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1989-11-21 第116回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成元年十一月二十一日(火曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 島村 宜伸君    理事 川崎 二郎君 理事 久間 章生君    理事 武部  勤君 理事 二階 俊博君    理事 新盛 辰雄君 理事 長田 武士君    理事 小渕 正義君       魚住 汎英君    岡島 正之君       加藤 六月君    亀井 善之君       鴻池 祥肇君    関谷 勝嗣君       高橋 一郎君    緒方 克陽君       左近 正男君    戸田 菊雄君       吉原 米治君    辻  第一君       中路 雅弘君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 江藤 隆美君  出席政府委員         運輸省地域交通         局長      早川  章君         運輸省貨物流通         局長      寺嶋  潔君         運輸省航空局長 丹羽  晟君         運輸省航空局技         術部長     中村 資朗君         海上保安庁次長 野尻  豊君  委員外出席者         運輸省貨物流通         局審議官    土坂 泰敏君         労働省労働基準         局賃金時間部企         画室長     石川  透君         参  考  人         (社団法人全日         本トラック協会         理事長)    沼越 達也君         参  考  人         (社団法人全国         通運連盟理事         長)      水野節比古君         参  考  人         (全日本運輸産         業労働組合連合         会中央執行委員         長)      秋田 哲也君         参  考  人         (全国港湾労働         組合協議会議         長)      亀崎 俊雄君         運輸委員会調査         室長      荒尾  正君     ───────────── 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   村上  弘君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   辻  第一君     村上  弘君     ───────────── 本日の会議に付した案件  貨物運送取扱事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七四号)  貨物自動車運送事業法案内閣提出、第百十四回国会閣法第七五号)      ────◇─────
  2. 島村宜伸

    島村委員長 これより会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を一括して議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人から意見を聴取いたしたいと存じます。  本日御出席参考人は、社団法人全日本トラック協会理事長沼越達也君、社団法人全国通運連盟理事長水野節比古君全日本運輸産業労働組合連合会中央執行委員長秋田哲也君、全国港湾労働組合協議会議長亀崎俊雄君、以上四名の方々でございます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いいたします。  次に、議事の順序について申し上げますが、まず沼越参考人水野参考人秋田参考人亀崎参考人順序で、御意見をお一人十分程度に取りまとめてお述べいただき、次に、委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。  それでは、沼越参考人にお願いいたします。
  3. 沼越達也

    沼越参考人 ただいま御指名いただきました社団法人全日本トラック協会理事長沼越でございます。本日は、法案審議に際し、参考人として意見陳述する機会を賜り、まことにありがたく、また光栄に存じております。  意見陳述に当たりまして、まず、衆議院運輸委員会の諸先生には、平素からトラック振興につき深い御理解と御高配を賜っておりますことに対し、厚くお礼を申し上げる次第でございます。  それでは、まずトラック事業の概要について申し上げたいと思います。  トラック輸送は、昭和六十三年度の国内貨物輸送トン数六十一億トンのうち九一%を占め、輸送トンキロにおきましても四千八百三十四億トンキロの五一%と半分を超え、今や国内貨物輸送の大宗を占めるに至っております。そのうち、営業用トラックは、保有台数では八十九万台で全体の八・九%にしかすぎませんが、輸送トン数においてはトラック全体の三八・五%、トンキロにおきましても六九・三%と逐年輸送シェアを拡大しております。営業用トラックは、このように自家用トラックに比較して極めて効率の高い輸送力によって、一般消費者に対する宅配便引っ越し輸送を初め、産業用資材輸送に至るまで、我が国産業経済の大動脈として重要な役割を果たしております。  次に、トラック事業者の実情について申し上げます。  全国におきますトラック事業者の数は約三万八千業者でございまして、その九九・五%が中小企業でございます。しかも、車両数二十両以下の小規模事業者が七三%を占めておるように、中小零細性トラック事業の特色となっております。業界といたしましても、行政当局の御指導のもとに昭和四十一年度から中小企業対策に取り組んでおりまして、昭和六十二年度からは経営戦略化構造改善事業を推進し、経営方式改善共同マーケティング情報システム化人材開発の四本の柱を中心事業活性化を図っているところでございます。  トラック事業特質といたしまして、輸送サービス生産と同時に消費が完結するという即時財的な性格を有しておりまして、ストックがきかないところから勢い価格競争に走りやすい性質がございます。事業者の中には、物流システム業者として独自のシステムを形成している者、あるいは輸送を核として保管、在庫管理流通確保までの一連の物流サービスを構築している者など、新しいサービスを創造し、新規需要を開拓している者もございます。現在、内需を中心に景気が好調であり、トラック輸送も好調に推移しておりますが、トラック事業はそもそも経営基盤が弱いので、将来について楽観的な見通しが持てる状況にはございません。  また、トラック事業労働面における特質とい たしまして、典型的な労働集約型産業でございまして、労働力確保トラック事業にとっての最大の課題でございます。しかしながら、最近における一般の風潮として単純肉体労働、長時間労働を忌避する傾向にあるため、トラック事業における労働力確保は著しく困難となっております。トラック事業従業員は約九十四万人で、そのうち六十七万人が運転者でございますが、最近の調査から見ましてもかなりの人数の運転者が不足いたしております。  トラック事業といたしましては、労働基準法改正に基づく労働時間の四十六時間への短縮について業界を挙げて取り組んでいるところでございますが、ジャスト・イン・タイム等荷主ニーズ多様化への対応等を迫られている結果、総労働時間は他産業に比べまして五百時間も多い二千七百時間強の長時間労働となっております。労働時間短縮のためには、もちろん業界自体においても生産性向上を初めコスト増対策を講じなければなりませんが、荷主サイド輸送計画の見直しなどによる手待ち、待機時間の削減など、荷主協力なくしては解決し得ない問題が多々ございます。  次に、法案についての御意見を申し上げたいと思います。  規制緩和につきましては、各事業者の先ほど申しましたような態様により反応はさまざまでございますが、大勢としては時代の流れであるということは十分認識しており、今後は新しい法制のもとで業界発展を図ってまいりたいと考えておりますが、何分にも四十年ぶりの大改正であることから若干の不安もございますので、法施行に当たっては次の諸点を御要望いたしたいと思います。  一つは、トラック事業発展のため、業界としましても、全国融通配車のための情報ネットワークシステムあるいは長距離輸送における移動体通信システム開発など、生産性向上のための諸施策を講じつつあるところでございますが、規制のみではなく、今後とも中小企業育成強化を初め経営基盤の安定、確立について一層の配慮をお願いしたいと思います。  二つ目は、法施行後においても事業許可等に当たっては、労働法規の対象とならず社会的規制も守ることのできないような個人企業が参入し、秩序が乱されることがないよう、最低車両規模確保など、事業遂行能力確保を図るとともに、届け出運賃変更命令違反荷主に対する勧告など、法に定められたことは厳正に実施していただきたいということでございます。  三つ目といたしまして、トラック事業者荷主に対しては弱い立場にございますので、適正な原価を下回る不当な運賃収受など、不公正な取引を防止し、輸送秩序確立するためには、適正化事業実施機関が直接に荷主及び荷主団体に対しても啓発活動を広範かつ効果的に行っていくことが必要かと存じます。  四つ目といたしまして、労働力確保及び労働時間短縮の推進を図るためには、生産性向上労働時間の改善は言うまでもないことでございますが、運賃の増収による待遇改善あるいは要員の増強ということも大きなファクターでございますので、その意味からは、運賃改定業界の強い要望でございます。しかも緊急を要する問題でございますので、本法施行前にあっても、現行法による運賃改定が実現するよう特に要望いたします。  五つ目の問題として、輸送合理化を積極的に推進するためには、行革審報告でも取り上げられている車両の総重量などの緩和については現在関係省庁で検討されていると聞いておりますが、ぜひとも早急に実現するようにしていただきたいということでございます。また、輸送ニーズ多様化などにより配送センターなどの事業用施設の展開が必要となっておりますが、市街地における事業用施設用地確保は非常に困難でございます。それで、現在制限的に緩和運用されている市街化調整区域における開発許可についてさらに緩和を図っていただきたいということでございます。  六つ目といたしまして、業界において自主的に推進している情報ネットワークシステムなど、輸送合理化生産性向上のための諸施策過労運転防止のための休憩施設の建設及び輸送秩序確立のための適正化事業実施のための所要資金の財源として、運輸事業振興助成交付金恒久化をぜひともお願いいたしたい。  それから、最後になりますが、七番目として、法施行によって業界に著しい混乱の生ずることのないよう、公布から施行まで十分な準備期間をとっていただきたいということでございます。  以上、御要望申し上げまして、私の陳述を終わります。(拍手
  4. 島村宜伸

    島村委員長 どうもありがとうございました。  次に、水野参考人にお願いいたします。
  5. 水野節比古

    水野参考人 ただいま委員長から御指名をいただきました社団法人全国通運連盟水野でございます。運輸委員会先生方におかれましては、常日ごろ通運業界に対しまして御指導、御援助をちょうだいいたしておりまして、厚く御礼を申し上げます。また、本日、貨物運送取扱事業法案審議に際しまして通運業界意見を申し述べる機会を与えていただきまして、心から御礼を申し上げたいと存じます。  貨物運送取扱事業法案に対しましては、本年三月、国会に提出されるに当たりまして、同法案通運事業経営に重大な影響を及ぼすのではないかという認識のもとに、業界といたしましては慎重に討議を重ねたのでございます。その結果、内外の社会あるいは経済情勢変化等についても配慮をいたしまして、基本的には賛成をするということに決定をいたしましたので、私はこの立場発言をさせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。  私といたしましては、次の四点について申し述べたいと思っております。一つは、鉄道貨物輸送特性通運事業役割についてでございます。二点目は、国鉄再建過程におきます通運業界かかわりについてでございます。三つ目は、新法案についての通運業界の受けとめ方について申し述べたいと思っております。そして最後に、鉄道貨物輸送通運の将来の展望について若干意見を述べさせていただきたいと思います。  まず、鉄道貨物輸送特性通運事業役割について申し述べさせていただきます。  皆様十分御存じのこととは思いますけれども鉄道貨物輸送は、オンレールの鉄道輸送だけではその使命を達成できず、発地及び着地端末輸送との有機的な結合を図ることによって初めて円滑かつ効率的な輸送を行うことができるのでございます。この間におきまして、通運は大きな役割を果たしているものと私ども考えております。このことを踏まえまして、現在の通運体制は特に次の四点に留意して体制づくりが行われておるのでございます。  まず第一に、鉄道輸送端末における集貨及び鉄道への託送、鉄道からの引き取り及びその配達といった諸業務は、それぞれの事業者によって発着ともに一元的に、また効率的に行っておるのでございます。  第二に、戸口間一貫輸送への対応を図るために、発地事業者着地事業者間で十分な連携のもとに全国ネットワークを形成いたしまして、荷主需要に応じ、全国どこへでも責任を持って送られるような体制確立いたしておるのでございます。  第三に、鉄道輸送効率確保観点から、通運事業者各駅ごとに店舗を設置いたしまして、駅の貨物発着数量あるいはダイヤ等に最適な状態を考えまして人員車両等通運能力を維持いたしまして、鉄道ダイヤ対応した集配等の作業を行っておるのでございます。  第四に、鉄道貨物輸送を円滑かつ効率的に行うためには、今まで申し上げました事務的なもののほかに、鉄道通運との信頼と協調関係が極めて重要でありまして、その維持強化通運業界といたしましては努めておるのでございます。  次に、国鉄再建過程における通運業界かかわりについて若干申し述べさせていただきます。  国鉄貨物輸送活動は、昭和四十五年度をピークに減少傾向に転じ、我が国貨物輸送構造は大きな変貌を遂げてまいりました。国鉄貨物輸送再建計画に基づく輸送力削減時代には、通運事業者といたしましても大きな犠牲と経営努力が求められてまいったのでございます。  通運業界は、貨物駅の相次ぐ廃止と輸送力削減過程の中で、人員の整理あるいは施設撤去等を余儀なくされながら、何とかして鉄道貨物輸送の灯を消したくないという気持ちでもって、鉄道貨物輸送改善協力してまいったのでございます。特にコンテナ輸送につきましては、国鉄再建の柱として増送が計画されておりましたことから、事業者目標達成のために全力を傾倒してまいったつもりでございます。昭和六十二年四月の日本貨物鉄道株式会社発足以降におきましても、いわゆるJR貨物会社協調をいたしまして、通運事業者の側における増送努力も実を結びまして、皆様御存じのとおり、コンテナ輸送実績は順調な伸びを続けております。昭和六十三年度の実績では、国内貨物輸送に占める鉄道シェアが全く三十六年ぶりに増加に転じていたということを最近の新聞報道で拝見いたしまして、長い冬の時代を経験した通運業界といたしまして、この鉄道の復権のニュースにはまことに感慨無量のものがあったわけでございます。  次に、現在、本委員会で御審議中の貨物運送取扱事業法案につきまして、通運業界の受けとめ方について申し上げます。  御案内のように、同法案は、現行通運事業法を廃止して、通運を新しい法体系のもとで貨物運送取扱事業一つのパートとして位置づけようとするものであります。従来の通運事業は基本的には免許制から許可制に、運賃、料金につきましては認可制から届け出制に移行するというふうに伺っております。通運業界といたしましては、過去四十年間なれ親しんでまいりました通運事業法に愛着もあり、またそれなりに十分役割を果たしてまいったものと思っておりますが、長い年月の間には経済体制物流構造も大きく変化をいたし、現行法時代要請に適応できない面も出てきていることも否めないところでございます。  結論から申し上げれば、新法案は新しい物流時代対応施策として賛成でございます。  その理由は二つございます。一つは、本法案が、私が冒頭申し上げました鉄道貨物輸送特性通運事業役割を正しく把握していただき、我が国鉄道貨物輸送の一層の発展を図るものとなっているということでございます。特に利用運送集配とを一体的に位置づけた第二種利用運送事業につきましては、私どもといたしましては高く評価をいたしておるところでございます。  二つ目理由といたしましては、本法案我が国経済社会長期的発展のためには必要であるという認識でございます。通運業界といたしましては、新法への移行について全く不安がないということはございません。しかし、先ほど来申し上げましたとおり、通運業界国鉄改革過程におきましても鉄道輸送合理化協力をいたし、新しい時代要請にこたえてまいったつもりでございます。また、今後とも時代変化に適応していかなければならないと決意をいたしておるところでございます。通運業界といたしましては、長年の経験を生かし、今後とも事業発展を図っていけるものと確信をいたしております。  最後に、鉄道貨物輸送通運の将来の展望について申し述べさせていただきます。  私は、我が国鉄道貨物輸送は今後ともコンテナ輸送中心としてますます発展していくものと信じております。国内貨物輸送分野で、ただいま参考人の御発言にありましたように圧倒的シェアを有するトラックにつきましては、道路交通渋滞、騒音あるいは大気汚染等いろいろ問題は含んでおります。鉄道は、このような観点から、すぐれた特性を有する輸送モードであり、長期的には貨物輸送分野においてその比重を徐々に高めていくものと確信をいたしております。このような状態の中で、本法案は二十一世紀に向けてこの新しい物流体系における鉄道貨物輸送通運の一層の発展のために望ましい法環境を整備していただいたもの、こういうふうに思っておりますので、本法案早期成立を期待するものでございます。  以上、参考人としての考えを申し述べさせていただきました。どうもありがとうございました。(拍手
  6. 島村宜伸

    島村委員長 どうもありがとうございました。  次に、秋田参考人にお願いいたします。
  7. 秋田哲也

    秋田参考人 御紹介いただきました運輸労連中央執行委員長を仰せつかっております秋田哲也と申します。  簡単に自己紹介させていただきますが、私ども組織であります運輸労連は、主にトラック運輸産業で働く労働者で結集しておりまして、本年十一月で結成後満二十一年になります。傘下加盟組合数は五百二十八組合、約十三万人の組合員を擁しておりまして、上部団体連合に加盟しており、本日午後に発足いたします新連合にも引き続き参加することにしております。また、陸海空の大産別組織であります交運労協にも現在参加しておるところでございます。  さて、本運輸委員会におきまして貨物運送法案に関しまして、参考人として意見を申し述べる機会を得ましたことに心からお礼を申し上げる次第でございます。また、現場で汗している労働者立場から、またそれを組織している責任者として御意見を申し上げさせていただきます。  私たちは、原則的に規制緩和には反対であります。しかし、全面的に反対しているのではなくて、今日の社会情勢貨物輸送を取り巻く情勢からしまして、経済的規制についてはある程度の緩和はやむを得ないのではないかと思っておるところでございます。しかし、社会的規制についてはもっと厳しく規制すべきであるとの立場でございます。  これまでの道路運送法は、言葉は悪うございますが、ざる法と言っても過言ではないと思います。既に御承知のように、三万八千を超すトラック事業者と今日の過当競争を生み出してきてしまっているところにあります。それをトラックに関する単独法によって安全確保等に関する規定が盛り込まれていることにつきましては一歩前進とは考えておりますが、まだ不十分であると言わなければなりません。  以下、具体的事例を挟みながら、特に安全面労働条件面中心意見を述べさせていただきます。  私たちトラック運輸労働者は、道路が主な職場でございます。そして預かった荷物を届けて初めて商品価値が生まれるところであります。最近一般的に知れ渡りました宅配便利用者に大変喜ばれています。全国翌日配達、九州、北海道でも翌々日には配達されるぐらいスピード化されました。早く、安く、確実そして親切、丁寧にを守りながら輸送しなければなりませんが、しかし、そこに従事している労働者は、そのために過労運転や過積載が日常茶飯事となっているところであります。特に、好景気の波に乗りまして、最近のトラック輸送荷主ニーズ多様化に伴いまして、輸送長距離化高速化が進行しまして、かつ荷主の時間指定輸送が増大する中で、トラック運転者長期連続勤務、深夜勤務拘束時間の延長等が拡大しておりまして、そのことが過労運転交通事故に結びついているのが実態でございます。  そこで労働時間の実態を見てみますと、労働省の毎勤統計調査によりますと、八八年の年間労働時間は、全産業平均が二千百十一時間であるのに対しまして、道路貨物運送業は二千六百八十七時間、五百八十時間も長くなっており、八九年六月実績でも、月間で全産業が百九十時間、道路貨物運送業は二百三十三時間となっておるところであります。  さらに、我が運輸労連は、毎年十一月九日に全国主要道路で一万人を超えるトラック運転者アンケート調査実施してことしで十四年目になります。本年分はまだ集計されておりませんので、昨年の調査結果から一部を抜粋してみますと 次のような実態が明らかになっております。  一日の運転時間九時間の基準を超えるものが三六%、一回の連続運転時間四時間の基準を超えるものが一六%、八八年十月にありました休日六日のうち、休みなしが五%、三日以下が三二%に及んでいます。月間残業時間が八十時間以上が一四%、自分の残業時間がわからないというのは二四%。このように長時間労働であることは間違いない事実ですが、実際には出勤から退社までの拘束時間はさらに長時間に及んでいると思います。  また一面、賃金実態を見ますと、一時間当たりの賃金は、全産業が千六百八十三円であるのに対しまして道路貨物運送は千三百六円の単価でございます。一時金を含めた年間総収入では、全産業平均が四百七十九万六千円に対しまして道路貨物運送は三百七十二万七千円と約百万円の差がございます。  このような現状も影響しまして、最近のトラック運送事業では人手不足が顕著となっておりまして、労働集約型産業であるところから労務倒産にもなりかねない深刻な問題となっておるところでございます。  最近、危険、きつい、汚いという三K産業を若者が敬遠すると言われていますが、トラック運送事業はその上にあと二つ、暗い、いわゆる深夜労働、帰れない。長期、長時間労働が加わって、三K産業から五K産業となってしまって、したがって人が全く集まらないというのが現状であります。そして、人が集まらないから現有勢力で仕事を消化しなければなりませんから、さらに長時間労働となるという悪循環となっておるところでございます。不景気なときでも年末は繁忙期で猫の手も借りたいところですから、最近では労働者勤続疲労ダウン寸前にございます。各企業労使でその対策に頭を痛めておるのが実際のところでございます。  次に安全問題であります。  私たち労働者労働力が資本でありますから、労働寿命はできるだけ大事に長もちさせなければならないと思っています。交通事故は、被害者はもちろん事故の加害者も被害者となります。絶対に事故を起こしてはならないとして、安全衛生問題につきましては労使を挙げて取り組んでいるところでございます。  交通事故には原因があり背景があるわけですが、最近のトラックによる事故が増加している中で目立ちますのは追突、衝突でありまして、車両相互間事故の六〇%を占めております。しかも、この二つの事故は人身傷害を併発することが多く、運輸労連調査でも併発の割合は六〇%にも及んでおります。では、どうしてこんなに追突、衝突事故が多いのか、その事情を考えてみますと、第一に速度の出し過ぎ、第二に道路交通事情の悪化、第三に居眠り、わき見、漫然運転、第四に過積載によるブレーキ等の車両機能の低下などが挙げられております。  そして、こうした問題が起こってくる背景として考えられまするのは、長時間連続運転、長時間労働などによる過労からくる居眠り、覚低運転、前方不確認、錯覚運転、注意力減退、こういったことがあることも否定できない事実であります。また、さきに述べましたように人手不足のもとでの無理な運行計画、物流の多様化によりセールスを伴う運転業務等の多様化とニーズへの対応の複雑化、さらに、製品の無在庫管理、時間指定納品システム採用など、物流サービスの二十四時間体制とスピード化の進行によりまして、運輸労働の質的変化と長時間労働が恒常化しまして、精神的、肉体的疲労の蓄積となっていることも否定できないところでございます。  一方、トラック事故の原因には、これら過労運転と並んで過積載運行があります。七八年の道路交通法の改正によりまして、背後責任に対する罰則適用が実施された直後はかなり違反が減少しましたが、その後はまた増加しております。特に、十トン車に二十トン以上積む、いわゆる一〇〇%過積載がふえる傾向を今日はたどっているところでございます。  以上のような実態の推移を踏まえながら、私たちはこれまでトラック事業の適正な運営と公正競争の確保輸送の安全を確保する観点に立ちまして、各種の対策と具体的措置を講ずるよう政府に要求してまいりました。その過程で、一九八三年四月二十一日の参議院運輸委員会におきまして貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議が全会一致で採択されましたので、それを重視しながら運動を進めてまいりました。残念ながら実効が上がっていないのが現状であります。  そのような中で今般の法案提出となったわけでありますが、これに至る過程の論議は、規制緩和論が先行し、今日の貨物輸送分野における輸送秩序確立輸送の安全確保という重要課題を解決する視点が欠落していることは否めない事実である。また、参入規制運賃規制の許認可制緩和のみが先行しまして、免許制許可制に、認可制届け出制に段落としされたことにつきましては、到底容認されるわけにはいかないと思います。  今必要なことは、過労運転、過積載を防止し、交通事故をなくし、安全を確保するための社会的規制をいかに強化するかということでありまして、それなくして安全、確実な輸送の提供は不可能であると言えます。経済的側面からのみの規制緩和は、労働基準法道路交通法も守れないような事業者の参入を許し、トラック運送事業過当競争の激化や輸送サービスの低下、労働条件の悪化につながることは明白であります。事業者資格の厳正な審査や安全を確保するための労働基準の遵守義務など、社会的規制の強化を図られることを強く望むものであります。  法案の内容に対する問題点は数多くありますが、最低限次の内容について具体的に措置されるよう意見として申し上げます。  一つは、貨物自動車運送事業者の資格についてでありますが、五年程度の有効期間制とその更新制を導入することにし、所要の法令整備を行っていただきたい。  二つ目は、輸送安全を確保するために「自動車運転者労働時間等の改善のための基準」、一九八九年二月九日労働省告示第七号でありますが、大臣告示と通称言っておりますけれども事業者の遵守義務事項として定めるとともに、貨物自動車運送事業に従事する労働者労働時間等労働条件の改善を図るための各種の施策を強力に推進していただきたいと思います。  三つ目が、過積載、過労運転の防止に資するために、自重計や運転者勤務時間を記録する運行記録計の装着義務化と、車両構造の改善のための関係法令の見直し整備を可及的速やかに行うとともに、運転者休憩施設、重量計の設置等の整備を促進する措置を講じていただきたい。  四つ目が、貨物自動車運送適正化事業実施機関につきましては、地方に財団法人を、中央にその連合会を設置し、それを実施機関として指定するよう定めていただきたい。  最後になりますが、五つ目に、本法の趣旨、目的を達成させるために必要な事項を審議すること、及び貨物自動車運送適正化事業実施機関事業活動指針を審議することを目的として、関係行政機関、貨物自動車運送事業者団体、労働団体その他関係団体及び学識経験者から成る審議会を設置することを定めて必要な措置を講じられることをお願い申し上げます。  以上、御意見を申し上げまして、今後の法案審議に当たって十分参酌されることをお願い申し上げ、意見陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手
  8. 島村宜伸

    島村委員長 どうもありがとうございました。  次に、亀崎参考人にお願いいたします。
  9. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 ただいま御紹介をいただきました全国港湾労働組合協議会議長の亀崎でございます。きょうは港湾労働者立場から本法案に対します意見を申し述べる機会をつくっていただきましたことに厚く御礼を申し上げたいと思います。  私は、まず最初に、貨物運送取扱事業法案の目的ないしは性格について、私どもの感じていると ころを申し上げたいと存じます。  この法の目的は、第一条の目的によりまして明白なように、利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与することに置かれており、従来の個別事業法に明記された業界秩序、安全、公共の福利に寄与するなどの目的が完全に取り除かれている点が特徴的でございます。これは製造過程における徹底した合理化によって生産コストの引き下げに成功したメーカーが、続いて運送コストの引き下げに強い意欲を示しているところでありますが、この意欲に沿う運送体系を確立することにあり、具体的には、大資本による強大な利用運送事業者を育成し、各実運送の規制緩和してこれに従属化させ、一層のサービス向上と運送コストの引き下げを求めようとするものであると私どもは理解をしているところであります。  近年のイギリスやアメリカなどで見られてまいりました新保守主義に基づくものと考えられるわけでございますが、御案内のとおり日本の運送業界は圧倒的に中小企業が多く、既に厳しい過当競争が続けられ、労働条件も他産業に比して極めて低劣、長時間であり、改めて規制緩和を行い、一層の競争を激化させる必要は全くないのみならず、このような規制緩和を強行することはゆゆしい社会問題を引き起こすことにつながるものと考えられるのであります。  このような点から、私ども規制緩和のみが強行されることにつきましては反対の立場をとるものであります。  第二に、この法案がこのまま成立した場合に港湾産業及び港湾労働に及ぼすと思われる影響について幾つかの点を申し上げたいと存じます。  航空貨物を除くすべての外貿貨物が港湾運送を利用することになるわけでございますが、運送コストの引き下げを目的とする貨物運送取扱事業法のもとで港湾のみが影響を受けないということはあり得ないことであり、この点に関する運輸省の説明には私どもは納得のできないものがあるわけでございます。  重大な影響を受けると考えられる二、三の点について申し上げますと、第一は、従来外貿貨物の多くの部分は荷主または船舶運航事業者から直接一般港湾運送事業者、一種元請でございますが、一種元請に貨物の委託が行われてまいりました。今後は利用運送事業者が荷主代行として一種元請との間で運送契約を締結することになるわけでございます。大資本の利用運送事業者は当然広範な荷主から貨物の委託を受けることになるわけでございますが、利用される一種元請は当該利用運送事業者の系列や下請に入る企業のみに限定されることは当然の成り行きであるわけでございます。荷主と一種元請の関係が、利用運送事業者と一種元請の関係に変化することによって、一種元請の再編成が行われ、弱小の一種元請は淘汰されることになるのは必至でございます。参考までに、港湾運送事業者の中で一億円以下の資本金を有する企業が全体の八〇%と言われるほどに港湾運送事業者の圧倒的な部分が中小零細企業であるということができるわけでございます。  第二には、一種元九請の再編成が進められる中で生き残りをかけて激しい競争を一種元請同士が行うことになるわけでございますが、このような一種元請に対して、港湾運送料金のダンピングが利用運送事業者によって荷主以上に強く求められるであろうことは、運送業界実態を知っておる者には全く容易に推察できることでございます。今、認可料金制度をとっております陸上のトラック運送事業におきましても、あるいは同じく認定料金制度をとっております港湾運送の中でも、相当部分が大変なダンピングを強要されているという事実があるわけでございますが、これらがさらに一層促進される危険性を持っているということでございます。  第三には、インランドデポにおきまして、港湾運送事業者が現実に行っているコンテナへの貨物の出し入れ業務などが、港湾運送事業法の規定が不十分なため、利用運送事業者によってこの業務が行われていくことも十分考えられるわけでございます。港湾運送事業者、とりわけ中小企業事業者にとっては大変な打撃を受けることになるものと考えられるわけでございます。企業に対するこのような影響は、当該企業に雇用される労働者の雇用や労働条件に重大な影響をもたらすことは当然のことでございます。  予測されますこのような事態に対して、運輸省は、そのことは貨物運送取扱事業法が成立することによって初めて生ずるものではなく、既に無規制のまま活動を行っている貨物取扱事業者によって行われていることであり、本法案はそのような無規制のまま事業活動を続けている取扱事業者に新たに規制をしようとするものであると説明をしておるのでございます。しかし「利用者の利益の保護及びその利便の増進に寄与することを目的とする」本法案が成立すれば、この法律を足がかりに事態が一層促進されることは間違いなく、港湾運送事業法がさらに空洞化を続けることにつながるものであります。こうした観点から、この法案につきましても、このような危険を除去するための抜本的な修正をぜひお願いを申し上げたいと考えるところでございます。  このような事態に直面して、かつてコンテナ化が行われ、フェリーの就航が行われるに当たりまして、このようなことの中で雇用不安を起こすのではないかとの港湾労働者の強い危惧に対しまして、運輸省が私たちに説明した言葉が思い出されるわけでございます。それは、コンテナリゼーションの導入は高度経済成長によって年々大幅に増大する貨物の滞貨、不荷役を防止するものであり、またカーフェリーの就航は国鉄トラックにより奪われた貨物をもう一度海上に取り戻す手段であり、港湾労働者の雇用には全く関係はないと繰り返し説明をした言葉でございます。しかし、約二十年経過した今日、五大港におきまして現場の常用労働者のみで約四〇%の減少、常用労働者数をはるかに超えると言われた日雇い労働者はそれ以上に激減をしたのであります。それらの近代化によって、大変な被害を港湾労働者は受けてきたわけでございます。国際複合一貫輸送体制確立とこれに伴うソフト、ハード両面における今後の予想される大改革は、恐らく今日の労働者をさらに半減させることになるものと考えられるのでございます。  一九七三年、ILOでは国際的に進展したコンテナリゼーション、輸送手段の変革、大型荷役機械の導入などなどによりまして、利用者の利益や国の経済の著しい発展の陰で、多くの港湾労働者が雇用不安に襲われ、劣悪な労働条件下に置かれている事実にかんがみて、港湾労働者の雇用の安定を図り、利益の一部を労働者に還元して福祉の向上を図るべきだとして、百三十七号条約が採択されました。しかし、日本政府はいまだにこの条約を批准しようとせず、この条約の理念に基づく対策も他の先進資本主義国と比べて一段と低水準に置かれているのでございます。こうした重大な影響を受ける労働者に対する対策を放置し続け、利用者の利益の増大のみに利する対策についてはさまざまな理由をつけ弁護しながら進められていくことに、私たちは強い不満と危惧を持たざるを得ないのであります。  このように重大な影響を受ける港湾労働者に対して何らの対策も講じられぬまま法案の成立が強行されることには、私たちは決して賛成をするわけにはいかないのでございます。ぜひ先生方の御理解を賜り、重要な部分に対する基本的な修正を行っていただくことをお願いを申し上げたいと思うところでございます。もしこのような修正が得られない限り廃案にしていただくことを、私どもは心からお願いを申し上げる次第でございます。  以上申し上げまして、私の意見とさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手
  10. 島村宜伸

