし、これは非常に一生懸命努力していただいている公共団体に申しわけないのですが、ただ監視区域制度のような緩やかな規制行政でも、先ほど審査体制あるいは予算の問題があると申し上げましたが、その前にコンセンサスづくりに非常に苦労されるようです。時間もかかります。  そういうことで、結果論としてはやや遅かったというふうに私は感じているのですが、それをさらに規制区域となりますと、先生もよく御承知のように非常にきつい私権制限が伴います。地価はほとんど指定時の価格に凍結近くなりますし、利用目的も本当に法律で限定列挙された目的に利用するしか許可されない、取引は大小を問わずすべての取引が許可制に係るわけですから、規制区域にはとても一足飛びには行けなかったというのが実情でございます。  私どもは、監視区域の運用を強化し的確に行えば、指定面積、届け出面積も下限は下げられるわけですし、審査に当たっても的確、厳正に行えるわけですから、かなり効果が期待できるのではないか。しかし、監視区域を厳しく運用してもなおかつ騰勢が衰えない場合には、やはり規制区域も現実の問題として検討せざるを得ない。そういうことで、公共団体といつも話し合っておるところであります。
  188. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、これまでの経験からいえば、もうこれは瀕死の状態というのが現状だと思うのです。さっきも言っていたけれども、ばんそうこうや湿布ではいかぬ、本当にメスを入れなければいかぬというような状態ならば、いろいろな問題もあろうけれども、ちゃんと法律にもあるわけですから、思い切って規制区域をやっていただかなくてはならなかったのではなかったかと思うのです。大臣は何か先ほどの質問でそういう点お話があったと思うのです。済みません、もう時間がありませんので結構です。  それはそれとして、一歩譲って監視区域にしても、もっと十分なやり方があったのではなかったかなという、もっと早く、それから広く、それから対象が、その地域によって面積だけでなしに大体六割、七割ぐらいの方が売買に網がかかるぐらいにならぬといかぬ、そういう問題もあったと思うのです。  それから体制ですね。この間それぞれの府県にお尋ねしたときに、大変な御苦労をいただいている話を聞いたわけでありますが、ああいう体制、人数とか予算では今の状態に十分対応できる状態ではないなという感じがしました。そこで府県の方は、国からの予算を十分つけてほしいというような御要望もあったわけです。ですから、監視区域についても、本当に現場ではいろいろ大変な御苦労をいただいているのはわかるのですが、もっと十分な体制ができるように国土庁としてはこたえていただきたかったなと思うのです。そういう意味で、まだまだこれからもいろいろな広がりもあろうかと思いますので、地方自治体に十分な予算措置を講じていただきたいというふうに思うのですが、大臣いかがですか。
  189. 石井一

    石井国務大臣 監視区域の弾力的運用ということに関しましては、我々はそれなりに評価しておりますので、今後も厳しくやっていきたいと思いますが、主体が県知事なり指定都市の首長というふうなサイドでございまして、そういう面、我々は指導はできましても強制はできないというような一面もございます。そういう中から、多少後手に回ったということも反省材料として持っております。  それから予算に関しましては、最近この制度に対します理解も深まっておりますので、補正を組むなりなんなりしまして積み重ねていきたいと思っております。  それから、委員御指摘のとおり、最も厳しい状況にありました値上がりは東京でございます。しかし、美濃部さんでも十数年規制区域をかけられなかったのでございまして、国土庁としましてはいろいろとその間のやりとりもやったはずでございます。これまでそれ以外にも埼玉県なり茨城県に対しましてもそういう話し合いをやったわけでございますが、最終的な意思決定があらゆる経済行為に波及するために、そこまで至らなかったということも事実でございます。
  190. 辻第一

