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1989-11-21 第116回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十一日(火曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 小澤  潔君    理事 大野 功統君 理事 金子 一義君    理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君    理事 松田 岩夫君 理事 山下八洲夫君    理事 小谷 輝二君 理事 岡田 正勝君       上草 義輝君    佐藤 一郎君       友納 武人君    中島  衛君       中山 正暉君    野中 英二君       加藤 万吉君    佐藤 敬治君       中沢 健次君    細谷 治嘉君       安田 修三君    草野  威君       吉井 光照君    経塚 幸夫君       寺前  巖君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     渡部 恒三君  出席政府委員         警察庁長官   金澤 昭雄君         警察庁長官官房         長       浅野信二郎君         警察庁警務局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局長 中門  弘君         警察庁刑事局保         安部長     森廣 英一君         警察庁交通局長 関根 謙一君         警察庁警備局長 城内 康光君         自治省財政局長 持永 堯民君         消防庁長官   木村  仁君  委員外出席者         総務庁長官官房         参事官     永島 泰彦君         労働省労働基準         局監督課長   氣賀澤克己君         労働省労働基準         局賃金時間部労         働時間課長   諏訪  佳君         建設省都市局都         市再開発課長  安達常太郎君         建設省道路局企         画課長     藤川 寛之君         地方行政委員会         調査室長    渡辺  功君     ───────────── 十一月十六日  留置施設法案反対に関する請願野間友一紹介)(第三三六号)  留置施設法案の廃案に関する請願寺前巖紹介)(第三三七号)  同(中路雅弘紹介)(第三三八号)  同(中島武敏紹介)(第三三九号)  同(藤原ひろ子紹介)(第三四〇号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出、第百十四回国会閣法第七八号)      ────◇─────
  2. 小澤潔

    小澤委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案につきましては、第百十四回国会において既に趣旨の説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小澤潔

    小澤委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。     ─────────────  道路交通法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  4. 小澤潔

    小澤委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安田修三君。
  5. 安田修三

    安田委員 それでは、道交法審議に入る前に、先般来、衆参予算委員会パチンコ問題につきましての問題提起がございまして、集中審議もございました。そこで、中身風俗営業適正化に関する法律に関してでございますし、また、所管警察庁権限問題も絡んでおりますので、これは私たち地方行政委員会としましての専門所管事項でございますので、いろいろと多少気のついたことにつきまして前段でひとつ質問しておきたいと思います。  さてそこで、先般のこのパチンコ問題に関する衆参予算委員会における警察庁答弁でございますが、長官森廣保安部長、それぞれ私テレビでも見ましたし、それから新聞報道雑誌報道、また議事録、いろんなのを見ておりまして、そこで全体の流れとしまして、警察不偏不党かつ公平中正を旨とするという、この本旨に欠けるところがあるのではなかろうかという印象を実は持つわけでございます。中身個々発言問題というのはここで今さら、集中審議の終わった後でございますので取り上げてもせんないことでございますが、ただ、警察庁のそうした姿勢につきまして気がかりでございますので、そういう点で皆さん自身も、警察庁の方も、審議を終えまして全体の流れとしてはどうであったのか。我々も、そういう審議経過答弁を見まして、全体の流れとしては、これはいいとか悪いとかという判断が出てまいっておりますが、そういう点では警察庁はどうも今言った不偏不党かつ公平中正ということにいささか欠けている点があったんじゃなかろうか。当然そういう点の反省というのがあってしかるべきではなかろうか、私はこう思うのでありますが、その点どういうぐあいにお考えでしょうか。
  6. 金澤昭雄

    金澤政府委員 お答えをいたします。  ただいまお話ございましたように、私ども警察の仕事の基本は、不偏不党公平中正ということでございます。先般の国会質疑におきましても、私初め答弁者は、この警察基本をよく頭の中に刻み込みまして答弁をしたつもりでございます。また、今後ともこの警察基本につきましては、これにのっとって答弁をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  7. 安田修三

    安田委員 私は、それぞれの発言の断片的なことをとらえて揚げ足をとるつもりはさらさらございません。今言いましたように、全体のやりとり流れとして、先ほど言いましたような感じ方で受けとめておるわけでございますし、大体テレビを見ていらっしゃった方というのは、一般国民もそういう感じをおっしゃいましたね。悪いけれども、大臣もいらっしゃるけれども、あれは何か八百長質問ではなかろうか、それは庶民の言い方ですよ。実はそういうようなとらえ方をしておるというところに、私はかなり印象強く今言ったようなことが植えつけられたんじゃなかろうか。例えば国会議員がいろんな陳情を受けて、それを調査する。これは当日いろんな議員の名前も出てまいりました。例えば働きかけがあったか、圧力があったか、そのやりとりを通じまして皆さんは、それは圧力、いやそれは働きかけでございますと言う。圧力があったとかないとかそういうやりとりの中に従来の行政当局としての、これはある、ないという態度ではなくして、何か問題を濁していくという、そういうやりとりが全体に流れて おったわけです。特に、パチンコの営業問題やあるいはプリペイドカード問題等をとらえましていろんな調査をする、あるいは皆さんから事情を聞く、そういう点について、何か国会議員のそういう調査する権限すら侵害するような印象発言と私たちは受け取るわけです。そういう点では私非常に遺憾だと思うんですが、皆さんはそういうことに立ち入ったという考えはございませんか。
  8. 金澤昭雄

    金澤政府委員 この前の御質疑関係は、特に国会議員の今の調査権ということが大いに関係をしておりましたものですから、私ども答弁も非常にその点に気を使って微妙な言い回しをしたというふうに考えております。したがって、この受けとめ方、感じ方問題というのが特に大きな問題となったわけでございますので、表現も微妙な表現を使って御理解をいただいたというふうに考えておりますが、全般を通しまして国会における質問質疑権限調査権限というものにつきましては、最大限の尊重を払いながらお答えを申し上げたというふうに考えております。
  9. 安田修三

    安田委員 例えば、これはまあ非常に微妙な言い方なんですが、兵庫県のパチンコ店営業許可の期限切れ問題で、兵庫条例改正に関する長官参議院予算委員会における発言というあたりは、確かに言ってらっしゃることは、例えば地域の実情に合った改正である、あるいは条例改正手続は適正である。皆さん法令の方の執行でございますから、条例中身が適正であるかどうかについて言及されることについても別に問題はない。ただしかし、その一連の中身を見ておりますと、兵庫県の条例改正がいかにも何か、皆さんは、長官きっかけだと言う。働きかけがあった、それがきっかけになっていると言う。そこらあたりは微妙なところでございまして、そのまま受け取れば何ともないことだけれども質問者流れがこれまた圧力でないかということを盛んに言っているわけですね。だから質問者は勝手に、ああそうですか、そういう圧力を受けたんですねということを言いながらやっているわけですね。それに対する答え働きかけという表現、これは森廣部長のほかの答弁を見ますと、圧力とそれから働きかけということについて、圧力、いやそれは働きかけといいましょうかというようなぐあいで、いかにも濁した答弁が出てくる箇所もあります。そういう点では私は、長官の言っていらっしゃることはまともにそのまま字句だけとっていけば問題はない。だがそういう流れからすれば、何か兵庫県の条例改正ということも他の力によって変えられていった、長官きっかけということですけれども。私は、際どいところで自治権侵害にまで踏み込んでいないが、そういう印象を与えるような箇所が間々あったなという感じを受けておるわけです。  そういう点で長官働きかけという発言について、一体働きかけとはどういうことを言うのか。例えば私たち警察庁に、道交法上こういう点がいいのではなかろうかということを皆さん陳情者を連れてお話しに行ったという場合、それ自身働きかけになるのか。あるいはこうすべきでないかと言って、俗に世間で言うねじ込みに行ったということが働きかけなのか。長官働きかけというのは一体どういう意味なのでしょうか。
  10. 金澤昭雄

    金澤政府委員 非常に難しい御質問でございますが、私のこの前の国会での答弁で使いました働きかけと申しますのは、質問の中に、圧力であるかということと、それに対応して働きかけというふうに二つ対応して使ったわけでございます。いろいろなお話がございますが、お話がありますその態様、特にそれまでの経過でありますとか、その時でありますとか、場合でありますとか、またはそのお話し合いをしておるお互い状況でありますとか、もろもろの状況が加わりまして、これは受けとめる方の側で圧力的なものを非常に強く感じたか、または通常の状態で感じたのか、非常に千差万別であろうかと思います。そういうことで慎重に言葉を選びまして、圧力というものではなくて働きかけというふうに私どもは受けとめた、こういうふうに申し上げたわけでございます。その気持ちは今も変わっておりません。やはり働きかけというふうに考えております。
  11. 安田修三

    安田委員 働きかけというのは那辺の程度を言うのでしょうか。例えば皆さんに、警察庁としてはこういうことを取り上げたらどうでしょう、警察庁はこういうことをやっていらっしゃるがどう思われましょうということで国会議員として行った場合に、皆さんにすれば立法府の議員が来ることですから、私は全然何も感じないということはあり得ないと思う。来た以上は何か問題を持ってきたなという印象を受けるのは間違いないと思う。だから、それがすべて働きかけになるのでしょうか。
  12. 金澤昭雄

    金澤政府委員 これはその状況に応じての受けとめ方だと思います。紙に書けば同じ言葉でありましても、お互い当事者のお人柄の問題もありましょうし、またそれに至るまでのいろいろな状況もあるでしょうし、そういったことを全部含めまして働きかけという表現を使っておりますが、それではその働きかけというのはどういうことか、そういう御質問ですと、なかなかこれはこういう程度働きかけで、この程度以上は圧力、またこの程度であれば単なる話し合い、こういう程度の差、何といいますか、その境目というのはなかなか表現が難しいと思います。
  13. 安田修三

    安田委員 長官のそういう微妙な言い回しということからしますと、暗に何か圧力をかけているような感じの受け取り方を持った働きかけということを、この流れからしたら言っていらっしゃるのじゃないかな、私はこう思うのでございますが、またさらにちょっと言及しておきますので。  そこで、警察庁プリペイドカードについて、私は本来パチンコが好きじゃないものですから、プリペイドがどっちに向いておるかこっちに向いておるかということは、余り気にもかけていなかったのでございますが、ただ、皆さんがここまで立ち入ってプリペイドカードについて指導していらっしゃるということについて、国会論戦等も見ながら、それは大変なことだなと実は感じました。これは警察庁権限を明らかに逸脱しているところまでいっておるんじゃなかろうか。特に、一つ警察目的に反する、もう一つ風営適正化法に反しているんじゃなかろうか。これは皆さん予算委員会答弁風営法目的に適しているんだと言っていらっしゃるが、私はこれは確かに反しているんじゃなかろうかという点で、まず見解をお聞きしたいと思います。
  14. 浅野信二郎

    浅野(信)政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御質問で、警察権限との関係でどうか、また、風俗営業等規制及び業務適正化等に関する法律目的関係でどうか、こういうことでございますけれども風俗営業等規制及び業務適正化等に関する法律風営適化法と申しておりますけれども、この「目的」に「風俗営業健全化に資する」ということがございまして、この法律所管しております警察庁といたしましては、適切な行為によりこの風俗営業健全化が図られるようにいろいろ配慮するというのは当然の業務ではないかというふうに考えております。そういうことで、このパチンコ業界へのプリペイドカード導入に関しましても、そういう考え方に基づきまして指導を行ってきたということでございます。
  15. 安田修三

    安田委員 ここは予算委員会と違いまして地方行政委員会風営法を専門的に実は審議したところでございます。私も、当時質問もしておりますし、委員会反対討論も本会議反対討論も行っております。  私は議事録を見て、森廣保安部長は、「当時審議過程におきまして野党の先生方の皆様も警察庁と同様の議論をしていただいたというふうに記憶をいたしております。」こういう法案審議過程のことをおっしゃっているのは、山花委員にそういう答えなんですが、鈴木保安部長は前面に立って一生懸命論戦を展開されたのだけれども森廣さんというのは記憶しておると言うて、風営法の何に関係していたのでしょうか、私ちょっと聞きたいと思うのだけれども、当時あなたは、記憶して いらっしゃるというのは審議にどういう関与をしていらっしゃったのでしょうか。
  16. 森廣英一

    森廣政府委員 お答えいたします。  審議に関与いたしておりません。ただ、当時勉強した覚えがありまして、その意味で記憶していると申し上げたわけでございます。
  17. 安田修三

    安田委員 これは本末転倒ですよ。勉強というのは主観的なこと、審議に関与してなくてこのような勝手なことをおっしゃるというのは、そもそもここら辺に既に問題がある。勉強なら私だってやっている。しかし、法の趣旨審議過程とでは違うじゃないですか。私は、こういうことを国会の場で堂々とおっしゃるというのは、そもそもそこにもうボタンのかけ違いがあるように思います。  そこでまず、今警察目的問題に触れずに答弁になったのだけれども警察目的というのは皆さん所管事項で、公共の安全、公共秩序、危険の防止、これが大原則ですね。これに基づいて、しかもこれ自身は憲法上の公共の福祉だとかいろいろな観点から、警察にいろいろな権限が授与されてくるわけでありますが、この公共の安全、公共秩序、危険の防止、こうした警察目的について権限がどこまで授与されているかということがそもそも重要な課題なんですね。  そこで、たまたま皆さんの場合に、例えば警察社会生活が成立するための最小限度の条件として客観的な事実上の秩序を維持することを目的としているわけでしょう。したがって国民相互のいろいろな私法の、例えばプリペイドカードというのは、パチンコを私がやれば業者対私のお金問題という関係ですから、そういう私法関係の形成及びその維持を目的としておらぬわけです、警察というのは。だから皆さんは、何かあったら、民事のことはおれのところは知りませんよ。しかし、法で皆さんが、警察下命でそのことを受けていらっしゃるところは別ですよ。それを、皆さんがこの関係にまで踏み込んだという、これは本来は別の角度で救済されておるわけです。ところが、今度の場合は皆さんプリペイドカードという問題、そこまで踏み込んだということについて、警察目的に反しておるのではないか。これは通産がやるのか大蔵がやられるのかどこかわかりませんが、とにかく大原則警察権限問題から反してしまっている。  もう一つは、風営法関係では、国会予算委員会答弁、先ほどのお話を聞いても、風営法の中に、例えば「目的」で、適正に育成してまいる任務があるという風俗営業関係でございますが、そういうことは「目的」に書いてあるから所要措置を講ずるということで差し支えないのだ、こう言う。目的はもちろん、前の取締法と違いまして確かに範囲が広くなった。しかし、その適正化を講ずるための措置ということについては、条文の中に、例えば面積あるいは明るさあるいは時間制限、少年の立ち入りなど適正化するためのいろいろなものが法律に書いてあるわけです。それを、「目的」の中に全体目的として書いてあるものをただ拡大解釈をして、ここまでやれるのだということになると、これは明らかに法令の、皆さん方が勝手に歩いた解釈論ということにしかならないのじゃないだろうか。風営法の本来の当時の審議を通じて、私たちは、風営法がひとり歩きしないだろうか、あるいは、例えば立ち入りの場合だとかいろいろなことで議論いたしましたけれども、今日このようなことについてさらさら議論にもならなかったし、またそこまで拡大解釈されるような気配というのはなかったと私たちは思っております。それから、現に当時審議された委員人たちがここにたくさんいらっしゃるのです。だから私は、皆さんが今こういう勝手な解釈で踏み込んでこられるということになると、これは恐ろしい感じがいたします。  そういう点で私は、これは警察庁としてまずは軌道修正してもらわなければならぬ、そう思いますが、どうでしょうか。
  18. 金澤昭雄

    金澤政府委員 警察権限が、一般的には今お話がありました警察法の第二条の「責務」でございますが、そのほかに各法律によりまして、それぞれ所管とされておるいろいろな業務につきましては権限を持っておるわけでございます。したがいまして、風営適正化法の「目的」にありますような業界の「健全化に資する」ということでの権限があるわけでありますが、そこへプリペイドカードそのもの健全化に資するかどうかというのが一つ問題になってまいると思います。この前もお答えをしておりますように、私ども考え方といたしましては、プリペイドカード導入というものは業界健全化に資するのだ、こういうことでございます。  なぜ資するかという点につきましては、この前もお答えをしておりますが、これは経営の合理化に大きく役立つということもございましょうし、また現在のプリペイドカードの社会的な意味ということから考えましても、業界近代化ということもございます。また、現金を取り扱わなくなるということによりまして業界内部の防犯的な効果というものも期待できるということで、この業界健全化に資するということにプリペイドカードシステムが大いに役立つ、こういう観点から導入についていろいろと話を進めてきたわけでございます。  最後につけ加えて申し上げますと、この導入につきましては、個々業者の全くの自由な判断によって導入を決めるかどうかという問題でございますので、警察権限的に強制をするというような問題ではございません。いいという観点から行政指導ということでやってまいる。この行政指導権限は先ほど申しましたような関係警察にはある、こういう解釈でございます。
  19. 安田修三

    安田委員 確かに法律警察所管ということになれば、それは皆さんにその権限は出てくるのですが、風営法の場合に、適正化ということについての目的は書いてあるんだけれども、それは条文の中にそれぞれ適正化についての所要事項というのは載っておるわけです。プリペイドカードというのは、業者パチンコの玉とお金との交換を通じてという一つ私法関係になってくるわけですから、それを個別の、局部的なことではなくて、こういう業界全体という大きいものに踏み込んでくるということになりますと、先ほど言いました警察目的権限からもはや外れてきてしまうのではないか。今言いました予防という問題でも、既にそれ自身がかなり、権限でもどこかで線引きをしなければならぬ問題が出てくるのではなかろうか。皆さんの場合、非常に広範に拡大解釈していらっしゃるのじゃないだろうか。もし今のままで皆さんがこういう解釈をされるということになりますと、警察権限をめぐってかなり将来の論争の種になってくると思うし、それから立法の場合にも、これは重大な注意が喚起されてくるんじゃなかろうかと私は思うのです。だから、皆さんの今のような解釈でいけば、目的にそういうような適正化とか何々を講ずるということがあれば、それに関連したものは警察権限で全部やれるようなことになってくるのじゃないでしょうか。  そういう点では、いわゆる警察目的という警察法本来の趣旨があるのだから、その趣旨の枠内で法解釈をやってもらわなければだめだということを私は言っているわけです。おれのところが法律警察所管とされておるからそれはやれるんだということをおっしゃるのだが、しかしそれは警察目的というのが厳然としてあるわけだから、その枠内であくまでそれは律せられるのじゃなかろうか、こう言っているのです。皆さんのやり方というのはあくまで拡大解釈ではないか、こう言っておるのですが、どうでしょうか。
  20. 金澤昭雄

    金澤政府委員 業界の健全な発展を図るためのいろいろな行政指導というものは、私どもはできるというふうに解釈しております。ただ、その場合に、それでは業界発展なら何でもできるかというその一つ制約でございますが、例えば今のプリペイドカードにつきましては、これが風営適正化法で言っております射幸心を著しくそそるようなことになるかならないか、そういう点で一つの歯どめといいますか、目安があろうかと思います。 したがいまして、プリペイドカード導入に当たりましては、これが全然野放しでそのシステムが行われるということではなしに、射幸心をそそるようなことにならないように、金額の問題であるとかいろいろな点につきましていろいろな行政指導を行いながらやっておるわけでございまして、野放しでということではございません。あくまでもそういうような法の定める一つ制約なり目的なりというものの範囲内で私ども行政指導を行っておる、こういうつもりでございます。
  21. 安田修三

    安田委員 射幸心をそそるかそそらないかという以前に、そういう業者が、パチンコをしたいという人との金銭授受、要するにパチンコ玉を買う買わない、それをカードにするしないという私法上の問題ですね。そういうお金というものの私法上の問題にまで踏み入った指導ができるかどうかということを言っているのです。その次に射幸心問題射幸心をあおるかどうかというのは、従来皆さん犯罪予防上やっていらっしゃる。私はそれ以前の問題を言っているわけです。そこまでできるのか。そこまでやったということになると、警察関係するようなことは、大蔵だろうと通産だろうと関係なくみんなやれるということになってしまうので、そこまでやれるかどうか、こういうことを私は言っているわけです。射幸心問題はもちろんわかりますよ。今の場合はお金問題でしょう。だからそこまで皆さんがやられるということになると、これは従前の警察のあり方とは全然変わってくるのじゃないでしょうか。そうは思われませんか。
  22. 金澤昭雄

    金澤政府委員 プリペイドカード一般の問題といたしましては、プリペイドカードを利用される方の保護の問題であるとかそれから社会におけるいろいろな影響であるとか、そういう一般論としましてはこれは大蔵省が主管をしておるというふうに私どもも認識をしております。  ただ、そういったプリペイドカードを具体的なそれぞれの業界の方にどう導入するかという問題につきましては、その業界がそれを導入することによって健全に発展していくかどうか、こういう観点で見てまいりますと、これはその業界を主管しておりますそれぞれの官庁が行政指導として行うということは何ら差し支えない。これが国民に大きなマイナスな影響を及ぼすとか業界にいろいろな問題をそれによって引き起こすということがありますれば、これは行政指導のいかんが問われる問題だと思いますが、先ほどから申し上げておりますような前提での話でありますと、これは当然行政指導として行ってしかるべきだ、こういうふうに考えております。
  23. 安田修三

    安田委員 私もう一遍言っておきますが、これはこんな短時間で、皆さんとこの程度議論をして尽きることではない。ただ、私たち所管委員会としてはっきりしておることは、警察目的ということは、先ほど私原則を言ったわけですが、それを具体的にしていった場合に、そういう客観的な事実上の秩序を最小限維持することを目的としておるわけでありますから、国民お互いにそういう権利を持っておるわけだ。私法関係の権利を持っておるわけだけれども、そういう中にまで立ち入って秩序維持ということは皆さん権限ではないということですね。そういう点では、これは別の角度で救済なりあるいはまた関与がされてくるわけですから、警察というものの権限ということは、これは将来にわたって重大な問題を今度のプリペイドカードでは提起されたと私は思っております。  そういう点で、本委員会でもこれからの法案審議その他で、ここらあたりは、立法府ですから当然専門的に詰めていかなければならぬ。学説もいろいろあると思います。それぞれの警察目的をめぐりましてもいろいろな学説、それぞれ狭く解釈する場合、広く解釈する場合、いろいろありますので、そういう点ではこれは将来、いろいろな立法段階をめぐって当然我々が立法府に参画する一員として議論していかなければならぬ問題であります。これは今提起しましたように、法理論上、本来の警察法警察目的とは逸脱していっておる疑いがある、そういう提起をしておきたいと私は思います。  さてそこで、これは週刊文春関係で一部雑誌に書いてあることでありますが、一部マスコミの中に公安警察関係からリークがあった、これは編集者の方でそういうことが書かれたということでございまして、事実関係は私たちもわかりません。ただ、一連のパチンコ問題報道の中でそういうぐあいに書かれましたので、そうかなという感じをたくさんの人が持ったと思うのです。そうであれば非常に重大なことです。しかも雑誌にいろいろな名前が出てくる過程からしますと、当事者でなければわからないことがある、そうすれば当然やはりそうかなという感じを受けるわけです。皆さんに聞いたってそういうことはあり得ないとおっしゃるのでありましょうが、少なくとも雑誌等にそういう一連の、だれそれがどうでこうでという名前が出たやりとり関係からすれば疑問を持たざるを得ない。そういう点で皆さんの方に、私はそういう関係の事実についてあったかどうか、内部的に調査をしてもらいたいと思う。その点、どうでしょうか。
  24. 金澤昭雄

    金澤政府委員 リーク問題に入ります前に、その前に御質問がありました私法関係警察が踏み込むということについてのお話でございますが、このプリペイドカード問題は、あくまでもプリペイドカードの会社とそれから個々業者との、これはまさに私法上の契約問題でございます。それを取り入れるかどうかというのは私法上の問題でございます。したがって、そこに警察が踏み込むというつもりは毛頭ございません。これは何回もお答え申し上げておりますように、契約について警察が云々するということは一切ないわけでございます。あくまでもこれは業者プリペイドカード会社との自由な契約の問題でございますので、それに踏み込むというつもりは毛頭ございません。したがって、私法上の問題というものはないというふうに考えております。  それから、情報が警察からリークされたんじゃないかというようなお話でございますが、当時からそういうお話がいろいろございましたので、私ども関係者についていろいろと調査をいたしました。その結果は、そういった警察からリークされたという事実はない、こういうことでございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  25. 安田修三

    安田委員 リーク問題は、先ほども言いましたように、一部雑誌でそのようなことが報道されたわけです。これは、週刊誌の編集長さんが公安警察関係のリークがあったということを実は認めていらっしゃるということが出ていたわけですが、この真偽はなかなかわかりがたい。皆さんの方では、そういうことはなかった、当然そういうことをおっしゃるとは思っておりましたが、ただ、火のないところに煙は立たないという例えのように、この問題はかなり気をつけてもらわなければならぬ問題だろうと思います。  それから、先ほどの私法関係問題では、中身皆さんの中でいろいろと、平沢保安課長がほかで言っていらっしゃることと今長官のおっしゃる趣旨とは、事実上かなり違うように私は思うところがあるのでございますが、これは個別にああだこうだ、どこそこの業界でどう言ったということになりますと、かなり具体論の中に入ってしまいますので言いませんが、いずれにしましても、この問題によって業界の中に分裂が起きておるということは、これは結果として事実でございます。監督官庁をみずから任じておられる皆さんが、そういう点でかなりいろいろと関与されておるような格好になっておる。先ほど言いました私法関係には踏み込んでいない、こうおっしゃるけれども、事実上は、形の上ではもうそうなっておるんじゃないか。ですから、警察自身の本来の大原則から外れた行き方というものがそもそもこういう混乱のもとになっておるんじゃないか、こういうぐあいに私は思っているわけです。そういう点では、これはぜひ今後気をつけてもらわなければならぬ問題ではなかろうかと思います。  さてそこで、パチンコ問題ということを通じま して、例えば働きかけでありますとかあるいはまたプリペイドカード問題だとか、警察問題で随分いろいろな問題が提起されてまいりました。一面、はたの人から見ますと、警察問題についてはちょっと奇異な感を受けた人たちが随分おると思うのです。あれ、こんなことまで警察がというような感じを受けた人が随分あると私は思います。そういう点では、最近とかく警察問題についていろいろなことで信頼関係に揺らぎが出てきておるときに、余りいいことではなかったと私は思っているのです。将来のためにも、初め言いましたように警察不偏不党かつ公平中正である、そういうことについてやはりぴっしりした姿勢をとっていってもらわなければならぬと私は思います。そういう点で長官に、今後警察はそういう点の基本的な姿勢について国民の前にきっちりしていかれるということについて、ぜひお聞きしておきたいと思います。
  26. 金澤昭雄