    島村委員長 どうもありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     ─────────────
  11. 島村宜伸

    島村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、参考人に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二階俊博君。
  12. 二階俊博

    ○二階委員 早速、全日本トラック協会沼越理事長にお尋ねしたいと思います。  我が国の経済の発展や国民生活の向上に伴う輸送ニーズ多様化並びに高度化に対し、今日までトラック業界が貢献してこられた役割に対し、敬意を表したいと思います。  全日本トラック協会では、トラック業界発展のために、これまで秩序ある競争を促進をするために、みずから白トラの行為あるいは名義貸し、過労運転、さらに過積載等、輸送秩序の維持を阻害する行為に対し、実質的な防止活動を推進してこられたと伺っておりますが、今日までの実情や実績等について御説明を願いたいと思います。
  13. 沼越達也

    沼越参考人 お答え申し上げます。  各都道府県トラック協会輸送秩序改善指導員を配置いたしまして、街頭パトロールや臨店指導等を行わせるとともに、荷主懇談会の開催など輸送秩序確立に必要な事業実施してまいりました。悪質な違反に対しましては運輸省に通報し、運輸省の行政処分または指導を通じて一定の成果を上げているものと考えております。
  14. 二階俊博

    ○二階委員 本法案において適正化事業実施機関の指定法人制度が創設されようとしておりますが、この指定法人に対する全ト協のお考えを伺っておきたいと思います。
  15. 沼越達也

    沼越参考人 適正化事業実施機関は、全ト協及び各都道府県トラック協会が自主的にこれまで進めてまいりました輸送秩序確立のための活動をさらにバックアップしていただけるものと期待しております。全ト協はもとより、各都道府県トラック協会といたしましては、指定を受けたいと熱望いたしております。  なお、この事業の円滑な推進を図るためにはその財源の確保が重要でございまして、運輸事業振興助成交付金制度の恒久化を含めまして、財源基盤の確立に向けて御支援をいただきたいと考えております。
  16. 二階俊博

    ○二階委員 トラック輸送活動にはさまざまな法規制が加えられておりますが、今後これを緩和すべきだとすれば具体的にどのようなお考えを持っておられるか、お尋ねしたいと思います。
  17. 沼越達也

    沼越参考人 先ほど陳述においても申し上げましたとおり、業界として特に要望が強いのは、大型トラックの重量規制市街化調整区域開発許可緩和の二点でございます。  まず、大型トラックの走行関係規制緩和でございますが、具体的には車両総重量について現行二十トンを二十五トンに、高さについては三・八メートルを四・ニメートルに改めるということでございます。道路構造の強度等の制約があるということは承知いたしておりますが、輸送合理化の推進、過積載防止といった観点からは極めて重要な事項でございまして、新行革審の答申においても取り上げられていることなので、ぜひ早期に実現していただきたいものと考えております。  第二点は、最近における輸送需要の多様化労働力不足の深刻化の中で、物流合理化のための配送センターなど、事業用施設の用地の確保の問題でございます。  市街地における用地の確保は、用地費の高騰などにより困難になっております。また、住宅地における建設は、騒音、排ガスなど公害問題も多いので、市街化調整区域開発許可について一層緩和をお願いしたいわけでございます。現在は、開発許可がおりる条件といたしまして、四車線に面したところ、インターチェンジから五百メートル以内ということになっているため、現実的には該当する場所がなかなかないというのが現状でございます。
  18. 二階俊博

    ○二階委員 最近のように好景気が続いて輸送量がふえればふえるほど人手不足に悩んでおられると伺っておりますが、高給を払ってもなかなか集まらない。やはり労働時間の短縮が一番大きな問題点だと私どもは承知しておるわけでありますが、その実情についてお尋ねをしたいと思います。
  19. 沼越達也

    沼越参考人 先ほど陳述において申しましたとおり、トラック運転者の総労働時間は年間二千七百時間で、一般産業に比べて五百時間ぐらい長く、しかも、収入においては大差がございません。近時、一般の風潮といたしまして、単純肉体労働、長時間労働を忌避する傾向から、トラック運転者の不足はかなり切迫した状態になっております。求人活動に、例えば学校等に赴いた場合でも、進路指導に当たられる先生がなかなか推薦しないというのが実情でございます。
  20. 二階俊博

    ○二階委員 これは要望でございますが、トラック運転手の休憩場所としてトラックステーションが設けられつつあるようでありますが、高速道路においても、道路施設協会が維持管理をしておりますサービスエリアやその付近にも、レストインやトラックステーションのようなものを休憩施設としてぜひ充実をさせる必要があると考えるわけであります。トラック業界、運輸省及び建設省等が知恵を出し合って、協力し合ってぜひ努力をしていただきたいと思っておりますが、この際は全ト協にこれを要望しておきたいと思います。  次に、交通安全について申し上げたいと思います。  今や第二次交通戦争の時代に入ったと言われておりまして、昨年は一万人以上の死者を出しておりまして、ことしも、先ほど調べてみますと、昨日までに九千六百八十八名に達しておるわけであります。ジャンボ旅客機二十機分に相当する人々が、しかも毎年とうとい生命を失っている。これについて、今私ども自由民主党では、交通安全国民運動推進議員連盟を発足させまして、交通事故を少しでもなくすための国民運動の展開を検討しておりますが、全ト協においてもぜひ積極的な御協力を願いたいと思いますが、これについて御意見を承っておきたいと思います。
  21. 沼越達也

    沼越参考人 最近における交通事故の激増傾向にかんがみまして、トラック業界といたしましても、交通事故の防止は最重要かつ緊急の課題であると認識いたしておりまして、業界挙げて取り組んでおるところでございます。  幾つかの中身について申し上げますと、まず、東名高速道路等におきましては、パトロールを行いまして交通安全の指導を行っております。それから、過労防止のための労働時間管理の指導研修会の開催をいたしております。運行管理者の研修も行っております。ドライバーの研修も行っております。また、自動車事故対策センター等によって、ドライバーの適性検査と安全指導を行っております。また、専任の指導員による事業所の訪問指導や、路上における過積載のチェックと防止指導をやっております。また、我々の業界内の運動といたしまして、正しい運転、明るい輸送運動というものを全国的に展開いたしております。また、年末年始の安全総点検には率先して参加いたしております。  以上でございます。
  22. 二階俊博

    ○二階委員 今申し上げました国民運動の展開について、重ねて御協力要請しておきたいと思います。  次に、トラック事業荷主に対して立場が弱いということを先ほどからしばしばお話しがございましたが、特にこの際述べておきたいことがあれば、実情をお話しいただきたいと思います。
  23. 沼越達也

    沼越参考人 トラック事業も態様がさまざまでございまして、独自のシステムを形成しておるもの、それから、荷主の意向に従わざるを得ない固定的な荷主の仕事を行っているというもの、さまざまでございますが、大半のトラック業者は、非常に固定的な荷主の仕事を行っておるわけでございます。したがいまして、荷主の都合によって仕事の中身が左右されやすいという点を非常に持っておるわけでございます。適正化機関等の活動を通じて、これらの関係の改善に向けられるならば 幸いであるというように考えております。
  24. 二階俊博

    ○二階委員 次に、通運連盟の水野理事長にお尋ねをしたいと思います。  先ほど、国鉄再建過程における通運事業関係者の御労苦、並み並みならぬ経営努力についてお話がございましたが、国鉄再建はもとより、鉄道貨物輸送の灯を消してはならないという信念に基づいて、我が国産業の躍進に大きく寄与されていることに対し、心から敬意を表したいと思います。本法案についても、新しい物流時代対応策として、時代変化に適応していくとの御決意を伺い、通運業界の見識を感ずるものであります。  そこで水野参考人にお尋ねしたいことは、JR貨物になってからの通運の経営状況について承りたいと思います。
  25. 水野節比古

    水野参考人 ただいま二階先生からの本当に厚情あふれるお言葉をいただきまして、通運連盟として感謝の至りでございます。  ただいま御質問のありましたように、JR貨物発足以来、いろいろ報道で、大分よくなってきているということで、私どもも非常に努力をいたしております。  ただ、長い間の冬の間を経験いたしました立場から見まして、本当によかったという感じはいたしておりますけれども、その間の経営上のダメージというものは相当なものでございまして、ただいま少しずつ持ち直してきているということでございます。なお今後、JR貨物とさらに協調関係を維持をいたしまして、鉄道貨物輸送発展のために全力を挙げて努力をいたしてまいりたいと思う所存でございますので、どうか先生方もどうぞこの点を御理解いただきまして、御支援のほど、よろしくお願いをいたしたいと思います。
  26. 二階俊博

    ○二階委員 新法施行によって、免許制から許可制に移行することによって不安はないことはないというお話を先ほどお述べになりましたが、通運業界がこれによって混乱することの心配がないかどうか、御意見を伺っておきたいと思います。
  27. 水野節比古

    水野参考人 ただいまの御質問でございますが、免許制から許可制になりました場合に、私どもといたしましては、参入の増加は避けられないのではないか、こういう感じを持っております。  しかし、私どもといたしましては、先ほど来申し上げましたように、通運業界としましては全国のネットワークを持っております。また、鉄道に対するノーハウというものは、ちょっと口幅ったいようでございますが自信を持ってただいままで処理をしてまいりました。また、長い間の経験もございますので、今後いよいよ通運業界といたしましては結束を固めまして、さらに鉄道貨物輸送発展に寄与するつもりでございます。不安がないとは決して申し上げませんですが、それを乗り越えてさらに努力をしてまいりたい、こういう決意でおりますので、どうぞ御理解を賜りたいと思います。
  28. 二階俊博

    ○二階委員 水野参考人に、最後に、本法施行に伴い私ども運輸委員会並びに運輸省に対し特に要望することがあれば、この際伺っておきたいと思います。
  29. 水野節比古

    水野参考人 ただいまの御質問でございますが、先ほど御説明をいたしましたとおり、ただいまの縦割りの行政、法律から、横断的な観点から取扱事業というものを見直すという法律でございます。その移り変わりにつきまして、率直に申し上げまして業界として現在やっております事業が果たしてどういうことになるのだろうという不安は私どもとしてございます。また、賛成をいたしますときに議論をいたしまして、その点についても非常に大きな議論がございました。  しかし、先ほど来申し上げましたように、今後の発展のために賛成をいたしたわけでございますけれども通運事業というものは、先ほど来御説明いたしておりますように非常に複雑なシステムでございます。このシステムの移り変わりに際しましては、現在やはり物流というものは流れておりますので、この物流に対して少しでも疎漏のないようにひとつ移り変わりについては通運事業実態を十分御理解をいただきまして、移り変わりに対する措置をお願いいたしたいと思っております。  また、移り変わりにつきましては激変を避けていただきまして、できるだけ実態に合うような御措置をお願いいたしたい。また、今後政令なり省令あるいは行政方針をおつくりになると思われますので、この点につきましても十分通運事業というものの実態を御理解いただいて御施策をお願いしたい、こういうふうに考えております。
  30. 二階俊博

    ○二階委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、通運業界の皆さんにも、先ほど述べました交通安全運動の国民的な盛り上がりを持たせるために、今までもいろいろおやりになっていただいておりますが、そうした今までやってこられたことの上に、年間一万人も毎年毎年亡くなっておるということに改めてお互いに思いをいたし、ぜひ通運業界各位の御協力もあわせてお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  31. 島村宜伸

    島村委員長 吉原米治君。
  32. 吉原米治

    ○吉原委員 社会党の吉原でございます。きょうは参考人の皆さん大変御苦労さまでございます。せっかく四名の参考人の方々いらっしゃっておりますので、持ち時間は十五分でございますので、お一人大体一、二問ぐらいの質問を申し上げたいと思いますのでよろしくお願いをいたします。事前に申し上げておきますので、その場で答弁の内容についてお考えをいただきたいと思います。  最初に、トラック協会沼越参考人にお尋ねをしたいわけでございます。  トラック業界ということを聞いただけで過積載あるいは運賃ダンピング、こういうことが私ども、特に運輸部門に参画しておる委員にしては一番頭にくる課題でございますが、こういった要因が先ほどから荷主に対して大変弱い立場だということが説明されておりましたが、言ってみれば荷主の低運賃強要に基づいてやむなく労働基準法違反、これは承知をしながら運転者に押しつける、結果的にはそういうことになっておると私は予測しておるわけでございます。  こういう運賃ダンピングや、それに伴う過積載という状況を、原因ははっきりしておるわけでございまが、一体業界としてどうやればこういった問題が解消できるのか。この法案の中にも触れられておりますが、適正化事業をその団体がいかに指導してみてもなかなかこれが周知徹底をしない、そういうことでございますので、ひとつこういう立場からの業界の決意を聞かせていただきたい。  二つ目は、トラック協会としてこれまで運送秩序確立に向けていろいろな取り組みがされてきておりますが、実効がなかなか上がっていない。依然として過当競争のもとで弱肉強食のすさまじい競争が出てきておる。結果的にはもう輸送秩序というふうな表現で言い切れない部分がたくさん出てきておると思うわけでございまして、そうした意味で、各種の取り組みをされてきた結果なかなか実効が上がらぬという要因はどこに原因があるのか、その点をお尋ねしたいと思います。  それから水野参考人には、先ほどもちょっと質問が出ておりましたが、取扱事業法に賛成をする立場でいろいろ御懸念される点あるいは決意のほどが出されております。何分にも四十年ぶりの改定で、不安がないとは言えないということでございますが、この取扱事業者というものが新しい法律に基づいて、法の裏打ちをされる中で今度は堂々と、輸送手段を持たない取扱事業者、従来なら荷主が直接実運送業者に依頼をしておったわけでございますが、こういう中間のといいますか、取扱事業と称する事業者が進出してくることによって、かえって荷主に高い運賃を強要することに結果的になりはしないのか。本当の意味の通運事業の公正な競争が一体この法律で担保できるだろうかどうだろうか。私どもはその辺を非常に心配しておるわけでございまして、通運連盟の理事長である水野参考人の再度のお考え方をひとつ明示していただきたい、このように思います。  それから秋田参考人には、お尋ねしたい点がたくさんあるわけでございますが、まず労働時間、 長労働時間といえばトラック運転手ということで代表されるように、長労働時間の典型的な職場が実はトラックの職場だろうと認識をしております。いろいろ現状について今御案内がございました。時間短縮をめぐってどのような規制措置といいますか、言ってみれば社会的規制を講ずるべきか、こういう点について再度ひとつお尋ねをしたい。時間短縮の具体的な手法とでもいいますか、そういうことについてお尋ねをいたします。  二問目は、今意見陳述の中で、貨物自動車運送適正化事業実施機関、この指定に対して関係者で構成をする審議会の設置について述べられておりました。特に今の全ト協のあり方について私もいささか意見を持っておる者の一人でございますが、より公正な、しかも適正な事業実施機関、非常に権威あるものにしなければならぬと思いますがゆえに、意見陳述の中で触れられた審議会の設置については私も同じような意見を持っておるわけでございますが、具体的にどのようにすべきであるか、ひとつ再度お聞かせを願いたいと存じます。  それから、最後には亀崎参考人にお尋ねをいたします。  亀崎参考人さんは、この取扱事業法案は大変懸念される課題がたくさんある、ひとつぜひ抜本的な修正をしてほしい、こういう御意見でございました。抜本的な修正をとおっしゃいましても、私は承知しておるつもりでございますが、多くの皆さんなかなかおわかりにならぬと思いますので、基本的な問題だけでも結構でございますから箇条的に、一つ何々、一つ何々というふうに具体的にお答えを願えればありがたいわけでございます。  以上、四名の参考人の方々にそれぞれ御質問をいたしましたので、恐らく各参考人の皆さん四、五分程度でお答えを願わぬと時間をオーバーします。できるだけ四、五分の間におさめていただければ十五分の私の持ち時間の中におさまると思いますので、よろしくお願いをいたします。
  33. 沼越達也

    沼越参考人 輸送秩序の問題、あるいは運賃ダンピングの問題、これは非常に古くて新しい問題でございます。全ト協それから各都道府県のトラック協会の活動もこれに終始したといっても過言ではないと思います。  どうすればいいのかというお尋ねでございますが、結局は対荷主関係をどう考えていくかということに尽きると私は思います。従来、対荷主関係の改善でいろいろと試みもございました。それが独占禁止法に触れるとかというようなことで、荷主へのアプローチが非常に困難でございました。その意味で、今回荷主さんに対する法律上の措置が定められたということは大変な進歩かと思います。  ただ、申し上げたいことは、荷主さんが積極的に違法行為を指示するというケースはむしろまれでございまして、価格競争等を通じて違法状態が現出するという方がむしろ常態かと私は思います。したがいまして、私といたしましては、適正化実施機関の行為の中に、対荷主さんに対しても不公正な取引方法によっていろいろな問題が生じた場合はそちらにアプローチできるような道はぜひともつけるべきであるというように考えております。  以上でございます。
  34. 吉原米治

    ○吉原委員 二問出したはずでございますけれども輸送秩序の問題は。
  35. 沼越達也

    沼越参考人 まとめてお答えしたように私は思っているのですが、輸送秩序の問題というのも、結局は運賃ダンピングそれから輸送秩序、これは根が同じでございまして、例えば運賃でいくのかそれとも過積載でいくのかという形でございますので、根は同じであるというように考えております。
  36. 水野節比古

    水野参考人 ただいまの新しい法案ができましたときに、取扱事業等の進出によって業界にいろいろ問題が出てくるのではないかという御指摘でございます。私どもといたしましては、ただいま参考人として陳述をいたしましたとおり、通運事業国鉄輸送が完結をいたしますには、荷主さんから荷物をいただきましてそれを駅頭までトラックで集荷をいたします、そして託送という法律行為をして、それから鉄道で運んで引き取りをいたしまして、また荷主さんまでトラックで運ぶという過程を踏みまして一つ輸送が完結するわけでございます。  私どもといたしましては、そのような実態を踏まえまして、取り扱いだけでそういうものが非常に大きく問題を起こすというふうには感じておりませんし、また、鉄道輸送自身の法規的な問題も考えまして、ただいま吉原先生の御指摘のようなことがそう大きな問題になるとは思っておりません。私どもとしましては、できるだけ現状を維持して鉄道輸送に貢献するように考えておりますので、そのようなことがないとはもちろん申しませんけれども業界に大きな問題を来すことにはならないのではないかという認識を持っております。
  37. 秋田哲也

    秋田参考人 労働時間の具体的な処置の方法でありますが、実は私ども、ILOの会議等にも出まして、運転者の乗務時間に対する批准をせよということで第百五十三号条約の批准を労働省に求めてまいった経緯がございます。しかし、御承知のとおり、七九年に、この批准はできないかわりに二七通達と一般に言われていますが、自動車運転者労働時間等の改善基準をつくりまして約十年たちました。結果的に毎年監査が行われているのですが、過半数以上の事業所がこの改善基準に違背をしておるという実態がございまして、具体的にまたそれを詰めたのですが、ことしの二月に労働大臣告示第七号ということで出されまして、これをぜひ批准すべきだというふうに今日でも思っておるところであります。特に、具体的な交渉をする際に、どうもトラック業者の方は罰則には弱いけれどもまあ違背程度ならという風潮が非常にございます。したがって、法治国家でありますから、こういったものについてはきちっとすべきだ、こういうことが一番大事ではないかと思います。  それから二つ目が、事故の問題に絡みまして長時間労働過労運転につながりますので、この問題につきましては、単に労働時間だからといって労働省だけの問題じゃなくて、ぜひこの道路運送法の中にも事業運送法として過労運転に結びつくような長時間連行については盛り込んでいただきたい、両方相まって初めて適正な運用ができるのではないか、このように思っていますので、それもぜひ本法案に入れていただきたいと思うわけであります。     〔委員長退席、川崎(二)委員長代理着席〕  そして三つ目は、労働時間の管理のずさんさ、先ほども申し上げましたけれども、大変ずさんであります。私ども今まで調査をしていますと、出勤時間は何時かというと大体何時ごろというのが運転者意見であります。したがって、荷物があれば走り、なければずっと待っているといった状態でありますから、特に運転手の方々は自分が仕事をした時間からを労働時間と思っていまして、待機時間をほとんど入れていません。そういったものを含めまして管理するためのデジタル連行記録計等がもう開発されているやに聞きますので、これをぜひ導入していただきたい。勤務時間、特に何日にわたる時間がございますので、そういったものを含めて管理を徹底させていただきたいというのが意見でございます。  そしてこのデジタルの関係につきましては、過積載防止につきましても既に開発されておりまして、誤差があるとかということでなかなか取り上げていただけませんが、これもぜひ表面に取りつけていただきまして——ちょうどタクシーのメーターくらいの大きさのものであります。ひずみ計でありまして、これが非常に有効、適切、既にアメリカやオーストラリアでは逆に日本から輸入して、過積載にならないように、特に運賃料金をごまかされないようにということで業者がつけているという話を聞きますので、こういったものについてはぜひ表に向かってとれるようにしていただきたいな、このように思うところでございます。  二つ目実施機関でありますが、私ども労働組合ですから、どうも我田引水に物事を言ってはいけないということで、いろいろなものにつきましては関係者、特に道路を職場としておりますので、すべての関係者をこの中に入れて具体的に適切にやるべきではないか、このように思っております。したがって、行政機関の中では当然道路建設を含め、警察庁も含め、いろいろ関係官庁を入れ、さらに荷主団体、さらには学識経験者、一般荷主の代表、さらに労働組合の代表、こういったもので権威のあるものにして、ぜひ適切な運行をされるような指導機関を置いていただきたい、このように考えておるところであります。  以上であります。
  38. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 幾つかの修正点、要望する点を申し上げたいと思いますが、まず第一は、運輸省の説明によりますと、この法案は港湾運送には全く関係がないということを繰り返し言っているわけでございます。まさに法案の第二条の「定義」のところを見ますと、四つの運送事業を行う実運送に限定をするということがございますので、一応形式的にはそうなっているのかという感じがしないではございませんが、しかし、それならば港湾を利用することがないということになるわけでございますから、港湾の一種元請は、先ほど申し上げましたように、荷主との間で直接契約権を持つということになるはずでございます。  しかし、委員会における運輸省の答弁を聞いておりますと、利用運送事業者は荷主代行として一種元請事業の前面に出てくるという説明でございますので、この点が運輸省の説明にもかかわらず極めてあいまいでございます。しかも、一種元請の行います業務、それから海貨と言われる企業が行います業務、あるいはエージェントと申します部分が行う業務と利用運送事業者が行う業務というのは全くよく似た共通する面があるわけでございますので、将来的に港湾運送事業法の空洞化などによりまして必ず影響が出てくることになるわけでございますので、港湾の事業との関係は全くないという点をさらに条文の中で明確にしていただくことをぜひ要望をするわけでございます。  同時に、先ほども申し上げましたように、コンテナのバンニング、デバンニングという作業が港頭地帯あるいは工場内で行われる以外にインランドデポなどで行われているわけでございますが、当然こうした点につきましては現在は、港湾運送事業法では規制が極めて不明確ではありますが、事実上一種元請などがこの業務を行っているわけでございまして、ここに利用運送事業者が進出する懸念も十分あるわけでございますので、この分野を港湾運送事業分野であることを明確にされて、ここへの進入を禁止する措置をぜひとっていただきたいものだと思うわけでございます。  それから、利用運送事業者及び取次事業者運賃、料金の関係は、法案では不明確でございます。どのような運賃荷主から請求するのか。そしてそれは特に利用運送事業者の場合に手数料が明らかに入っているのかどうかということも不明確でありますし、貨物のスケールメリットなどの利益がどの分野に吸収されるのかということも極めて不明確でございます。そういう観点から、利用運送事業者あるいは取次事業者荷主に対して請求する料金につきましては、あくまで実運送事業に支払う運賃、これは当然届け出料金ということになろうかと思いますが、この運賃の合算額と自己の手数料であるということを明確にすることが必要であるというふうに考えるわけでございます。  続きまして、料金のダンピングは、トラック業界、港湾運送事業全般を通じて運送事業の段階では非常に強くあるわけでございます。認可料金でありながらダンピングが行われるわけでございますので、今後届け出料金などになりますとより一層ダンピングが強く行われることになる懸念があるわけでございますので、料金のダンピングは一切してはならない、そして同時にそのような事例が発生した場合に対しては荷主に勧告をすることができる、こういう規定を本法案の中に盛り込んでいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、当然初めてできる法案でございますので……
  39. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員長代理 参考人、時間がかなり過ぎていますので、手短にお願い申し上げます。
  40. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 はい、わかりました。  いろいろ不備な点が出てくると思われますから、三年ないし五年後の見直し規定をぜひ入れていただきたい。  そして続いて、この利用運送事業者は一定の目的を達成するために団体をつくることとなっておりますが、この団体と関係労働者との協議ができるような状況をひとつぜひつくっていただきたいなどを考えているところでございます。  まだ細部にはございますが、基本的なところは以上のとおりでございます。
  41. 吉原米治

    ○吉原委員 参考人の皆さん、大変貴重な御意見をありがとうございました。時間が非常に短くて恐縮でございました。私も今沼越参考人に再質問したいなと思っておりましたが、もう時間が五分延長、オーバーしておりますので終わりますが、たまたまあなたがおっしゃったように、言われておる社会的規制経済的規制イコール運賃のダンピングというか幅運賃などというふうな考え方は、結果的に輸送秩序を乱す根源がそこにあるわけでございますからぜひひとつ、今度この法案では届け出制になると言いながら、届け出た運賃は、荷主ももちろんはっきりきちっとしてもらわなければいけませんけれども、ここがきちんと守られないと勢いこれで過積が出る、長労働時間になってしまうということになりまして、経済的規制イコール社会的規制につながる、私はこういうふうな認識に立っておりますので、よろしくひとつ業界指導もお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  42. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員長代理 長田武士君。
  43. 長田武士

    ○長田委員 本日は御多忙のところ、本委員会参考人の皆さん方御出席をいただきましてありがとうございました。公明党を代表しまして何点か御質問申し上げたい、このように考えております。  ただいま参考人の御意見を拝聴いたしまして、私たちも皆さん方が大変御苦労されていらっしゃることを伺いまして、新たにその困難性といいますか認識をいたしたところでございます。  まず、沼越参考人にお尋ねをいたします。  物流に携わっている皆さん方が過積載であるとか大変過酷な労働条件で働く、さらにはまた、危険を伴う業務でございまして大変御苦労されていらっしゃる、そういう点を勘案いたしまして、荷主事業者との関係は荷主がどうしても優越的な立場に立っておる。そういう中にありましてどうしてもダンピングが行われる。そうなりますと事業者としてはどうしてもそれに耐えるということになりますから、過積載も生まれてくるでありましょうし、労働時間の延長ということをやらざるを得ない、そういう過酷な条件で働いていらっしゃる、こういうことなんでございますが、荷主さんがどうしても強い立場におりますので、ある事業者がダンピングをしない場合には次に行ってしまう、こういうような厳しい条件のもとで仕事をされているわけであります。そういうわけで荷主事業者の対等的な立場に立つためにはどういう方法があるか。独禁法の問題これありますけれども、そこいらの点について、私はどうしてもそこがネックだろうという感じがいたしておりますが、その対応について率直な御意見をお聞かせいただきたいと思っております。
  44. 沼越達也

    沼越参考人 確かにその問題が非常に大きな問題でございます。先ほどの御質問にもお答えしたわけでございますけれども、全ト協といたしましても、また地区のトラック協会といたしましても、この問題に非常に腐心したのがこの四十年の歴史であると言っても過言ではございません。  基本的には、いろいろと原因があるわけでございます。まず、トラック自身が典型的な受注産業であるということ、それからやはり運賃をもらう という立場は非常に弱い、したがって荷主さんの御都合ということに従わざるを得ない、したがってなかなか自主的な労務管理もできないというようないろいろな置かれた立場がございます。そういった中でいろいろと共同行為的に、お互い同士の行為規範みたいなものをつくっておるというところから一歩出まして荷主に対して共同で事に当たろうといたしますと、先ほど申しましたように、常に独禁法の問題にひっかかってきたというのが歴史でございます。  したがいまして、私といたしましては、非常に積極的に違法行為を指示するというところまでの荷主さんはいないと思います。やはり競争原理を通じて不公正な取引といいますか、結果的に不公正な取引が行われるということでございます。それで私どもは、今回荷主さんに対するアプローチを法案において定められたということは大変な進歩だと思っております。しかし、先ほど申しましたように、荷主さんが積極的に、意識的に違法行為を指示するというケースよりも、むしろ競争を通じて結果的にそういう状態が現出する場合の方が多いと思います。  したがいまして、私は今回の適正化実施機関というものが単にお互い同士の行為規範というものを定め、それを遵守させるというだけにとどまらず、一つ越えて荷主さんに対してアプローチできるというような、これはいわば業界としての防衛手段でございます。これをぜひとも認めていただきたいというのが私の申し上げたいことでございます。基本的には受注産業である、あるいは力関係であるというような条件があるわけでございますので、完全に対等というのは無理でございましょうけれども、そこのところで、そういった適正化機関の活動等を通じてなるべく対等の立場に持っていくということが大事なことかと考えております。お答えになるかどうかわかりませんが……。
  45. 長田武士