    ○辻(第)委員 それから、もうこれまでもいろいろ論議があったのですが、地価高騰の促進要因には金融の問題があることは言うまでもありません。  先日、私どもの中島議員からもお尋ねしたわけでありますけれども、私どもの調査の実態を聞きますと、それはもうひどいのですね。土地の取引のためなら銀行は何ぼでも融資してくれる、あるいは銀行が対象物件を確保しておいて融資を勧めに来る、こんな状態まであると言われているのです。東京金融機関が土地投機に対して、不動産会社その他の土地投機的な買い占めに対して物すごく金融の面から積極的にこれを支えていったという大きな反省があるわけですね。そして金融面からきっぱりとした指導をしますということであったと思うのです。ところが、その後もそんなに緩んでいないのに、関西ではもうかなり前から上がり出しておるのに、その実態は野放しで、逆に金融機関が売買の物件を示しながら、金を貸して、要らぬかということまで言うという状態があったというふうに聞くのです。  これはとんでもないことだと思うのですね。本当に政府金融機関に対して不当な過剰な融資を規制する、これは当然ずっと継続して繰り返しやっていただかなければならなかったものだと思うのです。ところがこんな話なら、そういう金融機関に対する国の規制といいましょうか指導といいましょうか、そういうものがやられているのかどうかというふうな点で疑問に思うのですね。今度の国会の中で、一生懸命大蔵省とも折衝してやっていますという大臣お話は何度も聞かせていただいて、熱意のほども感じているわけでありますが、それまでどうだったのか。それからノンバンクの問題もありますね。そこのところへは指導が難しいのかどうかわかりませんが、そういう問題も含めて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  191. 石井一

    石井国務大臣 過去にさかのぼることですので、ひとつ政府委員から御答弁させたいと存じます。
  192. 藤原良一

    藤原政府委員 土地関連融資につきましては、六十年の夏ごろから、やはり今回の土地事情は大変だ、そういう認識を持ちまして、東京都ともいろいろ御相談しまして、東京における地価対策について御相談し、当面の方針を固めたわけであります。また、それとあわせて金融機関及び不動産業界に対しまして投機等の取引は慎むように要請したわけでございます。  以来、四回にわたって大蔵省に金融機関の指導方をお願いしてきております。その中で、六十二年の七月には大蔵省では金融機関に対して特別ヒアリングを実施されまして、融資の実態、融資案件に係る相手方の利用計画、その他かなり詳細な報告を聴取しておられるやに聞いております。また十月からは、監視区域内におきます融資に際しましては、届け出の対象土地に関する融資が行政機関から不勧告通知を受けておるかどうか確認の上融資をすること、さらには、土地利用計画が十分整備されているかどうか、また、借りかえに当たりましては、その後の利用計画の進捗状況も十分確認する、そういうことを特別ヒアリングの中で加えておられます。また、今回、地方への波及に伴いまして、ノンバンクの融資も対象に加える。非常に努力をしていただいております。
  193. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろ対応はとられたと思うのですけれども、実態は第一線ではこういうことですね。  それから、先般中島議員が数字を挙げてその問題点を指摘をさせていただいたのですけれども、この一年間は大変融資がふえております。また地方銀行の融資が最近ふえている、そういうことも現状と合うわけであります。何としてもこの問題、これまでのような、やっておりました、努力しておりましたということじゃなしに、実効のあるような対応をとっていただきたいということを重ねて強調いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次は、宅地並み課税の問題でお尋ねをいたします。  これは昭和四十六年の制度改正で宅地並み課税制度が導入をされたということでありますが、建設省は来年度の税制改正に当たり宅地並み課税の見直しの考え方を持っておられるようであります。また、さきに開かれた土地対策関係閣僚会議でも、市街化区域内農地の宅地化策について具体策をまとめることを決められたようであります。しかし私どもは、また宅地並み課税強化の議論が出てきたな、正直なところ、またか、こういうふうな感じを持つわけです。大体この宅地並み課税の議論というのは、いつも決まったように土地住宅対策の手詰まりのような状況が起こったときに浮上してくるということでありますが、先ほど申しましたように、この近年の地価高騰に対する対策がいま一つ効果を上げていないばかりか、地方都市にまで波及しているという状況で、また宅地並み課税の問題が浮上してきているわけです。  三大都市圏内の市街化区域内農地は約六万ヘクタール、宅地並み課税対象農地は約四万ヘクタール、長期営農継続農地が約三万六千ヘクタール、東京圏では二万三千ヘクタールというふうに私どもは聞いているわけでございます。  自治省にお尋ねをいたします。この農地は当然営農が行われているわけでありますが、もちろん営農が行われないなら取り消しになることは言うまでもないと思います。この長期営農継続農地が法の趣旨にのっとって適切に運用されているのかどうか、自治省にお尋ねをいたします。
  194. 遠藤安彦

