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1989-11-07 第116回国会 衆議院 土地問題等に関する特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月七日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 大塚 雄司君    理事 粟屋 敏信君 理事 大坪健一郎君    理事 大原 一三君 理事 桜井  新君    理事 井上 普方君 理事 薮仲 義彦君    理事 青山  丘君       今枝 敬雄君    江口 一雄君       加藤 六月君    金子原二郎君       亀井 善之君    木部 佳昭君       鯨岡 兵輔君    古賀  誠君       佐藤 守良君    椎名 素夫君       田村 良平君    武村 正義君       谷  洋一君    中島  衛君       穂積 良行君    柳沢 伯夫君       大原  亨君    菅  直人君       辻  一彦君    中村  茂君       小谷 輝二君    中村  巖君       森田 景一君    辻  第一君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 原田昇左右君         国 務 大 臣 石井  一君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       北村廣太郎君         国土庁計画・調         整局長     長瀬 要石君         国土庁土地局長 藤原 良一君         建設大臣官房審         議官      白兼 保彦君         建設省建設経済         局長      望月 薫雄君         建設省都市局長 真嶋 一男君         自治省税務局長 湯浅 利夫君  委員外出席者         大蔵省主税局税         制第一課長   長野 厖士君         大蔵省銀行局中         小金融課長   武藤 敏郎君         建設大臣官房審         議官      河原崎守彦君         建設大臣官房審         議官      立石  真君         土地問題等に関         する特別委員会         調査室長    若杉 公朋君     ───────────── 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  土地基本法案内閣提出、第百十四回国会閣法第六一号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第六二号)  土地基本法案伊藤茂君外三名提出、第百十二回国会衆法第一五号)  国土利用計画法の一部を改正する法律案大出俊君外八名提出、第百十一回国会衆法第一号)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 大塚雄司

    大塚委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出土地基本法案、第百十四回国会内閣提出国土利用計画法の一部を改正する法律案、第百十二回国会伊藤茂君外三名提出土地基本法案及び第百十一回国会大出俊君外八名提出国土利用計画法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  ただいま議題といたしました各案の審査のため、去る十月二十四日、二十五日の二日間、愛知県、大阪府及び兵庫県に委員を派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めたいと存じますが、私が便宜この席から御報告申し上げます。  派遣委員は、団長であります私のほか、粟屋敏信君、大坪健一郎君、大原一三君、桜井新君、井上普方君、薮仲義彦君、青山丘君、辻一彦君、辻第一君の十名であります。また現地において、小谷輝二君、西村章三君の二名が参加されました。  以上十二名をもちまして、愛知県、大阪府及び兵庫県における最近の地価動向土地利用等状況を聴取するとともに、関係現地視察を行ってきたのであります。  まず、第一日目の二十四日は、愛知県より、第四次全国総合開発計画に位置づけられた産業技術中枢圏域づくりを進めていくため、中部新国際空港リニア中央新幹線、第二東名・名神自動車道等の大規模プロジェクトの実現に取り組むには有効な土地対策が必要であり、そのためにも土地基本法制定されたいとの要望があり、次いで本年の愛知県の地価調査監視区域制度運用等についての説明を聴取しました。  続いて、派遣委員愛知県及び名古屋市の間において、(1)地価平均変動率が鈍化している理由、(2)監視区域指定基準指定による事務量指定効果、(3)金融機関不動産業向け土地融資状況、(4)未利用地低利用地状況、(5)宅地需給状況と仮需要、(6)地価公示相続税評価固定資産税評価状況、(7)住宅取得価格、(8)宅地並み課税対応等について熱心な質疑が行われました。  続いて、記者会見を行いました。  第二日目の二十五日は、大阪市の大阪駅北地区再開発視察しました。同再開発対象地は、旧梅田貨物跡地、旧大阪鉄道管理局舎用地で約二十二ヘクタールあり、同用地について国鉄清算事業団より説明を聴取しました。また、同地区再開発について、現在大阪ターミナル問題懇談会において開発構想を検討中とのことでありました。  次に、大阪府より、東京一極集中の是正と地方分散必要性、有効な土地税制活用不動産業向け土地融資抑制等による土地対策の確立と土地基本法早期制定必要性及び旧国鉄用地跡地利用に当たっての地元の意思を尊重されたいとの要望がありました。次いで、大阪府の本年の地価調査監視区域制度運用等について、また大阪市より同市の再開発プロジェクトについて説明を聴取しました。  続いて、派遣委員大阪府及び大阪市の間において、(1)監視区域制度地価抑制効果不正届け出の有無、指導価格、(2)大阪地価上昇東京地価水準との関係、(3)未利用地状況、(4)将来人口、(5)宅地需給状況と仮需要、(6)東京資本大阪地価上昇、(7)宅地並み課税対応等について熱心な質疑が行われました。  続いて、記者会見を行いました。  次に、神戸市が開発中の六甲アイランド視察しました。同プロジェクトの全体計画は、面積五百八十ヘクタール、計画人口三万人、戸数八千戸、総事業費一兆二千四百億円でありますが、平成元年度の造成面積進捗率は八七%が見込まれております。また住宅ゾーンについて見ますと、現在の供給戸数は約一千戸、定着人口は約三千人であり、中高層住宅入居倍率平均二十六倍、最高倍率は二百倍とのことでありました。  次に、兵庫県より、阪神地域地価が上昇し、監視区域指定等地価対策を進めているが新しい土地対策が必要であり、そのためにも土地基本法を早く制定されたいとの要望があり、次いで同県の本年の地価調査監視区域制度運用等について説明を聴取しました。  続いて、派遣委員兵庫県及び神戸市の間において、(1)宅地需給状況住宅計画、(2)知事権限による土地融資抑制、(3)都市計画事業建築等制限、(4)用地先行取得、(5)地価上昇と仮需要、(6)淡路島の乱開発規制等について熱心な質疑が行われました。  以上が調査の概要でありますが、愛知県、大阪府及び兵庫県における最近の地価上昇は、その要員として低金利、金余り現象といった経済情勢東京と比較しての割安感地価先高観による土地需要の根強さ、また都市基盤等整備による土地効用増等指摘されたのでありました。  また、いずれの説明会においても、金融機関等不動産業向け土地融資の強力な規制監視区域指定に伴う事務量増加等についての意見がありました。  また、愛知県、大阪府及び兵庫県とも実効ある土地政策が必要であるとして、投機的取引抑制、適正な土地利用土地税制活用を図るための土地基本法早期制定について要望されたのであります。  最後に、今回の調査に当たり、関係方面から本委員派遣に対して御協力を賜りましたことを深く感謝し、御報告といたします。     ─────────────
  3. 大塚雄司

    大塚委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。
  4. 桜井新

    桜井委員 自由民主党を代表して、質問に入らしていただきます。  私は、ことしの六月の初めでしょうが、宇野内閣誕生まで国土庁政務次官をやらしていただいて、向こうの方に座っておる立場であったわけでありますので、なかなか質問もしにくいわけでありますが、できるだけ御理解をいただけるようにただしてみたいと思うわけであります。  さて、今委員長から報告がありましたように、先般、名古屋大阪兵庫と三県の視察もやったところでありますが、それとの関連も踏まえてたださしていただきたいと思います。  最初に、最近の土地問題をめぐる諸情勢に対する私の感想を申し述べながら質問に入らしていただきたいと思うわけであります。  去る七月の参議院選挙では、自由民主党は結党以来の大敗北を喫したわけであります。事のよしあしは後代の人たちが決めるにしても、当分の間は政治の流れを変えてしまったことは事実であります。この選挙で大きく国民の批判を受けた問題を三点セットと言っておりましたが、それだけでありましょうか。私はそうは思われないのであります。これは単なる引き金になっただけで、その他経済社会機構に対するいろいろの不公平や不公正に対する長い間の不満が、一挙にこのことで噴き出したのではないだろうかと思っておるわけであります。  最近特に、今も委員長からお話がありましたが、金余り状態から生ずる異常なまでの株や土地に対する投機ぬれ手アワといったような一般庶民の手の届かないような暴利に対する不満政治不振を募らせたのではないでしょうか。また、最近の世論調査等を見ましても、土地に対する不満政治関心は特に高いようであります。  さて、一方、顧みますれば、戦後四十年の努力の結果、日本はとうとうGNPもアメリカをしのぐほどになったわけであります。大変喜ばしいことではあります。しかしながら、先般も小売価格国際比較が発表になりましたが、日本の物価は高過ぎて、国民は世界一の金持ちになったという実感がわきません。ここに不満の種があるのではないでしょうか。殊に、大都市サラリーマンには、土地住宅に対する不満は大変なものであります。これはまさにマネーインフレであり、土地インフレでなくて何でありましょうか。  戦後の日本は、涙と汗の結晶で今日の経済を築いてきたわけでございます。しかし、今日は、汗を流さずに株や土地でもうける人が偉いと若者を引きつけております。大学を卒業するエンジニアたちが、本来の職場である工業界に行かずに証券会社不動産屋金融機関に魅力を感じて流れる傾向は、日本の将来を考えるときに大変恐ろしいことだと思っておるわけであります。株や土地投機取引がやがて資本主義自由経済の落とし穴とならなければよいがと考えることは考え過ぎでありましょうか。今や共産圏経済的には大矢敗自由化へと大転換を図りつつあることは御承知のとおりであります。もって他山の石とすべきではないでしょうか。  株投機国際協調がなければ改善はできないと思われますので、いわゆるサミットで、G7とかG5の課題として取り組まなければならないと思っておりますが、土地問題は日本独特のものだと聞いております。野党四党からも共同提案土地基本法案が提起されました。今をおいてほかに解決する機会が一体あるのでしょうか。今こそ国民的課題として解決しなければならないときだと理解をいたしております。もちろん住宅対策という視点からだけでは土地問題は解決いたしません。日本列島全体としてバランスのとれた農工商及び住宅と各分野からの考察をするとともに、金融政策の一環である、つまり担保力になっておるということでありますが、この問題も大きくメスを入れる必要があると思います。  さてそこで、お尋ねに入らせていただきますが、これまでも国土利用計画法都市計画法等を初めとして多くの実行法が施行されておるわけでありますが、その中でここに土地基本法提案をし、制定をしようというわけでありますが、この役割は一体どういうことをねらっておるのか、どんな効用を期待しておるのか、大臣からその目的をまず最初にお聞かせをいただきたいと思います。
  5. 石井一

    石井国務大臣 桜井委員から所感を交えた最近の日本社会に対する警鐘と申しますか、確かに御指摘のとおり大変正しい面があるというふうに認識いたしております。  近年、社会の公正さに対する国民の信頼が揺らいでおる最大原因一つ地価の異常な高騰というのがあり、そうして持てる者と持たざる者との格差がさらに拡大をしておるということ、これは看過できない問題だというふうに認識をいたしております。そういう観点から、今回いろいろの経過がございましたけれども、政府提案土地基本法案というものを提出いたしまして、土地についての共通の認識を確立するため、次の四つ基本理念を定めたい、そう考えておるわけであります。  第一に、土地については公共福祉のため公共的制約が課せられるべきものであるという原則を定めたいということ。  第二に、土地国民のための限られた資源であることから、適正にまた土地利用計画に従って利用されるべきであるということ。  第三に、投機的取引地価高騰等国民生活に重大な支障を及ぼしておることにかんがみ、土地投機的取引対象とされてはならないということ。  第四に、社会的な公平を確保するため、土地の価値の増加に伴う利益に対しては適切な負担が求められておるということ。  以上申し上げました四つ基本理念というものを国民のコンセンサスとして確立し、そうしてその基本のもとにもろもろ政策を実行していくことによってこの最大国民的課題というものに取り組んでいきたい。とりわけ、我が国には土地神話というものが存在しておるようでございます。土地というものが他の資産に比べてはるかに有利なものであり、持っておる者はさらにそれに富が加わっていく、持ってない者はさらに厳しい情勢になっていく、土地さえあれば有利な条件ができるというような、憲法二十九条に規定されておる私有財産権の問題ではございますけれども、しかし同時に、土地というものは余りにも経済的、社会的、その他に影響の大きいものであり、個人のものとしてのみ考えるというのには限界がある。特に、これだけの狭い国土の中においてはそういう形において公共福祉を優先するという考え方基本的に持っていただきたい。そこからスタートラインとして土地基本法理念のもとに土地政策というものを大きく転換していきたい。ここが本法の目的とするところでございます。
  6. 桜井新

    桜井委員 長官の御説明、全く同感でございます。  そこで、この土地に対する国民的な不満というか、土地問題を解決するために、私は二つの視点から考察する必要があると思っておるわけであります。  その一つは、都市部利便性の高い土地について、どうしても人が集まってきてそれを取得したいという高い希望があるわけでありますが、しかし、都市部利便性が高いだけにいわゆる地価も大変高いわけであります。このことに対して、特に三大都市圏等一般サラリーマンの手の届かないようなことになってしまったというところに大きな不満があるわけであります。しかし、利便性が高いところは高くなるのは当然なんだと思うわけでありまして、これを規制したり解決する方法はなかなか難しいとは思います。ただ、先ほども私、所感の中で申し上げたように、諸外国と比較した中で日本地価が余りにも高過ぎる、そして日本資産の中で占める土地資産のパーセンテージも余りにも高過ぎる、こういうところに問題があるのだろうと思いますから、こういうことを恒久的にあるいは全党的に解決をすることが一つの大きな課題だろうと思っております。  それからもう一つは、短期的な投機的取引などで異常高騰をしておる土地取引です。これは特に、そのことがただ土地高騰ということだけではなくて、いろいろな社会的な悪影響を及ぼしておる、そしてまた、ぬれ手アワというようなことに対する一般サラリーマン、額に汗して働く人たち不満が一層募っておるわけでありますから、このことについては、特に短期的な処置としていろいろ行政対策を講ずべきだろうと思っておりますから、今度基本法制定によって理念法ができたら、それに基づいてそれらのことを実行法でどう詰めていくかということが一番大きな問題だろうと思っておるわけであります。  そこで、前段私が申し上げた都市部土地が高過ぎる対策については、東京一極集中を排し、地方活性化を図り、都市の再開発を進めるなど、国土バランスある活用を推進することが肝要かと思いますが、基本法効用はいかがなものか、局長からひとつ御説明をいただければありがたいと思います。
  7. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおり日本地価というのを諸外国地価と比べますと、いろいろ原因はあろうかと思いますが、非常に高水準でございます。原因といたしましては、非常に狭い国土で非常に濃密な社会経済活動を営んでおるということもございましょう。面積当たり人口密度にいたしましても、あるいはGNP比率にいたしましても、先進諸国と比べましても二、三十倍の高さでございますから、非常に土地生産性が高いということもあろうかと思います。そういうことも関連して、非常に国民土地に対する執着意識も強い、もろもろ原因が影響しているのだと思いますが、特に大都市部地価水準が高いというのは非常に問題でございます。  これに対しましては、やはり長期的には需給バランスを確保するような施策を強力に推進する必要があると思いますが、特に需要対策といたしましては、先生がおっしゃいましたように、東京に一極集中しております人口、諸機能をできるだけ地方に適正に分散しまして、多極分散型国土形成を図っていくということが大変重要だと思っております。また短期的には、地価高騰の非常に大きな要因の一つでございます投機的な取引、これを抑制していく、そういう中で供給の確保も図りながら需給バランスを講じていくということが大切だと思います。この土地基本法では諸機能分散にまでは直接触れておりません。この基本法は、財産権対象となります個々の土地使用収益に直接着目しまして基本法の中身を決めております関係上、その点には直接触れておりませんけれども、土地は適正に利用されるべきだ、計画に従って利用されるべきだということを基本理念でも強調してございますので、国土利用計画法あるいは多極分散型国土形成法等々と相まって、そういう均衡ある国土の発展を図っていきたい、そういうふうに考えております。
  8. 桜井新

    桜井委員 今御説明のとおり、確かに国土面積全体から見た人口密度は世界一高いと言ってもいいだろうと思いますが、しかしそれにしても、まだ過密地帯というのは限定をされて、狭いと言われる国土がかなりまだ活用されていないということでありますから、どうぞひとつ、今お話を承ったような趣旨で積極的な政策の展開を、この法案が通りましたら実行法で進めるように各省を督励していただきたい、こう思うわけであります。  また、先ほど申し述べました後段のいわゆる投機的取引、今も触れていただきましたが、投機的取引の結果生ずる異常な地価高騰に対する基本法効用はどんなことを考えておるのか。これには、いずれ規制や誘導は実行法でやるにしても、なぜ投機的取引をするのかということを究明し、そして、それをやれば、こういう取引をやれば損をするんだという施策がなければ、ただやっちゃいかぬ、やっちゃいかぬということじゃなくて、そこに自発的にやれない、やれば損だという施策がなければならぬと思うわけでありますが、これは基本法の中でそういう方向性を強く打ち出すべきだと思っておりますが、いかがお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  9. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  土地基本法の中で基本理念一つといたしまして、土地投機的取引対象とされるべきではないと宣言しております。また、これを受けまして基本的な施策におきましても、投機的取引国民生活に及ぼす弊害が非常に大きいわけですから、そういう取引に対する規制措置を講ずるという旨、規定しておるわけでございます。これまでも投機的取引に対しましては、例えば監視区域制度運用土地税制金融機関等に対します指導、そういう中で抑制を図ってきたところでございますが、基本法制定の暁にはさらにそういうスタンスを明確にして引き続き強力に投機的取引規制していく必要がある、そういうふうに考えております。
  10. 桜井新

    桜井委員 とにかくこれは宣言法であり、理念法だと思っておるわけでありますが、それだけに、この中にかなり強く方向性を打ち出して、それに基づいて実行法がこれから新しくつくられたり改正されたりしていくということでないと、せっかくつくってもなかなか期待ができない、こういうことになってしまうかと思いますので、特に何がそうさせるのかということを究明して、そうやれば損だという方向性だけは、繰り返して要求しておきますが、強く打ち出していただきたい、こう思います。  さてそれから、今、委員長からこの間の視察の件について報告がありましたが、たまたま愛知県の知事さんに私聞いてみたんですが、名古屋市ではまだまだ都市開発をやってどんどん宅地造成をやらなければならぬ、こういうような強いお話がございました。そこで、私は知事さんに、人口に歯どめをかけないで再開発によって住宅をふやし、利便を提供すればするほど過密となって、同じことの繰り返しではないのかと聞きましたところ、もう少しふえた方がよいと言われておりましたが、都市適正規模という考え方もすべきではないかと思っておるわけでありますが、いかがなものでしょうか。  これは国土庁お尋ねをしたいと思うのですが、この適正規模ということのある程度のめどがなければ、希望者があればどんどん無制限都市集中を認めるということになると、いずれ東京都の二の舞になることは間違いないし、北海道でも九州でも、例えば北海道は札幌、九州では福岡というようなことで一極集中が実は地方で始まっているわけですね。こういったことも、都市文化を楽しめる程度の、享受できる程度都市人口というのは、大体最小限度どれぐらいあれば近代社会ではそれを享受できるのかというようなことは、これだけの時代でありますから、コンピューター等を使っておよそシュミレーションができるはずでありますから、そういう意味適正規模という考え方があってしかるべきだと私は思う。  そういう意味では、都市開発都市計画法に基づいた区画整理事業というようなものが人口増につながるようなやり方ではなくて、快適な生活環境をつくるための都市空間をつくり出していくというような発想でやられるべきだと思っておるわけですが、きょうは建設省も来ていただいておりますね。建設省の方に、そういう意味都市計画法区画整理法の適用の場合には、今私が申し上げたような発想が原点になければ、これは全くさいの河原と同じで金をむだにつぎ込む結果になってしまう。こう思いますから、やはり究極のあるべき姿を描きながらやるべきだと思っておりますが、このことについて建設省はどう考えているか。これもあわせて国土庁の後で御答弁いただきたいと思います。
  11. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 都市規模につきましては、確かに、国民生活あるいは経済活動のサイドから見まして過密の弊害といいますか、そういうものがあらわれない規模というのはあろうかと思います。都市基盤整備との関連もありましょうけれども、確かに、私どももこれまでいろいろ勤務した都市生活体験からしましても、余り過大になりますと、生活面でも潤いが失われがち、そういうふうなことがいろいろあろうかと思います。ただ、そうかといいまして、一律に五十万都市適正規模だ、いや、百万都市ぐらいまでは許容されると線を引くのはなかなか難しいんじゃないかというふうな気がしております。  要は、自然的な条件もありましょうし、社会資本その他基盤整備等の関連もありましょうし、その辺がほどよくバランスがとれた都市整備というのが重要だと思います。ただ、確かに過大になりますと、いろいろ都市の不効率も出てくるんじゃないか、そういう意味では、できるだけバランスのとれた都市整備ということが必要な気がしております。
  12. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 お答えいたします。  都市づくりの基本は安全で快適でしかも機能的な町をつくるということかと存じますので、先生御指摘のように、まずはそこに住んでいる方が快適に暮らしていただけるような町づくりをするということは基本であると思います。ただ、現在の大都市住宅問題等を見ますると、やはり住宅困窮者の方がいらっしゃるということでございますので、こういう面でも的確に対応しなければいけないということもまた大きな課題であるというふうに考えております。  ただ、その結果として、御指摘のように一極集中と申しますか、集中することのないように、地方活性化ということをあわせまして、全国的に、均等というのは難しいと思いますが、分散した都市配置ができるように努めてまいりたいというふうに考えております。
  13. 桜井新

    桜井委員 これだけ交通もモータリゼーション化が進み、それからいわゆる情報化というのがリアルタイムでいつでも効力を発していられるようなこういう時代でありますから、私は、本当の都市文化というようなものはそんなに巨大なものでなくとも十分できると思う。そして、住居環境というのは、少なくとも三十分なり一時間離れた地域に、もっとゆとりのある生活のできるように、そういった環境あるいはそういう国土建設をこれからは計画をしていくべきだと思うのです。現状是認で、あなた方は業界の人やいろいろな方からたたかれるだろうからそういう気持ちになりがちなんですが、世界一の金持ちになったのですから、これからはもっと雄大な理想を描いて、ちょうどアングロサクソンがニュージーランドの開拓をやったときのような気持ちで、建設省はもっとそういうことをやってくださいよ。そんなちゃちなことを考えないで、ぜひ。  何かまだ言い足りなかったのですか。
  14. 石井一

    石井国務大臣 昨年、多極分散型国土形成促進法を成立いたしまして、その中に、振興拠点地域の思想でありますとか業務核都市という思想が入っております。これは、今委員の御指摘適正規模都市ということではございませんけれども、いわゆる東京一極集中というものを排除し、分散をし、核都市をつくり、拠点地域をつくり、そこへ快適な都市環境をつくりながら人口を集積していく、こういう方向を打ち出しておるわけでありまして、まさしく委員希望しておられる方向の一つの方向づけではないかというふうに私は考えるわけであります。  例えば東京だとか横浜「川崎というふうなところへ適正な都市ということを議論するのは、もういささか難しいような感じがするわけでありますけれども、例えば筑波の学園都市等を見ますと、適正規模を打ち出し、そうしていろいろの都市機能を集積し、そこに人口を集めて、そうして交通機関を整備するという形をやっておりますので、今後の地方への分散の過程において、委員指摘されるような一つの適正なる規模都市を形成していくという方向は正しい視点ではないか、そのように考える次第であります。
  15. 桜井新

    桜井委員 この間の愛知知事の話も、東京大阪に挟まれてまだ人口が足りないんだという発想なんですよ。こんなことでは名古屋は決して浮上はしないと私は思います。愛知県だけで六百五十万、名古屋は二百十万あるのですから、あれでもう都市文化——都市文化というのはもともと、年に何回かしか楽しむことがないようなものは、ある程度人口がなければできないということであります。また経済の面でも、そういうところほど情報収集の率が高いわけですから、それはよくわかるのです。しかし、これをふやさなければならぬという発想はこの際断ち切ってかからないと都市の人が余りにもかわいそうだと思うので、そういう意味で申し上げているのでありますから、答弁は時間の関係で要りませんが、ひとつぜひ再考をいただきたいと思うわけであります。  それから、現状の中で国民のマイホームに対する不満は、前にも述べたとおりまさに極に達しておるわけであります。そこで、何とか国民住宅取得という夢を実現させてあげるためには積極的な供給対策などにより地価の安定を図る必要があるということでありますが、今申し上げたように、人口増という発想ではなくて、今いる人たちの住居環境をどう改善してあげるかという発想の中で都市計画都市開発というものが進めていかれるべきだろうと思っておりましたので、私が都市人たちには全くそういうことを考える必要はないという発想に立っておるというふうに誤解されると困るので、ここであえてこういう質問をするわけでありますので、国土庁基本的な考え方を伺いたいと思います。  言っている意味がわかりますか。都市の再開発等によって国民のための住宅供給をむしろふやしていくべきだが、それについての考え方はどうかということです。
  16. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 東京圏につきましては、例えば四全総におきましても、政策的な分散努力を行ったとしてもなお三百万人程度人口増加が予測されます。また、現に住居条件が非常に劣悪なところに居住しておられる方も多いわけであります。そういうことでございますので、やはり東京圏において可能な限り適切な土地利用、例えば低・未利用地のところを環境保全等も図りながらさらに有効利用をする。また市街化区域農地につきましても、保全すべき緑地を確保しながら計画的な住宅化を図り、庶民の手の届くような住宅供給宅地供給を行っていく必要があるというふうに考えております。
  17. 桜井新

    桜井委員 そういうことで、ひとつそのことは努力を続けていただきたいと思います。  さてそこで、今度は国土利用計画法のことについて少し触れてみたいと思うわけであります。  土地の暴騰を防止するためには、大きく言って直接的には三つの視点があると思うのです。それはいわゆる取引抑制という角度からやることと、もう一つ金融政策という面、融資の抑制という点からアプローチする方法、もう一つは税制の面から、私は大きく言って三つの視点からこれに対応する必要があると思うわけでありますが、その第一の視点である取引抑制効果を期待して、地価抑制のために六十二年八月一日付かなんかで全国各地で国土利用計画法に基づき監視区域が実施されておるところでありますが、どのような効果が上がっておりますかお尋ねをいたします。
  18. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  監視区域につきましては、首都圏を初め大阪名古屋圏、地方主要都市及びリゾート対象地域等で積極的な指定を行っておりまして、この十一月七日現在で一都二府二十九県、十一政令指定都市、市区町村数でいいますと五百六十四の市区町村におきまして監視区域指定が行われております。このうち、首都圏につきましては昭和六十二年に東京都、横浜市等におきまして相次いで届け出対象面積が百平方メートルに引き下げられております。翌昭和六十三年以降、東京都及び神奈川県を中心に全体的に地価の鎮静化傾向が続いております。監視区域以外に超短期重課制度あるいは金融機関に対する指導等もあったでしょうし、かなり高値で天井感もあったという状況もございますが、監視区域は相当程度こういう地価鎮静化に効果を発揮したのではないか、そういうふうに私どもは見ております。
  19. 桜井新