    ○長田委員 沼越参考人にもう一点お尋ねをいたします。  今回の規制緩和につきまして、実態面から考えますと私は大変危惧倶をしている問題がたくさんあるのです。と申しますのは、先ほどちょっとお話がございましたとおり、九一%が中小零細である。そうなりますと、特に運賃の競争が激しいという状況下でありまして、どうしても零細の皆さん方はそれに耐え切れない、恐らく分岐点を割ってしまう、そういう実態例がどんどんあらわれてくる。免許制許可制になり、運賃においては許可が届け出制になる、こういう状況下で、私は中小企業が物すごく倒産するんじゃないかという感じを抱くんですけれども、そういう危惧はないんでしょうか。
  46. 沼越達也

    沼越参考人 陳述におきましても、いろいろと置かれた立場において業界の反応はさまざまであるというように申し上げました。それで私ども、やはり健全な中小企業というものが育たないとトラック運送がもたないということはよく承知しております。したがいまして、冒頭申し上げましたとおり、中小企業施策、特に人材確保とか相互融通システムとかそういったことを通じてなお一層の中小企業経営基盤の強化ということが強く望まれる次第でございます。また、これについて財源措置も十分に講じていただきたいと考えております。
  47. 長田武士

    ○長田委員 ではもう一点お尋ねをいたします。  現在の路線トラック昭和六十年六月、区域トラック昭和六十年八月にそれぞれ設定された運賃ですね。これから新規参入については届け出をさせるようですけれども、既存の業界に対しては届け出をさせない、従来のものを踏襲をさせるという委員会の答弁の意向でありますけれども、そうなりますと、四年前の運賃体系をそのまま踏襲するというのは一体どうなんでしょうか、時代に合わない。ややおさまりかけていますけれども、依然としてインフレ、物価上昇は続いておるわけですから、そういう点でますます事業者が圧迫されるのじゃないかと私は考えますが、どうでしょうか。
  48. 沼越達也

    沼越参考人 運賃の問題につきましては、要するにそのときの認可運賃が新法施行時においてそのまま届け出とみなされるということでございます。したがいまして、おっしゃるとおり六十年の運賃法施行時において、このままでいけば届け出運賃とみなされるということになるわけでございます。  一方、業界実態を申しますと、時短はどうしてもやらなければならない。総労働時間が五百時間も六百時間も一般産業よりは長いという状態では、もう人材確保はあきらめざるを得ないというか、絶望的な状況であると言わざるを得ないと思います。そのためにはやはり時短をやり、休日をふやし、総労働時間を減らすということを業界としてどうしてもやらなければならないわけでございます。  しかし、これはすぐれてコストの問題でございます。現在、トラック事業で平均いたしまして人件費が五〇%を超えておるわけでございます。六割に近いかと思います。そういうことになりますと、これは当然コストアップの要因でございます。したがいまして、私どもとしては、運賃改定は極めて早期にやっていただく必要があるであろう、この新法が施行されれば自由に届け出できるのだからというのは待っておれないというのが実情でございます。
  49. 長田武士

    ○長田委員 それでは、秋田参考人にお尋ねをいたします。  労働条件が過酷な中で大変皆さんが御苦労されていらっしゃるわけであります。日本の産業構造は、さっきお話がございましたとおり、大変危険が伴うとか過酷な労働条件とか汚いとか、いろいろございますが、そういう産業については非常に人手不足というのが現状でございます。若い人たちへの後継がなかなかうまくいかない、そういう中で苦労されていらっしゃる方の賃金の低さということがやはり大きな問題であろうと考えております。私はそういう意味で、過酷な条件で働く方はホワイトカラーよりももっともっと待遇をよくすべきであるというのが持論なんです。一方においては、大変厳しい状況の中での運賃交渉、そういう中にありまして待遇改善をしようということも大変難しいとは思いますけれども労働組合の長といたしまして、具体的な政策はどうお考えになるのでしょうか。
  50. 秋田哲也

    秋田参考人 御指摘のとおり、大変低賃金であるのは先ほど陳述したとおりでございます。普通の労働者と違いまして、三次産業、特に道路を職場としていますので、よく職場の中で言うのですが、自分が一睡もしないで走っていて自分が谷底へ落ちる分には構わない、しかしそのことによって周りの何にも関係ない人が事故に巻き込まれる、大変な問題なんだから、少なくともこういった労働者を使う立場の人はきちっと労務管理してもらいたい。労務管理するときに、運賃がもらえないからといってそれを労働者に押しつけるのは筋違いだ、そのためにそういったところへ人を派遣できないようになる。幸いなことに最近労働力不足なものですから、そういった意味では既に倒産した小さな業者もあるようでございます。  ですから、運賃問題につきましても、ただ単に企業に任せるばかりじゃなくて、我々の労働の対価としてきちっと取るべきだということで、今日までも運賃問題につきましては特に交渉を強めております。特に私の組織の中でも、運賃歩合などという賃金制度をとっているところもあります。千円に対して幾らもらえるか、こういったところもありますから、これは当然違うのです。やはり時間に対して賃金を支払うべきだということですが、今までのいきさつ上、そういうことになっておりますので、そういった改善も含めながらこれから指導してまいりたい、このように考えておるところであります。
  51. 長田武士

    ○長田委員 大変御苦労されている、そういう皆さん方のために、どうかひとつ御尽力をいただければ大変ありがたいと思っております。  それでは時間が余りございませんので、亀崎参考人法案修正の問題点、いろいろお伺いしまし たけれども、まだたくさんございますでしょう。その点についてお話をいただければ……。
  52. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 基本的な点では、まず先ほど申し上げましたが、「目的」のところで荷主の利便だとか利益の保護だけというふうに限定されておりますところにつきましては、当然ながら産業の健全な発展あるいは公共の福祉の向上などを入れるべきであろうというふうに思います。  それからその他、それぞれの実運送企業の労働者労働条件問題等につきましても、当然これは一定の状況を保持しなければならない大きな社会的任務もあるわけでございますので、こうした点が利用運送事業者にとって、あるいは荷主にとって十分考慮されるような点の内容を入れることができるならば、ぜひそのような体制をとっていただきたいなども考えておるところでございます。
  53. 長田武士

    ○長田委員 終わります。ありがとうございました。
  54. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員長代理 小渕正義君。
  55. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 民社党の小渕です。参考人の方、大変御苦労さまですが、ポイントだけ二、三点お尋ねしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、沼越参考人にお尋ねいたしますが、御承知のように、今我が国の高速道路は長距離トラックでもう満杯。道路という道路はほとんどトラック。まさに我が国道路事情からいけば、もう飽和状態になっていると私は思いますが、こういう中で、今後なお経済活動が活発化し、いろいろとサービスその他、そういう物流といいますか、物の動きがますます大きくなっていく、そういう点と、今日の我が国道路が飽和状態になっているということの中で、今後のことについて、トラック業界としてはどのようにお考えなのか。その点はいかがでしょうか。
  56. 沼越達也

    沼越参考人 二つあると思います。  先ほど法案に関連いたしまして御要望申し上げました一つは、車両の大型化の問題でございます。一車当たりの車両積載量がふえますれば、かなりの量がこなせるという点が一つございます。  それから二つ目は、営業車の積載効率向上でございます。現在、路線、区域いろいろございますが、平均して車両の積載効率が六五%というように私は数字を記憶いたしておりますが、この積載効率向上を図っていくということが必要なことだと思います。それで現在、私ども協同組合活動を通じまして、協同組合が連携いたしまして、帰り荷のあっせんシステムというのですか、それをモデル事業としてやっております。それで今後はなおそういうのを全国的な規模に広めていくということが二つ目の方策かと思います。  もちろんそのほか、例えばインターモーダルのフレートライナー等を利用するとかいろいろな問題があろうかと思いますが、トラック事業自体としての問題といいますか、これに立ち向かう道はこの二つかと思っております。
  57. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 もう一点お尋ねします。  先ほどから輸送秩序確立ということでいろいろ取り組まれた内容をお聞きしておりましたが、かなりの部分について運転者に対する教育とかいろいろそういったものに大きなウエートがあったようであります。もちろん業界としての荷主対策その他もいろいろ検討されたようでありますが、私なりに考えますと、問題はトラック業界過当競争といいますか、これが最大の要因ではないか。それが長時間労働、低賃金、やれ何だ、いろいろ問題が出ていますが、要するに輸送秩序確立の中では、まずトラック業界のそういう過当競争体質をどう変えていくか、これが私は一番大事なポイントではないかと思うのです。そういう意味で、この点についてどのような取り組みがされておりますか。先ほどから、独占禁止法との関係をすぐ出されておりましたが、そういう面もありましょうけれども、もっと業界内部できちっとそこらあたりをもう少しお互いに話し合いながらできないのかどうか。もちろん、中小企業が多いということもありましょうけれども、そこらあたりを。  それから、状況としてお尋ねしますが、そういうトラックのいろいろ業界内の一つの団体がありますね。そういう中に加盟しないアウトサイダー的な業者等があるのかどうか。全部大体トラック業界、みんなこういう運送事業をやっている人たちは何らかの業界の団体に加盟されながらいろいろな業界内の内部的な調整連絡をしながらやっておるのか、アウトサイダー的なものはないのかどうか、そういう点の状況についてはいかがでしょうか。
  58. 沼越達也

    沼越参考人 現行法によれば、免許を受けた事業者というのはほとんど地区のトラック協会に加入していると聞いております。  それから、冒頭の御質問の、業者数が多過ぎて過当競争体質を本質的に持っているのではないかというお尋ねでございますが、確かに三万八千の業者というのは非常に多うございます。また、いわば一種の非常に零細企業になりますと生業的な企業というのもございまして、なかなか近代的な経営というところまでレベルは上がってきておりません。私ども、そういった企業があるということを踏まえながら、従来中小企業対策というものに非常に熱を入れてきたわけでございます。もうこれは四十一年から始まっております。しかし、なかなか思ったほどの効果は上がっておりませんけれども、中には非常に成功した協同組合もございます。こういった協同組合活動等をできるだけ広めていくという方向で対処してまいりたいというように考えております。
  59. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 重ねてちょっとお尋ねします。  そういうふうにいろいろ努力されておるでしょうけれども、一種の業界内部における抜け駆け、あそこが例えば長崎から東京まで何時間で運ぶのなら私のところはもっと早く運びますというような調子で、そういうことでどんどん過当競争体質がひどくなったのだろうと思いますが、これは独禁法との関係ですが、運用によっては可能と私は思っているのです。例えば、何キロの運送荷物はもう何時間以後しか届かないのだというような、何かそういうそれぞれの地域ごとの一つの運送距離によっての基準をお互いが持ちながら、それをある程度十分お互いに尊重しながらやっていくというようなこと等がどうして考えられぬのか、まあ考えてもすぐ独禁法の関係で何か問題になったのかどうかわかりませんが、そういう点でもう少しそこらあたりを、もちろん中小企業その他の方が多いとは思いますけれども、そういう業界内部の努力というのはどうだったのでしょうか。
  60. 沼越達也

    沼越参考人 そういった面の努力も幾つか行われたわけでございます。だけれども、残念ながらこれはという成果をおさめたというところについては寡聞にして承知しておりません。しかし、先生のおっしゃったそのような方向というのは、単に対荷主関係でどうのこうのと言う前に自助努力として十分行うべきことと思いますので、十分服膺して仕事に当たりたいと考えますので、よろしくお願い申し上げます。
  61. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 どうもありがとうございました。  水野参考人に一点お尋ねいたしますが、これからの業界は、鉄道貨物輸送関係はますます重要視されてくるのじゃないかと思います。先ほど言うように、トラック運送というのがかなり飽和状態道路事情でなっていることを考え合わせれば、より重要視されてき、またそれだけいろいろと活性化するのではないかという気がするのですが、そういう意味で、今回の法案の中で第二種運送事業にきちっとされたことは非常に評価するというようなことをさっきお述べになりましたが、具体的にどういった点なのか、簡単で結構ですからちょっと御説明いただきたいと思います。
  62. 水野節比古

    水野参考人 ただいま、通運業界の将来につきましていろいろ御指摘、ありがたく拝聴をさせていただきました。  第二種取扱についての御質問でございますが、通運国鉄との間におきましては一つの一貫輸送というものがどうしても必要なわけでございます。荷主さんから荷物をいただきまして、それを 駅まで運び、駅に到着いたしましてから託送いたしますのですが、それにつきましては、発駅と着駅との関係について十分いろいろ連絡をとり、それで国鉄で着駅に到着をいたしまして、それから通運事業者で引き取りをして、さらにトラック荷主さんに運ぶということでございます。  こういうような一つシステムがございまして、これをどうしても一つ事業体なりあるいは全国のネットワークで密接に関連を持っております事業者によりまして、合理的にあるいは非常に細密にわたりますまで荷主さんと十分いろいろ御相談申し上げて初めて鉄道輸送というものが完成するわけでございます。したがいまして、集貨配達というものが切り離されてまいりますと、その間について必ず問題が生じてまいるのではないか。  したがいまして、現在の通運事業におきましては発から着まで、特にコンテナにおきましては発から着までの十分の合理的な問題を処理しながらやっておりますので、どうしても集貨配達の作業というものが一つ通運事業というものについておりませんと、なかなか荷主さんの要望にこたえられるようなわけにまいらないということでございまして、それを切り離されますとなかなか荷主さんの要望にこたえられないという意味から、第二種をおつくりいただきましたことについて、本当に業界実態というものを御理解いただいた上で法案をおつくりになられたのではないかと私ども敬意を表しておる次第でございます。
  63. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ありがとうございました。  秋田参考人に一点だけお尋ねいたします。  トラック業界の大変な状況の中で、非常に御心労されておることに大変敬意を表する次第でありますが、輸送距離の長距離化、それから深夜輸送がよりふえていく、こういう今の現状はますます進んでいくのではないかと思うのです。  こういう中で、最近のバス会社の深夜バスといいますか、例えば長崎から名古屋までの路線がいよいよ始まるとか、北九州から東京までとか、いろいろそういうバス会社関係では、夜出て朝着くんだということをキャッチフレーズにして、夜間のそういうバス運行がだんだん始まっているのでありますが、こういうトラック業界の長距離、特に深夜運行が増大するということになると、どうしても運転手さんを二人乗せるとかいうようなことでの解決策、もちろんこれは業界で大変抵抗があるでしょうけれども、やはりそこらあたりにポイントを絞って、徹底的な運動か何かをなされるのが解決策の一つの方向ではないかという感じも私なりにするのです。  そういう意味で、ともかく問題点がいろいろありまして、それがいろいろ絡んでおられるから大変だと思いますけれども、最低これだけは絶対に何とかしなければいかぬというポイントがあられれば、その点をお教えいただきたいと思います。
  64. 秋田哲也

    秋田参考人 御指摘ありました夜出て朝着くというのは、今はもうほとんど常識になってございます。私は毎年調査をしておりますが、十年ぐらい前ですと、一番込む時間が、例えば東京のインターチェンジ、高速道路を出るところを見ますと大体八時から九時ごろだったのですが、今は十一時から十二時です。ほとんど二時間ぐらい遅くなるということは、荷主サイドの方が出荷時間がおくれる。そして翌朝には必ず着けなければいかぬ。しかも都市部へ行きますと、例えば大阪、名古屋、大きなところへ行きますと、大型車は通行どめの時間があります。そうすると、勢い五時か遅くとも六時までに入らなければなりませんので、結局スピード違反その他が日常化しているのは事実であります。  私もこの間オルグに行きましたが、ベンツをトラックが追い越したという笑い話までありまして、大変な時間になっておりますので、私は標準時間で運行しろということを言っておりますが、やはり出荷時間その他荷主サイドにも協力を求めなければならぬのはたくさんあると思うのです。  そして二人運行のことを申されましたけれども、私もできればそうしたいのでありますが、先ほどから申し上げておりますように、絶対数が足りません。休車しているところも私の組織でも結構あります。ということは、大型運転手が不足なのです。特に深夜に従事することを若者は嫌っておりますので、今ほとんど新しい長距離運転手が入らないという現状でございます。できれば現有勢力で時間をきちっとすべきだ、途中でできれば乗り継ぎをするとか、そういうものを業務提携、別な会社と業務で提携して車だけ走らす、そういったことをこれからぜひ検討すべきじゃないか、こんなことも考えながら具体的な対応をしてまいりたいと思っております。
  65. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 時間が参りましたので、亀崎参考人に一点だけお尋ねしますが、簡単にお願いします。  今港湾運送事業から見た問題点についていろいろお話がありましたが、それなりに私どもも理解しておるわけでありますが、ポイントは、こういった港湾運送事業等がいつまでも自分たちの領域を守る、閉鎖的なそういうことには、もう時代の流れとしてはなっていかぬのではないかという感じもするのです。そこらあたりはどのような御見解をお持ちですか。
  66. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 御指摘のところは私どもも大変危惧をしておるところでございます。しかし、港湾における船への積み込みあるいは積みおろしという業務そのものは、どのように日本の産業構造が転換をしようともこれはなくなる状況では全くございませんので、私どもは当然そのようなものを基本にしながら、港湾産業の存続はあり得ますし、それはぜひ継続させていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
  67. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。どうもありがとうございました。
  68. 川崎二郎

    ○川崎(二)委員長代理 中路雅弘君。
  69. 中路雅弘

    ○中路委員 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。限られた時間ですから一、二問ずつお聞きしますけれども、最初に沼越参考人にお尋ねします。  先ほどからお話しのように、受注産業ですから、荷主との関係ではなかなか対等というわけにいかない面があります。今の認可運賃のもとでもなかなかそれが収受できないという状況が多くあるわけですね。ダンピングの問題があるわけですが、新しい今度の法案、これが認可制から届け出制になるわけです。これによって、端的に言うと、運賃は上がると思われますか、あるいはどういうふうに変化、下がると思われるのか。この新しい法案の中で、どういう事態が考えられますか。
  70. 沼越達也

    沼越参考人 お答え申し上げます。  極めてお答えしにくい御質問で恐縮いたしておりますけれども、私ども運賃というものは、その建前というものもあると思います。運賃の制度ということによって左右されるというファクターもかなりあると思います。同時に、先ほど先生おっしゃいましたように、これは実際の荷主との関係についても非常に大きなファクターでございます。  確かに旧法は運賃認可制でございましたけれども、この認可制荷主に守らせる力はなかったように思うわけでございます。現実に認可運賃収受運動というものについての幾多の歴史がそれを物語っておるわけでございます。これは、一つ業界内の結束の弱さという問題もありましたでしょうし、同時に荷主の優越的地位と申しますか、受注産業であるトラック産業立場、それから法律上荷主に対するアプローチの道がなかったという三点が理由であったろうと思うわけでございます。今度は確かに認可制届け出制になるわけでございます。しかし、届け出制といたしましても、例えば非常にわかりやすい運賃ができるということもあろうかと思います。業界実態に即した、例えばこの荷主に対してはこういうサービスをする、だからこの対価をいただくというわかりやすい運賃の設定が行われる可能性が片方ではあると思います。  それともう一つ、私どもが非常に大きな希望をつないでおりますのは、今度の法案において荷主 に対するアプローチの道がつけられたということでございます。先ほどるる申しておりますけれども荷主さんが違法行為をやれという指示を直接なさるケースはむしろまれであって、やはり相互の競争を通じていろいろな問題が出てくるというケースが多いかと私は思います。したがいまして、私が先ほどから御要望を申し上げておるとおり、適正化実施事業を行う機関が単に運送業者の適正化を図るだけでなくて、荷主さんのところまで出向いてアプローチできる道をぜひともつけていただきたいというお願いをしております。これが新法における一つの非常に評価すべき点ではないかと私ども考えております。
  71. 中路雅弘

    ○中路委員 六十四条に「荷主への勧告」というのが明記されていますけれども、発動要件を見ますと何重にもクリアしなければいけないことになっていますし、罰則もないわけですね。荷主への勧告の問題の実効性という点でどのようにお考えか、一応認識だけお聞きしておきたいと思います。
  72. 沼越達也

    沼越参考人 私ども荷主さんとの関係が法律に書かれたということだけでも非常に大きな進歩だと考えております。私は、実効性については、要は行政の御覚悟の問題であろうと思うわけでございます。したがいまして、法の要件を具備した場合は厳正に実施していただきたいということをお願いしたいと思います。
  73. 中路雅弘

    ○中路委員 もう一点だけお聞きしておきますけれども、これは前回質問した問題と関連するものですから、運輸省からも法定の社会保険の加入の徹底についてトラック協会に指示が行っていますね。皆さんの方でいろいろ自主点検もやられて調査されているようですけれども、その中でも、例を挙げると厚生年金にも入っていないというところもあるのですね。これは自分の将来の生活を考えても全く保障されないことになるわけですから、そういうところに若い人たちが集まることが今なかなか大変なわけです。皆さん自身で自主点検もやっておられるわけですが、こうした法律で定められた各種の社会保険にも入っていない業界が随分ある。この問題の改善は今どのように取り組まれておりますか。
  74. 沼越達也

    沼越参考人 ある県単位のトラック協会では、非常にシビアに相互監視といいますか、それを実施しております。全ト協といたしましてはそのような事例を各県ト協に紹介いたしております。私はやはりそれは、一応、適性化実施機関というものが不公正な取引を排除するという意味において活動領域の中に入るものであると考えております。
  75. 中路雅弘

    ○中路委員 秋田参考人に一問だけお聞きしたいのですけれども、過積載とか長時間労働、それからスピード違反とかいろいろありますね。こうしたものを防ぐという一つの案で、たしか以前に組合の方で提案があったかと思いますけれども荷主規制といいますか、荷主トラック事業者労働者にしわ寄せをしないように、荷物に輸送状というようなものをつけて、どういう荷物をいつ出していつ届けるかということをこの中に明記してやっていくような、何かそういった提案があった記憶があるのです。この問題についてはどうお考えでしょう。     〔川崎(二)委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 秋田哲也

    秋田参考人 今でも私ども要求してございます。簡単なことですから、何を幾ら積んでいるかわかればいいわけですから、警察庁との交渉のときにも、そういうものがあれば非常に便利だ、一々交通渋滞を起こさなくても済む、そういった見解もありましたが、なかなか業界サイドがそれをつけること自体に抵抗があるようでございまして、当然これからも業界サイドとも交渉してぜひこの義務化だけはお願いしたいと思っています。
  77. 中路雅弘

    ○中路委員 あと五、六分なのでちょっと飛ばしますけれども亀崎参考人に一、二お伺いしたいのですが、私の手元にも亀崎さんが委員長組合からたくさんのはがきをいただいています。「規制緩和法案の廃案に御尽力くださるよう要請します。」というはがきですが、特にその中で、中小企業の職場を雇用不安に陥れるということが書かれてあるわけです。このはがきや電報をいただいていますけれども、新しい法案が港湾の業者、中小業者あるいは労働者、そこに働く人たちの雇用に不安を感じさせているということの訴えがあるのですが、もう少し中身として、この法案がどういった点でこうした問題を起こすのかということを若干御説明いただきたい。
  78. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 一つは、基本的には、先ほど申し上げましたように、この法律の目的が、荷主利用者の利便性の向上と利益の保護という観点からつくられている法律であるだけに、全体的に運賃、料金のダンピングあるいは料金の低下という問題は厳しく行われてくることが予測をされるわけでございます。この点が当然関係の分野で働く労働者労働条件の低下につながりますし、激しい場合には企業の倒産、解雇、こういうことにつながってくることも必至であろうかと思います。  もう一つは、私ども港湾の場合から見ますと、先ほど意見を申しました際にも申し上げたわけでございますが、この法律が港湾運送には関係がない、関係がないといいながら、やはり何としても港湾運送を利用して貨物の輸送が行われることになるわけでございまして、港湾運送の事業分野利用運送事業者が入り込んでくるということが将来的に決してないとは言えないと思うわけでございます。現に、コンテナ業務だとか海貨業務等々の面に対しては当然そうした問題が起こってくるだろうということが強く予測されるわけでございますが、当然このようなことが働いております港湾労働者の雇用の不安にとって非常に強いインパクトを与えることは間違いのない事実でございます。私どもはそのような点で大変な危機を感じておるところでございます。
  79. 中路雅弘

    ○中路委員 これは先ほども御質問にありましたけれども中心の問題ですね、ポイント、この法案について皆さんとしては、この点だけは、ここはもうあれしなければ、おっしゃったように廃案にしてほしいというポイントのところだけ最後にちょっと。
  80. 亀崎俊雄

    亀崎参考人 一つは、この条文の中で、先ほど申し上げましたように、港湾運送事業分野にはあくまで利用運送事業は介入をしないということを明確に示していただくということが必要であろうかと思います。そして、どうしてもこの法案でそのことの改正、修正ができない部分につきましては、港湾運送事業法そのものを改正をして、港湾運送事業の範囲をもっと明確にしながら、この分野についての利用運送事業の介入をしないような対応をする、そしてまた料金の関係につきましても完全な収受ができる体制、そのような対応をすること、同時に、それが不可能となります場合には当然荷主に対する処罰、両面罰則規定をつくることがぜひ必要であろうかと思っております。
  81. 中路雅弘

    ○中路委員 時間ですので終わります。
  82. 島村宜伸

    島村委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ────◇─────     午後一時三分開議
  83. 島村宜伸

    島村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  第百十四回国会内閣提出貨物運送取扱事業法案及び貨物自動車運送事業法案の両案を一括して議題とし、質疑を続行いたします。左近正男君。
  84. 左近正男

    ○左近委員 きょうは物流の問題が審議されるわけですが、運輸の最高責任者として運輸大臣にその立場から二点、ひとつお伺いをしておきたいことがございます。  一つは、ジャンボの事故の問題であります。世界最大の航空の犠牲者五百二十人、大変なことで あります。この墜落事故に対して刑事事件処罰がされない。これは、私も大阪ですので身近な知人が遭遇されておるわけです。遺族だけでなしに、国民感情としても何かしっくりいかないと思うのですね。このことについて、大臣としてどのような所信をお持ちなのか明らかにしていただきたいと思います。
  85. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 運輸行政の基本は、陸海空にわたりまして安全というものを忘れたら、私は行政はないと思っております。  今回の日航ジャンボ機の墜落事故につきましては、去る十一月十六日に検察首脳会議が開かれたということは報道によって承知しておりますが、その内容等についてはまだ正式の通知に接していないわけでありますから、そのことについてはこの機会にコメントを避けたいと思いますけれども、いずれにしましても、処罰されなければされないだけ何十倍、何百倍もの責任を肝に銘じて、今後そのような事故が再び起こることがないようにあらゆる努力をして、運輸省自体もそうですが、航空業務にかかわる各社においてもそのようなことはもう断じて起こらないように細心、緻密な注意を払うよう、今までもそうしておりますが、これからもさらに心して私どもは行政を進め、監督を厳重にしたい、こう考えておるところでございます。
  86. 左近正男

    ○左近委員 いずれ処罰されないということが公式に見解表明があったら、大臣として心ある所信の表明をしていただきたい、このように思っております。  二点目は、これも海上自衛隊の潜水艦「なだしお」と第一富士丸との衝突事故の問題ですが、当時の潜水艦艦長の航泊日誌の改ざん問題が社会的に大きく問題になっております。この件に対して運輸大臣として運輸省内で再調査の指示をする意思があるかどうか、この点いかがですか。
  87. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 航泊日誌の改ざんの問題につきましてさまざまな報道がなされますので、海上保安庁を中心にいたしまして、省内においてもしばしばこの問題の検討をしてきたところであります。改めてこのことにつきましては、念のために海上保安庁すなわち運輸省としての考え方をこの際述べさせていただきたいと思います。  事件当初、横須賀地方総監部より横須賀海上保安部に入った連絡では、衝突事故は十五時三十八分となっていました。この時刻は、速力通信受信簿及び航泊日誌の記載時刻と異なっていたため、当初から詳細な調査を行っており、初期の段階から航泊日誌の修正の事実があったことは承知いたしておりました。したがって、海上保安庁の認定した事実では、衝突時刻は十五時三十九分ごろとしており、これは単に航泊日誌等の記載だけではなく、乗組員からの供述、他船舶乗組員からの事情聴取、そして海上保安庁の海上交通センターのレーダー映像の解析結果、第一富士丸の船内時計の停止状況等から断定したものであります。したがって、航泊日誌の修正が海上保安庁の捜査に影響を与えたとは考えておりません。  また、防衛庁側も当初三十八分と連絡をしてきており、特段の悪意はなかったものと考えておりますが、十分な捜査をいたして結論をまとめたものでありまして、特段の事実がない限り、この航泊日誌の改ざん問題で再度調査する必要はないものと考えております。
  88. 左近正男