    金澤政府委員 今後警察といたしましては、先ほど冒頭にお答えをしましたように、警察法基本原則であります不偏不党、中正公平、これを基本といたしまして、国民の信頼をより一層得ることができますように、仕事の面でも大いに慎重を期してまいりたいと思っております。
  27. 安田修三

    安田委員 それでは、パチンコ問題の方は以上で終わりまして、道交法改正の方に入りたいと思います。  まず、交通事故がふえていることにつきましていろいろな原因がございますが、その原因からまずお伺いしたいと思います。
  28. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  交通事故の増加の原因についてはいろいろの要因を考えることができようかと思います。  まず、基本的な要因、増加の原因といたしましては、運転免許保有者数が増大したこと、そろそろ六千万人に近づいてきております。それから、車両保有台数の増加、原動機付自転車を含めますと七千四百万台になろうとしております。さらに、社会経済活動の活性化ということの問題がございます。こういう交通量の量的な増大をもたらす原因と、それに加えまして社会生活の形態の夜型化、生活が夜間にまで延長してきているという問題、レジャー時間の拡大、それから人口の高齢化の問題等道路交通に質的な変化をもたらす要因も原因の一つとして挙げることができようかと思います。  このような基本的な原因に加えまして、個々具体的なドライバーの資質の問題、道路利用者、特に歩行者の注意力の問題等も交通事故増加の原因に数えることができようかと思います。特に若年層の無謀運転の問題は、そういうドライバーの資質の問題一つとして大きな要因であると考えております。
  29. 安田修三

    安田委員 そこで、総務庁にもお伺いしておきたいと思うのですが、総務庁は交通安全の総合的な対策と各省庁にわたる政策の調整の仕事を行っておられる。これは前回の道交法のシートベルトの問題審議のときにも実はいろいろとお伺いしておるわけでありますが、この多岐にわたる交通安全上の問題は、主務の官庁は一体どこか、総務庁だということで、総務庁がそういう政策調整をやっていらっしゃるということでございます。  そこで、車の安全性、道路の安全性、それから運転の安全という点、総合的にこれからこれらを確保するためにどういうことを行っていかれるのか、また現に行っているか、こういう点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  30. 永島泰彦

    ○永島説明員 御説明いたします。  先生御案内のとおり、我が国の道路交通事故による死者数、これは昭和四十六年以降減少を続けてきた。その後、若者や高齢者の事故の増加等によりまして、昭和五十五年以降は増加の傾向にございまして、昨年は死者数が十三年ぶりに一万人を超えたという状況でございます。さらに、本年に入りましても増加傾向は続いておりまして、まことに遺憾ながら、昨年に引き続きまして一万人を突破するおそれのある状況でございます。  政府といたしましては、このような状況に対処いたしますために、交通対策本部におきまして、昨年の八月交通事故防止に関する緊急総合対策、また昨年の九月に高齢者の交通安全総合対策、さらに本年の七月に二輪車の事故防止に関する総合対策、これらの対策をそれぞれ決定いたしまして、国民の交通安全意識の高揚、高齢者交通安全対策の推進、それから若者を中心としました二輪車事故防止対策の推進、シートベルト着用の徹底、安全な道路交通環境の整備、交通指導取り締まりの効果的な推進等の諸対策を関係省庁の密接な連携のもとに現在強力に推進しているところでございます。  さらに、現下の厳しい交通事故情勢にかんがみまして、車両の安全性、道路の安全性、運転の安全性、これらを含めましたところのこれらの諸対策の実効を一層上げるということで、関係省庁と密接な連絡をとりまして、近々交通対策本部を開催するなど、今後の対応を図るよう現在準備しているところでございます。
  31. 安田修三

    安田委員 私、今ここで、たまたま前回道交法審議したといったことでちょっと思い出したのだけれども、先ほどのパチンコのことに戻るわけじゃないのですが、シートベルトのことで思い出したから敷衍していくのですが、参議院の予算委員会で、これは森廣部長答弁の中に出るのだけれども、自民党の議員さんが、「このパチンコ店の問題が解決しない限りシートベルトの国会審議には応じないと、」こう言ったのかと聞いた。そうすると、答弁が「議員から具体的にどのような言葉で迫られたかというようなことにつきまして一方的に公表することは差し控えたいと存じますが、シートベルトに関する審議を行っている時期に問題業者の救済に関する働きかけがあったことは事実でございます。」こう言われるわけですね。それで、「シートベルトの国会審議を行っている最中に働きかけがあったと、こういうふうに言われましたか。」「そのとおりでございます。」という答弁で、私、今ひょっと思い出したのだけれども、シートベルト問題をここで盛んに論議したのですよ。私たちももちろん質問しました。そして連合審査もしました。それが上がった翌年風営法で、風営法の小委員会というのを参議院でつくったのですね、どのように実施されるか、いろいろと問題になったことをチェックしていこうという。その風営法の小委員会でたまたまシートベルトの着用の進捗状況が当日報告されておる途中に、このきょうのパチンコ問題が出たというわけですね。  だから、シートベルトの審議というと道交法法案審議、私も道交法法案審議、どうしてこの時期に出てくるのだろうと、初めあの答弁を聞いてそう思ったのですよ。何のことはない、シートベルトの進捗状況をただ報告するというそれだけのことなんですよ。だから、この流れの中にいろいろとそういう思わせぶりなことが感じられるというのは、たまたま今これを思い出しましたから、ちょっと脱線しましたけれども言ったのでございます。  そこで、現行の道路交通法はもちろん警察庁所管であります。そこでどちらかというと、取り締まり重点の法規の色彩というのは、以前の流れから再三にわたって改正されて、そういう色彩も脱却しようという試みがありますが、どうしても強い傾向にあります。  そこで、道路交通の事情が最近変わってまいりました。例えば先ほど答弁がありましたように七千四百万台の車、六千万人近く、昨年で五千七百万人でしょうかのドライバー、そこへハイテクの車が走る。道路交通法というのはそうしたことの実態に合わせた法規に変えていかないと、自動車の安全性、道路の安全性、それから運転免許者の教習とマナー、こういう点も全部ひっくるめた総合的な法規に変えていかなければ、なかなか対応できないのじゃないだろうか、大変難しい問題を含みます、いろいろなところにまたがりますから。しかし、そういう抜本的なものに変えていくべきときに日本の場合は来ているのじゃなかろうか、こう思うのですね。  特に、私、実はちょっと新聞を整理しておった ら、知らなかったのですが、「運転席は走るオフィス 車内TVで情報交換」というのがひょっこり出ておりました。運転席の横手にテレビを置いて。「来年度にも実用化 東名で試乗会」、これを見ますと、「運転席に設置した車内テレビを通じて交通情報の入手や業務に関するメッセージの交換などができる「路車間情報システム」」だということで大変便利だ。渋滞もわかるし、逆にこちらもまた渋滞状況を知らせるという点ではいいのだということで、今開発が進んでおるというわけですね。  さて、いいのだけれども、とまっているとき見ればいいけれども、走りながらちらちらディスプレーを見るということになるとこれは大丈夫かな。若い人はいいけれども我々年配者は大丈夫かと思ったりするのですが、しかし、これも時代の流れで当然そういうことの必要性も迫りましょう。そうなりますと、これは警察の方の取り締まりと、いや同時に、そんなものを開発した場合に安全上どうするのだということで、また各所管省庁間のいろいろな話し合いということが出るのだろうと思います。  いずれにしましても、だんだんハイテクが車の社会に随分入ってきておる時代になってまいりました。そういう点で、今言いましたように道交法そのものも、今直ちにというわけにはいきませんが、そういう総合的な法規に何らか変えていくという検討をすべき時代に来ておるのじゃなかろうかということでお伺いしておきたいと思います。
  32. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答え申し上げます。  道路交通法目的にもございますように、道路における交通の安全と円滑の確保といいますのは、道路交通の場における基本的に要請されるべき二つの目的でございます。先生御指摘でありますように、道交法の規定を見てみますと、その中で安全確保という点に力点が置かれていて、取り締まり的部分が多いという印象をお持ちになることはそうかもしれないという印象を受けます。  客観的に道交法を見てまいりますと、道交法の規定と申しますのは、道路の交通の場における交通方法でありますとか交通のルールを確保するための交通安全教育についての規定でありますとか、さらに運転免許の管理、運転者教育、それにドライバー等に対します情報提供等に関する規定も置かれておりまして、先ほど申し上げました交通の安全と円滑の確保という二つの目的を追求するのにふさわしい規定となっていると考えております。しかしながら、御指摘にありましたように、現在、科学技術の進展、特にハイテクの分野における科学の進歩というのはまことに目覚ましいものがございまして、情報提供の分野で特にそれが著しいというふうに考えております。ドライバーに行く先を表示する技術の開発でありますとか目的地までに要する時間を提供する方法、さらに渋滞箇所を避けて最適のコースを選択する方法等をリアルタイムでドライバーの方に情報を提供するというシステムは、いろいろなところで現在開発中であると聞いております。  私ども警察庁といたしましても、その分野につきましては大変関心を持っております。これは主として交通の円滑化対策、先ほど申し上げました安全と円滑という二つの目的のうちの円滑化の方に力点がある技術開発でございますが、あわせて安全はやはり大事でございますので、安全確保という点からも技術開発をフォローすることができるようにということで考えていく必要があろうかと思います。その意味で、道交法の規定の見直しということも将来検討すべき課題ではないかと考えております。
  33. 安田修三

    安田委員 せっかく長官が来ていらっしゃいますので、道交法を今言ったような趣旨で抜本的にいろいろ総合的に、時代の流れが速いものですから、将来に向かって道路交通法が先取りをしていくという観点で、日本の場合はこういう異常に速い車社会の進展でございますから、そういう点では警察庁の方で抜本的な改革に、今も局長からそういう検討をしていきたいと言うのですが、長官の方もぜひひとつそういうことの旗振り役をやっていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  34. 金澤昭雄

    金澤政府委員 ただいま交通局長からもお答えをしましたとおり、交通の安全と円滑化、非常にいろいろな問題が含まれております。警察としましては、事故の実態、それから渋滞の実態、そういう交通上のもろもろの実態を私どもが一番よく把握をしておりますので、今後関係省庁とよく連携をとりまして総合的な対策、必要があれば道交法の全面改正ということまでも含めて手おくれにならないような対策を今後も十分に講じていきたい、こういうふうに考えております。
  35. 安田修三

    安田委員 私たちも、道交法関係ではそういう点ですばらしいものにできるように早く皆さんでまとめていただければ、十分審議をしていいものをつくるようにやりたいものだ、こう思っておりますので、ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  さて、今度の改正は初心運転者対策のものでございますが、運転免許取得後一年間の事故率のデータによりますと、事故、それから死亡事故、ここの五年間の推移についてデータをいただいたのでありますが、数値からしますと、この五年間というのは、多少のでこぼこはありますが、事故の方も死亡事故の方もどちらも大体よう似た数字で推移しておるわけです。多少多くなったり少なくなったりというのはあります。  そこで、確かに免許取得後一年以上の人と比較して一年以下の人は高率であります。さあここで、今度の初心者対策で一年以下の人の事故というものが少なくなる、言うなれば矯正できるということについて、どんなものでしょう。この推移を見ますと大体同じような数字になってくるものですから、大体こんなようなことなのかなという感じなんですけれども、今度の対策でここらあたりはかなり減るというような見通しでしょうか。
  36. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘でありますように、過去五年間のデータを見ましても、運転免許取得後一年に満たないドライバーの方々の事故率は、ほぼ同じような数値で高い数字を示しております。大体年間に交通社会に入ってこられるドライバーの方々は三百万人を超えるほどの方々と私ども考えておりますが、先ほど申し上げましたドライバー人口全体から考えますと、その比率は六%ぐらいでございます。その六%ぐらいの方々が、事故といたしましては一二・五%ほども起こしており、さらに死亡事故ということになりますと一四・九%、一五%近い事故を起こしておられるわけでございます。その原因を考えてみますと、いろいろ性格的なところのある方もおられるかもしれませんが、主として技術が未熟であって、そのために高速交通社会にまだ習熟していないということに起因するのではないかと考えます。  そこで、そういう期間の間は慎重に運転をしていただきまして、各ルールをきちんと守る習慣をつけていただくということを施策として図る必要があると考えております。そのための施策として考えましたのが、今回御提案の初心運転者期間制度というものでございます。その結果は、必ずや初心運転者の方々の事故の減少に役立つものと確信をしておりますので、どうかよろしくお願い申し上げます。
  37. 安田修三

    安田委員 そこで、免許取得後のふなれな期間、余りなれてないこの時期に、高速道路へ無制限に乗り入れができるわけですが、さらにまた、教習所での教習期間中でも卒業検定に合格しましたら仮免許で高速道路の上を教習の実施をやりなさいという、警察庁はどちらかというと促進していらっしゃるわけでございますけれども、今度の初心運転者期間の創設という改正からしますと、警察庁指導していらっしゃることと安全ということは何か余りぴったりこないんじゃないか、こういうふうに思うのでございますけれどもそこらあたりはどうでございましょう。
  38. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  ただいまも御答弁申し上げましたように、初心運転者期間制度と申しますのは、初心運転者の方々に現在の高速交通社会に早くなれていただき、また、それまでの間慎重に運転をしていただ くためのシステム考えたいということで御提案を申し上げているところでございます。他方、現在の道路状況考えてみますと、自動車専用道路等を含めまして、現在高速道路は四千キロになり、さらに、今回の四全総が終わります平成八年でございますか、そのころになりますと一万四千キロにまで延伸することが予定されております。そのような事情を考えてみますと、初心運転者の方々にも早く高速運転の社会になれていただく必要があるというのが私ども考えでございまして、今回御提案を申し上げております初心運転者期間制度と私どもの従前の考え方との間に矛盾はないものと考えております。
  39. 安田修三

    安田委員 私、安全という問題から考えても、免許取得後に一般道路での運転を一定期間行ってから、本人の希望によって高速道路教習を行った方がいいのじゃなかろうかなという感じもするのですが、そういう点はどうでしょうかね。
  40. 関根謙一

    ○関根政府委員 確かに、余り高速運転に習熟していない方々に対しては、余りに早く高速運転の場に出ないようにという行き方もあろうかと思います。しかしながら、他方、なるべく早く習熟していただくという考え方も十分成り立つものと考えております。現在、私ども、指定自動車教習所においてお願いをしておりますのは、先ほど先生御指摘でありましたように、卒業証明書を得て十分に車社会に出てきて運転をすることができるだけの技術的能力を備えた方々につきまして、立派な指導者の指導のもとに任意にそういう高速社会に入っていただくことを覚えていただくというために、二時限ほどの教育をお願いしているところでございます。そういう考え方も十分に成り立つのではないかと考えております。
  41. 安田修三

    安田委員 仮免許で高速道路へ乗り入れができるということは、免許取得後三年以上の一般の人でも助手席におれば高速道路に乗り入れてもいい、こういうことに考えていいのでしょうか。
  42. 関根謙一

    ○関根政府委員 先生の御質問は、道交法八十七条二項の規定にありますように、仮免許を得ている人につきましては、この八十七条二項に規定しております運転能力のある人を横に置いておけばいかなる道路でも自由に運転することができるという規定でございますので、高速道路でありましても運転ができるということでございます。
  43. 安田修三

    安田委員 そうしますと、法の上で言うと八十七条が根拠でよろしい。考えてみると何やら危なっかしいね。免許を取ってない、仮免の人が運転している、そこへ普通の人が横手に乗っておれば高速道路を走ってもいい。何かちょっと危なっかしい感じがしますね。建前上はそういうことになっておるということなんですが、これはいいのかなという気もしますが、そうですか。  さてそれでは、今度の改正で言われる指定講習機関、これは現在の指定教習所が申請することになるのですね。申請すれば、すべて条件に合えば指定を受けられるということになるのでございましょうか。
  44. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  指定講習機関と申しますのは、現在御提案中であります道路交通法の一部改正法案でこの改正法をお認めいただいた場合、第百八条の四という規定で設けられるものでございまして、取り消し処分者講習と初心運転車講習を行うものとして、公安委員会が指定をいたします法人または指定自動車教習所でございます。その場合に、この御提案中の法律案の百八条の四に、指定をいたします要件を規定しております。この要件を備える指定自動車教習所でありますればすべて指定をするという考えでございます。
  45. 安田修三

    安田委員 そこで、公安委員会規則で定めるとされている運転適性指導員及び運転習熟指導員について、公安委員会規則で定めるということは、何か基準だろうと思うのですが、そこら辺はどういうことなんでしょうか。ちょっと説明いただきたいと思います。
  46. 関根謙一

    ○関根政府委員 公安委員会規則でございますので、この法律案国会で御承認いただいた後の話でございますが、一応の腹案は用意しております。  まず、運転適性指導員につきましては、これは取り消し処分者講習を担当する指導員でございますので、その職務の内容が運転適性検査でありますとか実技に基づく運転適性診断、カウンセリング等、取り消し処分を受けた人たちの心理的な不適格さを適格なものにするための能力を持った方々になっていただく必要がございます。そこで、こういう能力を持っていると考えられる方々に運転適性指導員となっていただきたいと考えております。  他方、運転習熟指導員の方でございますが、これは初心運転者の方々について未熟な運転技能を成熟した技術に指導するために、路上における運転実技演習でありますとか路上運転についてのグループディスカッション、危険予知、回避能力の向上訓練等、受講者の運転に関する技能、知識に関する指導を行う方々でございますので、それにふさわしい技術及び経験を持った方々になっていただきたいと考えております。
  47. 安田修三

    安田委員 そうしますと、これはどうなんでしょう。指定教習所の方でそういう人を選んで申請するのでしょうか、それともまた、皆さんの方で何か一定の講習なりあるいはまた試験でもやってそういう人を指定するのでしょうか、その指導員は。
  48. 関根謙一

    ○関根政府委員 それぞれの指定講習機関として指定される機関が備えているべき一定の資格を持った職員ということを考えておりますので、その資格を持つという点につきましては、現在の教習所の技能指導員、学科指導員等につきまして公安委員会が審査を行っておりますが、それと同種の審査というものを考えておりまして、その審査に合格した方々をそれぞれの教習所が職員として置いていただくということを考えております。
  49. 安田修三

    安田委員 そこで、実は教習所にドライバーのために皆さんが来ていらっしゃる。その教習の段階で教習内容というものを濃厚にして質的に高めるということが必要でないだろうかと私は思うのです。ところが、今日、あっちこっち教習所を見まして、指導員の人が一日当たり随分教習者の人を持って指導に当たっているわけです。多いところは十一人、十二人という。そこで一日当たりの教習時限というものを何らか制限ということで、例えば九人程度、一例ですが、それこそ行政指導で九人程度というような制限をした方がいいんじゃなかろうか、そうしたら指導員の人もじっくり落ちついて濃厚な指導ができるのじゃなかろうかと私は思ったりするのですが、そういう点はどうでしょうか。
  50. 関根謙一

    ○関根政府委員 御指摘でありますように、現在各指定自動車教習所におきます指導員の方々が担当する受講者の数といいますのは、それぞれの指定自動車教習所が、それぞれの教習指導目的を達成するためにふさわしいとお考えの数で運営をされていると考えております。  ただ、そこで行政指導として一定の数を警察庁の方から示すべきではないかとの御示唆でございますが、私どもの方としては、その指定自動車教習所の本来の趣旨といたします運転技能の習得の確保、ルール、マナーに習熟すること等、教習の目的を達成するためにふさわしくないと考えるところであれば、それはその目的に反しますからチェックをしていく必要があると思いますが、そのような観点から少し検討をしてみたいと考えております。
  51. 安田修三

    安田委員 ぜひひとつ検討をしていただきまして、繁忙期もあったり閑散期もあったりしていろいろな難点もございましょうが、濃厚な教習内容ということで、子供の教育の場合なら四十人学級、三十五人学級ということで時限数は決まっているしということなんですが、自動車教習所の場合は、どうもそういう点がなかなかうまくいかないということでございますので、ひとつ御研究いただきたいと思います。  そこで、安定した環境のもとでよい教習を行うということになりますと、やはり指導員の質的な問題も当然必要なんですが、パート指導員というのも、これは以前からあるのですが、最近ぽつぽつまたふえるような傾向にもございます。そこで、 パート指導員による教習、あながち全部だめというわけではございませんが、私は、落ちついて、そして専任で指導できるという人がやはり教育でございますから当然必要ではないだろうか。そういう点ではパート指導員は好ましくないんじゃなかろうか。そういう片手間でやるというような、これも非常に安全に関する問題でございますので、そういう点ではパート指導員による教習というのは廃止すべきでなかろうかと思うのです。その点、どうでございましょう。
  52. 関根謙一

    ○関根政府委員 御指摘でありますように、指定自動車教習所の指導員の方々の中にパート指導員とされる方々が含まれていることは事実でございます。  私ども考え方と申しますのは、指定自動車教習所の技能指導員、学科指導員の方々につきまして、道交法の九十八条に規定しております一定の資格要件を備えた方々であれば、その方々がパートであっても差し支えないという考え方でございます。しかしながら、例えば道交法考えております指導員の方々にいろいろ法定講習等をお願いすることでありますとか、管理者の管理のもとで教習を行うようにされたいというようなことが、この法律に規定されております。この法律の規定を守ることができないアルバイト指導員のような方々についてはふさわしくないと考えておりますので、そのような指導員に技能指導員、学科指導員等になってもらうことのないようには指導してまいりたいと考えております。
  53. 安田修三

    安田委員 そこで、今度は労働省の方にまたがっていくわけでございます。  今の教習所の実態は、教習所の経営関係の連絡をするための協会もやっていらっしゃるところがございますけれども、そういうところの経営をやっていらっしゃる方の実態の報告からしてもほぼ同様でございますが、月三十時間以上の時間外労働を行っていることがかなり通常になっているわけです。そこで、年間二千三百時間を超えている教習所というのが大方でないだろうかと思います。教習内容の質的な向上からしますと、年間労働時間の短縮というのは当然必要なのではないだろうか。最近見ますと車へんのところは、メーカー並びにその関連産業でも時間外で、週休二日制は入っているのですけれどもほとんどそれは形だけで、全部出勤というのが随分出ております。私ども関係者がおりますので、労働省は何とか一千八百時間と格好いいことを言っているけれども、これはいつやるのだろうという感を強く持っているのですが、教習所の場合も実は二千三百時間を超えているというのが実態でございます。  そういう点でこの年間労働時間の短縮、そして先ほど警察庁の方では一日当たりの教習時限数の制限ということを言ったわけですが、これと並行してこの方も労働省あたりは何らか行政指導という問題業界とも話し合ってやらないことには、業界というよりも協会でありましょうか、これはなかなかうまくいかないのではないだろうかと思うのです。そういう点で労働省の方にお聞きしたいと思います。
  54. 諏訪佳

    ○諏訪説明員 お答えします。  先生御指摘のように、個別に把握した事例を見てみますと年間二千三百時間を超える、これは残業が多くてなるわけですが、そういった例も見られるわけでございまして、全産業平均二千百時間よりかなり長いものもあるというふうに考えられます。  そこで、今御指摘のように、労働省といたしましては、政府全体の目標として、年間総労働時間を千八百時間程度に向けできる限り短縮するという目標で、完全週休二日制の普及促進を基本に進めて施策を講じているわけです。特に中小企業、自動車教習所も含めてきめ細かな指導援助をしていくということで、現在、集団を対象に労働時間短縮援助事業といったもので積極的に指導援助をしておるわけです。この中には、地域によりましては実情によって自動車教習所も入っておるという形での指導援助をしております。  特に残業等いわゆる所定外労働時間につきましては、本年四月に関係審議会の意見を聞いて労働大臣告示を設定いたしまして、年間という概念も入れてガイドラインを設定しております。このガイドラインの徹底に一層努めてまいりたいと考えております。
  55. 安田修三

    安田委員 今、集団労働時間短縮事業として地域の中には入っておるところがある。教習所も今全国で大変多い数になりましたので、これは労働省としても、警察庁の方が直接の所管でございますが、先ほど言いました時限数制限という問題とも関係がありますので、双方連絡をとられまして、労働省としても縦別の業界指導もやっていらっしゃるわけでございますから、一遍取り上げていただきたい。これは普通のメーカーと違うものですから、特にそこらあたりは必要なのじゃないかと思うわけです。警察庁の方で初心者講習なんか一生懸命やっているけれども、片方では、後でもちょっと触れますけれども、雑だと言うとちょっと語弊がある。指導員の方たちは一生懸命やっておるのでしょうが、ただ環境としてはたくさんの生徒さんを持たせられて、落ちついた教習、濃厚な教習ができがたい環境になってしまった。こういうことがありますので、ぜひ労働省の方でも警察庁と連絡をとられまして、この教習所そのものを、全体を一遍、普通のメーカーとかそういうところと違うわけですから、何か考えてもらいたい。労働時間の短縮について、教習所そのものについて積極的に考えてもらいたいと思いますが、どうですか。
  56. 関根謙一

    ○関根政府委員 指定自動車教習所につきましては、質の高い教習を行っていただくことを私ども期待をしているところでございます。そこで指導員の方々が過長な時間外労働を行ったり、教育にふさわしくないほど教習生をたくさん受け入れるようなことがあれば、教習効果にも悪影響を及ぼすことになるわけでございますので、そういう趣旨から教習所につきましては指導監督を強めてまいりたいと思います。また、そういうような観点から、今後この種の問題が生ずるようなことがあれぱ、労働省とも十分に協議をいたしまして対応してまいりたいと考えております。
  57. 安田修三

    安田委員 そこで、過疎地域では合宿教習がはやっておるわけでございます。それは今日ただいまの問題ではございませんが、ここ数年来特に盛んになってまいりました。問題は、料金のダンピングが行われておるわけです。安い教習料金でいい教習を受けられればいいのでございますが、たまたまこれは公立学校と違いますから、もうけがなければできないところでございますので、短期間に卒業させるため粗製乱造につながっておるのじゃなかろうかと思われるわけです。例えば○○日間で卒業というキャッチフレーズで生徒さんを募集する、非常に非常識な低料金でやっていらっしゃるので、これは手抜き教習じゃなかろうかと思われる。手抜きということはないのでしょうが、そう思われるような節も出てくる。ひとつこういう点についてもよく実態は御承知のはずでありますから、これは何らかの指導をすべきじゃなかろうか。  例えば、六、七万円で香港、マカオ招待の景品つきというようなことになりますと、これはできるんだろうか、人件費だけ考えても。合宿で閑散期で十八万程度で、これは閑散期だから教習所もやっぱりここは困るんでしょう、経営上。生徒さんいないよりも、安くても回転さしたいという、これは心情としてわかります。しかし、十八万やそこらで食事から旅費から、それこそ何やらづきというのはよくはやりましたけれども、旅費つき、食事つきでしょう。それで最後は免許が取れるんですから、こういうのはできるんだろうかということになるんで、こういう点でちょっと、濃厚な教習という点からひとつ皆さんの方で注意を喚起してもらいたいと私思うのですが、いかがでしょう。
  58. 関根謙一

