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1989-11-28 第116回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十八日(火曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 小澤  潔君    理事 金子 一義君 理事 渡海紀三朗君    理事 西田  司君 理事 松田 岩夫君    理事 小谷 輝二君 理事 岡田 正勝君       上草 義輝君    内海 英男君       友納 武人君    中山 利生君       野中 英二君    加藤 万吉君       佐藤 敬治君    中沢 健次君       細谷 治嘉君    安田 修三君       吉井 光照君    経塚 幸夫君       寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     渡部 恒三君  出席政府委員         警察庁警務局長 仁平 圀雄君         自治省行政局公         務員部長    滝   実君         自治省財政局長 持永 堯民君  委員外出席者         総務庁恩給局審         議課長     大坪 正彦君         文部大臣官房福         利課長     込山  進君         厚生省年金局企         画課長     阿部 正俊君         厚生省年金局年         金課長     松本 省藏君         厚生省年金局資         金運用課長   江利川 毅君         社会保険庁社会         保険業務センタ         ー総務部長   宮島  彰君         運輸大臣官房国         有鉄道改革推進         部再就職対策室         長       丸山  博君         労働省職業安定         局高齢障害者         対策部企画課長 野寺 康幸君         自治大臣官房審         議官      石田  淳君         自治省行政局公         務員部福利課長 石井 隆一君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 十一月二十四日  地方財政充実強化に関する陳情書外十五件(第三号)  暴走族指導取り締まり強化に関する陳情書外五件(第四号)  警察官の増員に関する陳情書(第五号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第七〇号)      ────◇─────
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子一義君。
  3. 金子一義

    金子(一)委員 早速に質問に入らせていただきます。  今回の地方公務員等共済組合法等の一部改正法律案、この中で、ことしが五年ぶりに再計算の年に当たるということで、年金算定基礎となります給料の額の再評価が行われ、その再評価率が五%というふうに伺っておるわけでございますが、まず冒頭にこの五%についての内訳なり考え方、これについて局長にお伺いを申し上げます。
  4. 滝実

    滝政府委員 今回予定いたしております再評価率考え方の問題でございます。  これにつきましては、昭和六十年の公的年金制度改革によりまして、毎年厚生年金あるいは基礎年金と同様に消費者物価変動率基準として年金改正する方式に改められたわけでございます。一方、ただいまお話がございましたように、このような物価変動率基準とする方法とは別に、五年ごとに財政の再計算期に過去の賃金の動向を反映した年金改正を行う、こういうような方式が導入されることになりまして、これに基づきまして、本年、財政の再計算期でございますので、過去の給料の再評価を行うということになるわけでございます。  そこで考え方でございますけれども、年金算定基礎となっております給料につきまして、昭和六十三年度の基準引き上げるというのが基本的な今回の考え方でございます。具体的には、二つの時期に分けまして、昭和六十年の十月から六十二年の三月までの期間一つ分類、それからもう一つ分類は六十二年度一年間、こういう二つグループに分けまして率を算定するわけでございますけれども、具体的に申しますと、結論的には昭和六十一年度以前の期間給料につきましてはお話しのように五%の引き上げ、それから次のグループの六十二年度一年間の給料につきましては三%の引き上げという結果になっておりまして、これを政令でもって決定させていただく、こういう考え方を持っているわけでございます。
  5. 金子一義

    金子(一)委員 さて、今度の改正案では年金額引き上げられる、これについての実施時期を十月からということを予定されておるのでございますけれども、自治大臣、今一番国民皆様関心が深い、これは消費税がその一つであることは言うまでもないわけでございます。  この消費税議論、導入をされました四月、五月、いろいろ大変な御批判を賜った。その中で、私の後援会でも、年金をいただいてそれで食べておられる方、私たちがこの消費税税制改革についていろいろ御説明を申し上げましても、ある年金生活の方、これはおばあさんでございますけれども、手が挙がりまして、金子さん、減税があなたはあるとおっしゃるけれども、年金の私たちにはないのですよ、それで、この四月に目の中に入れても痛くないほどかわいいお孫さんが小学校に入った、そこでランドセルをお祝いに買ってやろうと思ったんだけれども消費税が怖くて買えなかったという御意見が出まして、私も大変つらい気持ちを持ちながら伺っておったわけです。そうはいいましてもおばあちゃん、かわいいお孫さん学校を卒業して、そしていよいよ社会に出て、よそのおじいちゃん、おばあちゃんにその今おばあちゃんがもらっている年金を払っていく、そのときに、今の税制をそのまま続けていくとそのかわいいお孫さん負担が二倍、三倍になってくる、お孫さん時代にまさにそういう時代になっちゃうのですよというような御説明をしてまいりました。大変厳しい思いを我々も感じておった。  最近になりましてから、後援会をやっておりますと、依然として消費税が重要なテーマ、その中で手が挙がりまして、同じ、今度は県職退職をされた方なんですけれども、金子さん、きのうもきょうもあすも納税日という言葉があるねん、けれども私たちにとってはきのうもきょうもゲートボールデーだと言うのですね。地方に行きますと、私の地元もそうなんですけれども、室内のゲートボール場なんというのがだんだんできまして、地元で非常に予算をつけてやっているわけでございます。雨が降ろうが、もう私の選挙区は今雪が降っておりますけれども、雪が降ろうがゲートボールができる。きょうは農協の支店長杯、きょうはどこかの何とかカップというのをもらいまして、きのうもきょうも試合をやってきました。ちょっと大きなものですと、お年寄りの皆さんが一緒になって一泊で県内の温泉に行きましてやってくる。そして私たちが病気になっても本当に手厚く見てもらえる。こういう状況を考えればこの税制というのは、孫や子供のことをなおその上に考えていけば、やはり我々はこれを耐えていきたいし、何とか切り詰めて頑張っていきたいよ、こういう発言も最近出るようになってまいりました。  私も、こういう理解が一歩でも二歩でも進んでいくのは大変ありがたいことであると思って伺っておりますし、また子供さんや孫、そして国のことを考えてくれる年金生活方々にも本当に感謝申し上げなければいけないと思っておるのでございます。  しかしながら、そうはいいましても、まだ年金方々物価スライドといいますか、それすらでき上がっていない。そういう方々生活の苦しさというのはもちろん変わっていないわけでございますので、少しでも早くこういう方々対策を講じていく必要がどうしてもあるなとしみじみ感じておるところでございます。  今の十月実施という法案なんでございますけれども、四月から消費税実質実施をされておるということもあわせ考えますと、これを遡及をして四月から実施していくということを我々は考えていかなければならないんじゃないだろうか。特に今度の参議院選に当たりまして、そういう遡及して四月から実施していくべきだという考え方、これは当時の宇野総理でございますけれども、自民党の中にも一種の選挙公約として非常に強い意見が出てまいりましたし、また伺いますところによると、塩川官房長官を通じて御当局の方にも指示を出されたやに伺っておるのでございますが、この四月に遡及をして実施していくということについての自治大臣のお考え方をぜひお伺いしたいと思います。
  6. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御審議お願いしておる法案においては、再評価実施等による地方公務員共済年金の額の引き上げは、公的年金制度間の給付面整合性を確保するため、厚生年金及び国家公務員等共済年金と同様に本年十月から実施することとしておるところでございます。  しかし、ただいま金子委員年金受給者に対する大変温かい心のこもったお話に私も共鳴をいたすところが多いのであります。年金受給者にとっては、いかなる理由であるにせよ、物価が一%上がるということは年金が一%下がったと同じ意味になるわけでありますから、今の金子委員の御提言を貴重なものとして受け取って、これから国会審議の推移を見守ってまいらなければなりませんけれども、金子委員年金受給者に対する温かい気持ち実施されるように努めてまいりたいと思います。
  7. 金子一義

    金子(一)委員 自治大臣の今の力強いお言葉を賜りまして、引き続き四月繰り上げ実施につきましては私たちも党内でさらに強力に進めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。  あと、今度の改正の中で年金額物価スライドの問題でございますけれども、今度は今まで特例で上げていたものを完全自動物価スライドで毎年やっていこうということに改正していただくわけでございます。これが実施をされますと、この年金をいただいている地方公務員共済皆様方、例年ですと、従来の特例法でやっていきますと、結果として支給を受けるのに毎年八月、九月になってしまうという御不満が大変あったわけでございますけれども、今度は、自動的にスライドしていきますと四月からこれを支給ということで実際に受けられる。来年につきましても、消費税分が今度一・二%見通しでやられておりますけれども、これも自動的に織り込まれて来年四月からということになってくるのかどうか、公務員部長にお伺いいたします。
  8. 滝実

    滝政府委員 今回御審議お願いいたしております法案の中で、今御指摘のございました完全自動物価スライド方式を導入することといたしているわけでございますけれども、この方式によりますと、ただいま御指摘のございましたように、前年の物価上昇があった場合にはそれが翌年度に反映される、こういうことになるわけでございまして、一年おくれと申しますか、四月からそういう方式にのっとった算定による年金の額の改定を行う、こういうことになろうかと存じます。
  9. 金子一義

    金子(一)委員 昨日、退職公務員連盟皆様方が御陳情に参られまして、きょう御出席をされておられます先生方のところにもおいでになったかと思うのでございますけれども、いずれにしましても、今度の年金の再計算が五年ぶりに行われることに対しては、この連盟に参加されている皆様方も、本当に行われるのだろうかという不安と、また逆に期待を持って今まで見ておられたかと思いますけれども、今度の実施だけはやはりどうしてもやっていきたい。そして、おいでになられました御陳情の中で、一つ、この受給者のうち、六十年の改正、新制度によって裁定がえになった結果、従前額より著しく減額となった高齢者救済措置を講じられたいという御要望が来ております。この中身は、六十年の改正のときにいわゆる通年方式になったために、年金額従前額に比べて大幅に減額になってしまった。そうはいっても、現在は従前額保障ということでお救いをしているわけでございます。しかしながら、その減額が非常に大きいので、それ以降のいわゆる物価スライドによる上昇というのがいつまでたっても従前額になかなか達しない。つまり新制度の方になかなか移行できないで据え置かれている方、これも何とかしてちょうだいよというのがこの陳情趣旨だと思うのでございますけれども、六十年の改正趣旨からいきますと、それではこれを直ちにどうするというのはなかなか難しい問題であろうかと思います。それはそうなんでございますけれども、一方、今回の引き上げによりましてこの方々の全体の状況というのは一体どういうふうになってくるのだろうかということにつきましての部長のお考え方もしくは御答弁お願いいたします。
  10. 石田淳

    石田説明員 お答えいたします。  今委員の御質問は、いわゆる六十一年四月に通年ルール裁定がえされた者につきましては、従前もらっておった年金額より低くなる場合には従前額保障規定が働いておったわけでございますが、この従前額保障についても物価スライドを適用すべきではないかという御意見ではないかと思います。  我々も、受給者方々からいろいろそういう御意見は聞いておるわけでございますが、ただ、もともとこの制度は、昭和六十年のいわゆる制度改革におきまして給付水準適正化を図った、その際、既に従前制度裁定されているいわゆる既裁定年金者につきましては、新制度による年金との均衡を考慮いたしまして、すべて通年ルールによる年金額裁定がえしたところでございます。ただし、その場合に、従前既得権を尊重するという必要から、裁定がえ後の年金額裁定がえ前の制度改正がなされました昭和六十一年三月三十一日時点年金額を下回る場合には、その従前年金額を保障する、いわゆるこれが従前額保障規定でございますが、この従前額保障につきましては、制度的には、本来の自動改定措置は適用しないということになっているわけでございます。  これはいろいろ難しい問題もございますが、この措置は、今後現役公務員等につきましては給付水準適正化を行ってもなお掛金負担が大幅に増加せざるを得ないという状況、また、将来にわたり現役退職者との給付水準バランス、それから給付負担バランスということから考えていたし方ないと考えておるわけでございます。  以上でございます。
  11. 金子一義

    金子(一)委員 やはり非常に減額が大きくて、従前額保障は受けながらもなかなか実際にカバーされてこないといいますか、従来であれば受けられた物価スライドというのが依然として受けられないというのが、特にこの方々高齢者が多いということもありまして、ある意味で感情としてもこれに対する御要望というのは非常に強いようでございますものですから、引き続きこういう人たちを将来どういうふうに考えていくのか、この辺は我々も検討してまいりたいと思いますし、こういう強い御要望があるということを御当局の方も御理解をいただきたいと思います。  さて今度は、御存じのとおり今回の国会年金支給開始年齢引き上げ、これは厚生年金と同様の趣旨共済年金につきましても引き上げを講ずるという閣議決定がことしの三月でございますか、行われておるわけでございます。これは民間でも雇用対策という観点から非常に多くの問題を抱えておると同様に、公務員の場合もいろいろな職種の関係から問題があろう。  特に地方公務員でございますと、消防でございますとか警察でございますとか、いわば第一線方々雇用の問題というのが大変大きな問題になってまいろう。特に警察消防関係ですと、皆さん皆さん年齢が上がったからといってこれを事務職、デスクワークにかえていくというわけにもなかなかいかない、そういう難しい面があるだろうというふうに思われてまいります。これの第一次の実施が十年後だから、その間に検討ということもあろうかと思いますけれども、こういう職場であるだけに第一線で働いている皆様方が、今度国会にこれが提出される、それに向けまして雇用の不安もしくは老後の不安というものを非常に感じる方もおられる。そういうことになりますと、まさに大事な国民生活を守っていく現場の方々の士気にも非常に影響してきはしないだろうかという心配をするわけでございます。この雇用の問題の対応としてどういうふうに考えられて、またどういうふうに検討されておられるのかということをぜひお聞かせを願いたいと思います。
  12. 滝実

    滝政府委員 支給開始年齢引き上げの問題でございますけれども、公務員共済年金につきましても、本年三月二十八日の閣議決定を踏まえて、厚生年金との整合性を図る観点から同じ趣旨措置を講ずるよう対処していくという基本的な方向を政府としては決定をいたしているところでございます。具体的には、これに対応するために関係省庁局長レベルで、公務員共済年金制度改定問題に係る雇用問題検討委員会という委員会を設置いたしまして、ここで検討をしていく、こういう取り扱いになっておりまして、現在この幹事会を何回か開いているところでございます。  お話しのように消防職員あるいは警察職員、こういった特定の職域の人たちにつきましては、現在もその年金上の扱いが多少ずれているわけでございますけれども、こういった人たちの問題につきましても、当面はこの委員会の場を通じて具体的に検討を進めていくということにさせていただきたい、こう思っておりますし、同時に警察庁等関係省庁との協議も行っていく必要があるのじゃなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。
  13. 金子一義

    金子(一)委員 もちろん自治省だけで解決できる問題でもない、関係省庁との議論というのも大変大事でございましょう。一刻も早く方向づけを出していただきますことを心からお願いを申し上げます。  最後に、今度の財政計算に当たりまして、組合方々からこの掛金率引き上げについては一部反対の声もあるやに伺っておるのでございますけれども、この財政計算によりまして、掛金率現行据え置きにしていくとすると、一体財政はどうなっていくのか。あわせまして、何といいましてもこの地方公務員共済制度地方公務員制度一環として大変重要な役割をしておる、それだけに旧国鉄共済のようなことにならないように、制度の健全な運営に努めていっていただきたいと思うわけでございますけれども、この第一のポイントにつきまして公務員部長に、今後の制度の健全な運営に対しましては自治大臣に、最後一言お答えお願いいたします。
  14. 滝実

    滝政府委員 今回の財政計算に伴う将来の見通しでございます。  今回地方公務員共済組合につきましては、十二月以降新しい財源率を持った方式に従ってそれぞれ掛金ないしは負担金を納めていただく、こういうことに相なるわけでございますけれども、この率が幾らかと申しますと、財源率で申し上げまして千分の三十七・五の引き上げ組合員一人一人の掛金率で申しますと千分の十九の引き上げ、こういうことにいたしておるわけでございます。したがって、個人の一人一人の掛金は、従来が千分の六十九であったものが今度は千分の八十八、こういうことに相なるわけでございます。  そこで、ただいま先生から御指摘のございました、今回全然引き上げをしなかったときにはどうなるか、こういうことでございますけれども、これは当然平成十年過ぎ、十二、三年でございましょうか、その時点から赤字を生じまして、たちまちにして今までの積立金を取り崩さなければ長期給付ができない、こういう事態に至るわけでございます。私どもとしては、今回の引き上げ国家公務員共済組合員よりも実質的には多少低い率でございますので、この辺のところを御納得いただきたい、こういうことでお願いをいたしているところでございまして、先般も地方公務員共済組合連合会運営審議会におきまして採決の結果、原案どおり御了承いただいた、こういう次第でございますので御了解をいただきたいと存じます。
  15. 渡部恒三

    渡部国務大臣 地方公務員共済制度は、ただいま御指摘のとおり、地方公務員制度一環として極めて重要な役割を果たしております。その健全な運営に日々努力しなければならないものでございます。  今回の法案公立学校共済警察共済連合会への加入にかかわる措置を盛り込むとしたこと。五年に一度の財源率計算により、この十二月から財源率掛金率のかなりの引き上げを行うこととしたことは、いずれも地方共済制度年金財政健全財政を確保し、ただいま部長から答弁がありましたように、制度の長期的な安定を図るためにはぜひとも必要な措置でありますので、御理解を賜りたいと存じます。  今後とも、旧国鉄共済の事例等々を教訓としながら、地方共済制度年金制度の健全な運営の確保に努めてまいりたいと思いますので、御協力を賜ります。
  16. 金子一義

    金子(一)委員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  17. 小澤潔

  18. 中沢健次

    中沢委員 委員会に付託になっております年金法案につきまして、与えられた時間内で具体的な点も含めて、幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。  まず一番最初に、基本的な問題につきましてぜひ大臣の方からお答えをいただきたいと思うのであります。  今若干の質疑がございましたけれども、例の年金支給開始年齢の問題でございます。三月の閣議決定、しかも今日社会労働委員会厚生年金、大変な議論がされているさなかでございます。大臣も御案内のように、六十歳の定年制というのは民間定着率はまだ六一%程度である、こういう現実。地方公務員の場合は条例で既に制定をされておりまして、地方公務員は六十歳定年制は一〇〇%定着をしている。  政府側の提案でいいますと、確かに直ちに六十五歳にするということではございませんけれども、段階的にいずれにしても六十五歳にしよう、こういう内容でございまして、したがって、民間の場合も地方公務員の場合も六十歳定年後、それでは六十五歳の年金支給まで何を収入として生活をするか、これは理屈ではなしに生活の実感として国民から政治に対する怒りが非常に強まっている。夏の参議院選挙の結果も、一つはそういうことも象徴的に出たのではないか、このように考えるわけです。  したがいまして、地方公務員共済につきまして責任を持っていらっしゃる自治大臣として、この支給開始年齢についてどういう見解をお持ちなのか。私の見解は、結論からいうと六十五歳にすることは絶対容認はできない、こういう見解でありますけれども、大臣の基本的な所見をまずお伺いをしたいと思います。
  19. 渡部恒三

    渡部国務大臣 人生五十年から今や人生八十年、また今がん撲滅等の運動の大変な努力によって、恐らく平均寿命は二十一世紀には八十五歳ぐらいになるのではないか、こう想像されます。まさにこれは大きな変化が行われるわけでありますから、世の中の制度というものもそういう新しい変化に対応していかなければなりません。  昔は六十歳になるともうよぼよぼのおじいちゃんだったのですけれども、今は七十歳になってもぴんぴん元気でいる。私の党など、八十歳過ぎても、百までおれは国会議員を続けるんだと頑張っておる人などもおるわけでありますけれども、これらのことは、やはりお互いに真剣に今後の制度というものを考えていかなければならないと思います。  しかし、私も地方を歩いて、今委員指摘のとおり、年金老後生活にとって命の綱でありますから、皆さん大変な関心を持っておるのですが、何か来年にでも六十歳から六十五歳になってしまうというような大変な誤解がございます。釈迦に説法でございますけれども、これは平成十年から三年に一歳ずつやっていくということですと、二十五年後の話になるのでありまして、この辺のところは国民皆さん方に御理解をいただく努力を徹底していかなければならないと思います。  基本的には委員指摘のとおりに、職場を失って収入がなくなって、そして年金をもらえないなどという時期がたとえ一カ月でもあってよいはずはないので、これはやはり雇用条件というものが——もう人生五十年から八十年になってきたんだ、六十歳になっても六十五歳になってもぴんぴん元気で働けるような時代にこれから五年後、十年後、十五年後ますますなっていくんだという中で、人間健康な体で元気で、仕事がなくて遊んでおって幸せというものではありません。やはり健康な体がある限り、世の中にみずからの存在が必要であるということで働いていくということが幸せなのでありますから、雇用条件を十二分に整えるということが前提であるというより、むしろそっちをちゃんとやってこの年金の問題をすれば、これは国民皆さん方にも御理解をいただけるだろうと思いますけれども、この辺のところが残念ながら明快でなかった点でいろいろ誤解を受けた点があると思いますけれども、雇用条件を十二分に年金に合わせていくということは当然のことであります。  委員におかれましても、やはり人生五十年から八十年に変化してきたという条件、さらには、いずれは八十五歳にまでなっていくという中で、年金支給年齢、またお互いに元気な健康なうちは働いて、みずからが世の中に存在する必要性があるということが生きがいでありますから、そういう面で、ただ職場でも警察官とかいろいろ働く時期というものに制約がある職場とか、そうでない職場とか、こういうようなことも十分考慮しながら、雇用条件を十二分に備えて、国民皆さん方に安心をしていただいて、年金支給年齢時代の新しい変化の中に十分合うものにしていかなければならないと思いますので、この点はぜひ御理解を賜るようにお願いしたいと思います。
  20. 中沢健次

    中沢委員 ただいま大臣の方から懇切丁寧なお答えをいただいたわけです。  いずれにしても、私の聞くところによりますと、社会労働委員会を中心にして六十五歳問題については政治折衝が最終場面に来ている。恐らく与野党の間では六十五歳問題は技術的な関係もありますけれども棚上げになるのではないか、こんな話を聞いております。時間があればこの問題についていろいろ大臣質疑をしたいわけでありますけれども、きょうはこのぐらいにさせていただきたいと思います。  さて二つ目の問題は、平成元年年金のスライドの問題について具体的にお尋ねをしたいと思います。  実は私自身も既に共済年金受給者でございまして、個人的にも大変関心も深いし、この法案が一体どうなるかと非常に注目もしている。多くの関係者が同じような思いで注目をされていると思うのです。  まず第一にお尋ねをしたいのは、例の〇・七%問題。これは物価スライドのパーセンテージである。ただ、恩給のベースアップから比べますとギャップがだんだん拡大をしている。御承知のように新法が施行された昭和三十七年以前は全体としては恩給時代であったのですね。ですから、私の場合も若干ありますけれども、今年金をもらっている方のほとんどが恩給時代と新法時代、それぞれ計算をされて年金支給になっている。そうすると、〇・七%のベースアップでは、恩給時代についてはほとんど恩給のパーセンテージが適用されておりませんから、俗に言う既裁定年金でいうといろんな問題が出ているのではないかと思うのですよ。ですからその辺、担当の自治省としてはどのようにお考えになっているか、まずお尋ねをしたいと思います。
  21. 滝実

    滝政府委員 ただいま恩給との比較におきまして共済年金についてお話がございました。この問題は、六十年の制度改正に際しまして物価変動率をベースにするかあるいは賃金動向をベースにするかというような議論があったかと思うのでございますけれども、いずれにいたしましても、年金制度共通の問題として大改正に際しまして物価変動率基準にして改定を行う、こういう原則が出されたわけでございます。それだけではいささか問題があるということで、これにあわせて五年ごとの最評価時期に賃金動向を加味する、こういうことで今回のような最評価方式をあわせて導入することとされているわけでございます。したがって、この数年間の状況からしますと確かに恩給との差が目につく点もあるのでございますけれども、ここのところは、最評価ということを加えることによってその辺のところが大いに勘案されてくる、こういうことで私どもは理解お願い申し上げたいと考えているわけでございます。
  22. 中沢健次

