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1989-11-15 第116回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月十五日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 左藤  恵君    理事 塩崎  潤君 理事 中山 利生君    理事 野中 広務君 理事 森   清君    理事 山口 敏夫君 理事 佐藤 観樹君    理事 伏木 和雄君 理事 川端 達夫君       上村千一郎君    柿澤 弘治君       塩川正十郎君    中村喜四郎君       村上誠一郎君    角屋堅次郎君       堀  昌雄君    山花 貞夫君       長田 武士君    中村  巖君       松本 善明君  出席政府委員         自治省行政局選         挙部長     浅野大三郎君  委員外出席者         特別委員会第二         調査室長    岩田  脩君     ───────────── 本日の会議に付した案件  公職選挙法改正に関する件(定数是正問題)      ────◇─────
  2. 左藤恵

    左藤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  本日の委員会は、定数是正問題について、各党委員意見表明及び委員間の自由な討議を行います。  まず、各党委員から十分程度定数是正問題について順次意見を述べていただき、その後、昭和六十一年五月二十一日の本院決議衆議院議員定数是正に関する決議」の検討事項を五項目に整理いたしまして、まず、格差の問題について、議員定数見直しについて及び過疎過密等地域実情に配慮した定数配分についての三項目に関して討議を行い、次に、二人区・六人区の解消について及び選挙区画見直しについての二項目に関して討議を行います。  それでは、まず、自由民主党中山利生君から御意見をお述べ願いたいと存じます。
  3. 中山利生

    中山(利)委員 自由民主党代表いたしまして、自由民主党意見を申し上げます。  我が党は、最高裁判決、また国会決議の重さを踏まえまして、ただいま議題となっております定数是正に関する審議格差の問題について、議員定数見直しについて、また過疎過密等地域実情に配慮した定数配分について、また二人区・六人区の解消について、その他オーバーをしている一人の定数を減らす問題、あるいは北海道一区ですか、六人区の解消の問題というのも含めまして、選挙制度調査会あるいは政治改革委員会等におきましていろいろと鋭意検討をしてまいりましたが、技術的な是正だけではおさまりがつかない、この五つの課題についてすべてを満足するような結論を導くためには、やはり抜本的な改正が必要であろうというようなことで、現在も検討を続けているところでございます。  また一方、政治改革を再重点政策といたしまして、本年初頭から政治改革委員会で全党的な論議をいたしまして、五月に政治改革大綱を決定をいたしました。そのうち、選挙制度に関しましては抜本的改革を行うことといたしまして、   政治改革を達成し、的確に民意を反映した活力ある政党政治実現するためには、現行選挙制度改革を欠かすことはできない。なかでも衆議院選挙区制は、これまでわが国の政治の安定に役立ってきたが、金のかかる選挙政党間の政策競争の欠如をまねくなど、政治のさまざまな面で問題を生んでいる。   さらに、議員定数選挙区間格差衆議院と参議院の機能のあり方にも国民からつよい批判を受けている。   なお、選挙違反にたいする連座制強化その他罰則の強化や、選挙裁判迅速化も急務であり、あわせて選挙実態を十分ふまえて現行選挙運動の規制を見直すことが必要である。 ということになっております。  このような抜本的改革を今具体的に検討を続けておるところでございますが、この抜本的改革には、国会決議にございますただいまの幾つかの項目、これが含まれているわけでありまして、自民党といたしましては、この抜本的改革検討を進めることによって国会決議実現を図ることになったわけでございます。したがいまして、きょうは当委員会国会決議に基づいての具体案を御提示できない状況にあるわけでございます。しかし、選挙制度改革国民的な課題でありまして、早急に結論を得るように我が党としても努力を続けているところでございます。  これが一応自民党としての意見表明でありますが、この際でございますので、ちょっと私見を申し上げさしていただきたいのですが、今ほどこの政治改革に対する全国民的な関心の高まっているときはないと思いますし、今度の国会の冒頭におきます各党党首議会制民主主義を問う高邁な御発言等もございました。またさらに当委員会もそうそうたるメンバーがそろっておりまして、政治改革論議するのには大変な絶好の好機ではないかと思うわけでございます。  御承知のように、どの選挙制度にも大きな長所があると同時に、同じくらいの欠陥を持っているわけであります。また、それぞれの制度にその欠陥を補正するような、調整するような方法もたくさんあるわけであります。この選挙制度、みずからの制度委員自体がやはり真剣に論議をしていかなければならないと思っておりますので、この委員会でぜひとも率直な各党の御論議をいただきたいと思うわけであります。  結論としては、多数代表制重点を置くか、少数代表制重点を置くかということになろうかと思うのでありますが、これは全くの私見ですけれども、この論議を進めていく上で、何かたたき台がなければ論議というものは進んでいかないのではないか。特にこういう選挙制度のようにいろいろな意見がある、方法がある問題については、やはり一つたたき台が必要ではないかと思うわけであります。したがいまして、今の中選挙区制は、どちらかというと多数代表制に近いような感じがいたしますので、少数代表制代表的な制度であります単純小選挙区制などをたたき台として、この単純小選挙区制にはどういう長所があり、欠点があり、またそれを補正していくのにはどういう方法があるか、必要かというようなことを御論議をいただくことがベターではないかというふうに考えるものでございます。  勝手なことを申し上げましたが、よろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。
  4. 左藤恵

    左藤委員長 次に、日本社会党護憲共同佐藤観樹君にお願いいたします。
  5. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 来年は議会制度創設百年であると同時に、早くも国勢調査が行われる年であります。昭和六十年の国勢調査に基づきまして、本院はいわゆる八増・七減の定数是正を実施したわけでございますけれども、これは二年半前の五十八年十一月の最高裁判決違憲状態とされた定数につきまして、違憲状態からの緊急避難をするために暫定措置として是正をしたのでございまして、多くの欠陥問題点を有しておりました。  すなわち、その格差是正が二・九九倍と、およそ民主主義平等原則からかけ難れたアンバランスが許容されたこと、二名区・六名区という従来の中選挙区ではなかった定数選挙区が現出をしたこと、是正方法増減方式をとったため、人口の少ない県の方が議員定数が多いという逆転区をつくったこと、議員定数が一名ふやされたことなどであります。このため、この暫定措置を本委員会、本院を通すに当たり、六十一年五月二十一日、我々は「衆議院議員定数是正に関する決議」を行いました。実に含蓄のある重い決議でありますから、改めて想起をし、熟読玩味してみる必要があるのではないでしょうか。  本日は机の上に改めて配られておるわけでございますけれども、   選挙権の平等の確保議会制民主政治基本であり、選挙区別議員定数の適正な配分については、憲法の精神に則り常に配慮されなければならない。   今回の衆議院議員定数是正は、違憲とされた現行規定を早急に改正するための暫定措置であり、昭和六十年国勢調査確定人口公表をまって、速やかにその抜本改正検討を行うものとする。   抜本改正に際しては、二人区・六人区の解消並びに議員定数及び選挙区画見直しを行い、併せて、過疎過密等地域実情に配慮した定数配分を期するものとする。   右決議する。  六十一年の定数是正は、最高裁違憲を指摘され、二年半たってやっと実施されたものですが、本決議は、裁判所からの違憲判決を待たず、選挙権の平等の確保のために、常に配慮して、六十年の国調確定人口公表を待って、速やかに抜本是正することを誓ったものであり、かつ、六十一年是正欠陥是正することを内外に明らかにしたものであります。  憲法十四条、法のもとの平等を言うまでもなく、真の民主主義国家基本は、一人の個人が平等に扱われることから出発するのであって、ましてや多数決原理が働く議会制度選挙法においては、投票行動投票価値投票効果は最大限平等に機能しなければ、代議制度をとる議会制度は成り立たない性格のものであります。ある人の一票が他の人の三倍近い効果や重みを持つ代議制度は、民主主義根底から否定している状況と言わざるを得ません。  代議制度をとる立法府としては、司法の指摘を待つまでもなく、みずからの自覚と権能において、投票価値の平等を限りなく実現をするために、その責務を果たすことが唯一の立法府としての義務であると社会党基本的に考えています。したがって、決議にあるように、速やかに最大許容できる格差は二倍未満となるよう是正するのが抜本是正の意味であります。  次に、二名区・六名区の問題につきましては、自民党さん内には、これも中選挙区の範囲内という意見もあるようですが、若槻内務大臣選挙法改正趣旨弁明を改めて言うまでもなく、戦後四十余年をとってみても、奄美特別区を除いて定数三名から五名で実施をされてきた経過からも、それを外れた選挙区については、決議でも述べているように、当然解消され、六名区は三名区二つに分区され、二名区は隣接選挙区と合区し、中選挙区の定数になるよう分区をする措置をとるべきであります。この際の分合区の原則は、五十年の公選法改正のとき挙げられた四項目、すなわち、人口均衡性行政区域の尊重、地勢交通行政的沿革等の配慮、地域的なまとまり一体性保持などを援用すれば、私も実際に境界線変更の作業をやった経験からいって、恣意的に一政党に有利、不利になるようなことはなく作製することができます。  次に、議員定数見直しですが、六十一年是正が八増・七減案でしたから、この一名を減らすのは当然であります。しかし、議員定数を減らせばよい議会になるという風潮にはくみしません。本則となっています四百七十一名を決めた四十六年から四分の一世紀の間、人口もふえていますし、日本衆議院議員一人当たり人口は、一九八七年の数字でありますが、二十三万六千人ですが、これより多いのは、つまり議員数がこれより少ないのはアメリカの五十六万人だけで、西ドイツは十二万三千人、フランス、イタリア、カナダ、オランダはほぼ十万人に一人の議員議会制度のお手本のように言われておりますイギリスは八万八千人に一人の議員となっており、人口議員の比率は、日本はむしろ少ない方に位置していることを申し上げたい。行政機構が肥大化し、我々立法府の扱うテーマも多くなり、常任委員会もふえ、質問準備実態から照らしてみても、行政府を監督する立場立法府として、十二分に機能を発揮しているかどうかの観点から総定数も考えるべきであると思います。  次に、定数是正方法論と関連する選挙区画見直しについて申し上げます。  戦後三回、沖縄復帰も入れますと四回定数是正が行われましたが、四十六年、五十年は増員のみの是正でしたが、六十一年は、議員一人当たり人口の小なる選挙区の定数を逐次議員一人当たり人口の大なる選挙区に移して、格差を縮小していく増減方式でやってきました。このほかに、昭和二十一年にやった人口比例により各県に配分し、次に各選挙区に配分して中選挙区制を保持するため所要の分合区を行う方式、あるいは西ドイツで行われているように、格差が二倍以内におさまるように調整する上下三分の一偏差方式、各都道府県ごと定数を再配分した上で上下三分の一偏差方式なども考えられます。限りなく格差を一に近づける方式を貫けば定数境界線の異動も多くなり、二倍以下の幅を持って是正する方式をとれば異動する選挙区は比較的少なくなります。いずれの方法でも、各党議論の末、一致が見られるようなものであれば、我が党は結構でございます。  ただ、この際重要なことは、今議論しているのは中選挙区制をどう変えるかという選挙制度の問題でなく、あくまで中選挙区制の枠の中でどう定数是正するかの議論であり、選挙区の定数境界線が異動するところが多いなら、いっそのこと小選挙区制へという議論になってきますと、これは全く次元の違う議論となってきますので、国民有権者が今求めている改革と異質であることをはっきり申し述べておかなければなりません。  また、定数是正はこれから五年ごと国勢調査たびごとに行われるべきであり、また境界線変更がその都度行われるわけですから、先ほど二人区・六人区の解消のときに述べましたように、分区の原則各党確認分合区もこの原則を援用することが法定化されるなら、国会でも内閣でもしかるべきところに権威ある区画委員会、仮称でありますが、を設置し、そこに任せることで十分機能すると考えています。  過疎過密等地域実情を配慮した定数配分については、狭い国土の有効利用や都市問題の解決のために必要ですが、これによって一票の平等価値根底から損なうことを許すことにはならないわけでありまして、したがって、格差二倍以下の範囲内に含まれていると考えるべきだと思います。  以上が、決議案を中心とした定数是正問題に対する社会党基本的な考え方ですが、昨年五月十八日、本委員会定数是正小委員会議論され、野党側は各項目につき大筋一致をしていることが判明しているにもかかわりませず、自民党さんの審議は進まず、今日を迎えていることは極めて遺憾であります。  本年初め、自民党内でも六名区の分区、総定数五百十一名へ一名減が議論され、さたやみになったやに報道されている程度、ほとんど進捗を見ていないようであります。三百議席を有し、関係議員が多いことはわかりますが、日ごろ責任与党を自認し、かつ民主主義を口にする自民党さんが、主舞台ともいうべき議会制度の中で、その根幹を揺るがす課題には目をつぶり、国権最高機関をいびつな形で温存し、政権維持を図っていることは、日本民主主義議会制民主主義の悲劇とも申せましょう。  改めて申し上げます。はや来年は国勢調査の年であります。六十年国調の結果を受けた結論を、与党におかれましては、真に民主主義の基盤の上に一票の価値が平等に扱われる代議制度を確立するために、早急な結論を求めて、社会党意見表明を終わります。
  6. 左藤恵