    ○関根政府委員 合宿教習につきましては、短期間に集中的に教習を行いますために、運転免許を比較的に早く取得することができますことから、この需要は年々高まってきております。現在、大 都市以外の指定自動車教習所におきましては、御指摘にありましたように、教習生が少し減るような傾向もございますので、特に合宿教習を積極的に導入しようとする傾向があるように伺っております。昭和六十三年中に合宿教習を行いました指定自動車教習所の数は二百三十一所でございます。確かに、中には本当に経営が成り立つのかと心配するようなものもあるやに聞いております。  そこで、警察庁といたしましては、とにかく教習の質を高め、習熟したドライバーを交通社会に送り出していただくということが教習所の本来の目的でございますので、この合宿教習につきましては、事前指導の徹底、それから臨時検査の徹底でありますとか、あっせん業者というのがいるんだそうですが、そのあっせん業者との契約内容のチェック等、指導監督を強化して、法本来の目的であります教習が十全に行われるように配慮をしてまいりたいと考えております。
  59. 安田修三

    安田委員 今、たまたま局長触れられましたあっせん業者、実はかなりのピンはねといいましょうか、やっておるようでございます。それで、なおかつ宿泊、食事代、交通費込みでということなんですから、これは大変に安くやるということになろうかと思います。ぜひひとつ、今おっしゃいましたように、そういう点の御調査をいただいて、適正なことになるように、そして濃厚な教習ができるようにひとつお願いしたい、こう思います。
  60. 関根謙一

    ○関根政府委員 合宿教習という教習の仕方も、先ほど申し上げましたように十分に意味があり、需要もあるところでございますが、その運営の仕方が問題でございますので、その合宿教習によってすばらしいドライバーを生み出すことができるように、その教習内容、教習の仕方等につきまして引き続き指導をしてまいるように考えております。
  61. 安田修三

    安田委員 それでは、道交法関係はここで終わりまして、当委員会、最近は一般質問も余りないものでございますから、ちょっと警察関係でもう少し、きょうはせっかく長官お見えでございますから、お聞きしておきたいと思います。  昨年もちょうど十二月に当委員会警察の綱紀の問題について各委員からもいろいろと質問や意見があったわけでございます。私も、昨年不祥事件がちょっと続発したというように感じまして、そこで国民と警察との信頼関係というのはもう損なわれるんじゃなかろうか、そういう今後の秩序に憂慮すべき問題が出てきておるという観点で、ひとつきちっといくように、これは内部だけ責めるんじゃなくして、総体的に構造的な問題として一遍いろいろと検討していったらどうだろうということも当日発言しておったわけでございます。当委員会では国会開会中ということにもかかわらず、異例の大阪府警に現地調査を行って、その調査の中にはこうした不祥事件についても実は調査を行ったところでございます。  で、資料をいただきましたら、今年十一月十六日現在で既に懲戒免職処分を受けた人がちょうど十五人いらっしゃいます。この数値は、六十一年の十三人、六二年の十一人、六十三年の十五人という懲戒免職者の処分数からしますと、既に今年は昨年の数まで来ておる。きのうかの新聞を見ますと、飲酒運転で一人また新聞報道されました。私はいつも言うのでございますが、警察官も人でございますから、それはいろいろと出るのはやむを得ない。しかしその職務上、給与とかその他服務とかいろんなことで一般の人以上に行き届いたことがあっていい。激務であり、緊張感があり、重大な任務を負う、そのかわりに、してはならないこと、それはもう人よりも実は厳しく枠がはめられるわけでありますから、そういう点だけはきちっとやってもらいたいという気持ちが強いわけであります。  そこで、懲戒処分数ですとかそれから免職者の数からしますと例年そんなに大差はない、ほんの何人かずつの多い少ないだけの推移でございますから、そういう点からすれば通常だなという感じがいたしますが、最近は特にそういう点で目につくことも依然としてあります。  さて、私は何も個別のただいい悪いを論ずるだけじゃなくして、警察内部の教養、あるいはまた、今いろんな点で警察官の交代期のこともございましょう。ただ、国民の信頼関係を損ねたということは非常に重大でございますので、そういう点を心配しておるわけでございます。そういう点で、内部の綱紀についてひとつお伺いしていきたい。
  62. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 ことしに入りましてから現在までに警察庁に報告がございました不祥事案は、全部で六十二件に上っておるわけでございますが、これは昨年同期に比べますと六件、約一割は減少しておるところでございます。しかしながら、ただいま御指摘のございましたように、これらの不祥事案によりまして懲戒免職になっている者が十五人に上っておりまして、これは昨年同期に比べますと二名の増でございます。  警察庁といたしましては、このような事態を極めて深刻に受けとめておるところでございまして、既に去る六月には、異例でございますが、長官通達を発しましたし、また今月七日には全国警察本部長会議が開催されましたので、この機会にいろいろ指示いたしておるところでございます。すなわち、各種の不祥事案につきましては、その根源を解明いたしまして、これまでの人事管理や職業倫理教育のあり方を見直しまして、具体的かつきめ細かな未然防止対策を強力に推進するようにというようなこと、さらにまた、未解決事件など各都道府県が抱えておる重要課題の解決について全力を挙げて取り組みますとともに、適材適所の人事とか能力、実績主義に基づく昇任、さらには時宜を得たところの表彰などを行いまして、組織の活性化と個々の職員の士気の高揚を図るようにといったことを指示したところでございます。  いずれにいたしましても、厳正な規律の保持というのは警察組織にとりましてはいわば生命でありますので、今後とも各種の施策の浸透を図りまして、この種不祥事案の絶無を期すよう努力してまいりたいと思います。
  63. 安田修三

    安田委員 そこで、警察の抱えていらっしゃるいろいろな事件について多少お伺いしたいわけでございます。  まず先に、今盛んに報道されておりますし、雑誌でも新たにまたいろいろな問題提起がされておりますが、横浜市の坂本弁護士の、拉致かあるいは失踪かわかりませんが、不明事件についてお伺いしたいのでございます。  十一月三日以降消息不明ということがわかりまして、そこで十一月七日、捜索願が出されたわけでありますが、御存じのように、御本人はもちろんのこと奥さんも長男も、一家ともども忽然と消えてしまったということです。まず現状の捜査経過と、現在、それが拉致なのか失踪なのかという点について警察ではどのように判断しておるか、ここからまずお伺いしたいと思います。
  64. 中門弘

    ○中門政府委員 お尋ねの事案につきましては、御指摘のとおり今月七日に、所在不明となられました弁護士の方の母親の方から所轄の警察署に届け出があったものでございます。直ちに警察としましては所要措置をとりまして、翌日には警察本部からも要員を派遣いたしまして、所在不明となられました方の自宅の検分等を実施したところでございます。現在までのところ、非常に不自然な形で所在不明となっておられますので、犯罪に巻き込まれた可能性もあるのではないかということで、十五日に公開捜査にいたしますとともに、捜査本部を設置いたしまして、必要な聞き込みその他の捜査を行っておるところでございます。また、全国にも手配をいたしまして、関連情報の収集等に努めるような指示を出しておるところでございます。  現時点では、解決に結びつくような有力な情報の入手にはまだ至っていないという段階でございます。
  65. 安田修三

    安田委員 実は、いろいろな雑誌、新聞にも報道されておりますように、背景がどうかということについて取りざたされております。この方は司法の場では社会正義のために大変活躍されていらしたそうでございまして、いろいろと新興宗教の 関係、横浜法律事務所の声明の中にも、オウム真理教の被害者の方からの依頼に基づいて調査とか相談相手になっていたということ、あるいは相手方との交渉に取り組んでおられた。もちろん相手方の新興宗教の方は、うちとは関係ございませんということの対外発表もあったようでございます。  また一方、今盛んに社会的な注目を浴びております国鉄、JRの不当差別の撤廃を求める不当労働行為事件についても、実は国鉄労働組合の代理人としてこれまた活動中でございます。どちらかといいますと、こういう関係に大変熱心な方だったようでございます。それだけにそういう関係からの拉致なんだろうかというようなことも実は取りざたされるわけでございますが、わかりません。それから、失踪ということについて、関係者では失踪するような背景はないということで、それぞれ近親者、横浜法律事務所ともに一致しておるようでございます。  さて、警察の方ではどうでしょうか。そこら辺は捜査の段階でございますのでどうかわからないのですが、拉致のにおいがするのか、あるいはどうも失踪というようなにおいがするのか、そこら辺はどのように御判断なさいますか。
  66. 中門弘

    ○中門政府委員 現時点では断定できる明確な材料はないわけでございますけれども、一家三人そろってどこかへ出かけられるというふうな状況はないということでございますので、可能性としては何らかの事件に巻き込まれていらっしゃるのではないかということが懸念されるわけでございます。ただ、室内等の状況が大変荒らされておるという状況もまたないようでございます。また事実関係がどうかということにつきましては、今後十分いろいろな点を考慮に入れながら、捜査を尽くした上で判断しなければならないものと考えております。
  67. 安田修三

    安田委員 そこで今度の事件、起きたのは横浜ではございますが、背景として、あるいはその背景があるかないかわかりませんが、とにかくこの方の仕事をしていらっしゃる領域からいたしますと、東京に関係あり、静岡に関係あり、これは宗教の関係ですが、面識していらっしゃる方が広範囲にまたがるわけでございます。そういう点では皆さんもそれぞれの聞き込み捜査、情報収集等はかなり広範囲にやっていらっしゃると思いますが、私はいつも日本の警察の場合に、いいところであり、またこういう非常にスピード時代の広域捜査になりますと問題を残すのでございますが、それぞれの県警の枠がございますし、そういう点では広域捜査について警察庁も格段の苦労をしていらっしゃると思います。当委員会でもたびたびそういう点の問題が出てまいります。グリコ・森永事件の場合も、広域捜査という点では皆さんも辛酸をいろいろと経験していらっしゃると思います。それから今年、宮崎勤の野本綾子ちゃん事件のときにも、広域捜査ということについては当委員会でもいろいろとお話がありますし、皆さんもそういう点の配慮を十分しながらやっているということでございました。しかし実際問題として、広域捜査の場合に、後から結果を見ますとこれはやはりちょっとまずかったなということが出ているようでございます。  そういう点では、静岡県ではことしは誘拐事件でいろいろと問題を残したこともございます。今度の場合かなり広範囲にまたがりますので、ぜひひとつこの場合は連携を密にされて警察庁が指揮されまして、そして万全の捜査をしてもらいたい。特にだれかれだから重大ということはございませんが、坂本弁護士の場合に、社会的に正義感の強い仕事をやっていらっしゃる、職務上もそうであったという点では私は、これがもし犯罪であったとすれば重大な国家、社会に対する挑戦であろう、こう思います。そういう点で警察庁の全力投球をお願いしたい、こう思うのでございます。
  68. 中門弘

    ○中門政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この事案の特異性、重要性にかんがみまして、神奈川県警といたしましては既に百二十名の捜査体制を組んでこの事件の捜査に取り組んでおるわけでございますし、また全国の警察にも手配をいたしまして、必要な情報を収集するようにということで指示をしておるところでございまして、全国の警察が十分関心を持って対応しておるものと承知いたしております。
  69. 安田修三

    安田委員 それでは、この点はひとつ全力を挙げてお願いしたいと存じます。  最後にもう一つ皆さんがああだこうだ言うことについて余り言いたくないのでございますけれども皆さんには皆さんの言い分があるように私たちも伺っておりますが、ことしも結果として誤認事件や不当逮捕ということがいろいろと出てまいっております。そういう中に、これは困ったな、大変だなと思われるところも随分ございます。特に東京近辺もことしはそういうのが幾つか出てまいりました。  先般はまた、この方は私たちも直接存じませんけれども、元動労役員という方で、電話線に、切断した場合の警報装置がつけられたということが報じられました。前には盗聴事件、そしてその神奈川県での情報公開をめぐりまして私一遍議論をしたことがございます。こういうことが出てまいりますと、やはり警察は一体どうしてこんな権利侵害をやるんだろう、こういうことになってしまうのですね。  そこで、警察としては、ぜひこういうことのないようにやってもらわなければ信頼が置けないのではないだろうか。皆さんの言い分が新聞に報道されておりますが、もし例えばこういう電話線に切断警報という工作を加えるなら、当然そこの当人に了承を得ていかなければならぬ。盗聴してないからいいというものではない。こういうことの積み重ねが、いずれ不信感が多くなった場合に社会的に重大な憂慮を呼び起こすことになるのじゃなかろうかと私は思います。そういう点で警察の方ではどういうぐあいに考えておられるか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  70. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  御質問のケースは、田端にあります四階建てのビルの三階に居住される方が十一月十日にNTTの営業所に対して不審だということで調査を依頼いたしまして、その結果電話線の切断警報装置がつけられているということを承知するに及びまして、十四日に東京地検に対して告訴、告発をなした、こういう事案でございまして、詳細は省略いたしますが、そういうことでございます。  極左暴力集団が、ねらった相手を襲撃して凄惨な殺人事件を引き起こす際には、警察への通報をおくらせるために、あらかじめ犯行現場付近の電話線の空中ケーブルを切断いたしまして、付近一帯を通信不能に陥れて犯行に及ぶというのが通例でございます。こうした殺人事件が本年二件、昨年一件起きておりまして、この三件ともいずれもそうした電話線が切断された後で敢行されている、こういうことでございます。  警察はこういった事件の防止、検挙のため迅速な措置をとる必要がございますので、襲撃の可能性が高い場合には、NTTに要請をいたしまして電話線切断警報装置を設置していただいておるわけでございます。NTTにとりましても、切断されますと被害者という立場にもなりますし、一般のために電話回線を保守管理するという責任がございますので、そういう観点から御協力をいただいておるというふうに承知しておるわけであります。  ただし、誤解がありますのは、この装置の設置に当たっては、現に使用されている個々人の電話回線には何らの作為も施していないということであります。したがいまして、通信機能に障害を与えるものでもありませんし、通話内容とかそういうものもわからない、またプライバシー侵害、人権侵害というような問題が起きないわけでございます。たかだか、何ぴとかによって電話線が切断された場合にその切断されたということがわかるというにすぎないものであります。したがいまして、委員ただいま了解云々という御質問でございましたが、回線の保守管理に当たるNTTがみずからの施設に工事をするものでありますので、電 話の利用者に事前に了解を求めるような立場にあるわけではない、また、そういう了解を前提としてなされるものではない、これは一般論でございますが、そういうふうに私どもも理解しておるわけでございます。
  71. 安田修三

    安田委員 では、これは警察の方でどこそこにつけてくれということではないのですか。
  72. 城内康光

    ○城内政府委員 ただいまその点をお答えしたと思いますが、警察が必要を感じてNTTに要請をして、NTTによってそういった工事をしていただくということでございます。
  73. 安田修三

    安田委員 だから、局長、警察が特定の人ないし自宅を指定してそこにNTTにつけてもらう、そうなればそれがそもそも人権侵害になるんじゃないか。それはどこでも、警察庁長官のところにも大臣のところにも私らのところにも、もしそういう不慮の事故が起きたら困るからNTTが全部つけていったというならいいのですが、皆さんがあそこのところにNTTつけてもらいたいということになれば、おれのところは何のためにそういうふうに特定されるか、こうなってくるんじゃないですか。
  74. 城内康光

    ○城内政府委員 お答えいたします。  警察が電話線切断警報装置を必要とするような人物であるかどうかというようなことにつきましては、いろいろな資料からそれを判断しておるわけでございます。したがいまして、例えば私の同僚も極左のターゲットになっておるということもあるわけでございます。いろいろなことからケース・バイ・ケースということで考えるわけでございますが、先ほど申し上げたのは一般論ということでございまして、中には、そういう襲撃が考えられるからこういう点に気をつけていただきたいという指導をする全体の中で、こういうこともしておりますよと言う場合もあります。それが一つの例であります。  もう一つ全然対極の例は、いわゆる内ゲバというようなものはお互いに殺しっこしている集団同士でございまして、その一方に実はこういうことですというふうに言うことは、これはちょっと警察の活動目的からいいまして、手のうちということで当を得ないことではないか。その両極端の間には無限のニュアンスがあろうかと思います。それはやはりケース・バイ・ケースで判断していく、こういうことではないかというふうに考えております。
  75. 安田修三

    安田委員 特定されるというのはやはり本人にとっては苦痛だと私は思うのですね。ですから、そういう点からいえば、事前に了解をとるというのは正しい方法だろうし、皆さんがやむを得ない緊急避難措置としてそういうことをされたという場合は別として、これはいろいろとやり方については十分研究して、問題の起きないようにしていただかなければならないのではなかろうかということで、私は注文しておきたいと思います。  以上で終わります。
  76. 小澤潔

    小澤委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ────◇─────     午後一時一分開議
  77. 金子一義

    ○金子(一)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大野功統君。
  78. 大野功統

    ○大野(功)委員 私は、まず道交法改正につきまして、道交法を支えている基本的な哲学、考え方、あるいは警察行政というものを支えている基本的なフィロソフィー、この点について考えてみたいと思うのです。  我々の生活には、やはりお巡りさんが寒空でパトロールをしてくれているから安心してまくらを高くして寝られる、これはもうよくわかっているところであります。警察があるから我々は安心して市民生活ができる、これは非常によくわかっているわけでありまして、このような意味で、今行政改革ということも叫ばれているわけでありますけれども、どんなに行政改革を進めていっても、どんなにむだを省いていっても、私は警察というのは行政の中で最後まで残る仕事だと思っております。ついでに言わせていただきますと、私は大蔵省出身でございますので、税務署も最後まで残るのではないか。と申しますのは、お巡りさんの月給を払うためにはやはり税金が要るわけでありますから税務署も要るのではないかと思います。  一方におきまして、我々庶民感覚からいいますと、例えば気持ちよく運転していて突然にお巡りさんが飛び出してきて、あなたはスピード違反しているんじゃないか。スピード違反とか、例えば駐車違反とか信号無視とかこういうのはたまたま見つかるわけであります。みんなスピード違反しているものが見つかればそれは公平でありますけれども、けさも安田さんの御質問金澤長官だと思いますけれどもお答えになって、警察の行政というのは基本的には不偏不党、公正である、だれにもくみしない、こうおっしゃっていたと思いますけれども、例えばスピード違反などは、見つかりますとどうも見つかり損じゃないか、これが庶民感覚だと思います。税金も同じでありまして、税金も脱税が見つかると見つかり損だ、これも庶民感覚だと思うのです。しかしながら、ここで十分にこの庶民感覚を踏まえながら道交法改正に当たってみんなで考えなければいけない問題、これはなぜそういうことが起こるのか、こういう問題でございます。  今回の道交法改正では、初心運転者講習、場合によっては再び新しく再試験をしてもらって免許証を取ってもらわなければいけない、こういう問題が出てきておりまして、これこそまさに初心者だけに新しい過重な負担を負わせるわけであります。ここでなぜ初心者だけにそういうふうな新しい過重な負担を負わさなければならないのか、このところを十分に考えて、そしてそこを国民の皆様に十分認識してもらわないと、これはどうしたって道交法改正というのは本当に公平な行政なんだろうか、何が目的なんだろうか、こういうことで国民が戸惑いを覚えるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  だからこそ、基本的な問題について私はお尋ね申し上げたいのでありますけれども、人間というのはホモモーベンス、つまり動く動物であります。動く動物でありますから、動けば動くほど物も動き、それからお金も動く、経済活動は活発になっていく、これは当然のことでありまして、人間を動かす、これは道交法の精神でいいますと迅速という精神だと思います。こういう点では経済政策というのは明らかに効率を重んじた政策でなければいけない、これも当然だと思います。  見えざる手が働いてみんな勝手に任しておけばうまくいくんだ、これはアダム・スミスの考え方でありますけれども、それに対してやはりそういう経済的効率、人に任しておけば利己主義と利己主義がぶつかって世の中どうにもならなくなるよというのが、ここに警察行政の問題が出てくるんじゃないか。経済的利益の追求のみではいけなくて、やはりそこに公平とか教育とか安全とか公正とか福祉とか、そういう問題が当然出てくるわけでありまして、なかんずく安全の問題を十分に認識していかなければいけないんじゃないか。  歴史的に振り返ってみますと、これまで例えば見えざる手、アダム・スミスと、それから公平とか福祉とか公正とか、そういうものを考えてきたケインズ、ケインジアンの考え方と、どっちをとるかということで政策は進んできておりますけれども、このところどうも、例えば国鉄の民営化問題を代表にして効率を重んじ過ぎているんじゃないか、効率主義に走っているんじゃないか、こういう問題があるんじゃないか。しかし、いかに経済政策が効率に走ろうとも、警察行政ではそういう効率性ではだめだと思います。そういう経済政策に見習っていたんじゃだめじゃないか。警察行政こそまさに効率主義、つまり警察皆さんがおっしゃる迅速と安全が両立すればいいのです。両立すればいいのだけれども、往々にして両立いたしません。両立しないときに、果たして見えざる手に頼るのか、それともそこに介入をしていくのか、 こういう大変深刻な問題が出てくると思うのであります。  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、効率と安全が両立した場合はいいのでありますが、全く両立しないとき、相反するとき、これは絶対に効率をとるんじゃなくて、国民の皆様に少しは御負担いただかなければいけない。それから警察、行政の方も負担していただかなければいけない。行政もそれから国民も両方に負担はかかるけれども、コストはかかるけれども、やはりここはどうしても安全ということをとってもらいたい。狭い日本なぜ急ぐとかいう、あれは実にうまい標語だと思うのですけれども、あの標語にあらわされているように、急ぐよりもやはり安全なんだ、そのためには少し初心者の方にも御負担いただきたい、それから警察行政も少し面倒になりますけれども、そこはやはり行政の方も負担しましょう、こういう精神が今一番大事なんじゃないかと思いますが、庶民感覚が一番よくおわかりの、政治経験豊かな、我が尊敬する大臣にひとつここだけはお答えいただきたいと思います。
  79. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま大野先生のすばらしい御見識、拝聴をさせていただいておりました。  環境問題とかああいう際もいろいろ議論をされておりますけれども、人の命は地球より重い、これが政治に携わる者、行政に携わる者の今日に生きる近代社会の一番大事なモラルでありますから、もちろん効率化、合理化、こういうものも大事でありますけれども、安全をとるか効率をとるかという場合、安全を前提にして行政が進められなければならないのは当然のことだろうと存じます。
  80. 大野功統

    ○大野(功)委員 大臣、ありがとうございました。大臣のお言葉を大変心強く伺いまして、ただいまおっしゃっていただいたような精神があれば、今回の道交法改正、国民と警察が一体となった改正が進められていくんじゃないかと思いますけれども、ここで金澤長官にもひとつその点についてのお考え方をお示しいただきたいと思います。
  81. 金澤昭雄

    金澤政府委員 今大臣がお答えを申し上げましたとおり、安全と効率という点からすればまさに道路交通は安全が第一であるというふうに私も考えております。その安全のために、今回改正を御提案申し上げております内容も、安全という見地からこの運転者管理についてぜひとも一層徹底をしていきたい、こういうことでございますので、ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。
  82. 大野功統

    ○大野(功)委員 そこで、交通事故、特に交通事故死撲滅は我らの願いでありますけれども、最近の統計を見ていますと、交通事故死が実にふえているんですね。ここに過去五年間の表をいただいておりますけれども、グラフを見てみますと、六十二年までは一年間の死者数が九千二、三百人台でありますけれども、六十三年に急に一万人を突破いたしております。それから、御存じのとおり、最近の新聞を見てみますと、ことしは交通事故死がもう年間一万一千人に達するのじゃないか、これは大変なことでございます。そこで、なぜ六十三年から交通事故死がこんなにふえてきたのか、その辺の原因は何でございましょうか。
  83. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答え申し上げます。  交通事故死者の急激な増加の原因につきましては、いろいろな原因が考えられるところでございます。それを基本的な原因とその他のもろもろの要因とに分けて考えておりますが、基本的には、道路の条件に対しまして運転免許保有者数、自動車の保有台数が急速に伸びてきていることも一つ考えることができようかと思います。運転免許保有者数はことしは恐らく五千九百万人を超えることになろうかと思います。他方、自動車の保有台数の方でございますが、これは原付を除きまして六千万台に近づく数字になろうかと考えております。  他方、経済の活性化ということもございます。その結果、生活形態が夜型化をし、レジャー時間の拡大、それに高齢化社会の進展というようなことが出てまいります。これらにあわせまして、さらにドライバーの資質の問題、それに歩行者その他の道路利用者の方々の心構えの問題等もあろうかと思います。特に若年者、若年ドライバーの無謀運転の問題等も大きな要因ではなかろうかと考えております。
  84. 大野功統

    ○大野(功)委員 一般的な事故死の原因はわかったのでありますが、私が特に知りたいと思いますのは、六十二年から六十三年にかけて、六十三年から急激にふえているんですね。そのあたりは一般的な問題なんでしょうか。何か特殊なこれといったようなことはありますでしょうか。それとも全くこれといった特色のないようなことなのでしょうか。
  85. 関根謙一

    ○関根政府委員 確かに事故死者数は六十三年から急増しております。六十三年は死者数が一万三百四十四人でございます。また平成元年、ことしでございますが、昨日現在の数字は九千七百十五人でございまして、一万人まであと二百八十五人ということで、ことしじゅうに一万人を超えることはほぼ確実ではないかとおそれているところでございます。  そういった死者数は確かにふえているのでございますが、他方、運転免許保有者数当たりの死者数、それから自動車保有台数当たりの死者数等を見てみますと、六十三年以前と六十三年以後とではそれほどは変わっていないのでございます。自動車、これは原付を除きますが、自動車一万台当たりの死者数は、六十二年が最低でございまして、これが一・八人であったかと思います。それ以前は一・九とか二・幾つでございます。他方、六十三年は一・九人でございます。ことしも、仮に一万人を超えるといたしましてもやはり一・九人くらいではなかろうかと考えております。でございますから、自動車保有台数なり運転免許保有者数に対する死者数といいますのは、必ずしもふえているわけではないのでありますが、絶対数の方がとにかくふえております。  その原因といたしましては、私どもの取り締まりの方、教育の方、これは従来にも増して一生懸命当たっているところでございますが、それにもかかわらずそのようにふえてきているということについて考えてみますと、いろいろあるのだろうと思いますが、やはり運転免許保有者数、車両台数の増加、社会経済活動の活性化等によりまして道路にたくさんの方々が出てきて、それらの方々の間の調整が交通の場で必ずしもうまくいかなかったということが原因ではないかと考えております。
  86. 大野功統