    ○遠藤(安)政府委員 お答えをいたします。  長期営農継続農地は、市町村長が認定をするわけでございますが、その前段階といたしまして、農地課税審議会の議を経て行うということになっております。認定がより適正に行われますように、営農計画書でありますとか、営農実績書の活用とか、現地調査を励行するといったような内容の通達を実は六十二年の九月に地方団体に示しているところでございまして、その後も、同年、六十二年の十月に閣議決定されました緊急土地対策要綱を踏まえまして、制度の厳格な運用について重ねて通達を地方団体にして指導しているところでございまして、そういった意味から厳格に行われていると考えております。今後ともこの長期営農継続農地制度については、営農実績につきまして適正に確認するといったようなことを指導していきまして、偽装農地が生ずることのないよう厳正な運用が行われるように留意してまいりたいと思っております。  以上でございます。
  195. 辻第一

    ○辻(第)委員 自治省は適切に運用をされているということだったと思います。  この長期営農継続制度やあるいは市街化区域内農地の役割について、これまでも農林水産大臣を初めとして、都市における緑地の確保やあるいは都市農業の役割の重大さを認めてこられたと思うのですね。  農水省にお尋ねをいたしますが、この市街化区域の長期営農継続農地の果たしている役割についてどのようにお考えになっているのか、お伺いいたします。
  196. 山口勝朗

    山口説明員 お答えいたします。  都市農業につきましては、都市住民に対する野菜など生鮮農産物の供給に加えまして、緑やレクリエーションの場の提供、環境保全などの役割を果たしていると考えておりますが、ただ、現在の市街化区域内農地につきまして、昨年六月に閣議決定されました総合土地対策要綱におきまして、宅地化する農地と保全する農地に区分し、宅地化する農地につきましては必要な都市基盤の整備を図りつつ宅地化を進めるべきものとなっており、また、税制面の取り扱いについてはこれに応じて見直すこととされております。したがいまして、長期営農継続農地制度につきましても、この税制面での見直しの中で検討されるものと考えておりまして、農林水産省といたしても、こうした基本方向で協力してまいりたいと考えております。
  197. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、また国土庁長官にお尋ねをいたします。  先ほど来申しましたけれども、この地価高騰というのは、東京集中政策や資本の都市集中あるいは金余り現象、こういうことの上に土地投機、そして金融機関がそれをバックアップするというようなことにあったことは言うまでもないのですね。財界もこの宅地並み課税については賛成、最近何か声が小さくなったという報道もあるのですが。それから、アメリカが日米構造協議の中で宅地並み課税を促進するような、これは私は許すことができないと思うのですが、そういう声があるようであります。  そういう状況があるのですが、これまで国会で私がお尋ねをしましたその中でも、需給のバランス、市場のメカニズムという話が何度か出てまいりました。土地の供給を十分すれば地価は下がるんだ、極めて一般的に言えば私はそういうことだと思うのですね。しかし、日本の現状の土地の暴騰というのはそういうものでない、恐ろしいほどの土地投機の中で事が進んでおる。  先般訪れました兵庫県、先生のところの兵庫県、それから大阪、愛知でしたけれども、殊にその兵庫県などは、十分な住宅、土地対策を何カ年計画でやっていると、何か胸を張っておっしゃっていたような気がするのです。それで、いわゆる需給のバランスですね。供給が足らぬから暴騰しているんだということではないのですね、おっしゃる感じでは。そこのところがやはり投機だ、仮需要というか投機、こういうものが今の暴騰の中心的な原因なんだ、こういう感じに私は受け取ってきたのです。ほかの委員の方も皆そういうふうにお感じになったと思うのです。一般的には需給のバランス、市場のメカというのはわかるのですけれども、今の日本の現状ではそういう問題ではないと思うのですね。ですから、もちろん土地神話の問題というようなものも基礎にはありますけれども、宅地並み課税を見直す、長期営農継続農地のこの制度を見直すということでは解決しないと私は思うのです。  ここは、先ほどありましたやはり都市農業の重要さですね。それから、緑の問題です。この緑の問題では、例えば東京あたりで言えば、災害対策なんかでも重要なところだと思うのですね。あるいは、市民農園でありますとか、こういうようなのは教育あるいは健康というようなことも含めて大きな役割をしておるわけですね。そういうことを含めて、ぜひこの長期営農継続農地制度を引き続きやっていただきたいというように思うのですが、国土庁長官の御所見を伺いたいと思います。
  198. 石井一

