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寺嶋政府委員 取りまとめお答えいたします。
第一に
荷主への
勧告規定でございますが、従来、
荷主に対する行政としまして都道府県
トラック協会に対しまして
荷主の理解を得るための
荷主懇談会の開催等を指導しているところでございますが、六十一年十二月の公正取引
委員会の調査によりますと、
荷主の強制によりまして
過労運転、過
積載等の違反
行為を余儀なくされている実態が明らかになっております。したがって、
貨物自動車運送事業者等に対する
規制あるいは
行政処分のみならず、
荷主からの不当な要求を受けやすい
環境を改善する施策が必要であると
考えた次第でございます。
このために、
違法行為を強要するような
荷主に対しまして事態の改善に必要な
措置をとるべきことを
運輸大臣が勧告できるという新しい制度を本
法案に盛り込み、
事業規制の遵守の
実効性を高めるように手当てしたものでございます。
この
勧告規定の発動
要件でございますが、
運輸大臣としまして、その勧告の社会的影響を考慮しまして、できるだけ客観的かつ慎重に調査する必要があると思っております。具体的には、当該違反
行為を行った
事業者などから聴取した情報でありますとか
運送契約書、
運送依頼書などの証拠に加えまして、対象となる
荷主と取引
関係にある別の
トラック事業者等の
関係者から徴収した情報などを
基礎にしまして、
荷主の指示または違反
行為を引き起こすような
行為の有無につきまして認定することを
考えております。また、
トラック事業者に対する
命令または処分のみでは当該違反
行為の再発を
防止することができないと認めるときには、
荷主の指示
行為は明らかではないものの、当該
荷主と取引
関係にあります
トラック事業者がことごとく
大臣の
命令とか処分の対象になるような事態というのが典型的な例として
考えられます。
それから、
運賃の適正収受ができないために
過労運転、過
積載等の
輸送の安全が
確保されない
状況がある場合に、利用
運送事業者を含む
荷主と
トラック事業者との公正な取引
関係をどうやって担保するか、こういう第二点でございますが、
運賃の適正収受が過
積載とか
過労運転等の
防止にとりまして重要な役割を果たすことは御
指摘のとおりだと思います。そこで、この
法案に基づきまして、
トラック事業者が届け出た
運賃以外の不当に廉価な
運賃によることを強要するような
荷主に対しましては、
荷主勧告等の
規定の厳正かつ機動的な
運用を通じてその
適正化を図っていきたいと思っております。この場合の勧告の対象となります
荷主には利用
運送事業者が含まれることは当然の
ことでございます。
それから三番目に、
貨物自動車
運送適正化事業実施機関でございますが、この
適正化実施
機関は、趣旨としまして民間の自主性に基づいて実施されるというものでありまして、国はこれを行う民間法人を指定してその後押しを図るという
性格のものでございますので、
適正化事業が公正に行われる必要があるのは御
指摘のとおりであって、そのために民間団体の指定
要件として公益法人に限定することにいたしました。さらに、本
法案によりまして指定の取り消しとか改善
命令等の監督
規定も設けているところでございます。
適正化事業の実施
体制につきましては、現在既に
輸送秩序確立のための
事業を社団法人全日本
トラック協会等がやっておりまして、その実績とか意欲を十分に尊重していく必要があると思っております。なお、
トラック協会が指定を受けます場合でも、
適正化事業が公正かつ着実に実施されるように
トラック協会に対する指導監督の徹底を図ることは当然のことでございまして、実施
体制につきましては進捗
状況を見て引き続き検討をしてまいりたいと思っております。
それから最後になりますが、
運賃収受に関しまして
トラック事業者が
届け出運賃を守らないでダンピングをした場合の処分でございますが、そのような場合には、既に
事業者自身が届け出た
運賃と異なる
運賃を用いて
事業を行うということになりますので、その違う
運賃を新たに届け出る必要があります。これがもし不当な
競争を引き起こすようなものでございます場合には、第十一条第二項による
変更命令の対象になります。また、届け出た
運賃と異なる
運賃で
事業活動を行う場合には、第七十六条第三号の
規定によりまして罰則がかかります。それから、
変更命令に従わない場合には、第七十六条第一号の方の
規定による罰則がかかることになります。