    左藤委員長 次に、公明党国民会議伏木和雄君にお願いいたします。
  7. 伏木和雄

    伏木委員 衆議院議員定数是正について、公明党としての意見を申し上げさせていただきます。  衆議院定数是正は、昭和六十一年にいわば緊急避難的に是正が行われました。これは御承知のとおりでございます。その緊急是正は、あくまでも「昭和六十年国勢調査確定人口公表をまって、速やかにその抜本改正検討を行うものとする。」という旨の国会決議全会一致で採択され、それが前提になって六十一年法ができたわけでございます。それから三年半を経過してしまいました。  昨年五月に、この抜本改正に基づきます小委員会を開催いたしました。いろいろ議論が出ましたが、当委員会としては、あくまでも現行選挙区制をもととした衆議院定数抜本改正に限定して議論を行うべきであるということで、小委員会意見一致を見ました。野党各党からそれぞれ案が提示されましたが、残念ながら自由民主党さんからは、もう少し検討させてほしい、このような御意見がございました。以来一年半を経過したわけでございます。  六十年国勢調査確定値が六十一年十一月に公表された後も、投票価値格差はますます拡大しております。平成元年三月の住民基本台帳人口比による一票の最大格差は三・一八倍となっております。また、近く発表されると思われる自治省の例年公表している選挙人名簿登録有権者数による格差も、三倍を超えることは必至となっております。  憲法に明記された選挙権の平等の確保議会制民主主義基本であり、国民基本権を守り、定数の不平等から起こる政治不信を払拭することは、国権最高機関としての国会義務であります。我が党といたしまして、かかる立場から、かねてより国会決議に基づく抜本改正早期実現を強く主張してきたところであります。衆議院議員の任期は残すところ約七カ月となっております。もしこのまま抜本改正が行われないとするならば、国会議員みずからが国会の権威と信頼を踏みにじる結果になってしまうと思われるのであります。  私は、まず第一に、国会決議を速やかに実施すべきであることを強く指摘したいと思います。第二に、国民主権にかかわる選挙制度基本的な枠組みは、国会において各党合意によって決められるべきであると思います。第三に、選挙区割りなど各党、各個人の利害が関係する具体的な問題については、第三者機関として定数委員会を設けて検討すべきものであります。  しかし、政府は第八次選挙制度審議会を設置し、選挙制度政治資金等の問題を諮問しておりますが、優先すべき定数是正については諮問せず、伝えられる審議会内容は、小選挙区制、小選挙比例代表制導入前提としているのであります。しかも、これまでの選挙制度審議会においては政党代表が参画してきたのでありますが、今回の第八次審は政党関係者は除かれており、そうした中で、国会において決議されているところの肝心の定数是正は除かれております。その上、自民党のこれまでの主張に沿った論議が進められているように思え、私どもは大きな危惧を抱かざるを得ません。  特に、小選挙区制の導入問題が金のかからない選挙を名目に検討されていることは、到底容認できません。金権腐敗した政治体質選挙制度に転嫁すべきではありません。みずからの金権体質の清算もせず、定数の抜本的な改正に取り組まず、小選挙制導入を意図することは、国民の要求する政治改革とは無縁なものと言わざるを得ません。  平等の立場にある国民が、ある地域に住む人の表決権が他の三分の一以下ということであってよいはずがございません。一票等価の原則は、国民基本的な権利に係る問題であります。  我が党といたしましては、ことし四月六日に、お手元に配付いたしました資料のように、衆議院定数是正案を明らかにいたしました。その内容につきましては資料として配付させていただいておりますが、以下その内容について若干御説明申し上げます。  抜本改正基本原則としては、衆議院の総定数は四百七十一とする。公明党といたしましては、従来五百十一以下という総定数を考えておりました。しかし、行政改革等国民世論の中にはさまざまな御意見もございます。したがいまして、まずは公選法本則に定めているところの四百七十一を総定数とするという前提のもとに、基本原則を置いていかなければならないと考えている次第でございます。  第二には、各選挙区の議員定数は、国会決議を尊重し、三人以上五人以下とするようにいたしております。  第三番目に、議員一人当たり人口格差につきましては、本来限りなく一対一を求めるべきでございます。しかし、地理的あるいは経済的諸般事情もありますので、二倍以下に抑えなければならない、二倍未満といたしております。  四番目に、各都道府県間の議員定数は、総定数の枠内で、各都道府県人口に比例して定めるといたしております。  第五といたしまして、選挙区は郡市の区域によるとともに、地勢交通等事情を総合的に考慮して合理的に定める、このようにいたしております。  定数是正具体的方法といたしましては、第一番目に、人口はすべて昭和六十年の国勢調査確定人口による。  二といたしまして、特例区の奄美群島区は県庁所在地である鹿児島一区に編入する。  第三といたしまして、都道府県配当につきましては、総定数公選法本則どおり四百七十一とし、配当基数Qにより、最大剰余方式都道府県にまず定数配当いたします。なお、鳥取県の配当は二となりますが、中選挙区制や過疎過密を考慮し、さらに三分の一偏差以内であることに留意し、特例として一増の三といたしまして、定数一減によって最も影響の少ない東京都の配当四十六を四十五といたしました。  第四といたしまして、選挙配分につきましては、都道府県配当定数により各都道府県配当基数qを算定し、最大剰余方式によって各選挙配分を定めました。  第五に、現行選挙区の区域を可能な限り尊重し、三分の一偏差の枠内におさめ、かつ可能な限り議員一人当たり人口はQとの差を小さくし、選挙区は郡市の区域によるとともに、地勢交通等事情を総合的に考慮して合理的に定めました。区域変更を必要とする場合は、最大限、区域としてのまとまりのある一体性保持に努めました。  なお、我が党といたしまして、根本的には国民的立場定数配分の不均衡を即時是正するために、公選法の中に定数に関する基本原則を法定するとともに、配分、再配分公正確保のための民主的な執行機関として、中立的な学識経験者等第三者による議員定数委員会の設置を強く主張しております。  最後に、今後各党間においていろいろ御論議もあろうかと思います。その際には、定数の抜本的な是正実現のために、各党合意を得るためであるならば、党といたしましても柔軟に対応してまいりたい、このように考えております。  以上、我が党の見解でございます。
  8. 左藤恵