    中沢委員 重ねてお尋ねをいたしますけれども、今のお答えは確かに今の制度の仕組みそのものからいってそのとおりだと思うのです。過去五年間の数字はなかなか正確に拾えませんでしたので、過去三年間の数字を若干拾ってみました。いわゆる現役国家公務員のベースアップは、三年間で六・一五%アップしている。恩給関係者は三年間で五・二七%引き上げになっている。共済年金は三年間で一・四%。これが五年間ということになりますと、現役のベースアップと恩給のベースアップとそれから共済年金のベースアップの格差というのは、全体的にはもっとふえると思うのです。  そういう事実をまず指摘しておいて、実は先ほど消費税導入の関連についても若干の指摘がございました。今、消費税の廃止法案をめぐりまして参議院では大変な論議がされている。これは一応横に置きまして、確かに今の制度からいうと共済年金物価スライドだ。ただ、現実問題としてこの四月から三%の消費税が導入をされた。国民の多くの反対を押し切って導入をされた。物価にどれだけはね返るか。政府側は一・二%だ、このように言っておりますけれども、民間の有力な専門の研究所、団体のおよその推測によると、二%は間違いなく物価にはね返る、これも公表されている。一・二か二かというその論争は、私はやるつもりはございません。いずれにしても年金生活者にとっては大変な問題なのですよ。しかも、一年後、来年の四月からこの物価上昇が反映をされて来年のスライドでは数字の中に算入されてくると思うのでありますけれども、生活はこの四月から物価が二%上がっている、こういう現実があるわけですね。その現実の姿をどう見るか。  したがって私は、仕組みや制度からいうと非常に難しいかもしらぬけれども、消費税を入れたこの年であるだけに、単純に〇・七%の物価スライドでは済まないのじゃないか。年金受給者としてはそこのところに生活実態を通じての大変な不満が出ているわけですね。それについてはどうでしょう。具体的な現実をどう押さえるか。そして〇・七%で一体いいのかどうか。この際特別な配慮があってしかるべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょう。
  23. 滝実

    滝政府委員 ただいまお話しのような事実が確かに出ていようかと思います。そこのところは、今回御審議お願いいたしております改正によりまして再評価という方式もあわせてお考えいただいて、それによって今のような問題は、少なくとも今回につきましては相当程度カバーされる面があるのではなかろうか、こう私どもは考えているところでございます。
  24. 中沢健次

    中沢委員 そこで、次の問題に関連して今の答弁について改めてお尋ねをしたいと思うのです。  確かに今回は制度改善でおよそ五%、しかし実質的には四・三%だという話も現実にあります。さて問題は、消費税導入のそういう現実的なことも若干加味されて今回の制度改善があったようなお答えでありますけれども、私はこれはおかしいと思うのですよ。やはり五年に一回という財源率の再計算、それから五年に一回の全体的な制度の見直し、つまり賃金上昇についてもある時点でやはり算定の中に入れていく、こういう制度がずっとこれから続くと思うのですね。消費税が入ったというのはそういうものと全然違いまして、極めて政策的な政治的な新税の導入であったわけですから、今部長がおっしゃるように、消費税が入ったことについても制度改善で実質的には部分的にカバーできるのじゃないか、僕はそれは理屈の上でもやはりおかしいと思うのですよ。いかがでしょう。
  25. 滝実

    滝政府委員 これはまさしくおっしゃるとおりでございまして、基本的に制度的には一年おくれになりますけれども、今の消費税の問題でございますと、それが物価に反映された場合には、翌年の四月から物価スライド方式に従って反映されてくる、こういう問題があるわけでございまして、この再評価の問題がそれを見越しての話じゃございませんから、そういう意味では制度的な問題とは切り離して考えなければなりませんけれども、当面の問題としてはそれによってある程度カバーされるんじゃなかろうか、こういうふうに考えておるということを申し上げた次第でございます。
  26. 中沢健次

    中沢委員 これは個人的な見解の相違と言ってしまえばそれまででありますけれども、恐らく年金受給者の立場でいえばこれは全然別の話であって、やはり多くの皆さんの本当の気持ちでいえば、消費税が入った、大変な被害を受けている、これは来年の物価スライドの中には入ってくるかもしらぬけれども、何とかことしじゅうにしてもらいたいというのがやはり本音だというふうに私は思うのです。その辺の議論はまたいずれする機会があろうかと思いますから、この程度にいたします。  実は、制度改善の中身はそれ以外にいろいろございます。例えば年金支給回数、今までは年四回、四半期ごとに支給をされていた。これは、多くの関係者の素朴な意向としては毎月支給にしてもらいたい、やはり現役時代に毎月月給をもらっていましたから。これは理屈抜きで私どもとしてはそうかなと思います。しかし、今回は四回を六回にした、私は一歩前進というふうに見ております。  それは結構なのでありますが、問題は事務当局、つまり共済組合の現場でいいますと大変事務量がふえる、これは言うまでもないと思いますね。そうなると、担当の職員をまずふやしてもらいたいという問題。それから、この種の共済組合全体の、年金業務もそうでありますけれども、いろいろな業務についていいますと、関係地方公共団体、俗に言う所属所の方から事務費をもらっている、しかもこの事務費については交付税で措置をしている、こういう仕組みになっているわけです。そうすると、この職員をふやすということについて自治省は一体どういうふうに判断をされているか。それから、事務費の交付税措置について、もう既にことしの十月から六回払いにするというわけでありますから、平成元年の交付税措置についても当然措置はされていると思うのでありますけれども、その辺の実態がどうなっているのか、あるいは平成二年度は一体どういう見通しを持っているのか、この辺を具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  27. 石田淳

    石田説明員 お答えいたします。  今委員指摘のとおり、支給回数につきましては受給者方々から毎月支給してくれという要望もございますが、やはり事務処理体制及び経費の点を勘案しますと、当面は六回支給が妥当ではないかということで今その法案を出しておるわけでございます。  まず経費でございますが、四回が六回になりますので当然数としては五割増しになります。内容としては、例えば電算の事務委託経費とか、これが一番大きいのですが、郵送料金、それから送金の経費、そのほかPRのための経費というものがかかるわけでございまして、地方公務員共済組合全体で増加額がほぼ五億円程度になるのではないかというふうに考えております。経費につきましては、事務処理体制を見直すとかしてなるべくいろいろ節減してやりますが、最終的には、委員がおっしゃいましたように、これは財源につきましては地方団体が負担し、それを地方交付税で措置するということになっておりまして、そういうことで検討している次第でございます。  また、経費とともに事務処理体制の問題もございますが、我々としては、事務処理体制の合理化を一層推進することによりまして、できましたら現在の人員、体制の中で対応することができるのではないかと考えておりますが、これは各共済組合が行う事務でございますので、今後とも各共済組合の実情等を踏まえまして適切に対処してまいりたいと考えております。
  28. 中沢健次

    中沢委員 いずれにいたしましても、例えば私がかつて所属をしておりました北海道の都市共済組合、六十三年度が事務費が八千五百四十四円、平成元年が八千九百五十二円と若干事務費も上げているわけです。当然交付税措置がされていると思うのでありますが、今お答えがありましたように、これからの事務処理等々の問題も含めて大事な課題だと思いますので、十分ひとつ処理が円満にいくように財政的な措置についてもぜひお願いを申し上げておきたいと思います。  さて、次に費用問題、財源率の問題につきまして一、二点お尋ねをしたいと思います。  これは地方公務員共済組合に限らず、厚生年金もそうであるし、国公もそうでありますが、五年に一回この財源率の再計算、こういうことになったわけです。全体的には財源率が千分の三十七・五上がって、そして組合員負担が千分の十九上がる。これはどう考えましても文字どおり大幅引き上げになったということはもう間違いがないと思います。これは立場がいろいろありましても否定のしようがない現実の姿だと思います。それで問題は、一つはそういう大幅引き上げが今回も提案をされている、正確に言えばこれは連合会運営審議会でもう既に議論があるのでありますけれども、そうするとこの新しい財源率にしたということを一つの前提にして考えますと、連合会としての長期の財政見通しがどのように好転をするか、これはひとつ具体的な数字を含めて明らかにしていただきたいと思います。
  29. 滝実

    滝政府委員 今回の財源率の再計算の結果、財政状況がどういうふうに好転するか、こういうお話でございます。  今回、お話しのように、財源率といたしましては千分の三十八の引き上げ、こういうことになったわけでございますけれども、この結果、将来を見通しますとどういうことになるかと申しますと、厚生年金と同じような前提条件によって推計いたしますと、五年ごとに千分の三十八ずつ引き上げていく必要がある、こういうことに相なるわけでございます。その結果、ピーク時、この財源率のピーク時がおよそ三十年後にやってまいりまして、およそ三十年後の平成三十二年でございますけれども、そのときの財源率、これは組合員個人個人の掛金とそれから負担金と合わせたものでございますけれども、その財源率が千分の三百九十ということに相なるわけでございます。それで、この今の推計でございますと、三十年後にそのピークになって、後は同じ財源率のまま引き上げをせずにいける、こういうことになるわけでございます。この前提条件は、要するに積立金を取り崩さないとか単年度収支が赤字にならないとか、こういうような前提条件を置いているのでございますけれども、少なくとも三十年後に千分の三百九十になる、こういうことに相なるわけでございます。  それでは、これが財源率をいじらない場合、現行のままでいった場合どういうことになるかと申しますと、平成十一年に収支が赤字に転ずる、こういう事態になるわけでございまして、それ以降平成十二年からは積立金を取り崩さなければならぬことに相なる、こういうことでございます。
  30. 中沢健次

    中沢委員 今新しい財源率を前提にした長期の財政見通しにつきましてお答えをいただきました。五年ごとに今回のような財源率引き上げると仮定いたしまして、平成三十二年には実に千分の三百九十の財源率が必要だ。今回の引き上げで千分の百七十七でありますから、三十年後とは言いながらも約二百も上げなければいけないのか、率直にこれはもう大変だなという思いを一つしております。もう一つは、このままいくと、十一年後に財政がパンクをして積立金も取り崩しをして、結果的には、現在問題になっておりますが鉄道共済のようなことになる、こういう見通しを含めてお話がありました。  そこで、私は具体的にお尋ねをしておきたいし、お答えをいただきたいと思うのでありますが、一つはそういう長期見通しに立った場合に、おのずから現役負担についても限界がある。そうはいいましても、共済年金の長期の財政を破綻させるわけにも当然いかない。そうするとどういうことを考えなければいけないかということなんでありますけれども、一つはやはり現在の使用者側と労働者側の折半負担というこの原則について、これから相当時間はかけて結構だと思いますけれども、この辺の負担割合について相当突っ込んだ検討をしなければいけないのではないか。つまり労使の負担割合の変更ということ、これが一つ。  それから、今の制度でいいましても国の方の公的負担はかなり入っている、これはよく承知をしております。しかし、今申し上げましたような長期見通しに立つならば、国の財政も大変であるということは十分承知はしておりますけれども、この際公費負担についてやはり積極的に拡大をしていく。ほかの制度から見れば、まだ私どもの池公共済の場合は公費負担が少ないという現実問題なんかもあるわけでありますが、そういうことなどを含めて、やはり労使の負担割合変更という問題、公費の負担をもっともっとふやしていく、こういう問題については将来の重要な検討課題だと思うのでありますが、それについての見解をぜひひとつお答えをいただきたいと思います。
  31. 滝実

    滝政府委員 将来の見通しの問題は大変難しい問題でございます。委員のおっしゃるようなところからすれば多少先走るということでおしかりを受けるかもしれませんけれども、現行のような六十歳の年金支給開始という前提で申しますと、ただいま申しましたように三十年後には千分の三百九十になる、こういうことでございます。それだけにその時点になった場合には、これはなかなか負担としては重い、こういうことになるわけでございます。  そこで、現在いろいろ御論議をいただいているわけでございますけれども、仮にそれでは厚生年金の当初法案のようにこれを六十五歳に引き上げた場合に一体どうなるのかということを御参考までに申し上げさせていただきますと、これによって多少下がるという問題が出てまいるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、その三十年先の問題につきまして基本的な議論を今の段階でするというのは、前提条件がいろいろございましてなかなか難しい問題があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。
  32. 中沢健次

    中沢委員 いや、寝た子を起こすという言葉もありますけれども、私は、その六十五歳問題でお答えをいただこうとは思っていないのですよ。指摘をしたのは、労使の折半負担の割合の変更をどう考えるか、それから公費の負担の増大をどう考えるか、こういう質問をしているわけですから、それについてどういう見解を持っているかをお答えいただきたいですね。
  33. 滝実

    滝政府委員 この問題は、いずれにいたしましても公的な負担部分以外の部分を事業主、事業主というのは地方団体そのものでございますけれども、事業主と被保険者で折半負担する、これがいわば被用者年金制度全般を通ずる原則であるわけでございます。しかも地方公務員共済年金制度の場合には、その事業主負担というのは最終的には当然地方団体が負担するわけでございますから納税者の負担、こういうことになる点から見ましても、このような折半負担の原則というものを改めることは少なくとも困難ではないだろうか、こういうふうに実は考えているわけでございます。  一方で、基礎年金につきましてはおっしゃるように公的負担があるわけでございまして、それにつきましては、基礎年金拠出金の三分の一を公的負担とする、こういうようなことで、先般の六十年の大改正の際に被用者年金制度を通じて統一されたところであるわけでございまして、こういった点のお尋ねは変更の問題になるわけでございますけれども、この問題は公的年金制度全般の問題でございますので、今後の高齢化社会の中でそういった点についても議論があろうかと思うのでございますけれども、当然多額の財政負担増につながる問題でございますので、この原則を云々するということはこの段階ではなかなか難しい問題だろう、こういうふうに考えているところでございます。
  34. 中沢健次

    中沢委員 きょう直ちに私の期待をするようなお答えがなかなか出ない、そういう現実的な状況についてはわからないわけではございません。しかし、今申し上げましたような課題はやはり将来とも非常に重要な問題である、こういう認識は引き続き自治省当局の方でも持っていただきたいと思います。いずれ一元化問題に絡めまして改めて議論をする場があろうかと思いますから、この問題はきょうはこのぐらいにさせていただきたいと思います。  さて、次に被用者間の費用負担問題、俗に言うところの鉄道共済の救済策につきまして幾つかお尋ねを申し上げたいと思います。  もともとこれはいろいろな経緯があって一つ法案にまとめたわけなんでありますけれども、本来、鉄道共済を、厚生年金もそうであるし我々もそうでありますけれども、救済をしなければいけない、国の責任は一体どうしたんだ、こういう基本的な問題があると思うのです。それをやりますと大変な時間がかかりますから割愛をして、具体的にお尋ねをしたいのでありますが、地方共済は二百七十億負担をしてもらいたい、こういう内容になっております。厚生年金の絡みもありまして二百七十億は若干減額になるのではないかという話がそれなりに伝えられている。その辺の確かな情報があればまずお聞かせをいただきたいということ。  いま一つは、連合会の運審の中でこの問題も当然、それぞれ立場は違いますけれども、いわゆる自治体側と職員側との立場の違いがありますけれども、共通して大変頭の痛い問題であることは間違いがない。既に終わっておりますが、連合会の運審の中では、結果的に二百七十億ということが決まれば連合会としてどう処理をするか。もっと言うと、今度の財源率の再計算の中に入っているのかいないのか、再計算でいえば千分の二・一に相当する、このように言われております。これは財源率の再計算には入っていない。それでは二百七十億をどう負担をするか。理事長の見解によりますと、自治省の方ともいろいろ御相談を申し上げたいということが前提のようでありますが、連合会積立金をもって充てたい、つまり、直接構成団体やあるいは組合員には迷惑をかけない、こういう趣旨のやりとりがあったというふうに聞いております。この二点について、自治省側のはっきりしたお答えをぜひお願いをしたいと思います。
  35. 滝実

    滝政府委員 地方公務員共済組合連合会の運審における論議につきましては、私どもも報告を受けているわけでございまして、ただいま御指摘のようなお答えになっているというふうに聞いているわけでございます。これにつきましては、厚生年金の扱いあるいは国家公務員共済組合の扱い、これはいずれも今回の財源率の再計算には入れない、こういうことでございますので、今回は、私どもの地方公務員共済組合におきましてもこの負担調整の拠出金につきましては算入しない、こういう取り扱いをいたしたのでございます。  この結果、ただいまお話しのように当面どうするかということでございますけれども、それは結果的には積立金から拠出をする、こういうことに相なるわけでございまして、これを次回の財源率の再計算の際に、当然そういった財政事情がすべて計算されるわけでございますから、それによって次回の計算時期にいわば財源率に反映されてくる、こういうことになろうかと存じます。
  36. 中沢健次

    中沢委員 二百七十億の問題はどうでしょう。どういう情報を聞いていますか。
  37. 滝実

    滝政府委員 二百七十億の問題につきましては、私どもも新聞等でそういうにおいをかがせていただく程度でございまして、政府の中で具体的に議論をいたしているような段階ではないと考えております。
  38. 中沢健次

    中沢委員 それでは次の質問に移りますが、共済組合の民主的な運営について二つほど関連をしてお尋ねをしたいと思うのです。  一つは、全国の市町村共済連合会の問題でありますが、五十八年にはかつての都市共済連合会と市町村共済連合会が一本化をする、それぞれの個別の連合会が一本化するに当たって新しい全国市町村共済連合会をどうやって民主的な運営をやるか。私はたまたまその当時都市共済側の連合会理事などもやっておりまして、直接タッチしたことがあったものですから、その後どうなって、今日どういう状況か、ちょっと関心がありまして、関係者から聞きました。あの当時は特例を設けていただきまして、連合会議員については本則と別に特例で若干部分上乗せをしてもらった。これがこの間二年間また特例も延長していただいて現状にある。これはそれで非常に結構だ。経験者からいえば、大変自治省側の配慮もあったな、こういうふうに私は判断をしているのです。  ただ、最近、やはり特例の再延長がなかなか大変だ。連合会は本則に戻してどうするという議論が一方にある。しかし、厳密に言うと、互選側の関係者の間ではこの際何とか特例を再延長していただいて、まだまとまって五年、七年の間ですから、できるだけ数が多い方がそれはいいのですよ。それは、大臣国会議員の定数問題と全然次元が違いますがね。ですから、この問題については関係者からもさらに意見も聞いていただいて、やはり何とか自治省側のそういう意味での御配慮を一つは引き続きお願いをしたい。  それからもう一つは、連合会に対しまして、自治省側から俗にいうOBの皆さんが常勤役員でかなり入っている。私はその是非論は一切触れません。ただ、連合会は、今度の法案に出されておりますように公立学校共済が入る、警察が入る。もっと言うと年金一元化という平成七年のタイムスケジュールもある。運営でいうと今まで以上に開かれた運営、民主的な運営が必要だ。そうすると、自治省のOBが常勤役員で入っていることも結構なんですが、いろいろな構成比から、構成組合というのでしょうか、構成組合から人的配置を求める。もっとずばり言えば、職員側からも有能な人材についてはやはり人的配置を求めていく。そこで、きつい言葉で言えば労使のいろいろな対立のあるような問題も全体的にうまく話を進めて、文字どおり民主的な運営が図られるのではないか、こんな思いがしてならないわけです。直接そういうことを経験をした私としては、今言ったような連合会のこれからの問題も含めて、やはり一つはそういう人的配置も含めた配慮があっていいのではないか。これは来年からやるという意味ではありませんよ、そういう配慮があっていいのではないかと思いますが、この辺はいかがでしょう。
  39. 石井隆一

    ○石井説明員 全国市町村連合会の議員特例の件について御説明を申し上げます。  全国市町村職員共済組合連合会の総会議員の定数につきましては、先生指摘のとおり、法律の本則上は六十一人ということでございますけれども、平成二年十一月三十日までの間は七十一人とする特例措置を設けているところでございます。これは、市町村連合会が、それまで別々に運営されてきた市町村職員共済組合連合会と都市職員共済組合連合会を統合することにより五十九年度に設立された経緯があることから、その円滑な運営を確保するという観点から設けた特例でございます。  この適用期間は、当初は六十三年十一月までというふうにいたしておったわけでございますが、先ほどのお話にございましたように、いろいろ御要望もございまして二年間延長いたしまして平成二年十一月まで、こういうふうにいたしております。現在、連合会関係者間で、やはりこの法律の本則に合わせることが必要かということでいろいろと調整をされているというふうに伺っておるわけでございまして、私どもといたしましては、そのお話し合いが円満にまとまることを念願をいたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この特例措置を設けました趣旨、それから既に一度延長させていただいておりますということ等勘案いたしますと、これをさらにもう一度延長するということは適当ではないのではないか、避けるべきではないかというふうに考えている次第でございます。
  40. 滝実

    滝政府委員 連合会の人的構成あるいは人材登用の問題についてお話がございました。御指摘のとおり、今回御審議いただいております法案の中で警察共済あるいは学校共済、名実ともに連合会としての形づくりができるわけでございますので、やはりこの際有能な人材を連合会の事務局に登用するということはどうしても必要なことだろうということを私どもも考えているわけでございます。それで、これは基本的には連合会そのものがお考えになることではございますけれども、私どももひそかにはそういうことを考えなければならぬなということは考えておりまして、基本的には従来からも構成する組合から人材を登用しているわけでございますけれども、この辺につきましてもやはり先生の御意見等も連合会にお伝えいたしまして、十分意を体して対処できるような格好を検討していくということを申し添えたいと存じます。
  41. 中沢健次

    中沢委員 福利課長の方からお答えをいただいた内容でいいますと、確かに難しいことは私も承知をして、その上で委員会質問させていただいている。その辺やや政治的ないろいろな思いがあるものですから申し上げたのです。これ以上再質問はいたしませんが、そのことはよくわかっているけれども何とかならぬか、こういうことでございますから、関係者とも十分文字どおり前向きにぜひ対応もお願いをしたいと思います。  さて、時間が大分迫ってまいりましたので、まだ残っておりますから別な質問に移ります。  今度、全国の市町村共済連合会がやっておりました短期の財政調整の自主的な事業に、法律事項で短期の財政調整事業をやると新たに提案がされています。私は、内容については若干ありますけれども、基本的にはこれは大変いいことじゃないか、こう思っているわけです。平成二年度から本格的に実施をするということになっておりますけれども、これは短期でいいますと、全国のそれぞれの構成組合では全体的に大変なばらつきがあって、物すごい赤字が出ているところと収支とんとんのところと若干黒字のあるところと、それを全国プールして、大変なところにはお互い相互扶助の精神で財政調整をやろう、それを国がいろいろな援助をしよう、こういう趣旨でありますから、今も申し上げましたように大変結構なことだと思うのであります。  具体的に聞いておきたいのは、対象組合として指定都市が入っておりますけれども、指定都市で単独の健保をやっておるのがほとんどでありますけれども、例えば札幌あたりは短期も含めてやっておりますから、指定都市の一部ということではそういう部分も入ってくるのかどうか、改めて確認の意味でお尋ねをしたい。それから、交付金の交付対象が法定給付の本人の掛金率が五六%を上回る、こういう内容でありますけれども、およその財源的な数字、必要な数字、どの程度に想定をされているか。それから、自治省としての関係地方公共団体に対するいわゆる交付金といいましょうか、新しい財政措置、どういう内容なのか、簡単にひとつ御紹介を含めてお答えをいただきたい。
  42. 滝実

    滝政府委員 私どもから指定都市の問題につきましてお答えを申し上げさせていただきます。  都市共済につきましても当然その対象になるわけでございますので、指定都市が構成しております組合につきましても当然対象になる、こういうことでございます。
  43. 持永堯民

    ○持永政府委員 新しい短期給付財政調整の問題でございますけれども、ただいま御審議をいただいております法案が成立をいたしますと、明年度から、今申し上げました調整事業にかかわります各市町村の負担金が出てまいります。そこで、その財源につきましては、従来から共済負担金は交付税で措置しておりましたけれども、新しい制度によります拠出金相当部分については、まず地方財政計画の上で所要財源を確保し、地方交付税の算定の中でそれに見合う分を従来の負担金に上乗せをするという形で財政措置をしてまいりたいと考えております。
  44. 中沢健次