    ○左近委員 海難審判所で艦長の再尋問がされるわけですから、それを待ちたいと思います。  それでは、貨物二法の問題について具体的に御質問をしたいと思います。  既に同僚議員の方から基本的な問題等についてはいろいろと質問がされております。私は、きょうの午前中の参考人等の御意見も踏まえまして、逐条的に疑問とする事項について御質問をしたいと思っております。  一つは、取扱事業法の関係からいきますが、第二条の「定義」の問題、この実運送という概念が非常にあいまいでございます。法案ではいろいろな事業者ということで書かれておりますが、港湾運送事業者がなぜ実運送の中に入らないのか、これは非常におかしいではないですか。実際国際化、一貫化、こういう体制輸送がされている中で、港湾の仕事というのは当然実運送の中に入るべきじゃないか、私はそのように思うのですが、どうですか。
  89. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 第二条の「定義」では、「「実運送」とは、船舶運航事業者、航空運送事業者鉄道運送事業者又は貨物自動車運送事業者の行う貨物の運送」をいうということで、この四つの輸送モードが実運送ということに定義をされております。  ただいまの御指摘は、港湾運送事業というのはなぜ実運送に含めないのか、こういう御指摘だと思いますが、一つには、ただいま申し上げた四つの輸送モードというのは相当の距離の間で貨物を運ぶということで共通しております。純粋の運送行為ということでございますが、港湾運送事業というのは、港という特定の地域の中でのいわば作業行為であるという基本的な性格の相違がございます。それから港湾運送業と申しますのは、御承知のように港湾運送事業法によって律せられておりますが、この港湾運送事業法と申しますのは歴史的、沿革的な背景からいたしまして他の実運送に関する事業法規とはかなり異なった性質の規制を行っております。実態に即して非常に細かく業種を分ける、さらに下請制限等の規定を設けるというようなことで、港湾の実態に即した特殊な規制をしておりますので、これと他の輸送機関と一緒にこの実運送の定義の中に設けるというのは賢明ではないのではないかというふうに考えた次第でございます。
  90. 左近正男

    ○左近委員 それなら港湾運送というのは実運送ではないということですか。法案上言うておるのとは違うよ。現実に物を運んでおるやないか。それはどうやね。
  91. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 現実に、貨物の運送の中で港における貨物の移動を取り扱っていることはおっしゃるとおりでございます。ただこれを、そうだからといって実運送の中に入れて取扱業法の適用をかけることがいいかどうか、この点は私どもも随分考えた上で、先ほど申し上げたように港湾運送事業法の特殊な性格ということから、これに取扱業法をかぶせない方がむしろはっきりしていいのではないかということでこのような規定にしたわけでございます。
  92. 左近正男

    ○左近委員 これだけやっておっても一時間ぐらいたつから、もう次に移りますよ。そこの点はちょっと疑問があるということ。  次に、第六条。今回のこの取扱事業法の一番柱が、利用運送事業というのを法的にはっきりしたというか、位置づけをしたということがこの法案の一番大きな柱ではないかと私は思うのですが、そういう意図が運輸省としても私はあるような感じがいたします。  そこで「許可の基準」の問題ですが、利用運送事業の制定によって、せんだっての質問を見ても、商社なり大企業が利用運送事業者になって、非常に小さいところの実運送も含めてすべて系列化、下請化されてしまう、寡占化されてしまう、こういう点がこの法案の一番大きな問題点だと私は思うのですよ。やはりそれをしっかりとある程度歯どめをする担保をしてもらわなければ、この法案にはなかなか賛成がしにくいという要素があるわけです。  そこで、特に港湾事業者あるいは港湾で働く人たちがこの点については大変な心配をしているわけですが、午前中の参考人の御意見にもございましたように、積み込みの問題、バンニング、デバンニングの問題ですね。コンテナの積み込み場所が、こういうような利用運送というものを制度化することによって港頭地区から内陸に入ってしまう、インランドに入ってしまう、こういうことが非常に心配されておる。それによって港湾事業者の職域も、あるいは労働者の職域も業種も非常に縮小されてしまうのではないか、こういう点に非常に心配がありますので、例えば許可の基準として、利用運送事業者は港頭で仕事をしなければならないというような歯どめをかけてもらえません か。その点いかがですか。
  93. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 コンテナのバンニング、デバンニングというような作業をどこでやるかということでございますが、これはやはり基本的には荷主が一番経済効率のいいところでやるということで決まってくるのだろうと思います。利用運送人はむしろそれに対応してこたえていくという立場にある。したがって、利用運送人が港頭地区でしかやらないというような縛りをかけるというのはやはり難しいことではないだろうかというふうに思う次第でございます。
  94. 左近正男

    ○左近委員 そんなことをしたら港湾の人たちは職場がだんだんなくなってしまうがな。  ILOの百三十七号というのはどういう内容ですか。
  95. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 ILO百三十七号条約は、港湾における各種荷役というものが進展することについてはこれを是とする、しかし、それに伴う利益、不利益があるわけでございますから、港湾労働者はその利益の配分にあずかるべきであるという考え方でございまして、常用雇用の確保であるとか最低収入の保障であるとか、そういうようなことについて規定したものでございます。
  96. 左近正男

    ○左近委員 それをやっているの。
  97. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 これはまだ批准はされていないわけでございます。これにつきましては基本的には労働省の御所管でございますが、港湾調整審議会の場でたしかこの十一月の中旬から審議が始まったところでございまして、問題点の整理も含めて対応を検討されておるという状況でございます。
  98. 左近正男

    ○左近委員 だから、コンテナ化されてどんどん荷役の技術革新がされる、そうなった場合、働く人や職域がだんだんなくなるから、やはりもっと大事にしてやれというILOの条約じゃないの。あんた、それをちゃんと政府としてやらんかい。
  99. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 ILOの条約につきましては今申し上げたようなことで、批准について広い立場から御検討が進んでおるわけでございますが、港湾運送事業の職域の問題につきましては、それより前に当然考えなければいかぬことでございまして、それは本来、港湾運送事業者荷主との関係でいいサービスを港頭地区で提供する、それによって荷主が港湾の港頭地区を使うことにメリットがある、そういうふうに感じるようにしていくことが大事だと思います。  そのために運輸省としてお手伝いできることをやっていかなければいかぬわけでございまして、具体的には総合的な物流ターミナルの整備であるとか情報化の推進であるとか、そういった港湾運送事業の近代化なり高度化のための施策を運輸省としても推進して、港湾運送事業荷主にとって魅力のあるサービスを提供できるようにしていくというのが仕事であろうというふうに思っておるわけでございます。
  100. 左近正男

    ○左近委員 くどくどした答弁はいいんだ。できるか、できぬかということを聞いておるのです。  この利用運送事業者は、元請とか海貨を通さず港湾の荷役作業を手配することができるのですか。
  101. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 荷主から貨物を受け取りまして、いわゆる二種以下の荷役関係の事業に仕事を頼むということは、これは一種港湾運送事業の免許を受けた方しかできませんので、この法律で取扱業の資格を取ったということだけではそういうことはできません。
  102. 左近正男

    ○左近委員 違うがな。あんた、何を聞いておるのや。この利用運送事業者が当然港湾荷役の免許を取りますね。いろいろ免許を取るのと違うのですか。絶対取らないのですか。例えばNVOCCというようなところがきっちりと免許を取るのかどうか。
  103. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 利用運送事業で港湾運送事業の免許を持っておられるところとそうでないところがあるわけでございますが、今おっしゃったNVOCCは、端的に言いますと、むしろ港湾運送事業者がほかの資格を取ってNVOCCの仕事をやっておられるという例が多いわけでございます。
  104. 左近正男

    ○左近委員 だから、利用運送業者が元請とか海貨とかエージェントとかそういうものを通さずに港湾の荷役作業を直接手配することができるのですか、できないのですかと聞いているのや。
  105. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいまのお尋ねのようなケース、すなわちNVOCCが実際の作業会社をみずから手配するということになりますと、一種元請の免許を持たずにやれば港湾運送事業法の明確な違反になります。
  106. 左近正男

    ○左近委員 だから、利用運送業者はその免許を取るというようなことがあり得ないのか。
  107. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 利用運送事業者が別途港湾運送事業法上の免許を取りたいといって申請することはもちろん自由であります。そのときに免許を出すかどうかは港湾運送事業法上の免許基準に照らして審査することになりますので、免許されるケースもあろうし、されないケースもあろう、こういうことでございます。
  108. 左近正男

    ○左近委員 そんなものはすぐに免許を出すのと違いますか。こういった業者は大手だから資本もあるし能力もあるんだ。そんなことではぐあい悪いのやないか。そこが心配なのや。
  109. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 従来、海上利用運送業というのは規制がございませんでしたから、先生も御指摘のとおり、既にいろいろな分野事業者がこの世界に進出をしております。御指摘のように商社系のもありますし、船会社系のもありますし、メーカー系のもあります。しかしながら、先ほど審議官より申し上げましたとおり、港湾運送事業者自身もNVOCCの仕事をしている業者が非常に多いわけでございます。ですから、この世界は特定の業種の人だけができるというものではなくて、いろいろな背景の人たちが出てきておるということであったわけでございます。  ただ、この人たちは従来、必ずしも港湾運送事業の免許そのものを取得するのではなくて、荷主から引き受けた貨物を一種元請の港湾運送事業者に港湾運送を委託する、いわば港湾運送事業者に対するお客としてあらわれてきたわけでございまして、必ずしもみずから免許を取って自分で港湾運送事業をやるという性向は強くなかったというふうに私どもは見ております。
  110. 左近正男

    ○左近委員 だから、そこらを明確にしていただきたいということや。今までは港湾の仕事は、荷主なり船主から元請、海貨、エージェントというようなところを通じて仕事をしておったわけやな。そういうような流れはこの法案によって影響しませんか。しっかりそういう業種なりが仕事をする職域が守れますかという点が心配なのですよ。そこの点をはっきり答弁してよ。だらだら要らぬのや。あなた、答弁が難しいよ。
  111. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 港湾運送事業法は、今回の法改正、物流二法によっては何ら改正を加えられておりませんので、新しい申請があっても現在の港湾運送事業法の免許基準によって従来どおりの方針で審査されることになります。したがいまして、新しい取扱事業法によって利用運送の許可を得た者であっても港湾運送事業法上何ら特別扱いされることはありませんので、仮に、港湾運送事業法上の免許申請をしたとしても、これは他の利用運送事業者でない人と全く同じ立場で審査を受けるわけでございまして、何ら特別の扱いを受けることはございません。
  112. 左近正男

    ○左近委員 どうもよくわからぬ。僕が頭が悪いからかな。  結局、この法律ができることによって利用運送業者というのができるわな。それが港湾の仕事をとってしまうのと違うのかというのが非常に心配なわけや。だから今まで港湾の仕事、荷主から元請あるいは海貨、エージェント、そういうようなルートを通じて仕事の流れがあるわけでしょう。だから、この法律ができてもその流れは変わりませんよという担保が欲しいわけよ。それをちゃんと、はい、わかりましたと言わぬかい。それならこの法律に賛成するのや。
  113. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 貨物運送取扱事業法によって利用運送業の許可を得ましても、そのことでは何ら港湾運送事業法上の地位を得るものではありませんから、その限りにおいては全く従来と同様、港 湾運送事業者に仕事を頼むほかない、自分で港湾運送事業をやるわけにはいかない、こういうことでございます。
  114. 左近正男

    ○左近委員 いや、違うのです。中抜きせえへんかということを言っておるのや。それをちゃんとしてや。
  115. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 港湾運送事業を飛ばして直接いわゆる利用運送事業者が作業会社を使うということはありません。
  116. 左近正男

    ○左近委員 次に、第九条の関係ですが、「運賃及び料金」。利用運送事業者の運賃なり料金というのは、各輸送モードの適正料金の積算と手数料、こういう理解でよろしいか。
  117. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 利用運送事業の料金は、各輸送機関ごとに今度届け出によって決まる、こういうことでございます。したがいまして、仮に複合一貫輸送をやっている方がいらっしゃいますと、それは複合一貫輸送の構成要素別にそれぞれ別の料金を届け出る、そういうことになります。そして荷主に対しましては、その届け出た料金の組み合わせによって、トータルで幾らでございます、それに自分の手数料を乗せて全体で幾らでございますというふうにして料金をいただく、こういうことになります。
  118. 左近正男

    ○左近委員 そんなうまいこといくか。  このトラック輸送というのは今度届け出ですわね。国際複合一貫輸送の場合ですよ。港湾運賃というのは認可。海上の国際運賃というのは自由でしょう。外国へ行った運賃というのも自由でしょう。こんなに自由がある中で、こんなうまいこと、あなたの言うようにしっかりした港湾の認可運賃が守られるという担保がどこにあるのでしょうか。その辺どうか。
  119. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この法律は、港湾のところは対象になっておりませんので、この法律に基づく届け出ということになりますと、港湾運送の料金は出てまいりません。しかしながら、トラックであるとか今おっしゃった海上運送というのはこの法律の対象でございますから、それぞれこの法律に従って届け出をしなければならない、こういうふうになるわけでございます。それはこの法律の世界のことでございまして、荷主さんに対しては全体で幾らでございますという料金をいただくわけですが、そのときには港湾運送の関係は、当然港湾運送事業法があって認可料金を払わなければなりませんから、それを荷主さんにお願いをしていただく、こういうことになるわけでございます。
  120. 左近正男

    ○左近委員 それなら認可運賃をダンピングしたら運輸省はどうするのですか。きちっと何かやっておるのか。その辺はどうかね。
  121. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今、制度の問題を申し上げると、認可制度になっておるものは認可料金を必ず請求してもらわなければいかぬ、こういうことになるわけでございます。それは、相手が取扱事業者であろうが真の荷主であろうが変わるものではありません。ただ、先生おっしゃったように、残念ながら認可料金が完全に収受されておるかというと、申しわけありませんけれども、それは完全に収受されていないことは事実でございます。この点については、認可料金の完全収受運動とか、そういう格好で今までも努力をしてまいりましたし、今後はさらに一生懸命やっていかなければいかぬというふうに思っております。
  122. 左近正男

    ○左近委員 だから、法律で書いてあることと現実が違うわけや。それをしっかり踏まえてやってもらわなければ困るがな。現実に港湾の認可運賃、法で決められているけれども、ほとんど守られていないと私は聞いておる。そういうような現実の上に立ってこんなことをやったらますますダンピングになるのと違うか。問題はそこや。あなた方、六法全書ばかり見て世の中を渡っておったらあかんよ、もっと現実を見て渡ってもらわなければ。その辺どうですか。
  123. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 実は、先生に申しわけないのですが、今でも認可料金が守られないという問題はあるわけでございまして、この制度ができたからということではないと私は思います。この制度ができましてももちろんやらなければいけませんし、今でも一生懸命やらなければいかぬということだと思います。
  124. 左近正男

    ○左近委員 だからそこが問題なのや。けれども、私はもう二十四分しかないのだ、時間がようけ質問事項、これだけあるのだ。もうそんなのをやっておったらこれだけであれや。  九条の二項の二に、利用運送業者が特定荷主に対しての不当な差別的取り扱いの禁止という条項がありますね。そうすれば、この利用運送業者というのは実運送業者から見れば荷主と一緒だ。荷主代行みたいなものですよね。そうであれば、利用運送業者が実運送業者に対しても、やはり何らかの差別的取り扱いをしてはならないという条項が要るのではないですか。これは荷主ばかり守る形になっておるわけや。利用運送業者というのが真ん中におって、荷主さん、下の方の実運送業者に対する差別的取り扱いをしてはならないという条項も当然要るのじゃないの、これはどうか。
  125. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この法律で、今先生おっしゃいました運賃、料金というのは、利用運送事業者が荷主からちょうだいする運賃、料金のことでございます。今先生がおっしゃいました利用運送事業者が実運送事業者に払うお金は、実運送事業者から見た運賃、料金ということになるわけでございますので、それが公正なものでなければいけないという規定は、実運送事業法で規制をされる、そういうことになっておるわけでございます。
  126. 左近正男

    ○左近委員 それはどこにあるの。ちゃんと書いてあるか。——いいです、もう次へいくから。それもちょっと次の答弁と一緒にして。  十条、「運賃又は料金の割戻しの禁止」ですね。今の問題と関係あるわけですが、法案利用運送事業者が荷主に対して運賃または料金の割り戻しを禁止していますね。そうであれば、実運送業者に対しても運賃のダンピングをしてはならないという条項も要るのではないですか、この法案の中で。その辺もどうですか、さきの質問と関連して。
  127. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 基本的には先ほど申し上げたようなことで、利用運送事業者と荷主の関係はこの法律、利用運送事業者と実運送の関係は実運送事業法で規制するということでございます。ただ、利用運送事業者の運賃、料金が非常に不当なものであります場合には、それに対する是正命令がかかりますから、その限度で実運送事業者というものは結果的に守られるという面が出てまいります。  それからもう一つは、利用運送事業者に対して事業改善命令をかけるという場合がございますので、これもその運用によって実運送事業者が守られる、そういう面はございます。  ただ、法律の整理としましては、実運送事業者の法律で実運送事業者荷主の関係、その荷主利用運送事業者も含んで荷主の関係、これを規制する、そういう整理になっておるわけでございます。
  128. 左近正男

    ○左近委員 どうもこの取扱事業法の中で、やはり三点セットあるわけや。荷主、その中間の利用運送業者、実運送業者、これがこの貨物運送取扱法案の中では明確にきちっと整理されていないわけだね。この点がちょっと心配なのよ、今のあなたの答弁を聞いても。そこらをしっかり何で法案の中に入れられないの。荷主ばかりの、利用運送業者の関係だけは法案の中で何条も載っているわけよ。実運送業者の関係については、法案の中に載ってないわけよ。
  129. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 荷主利用運送事業者の関係は、先生おっしゃるようにいろいろ書いてございますが、それと同じことがどこに書いてあるかといいますと、それは先ほども申し上げている実運送法、例えば港湾運送事業法に書いてあるわけです。そこには料金というのはこういう基準でなければだめだとか、不当に差別をしてはいかぬという規定が実運送法にまた別にあるわけでございます。それは実運送事業者荷主に対してそういうことをやってはいかぬという規制でございまして、その荷主というのは本当の荷主利用運送事業者と両方入った概念でございます。
  130. 左近正男

    ○左近委員 あなたはこじつけがうまいから言わ はるけど、一つ法案の中でしっかり整理しなければあかんのやないかな。  次に、第十五条の四号、利用運送事業者の業務改善命令のことですが、これも荷主の利便を害している事実の問題が書いてある。この場合、荷主の利便を害している事実というのは具体的にどういうことなのか。そしてこれも私の言うように、実運送業者に対する公正取引の保障をこの項目の中でしっかりしてもらわなければあかんのと違うかと思うのですよ。これも私は、片手落ちという言葉がいいかどうかわからぬけれども、少し平等性に欠けておると思いますよ。
  131. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず、十五条の四号の荷主の利便を害している事実がある場合というのは、例えば典型的な例を申し上げますと、貨物が滅失をしましたり、棄損をしましたり、遅延をしましたり、そういうことが恒常化するような事態、非常にサービスが低下しているような事態、こういうようなことを想定した直接の条文でございますが、これは先ほどちょっと申し上げましたように、この改善命令の中身としまして、今、先生がおっしゃっている実運送事業、これの秩序が非常に乱れる場合にはこの四号でその是正を命令することがあり得る、そういう解釈にこれはなっております。そういう運用もすることがあり得るということでございます。
  132. 左近正男

    ○左近委員 あなたらは自分の勝手な解釈をするのですな。どこにそんな文章が載っているのですか。そないにしてほしいのです。してほしいけれども、どこにそういうような、読み取れる文章があるの、この四号に。もういいです。もう時間がありません。  二十一条の「事業の停止及び許可の取消し」の問題ですが、私は貨物運送取扱事業法というのは、提案理由の説明でもあったように、すべての貨物運送取扱事業の機能に応じた横断的、総合的な制度に整備をするとあなた方は言っておられるわけですね、今までの縦割りの問題ではなしに、もう全部やっていくと。そうすれば、短いモードであっても、港湾運送事業法もしっかりその中へ組み入れて法体系を全体的に整備をするというのが当然じゃないですか。  私の言うているのは、法案のイロハのイだと思うのですよ。それをやらないというのは、今、局長の方からいろいろ理由を言われた。いろいろ理由を言われたことで線引きをしたのだ、それで取扱事業法の中に入れなかったのだ。それは裏を返せば、それでは線引きをしっかりしてください。その担保はどこにありますか。あなたが冒頭で答弁された、事情が違うのだ、だから入れなかったのだ、それなら入れない線引きをどこで担保するのですか。
  133. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 先ほども申し上げましたように、港湾運送事業法に定義する港湾運送事業を無免許でやった者は、当然港湾運送事業法上の違反としてその責任を問われなければならないわけであります。先ほどの御指摘は、この貨物運送取扱事業法の方で港湾運送事業法違反の者を処罰するべきではないか、こういう御指摘だったかと思いますが、港湾運送事業法違反に対しては港湾運送事業法で制裁を加える、これが筋であろうかと思います。
  134. 左近正男

    ○左近委員 それでは、法的に港湾運送事業法で罰則をするということでございますが、一応法二十一条では、利用運送業者がそういう違法なことをやったら港湾運送事業法でしっかり罰則適用さすという理解でよろしいか。
  135. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 貨物運送取扱事業法に基づく利用運送事業の許可を取った者であっても、港湾運送事業法に規定する港湾運送に該当する行為を無免許でやれば当然に港湾運送事業法上の罰則がかかります。
  136. 左近正男

    ○左近委員 これは無免許だけか。ほかにいろいろあるでしょう。どういうことですか。免許の問題だけですか。
  137. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 無免許以外のケースといいますと、免許を持っておってなおかつ港湾運送事業法上のもろもろの規定に違反するというケースになりますが、これはまさしく港湾運送事業者としてその港湾運送事業法上の処分を受けるということであって、当然のことであります。しかし、先生がおっしゃっておられますのは、恐らく免許を持たない者が港湾運送に出てくる、そこを御心配になっているのではないかと思って先ほどお答えしたわけです。
  138. 左近正男

    ○左近委員 何もかも心配しておるから聞いておるのです。  次は、三十五条、「許可」の問題です。僕は法律がよくわからないけれども、外国人等による国際貨物取扱事業の問題で、三十五条では外国人は運輸大臣がこの許可を与えるということになっているのですが、第五条四号では外国人の企業等の禁止。一貫した一つ法案として、第五条では外国人は禁止だ。三十五条では大臣の許可を得て一応認める。これはまたアメリカの人がこの法案を見たら、第五条だけ見て、また差別やと言われるわけで、日本の法律はすべてそんなふうになっておるのですか、その辺どうですか。ここら辺、整合性はいいですか、これで。
  139. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 確かに「欠格事由」のところでは外国人を一度外しておりますから、日本人と同様の制度のもとに許可を受けるわけではございません。そのかわり、外国人はすべて排除する意図か、こういう御質問かと思いますが、そのような意図ではありませんで、外国人につきましては外国人特有の制度のもとに許可を与えようというのが第四章でございます。したがって、外国人は欠格事由には当たるのですが、第三十五条へ来ますと「第三条第一項及び第五条の規定にかかわらず、」運輸大臣の許可を受ければ「船舶運航事業者の行う国際貨物運送に係る利用運送事業又は航空運送事業者の行う国際貨物運送に係る利用運送事業を経営することができる。」ということで、外国人は外国人の制度のもとで許可を得られる、こういう仕掛けにしてあるわけでございます。
  140. 左近正男

    ○左近委員 あんたのところがいいと言うんやったらいいわ。いや、ちょっと気になるわけで指摘しただけです。またがたがた、大臣困るやないかと思うているだけのことです。  第五十一条、必要な施策を総合的に実施するためにということでいろいろ言われていますが、これはどういうことをやるのか。  第五十二条の団体の問題、これもまた天下りと言うたら怒られるかしらぬけれども、またつくるわけやな。これはどんな団体なの。そのことをつくってどんなあれをするとか、メリットはあるのかね。
  141. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず五十一条の具体的な施策のことでございますけれども、具体的には法律の規制以外にも国際複合一貫輸送を育成するような施策がいろいろ必要でございますので、端的に申し上げますと、人材の育成であるとか施設の整備であるとか情報化の推進であるとか、そういったようなことを考えているものでございます。  それから、五十二条の団体というのは端的に言うとどういうものかということでございますが、これは全国通運連盟であるとか全国限定通運連合会あるいは利用航空運送事業者団体の日本国内利用航空運送事業者協会、こういったようなフォワーダー、利用運送事業、そういった方々の団体のことでございます。
  142. 左近正男

    ○左近委員 これは既存の団体ですか。
  143. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 そのとおりでございます。こういう団体を想定したものでございます。
  144. 左近正男

    ○左近委員 いや、僕が聞いているのは、新しい団体をつくるのか、既存の団体でそれをやらすのかということや。
  145. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 新しい団体ができればこの法律で届け出をしなければなりませんが、既存の団体につきましてもこの法律で届け出をして把握をし、それによって実態面の情報把握などをやっていこう、こういう思想でございます。現実に今考えられるものはこういったものでございます。
  146. 左近正男

    ○左近委員 ちょっと僕、理解ができないんだけれども、この五十二条、「運送取扱事業を経営す る者が組織する団体は、」というのは、新しい団体を想定した法文ではないということですね。
  147. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 これはどういう団体かを具体的におわかりいただくために今申し上げたような団体名を挙げましたけれども、この法律によって新たに届け出をしなければならないのはこれからできる団体のことでございます。
  148. 左近正男

    ○左近委員 いや、そんなことを聞いているのじゃない。新しくつくる意思があるのかないのかを聞いておるのやないか。
  149. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 政府として特に新しい団体をつくろうという考えを今持っているわけではございません。自発的に何か団体ができればこの法律に基づいて届け出が出てくる、こういうことでございます。
  150. 左近正男

    ○左近委員 それを早いところ言うてよ。僕は、この港湾のいろいろな団体がありますね。また、今局長言われるように新しくこの法律に基づいて届け出があるかもわからない。そういうような港湾の、港湾だけではないですが、貨物運送取扱事業の健全な発達、これを願った団体については、いろいろ作業をやられますね、その作業内容をいろいろ論議するために、学識経験者とか労働団体の代表とかを加えた運営をしていただけないかと思うのですが、その辺、運輸省としては行政指導をされていく意思がございますか。ないですか、どうですか。
  151. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 先ほど審議官から申し上げましたように、既存の団体として全国通運連盟とか利用航空運送事業者の団体とかいろいろございます。こういうところと労働界その他の利益代表が協議を行うということ自体は意味のあることだと思いますので、それはそれぞれの団体の意思に応じて協議をしていただければいいことだと思いますが、特にこの法律に基づいてそのような義務づけをすることを考える必要はないのではないかと思います。
  152. 左近正男

    ○左近委員 だから、行政指導をされる御意思がございますかどうかをお伺いしておるわけや。法でやれと言うてません。
  153. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この団体を我々が届け出を義務づける意味は先ほど申し上げたようなことでございますので、具体的にその団体がどういう仕事の仕方をするかというところまで、今先生がおっしゃったような格好で指導をすることは考えておりません。
  154. 左近正男

    ○左近委員 何でもおらぬ、おらぬと言うておき。今に政権変わったら困るぞ、ほんまに。  次に、もう時間がないので貨物自動車運送事業法に移ります。  いろいろ問題点たくさんあるのですが、もう時間がございません。第十八条の問題、運行管理者。これは現在もおられるわけですが、第二項で「業務の範囲は、運輸省令で定める。」とある。具体的にどういう内容を定められるおつもりですか。
  155. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 運行管理者は現在でもある制度でございますので、現在やっておる制度はそのまま決めるつもりでございます。その具体的な中身としましては、乗務割の作成、これに基づく運転者の配置、乗務記録の作成、過積車両運転禁止の指導、事故時における運転者への指導、こういったことを考えております。また、これに加えまして新しい業務といたしまして、仮眠休憩施設の点検管理、運転者確保に関する事業者への助言、こういったようなことを定めることを考えております。
  156. 左近正男

    ○左近委員 それは結構なことだと思いますよ。  そこで、二十二条、運行管理者の義務の問題です。今審議官から言われたいろいろな項目、これは非常に大事なことです。それをしっかり運行管理者は義務として第二十二条ではやらなければならない。事業者は運行管理者に必要な権限を与える、この必要な権限を与えるということは事業者としてどういうことを与えるのか。  それともう一つ、そういうように運行管理者が法的にしっかりと整備されることは結構なことでありますが、反面、事故なんかが起こった場合、当然刑事責任がこの運行管理者に一〇〇%かかってくる、事業者もかかるかもわかりませんが、主たる運行計画の問題やいろいろな問題を義務として与えた場合、その辺の兼ね合いはいかがですか。
  157. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず権限とは何かということでございますが、この法律で言う権限といいますのは、運行管理者がその仕事をやっていくために必要な社内的な権限でございます。具体的には、例えば乗務割の作成というようなことを運行管理者にやっていただく、そういう意味での社内的な権限の付与でございます。  それから、二番目に責任のことをおっしゃいましたけれども、そういうことで会社の内部の責任、権限を委譲したということでございますから、これをもって対外的な使用者責任が免れるということにはならない、使用者責任は残るというふうに考えております。
  158. 左近正男

    ○左近委員 それは当然わかっていますがな。だけれども、この法案できちっと運行管理者というものを位置づけることによって、事故があった場合、従来以上に運行管理者に刑事責任が問われる率が高くなる懸念はないかどうかということを聞いているわけや。
  159. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 交通事故が生じた場合の刑事責任が、従来事業者に科されていたものがこの規定によって新たに運行管理者に転嫁されるということはないというふうに思います。
  160. 左近正男

    ○左近委員 運行管理者というのは、これは今までもあったわけよ。これは六十二年で五万一千八百十六人か、大変たくさんな運行管理者がおられた。これを今度試験もし、法的にしっかりしたわけ。これは結構なことだけれども、今までの運行管理者も過去に何件か刑事事件に問われた方、おるでしょう。それ以上に今回このように法的にきちっと整備することによってかなりウエー卜が、運行管理者に事故責任、こういうものが問われないかどうかということを聞いているわけや。質問の趣旨、わからぬかな。日本語でやっているんやで。
  161. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今の問いにそのとおりお答えすれば、権限が充実した分に見合う責任というのも大きくなるというふうに思います。
  162. 左近正男

    ○左近委員 そうやろ。そこを僕はちょっと心配しておるのだ。これは事業者がかなり免責されて、冒頭の飛行機の事故と一緒や。やはりそこらの問題をどうきっちりしてあげるか、大変心配事ではないかな。その辺、運輸省としてこれからどういうようにされるのか。そこらを、きょう答弁要らぬから、ちょっと僕心配していることやから、きちっと勉強しておいてちょうだい。よろしいか。
  163. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 先生の御指摘を踏まえて、一生懸命勉強いたします。
  164. 左近正男