    左藤委員長 次に、民社党民主連合川端達夫君にお願いいたします。
  9. 川端達夫

    川端委員 私は、民社党民主連合代表して、定数是正問題について意見表明いたします。  議会制民主政治国民政治に対する信頼の上に成り立つものであり、参政権の平等が保障されることは、国民政治に対する信頼確保するための最も基礎的な条件であります。しかしながら、定数是正をめぐる今日の状況は、この基礎的条件確保について不熱心な印象を与えており、国民政治不信を助長するものと言わざるを得ません。  その原因の主なものは、政権党である自民党が、昭和六十一年五月の「衆議院議員定数是正に関する決議」の内容実現することに極めて消極的であるからであります。  今日までの定数是正の経緯を振り返りますと、昭和二十二年の衆議院議員法改正においては、議員一人当たり人口格差は一・五一倍におさまっていたのでありますが、その後の高度経済成長に伴う人口都市集中の結果、昭和三十九年、五十年、六十一年と三回にわたり定数是正が行われました。その是正後の格差は、三十九年が二・一九倍、五十年が二・九二倍、六十一年が二・九九倍となったわけであります。是正後の格差は徐々に拡大しており、しかもすべての是正定数増という形で行われているのであります。六十一年の決議は、まさにこのような形の定数是正暫定措置とみなし、抜本的改正を速やかに行うことを求めていると認識しております。  このような認識に基づいて、以下、決議の各条項について順次意見を述べさせていただきます。  まず第一に、格差の問題でありますが、言うまでもなく、選挙権の平等の内容は、一人の持つ投票権価値が平等であることであります。しかしながら、全国を一つ選挙区とする場合は別にして、何らかの地域的な選挙区を設けるとするならば、完全な平等ということが難しいこともまた明らかであります。我が党は、一議席当たり人口ないしは有権者数がどの選挙区においても可能な限り等しくなるようにすることを前提に、行政単位等に配慮した結果、一人が二票にならない範囲格差二倍未満であれば許容されるべきであると考えております。  さらに、今日までこの定数是正問題が大きな問題となっているのは、公選法の別表において、直近の国勢調査の結果によって更正するのを例とすると規定されているにもかかわらず、この規定が厳正に守られず、対応がすべて後手に回ってきたからであります。我が党は、この規定に基づいて、国勢調査ごとに自動的に定数是正を行う何らかの措置をとるべきであると考えております。  次に、二人区・六人区の解消については、これらの選挙区を設けたことは暫定的なことであり、定数三ないし五名の中選挙区制を維持すべきことを確認したという意味であります。  議員定数見直しについては、行政改革立法府においても行われるべきであるとの立場から、本来は公選法本則にある四百七十一名にまで削減すべきであると考えますが、当面五百名よりも少なくすることを目指すべきであると思います。  選挙区画については、二人区・六人区を解消するためからも、抜本是正においては大幅に見直さざるを得ないと思いますが、その見直しに当たっては、行政区、地域的つながり等、従来の選挙区画をできる限り尊重すべきであると考えます。具体的な作業については、第三者機関にゆだねるべきであります。  さらに過密過疎に配慮した定数配分についてでありますが、過密地域過疎地域どちらにも特有の問題があり、非人口的要素を加味して定数配分することには難しい問題があると認識しております。仮に非人口的要素を考慮するとしても、あくまで人口比例配分原則基本とすべきであり、格差二倍未満内で許される限り反映されるべきものであると考えているものであります。  最後に、今後の定数是正の進め方について我が党の方針を述べさせていただきます。  さきに述べましたように、我が党は、定数是正に関する国会決議内容実現することが重要かつ緊急の課題であると考えます。  この国会決議は、現行の中選挙区制を前提定数抜本是正をうたったものであり、中選挙区制の改正を意味しているものではありません。国会決議の具体化はまさに国会に課せられた課題であり、この問題を担当する当委員会で早急に議論を進め、現在の議員の任期中に具体的な成果を得なければならないと考えております。  当委員会議論が実りあるものとなり、決議にのっとった抜本的定数是正が一日も早く実現することを心から希望して、私の意見表明を終わります。
  10. 左藤恵

    左藤委員長 次に、日本共産党・革新共同の松本善明君にお願いいたします。
  11. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は、昨年五月十八日、本委員会定数是正小委員会意見を述べましたので、その後の事態に触れながら、できるだけ重複を避けて意見を述べたいと思います。  主権者としての権利である選挙権の不平等という違憲状態を正すことは、緊急かつ重要課題であり、公職選挙法論議では、いかなる議題にも優先して行わなければならないものであります。一九八六年五月に採択された本院本会議決議は、「昭和六十年国勢調査確定人口公表をまつて、速やかにその抜本改正検討を行う」としています。確定人口公表以来三年を経過しているにもかかわらず、また、昨年五月十八日、本委員会定数是正小委員会以来一年半になりますが、主として自民党定数是正についての原則についての意見さえまとめなかったため、その後小委員会も開かれず今日に至りました。本日も自民党代表は、国会決議に基づく具体案を発表することができないということを言われたのは極めて遺憾であります。国会がみずからの決議の実行を怠ることは国民への重大な背信行為であり、本委員会の任務と責任は極めて重大であります。  おくればせながらこのための委員会が本日開かれましたが、住民基本台帳によると、議員一人当たり人口格差は既に三倍を超えています。このまま選挙になるならば、一方の側は片方の二票、三票分を行使し、片方の投票価値は二分の一、三分の一しかないという選挙権の著しい不平等が繰り返されることになります。憲法に定められた国民選挙権投票権平等原則を実際に保障するために、こうした一票の格差是正することは極めて重要な緊急課題であります。さきに指定都市の区割りに関する公選法改正案が成立しましたが、定数是正問題は、これ以上に次の選挙に間に合うようにやらなければならない緊急課題であります。自民党公選法改正案にあり、野党の反対の強いポスター規制などに時間をかけるゆとりはないと思います。定数是正にこそ本委員会が心血を注がなければならないものと考えます。  次に、検討に当たって前提になることに簡単に触れます。  最近、政府自民党選挙制度改革と絡めて定数是正を考えようとしているようですが、これは到底認められません。きょうの自民党代表の話もそういうことであります。自民党政治改革大綱で「国会開設百年にあたる明年十一月までを目途に」「小選挙区制の導入基本とした選挙制度の抜本改革にとりくむ」としています。海部首相、小沢幹事長ら政府自民党幹部が最近しきりに小選挙区制の具体的検討を言い出して、定数是正は小選挙制導入時に同時に決着を図ろうとしているかのような発言もあります。また、自民党が今なお定数是正案を出さないことは、事実上この方針であるということを示すものにほかなりません。もしそうだとしたら、これはみずから賛成した定数是正国会決議にも反するだけでなく、定数是正自民党の党利党略による小選挙制導入に利用しようとするもので、言語道断であります。  さきの八六年の本院決議選挙制度変更に触れずに定数是正を決めていること、二人区・六人区の解消を明記していることを見ても、三—五人区の中選挙区制で定数抜本是正を行うことは本院決議の大前提であります。したがって、選挙制度と切り離して、各党で早急に協議を詰めて、定数是正実現を図るべきであります。  次に、簡潔に我が党の抜本是正原則について述べます。  格差は、少なくとも二倍未満であることは当然であります。一人が他の二票以上を持たないのは当たり前のことで、三倍を合憲とした最高裁判決は、合憲と認めた理由がどこにあるかわからないと、公法学者からもその問題点が指摘されています。そして昨年十月の最高裁判決でも、違憲とまでは言えないとしながらも、このことと「国会の裁量権の合理的行使として適切妥当であるかどうかとは別問題であることはいうまでもない」と、この判決で国会での是正がストップしないようにくぎを刺しているほどであります。これは定数是正の根本原則です。  三—五人区の中選挙区制を厳守して抜本是正を図ることは当然であります。二人区・六人区は決議のとおり解消すべきであります。とりわけ二人区はさきの総選挙で最大四五・三%の死票率があり、小選挙制導入の布石になるものです。二人区になったら同じ県内の隣接区と合区し、六人以上になったら分区する、必要なときは選挙区の境界線変更をするものとしますが、社会的、地理的条件を考慮することは当然であります。  一九八六年一月、我が党は格差一対二未満、中選挙区制維持、定数五百十一の抜本是正案を提案しましたが、そのとき総定数五百十一は固定化するものでないことを明らかにしました。  自民党などから持ち出されている総定数削減には我が党は反対です。本則の四百七十一という定数は、もともと人口十二万人に一人という一九二五年の選挙制度改正で定めた四百六十六に沖縄の復帰で新たに五を加えたもので、その後人口もふえ、現在議員一人当たり人口は二十三万六千余人になっています。したがって、四百七十一という本則に戻るということの合理性は全くありません。もともと国会議員の総定数は、国民の意思を国会に正しくかつ豊かに反映させるために、必要で十分な数を確保する見地で決められるべきであります。その見地に立つならば、定数を削減しなければならない理由は全くありません。  また、この時期に大幅な削減を打ち出すねらいは、定数是正に新たな障害を持ち込んでこれをおくらせ、定数是正を小選挙制導入とあわせて行うという自民党の党利党略によるものと言わねばなりません。  アメリカが日本より議員数が少ないことを理由に削減すべきだという意見もありますが、大統領制という日本の議院内閣制とは質的に異なる政治制度を採用しているアメリカとの比較論は成り立ちません。議員一人当たり人口比較で日本より相対的に議員数の少ないのはアメリカとインドぐらいであり、ヨーロッパなどの主要国は皆日本より人口に比して議員数は多く、この点でも総定数を削減する理由はありません。  最後に、自民党が一日も早く定数是正についての原則をこの委員会に提示し、各党協議を重ねて是正原則について一致点を見出し、是正案づくりに取り組むべきであります。その原則的な一致なしに、いわゆる第三者機関にゆだねるということは、公正、民主的な選挙制度を確立し、議会制民主主義をみずから発展させるべき国会の責務を放棄することになると考えます。  以上、強調して発言を終わります。
  12. 左藤恵

    左藤委員長 これにて各党の御意見表明は終了いたしました。     ─────────────
  13. 左藤恵

    左藤委員長 これより討議に入ります。  なお、討議の際は、議事整理のため、委員長の指名により発言されますよう、また、一人一回の発言は五分以内にまとめていただくようお願いいたします。  まず、格差の問題について、議員定数見直しについて及び過疎過密等地域実情に配慮した定数配分について討議を進めます。  御意見のある方は、挙手をお願いいたします。
  14. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 きょう自民党中山先生の方から全体的なお話があったのですが、どうやろうとしているのかよくわからぬというのが率直なところじゃないでしょうか。  自民党さんも昨年一年間、内閣も三つもかわったし、四つと言うべきか、何かとお忙しくて、この定数是正問題等に本格的に取り組めなかったかと思うのであります。ただ、私もきょう申し述べさせていただきましたが、来年はまた国勢調査だということでありますから、国民の側から見れば、何をやっているのだということのおしかりを受けるのは、これは自民党さんだけじゃなくて、やはり衆議院という院の立場からいってもそうではないかと思うのですね。  その意味におきまして、この前、昨年の五月の小委員会でもこのことが議論になったのでありますが、抜本是正といいますと、百三十選挙区のうちいろいろなやり方で持っていくと、半分以上いろいろな形で境界線変更その他が動くということで、どうも自民党さんの議論を聞いていると、それならば選挙制度そのものを変えた方がいいのではないかという次のお話にすぐ行かれてしまう。この定数是正議論の枠を外しますと、これはまことに二十一世紀まで行ってもできないのではないかというふうに思わざるを得ないわけでございまして、これからどういうふうにしていこうということなのか、もう少し輪郭がわかるようにお話しを願いたいということが一つ。  それにあわせまして、本年一月ぐらいには、せめて五百十二名になっているのを一名減らすようにしたらどうかとか、六名区だけでもせめて分割をしたらどうかという御意見議論されたやに新聞には報道されておるのでありますが、どうもこれも結局関係議員の方々の御意見を聞いたら、とてもじゃないというお話で、しりつぼみになってしまったようでございます。これまた確かにその部分だけやるということは、それはそれなりにどうかなと私も思いますけれども、一体その辺はどういうふうになっているのか、お聞かせを願いたいと思うのでございます。
  15. 森清