    中沢委員 時間がありませんので次の質問に移ります。  広島県に呉市というのがございまして、これはもうかつての軍港の町ということでは世界的にも有名でありました。昔は、都市共済連合会の構成市でありまして、かなり以前からあそこは今で言うと鉄道共済のミニ版、ローカル版と言っていいと思うのです。呉市は長期の財政が大変でいずれは長期がパンクする、そんなことで全体的には今の連合会というスタートに結びついたと思うのです。最近聞きましたら、呉市は単独の共済組合ではなくて広島の市町村共済組合に合併をした。これは連合会があるから、長期に限って言うとパンクしても何とか連合会で交付金を出すわけでありますからいいと思うのですが、付随をしてやはり福祉関係の事業が相当制約をされる。専門的なことは改めて言いません。そういうさまざまな問題があって、広島の市町村と合併をしたと思うのですね。  私は、結果的にいろいろあったと思うのですけれども、文字どおり共済組合の自主的な相互扶助でそういうところを抱え込んだ、こういう評価一つは率直にしたいと思うのです。問題は、そういうところがこれから先、そんなに遠い将来ではないと思うのですけれども、幾つか考えられるわけですね。例えば大村市のように、名前を挙げて失礼でありますけれども、炭鉱の閉山がぐっと進んで職員が急速に減る。結果的に長期の財政にしわ寄せが行って、呉市よりもまだその当時当然よかったのでありますけれども、いずれは同じような道をたどっていくのではないか。そういう市がまだ幾つか現実に存在をする。そうすると、ことし来年の問題ではありませんけれども、やや中期的な問題かもしれませんが、一体そういう構成市、全国の市町村共済あるいは連合会関係する構成市の非常に特殊的な問題を持っているところについて、どういう自治省としての基本的なスタンスを持つか。つまり、呉市のように関係の市町村を含めて合併をさせる、してもらいたい、こういうことで臨むのか、あるいはこの際、福祉はともかく連合会が面倒を見るのだからそれはそれでいいんだというふうに割り切って考えるのか、どのようにこれから一つの基本的な自治省側のスタンスを持つのかということ、これが一つ。  それからもう一つは、自治大臣に改めてお尋ねをしたいと思うのですけれども、今までの若干の時間、共済組合のいろいろな議論があったと思うのです。共済組合年金の長期と健康保険の短期と組合員全体の福利関係の福祉、それ以外にまだ幾つかありますが、いわゆる長、短、福という三点セットの相互事業をやっている。年金一元化、結果的に平成七年で仮に一元化になったにしても、年金も部分年金が残る。それと短期、福利福祉が当然残る。ですから、今のような呉の一つの象徴的なことなんかを念頭に置きますと、私はやはり共済組合というのは制度的にもいろいろな問題も含めて相当長期にわたって継続、存続をすべきではないか、こういう観点に立つのでありますが、その辺の大臣の御見解もぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  45. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私はたまたま、年金法の将来の統合を目指す大改正のとき年金担当の大臣をしておったわけですけれども、今中沢委員指摘のように、年金にしても医療保険にしてもこれは長い歴史がございますし、またそれぞれの立場がございますし、これらのことを無視して一挙に解決するというようなことがいかに困難であるかということを随分と勉強させられてまいりました。今当面している問題も、長期的な問題、短期的な問題、福祉の問題いろいろございましたけれども、それぞれの組合にそれぞれの歴史があり、それぞれの特色があるわけでありますから、これらを無視して一挙にということにはまいらないと思いますけれども、しかし、やはり社会福祉の方向としては小さい力よりはできるだけ多くの人が集まって大きい力でお互いに助け合っていくという方向は、これはお互い中沢委員も私も同じ考えだと思うのですけれども、ただ、それらに至るまではやはり関係組合と、それぞれの御理解と納得と十二分な話し合いが行われて進めていかなければならないものと存じております。
  46. 石田淳

    石田説明員 お答えいたします。  今の大臣の御答弁と重複するかもしれませんが、呉市と同様なこういう小規模な共済組合の存続について自治省としてどう考えるかということでございますが、このような都市職員共済組合の中でも小規模なものにつきましては、年金財政の悪化などから、貸付事業等の各種の福祉事業に支障を来すおそれがある組合が今後も出てくることが予想されるわけでございます。このような都市職員共済組合につきましては、組合員の福祉事業のあり方等の関係から、組合関係者のあくまで全体の合意のもとにでございますが、都市職員共済組合を自発的に解散し、職員が市町村職員共済組合に加入しようとすることは、自治省としましても、制度本来のあり方に沿うものであるというふうに考えております。  しかしながら、都市職員共済組合の解散自体につきましては、当然のことながら関係者の合意が必要でございますので、都市職員共済組合の解散及び今度は市町村職員共済組合への加入につきましては、その組合において自主的に判断し、決定されるべき問題であると同時に、受け入れる側の市町村職員共済組合理解も得ることが必要であると考えている次第でございます。
  47. 中沢健次

    中沢委員 今の問題でいえばまだ幾つか予定をしておりましたけれども、もう時間が来ておりますから終わりますが、もう一つだけ、実は先輩の加藤委員の御了解もいただいて、加藤委員質問時間を少しちょうだいをいたしましたので、お願いを申し上げたいと思うのです。  私は北海道の夕張の出身なものですから、委員会をやるたびに、そういう郷土の問題なんかも具体的にお尋ねをしているわけです。  そこで、最後にお尋ねをしたいのは、積雪寒冷地におけるところの年金の加給問題について、これは今まで随分、厚生省のレベルでもそうでありますが、ここでも論議がされたと思うのですよ。つい最近も、私どもの先輩の年金連盟皆さんを御案内をして、自治省公務員部長にもお会いをさしていただいて、この問題もいろいろ陳情申し上げました。依然として非常に強い希望なんですね。  もう言うまでもありませんが、これは現職の時代は、積雪寒冷地に勤務する方は寒冷地手当が出る。私は夕張の市役所の方に頼みまして、最近の数字はどうなっているか聞いてみました。例えば、夕張で六十歳で定年になった人がいると、たまたまその人は年間の収入が五百六十万であって、寒冷地手当の収入がおよそ二十五万。まあ人によって違うと思いますが、大体五%程度、級地によって当然違いますが、寒冷地手当が現役の場合は支給される。年金者になるとそれは全然カウントされない。かつては福祉灯油という時代も若干あった。しかし、依然として寒冷地であるという自然条件は全然変わっていないのですね。そうすると生活の実態からいって——確かに全国一元化の年金制度であるということの壁はわからないわけでない。  私がこれから申し上げることは新しい提案かもしれません。あるいはかつてこういう論議があったのかもしれませんが、例えば短期の場合、法定給付のほかに付加給付という制度が法的には保障されている。長期についてもこの際、年金の付加給付みたいな制度を全体的に認め合って、問題はその場合の財源をどうするかということだと思うのですよ。その財源は、関係のところから、例えば財源率に特別給付分を上積みをする。そういうものも現実問題として検討の素材にしていただいて、今まで長い間いろいろやられていることもわかっておりますけれども、やはり依然として非常に根強いし、恐らくこれからずっと未来永劫この問題はついて回るのではないでしょうか。やはり政治決断をしてもらいたい。  大臣は先ほど自己紹介されておりまして、厚生大臣の経験者で、年金の、もう言うなれば自民党の中では大物の国会議員自治大臣でありますから、そういう今自治大臣としていらっしゃる間に、事務方も精力的にこの問題については、単に北海道だけでなくて東北も含めて、相当程度広い地域の共通問題でありますから、ぜひひとつ前向きの政治的な、あるいは官僚としてのお答えをいただきたい。選挙も近いのです。ぜひひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  48. 滝実

    滝政府委員 大変切実な問題につきましてお伺いをいたしました。  確かに、おっしゃるような点は、大変地域的には重要な問題でございます。そういう意味では、大臣に対しても極めて強い御要請をいただいたわけでございます。しかも、さらにそれにつけ加えまして、先生の長年の御研究の成果でございます付加給付制度、こういうような御提案でございました。  ただ、私どもとしては、年金というのは、なかなか特別な配慮をするというのが、年金制度にどうしても技術的になじまない点があるものでございますから、大変難しい点がございまして、そういう意味で、先生も御研究の結果、付加給付でこの場合は技術的に解決したらどうか、こういう御提案をいただいたわけでございますけれども、私の方からこの問題について何とか考えますと言うには余りにも大きな問題ではないだろうか、こういうふうに考えているわけでございます。先生のこの御研究を私どもも切実な問題として受けとめさせていただくということで、御答弁にかえさせていただく次第でございます。
  49. 中沢健次

    中沢委員 大臣、いかがですか。
  50. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私も中沢委員と同じ積雪、豪雪寒冷地で、今委員お話を承りながら、かつて教職員組合皆さんやあるいは地方公務員皆さんから切実な問題として、給与の等級問題、寒冷地手当の問題の陳情等駆けめぐったことを記憶いたします。年金生活でもこれは条件は同じでございますから、先生のおっしゃるお気持ちはよく理解できるのでありますけれども、今公務員部長から答弁がありましたように、これは、年金制度というもの、また事業主負担の付加給付の問題にしても、他の制度との整合性ということが非常に強く要求されます。  かつて年金法の改正のときも、鉱山労務者の特例の問題で非常に苦労をさせられたことを記憶いたしますが、まあお気持ちとしては十分わかるのでありますけれども、残念ながら、きょう前向きの答弁をすることができない年金制度の非常に難しい問題である、こういうことも御理解賜りたいと思います。
  51. 中沢健次

    中沢委員 どうも時間をオーバーして申しわけございません。終わります。
  52. 小澤潔

    小澤委員長 加藤万吉君。
  53. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 初めての質問ですからひとつよろしく、お手やわらかにお願いいたします。  大臣、私先ほどお話を聞いておりまして、どうしても与野党間の年金に対する意見の一致というか発射台の一致点ができないのですよ。というのは、確かに年齢が延びて、六十五歳にしても云々という大臣答弁はわかりますが、スウェーデンとかヨーロッパ、その他年金が比較的安定してしかも保険料率が高くても国民との間に合意が形成されている過程を見ていますと、やはり土台になるべき年金制度そのものを余りいじってないのですね。ですから年金制度そのものに対する信頼が非常に強いのですよ。したがって、高齢化社会になるから君たち負担が、世代間の負担がこれだけふえるよ、こういうものを受け入れる条件というものを世論構成としてつくっているわけですね。前回の年金改正のときもそうだったのですが、どうもそこの焦点の一致ができない。ですから、私どもこれから高齢化社会になって、年金に必要な財源需要が相当強まるし拡大をするということも承知をしているわけですね。したがって消費税問題などでも、見直しの段階をもし含めるならば、野党が言っているように、二年間のこれからの財政事情に応じた税全体というものを考えてみようという中には、その一こまが入っていることも事実なのですね。問題は、基礎になるべき土台が変更されていきますと、今の年金制度そのものに対する信頼感を失うわけですから、結果的に世代間の負担を共有していたものが今度は強要という形になって合意ではなくなってくるのですね。ここに一番問題があるのですね。     〔小澤委員長退席、渡海委員長代理着席〕  前回の制度改正のときもそうだったのですが、大改正のあったときに、これは財政調整法案じゃないかという意見が相当厳しくあったのです。今回も、ここに出ている今度の法案は、三つのやや技術論的なことでしょう、言ってみれば。一つ連合会への移行の問題、一つは短期給付財政調整の問題、それから再計算による保険料と五%アップの問題ですね。しかしそれをならしてずっと見て、平成七年度には一体どういう姿になるのだろうか、どういう施策をもって平成七年度の年金一元化の方向性というものを見出していくのだろうか。裏腹に返ってくるのは、六十五歳に向かうための一元化だ、あるいは全体の財源を薄めていく。薄めて今度は厚生年金の被保険者、御案内のように全被保険者のうちの八二%ぐらいでしょうか。同時に成熟度でいけば一二、三%。したがって、これへと連動させていく。財源的には、六十五兆から六十兆円近く厚生年金には積立金がある。そういう中の一元化ではないか、そういう中の連合会への警察公立学校共済を含めての加入ではないか、そういう見られ方をしているのですよ。ですから、このことを払拭しなければ年金問題について政府側と我々議員の側との一つのコンセンサスを得る土台が形成されない。そこに僕は一番出発点、問題があるのだと思うのですね。  ですから、大臣が口を酸っぱくされて、いや、やがて私のおじいちやんも八十歳だ、九十歳だ、ぴんぴんしているという話をされても説得力がないのですよ。問題は、そういう財政調整の一元化という方向を、一つには今の成熟度の低い厚生年金財源に求めながら、そして受給の方向も、厚生年金支給方法、支給枠が相対的には低いわけですから、したがってそこに合わせていくなどなどということが常に疑心暗鬼としてあるところに、私は例えば政府側の言い分をそのまま言わしてもらうのですが、消費税は福祉財源です、こう言っても、いや、なかなかそうはいきませんよ、六十五歳にまた上げるのでしょう、こういうことになってしまうのですね。先ほど僕は部長答弁を聞いておりまして、こう思いましたね。  今度千分の十九、料率を引き上げる、平成二十七年度では幾らになるのですか。これは連合会の試算によって前回の改正の際に出た数字でありますが、平成二十七年度では千分の三百二十になる。それから平成三十七年度では三百四十五。今度の財政計算をされて、一体マキシマムのときにはどのくらいになるだろうかという計算をされた資料によると、千分の四百五まで上がるというのですね。無限大とは言いませんけれども、いわゆる再計算の保険料率によってこの財源全体を賄うと言っても、それはもう限界に来ているのですよ。したがって、私が先ほど言いましたように、一元化という方向を将来見出すとするならば、それに基づくコンセンサスを得なければ、合意というものがなければ、これから先の議論はお互いの対立点だけが浮き彫りになるだけで、将来に必要な財源の確保ができない、私はこう思うのですね。そういう印象を強く持ちましたので、これはもう年金のオーソリティーでありますから、大臣の方もぜひ、政府部内はもちろんですが、自民党内でも論議のあるときにはできる限り発射台が、お互いの一致点が見出せるような最大限の努力をしていただきたいと思うのですね。  そこでお聞きをしますが、今度は具体的なことですが、昭和五十八年に警察と公立学校それぞれ連合会に加入しようという決議を法律上決めたわけですね。これは今日まで延び延びになっているのですけれども、理由は何ですか、何で今日まで延びたのですか。     〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
  54. 滝実

    滝政府委員 一口で言うにはなかなか難しい問題があろうかと思うのでございますけれども、基本的には、警察あるいは学校という特定の職域、一つのまとまったグループを形成したそれぞれ共済組合で来ていたということ、その結果、それぞれがまたかなり規模の大きい共済組合だったというのが一つの大きな理由だったと思うのです。それから二番目につけ加えさせていただきますと、従来それぞれの組合が前提といたしておりました、例えば財源率一つとってみましても、連合会加入の人たちに対する財源率、それから学校共済警察共済、それぞれ財源率にそれなりの開きがあったというようなこと。それからもう一つには、それぞれの事業、短期とかそういうところまで含めて見ますと、それぞれ歴史的な経緯があるわけでございますから、それぞれの組合が行っていた事業に差があった、したがってなかなか一本化しにくい面があったのではなかろうか、こういうふうに考えるところでございます。
  55. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 法律ができてから八年ですからね。今言ったようなことがこの間に克服できないということはないでしょう。きょうは、公立学校共済組合の方で、何かその後組合自身で問題があったのかという質問を今しようかと思いましたけれども、部長の方から御答弁がありましたからこれは取りやめますが、私は六十年度の制度改革の際にきちっとやるべきだったと思いますね。確かに財源率であるとかさまざまあったでしょう。しかし、今地方公務員共済組合連合会でやっている仕事の内容を見れば、それほど個々の給付に対して云々という問題まで踏み込んではいないわけですから、そういう意味ではあの時期にされるべきではなかったか。もちろん、一方で公共企業体関係共済組合がありまして、NTTが民間になるというような経過もありましたから、ならば同一にということの方がむしろ連合会加入がおくれたゆえんではないかというように実は私は理解しているのですよ。今部長答弁された範囲では、連合会に加入し得ない状況ではなかった。いずれにしても、今日ようやくこういうことになったわけでありますから、連合会のこれからの運営については特段の配慮をされる必要があろうかと思うのです。  さて、それで、平成七年度における地方公務員共済の姿といいましょうか、どの辺までが一元化に向かった形としてあらわれてくるのでしょうか。これはなかなか難しいと思うのです。今度の場合は保険料率が大体統一されましたね。給付の内容については若干まだ凹凸があります。それから消防職員警察職員については平成七年度までに例えば今想定されている年齢には達しませんね、年齢差がありますね。それらを含めてどういう姿になってくるのでしょうか。
  56. 渡部恒三

    渡部国務大臣 御指摘のございました点にお答えをいたします。  地方公務員共済組合制度地方公務員制度一環としての役割を果たしていること、各被用者年金制度がその歴史、沿革を異にし、運営の実態、自助努力にもさまざまな相違が見られること等を踏まえて、自治省としては、公的年金の一元化以後においても各制度は存置しつつ適切な制度間調整を行い、地方公務員共済年金制度の自律的運営が確保されるようにしていく必要があると考えております。
  57. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今大臣答弁で、それぞれ独自の共済組合の持つ給付あるいは制度というものを残しつつ、連合会に加入することによって料率の一元化であるとかあるいは財政運用——そのそれぞれ独自の共済組合の持つ性格といいましょうか事業といいましょうか、これは残しつつと言いますが、部長、どこまで残すのですか。例えば、あの制度を見られてわかりますように、一階部分、基礎年金部分は国民年金と統一ですね。報酬比例部分は厚生年金と違いますね。国家公務員等の標準報酬のとり方も違いますね。これはどうなるのでしょうか。三階部分は民間の場合には厚生年金は企業年金ですね、共済組合は職域年金ですね。制度を残しつつと言いますけれども、どこまで制度を残されるのですか。
  58. 滝実

    滝政府委員 先生指摘のいわゆる厚生年金相当部分、あるいは通称言っております三階部分と申しますか狭い意味の職域部分、こういったところは一元化の後においてもそれぞれの組合の自律性を尊重する立場から残すべきだという考え方を持っているわけでございます。
  59. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしてほしいですね。大臣、あなたは一番ご存じだからにこにこ笑っていらっしゃるけれども、基礎年金を導入したときに、確かに国民年金の方の財源的な赤字が将来起きるだろうという前提に立ちながら、一方で、厚生年金からもあるいは各共済年金からも基礎年金部分は統一しよう、あのとき出た議論は、御承知のように、厚生年金救済策ではないかという議論だったわけですね。聞くところによると、今度は二階部分の報酬部分もできる限り厚生年金並みにしていこう。ということになりますと、今、世上、鉄道共済の救済のためにその部分も厚生年金並みにしようとして鉄道共済が云々といううわさがしばしば飛んでおるのです、そういうねらいがあるのではないかと。今答弁があったように、いや二階部分、三階部分については、平成七年度の姿は、独自の施策としてあるいは給付として残します、これは間違いないですね。これはひとつ大臣から答弁していただきましょう。
  60. 滝実

    滝政府委員 この点については私どもはそういう立場を貫きたい、こういうふうに思っております。
  61. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 さて、それで先ほどの話ですが部長掛金率は将来的にどのくらいになっていくのでしょうか。先ほど、昭和六十年度の改正の際に出ました地方公務員共済組合連合会の資料に基づいて、当時は昭和九十年度あるいは昭和百年度という言葉を使ったのですが、平成二十七年度で三百二十、あるいは三十七年度、いわゆる昭和百年度では三百四十五。今度、私資料をちょっと見させていただきましたら、このままの累計でずっといきますと大体四百五くらいになる。そうするとこれは労使折半にしましても二百二・五ですよ。大変ですね。保険料で二割取られたらこれは大変でしょう、このほかに税も取られる、いろいろ取られているわけですからね。どうされるのですか。これは部長に聞きましょう。
  62. 滝実

    滝政府委員 お話がございましたように、六十年の大改正の際に、そのままいきますと将来見通しした場合には、おっしゃるように、今で申しますと平成三十七年に財源率で四百を超えるという試算がございました。その後、改正によりまして、今先生のおっしゃるように、千分の三百四十五という数字がつい最近までの財源率計算の際に将来見通しとして出てきております。今回の財源再計算で見直しますとそれが千分の三百九十になっている、こういうようなことでございまして、この一番大きな問題はやはり平均余命の延びというのがあるかと存じます。それからまた、今回の財源率計算につきましては、各共済共通の指標でやったということもございますので、従来の前提条件として用いられました例えば利子率とか何かが最近の経済情勢によって若干変えてありますから、その部分が影響してきているという問題もあろうかと思います。  いずれにいたしましても、現在の新しい財源率で申しますと千分の三百九十、こういう状況でございますから、三十年後といえども相当な数字になるということでございます。しかし、これを今から考えますと、これは大変な数字だということはもう疑いがないのでございますけれども、私どもとしては、今どうするかというのはなかなか結論が出ない問題だと思っているわけでございまして、当面、少なくとも千分の三十八だけお引き上げいただいたわけでございますけれども、この将来見通しにつきましては、やはりもう少し情勢を見ながら期間をかけて検討していくべきものだというふうに考えているわけでございます。
  63. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 確かに三十年後ですから、私ども生きているか生きていないかわからない時代ですからね。しかし、今やるべき課題ですよ。さっき大臣言ったじゃないですか、鉄道共済の教訓に学んでと。そうでしょう。鉄道共済は二十一万人体制に入った、それから起きたのが直接引き金ではあったと私は思うのです。だがしかし、あれがなくともなるべくしてなったということもこれまた事実ですね、いつかは。これを教訓として学ぶとなれば、三十年前の今から考えていく必要は当然あるのじゃないかと思うのです。  今、厚生年金で千百四十億出せ、地方共済から二百七十億出せ、こう言っておりますけれども、その一番底辺にある鉄道共済に対する不信感は、なぜそこまでわからなかったのだということです。いわゆる数値が、例えば鉄道共済の場合に三月三十一日の退職が四月一日の退職になっておって、一段格上げをして、結果としてそれが年金にはね返ってくるという支給内容とか、民間の側からは当時からいろいろ批判があったわけです。それが今ストップされて、現状は御案内のようにむしろ横並びよりも低くなっている部分も相当出てきている。そこに今の鉄道共済年金受給者の不満があるわけですが、これはさておくとして、問題は鉄道共済がそこまでに至る経過というものが、民間厚生年金の側や各種共済年金の側にはほとんどわかっていない。わかっていないまま千百四十億負担せい、こうなるものですから、冗談言っちゃいけないよ、生い立ちも違うじゃないか、先ほどの答弁にもありますように内容的にも違うじゃないか、それぞれ独立の年金体制としてあったものをなぜここで千百四十億出さなければいかぬのか。二百七十億、率で直しません、今度は積立金で出しますと言いますが、実際は二・一%のアップ、この次の財政計算のときにそれを控除して考えるわけですから、結果的にはいわゆる料率値上げと同じなんです。私は、基礎数値の問題だとかあるいはそういうそれぞれの年金体制が持っている数量的なものを小まめにここで検討していく必要があろうと思うのです。  あと、労使折半の問題については、中沢同僚議員が申し上げましたから申し上げません。  それから、公費負担の問題も、どうなんでしょう。私はこの際、基礎年金がこういう形で導入されたならば、基礎年金に対する三分の一国の負担分があります。これを思い切り引き上げたらどうですか、基礎年金の部分に対する国の負担分。これは各共済あるいは年金共通の問題ですから、こういうものを入れた中でさてどうなんだという話をしていきませんと、三十年後四百台になりますよなんという話をしておったらびっくりしてしまってとてもじゃないけれどもという話になりますよ。  したがって、先ほどの中沢議員の意見に加えて、労使折半の部分の比率の問題あるいは公的負担の拡大の問題、同時に基礎年金部分に対する国庫負担の思い切った見直しをこの際やってみる。見直しというのは下げるということじゃないですよ、上げるという意味でやってみる。それで各年金の共通的な土壌というものをなるべく深くしていく。そうしていけば次に起きる問題が解決とまではいきませんけれども、次の問題に対する問題の足がかりができてくる、こんな気がしてならないのです。大臣、どうですか。基礎年金を多くするとかなんとかじゃなく、皆年金になっているのですから、その部分に対する思い切った施策を大きく展開される。何か今度消費税の問題でも見直しをされるなんという話もしばしば聞くものですから、この際、大臣見解も聞いておきたいと思うのです。
  64. 渡部恒三

