○
堀委員 皆さん、いかに政策の整合性がないか。要するに、今
年度までは十億円ずつ
たばこ共済から金を取っているわけですよ。来年から四十億渡すという話になる。
年金のような長期の
展望に立っているものについてこういうまことに無
責任なことが行われているということは、私は
政府は大いに反省してもらわなければならぬと思うのですよ。
年金制度というものは長期の問題なんですから。もうわかっているのだから。私は、この問題が出てきたときに
専売の
皆さんに言ったのは、次はあなたたちの番ですよ、だからこれであなた方が中に入るのは大変だと思う、しかし法案が出ているから仕方がないけれどもと、こういう話を当時の
専売の
皆さんにしたわけです、今は
たばこでありますけれども。まことに
年金制度について首尾一貫しない政策が今日までとられておるというのが、実は私の率直な感じでございます。
そこで、さっきの話に戻りますと、実はゼロになるところが
昭和百十年というのだから、
昭和百十年というのは西暦何年になりますかね、二十五年足せばいいのか、そうしたら西暦二〇三五年に
国鉄共済年金は一回ゼロになる。だけれどもまた出てくる。そうすると
厚生年金は、今、金を入れ出して、要するに一九九〇年から二〇三五年まで四十五年間こうやって延々と金を入れなければならぬという事態がここに来ている。
私は、これは
厚生年金の加入者にとって、一体何のために自分たちは
厚生年金法に基づいて
保険料を払っているのか。さっきも法制局の
答弁に、第一条の「労働者」というのは、これは
厚生年金の加入者たる労働者のためにこの
制度がある。そうして、その
制度は
厚生年金事業に要する
費用に充てるために
保険料を徴収するし、それを支払う義務を課しておるというものが、今から四十五年にわたって他の
共済組合の
支援をやらなければいかぬなんていうことが起こってくる情勢は、私は非常に重要な問題だと思うのです。
そこで私は、少なくとも千七百億円というのは何としても国の
費用で、これだけ経済の調子がよくて、要するに税収があるときに、千七百億すらも他
共済に面倒を見させるということはこの際やめてもらいたい。それはどういうことかというと、さっき法制局が、私は聞きもしないのに、保険が積立方式から賦課方式に変わってきた、こんなことを法制局は
答弁する立場にないと私は思う。しかし事実はそうで、要するに今
厚生年金全体を見ても、七十兆円の
積立金はあるけれども現実的にはやや賦課方式の状態になってきている。こうなると、一体賦課方式という方式と税で取るという問題とをどういう
関連で考えるべきなのか、こういうことになりますね。
そこで私は、もう一遍
昭和六十年の二月二十日の
会議録に返りまして、
ちょっと
厚生大臣にひとつお願いをいたしたいのでありますけれども、私どもは今、さっき申し上げたように六十五歳でひとつ
国民のすべてに基礎
年金五万円というのを差し上げたい。これはしかし、今はまだ老齢者の数がそんなに多くないのでありますが、これからまだ急速にふえてまいります。ひとつこの老齢
年金について、もし仮に今の六十五歳の人口が今後こういうふうに推移するという前提に立って五万円の
年金を支払う場合、その
費用は、六十一年それから六十五年、七十年、七十五年と、西暦二〇〇〇年になります八十五年までの間の試算結果についてひとつ
お答えをいただきたい、こういうふうに思います。
○増岡国務大臣 もし仮にそういうことになりました場合の数字は、各
年度ごとに
政府委員から御説明させます。
○吉原
政府委員 仮に六十一
年度以降、六十五歳以上の方全員に月額五万円の基礎
年金を支給するとした場合の所要額でございますけれども、五十九
年度価格で申し上げまして、初
年度の六十一
年度は七兆五千億円、六十五
年度は八兆六千億円、七十
年度は十兆二千億円、七十五
年度は十二兆、
昭和八十
年度は十三兆三千億円、八十五
年度までのお尋ねでございますが八十五
年度は十四兆七千億円、いずれも五十九
年度現在価格の金額でございます。
○
堀委員 それではちょっと
政府委員にもう
一つ伺いますけれども、
皆さんの改正案の基礎
年金給付で、もしこれがこういう形の処理がされると仮にいたしましたら、これもちょっとあわせてひとつ
お答えをいただいておきたいのです。
○吉原
政府委員 私どもの現在
国会で御審議をいただいております改正案によります基礎
年金給付でございますが、これも五十九
年度価格で申し上げますと、六十一
年度は五兆九千億円、六十五
年度は七兆四千億円、七十
年度は九兆三千億円、七十五
年度は十兆九千億円、八十
年度は十二兆一千億円、八十五
年度は十三兆二千億円ということでございます。
○
堀委員 私どもが社会保障の特に
年金に着目をして、社会保障特別会計といいますか特別基金といいますか、そういうものを設定して新しい間接税をここへセットしたいというのは、間接税というのは御
承知のように、非常に低率でたくさんの資金が集まるわけでありますから、これが安易に税率が動けば
国民にとっては大変
負担になるわけであります。御
承知のように現在、
日本の
財政法は、
財政法第四条で国債の発行について制限を加えております。それは、それに見合う何かのものが公共投資あるいは出資その他のものであるならばこれが歯どめになるというのが、