    ○左近委員 次に、民間活力ということで、第三章には「民間団体等による貨物自動車運送の適正化に関する事業の推進」という章があるわけですが、この三十八条の地方の適正化実施機関、四十三条の全国適正化事業実施機関、第四章の指定試験の機関、これの四十六条の指定試験機関の指定、四十七条の指定の基準、二項一号、これはすべて民法三十四条の法人ということで、これらの管理者の適正化実施についても、あるいは試験についてもすべてこの民法三十四条の法人にやらしていく、その法人とは運輸省は、せんだっての答弁を聞けば、トラック協会に全部その職務を委託を、委託すると言えばおかしいが、やらしていくということなんですね。こういうことが果たしてこの法の趣旨を適確に遂行するに当たっていいのかどうか、その辺どうですか。
  165. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 適正化事業実施機関につきましては、従来ともトラック協会ではこのような秩序改善のための仕事をしてきておりますので、しかも他にそのような団体が見当たらないということからこれを指定することが最も適切であろうかと思います。  それから試験につきましては、せんだって御指摘がありましたように自動車事故対策センターと いうものもございますが、これは特殊法人になっておりまして、本法律に定めます民法第三十四条の規定により設立された法人ということに該当いたしませんので、これはやはりトラック協会しか考えられないということで先般のようなお答えを申し上げた次第であります。
  166. 左近正男

    ○左近委員 このトラック協会というのは、恐らく軽油の交付金もあるでしょうけれどもトラック三万八千の業者の方々が会費を出し合って運営をされておると思うのですよ。三十八条、四十三条の問題は今までもやっておる事業ですから、これはまあいいとしても、この試験の問題も、そういうような同じ穴のムジナと言えば怒られますが、言葉はちょっとぐあい悪いですが、何かそういうような身内ばかりで全部やるということで果たして客観的な試験でしょうかね。もうちょっと第三者機関にしっかりした形でやるべきじゃないですか。何もかも、すべてをこの事業者の寄り集まった団体で処理をしてしまうということはいかがなものかと僕は思いますよ、この点どうですか。
  167. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今やっておる仕事の目的とか内容とか組織とか、いろいろなことから見るとトラック協会がいい、こう考えておるわけでございますが、御心配の点につきましては、トラック協会だけでやるということではございませんで、試験業務を担当する役員の選解任であるとか事業計画であるとか、あるいはその他のことにつきまして運輸大臣がきちっと監督をするようにこの法律で規制をしておりますので、それによって問題がないようにやっていけるものと思っております。
  168. 左近正男

    ○左近委員 いや、私は、このトラック協会の土俵の中でそれを処理する、大臣がいろいろ監査や何かされる、これは結構なことだと思いますが、そのことを言っているわけや。それでいいのか。
  169. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 もともと公益法人でございますから民法に基づく監督があるわけでございますし、それに加えまして、今申し上げたように、この法律に基づいて試験業務を適正にやるための監督というのが非常に詳細にわたって書いてございます。これをきちっとやることによって、トラック協会がやることについても問題は生じないというふうに思います。
  170. 左近正男

    ○左近委員 三十八条、事業の適正化をするためにいろいろなことをやられる、試験もやられる。これはかなり予算、財源が要るのですよ。この金は国が持つのですか。
  171. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず適正化事業の方でございますが、これは社団法人であるトラック協会、指定されればでございますが、トラック協会の負担になるわけでございまして、その原資としては交付金ということが考えられます。それから指定試験機関の方のお金でございますが、これは受験者から手数料をいただくことになっておりますので、その手数料で賄っていくということになると思います。
  172. 左近正男

    ○左近委員 手数料で独立採算できるのか。
  173. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 これは手数料の額がどうなるか、あるいは受験者の数がどうなるかということとの関係で決まるわけでございますが、基本的に今後どんな試験の内容にするのか、どれぐらい受験者が来るのか、そういったようなことを考えながらこの仕事ができていくような手数料を決めていく、そういうことになると思います。
  174. 左近正男

    ○左近委員 僕はこのトラック協会というのはよくわからないのですが、この団体は政治活動や、政党や議員に対して政治献金ができる団体ですか、できない団体ですか。
  175. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 一般的に申し上げて、民法第三十四条に基づく公益法人は政治資金規正法に抵触しない範囲で政治活動や政党への寄附は特に禁じられてはおりません。ただ、都道府県トラック協会は、地方公共団体から先ほど御指摘の運輸事業振興助成交付金の交付を受けておりますので、地方公共団体の議会の議員とか長の候補者に係る政治活動に関する寄附を行うことは政治資金規正法により禁じられており、現実にトラック協会はそのような寄附を行っておらないと承知しております。  なお、地方公共団体から交付金の交付を受けている団体が国の選挙にかかわる寄附を行うことにつきましては、同法によって禁じられているところではございませんけれども、いずれにしてもトラック協会としては、いかなる政治活動に関する寄附も行っていないと承知しております。
  176. 左近正男

    ○左近委員 民法三十四条による法人は、政治活動、政党への献金、議員への献金は法的には禁じられておらない、そういうことですか、今の答弁を集約すれば。
  177. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 民法上の公益法人としては、政治活動や政党、政治家に対する献金を禁じられているわけではないということでございます。
  178. 左近正男

    ○左近委員 トラック協会が今度法に基づく、例えば三十八条、四十六条等々の法に基づく業務をやられる、その場合もこれは禁じておらないのかどうか。これは大変大きな問題だと私は思いますよ。この辺、いかがですか。
  179. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 政治資金規正法による規制はかかりますけれども、国から事務を委託されたということ自体によっては、特に政治活動への献金等は禁じられるものではないと理解しております。
  180. 左近正男

    ○左近委員 その問題でもうちょっとやらしてもらいます。  それでは、この運輸事業振興助成交付金制度、これは昭和五十一年から軽油引取税の交付金が処置されておるわけですが、都道府県トラック協会、全日本トラック協会にどれだけのお金が交付されているのですか。
  181. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 昭和五十一年度から六十三年度までに、この運輸事業振興助成金は総額千八百三十一億円交付されております。そのうち、全国的な事業の用に資するために、都道府県トラック協会は全日本トラック協会へ、ただいま申し上げた交付総額の三〇%を出捐することになっておりまして、五十一年度から六十三年度までの間に五百四十二億円が出捐されております。したがいまして、残りの千二百八十九億円が地方分として使われておるわけでございます。ちなみに、六十三年度は総額で約百六十五億円が交付されておりまして、そのうち全日本トラック協会には約五十億円が出捐されております。
  182. 左近正男

    ○左近委員 この法は時限ですから、今の法では平成五年までですかね。これだけの大きな金が、県のトラック協会全国トラック協会では何に使われているんですか。政治献金ですか。
  183. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず第一に、いわゆる輸送施設なり福利厚生施設などの施設整備事業でございまして、これは、トラックステーションであるとか保養所であるとか研修施設であるとか、こういった整備に使われております。  それから二番目に、輸送サービス改善あるいは安全運行の確保、こういったようなことに使われておりまして、具体的には、乗務員の研修であるとか利用者を対象にした相談室の実施であるとか構造改善の推進、こういったようなことに使われております。  それから三番目に、いわゆる事業者事業資金の確保を円滑にするための基金として、これで債務保証をしたり利子補給をする、それによって事業者車両を買ったり施設整備をする、そういうようなことに使われております。
  184. 左近正男

    ○左近委員 二点。それだけの国のお金がそれらの協会に行っているのです。何ぼ民法三十四条の団体、法人だといえども、当然国から来ているお金をもらっている団体は政治活動やあるいは議員に対する献金というのは禁止しなければならぬではないか。その点が第一点。  もう一点は、この監査がどうなっているのか。法的な監査がきちっとやられているのかどうか。私は十分勉強してないからその内容はようわからぬけれども、その二点どうですか。
  185. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず一番目のお尋ねは、政治資金規正法の問題になりますので、必ずしも責任を持ってお答えできる立場にないのでございますが、伺っている範囲では、地方公共団体から補助金をもらっている法人は地方公共団体の関係の政 治献金をしてはいけない、国から補助金をもらっている団体は国の政治活動に対して政治献金をしてはいけない、こういうふうな規制があるというふうに聞いております。  それから二番目の監査のことでございますが、全日本トラック協会は運輸大臣がやっておりまして、都道府県のトラック協会は運輸局長がやっておることになっております。
  186. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 先ほど申し上げたことでございますが、念のために申し上げますが、都道府県トラック協会も、また全日本トラック協会も、政治資金の献金等をやっておりません。
  187. 左近正男

    ○左近委員 僕はやっている、やっていないを言うているのと違う。やはりそういう大量の補助金、交付金をもらっている団体が、民法三十四条の法人だということで法的にはできますということだから、トラック協会についてはしてはならないようにしなきゃならぬじゃないですかということを僕は言っているわけで、これは意見として聞いておいてください。また機会があれば少し意見交換、論議をしたいと思っております。もう時間ですというのが来ていますから、先へ行きます。  そこで、この三十九条の事業の問題で、いろいろやられるわけですが、今回、一般貨物自動車運送事業の許可の基準、第六条で、過労運転の防止、輸送の安全ということを柱に入れていただいたわけですね。これは私は高く評価しますよ。できる、できぬは別として、法案にきっちり文章として入れていただいた、これは評価します。これは、ひいては働く人たちとの関連が非常に深いのですよ。だから、この事業にはやはり労働団体はぜひとも入れてもらいたい。そうしなければ、この法の第六条は円滑に遂行できないと僕は思うのですよ。この点が第一点。  次は、第六十四条の荷主への勧告の問題。これは取扱事業法の利用運送事業者にもこれを適用さすということをはっきりさすべきじゃないか。この二点はいかがですか。
  188. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 第一点でございますが、適正化事業におきましては、御指摘のとおりに、輸送の安全の確保に関する規定の遵守を非常に重要な仕事と位置づけておるところでございます。そこで、この事業の推進につきまして、労働組合の代表等の関係者から幅広く意見を伺いまして、この実施機関の業務運営に逐次反映させていくということは、適正化事業の成果をより一層高めるものであり、重要なことだと考えております。このためには、現在実施されております物流政策懇談会の活用などによりまして、意見交換を活発にしていくように措置してまいりたいと思っております。  それから第二点の、荷主勧告を取扱事業法上の利用運送事業者にも適用すべきかどうかという点でございますが、六十四条の荷主勧告の規定におきます荷主といいますのは、トラック運送事業者との間で運送契約を締結する相手ということを意味いたしますので、その限りにおきまして、利用運送事業者も、トラック運送事業者との間で運送契約を締結すれば、当然この荷主に該当いたします。そこで荷主勧告の対象となります。
  189. 左近正男

    ○左近委員 最後の一問。大臣にお伺いをいたします。  規制緩和の問題ですが、私の考えは、この政府の許認可については、公共性や国民生活に非常に影響あるものにはやはり社会的な規制として規制を強化すべきじゃないか、そして、国として画一的に規制する必要がないものについては、これは廃止をするか、もう地方に権限を移譲してしまう、こういうような原則で許認可の問題については運輸省としても整理すべきではないかと思うのです。私は調べてみましたら、国の許認可事項の数は六十三年三月三十一日現在で一万二百七十八件もあるのです。六十年の十二月三十一日と比較したら、六十年には一万五十四件なんです、ふえておるのですよ。運輸省はその中で千九百七十七件、大変多いのです。大臣は先ほどのお答えで、私への答弁ではないですが、先日、運輸省は許認可行政の上に立ってばかり仕事をしてはならぬということを言っておられたわけでございますけれども、私は基本的に賛成でございます。  私は都市のバスとか地下鉄の出身なんですが、バスの停留所を五メートルやそこら動かすのでも地域の運輸局に届け出を出さないかぬ、こんなばかなことを今運輸省やられておるのですよ。したがって、やはり許認可を整理しなければならぬ。運輸省は一万件のうち二千件もあるわけです。各省庁たくさんある中で非常に多いのですよ。二〇%占めておるわけですね。  今後大臣として、許認可のあり方について運輸省としてどうされようとするのか、基本的な考えと所信をお伺いしておきたいと思います。
  190. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 御案内のように、鉄道で運んでおったものがだんだんトラック時代になって、その規模も八兆円を超すようになってきた。農業生産が十一兆円ですから、随分と大きな産業に成長してきて、御意見のように国民生活の隅々まで影響を及ぼす業務となってきた。こういう認識の上に立って、省全体としては私申し上げますように許認可行政だけをやっておっちゃいかぬ。時代も変わってきた。したがって、一定のルールを保ちながらやはり免許は許可制におろしていく、時代の趨勢ですからできるだけ規制緩和というものはやっていく。  しかしながら、一方では運送業に携わる従業員が九万人も不足をするという事態もある。それならばよって来る原因も厳密に精査して、時代対応するような、先日はいわゆる危険、汚い、きついとかいうお話がありましたが、そういう前近代的な経営から社会的な責任を負わせる一つ産業として育てていこう、こういう考え方で今回の物流二法を提案したわけでありまして、その中にあって、御意見のとおり許認可行政のあり方については、今後も政策的誘導手段を伴わないものは厳に戒めていく、そういう考え方で取り進めてまいりたいと思っております。
  191. 左近正男

    ○左近委員 質問を終わります。
  192. 島村宜伸

    島村委員長 吉原米治君。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  193. 吉原米治

    ○吉原委員 トラック二法の問題について質問をいたします。  私どもはこの二法案についてそれぞれ本文修正箇所、あるいは附帯決議に付するもの、あるいはこの委員会審議を通じて議事録で確認をしたいこと、たくさんあるわけでございまして、それらについて、きょうは限られた時間でございますが簡潔にお答えを願いたいと思うわけでございます。  最初に貨物事業法の方に入りますが、一たん貨物自動車運送事業者の認可をした業者は終生その事業を遂行するというような制度はいかがなものか。私はどの企業がどうのこうのとは申し上げませんけれども、大方の事業者はまじめに法を守って事業運営をされておると思いますが、中には法を守らない、あるいは守ろうとしても結果的に守れないという事業者も残念なことでございますが出てくる。したがって、一たん認可をおろした後五年刻みくらいで事業認可の更新をしたらどうなのか。五年間まじめにきちっと合法的に事業を遂行されておる業者はもちろん問題ございませんが、中には法を逸脱するような事業者もおるわけでございまして、この際、二法案が新たにできるこの段階で、まず五年刻みくらいで事業の更新制を一項起こしたらどうなのかと思いますが、いかがでございますか。
  194. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいま、許可に更新制を設けて例えば五年ということで期限をつけたらどうかというお話でございましたが、もし何らかの重大な違反行為があって、五年の期限が来たときに更新をすべきでないような重大な法の違反があるというケースでございましたら、これはむしろ五年の期限の到来を待たずに、その事実が発見された段階で適正な処分を行い、場合によっては許可の取り消しをするというのが適切な対応かと思います。三万八千以上ございます事業者から、一々五年目ごとに更新の申請を出させるということは事業者にとっても過大な負担をかけますし、行政側 としても行政負担にたえがたいということでございまして、このような制度の導入は行政改革の方向に逆行するのではないかと考えております。
  195. 吉原米治

    ○吉原委員 更新制は必ずしも行政の簡素化の時代にふさわしくないというお答えでございましたが、重大な法違反を行うような事業者についての罰則は何条にそのことがうたってございますか。
  196. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 今度の法案でいきますと三十三条でございます。
  197. 吉原米治

    ○吉原委員 それでは法違反をやるような不心得な業者については厳しい対策を講じていただきますように、これはひとつお願いを申し上げておきます。  続いて、同僚議員も今質問しておりましたが、十七条の関係で、運転者の過労防止をするために必要な措置を講じなければならない、こういうふうになっておるわけでございますが、この乗務基準といいますか、それをひとつ明確にしてほしい。これは具体的には省令で明確にするようにお答えでございますが、私どもは、運輸省の出されます省令はもちろん、労働省令等々に出されます労働時間の改善のための基準の遵守事項についてきちっと事前に定めておくべきだ、こう思いますが、省令の中身についての骨格等を明示していただけますか。
  198. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいまのお話は、労働時間の基準を省令で書けないか、こういうことかと理解申し上げますが、御案内のように、現在運転者の乗務時間あるいは労働時間の基準につきましては、労働省のいわゆる二・九告示というもので定められております。これはあくまで労働基準の一環としての労働時間の基準でございまして、労働基準法の体系の中で位置づけられておる問題でございますので、この法律に基づく命令で労働時間の基準そのものを定めるということは困難かと思います。  しかしながら、トラック運転者過労運転を防止する上で二・九告示の遵守徹底を図るということは極めて重要なことと認識しておりますので、従来とも労働省との間で相互通報制度等の活用を通じまして緊密な連携を保ち実効ある措置をとっておるところでございますが、これを引き続き講じてまいりたいと思っております。
  199. 吉原米治

    ○吉原委員 私の質問の趣旨は局長理解をされておるようでございますが、具体的に十七条では「必要な措置を講じなければならない。」ということで、非常に具体性に乏しいわけでございまして、この十七条の「必要な措置を講じなければならない。」というところに一項起こすべきではないのか。労働省令等々、他省庁にまたがる文言はいかがなものかというふうな意味合いのこともおっしゃいましたが、労働省令で差し支えがあるのなら労働省令という文言は外して、労働省令によって明確に定めるというような文言は私は一向に差し支えないと思いますが、いかがですか。
  200. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 現在告示で定められております労働時間の基準を省令にまで格上げすべきかどうかという点は御所管の労働省の御判断かと思われますので、私どもとしてはちょっとそこまで口を挟むことは難しいかと思います。
  201. 吉原米治

    ○吉原委員 いやいや、だから労働省分野まで運輸省が口出しをしてくれと言っておるわけではなくて、同趣旨を運輸省令の中に定めてそれを本文の中に挿入すべきではないか、またそれはできるんじゃないですか。単に「過労運転を防止するために必要な措置を講じなければならない。」という具体性のない文章では困るわけです。もっと具体性を持たせてほしいわけだ。いかがですか。
  202. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 現在、道路運送法施行規則の一つでございます自動車運送事業等運輸規則という運輸省令がございますが、これの二十一条で「過労の防止を十分考慮して、事業用自動車の乗務員の勤務時間及び乗務時間を定めなければならない。」というような規定がございます。運輸省として定められるところはここまでではないかと思います。あと具体的な労働基準そのものはやはり基準法の体系の中で処理していただくべきものではないかと考えております。
  203. 吉原米治

    ○吉原委員 運輸規則二十一条に触れておるから、それ以上のことはできないという趣旨のことでございましたが、今、労働時間、過労防止というのがトラック業界の非常に大きなテーマになっておるわけですから、規則があるなら規則を本文に入れたって一つも差し支えないと思う。むしろ運輸省みずからがこの問題に真剣に取り組んでおるという証左になると私は思うのです。局長、もう一歩踏み込んだお答えができませんか。
  204. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 先ほど申し上げた運輸規則というところでの処理が最も適当な形ではないかとただいまのところ考えております。
  205. 吉原米治

    ○吉原委員 それでは、また最終的な段階で申し上げることにいたします。  次は、過積載が問題になっております。あるいは先ほども申し上げました過労運転の防止、これに資するために、自重計や運転者の運行記録計などの車両機器の装着義務化と車両構造の改善のための関係法令の見直し、整備を可及的速やかに行うとともに、運転者休憩施設、重量計の設置等の整備促進に努めること、これらは十七条の二項に追加すべき課題ではないのか、こう思っておるわけでございます。特に自重計については、私もどういう自重計があるのかなと思って勉強させていただいておりますが、運輸省みずからが研究プロジェクトのようなものをつくられて研究していらっしゃる。「トラック自重計」という冊子が出ておりますが、電気メーカーは共和電業。非常に小型、軽量で運転台から確認ができる、操作が簡単だということで検討していらっしゃるようでございますが、これはある程度格安にできるように聞いております。こういうものを車に取りつけることが一体できるのかどうなのか。運輸省みずから研究されておるはずですからおわかりのことだと思いますが、いかがですか。
  206. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 ただいま御指摘のように、自重計でありますとか運転者の運行記録計などの車両機器の装着を義務づけましてこれらの安全運転の徹底を図るということは、確かに過労運転等の防止に役立つものであるとは認識しておりますが、現在開発されております一般トラック用の自重計は、残念ながらまだ精度に問題がある。ダンプトラック用のは一点支持でございますのでかなり正確に重さが出るそうでございますが、一般トラックは荷台全体に荷重がかかりますので、現在開発されておりますものはまだ技術的に精度に問題があるというふうに承知をしております。  それから、運転者に着目した運行記録計というものも、タクシーの方ではないわけではございませんが、これはタクシーの運賃のメーターに連動しておるということで比較的容易に取りつけられるのに対しまして、トラックの場合にはそのようなもとになるものがございませんので、かなり経費が高くつくということで、もしこれを義務づけますと、中小業者等にはかなり経済的な負担が重くなるということで、これも直ちに義務づけるということはなお時期尚早ではないかと思っております。
  207. 吉原米治

    ○吉原委員 自重計の義務化等々は直ちに無理だ、こうおっしゃるわけでございます。今は無理だけれども、この機器は格安で十数万するようでございますが、もっと研究開発をされて、誤差の少ない自重計が、恐らく今の時代でございますから私はできると思います。したがって、法律の中で触れることが無理なら、行政指導で何年か先にはこういうものを取りつけるように努力をしなさい、こういう業界への行政指導はやっていただけますかどうか。
  208. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 自重計につきましては、先ほど申し上げましたように、まだ技術的に難点があるということでございますので、これは、ただいまのできておりますものを直ちに装着せよといって奨励することはなおいかがかとはばかられるわけでございます。  それから運転者ごとの運行記録計は大手事業者等でこれを導入しようという者があれば、それはまたそれで大変結構なことでありますので、そういう点は大いに奨励したいと思いますが、義務づ けるというのは時期尚早ではないかと考えております。
  209. 吉原米治

    ○吉原委員 行政指導はするとおっしゃいましたかね。今ちょっとほかのことを考えておって聞き漏らしましたが、やるとおっしゃったのですか。
  210. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 できる事業者に対しては大いにやるようにという奨励はできると思います。
  211. 吉原米治

    ○吉原委員 できる業者って、それはできる業者はできるんでしょうけれども、できない業者にもそういったものを装着するように督促をしてもらう、このことをひとつお願いをしておきます。  それから、貨物自動車の運送適正化事業実施機関、これを私どもは今の全ト協とは違って別法人をつくるべきだ。特に財団法人を地方にも、あるいは中央にもその連合会を設置して、本当に公正な業務が遂行できるような実施機関としてほしい、そういう意見を持っておりますが、今のトラック協会で、果たして利害の共通するその団体に期待をする業務、私は無理だと思いますが、いかがでございますか。
  212. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 民間の法人を指定して適正化事業実施させるという発想は、もともと民間の自主性を尊重して、やる意欲のある者に大いにやってもらおう、こういう趣旨でございますので、現にトラック協会が、中央におきましても地方におきましても、そのような秩序維持の指導事業をしておりますので、そしてそのような指定を受けてこの事業をやる意思を見せておりますので、これを指定して後押しをするということが適切であろうかと思います。  社団か財団かという点につきましては、いずれも民法の公益法人でございまして、所管大臣の監督を受けるものでございますので、社団だから特にぐあいが悪いということは、私どもとしてはないのではないかと思っております。
  213. 吉原米治

    ○吉原委員 トラック協会そのものが利害関係を持つ団体であると私は認識しておるがゆえに、あえて申し上げておるわけでございます。社団法人か財団法人かというふうな論争でなくて、今の、少なくともトラック協会とは別の人格を持ったそういう団体をつくるべきだ。特に、過去社会党の物流の方で秩序確立事業実施機関、この設立についてトラック協会は、現に協会が秩序確立のための指導を行ってきているところであって、そこに別法人を新設する必要はないということで反対をされた経過がございます。こうしたトラック協会の意向を運輸省側も受け入れて、今トラック協会を新しい別の法人格に修正をする、つくる意思のないことを言われておるんではないかとさえ疑いたくなるわけでございます。  先ほどからるる申し上げますように、利害関係者の集団である社団法人に指定をするということはいろいろな問題が後出てくる、こういうことが懸念をされますので、真に中立、公正な別組織である財団法人をぜひつくっていただきたい、これを再度申し上げますが、お考えを聞かせていただきたい。
  214. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 現在のトラック協会事業者団体であって、利害関係を有するということで中立性に欠けるという御指摘でございますが、秩序維持ということは業界全体の利益になることでございまして、一部の不心得な事業者が公正な競争を阻害するという行為は、業界全体としてぜひ排除したいということは当然のことでございますので、確かに事業者団体ではございますが、その意図するところは公正な競争の確保、これが業界全体の利益に合致するものでございますので、秩序維持の事業をやるに際してそれが事業者団体であるからぐあいが悪い、間違った方向にいきかねないというような御懸念は当たらないのではないかと思っております。  なお、当然運輸省の所管に属します公益法人でございますから、私どもとしては、その運営が公正に行われるように厳正に監督をするつもりがございますし、なおその運営ぶりにつきまして、部外の方々との意見交換等を行うことも非常に結構なことだと思っております。
  215. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、今後一切別法人をつくる意思はないというお答えでございますか。何年か先には、趣旨を酌んだ別法人をつくるお考えはございませんか。
  216. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 実際に指定を行った上で事業実施ぶりを見るべきでございますが、今のところ私どもとしてはそのようなふぐあいが出てくるということを予想しておりませんので、現時点で何か将来には別法人をつくるという考え方を持っておるわけではございません。
  217. 吉原米治

    ○吉原委員 そうしますと、信頼をしてトラック協会を指定して、その結果弊害が出てきた場合には改めて考え直す、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  218. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 仮に指定をした機関が仕事のやり方で問題があった場合には、この法律の四十条によりまして、その指定機関に対して業務の改善命令を出すことができるようになっておりますので、それによって対応したいと思います。
  219. 吉原米治

    ○吉原委員 事業改善命令で私は事が済むとは思わないわけでございます。ここはどうしても別法人の、内外的に見て本当に公正な運営がなされるような機関でないと、私は懸念をされる課題がたくさん出てくるだろう、このように思っておるわけでございます。     〔久間委員長代理退席、武部委員長代理着席〕  続いて、審議会をつくることについてでございます。  本法の趣旨、目的を達成するために必要な事項を審議するために、貨物自動車運送適正化事業実施機関事業活動指針の策定を目的とした関係行政機関あるいは事業者団体、関係労働団体及び学識経験者その他から成る審議会を設置すべきだ、そのための所要の措置を講ずるべきだと思っておりますが、その点についてのお考え方を聞かせていただきたい。
  220. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 先ほども申し上げたところでございますが、適正化事業実施機関の行います事業の中で輸送の安全の確保ということは非常に重要な位置づけを与えられるべきものだと思っております。したがいまして、このような事業実施につきまして、労働組合その他関係の方々から幅広く御意見を聞きながらこの運営に当たっていくということは非常に重要なことで、結構なことであると思っております。そこで、その具体的なやり方としては、現在既に活発に実施されております物流政策懇談会の活用なども一案かと思っております。  いずれにしましても、何らかの方法で活発な意見交換を行っていくということは大変必要なことであろうと思っています。
  221. 吉原米治

    ○吉原委員 私どもは略して物政懇と言っておりますが、今、それを活用するというのも一つの方法かなというようなお答えでございますが、この物政懇ではなかなか、今申し上げましたようなことを検討するにしては不十分だと思いますので、先ほど私が申し上げましたような構成から成る審議会をぜひつくってほしい、これを再度ひとつ要請をしておきたいと思います。  続いて、運賃の問題について触れていきたいと思います。  運賃、料金の規制でございますが、運賃については今回事前の届け出制となり、事業者みずから届け出るのでございますから、それを守らないというのは当然考えられないわけでございますが、それが現実に守られずにダンピングがなされた場合、その処分は第十一条の二項による変更命令の対象となります。さらにそれに違反した場合には第七十六条の罰則規定が適用される、このように理解をしてよろしゅうございますか。
  222. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 運賃が今先生がおっしゃいました基準に合わない場合に変更命令が出るということ、届け出た運賃を守らない場合に罰則がかかるということについては仰せのとおりでございます。
  223. 吉原米治

    ○吉原委員 続いて、荷主側からダンピングの強要がなされた場合、六十四条により、当該違反行為が荷主の行為に起因するものとして荷主への勧 告の対象事項となると理解してよろしゅうございますか。
  224. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 仰せのとおりでございます。
  225. 吉原米治

    ○吉原委員 それでは、時間もかなり経過したようでございますから、ここらあたりで一応貨物自動車運送事業法については終わりたいと思います。  続いて、取扱事業法の方に入らせていただきたいと思います。  調査室の発行したこの資料を見てみますと、意外に数が多いなと思って見ておるわけでございますが、自動車運送取扱事業というのは、言われておる実運送と比較してどのぐらいの数字に今増大をしておるのか、ちょっと御報告していただきたいと思います。
  226. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 お尋ねは自動車運送取扱事業事業者の数ということかと思いますが、昭和六十三年度末におきまして一万六千五百九十三事業者でございます。これが昭和五十五年度末におきましては八千六百八十三事業者でございましたから、ほぼ倍増しております。
  227. 吉原米治

    ○吉原委員 実運送は……。
  228. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 トラックの実運送事業者の数は約三万八千事業者でございます。
  229. 吉原米治

    ○吉原委員 通運事業だけを見ますと七百四十七業者ということになっておりますが、今三万八千業者というのはどこの数字ですか、これは調査室の発行した資料で今読んでおるのですが。
  230. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 失礼申し上げました。実運送事業者と聞こえましたものですから、トラック事業者の実運送をやっておる者の数を申し上げましたが、通運事業者というお尋ねでございますと、六十三年度末で七百四十六事業者で、これは昭和五十五年度末におきましては九百七十五事業者でございましたので、通運事業は数が減っております。
  231. 吉原米治