    渡部国務大臣 鉄道共済がこのようなことになってしまうまでには、戦争が終わったときから今日までの長い歴史があり、関係者の責任もあろうし、また不可抗力な客観的な条件もあったわけであります。しかし、我が国が福祉国家であり、その福祉の恩典はあまねくすべての国民に、恵まれない条件の人、恵まれた条件の人、みんなでお互いに助け合って福祉を確実なものにしていかなければならないという基本的な哲学の中で、御辛抱をいただく方、いろいろ出てきて今日のようなことになっておるわけであります。  医療保険にしても年金にしても、いつでも問題は負担給付バランスで、無責任なことを申し上げさせていただければ、負担ができるだけ少なくて給付が余計になることが望ましいのは当然でありますけれども、それが大きな赤字を生んで年金制度そのものを破綻させるというようなことになっては、鉄道年金と同じようなことに国全体の年金制度がなったら大変なことになるわけでありますから、負担給付バランスというものは常に我々の心せねばならないことであります。  同時に、加藤委員指摘のように、基礎年金の部分の公費負担を上げれば、これは非常に全体としての大きな潤滑油の役割を果たすことは当然でありますけれども、それには財政というものが伴わなければなりません。将来の高齢化社会というものの年金や医療保険ということを考えますと、まさに負担する者は少なくなり給付を受ける者は多くなり、そういうときに給付を受ける人たちが肩身の狭い思いをしないで、また給付率が不安になるようなことがない、堂々と胸を張って立派な給付を受けて老後を送られる年金制度、これは与党とか野党とかイデオロギーを超越してお互いに真剣に考えていかなければならない問題であるし、私どもがさきに税制改革をやったのも、そういう公的負担にどこまで耐えられる財政というものをつくっていくかということでいろいろ苦労をしておる今日の実情も、御理解を賜りたいと思います。
  65. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 後段の問題はまさに消費税を廃止した方がいいと私は思うのです。これは税制全体あるいは財政事情全体で考えるべきですよ。大臣がおっしゃったとおりですよ。だとするならば、消費税を今云々してその中で福祉目的的な財源をどうつくるかなんというこそくなことはしないで、思い切って財政全体、税制全体を見直して考えていくという方向も野党側から主張しているわけですから、ひとつ頭に入れていただきたい、こう思います。  私は、鉄道共済でも厚生年金でもそうだと思うのですが、共済年金とは一体何だろうかということをもう一遍考え直してみたんです。労務費ではないか。いわゆる労務債権ですね。退職金が労務債権か債権でないかという議論が法廷なんかでも時々あるのです。例えば企業が倒産したときに、何が優先的な債務なのか。そのときに退職金は賃金に次ぐ労務債権であるという判例などもしましば出ている例があるのです。年金もそういう意味では労務債権的要素を非常に強く持つ。したがって、JRが企業的にはいい企業も出てきたということになりますと、これほどまでに厚生年金とかあるいは共済年金負担を、財政調整をして拠出をしてもらうという前に、一体そういう面での鉄道共済の果たすべき役割、例えば資産を売却した場合にその収益をどういう形でやるかなどということももっと真剣にやってもらいませんと、片方で受ける負担、拠出をせいと言っても、うんとは言わないですよね。しかし、この議論はこれから起きるところですから、ひとつ頭に入れておいていただきたい、こう思います。  そこで、厚生省にちょっとお聞きしますが、今共済年金積立金は十五兆余ですね。十六兆にはちょっと届かないようですが、この積立金運用についてですが、おおむね三つの形で、一つには組合員の福祉、一つには市場の債券への投資、一つには国の財政事情その他をそれぞれ含めて効果的に財政に寄与するという面で使用しているわけですね。厚生年金は六十五兆ちょっとありますが、この運用の方向、内訳、割合は大体どのくらいになっていますか。
  66. 江利川毅

    ○江利川説明員 厚生年金積立金全体、約七十兆円ございます。そのうちの自主運用といいますか、有利運用で回しておりますのが、累積の金額で六・七兆円でございます。それから、話はちょっとあれでございますが、その積立金全体は資金運用部に全部預託をしております。そして全部預託をしておる中の六・七兆円を自主運用に回しております。  それから、累積で申しますと、約一七%ぐらいを還元融資ということで福祉運用しております。そういう状況でございます。
  67. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 最近金利が下がりまして、資金運用関係は少し窮屈になっているんじゃないかと思うのですが、長期資金の運用については、組合員の福祉関係が大体三二%、国及び地方財政を含めて公的なものが二九%、一般の運用資金が三八%、このくらいの運用で、先ほど部長が言われたような形で地方公務員共済財政の収支バランスはいいんですか。例えば五年後の再計算時期における保険料率という問題を考えてみますと、この財政運用でよろしいのでしょうか。
  68. 滝実

    滝政府委員 今回の財源率計算で前提といたしております利子率は、各共済皆共通でございますけれども、五・五%を前提といたしているわけでございます。今までの実績はもちろん高い金利の時代のものが相当入っているものですから、それなりに高い実績が出ているのでございますけれども、今後の問題からすると、この五・五を前提といたしますので、そう落ち込むようなことはないんじゃないだろうか、こう考えております。
  69. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 全体の資金運用の実績を数値で私見きせていただきました。大分落ちているのですね。したがって、この落ち込みのままいきますと、五年後の財政計算のときには再びこの問題が出てくるわけですね。最近証券会社、証券市場でちょっといろいろトラブルがあるものですから、余り大声でということはどうかなという気もしないわけではありませんけれども、この法案にも出ていますように、資金運用についてはもっと効率的に行うということを前提にして、いま少し運用面に配慮する必要があるんじゃないでしょうか。
  70. 滝実

    滝政府委員 確かにお話しのような状況があろうかと存じます。私どもとしては、そういう中で、やはり状況に合わせてできるだけ効率的な運用をするという観点から、運用方法もその時代に合わせて漸次拡大する、こういうことをやってまいっておりますし、なお将来におきましてもそういう方向で拡大すべきものは拡大していくということでまいりたいと考えております。
  71. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 共済組合運営審議会の構成などについても、先ほど中沢議員からもちょっと意見が出ていました。ましてや今度は公立学校も入るし、警察も入るわけですから、何かセクションはあいているそうですから、そういうところにそういう識者も含めて資金運用に格段の配慮をするようにぜひお願いしたい、こう思います。  公立学校共済についてちょっとお聞きをしますが、公立学校共済の中の組合員ないしは受給者で、退隠料をもらっている人ないしはそれが通算になっている人はどのくらいいますか。割合でも結構です。
  72. 込山進

    ○込山説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの退隠料の受給資格のみが通算されている人数ということは、調査してございませんのでちょっとお答えできませんが、退職年金条例または恩給法が通用される、そういう期間を持ちまして公立学校共済組合に通算されて年金を受給している者は、六十三年度末の数字でございますが、全年金受給者が四十八万七千六百三十七人のうち今申し上げたような者は四十八万二千七百八十七人、全体の九九%、ほとんどが前制度期間を通算されているということでございます。
  73. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これは財政局長にお聞きした方がいいのでしょうか。御承知のように退隠料は年金の料金、いわゆる掛金からは出ていませんね。追加費用でそれぞれ地方団体が支出をしているわけです。念のためにお聞きしますが、これは当然交付税で措置されているんでしょうね。
  74. 持永堯民

    ○持永政府委員 御指摘の追加費用の財源につきましては、所要額を当然地方財政計画にも計上し、かつ交付税の算定の対象にしております。
  75. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今お答えがありましたように九九%近くが対象になっていますから、その財源、一般会計から追加費用でそれぞれ地方団体が支出をする、その部分について、全体ではございませんけれども、交付税できちっとカウントができるようにしていただきたい、こう思いますね。  これは私に質問をとりに来たときに申し上げなかったことなんですが、せんだって日本教育新聞をちょっと読ませていただきましたら、学校の校長先生定年は大体六十歳ですね。六十歳にもかかわらず、昇給が五十八歳で、あるいは五十九歳、六十歳でストップしているところ、ないところ、あるいは途中で年齢の刻みによってというところがあるのですが、退職時における給料に五万円ぐらいの差が起きるというんですね。こうなってくると、当然年金の額を計算するこの場合は標準報酬というのでしょうか、いわゆる給料がそのまま反映するわけですが、この一元化といいましょうか、あるいは六十歳なら六十歳に全部そろえて、そこまでは全部退職時の給料をストップせずに上げていく、こういう方向はできないのでしょうか、いかがでしょうか。
  76. 込山進

    ○込山説明員 お答えいたします。  公務員制度にかかわる問題でございますので若干所管が違うかとも思いますが、五十六歳になりましたら昇給を延伸し、五十八歳になりましたら昇給を停止するという制度は、国家公務員の給与制度でもそういう制度がとられているところでございまして、同じような制度を公立学校の校長先生たちについてもとっているところでございます。年金計算といたしましては、従来は退職前一年の給与をもとにしておりましたが、現在は生涯の標準給与の平均月額をもって計算するということになりましたので、そう大幅な差異はないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  77. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうでもないでしょう。これは十分起きますよ。国家公務員並みといいますけれども、例えば、大臣のいらっしゃるところはどこですか、福島ですね、六十歳まで昇給ストップなしという府県が十県、五十八歳でストップ、六十歳でストップあるいは五十六歳でストップ、国家公務員でも地方によってはこんなに違うんですか。昇給ストップ、延伸をされておりますか。そうでないでしょう。それが通算の賃金として、給与として反映されてくるわけですから、やはり六十歳なら六十歳までは本来の昇給のあり方があって、それを通算の給与として換算して年金基礎計数とする、これは当たり前じゃないでしょうか。非常に不思議に思いました。一遍検討していただけませんですか。
  78. 込山進

    ○込山説明員 先生指摘の点は、ちょっと手元に資料がございませんので、帰りまして担当の課とよく打ち合わせて検討させていただきます。
  79. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 突然の質問ですからちょっと戸惑いがあったかと思いますけれども、僕もちょっと不思議に思いました。大臣、これは不思議に思いますよね。  警察共済についてちょっとお聞きをしますが、警察官の場合にはこれからだんだん六十歳の支給年齢になってくるので六年間のギャップが年齢上あるわけですね。これは当然のことですが、平成七年度には五十八歳になるんですね。年齢的にはそういう差があります。消防官も同じです。そこで、先ほど中沢議員は、さて警察官や消防官にその職業として六十五歳まで働ける場所というのがあるだろうかと大変心配しているわけですね。例えば六十五歳になった場合には大変心配だ。これは中沢議員の質問でやりとりがありましたから言いません。  ただ、警察共済の場合に、先ほど短期給付の問題がありましたが、警察共済は大変扶養家族が多いですね。短期給付の方は、このままいったら財政上極めて憂慮すべき事態が起きるのではないか。一体何が原因でしょうか。
  80. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 警察の場合は職務の特殊性というような問題もございますが、被扶養者数が非常に多いということがございまして、これが短期給付財政に大変大きな影響を及ぼしているところでございます。
  81. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 これは自治大臣としてでなくて国家公安委員長としてぜひ耳に入れて、また施策に生かしていただきたいと私は思うのです。  実は普通の年金共済年金厚生年金もそうですが、比較的扶養者数が少ないのです。なぜ少ないかというと、共稼ぎができるからです。私がお聞きをしましたら、警察官二十六万余ですか、そのうちで駐在所勤務、その他の人、ほとんど共稼ぎができないわけですね。したがって扶養者数が多い。同時に、扶養者数が多いことに加えて、今度は老人保健への拠出金が多い。結果的にその短期給付、いわば民間で言う健康保険組合、この財政が極めて困難だ。扶養者数が大体倍ですから、これなどを考えていきますと、警察共済の短期給付部門について何らかの措置を講じなければいかぬ、私はこんな気がするのですよ。特に第一線の駐在所で、まさに奥さんも警察官と同じような仕事をしていらっしゃるわけですから、これは現実問題として共稼ぎができない。したがって、共稼ぎをしていれば一方で、民間であれば厚生年金とかそういうのに加入できるでしょうが、加入できない。健康保険にも加入できない。結果的にそれが全部警察共済にかぶってきている。この面で何らかの財政的な措置を講ずる必要がある、私はこう思うのですが、いかがでしょうか。
  82. 渡部恒三

    渡部国務大臣 まず国家公安委員長として、全国二十六万の日夜国民皆さんの平和な生活を守るため、また交通事故の防止、善良な市民の生活安定のために頑張っておる警察職員皆さん方にかわって、加藤委員のまことに血の通った、思いある御発言に感謝を申し上げます。  私としましては、警察がその職務の特殊性に由来する事情のゆえに、御指摘のように負担が過重になっておるという状態はやはり是正すべきであるという認識であり、関係向きとの折衝等を通じてその是正を図るべく努力してまいりたいと存じております。
  83. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 先ほど短期給付財政調整、今度の法案にも出ているのですが、呉市の例を挙げましたね。もし警察共済の短期給付が、今言ったような状況も踏まえて財政上極めて困難だというような状況が起きた場合には、財政調整の対象になりますか。
  84. 滝実

    滝政府委員 今回の御審議いただいております法案で予定しておりますのは、要するに市町村共済に限りましてそれの短期給付の調整でございますので、警察共済とか学校共済とかそういうところまでは至っていないのでございます。
  85. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 そうしますと、せっかくの大臣答弁ですが、何でこれを見たらいいでしょうか。今想像されるんですよ。将来的にどうも警察共済の短期給付部門に対しては、短期給付の料率の引き上げその他もあるでしょうが、しかしそれでも追いつかない部面を何でカバーしていったらいいのか、私も率直に言って答えが出てこないのです。というのは、長年共済組合年金問題をやっておりましたけれども、警察共済について触れたのは今度が初めてなんです。私も初めてなんです。恐らく皆さん警察共済について話を聞かれたのは初めてじゃないかと思うのですね。そういう面から見ましても、初めて知っただけに、一体どういう改善策をとる方法が我々の側として提言できるんだろうかという戸惑いを率直に言って私自身も持っているわけなんです。例えば調整交付金のようなものは財政上の措置としてできるのかどうか、こんなことも含めまして何らかの方法、具体的にそういう状況に立ち至った場合のいわゆる財政的な調整という問題が共済組合間の中でできるのか、あるいは国として予算上措置をしなければならない問題なのか、この辺だけはひとつお聞きをしておきたい、こう思います。
  86. 滝実

    滝政府委員 この問題につきましては、国家公務員共済につきましては大蔵委員会提出の法案におきまして私どもとほぼ同様な仕組みが措置されているはずでございます。したがって、今のところ学校共済警察共済については、規模が大きいものですからさような問題は今までのところ出てないのでございますけれども、その段階ではやはり検討すべき問題だろう、こういうふうに思います。
  87. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 今までも短期給付について財政調整をやっていますね。例えば六十二年度は五組合十五億円、短期給付財政調整をやっていますね。六十三年度は十組合三十六億円ですね。今までの短期給付財政調整と今回の法律改正による短期給付財政調整とどこが違っておるんですか。
  88. 滝実

    滝政府委員 従来の財政調整は、大変財政が窮迫した短期組合を救うということで、それぞれ関係組合が拠出金を出しまして、その枠内で実は二つの事業をやってまいりました。一つは、高額医療費につきまして、その拠出金の中から一定のものを交付金として出す。それからもう一つは、一人一人の組合員掛金が千分の五十二を超える組合につきましては、それにつきまして市町村連合会がやはり交付金を出す、こういうことをやってきたわけでございます。  ところが、最近、短期組合財政状況が非常に悪いということ、それからもう一つは、健康保険組合あるいは政府管掌の健康保険組合、これにつきましては一人一人の掛金の頭打ちがございまして、千分の四十五で実は頭打ちをされているわけでございまして、それを超える部分については国庫補助金で財政調整を行う、こういう建前が既にとられているわけでございますので、今回そういったことを一つの手本にしながら、従来組合の中でやっていた財政調整を少し強化いたしまして、それなりに回っているところは従来どおり市町村連合会の拠出金の中でおやりいただくわけでございますけれども、一人当たりの掛金が千分の五十六を超える組合につきましては、やはり連合会が交付金を出すのでございますけれども、これにつきまして、拠出金を出す場合に各市町村がもちろんそれを交付税で措置をする、こういうふうに切りかえさしていただいたわけでございます。要するに、千分の五十六以上には個人の掛金がふえない、こういうような仕組みを交付税措置で裏づけていただく、これが今回の内容でございます。
  89. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 時間がありませんから最後質問になりますが、厚生省にお聞きをします。  先ほど、年金一元化の問題について大臣とやりとりをさせていただきました。前回の改正基礎年金が導入されまして、基礎年金勘定、それぞれ各年金財政から繰り入れているわけですが、今、各年金から入ってくる基礎年金のチェック機能というのはどうなっているのですか。最近、私いろいろな書物を読んでみますと、どうも基礎年金に入ってくる勘定の財源が不確実ではないか。チェック機能が働いていないのではないか。例えば、二重に重複しているとか、あるいは併給を受けている者が中にあって存在しているとか。先ほど鉄道共済年金についてちょっとお願いをしたのですが、やはり鉄道共済年金年金に対する不信感というものが、数値の計算とかいうものを含めてそういうものが明らかになってなかったところに、大変問題点が今日まで残っておるという話をちょっとしてみたのですが、今、基礎年金勘定についての欠陥が多く出てきているのではないか。特に、今言ったような併給している者とか、あるいは年金に重複加入している者とか、あるいは実際は脱退しているにもかかわらず云々とかいうさまざまな要素が年金勘定として、チェック機能として働いていないのではないか、こういう意見が大分強くあるのですが、これらについての見解をひとつお聞きしておきたい、こう思います。
  90. 江利川毅

    ○江利川説明員 制度の一般論しか存じ上げなくて、ちょっとお答えにならない部分があるかもしれませんが、給付につきましては、基礎年金は各自に一つでございますから給付についての問題はないわけでございますが、拠出につきましては、それぞれ各制度の責任でこれだけの拠出が必要だというふうにされておりますので、それを受けて事務を進めているということでございます。
  91. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 ですから、支払う側の数値によって出しているわけですよね。受け取る側はそれをチェックする機能はないのですよ。これは大臣、これから基礎年金あるいは報酬比例部分についてさまざまな議論があるところでしょうが、厚生省がどういうチェック機能をその辺に持つかということは、財源の確保の上からも極めて重要なことになってくるのですよ。一つだけ注意をしておいていただきたい、こう思うのです。  きょうは少し細切れな質問になってしまいましたが、通しまして私の言いたかったことは、どうも年金の問題が出るたびに起きるのは、やはり各種年金の独自性、それから発展の経過、いま一つ国民的な視野で言うならば、年金に必要な財政需要に伴うコンセンサスの欠如、こういうものが今日底辺にあるのではなかろうか。その克服なしには個別の、例えば連合会に移行する、さらにそれが平成七年度、一元化の方向に向かうといっても、それ自身の土台がきちっとしてないわけですから、寄せ集めになってしまって、疑心暗鬼のまま一元化という方向に向かいますよ。したがって、その面を政治的にもあるいは財源的にもあるいはこれから起きるさまざまな給付の内容の改革といいましょうかについても配慮していかなければ、本当の意味での年金改正に対する国政での共通の理解あるいは共通の議論の場が得られない、ここだけを十分注意していただきたい。これが第一点でございました。  第二点は、言うまでもありませんが、今度の法案に伴う各種問題、例えば警察共済に対する問題点、あるいは今度の場合の法律における財政調整上の拡大の問題をどうとらえるか、こういう問題を二点目にお聞きをしたつもりであります。  そして最後に、公的負担の拡大をどの部面に求めていくのか。私も確たる答えはありませんが、国の負担分というものを基礎年金部分で拡大をする、そういう中でひとつ年金に対する共通の基盤というものを国民の中で培っていく、これも一つの方法論ではなかろうかなどを問題提起したつもりであります。  ひとつ最後大臣の所見をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 渡部恒三

    渡部国務大臣 本来社会保障制度というものは、弱い者も強い者も、恵まれた者も恵まれない者も、お金のある人ない人、みんなが一緒に力を合わせて、そして老後生活を守る、あるいは病気になったときの生活を守る。そういう社会保障の基本哲学からいえば、年金にしても医療制度にしても一元化されるということが究極の目標になることについては、これは加藤先生も私も同じ考えだろうと思います。ただ、先ほども申し上げたように、それぞれの歴史、それぞれの利害、それぞれのいろいろな条件、これを一切無視してブルドーザーでどっとやるようなわけには世の中のことはまいらないところに、今日この問題でそれぞれの立場の人たちが大変苦労しておるところがあるわけであります。  また、先生が先ほど主張されておるように、できるだけ公費負担が多くなればいい、これは当然のことであって、しかし、年金にしても医療保険にしても、給付がよくなることはみんなが望ましいわけですけれども、給付をよくするためにはやはり負担を余計にしなければならない。負担を余計にするということになると、これはみんなが好まない。しかし、給付負担バランスを失って一時的な人気取りのようなことをやったら、将来大変なことになってしまうわけですから、苦しくてもやはり給付負担バランスというものは常に心せねばならないことであり、その緩和剤として国費をどれだけこれに投入できるか、そういうことのために消費税をつくることに我々は大変苦労をしたわけであります。  これはお話をしていってなかなか難しい問題、加藤先生年金の大家でありますから、もしも政権をとるようなことになって厚生大臣になったら、今の政府案と同じような案を出すようなことになるかもしれませんが、大変難しい問題として勉強してまいりたいと思います。
  93. 加藤万吉

    ○加藤(万)委員 終わります。
  94. 小澤潔

    小澤委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ────◇─────     午後一時三十二分開議
  95. 小澤潔

    小澤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉井光照君。
  96. 吉井光照

    ○吉井委員 私は、まず最初に公的年金の一元化の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  この公的年金の一元化の問題につきましては、昭和五十九年二月の閣議で、九五年すなわち平成七年を目指して公的年金制度全体の一元化を完成させる、このような方針が決定をされたわけですが、方針が決定されただけで具体的な姿や手順というものが示されておりません。ところが、昨年十一月の年金審議会が出した意見書によりますと、九五年の公的年金一元化に向けての制度間調整のあり方について青写真が示されたわけでございます。それによりますと、歴史、沿革を異にする被用者各年金制度は残したまま、各制度に共通をしたいわゆる同一給付、同一保険料率の単一の被用者年金制度を提案をしておりますが、これは、報酬比例部分でも各制度ごとに集めた保険料収入を一たんプールをして、そして各制度加入者の負担が公平になるよう再配分をする、こういうことを意味するのではないかと考えられるわけですが、まずこの点から確認をしておきたいと思います。
  97. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  ほとんど先生指摘のような趣旨に御理解いただいていいのではないかと思いますが、少し簡単に御説明いたしますと、被用者年金制度というのは、共済制度なり厚生年金制度制度としてはそれぞれ独立しておる、今のところそれぞれの財政事情に応じて財政が独立しておる、こういう格好になっておるわけでございますが、一元化の一つの目的といいますのは、給付なり負担面なりの公平化を図る、こういうことが一つの理念になろうかと思いますので、その際全くそれぞれの制度を廃止いたしまして新たな制度をつくってスタートするというのも理論上は考えられますけれども、現実問題としては、それぞれの制度制度として、ただ負担面、給付面での公平化を図るということからしますと、先生理解いただいたように同一制度、同一給付、同一保険料率の一つの仕掛けをつくりまして、その範囲の中ではみんな、俗っぽく言えばプール計算ですよというふうな格好にするのが一番現実的ではないか、こんなふうな提案であると御理解願えればと思っております。
  98. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、二階部分の一元化の理由についてお尋ねをしたいと思うのですが、昭和六十一年の制度改革では、我が党が主張してまいりました各制度共通の基礎年金制度というものが導入をされたわけでございます。しかし一方で、報酬比例部分いわゆる二階部分は各制度が独自に運営をするために財政調整を強制するのはなかなかなじまないのではないか、こういう意見も確かにございます。そこで報酬比例部分についても制度間の財政調整をする理由は何なのか。  また、昭和六十一年の基礎年金の導入は、当時財政が極めて悪化していた国民年金のいわゆる救済策であるとの批判もあったわけでございますが、今回も、報酬比例部分での財政調整は今問題になっておりますいわゆる鉄道共済の救済が目的ではないか、このような批判もあるわけですが、この点についてはいかがですか。
  99. 阿部正俊

    ○阿部説明員 被用者年金の二階部分の一元化の目的なり理由いかん、こういうことでございますが、先ほど申し上げましたけれども、年金制度というものを公的年金制度というふうな形で運営していくものは、いわば強制加入といいましょうか、あるいは強制的に義務的に保険料をちょうだいする、こういう仕掛けなものですから、任意にやったりとったりするものではございませんので、やはり制度全体として公平でなければいかぬ、国民の合意を幅広く得た上で実施できるようなものにしていくためには各制度とも公平でなければいかぬというのが大原則であろうと思うのでございます。そうしますと、現在のように二階部分について各制度ばらばらになっておりますと、たまたま就職した先々で同じ公的年金なのに負担なり給付なりがばらばらであるということでは、先ほど言ったような公的年金全体に対する国民の合意というものはなかなか得がたいというふうに言わざるを得ないのではないか、こんなふうに考えられるわけでございます。結論的に申しますと、二階部分につきましても負担面、給付面について全体が公平でなければいかぬというふうな状態をつくり上げるということが一つの目的だろうと思っております。  一面、さらにそれぞれの就業構造なり産業構造なりが長い時代の間にかなり大きく変化してまいりますので、年金というのは一面では四十年先、五十年先のことに備えるということでございますので、産業構造、就業構造なりがその間に相当の変化が予測される中で五十年先の年金をどう担保するかということになりますと、産業構造、就業構造の変化にたえ得るような、あるいはどういう変化があってもそれなりの一定の保障が得られるという構造をつくっていかなければいかぬということが要請されるのではなかろうか、こんなふうに思うわけでございます。  もう一度申し上げますと、負担給付面の公平化を図るということ、それから産業構造や就業構造の変化にもたえ得る長期的な安定した制度をつくるというのが二階部分の一元化というものの目的であり考え方であろうというふうに理解しております。
  100. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、先ほどちょっとお尋ねした、いわゆる鉄道共済とのかかわり、これはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  101. 阿部正俊

