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田中(美)
委員 それは格差はだんだん縮んでいくでしょう。ただ、それが何年先かと
考えたときに、半永久的だ。今ここを見てください。ずっと全部男じゃないですか。女が半分いるんですからね。女が半分いるようになれば、ここにいらっしゃる方はみんな高級なんじゃないですか。そういう中にはなかなか女は入れない。そういう状態がある限りは、女の
年金というのはいつまでも男の何%という低い
年金でいかなければならないということだと思います。
それで、最後に申し上げますが、基礎
年金は今申し上げましたように崩壊の方向を向いています。その前に、今
大臣が言われましたけれ
ども、
年金は掛けてなければ、こういうふうに言われましたね。それで、
努力はある
程度した。しかし、私はあの
努力は非常に足らなかったというふうに思うのですね。第一、テレビや新聞で、早く掛けなさい、掛けなさい、何年にさかのぼってあれしますからというので、三回目のときには五十万近く払わないと戻らなかったのです。一回目は非常に安かったですよ。ですから、私など一生懸命
PRしましたけれ
ども、私一人の口では、幾らおしゃべりだって一億
国民には知らせられないのですよ。だからあのときだって何遍も、広報なんかでちょこっと
出したんじゃだめだ、テレビ、新聞すべてに、今まで払ってなかった人は大体何万ぐらい払えばいいんですよ、そうしたら年とってからちゃんと
年金が出るんですよと
PRをしなさいと言ったにもかかわらず、それは
大臣じゃないかもしれませんけれ
ども、少なくとも自民党
政府はその
努力を怠っていた。だから、本人が無知であったり、怠けていたり、金がなかったりという形でみすみす払わなかったということは起きているかもしれませんけれ
ども、
現実に今ここに無
年金者が出て、生活ができない人が出ているという現状は、これはやはりどういう理由があろうと
社会保障というのは憲法で保障されているのですよ。
老人
福祉法では基本理念として、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障されるもの」ということは
福祉法で決められています。まして憲法では、一番有名な言葉である「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」、これは刑務所に入っていようと、どんなに怠け者であろうと生存権として憲法で保障されているのです。また、この二十五条の二項には、「社会
福祉、
社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」
社会保障を受ける権利というのもあるわけです。
ところが今の
日本の
年金制度というのは、基礎
年金は崩壊の方向を向いていって、それをどこで食いとめるのか。崩壊してから、掛けた人にはお気の毒ですけれ
ども滞納者がいっぱいいたために初めのとおりに払うことができませんなんて言われては、夢も何も持てないですよ。また
厚生年金に至っては、これは上乗せ分ですから、いい悪いは別といたしまして、全く
私的年金と同じ状態になっているんですね。基礎
年金にわずかに三分の一の国の補助がある。それも今から
考えてみますと、八五年でしたか、この
年金制度の括弧づきの大改正がやられましたときに、あのままの
制度でいけば国の出す金は二〇二〇年に八兆二千億。ところがあのときに、改悪したときに、そのままの
制度で改悪していないですからね。基礎
年金というような形で、どこが改悪されたのか
国民にはよくわからない。でも、よく見てみると国の出す金が三兆五千億円も減るようになっているんですよ。だから、国が
国民にわからぬように、わからぬようにどんどん手を引いていっているのです。
ですから、さっき言ったように、
福祉の専門の大学の教師をしている人が、この
年金ではもう嫌だから脱退して
私的年金に入るというような、夢がなくなるような状態になっている。このような矛盾に満ちた
年金制度は、幾ら頭のいい
日本の官僚がいじくり回しても、手直しをしても、この矛盾というのは解決できないのです。この矛盾はどんどん拡大されているというふうに私は思います。
国民の
年金に対する不信感もどんどんふえています。
ですから、今
大臣のところには来ているかどうかわかりませんけれ
ども、
生命保険会社とか郵便局も、郵便局は国がやっているんでしょう、あれがうちに来ますよ。そして私が
国会議員と知らないで、奥さん、もう国の
年金制度はとてもだめです、どんどん悪くなるから郵便
貯金の
年金制度にお入りなさい、
生命保険の
