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田中(美)
委員 私が今聞いたのはわかり切っていることでして、現実に女が働けなくなる。それは、男も第二介護者として手伝っていると思います。夜帰ってきてから手伝うかもしれません。しかし、昼間どうするのかということになりますと、昼間
仕事があるわけですから、結局、どっちが休むかということになるわけです。今のところはほとんど女が無理しているわけですね。やはり本当はスウェーデンのようになれば一番いいと私は思うのですけれ
ども、それは夢のようなことを言っているので、今どうするかということがこの中間報告ではこんなふうに書いています。
「介護に関する
企業内の
福祉制度のあり方を検討してきた本
研究会は、現在介護担当者の中心が女性、なかんずく中高年女性であり、そのため女性にとって育児が一段落した後再び生活上大きな負担をかかえること、このことは女子
労働者の
家庭生活と職業生活との調和を図る観点から看過」できないということを言っているわけですね。ですから、もちろんこういう制度をつくった場合に、これは女性にも男性にも当てはめるというのは当然ですけれ
ども、今の
社会的な
考え方の中では女性の方が休暇をとって休むという数が自然多くなるというふうに、これは想像ですけれ
ども思います。それは、それぞれの
家庭で女の子がたくさん稼いでいい
仕事をしていればだんなの方が休暇をとってやるとか、
個々にいろいろある。そこまで何も国が介入することはないと思いますけれ
ども、一応、女性が有給休暇をつぶし、育児が終わってほっとしたら、今度はおじいちゃん、おばあちゃんということでは余りにも女が惨めだと思うのですね。だから、やはり離婚も多くなりますし、最近ではこんな話も聞きます。
特に公務員の場合などは定年がはっきりしていますので、そして退職金の計算もできますでしょう。それまでじっと待っているのだと奥さんは言うのですね。それで定年と同時に離婚。そして半分もらっていくというような、非常に悲しいことですけれ
ども、そこまで女を追い詰めているということを私は言っているのです。そうなることが男にとっていい気味だなんて私は全然言っていないのですね。そんな話さえ出てきているのです。ですから、女が優しい気持ちを親に持てないところまで追い詰められているのですね。ですからこそ、
仕事を中断するということは残念だと私は思いますけれ
ども、やはり半年なり一年なり安心して自分の身分が
会社の中にあるということですね。これは男もそうですけれ
ども。そういう形で大至急に介護休暇というものをとってほしいと私は思うのです。
それで、男子の場合にもやはりこの報告書には、「中高年男子
労働者にとっても
企業の中での職責が重くなるとともに、教育、住宅等の
家庭生活面での負担が重くなり、定年問題も射程距離に入ってくる等変化の大きい時代に介護負担を負うため、生活設計上きわめて重大な問題」が出てきていると言っているわけですね。ですから、やはりどちらかが介護休暇をとれば、そしてまた交代するというふうなことをしていけば、対症療法的ですけれ
ども、何とか
仕事も続けていき、親も惨めでなく看護することができるのではないか。ですから、老親の介護休業制度というのは一
企業や一個人の
努力ではもうできない、国としてこれに対して大きな力を発揮してもらわなければならないと私は思います。
時間がなくなりましたので、一々聞いておりますとあれですので、次のことを言いたいと思いますが、
労働省では既婚女子
労働者の生活
実態調査の結果をこの九月に出していられますが、これを見ましても、育児休業制度を求める割合は四四・二%で、育児休業が欲しいというのは最高に出ているわけですね。しかし、看護休暇制度を求める割合は三六・二%ですけれ
ども、女性の四十歳代の前半では看護制度を求めるのが最高になっているのですね。だから、子供を産むころの女性にとっては育児休業が物すごく欲しい。それで、そのころの親はまだ多少若いですから、手伝ってもらいながらも何とか子供を産んでやっていく。しかし、やっていけないから最近はだんだん子供を産まなくなってきているのですよ。ですから、よく老齢化
社会が来る来るとおどかしますけれ
ども、スウェーデンなどでは今子供の数をふやしているではないですか。日本の場合には子供は産めなくなってきているのですね。ですから、下手すればどんどん、一・三人ぐらいしか産まなくなってくる、私も産んでおりませんけれ
ども。そういう
方向に来ておりますので、看護制度というのは緊急な問題だと思っています。
東京都ではことしの四月から、十分なものとは言えませんけれ
ども、看護休業制度を取り入れているということ、これは当然の成り行きだと思いますし、秋田県では八一年から実施しています。向こうはまだ家族が一緒に住んでいるということもありますので、それほどたくさんの人が取っているというふうではありませんけれ
ども、都会ほど住宅も狭いしというようなこともありますので、都会では近所との連帯とか相互援助というのは少ないわけですから、そういう
意味では都会こそこの看護休業制度というのはより切実な要求ではないかというふうに思うのですが、来年度の予算でこういうものに一歩足を踏み出す気持ちというのは
大臣におありになるのでしょうか。そうしていただきたいと思うのですが、お
答え願います。