    ○阿部説明員 鉄道共済は、御存じのとおり結果として現在約三千億の単年度赤字を生むというふうに言われておるわけでございますが、これは、鉄道共済に関する有識者懇と通称申しておりますが、各界での有識者から成る懇談会でも分析されて指摘されているところでございますけれども、今日の状態になった要因としては二つの側面があると言えようかと思っております。  一つは、従来の旧国鉄共済運営面で、率直に申し上げまして年金財政という面から見ますと相当放漫な部分があったのではないかというふうな側面。例えて言えば、年金受給者がどんどんふえてきている、あるいは将来ふえることが予測されるにもかかわらず、それに必要な備えである保険料率の引き上げ等々は十分行われてこなかったというふうな側面があることは事実だと思っております。  他面、先ほど言いましたように、交通革命といいましょうか、そういうことから構造が大きく変わってきた。従来の六、七十万人の従業員の規模から最近では二十万台の規模まで変化してきている。現実問題として、年金現役がOBを支える構造でございますので、そういう構造のままで鉄道共済だけで、産業構造なり就業構造の変化の部分についても旧国鉄集団だけで支え切れというのはやはり無理な面がございますし、年金制度全体のあり方からしてもそれは妥当なことではないのではなかろうか、こんなふうに思っております。  私どもとしては、制度一元化というふうな観点からしますと、後者の側面、就業構造なり産業構造なりの変化による側面については、公的年金制度全体の問題として考えていかなきゃいかぬのじゃないか、こんなふうなことになりますので、やみくもに旧国鉄を救済するという感覚とは相当違った観点からの対応であるというふうに御理解いただければと思っております。
  102. 吉井光照

    ○吉井委員 鉄道共済につきましては、時間があれば後ほどもう一度触れたいと思います。  そこで、一元化の全体計画の進捗状況でございますが、先ほども申し上げましたように、平成七年が一元化の完成時であるならば余すところ五年しか残っておりません。昭和五十九年の閣議決定から昭和六十年とそして今回の二回の改正で一元化に向かってどの程度作業が進んでいるのか、今後残す五年間で何回程度の年金改革が必要なのか、その点いかがですか。
  103. 阿部正俊

    ○阿部説明員 公的年金制度の一元化といいましても、なかなか一挙にいかないということだろうと思っております。  まずスタートは、前回の六十年改正のときの一階部分についての一元化といいましょうか、先ほど先生の御指摘のように基礎年金の導入ということで完成しているわけでございますけれども、分けていきますと、今度は二階部分の一元化、こういうことになるのではなかろうかと思っております。その二階部分の一元化の中でも、前回の六十年改正で、まず給付の中身あるいは給付の要件というふうなことについても相当程度各共済厚生年金の間ではそろえさせていただいております。そういうことでございますので、現在の段階では、今度は二階部分の負担面についてどういうふうに考えるべきなのかということが大きく言えば残された課題であろうと思っております。  この点について一挙にはなかなかまいりませんので、平成七年が一つの目標年次でございますので、中間年である今回、財政計算ということで五年に一遍ずつやってまいりますので、今回は負担面について一定の調整をしましょうということでいわゆる制度間調整法案を提起しているわけでございますけれども、先生御存じのとおり一〇〇%調整といいましょうか、公的年金給付全体についての調整という姿になっておりませんで、給付の中の中心である老齢給付についてのみ共通の負担になるようにしましょうといういわば数歩前進させるというふうなやり方でございまして、これが最終的にどの程度まで調整できるのかというこれからの課題になってくると思うのでございます。  いずれにしましても、今の段階で何割まで達成したというふうなことはなかなか言いにくいというのが実情でございまして、私どもといたしましては、今回提案しております制度間調整法による推移をよく見きわめた上で、先ほど御紹介もございました年金審議会からの提案なんかも念頭に置きながら、それから先五年の間に具体的な将来像を構築しながら国民の合意を得てやっていく、こんなふうな考え方に立っておるわけでございます。
  104. 吉井光照

    ○吉井委員 今おっしゃったように一元化するという問題は非常に難しい問題でございます。その点は理解はできるわけですが、国民皆さんも一元化の姿というものはどういう姿なのだろうか、このように非常に関心を寄せていることは事実でございます。そういうところから考えますと、先ほど申し上げましたように一元化までにあと五年ということになりますし、今も御答弁でおっしゃったように何らかの形で一元化の姿、それまでのスケジュールをもう少し明確に示していかないと、公的年金そのものに対する国民の不信感をぬぐい去れないのではないか。そういった意味で、国民の信頼を回復するためにももっとスケジュール的なものを明らかにしていく必要があるのではないか、このようにも思うわけでございます。  そこで、今回の改正案の中でも一番大きい焦点と言われます支給開始年齢引き上げ問題、政府は二十年間かけて段階的に六十五歳まで持っていくといういわゆる長期計画を打ち出されているわけですが、これは国民に一刻も早く知らせ、いたずらに国民に動揺を与えてはならない、そして各自の老後設計の準備ができるようにしてあげなければならない、このように政府の方からも説明を聞いておるわけでございます。これといわゆる一元化というものを比較するのはどうかとも思いますけれども、同じように五年間の年次計画が作成できないわけはないのではないかという気も私はするわけでございます。この点はどうですか。もっと明確になりませんか。
  105. 阿部正俊

    ○阿部説明員 支給開始年齢のスケジュールについては御理解いただいているようでございますが、一元化といいますのは一つ制度ではございませんで、当委員会の所管の地方公務員共済等あるいはほかの私学共済、農林共済あるいは国家公務員共済等々、各制度それぞれの事情を抱えておりましょうし、それなりの特定の条件があって全体共通になかなかできない部分がある程度あるのではないか、こんなふうに推測されるわけでございまして、その間をどういうふうにきれいに整理していくのかということについて、あらかじめスケジュールをセットして強引に推し進めていくというのは、やはり結果としてうまくいかない側面が出てくるのではないか。各制度なりの合意ということが大前提になると思いますので、五年以内にやらなければいかぬという一つの目標は決まっておるわけでございますけれども、それをさらに細分化していつの時点までにどうするというのを中身を決める前にスケジュールだけ決めてしまうのは、結果として一元化の目的がなかなか達成されない、合意が得られないというふうなことにもなりかねない側面がやはり強いのではないかなというふうにも思われますので、私どもからも各制度なりにそれぞれ御協議申し上げていこうかと思っておりますけれども、そういったふうな事情もあるということをお含みおきいただければありがたいというふうに思っております。
  106. 吉井光照

    ○吉井委員 非常に難しい問題であろうと思います。  次に、支給開始年齢の問題でございますが、支給開始年齢の繰り延べが今回の法案法案化されない理由についてお尋ねをしておきたいのですが、今回のいわゆる国民年金法等の改正案には老齢厚生年金支給開始年齢を六十五歳まで段階的に引き上げていくことを盛り込んでおりますが、共済年金法の改正案にはこの支給開始年齢の繰り延べについて盛り込まれておりませんね。この理由は何なのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  107. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるように、今回御審議いただいております法案にはさような手だてはできていないわけでございますけれども、地方公務員共済年金につきましても支給開始年齢引き上げの問題というのは、これは避けて通れないというふうに私どもも考えているわけでございます。もちろん、厚生年金につきましては早目にスケジュールを国民の前に明らかにする、こういうことでございましたのですけれども、そういう意味合いにおきましては、地方公務員共済年金についても全く同様でございますけれども、ただ、国家公務員あるいは地方公務員共済年金につきましては、これと関連いたします定年制というものが、地方公務員の場合には条例で定められている、こういうような問題もございますし、国家公務員については法律で定められている、こういう問題がございますので、やはりこの辺のところは密接に関連する事柄でございますから、どうしても公務員の方は年金だけスケジュールを定める、こういうようなことにはやや問題があるのではなかろうか、こういうことで今回は条文上の手だてができてないということでございますけれども、少なくとも方向づけとしては既に地方公務員共済年金についても閣議決定という形でできているわけでございまして、この問題については各省庁間の局長レベル雇用問題を中心にして調査研究し検討を進める、こういうことで私どもは考えているわけでございます。
  108. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、支給年齢といえばどうしたって定年とかそういったいわゆる関連性が非常に問題になるわけでございますが、現在地方公務員定年が六十歳、昭和六十年三月三十一日からこれが施行されているわけですが、これも去る三月二十八日の閣議で政府共済年金支給開始年齢の六十五歳引き上げ決定したわけです。これは御答弁をいただいたとおりでございます。となりますと、将来的には定年制とそれから年金支給との間に五年間というすき間、これが生ずるわけです。このことはいわゆる厚生年金の場合と同様に、やはり定年延長を含めた雇用保障とそれから受給年齢とが一体不離のものとするべきではないかという問題が生じます。この点についてのお考え、それからまた、支給開始年齢を六十五歳に移行することを前提とした場合、六十歳以上の雇用情勢が改善をして、そして雇用面の不安がないとするいわゆる根拠があるのかどうか、この点ひとつ自治省、労働省にもお尋ねをしたいと思います。
  109. 野寺康幸

    ○野寺説明員 民間部門につきまして先にお答え申し上げます。  高齢化の進展につきましては先生よく御存じのとおりでございまして、この高齢化の中で高齢者の知識、経験、能力を十分に生かしていく必要があるというふうに考えております。そのためには、まず雇用の場を確保することが必要であり、これが現下における労働行政の最重点課題でございます。  このため、まず六十歳定年を基盤にいたしまして、その上にさらに六十五歳までの継続雇用の推進を進めていくことがこの行政の基本でございまして、定年延長指導の徹底、この関連の諸助成金の改善に努めますとともに、さらに人生八十年時代にふさわしい雇用のあり方を示す長寿社会雇用ビジョンを策定することといたしております。さらに、六十五歳までの雇用機会を確保する対策につきまして、法的整備のあり方も含めまして現在雇用審議会におきまして御議論をいただいているところでございまして、その結果を踏まえまして適切に対処してまいりたいということでございます。
  110. 滝実

    滝政府委員 地方公務員につきましても、定年後の就職状況につきまして、最近におきましては就職を希望する者がかなり増加いたしておりますし、現実にそういう形になっているのが実情でございます。  しかし、この問題につきましては、先ほど申しましたように、現在関係局長レベル検討委員会を設けられておるわけでございまして、私どもも、その検討委員会を通じてこの調査研究を進める一方、地方公務員独特の問題につきまして一層の資料収集あるいは検討を進めたいと考えているわけでございます。
  111. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、高齢者雇用に対してつきものはいわゆるミスマッチということでございますが、企業の方は六十五歳定年ということに非常に消極的ですね。日経連も、六十歳以上の人たちは肉体的、精神的に個人差が大きい、したがって一律に六十五歳定年といった制度は受け入れにくい、このように指摘をしているわけでございますが、政府が昨年十月末に発表いたしました社会保障ビジョン、これによりますと、六十五歳までの雇用確保を目標に企業グループ内でのいわゆる継続雇用の推進などをうたっておりますけれども、これは非常に具体策に乏しいものではないかと思います。  先ほどもこの問題につきましては答弁でちょっと触れられましたけれども、高齢者雇用については必ずこうした雇用のミスマッチの問題がつきまとっているわけですが、この点について労働省はどのように対処されていくおつもりなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  112. 野寺康幸

    ○野寺説明員 先生おっしゃいますとおり、高齢者につきましては、例えば失業率で見ますと一般の失業率に比べて高齢者の失業率は非常に高く、あるいは私どもが行政の指標としております求人倍率につきましても、最近は全体が一・一六倍、一人当たり一つ以上の求人があるわけでございますが、高齢者につきましては〇・二四倍、四人に一人の求人という状況でございます。いわば一般的に人手不足の基調の中で、高齢者につきましては先生がおっしゃいますとおり大変なミスマッチがあるというのが現実でございます。  一つには雇用慣行を改めていく必要もあろうかと思いますが、私ども行政の中心といたしましては、まず高齢者に対します職業紹介、相談の機能を充実したり、あるいは特に定年退職されます方の再就職のために安定所の機能の中で高齢者キャリアセンターというものを新たに設置いたしておりますが、この辺の拡充をいたしたり、あるいは高齢者を雇っていただく事業主に対します各種の助成金を拡充する、さらに、これは非常に一般的な話でございますけれども、安定所におきまして求人をいただきます段階に、求人の年齢を一律に五歳上げていただきたいといったような運動を展開しているところでございまして、そういった総合的な対応によりまして何とかミスマッチを解消してまいりたいと考えております。
  113. 吉井光照

    ○吉井委員 今の御答弁によりますと、労働省側としては、例えば今言った職業訓練だとかそういったいろいろな手を打ってはいらっしゃるようですけれども、企業の方に対して何か強い要請なり指導なり、そういったことはされているのですか。
  114. 野寺康幸

    ○野寺説明員 先ほどもちょっと触れさせていただきましたが、一つには、現在高齢法の中で、定年を定める場合には六十歳以上とするという努力義務が事業主に課せられております。これを一つの基盤といたしまして、六十歳未満の定年を有している企業につきましては、計画を出していただきまして、そしてその計画が不十分であれば是正を勧告し、さらにそういったことに従っていただけない場合には企業名を公表するという一種の制裁措置を設けているわけでございますが、この制度によりまして強力に推進しているところでございます。  ただ、そういった面と、六十五歳につきましては法律上の特別な規定がございませんので、この点につきましては先ほど申し上げましたように現在雇用審議会におきまして法的整備という観点から総合的な雇用対策の進め方につきまして御議論いただいているところでございますので、この御結論をいただきまして対処してまいりたいと考えているところでございます。
  115. 吉井光照

    ○吉井委員 では次に、支給年齢引き上げの手順についてお尋ねをしたいのです。  厚生省は、平均寿命の長い先進諸国では年金開始年齢は六十五歳の国が多い、このようにいつも強調をされているわけですが、実はこうした先進諸国ではその前提として、働きたければ年金が出るまで働く環境というものが整備されているのだ、このようにも言われております。また、政府平成元年度予算案で高齢者雇用就業対策推進事業費として十五億七千万、これを計上をいたしまして、この中で長寿社会雇用ビジョンを策定することになっておりますが、現段階では、六十歳代前半層の雇用の有効な具体策が見当たらない以上、六十五歳支給導入は拙速過ぎるのではないか。定年制の延長を含む継続雇用の条件整備、まずこれを明確にしていかなければいけない。公明党が主張しておりますところの部分年金、部分就労、こういった制度の確立は、現在のような非常に多様化しつつある老後生活のニーズに対応し得るものではないかと思うわけですが、こうした手順を一つ一つ踏まえた上で支給開始年齢の論議がなされない限り、年金生活者に死ねと言っているのと同じことで、いつまでたっても公的年金に対する信頼が確立されないのではないか、このように思うわけです。  先ほどからこの問題についても答弁をいただいたわけでございますけれども、ひとつこの点についてももう一度明確な御答弁お願いしたいと思います。
  116. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  年金制度といいますのは、特に雇用者といいましょうか、サラリーマンの方々にとりましては、老後の職を離れたときの生活の保障の基盤になる、こういうことでございますので、雇用というものと密接に連携を持って進めていかなければならぬということは御指摘のとおりだと思っております。  ただ、私どもも決して一方的に財政の論理から申し上げているわけではございませんで、例えば先ほど労働省さんからもお話がございましたように、一つ雇用行政の目標といたしまして、先の目標としては六十五歳までの雇用確保ということが政府の方針として出ているわけでございます。さらに具体的には、先ほど先生が挙げられましたいわゆる福祉ビジョンというものを先ごろ国会に提出さしていただきましたけれども、これは厚生省と労働省でつくったものでございますが、その中でも明確に、六十五歳の雇用の確保ということを目標にし、それと並べまして厚生年金支給開始年齢についても段階的に六十五歳に移行させていくということを御提示しているわけでございます。  そういうことで、私どもとしては雇用というものの将来の伸展を見込みながら、ただ一方で、年金といいますのは四十年先、非常に長いスパンで物を考えなければならぬ制度なものですから、しかも年金制度改正といいますのはそうたびたび、毎年毎年というわけにまいりません。五年に一度というふうな一つの慣行になっておりますし、かつまた支給開始年齢の変更といいますのが、雇用等の関連もさることながら国民生活そのものにもいろいろな意味で影響が出てまいりますので、避けがたいものであるならば、早目早目に一つのスケジュール等を示しながらそういう方向に国民もあるいは企業も、政府ももちろんでございますけれども、一体になって政策を展開するというのがあるべき政策の提示の仕方ではないか、こんなふうに考えまして提示したところでございます。  もちろん、現実問題として雇用状況あるいは雇用見通しなりと全く無関係に一方的にやっていくというつもりはございませんで、先生御存じのとおり、そういった一定のスケジュールを掲げながら、さらに現実にそれを実施に移す場合には、もう一度法律の手続をとった上で実施に移していくという非常に慎重な手続を中に組み込んだ上で法律案を提案しているということを御理解賜りたい、こんなふうに思っております。
  117. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、年金額改定消費税の影響についてお尋ねをいたします。  公的年金平成元年給付額について、物価スライド実施をするが、この四月から導入された消費税によるところの物価上昇分は考慮をされておりませんが、この理由はどうなのか。また、スライド率、これが〇・七%となっておりますが、税率三%のこの消費税が導入されますと、経済企画庁の試算でいくと消費者物価を一・二%押し上げると言われておりますが、そうなりますと実質目減りになるのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  118. 滝実

    滝政府委員 今回御審議お願いいたしております法案におきまして、いわば完全物価スライド制、こういうことを仕組みとしてはお願いをいたす傍ら、当面の問題としてこの四月から〇・七%の改定を行う、こういう措置法案の中でお願いいたしているわけでございます。  ただいまお話のございました消費税の導入に伴う、仮に物価上昇があるということになりますと、この問題は、要するに来年の四月以降の年金額改定に反映されてくる、こういうことになろうかというふうに思っております。
  119. 吉井光照

    ○吉井委員 次は、恩給のスライドについてお尋ねいたします。  恩給費については二・〇二%の引き上げを行う、このようになっておりますが、この二・〇二%は、国家公務員昭和六十三年度ベア二・三五%と物価上昇率〇・七%を総合勘案したものでありますが、それにしても何らかの基準があってしかるべきではないかと思いますが、この点はどうかという問題。  また、第百三回国会での地共済改正案に対する附帯決議で、「今回の改正が行われると、共済年金と恩給との間に大きな相違が生ずるので、恩給制度についても、公約年金制度改正をふまえつつ、検討を加えること。」このように附帯決議があるわけでございますが、この点についてどう検討されたのか。現在恩給の受給者は、平成元年度でも二百四万人と言われておりますから随分いらっしゃいます。これが五年後には百八十一万人、そして十年後には百五十一万人、このように推定をされておるわけでございますが、老後の所得保障という年金の機能面では恩給も公的年金もやはり共通する部分があるわけですから、恩給のスライドのあり方というものについて見直すべきではないか、このように思うわけですが、いかがですか。
  120. 大坪正彦

    ○大坪説明員 お答えいたします。  ただいま確かに先生指摘のとおり、恩給のスライドにつきましては総会勘案方式ということをやっておりまして、それのやり方につきましては、先生お示しのとおり公務員給与の改定率あるいは物価上昇等その辺の情報、諸般の事情というものを総合勘案して定めているところでございまして、過去三年ほどやっておりますが、それの算定方式というものは確かに持ってございません。これは恩給が、いわゆる今の受給者の大半の方、九五%程度の方は旧軍人の方々でございまして、そういう旧軍人の方々と申しますのは、先生御存じのとおり、さきの大戦で文字どおり生命を賭して国に尽くされた方々というようなものでございまして、恩給というのはある意味で国家補償的な性格が強いというようなことも踏まえながら恩給のベアというものを考えざるを得ないわけでございますが、そういう意味におきまして、もろもろの情勢というものをやはり考えた上で決めていく方が今の情勢の中では適切ではないかなということで進めているところでございます。  それから、恩給の見直しにつきましては、実は今総合勘案方式というやり方をしておりますけれども、昭和六十一年までは公務員給与の改定そのものを基礎としてやってきたわけでございます。その当時、昭和五十七年ごろからだったと思いますけれども、臨調あるいは行革審あたりから公的年金とのバランスを考慮した見直しをすべきではないかという指摘が出されたことを受けまして、鋭意検討いたしまして、六十二年度から今の方式に変えたところでございます。そういう意味で、現下の情勢のもとではこの方式によりまして恩給の実質価値の維持を図ることが最も適切ではないかなというふうに考えているところでございます。
  121. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、支給回数の問題についてちょっと触れておきたいと思うのですが、改正案によりますと、年金支給回数を年四回から年六回、二回ふやすことになっておるわけですが、これに伴って共済組合の事務量というものがふえるだけではなくして、共済組合の中には自治体の職員を派遣しているところもある、このようにも聞いておるわけでございます。そういった事務量がふえれば、どうしても人員増にもつながるのではないかということが予想されるのですが、そうしたことについてどういうふうに考えていらっしゃるのか。また、当然経費も、郵送料、そういったものも含めてふえてくるのではないかと思うのですが、この点はいかがですか。
  122. 石田淳

    石田説明員 お答えいたします。  年金支給回数を四回から六回にしますと、回数では五割増しになりますので当然所要経費もかかってまいりますし、事務処理体制も前よりも非常に大変になってまいります。経費の中でちょっと申し上げますと、例えば電算の事務委託経費とかそれから郵送料金、これは通知書なんかの郵送料金、それから送金経費、そのほか四回から六回になったことのPRのための経費、こういうものがかかりまして、ざっと計算してみますと、地方公務員共済組合全体で約五億円ぐらいの増加経費になるのではないか、かように考えております。  この経費につきましては、ある程度節約できるものは節約して、ただ最終的には事務費につきましては地方団体の負担になっておりますので、地方団体で負担してそれを地方交付税で措置するという形になろうかと思います。  それからもう一点の事務処理体制の問題でございますが、確かに委員指摘のとおり、四回から六回になりますと、経費だけではなくて処理体制の方に相当無理がかかってくるのではないかと思いますが、厳しい財政状況の中でございますので、我々も事務処理の機械化等を推進することにより、できますれば現在の人員の中で対応するように考えております。ただ、これは実施しますのは各単位共済組合でございますので、また単位共済組合のそれぞれの実情も踏まえて今後適切に対処してまいりたいと思います。
  123. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは支給可能時期についてちょっと確認をしておきたいのですが、御承知のように年金受給者が約二千五百万、こうした方たちが一刻も早い給付改善の支給を待ち望んでいらっしゃるわけですが、こうした事態に対しまして、社公民三野党が去る十一月二十一日に自民党に対しまして、物価スライド分とそれから財政計算に伴う実質改善分、これを法案本体から切り離して、そしてことし四月にさかのぼって実施する等々の申し入れを行いました。これに対して自民党の回答は、年金給付額の改善はことし四月にさかのぼって実施をするけれども、法案からの分離は考えない、こういうことであったわけですが、この年金審議もいよいよ押し迫ってきたように思います。そこで、一体年金給付額の改善分の支給可能な時期はいつごろになるのか、平成二年の二月ごろとのうわさもあるわけですが、この点をもう一度確認をしておきたいと思います。
  124. 宮島彰

    ○宮島説明員 今先生の御案内もありましたように、当方の社会保険庁の関係だけでも約二千二百万人という非常に膨大な数の受給者の方にお支払い作業を行わなければならないということでございまして、それ相当の作業日数がどうしても必要になるということでございます。現在のところ、元年度内の最後の支払い期でございます平成二年二月には何とか新年金額をお支払いしたいというふうに一応考えておりますが、そのためには十一月末ごろを目途に支払い作業を早めれば、何とか支払いが可能になるのではないかというふうに考えております。
  125. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは次に参ります。  平均給料月額の再評価の問題についてお尋ねをいたしますが、今回厚生年金の標準報酬月額の再評価が行われることに伴って、池共済年金の平均給料月額についても再評価をすることになっているわけですが、再評価の対象期間ごとにおけるところの再評価率はどのような算定方式に基づいて算出をされたのか、お尋ねをいたします。
  126. 滝実