    ○森(清)委員 自民党内の検討の経過はまたいろいろ詳しく述べますが、ちょっと認識の訂正だけお願いしておきたいのです。  この国会決議に従って、例えば格差二倍以内にしたら半分ぐらいの選挙区がごたごたになってくるので、だから小選挙区制とかなんとかに持ち込んだんじゃないか、こういう御発言がありましたが、そういう経過は一切ございません。小選挙区制にするかどうかということは、この議会制民主主義というものがうまく機能するかどうかという根本論から発した議論であって、そのときにちょっとごたごたするとかどうとかいう問題からの発想は一切ございませんから、その点だけ認識を改めていただきたい。  ただ、小選挙区制あるいはいろいろなそれに組み合わせた案もありましょうが、そういうような大改革をするときには、いわゆる一票の格差の問題、一票の価値の問題、これはもう当然にその中で解決をしていかなければならぬ問題ですから、そういう検討に入りました以上、今五百十人ぐらいを原則として、三人—五人の選挙区を前提とした定数是正問題というもの、もうその問題をやることよりか、要するに定数是正という観点からは、それを含めて選挙制度抜本改正に取り組み始めた、こういうことでございまして、何かこの定数是正を逃げるためにほかの選挙制度を持ち出したというようなことはございませんので、その点だけ認識を改めていただきたい、このことだけまず申し上げておきます。
  16. 伏木和雄

    伏木委員 きょうこのような議題で議論をしているわけでありますけれども、前回の八増・七減という法律をつくった際、もう時間切れ、やむを得ないということであのような案ができてしまった。  この抜本改正につきましては長い間言われてきておりまして、このような人口移動の大きな傾向は昭和三十年代から出てきております。したがって、三十九年の改正あるいは五十年の改正、このときにも本来抜本改正をやらなければならぬ、しかし、なかなかそれもできないということで、増員によって解決してきたというようなことがあったわけであります。今度の六十一年の改正に際しましても、昭和五十八年の最高裁違憲状態という判決を受けまして、抜本改正をやらなければならないという議論を長い間重ねてきたわけであります。自民党さんも加わって議論をしてきたわけでございますが、なかなか党内で案がまとまらないということで二年、三年を経過してしまい、六十一年の最高裁違憲判決ということになって、もうぎりぎりまで追い込まれてしまった。したがって、やむを得ず前回の改正を行ったわけです。  ですから、抜本改正ということを言われてからもう月日が長いわけですね。今回せっかくできたこの国会決議というものを履行しないということになると、いつ抜本改正できるのか。それでは中長期的と言われている選挙制度見直し、これが一年や二年でできることなのか。ということになりますと、また今回選挙をやったとしても、有権者の中から違憲訴訟が出てくるのはもう目に見えております。だから、どうしてもこの際国会決議を忠実に受けとめて、抜本改正を真剣に議論するというようにしませんと、一体国会というところはどうなのか、自分たちで決めたことすらやらないのかというような、政治不信というものをますます引き起こしてしまうのではないか、これを非常に危惧する次第でございます。政治改革政治不信の一掃ということを自民党さんも声を高らかに言われているわけですが、みずから決めた決議をみずから実行しないというほどの大きな政治不信はなかろうかと私どもは考える次第でございます。したがいまして、このような議論をいつまでも続けてもどうかと考えるので、何とか案ができないものなのか、堂々めぐりの議論ばかりしていないで何とか案をつくり出せないものなのかということをお伺いいたしたいと思うのですが、見通しのほどなどを聞かせていただけないでしょうか。
  17. 中山利生

    中山(利)委員 自民党でも今先生方がおっしゃった最高裁判決あるいは国会決議の重さというものは、先ほど申し上げましたが、十分に踏まえながら検討をしてきたわけでございます。しかし、現実問題として、先ほど言われた一議席だけとりあえず減らすとか六人区を二つに割るとかいうことだけでは、前回やりました八増・七減、これもやむを得ずやったということでございますが、それ以上に小手先の改革というような感じを免れませんし、今手元にいただきました公明党さんの四百七十一名案等につきましても検討をしてきたわけでありますが、例えばこの案を実行するということになりますと、かなりの選挙区で選挙区割りを大幅に変えなくてはならない。全県一区というようなものもできますし、かなり極端な選挙区の区割りの改正をやらなければならぬ。  皆さんも選挙をやられて当選してこられているわけですから、候補者と選挙区の関係というものがいかに密接なものであるかということはよくおわかりと思うわけでありますが、我々の任期がもうあとわずかになっているときに選挙区を大幅にいじるということは、現実問題としてなかなか難しいことであろう。いろいろなことを踏まえまして、また先ほど森委員から御報告申し上げたような本当の議会制民主主義国民の意思を政治に正確に反映させるためにはどうしたらいいかということまで考えながら、やはり抜本改正をすることしかないのではないかという感じで、その最終的な具体的な案としてここに提示することができないでいるということでございます。
  18. 松本善明

    ○松本(善)委員 私は自民党の皆さんの発言を聞いて極めておかしいと思いますのは、先ほど中山委員自民党政治改革大綱を読み上げられましたけれども、その自民党政治改革大綱格差是正は一応入っているのですよ。それを何ど読まなかったのだろうかと私は思うのだけれども、ちょっと念のために読みますと、   昭和六十一年五月の国会決議にもあるとおり、選挙権の平等の確保憲法の精神にもとづく議会制民主政治基本であり、議員定数の適正な配分につとめなければならない。   そのため、都道府県間の格差を二倍未満とすることを目標とし、選挙区間格差もできるかぎり是正することを基本に、具体案検討をはじめる。 都道府県間ということだけれども、一応とにかく格差は二倍未満ということを出しているのですよ。何でこれを言わないのか。  それと同時にもう一つ、この決議は、先ほど他の委員もお触れになりましたけれども、二人区・六人区の解消を言っているわけですよ、私も言いましたけれども。これは明白に中選挙区ですよ。三ないし五人区で定数是正をせよという決議でしょう。三ないし五人区で都道府県間の格差は二倍未満ということなら、一応案はできるのですよ。区割りをしてできるでしょう。何でそれを言わないのか。中選挙区制を前提としないで小選挙区制を考えているからこのことは言えないのか。その辺はなぜはっきり言わないのか。都道府県単位で二倍未満を言っているでしょう。中選挙区であったら、これはもう案ができるのですよ。これは不十分ですよ。私が計算したのでは、五百十一に計算すれば五増・六減ぐらいのものになって極めて不十分ですけれども、何でこれを言わないのか。これはさっき森委員などは否定されましたけれども、小選挙区制と絡めていないということはうそだ、小選挙区制と絡めているからこそこれは言えないのだと言う以外にないじゃないですか。これはどうお考えになりますか。
  19. 中山利生

    中山(利)委員 先ほどちょっと私も申し上げましたが、さっき時間が限られていたので申し上げなかったのですが、もちろん定数是正をやるということは自民党におきましても決して変わりはないわけですが、先ほど申し上げたように、現在それをやると今の選挙区制の大幅な訂正とかその他いろいろな問題がありまして、党内でもまだその調整が十分に合意が得られていない。  しかも自民党から一つの案を出しますと、もうそれが一つの既定の事実のようになって、ひとり歩きをしてくる可能性もあるということで、私がさっき単純小選挙区制をたたき台にしたらということもちょっと申し上げました。それも単純小選挙区がいいのか中選挙区がいいのか、どうして単純小選挙区が悪くて中選挙区がいいのかとか、中選挙区にどういう欠陥があって単純小選挙区にした方がいいのかという、その議論たたき台としてそういう手続をとったらいいのではないかということを申し上げたのですが、そういうことを含めた抜本改正案を今検討中で、まだここへ自民党として、与党として出すだけの成案が得られていないということでございます。
  20. 松本善明

    ○松本(善)委員 今私が聞いたのは、二倍未満ということは政治改革大綱に書いてあるのだから、これは党としての意思統一でしょう。そうでしょう、二倍未満というのは。
  21. 中山利生

    中山(利)委員 それはそのとおりです。
  22. 松本善明

    ○松本(善)委員 二倍未満。そうしたら中選挙区でやる、これは意思統一になっていないのですか。これは国会決議ですよ。なっていないというなら、国会決議に違反することを公然とこの委員会で主張するということになりますよ。中選挙区でやるのではなくて、ほかの選挙制度と絡めてやるというのが自民党代表の主張なのかどうか。国会決議は中選挙区なんだから、中選挙区でやるという決断ではないのかどうか、これははっきりしてください。
  23. 中山利生

    中山(利)委員 それを含めて今検討をしているということです。
  24. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうしたら、国会決議は中選挙区でしょう。それは認めますか、国会決議は中選挙区だということは。
  25. 中山利生

    中山(利)委員 それはもう決議ですから。
  26. 松本善明

    ○松本(善)委員 そうしたら、それは違反だということを認めることになる。
  27. 山花貞夫

    ○山花委員 関連する問題ですけれども、実はきょう自民党の考えを伺っておりまして、初めの段階では一年半前と変わらないな、こういう気がしたわけですが、よくよく聞いてみると一年半前とは変わったのではないか、こういう気がいたしました。  一年半前の議事録を拝見いたしますと、とにかく自民党としても、きょうもおっしゃった最高裁判決の重みを受けとめてということを前提としながら、選挙制度調査会に設置した定数是正等に関する小委員会、これを衆議院議員定数是正検討の場として一月以降五回にわたって検討してきておる、鋭意検討を進めているところである、こういう御報告だった。要するに、国会決議を尊重して、これを生かすために努力をしているというのが前回の御報告の中身だったわけです。これまでお話がありましたとおり、現段階では我が党としては難しい問題があってまだ報告ができないということでしたが、国会決議は尊重する、鋭意検討を進めていますということですから、我々はいましばらくすればその結論が出るのではなかろうかと思って待っておりまして、漫然今日まで日が過ぎたということです。ところが、きょうのお話を伺ってみると、どうも国会決議については棚上げしてしまった、そうとしか受けとめられないわけであります。  今も御指摘がありましたとおり、自民党政治改革委員会内容などについて拝見をしてまいりますと、今御指摘があった中選挙区制についての提起もありますが、要は政治改革の根本は小選挙区制の実現である、こういうところに政治改革大綱の中身は尽きている、こう我々は受けとめておったところでありまして、この「選挙区制の抜本改革」の部分につきましては「小選挙区制の導入基本とした選挙制度の抜本改革にとりくむ。」こうなっており、政治改革の根本にこの問題を据えられるとして「中選挙区制の抜本的な見直しをおこない、あらたな選挙制度への移行をめざす。」こうなっておる。結局きょうの御発言は政治改革大綱に基づいた御発言であって、国会決議にあった二人区・六人区の解消問題は全く棚上げにして、全体の中だということについては次の問題に移った、こうした御発言と受けとめました。したがって、前回の鋭意検討しているとは違ってしまった。  ということであるとするならば、もし国会決議を尊重する、履行するというお気持ちがないならば、この委員会を続けること自体が無意味であるということだと思います。そのことがあるから、我々は自民党から出てくるのではなかろうか、これまで皆さんの御質問もあったわけですけれども、それをもう棚上げしてやる気がないということならば何をか言わんやということになるわけでして、結論として国会決議を尊重するという立場は今でもお持ちなのかどうか。もしそれがないということならば、委員会を続けたって意味がないのじゃないですか。改めて別の仕組みにしなければいけないと思います。きょうのお話でいくと、国会決議を尊重するというお気持ちはさらさらないのだという御趣旨に受けとめましたが、どうなのでしょうか。その点について御回答いただきたいと思います。
  28. 中山利生