    ○大野(功)委員 交通事故を減らす、撲滅するためには、その交通事故の原因というのをきちっと把握して、例えばそれがスピードの出し過ぎなのか、信号無視なのか、あるいは年齢が若いのか、そういう原因をきちっと究明していくことがまず根本でありますから、十分御調査いただいているとは思いますが、今後ともその辺の御研究も怠りなくよろしくお願い申し上げます。  事故の撲滅ということでは、警察行政だけではなくて、道路をよくする。日本の場合は車道と歩道がよく分かれてないからということがあるのでありますけれども、この問題はきょうは取り上げませんが、まず、事故原因を年齢別に考えてみたいと思うのです。  先ほど引用しました新聞記事の中でも、「高齢者の犠牲急増」というふうに書いてあります。調べてみますと、ことしの十月ぐらいまでのデータだと思いますが、六十五歳以上の方で自動車運転中に死亡事故を起こされているというのが前年に比べて七二%急増をしている。それから、二輪車に乗っておられてお亡くなりになったという方が二五%もふえている。自転車に乗っておられる間にお亡くなりになったという方も二五%ふえている。こういうふうに考えてみましたら、非常にお元気なお年寄りが事故を起こされている。これは、先ほど関根局長からもお話がありましたが、免許証を持っている人がたくさんふえたから、特にお年寄りの免許を持っている方がふえたということも原因になっているのかもしれませんけれども、こういうふうに元気なお年寄りが事故を起こされて、長い間お働きになって本当にこれから悠々自適の生活を楽しまれるという時期に、こういう交 通事故でお亡くなりになるということは嘆かわしいことであります。この点は、これからあらゆる手段を講じて、絶対お年寄りの交通事故というのをなくしていかなければいけないと思うのでありますが、現在特に対策をお立てでございましょうか。
  87. 関根謙一

    ○関根政府委員 高齢者の方々の事故の件数が最近ふえているということは、本当に御指摘のとおりでございます。私どもの対策は、安全教育、それから安全施設の整備、それと取り締まりの強化という三点を柱として取り組んでいるところでございます。  まず、これはお年寄りの方々のための交通環境の整備の一環でございますが、安全施設整備、それからシルバーゾーンといったゾーン規制を行っております。それに交通安全教育という立場から老人福祉機関と連携をいたしまして、お年寄りの方々がお出かけになるいろいろな行事の機会等をおかりいたしまして、交通安全についての話をするというようなことも行っております。  さらに、御指摘のように高齢者の方々が運転をされて事故を起こされるということもございます。高齢者ドライバーの方々に対します適性検査の機会を活用いたしました安全運転指導というようなことも行っているところでございます。  さらに、広報ということで、ドライバーの方々、それからお年寄りであります道路利用者、お年寄りの死亡事故のうちの七五%が歩行中の方であるか、または自転車乗車中の方でございますので、そういう方々が夜間外出する場合の服装でございますとか反射器材の活用などにつきましても、広報を通じましてお願いをしているところでございます。  以上、甚だばらばらといいますか、いろいろな施策を講じまして高齢者の方々に交通の安全を呼びかけているというところでございます。
  88. 大野功統

    ○大野(功)委員 どうかこれからもお年寄りが交通事故にお遭いにならないように、例えばゲートボール大会の場でも一分間広報に当てていただくとか、老人会あるいは市町村とも十分協力しながらこの問題に取り組んでいただきたいと思います。  一方、今お元気なお年寄りの方の話をさせていただいたのですが、新聞を見てみますと、痴呆性のお年寄りの方が運転していて事故を起こされて免許取り消しということになった、こういう問題もあるわけであります。免許を取り消すということは法律に基づかなければならない問題でありますから、軽々に論ずるわけにはいきませんけれども、一方においてこういう痴呆性あるいはそれに近い方が運転免許を持って、そして取り消しもされないまま運転されている、これは社会的に見れば非常に問題とされていい問題じゃないか。非常に難しい問題でありますけれども、今どういうふうに対処したらいいのか。一番いいのは恐らく家族がおじいちゃん、もう運転しないでよということで免許証を取り上げてしまう、こういうことでありましょうけれども、元気であるおじいちゃんの方もまだまだおれは運転するんだということになると思いますが、この点についてのお考え方をどうぞひとつお聞かせください。
  89. 関根謙一

    ○関根政府委員 お年寄りのドライバーの方々が、身体的な後退と申しますか、それに加えまして精神的にも後退をされて、過日の新聞報道にありましたような老人性痴呆症というようなことになることは間々あることであろうかと思います。従来は高齢化社会ということが問題にならなかったものですから、余りそういう事例は聞かなかったのでございますが、ここ最近やはりございます。  御指摘の痴呆症の方につきましては、たまたま事故を起こされまして、事故を起こされた結果、臨時適性検査を行った結果老人性痴呆症に該当するという医師の判断がございました。道交法八十八条に運転免許の欠格事由というのがあり、その欠格事由に該当する場合には、道交法の百三条の規定によりまして運転免許を取り消さなければならないということになっております。この方の場合には、八十八条の一項二号に規定をしております精神病者に該当するということで、運転免許を当該公安委員会が取り消したということでございます。この種のケースは昨年中でも数件ございました。  その対策でございます。  この方は事故を起こされた例でございますが、他の方々は御家族の方々から、うちのおじいさんがいつも運転していくけれども、危なくてしようがないから免許を取り上げてほしいという要請を受けるのでございます。私どもそのような場合には、医師にお願いをいたしまして臨時適性検査を行い、それによりましてそれぞれ法律の定めるところによりその障害の程度に応じて、取り消しという処分に該当する場合には取り消し処分、免許の効力の停止に該当する場合には効力の停止ということで対応をしているところでございます。  ただ、臨時適性検査を受ける機会をふやすということは、やはり広報活動にまつ以外にないと考えておりますので、今後ともその種の広報活動を積極的に行ってまいりたいと考えております。
  90. 大野功統

    ○大野(功)委員 私の県、香川県でも、十一月十八日現在ですが、交通事故死者が百二十人、そのうち五十人、四二%がお年寄り、六十五歳以上の方でございます。そういう意味で、お年寄りが交通事故に遭わないように、痛ましい結果にならないように万全の措置を研究していただいて、そしてまた実行していただきたい、このことをお願いします。  次に、同じく年齢別でございますが、三十歳代のドライバーが起こす事故が最近大変ふえているようでございます。この辺の原因は何でございますか。
  91. 関根謙一

    ○関根政府委員 三十歳代の方々の事故死者数はこのところ極めてふえておりまして、具体的な数字で申し上げますと、本年十月末現在での交通事故死者数、三十歳代の方は八百五人で、昨年に比べまして百十六人、一七%ほどの増加となっております。特にこの中で増加の著しいのは自動車運転中の事故でございまして、二二%、七十七人ほどの増加でございます。  その原因でございますが、これはいろいろな要因を考えることができようかと思いますが、何よりも三十歳代の方々は社会経済活動を背負っておられる方々で、最近の経済活動の活発化によりまして自動車に乗る機会が多いということによっているのではないかと思います。他方、生活活動の夜型化、さらにレジャー時間の拡大というような要因もございます。  さらにつけ加えますと、特に最近自動車の売れ行きが非常に伸びておりますが、こういったことも、その買う方々は三十代の方々に多いのかなということでございますが、いずれにしましても、三十代の方々、さらに実は四十代の方々につきましても事故の増加がふえておりますので、この方々につきましても、職場等を通じまして交通安全につきましての広報、啓発活動を行ってまいりたいと考えております。
  92. 大野功統

    ○大野(功)委員 だれでも交通事故に遭うのは嫌ですから、例えば三十歳代の人は交通事故を非常に起こしやすいよ、起こっていますよ、あるいはレジャーで夜走っていますと起こりやすいんですよ、こういう広報活動をやっていただければ、やはりそれぞれが注意しなければいけない問題でもありますので、原因をきちっと調べてそしてそれを広報に載せていただきたい、こういうふうに御要請しておきます。  それから、道交法改正の焦点でございます若い人、初心者ドライバーの問題であります。三十歳以下の方の問題ですが、これは一体、若いという精神的なところが問題なのか、あるいは運転免許取りたてで技術が未熟というところが問題なのか。もし若いということが原因であれば、若い人にはもっともっと交通道徳について勉強してもらわなければいけない。今はバイクは十六歳から乗れますし、四輪車、自動車は十八歳から乗れるわけですから、高校教育の一環としてやはり交通道徳あるいは交通マナー、交通ルールというようなことについてもう少し教育をしていただければ、 もっともっと交通事故は減らせるのではないか、このように思うのです。  私はジュネーブで自動車を運転しておりまして、歩道を一人のお嬢さんが渡ろうとしておられたので、歩道の前でとまりました。そうしますと、そのお嬢さんが歩道を渡りながら、運転をしておりました私の方を見てにっこり笑って会釈をして通っていく。これは実に気持ちがいいんですね、車と人間の共存共栄関係ということで非常に気持ちがいい。もし仮にそんなことをやっても、どうぞ歩行者の皆さんお渡りくださいといって自動車の方でとまっても、人間の方が渡りながらドライバーをきっとにらみつけて通るようなことでは、やはり人間と車の共存関係というのはできないわけであります。  また、同じヨーロッパでの体験でありますけれども、自動車へ乗っておりまして、いわゆるジグザグ運転、レーンを変えて、車線を変えて運転しておりましたら、信号機のところでとまっておりますと、後ろから追いかけてきた自動車から人がおりてまいりまして、おまえは一体何と無謀な運転をするんだ、こういうふうに怒られたことがあります。そのくらいスイスの交通マナーというのはいいんだなと思ったことがあるのです。国によってそれぞれ違いますけれども、交通マナーがいいといったって、その国が経済的に繁栄するかどうか、これはまた別問題でありますが、そういうふうな本当に車と人間とが共存共栄しなければいけないのですよ、お互いに譲り合うという気持ちも大事なんですよ、こういうことを高校教育の過程で、あるいは若いうちにいろいろな話を織りまぜて教えるようなことをしたら、若いから起こす、こういうことが少しは減るのではないか。まず第一にお尋ねしたいのは、若いことが原因なのか、技術が未熟だからという原因なのか、両方だとは思いますけれども。  次に、若いということが相当の原因になっていれば、そういうような教育についても文部省と協力しながらやっていくべきじゃないかと思いますが、文部省との協力関係、高校、中学におけるそういう交通ルールの教育についてはどうなっていますか。
  93. 関根謙一

    ○関根政府委員 まず、若年者につきまして事故が多い原因として、その人が若いためであるのか、それとも若いということは運転が未熟であるということに通ずるところから、運転が未熟であることが原因であるのかとのお尋ねでございます。  先生御指摘をいただきましたように、やはり両方が原因であろうかと思いますが、若さということは社会のルールなり人々の行動形態についてまだなれていないということがあり、そういうことから無謀な行動をとるということがあろうかと思います。他方、若年ドライバーについて見ますと、運転技術に習熟していないということを原因とする事故というのも多数見受けられるところでございます。  そこで私どもは、若年運転者の方々につきましては、今回御提案を申し上げております道交法の一部改正案で、初心運転者期間制度というようなものをシステムとして設けることにより運転技術に習熟していただきたいということを考えております。  他方、若い人たちに対する安全教育の問題でございます。御指摘でありますように、小学校、中学校等ではいろいろ教育をしていただいておりますが、特に高校生につきましても、十六歳以上は二輪免許を持つことができ、十八歳以上自動車でありますから、この過程で自動車交通社会になれていただくべく、自動車交通社会における人の行動の仕方についてのルール、それからあるべき心構え等につきまして教育をしていく必要があろうかと思います。そのような意味合いにおきまして、文部省とも御相談申し上げながら、高校生以下の方々につきましても交通社会におけるルール、心構え等について教えていくべく努力をしたいと考えております。
  94. 大野功統

    ○大野(功)委員 今回の道交法改正では初心運転者期間というのを設けまして、一年未満ということでお考えのようでありますけれども、免許取りたて一年未満の方が技術の未熟によって起こす事故というのは、どういうものが多いのでございますか。
  95. 関根謙一

    ○関根政府委員 若い人たちの死亡事故の特徴でございますが、例えば高速道路を自分の運転技術の限度を超えた速度で走ってガードレール等に激突して亡くなるといった、いわば自爆型の事故でありますとか、その他ハンドル操作の不適切等は、技術の未熟さによる事故の一つの典型ではないかと考えております。
  96. 大野功統

    ○大野(功)委員 くどくどと初心者の事故の原因をお尋ね申し上げましたのは、せっかく初心者講習というものをおやりになる以上、その原因を十分に見詰め、その原因に根差して効率的な、ここではあえて効率的と言わせていただきますけれども、本当に役に立つ講習をしていただきたい、こういう願いからであります。  こういう初心者講習あるいは再試験という制度をおつくりになるわけでありますが、外国では既にある制度でございますか、もしあったとすれば、それが果たして事故防止あるいは事故数を減らすことについて実際に効果を上げておられるのかどうか。外国の例がありましたらお教えください。
  97. 関根謙一

    ○関根政府委員 諸外国はむしろこの種の初心運転者対策に熱心に取り組んでおりまして、私どもの方がややおくれているという印象を持っております。例えば西ドイツでありますと、運転免許を取得いたしましてから二年間は暫定期間といいますか、教育を受ける期間として置かれておりまして、その間に講習を受けるとか再試験を受けるとか、そういうことが義務づけられ、再試験等の結果、本免許に至るということのようでございます。これは西ドイツのバイエルンの例でございますが、この制度を採用したことによって初心運転者の事故が約一三%減ったという例がございます。私どもも今回この西ドイツの制度をまねした制度でございますが、初心運転者の方々の事故件数が非常に多いものですから、一三%かそれ以上減少することを期待いたしております。
  98. 大野功統

    ○大野(功)委員 ただいまのバイエルンの例で事故が一三%減ってきたということを聞いて大変心強く思うわけであります。しかしながら、いずれにいたしましてもこの初心者講習をやるということは、初心者ドライバーに対して負担をかける話でありますから、その基準については慎重でなければいけないと思うわけであります。  漏れ承るところによりますと、累積点数三点ということで講習を受けてもらう、こういうことをお考えのようでございますが、三点というとやや少ないような気もいたしますけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。
  99. 関根謙一

    ○関根政府委員 私ども、今回の講習を期待いたします初心運転者の基準といたしまして、違反の点数が三点程度であればということを考えているところでございます。その三点程度という数字は、三点程度と二点以前の方々との間で二年目以降における事故率に非常な差があることに着目してのことでございます。累積点数が三点以上になった方々と累積点数が二点以前の方々は事故率に大差があるのに、累積点数が六点以上の方々と累積点数が三点程度の方々は差がないなどでございます。これは統計の偶然の結果なのかいろいろ考えるべき点もございますが、三点というのは確かに運転者の技術の程度に何らかの意味を持つ点数であって、これを境にして、三点以前の方については、それ以後も慎重な運転を期待することができ、三点を超える方々については、二年目を超えてもかなり事故を起こす傾向があるということが見受けられるところでございます。  そのような傾向に着目をいたしまして、今回御提案を申し上げております初心運転者期間制度という制度を運営いたします際に、その講習の基準として三点程度ということを考えておりますが、まだまだ研究する余地もございます。これは政令で定める基準ということでございますので、この法律案をお認めいただきました後、政令を制定するということになりますれば、それまでの間に一 生懸命適正な基準点数というものを考えていきたいと考えております。今のところは三点ということを考えております。
  100. 大野功統

    ○大野(功)委員 交通事故を減らしていくという目的のためでありますが、やはり初心者ドライバーに新たな負担をかけるわけですから、基準は慎重にやってもらいたいということを今申し上げたのですが、と同時に公平に扱っていただきたいという問題があると思うのです。  それはどういうことかというと、例えば一体どこで講習を受けるのか、どういう講習を受けるのか、全国一律に北海道から九州まで同じような基準で同じマニュアルで講習してもらわなければいけない。それも、先ほど申し上げましたように交通事故を起こした個人個人をまさにマン・ツー・マンで原因別に、例えばスピード違反で事故を起こした人なら、スピードを出したらこんなに怖いですよということを中心に教えてもらわなければいけない。非常に大変な仕事だと思います。  大ざっぱで結構ですが、例えば今の自動車教習所に委託するのであれば、実際に講習をなさる講師の方は一体資格はどうするのか、あるいは各講習でどのぐらい初心者ドライバーを拘束するのか、どういうことをお考えになっているのか。今も初心者講習というのはあるようでございますが、それとどこが違うのか。初心者講習を受けるためには手数料が必要なのかどうか、こういう点について、おおよそで結構でございます、お答えいただければと思います。
  101. 関根謙一

    ○関根政府委員 現在の初心者講習の制度でございますが、これは現行法の七十一条の四に規定をしておりまして、点数が三点、四点、五点といった基準点数に達しました初心運転者、免許証を取得してから一年未満の方々につきまして講習を受けていただくべくシステムをつくっているところでございます。ただ、現在のシステムのもとでは、その講習を受けなくとも別に免許証を取り上げられるということはございませんで、さらに違反を重ねて法律の定める事態に該当してきた場合に運転免許を取り消したり、効力を停止したりという処分を受けるということでございます。  これに対しまして、現在私ども御提案を申し上げております法律考えておりますのは、初心運転者期間中、つまり運転免許を取得いたしましてから一年までの間をいわば暫定免許といいますか、それまでの間は運転者の運転行動を注目すべき期間であり、その期間に運転に習熟していただき、交通社会におけるルールなりマナーなりを習得していただきたいと考えまして、この間において講習を受ける機会等を設け、その講習の内容等につきましても、法律案で内容、方法、時間それから講習をする指導員の資質、さらに講習を行う機関の要件等を細かく定めようと考えているところでございます。  そこで講習指導員の点でございますが、初心運転者につきましては、運転習熟指導員という資格で講習をしていただきたいと考えております。そして、その指導員の資格といたしましては、高度の運転技能を持っていてしかも講習をすることについての経験を十分に持っている方々、その他一定の要件を備えていることにつき公安委員会で審査を行いまして、その審査に該当するような方々というものを想定しております。  また、この初心運転者講習におきましては、技術指導のほか、さらに小グループによるディスカッション等も考えているところでございます。その中で、技術指導の方は路上における運転演習ということで、適宜チェックポイントを設け、指導者が受講者の誤った運転、不適切な運転について具体的に指導し、受講者の特性に応じて運転技能等を補正していくということでございますが、その場合には指導者は受講者を熟知しておりますので、その受講者が起こした違反や事故も一つの参考としながらこういった指導を行うというようなことで、極めてきめの細かい十全な指導を期待しているところでございます。
  102. 大野功統

    ○大野(功)委員 自動車の事故がその人の例えばかっとなりやすいというような性格とか心理に根差すという場合があるのかないのか、そういう調査、御研究をなさっていらっしゃるのかなさってないのかわかりませんが、もしそういうことであれば、講習の中に心理面の講習ということも考えていいのじゃないか。場合によって、ずっとさかのぼって運転免許証を交付するときの要件として心理テストをやることも必要になってくるのじゃないか、こう思いますが、どうお考えですか。簡単にお答えください。
  103. 関根謙一

    ○関根政府委員 御指摘のように心理的要因というものも大事だと思います。現在では「自動車等の運転について必要な適性」というところで、適性検査でその点をチェックし、また指導もしているところでございます。今回御提案申し上げております初心者講習制度につきましても、その点十分取り入れたシステムにしたいと考えております。
  104. 大野功統

    ○大野(功)委員 これまで道交法改正の焦点でございます安全ということに重点を置いた御質問をさせていただいたのでありますが、今度は効率、迅速という面で駐車問題であります。この駐車問題だけは安全と効率と両立する問題である、私はこういうふうに思っておりますのでお尋ねするわけであります。  土曜、日曜あるいは祭日に丸の内かいわいを通っておりますと、自動車は一台も通ってないのに駐車禁止の標示だけはある。そこで、例えば皇居前広場を御見学に来た家族連れの方が一体どこへとめたらいいのだろう、こういうことになるわけでありますが、ふだんは駐車禁止であっても土、日、祭日だけはここは駐車してもいいですよ。あるいは日没から夜明けまで、昼間は混雑するのだけれども、夜はそんなに車通りはないから駐車してもいいですよ。また逆の場合もありますね。夜は混乱するけれども昼はすいているからここは駐車してもいいですよ。もっと柔軟な、本当に国民生活に密着した道路交通行政というのがあっていいのじゃないか。今のやり方はいかにも一律、画一的過ぎるのじゃないか。本当に国民から支持される警察行政であれば、そういう点できめの細かい、必要なときは必要なようにやっていくという柔軟な姿勢の駐車対策が必要なのじゃないかと思いますが、その方向についてどうお考えでございますか。
  105. 関根謙一

    ○関根政府委員 御指摘のとおりだと思います。私ども先生おっしゃられましたような考え方によりまして、例えばパーキングメーターの置かれている道路、これは駐車禁止区間でありますが、特定の時間だけ駐車を認めるというものでありまして、これにつきましては原則としてパーキングメーターを作動しない時間帯、つまり夜間帯は駐車禁止解除ということにしておりますし、そういったきめの細かい駐車制度を考えていく必要があることは十分承知しているところでございます。  ただ、いろいろ技術的な制約がございます。と申しますのは、そういうきめ細かい時間帯をつくった場合に、どうやってそれを守ってもらうことができるか、そういうシステムを維持する何か仕組みというものを考案するのはなかなか難しいのでございます。例えば、夜間だけそれでは駐車禁止解除といたしました場合に、夜間とめておかれて昼にまたがってきた場合、それをそれではどうするかということがございますし、いろいろ条件の熟してきたところから可能な限り弾力的に運用できるような駐車制度というものを考えているところでございます。今後ともその線で努力をしてまいりたいと考えております。     〔金子(一)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  106. 大野功統

    ○大野(功)委員 ただいまどうやってそのシステムを維持していくか技術的な問題があるというふうにおっしゃったわけでありますけれども、私は、例えばパーキングメーターがないところでもそういうことを採用していいのじゃないか。それを守ってくれるかくれないか、これはもう国民の皆様の自覚にまつ、そのぐらいの心構えでやらないと、そこまで心配していたのではなかなか国民と 一体となった交通行政というのはできないのじゃないか。本当にお巡りさんがいるために我々はまくらを高くして眠れる、この意味では本当に安心感のよりどころであるという面と、それから国民と一体となった交通行政をやってもらう。例えばスピード違反をして見つかり損だ、こういう気持ちがなくなるような警察行政でなければいけない。余りにも何時から何時までといって、それが一体どうやって守られるのなんということを考えるような行政ではあってほしくない、このことをお願い申し上げまして、終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
  107. 渡海紀三朗

    ○渡海委員長代理 松田君。
  108. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員 今同僚の大野先生がとてもいい質問をたくさんしてくださって、私が考えておりました質問を全部そこでお答えいただきましたので、質問することが正直道路交通法改正問題については余りありません。しかし、三十分いただいておりますので私は、もう質問の中で出ておりましたけれども、交通事故の原因というのはいろいろあるわけですけれども、それぞれ根っこはやはり人間である、人間の物の考え方、生き方、そういったものが根っこにあると思うのですね。ですから、そういう意味でちょっと幾つか質問をしてみたいと思うのです。     〔渡海委員長代理退席、大野(功)委員長代理着席〕  例えば、大野先生はスイスですか、私はアメリカにいて運転をさせていただいて、向こうで教える教本の中で何を一番教えているか。いろいろ教わりましたけれども、ディフェンシブドライビングというのですね。要するに、まさに自分を守るドライビング、こういうわけでございまして、ディフェンシブ、オフェンシブという対語で言えば、自分を守る。例えば相手がぶつかってきそうなときに、あるいは状況によっては非常に事故が起こりそうなとき、そういう場合にどういうふうに備えるかということを徹底的に教えるのでございます。  ところが、私が日本で免許をいただきましたのはもう大分前ですけれども、私の感じでは、今どうなっているかはあれですからちょっとお聞きするのですが、実技と法規といいまして、実技はまさに運転技術そのものなのですね。教え方も別に向こうからどうのこうのとか相手がどうのこうのということは余りありませんで、教習所のあの路上をただ正確に動けばよろしい、こういう機能本位の教え方でございますし、ましてや法規の方は、法規そのものを暗記させる教え方なのでございます。自分のそういう経験から照らしますと、そもそも根っこが違っているのじゃないかな。先ほどの大野先生だと、人間と車の共存社会、お互いいかにうまく生きていくか、また人間が乗っておる車同士の社会をいかにうまく生きていくか。つまり社会生活一つのあり方として、今日本では、世界第一等に車というものが世の中にあふれ出て、あふれ出てといいますか、まさに我々の足となって、まことに豊かで便利な社会を築き上げてくれているわけですが、そういう車とともに生きていく人間社会のあり方という根っこをちっとも教えていないのではないか。  したがって、そもそもまず最初の免許を与えるときの基本的な考え方に何か今申したような大きな落ち度はないのかどうかという点について、まずお聞きいたします。
  109. 関根謙一

