○山花
委員 今お話しのとおり、本年発表されました昨年の
政治資金の
状況について振り返りますと、いずれのマスコミの見出しもそうだったわけですが、史上最高の一千七百二十三億円である、金はかかっている一方であるということが明らかになりました。
政治と金の絡みにつきましては、現実には
国民の
疑惑の目が注がれながら、その点についてはなかなか解明することができません。わずかな手がかりがこうした公的な発表、そこでの資料を分析するということになってくると思います。今のお話の中でも特徴点が幾つか出ておったのではなかろうかと思います。
一つは、六〇%以上増ということになりました
党費、
会費等の
関係です。もう
一つは、今ちょっとお話の中では触れられておりませんでしたけれども、いわゆる
パーティー収入についての
資金づくりというものが相変わらず続いておったということが特徴点としてあったのではないかと思うのであります。
そこで、具体的な問題について
伺いたいと思うのですが、先ほどからの議論でも、
政治と金の
関係について、したがって
選挙制度の改正である、
政治資金規正法の改正である、こうした議論がなされたわけですけれども、もっともっと先に手をつけるべきところがあるのではなかろうかと私は考えるところであります。
実は、莫大な
政治資金の非常に重きをなしている自民党の
党費と党友費の
関係であります。かつてこの問題につきましては、昭和五十二年の自民党の全党員による総裁予備
選挙の実施に際しまして、そのための党員づくりということが行われました。最近は
投票によって総裁を決めるということがありませんでしたので、その時点にはある程度の党員づくりが行われましたけれども、中心はやはり参議院比例代表区の予定候補が順番を決めるための材料として党員を集める、ここのところに党員、党友拡大の原因というものがあると思います。ここ数年振り返りましても、いわば
政治資金の調達が頂点に達するのは参議院の
選挙が行われた年である、こうなっているわけでありまして、実はこの点につきまして若干、公にされた資料で私の方で調べてみたわけですが、公の資料ということになりますと、官報に
掲載されました自民党の
収支の
報告ということになります。
まず党員の
関係について見てみますと、六十二年につきましての
報告では、党員が百九十九万一千四百四十七人、これによる
党費が二十九億八千七百十七万五百円ということになっています。六十三年度につきましては約三百万人増員いたしました。これはやはり
比例代表選挙における自民党の順位争いのための各候補の党員集めということにあると思いますが、五百万一千九百八十名、
党費収入は七十五億二百九十七万円、こうした数字があらわれております。これが実は
選挙が終わりますとがっくり党員が減るということにつきましては、本年八月三十一日現在で自民党が発表いたしました党員は二百九十六万三千三百十二人、新聞では四割減った、二百万人減ったということが報道されたところであります。
そこで、今申し上げました党員と
党費の
関係につきましては、ここに書かれている数字は自民党本部に対する上納金ということになります。したがって千五百円、一人の
党費は四千円ということでありますから、都道府県に行く分を含めますと、五百万人として二百億円の金が
党費として集められたという形になります。このうち
比例代表選挙の候補がどれだけ集めたかということについて、これもいわば公表された資料からの分析でありますから正確さは欠くかもしれませんが、六十二年、六十三年の増員の差ということになりますと三百万人であります。四千円掛けますと百二十億円。一応形の上では自民党の党員拡大、比例代表の順番をつくるための
党費という形による
資金集めで百二十億円集めたというように見ることができるのではなかろうかと思います。
同じように自由
国民会議の党友の
関係について見ますと、六十二年度が八万九千二百六十七人であります。一人一万円、入ったお金は八億九千二百六十七万円であります。
選挙を迎えました六十三年には、これが八・八倍に膨らみます。党友の数が七十八万一千百二人、入った党友費は七十八億一千百二万円ということになります。この間の増員分は六十九万一千八百三十五人、党友一人一万円、金額にして六十九億二千万円、約七十億円が党友費ということで自民党に入りました。
こうして入ったお金につきましては、実は
資金の流れが非常に複雑でありまして、なかなかつかみにくいのであります。党友の組織である自由
国民会議に入り、これが自民党の
政治資金団体である
国民政治協会に入り、これが自民党本部へ行く。さらにこれが問題となっている還流ということもある。なかなかつかみづらいわけでありますけれども、今申し上げました数字から一応の形の上での推定ができますのは、党員分が百二十億円、党友分が七十億円、
合計百九十億円ということになります。自民党の比例代表に載りました二十六人、辞退された方もありましたけれども、その方もぎりぎりまでは党員集めをされておったものと思います。そうなってくると、各
候補者が一人七億円を党の本部に納めなければ名簿の順番に載っけてもらうことができなかった。それが大きいか小さいかによって順番が決まるわけでありますから、各候補が懸命に党員を集めた。こうした形で、この
党費と党友費が非常に大きな比重を占めているというのが特徴の
一つとして挙げられるのではなかろうかと思います。
そうなってきますと、参議院の制度につきまして、これは衆議院についても同じで、後ほど触れたいと思いますが、金のかかる
選挙に対する
批判から、先ほど来
政策本位の
選挙制度あるいは小
選挙区制の問題に連なるような議論がされておりましたけれども、金がかかっているのは実は別のところにもあるのではなかろうか。こうした形で金を集めるということは、その金を使うから集めるということにもなるわけですけれども、党員、党友のために百九十億円集める。一人の候補が七億円集めなければ自民党の
立場での
選挙の戦列に参加することができない。こうしたことがまず金のかかる
選挙制度の根本の問題としてあるのではなかろうかと思うのでありますけれども、今の数字につきましては、これは自治省ではお答えいただきにくいかもしれません。大臣にこうした問題についての御所見をお
伺いいたしたいと思います。