○大原(亨)
委員 午前中の
質問に続いて基礎
年金の問題を少しやります。
昭和五十九年の十二月ですが、
国民年金法等の一部を
改正する
法律案を議決いたしました、基礎
年金の導入ですね。そのときの衆議院における附帯決議。ちょっとみんなに上げて、熱心な人にちょっと上げてみて。本院がやった附帯決議ですから。いない人はいいからな。そのときの附帯決議があります。それで、もう一枚の方はそれを受けて参議院でやりました
法律の修正案があります。
衆議院の附帯決議をずらっと見てみますと、例えば五人未満とかそういうものは実施されておりますね、法人について、あるいは
サービス業等についてこれはかなり実施をされております。
年金の積立金の管理運用等についても少しは実施されておりますが、これはきのうもいろいろな議論がありました。その附帯決議の第一項目に、「今後における基礎
年金の
水準については、
社会経済情勢の推移、
世帯の類型を踏まえ、かつ、
費用負担のあり方との関連を含め、その改善について検討すること。」。それから参議院の方の修正案。これは私も参りまして、参議院ではいろいろ議論されて、第四項目に「基礎
年金についての検討」というのがありまして、「基礎
年金の
水準、
費用負担のあり方等については、
社会経済情勢の推移、
世帯の類型等を考慮して今後検討が加えられるべきものとする」、そういう修正案を決議いたしまして
法律案を修正いたしまして、附則の二条に新しい項目を設けたわけであります。
それで、基礎
年金をなぜ私は取り上げるかといいますと、
昭和七十年
公的年金一元化の構想がまだ明確になってない。今度の
改正案では財政
調整と称して千四百五十億円を出す、それにプラスたばこの四十億円があるわけですが、三千億円の問題を財政
調整でやってやるというのがあるわけです。しかし、
公的年金一元化のビジョン、構想が具体化しないのはどこに原因があるかというと、これは私は基礎
年金の欠陥にあるのではないか、この点を議論しなければ五年後の
公的年金一元化は実現できないのではないか。それは、私も
国会から出ておりましたが、大河内一男
先生や今井一男
先生等ももう鬼籍に入られたわけですけれ
ども、非常に熱心な方々を
中心といたしまして、我々も
国会から出まして議論をいたしました。そのときに、
昭和五十二年の皆
年金体制下の新
年金体系ということで基本
年金構想を出されたのであります。五十四年には、雇用保障の問題を含めまして氏原教授等が
中心となりまして力作があるわけでございまして、それを補う建議がなされておるわけですが、それを
政府は、当時オイルショックの情勢等もございましたから、基礎
年金をあのときには、非常に厳しい行政改革でございましたから、それを十分取り入れていない。一番大きな欠陥は、外履きか内履きかという議論がございました。内履きというのは、
国民年金特別会計の中に基礎
年金勘定を設ける。内履き勘定。外履きというのは、基礎
年金勘定を
一つ位を上げまして、基礎
年金特別会計を設けて外履きで国庫
負担を最低保障にする、そういう
考え方であります。
ヨーロッパあるいはカナダ型と言われる最低保障
年金は、
イギリスのように
国民健康
保険料をまとめて取る場合にいたしましても、
保険料は税務署が取っているわけですから、税金と同じように取っておりまして、それを基礎
年金に分配しているわけです。
当時、
社会保障
制度審議会は、事業主
負担になるわけですが、日経連の代表もその中にはおられたわけですけれ
ども、理屈としてはわかるけれ
ども、持って帰ったらたたかれます、こういうふうに言っておられました。それは
所得型の付加価値税を取り入れた。事業主が支払う賃金総額と利潤や地代を含めて減価償却を除いた部面に対して二%掛ければ五兆円、こういう構想があったわけであります。
それは事業主
負担の問題であります。きのうもありましたが、事業主
負担をふやしたらどうだ、七、三にしたらどうだというのがありました。しかし私