    滝政府委員 基本的には、今回の再評価算定基礎となっております給料につきまして昭和六十三年度の水準を基準にしたいということで算定をいたすわけでございます。したがいまして、時期的には二つグループに分けまして、昭和六十年の十月から六十二年の三月までの部分と六十二年度一年度分の部分、こういう二つグループに分けまして、先の昭和六十年からのグループにつきましては五%の引き上げ、六十二年度の部分につきましては三%の引き上げ、こういうような算定方式を用いて結果的には引き上げるということに相なっているわけでございます。
  127. 吉井光照

    ○吉井委員 いずれにしても、年金額算定基礎として、国家公務員共済年金厚生年金では平均標準報酬月額を、地共済年金では平均給料月額を用いておるわけですが、平成七年の公的年金一元化に向けていわゆる給付面での統一といいますか、これをどのように図っていくのか、この点はいかがですか。
  128. 滝実

    滝政府委員 御指摘のように、地方公務員共済年金につきましては、国家公務員あるいは厚生年金と異なりまして、その基礎になります報酬の押さえ方を諸手当を外しまして給料本体をベースにするという基本的な考え方をとっているわけでございます。この理由は、公務員の場合には職務の性格あるいは責任の度合い等を反映したいわば体系的な給料表というものがほぼ統一的にできている、こういうことでございますので、むしろ給料算定基礎にした方がいいんじゃないだろうかというのが第一点でございます。  それから、二点目の理由としましては、地方公共団体によりまして諸手当が非常にばらばらである、それから業種も多種多様でございますので、同じような仕事をしながら結果的には手当が相当食い違ってくる、そういうようなことではやはり余り公平ではないのではなかろうか、こういう判断に立ちまして、地方公務員共済につきましては標準報酬月額というような諸手当込みのものをベースにせずに本俸だけというようなことで考えております。  ただし、国家公務員あるいは厚生年金に横並びで準拠する必要がございますので、その場合に地方公務員につきましては平均的な諸手当率を現在一・二五というふうに、要するに本俸の二五%というふうに考えているわけでございますけれども、平均的な手当率の一・二五を本俸に掛けまして、いわば標準報酬月額にほぼ匹敵するような数値とする、こういうような算定基礎をとっているものでございます。したがって、現在の方式国家公務員等と均衡がとれているだろうと思っておりますので、年金一元化の支障にはならないものというふうに考えている次第でございます。
  129. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、学校共済警察共済連合会への加入についてお尋ねをしたいと思います。  地方公務員共済組合連合会、これはいわゆる長期給付に係る業務の適正かつ円滑な運営を図る目的として昭和五十九年に設立をされたわけでございますが、今回、公立学校共済組合それから警察共済組合の両共済組合がこの連合会に新たに加入することになっております。この加入についてはもう従来からたびたび問題になってきたところでございますが、なぜ今になって加入されることになったのか、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
  130. 滝実

    滝政府委員 ただいまのお話の問題は、当委員会におきましてもたびたび御意見を承ってまいった問題でございますけれども、従来、学校共済あるいは警察共済組合連合会に一本化できなかったのは、およそ三つばかり理由があろうかと思うのです。やはりそれまでの経緯もあると思うのでございますけれども、一つは、それなりに特定の職域でまとまったグループ共済組合を形づくってきたということがあります。それからそれに加えて、やはりそれぞれがそれ相当の規模の共済組合であったという問題があるわけでございます。それから二番目には、それぞれの共済組合算定してまいりました財源率、一人一人の組合員掛金率がそれなりに違っていたという問題があろうかと思います。それから三番目には、それぞれの共済組合が行っている事業がやはりそれぞれの経緯を持っていた。こういうような三つばかりの理由により従来なかなか大連合できなかったという問題があったと思うのでございます。  しかし、今回、たまたま五年ごとの財源率計算時期でございまして、この時期に合わせて統合した方がこれからの年金の安定ということを考えた場合には好ましいという問題もございまして、この財源率計算の時期に合わせて今回の法案お願いをしているような次第でございます。
  131. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、この加入後の年金財政見通しですが、昭和六十年の制度改革後の連合会の収支見通しによりますと、昭和九十年度、いわゆる平成二十七年度ですか、これまでは単年度の収入が支出を上回っておるわけです。ところが昭和九十年代前半になりますと単年度の支出が今度は収入を上回ることになる見通しでございます。しかし、昭和九十五年度、いわゆる平成三十二年度に想定した財源率引き上げによりましてその収支は安定し、そして昭和百年度、平成三十七年度においては支出約十六兆円の三倍強に当たる約四十九兆円の積立金が保有できる、このように予想をされているわけですが、ここで両共済組合連合会に加入することになった場合、それに伴うところの年金財政の収支見通しというものはどうなっていくのか、この点はいかがですか。
  132. 滝実

    滝政府委員 今回の財源率計算におきましては、この連合会警察共済あるいは学校共済が加入するものとして推計いたしましたところ、前提条件としてはいろいろあるのでございますけれども、少なくとも単年度収支は赤字にならない、あるいは積立金は取り崩すことがないという前提で推計いたしますと、三十年先でございますけれども、平成三十二年に財源計算としては安定をする、そのときの財源率は千分の三百九十、こういう数値になっております。三十年先でございますから今からすると相当先のことでございますけれども、平成三十二年に千分の三百九十で安定時期を迎える。後は財源率引き上げなしにずっと推移するもの、こういう推計でございます。当面今回の引き上げは幾らになるかと申しますと、財源率で千分の三十八、一人一人の組合員掛金率で申しますと千分の十九の引き上げ、こういう前提でございます。これを五年ごとに同じ幅だけ引き上げていって、今申しましたように平成三十二年で千分の三百九十になる、こういう見通しを持っているわけでございます。
  133. 吉井光照

    ○吉井委員 今の御答弁によりますと、長期的には安定の方向のようでございますけれども、平成二年度から実施が予定されております被用者年金制度間の調整特別措置制度、これによりますと、いわゆる地共済は毎年二百七十億を拠出することになっております。両共済組合連合会への加入の本当の目的、これはやはり鉄道共済の救済のためではないか、このようなことも言われておるのですが、その点ひとつはっきりさせてください。
  134. 滝実

    滝政府委員 従来の地方公務員共済組合連合会にいたしましても、学校共済あるいは警察共済にしても、年齢構成にそれぞれのばらつきがございます。それを今度の法案お願いしておりますように大連合に統合された場合には、かなり年齢的には適正規模の配分が出てくる、こういう問題がございまして、少なくとも地方公務員共済組合連合会に結集する共済組合の長期事業につきましては、財政的基盤としては非常に安定的な見通しが得られるというのが今回の連合の主たるねらいでございまして、鉄道共済事業の支援のために大連合にする、こういうことではございません。この問題は五十九年の連合会設置のときからの懸案でございますので、今回の財政計算期に合わせたということでございますので、御了解をいただきたいと思います。
  135. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは共済年金積立金の運用についてお尋ねをいたします。  各共済組合及び連合会共済年金資金状況、これはいわゆる昭和六十三年度末で十九兆九千億、このように聞いておりますが、運用実績全体を見ますと、五十八年度で六・七九%、五十九年度で六・七三%、六十年度で六・七〇%、六十一年度になりますと六・四九%、六十二年度が六・〇一%、このように年々低下傾向にあるわけですが、これは最近の金利水準の低下等による影響もかなりあると思います。また、安全かつ効率的という条件のもとでは、どうしても格別有利な金融商品も少ないわけで有利運用が困難なせいでもある、このようにも聞いておるわけですが、今後どのような手法でもってその資金運用というものを考えていくのか。今後のいろいろの年金の財源、そういったものを考えるときに、当然高齢化社会の進展等を考えてみますと、やはり膨大な資金をどのように運用していくかということが一つの大きな課題であろうと思いますけれども、この点はいかがですか。
  136. 滝実

    滝政府委員 御指摘のように、長期給付積立金の運用の問題は年金制度の問題としては大変重要な問題でございまして、地方公務員共済組合全体で昭和六十三年度の末で約十七兆円の積立金でございます。このうち三分の一が、ほぼ義務的と申しますか地方債とか公営企業金融公庫の引き受けとかそういう地方団体のいわば債券の引き受けということに使われている。それから三分の一は、組合員の住宅貸し付け、そういう組合員のいわば還元事業に回されている。三分の一が、いわば資金運用という格好で自主運用してきているわけでございまして、問題はそこの三分の一の資金運用につきまして、御指摘のように、この運用いかんが共済積立金の運用としては重大な問題になってくるわけでございます。  ただいま数字を御指摘されましたけれども、やはり最近の低金利傾向を受けて運用利子そのものが低下してきているということはそのとおりでございますけれども、私どもとしては、なかなか商品も十分でない中ではございますけれども、できるだけ新しい時代に即した方法を受け入れていく、こういう考え方をとっておりまして、最近におきましては特定金銭信託であるとかあるいは生命保険による運用であるとか、こういうような運用の対象あるいは方法も拡大する、こういうことを検討し、それを進めている状況でございます。
  137. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、生保に運用の道を開いたその理由、それと、いわゆる委託金額についてお尋ねをしておきたいのですが、これまではいわゆる信託銀行、これが運用受託というものを独占しておったわけですが、平成元年度から国家・地方公務員共済組合年金資金の運用受託に生命保険会社が参入することになるわけですが、その理由と、また厚生年金基金はその七割を信託に、そして三割を生保に委託をしておりますが、共済の場合、生保への委託金額はどの程度になるのか、その割合、それがおわかりになればお聞かせを願いたいと思います。
  138. 石田淳

    石田説明員 お答えいたします。  なぜ生保の運用を取り入れたかということでございますが、今、滝部長の方から答弁いたしましたように、共済組合は業務上の余裕金の運用を安全かつ効率的な運用で行うということとされておりまして、このためいろいろな他の有利な商品を我々としては取り入れていくように努力しておるわけでございまして、その一環として生保の運用を取り入れたわけでございます。この運用を取り入れた際には、我々の方も学識経験者による地方公務員共済年金資金運用検討会という会を持ちまして、地方公務員共済組合等の年金資金の運用の一層の効率化を図る方法を提言いただきまして、この提言を踏まえて生保の運用に踏み切ったわけでございます。この生命保険による運用は、正式に言いますと団体生存保険ということになりますが、この団体生存保険は最近のような低金利の情勢の中にあっても安定した高利回りの実績が得られるというメリットがありまして、共済年金資金の運用の対象としてふさわしいものと考えておるわけでございます。この生保に出しておる委託金額は全部で九千百二十四億でございます。
  139. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、分離勘定を導入しない理由ですが、厚生年金国民年金の公的年金積立金の自主運用資金の一部については、各社一律配当ではなくして利回りに差があるところのいわゆる分離勘定を昭和六十三年五月から導入をして、そしてそこに競争原理というものを働かせて高利回りを確保できるようにしておるわけです。しかし、共済積立金についてはこれを見送っているわけですが、これは導入してもいいんじゃないかという気もするのですけれども、いかがですか。
  140. 石田淳

    石田説明員 委員指摘のように、団体生存保険の分離勘定方式につきましては、最近年金福祉事業団でその導入が図られたと聞いております。我々としましても、今おっしゃいました一律の利回りではなくて競争原理の働くいわゆる分離勘定方式の方が有利でございますので、その導入について今後検討してまいる考えでございます。
  141. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは次に、鉄道共済の救済について若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  まず、この救済の基本姿勢ですが、平成二年以降年平均三千億の赤字が予想されるところの鉄道共済年金については、五年間にわたって年金給付それから負担の見直しなど、鉄道共済の自助努力でもって千五百五十億程度の収支を改善させる一方で、厚生年金など他の年金から残り千四百五十億円程度の資金援助を受けることになっておるわけです。政府はこの問題を平成七年度を目途にしたいわゆる公的年金の一元化への地ならしの一環だと位置づけされているわけですが、これは国民の立場からすれば、逆に、本来鉄道共済自身の問題ではないか、こういった素朴な疑問が残ってくるわけでございます。しかし、鉄道共済自身だけではもうどうにもならない段階に来ているという事実、それからまた、鉄道共済も公的年金である以上、いわゆる公的年金の安定性、恒久性という基本原則から、これはつぶすわけにはいかない、何らかの形で救済をしなければならないということでございます。その場合、あくまでも鉄道と長年深くかかわり合ってきた国の責任、そしてJR各社等の自助努力、これを根本にした上で他の年金制度からの支援をいただくということでなければ国民理解も得られないのではないかと思うのですが、大臣、これはいかがですか。     〔委員長退席、金子(一)委員長代理着席〕
  142. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今仰せの御意見、これは一々ごもっともな点が多いのでありますけれども、社会保障というのは、本来全体が、強い者が弱い者を助け合って生きていくという前提に立っておりますから、鉄道共済の場合自助努力が何よりも強く求められるのは当然であり、今いろいろのことが議論されるのも当然なことであります。一方、あの戦後引き揚げてきた職員を全部吸収したとか、いろいろなやむを得ざる歴史もございますので、これはやはりそれぞれがみんなである程度のものを出し合っていく、自治省としてもこれはやむを得ない立場である、こう考えております。
  143. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、清算事業団の負担についてでございますが、鉄道共済年金の自助努力、この柱としての清算事業団の特別負担が約八百億となっておりますが、この八百億とした根拠はどこにあるのか。また、清算事業団はその収入源でありますところの旧国鉄用地の売却が計画どおりに進んでいない状況だけに、五年間で合計四千億の負担というものは可能な線なのかどうか。清算事業団は旧国鉄から六十三年度末現在二十七兆円にも上る長期債務を引き継いでいるわけです。これも最終的には国民負担になるのではないか、このように懸念されるわけですが、この点はどうお考えになっておるのか。  さらに、清算事業団はJR七社の全株式を保有しているわけですが、その売却収入の幾らかについてもこの救済に振り向けたらどうか、このようにも考えるわけですが、運輸省いかがですか。
  144. 丸山博

    ○丸山説明員 お答えいたします。  まず、清算事業団の特別負担の根拠でございますが、今回鉄道共済年金財政上の対応を検討するに当たりまして、まず鉄道共済年金の最大限の自助努力が必要であるということを前提にいたしております。この場合、今回清算事業団に負担させることといたしました部分につきましては、鉄道共済年金の過去の保険料率が十分でなかったことに伴う旧国鉄時代の事業主の負担部分につきましては、事業主の地位を承継いたしました清算事業団に負担させることが適当である、このような考え方から事業団に毎年八百億円ずつ負担させることといたしたものでございます。  また、JRの株式の売却益を事業団の負担をふやす部分に充ててはどうかということでございますが、先生からも先ほど御指摘がございましたように、今年度末には清算事業団の長期債務等は二十七億円を超えるという見込みでございます。清算事業団の二十七億円に上る債務の償還につきましては、JR株式あるいは旧国鉄用地の売却をこれに充てるという考え方でございますが、これらの自主財源を充てましてもなお不足する部分については、最終的には国民負担になるということでございますので、清算事業団に負担を求めるという場合には、先ほど申し上げました清算事業団が負担するについて十分な理由があるものに限るべきである、こういうふうに考えておりまして、ただいま決まっております八百億円という額が清算事業団が負担できる限度ではないかというふうに考えております。
  145. 吉井光照

    ○吉井委員 今二十七億とおっしゃったのは二十七兆円じゃないですか。
  146. 丸山博

    ○丸山説明員 失礼しました。二十七兆円でございます。
  147. 吉井光照

    ○吉井委員 ところで、もう一方のJRの負担ですが、JRグループ七社の平成元年三月期決算は、一部の社を除きまして二年連続して増収、大幅収益の好決算になっておるわけですが、この鉄道共済年金へのJR負担二百億はもう少しふやせませんか。
  148. 丸山博

    ○丸山説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘ございましたように、三島を除きますJR各社につきましては、幸いなことに収益が上がっておるわけでございます。しかしながら、JR各社が負担いたします二百億の負担というものを考えてみますと、事業主の負担といたしましては、厚生年金を適用されます民間会社の負担率の一・七倍にも上る負担ということになりまして、これ自体極めて重い負担であるというふうに考えております。また、JR各社、確かに営業収益は好調なわけでございますけれども、旧国鉄から引き継ぎました債務等がございまして、これの償還に向けまして健全経営の確立ということにつきまして一層の努力が必要でございます。それから先ほども申し上げましたが、JR株につきましては、清算事業団の債務償還のためにその効果的かつ早期な売却というものが期待されておりまして、このための条件整備を図る必要もございます。  以上の二点から考えまして、JRの負担につきましては、今回お願いしております二百億が限度ではないかというふうに考えております。
  149. 吉井光照

    ○吉井委員 では、地共済負担とこの五年間の見通しなんですが、今回の財政調整によりまして地共済は年間二百七十億、これを拠出することになっているわけです。この二百七十億という拠出の算定根拠はどこにあるのか、何になるのか。また、地方公務員共済組合審議会の答申によりますと、国鉄を救済するための統合は反対である、このようになっておりますが、これとの整合性ですか、これはどのように対処をするのか。さらに、今回の財政調整措置は、いわば公的年金一元化までの暫定措置にすぎず、その間鉄道共済の赤字も年間三百億を上回る、こういったことも言われておるわけですが、そうした場合、政府はどのように対処をされていくのか。そういった意味からいきましても、やはりこの一元化の全体像というものは、難しいかもしれないけれどもある程度明確にしておく必要があるのではないか、このように思うわけですが、この点について御答弁をいただきたいと思います。     〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 滝実

    滝政府委員 まず第一点の二百七十億円の根拠でございます。  これは五年間の平均的な数字でございまして、年度によって多少違ってくるわけでございます。基本的な出発点は、各年金共済のいわばトータルとしての標準報酬、これをベースにしてはじくのが最も公正だろうということで出発いたしたのでございますけれども、これでやりますと、各組合それぞれ報酬の格差がございます、あるいは年齢の格差がある。こういうようなことでございまして、それでいきますと地方公務員共済の場合には、標準報酬で一律に機械的に算定しますと大変大きな額になるものでございますから、そこで各組合負担できる範囲内ということで、最初の標準報酬準拠方式を相当修正いたしまして割り落としをした結果が地方公務員共済の二百七十億、こういうことでございます。これは当初の算定にいたしますとかなりそのこと自体は低いのでございますけれども、全体を見ますと、今御指摘のように全体で各組合とも大体千分の二ぐらいをターゲットにして落ちついた、こういうところでございます。  それから、この二百七十億の五年以後の問題でございますけれども、私どもとしてはこれは当然一元化へ移行するまでの暫定措置というふうに考えておりますので、少なくともそれ以降のことはこの問題としては私どもは現段階では考えてないというのが実情でございます。
  151. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは、時間が参りましたので、この辺で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  152. 小澤潔

    小澤委員長 岡田正勝君。
  153. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 まず大臣、ちょっとこっちを見てください。打ち合わせもあるでしょうが、まあ見てくださいよ。これこのとおり、これだけ質問を用意いたしておりましても、これは全部役に立たないのです。みんな済んじゃった。もう言うことがないのです。無理やりにこれから質問しますので、大臣もおつき合いを願いたいと思うのです。  まず第一番に、総務庁の方にお尋ねをいたしますが、この地方公務員共済とは直接の関係はございませんが、比較の問題として、恩給のアップ率は二・〇二%、それを除く一般の分は〇・七%という差があるのであります。これは一体どういうわけでそんな差がつくのでありますか。
  154. 大坪正彦

    ○大坪説明員 お答えいたします。  先生の今のお話は、公的年金の方が〇・七%のアップにもかかわらず恩給の方は二・〇二%のアップで差があるというようなお話というふうに聞いておるわけでございますが、恩給のスライド、ベアにつきましては、ある意味で恩給のいわゆる国家補償的な性格というような特殊な性格がございますので、公的年金とはベアの方式が今違ってございます。  恩給と申しますのは、今恩給受給者二百四万人ほどおられますけれども、その大半は旧軍人の方々でございまして、さきの大戦で大変御苦労をされた方々でございます。現在恩給はそういう方々にとりましてはある意味で心のよりどころにもなっているというような、恩給はいわば国家補償的な性格を色濃くしているというものでございます。  このような性格を持ちます恩給の実質的な価値を維持するためのベアにつきましては、そのときどきの社会経済情勢等を勘案して最も適切と考えられる方式で今までやってきているわけでございまして、昭和六十一年度までは公務員給与の改定基礎としてきたところでございます。一方、昭和五十七年ごろから臨調、行革審あるいは当委員会におきます附帯決議というようなところから公的年金とのバランスを考慮した見直しをしろというような指摘を受けまして、検討しました結果、昭和六十二年度から、そういう恩給の国家補償的な性格というものを踏まえながら、公務員給与の改定率あるいは消費者物価の動向といったような諸般の情勢を総合的に勘案しながらベアの率を決めてきているというような考え方でやっておるものでございます。
  155. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。  さて、そこで大臣、今旧軍人のお話が出たのですが、大臣は戦争に行かれた御経験がございますか。
  156. 渡部恒三

    渡部国務大臣 大変残念ですけれども、中学一年で終戦を迎えましたので、ございません。
  157. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣は会津武士の流れと聞いていますので、さぞかし戦争に行かれたのじゃないかな、余りにも貫禄があり過ぎるからか、戦争の御経験があるものだと私は思い込んでおりました。考えてみますと、中学一年といえば昭和七年生まれでございますね。戦争に行かなくて本当によかったですね。  なぜ私がそんなことを問うかといいますと、実は戦争に行かれた方々の中で既に一昨年に八十歳でお亡くなりになった人があります。戦地に行っておりますと戦地加算というのをしてもらえますね。そういう戦地加算をしてもらってその合計の年数が十一年十一カ月十五日というので、恩給受給資格者になる十二年に十五日足らぬわけですよ。そのために軍人恩給欠格者になっちゃったわけですね。そのままその願いは届かず、ついに冥途へ旅立たれました。非常に残念がっておられたのであります。  そこで私は思うのですが、軍人恩給欠格者というのが今全国で二百七十万人とも三百万人とも言われているのですよ。この人たち気持ちをおもんぱかってみますと、私も戦争で北支に行っておりましたが、戦車隊の隊長として随分戦死率の高い部隊におったわけであります。辛うじて生き残って帰ってきたわけでございますが、戦争に行かれた人たちの辛酸というものは大変なものでして、なぜ軍人恩給の期間が十二年なのか、十二年に一日足らぬでも十五日足らぬでもこれはアウトというのは余りにも機械的過ぎやしないかな、無残な話だなと私は思うのですよ。  それで、だれが十二年という期間を定めたのか。今審議課長にお尋ねしてもそれはちょっと無理なのかもわかりませんが、後学のために、だれがそんな十二年なんというべらぼうな年数をその基準に置いたのか、ちょっと教えてもらえますか。
  158. 大坪正彦