    ○吉原委員 私が聞きたいのはこの数の問題ですが、現行のそれぞれの事業法に基づいて、取扱事業者数が今言われたように一万六千事業者等々、実際の通運事業を大きく上回って取扱事業がふえておる。なぜ今回のこの取扱事業法なるものを、新たに各事業法の中から抜き出してこの法律をつくらなければならぬのか。取扱事業法の目的の中にきちんと「運営を適正かつ合理的なものとする」。今ある事業法でそれぞれ決められておる取扱業そのままでよさそうな感じがするのですが、わざわざ独立した事業法をつくらなければならぬ理由は一体何なんですか。
  232. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 御指摘のとおり、現在は各輸送機関ごとの事業法規で取扱事業を律しておるわけでございますが、その内容は極めてまちまちでございまして、免許制あり、許可制あり、登録制あり、届け出制あり、あるいは自由なものもございます。他方、最近の物流ニーズ、これは企業物流の方では御承知のように多頻度、少量、ジャスト・イン・タイムというようなことで、非常に高度のサービスが要求されておる。他方、消費者物流の方では、宅配便に代表されますようなやはり小口の高いレベルのサービスが求められておる。このようなサービスを提供します者は、荷主と実運送事業者の間に入って最も適切な輸送機関の選択を行うことについて知識経験を有する者、すなわち取扱事業者が活躍する場がふえてきたということでございます。しかも、それらの事業者は、いろいろな輸送機関を組み合わせて、利用者にとって最も適切なサービスを選択できるということで、その点についていわばプロの知識を有する者でございますので、こういうものが活動しやすい、この事業活性化するという目的で、従来各事業法規にまたがっておりました法規制を横断的に、一元的に一つの法律にまとめるということによりまして、これら取扱事業者の活動の活性化を図るというのが今度の取扱事業法の目的でございます。
  233. 吉原米治

    ○吉原委員 今の局長答弁では、私は納得いきませんね。現行事業法それぞれの中に規定をされておるもので結構、今数字をおっしゃいましたが、一万六千業者も取扱業者がふえておる。取扱業という運送手段を持たない、あるいは持っておる人も中にはおりますが、運送手段を持たずして荷主と実運送の中間にあって運送契約をするという、言ってみれば中間業者。法律の目的の中にありますように、利用者の利益を保護する、こういう趣旨からいけば、運送業者荷主が直に契約すれば従来一〇〇なら一〇〇の運賃で荷物を運んでもらえたのに、そういう中間の業者ができたためにその中間業者がいろいろな甘言をもって、荷物を運ぶのは私の方が安う上げますよとか、全国ネットはもちろん国際的な複合輸送一貫体制を持っておりますよ、いろいろこういうことによって、荷物がその取扱業者を経由して荷主との間に契約が結ばれるということにつながるわけでございますから、勢い従来一〇〇の運賃を払ったものが一二〇なり一三〇の運賃を高く払わなければならぬ。そういう余分な業者をなぜつくらなければならぬのか。荷主が直に実運送業者に注文すれば事済むわけでございますが、こういう取扱業者というのを、今度のこの法律でですよ、今までの事業法でそれぞれ規制をされておるものから抜き出して、わざわざ単独法によって裏打ちをするなどということは、私はちょっと理解がいかぬ。なぜそんなことをするのか。利用者の利益の保護にはそういう意味ではつながっていない、私はこう思うのですが、どうですか。
  234. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 取扱事業者というものは何も昨今始まったものではなくて、かなり長い歴史を持っておるわけでございます。鉄道につきましては、通運事業者というものが荷主との間におりまして鉄道貨物運送というのは成り立っておりました。荷主は、自分で駅へ荷物を持っていかなくても通運事業者が集めていってくれる、鉄道側から見ますと、自分で集貨をしなくても通運業者が貨物をお客から集めてくれるということで、荷主鉄道の側、それぞれから見てメリットがあるわけでございます。利用航空運送しかり、自動車しかり、海運しかりということでございます。  特に最近目立った動きは、先ほど申し上げましたように、物流サービスのニーズが大変高度化いたしまして、非常に多数の選択肢の中から一番いい輸送ルートを見つけ出し、できるだけ早く、できるだけ安全に、できるだけ安く運べる手段を見つけるということが非常に専門的な知識を要求されるようになりました。そういうことで、荷主にとりましてはそのような取扱事業者の存在ということがメリットがありますので、現在のように使われておるということであろうかと思います。  そこで、そのような荷主と実運送事業者との間に介在します取扱事業者の法的な性格を各輸送機関統一的に定義づけ、その法律関係を明確にし、そしてその活動を活発にするということは明らかに荷主にとって利益があり、かつそれぞれの取扱事業者発展に資するものだというふうに考えております。
  235. 吉原米治

    ○吉原委員 いずれにしても、そういう便利さの対価として、従前一〇〇の運賃を払っておったものが一二〇なり一三〇払うことになるということは否定はされませんね。
  236. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 間に事業者一つ介在すると従来の運賃よりも高いものを払わなければならないかというと、これは必ずしもそうなりませんで、例えば、例を利用航空にとりますと、一人の荷主が十キロの荷物を一人で航空会社に持ち込むというときに支払わなければならない運賃はかなり高いものでございます。これが、間におります利用航空運送事業者がその十キロの貨物をたくさん集めてきて何トンという単位に仕立てるということになりますと、航空会社からはいわゆる混載運賃という大口の割引運賃を利用することができますので、平均の運賃というのはぐっと引き下がるわけでございます。そこで、そのような割安になります運賃のメリットは荷主にも還元されますし、利用航空運送事業者の取り分にもなるということで、荷主が一人で航空会社に持ち込むことに比べればはるかに利用航空を使った方が割安になる、こういうことでございます。
  237. 吉原米治

    ○吉原委員 今の例で挙げられたのは確かにそうでしょう。一個ずつ個々人が持ち込む料金と、大 量にそれを集貨をして輸送する場合とは違いはあると私は思います。  ところで、この運送取扱業者が届け出る運賃、料金というのは荷主から収受するものでございます、それは当然のことでございますが。その中には実運送にかかわる運賃と、集配が伴う場合はその集配料、それに運送取扱事業者の収入分、つまり取扱料金ですね、それを加えたものだ、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  238. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 そのとおりでございます。
  239. 吉原米治

    ○吉原委員 だから、こういう点を考えますと、単純に考えますと、言ってみれば取扱業者に頼むとその手数料だけ余分に払わなければならぬという理屈になる、短絡した場合にですよ、私はこのように思うわけでございます。したがって、運送取扱事業者と実運送事業者との間における運賃収受が適正に行われることを期さなければならぬ、あるいは運送取扱事業者運賃及び料金の届け出に関し透明性を確保せなければならぬ、届け出事項及び手続、適正認定基準などなど所要事項について、第九条の二項に運賃、料金の変更命令の条項がございますが、私は、その次に二項ほど加えていくべきだ。一つは、実運送事業者に適正な原価と利潤が保証できないおそれがあるものであるとき、もう一つは、実運送事業者間で不当な競争を引き起こすおそれがあるものであるとき、この二つを実は第九条の二項の運賃、料金の変更命令の条項の中に加えるべきだと思いますが、局長の見解はどうですか。
  240. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず、最初に委員が仰せになったことの中で、取扱業を経由すると高くなるということでございますが、それは取扱業を経由することによっていいサービスが得られるために高くなるという関係でございまして、もしそれを望まないお客がいらっしゃる場合には取扱業を経由せずに直接実運送とやっていただく、それを否定するということになるものではございません。  それから、今の取扱業の運賃、料金の変更命令基準につけ加えて、実運送との関係で問題が起きないようにという条項を入れるということでございますが、これは前も申し上げましたけれども、実運送と取扱業の間の話というのはむしろ実運送の範疇でございまして、ここで言っております運賃というのは取扱業者荷主さんとの間のことを書いたものでございます。したがいまして、仰せの問題につきましては実運送の範疇の問題であって、ここで取り上げることは難しいと思います。
  241. 吉原米治

    ○吉原委員 見解が違うようでございますが、時間があと五分しかございませんので先に急ぎます。  次に、運送取扱事業者が実運送事業者の運送を利用する場合、その実運送において輸送の安全を確保するために及び実運送事業の正常な運営を阻害しないために、運送取扱事業者が遵守すべき事項等々について明確にする必要がある。その意味で第十五条の事業改善命令の条項に次の条文を加えるべきだ。すなわち、実運送事業者の正常な運営を阻害し、または実運送の輸送の安全が確保されない事実があるとき、こういう文面を加えるべきだと思いますが、いかがですか。
  242. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 実運送の正常な運営を確保する、あるいは実運送の輸送の安全を確保するというのは、これはすぐれて実運送法規そのものの問題でございまして、この法律はむしろ取扱業者利用者の関係を規律するものでございますから、この法律で手当てするということでなく実運送によって対処すべきものと考えます。
  243. 吉原米治

    ○吉原委員 私の提案に対してはことごとく否定をされるわけでございますが、せっかく、趣旨に賛同していただければ気持ちよく成立をさせてあげたいなと思っておりましたが、ちょっと考え方を変えざるを得なくなりました。  次に、まだ三、四点ございますが、駆け足で申し上げます。一括して申し上げますから答えていただきたい。  運送取扱事業者の資格について有効期間制を設ける、更新制を導入していただきたい。五年ぐらいの有効期間制として、一遍五年たったところで正常な取扱事業者としての適確な運営をされておるかどうか点検をする必要があると思いますので、資格の有効期間制、これをひとつ問題提起をさせていただきます。  二つ目は、本文六条の関係でございますが、運送取扱事業の参入許可等本法の運用に当たっては厳正を期するとともに、その許可基準、審査基準について統一性、透明性を確保するために命令において具体的に定めること、これは省令で定めるとなっておるようでございますが、この趣旨については賛成されますかどうか。  続いて、運送取扱事業の適正化を図るため、計画的かつ効果的な監査を実施するとともに、運賃、料金の変更命令事業改善命令、許可の取り消し、処分等について厳正かつ機動的に運用すること。  最後に、本法制定の経緯及び趣旨にかんがみ、本法施行後三年の経過を勘案した上で所要事項の見直しと法令整備を行うこと、つまり、附則で結構でございますが、三年後の見直し規定を新設していただきたい。  以上、四点ほど一括して申し上げましたが、時間が来ておりますけれどもお答え願いたい。
  244. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 余り否定的なお答えを続けるのも大変心苦しい次第でございますが、更新制につきましては、トラック事業について申し上げたと同様の理由で、やはりこの法律におきましても導入については私どもとしては否定的に考えざるを得ないかと思っております。  それから、許可基準の統一性、透明性ということにつきましてはそのとおりだと思っておりますので、できるだけ全国統一的に、かつわかりやすく決めたいと思っております。ただ、形式として省令をとるという点は、従来の他の法規との関係からいたしましてもやや難しいのではないか、むしろ通達とか公示とかで処理するべきものではないかと思いますが、そのようなことでありましても透明性は十分確保できるのではないかと思います。  それから、監査等その他厳正な処分を実施すること、これはおっしゃるとおりやっていきたいと思っております。  それから見直しの規定でございますが、新法施行実施ぶりにつきましては、当然運用がうまくいくかどうかというのを注意深く見ておらなければならないわけでございますが、特定の期限を切って何か見直しをするというよりは、常時これをチェックしていくということの方が正しいのではないか、こういうふうに考えております。     〔武部委員長代理退席、委員長着席〕
  245. 吉原米治

    ○吉原委員 時間が参りまして残念ながら質問を終えなければなりませんが、最後一つ。  大臣、今のやりとりをお聞きになっていらっしゃって感じられた点がおありと思いますが、規制緩和一般的に言われておりますこの問題、その流れを受けた今回の貨物二法の取り扱いでございます。修正をしてほしいところ、あるいは附帯決議で趣旨を生かしたい点、できることなら本文を直していただきたい点、実はたくさんございますので、そこら辺をまた後ほど場所を変えて私はお願いしたいと思いますので、私どもの主張について、できるだけひとつ取り入れるべきものは潔く取り入れていただきたいと思いますが、大臣の所見を伺って終わります。
  246. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 だんだんに御意見を承っておるわけでありますが、吉原委員も運輸関係は専門の方でいらっしゃいますから、恐らく関係業界あるいはその向きのそれぞれの悩みやら問題点をよく御聴取の上の御質問だと私は先ほど来承っておりました。法案はこういうふうに提出をいたしておりますが、議会で議論をされたことは極めて大事なことでありますから、その意を体して、今後政令または施行規則を実施するに当たってできるだけ御意見のような向きは取り入れて遺憾のないように進めてまいりたい、こう思いますので、どうぞひとつ本案に対してはまげて御承認をいただき、早急に成立させていただくとありがたいと思っておるところでございます。
  247. 吉原米治

    ○吉原委員 質問を終わります。
  248. 島村宜伸

    島村委員長 長田武士君。
  249. 長田武士

    ○長田委員 私は、ただいま議題となっております貨物自動車運送事業法それから貨物運送取扱事業法に関しまして、大臣並びに関係省庁にお尋ねをいたします。  午前中は参考人の皆さん方に来ていただきまして、いろいろ御意見を拝聴いたしました。また、この委員会審議を通しまして問題点が何点かに絞られた、そういう感じがいたしております。そういう意味で私も、若干重複するかと思いますけれども、問題点を一つ一つ明確にしていきたい、このように考えております。  まず大臣に、もう一度原点に返りまして、個々の問題が大分出ましたので、この流通二法を制定をしなくてはならない理由、目的、この点についてもう一度ひとつ明確にお答えいただけますか。
  250. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 昭和二十六年かと聞いておりましたが、本法ができましてちょうど四十年ぶり改正になるわけでありまして、その間しばしば部分的な改正はしておりましたけれども、基本的な、根本的な改正はしていない。その間に貨物業者が三万八千になる、取次事業者というのが一万を超えたということは、これは当初考えずに実はこの法律というものができておるわけであります。しかも貨物輸送、いわゆる物資輸送、物流の九割を総トン数でいうとトラックが占めるようになってきた。それから、従業員も百万人を超える。  反面、そういうふうに社会的に大きな役割経済社会で果たすようになりましたけれども、職場環境がよくないとか、あるいはマナーがよくないとかもろもろの問題がありまして、九万人も従業員が不足をする、こういうことが起こってきた。これから先物流を預かる上においてトラック業界が果たすべき役割は極めて大きい、また、取扱事業者の果たすべき役割も大きい、そこいらのことを万般考慮をいたしまして、この際に将来にわたる心配がないように、そしていい職場として若い諸君がこの業界に参加できるような、あるいはまた業界社会に対して大きな役割が果たせるようなそういう一つの整理をしておかなければいけない、こういうことでもろもろの条項を挙げまして改正案をお願いしておるわけでありまして、よろしく御審議を賜りたいと思います。
  251. 長田武士

    ○長田委員 貨物自動車運送事業法案につきましては、この法案の目的といたしまして、一つには、貨物運送需要の多様化、高度化に対しまして民間事業者の創意工夫を生かした事業活動が迅速かつ的確に行えるよう経済的規制緩和、手続の簡素化を図る、このように目的をうたっております。第二番目には過労運転、過積載など輸送の安全や輸送秩序の維持を阻害する行為を防止するため、民間による自主的な活動を促進しつつ、社会的規制を強化する、この二つが目的のようでございます。  そこで、この目的のもとにトラック運送事業法を道路運送法から切り離そう、新たに貨物自動車運送事業法として独立させたということにつきましては、私は一定の評価をいたすところであります。しかしながら、道路運送法の目的とされておりますところの公正な競争の確保と運送秩序確立については、本法において、またその運用において確実に堅持できるかどうか、この点に私は非常に疑問を持っております。加えて、この法律の遵守を図るために、民間団体等による自主的な活動を促進することとありますけれども、この条文についても、本来の目的を達成するには現状において非常に不安が残るというふうに私は考えております。  大臣、この二点について、私はとても不安なんですけれども、大臣の所見はどうでしょうか。
  252. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 規制緩和ということを一方で行いながら、どうしても過剰な供給が起こるときには緊急措置をとるということも決めてあることは御承知のとおりであります。しかしながら、やはり何といっても従業員の安全、健康管理、労働過重、それから一方で、よく言われます過積み、これらの問題をきちっとしておかなければいけない。それに対して運賃に対しての一つのちゃんとしたものが守れるように、守らない者に対しては処置ができるように、同時に、先ほどからも議論がありますが、お互いがこの業務を推進するように一つの機関をつくってこれからこの適正化事業をやっていこうということですが、財団法人をつくれという御意向もありますけれども、あれをつくっても恐らく運輸行政に堪能な運輸省のOBを持っていくという結果になっていって、天下り先をおまえらはつくったのではないかというようなことになりかねないという懸念を実際私は持っているわけでございます。  したがいまして、適切な機関にこれを委託して、この人選とか運用とかあるいはその他考えられるものについて、社会の批判に耐えられるような組織をきちっと確保することの方が大事なのではないかと思います。  それから、どうしても運送業者というのは荷主に対して弱い立場にありますから、この取扱業者あるいは荷主等に対してやはり運送業者の利益が守られるような手段もきちっと確保しながら、百万人が働く場所ですから、社会の負託にこたえられるような業界として今後いい業界に育てたい。したがって、これからまた寄り寄り御質問があると思いますが、それら一つ一つ御指摘いただきますことについては私ども肝に銘じて、これからの取扱行政を進めていく貴重な参考にしたいと考えておるところでございます。
  253. 長田武士

    ○長田委員 次に、貨物運送取扱事業法についてでありますけれども、お話しのとおり、貨物運送取扱事業事業規制の簡素合理化を図るために、これまで運送事業法をもとに規定がされておりましたものを一本化しようというわけでありまして、その中にあって国際的な流通システムの近代化を図ろうというねらいであるようでありますけれども、そうなりますと新しい業態が生まれるというのは当然でございます。その運用に遺漏なきよう措置されることを私はやっていただきたいのでありますけれども、心配があります。  特に重要なことは、運政審報告でも指摘されておりますとおりに、運送事業取扱者と実際の運送を行う事業者との間に公正な取引関係を担保することが十分できるかどうかということが私は非常に心配であります。私も十年くらい前に予算委員会でこの問題を取り上げました。運送事業者が非常に苦労されていらっしゃいまして、ダンピングが行われ、運送業の皆さん方が本当に経営危機に陥れられた、そんなことで私は予算委員会でこの問題を取り上げたことがあります。それに加えて、本来の目的とされております貨物運送サービスの円滑な提供と利用者の利益の保護、利便の増進が追求される余り、運送事業の適正な運営と公正な競争の確保及び輸送の安全の確保がどうも阻害されるのではないか、そういう点が私は非常に心配であります。この点どうでしょうか。
  254. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 由来、取扱事業者と実運送業者の関係からいいますと、やはりトラック業者の方が資本的にも小さいし規模も小さいですから不利な立場に立たされるということは自明の理であろうと思います。したがいまして、届け出運賃制をとってこれを守らせる。特に、取扱事業者が不当な料金等を強制するようなときには是正命令を出させるということもあります。さらにまた、守れないというときには事業改善命令を出すなどというように、いわゆる実運送業者と取扱業者との間の法的な関係をまず明らかにして、そして運賃の取るべきものを明らかにしていく、そしてそれが守れないときには、最後には事業改善命令を出し得る、こういう形をとって万全を期そうとしておるものでございます。
  255. 長田武士

    ○長田委員 貨物自動車運送事業法の適正な運営を図るという点で、営業用トラック自家用トラック現状、この割合については今どうなっているのでしょうか。
  256. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 六十三年度末におきます営業用のトラックの数は八十二万二千七十八台、自家用トラックが七百七十二万八千六百一台ということになっておりまして、全体に占めます割合は、営 業用が九・六%、自家用が九〇・四%、ほぼ九割が自家用ということになります。ただ、輸送量で見ますと、営業用の方が大きな仕事をしておりまして、トンキロベースで六九・三%のシェアを有しております。
  257. 長田武士

    ○長田委員 ただいま御答弁のとおり、適正な運営を図るためには、貨物自動車運送事業の競争相手といたしまして、現に存在しております自家用トラックによる輸送につきまして、どのように規制をしていくのかということが問われているような感じが私はいたしております。  そこで、昭和五十八年の参議院運輸委員会におきまして、貨物自動車に係る道路運送秩序確立に関する決議(案)においても次のようにうたわれております。すなわち「自家用貨物自動車の使用者による違法な営業行為」「の防止に努めるとともに、悪質な法令違反行為に対しては厳正な処分を行なうこと。」このようにうたわれておるわけであります。運輸省はこうしたいわゆる白ナンバーの業者に対しまして、輸送秩序を守るためにどのような措置を考えておるのか、この点どうでしょうか。
  258. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 五十八年度の決議を受けまして、運輸省では、具体的に言いますと、各運輸局及び主要陸運局に専任の貨物輸送監理官というのを配置しております。これによりまして、計画的な監査を実施して白トラの摘発をしておるわけでございますが、六十三年度の実績でいきますと、白トラ行為として約八百件の摘発をいたしておるところでございます。また、本年度からは、本省にトラック事業適正化指導官というものを置いてさらに取り締まり体制を充実することにいたしました。  また、この白トラの取り締まりというのは、国の体制だけではやはり不十分な点がどうしてもございますので、今度この法律によりまして、民間団体の自主的な活動を支援する。それとタイアップして国が白トラの摘発管理体制を一層強化する、こういう姿でさらにその充実を図っていく、こういうふうに考えておるところでございます。
  259. 長田武士

    ○長田委員 今回、無償貨物自動車運送事業に関する規制が廃止をされております。しかし、実際には無償運送と自家用運送との区別というのは非常に難しいだろうというふうに私は考えております。したがいまして、自家用貨物自動車による運送の定義をもっと明確にしなければいけないのじゃないかというふうに私は考えております。例えば、届け出証明書の交付制度の新設や安全確保のための遵守義務、そういう規定ですね。また、その違反に対する処分の規定等所要の法令の整備をきちっとやるべきだと私は思うのですが、この点どうでしょうか。
  260. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 無償自動車運送事業は、今回区分を廃止いたしましたので、結果的に自家用車としての位置づけということになります。ただ、自家用車になったからといって、無償という名前のもとに有償の行為をやるということを容認するということではありません。これは白トラ行為に該当いたしますので、ただいま御説明申し上げましたような体制によりまして処罰をし、処分をするということで厳正に臨んでまいりたいと思います。
  261. 長田武士

    ○長田委員 この貨物二法案が通りますと、そういう違法の車がだんだん多くなるというような感じがするのですね。そういう意味で私は申し上げたのです。もう一度具体的に、今までどおりやるということですか。
  262. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 自家用の規制は、現在道路運送法で共同使用の許可なり、有償運送の許可なり、一定の仕組みがあるわけでございまして、問題はそういう仕組みあるいはその自動車運送事業の免許を取らずにやっていく、そういう行為、そこをどう取り締まるかというところにやはりあるのだと思います。規制そのものが不十分なのではなくて、規制を守っていない人たちに対する取り締まりが十分かどうかというところが問題なのだと思います。それにつきましては、国としての体制も充実をしておりますし、今度の法律では先ほど申し上げましたような民間の団体の活動を支援するということを加えましたので、そういう取り締まり体制がより充実された。これによって、白トラその他自家用の違法行為をきちっとやっていけるようになるというふうに思います。
  263. 長田武士

    ○長田委員 次に、参入規制の問題についてお尋ねをいたします。  今回の法案では概要次の三点になっていると思っております。  一つは、現行事業免許制許可制にするということ、需給規制は廃止をいたして許可基準の安全性を重点に置き許可をする、ただし著しく供給過剰となるなど緊急の場合は期限つきで新規参入の停止措置を講ずることができる、大体この三つのようですね。確かに複雑多岐にわたりまして、現行貨物運送事業法におけるところの規制というのはなかなか新規参入が難しいという問題もございます。あるいは多様化を進めております物流の高度化といいますか、多様化対応する高度化、そういう点もややもすると障害になっておるということも私は一方では認識をいたしております。  しかし物流業界、とりわけトラック運送業界は、先ほどもちょっと参考人からお話がございましたけれども、九割以上が中小零細である、このような御報告をいただきました。自由参入を認めますと、認可運賃制度を廃止することによりまして一段と競争が激しくなるのではないか、そういう感じを私は強く持っております。そうなりますと、大手資本によるところの業界内の集約化とかあるいは系列化というのがどんどん進んでいくということになりかねないと考えております。今後、中小のトラック業者が円滑に、そして安定的に事業を行うことができるような対策をどうしても講じなければいけない、このように考えておりますが、この点はどうでしょうか。
  264. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 トラックの大部分が中小企業でございますから、その中小企業経営基盤が安定をしてしっかり発展をしていくということがトラック業の発展にとって欠かせない大事なことであるというのは御指摘のとおりであると思います。そのために、今度の見直しに当たりましても、ただいま仰せになりましたように需給の調整はいたしませんが、それが大幅に崩れる場合には緊急調整措置というような措置をかけて歯どめをつくるというようなことを考えておるわけでございまして、規制緩和しても競争は行き過ぎない、そういう措置をきちっととる。競争が行き過ぎますと、中小に当たりがくるわけでございます。そうならないように競争が適正に行われるような措置をこの法律でとったところでございます。  それに加えまして、中小企業の問題というのは、規制だけで解決のつく問題ではございません。規制と並んで、中小企業の企業構造を高度化したり活動の不利を補正したりする措置が必要でございます。それにつきましては、従来から構造改善その他の対策をやっておりますが、この法律と並行してその対策もしっかりやっていきたいというふうに考えております。
  265. 長田武士

    ○長田委員 特に、トラック事業は参入が比較的容易であるために非常に市場においては活発な競争が現在行われておるのです。中でも小口の高頻度輸送や、深夜あるいは早朝の集貨配達等の輸送サービスへのニーズも非常に高まっておるわけでありまして、過労運転とか過積載といった輸送の安全の特に障害になるような条件が非常にふえているというのが現状であろうと考えます。法案の六条にも過労運転の防止や輸送の安全の確保のために基準が示されておるわけでありますけれども、今回の法改正で果たして長時間労働とか過積載、こういう問題が防止できると考えておるのですか。
  266. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 輸送要請多様化して、長時間労働なりそういうものが起きやすい状況になってきておるわけでございます。  この点に対しまして、今回の法律では、経済規制の見直しと同時に社会規制の強化ということをもう一つの柱にしてしっかりやっておるところでございまして、具体的には、何回も申し上げておりますが、今仰せのように、過労防止について直 接法律で明確にするとか、運行管理者に試験制度を入れるとか、あるいは民間の団体が活動をする場合にそれを支援するとか、あるいは荷主に対して直接勧告をするとかいろいろな社会的な規制の強化を図りましたので、これをとにかくしっかりやって御趣旨に沿うように一生懸命努めてまいりたいと思っております。
  267. 長田武士

    ○長田委員 大臣、ちょっといいですか。  私は今回の法案一つのネックといたしまして、事業者がたくさんいらっしゃるわけでありますけれども、そういう中で現在でも相当過酷な競争をやっておるのですね。したがって、荷主の方は選択の自由というのは非常に幅が広い、そういう状況下でダンピング行為がどうしても行われる、事業者は仕方なしにそれを受けざるを得ない、そういう状況です。免許制許可制になることは新規参入が非常に容易になることは事実ですね。そうなりますと、競争の原理というのはもっともっと強くなるという感じが私はいたします。そういたしますと、体質的に弱い中小企業というのはどうしても耐えられない、やむを得ず転業しなければならないとか倒産に追い込まれる、そういう事態が必ず発生するように私は思いますけれども、大臣、その点はどうでしょうか。
  268. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 三万八千もある業者のうちの九九・何%というのが中小零細企業でありますから、その将来については当然慎重な配慮をすべきものだと思っています。  しかしながら、規制緩和というのは国内だけではなくて国際的にも時代の趨勢でありまして、これはやはり時代の趨勢として規制緩和というものはやっていかなければいけない。さればといって、中小企業をそっぽに置いていいということにはなりません。したがって、届け出運賃制もしっかり守るように、できなかったら最終的には免許の取り消しまでもできるような、労働条件その他余り悪質なものについてはそういう行政処理もできる。あるいはまた、行政官庁だけではとても目の届くことではありませんから、機関をつくって、そこで業界の皆さんが専門的な知識を持ち寄ってお互いがルールを守った公平な運賃競争ができるように、もしできないものであるならばそれらの実態組織的に、個々の業者ではなくてお互いの業界として、団体としてそれを私どものところに上げていただいて、それを私ども一つ一つ処理していく。また、かねがねやっております中小企業近代化法に基づく構造改善事業というのもあわせ行う。  そういうことを考えながら、中小企業の皆さんが将来圧迫されて倒産等に追い込まれないような方法というのは慎重に私ども考える必要がある、こういうふうに思っておるところでございます。一番心配なことでありますから、一番気をつけてまいりたい点であります。
  269. 長田武士

    ○長田委員 私がなぜそういうことを申しますかといいますと、日本の産業がこれまで発展したのは、大企業の影響もあると思いますけれども中小企業のほとんどの皆さん方の果たす役割が非常に大きかったということを考えておるわけであります。特に大臣、この緩和のもとに中小企業が倒産するみたいな事態に絶対ならないように最大の配慮をすべきだと私は思っています。  実情としては、競争が激しい中でありますから価格だってまけなくちゃいけない、運賃だってまけなくちゃいけない、どうしてもそういう状況になります。したがいまして、荷主の方がどうしても優越的ですね。あなたがだめだったらこの値段でやるところがあるなんて言いますと、事業者としては非常に追い詰められますね。  そういう中にありまして、自由参入になりますから、そういう点では業者は非常にふえてくるような感じがいたします。そうすると勢いダンピングが行われる、加速する。それに耐えるためには過積みをやらなければいけない、あるいは過酷な労働条件の中で本当に仕事をしなければいけない、そういう条件はますます重なってくるのじゃないでしょうか。それに中小企業はどう耐えればいいのか、どう闘えばいいのか、これは私は非常に重要問題だと思いますよ。もう一歩この点を考えてあげないと、中小企業はもう商売をやめなさい、倒産しても結構だという形になりはしませんか。もう一度大臣の御決意を伺います。
  270. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 当然そういう場合も考えられることでありますから、これから国会の議論を踏まえて私ども万般の準備をいたし、御意見の存するところを十分勘案してこれから創意工夫もし、また業界全体も努力をしてもらう。前近代的ではなくてやはり近代的な企業に育つように、私どもはできるだけの手助けをしてまいりたいと思っております。
  271. 長田武士