    桜井委員 そこで、効果があったということで今御説明をいただいたわけですが、私もいささか効果があったんだろうとは理解をいたしておりますが、しかし、このたびここに国土利用計画法の改正案を、改革案を出しておるわけでありますが、過去の実績から今の監視区域指定という制度ではどのような点で足りない点があったのかというようなことをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  20. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 現行の監視区域制度では、取引価格の行政指導、それと土地利用関係につきましては、既存の土地利用計画に適合しているかどうか、その辺をチェックしておるわけです。特に土地利用計画への適合性につきましては、土地利用計画に積極的に寄与するあるいは中立的に機能するというものは適合するという判断をしておりまして、積極的に計画を阻害する、計画実現を阻害するという性格の取引については行政介入できるような制度になっておるわけです。したがいまして、資産保全を目的とする、利用目的を持たないような取引、例えば転売目的のようなもの、そういうものにつきましては現行の監視区域制度では手が届かないという面がございますので、今回国土利用計画法一部改正法案提案さしていただきまして、そういう利用目的のない転売目的取引に対しても行政指導を行い、場合によっては勧告、公表の対象にできるというふうに改正さしていただきたいと考えておるわけです。こちらの方も基本法とあわせて御審議の上、早期に成立さしていただきたいとお願いする次第でございます。
  21. 桜井新

    桜井委員 私もその点については必要性を痛感しておるわけでありますが、今おっしゃったように、今度の国土利用計画法を改正すれば、今局長おっしゃったのですから聞くだけやぼなのかもわからぬ、本当にその効用があるのですか、こうだめ押しをしたいところなんでありますが、これは聞かずに私の考え方を申し述べておきましょう。  期待したとおりに効果があればいいのですけれども、実は私たちは、ついこの間の参議院選挙で消費税、消費税というものもこれだけ世の中が大きく変化して社会保障が手厚くなり、お互いが社会人として社会に飛び出したときから今の社会保障制度はまさに生活設計の中に組み入れられておる。それだけに、今は景気がいいからいいけれども、不況時になってもこの社会保障がちゃんと確保されなければ、それこそ生活力の弱い人たちは大変なことになってしまうわけでありますので、そんなことを考えながら政府・自民党として今度の制度を出したわけでありますが、しかし、結果は、消費者の皆さんに大変な反発を食らって、取り返しのつかない、政治の方向すら歴史的に変えてしまうような結果になったわけであります。  今度の土地問題も、私はそれ以上に極めて重大な問題だと受けとめておるわけであります。それだけに、国民不満というのが業者の取引そのものにあるわけでありますから、そして、だれを守るために仕事をやるのかということは、あくまでもエンドユーザーということですね。途中の業者じゃないのです。今もお話がありましたように、今度の改正点はまさに投機的取引だけの、中間マージンを取ろうとするだけの転がし防止のためにやられるわけでありますから、そういう点で、これがそのことをどこかで温存するような結果になって、今度改正したからうまくいくだろうと思っておったら、いつの間にか一時鎮静化した、今そうですね、東京都は、去年までのことがちょっと鎮静化したけれども、また最近ちょっと上がりぎみになってきていますね。これが地方分散してよかったと思っているのもつかの間、またそうなってきておりますが、本質的なところの改正がなければ必ずそうなると思う。そして国民は、そういうことに毎日毎日の生活の中で非常に敏感に肌で感じておるものですから、そういったことに拒否反応を強く示すわけでありますが、そういうことにならないようにこのことは特に運用に当たって国土庁から念入りにやっていただきたいことを要望いたしておきます。  それから次は、投機的取引抑制する第二の手段は金融対策と思いますが、国土庁としてはどんなことをこれまでやってきたのか、金融担当省である大蔵省も来ておるようでありますが、土地価格が暴騰する都度、自粛を求めて行政指導をやっておるというふうに言われておるわけでありますが、その実態はどうか、また、効果はどのようにあったのかということをまずお聞きをしたいと思います。
  22. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 確かに、不動産関連融資は土地投機的取引抑制するためあるいは地価高騰抑制するために非常に大きな課題だというふうに考えております。これまでも数回にわたりまして国土庁から大蔵省に対しまして投機的取引への融資等は行わないよう金融機関に対して指導方をお願いし、また、大蔵省でもこれを受けて六十二年の七月から特別ヒアリングの実施によりまして融資実績の高い金融機関に対して直接指導をいただいておるところでございます。  また、先般におきましても、地価上昇の主要都市等への波及の状況にかんがみまして、金融機関への指導の徹底と、いわゆるノンバンクたる貸金業者への強力な要請をお願いしたところでございます。大蔵省でも、この要請に沿って対応していただいているところでございます。  特別ヒアリングの中で、特に監視区域につきましては地方公共団体の不勧告通知、行政指導がパスしたもの、そういう状況を確認の上融資する。また、融資に当たりましては利用計画の有無、あるいは借りかえに当たりましては利用計画の進捗状況、そういったこともヒアリングの中で確認していただいているというふうに伺っております。これによってかなり効果は上がっておるのじゃないか。また、今後も貸金業者等への指導を通じてさらに金融面への指導を強化していただき、効果をさらに上げていきたい、そういうふうに念願しておるわけでございます。
  23. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 金融機関土地関連融資につきましては、金融機関公共性ということに照らしましていろいろ指導に努めてきたところであります。  ただいま土地局長の方からお話がありましたとおり、六十二年の七月以降個別融資案件にまで踏み込んだいわゆる特別ヒアリングというのを実施してまいりました。指導の趣旨の徹底を図ってきたところであります。また、六十二年十月には緊急土地対策要綱、これを踏まえまして金融機関に対しまして改めて通達を発出いたしまして、国土法上の不勧告通知の確認、審査、管理体制の充実強化等に努めてきたところであります。また、本年二月以降は、重点的特別ヒアリングということで、特に融資の伸びが比較的高い金融機関対象といたしまして実施してきたわけであります。  さらに、今回のこの一連の国土庁からの国土利用計画法上の監視区域制度に係る指導強化といったようなことに平仄を合わせまして、これは詳しくは申しませんけれども、金融機関に対する一層の趣旨の徹底と、特にノンバンクが問題でございますので、ノンバンクたる貸金業者一般に対する金融機関の融資についても十分に審査を行うというようなことで、一連の措置を講じたところでございます。
  24. 桜井新

    桜井委員 お二人の答弁を聞いていれば、ちゃんとやっておる、こういうお話なんでありますが、ここにおもしろい記事がありますからちょっと読ませていただきますので、このことについてお考えをお聞きしたいと思うわけであります。  実は、産経新聞の夕刊に「観潮台」というのがありまして、ここにいつも経済のことについて非常にコンパクトにまとめて問題を指摘しておるコラムがあるのですが、ここでは今土地問題と金融政策、いわゆるマネーインフレ防止ということについて非常に関心を高めて、しょっちゅうこうなっているわけであります。  この中で言いますと、例えば終わりの方をひとつ読んでみますと、「都道府県の基準地価が発表されたが、それによると大阪愛知など地方中核都市地価高騰しており、また一時沈静化していた首都圏でも再び上昇傾向が出始めている。」こういうことに対して、「資金調達したリースなどのノンバンクを通じて巨額な資金が流れている」からこうだというふうに言って、「相変わらず土地融資を行ってきたわけである。」幾ら自粛をせいと言っても実際はどんどん貸し付けが増しておる、そのことが、公共性や社会性を重んじると言っておるにもかかわらず、その逆に大衆には大変迷惑な金融政策が横行しておる、こういうようなことを言っておるわけであります。  それから、同じようなことを二日に一度ぐらいずつは言っておるのですが、これはごく最近のおもしろい記事で、大蔵省としては金融機関に対してそれを育成指導する、あるいは取りつけみたいなことを起こさないようにいろいろやっていかなければならない立場もありますことはよくわかっておりますから、そうはいってもなかなか徹底できないのではないかと思いますが、そう言っておりますとこの問題は解決しませんので、思い切って、特に中小企業金融関係を扱っております武藤課長のところで厳しく取り組んでいただきたいと思いますが、あえて読ませていただきます。前後を省かせていただきますから多少解釈しにくい点があるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと思います。  ことし七月末の融資残高は四十四兆二千億円で、対前年比一四%増となりました。これが地方地価高騰を招いた。しかし、全銀協のある人が、これは本人の名誉のために名前は言いませんが、全銀協のある人が「土地高騰につながる融資は慎んでおり、この姿勢は今後とも維持する」、こんなことはやっておりません、こう開き直っておるようなことがあるわけであります。そこで大手都市銀行の担当者が「都市開発住宅建設などの実需が増えている。地上げ資金ではない」、金は貸しているけれども決して地上げ資金ではない、実需がふえているんだ、こういう言いわけをやっておる。しかし、実際本当にそうなんだろうかということを日銀では言っておる、こう言うのです。とても借り手が採算がとれないと思われるようなケースも目立っておるにもかかわらず、そういうのに貸しているということです。業者にとっては採算割れで赤字になっても節税効果を生かせる、こんなところにも実需があるんだという皮肉な表現をしているわけです。ですから、こんなことは私たちも全くこのとおりだと思っております。  土地融資に絡む金の流れを一段と不透明にしておるのが、いわゆるノンバンクであります。全銀協加盟全体に匹敵する融資を行っておると言われながら、その実態はまさにベールに包まれておる。私も知ろうとしてお聞きをいたしましたが、なかなかわからないということで報告を受けられないのが実態であります。ノンバンクには資金調達手段は今のところないと聞いておる。したがって、ほとんどが実質的には金融機関から貸し付けされておる、こういうことではないかと思っておるわけであります。土地融資はすべて悪ではないし、融資が減れば地価が下がると私も単純に思っているわけではありませんが、第一相互銀行や中央信託銀行の過剰融資が社会問題となったのもほんのつい一年前のことであります。  そういう意味から、大蔵省としては金融機関土地融資の自粛通達を、本気になって取り組まないとこれまた消費税の二の舞ということになりかねない、私はこう思っておるわけでありますが、今私が説明したことについて、武藤さん、大蔵省を代表して来てどんな感じでおろか、このことについてどう対応しようとするのか、ひとつ聞かせていただきたいと思います。
  25. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 六十二年以来いろいろ銀行を中心とする金融機関指導をやってきたわけでありますけれども、確かに御指摘のようなノンバンクにつきましては、自主規制をお願いする等できる限りのことをやってきたものの、いろいろ限界があったのは御指摘のとおりでございます。  これは一つには、いわゆるノンバンクたる貸金業者一般に対しましては、銀行などに対するような一般的な指導監督権限がございません。貸金業規制法という法律によってノンバンクが規制されておるわけでございますが、御承知のとおり、いわゆるサラ金問題を発端といたしまして債務者に対してその契約内容をできる限り開示しろとかあるいは取り立てに当たっては不適正な手段によってはいけないとか、そういう観点からの規制にとどまっておるわけでございまして、ノンバンクに対しましてその実態を知り得る立場に私どもないというのが実情でございます。  ただ、今御指摘のとおり、金融機関がノンバンクに対して資金を供給しておるということに着目いたしまして、金融機関関連会社にお金を貸すということについてはその自粛を指導するということを今回改めて始めることにしたわけであります。  それから、金融機関関連会社以外の貸金業者につきましては、これは自主ルールの作成ということが中心になるわけでございますけれども、まず第一には、金融機関に通達を発しまして、ノンバンクたる貸金業者、これは一般に十分な審査を行え、金融機関がノンバンクに対する審査を十分に行ってほしいというのが第一点であります。第二点は、金融機関の貸金業を営む関連会社の土地融資案件につきまして、金融機関を通じて特別ヒアリングを行うというのが第二点であります。第三点は、金融機関を通じたノンバンクの融資についての報告を求める。それからその実態についてヒアリングを行う。四番目には、金融検査、私どもの金融検査におきまして金融機関のノンバンク融資の実態把握を行う、さらに自粛要請も行うというようなことの措置を講じたわけであります。  いわゆるノンバンクにつきましては、ノンバンクの土地投機に係る融資の抑制につきましては、これからもこういうことで最大限の努力をしてまいりたい、かように考えております。
  26. 桜井新

    桜井委員 今大蔵省として最大の努力をしておるつもりでしょうが、今までだってその程度のことはあるいはやっておったのではないかと思うし、やれたのだろうと私は思っておりますが、とてもその程度のことではこの土地問題を解決することにはならぬと思うので、きょうはもう時間がなくなってしまったので、このことはいずれの機会にもっと突っ込んで、必ず解決しなければならぬ問題だと思っております。  経済、金融というのは、歴史をひもとくまでもなく、一歩間違えば国際紛争の種にもなるわけでありますから、これは必ずひとつ大蔵省として強い姿勢で、さらに突っ込んだ対策を講じていただきたいとお願いを申し上げておきます。  それから最後に、第三番目は税制による規制であります。前にも述べたように、投機的取引は損だという仕組みをどうつくるかだと思うわけでありますが、土地対策を実施する上で、土地税制の果たすべき役割はそういう視点からも極めて大きいと思うわけであります。基本法制定を受けて、土地税制の見直しにどのように取り組むつもりなのか、これは大蔵省、自治省の御所見を承りたいと思うわけであります。  実は時間がなくなったので、あと二、三点、ちょっと続けてお話をしますので、一緒にお答えいただければありがたいと思います。  低・未利用地域の有効利用のために保有税をもっと強化すべきではないかと思っておりますが、この点。それから、資産格差の拡大に対処するためという観点からはどのような土地税制を仕組むべきであるかということについてお聞かせいただきたい。それから、土地から得られる利益はいわば不労所得であり、勤労所得や事業所得などほかの所得と比べて重い負担を課すべきだ、これもまさにやれば損だという視点から重い課税をすべきだと思いますが、どんなものか、お聞かせをいただきたいと思うわけであります。以上、とりあえず。
  27. 長野厖士

    ○長野説明員 土地基本法を踏まえての税制改革の方針というお尋ねでございます。  今回の土地基本法案は、直接的には税のことは十五条に規定がございますけれども、私どもが税制を考えます場合の基本理念といたすべきものは、第一章の中、特に第三条から第五条までがこれに当たろうかなと考えております。税制なりに整理いたしますと、すなわち有効利用をなるたけしていくような税制を考えていく、一方不要不急の需要といったものを抑制していく、それらを踏まえまして、受益や負担力に応じた適正な課税ということであろうかと思います。  先生一番最初に御指摘いただきました投機需要抑制といいますのは、この不要不急の需要抑制一つの一番大事なポイントかなと思いますが、この点につきましては、一昨年税制改正によりまして、一昨年の十月からでございますけれども、超短期の保有に対する課税の強化をとらせていただきました。所得税におきましては総合課税の二割増し、法人税におきましては通常の法人税のほかに三割ちょうだいするという措置をとらせていただいて、少なくとも短期的には土地投機需要抑制効果を発揮したであろうと考えております。この制度は明年期限が到来いたしますけれども、その措置も検討していかなければならないと思っております。  投機需要の問題を離れましてさらに広く土地政策全般ということになりますと、有効利用の促進ということで、この点につきましては従来もいろいろと対策は講じてきておりますが、宅地開発でありますとか再開発でありますとか、あるいは先般来御指摘いただいております多極分散とか再配置とかいった問題、あるいは広く有効利用といえば公的利用の促進というところまで入るかもしれません。そういった問題につきまして、これから、先生が先ほど来理念法を踏まえた実行法、こうおっしゃっておられますが、その実行法といったものの検討の中であわせて私どもも考えていきたい。  それから、不要不急の需要抑制ということになりますと、投機需要抑制ということのほかに、低利用、未利用といったものに対して税制はどう取り組むかという問題も当然問題として出てこようかと思っておりますが、そういった問題もこれから検討課題であろうかと考えております。  資産格差の拡大に対して税制をどうするか、それから土地から得られる所得は不労所得ではないかという御指摘でございます。  この点につきましては、現在の税法におきましても既にある程度その考え方を踏まえさせていただいておりまして、土地の譲渡所得につきましては所得税の本則よりもやや重い御負担を租税特別措置によってお願いしておりますし、法人税につきましても別枠の課税ということをいたさせていただいておりますけれども、そういった観点を踏まえながら今後措置していきたい。また、国税の中では相続税の問題がございますけれども、これも資産格差の拡大ということを踏まえますと、評価を適正に講じていって他の資産とのバランスを講じていくということが基本かなと考えておりますが、そういった措置を講じておる。  なお、もう一つ付言いたしますと、土地利用した節税という言葉が先ほどちょっとございましたけれども、そういった問題につきましても、借入金を利用することによって土地を持つとかなり有利になるといったことが法人税や相続税の世界にございましたので、そういったものに対しての手当てを先般来させていただいておりますけれども、そういったものも今後どういった形で、そのほかに取り組むべきことがないかどうか、研究していきたいと考えておるわけでございます。
  28. 湯浅利夫

    ○湯浅政府委員 地方税の立場から、この土地基本法制定に伴います土地税制の問題につきまして申し上げますと、土地に対する税制につきましては、土地の取得、保有、譲渡というそれぞれの段階におきまして、国税、地方税それぞれの税が組み合わされておるわけでございます。地方税におきましては、取得段階で不動産取得税でございますとか特別土地保有税の取得分、保有段階では固定資産税とか都市計画税、特別土地保有税の保有分、それから譲渡段階では所得課税である住民税とか事業税というようなものが課税されるわけでございます。このそれぞれの組み合わせにつきましては、基本的には国税と一緒になりまして総合的に土地に対する課税を整合性のあるものとして制度化しているわけでございますけれども、土地基本法におきまして土地税制の問題につきましても規定がございまして、土地理念にのっとりまして、土地に関する施策を踏まえて税負担の公平の確保を図るということで土地に関する適正な税制をつくるようにという規定がございますので、この規定に従いまして国税、地方税を通じた総合的な土地税制というものが必要ではないかと思っております。  ただ、このそれぞれの税制にはそれぞれの税の性格というものがございます。例えば、特別土地保有税というものはもともと政策税制としての土地税制という性格を持っておりますし、固定資産税というのは本来は市町村の財源という観点から仕組まれた税制であるというようなこともございます。そういう税の性格というものもよく考慮しながら、全体の税制が整合性のあるものとしてできるようにしてまいらなければいかぬと思うわけでございます。  具体的な問題といたしまして、低・未利用地の有効利用のために土地保有課税の問題がございます。この問題につきましては、昨年の六月に総合土地対策要綱におきまして遊休地を特定する制度を設けまして、それにあわせて、特別土地保有税の見直しを検討してはどうかということも決められておりますので、この方向に沿いまして今後とも検討してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  その他の問題につきましては、国税とほぼ重複いたしますので省略させていただきます。
  29. 桜井新

    桜井委員 時間を切りましたけれども二分ほどちょうだいしたいと思いますが、お許しをいただきたいと思います。  いろいろ申し上げてきましたが、土地問題は日本独特のものだと言われておりましたが、今やハワイやアメリカ大陸まで買い取るのではないかとアメリカ人に危惧を与え、経済構造調整のテーマにも上がっておる始末であります。土地公共性を国民的なコンセンサスとするよう法制定効果を祈り、一日も早い成立を国民が期待しておることを委員各位にお訴え申し上げ、御協力をお願い申し上げて終わりといたします。  御協力ありがとうございました。
  30. 大塚雄司

    大塚委員長 中村茂君。
  31. 中村茂

    中村(茂)委員 まず最初に、本委員会には政府提出法案が二本出ています。私は、これを総括して政府案という言い方でこれから言っていきたいというふうに思います。それから、社会党、公明党、民社党、社民連四党の法案が二本出ております。これを四党案という言い方でこれから言っていきたいというふうに思います。私自身がその四党案の提案者でもありますから、そういう立場を含めて、これからの審議のあり方について委員長国土庁長官に私の意見を申し上げておきたいというふうに思います。  御存じのように、また今申し上げましたとおり、四本の法案が一括並行的に審議されていくという本委員会の状況になっております。二点目には、さきの参議院選挙で参議院の与野党の勢力分野が大きく変わりました。そういう状況法案を両院を含めて審議していくわけでありますが、しかし、土地問題は、今緊急、しかも政治的な大きな課題になっております。四党案の提案者としての私も、何とか合意を取りつけて立派な法案をつくり上げたい、こういう気持ちでいっぱいであります。  そういう立場に立って考えてみれば、これからの審議のあり方について、その点を含めて委員長にひとつ対処していただきたい、こういうふうに思います。  国土庁長官には、やはり合意をするために、ある場合には修正など含めて相当な決断を私ども要請するかもしれません。そういう点を含めて審議に臨んでいただきたいということを強くお願いを申し上げておきたいというふうに思います。  私の意見ですから、皆さんの方で発言がなければこれで進めたいと思いますが、何か同意の意見なり、あったらひとつお聞かせいただきたいというふうに思います。
  32. 大塚雄司

    大塚委員長 まず私からお答えをいたします。  ただいまの中村委員の御発言の御趣旨は、委員長十分に理解をさせていただきました。  お話しのとおり、土地問題は国民にとって極めて重要な課題でございますから、委員長といたしましても、今後各党の皆様と十分御協議を申し上げながら適切に対処をしてまいりたいと存じます。委員におかれましても、何とぞよろしく御協力のほどお願いを申し上げます。
  33. 石井一

    石井国務大臣 経緯から見まして、野党案が提出された後かなりの時間を経まして政府案が提出されたということでございます。その間、政府側といたしましても、野党側の御主張にも十分検討を加え、私は、そんなに大きな隔たりがあるというふうには認識をいたしておりません。しかしながら、基本的な問題で意見の違うところもあるでありましょう、十分審議をし、そして柔軟に対応し、決断するべきところは決断をいたしたい、そのように考えております。
  34. 中村茂

    中村(茂)委員 審議のあり方と関連して、先般、十月十七日付のある新聞でありますけれども、こういう記事が掲載されておりました。見出しは「市街化農地の宅地並み課税 総選挙で判断を仰ぐ建設相表明」ということで、「次期総選挙の争点として、土地資産格差是正の面から国民理解を求めていく考えを明らかにした。」大臣はその省庁を総括してやっていくのであって、土地問題を含めて、土地税制を含めて次の選挙の争点にしていくという考え方大臣から出てくるということについて、まず一つ私は納得できないわけであります。しかも、本委員会で基本になる土地基本法なりそれにまつわる税制を含めて審議していこうという段階で次の選挙の争点にするということなら、もうここで審議などしないで、四党案は四党案で出ているのだし政府案も出ているのだから、そのまま争点にしていけばいいのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。ですから、そういう趣旨ではないと思いますが、この際、建設大臣にその真意をまず確かめておきたいというふうに思います。
  35. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 中村委員にいろいろ御指摘をいただきまして大変恐縮でございます。  そのときの真意を申し上げますと、実は、大都市地域の住宅宅地供給は極めて重要な課題であることは御承知のとおりでございまして、その際、市街化区域の農地の宅地化の問題も含めて、その方策について私どもとしてはできるだけ早く総合的な対策を取りまとめまして、これを明らかにした上で関係者の理解を得ることが重要だという趣旨を述べました次第でございます。その際、記者の方から、選挙で判断を仰ぐ考えはないか等の質問もありましたので、そのような考えもあり得るかという感想も申し上げたことは事実でありますが、私としては、特に選挙を念頭に置いて云々するという気持ちはさらさらございません。問題は、国民住宅取得が非常に困難になっている状況でございますから、我々としては、内閣の最重要課題として鋭意取り組むべきものだというように認識しておる次第でございます。
  36. 中村茂