    ○大坪説明員 お答えいたします。  今確かに恩給の資格年限は、兵、下士官の方は十二年、准士官以上の方は十三年というふうになってございます。これは沿革的に申しますと、恩給制度というのは明治八年からスタートしているものでございます。それでその当時は、陸軍はフランスの恩給制度、海軍はイギリスの恩給制度というものを参考にしてそれぞれ年限を決めてありました。その後、それぞれの恩給制度が明治十六年にはっきり制度化したわけでございますが、そのときに十一年という年限が決められました。このときはドイツが十年でございましたので、どうもドイツの例をも参照しながら決めたような記録がございます。  そういうことで明治十六年から十一年というふうにきまして、大正十二年に今の恩給法ができているわけでございますが、その恩給法でもその十一年というものを引きずって決めてございます。その後、昭和八年に、財政事情が厳しいというようなことから支給年限のことが議論されまして、支給年限を引き上げようということになりまして、兵につきましては一年、准士官以上につきましては二年を引き上げるということで今の年数になっているということでございます。これは何で十二年なり十三年になっているかというふうな理由を聞かれますと、そういう沿革のものであるというふうに言わざるを得ないのじゃないかと思っております。
  159. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 さすが審議課長ですな。質問通告をしていなかったのだけれども、すらすらっと回答が出ますな。実に見事なものです。  だがしかし、今説明がありましたように、政府において財政的に苦しいとかなんとかいういろいろな理由によって、十一年であったものが、兵隊さんは十二年、准士官以上は十三年に引き上げた過去の実例がある。こういうことでありますから、この年限は動かそうと思えば動かすことは可能だったはずです。それが大東亜戦争が終了して以来ずっと十二年で抑えつけられてしまった。そこで私が非常に矛盾を感じますのは、こういうところにも官民格差ということが言われているのです。十二年に十五日足らぬでも、民間の人だったらゼロになってしまうわけです。ところが、それに十五日足して十二年に足が届いた人は恩給受給資格者になるわけです。これは民間人にとりましては天国と地獄ほどの差があるのです。厚生年金に全然加算してくれませんから、通算してくれませんので。ところが、公務員の人でありますと、例えば十二年というのに十一年であっても、それはゼロになるかといったら、そうではなくて共済制度の中へ通算して加算されていくわけです。随分大きな違いが出てまいります。こういう点が私は非常に気の毒だ。  一説によりますと、それはあなたしようがないじゃないか、厚生年金掛金を掛けてないのだから、それを加算せいという方が無理よ。これも一つの理屈です。ああそうか。それでは共済年金の方も掛金は掛けてなかったのかといったら、これも恩給の時代ですよ、掛金は掛けていないのです。民間と同じように、本人は掛金は掛けていないのです。それがどうして通算されるのかといったら、恩給の関係の人については国が全部掛金を出しておったのです。本人の負担はゼロであった。本人は負担した覚えはないのに通算されている、加算されている。なぜだろうかと思ったら、国がちゃんとやってくれているわけです。民間だけが、厚生年金掛金を掛けていないから厚生年金には含められないというのでゼロになってしまう。これも天国と地獄の差が出てくるわけです。私はこういう点、非常に気の毒にたえないのです。  大臣政府の高官ということは抜きにしまして、会津武士の会津魂として、日本人として考えてみて、こんなことは不合理ではないかと私は思うのですが、いや合理的ですよ、よくできていますよと大臣は思われますか。
  160. 渡部恒三

    渡部国務大臣 私も旧軍人軍属恩給欠格者連盟の一員に加わっておりましたけれども、岡田先生のおっしゃるとおり、お一人お一人の話を聞きますと、極端な例では引き揚げ船が敦賀に入れなくて新潟港に入ったのはもらったんだけれども、敦賀に入ってしまったのは日にちが違ってもらえなかったとか、境目というものの矛盾をしみじみと感じます。  しかし、いずれにしてもこの境界線は、一年延ばしても二年延ばしても境界線はあるのですね。私の県で一番離れている只見町というところがあるのですが、いつも私のところに、福島県で粗末にするなら新潟県へ行くぞと言うのですが、新潟へ行ってもやはり一番外れになるわけです。ですから、御承知のように非常に境界の問題は難しいと思うのです。しかし、赤紙一枚で妻と別れ、子供と別れ、あの戦いに国を守るために頑張った人を放置しておくわけにはまいらないだろうということで、数年前から基金をつくり、感謝状を差し上げる、銀杯を差し上げる、せめても感謝の気持ちを差し上げようと今やっておるところでございます。全く気持ちは岡田先生と同感です。
  161. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。本当に気持ちのいい大臣のお気持ちをお聞かせいただきまして、私も感激しております。  ただ、おさまらないのは、二百七十万とも言われ、あるいは三百万とも言われる恩欠者の方々気持ちであります。私自身も召集された男でございますから、私は幸いにいたしまして将校でございましたが、終戦の間近になってまいりますと、日本の内地から送られてくる補充兵の皆さんというのは四十歳ですよ。二十二、三歳の若い張り切った将校の私らから見ますと、それは全く、何かしらんおじいさんの群れがやってきたという感じがしました。おじいさんが軍服着てきたなという感じがしましたよ。水筒なんかも、竹を節から節まで切りまして、上に竹の栓をはめて、布のバンドで肩へかけてくるというような状態で、ごんぼう剣すらない、鉄砲はもちろん持っていない、水筒一個で来るんですね。それで、来たら最後、直ちにその日の晩から敵の夜襲を受けるわけですね。それで、運のあった人は生きて帰りました、あるいはけがをして帰りました。だが、運のない人はもうころっころっ、実戦の経験がないのですから、とにかくピューンと高いところを飛んでおる弾の音を聞いても地べたへはいつくばって、泥を口の中へ入れてしまうくらいの恐怖感に震えておったのが実情なんですよ。  だから、人間といたしまして、家庭を捨て妻や子供を捨てて、本当に生き別れになって戦地に出向いてきた人たちに対して、少なくとも、戦時加算四倍ですから三年以上行っておらなければ十二年にならぬわけですね。人の命の重さというものを私は、これはどこかで線を引かなければいかぬことはわかりますけれども、しかし余りにも機械的過ぎる。三、四、十二で十二年間、それが十五日でも足らなかったらおしまい、ゼロ。片方はごぼっともらえる、まあごぼっとでもないけれども、ある程度まあまあという金額をもらえる。私はこれはひどいと思うんですよ。  やはり激変緩和、このごろの時代になってはやってきた言葉ですが、激変緩和といいますが、命をささげて戦地に行った、国のため、お国の都合で命をささげたというその期間については、私は、切り捨ては絶対に相ならぬ。たとえ一カ月であろうが、それが一掛ける四で四カ月に換算されようが、とにかく四カ月であろうが一カ月であろうが、私は、切り捨てるということは許されることではない、国の責任として。それは金目にしたらわずかなものかわかりませんよ。あるいは百円か百五十円になるかもしれませんが、いずれにしましてもそうやって赤紙一枚で戦地へ出向いた、命をささげたというような人に対しては、これは相当家庭的な犠牲も払っているわけですから、命長らえて帰ったといえども、一カ月は一カ月、二カ月は二カ月、その月数、年数に応じて些少なりとも国が御苦労さんでした、お疲れでしたという気持ちをあらわしてやるのが本当である。十二年にちょっとでも足りなかったらゼロというやり方は、私は、同じ軍人として我慢できない。そういう気持ちを私は常に抱いておるのですが、この不満に対して、大臣、どう思われますか。
  162. 渡部恒三

    渡部国務大臣 今自民党席の方からも、いい意見だ、こう言って同感の意があらわされておりましたけれども、気持ちの上では私も岡田委員の御指摘と全く同じ気持ちであります。ただ、現実に今総務庁からも説明があったように、随分といろいろ、六、七年この問題を議論しておるわけでありますけれども、佐藤内閣の時代、沖縄返還で、これで戦争が終わった、それで戦後問題は終わったという議論、また、この問題を予算面で取り上げた場合、戦争中東京はB29で空襲されて爆破されて死んだ人もいるんだ、そういう方はどうなる、いろいろ議論の中で行ったり来たりがありまして、せめても今岡田先生の言われた気持ち、これを銀杯あるいは感謝状、そういう形でとにかくあらわさなければ、赤紙一枚で戦いに行った方に相済まぬではないか。いずれにしても、このままでいいというふうには考えておりません。
  163. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 拍手、一人だけかな。これはもう本当に思わず知らず拍手をいたしました。立派なものです。昨年の内閣委員会の結論におきましても、附帯決議で本件については十分検討を重ねようではないかということが決議をされておりますので、ぜひともひとつ大臣もお力添えをいただきますように、心からお願いをいたします。  今大臣のお言葉の中に、B29の爆撃等で亡くなられた方も随分ある、非常にお気の毒であるというようなお話も出ましたが、まさにそのとおりでありまして、戦争に行ってなくても内地において戦争の犠牲になって亡くなった人というのはたくさんあるわけです。この人なんかだって、それでは、ああ気の毒でしたね、これはやむを得ませんね、戦争なんですからそれであきらめてくださいというので今まで済んでおりますが、今の昭和の御代というのはありがたい御時世でして——ありがたいというかそれが当然でしょうが、道を歩いている、そうするとある精神異常者が来る、その人にいきなりすれ違いざまずぶっとやられる、それで死ぬる、あるいはけがをする、そういう人に対してはちゃんと今国が補償するようになっています。国が補償するように法律ができましたでしょう。これはこの地方行政委員会で成立した法律なんですが、今それが脈々と生きて、もう既に五年ぐらい続いておると思います。  そういう時代ですから、今、日本は豊かになったのですから、もう一遍ここで思い直して、戦争というものが二度とあってはいけないぞ、戦争をやったらこれだけ大きなお金が要るんだ、後のしりぬぐいが要るんだということを国民全部が体でもって体験するぐらいに、私は、国がこういう経済が非常に好調なときにこそやはり考えてやらなければならぬことではないかなと思っております。どうぞお力添えをよろしくお願いいたします。  さて、落ち穂拾いでどれが残っておるのかよくわかりませんが、拾い拾い質問を重ねてまいりたいと思います。  厚生省いらっしゃいますか。私が聞き違えかわかりませんが、今度の厚生年金改正につきましては、支給年齢六十歳を六十五歳とするというのが法案にたしか書かれてあったと思う。それは削除されたのでしょうか、削除されないまま今社労の委員会審議されておるのでしょうか。教えてください。
  164. 松本省藏

    ○松本説明員 お答えを申し上げます。  厚生年金保険法の改正の内容で、政府提案でございますけれども、平成十年度から現行の支給開始年齢を六十一歳に引き上げ、以降三年ごとに一歳ずつ引き上げ平成二十二年度に六十五歳に引き上げていく。これは男子の場合でございまして、女子の場合にはその五年おくれということになりますが、そういう厚生年金引き上げのスケジュールというものを明示するという内容の改正法案政府として提出させていただきました。これは、ことしの春の通常国会に出させていただいたわけでございますが、以後継続審議の扱いをしていただきまして、現在、衆議院社会労働委員会でその法案につきまして御審議をいただいているところでございまして、現時点では政府原案のままの形で御審議が行われていると承知しております。
  165. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 はい、わかりました。  これは政治決着を待つのでありましょうが、そうすると、法案には残っている。六十歳から六十五歳に年齢引き上げる、それは残っておるということを前提にいたしますると、地方公務員共済では六十五歳というのが出ていないのですよ。六十歳のままですよ。そうすると、依然として官民格差というのはここに残ってしまいます、これは新しい官民格差。いわゆる官民格差をなくしなさい、なくしなさいと言いながら、今度の法律によってやはり新たに官民格差を設けるということになってしまうのでありますが、そのことについてどういうふうに説明をなさいますか。
  166. 滝実

    滝政府委員 おっしゃいますように、ただいま御審議を願っております法案につきましては、六十五歳問題というのは入っていないわけでございますけれども、私どもとしては、この六十五歳問題というのは避けて通れない問題である、こういう考え方に立っておりまして、本年三月の閣議決定におきましてもそのような方向づけがされているわけでございます。したがって、ただいまの御指摘では、新たな官民格差ではないか、こういうふうな御意見でございますけれども、私どもとしては、この問題は地方公務員共済年金におきましては全く無縁だというわけではございません。ただ、条例上六十歳という定年制の明記があるものですから、その問題との整合性検討する必要があるというような立場から、現在専ら、定年制の問題をどう扱うか、それから雇用問題をどうするか、こういうような観点から検討を進めているわけでございまして、この六十五歳問題を避けているというわけではないと考えております。
  167. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、これはお答えするかせぬかは御自由にしてください。  私、非常に不思議に思いますのは、これほど国を挙げて官民格差をなくしなさい、官民格差をなくしなさいと言われて大合唱が起きておるさなかに、今お答えがありましたように三月の閣議決定において方向づけをされました。しかしながら、六十歳定年制との整合性関係もございまして鋭意検討中でございますということで、六十歳というのは動いてないのですよ。地方公務員共済は六十歳は動いていない。動いていないのに、民間厚生年金の方は六十歳から六十五歳。これは民間においても定年制というのはあるのです。それは各社ばらばらでございますけれども、今平均したらおよそ五十七歳ぐらいにいっているんじゃないかと思いますけれども、六十歳にはまだまだはるか遠いのであります。そういう状態のときに、定年制が六十にまでいくのでもまだなかなか大変な民間の状態であるのに、いきなり六十五歳というのは、財政的な関係はよくわかりますが、民間の方だけを六十五歳にして公務員の方は六十歳に据え置くというその神経が、大変失礼なんですけれども私実はわからぬのですよ。ちょっとわかるように言ってくれませんかね。
  168. 渡部恒三

    渡部国務大臣 岡田先生の御質問国民気持ちを素朴に代表して御発言をいただいたものとして、政治に携わる者はもとより、行政に携わる諸君も十分に心していただきたいことだと思います。  今公務員部長からも答弁ありましたとおり、基本的には六十五歳は避けて通れないという前提でこの法律が出ておるわけであります。これは私の持論ですけれども、人生五十年から八十年、やがては八十五年と、すばらしい長寿社会を迎えるわけですから、岡田先生のお年、私申し上げませんけれども、六十五歳ぐらいになっておられるんじゃないかと思いますが、昨年のあの売上税国会で牛歩戦術を指揮監督しておったときのあの勇壮はつらつたる元気な姿を拝見すれば、今すぐ警察消防の前線で働いても十分にあと十年ぐらい働ける御健康なんで、ましてや、これは国民の間に非常に誤解があるのは、何かあしたにでも六十から六十五になると思い込んでいる人がいっぱいおるわけですが、これは平成十年から始まって十二年かかってなることでありますし、もう当然そうなるべきである。したがって、きょう出しておる法律の条文に六十歳と書き込まれておるということであっても、いずれこれは国民全体が、官民格差というようなことでなくて、六十五歳になるときは当然公務員も六十五歳になるべきであろう、ただ、今定年制が六十歳であるというところで、雇用問題との整合性の中で六十歳と法律は書いてある、これが役所だな、こう感じたところでございます。
  169. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣は大変明快な答弁をしていただきまして、本当にわかりやすくてありがたいと思います。今法律には片や六十五歳、片や六十歳と書いてあるけれども、これは平成二十二年度達成の目標であって、このままで放置できるものではない、やがて民間が六十五歳に到達するときには公務員の方も六十五歳と足並みをそろえなければ許されないだろうというお気持ちお話しになりました。私は、担当大臣として非常に立派な御決意であろうと思います。  ただ、大臣を補佐する立場にあります公務員部長、あなたはどう思いますか。そんなこと言ったってそれはむちゃや、こう思っておりますか。
  170. 滝実

    滝政府委員 ただいまの大臣の御答弁のとおりでございます。もともとこの問題は、ただいま申しましたように閣議決定によりましてそういう方向づけがされている、こういうふうに私どもは理解をしているわけでございまして、避けて通れないということは当然前提といたしているわけでございます。
  171. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、次に予定しておりました雇用確保の問題等について少し意地の悪い質問をしようと思いましたが、余りにも回答が立派でしたから、もうやめることにします。  それでは次に、非常に易しい問題でありますが、地方公務員共済掛金率支給開始年齢年金財政、こういう問題について今後の見通しを示していただけるとありがたいなあと思っておりますが、いかがでありますか。
  172. 滝実

    滝政府委員 地方公務員共済組合連合会の現在の掛金率、これは千分の六十九でございます。あと、学校共済警察共済は、現在の段階ではそれよりもやや高いところに掛金率が定まっているわけでありますけれども、この十二月から新しく算定いたします財源率は、地方公務員共済組合すべての組合につきまして統一の財源率とさせていただく、こういうことで現在既にお決めをいただいているわけでございます。お決めいただいているというよりも、共済組合連合会運営審議会で御決定をいただいている段階でございますけれども、そういう状況でございます。それは現在の千分の六十九をベースにいたしますと、掛金率にいたしまして千分の十九だけ上げるわけですね。したがって、十二月からは千分の八十八というのが組合員一人一人の掛金率、こういうことになるわけでございます。  これで、掛金率はそうなんでございますけれども、掛金率地方団体の負担する分、これを合わせますと、千分の百七十七というのが新しい率でございます。以後五年ごとに全体の財源率で千分の三十八ずつ引き上げていく、こういう問題が推計上出てくるわけでございますけれども、これでいきますと、平成三十二年に、あと三十年後に千分の三百九十。千分の三百九十というのは三十年後の推計数字でございます。今のところ新しい財源率ではじきまして将来を見通すと、そういう数字になっているわけでございます。
  173. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。  それからこれは、ちょっと問題が違うかもわかりませんが、地方公務員の定数削減問題は、これは今のところ各地方自治体でやっておりますことは、新規採用を抑制するという方向がほとんどでありますけれども、これが今度は年金財政へ逆にどういう影響を与えるようになるのか、具体的な推計か何か持っておいでになりますか。
  174. 滝実

    滝政府委員 今回財源率を算出する場合に、今申しましたように将来見通し算定しているのでございますけれども、これは現在の人員ではじいているわけでございまして、将来職員数が減るということを前提にいたしておりません。将来の職員数の増減、ふえる場合あるいは減る場合、こういうものは加味してないわけでございます。ただ、前回の財源率算定した場合の組合員数と今回の組合員数を比較しますと、若干の減少した数字になっておりまして、その減少した数字でもって今回の財源率を推計している、こういうことでございます。
  175. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それから今鉄道共済への拠出金の問題がありますが、これは既に御質問がありましたからやめますが、今度連合会の中にお入りになる公立学校共済ですね。それから警察共済、これと地方公務員共済、これは掛金率なんかでそれぞれ格差がありますでしょう。それの統合といいますか、将来の見通しといいますか、これはどういうふうになるのでございますか。
  176. 滝実

    滝政府委員 今回の財源率につきましては、十二月から掛金率で千分の八十八、こういう数字になるのでございますけれども、これは学校共済警察共済も全部統合いたしまして、同じ率で算定をする。したがって、今までは連合会に加盟の組合員学校共済警察共済、いわば一般組合員についてはそれぞれ三種類の率があったのでございますけれども、この十二月からは地方公務員共済組合学校共済だろうと警察共済であろうとすべて同じ千分の八十八で算定をする、こういうことにいたしておるわけでございます。
  177. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 警察共済は、資格年限といいますか、これは何年に現在なっておるんですか。
  178. 滝実

    滝政府委員 資格年限は、もちろん二十五年以上勤務でございますけれども、年金支給開始年齢で申しますと、現在警察共済は五十六歳だったと思うのでございます。五十六歳のはずでございます。
  179. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、専門用語がまずいかもわかりませんが、年金を受給する資格を得るその年数というものは、大体国民年金が二十五年、共済も二十年、それから厚生年金も二十年以上というふうにたしかなっているんじゃないかと思うのですが、私の思い違いでしょうか。
  180. 滝実

    滝政府委員 共済組合全部二十五年でございます。
  181. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、再度確認しますが、警察官の人も二十五年以上ですか。国民年金と同じ年数ですか、全部。
  182. 滝実

    滝政府委員 資格が出てまいりますのは二十五年で、同じでございます。ただ、現在差がございますのは、年金支給開始年齢、これが警察官の場合には一般の公務員よりも年齢が低い、こういう状況でございます。その差があるわけであります。
  183. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、大臣、こういうところが画一的な気がするのですよ。なぜかといいますと、これは古い資料ですけれども、古い資料といっても恩給法のときの資料ですが、最短恩給年限、いわゆる何年勤めたら資格ができるかですが、文官、教育職員、待遇職員については十七年、それから警察監獄職員十二年、旧軍人のうち兵、下士官については十二年、准士官以上十三年という定めが恩給法のときにあるわけです。それから比べてみますと、世間ではいろいろ、警察も生身の人間ですからチョンボもありますよ、チョンボもあるけれども、しかし本当に命をさらして勤務しているわけでしょう。昼も夜もないわけでしょう。それで、おれはもうきょうはやめたとか、ストライキをするわけにもいきません、サボタージュもできませんね。そういう本当に命をかけて働いておる職場におる警察官の諸君も二十五年勤めなければその資格ができぬというのは、これはひどいなあ、そんなことをやっているのかなと私は信じられないのですよ。一般の公務員の人が二十五年なら警察職員の諸君は最低でも二十年、私の気持ちからいったら十二年ぐらいにしてあげるべきではないのかなというふうに思うのでありますが、これは先に部長さんの方から聞いて、国家公安委員長としてどう思われますか。
  184. 滝実

    滝政府委員 もともと警察官の場合でも、やはりある程度の年限を勤務するという前提があるわけでございまして、そういう意味では二十五年という資格年限はそのこと自体いかがだろうか、こう思うのでございます。もちろん十年でおやめになって、あと例えば厚生年金を十五年おやりになるということであれば通算されますので、その場合には警察官十年であっても当然二十五年という格好で通算されますから、全体としては年金の資格を得ることができるわけでございます。だから警察官としてだけで勤務をするということであれば二十五年を要する、こういう問題だろうと思うのです。ですから、例えば警察官を十年、地方公務員を五年やりますとこれで十五年ですから、あと民間企業へ行って十年ばかり厚生年金の資格年限を済まされれば、当然それも通算されまして全体としては老齢年金の有資格者になる、こういう問題でございますので、警察官の場合には二十五年勤め上げなければならぬという問題では必ずしもないわけですね。警察官だけで年金の資格を得るとすれば二十五年は普通のみんなと同じように要りますよというふうに私どもは考えておりますので、そこに差をつけるというか、そういうことによる現状における支障はそう生じないのではなかろうかという理解をしているのでございます。ここら辺のところは、私どももう少し確かめてみますけれども、今のところはそういう意味での支障といいますか、そういうことには必ずしもなっていないのではなかろうかと思っておるのでございますけれども。
  185. 松本省藏

    ○松本説明員 ちょっと補足をしてお答えをさせていただきたいと思います。  前回の六十年に公的年金制度の大改正が行われたわけでございまして、それ以前とそれ以降とでちょっと基本的な考え方が変わっているのでございます。恐らく先生が御指摘お話というのは六十年改正以前、すなわち六十一年三月以前の状態、この場合には公的年金制度といいますのがそれぞれ独立した体系と地位を持っておりました。したがいまして、厚生省、私どもですと例えば厚生年金保険制度というのを持っておりまして、これは受給資格期間は二十年、それから恐らく各共済につきましては同じようにまた二十年ということで、それぞれの制度としての受給資格を得ていたわけでございます。そのときは、自営業者の方々だけを対象とした国民年金制度というのがございまして、これは二十五年で資格を得るということで、それぞれ制度ごとに独立した体系で、完結して独立した受給期間を設けていたということなんでございます。  それで、六十年の大改正で全国民共通の基礎年金制度というのを導入いたしまして、いわゆる一階部分については押しなべて基礎年金制度に入っていただく、これは基本的には二十歳から六十歳までの四十年間加入していただく、そのうちで二十五年間入っていただきますと基礎年金の受給資格を得るという形になっておりまして、これが公的年金の受給資格の基本になったわけでございます。したがいまして、二十五年間基礎年金に入っていただきますと、いわゆる一階部分の基礎年金の受給資格が発生いたしまして、あとは私どもの厚生年金にいたしましても、各種の共済年金にいたしましても、その基礎年金の二階部分の制度でございますから、昔風の受給資格期間というのはなくなったというふうに御理解いただきまして、例えば厚生年金ですと、どこかの会社に一年入っていたとしますとその一年分がきちっと出る。それから共済も同様だと思います。要するに、一年だろうが五年だろうが十年だろうが、一階部分の基礎年金の受給資格期間の二十五年が満たされますと、二階部分についてはいかに短期間でも全部保障される、こういう仕掛けに変わったわけでございます。
  186. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間を超過いたしまして恐縮でありました。  最後に、大臣要望しておくのでありますが、これは御研究いただきたいと思いますけれども、今や公的年金の統一という風潮は波のように押し寄せているわけですね。これを私は否定するものではありません。だが、同じ職業の中でも、例えば私どもが知っておる職業の中でも、警察官のような非常に危険な職務に従事しておる人、あるいは麻薬Gメンのような人、こういうような人たちなんかは、これはもう本当に命をすり減らすような仕事をしておる職場の人なんですから、公的な統一の年金の中に入ることは結構でありますけれども、そういう人たちに対しては、やはりその職場ごとに立場を理解した措置というものが何かできないものか。そういうものがないと、文句はどこからも出ておりませんということでありますが、それは文句は言うてないでしょうよ。そういうとうとい仕事に携わっておる人が、おれも一公務員だ、そんなごちゃごちゃ言うべきじゃないと、みんな自分の理性で抑えていらっしゃると思うのです。そういうものを、ああ文句が出ないからいいわいというので見過ごすのではなくて、見落としはないかなということをもう一遍よく御検討いただいて、将来の検討問題にしていただきたい。そのことを希望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  187. 小澤潔