    中山(利)委員 この問題は最高裁の判決、国会決議というものからスタートをした問題でありまして、これを尊重しないということは、先ほども私申し上げましたように、そういうことはありませんで、それが基本になっている。ただ、その後の政治情勢の変化で、この前の決議をやりました当時の格差是正を中心とした決議はもとよりでありますが、政治全体の改革見直しというものが非常に大きな課題となってきている。その両方を満足させるためにはどういう結論を出したらいいのかということで、また党内の方の議論が新たな段階に入っているという感じでございまして、なお一層議論が複雑化してきているという感じで、まだ皆様に御提示できるような案ができていない。今熱心にやっていることは事実でございますが、それだけに議論が錯綜をして結論ができていないということでございます。
  29. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 今、山花委員からも御指摘がございましたように、この政治改革、いろいろな意味でやらなければいかぬことは一般論として私たちも当然だと思うのでありますが、今、中山理事のお話をお伺いしますと、いわば政治改革としてのいろいろな問題、昨年、ことし出てきている問題というのは、自民党さんの中の問題というのが随分大きなウエートを占めているわけですね。それをもって国会決議というものと並べて議論なさるというのはおかしいのではないか。国会決議というのは、とにかく六十一年のときに共産党は除きまして各党お互いに決議をしたことなので、国民への誓いであるわけです。しかもこれは、先ほど私が言いましたように、裁判所からわあわあ言われたから立法府がやるという性格のものでは本来ないわけです。そういった意味では、みずから国民の皆さんにお約束したことがもう既に四年近くたとうとしているわけで、次の国勢調査が来てしまうという状況でございますので、問題は、国会決議に沿って自民党さんの方がどう着実に議論を進めていっていただくのか。  きょう私、冒頭お伺いしたら、森理事の方からのお話は、いや、必ずしも百三十選挙区のうち多くの選挙区にわたるから問題が難しいのではなくて、その根底にある選挙制度そのものの議論に今入っているんだ、こういうことでございました。一面では、それならば定数是正問題自体は進むのかなという感じもしたのでありますが、今度中山理事のお話をお伺いしていると、どうもそうではなくて、それ以前の選挙制度そのものからさわってこなければいかぬだろうという感じもするわけでございます。  したがって、これは自民党さんの方のあれでいきますと、定数是正かあるいは選挙制度そのものをいじるという二者択一の中で、選挙制度の方の根底から議論を始めるべきではないかというような流れに私たちは受け取れて、これは全体の国民の要望の流れからいい、また国会みずから決議したことからいうと、議論が逆転しているのではないかというふうに思うのです。定数是正問題そして選挙制度の二者択一の中で、選挙制度の方を優先をされて先に議論をなさっている、こういう感じに受け取れるのですが、そうではないのでしょうか。
  30. 森清

    ○森(清)委員 二者択一とかそういうことではなくして、我々は国会決議に盛られたことの内容実現について、この前にも御報告をしましたとおり、自民党内の選挙制度調査会、特にその中に設けた定数是正小委員会で鋭意検討し、それをずっと続けたわけであります。続けたのですが、残念ながら成案を得ないまま現在に至っている。これはもう御報告申し上げたとおりなんです。したがって、謝れというならそれは謝りますけれども、成案は今現在できておりません。したがって、御報告もできないし、皆さんとともに検討をしていただく素材を提供することもできない。これは謝ります。  しかし、それとは別に、別にと言うとおかしいのですけれども、二者択一という意味の別ではなくして、政治改革をやる。政治改革基本は、この国会というものを本来の国会らしくする。それには現在の選挙制度に大いに問題があるのではないかという認識から始まった議論が一方で走り始めているわけですね。そして実際のタイミングからいうと、そういうことが党内で大きく議論が始まったのはことしの初めから、そして五月には政治改革大綱をつくり、またそれに基づく新たな組織もつくって、鋭意選挙制度の抜本改革に取り粗んでおるわけでありまして、その問題とこの国会決議で言う定数是正の問題は、一応そういう意味では別問題。したがって、それについては検討しているんだが、残念ながら、ただいま申し上げましたとおり成案をお示しするわけにはいかない。  また、あと次の議題にわたる二人区・六人区の問題とかいろいろな問題が絡んでいかに難しいかということは、我々難しいことを検討し、それが成案になっていることについて、あれば御説明してもいいのですが、大変難しい問題に逢着して、 結局まとめ上げることができなかったということを率直におわびを申し上げながら、御報告申し上げます。
  31. 中村巖

    中村(巖)委員 今のお話だと、国会決議に基づくところの定数是正の問題と選挙制度そのものをいじる問題とは別問題だ、こうおっしゃるけれども、国会決議というものは、とにかく先ほども指摘があったように、中選挙区制を堅持をした中で定数是正するということがはっきり合意されているわけですね。そのことは間違いない。  そうだとするならば、選挙制度を根本的にいじるという問題はさておき、何が何でもとにかくこの国会決議にこたえる、これをクリアするということをまず第一義的に考えなくちゃならないんじゃないか。それを第一義的にクリアしてやって、実行をした上で改めてこれがぐあいが悪いんならば、また別のことを考えるということは、それはそれで論理としては通ると思うのですけれども、この国会決議を棚上げしちゃって、棚上げするというか、ないがしろにしておいて別のことを、選挙制度、小選挙区制だ何だということを議論するということは、私は大変におかしいんだと思う。それは議論をしてはいけないということはないでしょうけれども、まず国会決議をとにかく実現をするということなしで別の議論に入るということは、おやめをいただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  32. 中山利生

    中山(利)委員 党内でも、先ほど森先生からお話がありましたように、定数是正についての具体の当面を糊塗するような案から、先ほど言いましたようなあるいは国会決議を無視するような案まで、いろいろな案が出て議論をしているところで、まだ絡めてどうのこうのとか二者択一とか、そういうところまで煮詰まっていないというのが現状でございます。
  33. 伏木和雄

    伏木委員 この議論は、前回の小委員会のときも同じような蒸し返しであったわけです。確かに自民党さんの方で定数是正が非常に難しい問題であるということは、私どもも党内で選挙区をいじるということになれば、同じような議論もあるわけです。ただ、議員が多いか少ないかという問題はあるにしても、同じような難しさということは我々も十分踏まえているわけであります。しかし、国会において決議したこの重みというものを考えれば、我々はどうしてもこの実現を目指して進まなければならないのではないか。だから中長期的に向かって各党がどのような案を検討する、これはまあ各党の自由の問題でございます。しかし、現時点においてまず我々が優先しなければならないことというのは、国会において議決されたところの決議を中心にしなければならぬ、これはもう御理解いただけると思うのです。  前回、小委員会議論をしたときにも、やはり制度の問題に踏み込んできました。そこで私も発言さしていただきまして、小委員長に確認をしていただきました。国会決議前提とした定数是正を行う、これが我々の役目ではないか。それをここで別の制度議論し出すと、また話が無限に広がっていつまでも結論が出ない。したがって、確認の意味で、この公選特の委員会においては、あくまでも現行制度をもとにした、ということは六人区・二人区を排除するという決議は、現行三から五の中選挙区制を維持するという大前提があるわけです。ですから、この中選挙区制を変えてほかの選挙制度にするという議論はここで入れるべきではない。現行選挙制度の中においての定数抜本是正、ここに限定すべきであるという意見を私申し上げまして、小委員長もそれを確認されて、小委員会においては現行制度のもとで抜本改正検討するという方向で進んでいるわけです。  ですから、ここで別の制度を持ち込んで議論すれば、これはとめどもなく議論が進んでしまうわけです。あくまでも私たちは定数抜本是正決議、その土俵の中で各党の違いを詰めなければならない、このように思います。これが当然国会決議を忠実に履行するという考え方ではなかろうかと思いますが、自民党さん、これはどのようにお考えでしょうか。
  34. 中山利生

    中山(利)委員 基本的にはそのとおりだと思うのですが、党内の方の論議は、先ほど言いました政治の抜本的な改革という課題が大きく取り上げられておりまして、来年の議会制度百周年を期して、これまでの歴史を踏まえて大きな改革をやろうというようないろいろな議論が出ております。先ほど言われたとめどないという話があるんですが、とめどない議論が今出ているということでありまして、今言いましたこの前の八増・七減ですか、その案のような当面を糊塗するようなことではなくて、この公明党さんの案を見てもわかりますように、ほとんどの選挙区にわたって大きな手直しをしなくてはいけないわけでありますから、そこまでやるんであれば、その制度全体の見直しを含めた議論もしてもいいのではないかというふうな感じもありまして、まだそれを御提示できませんが、党内ではいろいろな議論を続けているというのが現状でございます。
  35. 堀昌雄