    中村(茂)委員 ですから、今大臣が言われる中身については、私どもも本委員会で十分審議してその方向性などをきちっとさせていきたいという気持ちがあるわけであります。しかし、それを新聞社から聞かれようが何しようが、次の選挙の争点と言うのは大臣としてはちょっと行き過ぎじゃないか、こういう御注意を申し上げておきたいと思います。  次に、基本法目的理念及び性格について若干のやりとりをしておきたいと思います。  まず、基本法について政府案、四党案それぞれを比較対照してみますと、政府の案は文字どおり基本宣言法になっている。ですから、見たところ中身はあいまいな面が非常に多くある。野党案は、土地基本法で表題は同じですけれども若干対策に踏み込んでいる、その相違がいろいろなところに出てきているのではないか、これが性格としては一番大きな特徴だろう、私はこういうふうに思っております。  そこで、若干申し上げておきたいと思いますが、四党案は前書きにも目的の中でも一つの方向をはっきりさせております。それは土地取引の面で土地投機的取引規制しなければならぬ、そのために適正な地価形成を図っていくのだ。それから二点目の問題としては、良好な宅地供給をしていかなければならない、これが計画の中にきちっと組み込まれていく、目的の中でそういう考え方をはっきりさせているわけであります。それぞれ中においては、例えて言えば公有地の拡大をしなければならぬ、冒頭で申し上げましたように宅地供給の促進を図らなければならない、地価評価の一元化を図らなければならない、二、三具体的な対策を入れているわけであります。  そういうことを考えていくと、性格的には全くの宣言法でいくのか、それとも野党四党案のように若干対策も踏み込む、そういうことが必要だと私は思っているのですけれども、その辺の調整をどういうふうにしていくかという大きな課題があると思います。  そこでその方向性と合わせて、野党の方では、それではその基本法に基づくその後の法案整備はどういうふうにするかという点については、四条の中で「国は、第二条の施策を実施するため、必要な関係法令の制定又は改廃を行わなければならない。」こういうふうに、基本法でありますから宣言的な面があるわけでありますから、その目的を達成するために関係法令の制定、改廃を行いなさいとはっきり言っているわけであります。ですから、その点について国土庁から一応考え方をお聞きしておきたい思います。
  37. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 与野党両案を比較いたしますと、確かに今御指摘がございましたように、野党四党案では宅地供給促進、さらには公有地の拡大等若干対策にかかわる規定を置かれております。我々の政府案ではそういうものも包含して、適正な土地利用あるいは計画に従った土地利用の実現を図るための施策の実施ということで包含的に規定しておるわけでございまして、その辺は表現のしぶりが変わっております。ただ両案とも、そういう表現のしぶりは若干変わっておりますが、土地に関する基本的な施策について抽象的な方向を示しておるという限りでは同じではないか。具体的な施策につきましては、先生御指摘のとおり、野党四党案では四条で、政府案では九条でそれぞれ個別の法律にゆだねている、そういう点でも共通しているのではないか、そういうふうに理解をさせていただいているところであります。
  38. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、理念について若干意見を申し上げておきたいと思います。  理念という言葉は方々に出てきますけれども、政府案では理念にのっとって国はどういうふうにしなさいという行き方になっております。その点、野党案では極めて明確に理念の点を示しているわけでありますが、「土地利用については、公共福祉を優先させなければならない。これは、すべての国民が健康で文化的な生活を営む上で欠くことのできない原則である。」こういうふうに言っているわけでありますが、政府案では「土地については、公共福祉のため、その特性に応じた公共的制約が課されるものとする。」言っている趣旨はなかなか似ているのですけれども、やはり四党案のような、いわゆる公共福祉が優先するのだということの方が、国民的に見ても我々が見てもすっきりするのじゃないか、こういうふうに思うのです。  それに関連して、皆さんの方が土台にしております土地基本法に関する懇談会の「土地基本法考え方について」の中に公共の制約という示し方で出ておりますから、この「土地基本法考え方について」にのっとってつくられてきたのかなという考え方を持っているわけでありますが、そういうものに関連して、現在できておりますいわゆる土地利用計画法、こういう今までできている法律でありますけれども、土地利用についてその辺が極めて明確に示されている。ですから、基本法というのは利用計画法よりも上になければならないと思うのですけれども、私どもが見た感じでは、この土地利用計画法の方が理念として非常にすっきりしている、こういうふうに理解するわけであります。  財産権云々のところはちょっと省きますけれども、「国土利用は、」少し省きまして「公共福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念として行うものとする。」確かに利用基本ということと土地そのものの全体的な基本ということでは若干の違いはあると思います。しかし、土地利用というものについては土地という全体的な基本法の中で利用が行われていくということを考えてみれば、やはり基本法というのは、この国土利用計画法の中に含まれているものを示しておかなければ、その下の法律というものは出てこないのじゃないか。ですから、ここのところの理念についてはもう少しはっきりさせる必要がある、こういうふうに思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  39. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生御指摘のとおり、国土利用計画法理念を見ましても、「公共福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、」「健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図る」ということを基本理念として行うことになっております。また、野党案でも公共福祉優先の規定を明文化しておりますが、ただ政府案の土地基本法案におきましては、財産権対象となる個々の土地についてその土地の取得、利用、処分に関する規定を中心に置いております。その辺が少し国土利用計画法とは切り口が違うというふうに考えております。  ただ、その個々の土地につきましても、貴重な資源でありますし、また国民生活諸活動の不可欠の基盤でございますし、土地利用というのは周辺の利用と相互に影響し合う、またその価値は大部分外部的な要因によって生み出される、また土地は生産できない、そういう非常に公共的な性格を強く有しておりますので、そういう特性に応じた公共福祉の観点からの公共的制約が課されるべきものだというふうに大原則を打ち出しておりまして、基本的な考え方は後退していない、そういうふうに考えております。  さらに、大原則の理念を敷衍しまして、土地は適切に利用されるものとするという規定を置いております。これは、土地は所有しておれば、利用するしないも含めて所有者の自由に振る舞われるべきものだというのではなく、土地の所有については、自然的、社会的、経済的あるいは文化的諸条件に応じて適切に利用しなければならない、所有に伴ういわば社会的な責務を明確にしたわけでございまして、我々の政府案におきましてもその辺は相当強く基本的な理念として打ち出したつもりでございます。
  40. 中村茂

    中村(茂)委員 だから、私はなぜそういうことを言うのかというと、とにかく利用計画法の理念の中には「公共福祉を優先させ、」こういうふうに明確に言っておりますし、それから、先ほど申し上げました政府の基本法をつくる土台になりました「土地基本法考え方について」の答申の中で意見が一致しなかったという論点を三つ挙げているわけでありますが、その一つについて、自然的、歴史的環境の保全の配慮ということについてはこの懇談会は意見が一致しなかった、したがって、それぞれの意見があったのでどういうふうに取り上げるかは法案をつくるときにという論点になっているわけであります。  ところが、利用計画法の方では、先ほども読み上げましたように「自然環境の保全を図りつつ、」それで、先ほど局長が言いますその下の「地域の自然的、」ここのところはそのまま土地利用の中に移してあります。しかし、その前段が、大事なところが抜けている。しかも、懇談会の中では争点としてそのまま移されたものが抜けているということは、基本法として私は納得できない。  それから、生活環境の確保という問題。確かに「国土の均衡ある発展」というのは国土利用全体ですからそれは国土利用計画法の中できちっとさせておけばいい問題ですけれども、やはり公共福祉とか自然環境の保全という問題については理念の中にきちっとさせておく必要があるのではないか、これが私の主張であります。どうでしょうか。
  41. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 ちょっと条文の解釈でございますので私から補足させていただきますが、三条に「適正な利用及び計画に従った利用」とございまして、「土地は、その所在する地域の自然的、社会的、経済的及び文化的諸条件に応じて適正に利用されるものとする。」この「適正に利用」するという中に、例えば自然環境の保全とか防災、安全、そういった面への配慮、そういうものも全部含めて規定したつもりであります。
  42. 中村茂

    中村(茂)委員 それは宿題として、次に進みます。  次に、土地投機的取引規制関係について申し上げたいと思いますが、四党案でも政府案でも土地投機的取引規制とか抑制とか、今一番大きな課題としてこれを何とかしなければならないというのは双方で大きく取り上げているわけであります。そこで、投機的取引とはどのような取引をいうのかということについて御説明をいただきたいと思います。
  43. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 政府案の投機土地取引と申しますのは、将来他に転売してその間における地価の上昇による価格差益を得ることを目的とした取引というふうに解釈しております。
  44. 中村茂

    中村(茂)委員 済みませんけれども、もう一度言ってくれませんか。
  45. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 将来他に転売して、その間における地価上昇による価格差益を得ることを目的とした取引、そういう定義をしております。
  46. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、若干の表現上の問題があるわけですけれども、土地取引の場合に、私どもは土地投機という言い方で言うわけです。それから同じようなもので土地投資、投機じゃなくて土地投資、または仮需要とかいろいろな言い方で呼ぶわけですけれども、どういう手段、どういう金の使い方であろうと、取引されることによって地価高騰するということについては、言い方はどうであれ抑えていかなければいけないのではないか、私はこういうふうに思うわけであります。  そこで、私ども四党案ではそこのところを配慮いたしまして次のように定めているわけであります。「土地投機的取引規制すること等により」、この「等」をここへ入れまして、そういう概念をこの中に入れて、したがって「適正な地価の形成を図り、」これを大きな目的にしているわけでありますが、そこのところは政府案の方はどういうふうに規定づけているわけでしょうか。
  47. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 投機と投資の区分の問題でございますが、先ほど申しましたように、投機というのは、利用することなく単に転売によって転売益を得る取引、それに対しまして投資といいますのは、将来の利用に備えて手当て買いをするというふうな形態が多いのではないかと思います。そういうこともございまして、基本法では直接投資的な取引まで禁止するような宣言はしていないわけであります。ただ、そういうものにつきましても、不要不急の需要地価対策上はできるだけ抑制していかなければならない、そういう観点からこれまでも税制その他いろいろな対策を講じてきたところであります。  ただ、少し基本法案を敷衍して言いますと、できるだけ土地利用計画を充実し、計画に従って土地利用は行っていくのだという規定を設けておりますので、非常に先の長い投資的土地取得に対しましては、そういう計画面を通じてできるだけ早い時期での適正利用というのを誘導していく必要がある、そういうふうに考えております。また、基本法も具体的な施策を展開する際、そういうふうに理解されていくべきじゃないかというふうに考えております。
  48. 中村茂

    中村(茂)委員 この点が非常に微妙であると同時に、どういうふうに規制していくかということがこれからの大きな政策課題になるのではないかと私が思うのは、今の国民感情なり全体からいって、土地というものについては、自分で持っていれば必ずもうかるという風潮がありますし、現実もそういうふうになっているわけであります。それから、金を借りる場合にも担保力土地が今一番ありますから、土地を持っていようという国民感情全体があるわけであります。  先ほども質問の中で出ていましたけれども、金余り現象だとか低金利だとかいう状況の中で、金利よりも土地の値上がりが多ければ、だれがどういうふうに言っても金は土地へ流れていくわけです。そこのところがこれから非常に大きな課題になると思いますけれども、個々の問題については次で申し上げていきたいと思います。  そういう立場に立って、土地投機的取引規制または抑制というものを考えてみた場合に、一つ国土利用計画法規制区域制度があります。二つ目には同じ国土法の監視区域制度があります。そして三つ目には土地融資の問題があります。それから四つ目には土地税制をどういうふうにかませていくか。こういうものを全体的にきちっとさせた中で、土地利用計画というものに権威を持たせてどういうふうに進めていくか。ですから私は、五点が非常に大きな課題になるというふうに理解するわけであります。  そこで、まず規制区域制度の問題に入りたいと思います。  国土利用計画法を見ても、その三分の一は規制区域の設定問題に綿々と触れております。設定した後の対処の仕方についてもきめ細かく出ております。後で出てきたのが監視区域になっているわけであります。そういうことを考えながら規制区域の問題を考えてみると、俗に伝家の宝刀と言われていますけれども、一回も抜いたことがない宝刀だ。土地の値上がりが起きてきた場合に準備だけはしておくという政府の方針もあって、そういう気持ちはあるようですけれども、どう考えてみてもそれが規制区域として活用できる状況になかなかなっていない。私どもはこの数年間の土地の値上がりのときに、委員会を通じたり、国土庁に対して、手おくれにならぬように、たとえどの地域でも、わずかでもいいから見本を示してみろ、抜かずの宝刀でどうにもならぬではないかと強く要求してまいりました。  ところが、これを設定するにはいろいろな隘路があるわけであります。そこで私ども四党では、これを実施するためにひとつ改正をしようという立場に立ったわけであります。それは先ほどもいろいろ論議したわけでありますけれども、法文によりますと、「その全部又は一部の区域で土地投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、」これが「及び」ならいいけれども「又」になっているもので二つつながるわけですが、「又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの」。土地投機的取引が相当な範囲で行われるとかそのおそれがあるといっても、ただこういうふうに言ったのでは判断ができないのです、これは。「及び」ですから、地価が急激に上昇する、二つ重ならなければだめだ。したがって、土地投機という問題が、定義の問題について先ほどやりとりしましたけれども、それを定めるにはなかなか難しい判断が起きてくる。  そこで、私ども四党では、前の方は削って、地価の急激な上昇または上昇するおそれのあるとき、これ一本にして実施し得るようにしようじゃないか。しかし、実施しますと、その実施した中の土地を売りたいという人または買いたいという人、売りたいという人については買い取り権で地方自治体がそれを買わなければなりません。ですから、その財政措置もきちっとして、ひとつこれを本当に実施できるようにしようじゃないか。こういう趣旨で提案しておりますので、配慮をいただきたいというふうに思います。  次に、監視区域の問題ですけれども、確かにある程度制度が定着してきたと私は思っております。そこで、時間がありませんから一括してお聞きしておきますけれども、政府から改正案が出ておりますからその改正点、それから今の実施の状況、それからその中で捕捉率はどのくらいになっているか、それから指導価格についてどういうふうになっているのか、あわせてお聞きいたしたいと思います。
  49. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答え申し上げます。  まず実施状況でございますが、首都圏を初め大阪名古屋圏、地方主要都市、リゾート予定地域等で積極的に指定が行われておりまして、この十一月七日現在、一都二府二十九県、十一政令指定都市、五百六十四の特別区、市町村で指定が行われております。国土庁としては、さらに最近の地価動向にかんがみまして、十月二十七日に地価上昇の未然防止の観点から、監視区域の先行的指定及び指定後の地価上昇がなお引き続き著しい場合における届け出対象面積の引き下げ等、制度の的確な運用に努めるよう、各都道府県知事及び政令指定都市の長に対しまして通達したところでございます。  次に、国土法一部改正案の趣旨、内容でございますが、最近の土地取引状況等にかんがみまして、地価高騰に対処し、適正かつ合理的な土地利用等を図る観点から改正を考えたわけでございます。改正点は二点ございまして、一つ監視区域における投機的取引抑制、二点目は遊休土地利用促進でございます。  まず投機抑制につきましては、監視区域に所在する土地について届け出がなされた場合、当該届け出に係る土地が契約により取得されたものでありまして、かつ短期間内にみずから利用するための用途に供されることなく実需者以外の者に転売され、適正な地価形成を図る上で著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該契約の締結中止その他必要な措置を講ずることができる、そういう勧告ができるような措置をとることとしておるわけでございます。要するに、転売、土地転がし防止のための利用目的審査でございます。  次に、遊休土地につきましては、やはり監視区域等に所在する土地につきまして、面積要件を現行の二分の一程度を下限として届け出対象面積等に連動して引き下げるものとすることとしたことであります。これは、現在市街化区域内では二千平方メートル以上が面積要件になっておりますが、千平方メートルまで引き下げられるということにしたわけでございます。  それと、期間要件でございますが、取得後、現行では三年間末利用である場合に遊休土地制度が働くわけでございますが、これを二年に短縮するものでございます。  それと、罰金の額につきまして経済実勢に合わせて所要の引き上げを行うこととしております。  次に、監視区域内におきます届け出対象となる取引の捕捉割合でございますが、首都圏など一都二府二十九県十一政令指定都市に地域が広がっておるわけでございますが、こうした地域における土地取引のうち、届け出対象面積が百平方メートル以上となっております、例えば東京都等では、大体六割程度取引が届け出対象面積以上ではないか。したがって、六割程度捕捉できているんじゃないかというふうに、これはちょっと推測が入っておりますが、そういうふうに見ております。  なお、届け出対象面積が三百平方メートル以上となっている名古屋市等では、約三割程度取引が捕捉できているのではないかと思っております。またリゾート開発予定地について見ますと、届け出対象面積が五百平方メートル以上であります三重県内の指定地域にありましては、約三割が捕捉されている、そういうことでございます。
  50. 中村茂

    中村(茂)委員 国土利用計画法ができた当時は、規制区域にしても監視区域はなかったわけですけれども、その地域の適用面積というものが、言えば新しく開発される、そこで土地は上がってはならないという、日本列島改造型の土地値上げに対しての対処法律として出てきたわけですから、面積を相当広く見ていた。ところが、ここ数年の地価の値上がりというのは、日本でも一番密集している東京一極集中というような、一番人口密度の高いところが上がってしまったということですから、国土法で捕捉していくことはなかなか難しかった。そこで、今度面積を下げるというような問題について、私も賛成であります。  ところが、今話がありました捕捉率が百平米で六割。だから東京あたりは土地というものを相当小さくやりとりして、それ以下のやりとりはあっても捕捉できないわけであります。ところが、地域によって該当面積がそれぞれ違う。ですから、これからの考え方について、少なくとも監視区域が設定されたら、七割程度が捕捉できるような面積を考えていくということをひとつ考えていただきたいというのが私の考え方です。名古屋の三百平米で三割、これはやはり百ぐらいにすれば五、六〇%の捕捉率が出てくるんじゃないか、こういうふうに思いますし、リゾート地域については千平米とか千二百平米とか非常に広くとっていますが、どういうところについても少なくとも七〇%程度の捕捉ができるような指導を頭に置いていただきたいというのが私の指定考え方であります。  それから指導価格について、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  51. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先ほどの答弁を少し補足させていただきますが、先ほど六割程度と申し上げましたが、先生御指摘のとおり、確かに大都市では土地の細分化が進んでおりまして、事前確認事項まで含めて六割程度ということでございます。  確かに捕捉率は高ければ高いほどベターだというふうに考えております。ただ、行政上のいろいろな効率の問題とかあるいはどの程度だと取引の主導権を確保できるか、いろいろあろうかと思いますが、先生の御指摘を念頭に置いてさらに勉強させていただきたいと思います。  それと指導価格でございますが、指導価格地価公示価格等を基礎として行っております。届け出に係る土地地価公示の標準地等の比較を行いますが、地価公示は一年に一回、都道府県地価調査の基準地も一年に一回でございますから、そういう公的な価格は半年に一度しか調査をしてございませんので、時点の修正が必要でございます。届け出に係る土地地価公示価格等を比較し、届け出時点までの地価変動に応じた修正を加えまして相当な価格を求め、さらに監視区域は、届け出価格がこの価格に照らし著しく適正を欠く場合に引き下げの指導勧告をするということになっておりますので、若干のアローアンスを見ながら指導しておるというのが実態でございます。
  52. 中村茂

    中村(茂)委員 限度何%ということについては公表しないということになっておりますから。しかし私は、それは公表したっていいと思っているのです。個々にその枠内で設定していくのは個々の問題に関連してまいりますから、発表とかそういうものは差し控えていくという必要があると思いますけれども、政策として公示価格の大体何%に抑えていくという行政方針は明らかにしたっていいんじゃないか、こういうふうに思いますが、その点まで公表はできないのですか。
  53. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 地価公示価格等と比較しまして、それに適正な時価修正を加えたものに若干のアローアンス。時価修正を加えるということまでは私はオープンにされていいんだろうと思います。時価修正も、上昇局面ではやはり上向きの修正、鎮静化、下降局面では下方修正ということになるわけです。そういうふうな修正を加えながら指導しておるわけです。  ただ、アローアンスの幅につきましては、かつて監視区域発足当時、アローアンスの天井を探るためにいろいろ架空の届け出が出たりしたことがございます。最近はいろいろ指導も加えましてそういうことはなくなっておりますが、やはりアローアンスについては地域によっても異なりますし地価動向によっていろいろ異なってまいりますので、我々も関与しないという姿勢で、実施いたします地方公共団体の自主性を尊重してお任せしているというのが実態でございます。
  54. 中村茂

    中村(茂)委員 私が言わんとしているのは、公示価格そのものが後追いだとか、値上がりしたのを追認していく制度じゃないかとか、中身は大体そういう地価状況をとらえて発表していくわけですから値上がりを認めていくような制度になっています。そこのところに指導価格を何%というように実情価格を見て設定して、届け出があったものをこの価格なら取引よかろうというふうに言っていっても、値上げをある程度認めていくわけですから、監視区域を設定した地域においても土地の上昇がやはり出てくる。そこのところで適正価格という問題が方々で出てくるわけです。だから私どもから見れば、適正価格というのは公示価格に指導価格で上下させるくらいは動いても適正価格かな、こういうふうに思わざるを得ないのですが、土地投機、そういうものと金融の問題を考えていった場合に、定額預金以下に抑えていかなければ、土地投機というかそういう問題が起きてくるのじゃないか、金は動いてくるのじゃないかと私は思うのです。ですから、定額預金の利子くらいを一つの線にして運用するというふうにけじめをつけていかなければどういうふうにやっていっても地価高騰は出てくる、これが一つです。  それから、土地投機的取引抑制をいろいろ今までやってまいりました。しかし、規制区域を設定したり監視区域を設定しても、それ以外のところは今の制度では捕捉できないですね。今度改正して土地投機と思われるものについてはきちっとやっていくというふうに言っておりますけれども、監視区域が設定されたところ、または規制区域が設定されたところ、それ以外のところはどういう法律をつくっても今の制度ではそれをつかまえていくという方法は見渡すことができない、こういうふうに思うのですが、その点はどういうふうになっておりますか。
  55. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先の方の指導価格の問題に少し言及させていただきたいと思います。  先生、定額預金の金利程度のアローアンスが適正な幅でないかという御指摘でございますが、今後運用に当たって十分参考にさせていただきたいと思います。実は我々も、地価上昇局面では投機とかあるいは手当て買い等買い進みが入りますので、非常にそういう投機、投資的要素が多い、これを排除して価格を設定しないといかぬと心がけてはおりますけれども、その辺は今後さらに検討したいと思います。  また、下落傾向のあるところは下方修正するのがおくれがちになります。この点もあわせて、非常に厳しいのですが、公共団体に適切に、タイムリーに見直しを行い、指導するように指導しておるところでございます。  それと、規制区域、監視区域以外のところの把握はできないのではないかということでございます。  基本的にはそうでありますが、ただ、国土利用計画法に一般の届け出制度というのがございます。これは、市街化区域では二千平方メートル以上、都市計画区域のその他の区域では五千平米以上、都市計画区域外では一万平方メートル以上の大規模土地取引につきましては、取引に先立って、監視区域と同様、届け出が義務づけられております。その中で、そういう規模のものについては価格指導を行っているところでございます。
  56. 中村茂

    中村(茂)委員 午前中を終わります。
  57. 大塚雄司

    大塚委員長 この際、休憩いたします。     午後零時十一分休憩      ────◇─────     午後一時十六分開議
  58. 大塚雄司

    大塚委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。  ただいま議題となっております各秦につきまして、議長に対し、公聴会開会の承認要求をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 大塚雄司

    大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。  なお、公聴会は来る十一月十五日に開会することとし、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 大塚雄司

    大塚委員長 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。     ─────────────
  61. 大塚雄司

    大塚委員長 質疑を続行いたします。中村茂君。
  62. 中村茂

    中村(茂)委員 午前中最後に監視区域の問題について触れたわけですけれども、私の言わんとしているところは、いろいろ土地取引についての規制のやり方はあるわけですけれども、現在のところはこの監視区域というのが相当普及されてきましたし、全体的にも実施してきているわけでありますから、今までの地価高騰状況を見れば、値上がりしてからそういう区域を設けていくというやり方ですけれども、もう値上がりが予想できるというようなところを先手、先手で区域を設定して、しかも、先ほど申し上げましたように、捕捉率が少なくとも七〇%までいけばいいわけですけれども、せっかくやっても五〇%以下というようなことでは半分しか成果を上げることはできないわけでありますし、それから指導価格などについても、その地域の状況などきちっと合わせて、できるだけ地価高騰抑制するようなきめ細かい対処でお願いしたいということを結論として申し上げておきたいというふうに思います。  次に、金融機関土地融資の問題でありますが、今までの地価高騰という状況を見ていきますと、必ずと言っていいほど不動産に向けての融資というものが増加してきている、こういう傾向が極めて顕著であります。日本列島改造という名のもとに一番地価高騰した四十七年、四十八年、このときには、特に四十七年の場合には前年比で五二・五%融資が膨らんできている、四十八年にも一八・四%というような膨らみを見せてきている。それから、石油ショック等で若干地価の値上がりを示した五十四年、五十五年、このときにもやはり前年比一〇%台を超すというような状況になってきた。そして、東京一極集中の今回の値上がりという状況の中では、六十二年、六十三年、そして平成元年、こういうふうにずっと上がってきている。そして、私がいただいている資料では、ことしの六月に融資残高総計が五十兆二千八百四十五億というような膨大な融資になっている。こういう状況を見ても、地価高騰という裏には必ず融資という問題がつきまとっている。確かに全体的な情勢を見てみますと、やれ金余り現象だとか低金利だとか株に行っているとかいろいろ言われておりますけれども、いまだにやはり土地というものを目当てにして融資が動いている。こういう状況ですから、最近の土地融資状況、それから指導考え方について、まず大蔵省の意見を聞いておきたいというふうに思います。
  63. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 金融機関土地関連融資につきましては、かねてから特別ヒアリングの実施等を通じまして投機土地取引に係る不適正な融資が厳に排除されるように指導してきたところでございます。全国銀行の不動産業向けの貸出残高の伸び率等を見ますと、特別ヒアリングを実施しました後、基調としてはかなり大幅に減少してきております。  また、今般国土庁におきまして国土利用計画法上の監視区域制度に係る指導の強化ということと平仄を合わせまして、大蔵省におきましても、指導の趣旨をさらに徹底させるという観点から、次のような六点の一連の措置を講じたところでございます。  まず第一は、通達を発出いたしまして、投機土地取引に係る融資を厳に排除するという従来の通達の趣旨をさらに徹底させると同時に、いわゆるノンバンクたる貸金業者一般に対します金融機関の融資につきましてもその資金が投機土地取引利用されることのないように、資金使途について十分な審査を行うように指導する。第二に、地価高騰地域等を主たる対象といたしました特別ヒアリングを実施する。第三に、金融機関によるノンバンク融資の実態把握を目的としました事務連絡を発出する。これに関連いたしまして、第四に、金融機関のノンバンク融資の実態につてのヒアリングを実施する。第五番目に、金融検査の活用を図る。第六番目に、ノンバンクの不動産融資の適正化に関する自主的な措置について当方から業界に要請する。このような措置を通じまして、今後とも投機的な土地取引に係る融資が厳に排除されるように強力に指導してまいりたいと考えております。
  64. 中村茂

    中村(茂)委員 国土庁にお聞きしますが、今度の政府案の中では土地融資についてどういうふうに位置づけているか、その考え方、どの条項でどうなっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  65. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 政府案の七条一項で「事業者は、土地利用及び取引(これを支援する行為を含む。)に当たっては、土地についての基本理念に従わなければならない。」という規定を置いております。これは、各種の開発事業を行う建設業者、土地取引を行う不動産業者、さらには融資を行う金融機関等に対しまして、適正な土地利用を行うことや、投機的取引を行ったり支援したりしないことを行動規範として求めたものでございます。  また二項では、国及び地方公共団体が実施する施策についての積極的な協力義務を事業者に課しておりまして、この施策によって一層の実効性を確保しようとするものであります。  なお、本条一項、二項は、いずれも八条一項、二項の国民の責務よりも厳しいものと規定しておりまして、一般に、事業者が事業活動の一環として土地利用取引等を行う場合には、その規模や頻度あるいは周辺への影響力が一般の国民に比して大きいわけでございますので、事業者が事業活動を営む場合には一定の社会的責任が求められるのだという立場からこういうふうな規定を置いておるわけでございます。
  66. 中村茂