    ○長田委員 運賃問題は大変深い問題でありまして、たしか、業界でガードを固めるために結束をしようということで連携をとり合う。そうすると、この価格ではやれませんというふうに突っぱねますと、これが価格カルテルになって独禁法に触れるということすら実はあるのですね。そういう点では、できれば私は独禁法の除外規定か何かつくりまして、タクシーがやっております四百六十円、四百七十円というような価格帯をつくって、ある程度実情に見合う運賃確保はできないものでしょうか。その点、どうでしょうか。
  272. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 独禁法の問題はさておきまして、認可運賃を守ることが大事だということは仰せのとおりであります。それは具体的には、まず個々の企業がどうしても認可運賃を守るという自覚を持つことが一番大事だと思います。どなたかが認可運賃と違う運賃で契約いたしますと、そこから崩れるわけでございます。あなたより安い人がいるからもういいよということになるわけでありまして、みんなで認可運賃を守るという個々人の自覚が大事だ。民間の団体がそういう前提に従って秩序を守っていく行為をやっていく、それを今度の法律では適正化実施機関として支援をしていこう、こういうことでございまして、独禁法の関係、いろいろ問題があると思いますが、現実にはこちらの方の適正化実施機関でその問題を対応していく。前提は個々の運送事業者の自覚であるというふうに思います。
  273. 長田武士

    ○長田委員 どうかひとつ、中小企業が倒産に追いやられないように最大の配慮をするのが今回の法律の大きなポイントだろうと私は考えております。その点、大臣、しっかり対応していただきたいと思っております。  一方、トラックの安全確保のために、過積載とか過労運転の防止の具体的な措置といたしまして、自重計、デジタル運行記録計、居眠り防止装置等の装備をぜひ義務化する必要があるのではないかと私は考えております。加えて、行革審の答申にも指摘されておりますが、車両構造の改善等を講ずるように道路運送車両法の見直し、整備を早急に行うべきであるとうたわれております。しかし、中小零細の皆さん方が、こういう設備を設置するとか車両の新しい基準のもとの対応というのは大変なことだろうと私は思いますから、こういう点については国のいわゆるバックアップ措置をやらなくちゃいけないと思いますけれども、この点も含めてどういうふうにお考えでしょうか。
  274. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 積載重量計なり自重計につきましては、先ほども申し上げましたようにまだ機器としての信頼性に疑問があるという段階でございますので、これを直ちに義務づけるのは問題があると思います。それから運行記録計につきましてもかなり経費が高いようでございますし、これも技術的にはまだ問題が残っておるということでございます。  したがいまして、こういった機器の装備につきましては、居眠り防止装置も含めまして、そういう機器が果たす役割の有効性というものについては十分認識をいたしておりますけれども、今言いました研究開発のまだ残っておることとかあるいは経費が高いこととかそういうことを考えて、現時点ですぐにということではなくて、やはりこれは将来の課題として現時点では研究開発を進めていく必要がある、そういう段階ではないかと思っております。
  275. 長田武士

    ○長田委員 その点は私は相当前向きにやらなく ちゃいけないと思いますよ。  次に、法案の第三条によりますと事業の参入規制免許制から許可制にするわけでありますけれども、ところがこの改正では参入後の不適当な事業活動をどのように防止していくのかという点が非常に不明確であると私は考えております。今回、修正案といたしましてぜひ私たち取り組んでいきたいと考えておりますのは、資格要件審査のみによる許可制をとるとするならば、事業者資格の有効期間制という更新制度、こういうものを取り入れたらどうかというふうに考えております。  今までも、たしか免許制は見直し期間というのはないわけですね。事業者がやめますというときにだけ届け出をするということで、免許でそういう問題がないのに許可になって、果たしてそういうものをつくるのはどうかという意見も確かにあります。ありますけれども、自動車運送事業において、不適格な事業者の参入と参入後の不適当な事業活動を防止するということになりますと、例えば五年ごとにその更新を受けるということになると事業者にも相当緊張感が出てくるだろう、いいかげんな対応はできない、事業者としてもきちっと責任を持たなければいけないという点で、私は非常に歯どめになるんじゃないかという感じがいたしますけれども、この点は大臣、どうでしょうか。
  276. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私は、一つの傾聴すべき意見だと思っています。したがいまして、結論を申し上げますと、そういう御意見を踏まえて途中の監査を今よりかもっと厳格にする、そして、もし不適当なものがあるとするならば、五年を待たずにそれは許可の取り消しをして構わぬのではないか、こういうふうに思っております。したがいまして、三万八千業者もおりますのを、限られた人員でこれをやるというのもなかなかのことでありますし、五年間を通じてあるいは年じゅうの業務を通じてそれは絶えずやっていく。それから、いよいよ取り消しとなるとこれは重大問題でありますから、またそれを公平に審査する機関をつくるとかなんとかもろもろの問題も出てこようと思っておりますから、そういう御意見も踏まえて、私どもは、常日ごろ監査を通じあるいはまた指導を通じて対応していきたい、こう考えておるところでございます。
  277. 長田武士

    ○長田委員 次に、運賃規制の問題についてでありますが、法案では、運賃、料金の許可制を廃止しまして届け出制ということになるわけであります。不当な届け出には変更命令を行うことができる、そのような内容になっております。  そこで、お尋ねしたいことは、事業者みずからが届ける運賃につきましては現実に遵守されていない、こういう場合にはどうなるのか。罰則規定を見てまいりますと、運賃、料金を届けずに収受した場合と変更命令に違反した場合には罰則適用がありますけれども、届けた運賃、料金を収受していない、そのとおり受け取っていないという場合においては罰則なんか何もないのですね。この点についてはどうなんでしょうか。
  278. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 先生仰せの、十一条一項の規定による届け出をしないで運賃または料金を収受した者といいますのは、届け出をした運賃を収受しないで別の運賃を収受した人につきましては、その別の運賃を届け出をしないで収受したことになりますので、結果的にこの条文に該当することになるわけでございます。
  279. 長田武士

    ○長田委員 それは間違いありませんか。
  280. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 端的に申し上げて、罰則の規定がございます。
  281. 長田武士

    ○長田委員 もうちょっと明文化したらどうでしょうか。これでは何となく、ダンピングに応じても罰せられないというように私たちはどうしてもとれるのですね。
  282. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 これは罰則の書き方の法務省その他の調整をした結果でございまして、こういうちょっとわかりにくい表現になっておりますが、届け出をした運賃以外の運賃を収受した場合には、その運賃を届け出をしないで収受したことになる、したがって、それも結果的に罰則がかかる、こういうふうにこれを読むわけでございます。
  283. 長田武士

    ○長田委員 そうは簡単には読めないのですよ。これはそんな簡単に読めないよ。  ですから、私が荷主だったら、届け出を実際受け取っていながら、もうちょっと安くしてくれとダンピングを要請しますよ。もしか事業主がダンピングを強制されて安く荷物を運んでしまったという場合に、運輸省なら運輸省に届け出をするということは、あなた、できないんだよ。もしかそんなことでお役所から荷主に対して、ダンピングを強制しておるという話になると、もう二度と再びあなたの会社の車は使いません、ほかの事業者にきちっとお願いをしますということで、二度と再び私は、荷主はその人に頼まないと思いますよ。そういう点では、非常にあいまいな条文というのはもっと明確にすべきだ。
  284. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 条文の書き方につきましては、実は現行法でも、認可を受けないで運賃、料金を収受した者ということで同じ扱いをしておりまして、解釈上はこれによって考え方が確立しておるというふうにおとりいただければというふうに思うわけでございます。
  285. 長田武士

    ○長田委員 そうはおとりできませんので、これは明確に修正をさせていただきます。  私は結論から申し上げて、その罰則規定をよく見ますと、運賃、料金を届けずに収受した場合、これは罰則ですよ、届け出ていない。それから、変更令命に違反した場合。そうすると、変更命令に違反したということになるのですか。変更命令も出していないじゃないですか。届け出をしました、実際はダンピングした運賃でやっておるという場合には、変更命令はできないじゃないですか。できるのですか。
  286. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 届け出た運賃がいろいろ、例えば不当に差別するものであるとかダンピングするものであるときには、その運賃そのものを直せというのが運賃変更命令でございます。そして、今先生の仰せになっているのは、そういう格好で確定した運賃と違う運賃を取った場合にどうなるかということでございまして、そこはここで先ほど申し上げたような、届け出をしないで運賃、料金を収受した者に当たりますので、罰則の対象になるということを申し上げたわけでございます。
  287. 長田武士

    ○長田委員 わかりました。その点もう一度理事会で協議したいと思っております。  そのことについても、例えば変更命令ができるという規定がございますね。変更命令ができる規定になっておるのですけれども、その判定基準というのが非常に不明確です。そういう意味で、この変更命令の該当事項についてもっと明確な基準を設けるべきである、あくまでも統一性と透明性が十分確保できるような条文を明確にうたうべきである、このように私は考えておりますが、どうでしょうか。
  288. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この法律で言っております基準は、一番目に書いてございますのが、適正なコストと適正な利潤を超えるような不当な超過利潤を得ることを防止しようとするものでございます。また、二号につきましては、特定の大口の荷主であるとか長距離の利用者、こういう方だけを不当に安くする、あるいは一見の客や近場の客は不当に高くする、こういったようなことを防止するものでございます。また三号は、これは他者との関係において不当に安い運賃を設定することを防止するものでございまして、こういうものにつきましては、何が適正原価なのか、何が適正利潤なのか、地域ごとに違ってくるわけでございますから、地域ごとに原価の構成要素の標準的な姿を各運送事業者に当てはめたときの現実の姿、こういうようなものについての適切なメルクマールをつくって、誤りのないような運用をしていきたいと思っております。
  289. 長田武士

    ○長田委員 それでは、通常運賃届け出制と標準運賃、料金、この差異はどこにあるのでしょうか。
  290. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 通常運賃は、まさに御指摘のとおり、通常の状態で設定されるものでございますが、今仰せの標準運賃というのは特別な場合に設定さ れるものでございます。  どういうことかといいますと、まず供給輸送力が過剰になった、その結果運賃が非常に下落するおそれがあるという場合、あるいはその逆の場合で供給輸送力が非常に少なくなって運賃が高くなるというようような場合、そういう非常に特別な場合、経済情勢の著しい変動があったようなとき、こういったようなことを念頭に置いたものでございまして、こういったようなときにいわゆる変更命令、通常の運賃に対する変更命令を頻繁に出すというようなことは非常に煩瑣でございますし、人に迷惑もかけますので、そういうことを未然に防止できるようにということで標準的な運賃をそういう場合には設定をしよう、こういう考え方でございます。
  291. 長田武士

    ○長田委員 運賃、料金について、この法案の第六十三条の規定では設定条件は相当限定をされております。私は、これでは十分な効果が得られないのではないかということを心配いたしております。したがいまして、貨物自動車運送事業の健全な運営を確保する立場から標準料金制度をぜひ設定したらどうかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  292. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 この法律は、やはり多様な運賃というものが設定されるということを事業活動の活発化の要因として一つ考えておるものでございますから、国が何らかの格好でそのスタンダードを決めるというのは通常の状態においては適切でない。事業の創意工夫に基づいていろいろな運賃ができる、ただし、それが先ほど申し上げたような不当にダンピングをするものであったり、不当に差別するものである場合には是正命令をかけるという姿が正しいのではないだろうか。標準運賃は非常に特別な場合に、先ほど申し上げた経済情勢の変動が著しい場合に、変更命令の多発を防ぐために設定をする、そういう限度にとどめるべきだと思います。
  293. 長田武士

    ○長田委員 今回の法改正によりまして、貨物自動車運送適正化事業実施機関の指定が示されておるわけであります。法文上では、民法第三十四条の法人を指定することができる、社団あるいは財団のいずれも明確にしてないわけであります。  前回の審議におきまして、運輸省は答弁の中で、具体的な指定先については社団法人トラック協会を挙げておりますが、私はこの点どうも納得ができておりません。なぜならば、今日まで秩序確立運動を実施しながら何ら実効を上げていない、そういう実績を持っております。本法で求められております適正化事業の実効ある推進もちょっと期待できないのではないか、私はそのように考えております。加えて業界からの不満も私はたくさんあるように聞いております。この際、新法によりまして適正化事業実施機関をあくまでも別の財団法人としなければ公正さが保てないのではないか、このように考えておりますけれども、これは大臣どうでしょうか。明確にお答えをいただきたい。
  294. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私が一番心配しておりますのは、別途財団法人をつくりましても、一般の方はなれない仕事でありますから、どうしても実施の任に当たる者は私は運輸省のOBになるのではないかというような気がしてならないのです。そうでなきゃ恐らくやれないのではないか、そう思います。そうすると、また機関をつくって運輸省のOBの天下り先をつくった、こういうことにもなりかねないわけでありまして、トラック協会の今までのいわゆる能力の足りなかったところ、あるいはまた徹底して業務遂行に当たらなかったことがあるとするならば、それらは今後のいわゆる人選なりあるいは事業計画なり、あるいはいろいろな規則をきちっとしてやらなければならないように仕組んでいくということが必要ではないかと思っておるところであります。
  295. 長田武士

    ○長田委員 私は天下り先をつくれなんて言っているのじゃないのです。ですから、公正を期するために、もう一度実効を上げるためにやはり第三者機関ということが明確に必要であるということを提案しておるのであります。  次に、今回の規制緩和によりまして新規参入を求める動きが活発になっておるわけでありますけれどもトラック業界の中で霊柩運送事業についても例外ではないというふうに考えております。そこで、霊柩事業現状はどうなっておるのか、また今回、道路運送事業法における霊柩事業の取り扱いは具体的にどうなるのか、この点お尋ねをいたします。
  296. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 まず霊柩事業現状でございますが、昭和六十二年度末におきます霊柩事業者数は、軽自動車によるものを除きまして全国合計で千八百十六社ございまして、使用車両は四千五百九十三両となっております。  新法のもとにおきます霊柩事業の扱いでございますが、これは従来どおり貨物運送事業の中で規制をしていくわけでございまして、参入につきましては、やはり原則どおり従来の免許制から許可制に切りかわる。したがいまして需給調整は外れるということに相なりますし、運賃認可制から届け出制になる、こういう基本的な部分について例外扱いをするものではございません。  ただ、霊柩事業の特殊性という面がございますので、例えば最低車両台数、これは一般トラックでは地域によりまして十両とか五両とかいうことを要求しておりますけれども、霊柩車を五両一遍にそろえるというのも現実的でございませんので、これはもっと少ない数、恐らく一両を単位として認めるというようなことになろうかと思いますし、営業区域につきましても、一般トラック事業は最小限都道府県単位かと思いますが、この場合には市町村単位で認めるというようなことにもなろうかと思います。そのような霊柩事業に特殊な性質に基づく扱いは特別に考慮していかなければならないと思いますが、原則的な部分は新法のとおりに実施をしていきたいと思っております。
  297. 長田武士

    ○長田委員 次に、今度免許制許可制になるわけでありまして、新規参入というのも盛んになると思います。そういう中にありまして運賃を届け出するわけですね。これは、従来の事業者に対しては新しく届け出をさせるのですか、あるいは新規事業にかかわる事業主に対して運賃の届け出をさせるのか、この点はどうなんでしょう。
  298. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 現在の事業者が現在認可を受けて持っておられる運賃につきましては、この法律の経過措置によってそのまま新しい運賃としてみなすことができることになっておりますので、既に認可を受けておられる方は新たに届け出る必要はございません。新しく事業を始められる方、この法律の施行後に始められる方は届け出る必要がございます。
  299. 長田武士

    ○長田委員 そうなりますと、既存の事業者に対しては特にそれを求めないわけですね。今までのを踏襲するわけですね。それでは、既成の事業者現行の認可の運賃体系を踏襲するわけでありますから、現行運賃体系はどのように決められたんでしょうか。今までの既成の事業者に対する運賃体系です。
  300. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 現行運賃体系は現行道路運送法に基づいて認可を受けた運賃でございまして、各事業者が運輸大臣ないし運輸局長に申請をいたしまして、認可基準、適正な原価と適正な利潤を償うものであることという認可基準に従って認可を受けたものでございます。
  301. 長田武士

    ○長田委員 適正ないわゆる基準を決めたということですか。そうすると業者によっては相当ばらつきがあるわけですか。
  302. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 個別の業者によってというよりも地域によって違いがございます。例えば大都市であるとかそうでない地域であるとか、そういう地域ごとの違いがございます。現実には具体的な区域運賃は地域単位で認可しておりますので、そういう違いが出ておるわけでございます。
  303. 長田武士

    ○長田委員 地域によっては相当ばらつきがございましょうか。
  304. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 地域によって数字はかなり違っておると思いますが、ちょっと今具体的に申し上げることができませんので、お許しいただきたいと 思います。
  305. 長田武士

    ○長田委員 同一地域内においてのばらつきもまた激しいのですか。
  306. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 同一地域内は同一の運賃になっております。
  307. 長田武士

    ○長田委員 これは、出発はまず事業主がこの運賃でやりたいということを届け出するわけですね。それに対して運輸省が許可するわけですね。そうすると、でこぼこが相当あってもいいのではないでしょうか。大体同じということはタクシー並みですか、あのように統一しているのですか。
  308. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 現実に個々の企業がばらばらの運賃を出してくることも理論的にあり得るわけでございますが、実態は結果として同じ運賃の申請が出てきておるということでございます。
  309. 長田武士

    ○長田委員 よく理解できないのですけれども、これは独禁法にかかるのではないでしょうか。
  310. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 いわゆる業者間でのそういう取り決めなりカルテルのようなものがあれば独禁法に違反することになると思いますが、個々の事業者の意思がたまたま一致したということであればそういうことにはならないと思います。
  311. 長田武士

    ○長田委員 次に、先ほども私、参考人の皆さんにお尋ねしたのですが、路線トラックは六十年六月、そして区域トラック昭和六十年八月にそれぞれ設定された運賃でございます。これはいずれも四年前に決定された運賃ですね。そういう状況下で、現在既存の事業者に対してそのまま踏襲するということでありますけれども事業者としてはこれではちょっと耐えられないのではないでしょうか。
  312. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 確かに前回の運賃改定から四年を経ておりますが、その間、御指摘のようにいろいろコストアップ要因もあったと思いますし、他方、燃料費は比較的落ちついておった、あるいは需要は堅調であったというようなこともありまして、プラス・マイナスの要因がそれぞれございました。それで現在に至っておるわけでございます。  最近に至りまして、人手不足ということで人件費のコストは上がってきておりますし、また労働時間の短縮ということも社会的な課題になっておりますので、業界がこれに取り組んでおるわけでございまして、そのためにはやはり従来よりも人をたくさん抱えなければいかぬ、あるいは人件費の単価を上げなければいかぬというようなことにもなってまいりまして、いろいろそちらの面からのコストアップの要因が出てきておると思います。ただ、現在のところ私どもが把握しておりますところでは、ただいますぐ運賃改定をしなければいかぬというような必要性を見出すようなデータがそろっておるわけではございません。したがいまして、今後そのような必要性があるかどうか、今後出てまいりますデータを見ながら慎重に検討したいと思っております。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  313. 長田武士

    ○長田委員 私はなぜそれを言うかといいますと、四年前の運賃体系をそのまま新規事業者に当てはめるということになりますと、相当ダンピング的な運賃になってしまうのではないかという感じを強く持っておるわけですね。そこいら全体の経済の変化がございましたから見直しする方が私は妥当だと思いますが、どうでしょうか。
  314. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私はずっと国鉄の歴史を見ておりまして、国鉄が赤字財政に転落をした、それから労使紛争がにっちもさっちもいかぬようになったというのは、運賃法定主義でなかなか適時適切に運賃の改定ができなかったのもやはり一つの大きな罪だったなと今反省をする一人であります。したがいまして、先ほど局長が申し上げましたように、人件費が上がったあるいはまた労働時間が短縮されるということ等によって当然コストは上がってくるわけでありますから、必要があって、そして申請があれば、それはいついかなるときでも私ども対応いたしたいと思っております。  しかしながら、こういう法律改正があるからひとつ運賃改定をやるぞというのもいささかいかがなものかと思いますが、今局長が言いましたように、直接にはまだ正式にそういう御要請を受けていない、こういう段階でありまして、もしそういうものがありましたら、私どもはそれは正しく受けとめて処理をしたい、こう考えております。
  315. 長田武士

    ○長田委員 私は決して運賃を上げた方がいいなんて言っているのではないのです。適正な運賃体系を確立する必要がある。実際問題、運賃の低さによって働く皆さんに全部しわ寄せが行ってしまっているのですね。だから過積みが起きるのです。だから深夜運転でも、大変過酷な条件で労働時間の延長をさせられておるというところにありますから、恐らく事業者は、認可運賃を、私たちは許可を受けておるのだからこれは上げられない、あなた方はこれで我慢しろ、そういうような論理で、常に経営者は従業員に対しては押しつけをしておるという点で、今こそ改善しなければならないという意味で私は申し上げたわけであります。大臣、決してインフレを起こすために値上げをしろなんて言っているのではありません。  そこで、現在全産業は、新前川レポートの提言を受けまして労働時間の短縮を実行いたしておるわけであります。運送業界も現在の週四十八時間から三年の猶予期間の後、週四十六時間への移行も既に決定をされております。準備が進められているようでありますけれども、しかし現状は余りにも理想とかけ離れておる。昭和六十三年の労働省調査によりますと、総実働時間では、全産業の平均時間を五百七十六時間、月間労働時間でも百十六時間も多く、いかに過酷な労働条件、環境であるかということはこれをもっても明らかであります。  ですから、大臣、先ほども話がございましたとおり、若い人が本当に魅力のある仕事としてどんどん入ってくるかということになりますと、むしろ嫌っておるという現状は否めないと思いますね。そして、さらに時短による人員増であるとか、また人員確保に伴う賃金引き上げなど、六十年当時と全く賃金コストというのは変わってきておるだろうという感じを私はいたしております。このような点、どうしても労働者の皆さん方にしわ寄せが行ってしまうこの現状、こういうものをどうやって克服したらいいのか。運賃問題とも非常にかかわり合いが強いわけでありますけれども、この点についてひとつ具体策があればお示しをいただきたいと思っています。
  316. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 今回の法律改正によりまして運賃届け出制になります。他方、先生御指摘のとおり、人件費コストが上昇する要因がいろいろございます。そこで、トラック業界として必要な人材を確保していくというためには、時短に取り組み、あるいは賃金水準の改定に取り組まなければ事業の存続もおぼつかない、こういう事態になってまいるわけでありますから、そのような努力の結果として人件費が上昇した場合には、これは適正に原価に反映されるべきものだろうと思います。  したがいまして、そのような裏づけのある運賃が届け出られた場合には、もちろん当局として変更命令をかけるとかいうことなく、そのまま受理するということになりますので、そういう意味で、必要な経費を賄う運賃体系になるというふうに思っております。
  317. 長田武士

    ○長田委員 それでは、時間が参りましたので、最後に運輸大臣にお尋ねをいたします。  特に運送事業に携わる皆さん方は、何回も何回も申し上げるようですけれども、大変過酷な労働条件のもとで働いていらっしゃいます。日本の産業構造というのは大きな変化をいたしておりまして、大変手が汚れるとか汗を流すとかあるいは時間が長いとか、そういう問題に対しては若者が非常に敬遠をするという状況でございます。そういうような状況でありまして、むしろそういう皆さん方にもっともっと賃金を、一般で働いている方よりももっともっと優遇すべきだ。そうしない限り人員確保もできませんし、やはり後継者が育たないという点が大きなネックであろうと私は考えております。  そういう意味で、この規制緩和、私は基本的に は賛成なのでありますけれども、ややもすると、規制緩和になりますといろいろな形での摩擦が起きる。ですから、道路の交通法というものも、やはりダンプカーと戦車と一緒に走ってみるなんて言ったって、とてもじゃないけれども走れるものではないのですね。そういう無秩序な交通体系を区分したりなんかして秩序を保っているわけであります。そういう意味で、大企業による強力な参入というのも当然考えられますし、同じ資本力で競争すれば公正な競争ができます。しかし、零細企業の大変多い運輸業界においては、大企業と中小企業に一緒に走ってみると言ったって走れません。それは戦車とバイクで競争するのと全く同じなんです。そういう意味で、私は規制緩和をするのは賛成でありますけれども、そういう秩序というものをきちっと持たなくてはいけないということを強く感じております。  今回の法改正につきまして、失業者がふえたりあるいは事業が倒産する、またそれに従事をする人が将来不安に思ったり、そのような状況を絶対つくるべきではない、このように考えております。そこらの法案に対する何点かの疑義を私は持っておるわけでありますが、大臣、その点について前向きに、働く皆さん方が安心して従事できるような体制確立と、中小企業がつぶれないような対応というものをひとつ真剣に考えてほしいということを要望しておきます。それに対して所見を述べていただければありがたいと思っております。
  318. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 運送業者の収入は、運賃以外にないわけであります。私は、いい職場というのはやはり高能率、高賃金というのが大原則だと思っておるのです。したがいまして、大企業が小規模業者を押しつぶしていいという権利は一つもありませんし、弱い者のために一生懸命工夫して汗を流すのが政治だと私は思っておりますから、いろいろ御質問の向きあるいはまた御要望の向きは十分に私ども肝に銘じまして今後取り進めてまいりたいと思いますので、今後もまたお気づきの点がありましたら遠慮なく私どもに御注告を賜ればありがたい、こう思っておる次第であります。
  319. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  320. 久間章生

    ○久間委員長代理 小渕正義君。
  321. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 前回の質疑の中で、今回の法案の問題点、懸念等についてただしましたが、若干残っておりますので、この点についてお尋ねしたいと思います。  まず最初に、基本的な認識といたしまして、これは先ほどの参考人トラック業界の方にもお聞きしたのでありますが、今日の我が国の経済活動の中で輸送量はますます増大していく傾向にあると私は思います。そういう場合に、今回のような法律規制緩和して自由競争というか参入条件を認める、一部社会的規制を強化することによって業界秩序確保する、こういうことが言われておるわけであります。しかし、果たしてこういうことだけで、今日でさえも道路その他トラック運送についてはまさに過剰と言えるような飽和状態にあるわけでありまして、そういう中でただいま法案で示された考え方だけで果たしてこういう問題が改善されるのかどうか、輸送秩序が本当に確立されるかどうか甚だ疑問なしとしないのです。  そういう意味で、輸送量の生産性をどう高めていくかというような問題についても、外的条件その他いろいろな問題についてもっと考えてやらないことには、果たして法律のこの点の改正だけで現状トラック業界のいろいろな問題点が解決できるのだろうかという不安と疑問を持つものであります。例えば全ト協の理事長の方も言われておりましたが、輸送量の増大に対しましては、トラックの制限量をもっと大型トラックにしていくとか、いろいろのことを何とか対策として考えなければならぬということも言われておりましたが、そういう外的な条件等についてももっと並行して取り組まないことには、今日置かれておるトラック業界の大変ないろいろな問題の解決には、ちょっとこの法案の考え方だけでは難しいのじゃないかと思いますが、ここらあたりについてはどのような御認識をお持ちですか。その点をまずお尋ねいたします。
  322. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 御指摘のとおり、今日のトラック業界を取り巻く環境にはいろいろ厳しいものがございまして、この法律だけで何もかも解決するというものでないことはもちろんでございます。道路その他の改善も必要でございますし、また、トラックターミナル等をさらに整備いたしまして効率的な運行を確保するということも必要でございます。また場合によりましては、最近JR貨物の方でやっておりますような自動車をそのまま貨車に載せて運ぶ、その間は運転者が要らないピギーバックというような輸送方式、あるいはフェリーその他の船舶によってトラックをそのまま長距離輸送するというようないろいろな効率的な輸送方法の導入ということをさらに促進しなければならないと思っております。  ただ、この法律にも輸送効率向上に資する部分がございまして、それは従来の区域トラックには原則禁止でありました貨物の積み合わせ輸送、これを今回の改定では路線と貨物を一本化いたしましたので、従来の区域事業者、これは中小事業者が多いわけでございますが、どんな少しの貨物でも荷台の片隅に載せてそれだけで運ばなければいけないというのが原則でありましたのが、余裕のあるときにはほかの貨物と積み合わせて運ぶことができる、これは非常に大きな進歩になろうかと思いますし、とりわけ中小企業者には大きなメリットが出てくるものだというふうに思っております。
  323. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ひとつぜひ、もっと多様性を持った多面的な輸送手段というものをいろいろ考えられて、そういう角度からもこれらの業界に対する輸送秩序維持のための指導をお願いしておきたい、かように思うわけであります。  次に具体的な問題に入りますが、輸送の安全確保対策のための事業者遵守の規定についてお尋ねいたします。  貨物自動車運転者労働時間等に関する「自動車運転者労働時間等の改善のための基準」というのが一九八九年二月九日、労働省の告示第七号で出されておりますが、これら遵守については命令によって定めるということは考えられないのかどうか、この点は労働省関係の方、お尋ねいたします。
  324. 石川透