財政法が出てきた経緯だと私は思うのでありますけれども、このような非常に課税ベースの広い、そして税率をどんどん上げれば幾らでも税収がふえるようなものも、やはりそこにおのずから
システムとしての歯どめのかかるような仕組みが必要ではないか。
そういたしますと、今お聞きいただいたように、当初はやや差があるのでありますけれども、(中略)二十一世紀初頭では幾らも差がないわけであります。(中略)すべての
国民が、所得が低い高いにかかわらず
負担をしてもいいのではないだろうか、こういう考えで社会保障目的税というものの
提案をしておるのであります。
これは実は我が党の方針として既に
提案がされているわけでございます。
私どもの党は、実はこの間の大会で中期経済政策というものを決定いたしました。そうしてその中期経済政策では、上昇する最大の要因としての所得保障を中心とする福祉
費用の
政府負担分は、目的を限定して使われる目的税方式への移行を検討するということも、私どもの党は大会で決定をいたしておるわけであります。どういう税にするかは別としても、目的税としての社会保障に対する税をつくった方が、これからだんだんふえていく所得保障、
年金問題に対しては、非常に重要な問題だということで、私どもの党はそういう
提案をしているのであります。こういうふうに私どもの党は大会でこの問題を決定しているわけでございます。
今の
保険料で取るか税で取るかの話は、積み立てで、自分で積み立てたものを自分でもらうというのなら保険方式ですけれども、完全賦課方式というのは、まさに税で取ったって同じことなんです。
さっきの
年金対象者のところをちょっともう一回、もう時間がありませんから私の方で対象者の数を言いますと、
国家公務員等共済組合が百七十八万二千人、地方公務員
共済組合が三百二十八万一千人、私立学校
共済組合が三十四万七千人、農林漁業団体職員
共済組合が四十八万八千人、
厚生年金二千七百六万八千人、船員保険十六万六千人、
国民年金二千五百九万一千人、こういうことであります。これは六十一年の
資料でありますから多少は違うかもしれません。
全
国民に対して
年金は関係があるのでありますから、その
年金の、少なくとも賦課方式になっている部分の問題については、これは私どもの党が大会で決定をした、使途を明確にした社会保障目的税で処理をするということが、私は全体の非常に重要な問題だと思っております。
そこで、もう時間がありませんから、私はこの際、民主主義の政治というのは一体どういうことなんだろうか。政党は
国民に迎合して、その
費用の使途、税収その他税制のあり方とか、いろいろな問題について、
国民の一部がこう言ったらそれに迎合してそれに対応するというのが民主主義の政治の原則でしょうか。私はそうは思わないのであります。
民主主義の原則というのは、要するに、広い
視野に立って、長期の
展望に立って、
国民生活にとってどういう財源でどういう処理をすることがいいかということを討議で決めて、そうして
国民に理解と納得を求めるのが私は民主主義政治の原則ではないか、そう思っているのであります。
〔村井
委員長代理退席、
委員長着席〕
今、自由民主党の中のことは申しませんけれども、伝えられておるように、新聞で見ただけですからわかりませんけれども、食料品を非課税にする。一体三%の税を非課税にしなければならぬなんて発想は、欧州ではだれも考えていないと思いますね。税をやっている専門家は、恐らくそうは考えていないでしょう。それよりも、すべての
国民を網羅しておる
年金制度に対して、
皆さんからいただいたお金は
皆さんの生活を保障するためにすべて使います、こういう政策を明らかにして
国民の
皆さんを説得するというのが政党の任務ではないでしょうか。そういう
意味で、今新聞に出ておる自民党の消費税に対する対応というのは、私は非常に問題があると思っているのであります。
そこで、ああいう状態になっているのですから、私は当
委員会に二十五年も在籍して税をやってきた者の立場で、一回できた税制というのは、いろいろと自民党の
皆さんの中で論議を重ねて、その結果できているのですから、両方の
意見の接点ができ上がっているわけですね。その接点を今のままで見直すというのは、私は税制上困難だと思うのです。だから、一遍勇気を出して白紙にして、もう一遍書いてほしいのですよ。
国民が、なるほどこれならいい――要するに、今私が
問題提起をしておるように、
国民のすべてが、自分たちも必ず年をとる、老齢化するんだ、そのときに不安なく、自分たちが
保険料として納めておる、義務を課せられているものを、無理やりに横っちょに取られるのではなくて、それは国の
責任でやりますという格好を明らかにして、
国民を説得するのが私は政党の任務だと考えているわけです。民主主義の政治というのはそういうものではないでしょうか。要するに、一部の者がこうしてほしい、ああしてほしいと言ったら、それならそうしましょう、こっちがそう言ったらそうしましょう、そんなことで私は民主主義の政治の基本はないと思うのです。
どうかひとつ、そういう問題を含めて、
最後に
橋本大蔵大臣の、私が一時間半にわたって
問題提起をしてきたことに対する御見解を承って、質問を終わりたいと思います。