    石井国務大臣 長期営農農家を継続するというのは当然考えておるわけでありまして、ただいま自治省なり農林省からいろいろ答弁がございましたが、あの答弁どおり、農業を営み、そういう意思があり、また、そこに当然の収益を上げておるというお方に対しましては、今後それを継続的にそういう形で指定していくというのが正しいと思います。  ただ一面、事実はともかくといたしまして、最近東京都でクリの生産が最も高くなってきて、全国第三位だというようなデータもございます。「桃栗三年柿八年」なんて申しまして、三年で余り手も加えることも必要じゃございませんし、また、確実にどこから見ても農家である、こういうようなこともあるわけですが、その地権者なり所有者が、それじゃその相続をされる方がどういうお立場にあるのか等々考えますと、これはやはり短期的に税逃れという形のまま、そういう形で農業が営まれておるというところもあるでしょう。また、いろいろ何平米という言い方よりも、東京都で農地として残っておるのは中野区一つだ、こう申し上げてもいいと言われておるわけですから、地図で中野区を見ますと、私もこの間かなり大きなところがどこに残っておるのかなというふうに考えたわけでございます。また、私たちが時々郊外へ出てまいりますと、ここを農地にしておるのはおかしいじゃないかというようなところも我々のような素人が見ましてもたくさんあるわけでございます。だから、その辺のものをきっちりとこの際ひとつ区切りをつけたい。保全すべきものと、今後宅地とした方が地権者に対しても周辺に対してもプラスになるんじゃないか、そういうふうなものと、いろいろあろうかと思います。  要は、十年前、二十年前でございましたら、まじめに働くサラリーマンや勤労者が、埼玉県か千葉県くらいの境まで行きますと所得の五倍とか六倍とかという価格で取得できたものが、最近は茨城県なり山梨県まで行かなければいかぬ。それがマイホームか、そのために二時間の通勤がかかるんだ。こういう状況になりましたら、やはりどちらにウエートを置いていくのか。まじめに働く勤労者の大多数の人々に対してウエートを置くのか、ごく一部の農業経営者に対して置くのか、この辺も一つ政治の課題だと思います。  私は、共産党のような進歩的な政策を持っておられるお方から見れば、土地の地権者よりも、田舎から出てきて一生懸命働いておるこういう人々に対して、たとえ土地つきでなくても都会に近いところへ、二時間の苦しい通勤を排除してあげて三十分なり一時間以内にしてあげるというのも、これまた一つ政策であり、そして政治だろう、こう思うのですが、いかがですか。
  199. 辻第一