    ○関根政府委員 アメリカの例をお引きでの御質問でございます。アメリカと我が国とで免許制度を考える上で大差があるとは考えておりません。社会的条件に多少は差異があるのかなという感じもいたします。  例えば、交通事故の形態別で見てみますと、アメリカの交通事故の七〇%以上が自動車乗車中の事故でございます。これに対しまして我が国の場合には、自動車乗車中の事故は三六%ほどでございまして、あとは歩行者、自転車、それに二輪車乗車中の事故でございます。  これは、道路の形態がアメリカの場合には自動車専用と歩行者用との区別でありますとかいろいろな区別ができているのに対しまして、我が国の場合にはいわば混合交通形態ということで、車も人も自転車も仲よく共存するという交通形態をとっているがゆえの差異ではないかと考えます。このような差異は、やはり運転免許についての考え方なり教習の仕方なりに微妙な差異というのが出てくるのは、あるいはやむを得ないことかなとも思います。我が国の場合には、まず技術の習得とルールの習得、それからルールを守らなかった場合の措置等をいろいろ教えて、それで車社会に出てきた場合における行動の仕方と心構えが車社会にふさわしいようにということを意識して教習を行っているところでございます。  確かに先生御指摘のように、アメリカと我が国とでは多少差異があるのかなということを印象として持った次第でございます。
  110. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員 今おっしゃった、まさに日本の方が車と人間、人間の乗った車同士というものが社会の中に非常に混在している。それをきちっと社会資本が整備されて——町づくりにいたしましても、都市と都市との間の交通にいたしましても、非常におくれておる。そういう状態であればこそ一層——法規の今の試験がまだ私のころと同じだとすれば、私どものころの法規試験で出てくる問題というのは、きょうも余りそんな用意していませんから、大野先生がなさった質問とダブらない、ために今思いつきの質問をしているわけでございますけれども、法規の質問、一度ぜひお調べをいただきたいのですが、知っていても知らなくても余り事故に関係がない。むしろそれぐらいなら、常識的にこの人は本当に交通マナーの上で一〇〇%の人かどうかというようなことを試験でお調べになる方が、あるいはそういう試験問題ばかりにする問題もまた一方で出てまいりますが、しかしそういう面がほとんど欠けておるのではないかなという私の印象でございます。今例えば何問出て、恐らく今も、あれはマル・バツだったんじゃないかと思いますけれども、マル・バツでほとんど知識を確認しておる。いいですか、法律の知識を調べておるのであって、車の運転の仕方、マナー、交通道徳、人間の生き方といったものを見ようなどという質問は全体の中で幾つあるのかなという点は、一度よくお調べをいただいて、ぜひ考えるに値するのではないかという気がするわけでございます。  私は思うに、まさにそういうことのために、免許をいただきましても一年の間に、先ほど三点とおっしゃいましたが、何点にするかはこれから慎重にお考えになるということですが、問題行動といいますか法規違反を起こされる方々が出てくる。その出てきたところで講習をいたします。その講習は一体何だとお聞きしていると、やはりまだ一たん免許を与えている方の講習においても、先ほどからお聞きいたしておりますと、運転技術とかあるいは法規といったものになお重点が置かれておるな。むしろこの場合であれば、もちろん運転技術も大事でありますし、法規も大事でありますが、もっと重点が変わっていいのではないかというふうに私は思うわけでございます。  そういう意味で、この初心運転者期間制度、いい制度ですから、ぜひ即刻この法律を可決、成立させるべきだと私ももちろん思うわけでありますし、そしてその一年未満の間に一定の基準を超えるほどの法規違反、事故をなさった方々に対しては、徹底的に講習をしてあげていただきたい。  そこで、その講習の内容なんですね。これは今の自動車学校で、また委託してどうこう、あるいはいい学校を指定してというようなことをお聞きいたしましたけれども、本当にこの研修がこの制度のみそでございまして、その研修がよほど今までとはさま変わりのものでありますということでなければ、この制度をあえて創設する意味が非常に少なくなるのではないかというふうに私は思うわけです。したがいまして、従来のものと違って、今度のこの初心運転者期間制度の創設に伴って、一定の基準に達した方に行う研修制度というものはまことに充実したものでございますよという印象が、どうも先ほどの大野先生への答弁に対して は私自身十分には実は納得できていないものですから、この点ちょっと二度目の質問でございます。ひとつしっかりしたものにしていただきたいという意味で、あえて御質問させていただきます。     〔大野(功)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕
  111. 関根謙一

    ○関根政府委員 お答えを申し上げます。  教習所における教習内容につきましては、御指摘のようにいろいろ問題もあろうかと思います。ただ、現在は、例えば学科教習と言われているところにおきましては、道路交通法の定めるところによりまして国家公安委員会が作成いたします教則というのがございます。道交法の百八条の規定によりつくっているものでございますが、この教則の範囲内での教育と試験ということとされております。この教則にはいろいろな心構えでありますとか先生御指摘のお考えも十分取り入れられていると私は考えておりますが、試験問題としてそうなっているかどうか、その点はなお十分に検討いたしまして、お考えを取り入れるような方向で検討してまいりたいと思います。  そこで、これとは別の交通違反等を起こしまして講習を受けるべく、今度は義務づけられた初心運転者についての講習の方でございますが、これはこの教則等で定めております交通のルール、マナー、交通社会における物の考え方、心構えといったものがまだ完全には身についていないと思われる方々に対する講習でございますので、中身としてはやはり同じようなものになると考えております。ただ、違いますのは教育の方法でございます。教育の方法と設備、それに先生方の資質ということでございまして、こういう講習に十分熟達をした指導者、指導員によりましてほとんどマン・ツー・マンという形で教育を行うというものでございます。さらに、教育の資機材につきましても、少人数で行うのにふさわしいいろいろな最新の教育機材を応用した教育技法というものを取り入れることを考えております。  お答えになっているのかどうかやや不安でございますが、とにかく車社会に十分熟達していただきまして、この講習を受けた以後、事故を起こさないようにしていただくということをねらいとするものでございます。
  112. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員 くどいようですけれども、例えば黄色になったらむしろとまるべきですよというようなことは知っているのですね。知っているけれどもとまらない。だから事故なんです。そういう方への講習というのは、黄色になったら注意信号だから、途中まで来ていたら徐行だとか、手前だったらとまりなさい、そんなことを聞いて、それに間違っていたから、それを知らなかったから、黄色の信号でもだっと突っ走ってしまったということじゃないんですね。明らかに、事故を起こされる方々の性格分析といいますか、事故を起こされる方々の内容をお調べになれば、そうしたときに私はどういうことをもっとなすべきなのかという点について、さっきから明確におっしゃらないものですから、まあ恐らく中にあるのでしょうね。  ですから、今度特にねらっておられるこの初心運転者、そしてもう一つはもっと程度の高いというか、免許の取り消し処分を受けた方々への講習制度という方は、これはある意味ではベテランですよ。恐らく多くの方は運転技術は人一倍うまいでしょう。と同時に、法規についても恐らく知識としては持っておられるという方がほとんどじゃないかと思うのですね。これは初心者以上です。しかし、まさに取り消し処分まで受けてしまうほどの方々なんですね。そういう方々への研修というのは一体何だ、こっちの方はもっと問題だと私は素人考えで思うのです。ですから、そちらの研修内容についても十分御研究なさり、ぜひいい研修制度にしていただいて、こういった面でも日本は世界に冠たるものだと——もともと日本の交通事故のレベルというのは、みんなの大変な努力にもかかわらずことしは一万一千人を超えようとしておる。大変残念でございます。しかし、恐らく相対的な世界との比較でいえば、そんなことを言ってはいけませんが、それでもまあまあよく頑張っておるなというふうにも思うわけです。  しかし、せっかくでございます。今度のこういう初心運転者期間制度並びに特に免許取り消し処分者の講習制度、両面にわたって共通するものは何か。今度の法律改正のねらいを簡単に言えば、問題を起こしたあるいは起こしそうな方々に対して、いかに資質を高め、いかに運転者としてふさわしい方々になっていただくか、こういうことなのですね。ドライバーの方々のドライバーとしての人格、識見をしっかり持ってもらう、簡単に言えばそういうことだと思うのであります。  そういう意味で、私は、日本におけるドライバーとしての人格、識見をつくり上げていくという面の努力が、この道路交通法の体系だけに余りにも頼り過ぎているのではないかという問題意識を非常に持っている者の一人であります。  日本の社会はこれだけモータリゼーションの社会です。世界でも最もモータリゼーションの進んだ、最も先進的な車社会でごさいます。そういう車社会の日本の子供として生まれて、親が行う家庭教育においても、また幼稚園から小学校、中学校、高等学校、大学に至るも、社会へ出てからも、社会へ出てからは今はどちらかといえば、皆様方の警察庁の管轄下で行われるエデュケーションが主体でございますが、全社会がこの問題に本当に取り組んでおるのかといえば、まだまだ取り組む余地がたくさんあるように私は思うのです。  そういう目で見てどうなんでしょうか。日本は進んでいるのでしょうか。少しだけ聞いてみると、スウェーデンなどでは幼稚園から既にやっていますよなんという話をどなたかからお聞きいたしました。日本などでは、例えば三ない運動だというのです。免許を取るな、買うな、乗るな。これなどはまことに昔の考え方そのものだと思うのです。モーターバイクなどというまことに便利なものが出てきて、私なんかからすると、高校生の諸君が高校時代に楽しむにはうってつけのものです。ところが、なぜ免許を取らせない、持たせない、乗らせないかというと、事故のもとだから。こういう発想というのは車社会にはあり得ない発想だと私は思うのです。これは警察庁が決めたというわけじゃなしに、むしろ文部省の方の御指導でございましょう。あるいはこれは警察庁でしょうか。  それはともかく、どちらにしろこれからの日本の社会の行き方としては、高校生の諸君も十六歳からバイクの免許を持てるというのであれば、バイクの運転者にふさわしい人間として教育をしてあげて、そしてバイクを楽しみ、高校時代の楽しい思い出の一こまにしていくというのが豊かな日本の社会の行き方ではないかと、私などはむしろそちらの方に力点を置いて考える方が正しいのではないかなと思うのですけれども、現実はそうではない、三ない運動というような、そのことを通じて事故を減らすということですから。しかし、この考え方自身は非常に消極的な考え方、人間を心から信頼していない考え方ではないかと思うのです。  今まさに生涯学習社会と言われて、そういう意味では幼稚園から死に至るまで生涯にわたって、この車についても、車とともに生きていく豊かな社会の日本人の生き方として、小さいころから一貫した教育体系というものをぜひつくり上げるべきである。そういうことは、学校教育については文部省の方にお願いしなければならぬことでありますけれども、しかし、交通安全対策として一つの大きな責任をお持ちの警察庁としても、ぜひ率先して政府の中で力を尽くしていただきたいと思うのですが、大臣どうでしょうか。
  113. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今松田先生お話を承っておりまして、まさに私どもの子供のころは人に迷惑をかけるなということを何よりも大事なことと教えられたことを記憶しておりますけれども、今日の新しい時代ですから、これは先生御指摘のように、ただ交通事故が心配だから車を持ってはいかぬ、運転免許を取ってはいかぬで解決するものじゃないので、むしろ小さな子供のときからそういうものとの接触の中で、世の中に迷惑をかけないでやっていくにはどうすればいいかを積極的に、し かも迷惑をかけないということは、家庭教育であり学校教育であり社会教育でありますから、もちろん交通安全についての大きな責任は警察行政、交通行政の中にありますけれども、その前提としては人間としての教育が出発点になるなというようなことを今考えさせられておったところでございます。
  114. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員 それから、これも私先ほどの大野先生初め諸先輩の質疑の中で感じたのですが、きょう地方行政委員会で主に国家公安委員長を初め警察庁皆さんとこうして質疑しておるわけですが、国家公安委員会範囲の中でやるべきこともたくさんある。そのまず第一がきょう提案され質疑しております道交法改正だと思います。しかし、この道交法改正一つをとって議論いたしましても、しみじみ思うことは、日本の社会というのは、社会そのものを実に事故が起こりやすい社会につくり上げているものだなということです。  今は運転をされる人間、あるいは運転をされないまでも車と一緒に住んでおられる人間、そういう日本人の生き方について質疑をしたわけでございますが、我々がつくり上げているこの社会、道路あるいは町づくり、町と町の間の道路、あらゆるものを見ましても非常に貧弱だ。そういう中で警察庁としては交通安全施設の整備ということで、根っこがある意味秩序整然とつくり上げられていない上に、信号機であるとか歩道橋を初め各種の安全のための施設整備ということで涙ぐましい努力をしておられる。それはそれでまことに必要なことあり、交通安全施設の整備もどんどんやっていただきたいと思うのです。しかし考えてみますと、我々の住む町のたたずまい、町並みづくり、車道と歩道もそれなりにつくられ、駐車場もそれなりに整然とつくられ、したがって、みんながお互いに尊重し合って快く生きよう、楽しく生きようと思えば自然に事故もなくなりそうな環境というものをつくり上げていくことが、正直何も交通安全のためばかりではない、日本の社会が今や到達しなければならぬ、政治家としての最も大きな課題だと思います。  これだけ外国から豊かだ豊かだと言われながら、確かに豊かになった面もたくさんある。車は、正直どの県でもそうだと思いますが、私の県などに戻ればもう一家に四台、五台なんというのはざらになってまいりまして、そうだとすれば一層、東京ばかりではないいわゆる地方都市の町づくり一つとっても、我々は本当に車というものを取り入れて便利にしているのに、逆に駐車場もないから不便になり、混雑しておるからそのことが、それなりにみんな日本人ですからお互い、先ほど人づくりのことを申しましたけれども、外国人に比べればこれはすばらしい人です。それなのに、一方で事故が起きてしまう。そういうことを思いますと、私は本当に今こそ最もすばらしい町づくり村づくりというものを、あらゆる意味で、あらゆるエネルギーを投下して、あらゆる日本人のこれまで到達した知恵を総結集してつくり上げるというのが今の我々のやるべきことではないか。政治というものはむしろ今こそそのことに専心すべきではないか、私はそう思うわけであります。  そういう意味では、国家公安委員長というよりも自治大臣としての渡部大臣、自治省の方でふるさとづくり特別対策事業を初め、ふるさと創生政策の一環として各種の政策を一昨年来からたくさん手がけておられます。政策は自治省だけに限りません。建設省、国土庁初め各省、政府挙げて、交通事故も普通ならば起きそうにもないというぐらいの道路交通なり町づくりなり村づくりなりといったものは、やはり我々の持てる経済力なりあるいは技術力なり、この日本人の持っておる知恵を生かせばできないはずはない、そういうふうに思うわけでございまして、大臣に、ひとつそうした政府の中で最も御関係の深い自治大臣として、ふるさと創生政策になお一段と力強い御推進をお願いいたしまして、大臣の所見を承れればありがたいわけであります。
  115. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今、松田先生から大変貴重な御意見を賜りましたけれども、私の県などに行っても、町や村の運動あるいは商工会の青年部とか婦人部とかの運動でも、交通事故をゼロにしようというような町民運動をやっておるところがいっぱいございます。まさに交通事故をなくするということは、ただ上から警察が取り締まりを強化するということで解決するものではありません。これは国民ぐるみの運動、またそれぞれの地域社会における老人会、青年会、婦人会、そういう地域社会の住民ぐるみの運動によって目的は達せられるものであります。  今先生から御指摘のあった、私が全国の地方自治体に訴えておるふるさとづくりもまさにそれでありまして、戦後四十五年、松田先生通産省におられました、すばらしい戦後の経済政策によって、技術立国、貿易立国、すばらしい富を今つくり上げたわけでありますから、その富を今度は全国の三千三百の市町村のそれぞれに住んでおる住民たちが、いい日本に生まれた、おれは幸せな岐阜県に生まれた、こういうそれぞれみんなが自分の生活の中で、地域社会の中で幸せ感、充足感を感じていただけるようなものにこれからお金を使っていこうということでありますから、この交通安全にしても、警察の方でも管制等の近代化とか信号の高度化とか努力をいたしますし、建設省の方にも交通安全施設の拡充に大いに努めてもらうし、文部省でも幼児教育からしっかりと車社会になれた、もう今は我々の生活の足に車はなってしまったわけですから、車を遠ざけて交通安全というわけにいかないわけですから、車を近づけて交通安全ということなんで、まさに総合的な立場でそれぞれの市町村が交通安全、交通事故ゼロを目指してすばらしいふるさとづくりに頑張る、これもふるさと創生の一つ考え方である、こう私は考えております。
  116. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員 ありがとうございました。     〔渡海委員長代理退席、松田(岩)委員長代理着席〕
  117. 松田岩夫

    ○松田(岩)委員長代理 草野威君。
  118. 草野威

    ○草野委員 私は、初めにいわゆる暫定免許の問題につきまして若干お尋ねをしたいと思います。  今までいろいろと議論されておりますけれども、ことしは一万一千人に達するであろう、このようにまた非常に悲しい現象が出ようとしているわけでございます。政府もこの交通事故の問題については大変な御努力をしていらっしゃるわけでございますけれども、なかなか思うように解決をしない、そういう中で今回切り札とも言うべき暫定免許制度、こういうものが登場してきたわけでございます。先ほどの関根交通局長のお話の中でも、今回のこの制度は西ドイツの方式を見習ったものである、こういうようなお話がございましたけれども、西ドイツでやっているいわゆる暫定免許の制度はいつごろから実施されていて、そしてどんな効果を今まで上げてきたのか、また今回我が国にそういうものが導入されまして、重立った点ではどういうところが異なっているのか、まずそこら辺のところを先にひとつお伺いをしたいと思いますので、お願いいたします。
  119. 関根謙一

    ○関根政府委員 今回私ども、最近におきます交通死亡事故の増加傾向にかんがみまして、特に運転技能に習熟していない初心運転者につきまして講習、再試験等の措置を講ずべく初心運転者期間制度というものを考案し、御提案を申し上げているところでございます。  この制度は、御指摘でありますように、西ドイツの制度をモデルといたしまして、これを我が国の実情に合うように工夫をしたものでございます。西ドイツの制度との違いでございますが、西ドイツの場合には期間が二年間で、それも試行期間ということで本免許とはされていないのでございます。講習を受け、再試験を受けた結果本免許に至るというものでございます。さらに講習等を受けるべき基準といたしますものも、すべての違反ということではないようでございまして、初心運転者が講習を受けるべきこととする重点的な基準はかなり我が国とは異なるものでございます。  それとの比較でございますが、西ドイツではこ の制度を取り入れました結果、これは教習所における教育ということで一九八六年から取り入れられたようでございますが、その結果は、バイエルンにおきましては初心運転者による事故が一三%減少したという結果が出ているとのことでございます。
  120. 草野威

    ○草野委員 初めについでに伺っておきたいのですが、自動車の運転免許の制度でございますが、我が国の場合合格するための条件というのはどういうものがあるのでしょうか。例えば技能試験に合格しなければならない、学科試験に合格しなければならないということがあると思いますけれども、そういう条件はどういうものがあるのですか。
  121. 関根謙一

    ○関根政府委員 運転免許試験の基準でございますが、これは道交法の九十七条一項に掲げられておりまして、「自動車等の運転について必要な適性」「自動車等の運転について必要な技能」「自動車等の運転について必要な知識」この三点についてそれぞれ所定の基準を満たしていることというのが合格の基準でございます。
  122. 草野威

    ○草野委員 西ドイツではどのようになっているか、おわかりですか。
  123. 関根謙一

    ○関根政府委員 十分に承知しているわけではございませんが、聞くところによりますと、基本的には我が国と同じであると聞いております。
  124. 草野威

    ○草野委員 私の伺っているところでは、西ドイツの自動車免許を受けるためには、まず一つは「能力試験に合格すること」それから「省エネルギー走行方法に関する試験に合格すること」「事故現場等における救急措置に関する講習に参加したことを証明すること」「肉体的、精神的、性格的に運転に不適格であることを証明する事実のないこと」この四つのほかに、最近では自動車の教習所において受講が義務づけられていること、大体この五つになるようなのです。そうすると、今の局長さんのお話によりますと、日本の免許制度とは非常に重要な部分で幾らか違うような感じもするわけでございますけれども、こういう点においてどのように考えられますか。
  125. 関根謙一

    ○関根政府委員 先生御指摘の西ドイツの試験の例と我が国との相違について考えてみますと、その中の一つに救急制度の問題とか省エネルギーの問題でございましたか、そのようなものが入っていて、その辺が我が国とかなり異なるということかと存じます。この中で救急措置の点につきましては、私どもの方でも若干の教育はしているところでございます。ただ、これが運転免許試験の試験科目合格基準の中身をなすものではありませんで、むしろ教習所における教育の内容をなすものでございます。教習所における教育のすべてについて一定の水準に達していることをチェックするシステムというのは、なかなか難しいのではございますが、我が国でも取り入れる必要のあるものは外国の制度であっても参考とするべく検討をしたいと考えております。
  126. 草野威

    ○草野委員 この救急措置問題については、また後ほどお伺いしたいと思います。  今申し上げた西ドイツの例に対して、日本の場合には肉体的な条件をパスすればいいわけですね。西ドイツの場合は「精神的、性格的に運転に不適格であることを証明する事実のないこと」これは非常にユニークなポイントじゃないかと思うのです。それともう一つは、自動車教習所の受講が義務づけられていること。この辺が日本と大きく違うところではないかと思うのです。私は冒頭に予定外のことをお尋ねしたわけですけれども、初心ドライバーとして今事故がいろいろ問題になっておる、こういう中において日本の免許制度のあり方についてもう一回検討をするべきときじゃないか、このようなことを考えたのでお尋ねしたわけでございます。  引き続きお尋ねしたいと思います。  先ほどからいろいろと言われておりますが、一つは教習所の指導員の質の問題でございます。初心者が違反をして講習を受ける場合の指導員の質の問題でございます。これも諸外国と比べますと、かなり質の問題でいろいろと差があるようにも思われるわけでございますけれども、この実情はどのようになっておりますか。
  127. 関根謙一

    ○関根政府委員 現在の教習所におきます学科指導員及び技能指導員の資質につきましては、それぞれ一定の期間、指定自動車教習所協会等の行います教育を受けた後、公安委員会が行います審査に適合している方々がそれぞれ学科及び技能の教習指導に当たることとされております。現在までのところ、この方々の指導によって格別の問題が出ているとは承知しておりませんが、ただ交通社会は急速に変化を遂げておりますので、時代の変化に適合した教習を行うことができるように、常に教習の内容なり方法、指導員というものにつきましては検討を加える心構えを持つ必要があると考えております。
  128. 草野威

    ○草野委員 それから現在の一般の教習所の指導員の問題ですが、この質の問題についても諸外国と比較しますといろいろと差があるようでございます。初心ドライバーは技術が未熟なためにいろいろの事故を起こす、それはそれなりに当然ではないかと思うのですね。それであるならばあるほど、そのドライバーを教習所で育てるいわゆる指導員の質の方を向上させていくことを考えなければならないと思いますね。当然であると思います。  現在我が国の場合は、新任教養の科目、時間、こういうものを拝見いたしますと、技能指導員で百二十六時間、学科指導員で百十四時間、技能検定員の場合で百七十時間、このようになっておりますが、諸外国における状況を見てみますと、例えば西ドイツでは指導員の資格が、運転教師になるためには運転教師教育養成所での教育を受けなければならない。普通自動車教師の免許を取るためには、最低五カ月で七百七十時限の教育を受ける必要がある。その内容として、心理学を初めとしてさまざまな学問を勉強しなければならない。またノルウェーの場合でも、国立自動車運転インストラクター・試験官養成所で十カ月にわたって講習が行われる。こういうようなことが紹介されているわけでございますけれども、こういうものと比較いたしますと、我が国の場合、この指定自動車教習所の指導員と比較してみますと、かなりの差があるように思いますけれども、こういうことにつきまして今後どのように考えておられますか。
  129. 関根謙一

    ○関根政府委員 御指摘のように、西ドイツの場合には最低五カ月で七百七十時限の教育を受ける必要があり、ノルウェーの場合には十カ月にわたってインストラクター・試験官養成所というところで教育を受けるもののようでございます。  これに対しまして我が国の場合には、時間数、先ほど先生おっしゃられましたように技能指導員については百二十六時間、学科指導員については百十四時間でございますが、この方々の指導によって出てまいりました初心運転者の大半の方々がとにかく安全に運転をしている実情にかんがみますと、現在までのところはこのようなシステムでよかったのではないかと考えております。しかしながら、今後の道路交通事情の変化、自動車の性能その他いろいろの変化の状況をよく見まして、このような現在のままのシステムでいいのかどうか、十分検討するように心がけてまいりたいと思っております。
  130. 草野威

    ○草野委員 今の御答弁、私非常に問題だと思うのです。今までのやり方でやってきてそれでまあまあじゃなかったかと思う、しかし、現在実際に交通事故で亡くなっている方が一万人を突破している。ことしは一万一千に達しようとしている。長官は第二次交通戦争という言葉も使っていらっしゃる。そういう中でこの自動車教習所の指導員の質を高めていこうということは、私は、これは緊急な、重要な問題だと思うのです。あなたは交通局長としてそんな程度考え方だったら、今の交通事故の問題はなかなか解決しませんよ。長官、どう思いますか。
  131. 金澤昭雄

    金澤政府委員 ただいま交通局長が答弁いたしましたのは、最近の事故の状況と西ドイツの関係と両方絡み合わせながらお答えをしたものと思いますが、指定自動車教習所における指導員、検定員の質がより一層強化されることが望ましいとい うことはもちろんのことでございます。したがって、外国の例にもありますように、日本におきましても一歩でもそのような質の向上には当然努めたいというふうに考えております。  ただ、今御提案申し上げておりますのとそちらの方の強化、初心運転者の講習の内容の問題、それにあわせて直ちに現在の教習所の指導員の質をそれに関連させてどうか、こういう問題につきましてはまだちょっと検討不十分でございますので、今後情勢の推移を見ながら、今の指導員の質の強化の必要性あり、こういう状況がはっきりいたしますれば、これは当然その方向に沿って充実させていくべきもの、こういうふうに考えております。
  132. 草野威

    ○草野委員 ぜひひとつそういう方向で早急に取り組んでいただきたいと思います。  また、教習所のカリキュラムの内容ですけれども、これもやはり例えば最近は交通事故の死者が夜間の方が多くなってきておる、これは社会状況の変化だと思いますけれども、そういう中におきまして、実際には教習所の中で夜間走行の練習というのは余り行われていないというふうにも聞いておりますので、ぜひともそのカリキュラムの内容につきましてもこの際御検討をいただきたいと思います。  それから、この際伺っておきたいのですけれども、数年前から計画されております安全運転中央研修所、これが間もなく開校になるというふうに伺っております。この研修所におきましてはどういうような業務、どういうような研修が行われますか、もしおわかりでございましたらお答えいただきたいと思います。
  133. 関根謙一

    ○関根政府委員 安全運転中央研修所における研修といたしましては、例えば高速道路、都市内道路、山道等を再現するような多種多様のコースにおける危険予知、回避の訓練、それから摩擦係数をうんと低くして凍結路面と同じような路面をつくりまして、そこにおける走行訓練、さらに、事故原因、事故の発生原因についてのケーススタディー、事例研究等によります高度で実践的な訓練を予定しております。
  134. 草野威

    ○草野委員 研修の対象者はどのような方を考えておられますか。
  135. 関根謙一

    ○関根政府委員 対象者といたしましては、事業所においてリーダー的な存在であるドライバーの方々、それに地域における交通安全教育のリーダーの方々、指定自動車教習所の指導員の方々、そのほか一般のドライバーの方々で運転技能の高度化を希望する方々等の研修も考えているところでございます。
  136. 草野威