    中村(茂)委員 この四党案よりも政府案ですぐれているところは、事業者の責務を明らかにしたという点ではないかというふうに私自身は思っております。  今御説明いただきますと、やはり金融業者まで事業者の責務ということで含まれている。それは、先ほどから言っております土地基本法考え方について示している中でその点も触れていると思いますけれども、その範疇で大体考えていればいいわけですか。
  67. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  68. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで四党案ですけれども、四党案では、そういう趣旨に基づいて国土利用計画法の一部改正の中で、土地取引に伴う届け出項目があるわけですけれども、そこに新たに資金計画を追加して融資の中身を明らかにする、そういう手続を通じて土地投機的な取引にわたるかどうかということをチェックしていく必要があるだろう、こういうことで一部改正を提起しているわけであります。  今大蔵省からお話を聞いたり、それから国土庁基本法の中に事業者の責務として含まれている、そこまではわかりました。そういうことを基本法で決めるなら、それに基づく今回の国土法の改正の中でもやはり土地金融についてきちっと定めておいた方がいいのじゃないか。今までの大蔵省の指導にしても、金融関係については、土地に関する限り法的な裏づけでしているわけではありません。ただ行政指導の枠内でやっているという状況ですから、法的にもその道筋というものをはっきりしておいた方がいいのではないか、こういう考え方で四党案では提起しているわけでありますが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
  69. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 国土法による土地取引規制は、取引価格あるいは利用目的を厳正に審査することによりまして、価格の安定、合理的な土地利用の実現を図ることを目的としておるものでございますが、御指摘の融資の有無等、資金に関する事項についてまで届出書に記載を求めるということは、国土法の目的、それと、この届け出は取引に先立って行われるものですから、通常、資金計画が固まっていないような段階のものも多いと思うのです。さらには、プライバシーの保護等の観点に照らして、率直に申し上げまして難しいのではないかと考えておるわけです。  なお、土地関連融資の適正化につきましては、先ほど来大蔵省からも御答弁申し上げましたように、数度にわたり大蔵省に対しまして、投機的取引の融資に対しましては金融機関に対し厳に指導していただくようお願いしておるところでございます。また、今後ともこういうスタンスでさらに指導の徹底等をお願いしていく考えであります。
  70. 中村茂

    中村(茂)委員 どういうところでもいいわけですけれども、いずれにしても土地融資に当たっての規制というか健全なる地価形成を進めるために基本法ができたわけですから、その裏打ちの法律というかけじめを考える必要があるのではないか、これについて強く要請しておきたいというふうに思います。  次に、国公有地の問題についてでありますけれども、四党案では、地方公共団体が公有地を拡大することによって宅地供給または健全な居住環境を整備する、そういう観点に立って、今も公有地の拡大の法律はあるわけでありますから、それを活用して今申し上げたような趣旨で拡大していったらどうだ、基本法の中にこれを一項入れているわけであります。  それと同時に、国土利用計画法の中では、これは国の土地まで含めて国公有地、特に国の土地の払い下げについては地方公共団体に届け出るというか、国が届け出るというのはちょっと言い方はあれですけれども、届け出て地方公共団体の協議を経ながら払い下げていく、こういう手だてを改正案で出しているわけであります。  東京一極集中土地の値上げについても、民活方式ということで国公有地が民間に払い下げられる、そういうことで公示価格の四倍、五倍ということになって、今度の値上げの一つの引き金になった、こういう指摘もあります。国公有地というのは取得するときも税金はかかりませんし、相手については三千万なり五千万、これは税金を払わなくてもいいぞ、そして自分が手に入れて、手に入れても取得税もかからなければ固定資産税もかからない。これは国公有地は公共福祉のために使われるということが前提だからそういう仕組みになっているというふうに私は思うのです。ところが、一つの独立採算制の中でとても赤字だからといって、それを民間にできるだけ高く売りさばくという手法は許すべきではないし、そういう考え方をとるべきではない。せっかくそういう土地を得たわけでありますから、それは特に地方公共団体は、宅地供給についても公園についても住環境の整備の中心でありますから、そういうところの議を経ながら有効適切に活用していくという考え方に立たなければならないというふうに思うのです。ですからこの項目を入れているわけでありますが、この点について、国土庁考え方を聞いておきたいというふうに思います。
  71. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 まず公有地の拡大についてでございますが、確かに御指摘のとおり、良好な住宅宅地供給土地の有効高度利用の促進のためには、何といいましても道路、鉄道、上下水道、公園等の社会資本整備が不可欠であります。そういう意味で、公有地の拡大推進は社会資本都市整備を図る上で非常に重要な施策一つとして認識しているところであります。  しかし、先ほども御答弁申し上げましたように、土地基本法施策基本的な方向を打ち出すにとどめておりまして、現在の政府案におきましては、公有地の拡大の推進等の具体的、個別の施策にまでは踏み込んで規定していないというのが実情でございます。  それと国公有地の処分に関する問題でございますが、先生御承知のとおり、東京圏の地価高騰非常に著しい時期に、国公有地の一般競争入札による払い下げが高騰に油を注いだという御批判もありまして、六十二年、国土利用計画法の改正によりまして、国等が土地を売買する場合にも適正な地価の形成について配慮するべき規定が設けられたところであります。この規定に基づきまして、その後関係省庁間で連絡、情報交換を密にしながら適正に的確に対処しているところでございまして、政府で決定いたしました緊急土地対策要綱等におきましても、地価高騰が著しい地域におきましては、公共、公益用の用途に供することを原則にしながら、一時公開競争入札を見合わせたという経緯もございます。  そういうことで、現在は十分関係省庁と連携を密にし、適正な地価の形成にお互い努力するというスタンスで対処しておるところでございます。
  72. 中村茂

    中村(茂)委員 法的には国土利用計画法の一部改正が一昨年行われて、附則に配慮規定として設けただけだというふうに思うのです。そのほかは国土利用関係については全然ない。しかも配慮規定というのは附則で、つけ足しみたいなもので、頭の中に置いてやる程度になっているわけであります。  先ほどもいろいろ言いましたけれども、考えてみれば、住宅のところでまた申し上げたいと思いますけれども、東京圏なら東京圏でそういうものを十分活用していくということに地方公共団体が立てば、全体的に見て宅地供給は私は可能だと思うのです。しかし、問題は値段です。高い値段ならどんなのでも出てきます。庶民、勤労国民が取得できるような宅地供給ということを考えていくと、やはり一定の値段というものがかかわり合ってきます。そういう際、国公有地が民間に払い下げられて高い値段になればいいわ、こんな土地対策はないと思いますし、こんな政治はないと思うのです。こんなときこそ、有効適切に活用していかなければならないわけです。  確かに政府の方針やいろいろな中でも一応はうたっています。しかし、現実にはなかなかそういうふうにならない。では、地方公共団体でそういうところが欲しいからといって、国鉄の今までの用地について話をしていっても、いや、公示価格じゃとてもだめですよという話になる。しかし、そこのところを法的にどういうふうに規制しながら有効適切に使っていくかという道筋をきちっとさせなければ、私はこの法案をつくる意味がないのじゃないか、そういう意味で入れているわけであります。  それと、もう一点申し上げておきたいのは、公有地の拡大、地方公共団体、これは法律にもあります。しかし、それを得る財源がないわけであります。ですから私は、土地債というようなものを発行して、十分地方公共団体がそういう土地を得ることによって土地問題のあらゆる面を解決していくという手法をとらなければいけない時期に来ているのではないか、これは私の考え方ですけれども、要求しておきたいというふうに思います。ですから、これからどういうふうにするかということについても、まだ意見を述べながら追及していきたい、こういうふうに思っております。  次に、土地税制について申し上げたいと思いますが、この土地税制の今までの経過を若干考えてみますと、中曽根内閣のときに税制改革ということを行って、そのときに売上税が出てき、消費税がその後出てき、そのときに土地税制だけが保留されて現在に至っている、こういうふうに私は理解している。だから、税制改革、税制改革というふうに声高らかに叫んできたけれども、この土地税制だけは置き去りにされてきてしまった。これは一部改正された時期もあります。そこで、今回この基本法ができることによって、土地税制というものが抜本的に土地対策に合わせて改正され、もっと適切なものにしていかなければいけない時期に来ているのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、政府案の中で、特に土地税制で触れておりますいわゆる第五条、第十四条、第十五条の関連について簡潔に御説明いただきたいと思います。
  73. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地の価値の増大は、他の一般の財と異なりまして、みずからの努力によるものではなく、一つには人口や産業の集中、二つには道路や鉄道等の社会資本整備、さらには土地利用規制計画の変更等による開発可能性の増大等、外部的な要因によってもたらされる部分が多いわけでございます。このために、土地の所有者等がみずからの努力によらないで大きな利益を受けるということに対する不公平感が増大していることも事実だと思います。また、このような資産としての土地の有利性のために、国民一般に土地所有に対する執着意識も強くなっているのではなかろうかと考えております。  法案五条では、このような点を踏まえまして、公平の確保に資するほか、資産としての土地の有利性を減殺するため、土地所有者に対しまして利益に応じて適切な負担が課されるべきことを基本理念として明らかにしておるものでございます。  また十四条、十五条は、五条のこの基本理念を受けた具体的な施策の展開方向を定めたものでございまして、十四条は受益者負担制度についてであります。社会資本整備等に伴って著しく利益を受ける者に対しましては、その利益に応じて適切な負担が課される必要があるという思想でございますし、また十五条は、土地についての基本理念にのっとり、また土地に関する施策を踏まえ、公平の確保等にも配慮しつつ、土地に関し、適正な税制上の措置を講ずるという規定でございます。
  74. 中村茂

    中村(茂)委員 第五条、土地の価値が増加していくのに伴ってその利益に対しての負担、それから受益者に対しての負担、それから土地税制全般についての負担ということですが、どれも適切な負担、適切な負担、適切な負担と、こういうことでみんな締めくくっているのですけれども、適切な負担ということが私はよくわからないのですが、そこで私なりに土地税制のあり方というものを四つに整理してみました。  一つは、いろいろあるけれども、今の土地問題というものを考えてみた場合に、宅地供給というものがどういうふうになされるかということが非常に大切な時期に来ているのではないか。そこで、この土地供給促進に役立つような土地税制をつくるべきだ。少し極端に言えば、増税と減税をかみ合わせる中で対処していくべきではないか、これが一つ考え方であります。  それから、土地高騰によって資産格差というものが増大してきた、これをどのように解消し、是正していくか。これは先ほどの説明の中にも考え方が出ていたようであります。  それから土地投機的な取引抑制、やはり税制上からも考える必要があるのじゃないか。  それから四点目には、この三点と今度の法律というものを考えてみた場合に、土地というものはただ所有したのでは価値がない、利用することによって価値が生ずるのだ、ここのところの、理念と言えば言い過ぎかもわからぬけれども、基本法の中に流れている精神だと私は思うのです。それから、ヨーロッパなどの利用を見ていますと、あらゆる面を活用して、ただ所有しているだけでは土地というものは余り意味がないのだ、利用することによって初めて土地の価値というものが出てくるのだ、そういう立場に立って土地税制というものに対処していく必要があるのじゃないか、こういうふうに思うのです。  以上、これは適切な負担ということで全部締めくくられておりますから、ただ私の考え方を一応申し上げて、この点については一応締めくくっておきたいと思います。  次に、良好な宅地供給について、これは冒頭から何回か申し上げておりますけれども、四党案ではこの点を重視いたしまして政策目標として掲げておりますし、それからそれぞれの条項の中で、環境のよい、良好な宅地供給について触れているわけであります。考え方なりいろいろなものはそれぞれの中に入っているというお話ですけれども、私はこの際、良好な宅地供給というものをどういうふうに考えていくかということに真剣に取り組んでいく必要があるし、この法律の中でも一定の方向をきちっとさせておく必要があるだろう、こういうふうに思うわけであります。  そこで、まず建設省最初お尋ねいたしたいと思いますが、その前提として、特に東京都市圏とか大都市についてはもっと公共賃貸住宅というものを進めていく必要があるだろう。しかも環境のよい、住みよい東京ということをまず一点追求したいというふうに思うのです。  私のところに持っている調査によりますと、この東京圏と言われる地域の持ち家と借家の比率ですけれども、持ち家が五一・五%、賃貸——公営住宅、公団住宅、民営、給与、社宅、いろいろありますけれども、その合計が四五・四%。地方と違って、私はこの数字を見て、案外公共賃貸の部分が占めているんだなという感じを受けたわけですけれども、やはりこれだけ地価高騰し、取得が困難になってまいりますと、この公共賃貸というものを相当幅広く提供していかなければ住宅問題は解決できないのじゃないか、こういう考え方に立っております。  それから宅地供給については、国土庁の四全総の西暦二〇〇〇年までの東京圏、一都四県で三百七十万戸住宅供給という方針の中で、国公有地とか工場跡地、低・未利用地、それから市街化農地、こういうものを含めると相当な面積になるわけであります。それを先ほども申し上げたさまざまな手法によって供給を考えていけば供給は可能だ、しかし値段が問題だ、ここで突き当たるわけですけれども、そういう意味を含めて、今建設省宅地供給住宅供給についてどのような考え方か、簡潔で結構ですけれども、お示しをいただきたいというふうに思います。
  75. 望月薫雄

    ○望月政府委員 お答えさせていただきます。  先生お話しのように、四全総によりますと、例えば首都圏の場合で、具体的には東京圏でございますが、西暦二〇〇〇年までに五百七十万戸の住宅が必要になり、そのための土地が、新規に宅地化すべきもの四万ヘクタールが需要として見込まれる、こういった展望でございます。  そういった一つの見通しに対して、私ども、これからどう取り組んでいくかということが当面する大きなテーマであるわけですが、東京圏について申し上げさせていただきますと、これはほかの地域でも同様なことが言えるわけでございますが、やはり既成市街地にございます工場跡地などのいわゆる低・未利用地、こういった空間、あるいはまた市街化区域内の農地、これも貴重な空間として見詰めなければなりませんし、さらにまた、いわゆる外周部といいましょうかニュータウンの開発、こういったこと等々をいわゆる交通アクセスの整備ともあわせ講ずることによりまして供給の方策に結びつけていきたい、こういう構えで現在建設省としましても検討を進めている中でございます。  また、住宅につきましても、先生今御指摘のとおり、率直に言いましてすべてが持ち家ということも現実的ではございませんし、昨今の地価高騰等の状況の中では、良質な賃貸住宅、こういったものに対するニーズも極めて根強いものがますますあるだろう、こういう認識に立ちまして、賃貸あるいは持ち家、両々相まっての総合政策をどう組み立てるかということが当面する課題でございます。建設省といたしましてもこういった観点から、住宅宅地の確保について、供給について総合的な対策を、現在制度の改正等も含めまして、あるいはまたそれに関連する税制のあり方も含めて目下勉強中という段階でございます。
  76. 中村茂

    中村(茂)委員 冒頭に建設大臣が新聞発表したことを言ったのですけれども、その中身の中で市街化農地の問題が大きく取り上げられていて、宅地並み課税、長期営農、この関連で、明年度恐らく十年の期限になると思うのですが、そういう点を含めて、今建設省はこの宅地並み課税、課税そのものからいくと自治省なり農水省が関連してくると思うのですけれども、宅地供給という面からとらえて建設省がどのように考えているのか、一応お聞かせいただきたいと思います。
  77. 原田昇左右

    ○原田国務大臣 三大都市圏の中の市街化区域農地は、都市に残された貴重な空間でございまして、その有効利用宅地供給対策として極めて重要だと認識しておるわけであります。  今、我々として市街化区域内の農地についての課税問題についてここでこうするとはっきり申し上げる段階ではございませんけれども、総合土地対策要綱の趣旨に沿いまして、まず保全するものと宅地化するものとの区分を明確化する必要がある、宅地化するものについては、土地区画整理事業の実施、地区計画活用等によって、切り売りでなくて計画的な宅地化を積極的に進めていく、そしてある程度インセンティブも出すということが極めて肝要だと思いまして、それとあわせて、総合的に税制問題を見直し、総合的に対策を樹立することが肝要であると考えておるわけでございます。  なお、保全するものについては生産緑地制度とか家庭菜園とか、新しくいろいろ制度化を考えまして、逆線引きもして調整区域に編入するということも必要ではないかな、こういうように考えて、今総合対策を練っておるところでございます。
  78. 中村茂

    中村(茂)委員 私も見直す時期に来ているのではないかと思っているわけであります。そこで、後ほどの土地計画のところで若干私の考え方を申し上げたいと思いますから、ここでは省略させていただきたいと思います。  次に、四党案では地価の評価制度の一元化を提起しているわけでありますけれども、もう御存じのように、国土庁では公示価格、自治省では固定資産税評価額、大蔵省では相続税などの路線価、そして実勢価格と、一つ土地について四つの評価が出てくる、これを同じ土地なんだから一本にしたらどうだろう。私は、一つ土地評価というものをはっきりさせて、固定資産税なり相続税路線価、こういうものはそれに合わせていけば幾らでもできない問題ではないじゃないか、こういうふうに一点考えております。  それで、この起きてきた原因というものを考えてみると、日本政治がやはり各省庁の縄張りの縦割り行政だ、その弊害というものが、実勢価格はみんなそのときの価格ですけれども、制度としては一つ土地について三つの評価が出てきてしまう。ですから、この際、せっかく土地基本法制定するのだから、この一元化ということを強く求めて私どもはその中に一項入れたわけであります。これについて考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  79. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおり、現在公的評価が幾つかに分かれております。ただ、それぞれの評価制度につきましては、これまでの長い経緯の中でそれぞれの目的に応じた評価システムがとられておりまして、これを直ちに一元化するというのはなかなか難しいのじゃないかと思います。お詳しい先生に釈迦に説法のような格好になるわけですが、地価公示は一般の土地取引価格に対する指標として、あるいは公共用地の取得価格を定める際の規準として機能すべき性格を有しておりますし、また、相続税は一世代一回限りの課税、それに対しまして固定資産税は収益の有無にかかわらず毎年課される税でございますので、相当その辺の性格は違い、そういう意味で一元化が難しい。諸外国でも公的評価制度を定めておる外国は余り多くないのですけれども、ただ譲渡所得税課税の評価と保有税課税の評価につきましては、諸外国の例を見ましても相当大きく離れているのが実態ではないかというふうに見ております。ただ、公的評価については国民に信頼を得られるようにわかりやすい形であることが望ましいことは言うまでもないと思っております。そういう意味で、総合土地対策要綱におきましても、相続税評価固定資産税評価につきましては、その性格を考慮し、地価公示との関係にも十分配慮しつつ、均衡化、適正化を推進するということで、現在そういう方向で努力をしております。今後とも努力をしたいと考えております。
  80. 中村茂

    中村(茂)委員 もう少し国土庁政治力があると思ったら案外ないのにびっくりしたのですが、今もこちらの方で言われているように、一つのものが決まれば、その比率によって変更したり、それに合わせていけばいいわけです。今の固定資産税の決め方だって、一つの幅を持って、地方公共団体で四分の一というふうにきちっと決めていくようになっているわけですから、それはできないというのは、先ほどから言っておりますようにそれぞれの省庁の歴史的な経過があるのはわかります。しかし、できない相談ではないということだけは強く要請しておきたいというふうに思います。  それから次に、遊休土地の未利用地を含めての問題ですけれども、やはり国土利用計画法は、一口に言えば、規制区域、監視区域それから遊休土地、これをどういうふうに活用していくか、三本立てだというふうに私は理解しているのです。ところが、遊休土地のあの制度によって届け出のあった、通知のあったものについては八年間で四十四件、五十四ヘクタール、六十三年には三件で四ヘクタール。これでは全く有名無実みたいなもので、こういうところについてはそれこそもっともっと見直しをして、規制を細かくして、未利用地を含めて活用できるような手法をとっていかなければいつまでたっても遊休土地だ。行ってみればあいている、こういう状態ではどうにもならないわけです。そこで、今度、遊休地の改正案が出ておりますけれども、その点を含めてこれからの活用について国土庁の意見を聞いておきたいと思います。
  81. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 低・未利用地の有効利用の促進というのは、土地の適切な利用のため非常に重要なことだと考えております。それで、今回国土利用計画法改正案におきましても、遊休土地制度につきまして面積要件の引き下げと期間要件の短縮を図ろうとしておるわけでございます。  面積要件につきましては、現在、市街化区域では二千平方メートル、その他の都市計画区域は五千平方メートル、都市計画以外の区域では一万平方メートルが遊休土地面積要件でございますが、原則としてそれを半分程度にまで引き下げて遊休地の利用を促進してまいりたいと考えております。取引の実態あるいは所有の状況を見ましても、土地の細分化が進んでおります。そういう状況にも照らして今回の改正を考えたわけでございます。  また、期間につきましても、取得後三年間を経過してから遊休土地制度が運用されることになっておりましたけれども、それを二年に縮めまして、二年が経過いたしましたら適切な利用について助言あるいは勧告を行うということにしようとしておるわけでございます。
  82. 中村茂

    中村(茂)委員 もう一度建設省に聞いておきたいと思いますが、先ほども言いましたように、宅地供給、そういう立場で、ここにある資料でいきますと、国公有地と工場跡地六千三百ヘクタール、それから低・未利用地二万三千ヘクタール、市街化農地三万六千ヘクタール、これだけの東京圏における、一都四県でいえば宅地供給できる土地があるというふうに言われているのですが、この宅地化する率、宅地化率、これをどの程度に見ているのですか。それでどの程度に進めていこうとしているわけですか。
  83. 望月薫雄

    ○望月政府委員 先生がお示しのように、現在、私ども一つの推計でございますけれども、国公有地だとか工場跡地等で六千三百ヘクタールあるいは低・未利用地が二万三千ヘクタール、あるいはこれはかなり確度が高くて市街化区域内農地が三万六千ヘクタール、こういったふうな布存の状況を一応認識いたしておるわけでございますが、先ほど御答弁申し上げましたような四万ヘクタールの宅地を新たに供給しようという際に、おおむねこのうちの二万ヘクタールくらいを計画開発で持っていこうという考え方に立っておりますが、さらにそのそれぞれ一万ヘクタールを市街化区域内の農地の転用あるいは低・未利用地活用ということで直接的には意識して政策を考えてまいりたい、こんなふうに認識しておるところです。
  84. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで、最後の質問ですけれども、全体的にいろんな角度から私は質問してまいりました。それから、私ども四党案と政府案の相違などを含めながらずっとやってきたわけですが、言いかえれば、土地計画利用をどういうふうにするかということが基本的な流れとしてずっとあるわけであります。ところが、国土利用計画国土利用計画ということで決められて何年か経過しているわけでありますが、そのほかにも、御存じのように都市計画とかさまざまな計画があるわけです。しかし、今度基本法の中でうたわれている土地基本的な理念に基づいた土地の有効活用、そのことを考えてみた場合に、土地計画利用ということが一番大きな柱にならなければいけないのじゃないか、そういうふうに思うわけであります。一つの例を申し上げますと、長期営農とか宅地並み課税とかいろいろ言われますけれども、やはり都市計画というものがきちっとされて、ここのところについては宅地、ここのところについては商業地、ここのところについては工場、ここのところについては住宅地域、そして、そういう中で保全されるもの、緑地、公園などにするもの、公共的なスポーツ施設なりそういうふうにするもの、それは地域住民と十分意見を交換しながらきちっとしたものをつくり上げる、そして、それがそのとおり公共福祉優先ということで実施されていく、土地がそのとおり利用活用される、そういうシステムと考え方がきちっとしてこそ、この基本法の成果というものが出てくるのではないか。ですから、市街化農地、農地と言うけれども、ただ全部宅地並み課税にすれば宅地が出てくるというものではありません。ですから、そういう計画に基づいて必要な部分、営農できちっと農業をやってもらう地域はやってもらう地域、緑地、そういうことが一番必要だというふうに思うのです。  そこで、私ども野党四党案でいけば六条ですけれども、「国及び地方公共団体は、土地の有効かつ合理的な利用を図るため、土地利用に関する計画を定め、これに従って土地利用されるよう必要な施策を講ずるものとする。」ということで、この計画土地利用の原則として位置づけたわけであります。政府案の方は、私はこの義務づけというかそういうものが少し緩いような感じを全体的に受けるわけですけれども、やはりこの辺が非常に重要じゃないか。  それから、皆さんも、もう私が申し上げるまでもなく十分お知りだと思いますけれども、フランスのパリあたりへ行っていろいろ聞いてみると、この計画というものがきちっとしていて、そしてこの計画にのらない土地は売買もできない、したがって、土地の価値もない。ですから、そういうことによって、利用することによって土地の価値が出てくる、こういうけじめというか、土地のあり方というものが非常にしっかりしていると思うのです。ですから、この基本法を通じてそういう土地というものの理念活用というものを考えていく時期に来ているのではないか、こういうふうに私は思うので、最後に申し上げて長官の意見を聞いて締めくくりにいたしたいというふうに思います。
  85. 石井一

    石井国務大臣 中村委員の長い経験に基づくいろいろな角度からの政府案と野党案の比較、私、大変傾聴に値する意見だというふうに考えました。また、今後の審議を経て取り入れるべきところは柔軟にひとつ対処いたしたい、こう申し上げておるような次第でございます。  そこで最後に、この政府案におきましても第三条第二項及び第十一条一項において、土地利用計画についての必要性なりその策定の推進を明確にいたしております。第十一条の一項には、土地利用計画の策定主体として、国と並べて地方公共団体をも位置づけております。  そういうふうなことから、法体系においても国土利用計画については全国計画は国、都道府県計画については都道府県、市町村計画については市町村が策定主体となるなど、その策定の地域等に応じて地方公共団体にもその策定の権限が与えられておる、こういうふうな規定もいたしておりますので、御指摘土地利用計画という問題につきましては、ある程度はカバーしておる、こういうふうに考えておる次第でございます。  いずれにしましても、土地供給の問題に関しましても、計画とセットをしてそこに十分税制をかぶせた中に新しい工夫を加えたインセンティブを加えて、そういう中から発想を転換して、今回、この法律を契機に過去の悪弊を断ちまして前進しなければいかぬというふうに認識いたしております。  また、一物四価の問題も、理論的には御指摘の面、十分理解をいたします。ただ、均衡化とか平準化とかと申しまして、私も多少どういう意味か考えてみたのでございますが、地点の数がばらばらで違う、またそれを評価する時点がまたばらばらに違う、しかし、過去何十年にわたってその積み重ねが各省なり各制度の中にある。今、今日ここである一つの標準を決めてそれがそれぞれの具体的個々の例にマッチするのか、大変な批判なり厳しいものが来るだろう、する場合もあるでしょうし、せぬ場合もあるでしょう、この辺の問題についてもう少し各省の検討が要るのではないか。しかし、これもやはり言われるとおりの面も大いにある、こういう認識をいたしております。
  86. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  87. 大塚雄司