    ○辻(第)委員 それは、今のお話は私どもから言わせれば、こんなに土地が暴騰して、そして今おっしゃったように茨城県へ行くか山梨県へ行かぬと土地が買えない、家が持てないという状況にしたのは農家の人ではないんですよ。もうその中心は自民党の政治であり、殊に中曽根さんのあの民活ですね。もちろん、経済的に成長した問題、金余りの問題、それはいろいろありますよ。それと、投機ですわな。その投機をやっているのは、だれが主に投機をやったんかなというところですね。普通の国民土地投機なんて、そんなに買えませんもの。それは、二万や三万のものなら買えるでしょうけれども、土地を買うなんというのは、そう簡単に買えるものじゃありませんね。ですから、やはりそこのところを、何でこんなになったんかということをよう見て言うていただかないと、私どもが農民の皆さん方の立場に立っていわゆる勤労者の立場に立っていないというのは、この大臣の論は私はいただけないというふうに思うわけであります。  時間がありませんので、この問題にかかわっておるわけにいきませんので次へ移りたいと思います。  それじゃ大臣に伺いますが、大企業保有の低・未利用地というのがたくさんありますね。それからもちろん国公有地、埋立地、こういうものもあります。東京圏には六千ヘクタールの国公有地があるようであります。企業の保有の低・未利用地が二万三千ヘクタールというふうに聞いているわけであります。これは大変な土地があるわけですね。先ほど農地で二万三千ヘクタールというふうに私はたしか聞いておったわけでありますが、それより上なんでしょうかね。また、別の資料では二万九千ヘクタールという資料もあるのですね。こういう土地こそまず最初に住宅対策に使うべきではないか、このように考えるのですが、いかがですか。
  200. 石井一

    石井国務大臣 私が持っております資料では、工場跡地、国公有地六千ヘクタール、その他の低・未利用地が二万三千ヘクタール、農地、これは三大都市圏ですが、六万八千ヘクタール、こういうふうになっておりますので、農地の面積だけを考えますと一番多いようでございます。しかし、利用ということを考えました場合には、今御指摘のこれらの低・未利用地というのは当然対象にしていかなければいけませんし、国公有地というのは政府が率先垂範してこれを使用していくということが必要だと思います。  それからまた、こういう土地利用政策を転換するという場合にはやはり国民的コンセンサスというふうなものが必要だと思いますので、ある一部の方だけに対しての施策というのは片手落ちだと思います。したがって、これは、企業の所有する法人税あるいは相続税というのはございませんけれども、税制の補強というものが非常に要るわけであります。生活に必要な百坪以内あるいは五十坪以内というふうなものに対しては税制の補強は必要ではございませんが、今後そういうふうなものに関しまして利用計画をきっちりいたしますとともに、税制を補強する中からこれを公共の福祉に供してもらうという方向に持っていきたい。片手落ちにならないように、車の両輪のごとく使用したい、そういう考え方を持っております。
  201. 辻第一

    ○辻(第)委員 それで、この土地問題、住宅問題の解決のかぎの一つは、やはり国公有地と大企業保有の遊休地を住宅用地あるいは緑地として活用していく。例えば、東京都内の利用可能な国公有地の半分で住宅が十万戸建設可能だ、こういうようなことも私どもは提唱をしているわけであります。そういうことで、この国公有地あるいは企業保有の低・未利用地を十分に活用するために御努力をいただきたいというふうに思います。  次に、建設省にお尋ねをいたします。  土地を多く持っている大企業五十社の土地所有面積は大体四千五百六十六平方キロだそうであります。それをわかりやすく言いますと、東京都と神奈川県の面積に匹敵するそうであります。土地をたくさん持っている上位五十社の総面積は東京都と神奈川県に匹敵する、こういうことです。一方、九百万戸が民営の借家に住まわれておりますね。九百万戸といいますと、二千万か三千万の方が土地を持たずに民営借家に住まわれているということであります。そして一方、大企業はこんなにたくさんの土地を持っているのですね。私は先ほど二万三千ヘクタールと言ったが、ある新聞では二万九千ヘクタール、朝日新聞の十月ですが、そういうふうに出ております。これは近くもうやめる、今しかし最後の稼働中という工場も含めてそういうふうに言われているわけです。  私は、ここで提案をするのですが、このような大企業の遊休地を適正な価格で住都公団や地方自治体が買い受けて、そして公共賃貸住宅を大量に建設すべきではないのか、このように思うのですが、大臣いかがでございますか。
  202. 原田昇左右