    ○草野委員 今のお話の中で、指定自動車教習所の指導員の研修、こういうお話でございますけれども、現在全国の教習所の指導員につきまして、何年間か計画を立てて全部ここで一応また研修をし直すのか、それともそこの一つの教習所の中心的な人、そういう人たちに対してだけ研修をするのか、またこれから新しく指導員を希望されている人は、こういうようなセンターで研修を受けてからするのか、そこら辺のところはどういうふうになっておりますか。
  137. 関根謙一

    ○関根政府委員 まだ具体的に考えているわけではございませんのですが、現在まで検討しておりますのは、教習所におきまして高度の教育訓練を担当する方々を優先的に教育をするということを考えております。この安全運転中央研修所の構想がさらに具体化した段階で、その教育対象というのは実際の御要望等を踏まえながら逐次拡大してまいるという考えでございます。
  138. 草野威

    ○草野委員 もう数年前からこのことについてはいろいろと計画はされていたわけなんですね。もう開校を間近に控えてまだそういう方針がきちっと定まってない。これはちょっと遅いのじゃないかという気がしてならないのですね。  長官、あなた先日、第二次交通戦争というお言葉を使いました。我々も新聞やニュースでそれを見ておりまして、これはただごとではない、このように思いましたけれども、この第二次交通戦争、これはどういうことであなたはこのようにおっしゃったのか、またこういうことをおっしゃった以上は、緊急的に具体的な何かをやるんだ、こういう意気込みみたいなものをあのとき私は感じたのですけれども、どうでしょう。
  139. 金澤昭雄

    金澤政府委員 先般の全国交通部長会議で第二次交通戦争という言葉を使って話をしたわけでございますが、これは昭和四十五年が一万六千数百人という今までかつてなかったような交通死者でございます。その状況がその後ずっと下がってまいりましたのが、また五十四年、五年くらいから上がってまいりまして、先ほど来話が出ておりますように、一万一千人を突破しようか、こういう状況でございますので、この非常に危機的な状態を第二次交通戦争というふうに認識をして呼んだわけでございます。  また、こういう言葉を使いました気持ちの中には、これは国全体、政府全体として緊急に交通安全対策を推進しなければならない。そのためには交通事故の実態を一番よくわかっております警察で、その事故の実態を各方面によくお知らせをして、総合的な交通対策を立てていく上での大きな刺激、てこといいますか、そういうものに使っていきたい、こういうことでこの言葉を使ったわけでございます。したがいまして、その総合対策が一番大事だと思いますし、その中で警察が担当する部門については、これは本当に力を入れてやっていきたい、こういうつもりでございます。
  140. 草野威

    ○草野委員 総務庁も、長官が先日の閣議の中で非常事態宣言ですか、こういう言葉を使われまして、今週中にも発表する予定だ、こんなことを我々は新聞で読んでいるわけでございますけれども、この非常事態宣言、これも言葉だけじゃなくて、何か決意をされて何らかの行動を起こされるのじゃないかと思いますけれども、総務庁の方、いらっしゃいましたらお答えをいただきたいと思うのです。
  141. 永島泰彦

    ○永島説明員 先生御案内のとおり、現在の厳しい交通事故状況ということがあるものでございますから、これにかんがみまして来週にも交通対策本部長名で交通事故非常事態宣言を発しまして、また、交通対策本部の会議を開催するなど、今後の対応策について現在関係省庁間で連携を図りながら検討しておるところでございます。現在検討中ということでございます。
  142. 草野威

    ○草野委員 現在検討中ということであるそうでございますけれども、今あなたがそのように答弁をされている間にも、我が国では四十秒に一件ずつ交通事故が起きている、また一時間に一人ずつ交通事故で亡くなっている、御存じだと思います。余りのんびりしないで、今週中にでもやるということを我々新聞で読んでいるのですけれども、今のお話、また来週に延びておりますけれども、のんびりしないで、これは緊急対策としてともかく行動に移していただきたいと思うのです。  先ほど来いろいろなお話がございましたけれども、車は確かに増加する一方で七千四百万台ですかに達しようとしている。この自動車の台数と道路の関係一つ見ましても、これは前の数字で恐縮なんですけれども、道路の延長と車の保有台数、これを比べてみますと、昭和五十年で二十六・七メートルという数字を聞いております。昭和六十三年になりますと、これは十四・二メートル、半分になってしまっている。このまま車が増加をしていきますと、例えば五年後ぐらいにはこれは一体どのようになってくるか、おわかりだったらひとつおっしゃっていただきたいと思うのです。また、五年後の我が国における自動車の保有台数、それから免許人口、大体どのくらいを見通されていらっしゃいますか。     〔松田(岩)委員長代理退席、大野(功)委員長代理着席〕
  143. 関根謙一

    ○関根政府委員 免許人口の場合には、現在約六千万でございますので、七千万ぐらいになるのではないかなという感じでございます。年間二百万人くらいの増加ということで、五年間で一千万人くらいふえるのではないかということでございます。  他方、自動車の方でございますが、現在原付を 含めて七千四百万台ぐらい、原付を除きますと五千八百万台ぐらいではないかと思います。あとは経済事情その他の情勢によるとも思いますが、やはり運転免許人口と同数かあるいはそろそろ運転免許人口を上回る自動車台数になるのではないかという感じがいたします。
  144. 草野威

    ○草野委員 この自動車の増加台数ということは、警察庁としてもこれからの推移、見通しについては何らかの形でやはり把握をしておいていただきたいと思うのですね。ということは、交通事故の増加の原因の一つが車の増加、こういうところにあるということをおっしゃっている以上、やはり先の見通しはきちっとつかんで対策を立てる必要があると思うのです。先ほど来質問ございましたけれども、例えば駐車場の問題、東京都内で一日どのくらいの車が瞬間的に駐車をして、そしてそのうちどのくらいの車が違反をしているのか、何かそんな数字、この間ラジオか何かで聞いたような気がしますけれども、おわかりですか。
  145. 関根謙一

    ○関根政府委員 警視庁がことし調査をいたしました数字として承っておりますが、瞬間駐車台数は二十四万台を超えており、そのうちの違法駐車台数は十八万台を超えていると承知しております。
  146. 草野威

    ○草野委員 それで、駐車場の収容能力が八万台という数字をたしか聞いた記憶がございます。そういうことで駐車場が全く不足している、こういう状況ですね。  建設省の方、お見えですか。今路上の駐車違反が事故や渋滞の原因になっているということでございますが、駐車場法に基づく附置義務の問題があろうかと思います。この附置義務の各地方自治体における条例の実施状況、実態、こういうものについてお尋ねをしたいと思います。また、駐車場の確保につきまして、税制上の優遇措置を含めまして今後どのように改善されていく方針なのか、そういう点もお尋ねをしたいと思います。また、これは警察になると思いますけれども、こういう駐車の問題で、幾ら駐車場があったとしても大型トラックについては全く利用できない状況にあるわけでございますけれども、こういうものについてはどのような方策を立てていらっしゃいますか。
  147. 安達常太郎

    ○安達説明員 お答えいたします。  百貨店、ホテル等の規模の大きな建物のための駐車需要に対します駐車施設は、委員御指摘のとおり、駐車場法におきまして公共団体が条例により建物の規模に応じて駐車場の設置を義務づけることができるということでございます。昭和六十三年三月三十一日現在、この附置義務条例は九十四都市で制定されております。この条例に従いまして六十四万三千四百台余の駐車場が整備されているところでございます。建設省といたしましては、条例のひな形として標準駐車場条例というものを通達いたしまして、公共団体が条例を定める場合に参考にするように指導してきてまいったところでございます。  近年のモータリゼーション等都市化の進展に伴います駐車需要の増大に対応して、現在この附置義務基準の見直しのための検討調査を行っておりまして、今後調査結果をもとに必要な見直しを行い、附置義務条例に基づく附置義務駐車施設の整備の促進を図ってまいりたいと考えております。さらに、委員御指摘のとおり、それ以外のいわゆる都市計画路外駐車場あるいは民間の届け出駐車場と言われているものも含めて、駐車場の計画的な整備に取り組んでまいる考えでございます。
  148. 関根謙一

    ○関根政府委員 トラックの駐車の件でございますが、トラックはおおむね貨物輸送の手段として利用されておりますので、貨物の集配センターの場所、その他集配場等に原則として駐車をしてもらうべく指導を進めたいと思います。他方、そのような長距離間のトラックではなくて宅配便みたいなトラックもございます。こちらの方につきましては、今のところ駐車場所というものを明確に意識して考えているわけではございませんが、道交法の現在の規定では、五分以内の貨物の積みおろしは駐車に当たらないといったような考えで運用をしております。しかし、この辺につきましても現在の大都市における道路の過密化の事情等も考えながら、今後トラックの駐車の問題について検討を進めてまいりたいと思います。
  149. 草野威

    ○草野委員 これは大事な問題なのでしっかり取り組んでください。  それから道路の環境対策として、大臣御存じでしょうか、外国に行かれたときにごらんになったことがあるのじゃないかと思いますけれども、よくヨーロッパなんかでハンプと言っておりまして、日本では余りないのですけれども、住居地帯の道路に土を盛ったり花壇を並べたり木を植えたりして自動車がスピードを出して走れないようにしております。住居地域で見ますと、日本の場合は老人だとか子供たちのためにシルバーゾーンとか生活ゾーン、こういうもので規制されているのですけれども、ヨーロッパでやっているハンプ等を設けて自動車がスピードを出さないで走るようなシステムを、日本でもこれから取り入れていった方がいいのじゃないか、こういうことも思うのです。これは建設省のお答えをいただくと思いますけれども、地方自治体はこういう問題について余りやらないのです。先日豊橋に行ったときに実際にこういうものをつくっているところを見まして、日本ではなかなか珍しいと思いました。これは地方自治体の方にも交通安全対策の一環としてぜひ進めていただくように御指導をお願いしたいと思います。
  150. 藤川寛之

    ○藤川説明員 今先生から御指摘がございましたように、住居地域内の道路交通の安全を確保するという観点で、車道をジグザグにいたしますとか、車道を盛り上げてハンプをつくりまして、車がスピードを出せないようにするというような施策を講ずることが非常に重要であるというふうに私どもも認識しておるところでございます。私どもといたしましては、そういう車道をジグザグにしたり車道を狭めて歩道を広くして歩道に木を植える、それからハンプを設けるというような人と車が調和した道づくりということで、昭和五十六年度からコミュニティー道路ということでそういう道路の整備に努めているところでございます。また、昭和五十九年度から幹線道路で囲まれた住居地域内の道路全体につきまして、人と車が調和したネットワークをつくるというようなことで、住区総合交通安全モデル事業を実施しております。これは地域住民の方の御協力が不可欠でございますけれども、私どもとしては特定交通安全施設等整備事業で実施しているわけでございますが、これらの事業の積極的な推進に努めてまいりたいと考えております。
  151. 草野威

    ○草野委員 地方自治体とも連絡をとりながらぜひとも積極的に推進をしていただきたい、このようにお願いを申し上げたいと思います。  警察庁にお尋ねしたいと思いますが、新自動車交通情報通信システムというのでしょうか、聞くところによりますと、車内にディスプレーを備えつけてありまして、目的地まで行く地図だとか自分の運転する車の現在地、渋滞の状況、駐車場の位置、こういうものが一目でわかるような大変すばらしいシステムで、これは警察庁も積極的に支援をしているそうでございますが、これの開発のめどでございますが、たしか昭和六十四年ごろというふうに聞いておりましたけれども、もうそろそろ開発も実用化が来ているのかなと思っているわけでございますけれども、今開発の状況はどのように進んでおりますか。これが一つ。  もう一点お尋ねしたいと思います。  交通事故に遭われる外国人も最近またふえてきております。その外国人の免許に関する問題でございますけれども、国際免許を取得してこられる方もおりますし、また、最近の中国からの帰国者のように、全然そういうものを持っていない人たちもおります。そんなことで、交通の教則、これの外国人版というのですか外国人のための教則、日本語と世界の何カ国語かで書いた教則、こういうものもあった方がいいのじゃないかと思いますけれども、この二点についてお伺いしたいと思います。
  152. 関根謙一

    ○関根政府委員 まず、交通情報通信システムの開発状況についてでございます。  昨年、東京でパイロット実験のシステムの開発を行いまして、来年四月から大阪で開催されます花と緑の博覧会、この花博におきまして、関係者の方々の御協力をいただきながらこの新しい総合的な交通情報伝達システムの実用化実験を実施する段取りでございます。  それからもう一点、外国人のための教則をつくったらどうかとの件でございます。  現在、警察庁で監修をしております、英語によって記載をされた教則というものが日本自動車連盟から作成をされております。また、中国語で記載をされたものが岡山県から発行されていると聞いております。しかしながら、我が国の最近における国際化の進展にかんがみまして、外国語による交通教則作成の必要性を十分意識しながら、外国語による教則本の作成について前向きで検討をしてまいりたいと考えております。
  153. 草野威

    ○草野委員 次に、運転免許証の更新の制度の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。  現在、我が国の場合は三年ということになっております。この免許の更新に当たりまして、六千万人のドライバーとすると、一年間に二千万近い人が更新を受けなければならない。非常に対象が膨大であると思いますし、また、国民に与える負担もかなり大きいのではないか、このように思うわけでございます。この免許証の更新期間三年という制度につきまして、かつて臨調等におきまして取り上げられた経緯もございますけれども、その都度、今後検討課題ということで現在まで来ているのではないかと思いますが、その後どのような検討がされて、現在警察庁としては、この三年という期間につきましてどういうお考えを持っておりますか。
  154. 関根謙一

    ○関根政府委員 運転免許証の更新に関係いたします免許の有効期間を三年としていることについてのお尋ねでございます。  現在三年ごとにチェックをしております点は、主として運転者の身体的機能等の点でございますが、これによって年間約五十万人の運転不適格の方々を発見しております。また、更新時講習等により、新しい交通事情でありますとか法令改正等についてお知らせをすること等も行っておりまして、この三年という更新制度は、その制度の趣旨にふさわしい機能を果たしていると考えております。
  155. 草野威

    ○草野委員 今のお話ですと、三年という有効期間については、いい制度であるから見直しする必要は今のところ考えてない、こういうお話ですね。それはいいのですけれども、かつての議論の際に、専門的観点から検討する必要がある、また心理学、交通学、医学等の専門家から成る研究会で今後も研究を続けていく、警察として。こんな話も承っているのですけれども、こういうような研究をされたあげく今のような結論を出していらっしゃるのですか。
  156. 関根謙一

    ○関根政府委員 免許制度研究会等にお諮りをいたしました結果、そのような意見等を聞いております。
  157. 草野威

    ○草野委員 そういうことじゃなくて、免許証の有効期間の見直しについても今後検討する、このようになっているわけでしょう。検討されたのですか。
  158. 関根謙一

    ○関根政府委員 免許証の有効期間につきましては、部内で十分に検討を続けているところでございます。
  159. 草野威

    ○草野委員 続けている。何かよく聞こえない。もっとはっきり言ってください。
  160. 金澤昭雄

    金澤政府委員 部内的に検討を続けておるわけでございます。例えて申しますと、年齢、体力の問題等、運転適性年齢の問題、いろいろ個人差がございますし、その辺の問題も含めて検討しておるわけでございます。前に、ある程度の年齢に達すれば更新期間のそれぞれの変化というのをつけたらどうだというような御意見もありましたが、その辺も含めていろいろ検討しておるわけでございます。
  161. 草野威

    ○草野委員 ぜひひとつ検討していただきたいと思います。諸外国の例は申すまでもございませんけれども、ヨーロッパでは終身という国も結構出ておりますし、また年齢によって変化をつける、こういうようなところもあるようでございますので、これはぜひともひとつ検討していただきたいと思います。  それから、先ほどの局長の答弁の中で、三年ごとの検査を受けたときに不適格者が五十万人いると。五十万いるといったって、これは恐らくサンプルの数字からはじき出した数字だと思うのです。恐らく免許を取り上げられたという人はほとんどいないわけです。そこら辺の実態をちゃんと踏まえてからかからぬといかぬと思いますよ。     〔大野(功)委員長代理退席、渡海委員長代理着席〕  それから、警察庁の中では、免許の三年というこの制度は非常にいい制度であると。そういうふうに思うことは、これは自由ですけれども、その理由の一つとして、ヨーロッパ、欧米と比べて日本の国の例えば事故率が少ない、必ずそういう話が出てくるのですね。その一方で、例えば今度の暫定免許制度みたいな西ドイツ方式は非常にすばらしいということで取り入れている。だから、いいと思うところはどんどん取り入れていただきたいと思うのですね。  それで、事故率が少ないからいいというこの事故率の話ですけれども、これは、例えば歩行者と車の事故率を見てみますと、日本の国は先進諸国のうちでもかなり高い方なんですよ。この統計によりますと、日本は二八・七%ですね。それに比べて、西ドイツが二一・二%、フランスが一五%、オランダが一一%、アメリカが一四・七%、イギリスが例外で三三・三%と非常に高くなっておりますけれども、車と歩行者の事故を見ても、こういう数字が出ているわけですね。何かやはり欠けている面があると思うのです。だから、免許証の更新期間の三年の問題とあわせて、こういうところはひとつ今後研究していただきたいと思います。  それから、更新のときに適性検査を受けますけれども、これが余り評判がよくないようですね。ああいうものはぜひひとつ改めてもらいたいとか、更新時の講習は内容が乏しくて余り意味がない、こういうような御意見も実際にドライバーの中からかなり出ているようでございます。この適性検査の内容につきまして、今後何か改めるようなお考えをお持ちでしょうか。
  162. 関根謙一

    ○関根政府委員 免許証の更新という制度が、その更新の時点以後のドライバーの方々が安全に自動車を運転する資質をお備えであるかどうかをチェックするシステムでございますので、その制度の趣旨を十分実現するような検査というものを常に考えていく必要があると思います。その意味で、適性検査につきましてもいろいろ見直しをすることを前向きに検討したいと考えております。
  163. 草野威

    ○草野委員 あなたのおっしゃるとおりだと思います。それだけに、適性検査の講習の内容についてはさらに研究をしていただきたい、このように私どもからお願いをしているのです。決して今のままでいいというふうに思われては困るのです。これは全国のドライバーの人たち、私も随分大勢の人に意見を聞いてみましたけれども、今のようなやり方では意味がない、こういうように断定するような意見がかなりたくさんあるということを念頭に置いて、ひとつ今後研究していただきたいと思います。  それから、交通事故の問題でございますけれども警察庁は交通事故を起こさないように一生懸命工夫をして努力をされていらっしゃる、それはそれで結構だと思う。不幸にして交通事故が起きた。そのけが人は、今度は消防庁のお世話になって救急車で病院まで運ばれます。病院の方は厚生省の管轄。一つの交通事故を見ても、警察と消防庁と厚生省と少なくともこの三つの省庁は関係しているわけです。  私は、一番心配していることは、交通事故が起きた、例えばその人がけがをした、救急車によって運ばれる。その運ばれる間のわずか五分とか十 分とかの短い時間、こういう時間が非常に貴重な時間であろうと私は思う。このわずかの時間に適切な手当てを行えば、死ぬべき人が助かるであろう。こういうことが、例えばWHOの報告によりましても二〇%くらいという数字も出ているように、こういうことによって二〇%の人の貴重な生命を失わないで済むとなれば、これは非常に大事なことではないかと私は思うのです。しかし、現在、実際にドライバーの人も、またその事故現場に居合わせた人も、どうやって手をつけていいか全然わからない。さっき局長は教則の中でとおっしゃったけれども、教則であんなことを教えてもらったって、そんなことで覚えている人はだれ一人、だれ一人とは言いませんけれども、ほとんどいません。だから、この際、多くの国民の人たちがそういう適切な救護法、応急手当ての方法を何らかの方法で習得しておくことが非常に大事ではないかと思うのです。  消防庁の長官がいらっしゃいますので、多くの国民に救護法を習得させるために、消防庁としてはどのようなことを今考えていらっしゃるか、お尋ねをいたします。
  164. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 お答えいたします。  救急車が到達する前に事故の関係者あるいは居合わせた市民によって応急手当てが行われることによって救命率が向上する、あるいは事後の医療が極めて容易になるということは医学的にも明らかにされておりますので、応急処置の普及徹底ということにつきまして私ども努力をいたしております。全国の消防機関では、例えば九月九日の救急の日を中心とする救急医療週間等におきまして、一般市民に対する応急手当てに関する市民指導というようなものを広範に行っておりまして、これに参加する人の数も膨大な数に及んでおります。ただ、御指摘のように実際の交通事故の現場で、そういった市民による応急処置が行われて人命が助かったということを所々方々に聞くという現実ではございませんので、なおこういった努力はさらに続けられなければいけないというふうに考えております。  私どもとしては、一般市民の応急手当てに関する技術の普及啓発ということに今後とも力を入れて、消防機関の努力を慫慂してまいりたいと考えておりますが、特にこの問題につきましては、あるいは学校教育、社会教育、その他医療の問題、いろいろな分野と関係いたしますので、今後専門家あるいは関係機関等の意見も聞きながら、積極的に応急手当ての普及徹底に努力をしてまいりたいと考えております。
  165. 草野威

    ○草野委員 積極的に普及に努力していきたいということでございますので、期待をしております。  この救急車の救急出場の件数を見ますと、六十三年の場合、交通事故による出場件数が約六十万回、それから急病による出場件数が百二十六万回、このようになっております。その六十万回の交通事故のための出場でございますが、そういう中で救急隊員が行った応急処置の状況というのを見てみますと、搬送人員が三十三万八千九百七十三名、これらの人たちに対して応急処置を行って搬送した、こういうことになっております。この内容、どういう応急処置を行ったかといいますと、例えば止血、固定、人工呼吸、心マッサージ、酸素吸入、気道確保、保温、被覆、その他、合わせて延べ四十七万四千件の応急処置を行っております。こういうことは救急隊員が、恐らく百三十五時間以上の講習を受けている人たちばかりだと思いますけれども、今ここに申し上げたような内容の応急処置、これは一般のドライバーの人たちはこういうことができますか、できませんか。もしできるとしたら、どういう項目についてできますか。これは教習所で、さっき局長がおっしゃった教則の中で教わってきた、救急法を習ってきたわけですけれども、どんなことができますか。     〔渡海委員長代理退席、委員長着席〕
  166. 関根謙一

    ○関根政府委員 今、先生が言われました応急処置の中では、止血、固定といった程度のことではないかと思います。
  167. 草野威

    ○草野委員 ですから、長官、教則の中で書いていることは、止血と固定しかできない。これが応急処置です。  消防庁の長官に伺いますけれども、例えば西ドイツの場合には六時間の講習を受けて、そしてマスターしたという証明書を持たなければ運転免許の受験ができない、こうなっていますね。この六時間の講習を受ければどの程度のことまでできますか。
  168. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 お答えいたします。  私どもそのようなシステムを現在持っておりませんので、六時間でどの程度の技術を教え込むことができるか、また実際の現場で活用することができるかということは、ちょっとお答えしかねるのでございますが、消防機関が行っている講習の中では、心臓マッサージ、人工呼吸、止血、こういうことを中心に指導を行っていると存じております。
  169. 草野威

    ○草野委員 これは消防庁、ぜひお願いしておきたいのですけれども、さっきあなたがおっしゃったように、多くの国民に対して救護法についてこれからも普及するために積極的に努力をしていきたい、このようにおっしゃいました。そうすると、多くの国民に対して普及させるためにはどういう方法が一番いいか。町内会で救急の日に人を集めて講習したって効果としてはどの程度か、あなたにもおわかりかと思います。やはりきちっと救護法を国民に教えるためには、自動車の免許試験を受けるときだとか、また更新の際にこういうことを教えるということは、やはり一番いいことじゃないかと思うのです。あなたはこういうことについてどういうお考えを持っていますか、消防庁長官
  170. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 運転免許の取得あるいは更新時における講習その他の問題につきましては、私ども所管外でございますので、警察の方でお尋ねをいただければ幸いでございますが、基本的には私どもは教育、社会教育、そういったものも含めてかなり若い時代と申しますか、子供の時代からそういうことを教えていかないと、本当に救急の場合に、例えば血が飛び散っているようなときに、すっと手が出てやれるという状態にはなかなかならないのではないかと思いますので、そういうことも含めて私ども研究してまいりたいと存じます。
  171. 草野威

    ○草野委員 ここに社団法人日本交通科学協議会というところで出したこういう小冊子がございます。これは応急救護に対する国民の意識調査の報告書でございます。ちょっと恐縮でございますが、二、三この中にあることを読ましていただきたいと思います。「交通事故を起こした場合、道交法七十二条で、事故を起こした運転者に救護の義務付けがされていることを知っておりますか。」これは千名の人を対象にして行った調査でございますが、この調査について「知っている」と答えた人は八五・八%おりました。それから「事故現場におけるあなたの行動」、どういう行動をとるか。「救急車を呼んでやった」二九・四%、「応急手当をしてやった」五・五%、「なにもしないで通りすぎた」二六・三%、「救急車が運ぶのを見ていた」一七・一%、こういう数字が出ております。さらに「あなたは、なぜ実際の現場で応急処置を行なわないか。」こういう問いに対しては、「してやりたいが方法を知らない」六三・八%、「素人が手を出しては、かえって悪くする恐れがあるから」三三%、こういうことであります。さらに「あなたは、応急手当を覚えたいと思いますか。」こういう問いに対しまして、「思う」と答えた人が九七・二%、最後に「あなたは、どんなときに教育を受けたいと思いますか。」この問いに対しては、「運転免許を取得するとき」、このように答えた方が二五・二%、「免許更新時講習などのとき」三〇・三%、「中学・高校などの教育において」一五・八%、こういうようなデータが出ております。私はこの報告書を拝見いたしまして、これは非常に貴重だなと思って感じておりましたけれども、今のこういう数字について、長官、どのようにお感じになりますか。
  172. 金澤昭雄

    金澤政府委員 今のお話を承りまして、救急方法のできるだけ広い普及が、この交通事故が多発 する状況下において非常に必要だということを痛感いたしました。  私どもの方、警察官としても救急法の訓練、検定は最初の段階でやるわけでありますが、なかなか現実的な実施というものは難しいというように思います。これは広くまた充実して普及させるべきものというふうに考えます。それと免許の取得時または更新時の講習の際にという今のお話、これは今後前向きに検討させていただきます。
  173. 草野威