    ○石川説明員 先生御指摘の改善基準につきましては、本年二月九日付で労働大臣告示というふうになったものでございます。これには非常に長い歴史がございまして、四十二年には労働基準局長通達によりますいわゆる二・九通達に基づきまして指導をいたしておりました。その後、五十四年に至りまして、今度は二七通達という形で指導をしてきたわけでございます。労働基準法改正の際に、中央労働基準審議会から今後の労働時間法制のあり方について建議をいただきましたけれども、その中ではこの二七通達の法制化を含め、その特性に応じた労働時間規制のあり方を検討すべきであるというふうにいただいたところでございます。この労働基準法研究会の建議を受けまして、中央労働基準審議会におきまして関係労使も入りました検討の場を設けるということになりまして、中央労働基準審議会に自動車運転者労働時間問題小委員会というものをつくりまして、一年半にわたりましてこの規制のあり方を検討したわけでございます。  その結果、内容的には従来の通達を踏襲したわけでございますけれども、従来の通達から形式的には労働大臣告示の形で守っていこうという形になったわけでございまして、法制化の是非をも含めて関係労使も入りました真摯な検討の結果、通達から告示にしようということで現在の形になっているわけでございます。私どもといたしましては、まず、できたばかりでございますので、この告示で、しかも、関係労使の真摯な検討の結果できた告示でございますので、これを遵守していただきたいというふうに考えているところでございます。
  325. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ぜひひとつ、経過はわかりましたので、その告示が厳正に運用されるように、より指導をお願いしておきたいと思います。  それから、これも先ほどから何回も出ておる問題提起でございましたが、過積載や過労運転防止対策としての自重計や運転者の運行記録計等の車両機器の整備とか義務化、車両構造の改善のための関係法令の見直しとか、いろいろそういう問題について触れられておりました。特に先ほどの議論を聞いておりますと、自重計についてはまだまだ信頼性が薄いということで、まだ採用するのはちょっと問題だというようなこととか、それから、運転者の計器については非常に経費増等が大きいのでちょっと困難だとか、そういうどちらかというと後ろ向きの発言ばかりのような感じがしたのでありますが、やはりこれも、画一的にこれをすべての車両にやろうとするとまたいろいろな問題がありましょうから、例えば何トン積み以上のトラックについて、何キロ以上運送するようなそういうトラックについては、これとこれだけはぜひそういうものを装備させるようにするとか、何かもう少しそういったいろいろの考え方を分けて、そして前向きに取り組んでもいいんじゃないかというような感じがいたします。  先ほどの御答弁からいきますと、ぜひ何とかして今後そういう信頼性を高めた機器が整備されて、ぜひ何とか三年以内ぐらいに努力しましょうというそういう意欲ではなしに、ただ、現状無理だ無理だというだけの御答弁のような感じがしましたので、このあたりもう少し、すべて何でも画一的でなしに物事を考えていただいて、そういう区分的ないろいろな取り上げ方等もあると思うのですが、そういった点についてのお考えをひとつお聞きしたいと思います。
  326. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 先ほどの御答弁で申し上げましたとおり、私どもとしても、決してこのような自重計あるいは運行記録計の取りつけ自体に否定的なものではございません。適切な装置が適切な価格で入手できるのであれば、それはできるだけ義務づけるということが望ましい方向だとは思ってはおりますが、現状で申しますと、まだ義務づけるような信頼性には欠けるということでございまして、こういうような機器の研究開発を今後促進するということは、私どもとしても努力をしていきたいと思っております。
  327. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ぜひひとつそういった点は、積極的な取り組みを今後期待しておきたいと思います。  次に、貨物運送事業の参入問題についても、先ほどからここでも何回も出ておりますが、参入の許可、審査等の本法の運用に当たっての厳正な基準というものが命令によって具体的に定められないのかどうか、この点についてはどのようにお考えですか。
  328. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 参入基準といいますのは、やはり地域による差というのもございますし、時間的な差というものもございますので、命令で定めるというのは、やはり画一的になる嫌いがございます。基本的には通達、それを受けた各運輸局の公示という姿で対外的には明確になっているけれども、ある程度弾力的に対応できる姿が好ましいと思っております。
  329. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 かなりこの問題については、そういった考え方もありましょうけれども、ひとつそういうきちっとした、はっきりしたものでもっと強く指導できないかという期待がありますので、そういう点、十分今後の行政指導の中で配慮していただきたい、かように思います。  次に、先ほども出ておりましたが、自家用貨物自動車による営業類似行為等の違法行為の防止について、輸送の安全確保にかかわる遵守義務事項等のこういう問題については、もっと法令を整備するということが必要ではないかという意見もあります。これらの意見に対してどのように今後取り組まれようとされるのか、その点についてお尋ねいたします。
  330. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 自家用自動車の使用を適正化するということは、道路運送法全体の精神の中で非常に大事な要素でございます。自動車運送事業と自家用自動車が適切な調和をとって発展をしていかなければならない、そのために自家用車に対して一定の規制が必要でございます。  現在、自家用車につきましては、自家用自動車の使用の届けであるとか共同使用の許可であるとか営業類似行為の防止のための規定などがございまして、私どもとしては、規定としてはこれで十分整っておる、あとは、これをきちっと守る体制が問題ではないかというふうに考えております。この点につきましても、取り締まり体制を逐次強化をしてきておりますし、今度も、民間の適正化機関を活用する仕組みも開きましたので、こういうものを使って、法律の趣旨がきちっと徹底するように一生懸命やってまいりたいと思っております。
  331. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 ぜひその点は今後徹底して指導するように期待しておりますので、ひとつよろしくお願いします。  次に、これも前回もちょっと触れたのですが、貨物自動車運送事業の直営率といいますか、こういうものをある程度定めて、下請とか用車等の関係をある程度制限する必要があるのではないかという意見もあります。そういう点についての法令整備としてどういうふうに考えているかということであります。  要するに、前回の質問でも申し上げましたが、結果的には、今の運送事業実態から見ますと、恐らく利用運送事業者に系列化されてしまうと僕は思う。もうそういう形に結果的にはなっていかざるを得ないと思うわけでありまして、そういう意味で、やはり貨物自動車運送事業者が次の下請へ落とす、その受けた下請がまた次の下請というような形で、何段階もそういう形で受けていって、結果的には、利用運送事業者の単なる下請系列下にすべて集中されてしまう、整理されてしまうというような可能性なしとしないわけでありますので、そういう意味で、ある程度歯どめをかける必要があるんじゃないかということからの考え方ですが、この点についての法令整備等について何か考えていないのかどうか、その点はいかがですか。
  332. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 先生のお話のように、自動車に限らず物流全部そうでございますが、季節的な波動というものがございますので、どうしても全部を自分で賄うということでなくて一部を下請を使うということは、これはある程度経済合理性にかなうことだと思います。したがいまして、これを一律に何%の直営でいくべしというようなことを規定するのは、必ずしも実態に合わない面が出てくるのではないだろうかというふうに思います。ただ、下請を使うということは、今先生がおっしゃったような問題が同時に出てくる危険性を持っておりますので、下請を使うなら、その危険性がなくなるような措置を同時にとっていくということが大事だと思います。  今回は下請につきましては、これは利用運送という形で法律の、端的に言うと光が当たることになりまして、今までは利用運送というのは、必ずしも実運送と利用運送事業者の間に道路運送法の適用がきちっとあるということではなかったわけでございますが、今度はそこに貨物運送事業法の適用がございます。したがいまして、その運賃についても届け出の対象になりますし、取扱事業者は今度は荷主という立場に立ちますから、実運送から見て荷主になりますので、荷主勧告の対象にもなります。そういった新しい制度を使って下請関係の適正化を図る、それによって経済合理性を全うできるようにしていったらどうであろうかというふうに考えておるところでございます。
  333. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その問題について、特に現在のトラック運送事業実態は、先ほども申されておりましたように、ほとんど中小企業が九八%を占めるような脆弱な経営基盤の中の人たちが多いということであります。そういう実態にかんがみますなら、そういう意味では、特に現状の中で見ますと、トラックを一台か二台持っておって、そして運送の仕事を請け負っていろいろやっていると いう、実態としてはそういう関係の方々がかなり多いと思うのですね。だから、現在ある程度きちっとした会社組織従業員が三十名とか五十名とかいうような運送事業の方は問題ないにしても、今申し上げますようにトラックを二台か三台持っておって運送事業を請け負ってやっているという実態もかなりあるわけですから、そういう意味では、そういう人たち、零細企業の業界を協業化するとか共同化して仕事をやるとか、そういう面にもっと目を向けて今回の法案をきちっとするのと同時に、そういう面においてももっと指導するような、そういうものが今回の法改正の中でももっと盛り込まれなかったのかという感じがするのでありますが、そこらあたりはいかがですか。
  334. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 法律の規制だけで足りないというのは御指摘のとおりでございますが、トラックの許可、今は免許でございますが、それに際しましては、やはり極端に零細な企業が出てくるということはそれが秩序を乱すもとになりますので、一応最低の車両数というもの、これは地域ごとにいろいろ違いますが決めて、それ以上の基準でないと入れないという運用はいたしております。  ただ、それにしても中小企業であることには変わりがございません。荷主との関係で弱い立場にあり、それが秩序を乱す原因になることも事実でございますので、そこについては規制だけでなくていわゆる中小企業の体質を強化するための対策というのを別にやらなければいけないと思います。それが構造改善対策であり、その他の中小企業対策でございます。これはこの法律そのものに書いてはございませんけれども中小企業基本法から始まる一連の中小企業対策として別途の法体系のもとで、この法律と並んで、あるいはそれ以上に重要な課題として取り組んでおるところでございます。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  335. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今の点はぜひひとつ強力に御指導いただきたいと思います。  先ほどからいろいろこういった問題に対する御答弁をお聞きしておりますと、まさに優等生答弁でございます。ただ問題は、本当に実態に適応するような強力な指導ができるかどうかがポイントでございますので、そういう意味で特に今の御答弁を期待しておりますので、よろしくお願いしたいと思います。  次に、貨物運送事業者運賃、料金、これも先ほどから何回も出ておる問題でありますが、これら運賃、料金の設定と変更に関する事前届け出制は、この前から、港湾運送との関係が法的にはないと言いながらも、実態として見るならばかなり関係があるということが一部関係者の中から指摘されておるわけであります。そういう意味では、この貨物運送事業者運賃、料金の設定と変更に関する事前届け出制は船舶運航事業の行う運送についてもこれと同様のことを行うべきではないか、こういう一部業界からの強い意見がありますが、この点はどのようにお考えですか。
  336. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 船舶運航事業者の行う運送に係る利用運送でございましても、原則としては届け出運賃でございます。ただ、法案の第九条をごらんいただきますと括弧書きがございまして、「船舶運航事業者の行う運送に係る利用運送であって運輸省令で定めるものに係るものを除く。」と書いてございますので、一部これを外す予定をしているわけでございます。これは何かと申しますと、不定期の貨物あるいは定期船に載りますばら積み貨物、こういうものはタリフがございませんで、その都度契約当事者が交渉で運賃を決めておるわけでございまして、このようなものを利用運送事業者が届け出るということはなかなか事前に予知もできませんし、その必要もなかろう。実運送事業者荷主の間でもネゴシエーションで決められておるものですので、利用事業者のみに届け出を義務づけるという必要はないということで、適用から外すことを考えております。  しかしながら一般的な雑貨物は、これは船舶運航事業者運賃を定めてだれにでも適用しておりますから、そういうものにつきましては利用運送事業者も運賃の届け出を要するということで、船舶が全部外れるということではございません。
  337. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今の問題との関連で、逆に今度は、今お話がありましたように第二十条の部分を削除するということの関係で、貨物運送取扱事業者に対しても同内容の義務を持たせるべきではないか、こういった意見がまた出ておるわけでありますが、この点はどのようにお考えですか。
  338. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 今回の取扱事業法におきましては、各輸送機関にまたがりまして横断的な整理をしたわけでございまして、ただいま御指摘の内航海運業法二十条の規定というのは他の事業には見られない規定でございますので、これはこの際廃止をいたしまして、特にそのような要求は利用運送取扱事業者には要求をしないということにしたわけでございます。これはあくまでも、取扱事業者が届け出ました運賃水準の適正さを当局がチェックするということで実効が上がるものだと考えております。
  339. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 では、あと一つですが、道路運送法の今後の課題についてちょっとお尋ねいたします。  今回の改正によって道路運送法は旅客運送だけの法となるわけでありますが、法の体系として極めて不自然ではないか、道路運送という従来の枠組みを改める必要があるのではないか、旅客運送についても独立法として新たにきちっとすべきではないかという一つの強い意見もあります。また旅客運送業も、トラックほどないにしても需給調整機能や運賃規制中心に多くのいろいろな問題点が現在指摘されておるわけでありまして、そういう意味でも抜本的な改革が必要であるというような、今回の物流二法に関連いたしまして道路運送法についてもそういった強い意見がありますが、これら道路運送法の今後の取り組みについてどのようなお考えであられるのか、その点をお尋ねいたします。
  340. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 まず道路運送法の体系のことを、今回の法律改正に伴う問題なので申し上げたいと思います。  貨物自動車運送事業がこちらで別の法律になった場合に向こうに残るのは必ずしも旅客だけではございませんで、自動車道事業規制、自家用自動車の規制、これは従来どおり何ら変更なく残るわけでございます。また、この自家用車あるいは自動車道事業規制、これは貨客いずれかに分けるということができない法律でございますので、現行どおり道路運送法体系を維持して、その中で規定をしていくことが適切であろうというふうに考えておるわけでございます。
  341. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 最後に、大臣にひとつぜひ御見解を含めてお聞きしたいわけでありますが、御承知のように今トラック業界の問題点がいろいろ出されております。そういう中で、特に労働条件が他産業に比して非常に低い。それは過重労働、長時間労働、しかも現在のトラック業界の持っている大きな問題点としての労働力不足、こういう問題の解決は、先ほども大臣としては、すべての基本が運賃制度ですから、本当にそういう実態に見合った運賃制度を確立することがまず前提だと言われておりました。確かにそれも一つの大きなファクターだと思いますが、やはり実際のこういう自由競争の中ではなかなか理屈どおりいかない現状もございます。  そういう点からいきますならば、こういうトラック運送事業に携わる運転者等について何らかの別な形で、例えば共済事業等をもっと国が指導し若干の援助をしながら、トラック運転者に十年なら十年働いておればこういう特典があるんだ、そういうような角度からの魅力ある職場づくりというか、そういうものをつくり出すということ、今の状況の中では、ただ運賃制度をよりきちっとさせてということだけでは難しい。やはり環境整備といいますか、トラック運転者らしい環境整備のためのものを別の方から考える、整備していくことも非常に大事な問題ではないかと私は思うのです。  これは直接の行政指導の担当は運輸省ですか ら、そういう福利というか福祉施設というか、他産業にない、トラック運転手の独自性のある、何かそういうものについてもつくるような努力をされれば、また新しい一つの職場の魅力として若い人たちも入ってくるのではないか、従事されてくるのではないかという気もするわけでありますので、そこらあたりにも少し力点を置いた運輸行政ができないものかという感じを持つわけであります。その点に対する大臣の御見解をお聞きして私の質問を終わります。
  342. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 一つの御提案だと思います。ただ、あくまでもこれらの問題は自主努力にまつことが大きいわけでありまして、その場合に我々がどれほどの協力ができるのか。当然、担当の行政機関でありますから、業界育成の基本が従業員にあるということを念頭に置いて、これからも勉強させていただきます。
  343. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  344. 島村宜伸

    島村委員長 辻第一君。
  345. 辻第一

    ○辻(第)委員 短い時間にたくさんお尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。  私は、交通安全対策委員会でこのトラック運送事業、殊に交通安全への対応というような問題で何度かお尋ねをしたことがあります。去年の十月十二日にも、参入の問題それから運賃、こういうような規制緩和をいたしますとそれは零細業者がふえる、あるいは運賃の交渉力は決定的に低下をするということで、一層過労運転や過積みというような状況が起こる、どうしてもこういう経済規制はやってはならないということを主張し、要請をしてきたところでございます。去年の十一月には東京や大阪のターミナルで企業の方、労働者の方からいろいろお話を聞きました。また、東京から沼津までですけれども深夜のトラックに乗せていただいて、その状況などを実際に見せていただいたこともあるわけであります。  そこで、まず最初に安全規制についてお尋ねをしたいと思います。  最初に大臣にお尋ねをいたしますが、中小トラック事業者から、運賃のダンピングはもとより輸送の安全を確保するためにも、過積載、過労運転等の安全規制の違反については荷主を含めた両罰規定が必要であるとの強い要望がありました。なぜこの規定を新法案では法文化されなかったのか、お尋ねをいたします。
  346. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 運送業者というのは本来荷主に対して弱い立場にあるというのが一般的な原則だと私は思っております。したがいまして、今回の法案の中では、荷主が不当な要求を運送業者に課した場合にはいろいろの改善命令などが出せることになっておりまして、それなりに運送業者の地位というのが守れるように私ども配慮してこの法案を提案しておると思っております。
  347. 辻第一

    ○辻(第)委員 仰せのとおり、大多数が零細業者でしかも受注産業である、労働集約型、そういうことを含めて荷主に対して非常に弱い立場におられるということはもう明らかですね。今おっしゃった程度の規制では、私はとても十分な対応にはならないというふうに思うわけであります。中小トラック事業者は、優越的地位にある荷主から、運賃はもとより運送の方法等サービスの内容についていろいろの配慮をしないと仕事がもらえないという現状があるからだと思います。その結果として、労働集約的なトラック事業では、そのしわ寄せが労働者の長時間労働、過積載等の安全規制に抵触することになる、このように考えるわけであります。  先ほど申しました現状、九九・五%が中小の業者、なおかつ受注産業、そして運賃のダンピング、そして安全規制を本当に実効性あるものにする、こういう点で、荷主の優越的地位から中小トラック事業者を守るための条件整備をしなくてはならないというふうに思うわけであります。今度の参入や運賃規制緩和というようなことは、そういう点ではいよいよ荷主の優越的地位を高めるものだというふうに思うわけでございます。先ほど大臣がおっしゃった程度ではとても不十分だと思うわけであります。荷主の優越的地位から中小トラック事業者を守るための条件整備をもっともっとやらなくてはならないと思いますが、いかがですか。
  348. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 規制の見直しによりまして免許制許可制になる、あるいは認可制届け出制になるということでございますが、同時に、競争が行き過ぎてそこで中小企業にしわ寄せが来ないようにということで、いわゆる緊急調整措置であるとか運賃変更命令ということで適正な競争を担保する手段を講じておるわけでございます。また、それ以外にも、いわゆる適正化事業という民間の活動を支援したり、あるいは荷主に対して直接勧告をするということで、この法律でルールを守る仕組みを一層強化したところでございまして、こういうものをきちっと運用していくことによって中小企業の健全な発達を図りながらトラック事業発展も図りたい。また、それと同時に、規制以外の面で、従来からやっております構造改善などの中小企業対策を、この法律とはまた別の次元ですが、経営基盤を強化するための対策もやっていきたい、こういうものと相まって中小企業発展を図っていきたいと思っております。
  349. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろお話がありましたけれども、例えば荷主への勧告ということですが、これはいろいろな問題が荷主に起因をしても事業者への命令、罰則だけでは再発防止できない場合、しかも所管大臣の意見を聞いて初めて勧告ができる、こういうことですね。これで本当に勧告ができるのか、私は実際問題としてそういうことも考えるわけであります。  そして、何度も申し上げますが、このような中小事業者荷主に対して弱い、そしてそういう状況の中で運賃のダンピングをせざるを得ないという状況、そのことが交通安全上あるいは労働者労働条件上いろいろな問題を惹起してきたということでありますが、この荷主の優位性、こういう実態から不十分ながら事業者を守ってきた、それが事業免許制や認可運賃などの経済的規制だったと思うのですね。これを緩和するということになりますと、本当に大変なことを迎えると思うのですね。貨物取扱事業法案による荷主等の利用者保護が法文化されること、先ほどの事業免許制あるいは認可運賃などの経済的規制緩和すること、こんなことは運賃ダンピングや労働者の長時間労働、過積載防止等に本当に政府が真っ正面から取り組んでおられるのかどうか、本当に疑問に感ずるわけであります。いかがですか。
  350. 江藤隆美

    ○江藤国務大臣 私は、小学校の同級生に中小のトラック業をやっておるのがたくさんおりますから実態をよく見ておるのですが、三万八千業者の中で九九・九%、それほどの人たちが中小にわたるわけですけれども、小の人たちというのは、必要のないところは実際は成り立たないからやっていないわけです。  例えば、私は宮崎県のあらゆる畜産の会長をしておるのですが、ある者はトラック五、六台持って牛を運ぶ、あるいはまた牛乳を運ぶ、あるいはブロイラーを運ぶ、卵を運ぶ、あるいは市場と契約をして野菜を運ぶ、農協と契約をして、農協の肥料ですとか米ですとかあるいは野菜、果物を運ぶ、大体そういうふうにありますから、そんなにそういうところはむちゃくちゃなダンピングはない、経営に見合ったある程度の料金収入を得ておると私は思っておるのです。一番危険性があると私が思うのは、区域内の中くらいの業者で、荷物をかき集めてきて、特定の業者、会社、企業と結びつかずに競争しながら荷物を集め、運搬する、そういうところが御心配のようなダンピングのおそれが一番あるのではないか。ですからそれぞれの業者について私は多種多様だと思っておるのです。  大企業、路線業者は競争すればいいわけでありまして、それは生き残りをかけてやるわけですが、やはり中規模の、私の同級生もやっておりますが、路線トラックをやれないような、私のところは田舎が熊本県境までありますから、そういうところの各市町村の木材からシイタケから畜産物から何からきめ細かな運送をやっておりますね。ですか ら、そういうそれぞれの階層にわたってきめ細かな配慮が必要だろう、こう思っております。
  351. 辻第一

    ○辻(第)委員 いろいろうんちくを傾けてお答えをいただいたわけでありますけれども、実際はそういう状態はごく一部分だと私は思うのですね。本当に深刻な事態だと思うのです。例えば、労働時間なんかで言えば二千六百時間ということです。日本の平均より五百時間も長いでしょう。それで、深夜に走られるということが多い。その中で過労死というような問題もありますし、それは本当に深刻な事態だと私は思うのですね。大臣がおっしゃられたのは、それはよいところの一部分をおっしゃったような話だと私は思うのです。  それで、具体的に提案しますが、輸送の安全を確保するためにも、また荷主規制一つとしても、トラック事業者が請け負った場合に、荷主はどのような荷物をどのくらいの重さ、出発場所と時刻、輸送先とその到着時間等を内容とする輸送状を当該トラック運転者に発行する方式を実施してはいかがか。これは以前にも申し上げたことがあるのですが、いかがですか。
  352. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 御提案のような運送状あるいは輸送状というようなものの発行でございますが、こういうものを荷主に発行することを義務づけ運転者に携行させるということは、一方で荷主とかトラック事業者に事務的な負担をかけるということで、行政改革、行政簡素化の理念とはどうも反するのではないかと思われますし、また効果につきましても、みすみすこれが過積載であるとわかるような運送状の記載をする者は多分なかろうかと思われますので、実際に実効の上がるようなものになるかどうかは極めて疑問があるのではないかと考えざるを得ません。
  353. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはりこういうことを思い切ってきちっとやっていただかないと、実際上言葉だけあるいは法文だけでは私は解決しないことだと思うのです。こういうことをきちっときめ細かくやっていくことが非常に大事だということを再度申し上げて次に移ります。  今までの法律のもとでも法文上では明記されておりませんが、輸送規則等で安全規制は一応担保されておりました。今回の新法案でこれらの運輸規制を法的に担保したことは私たちも一応評価をしておるところでございます。しかし、悪質な運行管理者について今まで処分されたのは二人で、そのうちトラックは一人というふうに聞いているのですが、そのとおりでしょうか。このように少ないというのはなぜかとちょっと考えてみますと、法違反の運行管理者を処罰したところで、荷主から強要されたというようなことがわかれば業者もこれを認めざるを得ぬという現実がある、そういうことで処分が少なかったのかな、こう思うのですが、いかがですか。
  354. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 トラック事業者に対して運行管理者の解任を命じた例というのは十年間一つということでございますが、これは今仰せのような事情ではございませんで、当方で解任命令をする前に事業者の方で運行管理者を解任されてしまう場合には当方の解任命令が働かないわけでございます。当方の解任命令が働く前に自主的に運行管理者を解任した場合というのがほとんどでございまして、その結果こういうような姿になったということでございます。
  355. 辻第一

    ○辻(第)委員 いずれにいたしましても実態はいろいろ問題があるのに、余りにも少ないなというのが実態ですね。これでまともにやっておられたのかなという感じもするわけであります。  さて、今まで指摘してまいりましたように、事実上、中小トラック事業者の経営や安全確保に一定の歯どめになっていた事業免許制あるいは運賃認可制緩和して、新法案では安全規制を強化した、これであたかも中小トラック事業者が守られるあるいは労働者が守られる、このように言っておられるわけでありますけれども、本当の一番基本的なところにメスを入れないで社会的規制、安全規制だけを強化されても物事は解決しない。後でも申し上げたいと思いますが、私はそのことを強く指摘をしたいと思うわけであります。ですから、経済規制緩和するということは本当に大問題だということを改めて指摘をして次に移りたいと思います。  次に、緊急調整措置についてお尋ねをしたいと思います。  この発動要件、この貨物自動車運送事業法案関係資料、この中から提案理由説明ではなしに、もう少し具体的に言いますと、当該営業区域の輸送量、これは六カ月に一度の統計だそうでありますが、輸送量と車両数による需給状況、もう一つはその状況のもとで同区域の倒産事業者数と欠損事業者数を合わせた数が全体の事業者数の三分の一を超えるとしているように聞いているのですが、そのとおりですか、いかがですか。
  356. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 緊急調整措置の発動要件、第七条に定めておりますが、ただいまお話ありました「その営業区域の全部又は大部分が含まれるものの相当部分」というところが大体三分の一から二分の一の見当であるということは私どもの腹案として考えております。  このような緊急調整措置と申しますのは、新規の許可の発給を停止するあるいは既存の事業者の増車をストップするという極めて強い措置でありまして、国民の権利を著しく制限いたしますので、このように慎重な発動要件になっておるわけでございます。それの具体化は今後詰めていく段階でございますが、ベースとしましては輸送実績報告書あるいは自動車輸送統計報告書等から実車率、実働率、実働日当たりの輸送トン数等の数値を出しまして、これらを基準といたしまして運用をしていきたいと思っております。  なお、緊急調整措置発動は運輸審議会への諮問事項となっておりますので、このようなプロセスを経まして客観的な判断が行われることになります。
  357. 辻第一

    ○辻(第)委員 営業区域内の輸送量と車両数から需給状況が明確になるのか、私はそういうふうに思うのです。例えば需給状況では、やはり運賃問題がかかわってくると思うのです。運賃が安ければトラックに行きますね。高くなれば船だとかJRなど他の輸送機関に流れていくということも当然あると思います。ですから、トラック事業者届け出運賃の内容や他の輸送機関との運賃を含めた競争状況、これは日々変化する当該区域の物流状況等を考慮しなければ需給は明確にならないのではないか、このように考えるわけであります。需給状況を明確にする客観的な基準ですね、そういうものを出さなくてはならないのではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  358. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 需給の状況は先ほど申し上げましたようなデータから客観的に出てまいると思います。経営状況につきましても、決算報告書あるいは倒産件数というようなものは客観的に手に入りますので、これらを突き合わせて法に定めます要件に適合しているかどうか、これを判定していくことになろうかと思います。
  359. 辻第一

    ○辻(第)委員 私はやはり実際問題として、営業区域内の輸送量と車両数から需給状況を明らかにしていくというのは非常に困難なことではないか、このような認識を持っております。殊に、公正な競争という点を放棄して客観的な需給状況の把握ができるのかというふうにも考えているわけでございます。その営業区域内の輸送量と車両数だけの需給状況がセーフガードの発動要件の一つであるということでありますが、先ほど申しました状況の中で、これはやはり十分に把握できないような感じがするわけです。そうなりますと、より重要な要件になるのは、同区域の倒産や欠損事業者の一定数以上の増加ではないか、このように考えるわけでございます。  そこで、倒産とか欠損の基準を何をもって証明をされるのか、特に倒産とか欠損とかというのは事業者の経営の裁量が入ってくることがありますね。ですから客観的な基準を明確にされる必要があろうと思うわけでございます。しかも、そこに働く労働者や安全輸送確保するためにも大切なことではないかというふうに思うわけでございます。例えば欠損かどうかというのは、税法上、一 般的に一年に一回ぐらいということではないかと思いますし、また、政府のいろんな統計というのは大体遅く出る、景気というのは、ずっと景気がいいとかなべ底という状態でなしに、きめ細かくいろいろ動いてきている、そういう状況も当然あるわけでございますので、そういうことに今の状況で十分対応できるのかどうか、そういう点もお尋ねしたいと思います。
  360. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 緊急調整措置の発動は、法律の要件に書いてございますように、相当多数の事業者事業の継続の困難に陥るという状態でございますから、そうしょっちゅうあるという状況ではございません。したがいまして、相当深刻な不況がかなりの期間続くというような事態が想定されるわけでありまして、そのような場合には、各社の決算書あるいは営業報告書等にその経営実績が出てくるわけでございますし、さらに深刻になれば倒産件数もふえてくる、こういうことになろうかと思いますが、そういうことで、それらの客観的な資料によりまして把握できるというふうに考えております。
  361. 辻第一

    ○辻(第)委員 深刻な不況が長期に続く、そういうときにというようなお話がありました。そういうときに緊急調整措置を発動される、それで本当に中小業者を救済することができるのか、私はそう思うのですね。そう簡単にどんどん発動できるものでもないかもわかりませんけれども、やはり本当に業者を救済し、労働者の生活と権利を守っていく、安全を確保していくという立場からいえば、やはりもっと早目に対応をしないと、もう手おくれになってしまってからやられるというようなことではまともな対応ができないと思うのです。そのことを指摘をし、それから客観的な基準を明確にするためにも、また労働者の権利や安全輸送確保するために、トラック一台当たりの輸送コスト、このことを一つ基準にすべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  362. 寺嶋潔

    ○寺嶋政府委員 コストの要因は一つの要素ではあると思いますが、需給バランスがどうなっておるかということについては、そのコストの要因だけでは判断がつかないということになろうかと思います。したがって、一つの参考の指標にはなろうかと思いますが、それですべてを律するということには無理があろうかと思います。
  363. 辻第一

    ○辻(第)委員 私もそれ一つですべてを律したらいかがですかなんて言ってはいないですよ。いろいろやられる中の一つに、かなりのウエートを置いた基準とされてはいかがですか、このように申し上げているわけでありまして、ぜひひとつ御検討をいただきたい、このように思います。  時間が大体もう参っているようでありますが、実際この経済規制緩和ということは、本当に零細業者がどんどん参加をする、一層過当競争が起こる、そして同じことばかり言うて恐縮ですけれども、そういう状況の中で運賃のダンピングが起こる、運賃のダンピングが起こるということになれば反社会的なところで勝負をする、結局過積みであるとか長時間、スピード違反、こういうことが起こってくるのですね。交通安全上重要な問題が起こってくる。そのことはもちろん業者の安定を阻害するということになるわけですね。ですから、私は、一番大事なことを切り捨てて、そして二次的、三次的なことで対策を強化しておられるというふうに思うのですね。言うなら、極端な言い方ですけれども、マッチポンプみたいなそんな感じをこの法律で私は感じるわけであります。ですから、この法律では問題の解決にならないということを強く指摘をして私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  364. 島村宜伸

    島村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十三分散会