    ○堀委員 ずっとお話を聞いておりまして、何かどうも非常に小さなことにこだわって、今の日本が置かれておる全体の政治情勢の中で私たち議員が今何をしなければいけないのかという、この観点で少し物を見ておかなければいけないんじゃないかというのが私の今のお話を聞いての率直な意見です。  といいますのは、この国会決議は一九八六年の五月二十一日の国会決議なんですね。小委員会は一九八八年五月十八日のいろいろな論議ですね。このときと今の現状は、日本政治情勢というのは非常に大きく変わっているんじゃないでしょうか。少なくとも参議院選挙を通じて参議院において野党が多数になった。私は今度の参議院選挙というものを見ておりまして、これはまさに政党本位の選挙制度の成果があった、こう実は認識をいたしておるわけであります。  それはどういうことかといいますと、ちょっとこれは具体的に申し上げた方がいいと思うのでありますけれども、今回のこの参議院選挙では、定数が一名の選挙区というのが二十六あるんですね。この二十六の選挙区の中で自民党が三名、社会党が九名、連合十名、無所属三名、諸派一名と、要するに自民党は二十六のうちの三しかとれなかった。比例代表はどういうふうになったかといいますと、自民党は千五百三十四万、社会党は千九百六十九万、大変実は比例代表でも自民党に対して私どもが優位になることができました。これはいずれも政党本位の選挙制度でして、一名区ならば、まあ今度の場合は自民党のいろいろな問題があったからひとつほかの方をやろうというので、自民党以外ということで我が党、連合、諸派、無所属というところへ二十三いって、自民党は三しかなかった。そうして今度は比例代表では自由民主党は六百七十九万人も減って、我が党は約一千万票近い票がふえたというのも、これも政党本位の選挙制度ですから、要するに自民党のやり方に対して国民がノーと言ったというのが、私は今度の参議院選挙の結果だと思うのです。  日本憲法が実施されまして四十三年たっているのですけれども、初めて国民が主権が自分たちにあるんだ、自分たちの主権が正しく行使されれば政治に対して自分たちの意思が反映できるという、戦後四十三年目の民主主義革命が今回の参議院選挙の成果だと私は思っているのです。だから私は、確かに問題があるのはいろいろおっしゃるとおりなのですけれども、今二名区だとか六名区だとかいう問題よりも、やはり今の国民がそういうふうに期待をしておるのならば、衆議院選挙制度も、私がかねてから言っておるように、政党本位の選挙制度にすることが国民の民意が正しく政治に反映することだ、こう私は現在も認識しておりますし、これは今に始まったことではない。  私は昭和三十五年一月から当公職選挙特別委員会委員をいたしておりまして、党の役員その他をやっておりますとき以外は今日までずっと公選の特別委員をやらせていただいておりますし、前回の選挙制度審議会法をつくるのにも参加をし、そして特別委員として四回にわたって選挙制度審議会に参加してまいりました。そこの中で一貫して流れておるのは、政党本位の選挙制度にしなければ日本政治はまともにいかないというのが昭和三十五年以来の私の主張でもありますが、同時に選挙制度審議会の有識者の意見だったことも間違いないわけです。  ですから、私が今お聞きしたいのは、私は委員会で一九八一年二月に当時の鈴木総理に、それから昨年は竹下総理に同じように、私の主張であります西ドイツ方式の比例代表選挙区制にしたらどうかという提案をしておりますが、いずれもそのときには、選挙制度を変えるのはなかなか大変だから、法律は決めるけれども施行は十年先でいいでしょうという問題を私は両方でやっているわけです。それを受けて、ことしの予算委員会で伊東正義先生が、私もそう言っている、時期は先に延ばして、法律を先に決めたらどうか、こういう話をしておられるのです。しかし、どうも今の情勢は、十年なんということを待っていられるようなのんきな情勢ではない。できるだけ早くこの制度を、今の参議院選挙で成果のあった制度衆議院にも導入するということが非常に重要な段階に来ている、私はこう思うのです。  そうしますと、自民党の皆さんが、基本的な私どもの言っておる政党本位の選挙制度に、目の前の選挙は別ですけれども、その次からは変えますよというのならば、私は二人区や六人区の問題を議論する必要はもうないのではないか。目の前に来ているものを今からここで法律をつくってどうこうできるわけじゃありません。その次も中選挙区でやるというのなら、これは何としてもきちんとやらなければいかぬと思うのです。しかし、もうここの期間がそんなに長くない。言ってみれば来年七月に私どもの任期が終わります。それから四年間は任期がありますから、四年間いたとして、その四年間に実施できるように、各党の皆さんとこういうようなお互いの論議を闘わせる場所で協議をして、政党本位の選挙制度にしていただくことが——これは世界で唯一の個人本位の選挙制度で、個人本位の選挙制度が金を集め、実は問題が起きているということを私は長年主張してきましたけれども、実現できなかった。ようやくここへ来て実現のめどが立ってきた、こういう感じでございます。  私がお尋ねしたいのは、今度選挙制度審議会会長その他もお越しいただいて、その意見も伺うことになるようでありますが、皆さんが政党本位の選挙制度に変えるということについては、私が申していたような十年先ではなくて、まあ来年次の選挙が来るんですね、その次には変えるんだという意思があるならば、私はもう今の二人だ六人だの話は、さっきの山花委員の提案のようにここまでにしておいたらどうかな、こういう感じでございますので、その時期がどこになると自民党が考えていらっしゃるのか、お答えをいただきたい。
  36. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今の堀君の意見というのはかねてからの持論で、私は必ずしもその持論にはくみしていない。各党それぞれ代表議員の皆さんから国会決議との関連における意見開陳があって、それは当面の緊急の急務と私は思っておるわけです。堀君の政党本位の選挙というのは一つの考え方だろうと思う。  例えば小選挙区制そのものを見ても、かつてのハトマンダーあるいはサトマンダー、自民党自身はそれでやろうとしたけれども、激しい反撃を受けて日の目を見なかったという歴史がある。選挙制度問題というのは、すぐれて各党の共通の土俵をつくるということでありますから、一党の考え方を他党に押しつけるということは、これは不可能に近いことなんです。そういう問題は各党協議あるいは十分なディスカッションをやって、こういう制度に変えようというコンセンサスが得られるならば別問題だけれども、いわば一党の党利党略というか、そういうことによって共通の土俵である選挙制度を変えるということは、参議院の逆転状況からいくと、事実上これから三年はおろか六年あるいは九年、不可能に近い状態ということも冷厳な事実だと思うのです。  したがって、やはり将来展望として選挙制度をどうするかを自民党が考える、あるいは野党もそれぞれが考えるということ、これは自由であります。また、選挙制度の問題として、将来の課題として小選挙区制をやるかどうかというふうな問題を検討することは、私は何もそれは絶対だめだという気持ちは、将来の課題としてそういう問題を考えなきゃならぬという時期が来るかもしれない。ただ、その場合は政党法の問題があり、いろいろなそれに関連する諸条件の問題があるだろうと思う。次は小選挙区というようなことで簡単にできるという土俵のコンセンサスも得られていないし、また同時に、それに伴う諸条件というものも大変難しい問題で、いろいろやらなければならぬというところでしょう。したがって、当面の問題としては、今、堀委員から述べられたのはかねてからの持論であることは承知しておるけれども、私はその意見にはくみしない立場であります。  政治的に、当面の定数是正問題、格差是正問題というのは、少なくともハウスの決議としてお互い各政党は認め合ってやったことであって、これを看過し、これを放置して、そして新たな問題に飛び込むということは、各政党の自殺行為に等しいというふうに私は認識するわけであります。  同時に、定数是正格差是正問題というのは、単に政府自民党だけを責めてどうだどうだという性格の問題じゃない。これは国会決議だから、各政党ともに連帯責任を負うという認識に立たなければならぬと私は思う。私も選対委員長を二度やりましたから、定数是正問題、格差是正というのはそれぞれの政党で難しいということは十分体験をしておるのです。しかし、それを乗り越えなければならぬ。それは主権者である国民に対して、我々が一票の重みあるいは国会決議の重さというものは公約どおり実行するということが大前提、大命題だから、そのためには単に政府自民党が成案を得ていないということだけでなしに、我々も含めて積極的にそれを実現するために本会議決議以降どれぐらいやったかということは、率直に言って反省の側面を持つだろうと思っておるわけです。  しかし、それはそれとして、総選挙の火の粉が飛んできているという事態の中で、本会議決議を全然実行せずに総選挙を実行するということは、国民に対して各政党ともに責任を十分果たさなかったということをおわびしなきゃならぬ事態ということだろうと思うのですね。もちろん現在政権を担当しておる政府自民党が、先ほど来の御答弁を聞いておっても、国会決議、それに基づく定数是正を棚上げか放置をして新たな問題に飛び込むというのは、主客転倒だと私は思うのです。お互いにこの会議の中で共通認識としてこれから緊急に最善の努力を、どこまでやれるかということは別にして、やらなきゃならぬことは定数問題であって、各党から述べられたように四百七十一名だとか、あるいはそうでなくて日本衆議院議員定数は諸外国から見て必ずしも多くない、これらを大幅に減らすこと自体議会制民主主義衆議院側の役割を十分に果たせない、私はそういう立場に立つわけですけれども、そういう問題のコンセンサスをしかるべきところでつけなければならないという問題もございましょう。一票の重みを二倍以下にするという共通項があるわけですから、今やらなければならぬことは、国会決議に基づいて、火の粉の飛んでいっておる総選挙を前にしてどこまで可能か。少なくともナッシングのままで総選挙に臨むことだけは絶対に避けるということで、お互い公職選挙法特別委員会に籍を持っておる者はやらなければならぬというのが私の認識であります。
  37. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は二の二人区・六人区の解消選挙区画見直しについての関連で、今の定数是正の問題について発言させて……
  38. 左藤恵

    左藤委員長 それでは、今いろいろ御意見が出ておりますので、次の二人区・六人区の解消について及び選挙区画見直しについてもあわせて討議をお願いいたします。
  39. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと委員長、私は質問しているのですよ。だから、その質問に答えてから次に行っていただきたい。  要するに、自民党側が基本的な政治改革をいつやるつもりか。先の方になるのなら、これはどうしてもやらなければならないのですよ。しかし、この次の選挙の次の選挙からやるという話なら、これはやってみたって、それが日の目を見ることはないのだから、そこを皆さんがどう考えているかはっきりしていただいたら、この問題をどうするかということになります。
  40. 塩崎潤