    小澤委員長 寺前巖君。
  188. 寺前巖

    ○寺前委員 ただいま議題になっております地方公務員共済組合改正案、今回の改正は、五年に一度の財源率の再計算の時期であることもあり、また前回をベースにして物価上昇率〇・七%年金額引き上げるとともに、年金額算定基礎となる平均の給料を再評価する、こういうことで八六年度より五%を引き上げる、こういうことが主たる内容であろうかと思います。  そこで、いろいろ皆さんからも質問がございましたので、ダブるようなことはやめたいと思いますが、まず今回の年金改正の中で、新しい問題として消費税の影響という問題がいや応なしにかかってきていると私は思うのです。  なぜこれを言うかといいますと、もちろん消費税そのものについて、これは公約違反だとかあるいは庶民泣かせだ、いろいろの論がありますが、この論はさておいて、現実的には四月から実施されてきている。これは三%の影響というものが年金生活者に対してどのような影響を与えているんだろうか、そのことを考慮するような改正はやる必要ないのか。この問題について、まず基本的に大臣はどういうふうにとらえておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  189. 滝実

    滝政府委員 年金物価上昇の問題のお尋ねでございます。  今回の改正では、消資者物価上昇率を基準といたしまして、ことしの四月から〇・七%のアップをするという改定お願いをいたしているわけでございます。もう一方では、条文の整理をいたしまして、完全物価スライド制というものを導入いたしまして、これによりまして、毎年特段の改正がなくても自動的に消費者物価上昇に合わせまして年金改定をする、こういう措置もあわせて行っているわけでございますから、基本的には、ことしの消費税の導入によりまして消費者物価上昇いたしましたとすれば、それは来年の春からの改定に当然反映されてくる、こういうことが制度的な措置になるわけでございます。  それからもう一方、事実上の問題として、現在予定しております法案におきましては、ことしの十月から平均給料額の再評価ということを導入いたしまして、年金額には消費者物価のみならず賃金動向も反映させる、こういうことから、ことしの十月ということで過去の給与につきまして五%ないし三%の引き上げを行う、こういうこともこの法案の中で措置されておるわけでございまして、そういう点もこの際御考慮を賜りたい、かように考えているような次第でございます。
  190. 寺前巖

    ○寺前委員 既に物価に反映する云々の以前に、三%という消費税を取っているのだから、計画的にそういうものは計算に入れて、もともとにやっていくという問題も考えられる性格ではないのだろうか。  お聞きしたいのですが、自治省の方で退職年金受給者生活実態調査というのをおやりになっていますね。その結果は、平均年金月額、そのうち世帯主である者の平均年金月額、それから世帯主である者の平均生活費月額、就業している者の割合、そういうものがそこでは出されていると思うのですが、どういう数字になっているのでしょう。
  191. 滝実

    滝政府委員 私どもで調査をいたしました数字でございますけれども、本年の二月一日現在の年金受給者生活実態でございます。世帯主の場合、年金の平均月額は二十万三千円ということでございまして、年金受給者の中で就業している人たちの割合は三二%という数字が出ているわけでございます。
  192. 寺前巖

    ○寺前委員 私も今の表を見せていただいたわけですが、世帯主である者の平均年金月額が二十万三千円、こう出ています。今回の改善で四・三%アップしたとしてもそれは二十一万一千七百数十円という金額になります。一方、世帯主である者の平均生活費月額を見ると、生活費の方が二十三万六千円となっています。そうするとこれは、就業している者の割合が三二%ですから、ほかに就業しているお方は別としても、かなり大部分のお方は赤字生活にならざるを得ないではないかというふうに言えると思うのです。まして四月から消費税が入ってきていますから、生活費月額が二十三万六千円とすると二十四万三千円、三%丸掛けをしたとしてもそうなりますから、月にすると差し引き二万四千円という赤字になるではないか。  年金というのは、やはり年金生活者の圧倒的部分がそれを頼りにして生活しているとするならば、その実態に合わすような対処を考えなかったならばいかぬのではないだろうか、私はそう思うのですが、この数字の事実というのはいかがなものですか、間違いですか。
  193. 滝実

    滝政府委員 その数字自体はそのとおりだと思います。ただし、この平均年金月額の二十万三千円はそのとおりなのでございますけれども、今も申しましたように三二%の人が就業をいたしておりまして、その人の平均収入というのもあるわけでございます。したがって、今お示しの平均生活費用、確かに二十三万六千円という数字が出ておるのでございますけれども、この二十三万六千円の数字というのはやはり平均した数字でございますから、年金だけの人の平均生活月額というよりも、就業している人たち生活費も込めたものでございますから、その辺のところがこの数字だけでは一概に言えない問題があるだろうと思います。  それからもう一つは、基本的に年金というのは、この就業状況でも御理解いただけると思うのでございますけれども、年金というのはいわば高齢者の収入のすべてではない。もちろん、それはいろいろな生活スタイルがございますからいろいろなバラエティーがあるのでございますけれども、今申しましたように就業収入のある方もおいでになる、そういうようないろいろな収入の方がおる、そういう中での二十三万六千円という平均生活費ではないだろうかな、こういうふうに私どもは理解をする面があると考えているわけでございます。
  194. 寺前巖

    ○寺前委員 つい最近のことですが、全日本年金組合京都府本部というところが九月にアンケートをとりまして、生活実態から見てどういうふうに要求するかという資料があるのです。回答をよこした人の六割からが、年金組合ですからほかの年金もありますが、公務員方々の回答が非常に多うございました。その中を見ますと、五万ないし七万円が年金では足らないというのが一番多くて四〇・六%です。全体の九七・七%の人が三万円以上赤字になっている。私はこの数字を見て、先ほどおたくの方の資料から出てきた数字と非常に似通った感じを持ったわけですね。年金生活者にとって今日の年金支給額というのは必ずしも適切な金額にはなっていない。  私、かつて総理大臣の諮問機関の社会保障制度審議会の委員をやっておったことがあります。そのときに大問題になったわけです。一体年金とは何なのだろう。従来の年金考え方というのは、足し分になったらよろしい、俗っぽい言葉で言えばあめ玉年金と言われている。それを七〇年代に、それではだめなんだ、年金とはというので、私はちょっと当時の資料を見ますと、こういうことが書いてありますね。老後生活安定のための必須条件として年金が確実に給付されなかったらいかぬ。「その意味では、年金は所得保障のためのものだと言わなければならない。」これはわざわざ総理大臣に勧告をやったのです。これは俗っぽい言葉で言うならば、あめ玉年金から食える年金へ、これが当時の基本的考え方として確立し、その後年金制度もいろいろなやり方をしてきたと思うのです。そういう意味では、私はこの赤字が出てきているという実態を考えたときに、年金がもっと実態に合うものになるように改善する方法について研究をする必要があると思うのですが、大臣いかがなものでしょう。
  195. 滝実

    滝政府委員 問題は、額が多ければ多い方がいいという問題もあるかと思うのでございますけれども、基本的にこの問題は現役年金受給者との間のいわば世代間のバランスの問題、それから現役世代の負担能力の問題、こういうようないろいろな問題があるわけでございまして、その中における現状の年金の姿、こういうことでもあるわけでございまして、おのずからそこには年金年金としての現状というやむを得ない問題があるのではなかろうか、こういうふうに考えられるわけでございます。
  196. 寺前巖

    ○寺前委員 引き続き研究をしていただきたいと思います。  今度の法改正の中に、公立学校共済組合警察共済組合地方公務員共済組合連合会に加入させるという問題が一つの課題になっています。これはどうなんでしょう。昭和五十九年二月二十四日の閣議決定で「公的年金制度改革について」という決定をしておられます。昭和六十二年九月十八日に「「公的年金制度に関する関係閣僚懇談会」における申合わせ」というのがあります。それから平成元年三月二十八日の「被用者年金支給開始年齢の引上げについて」という閣議決定があります。これらの決定の一連の問題としてこの問題が提案されているわけでしょうか。
  197. 滝実

    滝政府委員 今回の地方公務員共済組合連合会への学校共済あるいは警察共済の加入の問題でございます。  この問題は、今お話がございましたけれども、閣議決定年金一元化の問題ということとは直接関係ないものと私どもは考えておりまして、五十九年に地方公務員共済組合連合会を法制上の制度として改正法案をお認めいただいたわけでございますけれども、そのときからの実はこれは念願事項でございまして、地方公務員共済組合全体としての財政基盤を安定化させる、こういう趣旨から今回の大連合ということでお願いをいたしておるわけでございます。
  198. 寺前巖

    ○寺前委員 関係ないというふうにおっしゃると私は気になるのですが、五十九年二月二十四日の閣議決定では、「高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元化を展望しつつ、次のような改革を推進する」ちゃんと展望を持っていますよ、この文章を読むと。そのもとにおける一元化だよということが書いてある、このときには。そして「給付負担の両面において制度間調整を進める。」こうなっている。その次に出てくるのを見ると、一元化について引き続きやっていきますよ、「六十四年の次期財政計算期において、地ならしすることができるものは地ならしすることを申合せ。」やはり一連の長期の展望のもとにおいてやっておられる。その後「長寿社会における老後の所得保障の在り方を考える場合に避けて通れない」のが云々ということで、先ほどから話題になっている厚生年金における支給開始年齢の問題がことしの三月二十八日の閣議決定になる。それで共済についても整合性を図る観点からやっていきますとなっている。  あなたの話ではそれは関係ないのだとおっしゃるけれども、この文章を読んでおったら関係なかったらおかしな話になりますよ。将来展望として位置づけて、そして物を考えているのだ。それを無理に切る方がおかしいのと違いますか。いかがでしょう。これは大臣、御存じなのですか、閣議決定は。直接関係なかったですか。
  199. 滝実

    滝政府委員 私が先ほど申しましたのは、直接的な関係に立つものではない、こういう趣旨で申し上げたわけでございまして、当然将来展望といいますか、広い意味での一元化に向けての地ならしというこの基本方針には沿う格好になっているということは言えると思います。
  200. 寺前巖

    ○寺前委員 そうでしょう。ですからこの問題は、六十五歳支給の問題とその他の問題で総合的にこれは関係してくるのです。  そこで、私はちょっと御意見を聞かせてほしいなと思うのは、この政府の進めている公的年金制度の一元化は、国庫負担を削減して負担を増大させ、給付水準の切り下げで高齢化社会に対応させようとしている。それで、一九八五年の基礎年金の導入の際に、年金の国庫負担を、従来年金給付の二〇%であったものを基礎年金の三分の一にしましたよね。そのことによって、厚生省の資料から見ても、一九八六年から二〇五〇年の六十四年間をずっと見てみると、国庫としてはその制度が変わったことによって二十八兆円のお金の削減になるわけですよ。これは厚生省の資料に基づいて見るとそうなってしまうのです。要するに、年金給付の二〇%という国庫負担のあり方を基礎年金部分の三分の一にするというだけで、国庫の出し方というのはうんと減るのだということが、これは一つの総合的な対策の姿となって結果として出てくるのだ。  それから、負担の方はどういうことになっていくのだろうか。先ほどからもずっと御説明がありました。将来収支の見通しについて、平成二年は従来の百三十九・五、これは連合会、それを百七十七と財源率をすると、働いている人はそれの半額が負担、こういうことになるわけでしょう。これが、将来見通しを見ると、次の五年たった先には二百十五という財源率になる。将来、平成三十二年になると三百九十、こういう数字を先ほどから御説明になっておられました。そうすると負担という問題が大変なことになってくる。  共済年金制度基本問題研究会というところが負担問題について書いておられましたけれども、意見を見ると、財源率が二百から二百五十になってきたら、これは限界だということをちゃんと書いています。それはそうでしょう。二百の財源率といったら、本人は百ですからね。百といったら毎月の収入の一割がばあんとこの部分だけで引かれてしまうのだ、こういう話になるのですからね。限界が五年先には出てくるということになってくると、この負担のあり方というのは大変な段階がつくられてくるな。基本問題研究会、これは大蔵大臣の諮問機関ですが、負担の限界域という問題提起をしておられますよ。  それから、給付水準の問題については、先ほどから私は赤字、赤字だと、年金生活者の実態面から見ても出てくるという話をしておりましたけれども、国民年金の繰り上げ減額支給、すなわち六十歳からお金をもらっている人が一九八七年度末で六七%ですよ。少ない支給であっても早くもらいたい。これは六十歳からでもう既にそういう形にあらわれている。そうすると、働く人々が、年金生活者にとっては早いこと金をもらわなかったら足らぬのだ、足らぬのだという実態、これが一つの実態を示しておると私は思うのです。そこへ持ってきて、今度の全体の展望の中で、六十五歳というふうに厚生年金支給時期を下げていくということになったら、一体これはどういうことになっているのだ、年寄りをどういうふうに扱っているのだという意見が出てきて当たり前だろうと私は思うのですよ。  だから、そういうことを考えると、まずこの事態では負担が限界に来るのだから、国庫が削られて本人負担が限界に来るような運営で、安定した年金などというわけにはいかないと私は思うのです。そうすると、基礎年金部分をもっと上げて、国庫負担部分を減らすということをせずに、そうして年金のあり方を基本的に考えていくという問題を積極的に提起しなかったら、もう年金の将来図は描いていくことができないのではないだろうかというふうに思うのですが、いかがなものですか。これは見解の話ですから、大臣どうぞ。
  201. 渡部恒三

    渡部国務大臣 まず寺前委員に知っていただきたいと思いますのは、昭和二十一年に平均寿命が五十一歳だった日本が、今や御婦人の方の場合八十歳を超える世界一の長生きできる国になったということであります。さらに二十一世紀に向かってどんどん長生きをするようになる。これは大変結構なことでありますけれども、一方、若い人たちは最近子供を産まなくなってまいりましたから、だんだん先輩を支えていくための働き手が少なくなっていく人口構造に将来なっていくことは明らかであります。そういう中で二十一世紀の超高齢化社会がやってきても、お年寄りが安心して年金をもらい、胸を張って老人医療を受け、老人の皆さん方が暮らしていけるように、お年寄りの方を大事に大事にするために行われておる年金改正であり税制改正であることをぜひ御理解を賜りたいと思います。  それから、人間でありますから、年金の受給額が多くなって、また掛金が少なくなることは、これは私自身にとっても望ましいことであるには決まっておりますけれども、しかし負担なくして年金支給はできません。これはやはりバランスがなければなりません。ただ、足りない分は国が税金から出せばいい、こう一言で言えば極めて簡単でありますけれども、国が出す金もこれは天から降ってくるわけではありませんから、国民皆さんから税金をちょうだいしなければならないわけでありますから、その税金には反対だ、また年金支給額は上げろ、掛金は少なくしろ、そして早いうちから年金は上げろ、いいことずくめでありますけれども、現実にそれが可能であるか不可能であるか。やはり政治は与えられた条件の中で現実的にどう対処していくかということ、そういう中で行政があるのでありまして、我々がこの年金法の改正、また過般の税制改正こそが二十一世紀にお年寄りが、我々の先輩が安心して暮らしていけるように、お年寄りを大事に大事に考えての我々の政策であるということをぜひ寺前委員に御理解賜りたいと思います。
  202. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、予算全体論をここで展開しようとは思いません。だけれども、国民年金の分野でも負担率が限界に来ている、だから払えない人がどんどんできていくのだということははっきりしてきておるのですよ。この前も、参議院の予算委員会で二八・二%ですか、三割、四割になっていくだろうということは言われておった。それから一方で、共済を見たって負担率というものが、財源率というのが限界値に五年先には来るという問題が来ているわけです。そうすると、これだけの負担になってきている問題について、このままで突っぱねていくような計画というのはむちゃな計画になっている。一方、年金に期待をかける人たちは早いこと支給をしてほしいというのに、これを六十五歳に下げてしまおう、これでは年金の値打ちがないじゃないかということが僕はやはり出てくると思う、また来ていると思うのです。そこの問題については再検討を要しますよと私は率直に御指摘を申し上げたいと思うのです。  そういう年金というものは、やはり老後におけるところの非常に大事な位置を占めるものですから、だからそれだけに老後のことを云々するならば、これを優先して予算の見直しをやるべきなのだ、予算の組み方の見直しをやるべきなのだ。だから私は、今ここで金持ち減税や大企業減税をどうこうせいとか軍事費の支出をどうこうせよとか予算全般にわたる論議はしませんけれども、少なくとも年金の角度から言うならば、こういう年金のあり方というのは国民に喜ばれる年金のあり方にはならぬように思うので、御検討願いたいという問題を提起しておきたいと思います。  それから、時間の許せる範囲で質問を続けたいと思いますが、「地方公務員のメンタルヘルスに関する調査研究報告書」というのを、去年の分とことしの分を最近読ませてもらって、ウーンと考えさせられる問題があるわけなんです。去年労働安全衛生法の改正がありました。それで、従来安全管理者、衛生管理者の選任が義務づけられていないところでも、一定の規模があったら安全衛生推進者等の選任をせよとか、あるいは衛生委員会等の審議事項に労働者の健康の保持増進に関することを加えて、産業医を衛生委員会等の構成員にしなさいというような内容の法改正であったと思うのです。  ところが、この地方公務員のメンタルヘルスに関する調査研究会の報告書、昨年の三月のを読みますと、「心の不健康者がいる団体は調査団体の約九割に達している」「概ね横這いないし増加の傾向にあると考えられる。」不健康者の定義が限定されているとはいえ、非常にショッキングな問題提起なんです。これで九割からも心の不健康が多いということが書かれていて、さてそれでは去年の法改正との関係で一体どういうことになっているのだろうか。まず、衛生管理者を職場のメンタルヘルスの対策として活用することも一つの方法やと思うし、去年の法改正に基づいて衛生管理者あるいは衛生委員会、産業医の選任、そういう問題について自治体としてはどういうことになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  203. 滝実

    滝政府委員 おっしゃるように、地方公共団体すべての団体について調査したわけではございませんけれども、調査した団体の相当団体で心の不健康な職員がおいでになる、こういうことでございます。この対策としましては、何といっても早期発見、早期治療ということがこの問題でも当てはまるのだろうと思うのでございまして、職員に対するカウンセリングと申しますか相談を進めるとか、そういうことがとりあえずの基本的な対策になろうかと思うのでございます。そういうこともございまして、私どもとしてこのメンタルヘルスの調査に関与させていただいているわけでございまして、現在完結した調査ではございませんで、およそ三年ぐらいのめどで調査をしていこう、こういうことになっているわけでございますけれども、そういった調査結果を踏まえて具体的な方法といいますか対策についてひとつアピールしていこうというのを基本的に考えているわけでございます。  現在段階で調査した結果では、かなりの団体でカウンセラーを置くとかあるいは相談員を置くとか、こういうような対策を講じておりまして、そういう何らかの対策を講じなければならぬというような機運にある、ただいまのところは私どもはこういうふうに理解をいたしておる次第でございます。
  204. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、その衛生管理者を職場のメンタルヘルスに置くということも重要な課題だろうし、それから、労働安全衛生法で去年法改正がなされたのだから、そうすると衛生管理者、衛生委員会、産業医、法改正に基づいて一体どのように現状配置されているのか、これについて聞かせてほしい。
  205. 滝実

    滝政府委員 法改正の時期等にもよりましてそれぞればらつきがあるのでございますけれども、古い制度に基づく、古くから設置されている管理者、例えば総括安全衛生管理者でありますとか安全管理者でございますとか、そういうような管理者は比較的普及している状況でございます。ただ、衛生管理者でございますとか安全衛生推進者、特に安全衛生推進者等は去年の改正で置かれることになったわけでございますけれども、そういった点の普及がまだもう一歩というところでございます。それから、その中間段階にございますのが例えば産業医でありますとか安全委員会の設置でありますとか衛生委員会の設置とかそういうような状況でございまして、それなりにばらつきがあるし、これからもう少しアピールしていかなければならぬ部分が認められる、問題がそういうところにあろうかと思います。
  206. 寺前巖

    ○寺前委員 私の聞いているところでは、衛生管理者の選任は六三・五%、産業医は五九・三%、衛生委員会の設置は五一・一%、これは間違っていますか。
  207. 滝実

    滝政府委員 私の手元の資料とは多少数字が食い違っておりますけれども、その食い違いはそんなに大きな食い違いではないと思います。
  208. 寺前巖

    ○寺前委員 そうすると、労働省だったら普通の民間の会社で監督署がすぐ指導を入れるわけですけれども、地方公共団体は人事委員会とか、ないしは長がやらなければならぬことになるわけでしょう。法改正までやってこのような設置状況では私はおぼつかないと思うのです。一方で、これはすべてここが値打ちがあるんだというわけじゃないんだけれども、ここもやはり一つのメンタルヘルスに対する重要な役割をする場になるだろうから、そうすると産業医、すぐにお医者さんもというわけにはいかぬだろうから、委託をするというようなことからいろいろ考えなければならぬことになる。やはりそういう指導を自治省としても徹底してやる必要があると僕は思う。せっかく法改正までやって、しかも自治体の現状がこうなってきていると、この分野についての指導をやる必要があると思うのですが、そこはどうしますか。
  209. 滝実

    滝政府委員 この問題は、おっしゃるとおりでございまして、私どもとしても、特に昨年の法改正以来所管課を中心にいたしまして専らそれの周知徹底に努めている段階でございます。
  210. 寺前巖

    ○寺前委員 それで、これを周知徹底させていこうということになってくると、今度は教育や講習を行うとかいろいろなことを都道府県でもやらなければならぬことになると思います。そういうことになってくると、財源措置はどういうふうに考えていくのだという問題が次には出てくるのです。何か考えているのですか。
  211. 滝実

    滝政府委員 直ちにどの程度の財政需要が出てくるのか、そういうところまではまだなかなか実態として集計できるような段階ではございませんけれども、いずれにいたしましても、この問題の周知徹底を図っていくという必要があるだろうと思います。私どもとしては、近々そういうような中央における講習会も試みにやってみたいということを考えておるわけでございますし、それからもう一つは、都道府県レベルではかなりそういうような組織が充実できるということもあるのでございますけれども、市町村レベルでどうするかということも私どもとしては今後の課題として検討してまいりたいと考えております。
  212. 寺前巖

    ○寺前委員 昭和五十三年度から警察費の中にカウンセラー謝金として標準団体当たり百三十二万円が需要額の中に積算されるようになっているのです。それで、なぜかといったら、これは七八年、今から十一年前になりますか、東京の世田谷で起きた警視庁の北沢署員による女子大生殺しの事件を契機にして、青年警察官に対するカウンセリングの重要性が指摘されるようになってきて、そしてそこから青年警察官教養推進要項というのがつくられて、青年警察官の内面的な悩み事の相談ができる生活相談、カウンセリング制度ができてくる。そして、都道府県の警察でカウンセラーの謝金を出そう。だから、財政的にまでやはりこういう問題について考えなかったならばいかぬのじゃないかということになってきたという、警察官の中におけるところの教訓、経験もあるわけでしょう。  それで、今せっかくおたくの方でメンタルヘルスに対する調査研究までおやりになって、そしてここに出てくるデータから見ると九割からの人が悩んでいるとなっている。一方、労働安全衛生法の側からも衛生委員会を設けなさい、産業医を設けなさいという問題が出てきている。そうなると、法律的な面からも実態的な面からも積極的に衛生委員会をつくらす、その委託の産業医なりのお医者さんに相談、そういうのはやはりわざわざ来てもらうためには旅費も要ることだし、いろいろなことをやるためにはお金がかかる。だから、積極的に財源措置まで準備してこの活動を展開させていくということを自治省として考えるべきだ、来年度予算の中にもそれを生かして実施させていくべきではないだろうかというふうに僕は思うのですが、最後大臣の御見解をお聞きしたいと思うのです。
  213. 滝実

    滝政府委員 確かにおっしゃるように警察官につきましては普通交付税において財源措置をされているところでございます。ただいまのお話は、その他の地方公務員についても何らかの財源措置をすべきじゃないか、こういうことだと思うのでございますけれども、これについては、先ほど申しましたように現在国家公務員あるいは地方公務員挙げてメンタルヘルスの問題に取りかかっておりまして、どういう格好で進めていくかということも検討する、こういう一つの手段として三年計画で、大体今三年目に入っているわけでございますが、そのような調査もしてまいりまして、私どもとしてはそういう結果を踏まえて必要があれば必要な措置を講じていく、こういうことを考えてまいりたいと思います。  それから、余計なことでございますけれども、ちょっと恐縮でございますが、九割の公務員ではなくて、九割の団体で病める人がおいでになるということでございますので、ひとつその辺のところを誤解がないように、九割の人たちが病めるというと地方公務員が何かみんな悩んでいるように聞こえますので、ひとつそこのところはよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  214. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたのでやめます。どうもありがとうございました。
  215. 小澤潔

    小澤委員長 次回は、来る三十日木曜日午前十時理事会、午前十時二十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十九分散会