年金制度に入っておかなければ年をとって困りますよというようなことを言うんですね。ということは、一般の
国民が
信頼してないだけじゃなくて
政府の機関までが信用してないんですよ。今の
年金制度に不安を持っているのです。年をとってから食えなくなって何とかしてくれといったって間に合わないわけですから、若いときから準備しなければならないということで、そういう方の
年金に入る人が今非常にふえてきているというふうに思います。
それで、
日本の
年金制度は
社会保障と保険
制度の相乗りと言われているわけですけれ
ども、先ほど言いましたように、国の出す金というものをどんどん減らしてきているわけですから、
社会保障の部分が拡大されていかなければならないのです。こういう憲法で保障されている
社会保障というのがあるわけですから、ここの部分が広がっていかなければならないのに、ここの部分がどんどん減っていっておる。そして保険の部分がどんどん拡大されていっているわけです。こういう方向を向きますと、
日本国が
年金保険株式会社を経営しているというふうな
感じになってきているから、
私的年金で郵便
貯金に入ったり、
生命保険に入ったりというふうなことというのはそこに不信感があるからです。国の
年金制度で
老後は大丈夫というふうに安心していればそんなところへ掛けませんよ。こんなふうになっていると思うのです。
こういう形はどこに一番問題があるかというのは、私はこう思うのです。
日本の
年金制度は、掛金を掛けた金額とそれを何年掛けたかという年限によって
年金額が決まるようになっているんですね。ですから、働いているときの収入の多い人はたくさん掛けているし、それを長く掛けた人は
年金額は高くなっているわけです。それが当たり前だ、これは自民党の議員はみんな思っていらっしゃるのですが、こんなのは
社会保障の
考え方じゃないんですよ。
日本国が
年金保険株式会社をやっているのです。ですから私は、厚年の二階部分にまでそれを言えとは言っていません。少なくとも基礎
年金というものは
社会保障に近づけていかなければいけないんですよ。それが当然じゃないですか。そういう国が、今ヨーロッパにもどんどんふえています。スウェーデンでもデンマークでもふえています。ですから、基礎
年金というのは、過去の生活がどうであろうと老齢化して事実上働けない状態になったお年寄りには、国と企業が責任を持って憲法二十五条に示されたとおりにやるべきだ。今の基礎
年金部分を国と企業が
負担する無拠出の最低保障
年金に改め、すべての
日本人に無条件で保障するように根本的に改革すべきだと思います。
大臣、これはよく聞いていてください。あなたが
大臣のときに、すぐこのようにはできないかもしれないけれ
ども、あなたが
大臣のときに、こういうことを言っている議員がいたということはよく胸に入れておいていただきたいと思うのです。国と企業の
負担で無拠出で最低保障
年金をすべての
日本人に無条件で保障するように根本的に
改善すべきだと私は思います。そうすれば無
年金者というのは全部解決できます。それから男女の格差というのは大幅に
改善されます。その
意味で、思い切った
年金に対する発想の転換を今しておかないと
日本の
年金制度は崩壊してしまうと思うのです。
金持ち
日本と言われているのに
国民は金持ちだという印象がないというのは、今はテレビでも新聞でもあらゆるところで言われているわけです。金持ち
日本と言われるならば、少なくとも年をとってから生活は心配ないのだという安心感、せめてそれだけでも働く
人たちが持つことができれば、金持ち
日本の実感というのはそこからにじみ出てくると思うのです。多少
賃金が少なくても、年をとってからは安心なんだ。それが、若いときに掛け切れないような掛け金を掛け、それも四十年も掛けなければ
老後は安定してない。こんな国では、サミットに参加している国の中で最もおくれた国と言われているのは当然です。
大臣は、スウェーデンの
年金の
水準に
日本は達しているなどということを本
会議のときに言われましたので、これは御存じないなと思いましたけれ
ども、スウェーデンにしてもデンマークにしてもお金のほかに、それだけの基礎
年金の
人たちというのは家がただで提供される。車いすとかそういういろいろなものがただでやられる。
医療もただでやられる。こういうものを全部やられる。現物
給与がうんと多くなっているのです。それを全部ネグっておいて金額だけを、それも円高で円が上がったときの
計算をしてくっついたなどと言うのは、無知と言おうか、それともためにする、
国民に対して
日本の
年金制度の欠陥を隠す姿勢と言わなければなりません。これについての
大臣の率直な御
意見を聞かせていただきたいと思います。