    原田国務大臣 今、大企業の持っておられる所有地、こうおっしゃっておられますが、その中には我々の一番困っておる大都市圏の中にないのもあるでしょうし、また、工場として使っておられる、実際に必要としてやっておられる部分も含まれておると思われますので、一概に議論するわけにはいかないわけでございますが、しかし、先ほど来国土庁長官が御答弁申し上げましたように、大都市の本当にまじめに働く勤労者に良質な住宅を供給するということは極めて大事なことであると我々認識しておるわけでありまして、そのためには工場の跡地等の未利用地あるいは市街化区域内の農地の宅地化すべきもの、あるいは公有地、国公有地等で宅地化できるもの、こういうものをできるだけ宅地化に動員する、税制あるいは都市計画あるいは建築規制等のあらゆる手法を使いまして、そういう方にひとつぜひ住宅宅地の供給資源として活用させていただくような手法を講ずることが非常に大事だと思うのですね。それからまた、都市の再開発事業を進めるとか、あるいはまだ調整区域であるところを宅地化するとか、そういう方法もあわせまして総合的な住宅宅地供給促進対策というものをぜひとも推進したい、私たちはそう考えておる次第でございます。     〔粟屋委員長代理退席、委員長着席〕
  203. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は上位五十社の全国の土地の話もしたのですが、大体東京圏では企業の低・未利用地は二万三千ヘクタール、朝日新聞では二万九千ヘクタール、こういうふうに出ております。それから、ちなみに東京圏の長期営農継続農地は二万三千ヘクタールでございます。大体同じくらいなんですね。農地と同じくらいの低・未利用地がある。そういうことでありますので、ぜひ適正な価格で住都公団や地方自治体にお譲りをいただいて、本当に安くて住みよい公共賃貸住宅を大量に建設をしていただきたいということを重ねて要望して次に移りたいと思います。  ところが建設省は、大企業の遊休地、低・未利用地に対して、事務所部分の上にマンションを併設すれば容積率をふやしてもよろしい、あるいは遊休土地利用要請勧告制度と特別土地保有税の拡充、こういうことを考えておられるようでありますが、いかがですか。
  204. 原田昇左右

    原田国務大臣 一般的に言って民間の土地所有者なり建物の所有者に住宅を建てていただくには、やはり何らかの形のインセンティブが要るのだろうと思うのです。そういうためには、その一つの方法として、事務所プラス住宅というものを建てていただく場合には容積率のかさ上げをしてさしあげよう、こういうことによって住宅供給を促進しようじゃないか、こういうことでございます。
  205. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、そういういろいろなインセンティブを与えて誘導をされても、そこで建てられた住宅というのはやはり利潤を追求をされる、そういう要素が非常に強いと思うのです。ですから、そのこと自身が大企業のもうけの一つの手段になって、有利な不動産事業に熱中をされるといいますか、そういう方向へ行くのではないかというふうに思うのですね。ですから、やはり住都公団や自治体が大企業の遊休地、低・未利用地を適正な価格で買い取って公的賃貸住宅を大量につくることこそ土地、住宅問題の解決の早道ではないかというふうに思うのですが、同じことを言ってなにですけれども、もう一言お答えいただきたいと思います。
  206. 原田昇左右