    ○草野委員 最後に、大臣に申し上げたいと思います。  今のことに関連した件でございますけれども、こういうことの結論として、これはぜひ大臣にお願いしたいわけでございます。  一つは、運転免許を取得する要件に救護知識と技術の習得を加え、自動車ドライバーにその習得を義務づけること。二番目は、運転免許証の更新の際に救護法についての講習を行い、ドライバーの救護知識と技術の向上を図ること。三番目、安全運転管理者、教習所指導員に対して救護法の講習を行うこと。四番目、自動車教習所において救護知識と技術についての教習を行わせ、教習指導員の確保など教習体制を整えること。以上四点でございますが、国家公安委員長としてこういうことについてぜひとも御努力いただきたいと思いますけれども、御所見をいただきたいと思います。
  174. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま草野委員政府委員との質疑、大変貴重なものとして聞いておりました。特に最後にお話のありました交通科学協議会の住民の考え方、これも大変貴重なものでございましたから、ただいまそれにのっとって、御指摘のありました点について、先ほど警察庁長官から答弁した部分もございますけれども、大変貴重な御提言として今後検討をさせてまいりたいと存じます。
  175. 草野威

    ○草野委員 時間が参りましたので、以上で終わります。
  176. 小澤潔

    小澤委員長 岡田正勝君。
  177. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 もう根こそぎ質問がありましたので、これから拾いながら、探しながら質問しなければなりませんので、とちりとちりになると思いますが、お許しをいただきたいと思います。  まず冒頭に質問をいたしたいと思いますのは、追加をいたしました問題でありますが、交通の問題にいたしましてもその他の犯罪にいたしましても、公開捜査をすることがありますね。その公開捜査をいたしますときに、日本の制度の中では一般人に対しまして、その御協力をいただいた人に対して協力金といいますか謝金といいますか、そういうようなものを出すような制度があるのでございますか。
  178. 中門弘

    ○中門政府委員 公開捜査と申しましてもいろいろな内容があるわけでございます。例えば人についての手配、これは犯人を捜すという場合がございます。それから所在不明になっている方を捜すというのもございます。それから物の手配につきましては、例えば犯罪現場に残されております遺留品等の捜査をするという場合がございます。また盗難等の被害品を捜すという場合もございます。そういう場合に公開捜査をして、一般の方からの協力をいただくということを捜査の手法の一つとして行っておるわけでございますけれども、そういうことにつきまして、あらかじめ協力金を支払いますということで、いわば約束をして協力をお願いするというふうな、いわゆる懸賞金制度と申しますか、そういうたぐいのものは我が国ではまだ採用いたしておりません。しかしながら、捜査に協力していただいた方に対しましは、その協力の内容によりまして、感謝の気持ちをあらわしますために、例えば感謝状を差し上げるとか謝金を差し上げるとかいうふうなことはございます。
  179. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは私、小説の読み過ぎなのかもわかりませんが、どっちかといいますと、国民というのは現金なものでして、先ほどどなたかから御発言がありましたが、我々日本に住んでおりまして、本当にいい国だな、外国に行って帰ってきましてもつくづくそう思いますね。それはやはり日本の警察制度というのが非常に確立をしている、保安が行き届いておるということが非常に大きな原因だと私は思うのです。その点ではもう全国民が感謝をしていると思うのですね。ところがどっこい、警察の仕事に協力をするかしないかということになってくると、ちょっと疑わしい点が出てくる、二の足を踏んでおる国民が大分おる。中には、スピード違反でとっ捕まったからな、こんちくしょうめという簡単な理由もありまして、なかなか複雑なものであります。  これが昔、徳川幕府なんかの時代では、なかなか犯人の捜査が行き届かない、役人の数も少ないというようなときには、国民全般の協力を得なければどうしようもないわいということはたびたび起こったようですね。そのために懸賞金をあらかじめ書いて、今の世の中で言うたら、犯人を見つけて、本当にその犯人だったらあなたに一億円差し上げます、宝くじよりもいいものを出すようにいたしましたら、これは物すごい協力が出てくるのじゃないかと思うのですよ。何も国民を金でつるという意味ではございませんけれども、悪い意味にとられては心外でありますが、いい意味で、公開捜査に当たりまして、非常に難しい、しかし迅速にやらなければいかぬ、事は人命に関するというような重要な問題なんかのときには、懸賞金をあらかじめ明示して公開捜査をするということもあっていいのじゃないかな、どうしてそれが日本ではないのかなという感じがしまして、そこが不思議でならぬのですが、何でせぬのですかな。
  180. 金澤昭雄

    金澤政府委員 前にもこの種の問題が討議されたことがございます。幾つかの理由はあると思うのですが、一つは、日本人の感情からいきまして、どうしてもお金警察に情報を売る、こういったスタイルになるものですから、どうも日本人の昔からの感覚、昔からといいましても、今お話しのように江戸時代にはあったわけでございますが、明治以降の感覚にはどうも合わないのじゃないかということでの拒否反応というのが一つございます。それと、やはりそうなりますと、警察にとりましては、いろいろな情報が非常に数多く入ってくるわけですが、その真偽を確かめるのにこれはこれでまた非常に手間暇がかかる。やはり日本の現在の社会の中においては、治安、警察の仕事にお金抜きで協力してもらうという意味での協力が一番望ましいということで、この種の議論は何回もされるのでございますけれども、その都度ちょっと踏み切るのにはなかなか勇気が要るということで、現状のままになっておるわけでございます。
  181. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 警察庁長官も、我が日本民族というのは金銭感覚には非常にきれいであって、清潔な国民である、したがってそういうことはちょっと踏み切れぬ。今の答弁はいいですね。私もそう思っております。ありがとうございました。  さて次に、先ほど年間労働時間、就業時間という問題が出ておりましたが、警察官の皆さんの年間の就業時間というのは、一体今平均どのくらいになっていますか。
  182. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 警察官の場合におきましても、法定勤務時間というのは週四十二時間でございます。しかしながら、現実には、重要凶悪事件などが発生して特別捜査本部などが設置されますと、相当の超過勤務をすることになるわけでありまして、実際には必要に応じましてかなりの超過勤務を行っておるというのが実情でございます。週四十二時間で計算いたしますと年間就業時間が出るわけでございますが、ちょっと計算しておりませんので、その点御了承いただきたいと思います。
  183. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこに電卓ありませんかな。ちょっと教えてください。計算してみたら千六百時間という世界で最も短い時間が出ますか。
  184. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 単純に計算いたしますと、週四十二時間でございますので、一年間五十二週でございますから、四十二掛ける五十二ということになりまして二千百八十四時間ということになるわけでございますが、しかし、実際にはこの間に祭日とかございますので、正確に計算いたしますとこれよりも下回るのではないかと思います。
  185. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは突然の質問でしたからちょ っと御迷惑をかけたと思いますが、日本の警察官の国民に対する割合、警察官の数、これは大変少ないというふうに今まで認識をしておるわけでありますが、諸外国の警察官の平均就業時間と比べて高いですか、低いですか。もう数字はいいですから。
  186. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 失礼いたしました。  調べた資料がございませんので、その辺のこともやはり大変重要な問題でございますので、後刻調査いたしまして執務に活用してまいりたいと思います。
  187. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 何で私がこんなことを御質問したかと申しますと、近年まことに残念な事件がいろいろと出ておりますね。そういうことに対しましていろいろ批判の声もありますが、一面、私から見た考え方は、給与面で恵まれておらぬのではないのかなということが一つ。それで、それが今の一般公務員に比べて、いわゆる同じ勤務年数の人でしたらそれよりも何%か高い給与のはずですけれども、しかし警察官の仕事というのは非常な激務ですね。そして教職員の人も一般公務員よりはたしかレベルが高かったはずですね。恐らくそれと線がそろえてあるのではないかと私は思うのでありますが、それよりもはるかに激務ですよね。そういう状態から考えてみて、勤務に見合った給与と言えないのではないかということを私は感じるんですよ。やはり勤務に見合った給与ということを考えてあげなければならぬのではないかというふうに思っておるのでありますが、一般の公務員に比べてどのくらい高いのか、それから学校の先生、教職員に比べてどうなのかということをちょっとまず先に教えてください。
  188. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 警察官の給与は、厳密に言いますと各府県によって異なるわけでありますが、一般的に申しまして、警察官に適用される俸給表は、行政職の俸給表に比べまして若干高いわけであります。例えば初任給について申し上げますと、一般行政職の俸給表に比べまして三・五号俸ほど高くなっておるのが実情でございます。
  189. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これは国民にわかりやすく、三・五号俸というのでは、これは非常に正確でありますけれども、ちょっとわかりにくいんですね。だから、比較のしようがなかなか難しいんだと思うのですが、ぐっと大づかみのところを言って、一般公務員に比べたら、行政職に比べたら二〇%高いのであるとかいうような、教員の諸君に比べたらとんとんであるとか、そういうふうな説明ができませんかね。
  190. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 現在教職員の給料表につきまして資料を持ち合わせませんので、そちらの関係についてはお答えできないわけでありますが、警察官の初任給と一般行政職員の初任給を比較いたしますと、金額にいたしまして一万二千四百円ほど警察官の俸給が高くなっております。
  191. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それではそのことはそれ以上問いません。  その次にお伺いしたいと思いますのは、待遇面におきまして、つい最近もマスコミでちょっと騒がれたようでございますが、昇格試験ですね。警部補あるいは警部の昇格試験というのが、実際には現場できりきり舞いをしておる皆さん勉強するといったってする暇がない。それで、しなかったら答案は書けない。答案が書けないから合格するはずがない。どうせおれはもうこれでおしまいだといって自分であきらめてしまう。そうすると、言うならば夢も希望もないなということになるわけですね、給与はそれに見合っていくわけですから。給与も余り上がらない、資格も上がらないということになってくると、人間本当に希望を失いますね。希望を失ってくると、やはりそこによからぬ感情も起きてくるということになるわけでありまして、私は、昇格試験を含めまして待遇面の改善あるいは特昇制度、そういうようなことなんかも組み合わせたもっと合理的な、いわゆる現場の警察官の諸君が喜んでその職務に身命をなげうつというような環境が生まれてくるような制度ができぬものかなというふうに心配をしておるのですが、いかがですか。
  192. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 警察官の昇任制度は、これまで試験昇任を中心に行ってきたわけでございます。もちろんこの試験昇任につきましてもこれまで何回か改善を図ってきたところでございますが、今月七日に開催されました全国警察本部長会議におきまして、この昇任試験につきまして抜本的な改善を行ったところでございます。  主なる改善方策といたしましては、試験昇任におきまして、これはペーパーテストが中心であったわけでありますけれども、今後は平素の勤務成績とか実務能力というものを一段と重視するように改めますとともに、新たな昇任制度として能力、実績主義による、試験によらない選抜昇任というものを導入することにしたわけでございます。これによりまして、勤務意欲に満ちあふれ、実務能力にすぐれた警察官を昇任させますとともに、先生御指摘のように、平素厳しい勤務に従事している警察官の意欲を増進させるように努めてまいりたいということでございます。
  193. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それはまことに結構なことでありまして、大前進だと思いますね。これは長官在任中の大功績だと思います。  これは一体いつから実施されるのですか。また二、三年かかるのでしょうか。
  194. 仁平圀雄

    ○仁平政府委員 既に実施に移されている部分もございますし、それから、これから若干時間を置いて経過的に実施に移していくものもございますが、原則的には来年度から実施していただきたいということで各府県にお願いしているところでございます。
  195. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはありがとうございます。来年度から完全実施をぜひやっていただきたい。やはりやる気を起こすようにぜひしていただきたいと思います。本当に現場で見ておって気の毒な人たくさんおりますよ。能力のある、実力のある人が勉強ができないためにどうしようもないという方々がいらっしゃいます。どうぞひとつ報いてやっていただきたいと思います。  その次の問題でありますが、交通取り締まりの関係につきまして、随分たくさんな方々を充てていますね。これは全警察官の中で、二十五万の中で一体何割ぐらいを占めていらっしゃいますか。
  196. 関根謙一

    ○関根政府委員 各都道府県ごとに違うわけでございますが、概略申し上げますと一五%ぐらいかなというところでございます。
  197. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それで結構でございます。  これで私常日ごろから見ておるのでありますが、例えばスピード違反なんかでやっていらっしゃいますね。片方にカメラを置いて、片方には警官がおられますね。あれなんかもえらい時代おくれだなと私思うのですよ、このハイテクの時代に。何で人間様があそこに張りついておらなければいかぬのであろうかと思うのです。  だからそれは、スピード取り締まりをやりますよということを全国に知らせておいてもいいですが、どの道でどこに写真機を、メーターをつけておるかわかりませんよ、だからスピードは守ってくださいよ、そのかわりそれに違反したら、その写真と超過したスピードと時間と場所、それが明確に記録されてあなたにちゃんと通知が行きますよ、減点になりますよ、罰金もいただきますよということにすれば、人に見られてはおらぬけれども、その写真機という天なる神に見られておる。人が見ておろうが、見ておるまいが——人が見ておったら用心していく、ルールを守る、人が見ていなかったらもう行けという、行け行けどんどんの運転をやるから危ないのでありまして、だからそういうふうに全国どこにそういうものが備えつけてあるかわからないという状態にして、その何日か後に通知がどかっと来る、ああやったわいと、もうぐうの音が出ぬわけですから、そういう仕掛けでいいんじゃないか。どうしてそういうことをしないんだろうか。なぜわざわざ赤い棒を振って一々こっちに来なさいと言ってその場で伝票を書かねばいかぬのか。  何かえらいこの近代化の時代に、あれをやっている人も、暑いときは汗を流す、寒いときは震え震えやっているわけです。やる人も御苦労ですが、 やられる人も不愉快ですよ。それよりも後からさっと罰金のツケが行く方がもっとスマートじゃないですか。どうしてそういうことをしないのですか。
  198. 関根謙一

    ○関根政府委員 スピード違反の取り締まりの手法として、速度違反の自動監視装置を現在二百カ所くらいで……(岡田(正)委員「二百カ所、やるのはやっておるのですか」と呼ぶ)やることはやっているのでございますが、ただ数が非常に少ないことと、特にスピード違反を起こした場合に危険であるという箇所に限って、これはほとんど高速道路でございますが、そういう重大事故を起こす危険のあるところに限り、ほとんど場所を知らせるような形で行っております。いわば、事故防止効果ということも考えた上でございますが、ただ確かに先生御指摘のように、現在ハイテク時代でございます。警察官数、決して多いとも考えられませんので、可能な限り最新の技術を導入いたしまして、警察官の不足に充てるべく、今後とも努力を続けたいと考えております。
  199. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 よくわかりました。大変高いものかもしれませんが、私の感覚からいったらそんなに高くつくはずはない、二百カ所やっていらっしゃる、それだけでも結構です。だが、そういうスピード取り締まりのために警官を配置しなければならぬというようなことだけはもうやめて、そのために浮いた人員はほかの交通問題にしっかり頑張っていただくというふうに、できるだけ省力化を考えてぜひやっていただきたい。予算獲得につきましては国家公安委員長、ひとつぜひよろしくお願いをしておきたいと思います。  さて、おこぼれの中の落ち穂拾いをやらせていただきます。  最初に聞かせてもらいますが、初心運転者期間を一年、こういうふうに定めましたね。私は、これはいい制度なんで全面的に賛成なんですよ。賛成でありますが、一年と定めたのは一体どういう理由なんですか。
  200. 関根謙一

    ○関根政府委員 現在の交通事故を起こしたドライバーを分析してみますと、一年未満の方が二年以上の方に比べまして重大事故を起こす比率が高いのでございます。数字で申し上げますと、一年未満のドライバーの方々というのは五千七百万人の中の六%くらいでございますが、事故は全事故の一二・五%ほど起こしておりますし、特に死亡事故に限ってみますと一四・九%、一五%もの死亡事故を六%の一年未満のドライバーが起こしておられるということで、その一年未満の方々が注意をすれば事故が減るであろうということが、このシステム考え考え方一つでございます。他方、この一年の間、無事故で過ごした方々の二年以後の運転状況を見ますと、事故発生率が非常に少なくなるということで、最初の一年が大事だなということからこのように一年ということを考えた次第でございます。
  201. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 したがって、それは今おっしゃったような数字を分析して、まあ一年が妥当であろうと。西ドイツは二年ということで、西ドイツをお手本にしたけれども、あえて一年にした、こういうわけですね。それが本音であって、二年にしたら国民に恨まれてしまうぞというのが本音ではないですね。いかがですか。
  202. 関根謙一

    ○関根政府委員 あくまでも交通事故防止という観点から最適値と考えるところを科学的に分析して得た結果が一年ということでございまして、その他の要素を考えていることはございません。
  203. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 これはどうしようもないのでしょうけれども、ペーパードライバーというのがおりますね。これはまさしくペーパードライバーでありまして、どういう関係か知らぬが三年ごとの免許更新もかちっとやる。それで結局は十年も十五年もずうっとペーパードライバーでいって、永年優良運転者表彰ですか何かというて立派なものをいただくのですね。これも仕方がないですね、事故を起こした実績がないのですから。それで、一年未満という若葉マークの人でも、一年間とにかく運転をしたらやばいぞ、これは一年間静かにしておこう、二年目からだったら違反点数満杯でもオーケー、こういうような気風が出てくるおそれはありませんか。
  204. 関根謙一

    ○関根政府委員 御指摘のような気風が全く出てこないと断言するような資料を持ち合わせているわけではございませんが、従前のドライバーの方々にアンケートをとってみますと、とにかく運転がしたくて運転免許証を得るのであって、一年間とっておいて一年後に運転するために今運転免許証が欲しいというわけではないという方々が大部分でございますから、余り私どもとしては心配はしていないところでございます。
  205. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 とおっしゃるくらいですから、ペーパードライバーというのが何%くらいおるものかということも大体つかんでいらっしゃいますね。
  206. 関根謙一

    ○関根政府委員 ペーパードライバーということで一年間全く運転しない人というのか、それとも一年間に一、二度の運転の人を言うのかということでいろいろ数字が異なってまいりますが、一般的には七、八%くらいかなということが言われております。ただ、私どものアンケート調査によりますと、これは二万三千人を超える数の方々に伺ったわけでございますが、この中で一年間運転をしなかったという人は三・一%、年に数回という人が三・三%といったような数字が出ております。
  207. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。  さて、時間がありませんからもうおしまいの方に行かせていただきますが、指定講習機関というところで研修をさせるんだ、こういうことでございますが、これは全国で自動車教習所が何カ所あって、そのうち何カ所をこのいわゆる研修所にお充てになるつもりか、まさか新設をするというのじゃないのだろうと思うのですが、それを教えてください。
  208. 関根謙一

    ○関根政府委員 指定自動車教習所の数は千五百二十二所くらいであったかと記憶をしております。その指定自動車教習所のうち、現在御提案を申し上げております法律案の規定に定めます基準に該当する指定自動車教習所につきまして、その申請に基づき指定講習機関として指定をするという考えでございます。
  209. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その基準に適合する教習所であればこれに指定をしよう、こういうことでありますが、基準に該当する教習所というのは恐らく全部じゃないのですかな。そうはいかぬのですか。半数ぐらいですか。
  210. 関根謙一

    ○関根政府委員 これは、もしこの法律案がお認めいただきますと公布をされます。公布をされた後、政令で定める日から施行するということになりますが、それまでに準備期間がございます。その準備期間の間にいろいろと各指定自動車教習所において御準備をいただくということになろうかと思いますが、いずれにいたしましても、当面、全部ということになるかどうかにつきましては、私どもまだこの段階で確答をするような数字を持っておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
  211. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 わからぬのなら仕方がありません。  それでは、この制度に基づきまして動き出す初心運転者講習を受ける人、それからなおかつ再試験を受ける人というのが何人かは出てくるはずなんですね。その初心運転者講習そして再試験、それぞれに分けまして、所要期間は一体幾らか、所要費用は幾らかということは計算してありますか。
  212. 関根謙一

    ○関根政府委員 まず、初心運転者の方の講習につきましては、七時間程度という時間を考えております。それから取り消し処分者の方の講習につきましては、十三時間程度ということをただいま考えているところでございますが、いずれにいたしましても、これらの講習内容等は、この法律案を御承認いただきました後、政令でその内容、時間等を全国統一のものとして定めるべく考えているところでございますので、今後ともまだいろいろの方々の御意見を伺いながら適正妥当と思われる時間を考えたいと思っております。  それから費用の方でございますが、これは実費を勘案してそれぞれ政令で定めるということとされておりますが、この実費というのがどのくらいになるかというところ、今のところまだ数字を持ち合わせておりません。
  213. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今の費用のお答えがまだわからぬのですということでありますが、まさかべらぼうにかかるわけはないのでしょうが、正直なところを言いまして、教習所の方で、おい何ぼ要るんじゃい、その値段を出せやということで競争入札で決めるのですか。
  214. 関根謙一

    ○関根政府委員 決してそうではありませんで、指導員の人件費でありますとかそれから施設に要する費用、機材等に要する費用その他実費を勘案いたしますが、それぞれ府県ごとに数字が違うということもありましょう。そこでそういう全国の数字を集めまして、おおむね妥当とされる数字になると考えております。
  215. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ただいまの御答弁おおむね妥当であります。  最後に、消防庁長官、お越しいただいておりますが、私は昨年も救急体制について質問をして、アメリカの制度に早く見習うべきである、医師会等の抵抗があってもそれをはねのけてでもやれということは随分言ったのでありますが、なかなか現実にはそうはいかぬようであります。しかしながら、救急業務体制の確立というのは大変重要な問題でありますから、最後の質問になりますけれども問題点と今後の課題、そういうものについて御所見を承りたいと思います。
  216. 木村仁

    ○木村(仁)政府委員 交通事故関係の救急に関する御質問であろうと存じますが、御承知のように、制度発足以来、火災及び事故に伴って発生した傷病者を搬送することが消防救急の中心であったわけでございまして、現在は急病人もカバーいたしておりますが、そういうことから、交通事故における救急の内容につきましてはその量、質ともに逐年充実してきていることは御承知のとおりでございます。私どもとしては、さらに搬送時の応急手当てを完全にいたしますために、救急隊長に対する高度な専門知識を修得させる特別の教育カリキュラムのあり方について検討を続けておりまして、救急隊員の資質向上の施策を講じ、これによって傷病者に対する応急手当ての充実を図っていく、これが一つでございます。  もう一つは、そろそろ、傷病者の乗り心地みたいなもの、これが問題になってきておりますので、救急隊員の応急処置の実施のしやすさ等とも関連しますから、救急自動車の規格、構造を一度見直してみてはどうか。と同時に、傷病者の状況、状態を刻々搬送先の病院に連絡しながら搬送するというような情報ネットワークシステムの構築を進めていきたいと考えております。  第三に、救急隊到着までの間における市民による応急手当てが救命率の向上を図る上から重要であるということが指摘されておりますので、応急手当てに関する市民教育の充実に格段の努力をいたしてまいりたい、こういったことを現在考えております。もちろん救急隊のカバー率も人口で九九%、市町村数で九三%に達しておりますが、さらにこれを充実すること、機材の充実、人員の充実等も努力してまいる所存でございます。
  217. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間が参りましたのでこれをもって終わらしていただきますが、最後に希望だけ申し上げておきます。  これは国家公安委員長警察庁長官にお願いを申し上げておきますが、交通に対する教育の問題、道路の環境の問題、それから車の構造の問題、それぞれございます。運輸省の関係、文部省の関係、建設省の関係等があるわけでございまして、一番よくわかっておるのが警察庁でございますから、どんどん積極的にやっていらっしゃると思いますが、関係省庁に対して一日も早く安全な道路が確保できるように手を打っていただきたい、このことを強く要望いたしまして、最後に金澤長官、インターポールの総会に御出席になるわけでございますが、安心して行ってきてください。日本の警察を代表して肩を張って行ってきてもらいたいと思います。お帰りになりましたら、三十日には見事に可決をされておると思います。ありがとうございました。
  218. 小澤潔

  219. 寺前巖

    寺前委員 まず最初に、私の地方の新聞ですが、たまたま部屋で投書を読んでいたら、「腹立たしい警察の態度」という投書がございまして、私もこれを読んですぐに事情を調べてくださいと警察庁の方にも問題提起しました。日曜日地元に帰りましたときに、この投書をされた方にお会いをして、そしてこちらに出てきたわけですが、その間投書者に対しては何の説明も行われておりませんでしたから、事実関係とこれに対する対処はどうされたのかということ、もう一つは今後の教訓としてどういうふうにお考えなのか、警察庁長官から御説明いただいたらありがたいと思います。  内容をちょっと御紹介いたします。  京都伏見区の稲岡弘子さんという方です。   半月ほど前、自宅近くの路上で女性物のセカンドバッグを拾った。落とし主にすぐ知らせてあげようと、身元のわかる物はないか開けてみると、クイズの応募はがきが入っており、さっそく電話したが、何度かけても通じず、警察に届けることにした。   しかし雨が降り出し、乳児を抱えているため出にくいので、その旨話すと、派出所から来られた。バッグの中にはキャッシュカード、クレジットカード数枚、車の免許証、かぎ、現金八千円近く等が入っていることの確認をし、拾得物預かり証を受け取った。   その時、確か「こちらから連絡します」と言われたようで、安心していた。だが、いくら待っても音さたがないので、次第に気になり出した。落とし主の住所と名前は覚えていたが、電話番号を忘れてしまい、電話帳にも記載されておらず、連絡出来なかった。落ち着かず翌日、思い切って落とし主のお宅を訪れた。   すると、その人は大変驚いた様子で、いきさつを話された。銀行や信販会社にはすぐ紛失届を出し、警察へも何度も届いていないかたずねたが、逆に「しつこい」と怒られ、嫌な思いをされたと言う。なぜ警察は、すぐ落とし主に知らせないのか。無性に腹立たしく、日常でも、届いていながら「届いていない」と対応をしている場合が、往々にしてあるのではないか、と感じずにいられなかった。関係者から事情の説明がほしいものである。 こういう投書でございます。いかがでございましょうか。
  220. 森廣英一

    森廣政府委員 お答え申し上げます。  お尋ねの案件につきましては、十一月十七日付の京都新聞の記事を私どもも見まして早速調査をいたしました結果、次のような経緯であると判明いたしておりますので、御報告申し上げます。  まず、十月二十八日の土曜日午後三時四十分ごろ、京都府山科警察署管内の派出所に御指摘の女性から電話で拾得届の申し入れがあったため、勤務員がこの方のお宅を訪問いたしまして、拾得届及び拾得物を受理いたしまして警察署に引き継いだものでございます。その後、本件の拾得物が同日、つまり二十八日土曜日の午後四時ごろ遺失届の物件であったことを確認いたしまして、遺失者に対しましては翌二十九日日曜日の午後五時ごろ返還をいたしたという事実関係を確認いたしておりますので、御報告申し上げます。
  221. 寺前巖