  88. 小谷輝二

    小谷委員 初めに、国土庁長官にお伺いしたいと思います。  地価高騰は、都市基盤整備に大きく影響を及ぼすものであり、それだけではなく、国民生活にとりましてはサラリーマンのマイホームの夢は遠のき、なおかつ通勤通学等々困難な事情をもたらすものであり、都市の中心部に住むとしましても家賃はかなり高騰して、国民生活に重大な影響を及ぼしておるわけであります。  先月二日に国土庁が発表しております地価調査、これでは大阪圏の住宅地で三七・三%の急騰、名古屋圏では一四・八%の上昇という調査結果が発表されております。このように地方の中核都市地価高騰が拡大していることは、この調査を見ても明らかでございますが、六十一年から六十二年にかけての首都圏中心の地価高騰、それと今回の地方都市に対する地価高騰はどのような関連性があるのか。また、今回の高騰大阪を中心にかなり大幅な上昇を見ておるわけでございますけれども、この主たる原因はどうなのか、どのように判断をしておられるのか。まず国土庁長官にお伺いしておきたいと思います。
  89. 石井一

    石井国務大臣 概括的に御報告させていただきたいと思いますが、東京圏では五十八年ごろに商業地で地価の上昇がスタートいたしまして、六十年ごろに都心の商業地を中心に地価上昇が加速的傾向を示し、地域的にも広がりを見せ、六十一年には周辺住宅への波及が顕著になりました。六十二年には地価高騰が周辺部に波及したものの後半には地価が下落に転じ、六十三年前半には神奈川県の住宅地の地価も下落に転じました。最近では、埼玉県、千葉県の周辺部から域外にかけてかなりの地価上昇が見られるものの、東京都、神奈川県では地価が下落する等、全体としては鎮静化傾向にあります。東京圏の地価の上昇は、都心部等における事務所のビル需要の急激な増大、都心部等の業務地化に伴う住宅地の買いかえ需要の増大、そうしてこれらの需要の増大を見込んだ投機的な取引等が金融の緩和状況を背景として複合的に影響して生じたものと考えられます。  委員が御指摘大阪圏でございますが、五十八年から五十九年にかけて一部の商業地で上昇を示し始め、六十三年には著しい地価上昇の見られる地域が圏域のほぼ全域に及び、上昇傾向が継続しております。また、名古屋圏でも昭和六十一年から六十三年にかけて地価が上昇し、名古屋市は最近やや鈍化傾向にあるものの、やはり周辺部におきましてはこれが拡大しておる。なお、地方におきましては、昭和六十年ごろから福岡市、札幌市等の商業地でかなりの地価上昇が見られ、最近では他の都市でも地価上昇が見られます。  大阪圏を初め地方都市等における地価上昇の要因は、まず第一に依然として金融緩和基調にあること、大阪圏、名古屋圏では先行して大幅に価格が上昇した商業地に比べて相対的に価格水準の低い周辺地域に今現在波及しておること、それから商業地域における再開発、交通機関の整備等がかなり進捗したこと、さらにこれらの地域が昨年以前に地価高騰した東京圏と比較すればかなり割安感、同時に先高に対する期待を生じた、こういうふうなことが考えられるわけでございます。
  90. 小谷輝二

    小谷委員 今回の地価高騰原因につきましては、今大臣からいろいろ説明をいただきました。いろいろな要因があろうかと思います。我々公明党も、土地基本法制定を初めとする地価対策が急務である、このように今までも訴えてきたところでございますが、今回の大阪を初めとする地方都市地価高騰については、地価対策に対して行政側の対応が十分でなかったのではないかな、このように思われる節がございます。  政府は、六十一年の地価高騰に対応するために昨年の六月二十八日、土地総合対策要綱をつくられて、閣議決定をされて、その実施を目指しておられるわけでございますが、この実施状況はどうなっておりますか、まず御説明ください。
  91. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 過日の土地対策関係閣僚会議で総合土地対策要綱の実施状況報告したわけでございますが、その概況をごくかいつまんで御報告申し上げますと、要綱は非常に多岐にわたっておりますので簡単に要約させていただきますが、まず土地基本法案を第百十四国会提出しておること、首都機能都市・産業機能等の分散関係では、多極分散型国土形成促進法に基づく振興拠点地域の承認基準あるいは業務核都市基本方針の策定、さらには基本構想の承認準備を進めていること、平成十二年を目標とします新工業再配置計画を策定したこと、地方における非農業的用途に対する需要に対応するために農用地区域の除外を弾力的に運用することとしたこと、また宅地対策の推進といたしましては、大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法を施行いたしまして、現在優良地区として十七地区、約千ヘクタールの計画を認定しておること、また大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法の施行によりまして現在事業を準備中であること、さらには市街化区域内農地の宅地化推進に関する都市計画上の方策及び課税問題について検討するとともに、低・未利用地についても、遊休地制度の創設とあわせて特別土地保有税の見直しを検討中であること等を報告しております。  また、住宅対策の推進につきましては、大都市地域における住宅宅地供給促進のための総合的な方策及び持ち家取得に係る各種支援措置について検討中であること、借地・借家法の見直しについて検討中であること等を報告いたしました。  また、地価形成の適正化につきましては、国土利用計画法改正法案を第百十四国会提出中であること、監視区域の的確な運用、不動産業者に対し適正な地価形成のための協力要請、金融機関に対し土地関連融資の厳正な取り扱いを通達、特にこの中でノンバンク貸金業者に対しても土地関連融資の適正化を指導する。そういう対策を現在進めておる旨報告しております。
  92. 小谷輝二

    小谷委員 この総合土地対策要綱にはかなりの項目が網羅されておるわけでございまして、かなり期待されておるものでございますけれども、決定されてから既に一年数カ月たっておるわけでございます。十一月一日現在で土地対策関係閣僚会議に出された資料の中を見せてもらいますと、一年以上もたっておる今日でも、引き続き検討中四十九項目ですか。また調整中、要望中、二十四項目。七十三項目にわたってまだ結論が先送り、こういう状況報告されております。  土地対策につきましては総合土地対策要綱ですべて網羅されておる、これをいかに実行するか、実践するかということによってのみ決まるのではないか、このようにも言われておるわけでございます。今日さらに地方中心都市にまで地価高騰を許してしまったのは、ここらの政府、また行政側の対応の甘さがこのようなことになったのではないか、こういう指摘もあるわけでございますが、国土庁いかがですか。
  93. 石井一

    石井国務大臣 私もこのポストに任命を受けましてからいろいろの資料を拝見しましたが、確かに今問題になっております総合土地対策要綱、これはもろもろの分野にわたります、各省にまたがります、相当専門家の集まった意見が網羅されております。しかし、残念ながら財政面、税制面、制度面等で、実施したくてもそこまでいっておらない面も残っておることも確かでございます。  例えば、既に多少なりともスタートを切りました政府機関の地方分散というふうな問題もございましたり、あるいは借地・借家法という問題で法制審議会等の規定がございまして、何年かの時間にそれだけの経過を経なければ結論が出ない性格の問題、営農農家に対しましては十年間の期限というふうなものがはまっておるとか、あるいは税制改革、今当面消費税の問題をやっておりますが、政府税調、党税調その他いろいろの機関もございますというような、これは言いわけのように聞こえるかもわかりませんけれども、もろもろの問題で検討中というふうなものが残っておるわけでございますが、要は、もうこういう土地に対する国民要望の強い時期でございますので、今御審議いただいております基本法を可決、成立さしていただきました直後に、これまでのような時間的なものを少し飛び越しても、あるいはこれまでの既定方針を少し変えても、これらの問題を処理することによって問題の解決に近づけたい、そのように念願いたしております。
  94. 小谷輝二

    小谷委員 長官も意欲的に土地問題については重要課題ということで取り組んでおられるようにも承っております。したがって、過日十一月一日に土地関係閣僚会議を開かれて、当面実施すべき緊急土地対策を協議されたようでございますが、新聞報道にも一部報道されておりますが、その主な内容について長官から御説明いただきたいと思います。
  95. 石井一

    石井国務大臣 実は、六カ月ぶりか何かに開かれた閣僚会議でございまして、たしか第九回とかと言われたものでございましたが、国会開会中でもございますし、かなり時間の限られた会議でございました。  先ほどの土地局長からの総合土地対策要綱に対します概括的な報告がございました後、各閣僚からの発言がございました。建設大臣、運輸大臣、大蔵大臣、その他の閣僚、郵政大臣からも発言がございましたし、与党側からの出席者がございまして、それらからも党としての希望というふうなものがございましたけれども、要は可及的速やかに結論を急ぐものを急がなければいけない、基本法を通すということだけでは問題の解決にはならない。こういうふうな中から、さっきも中村委員等からも御指摘もございました諸点でございますけれども、一つは少しスピードを速めて農地の宅地化推進という問題。それからもう一つは、大都市圏内に散在しておると考えられます遊休地とか未利用地とかというふうな、あるいは国有地等をも含めました、利用に供してない、土地基本法の精神に反する、明らかにそういう状況になっておるものに対して、やはり毅然とした政策を打ち出していくべきではないか。できれば年内にこれらの問題について意見をまとめて、もう一度閣僚会議を招集し、そこで決定をした後に各省を督促して少しでも具体的なものにしていきたい。土地供給することだけが問題ではございません。土地供給するためには税制の後追いも要りますし、インセンティブに対します工夫も要りますし、そのほかいろいろございますけれども、こういうふうなものを可能なものからまず取り上げる、しかも短期的な間にこれをまとめる、こういう方向でその責任を私の方に与えられた。  こういう状況で第一回目といいますか、前回の会合は終わっておるわけでございます。
  96. 小谷輝二

    小谷委員 市街化区域内の農地の問題につきましては、不公平税制ということでかなり厳しい批判もあるわけでございます。特に私は大阪でございますが、大阪市内等での市街化区域内での農地、これは宅地に比べて固定資産税が百分の一ないし七十分の一、このように言われておるわけでございます。宅地で一万円するところであれば、同じ市街化区域内の農地であれば百円から百四十円、このような格差がございまして、中にはこの固定資産税を逃れるために、長期営農継続農地としての利点を活用するために、偽装農地と言われるようなものもかなり出てきておるわけでございまして、これは、土地政策の中で市街化区域内の農地対策というものについては非常な関心の高い問題でもございますし、重要な課題でもあろうと思います。  この点について具体的にどんなことが今検討されておるのか。これはいかがですか、国土庁
  97. 石井一

    石井国務大臣 先ほど建設大臣も答弁に立っておりましたが、市街化農地の中で保全されるべきもの、今後も営農を続け、将来にわたってそれが市街化の緑地のためにあるいは空閑地のために必要だというものと、それからここは都市計画がかなり進んでおる、いわゆるいろいろな面における都市化に条件が整っておるというところに対しましてはしっかりとした計画を立てて、これを市街化に逆線引きを行う、そのことによってさっき申されました百分の一とか七十分の一という課税はそのときにピリオドを打つ。  しかしながら、それだけやりますと、税金を払うために一部の土地だけを切り売りされまして、また別の意味でのスプロール化というものが進んでくるというふうな弊害も起こってまいるでありましょうから、その点は十分な計画とあるいは税制の誘導というふうなものがなければいけませんので、総合的な施策をやっていきませんとなかなか簡単にいかないという一面が出てくるであろうと思います。  また、我々が予想いたしております以上に急速に進むものではないと思いますけれども、何%からでもそういう形でのものを進めていき、そして地権者の方が喜んで土地を放される、これならこれまでのような、先ほど申されました偽装農家の形で税金を安くまけてもらうよりも、新しく宅地に転換したことの方が将来に対しても希望が持てるし、これの方が非常に経営能率も高くなるじゃないか、こういうような形のものを納得ずくで、農業サイドの意見をも吸い上げた形でやっていきませんと無理が起こってくる。そんなことをやるのならかなり時間がかかるじゃないかと言われるかとも思いますが、少なくとも年内にその一つ基本方針を打ち出したい、そういう気持ちを持っております。
  98. 小谷輝二

    小谷委員 あわせて、先ほど大臣からもお話のございました検討課題といたしまして、未利用地の有効高度利用、これもかなり大きな問題でありまして、特に工場跡地とか、また大手企業等が施設整備のために保有した土地がそのまま放置してある等々の問題がかなり批判の中心になったりしておるわけでございますけれども、これに対してはどんな基本的な考え方が検討されておられるのか。
  99. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 工場跡地等の低・未利用地の有効活用の促進につきましても、現在でも遊休土地制度あるいは特別土地保有税といった制度がございますが、さらにこれらの制度に検討を加えながらより一層有効適切な利用が促進されるよう、いろいろ制度面の改善等についても検討しておるところでございます。
  100. 小谷輝二

    小谷委員 それでは次の問題に移りますが、土地基本法、この法案は先ほどからもいろいろ質疑がございましたように、双方からそれぞれ国会提出されておるわけでございますけれども、我々野党、社会、公明、民社、社民連四党共同提案の形で既に昨年の五月、通常国会提出しておるわけでございます。政府案はそれから一年後に、本年三月、百十四国会提出されたわけでございますが、国土庁は野党四等の案を十分吟味された上で政府案を提出された、このように思うわけでございますけれども、まず基本的に大きな面での相違はどの点なのか、簡単に説明してください。
  101. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答え申し上げます。  政府案にあって野党案にない事項、あるいは野党案に盛り込まれておって政府案にない事項、それぞれございますが、まず政府案にあり野党案にない事項といたしましては、政府案では基本理念で「利益に応じた適切な負担」の規定を置いております。また、これを受けまして「土地に関する基本施策」の一事項としまして、「社会資本整備関連する利益に応じた適切な負担」の規定が置かれております。  次に野党案について見ますと、「良好な宅地供給」、あるいは「土地の適正かつ合理的な評価制度の確立」の中で「公的機関による土地の評価制度の一元化」、さらには「公有地の拡大の推進」、「土地行政に関する組織の整備等」としまして「土地行政の一元化」等も政府案にない点でございます。
  102. 小谷輝二

    小谷委員 基本法土地憲章ともいうべき土地に関する憲法というふうな位置づけができるものではないか、このように思っております。したがって、政府案は野党案と比べて、基本理念的には余り大きなずれがないのじゃないかなという感じもするわけでございますが、公的機関における土地評価制度の一元化、また宅地供給の推進、公有地の拡大の推進、また土地税制の原則として処分益への適正な課税と保有についての適正な課税、また土地行政の一元化、こういうふうなところは国民の目から見て政府案はやや後退している、このような印象を受ける点があるわけでございますが、これはどのように判断していますか。
  103. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先ほど相違点を挙げさせていただいたわけですが、しかしながら土地利用についての公共福祉優先の考え方、さらに土地利用計画に基づく土地の有効かつ合理的な利用の原則、土地投機的取引規制土地についての適正な課税等、土地政策における基本的な理念施策の方向については政府案と野党案はかなり近いというふうに認識しております。
  104. 小谷輝二

    小谷委員 十月四日の新聞報道によりますと、石井長官は野党案に対して、歩み寄るべきところは歩み寄る、そして、法案修正には柔軟な姿勢で臨まれる、こういうふうな意味の報道がありましたが、長官のお考えをお聞かせください。
  105. 石井一

    石井国務大臣 私も両案を見比べてみまして、そんなに大きな隔たりはないというふうに考えております。  基本的な問題といたしましては、土地は、これだけ狭いところで激しい経済活動社会活動が行われておるのだから、公共福祉のために供されなければいけない。個人の所有の土地であるからといって、個人の気ままのまま公共福祉に供さないということは、これは反社会的行為なんだ。そのためには政府としてもそれなりの計画なり財政なり税制なりの措置を加えるので、意識を変えていただきたい。土地に関する一つ発想の転換とでも申しますか、こういうふうなことを呼びかけておるのがこの基本法考え方ではないか。そういう意味から宣言法だなんと言われておるわけでございまして、そういう意味では遅きに失したのではないか、これだけ土地が上がっておるではないかと言われればそれまでなんでございますが、そういうところは、局長も答弁しておりますように変わっておりません。  なお、具体的な中身に関しましては、その一元化の問題もありましょう、土地利用計画の問題もございましょう、そのほかいろいろ御指摘されておる問題がございます。これは、場合によっては柔軟にこれを政府案に取り入れさせていただいてもよろしゅうございますし、あるいは既存の法律を改正するなり、新しい法律、新しく実行法制定するなり、いろいろな方法で、国民のためにいいことであれば、土地問題を解決するのであれば次々にこの施策を加えていったらいいだろう、そういう意味では政府案もまた野党案も、歩み寄れる余地はあるのではないか。そういう意味で、私も柔軟に対応をさせていただきたい、そのように考えておる次第でございます。
  106. 小谷輝二

    小谷委員 国民の立場に立って、大事な基本法でもございます。成案を得て、そうしてこの土地政策に将来ともに過たないような国の施策が必要であろう、このように思っております。今後大いに論議すべきことは論議をして成案を得ることを私も考えておる者の一人でございます。  そこで、この基本法が成立した場合、ただ単なる宣言法で終わってはこれは何の意味もなさない、このように思うわけでございます。したがって、ごく具体的にあらゆる問題をどのように実現するか、これはかなり大変な決意が長官のお仕事として要ることであろう、このように思うわけでございますが、その点について長官の決意のほどをこの際伺っておきたいと思います。
  107. 石井一

    石井国務大臣 大臣の任期というのはまことに花の命よりも短いようなものでして、余り大言壮語いたしましてもかえっておしかりを受けるのではないかと思うのでございますが、ただ私は、こういう土地基本法というような問題の審議に臨ませていただいたということを大変意義深いものだというふうに認識いたしておりますし、この機会をとらえて政府も各役所も一体になりまして、与野党ともにこの問題に取り組んでいく一つ基本路線というものを打ち出すことができれば大変結構なことではないか。  法律が成立するとともに、次は何をするのか、こういう問題になろうかと思うのであります。それには短期的、中期的、長期的な問題があるでありましょう。短期的な問題につきましては年内に、中期的な問題につきましては一、二年うちに、長期的な問題は十年のスパンで、何百万戸という宅地あるいは住宅を建設する、こういう方向のものを打ち出していかなければいかぬと思います。その中には、先ほどから申されておりますように農地の宅地化の問題もあれば、未利用地の問題、国有地の問題、国鉄清算事業団の問題、ウオーターフロント等の造成地等々の問題について速やかに具体的な政策をどのようにするかというような問題もございます。それから、建築基準法にかかわります建ぺい率でありますとか、容積率、高度利用とかというふうな問題もございましょう。それから、もう少し広がれば周辺の調整区域を有効なもの、適当な収入で庶民の手に届くマイホームを開放するのにはやはりこれらに対します考え方というものについても意見をまとめなければいけないでありましょうし、それに関連して、交通との関連からいわゆる周辺の交通との一体化の問題等、宅地開発というふうな問題も出てくるでありましょう。その裏には借地・借家法の問題でございますとかその他もろもろの問題がございますので、これらを短期、中期、長期に分けること、また具体的にできないものはふるい落として消滅してしまうこと、それぞれに一応の方針を出すということ、これがこの時点において土地基本法を通す裏の意義と申しますか、そういうふうに私は認識いたしております。
  108. 小谷輝二

    小谷委員 私は大阪でございますので、大阪国土法を担当している現場の状況を申し上げて、御答弁を願いたいと思うわけでございます。  今大阪府では二十一名の国土法担当職員を三十八名に増員いたしまして事務処理に当たっておるわけでございます。それでも国土法の届け出を受けてから五週間、三十五日ぐらいかかって処理するわけでございます。今後もなお届け出件数が日に日に増大いたしておるということで、かなりの増員をせざるを得ない、こういう状況にあるわけでございます。  そこで、この際お尋ねをしておきますけれども、これに伴って国の方で土地利用規制等対策費が大幅に上回るわけでございますけれども、交付金補正措置は考えておられるのかどうか、いかがですか。
  109. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答え申し上げます。  監視区域制度運用等に要する経費といたしまして、土地利用規制等対策費交付金が今年度当初三十七億余円計上されております。監視区域制度指定いたしますと、届け出件数が飛躍的に増大します。そういう事態に対処しつつ監視区域を的確に運用していくためには、どうしてもこの交付金が必要であります。  今回、大都市圏から大阪圏あるいは主要地方都市等に高騰の波が波及しておりますから、そういう事態に対処してそれぞれ監視区域を新たに指定したり、あるいは届け出対象面積を引き下げる自治体がふえておりますので、そういう現状に対して、私どもといたしましても増加経費につきましては、それらの状況をよく見きわめつつ、補正予算等必要な措置について検討し、またお願いしてまいりたいと考えております。
  110. 小谷輝二

    小谷委員 ここで監視区域制度の問題についてお尋ねをしておきますけれども、国土法によるところのこの制度の導入によって地価抑制に大きな効果があったと認識し、判断をしておられるのかどうか。国土庁いかがですか。
  111. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 地価対策は、基本的には土地に関する需給のバランスを確保することが一番重要だと思います。そういう意味では、地価高騰期にはできるだけ投機あるいは不要不急の需要抑制し、かつ供給を促進していくということが大切かと思います。  ただ当面の対策としては、監視区域運用あるいは金融機関、不動産業者に対する指導、さらには投機に対する超重課の税制、そういったもので対処しておるわけでございます。監視区域制度運用は確かに対症療法的な意味合いが強いわけでありますが、当面こういう対策も講じながら、投機的取引等によります地価高騰をできるだけ抑制してまいりたいということで現在取り組んでおるわけでございます。
  112. 小谷輝二

    小谷委員 地価対策として今まで、国土法に基づくところの監視区域制度運用、また金融機関土地関連融資の抑制、また超短期重課税等々の税制措置による土地転がしの防止、こういうふうなおおむね三本の柱で今日まで対応されてきたわけでございますが、実際はこれで効果があったのかと疑いたくなるような状況がございます。  特に、今説明を受けたわけでございますけれども、東京都心部に歯どめがかかった、また一部値下がりの兆候もあるという先ほどの長官お話でございますけれども、私はこの施策でそうなったとは思えない点がございます。都心部の地価は高くなり過ぎた、したがって、これは買い手が不動産業者が買い控えをした、手控えをした。都心に比べて大阪とか名古屋、ここらの地方都市土地がかなり安かった、したがって、都心部からその土地買いの余り金等が地方都市土地に買い手が回った。このように思えてならないわけでありますが、国土庁いかがですか。
  113. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 監視区域制度運用にいたしましても短期重課制度にしましても、当面の投機あるいは著しく適正を欠く取引に対する対策でございますので、限界はあろうかと思います。ただ、東京圏の場合を振り返ってみますと、超短期重課制度は六十二年の十月から実施されておるわけでございますが、それまで上昇過程では短期転売、明らかに土地転がし、投機と思われる案件が非常に多かったわけですが、こういう税制がしかれてからそういった典型的な投機的取引というのは影を潜めているのじゃないかと思っております。  また、監視区域運用につきましても、届け出件数のうち、平均してみますと大体三割ぐらいが行政指導対象になっております。この三割は大部分が地価取引価格が適正でない、適正を欠くという観点からの行政指導でございまして、そういう行政指導を受けた案件については、当面取引を差し控えるとかあるいは指導に従って価格を引き下げて取引するというふうな対応が見られているところでありまして、東京にしましても大阪圏にしましても既に高値で天井感が出ているから鎮静化、安定化したのじゃないかという御指摘もあろうかと思いますが、私どもとしてはそれなりの効果をこれらの対策が上げておるのじゃないか、そういうふうに考えております。
  114. 小谷輝二

    小谷委員 私が今までの施策では余り効果がなかったのではないか、このように申し上げたわけでございますけれども、それの一つの例としまして、大阪府の土地開発公社が最近用地取得をしておる中で最も緊急な課題として、関西国際空港の連絡道路、この用地買収があるわけでございます。  この状況は、簡単に説明しましたら、事業主体が建設省と道路公団、大阪府、空港株式会社、南海電鉄、この五つが事業主体となっております。したがいまして、空港株式会社とか南海電鉄とかいう用地の買収が含まれておりますので、国土法の適用を受けてこの届け出の義務が生じておるわけでございますが、この地域は地価の上昇を防ぐために一番先に大阪府は監視区域指定したところであります。なおかつ、一番先に小さい面積にまで指定した。何としてもここだけは地価の上昇を抑えたい。空港開港までに何とかこの道路だけはということで必死で取り組んだ件でございますが、これが昨年、六十三年の十一月三十日に買収価格を決定いたしました。これはもちろん国土法によるところの届け出をいたしましてクリアをしております。これを百として、これでは買収は始まらなかった。全然交渉ができなかったということであります。したがって、本年の八月十八日に国土法を再度クリアしております。これは三六・五%アップして、なおかつ国土法をクリアしておる。これで話し合いがさらにまたつきませんでした。したがって、今年の九月十日に、さらに五%アップをしました。それで現在、約五〇%くらいの話し合いがついた、あとは土地収用法等の適用の準備をしつつある、こういう現状でございますが、この事例を見てみましても、六十三年十一月三十日から約九カ月間、この間で監視区域でありながら四一・五%という膨大な土地が上がっておるわけです。それを、要するに監視区域として知事の方も不勧告として不勧告通知を出しております。したがって、極端に著しく高い価格ではありません、こういうことを大阪府は国土法に基づいて明らかにしているわけであります。  このような実情で、実は今申し上げたように、果たして監視区域で網をかけたところが地価抑制ができるのかどうか、非常に不信を持つわけであります。一般的には、この周辺のこの土地で、この人からこの人にこれだけの金額で売買されまして、これを認めましたということは守秘義務がありますから一切公表しておりません。ただ、これは公的な機関であり、世論として大事な問題なので、たまたま性格上公表されたということでありますから、この実態を見ましても、何のための監視区域にしたのか、何のための地価抑制策をとってきたのか、それがなぜこのように効果がなかったのか、非常に不審に思うわけであります。長官、いかがですか。
  115. 石井一