どもは、事業主
負担で、付加価値税であっても消費課税ではないけれ
ども、
所得型の付加価値税というものは、産業ロボット、オフィスオートメーション、大きな工場へ行っても
労働者はいないわけですから、集約産業とか
サービス産業は頭数をたくさん雇うておりますから、労使の
負担割合が非常に高い、そういう問題等も考慮して
所得型の付加価値税を導入した。
そこで、事業主
負担の問題は、
西ドイツはフィフティー・フィフティーですが、労使ともそれで納得しているのですが、それ以外は、きのう話がありましたように労使の
負担割合は違うわけですから、三、七とか四、六という問題があり得るわけですから、そういう問題をも考えて
労働者の
負担の限界を考えたらどうだ。
それで、スウェーデンは全部事業主が
負担している。その
意味は、賃金に分配する以前の根元のところで事業主が
保険料を
負担する。ですから分配をする場合に、賃金に対して
労働者側の
保険料も加えて報酬とみなす、こういう
考え方で労使が合意をして、事業主が
負担をしている。だから、産業ロボット時代、技術革新の時代ですから頭割りで取るということについては問題がある。
先ほど言いまして、ちょっと数理
課長や
水田局長からお話がございましたが、私も言葉の選択で
一つだけ足りない点がありました、
平均寿命と
平均余命率の
関係ですけれ
ども。しかし、出生率が下がって
若年労働力が減って、人口が逆ピラミッドになるわけですから、それに対応する
負担を考えるべきではないかという議論があるわけです。
そこで、どういう形態をとるかは別にいたしましても、今回の修正案で野党の側は、あるいは連合な
ども国庫
負担を三分の一を二分の一にふやす、
社会保障
制度審議会は、
所得型の付加価値税を取って三分の三を税金で
負担をして、そこは一律の最低保障
年金にして、二階は極めてルーズだということはないが、弾力性を持ってそろえていけばいいのじゃないか、いろいろな
制度があってもいいのじゃないかという勧告を出しているわけです。しかし
政府の方は、与党の方もそうですが、
昭和六十五年には全部の共済
年金は一元化するという
方針を前に持っていた。しかし、オール共済というのは、前の
昭和六十年の審議のときに与党も
政府もおろしたわけです。そこで、
昭和七十年に
公的年金一元化、五年後に
公的年金一元化をするという決定はあっても、構想は出てこない。出てこない理由には、たくさん問題があるが、基礎
年金の性格を三分の一の国庫
負担、二分の一であろうが三分の一であっても、これは最低保障
年金の
仕組みにする必要があるのではないか。外履きにして特別会計を設けて、それだけは全部の
国民に及ぶようにすると、きょうは大蔵省も来ていると思いますが、国の
負担分はふえていく。しかし、そうふえるんじゃない、一割ぐらいふえていくというふうに言われている。
ですから三兆円といたしましても、三兆三千億円くらいふえていくということである。それで、これが全部の
国民にいくようにいたしますと、無
年金者はなくなるわけです。附帯決議にあるように、無
年金者はなくなる。そうすると、
国民年金の二階もできやすいし、
年金基金もできやすいし、学生の強制加入の問題も解決できるし、女性の
年金権の欠陥も是正できるのではないか、
年金の一元化が展望できるのではないか、そのことを衆議院の附帯決議の第一項目、そして参議院の第四項目の修正条項、附則に設けまして、
費用の
負担と
給付水準等については引き続いて検討をしていくんだということを言ったわけです。
だから、申し上げたように基礎
年金の問題は重要ですから、基礎
年金の検討を
昭和六十年以来続けてきましたか、どうですか。本気でやっておらぬのじゃないですか。大蔵省がにらんでおるからちょっと縮み上がっておるのかどうかわからぬが、それを検討しなければ基礎
年金の名前に値する最低保障
年金にならぬのではないでしょうか、こういうことが指摘できるわけですが、それに対するお考えはいかがでしょうか。