    ○塩崎委員 今の堀先生の御質問に対する答えは、私どもは抜本改革は早くやって早く実施したい、自民党はそのための努力をしている。
  41. 堀昌雄

    ○堀委員 抜本改革なんという抽象的なことでなしに、政党本位の選挙制度でやるのか個人本位の選挙制度でやるのかです。
  42. 塩崎潤

    ○塩崎委員 政党本位の選挙制度を抜本改革と私どもは言っておるので、これを早くやっていきたい、その努力をしておる、こういうことでお答えしたいと思うのです。そして、その抜本改革の中で国会決議の例えば二人区・六人区の問題、選挙区画見直しについても解決したいという考え方をとっている、こういうふうに私は考えるのです。
  43. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。
  44. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、皆さん方のお話がありましたが、中選挙前提、そして格差是正は一対二の原則だというようなことで考えられておりますが、実は二人区の解消によって私どもの選挙区が大変混乱して、いまだに混乱の状態が続いて、もう一遍見直してくれ、二人区を復活してくれという声があるぐらいでございます。  御承知のように、私どもは森委員が提案した六・減・六増で自民党の中はまとまったのですけれども、議長裁定ということで八増・七減という形にした。そうすると、その中で私どもの愛媛三区は二人区になると思っておったら、私どものところから九万の人口有権者の数六万六千を議長裁定という理由で、住民の同意もなくして編入してしまったわけです。その結果どうなったかといえば、やはり社会的、経済的な関連のない地域の方に持っていかれた私どもの伊予市、伊予郡というところはほとんど投票に行かなかった。そして、投票に行かないどころか、行った人でも、こんな選挙区割りならもう選挙をする気がしないといういたずらの無効投票ばかり。恐らくこの選挙に対する嫌悪感は次の機会も続きそうだ。二人区の解消の結果、被害を受けたのは私の選挙区なのです。  そういったことを考えれば、どう考えてもこれは慎重にやっていただかなければならないし、中選挙区のもとで二人区・六人区の解消をするということは相当限界がある、こういうふうに考えているわけでございます。よほどの住民の説得があってなら別ですけれども、そうでない限りは大変限界が出てきて、一対二になれば二人区・六人区が大変出てくると思うのです。そのときの住民感情、そして選挙に対する住民の政治意識、このような変化が心配される点が大変多い。そういった意味で、これはやはり抜本改革の中で改正していただきたい。そして私どもの選挙区、伊予市、伊予郡の九万の人たちは、何としても経済的、文化的、社会的なつながりのある地域と小選挙区になっても一緒になってやっていってもらわなければ、また同じように選挙に対する嫌悪感が出てくるということを言っておりますので、やはり抜本改革の中で早急に今の選挙区割り見直しもやっていただきたい。二人区を解消する余りの無理がある、あの議長裁定というようなものは本当に考え直すべきだ、こんなふうに私は思っております。
  45. 松本善明

    ○松本(善)委員 私はやはりこの委員会が何を優先してなすべきかという根本問題から議論しなければならぬと思うのです。先ほど来各委員から、党派を超えて国会決議を実行するというのは最優先しなければならぬというお話がありました。  私どもは、この決議ができましたときには、抜本是正案を法案として提案をしたわけです。そのときに我が党案が可決されていればそういう問題は起こらなかったのだけれども、暫定案ということでいわゆる八増・七減案が可決をされて、それとの関係で抜本是正ということの決議ができた。そのために、私ども反対でしたけれども、この決議ができた以上決議を尊重して、それに沿ってこの決議の実行をやろう、そのために定数是正小委員会もやろうということできて、先ほど伏木委員から紹介がありましたけれども、片岡小委員長も、これは中選挙前提でやるんだということをはっきり言われたわけです。その前提自民党の党内で、それは選挙制度についての議論が起こっても御自由ですけれども、この国会で、この委員会で何をやるべきか。  それから、きょうの委員会も、この定数是正決議の実行ということで開かれたものと私は理解をしているわけですが、先ほど来自民党委員の皆さんの発言を聞いていると、中山委員は、決議は中選挙区制が前提だということをお認めになった上で、これを含めて検討しているんだというお話です。森委員は、いや決議政治改革は別問題。塩崎さんになると今度は、定数是正は抜本改革の中でやりたいのだ。おいでになっている三人でも御発言がばらばらなんですね。こういう状態ではだめなんだと私は思うのですよ。やはり決議の実行。そして自民党の中での議論は、小選挙区問題でも、先ほど中山さんの最初の発言で、政治改革大綱で金がかからぬということを読まれましたけれども、海部総理大臣はこの国会で、金がかかる、かからぬということで小選挙区を言うのは間違っているとちゃんと答弁しているわけですよ。自民党の中の議論も、この決議を実行するというようなことと大分離れてしまっているのではないか。  先ほど山花委員からもお話がありましたけれども、この委員会で、この決議の実行ということについて自民党は案を全く出さないんだ、きょうは出せないという話で、出す意思がないのではないかということを今までの議論の中で私は感じたわけです。それだったら、この委員会のあり方について根本的に考え直さなければいかぬ。国会決議に挑戦するような発言がそのままであって、本委員会はそのままやっていっていいのだろうかどうか、そういう根本問題に触れるのじゃないだろうか。そこは自民党委員の皆さんは根本的に考えられないと、この委員会をそのままやって、ただお互いに物を言い合っているだけで、それでいいのだということにならないと私は思うのです。どうお考えになりますか。
  46. 森清

    ○森(清)委員 我々三人の意見が食い違っているということは、とりあえず正しい。一枚岩じゃないものですから、それは多少のニュアンスは違います、問題の重点の置き方が。私は何も国会決議を無視するなんて言ったことはない。国会決議の線に沿って鋭意検討したが、いまだ勉強不足で党内まとまりがつきませんから謝ります、それとは別に政治改革、それから選挙制度の抜本改革は進めておりますということを言っておるだけで、何も矛盾したことを三人言った覚えはございません。  その点はそれとして、松本委員の御指摘のように、本当に我々当委員会に所属し、またあるときは私は当委員会委員長もさせていただいて、私も残念に思っているのです。やはり国会決議というものがある以上、それに向かって最大の努力をしなければならなかった。しかし、自民党は一生懸命やったのだけれども、その具体的な成果が上がりませんでしたと、そのことは率直にわびておるわけですから。政治ですから、それを前提にして、さてどうするかという議論をしてください。おまえやらぬとはけしからぬじゃないか、やれやれと言ってそう簡単にできるものじゃないのです、これは。そのことを冷静にお考えいただいて、はて当委員会はそれに対してどうしていくか。本当に今言われたとおり、原点は仰せのとおりですから、だから今現時点で責められて、おまえバッテンつけるぞと言われたところで、バッテンはつけられますが、現実の政治はそれでは動かぬわけです。我々は抜本是正定数是正をやらぬと言っているわけではない。やろうと努力したが成案はできませんでしたと言っている。その点をよくお考えいただいてやってください。
  47. 川端達夫

    川端委員 いろいろ議論が脱線しているような気もするのですが、去年の五月十八日のこの委員会の議事録を読んでということで、あの時点ではまだそれでもよかったのかな。ただ、もう任期も一年なくなり、解散もとやかく言われている時期にこういう状態でいいのだろうか。今、森先生言われましたけれども、どうするかという議論をしなければならないというときの前提としては、やはり国会決議をどう具体化するかというためにこの委員会は開かれたのではないかな。それから、現実に政治改革をしていく中で抜本的に選挙制度も考えなければいけない、そういう議論をすべきだというのはよくわかるのですが、そういう問題と同時に、国会で決めたこと自体が具体的に実行できないということは、まさに政治不信根底であると思います。  そういう意味で、今までの議論で、いろいろ難しいし、なかなかまとまらないということはよくわかるのですが、現実にそういうままで推移しますと、国会決議があった、しかし全然まとまらないからということで、この一年以内に実施される総選挙が間違いなく三倍の格差を超えた選挙区を有したまま、そして国会決議二名区・六名区は問題があるということも指摘をされているにもかかわらず、今の部分であればそのままやるということにならざるを得ない。この委員会は、そういうことにならないために、具体的に物事を決めようということで開いているというふうに認識をしているのですけれども、それはやろうという意思をお持ちなのか。いろいろ理由、背景等々はわかりますけれども、そのことが基本的に認識が一緒でなければ議論にならないというか、意味がないのじゃないか、こういうことです。ただ何もやらないのはいけないからやったみたいな、やりましたよということではいけない。  議論として例えば選挙制度、堀先生言われるように抜本的なところを議論をするというのも大事かもしれないけれども、今の時点はそれではなくて、国会決議を受けてどうするのか、具体的にどう答えを出そうかということの議論をするという、そこが土俵が違うと議論として何かずれてしまうように思うのです。次の総選挙、もう一年以内に行われるときには違憲状態を起こさないように、そして国会決議にあるような二人区・六人区は解消するということに最大限努力するという部分は、それでよろしいのでしょうか。
  48. 森清

    ○森(清)委員 当委員会、特に今日は国会決議をどう実現していくかということのために開かれた委員会ですから、この場で抜本改正をどうしようということを議論するために来たわけじゃないのです。したがって、国会決議に従った定数是正実現できるかどうか、どうやるかということについて我々も検討している。ただ、それが具体案を示されなかったその言いわけをしただけですね、この抜本改正について。だから、抜本改正をここで議論して、ごちゃごちゃにしようなんということではございません。言いわけする言葉は悪いかもしれませんが、現実にまとまらなかったのです。現実にまとまらなかったという現状を御説明しておるわけです。我々は任期ももうすぐですから、そんな悠長なことでだめじゃないかということで、しりをひっぱたかれることも結構です。我々も努力しますが、現実にまとまってないということです。  そこで、この決議も必ずやらなければなりません。文言もそう多いわけじゃありませんが、「速やかにその抜本改正検討を行う」、検討はしているわけです。検討しなかったわけじゃない。まだ自民党の方がいろいろな資料その他整えて、各党よりかもっと緻密な検討はしたと思いますよ。それならもっと時間がありますから、各党どういう検討をしたか、見せ合ったらいいと思いますよ。私は本当にまじめに検討したのですよ。そしてそれが現在まとまらなかっただけです。検討の結果あるいは経過について皆さん方と示し合わせてもいいくらいです。しかし、現実にはできておらぬから、そういう現実を踏まえて当委員会でこれをどうまとめていくか、どうするかということを、きょう相当の時間をとろうということですから、私もそれは賛成してこうやって皆さんと胸襟を開いてお話をさせていただいて、皆さん方の御意見もよく聞かしていただきたい、こういうことの委員会だと私は思っているのです。
  49. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 先ほど塩崎委員からずっとお話があったことにちょっとお答えをして、次の提案をしたいのです。  一つは、塩崎先生、三名区だとか二名区になられたということで、住民の方々のお話は過日当委員会でもお伺いしたわけでございますけれども、これは振り返ってみれば、中曽根さんが無理をして周知期間、あのとき渡部国対副委員長が九十日間などと言っていたのをどんどん短くして、結局最終的に法律上三十日間にしてという経過の中で、九十日ならば住民の方々が納得していただけるかどうかわからないけれども、そういう無理を中曽根さんが当時強行したことで、住民の方々には随分御不満もあったと思うのですよ。  それともう一つ、例えば西ドイツ方式の比例代表選挙区制にしてみたって、あれは選挙区の部分で出てくる一名区については区画変更があるわけで、そのための三分の一偏差方式をやり、かつ正式には区画委員会というものがあるわけですからね。塩崎先生が実害をこうむったと言われるような区画変更というのは、西ドイツ方式を使ったってこれからあり得るわけです。ただ、その場合に政党のウエートがどれだけ今と変わるかどうか、個人政党との関係のウエートが少し違うから、それは少し違ってくるかとも思いますけれども、それだって区画変更地域変更というのはあるわけですね。ですから、今までの議論の中で中山理事、森理事からお話があったように、何か自民党さんの方では、例えば西ドイツ方式のような選挙制度にすれば、もう永久不変に自分のところの選挙区の地域は変わらないのだという議論前提にしているから、現状の中選挙区でやると地域が随分変わるから、大変だから選挙制度にいくというのは、少し私はそれ自体誤解があるのじゃないかと思うのです。  それはそれといたしまして、大体私たちの前提は、昨年五月に小委員会をやったときに、ここに出ている五つの問題について、格差の問題についても原則二倍以下にしなければいかぬなということは野党の方は大体考えは一致している。それから議員定数についても、まずとにかく五百十一、あるいは五百以下というところもある、四百七十一という数字もあるでしょうけれども、いずれにしろ五百十一以内にしなければいかぬということについては大体野党の方は一致している。過疎過密問題については、二倍以内ということの中で大体それは消化をすればいいのではないかということ、これも一致をしている。それから二人区・六人区の解消については、これは当然のこと解消する。それから選挙区画見直しのやり方については、五十年改正のときに一つ原則があるわけでございますから、これを援用すれば、大体合分区でやれば選挙区画見直しというのはできるのではないかということで、大体野党のやり方、考え方、基本というのは一致をしているわけですよ。それは区画委員会をどういうふうにつくるとか、どこに置くとかという問題は皆さんで議論すればいいわけですから、野党側の方は大体一致をしているので、あとは自民党さんの方で、こうなるわけですね。  そこで、私はそういうことが可能かどうか提案をしたいのでありますが、森理事からお話があったように、選挙制度の問題、これは各政党おのおの議論していくことは、これは政治改革の一環として自由だと思うのでありますが、定数是正問題については別の問題だという御表現がございました。私もそのとおりだと思うのです。ですから当委員会、当国会においてやらなければいかぬのは、この国会決議をどう実現をしていくかということなので、そのためには野党の方は大体考え方がほとんど一致をしているわけですから、あとは自民党さんの方だということになってまいりますと、他党の議論の中に手を突っ込むようなことはどうかと思いますけれども、やはり焦点がそこに行く限り、今自民党さんの方でこの問題をやっていらっしゃるのは砂田先生なのか伊東先生なのか、新聞で見る限りしかその辺のところはわかりませんけれども、お互いに衆議院のハウスにいる議員同士という立場で、お互いに決めた国会決議というものをどう実現していくかということにしていくためには、御三人では足りないという意味ではなくて、自民党の責任者の方々にお越しをいただいて議論を深めるというのも一つ方法ではないか。そこまで国民世論的にも喚起をして、当委員会としては議論を詰めていく必要があるのじゃないかな。そうしませんと、いつまでたっても同じ堂々めぐりをしているような感じがするわけです。  委員外のそういう方をお呼びをするというのは、ほかの方の参考人と違いますから、また別の御意見もあろうかと思いますが、その辺までいきませんと、いつまでたっても当委員会としては前に進まないのではないかというふうに思うのでございます。これは理事会でも協議することかと思いますけれども、御意見があれば伺わせていただきたいと思います。
  50. 森清