    原田国務大臣 今のお話ですが、事務所を建てるのにプラスアルファで住宅が建てられるということになれば、土地代は一〇〇%その住宅費に組み込まなくても済むわけですね。ほんの一部だけ負担してもらえばいいはずでありますので、一般の市場価格、土地を買って住宅を建てるという民間事業者がやる場合よりは低廉な価格で供給できるはずであります。そこは十分そういう手段を、我々としてもやる以上はそういうことで供給していただくようにぜひ指導をしてまいりたいと思います。  あなたのおっしゃる、確かに公的な住宅によらずして低廉な賃貸住宅はできない、こういうように決めてかからぬでもいいと思うので、例えば公的な住宅でも、非常に高い地価のところを公共主体が買い取って、そこで住宅供給するという場合を考えますと、どうしても値段はある程度高くならざるを得ないわけですね、いかに公的主体であろうと猛烈な赤字を出すわけにまいりませんので。その辺は全体のバランスを考えながらやっていかなければならぬ問題ではないかと思うのです。いかに公共団体といえども無限に税金で補給してもらうわけにはいかないわけですから。したがって、民間主体がおやりになる場合は、大いに民間にもやっていただけるような、しかも低廉な良質な住宅を供給していただけるようなインセンティブを出していこう、こういうことでございます。
  207. 辻第一

    ○辻(第)委員 住都公団だとかあるいは地方自治体に適正な価格で売却をして建てるということになれば、安くて良質な住みよいものができるのではないかと思います。  では、次に移ります。  お年寄りの住宅問題であります。殊に東京など、大阪もそうだと思うのですが、古いアパートが取り壊しになって、そこから出ていかなくてはならないお年寄りの緊急対策です。  老朽の木造アパートがマンションなどに建てかえられるというのがたくさんあります。家賃が高騰して、この結果、お年寄りがそのもとの場所にお住みになれないというケースがどんどんふえてきているわけであります。そのこと自身は、私も年をとってきて昔のものが懐かしいというか、お互いにわかりますね、もう大臣もなにですので。大臣は違うかもわかりませんけれども。そういうところは古いところがあるのです。これは東京の江戸川区の例なんですが、区内の六十五歳以上の独居老人は六十二年に三千三百二十二人、同年齢の夫婦だけの世帯は二千百九十五世帯、このうち約三割に当たる千七百世帯が家賃三万円未満のアパート暮らしで、大半が月収十万円程度の年金生活者ということだそうであります。これは十月三十日の毎日の夕刊の記事です。さらに、同区内では新築アパートの平均家賃は、一DKでも六万六千六百円、二DKなら八万二千三百円、これは高いです。十万円の年金生活者ではとても話になりません。お年寄りの希望家賃の平均は、一DKで三万二千四十五円、二DKで四万五千九百七十五円。細かい話でありますが、こういうふうに大きな開きがあるのです。  現在、老人住宅確保のために、都内二十三区のうち十三区で民間アパートの借り上げ提供、老人アパートの建設を行っておられるほか、ほとんどの区でアパートのあっせん事業をしておられる。しかし、希望するアパートとの家賃差額の補助制度が大きな政治問題になっているということであります。  総理府が昨年行った調査によりますと、六十五歳以上の単身者は全国で百三十六万六千人、そのうち長屋建てに住んでいる人は十九万人、東京都の八七年の調査では、ひとり暮らしの六十五歳以上の老人の二七%が、住宅で困っている、このようにお答えであります。たくさんの単身のお年寄りがおられ、しかも住宅にお困りになっておるわけです。  建設省のまとめによりますと、公営住宅で老人用住宅は全国で一万六千二百戸、住宅事情が厳しい東京でも五千七百三十六戸にすぎない。八七年からケアサービスつき老人住宅、シルバーハウジングが建設されていますが、全国でわずか三カ所、六十戸で始まったばかりという焼け石に水の状況です。こうした深刻な事態にあるお年寄りの住宅問題、その背後にある土地問題をこれ以上放置することはできないと思うのです。  ここでお尋ねいたしますが、そこで江戸川区では、現在住んでおる部屋と同程度の間取りの部屋への住みかえを原則として、旧家賃と新家賃との差額分を全額補助する、契約時に必要な敷金、礼金、業者への仲介料も補助する方針を決めた、こういうことであります。建設省としては、こうした自治体の努力をどのようにお考えになるのか、お尋ねいたします。
  208. 原田昇左右