    寺前委員 それではちゃんとうまいこといっていて、この人が投書する何の理由もないじゃないかということになると思うのですが、そういうことなんでしょうか、いかがでしょう。
  222. 森廣英一

    森廣政府委員 お尋ねでございますので、あえて問題点がなかったかどうかということを詳しく調べまして御報告いたしたいと思います。  この遺失届をした方が真実の持ち主であるかどうかという点につきまして当初若干疑問がございました。と申し上げますのは、まず第一点といたしまして、この落とし主の方は、遺失物の中の免許証には、もちろんのことでございますが本当の名前が記載してあった。しかし、これも遺失物の 一部でございますが、クレジットカードには、後でわかったのですが、旧姓が書いてあった。それから、これは大変問題なんですが、遺失届には通称名といいますか別名と申しますか、仕事上お使いになっている本名とは違う名前で遺失届を出されておった。こういう名前の点が非常に疑問があったということ。それから遺失金額につきまして、三万二千円遺失した、こういうふうなお届けでございましたが、実際拾得者から届けられておりました金額は七千七百四十四円ということで、金額につきましても差があったということ。それから遺失の日時が拾得日時より後であること。これは記憶違いであることが後でわかったのですが、遺失した時間が三時四十五分から五十分ごろという届けに対して拾得時間が三時半ごろという逆の届けになっておりましたので、その点にも疑問があった。こういうようなことから、派出所で処理するのは適切でないと判断いたしました勤務員が本署に引き継ぎまして、本署の主管係の方で慎重にその辺を遺失者から聞き取りまして、最終的には間違いない、遺失者であるという判断をしてお返しした。  そのような経緯がございますので、そういう経緯の中で若干不愉快な思いをされたことはあるかもしれませんが、私どもが聞いておりますと、しつこいというような失礼な言辞は弄しておらない、このような報告を受けておるところでございます。
  223. 寺前巖

    寺前委員 それでも何も問題ないということに私は聞こえるのです。しかし本人がおっしゃっているのはそうじゃないのです。私は赤ん坊を抱えて——四人の子供さんがおられます。土曜日のことです。ほんの近所のところです。バッグが落ちておった。恐らくバイクか何かの前に積んでおって落ちたのかと思いながらそれを拾った。見たらちゃんと住所も電話もある。だからすぐにこの人に渡してあげないかぬなと私は思ったけれども、電話をかけてかからなかった。これは三時過ぎや言うていました。土曜日の三時半ごろですかね。それで派出所に言うたら派出所はすぐ来てくれたというのです。そこはいいです。さあそれから警察から返しましたよという連絡もないし、本人からもありがとうございましたという連絡もない、あれどうなったんやろうなと丸一日気になっておって、明くる日の三時ごろでしたか、本人が住所が書いてあったおうちへ行ってこうでしたよと言われたので、相手がびっくりしてしまった。私も警察に遺失の届けをやっているんだけれども何にも言うてくれないわ、どないなっとるんやというて所轄の山科署ですか電話を入れた。  本人が一日待って気になってわざわざ行けるくらいなんだから、何でその間にあなた落としたのと違いますかということを本人のところへ入れてやってくれないのかということを、この投書をしておられる人は言っておられるのですよ。何でそういう親切心がないんだろうか。我々だって気になって持っていかんならぬくらいなのに、任務についている人が、私が届けてやったのを見たらすぐわかるのだから、何で自分の方から声をかけてやってくれないのだろうか。日曜日だからできませんという話が出ていましたが、もうちょっと心が通ずることをやらなんだらいかぬのじゃないだろうか。それでいて、この投書が出ましたよということで、私でさえも京都に帰ったときにと思って、日曜日の夕刻でしたよ、もうそのときにはちゃんと御報告があって済んでるこっちゃと思って行ったんです。いや、何にもございません。この人がおっしゃっているのは、関係者から事情の説明が欲しいものである、こうおっしゃっている。何で事情の説明もしてあげなかったんだろうか。私は、どこから考えたって、これは世間通らぬ話やなと思うのですが、警察庁長官、どうですか。
  224. 森廣英一

    森廣政府委員 恐縮でございますが、もうちょっと細部につきまして経緯を御説明して、御理解を得たいというふうに存じます。  もう一回、重複する面もあるわけでございますが、当初、拾った方から届け出がありましたのは十月二十八日土曜日の午後四時でございます。その後、なくした方が午後六時ごろ届けていただいております。その結果、先ほど申し上げましたように、氏名とか金額とかあるいは遺失と拾得の日時の相違とか、こういうことがありまして、派出所員が鋭意検討いたしましたけれども、どうもこれは派出所段階で決定するにはちょっと難件である、難問であるということで本署に引き継いだわけでございます。そうして、今御指摘の拾得者の方がどうなっておるのだろうかということで遺失者のところへお出かけになったのは、翌日二十九日、日曜日の午後三時ごろだそうでございますが、そのときに拾得者の目の前でこの遺失者の方は警察へ電話をして、そうしていろいろ警察と連絡をとってやっとこれは本署の連絡でわかりまして、それでは返しましょうということになったわけでございまして、投書自体はえらく後の方になっておりまして、十一月の十七日という時点の投書でどうなっておるのかというような文面になっておりますので、そんなに長いことほっておいたかというふうに一見誤解もされるおそれもあると思うのですが、事実は今申し上げましたように、翌日の段階で決着をしておりますので、その点はどうか御理解いただきたいというふうに思います。
  225. 寺前巖

    寺前委員 何にも説明にならぬ。私、今この質問やめようかと思ったんだけれども、そんなもん答弁にならぬやないか。もう返したんやからええやないかというだけのことや。そんなばかな話がありますか。このお人が言うておられるのは、何で本人に連絡をしてあげないんですか、拾得物は非常に明確なんだからと言うておられるんでしょう。それから、私も心配になって一日後に言いに行ってあげてよかったわと思った、だから何でそうなっておるのか説明してほしい、いまだに理解できないからとおっしゃっているんでしょう。そうしたら、だれか行って、よう届けてくれはりましたと何で説明してあげへんのや、余りにも不親切やないかということを私は言っているのであって、返ったか返らへんかったか、そんなこと一つも聞いてない。何というのか、余りにも官僚的というのか、ちゃんと返ったからそれでええやないかということでは、国民の皆さんには心は通じませんよ。警察庁長官、どう思います。
  226. 金澤昭雄

    金澤政府委員 国民との仕事上の接点につきましては、一昨年以来市民応接の向上ということで、その点を第一線の職員に徹底をさせておるわけでございますが、今のお話を私も伺っておりますと、やはりいろいろと事情があったような気を強く持つわけでございます。名前の点であるとかそういった点。したがいまして、その確認に非常に手間がかかるということは当然考えられるわけでございますので、その辺の事情は今の保安部長の説明で御理解いただけるのではないかと思います。  また、あとそれぞれ個々のいろいろな話の仕方とかそういう点でどういうことがあったのかというのは、今この時点ではわかりませんので、その辺のところは何とも申し上げかねるわけでございますが、先ほどるる説明をいたしましたような点からすれば、大体の状況は推察がつくものというふうに考えております。
  227. 寺前巖

    寺前委員 あなたも一緒やのう。全然人の気持ちというのが通じへんのやなあ。親切に本人にはよう言うてあげなんだら、免許証もないしかぎもないし困っておられるだろうと思って派出所に連絡をした、そうしたらもうちゃんと連絡をつけてそれなりの処理をしてくれていると思って、けれども気になったから一日たって行ったんでしょう、さあ一日たって行ったら、相手もびっくりしてしまって、あれ、だったら初めから私が届けてあげた方がよかったなという話やな。それやったらその間にもう少し親切にやることがあったんと違うかということと、それから届け人に対しても、あなたのものはこういうふうに処理しましたからと、これは何で連絡してあげられなかったんだろうか。この点も不親切や。あなたはちょっともそういうことは不親切やったと思わへんのやったら、これはえらいこっちゃな、警察へ物を言いに行ったってあかんなという気になりますがな。国家公安委員長いかがです、あなたも同じですか。 同じ答弁やったらもうそれ以上聞かへんわ。
  228. 金澤昭雄

    金澤政府委員 今説明をいたしましたように、届け出の名前の問題、免許証の名前の問題、また中にありましたキャッシュカードの名前の問題、この辺がそれぞれ違うというような状況からすれば、これはそういう状況のもとでの一般論でありますけれども、扱いを慎重を期して行うというのは、これは当然のことだと思います。
  229. 寺前巖

    寺前委員 それで慎重を期したって何やったんですか、その間。名前が違うさかい何をしたんです。
  230. 金澤昭雄

    金澤政府委員 それは本人であるかどうかのその確認を、当然これはやらなければならぬと思うのです。そういうことでございます。
  231. 寺前巖

    寺前委員 そうしたら本人に対して連絡をしていろいろ調べたらいいんでしょう。本人には全然調べも何にもしてへんのです。ほったらかしやで。ほったらかしてあるさかいに、この投書主の人が何だ不親切だ、こう言っているのや。あなた調べた、調べた、何にも調べているもかにもあらへん。夜中の三時ごろに本署へ届いてその中でほうり込まれて日曜日じゅう、日曜日やったさかいに恐らく出えへんかったんやと思うけれども、きょうは日曜日だからあかんと言われただけの話や。そんなもの自分の方でちゃんとやっているようなことを言ったら、それは怒るのは当たり前ですよ。国家公安委員長、あなたこれを聞いておってどう思います。私はもうこれ以上何にも言うことあらへんのや。あなたら直接の仕事をしているわけやないから、わからぬのかもしらぬけれども、私は不親切やと思う。国家公安委員長、もうよう言わんわ。私も細部の話を言うているのと違うもん。
  232. 森廣英一

    森廣政府委員 お答えします。  実はここまで申し上げていいだろうと思いますが、この拾得者の方と遺失者の方は、この返還を受けた後に円満にお礼ということで、拾得者の方に遺失者の方が手土産を持ってお礼に行ってあいさつされておるということを聞いておりますので、それで問題はないのじゃないかというふうに私ども思っておりましたが、先生そういうことをおっしゃいますこともありますし、警察からももう一言言って悪いということはございませんので、それではこれ以後、今後府警の方から御本人さんに、拾得者の方に御苦労さまでございましたというごあいさつをすることにいたします。
  233. 寺前巖

    寺前委員 私そんなことを言うてんのと違うのやて。お礼に行けとかそんなことを言うてんのと違うの。本人がびっくりする言うこの一日間の思いをもうちょっと考えないかんのと違うか。今後の話として、これはわかった処理の仕方、恐らく日曜日やったさかい間が悪かったかなと思って僕は想像してやってんのやけれども、しかし一日千秋の思いじゃろうというて、わざわざ行かはった人の気持ちになってみなはいなということを言っているのであって、それ以上、返ったさかいいいとかそんなことを言っているのと違うのやて。わかっておらへんのやな。私もうこれ以上言うことないやさかい言わぬけれども、ほんまにもう少し気持ちが通ずるようにしなあかんな。それだけのことや。まだ何か言うか。
  234. 金澤昭雄

    金澤政府委員 おっしゃる意味はよくわかりました。  私どもの方の感覚からいうと、今のような、先ほど申しましたようないろいろな違いがあるものですから、結局次の日曜日の夕方まで、前の日の夕方からその次の日の夕方まで時間がかかった、その間、もう一言拾得者の方に声をかければよかったじゃないか。これはこれで確かに公衆接遇、市民応接の観点からそれは言えることだと思います。ただ、時間がかかったという点もこれはひとつ御理解をいただきたい、こういうことでございます。
  235. 寺前巖

    寺前委員 時間がかかったというのは私は納得せぬけれども、そんなところに一つ問題感じていないもの。投書しやはった人の気分というものは正確に理解せないかぬと思うな。  それから、僕はもう言うのを忘れてしまうがな。わざわざ自治省の財政局長来てはるから言わぬわけにいかぬし、労働省の人も来てはるし、時間があらへんようになってくる。財政局長が来てはるんやったら、あれを聞いておかないかぬな。  交通事故の死者が随分ふえてきて、去年より七・一%増というのは同期間の問題としてこの十六日に出てきた。このままでいったら一万一千人台の人に事故が起こって、どんどんひどいことになってきている。そのうち二割が六十五歳以上の高年齢のお方になってきている。そう考えてきたら高年齢者に対する対策というのは、道路標識や信号機や図示標示など改善をいろいろ考えていく必要があるのではないか。特に交差点事故というのは多いだけに、そこに特別な施策をやっていく必要があるんじゃないか。ところが、おたくの六十二年度の交通白書を読むとこう書いてあるのです。「交通安全施設の整備についても、公共投資の抑制基調が続いた結果として、その事故抑止効果が相対的に低下」したと交通白書に書いてあるのです。金の入れ方が減ったから効果が悪うなってきているのや、六十二年度交通白書にこう書いてある。何でや知らぬけれども、六十三年度になるとその文書はあらへんようになってくる。これはぐず悪いと思ったのか、そんな書き方でいい加減に左右されたら困るわけです。  そこで、これだけ交通事故がどんどんふえてきているという実情を考えたときに、金の使い方が悪うなったからそうなってきたんやと書かれた以上は、以後一体どういうふうにことしは改め、来年度の概算要求ではどう改めるというふうに考えているのか、少なくとも私は財政局長にその話を聞きたいということと、それから交差点事故防止のために特段の施策を考えているか、少なくとも三年計画とか五年計画とか集中的にやらなんだら、この増加に対する対応は何もやってへんやないかということが言われると思うのです。この二つの点について、財政面とそれから今の面と、ひとつ御回答いただきたい。
  236. 持永堯民

    ○持永政府委員 交通安全施設の財源の問題でございますけれども、今白書の点を御指摘になりましたが、私どもの方の財源の取り扱いといたしましては、御承知のように、毎年地方財政計画でもって、補助事業、単独事業を通じまして、交通安全対策の施設の整備のための財源を措置してまいってきているわけでございまして、現在では第四次の五カ年計画に基づきまして年々その充実を図ってきておるわけでございます。ことし平成元年度で申しますと、補助事業につきましては前年度よりも六・七%増の約二千五百億余り、単独事業につきましては前年度よりも八・九%増の三千億円余りということで措置をいたしておるわけでございまして、交通安全対策の施設整備につきまして、おろそかにしていると申しましょうか、手を抜いているというようなことでは決してないわけでございまして、これからもこの五カ年計画に従いまして適切な財源措置をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  237. 関根謙一

    ○関根政府委員 交差点事故についてのお尋ねでございます。六十三年中の死亡事故九千八百六十五件のうち、交差点での事故が三千百九十件、三二%でございます。このうち信号機が設置されていない交差点での事故が千八百九十件発生しておりますし、また、信号機があった場合における右折車と直進車が分離されていないことから起こるいわゆる右直事故が二百七十七件発生しております。  そこで、私どもといたしましては、信号機の整備をさらに積極的に進めてまいりますとともに、交差点の形状等を改良することでありますとか右折レーンの設定、道路照明の整備等を進めたいと考えております。これらは警察のみで対応することができる措置ばかりではございませんので、道路管理者その他の関係の機関と緊密に連絡を保ちながら、交差点における交通事故の発生を抑止すべく全力を挙げる所存でございます。
  238. 寺前巖

    寺前委員 ところが、そういう一般論で言うとったってあかんということがあなたのところの交通白書に書いてあるのです。七三年度の信号機のときには三〇%から伸ばして積極的にやった、それ がそれ以後ずっと減ってきて二%前後にまで低迷をしているという実情で、そのための対策がうまくいってない。それが交通白書に書いてあるんだから、それやったらそれにふさわしいような次の準備を意識的にやりますのやと言わなんだら、一般論で終わらしておったら結局はあかんやないかということになるのや。そうでっしゃろう、交通局長。私は難しいことを言うているのと違う。あなたのところのやつを忠実に読んで言うてるのや。だから、もう少し真剣に交差点事故防止対策、三カ年計画とか五カ年計画というて集中的にやってみなさい、スクランブルの体制から全部。検討していただけますか。
  239. 関根謙一

    ○関根政府委員 交差点事故を抑止することは、私どもにとって極めて大事な職務と考えておりますので、全力を挙げて対策を講ずべく考えたいと思います。
  240. 寺前巖

    寺前委員 それから今度、初心運転者期間の問題。さっきあなた、ペーパードライバーの話が出ました。これはさっきも雑談で言うておりました。議員さんの中にも三十六年間交通違反なし。大したものや、マル優もらえますな、何でや。三十六年乗ったことあらへんのやという。そういうことや。だから、ペーパードライバーというのはたくさんあるんだ。初めから乗らぬというつもりじゃなくして、いろんな関係から乗らぬようになる。それは起こり得るのだ。そうすると、一年間のペーパードライバーというのはこれには関係ない。かえってその人の方が運転してもらったら危ないのや。そうしたらこの問題は解決せぬことになります。だから、私はこのやり方は必ずしもいいやり方やなというふうには単純に言えませんでというふうに、一生懸命考えておられることについては何も否定してませんが、そういうふうに思うわけです。  そこでもう一つは、駐車は今一点ですか。それから駐停車は二点ですか。二つやったら三点になりますな。それで講習を受ける。これはもう一回同じなことをやったら次には、ということで、これは西ドイツを模範にしてやったというんやけど、西ドイツの場合にはこんな駐車やらの問題と運転上の問題とは切り離してます。駐車の場合にこんなふうにすぐに試験を受けさして、そして免許を取り上げるんだ、そんなことになってませんで。学ぶんやったら総合的に学ばなんだらあかんと僕は思う。  そこで、私、ちょっと駐車の問題について聞きます。駐車違反やってるね、ええねというようなことを言うているのと違いますで。この前に、ことしの四月です。東京で一般道路にとめてある全車両を調べたところ、二十一万二千台一般道路にとめてあった。うち八七%、十八万五千台が違法駐車やった。時間決めの駐車場は都内で七万八千台分ある。そのうちその調査時刻にあいていたのは一万八千台しかなく、それを利用したとしても差し引き十六万七千台の違法駐車になってしまう。ところが、それをどこに持っていくんだ。初めから違法駐車になるような都市づくりになってしまっているんだから、これはいつまでたったって解決しません。そしてこの一年間に東京都で一体どれだけの駐車場ができたんだ。千七百台だ。パーキングメーターの置いてあるところが二千七百三十三台、それだったら十六万台からの問題解決は全然追いつきません。基本的にそこをどうするのかということを考えんといて、駐停車問題と運転問題とを一緒に考えていってもこれは僕は無理やな。この基本問題を解決しなければいけないのと違いますか。そこはどういうふうにやるつもりでおりますか。
  241. 関根謙一

    ○関根政府委員 先生御指摘のように、東京都における駐車問題という問題には構造的な問題があると認識をしております。駐車需要に対しまして駐車場がいかにも少ない。でありますから、駐車需要を満たそうとするドライバーがあえて法の規定に反して駐車をされるというのが現在の実態であろうかと思います。  そこで、そのような規範意識をなくすこととなるようなシステムをつくるというのはシステムとしての欠陥があると考えますので、私どもといたしましては関係の機関、団体、いろいろな方々のお知恵をかり、御協力を得べく、東京都の場合には東京都駐車対策協議会というようなものをつくりまして、その対応をいろいろ工夫しているところでございます。しかしながら、抜本的な解決というのを見出すまでにはまだしばらく時間がかかると考えております。
  242. 寺前巖

    寺前委員 それにまた時間をかけたらいよいよなくなりますからやめておきますけれども、本当に抜本的にメスを入れないと、そんなもん駐車問題というのは解決するはずあらへん、客観的にそうなっているんだから。それでもって三点で講習、あとまた三点で、一年間言うとったってこれだけは、駐車問題というのは別問題やなということは、これは政令事項になってやっていかれる場合には、十分運営上も検討される必要があると僕は思う。  それからその次に、こういう人たちを教える指定講習機関というのがありますね。今までも免許を与えるために学校などでやってきました。さあ、ここの学校の先生のカリキュラム、一体どうなっているのだろうか。先生を養成するための指導員やら検定員やら。ところが、私、警察庁の方からもらった資料と京都府の各自動車学校などに提起している資料を見ると時間数が違うんですね。それで、警察庁の方からもらった通達によると、技能検定員は百七十時間になっておる、これは新任教養で。あとは省略しますが、ところが京都府警本部の「指定自動車教習所指導員等の資格審査実施要領」というのを見ると、技能検定員の場合は百二十時間とある。そうすると、何で警察庁が言うとるのと地方でやっているのが違うてくるのだろうか。これはようわからない。何で全国一律ではあかんのか。これは一体どういうことになっていたんだろうかな。これをちょっとお伺いします。
  243. 関根謙一

    ○関根政府委員 技能検定員でありますとか技能教習の指導員につきまして、高度の知識、技能が必要でありますところから、その研修について私どもの方で一定の教育時間を定めまして、それによって教習を受けた人たちについて公安委員会でさらに審査をするということで、技能検定員の方々やら技能指導員の方々の養成を行っているところでございます。  御指摘の京都の場合でございますが、京都の場合には百二十時限で終わった後、さらに検定員につきまして、習熟した先輩の検定員が同乗をいたしまして技能検定員をいわば訓練するということで、これは三百人ほどそういう同乗訓練を経た人について正式な検定員とするという仕組みをとっているとのことでございまして、これも立派な検定員を養成する一つの方法ではないかなと考えております。
  244. 寺前巖

    寺前委員 要するにようわからぬのや。あなたも今おっしゃるように、一番最初、かなんて言われるとおり、これも一つの方法かというふうなことで、それぞれの地方で考えたらよろしいということで指導しているんやったら、そう言うて指導しているんだから、必ずしも時間数にこだわりませんというんならそう言うたらいいけれども、そうでないんだったら積極的にいい意見を組み入れて全体の指導方針を改善するのか、そこはよく研究してください。  もう時間がありませんから、最後に、労働省からわざわざ来てもらっているんやから言うておかなければいかぬけれども、参議院の交通安全の委員会でかつてこういう問題が出されているのです。これは一九七八年、十一年前ですか、十月の参議院交通安全特別委員会で、一日の教習が九人から十人も教えているというようなことでは、総労働時間数が二千九百時間にもなるような指導員の仕事になっている。これはマン・ツー・マンの教育をやっていく上において、総労働時間数がこんなことではぐあいが悪いではないかということが問題になって、それで調査をしますということと改善を指導しますということが当時問題になったわけです。  ところが、その後どういうことになってきてい るのかということで、最近私は神奈川県の例を聞かせてもらいました。そうしたら、神奈川県では平均が二千四百七十三時間。一番高いところで二千八百三十八時間、低い方で千九百八十時間という統計が出てくるわけです。そうすると、あの当時とちっとも変わらぬ物すごい長時間労働をやらせているところがあるじゃないか。京都では一体どうなっているんだろうか。京都で協会に聞いてもようわからんかった。労働組合があるところだけ、それじゃといって調べてみたら、低いところで二千三百十二時間、高いところで二千九百五十時間という数字が出てくるのです。物すごい、相変わらずやっているんやなということで、これはあの当時問題になってから一向に改善されてないじゃないか、大体労働省はどう考えているんだろうかと思って、労働省が労働時間の短縮と自由時間の目標を置いて指導している内容はどうなっているんやといって聞いてみたら、労働時間、計画期間中に、九三年までですか二年までですか、千八百時間程度に向けて努力しています。片方では千八百時間に向けて指導の強化を考えていますと言うけれども、片方では二千五百時間を突破するところまで行われている。そんな教育の仕方、これはえらいことだな。労働省としては、自動車教習所の実態は調べてみますとあのときに言うて、現状あれから改善になっているというふうに見ているのか、見ていないのか。ひとつ労働省の見解を聞かしていただきたいと思います。
  245. 氣賀澤克己

    ○氣賀澤説明員 自動車教習所の指導員等の労働時間の実態につきましては、統計調査としてまとまったものがなかなかございませんで、先生御指摘のように神奈川ですとか京都とか、そういう個別の事例として把握したものからいいますと、全国的に見ますとかなりの長時間労働になっている例もございます。ちなみに、昭和六十三年度の全産業の平均の労働時間が二千百時間ということでございますので、それに比べますとかなり長い実態になっているというふうに承知をいたしております。  御指摘ございましたように、昨年五月に閣議決定されました政府の経済計画におきましても、昭和六十三年度から平成四年度の間に週四十時間労働制あるいは年間総労働時間を千八百時間程度に向けてできる限り短縮するという目標を立てているところでございまして、自動車教習所につきましても完全週休二日制の普及促進ということを基本にしながら、また中小企業に対しましてきめ細かな指導援助等を行いまして、労働時間短縮に努めていきたいというふうに考えております。  特に、残業等の所定外労働時間が長いというふうに承知いたしておりまして、この点につきましては労使の努力に負うところが大きいというふうに考えておりますけれども、私どもといたしましても、所定外労働時間の限度に関するガイドラインというものを定めておりますので、その徹底に努めていくとか、あるいは恒常的な長時間労働の削減につきましての指導に努めていきたいというふうに考えているところでございます。
  246. 寺前巖

    寺前委員 もう時間が来ましたのでやめますけれども、その問題について監督官庁としての警察庁の方はどんな指導をしておられるのか。労働白書によると、日本は二千百六十八時間、アメリカは千九百四十九時間、イギリスは千九百四十七時間、西ドイツの千六百四十二時間等々に比べても、二千百時間でもべらぼうに長いのよ。それがこの分野ではもっとひどいんや。しかもインターバルが果たしてちゃんと——午前中やったら午前中、一時間単位のやつを休憩なしにぶっ通しでやらしているところもあるわけでしょう。だからそんなことについても、学校でも次の人に教えるためにはちゃんと準備時間を十分とかとるんだから、そういうところの指導を一体どう考えておられるのか、ちょっと聞かしてほしいと思います。
  247. 関根謙一

    ○関根政府委員 指定自動車教習所は車社会に新しいドライバーを送り出す大事な研修機関でございます。その機関における教育、教習の内容が過長な労働時間のために質の低下を来すということがあれば、これは大変重要な問題だと考えております。私どもといたしましては、時間そのものにつきましては労使間の問題であろうかと思いますが、教習内容を向上させるという観点から適正な時間であるべく指導をしてまいりたいと考えております。
  248. 寺前巖

    寺前委員 終わります。      ────◇─────
  249. 小澤潔

    小澤委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において審査中の第百十四回国会内閣提出道路交通法の一部を改正する法律案について、交通安全対策特別委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  250. 小澤潔

    小澤委員長 御異議ないものと認めます。よって、そのように決しました。  なお、連合審査会の開会日時は、明二十二日午前十時から開会の予定でありますので、御了承願います。  次回は、来る二十八日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会