    ○森(清)委員 この国会決議があってから後もそうですが、その前からも、実は自民党では本当に膨大な資料を駆使して、相当真剣な研究をし尽くして、そうして今の時点で改革是正案ができてないという現状をひとつ御理解いただきたい。したがって、ここへ来てそういう党の責任者に皆さん方やれやれと言ってみたところで、ああそうですか、やりますと言うわけにはなかなかいかぬと思うのですね。  ここで、そういう現状だということを前提にして、こういう非常にフリートーキング的な委員会ですから、例えば選挙区割りについては、皆さん方の案の中では第三者機関に任せるというようなお考えもありましょうし、そういう案ならそれでしょうがございませんが、仮に二倍以内に格差をおさめてやれば、公明党は四百七十一で、これは出ている。五百十といっても、これは計算ですから簡単にできますがね。そういうことをすれば各県ごと定数はどうなります、そして選挙区割りは割ったら大体こうなりますよというような素案でも、どの党でもいいですが、つくっていただけば、我々はまたそれを党内に持ち帰って、野党の案はこういうことだ、どうだろうというようなきっかけにもなると思うのですね。我々の方はそういう状況で、なかなか案をつくるというところまでいっておらぬものですから、基本的に方針が決まらぬものですから、こちらの責任者を呼ぶことも結構ですが、皆さん方の方も御検討なさっていることでしょうから、多少具体案が御提示できれば我々はそれを参考にさせていただいて、またこういうものが出ているのだから、ひとつこれをもとにして検討しようじゃないかということもできるのじゃないかと思います。
  51. 伏木和雄

    伏木委員 ほかの法案と違いまして、これは従来各党合意で進めようというところに難しさがあろうと思います。ほかの法案ですと、どちらかが提案して、あとは賛否を問うということで多数決ということになるわけですが、この選挙制度につきましては、極力各党合意を見出そうということから、フリートーキングで話し合いということになっていようかと思います。  先ほど来小選挙区制の話もございました。あるいは、堀先生からも長年の持論が発表されたわけでございます。中長期的制度に向かって各党議論をするということは、先ほど申し上げましたように、これは当然あるべきことであろうと思います。しかし、各党間におきましても、中長期的制度について必ずしも党内においての合意はできていないんではないかと思います。例えば、自民党さんの中においても単純小選挙区制と言う方もあれば、小選挙区比例代表あるいは併立制、併用制、いろいろ議論があろうかと思います。したがいまして、各政党でもまとまってないその制度をここで幾ら議論しても、結論が出るものではないと私は思います。  しかし、この現行選挙区制におけるところの定数是正という問題につきましては、本会議において各党一致して賛成をしたわけであります。少なくとも議員一人一人はこの決議に対して責任を持っている。共通の責任がある。ここでは一致できるのではないかと思うのです。したがいまして、私どもは党内でいまだ定まっていない議論を持ち出してやるよりも、議員合意として本会議において決議し、議員一人一人が責任を持って果たさなければならない国会決議というものを前提に当委員会議論していくということが本筋ではなかろうか、このように考えます。  それで、どこかの党が出せというのならば、実は私ども四百七十一をもとにいたしまして、全選挙区に合区、分区、これを行いまして案をつくってございます。それは出せというならばきょうにでも、ただいま出しても結構でございます。そういったものをたたき台として中選挙区制を議論していこうというのであれば、私どもこれを直ちに提出して、それを土台にして各党で御意見を承りたい、御議論をしていただきたい、このように考える次第でございます。いずれにしても、合意を得ている現行選挙制度をもとにしての定数是正を当委員会検討すべきではないか。委員長も大変でございましょうけれども、この点でひとつ方向だけでも定めてもらいまして、それで議論をしていきたい、このように考えます。
  52. 塩崎潤

    ○塩崎委員 今の伏木さんの御提案はよく理解できるのですが、ひとつ皆様方の案、具体的な選挙区割りまで含めての案を出していただきたい。そして私ども持ち帰って党内で相談する、そしてまた御返事するということにしたいと思うのです。ただ、四百七十一に国会決議の趣旨はなっているかどうか。決議の背後にある考え方は恐らく抜本改正の前の国会決議でしょうから、五百十一みたいな気が私はするのですけれども、そのあたりひとつ御検討になって出していただきたい。
  53. 伏木和雄

    伏木委員 国会決議では五百十一とも四百七十一とも明確に定めておりません。たしか総定数について検討するというふうになっていたんじゃないでしょうか。「議員定数及び選挙区画見直し」というように定めてございます。意図するところは、暫定的にあそこで一名ふやして八増・七減にした、したがって、このふえた一名は次はどうしても削ろう、こういう前提はありましたけれども、決議自体は総定数を見直す、こういうようになっている。
  54. 松本善明

    ○松本(善)委員 自民党の方から具体案を出せというけれども、我が党は八六年の国会に区割り案まで含めて五百十一、それから三ないし五人区、それで格差一対二未満の案を出しているわけですよ。今やるとすれば、それは若干の人口移動がありますから多少の異動はあるけれども、基本的にはどういうことになるかということは、自民党は知ろうと思えば幾らでもあるのですよ。その原則一致ができれば、やり方は若干違っても、ほとんど大体事務的に可能なものですよ。  問題はそういう具体案ではなくて、私の方はもう既に基本的には出していますから、その案ではなくて、定数是正についての原則一致なんですよ。それをしないで格差一対二未満とか総定数だとか、選挙制度についての意見一致がないまま幾ら野党が案を出しても、自民党の方でそれをもらっていって時間引き延ばしになるだけだと私は思うのですよ。考えようと思えば幾らでもある。私の方は出しているのだから。今、佐藤委員から話もありました。自民党の責任者からお聞きするとか、あるいはいつという期限を限って自民党が案なり考え方をきちっと出して、この決議の実行ということについての意見を出すとか、自民党がそういう何かするということで前進しなければ、これはもう一歩も進まないと私は思いますね。
  55. 伏木和雄

    伏木委員 先ほど私ども区割り案までできていると申し上げましたけれども、公明党としての原則は、今話がありました選挙制度というものの基本原則を定めて、そして各県に対する定数配分までを法制化し、法律で定め、そして各県におけるところの区割り、選挙区の定数、これにつきましては定数配分のための定数委員会、行政委員会をつくってここにゆだねるという考え方でございまして、案はつくってあります。したがって、この区割りについては、党としては第三者機関である行政委員会をつくってそこへゆだねる、こういうことにはなっております。
  56. 中村巖

    中村(巖)委員 今、佐藤委員からも御発言ありましたけれども、いずれにしても、本日の委員会国会決議実現するその方策について論議をする委員会でございます。したがって、検討項目についても、それぞれ格差の問題についてとか、議員定数見直しについてとかいろいろ書いてある。ところが、自民党さんは今まで成案を得ない、こういうことをおっしゃっておって、これらの問題についても何らの案というか、そういうものをお持ちにならない。こういうことではこれ以上議論が進められないのじゃないか。自民党さんは与党でもあり、かつ最大の政党であるわけですから、その方々がそれについての原理原則あるいは確定的な考え方が何にもないということでは、これ以上議論をやってもちょっと無意味というか、そういうことに帰するのではないかというふうに思います。
  57. 森清

    ○森(清)委員 やはり衆議院委員会ですから、多数を占めておる我々が案を出さないと議論することが無意味だなんて言われないで、ひとつやってください。お願いします。
  58. 左藤恵

    左藤委員長 本日は、各党委員の忌憚のない御意見を拝聴いたしまして、今後の協議に大いに資するところがあろうかと存じます。議論も尽きないところではありますけれども、本日の討議は、この程度にとどめることといたします。  次回は、来る十一月十七日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時十四分散会