    原田国務大臣 今お話しのような地方自治体が独自の措置をとって高齢者の住宅に対する対策をやっておられる点は、それぞれの地域の住宅事情に応じて判断されるものと考えております。  我々は、例えば公営住宅については、公営住宅法において地方自治体に供給すべき義務を課しておるわけでありまして、国としては老人世帯向け公営住宅等の確保を図るように地方公共団体を指導しておるところでございます。
  209. 辻第一

    ○辻(第)委員 こういう江戸川区の補助の制度を国としてもつくるべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  210. 原田昇左右

    原田国務大臣 国として特にこういう制度をつくる考えはございません。私たちは、地域の独自の御判断あるいは地域の事情によってそれぞれの地域が対処していただくということではないかと思います。ただ、国で、例えば住都公団等がいわゆるひとり暮らしの老人用に向くような住宅を建てた場合に入居にそういう方々に特別な配慮をするとか、こういうことはいたしたらいいと思っております。
  211. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほど建設省としても、お年寄りが住める住宅が足りないということについて、そういうお年寄りの住宅を地方公共団体に建てるように話をしておるというお話でしたが、もう少し具体的な方針というか施策をおっしゃっていただけませんか。
  212. 伊藤茂史

    伊藤(茂)政府委員 今大臣から御答弁申し上げましたが、つまり、その地域内にどういうような老人世帯が将来どういうふうにふえていくのか、あるいはどこに住むのかということを一番把握しておるのは当然にそれぞれ地元の公共団体であると思うわけでございます。したがいまして、それぞれの市町村におきまして、具体的に老人のための住宅計画と申しましょうか、そういうものを考えておるところがだんだんふえてきております。  そういう全体の構想の中にのっとりまして、例えば公営住宅団地をつくるときに、介護の相談をしたりなんかする人、ライフ・ケア・サービスと申しましょうか、そういうことをする人たちを一緒に住まわせてそこで相談させるとかいうような厚生行政との連携もこれからやろうということで、先ほど先生から御指摘がありましたシルバーハウジングの構想もシルバータウンの構想もやっておりますし、それから、大臣がちょっと申しましたのは具体的に来年度から公団が予算要求をしておるものでございまして、住宅供給公社は神奈川県の公社で昨年からやっておるものがございます。これは先生が先ほどから御指摘になっておるような低額所得者の問題ではございませんで、言うなれば中堅所得の御老人だと思いますけれども、前もって家賃を全部払いまして終生そこに住む、そして生活に必要ないろいろなサービスは別途お金を払って受けるというような制度も考えております。  公営住宅は、先ほど大臣が申しましたように公共団体の事情に応じて必要な数を確保するというのが基本でございます。さらにプラスアルファして、特に東京二十三区の中で、先ほど先生十三区と申されましたけれども、私ども調べましたところ十一区でございますが、そういう区ではいろいろなプラスアルファの手当てをしております。そういうものもこもごもあわせまして、いろいろな階層の老人住宅というものをこれから確保していくということが重要になろうかと思っております。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう少しお尋ねをしようと思っておったのですが、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
  214. 大塚雄司

    大塚委員長 次回は、明十五日水曜日午前十時より公聴会、午後零時四十分より理事会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十分散会