    石井国務大臣 小谷委員の御指摘もある意味ではわかるような気持ちがいたします。ただ、全国五百数十カ所の地域を監視区域指定いたしまして、また相当な人数、国の予算も動員をいたしましてやっておるわけでございますが、例えば自治体としてはある意味においては事務が広がり、このことに対して異論を唱えられるところもございますけれども、また流通、不動産業者にしましてもややこしい手続を踏むという意味におきまして抵抗があるわけでございますが、そういうことがあるということ自体、やはりそこに何らかの自然のコントロールなり規制というものが加えられていき、全般的には徐々にその効果が上がっておるというふうに私の立場としては評価したいと思っております。  具体的な問題の指摘の関西国際空港の問題でございますが、確かに目の前にされた価格が四〇%も上がるということ、監視区域であったのに全く意味がないということ、これもわかりますが、またその逆に、そこの土地はどうしても道路にしなければいけない、もう一地点だけ残っておるところであるということになりますと、言葉は悪いのですけれども、待てば待つほど何らかの形で価格が上がってくるということもはっきりしておるわけでございますから、例外的にその監視区域のメカニズムが非常に働きにくい心理的、客観情勢に置かれておるというようなことも言い得る客観情勢ではないかなと思うのでございます。  今のお話などを聞いておりまして、各委員からも、監視区域だけでなく規制区域の伝家の宝刀をよう抜いていないじゃないかということもございますが、それじゃ、何年か前にその地域にそういう伝家の宝刀を抜いた場合にどういう機能が起こったのかなということを今頭の中で想定いたしておったわけでございますけれども、そういう特殊事情をも御勘案いただき、今後事態の推移を見守りたい、そう思います。
  116. 小谷輝二

    小谷委員 監視区域内の土地取引の実態、これは国土法とかいろいろで役人の皆さん方、また本庁の皆さん方はいろいろ詳しいわけでございますけれども、現場でどうなっておるかということについて、とりあえず大阪府の場合は五部複写の土地売買等届出書というものをつくりまして、市町村を経由して知事に出す。知事は、大阪府は五週間くらいかかって価格と利用目的を審査する。不勧告通知書というのを知事から提出者に出す。それで契約。もし勧告をする場合には勧告通知を出す。それで従う。それで契約。従わない、これは公表。契約をした後に土地売買等契約状況報告書というのを知事提出する。こういう経過で一般的にはその契約に基づいて所有権の移転登記が行われる。こういうことですが、所有権の移転登記をする場合には、これは売買価格等は一切関係ございません。  ここまではすべて国土法に従って手続をするわけでございますが、このときに平米百二十万で届け出をしました。勧告を受けて、百万円にしなさいという勧告を受けた。勧告に従った。それで実際の取引は百二十万円でなされた。この場合はどうなりますか、国土庁
  117. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答え申し上げます。  国土法の価格審査の対象は、名目のいかんを問わず実質的に土地等の対価と考えられるものを幅広く含んでおるわけでございます。したがって、当事者が届け出をしました予定対価を超えて実質的に土地等の対価とみなされる金銭授受が行われた場合には、これは明らかに虚偽の届け出であります。したがって、国土法の罰則が適用される事案だと思います。
  118. 小谷輝二

    小谷委員 届け出をしたわけですから、届け出をしなかったということにはならない。届け出したとおりの売買取引ではなかったということですから虚偽の売買が行われたということですが、これはそのままですよ。どこでどんなチェックをして、だれが調べるのですか。国税、きょうお見えになっておると思いますが、国税の方は、実際に金を払った人、受け取った人、金額は同じで、出された金がどんな性格で、借りたのか、ローンか保有金か、それがはっきりすれば国税はそれでいい、このような説明を聞いておるわけですが、国税はいかがですか。これは国土法に反する云々、チェックはできる、そういうような体制はございますか。
  119. 長野厖士

    ○長野説明員 お答え申し上げます。  私どもの税務執行上は、その申告をなさった方の、譲渡所得のケースでありますと所得が幾ら発生したかを客観的に把握することが仕事でございますので、他の届け出等の形式、内容を問わず、真実にいかなる取引ができたかということの把握に努めるということでございます。
  120. 小谷輝二

    小谷委員 唯一、金の流れ等が調査できるのは国税でございます。国土法には確かに立入検査等ございます。もちろん、金の流れとか、立入検査するような状況ではございません。したがって、簡単に言えば、石井長官の持っておられる土地を私が買うとする。ところが百二十万円で話をつけた。届け出をした。百万円にしなさいと勧告を受けた。これはしようおまへんな、百万円言うてまっせ、百万円で契約しまひょう、二十万円は、これは協力金かのれん料か、または慰謝料かで払いまっさと。払った金は、国税の方には、これだけ払います、百二十万円払いました、百二十万円受け取りました、こう申告すれば国税は何も問題ではない。だれがどこで、これは国土法違反ですということを立証できるのか。これは野放しなんでしょう。内容はそうなのです。これは長官、いかがですか。
  121. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生御指摘のとおり、確かに届け出等の処理以後においては契約状況なり販売状況報告を聴取しておるわけです。また、届け出どおり実際の取引が行われているかどうかについても、常に情報の把握には努めておりますが、率直に申し上げましてすべての土地取引について実態がどうかというのを正確、的確に把握するのは限界があります。その辺は率直に認めざるを得ないのじゃないかというふうに考えております。
  122. 小谷輝二

    小谷委員 そういうことで、余り詳しく言うたら大阪はそんなことばかりしておるんかと大阪の商売人なり大阪の人の人格にかかわりますのでこれ以上申し上げませんが、実際の取引内容はそういうことが横行しているということを認識しておいていただきたい。ただこれだけで価格が抑えられるということにはなっていないということでございます。  あと時間もございませんので申し上げておきますが、土地の譲渡所得の特別控除額と地価公示価格の推移から見て、特別控除額、これは国税の方ですね、これは五十年に三千万円の控除、それをことしになって単年度だけ五千万円の控除ということになっているようでございますが、この五千万円になった根拠はいかがですか。どういうところが根拠なのですか。
  123. 長野厖士

    ○長野説明員 収用の場合の特別控除でございますが、先生から既に御指摘いただきましたように昭和五十年以降三千万という水準でやってまいりました。この控除のあり方につきましては、実際上非常に悩みがございますのは、最終的には収用された方の手取りを保証するためにどのような仕組みがいいか。それは価格なのか、価格は低く抑えつつ税金をまけるという仕組みなのか。そうすると、価格の場合ですと価格をお払いになる方の御負担になる。税金ということですと全国民の御負担になる。そこのバランスをどうとるかということが一点。  それから、控除を超えた売買があった場合に、そこの調整、控除内のときは全然税金がかからない、控除を超えたところの金額についてどう課税するか、そこのバランスも考えていなければいけない。いろいろな点がございまして、昭和五十年以降は、実は控除を超えたところにつきましての税率を、かつては四分の三総合課税といった仕組みもございましたのを、一律に二〇%まで下げるという形で大型の収用案件に対応できるような方向で整備してまいりました。しかし、昨年に至りまして、実際問題といたしまして公共事業を遂行する上での用地難というのがやや無視しがたい状況になってきておる、緊急に土地の手当てというのを進めなければいけないというような御指摘もございまして、この従来の三千万の水準、それから超過した場合の二〇%の税率といったものの組み合わせを考えながら、緊急に一年間の措置として五千万円に引き上げ、一年間のうちに将来のあり方をもう少ししっかり考えてみようということになっておるわけでございます。
  124. 小谷輝二

    小谷委員 特別控除額は三千万円から五千万円になった、しかも時限立法的に。実際の地価公示価格を見てみましても、五十年を一〇〇とすれば二二九という倍率になっておるわけです。これはどれが根拠になったのかわかりませんが、そういう状況でございます。特に大阪圏あたりは、五十年を一〇〇とすれば元年今日で二八二という数字になっておる。だから、これから見てもこれはおかしいではないか、少なくとも二・八倍にすべきではないか、根拠的にはこういうのがあるわけです。特に最近、公共用地の取得には非常に困難が伴っておりまして、代替用地の要求が多いわけでございますが、これらを含めて、代替用地は五十年、千五百万、そのまま据え置きになっておる。ここらも一遍見直すべきではないか、これから公共用地の取得等について検討すべきではないか、このように思うわけでございます。  時間も来たようでございます。これからの土地の全体的な施策として、遊休土地に対する土地上昇に伴う利益に見合う固定資産税とか、遊休土地に対する土地増価税等々税制上の措置、これもかなり必要ではなかろうかと思います。いずれにしましても、土地問題につきましては、日本国民にとって生活にかなり大きな影響を及ぼすものでございますし、土地基盤整備の重要な一面が土地価格にかかっておるわけでございますので、最後に長官に、土地対策に対する、今まで申し上げた幾分か不備な点等の見直し等も含めて御意見、また決意のほどをお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  125. 石井一

    石井国務大臣 固定資産税は資産の保有と市町村の行政サービスの間に存在する受益関係に着目し、その保有の継続を前提に、資産価値に応じて毎年課税する市町村の基幹的な税であることから、資産の所有者の区分、資産の種類、資産の用途の別によって税負担に差を設けることは、固定資産税の基本的な性格に反するだけでなく、税の基本原則の一つである負担の公平の確保の面からも問題である、自治省はそういう見解をいたしております。これが固定資産税に対する解釈であり、過去貫かれた一つの姿勢ではなかったかと思うのでございます。  ただ、住宅政策の見地から、固定資産税に関しましても、二百平米以下の規模住宅、個人の住んでおる住宅はそれを四分の一に軽減するとか、五百平米は半分にするとかというような形での措置はとっておりますので、いささかそこにも今の原則に配慮した一点がございます。  それから、委員指摘の低・未利用地等の有効利用を促進することに関しましては、もっと抜本的に、そういう課税の評価の適正化を考えるか、あるいは特別土地保有税を創設するか、何らかの形でそういう方向に行くのが至当な方向ではないか。これも短期的になりますか、中期的になりますか、やや長期的になるかわかりませんが、必ず検討の材料にしたいと考えております。
  126. 小谷輝二

    小谷委員 終わります。
  127. 大塚雄司

  128. 青山丘

    青山委員 今やりとりされておりました内容についても私大変関心を持っておりまして、また次の機会にぜひ触れさせていただきたい。私どももここでまだ二、三回質疑させていただきますので、各論に入るのはこの次にして、きょうはできるだけ総論的な質問をさせていただいて、基本的に大臣及び国土庁の見解が私どもとどのように近いのかそうでないのか、もしそうでないならどういう形で合意をさせていただかなければならないのか、この辺をひとつ触れさせていただこうと思っております。  さて、今回の地価高騰は本当に異常なものがあります。今、巷間伝えられておりますところでは、東京都を売り飛ばしたらアメリカがごっそり買える。こんな異常な状況を放置して、経済が豊かになった、さて国民生活の質がこれから高まっていくのかどうか。ある意味国民は期待をしておりながら、とてもこれじゃ東京近郊に住むサラリーマン土地を買って家をつくるなどということはできやしない。これじゃ経済が豊かになったって、私たちの生活は逆に満たされない状況にだんだんと追い込まれていくのではないか。世の中に何となく不公正な雰囲気が出てきた。これでは政治がこれまで努力をしてきた成果というのがむしろ逆の現象に出てきておると私は思うのです。  そこで、先ほど来のやりとりを私も聞いておりまして、大体大臣の見解と同じかなと思うところもありますので、もし私の考えと違えば大臣からもまた指摘をしていただきたいし、私から申し上げることもひとつ聞いていただきたい。  地価高騰を何とか抑え込んでいこうという土地対策、これは短期的な対応、中期的な対応、長期的な対応をして、総合的に土地の価格を抑制していくばかりではなくて、土地の価格を下げていく取り組みをこれから本気になってやらないと、国民の負託にこたえることができない。  まず、短期的な対応としては、現実に土地がどんどん上がってきておる。これを抑制するという方法は、現実的には取引規制が必要になってくる。だから国土利用計画法を適用して監視区域指定をして高値取引規制していくというのは、考え方として必要だし、その効果といいますか成果というものはいささか出てきた。ただしかし、これは決定打ではない。対症療法として効果があったと私は思うけれども、これをいつまでも続けたって、需要が爆発していけば一時的な抑え込みだけになってしまうし、行政指導によって金融機関土地に対する取引の融資についての適正化を図ると言ってみても、これもまた極めて有効で適切な施策ではあるけれども、あくまでも短期的な対応策になってしまう。  それから中期的には、やはり先ほど来話が出ておりました土地税制をどう活用していって土地を流動化させていくのか。土地というものは保有に価値があるのではなくて、有効に活用する、利用することに価値があるという方向に持っていく施策が必要になってくると思いますので、こういう取り組みも必要になってきます。また、土地も高度に活用されなければ、こういう人口集積地域における土地対策にはならないと思います。  また、長期的には、先ほども大臣は十年くらいのスパンで考えていきたいとおっしゃられたが、何といっても宅地供給をきちっと拡大していくというような取り組みを辛抱強くしっかりやっていかないと、これは幾ら税制や行政指導を進めていったって有効な対策にはならない。  そういうように物事をできるだけ整理して考えていって、私の考え方が、いやここは私の意見と違うというところがあったら指摘していただいてもいいのですが、総合的に取り組みをやっていく必要がある。しかも、これがこんなに異常な地価高騰を招いてきてしまったこと自体はむしろ反省すべき段階にある、これは深く反省していかなければいけない。そういう段階でこれから本気になって土地対策国民福祉のために、国民の豊かな生活を保障していくという政治本来の機能を回復していくためにようやくこういう形で審議が進められてくるようになったことは皆さんの努力の成果で、何とか実りあるものにしていきたいと私は思います。  そこで、行革審においても、地価高騰原因については土地の需給のアンバランス地価高騰を招いてきたという認識を示しております。政府もこれまでは土地供給を大きな柱として土地対策を進めてこられた。私は少し土地供給について質問をさせていただきますが、その土地対策の重要な柱として土地供給をこれからも進めていくという基本的な考えに変わりはないのかどうか、これが一点。  その前に、大臣の現在の土地高騰に対する見解。今大臣はどういう受けとめ方をしておられて、どういう対応を私はするんだという考え方をまずお聞かせいただいて、土地供給の問題。  それから、一挙に最初から三点聞きますが、今回の土地基本法の中には直接土地供給に触れたところがありませんが、これは全体として流れておるのですよ、こうおっしゃるのか、どうして土地供給の拡大についてあるいは需給の緩和について直接的に触れられなかったのか。一点は大臣、二点目も大臣、三点目はひとつ局長に答えていただきましょうか。よろしくお願いします。
  129. 石井一

    石井国務大臣 青山委員のお説に私も非常に意見を一にしたところが多いわけでございます。  我が国の土地政策を見ておりますと、昭和三十五年の高度経済成長、昭和四十三年の都市計画法、昭和四十七年の日本列島、昭和四十九年の国土利用計画法等いろいろ土地が上がり、それなりに大きな改革をやっておりますが、昭和五十年代にはいささか、いろいろ法律は変えておりますけれども、これといった強力な施策が打たれてなかったのではないかなというような感じがいたしております。  そんなことを私が申しますと、いかにも政府無策ということを担当大臣が認めるということになりますので、それぞれ大いに努力をしたわけでございますけれども、そういうふうな形でここに新しい土地基本法という時代を迎えたわけでございますが、今や土地は庶民の手から相当ほど遠いところに遠のいてしまっておる。通常の所得でまじめに働くサラリーマンがどこで土地を得られるかといえば、茨城県か山梨県で通勤不可能である。そういうふうなことになりますと、セカンドハウスでも建ててという議論、これはまた非常に間違った議論にもなると思いますので、これをいかにUターンせしめるか。ここまでいきますと大変難しい問題ではなかろうかと思うのでございますが、同時に、議論を繰り返しておりますと先ほどから何万ヘクタールというような話がございまして、いやそうではない、知恵の出し方、考え方によっては東京都下にでも、首都圏には相当なものが出てくるんだ、ただそれを利用しておらないんだ、そういう形に土地の高度利用、有効利用土地に対する考え方の基礎というものを変えれば、そこから新しい創造というものが生まれるんだ、こういう発想のもとに今回の土地基本法の審議に相なっておるのではないかと思うのでございます。したがって、短期、中期、長期に申されましたもろもろの問題を一つ一つ、ことごとく解決していくことが、今申しましたような形でもう一度土地が山梨県なり茨城県からもっと近い新しい開発されたところへ戻ってくるというような、これがやはり新しい土地政策であり政治課題でなければならない、そういうふうな基本認識をいたしております。  ただ、具体的にこれに取り組んでみますと、委員も御承知のとおりでございますけれども、土地税制一つ取り上げましても、税制というのは公正でなければいけないという理論とか、あるいは税制というのは補完的でなければいかぬという理論とかが存在し、それぞれ大蔵省は大蔵省、自治省は自治省の見解を持っておりますと、なかなか総合的にこれを推進するということは技術的に難しい面がございます。これをひとつ与野党の御協力によって前進せしめたいというのが私の基本的な決意でございます。  それから、土地供給の問題に関しましては、土地の価格を下げますのに確かに監視区域の問題でありますとか金融の問題とかと申しますけれども、要は税制との連携のもとにどれだけの土地供給することができるか、この問題は最大の解決しなければいかぬ問題だと思います。今既にあります未利用地土地利用すること、また農地を宅地化し土地供給すること、そうしてさらに周辺地域の中からも適地にしっかりした利用計画というふうなものをつくりまして、そうして地権者のインセンティブ、メリットを組み合わせた中に、これなら宅地化した方が自分たちの子々孫々のためにも有利ではないか、こういう形の構造的な変換をやりませんとこれは可能だとは思いませんけれども、こういう形の中からさらに交通機関等々を整備する、こういう問題を含めますと、中期的というよりも長期的な問題になってくると思いますけれども、こういう形の中から絶対的にやはり宅地供給という問題は最大の眼目として取り上げていかなければいかぬ土地政策視点ではないか、そういう認識のもとに今後頑張っていきたい、そう思っております。
  130. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 政府案に宅地供給について具体的な規定がないわけでございますが、宅地供給につきましては、地価の安定化を図る上で最も重要な施策一つという認識はしておりまして、政府案におきましてもその「目的」で、「適正な需給関係の下での地価の形成に資する」というのが土地対策を総合的に推進する大きな目的だというふうにしております。また、十二条におきまして、「土地利用計画に従った土地の高度利用土地利用の適正な転換又は良好な環境の形成若しくは保全の確保その他適正な土地利用の確保を図る」ために、土地利用規制やあるいは土地利用計画を実現するための事業の実施その他必要な措置を講ずるというふうに包括的に規定いたしまして、基本法は、施策基本的方向を定めるにとどめるというスタンスでこういう規定の仕方をしておるところでございます。この中で、宅地供給は含まれておるというふうに理解しております。
  131. 青山丘

    青山委員 野党案には宅地供給の拡大ということが明確に出ていて、法律の内容として比較的理解しやすい。そういう点では政府案は、言わんとしておることはわかりますが、直接的な表現として避けておる。これでわからぬかと言われるのかもしれませんが、必ずしも正確に受けとめられるかどうかという点では、これは一つちょっと問題として残るところだと私は思うね。  それから、建設省住宅建設五カ年計画を策定して進めてこられました。これが、現在進行形な第五期を含めてこれまでの達成率、実績、どのようになっているのか。  また、建設省として現在進行の第五期の五カ年計画に対する評価、過去四期までの実績についての検証、評価、いかがでしょうか。
  132. 立石真

    ○立石説明員 お答えいたします。  第一期から第四期までの住宅建設五カ年計画の実績でございますが、まず、第一期の計画につきましては、昭和四十一年度から四十五年度までの五カ年間でございます。その五カ年に、計画戸数六百七十万戸に対しまして実績は一〇〇・六%でございました。第二期計画におきましては、計画戸数九百五十七万六千戸に対しまして八六・五%、第三期計画におきましては、計画戸数八百六十万戸に対しまして八九・五%、第四期計画におきましては、計画七百七十万戸に対しまして七九・三%の実績、達成率を示したわけでございます。現在、先生御指摘のとおり第五期の五カ年計画の時期でございまして、昭和六十一年度から平成二年度までの計画期間でございますが、この五年間に総戸数六百七十万戸の建設を見込んでおります。  また、それらのうち公的資金による住宅については三百三十万戸の建設を計画しているところでございます。その建設実績見込みでございますが、公的資金による住宅三百三十万戸の計画のうち、平成元年計画までの四年間の建設実績見込みは二百五十八万五千戸でございまして、達成率が七八・三%でございます。現在の進捗としましては、順調な推移を見ているというように考えているところでございます。     〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
  133. 青山丘

    青山委員 住宅建設五カ年計画の過去の経過から見まして、第一期は比較的といいますか順調であった。二期、三期、四期、そして五期と全体に何か下降線をたどっておるような——第三期目は比較的持ち直していますが、第二期で少し下がった、第四期でまた下がってきておる。現在進行の立場から見て比較的順調と言われておるが、そのあたりは、もちろんまだ一年残っていますからわかりませんが、こうした総住宅供給あるいは公的資金の住宅、これをひとつぜひ進めていって、需要にこたえられるようにひとつさらに努力していただきたい。  そこで、建設省の方から宅地供給の推移の資料を私いただいておりますが、「宅地供給の現況と対策」という資料の中の「宅地供給量の推移」を見てまいりますと、昭和四十一年から昭和四十二年、三年、四年、五年、六年、七年と極めて意欲的に需要にこたえようという姿勢を感じるほど宅地供給量は非常に伸びている。ところが残念ながら、四十七年をピークにそれからは下降放物線をたどるかのようにぐうっと下がり続けて、四年前になるのかな、昭和六十年を底におりてきて六十一年にまた少し盛り返しつつある。これが宅地供給量の推移です。どういうような背景からこういうふうになってきておるのか、いかがでしょうか。
  134. 白兼保彦

    ○白兼政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように四十七年が宅地供給一番ピークの時期でございまして約二万三千ヘクタール、六十二年が約一万三百ヘクタールと半減になっております。これはいろいろな要因があると思いますが、やはり事業をしてまいります素地の取得の困難さ、こういうようなところに大きな原因等があるのではないかと思います。  なお、先ほどの住宅五計をつくりましたときに、私の方では六十一年度から十カ年の宅地供給量につきましての長期見通しを持っております。六十一年度から平成二年度までの五カ年で約五万九千二百ヘクタールという目標を持っておりますが、先ほど申し上げました六十二年度の供給量一万三百ヘクタールというのは、目標から見ますと約一割強の低さということになります。建設省といたしましては、昨年の六月に公的プロジェクトの実施プログラムというのをつくりましたが、こういうものの着実な実施とか、また民間におきます優良な宅地事業の促進、こういうような各般の宅地供給施策を今後とも強力に推進してまいりたいと思っております。
  135. 青山丘

    青山委員 こういう取得困難というのは、社会情勢があって、四十八年以降ずうっと下がり続けてきた。ところが需要というのは前の昭和四十一年から四十七年にぐうっと供給をふやしてきたときと同じような形でぐんぐん伸びていると思うのです。その大きな乖離が広がれば広がるほど需要は爆発する、供給は抑え込まれていく、さらに供給が困難になっていく。こういう悪循環が今日の地価高騰を招いてきておる重要な要因の一つだと私は思います。素地を取得するのが困難な社会環境であったということは私も想像できますが、ひとつ長期的な需給見通しに沿った形で何とか確保できるような努力をぜひしていただきたい。これは、先ほど触れました住宅建設五カ年計画に大体沿っているというような、そういう生易しいものじゃない。住宅建設五カ年計画というのは計画として一つは認めていきます。しかし、土地の価格の動きはそれとはまた別にこういう異常な状況になってきておることにかんがみますと、宅地の需給の見通しに沿う形で供給を拡大していく努力をやっていかないといけない。  さてそこで一点、住宅取得価格についてお尋ねをいたしますが、今回の地価高騰で一体だれが一番打撃を受けたのか。ごく一部の人たちは、余り口には出しませんが、内心ほくほくしている人たちもかなりあったでしょう。しかし、首都圏に住んでいるサラリーマン層、特に中堅サラリーマン層の立場からしますと、もう最大の打撃を受けて住宅取得が非常に困難になってきておる。日本では、首都圏のサラリーマン平均年収の大体七・五倍が住宅取得価格だと伝えられております。これはアメリカやイギリスや西ドイツの年収の三倍ないし四倍で住宅が取得できる、そういう数値と比較いたしますと、余りにも不幸だ、これでは勤労意欲も出てこない、こういう不公正な社会に一体だれがしたみたいな不満がやはり今相当出ております。私はこれにこたえなければいけない、ぜひこたえていきたい、そういう立場で建設省お尋ねする。  実は経済企画庁がさきに勤労者が入手可能な住宅価格を平均年収の五・五倍程度、三千三百万円程度という数字を示しました。数字を示すということは、それは一つの指針になって、私はそんなものかと感じましたが、実際はそうかもしれません。しかし、現実東京圏で住宅取得価格というのは一体どれくらいになっているのか、どうでしょうか。
  136. 立石真

    ○立石説明員 お答えいたします。  初めに、東京圏における住宅価格の現状がどのようになっているかということにつきましてお答えしたいと思います。  不動産経済研究所、民間の団体でございますが、その調査によりますと、昭和六十三年の東京圏の新規分譲マンションの平均価格は約四千七百万円となっております。また建て売り住宅平均価格は約五千百万円となっております。  なお、先ほどの企画庁の数値について私不勉強で存じないわけでございますが、現在の東京圏における平均的な勤労者世帯の収入は七百十一万円程度と見ておりまして、おおむねサラリーマン住宅ローン等を返済負担率二五%まで借り入れるといたしますと、大体四千万円程度のものならば平均的に取得可能ではないかというように見ているところでございます。
  137. 青山丘

