○山田
委員 今私は、
交通安全対策のソフト面の充実ということについて、一、二本年の死亡
事故を分析する中で申し上げたつもりでございますが、そのほかにもいろいろあるわけです。
例えば、非常に身近な問題ではPTAとか父兄会とか地域の自治会とか、そういう婦人部の
皆さん、御婦人の
皆さん、お母さん方が、いわゆる緑のおばさんというような言われ方をしておりますけれ
ども、そういういろいろな広範な方々が、児童をあるいは
人々を
交通事故から守ろうということで
努力をされているわけでございます。例えば、こういう緑のおばさんに対しても、研修の
機会を持ってあげるとか、統一した制服とか、子供たちが横断するときに旗などを出すわけですけれ
ども、そういうものももっといいものをとか効果的なものをとか、そういう問題についても私は今後はしっかり対応すべきだというふうに思うのです。そのためには、後ほど触れますけれ
ども、ハード面の
道路を建設します、中央分離帯を
つくります、譲り車線をつけます、あるいは交差点の改良をやります、ここには
特定財源がついているわけですね。しかし、ソフト面には
特定財源はないわけです。一般
財源です。
例えば、
警察庁一つとってみても、いろいろなお仕事があるわけでしょう。職務というのがいろいろな分野にわたってある。一般
財源でそれを対応するということになれば、おのずから
予算の枠というのは当然限界があるわけです。こういう面についてもやはり必要である。
それから、十六歳から二輪車の免許を取得できますから、例えば学校の
要請などを受けまして、白バイ隊とかそういう二輪車の実技講習、あるいは安全マインドの養成とかということを目的として実際に
指導あるいは教育をなさる。そういうときに使われる器材とか、例えば実際にバイク等の免許を持っていない子供をバイクに乗せて
指導する必要はないわけですが、しかしそういう場合にも、興味のある子供たちに対してはシミュレーターなどを使っていろいろと安全教育というものができるはずです。これもやはり
交通安全対策のソフト面の重要な
一つだというふうに
考えられま
す。
それから、さきに
交通局に私ちょっと
質問なりやりとりをさせていただきましたけれ
ども、何と言うのでしょうか、モータースポーツ施設とかモータースクールとか、ゴルフ教室があるあるいはテニス教室がある、バイクの、二輪車の教室があってもいいんではないですか、こういう
考え方も当然出てくるわけでございます。
要するに、そういう施設の
整備、施設だけ見ればそれはハード面と言えるかもしれませんけれ
ども、そこで二輪車のあるいはモーターの基本的な動かし方とかそういうものをしっかり教えていくという
意味において、リーダー、人も含めてやはりこれはソフト面に入れて
考えられてもいいのではないか。そういうところにもやはり
特定財源なりしっかりとした
予算というものがつけられれば、いろいろとやっていくことができるわけです。
あるいは
事故分析の
高度化、これも極めて大事です。これは、別途時間の許す範囲でちょっと申し上げてみたいと思うのです。
それから、先月十七日の
閣議で大蔵
大臣も御
発言されておられました。要するに、
交通管制センターとか
信号機とかこういうものが系統化される、あるいは
高度化される、改良されるということになれば、確かに
事故は減るのだろうという趣旨の御
発言を
閣議でなさっておられるわけでございます。そういうことから
考えましても、やはり
交通管制センターを充実拡大することによって例えば渋滞の解消、
交通情報のサービスを十二分に提供していける
体制をつくっていく、ひいてはそれが
事故減少、死者減少というところにつながっていくというふうに
考えられるわけでございます。
繰り返して申し上げるようになるかもしれませんが、現行の
交通安全対策と
財源という角度から見てまいりますと、
交通安全教育、それから各種免許者講習とか安全運転管理者講習、これらは
特定財源。それぞれ免許手数料、講習手数料とかを出して
特定財源がつけられているわけです。その他というところが、例えば僕が申し上げました緑のおばさんとか学生に対する安全教育あるいはモータースポーツ施設とか
事故分析の
高度化とか
交通管制センターの拡充とかというのがその他に入ってくるわけです。これは一般
財源なんです。それから、
交通の取り締まり、これも一般
財源なんです。
特定財源ではないのです。限られた
予算の中でこれはやらざるを得ない。
それから、
交通環境というところで見てまいりますと、
道路本体、これは
道路管理者ですね、
建設省。直轄
事業、補助
事業、単独
事業、ハード面には全部
特定財源があるのです。それから、この
道路管理者分の
交通安全施設整備費、これも要するに揮発油税とか石油ガス税とかという形で、全部
特定財源がつけられているわけですね。この部分はいずれもハード面です。
今度は、同じ
交通安全施設等で公安
委員会分。特定
事業、これは一般
財源。
都道府県の公安
委員会がいろいろな
交通安全施設整備をやります。それに
警察庁が一般
財源として二分の一補助をするという形で金を出す。これは限りがあります。
それから単独
事業、
都道府県公安
委員会が
実施する
安全対策施設
整備の
事業については、これは特交金という形でいわゆる
交通違反者の反則金がここで充てられてくるわけです。その
意味では、
特定財源といえば、六十三年実績では反則金が大体八百億足らずですね。それを大体
道路管理者と市町村とこの公安
委員会が使うわけですけれ
ども、恐らく二百億前後じゃないんでしょうか、ここのところの
特定財源というのは。だからなきに等しいということです。
ずっと申し上げてまいりましたように、ハード面に力点を置いてきた今日までの
交通安全対策というものを、初めて
政府が
非常事態宣言を発したというこのポイントを大きないわゆる転換点といいますか、そのようにぜひとらえていただいて、これを機に、ハード面も大事です、これも大事です、と同時にソフト面からの
交通安全対策というものを今後はもっと真剣に、強力にやはり取り組んでいく、
推進をしていく、取り上げていく、こういう
姿勢が大事です。
そうでなければ、また来年だって同じような結果が出てきますよ。若者が全死者の四割、お年寄りが二割強。その原因はスピードの出し過ぎ、お年寄りの原因は信号無視、車の直前直後横断。同じ傾向が今後またずっと続くということになりかねません。したがいまして、ソフト面を充実させるということは、現下の
交通安全対策の極めて重要な
課題であり、そしてまた極めて緊急性の高い問題であります。
ソフト面を
強化しました、それはすぐに効果が出るということではないかもしれません。しかし、
対策を何年か打たなければいつまでたっても改善されないだろう、着手をすれば何年か後には必ず効果が出てくるというように私は思うわけです。これは
国家公安委員長、それから
総務庁長官に御意見をお聞かせいただきたいと思います。