    青山委員 経済企画庁が示した数字というのは、三千三百万円くらいなら首都圏のサラリーマンも手に入る。ところが、現実には今おっしゃられたように四千万以上、五千万以上というような数字になってきますと、これはとても手が出ないという感じになってきます。一体本当に宅地を手に入れて住宅はつくれないのかどうか。昔からよく日本国土が狭い国、しかし人口は多い、こういうふうに言われて、土地の価格というのは高いものだよ、こういう議論があったかもしれません。しかし、ここが非常に重要なところでありますが、本当にそうなのか。土地はないのか、私は決してそうだとは思わない。決してそうではない。それを少し検証してみなければならぬと思います。これは非常に重要なところですので、これからも建設省国土庁の立場で、国民の皆さん方に土地というのは実はあるのですというところをもっと大きく示していっていただきたい。  我が国の国土面積は三十七万八千平方キロ、このうち住むことの可能な面積は約八万平方キロと言われております。この中に一億二千万人の人々が住んでいるわけであります。ただ私は、人間一人、適正な居住空間というのはどれくらいかというのはよくわかりませんが、例えば住むことのできる面積を単純に人口で割りますと一人当たり六百六十平方メートルとなります。建設省が進めておられる誘導居住水準、これは適正居住水準という言葉はおかしいのかな、私はそういうふうに理解したのですが、適正な居住水準、四人世帯で三LDK、住戸専用面積九十一平方メートルで割りますと六倍以上の占有が可能になります。四人世帯ですと一人当たり約二十三平方メートル。六百六十平方メートルに対する二十三平方メートルを考えますと、六百六十平方メートルというのは一人当たり二十九倍、約三十倍。かなり大ざっぱな粗雑な言い方だと思われるかもしれませんが、物の考え方一つの基準になるのじゃないかと思うので申し上げておりますが、誘導居住水準から見ても六倍強、こういう占有が可能であろうと思います。これが一つ。  それから、人口の集積が進んでおります三大都市圏、特に首都圏について考えてみますと、首都圏というのは一都三県、東京首都圏と考えて、面積は約一万三千五百平方キロ、そこで住むことが可能ないわゆる可住面積も大体それに近いと考えまして、人口が約三千百万人といたしまして、一人当たり計算すると四百三十五平方メートル、これも誘導居住水準で比較すると四倍強の占有が可能になっていく。もっと大ざっぱだと言われるかもしれませんが、一人当たりで見ると約二十倍、この数字では十九倍占有が可能になるのではないかという数字が出ます。もちろんそこには道路も必要になります。当然公園も必要になってくる、あるいは学校も必要である、鉄道も敷かなければいけない、工場やオフィスビルもつくらなければいけない。そういうことも当然考えていくことでありますので考えに入れたとしても、私は相当な土地がまだあるんだなというような気がいたします。  そこで、現実的な問題として、三大都市圏にあるいわゆる未利用地低利用地あるいは市街化区域内の農地、全体としてどれくらいあるのか。あるいは国有地、公有地、工場跡地、こういったものがどれくらいあるのでしょうか。いかがでしょう。
  138. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 概数でございますが、東京圏には一定規模以上の工場跡地、国公有地等約六千ヘクタールございます。その他の低・未利用地が二万三千ヘクタール程度でございます。また、三大都市圏の市街化区域内農地でございますが、六万八千ヘクタール余でございまして、さらに内訳を申し上げますと東京圏が三万五千七百ヘクタール余り、東京都に八千四百ヘクタール、区部、二十三区に千七百ヘクタール、そういった市街化区域内農地が存在しております。工場跡地あるいは低・未利用地のデータ等は、建設省等の調査結果に基づくデータでございます。     〔桜井委員長代理退席、委員長着席〕
  139. 青山丘

    青山委員 どういう受けとめ方をしておられますか。例えば、今数字で出てまいりました工場跡地、国公有地が六千ヘクタール、未利用地低利用地二万三千ヘクタール、約三万ヘクタールここにございます。そうすると、かなり、三百万人分ぐらいの土地はまだありそうだと言えますし、それから市街化区域内農地の面積は六万八千四百ヘクタール、そうすると七百万人分ぐらいはまだ可能かな、これは大変な数字になると実は私は思います。  それから、もう一点建設省お尋ねしますが、土地の区画整理が既に済んでいる、換地処分が完了した、そういう地区の中でまだ利用されておらない土地宅地、これがどれぐらいあると見ておられますか。
  140. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 建設省が昭和六十二年度に行いました調査によりますと、三大都市圏におきまして昭和三十七年度から五十九年度までに事業が認可されて、既に事業が完了した地区におきます未利用地は、大体一万一千ヘクタールでございます。
  141. 青山丘

    青山委員 約一万一千。そうすると、さっきの計算でいきますと百十万人分ぐらいの土地は既に区画整理が済んで換地処分を終わって、そしてまさに住宅用地として、宅地としてあるんだけれども、利用されておらないところがまだ十分あるというふうに理解しても過言ではない。  つまり、日本土地が狭いから土地の価格が上がってもやむを得ないんだ、そういう考え方は、基本的には極めて短絡的で余り正確な理解ではない。日本にはまだ土地がある、供給できるゆとりもある。問題は、それをどういう形で供給できるというところに結びつけていくのか、いくことができるのか、こういう課題だと受けとめるべきじゃないでしょうか。そのあたりはいかがでしょう。
  142. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 先生御指摘のとおり、東京圏について見ましてもまだまだ利用を促進し得る土地はあると考えております。ただ、それにもかかわらず、なぜこんなに地価が高いのかということかと思いますが、やはりそれは適正な形で需給ともに市場に出てこない、そういうところに大きな問題があるんじゃないかというふうに考えております。土地はあると思っております。
  143. 青山丘

    青山委員 まさに私も同感、土地はある。ただこの土地があるという感覚が国民の中に浸透しないと、今のこの異常な地価高騰というときに正しい情報として伝わっておらないのではないか。なるほど、土地先高観が期待されて、持っていることに価値がある、だれが何と言おうと今放すものかというようなことでは、資産価値としては上がっていくかもしれませんが、国民共通の限られた財産、土地の有効な利用に結びつかなければ、まさに宝の持ちぐされ。経済が幾ら豊かになっても、日本人の国民生活は少しも豊かになっていない。かつてニューズ・ウィークが指摘したように、日本人はまだまだ生活は貧しいということになってしまいます。これはいけない。そういう意味でぜひ土地基本法を通してくださいと言いたいのでしょうが、そこまで、もうちょっと触れさせてもらう。  もう一つは、土地はあるけれども供給に結びついていない、需要にこたえていないということと同時に、特に、土地を有効に活用していく、高度利用を図っていくという点では、日本はヨーロッパの国々に比べればどうも劣ってきたという気がいたします。そこで、土地を有効に使う、高度化利用を図っていく、こういうことが必要でありますが、現在の首都圏の高度化率、特に東京二十三区内はどのようになっているのか、現況をどういうふうに理解しておられるのか。  それからもう一点。国土庁東京二十三区の高度利用の試算をしておられます。その概要をひとつ説明していただきたい。この二点。
  144. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 東京二十三区の土地利用状況でございますが、平均階数が二・七階でございまして、平均利用容積率は約九九%でございます。なお、都市計画によりまして指定された容積率は平均二五二でございますから、実際に利用されている容積率の割合は三九%、指定されたもののうち三九%が利用されているということでございます。  また、首都圏というお尋ねでございましたが、例えば神奈川県について見ますと、平均利用容積率が四八%でございまして、都市計画指定容積率が一七二%でございますので、実際利用されている率は二八%ということになっております。
  145. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 昭和六十二年に国土庁で、東京二十三区内において仮に法定容積率いっぱいの高度利用をすればどれくらいの人が収容できるか。これは全くの試算でございますが行ってみました。六十二年でございますので、そのときの法定容積率は二四二、実際に利用されておりましたのは九五%、そういった数値を使っております。そういうことを前提にいたしまして、道路あるいは公園等良好な都市環境の確保に特に配慮しながらその有効利用を試算しますと、第五期住宅建設五カ年計画で定められております先ほどの誘導居住水準九十一平方メートルを前提にしますと、四万二千六百ヘクタールの住宅床の建築が可能と見込まれました。  なお、このような住宅床が供給されますと、現在区部に居住している人は八百三十五万人でありますが、そのほかに区部外から区部に通勤する人、その家族、推計で五百三十八万人と見込まれますが、この五百三十八万人の人が十分余裕を持って二十三区内で住める、そういう試算結果になっております。
  146. 青山丘

    青山委員 今御答弁いただいたように、現行の容積率を前提にして計算してみますと、二十三区内に住んでいる人たち、またそこに通勤をしておられる人たち、その人たちの家族も全部含めてこの都内に、二十三区内に住むことが可能だ。つまり、高度な利用が図られておらなかったという反省点と同時に、こういう状況を背景にして一番大きな被害を受けているといいますか中堅サラリーマン層に安い土地が提供できる、住宅が提供できるというところにきちっと結びつけていくまでに組み立てを始めていかないといけない。そうしなければ本当の土地対策にはならない。今回の土地対策はまさに住宅問題でありますから、そういう意味で、東京に一極集中してきたいろいろな背景がありましたけれども、まだ宅地はある。こういうことをひとつ多くの人たち理解をしていただいて、有効にまた高度に活用していくのだ、こういう姿勢でこれから取り組んでいただきたい。  ただそのときに、都心の高度化を進めていくときに重大な障害になってきた要因というのが幾つかある。構造的な要因として恐らくこれまで随分悩んでこられたことが実はたくさんおありでしょう。この構造的な要因に対処するためにどういう方策を考えておられるのか。この構造的な問題を解決するには、恐らくまた大臣はだから土地基本法とおっしゃるのかもしれませんが、土地というのはかくあるべし、すぐれた都市としてこうなければならない、こういう国民合意を形成していく努力、これがやはり基本的になければならないと私は思います。その点で、構造的な要因についてどう受けとめておられるのか、いかがでしょうか。
  147. 石井一

    石井国務大臣 私先ほどから住宅政策についていろいろ話を聞いておりまして一、二感じたところがあるのでございますが、それは住宅供給するということで四十年代はどちらかといいますと高度の集合住宅を推進してきたのではないか。しかしながら、中堅サラリーマンの志向というものがだんだん一戸建ての家に変更し、そういう中から住宅戸数も少し下がってきたのではないか。しかし、もう一度現時点に合わせて考えるなれば、職住接近といいますか、まず住める住宅をつくるという方向にもう一度政策を見直す必要があるのではないかな、そういうようなことを実は考えた次第でございます。この点につきましては後ほどまた建設省の諸君とも話し合いをしまして、その点をフォローしておきたいなというふうに思っております。  都心の高度化を阻害している土地所有権への過度の執着の問題に対処するためには、やはり土地公共福祉のための公共的制約が課せられるべきであること、土地は地域の諸条件に応じて適正に利用されるべきであること、土地についての共通の国民の意識が確立されることが必要である、私はそのように考えます。これと合わせた施策の展開を図り、コンセンサスに努めていく。基盤整備の問題とか都市計画上の工夫でありますとか、そういうふうなものがいろいろあると思いますけれども、そういう形の中からやはりひとつ新しいコンセンサスづくりということは必要なことではないかな、私はそう認識しております。
  148. 青山丘

    青山委員 四点について簡単にお尋ねをいたします。問題は、土地基本法土地利用についての基本原則をここで確立をして、そして基本法をベースにした実施法の改正といいますか、そういう取り組みがこれから重要になってくる。そうしなければ、土地基本法だけではなかなか土地問題、都市地価高騰基本的に解決するものではありません。そういう理解であります。  まず一点は、大都市における土地の高度利用を促進できるように用途地域のあり方を見直しをしていく必要があるのではないか、規制の緩和をしていく必要があるのではないかと私は考えますが、この一点、いかがでしょうか。  第二点。宅地開発の可能な地域を拡大するために、市街化区域と市街化調整区域の線引きの見直しをしていく必要がある。まだ宅地開発可能な地域が眠っているような気がするという一面と、この間、この土地特別委員会愛知大阪兵庫現地に行きましていろいろな話を聞いてきました。現場の知事さんたちは、市街化区域内の農地については逆線引きというようなことをよく言っておりましたが、逆線引きも、まじめに営農地として使用されているところは、これは当然よく理解できます。同時に、調整区域に入っていて、しかし市街化に近い、まだ宅地として開発できる地域だという場合には線引きの見直しをしていく必要があるのではないかと私は考えます。この点はいかがでしょうか、第二点。  今のような一、二点について地方自治体がなかなか重い腰が上げられないというような場合に、都市計画制度に基づくところの国の指導、これをひとつ強力に進めていく必要があるのではないかと思うからであります。  第三点は、建築基準法について、土地の高度利用を図るために、容積率や建ぺい率のあり方を見直しをする必要がある、もっと緩和をする必要があると私は思います。いかがでしょうか。  もう一点。東京二十三区などにおいては、土地の高度利用を図っていくために、一定階数以下の建築については新しく改築をされることについて認めない、低さ制限が必要ではないか。そしてフロアをうんと拡大していく必要がある。そうすれば需要にこたえていくことができるのではないかというふうに私は考えます。この点については私は十分検討する価値があると思いますが、いかが でしょうか。  この四点についていかがでしょうか。
  149. 河原崎守彦

    ○河原崎説明員 では、先生お尋ねの一、二、四点につきまして私からお答えさしていただきます。  都市土地の高度利用を図るという非常に重要な課題でございまして、そのために用途地域の見直しあるいは線引きの見直しをすべきであるということは、まことに私どももそう思って進めてまいっておるところでございます。  まず用途地域でございますが、昭和六十年から平成元年までの間に全国の十一大都市におきましては見直しを完了いたしております。ちなみに東京都区部におきましては、先般十月十一日に見直しを完了いたしまして、その結果といたしまして、指定容積率というものが従来二四三%であったものが二五二%と九ポイント上昇をいたしております。  それから線引きでございますが、線引きにつきましては、五十七年以降第二次の一斉の線引きの見直しを行ってまいりました。今回は人口フレームの保留方式といいまして、想定人口の枠内であれば事業化の見込みが立ったときに適時市街化区域に編入できるという方式を導入いたしまして、五十八年四月以降、保留地分を含めまして六万八千九百二十三ヘクタールの市街化区域の拡大を見ておるところでございます。  今後もこういう点を続けてまいりますが、なお補足いたしますと、都市内の高度化につきましては、全体の今のような制度もさることながら、同時に再開発地区計画でありますとか特定街区等々の地域的、スポット的といいますか、そういうゾーニングも活用いたしまして高度化に努めてまいりたいと考えております。  それから第四点でございますが、御指摘の低さ制限ということでございまして、このシステムといたしましては高度地区というようなものがございまして、最高限あるいは最低限を定めることができることになっておりますが、実際問題といたしまして、日本都市宅地が非常に零細であるというようなこともありまして、高層化をいたしますと鉛筆ビルが乱立するとか、その地域の需要に応じた供給が本当にできるだろうか、その責任がとれるだろうかというような問題もありまして、この制度はなかなか指定が少のうございます。実際問題といたしましては、防災上の観点から避難地や避難路の周辺で耐火建築物等を建てる場合にこういう最低限の高度地区を指定するというようなものが多いわけでございます。したがって、先ほども申しましたけれども、高層化につきましては、むしろ再開発事業を行うとか再開発地区計画等スポットゾーニング的なものを活用していただくということが有効ではないかと考えております。
  150. 立石真

    ○立石説明員 第三点についてお答えいたします。容積率と建ぺい率制限に関することでございます。  先生御承知のように、容積率、建ぺい率の制限目的と申しますのは、市街地における建築物の総容積あるいは建築面積制限することによりまして空地を確保する、そういうようなことで良好な環境を確保するとともに、建築物と道路等の公共施設の整備状況との均衡を図ることを目的としているものでございます。  それでは、具体的に各地域についてどのような形でこの数値が指定されているかということについて御説明したいと思いますが、まず建築基準法におきましては、例えば住居地域におきましては容積率二〇〇、三〇〇、四〇〇と三種類の容積率のメニューをそろえておるところでございます。これらのうちから、都市計画におきましてそれぞれの地域の特性に応じまして選択して指定することとなっているわけでございます。現在、都市計画におきまして適切な指定が行われていると思うわけでございますし、また御承知のとおり、この十月に東京都の用途地域ないし容積率等の制限についての見直しが行われておるように、適切な見直しがなされているものと考えておるところでございます。
  151. 青山丘

    青山委員 時間が来ましたので、今お話がありました諸点については、なおまだ今後も重要な問題として触れていきたいと思います。  最後に大臣に、土地の価格は青山君心配するな、おれがおるうちに下げる、そのスタートを切るというような決意の言葉をひとつぜひいただきたい、こう思います。いかがでしょうか。
  152. 石井一

    石井国務大臣 御支援、御協力のほどを切にお願い申し上げます。
  153. 青山丘

    青山委員 終わります。
  154. 大塚雄司

  155. 中島武敏

    中島(武)委員 土地基本法案について質問いたします。  本法案の中心をなしているものは、「土地については、公共福祉のため、その特性に応じた公共的制約が課される」、つまり、土地の権利に対する私権制限の明確化という基本理念の法制化であります。土地に関する私権制限の内容は、本法案によりますと、第一に「適正な利用及び計画に従った利用」、第二に「投機的取引抑制」、第三に「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」、この三つから成っています。  それでまず第一に、「適正な利用及び計画に従った利用」ということでどのような私権制限が課せられるのかについて質問をしたいと思うのです。  法案では、適正な土地利用とは土地利用計画に従った利用であるというふうに位置づけております。そうすると、ここで言う土地利用計画とはどういうものかということが非常に重要になってまいります。第十一条には土地利用計画の策定についての規定がありますけれども、ここで言っている土地利用計画とは具体的にどのようなことを言っているのか、お尋ねいたしたいと存じます。
  156. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 お答えいたします。  まず、土地利用計画といたしましては、国土利用計画法に基づく国土利用計画、これは、全国計画、都道府県計画、市町村計画という一つの体系をなしておりますが、そういうマスタープラン的な計画。さらに、同法にございます土地利用基本計画、これは、先生御承知のとおり、地域を五区分に区分し、その利用調整を図りながら適正な利用を促進しようという観点からの計画でございます。  こういった計画に、さらに、国土総合開発法に基づきますいわゆる全国総合開発計画という全国計画、あるいは首都圏整備計画等の大都市圏の整備計画、各ブロック別に定められております地方開発促進計画等々もマスタープラン的なものとしてはこの計画の中に入るのではないかと思っております。  なお、個別具体の計画といたしましては、さっき申し上げました土地利用基本計画を上位の計画とする各計画、例えば都市計画あるいは農業振興地域の整備に関する法律に基づきます農振計画とか、あるいは森林法に基づく計画、さらには自然公園法とか自然環境保全法に基づくゾーニング等もこの計画の中に含まれるのではないかというふうに理解いたしております。
  157. 中島武敏

    中島(武)委員 今御答弁あったようにいろいろな計画があるわけですが、この法案によりますと、詳細な土地利用計画は「土地の高度利用土地利用の適正な転換又は良好な環境の形成若しくは保全を図るため特に必要があると認めるとき」に策定する、こういうことになっております。  今度の国会で海部総理大臣は所信表明をやられまして、その中で、需給両面にわたる本格的な土地対策を実行すべきであり、その第一歩として土地基本法案提出したんだ、こういうふうに演説をしておられます。土地需要供給両面からの土地対策が政府の土地対策基本に置かれているということは、これはもう当委員会におけるこれまでの審議からも明らかなところでありますが、この法案にあります詳細計画策定の前提になっているのが土地の高度利用土地利用の転換、こういうことでありますけれども、これは土地供給対策の重要な一つの柱というふうに考えるべきかと思いますが、いかがですか。
  158. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御指摘のとおり、政府案では土地利用計画を策定するものとする、そして充実した都市計画をつくり上げていくというふうな規定になっております。その際、必要に応じて詳細計画を策定していくということでございますが、「地域の特性を考慮して土地の高度利用土地利用の適正な転換」、そういった転換を図っていく上で土地利用計画の詳細性というのは非常に有効でございますので、そういう詳細計画を策定しながら住宅宅地供給促進も図ってまいりたいということでございます。  ただ、供給促進の観点だけではなしに、十一条二項におきましては、良好な環境の形成あるいは保全を図るためにもそういう詳細計画必要性を認めておりまして、その旨二項で明らかにしておるところであります。
  159. 中島武敏

    中島(武)委員 次に、今の御答弁を踏まえてお尋ねしたいと思うのですけれども、土地の高度利用あるいは土地利用の転換を推進をするためには、どのような利用制限、私権制限が課せられるようになるのか、具体的に答弁してほしいと思うのです。土地の高度利用を推進するためには、土地の用途制限、建築規制は強化されるわけですか、それとも緩和されるわけですか。
  160. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 土地の高度利用土地利用の適正な転換を図るために詳細計画を必要に応じてつくっていくということでございますが、では具体的にどういうふうな計画が策定され、私権制限が加えられるのかという点につきましては、こういう基本法の精神を踏まえ、具体の施策を検討する際に詰めていかれるべき課題だろうと思いますが、ただ、一般的に申し上げまして、例えば既存の都市計画上の詳細な計画制度であります地区制度あるいは再開発地区計画制度というのがございますが、こういう計画では容積率や建物の高さの最低限度、敷地の最低面積等も定め得るようになっておりますので、かなり枠組みをしっかりしながら、その枠組みに従って利用を促進していくということになる側面が強いんじゃないかというふうに考えております。
  161. 中島武敏

    中島(武)委員 その問題をさらにまたお尋ねしたいと思っているのですが、その前にちょっとお尋ねをしておきたいと思いますのは、政府の土地対策要綱があります。この総合土地対策要綱の中では「住宅対策の推進」という項目がありまして、この中の五つの柱の一つとして「借地・借家法の見直し」が挙げられております。これは土地供給拡大策として位置づけられているものでしょうか。
  162. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 御承知のように、借地・借家法につきましては、借地・借家関係の多様化を初めとする近年の社会経済情勢の変化に適切に対処すべく、法務省法制審議会を中心に現在見直し作業が進められているところであります。現在、その改正要綱試案が公表されまして、各界の意見を聴取し、そういった意見を踏まえてさらに要綱案を策定すべく今後作業が進められるという見通しであります。  現在、見直しの範囲は、お聞きするところによりますと、借地・借家法全般にわたっているわけでありますが、その中では、借地の契約期間が満了した場合に借地関係が消滅するいわゆる定期借地権制度を創設する方向で検討が行われておるわけでございます。この定期借地権制度の創設について、地主が単に資産として保有するにとどまっている土地、現在の借地・借家法のもとでは一たん借地に出しますとなかなか地主の方に戻らないというふうな現実の実態がございますので、新たな借地がなかなか出てこない。そういう実態を考えますと、やはりこういう制度が創設されますと、それまで何も利用されずに保有されていた土地が新規に借地として供給されることにより、土地の有効利用の促進につながっていくという面がある、そういうふうに私どもの方は考えております。
  163. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、これは非常に大事な問題をはらんでいると思うのですね。今も説明があったように、状況が変化したからそれに応じてというのが基本的な考え方のようですけれども、そういうことを理由にして、じゃ何が具体的にどう変わるのかというその一つを今局長は答弁されたと思うのですけれども、やはりその状況の変化ということを理由にして、それで借地・借家人の権利が奪われていくということになることを私どもは非常に危惧しております。  同時に、今局長が言われたように、有効利用とか、あるいはなかな土地が出てこないからそれが出てくるようにするために定期借地権というような考え方が出される。それだけじゃないんです。やはり、有効利用が明け渡しの正当な事由とされるとか、一つ一つ何も申し上げる必要はありませんけれども、借地期間の短縮の問題であるとかいろいろ広範囲な問題にわたってやられているわけですね。そうなってくると、やはり借地・借家人が結果として土地を吐き出させるために追い出されてしまうということになるわけでありまして、私は、これは政府が住宅対策のところに位置づけているのだけれども、非常に重大なものであって、借地・借家人の権利を奪うものになるということを指摘したいと思うのですね。  それから、先ほど局長から答弁のあった問題についてなのですけれども、この点についてさらにもっと伺いたいと思うのです。  用途制限とかそれから建築規制というのが、高度利用あるいは土地利用の転換ということになれば、一般的にはそういうふうになるでしょうという答弁だった。そうだと私も思うのです。それに関連して、土地の高度利用を推進するという場合に土地利用強制はどういうふうになるのかという問題について伺いたいのです。  都市計画法の中に地区計画の制度があります。さっきもちょっと議論になっておりましたけれども、容積率や高さの下限制限がやられる、あるいは敷地面積の下限制限もやられる、そういうことが規定されているわけですね。そうすると、高度利用を推進していくためにはこのような利用強制とも言えるような私権制限も強化することが、結局この基本法にある土地利用計画に従った土地利用ということになるのじゃないかと思うのですね。この点いかがですか。
  164. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 政府案の基本理念でも、土地はその所在する地域の諸条件に応じて適切に利用されるべきだ、また計画に従って公共的制約のもとに利用していくのだということを理念としておるわけでございます。したがって、必要な場合にはそういう利用強制につながるような詳細な土地利用計画のもとで有効利用を促進していくという部分が出てこようと思います。もちろん、その計画公共団体が関係者の意見を聞きながら作成された計画だということになろうと思いますが、そういうことだと思います。  それと、借地・借家法につきましては、先ほども申し上げましたように、各界の意見を聞かれながら法制審議会におきまして慎重の上にも慎重に審議が進められておると理解しております。おっしゃるように、正当事由の問題等々も含め、かなり広範な検討が行われておるようですが、私ども土地の有効利用を促進する、そして土地が取得できない人にはせめて借地・借家でも良好な住宅が確保できる、そういうふうな状況大都市では非常に望ましい状況だというふうにも考えますので、定期借地権制度を創設され、新たにそういう借地が供給に出されるということは望ましいことではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  165. 中島武敏

    中島(武)委員 地区計画の方ですけれども、これは六本木・虎ノ門・赤坂地区地区計画、もうすぐこの近くであります。委員長の地元なのですけれども、この地区計画でどうなったかというと、さっきもお尋ねしているのですけれども、建築物の敷地面積の最低限度を一千平方メートル、こういうふうに出されてきたのです。その一千平方メートルと申しますと、実は今申し上げた地区は戸建ての住宅がたくさんあります。もう御存じのとおりであります。ところが、一千平方メートル以下はだめ、こうなったわけですね。さあ、今度はどうなるかといいますと、これはビルディングです。そうすると、生存権的な財産が奪われる、侵害されるというので住民から反対運動が起きた。それでとうとうこれがつぶれてしまったわけです。また今ちょっと練り直しをしている、新たな案がつくられている、こういうところなのです。  基本法で「国民の責務」として「土地についての基本理念を尊重しなければならない。」こういうふうにうたってあるわけなんです。公共的な制約、そういうものも尊重しなければならないということで、こういうものがどんどん出てくる。出てきたときに、尊重しなければならないということになったら、これはとんでもないことになってしまうと思うのです。しかし、そういう地区計画の中身によればやはりこういうものが中身とされる、そういうことも現実の問題としてあるんだということを指摘しておきたいと思うのです。  次にもう一つ、これは長官に伺いたいと思っているのですけれども、公共的な制約、私権制限土地に係る負担、この問題について伺いたいと思っております。  第五条の「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」についてですが、結局どれだけ増加しているかをはかるのは土地の価格だと思うのですね。これは大筋で言えば土地の価格に見合った負担ということになりますね。そうすると、お尋ねしたいのは、第五条の「価値の増加に伴う利益に応じた適切な負担」には、庶民が生活していくために最低限必要な住居のための土地とか、あるいは店舗、工場などのいわば生存権的な土地と、大もうけしているような大きな企業の土地との間に特別の区別はないと思うのですけれども、いかがですか。
  166. 石井一

    石井国務大臣 まず第二条に「土地は、」「国民のための限られた貴重な資源であること、国民の諸活動にとって不可欠の基盤であること、」等の特性を有することを明らかにして、それに「その特性に応じた公共的制約が課されるもの」としております。それから第三条には「土地利用に関する計画に従って利用されるもの」として、計画に従って利用されるものでありますのでそれに従うという第二の概念。さらには第五条、御指摘のとおり、土地の「価値の増加に伴う利益に応じて適切な負担が求められるもの」としておる。  この三つを踏まえて、土地税制については「基本理念にのっとり、土地に関する施策を踏まえ、税負担の公平の確保を図りつつ、」適正な措置を講ずるものとしており、国土庁としては、今後このような考え方基本に基づき適正な課税のあり方について検討するべきだ、そのように考えております。
  167. 中島武敏

    中島(武)委員 この基本法の法律上は、いわば生存権的な財産である住宅だとかあるいは店舗、工場と、片や大変な収益を上げている大きな企業との間に別に区別はないということは、今の長官の答弁でも明らかであります。  それで、もう一つ税制問題について触れられましたから、私はちょっとその問題についてもお尋ねしたいのです。第五条の具体化の一つであります今長官が言われた税制上の措置についてなんですけれども、これは具体的にどうしようとしているのかということについて伺いたいのですが、時間がないもとで税制問題はたくさん聞かなければならないことがありますので、きょうはちょっと省略させていただきまして、一つだけ伺いたいのです。  税制の一つとして、政府の総合土地対策要綱によりますと、こういうところがあります。「都市宅地開発の推進、土地の有効・高度利用の促進等のための税制の在り方について、関連制度・施策整備を踏まえて、引き続き検討する。」こういう文章があるのです。  それから、これは日本社会党、公明党、民社党、社会民主連合四党政策責任者共同出版「土地問題への提言とQ&A」なんですが、この中で伊藤政審会長が言っているのです。「いまは狂騰地価を下げる工夫をすべきだか、中長期的には土地の有効利用を図るべきです。都心部の平屋には高い保有税を課し、中高層化すれば安くする。未利用地には利用を促進するよう高い未利用地税を課す。」こういう文章がありますが、今政府の方で考えているのも大体こういう方向なのかということについて伺いたいのです。
  168. 石井一

    石井国務大臣 一般的には、限られた土地をどう有効的に使うかということでありますから、ただいま読まれましたことに関しましても、もちろん各論ではいろいろ議論をしなければいかぬと思いますが、基本的には政府もやはりそういう考え方をしておると御理解いただいていいのではないかと思います。  特に大都市過密地帯を、いろいろなところがございますけれども再開発する。例えば東京を上から見ました場合に、いかに生産性の低い土地利用の仕方をしているか、これは外国人でも驚くわけですけれども、しかもその土地がべらぼうに高いということになりますと、やはり常識的には、高度にこれを利用するということを考え再開発を推進するというのは、当然考えるべき一つの手法ではないかと思います。  また、借地・借家法の問題につきましても、議論をするつもりは決してございませんけれども、こういう制度をとっておる国はもうほとんどございません。また、非常に古き制度でございますけれども、一たん貸したために追い出されるという問題もございます。しかしながら、一たん貸せば返ってこないので貸さないという問題もございまして、そういうふうなところは大いにひとつ高度に利用していただきたい、こういう議論も当然出てくるでありましょう。法制審議会の審議を見守りながら、基本的な権利を守りつつ、しかし公共福祉に資する、そういう姿勢で臨んでいきたい、こう考えております。
  169. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと戻って済みませんが、さっき確認したら長官がちょっと首をひねっておりましたので、私が聞いておりますのは法文上の問題なのです。局長から答弁してもらった方がいいかもしれませんけれども、利益に応じた適切な負担の問題なんですが、法文上は別に区別はないというふうに思うのですけれども、間違いないでしょう。
  170. 藤原良一

    藤原(良)政府委員 十四条の「社会資本整備関連して土地に」……(中島(武)委員「五条ですよ、五条)と呼ぶ)五条の規定を敷衍して施策として十四条、十五条の規定がございまして、まず十四条では「社会資本整備関連して土地に関する権利を有する者が著しく利益を受けることとなる場合」、こういう場合には、地域の特性等を勘案し、これは過疎地とか離島とかという地域の特性も勘案しながら、利益に応じてその社会資本整備について適切な負担を課するということでありまして、あくまでも社会資本整備関連していわゆる開発利益を享受する人、それも著しく特定の地域の特定の人が利益を受ける場合には応分の社会還元をしなければならない、そういうふうな規定であります。  また、十五条「税制上の措置」でありますが、「土地についての基本理念にのっとり、」適正な土地利用を行う、できるだけ計画を策定し計画に従いながら有効利用を促進する、さらに投機的な取引は行わない、そういう基本理念にのっとり、さらに土地に関する施策、そういう理念に基づいていろいろな施策が今後展開されます。基本法でも基本的な施策についてはその展開方向を示しておるところでありますが、そういう施策を推進する上で必要な税制、あるいはさらに所得と資産、あるいは資産の中でも土地と他の資産の負担の公平の確保等にも配慮しながら基本法制定されますれば、適正な税制上の措置についていろいろな検討が加えられる、そういう趣旨の規定が十五条であります。
  171. 中島武敏

    中島(武)委員 いろいろるる説明があったのですけれども、別に第五条について区別を設けているという御説明ではなかったと思います。  それから次に、住宅問題についてお伺いしたいのです。住宅宅地住宅部会市街地住宅委員会の中間報告大都市地域における住宅供給の促進について」が出されております。建設省に伺いますが、これは土地基本法を前提にしているものだと思いますけれども、そうですね。
  172. 立石真

    ○立石説明員 先生御指摘住宅宅地審議会市街地住宅委員会の報告でございますが、土地基本法におきまして、土地についての基本理念のうち、第三条によりまして「適正な利用及び計画に従った利用」という基本理念が述べられておりますが、大都市住宅対策について、中間報告の中ではこれらの基本理念に沿ったものであるというように考えているところでございます。
  173. 中島武敏

    中島(武)委員 この中間報告の中にこういう箇所があります。「分譲住宅の場合、東京都心への通勤一時間圏の平均的な距離帯である都心からの十〜二十キロメートル帯における平均価格水準は、七十五平方メートル(三人世帯の誘導居住水準)で六千四百八十万円/戸(一九八八年三月都市開発協会調査。実効容積率は約二〇〇%)である。その場合のコストを推計してみると、同じ距離帯における地価の水準は約七十八万円/平方メートル(同年地価公示)であることから、約六千三百五十万円/戸と推定される。これに対して容積率緩和等が行われて、実効容積率が四〇〇%となれば、約四千七百六十万円/戸にコストは低下する(約二五%低下)。」こういう文章があるのです。  それで伺いたいと思いますのは、これはコストの話が出ているのですけれども、提供者が仮の話ですがざっと一割ぐらい利益を得たと仮定をしますと、大体、ざっとの話ですけれども七千万円あるいは五千五百万円、こういうようなことになろうかと思うのです。その場合、これぐらいの高さの分譲の住宅というものを年収どの程度サラリーマンが手に入れることができるのかということについてお尋ねしたいのです。
  174. 立石真

    ○立石説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げました中間報告におきましては、まず良質の住宅の大幅な供給増加によりまして住宅の市場価格あるいは家賃の平均的水準を低下させて大都市地域における一般勤労者の住居費負担能力とのバランスを回復していくことが必要であるということを基本にいろいろと提言をいただいている中身のことでございます。  御指摘の数値につきましては、都心から十ないし二十キロ圏におきます七十五平米の住宅を例にいたしまして、例えば容積率を二〇〇%にした場合とそれから容積率を四〇〇%にした場合というように、もし容積率を割り増ししたとすればどのような効果があり、あるいはそれがどのようなコストの低減につながるものであるかということを試算した数値でございます。容積率の割り増しというのがコスト低減におきましては、先ほど先生御指摘ございましたように六千五百万円程度から四千七百万円程度に落ちるという効果の試算であるわけでございます。  住居費負担の問題につきましては、一般に標準的な世帯では、住宅ローンの支払いは世帯収入のおおむね二五%程度までではないかというふうに考えられておるところでございます。そうしますと、東京圏の平均的なサラリーマンの世帯が住宅ローンの返済負担率二五%までローンを借り入れたとするならば、貯蓄を自己資金として充当する取得可能な住宅価格を試算してみますと、その場合には四千万円程度になるだろうと見ておるわけでございます。ただ、住宅の市場におきましてはいろいろな条件の方がございまして、これまで親から譲られた財産を持っている人もおりますし、また、過去に資産を持っている人もおります。いろいろな需要階層がいるということでございますので、先ほどの数値のマンションあるいは分譲住宅がどのような階層に供給されるかということは適切には推計できないわけでございますが、ローンだけでいいますと、なかなか取得することは難しいということが言えると思います。
  175. 中島武敏

    中島(武)委員 今、住宅が年収のどれぐらいで手に入るかというと、大体五倍とか六倍とか、こういうことが言われているわけです。六倍だということになりますと、五千五百万ということになると、諸条件抜きですけれども九百万円の年収、それから七千万という先ほどのことになりますと千二百万円、これだけの年収ということになるわけです。ちょっといろいろな条件抜きの話ですけれども、そうなってくると、やはり大多数の勤労者にはほど遠いものになってしまうのではないかというふうに考えるわけですね。  やはりこの中間報告土地基本法を前提として考えているというわけなんですけれども、どうも私は、大都市においては土地問題というのはすぐれて住宅問題でなければならない、そう思うのです。ところが、この土地基本法目的のところにも明確にはその住宅ということがうたわれていない。どうもなるほどそういうことかな、むべなるかなという感じを受けるのですけれども、これじゃ結局庶民の住宅は解決をしていかないということになってしまうと思うのですね。  それで、もう一つ次にちょっと伺いたい問題は、大企業や大資本家に対する私権制限という問題なんです。この問題についてなんですけれども、やはり現在の地価問題を考える、住宅問題を考える、そうした場合には、大資本に対してもやはり私権制限というのは非常に緊急の課題になってくるんじゃないかと考えるわけです。そういうところからいって二つ聞きたいのですけれども、最初地価対策と私権制限の問題、この問題について伺いたいのです。  金融機関土地融資が最近の地価狂乱の最大の元凶、こういうふうに言っても決して言い過ぎではないと思うんですね。大蔵省来ていらっしゃいますか、伺いたいのですが、ここ三年間における金融機関土地関連融資について、都市銀行あるいは信託銀行、東京圏及び大阪圏に本店を置く地方銀行の融資残高を各行別に明らかにしてほしいと思うのですけれども、どうでございますか。
  176. 武藤敏郎

    ○武藤説明員 大蔵省では、行政を進めていく上で必要ないろいろな資料、統計、計数を各金融機関ごとに直接聴取しておりますが、公表されているものは別といたしまして、これらはすべて内々いただいておりますので、個別金融機関ごとの計数を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
  177. 中島武敏

    中島(武)委員 長官に伺いたいのですけれども、長官はどう考えられますか。私は、本当に地価対策をやっていかなきゃならない、また金融問題についての対策もやらなきゃいかぬということになったら、やはり各銀行ごとにどれだけ融資がやられているかということなんかも明らかにして、そして国民の批判にさらすということが最低限大事なんじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  178. 石井一

    石井国務大臣 実は、就任しまして三カ月でございますが、私、既に二回、大蔵省に対しまして、この土地関連の融資につきまして要請をいたしました。特に二回目などは大蔵大臣に会見を申し込み、あれはちょうど十月一日の地価公示の翌日でございますけれども、厳しく申したわけでございます。当委員会でも繰り返し答弁をされておりますように、六段階に分けて、我々から見ますと、大蔵省はなかなかそこまでよくやるなというような形でヒアリングを聴取し、そして計画を調べ、その後のものをチェックいたしておるわけでございます。  それから先の問題でございますが、私も委員の御質問に十分用意をいたしておりませんでしたが、なかなか金融機関たるものは、まあいろいろ経営上の問題もあり、内々のそこまでそれを公表するということについてはかなりの抵抗があるのではなかろうかということを推察いたします。  国土庁といたしましては、私たちの方の要請を聞かずにずさんな融資をやっておるというふうに判断いたしますと、そこまで強く要求したいと思うのでありますが、今申しましたような状況で、大蔵当局は我々が考えております以上にノンバンクの、結局その下請のノンバンクまで手を入れてやっておるというふうな状況でございますので、しばらく事態を見守っていきたいな、そういう感じがいたします。
  179. 中島武敏

    中島(武)委員 私は、長官からは、国土庁長官でありますからもっと積極的な意見を期待しておったんですけれども、甚だ残念であります。  ちょっと委員長、お許しいただきたいのですが、資料を配付させていただきたいと思います。
  180. 大塚雄司

    大塚委員長 どうぞ。
  181. 中島武敏

    中島(武)委員 お手元に配付いたしましたのは「金融機関の不動産業への融資残高」でございます。これは出所は有価証券報告書から作成したものでございまして、公表されているものでございます。  これを見ていただけばよくわかると思うのですけれども、都市銀行の小計欄に一九八九年三月、ことしの三月の融資残高が書かれております。これは十七兆二千三十一億五千六百万円ということになります。それから、一番下のところに、これは地銀ですけれども、東京圏、それから大阪圏の主なものを拾っただけですけれども、十二行、これは三兆三億五千百万円、こういう融資残高です。  それから、右の方に残高の伸び率がパーセンテージで示してあるのですけれども、八八年三月から八九年三月、つまりことしの三月までの一年間にどうなっているか。都市銀行は一五・八%の伸び率です。昨年は一〇・九だったのですけれども、ことしにかけての方が伸びが大きいんですね。都市銀行は相当自粛しているかなというような感じも持たないじゃなかったのですけれども、この数字を見ますと、また都市銀行がふえているということが明らかになっております。  それから、地方銀行ですけれども、地方銀行は二四・五%。これは昨年の三〇・六%に比較すれば少ないということは言えるかもしれません。しかし、二四・五%。なるほど関西、大阪方面とか名古屋とか、あるいはまた東京でもいろいろなところ、周辺がなかなか地価が鎮静しないで伸びておるというところはこの辺にあるなということもうなずかせられるものがあるわけであります。  ノンバンクにつきましては、ここにはもちろん出ておりません。これは全部じゃないのです、土地融資のすべてじゃなくて、不動産業に対するこれらの銀行の融資残高にすぎないわけなんです。それを見ましてもこれだけ。これはやはり相当なものだということを認識されると思うのですね。  だから私は、ああ大蔵省はよくやっていると、なるほどヒアリングだ、特別ヒアリングだとやるのですけれども、しかし通達はやはり自粛通達、ノンバンクの方まで手を広げたというのは今回の特徴ですけれども、もう一歩さらにどんどん突っ込まないと土地の値上がり問題というようなものは解決つかないんじゃないかと考えるわけでありまして、こういう点で長官の重ねての答弁をいただきたいと思うわけです。
  182. 石井一

    石井国務大臣 貴重な資料をしっかりと拝見させていただきました。都市銀行では太陽神戸が一番多いとはどういうことかというようなことを感じましたし、地方の方では千葉の方がかなり出ておるようでございます。そういうことから、そういう相関関係があるのだろうかというふうなことも今考えて見ておるわけでございます。大蔵当局がここに出ておるもの以上のどれだけのものを掌握しておるのかどうか、こういうふうなことも問題があろうかと思いますが、委員の御指摘はしっかり受けとめさせていただきまして、今後、土地関連の金融に関しましてひとつ厳しい目を向けていきたいと思います。
  183. 中島武敏

    中島(武)委員 やはり地価の値上がりの幾つかある元凶の最たるものというのが私の認識でもありますし、長官も否定しないと思いますので、どうぞひとつ今の言葉をさらに具体化していただきたいと思う次第であります。  続けて、関連しての質問です。大企業、大資本に対する私権制限問題ですけれども、国民住宅要求の解決と大企業の責任、こういう問題について質問したいと思っています。  都心部やその周辺では、住宅と事務用オフィスとの収益力の格差が大変著しい、そのために住宅供給が進まないことは政府も否定のできないところであると思います。つまり、市場メカニズムだけに任せておいたのでは、勤労者のための住宅供給は不可能だということであります。そこで、土地基本法案土地に対する公共的制約、私権制限の実施によってどのように勤労者に住宅供給していくのか、私はそういう問題意識があるのですが、そういう点について聞きたいと思うのです。  一つは、東京の都心区においては、何とか住民を呼び戻したいということで、オフィスの一部に住宅を張りつけさせる付置義務住宅、これを進めているのですけれども、これは法的な裏づけもなければ、政府の援助があるわけでももちろんありません。だものですから、これは朝日新聞の十月十八日付ですけれども、千代田区が容積率割り増しの見返りに住宅を付置させた大京の紀尾井町のビルディング、これの家賃は最高二百四十一万二千円、驚くべきものが出てきているわけです。  建設省にこれもお尋ねしたいと思うのですけれども、東京の都心区で実施している付置義務住宅は何戸供給されて、その家賃水準は一体どの程度になっているのかということについてお尋ねします。
  184. 立石真

    ○立石説明員 お答えいたします。  東京都内におきましては、中央区等の四区においていわゆる住宅付置義務要綱を定めております。この要綱に基づきまして供給された住宅供給実績でございますが、この九月末日までで五千百九戸と聞いております。  また、家賃につきましては、供給された住宅の立地条件等によりましてかなり差があるようでございます。一例を申し上げますと、港区の芝浦におきましては、六十二年度民間が建設した賃貸住宅の例では、一LDK三十七平米の規模で十三万円、三LDK七十三平米で二十五万八千円というような例を聞いているところでございます。  こういうような形であるわけでございますが、紀尾井町の場合には、先生がおっしゃるような非常に高い家賃が設定されたというように私たちも聞いているところでございます。やはりそれぞれの地域によりまして、また民間の供給する住宅でございますので、相当に差があるというふうに見ております。
  185. 中島武敏

    中島(武)委員 相当に差があるということについてお認めでございますけれども、これは建設省も参加した全国市街地再開発協会が実施したところの「大都市都心部における住機能確保に関する調査報告書」というのが出されております。御存じと思いますけれども、この中で現在付置義務住宅について検討を加えておりまして、そこでは、住宅供給しても高い地価を反映して一般勤労者が借りるには家賃が高過ぎるということと、住宅としての利用義務、住宅の家賃などを遵守させることが困難である、こういうことを指摘をいたしております。これはやはりこの制度の根幹に触れる重大な問題だと私は思うのです。  そして、これも朝日新聞ですけれども、ついこの間十月二十六日付によりますと、付置義務住宅がこっそりオフィスに利用されてしまっている、こういう生々しい報道もありました。もともと、この付置義務住宅の元祖はアメリカでありまして、アメリカではいわば法的な根拠を持ってデベロッパーなりに住宅供給を義務づけている。特に住宅は、低所得者向け住宅をとりわけ重視をしているわけです。この辺について、当然建設省は御存じだと思うのですけれども、どんな認識を持っていらっしゃいますか。
  186. 立石真

    ○立石説明員 先ほど申し上げましたように、家賃につきましては非常に差があるわけでございますが、先ほどの例の、例えば芝浦地区におきまして一LDK三十七平米で十三万円等の数値につきましては、近隣の住宅の家賃の水準とほとんど同じあるいはやや低いぐらいの数値だというふうに考えております。したがいまして、どの住宅についても、どう高いものになるかということは、その場合場合で違ってくるものと考えております。  また、先ほど御指摘のございましたアメリカの各市における住宅付置義務等の制度でございますが、これらにつきまして私たちも勉強しているところでございまして、その評価は高いものと思っておりますが、これらについて日本に適用しようとしますと、まだまだ相当慎重な検討を要するものと考えております。
  187. 中島武敏

    中島(武)委員 どうも消極的な返事が返ってくるので残念なのですけれども、私は、もっとこういうのもどんどん取り入れて、大都市東京だってちゃんと人間は住めるのだ、都心だって人間は住めるのだというくらいのことをどんどんやるのじゃなければだめだと思うのです。私の率直な感想です。アメリカでやっておって、さっきも言ったのですけれども、どこが私は非常にいいかなというふうに思うかというと、やはり義務づけなのです。それで、無償で提供させるのです。それから、実際には低所得の人たちが住める住宅というところに力点があるのです。特別な人間しか住むことができないというふうになったらおしまいです。だから私は、ぜひひとつ引き続きこの問題についての検討をいただきたい、積極的な取り組みをいただきたいと思うわけです。  時間もちょっと切迫してきたのですが、現在の制度でできる地価対策一つなのですけれども、監視区域というだけじゃなくて規制区域制、先ほどからも問題になっているのですけれども、この規制区域制を積極的に行うべきじゃないかと考えるのですが、これはどうですか。
  188. 石井一

    石井国務大臣 規制区域の指定は一定の利用目的以外これは取引を認めない、非常に厳しい規制を課するということであり、社会的な経済的な活動に対しましても相当なブレーキをかける。過去、国土庁におきましてもそういうことを考えまして、各知事さん等ともお話し合いを進めたというふうなケースも実は何回かあったようでございますが、当の当事者が監視区域程度でいいのじゃないかというような状況の中から、残念ながら伝家の宝刀を抜き得ずして今日に至っております。  したがって、この問題に関しましても、面積を小さくいたしますとか、あるいはまた地域をどんどんと広げてもらうとかというふうなことにつきまして、御案内のとおりどんどんと通達を出し、要請をし、またそれに従ってもらい、またそれに対する補正の予算も組みというふうな状況をし、それなりの弾力的運営によってある程度の、監視区域でありますけれども効果を上げておる、こう見ておるわけです。土地基本法でも通していただきまして、次の段階に出ますときに、いろいろなところでこれは確実にそういう規制区域をかけるべき条件がそろっておるというようなことを判断いたしましたときには、せっかくのこの知恵のある制度が存在しておるわけでございますから、これについて弾力的に前向きにひとつ対処したい、こう考えております。
  189. 中島武敏

    中島(武)委員 ぜひひとつ、せっかくあるものでありますから、手おくれにならないように、監視区域だって結局手おくれになっているわけです。どんどん上がっていくものですから、今度はざるの目が大き過ぎるというので小さくする、小さくしたときにはもう随分上がってしまっている、こういうのではなくて、規制区域をきちっとかけるというようなことをぜひ、今も御答弁ありましたか、前向きに土地基本法が通った上で考えたいということでございましたね、ぜひひとつそういう点をお願いしたい。  最後に私申し上げたいのは、もう時間もあれですからこれで最後ですけれども、今までの討論で、土地基本法というのは国民のための土地利用とか、あるいは住宅の確保についても、あるいは土地融資についても、取引についての大企業の権利、これは実際問題としてはほとんど手を触れないというふうに思うのです。  東京都心部に端を発した地価高騰も瞬く間に周辺部へ、周辺部から地方へと広がって大問題になっている。発火点はどこかというと東京都心部なのです。なぜ東京都心部が発火点になったかというと、くどいことは申しませんけれども、国際金融都市、情報都市ということで、一斉に東京集中してくる、そして金融的な情報的な土地利用だったら幾ら値段が高くても平気だという、ここに非常に大きな問題があるわけです。結局地価は際限なく上昇して、オフィスがどんどん進出するというので、千代田区なんかは十二、三万人口があったのですけれども、もう五万を切ってしまった、そういうふうになっている。欠学年学校も出てくる、おふろ屋さんやお店がなくなる、市民生活そのものが破壊される、こういう状態になっているのです。  それで、今最も緊急で切実に求められていることは何かといったら、四全総とか首都改造計画によって東京集中を進めるという政策ではなくて、あるいはまたそれを具体化したものとして、東京駅周辺の開発であるとか臨海部の開発とか、現実問題としてもどんどん事を進めているわけですよ。これではどんどん集中してくる、地価が上がるということになるのは、こういうやり方をやっておりましたらもう避けられないと私は思うのですよ。思い切ってやるべきことは何かといえば、何といったってこういった計画をストップさせる。それからさっきも議論になりましたけれども、都心に立地している企業に住宅フロアを提供させる、あるいは都心立地に対して負担金を課する、いろいろなやり方があると思うのですね。そういうことを思い切ってやるべきではないかということを申し上げたいと思うのです。
  190. 石井一

    石井国務大臣 東京の一極集中を是正して排除する、そうして多極分散型の国土を形成するということは、土地対策上も非常に重要な政策であると意識しております。そういう観点から、国の行政機関の移転等に関しましても中身を検討し、多極分散型国土形成法に基づいて施策を講じておるわけでございます。そして、政府が率先垂範しておるという形の中から、一部民間の中にもそういう動きも出ておりますので、今後これを推進していきたいと思っております。  私も率直に感想を述べまして、なぜあの大理石の大きな立派なものが都心になければいかぬのかというような感じのする場合もございます。しかし、これはやはり需給関係とともに一つ経済行為なんでございますから、これをそこまで制約するというのには多少、一足飛びにいかないというふうな面もあろうかと思いますが、基本的な方針としては、やはり一極集中を多極分散にする、そういう方向の中に今御指摘の問題もあるのではないか。したがって、庶民の、勤労者の手の届く住宅をできるだけ都心につくりたい。それから付置義務住宅等も重要な御指摘でございますが、同時に借地・借家法等も上げていただいて、ビルを建てていただいて庶民に与える、あるいはまた都市の再開発もやってやる。  中島委員は、非常に革新的ないいところをついておられるのですが、ある面においては最も革新的であるべき共産党が最も保守的なことを言われるのはどうしてなのかな、こういうような疑問も一部きょうの指摘の中に私は感じましたので、まことに雑駁な議論を展開して恐縮でございますが、この点も所見の一端として申し述べておきたいと思います。
  191. 大塚雄司

    大塚委員長 次回は、来る九日木曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十四分散